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1964-06-30 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三十日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 原田  憲君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奥野 誠亮君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    島村 一郎君       砂田 重民君    高橋  等君       福井  勇君    加藤 清二君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    日野 吉夫君       藤田 高敏君    松平 忠久君  委員外出席者         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         大蔵事務官         (国際金融局         長)      渡邊  誠君         大蔵事務官         (国際金融局         総務課長)   今泉 一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月三十日  委員宇都宮徳馬君、福田繁芳君、岡良一君及び  小松幹辞任につき、その補欠として高橋等君、  福井勇君、加藤清二君及び藤田高敏君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員高橋等君、福井勇君、加藤清二君及び藤田  高敏辞任につき、その補欠として宇都宮徳馬  君、福田繁芳君、岡良一君及び小松幹君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十五日  一、国家公務員等退職手当法の一部を改正する   法律案安宅常彦君外九名提出衆法第五   号)  二、酒税法の一部を改正する法律案有馬輝武   君外十二名提出衆法第三〇号)  三、製造たばこの定価の決定又は改定に関する   法律の一部を改正する法律案有馬輝武君外   十二名提出衆法第三一号)  四、入場税法の一部を改正する法律案有馬輝   武君外十二名提出衆法第三二号)  五、国の会計に関する件  六、税制に関する件  七、関税に関する件  八、金融に関する件  九、証券取引に関する件  一〇、外国為替に関する件  一一、国有財産に関する件  一二、専売事業に関する件  一三、印刷事業に関する件  一四、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税に関する件  外国為替に関する件      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  外国為替及び関税に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤委員 けさの朝日新聞の報道を見ましてもいよいよ明日から映画テレビフィルムが全面的に自由化される、こういう情勢でありますので、きょうの委員会においては映画界状況あるいは自由化後におけるこれからの映画あるいはテレビ界状況などをひとつつまびらかにしてもらいたい、こういう考え方から御質問をいたしたいと存じます。  すでに映画自由化の問題については昨年の予算委員会あるいは商工委員会等において、かなり突っ込んだ質疑応答がなされております。議事録を通読してみましたら特に加藤清二代議士から非常に詳細にわたる部門まで政府にいろいろ態度をただしておったわけでありますが、そのとき大蔵大臣やあるいは担当局長自由化することはまだ考えていない、業界の整備が十分できているとは判断できない、そういう答弁に終始をしておりまして、自由化がこう早く行なわれるとは私の判断では想像していなかったわけであります。それがようやく審議会の答申があったからということを理由にして明日から自由化が行なわれるようでありますが、昨年答弁をしておった時点から今日までの経過の中で自由化をしても心配ないのだ、そういう判断に立たれたと思うのでありますが、ひとつ完全自由化を行なっても利、不利両面を見てそう心配はないとお考えになったと思いますが、その点をひとつ検討された内容を明らかにしていただきたい。これをまず最初にお尋ねしておきたいと思います。
  4. 渡邊誠

    渡邊説明員 映画自由化につきましては、終戦以来映画については厳重な為替管理を実施してきたわけでございます。しかしながら外貨事情が改善され、外貨準備が蓄積されてきますにつれまして、外国映画連絡協議会輸入部会と相談いたしまして、この輸入部会映画輸入関係者中立委員より構成されておるのでございますが、そこで相談いたしまして逐次自由化を進めてまいったのでございます。昨年度におきましては長編映画につきましては割り当て本数といたしまして二百七十五本というものを設定いたしまして、これを国内配給業者割り当てるというやり方でございます。しかしながら三十四年度におきましては百六十一本ということでございまして、逐年映画割り当て本数もふやしてまいりまして、実際はこの二百七十五本というものも消化できないという状況でございます。したがいまして長編映画輸入につきましては、ほとんど自由化したも同様という状況になっておりましたのが昨年度における状況でございます。  なお、為替管理でございますから、しかも映画輸入というものは経常取引に該当いたすわけでございます。そこで、八条国移行ということになりますと、当然に映画輸入というものは自由にせざるを得ないというたてまえになっておるのでございます。また昨年におきましてOECD加盟交渉を行ないました際にも、やはり経常取引であるから映画関係は自由にしなくちゃいかぬということでございまして、OECDとも十分に話し合いをいたしますし、またIMFのコンサルテーションのときにも協議いたしまして、OECD協議をいたしました際には、八条国に移行する際に映画自由化するということを約束しようとしたわけでございます。ところがOECDのほうは、八条国移行の時期も判明しておらないのであるから期限を切ってほしいということでございました。そこで私どもとしては、本年の六月三十日を限ってそれ以降は自由にするという約束をしたわけでございます。八条国関係につきましては、御存じのとおりことしの四月一日から八条国に移行したわけでございままして、IMFの規約でまいりますと、当然四月一日から自由化しなければならないという義務を負うわけでございますが、OECDにつきましても、この自由化コード関係で六月三十日まで自由化を留保しておったのでございますから、IMFに対しましても同様な事情説明いたしまして、六月三十日までは映画に対する為替管理を存続するということで了解を得たわけでございます。そういう事情でございまして、実質的にはすでに自由化されておりますし、またIMF及びOECD関係に対する約束から申しましても、六月三十日までということになっておりますので、そのぎりぎりまで自由化を延ばしておりまして、あしたから所要の省令の改正を行ないまして自由化するということになっておりますのが現状でございます。  ただいまお尋ねがございました映画産業に及ぼす影響等につきましては、これは自由化の時期が大体はっきりしておりましたので、通産省とも相談いたしまして、通産省のほうで十分御検討になっておるのが現状でございます。大蔵省といたしましては、六月三十日が限度でございますから、相なるべくは四月一日から実は実行いたしたかったのでございますけれども通産省のほうの御審議状況にかんがみまして、六月三十日まで自由化を延期しておったというのが現状でございまして、大蔵省といたしましては、従来為替管理という手段によりまして、映画輸入に必要な統制を加えておりましたのですが、為替管理でこの映画輸入を規制するということができなくなりました現状におきまして、映画産業及び外国映画輸入をどうするかというふうな問題等につきましては、通産省のほうにお願いいたしまして、対策は通産で検討していただいておるというのが現状でございます。
  5. 武藤山治

    武藤委員 いま局長お話の中では、二つ理由から自由化が行なわれる適当な時期だ、こう判断をした。一つIMF八条国移行OECDからの勧告、もう一つは従来の二百七十五本の本数は消化できなかった、したがって、自由化されてもこれ以上入ってくるような心配はないであろうという前提に立っておるというお話でございます。そういたしますと、外貨準備蓄積ができた、こういう情勢判断をしておるというお話でありますが、いまの外貨準備状況からいったら、スタドバイ・クレジットなども受けて、かなり操作的に外貨準備高を加味しておるのであって、実質的にはまだ不安な状態にある、そういうときにIMFOECDからの勧告等があるからやむを得ず自由化するのだ、そういう、やむを得ずという立場自由化されるのではないだろうか、そうこちらから積極的に好んで自由化できる体制にはないのではないだろうか、そんなように考えるわけでありますが、その点をもう一回、二百七十五本の輸入が十分消化できなかったという根拠、どのくらいそれが消化されていたのか、全然使わずに返されたフィルムが何本ぐらいあるのか、二百七十五本のいまの消化状況というのはどんなふうになっておるのか。
  6. 渡邊誠

    渡邊説明員 外貨準備についての懸念について御質問がございましたのですが、実際は、最近五ヵ年間の外国映画送金額を申し上げますと、三十四年度におきまして六百五十万ドル、三十五年度におきまして七百六十万ドル、三十六年度におきまして九百六十万ドル、三十七年度におきまして一千二十万ドル、三十八年度が千五百十万ドルという程度でございます。しかしながら、この映画関係配給収入及び買い取りの代金の送金というものは、実際はすでにほとんど自由になっておるのでございまして、蓄積円という形で、昔国内に留保させておりました分もすでに送らしておりますし、最近の状況では蓄積円というものが生じないようになっておるということでございまして、実際はすでに外貨関係におきましては送金は自由になっておるという状況でございます。  なお、輸入割り当てがどのくらい消化されたかということでございますが、三十八年度につきましては二百七十五本輸入割り当てをいたしたわけでございますが、実際には封切りになりましたものが二百五十三本ということでございます。
  7. 武藤山治

    武藤委員 この二百七十五本の割り当てのうち二百五十三本しか消化できなかったという原因は何ですか。映倫か何かに引っかかった本数とか、あるいは輸入業者が、もう映画館が満ぱいだ、これ以上配給してもとても無理だ、そういう受け入れ側原因があったのですか。どの辺に原因があったのですか。
  8. 渡邊誠

    渡邊説明員 私推察いたしますと、実際の需要割り当てに追いつけなかったというふうに考ええおるのでございます。
  9. 武藤山治

    武藤委員 実際の需要割り当てに追いつけななかった原因は何かということを聞いているわけなんです。それは一体、映画自体の質が悪いために需要が追いつけなかったのか、あるいは映画館自体の今日の売り上げ状況からいって二百七十五本という割り当てがそもそも実情に合ってない机上の計画で、少し大量に割り当てをし過ぎたというのか、どちらにその原因があるのか、これを伺っておるわけです。
  10. 渡邊誠

    渡邊説明員 最近テレビに押されまして、映画観客は減っておるような状況でございます。したがいまして、割り当て本数をすべて輸入いたしましても、とてもそれによって観客を動員し、利益をあげるという見込みがなかなかつきかねて、映画輸入業者割り当てを消化できなかったというのが実情ではないかと思います。
  11. 武藤山治

    武藤委員 それではその二百五十三本の生産国名を、アメリカ以下各国別に分けた場合にどういう数になるか、ひとつ。
  12. 渡邊誠

    渡邊説明員 三十八年度について申し上げますと、米国が百七十七本、英国が二十二本、フランスが三十一本、西独が十三本、イタリアが三十六本、ソ連が五本、その他が十九本となっております。これは契約許可ベースでございます。
  13. 武藤山治

    武藤委員 契約許可ベースがこういうことになっておる。アメリカが圧倒的に多いわけですね。  そこで、これから完全に自由化された場合に、共産圏からの日本に対する売り込み、また日本業者の買い付けという傾向、こういうものについては従来から比較した場合どんな見通しになりますか。
  14. 渡邊誠

    渡邊説明員 従来も本数割り当てでございまして、どの国から輸入しようと、それは映画輸入業者の自由であったわけでございます。したがいまして、映画輸入業者利益のあがる見込みのあるものということで、おそらくどの国からの映画輸入するかということをきめておったのではないかと思っております。  ソ連映画等につきましては、これは日ソ間の文化交流その他の関係で、ソ連側からしばしばソ連映画輸入してくれというお話がございましたけれども、私どもとしては、それはすべてコマーシャルベースの問題で、業者間の話し合いによるものであるということで役所のほうは全然干渉をいたしませんでした。おそらく、自由化になりますと、全く同じ状況で、今後は輸入業者資格制限も明日から撤廃いたしますから、輸入したいと思うものと相手国業者との話し合いによってすべてきまることと存じます。
  15. 武藤山治

    武藤委員 通産省のほうにちょっとお尋ねしますが、いま明らかになったように、昭和三十四年から三十八年までのこの五年間に送金金額は倍以上にはね上がっておる。三十四年の六百五十万ドルが三十八年は一千五百十万ドルになった。かなりこれは所得倍増よりもずっと早い速度で輸入送金額というものはふえておる。こういうふえ方を国内フィルムというものと対応してグラフにでもして考えてみた場合に、輸入がふえるに従って国内生産というものとの相関関係はどんなぐあいになっておりますか。通産省ではそれをどんなぐあいに把握しておりますか。全然影響はないと見ておりますか。それはどうでしょうか。
  16. 渡邊誠

    渡邊説明員 ちょっと説明不足でございましたから、つけ加えて送金額について申し上げますと、ただいま私が申しました数字は、経常的に入ってきたものについての送金でございまして、過去蓄積円関係送金も認めておりますから、蓄積円関係を含めますと、毎年の送金額は大きくなってくるわけでございます。三十四年度におきます過去の蓄積円送金は六百七十万ドル、三十五年度におきましては九百七十万ドル、三十六年度におきましては六百万ドル、三十七年度におきましては四百六十万ドル、三十八年度は四百四十万ドル、先ほど私が申し上げましたほかに映画関係送金がございます。
  17. 島田喜仁

    島田説明員 ちょっとグラフになっておりませんので、製作本数輸入本数との関係を申し上げてみますと、昭和三十三年をとりますと、邦画が五百四、三十四年が四百九十三、三十五年が五百四十七、三十六年が五百三十五、三十七年が三百七十五でございます。本数は、三十五年をピークにいたしまして下がっております。ただここで御説明申し上げたいのは、製作本数の減ってまいりました原因の中に二つございまして、映画製作会社が二社やめたということが一つでございます。もう一つは、やはりテレビ等攻勢に対しまして、映画大作主義という方向をたどっておりまして、本数よりも質のいい大作をつくろうという傾向から、三十五年を契機にして逐次本数が減っている、こういう関係でございます。
  18. 武藤山治

    武藤委員 さらに通産省にお尋ねしますが、輸入本数を比較するために、三十三年からの輸入本数はどうでしょうか、いまのに対応して出した場合に……。
  19. 島田喜仁

    島田説明員 洋画関係を申し上げますと、三十三年が百六十九、三十四年が二百十、三十五年が二百十六、三十六年が二百二十九、三十七年が二百三十八でございます。
  20. 武藤山治

    武藤委員 三十八年は……。
  21. 島田喜仁

    島田説明員 多少数字が上映した分と輸入した分とで食い違いがあるかと思いますので、この点は御了承願いたいのでございますが、一応邦画が三十八年は三百五十七、洋画のほうか二百六十七、こういうことでございます。三十八年は上映と輸入本数との関係で多少違っておると思います。
  22. 武藤山治

    武藤委員 企業局長、いまのこの数字を簡単に常識的に比較をしてみただけでも、輸入本数がふえる傾向であって、国内産業のほうは減る傾向にある。これはもちろん量よりも質だ、そういう製作会社自体の転換ということも意味するかもしらぬ。いろいろな要素があるかもしれません。しかしながら、輸入本数がどんどんふえてくることによって国内産業圧迫されてくるという一つ傾向をあらわしている数字じゃないかと思うのですが、その点について、あなたは、担当指導官庁としてどんなような認識を持っていられますか。そういう心配は全くないと考えていますか。
  23. 島田喜仁

    島田説明員 ただいま申し上げましたように、私の御説明を申し上げました本数だけで、洋画による圧迫邦画との関係でその圧迫程度をそのまま推定することは多少問題があるかと思いますが、いずれにいたしましても、ただいま御質問のございましたように、邦画洋画との関係ではやはり洋画攻勢が逐次高まりつつあることを示している、こう考えております。
  24. 武藤山治

    武藤委員 洋画が逐次高まっていって、国内製作会社あるいはスター、そういうような人たちの分野がそれだけ狭められていく、もっと大げさに言うならば、日本芸術文化というものの土台が外国の勢力に駆逐をされていく、こういう傾向をあらわしていると思うのです。そういう点、自由化されても最後はここまででもって国内映画フィルムはこれ以上はもう侵食されぬというような一定の想定をして行政指導というものをやっておるのか、それとも、先ほど為替局長が言うようにIMFOECDからの勧告でやむを得ず自由化をするんだ、こういう至上命令だと受け取って、国内産業がどういう形になろうがそれはやむを得ないんだ、通産省としてはこういうお考えでおるのか。一体どの辺を想定しているのですか。将来のあるべき姿、自由化を完全にされた場合の国内産業状態、そういう想定は全然していないのですか。それをひとつ伺いたい。
  25. 島田喜仁

    島田説明員 実はいまの御質問は非常にむずかしい御質問でございまして、自由化が七月一日から行なわれることを前提にいたしまして、昨年の十二月通産省といたしましては、産業構造調査会の中に映画部会を設けまして、そして洋画自由化された場合の影響等につきまして、業界並びに学識経験者意見を聞いたわけでございますが、この自由化後における洋画影響につきましては、やはり相当ニュアンス映画業界の中でもそれぞれまちまちでございますし、それから第三者意見につきましてもそれぞれニュアンスが違っておりまして、はたして洋画影響というものがどの程度今後自由化された場合に起こるであろうか、それから同時に洋画影響というものがある程度までとまる時期は一体いつかというようなことについては、率直に申しましてなかなか見通しが立たないのか現状でございます。ただ先ほどは本数を申し上げましたけれども、三十三年を例にとりましたが、三十三年から三十八年までの映画業界の趨勢を申し上げますと、わが国邦画状況かだんだん経営の面においても苦しくなってきた原因というものは、何といってもテレビ普及とこれに連なるレジャー消費の拡大が大きな基本的な原因でございまして、洋画影響というのはそれほど大きなものではなかったということは、これはもうほとんど映画業界並びに第三者学識経験者の間でも大体一致した意見でございまして、それが皆無とは申しませんけれども、さしたる影響ではない。したがって、今後自由化された場合においても、やはり一番大きな映画業界にとっての脅威は、テレビ普及テレビ影響というのが第一でありまして、御承知のように映画人口映画観客層が激減をしてまいりました原因は、テレビ中心とする他の大衆娯楽等でございまして、今後自由化によりまして外国映画輸入がただいま申し上げましたように影響は受けますけれども、やはりここしばらくの間はテレビ影響のほうが大きいというのが大かた意見だと思います。しかし、問題は洋画自由化によりまして、——いかなる物資等につきましても自由化をした場合においては少なくとも自由化影響というものはあるわけでございまして、プラスの面とマイナスの面がございます。そういう意味で私は率直に申しまして、やはりここしばらくの間自由化されれば逐次洋画輸入がふえてまいる、こういうふうには与えるわけでございますが、これに対してどういう対策考えるか、ただいま審議会中心にいたしまして慎重に検討をいたしておる段階でございます。
  26. 武藤山治

    武藤委員 自由化されてから慎重に検討する段階だというのは、少々怠慢のそしりを免れないと思うのですが、どういう対策をやったらいいか。ただそれには大蔵省がいろいろ予算の面で言うことを聞かぬとか、いろいろな障害はあるにしても、考えられ得る対策というのは一体局長どんなものがありますか。あなたたち行政指導する立場から、とにかく自由化されても日本映画産業が参らぬようにするためははこういうことがあるのだ、大体それにはいろいろ予算がかかったりしてむずかしい問題があるが、できるできないはいずれにしても、あなたの構想としてどんな対策を立てたらいいと思いますか。
  27. 島田喜仁

    島田説明員 先ほど申し上げましたように、昨年の秋以来実は映画輸入自由化を目標にいたしまして関係方面協議し、いよいよ十二月に審議会を開くことにいたしまして、それ以来審議会検討いたしました結果、まず問題になりましたのがスクリーン・クォータ制度でございます。そのスクリーン・クォータ制度につきましては、スクリーン・クォータ制度の具体的な内容いかん、さらにただいま申し上げましたように、外国映画が自由に入ってきた場合の影響は一体どの程度あるのかというのが一つ問題点、先ほど御質問のございましたむずかしい問題点であり、それからスクリーン、クォータ制度をとった場合に、外国映画から邦画を守る効果が一体どの程度あるのかどうかという問題が一つの点だろうと思います。そういう点を具体的にデータも集めてやらなければ、ただ抽象的なスクリーン・クォータをやるとかやらないとかいうことでは済まされませんので、すでに映団連の中にスクリーン・クォータ制度特別小委員会を設けまして、九回にわたりましていろいろ検討をいたしたわけでございます。ただ問題が非常にむずかしい問題を含んでおりますので、なかなか意見一致を見るに至らなかったという点が時間的にかかっておりますが、最近データもある程度出そろいました。  ただ一つここでスクリーン・クォータ制度につきまして問題になります点を申し上げますと、やはりわが国文化的な資産である映画産業をいかにして守っていくかという問題と、商品としての映画という問題との関係をどう考えるかという点が一つございまます。さらには御承知のように、自由化を一方しておきながら、国民大衆娯楽であり、文化である映画国民立場から見る場合には、自由にこれを鑑賞することが一面必要であるという国民感情の問題、あるいは要するに国民のそういう権利を制限する問題との調整をどうするかとい問題が一つの大きな問題でございまして、審議会においてもそれが議論の焦点になったわけでございます。  なお、外国映画から防衛する問題のほかに、ただいま申し上げましたテレビ攻勢に対しまして、映画産業がどういう体質改善をし、合理化をし、ほんとうに国民の好む映画をつくっていくかというのが基本的な問題でございまして、この点は映画業界といたしましても、学識経験者としても全く意見一致を見た点でございます。それをしてもなおかつ外国映画攻勢にたえられない度合いという問題を考え、かつ国民立場から、観客としての立場から見た場合の制限問題、あるいは興行館の立場から見た上映制限という問題が出てまいります。ただいま申し上げましたように製作者という立場から見れば、これは観点をかえれば邦画の維持擁護という問題になりますが、独立興行館から見ますと、外国映画を上映しようが国産映画を上映しようが、少なくとも収入がふえればいい、観客数がふえればいいという問題にも連なりますので非常に問題がむずかしい。ただいま私ども考えておりますのは、ただいま申し上げましたスクリーン・クォータ制度をとるかとらないかという問題が第一点でございます。それから第二は、やはり邦画が振興してまいりますためには、どうしても国内の配給だけではなしに外国にいい映画を輸出しなければならぬという問題が前面に出てまいりまして、この点は映画業界並びに学識経験者全く同意見でございます。その点では昨年予算が成立いたしまして、試写センター、映画センターをローマに設けておりまして、そういうものを拠点にいたしまして、今後邦画の輸出振興に関しましてはできるだけ私ども努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 武藤山治

    武藤委員 その審議会なるものはこのスクリーン・クォータ制の問題や何かの結論をいつごろ出そうとしておるのですか。ただお互いが意見を出し合って、その都度これはいい意見だ、これはやれる、これはやれぬというような形で、のべつまくなしにずっと開いておるのですか。それとも期間の一定の目標をつくって、期日をきめて結論を出そう、こういう審議をしておるのですか。いつごろ出しますか。
  29. 島田喜仁

    島田説明員 それはただいま申し上げましたように非常に慎重に、しかも相当な議論を戦わせながら、この映画問題というのは御承知のように非常にむずかしい問題でもございますし、それからスクリーン・クォータ制度をとりましても、実は具体的な内容として非常にむずかしい問題が法律的にも実態論的にもあるわけでございまして、ただいま申し上げましたように、具体的な問題を取り上げながら一刻も早く結論を出そう、こういうことでその都度具体的なテーマ、目標を選びながらやっております。
  30. 武藤山治

    武藤委員 だからいつごろというのはことしのうちなのか来年なのか、再来年になるのか、あるいは全く年限はわからぬということになるのか。いつごろをめどにしてその結論を出そうとしておるのですか。審議会は部会でも何か検討しておると言ったでしょう。だからその結論はいつごろ出すのですか。
  31. 島田喜仁

    島田説明員 これは審議会の問題でございますので、私どもはその審議会の答申を待っておるわけでございますが、少なくとも秋ごろまでには——私は、これは推定でございまして、審議会のことについて云々するのはちょっといかがかと思いますが、ただいま御質問がございましたので、私どもの推定といたしましてはおそくも秋ごろまでには結論が出る、こういうふうに考えております。
  32. 武藤山治

    武藤委員 次に、現在の二百六十七本輸入をして上映をした、その場合の輸入業者の率は、日本の会社の輸入業者と、アメリカの会社が直接日本に権利を持っておって持ってくる場合と二種類あると思うのです。その比率はとんなぐあいになっておりますか。もし本数でわかっておったら、何本が日本業者輸入か、それをひとつお答え願いたい。
  33. 渡邊誠

    渡邊説明員 三十八年の割り当て本数で申し上げますと、アメリカ系のアライド、コロンビア、パラマウント、フォックス、メトロ、 ユナイテッド、ユニバーサル、ワーナー、日本RKOというのが大体米系の会社で日本にある輸入業者でございますが、それはアライドが九本、コロンビアが十四本、パラマウントが十八本、フォックスが十八本、メトロが十九本、ユナイテッドが十五本、ユニバーサルが十五本、ワーナーが十九本、日本RKOが十七本ということになっております。そのほかが、松竹映配とかヨーロッパフィルムとか大映とか東和とかいうふうに、日本系の会社に対する割り当て本数ということになっておるのでございます。
  34. 武藤山治

    武藤委員 そのアメリカ系のと日本系のとそれぞれ合計しますと幾らになりますか。
  35. 渡邊誠

    渡邊説明員 ちょっと計算しますから……。
  36. 武藤山治

    武藤委員 計算をしておる間ちょっとお尋ねしますが、いまの発表のようにメイジャー九社が圧倒的に独占をしておるという状態ですね。そうすると、このメイジャー九社が日本フィルムを持ってきて上映する場合と、それから日本業者が権利を取得して輸入した場合との取得率というか、その日本国内に収益として入る部分と、向こうへ持っていかれる部分と、おそらく違うと思うのですね。その日本輸入業者がやった場合と、メイジャー九社がやった場合との取得率の問題ですが、それはどういう取得率になっておるのですか。
  37. 渡邊誠

    渡邊説明員 どの程度の比率になるかということは、結局契約の問題でございます。従来大蔵省といたしましては、日本側の取得が三、メイジャー系が七ということにしておるのでございます。今後は自由化でございますから、すでに私どもはその取り分につきましては四月一日から制限を撤廃しておりまして、今後は力の関係によってこれはきまっていくことと存じておる次第でございます。
  38. 武藤山治

    武藤委員 いまの三対七という収得率はどうも率が少ないような気がするのですね。これではアメリカの会社に日本が完全に協力をしておる、あるいは完全に搾取されているといってもいいくらいな収得率ですね。こういうような取得率はヨーロッパと比較した場合、たとえばフランスやイタリアやドイツがアメリカものを輸入する場合の取得率と比較して、あまりにもひどいような気がするのですが、その比較はありますか。ありましたら、それも参考までに提示してもらいたい。
  39. 渡邊誠

    渡邊説明員 私どもといたしましてはできるだけ日本側の取り分を多くするように従来とも努力してきておったのでございますが、結局これは商取引によります力の関係需要供給の関係ということでございまして、私どもはすでに四月一日からこの制限は撤廃しておるのでございまして、需要供給によって今後は業者同士の間の話し合いで取り分はきまっていくことと存じます。
  40. 武藤山治

    武藤委員 輸入業者の力関係と申しましても、それはアメリカの製造会社の資本金あるいは力、そういうものを勘案してみると、それはとても競争にならぬ圧倒的力を向こうは持っている。そういう中で少しでも手数料になればいいという業者の競争からかえってこういうアンバランスが是正される方向でなくて、自由化されることによって、かえって日本国内では非常な低い水準で契約を結ぶという傾向が出てくるのじゃないでしょうか。それとも逆に、アメリカ側が日本にぜひ売り込みたいために、この率を徐々に改善をする方向で本数日本にふやしていく、こういう傾向のほうが強くなるか、どちらに進む可能性がありますか。
  41. 渡邊誠

    渡邊説明員 これはただいまも申し上げましたとおり、需要供給、お互いの間の競争の関係によってきまると思われますので、個々の場合にそれぞれ、日本が非常にほしいということで日本側の業者が競争すれば、歩合の取り分は悪くなりますし、向こうがぜひ売り込みたいということであれば、歩合の取り分は高くなるということでございまして、どういうふうな傾向になるかということについては、全く今後の映画に対する需要いかんにかかるわけでございまして、私自身としては的確な御返事は申し上げられないと思います。
  42. 武藤山治

    武藤委員 しかし、輸入業者の資格というものは完全に撤廃してしまうわけでしょう。そうすると今度は、ほかの、大きな貿易商でも何でも、映画フィルムを入れたいと思えば自由に輸入できるのですか。何か一定の届け出ぐらいはやるのですか。全く輸入業者は野放しで、だれが輸入してもかまわぬということなんですか。そこはどうなんです。
  43. 渡邊誠

    渡邊説明員 大蔵省のほうといたしましては、為替管理でこれ以上制限することはできませんものですから、輸入業者の資格等につきましては、あるいは登録等の問題につきましては、通産省のほうで御検討願っておる次第でございます。
  44. 武藤山治

    武藤委員 あしたから完全に自由化するのですが、通産省は、輸入業者の資格というものは、いままでのものは全部なくなるが、今度は、資本金は幾ら以上とか、こういう業種のものでなければ取り扱えないとか、何かあるのですか。それともだれが買ってもかまわぬということになるのですか。どういうことになるのですか。
  45. 島田喜仁

    島田説明員 七月一日からの自由化に際しましては、いまのところ資格制限等は考えておりません。
  46. 武藤山治

    武藤委員 そうすると、たとえば丸紅にしてもあるいは伊藤忠にしても、もし貿易をやっておるとなれば、だれが買ってきてもいいわけですね。それはどうなるのですか。
  47. 島田喜仁

    島田説明員 だれが買ってもいいということになっております。
  48. 武藤山治

    武藤委員 テレビにだいぶ圧倒されて、大衆娯楽としての、あるいは日本文化、芸術の一端をになう映画がだんだん衰退していく。その衰退の状況というものは何ではかるのが一番いいかというのはなかなか問題があると思いますが、参考までにひとつ聞いておきたいのでありますが、スターの数あるいはタレントの数、こういうものの推移、それからもう一つ映画館、まあわからなければいいですが、映画館の数、特に洋画輸入状況の比較をしてみますとどういうことになるか、あるいはテレビ普及率と映画館のつぶれる数というものは相関関係があるとか、そういう点の検討などはどの程度しておるのか。昭和三十四年、先ほどの輸入本数を発表した年度からずっと映画館のつぶれている状況、あるいは閉鎖している状況、そういうものをひとつ発表してください。
  49. 島田喜仁

    島田説明員 いまのスターあるいはタレントの関係はちょっと詳細承知しておりませんのでごかんべんを願いたいと思いますが、まずテレビに押されて映画がだんだん衰退と申しますか、ダウン傾向にあるという一つのあれといたしましては、映画人口映画の入場人員が一つのインデックスになると思いますが、昭和三十三年が十一億であったものが、三十八年には五億一千万という数字になっております。  それから映画館の数でございますが、昭和三十三年は館数といたしまして全国で七千館、三十五年が一番ピークで、多かったわけでございまして、七千四百館、それが三十八年度には約五千七百館に減っております。ただ、映画館の数は戦前戦後の関係をちょっと申し上げますと、戦前の最高の昭和十六年は二千四百館でございましたが、ただいま申し上げますように、三十三年に七千に急激にふえたわけでありまして、それが再び減少を続けまして、ただいまのような数字になっております。
  50. 武藤山治

    武藤委員 いまの傾向としては、この五千七百がまだ減っていく傾向にありますか。それとも大体この辺どまりで、どうやらいま残っておる館はやっていけるのか、通産省としてはどのような把握をしていますか。
  51. 島田喜仁

    島田説明員 これはなかなか見通しが困難でございまして、いままでのような急激なダウンはおそらくないであろう、三十八年度がただいま申し上げましたように五千六百館でございますが、これはなかなか試算がむずかしいわけでございますが、これはきわめて参考としてお聞き取りを願いたいのでございますが、三十五年から四十三年ぐらいまでの間にやはり千館程度は減るのではなかろうかという一つの推定も出ております。これは映画関係者の試算でございますが、出ております。と申しますのは、要するに昭和三十九年、四十年、四十一年あたりが大体テレビ攻勢の底であろう、それで底をつきまして、今度は映画の要するに観客がまたふえていくであろうという、これは映画業界の一部の試算でございますので、御参考に申し上げたいと思います。これはオーソライズされたものでもございませんし、その点は先ほど冒頭に申し上げましたように御参考までに申し上げます。
  52. 武藤山治

    武藤委員 五億一千万の映画人口という数字は、入場税の関係なんかでもわかると思うのですが、このうち洋画邦画と分けた場合には、その人口は大体どんな比率になるのですか。
  53. 渡邊誠

    渡邊説明員 日本観客層といたしましては、国産映画の愛好者の数が圧倒的に多く、外国映画観客層との比率はほぼ一定しておるというふうに推定されております。国産映画外国映画とを、これば配給収入の面で比較してみますと、大体七対三程度になっております。観客数はどういうふうに分かれておるかということは、私どものほうでは統計をとっておりませんけれども配給収入の面で見ますと大体七対三ということで落ちついた比率を示しておるようでございます。
  54. 武藤山治

    武藤委員 それはやはり国内でつくったもののほうがかなり安く売られていると思うのです。したがって本数が多いから金額も多くなるということは出てくるかもしれませんが、価格の点ではどうなんですか。アメリカものの一本と日本ものの一本の上映館に渡る単価なんかどうなんですか。どっちが安いのですか。通産省ならわかるのじゃないですか。それがわからなければ、たとえば外国からの映画をどのくらい受けるか。日本映画がこれから芸術文化として、あるいは大衆娯楽として、一木のものが維持できるかどうかということの判定は、やはり映画館としては、利潤追求が目的だという先ほどの答弁なんですから、それはもうかるほうになびいていきますね。やはり日本文化を残していこう、日本映画芸術をとにかく維持発展させようと思ったって、もうからないのじゃとても映画館は上映できぬ。どうしたってアメリカものに飛びついていく、こういう傾向が出てくるでしょう。したがって自由化影響があるかないかということについての検討には、そういう料金の問題、利潤の問題、そういう問題の検討がなされなければ、適切な対策が出てこないのじゃないか、私はそう思うのです。
  55. 渡邊誠

    渡邊説明員 歩合制の場合はこれは配給収入によるわけでございますから、一本幾らという単価はございません。しかしながら大体定額制の場合は三万五千ドル以上のものを大蔵省で許可の対象にしておったわけでございまして、三万五千ドル見当というのが一応の基準になるのじゃないかと思います。
  56. 武藤山治

    武藤委員 それでは通産省が三万五千ドル程度の大きなものを基準に一応見た場合に、日本のものはどのくらいになるのか、一本の費用について、参考までにひとつ……。われわれは芸能人じゃないから、こういうときにいろいろ聞いておきたいわけです。
  57. 島田喜仁

    島田説明員 昭和三十八年の下期の一本当たりの製作配給費は約六千七百万円でございます。
  58. 武藤山治

    武藤委員 私はやはり自由化が完全にされた場合に、いい意味の日本文化あるいは風俗や習慣、そういうようなものが国民に植えつけられる機会が少なくなって、外国の様式というものが、あるいは考え方というものが、人生観というものが、日本国民のかなりな部分に非常な強い影響を与えるという傾向はあまり好ましくない。しかしこれをチェックできないという国際関係の要請等から、自由化はやむを得ない。そこでできるだけその弊害あるいは日本民族に侵食してくる悪い他国の影響というようなものをどこかでチェックをする努力はしなければならぬと思うのです。そういう点でどうもまだ通産省としては本腰を入れてこの自由化対策というものを考えていない。審議会にお預けをしたような形ですが、行政府としてできるだけもっと積極的なかまえを持たなければならぬと思うのです。こういう点は非常に不満でありますが、しかしここで議論をしても仕方がありません。次の問題に入っていきたいと思います。  次は自由化による外貨の問題でありますか、これは局長はまあそう心配はない、昨年あたりがピークであろう、完全に消化し切れなかったのであるから、さほどの圧迫は受けないだろう。したがって外貨の面ではさほど心配がないようでありますが、しかしやはり輸入を自由にすると同時に、こちらからの輸出を大いに盛んにするということを積極的に考えなければならぬ。そこで現在までの過去四、五年の間、邦画の輸出というものはどんな状況になっておるか、その本数、そういうものをひとつ参考に聞かしてもらいたい。
  59. 渡邊誠

    渡邊説明員 私どもの手元には本数はございませんけれども、金額がございますので、その金額の数字を概略申し上げたいと思います。暦年でございますが、三十年におきましては百万ドルでございました。それから三十四年になりますと二百六十七万ドル、三十五年が三百万ドル、三十六年が三百二十四万ドル、三十七年が三百七万ドル、三十八年は一−六月しかございませんが、百六十九万ドルということでございまして、最近漸増しておるような状況でございます。これには輸出ボーナス制というものがございまして、映画を輸出したものに対しまして特別割り当てで外画の輸入を認めておったわけでございますが、このボーナス制というものは四月一日以降廃止しておるのでございます。しかし映画の輸出関係につきまして必要な経費の送金等につきましては、大蔵省として十分に配意して輸出の促進に協力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  60. 武藤山治

    武藤委員 さっき通産省のほうでローマに試写センターをつくったと言われたが、これは国でつくったのですか。それとも業界が拠出をしてつくったものですか。日本の国営のものですか。
  61. 島田喜仁

    島田説明員 試写室は業界がつくるわけでございまして、それに対して職員並びに事務経費を国が補助する、こういうかっこうになっております。
  62. 武藤山治

    武藤委員 映画の輸出振興に対して国が積極的に出している予算額というのは幾らぐらいあるのですか。いまの人件費や何かも含めて幾ら出していますか。
  63. 島田喜仁

    島田説明員 いま、映画センターにつきましては、本年度初めて輸出の予算がついたわけでございまして、一千万円余りでございます。
  64. 武藤山治

    武藤委員 一千万余りというのは、いまのローマにおける試写室をつくるための予算ですね。それ以外に、何か積極的に日本映画を海外に紹介しよう、大いに輸出を盛んにしよう、こういう意味で、製作会社とか何かに特に輸出に向くようなものをつくった場合には奨励金を出すとか、助成をするとか、何かそういう予算というものは全然ないのですか。それとも文部省方面にでもあるのですか。
  65. 島田喜仁

    島田説明員 そういうものはございません。
  66. 武藤山治

    武藤委員 今後大いに邦画を海外へ売り込むという立場から、そういう助成というようなことは何か考える必要かあるかないか、その辺のところの判断はどうですか。これからの映画界に対する通産省として大いにやらなければならぬ問題があると思いますが、そういう点についてはどうですか。
  67. 島田喜仁

    島田説明員 私は、やはり先ほどもお話がございましたが、テレビ攻勢に対しましてもまた輸出に対しましても、まず基本は、要するにいい映画をつくるというのが基本であると思います。それなしにはいかなる助成をいたしましても、その基本が欠けることになるわけでございます。ただ特に輸出の問題につきましては、今後十分に検討いたしてまいりたい。映画の輸出問題は他の商品の輸出と違いまして非常にむずかしい。先ほど申しましたセンターのほかに、たとえば映画の宣伝のためのパンフレットを買い上げるとか、その他等々の助成措置はまだございますけれども、今度初めて映画センターを出すことにつきましてもやっと業界一致を見たわけでございます。なかなか輸出振興につきましてはむずかしい問題を含んでおりますので、今後輸出振興の見地から慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  68. 武藤山治

    武藤委員 これも通産省は調べておるかどうかわからぬですが、今日、東宝や東映、日活、大映、いろいろありますが、映画館の直営場ですね、全体の映画餅の中に直営場というものは一体どのくらいあるのですか。五千七百映画館がありますが、配給会社じきじきに上映をしておる、こういう比率はどうなんです。
  69. 島田喜仁

    島田説明員 ちょっと数字が確かでございませんけれども、直営館は五千数百館の中で百数十館ではなかろうか、こういうように思います。
  70. 武藤山治

    武藤委員 自由化が明日から行なわれるという段階で、通産省としてもあまり映画業界に対する検討というか指導方針というか、そういうようなものは確定してないようでありますから、これから国内大衆娯楽文化、芸術、そういう立場から十分ひとつ——外国ものにあまり侵食されてフィリピンのようになったのでは、これはまことに日本としてはみじめな状態に追いやられるわけでありますから、輸入本数がどんどんふえるというような傾向にならないように庭内のあり方、業界のあり方、こういうようなものの、十分ひとつ通産省としても、指導助言に当たるべきだ、こういうを局員にも大いに力を入れてもらいたい、このいう点を強く要望しておきます。あなたのお考えをちょっと聞かしてもらって私の質問を終わりたいと思います。
  71. 島田喜仁

    島田説明員 率直に申しまして、映画産業、これを産業の面からとらえる場合と、いまお話のございました文化という面からとらえる場合と両方あると思いますが、正直に申しまして、映画業界と申しましても製作者もあれば配給関係もあれば興業館もある。それからただいま申し上げましたように、一方で自由化をしながらこれを制限することが、国民感情なりあるいは国民の自由意思というものを制限し、あるいは興業館の上映を制限するという問題等との関連がございまして、いままでなかなか意見一致を見るわけにまいらなかったのが実情だと思います。しかしながら、ただいま先生のお話がございましたように、やはりわが国大衆娯楽であり国民文化である邦画産業が振興していくということにつきましては私ども全く同感でございますので、私ども十分に検討いたしまして、その進む方向を明らかにしてまいりたい、こういうふうに思います。
  72. 山中貞則

  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 武藤君がいろいろな質問をしましたし、あとで加藤君もやるらしいから五、六点御質問しますが、御承知のように映画は無形のものから有形になって非常に外貨をかせぐという形になるのですが、通産省はこの映画の輸出のためにどんな努力をなされておるのか、たとえばカンヌの映画祭などで日本映画が世界的に競っておって、かって大映あたりも相当成績を上げたのでありますが、このごろちょっと不振なようでありますが、こういうような日本映画を世界に宣伝したり、また事業として成功させるようなことについてどのような政策をやっておられるのか、これをひとつ通産省にお伺いします。
  74. 島田喜仁

    島田説明員 いままでのところは、要するに大体映画製作者ができるだけいい映画を出すという自主的な努力に私どもは待っておったわけでございます。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 映画製作者は日本で大きなものが六つばかりあるのですが、そういうものがやるのはもちろんでありますけれども、国家として、いま通産省が非常に外貨をかせぐためにいろいろと苦労されておるのですが、そういう中で映画は御承知のように日本で一度見てそれのかすを外国に持っていくわけなんですが、そういう点について日本映画が世界的になったような場合もあるし、それからそういうようないろいろな問題があると思うのですが、通産省というものは輸出振興をいろいろやかましくやっておりますが、そういうことについて自主的にやっておるからそれでいいというようなことでいままでやっておられたのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  76. 島田喜仁

    島田説明員 映画の輸出振興につきましては、先ほども申し上げましたように、普通の商品と違いまして、なかなか輸出振興のきめ手が実はないわけであります、率直に申し上げまして。ただ、いままでも競輪の資金を出すとか、それから先ほど申し上げましたようにできるだけ宣伝用になにをするとかというようなことでは実はやってまいったつもりでございますが、今後一体輸出振興の面からどういうことをすれば、政府が補完的な立場あるいは協力する立場からどういう方法をとれば、一体輸出振興になるかという点は、実はむずかしい問題でもあると思いますので慎重に検討いたしたい、こういうように考えます。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あなたにばかり質問するのは悪いんですけれども通産省のお役人か各大使館や公使館に行っておられます。そういう人、そういう出先から通産省にこういうような映画のあれがあるとかというような調査事項とか、そういうものはやっておるのですか、全然やってないのでありますか。
  78. 島田喜仁

    島田説明員 なかなかそういう点については、輸出振興上役立つような報告というようなものは、大使館を通じてはあまりない、こういうふうに承知しております。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私たちが昨年ローマに行ったときに、大使館の門脇大使は実はきょうはカンヌの映画祭に行かれておって不在だというような話を聞きました。これは外務省の人に聞かなければわからぬと思いますが、日本は御承知のように資源の乏しい国でありまして、輸出をするというような場合でも日本在来のもので輸出しない。たとえば繊維でも羊毛を豪州から買って加工して輸出する。紡績もそうでありまして、そういうような産業が発達しておる。しかし、御承知のように映画のようなものは日本国内でできるものでありまして、これがいま言われたように映画文化性と産業性という二つの面から、それは通産省でやれといっても内容にわたる問題がございますし、いろいろむずかしい問題があると思いますが、少なくともいままで映画がこういうふうに問題になっておるというような時代に、通産省自体がただ映画業者にまかせていたということに多少疑問があるのじゃないかと思うのです。  そこであまり通産省のほうを責めるわけにはいきませんが、いよいよあしたから自由になるのでありますが、いままで二千本と言われておりますが、洋画が入ってきたらどういうふうに売り出されるか知りませんけれども、そういうような傾向があるわけです。ただでさえ不振の日本映画界において、どれくらいの外国映画国内へ来るか知りませんけれども、そういうような対策通産省大蔵省考え自由化を迎えられるかどうか。これは日本業者としてたいへんなことでありますが、そういう点についてはどういう対策が現在とられておりますか、伺いたいと思います。
  80. 島田喜仁

    島田説明員 いま関税にどういうふうな内容のものが入っているかは関税局のほうであるいは調べておられるかと思いますが、映画業界の感触から申しますと、ここで自由化になりましても三十九年度の洋画影響は、三十九年度においてはそれほど大きなショックではないのだ、だんだんに毎年何年洋画輸入がふえてはまいりますけれども、先ほども申し上げましたように、これはどういう影響があるかという点は、いま税関にある映画の中身の問題とそれから配給ルートの関係がございますので、そう大きな影響はまずないのではなかろうかというのがどうも大多数の意見のようでございます。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 このごろ日本映画は非常にエロチックなものが問題になっておりまして、私検閲には反対でありますから、検閲をやれというわけじゃありませんが、昆虫記とかあるいは砂の女というのは非常に圧倒的な人気を得て、それに関連して日本ではいま、おそらく昔から考えればとうてい想像できないような映画がはやっておるわけです。これは世界的な傾向であるらしいが、そういうような問題については、この間横浜の税関にもいろいろ行って見てきたのでありますが、そういうものについて大蔵省——それは非常にむずかしい問題で、これは検閲のような形になれば、それは戦前のような形になりますからいけませんけれども関税局はどういうような態度で外国輸入映画についての方針を立てておられるのか、関連して伺いたいと思います。
  82. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 映画の検査につきましては、私ども自由化によって特別変えることはないと考えております。従来の手続により、従来の基準によりやっていくつもりでございます。ただ検査件数ないしは映画輸入審議会の開催件数はふえるであろうと考えておる次第であります。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この間映倫の高橋委員長や数人の方々とわれわれ議員が四、五人行きまして、いろいろ懇談したのでありますが、税関で調べる、検閲するという非常に紙一重の問題であって、これがどのような形で行なわれるかということは、これはおそらく大蔵省も税関のほうも非常にむずかしい問題じゃないかと思うのであります。しかし最近の傾向が、先ほど委員長も言っておりましたが、アメリカのムードが、今度はおっぱいを出すムードがはやっておるというような話を聞いておりましたが、そういうような傾向は世界的な傾向であると思います。しかしそういうような中で、おそらく数年前もこの大蔵委員会で検閲の問題で問題になったことかと思いますが、一定の方針ということの中には時代の流れがあって、戦争前にはこんないまの映画みたいなものは当局の検閲制度がやかましかったのでありますからおそらく見られなかったのでありますが、いまあなた方の基準として佐々木さんの言う基準というのは、どういう点に基準を置いておられるのか、この点をひとつあなた方のいわゆる尺度というものをひとつ伺っておきたいと思います。
  84. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 はなはだデリケートな問題でございまして、具体的な例にぶつかりませんとはっきりいたしませんわけでございますけれども、私ども考えておりますところ過度の刺激を観衆に与えるというものは検査の際問題にすべきではないかと考えておるのでございます。過度の刺激を与えるものというのが時代とともに変わるということは御指摘のとおりでございますが、最近のアメリカの様子が変わることによりまして日本もまたしからば緩めるかということになりますと、私どもそれほどには考えておりません。
  85. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その過度というのは一体どういう標準であるか。過日の金融小委員会における歩積み、両建て問題の論議の際にも不当と過当ということばが問題になったのでありますが、過度という標準はだれが一体主体になるのか。その過度というのはどんな標準、どんな尺度で言われているのか、少し局長の過度の説明をお聞きしておきたい。
  86. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 それはなかなか申し上げにくい問題でございますけれども、基準といたしましてだれが過度と感ずるかという問題があると思うわけでございますが、学識経験者の方がごらんになりまして、一般大衆が——たとえば冷静な人なんかむろん別問題ですが、一般大衆が非常に刺激を受けるかということを基準にするわけでございます。
  87. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あまり佐々木局長にいろいろと話してもそれは無理でありましょうから言いませんが、いまおそらくあしたから封切られるのかどうか知りませんけれども、内地に入っておる現在外国映画というものについては、一体税関を通ってきたものかどうか、その点のいきさつはどういうようになっておりますか、伺いたいと思います。税関は関係なしか、どういうふうになっておりますか。
  88. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 輸入されます映画はすべて税関を通るわけでございます。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうしたら今後は要するに自由ですから、自由化になりますとその点は課税というものがなくなるわけでしょう。そういうやり力はどういうふうになるのか、いままではクォータ制とかいろいろ管理を為替局でやっておったのですが、そういうようなことはフリーになると何か自由になってしまうということになるので、ちょっと想像できないのですが、どういうような変化があるのですか、これを伺いたいと思います。
  90. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 税関で扱います映画輸入の手続につきましては、本数の制限以外の点は従来と同じと考えておる次第でございます。いままでは与えられたワクの中に入ってきます映画が入るかどうかということをチェックいたしておりましたけれども、その点だけは今後は必要がないことになります。劇映画など輸入されますものについては、通例三十五ミリの映画につきましては関税をメーター当たり三十円、これは協定税率でありますが、協定税率では三十円、基本税率では五十円というものをとっておりますが、この徴収は以前と同じように行なうわけでございます。
  91. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点伺いたいのですが、いま日本へ、買われたところのたくさんきておる千本以上のフィルムは、たとえば共産圏ソ連系のものがどのくらいあって、アメリカ系のものがどのくらいあるか、イタリア系がどのくらいあるかという大体の目安はありませんか。
  92. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 御質問の趣旨にぴたりとお答えできないのは、はなはだ遺憾でございますが、きのう東京税関で調べましたところでは、劇映画フィルムの在庫本数は三千五百七十五本でございます。これは十六ミリも入っておりますし、日本で現像しますために入ってまいりましたネガも含んでおりますので、すべてが三十五ミリの劇映画ではございません。この三千五百七十五本のうち九百十九本、約千本余りは保税倉庫、上屋等に入りましてからすでに三年以上経過したものでございます。したがって市場に供給される有効本数としましては二千六百本程度ではないかと見ておるわけでございますが、十六ミリ等を含んでおりますので推定になるわけでございますが、三十五ミリの劇映画というのは千五百本程度ではないだろうかと見ておる次第でございます。
  93. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういうように考えますと、もう一度通産省のほうにお願いしたいのですが、いままで大体現在の二倍の観衆のあった日本映画館の、いわゆる観覧者は今度大体二、三年に半分になったのですけれども、そのうちの大部分は日本映画の観覧が減って、たとえばロードショーをやると、高い洋画なんというものの観客は減っていないように聞いておりますが、そういうことになると、ただいまのような洋画輸入がどんどん入ってくるとなれば、もっとひどい打撃を受けるのじゃないかということを考えておるのですが、そういう心配はないのですか。
  94. 島田喜仁

    島田説明員 先ほどちょっとお答えを申し上げたわけですが、いま関税局長から税関に入ってくるもののうちで大体千五百本くらいが三十五ミリ劇映画として市場に売られるものではないだろうかという話がありましたが、なかなかそこの把握がむずかしいのでございます。実は税関に相当あるのだということを前提にしまして、映画業界の専門家がどの程度影響を受けるかという判断をいたしておるのでございますが、少なくとも三十九年度はそれが市場に出されましてもそうたいしたショックはないのではなかろうか、こういうのがどちらかといえば多数の意見でございます。
  95. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これはあしたからの結果を見なければわかりませんが、通産省大蔵省あわせて輸入が自由になるに従ってたいしたことはないだろうといっても影響はあると思われますが、しかし日本映画外国に出すというくふうについては業者にまかせておるからということではなくて、少なくとも通産省あたりは日本の輸出振興の総元締めでありますから、そういう点について通産省の中で問題になったのかならなかったのか。たとえばこういう方法がありますと、いまローマに映画センターをつくるというような問題を伺ったのですが、そういう点についての将来の方向とか、外国映画輸入がどんどんふえても日本はこういう方法でやれるというような何らかの方針とか所信とか目安があるのかないのかということを一点だけ伺いましてあと加藤君にかわります。
  96. 島田喜仁

    島田説明員 先ほど申し上げましたように、輸出の面につきましては、大いに輸出振興を——私ども熱意がないわけではございませんが、どうすれば映画の輸出ができるかというはなかなかむずかしい問題でございまして、具体的にどうすれば必ず輸出が出るという目安は、率直に申しましてなかなか立てにくいのが私どもの率直な感じだと思います。ただ映画業界も何とか——要するに邦画の衰退傾向に対しまして、輸出を促進することが邦画振興の打開の大きな方途であるということを特に強く考えておりますので、業界とも相談をいたしたり、あるいは学識経験者等の御意見も承りまして、できるだけ輸出振興に努力をしてまいりたい。  それからなお、ただいま申し上げましたスクリーン・クォータ制度の問題をめぐりまして、私どもやはり今後輸入自由化されれば、それによる影響はとにかくあると判断をいたしますので、できるだけ邦画振興、あるいは外国映画をいかに防衛できるかという観点から、広く各層の御意見を承りながら、できるだけ早くその対策考えてまいりたい、こう考えております。
  97. 山中貞則

  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないようでございますし、皆さん総裁選挙で心ここにないお方もいらっしゃるかと存じますが、なるべく簡単に要点をかいつまんで御質問いたしますので、答弁のほうもひとつ簡潔明瞭に、やるかやらぬか、こういうことでお答え願いたいと存じます。  まず第一番にお尋ねしたいのは、先ほどすでに武藤、佐藤両委員からも質問がございましたが、貿易の自由化に伴いまして、これがあすから自由化されるという問題、これは去年の予算委員会ないしは去年の国会あたりではおくびにも出されなかった問題でございます。絶対さようなことはございません、準備完了しなければいたしませんと再三田中大蔵大臣も、時の為替局長も、あるいは銀行局長までが、関税局長も、あわせてそう答えておるのでございます。またそのおりに、以上申し上けた人にプラス原田憲次までも加えて、このこととこのことだけは実行に移しておきなさいという約束があるわけでございます。そのたてまえから申しますが、自由化が突然行なわれたということですが、これは一体日本政府がしたのか、させられたのか、どっちでありますか。
  99. 今泉一郎

    ○今泉説明員 局長がやむを得ない用でちょっと席をはずしましたので、かわってお答えいたします。  これは外国でもおしなべて自由化しておりますので、そういう要請も非常に強うございまして、しかし自由化いたしましたことは日本政府としてきめましたこと、自主的にやったことでございます。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでいいですか。答弁のいかんによって質問が変わってまいります。  外国がやっておる、外国がやっておるとおっしゃいますが、イギリスなどは五〇、五〇のスクリーン・クォータ制をしいてやっておりますよ。どこの国でやっておるか例をあげていただきたい。  次に、自主的にやったとおっしゃいましたね。しからば私どものお約束の諸条件は全部完了しておりますか。先ほど来説明を聞いていると何にもできていないじゃないですか、何をやったというのですか。準備に何をやられましたか。
  101. 今泉一郎

    ○今泉説明員 私が自由化と申し上げましたのは、いわゆる為替管理法でいう制限するという、そういうことはほかの国もやっていない。スクリーン・クォータの問題は、先生御指摘のとおりイギリスもやっております。日本でもいま研究しておられるということは通産省局長さんからもお話のあったとおりであります。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 したがって自主的にやったとあなたはおっしゃったのだけれども、自主的にやるなら大蔵省としてはこれこれの案件を完了した後にするという約束になっておるはずだ、それがいま前二者の質問答弁からすれば行なわれていないじゃないか。それじゃうそを言っておることになるのじゃないか。予算委員会答弁でうそを言っておるということになる。これとこれとこれと詳細言ってもいいけれども、時間は十分か十五分しかないかう簡単に進めますが、あなたのほうは自由化に当たって大蔵省としては何と何の準備をなさったのですか。
  103. 今泉一郎

    ○今泉説明員 大蔵省といたしましては、役所の性質といたしまして為替管理自由化する。同時に映画産業並びに映画館を含めてですが、そういうものの今後立っていく道というものを考えていかなければならぬのは当然でございますが、同時に通産省のほうで諸般の情勢をいろいろ御検になる、そういうことでございまして、大臣どういうふうに御答弁になりましたか私よく存じませんが、そういう立場でできるだけの時間をかして、そういう準備態勢の整うのを待ちまして、それで輸入協議会、これは業者の方もお入りになっておるのでございまして、そこに御諮問申し上げまして御答申を得まして、まあよかったということで御意向を承りまして、自由化した次第でございます。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたの言いのがれを聞いているのじゃないのです。どういうお約束があったか知りませんが、あなたが担当局長の代理で残った人なら、それを知らぬでそれが済みますか。たとえばスクリーン・クォータ制の問題は一年間よく検討をしてこれを実施に移す。上映館の問題に対する入場料はかくかくにする、メイジャー九社に対する態度はかくかくにする、日本輸入業者に対してはかくかくにする、輸出振興に対してはかくかくにするということがちゃんと約束されておるはずだ、全然行なわれていないじゃないか。しかもそれをあなたは何を言うのです。それは通産省約束したのじゃないのですよ。大蔵省は、田中大蔵大臣予算委員会答弁をして、そのあとの打ち合わせをしたときに原田憲君まで来て、そこに局長も全部そろっていた、そして約束したことですよ。それを担当の責任者が知らぬで済みますか。知らぬということはやらなかったということでしょう、何と心得ておるのです。それだから何にも行なわれずに済んでいる。第一番にあなたは業界によく諮問して聞いたとおっしゃった、いいかげんなうそを言うたう承知しませんよ。よく聞いたとあなたはおっしゃった、何を聞いたのです。意見はいまだ統一されておりません。統一してから行なうということであった、意見を聞かぬ証拠を申し上げましょうか。まだ過ぎるからこれは一年間ぐらい延期してもらいたいという陳情があったはずだ。それに対してあなたのほうはどう答弁をしているか、そんなことを言うなら今後はもう映画界のためには骨を折ってやらぬぞよ、こういうふうに逆に脅迫しているじゃございませんか。業界意見を受けて立つのじゃなくして、業界がこうしてくれといって打ち込んだら逆な答弁をして、そんなむちゃなことを言うなら今後はやってやらぬぞよ、黙っていろ、そういう決議や陳情は出すなそういうことを言うたでしょう、どうです、聞いたなんていいかげんなことを言いなさんな。聞いたけれども逆な答弁をしたということで、聞いて行なったのではない。わかっているのだから。
  105. 今泉一郎

    ○今泉説明員 業界の方々の御意見も承ったと申しましたのは、先ほど申しましたように、大蔵省輸入映画協議会というものがございます。これは大映の永田先年とかその他の方々、いわゆる学識経験者、そういう方々をもって前から構成されて、自由化を進めてまいります際の段取り、テンポその他につきまして御諮問申し上げまして御意見を承ってやってまいったわけでございますが、それでいよいよ昨年あたりだんだん自由化の時期が迫ってまいりましたので、あらためて文書をもってお尋ね申し上げまして、また文書をもってこの御回答を承っておるわけでございます。それをさして申し上げたわけです。そのほかに各般の問題、いろいろな業界がおいでになりましょうから、必ずしも利害がその間に一致するものでもないかと思います。いろんな方からいろんな陳情なり御要望があったのではないかと思います。そうでございますけれども、いろいろ項目の違う御要望があったと思いますが、全部御満足がいただけなかったと思いますが、そういう点に基づきましてやったわけでございます。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないから簡潔に質問しますから、言いのがれはやめてください。やらなんだらやらなんだでいいのだから。約束されていることが行なわれていないのだ。  たとえばそのうちの一つを申し上げますと、内地プロダクションは輸入自由化に直面したらたいへんな影響を受ける。そこで体質改善をするとか、大型化の軌道に乗るとか、これをよく指導すべきである。それの一つでもおやりになったのですか、やっていないでしょう。輸出振興策、いままではボーナス制度があった、奨励策があった、ところが今度自由化になるとそれがなくなる。したがってそれにかわるべき何らかのものを考えなさい、IFMその他からいろいろ苦情があるけれどもアメリカもイギリスもみなそれぞれ振興策を行なっております。だから日本考えなさい、考えます、こういうことになっておって何が考えてあるのですか。
  107. 今泉一郎

    ○今泉説明員 先ほど申し上げました映画センターに対する予算等もその一つでございましょうが、またいわゆる輸出所得の減免税ということがいろいろ対外的な関係でできなくなりましたので、一般的に特殊の積み立て金を認めるとか、税法上そういうこともやってきているわけでございます。ただ何せいま御指摘のあったプロダクション問題、それも詳しく存じませんのでお話申し上げるのもなにかと思いますが、一つ一つの企業の自主性というものもございますので、これをどうということもいろいろな問題があると思います。スクリーン・クォータの問題にいたしましても、先ほど通産省企業局長さんからお話がございましたように、それ自体として法制上も実際上もいろいろな問題があるやにお聞きしておりますので、よりより各業界と真剣にかつ慎重に御検討されて、そういうふうにして申し上げたことについての実現につとめておる、こういうことではないかと私ども存じておる次第であります。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 つまり自由化までにこれこれのことをする約束はしたけれども、ほとんど行なわれていない。あなたの答弁によれば、熱心に検討はなさったようです。それは額面どおり受け取りましょう、それは怠慢のそしりを受けては気の毒ですから。しかし、何か一つでも実を結んでおりまするか。自由化に、開放経済に臨むにあたって、何か準備体制が整いましたか。整うまではやらない、こういうことになる。整わざるに期限だけ来たのでやむなく開放した、こう言う。だからさっき聞いたんだ。自主的にやったのかどうか。もしこれを自主的にほんとうにあなたがやったとするならば、あなたはそれでこれに対する外国の交渉相手にはまことにけっこうな顔かもしれませんけれども、内地のそれぞれの関係業者に対してはまことに不都合な怠慢なうそつきな政府といわれてもやむを得ぬでしょう。何をやったんです。そこで今日ここに至って、あすという日を控えて、これはもうやむを得ぬでしょう。しかしやむを得ぬで引き下がるわけにはいきません。何をやるのです。さしあたって何をやるのです。いかなければこれは大臣を呼ぶよりほかしようがない。大臣はやらせる、助成措置までする、税法上、融資上すべてをやると言ったんですから。それが全然事務的に措置がとられていない。いないままに自由経済——したがっていまからでもおそくない。やれることもあるでしょう。何をやるのですか。何をやらんとしておるのです。事務引き継ぎについてあなたは、通産省はこれからやるとおっしゃった、だから大蔵省予算委員会とが約束したことは何もやらずに通産省にぶつけたんですか。大蔵省としては何をやるのです。次に通産省としては何をさしあたって当面の問題として取り組むか、これを承りたい。
  109. 今泉一郎

    ○今泉説明員 ただいま、承るところによりますと、映団連のほらから自由化に際しましてスクリーン・クォータの実施、外国映画輸入配給業者資格制限あるいは映画金融公庫の設立あるいは日本映画輸出振興対策、いずれもまあ先生方のただいまの御指摘あるいは御批判のございましたように、いろいろな御要望が出ているようでございまして、これらのものを実現いたしますについては、もちろん通産省御当局が主管となりましていろいろ御検討をされることだろうとは思いますけれども、同時にこれが実現のためには大蔵省としても御相談にあずかるようなこともいろいろあると思います、お金のこと、その他もございましょうから。そういうふうな意味で相寄り相助けてなるべく早くそういう対策検討していくべきものではないか、さように私は心得ます。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。お約束の時間が来たようでございます。しかしお聞き及びのとおり何ら答えらしきものは出ておりません。しかもなおあすの自由化を控えての対策なりその具体策なるものは何ら聞くべきものはございません。——あったらここに出してもらいたい。聞くべきものはない。したがってこれでは大臣とのお約束が果たされていないということなんです。したがってもう時間も参りましたから私はお約束を破ろうとはいたしません。相手がどんなに破っても、一年越し破っても私は約束を破ろうとはいたしません。そこでこれで質問をやめます。そのかわり映画自由化は経済のみならず日本国民の精神に及ぼすこと重大でございます。特に青少年の不良化が叫ばれておりまする折りに青少年の精神に及ぼす影響もこれ重大で、これこそどなたが総理におなりになるか知りませんけれども、人つくり国つくり、それから質の改善等々全くこの総理候補者の立候補の弁に重大な影響を及ぼす問題が多うございます。したがって、ぜひひとつ、もう一度大臣を呼んでこの問題を解明すると同時に、映画産業外国の荒波から守ると同時に輸出振興が行なわれまするよう、その具体的な委員会を招集することをひとつ委員長にお願いを申し上げまして質問を終わります。
  111. 山中貞則

    山中委員長 加藤君に申し上げます。今週の金曜日三日に大蔵委員会をまた開く予定であります。先ほどあなたの党の武藤君とも打ち合わせております。本問題で大蔵委員会として決議もしたいと私はいま考えておりますか、そのとおりに運べばその口に参考人等の議事か終わりましたならば——予算委員公等のお約束と言われますが、どのようなものか私も知りませんので、そこらのところも明らかにしながらもう一ぺん議題に供するつもりでございますから、当日は御苦労でももう一ぺん御出席願います。  次回は来たる七月三日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会