○滝井
委員 わかりました。
そうしますと、今度は
日赤とか
済生会とかあるいは
民法三十四条の
法人、こういうものは、特に
民法三十四条のものは、一定の条件がなければ
非課税にならぬわけです。もっぱら学術の研究を
目的とするとか、あるいは
社会福祉法人ならばそれは無料というのですか、
軽費診療というのが一割以上なければならぬとか、低
所得階層が六割患者の中になければならぬとか、いろいろあります。それからもちろんそのほかに看護婦養成とかいろいろたくさんあります。そういうのがありますが、
日赤、
済生会の場合に、岡本さんも言っておったが、自由診療分があるわけです。あるいは労災分があるわけです。こういうものが収入の中に非常に大きな比重を占めてき始めておるわけです。最近における
医療機関の赤字を解消するための大きな原動力はそれらの
差額徴収になってきておるわけです。そうしますと、このさいぜんの四十条の
基準で持ち分のない
医療法人を大体
非課税に選択をしていく過程の中で、四番目の条件に出てきた自由診療分については、
社会保険で診療報酬を取らなければいかぬということが
一つの条件になっておるわけです。
社会保険の診療報酬で自由診療分については診療費を払ってもらわなければいかぬ、こうなっておるわけです。これが行なわれていないわけです。問題はここです。そこで医務局にお尋ねをしたいのだが、一体
医療機関が公共性があるかないかということは、一番具体的にあらわれるのはそこの診療報酬の支払いの状態です。診療報酬の支払いがほんとうに健康
保険法の適用あるいはそれ以下で行なわれておるかどうかということが非常に重要なところなんです。公共性があるかないかというものさしはここが非常に重要なポイントです。そのほかにもいろいろあります。たとえば看護婦を養成しておるとかあるいはインターンを入れておるとかいうのもあります。ことしからインターンその他の受け入れについては損料を払って、それから謝金を払ってくるのですから、これは
医療費とは無
関係になるわけです。それは補てんしてやるわけですから
税法上では無
関係です。それから看護婦養成等は
医療費の中からやるべきでない、別途の金でやるべきであるということは
社会労働委員会でもすでに結論を出しておる。そうしますと、
医療費の相当の部分が入院その他の
差額徴収で行なわれるということになると、
医療機関の公共性というものが非常に少なくなってくるわけです。一昨日でございましたか、岡本さん、聖路加
病院のことを出したわけです。私もかつて聖路加
病院を出したことがある、国立第一
病院も出したことがある、あるいは
日赤を出したことがある。
日赤の六百、七百のベッドの中で健康
保険ではいれる数は二百かそこいらしかない。私があれを指摘しましてからだんだんふえてきましたけれ
ども、そういうことになっておる。あるいは東京第一
病院では、洋服だんすや何か貸して、それを別会計にして、そのほかに一日二千円、三千円の入院料を取っておった。最近は千円ぐらいになっておるらしいですが、やかましくいわれると下げてくるのだけれ
ども、そういうことをやっておる。岡本さんが、おれのところはそんなこと
一つもやっておらぬけれ
ども税金がかかって、しかも
私的医療機関で公共性はないと言われる、こういうことなのです。ここを一体どう調整するかということです。四十条の
基準で
公益性があるという一番大きなところは、少なくとも診療報酬が
社会保険の点数、単価で支払われなければならぬというところが一番重要なところだ。それ以上取るようなところを
公益性があるなんというのはどこを押しても言えぬと思うのですよ。だから私はここに
公的医療機関の
課税問題が起こってくると思う。これは泉さん笑っておるけれ
ども、笑いごとではないと思う。
社会保険診療でやっておる分については、
日赤でも
済生会でも
非課税にすべきだと思う。しかしそれ以外の自由診療分については、
私的医療機関が、さいぜん言うように、どうやっておるかということをあなた御
説明になったように、労災の
保険と自由診療については普通の税金の
課税方式をとっておるわけです。
社会保険の恩典に浴させないわけです。そうすると、
私的医療機関についてはそういう方向でお取りになっておるのに、
公的医療機関になったら、幾ら高いものを取ってもよろしいということになっておる。ある大学は病棟を別につくって、ここへは一切
保険患者を入れない。一カ月に四十万、五十万取るところがあるのですよ。なぜそんなに取らなければならないか、大学がやっていけないのです。
厚生省の
社会保険審議会のある
委員の人がそこに入院をして、取られてびっくりして私のところに問題を持ち込んだことがある。大学だから私はあまり言わなかったのですけれ
ども、しかし館林当時の
医療課長には、私はここで名前を伏せて指摘はしました。これが
保険医療機関です。
保険医療機関であると同時に大学の
病院なんですね。それはもう
大蔵省所管の虎ノ門共済
病院へ行ってごらんになったらわかる。
大蔵省の給与課が担当しておる虎の門共済
病院へ行ってごらんなさい。これはえらい人ばかりが入って、公務員は少ししか入っておらぬから。しかも奥のほうに押し込められておる。いい部屋に入っておらぬ。そういう実態だから、こういうところは共済
病院だって何だって税金をかけることは同じです。そういう行為について税金をかけなければならぬ。これを見のがしておる、そうして、この答申は、こういうところは、ぼくはどうも天下の中山さんは見落としておると思う。そうして零細な米の
所得の
課税をせいとか、
私的医療機関、中小企業に革命的な政策をとらなければいかぬというような、中小企業類似の
医療機関の税金は撤廃せい、こういう答申を出しておる。これはまるっきり木によって魚を求むるのたぐいで、全く的を射てないわけですよ。だから私は、むしろ
公的医療機関がそういう
差額徴収をやらなければやっていけないというような、そういう姿を放置しておくことは許されぬと思う。だから、これは、そういう自由診療をやって一カ月に三十万も四十万も取るようなところはどしどし
公的医療機関でも税金をかける。そうして
病院がやっていけなければ、それは別に
厚生省の
小林さんの
医療行政でやるべきなんです。インターンをやって、インターンは養成をさせるけれ
ども、金は一文も出さぬ。これはあなたの兄弟の
大蔵省主計局がみんな切ってしまったのです。
小林さんが二億円金を出してくださいと言ってもたった二千万円そこそこしか出さないのでしょう。五億円出してくださいと言っても二千万そこそこです。こういう形だから、
小林さんのほうも
差額徴収を目をつぶらなければいかぬということになる。日本の
医療機関の税の体系というものは乱れてしまったのです。だから、
私的医療機関に二割八分をやったならば、私は
法人税なんかのこういうものをつくる必要はないと思うのです。
法人も青色申告するか、それとも二割八分かどっちかをとりなさい、これのほうがいいのですよ。こういうように複雑化するからいかぬのです。
医療機関を四通りにもする必要はないのです。
公的医療機関で公のものは
非課税にします。
私的医療機関の
法人は全部経費を七割二分に見て二割八分です。これで困るものは青色申告で、実態でいきましょう。そうなれば、
法人は給与その他があるから、大部分が二割八分以下になるのですよ。そうなれば青色申告したっていいのです。そして青色申告をした上で、税を取っていくということにしたらいいのです。一本にしたらいいのです。
医療機関については、
法人とか何とか分ける必要はないと思うのです。そういう形で税を単純化せぬと、いまの
税法というものはみんなわからぬでしょう。われわれが読んだって
税法というのはほんとうにわからぬですよ。わからぬで質問をしているようなものです。そうして
法律はたくさんある。しかも
法律のところを読んでもわからぬから、今度は全部政令にゆだねているわけです。そしてまたその政令は通達その他がうんとあって、それを全部集めて調べてみなければ、一体自分がどれくらい税金を払うかわからぬということでは、法治国としては下なるものですよ。だから池田総理は政治を知らぬ。彼は
行政をするけれ
ども、政治を知らぬ。税は知っているけれ
ども、経済は知らぬと言われることになるのです。池田総理のもとで、
大蔵省で税のはえ抜きでやったのですから、私はこういう点をもうちょっと簡素化すべきだと思うのです。いまのように四つの形になっておって、しかも
公的医療機関というものが乱雑になって、
私的医療機関よりか営利性を発揮している。あなたの言うように、四十条
基準で当てはめたら、日本の
公的医療機関は当てはまるところは
一つもないと思うのです。
公的医療機関が
一つも四十条
基準に当てはまらないのに、今度それを
法人には当てはめようというのですから、こんな無理な
基準というものはないのです。だから、こういう
基準をおとりになるときには、まず聖路加
病院、
日赤、
済生会に当てはめてみて、そして
日赤や
済生会が合格をする
基準で他の
医療機関に当てはめるべきだと思うのです。そうでなければ私は了承できないです。それで向こうが改めなければ、改まらないところは税金をとるのです。
公的医療機関から税金を取って悪いということはない。取っていいのです。
差額徴収分は取っていいのです。帳面を見たらすぐわかるのです。おととい、岡本さんの質問で、何かわからぬようなことを言っておったのですが、
社会保険診療報酬の請求書というのがあって、一年間の請求書を押えれば、あとはみんな自由診療です。それはわかるのです。われわれはみんなそれをやられている。税務署が来て、一年の
国民健康
保険、健康
保険、全部出しなさい。全部付けて出しますと、それ以外のものはカルテを見ればすぐわかるのです。こういう形で調べて、全部根こそぎ取られているわけです。したがって、
公的医療機関だって、基金に出した請求書以外の収入がある。それは自由診療です。その分について税金をかけたらわけはないのです。だからそういう形で、フェアプレーでいかなければいかぬのです。公私
医療機関は、お互いに
国民医療の前進をやっているわけです。そこで、まず四十条の、あなたの当てはめようとする
基準を、
公的医療機関に当てはめてみると、私の見るところでは、日本の
公的医療機関で当てはまるところは
一つもないと思うのです。国立
病院は落第です。東京第一
病院なんか落第です。この落第なものをそのままにしておいて他のものをするというわけにいかぬのです。これは
税法のたてまえからいったら、税は均衡をとっておかなければいかぬ。しかもいかなる権力者といえ
ども税はきちっと取らなければいかぬと思う。いつか岸さんの税金が少ないといって
国会でだいぶ問題になったことがあるが、きちっとしていかなければいかぬと思うのです。そういう点でどうですか。泉さん、非常に苦しい立場でお困りだと思うけれ
ども、勇気を持ってえりを正さなければいかぬ。