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1964-05-12 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十二日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奧野 誠亮君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    谷川 和穗君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       日野 吉夫君    平林  剛君       竹本 孫一君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月八日  委員岡良一君及び田中武夫辞任につき、その  補欠として赤松勇君及び藤田高敏君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員赤松勇君及び藤田高敏辞任につき、その  補欠として岡良一君及び田中武夫君が議長の指  名で委員に選任された。 同月十二日  委員田中武夫辞任につき、その補欠として森  義視君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森義視辞任につき、その補欠として田中  武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  公衆浴場業に対する所得税法人税及び相続税  減免に関する請願椎熊三郎紹介)(第三四  〇九号)  同(田口長治郎紹介)(第三四一〇号)  同(坂田英一紹介)(第三四四〇号)  同(福永健司君外一名紹介)(第三五九三号)  税理士試験制度改正反対に関する請願堀昌  雄君紹介)(第三四七三号)  公認会計士特例試験等に関する法律案反対に関  する請願横山利秋紹介)(第三四八八号)  豪雪地帯における国税等軽減に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第三六一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  公認会計士特例試験等に関する法律案内閣提  出第一五五号)  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五七号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案公認会計士特例試験等に関する法律案税理士法の一部を改正する法律案及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案につきまして、質問をいたしたいと思います。  そこで、まず条文的にこれを追って質問をいたしたいと思うのでありますが、第一条の中に「外国特殊機関職員に係る」云々、こういうことがありますが、この外国特殊機関内容をつまびらかにしていただきたいと思います。
  4. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 外国特殊機関といたしまして今回新たな措置をいたそうと考えておりますのは三つございまして、一つは、旧満州開拓青年義勇隊訓練機関に勤務された職員であります。第二は旧満州国協和会職員であります。第三は旧上海共同租界工部局職員でございます。これらの職員でございまして、いずれもかつて国家公務員または地方公務員であられた方がこれらの機関にいわば出向と申しますか、実質上の出向でございますが、国家公務員なり、地方公務員を退職されて、向こうに出向かれた。そうして終戦時までこういう機関に在職しておられた、こういう方々について今回通算措置を講じようというものでございます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。そこで続いて質問をいたしますが、満州開拓青年義勇隊訓練機関、さらには満州国協和会上海共同租界工部局云々ということでございますが、まず前段の青年義勇隊訓練機関、これはわかるのですが、満州国協和会並び上海共同租界工部局というのはどういうものであるか。内容を明らかにしてもらいたい。
  6. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 満州国協和会性格につきましては、必ずしも的確なる説明は、私どもできるかどうか若干疑問がございますが、伺っております範囲内において御説明を申し上げたいと思います。  満州国協和会自体は一応民族国家としての満州国特殊事情に基づく国家統治法の機構の一部を分担するというふうな形でつくられたものというふうに考えられておりまして、その性格満州国統治の特性に基づいて近代国家における政府における行政だけではうまくいかないというようなことを考えまして、これと政府と表裏一体をなす形で、思想的あるいは教化的、政治的実践活動を行なうというためにつくられたものであるというふうに理解いたしております。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 これは恩給局の方がきてからお伺いをいたしたいところでありますが、その前にひとつ具体的に。この特殊機関職員でこれを今度適用される人員義勇隊何ぼ、協和会何ぼ、上海共同租界工部局何ぼ、こういうふうに具体的に説明してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  8. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 旧満州開拓青年義勇隊訓練機関対象人員でございますが、正確な数はこれからさらに調査をいたさなければならぬ点がございますが、約二百五十名というふうに伺っております。また旧満州国協和会職員であってかつ日本国政府等から出向いた方々、こういう方々は七十名程度であるというふうに伺っております。旧上海共同租界工部局職員につきましては、現在調査中でございまして、人数は明らかでございませんが、これはごく少数であろうというふうに伺っております。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 いまの御答弁の中に上海共同租界工部局職員がわからないということなんでありますが、わからない問題をやはりこういうふうに適用させるというところに問題があると思うのですが、この点の明確な把握というものがなされていないということはどうなんですか。
  10. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 御承知のように、今回共済組合法の、長期給付に関する施行規定を適用いたそうと申しますのは、本来共済組合としての立場において問題を処理すると申しますよりは、先生も御承知のように恩給法改正が今回予定されておりまして、その恩給法公務員期間としてこれらの機関に勤務した期間を取り入れるということになったわけでございまして、そのはね返りといたしまして、当然共済組合法におきましても、旧法時代沿革等から見まして、これを取り入れざるを得ない。いわば自動的な意味において取り入れざるを得なかったわけでございます。そこで、満州国の場合、満州国協和会なり、あるいはその機関の場合等につきましては、人数等も比較的多数でございまして、過去につくられた機関によって人数等を私どもも推定するわけでございます。上海共同租界工部局につきましては、恩給法関係人数等はおわかりかもしれませんが、さらにその中で共済組合法長期給付制度のみの適用を受ける人員がどれくらいあるのかということは、残念ながらこの法律案提出の時日までに見当をつけることはできなかったわけでございまして、本来の制度改正として当方から提出する段階であれば当然その点も十分考えてやらなければならなかったわけでございますが、いま申し上げたような経過提出されたわけでございますので、まことに申しわけございませんが、これからの検討に待ちたい、ただ先ほども申し上げましたように、ありとしてもきわめてわずかな数字であろうということでございまして、その程度で御了解をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると恩給改正されるから、いわば共済組合としては受け身の形である、こういう言い方だと思うのです。そういうふうなかっこう答弁をされますと、現実恩給自体改正をされるに至った経過、こういうものをひとつつまびらかにしていただかなくてはならぬと思いますが、この点はどういうものでしょう。
  12. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 恩給法改正経過でございますが、これは私ども主管官庁でございませんので、本来恩給局から御答弁をいただくべき筋合いのものであろうと思いますが、これまた私どもがわかっております範囲において御説明申し上げますならば、一昨年の恩給法改正によりまして、旧満州国に勤務しておられた方々満州国職員としての勤務期間恩給法上取り入れられ、さらに昨年満鉄その他の期間につきましてやはり恩給法上の公務員期間に取り入れられることになった。こういう経緯がございまして、その際に満州国関係その他北支那、中支那関係で、これらの満鉄その他国鉄関係あるいは電電関係、あるいは専売関係期間を取り入れるにつきましてなお漏れがあるのではないかという御議論があったわけでございますが、その一例といたしまして、たとえば満州開拓青年義勇隊訓練機関職員等については、性格的に見て、これはやはり同様に取り扱うべきではないかというような御議論があったわけでございまして、その後さらに恩給局で御検討を進められまして、その機関性格から見て、満州国協和会並び上海共同租界工部局等もやはりその職員の処遇上、満州国政府等々と、あるいは国の機関等々と同様に取り扱うのが適当であるという結論に到達せられたようでありまして、その結果これらの三機関職員について恩給法期間に取り入れるという措置を講ぜられたのであります。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 これは恩給局の方にお話をしたいところですが、大体私が把握しておりますところによりますと、これは満州開拓青年義勇隊とか、さらには上海共同租界云々と言っておりますが、実質的には特審、特高警察、こういうものだけが含まれておるということが言われておるわけです。恩給局もこの問題についてはかなり圧力が加えられたということで苦慮しておるということを聞くのでありますが、そのことはさておきまして、たまたま、いま給与課長のほうからおっしゃられましたけれども、このいわゆる満州開拓青年義勇隊の問題とからめて、過去においてこれも当然共済組合として考慮せなければならないというような附帯決議なるものがつけられたということについて御存じのとおりだと思うのです。その点の実施をどのように解決しようとしておるのかをお伺いをいたしたい、このように思います。
  14. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ただいまの附帯決議の点と申されますのはどういう点でございますか。もう一度もう少し具体的に御指摘をいただきたいと思います。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 これは恩給法の一部を改正する法律案に対する附帯決議といたしまして、昭和二十八年の恩給法改正により云々から始まって、沖繩に対するいわゆる戦時加算の指定及び抑留の問題、ここまで言えばおわかりだと思うのでありますが、その中にいわゆる満州開拓青年義勇隊の問題も入っておるわけですね。以下ずらっと並べられております各種項目が全然今度の問題には出てきていない。むしろただ、いま私が指摘をした特審関係の者だけがここにクローズアップされてきておる、こういう関係を私は言っておるわけです。共済組合といたしましては当然そういう問題の解決もやはりやるべきではないか、こういう点でどのような見解を持っておられるのかということを聞いておるわけです。
  16. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ただいまの附帯決議の中で沖繩戦時加算の問題は今回あわせて処理をされておるということでございます。その他いろいろ恩給法並びに共済組合法を通じまして制度上の問題点がございまして、それについて附帯決議をいただいていることは事実でございますが、その中の一番大きな柱にもなっておるかとも思いますが、たとえば、既裁定年金のベースアップの問題等があるわけでございます。こういった点を中心といたしまして現在公務員年金制度連絡協議会というものをつくりまして、恩給共済を通じて検討中でございます。したがいまして、これらの諸点についてこの連絡協議会においてある程度結論を得ますならばこれを予算化し、制度化していくというふうな運びにいたしたいと考えておりまして、ただいま鋭意検討をいたしておるところでございます。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 今度は纐纈政務次官に特に要望いたし、かつまた決意のほどを表明していただきたいと思うのでありますが、三十四年の四月二十七日に当時の佐藤榮作大蔵大臣はこの附帯決議について次のごとく答弁をされておる。政府は両院の附帯決議については十分尊重するということをいつも申します。このようなことばを繰り返しておるのでは申しわけないと思います。したがって、今後附帯決議についてはほんとうに誠意を持ってこれが実現に努力することを明言して答えにかえさせていただきたいと思います。このように述べられておるのであります。しかるに、いま御答弁になられております給与課長お話なのでありますが、鋭意努力中である、検討中である、こういうような御答弁なのであります。少なくとも三十四年の四月二十七日であります。そのように当時の大蔵大臣である佐藤榮作さんが申されておることは私は率直なことばとして、ことに誠意のあることばとして耳を傾けたいと思います。しかるに、なお今日そういうような附帯決議が全然無視されておるということは一体どういうことなのか。さらにまた、こういう問題について政府誠意がない、言うならばその場限りの答弁をしておるということにとられても私はやむを得ないと思う。この点についてどういうふうに思われるか。これは大臣がおったほうがいいのでありますが、纐纈政務次官から一応この点について明確な御答弁を願いたいと思います。
  18. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま給与課長から御答弁を申し上げました中にも恩給法に拾い上げられたものをそれと調子を合わせる意味においてやっておるということは御了解いただいたと思うのでございますが、ただいま佐藤蔵相附帯決議に対します答弁につきましては、実は大蔵省といたしましても協議会をつくりまして検討いたしておるわけでございます。恩給法のほうにおきましてもいま申しましたように部分的に拾い上げておるものでございますから、それとマッチさせるために部分的の改正を試みておるようなわけでございますが、協議会も引き続き誠意を持って、検討しておりますので、大蔵省といたしましてもこの附帯決議に対する答案といたしまして、この協議会をできるだけ——おそらく今年度中には大体結論が出るようになるのじゃないかと考えられますが、そういう程度で進めておりますので、大蔵省といたしましても今後誠意を持ってこの附帯決議実現に努力いたしたい考えでございます。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 いま政務次官のほうからそういう御答弁がありましたが、今度出されております恩給法改正に伴う共済組合法施行法の一部改正の中にも、私が当初に触れましたように、農地報償と同じような姿の中で、特審だけをここにクローズアッブされてきておるところに私は問題があると思うのであります。なぜなら、いま給与課長のほうからも述べられておりますけれども、実際問題として農林省のあたりには農林公社林産公社などというものがあるはずであります。こういう問題がこの中に全然入らないというのは一体どういうことなのか。さらにこの恩給法の問題にからめての問題であるならば、先ほど申し上げたような附帯決議を一体どのように政府としては尊重し、かつそれに基づいて実施に移していこうとするのか。附帯決議だとかそういうほかにまだワクを拡大しなければならないような問題があるにかかわらず、今回特にこういう問題を出してきたというのは、私は率直に言って恩給局に対して外部団体からの圧力があるのではないか。そういうものに政府農地報償と同じように、先ほど申し上げましたように政策の具とでもいいますか、そういうふうなかっこうでこれを出してきたというところに私は問題があると思います。そういう点で、この農林公社さらには林産公社などの取り扱いについてはどういうふうに配慮されたのか、給与課長のお答えを願いたいと思います。
  20. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 この三機関を拾い上げました点につきましては、たとえば社会保障制度審議会等の場におきましても、陳情等があったものだけについて恣意的に拾い上げるのはよくないというような御意見も承っております。ただ、現在の段階恩給局等で御調査範囲におきましては、確かにこれらの三機関以外に拡張する考え方もないというふうに伺っております。その限りにおきましては、今回の改正をもってこれ以上の拡張はないのではないかというふうに私どもは考えております。ただ、御指摘林産公社等につきましては私どもも正確に伺っておるわけではございませんが、恩給局から間接的に伺った範囲におきましては、国家公務員等から少なくとも直接出向されておる例というものは比較的まれであると申しますか、少なくともそういう意味において御要望もあまりないというふうに伺っております。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 いま給与課長のほうから審議会の問題が出てまいりましたが、給与課長審議会に出ておられてお詳しいと思いますが、審議会結論としても、これについては批判の余地も少なくないという形の中で、しかし最終的にはこれを認めるという結論が出たと思うのです。それでここにはかなり批判があるということは何といっても事実なんであります。しかしながら私さらに申し上げたいのは、恩給に関する部分に対しましては諮問機関がない、いわゆるチェックする場がない。——チェックする場は国会でありますけれども、そういう点で、共済組合関係につきましては審議会におきまして十分に意見を聞き、さらにはそうした一つ答申等も、十分ではありませんがそういうものも出てまいりますが、事恩給に関する限りは今井一男さんもおっしゃっておりますけれども、チェックする場がない、こういうことを言われておるわけであります。そういうふうな面におきまして、私は恩給自体が何でもかでも圧力団体からこれを加えられてきたら、恩給のいわゆる法改正がなされる、こういうことについては、私はかなり問題があろうと思います。そういう点で、もう二十年もたっておるわけでありますから、戦後でもありません。そういう面につきまして、戦争救済については恩給だけを残しておるということになっておるわけでありますが、公務員でさえ恩給がなくなったのでありますから、この点もひとつ、いわゆるそういう戦争救済のものは別個に取り扱うような方途を考えたらどうか、こういうふうに思いますが、その点はどうでしょう。
  22. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 戦争救済と申しますか、あるいは終戦に伴う処理と申しますか、そういった形において、これらの問題をすべて処理していくことが適当であるのか、あるいは少なくとも旧公務員制度の一環としての恩給法体系処理していくのが適当であるのか、これがなかなか御意見の分かれるところであろうと思います。たとえば旧軍人恩給という形のものの中の遺家族に支給されるもの等につきましては、一つ考え方としては、むしろ社会保障体系の中で考えるべきだという御意見もあるのでございまして、そういった点を総合的に勘案いたしまして、どのような行き方をするのがいいかというようなことは、立場立場によってかなり異なった答えも出る問題であろうというふうに考えます。したがいまして、今後恩給局がどのような考え方において、そういう形で処理していかれるのが妥当であるか、あの範囲内までは旧公務員体系としての恩給法考え方処理し、それを越える部分については、おそらくは終戦処理としての社会保障的なものなり、あるいは一般的な救済措置という形で処理されるのが妥当であろうと思いますが、その限界がどこにあるかという点については、恩給局自体としても十分御研究であろうと思いますので、恩給局考え方に従っておやりいただく以外にはなかろうというふうに考えております。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 ちょっとあと先いたしますが、もとに戻りまして、給与課長のほうから満州開拓青年義勇隊、さらには上海租界工部局問題等について、これは冒頭に私の質問答えて、特殊な事情でそこに派遣せざるを得なかったという御答弁があったわけでありますが、それをもう少し具体的に御答弁願いたいと思います。私ちょっと聞き漏らした点もありますので……。
  24. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 たとえば満州開拓青年義勇隊訓練機関職員の派遣の状況でございますが、これらの職員と申しますのは、おおむね内地における小中学校の教員であられた方であると思います。これらの職員が派遣されるにあたりましては、県によってかなり差はあったようでございますが、それぞれの県から出ていかれる開拓義勇隊のあるいは父として、あるいは兄としてという立場において指導されるということもありまして、その県から教職員が出かけていかれるということは、当時の社会的な要請として非常に強かったわけでございます。そこで県によりましては、県の職員として在職のままでこれらの義勇隊訓練機関職員になられた場合もあるわけでございますが、おおむねの県におきましては、一応やめられて出かけていかれるという形になったわけでございますが、その場合におきましても、先ほど申し上げたような事情で、どなたかが出かけていかなければならぬということで、実質的に勧奨というような形で出かけていかれた例が非常に多いわけであります。そういった意味におきまして、実質的に見るならば、当時の国または地方職員という方々が、国の要請に応じて出かけていかれたというふうに考えてしかるべきではないかというふうに思います。  それから満州国協和会関係におきましても、これは率直に申しまして、満州国政府職員人事交流等も盛んに行なわれたわけでございまして、その観点からいたしまして、当時の満州国恩給法その他の取り扱いたおきまして、当然期間通算を認めていくというような考え方をいたしておったのでございます。  上海共同租界工部局取り扱いにつきましても、大体これと同じような考え方処理されておるわけでございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 上海工部局の場合におきましても、大体そのように措置をされておるということでありますが、この点もう少し明確にしていただきたい。
  26. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 上海共同租界工部局と申しますのは、設立は明治四十二年に当たるわけでございますが、その内容を見ますると、組織といたしまして、秘書局の下に法務部財政部教育部収税部警察部消防部衛生部土木部物資統制部というような組織を持っておりまして、この名称から見てもおわかりになると思いますが、実質的に見て、共同租界政府機関であったわけでございます。したがいまして、これらの共同租界責任の一端をになっております日本国政府といたしましては、当然これらの機関に何らかの職員を派遣してその責任を果たすという必要を持っておったわけでございまして、そのために警察職員あるいは一般職員の中から、これらの工部局に出かけてまいりまして、その職員として勤務したということになるわけでございます。したがいまして、その実態が政府機関と実質的に同じであるということもございまして、今回同様の取り扱いをいたすということになったわけでございます。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 私はすなおにいまの御答弁を受け取りたいと思いますが、また反面ひねくれるというよりも、現実に私の把握した情報に基づいた一面もありますけれども、この面はまた次の機会に申し上げることにいたしまして、いま給与課長が申されたその御答弁をすなおに受け取ったときに、もしかりにそういう方々であれば、たとえば小学校の教員、しかも県から選出されて、やむを得ずということばはおかしいのですが、派遣をされたという方については、私は、率直に言って気の毒だと思うのです。だから、これはこういう措置をしても私は当然いいと思うのでありますが、もちろんそういうことになりましても、そういう状態がただ抽象的に言われるだけでは私は納得できないのです。  そうすると、少なくともそういう面について、いわゆる政令か、さらに県からまた市から新たに出向を命ずる、こういうものが私は出ておるはずだと思う。出ていなければおかしいのでありますが、そういう文書があれば私は納得いたします。なければあくまでもこれは抽象論です。そういう点で、おそらくいまの給与課長のおっしゃられたことばを裏づけするそういう文書があると私は思います。その点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。そうしてまたその点に対する当然の資格というものがあり、さらにそういう者について初めてこれが適用されるのだというふうに私は解釈するのです。それがなければこれは適用できない、こういうふうに考えますが、いかがですか。まず文書の問題だけお答え願いたい。
  28. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 文書につきましては、率直に申し上げて、私ども伺っておる範囲で、明確にこれこれを委嘱するというような形のものは残っておりません。と申しますよりは、むしろそういうはっきりと委嘱するというようなかっこうのものは、一部の県にありましたように、当該県の職員の資格のままで行っておられるわけでございまして、そうでない場合はやはり退職の形をとりまして出向しておられるわけでございますから、その場合においてはあるいは残っておるかもしれませんが、一般的には文書はないということを言わざるを得ないと思います。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 給与課長も御承知かと思いますが、戦前の命令というものは、赤紙と同じように、すべてそういう文書がつきまとったものなんです。そういうものがないなどということは、まあこれは本人が持っておるか持っていないか、これは別であります。しかしながら少なくともそういうものが政府なりさらにはそういう県、市において記録として保管されておらないということは私は絶対にないと思う。そういうことがもしかりにないとするならば、あくまでもいまの御答弁そのもの自体は矛盾をしておる、また偽りであるということを指摘せざるを得ないわけです。そうした面で私はここで確認をしたいのは、そういう文書があり、さらにまたその文書の中でその人たちの県、市における明確な派遣というものが明らかにされるのでありますから、その派遣をされるということが明らかにならない者については今回のこれは適用されない、この点を私は明確にしたいと思っています。それで、まずその点について、文書の問題は何としてもこれはないということでは済まされないのであります。その点をひとつ調査をいたしてもらいたい。それで私にこの委員会において明確にこういうような文書が各県で出され、さらに政府も出し、そしてそういう形の中で国家がこの人たちをそういうところに派遣をしたんだという、こういうものを明確にしてもらいたいと思う。以上です。
  30. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 当時の状況をもう少し詳しく申し上げますと、現職のまま送り出されたのは岡山、佐賀の二県でございます。さらに休職という形で送り出したものは岩手、福井、山梨、広島、香川の五県でございます。その他は全部退職という形になっております。おそらく退職という形になっておりまして、先生がただいま御指摘になりましたように、何らかの形で文書による委嘱とかそういうものがあったとするならば非常にけっこうでございますが、少なくとも任意退職という形をとらしておりながら県が委嘱するというような形はそれ自体矛盾するわけでございまして、自主的に話し合い等が行なわれて、だれか行ってほしいという形で退職で出られたといたしましても、ただいまのような処理状況から見まして、文書によってはっきりと確認できるものはおそらくないということをいわざるを得ないわけでございます。ただ、それだからといって直ちに適用するべきではないかどうかという問題は第二段の問題としてあるわけでございますが、私どもとしてはこれらの満州開拓義勇隊等の性格から見まして、それらが満鉄その他、いわゆる昨年恩給公務員期間に算入されたバランスから見まして、取り扱いを大きく異にする理由はないという観点からいたしまして、これを恩給公務員期間に取り入れられたものと理解いたしておるわけでございます。その限りにおきまして共済組合長期給付の基礎期間にもやはり取り入れるのが当然であろう、そういった文書がないがゆえにこれを取り入れることはできないということは、少なくとも法律のたてまえとしては無理であろうというふうに私ども考えております。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 では給与課長に反覆して質問をいたしますが、給与課長は冒頭に満州の義勇隊、これとさらにこの説明の中で満州国協和会及び云々上海租界云々を含めて——といっても上海の場合はわからないということでございますからこれは除くといたしましても満州開拓青年義勇隊のほうは二百五十名、さらに満州国協和会は五十名、言うならば七十名でありますが、三百二十名という、こういう数字を出しておられますが、全体の満州開拓義勇隊とそれから協和会、上海のそれに携わっておった職員が一体何人おったのか、この点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  32. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 その中の一つの満州開墾青年義勇隊関係でございますが、これにつきまして康徳八年十月と申しますから昭和何年でございますか、ちょっと正確にわかりませんが、その当時における訓練機関職員として、教職員その他全部を含めまして千五百五十三名という数字が出ております。おそらくこれ以外にもそれらの機関職員というのはおったろうと思いますので、それを含めるとおそらく二千人くらいになるのじゃないかという感じを持っております。その他の機関についてはちょっと手元に数字はございませんので、必要がございますれば調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 それでは調査をして、これは資料として出していただきたいと思いますが……。
  34. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 満州国協和会上海共同租界工部局関係の日本人職員数というのが出ております。昭和十八年八月一日現在におきまして四百二十五名という数字が出ております。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 そこで、いま給与課長が御答弁になられたように、満州開拓青年義勇隊などという訓練所の職員の数を概算的に見ても二千人おるということであります。その中から二百五十人がクローズアップされるというのは一体どういうことか。さらにそういうものに明確な文書等が付き添っていない場合に、われもわれもと、こう出た場合の予算措置はどうなるか、この点について私は明確にしてもらわないと、ただその二百五十人だけがそれに適用されるであろう、こういうことでは私は全体のほんとうの意味でここに派遣をされた人々は気の毒だと思う。恩給局の方も来られたのであとから触れますけれども、冒頭に申し上げたようにこれが特審の方ばかりである、こういうところに問題があるのであります。こういう特務機関に携わって——工部局の場合には警察関係、こういうものだけがこれに適用されるということであればこれは問題があると思うのです。でありますから、ここで明らかにいたしたいのは、二千名なら二千名、その中に死亡された方が数多くおるにいたしましても、二百五十名などということは絶対にないのであります。こういう方がもしそういうことで申請をしてきた場合にはもちろんこれが適用されると思いますが、その面についての予算措置等について、そういういわゆる自分たちの考え方では、なかったのだというようなことは許されないと思いますが、大丈夫ですね、その点については。
  36. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 少なくともこの恩給法改正の適用者、ひいては共済組合長期給付施行法関係の適用者の人数につきましては、おそらく人員数から見て大きな異同はないというふうに考えております。と申しますのは、結局これらの職員は先ほど申し上げたようにかなりの人数にのぼっているわけでございますが、その中でこういった日本国政府職員としての前歴を持ち、かつこちらに復帰されて日本国政府または地方自治体に再就職されるというような方々の問題でございますので、そういった方々人数としては、先ほども申し上げたような数字から見て大きく狂ってくることはあるまいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 ではさらにお伺いをいたしますが、そういうような状態の中であるならば、この上海租界工部局の問題云々ということについての人数が把握されていないというのは、一体どういうことなんですか。
  38. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっとその問題について答弁いたします前に、資料で満州国協和会職員数がわかりましたので、御説明申し上げますと、終戦当時の協和会職員総数は部員補以上ということになっておりますが、それで三千六百名、このうち日系職員数が千名でございまして、その中で先ほど申し上げたように適用者がさらにしぼられてくるということになっているわけでございます。ただいまの調査昭和三十七年十二月一日の大亜会発行満州国協和会関係者名簿というようなものを基礎にしてつくられたものでございます。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 それで本論の答弁はまだ残っていますが、どうなんでしょう。
  40. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 恩給局のほうの御調査によりましても人数がどれくらいあるかというのは明確にわからないということでございまして、一応機関性格から見てむしろ入れておくほうが間違いがない、もしあればという程度の話だということでございます。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 では恩給局の方にお伺いしますが、いまの答弁給与課長恩給局に相談された答弁だと思うのですが、そういういいかげんなことでこういう提案をしてくるところに問題があると私は思うのですが、恩給局のほうはどうなんですか。この点ひとつ恩給局のほうからつまびらかにしていただきたいと思います。
  42. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま問題になっております点でございますが、いわゆる本来の恩給公務員でない者、そういう経歴を持っております者につきまして、その前後の恩給公務員としての在職期間に対し、これを通算するかしないかという問題はかねてからいろいろな場合に恩給法の問題として取り上げられてまいったことは御承知のとおりでございまして、この問題に関しましては、満州国等のいわゆる外国政府に勤務しました者についての在職期間をその前後のいわゆる日本政府公務員であった期間と通算する措置、これは最初に行なわれたわけでございますが、その通算を行ないました趣旨は、いわゆる恩給公務員としての経歴を有する者が、いわばその延長というような形で外国政府に勤務をする、そしてその職務上の立場等についてもほぼ継続的な要素も認められるというようなことで外国政府の場合には行なわれ、さらにまた内地における三公社に該当するいわゆる公共企業体でありますところの外国の特殊機関、いわゆる満鉄等その他のものにつきましてもいろいろ論議検討がなされましたけれども、これは内地におきまして三公社等が従来恩給公務員としての扱いを受けておったという経緯もございますので、それとの均衡から申しまして、これがやはり通算措置が行なわれるということになったわけでございます。今回のはさらにそれに引き続きましての通算措置でございます。この通算の要望といいますか、通算を希望する向きはいろいろと各方面にわたって多いのでございますが、それをどのように措置するか、取り上げるかということにつきましては、政府といたしましては従来の外国政府あるいは満鉄等のいわゆる公共企業体等に類するものについて行ないましたあるいはとりました場合の考え方と同様の考え方をもちまして、その通算されるべき機関といいますか組織といいますか、そのものが内地における公務員機関と通算を合理的ならしめる要素というものをやはり基礎にいたしたわけでございます。そのために最初から、たとえば今回問題にいたしております協和会職員について申しますと、最初から協和会職員になるということでそこに勤務した者と、それから従来公務員であった者が、協和会の仕事がいろいろ国との関係等もありまして、公務員の職をそのためにわざわざやめて協和会に転じたというような場合、しかもまた戦後帰ってきて公務に就職したというような場合が当然通算の対象として考えられるのではないかということから、今回の改正案におきましては、協和会及び開拓義勇隊の指導機関職員というようなものを考えたわけでございます。ただいまの上海共同租界工部局関係におきましても、その性格等からいいまして、やはり従来の外国政府あるいは公共企業体等との関係から申しまして、内容的にあるいは性格上、通算措置を認めるのが妥当ではないかという考え方に立脚したものでございます。したがいまして、この改正が行なわれました場合に適用を受ける人員の多少といいますか、それが何人であるから認めるとか、非常に少数であるからどうというようなことではなくして、いままで申し上げましたような趣旨なり性格の上からこれは同様に取り扱うべきであろう、こういうことで実はこの改正が立案されたわけでございます。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。それでは恩給局の増子局長のほうにお伺いいたします。  大蔵省のほうもあとから答弁をしてもらいたいと思いますが、まず恩給局長がおいでにならないので大蔵省のほうとやりとりをしておりましたが、では満州開拓義勇隊、さらには上海工部局さらには満州国協和会、これの人員は大体何ぼなんですか。
  44. 増子正宏

    ○増子政府委員 御質疑は、その当時の在職者の総数とそれから適用見込み数と両方ということでございますか。——いまお伺いしましたところ、大蔵省給与課長から大体いままで申し上げておったということでございますが、なお十分でない点がございますので、なお調べました上でお答え申し上げます。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 給与課長恩給局の方が来なければ云々ということから、工部局の問題については大体の把握ができていないというような御答弁に私は聞いたのですが、そうじゃなかったわけですね。いまちょっと見ておりますと局長に給与課長のほうから教えたりしているから、そうするとこれは意思統一がされていないのですね。そういうことはどうなんですか。それじゃ工部局なんというのは有名無実であって、たまたま圧力団体からそういうものも含めろと言うから入れたというだけの問題ですか。そうしか解釈できないじゃないですか。何にもないのです。数字もなければ、具体的な計数も把握していない。となったら、いわゆるアクセサリーというよりも、さっき私が言ったようなかっこうの意図が十分あることをあなた方が認めざるを得ない立場に置かれたということになるのですよ。そういうふうに確認してよろしゅうございますか。私はそれを国民の前に明らかにしますよ。給与課長どうなんですか。私は恩給局長でも来ればその問題が明らかにされるかと思えばそうじゃなくて、総体の人員といまの問題を給与課長と相談して後に御答弁申し上げますなどと言われたらさっぱりわからなくなった。どうなんですか。
  46. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 上海共同租界工部局の総人員につきましては、先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございまして、ただその中で恩給法の適用を受けて今回通算措置を受ける方が何名であるか、これについては恩給局からお答えいただくわけでございましょうが、さらにその中で恩給法自体の適用は受けない、しかし雇用人等の資格期間を持って勤務しておられる方というのは、ありとしてもほとんどないであろうということが言えるだろうと思います。ただ万一ということもございますので、私のほうの共済組合としても一応制度上受け入れ態勢をつくったということでございます。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 増子局長は答弁の中に、多くても少なくてもそういうことは関係ございません、ともかくこういう法律をつくる以上は全部適用をされるのであるという御答弁があったわけです。そういうことで、多ければ多くてもよろしい、少なければ少なくてもよろしいなどと言っても、実際の予算というものは一体どうなるのですか。把握した人数に基づいて、概算的にでも計上していく、さらにそれを予想して予算を組み立てていくということが私は当然だと思うのです。そういうものが全然なくて、多くても少なくてもいい、こういうことでは私は若干問題があると思うのですが、この点はどうなんですか。
  48. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 共済組合の場合におきましては、先生すでに御承知と思いますが、これらの職員の通算に要します費用は追加費用といたしまして国が全額負担するというたてまえになるわけでございます。その場合におきまする追加費用の負担方式につきましては、恒久的な負担方式が現在きまっておりません。そこで御承知のように従来ある程度の金額をそれぞれ当該年度の予算できめるというやり方をしておったわけでございますが、本年度から前年度における追加費用総額に若干のタイム・ラグによる金利をつけましたものを当該年度の初めにおいて国が支払う、こういう形に切りかえたわけでございまして、いわば実績に基づいてその翌年度において計上する、こういうようなやり方になるわけでございます。したがいましてこれらにつきましては、現在のところ特にこの分だけを取り上げて予算上別途計上するという措置は講じていないわけでございます。  なお参考までにどの程度の金額になるかという見通しでございますが、先ほどの上海共同租界工部局を除きますならば、共済組合関係では、旧満州開拓義勇隊訓練機関関係で、おそらく年額にして四百万円程度であろう、あるいは満州協和会関係については百五十万円程度であろうかというようなきわめて大ざっぱな推算はいたしておりますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたような負担方式をとっておりますので、直ちにこの予算に精細なる積算をすることはいたしておらないわけでございます。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 いま共済組合の資金の問題について触れられたわけですが、この点は私またあとから掛け金の問題等に触れていきたいと思いますので、その点については一応おくことにいたしましても、一番最後に答弁された中でとかくぼかされてくるのは、工部局の問題が幽霊のように明らかにされないのです。満州義勇隊とか、さにには協和会の問題だけには明確なものが常につきまとってくるけれども工部局に関する限りは幽霊みたいにふわふわ消えていく、これは一体なんですか。そういうものがなければ削ったらどうですか。しかもいま答弁の中でも、全然資料としても出てこないようなものだったら削ってもいいのでしょう、どうですか。いまの給与課長説明でもふわっと消えていくわけです。
  50. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、本来の国家公務員共済組合法長期給付施行法自体としてどうしても取り上げなければならない形は、雇用人等の資格期間を持っておられる方の場合になるわけでございますが、これらの雇用人員の資格期間のある方というのは、上海共同租界工部局の場合にはたしてあるかないか、ありとしてもきわめてわずかであろうということは言えるわけでございますが、ただ法律のていさいから申し上げますならば、一応恩給法で定められた外国特殊機関の在職期間という書き方になっておるわけでございまして、さらに具体的に恩給法に基づく政令で機関指定が行なわれるわけでございます。それを自動的に受けているというような形でありまして、直ちに法律上の結論としてどうこうということをいま申し上げるよりは、むしろ実施段階におきましてそういったものがどうしても具体的なものはないということが明らかになりますならば、政令の実施にあたって考慮するということになろうかと思います。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 では増子局長にお尋ねをいたしますが、この満州義勇隊の問題さらに協和会の問題でございますが、先ほどちょっと給与課長のほうから答弁もなされておりますが、当然に恩給局としてはこの人たちからのいわゆる陳情もあり、さらにその面についての把握も完全になされたというふうに私は考えますが、そういう状態の中で満州義勇隊の問題については二百五十名だとする考え方、これは間違いないわけですか。ただ工部局云々ということにかこつけて、実際問題としては工部局が二百五十名であった。満州義勇隊のほうはわずか二十名であった、そういうことがもしありとすれば、これは問題だと思うのですが、その面については十分な把握がなされておると思うのです。その点はどうですか。
  52. 増子正宏

    ○増子政府委員 この適用されるであろうという見込み数につきましては、給与課長から申されたのはおそらく共済組合関係の該当者ということで数字を申し上げたと思いますが、恩給法関係では今回の通算によりますものはおおむね九十八名ということで見込んでおるわけでございます。もちろん御質問の中にありましたように、この関係方々からいままで再々いろいろと資料の提出に伴います要望、陳情等があるわけでございます。それらによりまして、できる限り私どものほうで調べましたところから数字を一応はじいたのでございますけれども、実は各本人につきまして一切こまかな履歴等を確認いたしたわけでございませんので、一応現在予想しております人員がすべてそれに当たるかどうか、おそらくはその内数になるのではなかろうかという感じがいたすわけであります。これはいままでのいろいろな場合の恩給法改正等でもさようでございますが、具体的に決定いたしますのにはかなり詳細な資料を出していただきまして、それによりまして該当するかいなかを決定するわけでございますので、最終的には見込んだ数字よりは大体は少なくなるのが従来の例でございます。ことに問題でございますのは、御指摘のございました工部局職員でございます。これはいままで私ども話を伺いました中では、まあ大ざっぱに言って四、五名くらいの該当があるやに聞いておるわけでございますけれども、前歴その他まさに恩給公務員に該当するということでしぼってまいりますれば、一名もしくは二名程度ではなかろうかというような心証を得ておるわけでございます。そういうことで数字の上では取り扱っておるわけでございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 局長にお伺いしますが、九十八名というのは恩給が適用される方、こういうことでございますね。恩給を適用される方というのは、大体職別にいってどういう方ですか。いま恩給を適用される方のいわゆる開拓団だとか、さらには協和会だとか、出身別があると思うのですが、そういう点について開拓団のほうは何名、さらには協和会のほうは何名ということが把握されておられますか。
  54. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほど突然に連絡がございましたために、その数字の資料、こまかなものを持ってまいりませんでしたので、調べましてから、もしお許しいただければお答え申し上げたいと思います。
  55. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、給与課長のほうから工部局云々という問題については、政令等において、もしなければ十分に考えるということを言われたのでありますが、実際問題としていま出てきていないような問題について、ことに工部局の問題についてはかなり問題があるところです。そういう点について、これは政令の中でということなんですが、政令ということになってまいりますと、これは率直に言って私たちの目を通らないというようなかっこうになると思うのです。そういう点で、この点を次の機会にしても何の機会にしてもそうですか、そういう者が何名おったかということを明らかにするという考え方はありますか。この点をちょっと質問しておきたいと思います。
  56. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先ほど恩給局長から御答弁がございましたように、現在御調査を始めておられるようでございますが、法律の通過を前提としないで調査をするということはなかなかむずかしいのでございまして、具体的にいまの段階共済組合関係工部局職員を把握するということは、率直に申し上げて無理であろうと思います。ただ、先ほども申しましたように、現在の法律の書き方自体としては、工部局なり、協和会なり、あるいは開拓機関訓練機関なり、これらの機関性格から見て、少なくとも通算が妥当であるというような考え方に立っておるわけでございまして、しかも法律の書き方自体が、外国特殊機関という書き方になっておりまして、それ自体恩給法の規定を受けておるという形になっておりますので、特にこれだけはずすということはいかがかと考えておるわけでございます。
  57. 卜部政巳

    卜部委員 では恩給局長のほうへお伺いいたしますが、九十八名が適用云々ということをおっしゃられましたが、その中で、これは局長に申し上げておきたいのは、私は確たる情報を持っておるということを前提として御質問申し上げておりますから、いいかげんな答弁では困るのですが、この恩給に適用せよ、改正をせよというかなり大きな圧力恩給局にかかったということを私は聞いております。同時にまたその人員すべてが特高警察、いわゆる特審というようなことを私は聞いておるわけですが、この点はどういうふうになっておるか。いまのようなかっこうで資料がないということになりますと、わからぬということになるだろうと思いますが、前段としてはそういう一つのかなり大きな圧力がかかったということについては、これは局長よくおわかりだろうと思うのです。その点はどうなんですか。全然ございませんでしたか。
  58. 増子正宏

    ○増子政府委員 圧力と申しますと、どの程度圧力になるか、なかなかむずかしいのでございますが、いわゆるこの通算問題につきましては、ここ数年来いろんな要望、陳情等がございました。これは事実でございます。ただし、いまの協和会等に関係いたしますのかもしれませんが、特高関係というお話がございましたけれども、私、その点では全く承知いたしておりません。
  59. 卜部政巳

    卜部委員 そのことを裏書きするように最初にこれは給与課長質問をいたしたのでありますが、恩給法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が出ておりますね。これは局長御存じでしょう。その中にこういう問題もあります。満州開拓団の問題もある。数多くの問題があるわけですね。そういう問題が全然無視されて、この三つだけがクローズアップされたというところにこれを裏づける大きな根拠があるわけです。この点につきましては給与課長から明確な御答弁がありましたし、また纐纈政務次官からもこの点についての決意なるものが表明されたわけでありますが、しかしそういうような問題を恩給局自体としてはなぜ取り上げなかったのか、この点をひとつ質問してみたいと思います。
  60. 増子正宏

    ○増子政府委員 先ほどもちょっと触れましたけれども恩給法改正につきましては、あらゆる部門につきまして従来からいろいろ要望がございます。そのうち相当部分はすでにしばしば国会における附帯決議という形で行なわれておるわけでございますが、問題を職員期間の通算ということに限定いたしますと、従来から陳情のありましたもののおよその取り上げ得るものは今回で取り上げたというように考えておるわけでございます。その他まだいわゆる問題として、残っておるものもございますけれども、先ほど私から申し上げましたように、恩給公務員として通算の対象にするということからいいますと、その期間あるいは職員の勤務の内容等から見まして、今回予想いたしておりますこの三つのもの以外では、非常に問題がむずかしいのではなかろうか。今回の分につきましては、先ほど申し上げましたような意味において、恩給法としてもまず一応は許される通算の対象ではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回取り上げていない、今回予想していないものにつきましては今後なお私ども研究をいたすつもりでございますけれども、いわゆる通算の対象として取り上げるということは、まだ残っておる問題は非常にむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして何らか特殊な事情によってほかのものは差しおいて、今回これを取り上げたというような事情は私全く承知してないことでございます。
  61. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどの質問と重複するかもしれませんが、問題がこれだけに局限されたというのは、それだけの通算問題もあるからということでございますが、農林省の場合なんかにはないのですか。
  62. 増子正宏

    ○増子政府委員 農林関係の公社ということでいまお話がございましたけれども、私、昨年の夏から恩給局長に就任しておるのでございますが、私の聞いたところでは、いままでそういう問題の提起はなかったように承知しております。
  63. 卜部政巳

    卜部委員 問題の提起があるかないかは別問題といたしまして、現実共済組合審議会などでも論議を加えられ、かつ農林省自体のほうからも——農林省自体というよりも、そういう組合員の中から、職員の中から、問題はこういうように通算をされる中で、電通、国鉄、三公社の問題がありますか、その中に当然林産公社農林公社、各公社でもって執行をされておるこういう問題を何とかしてくれという要望が全然なかったということでは、私はちょっと問題があると思うのです。やはりそういう声があったということを局長が全然御存じないということでございますか。
  64. 増子正宏

    ○増子政府委員 私はいままで伺っておりません。
  65. 卜部政巳

    卜部委員 給与局長、どうなんですか。
  66. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 実は最近、ほかの問題でそういう関係の履歴のある方がお見えになりまして、逆に伺ったことがあるのでございますが、むしろ年金等につきましては、率直に言って、もう大体通算されている人が多い、二十年以上になっておりまして、いまさらそういう職員期間を資格期間に入れてみても、大した意味はないのじゃないかということを言っておる向きもございました。したがって、最近はそういう意味におきまして年金通算の御議論は新たに出ておらないのじゃないかと存じます。最近私どものところにお見えになったときのお話では、年金通算の話ではなくて、退職手当の期間にそういう職員期間を入れてもらいたいという話でお見えになったことはございます。
  67. 卜部政巳

    卜部委員 だいぶ同じところに質問が集中されておりますので、続いて質問を発展させていきたいと思います。  先ほどちょっと触れましたけれども恩給がまだ残っておるという問題にからめてでありますけれども、経済成長、物価の値上がり、さらには国民生活の向上等から、実際問題として年金が、いまおっしゃられたように、見放されておると思うのでありますが、こういうふうな恩給の改定と相まって年金の改定も当然あってしかるべきだと思うのでありますが、この点はどうですか。
  68. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先生御指摘の問題は、既裁定の問題のベースアップないしはスライド制の問題であろうと思いますが、これらの点につきましては、さきの国会で附帯決議等もいただいておりまして、何らかの形でできるだけすみやかに解決しなければならないであろうというとは私どもも痛感いたしておる次第でございます。したがいまして、このような問題を処理いたします機関といたしまして、昨年の十二月に次官会議の決定をもちまして公務員年金制度連絡協議会というものができたわけでございます。そこで恩給共済を通じての既裁定年金のべースアップないしはスライド制の問題について研究をいたすことになっております。最近における物価情勢その他から見まして、できるだけすみやかに結論を出したいということで、恩給局ももちろん御参画になりまして、ただいま鋭意検討いたしているわけでございます。
  69. 卜部政巳

    卜部委員 鋭意検討中であるということなんですが、近くまた法律案が出るということを聞いておるわけなんですけれども、それとの関連はないわけですか。
  70. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 先生御指摘の問題は、共済組合法に一部改正を近々提案するのではないかというお話でございますが、まだ提案されておりませんので、どうなるか明確に申し上げかねる点もございますが、かりにこの国会に共済組合法の一部改正提出いたすといたしましても、その中には、残念ながらその制度改正の問題は織り込む段階に至っておりません。と申しますのは、公務員の場合の年金のスライドの問題につきましては、恩給の場合でございますと、国の一方的負担の原則が確立いたしているわけでございますが、共済組合の場合でございますと、既裁定年金のベースアップ財源をだれが負担するかという問題が一つございますので、そういった問題を解決しなければなりません。さらにまた、スライドをするにいたしましても、その基準は、恩給法の従来からの考え方のような公務員のベース基準という考え方で進むのかどうか。つまり社会保険全体の考え方としては、国民の所得水準なり物価水準の上昇というようなものと見合って考えるという基本的な考え方でございますので、そういった考え方のもとに恩給のベースアップ等が行なわれる場合との調整をどのように考えるか、いろいろむずかしい問題があるのでございまして、今回の厚生年金法の改正規定によりましても、法律自体としては具体的な規定を設けるに至っていない、スライドの原則をうたうにとどまっておるというようなことがございまして、基準自体はこれから考えていくということになっておるようでございます。  したがいまして、そういった四囲の情勢を考えながら、一方では恩給のべースアップ等々相互勘案しながら答えを出していかなければならない。その意味におきまして今回の改正には残念ながら間に合わなかった。まだまだいろいろな問題を一つづつ検討し、解決して答えを出さなければならぬということでございますので、残念ながら今回の改正には間に合わないだろうということであります。
  71. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、この問題については将来十分考慮するということでよろしいわけですね。そういうふうにおっしゃられたわけですから、これはひとつ私は明確に確認をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。——そういうかっこうで、明確にそういうふうにしてもらうということでよろしいです。  それから恩給法の問題の中で、先ほどちょっと申し上げたような、チェックする場がないということを申し上げました。率直にいって、共済組合等についてはそういう審議会などがありますし、答申がなされますので、当然そこでは十分な意見が出されるわけですが、恩給法だけはそういうかっこうではなくてどんどん政府が思うままに出してくる。こういうことが出できているわけですが、今回もこの提案にありますように、恩給法改正に伴っていわゆる共済組合も当然こういうふうにしていきたいんだということの提案でございますね。そういたしますと、この恩給法はまだ通っていないのでしょう。そうでしょう。そうなりますと、これはむしろ私は、当然に共済組合のほうが先議をして、それで恩給法などというものはあとからこれにつけていくのがほんとうだと思うのですが、どうですか。もちろんそういうチェックする機関が当然あって、そこでもって十分審議した中から恩給法改正されていく、このことが正しいのですよ。全然あなた、恩給なんかの問題については、そういう審議する機会がない。まあ国会の場はありますよ。その間の過程というものは全然意見が反映されない、こういうことになろうかと思います。この点については今回がたまたまいい機会でありまして、恩給法がこういうふうに提案をされておりますけれども、まだ内閣委員会のほうでは審議がなされておらないようでありますし、こちらのほうが先議をされておりますから、こちらのほうの結論に従って恩給法も変えていくということが私は正しいと思うのです。この点はひとつそういうふうにぜひ今回から改めてもらうことが必要だと思うのですが、どうです。——答弁はやはりできぬですか。纐纈政務次官からひとつそういうふうに言ってもらえますか。
  72. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっとその前に事務的に御説明申し上げておきます。  法律の条文をごらんになるとわかると思うのでございますが、共済組合法施行法の法規の面では、先生御指摘のような三機関をどれを入れ、どれを入れないというような形の名称自体が出てまいらないわけでございます。したがいまして、全機関についてこれを入れてしまうというような御議論でございますならば、これは確かに一つ議論としては成り立つわけでございますが、あるものは入れ、あるものは入れないというような形はなかなかむずかしいことになるのではないか。と申しますのは、これは「法律第百五十五号附則第四十三条の二に規定する外国特殊機関職員に係る」というふうになっておりまして、それを受けております法律第百五十五号附則第四十三条の二というのは恩給法のほうでございますから、したがいまして、そちらのほうは内容規定をそのままただ形式上受けとめるというかっこうになるわけでございます。したがいまして、これをさらに、ただしその中のどれどれに限るとここで書いたといたしましても、恩給法関係は別になるわけでございまして、その場合にはたまたま共済組合長期給付施行法だけの通用を受けるような雇用人等の場合には逆に非常に不利になる場合が出てくる。したがいまして、恩給法改正自体の当否を御議論いただく場合において、そちらの場において御検討いただかないと、共済組合関係だけの適用を受ける職員にかえって非常に不利なことが起こる、こういう事態がございますので、私どもといたしましては、少なくともその御議論の点については、先ほど申し上げたように共済組合立場としては自動的でございますけれども、同時にまた側々の職員について非常にアンバランスを生ずることもいかがかと考えられるわけでございますので、そういった形で御審議をいただくようにいたすほかはない、このように考えております。
  73. 卜部政巳

    卜部委員 それでは、政務次官が御答弁になる前に一つ追加して決意のほどを表明していただきたいと思うのであります。  いま給与課長のほうからそういうことが言われまして、平たく言うならば受け身であるという先ほど申し上げたようなそういうことで表現されておるわけです。しかし事実いままでこのように三者機関等においていろいろと審議をされておるわけでありますが、恩給に関する限りはチェックする場がない、こういうことでは、いま言う問題が多々疑惑として国民も持ち、また私たちも持つわけでありますが、その面で恩給法改正についてはやはり同じような機関をこれから——もちろん先ほどの質問と若干矛盾をするのですね。こういうものはなくしてしまえという私の持論なんですから、また別な救済規定なんかをつくれということを言っておりますから、その面では若干矛盾をするかもしれませんが、しかしながらこういう問題については、存続する限りは恩給改正等についても若干そういうような審議会を設ける必要があると思うのですが、この点についての政府の見解をひとつ明らかにしてもらいたい。
  74. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 恩給に対してはチェックする方法がないというような御議論でございますが、ここでただいま恩給法が通らない前に共済組合法を通すのが一つのチェックになりはしないかということでございますが、この点につきましては、共済組合恩給法をチェックする役目を持つべきであるかどうかという問題につきましては、給与課長答弁でいいと私は思っております。  それで、今度は恩給自体審議会をつくるかどうかという問題につきましては、私もにわかに御答弁申し上げかねますが、この点につきましては相当大きな問題でございまするし、またいろいろの関係もあるのでございますから、ひとつ十分検討いたしまして結論を出すようにいたしたい、こう考えております。
  75. 卜部政巳

    卜部委員 私は、しつこいようでございますが、恩給局長の御答弁の中にもありますように、まだ私たちはその答弁に納得しないものを数々持っておるわけです。疑惑もあるわけでございますし、やはりそういうような問題に対して、政府は国民にそういう疑惑を持たさないための絶対——絶対といったらことばがきびしいのですが、当然必要があると思うのであります。ただ先ほどの佐藤大蔵大臣当時の議事録に述べられたような発言と同じように、纐纈政務次官検討するなどと言ってあとは検討しなかったということのないように、今度はこの問題について真剣に検討してみる、この点について十分意のあるところ、そしてまた誠意のあるところを決意として表明していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  76. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 十分検討いたしまして、御意見を参酌いたしまして結論を出したい、こういうことを考えております。
  77. 卜部政巳

    卜部委員 そこで、毎年毎年同じことを繰り返すことがあっては、これは申しわけない。私はあくまでも、佐藤さんのことばを引用するようで恐縮でございますが、そういうことではいけないと思いますので、大体の時期を、いつごろまでにその結論を出すのか、この点をひとつ、あまり短兵急な質問ではございますが、一応お聞かせを願いたいと思います。私はこの議事録を見ておってもどうも信用できないのです。三十四年に言われたことがなおかつ今日繰り返されておる、こういうことがありますので、今回だけは、ちょっとことばがきびしいようですが、いつごろまでにその検討のあれを出す、こういうことをひとつ出していただきたいと思います。
  78. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいまお話しのように非常にむずかしい問題でいままで結論の出ないような状態でございまして……。
  79. 卜部政巳

    卜部委員 いままで検討してないんでしょう。
  80. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 いや相当検討しておると思いますが、それでなおかつ結論が出ないのでございますから、私の立場といたしましてはいつまでに結論を出すということを申し上げかねる立場でございます。御了承願いたいと思います。(「一ぺん次官会議を開いていつ答えるかということをとっておけばいいのだ」と呼ぶ者あり)
  81. 卜部政巳

    卜部委員 私は堀委員のほうからの発言をオウム返しに申しませんが、大体その意のあるところが纐纈政務次官にはわかったと思うのでございます。その点についてひとつ明確にしていただきたいと思いますが、それはよろしゅうございますね。政務次官、よろしゅうございますね。
  82. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 先ほど申しましたように、私の立場といたしましては、これは重大問題でございますから、直ちに期限を限って御答弁を申し上げかねますが、総理府とも関係がございますし、また大臣の御意向も聞かなければなりませんので、それによりまして善処したいと存じます。
  83. 卜部政巳

    卜部委員 それの結論なり、さらにそういう協議内容等については私たちに明らかにされるということを条件といたしますが、よろしゅうございますか。ただ、したというのじゃなくて、その審議過程さらに何年後にこの問題を成立させるかというような問題についての討議内容ですね。こういう問題を明らかにするという条件ですが、よろしゅうございますね、その点は。
  84. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 条件等につきましてもなかなかそう簡単に私は出ないのじゃないかというふうに、実は私なりに考えておるわけでございます。したがいまして、それらの点につきましても十分大臣あるいは総理府と協議をいたした上で結論を出したいと考えております。
  85. 卜部政巳

    卜部委員 私の言う条件というのは私がつける条件なんでありまして、内容の条件ではございません。ですから政務次官が少なくともそういうことを回答されておる以上は、そういう内容についてさらに審議過程についてどうなりつつあるということくらいは私たちに明らかにしていただきますようにという、こういうことです。それはよろしゅうございますね。
  86. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 問題がある程度固まりましたらば経過を御説明申し上げます。
  87. 卜部政巳

    卜部委員 くどいようなんですけれども内容がまとまりましたらばなどと言って、これはまた日がたって忘れてしまうというようなことがあってはならぬと思うのです。ですからその点について近い将来に、少なくとも今年じゅうくらいには明確な線を出していただきたい、私はこういうふうに考えるわけですが、その線というのはこれを検討を加えるとかなんとかいう、そこまでにはならぬにしても、次官会議でどれくらいのことが論じられたとか、さらにはどのような積極的な取り組みを行なったとかということは今年じゅうにできると思うのですが、この点はよろしゅうございますね。
  88. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 適当な機会に御期待に沿うような経過報告はいたさせていただきたいと存じます。
  89. 卜部政巳

    卜部委員 委員長にお願いいたしますが、政務次官という立場であって、大蔵大臣といろいろ打ち合わせをしなければいかぬという、こういう配慮のもとになかなか明快なお答えがいただけません。しかし少なくとも委員会において委員長が私の発言を聞いておるのでございますから、少なくともこの問題について大蔵大臣等における折衝の点についてのそれをぜひ政務次官が行なうようにひとつこの点は勧告をしていただくし、同時にそれを監視していただきたい、このことを特にお願いいたしたいと思います。
  90. 山中貞則

    山中委員長 政務次官から大蔵大臣にただいまの申し出について当然報告をされるでしょう。その結果大蔵大臣は本法案を審議している最中に必ず出席をするわけですから、そのときにあらためて、きょう報告を受ければ大蔵大臣からまた責任者として違った答弁があり得ると思います。それまで政務次官に対しては御猶予願いたいと思います。
  91. 卜部政巳

    卜部委員 では大蔵大臣が来られたときに答弁を求めるということでよろしゅうございますね。
  92. 山中貞則

    山中委員長 もちろん来る前には報告して大蔵大臣も連絡すべき点は連絡して調査してくるでしょう。
  93. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。  では続いて申し上げたいと思いますが、先ほどの年金の問題とからめてでありますが、御承知のように四年前に年金がきまった方が現在十二、三万円の年金しかもらっていない。言うならば生活保護と同じくらいだというようなかっこうですね。六、七万だというような人もおるわけなのでありますけれども、そうした面において先ほど給与課長のほうから御答弁がありましたけれども、率直に言ってこの共済組合そのもの自体が相互扶助だというたてまえもありますし、この点についての掛け金の問題等もあって、かなり問題はあるといたしましても、こういう問題については先ほど私確認をいたしましたように、十分今後において対処し、またかつその点の検討を加えていくということを確認いたしたい、こう思います。  そこで今度近く大蔵省が負担割合の改正を行なうやに聞いておるわけでありますが、この点についてどのようなことを提案されるのか、まあこれは予測でありますけれども伺いをいたしたいと思います。
  94. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 前段の共済制度の、既裁定年金につきまして、スライド制ないしベースアップの問題を検討するということでありますが、社会保険全体としてやはりそう言った既裁定年金のベースアップというものは本質的に必要なものというふうに認められておりますし、その範囲におきまして共済組合につきましても当然そのような制度を考慮する、そういうたてまえのもとに積極的に検討をいたしております。  後段の問題でございますが、社会保障制度審議会等にすでに御諮問申し上げた大蔵省考え方といたしましては、共済組合長期給付に要する費用の負担割合につきまして、従来組合員つまり職員の負担割合は百分の四十五、国の負担割合が百分の五十五でございましたものを、今回職員の負担割合を百分の四十二・五、国の負担割合を百分の五十七・五に引き上げる、こういうような考え方改正をいたしたいというふうに考えております。
  95. 卜部政巳

    卜部委員 すでに四現業の共済組合におきましては掛け金率がきまったということが言われております。これに対しまして大蔵省からこれはまた圧力だなどということばを使うと問題がありますが、かなり強い圧力がかかっておるということを私は聞くわけです。これはどういうことかと言うと、早く決定をせよということでもって四現業のほうはこの掛け金率というものを定めておるわけでありますが、この点に対してなぜそういうことを迫ってきたのか、さらに国家公務員のほうとしては実施期日を十月一日という問題もあるわけでありますが、そういうふうな問題についてのアンバラが生じはしないか。この点のいわゆる配慮がどのように大蔵省においてなされたかをちょっと質問しておきたいと思います。
  96. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 四現業の共済組合長期給付の掛け金率の引き上げの問題につきましては、すでに共済組合の新制度による長期給付の発足の時点が違っておりまして、これはあらためて申し上げるまでもないことでありますが、四現業の場合は三十四年一月一日、非現業の場合におきましては三十四年十月一日から新制度に移行したわけでございます。その結果といたしまして、法律の第九十九条の規定によりますところの再計算の規定、つまり五年に一回再計算をしなければならないという規定の適用時期がおのずから異なってまいったわけでございます。四現業については本年の一月一日をもって再計算をし改定を行なわなければならぬということになるわけでございます。その点におきましてすでにもう期間もかなり経過しておるわけでございますし、かつまた過年度の財源率の増加に伴う国庫負担の増加という問題もございますので、できるだけすみやかに再計算をお願いしたいということは申し上げておったわけでございます。その結果といたしまして、大体三月末ないしは四月初めにそれぞれ再計算の事務を終わるということでございます。  なお非現業の共済組合につきましては、現在共済組合連合会等におきましては、財源率検討委員会というようなものを設けまして、事前の準備を十分いたしておりますし、またその他の共済組合、たとえば建設省の場合においてもこれまた話し合いをやっておられるわけでございまして、いずれにしても法律上義務づけられた再計算の時点にはこういったことを当然行なっていくということで、現在の法律のたてまえからすればやむを得ないであろうというふうに考えております。  なお御質問の点は、国庫負担率の引き上げの時点によって非常に受益の時期が違うということにも関連する問題であろうと思います。確かにおっしゃるように、現業の共済組合の場合におきましてはこの一月から掛け金率が若干上昇する、それで今後国庫負担率の上昇の時期にそれがさらに下がる、そういう形になるわけでございます。逆に非現業の場合でございますと、かりに現在予定しているように十月一日で改正を行ないますならば、上がるといたしましてもあまり掛け金率も上がらないで済む。そこにアンバランスがあるのではないかというような御議論でもあろうかと思います。これは制度問題といたしまして国庫負担率の引き上げを考えるわけでございまして、財源率と直ちにこれを結びつけるということは、私どもとしてはとらざるところでございます。しからばそういう制度改正時点が十月一日と、非現業に有利な時点になったのはどういう理由かということになろうかと思いますが、これは御承知のように現在まで社会保険全体につきまして、鋭意検討を進められた結果といたしまして、厚生年金の水準もおおむね二倍程度に上昇するというような改正法案が提出されておりますし、また農林業団体職員共済組合につきましても、この十月を契機として公務員共済年金と同じようなレベルにまで改められるような改正が考えられておりますし、さらに私学の教職員共済組合につきましても同様の趣旨の改正案が考えられておるようであります。このように年金水準が共済組合を通じて平準化するということになりますと、それに対する国庫負担の割合というものもおのずからそろえることが妥当であるというように考えられるわけでございまして、その観点から今回の負担割合の引き上げを行なったわけでございます。この点からいたしましても、十月くらいがせいぜいであるというように考えられたわけでございます。またこの負担割合の実施に必要な費用というものも、人件費のやりくりというような形でやるわけでございますから、その限りにおきましても、せいぜい年度途中の話として十月くらいが限度だというように考えられるわけでございまして、それがたまたま非現業の場合の財源率の改定の時期と一致したことは事実でございますが、いずれにいたしましても制度改正による受益の問題と掛け金率の改定の問題というのは、あくまで性質上別のものとして議論する以外にはなかろうというように考えておるわけでございます。
  97. 卜部政巳

    卜部委員 負担割りと財源率の問題につきましては、やがて法案が出だときにまた論議をすることにいたしまして、実は今度の予定されておる法案についてはおそらく三点ほどあると思うのです。施行期日の問題とか、さらに公庫等に転出した職員の復帰希望の取り扱いだとか、さらに長期給付に対する費用の負担割合とか、こういう問題が出てくるだろうということの予想が成り立つわけであります。  そこで、ちょっと質問しておきたいのでありますが、先ほどちょっと給与課長から出されております附帯決議云々ということでありますが、第二十八国会の衆議院大蔵委員会で出された附帯決議、さらに第二十八国会の参議院内閣委員会で出された附帯決議、さらに三十一回国会における参議院内閣委員会附帯決議、こういうものが出されておりますが、こういうものは、この法案の中に十分加味されるものだというふうに考えておりますが、この点はどういうふうになっておるかをひとつ質問したいと思います。
  98. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 今回の法律改正でこれから提出いたしたいと考えておりますので、いま確定したことを申し上げるわけにはまいりませんが、私どもの考えておりますのは、先生ただいま御指摘のように、長期給付に関する国庫負担率の引き上げの問題並びに公庫等への転出職員の中の復帰希望職員取り扱い問題等の三点でございます。率直に申しまして、附帯決議等で従来指摘されております具体的問題については、必ずしも回答をいたすことは考えておりません。と申しますのは、一番大きな問題であるスライド制の問題等につきまして、先ほどから御答弁申し上げましたように、なお結論を得ておらないような状況でありまして、なおその他の点については今後さらに技術的な検討も行ないまして答えを出したい。社会保障制度審議会等の御答申の中にも、また他の社会保険とのバランス上の諸問題、あるいは技術的の諸欠陥というようなこともいろいろ言われておるわけでありまして、それらの点については、さらに今後の検討を待って処理することにいたしたいと考えております。
  99. 卜部政巳

    卜部委員 そのもの以外に、実は各共済組合、さらには各関係の労働組合のほうから数多くのいわゆる改正点の要求が出されておると思うのでありますが、この改正点に対しましては、どのように取り扱おうとしておるのか質問したいと思います。
  100. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 労働組合なり、あるいは共済組合連盟というようなものから、いろいろな改正点の要求が出ておるわけでございますが、率直に申しまして、今回の改正は、国庫負担率の引き上げを中心としたきわめて限られたものになったわけでございます。その他の問題につきましては、御要求の中を見てみますと、かなり社会保険全体に関連するような問題も多いわけでございます。そういう点を含めまして、技術的問題もいろいろ勘案しながら今後検討を進めてまいりたいということであります。したがいまして、時期の遅速等はあろうかと思いますが、御要望の点については十分検討いたしたいと考えておるわけでございます。
  101. 卜部政巳

    卜部委員 老後の生活の保障やさらには医療保障なんかの問題について、いままでの法律の中ではかなり欠けておる点があると言ったら語弊がありますが、万全を期さなければならぬ点が現行法におきましては多々あると思うのであります。そういうような形の中で、私は当然これは改正すべきであるというように考えるわけでありますが、この点については、私がそういうふうに考えておることと同意見であるかをちょっとお伺いしたいと思います。
  102. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 老後の生活の保障として、現在の共済組合制度が万全であるかという御質問でございますが、私どもは必ずしも現有の制度が万全であると考えておりません。ただ、御承知のように共済組合制度も社会保険の一環をなしておるわけでございまして、国家公務員あるいは地方公務員あるいは公企体職員等立場のみから見れば、さらに給付水準等を上げることは当然望ましいことであるわけでございますけれども、全体としての社会保険のバランスも考えなければならない。したがって、彼此勘案しつつさらに制度の改善をはかっていきたいということでございます。
  103. 卜部政巳

    卜部委員 これは現実に起きておる問題でありますが、農林省の臨時職員の問題さらには一時年金の受け取りの問題等において数多くの問題点を含んでおるわけでありますが、しかしながら、これは、やがて出てくる法案との関係もございますので、その中で一括審議をいたしたいと思います。  そこで、委員長に特にお願いをいたしておきたいのでありますが、この長期給付に関するところの、今日出されております法案でありますけれども委員長も御承知かと思いますが、私が指摘をいたし、かつ給与課長答弁をなされておりますように、やがて大蔵委員会にこの法案がかかってまいります。そうした場合において、この法案と不可分の関係にあると思いますので、この点はやはり一括審議をさせていただきたいと私は思うのであります。こういう点の配慮をひとつ委員長に特にお願いをいたしまして、今度出てきます法案とからめて審議をいたしていきたい、このように考えます。  以上をもちまして質問を終わりたいと思います。
  104. 山中貞則

    山中委員長 いまごろ法案を追加して出そうというほうが非常識なんですが、出てくる以上はあなたの御意見も参考としてひとつ処置いたします。  次会は、明十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会