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1964-06-02 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 藤井 勝志君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       伊東 正義君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奧野 誠亮君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       島村 一郎君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       福田 繁芳君    渡辺美智雄君       卜部 政巳君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平林  剛君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    遠藤  胖君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       阪田 泰二君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月一日  税理士法の一部を改正する法律案の一部修正に  関する請願松平忠久紹介)(第四一〇九  号)  同(横山利秋紹介)(第四二五九号)  旧海軍文官国庫返納退職賞与更訂支給に関す  る請願谷垣專一君紹介)(第四二一七号)  公衆浴場業に対する所得税法人税及び相続税  減免に関する請願唐澤俊樹紹介)(第四二  三七号)  税務職員待遇改善に関する請願外二件(有馬  輝武紹介)(第四二六五号)  国税庁職員に対する年次休暇の不当な制限中止  に関する請願有馬輝武紹介)(第四二六六  号)  税務職員不当配転反対に関する請願有馬輝  武君紹介)(第四二六七号)  同外二件(堂森芳夫紹介)(第四二六八号)  入場税撤廃並びに労音、労演に対する不当課税  の取消し等に関する請願伊藤卯四郎紹介)  (第四二九一号)  同(松本七郎紹介)(第四二九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一七一号)  公認会計士特例試験等に関する法律案内閣提  出第一五五号)  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五七号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案公認会計士特例試験等に関する法律案税理士法の一部を改正する法律案及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 きょうはきわめて時間が制約されておりますので、簡単に質問をいたしたいと思います。  そこでまず第一点でありますが、一九三三年の十七回ILO総会で採択されましたところの一連の条約の中で、特に三十五号条約というものは、この共済審議にあたりまして、十分に論議をする必要があろう、このように考えるわけであります。したがいまして、この条約に対しましてまずどのような見解を持たれておるかを質問をいたしたいと思います。
  4. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっと調査する点がございますので、時間をちょうだいしたいと思います。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 では調査をするということでございますので、追っかけ一緒調査をしていただきたいのですが、三十五号条約の問題をいま調査中なんですから、おそらく第十条の問題なんかについても同じあれだと思います。その点につきまして、項目別にひとつ具体的に述べていただきたい、このようにまた質問をしたいと思います。
  6. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 その点もあわせて調査して御答弁いたします。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 その調査というのは、いまできるわけでしょう。そうじゃないですか。
  8. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 暫時お待ちいただければ……。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 前に進んでもいいと思いますが、やはりその関連がずっと続いておりますので、私のほうの質問も一応答弁を待ってということになりますが、その点をひとつお含み置きを願いたい。——答弁によって次に進めていきたいと思っておるわけですが、こういうことが書いてあるわけです。十条の中には三項として「保険機関基金及国保険基金は、公の基金より分離して管理せらるべし。」それから四番目としては「被保険者代表者は、国内の法令又は規則に依り定めらるる条件に従ひ、保険機関管理に参加すべく、又右の法令又は規則は、使用者及公機関代表者の参加に関し定むることを得。」こういうことがあるのです。「を得。」ということです。というのは、「自治の保険機関は、公の機関管理上及財政上の監督の下に在るべし。」こういうのがあるわけです。その点で3と4の間の問題をどのように日本政府としては理解をしているのか、この点をまず明らかにしていかないと、これは社会保障制度全般の問題、国際的な社会保障立場からながめた場合の日本の立ちおくれ、こういうものを指摘せざるを得ないわけです。その点でまず政府見解を聞きたい、こういうふうに思っております。
  10. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ただいまの条約社会保障制度全般に関する問題でございまして、私ども答弁申し上げるのが適当かどうか疑問があるわけでございますが、限られた共済組合立場において御答弁を申し上げますならば、現在の制度のもとにおきましても被保険者代表者がこれに参画する道については、これを開いておるわけでございまして、これは共済組合法それぞれのたてまえで見まして若干の差異はございますが、あるいは各組合運営審議会委員として職員代表を選出する、あるいは組合会という組織によって表決機関に参加するとか。いろいろ差はございますけれども、何らかの意味において職員意思が反映し、参画できるような措置をとっていくということについては各共済組合について共通的なものでございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 問題はやはりそこら辺にあると思うのですが、いま給与課長労働者代表を参画せしめ得る云々ということがあったわけであります。また参画してもらっておるということもあるわけですが、この問題はあとから私は論議を深めていきたいと思ますが、必ずしも私はこの条約に定められておるように明確ではないし、またその趣旨に従ったものではない。なぜならば各郵政なり、電通等におけるところの各共済組合審議会にいたしましても、いわゆるその代表というものが過半数に達していない。今度の提案されております共済負担率引き上げの場合にいたしましても、三回くらいの審議を行なっておりながら云々ということで強引に引き上げをやっておるというのが現実の姿であります。そういうことからいたしまして、いまの御答弁そのものは、決してこの条約に適用されるような、しかもその趣旨が十分生かされたものではない、このように考えております。  そこでもう一つ質問をいたしたいのは、いまの四項の中でもはっきりしておりますのは、保険機関管理には被保険者代表は必ずこれは参加せなければならない。しかしながら使用者並びに公の機関代表は参加することもできるのだ、「得」というのですから、できるのだというのでありまして、あくまでもその組合の、さらに法人格を有しておるところの組合、いわゆる労働者だと思いますが、被保険者というかっこうになりますか、この方々の発言力が十分に反映されなくてはならないという意味をこの条約は言っておるわけです。いま給与課長は、ただ先ほど申し上げたように云々された中に出てまいりましたけれども、そういう機関も設けておる、こういうことを言っておりますけれども、この点については、では条約に基づいて社会保障全般と言いますけれども共済組合もその中に含まれるわけですから、その問題をのがれることのないようにひとつこの代表者の問題についても十分考慮する意思があるかどうか、この過半数に達するように、そういうふうな改正をする意思があるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  12. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 当該条約批准しているかどうかちょっと私よく存じませんが、たぶん批准していないのではないかと思います。ただ条約のものの考え方自体は、国際的な考え方としてひとつのあるべき考え方を示しておるのであろうとは思いますけれどもわが国現状におきまして、社会保険全般についてそうであろうと思いますが、被保険者過半数を占めるような管理体制というのは現在のわが国管理体制として適当であるかどうか、これらの点について相当議論のあるところであろうと思います。したがって直ちに過半数を占めるような体制に切りかえるということについては問題があると存ずるわけでございます。もちろん今後の条約批准その他との関連を待ちましてさらに検討を進めることにいたしたいと思います。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどもちょっと触れましたけれども社会保険基金労働者のものだということがこの条約では明確になっておるわけですね。そこで使用者拠出金、これは間接的な労働者への支払いという形になりますが、この点については間接的といっても直接的には賃金という形にも相なろうかと思いますが、そのように解釈すべきだということでこれは明確にされておるところであります。そこで日本政府がこれを批准をしていないから、この管理をさらに労働者過半数に達する姿の中でやることははたして妥当かどうかというところに、いまの問題があると思うのであります。私は先ほども申し上げました、共済組合でいえば保険料労使折半だから半数発言を与えるという理屈でもって運営審議会なんかにおきましても半数以下の議席を労働者に与えている程度であります。そして先ほども申し上げたように、強引にこの問題を強行採決してこの負担率引き上げを行なおうとしておるわけであります。  ひとつ政務次官にお伺いいたしたいと思いますけれども、この三十五号条約というものが不当なものであるかどうか、同時にこのような国際的な、これは先進資本主義国家、こういう中におきましてはこれを順奉するという形がとられておるわけでありますが、そういう面ではいま給与課長が言われたように、これを適用するかどうかは問題があるという、こういう発言でございましたけれども責任者として三十五号条約に対するいわゆる見解、さらに今後の問題等についてどのように取り組まれようとするのか、この点を政務次官からひとつはっきりとお伺いをいたしたいと思います。
  14. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 実はこの問題につきましても私十分検討しておりませんが、いま卜部委員の御質問、また政府委員答弁等から考えまして、一応この問題はまだ批准はされておりませんが、これを批准するかいなかは御承知のように厚生省の問題であろうと思います。大体先進国においてそういうことが論ぜられておるのでございますが、今後社会保障の問題、あるいは共済組合問題等につきましても、わが国もようやく手をつけて最近いろいろの施策を行なって今日に至っておるようなわけでございまするので、今後とも十分私は検討しつつ世界情勢にもマッチしたような方向をとっていくべきものであろうというふうに考えておりますが、一応やはりこの批准をされてから検討をしなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに私としては考えております。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと三十五号条約、これを批准をする、このために努力をするのだ、この点で確認をしてよろしいわけですね。
  16. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 先ほども申し上げましたように、一応厚生省所管の問題でございますが、やはり一応政府としてはこの問題としては検討をしていかなければならぬと思いますから、これを批准すべきかどうかということをいま私直ちに確認する程度までは考えておりません。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 厚生省所管云々という御答弁があります。おそらく給与課長あたりが横からそういうふうに入れ知恵をされておるのでありますが、しかし現実財政投融資の中に、このあと私申し上げたいと思いますが、全部入っていくのじゃありませんか。現実大蔵省が押えておるのじゃありませんか。その中で末梢的な、それに携わるところの主務省批准をする云々、こういう問題でありまして私の答弁云々ということを言われますけれども、私ははっきり申していただきたいのは、その意見があるかどうかですよ。先進国家なんですからね。そうでしょう。この点を、政務次官検討いたしますなんという、検討はもちろんするのですが、それに向かって誠意を示して、先進国家ということを池田総理も言っているのですから、それに即応できるような態勢を、やはりいまILO八十七号の問題とも関連をしておりますが、これを実行するために努力をするくらいのことは、私は言っていいと思うのですがね。ひとつ給与課長のほうからでも……。政務次官ですけれども給与課長入れ知恵をしているものですからね……。
  18. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私も入れ知恵でもしていただかないとなかなかあれなんですが、実は大蔵省ががんばっておるとおっしゃっていますけれども、一応これは財政的な立場から考えておるわけでございまするが、やはりこれは仕事自体としてまいりますると主管省で扱うべき問題でございまするから、そこでどういう形をとるかによって資金の問題については大いにひとつ大蔵省としても考えていこう、こういう意味合いにおいて、私は即答を申しかねるということを言った、その辺でひとつ御了解を……。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 その辺も何辺も……。ともかく給与課長が一番初めに答弁の中に申されておりますように、現在ILO三十五号条約があったについても、これをすぐ日本の国に適用する、このことについてはかなり問題があるところでございます云々ということを言われておるのですから、そのことが言われるくらいだったらILO三十五号の批准厚生省所管だなどということには相ならない、こういうことで纐纈政務次官、ひとつもう少し明快な御答弁をお願いしたい。
  20. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私としてはだいぶ明快な答弁をしたつもりでございますが、どうも御了解が得られませんが、ともかくだんだん世の中が進んでまいりまして社会保障社会保険あるいは共済制度というものがだんだん整備しつつある情勢にありますことは御承知のとおりであり、まあ政府といたしましても財政とにらみ合わせつつその点を漸次整備することに進んでまいっておるわけでございますので、いま卜部委員が御指摘になりましたような問題も、今後の進展の問題として大いに検討してその方向に進めていくように進むことが福祉国家の今後の行き方であろうというふうに考えておる次第であります。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、いまの政務次官の御答弁は、福祉国家の当然のつとめとしてこの三十五号条約批准しなければならないものだ、こういうふうに解釈をする、こういうように私は理解をいたしたいと思います。そのような理解でよろしいのでございますね。——はい、よろしいということです。議事録に明確にしておいてください。  では次に進んでまいりますが、社会保障憲章について、六、七の財源並びに管理の問題について御答弁をお願いいたしたい。委員長がおそらくまた、知っておるなら教えてやれ、こう言うことになろうかと思いますので、逆に申し上げたいと思います。  六の財源の中に「社会保障財源は、雇用主あるいは国家、またはこの双方によって保障されなければならず、労働者拠出によってはならない。」こういうかっこうになっている。「社会保障財源労働者が分担しているところでは、これはただ一時的な措置としてのみ認められ、労働者はこのような負担をなくするために行動しなければならない。」  「管理 社会保障機関管理は、労働組合によっておこなわれるか、あるいは労働組合が参加して労働者およびその他の受益者代表によっておこなわれなければならない。」こういうふうに書かれておるわけであります。  現在の私たちの社会保障の問題を考えたときに、全く憲章から遠く離れたものを私は感ずるのです。纐纈政務次官は、社会保障制度も漸次いい方向に向かっておりますなどと申されておりまするけれども——その問題はまたあとにいたしまして、ひとつ私は続いて質問をしたいわけですが、限られた時間がもうあと五分くらいしかございませんから、ひとつ参考までに伺いたいのでありますが、三十九年度の各社会保険特別会計予算額を伺いたいと思います。
  22. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 後段の点については、ちょっといま手元に資料を持って参りませんでしたので、あと調査して御報告申し上げます。  前段の点につきましては、社会保障というものの概念が非常に広いわけでございまして、御承知のように社会保障の中には、いわば国なりあるいはその他の公共団体の一方的な給付によって行なわれる性格のものと社会保険という性格のものとが含まれるわけでございますが、社会保険費用負担につきましては、諸外国の例を見ましても、少なくともそれぞれ被用者もまた何らかの意味において負担しておるというのが実情でございまして、一〇〇%国なりあるいは使用者負担するというたてまえにはなっていないというふうに、現状においては私どもとしては理解いたしております。まあ将来の方向として、そういうものについてもすべて国が負担するという考え方をとっていくことが妥当かどうかという点については、これは世界的な情勢の推移その他とにらみ合わせて検討する問題であろうと考えておるわけでございます。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 過ぐる——ぐるといってもかなり遠い話でありますが、英国の時のベヴァン労相が、ゆりかごから墓場までという政策の中で一部医療費負担するということについて、そういうばかげた政策があるか、もしそういう政策を行なうならば私は労相をやめるということでやめられたことがあると思います。これは率直に言うならば、国家ゆりかごから墓場まで、これを社会保障として国民を守り、さらに国民の生活、福祉というものを育て、かつ向上させていくということについて、先進的な国家であり、さらに資本主義国家であるイギリスにおいてすらそういうことが行なわれておる現実がある。その問題についていま給与課長は、世界各国の例が云々ということを申されましたけれども、そういうきわめてりっぱな国もあるわけなんでありますから、そういう点について若干——今度英国労働党が勝利するということになりますと、現在行なわれている変更になった形の政策がまたもとに戻るとはいたしましても、ともかくそういうものが全然ないということは言えないのです。この点についていま給与課長のほうから、何か反駁めいた御答弁がなされましたけれども、少なくともその方向が正しいものだというふうに考えます。この点について纐纈政務次官、いまのこの憲章は正しいものだというふうに考えられますかどうですか。
  24. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 イギリスのごとき社会保障と申しますか、社会保険と申しますか、そういう制度の進んでおりますところではお説のようなことが行なわれておるかと思いますが、わが国といたしましては、まだ財政的にも必ずしも余裕があるわけでもございませんし、結局いまおっしゃったようなことは、私ども福祉国家実現のための理想であるとは承知しております。私どもはそう考えておるのでございますが、その理想に進むためには、なお財政的の問題等も考えまして、一時にその理想にまで進むわけにはいかないというのがわが国財政状態ではないかというふうに考えておるわけでございます。さような意味合いからいたしまして、われわれもその理想を掲げてそれに進む方向努力を続けていくことは、私は当然なことであろうと思うし、ことに福祉国家を実現するということのためには、その方向に進むべきものであると思うのでありますが、今日のわが国財政状態から申しますと、その理想には一歩一歩進んでいき、直ちに理想の点にいますぐこれを実現するということは、実際問題としてはなかなか困難ではないか、以上のようなふうに考えておるのでございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 では、理想に向かって前進することがむずかしいかどうかについて、具体的に私は質問していきたいと思います。  いま保険の問題が出ましたので、給与課長のほうから、資料あとから出すということでございますが、この問題の資料を明らかにすることによって、私は纐纈政務次官が答えられた答弁に反論を加えていきたいと思います。ひとつ出していただきたいと思います。——では時間がほんとうにありませんから、私のほうから申し上げていきたいと思います。  保険のあれは省略いたしますが、健康保険日雇い厚生船員労働者災害失業保険国民年金、この各保険についてでありますけれども、まず制度別に分けていまのような状態でありまして、収入合計のほうから申し上げますと、健康保険のほうがこれは何ぼになりますか、健康保険が二千百十八億四千、こうなっておりますね。日雇いのほうが十五億四万七千。厚生年金のほうが二千四百五十六億、あとの端数は省略いたします。それから船員のほうは百六十三億、あと数字は省略、これも億まででとめます。災害が千九百億ですか。それから失業のほうが千四百六十九億、国民年金のほうが九百二十八億、こういうかっこうになっております。健康保険のほうを、年度末の流動資産残高を見ますと三百二十四億、こういうかっこうであります。厚生年金のごときにおきましては一兆千二百億、こういうかっこうであります。船員のほうにおきましては三百億、災害におきましては四百億、失業のほうにおきましては千四百二十三億、こういうようにべらぼうな金が残っておるわけであります。その残った金がどこにいくのかということを纐纈政務次官にお伺いいたします。
  26. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私実はその辺については、まことに不勉強でございまして、いま卜部委員から御質問になりました数字等につきましては、詳しいことを承知はいたしておりませんが、保険制度にいたしますと、やはり積み立てその他いろいろの金を将来に使うというような関係で操作をしなければならぬというような問題もあるかと思いますし、いまここでそれだけの金があるからということで、それを直ちに全部使い果たすというわけにもいかぬのじゃないかというふうにも考えるわけでございます。それらの点につきましては、主管給与課長から詳しく御説明を申し上げさせていただきたいと思います。
  27. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 年度末の和み立て金が非常に巨額に上っている、それらの金はどういうふうに使われるのかという御質問と存じますが、まずこの中でいわば一年ごとの勝負をつけてまいります短期健康保険グループ、こういうグループと、それから長期年金グループに分けて考える必要があろうかと思います。  短期健康保険グループにおきましては、これは毎年度一応歳入歳出のバランスをとって、その結果出てきたものの若干を将来の予期せざる事情に充てるための法定準備金という形で残していく、こういうたてまえのものであろうと存じます。したがいまして、これらのものは、先生御指摘数字からもわかりますように、毎年度収入、支出と比べてそう大きな数字には上っていないわけでございます。中には繰り越しの赤字を持っているというようなケースもあるわけでございます。逆に長期の場合でございますが、これは御承知のように、厚生年金の場合とあるいは共済組合との場合では、保険の方式が違っておりまして、前者の場合は修正賦課方式をとっておりますし、後者の場合は平準保険料方式をとっておりますから、若干積み立て金の発生のしかたその他には差はございますが、基本的な考え方としては、長い目で見て必要となる長期の年金なりあるいは退職一時金の給付に必要な財源を積み立てていく、そういう形になっているわけでございます。これが最終的なバランスした状態になれば、掛け金負担金並びに積み立て金の運用利息をもって当該年度に発生すべき保険金なりその他の必要な費用をまかなっていく、こういうかっこうになるわけでございますが、制度がスタートしてから二、三十年の間は、むしろ積み立て金が漸次ふえていく、そういうかっこうになるべき性格のものでございます。したがいまして、厚生年金の場合に一兆一千二百億という巨額の積み立て金がある、これはどうなるのかという御質問でございますが、これは現在のようにまだほとんど給付義務が発生しておらないという状況においては、当然この程度の金額が残ってくるわけでございまして、長い目で見ていくならば、そういった形の、平準化された形において、保険財政がバランスしていくというふうな制度上当然設けられている積み立て金ということになるわけでございます。共済組合の場合におきましては、この修正賦課方式にさらに一歩を進めまして、平準保険料方式をとっております関係もございまして、その積み立ての過程におきましては、積み立て金の発生と年間の費用とのバランスは一そう大きな差を生ずるような形になっているわけでございます。したがいまして、これらの金は何に使われるのかということになれば、当然それは保険財政の見地から保険に必要な費用に充てられる性質のものだということは言えるかと思います。
  28. 卜部政巳

    卜部委員 私はまだ長期給付のほうに入っていないのに、給与課長は親切にそこら辺まで言ってくれましたが、それはあとから申し上げることにいたしまして、前段の場合におきまして、赤字が云々というようなことをおっしゃいました。これにつきましては、日雇いの健保だけが当てはまると思います。厚生年金に至りましては、三十一年度におきまして一千九百億、さらに三十六年度では五千六百四十八億、そうして三十九年度にはいま出ておりますように、一兆一千二百四億、こういうふうな激増ぶりを示しております。でありますから、四十四年におきましては、これは率直に言うならば、四兆になろうというふうな保険係数の問題が出てまいりますが、こういうことが言われているわけであります。でありますから、こういうような金がどこに入っていくか、何に使われるかは、被保険者に対する還元とか一時退職金だとか、いろいろな問題が出されましたが、ただ単にそういうようなものでなくて、明らかに社会資本の充実、さらには産業基盤の拡大などといって、この方向に金が使われていることについては、これは明白な事実です。全然使っていないということでありましたならば、少なくともその内容の財政投融資の問題は——その保険事業というものは、いわゆる組合委員会、連合会でもいいのですが、そういう形の中で運営されるのが至当ではありませんか。そういう点について明快な回答がなくて、何かぼかしたようなことが出ておりますが、それでは私は納得ができないのであります。
  29. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほどの先生の御質問趣旨を若干取り違えておりまして、目的としてこういう金が何のために積み立てられているかという趣旨理解してお答え申し上げたわけでございますが、このような積み立て金をそういった将来の給付のために積み立てていく過程において何に運用しているのかという問題でお答えを申し上げるならば、こういった長期的な資金については、先ほど先生が御説明なされましたように、いわば社会資本の充実あるいはその他文教施設、中小企業金融あるいは農林漁業等の面に向けられるというような形で資金運用部を通じて運用されているものもございます。また共済組合等の場合におきましては、資金運用部への預託を、国の場合でございますと、積み立て金増加額の三分の一程度という形でやっておりますが、その他につきましては、いわば資金の効率的な運用を考える反面、組合員の福祉に充てる資金にも相当程度回していることは前回御説明申し上げたとおりでございます。また公共企業体あるいは地方公務員共済組合等においては、地方債の引き受けであるとか、それぞれ公社等の縁故債の引き受け等にも回されているのは事実でございます。
  30. 卜部政巳

    卜部委員 まだ論議を深めていかなければなりませんが、私の持ち時間がまいりましたので、あすは大臣も来られるということでございますので、その中でひとつみっちりやらしていただくことを私は申し上げまして、本日の私の質問を終わりたいと思います。
  31. 山中貞則

    山中委員長 平林剛君。
  32. 平林剛

    ○平林委員 委員長並びに同僚委員の御了承を得まして、私は専売公社の総裁に主として仲裁裁定に関する質問をいたしたいと思うのであります。  御承知のように、公労協など三公社五現業関係労組の賃金改定要求に関する仲裁委員会の裁定は、五月十九日、労使双方に行なわれました。専売公社の労使に対しても、この四月一日以降基準内賃金の六・五%相当額の原資をもって引き上げること、これを主文とする裁定がございましたが、専売公社の総裁の御感想をまず私はお伺いいたしたいと思うのであります。
  33. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまお尋ねがございました仲裁裁定の問題でございますが、これにつきましては御承知のように昨年から専売の組合のほうから要求が提出されておりまして、その後団交を重ねておりましたが、これが不調になり、その後調停を申請いたしたわけでございますが、これも成立いたしませんで、仲裁ということで裁定が出たわけでございます。裁定の内容につきましては、私どものほうもいろろと一応の説明を伺ったわけでございますが、これは申し上げるまでもありませんが、公労法に定められたやり方によりまして仲裁が出ました以上は、これは昨年来続いております賃金の問題につきまして最終的な決定がなされたということになるわけでありますので、私どもといたしましてはこれを実施してまいりたい、こういう所存でおるわけでございます。
  34. 平林剛

    ○平林委員 きょう問題としておる仲裁裁定に至るまでの経緯を振り返って検討してみますと、今次の賃金改定の紛争の主要点は、組合の賃金の引き上げ要求に対して公社の回答が、初任給六百円引き上げとこれに伴う若干の調整だけであとは認めない、こういうところからの対立として出発をいたしまして、えんえん三カ月、九十日間もかかって労使双方に相当の犠牲があったと思うのでございます。この主たる原因には、第一に専売公社の当事者能力がなかった、あるいは当事者能力に欠くるところがあった。第二には公共企業体における労使の紛争の解決にあたって公共企業体等労働委員会はその紛争解決にあたっての存在価値を疑われたということ、つまり例の四月十七日のストライキにつきましても、実際は総評の太田議長と池田総理大臣とのいわゆるトップ会談によって回避されたということ、この間、仲裁機関たる労働委員会は何ら積極的な動きがなかったという点を指摘することもできると思うのであります。また池田総理大臣と太田総評議長とのトップ会談では、民間賃金との格差是正に努力をするとの約束がありまして、この線に沿って紛争の解決が行なわれると期待されておったのでありますが、裁定の内容を分析すると、そこに新たな紛争と重大な異論の生じたことなど、なお検討すべき余地が私は残されておると思うのであります。こういうふうに、私はこの仲裁裁定をながめまして、経過を顧みて多くの感想を持つわけであります。公共企業体の専売公社の経営に当たる総裁といたしまして、労使間における情勢あるいはその紛争の経過を振り返ってその正しい把握をするということは将来の運営にあたって重要な要素となると私は思うのであります。もう一度、私が申し上げました二、三の感想でございますが、責任者としてこれらについて御見解がございましたらお示しをいただきたいと思います。
  35. 阪田泰二

    ○阪田説明員 専売公社のこういう紛争に対処するにあたりましての当事者能力の問題でありますとか、公労委の問題その他につきまして、いろいろ御質問があったわけでございますが、申すまでもありませんが、私どもといたしましては、現在の専売公社法なり公労法あるいは予算というようなものがあると思いますが、そういうようないろいろな制約のもとでやはり公社の経営に当たっておりまする当事者として、最善を尽くして労働組合と交渉し、またお互いに話をして解決を求めよう、こういう努力を怠らないというつもりで従来からやっておるわけであります。ただ今回のような非常に大きなベースアップの要求というようなことになりますると、これは初めから御承知のように国会で認められておりまする予算のワク内ではとうてい処理できないような問題にもなってまいるわけでありますから、そういう意味におきまして、公社が当事者能力がないと申しますか、公社限りで解決できない問題が出てまいりますことは当然のことであります。しかし一般の公社のそういったような問題になりませんといいますか、そこまでの問題でない日常の労働組合、公社間の労働条件その他に関します各般の問題につきましては、そのつど交渉によりまして解決しておる、あるいは公労委段階にまいりましても調停その他の段階で解決しておるものも多数あるわけでありまして、現在公社あるいは公労委の能力とかやり方あるいは制度そのもののあり方につきましていろいろ世上でも論議がされておることは私どももよく承知しておりますが、さような点につきましてはそういったような公の場で十分なる検討がなされまして、実態に即した改正がなされることにもちろん私どもとしても望ましいとは考えております。現状におきましては、現在の法規その他の制度の範囲内におきまして最善を尽くして労使間の問題の解決に当たっていくという気持ちでおるわけでございます。
  36. 平林剛

    ○平林委員 池田総理大臣と太田総評議長とのいわゆるトップ会談におきまして、民間賃金との格差是正に努力をするという約束は、転売公社としても政府の最高責任者としての総理大臣の政治的解決に協力をする、こういう立場が必要であったと思うのあります。専売公社としては、この政府の最高責任者である池田総理大臣の政治的解決の方向についてどういうふうに受け取り、またこの線に沿って紛争解決のためにどういう努力をなさったか、これを私はきょう総裁にお聞かせいただきたいと思うのであります。
  37. 阪田泰二

    ○阪田説明員 民間賃金と公社職員の賃金との格差と言われておる問題でございますが、これにつきましては、池田総理と太田総評議長との会談云々という話もございましたが、そういったような会談といいますか、そういう結果を待つまでもなく、専売公社法なりそれぞれの法律に公社の職員の給与を定める基準としてきめておられる中の一つに、民間賃金の水準、こういうものとバランスをとっていくのだということがはっきりきまっておるわけでございまして、いわば当然のことであろうと私どもとしては考えておるわけであります。ただ、そういうような原則ははっきりしておるわけでありますが、具体的に民間賃金と公社職員の賃金との格差の比較をどういうふうな方法でやっていくかということになりますと、これは現在技術あるいは考え方としてもなかなかむずかしい点があるわけであります。また同時に資料としても十分に現段階においては整理されたものはないということもあると思います。なかなかむずかしい問題でありまして、いろいろまたその解釈、考え方、これは管理者側と労働組合側と考えが違ってくるということも当然起こる可能性もある問題であります。その辺が私どもが団体交渉等をやりますにあたりましても一番問題になる点であろうと思います。今回の新賃金問題の交渉にあたりまして、公社の主張といたしましては、当時の事情といたしまして、公社職員と民間職員との間の格差は、いろいろな資料を参考といたしまして、大体においてないという主張でございました。ただ初任給の点におきましては、これは民間賃金あるいは公務員の初任給等に比べましても、ものによりましては劣る面がありますので、その点を中心とした給与の改訂をやる、こういうことを申し上げておったわけであります。ただ、そういう団体交渉あるいは調停、仲裁の過程におきまして、御承知の春闘といいますか、そういうようなことで民間の賃金におきましても方々でも引き上げがなされまして、団体交渉をしておりました当初における状況が民間賃金とバランスがとれておるということでございましても、民間のほうが上がってくれば、これはバランスがとれなくなるわけでございます。しかしそういう点、民間賃金の全体としてどういうところにおさまるかという帰結がはっきりいたしませんのでしからばどの程度まで公社の職員の給与をそういう民間の引き上げに比準して上げていくべきかという点につきましては、公社としては積極的な意見は申し上げませんでしたが、向こうが上がればこちらも上げて比例をとっていく必要があるということは公社としても申し上げておったわけであります。公労委の今回の裁定におきましても、そういった点が考慮に取り入れられまして、今回の裁定が出ておるというふうに私ども実は考えておるわけであります。
  38. 平林剛

    ○平林委員 今度の賃金紛争の当初にあって、専売公社が民間賃金との比較において格差がないという見解に立って、きわめて微々たる回答を出されたことはよく承知しております。しかしその後におきまして、池田総理と太田総評議長とのトップ会談におきまして、民間賃金との格差是正に努力をするということは、お互いに民間賃金との格差のあることを認識しあって、またその認識に立って格差是正に努力をするという取り決めが行なわれたものと理解するのが正しいと思うのであります。そこにおきまして、専売公社も、政府の最高責任者である総理の意向を受けて、新しい観点で——資料はいろいろな資料がございまして、資料のとり方でも議論がありましょうけれども、少なくともこの争議を回避するという政治的な手段として行なわれた結論に対しましては忠実でなければならぬ。いまお話をお伺いしますと、その後においては専売公社としては積極的な結論をお持ちにならなかったというようにお聞きするのでざいますけれども、さようでございましょうか。
  39. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまの民間企業との格差是正につきましての池田総理と太田議長のお話は、直接には私ども存じていないわけでありますが、これはもちろん実態が究明されていないわけでありますから、格差があるとすればこれを是正しよう、こういうお話だったと私どもは考えておるわけです。それで先ほど申し上げましたように、団体交渉等の過程におきましては、民間賃金で二、三賃上げの決定を見たものもございましたが、当時は全体から見ますればまだきわめて少数のものしか賃上げの最終決定に至っておりませんし、また全体としてそういうものがそろいましたときにどういう形になるかということもつかみにくい情勢でありますので、公社といたしましてはそれとバランスをとる必要は認めておりましたが、具体的な提案としてどの程度の是正をすべきかという数字は出しておらなかった、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
  40. 平林剛

    ○平林委員 この件についてはむしろ内閣の責任者である池田総理の責任の問題にかかっておると思いますから、これ以上申し上げません。ただ私、総裁にお尋ねしておきたいと思いますことは、民間賃金との格差是正に努力をするということばは、その具体的な内容に入りますと、どういうような民間と比較をするか、比較する民間の企業の規模はどの程度と考えるか、そしてこまかい内容の検討に入って具体的格差はどうあるかというふうに分析をしていかなければならぬと思います。同時に、先ほど専売公社総裁がお話しになりましたように、専売公社法には、絶えず民間賃金との比較、そのバランスをとって公社職員の賃金をきめるという法律の規定がございますから、当然公社としても一定の御見解をお持ちだろうと思うのであります。総理大臣が太田総評議長と約束するしないにかかわらず、公社自体としては民間企業のどういうところと比較をするか、どの程度の規模が妥当と考えるかという点については一定の御見解をお持ちにならなければならぬはずであります。私はその点についてどういう見解に立っておられるかということをお聞きしたいと思います。
  41. 阪田泰二

    ○阪田説明員 民間企業と公社と比較いたします場合にどうい方法で比較をすべきかという点は、先ほどもちょっと申し上げましたが、かなり理論的にもまた実際的にもむずかしい面があるように思います。ただいま民間の比較対象となるべき企業の規模の点につきまして主としてお尋ねがございましたが、どういう業種と比較するかといったような問題、あるいはどういう職種と比較していけばいいのかといったような問題もあると思います。それから比較のしかたにつきましても、ただ平均賃金と比較するということだけでは、これはあまり意味のないようにも思われますが、一方から言いますと、たとえば年齢構成をウエートに入れて比較する、あるいは勤続年数でいくとか、あるいはもっとこまかく入りまして、職種といいますか、仕事そのものの比較によっていくほうがなお妥当ではないか、いろいろそういったような問題があるわけであります、ただ現実に比較いたします場合には、やはり資料がなければ比較するといいましても意味がありませんわけで、結局、現在ある職種の資料をいろいろととりまして、それによって比較する。それを参考にして、ある程度の見当をつけてやっていくという以外方法がないのではないかと思っておるわけでございますが、そういう意味におきまして、公社といたしましては、大体毎年そういう方法でやっておるわけでありますが、労働省の毎月勤労統計——毎勤と普通いっておりますが、事業規模五百人以上というようなものをとってやっております。そのほか賃金実態総合調査、三十六年四月に行なったものでございますが、これにつきましては企業規模十人以上、あるいは、千人以上といったようなところをとって参考にしております。それから東洋経済の統計月報につきましては、企業規模五百人以上といったようなものをとっておるわけであります。  労働組合のほうでは、専売事業というものは非常に大きな規模の企業であるから、こういう何百人以上といったようなとり方は間違っているので、民間の個別的な非常に大きな企業をとってきて、それとベースを比較すべきではないかというようなことを主張しております。そういうことも参考にしてやってみることも必要ではありましょうが、しかしこれをもって直ちにそれと比較して結論を出すべきものではないというふうに私どもとしては考えておるわけでありますが、何ぶんにも資料が十分でもありませんし、また比較のしかたにつきましても問題のある点であります。なかなかぴったりした、これでいけば間違いないといいますか、理論的にも実際的にもいいといったような方法はむずかしいわけでございますが、現状ではそういうふうにいたしておるわけであります。  今度の公労委が仲裁裁定にあたりまして、主として参考とされましたのは、全産業、企業別百人以上といったようなものを参考にしたように承ったわけでありますが、その点につきましては、そういう比較のやり方といたしまして、公社としては、それはいい悪いという問題ではなくて、資料が乏しいわけでありますから、こういうものが妥当と見られてこれによられたと思いますが、私どもといたしましては、どういう方法が一番いいかということにつきましては、今後も十分に研究を続けていきたいというふうに考えております。
  42. 平林剛

    ○平林委員 私は、いま総裁がお話しになりましたように、専売公社の事業規模また分布する工場の規模その他から勘案をいたしましても、従来公社が検討しまた大体の参考とされておりました五百人以上の規模と比較するという考え方は妥当なものだと考えておるわけです。ところが仲裁裁定を見ますと、また昨日の予算委員会における労働委員会の兼子委員答弁によりますと、公労委では百人規模と比較して今回の裁定を出された、組合側の主張は千人規模と比較してもらいたいという主張をしておりまして、その点では対立があったわけでございますが、そういう意味では専売公社が常々参考にし、そしてまたその調査を、また検討を続けておられた規模別から判断をいたしますというと、今度の裁定という基礎は適当ではない、こう考えられるわけであります。ただ、私は一言だけ総裁にお尋ねしておきたいのですが、組合側の主張によりますと、公社側では仲裁委員会におきましていまのようなお話をされて、五百人規模の民間企業と比較するのが大体適当ではないかという見解を述べておられるというのでありますけれども、そのことはいかがでしょうか。
  43. 阪田泰二

    ○阪田説明員 この点につきましては先ほども申し上げましたように、民間企業と比較をする方法といいますか、方法論につきましてはいろいろむずかしい問題があるわけであります。そういう意味で各般の資料を参考にしてきめておるということでありまして、確かにいまお話しの調停委員あるいは仲裁委員会の過程におきまして、公社で五百人以上の規模のものと比較をした資料というものは出しております。しかしそれが直ちにそれで結論がこうあるべきだと主張をいたしたわけではありません。
  44. 平林剛

    ○平林委員 専売公社でぜひ五百人規模で比較してくれというように強調したということをお尋ねしておりません。しかし公社が従来において、その責任者として全般を把握した上に立って民間企業と比較をする場合には、この程度の規模ということを参考としておられたということをいまお聞きしましたし、たぶんそういうことをお述べになったと思うのであります。しかるに、仲裁委員会において百人規模ということをいきなり出してくるということは、私適当でないのではないか、そういう意味では、今度の裁定については九十日間にわたる検討が行なわれたにかかわらず、仲裁委員会の結論というのはきわめて政治的であったということを逆な意味で私は立証できるのではなかろうかと思うのです。  そこで専売公社の総裁の今後の方向について将来の基本にもなると思うのでありますが、今回仲裁裁定で百人規模という比較で裁定がなされましたが、裁定そのものには服するという義務が公社にはありまするけれども、公社と民間賃金との比較においては、百人で今度はやるんだというようなお考えはなさらない。またそれまで服する必要はなくて、こうした問題については公社独自の見解で今後も検討をなさる、検討する必要があるとお感じになっておると私は理解するのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  45. 阪田泰二

    ○阪田説明員 仲裁裁定の問題につきましては、仲裁裁定の結論を出されまするまでに、仲裁委員会でどういう資料を使い、どういう考え方をなされたかというような問題も、実は私も伺って、いろいろ参考にしたほうがいいと思いますが、しかし結論としては、出ましたものについてはこれに従うといいますか、これを実施するほかないと思いまするし、またそれによって昨年来の新賃金の問題は決定された、終止符を打たれた、こう考えるべきであろうと思います。しかし今後の問題につきましては、これはいろいろと、またその後の情勢の変化、したがいまして、また当然組合側からもいろいろの要求が出てくると思います。そういうような問題の処理にあたりましては、公社としてはもう少しさらにいろいろ研究もいたしまして、公社としての考えで組合との話し合いにも当たってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  46. 平林剛

    ○平林委員 組合側においても、また私もある程度専売公社の事業内容を承知している者として、もし民間企業と比較をする場合には、製造業とか、あるいは食品製造業とかの比較がより実態に即しておるという見解を持っておるのでありまして、こういう点は今回出された仲裁裁定の民間企業との比較、規模別にかかわらず、とらわれず、私は専売公社法に規定をする民間企業との比較においては、誤りのない方向で今後も検討していただきたいということを希望いたしておきたいと存じます。  そこで今回の仲裁裁定が三公社五現業の基準内賃金の引き上げにあたって、国鉄、動力車には九・五%、全逓、印刷などについては七・五%、専売、電電公社に対しては六・五%と、それぞれ格差をつけたということは、相当の問題を投げかけておると思うのであります。公共企業体等労働委員会がこのような措置をとったことは、私の、承知しておる限りではきわめて異例なことであります。一度だけ国鉄の企業に対して四百円かの格差を認めたという事例を記憶しておりますけれども、きわめて異例なことであります。私は今日専売公社、電電公社あるいは全逓、印刷、国鉄、動力車との間にこういう格差を生じたということについて、専売公社の総裁はどういう御見解をお持ちになっておるか、どうお考えになっておるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  47. 阪田泰二

    ○阪田説明員 今回のいわゆる三公社五現業の相互間の格差の問題についてお尋ねでありますが、私どもといたしましては、国鉄あるいは電電、郵政その他の公企体の給与、これは私どものほうの関係ない人さまの給与の問題でありますので、それにつきましては何ら特別に申し上げることはございません。ただ今回仲裁裁定で各公社五現業に出されました内容を拝見してみますと、いずれも民間賃金との格差を比較して、それによって出されておりまして、結果として各公社、現業の間にアップ率の差ができた、こういう形になっておるように思うわけであります。したがいまして、問題は公社間の格差とかいうような問題でなしに、民間産業との比較のしかたからああいう結果が出てきておる。国鉄と電電公社あるいは専売公社、これらを比べますと、人員構成、これは男女別、年齢別構成等において、非常な差のあることは明瞭でありますから、ああいう民間産業との比較のしかたをいたします以上は、ああいう結果の出ますことはむしろ当然じゃないかといったような気もいたすわけでありまして、私が先ほど来民間産業とのベースの比較ということにつきましては、いろいろ方法論としても考え方としてむずかしい問題があると申しましたのはその点でありますが、そういう点につきましては、私どもといたしましても今後も十分に、先ほどの企業規模の問題だけでなく、いろいろな観点から研究していきたいと思っております。専売公社職員の職務、労働にふさわしい給与を与えるということが、何といいましても基本になると思いますので、その点に重点を置いて、今後もそういう意味でいろいろ研究をしてまいりたいと考えておるわけであります。
  48. 平林剛

    ○平林委員 総裁の御見解が将来に前進的な意味で改善されていくことを私は心から希望します。同時に、今回は、仲裁委員会の取り上げた民間企業そのものが、大きな意味で問題を残したと私は思うのでございますけれども、百歩譲れば、民間企業の賃金に対して、それぞれの企業体の賃金を近づけた、つまり一定の天井に近づけたので、いま指摘をいたしましたようなそれぞれの裁定の内容の差が出てきたのだというふうにも理解できるわけであります。ところが、私は、それならば今日までそれぞれの差があったという理由はどういうところにあったかということが問題だと思うのであります。つまりこういう差をつけてバランスをとらなければならないような違いが生じてきておった理由は何かということであります。この点について、私は、企業間の格差は、職種、年齢、学歴、勤続などの諸要素、それに賃金を決定するにあたっての歴史的な条件というものがこの差にあらわれてきておったのではないかと思うのであります。つけ加えていえば、専売公社における労使の団体交渉の集積というものがその差をつけてきた、いい意味の労使の間における交渉の集積がこの差であったということもいえるのではないかと思うのであります。ところが、公共企業体等労働委員会は、民間との賃金格差是正に名をかりて、労使の自主的団体交渉の成果まで否定をし、いい意味での、今日まで積み重ねてきた労使の成果というものを帳消しにして、労使のよい慣行まで無為にさせた結果に実際にはなっているのではないか。私はこの労働委員会というものが、専売、国鉄、全逓をはじめ、争議権のない職員団体に対して与えられた保障機関としての役割りを果たさないばかりか、むしろよい意味の団体交渉を破壊をしておるという点で、きわめて遺憾な点を感じておるわけでございます。専売公社の総裁として、こうした問題についてはどういう御見解をお持ちですか。
  49. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいま御指摘のように、各公社といいますか、専売公社につきましても当然そうでありますが、給与ベース、賃金のベースというものは、長年にわたる団体交渉あるいは調停とか仲裁とか、そういうものもすべて含めまして、要するに長年にわたるそういうものの結果として、現在の現実のベースはできておるのであろうと思うのであります。これからもいろいろそういう現実の交渉の結果、仲裁の結果というものがつけ加わりまして現実のベースがきまっていく、これはむしろ当然のことであろうと思います。そういう意味におきまして私どもといたしましては、最初にも申し上げましたように、これから、第一段には労使の団体交渉の過程というものを通じまして、専売公社職員にも、適正な、専売公社職員の仕事にふさわしい労働条件、給与が与えられますよう、私どもとしても十分努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  50. 平林剛

    ○平林委員 私の指摘に対して的確なお答えをいただけませんでしたけれども、意のあるところはおわかりになると思うのであります。今回の仲裁委員会のとられた態度には、こうした問題も含まれておると思うのでありまして、私は、今後労働問題に関する法律案検討されるときは、こうした点も検討の課題に入れておかなければならぬ問題だと考えておるわけで指摘しておきました。  きょうはあまり時間がございませんから最後に一、二お尋ねして私の質問を終わりたいと思います。  裁定の内容についてはいろいろ問題があり、この裁定に対して重大な不満を労働組合が抱いておりますことは私は無理でないと思うのであります。今後、この解決のために、先ほど総裁が言明されましたように、前向きの形でその不満解消のために努力を払われるということを希望いたしておきたいと思います。たださしあたり問題はこの裁定の実施にあたっての原資でございまして、昨日の予算委員会における質疑の中で、田中大蔵大臣は、専売公社については十五億八千万円を移流用と予備費でまかなう、あるいはまかなえると述べておるのでございますが、この点は間違いございませんか。私の心配は、この結果、公社の運営にあたって、あるいはその他の事業にあたって、やはり支障が出てくるのではないだろうかと思うのでございすが、この際専売公社の見解を示しておいていただきたいと思います。
  51. 阪田泰二

    ○阪田説明員 今回の仲裁裁定に関する予算措置といたしましては、いまお話のありましたとおり、大体十五億八千万程度を必要とするわけでありますが、専売公社といたしましては、現在予備費だけでも二十億円計上いたしております。これでも出るわけですが、その他にも移流用いたしまして、こちらへ回す余地がありますものは回しまして、大体今回の予算的な措置はいたしたいと思っております。またそれによりまして、今後の事業の執行に支障が生ずることがございませんよう十分に注意して経理をやってまいりたいと考えております。
  52. 平林剛

    ○平林委員 国家予算並びに政府関係機関における予算を審議した場合には当然必要な経費を盛られて、その中に相当多額の金額を移用、流用さるべきものと期待をして審議をされたものでないと思うのでありますから、そういう意味ではむしろ正しくは補正予算を組んで善処をしていくということが専売公社としても必要であると思いまして、この問題は後にわれわれ議論をしてまいりたいと思います。ただ、この公労委の仲裁委員会の裁定におきまして、財源措置については「生産性の向上その他業績改善のための公社・組合一体となった努力と関係者の善処に期待する」となっておるわけでございますが、まあ関係者とは政府あるいは大蔵省とかというところ、また専売公社という意味でございましょう。しかしその前段に「生産性の向上その他業績改善のための公社・組合一体となった努力」ということがうたわれておるのですが、これは一体どういうことなんでございましょう。公社としては、具体的にどういうふうに受け取っておられますか。
  53. 阪田泰二

    ○阪田説明員 公労委の仲裁裁定には確かにそういったような理由書の中に説明がございますわけでございますが、まあ私どもといたしましては、これは公社の事業の生産性の向上をはかっていく、業績改善のために最善の努力をするということは、これはまあ公労委から言われるまでもなく当然のことと考えておりますので、常時その努力は怠ってはならないと思っております。またこれがたまたま公社といいますか、管理者側だけでこれができる問題ではありませんので、どうしても組合の協力を得て、労使一致してこれはやっていかなければならない問題だと心得ております。まあそういう意味におきましても、先ほど来いろいろと申し上げましたように、今後ひとつ労使大いに話し合いをいたしまして、公社の業績を——こういうことがありませんでも、生産性をさらに向上していく、業績をあげていくということにつきましては今後とも十分にひとつ努力してまいりたい所存でおります。
  54. 平林剛

    ○平林委員 私は仲裁裁定の中にこういうことばを書き入れるということ自体が書かずもがなのことであると思いますし、本来こうしたことは労使の間において自主的に解決すべき問題で、財源措置として麗々しくうたうべき筋合いのものではないと思うのでありまして、こういう点にも今回の裁定の内容についてきわめて不満なものを包蔵しておると思うのでございます。しかし専売公社に私は一つだけその翻意を促しておかねばならぬ点があります。それは、専売公社は先般、今次紛争における措置として、労働組合の幹部組合員に対して相当大幅な処分を行ないました。その理由は一体何ですか。われわれ不満があり疑問がありましても、財源措置を生むために「公社・組合一体となった努力」が必要であると仲裁裁定にはうたわれておる。この大幅な処分を行なったことによって、これがそこなわれるということになりますれば矛盾が生ずるじゃありませんか。またいま公社総裁は、これからの諸問題解決のために労使が一体となってその理解の上にやりたい、国民もまた最近のたばこ需要の状況から考えましてハイライトをたくさん吸いたいという希望がある、これにもこたえていかねばならぬ、こういう立場から見ますと、今回専売公社が行なわれた処分の断行ということは適当でないように思われます。そこで一体こういうことをおやりになった理由は何か。いわんや今国会は御承知のようにILO条約八十七号の批准の問題をめぐって国会としての結論がいま出されようとしております。こうしたときにこれらの処分が行なわれたということは、私は総裁として何かお間違いをなさっておるのじゃないかと思うのでありまして、その理由、またただいま指摘した諸般の事情から見て矛盾をしておると思いますが、それについてお考えを示していただきたいと思います。
  55. 阪田泰二

    ○阪田説明員 先般、今回のいわゆる春闘の過程におきまする労働組合の行為につきまして処分を発令いたしたわけでございますが、これにつきましては労使いろいろと話し合いをしていく、交渉を持ってまいりますということはこれはまあ進めるわけでありますが、同時にまたそういう労働組合のいわゆる闘争と申しますか、そういう過程におきまして就業規則に違反するような行為があった、そのため専売公社の事業の執行を阻害したというようなことに事態がなりました場合には、それはそれとしてやはり相応の処分をすることが、これはまあ当然であると私どもは考えておるわけでございます。今回の、昨年来の交渉の過程におきまする争議行為につきまして詳細に調査いたしました結果、これは何も好んで処分をいたすわけではありませんが、やむを得ないと考えますものにはそれぞれ相応の処分をいたしたわけでございます。これによりまして労使相互間お互いに主張するところを述べ合って交渉していく交渉過程におきまして問題を解決していく、こういったような考え方につきましては私何ら変わりはないところでございます。
  56. 平林剛

    ○平林委員 私は最近労働組合側が国民の要望にこたえてハイライトの増製のために年間百数十時間の超過労働を行なうということについて、暫時公社と協力し国民のサービスのためにつとめておるという実情を承知しております。そういう努力は重ねておるのであります。しかるに今回こういう処分が行なわれたということは、公社のおとりになった態度というものは——いろいろな事情があるかもしれません。しかし時期的に見て、そうしてまた現在の労使関係から見てあまりにも機械的、あまりにも従来とってきたことを安易に繰り返すやり方、その間において将来の専売公社の運営について思いをいたす点にいささか欠くる点があったのではないか、賢明な専売公社総裁初め首脳陣がおるわりにしてはへたなことをやったと思っておるわけであります。この主張は委員長初め各位においても、平林の言うておることはおおよそ常識じゃとお感じになっておると思うのでありまして、そういう意味においては専売公社はどうかひとつ今回の措置につきましていろいろの検討をなさって、妥当な線に落ちつけるようになお努力をしてもらいたいということを希望いたしたいと思うのであります。  きょうは十二時までというお約束でありましたが、若干時間が超過したことを委員長におわびをいたしまして、私の質問は、公社総裁に対する希望を添えまして終わりたいと思う次第でございます。
  57. 山中貞則

    山中委員長 残余の質疑の通告者は次会に譲ります。  次会は、明三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会