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1964-06-05 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    大泉 寛三君       大久保武雄君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       谷川 和穗君    濱田 幸雄君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       岡  良一君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平林  剛君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         大蔵政務次官  齋藤 邦吉君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         総理府事務官         (恩給局審査課         長)      中嶋 忠次君         農林事務官         (林野庁職員部         長)      森   博君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信参事官)  高田 静雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月五日  委員宇都宮徳馬君、奧野誠亮君、福田繁芳君、  小松幹君及び田中武夫辞任につき、その補欠  として湊徹郎君、和爾俊二郎君、登坂重次郎君、  平岡忠次郎君及び久保田鶴松君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員登坂重次郎君、湊徹郎君、和爾俊二郎君、  久保田鶴松君及び平岡忠次郎辞任につき、そ  の補欠として福田繁芳君、宇都宮徳馬君、奥野  誠亮君、田中武夫君及び小松幹君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一七一号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求の件についておはかりいたします。  来たる十二日、保険業法の一部を改正する法律案について、生命保険協会及び日本損害保険協会のそれぞれの代表者参考人として委員会出席を求め、意見を聴取することとし、参考人人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 山中貞則

    山中委員長 この際小委員会開会の件について申し上げます。  税制及び税の執行に関する小委員長より本日同小委員会を開会いたしたいとの希望がございまして、先刻理事会において協議いたしました結果、本日午後二時より同小委員会を開会することになりましたので、御了承願います。      ————◇—————
  5. 山中貞則

    山中委員長 国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案及び国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  6. 卜部政巳

    卜部委員 前回委員会のときにも申し上げましたけれども、この共済組合法そのもの自体行政機関とは別個のいわゆる法人格を持っておる組合である。このことについては給与課長のほうからもその点が確認をされておりましたし、同時にまたそのような状態の中で意思決定を行なう機関がないということについても、私は問題を提起したところであります。しかし率直に申し上げて、こうした大きな問題をいますぐこれを取り上げ、抜本的に改善をするということは、とうてい今国会の場においては至難だというふうに考えるわけであります。しかしながら、率直にいって、そうしたいろいろの矛盾なり、さらに毒素なりというものは、少なくとも是正の方向、さらにはそうした一つのものを前進的にさせていく裏づけというものはやはり本国会において打ち出していかなくてはならないのではないか、このように考えておるところであります。そういう点につきまして、現在の共済組合の持っております組織そのものについて、若干ここでもって改正をするないしは改正をするところの努力を傾けたいという、こういう点についてのいわゆる大蔵省当局としての考え方は大体那辺にあるのかということを、まず冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
  7. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先般来いろいろ議論をされているわけでございますが、大蔵省として現在の制度を直ちに改めるべきかどうかということについて、私ども必ずしも先生の御意見にそのまま賛同いたしがたいところでございます。したがいまして、もちろん制度の問題の運用につきましては十分配意をいたしていくつもりではおりますが、直ちに制度そのもの改正する、そのために検討を開始するということを、直ちにお約束するわけにはまいらないだろうと思います。もちろんいろいろと御要求もあることでございますから、御要求のあるつど、あるいは組合自体としても将来のあり方について自主的に検討してまいるということは当然のことでございますから、その限りにおいては検討する場合も当然出てまいると思いますが、まあ改正前提として検討を開始するということまではお約束をいたしかねます。
  8. 卜部政巳

    卜部委員 前委員会でも申し上げましたけれども、そういうことになりますと、共済組合のいわゆる意思決定機関というもの、同時にまた大多数を占めるところのこの組合員意思というものが十分に反映されないということについては、私は若干疑問があると思います。この点について私は前回くどいようですが繰り返し繰り返し申し上げたところです。だから私は今回もこの問題について繰り返し申し上げることを避けたいとは思っておりますけれども、やはりそういうような組合員皆さんがた意思を十分に反映させる機関、そういうものを考えてもいいのではないか。大臣答弁によりますならば、その中には、率直にいうと運営審議会なりさらには評議委員会なりの議があるから十分にこれが反映をされておるなどという御答弁もありましたし、給与課長のほうからもそういう答弁がありましたけれども現実に大多数の組合員意思というものは、わずかこの運営審議会の中で数名による代表によってしか意思が反映されない、こういうようなこと等があろうと思うわけです。こういう点についてもう少しこれを幅を広げていくという、そういう問題についてはどうなのか。抜本的な問題は先ほど申し上げましたが、そういう問題についてはどういうことなのかということを私は申し上げておるわけです。でありますから具体的に一つずつ申し上げてまいりますと、共済組合運営審議委員には、やはり決定権を与えてはどうなのか、こういう問題があるわけでありますが、この点はいかがですか。
  9. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 共済組合性格をどのようなものに考えるかということが一つのポイントになろうかと思いますが、現在の国家公務員共済組合法のたてまえは、一方では職員福利厚生をはかると同時に、地方では公務能率的運営に資することを目的とするというたてまえでできておるわけでございまして、その限りにおきましてはその運営責任はあくまでも各省各省の長が負うというたてまえを貫いておるわけでございます。したがいまして、当然各省職員である方々がその運営にある程度参画することは当然ではございますが、それが運営審議会というような形において決定をしてしまうという考え方については、私は必ずしも賛同いたしがたいと考えておるわけでございます。
  10. 卜部政巳

    卜部委員 私は前委員会の中でILO三十五号条約の問題、並びに三十六、三十七、三十八、いろいろと関連的な条約の問題について申し述べました。少なくともそういう条約の問題については、この問の厚生省の答弁では、戦前のものであるから改正をする、さらには前進的な方向に向かって検討されつつある、こういうことであるから批准は云々ということを言われましたけれども現実に生きておる関係の中では、これは批准すべきではないか、こういうことも私は申し上げました。しかしその中にある内容そのものを吟味してみたときに、いま給与課長答弁をされておりますような御答弁だけでは、私は納得がいかないのであります。少なくともそうしたものの関連から考えたときに、ただ、これは制度上からそうなっておるから、あくまでこれは正しいのだという言い方ではなくて、少なくともそういう組合意見というものがあるのですから、この点に耳を傾けて、こういう問題についてひとつ真剣に取り組んでみようではないかというような誠意があっていいのではないか。ただこれがいわゆるとてつもない問題で、全然これは問題にならぬというような性格のものであればいざ知らずであります。少なくとも組合員からそういうような意見が出されておるということでありましたならば、これは十分考慮されてしかるべきである。いま課長はえらい冷たいような言いはなし方をされましたけれども、そういうことではなくて、この点について十分考慮していく、こういうことが当然答弁の中に出てきてしかるべきものではないか、そういうことが全般の中で出てくるILO三十五号条約に匹敵をする一つの精神ではなかろうか、こういうように私は考えるのですが、その点もう一度誠意のある回答をお伺いをいたしたい、こういうふうに思います。
  11. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど答弁申し上げましたのは、法律的な立場において御答弁申し上げたわけであります。その運営にあたってできるだけ組合員意思法律趣旨に反しない範囲において尊重されていく、これは私どももその運営上できるだけ努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、そういった制度改正するという問題でございますならば、その問題については、この法律全体の基本的な考え方を念頭に置きながら検討いたさなければならぬわけでございまして、こういうふうに改めます、あるいは改正前提として検討するというところまでは、私どもとしては現段階においては申し上げかねるというわけでございます。
  12. 卜部政巳

    卜部委員 私は前委員会の中でも六項目の問題を取り上げて、こういう問題がありますと言って、問題を提起をしたわけでありますが、この点は、委員会の末尾でもございましたために、私は十分な意見が述べられなかったことを残念に思うわけです。そういう面で、この点については十分論議をしていかなくてはならないところだというふうに考えますが、しかしこの私が申し上げた一項から六項については、すでに給与課長あたりにもそういう要求が十分出ておるということから、その意味するものは内容として十分熟知されておるだろうというふうに私は考えます。そういう問題全体の六項目を含めて、これはもう一つ具体的に申し上げますと、連合会役員連合会評議員会任命とすること。さらに三番目は、連合会評議員は各共済組合運営審議会決定をする、なお各共済組合の利益を代表する者は評議員としないこと。さらには、連合会評議員決定権を与えること。非常勤の問題は、すでに四十年度からの通算措置を行なう云々ということが出てまいりましたので、この点は省きましても、六番目に遺族の範囲の拡大などという問題も申し述べたところであります。こういう全般的なものについて、制度上の問題、さらには法改正の問題とからめて云々ということではなくて、少なくともそうしたものは、共済組合運営をスムーズにし、かつ民主的にしていく過程の中で、当然とられてもしかるべきではないか、こういうふうに私は考えるところであります。こういう点について、本委員会の中で即結論が出るというふうには私は考えないといたしましても、この問題を将来に向かって前進方向を打ち出していくということについては、大まかな線はどういうことなのか、その点については私は確認をしてもいいだろうというふうに考えますが、その点は給与課長どうですか。
  13. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の国家公務員共済組合法のたてまえはは純粋の社会保険というたてまえに立脚しているわけではございませんので、その運営基本保険数理に置いておるという限りにおきましては、社会保険体系の中に属しておるわけでございますが、一面におきまして、先ほど申し上げましたように公務能率的運営という形における公務員制度としての性格も持っているわけでございます。その限りにおきまして給付制限規定とかその他の規定も設けられておるわけでございますが、それと表裏をなしまして、その運営責任についてはあくまでも各省各庁の長がその責めに当たるというたてまえをとっているわけでございますから、その辺の基本的な態度をどう考えるか、それと調和する範囲内において職員の権利の保全をどう考えるか、こういう問題になろうか思います。したがいまして、非常に長い目で見まして、こういう国家公務員共済組合法労務管理と申しますか、公務員制度としての立場を捨ててしまうような時期がくれば、と申しますことば、一般的な社会保険水準が現在よりさらに高まりまして、公務員共済年金とかあるいは共済制度全般が特別のものでなくなってくる、そういう時期になれば、一般の社会保険のルールに従って議論することもできるであろう。ただ現在の段階においては、やはり公務員共済年金制度というのは、一応その中での特殊の性格を持っており、公務員制度としての性格を存置しているわけでございますから、その限りにおいては先生おっしゃるような御趣旨の点については急速に実現されるものとも私どもは考えておらないわけでございまして、ただ非常に長い目で見て議論をする場合、日本社会保障社会保険水準が非常に高い本のになって、こういった共済組合制度自体が一般的な保険体系に繰り入れられる時期がくれば、当然そういうことも考えてみなければなるまい、そういうふうに考えておるわけであります。
  14. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、前委員会から引き続いて論議をされておりますILO三十五号ないし百二号、さらに予定されますところのコードに関するところの基準の問題等も出てまいりましたけれども、これは基本論でありますが、そうしたところから流れてきた今日の国家公務員共済組合の問題も、社会保障としての純然たる位置づけではなくて、特殊的な位置づけだということは、それは一応わかります。しかしながら、少なくとも民主的にその組合運営をされていくということについては、私は給与課長といえどもこの点を是認をされるだろうと思うわけであります。しかる中で、私が先ほど来から申し上げておりますように、そうした運営審議会一つ決定権を与えることとか、さらには連合会役員評議員会任命などというものは、障害になるのかならないのか、そのことが大きくその制度に支障を来たすものかどうなのか、この点を私はお伺いをいたしたいと思うのです。そういうことじゃないでしょう。こういうものを訂正したからといって、どうなんですか、根本的にそういう制度がくつがえされるものなんですか、ひとつその点をお伺いいたします。
  15. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど来しばしば申し上げておりますように、国家公務員共済組合法のたてまえ等から見て、基本的には、単に社会保険としての特殊法人であるわけではございませんので、一面には公務能率的運営に寄与するという立場における公務員制度としての面を残しておるわけでございます。したがいまして、単に組合員意思が反映すればいいという限りにおきましては先生のおっしゃることはよくわかるわけでございますが、そういった立場のみで運営をするわけではないわけでございますから、その限りにおいて現在の国家公務員共済組合法各省各庁の長が責任を持つという体制をとるわけであります。したがいまして、その過程において責任を持つ形として、現在程度以上に組合員意思を尊重していく必要があるかどうか、あるいは組合員意思自体組合運営決定されることが適当かどうかということについては、私どもは疑問を持っておるということでございます。
  16. 卜部政巳

    卜部委員 どうなんですか。実際問題ですね、審査会やそれから審議会共済組合制度をみんなのものにする機関ではないという一つのらく印を押されても私はしかたがないと思うのです。なぜなら実際問題としては学識経験者関係行政機関職員及び組合の中から三名ずつ計九名でいわゆる大蔵大臣から任命をされておるわけですね。そういうことでしょう。そういうかっこうになっておりますね。これとても私は諮問機関であって、法律改正する一つの権限もなければ、単なる大臣相談機関でしかないというようなかっこうなんですね。そういうことになりますと、当初に申し上げたように、行政機関とは別個組織であると認められたわけです。組合というものは行政機関とは別個機関である。これは課長が認められておる。それでありながら、いわゆる大蔵大臣によって任命をされ、そうしてまた少なくともそういうようなかっこうでもって、何といいますか相談をする機関であるというようなことではこれは真の意味の民主的な共済組合運営であるのかどうなのか。私はまだ具体的ないろいろな問題がありますが、実は一日じゅうきょうはやるつもりでおったところが、午前中で打ち上げるということですから、えらい具体的なものに入っていかざるを得なくて、心せわしい気を自分では質問の中で感じておるわけですが、そこでどうしてもやはりオーソドックスな問題を論議していかなければならないことになるわけです。私はオーソドックスな問題を論議する時間もほしいわけですから、その点は正しければ正しい——あくまでも自分たち主張のほうが正しいんだという言い方ではなく、私が当初から申し上げておるように、そういう私たち意見もあるのだから、十分この点は考え、かつその点については大蔵省と、私たち十分論議した中で、これをひとつ方向前進的な、前向きな姿にしていこうではないかというふうな、こういう私は六項目にわたる確認をしていきたいと思います。この点では、いわゆるオーソドックスな論議をする時間がほしいのですが、どうですか。給与課長、そういうふうにひとつその点は要約しましょう、それで次へ進んでいきましようや。
  17. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど来しばしば同じような答弁を繰り返して恐縮でございますが、私ども現在の制度が絶対に唯一無二のものであるかどうか、それは先生の御意見のあるところでございますから検討することはやぶさかではございません。ただ、当然改正前提として検討しろということについては私どもとしては直ちに承服はいたしかねます。もちろん御要求のあり次第——要求はございませんでも、私ども制度主管者として検討するにはやぶさかではございませんが、ただここでそこまで約束をしろという立場では、まあ私ども立場といたしましては賛成いたしかねるということでございます。
  18. 卜部政巳

    卜部委員 ではこういうふうに理解してよろしゅうございますか。やはりこの大蔵委員会という公の席上で制度そのもの、さらに法律という問題に触れる問題について一給与課長——給与課長と言うとおしかりを受けるかもしれませんが、重大な発言をしたということについて問題を残しては困る、こういう点の危惧はよくわかりますが、少なくともこういう問題については十分事後お互いに緊密な連絡をとりながら十分な意思統一を行なう場をつくり、そうしてまたこの問題についてはお互い主張をどこかにひとつ妥協点を認めるように相互に相談をしこの問題の解決をはかる、こういうふうにひとつまとめていきたいというふうに考えますが、委員長、ひとつそのように確認をしてよろしゅうございますか。そういうふうにひとつ確認をするように御努力を願いたい。
  19. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の制度におきましても国家公務員共済組合審議会におきましていわば単に大蔵大臣から諮問をするだけでなしに、大蔵大臣に対して建議することができるということが規定されているわけでございまして、その中に組合員等も出ておられるわけでございますから、そういった場を通じていろいろな御意見があれば当然承る組織はできておるわけでございますから、そういう意味において私どもはそういう機会にいろいろ御意見を承りたいというふうに考えております。
  20. 卜部政巳

    卜部委員 給与課長、なぜそういうかた苦しいかみしもを着たような答弁をしなくちゃなりませんか。私はここまでくだいて話をしておるわけですよ。しかるに、建議する機関がありますから——そんなことだったら何も前進していないじゃありませんか、何も前進はないじゃありませんか。少なくともこの共済組合の問題についてはそういう問題も出されておるので、さらにその建議すべきような状態の中で現実にそれが解決をしていないんですよ。だからこういう問題がいまここで論議されておるわけです。そういう問題がその建議の中で解決をしておるなら、私がここで立ってその問題についてちょうちょうと述べる必要はないはずです。だから私はそういう白紙に返ったような形で課長答弁をするのではなくて、少なくともそのスタートラインからやはり一歩でも二歩でも前進した形の中でこの問題を結論づけていかないといけないのじゃないか。そこに愛情のあるいわゆる政治というものが、これは政府の言うことですが、少なくともこの運営の問題についても民主的な運営というものが行われるということを私は考えているところです。こういう面でひとつそういう冷たい言い方ではなくて、こういういろいろな問題もあります、五の問題の中にありますところの——項目で私は申し上げましたけれども非常勤云々という問題についてはあたたかい一つの問題も出てまいりました。私は敬服しておるところでありますが、そういうように一つ一つ話し合っていくうちに私は話の結論が出ないというふうには考えていないわけです。少なくとも胸襟を開いてその中で十分自分意見を述べ合うということが必要なことではないか、こういうふうに考えます。こういう点で私が述べました以下五項目——項目のうちの一項目の問題は解決しておりますので、五項目給与課長と私たちさらには関係団体とで十分話し合いをしていく中で、次期国会あたりにおいても少なくともこの点の前進的な方向が打ち出されるようにお互い努力をしていく、こういう点を、五項目に関する限りはひとつそういう確認をしていきたいというふうに考えますが、そういうかっこうでひとつ確認をし、次の方向へひとつ論議を進めていきたい、こういうふうに考えます。委員長そういうふうに取りはからっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっと、委員長から御裁定があるかもしれませんがその前に私ども考え方を申し述べさしていただきたいと思います。  現在の制度そのものが、いまのような共済組合審議会等を通じて建議場等も開かれておるわけでありますから、それと別に非公式の機関をというとおしかりを受けるかもしれませんが、非公式の場をつくってそこで議論をするということは、いささか制度の筋としてはどうかという感じがいたすわけでございますが、もちろん関係団体なりあるいは諸先生方の御意見等について拝聴する機会もつくれというお話でございますならば、私どもとしては当然の責務として拝聴の機会はつくりますが、その場においていろいろ問題を考えて、そこでものごとをきめていく、まあ先ほどお話がありました妥協点を見出していくというような考え方は私どもとしてはとらないところでございまして、それはあくまでも制度審議会なり何なりで御検討をいただくべき問題であろう、まあそれ以前の段階において先生方の御意見なりあるいは関係団体の御意見を承る場をつくれという御要望に対しては、当然私どもとしては御協力いたします、ただしそこでいろいろ決定をするんだという考え方については、現在の制度を無視する立場にもなろうかと思いますので、その点については賛成をいたしかねるということでございます。
  22. 卜部政巳

    卜部委員 私もなるべく穏やかにものごとを進めていきたいと思うのですが、そういうふうな言い方をしますと私は、きょうまあ昼までということでありますが、来週にわたってもこの問題を論議したいという提案を理事のほうにしたいと思う。なぜならば基本的な問題から追及していくことがそういう問題については正しい方向だと思っていました。しかしそのことはもう言わぬでもおわかりだろうと思うから私はもう枝葉末節的なことでもって結論を急ごうとしておるわけです。だけれども何かしらその言い方ば、その一つ制度の中で尺度をきめてその中で話し合うならいいけれども、この前進方向については若干問題がありますというような印象を与える発言については私は率直に言って納得できないのです。ですから少なくとも私は、ことばを平たく申し上げますと、もしそういうことであるにしても、制度そのもの改正する云々ということばを私は若干申し上げたけれども、そういうことであるならばやはり制度そのもの改正するということでもいいです。だから制度そのもの改正するということで本委員会ではその結論はなかなか出ないだろうから、その制度改正に向かって一応ここで確認をして、いわゆるそういう一つの場をつくっていく、こういうことで私はいいと思います。そういう覚悟で進んでいかないといけないと思うのです。そういう形で、いわゆる平井給与課長のほうからそういう冷たいことばを放たれたわけでありますから、私のほうも若干次元を高くして制度改正するために、こういうことばを使う必要があろうと思います。こういう意味でひとつ委員長のほうにおいても、時間がございませんから、制度改正するということを確認をして、この委員会においては具体的にその問題に触れることができないけれども、今度の場を通じて改正する方向に、両方が十分に話し合っていく、こういうことでひとつ御確認を願いたいと思います。委員長いかがですか。
  23. 山中貞則

    山中委員長 委員長確認事項外です。
  24. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 だんだんの御質問拝聴いたしてまいったわけでございますが、前回以前の御質問の内容は承知いたしておりませんので、ただいまお尋ねの点につきまして私からお答え申し上げたいと思いますが、国家公務員共済組合は、先ほど給与課長からお答え申し上げましたように、組合員福利厚生をはかる面があるということは私ども十分承知しております。その面に関する限りはやはり組合員の諸君に喜んでいただけるような組合になっていただくことが必要であるということは、私が申し上げる必要もないことでありますので、したがって、共済組合審議会等につきましては、組合員代表の方々が入って運営に参画をしていただく、こういうことになっておるわけでございます。そこで私どもといたしましては、共済組合がそういうふうな業務の能率的な運営と相まって、組合員福利厚生ということであってみますならば、その面に関する限りやはり社会保障という面は持っておる。社会保障ということはやはり日進月歩、お互いに前向きで努力していかなければならぬ問題だと思います。そういう意味合いにおいては、将来とも現在の共済組合の給付の内容なり運営のやり方が、永久にこれが正しいのだなんということを私どもは考えておりません。将来もできるだけよりよき方向へ向かって改善を加えていく、これが私は筋だと思います。これは当然のことだと思います。そこで、そういう改善をかりにはかるといたしましても、やはりそれにはそれぞれの法律の筋がありまして、改善等について意見があれば大臣審議会諮問をしたり、あるいは審議会のほうから御意見を承る、これは制度としてはそういう筋が正しい筋だと私は思います。しかしそういう筋以外に組合員の方々が、私のほうはぜひこういうことを改善してもらいたいという御意見があるならば、その御意見を承るということについては私どもやぶさかでもありませんし、今日まででも十分組合員意見は承ってまいっております。さらにまた国会において委員の皆さま方に慎重に御審議いただく、これは私ども非常にありがたい、仕合わせだと思いますが、組合員の方と大蔵省との間に、何らかそこで改善についてこうだああだという話し合いをする、意見を承るというだけじゃなしに、きめてしまえという場をつくれということでございますれば、それはいまの制度上ちょっと問題ではないか。御意見を承るについてはやぶさかではないということははっきり申し上げておきたいと思います。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官にお伺いをいたしますが、共済組合は国の行政機関とは別でありますか、質問いたします。
  26. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 法人としては行政機関とは別でございます。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 では法人であるならば組合組織する主体がだれであるかをはっきりさせなければいかぬと思いますが、だれでありますか。政務次官に聞いております。
  28. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 給与課長から答弁いたさせます。
  29. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 この問題は先日もすでに出た問題でございますが、常時勤務に服することを要する国家公務員職員として組合組合員になるということでございます。
  30. 卜部政巳

    卜部委員 前回から聞いておるか私はわかっておる。政務次官に聞いておるのです。いまの政務次官の御答弁の中に、組合員意見を十分にお聞きすることについては、政府としては十分にその問題に意を配しております。こういう齋藤政務次官のお話がありましたけれども、しかしそうではないのですよ。組合員の多数の意見が反映去れる場があっていいと言うのです。政府云々と、政府とは別個機関なんですからね。私はそういう問題についていままで論議をしてきたわけです。そういう形の中で一種の決定機関があっていいのではないか。そのためにはいわゆる私が申し上げたように連合体の役員にしても、執行権にしても、さらに評議員会の執行機関にしても、組合員も少しは入れて民主的な方向へ進めていくのがいいのではないかということを言っておったわけです。こういうことはもう十分知り尽されておると思うから、私はあまり言わぬようになりまして、末梢的なことしか言わぬようになりましたが、こういうことを言おうと思えば何ぼでもあるのです。だがしかしそういう面に向かってやはり私はもう一ぺん論及していかなければならぬようになりました。いま課長も十分そのことを聞いておりながら、そんなことは聞かぬような顔をして、そんなことを無視するような答弁をされておりますけれども、そういうかっこうは私はいかぬと思う。だから抜本的に法律を変えろという、こういうものもほんとは必要です。必要だけれどもその前にやはりそういう民主的な方向へ持っていくことを考えてもいいのではないかという、何と言うのですか、きわめて平易な、きわめて常識的なことを私は申し上げておるのです。そのことが、いま政務次官の答弁で集約されますと、何か違った次元の中で御答弁されておるような感じがしましたので、私は前委員会の質問を申し上げたのです。いま齋藤政務次官も答弁しておられますように、私の言うことはよくわかります。わかっていただくならばやはりそういうものを改正していくことをここでやはり考えてもいいのではないか、こういうことを私は述べております。決して私は非常識なことを申し上げておるつもりはないのです。だからその点は責任者である政務次官のほうで、ひとつその点については十分検討していきたい、今後の問題として研究していきたい、このような誠意ある回答をいただきたいと思います。いかがでしょう。
  31. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 組合員意思共済組合運営にできるだけ反映されるようにしたいということについては、この法のたてまえもそうなっておるのです。ほんとを言いますと各省庁の運営審議会ですか、これにはそれぞれ当該職員団体の職員代表の方々も入っているということで、十分その点は御理解いただけると思うわけでございます。  そこで私どもは現在の制度そのものが、先ほども申しましたように、いまのままの制度で、あるいは運営がこのままで永久に正しいのだ、いいのだというふうには私どもも考えておりません。やはり社会保障の伸展に伴って、改める点があれば改めていく、これは正しい筋だと思うのです。ただしその場合に将来のいろいろな改善のやり方について、私どものほうの考え方といたしましては、正式の機関としては運営審議会というものがあるということをお答え申し上げた。しかしそのほかに組合員の方々やあるいは組合員の団体の方々のいろいろな御意見を承るについては、一つもいやがっておるわけではありません。やぶさかではないということを申し上げたわけでございまして、お互いに改善したいという気持ちについては政府もそのつもりでございます。組合員もお持ちだと思う。そういう点についてはお互いに御意見のあるところを承りながら、改正する点があれば大いに改正していく、こういうふうにしていくのが筋ではないだろうか、こういうふうに考えております。
  32. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官からそういう誠意ある回答を聞いたわけでありますが、政務次官に一言私ただしておきたいと思いますが、各省機関として運営審議会なるものがある、こういうことなんです。しかし私は後刻この問題について詳しく給与課長と討論したいと思いますが、各省の今度の負担率の引き上げなんかの問題につきましても三回にわたってそういう審議会に持ち込まれておるわけです。しかしながら最終的には大蔵省からの強い意向があって、強引に採決をされておるのです。その数というものはあくまでも大多数を占めるような形になっておるわけです。その中で意見というものが十分に反映されるということにはなっておりません。だからそういうことではなくて、少なくとも大多数を占める組合員意思というものが反映されてしかるべきではないか。給与課長はえらい心配されておるようでありますが、この組合員がいわゆる自分たちの相互扶助の問題について、さらに将来の自分たちの生活の問題について、めたらやたらにでたらめな発言をし、さらにその決定機関をゆがめたような方向に持っていくなどとは思っておられないでしょう、良識的な人たちなんだから。そういう人たち意見というものをなるべく反映させていく方向に持っていくのが正しいと思っておるわけです。いま政務次官のほうからそういうような御答弁がありましたけれども、必ずしも共済組合各省庁におけるこの運営審議会においては、そういうことがとられていないという事例があります。同時に、そういうようなこれからの負担率の問題もありますが、郵政の場合においても、掛け金が現実にこの法改正では下がっておったにしても、上がっていくのです。こういうような状態があるのですから、その点を私は申し上げておるわけであります。この点について、私が申し述べた一、二、三、四、五、この問題は決して不合理のものではない。さらにまた、同時に、そういうものがもし決定されたにしても、そのことが大きく組合運営のそれをゆがめていくものではない、こういうふうに私は信じて疑わないわけであります。この点、政務次官どうでしょう。
  33. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 共済組合は、やはり保険数理に立って合理的に計算をして運営していく。こういうことについて、組合員の方々の中には、やはり保険料はなるべく上げてもらいたくない、こういう基本的な気持ちがありましょうけれども、やはり給付の内容を改善していくには、それぞれ保険数理に立って合型的に計算をしていかなければならぬ。そういう面については、やはり組合員の御意見、御意思とはあるいは多少違う点もあるかと思いますけれども、しかし、その点は、長い目で見れば、やはり保険給付の改善ということになろうと思います。そういう一般的なことは別といたしまして、私どもとしては、やはり組合員の御意思をできるだけ反映させるようにしていくという問題については、一般的に私とあなたと意見の食い違いはないと思います。
  34. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、この制度のものについて改正をしていく、こういうことについては御確認願えたわけですね。
  35. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 改正と申しますか、お互い将来よりよき制度を築き上げていくという気持ちについては、政府としてもそのとおりに考えておりますので、将来組合員の方々にいろいろ御意見がございますれば、十分その御意見を承るにはやぶさかでないということを申し上げたわけでございます。
  36. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官もいろいろと御承知のように、共済組合長期給付、短期給付の問題に分かれておるわけですね。いろいろな問題があるわけです。いわゆる出産手当にいたしましても、現在の場合において、給与に対するスライド制が持ち込まれておる。でありますから、給与の高い人は結果的に出産手当でもうける——もうけるというとおかしいのですが、そういうことがある。そしてまた給与の低い人は、このために、結果的には出産手当が何にもならぬというような形になる。いろいろなことがあります。ただ単に保険係数の問題でもっての負担金だけの問題ではないと私は思う。いろいろそういう意見が出てくるだろうと思うのであります。そういうことでありますから、私が申し上げておる、こういうような共済組合運営審議員には決定権を与えよということや、さらには、連合会役員連合会評議員任命をしてはどうだろうか、こういうようなことや、さらには連合評議員会は各共済組合運営審議員が決定してはどうだろうか。このようにきわめて常識的に、理論的に事を運ぼうとすることがなぜ悪いのかということを私は訴えておるわけです。でありますから、こういう点については十分改正するように配意したいという、齋藤政務次官の誠意ある回答を私はぜひともここでお伺いして次へ進んでいかないと、まだまだこの長期給付内容、短期給付の問題、多々あります。そういたしますと、委員長が望んでおりますところの本日中における審議はとても無理であります。率直に言って、これは来週一ぱいかかってもこの問題はやらざるを得ません。いま理事のほうにも申し上げておりますが、そういう格好で私は論議を進めていきたいと思います。やはりそういうことで、自分主張していることだけが正しいとは思っておりませんが、お互い主張し合って、そこに結論を求めていくくらいの誠意があってしかるべきではないか。その点、何かワクから出ないようなかっこうの御答弁であります。政務次官は一歩出られておりますが、この制度改正していくために努力する、さらに近い時期においてこの問題を十分論議をした上で改正をしていく、こういうように御確認を願えますか。それで次に進みましょう。
  37. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 たびたび同じことを繰り返しておりますが、私と給与課長意見は何も違っておりませんので、現在の制度、給付の内容その他が永久にこのままでなくてはならぬとは考えておりません。将来とも改めるべきものがあればどんどん改めていきたい。その改めるにあたって、組合員の方々の御意思も反映させる、その意味において、組合員の御意見を承るということについてはやぶさかではありませんということを申し上げているわけでありまして、終始私も給与課長意見の食い違いはないと考えております。
  38. 卜部政巳

    卜部委員 私は、具体的に申し上げますが、共済運営審議員に決定権を与えるということについては、これは無理な相談ですか。この点を質問したいと思います。
  39. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の法律のたてまえから見て妥当ではない、いまの制度のままでは妥当ではないと思います。
  40. 卜部政巳

    卜部委員 だから、そういう制度を変えようとすることについては、決して無理ではない、こういうことですね。
  41. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これまた先般来の議論に逆戻りして、議論が先へ進まないではないかという御意見になるかもしれませんが、私どもの考えとしては、現在一面において、公務員制度という性格を持っている以上は、運営審議会決定機関にして、そこできめたものはすべて国なりあるいは各省庁が行なわねばならぬというような制度にすることについては、にわかに賛成をいたしかねる次第であります。
  42. 卜部政巳

    卜部委員 率直に言って、最初から申し上げておりますように、私もなるべくこの委員会のそれに従って協力していきたいというふうに考えておりますが、とてもではありませんが、委員長、これは一歩も進んでおりませんので、意に反しますが、やはり来週一ぱいにわたってこれは質問を展開していかざるを得ないわけです。その点をまず冒頭にお断わり申し上げて、やはりその問題を具体的に掘り下げていかざるを得ないというふうに考えますので、その点からひとつ質問をしてみたいと思います。  現在、いま言っております共済組合運営の問題については、るる申し上げておりますけれども、率直に申し上げて、運営がスムーズに民主的に行なわれていないという点について、連合会その他の機関のそれを逐一明らかにしていきたいと思いますが、まず、現在の連合会なり、さらには各機関の執行部がどういうふうな機関になっているかをお伺いいたしたいと思います。
  43. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の共済組合連合会の執行部ということでございますが、そういうおことばは適当かどうかわかりませんが、役員として定められておりますのは、理事長、理事並びに監事でございます。この役員の、理事長は大蔵大臣任命でございます。また、監事も大蔵大臣任命ということになっております。それから、理事は九人以内、監事は三人以内ということになっておりますが、その理事のうち六人以内及び監事のうち二人以内は、連合会加入組合の事務を行なう組合員をもって充てるということになっておりまして、現実の問題としましては、各省庁の共済組合の担当課長がこれに任命されているわけであります。
  44. 卜部政巳

    卜部委員 私この間も申し上げましたように、まず、国家公務員でさえ、職員は、組合その他の団体を結成することができるということがあるわけですね。そうすると、言うならば、法人格を持っておるところの共済組合自体が、やはり団体権を持ち、さらに団体交渉を行なうだけの組織をつくり上げたって、何らおかしくはないと思うのですが、この点はどうですか。
  45. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 法人であるから、したがって、それの組織体が、団体交渉権を持ち、そういった形の運営をすることが適当かどうかということは、一がいには必ずしも言えないであろうと思います。
  46. 卜部政巳

    卜部委員 できることはできるでしょう。
  47. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の法律のつくり方の問題でございますから、抽象的に見てできるかできないかという議論を離れて、私ども制度に即して申し上げるならば、国家公務員共済組合制度をつくり上げている精神というのは、やはり先ほども申し上げたように、一応別の法人とはするけれども、「公務能率的運営」という見地において、国が一定の補助もするし、同時にまた、給付制限等もつけるという形をとっておる特殊なものでございますから、したがって、その運営機関等について、現在の法律のようなたてまえをとるのが妥当ではないか。したがって、抽象的に、先生のおっしゃるような御議論もあろうかと思いますけれども、いかなる形において国家公務員共済組合連合会をつくり上げていくかということは、この法律の精神に照らして考えるべき問題であろうというふうに思っております。
  48. 卜部政巳

    卜部委員 ですから、基本論議になりますが、ILO三十五号条約とか、三十六、三十七、三十八、そういうかっこうの中では、決して私が言うことは、抽象論ということではなくて、そういう問題を取り上げても何らおかしくはないということは成り立つと思いますが、その点はどうでしょうか。
  49. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先般も御答弁申し上げたと思うのでありますが、確かにILO三十五号以下の諸条約は、先生のおっしゃるような書き方になっておることは事実でございますが、ただ、それは、社会保険としての体系においてどうあるべきかという議論でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、現在の共済組合連合会考え方国家公務員共済組合考え方が、一面においては、確かにそういう面を打っていることも事実でございますが、他面において、先ほど来申し上げておるような、「公務能率的運営」に寄与するというような公務員制度としての面も持っているわけでございまして、そういう前提において考えられた特殊法人ということを考えれば、現在の段階で、直ちにそのようだ考え方共済組合についてそのまま妥当するというふうには、私どもは考えていないわけでございます。
  50. 卜部政巳

    卜部委員 これは前々回の委員会の中で、社会保障全般を論ずる中で出てきた問題の中にありましたけれども、またその中で申し上げたのですけれども、率直に言って、平たいことばで言うなら、国家公務員共済組合法というのは社会保障の一環をなしておるということを是認をされていないのですか。これは一環をなしておるんでしょう。これは私は率直に言って、そういうワク外へ出るものではない、こういうふうに考えておるわけですが、いまの御答弁では、そういう社会保障というものを全然度外視したような発言でありますが、この点はどうなんですか。
  51. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私の答弁がまずくてそういうふうにお聞き取りになられたとすれば、訂正さしていただきますが、私どもが申し上げた趣旨は、社会保険制度としての一面を持っておりますが、もう一つの面として、公務員制度としての面を持っておる。その限りにおいて、特殊なものであるということを申し上げておるわけでございます。
  52. 卜部政巳

    卜部委員 公務員制度の問題もありますけれども先ほどから申し上げておりますように、現実共済組合が、三十四年十月一日以降は、国の機関とは別個な、共済組合という法人組織になったわけでしょう。そういうことでありますから、恩給も廃止されることになったわけですね。そうでしょう。こういうことになっておるわけでしょう。そういうかっこうになりますから、この間、平林委員のほうからの質問でも、三十四年九月三十日以前におけるところのその財源はどうなっておるのかという追及もありましたね。そういうような問題もありまして、この財源の問題等については、一千三百億とかなんだとか言われておりますが、実際、現実に、三十四年のその中では、大蔵省当局が、四千億はあるということを指摘をしておることも、これは私も聞いたところなんですから、また聞きですから、間違いがあるなら間違いがあるので、それでいいです。ともかく、そういう問題があって、少なくとも、三十四年の十月一日以降は、これは国の機関とは別個な、共済組合機関であるということだけは厳たる事実です。この点を否定するようだったら問題がありますが、その点はどうですか。
  53. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実は、ちょっと誤解をされているようでございますが、共済組合連合会ができましたのはそれ以前でございまして……。(卜部委員「それは旧のやつですよ」と呼ぶ)国家公務員共済組合連合会にいわゆる官吏の恩給にかわるものとして共済年金制度を取り扱わせるに至った時期、その時期は、現業については三十四年の一月、非現業の国家公務員については三十四年の十月であるということでございます。
  54. 卜部政巳

    卜部委員 いや、それはわかっていますよ。だが、現実に別の機関であることだけは事実でしょう。
  55. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ええ、それはもちろん、たびたび申しておるとおりでございますが、ただ、別の機関に取り扱わせるということがイコールその職員意思によってすべてを決定するということにはならない、これは先ほどから申し上げているわけでございまして、それは、公務員制度としての特殊の性格をこの共済組合に負わせておるわけでございまして、その限りにおいて、その機関の構成上、特殊の形をとらざるを得ない、そういう考え方のもとに御答弁を申し上げているわけでございます。
  56. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、こういうふうに理解していいわけですか。国庫負担率などは三分の二ないし——三分の二といったらおかしいですが、そうすると、国家がそういうふうなかっこうの負担を当然やるべきだということになりますか。国庫負担率ですね、国庫負担をすべきだということになりますね、そういう特殊の形ということを言うならば。共済組合はそうじゃないでしょう。大体の筋合いとして、相互折半をするというかっこうになっているでしょう。そういうものがありながら、いま言うように、何というか、恩恵的ないわゆる御答弁をなされますが、これは若干問題があろうと思います。その点からひとつひもといていこうと思いますが、どうですか。
  57. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これが社会保険の一環をなしておるということは、たびたび御答弁申し上げているわけでございまして、その限りにおいて、国の負担率が、従前におきましては、長期においては百分の五十五、短期については百分の五十という原則をとっておるわけでございます。なお、公務に起因する傷病等については、国が全部負担する、こういうたてまえをとっているわけでございます。ただ、それであるからして当然別に取り扱われているというものではないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、一般の社会保険体系よりも高い水準の給付を保障して、その百分の五十五なり百分の五十を保障するというたてまえは、やはり使用者としての国、さらに社会保険主体としての国においても、特殊性を持っておるということを言わざるを得ないだろうということでございます。
  58. 卜部政巳

    卜部委員 だから、特殊性はあるにしても、では、その大多数を占める組合員意見というものを、そういうように各省の審議委員会の中にわずか三名程度出すということではなくて、私が申し上げたように、連合会の執行機関の中にも代表を送れというようなそういう意見ではなくて、少なくとももう少し下がった次元の中で、連合会の役員は評議員会任命とするというようなかっこうで、各省各省のいわゆるその機関に対する定義づけといいますか、そういうものを与えていうというのであって、私は、この私の主張というものは必ずしもむちゃではないというふうに考えるのでございます。そういう場合において、私のこの提案がなぜ悪いのか、なぜそういうように考えられないのかということをもう一度確かめたいと思います。——この点は、確かめたいというのはやめます。ひとつそういうことを前提として改正をしていくということに私はここで確認をしたいと思います。あんまりくどくど言わないでもいいと思うのですが、政務次官、どうですか。
  59. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、いま直ちにそういうふうにしなければならないというふうにも考えておりません。
  60. 卜部政巳

    卜部委員 齋藤政務次官、あんまり事務的な答弁をするのじゃなくて、私が言っておるのは、誤解をせないでいただきたいのは、労働組合と言ったらおかしいですね、これは組合じゃありませんね、だから、いわゆる職員意見が十分に反映をされるということが必要だ。しかしながら、そうは言っても、その職員代表がすぐその中に入っていくのではなくて、各省のいわゆる評議員なり評議員会結論に基づいた形の、各省機関が権威あるような形の中で、こういうように意思が反映をされては、どうなのかというように、きわめて常識的なことを言っているわけなんです。だからその点については何もおかしいことはないのじゃないですか。改正をする、——その点についてはいろいろと、時期的な問題もあろうし、さらに全部五項というものがそういうものに入れられるようにはならぬが、少なくともそういう問題については、制度改正するということを中心にしながらものを考えていきたい、こういうような御答弁がなぜできないのですか。そういうことができるというふうに期待をしておりますが、よろしゅうございますか。
  61. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 一般的に申しまして、先ほど来申し上げてまいりましたように、共済組合のそういう一面を考えてみれば、組合員の御意見をできるだけ反映させるようにしていくということについては、私はあなたとひとつも意見の食い違いはありません。ただ、いま具体的にそういうふうな御提案がありましたけれども、そういう点については誤解があるといけませんから、いますぐそういうことは困りますということをはっきり申し上げたわけでございますが、御意見のあるところは十分承っておきたいと思います。
  62. 卜部政巳

    卜部委員 御意見のあるという、私の意見は、改正をするということです。制度改正をする、こういうことです。よろしゅうございますね。そういうふうに理解をし、そしてまたその中から、すぐさまそういう改正に向かってこのことが成就するというふうには考えられないから、この点を大蔵者当局と十分検討を加えながら、次期国会、さらにはその次になってもいいのでありますが、この点については改正をしていく、こういうことを私は期待するわけです。よろしゅうございますか、そういうかっこうで。
  63. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 よろしゅうございますかと言われましても、私は必ずそういうふうな方向改正をすると申し上げておりません。そういう御意見のあるところは十分承りまして、将来いろいろな改正の際に、検討一つの材料にしたいということを申し上げておるだけであって、改正をするということで申し上げたのではない、かように御了承願います。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 改正をするというそのことについて云々ということなんですが、そうすると、それは近い将来ですか。期間を区切ってみた場合にはどういうふうになりますか。ということを私が質問するのは、いわゆる附帯決議なんかの問題についてもしかりでありますが、この前にも申し上げましたが、三十四年に当時の佐藤大蔵大臣云々ということを私は申し上げました。内容は申し上げません。そのとおりですよ、そういたします、努力はいたしますなんていって、結果、ふたをあけてみたら十年たっておったということになりかねないのですよ。皆さん方に私は不信感を持っているというわけじゃないのです。私は、お二方は必ずしもそういうことは考えられていないというふうには信じますけれども、残念ながらそういうことが現実に起きておるわけでありますから、平たいことばで言うならば、やはりこの制度改正するということを確認をして、そしてそれに努力をしていくということでない限りは、いつまでたったってこれは是正することはないというふうに考えるわけです。その点で今度は、大体何年ごろからこれを改正するために努力をするのかを具体的にお聞かせを願いたい。
  65. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 政務次官の御答弁その他もございますが、制度改正機会云々ということを申し上げましたので、先生御質問になったと思うのでございますが、御承知のように共済組合制度につきましては、現在の制度がこれで確定した、変わりのないものでは必ずしもなくて、毎年のようにいろいろな改正案を出しておるわけでございます。来年度あるいは再来年度におきまして、そういった改正機会がないかということになれば、むしろ大いにあるであろう、一般的に見て、共済組合制度についていろいろ御議論がされておりまして、たとえば既裁定年金のベースアップ問題であるとか、その他先般の附帯決議の問題であるとか、いろいろ結論を出して、必要に応じては改正をするという問題が出てまいるわけでございまして、そういった検討機会は今後しばしばあるであろうということは考えられるわけでございます。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。では、検討する機会はあり、さらに改正をする努力も示してもらった、私はこういうふうに考えます。  そういたしますと、具体的に申し上げます。共済組合運営審議会にいわゆる決定権を与えること。連合会役員連合会評議員会の任命とすること。連合会評議員決定権を与えること。連合会評議員は各共済組合運営審議会決定すること、なお各共済組合の利益を代表する者は評議員としないこと。これは議事録に残すためにわざわざ四項目私は読み上げました。この問題も今度の改正の中には十分論議をし、さらに先ほど来から申し上げておるように、前進的な方向で今度の改正の中に出てくるということを、全部が全部ということではないのですか、一つでも二つでも出てくるということを、私は、ここで両者の間で取りかわされた意見結論として、そのように解釈し、同時にまた確認をして次へ進めていきたいというふうに考えますが、いかがですか。
  67. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 どうも先ほど来少し食い違いが起きて申しわけございません。先生の御希望としてはおっしゃるとおりであろうということはわかりますが、改正問題を議論した結果として、必ずその中の項目が何がしか拾われて出てくるというところまで現在のところで約束しろとおっしゃることは、私ども立場としてはなかなかむずかしゅうございます。改正機会にそういった問題も議論の対象にはなるであろう、それはいかなる場合においても同じでございますから当然のことでございますが、改正の結果が当然そういうものを反映しておるのだということまで、私どもいまのところではお約束をいたしかねるわけであります。
  68. 卜部政巳

    卜部委員 ですから私は、約束はできないにしても、少なくともこういう問題が議題に上ってくる、こういうことですね。そうして、議題に上ってくるということは、いままで常にそういうものが議題に上ってきながらも、全然それを無視されたというようなことではなくて、少なくとも一つ、二つはその中に生かされてくる、それが生かされてこなくては意味がないのじゃないか。いつも議題に上ってくるのですけれども、こういう問題は検討はいたしました、誠意を傾けて一生懸命検討いたしましたが改正するに至りませんでしたなどということでは私はいけないと思うから、やはりその中の一つでも二つでもこの問題を——全然問題にならないのです、これを入れたからといって、この問題が決して運営を阻害するとか、その中で問題が出てきたというような問題ではないのですから、この問題について十分討論を加え、一、二は今度の改正の中にはにじみ出てくる、この点を私は期待をするわけであります。政務次官その点よろしゅうございますね。これはきわめて常識的な答弁でありますので、ひとつ政務次官もそのように御回答を願いたいと思います。
  69. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 先ほど答弁いたしておりますとおり、また給与課長からも申し上げておりますとおり、将来いろいろな改正という場合に、いまお述べになりましたような点が問題にあがってくるであろうということば私は十分期待はいたされます。予想もいたされます。しかし、必ずあなたが期待されたとおりの結論になるか、どうか、これは私もいま何ともお答えはできません。先ほど来一般的に申し上げましたように、組合員の御意思のあるところは十分承るにやぶさかではない、こう申し上げておるわけでございまして、そういう問題がいろいろ議論の対象になってくるであろうということは予想されますけれども、必ずしもそれが全部入るなどというお約束は一切いたしかねる、こういうわけでございます。
  70. 卜部政巳

    卜部委員 私は全部が全部とは申しておりませんが、その点はどうです。
  71. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 全部が全部ということでございますが、全部が通るかもしれませんし、全部が通らぬかもしれませんし、そういうことについて具体的にお約束を申しかねるということを申し上げたわけでございます。
  72. 卜部政巳

    卜部委員 私はそういう形式的なことではなくて、少なくともそういう中でいろいろと論議をされておることについて、齋藤政務次官が耳を傾けられる点があるならば、それは確かにそうだ、だからそういう点についてはやはり改正していったほうがいいではないかなどというような、誠意のあることばがあってしかるべきだと思うのです。政務次官が、ただ単にどこの委員会に行っても通用するようなことばを述べられておるのでは私は納得できないのです。そうではなくてやはり大蔵の政務次官なんですから、少なくともそういう面においては、私がるる述べておる問題が決して矛盾したということでもなし、さらにきわめて常識的なことである、さらに制度がそのために大きくゆらいでいくということでもないのでありますから、さらにそのことが民主化されていくような形に共済組合法が改正されていくものであるならば、そのことについて賛成することにやぶさかではないだろうと私は思う。その点についての御答弁がいつも同じようなかっこうになりますから、私は幅のあるような御答弁をもたらすために、わざわざ四項目を並べ、さらにその中ではそういうものが出てくるということを期待するということを、みずから政務次官の御答弁を私が代表して申し上げたようなかっこうに、そういうふうにとれるように私が申し上げておるわけでありますから、少なくともそういうふうに御答弁を願いたいと私は考えます。よろしゅうございますか。それをもう一度伺っておきたい。
  73. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 私は答弁のための答弁を申し上げておるのではありませんので、共済組合制度というのは、やはり公務員制度にとりましては非常に重要な問題でございますので、慎重なる検討を行なわなければはっきりしたことは私はお答えするのはよくないのだ、かような考え方で御答弁を申し上げておるわけでございまして、組合員の御意思のある点については十分承るということについてはやぶさかではないことはたびたび申し上げておると思います。そしてまた私ども制度をよりよくしょうという熱意は、あなたと私と何の差もないと私は思うのです。ただ具体的にそれをこうやるかと言われても、それは公務員全般を通ずる問題でございますので、慎重にそこはしなければならぬ、この点は十分委員のあなたの御理解はいただけるだろう、かように考える次第であります。
  74. 卜部政巳

    卜部委員 では具体的に申し上げますが、私が言っていることに無理がありますか。いわゆる審議委員会決定権を与えてどこが悪いのですか。ひとつ悪いところを言ってください。悪ければ私は撤回しますよ。悪いところを言ってください。さらに連合会役員連合会評議員任命することがどこが悪いのですか。どういうところに障害があるのですか。どういうところがこの問題の確たる返事ができないところなんですか。その点をひとつ具体的にしてみてください。私はそのことが無理だったら撤回します、具体的に悪かったら。
  75. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 具体的にどこが悪いのだと言われると非常に問題はデリケートになると思いますが、現在法律のたてまえから見て——たてまえと申しますか基本的な考え方からして、だれが責任を持って運営するかという考え方の問題が基本にあるわけでございまして、その限りにおいて私どもはいまの御意見には直ちに賛成はいたしかねるということを申し上げておるわけであります。したがいまして、その具体的な問題を、現状の運営において弊害があるからないからという観点で議論するだけでは、問題は処理されないのではないかというふうに考えておるわけであります。
  76. 卜部政巳

    卜部委員 弊害があるのじゃなくて、そのほうがより民主的に運営されるということを私は先ほど来から強調しておるわけです。それは弊害がない、そうしてまたその中には何も悪いものがないというのでありましたならば、当然にそういうように書いていったって悪くないじゃありませんか。今度のILOの問題の三十五条もしかりでありますが、さらに特別委員会論議されておりますところの八十七号もそうでありますけれども、やはりそういうものが改正をされていくように世界の情勢がそういうようになっておる。こういうことはILOの問題なんですが、八十七号、九十七号もありますが、その点は私は省きます。とにかくその問題とは別個にいたしまして、私が申し上げておることは何も理屈が通らぬわけじゃないのであります。そのことによってより民主化されてくるということについてなぜちゅうちょされるのですか。だからその面において私は政務次官なりさらには給与課長を追い詰めていこうなどという気持ちはごうもありません。問題はそういう面に向かって私が申し上げておるように是正をするのだ。こういうことについての問題を是正するのだというふうに考えられても何も悪くはないのじゃないか。さらにこれをこの国会において改正せよというのじゃないのですから、少なくともそういう問題について十分検討する。改正に向かってのことを確認しながらやっていくということであったら私はいいと思うのです。どうですか、政務次官、この点については。
  77. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 先ほどからも同じことをたびたび申し上げておるわけでございますが、そういう御意見のあることにつきましては、おそらく将来法律改正しようというふうなときがあれば、そういうことについて十分検討するに私はやぶさかではありませんし、またそういう御意見を承るにやぶさかではありません。しかしあなたの御質問はそれを必ずやるかというふうなお尋ねでございますから、それはいまはっきりはお答えできません。組合員意思のあることは十分承らせていただきますということを申し上げておるわけであります。
  78. 卜部政巳

    卜部委員 政務次官、私はこう申し上げていますよ。法律そのものを改正するということは確かにいまの時点では必要だ。しかしそれは制度そのものとからめて、法律という問題でありますとかなりむずかしい問題でありますがゆえに、この問題を私は改正しようということをここでいま提案しようとしているのではありません。しかも制度そのものについて、これを抜本的に改正をするということについては問題もあるところでしょう。だから制度そのものについての問題の改正もさることながら、現在の中におけるところのそういう一つの執行機関、その権限というものを民主的にするために強化していってはどうなのか、こういうことを言っておるわけであります。ところがその問題が制度にわたり云々ということがありますから、制度改正するということを私は強く表明せざるを得なくなったわけでありますから、その面で法律改正云々ということにまで波及してもらってはだいぶ飛躍するわけでありますが、政務次官その点をひとつはっきりとわきまえていただいて、ひとつこの問題については私の主張がほんとうにまずいものであり、さらに先ほどから繰り返すように阻害するものがあるならば別ですよ。だけれどもそういうことがないですからね。私はそういうように集約をしていただければ……。こういうふうに考えるわけです。
  79. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっと誤解をされている向きがあるといけないと思いますので二、三申し加えますが、たとえば評議員運営審議会できめて理事決定するという点について、これは現在法律第三十五条三項の規定を改める必要があるわけでございます。それからまた連合会の役員、特に理事であろうと思いますが、理事については評議員会任命するという御意見でございますが、これまた第二十九条二項で理事理事長が任命するというのに対する問題を少しずらされているのではないかという感じがいたします。やはり私どもといたしましてはこういった問題は制度問題として考えざるを得ない。その間においてやはり法律問題といたして考えざるを得ないのではないか。法律違反の運用をやれというような御意向もあるいはあるかもしれませんけれども制度の主管者としての立場においては、ちょっとそういう御意見には私は御賛同はできかねるわけであります。
  80. 卜部政巳

    卜部委員 給与課長、よく聞いていただきたいのは、私は抜本的な法改正云々ということを言っているわけです。抜本的な法改正ということになりますと、いわゆる組合員意思決定機関ということになりますと、組合員に選ばれた評議員によって、さらには代議員によって、それが結果的には大会等において決定権をつくり上げる、こういうことになろうかと思います。そういうことになりますと、いま言うように政府任命しておるところの各機関の役員なんかは、そういう天下り的な人事ではなくて民主的にやれ、こういうかっこうになってくるのが、これが抜本的な改正だということを私は言っている。そうじゃなくて、そういう形の中で出てきているこういう問題は、それは法改正といっても枝葉末節的なことですよ、率直に言うならば。そういうものは字句的な修正で何ぼでもできる。ところがそれを法改正をやらなくちゃならぬと言ってへ理屈のやり方をもって私をやり込めようというような考え方は、これは当たらないと思う。そういうことはわかっている。だからそういうことじゃなくて、これが抜本的な法改正になるものじゃないんだ。私の言うのは字句的な問題から条文の改正という形になるにしても、このことが大きくあなた方が主張しておるように一面は社会保障制度のためであるという議論があるけれども、一面は国家の云々というようなことを大きく打ち破るものじゃないんだ、こういうことを言っているわけです。あまり堂々めぐりを私はしたくないから結論だけ政務次官から、誠意のある回答即私が申し上げたように、制度改正というもの、——制度改正といっても大きな制度改正じゃありませんよ。私が言っているその形の小さな制度改正の中で、事を一応確認をしながら、この三つ、四つの問題は何としても今度の審議の中で十分論議し、その中の一、二点が、全部が全部というわけではないけれども、それがにじみ出るように努力をする、こういう一つの御答弁で私はけっこうだと思います。どうでしょう。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代   理着席〕
  81. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 改正前提として努力ということでございますれば、いまお約束はいたしかねます。しかし組合員の御意思のある点につきましては十分承らせていただきたいと思います。
  82. 卜部政巳

    卜部委員 組合員意見が反映をされるというけれども先ほど例を申し上げたようにあまり反映をされないから私が言っておるのではありませんか。だから平井給与課長のことばを借りるならば、建議する必要があるからその場でやりましょうなどということは、私は一歩も前進がないと言うんですね。だからひとつその面について私はもうくどく申し上げませんが、政務次官どうですか、その面についてひとつ努力をいたします、これはもう十分努力を傾けてまいります、こういうことで私はいいと思うのです。私の言ったことの内容は十分議事録に入っておりますから、その中で努力をいたしたい、こういうことで、ひとつこの点を結論づけていきたいと思いますが、どうでしょう。
  83. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 制度改正につきましては、法律の定むるところによって審議会でいろいろ案を練ってもらうわけでございますが、それ以外におきましても、組合員の御意見のあるところは十分承りまして、お互い改正をしようという熱意については私は変わりないと思います。したがってそういう熱意の上に立って十分承らせていただきたいと思います。
  84. 卜部政巳

    卜部委員 この問題はあとから触れます国庫負担率を少し引き上げてはどうかとか、さらには恩給整理資源の全額を繰り入れてはどうかというようなものとは違うのです。その問題なら、なるほど大蔵当局としてはかなり財源の問題もありましょうし、さうにその問題についていろいろ検討を加えなくてはならぬ問題もあるのです。だがこれは一般的な関係なんです。何ら問題ないのです。先ほどその担当者であり、さらに権威者である給与課長自体が、具体的に悪いのかと言ったら弊害はございません、何も悪いところはございません、こうおっしゃっておる。悪いものがなければ私が主張しているいいものになぜ是正できないのかということを、オーム返しに私は申し上げたいと思う。課長、口の中でもごもご言わぬで、私の言っていることについて御答弁を願いたいわけです。その点で私は無理を言っているわけじゃないでしょう。課長どうですか、無理だと思っていますか。この問題はどうですか。
  85. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど来たびたび同じ答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、法律のたてまえとして、そういう考え方は直ちに妥当であるかどうかという問題点があるわけでございまして、そういった点を私ども検討してみなければならぬだろう。それが悪いということを申し上げているわけではないのであります。現在の法律のたてまえとどの程度調和するか。それは先生は当然調和するのだというたてまえで御議論されておりますが、私どもはその辺のところをさらに検討しなければ、必ずしもそのとおりでございますとまでは言い切れないわけでございます。
  86. 卜部政巳

    卜部委員 一つ前進的なものが出ましたが、調和するということが、いろいろと意見統一を行なった中で出てきた場合にはいいというわけですね。そういうわけですね。なるほどわかりました。そういうことになりますと、十分この四項目については検討をする。そのために向かって努力をする、こういうふうでよろしゅうございますね。答弁はもういいです。そういうふうに確認したいと思います。よろしゅうございますね。
  87. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 御質問がだんだんことばが飛躍してまいるような感じでありますが、たびたび申し上げておりますように、私どもはこの制度をよりよくしようという熱意を持っておるということで十分御理解いただけると思います。
  88. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。それでその中には平井給与課長答弁も含めてということでよろしゅうございますね。課長答弁も含めて、十分この問題について意思統一を加えた中で、その問題が適用される、またそのことが改正することにやぶさかでないということになれば、この点は改正をするということについて努力をしていく、こういうように答弁があったわけですから、そのように私は確認をし、同時にその上にかぶせて政務次官がさらにこの点については誠意を持って努力をする。こういうことの御答弁をもってこの結論を出したいというふうに考えるわけです。
  89. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 誤解があるといけませんからはっきり——お答えたびたび申し上げて恐縮でございますが、私どもはこういう制度については将来ともよりよくしようという熱意があるということで、組合員の方々の御意見も十分承らせていただきますということを申し上げておるわけでございまして、改正前提として必ずこうやるというふうなことを申し上げているのじゃないということだけ御理解いただけばけっこうだと思います。
  90. 卜部政巳

    卜部委員 それで私がたびたび言っておりますように、何もこのことが悪いことじゃないでしょう。このことが悪いことじゃないということは認められた。おそらく課長もそうでしょう。弊害はないということを認められたわけでしょう。そういうことが認められたわけでありますから、その中でそういう悪いものがなければこの点を運営を民主的にするためには是正をしなければならない。是正をすることについて否定をされるのかということについて、いろいろとこの点については法律的な問題があります。すぐここで御答弁するわけにはまいらぬ。しかもその中にはいろいろと十分に論議をしなければならぬし、それがこの全般法律に適合して、部分的な改正をしても法体系がおかしくならないかどうかということも十分勘案して、意見を統一していきたい。その中でこのことが法体系に矛盾をもたらさないということであるならばこの点を改正をしていく、こういうことについて御答弁があったわけです。そういうふうに私は解釈をしていきたいと思う。そうしてまいりますと当然この四点の中の何ものかが一点か二点かは、にじみ出てくるか、出てこないかは別にいたしまして当然検討されて、この改正の中にはにじみ出てくるというふうに解釈するわけです。そういう点でひとつ次に進めてまいりたいと思いますが、委員長よろしゅうございますか。
  91. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 答弁により御了承願います。
  92. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 どうも最後にいつも結論をつけられるので困るのでありますが、途中までについては私ども特に異議はございません。ただ、当然その中に出てくるものである、それで了承しろとおっしゃるところにちょっと私どもいま直ちにそうなりますということをお約束申し上げるわけにいかないということを申し上げておるわけでありまして、制度問題につきましては常に検討は怠らないつもりであります。
  93. 卜部政巳

    卜部委員 にじみ出るという私の結論を出したのでは困る、それはよくわかります。でありますからそれではにじみ出るように努力するということはよろしゅうございますね。
  94. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 どうもにじみ出るように努力するということばは、日本話としてはなかなかデリケートなことばづかいでありますから、とりようによってはいろいろ解釈がされると思いますが、その意味改正をするように努力するというような意味でございますと、ちょっとそこまで私ども約束はできないのでございまして、制度検討は十分いたします。その制度一般を検討過程において、こういう問題も十分検討いたしますが、その結論がどうなりますか、さらに検討の結果を見てみないと、いまのところは何とも申し上げるわけにいきません。
  95. 卜部政巳

    卜部委員 検討の結果というのは、私たちと十分話し合った中で検討するのでありますから、何も課長自体の検討だけではないと思います。大蔵省自体の検討だけではないと私は思う。そういうことは率直にこの中で私は申し上げようと思っておったのですが、大蔵省の権限が強いわけですね。率直に言って大蔵省の権限が強い。各省共済組合だと言っても、大蔵省が早く負担率を決定せよなんかと言われたら、強引に採決に持ち込むというようなことも前例として申し上げました。そういうように権限が強いわけです。だからそういう問題については知らず知らずのうちに給与課長の発言になったわけでありますが、自分検討してだめだったらだめだ、こういうふうなことでなくて、やはりこの問題については私たちとも十分話し合い検討を加えた中で、結論が導き出されるというふうに私は解釈しておるわけなんですね、だから検討を加える云々ということを、何も私は一方的に大蔵省だけがそういうふうに言うことはないだろうと思うのです。そういう点でこの努力の問題についてはよくわかりましたから、ひとつこの問題は、全般制度の問題の中に一、二、三、四、五点ということで申し上げたのでありまして、まだまだこれからいろいろとたくさんの問題を出していくわけでありますから、この四点は一般的な関係としてこの問題を提起したわけでありますので、この点は十分政務次官に御確認を願いたい。その点はよろしゅうございますね。
  96. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実はいまどういう点を確認されたのか、少しぼんやりいたしましてはっきりしないのでございますが、全般的な制度検討過程において、こういう問題も積極的に検討するにはやぶさかではございません。
  97. 卜部政巳

    卜部委員 いまの五点の問題については、論議の中心はこの五点でありますから、制度全般にわあっと広げるのではなく、この五点について、いまの答弁については中心にして回答があったものだというふうに解釈いたします。よろしゅうございますね。委員長、この四点、五点については努力を傾けていく、そしてその検討の結果法改正という問題も、体系を乱さない限りあり得るのだということを確認をしてまいりたいと思います。よろしゅうございますね。
  98. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 先ほど来たびたび同じことを同じように答弁しておりますが、組合員の御意思のあるところは十分検討させていただきます。
  99. 卜部政巳

    卜部委員 それでもう政務次官がそういうことを言わぬでもいいと思うのです。だから少なくともいままでの論議で、あまりくどいようでありましたけれども、私はこういう問題は決してむずかしい問題でもなくて、さらに財源をもたらすような、財源のやりくりというような問題ではなくて、簡単に事が運ぶような問題です。そういう問題だけに私はこの結論はやがて統一見解として、さらにまた統一した意識として、次期国会ないしは次期次期の国会にこの問題がにじみ出、かつまた法案の改正というかっこう、さらにはこれの民主化へ向かっての前向きの姿で提案されてくることを私は期待をして、次へ進んでいきたいと思います。その点はよろしゅうございますね。委員長ひとつ確認をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  100. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 答弁する必要がないかもしれませんが、御期待なさる点については、私どももごうも異存はございません。
  101. 卜部政巳

    卜部委員 少なくとも大蔵委員会の中で長時間かけて論議をした中で期待をするという意味は、決して単なる期待ではないということを、私は信じて疑わないのであります。この点はひとつ私は確認をして、いままで給与課長答弁の中で述べられ、政務次官も述べられましたように、誠意のある回答であり、この問題がやがて次期国会ににじみ出るものであるということを私は確認をしながら、さらに期待をしながら、次へ進めてまいりたいと思います。委員長よろしゅうございますね。——ではその期待に基づいて、次にまいりたいと思います。  そこで今度は、財源の問題に入ってまいりますが、三十四年十月一日以降の問題についてでありますが、この間平林委員のほうからるる御質問がなされましたし、また中にはその問題の財源をめぐっての問題が出てまいりました。この点について給与課長答弁は若干問題があるようなことを申されておりました。というのは、それは、修正実額負担方式というものによりまして、大体財源の繰り入れの問題については万全を期しておりますなどというような問題が出ておりますけれども、私は必ずしもそういうふうなことには思っておりません。  そこで、ひとつ率直にお聞かせを願いたい点は、三十七年度の決算で連合会の立てかえが三十三億に上っておるわけでありますけれども、この点は間違いないのでありますかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  102. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 手元に正確な資料がございませんが、三十七年度末現在においては、大体その程度であったろうと思います。
  103. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、三十七年度の決算で立てかえが三十三億に上っておるという原因は一体どういうところにあるかをひとつお伺いをいたしたいと思います。当然そういう立てかえが出てくるはずがないのにそういうものが出てくるわけでありますが、どういうところから出てきたのか、この点をひとつ伺いたい。
  104. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の国家公務員共済組合法施行令の規定によりますと、三十四年の共済組合移行に伴って生じてきた経過的な措置に伴う追加費用は国が負担する、その国の負担については当分の間予算をもって定めるというたてまえになっておるわけでございます。そこで、移行時にあたりましてどのような金額をとりあえず計上しているかという問題が出てまいったわけでございますが、当時においては雇用人についての資料はございましたが、全公務員についての見るべき資料はございませんでしたので、やむなく一応予算を持ってきて大づかみな計上のしかたをしたわけでございます。これが十億からスタートいたしまして毎年度五億ずつ増加するというようなやり方をとったわけでございまして、その限りにおきましては、先生御指摘のような事態が生じてきたわけでございます。  そこで私どもといたしましては、このような立てかえを継続するような事態は好ましい事態ではないということも考えまして、本年度から修正実額負担方式に切りかえることにいたしたわけであります。
  105. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、端的にお伺いいたしたいのですが、整理資源総額は一体幾らになっておりますか。
  106. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 国家公務員共済組合の場合を例にとりますと、きわめて大ざっぱな推定において千八百億から二千億の間であろうと言われております。それは三十四年の十月末現在でそのくらいであろうと言われております。ただしこれは、整理資源ということばをどういうふうに解釈するかという問題でございますが、そういう資源があったというふうに御理解になるならばそれは誤りでございまして、将来にわたって、つまり当時おりました恩給公務員がずっと共済組合の適用を受けておやめになった後、一時金ないし年金をおもらいになる、そういった方方が死滅してしまわれる、あるいは遺族年金を受けておられる方々がなくなってしまうまでの間において国が負担するであろうと思われる債務の見積もり額、それは実際は三十四年十月には債務として発生しておらぬわけであります。将来発生するであろうと思われる見積もり額を推定いたしまして、それを前会でも申し上げましたように利息分で割り引いて原価換算する、そういった形の原価換算されたものの総額を推定いたしますと千八百億から二千億くらいになるであろうということでございまして、これは申し上げますならば、将来七次にわたって、あるいは四十年、五十年にわたって国が現実の債務としてぼつぼつと負担してまいるであろうものを一応推定したものがそういうことになる、こういう意味でございますから、その点は誤解いたされないようにお願いしたいと思います。
  107. 卜部政巳

    卜部委員 大体恩給という制度の場合には、毎月千分の二十というものを取っておったのですね。そうじゃないですか。
  108. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 恩給制度の発足当時においては、全然国庫納金制度はございませんでしたが、その後の制度として千分の二十というものを一応恩給国庫納金制度として徴収することになっております。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員   長着席〕
  109. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、また何年たてば何ぼ恩給なり一時恩給というものをもらえるのだということは当然であったわけですね。
  110. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 公務員として大過なくおつとめになった場合において、そういう恩給をもらえるということはあったわけでございます。ただし、これはあくまでも当時権利としての考え方ではございませんので、国の一方的な給付という考え方でできておるわけでございまして、それと現在の共済組合制度とはかなりたてまえは異なっておるわけでございます。
  111. 卜部政巳

    卜部委員 言い方としましたら、国の恩給というものは国の給与であって、千分の二十という国庫納金は、いわゆる保険料と異なっておるのだ。だから国の給与に関する職員の財政的給与としてこれは考えておった、当然そういうふうな責任準備金が積み立てられておらなかったのであるから、これを一括して共済組合に入れる必要はないのだというような意見、これは政府の言い分だと思うのですが、その点は間違いないですか。
  112. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 積み立てるべき筋でもなかった、したがってそういうものがあるべき理由もなかった、こういうことでございます。
  113. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、その千分の二十というものは、架空のものであったわけですか。
  114. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これは恩給局からあるいはお答えいただいたほうがいいのかもしれませんが、恩給国庫納金というものの性格が、なるほど公務員というのは無定量の勤務に服する者として、いろいろ厳重な規律を受けておるわけのものでございますので、公務員の官吏退官後において、その体面を維持するにふさわしい保障をしようという考え方で恩給制度がきめられたわけでございますが、その場合に、その後国庫納金制度ができましたのも、そういう一方的な給付としてはなるほど本質的には変わらないけれども公務員として何がしかの金もやはり一応出すという考え方が、国民の批判という点から見て妥当ではないかというような観点がありまして、千分の二十という制度がつくられた。ただしその場合におきましても、あくまで給付されるべき内容と千分の二十というものは無関係でございまして、大ざっぱな感じといたしまして、物価変動等がない場合においても、給付されるべきものに対して二割にも達していなかったであろうということが言われていたわけであります。
  115. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、四千億と言ってはおかしいのですが、数千億と給与課長は言われましたね。その資源、この点は、その金はどこに置いてあるか。
  116. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 お答え申し上げるのはどちらについて申し上げていいのかわかりませんが、国庫納金制度として毎年一般会計に納付された金額、これは全部当該年度の歳出財源に充てられております。それから二千億と申しますのは、さっきも申しましたように、非常に長い将来にわたって国が負担するであろうと思われる債務を現在の価値に換算して推定をしただけでございますから、そういった金はもともとないわけでございます。かりに恩給法が続いておりましたとすれば、恩給という形でぼつぼつとそういう形が現実化していくわけでございまして、確定債務としてはその当時はなかったわけでございます。いわば将来において具体化するであろう抽象的な債務を推計いたしたものがおおむね二千億ということにすぎないわけでございます。したがいまして、法律をお読みになればおわかりになると思いますが、追加費用を国が負担するということは書いてありますが、資源云々ということはどこにも法律上書いてないわけでございます。
  117. 卜部政巳

    卜部委員 それは法律には書いてないわけですね。実際問題としてこのような形でもって、三十四年の十月一日から、国の機関とは別個な、いわゆる組合になったわけでありますから、その組合に当然これを組み入れていくのが私は正しいと思うのです。ところがそれのみかむしろ三十三億に及ぶところの立てかえ金が出ておるという現実が出てきておるわけですが、この点について、一括修正実額負担方式などといって、そういう追給があって、五億程度を毎年入れてきておったわけですね。そうじゃないのですか。それをちょっと明らかにしておいていただきたい。
  118. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 誤解があるといけませんので申し上げますが、三十五年度の繰り入れ額は十億、三十六年度が十五億、三十七年度が二十億、三十八年度が二十五億と、毎年五億増しという形で一応やってきたわけであります。そこで修正実額負担方式で三十九年度で負担いたします金額は五十三億円でございまして、三十八年度に比べて倍以上の金額になっております。
  119. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、そういうふうな問題もよくわかりますが、ではそういうふうな資源の問題について、やはり組合のほうに一括繰り入れていく、返していく、こういうことは全然考えていないわけでございますか。
  120. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これはこういった公務員の年金制度の先進国であるアメリカの例、あるいは一般的な学者の御意見伺いましても、そういった将来に発生するであろう費用の推計額を全部、保険のスタートの時期において入れるべきだという議論は、学問的には出てないようでございます。そこで組合の方々がおっしゃる議論としては、そういうものを入れればその運用利息で、発生すべき費用はまかなっていけるから、その点がカバーの財源率等の軽減に役立つという認識に立っておられるようでありますが、これは保険計算の面から見ますと誤解でございまして、そういった事実はございません。かりにそういった推計された整理資源額を入れるといたしましても、それはいわば恩給公務員の、さっき申された三十四年以前の期間に見合うべき部分の支出に充てらるべきでありまして、その運用利益も当然その部分にだけ充てらるべきである。したがって将来の共済組合の掛け金、負担金と関係のないものとして処理されるものであります。したがいまして、実際論といたしましても、こういった財源、整理資源をかりに入れたといたしましても、組合員の負担軽減にもなりませんし、また理論的に申しましても、そういったものを、将来発生すべきであろう抽象的な債務金額を制度のスタートのときに、切りかえ時に全部入れるという考え方は、理論的にも成り立たない、そういう観点に立っているわけであります。
  121. 卜部政巳

    卜部委員 そうするとこの修正実額負担方式というものは、具体的には連合会が年間に給付を決定した額の中で、恩給期間に相当する期間を翌年度の予算でそのつど解決をはかろうとするものですね。その中で出てきている問題として、私は混同があるのではないかというふうに考えるわけです。その混同というものは、三十四年の九月三十日の時点における整理資源の確定というものと、その後における問題の混同があるのじゃないか。それはやはり整理資源を確定したときの将来支払うべきものの、いわゆる俸給指数というものと実際の上昇との食い違いは、当然予想されてしかるべきではないか。しかしてそのあとにおいて出るところの変動の食い違い、さらに追加費用なんというのは、いわゆる整理資源とは別個に国が負担すべきものである、こういうふうに考えておりまして、この点について混同があって、この修正実額負担方式そのものにも若干問題があると考えるわけですが、どうでしょうか。
  122. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実はそういう議論を若干組合関係の紙面等で拝見したことがありますが、どうも御議論そのものが少し混同があるのじゃないかというふうに私どもは考えております。修正実額主義をとりました場合に、それによって負担されていくものは何かといえば、現実に三十四年以降において、先ほど申し上げた債務は現実化してくるわけでございます。順次勤続期間の長い方からおやめになっていかれる。やめていかれるときに年金をおとりになるかあるいは一時金をおとりになるかでありますが、かりに年金をおとりになる場合は、三十四年十月以前の期間に見合う分は国が負担する。あとはおやめになったときのベースにおいて年金がきめられる。その中で三十四年十月以前の期間に見合うものが払われていく。その場合においては三十四年十月当時において推定した整理資源額よりも大きなものが支払われていくということが事実として出ております。しかし、それであるからして三十四年十月に入れておかなければならぬという議論にはならぬわけでありまして、むしろ、かりに恩給がそのまま継続したであろうとすれば国が払うべかりしものを払うべきときに支払っていく、そういうふうに理解していただけば問題はきわめて簡単になるのであります。
  123. 卜部政巳

    卜部委員 では一つはっきりしたいのは、やめた時点における計算を行なうわけですね。それは間違いないですね。
  124. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の年金は公共企業体と国との場合で若干差がありますが、国家公務員共済組合の場合を例にとりますと、おやめになるときの最終三ヵ年平均の俸給をもって年金の基礎とするということにいたしております。
  125. 卜部政巳

    卜部委員 いまの答えは三ヵ年の平均ということでしょう。先ほど答弁の中では、やめたときの俸給ということであったように思うわけですが、その点に食い違いがあるようですが、どうですか。
  126. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほどは少し問題を簡単にする意味で、やめたときということを申し上げたわけでございますが、正確には三年平均でございます。ただ三年平均をとりましても、問題の焦点がその後におけるベースアップ等によって生ずべき追加費用云々というお話であったように思いますので、その限りにおいては三年平均をとっておる。その三年間でかなりべースアップが行なわれているのが現実でありますから、その限りにおいて、ベースアップの結果生じてきたいわゆる追加費用の追加分、そういうものも当然実額負担方式で追加をされるということになります。
  127. 卜部政巳

    卜部委員 いま三年平均の問題が出てまいりましたけれども、三年平均というよりもむしろ私は最終——最終というのはおかしいのですが、やめたときにその俸給でもって計算をしていくということが正しいと思うのですが、そのように訂正する意思はありませんか。
  128. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 やめたときの給与を基準にすることがいいかどうかという問題はいろいろございます。社会保険全般を通じましても、たとえば厚生年金の場合でございますと、生涯を通じて平均俸給を基礎とするという考え方をとっております。一方では公共企業体の場合のように、最終俸給を基準とするというものもございます。したがって、そういった全体の体系の中で国家公務員共済組合の俸給の年金の基本を何に置くべきかということは、いろいろ議論があるわけでございます。ただ、同時に、最終俸給を基準にするということは金がそれだけ要るということにもなるわけでございまして、単に公務員の利益に直ちに帰着するかどうかという問題もございます。結局は負担とのかね合いの問題もございますし、また将来の社会保険としての方向との関係等も考えながら、今後検討する必要があろうというふうに思っております。
  129. 卜部政巳

    卜部委員 厚生年金ないし公共企業体という例を申されたわけでありますけれども、その負担率、この問題も当然出てくるにいたしましても、私は少なくとも三年平均という問題と、さらに課長が申されたように最終的な退職時における俸給というものとは金額的にだいぶ違ってくる、こういうことはよくわかります。しかし少なくともやはり退職時の給与でもってやるのが正しいのではないか、その面におけるところの、言うならば負担という問題でありますが、これは先ほどちょっと論議をいたしましたように、国庫負担の問題等がありますがゆえに、国庫負担率を引き上げることによってその問題の解決はつくのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この点についてはどうですか。
  130. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 お説のとおり、国がその上がる分は負担すればよろしいという御議論にもなろうかと思います。ただ制度のたてまえとして、そういうものを国が一方的にその分だけは全部負担するのがいいか悪いか、この辺のところについては、むしろ社会保険全般を通じて非常に大きな問題がございまして、今回の百分の十五に引き上げる問題についてすらなかなか御議論が多いわけでございまして、そう簡単に——簡単にと申しては非常に失礼かもしれませんが、簡単に議論できる問題ではない。むしろ制度のたてまえからすれば、あくまでも現在の掛け金対負担金の率、そういうものをもってそれをまかなっていくということにならざるを得ないのではないかと私どもは考えております。
  131. 卜部政巳

    卜部委員 そうなってくると先ほどの問題も出てくるわけでありますが、やはり掛け金というものの主体を占めるのは組合員だということですね。そうでしょう。何も大蔵省の官僚でやったり、さらにまた、衆議院議長だとか参議院議長でやったわけじゃないわけですね。組合員がかける金なんです。そうしてその運営はきわめて天下り的な執行部によって行なわれる、こういう問題も出てまいります。しかし、もう前段の問題については先ほど誠意のある回答がなされたので、この点は私は深く追及は行ないませんが、少なくともそういう面において国家が負担をするのが当然なんですよ。もしそういうような執行部があり、さらにそういうような機構であり、さらにそういうような制度であるならば、当然国が負担してしかるべきじゃないか。その組合員の負担率が高くなるからこうなるのだという言い方では、若干問題があると私は思います。この問題もいろいろと今度の負担率の問題が引き上げられることについて、これは前進的な方向だとは思うのでありますが、少なくともこの問題については最終俸給でもって行なっていくための努力をしてもらいたいし、そのために掛け金率が上がるということではこれは問題がありますから、この点をやはり十分しんしゃくした上に立って国庫負担率を上げていく、この点についてもひとつ勘案をしていただきたい、こういうふうに思いますが、どうですか。
  132. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 率直に申し上げますと、その点につきましては反対でございます。これは、いまのような御議論がされるとすると、いまの共済組合のあり方についての問題がむしろ出てくるわけでありまして、やはり社会保険というものを認めて、その上で、社会保険のルールの中である程度議論をしていただくということになりませんと、この問題はなかなか進展をしないわけでございます。社会保険ではあるけれども、とにかく組合員の負担がふえるような問題は国で持つべきだというたてまえで議論をされるようでは、ちょっと私どもとしても正面からこの問題に取り組むことも非常にむずかしいと言わざるを得ないわけであります。
  133. 卜部政巳

    卜部委員 じゃその社会保険全般についての論議を深めてもいいと思うのですよ。大体冒頭にその方向から入ってまいったわけですからね。だけどそういうオーソドックスなことをやっておったのでは時間がないからということで具体的に入ってきたわけです。ところが課長えらい開き直って、社会保障全般について検討を加えましょうなんて言ったら、じゃやりましょうということになるわけです。しかしそういうことではならぬと思いますから……。少なくとも私思うのは、この間も大臣に申し上げたように、社会保障全般としての問題としては、ゆりかごから墓場までという、イギリスの資本主義社会の中でもそういうことが行なわれているわけです。たいへんりっぱな社会保障が行なわれている。そういうことから考えてみたときに、国庫負担率をわずか二〇%ぐらいに引き上げたって、そのことが全般の問題を論議しなくちゃならぬというほど重要なものではない、こういうふうに私は考えるわけです。  さらにまたこの国庫負担率の問題について私は論議を深めていきたいと思うのでありますが、大体この間も、ちょっと申し上げておきましたけれども、確かに今度の提案によりますと組合員の割合を百分の四十五から百分の四十二・五に引き下げたということになりますので、これは一応前進だと思うのです。しかし各省共済組合を見ますと、財源率が千分の百・六でありますが、そういう問題から考え出してまいりますと、ぐんと負担率が上がっておるというかっこうになります。でありますから個々に下げてもらっても、結果的には六十円ないし七十円ぐらい上がっておるというようなことになるわけでありまして、この改正を見てまいりますと、いかにも今度は組合員は負担率が少なくなり、同時に毎月の給料からこれだけ下がったのだというふうな印象を与えますけれども、そうではないのですね。各省の中で、ある部面においては下がったところもあります。しかしながら逆に上がったところがあるわけでありますが、こういう問題を考えたときに、私は国庫負担率というものを二〇%に上げるということがやはり至当ではないかというふうに考えるわけです。この点、各省におけるところの負担率というものの具体的な内容をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。どこまで高くなるのか。
  134. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 まず国家公務員共済組合連合会の場合でございますと、現在のところ十月を目途として財源率の改定問題をやっておりますので、これは現在の掛け金率が、俸給の千分比で申し上げますと千分の四十四でございます。それが新制度によりますと千分の四十一・五に下がるわけでございます。それから郵政省、印刷局、造幣局、林野庁、これらはすでに財源率の再計算を終わっておるわけでございますが、その再計算後の掛け金率は、郵政省は千分の四十五が千分の四十二・五に下がるわけでございます。それから印刷局は千分の四十七が千分の四十四・五に下がる、造幣局は千分の四十七・五が千分の四十五に下がるということでございます。それから林野庁は千分の四十八が千分の四十五・五に下がるわけでございます。それから建設省の場合でございますが、建設省の場合は現在千分の四十三でございまして、これも非現業の連合会と同じように十月を目途として改定をするわけでございますが、現状は四十三でございまして、これが四十・五に下がるわけであります。それから公共企業体職員共済組合の場合でございますが、国鉄の場合が千分の四十三から四十に下がる、電電は千分の四十二から四十、専売が四十二から四十に下がるわけでございます。
  135. 卜部政巳

    卜部委員 まだ質問があるわけでありますが、時間もまいりましたので、一応ここで質問を保留いたしまして、次に進んでまいりたいと思います。
  136. 山中貞則

    山中委員長 午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時二分開議
  137. 山中貞則

    山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。卜部政巳君。
  138. 卜部政巳

    卜部委員 午前中に引き続きまして、関連した問題から入ってまいります。  そこで、今度提案されました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案でありますけれども、これは三十九年十月一日から施行になっているわけでありますが、先ほど来からの論議の中でも深めてまいりましたように、四現業等における掛け金というのが率が上がっておる、こういう関係からいたしますならば、この十月一日からの施行では——四現業につきましては、これは一月から施行というかっこうになっておると思うのであります。そういう点からするならば、この点も何らかの方法で遡及的な措置が加えられないものかどうか、この点をひとつ質問をいたしたいと思うのであります。
  139. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 今回の国庫負担率の改定は、かつてこの委員会で御質疑がございました際にお答え申し上げたと思うのでございますが、社会保険全般的な検討過程におきまして、厚生年金の給付水準が引き上げられてくるとか、あるいは他の共済制度、農林漁業団体職員共済組合法の改正が行なわれるとか、そういう一連の問題として考えられたわけでございます。そこでこういった社会保険制度制度改正の問題として、国家公務員についても、従来は百分の十であったものを百分の十五に引き上げる、公共企業体についても同じような措置をとる、こういうことになったわけでございます。その場合に、御承知のように各制度は必ずしも実施の時期を同一にいたしておりませんが、その最も早いグループである農林漁業団体職員共済組合の例をとりましても、本年の十月でございまして、その意味におきまして、国家公務員共済組合法等の一部改正についても十月一日ということにいたしたわけでございます。もちろん早ければ早いほど職員の利益にはなるであろうということはいえるわけでございますが、そういった全般的な制度の改定の過程において最も早い水準で並べるということにいたしたわけでございます。その結果、財源率の改定問題の早いおそいによって、苦干の差は出てまいるわけでございますが、その点は制度改正のたてまえから見てやむを得ないところであろうと考えているわけでございます。
  140. 卜部政巳

    卜部委員 課長も御存じかと思いますが、この四現業の各所管組合におけるところの負担率の問題は、かなり高い率になっておることは御承知かと思うわけです。今度十月一日からこの問題が適用されるということになりますと、不利益というまでにはいかないにいたしましても、四現業だけがやはり高い掛け金をそれだけ払う結果になるということば課長もお認めだろうと思うわけです。そういう面で、その措置自体が制度のたてまえから云々ということはわかるにいたしましても、何らかの方法でやるすべはないものか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  141. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これはあくまでも制度のたてまえ論の話になって恐縮でございますが、かりに財源率の再検討とあわせてそういう問題を考えるというのでございますれば、逆に公共企業体の場合においては、むしろ来年度あたり、昨日の御審議で明らかになりましたように、来年度あたり改定をされるその時期に考えればいいということにもなるわけでございまして、そういう意味では、制度の改定時期というものは全般的な社会保険体系の中で考えていくという筋合いにはなかったということでございます。
  142. 卜部政巳

    卜部委員 どうにもならぬということでございますか。
  143. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 どうにもならないということばの意味でございますけれども、私どもとしては、特別に措置を考えていくことは適当ではなかろうというふうに考えております。
  144. 卜部政巳

    卜部委員 不利益にならないまでもということは、不利益ではないということのことばにも直結するのですが、現実に四現業が高い掛け金を払うということだけは、これはお認めになりますね。
  145. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 掛け金率が財源率の再計算によって上がることは事実でございます。ただ御承知のように、財源率の再計算自体はこういった制度改正とは別の問題でございまして、今後も五年ごとに再計算が行なわれるわけでございます。その場合に必ずこういった制度改正がたまたま行なわれるということにはならないわけでございまして、あるいは上がりっぱなしということも起こり得るわけでございます。したがいまして、今回に限ってそういう問題を処理するということは、いささか制度趣旨としてもどうかというふうに考えるわけでございまして、共済組合制度の発足が早かったために、たまたまそういう制度適用の時期について遅速が生じたということは事実でございますが、これは先ほども申し上げましたように、社会保険全般を通じての検討、さらにその実施の時期の最も早いものでも、ことしの十月になった、こういった経緯の中から生まれてきたわけでございまして、やむを得ないのではないかということでございます。
  146. 卜部政巳

    卜部委員 お気の毒だけれどもやむを得ない、こういうことですね。お気の毒がつくわけですね、やはり上のほうは。そういう点で、制度上の問題云々ということできわめて恐縮でございますがという御答弁もありましたけれども現実にそうした掛け金の率の引き上げに伴う高い掛け金を一月から払わなくちゃならぬという問題もやはり十分考慮してもらいまして、次の段階においては何らかの措置を加えていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  そこで先ほど来から質問をいたしております中で、関連して申し上げておりました国庫負担率の問題でございますけれども、この点についてひとつ私は抜本的な問題になるかもしれませんが特別会計で国の負担全額をまかなうということになっておるわけでありますが、社会保障制度のたてまえからいたしますならば、いわゆる他の制度と同様に国庫の負担割合を明確にする必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういうふうに考えますがゆえに、その部分は一般会計より特別会計のほうに繰り入れてはどうか、こういうふうに考えるわけですか、いかがなものでしょう。
  147. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 社会保険主体としての国が何であるかという問題に帰着するかと思うのでございますが、大蔵省考え方といたしましては、社会保険主体というのは必ずしも税金でまかなわれる一般会計であるというふうには限定的には解しておりません。むしろ制度の原則に即して申し上げるならば、たとえば地方公務員の場合でございますれば、地方公共団体が社会保険主体としての国の百分の十相当額を持っておるわけでございますし、また公共企業体の場合であれば公共企業体がこれを持つ。同様に特別会計におきましても、独立採算のたてまえのもとにそれぞれの特別会計が持つということになるわけであります。ただし特別会計にも実質的にいろいろございまして、実質上一般会計税負担でその欠損分を補てんするような形のものもあるわけでございますが、そういうものについては結果的には国が持っていく場合も絶対にないということではございません。したがいまして、先生のおっしゃる趣旨は、いま言われている五現業等の特別会計についてということであるならば、これらはそれぞれの独立採算のもとにそれぞれの主体が持つのが妥当であろうと思います。  なお、参考までに申し上げますならば、こういう長期給付考え方というのは、恩給法当時の考え方を引き継いでいる面もあるわけでございますが、旧恩給法当時におきましても、やはり最終会計と申しますか、おやめになるときの特別会計が負担するということで恩給法のたてまえはできておるようでございます。
  148. 卜部政巳

    卜部委員 御答弁のとおりに、この問題に関する限り五現業の問題という形になりまして、その点については一般会計から特別会計に繰り入れる、こういうことを明確にしたいということでよろしゅうございますね。
  149. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 御要望はそうであるということは私どもわかりますが、私どもといたしましては、先ほど来御説明申し上げておるように、それぞれの特別会計が負担するという基本的なたてまえは変わらないということでございます。
  150. 卜部政巳

    卜部委員 私は、一般会計から特別会計に入れろということを言っておるわけです。そういうことですよ。よろしゅうございますね。
  151. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 御要望の趣旨がそうであることは、私どもも先般から申し上げておるようによくわかっておるわけでございますが、現在の制度のたてまえといたしましては、それぞれの特別会計が持つべきであるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  152. 卜部政巳

    卜部委員 そういうような国家負担を明確にするということが私は必要だと思うわけなんですがね。国家負担の問題を明確にするならば、当然そういうものを入れてもいいじゃありませんか。一般会計から特別会計に入れることは何らやぶさかじゃないでしょう。どうですか。
  153. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 国家負担を明確にするということばの意味でございますが、現在百分の五十五といわれておるものを分析して、使用者負担と社会保険主体としての国の負担というふうに分解しろという御議論でございますれば、それは法理的に見てできないということではございません。ただその場合の国とは何ぞやという議論としては、一般会計であるべきか、あるいは特別会計であるべきかという議論になれば、私どもは、五現業の特別会計については当然五現業特別会計であるというふうに考えておるわけであります。
  154. 卜部政巳

    卜部委員 このことについてくどくど申し上げたくないのですが、五現業の特別会計とは一体どういうものか、これまた本質論議に入っていかざるを得なくなりますから、そういう点については私はここで論議を深めていく必要はないと思いますし、またその点に論議を行なっていくならば、これは平行線をたどるというふうに考えますので、私はその点についてはあれいたしますけれども、少なくともこういう問題については明らかにすべきではないか。さらにそういう点は一般会計から特別会計に入れるべきではないか、この点を申し上げておきたいと思うのであります。  その点についてでありますが、次に専従者の問題も当然出てくるわけでございまして、この専従者の問題についてもこの共済組合の中では若干冷たい待遇を受けておるわけなんです。当然公務員の資格、同時にまたその中にある共済組合員としての資格を持っておるにもかかわらず、専従者になった場合には国の負担が云々、さらには停職、戒告という処分の問題にも触れてまいるわけでありますが、この問題と現在の問題とをからみ合わせた中で負担率を明らかにして、それから残りの使用者負担なるものについてのみを労働組合が負担をするというようなことが正しいのではないか、私はこういうふうに考えるわけでありますが、この点についてはどういうふうに思われますか。
  155. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 制度的に申しますと、午前中にも論議がありましたように、一方では社会保険としての性格を持ちながら、一方では国の公務員制度としての性格を残している。そういう沿革からして、現在のところ専従職員について百分の五十相当額を労働組合が負担するという形になっておるわけでありますが、御承知のように現在ILO問題の中で専従職員の取り扱い等は論議されておるようでございます。現在のところは専従休暇という形になって職員が労働組合の仕事に専従するようになっておるわけであります。これらの制度がどういうように動いていくかということも一面では検討する必要がございます。そういった検討がなされた後におきまして、新しい専従制度のもとにおいてその取り扱いをどうするということはあらためて検討いたしたい、かように思います。
  156. 卜部政巳

    卜部委員 仮定の問題でありますが、検討するというのですが、八十七号条約が批准された場合にはどういうふうになるわけですか。
  157. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 いままでそこに出ておる話だけでございますと、専従制度というのは三年間を限度として打ち切るというような考え方も新聞紙上で拝見したことがありますが、そうなれば、暫定的な措置として特に現在の制度を改める必要があるかどうかという議論になろうと思います。そうでなくて永久的な制度として専従制度というものが認められるようになれば、その段階においてまたあらためて考えていく。現在の段階でそこに出ておるような程度の話でありますれば、短期間の休暇期間の問題になってしまうことでありますから、特に改める必要はないという感じはいたします。
  158. 卜部政巳

    卜部委員 そうなりますと、この問題については八十七号条約批准に伴って再検討する、こういうふうに理解していいわけですね。そういたしますと、現在の審議過程の問題からいたしましても、この八十七号条約の批准がされるされないということは論外といたしましても、現実に批准されない場合の立場の中でこういう要求が行なわれて発展をしてきた場合には、これとは切り離して考えるあれはないか、この点をお伺いしたいと思います。
  159. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ILO八十七号条約並びに関連法案はただいま国会で御審議中でございますので、その結論を待って私どもとしては事態を考えていきたい。現在せっかく御審議中の法案なり条約案が批准されない、あるいは成立しないであろうという前提でただいまのところは問題は考えておりません。
  160. 卜部政巳

    卜部委員 私はそういうことを言っておるわけではございませんで、問題は、ILOが批准されようがされまいが、いわゆる国家公務員共済組合法におけるところの資格の問題は、何としてもこれは厳たる事実だ、こういうことを言っておるわけです。そういう面においてこの八十七号条約の批准——いま出されておる倉石修正案で三年間をもって在籍と認めるというような問題がありますが、それがかりにそういう問題として残されたというよりも、むしろそういうようなこと自体が大きなウエートを持つものではなくて、公務員共済自体としては、本来資格があるならば当然その中でその措置を加えていくのが正しいのではないかという主張を私はし続けておるわけであります。その点はいかがでしょう。
  161. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 確かに制度としては本質的に先生のおっしゃるとおりであります。ただたまたまこういう時期にも際会いたしましたので、その新たな事態に即して事態を考えるほうがより的確に把握できるであろうという観点で、私どもとしては、ILO条約の関連法案の成立後において問題を検討いたしたいと考えております。
  162. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。  次に進めてまいりますが、いままで支給されておりますいわゆる年額でありますが、率直に申し上げて、まだ六万円とか、七万円というような年金額ですね、そういう方が多々あるわけであります。率直に言って、大体平均といたしまして十六万から十八万だというのが現状じゃないかと思うのです。そういう中で現在の物価高、こういうことから考えてみますならば、こういうようなものが生活保護基準にも満たないという年金額でありますが、この面と問題をやはり物価にスライドをして改正をするということも当然考慮されてしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点もそういうふうに理解をしてよろしいかどうか、またそうすべきではないかというふうに考えるわけですが、いかがなものでしょうか。
  163. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 社会保険の一般的な原則から見ましても国民年金法なり、あるいは現在提案されております厚生年金法の改正規定を見ましても、社会保険による年金給付との水準が物価等の情勢を考慮した場合にそのまま放置されている事態は適当でないということは先生も御指摘のとおりでございます。ただ、直ちにそれをもって共済組合の既裁定年金を物価にスライドさせて変更するかどうかというところまでいきますと、それらの問題についてはまだ検討を要する点が多々あるわけであります。ただ既裁定年金のべースアップ問題というような点について、私どもなり、あるいは恩給局なり、あるいは人事院なりが相集まりまして現在公務員年金制度連絡協議会というものをつくりまして、鋭意検討いたしておるわけでございます。
  164. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますれば、物価のスライドということは別問題といたしましても、この改定については検討中である、こういうふうに理解をしてよろしい、こういうことでございますね。——はい、わかりました。  それでは次へ進めます。次は、先ほど来から申し上げております国庫負担率の問題でありますが、この給与べースの改定だとか、さらには年金額の改定の問題に伴って当然負担金が上がっていくということが現実に行なわれておる、こういうことでございますが、こういう給与ベース改定の部分だとか、年金額改定の追加費用というものにつきましては、これは先ほどの問題と関連をいたしますが、こういう問題についてはやはり国家が負担すべきではないか。ただ、これを組合責任を割り当てていくということではなくて、やはり国庫負担にすべきではないか、私はこういうふうに考えるわけですが、この点についても先ほどの御答弁と同様に私は誠意のある回答をいただきたいと思います。
  165. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 物価あるいは所得水準の上昇に伴って既裁定の年金が引き上げられてくる、こういうものについて負担増が生じたものについてはすべて国で持つべきである。現実に掛金の上昇等にも反映しているということでございますが、現実の掛金の計算については現在まだその問題を織り込んでおりません。今回の四現業の改定の問題にいたしましても、この十月に予定されております改定問題にいたしましても、そういう要素までは現在のところ織り込んでおらないわけでございます。ただ先ほど来お話し申し上げておるように、公務員年金制度連絡協議会等でそういう既裁定年金のベースアップを考えておるということになりますれば、当然その財源負担の問題もあわせて検討する必要があるわけでございます。ただその財源負担が当然すべて国が持つべきものであるのか、あるいは現在の厚生年金法の一部改正の思想の中にあらわれておりますが、そういった既裁定年金のベースアップ部分に将来の財源まで織り込んでいくべきであるか、この辺のところはいろいろな問題を総合勘案いたしませんと、まだ結論を出す段階に至っておりませんので、そこらのところも今後の研究課題といたしたいということでございます。
  166. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。今後の研究課題として、これを十分取り上げてもらう、この点で理解をいたしまして、次に、先ほど申し上げておきました支給年金額の問題でございますが、これも私はこの考慮される中において、やはり最低保障額というものをきめておく必要があるんじゃないか、そういたしませんと、先ほど申し上げておりますように、六万、七万、こういうことでは問題になりますので、やはり最低保障額というものも引き上げていく。変わらないようなものでなくて、当面いろいろの組合のほうから出されておりますように、その金額が妥当かどうか知りませんが、二十万七千円くらいまでは引き上げていくのが妥当であるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、こういう点もその金額そのものずばりが引き上げられるということにならないにいたしましても、やはりその引き上げを考慮する、こういうことが考えられると思いますが、いかがでございましょうか。
  167. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実は厚生年金法の改正が行なわれることになっておりまして、それと関連いたしまして、国家公務員共済組合の給付についても幾つかの改正が行なわれておるということは先般お答えいたしたところでございますが、その一部といたしまして、これらの共済年金の最低保障についても引き上げが考えられておりまして、現在退職年金の最低保障は三万五千五百二十円であるのを八万四千円に、それから廃疾年金についてもそれぞれこれに見合った改定が行なわれるようになっておるわけでございます。ただ、金額そのものはより高いものが望ましいという考え方ももちろんございますが、一方では厚生年金法の最低保障の考え方、その他ともにらみ合わせる必要もございますし、また一方ではこれらの年金を上げれば、それだけ財源措置というものもさらに必要になるわけでございますので、そういったところも考えながら将来にわたって長い問題として検討してまいる必要があろうかと存じております。
  168. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。では次へまいりますが、これも午前中にちょっと三年間の平均俸給ということで若干問題として触れたわけでございますが、年金額も最低基準の俸給をやはり退職時の俸給にする、こういう問題についてもひとつ十分な検討を加えていただきたい、こういうふうに要望するわけでございますが、この点についても要望にこたえられるかどうか、ひとつ御回答を願いたいと思います。
  169. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 公務員立場だけからいえば、できるだけ年金水準の高いことが望ましいことは言うまでもありません。ただ、社会保障全般立場からいろいろ検討されておる社会保障制度審議会等の御意向から、一般的に申しますと、公務員の年金水準にむしろ一般の厚生年金の水準のほうが追いつくのが先決問題であるという意向が非常に強いわけであります。したがいまして、そういったところの審議会の御意見等も拝聴しながら、今後できるだけ給付内容の改善は一般的に考えていきたいということでございます。
  170. 卜部政巳

    卜部委員 これも五月十二日でありましたか、委員会の中で、社会保障全般をとらえる問題としてちょっと触れた問題でございますけれども、通算年金の問題でありますが、凍結の問題云々ということに触れたわけでございます。この点について、近く二年間の暫定的な引き延ばし、さらに四十一年度におけるところの女子の選択の問題については、その時点で考えたいということの御答弁があったわけですが、この点をやはり控除選択期間というものをそういうふうに逐一延ばしていくということではなくて、むしろ無制限に——無制限というとおかしいのですが、無期限にこれをしたほうがいいのじゃないか。そういうふうに切れ切れに二年間たったらまたそのときに考えるなどというようなこういうあいまいなことではなくて、私はむしろこの点を無期限にしたらどうか、こういうふうに考えるわけですが、その点はいかがなものでしょうか。
  171. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 これは私どもが御答弁申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、現在の社会保障考え方からすれば、国民皆保険というのが一つの理想として掲げられておるわけです。したがいまして、本人の意思に基づいて年金は要らないのだという考え方をとれば、すべて一時金で勝負をするというような考え方が国の政策として妥当かどうか、この辺のところはいろいろ議論があるところでございまして、さらに今後検討しなければならないだろうと思いますが、無期限にそれらの選択を認めていくという方向は、現在の社会保険のいき方としては、やや逆行する問題ではなかろうかと私どもは考えております。ただそれではどの程度の水準まできた場合に選択制度をやめたらいいのかという問題もいろいろございましょうから、そういった点については、四十一年の改正の際にもう一度検討いたしてみたいと思っておるわけでございます。
  172. 卜部政巳

    卜部委員 では角度を変えまして質問をいたしたいと思いますが、これは第二十八回国会でありましたか、この間もちょっと附帯決議の中で申し上げましたが、衆議院、参議院の両院におけるところの内閣、大蔵の附帯決議について、具体的にどのように取り組まれて検討されたかを質問をいたしてみたいと思います。
  173. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 資料がございましたので、お答え申し上げます。  二十八国会の衆議院大蔵委員会における附帯決議でございますが、第一点は「非現業国家公務員についても本法の適用をすべきことが当然である。」これはその後の法律改正で入れられております。  それから第二項でございますが、「臨時に使用されるもので本法の適用をうけるものの範囲を定める政令の制定に当っては、一年以上雇用される常勤的非常勤職員を適用の対象にし得るよう、その実態を吟味の上深甚の考慮を払うべきである。」となっておりますが、これも同年の六月か七月の政令の改正で入れられております。  それから第三点でございますが、「今回の国家公務員共済組合法案の提案及びさきに行われた健康保険法の改正に伴い、公共企業体職員共済組合法について、医療機関等の規定について所要の改正を行い、あわせて次に掲げる事項等の長期給付に関する附則の規定を整備する必要があると考える。」というのがございまして、第一点として「傷病年金、傷病賜金についても、増加恩給と同様支給を停止しないことにする。」これについても現在の公企体共済法附則の第四条の第四項で措置済みでございます。  第二点は、「更新組合員組合員期間に職員期間に準ずる国家公務員であった期間で、運営規則の定めるものを加える。」とありますが、これも公企体共済法附則第五条第三項第三号で措置済みでございます。  第三点といたしまして「組合員期間二十年未満の者に支給する年金の資格年限のうちに旧組合職員の在職期間で、運営規則の定めるものを加える。」とございますが、これも公企体共済法附則第十一条の第一項第四号で措置済みでございます。  以上が第二十八回国会における大蔵委員会の御指摘の点でございます。三十一回参議院内閣委員会の附帯決議でございますが、「当委員会は、政府が今後、共済組合運営に当り、左記の諸点につき特に配慮せられんことを要望する。」というのがございまして、第一点は「本共済組合の管理機構の運営並に積立金の運用を適正にし、福祉事業への積立金の還元利用について配慮すること。」というのがございまして、この点につきましては先般来御議論を申し上げてきたとおりでございます。また福祉事業への積み立て金の還元による利用については、旧来努力をしてまいりましたが、本年度同期におきましては、大体積み立て金増加額の半額程度を福祉事業に回し得るようにいたしているわけでございます。  第二号でございますが、「公務災害給付の制度的取扱及びその全額国庫負担についてなお検討すること。」これは現在政府ですでに全額国庫負担制度に切りかえられております。  第三号は「地方公務員の退職年金制度については、地方自治体における制度の沿革及びその特殊性を考慮し別途の措置によりその自主性を可及的尊重すること。」ということになっておりますが、これについては御承知のように一昨年地方公務員共済組合法が制定されております。  第四番目といたしまして、「将来長期給付の改訂等の場合においては、退職公務員恩給受給者についても之が実質的均衡を失しないよう配慮すること。」ということになっておりますが、この点につきましては、先ほど御質疑のありました問題点でございまして、既裁定のものにどういうふうに及ぼしていくかということで理解して検討いたしております。  第五号は、「長期給付決定を恩給局の審理を経て行うことは、事務の二重化となる虞れがあるので、速かに、この決定事務を連合会へ一元化するよう検討すること。」これはすでに現在そういうふうになっております。  第六号でございますが、「懲戒処分を受けた者に対する長期給付の制限は、その保険制度としての性格に反しないよう、措置するとともに、これに関する政令を定めるに当っては国家公務員共済組合審議会の議を経るものとすること。」そういうことになっておりまして、この制定にあたりましては、当然政令の制定にあたり、国家公務員共済組合審議会の議を経るわけであります。  第七号でございますが、「長期給付の計算基礎を退職前三年平均俸給とすることは、公務員の勤労意慾にも反するので、将来、保険制度としての性格、保険財政の枠等も考慮して、なお、検討を加えるものとすること。」ということでございまして、私ども先ほど申し上げましたように、保険制度としての性格、保険財政のワク等も考慮しながら、今後も検討してまいりたいということでございます。  第八点といたしましては、「ベースアップにより赤字の生じた場合、公務員の負担が過重とならぬよう配慮する。」ということでございますが、この問題につきましても、現在の既裁定年金のベースアップ問題の一環として検討いたしておるわけでございます。  第九号は、「国家公務員共済組合審議会国家公務員共済組合運営審議会国家公務員共済組合連合会評議員会の運営については、共済組合制度が相互扶助の組織であることをも考慮して、必要な配意を加えること。」ということでございますが、私どもその運営にあたっては、できるだけ職員意思を尊重するようにいたしております。  第十号といたしまして、「資金運用部資金運用審議会運営を適正にし、積立金の運用については加入者の福祉に寄与するよう十分配意すること。」というようになっておりますが、この点私ども直接の所管でございませんので、何とも申し上げかねますが、現状は、旧来申し上げておりますように、積み立て金の三分の一を資金運用部に預託するという形になっておりまして、残余については公務員の福祉運営に寄与するよう配慮して運営いたしておるところであります。  以上が三十一回国会における、参議院内閣委員会の附帯決議の趣旨並びに私どものその後のやっておりますところでございます。
  174. 卜部政巳

    卜部委員 具体的に回答いただきまして、たいへんごくろうさんだと思います。そこで私特にここで要望しておきたいのは、この附帯決議に関する問題です。三十一国会の附帯決議、その中の七、八、九、十、こういう問題についても、各委員会でかなり誠意のある回答がなされたわけでありますが、決して私は満足すべき内容がそこに出たとは思っておりません。しかしながら率直に言って、この附帯決議はなおかつ現在の中でも生きておるし、さらになお実行されない点については、この附帯決議に基づいて実行すべく努力をするということは当然だと思いますが、その点は論をまたないところだと思います。この点私は確認をする必要はないと思いますが、以上私が述べましたいろいろな内容について、ことに国家公務員の共済審議会、さらに組織の問題については、先ほど午前中確認をしていただきましたように、この附帯決議とからめてさらに前進した方向で打ち出していただく。さらに八番目にありますベースアップにより赤字を生じたときなどというものは、いま私が質問した中におきまして、かなり検討を加えてきたものがありましたけれども、さらにこの問題をこの附帯決議の中にありましたように十分配慮される、こういうことを私はまずこの中で再確認をしていきたいというふうに考えるわけであります。この点はよろしゅうございますね。  次に具体的に入ってまいりますと、短期給付に関する問題がいろいろございます。これにつきましてはただスライド制にするのではなくて、配偶者出産手当、出産費を一律にせよだとか、さらに埋葬料だとか、育児手当の問題を一ヵ月当たりの引き上げの問題、以下十二項目にわたるいろいろな問題が組合員の中から提起をされてまいっています。こういう問題につきましては、すでに項目別に申し上げるまでもなく、給与課長の手元に届いておることだろうと思いますので、私は具体的にこの問題を提起はいたしませんけれども、ことに加えられた時間制限という問題があって、一つ一つを、さらには長期給付の問題につきましても具体的に触れられなかったことを私は残念に思いますが、こういう問題についてもひとつ十分配慮をしていただきたい。このことを私は要望いたしたいと思いますが、この短期給付の問題について全般的の十二項目についてのまず御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。まず十二項目の問題をひとつ並べていただきたいと思います。
  175. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実は具体的十二項目という形で私ども受け取っておりませんが、短期給付について、たとえば埋葬料を本人、家族も二ヵ月として最低保障額を三万円にするとか、その他いろいろな形の御要求が出ておることは存じております。ただこれらの問題につきましては他の健康保険等とのバランス、その他国民健康保険等とのバランスのいろいろな問題がございますので、これらの問題をも総合勘案しながら制度としてはできるだけ前進してまいるように今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
  176. 卜部政巳

    卜部委員 長期給付に関する施行法の一部改正の中でいろいろと問題等もありまして、例の上海工部局だとか、さらには協和会というような問題等もありましたし、加えて農林、林産公社などという問題も提起をされたところでありますが、その問題についてはまたあとに理事のほうからさらに質問がなされ、この点は確認をされると思いますが、とにかく一括審議という中の集約といたしまして私が申し上げたいのは、少なくとも今度の改正については私は率直に申し上げて、またことばを飾ってまことに恐縮でありますが、前進方向だということを私は申し上げたいと思うのでありますが、この一つ前進方向を、私が申し上げました各種のいろいろな要求なり、さらにまた論及されたところの各種の問題につきましては、ひとつこの附帯決議の問題もからみ合わせて十分配慮の上、次の国会の中ではにじみ出る何ものかが出てまいることを期待するということばを先ほども申し上げましたが、私はこれを期待いたしまして、一ヵ月間に近い長期のシリーズにわたるところの質問でありましたが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  177. 山中貞則

    山中委員長 武藤山治君。
  178. 武藤山治

    ○武藤委員 今国会共済組合関係する法案が二つ出ておりますので、非常に微に入り細にわたって、従来かつて見られなかったほど共済組合法に関係する慎重審議が行なわれましたことは、非常に喜ばしいことだと思います。そこで私は、いよいよ終盤を迎え、本日両法案を上げるという理事会の取りきめに基づきまして、できるだけ時間を有効に質疑をいたしたいと考えまするから、答弁側でもひとつ端的に明快に御答弁をいただきたいと存じます。  まず最初に、恩給局の担当官にお尋ねをいたしますが、過般当委員会において審議をされました長期給付に関する施行法の内容でありますが、そのときの質疑の際に、恩給局は、今回適用する上海共同租界工部局、満州国協和会、満州開拓青年義勇隊の訓練機関職員、この三機関以外に今後追加される機関はもうないだろう、そういう答弁をいたしておりますが、今後通算に加算をされるような職員というものはもう外地にない、そう断定される根拠、そういう点をまず最初に伺っておきたい。
  179. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 かわりましてお答えいたします。  いままで私たちが外地の、外国の政府機関あるいは外国にある特殊の機関職員期間を通算するという措置をとってまいりました大まかなねらいと申しまするのは、いわゆる日本の国の意思によりまして通例の形態によって人事異動が行なわれまして、その行った先で勤務に従平する業務がもし内地の同様の状態にあれば、恩給の通算の対象になる、あるいは現実に恩給公務員として恩給法の適用があるといった種類の者に限りまして最小限度の通算の措置をする、こういう考えでやっておるところでございまして、順次広げてまいりまして、今般御審議を願っております恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案で取り上げたことで、大体その目的は達せられておりまして、現在まで検討いたしたところではこれ以上広げるものはない、かように考えておるところでございます。
  180. 武藤山治

    ○武藤委員 現在の段階ではこれ以上広げるような職員はもうない、こうおっしゃるのですが、私はまだあるのではないだろうかという観点から、ひとつ調査の状況や判断の基準をお尋ねしたいと思っておるわけです。というのは、五月十二日の本委員会における答弁の際に、恩給局長だと思いますが、なぜこういう通算を恩給法で改正をするかという理由として、幾つかの経過をたどって説明をいたしておるわけであります。第一に、通算を行ないました趣旨は、恩給公務員としての経歴を有する者が、これが外国政府に勤務をした、こういう明らかな場合には、まず第一に通算に入れた。第二の場合は、「内地における三公社に該当するいわゆる公共企業体でありますところの外国の特殊機関、」これを第二に通算の対象に入れた。第三には、「今回のはさらにそれに引き続きましての通算措置でございます。この通算の要望といいますか、通算を希望する向きはいろいろと各方面にわたって多いのでございますが、それをどのように措置するか、」検討の結果、今回この三団体を取り上げることになりました。そしてこの三団体は、従来の前二段の概念とは違う概念に当てはまる機関なんですね、今度の措置は。そこでどういう趣旨でこの三団体を適用したかということ、恩給局長によりますと、「従来の外国政府あるいは満鉄等のいわゆる公共企業体等に類するもの」今度は公共企業体ではないですよ、「類するものについて行ないましたあるいはとりました場合の考え方と同様の考え方をもちまして、」今回の通算をいたすわけだ。そこであなたが先ほどおっしゃったことばの中には、政府の施策でこちらから満州へ渡って、公務員であった者が退職をして渡ったとか、あるいは公務員であった者が政府の命令でそのままの身分で満州へ行ったとか、これは一番最初の場合にも通算を適用するときの一つの範疇であって、今回のはそれじゃないんですね。いま恩給局長が答えたものを読み上げましたように、公共企業体に類するもの、公共企業体でもないんです。たとえば満州国協和会というようなものの内容を前々会にここで追及をしていきますと、非常に実態がぼけてきておる。その人の身分というものもそう明確に答弁はされておらない。人員も正確に掌握はされておらない。そういう機関でも類するという範疇に入れて今回措置をしたわけですね。そこでもしそういうものが措置されるとするならば、当然農林省関係の満州林産公社に務めておった職員もこの類するものに入ると私は判断をする。林産公社に就職しておった者も入る。林産公社になぜ身分が移ったかという経過については、これからのあなたの答弁いかんにより私の資料で明らかにしたいと思います。林産公社の職員をなぜ通算期間に入れなかったのか、その理由をひとつ明らかにしてもらいたい。
  181. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 ただいま林産公社のことを具体的に御指摘になりましたけれども、私が先ほどお答え申し上げましたことをふえんいたしまして、また恩給局長が申し上げましたといってただいま先生のほうから御指摘のいわゆる「類する」という点でございますが、私たちの理解しておる類する、準ずるという意味は、同じような仕事を内地に設けられた機関でやっておれば恩給なり共済なりの年金の対象となるという意味で類すると申し上げたわけでございます。その類するという、まず今回の法律案に私たちが想定しておる三つのものを入れますと、満州国協和会とそれから上海共同租界工部局というのは、こればいわゆる外国政府に類するもので、すなわち完全な国家的の機関で行政に携っておるところの者と、それからこの類すると申し上げますのは、完全にそう言い切れないところの分子が若干入っていると思うのでございます。そこで私たちといたしましては、満州国協和会の例でとりますと、ともに満州国と一体となって、そして組織から官制を通じて転任の行なわれておる、ただ単に満州国協和会という名前がついただけであって、いわゆる古いことばで申し上げますならば官等とか俸給とかというふうなものに相互関連をして、満州国の法規によりまして通算規定が行なわれている前提により通算されておる者というところへ目をつけたわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、従来の三公社に相当するいわゆる鉄道とか専売とかあるいは電電とかの事業を国家意思でやっておる機関と違う、そういう節がある点は、この満州国協和会の例をとりますと、満州国協和会の中にいわゆる完全なる行政機関でない、まあことばが適当であるかどうかわかりませんけれども、内地におけるいわゆる大政翼賛会的な性格のところがあるという点から類すると申し上げたわけでございまして、そうしてそういう性格の点を払拭するたてまえで、いままでの完全なる満州国あるいはその三公社に相当する特殊法人と違いまして通算の条件をしぼりまして、すなわち行政官ということばが適当かどうか知りませんが、行政官として終始するような目的のために人事異動の行なわれた人たちだけを取り上げる意味におきまして、日本政府または日本政府から日本政府意思によって外国政府の官吏になって、そしてその意思に基づいて異動した人たちに限るという制限をつけましてしたわけでございます。ただいま先生の御指摘の農林公社の点については従来いろいろ考えたのでございまするけれども、森林公社というのは、内地におきましていわゆる戦時中国家意思によって半官半民と申しますか、あるいは特殊法人をつくって経営していたのがありますけれども、ただいま申しました三公社に相当する部門でない限りはやはり恩給の対象外になっておる。通算の対象にもなっておりませんので、それらのことを考えまして、その違いが今回の法律案にあらわれたということでございます。
  182. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたのいまの答弁では、農林公社と言っていますね。農林公社というのはほんのわずかななんですね。私は農林公社のことを言っているのじゃないのです。林産公社なんです。しからばあなたは林産公社というのは、どういうおい立ちでどういう人たちがどういう経路でもって採用されたかお調べになりましたか、ちょっとわかったら林産公社の誕生から説明してください。
  183. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 おわびいたしますけれども先生のおっしゃるような詳しい研究はしてございません。したがっていま口頭で私の経験だけで申し上げると失礼でございますけれども、私が伺ったところによりますと、やはり当時の森林公団とか、そういうふうなものと同じように、国策を遂行する政府機関ではなくて、そしてそういう特殊の機関をつくったのだ。なるほどある業務につきましては、満州国の政府の一部局の仕事を引き継いだような形にもなっておるものもあるというふうなことも伺っておりますけれども、これだけでは私たちがいままでの範疇の中に入れて通算の対象機関の中に取り入れるだけの自信がなかったわけでございます。
  184. 武藤山治

    ○武藤委員 事実認識が非常に足りないわけですね。事実を把握しておらぬですよ。私は当時の公社が誕生した勅令の全文を実は複写にしていま手元に持っておるわけですが、それでいま該当者を自分の部屋に呼びまして、本人にどういう経路であなたはどういう形でこの公社に移ったのか、それを調べてみますと、日本の農林省営林局に勤務しておった者が、当時満州の営林行政を発展させるために農林省が満州へ行くことを大いに奨励したわけですが、そうして満州の営林局署につとめたわけですよ。かなりの人たちがそこで営林局署で退職をした。そのままやめた人はちゃんと通算期間に入っているわけです。ところが営林署から公社へ再就職した人は通算期間に入らぬわけです。私はどうもそこらが不公平だと思うのです。アンバランスだと思うのです。そこで満州営林局署につとめていてこの営林公社に再就職をした人は、当然通算期間に入れべきだというのが私の判断なんです。現在どのくらいそういう人たちがおるかというと、農林省関係の林野庁に三十五人、営林公社の退職者で、日本に帰ってまた農林省へ復帰した人がおる。それから先ほどあなたのおっしゃった農林公社、これは民間ですね。この農林公社から日本の内地へ戻って現在公務員をしている人が、私が明らかにわかっている人で四名、それ以外の省にどのくらいおるかわかりませんけれども、農林省関係ではそういう姿になっていると聞いている。そのある一人の人に本日私が会って聞いてみると、日本の農林省にいた人が営林署から政府の施策で満州へ移ったわけですね。康徳十一年、康徳十一年というと昭和十九年ですね、勅令第二百二十二号というもので満州国政府のつくった政府機関ですね。全額政府出資なんです。そうして満州国の恩給法の適用を受ける職員でありました。したがって、はっきり外国政府です。そうして見ると、満州国恩給法の対象になる職員で、しかも農林省から営林署に移った人たちが就職をしておるのであるから、私はこの協和会やあるいは義勇隊の訓練機関職員と同等に扱ってしかるべきじゃなかろうか、この人たちだけを差別する理由はないんじゃないだろうか、こういう気がするのです。ただ、どういう点が今回改正される三団体の職員と違うかというと、この三団体は軍国主義的な日本の膨張政策の犠牲になった。すなわち満州侵略なりあるいは東亜への進出のために必要な機関としてつとめた人たちであるから、そういう意味でこの人たちを重く取り上げて、一般行政官、営林行政なりそういうものを担当する者はあまりよう取り上げてくれぬというやり方は私は公平ではないと思う。もしこの公社が満州国の恩給法の適用になっておらない。外国政府職員の身分ではない、そういう論拠があるんだったら資料を出して反駁をしてください。それでなかったら私はこの人たちを除くのは筋が通らぬような気がするのです。
  185. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 先生のおことばではございますけれども、その当時の目的がどういう目的で異動したかというふうなことを取り上げて私たち機関を区別したというつもりは毛頭ございません。ただいま申し上げましたように、国の仕事で行ったという中には、国内にありましても、それから外国にありましても、先生の御指摘の機関以外にいろいろな機関に行かれた方があると思います。しかし、その行った先の機関が内地におきましても同じような国の意思によりましてそういう業務に携わったにもかかわらず、恩給とか年金の対象にならないような機関であったと考えられる場合におきましては、これが満州国にあったから、あるいはシナにあったからというだけで、それにまで広めようという考えはいままでないから、その点が違うと申し上げておるわけであります。
  186. 山中貞則

    山中委員長 武藤君、勅令をちょっと読んでもらえないか。
  187. 武藤山治

    ○武藤委員 朕組織法第三十八条ニ依リ参議府ノ諮詢ヲ経テ満州林産公社法ヲ裁可シ慈二之ヲ公布セシム    御名御璽     康徳十一年八月十四日 内閣総理大臣以下各経済大臣の名前がずっと出ています。   勅令第二百二十二号    満州林産公社法   第一章 総則  第一条 政府ハ林産業ノ健全ナル発達ヲ助長シ林産物ノ生産ヲ促進スルト共ニ林産物ノ需給ヲ一元的ニ調整シ価格ノ適正ヲ図ル為其ノ国策遂行ニ協力セシムル目的ヲ以テ満州林産公社ヲ設立セシム  これが第一条で、第五条が「公社ノ資本金ハ七千万円トシ政府其ノ全額ヲ出資ス」、完全な政府機関なんですね。こういうことからいっても外国政府に勤務しておった公務員という範疇に入る。しかもここに移った人たちの中に、当時農林省から満州営林署に政府の方針で行った人が一ぱいおるわけですね。その人たちが、営林署が廃止になるわけですから、この公社ができることによって、かわりに皆さんが移ったわけです。当然これは当時の満州国恩給法の適用を受けているわけです。こういう国策上就職をした人が日本に帰ってきて、農林省にまた戻ってきている。この三十五人の戻ってきた人たちが通算されないというのは、どうも理屈に合わぬような気がする。いままでの通算に今回で三回改正をするわけでありますが、その三回の中に入っていないというのは不公平な気がする。これは当然入れるべきじゃないでしょうか。どうしてもこれは入れていかぬというのだったら、その論拠を明らかにしてもらいたい。先ほどのあれじゃどうも説得力がないですね。
  188. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 先生の御議論に私たちも確かに同感するところもございます。しかしながら、やはり制度といたしましては実際問題が気の毒であるとかいうふうなことだけではまいりませんので、これは内地におきましても、やはり人事の都合で恩給年限に達しなくて、卑近な例で言いますと、日本銀行の職員になるとか、あるいはその当時の森林公団であるとか、肥料配給公団の職員になるという方もあったと思われます。しかしながらそういうふうなときに、これは政府意思で、全く同じような仕事で、その国策を遂行するために行ったという事情はまさしく同様でありますけれども、形式的に恩給の対象からはずされているというしころから見まして、そういうふうな場合に実費上、つまりいままでのような形式的なのを離れていろいろ議論するという点になりますとまたあれかもしれませんけれども、われわれの考えている恩給の形式の範囲内におきましては、先生のおっしゃられる国策に沿って全く国の職員と同じような気持ちで勤務されたという点だけで、これをさらにここまで拡張すべきかどうかということについては、これは今後の課題として研究されなければならぬ点はあるかと思いますけれども、目下のところそこまで踏み切っておらないところであります。
  189. 武藤山治

    ○武藤委員 恩給体系立場上、そういうものを直ちに通算に加えることはどうも承知できないという意向のようでありますが、しからば協和会なるものは、一体その職員の誕生から経過から、なぜ恩給法の適用を受けなければならぬか、通算に入れられなければならぬという積極的な理由をずっと経過から詳しく説明をしてもらいたい。何名が適用されて、どういう職種でどういうことをやっておって、これは恩給法で当然なんだという当然の理由を明らかにしてもらいたい。それを聞きたい。私はそれと比較をして論議をしますから……。それもわからないで、ただ恩給法全体の体系をいじっている感じから——先日恩給局長答弁したように、多方面からいろいろと御意見があったためにということをはっきり言っておるわけですね。注文されてきたからこの三団体をこれに拾い上げたと言わぬばかりじゃありませんか。そういう積極的な理由がなくて、黙っている良心的なものはかまわぬかという議論も出てくるわけです。協和会の誕生から経過について納得できるように説明してもらいたい。私が申し上げたとおり、当時の資料を出して説明してください。
  190. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 ただいま先生の御言及のような詳しい協和会についての資料を打っていないことをおわび申し上げますが、私たちが調査しました結果、これをあれに通算する措置を講ずるまでに至ったのは、満州国の行政の一部を国の機関から離してするために特別の勅令をもってつくったのが協和会でございます。しかしながら、当時その協和会の中に先ほど申し上げましたことばはあるいは適当でないかもわかりませんけれども、内地における大政翼賛会と同じような仕事をも兼ねさしておったという点が通算がおくれた点でございまして、満州国の支分部局といっては適当でないかもしれませんけれども、いわゆる満州国政府の一部であるという部分に行った人たちを拾い上げる趣旨で、いままでの三公社あるいは満州国自体の場合よりも条件をしぼって通算するということにしたわけでございます。したがいまして、対象人員を、こまかく数字でというのでございますけれども、これはただいま先生のおっしゃったようにこれを通算してほしいという要望がございまして、そうして、そういうふうな人たちが、こういう条件でこういった人たちがこれだけあるということを申し出られまして、その中から私たちがいままでの例並びにいまの考え方を遂行する上でこの人たちを除かなければ適当でないと考えました人数を除きました結果が大体九十人にちょっとという形になっておるわけであります。先生の御指摘の満州の林産公社につきましては、先生は数字をお持ちのようでありますが、実は私のほうはその数字を持っておりません。というのは不勉強といえば不勉強ですけれども、私たちがあるいは先生からおしかりを受けるかもしれませんが、いままでの考えでその期間がいままでの範疇で考えられるものであるということを考えられますれば積極的に調査したわけでございますけれども、ただいま私の申し上げました考えの中ではその中に入ってこないと思いましたので積極的にその調査をしなかったためでございますが、かりにその数字がありましたといたしましても、いままで考えました条件でこの措置を講じた場合に該当者がはたしてどれだけあるかということについてはなお見当がつかない、こういう実情でございます。
  191. 武藤山治

    ○武藤委員 大体あなたがおっしゃった協和会は日本の内地で言えば翼賛会のような性格のものだ。また満州政府の一部である人を拾い上げた。そうすると林産公社は満州国政府の一部ではないと判断しますか。先ほど私が勅令を読んで全額政府出資だ、農林大臣が監督をするという、全面的に農林大臣の監督権下にあって、しかもそこの職員は従来農林省の営林局の人たちが移っておるわけです。これは政府の一部じゃありませんか、これはあなたの判断はどうですか。
  192. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 私の申し上げました政府の一部とかなんとかいうのは、いずれにおきましても外国でございますので、日本のそれ自体の形式からいけばその職員日本の、当時でありましたら勅任官とか判任官という官吏でないということだけは事実であります。でありますから日本のその当時あった機関に比較してみれば、やはり政府の一部と見るかあるいは国策を遂行する政府以外の機関と見るか、こういうふうに判断しなければならないのでございまして、後者の判断からした結果、いままでの研究した結果におきましては内地の森林公団とか、なるほど政府的な業務を行なっており、それから政府意思で身分が移り変わったかもしれませんが、形式的に恩給法の対象となる官吏としてまでは踏み切れないというところが現状でございます。
  193. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたここで詭弁を弄する必要はないのです。別にあなたの責任問題とかなんとかを追及するわけじゃないのです。私がなぜこういうことを取り上げて質問しておるかというと、前会の議事録をずっと読んでみると、給与課長も当事外国政府で恩給の対象になるような人たちはとかそういうものをいっぱい答弁の中で引用しておるわけです。そうすると私は外国政府の、当然恩給の対象になっておった農林公社、しかも政府の全額出資、そういうものを対象に入れないでこの三団体が入るというのはどうも筋違いだ。しかしあなたのほうはこの農林公社、林産公社が一体該当すべき機関かどうかということについては従来検討はしていないわけでしょう。私からいま質問されるまでその林産公社について検討し、これを拾い上げるかどうか、こういうことについてはあなたのほうは、事務当局として検討したことはないのでしょう、そこはどうでしょう。
  194. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 先ほど申し上げましたように、従来こういうことを調査するときは責任官庁の、たとえばいまの場合でありましたら農林省とか林野庁の関係の方たちの御助力を得まして調査いたしておりますが、そういうことはいたしておりません。先ほど申し上げましたように、私が一部の人から口頭で聞かれて、そのときの感じで、これはいままでの恩給局、政府の考えの恩給通算期間に入れられるべき期間とはむずかしいと感じましたので、積極的にこちらからこういう調査をしなかったというのが実情でございます。
  195. 武藤山治

    ○武藤委員 農林省の担当官は林野庁関係でそういう職員がおる、これを何とか通算に入れてほしい、年金ばかりでなくて退職金自体も通算をしてもらえるかもらえないかによって多くの得失が組合員にはあるわけですから、ぜひこれを入れてほしい、そういう要望が何人ぐらいあって、そういう実態をあなたは聞いたことがありますか、もし聞いたとすれば聞いたものを聞きっぱなしでなくそれをしかるべき機関相談をしたことがありますか、それ々明らかにしてください。
  196. 森博

    ○森説明員 いろいろお尋ねでございますけれども、目下のところ私、そういうような話を聞いた記憶はございませんので、ちょっと現在はお答えいやしかねるということでございます。
  197. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたは農林省の何官かまだ知りませんが、組合の福祉問題、保障問題、待遇問題についての団交たんかにあなたは全然臨まないわけですか、あなたではない人がそういう問題を処理する担当ですか、それはどうですか。
  198. 森博

    ○森説明員 私はもちろん職員部長といたしまして労働関係が所管でございます。その所管でございますけれども、私の記憶といたしましてはいままでそういうようなことを議題にいたしたことは記憶いたしてないわけでございます。
  199. 武藤山治

    ○武藤委員 私はこれは林野庁にも責任があると思うのですが、組合員の団体からいろいろ聞いてみますと、林野庁の管理者側のほうへこういう実態のものがある、したがって通算してもらえるように努力してほしい、そういう申し出を農林省のほうへしてあると言うのですよ。そのときに農林省の係官は、皆さんの要望をよく大蔵省へ伝えます、大蔵省とも折衝中ですという回答を、話によるとしているのですよ。では大蔵省へさっぱり行っていないのですか、給与課長のところはどうですか。
  200. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 いつの機会でございましたか、この委員会で御質問がございました際にお答えいたしたと思いますが、共済組合年金の問題についてはお見えになったことはございません。ただ退職手当については二ヵ月ほど前にお見えになったような記憶はございます。そのときに初めてその問題は伺っております。ただお見えになったのは、むしろ引き揚げになられた方方の中の代表の方であったように記憶をいたしております。あるいはそのときに林野庁の方も御同席になったかもしれませんが、その辺のところ明確にいたしておりません。多分そのあとからでございましたかお見えになったような感じもございます。ちょっと記憶をつまびらかにいたしておりませんので、明確にお答えいたしかねます。
  201. 武藤山治

    ○武藤委員 平井さん、あなたはこういう答弁をしているのですよ。十二日には林産公社の問題については「大体通算されている人が多い、二十年以上になっておりまして、いまさらそういう職員期間を資格期間に入れてみても、たいした意味はないのじゃないかということを言っておる向きもございました。」、私はこの意味がよくわからないのです。二十年以上たっているから、当時満州にいた人で農林省にいる人はみな恩給がついている、だからこれを通算されたからといってたいした意味はないというあなたのこの感覚に問題があると思う。これは二十年以上一年増すごとに百分の一・五ですか、その分だけ年金がふえていくわけでしょう。頭打ちは百分の七十となっているわけでしょう。とにかくふえていく。二十年以上期間が過ぎているからたいして意味がない、この答弁自体に問題がある。それからもう一つ、あなたの答弁の中で、退職手当の期間の中にそういう職員期間を入れてもらいたいというお話にお見えになったことはございます。そうすると農林公社におった人、林産公社におった人たちは通算はよろしいけれども、退職年金のほうだけ何とか通算されるようにしてくれという要望があったわけですか。
  202. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 当時の経緯を詳しくお話し申し上げればわかると思いますが、その当時私どものところへ御要望においでになった御要望の趣旨は、退職手当の通算問題でございまして、その機会に私どものほうから逆に御質問を申し上げたわけでございます。つまり、退職手当問題もさることながら、共済年金共済組合の問題については何か御要望があるのではないかという御質問を申し上げたわけでございますが、その当時むしろそちら側のおいでになった方がそういう趣旨の御発言になりましたので、私どもそれをお伝えしたわけでございます。ただし、その場合の前提の取り方が問題になるわけでございまして、現在協和会等の取り入れ方の中で、七条期間として取り入れるのか、九条期間として取り入れるのかという問題がございます。つまり前者でございますと実期間と申しますか勤務期間がそれぞれ加算される制度になっておりますが、後者でございますと、二十年という資格年限を満たすための計算期間に使われるというだけでございまして、その限りにおきましては、二十年以上おたちになっている方にとっては、単に資格期間として取り入れられるだけでは意味がない、こういう事情もあったのだろうと思います。いずれにしましても、当時お見えになった方が、普通ならば並行的な御要求として出てくるものが、一方だけの要求で、しかも私どものほうは共済組合も所管しているものでございますから、念のために伺いましたら、そういう御答弁であった。
  203. 武藤山治

    ○武藤委員 そうしてみますと、恩給局のほうは、具体的に、外地でそういう林産公社なりまだほかの機関で、あなたたちは取り上げないけれども、何とかこういうものは通算にならぬものかという要望のある機関というのは、どういう機関がまだありますか。
  204. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 お答え申し上げます。  いままでそういう御要望が相当強くあったもので私の記憶に強いものをあげますと、北支開発会社、満州拓殖会社、それから北支航空株式会社、いずれも、これはことばは適当でないかもしれませんが、国策的な会社でございます。
  205. 武藤山治

    ○武藤委員 ただいまのような北支開発株式会社とか、航空株式会社、これはもう純粋の利潤を追求する民間の株式会社ですね。株式なんですから。ところが、私が取り上げておる林産公社というのは、そういう株式会社ではないのです。これは営林局署がなくなってそれに切りかわったわけです。政府機関だから勅令で出ているわけですね。全額政府出資です。ですから、これらの航空株式会社へ勤務しておった者やあるいは北支開発株式会社へ勤めておった者とは根本的に身分が違うと私は思うのです。しかしあなたは、それは調査してみなければわからぬ、実態を把握してみなければわからぬと逃げると思うのですよ。そこで、よくお尋ねをして確認しておきたいのは、林産公社の職員であったものが、日本政府から、農林省から満州の営林署に移っていって、営林署から公社に移った、これは日本の国内でははっきり恩給公務員としての身分のある人ですね。この人が満州営林局へ移って営林局から林産公社に移った場合、通算することが当然だとはお考えになりませんか。それは架空のことだといって拒否するのじゃなくて、もしそういう事実があったとしたらそれは通算するのが至当ですかどうですか。
  206. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 はっきり申し上げまして、そういう国の行政機関の一部が解体になって、そっくりそのままのことを形の上で違うものをやったといって、そこへいわゆる本人の意思でなくて、強制のような形で行った者につきまして、年金をつけるようなことを考えるべきではないかという御議論に対しては、私も賛成いたします。ただ先ほど来申し上げておりますように、いろいろな形でいろいろな年金とかいうものをつけなければならないという御要望の点について、御無理ないという点は考えられますけれども、恩給法の規定によって通算するというのは、形式的に、先ほど申し上げたように、同じように、国の意思で、まあこれは強制ということはないでしょうけれども、実質上は強制で、しかもいままで国でやっていたような仕事を特別の法人でやるようになって、そしてそこに行った場合におきましても、恩給法でその期間を恩給の対象としてないものが国内自体にある点からいたしまして、そこまでいま考えを広めるのがいいかどうかという点につきましては議論がある、こういうのでございます。
  207. 武藤山治

    ○武藤委員 しかし、いまあなたの言われた中で二つ私は批判をしなければならない問題がある。一つは、強制的に内地から満州に行った人ならばという、そんなものはないですよ。さっきの議事録を読んでみると、大体任意で、自分で、私は満州義勇隊の教官になって行きたいということで、無理やり県あるいは政府から——これは奨励はしましたけれども。向こうは教員が足りぬ、あるいは工部局の人が足りぬ、だからだれか行く人はおらぬかという募集はしたでしょう。しかし、強制で行っている例はないですよ。あるとしたら、そういう県の指令か何か見せてくださいよ。それはすでに卜部さんが徹底的に質問して問答を得ているのですよ。そういうものを私はずっと読んでみて、ここで全部やり直すのは時間がかかるから、局部だけを取り上げて、ポイントだけをいまばんと聞いているわけです。ですから、そういう点から調べていくと、必ずしも公務員資格があったものだけ入ってない。三団体とも、いまになって、これは国策に合う仕事をやったのだから通算期間に入れてやろうということで、結果からだんだん合理的に資料をつくって適用させてやろうという思いやりなのですよ。それだったら、林産公社だって、当然向こうの恩給法に適用されて、その恩給が満州であったためにパーになってしまった、満州帝国がなくなった、そのために日本の農林省に戻ってきても、過去の分がパーになってしまったのだ、こういうのですから、それは株式会社につとめていた人と本質的に違うのです。まずその株式会社につとめておった人と林産公社につとめておった人の身分は、あなた、全く同じだと思いますか、違うと思いますか、その判断をひとつ聞かせてください。
  208. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 私のことばの中に少し不備があったと思いますが、強制ということばを使いましたのは、先生の御発言で、林産公社の職員になった動機が強制に近いような気の毒な状況にあるということを、強調するつもりで申し上げたのであって、一般に強制で行ったということを申し上げたのじゃございませんので、訂正させていただきます。  それから私の申し上げました点は、現実に林産公社の職員とか、あるいは協和会の職員というものが実質的に恩給法の対象になるのが適当であるとかないとかいう判断のもとにやったのじゃなくして、先ほど来御説明申し上げているように、形式的に、内地でそういう業務に異動になっておって恩給年金の対象になっていた類似の状況が外国で行なわれた場合にあれするという考えでありまして、実質的に林産公社の人たち公務員の資格を持ってないとか、あるいはその仕事が大事でないとかいうことを決して申し上げているのではありませんので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  209. 武藤山治

    ○武藤委員 内地だったら当然恩給法が適用になるであろうという職種、これはこの林産公社の場合はその場合にあてはまると思う。なぜならば、満州国で営林署、営林局につとめていたのですよ。これは完全な政府職員です。ところが、営林署、営林局というものを廃止したわけです。それは満州のいろいろな都合で、あの広大なところへこれから林産業を発展させるというために、もっと統一的な機関がほしいということであるいは公社という形に切りかえたのかもしれない。あるいは投資活動が必要だ、しかも植林をするために必要だ、それで一般会計と区別するために公社になったのかもしれない。その原因はわかりませんよ。私もわからぬけれども、本来は農林省の一部局だったのですから、その人たちが移った期間は、日本の国内だったら、当然国家公務員としての身分が続いたんじゃないでしょうか。そういう性格のものじゃないですか。営林局、署は廃止なんですから、そして公社に全部それを吸収したわけですからね。もし通常の場合を判断した場合にはどうですか。
  210. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 形式でなくて実質のような点では、確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。しかしながらあくまでも、私の申し上げておりますのは、その職員の実際の勤務の内容とか目的とか、そういう実質がどうだということでなくて、形式的に、先ほど申し上げましたとおり、森林公団に行った場合には、森林公団であったがために恩給の通算の期間が切れておったわけでございまして、そういうのと同じように、これがそうやるべきであるというところまで強くは申し上げかねますけれども、いままではそれ以上は踏み出しておらない、こういうことでございます。
  211. 武藤山治

    ○武藤委員 この公社の性格日本の公団と違うんですね。あとで調べてください。満州国の恩給法の適用を受ける職員だったんですね。満州国政府の恩給の適用になっておった。そういうものは当然日本政府の恩給に準じて取り扱うということが恩給局長答弁の中に出てきますよ。しかも林産公社のことについては、局長は全然知らぬと答えているのですよ。あなた、全然局長にそういうことを進言していないんじゃないですか。林産公社にこういうものがあってこうなっているんだということを言ってないんじゃないですか。言ってあるのですか。言ってなくて、ここで林産公社は適用にならないと断定すること自体がおかしいですよ。もし疑問があれば、今後十分検討し、資料を集め、ひとついつごろまでに回答してみましょうとか、これはどうしてもだめなら、これこれこういうわけで、いつごろまでに国会で出しますということを言うのが、役人としてのつとめじゃないですか。局長はこう答えているんですよ。ちょっと読んでみましょうか。卜部議員が「その中に当然林産公社、農林公社、各公社でもって執行をされておる、こういう問題を何とかしてくれという要望が全然なかったということでは、私はちょっと問題があると思うのです。」こういう質問をしたのについて、増子政府委員は「私はいままで伺っておりません。」と言っている。これは、林産公社の問題があるということを全然知らぬということですよ。あなたのいままでの答弁では、恩給体系の形式からいって当然入るものだけはやった、林産公社は当然入るべきものでなかったから除いた、こういう議論ですね。ところが私どもが聞く範囲内では、恩給法の体系からいっても、当然今回の三機関のものが自動的に入るという根拠が明らかでないのですよ。何か恩給局の恣意的な判断で、この三機関はもう入れてもよかろうということの最終判断が出たので入れたんだ、その判断の過程や資料というものは、われわれに納得のいくものは全然明らかになっていない。私は、そういうものならば、林産公社だって、検討してくれるならば、当然入り得べき性質の職員ではないだろうか、こう考えているわけです。委員長、きょうはここで幾ら議論しても、林産公社それ自体を向こうが認識していないのですから、これは弱ったものだということで、おそらくあなたのほうは頭の中の仮定でものを言う以外にない。これではぼくは法をつくる技術的な問題を論議することができないと思うのです。そこで、この法案を今回ここで修正するといっても、これはなかなかむずかしいと思います。いまの答弁のぐあいからいくと……。少なくとも恩給局ではひとつ期限を切って、いつごろまでにこの資料を、実態をきちっと調べてみます、そして林産公社は、なるほど現在農林省へつとめている四十名はでこぼこである、アンバランスである、満鉄やほかのものはこうあったなら、農林省の類似機関であるから、当然これも通算しようという結論が出るか出ないか、ひとつそれを科学的に検討する期間を幾日くらい置いたらあなたできるか、それについての回答をわれわれ議員にいつごろするのか、それをひとつ明らかにここでもって答弁をとっておいて、私は、一応今回の修正はなかなか無理だ、こう判断いたしますから、ひとつはっきりした回答を願いたいと思います。
  212. 中嶋忠次

    ○中嶋説明員 課長の分際で申し上げるのも申しわけございませんですけれども、とくと局長と相談し、それから上司にもばかりまして、できるだけ早い機会にこの研究を遂げまして、御要望がありましたら、できれば御報告申し上げる段階にまで至るよう努力をいたしたいと思います。期限の点につきましては、私個人ではいつということを申し上げることは困難でございますので、御了承願いたいと思います。
  213. 武藤山治

    ○武藤委員 最後に要望しておきますが、大体大蔵省の予算折衝や皆さんのほうの予算項目というものを提示する期間、すなわち十月の初めまでには、少なくともきちっとした結論が出せると思うのです。そういうものをすみやかに出して、出したらひとつ大蔵委員会のほうへいろいろ資料をそろえて御回答願いたい、こう私は要望します。政務次官、それについていかがお考えになりますか。
  214. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 だんだんのお話、私も初めて承ったわけでございますが、十分検討しなければならぬ問題だ、さように考えた次第でございます。
  215. 山中貞則

    山中委員長 私のほうからも申し上げておきますが、武藤委員との質疑応答を聞いて、端的に結論が出せるならば修正もやむを得ないと思っておりましたけれども、いまのような実情でありますから、来年度予算編成までに結論を出してもらうように、調査その他の準備を私のほうからも申し渡しておきます。平井君もそのつもりで……。
  216. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 承知しました。
  217. 武藤山治

    ○武藤委員 性質の違う質問を一点だけ、平井さんにお尋ねしておきたいと思います。  今回の公務員共済組合法のほうの改正でありますが、十月一日から国の負担率が高まり、組合員の負担が下がる、こういう改正点について、これを十月一日から実施するということに対して、五現業のほうの方が、自分たちのほうは先に実施をしたために改定期も一月一日だ、国家公務員は十月一日だ。したがって、私どもはもう一月一日に改定されたのでありますから、五現業だけは十月一日ということを四月にさかのぼることはできぬのか。大体発足の時期も違うのであるし、改定の時期も違うのであるから、そういうことは不可能かどうか。不可能としたらその理由をひとつ明らかにしてもらいたい。
  218. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど卜部議員の御質問に対してお答え申し上げたわけでございますが、今回の国庫負担率の改定は、社会保険全体を通じて検討の結果、一般的な国庫負担率として百分の十五を適用するということになったわけです。その段階におきましては、他の共済組合制度とのバランスその他もございまして、他の共済組合制度において、国家公務員の給付水準と大体同じになる時期、つまり今年の十月一日が一番早いわけでございますので、その時期をとらえて、国家公務員についても改正をするということになるわけでございます。なるほど財源率が一月一日から上がりました四現業の方々は、ある意味では一時的に——まあ一時的といいますか、九ヵ月間は掛け金率が一時上がりまして、それからまた下がるということになるわけですが、いま申し上げましたように、あくまでも負担率の改定は、そういった社会保険制度検討の結果出てまいったのでございまして、それがたまたま財源率の改定の時期と前後して行なわれたというだけのことでございまして、結果的に見れば、ただいまの四現業のように一たん上がって下がるものもございますし、逆に公共企業体等の場合のように、一たん下がりまして、あるいは財源率検討の結果上がるものも出てくる、あるいは非現業の場合のように、大体上がる時期と改定の時期が同じになるようなものも出てまいる。いろいろなものが出てくるのは、ある程度やむを得ないのではないか、私どもとしてはそういうふうに考えておる次第であります。なおそう申し上げる趣旨も、今後制度改正は必ずしもそういった財源率の関係でやっているわけでもございませんので、財源率検討機会と、こういった制度改正機会というものを常に合わせていくということも、実際問題としては不可能でございますので、今回に限ってそういう措置をとるということもいかがかというふうに考えております。
  219. 武藤山治

    ○武藤委員 財源率だけで今回の改定が行なわれるものでないということはよくわかっております。しかし今回五現業だけ四月からということにするのはいかがなものか、そのいかがなものかということは、保険会計全体から見て好ましくないという意味ですか。いかがかと思うという意味は、もっと何か具体的に、四月までさかのぼるにはこういう障害がある、こういう問題点が出てくる、そういうようなものが積極的に何かあるのですか。
  220. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 制度のたてまえとして適切ではないということを申し上げておるわけであります。
  221. 武藤山治

    ○武藤委員 時間もたいへん経過いたしておりますが、公務員共済組合法の問題につきましてはいろいろ尋ねたい問題点が山積しております。先ほど卜部委員から、通常国会には私どもは抜本的な改正の意向を政府に反映したい、こういう立場からいろいろな質問が展開されたわけであります。そこでこの二法案が通過をするに際しましては、ひとつ給与課においてもまた担当各省庁においても、十分組合員の要望や、アンバランス是正や、そういう点については積極的に前向きに検討をする、こういうことを私は強く要望しておきたいと思います。  さらに、現在共済組合各省庁の資金運営繰りはどういうぐあいになっているか、また施設はどういうものが何県にあって、どういう運営がなされておるか。第三には、共済組合につとめておる職員の給与が非常に低いという話を聞いております。それらの共済組合連合会に勤務しておる職員の給与はどうなっているか、それらの一覧表、そういうような問題を、資料としてでけっこうでありますから、審議の資料にするためには少々時期的に無理がありますから、後ほど提出を願って、通常国会あたりまでにこれを私どもは十分検討しておきたいと思います。強く要望いたして、質問を終わりたいと思います。
  222. 山中貞則

    山中委員長 武藤君御要望の中の資産運用表は提出してあるから、その他の残りについてはすみやかに提出するようにいたしたいということであります。——竹本孫一君。
  223. 竹本孫一

    ○竹本委員 たいへん時間が迫ってきたようですから、私は二つの点だけ、物価スライド制の問題を中心に質問をしておきたいと思います。  今回厚生年金法の改正も取り上げられておりますが、その第二条の二に「この法律による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。」というふうになっておるようであります。  そこで最初にお伺いいたしたい点は、既裁定年金のベースアップの問題について、これにならってやるお考えがあるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  224. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど答弁申し上げたこともございますが、国民年金法にも同趣旨規定がございますし、ただいまの改正規定も当然私どもも承知しております。社会保険基本的な考え方として、物価等の変動によって著しく給付水準が不適当だと認定されるような時期においては、当然給付水準の改定が行なわれる必要があることは私ども異議がございません。その限りにおきまして当然今後の問題としてそういう検討を進めてまいりたい。このためには具体的には公務員年金制度連絡協議会というものが設けられまして、その場におきまして現在この問題を検討いたしております。その検討の結果を待ちまして具体的な解決策を考えていきたい、かように考えておるわけであります。
  225. 竹本孫一

    ○竹本委員 その連絡協議会で検討される内容として大蔵省のお考えを承りたいわけですけれども、その再検討するという場合の基準の問題ですけれども、厚生年金法に書いておる「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動」ということで、この基準はさっぱり要領を得てない。「その他の諸事情「著しい」というようなことで、きわめてばく然たる基準だと思いますが、その点について大蔵省としてもしこの問題を取り上げられる場合には、もう少し具体的な基準を取り上げるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  226. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 でき得ることならばできるだけ具体的な基準を考える必要があろうと私ども考えております。ただそういった形の公務員の年金制度の改定が、いわば将来にわたって制度的なスライド制という形で決定されるか、あるいはかりに恩給等の水準が引き上げられる場合にそれまで引き上げるというような形でそのつどの方式で考えられるか、あるいはその基準として物価が取り上げられるのか、国民所得水準が取り上げられるのか、あるいは公務員の給与ベースが取り上げられるのか、いろいろな観点があるわけでございます。したがいまして、そういった諸問題をこれから総合勘案して検討してまいりたいということでございまして、現在のところ具体的な基準として何にするというところまでは検討が進んでいないのでございます。
  227. 竹本孫一

    ○竹本委員 それでは私のほうから申し上げますが、アメリカの場合には、聞くところによると一九六二年の法律で、対前年度比で消費者物価指数の上昇率が三%以上に達した場合には既裁定の年金を増額調整をするということになっておるようですけれども、これは非常に具体的な基準で、みなにわかりいいという意味から申しまして、私はやはり、いまいろいろとケースをあげられましたけれども、もし具体的な基準をつくるということになればこのアメリカの基準というものが最も端的で非常に参考になると思うのですけれども、いかがですか。
  228. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私どももその法律のあることは存じております。ただ共済年金について、かりに物価スライド制というものを考えられるとかいうことになりましても、これとバランスをとると申しますか、並行的に考えなければならない、恩給制度についてもどういうふうなお考えをとるのか、そういうこともやはり勘案しなければならないのではないか。と申しますのは、三十四年十月以前におやめになった方々は恩給制度によって律せられているわけでございます。両者の間に今後年金制度の引き上げ問題を論ずるにあたりましても、当然権衡問題を考えていかなければならぬわけでございます。したがいまして、先生のお考え方一つ考え方として傾聴に値するわけでございますが、いま直ちにその基準によるべきかどうか、この辺のところは私ども検討段階でございまして結論を得るには至っていないわけでございます。
  229. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの御説明ちょっとわかりかねるのですけれども、恩給その他との調整の問題と、それからその調整を考えながらも物価その他の事情、経済情勢の変化に応じてベースアップをするということとは問題が違うと思うのです。したがいまして、その他とのバランスはバランスでまた考えるとして、経済情勢に、——ここにいうことばで言うならば諸事情の著しい変動に応じて考えるという、その考えるときに何を基準にするかという問題と、基準としてとってあとで調整する場合に、そのほかのものとどういう調整をするかということは問題が違うので、私のいま言っておりますのは全体のバランスをとって悪いということを言っているのではなくて、諸事情の著しい変動に応じた体制を考える場合に、基準として消費者物価というものを考えるこのアメリカ的な考え方というものは非常に具体的で、むしろこういう日本の厚生年金の場合のようなちょっと読んでもわけのわからないようなばく然たる基準ではなくて、消費者物価が三%上がった場合と、こういうような具体的な問題の取り上げ方が望ましいのではないかということを伺っておるわけであります。
  230. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私の説明がやや舌足らずのために誤解されたようでありますが、従来の恩給改定の基準は、おくれおくれではございますが、公務員のベースとバランスをとって考えてきておるわけでございます。公務員のベースとバランスをとるということは、いわば国民所得の伸びとバランスをとって考えていくという考え方基本になるわけでございます。ただいま先生のお考えは物価を基準として考えていくべきだということでございますが、まあ物価を基準としてかりに共済年金が引き上げられていく、恩給のほうは公務員のベースを基準として、言いかえれば国民所得水準の伸びを基準として変動が考えられていく、こういうやり方をすることが妥当かどうかという議論一つには出てまいろうかと思います。厚生年金の基準で国民生活水準云々というようなことが考えられておりますのも、結局そういった両者の間を総合勘案して具体的な基準として何によるべきかという問題が残っているからではないかと私どもそんたくするわけでございまして、その限りにおいて、なるほど物価スライド制というものはきわめて端的ではございますけれども、それのみによっていいのかどうか、さらに今後の検討に待たなければならぬということを考えておるわけでございます。
  231. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの御説明の中にも非常に重大な問題を含んでおると思うのですけれども、ここで問題になっておるのは、経済諸事情の変動に対応して生活水準を守ってやろうという問題なんです。そういう場合に、一つ考え方としては国民所得の伸びに応じた考え方も取り入れる必要があるだろうとか、先ほどいろいろ御説明がございましたけれども、これは非常な間違いである。生活水準を守るという場合に、基準として参考に考えるべき問題はやはり消費者物価であって、国民所得の伸びがどうであるとか、これこそいまの高度成長政策全体の批判になりますから、私は深くは入りません。しかし生活水準を守っていこうという場合に、経済諸事情の変動を取り上げて検討する場合には、国民所得の伸びを考えるのではなくて、生活に直接影響を持っておる消費者物価というものを考えるべきだということが根本であって、先ほどのお考えは非常な間違いじゃないかと思いますが、いかがですか。
  232. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 確かに一つ考え方としてごもっともであると思います。ただ私どもの従来の経済統計から見まして、最近においてはなるほど物価の上昇率が著しく高いわけでございまして、その限りにおいては物価基準というのも一つ考え方になるわけでございますが、やや長期的に見ますと、むしろ国民所得の伸び率のほうが消費者物価の上昇率を上回っておるというような事象もあります。したがいまして、むしろ物価が比較的安定しておりながら国民所得水準が非常に上がってくるという場合において、実質的に見ればなるほど従来程度の生活は保障されているかもしれませんが、やはり所得水準全般的に上がった中で著しく劣位に置かれるような年金制度というものが妥当かどうかという問題も出てまいろうかと思います。したがいまして、そういう点を総合勘案する必要もあるかもしれない。その辺のところはこれからの検討問題として考えていきたいと思っております。
  233. 竹本孫一

    ○竹本委員 もう一度念を押しますけれども、生活水準を守るということが基本のねらいであるならば、生活に影響のある消費者物価ということを取り上げるべきであって、国民所得の問題のほうから論ずべきではない。いまの御答弁だと、場合によっては国民所得の伸び率のほうがいいかもしれぬからというようなお話でございましたけれども、それは理論に合わない。それがいいか悪いかは一応別問題として、国民所得で生活水準の問題を考えるほうがいいのか、消費者物価を中心に生活水準を守るということを考えるほうがいいのか、これが根本の問題でございまして、今後いろいろのベースアップの問題を論ずる場合にやはり生活を守るということが中心になるのだから、国民所得がどれだけ伸びてもそのいろいろの配分の関係で幾らでも変わってまいります。問題は、ここで論じておるのは生活水準の擁護あるいは引き上げということでございますから、国民所得の伸び率の問題に関係なく、消費者物価でやるべきだということを私は特に指摘したいと思うのであります。  それからもう一つ消費者物価について一体大蔵省はどの程度の認識を持っておられるか。最近の物価指数のとり方についても、御承知のように池田さんの場合には、卸売り物価が安定しておれば消費者物価はどうでもいいのだというような議論があったこともありますが、そこで第二番目の問題として消費者物価指数というものについて、これはどの程度の信憑度があるか、これについても私は機会を改めて根本的に論じたいと思いますけれども、とりあえずのところで、消費者物価指数というものにどの程度の重要性を置いて考えておられるか、この機会にその点も政務次官からも伺いたいと思います。
  234. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 先ほど来のお話は、いろいろな恩給あるいは共済年金のスライド等について消費者物価等を十分頭に入れて考えるのが適当な意見ではないか、こういう御意見でございました。私もその意見についてはごもっともだと思います。しかしそれがけでやっていいかということになると、先ほど来お話にありましたように、いろいろ問題があります。たとえば恩給のような問題は、今日までは給与ベースとの改定と比較しながらまたいろいろやっていく、こういう問題もあります。しかし給与改定というものも、その根本は消費者物価だということもまたありましょう。そういうようなことで、私は一がいにそれのみというわけにはまいらぬと思いますけれども、消費者物価ということを頭に入れながら、いろいろの問題を考えていかなければならぬという点についてはまことにごもっともな御意見だと存じまして、拝聴いたした次第でございます。
  235. 竹本孫一

    ○竹本委員 消費者物価指数というものを重要な指標として考えなければならぬという次官の御答弁でございますのでこの上論議はいたしませんが、ただこの際いま申しました消費者物価指数というのが、実は共済年金その他を考える場合に、あるいは給与のベースアップの問題を考える場合に非常に重要な問題でございますけれども、実は大蔵省あるいは政府においてこの指数をいま中心に考えるべきだということを申しましたけれども、その指数のとり方がわれわれの立場から申しますと非常に問題がある。この問題があるということについて大蔵省は気づいておられるのか、あるいは検討されたことがあるのか、あるいは今後どういうふうに再検討していこうというお考えであるのか。いま申しましたようにべースアップの問題にいたしましてもその他の問題にいたしましても、消費者物価指数を非常に重要な指標として考えなければならぬということについて意見が一致いたしましたが、その寄りどころとすべき消費者物価指数というものが、実は国民の生活感情から言っても非常にかけ離れておるのです。それだけでなくて、理論的に申しましていまの消費者物価指数のとり方あるいはそのウエートの置き方というものには非常に問題があると思うのだが、大蔵省においてその問題を取り上げたことがあるのかどうか、一応伺っておきたい。
  236. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 消費者物価指数がいろいろな経済政策等を行ないます上に非常に重要でありますことは、先ほど来申し述べたとおりでございます。消費者物価指数のとり方等についても、私専門家でございせんけれども、いろいろ改めることがあるならば改めていかなければならぬだろうと考えておりますが、いまのところ、とり方についてこの点はこういうふうに改めなければならぬという問題があるということは承知いたしておりません。
  237. 竹本孫一

    ○竹本委員 次官のほうで承知してないとあっさり言われますので、私のほうから少し申し上げますけれども、大体いまの国民の生活感情から言って、物価指数が六・六%とか六・七%しか上がってないというのと国民の生活の実感というものは非常に違うのです。そこで私もいろいろ研究したこともありますが、結局一番大きな間違いは、消費者物価指数というものはすべての物価の物価指数であって、すべてのもののすべての動きをこの指数が代弁しておるかのごとくにみな錯覚している。そうではなくて、幾つかの品物を選び出して、当時たまたまたとえば三十六億円くらいの年の生産があるものを一単位として年に七十二億あるものはウエートを二とする、こういうような形で国民の総生産を三十六兆くらいのものとして、それに対するウエート、それにまた必要な品物を選び出しただけで、一番大きな誤りは、消費者物価指数というものはそこにあげられた品物の表面的な動きだけであって、国民の生活に影響するすべての物資、すべての総物価指数ではないということです。したがいまして、これほどインフレの波の中で大衆の生活が苦しくなっておる場合には、やはり消費者物価指数が従来のようなきわめて思いつき的な恣意的な抽出によるとり方、またそれに対するその当時の単価を一か二かということでウエートを置いたそういう行き方を再検討して、なるほどこれでは国民の生活感情あるいは官吏の生活実態とこの指数が合わないのは当然だということに気づかれてしかるべきだと思うのです。したがって、いまごろ大蔵省において、この消費者物価指数が大衆の生活の実態、あるいは生活の実感とどれだけかけ離れておるか、またなぜそれがかけ離れておるかということについては、真剣に論議をされるべき問題だと思いますが、いかがでございましょうか。
  238. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 まことに御懇篤なる御教示を賜わったわけでありますが、消費者物価指数が生活感情、生活実感に沿わないといった面もあるという御意見でございます。私どものほうでは、それぞれの正当な理由で今日の消費者物価指数の取り方をいたしておるとは思いますけれども、せっかくの御教示でございますので、生活実感に沿わない点があるならば改めるものは改めなければならぬでしょう。そういう点において、十分今後も検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  239. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいませっかく御検討いただいたのですが、私が特にここで警告をいたしたいと思いますのは、これはみな消費者物価指数が何か非常に正しい科学的な基礎の上に立っておるのだ。そして十年前もいまも間違いがないのだという惰性でこれを利用しているわけです。ところがいまの生活感情、いまの生活実態から申しますと、これは再検討すべき時期にあり、再検討すべき必要がある、きょうはこの問題を十分論議する時間もありませんので、私は特にどういう点に非常に理論的な矛盾があるかということについて、一度大蔵省あるいは経済企画庁、政府において真剣に取り上げていただきたいということを強く要望いたしたいと思います。  そこで次に移りますが、そういう形で消費者物価指数を検討していただく重要な指標として考えられて、大体これにスライドするという方法についてはいろいろ議論がありましたけれども、スライドする、あるいはその他の要素をも考えてスライドする面も持つといった場合に、そこで出てくる財源不足の問題については、平井課長さんのほうではいろいろと御意見があるようですけれども、私は既裁定年金の場合のごときは物価が上がって、あるいは政府の施策で物価が上がった面から考えまして、これを保険料と掛け金と負担金とのかわりに持っていくといった場合に、国でなくて、そういう形をとった場合に、へたすると組合員の場合から考えますと、自分関係のない人たちのものを自分たちが負担させられる、あるいは過去のものを将来の人たちが負担させられるといったような非常な矛盾が出てくる。したがいまして、この場合には当然全面的に国が負担しなければつじつまが合わないと思いますけれども、その点について……。
  240. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 既裁定年金の引き上げを行ないます場合に、その財源をだれが負担するかという問題でございますが、これにつきましては、今般の厚生年金法の改正におきましてその問題を取り上げました際に、その既裁定年金の引き上げに必要な追加費用、これを将来に向かっての財源率の中で処理するという考え方現実に考えておられるようであります。と申しますことは先生御指摘のように過去のものについて現在の組合員が負担し、現在組合員について将来のものが負担するというやり方になるわけでございますが、同じ社会保険の中でも、すでに厚生年金等についてはそういうやり方も行なわれておるわけでございまして、その限りにおいてすべて政府が持つべきであるかどうか、これらについては、いま言ったような厚生年金の実態その他と総合勘案しながら、これからも検討をしてまいらなければならぬと考えております。一がいにすべて国が持つべきだという御意見には、にわかに賛同いたしかねるわけでございます。
  241. 竹本孫一

    ○竹本委員 これも重要な問題でございまするが、もう一度伺いますけれども、過去の人のものを現在の人、現在の人のものを将来の人が負担するということの矛盾の問題は、課長からいま御指摘のとおりでございます。しかしその矛盾を考えた場合に、国が負担する以外にどういう方法があるか。私いろいろ考えてみましたけれども、この場合国が負担する以外に方法がない。それを現在あるいは将来の組合員に負担させるということはいまお話のように矛盾がある。そうすればだれが負担するかということになると、これはいまから検討するという問題で逃げられるかもしれませんけれども、しかし検討する場合の方法として、だれかが負担する方法が別にA、B二つあって、その二つについて吟味、検討するというならわかりますけれども、私の考えでは、国が負担するという以外にはどう考えても方法はないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  242. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私どもの説明がまずかったために誤解されたかもしれませんが、過去の整理財源を現在の組合員の財源率で負担することは、制度的に矛盾するものだというふうには考えておりません。したがいまして、選択をするとなれば財源率で負担するか、あるいは国が負担するかという二つの問題の選択として適用されることになろうかと思います。
  243. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がありませんので次の問題に移ります。いまの問題とも関係が出てまいりますが、次に伺いたい点は、これから毎年のごとくに給与ベースの引き上げが行なわれるだろうと思うのでございますけれども、まず問題は、それに伴って生ずる整理財源の問題でございますが、まず最初に保険計算の上で一定の昇給率を考えておられるのでございますが、その昇給率というものはどの程度のものを考えておられるのか、伺いたいのであります。
  244. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 保険計算の上の昇給率のお話でございますが、これはベースアップを抜きにいたしまして、現在の給与体系における昇給率が、そのまま継続するという前提で計算をいたしております。理論昇給値にいたしますと、大体五%前後が昇給値になりますが、それの新陳代謝の影響等も勘案して、さらにまた予算財源としてはそれに調整を加えていくわけでございます。
  245. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうしますと、いわゆるベースアップが行なわれた場合には、それについての問題は全部新しい負担、あるいは新しい財源ということになりますか。
  246. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在の共済組合の保険計算の基礎となっている数字は、先生のおっしゃるとおり、ベースアップを織り込んだものではございません。したがいまして、ベースアップいたしました場合に、結果的に見て不足財源が生ずることは当然考えられるわけでございまして、この問題についても、やはり将来の問題として考えなければならない。制度発足の当時に当然考慮しておくべきではなかったかという御意見もあろうかと思いますが、私どもが引き継ぎました限りにおいては、そこまで検討いたしておりません。ただ、厚生年金等のやり方を参考までに申し上げますれば、五年に一回再計算をする過程において、そういったものも実質的には織り込まれる形になっております。国家公務員の場合については、そういう問題を考慮しながら、今後は財源率再計算に織り込んでいくことも考え方一つでございます。また、あるいは先生の従来の論理からすれば、そういったものは考慮すべきだということで、いわば追加費用として国が負担することも一つの方法であります。したがいましてそういう問題も、先ほどの附帯決議の既裁定のベースアップ問題とからみまして検討いたしたいと思うわけでございます。
  247. 竹本孫一

    ○竹本委員 スタートのときには物価の上がるといったような問題はあまり考えなかった、忘れておったという御答弁、しかも現在これで毎年ベースアップをやっておる。それのために出てくる不足財源については、将来考える、あるいは将来検討しようということになりますと、当面論議することはなくなってしまう。そこでそういう答弁ではなくて、やはりまじめにこの問題に取り組む場合に、不足財源というものがどうしても出てまいりますが、ベースを上げただけですね。上げてから先の問題はいいのですが、とにかくいままで、たとえばこの線でひとつ昇給するというか、昇給するときに、考えておった途中から一段格差ができて上に上がったという場合に、ここの三角地帯ができる。その負担の不足財源の問題をいま論議するわけですけれども、その場合に、やはり先ほどの問題と全く同じになります。ベースアップをするいうこと、これは厚生年金のほうで言われたことばを使いますと、インフレで厚生年金の給付をほとんど無意味にしないようにということなんですね。そういう意味でこれからべースアップをやるわけですが、給付を上げていこうという場合に、年金の給付が無意味にならないように給付を上げていこう。これはいまの情勢から申しますと、ほとんど毎年のようにベースアップを考えなければならぬと思いますけれども、そうしますと、毎年不足金が出てくる。その不足財源をどうするかということは将来の検討に待つということでは、はなはだ手ぬるいことになりますので、これは早急に先ほどの問題とあわせて論議すべきである。しかもその場合の方針としては、全面的に国の負担でやる以外には私はないと思う。しかもこれは国が負担して当然なんだ。国の施策によって、初めに考えもしなかったそういうベースアップの問題、物価上昇の問題、消費者物価の騰貴といった問題が出てきておるのですから、これは組合員自身が責任を持つとということは、経済政策的に考えても、理論的に納得できる説明がつきませんので、国の責任として国の負担において解決をする以外にはないと思いますので、そういうラインで早急に検討をしていただきたいと思います。  私、この共済年金等については、あまり専門家でありませんので、よくわかりませんが、経理規定の中でも、こういう場合には国の負担とするということが書いてあったようなことをちょっと読んだと思っておるのでございますが、そうでございますか。
  248. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私も手元には持っておりませんが、そういう趣旨ではございました。ただ、旧法と新法との考え方はある意味基本的に違っておりまして、旧法当時は、恩給公務員の恩給にかわるものとして、雇用人に対して共済という形で老後の保障をしておったのであります。そこで恩給については、御承知のように、漸次引き上げ等も行なわれているわけでございまして、その限りにおいてその雇用人については、これを補完する制度として、共済組合年金給付がある以上は、そういったものも上げる必要がある。その場合におきましては確かに国で持つことが必要である、こういう考え方をとったのでございます。しかし現在の制度は、そういう官吏、雇用人を通じてすべて社会保険体系に取り込みまして、保険数理によってものを考えるのだということを法律の中で明らかにうたっているわけでございまして、その限りにおきまして、旧法におきましてそういった経理規定があったのですから、当然新法においてもそういうことでいくのだということにはなりかねると思います。やや結論を急ぎ過ぎた答弁かもしれませんが、そういう趣旨に理解しております。
  249. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの御答弁のところでは、ちょっと私、見解が違いますけれども、時間がありませんので、この辺で終わりますが、重ねて強調いたしておきますけれども組合員責任でなく、また組合員に負担をかける理論的根拠が全然ありませんので、やはりこれは国の負担として解決する以外には方法がなかろう、私はあくまでもその点を強調いたしたいのであります。  したがって、今度その問題を取り上げられる場合には、その不足財源は当然国の負担であるということを法令の上に明確に示されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  250. 山中貞則

    山中委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  251. 山中貞則

    山中委員長 なお、両案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  おはかりいたします。  両案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  253. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議決いたしました国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案に対し、武藤山治君より発言を求められております。これを許します。武藤山治君。
  254. 武藤山治

    ○武藤委員 私はただいま議題となりました国家公務員共済組合法の長期給に関する施行法等の一部を改正する法律案に対し、三党共同提案による附帯決議を付する動議を提出いたします。  附帯決議案文をお手元に配付いたしましたので、朗読をいたします。    国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   定員法の施行に伴い署しく急増した常勤的非常勤職員については昭和三十六年の閣議決定に基づき、おおむね定員化が行なわれた。   これら職員については共済組合長期給付につき、当時の実情を勘案し非常勤職員在勤期間の通算措置検討大蔵大臣答弁のごとく昭和四十年度中に完了すべきである。  その趣旨を簡単に申し上げてみたいと存じます。御承知のように、非常勤職員がなぜ発生したかという理由につきましては、本委員会における質疑を通じまして明らかになったところであります。昭和二十四年の人員縮小の政府の施策に基づいて非常勤職員がたくさん発生をいたしたわけであります。そういう経過から顧みまして、当然行政を遂行するために必要な非常勤職員が常勤的職務をいたしてきたという経緯にかんがみまして、かつて政府は掛け金においてこれらの人たちを定員に組み入れるという処置をとったわけであります。そういう経緯から見まして、これを通算することは当然ではないかと考えられるのであります。  第二に、政府は、いろいろ答弁の中で、非常勤職員期間中共済組合掛け金を払っていないから云々といろいろ事情を説明されたのでありますが、しかしながら非常勤職員期間中といえども他の厚生年金に加入して掛け金を払っておったことが明らかでありまするから、本人にしてみるならば、共済組合の掛け金は払っておらないにしても、他の保険金を払っておったという何らかの負担はしてきたものとの事実認識が私たちには明らかになったわけであります。  したがって、今回の外地における期間を通算する措置とこれらの非常勤職員期間を通算に加える処置は何ら不公平にならないし、矛盾もしないと考えられますので、この委員会で審議をされた中で、少なくとも本年の十月ころまでには実態を明らかにするという答弁がなされましたので、この実態が明らかになりました暁には、すみやかに予算措置を講じ、法の整備をすべきであるという趣旨から、本附帯決議案を提出いたした次第であります。  以上簡単でありますが、附帯決議案を上程いたしました趣旨を御説明申し上げました。(拍手)
  255. 山中貞則

    山中委員長 ただいま武藤山治君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。本動議について議事を進めます。  おはかりいたします。  武藤山治君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、武藤山治君提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  257. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  259. 山中貞則

    山中委員長 次会は、来たる六月九日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会