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1964-03-10 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奥野 誠亮君       金子 一平君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       岡本 隆一君    佐藤觀次郎君       田中 武夫君    只松 祐治君       野原  覺君    日町 吉夫君       平林  剛君    松平 忠久君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         国税庁長官   木村 秀弘君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      鳩山威一郎君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      松尾 正雄君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  竹下 精紀君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十日  委員野原覺辞任につき、その補欠として岡本  隆一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡本隆一辞任につき、その補欠として野  原覺君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月七日  入場税撤廃並びに労音、労演に対する不当課税  の取消し等に関する請願外三件(神近市子君紹  介)(第九〇二号)  政府関係機関に対する大蔵省の賃金抑圧並びに  不当干渉即時撤回に関する請願外一件(横山利  秋君紹介)(第九〇三号)  同外一件(大村邦夫紹介)(第一一〇六号)  元満州国政府等職員期間のある非更新共済組合  員の在職期間通算に関する請願外二件(上村千  一郎君紹介)(第九五四号)  同外一件(濱田幸雄紹介)(第九五五号)  同(内海安吉紹介)(第一〇〇五号)  同(田村元紹介)(第一〇二五号)  同外五件(愛知揆一君紹介)(第一二二一号)  沖繩渡航者みやげ品規制緩和に関する請願(  池田清志紹介)(第九九四号)  揮発油税等増徴反対に関する請願足鹿覺君  紹介)(第一〇〇四号)  揮発油税等増税反対等に関する請願外四件(  横山利秋紹介)(第一〇二六号)  国家公務員共済組合法の一部改正に関する請願  (春日一幸紹介)(第一〇六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第九八号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一七号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び揮発油税及び地方道路税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。
  3. 只松祐治

    只松委員 租税特別措置法について、まずお伺いをいたします。  租税特別措置法が限定的な立法から順次恒久的に、あるいは一時的なものから特権的なものになりつつあることは御承知のとおりであります。今度の税制調査会でもいろいろそのことが指摘されております。そこでまずお伺いをいたしますが、租税特別措置法とは一体どういうものであるか、またどういうふうにお考えになっておいでになりますか。特別措置はあくまで特別なものだとわれわれは解釈いたしておりますが、これを特別なものとお考えになっておりますか、あるいは現在一般化しつつある、特権化しつつある、この状況をお認めになりますか、その点をお伺いいたします。
  4. 泉美之松

    泉政府委員 租税特別措置法につきましては、前々から申し上げておりますように、いわゆる経済政策その他の政策目的達成のために、本来所得税法法人税法等一般法の規定しておる税負担の額の特例を設ける、その意味では一般法による税負担の公平を特定政策目的達成のためにある程度ゆがめましても、その特定政策目的達成することが国家全体の見地からより必要であるという見地に基づきまして、租税特別措置を講ずるわけでございますが、そのうち、現在のところでは租税特別措置のうちでも所得税法法人税法あるいはそれらの施行規則に規定されておるものと、それから租税特別措置法に規定されているものとございます。これにつきましては、いままでのいろいろな沿革的な事情がありましてそうなっておるわけでございますが、私どもといたしましては、昨年税制調査会から、税法整備に関する答申をいただいておりますので、その趣旨に基づきまして、本来租税特別措置でありますものにつきましては、全部を租税特別措置法で規定するようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それでは、租税特別措置法に規定するそういった租税特別措置についてどういうふうに考えておるかという御質問でございます。この点につきましては、この前も申し上げましたように、特定経済政策その他の政策目的達成のために、税負担の公平をある程度害してもそれだけの特別措置を講じておるわけでありますので、したがって、租税負担公平という点からいえば、そういった特別措置はできるだけ少ないほうが望ましいことは申すまでもないわけであります。ただ、わが国経済の現状におきましては、そういった特定政策目的達成のために、ある程度負担の公平を害しても特別措置を設ける必要があるということで、いろいろの特別措置が設けられております。ことに今回は、開放経済体制に向かうということからいたしまして、経済界では、二度目の黒船であるといったようなことも言われておるような状態でありまして、そういった点からいたしまして、今回租税特別措置法で、相当たくさんの租税特別措置新設あるいは拡充が行なわれておるのは事実でございますが、私どもとしましては、その特別措置につきましては、先ほどことばにもございましたように、それが特権化することのないように、またある政策目的達成したならば、できるだけ早くそれを整理合理化するように、かような見地で今後特別措置に対処してまいりたい、かような考え方を持っておるのでございます。
  5. 只松祐治

    只松委員 いまのお所を聞きますと、なかなか殊勝と申しますか、いい御答弁でございますが、そういうことならば、この租税特別措置法の中に、期限のないのがたくさんございます。特別措置でありいまお答えのような趣旨であるならば、当然これは期限があるのが特別立法だと思いますが、期限がないということは、これを一般法化しておる証拠だと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  6. 泉美之松

    泉政府委員 お話しのように租税特別出措置の中に期限定めのあるものと、期限定めのないものとございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたような見地からいたしますと、その政策目的達成ということについて一応のめどがございますならば、できるだけ期限を設けることが望ましいことは申すまでもないのでございます。ただ特別措置法を設けるときのいろんな事情からいたしまして、たとえば居住用家屋財産買いかえの場合、あるいは土地収用の場合の譲渡所得特例、こういったものにつきましては特別措置法で規定されていますが、これは本来税負担の公平を得すると見るべきか、それとも収用といったような事柄あるいは居住用財産買いかえといった事柄からいたしまして、本来そういった場合に租税負担を課することがはたして適当かどうか、こういった性格のものもあるわけでございます。いずれにいたしましても立法の沿革上、期限定めのないものがあることにつきましては、私どももその点について考え方を持っております。いずれ来年税法整備をする際にそれらの点につきまして整理を行ないたい、かように考えておるのでございます。
  7. 只松祐治

    只松委員 たとえばこの中にある退職給与引き当て金あるいは貸し倒れ準備金、これは期限がないわけでありますから、こういうものは本来ならば特別措置法ではなくて一般租税体系の中に組み入れるということが適当ではないかと私は思う。したがって、いま来年度の税調の報告によって整理統合するというお話でございますが、こういうものは一般のほうに組み入れていく、特別措置法はあくまでも特別措置法でいく、こういうことが適当ではないかと思いますが、そういうふうにお考えでございますかどうか。
  8. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、退職給与引き当て金貸し倒れ準偽金は所得税法法人税法のほうに規定されておりまして、これは企業会計考え方からいたしますと、従来の貸し倒れ準備金ですと累積部分がございますので、そういった意味特別措置であるというふうな考え方をとっておりましたが、今回の改正によりまして全額洗いがえということにいたしましたので、それはもはや特別措置と見るべきではないということになります。貸し倒れ準備金という企業会計上の期末債権評価性引き当て金になるわけであります。そういう意味では、打別措置ではなくて、本来一般法にあることからわかりますように特別措置ではないと考えられますので、今回の改正機会に、従来特別措置で計上しておりました貸し倒れ準備金及び退職引き当て金、それから特別修繕引き当て金につきましては、特別措置考えないということにいたしております。そのほか価格変動準備金は、これは租税特別措置のほうに規定されておりまして、依然として租税特別措置としての性格を持っております。これは租税特別措置法で規定すべきものと思っております。そのほかにつきましても、租税打別措置法で規定しておくのがおかしい、税負担の具体的な公平を求めるという見地から申しますれば、本来所得税法法人税法等本法に規定すべきものがいろいろございます。これらにつきましては、先ほど申しましたように税法整備機会本法租税特別措置法とに振り分けをいたしたい、かように考えておるのでございます。
  9. 只松祐治

    只松委員 さらにこの中で三十九年三月末と四十年三月末に期限が切れるのがたくさんあるわけであります。三十九年三月末が六、七件ありますが、これについては税制調査会答申に基づいて廃止をする、あるいは整理をしていく、こういうお考えでございますか。
  10. 泉美之松

    泉政府委員 三十九年度末に期限の到来する租税特別措置のうち、御承認と思いますが、輸出所得控除につきましては、これはガットの関係で廃止することになるわけであります。そのほか開墾農地所得税、それから土地改良事業あと作所得の免税の措置につきましては、これは税制調査会のほうでは、適用対象も少ないことであるからこれを廃止したらどうかという答申になっておったのでありますが、食糧事情開墾事業土地改良事業状況からいたしまして、なお三年間存続することにいたしております。  それから航空機の乗客の通行税につきましては、これも一〇%を五%に軽減する特例が設けられておるのでありますが、これにつきましては、税制調査会答申は、汽車等との関連からいたしまして、これを廃止することが望ましいという答申になっておるわけでございますが、これにつきましても、航空機会社がまだ赤字であるというような事情を考慮いたしまして、なお一年間延長することにいたしております。  そのほかの租税特別措置期限の到来するものにつきましては、税制調査会答申どおり三年程度延長するように、登録税法特例などにつきましてそういう措置を請じております。
  11. 只松祐治

    只松委員 税金が非常に重い、したがって課税軽減によっていろいろな企業を擁護していったり、育成していく、あるいは便宜をはかっていくということを考えるのは当然でありますが、そういう課税の面からそういう施策をするのは、大企業よりもむしろ弱小企業中小企業にこそ必要だと思います。あるいは農業面でそういうことが最も大切であると私たちは思います。ところが実際上は、この租税特別措置というものは、ほとんど大企業優先あるいは大企業に非常に重くなっておる。私も若干の数字をここに持っておりますが、政府当局といたしましては、これは大企業に非常にプラスになっておるか、あるいは弱小企業なり農業に非常にプラスになっておるか、どういうふうにお考えですか。
  12. 泉美之松

    泉政府委員 お話しのように、租税特別措置は、えてして特権化するおそれがあります。そういう点を考慮いたしまして、私ども租税特別措置新設あるいは拡充につきましては、できるだけそれをしぼっていきたいという考え方を持っておるわけでございますが、同時に租税特別措置は、どうしても納税額の多い大企業に対する特典になりやすいわけでございます。そこで私どもは、租税行別措置を設ける場合におきましても、できるだけ中小企業あるいは農業にもフェーバーが及ぶような形にいたしたい、かように考えまして、中小企業につきましても、この前申し上げたと存じますが、中小企業合理化機械特別償却、あるいは中小企業者の工場、建物を含めました割増し償却、そういうものを設け、また農業につきましては、先ほど申し上げましたような、開墾の場合あるいは土地改良事業施行地あと作所得の場合、あるいは今回の農地の生前贈与の場合、こういう場合につきまして、いろいろな特例を設けまして、中小企業農業の場合におきましても、租税特別措置フェーバーが及ぶように配慮いたしておるつもりであります。しかし何ぶんにも納税額の差がございますので、どうしても大企業特典を受けやすいという形になることにつきましては、私ども租税特別措置を設けるにあたって十分細心の注意を払っていくべきものと考えておるのでございます。
  13. 只松祐治

    只松委員 多少古いわけですが、昭和三十三年度の調査によりますと、大法人が平均三九・一%の課税率になる。中小法人が四〇%。このときに租税特別措置法を課した実徴というのは大法人が三一・三%、中小法人は三八%、こういうふうに租税特別措置法適用した後においては大法人というのは非常に軽減をされております。昭和三十八年度における租税特別措置法を課さなかった場合の法人徴収額適用後の実徴額というのがおわかりになったらひとつお示しいただきたいと思います。
  14. 泉美之松

    泉政府委員 三十八年度の数字はまだ決算が出ませんので申しわけないのでございますが、三十六年の五月から三十七年の七月までの決算法人につきましては調べがございます。大法人百九十社と中小法人百七十二社につきまして調査をいたしたのでございますが、それによりますと、大法人の場合は租税特別措置によりまして一八%課税標準軽減されまして、総所得一〇〇に対しまして課税所得は八二になっております。それから中小法人の場合にはそれが二一%の軽減になりまして、課税標準が八八ということになっております。したがいまして、実はこの場合に個々の具体的な会社につきまして実効税率がどうなっているかということの調査ができておらないのでございますが、理論計算いたしますと、所得十億円の場合におきましては実効税率が、三一・一四になっております。それから所得五百万円の場合の実効税率は三〇・四四ということになっておるわけでございます。その点からいたしますと、三八対三三という本来の税率の五%の差がだいぶ縮まっておるという状況は見受けられるのでございますが、三十三年のときの調査のように、大法人中小法人との実効税負担率が逆転しているという事情はないのでございます。しかしながら逆転してないからといって安心すべきことではないのでございまして、やはり中小法人担税力と大法人担税力というものを考えますと、この点につきまして今後なお慎重に検討すべき点があろう、かように考えておるのでございます。
  15. 只松祐治

    只松委員 いまお聞きしますと、租税特別措置法適用した場合、大法人が一八%、中小法人が一二%、こういうことで大法人に非常に有利である、こういうことを当局側もお認めになっております。これを先ほどから申しますように、順次租税特別措置法整理統合、縮小していく、あるいはなくしていく、こういうお答えからいたしますならば、あるいは池田内閣の当面するいろいろな中小企業なり農業関係高度経済成長政策からのひずみを直していく、こういう公約からいたしますならば、当然に租税特別措置法もいわゆる租税特別措置というあくまで時限立法であるならば、中小法人なりあるいは零細企業あるいは農業に関して租税特別立法を行なうべきだと思います。本年何かそういうことで新たに立法を行なっておられるかどうかお聞きをいたします。
  16. 泉美之松

    泉政府委員 農業につきましては、先ほども申し上げましたように、農地の生前贈与の場合、贈与税納期限特例を設けることによりまして特別措置をいたしております。中小企業につきましては、先ほども申し上げましたように、中小企業用合理化機械特別償却及び中小企業者割増し償却のほか、今回新しく設けておりますのは協同組合、これは農業も含めましてでありますが、中小企業協同組合あるいは農業協同組合漁業協同組合留保所得に対しまして、留保した金額が出資の四分の一に達しまするまでは当該事業年度留保所得の半分に対して法人税課税しないという特例を設けることにいたしております。
  17. 只松祐治

    只松委員 農地の生前贈与なんということはこれは限られた人々の、しかも一般的農作業を行なう上においての問題ではないのです。こういうことぐらいおわかりだと思います。あるいは協同組合留保の問題なんかでも、これは一般零細企業なりあるいは中小企業者がすぐ協同組合化していく、こういうことはあり得ないことは御案内のとおりなんです。政府農業やあるいは中小企業者に対する政策がそういう特別措置法だということになれば、これはたいへんな誤りだろうと思います。これは農民中小企業に対する租税特別措置ではないと思う。したがってそういう詭弁ではなくて、ほんとうに政府が公約している政策を実行するということなれば、先ほどからお尋ねいたしますように、あくまで時限立法であるとするならば、現在こそ農民中小企業者にそういう租税特別措置を行なう、こういうことが必要だと思いますが、今年直ちに間に合わなければ、臨時国会なりあるいは来年度の国会農民なり中小企業者に関してのこういう立法をされる用意なり準備があるかどうかをお伺いいたします。
  18. 泉美之松

    泉政府委員 中小企業及び農業に対しましては、所得税法及び法人税法本法におきまして、いろいろ軽減措置を講じておりますことは只松委員承知のとおりであろうと思いますが、私どもといたしましては、租税特別措置につきましては、できるだけこれを新規に設けることについては消極的に考えておるのでございます。お話しのように、農業あるいは中小企業につきまして、さらに特別措置拡充すべきかどうかということになりますと、先ほど申し上げましたように、大企業との負担のバランスという点からいろいろ問題があろうと思いますので、そういった点につきましては検討いたしたいと思っておりますが、それはむしろ大企業特別措置整理合理化する方向考えるべきではないか。そうでなくて、大企業のほうもフェーバーを受けておるから、中小企業農業もみな特別措置を講ずるのだという方向は、必ずしも適正な方向ではないのではないか、かように考えております。いずれにいたしましてもお話しの向きにつきましては、今後税制調査会等におきまして十分慎重に検討いたしたい、かように考えておるのでございます。
  19. 只松祐治

    只松委員 私の手元にいただきました資料によれば、租税特別措置をこのように広範に行なっておるのは日本が一番多い、こういうふうに私は存じておりますが、諸外国との対比についてひとつ御説明をいただきたい。その内容に入ってまでは容易でないと思いますが、主要な国のその適用数その他でけっこうでありますから、おわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
  20. 泉美之松

    泉政府委員 まあ世界各国ともその経済政策ないし特定政策目的達成のためにある程度の特別措置を設けておるのが実情でございます。ただわが国の場合には、ただいまお話しのように、租税特別措置が非常に多いということはそのとおりでございまして、これは結局日本の場合には、外国で設けておるやつはどこの国で設けておるやつもみないいから取り込めといったような主張もございまして、だんだんと諸外国のある国にあるやつをみな持ってくるということになりますと、全部合わせますとたいへんな数になるということであるわけでございます。ただ概して申し上げますと、各国租税特別措置のうちにおきまして、特別償却制度、これはどこの国もとっておるのでございます。そのやり方は、いわゆるイニシアル・アローアンス、期首償却をふやすという形で行なわれておるというのが多いのでございます。そのほかの点につきましては、わが国租税特別処置のうちの特別償却制度と似たような点が多いのでございます。ただわが国の場合には、たとえば価格変動準備金といったような制度がございますが、これは外国ではない制度でございます。それからわが国になくて外国にありますのは、いわゆる鉱山、石油等天然資源に対する減耗控除制度がございますが、わが国においては、これは坑道あるいは鉱業用資産特別償却という形になっておりまして、減耗控除の形はとっておりません。それからいま一つ特徴的なのは、アメリカあるいはイギリスにおきましては、海外法人つまりその国からよその国へ出かけていって、事業をやってもうけた場合、たとえばアメリカにおきましては西半球事業法人というのがございます。それからイギリスにおきましては海外事業法人、オーバー・シー・トレード・カンパニーというのがございます。これに対しましては法人税課税しない措置がとられております。これはわが国にない制度でございます。そのほか生命保険料控除につきましては、アメリカはございませんが、イギリスドイツにある、こういった状況になっております。
  21. 只松祐治

    只松委員 ここで全般にわたり諸外国との対比を求めてもなかなか無理でございますので、一応お聞きして、あとひとつ資料を要求いたしたいと思います。  わが国と諸外国との租税特別措置法適用——の諸外国といっても米国、英国、四ドイツ、フランスというような主要な資本主義各国資料を要求いたします。
  22. 山中貞則

    山中委員長 只松君、さよう取り計らいます。
  23. 只松祐治

    只松委員 それから、これは前回も多少御質問申し上げたところでございますが、資料要求をいたしておりましたのがいまだ参りません。租税特別措置法を実際に適用する場合、国税庁なり通産省などにおいて政令なり省令なりございましたらひとつお知らせいただきたい、こういうことで資料要求をいたしておきましたけれども出ておりませんが、ひとつここでお答えをいただきたいと思います。
  24. 泉美之松

    泉政府委員 この前の御質問では租税特別措置法、それからお手元に差し上げております租税特別措置による三十九年度の減収額三千九十八億の場合に、それぞれ所得税法なり法人税法本法であるとか政令とかいうふうな根拠法規を示しておりますが、そのほかに何か。——特別措置についての法令の根拠は全部出ておるのでございます。
  25. 只松祐治

    只松委員 法令の根拠ではなくて、この前、田中委員あるいは武藤委員からも関連質問があったところでございますが、たとえば耐用年数あるいは二十一条に基づく適用、自分で大体判断してあるいは折衝してというようなあなたの御答弁があったと思います。そういうことではなくて、具体的に、それに基づく政令や省令等があればひとつ示してもらいたい、こういうことを言っておったのです。
  26. 泉美之松

    泉政府委員 この耐用年数の短縮あるいは割り増し償却につきましては、法人税法施行規則の二十一条の二に根拠条文がございまして、青色申告書を提出する法人は、その有する固定資産がその構成、材質、製作方法等について大蔵省令で定める特別の事山に該当する場合、耐用年数の短縮を承認を受けてできることになっておりますが、その構成、材質、製作方法等について、大蔵省令で定めているのが法人税法施行細則の七条の二でございます。このほかに別段規定があるわけではございません。それから割り増し償却につきましては、法人税法施行規則の二十一条の二の第三項に割り増し償却の規定があるわけでございます。それに基づきまして行なっておるわけでございます。これ以外に通産省のほうに、特別に政令があるとか省令があるというわけではございません。
  27. 只松祐治

    只松委員 通産省にも大蔵省にも租税特別指貫を実施するにあたっての政令、省令はほかにない、こういうことですね。
  28. 泉美之松

    泉政府委員 内容によりまして、たとえば試験研究機械の特別償却につきましては、通産省のほうに法律がございます。また中小企業合理化促進法といったような法律がございますが、税のほうを規定しておりますのは、すべて措置法あるいはその政令、省令ということになっておるのでございます。
  29. 只松祐治

    只松委員 ないということであれば、それ以上お聞きしません。またいずれ私のほうでもよく調査した上で御質問することにいたしたいと思います。  それから、先ほどからお聞きしておりますと、順次これを整理統合していく、こういうお答えがあったわけですが、私は大蔵大臣にも御質問したときに、ある会社租税特別措置を受けながら膨大な利潤を上げ、三割からの高配当をしておる、こういうことがあったというふうなことを指摘いたしました。それは一例でございますけれども特別措置法適用されながらその機械が非常に優秀であった、あるいは製品を市販して非常に好評を受けたということで、予想以上に膨大な利潤を受ける、こういうふうな場合に租税特別措置法適用しなくてもいいはずなんです。こういうふうな場合がたくさんある。そういう場合には租税特別措置法を今後適用させない。いわば危険負担を予想して特別措置をするわけでございますが、そういう危険負担において非常にむしろ利潤が上がった、こういう場合には租税特別措置法の通用を除外する、停止する、こういうことを今後おやりになりますか、いかがですか。
  30. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、租税特別措置は必ずしも危険負担ということだけを考えてやっておるわけではございません。ただ、特別措置の中でも、たとえば重要物産の免税制度のこときは、これは新規に国産技術をもってそういう重要物産を製造するということにつきましては危険の負担がございますので、そういった場合の免税制度はお話のとおり危険負担ということを考えておるわけでございますから、国産技術を新しく使って新規の製品をつくるといいましても、非常に利益の上がるような場合に免税するということは好ましくないことは申し上げるまでもないのでございます。これは過去におきまして、只松委員承知と思いますが、外国の技術を導入いたしまして、わが国におきましては新規の製品である。しかし、技術は外国のものを使うというような場合がございまして、そういたしますと必ずしもその企業のやり方としては危険ではないわけでございまして、収益が非常に上がる場合があったわけでございます。そこで、そういう事例がございましたので、その後にそういった外国技術を使って新規の重要物産を製造いたしましても、これにつきましては免税の適用認めないで、国産技術に限る、こういうような措置を講じたことはあるのでございます。そういう意味では、今後租税特別措置適用を受けておる企業がどういう収益状況にあるかというようなことに十分注目して、そういう利益を非常に受けておるというような場合につきましては、租税特別措置法適用させないというような方向について検討すべきものと思っております。ただ、そのうちでも特別償却につきましては、これは只松委員承知だと思いますが、一応特別措置ということになっておりますけれども、これは諸外国でも期首償却としてやっておりますように、取得の当初償却をたくさんいたしまして、その耐用年数間でそれを取り返すということになりますと、租税特別措置ではありますけれども長い目で見れば結局費用の配分を早くするかおそくするかというだけの差になりますので、これらにつきましては収益は上がっているからといって、その特別償却の通用を認めないというふうにすべきではなくて、今回やっておりますように、たとえば重要産業合理化機械特別償却については、特別償却の割合を圧縮する、こういう方向で検討したほうがいいのではないか。全然通用させないというよりも、そのフェーバーを少なくするという方向考えたらどうかというふうに考えておるのでございます。
  31. 只松祐治

    只松委員 さらにこの租税特別措置というのは、税負担の公平の原則や租税の中立性を阻害しながら適用されておるということは、繰り返し述べられておるところでございますが、そういうふうに租税の原則を乱してまで、主として法人の育成強化ということが、ほとんどこの中心になってこの制度が行なわれておるとするならば、ひとつ来年度からこの租税特別措置適用されておる会社名、特にそれをちょうど高額所得の芸能人や有名人の順番が発表されておりますように高額順に発表する、こういう公示制度を設けるべきだと思いますが、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  32. 泉美之松

    泉政府委員 法人税及び所得税につきましては、一定所得以上の場合におきまして、公示制度があることは御承知のとおりでありまして、先ほどお話の芸能人などにつきましても、現在の公示制度所得二百万円以上の場合、それを公示することになっておりますが、今回の改正案で、その人数が非常にふえまして、税務署のほうでもたいへんな手数でございますので、貨幣価値が、三百万円ときめました当時と比べますとだいぶ違ってまいっておりますので、そういった点を考えまして、公示の限度を、五百万円に引き上げるというふうな改正案を提出いたしておるわけでございます。そのほかに、特別措置によって減収になった金額は幾らであるかということを公示すべきかどうかということにつきましては、なお慎重に検討いたしたい、かように考えます。
  33. 只松祐治

    只松委員 慎重ではなくて、個人のそういう納税でも公示しておるわけなんです。ましてこれは脱税とまでは言いませんが、免税なりあるいは補助金なり利子補給なり、いろんなそういうものを含んだ施策になるわけですね。政府の財政支出と見ても差しつかえない租税特別措置なんです。これが国民に明らかにされないで、やみからやみというか、ほとんど知らない間に行なわれておる。こういうことでは、それこそ租税の公平を非常に阻害する。こういうことが発表できないということ自体たいへんおかしいことだ、当然発表すべきことだと思います。これが発表されないとするならば、理由はどういうところにあるのですか。ひとつ十分納得するように聞かせていただきたいと思います。
  34. 泉美之松

    泉政府委員 現在の公示制度におきましても、総所得金額のみを発表することにいたしておるのでございまして、法人の場合にも毎月その申告の所得額を公表することにいたしておるわけでございますが、それの所得の内訳で、どういう特別措置適用を受けたから本来幾らの所得が幾らになったというところまで発表することにつきましては、いろいろ企業の秘密等もあろうかと思いますので、そういった点から慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  35. 只松祐治

    只松委員 秘密とかなんとかおっしゃいますけれども、本来ならば当然に納むべき税金なんですね。それを先ほどから御説明のような趣旨で、いわゆる免税をしておるわけなんです。本来納めるのがあたりまえなんです。納めないほうがこれは誤りなんです。それを会社の秘密とかなんとかいうことで発表できない。むしろ政府の側がそういうことを心配することも何も要らないと思うのです。そこまでおっしゃるならば、私もきのう税務特に行ったりなんかして、いろいろ徴税方法その他も聞いてまいりましたけれども、そういう問題まで全部含んでそういう秘密を守られたり、あるいは発表にならなかったり、そういうことをされておるかお聞きしたいのですが、時間がないからそこまでは聞きませんけれども、そういう考えでなくて、ぼくはこれを明らかにすべきだと思います。重ねてそのあるかないかの意思をお聞きしておきたい。
  36. 泉美之松

    泉政府委員 お話の点につきましては、いろいろ広範な問題を含んでおりますので、十分慎重に検討いたしたい、かように考えます。
  37. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連して。いまの只松委員の質問に関連してお伺いします。それでは、所得税法人税で二百万円以上、今度これを五百万円にする、こういうことですが、それを公示する根拠は何ですか。何がゆえに公示するのですか。
  38. 泉美之松

    泉政府委員 この公示制度につきましては、田中委員承知だと思いますが、シャウプ勧告によりまして、第三者通報制度が設けられました際に、第三者通報に便宜なようにということから、公示制度が設けられたのでございます。その後、第三者通報制度につきましては、いろいろ弊害があるということからいたしまして、通報制度は廃止になったのでございます。しかし公示制度につきましては、やはりこういう公示をすることによって、まあ国民一般に相当多額な所得のある人がおる、そういう申告をしておる人がおるということを知らしめると同時に、そういう所得がある人につきましては、公示制度があるからめったな申告はできないんだということで、適正な申告が提出されることを間接的に牽制する、こういった意味がございまして、公示制度が残されておるのでございます。ところが、公示制度全般につきまして、実はいろいろ問題があるのでございます。ああいう公示をするために、寄付金をたかられて困る、あるいは、寄付金でなしに、いろいろたかられて困る、こういった話もございますので、公示制度自体についてもいろいろ検討すべき点があるのではないかということを考えておるわけでございます。そういった点からいたしまして、いまの只松委員の御意見につきましては、なお慎重に検討いたしたい、かように考えておるのでございます。
  39. 田中武夫

    ○田中(武)委員 公示制度というものが、いわゆる第三者通報制ということとからんでまず出てきた。しかし第三者通報ということ、いわゆる目あかしがスパイを使っておとり捜査をやるということと同じようなことはやめておこうということになってやめた。しかし公示制度だけは残っておる、こういうことだと思うのです。そのことは、いまあなたもおっしゃったように、間接的であろうかどうか知りませんが、適正な申告をなさしめる上において刑をなしておる。すなわち、課税の民主化の上において大きな役割りを果たしておるということなんです。それならば、いま只松君の言っておる、いわゆる特別措置法による減税を受けたもの、これも公示することによって、不正な減税をやらないように、不正な減税を行なうようなことをしないようにやる必要があると思うのです。当然特別措置法によって減税措置を受けるもの、これに対して公示制度をとるべきです。いま簡単に検討しますだけでは許されない。それでは、あなたがそういうことであるならば、大臣にかわって政務次官、はっきり政治的答弁をやってください。
  40. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 特別措置法の問題にはいろいろ議論がございますことは、いままで委員会でも論議されておる問題でございます。私ども個人の考えで言いますと、先ほど局長からもお話しいたしたように、特別措置法適用する範囲を縮めていくべきだ。また、ことに危険な新規事業なんかに対しましては、むしろ私は、税制によって助けるよりも、国の助成によってやるのが筋が通ったものじゃないかということを根本的には考えております。さような意味合いにおきまして、租税特別措置法というものは相当論議があると思いますが、大蔵省といたしましても、先ほど来局長が答弁いたしておりまするように、だんだんその範囲を狭めていこうという方針で進んでおることは、御了解いただいたことと思うのでございます。  そこで、いまの公示の問題でございますが、どうも私といたしましても、なかなか簡単にこれをすぐやるということをはっきり答弁はできないと思うのです。特別措置法自体がそういう性格のものでございますので、それにかんがみまして、また、ただ危険ばかりでなくいろいろのまた別な観点からもこの特別措置法を設けておる分もございまするので、一がいにこれを公示して、そうして——いま田中委員の仰せになっておりますような、脱税をしないように、正確な申告ができるようにするために必要であるというようなことが非常に強く打ち出されるということでありますれば、これはやはり公示することも差しつかえないのじゃないかというような気持ちを持っております。
  41. 田中武夫

    ○田中(武)委員 この所得税及び法人税で公示制度をとっておるということは、先ほど局長も申しましたように、いわゆる適正な申告を促す、そういう心理的作用をしておる、このことは当然、法によって仰せられたる納税の義務を果たす上においてのものであります。片や、当然払うべき義務、納税を、特別な措置によって、それはそれだけの理由があるとしても、こらえてもらうのです。減税をしてもらうのです。そうするならば、法人税所得税による申告よりかより厳格に、よりシャープにやるべきが当然です。したがって、片やにおいて法人税所得税に公示制度があるならば、当然一方にもやるべきである。もしあなた方が直ちにやるということを言わないならば、われわれは改正案を出してもいい。やらせるようにする。いかがですか。
  42. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 皆さんが改正案を出されるということであれば、これは皆さん方の権利でございますので、これをとやかく申す極限は私にございません。ただ、役所といたしましての立場から申しますると、なかなか簡単に、あなた方のおっしゃるように簡単にいけるかどうかということも私は疑問を持っておりまするので、ただいまこの際直ちにそれをやるということを私ははっきり言い切れない、こういう御答弁を申し上げた次第でございます。
  43. 田中武夫

    ○田中(武)委員 できないというような言い方、これはますます税金をかけるという上において、課税という上において一般の疑惑を高からしめます。そうでなくとも租税特別措置法は、もちろん、先日当委員会で若干問題になりましたが、ほんのわずかばかり農民にもいわゆる早場米ですか、こういうのにやる、あるいは同じ制度中小企業にも及ぶということでカモフラージュしているが、実際は独占、大企業のためのものであることは言うをまちません。しかるに、これを公表することをはばかるというならば、その表に一体何があるかということが国民をしてますます疑惑を高からしめると思います。そこで委員長、私の提案に対して後刻理事会において検討してもらうことを望みます。
  44. 山中貞則

    山中委員長 承知しました。
  45. 泉美之松

    泉政府委員 ちょっと技術的なことを申し上げまして恐縮でございますが、たとえば判別償却の特別措置になっております。これはしかし先ほど申し上げましたように、期首償却でございまして、期首に多額の償却をしますが、その翌朝以降は、その償却したやつを耐用年数によって取り返していくべきことになっております。そこで、ある期に特別償却によってこれだけのフェーバーを与えたといっても、本来それは前の特別償却認められたものについて取り返される分もあるわけであります。そういった計算を一々やるということになりますと、実は非常な手数になるのでありまして、そういう点から、特別償却適用を受けたから、すぐそれだけ納めるべきものが少なくなったんだというわけにはいかないのでございます。そういった技術的な点もございますので、先ほど申し上げましたように、慎重に検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 技術的なことで云々ということは、あなたは仕事を大切にしないということなんです。そうでしょう。そうじゃないですか。少なくとも一カ年に現実に、特別措置法によって二千億円何がしの減免税がなされておるでしょう。それならばそのうちで当然入るべきものについて二千数百億円の減税あるいは免税になっておる。そのうちの大きなものは一体どこにおいてなされたかということを明らかにすることがなぜできないのです。そんなことができないのならやめなさい。そんなことができないならやめたほうがいいですよ。政務次官、局長をやめさせなさい。あなたにその権限はありません。政務次官にそんな権限はないから大臣に話します。自分の仕事ができないからといって何ということを言うのだ、君は。——。   〔「神聖な議場で何事だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  47. 山中貞則

    山中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中上〕
  48. 山中貞則

    山中委員長 速記を始めて。  ただいまの田中委員の発言中不穏当な点がありましたら、後刻相談をいたして速記録から削除いたします。
  49. 田中武夫

    ○田中(武)委員 あなた方は神聖なる議場と言っておられます。この神聖なる議場において、局長は自分の仕事がしにくいからということだが、公正な課税という問題について民主的な租税組織制度というものはガラス張りが一番望ましいんですよ。そういうことについて提案をしておるのに、自分のかってな事務の繁雑ということによってそれができないと言ったんだ。それに対して言ったのがどうなんだ。
  50. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 発言の許可を得ましたから一言申します。  いま局長はできないなんということをはっきり言っていません。ただ事務的にむずかしい点があるということを言ったのであります。
  51. 田中武夫

    ○田中(武)委員 局長の答弁は全部取り消しだ。
  52. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 一応大蔵省としては話し合いをしております。要するになかなか事務的にむずかしいということで……。   〔発言する者多し〕
  53. 田中武夫

    ○田中(武)委員 能史ということとまじめに着実に仕事するということは違います。なるほど大蔵省は、たぶんいまの局長クラスは、それは東大なりその他一流の大学を出て行政官試験を通って、しかもそれはたぶんいい成績で通ったから、その意味において能吏かもしれません。能吏必ずしもいわゆる国民の善良なる公僕とは言えません。私は善良なる公僕としてあなたは自分の仕事がやりにくい、あるいは事務が煩瑣になるという理由によって国会の答弁をのがれようとしておるそのことについて私は言ったのであります。
  54. 只松祐治

    只松委員 法人制度そのものをさっき要求したのでございまして、技術的な問題その他は、これは検討の余地があると思いますが、そのことを追及するわけじゃございません。そのことは私は答弁は要らない。その方向をとるかどうか、こういうことを御質問したわけでございます。それはまた後刻田中委員の発言もありまして、問題にしたいと思います。  それで非常にこまかいことをお尋ねいたしますが、たとえばここに新築貸し家住宅の特別償却という制度がございます。政府でも庶民住宅やあるいは国民金融公庫等の助成あるいはそういう施災を行なっていろいろの住宅をつくっておりますが、たとえば近ごろ付とかマンションとかいうあるいは高級アパートが非常に立っております。私たち庶民におよそ縁のない家賃が五万円、十万円というようなものもたくさん建っておりますが、こういうものに対してもこの法が適用されておるのでございますか、お尋ねいたしておきます。
  55. 泉美之松

    泉政府委員 新築貸し家住宅につきましては、まずその住宅の建坪が三十坪以下ということに限定されておりますし、同時にその取得価格が木造の場合には坪当たり八万円、それから耐火構造の建築の場合には十三万円というふうになっております。したがいまして、いまお話しのような何とかマンションというようないわゆるデラックスなものには適用にならないということになっておるわけでありまして、主として社員住宅といったものがその適用を受けるのが多くなっております。
  56. 只松祐治

    只松委員 それから税制調査会のこの参考資料なっておるものを見ますと、法人税が六十一が九千二百三十一件となっておりますが、武藤山治委員がいただいたこの資料によりますと五十七万三千三百六十三件、こういうふうになっております。この基本数字は大きな相違がございますが、これはどういうところからきたものでございましょうか。
  57. 泉美之松

    泉政府委員 この法人数は、先般お答えいたしましたように全法人数が三十七年度におきまして七十一万二千百十五でございまして、そのうちの普通法人数が六十五万九千八百八十四ということになっておるのでございます。先ほどお話しの、武藤委員にお知らせいたしました数字の五十六万というのは、サンプル調査の結果の数字でありまして 悉皆調査法人数ではございません。その点御了承願いたいと思います。
  58. 只松祐治

    只松委員 税制調査会の……。
  59. 泉美之松

    泉政府委員 税制訓育会の六十一万という数字は、これは年度の違いと存じます。ここの三十七年度のところに法人数六十二力九千二百三十一とございますのは、その備考にございますように、「国税庁統計年報書及び国税庁税務統計会社サンプル調査」とございますように、サンプル調査の結果の数字が六十一万でございまして、全法人数は、先ほど申し上げましたように七十二万二千百十五、そのうち普通法人数が六十五万九千八百八十四でございます。この税制調査会答申のほうに出ております六十一万というのもサンプル調査でございます。悉皆調査ではございません。
  60. 只松祐治

    只松委員 私たちは、なかなかこういう調査資料を入手できないわけです。特に野党の私たちはよけい困難なわけです。そういうときに、こういうサンプルでも数万違う、いろいろ違いますと、当然これから出てくる、たとえば武藤委員に渡してある損失会社の数だとか、こういうのもいろいろ違ってくると思うのですが、ひとつこういうのはできるだけ正確な数字を、特に委員会等にお出しになる資料は正確なものを出していただきたい、このことを要望いたしておきます。  さっき農業中小企業に関して特別の措置は本年度は講じていない、将来もあまりない、こういうふうなお話がありました。むしろやるならば、現在の特別措置を順次整理統合していくべきであろう、こういうことをおっしゃいましたが、今年度は整理統合ではなしに、むしろふえておる。そういうふうに新たなものを設けられるならば、たとえば、これも一例を申しますが、医師というのは、現在いろいろ医療単価の問題でもめておりますが、ほとんどが一般健康保険あるいは国民健康保険等で単価は抑えられております。いわば公定価格というものがあるわけです。ところがその病院の施設その他そういうものは、多少政府の融資等のめんどうもありますけれども、これは自分でしなければならない、こういう大きな矛盾に包まれております。そういたしますと、そういうふうに収入のほうがほとんど保険によって抑えられて、おるならば、これは国が当然に何らかの措置を講ずべきであろう、したがって一例を申しますならば、個室は別といたしまして、病室は当然に公的な料金でその医療単価が押えられておるならば、病室等は半ば公のものになる、したがって、病室等の課税を除外するとかあるいは引き下げる、こういうことを皆さん方将来——これは農業あるいは中小企業その他もそうでございますが、医師等についても、そういう公のものを、ほかのものも租税特別措置をするならば、当然に医師の病室等もすべきだと私は思いますが、こういうことを皆さん方今後お考えになりますか、お尋ねをいたしたい。
  61. 泉美之松

    泉政府委員 医師につきましては、お話のように、社会診療報酬による収入が大部分になっておりますことは、只松委員の御指摘のとおりでございます。  そこで租税特別措置法の第二十六条におきまして、社会診療報酬につきましては、経費を七二%といたしまして、所得率を二八%にするという特例措置ができておるのでございます。  そのほかに、お話のように、この病室について課税特例を設けるということになりますと、それは固定資産税の話になるのかと存ずるのでございますが、固定資産税につきましては、これは自治省のほうでやっておりますので、私のほうからちょっと申し上げにくいのでございます。
  62. 只松祐治

    只松委員 最終的決定は地方自治体にあるわけですが、大蔵省の方針をお聞きしているわけです。
  63. 泉美之松

    泉政府委員 大蔵省の方針につきましても、これは自治省の問題でございますので、御趣旨の点については自治省と十分協議いたしたいと存じますが、いま私からどうするというようなことはちょっと申し上げかねます。
  64. 只松祐治

    只松委員 法人の徴税を見ましても、大法人の場合、これも非常に古い統計になりますが、一九五五年のもので、国税局扱いの法人が一千年目六十七億円、中小法人が六百十三億円、こういうことになっております そしてその中で更正決定をしたものが大法人で百十四億円、八%、しかし中小法人は百八十七億円、三一%の更正決定になっております。過日、私が御質問したときに、大企業はほとんど百%調査を行なっている、中は幾ら、小は幾らという御説明がありましたが、さらに更正決定の数についても若干御説明がありましたが、昨年度の統計が出ておらないとすれば、一昨年度における公正決定額の大中小についてひとつ教えていただきたいと思います。
  65. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 更正決定の割合でございますが、ただいま出ております一番新しい数字昭和三十七年度の数字でございます。それによりますと、国税局で所管しております法人、すなわち資本金二千万円以上の法人の更正決定の割合が八〇・八%でございます。それに対して税務署で所管しております法人、すなわち資本金二千万円以下の法人でございますが、これの更正決定の数字が三五・二%になっております。
  66. 只松祐治

    只松委員 いまの数字はどこの数字でございますか。全国的な数字ですか。どこの数字お答えになっているのですか。
  67. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは全国でございます。
  68. 只松祐治

    只松委員 私がある税務署でお聞きしたところ、調査しているのが、関東全体で大体二千万円以下で四五%程度、こういうお話でございます。その中で、調査し摘発したものは九〇%、したがってこれは更正決定になったのが九〇%、こういうふうにお聞きいたしましたが、これは六〇%からの相違がございますが、どういうことでございますか。
  69. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私のほうは、どこの税務署をお調べになったか存じませんが、全国の集計といたしましていまの更正決定の割合になっていることは事実でございます。
  70. 只松祐治

    只松委員 これは名前を言わないということでお教えいただいておるから本日は申しませんが、後刻、国税庁長官の三〇%というのと私が直接税務署に行って調べた九〇%というのと非常に異なりますので、明らかにいたしたいと思います。違うということだけ明確にしておきたいと思います。  これもいずれまた大臣がお見えになって多少お聞きしたいと思っているのですが、一般所得者あるいは中小企業者は非常に課税が捕捉されておりますが、私が前から申しますように、大法人は必ずしも的確にとらえられていない、あるいはいろんな租税特別措置が講ぜられて課税が行なわれておらない。そういうものの顕著な例として特権階級のものとして、俗にいうめかけ、この税金についてひとつお伺いをいたしたいと思います。  先ほどちょっとお尋ねいたしました何とかマンションとか、そういう五万、十万のアパートを借りて住んでおるめかけの人がたくさんいます。こういう点について国税庁でお調べになったことがあるかどうか、まずお伺いします。
  71. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私たちはその号を特に調査するということはいたしておりません。ただ、申告が非常に心ないとか、あるいは申告のない方であって異常な消費をなさっておられる方、たとえば自家用車を二台、三台お持ちになっているとか、あるいはデパートからの買い上げが、申告がないにもかかわらず非常に大きいというような方、いわゆる大口資産家につきましては、おのおの特別な調査をいたしております。しかしながらただいま仰せになりましたような二号がどうというような調査はいたしておりません。
  72. 只松祐治

    只松委員 いま申しましたように特定の高級アパートあるいはマンション、そういうものをお調べになればそこの中に住んでおる芸能人あるいはそういう高級めかけと申しますか、そういう人たちが何人住んでおる、こういうことはわかります。私はそのことの調査をすることを国税庁にひとつ要求しておきます。と申しますのは、そう簡単なことではなくて、月々数十万の金を使って豪奢な生活をしておる人も私は知っております。普通の勤労者には二万円、三万円のわずかなものにもどんどん税金がかかってくる。ところが、どこか出所不明の金で毎月数十万の生活をしておるそういう人は、市民税あるいは区民税だけ納めて、課税の対象になっておらない。これは課税公平の原則にきわめて反するという点がまず第一点。それだけではなくて、その数十万の金を与えておるならば、その人の所得の源泉はどこだ。そういう人たちが大法人なり何なりの会社の役員とかそういうことをされておると仮定いたします。そうするとその会社のどこから出ておるか、大きな抜け穴があるはずなんです。そのことをほとんど調査されないでおるからこういうことがある。私はめかけの小さい問題を言っておるのではなくて、大法人に大きな抜け穴がある。その一つの証拠として、こういうことが公然と行なわれて、マンション族がそこに出現しておるのだ、こういうことを指摘しておるわけなんです。きょうはそのことの調査をしてもらいたいということだけの指摘にとどめて、私も具体的にその実態を多少持っておりますけれども、もっと広範な調査をした上で、他日また質問をいたしたい。この点について、国税庁側で調査をする意思があるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  73. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま二号さんのお話をお出しになりましたが、税務当局といたしましては、あまり個人の私生活に入るような調査をいたすということは、できるだけ差し控えたいと存じます。しかしながら御指摘の高級アパートについてはすでに調査をいたしております。ただいま申し上げましたように、所得が非常に小さいという申告が出ておる方、あるいは無申告の方、そういう方であっても、消費面で一見ふしぎだと思われるような方、たとえば大きな邸宅をかまえておられるとか、あるいはただいまおっしゃったように高級アパートを別に持っておられるとか、あるいは自動車を数台持っておられるとか、あるいはデパートの買い上げの金額が月何十万にものぼるというような方については、今後十分調査をやっていくつもりでございます。大口の資産家については、いわゆる個別管理の方式によって今後課税を充実さしていきたいと存じております。
  74. 只松祐治

    只松委員 いまあまり綿密に調査すると、私的な行為にわたる、こういうことをおっしゃいましたが、一般の税の調査というのは非常にきびしい。きのう夜も私は中小企業者の人と懇談して、十二、三人の人から——いまちょうど確定申告のときなんです。あなたも大蔵委員なら何とかならないかという泣くような陳情を受けました。その場合にも、税務署の役人の態度がとにかく横柄というか、きびしくてどうしようもない、こういうことが盛んに言われました。こちらを罪人扱いしておるが、そういうことのないようにしてもらいたいということであった。私は、罪人扱いをするなら、かまうことはないから大いにけんかしろ、そのしりをぼくのところに持ってこいとその場で言っておきましたけれども中小企業者やあるいは所得の申告には非常に恨みを買うような激しい調査が行なわれておることは御承知のとおりなんです。またそういうことをやらないと、皆さんのほうからいえば税金がとれないということになるかもしれません。しかしいま言うように、明確にわかっておるマンション族や何かは、どこから収入があるかほとんどわからないというものが課税の対象になっておらないということは、もう厳然たる事実なんです。調べれば調べるほどそのことは明確になると思います。そのことに対して、あまり私的にわたるから、こういうふうなおことばはたいへん残念だと思います。そういうことじゃなくて、一般中小企業などを調査しておる以上にきびしくそういう面は調査をして、後刻報告をしていただきたいと思います。それと同時に、そういうところに住んでおる人々が所得がなくてそういう生活をしておるのは、一体どういうところから収入があると思っておられますか。ひとつ国税庁なり、大蔵省のほうでも税の関係の方がおいでになったら御説明いただきたいと思います。
  75. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、高級アパートについては調査を手控えておると申し上げたのではなくて、それは十分調査を充実させ、現在も調査をしておりますし、今後も充実させたいということを申し上げたのであります。ただ、特定の人がどういう人とどういう身分関係にあるかというようなことに立ち入って質問をしたり、調査をいたしますということは、これはやはり個人の私生活の問題もございますので、そういう点についてあまりそういう質問をするということは穏かでないということを申し上げたのでございます。高級アパートに住んでおられる方がどういう方であるかということは、これは一がいには申せませんが、やはりその所得の源泉というものは特定の人、あるいは中には自分が勤めておって、自己の所得で住まっておるという方もございますが、やはり特定の人との関連において、自己以外の所得によってそういうアパートの使用が行なわれておるというものも相当数あると思います。
  76. 只松祐治

    只松委員 これ一つできようは質問をとどめておきますが、不動産の売買や何かに出てくる所得に対しては、非常に綿密に調査されて、AからBへ移った、その中にCが介在して、Cが行方不明になると、東京までも、大阪までもどこまでも追及していく。そういうことで、相当きびしくやっておられる。これは当然のことだと思います。ところが、いま私の言う明確にめかけとわかる人々との対人関係、そういうものが追及されないということは、私はきわめておかしいと思います。課税というものは、もちろんそれを公表する必要はないけれども、やはりだれとどういう関係になって、しかもだれの所得から出てきておるか、その源泉がわからないことには、そのめかけとの関係は、所得は明らかになっても、その人がどこの大法人会社をやって、どういう脱税をしておる。もちろんそれは脱税によってきているわけですから——あるいは脱税ではないかもしれないが、大体脱税できている。さらにその大法人がどういう名目で、月々何十万という金をその重役に渡しておる、こういうことは明らかにならないわけなんです。そのことが明らかにならないでは、渡しておる本人、あるいは大会社の脱税行為を調査をし摘発することは不可能だ。これは犯罪の捜査だってすべて同じであって、いまみたいな答弁では、私は重ねて不満の意を表します。ぜひそこまで徹底的に調査をするということを約束していただきたいと思います。  きょうはこれで終わり、また後日質問をいたします。
  77. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまの御質問でございますが、高級アパートに住んでおられて、所得の源泉がはっきりしないような方に、一体どういうところからそういうお金が出ておりますかという質問をすることはございます。しかし、特定の人とどういう御関係にありますかというようなことは、少し個人生活に踏み込んだ調査になりますので、税の面だけをもってしてはやはり律し切れない社会的な問題を含んでおると思います。ただし、査察のような場合に、いわゆる強権を発動して査察をやるというような場合には、あらかじめ内偵をいたしました関係の先は、たとえばいま御指摘のようなアパートでございますが、そういうところも調査をすることは当然でございます。一般の税務の調査の場合に、そこまで個人関係に踏み入るということは、税務の調査としては差し控えたいと存じます。
  78. 只松祐治

    只松委員 私は、個人関係調査しろというのではなくて、いわゆる課税対象の捕捉の問題を言っているのです。その人が二十万なり三十万なり相当高額の生活をしているならば、その金がどこから出ているか明らかにしなければ、あるいはその金を出しているところが脱税しているのかもしれぬ、こういうことを言っているのです。個人のAという男子からBという女子に対して渡しているとしても、Aという男子の所属している団体なりあるいは会社なりどこかそこのところに大きな脱税がないことにはそんなことはできないわけです。しかもその会社なり法人がまた脱税をしているか、何らかそこに帳簿上のごまかしがある、そういうことを捕捉しなければならない。そういう大きいものの捕捉をしないで見のがしておいて、何十万という金でこうやって大会社の重役がめかけをかかえておる。そうすると、相当膨大な金額の脱税行為があるわけです。脱税と言わなくても、帳簿上のからくりがある。そのことを捕捉する必要があるということを言っている。大会社のそういうものを抜きにしておいて、中小やなんかの法人をとことんまでいじめている。こういうことは、徴税当局としてはたいへん苛斂誅求で、片手落ちではないか、こういうことを言っているわけです。これは小さい問題のようだけれども大きい問題ですから、いずれ大蔵大臣のおいでのときに質問を続行したい、こう思います。
  79. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの只松委員の質問に関連して伺いたい。そういうことで手当というか、生活費というかもらっておる人の側に立った場合に、その収入は何になりますか。贈与になりますか、手当になりますか。かりに給与的なものであるとするならば、所得税法三十八条により、その金を出した人は源泉徴収者になりますか。
  80. 泉美之松

    泉政府委員 これは私、その態様をよく存じませんけれども、普通の場合は贈与であると存じます。したがいまして、受け取った者は、一年間の贈与が、御承知のとおり現在は二十万円の控除でございますが、これを改正案によりまして四十万円の控除に引き上げることにいたしております。ただし、贈与につきましては、三年間累積いたしまして、二十万円以上の部分につきまして三年間累積したものに課税することになっております。したがいまして、おそらくそういう方は年間二十万円というようなことはございますまいから、贈与税課税すべきものと、かように考えております。
  81. 田中武夫

    ○田中(武)委員 国税庁長官の言われるプライバシーは尊重するということは必要であると思います。あるいはまた、徴税にあたって人権を守らなくてはならぬことは当然であります。だがしかし、往々にして零細企業等に対してはどうかと思うような行為があります。そういうことにおいて、あなたが先ほど来答弁している私生活の問題、すなわち、プライバシーの問題に対して深入せよとは申しません。あくまでも人権尊重を必要とします。それならば、いま問題になっているような部類の人々のみの人権を尊重するのではなくて、零細業者、そういう人の営業の面をほじくって、査問権だとか調査権だとかいう、少なくともわれわれ第三者が見たときにこれは人権を侵すじゃないかというようなことまでやっているような事実もあります。したがって、同じ態度をもって臨むべきである、このことだけを要望しておきます。私は決してプライバシーを侵せとは申しません。また主税局長はいま贈与である、こう言いましたから、今後国税庁あるいは税務署は十分にそれらの族、人たちの所得の源泉を調査して、それが贈与になるのかあるいは手当的なものであって、いわゆる何とか契約による何とか報酬であるならばこれは源泉課税をする、それを支給する人は三十八条により源泉徴収者としての義務を負い、そして毎月の十日までにはちゃんと納税しなければならぬ、こういうように解釈しますが、いかがでございますか。
  82. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 一般の零細な業者の方に対して人権を尊重し、また調査上、その営業面についての十分な配慮をすることは当然のことでございまして、われわれ国税庁といたしましては、局署に対してはかねがねそういう趣旨の指令を出し、また行き過ぎになることがないように監督をしておるところでございます。  ところで先ほどの高級アパートに住んでおる一部の方の所得の問題でございますが、数字といたしましては、ただいま主税局長が申し上げましたとおり、贈与かと思います。しかしながらその態様は非常に複雑でございまして、必ずしもAとその住んでおる方とが直接結びついておるとは限らない場合もあり、あるいは複数の場合もある。そういう点を洗いざらいほじくるということになりますと、かなりやはり問題があると思います。もちろんそういう大口の資産家でもって非常に大きな所得を得ておる方については、先ほど申し上げましたように、個別的に管理をいたして、調査の充実をはかっております。そういう点で御了承を得たいと存じます。
  83. 山中貞則

    山中委員長 午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後一時四十八分開議
  84. 山中貞則

    山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  85. 岡本隆一

    岡本委員 租税特別措置法改正の中に、医療法人に対する課税特別措置という項目がございますが、その問題についてお尋ね申したいと思います。  御承知のように、私は医療法人を経営いたしております。そこできょうは、医療法人を経営する者の立場、こういう観点から、医療法人制度の中にあるところのいろいろな矛盾点、さらにまたそれに関連して課税の問題、そういった問題についてお伺いいたしたいと思います。私が特に医療法人を経営する者の立場に立ってというふうな観点で御賛同申し上げるのは、日本の医療制度というものはいま非常な混乱の中に入っておるのです。そしてまた、日本の医療制度をどうするかということは、国民の保健の上から非常に重要な問題です。だから、特にきょうは、私はそういう個人的な立場に立ってお伺いをするのでございますけれども、その点あらかじめ、あるいは表現の方法で多少逸脱するようなところがありましてもお許し願いたいと思います。  まず第一にお伺いいたしますけれども昭和二十七、八年のころでございますか、医療法の改正とともに医療法人制度が生まれました。この医療法人制度というものがどうして生まれたかと申しますと、日本の医療というものは、従来のような個人開業の形ではいい医療内容を国民に普及することはできない。だから、とにかくある程度の規模を持ち、病室を持って、病院というふうな形になって国民に適正な医療を施しなさい。そのためには医療事業の共同化が必要である。個人個人でやっていたのではだめだ、共同でやる必要があるというふうな、医療の共同化ということが一つの日本的であったのです。その次にはまた、協業化をして医療機関を運営いたしましても、そこにやはり必然的に相続の問題が出てまいります。ある程度医療事業が発展して規模が大きくなりますと、今度はまた相続税の問題で、こつんと税金でいかれるというようなことがあると、医療機関は分けて拠出するということができませんから、相続税のたびに運営が困難になる。そういうことを防ぐために、医療法人になったら相続税をかけないようにしましょう、こういうようなことがその内容に含まれて、一つには医療の共同化、さらにまた、第二の理由としては、医療機関の永続性、こういうふうな二つの観点から医療法人制度が生まれてきたのであります。そしてまた、厚生省はいまもなおそういう方針をとっておられるに違いないと私は信じておるのでございますけれども、厚生省はやはりそういう方針を堅持していられるのか、また最近は違った見解を持っておられるのか、医療法の中の医療法人制度について、どういう見解を厚生省は現在の時点に立って持っておられるか、まず厚生行からお伺いしたいと思います。
  86. 大崎康

    ○大崎政府委員 医療法人制度が創設せられましたゆえんのものは、ただいまお話がございましたが、医業というものは非常に公共性を持っておりまして、特殊な業態になっているわけであります。営利ではございませんし、さりとて、民法の公益法人のごとく積極的に公益を主とするというふうなことでもないわけでございます。そこで、医療法人制度というふうなものを設けたわけでございます。医療法人制度を設けた理由は、私がいま申し上げましたとおりでありますが、これによりまして医療法人、すなわち、医療機関の永続性をはかるということが可能になりますし、また、お話がございましたように、資金を集めることも容易になる。こういうことでございます。これが医療法人制度創設の由来でございますが、それは現在においても私どもはそういう線に沿って医療法人制度考え、その運営の御指導を申し上げておる、こういうことでございます。
  87. 岡本隆一

    岡本委員 最初そういう考え方で医療法人制度ができまして、医療機関のほうも、これは一つの大きな進歩、こういうふうに思って、続々医療法人をつくり始めました。ところが、どうも私どもの見るところでは、厚生省のそういう方針に対して大蔵省側は非常に協力的でない。こういうふうに思われるのでございますが、大蔵省は医療法人というものをどういうふうに見ていられますか、御見解を承りたい。
  88. 泉美之松

    泉政府委員 医療法人制度ができましたときに、こういう制度をつくりますときには、それによって課税関係がいろいろ問題になってくるわけでございますから、普通ならば、政府部内の措置といたしまして、厚生省から大蔵省に、今度こういう新しい法人をつくる、したがって、それについての課税関係はどうなるか検討してもらいたいということで、そうなればどういうふうな課税関係に持っていくかということについて両者が話し合いをいたしましてやっていくのが普通かと考えるのでございます。ちょうど医療法人制度が設けられるときにあたりましては、これはいまから申してもどうかと思うのでございますが、当時厚生省から大蔵省にそういうお話がございませんでした。そうして、医療法人ができ上がったあとわれわれがこの医療法を見ますと、今度新しく医療法人というものができてしまう、その医療法人ができますと相続税が課税できないことになるではないかということになったのでございます。そこで、これでは税制といたしまして困るではないかということになりまして、それからいろいろ検討をいたしました上、御承知のとおり、医療法人には財団法人たる医療法人と社団法人たる医療法人がございまして、さらに社団法人の中には持ち分のあるものと持ち分のないもの、いわば三種願の医療法人ができることになっているわけでございます。そこで、いろいろ検討いたしました上で、なるほど医療法人というものをつくる趣旨は、先ほど厚生省からお話がございましたように了解できるのでございます。しかし、相続税が全然課税できないことになってしまうということについても問題がある。そこで、財団法人たる医療法人を設立する場合におきましては、その設立のときに贈与税課税することにして、財団法人ができますれば、その財団法人には、もはや独立の法人格を持つことでございますので相続税の問題は生じないということにしよう。それから、持ち分のある社団法人につきましては、これは持ち分がありますと、その持ち分を譲渡しあるいは相続することになるわけでございます。持ち分のある社団法人に対しましては、持ち分に対して相続税を課税することがいいではないかということでございました。それから、持ち分のない社団法人につきましては、これまた財団法人と同じように、出資のときに贈与税課税しようではないか。しかしながら、いろいろ検討してみますと、医療法人の中にはきわめて公益性の高いものもあります。そういう点から見ますと、その出資の際に贈与税課税することも適当でないものもありはしないか。そういうことからいたしまして、租税特別措置法の第四十条の規定で、これは必ずしも医療法人だけではございませんけれども、民法三十四条の法人を設立すると同じように——民法第三十四条に法人の設立の場合の規定があるわけでございますが、それと同じような性格の医療法人につきましては、出資のときに贈与税あるいは譲渡所得税もとらないようにするのがよくはないかということで、租税特別措置法の四十条の規定を設けたわけでございます。われわれといたしましては、課税関係をそのように明確にするという趣旨でございまして、医療法人を特に酷に扱うというようなつもりでは毛頭ございません。
  89. 岡本隆一

    岡本委員 医療法人の特徴に、まず第一に、医療法人は利益金を配当することはできない、こういう規定があります。第二に、医療費というものは、これは現在ではそのほとんどがいわゆる公定のもの、社会保険の収入です。今日社会保険の収入の対象にならないものとしては、きわめてわずかな、たとえば分べんとか、あるいは自動車事故とかの救急医療ですね。そういうようなものは対象になっておりませんけれども、しかしながらほとんど医療機関の収入というものは公的な診療に対する報酬であります。だから医療費というものは、みずからの提供するところのサービスに対して与えられる報酬というものはきちっときまっているというふうな他の業種と違った特徴があるわけです。それ以外に医療機関のもう一つ大きな特徴としては、公的な機関と競合してやっていかなければならない。たとえて言えば、国の施設としての病院あるいは地方公共団体の施設としての病院の施設費は全部税金から出ておるのです。償還の必要がないのです。そういうものと併存して生きていかなければならない。だから収入面ではぐっと抑えられておる。しかも一方では公的な病院と一緒に生きていかなければならない、施設の面で非常に大きなハンディキャップを持っておる。こういうふうな特性がありますから、民間の医療機関というものの運営は非常に困難なのです。だからそういうふうな利益性のきわめて乏しい医療事業なんかに投資しても、そんなものからは利潤は生まれっこないというのが通説的な考え方です。そういうふうな医療機関がなおずっと存続していく場合に、その経営者が死亡して次の経営者がそれを受け継いでいく場合に、一生の間かかって病院を大きくした、しかしながらもうその病院を大きくする施設の投資だけで精一ぱいで、とても別に相続税を払うの何のという蓄積の余裕はできっこないのです。そういうふうなものに対して大きな相続税がかかってくるということは、さなきだに困難な医療機関の運営を一そう困難にする、大きな重圧になるわけです。そういう考え方から相続税だけは特別の配慮があることが望ましい、そういう観点で医療法人制度という構想が生まれてきたわけです。だからその当時の厚生大臣もはっきりそういうことを委員会でも意見を述べ、またその医療法人制度そのものが生まれたときには、一般にそういうふうなものとしてこれは特にあなたがおっしゃったように、医療機関の行なうところの業務そのものに非常な公共性がある、さらにまた運営の中にも社会保険の医療を担当しているというところの大きな公益性がある、だから医療事業そのものが非常に公共性、公益性の高いものだから、せめて相続税ぐらいは特別な配慮がなされるべきである、こういう観点に立って出てきておると思う。それを今度は課税の公平だというのでもって、大蔵省のほうはそういう考え方をカットされたわけだと思うのですが、これは私は大蔵省としては大いに今後研究すべき課題として、もっと真剣に日本の医療制度の中における民間医療機関の位置というようなものについて御検討があるべきじゃないかと思うのです。これは政務次官から御見解を承りたいと思いますが、大蔵省として今後こういう問題を大いに検討されるお考えがありますか、どうですか。
  90. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 先ほど主税局長から御答弁を申し上げましたように、医療法人につきましては三つばかりの種類の法人があるわけでございまして、そこでいわゆる社団法人としてのものにはもちろん出資の際にだけかける、それから社団法人につきましては、持ち分を持っておるものについてだけ特別にやはり相続税を課すのだという方針でいままでやっておりますために、ただいまの岡本委員の疑問がそこに出たかと思うわけでございます。これはお説のように三つの大きな特徴がありまして、普通の法人等とは特別な扱いをするためにこの医療法人ができたことはお話のとおりでございます。したがいまして、大蔵省としても今日までそういうような方針をとってきておりますが、御説のとおりこれにつきましては相当検討の余地があると私も考えておりますので、その線に沿って慎重に検討をいたしまして御期待に沿うように進めていくような努力をいたしたいと思っております。
  91. 岡本隆一

    岡本委員 政務次官、今後御理解ある御検討をお願いしたいと思うのでございますが、医療機関は、民間医療機関と公的医療機関が競合して立っていかなければなりませんが、そのためには民間医療機関はいろいろな形で非常に重荷を背負っております。いま申し上げましたように、公的医療機関と競合していかなければならぬ、しかも一面利益配当をしてはならぬ、あるいはまた営利を目的として医療機関を開設しようとする者には許可を与えない場合があるというふうに規定してありまして、非営利性ということが強く強調されております。しかも問題はやはり課税の中にある。民間医療機関の場合にありましては、法人になりますと二百万超に対しては三八%かかってまいります。それに地方税を合わせますと約四五%の課税になる。さらに、過去の蓄積によっていろいろな設備強化をすることは今日の重税の中ではなかなか困難でありますから、たいてい借り入れ金でやっていって逐次返済していきます。そういう場合には相当利子を払わなければならない。公的医療機関がかりに独立採算制であって利息を払いましても、所得税として払った分にまでは利息を払わなくていいのです。たとえば民間医療機関の場合には、百万円純益をあげまして、その百万円の純益の中から余力を全部設備の拡張改善に投入したとしましても、五十五万円より投入できない。もし借り入れ金をもってこれに充てていきますとさらに利息が加わりますから、したがって五〇%以上のものが税金や利息として出ていくわけなのです。そうでしょう、四五%はなにとして出ますから。そこに三年、一年長期に借り入れをしまして——公的医療機関でも借り入れ金ならそれ相当の利息を払いますよ、しかしながら民間医療機関の場合には税金を払わなければならぬから、同じ百万円のレントゲンを買いましても、公的医療機関だったら百万円純益をあげたらぽんとそれで一ぺんに返せる。一年で返せますね。ところが民間医療機関の場合には最初の年は五十五万円しか返せない。四五%は税金として地方税か何か払わなければなりませんから、その間一年間残りの金額に対するところのやはり利息を負担しなければなりません。公的医療機関以上に負担しなければなりません。だから、結局それはその翌年には利息プラス残りのものというふうなことになりますから、二年がかりで返さなければならぬ、結局百万円のレントゲンが、公的医療機関は一年で返せても、民間医療機関の場合には二百万円の利益を出さなければ返せないのです。だから、そういうふうに結局公的医療機関と民間医療機関とは設備投資の画でもって倍額の負担をしなければならないのです。したがって、公的医療機関がかりに最初の設備費は税金で行なわれたとしても、そのあとは独立採算制で運営することを要求されておりましても、しかもその公的医療機関というものは課税されないという特典のために民間医療機関に比べれば設備投資というものは倍の力を持っているのです。そういうふうな機関と競合して生きていかなければならないという点において課税というものが非常に大きな重圧になっておる。しかも民間医療機関は利益金の配当をやってはならないというのです。利益金の配当をやるなということは、残った金の全部は設備投資に投入して、よりよき水準の医療を提供しなさい、こういうふうな観点から出てきているわけです。それに対してどんどん課税されていくということになってまいりますと、民間医療機関というものは非常に重荷を背負わされて、一緒に歩いていくのに片一方は荷物を持っておらない。片一方は大きな市税という荷物を背負わされて歩いていく。だから、そうなってくると民間医療機関は倒れなさい。公的医療機関と競争しても、とても競争できないからへたりなさい、こういうふうなことに税制がなっているのです。だから、一体そういうふうな民間医療機関を政府は育成する気があるのかないのか。育成する気があるとするならば、一体いままでどういうふうにして育成してこられたか。単に医療金融公庫が数年前にできた、それだけじゃないですか。しかも、その医療金融公庫も非常に複雑な手続をしなければなかなか借りられない。しかも、都会の人口の非常に稠密なところにある医療機関に対してはなかなか貸し出ししません。ベットの増床とか、そういうことには貸し出ししません。だから大きなハンディキャップを背負わされておる医療機関というものは、これから後ますます医療の内容というものが近代化され、大きな設備投資を必要とするという段階になって、とても公的医療機関についていけないというのが今日の現状でございますが、大蔵省は一体そういうふうな宿命の中に追い込まれている医療機関というものをどうしようとなさるのか。もうそれはしようがないのだ、いまのなにの中では。それがいやならやめたらいいのだというような御意見なのか。何とか民間医療機関が公的医療機関の中に立ちまじってやっていけるというふうなことにしてやるというようなお考えなのか、あるいは民間医療機関は要らないのだ、むしろつぶれてしまったほうがいいのだ、あとは全部公的医療機関で取ってかわってやっていくのだ、こういうようなお考えなのか、私はこの辺のところの大蔵省の御見解をはっきりとこの機会に政務次官並びに局長からあわせて承っておきたいと思います。
  92. 泉美之松

    泉政府委員 いま岡本委員のお話のように医療という仕事が公共的な性質を持っておりますために、また公的医療機関と競争して存続していくということのために大きな負担がありますことはお話のとおりであろうと思います。たとえばかりに百万円の設備投資をしたときに、公的医療機関なら百万円収入があればすぐ返せるが、医療法人であれば百万円収入があっても、そこから法人税なり、事業税なり、法人住民税なり、国税、地方税の負担を払うと、なかなか返しにくいという点はお話のとおりだと思います。ただ、医療器具を購入しますと、特別償却がございますから、百万円所得がありましても、すぐにそこから法人税、地方税合わせて四五%の税率ということにはなりません。多少数字は違いますけれども、しかしそれにしましても公的医療機関に比べてそういった医療法人の場合に、収入の中からそうした借り入れ金によって調達した医療器具の借り入れ金の返済をやっていくということに非常に困難がありますことはお話のとおりと思っております。ただそういった医療法人制度がございましても、私的財産制度のもとにおきまして、私有財産制が認められておる場合におきましては、やはり医療法人にならない個人開業医と、それから医療法人になっておるけれども、やはり私有財産制のもとにあるものと、この両者の間の課税のバランスというものはやはり考えなくてはならないのではないかと思うのでございます。ただしかし医療の公共的性格という点から申しますと、そういう点について私有財産制を認めておくのがいいのかどうかというような点も私は問題がいろいろあるのではないかと思います。いずれにしましても、私どもといたしましては、そういった実態に応じた課税をやっていくのが適当だと思うのでございまして、まだ、個人開業医が相当おります際に、医療法人にどういうフェーバーを、与えるべきかということにつきましては、先ほど政務次官からお答えがございましたように、いろいろ検討すべき点はもちろんあろうと思います。あろうと思いますけれども、それをどのように持っていくかということにつきましては、いろいろ医業の実態というものをもっと検討してまいらなければならない点があるのではないか、かように感じておるのでございます。
  93. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 大体税のほうの関係につきましては、主税局長からお答え申し上げましたとおりでございますが、大蔵省としては公的の医療機関だけで、個人あるいはその他の社団法人的なものをやめさせるような方針を持っておるかどうかということでございますが、大蔵省としてはさような方針はもとより——ただ税法的にこの私的なものに対してどう扱っていいかということが大蔵省としては主たる中心問題でありますので、これをやめさせてしまって、すべて公的医療機関だけでやっていくかどうかということについては、厚生省の方針であって、もちろん政府全体の関係にありますが、一応厚生省としてそういう方針をとるかどうかということは、厚生省のほうから御答弁をいただいたらいいと思います。
  94. 岡本隆一

    岡本委員 今日の私有財産制度の中で、個人の開業医と法人の開業医との二つがある。個人の開業医については、社会保険の診療報酬については二八%というところの特別措置があります。それが今日のいろいろな物価高の中で適正なものかどうかということは別問題といたしまして、それが生まれたときには、医療事業の公益性、公共性にかんがみ、税制の面では特別の措置をいたしましょう。しかもこれは非常な低医療費で、医療機関のほうから医療費の値上げを要求したときに、医療費を上げることはちょっと困るが、あなたがたも税金が苦しいだろう、だからちょっと税金をまけるからこれでしんぼうしてくれ、こういうことで、これは特別措置といっても、それは医療費の値上げとの引きかえ条件に与えられたものであったにすぎないのです。これは支払い側からの値上げに対するところの強い反対、それを押えることができないから医療費の値上げは困難だ。政府が苦慮して、ひとつ政府のほうがかぶりましょう、徴税の面を少し手心すればあなた方の不満が防げるなら、政府のほうでかぶりましょうということでこの特別措置はできた。ところが医療法人になりますと、もうその特別措置はなくなるのです。だから特別措置はありません。そういうものは私のほうは受けておりません。もしあるならそういうものをわかりやすく説明してください。私はそういうものを、特別措置法は医療法人は受けておらないと思っております。税制の面で個人と法人との間には差がございます。そしていま私がお尋ねしたのは、民間医療機関というものは、公的医療機関との競合の中で非常に生きるに苦しんでおる、重い荷物を背負っておるのだ。だからそれを何か育成するものはないかということに対して、いまの局長のお答えは、これはないのだ、実態に応じてするのだからやむを得ないというような御答弁でございました。政務次官はそういうことは厚生省の仕事である、医療機関の育成というようなことは厚生省の仕事だ、こういうふうなことでお逃げになっていらっしゃいます。しかしながら、厚生省は育成するのに必要だから税制面でも特別の措置をしたいというので、医療法人制度をつくったのです。その厚生省の育成したいという気持ちをはばんでいるのは大蔵省の課税方針というものなのです。だから厚生省に対するところの大蔵省の協力がなければ、この医療法人制度というものは育成することはできないのです。またそういう問題として、十年近く医療法人制度というものが、中途はんぱな存在として、未熟児という形で今日までよたよたしてきておる。だからいま解決への糸口が出てきたということはけっこうです。しかしながらこの糸口はきわめて狭い。針の穴のような突破口なんです。だから大蔵省はいまさしあたりは、このような針の穴のようなものが出てきたが、この突破口を広げる気持ちがあるのか、ぐんと締めていくのか、大蔵省のお考えをこの機会に聞いておきたいと思うのです。だから私がお尋ねしているのは、厚生省は育成しようという気持ちを持っている。しかしいままでは大蔵省は非常にかたくなである。しかし今後それをもう少し柔軟な態度で考えていこうというようなお考えを持っていらっしゃるのかということを私はお尋ねいたしたいのであります。もう一度次官並びに局長からお答えを願いたいと思うのです。
  95. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、個人の社会保険診療報酬につきまして、お話のように課税標準特例が設けられておりまして、経費率を七二といたしまして、したがって所得率は二八であるということになっております。同様に医療法人につきましても、社会保険の診療報酬につきましては、個人と同じように経費率は七二であって、所得率は二八であるという特別措置が、租税特別措置法の六十七条で規定されておるのであります。ただ、いまお話のように、個人の開業医の場合におきましては、医療施設をそれほど増強しなくてもいい。しかし医療法人の場合には、そういった医療施設を増強しなければなりませんから、所得率がここにきめております二八よりももっと低いという場合もあり得るかもしれません。したがって、問題はこの経費率の七二が個人と医療法人の場合で同様でいいのかどうかという問題はあろうかと思います。しかし私どもといたしましては、医療法人に対しましてはすでに租税特別措置法六十七条の規定でそういった特例を設けておるのでございまして、いまおことばではございますけれども、医療法人につきましてわれわれが何ら育成の措置を講じておらないということではもちろんないのでございます。先ほど申し上げました租税特別措置法四十条の規定で、公的な医療機関につきましては、その出資の際に贈与税課税しないし、譲渡所得税も課税しないという措置をとっておるわけでございます。問題は、医療法人という名前を用いましても、一体どういう姿の医療法人ができるかというところにあろうかと思うのであります。医療法人は御承知のように、病院あるいは医師三人以上の診療所であれば医療法人になれるわけであります。ところが岡本委員先ほどからお話のように、公的医療機関と競合しつつ医療の公共性を高め、また国民に十分な医療を供給するという見地からいたしますと、単にいままで個人開業医の診療所の看板を塗り変えたといった程度のものであるのが適当なのか、それとももっと大規模な、したがっていわば病院形態をとったような、公的な機関とあまり違いのないような、そういった組織になることが望ましいのか、そういった点にあるのじゃないかと思うのでございます。私どもといたしましては、個人開業医とのバランスからいたしますと、単に個人開業医が看板を塗り変えて翌日から医療法人でございますというような姿になったからといって、すぐにそれを助長すべきかどうかということは、やはり慎重に考えなければいかぬじゃないか。やはり公的機関と相競合する程度の、かなりの規模の、したがってまた医療の水準の高いようなものになった場合に初めて考慮すべきものではないか、かように考えておるのでございます。どうかその辺のことは誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  96. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 私は、先ほど公的の医療機関だけを残して、ほかはつぶしてしまうような方針じゃないかというお話だったものですから、そういうものはこれは厚生省できめていただくことだ、こういうように御答弁をしたつもりでございます。いま主税局長がいろいろ申し上げましたが、当初私が御答弁申しましたように、これは長い間の問題であり、相当検討を要する問題でございまして、われわれといたしましてはもとより私的の医療機関をつぶしてしまうというようなことは、現在の状態ではできないことでございますしいたしますので、またこの問題の点につきましては十分検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。
  97. 岡本隆一

    岡本委員 いまのは、民間医療機関で小さなもの、が法人成りしたからといって特別扱いはできない。私は特別扱いをそんなに簡単にせよということを言うておるのではない。しかしながら民間医療機関というものは、今日日本の医療制度の中で非常に大きな役割りを果たしております。たとえば日曜日、ほとんどの公的医療機関は休んでおります。そこへたずねていっても医者が全部休んでいておらない。当時も何科の人が当直しているかわからない。おなかが非常に痛む、猛烈な腹痛だ、あるいはそれは盲腸かもしれないし、子宮外妊娠かもしれない、しかし当直しているのが眼科の医者だというような公的医療機関に診療を求めても、それは適正な医療が受けられない。だからこれはやはり自分の知っている範囲の近隣の外科とか婦人科のお医者をたずねていくと、やはり休んでおりましても、そういう場合にはまず留守でなければ一応診療に応じてくれます。最も顕著な例は夜間の診療であります。この間も「日本の医者」という書物がありまして読んでおりました。そうしますと、その中にこういうことが書いてあるのですね。東京の杉並で開業して一日に五、六十人の患者を診療しておるお医者さんですが、この方がある年夜間の往診の統計をとってみたら、年間百三十七回あった。そして八月、九月には、月に二十回夜間の往診をしておる。ところがこの数字は私自身の体験からうなずけるのです。  私はいまから十年ほど前、まだ医者として現役でありました時分、ある七月にあんまり夜起こされますので、一体どれくらい夜起こされるのかしるしをしてみてやれ、こう思いまして、カレンダーにまるをつけました。八月一カ月間にまるが二十つきました。だから言いかえますと、一月の間で夜床へ入って一ぺんも起こされずに朝まで熟睡できたのは十一日よりなかった。二十日間は毎日睡眠を中断されているのです。さらに一晩にまるが、三つという日が二回ございます。そういう日が二日ある。それほど医療担当者はきびしいなにを強要されているのです。しかもその往診を断われば、国師には応招の義務がございます。私自身いつも人に言うのですが、君、何か自分で人に誇れることがあるかと言うて問われるとするなら、私は医者になって二十年間、一度も往診を断わらなかった、これが私のただ一つ人に誇れることだというふうに私は申しておりますが、実際医者となり病者に奉仕することが天職だと思えばこそ、夜間に起きられるのです。あなた方もそろそろお年だから御経験があると思うのですが、びろうな話ですが、朝方になってずいぶん小便を催します。自分が小便をしたいのでもがまんして寝ているでしょう。自分の便意は押えて寝ていても、人の腹痛、人の病気のためにはすぐ床をけって起きていかなければならない。これが医者の生活の実態なんです。しかもそれがたまに、月に二へんや三べんならいいですよ。いま申し上げた「日本の医者」という書物の中に出おる数字は、全く私自身の数字にも符合しています。私自身の体験から、なるほどこれはそうだと思います。ある日のごときは、一晩に六回起こされたことがあります。しかもそういうときは非常に忙しいときなんですね。だからこれは昼は昼寝なんぞするひまはありませんよ。昼もどんどん一日かけずり回って、がんばって診療に従事して、しかも夜睡眠を中断される。こんな激職に耐えてきているのが今日の民間医療機関であります。公的医療機関のお医者は、月に何回かある当面の日だけそれをやればいいのです。民間医療機関を経営する者は、そのような生活が実態なんですね。だから民間医療機関は、公的医療機関の行なわないような救急業務を果たしているのです。そういう認識の上に立たれた場合に、私有財産制度の中で、個人開業医でそれが法人成りしたから優遇できない、優遇するとかせぬとかいう問題でなしに、民間医療機関の果たしておる役割りに対するあなた方の適正な評価、どのように社会に貢献しているかということを私はもっと正しく評価される必要がある。その評価の上に立って、いまそういうような公的な意味もあるから、二八%の特別措置をしておるんだ、こうおっしゃるだろうと思う。それならたまたま法人となっても、ある程度そういうふうな優遇を与えられる、同時に法人になりますと、人件費を払いますと、二八%などという利益は出てまいりません。出っこありません。だからあなたは、二八%の制度があるじゃないかとおっしゃいますが、もう法人になりますと、人件費を払ってしまえばそんなものになりっこないのです。だから二八%の特別措置というものは空文に等しい。だから医療設備の改善強化に備えていくためには、もちろん人件費としては、生活費だけは個人の医者の場合取っていますね、だから設備改善費というものは残されたものからまかなわれていくから、設備改善のためには、相当の特別の何か方法を考えてもらわなければ、公的医療機関との競争の中で生きていけない。それで、設備に対するところの特別償却制度があると言われるのですが、それじゃそれはどういうふうな特別償却制度があるのですか。少し具体的にわかりやすく説明していただきたい。
  98. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、医療法人の場合には、人件費を支払いますれば、所得率はここの二八よりあるいは低くなる場合があろうかと思います。したがって、せっかく措置法の六十七条に、特別措置として規定されているけれども、それが租税特別措置法として有効に働いておらないという点はあるいはおありかと思います。したがって私が先ほど申し上げましたように、その点については、今後なお検討すべき点があろうかと思っております。  それから、いま医療設備の増強を行ないました場合に、私は償却はできると申し上げましたので、特別償却とは申さなかったのであります。これは普通の耐用年数による償却はできるわけで、したがって、法人税がそれだけ引かれますので申し上げただけでございます。私、医療法人だとは限りません。個人の開業医もそういった関係があると思うのですが、夜間しばしば起こされる、安眠もできない、しかも応招の義務があって、個人の生活を放てきしてやっていかなければならない。いわゆる医は仁術であるという点、私は確かにあろうと思うのでございます。ただ、それでは、それを課税の上でどういうふうに取り入れたらいいのかということになると、なかなかむずかしい問題があるのでございます。先ほど申し上げましたように、医療法人につきましては、財団法人と持ち分のない社団の医療法人につきましては、設立のときだけ贈与税課税いたしまして、その後はもうそういう相続税の関係はなくなってしまう。それから持ち分のある社団法人のときだけ設立のときには贈与税課税しませんけれども、持ち分を相続したときに課税するということにいたしておるのでございますが、しかしそれについて、なお今後検討すべき点がありはしないかと言われますと、検討すべき点はあろうかと思います。また今回医療法人につきましては、特定医療法人につきまして、法人税率を二八%にいたすことになったのでありますが、先ほどお話もございましたように、医療法人は配当を禁止されております。そういった点からいたしますと一般の株式会社並みに三八%あるいは三三%の税率課税すべきものかどうかということになりますと、問題があるということもよくわかるわけでございます。ただ、現在のわが国法人考え方からいたしますと、一般法人以外にいろいろな法人がございますので、それをどういうふうに区分をしてやっていくかということになりますと、むずかしい問題があるわけでございます。ことに医療法人のように配当の禁止というような法人は、あまり数がないのでございます。したがってそれだけに、そういう法人についての保税を今後どういうふうにしていくべきかということは医療の公益的な性格とにらみ合わせていろいろ検討しなければならぬ点があろうということはよく承知いたしております。そういった点は検討してまいりたい、かように思っておるのでございます。
  99. 山中貞則

    山中委員長 関連を許します。田中武夫君。
  100. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほど岡本君の質問に対する泉主税局長の答弁ですね。これについてちょっとお伺いをいたします。  あなたはきのうまで開業医であった者が看板だけを塗りかえたからといって、直ちに法人として優遇する必要はない、こういうふうに言われた。  そこで医療法にはこういってあるのです。医療法四十一条、四十四条、四十五条をちょっと見てください。第四十四条で法人を設立するためには、都道府県知事の認可が必要である。四十五条では、四十一条に定める、すなわち資金とか施設、こういうものが必要であるかどうかということを見た上で認可をするという規定になっております。おそらく厚生省はこの医療法人の許可の基準に対して何らかの通牒を出しておられると思うのです。先ほどの泉局長の、ただ看板を塗りかえただけだからというようなことは、この条文から見て許されないと思う。どうなんです。  もう一つは、租税特別措置法の六十七条ですか、その七二%、二八%というように分けた根拠を伺いたいと思います。
  101. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど御答弁申し上げましたことばが足らなかった点があろうかと存じますが、私が申し上げましたのは、医療法人を設立いたしますれば、もちろん都道府県知事の認可によって医療法人が設立されるわけでございますが、ただその実態というものが問題ではないかということを申し上げたのでございまして、個人開業医に対して相続税を課税するが、医療法人になってしまえば、もう一切相続税との関係はなくなってしまうんだというふうにすべきかどうかについては問題があるということを申し上げたのでございまして、医療法人になりますれば、当然個人としての課税はしなくなることはもちろんでございます。そういった面で法人格が違ってくるということはよく承知をいたしておるのでござますが、ただ医療法人になったからといって、すぐに相続税の関係ではもう相続税を全然考えなくてもいいんだというわけには参りかねるということを申し上げたのでございます。  それから、いま社会診療報酬の場合の所得率二八、経費率七二と申しますのは、これは実は議員立法でできたのでございますが、これは本来からいたしますと、内科、外科、歯科、産婦人科、小児科、いろいろ医療の専門によりまして、本来は経費率が違うべきものと思うのでございます。ただそういったところを平均して七二ときめられておるのでございます。これについては医療の専門的な見地からもいろいろ問題があろうかと存じております。
  102. 田中武夫

    ○田中(武)委員 だから一言言わざるを得ぬと思うのですよ。看板を塗りかえただけで云々というようなことは、厚生省をばかにしておる。
  103. 大崎康

    ○大崎政府委員 医療法人はただいま御指摘がございましたように、医療法の四十四条の規定に基づきまして、都道府県知事の認可を受けなければならないわけであります。認可を受けます際には、定款なり寄付行為に記載されていた事項が法令に違反しない、あるいは必要な施設あるいは資金を持っているかどうかということを都道府県知事が調べまして、それによってその要件が備えられておれば認可をする、こういうふうなことになっているわけでございます。したがいまして認可をする際には、医療法人として適格であるかどうかということを法令上調べる、こういうことになります。
  104. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで厚生省はその認可にあたって、医療法の四十一条の条件を備えておるかどうかということについて一つの基準を、都道府県知事が認可を与えるに際しての何か目安を与えておるのじゃないですか。それに対して、先ほど主税局長は、ただ開業医が看板を塗りかえただけ、こう言ったのですよ。そうすると、都道府県知事の認可あるいは厚生省が四十一条に基づく政令か何かで大体基準を示しておると思う。そういうことをばかにしたところの答弁だったのです。主税局長、取り消しますか。あんた看板を塗りかえただけ云々ということを言ったでしょう。何ならあらためて議事録を見てから、そういうふうに話をしてもよろしい。  それからもう一つは、租税特別措置法の六十七条は議員立法であるとするならば、その当時の提案者はだれか知りませんが、ここにおられるものと思いますが、次に私が質問するときには、参考人として私は質問を申し上げます。  それだけ申し上げて終わります。
  105. 泉美之松

    泉政府委員 私が先ほど申し上げたことばの中で、看板を塗りかえただけという表現は適当でないと思いますので、取り消させていただきます。
  106. 大崎康

    ○大崎政府委員 医療法人の四十一条につきましては、医務局長の通達がございます。その通達には、具体的なことは指示されておりませんが、「「施設」とは、病院、診療所を開設する必要最少限の土地、建物等の不動産及び医療法の規定によって備え附けるべき施設例えば内科病院であればエックス線装置等並びにその他の診療に必要な医療機械器具等を含むと解される。」こういうふうに通達が出されております。その具体的な処分につきましては、都道府県知事にまかされております。
  107. 岡本隆一

    岡本委員 ただいまの主税局長お答え中に、いろいろやはり医療機関の公正的、公益的な性格にかんがみて、今後検討すべき問題があると思うという御答弁がございましたので、大体いまのこれについての質問は了解をしたいと思うのですが、それについて特別償却制度はないけれども、しかしながら償却の制度があるから、個人の場合とは違うじゃないか、こういうふうなことでございましたが、とにかくこれは償却の制度というものはどの法人にもある。医療法人は、これは何ら一般と異ならない規模の待遇を受けておるわけです。しかも今日特別償却制度というものが、重要産業だとかいろいろな名目でもって他の企業にございます。ところが医療機関の場合、医学というものは非常に日進月歩するのです。たとえば具体的な例を申し上げますと、二、三年前に買った心電計、心電図をはかる機械ですね。それがもう時代おくれになっているのですね。私の病院でも心電計の買いかえはこれで四回目くらいです。十年ほどの間に四回心電計を買いかえています。ところがその心電計がやはり金属製の機械ということになっておりまして、償却はたしか十数年です。四、五年で時代おくれになるようなものを十数年という償却なんです。なるほど買いかえるときには落とせますよ。しかしながら、一時査定の増としてやはり新しいものを買ったときには、その年は相当な法人税を払わなければならぬ。レントゲンにいたしましても、いまのレントゲンは九年になりますかね、ところが非常に強い現場からの要求で時代おくれだから買いかえてくれ、もっと性能のいいものと買いかえてもらわぬと、よその公的医療機関が使っているレントゲンの写真とうちの写真と比べると非常に見劣りがするから困る。レントゲン写真を見ればレントゲンの性能がわかるのです。だから、こんなレントゲン写真をよそへ出すのかは恥ずかしいら買いかえてくれという非常に強い要望がある。しかしながら、悲しいかな、いろいろな資金繰りの面で、今日まだ九年前のレントゲンをもうちょっとしんぼうしてくれといって現場をなだめなければならぬというのが今日の実情です。医療機械というものは日進月歩だ。だからどんどん進んでいくような性格のあるものについては五年で償却を認めよう、七年で償却を認めようというふうな特別償却制度ですね、これは他の産業、製造業以上に人命にかかわる問題でございますから、より以上私は必要だと思うのです。だから診療用機械の特別償却、できればもうそういう診療用機械というものは相当なものでも単年度でもって損金に認めていく、たとえば三十万、五十万程度のものなら損金に認めていく、そしてまだ大きな百万をこえるようなものについては償却を数年にしましょうというふうにもっと償却を短縮していただかないと医療機械は非常に経営が困難になる。だからこういう制度はぜひつくってもらいたいと思うのですが、局長のお考えを聞きたい。
  108. 泉美之松

    泉政府委員 償却の制度は個人も法人も同じようになっております。それはお話のとおりでございます。  それから医療機械につきましては私よく存じませんけれども、お話のように心電図とかレントゲンなんかは新しい機械がどんどんできておるということは聞いておりますので、そういった点からいたしまして、それらの耐用年数につきまして、現在のままでいいかどうか、もっと短縮する必要があるかどうかにつきましては今後検討さしていただきたいと存じます。
  109. 岡本隆一

    岡本委員 この特別措置法に基づきまして特別措置を受けるものとして、医療の普及と向上に貢献し、さらにまた社会福祉の大きなにない手になっておるというふうな形で、公益性の高いものというのがまず第一の条件。第二の条件といたしまして政令で定めるような形でもって公的に運営されているものというふうな規定がございますが、この公的に運営をされておるものという政令の内容はどういうふうなものでしょうか、御説明を願いたい。
  110. 泉美之松

    泉政府委員 新しく設けようといたしております租税特別措置法第六十七条の二の規定につきましては、政令で定めますのは単に公的に運営されていることだけではないのでございまして、「その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に連帯されていること」これ全部にかかって政令で基準を定めたい、かように考えておるのでございます。その政令で定める基準につきましては厚生省とこれから折衝をしてきめたいと思っておりまして、まだ明確な基準はできておらないのでございますが、一応の目安といたしましては、この立案するとき以来、従来租税特別措置法第四十条の規定によりまして医療法人の設立あるいは民法三十四条法人の設立のときに、贈与税あるいは譲渡所得税を課税しない一つの基準が、従来厚生省との間で協議してでき上がっております。この基準を基礎にして考えていこうではないかというふうになっておるのでございます。  この基準の内容を申し上げますと、一つは、先ほど申し上げましたように、この法律に「財団たる医療法人又は社団たる、医療法人で持分の定めがないもの」という組織の問題が規定されておるわけでございます。これは政令ではもはや書く必要はないわけでございます。  その次に、医療施設の点につきまして、一定の医療施設を備えておらなければいけないということからいたしまして、一つは医療法人事業の内容が、主しとして医学の研究を行なう場合におきましては医療施設はそれほど必要でなく、研究施設さえあれば十分でございますので、医療施設は必要でない。しかしそうでない、医療法人につきましては医療施設が必要である。これにつきましては、従来の基準は「総合病院であること」それから「病院の用に供する建物の延坪数がおおむね千平方メートル以上であり、」つまり約三百坪でございますが、三百坪以上であり、「かつ、その建物が耐火構造若しくは簡易耐火構造である等防火上、保安上適切なものであること。」  それから「租税特別措置法第二十六条の給付又は医療若しくは助産に係る金額の合計額が、その法人の全収入金額の八〇%以上であること。」  それから「自費患者に対し請求する金額は、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されるものであること。」  それから医療施設がが各病院及び診療用につきまして医療関係法令に基準がありますので、それに適合したものであること、こういうことを一つの要件に考えております。  それから「解散した場合の残余財産の帰属は、国若しくは地方公共団体又はこの基準に合致する法人とする旨を寄付行為又は定款に規定していること。」  それから役員の構成につきましては、これはやはり法人でございますので、一定数以上の理事あるいは監事がいることが必要であろう、それから評議員の制度もあったほうがいい、それからそういった役員あるいは評議員の場合には、医療法人を設立した者と特別な関係にある者、配偶者とかあるいは親族、同族関係法人の従業員、こういった者が本人のほか一名まではいいけれども、そういった特別の関係者が二名以上いないこと。  それから役員の選任、たとえば医療法人理事長は特定の者がなる、あるいはいまの理事長がなくなればその相続人がなるのだというようなことは規定してなくて、やはりその医療法人の評議員とかあるいは理事機関において選任するというような規定になっておること、こういったことが一つの要素になっております。  それからいま一つ、法人の運営と申しますか経理と申しますか、役員とか評議員とかいうものは、医師とか看護婦その他医療法人の業務に従事したことに対する給与の額を除いては、役員であるからといって特別の報酬は受け取らないようになっていること。それから役員とか評議員である医師、看護婦とその他の従業員の給与の額が役員または評議員でない医師とか看護婦その他の従業員の給与と比較して著しく同額でないこと、つまり役員であるからといって非常に高い報酬を取るということになりますと、本来その人の給与たる性質一以外に、役員としての報酬が入っていると見られますので、そういうことがないこと。それから寄付財産を寄付行為者またはその者と親族関係にある者など、特別な関係にある者の居住の用に供していないことというような、いろんな用件を備えていることが必要ではないかということで、目下検討いたしておる段階でございます。
  111. 岡本隆一

    岡本委員 それでは厚生省に、医務局長にお尋ねをいたしますが、かなり第四十条に基づくところの基準はシビアなものでございますが、こういうふうなことになりますと、ほとんど現在の医療法人の中でこれに該当するものはないと思うのです。だからこの特別措置というものは、まず空文にひとしい、こういうことになると思うのでございますが、現在医療法人の数は何ぼございますか。さらにまた、この特別措置が成立しますと申請が出そうなのはどの程度その中にあるか。それからまた、その中でこれは基準に当てはまるだろうと思われる施設があるかないか。あるとすれば幾らあるか。あなたのほうの見込みですね、そういうものをお聞かせ願いたい。
  112. 大崎康

    ○大崎政府委員 医療法人の数でございますが、三十七年末現在総数千八百二十五でございます。そのうち、財団たるもの三百一、それから社団たるもの千五百二十四でございます。これらの法人の中で先生ただいま御指摘になりましたような要件に該当するものがどのくらいいるかということにつきましては、私どもで現存のところわかりかねます。
  113. 岡本隆一

    岡本委員 一応この医療法人に対する特別措置というものが今日こうして話題になっている。しかもこれは医務局としては非常に大きな懸案である。さらにまた、今日こうして提案されてくるのについてはある程度の話し合いというものも大蔵省としておられる。そのことが四十条の規定でやっていきたいというふうな大蔵省の見解になって出てきておる。おそらく厚生省側としてはこの基準では困るというふうなお考えをお持ちになっていらっしゃるのではないかと思うのです。さらにまた、全国の医療法人というものがどういう規模のものが幾つあるかということもあなたのほうでつかんでおられると思う。千八百二十五ある医療法人の中で、社団法人であっては、持ち分があってはだめですね、だから持ち分のないものがそれでは幾らありますか。
  114. 大崎康

    ○大崎政府委員 先ほど主税局長からお話がございましたいわば内容にいいますものは、医療法人に対しまして財産贈与等いたしました場合の租税特別措置法四十条の譲渡所得の非課税の承認基準でございます。これは租税特別措置法の四十条の非課税の承認基準でございまして、ただいま問題になっております医療法人税率の問題とは若干趣を異にしているかとも私どもでは考えているわけでございます。したがいまして、この譲渡所得の非課税の承認基準というものにつきましては、さらに私どものほうで新しい観点から検討を加えまして、そしてこれは先ほど主税局長の御答弁にあったようでございますが、厚生省のほうにも御協議いただけるということでございますから、その際十分御意見は申し上げたいと存じておるわけでございます。  なお、先生お尋ねの中で、持ち分のある社団である医療法人は幾らあるかというお尋ねでありますが……。
  115. 岡本隆一

    岡本委員 ないほうです。
  116. 大崎康

    ○大崎政府委員 その、区別は実は私どもで現在わかりかねておるわけでございます。持ち分の定めのあるものというのが社団法人のうちの相当部分を占めている、こういうふうに推定をいたしているわけです。
  117. 岡本隆一

    岡本委員 まだこれから話をするのだというふうなことでございますが、とにかく医療法人のある一定基準に当てはまるものについては特別措置をしよう、こういうことだけがいま出てきているわけなんです。しからばその基準はどうかということについてはこれから検討するのだというようなことでは、法律の内容がわからないというにひとしいと思うのです。この四十条の規定どおりを適用すれば——とにかくこれは大蔵省が大体四十条の特例の規定を準用したい、これを基準として話し合いたいということでございますが、万一この基準どおりでいくのだということで大蔵省のほうが突っぱられたと仮定いたしますと、この特別措置法というものはこれはゼロです。とにかくこれは総合病院であること、とにかく社団のものはほとんど持ち分がある。そうすると財団であるところの三百がまず適用されるだろう。ところがその三百の財団の中で総合病院であるということ、これはかなり大きな制約になりまして、財団の中で総合病院であるものという制約でだいぶふるい落ちてきます。その次に大きなふるいの中に入ってくるのは役員構成だろうと思うのです。この役員の構成で、とにかく役員の中に親族関係の者が二人以上おってはだめだ、こういうことになっている。ところが医療法人を始める場合に、とにかく何びとかが相寄ってやるわけです。一番相寄りやすいのはやはり同族関係です。だから医療法人を構成するのに、たいていみなある程度兄弟であるとか、いとこであるとか、単に友人ばかりでなしに、そういうふうなたまたま非常に親しくしている医者同士というのが、いとこである場合もあればまたいとこである場合もある。そういうふうななにがどうしても相当入ってきます。だからそんなものを除外したら、民間医療機関としての医療法人で公的な性格を持っているものは、これが公的性格と言われるなら、ほとんどありません。だから、そういうふうなことだったら、この中で特別措置法適用を受けるものはほとんどなくなる。だからおよそ無意味改正です。ゼロ回答が出るようなこんな空文を持ち出されたかて何にもならぬ。それじゃこれをどこまで緩和されるか。あなたのほうの考えていられる譲れるぎりぎりの線をひとつ示してください。
  118. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは、四十条のいまの厚生省との間の打ち合わせでできております基準を基礎にして、六十七条のほうの政令の内容を考えていきたいというのでございまして、四十条の基準そのままとは申しておらないのでございます。  それから、先ほど申し上げました中で、医療施設につきましては、総合病院であるかまたは病院の用に供する建物の延べ坪数が三百坪以上であるか、そのいずれかの要件を備えておればいいのでございまして、必ず総合病院でなければならないということにはなっておらないのでございます。  それからお話の役員の構成の点、私どもとしては、医療法人設立の際には、お話のように、他二人ばかりでなしに、やはり親族関係のある者と一緒でやろうということが多いと存じます。ただ、その財産を寄付行為した者の影響力があまりにも強過ぎるということになりますと、その寄付行為者の考え方によって医療法人が左右されるということになりますと、公的に運営されているという点から見ると問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、これについて寄付行為者本人以外に一人でなくちゃならぬか、さらに多少、理事の数とのバランスからいって、理事の総数の何%まではいいかというような点は、なお検討すべき点であろうかと思います。ただそれではどこまでぎりぎり譲るつもりかという点につきましては、これから厚生省と折衝を始めるのでございまして、初めから申し上げかねるのでございますが、しばらく御猶予いただきたいと思います。
  119. 岡本隆一

    岡本委員 これは、四角四面になってお話をするなら、政令の内容が出なり限り法案の内容はわからぬということです。法案の内容がわからない限り、われわれは十分そしゃくせずに法案を成立さすということはできぬ、こういうことになってくるわけです。だからあなたのほうで、これだけのものを出してこられるまでには、相当な話し合いをある程度進行させて、おおかたこの程度におさまるでしょうというぐらいのものはわれわれに示されなければ、われわれは法案審議したことにならないと思う。何もわからずに、ただ思っておったということでは、われわれとしては困る。しかし現段階においてあなたのほうでそこまで進んでいないということなら、これもやむを得ません。しかしながらわれわれとして希望だけは申しておかなければならないと思うのですが、こういうふうなことでは医療法人制度の育成にならないと思うのです。今日たとえば農業ですらが、農業の生産協同組合をつくれ、そして農業本法に従って農業の協同化ということが農業の近代化に通じる道だ、こういうふうにいわれております。また中小企業につきましても、中小企業の大企業に対抗して生きる道は協同化だ、これはできるだけ協同化をやれというふうな方針がいま打ち出されてきておるのです。日本の医療機関が今日非常におくれておる大きな理由は、お医者が個人個人セパレートに開業しておるということに大きな原因があるので、やはり医療の協同化というものによって医療機関の体質改善をやっていく必要が大いにある。そのためには三人、五人の医者が寄って、そしてそれぞれの者が自分の資産なりあるいは自分の能力を持ち寄って法人をつくるということが必要です。そういうように一つの法人をつくっていく、医者が寄って協同化をやる場合には友人同士もいいでしょう、しかしながら単に友人同士だけでなしに、その同じ地域で何名かの者が寄ろうということなら、その中には同族関係の者も当然含まれてくるのもやむを得ません。兄弟だから入っては困る、他人ばかりでなければだめなんだ、こんな狭い考え方、であっては困る。だから医者が寄って協同化によって医療機関の近代化をやろうとするとき、その法人をつくった場合に、同族が入っておったのでは課税面でものすごいハンディキャップをつけられるんだというふうなことになってまいれば——ものすごいというと語弊があるかもしれませんが、しかし二八%と三八%の一〇%というものはやはり相当大きなハンディキャップになる。そういうふうな大きなハンディキャップをつけられるということは非常な不利益待遇になります。だから、あなたのほうでせっかくこういうような制度をつくって医療法人というものを育成しようというお気持ちがあるのなら、こういうふうな面においてもやはり実情に即して、今日医療法人制度を生かしておるものについては、過半数のものがこの特別措置が受けられるような程度まで基準を下げていただく必要があると思う。そうでなければ、全然すくえっこない荒い目の網をぱっとかぶせて、上げてみたら全部漏れてしまって何にも入っておらぬというふうな基準をつくったのでは何にもなりませんから、そういう点私は特に要望をしておきたいと思います。  また同時に、総合病院または千平方メートル——千平方メートルといえば三百坪であります。三百坪といえば相当規模の大きい病院です。しかしながら、三百坪に満たないような小さなもので——とにかく、医者なんというのは経済力のある者はございません。だから、経済力のない医者が寄って病院を一緒にやっていこうという、出発をするときには、数を言うと語弊があるかもしれませんが、やはり百坪、百五十坪といった小さな規模のものであろうと思う。そういうものが大きく伸びていくためには、それこそ育成なんです。それを伸ばしていくためには、運営が相当よろしきを得たなら、やはり税制面でも優遇してやろうという気持ちを持たれなければいかぬと思う。そういう点私は強く要望しておきたい。  そこで私は、今度の意図としては、医療法人を公共性のあるもの、しからざるものの二つに分数する、その公共性の高いものについては減税措置をやる、しからざるものはアウトだ、こういうふうなことになる。そういう観点からいくときに、私は一体医療機関としての運営の中で、どちらが一番大事かということです。いや役員の構成が、同族が複数で加わってはいけないとか、あるいは何名以上になってはいけないとかいうふうな規制があることは、これは結局将来の財産権の帰属の問題だと思うのです。財産権の帰属がどうなるか、こうなるかということは、税制上の問題としてあなたのほうの考えられるのも意味はわかります。しかしながら、医療機関の性格として、公共性のほうが大事か、あるいは財産の帰属性といいますか、そういうふうな性格のほうが大事か、いずれが大事と思われますか、これは政務次官からひとつお答え願いましょうか。
  120. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 公益性が大事だと思います。
  121. 岡本隆一

    岡本委員 その公益性ということの内容になってくるのです。そこで、この間十二月に私の秘書が盲腸で東京で入院したわけです。秘書でありますから、健康保険の被保険者であります。私はちょうど委員会で忙しかったから、自分が行けなくて、院内で発病したものですから、院内の診療所で見てもらって、すぐ病院に送ってもらった。これはある大学の付属病院です。ところがその退院のときに、十一日間入院して九千何ぼという部屋代を請求されて払っておる。三人入るところの総室です。その付属病院はもちろん保険医療機関ですね。保険医療機関が、十一日間の入院に対して九千何百円といえば、一日八百円以上ですが、そういうような差額徴収をやっておる。緊急に入りましたから、本人もそんなに取られるとは知らぬです。退院のときに一日三十円の入院料を負担すればいいんだと思い込んでおったら、何の九千何ぼという請求書を出されてびっくりですわ。一体そういうふうなことが許されていいのかどうか。法律のどこからそんなことが出ておるのか。健康保険の被保険者であれば、当然三十円の入院料の負担だけで入院できなければならぬ、治療を受けられなければならぬのに、なぜそういうような差額徴収が行なわれるのか。そんなものをやるのは公益性に著しく欠けておるものと私は認識いたしますが、大蔵政務次官、いかがお考えになりますか。
  122. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 たいへんけしからぬことだと思っております。
  123. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、そういう公益性の欠けておる病院については、税制上どうされますか。
  124. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 税制のほうはわかりませんから事務当局から御答弁させます。
  125. 泉美之松

    泉政府委員 公的医療機関の中にいろいろのものがあろうかと思います。一つは大学の付属病院である、あるいは市町村立の病院である、それから民法三十四条法人の医療機関がございます。これは法人税法のほうでは、医療というのは収益事業の中に一応入りますけれども特定の医療行為については収益事業として扱わないということになっております。したがって民法三十四条法人の場合におきましては、その、やっております医療行為の態様によって課税になる場合と課税にならぬ場合とございますが、大部分の場合は課税にならぬほうが多いと思っております。
  126. 岡本隆一

    岡本委員 大学の付属病院でありますと、大学という学校の運営は公益性のものです。だから大学の病院が大学の付属機関としてある場合、その内容が公益的に運用されておれば、それは課税の対象にならぬでいいでしょう。しかし公益団体といえども、収益事業を営んだ場合には課税されてもしかたがない。運営が公益的であれば課税されないでしょう。いま私が申しておりますのは、公益を著しく阻害するような運営をしておる大学です。そうすると、その収益事業課税されてもしかたがない、こういう理解に立つのですが、課税されておらないようでございます。そんな現状を聞いているんじゃないのです。私の質問しているのは、大蔵省の方針はどうなんだ。いかに大学といえども、その運営が公益を阻害するような運営がされた場合には当然その収益事業に対しては課税されるべきである、このように私は考えますが、どうですか。政務次官、こんなものはあなたの政治的な良心に従ってお答えになるべきです。
  127. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 法律的の根拠がない場合にはやはり課税してしかるべきじゃないかと私は思います。
  128. 泉美之松

    泉政府委員 ちょっと申し上げておきますが、学校で経営いたしておりまする病院につきましては、これは学校で医学を教授するということが本来の目的、そのために病院があるわけであります。したがいまして、学校の付属病院におきましてそういう医療行為をしましても、それに対しましては課税しないたてまえになっております。ただそれはおかしいではないかという御意見があろうかと存じます。しかし学校というのは、そういう収益事業を営むのが本来の目的ではなしに、医学の研究をし、それを教授するという点に本来の目的があると思いますので、その点から考えまして、それに課税するのはいかがなものであろうか、かように思っておるのでございます。
  129. 岡本隆一

    岡本委員 私は、学校が学校を運営していくためにいろいろ費用がかかる。しかしながら今日の診療報酬をもってしては学校の経営ができない。だからやむなくそういったふうな不当な診療報酬を要求しておるという窮状はわかります。だからそれにしいて税金をかけろ、こういったふうな意味で申し上げておるのではないのです。しかしながら、今日の社会保険の医療制度が非常にゆがんでおる。しかも一方ではそのような公的医療機関はみずからの実力にものをいわせてどんどんそういうような差額費徴収をやっておっても、それが白昼公然と行なわれておっても認められておる。しかも非課税という恩恵を受けておる。ところが民間医療機関は、よたよたよたよたしながら、しかもいろいろ規則に縛られております。療養担当規則もあれば、また診療方針というものもあって、いろいろな鎖に縛られながら窮屈な運営をしておる。しかも市税にたえていかなければならぬわけですね。そういうような税制上の不公平を私は今日申し上げておる。  そこで厚生省にお尋ねをいたします。保険局のほうへお尋ねをいたしますが、そういう一日八百円もの総室におけるところの部屋代の差額徴収です。これはどういうふうな法的な根拠に基づいて差しつかえないということになっておるのでしょうか、その辺を承りたいのです。
  130. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ただいまの部屋代の差額につきましては、正確に言えば法的な根拠はないかと存じます。昭和十三年に保険院当時にそういう通達が出まして以来行なわれておる制度でございます。
  131. 岡本隆一

    岡本委員 法的基準なしに差額徴収を行なってもいい。そうすると、一日の入院料は、乙表においては、食事別約二百円でございますね。私のところは乙表機関ですから、乙表でものを言わぬとことばが通じませんので乙表で申し上げますが、約二百円ですね。しかしながら二百円の入院料でも差額を何ぼでも自由に取ってもいい、こういうことなら、単価はきまってない、入院料はきまってないということと同じになりますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  132. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ただいまの部屋代の差額を取ります場合の考え方といたしましては、一般的な部屋よりも特別にいい部屋が用意されておりまして、それを患者あるいは家族の方が特に希望したというような場合に、その病院できめております差額は患者が負担する、こういう考え方でございまして、かりに医療上必要があってどうしてもある特別な個室に移さなければいかぬ、どうしてもこの部屋に入れておかなければいけないという場合には、それに該当しないという考え方で指導いたしておるつもりでございます。
  133. 岡本隆一

    岡本委員 そうしますと、先ほどお話ししました私の秘書の場合には、緊急に入院いたしましたので何にも聞きませんでした。そして三人共同の部屋でございます。そこで退院のときに一日八百円の差額徴収、こういうことが行なわれておる。それはあなたのほうでも認められています。この前の十二月にやったところの委員会で私のほうの長谷川委員がお尋ねしておる。その長谷川委員が尋ねておりますのは、たとえばこういうことが書いてある。癌研の付属病院では四七%が差額とか、それはいいとして、神経研究所の付属の晴和病院というのが一〇〇%差額、それから日赤中央が五六%、聖路加が八一%、日大付属病院が九九%、慈恵医大が八二%、東京都内のこれという大きな病院はみんな五〇%以上、中には一〇〇%に近い差額徴収をやっております。そのときの小山保険局長の答弁は、「部屋代についての差額徴収、これは公認しておることでございますから、」と、こういう答弁です。差額徴収してあたりまえだ、こういうふうな答弁を小山保険局長はしていられる。私は医療機関を経営いたしておりますが、今日まで差額徴収いたしておりません。してはいけないことだ、それは法に許されないことだ、こういう理解に立って私は今日まで運営いたしてまいりました。昨年でございましたか、私の姉が痔の手術でもって入院したときに、二人入っている部屋に入院いたしまして二人個室だ、妙なことばが生まれたものだなと思ったのです。二人個室ということで幾らでしたか忘れましたが、差額徴収を受けました。えらい抜け道があるなというふうに私のほうの病院に話をいたしておりました。今度秘書を入院させて、三人の共同部屋で、しかも二日八百円の差額徴収を受けたのに私は全くびっくりしたのです。こういうような医療が今日横行しておる。しかも暮れの委員会で小山保険局長の答弁が「部屋代についての差額徴収、これは公認しておることでございます」、こういうふうな答弁が行なわれておる。それなら今日までまじめに差額徴収を全然やらずに、今日の低単価にたえてきたところの医療担当者はどうなるのですか。そんなら差額徴収してもよろしいという通達をなぜ出さなかったのですか。われわれは今日までこの民間医療機関は公的医療機関と差別を受けたところの高い租税の負担にたえてまいりました。租税の負担にたえるために設備改善やれません。設備の改善をやれないだけでなしに、従業員にも非常な低賃金にがまんさせています。待遇改善を要求されても医療費が安いのだからどうにもならない。しかしやはり近くの公的医療機関に対抗していくためには設備の更新をやっていかなければならぬ。設備の更新をやろうと思えば世帯は苦しいのだ、だから低賃金でしんぼうしてくれ、そういうふうに言って低賃金でがまんさせてきているのです。医療費が上がるまで待ってくれ、だから医療費が上がれば待ってましたでベースアップをやるのです。ベースアップの要求を押えに押えてきて、やっと医療費が上がればすぐそれを全部ベースアップに回す。そうして今日まで医療機関の運営をやってきておる。しかも従業員のほうもそれによく協力してくれています。それは運営を公正にやっておれば低賃金でもがまんしてくれます。しかしながらだんだん人が得られなくなる。看護婦にき手がない、自動車の運転手がやめていけばなかなか人が得られない、まかないの炊事婦が欠ければ、もう炊事婦だって低賃金じゃ来る者がない。そうすれば勢いそこに家族労働を投入していかなければならぬというようなことになってくる。しまいには娘まで動員しなければならぬ、こういうことになっているのです。そのような形で非常に歯をくいしばったような運営の中で、今日まで差額徴収をやらずに生きてきました。それが大病院でどんどんこのような差額徴収をやっておる。こんな差額徴収が公認されておるのなら、差額徴収を公認いたしましたから自由に差額徴収をやりなさいという通達をなぜ出さないのですか。どういう理由でそれが出なかったのですか、出たとするならいつから出たのか、それをひとつお示し願いたい。
  134. 松尾正雄

    ○松尾説明員 公認をされているという十二月の局長のお話というものは、ただいま私が申し上げましたように昭和十三年にその通達が出ておりまして、それに基づいて今日までの経過を申し上げられたものと思います。その場合の差額徴収という考え方は、いわば特別な部屋に入ったときに先ほど申し上げましたような条件の場合に取るということをたてまえにしてできている、こう考えておるわけであります。今日も万やむを得ないさような事情があるとすれば、あるいはそういったことは極端に排撃すべきものではないのではないか。長谷川先生もさようなことには必ずしも反対ではないというお話でございましたけれども、さような場合もあり得るのではないかということを一応考えているわけであります。ただ、ただいま御指摘のように、さようにできました趣旨というものがただいま申しましたような場合に限ってという考え方で出ているものを、そういう何人部屋でありましょうとも、あるいはただいまの例のように本人の意思にも全く無関係ということで経過するということは、私のほうとしても絶対に好ましくないと考えておるわけであります。それは当然のことで、それは何とか阻止すべきだと存じます。ただ先ほど先生御指摘のように、今日の医療機関の経営というものが実態といたしましては非常に苦しいということから、いわば私どもから見ましても、方々から見ましても必ずしも好ましくないというものがやむを得ず行なわれているという面も多分にあろうかと思います。したがいまして診療報酬の改正を近くやるということで、かような無理がなくていけるような態勢をつくるべきではないか、そういうふうに私ども考えておるわけであります。
  135. 山中貞則

    山中委員長 その通達を持ってきておりますか。
  136. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ここに持ってきておりません。後ほど何でしたら資料として提出いたします。
  137. 岡本隆一

    岡本委員 なるほどその通達が出た当時はわれわれもその精神は理解しております。だからそれは、個室を使った場合というのは一人だけ特別に部屋に入った場合というふうに理解いたしております。だから私どももそのような理解で今日まで運営いたしてまいりました。ところが二人の相部屋、それが三人、四人になっても、なおかつそれは四人個室だ、四人個室というそんなことばは私は知りません。日本語は便利になった、そんな便利な、四人個室だ、二人個室だ、こんな日本語が生まれてくるなんてやっぱり原子力時代だと思います。だからこういうようなことで今日運営されているということ、その問題ははっきりしていただきたいと思います。だからいままでずるずるべったりにきたというなら、その差額徴収をいかなる場合にしていいのか、あるいはいかなる程度にしていいのか、そういうようなこと、現在大体あなたのほうの方針というものがあるのかないのか、全然基準も何もなくて野放しで任意にやっているのをそのまま見過ごしておられるのか、あるいは基準をはっきり設けておられるのか、その辺ひとつ明らかにしてください。
  138. 松尾正雄

    ○松尾説明員 基準と申すような具体的なものは特別に示されておりません。考え方としてはあくまでただいま先生御指摘のような線を中心にして、そういう場合にやると認めて差しつかえないのだという解釈でございます。  なお、いろいろな実態の問題につきましては、たとえばこういうものを取ります場合に、特別に行政庁の認可を受けるというような手段をとっておりませんで、全国的にその実態が、個々にどの程度になっているかということははっきり私ども承知をいたしておらぬわけでございます。しかしながら御指摘のような問題は十分私どもも意識をいたしております。今後十分検討を続けていきたいと考えております。
  139. 岡本隆一

    岡本委員 基準寝具という制度がございます。基準看護という制度があります。基準給食という制度があります。私のほうの病院では、一昨年でございましたか、基準寝具の制度を認可されました。基準寝具の認可をとれば、一日について三点半増しだったと私は記憶しております。三十五円です。三十五円の入院料をふやすためには、寝具を全部そろえる。毛布は何枚、ベット一台当たり毛布は二枚、それから敷布はベットの倍の数、それからそれに対して、それを洗たくするところの洗たく設備がなければならないということで、営業者用の大型の洗たく機を備えました。洗たく機がたしか三十万ほどについたと思います。寝具も、やはり毛布やその他包布を足して二、三十万円かかります。私のほうは、従来から入院患者には寝具は提供しておりました。しかしながら寝具は提供しておるけれども、洗たく賃とかいろいろかかりますから、やはり基準寝具をとらなければいかぬということで申請をしたところが、これだけの設備をそろえろということで、約七、八十万円の金を追加して、いろいろな設備の強化をやって、やっと基準寝具の規格をそろえて、それで一日三十五円の入院料の追加を承認されました。わずか三十五円の入院料の増収をはかるのに、それだけの設備の強化を要求される。こんな抜け道があるのだったら、そんなことはしませんよ。こんな抜け穴があるのだったら、その前に百円か二百円の入院料をぽっと患者から差額徴収しますよ。そういうことはすべきでないと思うから、私のほうは基準寝具の設備をそろえて、基準寝具をとりました。それから基準看護もとりたいが、それがたしか六点ほどになると思いますが、一日六十円の増収をはかろうとするならば、ものすごい人的の構成を要求されてくるのです。患者数に対する正看護婦何名、准看護婦何名、のみならず、いろいろな施設の強化を要求されてくる。ことに今日看護婦不足のおりから、それだけの人数をそろえるということはなかなか困難なのです。またいまはさしあたりかり集めてきてそろえたとしても、それの維持が困難なんです。維持できなくなったら、やはり良心的にそれは許されないということで、いまだに基準看護というものを私はとりかねております。また現実に国立病院あるいは国立療養所は基準看護をとっておりますが、しかしながら定数が大きく欠けて、基準看護の要員を満たしておらないことを私は知っております。しかしながら基準看護料はどんどん払われております。しかしながら最初それを認可を求めるときにはきびしいところの設備と人的構成を要求されるのです。それが困難だから、われわれ民間医療機関は基準看護をとらずに——しかも三交代できちんとやっています。公的医療機関がやっているのと同じような運営をきちんとやっています。それでありながら、人件費は基準看護と同じ人件費を払ながら、なおかつ病室料を取らずに今日まで歯を食いしばってやってきておる。それにもかかわらず、八百円、入院料の四倍じゃないですか。入院料の四倍に相当する差額、これは差額じゃないですよ。つちより柄のほうが大きいということがありますが、まさにつちよりも柄のほうが大きい。そういったことが白昼常々と横行濶歩しておる。これが今日の診療報酬の実態です。しかもここに書かれている聖路加だ、あるいは日赤だ、そういうところで白昼堂々とやっている。しかもそれは無税です。政務次官、こんな不公平なことでいいのですか。こんな不公平はない。民間医療機関はやろうと思っても、差額徴収をやっているのだといって追及されて、指定の取り消しでもやられたら困るというのでもって、きゅうきゅうとして差額徴収をやらずにきている。しかもその差額徴収をやらないで、厚生省が示している方針どおりの運営をしているところの民間医療機関に対しては市税がかかっている。これはもぎ取りにひとしいような強奪ですよ。何も知らずに入院したら、退院のときに病室料を九千円余り払ってください、これは強奪ですよ。そういうことを堂々とやっている医療機関が免税だ、この不公平をどうされますか。あなたはいつも課税の公平を言われる。また先ほどからも私的医療機関の中で法人になったからといって、そう特別措置はできません、均衡というものがありますから、課税の公平ということがありますから、こういうことを言っておられる。それではその公平という観点に立ってそういうことをやっている公的医療機関とまじめにやってきている民間医療機関と税の公平をどうしてやっていかれますか。
  140. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいま岡本委員が指摘された問題は、実は私は初耳でございまして、寡聞にしていままでそういうことを知りませんでした。(「怠慢だ、けしからぬ」と呼ぶ者あり)その点はおわびしておきますが、とにかく厚生省のほうでも通達で公認しているというような問題がありますが、先ほどの医療課長のお話を承っておりましても、当初の趣旨と違っている、こういうようなお話もあって、検討をしなければならぬということもございます。これが正式に認められたもめであれば、そうして趣旨に沿ってやっておれば、課税の対象にはし得ないかもしれませんが、いまのお話によりますと、実際は趣旨から逸脱した、良心的に考えて、きわめてけしからぬやり方のように存じますから、これに対しましても、厚生省としては十分検討いたしますし、課税の問題についても、大きな研究課題だと存じますから、十分研究いたしたいと思います。
  141. 岡本隆一

    岡本委員 そういうふうなこと自体が非常によくないことだと思う。だから均衡をとれるようにやっていこうということは——そういうふうな医療機関にあなたのほうはこれから課税されるとは思わない。そうすると、民間医療機関のまじめにやっているものは、これは監査すればすぐわかるから、まじめにやっている民間医療機関に対しては免税をする、こういうような意味理解してよろしゅうございますか。
  142. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 御承知のように税法は公平をたっとばなければならぬ問題でありますが、こさいに検討いたしますと、公平ならざるものも全然ないとは私ども言い切れません。したがいまして、これは課税というものはたいへんな問題でありますから、できるだけ不公平にならないように十分検討いたしたいと思います。
  143. 岡本隆一

    岡本委員 いまの政務次官の御答弁だと、その程度のことよりお答え願えないでしょうからしかたがありませんが、これは主税局長、今後やはり公的医療機関と民間医療機関との間にそういうふうな大きな開きがあり、民間医療機関が非常に困っておるということですね。だから課税の面においても医療機関の持つところのいろいろな公益的な性格——パチンコ屋もキャバレーも、法人であれば、医療機関も、いまは同じ税率課税されているのです。しかもキャバレーやパチンコ屋に今日エスカレーターがついてきました。また全部冷暖房です。足の悪い人、からだの悪い人、階段上がるのもえらい人、そういう人がやってくる、医療機関に、一体エスカレーターのついたところがありますか。あれば指摘してください。どこかの病院にエスカレーターのついたところがありますか。さらにまた冷暖房にいたしましても、病室に完全な冷暖房がついておる、しかも差額徴収が行なわれておらない、そんな病院どこかにありますか。そんな病院は全国に一つもないです。もしも冷暖房の施設のあるような病院だったら、目がむき出すような大きな差額徴収をされる。それが今日の日本の医療の実態です。しかしながら私は、汽車に乗っていつも思うのです。汽車に乗って沿線を見ます。沿線の両側にはものすごくりっぱな工場が建ってきました。われわれの概念では、工場というたら、トタン張りで、きたないところでものをつくっているというふうな昔の概念でした。ところがこのごろはホテルにもまがうような工場が沿線にどんどん建ち並んでいます。自分の病院に帰ってみて、何とものをつくるところはりっぱやが、人間つくるところはこのようにむさくるしいのか、いつも私はそのような悲哀を感じます。悲しさを感じます。それはやはり医療担当者としては、できるだけ、せめて病気のときなりと、できるだけ気持ちのいい環境の中で暮らしてもらいたい。それは精神的にもまた肉体的にも、いろいろな形で、そう思うのです。宿屋やホテルにはクッションのいい、何たらベットというやつですな、クッションのいいのがある。ところが医療機関のベットたるや、みなわらぶとんです。病人が寝るのに、ごぼりとすりばちのようになったわらぶとんへ病人を寝かせる。健康な人は、レジャーを楽しむのに、スプリングが入った、ぐあいのよいやつで寝ている。さかさまです。医療機関が設備をもっと更新できるような施策を国が講ずるべきである、また大蔵省も当然それに協力すべきです。徴税の公平だ何だ、そんなお題目はもう要らぬのですよ。そんなことよりも、まずいかにして医療設備を、病者に対してどのようないい環境の中で療養できるようにすべきかということを大蔵省は考えるべきです。そのために必要な——もちろんそれは医療担当者が得るところの生活の費用あるいは享楽のために得るところの所得、そういうものに対しての課税はいいですよ。当然おかけになったらよろしい、それは医療担当者といえども。私はそれでも問題があると思うのです。気楽に重役室にふんぞり返っている人の所得と、ゴルフをやっているのも商売になるというふうな人の所得と、これは夜昼かせぐ伊左エ門ということばがあるが、そんなふうな意味でなくて、夜昼激務につかなければならぬという医療担当者の所得と、同じ税率で税金がかけられるということにも私は疑問を持ちます。しかしそれは、課税はそんなことは区別つかぬから、やむを得ないといわれるならそれはやむを得ないかもしれませんが、しかしながら医療機関が設備更新のために投入するところの資金について、やはり課税の公平上同じ税率でなければならないというような考え方はあまりに機械的であると思う。だから、そういう点、これから厚生省と話し合いをされるようでございますが、話し合いの過程の中であなた方は今後大きな目をひとつ開いていただきたい。そうして、課税の公平というだけでなしに、あたたかい心を、医療機関に従事するところの者が持っておるあたたかい心をあなた方も同じように持っていただきたい。医療機関が課税軽減をはかられたいというこの要求は、単にみずからがぜいたくするために言うているのじゃない。むしろそれよりも、よりよい医療を国民に提供したいという気持ちから医療施設の更新のための減免税措置を請じてもらいたいというところに出ているということを、よく御理解を願いたいと思うのです。
  144. 堀昌雄

    ○堀委員 関連して。いまの差額徴収問題というのは、私ずっと話を聞いておりましてどうも非常に取り扱いが不公平だと思います。そこで主税局長、営利を目的としない団体が、しかし純粋に営利を目的とした行為をする場合に、その営利を目的とした行為部分に対しては課税をするということはできないですか。営利を目的としない、さっきのどこかの大学病院に例をとって考えてもいいけれども、そこで一般室の総室なるものが少なくとも八〇%ある、そして個室と称するものが二〇%くらいだ、一〇%だというのならまあ社会通念上ある程度やむを得ないという問題もあるけれども、実際はどうもこのごろは逆になっている傾向が非常に多い。そうなりますと、一般室のベースになっておるところを基準にして上へ上へと金をとられるということは、これははっきりと営利性の問題だ。そうすると、片や大学病院は本来目的としては営利を目的としていないと思うけれども、その部分については営利を目的としているということに課税上の原則からすればなると思う。そうすると、その部分だけを引き抜いて課税をする、これは公的病院であろうと大学病院であろうと、あらゆるものについて課税をするということが行なわれていいのじゃないかと私は思いますが、その点はどうですか。
  145. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど来差額徴収問題に関連して、大学病院でもそういった収益的な面があるからそれについては課税すべきではないかという御意見が出てまいったのでありますが、私どもとしては、法人税法で収益事業を規定しておりまする医療保健業の中で、学校法人の行なう医療保健業を除いております趣旨からいたしますと、そういった営利的と申しますか収益追求的と申しますか、そういうことを行なうことを前提にこういう規定が置いてあるわけではないと思います。したがって問題は、そういった営利的な差額徴収といったようなことをやめていただくのが先決ではなかろうかと思うのでございます。しかしそれは長い間の慣習であってやめられないということになりますれば、ここに収益事業から除外しておることがおかしくなってまいることはお話のとおりでございます。したがいまして、それらの実態につきまして私どもあまり詳しく存じておりませんので、そういった実態をよく調べまして、それは先ほどのお話でございますとひとり大学の附属病院だけではなしに、共済組合等にもあるとかいうお話でございますので、そういった実態を十分調査した上で検討いたしたい、かように考えます。
  146. 堀昌雄

    ○堀委員 それはもう、いま税をかけられておらない各種病院全部ひとつ、これはすぐできますから、調査をしてもらって、やめない限りはこれには全部課税をするということを明らかにしてもらわないと課税上の措置としてこれは非常に不公平が起きてくると私は思う。だから、それで課税をすることによって、それではそういうことをやめてできるだけ公平な措置でやるという方向になるのが私は正しいと思う。しかしほっておけば、おそらく厚生省としていろいろと措置をしておるだろうと思うけれども、さっきの話のように保険局の課長がそれはやむを得ませんなどというような答弁をしておるのでは、私は、率直に言って、厚生省はそういうことをやめさせようということに対して熱意がないと思う。それだけ熱意がないのなら、課税上の措置として公平にやっていくというどちらかにはっきりしないことには筋が通らない。だからひとつこの点はさっそくに調査をして、まだ国会の会期は五月終わりまであるわけですから、その間にひとつ資料として提出をしてもらいたい。そうしてその実態に応じてこれまでの取り扱いをやめて、少なくともそういう利益を対象としてやっておる問題については課税をしていくんだという線を明らかにして、そういう誤れる措置をたださなければ、公益の名において実は利潤を追及するなどはもってのほかだというふうに思いますから、その点はひとつ問題として早急な調査を要望しておきます。
  147. 松尾正雄

    ○松尾説明員 御要望の調査ということは、ただいま御指摘のようないろいろな医療機関の名前が出ておることでございまして、ある程度私はやればできると思います。ただその取り方の問題というところまで入っての調査を私どものところで十分短時間に全国的にはたしてやり得るかどうか、もう少し技術的に検討さしていただきませんと十分な自信を持ってお答えできないと思います。
  148. 堀昌雄

    ○堀委員 取り方の問題に立ち入って、私はそんなことを言ってないですよ。要するに、いまの問題は大体一番下の基準のところを健康保険の診療報酬の入院料と見て、それより上に積んでいるやつは全部それは営利を対象としておるから、それだけ差額分取っているんだから、取り方の問題じゃないですよ。要するに一番の土台のところ以外に上積みになっている部分は、一番下が三等で、あと二等があって特二等、一等、特一等、特等がある、こんな定めになっているのです。それを全部、特一等が何病室で幾らで、そうして特二等が幾らで、ずっとこうやってそれの年間の部屋がどういうかっこうで充足しているかということを見れば、その病院の一年間に上げている入院料の、社会保険診療の患者に対する差額徴収というものは、それはもうすぐ出ますよ。取り方の問題じゃない。できませんか。厚生省と主税局とひとつ協力してやってもらいたい、どうですか。答弁願います。
  149. 松尾正雄

    ○松尾説明員 六千数百の病院でございますから、それだけにつきまして個個の部屋のそういうふうな中身を一々洗いまして、またその個々の部屋の充足状況というようなことになれば、確かに方法としては御指摘のような方法だと存じますけれども、それを短い時間に正確にということになりますと、非常にむずかしいのじゃなかろうかという意味で申し上げているわけでございます。一つの機関単位にいたしまして、こういうところがそういうことをやっているかやっていないか、やはり表面上一応ちゃんと打ち出しているようなところを、御指摘のいまの例のような、これは幾らの部屋でございますというふうに言っているような場合でありますと、比較的つかみやすいのではないかというふうに存じますけれども、すべてが、いわばだれでもそういうふうに取るというふうに一般に公開したような形でやっておりますかどうか。個々のケースケースに応じてやっているのかというような問題が入ってきますと、そういった点までこまかく不公平のないように調査ということになりますと、私としてはまだ自信がない、こういう感じでございます。しかし十分検討はさせていただきます。
  150. 堀昌雄

    ○堀委員 それはもしいまの入院料の定めがなくて、人を見て、あなたは差額徴収千円取ります、あなたは二千円取ります、そんなことを言っているとしたらこれはもってのほかですよ。そうではなくて、やはり一応のルールがあって破るというのが常識ですね。ルールなしに取っているんだったら、これはあなた方医療法や社会保険のあれでもっと締めなければいかぬですよ。そんなものはむちゃくちゃだ。大体医療法人でも何でも、医療というものは営利を目的としてはならぬと言っているのですから、営利を目的としてはならぬのを相手を見て幾らでも取れるのだということになったら、それはまさに収益を目的としているという以外の何ものでもないのだから、そんなことは私は例外だと思う。大体はきまりがあります。特に私的病院もさることながら、主として多いのは公的病院の関係、それから公益法人等の病院等にもあるわけですから、それがどこまで正確かどうかについてはこれはなかなか簡単にいかないでしょうけれども、常識の範囲で私はこれは取ろうと思えば取れる、こう考えます。一日や二日でやれといったってそれはできないでしょう。しかし私は少なくともいまの場合は一カ月なら一カ月くらいという期間を設けて全国の病院の調査をすれば——これができなければ、厚生省なり保険局なりというものは何らそういう病院の実態も把握しないで社会保険の指導をしているのだということになって、小さな診療所ばかり監督を強化していると言われてもあなた方はしかたがないと思います。どうですか、やれますか。
  151. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ただいま御指摘のような範囲であるならば、私たちとしてはできるだけやっていきたいと思います。
  152. 山中貞則

    山中委員長 ただいまの問題は、期間を区切らないで今国会中ということにして、厚生省においては、すみやかにその実態を調査をして責任のある資料として提出を願う、大蔵省においては、課税すべき実態であると思うならば、当然課税方向に向かって検討すべきだし、課税しないというならば、これは一般開業医その他を問わずそのような方法を認めると同時に、その収入も課税しないということのいずれかの結論を求めるように、今国会中という期限つきで取り計らいたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  153. 岡本隆一

    岡本委員 いまの差額徴収に関連して、今度は私自身の経験で、数年前でありましたか、私は選挙が済んだ直後に、京都で心電計を買いかえましたときに、おれはとったことがないからひとつ試験的におれもやってもらおうかというので心電図をとってみましたら、ものすごう正常でない心電図が出ているんです。そこで私のほうの医者はこれはやはりしかるべき病院でよく調べてもらうほうがいいだろう、京都の病院じゃどうも困るからということで、東京に出てきて聖路加病院に入院した。総量じゃかないませんから個室に入ったのです。私は日ごろ高額の健康保険料を払っております。私の収入からすれば最高額を払っております。そこで権利のあるものだけはこれは使わしてもらっていいと思って、私は保険証を出しましたら、個室に入っていただく方には健康保険は適用できません、こういうことなんです。そして十日分の入院料を先に払ってくださいということで、私は三、四万円先払いをいたしました。入院料を払って治療を受けました。ところがあとでいろいろ聞きますと、ここにあるとおり保険ベッドというのは数少ないのです。その数少ない保険ベッドはいつも大かた満員になってしまう。だから八〇%の人は保険外で入らざるを得ない。保険外で入ればここにあるところのこの差額徴収ベッド、ただいま八一%ですから八割が差額徴収ベッドです。ところがこの八割の差額徴収ベッドというのは、保険診療が全然適用されないのです。だからここに、この基準にございますが「自費患者に対し請求する金額は、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されるものであること。」これが公益的な運営の基準の一つになっておりますね。そうじゃないのです。とにかくレントゲン一つでも倍以上かかる。保険でレントゲンをとったのと自費で入ったのと、取られる料金というのは検査料から一切のものが倍以上になってしまう。それが聖路加の運営です。私はそのときはやむを得ないものとして支払いました。また、同じ医者同士で、医療機関の中に生きる者としてそういうことを言うのは今日まで差し控えてきた。私はそのときは、聖路加病院というのはキリストの精神によって運営され、さらにまた公的な機関として、日本の権威ある病院と思っておったが、何とまあきついことをやっているなと思いましたが、今日この委員会まで何も言いませんでした。きょう初めてこういうことを言うのです。これは当然、差額徴収ベッドといえども、ベッドの差額を払いなさい、しかし診療は保険で行なうべきです。それすら拒否しているのです。こういうふうな運営というものは、健康保険法のどこによって認められておるのか。保険医療機関が、この保険ベッドだけは健康保険で扱います、保険ベッド以外は健康保険では扱いません、こういうふうな差別をしている。そして保険証を持って診療を要求した場合に拒否していいのかどうか。どこにそういうふうな法的根拠があるのか。そういうことが許されているのか。これをひとつ保険局のほうから、お教え願いたい。
  154. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ただいまの御指摘のように、保険証があって、しかも特別な部屋に入りました場合に、個々の診療は全部保険がきかないというようなことは、私は絶対あり得べからざる問題だと思います。あってはならない問題であります。保険医療機関としてたとえば御指摘のような病院があったといたしましたら、それは保険診療を当然担当しなければならぬというたてまえでございますから、御指摘どおりそれはやはり保険で診療を行なうべきだと思います。またそうなければならぬと思います。
  155. 岡本隆一

    岡本委員 おそらくいまもそういう運営をしておるだろうと思いますが、それではそういう医療機関に対してはどういう措置をとりますか。
  156. 松尾正雄

    ○松尾説明員 よく実態を見まして、不当な点があればいろいろ指導いたします。その上でどうしても保険診療所としてこちらが納得できるような解決を病院当局が持たぬとすれば、その段階に応じまして、極端な場合、指定を取り下げてもらうというような場合も起こり得るかと思います。
  157. 岡本隆一

    岡本委員 それはいまから七年くらい前の話ですからそれ以前から、あるいはそれから後もそういう方針で運営されていると思います。それをあなたのほうはいままで御存じ全然なかったですか、あるいは知って日をふさいでおられたのか、どちらですか。
  158. 松尾正雄

    ○松尾説明員 少なくとも私自身はそういう極端な例があったということは、ただいま初めて知ったようなわけでございます。
  159. 岡本隆一

    岡本委員 監督の衝にあられる保険局としてあなた方が御存じなかったとすればそれはうかつな話です。それは私一人がそういう経験をしているのでなしに、多くの人がそういう経験をしているはずです。おそらく投書も行っているはずです。診察時間まで差別がある。保険診療時間という差別がある。そして一般の患者は午前九時から診察いたしますが、たしか保険患者については十一時以後かあるいは正午以後か、何か診察時間まで差別があります。そういうふうな聖路加というような日本の代表的な医療機関の中で、今日なお健康保険というものにそのような差別をしておるということを私は内心非常に残念に思っておりました。しかしながら同じ医療担当者同士のことでございますので、私はこうして議席を持っておりましても、今日まで一ぺんもそれを国会の中で口にいたしませんでした。しかしいまこうしていろいろお話し合いをしておる中で、あなた方は保険医療というものについて、大きな病院に対してはあまりにも寛大である。しかも小さな病院に対してはきわめて峻厳である。こういうふうなことに対して痛憤にたえないから、私はこういうことも申し上げるのです。これはあなたのほうはあらゆる機関に対して公正な運営を要求されるべきであると思う。しかもその聖路加病院の院長高木さんは、日本病院協会の会長ですよ。医療費問題について、厚生省の保険局に対して一番協力している日本病院協会の会長です。そういうふうな運営をしていながら、健康保険の問題について口出しをする資格は私はないと思うのです。民間医療機関から強い要求がある。それに対してものすごく厚生省に協力的な病院協会、だから日本病院協会というものに対する不信感は、私自身が聖路加に入院した経験を持って、私はぬぐい去ることができないのです。しかし日本病院協会ですら、今日入院料の値上げに対しては強く言っておる。しかし税制の公平という立場に立って、聖路加病院に対して、公的な機関として全然課税されておらない。しかも健康保険に対してはそのような差別待遇をし、しかもその保険料を出ておる者から、保険診療を拒否しては、差額徴収ではなしに自由診療でもってどんどんやっておる。こういうふうな運営がされておりながら、しかも大蔵省のほうは公的病院ということで全然課税されておりません。こういうふうな不公平はどうされますか。  さっきの話に戻りますが、これは政務次官にもよくお考えおきを願いたいと思う。この医療法人の改善をされるときに、こういうふうな病院に対する課税問題も含めて、民間医療機関というものも考え、どちらが公正に運営しておるか、健康保険法の精神をどちらが忠実に生かしておるか、こういうふうな問題をあわせ考えていっていただくように、特にこの機会にお願いしておきたいと思います。  そこでもう一つ問題ですが、今日そういうふうな健康保険の診療報酬が低いというところから、日本の医療の姿が非常にゆがんできています。だから超デラックス病院をつくる。その病室の差額徴収、いわゆる部屋代かせぎというふうなことが医療機関の中に出始めてまいりました。さらにまた給付外の医療をやる。何か特別、健康保険で認められない薬ですからというふうなことを言って、特別の治療、特別の医療内容というようなものを売りものにして、差額徴収をやるというふうなことが出てまいっております。しかしながらこの二つはまだ特にいい病室へ本人承知で入るのですから許されると私は思うのです。しかしながら問題は救急医療です。自動車事故を起こします。本人は意識がありません。病院の選択の自由がないのです。とにかく救急病院へかつぎ込まれます。かつぎ込まれたその救急病院では、これは健康保険の給付外だから健康保険は適用できません。本人さんの過失なら本人さんに払ってもらいましょう。また加害者のほうの過失であれば、これは加害者側に払っていただきましょう。こういうことで救急医療は自費診療です。そうしますと、救急医療機関の中には、膨大な医療費を要求いたします。砂利トラックにやられた。もう人事不省になってかつぎ込まれた。さあ今時は入院してしばらくたてば、医療機関のほうから請求書がきます。砂利屋の運転手に要求しても払ってくれません。しかしながら払わなければ、医療機関に冷たい態度をされてはかなわぬから、患者のほうでは泣く泣くべらぼうに高い医療費を払わされておる。そういう実例がございます。幾つも知っております。そういうことが許されていいのかどうか、私は問題があると思うのです。  まず第一に、課税上の問題より先に、ひとつ保険局のほうにお伺いいたしますが、一体交通事故のような場合、保険が給付外になっておるということですが、これはどういう理由ですか。
  160. 竹下精紀

    ○竹下説明員 健康保険法によりまして、給付が交通事故等に適用されないということでございますが、私どもといたしましては、当然これは適用になるというふうに考えております。この点に関しましては先月でございましたか、朝日新聞の投書欄に同様なことが医者のほうからも、あるいは治療を受けたほうからも、両方から適用にならないということを指摘しておったわけでございますが、これは間違いでございますので、適用があるということを私どものほうでは新聞紙上でも申し上げたわけでございます。
  161. 岡本隆一

    岡本委員 いつからそういうふうに変わりましたか。私はかつて交通事故を私のほうの病院で診療いたしました。そういう場合必ずどういう理由で負傷したかということを付記しなければなりません。これは交通事故でけがしたのだということで、本人でしたが、健康保険扱いで請求いたしました。突っ返されてまいりました。それで本人に請求いたしました。もちろん本人は払いません。加害者はどこのだれかわかりません。そういう経験を持っております。  これは数年前のことでございますが、そういうことは、内容が変わったのなら医療機関に周知徹底するようにしていただかなければならぬ。われわわれは全然そんな通達を受けておりません。あなた、いまそういうことをおっしゃいますが、今日の医療機関のほとんどが、まだ交通事故は適用外だ、こういうふうに理解しておりますので、もしあなたのほうでそういうことなら、これは全国の医療機関にはっきりとわかるような形で、通達を出していただかなければなりませんが、いつからそういうことに変わったか、またどういう方法でその周知徹底をはかられたか。これは古くから、交通事故というものは本人の過失もしくは加害者の過失に基づくものである。だからこれは自然に出た病気じゃないのだから適用しないのだ、こういうたてまえでずっと貫かれてきております。少なくも私が現役で医療機関の中で働いている間はそういうことでございました。私がそのときそれを知りながら、そんなばかなことない。これは保険料を払っているんだから、本人が過失でけがをした場合に、本人が重大な過失でなければ、当然保険で払っていいものだ。だから通用するはずだろうと思って出してみた。ところがやっぱりだめだというので返ってまいりました。やっぱり保険じゃいけないのだなというふうに今日でも理解しておりますが、それはどういうふうにして制度が変わったのか、その辺ひとつ聞かしていただきたい。
  162. 竹下精紀

    ○竹下説明員 ただいま御指摘がございました、いつからそういうふうになったかということにつきましては、実は私もその辺の、いつからということについては承知いたしておりません。ただ御指摘のように、そういった変わった点について、医療機関なり被保険者なりのほうが十分認識をしていないということは事実のようでございます。この点につきましては、御指摘のような手段を講じて徹底をはかりたい、かように考えております。
  163. 岡本隆一

    岡本委員 これは先ほどのベッドの差額徴収の問題と同じで、きわめて運用自在な、実に自由な形であなたのほうは運営もされ、ここでも答弁されておりますが、しかしながらこれは重要な問題です。事故にあった者が人事不省のままでかつぎ込まれて、しかも法外な診療費を請求されておるというふうなことも事実でございますし、幾人の人がその問題のために困っておるかわかりません。またそれだけでなしに、今度は医療機関のほうでも、保険で請求できないというふうに思っておりますから、まず加害者に請求いたします。しかし加害者が払ってくれなければ、被害者に請求いたします。ところがそのいずれも払ってくれません。加害者のほうには、おれのからだじゃない、こういう気持ちがある。また向こうが悪いのだというふうな自己弁護の気持ちもあるでしょう。また被害者のほうにすれば、えらいけがをさせられて、当然加害者に払ってもらわなければならぬ、こういう気持ちがある。どちらも払わぬ。良心的な医療機関は、今度は不払いのために非常に困っております。この不払いのしわ寄せが、今度は払う患者のほうによる。交通事故はどんどん不払いがある。だから取れるところからうんと取れ、こういうようにゆがんでくるのです。そういうことがまたべらぼうな医療費の要求となって出てくる。だから、従来そういう交通事故は保険で支払われなかったということがあるということは、あなたのほうもお認めになるでしょう。そういう時代があったということはお認めになりませんか。初めからそういうことだったとおっしゃいますか。
  164. 竹下精紀

    ○竹下説明員 私の聞いております範囲では、国民健康保険との関係もございまして、適用しておるところもあるし、適用してないところもあったというふうに聞いておりますが、初めから適用があったというふうには考えておりません。先生のおっしゃるとおりであります。
  165. 岡本隆一

    岡本委員 非常にあなたのほうもあいまいなんですね。しかしながら私自身の経験では、少なくも数年前までは交通通事故は保険が適用されなかった。だから、そういう適用されなかったことが、今日のようなゆがんだ救急医療機関の姿となってあらわれてきたわけです。取れるところから取れ。そうすると、健康保険で運営しておるところは、もう自由診療以外に逃げる道はない。だから、自由診療になるところの救急をもうできるだけ取れるだけ取る。こういうふうな姿となって、救急患者が非常に大きな犠牲を払わされる。全くうっかり自動車で交通事故を起こしたらたいへんだ、医療機関にごっつらいかれる、こういうふうな何も出てくる。またその医療機関も不払いが相当あるから、払える者からはちょうだいするだけはちょうだいしないと採算が合わない、こういうような事実、ゆがんだ傾向が出てきておる。これが社会保険で全部まかなわれるということになれば、これはもう患者のほうも安心していられるし、医療機関のほうも、少なくとも不払いがないだけ、とにかくそのなにに対しては相当な支払いが行なわれるという点だけでも、安心して治療が行なえるわけですから、これはやっぱり大きなPRを保険局のほうから早急に私はやっていただきたいと思う。国民全体にこれが知れわたるような方法を講じていただくように、これはひとつお願いいたしたいと思うのです。
  166. 山中貞則

    山中委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
  167. 堀昌雄

    ○堀委員 いまので、そういうことはないということがわかったのですが、そうすると、現在では診療報酬支払基金はそういう請求書が出たら全部認めていますか。私も実はいま初めてそれが社会保険でできるということを聞いた、おそらく滝井さんも初めてだろうと思うのだが、われわれこういうものをかなり専門としてやっている者ですら、これは初耳だということなら、全国の医者はほとんど知らないと思うんですよ。そうすると、医者のほうが知らないのはいいけれども、診療報酬支払基金のほうが、いま岡本委員のお話のように、出したわ、突き返したでは、おそらくこれは命令の定むるところによるというかっこうになっておるから、政令か省令か何かであなたのほうは出したのだろうと思うけれども、これは周知させざるかっこうで出されたということになると、支払基金自体も取り扱いについてはこれまでの常識的な概念のようなことでやっておるのじゃないかという疑いがあるのですが、その点はないですか。診療報酬支払基金はそういうものを最近返戻しておるような事実はないかどうか、自信を持って御答弁できますか。
  168. 竹下精紀

    ○竹下説明員 基金の支払いにつきまして調査したことはございません。
  169. 堀昌雄

    ○堀委員 では、そのいまのは省令ですか、何ですか。あなたも変更になったということをいま認められた、その変更した法律上の根拠及びそれは通達で処理をしたのか。命令の定むるところによるということに納付の内容はなっておるわけですからね。一体それはどういう取り扱いで処理をされたのか。あなた自身がもしわからぬとするなら、は、それは早急に調べてください。
  170. 竹下精紀

    ○竹下説明員 調査をしてお答えいたしたいと思います。
  171. 堀昌雄

    ○堀委員 すぐこの委員会に願います。
  172. 岡本隆一

    岡本委員 いまの差額徴収の問題に関連してお尋ねをいたしますが、京都の健康保険がものすごい赤字になって、いままで世帯主七割、家族六割というふうな給付をやろうとしていたのが、今度はそれができないから、七割、五割にしようということで、それが時代に非常に逆行するものだということで、住民のほうから非常な反発が出ております。しかしながら東京の公的医療機関では日赤までが半分は差額ベッドである。国立第一が一四%、それから聖路加、東大病院、慈恵医大、日大、みんなが、その医療機関のベッドの半分以上、三分の二に近いものが差額料金を徴収しておる。そういうことだから保険医療機関も運営がどうにかしのげる。だから、一件当たりの平均点数というものも減ってくる。患者の犠牲によって保険は守られている。ところが、京都の場合には、そんな保険医療機関が差額徴収をやっているところはないですよ、やらせません。医師会自体も公正な運営というものをみんなお互いに規制し合って守っていっておるから、勢い一件当たりの点数というものもふえてくる。だから赤字になるのですね。ところが、市の方では一作当たりのなにが非常に多い、だから赤字になる、もうとてもやりきれないから患者の負担をふやすのだ、こういうふうなことになっておりますが、これは京都のように、医療機関が非常に自粛して健康保険の精神を守っておる、だからそういうところは勢い国保の財政が苦しくなってくる。それに対して保険当局のほうではどういうような指導をされますか。いや、そういうふうに患者負担をふやしてもよろしい、こういうことなんですか。あるいは、もっと何とか財政援助をしてやるから、やはり七割、六割の給付率はそのまま維持せよ、こういうふうな指導方針をおとりになりますか。その辺もひとつあわせてお伺いしておきたいのです。
  173. 松尾正雄

    ○松尾説明員 国民健康保険につきましても、私直接の責任者じゃございませんので、明確にお答えすることはできませんけれども、大体の傾向として私が承知しています範囲ではやはり給付率というものはそのまま維持していきたい、こういう方針で臨んでおると聞いておるわけでございます。
  174. 岡本隆一

    岡本委員 所管の方がおられなければやむを得ませんから、これは希望として強く要望いたしておきます。給付率を低下さすというようなことは極力避けるように行政指導はぜひお願いいたしたいと思います。  そこで、医療法人制度についての矛盾をもう少しお尋ねしておきたいと思うのですが、現在持ち分のある医療法人の場合、何か財産の所有権のある者が死亡した場合には相続税がかかる。たとえば例を私に引きまして、私の病院は持ち分がないのですが、かりに持ち分がある病院だと仮定いたします。私が死にますと財産は子供三人なり五人なりに均等配分になる。かりに一千万円の評価をされるといたします。そうすると五人の子供が二百万円ずつ相続するわけですね。ところがその医療機関の中に残った者は、私の息子なら息子が一人医療機関の中に残れば、そのなにはその医療機関の経営の中で相続税を払っていけます。ところがあとの持ち分二百万円ずつをもらった者は、二百万でどの程度かかるか知りませんが、かりに二千万の評価だったら一人当たり四百万になりますから、そうすると四百万の相続分のあった者が相続税を払う場合、利益配当がなければどこからも払えません。それはどうして払えばいいのですか。これは医療法人制度の大きな矛盾だと思う。利益配当をしてはいけない、しかも相続税を払わなければならぬということになりますと、一体どこからその金は捻出して払えばいいのですか。
  175. 泉美之松

    泉政府委員 お話のような場合におきまして相続税が課税になった場合、その払い方の問題でありますが、二つあろうと思います。一つは、その医療法人の持ち分以外の財産を相続しておって、その財産の中から払うということが一つでございます。それから医療法人の持ち分、家屋はおそらく医療法人のほうに入っていっていないと思いますので、家屋、土地がその医療法人の持ち分以外の財産としてあるはずです。そのほかに株とか社債とか銀行預金なんかがあるはずだと思うのでございますが、そういう財産がなくて、単純にもう医療法人の持ち分だけだという場合におきましては、医療法人の持ち分について払い戻しを受けまして、それによって払っていくということになると思います。
  176. 岡本隆一

    岡本委員 これは医療法人の姿として大体共通でありますが、もう自分の残った蓄積は全部設備改善に投入している。またそういう精神でなければいかぬ。また医者の何といいますか、医者かたぎと申しますか、できるだけりっぱな医療機関にしたいという気持ちをみな持っております。だから自分のすべての余力を医療機関に注いでいこう、それがまた望ましい姿です。だからそういうふうな場合に、死んだ場合には医療機関だけしか残っておらぬ。当然ありますよ。それはまたあるべきですよ。そうでなければだめですよ。自分の一切を自分の仕事にかけていく、医療事業にかけていく、これでなければだめですよ。これを要求しなければ医療機関のりっぱな発展というものはないです。そういうふうに自分の生涯をよき医療の提供ということにかけていった人間が死んだ。残っているのは医療機関だけだ。そうすると、結局一人にぽんとかかればものすごい税額になりますね。だからそれは分けたほうがいい。今度は均分に配分してもその財源が出てこないですよ。そうでしょう。また配分を受けた者も、配分は受けたが、しかしながらそれを払う財源がない。当然その相続税というものは配分の中から払うべきもので、その配分の中から払うべき財源がないじゃないですか。それをどうすればいいのですか。
  177. 泉美之松

    泉政府委員 いま申し上げましたように、持ち分につきまして払い戻しの請求を医療法人にいたしまして、医療法人から払い戻していただくわけであります。医療法人が現金がないというようなことでございますれば、それは医療法人が金融機関から借りるなどして、そして持ち分の払い戻しをしてやる。その現金で相続税を払うということになるわけでございます。
  178. 岡本隆一

    岡本委員 そうなるとやはりそういうふうに払い戻しをするなら、たとえば二千万を五人に均等配分したとすれば一人の持ち分は四百万、そうするとその四百万のほかに、やはり一挙に払い戻しせよと言ったって、医療機関にそんな余裕ないですよ。払い戻しできるだけの、そんな医療機関なんてあり余った金があるはずがないじゃないですか。だからそれは理屈から、なるほど算術ではそういう算術が成り立ちますよ。しかしそんなのは実情に合わないですよ。そんな実情に合わぬ答弁したってだめですよ。もっと実情に即した答弁をしてください。
  179. 泉美之松

    泉政府委員 相続税を払う点において、普通の場合よりそういう持ち分の払い戻しの請求をして、医療法人のほうも金がないからよそから借りて払い戻しをするというようなことになりますと、困難が伴うことは私もわかります。ただその持ち分という私有財産権が残っておりますものですから、そこにやはりまたむずかしい問題があるわけでございまして、そういうことを前提として私どもは持ち分に対しては相続税を課税するということにいたしておるわけでありますが、延納という手段もございますし、それから二千万円の財産の場合、各人の相続分が四百万円ということになりますれば、その税額もそれほど大きな金額になりませんので延納していけば、不動産が多くなくても五年間延納でいけばかなり楽になるはずでございます。しかしそういった点が医療法人の実際においてどのようになっておるかという点につきましては、私もまだ十分調査いたしておりませんので、そういった実態につきましてはなお調査いたしまして、そういった場合にどういうふうに扱うべきかということは大いに検討いたしたいと思っております。しかし法律上のいままでの考え方は、私がただいま申し上げましたような考え方に基づいて相続税を課税するのだ、納めていただくのだということになっておるわけでございます。
  180. 岡本隆一

    岡本委員 もう、五時に近うございますので、あまりこまかい問題は省略いたしまして、もう少し残された問題を重点的にお尋ねしてまいろうと思います。  いまのように、今度の特別措置法が出てまいりまして、公的に運営すれば課税措置を考慮しよう、こういうふうなことになってまいりますと、いままで打ち分のあった法人が持ち分をなくす、できるだけ公的に運営しましょう、ひとつ課税措置を特別配慮してもらいたい、こういうようなことに相当なってくると思います。そうすると、その場合にあなたのほうは、その持ち分をなにしますか。だから贈与税をかける、こういうことになりますね。そうすると、そこに問題がありますが、これは今度、公的なものになるというたてまえでなにした場合、この四十条の基準に合わなければ贈与税をおかけになるのか、あるいは今度新たな基準、これより緩和された基準ができて、その基準の程度にまでその運営を公的に行なう者には、四十条の規定ですがこれはきびし過ぎる、これは緩和したいというような御意向のようなことは先ほどお答えになりました。だからその緩和された基準にまで適合したら贈与税はおかけになりませんか、それとも贈与税はやはりおとりになりますか、まずそれを聞きたい。
  181. 泉美之松

    泉政府委員 租税特別措置法四十条の承認基準と六十七条の政令で定める基準、この両者を一致させるべきか、あるいは両者は先ほど厚生省からお話もありましたように、事柄が違うから異にすべきかということにつきしては、今後なお検討しなければならぬと思っておりますが、現在のところでは、いま持ち分を持っておりまする、医療法人が、持ち分のない医療法人になりたいということになりますと、現在の四十条への基準で贈与税の可否をきめるということになるわけでございます。
  182. 岡本隆一

    岡本委員 私は、特にこの際医療機関を育成するというふうな意味からは新たな基準、今度の六十七条の特別措置をするということになった場合には、その基準までこの四十条の基準を緩和されるということを特に要望いたします。これは政務次官にもお願いします。これは当然だと思うのです。とにかく租税特別措置法は、その基準に適合する程度にまで公的に運営するなら税率を相当まけてやろう、特別措置してやろう。それは相当公的に運営されておる、されるものという認定をされるわけですから、だからその程度のものであれば贈与税はひとつ免除、こういうようなところまで踏み切っていただくことを要望したい。これは要望です。しかし、もしその程度にまでかりにあなたのほうで基準を緩和されても、なおかつそのつもりで、とにかく持ち分のない法人になったという場合に、おまえのほうは基準に適合せぬから四十条はもちろん六十七条も適用できぬ、そういうことになると贈与税を出してくれ、こういうことになりますね。そういうときに贈与税を払った場合、その医療機関は公的に運営されざるものという認定がそこでされた、そういうことになる。そうすると今度、さあその理事長が死んだ、それに対してだれがあと後継するか知りませんが、死んだ場合に、相続税とかもう一度贈与税とか、そういうことが起こるか起こらないか。そうなれば税金の二重取りになりますから、かりに、私のほうは持ち分のない、医療機関です、持ち分のない法人です、こういう持ち分のない法人がたくさんあると思うのです。六十七条の適用を受けられなかった。そうすると、君のほうの医療機関は公約に運営されておらない、私自身はすでにもう贈与税を払いました——これもおかしな話なんです。医療法人になりました。そうすると税務署のほうから来て、こんな持ち分のない法人は困る、ひとつこれは持ち分のある社団にもう一ぺん戻ってくれ、こういう要求がございました。それで僕は戻るのがいやだ、それなら贈与税をちょうだいしますよ、それじゃ払いましょうというので、贈与税を五年間の年賦で払いました。ところが、私は持ち分のない法人理事長になっています、今後こういう例が出てくるはずです。いままではあなたのほうは行政指導でこういうような法人をつくらないように努力してきておられる。持ち分のない法人をつくらないように努力しております。しかし今度はこういう特別措置ができましたから、持ち分のない法人はたくさん出てきますよ。特別措置ができたから、特別措置適用を受けようとして持ち分のない法人がどんどん出てきます。その持ち分のない法人がどんどん出てきたときに、適格性がないからというので六十七条が適用できないということになったら、今度は、君のほうの運営は公的でないから、理事長が死んでそのあとかりに親族の者が理事長を継承した場合、これは相続だ、相続税を払ってもらいましょう、こういう問題が税務署の認定として起こってこないとも限らないと思うのです。そういうことは絶対にありませんか。あるいはそれについてのあなたの見解をひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  183. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、措置法四十条の非課税の場合の基準と措置法六十七条の二の規定による軽減税率適用する場合の基準というものとは、必ずしも何者同じでなければならぬと私どもは思いません。したがって、先ほど申し上げましたように、四十条の規定による基準は六十七条の二の規定の場合には若干緩和してもいいかと考えておるということを申し上げたのでございます。したがいまして、今後六十七条の二の規定ができたので、持ち分のある医療法人が持ち分のない社団法人たる、医療法人になりたいという場合が出てまいりますと、それに対して贈与税課税するかどうかということは四十条の基準で判定いたします。したがって、かりに四十条の規定の基準からははずれておるからといって贈与税課税したといたしましても、六十七条の二のほうの基準に適合いたしておりますれば、これは法人税軽減税率適用はあるわけでございます。また六十七条の二の規定の適用もないという場合にはしかたがございませんが、しかしその場合におきましても、相続税の考え方からいたしますと、これはそういう持ち分のない医療法人を設立するときに贈与税を保税いたしておりますので、その後また相続が起きた場合に相続税を課税するということは起こらないのでございます。
  184. 岡本隆一

    岡本委員 もう時間が非常に過ぎましたので、最後に特に私の要望を申し上げておきたいと思いますが、先ほどからだんだん申しましたように、今日民間医療機関というものは、あなた方が考えていられる以上見えないところで非常な努力をして国民の健康保持に大きな役割を果たしておる、こういうふうな観点から考えても、税制というものにはもっと違った考え方を、取り入れらるべきであるということ。その次は、民間医療機関は公的医療機関に比べて非常に重い税金の重圧に耐えながら運営しているのだという考え方に立って、公的医療機関とともに生きていかなければならぬという立場にあるから、これは当然ある程度の税制上の配慮というものが必要である。さらにまた医療法人制度というものは、医療機関というものはやはりこれから協同化してやらなければならぬ、協同化してやっていくのについてはやはりそういうような育成の道を講じてもらわなければならぬ。その育成の道を講ずるのにはやはり税制面でもある程度の配虚が行わるべきであるというふうな点を私は本日の質問を通じて強調したのでございますので、今後この六十七条の適用、あるいはまたその他医療機関全体に対する課税上の問題——先ほどあなたのほうで言われる公的医療機関といえども、今日の国民医療の中では必ずしもりっぱな運営が行なわれておらない。そういう医療機関に対して免税が行なわれる。しかもまじめになって保険医療に協力しておる民間医療機関が非常な税の重圧に苦しんでおる。こういう正直者がばかをみておるという税制面あるいは保険行政面での矛盾というものを排除してもらいたい、これが本日のこの委員会の討議を通じての私の意見でございますから、十分その点については御配慮されるように、最後に政務時間からその点についての意見を開陳していただいて、私の質問を打ち切りたいと思います。
  185. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 だんだん岡本委員のお話を承りまして、いろいろ教えられるところがありました。御趣意に沿ってひとつ大いに検討いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  186. 山中貞則

    山中委員長 先ほどの質問に関連する答弁で明確でない点のありました社会保険庁の問題に関しまして、ただいま本省と連絡の上、竹下医療保険部長が帰ってまいりましたので、答弁を補足させます。竹下医療保険部長
  187. 竹下精紀

    ○竹下説明員 私の説明に若干誤解を抱かせる答弁があったと思いますので、ここで訂正をいたしたいと思います。  健康保険法のたてまえからいたしまして、交通事故につきましては、これは初めから適用する、こういう方針でやってきたわけであります。したがって方針を変更したということはございません。ただ誤解を生じた点があったといたしますれば、国民健康保険の改正以前の法律におきましては、交通事故の場合についての給付につきましては市町村の条例に適用をまかせておった、こういったことがございまして、それぞれ市町村の財政力に応じまして適用が区々であった、そのために健康保険法自体においても同様なことで医療機関なり被保険者が事を処したのじゃないか、こういうことでございます。またもう一つの誤解の点といたしましては、被保険者が被保険者証を持っていない場合がほとんどでございますので、そういう点で療養費払いになるということから、適用にならないというように何者が考えられたのではないか、かように考えられるわけでありまして、先ほど申し上げましたようなことで、健康保険法は初めから交通事故については適用があるという考え方でございます。したがいまして、将来におきましても、そういうものがあった場合におきましては当然通用して、返すというようなことはございません。ただ業務上の問題といたしまして、業務上であるというふうに考えられます場合におきましては労災のほうに返す、こういうことはあったかと思います。
  188. 山中貞則

    山中委員長 それでは便宜上委員長席から確認しておきます。そうすると、ただいまの答弁で、当初からこれが適用さるべきものとされていたのだということにはっきり訂正されるわけですね。
  189. 竹下精紀

    ○竹下説明員 さようでございます。
  190. 山中貞則

    山中委員長 そうすると、支払基金において、社会保険診療報酬の審査請求があったときに、それを拒否するという事実がないし、今後それはまたあり得ないことだし、今日までそういう事実があって、当該被保険行からそのような事実を正式に再請求と申しますか、社会保険診療報酬へ切りかえてほしいという申し出があったら、その法の趣旨に基づいて、保険診療から還付しますか。
  191. 竹下精紀

    ○竹下説明員 私どものほうといたしましては、当然健康保険法で適用になるという事例につきましては、善処をいたしたいと思います。
  192. 岡本隆一

    岡本委員 いまの御答弁の中で——しかし今日、医療機関を運営しておるものが三人とも初耳なんです。それほど今日交通事故は保険の適用外だというふうに認識している。また、今日そういうふうな形で指導してこられたことが、われわれの中にそういう風潮として、残っているわけです。だから、いまのような精神を日本の全国医療機関に徹底させるというのには、相当な努力をしていただかなければ改まらないと思うのです。またそうでなければ、あなたのほうがこういうふうに言いますとおっしゃったとしても、全国の医療機関が、保険はだめですよ——また実際保険はだめだと思って自費で請求する。請求しても支払いを受けられない。たまたまここにいるわれわれ三人だけが保険通用を受け得ると知ったとしても、これは六万分の三ですから、こんなことではだめです。だからそれをどのように周知徹底の方法を講じられるかということをお伺いしたい。  それからもう一つ。先ほどの相続税の問題でございますけれども、いま主税局長は、相続税は一たん持ち分のない法人に転換したらかけない、こう言われました。しかしながら、その後運営が、どうも君のほうは公的に運営しておらない、現に六十七条の適用も受けておらぬじゃないか、だから、やはり相続税を払ってもらうのだというようなことで、二重取りなさるということはないでしょうね。これは国税庁の見解も一緒に伺っておかないと困るのです。
  193. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど主税局長から御答弁申し上げましたとおり、持ち分のない医療法人について、設立当初贈与税が納付されたものにつきましては、相続があっても相続税をまた納付していただくということはございません。
  194. 竹下精紀

    ○竹下説明員 ただいまの問題につきましては、関係団体はもちろん、私どもも都道府県を通じまして、また報道機関を通じましてすみやかにPRの方法を講じたい、かように考えております。
  195. 岡本隆一

    岡本委員 いまの国税庁の御答弁に対して、蛇足のようでございますが、間々そういうことが出るおそれがありはしないかという懸念がございますので、もう一度重ねてお尋ねをいたしておきます。おそらく六十七条が適用されない、持ち分のない医療法人になったら、しかしながら、六十七条の適用を除外されるということの理由の中には、同族的な運営、つまり、法人の構成の中に二ない三の同族の者が入っておるというようなことが拒否の理由になると思います。だから、そういうような同族的な運営のにおいがあるということでかりに拒否されたような場合があっても、これは同族だからやはり相続税をもう一ぺん出してもらわなければならぬというようなことにはならないでしょうね。これをもう一度確認しておきます。
  196. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまお答えいたしましたとおり、そういうことにはなりません。
  197. 岡本隆一

    岡本委員 わかりました。      ————◇—————
  198. 山中貞則

    山中委員長 連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  外務委員会において審査中の経済協力開発機構条約の締結について承認を求めるの件につきましては、本委員会の所管と関連がありますので、連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  200. 山中貞則

    山中委員長 次に、連合審査会開会の件についておはかりいたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会より連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は、来たる十二日午後一時三十分より開会いたしますから御了承下さい。      ————◇—————
  202. 山中貞則

    山中委員長 参考人出席要求の件についておはかりいたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案について、来たる十三日、日本医師会及び日本医療法人協会の代表者にそれぞれ参考人として委員会に出席を求め、その意見を聴取することとし、参考人の人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は、明十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時六分散会