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相澤政府委員 国大協がことしの一月二十三日、
会長大河内さんの名前で
国立学校特別会計制度についての
意見を出しております。そしてこの
意見において
特別会計の
運用に際していろいろと注文が出ておりますが、これは大体におきまして
特別会計法をつくります際に、
法案の中に盛り込まれておるわけでございます。そうしてその
法案に盛り込まれない部分につきまして、
両者間に
覚え書きとして
国大協の
要望にできるだけ沿うような
方向でこの
特別会計を
運用する方針を明らかにしたわけでございます。
国大協の
特別会計の
運用につきましての
要望は、非常に多くの
項目にわたっておりますが、おもな点について、それがどのように
特別会計法に実現されておるかということについて申し上げます。
一つは、「
剰余金、国有財産処分収入等の
特別会計固有の
財源があることを理由として、
一般会計からの支出を削減してはならない。」という点でございます。この点はこの
特別会計に積み立て金を設けていることで一応解決をはかったわけであります。つまり残ったらば
一般会計からの繰り入れを削減するということであってはならないということで、
一般会計からの繰り入れは
予算繰り入れといたしまして、歳入がふえあるいは支出が減りまして
剰余金を生じた場合には、それを積み立て金として積み立てる、こういう
制度を設けたわけでございます。
それから「この
会計においては、
大学における研究と
教育の円滑な遂行を可能ならしめる見地から、一時借入金・繰越・
予算の流用・継続費等の諸点において弾力的な
措置が考慮されなければならないこと。」、この点につきましては、一時
借り入れ金の借り入れはこの
特別会計法案に盛ってございます。繰り越しは当然でありますし、また
予算の流用におきましては、これは実行上の問題でありますが、できるだけ弾力的にやるということになっております。継続費につきましては、この
特別会計法の施行令ではっきりと規定を置いております。
それから「この
会計に属する国有財産の利用ないし処分は有償としてこの
会計に帰属し、
一般会計の財産を使用または所管換する場合は無償とすることを原則とする。」、つまりこの
特別会計の財産を処分する場合は有償で、
一般会計からもらう場合は無償だ、こういうことでございます。これはきわめて異例な取り扱いで各
会計間の財産のやりとりはすべて有償にするのが原則でございますが、特にこの
特別会計におきましては、
大学の財産を有効に活用する、
大学の
財政の基盤を確立するという見地からこの御
要望に沿いまして、もらう場合には当分の間原則として無償であるということを明らかにしております。そうしてこの財産を他の
会計に譲渡する場合には当然有償でございます。これは規定は書いてありませんけれ
ども、当然でございます。
それから「この
会計は、
施設の
整備を
促進するために適当な条件のもとに
財政投融資資金の受入れを行ないうるものとする。」これは御
要望は、
学校全体の
施設整備だと思いますが、この
法案におきましては、
病院の
施設整備に限っております。このことは他の
病院以外の事業、つまり純粋に
教育研究の
目的のための
施設につきましては、
借り入れ金をして
施設を
整備いたしましても、それを償還すべき
財源、収入というものが、将来にわたって期待することが非常に困難である。それを無理に強行いたしますと、御
懸念なすっている
授業料の値上げとかその他の手段に訴えざるを得なくなる、そういったようなことがございますので、この
財政投融資資金の受け入れは
病院の
施設整備のために限って
法案で規定いたした次第でございます。
それから「この
会計では、いわゆる建
交換を行なうに必要な
予算枠を設け、国庫債務負担行為をなしうるものとする。」これは
建て交換を行なうに必要な
予算ワクは、
予算にもちろん計上しておりますし、国庫債務負担行為としましても、
病院の建設に、たとえば三十五億の債務負担行為のワクを計上しております。
それから「この
会計の
剰余金は、全額この
会計の
財源と、歳入
予算超過分の一部は、積立金として積立て、
施設整備のために歳入に繰入れうるものとすること。」これはこのとおりに
法律で規定をいたしております。
それから「歳入超過額については、弾力条項を設け、
予算の円滑な運営をはかることとすること。」、これも
特別会計の
予算総則におきまして、
国立学校特別会計の歳入が増加した場合におきましては、その歳入増加のため直接必要とする経費に充てられるようになっております。これによりまして、たとえば
病院の医療収入がふえました場合には、
病院の薬その他の医療費の増額に充てることができるようになるわけであります。
以上、大体この
特別会計法または施行令に盛り込み得るものはすべて盛り込みまして、盛り込み得ないものについて両省の間で
覚え書きを
交換したわけでございます。これは特に
文部省から強い
要望がございまして、
覚え書きの形で残したわけでございます。
その一点は「この
特別会計は、
国立学校の
内容の
充実を図り、かつ、今後における
整備を
促進する
趣旨のものである。」
特別会計法に一点この
特別会計の
目的を示しておりますが、それには簡単に「
国立学校の
充実に資するとともに、」云々という点で、非常に簡単な文句になっております。しかしながら
特別会計法は、この
会計の経理に関する技術的
法律でございますので、そもそもこの
特別会計法の設置の
目的はいかんということについて、くだくだしく述べるということは例になってございません。この「
充実に資する」というような表現も、実は他の
特別会計法には全然ないところでございまして、その点われわれといたしまして、十分慎重に
検討いたしましたのですが、とにかくこの
会計設置の
目的を明らかにするためには、ぜひこのような表現を設けてほしいという
文部省の強い御
要望もございまして、法制局とも相談して、特にこの「
充実に質する」というような表現を盛り込んだわけでございます。
なおそれを補足いたしまして、
覚え書きでは「この
特別会計は、
国立学校の
内容の
充実を図り、かつ、今後における
整備を
促進する
趣旨のものである。」ということをうたったわけでございます。
第二点は、「この
特別会計は、
国立学校会計の独立採算を
目的とするものではない。したがって、
特別会計にしたことを理由として
授業料等の値上げを意図することはない。3、この
特別会計に属する不用の財産を処分して、その収入を
国立学校の
内容充実にあてることを容易にするため、今後においても必要がある場合においては、建
交換を行なうに必要な
予算と国庫債務負担行為の計上を図ることとする。4、この
特別会計の歳出
予算の移流用については、
教育研究の実情に即して弾力的な取扱いをするように努めることとする。」以上の四点でございます。