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1964-04-21 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奧野 誠亮君       木村 剛輔君    小山 省二君       砂田 重民君    谷川 和穗君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       藤枝 泉介君    渡辺美智雄君       卜部 政巳君    川俣 清音君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    野原  覺君       日野 吉夫君    平林  剛君       松平 忠久君    春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (管財局長)  江守堅太郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有         財産第一課長) 宮川 国生君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月十五日  委員田中武夫辞任につき、その補欠として米  内山義一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て田中武夫君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員小松幹辞任につき、その補欠として平岡  忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  小松幹君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員渡辺美智雄辞任につき、その補欠として  佐藤孝行君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐藤孝行辞任につき、その補欠として渡  辺美智雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員小松幹辞任につき、その補欠として川俣  清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十五日  納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一一号)(参議院送付) 同日  戦傷病者国税等減免に関する請願井村重雄  君紹介)(第二七六四号)  同(江崎真澄紹介)(第二七六五号)  同外二件(木村俊夫紹介)(第二九三一号)  政府関係機関に対する大蔵省賃金抑圧並びに  不当干渉即時撤回に関する請願大原亮君紹  介)(第二八二六号)  旧令による共済組合等からの年金制度に関する  請願伊能繁次郎紹介)(第二八八八号)  同(寺島隆太郎紹介)(第二八八九号)  公認会計士特例試験等に関する法律案反対に関  する請願本島百合子紹介)(第三〇三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号)  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二五号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一五〇  号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案国有財作法の一部を改正する法律案国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。日野吉夫君。
  3. 日野吉夫

    日野委員 国有財産法の一部改正の問題について伺いたいと思うのですが、この法律は非常にこれは重大な内容を持っておるようでありまして、管理処分こういうことなので、財産の得喪に関してはどこでも、これは重大に考えなければならぬのですが、大蔵大臣権限を非常に大きくして、従来は閣議にはかってやったことがこれを省略することができるようになっており、あるいは限度をきめて、国会審議を経なければならぬものを省略する。さらに特別財産に対しても大蔵大臣が大きく権限を持つ、こういうような内容法律なのですが、国有財産管理処分にあたって、どうしても、こういう法改正をやらなければならない根拠をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  4. 江守堅太郎

    江守政府委員 今回国有財作法改正を御提案いたしました第一の問題は、ただいま仰せになりました大蔵大臣総括権総括権と申しておりますが、総括権強化の問題であります。ただでさえ大蔵省権限が強いというふうにいわれております。そこへもってきて大蔵大臣のこういった権限強化するということは、ますます大蔵省を強くするのではないかというようなお気持ちが一部にあるということも私どもは重々承知をいたしておるのでございます。ただ国有財産に対します大蔵省関係、これは国有財産管理処分ということをいたしますと同時に、国有財産全般につきまして、国有財産について責任を持つ大蔵大臣として、各省に対していろいろ御協議にあずかる、あるいはお話を申し上げるということをすることは国有財産管理する大蔵大臣責任として必然といわれる節もあるのでございます。現行国有財産法上いろいろな点につきまして大蔵大臣各省大臣に対してものを申し上げる、あるいは何かなさる際に、御協議を受けるということはすでに現行法上行なわれておる点でございます。今回この総括権を強めます一つ方法といたしまして、従来閣議にはかっておるというものをはずすという点がございます。これはまだはずしていないのでございますが、はずす点を申し上げますと、従来、たとえばほかの省で官庁敷地として非常に広大な敷地を持っておる。その際に、最近のように非常に土地が少ない状況でございますと、これを有効に使わなければなりませんので、大蔵省としては、非常に広過ぎるからこれを大蔵省に返していただく。売ったり貸したりいたしますためには、各種の行政財産大蔵省に返してもらわなければできないことになっておりますので、大蔵省普通財産に返してくれということを申し上げるわけでございますが、これはいまもやっております。やっておりますが、また各省立場になりますと、大蔵省ではそう言うけれども、おれのほうはこういう目的でぜひこれは持っていたい。またこういうふうに使うのだというようなお話がありますと、そのお話はそのままになるわけでございます。現行法上はそういう場合はしかたがないから、そのままになってしまうか、あるいは閣議に持ってまいりまして、閣議でおきめ願って大蔵大臣各省にそういったお願いをするというふうなたてまえになっておるわけです。今回これをはずすと申しますのは、閣議にはかって、大蔵大臣各省に対してそういうことを申し上げる前に、一応大蔵大臣国有財産管理するという立場から、ひとつ法律上の背景を持ったいわゆる措置要求と申しておりますが、各省に対してこういうことをしてはどうかということを法律上の問題として申し上げるということでございます。現在事実上のお話として申し上げるのは法律上のバック・グラウンドを持ったものとして申し上げるということでございます。各省はこれに対してやはりおれのほうでこれが要るんだということならば、要るということをおっしゃれば大蔵大臣はそれ以上のことはできないということはいまと同じでございます。ただ、いままで事実上の話し合いであったのを制度的に明確にするという点でございます。したがって強くすると申しますけれども、法律的に非常に強くなるということではない。現在やっておることの筋道がはっきりするというような意味合いでございます。したがって、大蔵大臣が、今回の改正によって閣議にはかる前に措置要求をするということにいたしましても事態は解決されない場合がございます。そういう場合におきましては現行法と同じように今度は閣議に上げまして、閣議お話をいただいて、それがよかろうということになったならば、大蔵大臣がそれに基づいて各省に指示するということになっておりまして、総括権強化すると申しますけれども、これはそういった今度の改正閣議をはずすということばから受けるほど非常に強い強化ではないのでございます。それが今回の改正の眼目の一つでございます。  それからもう一つは、先ほどお話がございました特別会計の持っておる財産について、従来は特別会計が持っておりました普通財産処分するという場合には、大蔵大臣協議なくしてそれぞれ特別会計処分しておる。大臣が独自の判断でこれを処分なさっておったわけであります。このことについては大蔵省の持っております普通財産につきましては国有財産審議会というのがございまして、処分する際にはこれにはかってやっておる。ところが、特別会計のほうについてはそういった役所だけの判断でやっておって、第三者の方にそういったことがいいかということを聞く機会がないという点はどうかという批判がございます。  それからその批判は別にいたしましても、財産処分するという立場だけから申しましても、普通財産処分と申しますことは、現在の措置上から申しましても相当広い立場から計画的にやる必要があるわけでございます。特別会計でおやりになっておることももちろんそういったことをお考えになってやっておることはもちろんでございますけれども、やはり国有財産全体を総括するところの大蔵省という目から見ても、やはりそれに合致するというようなことでなければ困る場合があるわけでございます。したがって、そういうものについて大蔵大臣協議をしていただく、大蔵大臣協議をしていただくことによって国有財産審議会の諮問も受けるし、また国全体の立場からその措置が一番有効に利用されておるかということも判断し得るということを考えておるわけでございます。  それからその次の点は、従来予算で御審議を願いましておるほかに、それとまた別に国会の承認を受けておる公園その他を減少する場合、皇室用財産増加する場合、これらについて国会の御審議をいただいておるわけでございます。それを今回はずそうという点が、改正の第三の問題でございますが、このことは、現在の法律がそのようなたてまえになっておるということは、現在の法律をつくりましたときの立法の当時の状態というものを振り返ってみませんと、なかなか私ども理解しにくいと思うのでございますが、現在の国有財産法を制定いたしました昭和二十四年ごろにおきましては、たとえば皇室用財産増加というような問題につきましては、その当時の占領下にある特殊の政治事情、あるいは国内の政治事情といたしましても、皇室用財産が非常にふえるというようなことについては特別に心配される向きがあったのでございます。したがって、予算審議するほかに、また特別に皇室用財産増加という点については入念に審査をしようというような、また、それが国民全体の意思を反映させる方法であるというようなことであったのでございますが、その後現在に至りますと、その当時の政治事情も変わっております。また特別の、予算のほかの御審議をいただいております事案の個々のことを考えてみましても、そういう心配はないというようなことで、今回これをはずしていただいたほうがよかろう、国会の中でもかつてそういったお考えもあったように承っております。  以上申し上げましたような三点が、今回国有財産法改正しようという点でございまして、特に大蔵省権限を強くするというような気持ちはもちろんございません。従来持っておりました大蔵大臣総括権というものを整備するというようなこと、あるいは普通財産処分について特別会計の持っておった処分の仕方を合理的にして有効に活用しよう、それから従来御審議を願っておりましたような点が、立法の当時においては意味があったけれども、いまはいたずらに煩瑣の点もある。またそれを省略しても予算審議の際において十分御審議をいただくのであるから、十分の御審議をいただけるのではないかというような点を考えて、今回の改正案の御提案をした次第でございます。
  5. 日野吉夫

    日野委員 いろいろ事情もあり、従来しばしばそういうなかなかむずかしい問題に逢着した結果こういうことになったことと思いますが、法律は一ぺんつくるとこれはひとり歩きいたしますから、だから権限を強めておくと、田中さんの大蔵大臣のときにはまだ人情大臣だというからいいかもしらぬが、だれかもっと強硬な、政治力の強い大臣が出ると、この法律を悪用すれば非常に危険な問題が起こってくる。この法の表向きを見る場合は、各省庁の権限を縮小し、剥奪するだけだけれども、この管理処分の裏にはやはり多くの民衆がつながっているわけですね。個人がつながっているわけです。民主主義立法というのは、個人権利の尊重の上に立たなければならない。同時に、いまの立法例等、各国を見ますと、民衆権利の擁護、伸長のためには遡及効力も認める。思い切ったあれをやれるけれども、官庁権限支配権強化する法難というものは非常に警戒してかからなければならない。この法律が出てそうしてひとり歩きをして、この執行に当たる人がやろうと思うならば、たとえば三百万円を三千万円までにする、あるいは三千万円で抑えていたものを今度は三億円まで上げる、しかもこれは国会審議を経ずにやれる、こういうことになりますと、財産ですから、分割して三億円をこま切れにしたら、国有財産、どんどん片っ端からやれるじゃありませんか。こういう一つの危険を持つわけなんです。そういう意味で、私のいま言っている権限強化は、この法律が出たあとに悪用される危険がある、こう考えるのでありますが、大蔵省としては国有財産整備には大臣権限の強いほうがいいです。いいけれども、そういう危険も考えてみなければならない。まさにこの法律を通したあと大蔵大臣が何でもやれるということになりはしないかと思うのであります。閣議にかけることも必要がない、国会審議を経ることも必要がない。いままで関与しなかった特別会計財産の中にもどんどん入っていく。これは完全な一つの独裁じゃないでしょうか。国有財産中央審議会がこういうことの相談にあずかる、こういうことだが、どういうメンバーか、われわれまだ承知いたしておらないのであります。国有財産白書を見ると、だいぶいままでひんぱんに開いて大いにやったような自画自賛のあれが書いてありますけれども、はたして国有財産審議会が、そういう国会のやり方あるいは閣議役割り、そういうものを果たせるのかどうか。ややもすると、各問題ごと審議会を持っていますが、多くの場合は隠れみのに利用される危険が非常に多い。ひとつ審議会の機能を、民間人を入れているというけれども、現状はどういう構成になっているのか、一応ちょっと御説明願いたいと思います。
  6. 江守堅太郎

    江守政府委員 国有財産審議会は、中央界議会地方審議会がございます。地方審議会は財務局にそれぞれあります。中央審議会は、大体におきまして国有財産についての制度あるいは政策の大綱というようなものについての重要な問題についておはかりをするということでございます。今回の国有財産法改正につきましても中央審議会を開きましておはかりをしております。それから地方審議会では、個々の具体的な普通財産処分等を御諮問いたしておるわけでございますが、その委員は、民間代表の方、学識経験の方、それからそれぞれ出先の官庁代表の力というもので構成をされておるわけでございます。開催されました回数は、たとえば南九州と東京というようなところでは御諮問いたします件数が非常に違いますので、開かれる回数地方審議会によってそれぞれ違っておりますけれども、開きます二週間前に議案をお送りいたしまして、また審議会の席上におきましては事務当局より十分御説明を申し上げ、御意見を十分お伺いしておりまして、役所だけがきめるのでなしに、そういった第三者あるいは学識経験者の方々の御意見をお聞きすることによって、国有財産管理処分というものが一方においては非常に慎重に、一方においては非常に合理的にまいっておるというふうに考えております。
  7. 日野吉夫

    日野委員 あと審議会メンバープリントにでもして出していただきたいと思います。民間人を採用し民間意見をいれると言っているけれども、大体これはお役所関係の深い、お役所の言いなりというとあれですが、そういう危険があるかないかということを見る必要がありますから、これはひとつプリントにしてあと提出願いたいと思うわけです。  それから、専決処分のできる限度を十倍で押えた、三百万を三千万、三千万を三億と抑えた根拠は何かあるのですか。
  8. 江守堅太郎

    江守政府委員 当初はこういった金額の限度はございませんで、すべて国会の御審議を願うことにいたしておりました。たとえば非常に小さい物置き小屋をつくるというような場合でも御審議を願っておったわけでありますが、その必要もなかろうということで三百万、三千万という限度ができたわけです。これは二十八年にそういう限度をつくったわけでありますが、それから十年ばかり経過をいたしておりまして、御承知のとおり物価は上がっている、ことにそういった不動産の値上がりは非常に強うございますので、三百万、三千万ということを立法いたしました当時に比べてみまして、その内容程度のものは、土地値上がり指数などを比べますと約十一倍くらいになっておるようでございますので、ほぼ十倍というので三百万を三千万ということに一応いたした次第でございます。
  9. 日野吉夫

    日野委員 土地値上がりが十一倍というあれは知らないけれども、物価土地などの他上がりと比較して十倍に押えた、この抑え力についてはいろいろ問題もあろうかと思うのでありますが、それは一つの見解として承っておきましょう。  さらに、いままで特別会計財産や何かで、大蔵大臣が知らない間に処分された実例などがあったのですか。この管理はまかせておったのだろうと思うけれども、これは協議の上で処分しておったのではなかったのですか。あるいはこれもやはり限度をきめて自由にまかしていたか、そういう実例があったかどうか。あるいは許可なしに使用収益をやっていた、あるいは不法占拠あるいは無断占用というような実例がたくさんあって、今度は特別財産大蔵大臣許可制にするということに改正したのかどうか。
  10. 江守堅太郎

    江守政府委員 特別会計の持っております普通財産を売るあるいは貸すという場合は、従来は特別会計を所管しておられます大臣が独自になさって、大蔵省には御協議がなかったわけであります。その点につきまして、再三申しましたように、それよりも御協議を受けたほうがいろいろ民間意見を聞く機会もあるし、また国有財産全体の管理処分という全国的な視野から管理処分ができるという観点から、御協議をいただこうというようにしたわけでございます。不法占拠が多かったとか、あるいはかってに安い値段で貸したというような実例が非常にたくさんあったからそういうことをするという意味ではございません。あくまでたてまえから、協議を受けたほうが現在の土地事情あるいは国有財産活用上有意義であるという意味で、協議を受けるようにしたいということを考えたわけでございます。
  11. 日野吉夫

    日野委員 従来、普通財産でも、処分をする場合は用途指定して許可をしていたはずなのだが、必ずしも指定用途どおりの扱いにはなっておらない。これは国有財産法には取り消すことができるという条文がありますけれども、いままでそういう取り扱いをした例がありますか。
  12. 江守堅太郎

    江守政府委員 用途指定をいたしまして、その用途指定に違反した使用のしかたをしておる、あるいは一定期間全然使用していない場合には契約解除をしたという例はございます。
  13. 日野吉夫

    日野委員 それは今日までどれくらいありますか。
  14. 江守堅太郎

    江守政府委員 どのくらいございますか、いま資料がございません。後日調べてお答えいたします。
  15. 日野吉夫

    日野委員 指定期間に何か年間の処分禁止とか期間をつけたことですね。それを大蔵省で法令か何かの改正があって短縮した実例がありますね。指定期間短縮処置をとったことはないですか。
  16. 江守堅太郎

    江守政府委員 取り扱い上たとえば用途指定期間は五年あるいは七年というふうに定められておりまして、個々案件に応じて五年あるいは七年というように指定をするわけでありますが、その指定したあとにおきまして指定期間を短縮したというようなことはないと思います。
  17. 日野吉夫

    日野委員 公共用物台帳などがなかなか現実と合わない、こういうことでこの白書などはだいぶそれを一致させる苦労をしておるのですが、なかなかこれはうまくいかない。うまくいかない原因はどういうところにあるとお考えですか。
  18. 江守堅太郎

    江守政府委員 国有財産台帳に関しましては、そういった数量が合わないというような問題はないのでございますが、国有財産に登載されません河川海浜等につきましては、それぞれ河川法海岸法等によりまして、そういう台帳整備をすることになっておりますけれども、実務がなかなか伴いませんで整備が十分でないという点はあるようでございます。
  19. 日野吉夫

    日野委員 実はこの審議にあたってぼくら非常にふしぎに思うのは、決算委員会でやっておるのはずいぶん古いことですね。いまぼくらはこれを調べるのに、どうしても、決算委員会関係の白田などを見ても、三十六年の現状ですからわからないのです。この実情を。三十八年の処分した結果などはもうすでに集計しているのでしょう。三十八年度のものは三月で締めているでしょう。財産動態をこの表で見ると、どうしても三十六年しかつかめない。これは三十八年三月末現在のものをもらえますか。
  20. 宮川国生

    宮川説明員 三十八年度分と申しますと三十九年三月末までのものでございます。その分はいまから過去一年間のものを整理いたしまして、そして各省から七月末までに報告を受けることになっております。したがってそれの集計は直ちにはできません。したがって、現在最も新しい数字と申しますのは三十七年度でございます。したがって、三十八年度三月末までの分の集計はできております。
  21. 日野吉夫

    日野委員 いま法改正でこれは審議をしているのですが、三十六年の資料だけではほとんど審議の材料に役立たないのですね。その後の三十七年度と八年度のやつは三月で集計しているのならば、それを見ないとほんとうのなにがわからぬのですね。だから旧軍施設転活用表がこの白書に載っていますが、やはり依然として三十六年です。その後動いた動態一つも出てまいらぬのですが、こういうものは出るのでしょう。
  22. 江守堅太郎

    江守政府委員 三十七年度の分、つまり三十八年三月までの数字はお配りしてあるはずでございますが、三十八年度分につきましては先ほど申しましたようにことしの三月までの数字でございまして、各省から数字をもらいますのが七月になります。三十八年三月の数字はいまのところできておりません。三十七年三月までの分はもうお配りしてあると思うのでございます。
  23. 日野吉夫

    日野委員 まだぼくはその三十七年度のあれを見てないのですが、この白書は三十八年版だけれども、三十六年度の数字しか出てないのですよ。
  24. 江守堅太郎

    江守政府委員 白書は三十六年度までのしか出ておりませんが、過日この御審議をいただきます際に、財政金融統計月報国有財産特集と申しますのをお配りしたと思いますが、これには三十七年三月までの数字が全部載っておるのでございます。
  25. 日野吉夫

    日野委員 それじゃそれはあとで見るとして、これは普通財産の部ですが、転活用の実態が白書に出ておるのですが、非常に国の経済の発展に役立った、一つの自画自讃の文が出ているのだけれども、必ずしも大蔵省考えているような状況にはなっていないのじゃないか。われわれの聞いている、調査している範囲でも、転用財産の利用あるいはそうしたものについて非常に問題が残っているのではないか。たとえば旧軍都市法に基づく四つの指定がありますね。議員立法で旧軍港市転換法という法律が出ていますね。これにより指定された市、全部聞くのはたいへんですから、この部では舞鶴の軍港の使用現状、実情、この(旧軍港施設を除く)とした表の中に三十四のなにが出ていますね。この中で兵庫県の加古川の飛行場の処分現状をもし管財局で掌握しているならば、一応ちょっと聞かしてもらいたい。全部聞きたいのだが、全部聞くのはたいへんだから、加古川と舞鶴の状況だけでけっこうです。
  26. 江守堅太郎

    江守政府委員 舞鶴につきましては、土地が四百六十二万八千坪、建物が二十万四千坪ございます。そのうち売り払い貸し付けなどが、土地につきましては三百七十七万八千坪、建物につきましては売り払い貸しつけなどが十七万九千坪、割合にいたしますと、土地は約四五%を処理しております。建物につきましては約八四%を処理しております。土地につきましては、その処理のしかたが、全国の処理のしかたよりはややおくれておるのでございますが、これは舞鶴という土地が御案内のとおりの土地でございまして、企業誘致をするのに、ほかの土地よりも条件が悪い点がございます。したがいまして、土地の処理がややおくれておるというような実情でございます。  加古用の問題につきましては、これは旧軍用財産でございますが、その個別なことにつきましては、ただいま資料がございませんが、わかっておるはずでございますので、後日調べまして御報告を申し上げたいと思います。
  27. 日野吉夫

    日野委員 あとでこういうあれをよく調べてみたいと思うのですが、この表によりますと、二十六というあれで、この払い下げ当時私もちょっと関係させられたことがあるのですが、これは紡績に払い下げた。この紡績は、あの騒ぎを起こした近江絹糸だと記憶しておるが、今日の使用状況は紡績会社だけじゃなくいろいろに変わっている。この表ではただ紡績だけとあるけれども、その後これは掌握してないというからあとで伺いたいと思うが、いろいろに変化をしている。だから大蔵省白書に書いているような必ずしも自画自賛をするような状況じゃない。舞鶴のほうも処分が全部ついたように出ておりますけれども、まだまだ未処理のところがあるのじゃないか、私たちはそういうふうに見ているのです。この白書を見て現実と非常に違う心情があるということだけを御指摘しておいて、あとで十分調べたいと思います。  なお、いま買収未登記財産というのがあるはずで、これは大蔵省でもどうしても処理しなければならぬというので、三十六年の六月十五日に通達を出した。その後何人かの調査員を置いてこれを調べているはずだが、どういう調査の結果が出ているのか。私の知っている範囲では、関東財務局だけでも二千三百二十三件ある。こういうことになっているのだが、東海、近畿、中国、東北、各財務局ごとに調査の数字が出ているなら、ひとつお知らせを願いたいと思います。
  28. 江守堅太郎

    江守政府委員 財務局別の数字をただいま持っておりません。申しわけございませんが、後日御報告したいと思います。
  29. 日野吉夫

    日野委員 これは管財局としては、一つの重要な問題ですから、財務局ごとの数字を掌握しておく必要があるのではないかと私は思うのです。とにかく相当のものがある。さっきも申し上げましたように、これは直接民衆の利害とつながる多くの使途があって腹雑な様相を呈していると私は見ているのですが、これについての今後の処理方針をどう考えておられるか、ちょっと何っておきたいと思います。
  30. 江守堅太郎

    江守政府委員 旧軍未登記財産のうち、終戦後のあのような事情でございましたために、代金を払った、あるいは払っていない、受け取っていないというような事案がたくさんあるわけでございます。このうち、いろいろな事情から国が代金を払ったことが確実と思われるようなものにつきましては、極力もとの所有者の方々とお話し合いを進めまして、国に登記を移していただくようにお話をいたしておるわけでございますが、どうしても話し合いがつかないというものにつきましては、裁判できめていただくよりほかないわけでございます。現在裁判しておるものも相当ございます。それから国が代金を払っていないということが確実なものにつきましては、いろいろ理屈を申しますと、それでも国のものだと言えるような節もあるわけでございまして、終戦当時のいろいろな事情もございますので、国の所有権を主張をしないというような方向で処理を進めておるのでございます。
  31. 日野吉夫

    日野委員 訴訟になっているのはどのくらいありますか。
  32. 江守堅太郎

    江守政府委員 現在訴訟をいたしておりますのが三十三件でございますが、相手方の人数は三百七十七名でございます。
  33. 日野吉夫

    日野委員 訴訟をしたらこれは相当の年月を要するものと思うのだが、それでは急速にこの問題を解決しようとしても、なかなか解決つかないのではないか。軍港市などの市に対して法律をつくっていることもあるので、やはり何か処理法でもつくって、こうしたものは基準を設けて処理をするというような考えは、いま管財局にないのですか。
  34. 江守堅太郎

    江守政府委員 国の使用に基づくということで代金を払っておる、であるけれども受け取っていないというふうにおっしゃられる向きに対しまして、そういった事実関係あるいは法律関係が不明確のまま、あるいは国が所有権を主張しない、あるいは逆に言えば有無を言わさず取り上げるというような一つ法律をつくるということは管財局は考えておりません。でございますが、なるべく円満に早くお話し合いをつけて解決をしたいということで努力をいたしておりまして、そのことによって解決できたものも相当ございます。どうしても解決できないというものにつきましては、解決に時間はかかりますけれども、裁判でやらざるを得ないのではないかというふうに思います。
  35. 日野吉夫

    日野委員 そういうことならば、ここに一つ資料があるのですが、仙台財務局の管轄でアメリカ軍の使用している三沢にある土地、これはやはり財務局の処理方針が間違っていやしないかと思うのです。たとえばこういう登記書類が全部あって、そして固定資産税を納めた市からの証明が出ていて、財務局の出張所長が、土地の境界の立ち会いについて、あなたの所有地に隣接する大蔵省所管国有地について境界確定の上測量を実施したいと思うから、多忙のところ恐縮だが、立ち会いを願いたい、こういう書類を出しておる。これは昭和三十五年の三月四日に十和田出張所長の阿部需という人から出ておる。ところがこれに対して、昨年になって仮処分をした。これは名義変更をやってはならないという仮処分をした。そのまま一年近く、訴訟も起こさず、協議もせず、ほうっておくというようなケース——訴訟になったのはみな掌握しているのでしょう。三十何件という数字が出ていましたからね。こういうケースはあなた方のほうに来ていますか。
  36. 江守堅太郎

    江守政府委員 いまお話しの問題は、三沢の大浦というところにあります約二百二十町歩、相手方で二百七十名の問題であると思いますが、この問題につきましては、もうすでに第一審で国が勝訴の判決を三十四年の十二月にもらっております。相手方が現在控訴をいたして係属中のものでございます。
  37. 日野吉夫

    日野委員 それはいま局長の言われるのとは別ケースだと思うのです。これは図面も私は持っているのだが、アメリカ軍の使用している飛行場の土地の中にあるので、このケースは若干あるかもしれぬけれども、これは二人のきょうだいの所有地で、登記は依然として出ており、三沢の市長からの証明がちゃんと出ている。固定資産税を何ぼ何ぼ払った、こういう指定をし、国は旧海軍時代に代金を町村に払ったのだと言うけれども、受領証もなければ何もないということで、依然として争いになっていて、前の特別調達庁、いまの防衛施設庁になったところでは、賃貸料を払うからということで、ちゃんと計算までしていたのを財務局が払ってはいけないということで中山させたというなにが入っているわけです。こうしてこんがらがっていると、そういうものをいつまでたっても解決できないことになる。そこで私が何か立法措置を必要とするというのは、有無を言わせずに法律的な権力で押えつけるということを意味しているのじゃないのです。そういうことじゃなしに、いろいろのケースがあるから、一つの基準をきめてある程度のものは相談できめていく、そういう委員会をつくるなり、そういうような処置はとれると思う。そういう考えがないのかということを聞いているわけなんですが、とにかく通達を出して早く何とかこれを処理してほしい。これはまたあとで聞きますけれども、膨大な関係者があるわけですから、こういうものをこのままほうっておいたら、いつまでたっても解決がつかないじゃありませんか。何とか一つ方法を講ずる、積極的にこれに取り組む意思があるのですか。
  38. 江守堅太郎

    江守政府委員 こういった終戦後の事態がいままで残っておりますことは、国民の側にとりましても非常に御迷惑なことですし、国の仕事の処理をします点からいっても、まことに困る問題でありまして、積極的に早くこれをやりたいという気持ちを持っております。ただ先ほど申し上げましたように、何ぶん法律関係、事実関係などについて非常に複雑な問題がございます。したがって、ものによっては裁判できめざるを得ないというものも中にはあると思います。ただ国が代金を支払っていないということが周囲の事情からいって明らかなものにつきましては、法律的にはそういうものでも国のものであると言えない節もないわけではないのでございますが、国はあえて所有権は主張しないということで円満に解決をいたしております。それからどうも御当人は受け取っていないと言われるけれども、国側から見れば代金を払っておるということが相当確実なものにつきましては、これは国が単純にそういった債権を放棄するというわけにはまいらないので、極力お話し合いによって事態を解決したいと思っております。いまお話しになりましたうち、問題はおそらくその問題に該当する問題だと思います。したがって両方お互いによく話し合って解決をするほかない問題だと思います。もしそれがどうしても煮詰まらないという場合には、裁判にでもいくよりほかはないと思うのでございます。そのほかこういった問題について民間の方々の一種の苦情、異議というものを大蔵省部内で処理をするというような機関はいま大蔵省管財の行政にはございませんし、またさしあたりそういうものも考えておりませんけれども、たとえば行政監察庁系統の苦情処理というようなハートに乗せて、この問題を側面から促進するというようなことも考えられるのではないかと思います。
  39. 日野吉夫

    日野委員 あまり長くなるからやめますが、終戦後二十年もたって、これは戦争のつめあとです。何とか早く解決しなければならない案件に対して、管財局に明確な一つの処理方針がないということは実際おかしいのじゃないか。これは実例もあることなんだし、昔の戦時中の軍が徴発した土地なんというものはこれは正当な売買ではないんですね。ピストルをさげた軍人が、印鑑持参出頭せよというようなことなんですね。それで対価なども非常に低いものなんで、今日もし明確に本人の受領証があるとか、そして登記が移転されておれば問題ないのだが、登記がそのままになって、固定資産税でも何でも納めておるケースは、訴訟をやるとか、あるいは前任の財務局の所長がこういうふうに貴下の土地であるというふうに認めたのをひっくり返して、証拠書類もないのに——見たけれども、仮処分申請書なども全くこれは問題にならない一つのあれではないか。いま聞いた中で、各財務局ごとの買収未登記事件の調査実数そうしたものの報告と、同時に、もしあるならば仙台財務局にあるだろうから、仮処分の理由なども取り得せて検討してみる。そのあれによってはまた私はお聞きしたいと思うのですが、とにかく長い終戦後のこういう問題を、積極的に前向きに取り組んで解決する態度を持っておらなかったならば、いつまでたっても国有財産の整理がつかないのじゃないですか。こういうことでは、幾ら強硬方針で法改正をやっても解決つかない。もう少し積極的に前向きの姿勢でこれに対処していく心がまえがなければならぬのじゃないかと思うのです。また回答を得てさらに質問をいたしますから、きょうはこの程度にして打ち切っておきます。
  40. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいま日野委員がいろいろ御列示をされまして御質問なさいました件につきましては、私伺って、たいへんごもっともな点と思います。戦後いろいろ混乱しておるときがありましてそういう問題がございますが、大蔵省といたしましても、ぜひ財務局を督励いたしまして、これは両方に迷惑でございますから、お説のように積極的に検討しまして、できるだけ早くそういう問題を解決したい、こう考えております。
  41. 山中貞則

  42. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まず最初に、東海財務局の管轄になっておりましたが、例の富士山ろくの国有地の問題で、これは政府側が敗訴したのですが、その後どういうことになっておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  43. 江守堅太郎

    江守政府委員 三十七年の三月二十七日に第一審で国が敗訴をいたしまして、三十七年の四月九日に東海財務局長が名古屋高等裁判所に控訴をいたしております。
  44. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それの今後の見通しはどのようにお考えになっておられるのか。これは重大な問題が、ほかに関連してありますから、それを伺っておきたい。
  45. 江守堅太郎

    江守政府委員 富士山頂を浅間神社に譲与するという問題につきまして、第一審で負けましたのは、譲与いたします要件といたしまして、神社の宗教活動あるいは儀式等に必要な土地部分というものはどういうものであるかという点に対する判断、それから、たとえ宗教上の儀式、その他に必要であっても、これが特に国において必要な地域というものについては譲与しなくてもよいということですが、そういうことに対する判断がどうかという、二つの問題があったのでございます。第一審におかれます裁判所のお考え方は、宗教活動あるいは儀式に必要な土地その他につきまして、相当ゆるい、広い御解釈をおとりになった。その反面、国の活動に必要な部分というものについては非常に強い御解釈をおとりになった。そのために、第一審においては国が負けたということでございます。私どもは、控訴をいたしておりますが、私どもといたしましては、第一の、宗教の儀式活動に必要な土地というものにつきましては、いろいろ神社側も御意見がありますが、富士山の八合目以上というような非常に広いところ、これが宗教上の活動に絶対必要な部分であるというふうには思っておりません。また、現に、あの頂上にございます奥宮の地域、約四万坪の土地につきましては、これは宗教上必要な部分であるということで、すでに譲与をいたしております。それを除きました八合目以上の、何万坪になりますか、非常に広大な部分につきましてまで、これが宗教上絶対必要なところであるとは国はどうしても認めがたい。ましてや、あの土地は、いわば国民の象徴とも申すべき土地でございますので、そういった国民感情からいっても、あの土地が神社の私有になるということは好ましくないものであるということでございます。  それから、もう一つ、国の活動に必要な地域につきましては、たとえ宗教上必要な土地であっても、譲与できないことになっておりますが、あの地域は、自然公園法の指定を受けております。また、文化財の特別の指定も受けておる土地でございます。また、国の直接のいろいろ施策活動とはあるいは関係がないかもしれませんが、先ほど申しましたように、国民の象徴になっておる部分である。したがって、たとえ八合目以上が宗教上必要な部分であると一歩譲ったといたしましても、国のいろいろな施策上必要であるという観点からは譲れないというふうに考えて、控訴をいたしておるわけであります。
  46. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 管財局長の言われるように、富士山というのは日本の国の象徴のようなものでありまして、これを一宗教団体に譲るなんていうことは、これはだれが考えましても不当だと思いますけれども、その点のことは、控訴されたそうでありますから、いずれまたその結果がいつか出ると思いますが、これと同じようなケースが、どこか、北海道か九州、そういうところにあるのかないのか、そういう管理のことについては、どういうような措置をしておられますか、伺っておきたいと思います。
  47. 江守堅太郎

    江守政府委員 社寺境内地処分法に基づきまして、社寺等に譲与いたします国有財産の問題につきましては、これ以外に問題になっておるものはございません、
  48. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、先ほど日野君が触れておりましたが、私は、戦争の負ける前に主計をやっていまして、特にに最後は内地の師団におりましたから、いろいろの問題があったのだろうと思いますが、旧軍の財産が逐次整理されておることは、私ども承知しておりますが、いろいろな問題がありまして、私、方々に視察に行ったこともありますが、その後、旧軍の保有になっている土地で、いろいろとあると思うのですが、一体そういう問題についての処理が全部ついておるのかどうか、まだ未解決の問題があるのかどうかということも、大きな問題でありますけれども、この際伺っておきたいと思います。
  49. 江守堅太郎

    江守政府委員 大蔵省が持っております普通財産の総額は二千八百二十一億円でございます。そのうち、その約六割が旧軍用財産でございまして、金額で一千七、百八十八億円ございます。その一千七百八十八億円ございます旧軍用財産のうち、約その版分は現在在日米軍に提供してございます。それから、残りの約半分のうち、いろいろ各省各庁の行政財産として使っておりますものが十四%、それから貸し付けておりますものが二一%ございまして、旧軍用財産の約九割はすでに提供、官庁が使う、あるいは貸し付けとかいう形で、それが現在活用されておりまして、約一割が未利用のまま残っておるという状況でございます。
  50. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それと関連して、これは日本は敗戦したのですが、大使館、公使館というようなそういうもの以外に、日本の国有財産が外国にあるような場合の例がありましたら伺っておきたいと思います。
  51. 江守堅太郎

    江守政府委員 旧領土あるいは植民地というようなところには国有財産は相当ございました。でございますが、そうでない、いわゆる旧連合国にありました国有財産というものは、外交関係の領事館その他の国有財産がほとんどそのすべてでございます。そのほか多少あるようでございますが、そのほとんどすべては大使館、領事館等の持っておりました国有財産でございます。
  52. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いわゆる連合国でない、いわゆる交戦国でないところの日本の財産はどういうようになっておりますか。
  53. 江守堅太郎

    江守政府委員 朝鮮、台湾、南洋というようなところにございます国有財産は、平和条約の規定によりまして、当該地域の施政当局とわが国との特別取りきめできまるということになっております。でございますが、現在はまだこの取りきめがございませんので、それらの地域にあります国有財産の帰属は白紙というような状況にございます。ただ、朝鮮のうち、南朝鮮にございます国有財産は、平和条約によりまして、日本側は権利を喪失いたしております。それから樺太、千厩につきましては、国際関係が不明確ということでございますので、国有財産の帰属は明確でございません。でございますが、樺太、千島のうち、歯舞、色丹の両地域につきましては、日ソ共同宣言の規定によりまして、平和条約が締結されたならばソビエトが日本に返すということになっておりますが、平和条約が締結されておりませんので、そのままになっております。それから、沖繩と小笠原、この二つの島につきましては、平和条約の三条によりまして、米国の信託統治のもとに置くということが予定されておるのでございますが、国有財産の所有権は日本に属する、ただ、現在のところ、管理権は米国が持っておるというような状態になっております。
  54. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その他の南米とかメキシコなんというところには、日本の国有財産はないですか。
  55. 江守堅太郎

    江守政府委員 南米その他につきましては、先ほど申し上げましたように、外交機関の持っておりましたごくわずかの国有財産以外はございません。
  56. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ聞きたいことはたくさんありますが、あとの問題がありますから他日にいたしまして、今度のこの法案の中で、先ほど日野委員からもいろいろお話がございましたが、地価が上がったから、実勢を考えて、今度の財産価額のあれを千倍くらい上げられたということでありますが、これは御承知のように、予算とかそういうものの権限は大体法律によるのが原則であるが、どうも役所のほうではめんどうくさいものだから、だんだんそういうことをも政令で処理をしていこうというような傾向があるわけなんです。私はいわゆる民主主義の国家においては、こういうようなことはやはり法律によって規定されたとおりに行なうべきだと思うのでありますが、この点について今度の改正では額が小さいからということで、たとえば三千万円を三億円以上に上げられたということは、どうも国会無視、法律無視だというような形を思わせるのでありますが、その点は一体どういうように解釈をされてこういう改正案が出たのかお伺いをしたいと思います。
  57. 江守堅太郎

    江守政府委員 公共財産の減少、皇室用財産増加というものにつきまして、予算審議の低かに国会で御審議をいただくということにつきましては、そのうちある限度のものについては国会審議からはずしてもよいということは、すでに国会の御承認を得まして、現在三百万円、三千万円ということになっておるわけでございます。したがって、こういったものは本来予算審議のほかに大蔵委員会で御承認をいただくという原則に対しましては、原則としてある一定金額以下のものについては、これを省略してもよろしいということに現行法がなっておるわけでございます。  それでは国会審議からはずしていただく限度はどうかという問題であろうかと思うのでございますが、昭和二十八年立法当時におきましては一件三百万円、個々のものを足して全部で三千万円という程度までの御了承を得ているのでございます。その後十年余りたちまして、土地が非常に値上がりをしておる。したがって、昭和二十八年度において三百万円あるいは三千万円として御了承をいただいた財産の変動という実態に相応するような金額は、ほぼ三千万円あるいは三億ということがあろうと考えて、御提案をいたした次第であります。
  58. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ただいま皇室財産の問題が出ましたが、いま皇室財産の中で、国有財産の所管になっておるものは大きなものはどことどこだかお知らせ願いたい。
  59. 江守堅太郎

    江守政府委員 皇室用財産のおもなものは御用邸、桂離宮、修学院、正倉院その他少数の牧場でございます。
  60. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 こういうものの処理についてはいろいろ意見がありますが、今度皇室財産がふえたということについては、大蔵委員会でもいろいろ審議が行なわれたのでありますが、これはいつも問題になるのでありますが、現在の民法によりますと、天皇がなくなった場合の財産の処理について、やはりいまの天皇家の財産というのは民法の規定を受けて、これは皇族にあげなければならぬという形になっておるということを聞いておりますか、この点はこのままで——万が一、いつかはなくなるわけでありますから、そういうときの処理をどのように大蔵省はやられるのか、これも伺っておきたいと思います。
  61. 江守堅太郎

    江守政府委員 皇室用財産は、天皇の私有財産ではございませんので、いま申されましたような事態とは関係がないというふうに考えております。
  62. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私有財産のことについては、大蔵省は何も権限がないわけですか。
  63. 江守堅太郎

    江守政府委員 天皇の私有財産につきましては、大蔵省は何ら関係がございません。
  64. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこでいま宮中で建てられている今度の建物ですね。こういうものの管理はやはりあなたのほうでおやりになっておるのですか。
  65. 江守堅太郎

    江守政府委員 皇居造営は、これはもちろん主管は宮内庁がやっておりまして、建設その他の事務については建設省が関係をするわけでございますが、でき上がりましたあとにおきましては、皇室用財産として宮内庁がこれを管理するということになっております。
  66. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それじゃ大蔵省国有財産のことを処理するだけですか。管財局はどこまでどういうあれをするのですか。
  67. 江守堅太郎

    江守政府委員 皇室用財産でございますので、国有財産を統轄、管理処分するという観点で、当然皇室用財産についても大蔵大臣関係を持っております。
  68. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうすると、皇室自体の私有財産はどういうような形になっていますか。
  69. 江守堅太郎

    江守政府委員 皇室用財産以外の天皇に御関係のあります財産につきましては、私どもはどうも何とお返事していいかわかりません。
  70. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この問題は宮内庁の権限でありますから、他日私はあわせて聞きたいと思います。  それから、この前私は文教委員をやっておりましたときに問題になったのですが、国有財産、たとえば正倉院のような問題で文化財と競合するような場合が非常に多い。富士山なんかも多少そういう公園とかなんかにあれするのですが、そういう場合に管財局はどれくらいの監督権があるのか。これはデリケートな問題がありますから、正倉院の問題でもいろいろございましたけれども、いまの富士山の宗教団体の問題と関連して、大蔵省はどういうようなあれを持っておられるのか。これは文化財との関連があって、文化財は文部省でありますから、こういう点についてはどのように処理をされておるか。
  71. 江守堅太郎

    江守政府委員 文化財として指定されております財産処分というものは、文化財保護委員会の御承認を得なければできないわけであります。そういうことでございます。
  72. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういうことについては、大蔵省と文部省との間にそういう処理のいざこざは一度もなかったですか。
  73. 江守堅太郎

    江守政府委員 ございません。むしろたとえば奈良の御承知のような問題について文化財保護委員会のお考えに従って国が土地を買った、御協力申し上げたことはありますが、非常に紛争を起こして、文化財のほうの保護について大蔵省の施薬がマイナスになるというふうな点はございません。
  74. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、今度の法律の中で行政財産を賃貸借契約じゃなくて、行政処分等許可によるということに改めると書いてありますが、いまの法律ではどういう不都合があるのか、これを具体的にひとつ御説明願いたい、
  75. 江守堅太郎

    江守政府委員 現在の法律は、行政財産は、その用途または目的を妨げない限度において使用または収益をさせる場合を除くほか、これを貸し付け、交換し、その他私権を設定することができない、こういう規定になっておりまして、この規定は行政財産使用、収益させます方法といたしまして——本来行政財産と申しますものは、行政目的上必要であるから、行政財産として保有しておる財産でございますので、これを一般の民間のほうに使わせるというふうなことは、きわめて例外的な、一時的なものでございますので、当然これは一時使用許可的な性質を持つべきものでございます。でございますが、現行法は、この条文から申しますと、場合によってはそういった一時使用許可でなくして、普通の貸し付けというようなこともできるように読める心配がございます。したがって、これははなはだ適当でないということで、今後はこういった行政財産使用、収益というようなものは、すべて行政財産の一時使用許可ということで処理をしようということでございます。
  76. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから先ほど日野委員の質問に対し、大蔵省権限が大き過ぎる、だから各省から非難があるから、むしろこの際それらを整理したほうがいい、各省各庁にまかしたほうがいいという説明管財局長は言われたのでありますが、私はむしろ逆であって、やはり国の財産大蔵省というものが管理統合していくことが必要なのじゃないかというふうに逆な考えを持っているのでございますが、その点はどのようにお考えですか。
  77. 江守堅太郎

    江守政府委員 普通財産管理処分、これは特別会計のものを除きましては大蔵大臣が一本でやっております。従来は普通財産処分というようなものは、大蔵大臣とは法制的には別に行なわれておったのでございますが、今回これを協議をしていただくという意味で、特別会計の持っております普通財産についても大蔵省が統一的にこれを管理処分するというような体制になったのであります。行政財産につきましては、これは各省各庁が行政目的にお使いになっておる財産でございますので、したがって、本来これを御使用になっておる各省各庁の大臣管理なさるというのがたてまえであろうと思うのでございます。でございますか、現在行政財産として御使用になっておる財産のうちに、行政財産として使用しなくてもいいと思われるような財産がある場合に、これに対して、大蔵省は、これを早く普通財産として引き継いで、そのことによって土地の経済的な、合理的な使用をしたいという希望を持っております場合に、おたくのほうでは要らないだろうから大蔵省に返してくれと申すわけでございますが、この問題について、今回の国有財産法改正は、これをもう少し明確にして、大蔵省がこういった国有財魔法に基づいて大蔵大臣各省各庁の大臣に対して一種の措置要求ができるというふうに考えておりますので、行政財産についても、大蔵大臣の統轄権というものが筋道が立ってくる、したがって、普通財産につきましても、行政財産につきましても、いま佐藤委員のおっしゃったような方向での国有財産法改正であるというふうに考えております。
  78. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 田中大蔵大臣が来られましたので、ちょっと国有財産法とは別の問題でありますが、ただいま各大銀行の預金が至るところでなくなっておるというような非常に不安な状態があるわけですが、このことについて大臣はどういう見解を持っておられるのか、まず伺いたいと思います。
  79. 田中角榮

    田中国務大臣 近ごろ金融機関の現金紛失という問題が相次いで報道せられておることは、はなはだ遺憾でございます。本件につきましては、一月の二十五日付で銀行局長名をもちまして、各金融機関に対しても通達を行なっておるわけでございます。現金の管理体制の、不備等による、不祥事件の絶無を期せられるようにということでやっておるのでございますが、どうも相次いで起こるということに対しては、たいへんな問題でありますので、近く新しい観点から通達をまた出して、これらの事案が解決するように、こういうことが再び起こらないように万全の体制をとるようにしたい、こういうふうに考えております。
  80. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 にせ千円札の問題が起きてからすでに二年くらいたつのに、解決しないことも御承知のとおりだと思うのでございますが、御承知のように銀行は個人の会社でございますから、別段何でもないといえばそれまででありますけれども、しかし公共性のある仕事でもあるし、大蔵省みずから銀行局というものがあって、これを監督指導することになっておりますが、この点について、この問題をどういうふうに——一カ所だけなら問題ではありませんが、各所に行なわれているということは、何か基本的なあれがあるのではないか、あるいは銀行内部にあるのではないかというようなことを世間で言われておりますが、これはひとつ社会不安と関連して——これは金のことでございますし、ほかの強盗やどろぼうというのは昔からあったことでございますけれども、どうも最近こういうことが頻々としてあるということは、めずらしい事態ではないかと思うのでありますが、この点について大臣はどのようにこの問題を解決されるのか、どういうような方法でこれをなくされるお考えなのか、この際伺っておきたいと思います。
  81. 田中角榮

    田中国務大臣 銀行というところは、日本人から考えても、一番現金出納には厳重なところでありまして、現金管理等に対しては絶対的だというふうに考えているわけであります。特に日銀などからそういう問題が起きたわけでありますから、これは全く御指摘のとおり、何らかの方法考えて、将来かかることの絶無をはかっていかなければならぬということでございます。いままでは通達だけでございましたが、通達だけではどうも万全を期しがたいので、銀行局から人を派しまして、一体いままで起こったものはどういう不備でかかる事態が起こったのかということを調べているわけであります。でありますから、犯罪捜査はもちろん警察、検察庁がやっていることでございますが、そうではなくて、どういうことに起因してかかる事態が起きたのかという原因を究明しまして、そういうことを参考としながら、こういう例もあるのだから、ぜひ現金管理を十分にしてもらうように措置いたしたい、こう考えているわけでございます。中には法律をつくってどうこうという意見もございますが、なかなかむずかしい問題でございます。しかしこういうことが大きくなっていくということは、また間々あるということは、国民の信頼にこたえるゆえんではございませんので、大蔵省としましても、金銭出納また現金管理という問題に対しては、十分実をあげるように何らかの処置を講じてまいりたい、このように考えております。
  82. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは大臣から直接でなくともいいのでございますが、いままで大蔵省が調べられた中でこういうケースがあった、こういうことがあったという的確なものでなくてもけっこうですが、どうして金庫の中から三百万円も五百万円もなくなるのか、一万円や二万円の金ならともかくとして、数百万円の金がなくなるという問題が、一つの銀行でなくて相当たくさんの銀行から出ておるのですが、何かその情報というものがあったら、こういう大蔵委員会ですから、お知らせ願えないでしょうか。
  83. 田中角榮

    田中国務大臣 現在捜査といいますか、調査をいたしておる段階でございますので、まだ的確に申し上げられる段階ではないようでございます。私もきのうも一体的確なものがつかめたのかと聞きましたが、いま捜査中でございます、調査中でございます、こういう報告でございます。現金だけではなく、手形等に対しては相当乱雑で、他の金融機関でも手形がそっくりなくなったというような事案もあったようであります。これは取り扱いの枚数が非常に大きくなる、取り扱い金額も大きくなる、業態自体が大きくなる、それにまた文明の利器といいますか、この金庫なら大丈夫だという安心感が間々いろいろな状態を起こすのだと思います。同時にまあ盲点をついて、絶対安心だということになると、人もいないということになるのですが、そういうものに絶えず挑戦して、ひとつあの金庫をあけてやろうという人もおるようでありまして、こういう問題に対しては何とかしてこういうことのないようにということで、いませっかく調査を進めておりますから、調査結果が出ましたら御報告申し上げます。
  84. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは大蔵省自体の責任ではないと思うのですが、にせ千円札といい、今度の銀行の金庫から金がなくなるという問題は、これは信用にかかわる金の問題でありますから、十分にひとつ速く処理をして国民が安心して銀行に預けられるような方途を講じていただくようにお願いしたいと思います。  それから、あと国有財産の問題について川俣さんの質問があると思いますが、大臣大蔵大臣として二年間ぐらいおやりになったのでございますから、この国有財産の処理について何か田中さん自体の考え方で今後こういうような国有財産の処理をしていこうというような方針とか、あるいはあなたの考え方がありましたならば、この際お伺いしたい。
  85. 田中角榮

    田中国務大臣 国有財産につきましては、いま改正案を御審議いただいておるのでございますが、私は大蔵大臣としての立場で申し上げるということになるとなかなかいろいろな問題がありますので、特に申し上げないようにしております。おりますが、実際問題として国会で御審議をいただき、私が当委員会で申し上げるといたしますれば、少し国有財産の効率運用に欠ける面があるということは申し上げなければならぬと思います。考え方によっては、内閣各省ともみな同じものでありますから、直接仕事をしておる所管大臣管理をしても一向差しつかえない、こういう議論が常識的には止まれるのでありますが、現実問題になりますと、なかなかそうはいかないのであります。もう所管大臣の話というのはなかなかつかない。建設大臣が非常に困られたのは、これは法律によっても所管が明確になっておりますが、公園敷地に高速道路を通す場合に何年間も片づかなかったという問題、特にあの本郷に出る道路は十年間東大の敷地が削れないためにどうにもならなかった。十年たってやっと道路ができたときには、道路幅が狭くなっている。なおいまは比較的円滑についておりますが、防衛庁の敷地で不用なものを住宅公団にやる、この一、二年はうまくいっているようですが、いままではなかなかうまくいかなかったという例はたくさんあります。戦前は御承知のとおり、大蔵省には営繕管財局がございまして、官庁とか国費の支弁に基づく建物等は全部管財局がやっておったわけであります。各省官房の会計課長権限でやるものは、一万五千円の金額だったと思います。現在は百万円か二百万円になっていると思いますが、これが戦後いつの間にやら各省大臣官房の営繕係が営繕課になり営繕局になるというような状態で、合理的といえば合理的でございますが、実際問題から考えるとなかなか国有財産の統一管理は——やはり狭い土地でありますから、そういう意味から言えば、私は統一管理のほうが好ましいことだと思います。決算委員会でいつでも指摘をされるわけでございます。なぜ一体統一管理をしないのだと毎年毎年同じことをわれておるわけでございますが、まあなかなか一時に統一をするというのもむずかしいことでございますので、そういうところをできるだけ合理的にするために今度の改正案をお願いいたしましたわけでございます。私はこれが万全だとは考えておりませんが、まあ各省との間に何とか話がまとまる状態ということで今回の改正策をお願いいたしたわけでございままして、これから漸進体制をとるようにして国有財産の統一管理、効率運用という面に対してはもっと考えていかなければならないというふうに考えております。
  86. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いま大臣が触れられましたが、どうも日本の官庁各省、建設省は建設省、それから文部省は文部省というように、いろいろ権限を争うような問題があると思うし、同時にこれは旧聞になりますけれども、海軍省と陸軍省がいろいろ張り合ったというような問題もありました。いまはそういう点が敗戦で一応洗いざらいになったので形がしやすいと思いますが、私は、いま大蔵大臣が言われたように、この国有財産の保護管理その他国のやるような問題については、もっと大蔵省権限を強くして処理をしなければ、各省各省がかってに自分たちのためにやるというような問題もあるので、そういう点につきまして、田中大蔵大臣は御承知のように民間の出の人でありますから、そういう民間立場からでも大きな目でやれという立場もありますから、本法案のような小さなことでなくて、もっと大きな立場からこの国有財産というものについてやはり権限を強大すべきじゃないかと思うのですが、大臣はどのようにお考えになっておるのですか。
  87. 田中角榮

    田中国務大臣 一面においては非常に御激励をいただいておるわけでございますが、一面においてはそうすべきものを中途はんぱな状態でおる閣僚に対する御叱責ということになるわけでございまして、確かに私もあなたが御指摘をされた事実に対してはそのまま理解をいたしておりますし、だんだんと漸進的な体制をとるべきだというふうに考えます。国有財産などは、ある時期にこういうふうに、ちょうど昭和の初年にできました文部省が最初でございますが、営繕管財局当時の営繕物そのものが、土地だけを非常に高度に利用するために、ほんとうに働く人のためにはいろいろ議論があるとは言いながら、やはり総合的に建物は考えてきたわけであります。ところが、このごろはバラックがありますから、これをこわして鉄筋に建てなければいかぬという予算要求で鉄筋を建てると、バラックもそのままいつまでも残っているのです。こういうものは美観とか都市計画とか官庁営繕物の問題から非常に考えなければならない問題であります。御承知の市ケ谷のあそこに新しい機動隊ができたわけでございますが、その仮設バラックが現在では全部そのまま永久的に使われておるという問題もあります。今度のオリンピックでつくりました選手村の建物も、自然公園にしてあれは取り払うということになるのですが、一体オリンピックが終わってあれが取り払われるようにほんとうになるのか、非常に問題が多いわけであります。これはもったいないとか絶対量が足らぬのだとか、こういう考え方をいつまでも持っておっては、都市計画もできないし、公園の整備もできなくなりますし、こういう問題は無数にあります。でありますから、指摘をさせられるまでもなく、もっと法制的にも整備をしなければいかぬという考え方は私としては持っておるのですが、何か大蔵省が統一するとすぐ営繕管財局の昔に戻そうとしているのだということで非常に抵抗も多いわけですから議員立法でいまから十年ばかり前に建設省にせめて営繕物だけでも統一しようというので官庁営繕統一法ができました。現在建設省が所管しているわけでありますが、これでも国会は別である、裁判所は三権分立のたてまえから別だ、こういうことでなかなかうまくいかぬのであります。ひとつ国会あたりから範を示していただけば非常に合理的にいくだろう、私も国会議員自身としてそう考えております。やっぱりそういうことを考えないと、建設省と国会が一体になって初めてこの国会の前の前庭整備ができるわけでありますから、私はこういう問題に対してはわれわれ自体もひとつ勉強し出すし努力をいたしますから、国会でもひとつ御鞭撻をいただきたいと思います。
  88. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 時間がありませんから最後にお伺いするのでありますが、田中さん御承知のように、戦前戦後を通じて大蔵大臣は非常に憎まれる役であります。高橋是清氏が有名ならつ腕でしかもなかなか苦労人の大蔵大臣として当時も今日でもいろいろ慕われておるわけでありますが、どこの省にでも受けがいいような大蔵大臣では日本の経済が持たぬということをいわれております。山中さんは個人的にもなかなか人気がいいので、今度の予算でも総花的だというようなことがありますが、少なくとも日本の財政をつかさどる人は、幾ら国民に憎まれても国の将来のことを考えてやるべきだということも考えるし、問題に日本の一番の弊害は、やはり官僚独善といいますか、いまは政党政治でありますけれども、むしろ官僚政治だと言われるほど、各省の伝統とそれから省自体の方々の極限によって処理をされるような傾向が非常に強い。そういう点で日本の政治は政党政治ではなくて官僚政治だとまで言われるゆえんがそこにあると思うのであります。田中さんもよく気づいておると思いますけれども、少なくともいまの日本の政治の中で一番憎まれて仕事をしていただかなければならぬのは大蔵省だと思うのであります。その中でも大臣はこういう国有財産のよやな問題についてももっと抜本的な改正をやって、各省から憎まれてもいいから日本の将来のためにこういう問題を処理し、ことにことしはオリンピックの年でもありますから、いろいろな方面においてやはり新しい道を開くということについても、大臣は官僚出の大臣じゃないので、そういう民間出の人であるがゆえに、ひとついい慣習を残していただく、それにはまず国有財産から始めていただくということをお願いしたいのでありますが、どういう抱負を持っておられますか、これを最後にして私の質問を終わります。
  89. 田中角榮

    田中国務大臣 予算の問題につきましては非常に真剣に討議もされますし、またはなやかなものでございます。しかし国有財産を買う場合には非常に消極的でありますが、買ってしまうと台帳がよくわからぬ、こういうものがあるわけであります。大蔵省につきましても、私はそういうものを各省手きびしく要求しなさい、かつてこれだけ用地の問題に対してめんどうなことを解決して、あと台帳整備がされておらぬというようなものは非常によくないから、これは予算と同じような立場国有財産の効率運用、合理的な運用を考えなさいということで、国有財産法もその意味で、私がまいりましてから、直ちに改正に着手した、こういうことでございます。大蔵大臣は憎まれる役目である、まさにそのとおりでございます。いままでもそのつもりでございましたが、これからも憎まれても一身の毀誉褒貶を考えず、将来のために邁進したいと思います。
  90. 山中貞則

  91. 川俣清音

    川俣委員 大臣がおられる間に伺いたいと思います。  国有財産の適正化並びに円滑化ということを目的として今度改正されるのでありますが、これは必要の前にやらなければならない問題をいま解決されるわけでございます。おそきに失する傾きがありますけれども、趣旨としては当然なことだと思います。そこでお尋ねしなければならぬのは、現在当然適正化または円滑化が行なわれていなければならないのに、従来の惰性でいまだ未処理になっておる問題がたくさんあるようでございます。これは法律を要しないでも適正化のできる問題がたくさんございます。一つの例をあげて言うならば、前にも予算委員会で質疑したことがございますけれども、北千島の国有林がいまだ台帳に載っておるわけです。これは所属は日本のものかというと首をかしげざるを得ないものでございます。国有財産なら大蔵大臣管理されてなければならぬ。大蔵大臣管理が及んでいるかというと、これは及んでいない。いないものを台帳に載せておるということの矛盾が出ておる。そうすると適正化という前にやらなければならぬ問題が残っておるじゃないかということを感ずるのです。これは外交上の問題もありましょうから私はここであえてその不当性を追及するということはいたしませんけれども、何とか処理しなければならぬ問題であることは明瞭だと思います。外交と同時に解決しなければならぬということで延びておるなら別でございますけれども、あえて法律を出されるからには、こういうものがどうなっておるのだと聞かれた場合に、首をかしげなければならぬ、相談しなければならぬ、閣議の相談をしなければ返事ができないような問題がまだ残っておるわけです。  それからもっと小さい例を出しますと、文部省が墓地を持っておる。しかもこれはたしか七千何坪かの基地を持って無償で貸し付けておる。文部省がなぜ墓地を持たなければならぬか。天然記念物でもあるなら別ですけれども、天然記念物かと思って調べたところがそうでない。北海道の大学が演習林を買う場合に墓地をもあわせて買った。そのままになっておる。大学が記念に墓地を持っておるなら別です。これは民間に無償で使用させておる。無償で使用させておるような墓地を文部省がなぜ持たなければならぬか、なぜ国有地にしておかなければならぬか、これは大臣指摘されるまでもなく疑問でしょう。これが放任されてそのままです。私は前から指摘しておるのですけれどもいまだにそのままになっておる。  それから郵政省所管でため池を持っておる。これは農林省が国有地でため池を持っておるならわかりますけれども、一体なぜ郵政省がため池を持たなければならぬのか。これも無償で貸しておる。これは何かというと郵政省の寮の池なんです。もとため池であったのをそのまま池として使用しているらしい。これをなぜ持っていて無償で貸しておるか。これはもちろん水源地ですから農業用水として貸し付けなければならぬでしょうけれども、そういうのをなぜ持っていなければならぬのか。管理の及ばないものをあえて持っているということに対して大臣批判をされますけれども、すでに自分の管理から離れておるものをなお台帳に載せておいて、管理責任がある、こういうことになっているような問題があります。これは大臣早急に整理される必要があるのではないかと思うけれども、まずこの点を大臣に伺いたいと思います。
  92. 田中角榮

    田中国務大臣 郵政省のため池の問題は大して大きな問題ではないようです。これは池を持っておったほうがいいということでありますが、私は寮とか何かが庭園を持ってはいかぬとか、池を持ってはいかぬとかいうことはないと思うのです。  北海道の演習林の問題も相当何回も指摘を受けておるわけですから、これは墓場とか焼き場とかそういうものはやはりその地元に払い下げをするとか、そういうものがだめであるならば普通財歴として返還をして大蔵省地方公共団体に貸し付けるとか、何らか処置をしないで、国会で指摘されても、何とかいたします、いたします、こう言っていたさないということはよろしくないと思います。そういう大蔵省の所管の問題で、そこに伊藤公の銅像わきにも未処理になっているのがありますが、これは少なくとも国有財産法審議していただくというときぐらいまでに片づけなければいかぬぞということで、いま大体片づくようになっておると思います。国会のそばにおいてさえもそうでありますから、これは指摘されれば確かにあると思います。そういうことはよろしくないということで、この国有財産法改正を契機にしまして各省に対して厳重にやるつもりです。私たちも、これが各省のものであるということで、国会の指摘に対して答えられないということではいかぬので、大蔵省から人を派してもそういうものに対して何らか措置をするという立場にあります。  もう一つの北千島の問題は、これはなかなかむずかしい問題なんです。これは特設の場所でもつくって入れるように法制上すればということもありますが、この外交問題とからんでいるものはそう割り切ってしまうわけにもいかぬのです。割り切らぬところにひもがつながっておるわけでございますから、こういうものは特別の事態でありますので、昭和十七年現在ぐらいの評価で何億かを帳簿に載せておるわけです。これは自然に載せているということであって、これを落とすということになってくると政治問題が起こってくるわけであります。ですからこの北千島その他の問題はまた別な問題としまして、政府も十分検討している問題でございますが、いま早急に解決できる問題ではない。ただ、国内的に当然各省大臣もしくは大蔵大臣が処置すべきにもかかわらず国損を来たしておる、また乱っておるというような問題に対しては、御指摘をまつまでもなくこれを合理的に解決をするように努力をいたします。
  93. 川俣清音

    川俣委員 私が指摘いたしましたのは、郵政省のため池の問題にいたしましても、これを国有地として買い上げるときに無理があったのだと思うのです。四囲の慣行のあります用地を買い上げる場合にため池をも貰ったというところに間違いがあったのだと思うのです。これは当然用水池がありますために無償で貸し付けているわけです。郵政省がため池を無償で貸さなければならないというのは何としてもおかしいということは指摘できると思うのです。農林省が用水池を無償で貸しておるということなら、これは話がわからぬわけはない。郵政省がなぜ用水池を無欲で農民に貸さなければならぬかということになると、わからぬという返事をせざるを得ないかと思うのです。そこで私は、いま法律改正されるからこの機会にということはあり得ると思いますけれども、法律改正してもやる気がなければ何にもならないのじゃないかということを大臣に指摘したかったのです。よく役人は、法律さえできればやれるのだ、こう言うけれども、法律が現にあるのです。ある法律すら使っていないのに、また別な法律ができなければやれないのだという考え方は誤りじゃないか。この点どうですか。
  94. 田中角榮

    田中国務大臣 私の考え方をちょっと前のお答えも補足して申し上げますが、ため池は郵政省ではなく労働省のことを指摘されておるの、だと思います。福岡県飯塚市所在、飯塚労働基準監督署の構内の池でございまして、これは土地十二坪というのでございます。これは飯塚市に対して火災防止のためにため池として無償貸し付けをしておる、こういうことでございます。これは国有財産法第十九条は第二十二条を準用いたしまして、行政財帳を地方公共団体が緑地、公園、ため池、火葬場、墓地等の用に供する場合には無償で貸し付けることができるというふうに規定がありますから、違法ではないということでありますが、違法でないということよりも、あなたが言っておることはよくわかるのです。学校の敷地の中に火葬場があったり、そういうことが違法でなくても一体いいのかという問題だろうと思うのです。だから法律上は北海道の演習林を文部省の行政財産だから火葬場に無償で貸しても違法ではないということになりますが、国有財産法改正をするときに一体そんなことでいいのかということだと思います。こういう問題に対しては、いますぐ結論を出すということはなかなかむずかしいにいたしましても、何らもう少し国有財産法第十九条なんということを国民に言わなくてもわかるようにするということが好ましいことだと思います。こういう問題に対しては、法律上の問題もさることながら、個々のケースとしてどうあるべきかという問題に対しては検討いたしたいと思います。
  95. 川俣清音

    川俣委員 第二点ですが、一体国有財産というものの価値はどこにあるのでしょうか。特に土地についてはどういうところに価値があるのでしょうか。価格で表現しておるようですけれども、価格で表現するからには何らかの価値があるということだ。その価値は何なのでしょうか。あるいはもっとわかりやすく言えば、価格は何で出てくるのか。
  96. 田中角榮

    田中国務大臣 なかなかむずかしい御質問をなさってどうも……。  お答えいたします。価値は三つの立場考えられる。国有財産台帳に計上する額ということが一つあります。これは購入価格等であります。それから第二の問題は、これを売り払う場合に、時価等を十分参酌して、第三者の評価等をまちまして、いささかも国損を来たさないという立場で評価をされ、価格は決定される。もう一つはこれは両度の国の立場でございます。きっと立木等をさしておられると思いますが、時価は確かに相当高い。しかし国でございますから、高く売れるからといって最高の値段でということよりも、やはり物価の抑制も考えなければなりませんから、国から補助金を出す場合には標準単価でもってやっておって、国損を来たしてはならないということだけに重点を置いて非常に高く要求をする。しかもこれは随契を行なえない人等に対しては三割という課徴金式をとっているわけでありますから、そういう意味から言うと非常に高い。高いということと、国が物を売るときに物価をどんどんつり上げるような方向ではいかぬということで、やはり適正な価格というものがございます。その適正な価格の中に、立木等に対しましては、あるところでは風倒木などがあるときだからある時期は安いとか、ある時期は商いとかいう問題が出てくるのであって、立木等に対する価格論は私よりもあなたのほうが御専門ですが、そういう意味で三段階で考えられるわけでございます。
  97. 川俣清音

    川俣委員 わかったようなわからないような答弁になったわけですけれども、価格に表現されるからには、その価格に見合うだけの価値がある、こういうことだろうと思うのですが、それは使用、収益することによって利益があがるのだ、その使用、収益の利益の額に見合うのが適正価格だ、こういう判断をされておるのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
  98. 田中角榮

    田中国務大臣 必ずしもそうじゃありません。あなたは、特に農地とか林野とかいうものは収益価格で算定すべきだ、こういう御議論でございましょう。ところが実際はなかなかそういっていないというところを御指摘になっていると思いますが、私どもその事実は理解できますし、承知もいたしております。林野等に対して、私も大蔵省でいろんなこまかいデータを持っておるのですが、あるものは非常に安い、あるものはスライドをして当然こうなっていると言いますが、私から考えてみても、常識的に見て少し高過ぎるのではないかというようなきめ力もあるようでございます。ですから、こういうものを合理的にきめなければいかぬ、こういうふうに考えております。いま原町、山林その他の農地の問題とか——農地などに対しては、これは非常に安い価格で買っており、安い価格でもって法律に基づいて売り渡しておる。こういうものは別にしても、林野とか農地とか、そういう問題に対しては、やはりいまのものが最上であるというふうには考えておりまんが、できるだけ合理的な方法を見つけ出していくということ以外に申し上げられません。
  99. 川俣清音

    川俣委員 時間がないようですから、もう一点だけ大臣にお尋ねをして、あとは政府委員にお尋ねしたい、こう思います。  国有林野の中で、これは神戸の市外ですが、国有林野の一部を学校の敷地に貸し付けておるわけです。もちろん公共性の高い学校に貸し付けるというのは、これは不当でも何でもない。貸し付け自体が不当だというわけではない。学校ができましたために国有林野のような不便な土地も繁華になりましたために、地価が上がったということで、会計検査院からは貸し付け料が安過ぎるというこの間の指摘事項がございます。これは学校ができたからこそ地価が上がったので、学校に貸し付けなければ、依然としてそういう時勢というか、経済の流れがあるということはありましても、学校ができたということによって、いわゆる付近の土地の値が上がったわけです。それば収益価格を上げさしてくれた恩恵者であるにかかわらず、その学校の敷地は付近から比べると地価が上がっておるにかかわらず、安過ぎるとして会計検査院が指摘しているわけです。指摘事項にございます。これなどは、公共性のある学校に貸し付けるということが不当であるというような印象を与えるわけでございます。同じ指摘事項の中でも、ゴルフ場に貸した、これは安過ぎるという指摘事項、あるいは会社の工場に貸したのが安過ぎるという指摘事項は、これは私はある程度うなずけないことではないと思うのですが、学校のような公共性の高い、いずれそれは私立学校であろうと思いますが、こういうものに貸し付けたからといって、すぐに付近の地価が上がったから上げなければならないというような考え方は誤りじゃないかと思うのですが、大臣の見解を聞いておきたい。これは本来会計検査院の指摘事項ですから、大臣に聞くべき事項ではなさそうに思いますけれども、国有林野のあり方としてお尋ねをしておきたいと思います。
  100. 田中角榮

    田中国務大臣 会計検査院が指摘をするには指摘をするだけの理由があると思いますけれども、少なくともいまのは学校あるいは学校法人である、こういうことを考えますと、地価が上がったからこれは上げるということはどうも指摘どおりではないように思います。それは行政財産であれば、公共団体の緑地、公園、ため池、火葬場、墓地の用に供する場合には無償でもいいわけですから、少なくとも学校というものは無償に近いものであるということは、公立学校には無償で貸しているわけですから、しかもその公立万能でなく、私立との併立でもってきておる日本の現状、だんだんと公立よりも私立に移っておるという趨勢を考えるときに、学校の持つ公共性というものは非常に高いものでありますから、これが民間に貸しておって民間が非常にそこで収益をあげておるといったような問題と軌を一にして論ずべきものでないということだけは確かに私は言い得ると思います。これは逆に周辺の地域が非常に上がったからといって、林野等を借りておるものに対してもみな上げる、これに対してもあまり急激に上げてはいかぬのじゃないかという議論もあります。少なくとも私は先ほどお答えしましたときに、まわりに公団の住宅が建ったために、全然たんぼとか牧場に使っておる土地で、何も収益がふえないにかかわらず、相当借料が上がるというような問題に対しては、少し上げ過ぎるのではないかという例もありますということをお答えしたわけです。その本尊さまであるところの学校の話ですから、会計検査院とも十分お話をしたいと思いますが、方向として、時勢としてはできるだけ上げない。普通であれば、学校は公益性が高いのだから、しかも国は全部が全部入れるだけ税金でつくれないのであって、そういう意味で私立がその国の相当なものを負っておるのだから、なるべく安いものでやれということが国民の声であろうと思います。そういうものはやはりもっと妥当性ということを十分考えるべきだというふうに、私ども事情はよく知りませんですが、いまの御質問を前提にしてお答えをしますと、そのように考えます。
  101. 川俣清音

    川俣委員 全くそのとおりだと私は思います。  それでは続いてお尋ねいたしますが、大臣は途中でお帰りになりましたが、土地価格というようなものは何から割り出された価格であるか、土地価格というものは何であるか、これをもう二度お伺いをしたいのです。
  102. 江守堅太郎

    江守政府委員 土地の価格は、土地使用しておるということ、所有しておるということ、それから土地を所有しておることによってある一定の利益を得ておるということ、そういうことによって出てくるところの利益を貨幣価格で表現したものというふうに考えております。
  103. 川俣清音

    川俣委員 おそらくそうであろうと思うわけです。そうすると、その土地を持って収益があるということで土地価格というものの基調あるいは価格の構成の要素がそこにあると思うのです。それじゃ収益の上がらない土地は、価格が制限される、制約される、こう見るべきじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  104. 江守堅太郎

    江守政府委員 私は、土地を所有しておることそのものによってもある利益がありますから、その利益によっても価格が出てくると思います。それからそのほかにやはりそれによって収益を上げることによってもある利益がありますので、それが価格になって表現される。私は、土地を所有しておること自体によって利益があるので、そのことだけでも土地の価格が出てくるというふうに申し上げたわけであります。
  105. 川俣清音

    川俣委員 もしそうだとすれば、国有財産ではどれだけ利益があがっておるのですか。あなた利益が上がっておると言っておるけれども、持っておるという、所有しておるというだけで利益があがるというのは、どれだけ利益をあげておるのですか。国有財産を持っておる、所有権だけで価値が生まれてくるというのならば、国有財産はどれだけの価値が生まれてくるのですか。
  106. 江守堅太郎

    江守政府委員 価値がどれだけになるかということについては数字での表現はむずかしいと思いますが、それは国の持っておりますだけの土地といいますのは、現在国で利用していない土地、いわゆる未利用地であると思いますが、その未利用地は、将来ある場合には売るということにもなります。それから現在売らないことによって将来のいろんな産業政策、都市政策、そういった政策にマッチした処分ができるものもあるでしょう。そういった意味においては、現在むしろ売らない、そのまま持っておるということにも私は意味があると思うのです。そういう意味で未利用地といえども価値があるというふうに思うわけです。
  107. 川俣清音

    川俣委員 それば所有しておることによって利益があるのではなくして、所有しておるということは処分権を持っておる。その処分の意義が価値がある、こういうことになるのじゃないですか。単に所有しておるというだけで価値があるんだというあなたの説明は誤りであったんではないかと思いますが……。
  108. 江守堅太郎

    江守政府委員 仰せのとおりと思います。所有しておるということは、当然これを処分をするという、現在処分するかあるいは将来処分するかは別といたしまして、将来処分をするということが当然含まれておるのでございます。そういった意味でそれは価値があるということになるんだと思います。
  109. 川俣清音

    川俣委員 それではさらにお尋ねしますが、行政財産というものは、将来処分することがあり得るという考えに立って価格が生まれておるのですか。
  110. 江守堅太郎

    江守政府委員 行政財産は、現在行政各庁がこれを利用しておるという意味でそこに価値が生まれてくるというふうに思います。
  111. 川俣清音

    川俣委員 それはあれですか。行政財産を持っておることによって価値があるのではなくして、国の必要から待たなければならない。むしろ必要性から持っておるんじゃないかと思うのです。私は処分するために持っておるんだとは思わない。行政財産は、少なくとも国の必要性の範囲において所有しておられるんだと思うのです。すなわち利益が生まれるとか生まれないとかでなくて、これを持っていなければ行政上不便であるという点だろうと思います。価値があるから持っておるんではない。その点はそうじゃないでしょうか。政務次官、どうなんですか。
  112. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 私は、やはり持っておるということに価値があるんだと思うのです。価値があるから持っているのでなく、やはり持っているということに価値がある。やはりそれを持っておってそれを利用——ことに行政財産におきましては、仕事をする上において必要なものをこういうことで持っておるということによって価値がある、私はこういうふうに考えております。
  113. 川俣清音

    川俣委員 一体それでいいのですか。行政財産というものは必要で持っておられるんじゃないかと思うのです。行政目的上必要な限度において持っておられるんだ、私はそう理解をしておるのです。土地会社のように、将来利益が生まれるということで持っておられるのなら行政財産のうちに入るものじゃないと私は思うのです。行政財産的な持ち方じゃないと思う。将来の値上がりを目標にして行政財産を持っておるということになると、これは行政財産とはいえないと思うのです。私はそう思うのです。何か答弁が非常に悪いためにこういう誤解を招いたのじゃないかと思うのですが、これはいかがですか。
  114. 江守堅太郎

    江守政府委員 仰せのとおり行政財産は行政目的を達成するために必要な限度において持っておる、その限度において行政財席としての意味がございますから、その意味において価値があるというふうに思います。
  115. 川俣清音

    川俣委員 そういう意味ですから、これは価格で表明できるようなものではないのだ。ただし、これを価格で表現しないとこの管理上不便を来たすから持っておられるのでありまして、本来であれば行政財産というものは価格でなかなか表現できないほど必要性の高いものだというふうに私は理解をしたいのですが、この点はいかがですか。
  116. 江守堅太郎

    江守政府委員 そういう仰せのようなふうにも私考えます。ただ国有財産管理をいたします、そうして国有財産の価値というものは価格に表現をいたしまして、国有財産増減報告書というような形で国有財産法国会に御報告をすることになっておりますので、行政財産といえども、これはただ坪数で表現することはできませんで、価格で表現しなければいけない。したがって国有財産台帳というものを備えておりますが、その国有財産台帳は的確に時価を反映しておりません。五年ごとにこれはなるべく時価に近づけるような改定作業はいたしておりますが、時価を反映はしないという国有財産台帳価格というものを持っておりますのも、そういうことに関係があるというふうに思います。
  117. 川俣清音

    川俣委員 五年に一回、あるいは国有財産によりましては八年に一回という評価をいたしておるようですが、それがやはり国の公有財産の評価のあり力だと私は理解をする。これは会社の不動産のような場合には、常に財産としてときおり評価いたして決算をするわけですが、国有財産の場合はあえてその方式をとらないのは、価値というものが必要という前提に立ってのものでありますから、処分、収益をあげるという目的ではないために、価格というものが非常に算出しにくい。しかしながら従来の台帳に載せておる以上、価格の表現がなければ管理上不便だということで、管理上必要に応じて価格を表示しておるものだと思う。価格の表示にすぎないと理解をするのです。価値がこれだけだという表示ではないと理解をするのですが、政務次官どうなんですか。
  118. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 川俣委員の御意見のとおりだと思います。
  119. 川俣清音

    川俣委員 どうもそのとおりだと言われるとなんですが、それじゃ角度を変えましてお尋ねをしたいと思うのですが、いま国有財産の中で自作農創設特別会計所有の土地がございますが、これだけは取得価格で表示されておるわけですが、これはどういうものでしょうか。
  120. 江守堅太郎

    江守政府委員 すべて国有財産台帳価格は取得価格をもとにして計算をいたしております。五年たちますと、その取得価格を再評価いたしまして、なるべく時価に近づけるというような作業をいたしております。
  121. 川俣清音

    川俣委員 しかしながら自作農創設特別会計は五年ごとに評価をしておらないはずですね。ほかはしておるけれども、これは取得価格のままであるはずなんです。そこでお尋ねしたのですが、この点どうですか。
  122. 江守堅太郎

    江守政府委員 そのとおりでございます。
  123. 川俣清音

    川俣委員 そのとおりなんですけれども、どうしてですかとお尋ねしておるのです。いまあなたが取得価格を五年に一回ずつ評価がえをしておるが、自作農創設特別会計だけは評価がえをしていないと言われるから、それはどういうわけかとお尋ねしておるのです。
  124. 江守堅太郎

    江守政府委員 自作農創設特別会計で五年ごとに台帳価格の改定をしていないという趣旨は、私現在存じません。ただこれを処分をするときにおきましては、そのときの時価をして処分をするということでございまして、その点においては問題ない。ただそういった国有財産管理方法として国の一般の国有財産台帳価格の場合と異なった扱いになっておるということについては、後日勉強いたしましてお答えいたしたいと思います。
  125. 川俣清音

    川俣委員 土地そのものに価値があるんだという観点に立つと矛盾が出てくるので、これは必要性から持っておるんだということになると、これを再評価しようと、あるいは評価しまいと、今後の農地の処分関係することでありますから評価がえをしないんだと私は思います。農地の制度自体からくる農業上の必要からあえて評価をしないのだ、こう理解しますけれども、あなたのように、持っておることだけですぐ価値があるんだということになってくると、なぜ評価がえをしないのかという問題が起こるのではないか。そこで私はあえてあなたにお尋ねをしたわけですけれども、まあその程度で、勉強を願うことにいたしておきましょう。私は現在のほうがやはり適切だと思うのです。それは自作農創設特別会計というのは、農地を処分し農業を悩ませるということのために臨時に国が所有しておるのでありまして、したがってこれは農地として将来使わせることを目的にして国があえて所有しておるんだ、こういう意味で農地となって初めて価値が出てくるのであって、その前は価値が生じない。一体公共団体は農地は持てない。農地を持てるのは国だけですね。そういう制限がある。したがって再評価はしないんだ。こういうことになっておると思うのです。それをあなた、ただ持っておれば価値があるんだというふうに答弁されますから、私はあえてお聞きしたのですよ。これは将来国有財産のあり方の中には一つの重要な問題なんです。問題を含んでいるからあえて私は指摘しただけなんです。  それじゃ次にお尋ねしますが、農林省であっても、あるいはほかの省であってもそうですが、よく行政財産として不用なところを処分するということが行なわれるわけですが、大蔵省もまた国有財産処分される。そのときに時価ということをもって基準にされまして、台帳価格でなくて時価で処分されるわけですが、これは私は必ずしも不当だという意味で指摘をするのでないのでして、時価というのは一体何でしょう。時価ということばをお使いになるが、時価というのはどういうことを意味するものか。
  126. 江守堅太郎

    江守政府委員 時価は、その売ります時期の世間一般の通常の適正な値段ということではないかと思っております。
  127. 川俣清音

    川俣委員 付近一般の適正、こういうわけですけれども、これは客観的なものでしょうね。客観的な判断で、主観的な判断ではないと思うのです。客観的な判断だとすると、主観的に所有しておる人と客観的の判断とでは大きな相違があるのじゃないかと思いますが、時価を見る場合に客観的な特価というものが生ずる場合と生じない場合とがあるんじゃないかと思います。私があえてわかりやすく、あなたに答弁しやすいように質問いたしますが、流通性のあるものであれば、そこに付近の価格というようなものが客観的に出ていると見てよろしいと思います。しかしながら流通性のないものでありますならば、付近に価格が生じないのが流通性のないということなんですね。そういう例がないということなんですね。その場合に、時価という場合は何をさすのでしょう。流通性のないものの特価というものは何をさすのでしょう。
  128. 江守堅太郎

    江守政府委員 流通性がないということは、何と申しますか、そういった売買実例というものがない、あるいは相場的なものがないということだと思います。そういう意味で、そういった面から求められるところの価格は、これはない。でございますが、ものにはおよそ貨幣価値に表現できる価格のあることもまた事実でございます。骨とう品のようなもの、ミロのビーナスが幾らかということになりまするならばむずかしいかと思いますが、とにかくある程度まで価格で表現し得るものだと思います。ことに流通性はなくとも、売買という行為が成立する場合には、その限りにおいてそこに一たん流通があるわけですから、これは価格に表現せざるを得ない。そこが私ども非常にむずかしい問題だと思うわけであります。したがいまして、私どもが時価を算定するといいます場合には、先ほど主観、客観というようなお話がございましたが、ともかく現実に評価をいたしますものは財務局財務部の個々の人たちでございます。こういった人たちの評価というものが非常にばらばらであっては、これはきわめて主観的な価格の評価になるわけでございます。したがって、何とかこれが主観的にならないように——主観的にならないということは、ある一つの客観的な基準というものを標準にして値段をきめていかざるを得ない。現在私どもがそういったもののよりどころとして帰りますのは相続税の課税標準価格あるいは国定資産税の課税標準価額——この価額自体がどうかという御議論はもちろんありましょうけれども、少なくともわれわれがより得る客観的なものとしてはそういったものしかない。そういうものを基準にしていろいろ実例などを調べまして、その相続税課税標準価額あるいは固定資産の課税標準価額というものをもとにしてあるものの一つの値段を出す算式を全国的に共通した基準でつくる、こういうことによって一つの価格を求めるという方法によらざるを得ないのであります。ここに一つの価格が出てくる。いま仰せのようにほとんど流通性がないというような場合には、付近の時価売買実例というようなものは参考にすることはできません。でございますが、一般の場合にはそういうものもございますので、大蔵省のほうでそういった全国的に統一した客観的な基準でやった値段というものと、実際のその辺で売買されている時価というものが非常にかけ離れたものになっても困るわけでございますから、そういうものも参考にする。それから銀行とか不動産会社とかいうふうにそういった評価を専門にしておる方々があるわけであります。そういった方々がこれをどういうふうな値段に見るかというような点も参考にいたしまして、そういった三つのものをよりどころにして値段をきめていくというやり方をやっておるわけであります。
  129. 川俣清音

    川俣委員 時価というものの基準は何でございますかと、あらためてお聞きしなければならぬですね。あなたの答弁では、こういうふうにやっております、こういうことになっておるのですね。付近に売買の行なわれておるようなものでありますならば、付近の例があるから適正かどうかという判断ができる。不動産研究所あたりはやはり売買の例をとっておりますね。主として売買の例をとっておる。不動産の評価価格は、研究所の価格は売買例ですね。ですから売買価格のないところは非常に安かったり高かったりしておるという評価になっておる。これは御存じのとおりです。売買実例のないところは安過ぎたり高過ぎたりする結果が出ている。そこで、時価ということを表現されますが、一体時価とは何ですか、こういうふうにお尋ねをせざるを得ないわけです。
  130. 江守堅太郎

    江守政府委員 時価は、最初申し上げましたとおり、その品物を売ったり買ったりする際の当時の物価で表現された公正な妥当な値段ということを申し上げるほかはないと思います。
  131. 川俣清音

    川俣委員 公正な値段とは何ですか。適正とか公正な値段というのは何から算出されますか。
  132. 江守堅太郎

    江守政府委員 たとえば土地のブローカーが非常に投機的な要素に基づいて土地の値段をつり上げるというような場合がございますが、こういった需要供給関係の極度の不均衡ということを前提にして出てくる値段でなくて、そういったものがほぼ均衡をした場合を想定しての値段というのが、やはり公正な値段ということになるのではないかと思います。
  133. 川俣清音

    川俣委員 あなた、それは自分でわかって答弁されておるのですか。一体公正な値段というのは、投機的な値段ではない。これはいいでしょう。それじゃ何が値段だ、どういう価格が適正なのだ、適正な基準は何だ——あなたを困らせるために質問をしているわけじゃないですよ。あまり安易にあなたが適正な値段であるとか、時価であるとかということを表現なさるから、それでは時価というものがわかって、適正なという言葉を御理解の上で適正という言葉を使っておられるかどうか疑問だから、あえてこれをお尋ねするのです。案外安易にお使いになっておるのだが、一体安易であっていいかどうかという疑問があるために、あなたにあえて質問をしておるのです。
  134. 江守堅太郎

    江守政府委員 よくわかります。適正公正な値段ということは非常にむずかしい、そういうものが何であるかということを求めることは非常にむずかしいことでございます。でございますが、国有財産を売るという立場は、あくまでそういう立場でやらざるを得ない。私どもが値段を求めます際は、そういった値段を極力求めるように努力しているわけでございます。でございますが、出てきたものが、非常に高い立場から見て、はたして厳密に公正妥当なものであるかということについては、私は個々の場合において疑問があると思います。でございますから、私どもとしてはそういったものを努力目標として仕事をせざるを得ない、そうしてまた、それを実現するために及ばぬ知恵を使って、そういったものに近づける一つ考え方で計算をいたしておるということでございます。
  135. 川俣清音

    川俣委員 非常にむずかしい問題であるということを頭に置いて、そして苦労されておることはよく認めます。しかしながら、国有財産は国民全体のものでありまするから、公正適正なものでなければならぬということは、そのとおりです。これは一点の疑いもない。しかし現実にこれを取り扱われる人になりますと、いまあなたが指摘されたように、一体どこまでが適正なのか、どこまでが適正でないのかという判断が非常に困難なのです。この困難なことをあなたの末端がやらざるを得ないわけです。そこで不都合だというような問題が起きた場合に、算出をするものさしを持っておられないのです。ただ、ことばでは適正だ、公正妥当なものでなければならないと言われるけれども、公正妥当なものというのは何かということになってくると、みんな疑問を持ちながら末端では仕事をしておられるというところに問題があるのじゃないかということで、あえてこの問題を指摘したわけですが、これはどうでしょうか。
  136. 江守堅太郎

    江守政府委員 私どもは公正妥当な値段で売るということだけを申しているわけではございません。公正妥当な値段を求めるためにはどうしたらよいかという全国的な規模における客観的な基準というものをつくっております。そのつくっておりますものによって出ました結果が妥当なものであるか、公正なものであるかということについては、それはケース・バイ・ケースによっていろいろ問題があろうかと思います。ですから、私どもが仕事をいたしますためには、そういったやり方によらざるを得ないわけでございます。そうしてそういうやり方によって出てくるのが役所としての評価のしかたということでございます。役所としての評価として、それは役所限りにおいて公正妥当なものであると思います。でありますが、それだけではいけないという意味で、もちろん売買実例があればそれも参考にいたしましょう、それから専門家の御意見もあれば、その鑑定価格も参考に伺いましょうということできめているわけでございます。私が申し上げたいのは、われわれはあくまで公正妥当な値段で売らざるを得ない。出てきた結果が妥当であるということは私ども保証いたしかねます。でございますが、そのために努力をしていかざるを得ないということでございます。
  137. 川俣清音

    川俣委員 時間が参りますから、なるべく避けたいのですけれども、売買実例がないところは、一体これが適正であるのか適正でないのかということの判断をする、批判をする材料がないということだけは明らかです。不動産研究所におきましても、先ほど申し上げたように売買実例をもって評価いたしておるわけですから、売買実例のないものは不動産研究所では評価ができないという形になっておると思うのです。御承知のとおり不動産研究所の地価というものは売買実例をもって表示しておるわけです。この売買実例のないものは不動産研究所の価格が出ていない、売買実例だけですから。あなたは一生懸命適正価格ということをおっしゃいますけれども、あなた自身がはたして適正なのかどうか疑問だというように申されたとおりだと思うのです。したがって、売買実例から見てこれが適当であるか不適当であるか——会計検査院の指摘はみなそうです。売買実例と比較してみて適正か不適正かという判断をしておるようです。だから売買実例のないものは、会計検査院といえども適正か不適正かの判断ができないでおる。売買実例があるものだけ、付近の売買価格はこれだった、ところがこの評価は安過ぎた、こういう判断だけでしょう。それ以外に会計検査院は価格を算出する基礎を持っていない。売買実例だけですよ。それだからあなたがいかに——苦心はよくわかりますよ。それはでたらめなことをやっておると私は指摘するのではないのです。しかしながら、基準というものについてみな自信を持たずにやられることもいかがか、こういうことで実はお尋ねをしておるわけです。自信を持ってやっておられるのではないのですよ。そこに弊害も出てくるおそれもあるのではないか。私は一々例をもって申し上げるわけではない。——申し上げることもできますよ。だけれどもそれは困難な問題でありますから、それは非常に研究されたことであるけれども、結果的には不適当だと思いましても、そのことを非難するという気持ちはありませんからあえて実例は申し上げないのです。良心的に非難しなければならぬ点じゃないのです。ただ残念なことには、土地価格などについては売買価格のないようなものについては、お前は不適正だといってしかりおくわけにはいかない事態じゃないか、これだけ申し上げればいいのじゃないかと思うのです。それだけにそこは検討を要することだと思う。  それじゃ時間がまいりましたから、またあすなりにして、これで終わります。研究して返事していただきたい。
  138. 山中貞則

    山中委員長 次回は、明二十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会