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1964-03-25 第46回国会 衆議院 大蔵委員会文教委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)    午前十一時三十八分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 山中 貞則君    理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       大泉 寛三君    押谷 富三君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       卜部 政巳君    小松  幹君       田中 武夫君    平林  剛君       竹本 孫一君  文教委員会    委員長 久野 忠治君    理事 坂田 道太君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君       臼井 莊一君    谷川 和穗君       床次 徳二君    橋本龍太郎君       原田  憲君    松山千惠子君       落合 寛茂君    川崎 寛治君       長谷川正三君    前田榮之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局次長) 中尾 博之君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      相澤 英之君         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君  委員外出席者         専  門  員 拔井 光三君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校特別会計法案内閣提出第八二号)      ————◇—————   〔山中大蔵委員長委員長席に着   く〕
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより大蔵委員会文教委員会連合審査会を開会いたします。  本日は、連合審査会議題といたします国立学校特別会計法案大蔵委員会付託案件でありますので、先例によりまして、大蔵委員長たる私が委員長の職務を行ないます。  国立学校特別会計法案議題といたします。
  3. 山中貞則

    山中委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  4. 卜部政巳

    卜部委員 いま大蔵委員会で安嶋さんのほうから御答弁がありましたが、3の中にありますように、「この特別会計に属する不用の財産を処分して、その収入国立学校内容充実にあてることを容易にするため、今後においても必要がある場合においては、建交換を行なうに必要な予算国庫債務負担行為計上を図ることとする。」こういうことにあると思うのです。率直に言って、文部省大蔵省のほうに、充実を期する、それを入れさせたからといってたいへん喜んだということも聞いておるわけでありますが、実際問題として、ともかくそのための建物や設備充実問題等については、当面どれだけのものが必要とされ、当然この中にはこれだけの経費を必要とするんだという伏線があらわれてきておっていいと私は思うのです。それが概算要求とかワクの問題とかいうことで、これを糊塗的なことばの中で回避しようということは、私は納得できないのでありますが、文部省としてはそういうものを全然考えていないのですか。
  5. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、施設整備につきましては、一応年次計画を立てまして、その年次計画に基づきまして予算積算をいたしておるわけであります。それから設備費につきましては、種類がいろいろあるわけでございますが、特殊な大型設備、たとえば東北大学理学部電子ライナックといったようなものにつきましては、総額を約七億円と予定をいたしまして、各年次割り予算予定をいたしておるわけであります。そういった大型設備につきましては、そういった積算をいたしておるわけでありますが、ワクとして積算をいたしておりますもの、たとえば特別図書購入費につきましては約二億七千万円のワク想定をいたしまして、各年次割り予算額計上いたしておりますし、かつ設備更新費につきましては、たとえば百五十二億という総ワク予定をいたしまして、これまた同様の年次割りをもって予算計上をいたしておるわけであります。  そのように、施設設備の重要な内容につきましては、それぞれ年次計画をもって予算積算をいたしておるという状況でございます。
  6. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、三十九年度の計画はもう出ておるわけですか。
  7. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 三十九年度の計画といたしましては、国立文教施設整備につきましては、約二十三万坪の施設整備予定をいたしておりますし、それから特殊な設備につきましては、ただいま申し上げました東北大学電子ライナックの例をとって申し上げますと、総額約七億を予定いたしまして、三十九年度におきましては二億二千三百万円を計上いたしております。その他ワクとして計上いたしております設備更新費の例について申し上げますと、総額を百五十二億と想定をいたしまして、三十九年度におきましては、二十二億円の予算計上いたしております。  このように、各事項につきまして、全体の計画についてその年次割り予算額をそれぞれ計上しておるという状態でございます。
  8. 卜部政巳

    卜部委員 では、大臣がお見えになられたようですから、大臣のほうに質問をいたしたいと思います。  昨日から本日にかけまして、この国立学校特別会計の問題について論議をしておるわけですが、昨日小松委員からも指摘があったように、率直に申し上げて、文部省としては、この法案に対して十分な意見大蔵省に反映させることがなかった、こういうことが指摘をされておるところであります。さらに昨日の審議の中においてもこの点が明らかにされております。  そこで大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、将来の——まあ、将来のというよりも、今後の教育のあり方として、特に強調されておりますのは、この国立大学予算が潤沢でない、こういうことが指摘をされておるところであります。そういう点で、私はいまの質問を蒸し返しすることを避けまして、大臣に特にお願いをいたし、また少し質問もしておきたいと思いますが、教官研究費だとか、それから教官定員増加の問題、さらには現在まで民間研究所等に比して待遇が悪い、こういうような点が指摘できると思うのです。さらに、これは日本学術会議等において従来指摘されておりますけれども科学者研究者、特に若年の研究者大学では助教授、さらには助手待遇改善が無視されてきた、こういうような問題等がありますが、特別会計に移行をする形になってまいりますと、当然こういう形が合理化というしわ寄せの中で、率直に申し上げて、これがぐんぐんと締めつけられ、さらに今日より悪い状態になってくる、こういうことも予想されますが、大臣としましては、現在のこの状態の中からさらに進んで、こういう定員の増なり、さらに当面問題となっておりますところのいわゆる大学充実の意味からいたしましての抱負なり、そういうものをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  9. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この特別会計設置趣旨につきましては、すでに申し上げたところでございますが、国立学校充実をはかるということが、その大きな眼目になっておるわけであります。その趣旨をもって設定した特別会計でございます。したがって将来特別会計にしたために、予算的その他大蔵省あたりから締めつけられるというような予想は、私は全然いたしておりません。もしさような予想がなされるならば、私はこの特別会計設置に断じて同意しなかったと思うのでありまして、将来にむしろ希望を持って、この特別会計設置に同意をいたしたような次第でありまして、大学施設設備充実はもちろんのこと、大学研究費その他の増額をはかってまいりますとか、あるいは教官の処遇を改善してまいりますとか、いわば内容的に大学充実をはかってまいりますことにつきましては、あくまでも文部省としましては努力してまいるつもりでありますし、この特別会計設定趣旨もそのことによって初めて達成せられるのではなかろうか、私はかようにさえ考えておる次第でありまして、御懸念のないようにお願い申し上げたいのであります。
  10. 卜部政巳

    卜部委員 ではもう一つお伺いしておきますが、今年度におきましては、一般会計からの繰り入れ八〇%となっておりますね。将来にわたってこれを下回ることはない、むしろ上回ることはあっても、下回ることはないというそれだけの自信を持って大臣はやれる、こういうふうに確認をしてもよろしゅうございますか。
  11. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省としましては、将来これを下回るというふうなことは、断じてないということを申し上げてよろしいと思います。
  12. 卜部政巳

    卜部委員 これはたいへん重要な発言ですから、深く私も肝に銘じたいと思いますし、同時に本委員会における大臣発言ですから、私は当然このことが実行されていく、このように考えますが、大蔵省もそのとおりですね。政務次官どうですか。
  13. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま文部大臣が仰せになりましたとおりに私どもも考えて、その実現努力をするつもりでおります。
  14. 中尾博之

    中尾政府委員 ちょっと補足いたします。  御質問趣旨は、要するに学校予算充実をするということにつきまして、一般会計の何と申しますか、意気込みと申しますか、力こぶがこれでもってなくなるのではないかという点であろうと思いますが、そういう点につきましては、全然そういう趣旨に出るものではございませんので、ただいま文部大臣からお話がございましたとおりであります。ただ割合ということになりますと、御承知のとおり、今回の特別会計をつくりまして、初年度が来年度の予算になります。したがって私どももいろいろ手段は用意をいたしたわけであります。建て交換ワクをふやす手段あるいは建て交換のための債務負担ワクをふやす手段、あるいはそのほか財源的にこの特別会計固有財源充実する手段を用意いたしたわけでございますが、来年度の予算におきましては、まだそれがフルに活用されておるという状況ではないと存じます。今後この制度がよく活用されまして、そういう部分が動いてまいりまする場合におきましては、その関係財源によります事業も相当伸びてまいるということを期待いたしておるわけであります。この場合に一般会計のほうからそれを見合いにいたしまして、繰り入れを差し控えるというようなことは万般いたす方針ではございませんけれども、そういう関係がございまするので、非常に特殊な大きな施設交換といったようなものが実現をいたしました場合には、その割合におきましては若干出入りが出てくる場合もあるということが予期されるのでございます。そういうことはまた一面でこの制度が活用されたということでもあろうかと存じますが、しかしそれはすべて促進に向けられるのでありまして、それだけがプラスになって速度を早めてまいるということであります。一般会計におきましては従来から国立文教施設というものが重要なる経費でありまして累年その増額につとめてまいったところでございます。これらにつきましては今後ともその方針でまいるわけでありまして、これらの点を文部省のほうにおかれましても検討されまして、その方針を御理解されたわけであります。そういう関係になりますのでちょっと補足いたしました。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 この補足補足であって、これは若干また問題があるところですね。それで大臣、いかがなものでしょう。いま纐纈政務次官は間違いない、八〇%どころじゃない、上回るあれでも出す、こうなっておるわけですが、しかしいま中尾さんのお話しでは、ここが問題なんですよ。やはり私は国立大学でありませんから、国立病院なんかの例をとってみましても、これは私ここに資料がありますから率直に申し上げてみたいと思いますが、ともかくどんどん独立採算になる形の中で調べられていっているわけですね。同時にまた一般会計からの繰り入れなどというものが、これまた小さくなってきておるわけなんです。でありますからいま中尾さんのおっしゃっておるようなあとのことばは、私はこれはたいへんな問題があると思うのです。そういう面で大臣は、率直に言って、そういう特別会計にもしかりになった場合に、当然大蔵省のほうからそういうことが要請され、かつなお大臣等においてもその点が了解をされたからこの制度に踏み切ったなどという中尾さんの発言がありますが、こういう点について、そういう問題が出た場合にはき然としてけ飛ばしていく、こういうことでございますね。
  16. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私のお答え申し上げました趣旨は、要するに国立大学充実について必要とする経費を減らすようなことはいたしませんということを申し上げたのでありまして、その内容がどうであろうかこうであろうかというところまで触れたわけではございません。ただ今回お願いしております特別会計予算規模、これより小さくなるようなことはいたしませんということを申し上げたわけであります。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 大臣にお伺いをいたしますが、あなたが私の質問に答えたのは、一般会計繰り入れが八〇%に現在なっておるが、その点について若干なりとも下回るようなことがあってはならないし、それ以上のものについて獲得をする努力を行なう、こういう点についての確認を私はしたわけです。ところがいまのお話しでは、大学のそれを充実するためにはいろいろな手段がある、その手段について私は内容をとかく言っておるのでありませんというふうに豹変をした答弁になっておるわけですね。私はそれでは納得できないと思うのです。率直に言うと、今度の会計制度というものはそういう危険性があるから一般会計から繰り入れられる金額が少なくなる危険性があるから、私は質問をしたのに、さらにその問題をごっちゃにして答弁をされたので私は困ると思うのです。だから私は前段のほうと解釈しますがよろしゅうございますか。
  18. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほど卜部さんのお尋ねに対しまして私がはっきりとしたお答えを申し上げなかったうらみがあると思うのでございまして、割合とかなんとかいう問題に触れてのお答えをしたつもりでは実はなかったのであります。したがっていまお答えを申し上げることでひとつ御了承いただきたいと思うのでありますが、私としましては、大学の現在の状況から考えますれば、大学特別会計に対する一般会計からの繰り入れ、これを減らすような段階ではないと思うのであります。しかしそれらを含めまして、私はこの特別会計規模を現在よりも小さくするということはいたしません、この趣旨で実はお答え申し上げたつもりでございますから、私の卜部さんのお尋ねに対するお答えがぴったりいかなかったと思いますが、この答えによって御了承いただきたいと思うのでありまして、大学特別会計規模を増大することによって、さらに大学設備施設その他の整備充実をはかってまいりたいというのが本旨であります。そのように考えております。  なおつけ加えて申し上げますれば、いま申しましたように、今日の状況のもとにおいて、一般会計からの繰り入れを直ちに減らすとかなんとかいうふうなことはあり得ない、このように私は考えております。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 私は大臣に要望したいのです。それは国立病院の場合に一般会計繰り入れが二十四年の場合には二三・七%なんです。ところが今日三十八年の実績を見ると、わずかに一三%に下がってきておるのです。それで同時にまたその病院の中ではどういうことが行なわれているかといえば、これは私が説明するまでもないのですけれども、どんどんと合理化がしわ寄せされておる。合理化ということばはともかくといたしまして、たいへんな労働強化がしいられてきておるわけです。さらに企業をいわゆる高めていくために、これはちょっとセンスの古い医院長の話でありますが、同時にまたばかげたようなことでとるに足らない医院長ことばでありますが、ともかく特急券でもあるじゃないか、寝台券でもあるのだから、外来者病院に押しかけてくるときに、たくさん列を並んでおるから、赤線を引いて百円なり五十円をとって、これは五十円の有料席などということをやったらどういうものであろうかということを、こういう悩みを投げかけておるほど、その企業の中で、特別会計の中で病院がぐんぐんとしわ寄せされておるという現実を私は知っておるのですよ。将来そういう姿になることを私は憂えておるのです。だから私はいま大臣にその問題の一般会計からの繰り入れ八〇%、これを下回っていくことはない、上回るように、ひとつこれを確認をするということで私はやったのでありますが、大臣もその点を十分考えられた上に立って、私はこの制度に踏み切ったというふうに考えるのですが、率直の話、実はそうではないのですね。大臣、率直に言って、大臣あたり雲上人のようなかっこうでもって、大蔵省のほうからぐんと押しつけられた姿が私は出ておると思うのです。大臣自体大学の方々に意見を十分反映さして、さらに下部の事務当局に聞いてどのようなかっこうでやられたのかということを私は十分御存じないと思うのです。そのことは別問題といたしましても、いまの答弁については若干納得がいきませんが、しかし再度お伺いをしたいのは、そういうような八〇%下がる、一般会計の場合に限ってですが、その点については断固排除する、こういう点の決意をひとつ大臣は持っておる、こういう点はひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  20. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 パーセンテージのことについてはただいまお答え申し上げたことによって御了承いただきたいと思うのでありまして、私はパーセンテージのことにとらわれないで、現在の大学整備充実についてこれより以下に下がるようなやり方はいたしませんということを申し上げることによって御了承願いたいと思うのであります。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 それは大臣設備は下がる、そういうことにならぬ場合がありますよ。たとえば集団疎開だという名目のもとに、現在の坪何十万とするところの土地を売り払って、それから千円くらいの土地のところに全部集中させるというような学校の集団的な疎開とか、そういうような問題があります。そういう場合においては、結果的に売り払った金でもって充実をしておるという程度のものであって、何ら国が保障するとか、国が日本の国民の、そしてまた若い世代が伸びていく、またそれによって日本の将来を背負っていくところの世代教育に対するところの予算をここに織り込んでいくというのじゃないのです。そういうことは私は技術的には何ぼでもできると思うのです。ただ問題は、文部省が、さらには政府がどのようにいわゆる大学というものを、教育というものを考えておるか、それに対してはどのように温情のある、そうしてまた国家がどれだけのいわゆる予算をそこに投入するか、こういういうところに私は問題があると思うのです。ただ会計技術の問題だとか、そういう問題では私はないと思います。
  22. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国有財産を売り払って、それを特別会計収入にしようということも大学整備充実の一助として考えておるわけであります。それだけで満足できるものではないのでありまして、もとよりこの会計は、たびたび申し上げますように、いわゆる事業会計——病院はちょっと性質が違うかと思いますけれども事業会計という性質を持つものではございません。したがって、どこまでもやはり一般会計に依存せざるを得ない会計でございますので、それにプラスして、いまのような道も講じまして、一そう充実しようという考えでやっておるわけでありますので、私は御心配になるようなことはないものと心得えております。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 では大臣、はっきりできるのじゃありませんか。そういうような問題でありますならば、一般会計からの繰り入れについては八〇%、これはパーセンテージの問題ではないとかおっしゃいますが、やはりこの場合は科学的な計画が必要なんですから、やはり申し上げなくてはなりませんが、そういう問題については確保する、こういうかっこうになると思うのです、いまの大臣のおことばからいえば。そういうことでよろしゅうございますか。
  24. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ことばに拘泥するような関係もあろうかと思いますが、八〇%とか八一%とか七九%、そういうことではっきりここで何%と申し上げるわけにはまいらぬと私は思うのです。ただ私どもがこの特別会計を設定いたしました趣旨というものをおくみ取り願って——従来よりももっと充実をした施策が講じられるということに私は大きな期待を持っているわけであります。またこれは必ず実現しなければならぬ、さように考えておるわけであります。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 では具体的に入っていってお聞きいたしますが、教官研究費をどのように増加をさせるか。率直に申し上げて足らないですね。さらにまた、現在でさえ民間研究所に対して待遇が悪いと言っておる教官の問題、さらに欠員補充ができない状態から見て、待遇改善をどういうふうにするのか。というよりも、もちろんこういう問題については卜部委員が御心配にならないようにりっぱにやってみせます、こういうことになろうと思うのですが、その点はいかがなものでしょう。
  26. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ねになりましたような事柄につきましては、だんだんと今日まで皆さんの御協力のもとに充実してまいっております。今後もその方針で毎年々々の予算折衝の際に、これを充実してまいることに努力したいというわけでございます。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 そこで事務当局のほうにお伺いしますが、いまの問題ですけれども大臣はそういう点のことを、十分にそういうことのないように配慮したい、こういうことなんですが、現実に毎年々々組まれておる予算の中で、実際問題として研究費の問題、さらには定員の問題が不足をしておる、こういう現状ですね。この点をどのように解決しようとするのですか。今度はどのように要求をして、要求というよりも解決をして、教育充実をはかろうとされておるのですか。
  28. 小林行雄

    小林(行)政府委員 教官研究費につきましては、従来から戦前との比較ということを私どもとしては考えておりまして、一応戦前までのバックということを中心に予算要求をいたしております。先ほど来のお話の中にございますように、三十九年度におきまして約一五%の引き上げが認められましたが、まだこれでは完全に戦前復帰まではいっていない状況でございます。この目標を達成していくためには、第一段階として、さらに教官研究費の将来のビジョンというものを画いて、増額につとめてまいりたいと思います。もちろんこの場合に、いわゆる自然科学、人文あるいは社会、経済等教官研究費の差等は当然出てくると思いますが、全般的に増額をはかりたいと思っております。  それから教官待遇問題でございますが、これは御承知のように、現在国立大学教官一般職国家公務員ということでございまして、人事院勧告に従って待遇改善がされるということでございます。しかし文部省といたしましては、教育あるいは学術研究重要性ということから、特に教官については他の公務員と違った待遇改善の方法を考えてもらいたいということを人事院お願いいたしております。ことにいわば若手の助手、講師、その辺の引き上げお願いを申し上げている次第でございまして、人事院勧告におきましても、その点に多少の配慮がされていると思います。  それから定員の問題でございますが、従来から大学にはいろいろな講座なり学科目がございますが、必ずしもいわゆるワン・セットになっていない不完全な講座学科目がございますが、これについてはできるだけ完全に配慮いたしております。また大学院の新設等にあたりましても、できるだけこれが円滑に発足できるように定員増加を年々はかってまいっている次第でございます。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 まだあとに続々と質問者がございますし、私の持ち時間もなくなりましたので、私の残りの質問はまたあとですることにいたしまして、これで一応打ち切ります。   〔山中大蔵委員長退席、吉田(重)大蔵委員長代理着席〕
  30. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 小松幹君。
  31. 小松幹

    小松委員 私は時間もないし、連合審査で文部委員の方もおりますし、大臣もおりませんので、一言だけで終わりたいと思います。  要は、私は会計操作技術というような問題でこれを把握すればいろいろな観点もあると思います。しかしこれは大きな政治的な意味で考えたほうが文部省あたりは今後ははっきりするのじゃないかと思うのです。私きのうも言いましたけれども一般会計予算の中にどっかと文部予算はすわっておってもらいたいと思うのです。少なくとも終戦後文化国家の建設という立場から、内政は教育だ、社会福祉その他国土建設だという形で、一般会計予算の中にどっかりすわったのであります。そうしてすわって、今日、日本教育を内政の一番大きな——一方交通でありますけれども、一番大きな予算をとって教育を進めてきたんですよ。終戦後二十年で国立大学はどこに出ていく。ちょうどまあお客で床の間にすわっておった主客がどうもここではごちそうを食えないから、おかん方のほうに回って、酒もよけい飲もうかという形で床の間から離れておかんのほうに行って酒をよけい飲むというような立場になったんです。貧すれば鈍するというような立場で私はこれを見たい。いかにも国立学校の手持ちの財産を売り食いするという形で何だか特別会計にしがみついているきらいがある。こういうことで日本大学教育を推進するということはまことに不見識だということを私は言いたいんです。やはり本命として、どっかり内政の中心にすわって一般会計の中にオーソドックスな予算をとって日本大学教育の推進をはかってもらいたい、こういうように何回も私は言いたいのです。そういう観点ができないと、今後は独立採算とか、いろいろな手持ちの財産の売り食いをしいられてきて、いつか教育というものがきわめてすみっこに押しやられるんじゃないかというきらいがあるわけです。だから特に文部関係の者はこの点をよく考えて将来に処してもらいたい。大臣はそれぞれかわっていくでしょうけれども、その理想というものはしっかり、ちゃんと腹の中に入れておかなければいけない。そこに今度は特に大学の自治なんというのもはっきり自分で打ち出していないのですから、何のためにこれをつくったのか。ただばく然と家を建てたいから、借金をしたいからというような操作上の考えからきているわけでございます。こういう点は文部関係者も、また大蔵当局も、教育というものは一方交通で金を出すんだという立場で判断してこの特別会計を善用してもらいたいと思うのです。この点だけ申し上げれば、私は、操作はそれぞれ適当にできると思うのです。問題は教育をいかに把握するかだけの問題だと思うのです。この点だけ私は申し上げまして——答弁を求めている大臣もいませんから、これだけ申し上げて私は終わりたいと思います。
  32. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 川崎寛治君。
  33. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 予算委員会における大蔵大臣なりあるいは文部大臣なりの答弁を通して、この特別会計の性格についての答弁のしかたには食い違いが少しあると思うのです。ですから、その点はぜひ大蔵大臣が来てからやりたいと思うのですけれども、八木政務次官予算委員会において答弁をされております点について少しお尋ねしたいのでありますが、社会党の中井議員の質問に対しまして、八木政務次官は「大学教育という場合に、一般行政事務と違った、ある程度経営的な面もあり」こういうわけで弾力性を持つ必要があるんだ、こういうことで特別会計にして、つまり予算の硬直性がある今日、特別会計にすることがよろしいんだ、こういうふうな答弁をいたしておるわけであります。このことは特別会計の性格をどう認識されておるか、お尋ねいたしたいのであります。
  34. 八木徹雄

    ○八木政府委員 前回お答え申し上げましたのは、特別会計全体から考えた場合に、また国立学校の運営ということを考えた場合に、基調としていわゆる事業会計的なものでないことは言うまでもないことでございます。しかし大学の中に持っております病院につきましては、普通の病院とは違ったいわゆる研究のための病院であるわけでございますけれども、副次的に診療という問題もあわせ行なうわけでございますから、その意味において一部事業会計的な面があるということは否定できないんではないかと思うのであります。しかし私が申し上げたいのは、学校そのものがいわゆる事業会計的な面によって運営されてはならぬことは言うまでもないことでございますから、前回の私の答弁の中にそういうふうなことが強調されるような印象を受けられたとしますならば、それは修正いたさなければならぬ課題だと思います。あくまでも事業会計的なものであってはならぬわけでございますが、一部そういう要素があるということを申し上げて、その面においてはやはり弾力的な運営ができることのほうがより効率的であるということを申し上げたかったわけでございます。
  35. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 病院の問題を特別に出して申しておられるわけでありますけれども、それならば病院だけを取りはずして特別会計にする、それで済む問題じゃないかと思うのでありますが、どうですか。
  36. 八木徹雄

    ○八木政府委員 病院だけを取りはずして特別会計にし、そしてその他の面については一般会計でやるということと、全体を特別会計にするということとの違いであろうと思うのでございますけども、前段で申し上げましたように、元来が事業会計的な性格を持たないものでございますから、あくまでも学校教育国立学校の運営という面から申しますならば、これはどこまでも一般会計に依存してやっていかなければならぬことは言うまでもないわけでございます。だからいま言った国立学校の中で果たす病院のウエートというものは必ずしも大きいわけではございません。だからその分だけを特別会計に切り離して、その他のものを一般会計にやるということではバランスがくずれるのではないか。私は病院というものの中に一部そういう要素があるということであって、それがために特別会計にしなければならぬと言っておるのではないのであります。そういう要素が一部あるというように申し上げておるわけでございますから、全体を特別会計にするがいいか悪いかという論拠でお話ししなければならぬことだと思いますので、いま一部を特別会計に、そして大半を一般会計でやるという考え方では、特別会計をつくる意味が全然なくなってまいるのではないか、全体として特別会計がいいか一般会計がいいかということの御判断をいただきたい、こういうふうに思っております。
  37. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 全体として特別会計になぜしたか、文教委員会ではこの点についてまだ一度も審議いたしておりませんので、あるいは大蔵委員会ではすでに追及をされておる問題であると思いますけれども、あらためてお尋ねいたしたいのであります。大蔵政務次官文部政務次官と両方から答弁を願いたいと思います。
  38. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お答えします。なぜ国立学校会計特別会計にしたかという問題につきましては、すでに大蔵委員会におきましていろいろと論議されまして質疑応答がありましたように、沿革的に申しますと、戦前大学特別会計になっておったわけでございますが、御承知のように、いよいよベビーブームがやがて大学のほうへ波及してくるということで、設備施設というものを相当拡充しなければならぬというような考え方があるわけでございます。来年度におきましても特別会計を設けましたが、御承知のように一般会計繰り入れの問題は、前年度よりも上回っておるということでございまして、教育の重大性に対して、特別会計になったからして一般会計のほうを削るというような御心配も言われておるようでございますが、そういう問題は大蔵省としても全然考えておりません。むしろ先ほど文部大臣お話になりましたように、今後一般会計につきましてはさらに増額をする、あるいはいままで以上に下回らないというようなことを申されたわけでありますが、大蔵省としてもそういう気持ちを持っておるわけでございます。  そこで先ほど文部大臣も申されましたけれども国立学校設備につきましては、御承知のように古い有名な大学なんかの校舎、あるいはその他研究所、病院等の問題につきましても、むしろ非常に老朽しておるところが多いというようなことがございまして、そういう問題をやはり整備するということ。また大学同士でお互いに、たとえば演習地を持っておる。こういうようなところにつきましても、いまの状態では、自分の財産としてむしろ死蔵されておるというような状態もありまして、そういう方面につきましても、これを有効的に利用するということが、一面におきましては弾力性あるところの特別会計の中において、いろいろの施設ができるのじゃないかということも考えられるわけでございますし、また特別会計になりますれば、剰余金の金はみなそちらに繰り入れになるというようなことで、国立大学の中で相当いままで以上に決算におきましても、一般会計のほうへ繰り入れなければならぬというものが、特別会計のほうに繰り入れられて、それが翌年の費用に流用することができるというようなことがございまして、いろいろの点から申しまして、やはりこの際文部省国立学校特別会計にしたほうが、いままで非常に不足でありました施設設備等の充実をはかることができるでありましょうし、そのほうが文部省国立大学のためにも、要望を達成するに便利であろうというようなことが、根本的な考えとして特別会計設置することにいたしたわけであります。  一面、先ほどもちょっと出たようでございますが、独立採算になって、そのために援業料を上げるとかいうようなことは、一切われわれとしては考えておりませんのでございますし、もちろん独立採算でやるようなことも考えておりません。当初申しましたように、教育費として必要な一般会計の問題は、将来とも教育重要性にかんがみまして、十分要望にこたえるような意味合いにおきまして、一般会計特別会計繰り入れ予算も編成したいということを考えておるような次第でございまして、一応さような意味合いにおきまして特別会計を設けた次第でございます。
  39. 八木徹雄

    ○八木政府委員 一番大きな利点といたしましては、現在国立学校が持っておるところの財産を無償で特別会計に移すことができるということでございます。その結果として、その中で不要なものが出てきた場合、そういうものがかなりたくさんあり得ると思いますが、それを有償でもちろん売るわけでございますから、時価によって売った益は特別会計の中に入れて、それを施設設備に活用することができるということが一点でございます。それから財政投融資の金を、それはいま申し上げました病院関係に使われるわけでございますけれども、長期借り入れ金制度を設けて、病院施設設備充実をはかることができるということが一点。なお決算上の剰余金ができた場合に、それを積み立て金に積み立てて、施設整備に充当することができるということが一点。それからまた建て交換がやりやすくなるということ。それを前提とする国庫債務負担行為制度を活用して、この施設の急速なる整備をはかるということができるということ。あるいはまた歳入予算の起過につきましては、弾力条項を設けて、病院等の事業量の増加に充てられるというような方法が講ぜられるというようなことが一点。また研究費、その他国立学校の運営費につきまして、実情に即したとらわれない弾力的な使用方法ができるといったような、そういう利点があると思うのでございます。
  40. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ただいまの大蔵政務次官あるいは文部政務次官の御答弁を聞いても、そこには何ら今日の高等教育を推し進めていくというものについての展望なり、あるいは長期の計画なりというものの裏づけがないきわめてみみっちい感じがいたすわけでありまして、その教育の本質的な問題に触れた特別会計へ移行しなければならないという必然性、そういうものが何ら聞き取れないのであります。  そこで具体的にお尋ねいたしたいのであります。大蔵政務次官お尋ねしますが、十二月の四日に文部省側に特別会計設置することを申し入れた、こういうふうに聞いておるのでありますが、その際に、どういうために特別会計設置しなければならぬと大蔵省としては文部省側に申し入れたか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  41. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 その折衝につきましては、私は直接タッチいたしておりませんので、事務当局のほうから御答弁申し上げます。
  42. 中尾博之

    中尾政府委員 いまの答弁補足さしていただきます。特別会計を設けることは新しい制度でございまが、これによって一般会計の負担をどうこうするという考え方は全然ないのであります。予算の御審議でも明らかにいたしましたとおり、国立学校の経営というものは、当然本質的にこれは一般会計の普通の財源をもってまかなうべきものでございまして、したがって、本来的な基本になる必要な経費は、どういう事情がございましても、これは一般会計からの繰り入れでまかなうということでございまして、いままでは国立学校経費そのものが予算の面にあらわれておりましたが、今後は特別会計繰り入れという形で、同じような大きな重要な経費一般会計に頭を出してまいりまして、一般会計予算の御審議を通じ、あるいは決算を通じまして、十分御審議なり御批判なりが承れるようになっておる次第でございます。  特に特別会計を設けることについてどうかと考えましたのは、先ほど大蔵、文部両政務次官から御答弁がございましたとおりでありまして、そのようないろいろな利点がございますので、これらをあわせ用いまして、国立学校施設の主として充実に充てる。  もう一つは、やはり一般会計特別会計ということになりますと、特別会計のほうがいわば通例の例によらない特別の取り扱いをいたすのに便利でございます。たとえば建て交換といったような場合、これは一般の税負担とは関係のない収入支出に相なりますので、そういう点については弾力的な予算を目一ぱいに組むことができるわけであります。そういうような予算の面につきましても若干の利益がございます。  それから一般会計ということになりますと、やはり財政負担の御批判にこたえなければなりませんので、明瞭な形の歳出歳入というものが必要でございますが、その結果学校の中におきましても、たとえば病院といったようなものは、収入支出というものが、業務に応じて非常に変動をいたします。多くの場合には予想を越えまして事業量が伸びざるを得ないというような実情にあるのでございます。こういうような場合に、従来でございますと、一々予備費使用の手続をとるというようなことでございまして、その間予備費となりますと、全体の予備の財源でございますから、いろいろ制約もございますが、今回はこれを弾力条項によりましてスムーズに処理できる。また処理できる道が開かれてございますから、学校当局におかれましても、その運営におきまして、余分な懸念なりあるいは心配なりということなしに、本来の目的に従って十分に活動していただくことができるというような点がある次第でございます。  問題はそういうことでございまして、ただ重ねて申し上げまするが、このようないろいろな便宜があり、あるいは特別な財源がイヤマークされまして付与されるということにつきまして、その反面におきまして一般会計の負担を差し控えるのではないか、これを前提にして国立文教施設に対する予算編成の際の心がまえが変わるのではないかという御指摘が先般来非常にあるわけであります。これはまことにごもっともな御懸念かと思いますが、決してそういうことではないのでございまして、そういうものにつきましてはそれが本来的な方法でございます。しかしそれに補足いたしまして、なお動員できるだけのいろいろな手段を動員いたしまして、この際国立学校施設充実内容充実ということをはかってはいかがでございましょうかということで、御相談を申し上げたのでございます。もちろん文部省におかれましても、直ちにこれに対して同意をされたわけではございませんので、十分に趣旨はおわかり願いましたが、それを円滑に理解を求め、そして実施するということについては十分に検討したいということで、検討を留保されまして、続いて予算の最終的な段階におきまして、それからの見通しというものを十分に固められまして、それで特別会計設置ということになった次第でございます。結果的に見ますと、それによりまして一般会計からの繰り入れも通例と同じように大幅に伸ばしておりますが、それにも増してその弾力的な措置が全部容認されることになりましたので、三十九年度の予算からは国立学校の経営なりあるいは内容充実なりについて画期的な姿になっておる次第でございます。
  43. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 八木次官にお尋ねいたしたいと思いますが、この特別会計が昭和二十二年に廃止になったあと、また今度復活いたしたわけでありますけれども、これまでの間、昭和二十六年あるいは二十九年、三十年に、国立大学協会が、この大学の財政制度の問題についてそれぞれ要望を述べておるわけであります。それから昭和三十五年の当方、松田文部大臣が中教審に対して、大学教育の改善について諮問をされ、その諮問に基いて三十八年の一月に大学教育の改善についての答申がなされておるわけであります。その答申を文部省としてはどのように受けとめ、どのように実現されようとされたか、お尋ねいたしたいのであります。
  44. 八木徹雄

    ○八木政府委員 中教審の大学教育に対する答申につきましては、できるだけすみやかにそれを尊重して、具体的に法案整備をはからなければならぬわけでございますけれども、ちょっと手間取っております。率直に申し上げて、大学急増というのが四十一年度から始まるわけでございますから、その急増対策というものとあわせ大学の管理運営、目的、性格あるいは教員養成制度等万般の問題を同時に解決しなければならぬことではないか、こういうような気持ちでいま答申案を中心に文部省の態度を固めるための準備をいたしておる段階でございますので、いずれこれを尊重して、具体的に御相談申し上げることになってまいるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございまます。  そこで、戦前特別会計制度というものは、御案内のとおり、大学はそれぞれ資金制度というものが確立して、その資金によって運営していこうという基本的な考え方で運営されておった時代の特別会計であるわけでありますが、戦後のインフレとともに、この資金というものは実質的に無価値のもの——無価値といったらちょっとおかしいかもわかりませんが、価値の少ないものになってまいったというような事柄から、現在のような一般会計制度に変わっておるわけでございます。しかし、大学側にもやはり一部には、特別会計制度のほうがよろしいのではないかというような見解を述べられておることがたびたびあるわけでございます。われわれはその意味において、ひとつ特別会計制度というものにつきましても、全く放任しておったのではなくて、時期を見て現実に即した特別会計制度に切りかえるようにしたほうがいいんではないかという検討を加えておるときに、今回のこういう情勢になってまいったわけでございます。しかし、戦前は帝国大学等、学校ごとに区分された特別会計であるわけでありますが、今回のは一括して特別会計国立学校全体をいたしておるわけでございまして、このことについては、当然国立大学協会のほうに十分に御理解をいただかなければ実効があがらぬわけでございますので、それからのことにつきましては、率直に現在の特別会計の考え方を申し述べまして、その結果として、基本的にそれを御了承いただいて、そしていま御審議をいただいておるという形でございます。われわれはその意味において、この会計の利点というものをひとつ十分に活用しながら、大学急増対策あるいはおくれておるところの施設整備ということをこの会計制度の中に大きく飛躍発展させてまいりたい。そのことについて大蔵省も基本的に御了解いただいておることでございますので、われわれは全面的にこれをお願いして推進してまいりたい、このように考えておるわけであります。
  45. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ただいま中教審の答申の処理について御答弁があったわけでありますが、きわめて飛躍をいたしておると思うのであります。しかも国大協側と十分な打ち合わせをした、こういうことを申しておりますが、時間的に見てもこの打ち合わせは不可能であった、こう思うのであります。  そこで、まず第一に中教審の答申自体は、特別会計制度の問題については慎重にやってくれ、こういうことを言っておるわけでありまして、そして三月に文部省内に国立大学予算会計制度調査会を答申に基づいて設置をされておるわけでございますが、その調査会がいかなる作業をしてきたか、お尋ねいたしたいのであります。
  46. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 中教審の答申に関連をいたしまして、国立大学会計制度調査会が何をやったかというお話でございますが、中教審の答申の基本的な考え方は、国立大学の財政は一般会計でやるという考え方をとっておるわけでございます。   〔吉田(重)大蔵委員長代理退席、山中大蔵委員長着席〕 したがいまして、一蔵会計ワク内におきまして、国立大学の経理手続、あるいは管理運営のあり方等について、国立大学の実態に即するように、技術的、専門的な各面についての検討をする必要がある、こういうことを中教審の答申が末項において述べておるわけでございます。したがいまして、この答申を受けて、私ども国立大学の事務局長、会計部課長等をメンバーといたしまして、調査会を設けたわけでございます。メンバーからも御推察がつきますように、この調査会は経理手続等についての技術的、専門的な研究をするための、全く内部の調査会でございます。したがいまして、国立大学会計制度について、一般会計制度をとるか、あるいは特別会計制度をとるかといったような基本的な問題を検討する趣旨では全くなかったわけでございます。したがいまして、この制度調査会の結論を待たないで、私どもがこの特別会計制度の実施に踏み切ったといたしましても、そもそもこの調査会の設置趣旨と異なるわけでございますから一格別遺漏があったというふうに考えていないのであります。なおつけ加えますと、もしそういう基本的な制度を調査研究するための調査会でございますれば、これは当然法律なり政令に基づく調査会とすべきであったと思いますし、構成員等につきましても、単に事務局の局長、会計部課長を集めて審議をするということでは適当ではなかったはずであります。
  47. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 中教審が三十五年から三年間かかって検討をした諮問に対する答申が、三十八年の一月に出ておるわけであります。三カ年かかって検討してまいったその大学教育の改善についての答申案、それに基づいて調査会ができて、一応の作業を進めようとしておる、設置の目的と違うのだ、こういうことでありますが、そうであるとするならば、何のために中教審の答申が出され、その答申に基づいて文部省が進めようとしたのか。そのことと、今回のこの特別会計設置の目的というものは、明らかに食い違っておるわけであります。そうであるならばそれだけに、慎重に三カ年間の年月をかけて検討されてまいった答申案にこたえるこたえ方ではない。つまり、唐突として出された特別会計であると言わざるを得ないわけであります。その点について文部大臣答弁を願いたいと思います。
  48. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ちょっとその前に、先ほど答弁補足させていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、この調査会は全く技術的、専門的な調査会でございます。それから大学教育に関する中教審の答申は、三年有余の日時をかけて答申されたわけでございますが、内容につきましては非常に多岐な内容が中に含まれておりまして、大学の目的、性格でありますとか、あるいは設置、組織編成、管理運営、厚生補導、入学試験、大学の財政、各般の問題を含んでおるわけであります。これらの六つの問題につきまして、約三年の日時をかけて検討されたわけでありまして、この中に含まれております大学財政についての部分は、昨年の春、約二カ月でありましたかの期間におきまして御審議をいただいたものであります。その御審議の方向でございますが、中教審の答申にも明示してございますように、特別会計の実施については十分慎重に検討する必要があるということをうたっております。審議会の内部におきましては、特別会計を是とし、むしろこれを積極的に推進すべきではないかという意見もあったわけでありますが、中には消極論もございまして、結論といたしましては慎重に検討する必要がある、こういうことになったわけであります。当時中教審の委員の方々が念頭に置いておられました特別会計というものは、戦前ございましたように資金を持って独立をするという特別会計、こういう特別会計でございますならば、とうてい現在の時期におきましては望むことが困難なことである、こういう考え方が一つございました。もう一つは、特別会計と申しますと、この当時委員の方が考えておられましたのは、やはり独立採算的な事業会計的な特別会計でございました。そういうものであればこれは慎重を要するという結論が出るのは当然かと思います。今回御提案申し上げておりますのは、これはそういった性格のものでないというふうに私ども了解をいたしておりますので、この答申の趣旨には必ずしも反しないというふうに考えておる次第でございます。
  49. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それであるならば、中教審の答申の中で、大学の財政が教育研究の自主性を保ち、十分その使命を果たし得るような弾力性のある特別のあり方が望ましい、こういうふうに答申をしておるわけであります。ところが先ほどから大蔵次官なりあるいは文部次官からの答弁伺いますと、教育研究の長期計画に即応をする予算措置、そういうものではなくて、ただ単に施設整備するのだ、拡充するのだ、その点だけを答弁をいたしておるわけでありますが、その点、特別会計に移行することについて教育研究のそういう長期計画というものとの関係について、文部大臣お尋ねいたしたいと思います。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育研究の長期計画でありますとか、あるいはそれに必要な施設設備整備でありますとか、これらを詳細検討いたしまして、そういう計画を立てるというようなことはまことに意義のあることと思うのであります。しかしその問題とこの特別会計をつくるということとは、直ちには私は結ばないと思うのであります。特別会計をつくることによっていまのような点を確立し、あるいは検討いたします上において私は有意義であろうと思うのでありますけれども、その長期計画を立てるために特別会計をつくるとかというふうに、すぐに結びつけてお考え願わないようにお願いしたいと思うのであります。われわれとしては今後の課題として十分それらの点について考慮もいたしたいと存じますが、それを目的としてこの特別会計をつくった、こういうふうに直ちに結びつけてお考えにならないようにお願い申し上げたいと思います。
  51. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ますますわからなくなってまいるのでありますが、先ほど大蔵次官なり文部次官は、大学急増を控えておる、こういうことで施設整備等が飛躍的にできるのだ、きわめてビジョンを持ったような答弁をしておるわけであります。ところがいまの文部大臣答弁は、そういうものとは結びつかぬのだ、こういうことになってまいりますと、大学急増に対応していくというのが今日の高等教育を進めて、いく場合の一番根本的な問題であるわけでありますけれども、そのことが特別会計にしていくことによって裏打ちされていく、こういうことにならないとするのであるならば、何のための特別会計であるか、お尋ねいたしたい。
  52. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大学急増の問題はこれは当面の問題でございます。いまあなたのおっしゃいましたのは長期にわたる計画というふうなお話と私は伺ったのであります。大学急増の問題をこなしてまいりますためには、この特別会計が役立つということはもちろんのことであろうと思うのでありますが、お話しになりましたのは教育研究の長期計画であるとか、今後の建設についての長期計画についてのお尋ねであったように伺いましたので、私はさように申し上げたわけでございます。今後の大学の急増計画ないしはそれに引き続いて今後ともに大学施設整備を進めてまいります上においてこの特別会計が有意義である。そのために私はこの特別会計設置に同意をいたしたわけであります。基本的には何にも違いはないわけであります。お話になりましたお尋ねが、長期計画とかなんとかということのためにこういうふうにお聞きになりましたので、ああいうお答えをいたしたわけでありますが、そのような問題につきましては、今日でも大学施設整備につきましてはある程度の計画は持っておりますが、一そうこれを確実なものにして推進したいという心持ちは十分持っておるわけであります。
  53. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それじゃもう少し具体的にお尋ねしますが、国立大学、七大学をはじめ、地方の数十の大学があるわけでありますが、この国立大学施設整備するためには一体どれくらいすれば基準に達するのかお尋ねします。
  54. 杉江清

    ○杉江政府委員 一二十八年の五月の調査でございますが、基準不足の坪数が五十五万八千坪ございます。それから危険で改築を要する坪数が三十六万四千坪ございます。そのほかに、統合によりまして新しく建物を建てなければならない坪数が八万三千坪ございます。合計百万五千坪ございます。これは三十八年五月一日における要整備坪数の合計でございます。  これを整備するとなりますと、単価を約十万円といたしまして一千億円ということになります。ただしここには今後の学生増募等の計画は含まれておりません。ことに大学生急増に処する建物整備計画は含まれておりませんが、現状はかようになっております。
  55. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大蔵大臣が見えましたから、忙しいと思いますので大蔵大臣のほうにお尋ねしたいと思いますが、大蔵大臣が二月の十日、予算委員会において社会党の中井委員の質問に対して、この国立学校特別会計について答弁をされておるわけでございます。これを見ますと、一般会計の中では弾力性がない。だから特別会計に移して、借り入れ金の道を開いたり合理的にする、そういう事業会計に似たものにするのだ、こういうことを言っておるわけであります。そしてきわめてビジョンのあるりっぱな大学をつくるには一千億くらい必要なんだ、こういう利点があるから特別会計はよろしいのだ、特別会計にするのだ、こういう点を答弁をいたしておるのでありますけれども、この特別会計の性格、なぜ一般会計から特別会計に移していったか、その点について大蔵大臣の御答弁お願いしたいのであります。
  56. 田中武夫

    田中国務大臣 午前中も同じ御質問お答えをしたわけでありますが、一般会計の中では、年間対前年度比一〇%ないし一五%しかふえておらないわけであります。今年度は一四・二%ということでございます。学校や社会保障は最重点施策として二〇%程度大きくしたとしましても、なかなか国立大学が意のように充実改善ができないという事実は長いこと検討されてきた問題であります。同じ問題が道路特別会計、ダム特別会計、治水特別会計、港湾特別会計設置のときにはみな議論されたわけでございます。一つの例を申し上げるとすれば、いま広い土地を持っておりながら古い兵舎等を利用して授業をやっておるというような施設があるわけでございますが、これを改善しようとしても、土地は売った場合には一般会計の歳入として雑収入へ入る。それを予算におきましてまた計上をしなければならないというような弾力性が欠けておるということは、一般会計そのものがそういうものでありますから、単年度主義ということでございますので、そういう意味では特別会計になるほうがより弾力的になるということは、もう自明の理でございます。その上なお借り入れ金ができるということで、財政投融資からの借り入れも考えておるわけでありますし、債務負担行為その他を行なうにいたしましても、一般会計よりも弾力性があるということに対しては、これはもう他の特別会計に移行したものと比べても、十分言い得るわけでございます。  前に申し上げたのは、東大の例を一つ仮定論として申し上げたわけでございますが、東大もどこか非常にいい所があれば、理想的に、外国の大学のように五十万坪か百万坪持って、いいものができるとしたならば、それにしくはないという議論もありますし、そういうことを行なうというふうに仮定をしてみましても、これを移すとしたならば、土地を買うだけでもって十年もかかるということでありますから、こういう特別会計になることによって物件の交換、いま新しい土地を求めて、そこに理想的な大学施設をして現在のものと交換をするということも起こるわけでありますし、いろいろな問題に対して、一般会計よりも弾力性を持つということは、これは特別会計の特色として言い得るわけでございます。そういう意味で大蔵省文部省と話をしましたのも、特別会計にすることによって一般会計にあるよりも、よりよき改善充実をはかろうということが目的でございます。
  57. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは事業会計的な性格をこの国立学校特別会計も持っておるのでありますか。
  58. 田中武夫

    田中国務大臣 事業会計ということを考えておるわけでございません。学校特別会計でございます。一般会計というよりも学校特別会計ということにしたほうがいいということでございます。事業というものが——あなたの質問が、いままでのように弾力性を持つということが事業会計的なものであるということであればそのとおりでございます。がしかし、事業会計とすれば、バランスをとらなければいかぬから、授業料もまた上げなければならぬというような意味の事業会計をお考えになれば、そういう意味ではございません。そういうことを意味しておるのではございません。
  59. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 文部省側の答弁は、完全に整理区分の会計なんだ、財政法第十三条の第二項なんだ、こういう形で非常に厳密な答弁をしておりますが、ただいまの大蔵大臣答弁だと、より企業的な、あるいは事業会計的な性格を含んで譲るのだ、部分的に持っておるのだ、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  60. 田中武夫

    田中国務大臣 純粋な立場で申し上げれば、文部省の言うとおり会計区分を明確にするということで特別会計にしたということが正しいと思います。しかし実際問題として、またわれわれが一般会計よりも特別会計にしたほうがより内容充実し得るということを言っておるのでございます。そう考えております。また二年、三年たてば必ずその実績があらわれてくる、こう考えますので、その意味で企業会計という考え方よりも、とにかくいまよりも国立学校内容整備できる学校特別会計になるんだ、こういうふうに考えております。
  61. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先ほど大蔵次官にもお尋ねしたのでありますが、きわめて不十分でありましたので、大臣にあらためてお尋ねいたしたいのでありますが、十二月四日に唐突として文部省側にこの特別会計にするという話が出たというふうに聞いておるのでありますけれども、その点は先ほどから特別会計にしたほうが弾力性があるのだ、こういうことで特別会計にしたのだと言われたのでありますが、大蔵省側が大学の急増対策あるいは学生一人当たりの教育費等を見ても、戦前からするならばはるかに低い。そういう今日の教育の実態を見て、つまり長期の展望のもとにこの特別会計にすることを文部省側に要請をしたのかどうか、せっぱ詰まってからなぜ文部省側に要求をしたか、その理由を明確にお答え願いたいのであります。
  62. 田中武夫

    田中国務大臣 予算編成の時期になりましてからきめたものでございますから、表から見られると突発的にきめたというふうにお考えになるかもわかりませんが、そのようにせっぱ詰った状態において大蔵省が一方的に文部省にこうしてもらいたいというようなものではございません。大体この学校特別会計というのはいま始まった問題ではなく、明治二十三年から六十年にわたって学校特別会計があったわけでございます。戦後にこれが現在の一般会計になったわけであります。その後から学校というものはどうすれば一体よくなるのかという問題で、党の文教部会などでは長い間検討しておったわけでございます。でありますから政府、与党との間ではより前進的な方法はないかということは長いこと検討しておったのでありまして、何も三十九年度の予算編成のどたんばに出して文部省意見をまとめたというのじゃございません。ただ非常に重要な問題でございますので、文部当局とも長いこと懸案になっておった問題に対してようやく勇気を出して三十九年度予算でピリオドを打って新しい制度に発足せしめたということでありまして、外から見られて何か唐突のような感じを受けられるかもわかりませんが、この歴史、沿革は非常に長いのであるということをひとつお考えいただきたいと思います。
  63. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 歴史的な沿革は長い、明治二十三年以来の特別会計の歴史についてはよく知っておりますが、中教審が文部省に対して大学教育の改善について答申をしておるわけであります。その中では、特別会計制度にすることについて、非常に慎重な意見を述べておるわけでありますが、その点勇気を持ってこの特別会計に踏み切っていったその根本的な理由は何でありますか。
  64. 田中武夫

    田中国務大臣 根本的な原因というのは、長いこと考えてまいりました戦後の学制の中で、国立学校をより充実せしむるためにはどうしなければならぬかということに対して、いろいろ考えた末、特別会計に踏み切ることが、先ほどからるる申し上げておりますように、いまの一般会計の中で処理しておるよりもより弾力的であり、より合理的であるという結論を両省が納得し、党もこれを了承したということから、特別会計に踏み切ったということでざいます。  また中教審からの答申もかかる制度上の問題に対してはより慎重でなければならぬということは、一般論としても当然であります。私たちもそのような基本的態度を持してきたわけでございます。慎重といううことはいつまでもやらぬということではありません。どうしても現在の状態では国立学校整備しなければならぬということは間違いないことでありますので、ここらでひとつ文部当局との意見が合致し、党もこれを全面的によろしいということになるなら、新しい制度を内閣の責任でひとつ開こうと相当勇気を持ってやったわけであります。勇気を持ってやったという半面、答申にもあるように慎重に熟慮した結果行なったわけでございます。
  65. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 国立学校財産の管轄権はどこにあるのでありますか。
  66. 田中武夫

    田中国務大臣 国立学校は御承知のとおり文部大臣が主管しておるわけであります。
  67. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこで財産を処分をして収入が出るわけでありますけれども、その収入の配分方法、これについては文部大臣の権限でありますか。
  68. 田中武夫

    田中国務大臣 御承知のとおり特別会計は法制上大蔵省所管でございます。それは一般会計特別会計と経理をする財政法上の規定の上で申し上げておるわけでございますが、特別会計に対しては主管大臣としての文部大臣が、ほとんど文部大臣意見どおりに私たちが認めるといったことは、いままでの例はそのとおりであります。道路特別会計に対して、その内容に対しては、法律に基づいて建設大臣が行なっておるわけであります。治水特別会計またしかりであります。港湾特別会計またしかりであります。港湾特別会計に対しては運輸大臣がおもにやっておりまして、内容に対して大蔵省がセーブをしたということはほとんどございませんから、学校特別会計ができればいまより以上に文部大臣が十分お考えになっておやりになれるということでございます。
  69. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは先ほど文部省施設関係答弁に引き続きましてもう少し突っ込んでまいりたいのでありますが、今日の国立大学施設整備についてたいへんな努力が要るわけでありますが、そういう全体的な整備計画、これについてお尋ねいたしたいのであります。
  70. 杉江清

    ○杉江政府委員 これまでの施設整備計画は、三十六年度の調査に基づきまして、五カ年計画を樹立し、それに基づいて予算要求をいたしてまいっております。それによりますと、総坪数は百六万坪でございます。それを三十六年度から整備してまいっておるわけでございます。ところでその進捗状況は、三十八年度までを見ますとこの計画の三六%を実施したにすぎない状況でございました。この計画は、だから計画どおり順調には実施されてまいりませんでしたが、本年度の予算は相当大幅にふえておりますので、それを見込みますと、ここで六四%が実施できる計算になります。なお四〇%を残しておりますが、これは今後急速に整備をはかってまいりたいと考えております。なお四十年度から大学生急増対策に伴う設備施設整備計画を立て、これを実施しなければなりませんので、この計画は当然改定いたして、新しい整備計画に基づいて整備をはかっていきたい、かように考えている次第でございます。
  71. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 文部大臣お尋ねしたいのでありますが、いままでは歳出面で各大学は非常な統制を受けておったわけでありますけれども、今度は収入の配分なりあるいはそういう面から見ても、歳入面からも非常な統制を加えられてくる可処性があるわけであります。今日においてさえも七大学とあとの地方の六十数校の地方大学との間にはたいへんな格差があります。予算の面を見ても、七大学予算とあとの新制大学予算とがほぼ同じであるわけであります。そういう点からして、今後歳入歳出の両面において非常な統制を受けてくることになりますと、現在各大学が非常な不安を持っておる点は、たとえば二月二十五日に行なわれました学科目の省令化の問題にいたしましても、これは昨年暮れの予算編成の際に、調査に対してOKを出せ、OKをしなければ予算を回さないぞ、こういうふうな形での圧力が加えられておる事実があるのであります。そういう点からいたしまして、たとえば学科目の省令化あるいは教員養成制度の改変、さらには農学部や文理学部の再編成の問題、こういう問題と関連をいたしてまいりますし、先般東大でも問題になりました、入学試験に能研テストを適用するかどうか、こうした点で、これは統一テストで行なうということになれば、大学の権限を非常に制約をいたしてまいるわけでありますけれども、そういう面に今後この特別会計というものがきわめて強い圧力を加えてまいる懸念を各大学の現場においては持っておるわけであります。ういう点について、特別会計大学の再編の問題について御答弁を願いたいのであります。
  72. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省大学との関係でありますが、私は現在の一般会計である場合とまたこれが特別会計になりました場合と、特に文部省の統制が大学に対して強く加えられるようになるものとは考えておりません。どちらの会計にいたしましても、そういう関係で変化があるものとは私は考えておりません。むしろ今後一そう大学と連絡をよくし、円満にものごとを進めてまいりたいと考えておる次第でありまして、そのような特別会計に重なったために特に文部省が統制力を発揮してどうのこうのというふうなことはないものとお考えをいただきたいと思います。
  73. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ないものというふうに理解せいということでありますけれども、十二月の四日に大蔵省から文部省側に出され、文部省国立大学協会に通知をしたのは十二月十九日であります。そういたしますと、国立大学協会がこの問題について正式の機関を開いてこの特別会計について意思表示をされたのかどうか、お尋ねいたしたいのであります。
  74. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はこの特別会計設置につきまして大学側がどうしても納得できないということで反対するような場合におきまして、今度の予算の場合に特別会計に踏み切るというつもりはなかったのであります。どこまでも大学側との話し合いを行ないまして、その納得を得た上において結論を下すべきである、かように考えておりましたので、なるほど大学側に対しまして連絡をしたのは十二月十九日でありましたかいだしたわけでございますけれども、しかしこれの最後の決断を下しますまでには、大学側の了解を得た上で私は結論を下したつもりでおります。この問題は何と申しましても重要な問題でございますので、ただそのときの簡単な話で結論が出るようなものではない、それぞれ関係方面の理解の上に立ってやるべきものと私は心得ておったわけでありまして、最後までの経過におきましては、大学側におきましていろいろ相談の結果、これを了承し、またその経過におきまして大学側の希望も十分取り入れまして大蔵省との間の話し合いも行なわれたわけでございますので、そのようにひとつ御承知を願いたい。
  75. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大学側が受け入れた、こういうことになっておりますが、その大学側とは何でありますか。
  76. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 話し合いを持ち込みましたのは国立大学協会でございます。国立大学協会におきましていろいろ御検討の結果、これに対しまして賛成の意を表せられたのであります。
  77. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 国立大学協会の責任者がいないわけでありますので、これをお尋ねするのもなにかと思いますが、しかし国立大学協会としては正式の会議を開いてこの問題を検討する時間的な余裕がなかったと思うのであります。その点はいかが措置をされたと判断をしておられますか。
  78. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国立大学協会との協議の経過について御説明申し上げたいと思います。  最初、十二月十九日に事務次官が国立大学協会の役員会並びに財政を担当いたしております第六常置委員会に出席をいたしまして、構想の概要を説明したわけでございます。それから引き続きまして十二月二十三日に国立大学協会の同じく第六常置委員会と専門委員会が開かれまして、大学学術局長、それに私などが参加いたしまして詳細な説明をいたしております。この時期におきまして国立大学協会の事務局のほうから加盟各大学に対しまして、この制度の概要並びに東京で持ちましたこの研究会の経過を連絡いたしております。年が明けましてから、各大学において大学ごとにこれを協議する機会を持っておるわけでありまして、その結果を持ち寄りまして一月二十日ごろであったかと記憶いたしますが、国立大学協会の総会が開かれております。そこにおきまして国大協の意見書が決定されまして、二十三日に会長であります東京大学の学長が文部事務次官にその要望書を持ってこられたという経過でございます。かつ、この法案を閣議決定いたします前日に、文部事務次官が国大協の会長であります東大の学長をたずねまして概要を説明し、その了解を得ております。  国大協との協議の経過は以上のとおりでございますが、短時間ではございましたが、十分にかつ慎重に連絡したつもりでおります。
  79. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 手続としては何らかの形をとろうといたしておるようでありますけれども、慎重に考えなければならない大きな問題が、ほんとうに現場にまでおろされて検討されて、日本大学教育を進めていくという上においては時間的な余裕がきわめてなかったと思うのであります。その点について短時間で片づけていかなければならなかったということは、日本教育の将来のためにはきわめて遺憾であると思います。その点については何ぼ繰り返してみてもしようがないと思いますのでやめておきます。  そこで、国大協の大河内先生がこの特別会計の問題について希望を述べておられるわけでありますけれども、そのことは、先ほどから私が御質問いたしました点について非常に不安を持っおるからでありますが、この特別会計制度が発足になり、今後運用されていく中でその点を明確にしておきたいのでありますけれども、国大協の大河内先生が文部、大蔵、それに大学側と、こういう三者の協議会を設置して運営をしていってもらいたいという希望を述べておられるのであります。戦前特別会計の中では、御承知のように経理委員会というものが設けられておりますし、あるいはイギリスの場合でも補助金委員会というのがあって、そうした機関で円演な民主的な運営がはかられておるわけでありますけれども文部大臣としましては、この点についてどう処置をされようといたすのでありますか、お尋ねいたします。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この特別会計の運営をできるだけ円滑にし、また効率的にいたしますために大学側との十分な接触、連絡がなければならぬと思うわけでありまして、私はその意味におきまして大学側、文部省並びに大蔵省との間におきまして連絡協議の機会を持ちたい、このような現在考え方をいたしております。実施に際しましてまた関係方面とも十分協議いたしまして、国立大学の会長の希望いたしております点の趣旨を尊重してまいりたいと思っております。
  81. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 会議を設けたい、こういうことでありますが、それであるならば戦前の場合にもそういう点の措置がなされておったわけでありますので、その点をなぜこの法案の中に明文化しなかったか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この法案の中には、そのような機構についての規定はございませんし、またそういったふうの機構を一体設ける必要があるかどうかということも、今後の運営の実績から考えて検討したらよろしいのではないかと思うのでありまして、随時お互いに連絡、協議するような機会さえあれば大体やっていけるものではなかろうか、このような考え方をいたしておる次第でありますが、これは今後の実情によりましてさらに考えたいと思うのであります。
  83. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それであるならば、政令の中において入れることを考えるのか、あるいはただ単に運用の面でやっていくのだということであるか、お尋ねします。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまのところは運用の上で考えてまいりたいと思っておりますが、いまお話しになりましたようなことはその上でまた検討したらよろしいのではないか、かように考えております。
  85. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまの点をちょっと補足して申し上げたいと思いますが、戦前の東京大学と京都大学に経理委員会というものが設けられておったわけでございますが、これは明治四十年から大正十四年までの間でございます。この経理委員会趣旨につきまして当時の記録を調べてみますと、貴族院におきまする牧野文部大臣の説明でございますが、これによりますと、当時東京大学と京都大学につきましては一般会計からの繰り入れ金が法定されておったわけでございます。したがいまして、そのいわば裏面といたしまして、東京大学と京都大学会計、経理の監督を厳正にする必要がある、そういう意味におきましてこの経理委員会が設けられておったわけであります。したがいまして同じ帝国大学でございましても、東京帝国大学、京都帝国大学以外の大学につきましては、一般会計からの繰り入れ額が法定されていなかった、予算をもって統制されておったというような関係から、この経理委員会というものは設けられておらぬのであります。したがいまして戦前の経理委員会趣旨というものは、ただいま申し上げたような趣旨でございまして、大学全般についてこの種の機関を設けるという考え方ではなかったのであります。
  86. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ただいまの民主的な灘尾文部大臣のもとにおいては、運用の点についても十分な信頼を持っていけるのであろうと思いますけれども、しかし政治情勢あるいはその他いろいろな諸般の財政情勢の変わった中においては、灘尾文部大臣が意図しておる方向と違う場合が起こり得るのであります。そういう意味においていろいろの不安というものをなくすために、また民主的な運営をしていくためには、どうしてもその点については明確な措置をしていただきたいと思うわけであります。その点については、これは担当しております大蔵委員会のこの法案の審議の中で十分に処置をしてもらいますことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 山中貞則

    山中委員長 山中吾郎君。
  88. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もう時間がありませんが、いま川崎委員から質疑をいたしまして、この中でこの法案に対する一つの疑問、あるいは今後かえって大学側にとって不利になるかという疑問がまだ残っておるようでありますので、端的にお聞きいたしますので、文部大臣と大蔵大臣から簡潔にお答えしていただきたいと思うのです。  この法案の問題点は私は二つあると思うのです。その一つは、この特別会計制度をつくることによって、大学の自治というものがあるいは薄くなるのではないかという疑問がどうも大学側にあるようであります。第二は、いろいろ理屈は言っても、財政的にかえって不利になるのではないか、その二つの点に要約されると思うので、この点について明確にお答え願っておかないと国大協の側といたしましても、突如として起こったと受け取っておるので、十分法案に対する信頼がない。これではこの制度は運営を十分にできないと思うので、お答え願いたいと思います。  文部大臣お尋ねいたしますが、この会計制度ができることによって大学の自治、学問の自由ということによって裏づけられておる大学の自治については、七十幾つの国立大学文部大臣が財政的にも管轄することによって、かえってその中の予算のやりくりの中で統制を強化する、研究の自由というものはかえって失われるという心配大学側において行なわれておるわけでありますが、それは絶対そういうことはないかどうか、その点をお聞きしておきたいと思う。
  89. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大学に関する会計一般会計に属しておる場合と特別会計である場合と、私はいま御懸念になっております大学自治、そういう問題の上から申しますと、何ら関係がないことだと思うのでありまして、同じことだというふうに申し上げてよろしいと思います。
  90. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その疑問の理由の一つとしてお聞きしておきたいがこの特別会計制度の中に、大学の自治というものを慣行によって保障されておる日本大学制度だけに限らないで、工業教員養成所、国立専門学校も含んでこの制度が入っておるわけです。したがって、大学の特殊性というものを前提としてこの制度があるのでなくて、工業教員養成所も大学でない国立専門学校も入っておるから、そこで制度的に一つの疑問が出るので、特に文部大臣はそうではないのだ、大学の研究の自由について、研究費の配分その他については、少なくとも憲法で学問の自由を保障されておる大学そのものについては、ほかの工業専門学校、工業教員養成所などと同じように制度は一つになっておるけれども、そうではないのだということを明確にお答えにならないと、制度関係から答弁にならないと思うのであります。
  91. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、大学あるいは高等専門学校あるいは工業教員養成所、これはそれぞれの根拠法によってできておるわけであります。学校教育制度として、その趣旨に従って学校に対して文部省が対処するのは当然のことであります。会計が変わりましてもその意味におきまして実質的には何らの変更はない、またあってはならない、このような考え方をいたしております。
  92. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大蔵大臣にお聞きします。  これも大蔵省はあまり財政的にいつも考えるから、他からはこういう制度をつくることによってかえってしわ寄せが大学予算にくるのではないかという疑いが現実にあるものですから、お聞きするわけです。文部省大学設備施設充実計画がございまして、先ほど局長から不足坪数、老朽校舎の坪数その他額にして一千億円くらいの費用を必要とするということですが、現在における大学設備充実すべきものがあるわけです。そういう文部省大学施設設備充実するということを最初から確認をして、この会計制度を出発されることに提案をされたのか、その点だけを明確にしておいていただきたいと思います。
  93. 田中武夫

    田中国務大臣 その一千億に近いものを全部のむということではございませんけれども、そういう要求があるわけであります。それよりも以上にまだやりたいとも思っているわけであります。自民党の文教部会などはもっともっとやれ、こういうことを言われているわけであります。でありますが、年間対前年度比一四・二%というような状態の中で、文教とかそれから社会保障とか、そういうものに対しては一般会計ワク増加率よりもよりより重点的にやっておることは御承知のとおりであります。そういう状態であってもなかなかうまくいかないので、一般会計よりも特別会計にしたほうがいいという考え方が基本になっておるわけでございます。でありますから、同じ問題が道路特別会計とか治水特別会計とか治山特別会計、いろんな問題でもって同じ議論が出たわけでありますが、現在になりますと一般会計よりも非常に急速に伸びておるということは事実をもって証明されておるわけであります。それで今度の特別会計でやることによりまして、大蔵省としては普通はこういうことはあまりやりたくないのがほんとうです。一般会計から帳簿価格二千百億を無償で出資するわけであります。いままで一般会計財源でありますから、土地を流用する場合でも無償であったのを、今度特別会計から一般会計がもらう場合には、国は有償でもって代金を支払わなければならない。国から特別会計にやる場合には無償である。いままでは剰余金があっても、雑収入があっても、一切の問題に対しては国の雑収入に入ったわけであります。一般財源として道路にやったほうがいいか、学校もさることながら社会保障も必要である、こういうバランスの上に立っていってそれらのものが使用されたわけですが、今度は特別会計において予定以上の収入があれば積み立て金にもなりますし、それから収入がよけいにあればそれを弾力条項でもって使えることになりますし、非常に一般会計よりもいいわけであります。こっちから出す場合にはただ、向こうからもらう場合には金を払わなければいかぬ、そういうものさえも踏み越えて大蔵省が賛成をしたのでございますから、教育に対していかに理解があるかということをまず前提にして考えていただかないとどうもいかぬと思います。私は灘尾文部大臣の時代にこういう画期的な問題に踏み切られたということに対して非常に敬意を払っておるわけでありまして、そういう意味でわかりが悪いといわれておる大蔵省であっても、こういう画期的なものには協力しようという考え方が前提になっておるのでありますから、これはぐずぐずいろんなものについてこまかく制肘しようとかいうことではなく、一般会計ではえてしてそういうことになりやすいので、特別会計をつくって弾力的な自主運営をしてもらおうということでありますので、その間の基本的な考え方をひとつ理解してもらいたい。
  94. 山中吾郎

    山中(吾)委員 非常にわかりのいい大蔵大臣の御答弁をいただきましたが、それをまず私はあとは事実はどうあらわれるかどうかわかりませんが、敬意を表して信頼をしたいと思いますが、なお文部省大学施設充実計画を上回るほど協力したいということばは非常に貴重な御答弁でありますので、肝に銘じておきたいと思うのです。それはなぜかというと、二年後に大学急増という問題が出て社会問題が出るので、おそらくこの大学充実というものが政治的に問題が出る時期がすでに目の前にある。そういう新設の場合とかというふうなことについても、この会計制度のために逆にワクをはめられることのないことだけは確認をしておかないといけないので申し上げたのです。  最後に文部大臣にお聞きいたしますが、この会計制度について七十幾つの国立大学と専門学校を含んでおるものでありますから、ほんとうは大学制度の終着駅をお示しになって、そしてこの会計制度が出ないと実は疑問が解明しない、それについてはここでは触れません。ただ、いずれも疑問があるので、大学側と文部省側とがこの運営については十分に話し合いをするような、そういう協議機関をお持ちになって、そして前向きにこの制度が前進するような配慮をお持ちになっておられることが非常に重要であると思うので、その点の御意見を聞いて私の質問を終わりたいと思うのです。
  95. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほど川崎さんのお尋ねお答え申し上げたとおりでありまして、私どもとしましてはこの制度をほんとうに生かして各大学のためにお役に立つように運営してまいりますためには、大学との間の十分な連絡協議というものが行なわれなければならないと考えている次第であります。その趣旨でもって今後各大学と接触をいたしたいと思うのであります。制度的にいまそういうものを設けるとか設けないとかいうことでありますが、これはもう原案でひとつよろしくお願い申し上げたいと考えている次第でありますから、当面われわれとしましてはいま申し上げましたような心持ちをもって関係者がそれぞれよく連絡協議を遂げて、うまくこれを運営していこう、こういう心持ちでやってまいりたいと思います。その後の、実際に応じましてまた必要があればその際その問題は考える、このようにいたしたいと思っております。
  96. 山中貞則

    山中委員長 これにて連合審査会を終了いたします。    午後一時三十六分散会