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1964-03-04 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月四日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       大泉 寛三君    大久保武雄君       奧野 誠亮君    押谷 富三君       金子 一平君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       藤枝 泉介君    渡辺美智雄君       岡  良一君    佐藤觀次郎君       野原  覺君    日野 吉夫君       平林  剛君    松平 忠久君       横山 利秋君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         国税庁長官   木村 秀弘君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中島 晴雄君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      半田  剛君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月四日  委員卜部政巳辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として卜  部政巳君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第九八号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  九五号)  揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。野原覺君。
  3. 野原覺

    野原(覺)委員 まず政務次官お尋ねしたいと思いますが、御承知のように大蔵大臣予算委員会等がございまして、大蔵委員会に対する出席がきわめて少ないのでありまして、国務大臣に対する質疑ができないことを私どもは遺憾に思うのであります。したがって、この委員会における政務次官答弁は、国務大臣である大蔵大臣答弁である、このように理解しない限り、私ども審議を続けるわけにはいかないのであります。単なる一政務次官答弁であっては困るのであります。その辺のあなたの心がまえはどうなっておるか、これをお聞きしたい。
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 御承知のように大蔵大臣予算委員会のほうにどうしても出席されなければなりませんので、私は女房役といたしましてこの席を汚しておるわけでございますが、もとより不敏の身でございますから、御質問に対しましては女房役としての責任を果たす意味においての御答弁を申し上げたいと思います。
  5. 野原覺

    野原(覺)委員 私はあなたの答弁国務大臣答弁である、こう理解をしたい。そうでなければ事実国会における審議ができない。国会における質疑国務大臣に対するもの、そう理解してよろしいか。一政務次官纐纈彌三の答弁ではない。国務大臣である政府の責任ある内閣国務大臣としての答弁だと理解しない限り審議をするわけにはいかない。いかがですか。
  6. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 そのつもりで努力をいたします。
  7. 野原覺

    野原(覺)委員 そういう覚悟で、きょうはひとつ二、三質問をしたいと思うのであります。  まず私は国税庁に対して、昨年の六月にわが党の横山君が、労音等に対する入場税質疑を行なったようでございまして、私もしさいにその速記録を読ましていただいたのでありますが、この問題に対する質疑が一点。第二点はこれは主税局担当になるかと思いますが、教育文化に対する法人税所得税がどうなっておるのか、どうあるべきであるのか、この問題を第二にお尋ねをしたいと思うのです。第三は銀行局でございますが、最近新聞紙上をにぎわしておるところの生命保険料率引き下げの問題、この三点についてきょうはお伺いをしたいと思うのであります。  そこで、まず第一の入場税の問題でございますが、国税庁は最近——最近と言いましても昨年の暮れの十二月九日でございますが、労音等に対する入場税課税方式について、新しい通達を、それぞれ所管の税務署に出されておるのでありますが、その通達を御発表願いたい。同時にその通達を出された趣旨はどこにあるのか、その御説明もお願いしたいと思うのでございます。
  8. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御質問の、昨年十二月九日に出しました通達を、簡単でございますので読んでみます。「労音等勤労者音楽協議会勤労者演劇協議会およびこれらに類似する団体をいう。以下同じ。)に対する入場税課税方式については、入場税法基本通達第十三条(会員組織による団体催物を行なう場合)の規定によるいわゆる会員課税方式に該当する事例を除き、昭和三十九年一月から開催する催物について、会員から領収する催物に対応した会費等全額課税標準とするいわゆる通常課税方式によることとしたから、実施上遺憾のないようにされたい。」こういう通達でございます。その趣旨は御承知のように、入場税法におきましては、入場税課税標準は同法の第四条で、「入場税は、入場料金課税標準とし、」云々とございまして、入場料金課税標準とする。そして入場料金の定義が、第二条の三項に規定をいたされておりまして、「この法律において「入場料金」とは、興行場等経営者又は主催者が、いずれの名義でするかを問わず、興行場等入場者から領収すべきその入場の対価をいい、」こういうことに相なっております。したがって、法律で明定されております課税標準、すなわち入場料金課税標準とするのですということを、はっきりいたしたわけでございます。
  9. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、この新しい通達の中身というのは、従来と内容の上において変更があったのですか、なかったのですか。
  10. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 従来はこの労音会費、われわれはいわゆる入場料金と考えておりますが、労音会費と、その会費に対応すべき各催しものとの関係がはっきりしなかった、そういうことから、いわゆる会員課税方式と申しますか、通達十三条に書いてございますそういう方式でもって課税をせざるを得なかった。ところが、御承知のように昭和三十七年の四月から入場税申告納税制度法律改正をされまして、それから労音では入場税を納付しなくなった事情がございまして、税務署としてはいろいろ調査をいたしました結果、必ずしも労音会費と各催しものの間の関係ははっきりしていないことはない、これは非常に明確であるという結論に達しましたので、これは原則に戻して入場料金課税標準といたしたわけでございます。
  11. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、従来は入場税の問題は、地方税が国税に移管されたのは昭和二十九年です。それから労音等入場税の問題がやかましくなってきておるわけでございます。そういたしますと、基本通達の十三条というのが今度の新通達によって変更されたのだ、こう受け取っていいわけですか。
  12. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 基本通達には何らの変更もございません。今度の通達は、基本通達の第十三条にいう会員課税方式適用範囲と申しますか、どういう場合にこの会員課税方式適用されるのだ、どういう場合にはされないのだという、適用限界を明確にいたしたわけでございます。
  13. 野原覺

    野原(覺)委員 その適用限界というのは、基本通達では明快でございませんでしたか。私の理解するところでは、その適用限界は、たとえば会員課税方式、それから全額課税方式、このことは基本通達でぼくははっきりしておったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 基本通達の十三条にいう、いわゆる会員課税方式適用は、「会員組織による団体が、その会員催物を見せ、または聞かせるため、その負担金として、催物開催区分ごとに対応した会費等によらず、継続的に会費等を領収している場合には、当分の間、次により取り扱う」こういうことになっておりまして、各催しものと、それからその会費との間の関係、これがはっきりしない場合にはこれを適用するのだ、こういうふうになっております。それで、先ほど申し上げましたように、労音会費催しものとの間に一体明確な関係があるかないかという実体的な問題がそこに入ってまいります。そこで、先ほど申し上げましたように、われわれのほうの調査の結果、労音会費開催区分ごと催しものとの間の関係が明確になりましたので、この点を原則に戻して、この十三条の規定適用はそういう場合にはないのだということをはっきりいたしたのでございます。
  15. 野原覺

    野原(覺)委員 あなたの御説明によれば、会員課税方式であったのが、今度は全額課税方式に新通達で切りかわるということですね。そういたしますと、会員課税方式というのは、もうこれで労音等に対してはその適用が完全に消滅をする、こういうことになるわけでございますか。それはいかがですか。
  16. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは何も労音だけではございませんので、会員組織による団体会費を徴収しておる、一方において催しものを開催しておる、しかしその区分ごとの、各催しごと料金との結びつきがはっきりしないという場合には、依然として基本通達も生きておりますし、これは労音であろうとなかろうと、そういう場合には会員課税方式をとらざるを得ない、こういうことでございます。
  17. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、各区分ごとに対応した、その催しものに対応した会費等をとった場合には、これは当然全額課税方式でいくのだ。そうでなしに、毎月定額会費をかけさせる、たとえば労音等が、あるいは労音でなくてもけっこうですが、たとえば県人会にいたしましても、毎月一回の掛け金をとっては多額にわたるから、定額に、たとえば二百円なり三百円の金を出させる、いわゆる会員会費組織会費積み立てのいき方でいけば、これは当然私は会員課税方式をとらざるを得ないのではないかと思うが、この点がいかがですか。
  18. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 毎月一定会費を積み立てる、あるいは臨時の会費を徴収する、そういう方式でございましても、催しものが計画的に行なわれておって、たとえば毎月定例で一回行なう、あるいは一定期間をとってみて、そこで一年間に、たとえば十回なら十回行なわれる、その間毎月、十二カ月間定額会費が支払われるというような場合には、これは会費全額回数で割れば、当然そこに一回の催しものに対する入場料金というものは出てまいります。そういう場合には明らかに、これはやはり法の原則どおり全額課税料金課税方式をとらざるを得ないと思います。
  19. 野原覺

    野原(覺)委員 基本通達が出されてから十カ月たっていないのに、今度新しい通達を追っかけて出さなければならぬというその理由があれば御説明願いたいのです。それは九カ月以前にはその点についての見通しがなかったのだ、国税庁はぼやっとしておったのだ、そういうことであれば別でありますけれども、どういう理由で、基本通達ができて九カ月もたたぬのに、今度は新通達を出さなければならなかったのか、特段理由を御説明願いたい。
  20. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 特段通達を十二月に出しました理由は、従来ややもすれば、労音の側におきましては、会員課税方式というものが当然労音には適用されるものだという誤解がありましたのと、それからもう一つは、各地に労音がございますから、そういう労音内容によっては、催しものと料金との関係が必ずしもはっきりしないものがあるのじゃないかというような疑念があった。ところが先ほど申し上げましたように、相当長期間かかって調査をいたしました結果は、そういう疑念がなくなりました。したがってこれを明確にいたしたわけでございます。
  21. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、対象はあくまでも、あなたのほうといま裁判で争っている労音等の実態、そういうところに理由があるのだ、こういうわけでございますか。
  22. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは御承知かと思いますが、民音音協というような類似の人格なき社団が行なっている音楽鑑賞会がございます。そういう団体入場税法原則どおり課税標準入場料金によって納付いたしておるわけでございます。そういうところと比べて、私もそういういまのような質問書と申しますか、抗議書をもらっておりますけれども、従来労音納税義務がないのだという主張のもとに、申告もせず、また納税もいたしておりません。調査に行った税務官吏に対しては、調査の妨害、いやがらせ等を行なっております。そういう団体に対して、いまの民音音協等の、善良なる協力的な団体に対するよりも違った取り扱いをするということは、われわれとしてとうてい黙視できませんので、そういう意味で、従来ややもすれば、まちまちであったところを統一いたしまして、明確にしたわけでございます。
  23. 野原覺

    野原(覺)委員 音協というのは、これは水野成夫氏が旗振りでやっておる、いわゆる日経連か経団連の、労音に対抗するところのものではないかと新聞で騒いでおったあれだろうと思うのです。民音というのは、これは創価学会でございますか、はっきりいたしませんが、そういうところが組織しておるところの音楽団体ではないかと私は理解をいたしておりますが、そのことは別といたしまして、民音なり音協がその入場税に対してこういう方式をとっておるから、その方式をとっておる限り、こちらのほうもならわなければならぬからということでありますと、私はこれは本質をさかさまにしたものの考え方ではないかと思うのです。民音音協がどうしようとも、今日で労音は、なるほどそれは申告していないかもわからない、あるいは最近入場税を納めることははかばかしくいっていないところがあるかもわからない。訴訟で国税庁を相手にして争っている。これは私もよく理解しております。しかしながら、これは争いがあるから裁判で争っている。税金については、私どもは最終的な判決をやはり裁判所に求めなければならぬ、合法的な手続上のことなんです。そういうことがあるからといって、基本通達の十三条が新通達に持っていかれる。民音音協がどうだから、それに合わせなければならぬからといって、いまから九カ月前にできた基本通達を今度は変更して、会員課税方式から全額課税方式ということになりますと、これは増税なんです。こういう方向をとることはいかがなものか、実は私は非常な疑問を持っているのです。一体通達税金が上がったり下がったりというばかなことがありますか。これは国税庁長官にお聞きいたしますが、私ども税金というのは法律できまるのじゃございませんか。あなたの出される通達税金が重くなる、あるいは安くなる、これは法律違反じゃありませんか、憲法違反じゃありませんか。通達税金が重くなるということをあなたはお認めになりますか。税金を重くしようと思うならば国会の意見を聞きなさい、国会審議にまちなさい。この点に対するあなたのお考えを一度聞いておきたい。
  24. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 われわれはもちろん通達によって仕事をするのではなくて、法律によって仕事をいたしております。ただ通達法律解釈として、とうてい法律だけでは動かないというような面の補充をいたし、解釈をいたすという面、あるいは執行の面において全国の統一が乱れて、そのために地域的あるいは署的に課税の不公平を来たさないように、執行面の注意、そういうものを通達で出しておるのでございます。ただ、いまの入場税の問題につきましては、音協なり民音がそういう方式でやっているから、労音も右へならえしなくちゃならぬのだということではございません。これは課税の公平が一体これで保たれるだろうかという例証として申し上げただけでありまして、問題はもっぱらこの入場税課税標準、これが入場料金課税標準とするのだときめてございますので、この原則実施するというだけでございます。ただ御承知のように、一人一回の入場料金と申しましても、先ほどお話に出ました会員組織によってやっている団体等で、必ずしも一人一回の入場料金幾らというふうに明確に出ない場合もございます。そういう場合には、それじゃ入場税課税しないかということになると、これは法律趣旨ではございませんので、そういう場合には入場料金をどういうふうに算出するのかということについて、全国的に統一的な解釈を出しておるわけでございます。それはこの催しものに要した総経費会場定員数で除して、それによって得たところのものを一回の入場料金とするのだ。これは解釈でございます。それ以外に合理的な方法を求めようと思ってもなかなかないと思います。したがって、原則はあくまでも入場料金総額をもって課税標準とするのであって、それがどうしても出ない場合には、こういう事情によって出ない場合にはこういうことで算定をしなさい、こういう趣旨のものでございます。  それから一回の通達によって向くなる、低くなるというお話でございますが、この通達の第十三条は必ずしも入場料金を低くするという趣旨のものではございません。これはかりに申しますと、経費が非常に高くついた、その催しものに要した経費が非常に高くついた結果として、会費ではまかなえないような、いわゆる赤字催しものになったというような場合には、むしろこの会員課税方式でやると入場料金が高くなるという場合もございます。したがってこの通達は、別に高くする安くするという趣旨のものではございません。
  25. 野原覺

    野原(覺)委員 会員課税方式全額課税方式は、これはどう考えても全額課税方式のほうが高いのじゃないですか。この点はそれでも会員課税方式が高くなることがあるのだというあなたの御答弁ですけれども全額課税するという、催しものの対応する区分ごとに出した金ではなくて、たとえば映画なら映画をやった開催経費を削除した残りを定員で割って一人前の料金を出してやるという、この会員課税方式が、私は税金においては安いように思うのだが、これはいかがですか。
  26. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 いままで申し上げましたように、入場料金をもって課税標準とするという場合と、それからいまの経費総額会場定員で割ったものをもって一人当たり入場料金とするという場合では、先ほど申し上げましたように通常方式が高くなる場合もあり、また会員課税方式のほうが経費が高くついて、いわゆる赤字催しものになったというような場合におきましては、会員課税方式のほうが高くなる。したがってこの基本通達の十三条にいっております会員課税方式というのは、そういう会員方式による団体に対して特に課税標準を低めるとか、恩恵を支えるとかいうような趣旨ではございませんで、一回一人当たり入場料金算出が困難な場合の算出のしかたを言うております。
  27. 野原覺

    野原(覺)委員 具体的な例をあげてお尋ねしたいと思うのです。毎月三百円の会費を取っておるところの団体人格なき社団、十二カ月では三千六百円の会費になるわけですね。これが一つと、もう一つ団体は毎月会費原則として二百円取っておる。十二カ月では二千四百円になる。これではまかなっていけないからというので、年に四回三百円の追加会費を取ります。追加会費が千二百円でございますから合計で三千六百円です。この場合に対する税金はどういうことになりますか、同額ですか、この場合はいかがですか。
  28. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 この場合には年間に何回の催しものが行なわれるかということによって違うと思います。
  29. 野原覺

    野原(覺)委員 この点が税の公平の原則から見て私はおかしいと思うのです。私が最初あげたAの場合は、毎月三百円ずつ取って十二カ月では三千六百円だ。そこでこの三千六百円が課税全額かというとそうではない。会員課税方式によればこの開催経費というのは落とせることになっておるでしょう。開催経費は六割だ、かりにこういたします。そうすると、三千六百円の六制は二千百六十円というのが会員課税方式によれば課税金額になるのです。開催経費を落とすわけだから二千百六十円になる。ところが片一方の場合は、年間会費合計は同じ三千六百円会費を出しておきながら、どういうことになるかといえば、結局催しものに対応するところのものには全額課税方式でいくのだということになりますと、あとからの場合、つまり年に四回三百円の追加をしたこの事例の場合は、税金が重くなる。その重くなり方は計算いたしますと、一・六六倍くらいに、私がかりに六〇%とすればなるのではないか、こう思われます。ということは、つまり三千六百円が課税金額になるのだ、あなたのほうの解釈でいけばね。そうでなかったら、私しろうとですから教えてください。六〇%の経費を落として二千百六十円だ。ところが年に四回三百円の追加会費を出したような場合には課税金額幾らになるのですか、この点ひとつ御説明願いたい。
  30. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 会員課税方式について多少誤解があると思います。いまの設例の場合でございますと、第一の場合も第二の場合も、かりに十回催しものが開催されるといたしますならば、それを十で割ったものが一回の入場料金になるわけでございます。会員課税方式と申しますのは全然別でございまして、経費を落とすというのではなくて、たとえば催しものを行ないます場合に、芸能人に対するギャラであるとかあるいは会場の借料であるとかあるいは広告宣伝費であるとか人件費であるとか、そういう経費を全部集計いたしまして、そしてその会場定員の数で割って、それで一人当たり入場料金としておるのでございます。
  31. 野原覺

    野原(覺)委員 それでは第二の場合に税金が違うという理由をひとつ説明してください。あなたさっき違うと言った。同じ三千六百円の会費だけれどもこれは違うんだ、こうあなたは言ったが、どうして違うのですか。
  32. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは私が違うと申し上げましたのは、催しものの開催回数によって違うと申し上げたのでございまして、たとえば第一の場合も第二の場合もかりに催しものの回数が年十回であったといたしますならば、これは同じでございます。第一の場合に十回であり第二の場合には六回であったという場合には、第二の場合は六分の一でございますから入場料金はそれだけ高くなります。
  33. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、第二の事例の場合には催しものの回数が同じであった場合には税金には関係がない、こう理解してよろしいですね。
  34. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 そのとおりでございます。
  35. 野原覺

    野原(覺)委員 それではお尋ねをしたいと思いますが、あなたの新通達を見てみますと、この新通達実施については遺憾のないようにされたい、こう最後に書いてあります。これは具体的にはどういうことですか。これはいろいろ解釈されるわけですが、御説明願いたい。
  36. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 「実施上遺憾のないようにされたい。」ということは、そのとおりのことでございまして、実施上間違いがないように、会員課税方式適用する場合はこういう場合でありますよ、それ以外の場合には法の原則どおり課税標準ははっきりしておるのだから、間違いのないように、遺憾のないようにされたい、こういう意味でございます。
  37. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、この新通達というものはその内容を十分に間違いのないように関係団体理解させるということでなければならぬと思いますが、よろしゅうございますね。そうでしょう。——そういたしますと、あなたの所属下にある税務署が、この新通達関係団体に発送する場合には、電話でこれを行なう、これは遺憾のある措置ですか、遺憾のない措置ですか。
  38. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、各地によって多少のニュァンスの違いはございますが、労音は大同小異、従来から税務署調査に対してははなはだ非協力でございます。調査の妨害、あるいは労音の事務所へ行って帳簿を見せてもらいたい、あるいは質問をしても、それには答えない。入場税法なんてそんなものは知らないとか、あるいはわれわれは納税の義務はないのだというようなことで、非常に非協力でございます。したがって私たちはまず十二月九日に通達を出しまして、約一カ月間、この間に、やはり相手は非協力とはいえ少なくとも納税をしてもらう立場からいえば相手の団体に周知をさせる必要がございます。したがって約一カ月間、口頭あるいは書面でもって相手方に十分周知徹底をさせてもらいたいということは、会議の際にも十分申し伝えてございます。
  39. 野原覺

    野原(覺)委員 相手がどのような団体であれ、国の機関である税務署国税庁は相手がこうだから遺憾のある措置をとっていいということは私はないと思います。それであれば、国の官庁としてたいへんなことだと思う。相手が今日税金上の争いをしているのは、やはり相手に主張があるからなんです。その争いは暴力ではなしに、いま裁判でやっておるじゃありませんか。あなたのほうは受けて立っておるじゃありませんか。だからいずれは裁判が解決をしてくれることになっている。そういう関係にあるからといって、いいかげんな通達であってよいとは思いません。  それではお尋ねしますが、全国の労音、労映もあれば労演もあります、こういった関係団体にあなたのほうは漏れなく十二月九日にあなたが出された新通達を相手に通告しているかどうか、いかがですか。これは御調査になりましたか。
  40. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私が先ほど調査の妨害なり拒否と申し上げましたのは、成規の合法的な手続きによる、すなわち異議の申し立てであるとか、審査の請求であるとか、あるいは訴訟であるとか、そういう合法的な手段、手続による救済措置を申したのではございません。これはもちろん納税者として不服のある場合には、そういう法律的な手段に訴えるということは当然のことでございます。  誤解のないように申し上げておきますが、私が税務非協力と申し上げたのは、調査に行った場合に何十人となく周囲を取り囲んで調査をさせない、あるいはライトをその税務署の職員に当てて、マイクでもってこれが税務職員だというような放送をするとか、あるいは中にひどいのになりますと、ばり雑言を浴びせたり、お前の頭をたたき割って中身を調べてやるぞというようなことを言ったり、そういう非常に常軌を逸したようなことを調査の妨害と申し上げたのでございます。  それから、周知徹底方につきましては、私は先ほど申し上げましたように、相手の団体に対して口頭または書面でもって十分周知徹底させなさい——これは約一カ月間ございます。納税の期限までには二カ月間ございます。したがって、その期間に十分周知徹底させなさいということを指示いたしておるのでございまして、個別的に各税務署ごとに調べてはおりませんが、私の指示は徹底をしておるものと信じております。
  41. 野原覺

    野原(覺)委員 あなたの公文書には口頭または書面をもってということは書いてございませんね。実施上遺徳のないようにされたいとしか書いてない。ところがあなたに所属をする税務署では、電話で、あるいは口頭で、あるいは玄関先でやった事実があるものでございますから、あなたは口頭または書面をもってと訂正したのでしょう。そういういいかげんなことは困りますよ。口頭または書面でもってやれというのは、なぜ新通達の中に書かない。あなたが全国の税務署あるいは各地方の国税局長にそういう口頭または書面でもってという指示をしたわけですか。実施上遺憾ないようにされたいとしか書いてないじゃないですか。だから私は聞いておる、いかがですか。
  42. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私はそういうことを通達の中に書いてあるとは先ほど申し上げませんでした。それは会議の際に徹底させてあるということを申し上げておるのでございます。間税部長会議、消費税課長会議、そういうものを庁として随時やっております。その会議の席上で口頭または書面によって周知させなさいということを指示しておるのでございます。
  43. 野原覺

    野原(覺)委員 政務次官お尋ねしますが、新しい通達というのは課税方式変更なんです。課税方式変更させるということになりますと、関係団体としては、争っていようが争っていまいが、私は実に重要なことだと思うのです。そういうことの周知徹底を口頭でやってもよろしゅうございますか。口頭でやるということで十分でしょうか。私はこれこそ文書をもって誤解のないようにやるべきではないかと思う。政務次官どう考えますか。文書と口頭とどちらが周知徹底をいたしますかね。いかかがですか。
  44. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 周知徹底をせしめる方法はいろいろございますが、もちろん書面をもって、内容証明でもやれば最も確実だろうと思いますが、また場合によりましては口頭によってあるいは電話によって知らせるということは、周知徹底の一つの手段になると思うのであります。原則的に申しますれば、やはり通達というようなものは、それぞれその関係のところへは差し出すのが普通だろうと思いますけれども、必ずしも口頭でやったからいけないとか、あるいは電話でやるのはいけないということはない。これはやはり周知徹底の一つの方法である、こう考えております。
  45. 野原覺

    野原(覺)委員 これは纐纈さん、いいかげんなことを答弁されては困りますよ。課税方式変更という重要なことを各団体に徹底させるのに、電話でよいとは一体何ごとですか。あなたはそれで失礼ですが大蔵の政務次官がつとまりますか。こういうものを電話で——電話は相手の姿が見えやしない。だれが聞いているかわからないでしょう、相手がだれであるか。しかも今度の基本通達十三条が新通達変更されたのだ。その課税方式変更を電話でよいのですか。それでいいということになれば、相手はこれはおれは知らないと言ったら一体どうなるのですか。少なくとも公文書で発番号も正確に打って、そうして相手に的確に届くようにすべきじゃないのですか。この点は電話でよいのですか。ほんとうによければよいで、私はこれは後日問題にいたします。この種の税金上の重要な方式変更大蔵政務次官が電話でよいのだ。あなたもう一ぺんそれに答えなさい。私は何も追及しませんよ。これは記録にとどめておきますから、もう一ぺんいかがですか。
  46. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私は先ほどの答弁で電話も一つのPRの方法だ、こういうことを申しましたので、必ずしも電話だけでいいという意味ではございません。なお電話等におきましても、やはりそれを知らせた責任者はだれかということの注意はおそらくやって、そうして徹底をやったのだろう、こういうふうに私は考えておりますので、そういう意味におきまして、私は電話も一つのPRの方法であろうということを申し上げた次第でございます。
  47. 野原覺

    野原(覺)委員 どんな方法があるかというばかな質問はしていない。周知徹底というのには文書でなければならぬじゃないか。遺憾のないように措置されたいと書いておきながら、口頭でよいとは一体何ごとだということを私は追及しておる。しかしこの問題は、課税方式変更その他通達を徹底させるのには電話でもよいそうでありますから、国税庁長官、電話でよいそうだから、これは私はずっとこれから問題にしていきます。だからこの質問のあとでもこれはまた出てきます。  それで長官にお聞きしますが、この通達はいつから実施ですか。
  48. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 電話でよいかどうかという第一の問題につきましては、御承知のように所得税法相続税法その他各税法におきまして、こういう解釈通達を出しました場合に、これを一々納税者の方々に文書でもって通知するということは不可能でございます。たまたまいまの労音のような場合は数が比較的限られておるという違いはございましょう。しかしながら、これは秘通達ではございませんで公開通達でございます。そういう意味ではやはり文書でもって、公開の通達でもって出して、そして各局の責任者に対して相手方に口頭または文書でもって周知徹底をさせなさい、それによって準備期間を設けた趣旨はここにあるのだということを徹底させておりますので、私は場合によっては電話または口頭によってやるということはやむを得ないこと、だと思います。  それから第二の実施時期でございますが、これはことしの一月一日からということにいたしております。
  49. 野原覺

    野原(覺)委員 ことしの一月一日からの実施を舞鶴税務署は十二月二十七日に発送しておりますが、十二月二十七日といえばもうほとんど年末の休みです。一月一日からの実施が間に合わない。この辺どう考えますか。
  50. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 一月から実施時期と申しますのは、一月から開催する分についてこうするのだということでございます。したがって私は、舞鶴の例は調べてみないとはたしてそのとおりかどうか存じませんが、しかし十二月中に趣旨が徹底すれば一月以降に開催する分については、その準備は十分できると思います。
  51. 野原覺

    野原(覺)委員 この趣旨の徹底ということですが、入場券についてはどういうことになるわけですか。各税務署によって、入場券の交付省略はなくなると書いた税務署もあれば、入場券の交付については触れていないところもあるわけなんです。あなたの趣旨からいけば、入場券の交付省略はなくなるのだ、こう理解しなければならぬようにも私は思われる。全額課税方式ですから、入場券というのは新通達からいって一体どうなるのですか。
  52. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 当然法のたてまえからいえば、入場券に対しては検印をいたさなければなりません。しかしながら先ほど申し上げましたように、相手が非常に非協力な団体でございまして、入場券を持ってきておりません。
  53. 野原覺

    野原(覺)委員 相手が非協力な団体であろうとあるまいと、あなたは新しい通達の中身を的確に団体に周知徹底させなければならぬのだ。しかもこれは不特定の団体じゃない。今度の通達の題目を見ると、「労音等に」と出ておるじゃありませんか。特定の団体なんです、今度の対象は。それに対して電話でもよいのだ、こういうようなでたらめな周知徹底——そしてあなたの出した新通達は「遺憾のないようにされたい。」ときれいに書いておって、税務署のほうではある一係長が電話に出て、おい通達が変わったぞ、これですよ。これで周知徹底ですか。私はこれを申し上げましょうか。東京労音だ。東京労音には一係長から電話がきた。あなたはどなたですかと言ったら、おれはこういう係長だ、通達が変わったぞ。その程度ならばなぜ一体電話をするのです。その程度ならばどう変わったのかも何にも周知徹底させてない。政務次官、私は口頭必ずしも悪いとは言いませんよ。ほんとうに責任者が出向いていって、証明書を見せて、おれはこういう者だ、団体の責任者はおりますか、こういうふうに変わったから。これなら口頭でも意味がありましょう。責任者同士が会ったらね。電話で、おい新通達が出たからこれを言っておく。どう変わったんですか、と言ったら、それには答えないで、そうして全国の労音の本部はどこなんだと聞くものだから教えてやった。労映も労演も教えてくれと言うから教えてやったら、電話が向こうに通じなかったらしい。おいお前のところから新しい通達が出たということを言うておけよ、これっきりです。東京労音に対する遺憾のない措置がそういう形でなされておる。あなたはそれでもいいですか。
  54. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 東京労音に対して東京国税局のだれがどういう方法でやったか、そこまで私は調べておりません。しかし事実はあとで調べたいと思います。ただこれはあまりにも一方的な意見ばかりをお聞きになられても困るのでございまして、御承知かどうかわかりませんが、東京労音の事務局のとびらには、税務署員入室お断わりということが麗々しく張ってあるようでございます。したがってそういう場合に電話でもって意思を通ずるということもまたやむを得ないことかと存じます。
  55. 野原覺

    野原(覺)委員 入室お断わりであれば、私ならば内容証明の文書で出しますよ。遺憾のない措置といったらそうすべきです。私はこの大蔵委員会に初めて入って、国税庁のこういった実に官僚的と申しますか、親切さのなさに実は驚いておるわけです。いまあなたの答弁を開いても私はあ然としておるんだ。高知税務署の場合はどうしてですか、三十九年の一月一日実施をこれはいつ出したということになっておりますか。あなたのほうは遺憾のない措置を指示しておるのだから報告をとっておるでしょう。高知税務署はいつ各関係団体に文書を発送しておりますか、御報告願いたい。
  56. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 全国五百四の税務署でもって、いかなる方法で、いつ、だれが相手方に周知をさせたかという報告はとっておりません。私は私の傘下の機関が私の指示に従って手抜かりなく相手方に周知をさせたものと信頼をいたしております。また、たまたまいま高知労音の話が出ましたけれども、高知労音も従来非常に目に余る事実が行なわれておりまして、たとえば先ほど申し上げましたように、お前の頭を三つに割って中を調べてやろうというようなことを、調査に行った税務署員に対して大ぜい取り囲みながら言っておるのでございます。
  57. 野原覺

    野原(覺)委員 こういう点はあなたも一方的に聞いちゃいけません。だから私は他日大蔵委員会で、この労音の問題は関係者を招致して徹底的にやはり審議する必要があると思う。高知労音へ出したのはたしか一月の七日です。三十九年の一月一日から実施してもらいたいというのが一月一日を過ぎて文書を発送しておる。政務次官、これは驚くべきことじゃないですか。こんな人をばかにした文書の出し方がございますか。これも私の一方的な調査というならばいけないと思いましたから報告を求めたんだけれども、各税務署に遺憾のない措置をされたいと通知しておきながら、国税庁は国税局から報告もとらない、こういう態度で一体いいのかと私は非常に疑問に思うのです。それから大阪の場合、これは大阪の北税務署通達を文書で出しております。これは十二月二十日に出しておる一月一日から入場券の交付省略はなくなるのだ、交付省略は一月から開催される催しものについては適用しないから、入場券に対して検印を行ない、料金の表示を命ずる、文書でこれは出ております。ところが十二月二十二日にこの文書を受け取って、一月の正月休みに労音催しものをやるという場合に、入場券の検印をとる、その他の準備はとてもできやしないんですよ。だから三十八年の十二月九日に出した新通達というもうは表向きのきれいごとだけなんです。おれのところはこれをやったんだから、おれのところはもうやるべきことはやったんだ、こういう形式的なことで入場税の問題を処理しようというその魂胆が私ははなはだもって気に食わないんです。私はこれはいかがなものかと実は考えておる。国税庁長官がことしの正月に年頭所感を出しておりますね。これは国税庁長官が書いた文章でしょうね。長官、これはよくご存じですか。あなたの出された年頭所感によりますと、「この制度」とは申告納税制度をさしますが、「この制度が真の効果をあげるためには、税務署納税者が納得のいくまで話し合え。」こう書いてある。「助け合って両方の間のわだかまりを取り払うことが必要であると考えます。」実に民主的なりっぱな国庁税長官と国民は思いますね、この文章から。私は、この精神でなぜ新通達をやらぬのかと聞いておるのですよ。だから私はこれを引用して読み上げておる。  その次にずっと文章が続きますが、途中省略いたしまして、「このことは、単に応接の態度のやわらかさというような表面的なことではなく、納税者の身になって納税者の言い分をよく聞き、よく理解し、たとえば、税法上の特典など納税者の有利なことは進んで説明するというように、税務職員と納税者の間に、自然なあたたかい感情が流れるような雰囲気をつくることであると思います。」最後に、「納税者に信頼される明るい税務署にするように」と、こうあなたは年頭所感で、全国の税務職員に訓辞を出しておりますが、これは私のつくった文章じゃないと言われるのか。覚えございませんか。この文章から、今度の新通達に対するこのような態度はどう理解したらよいのですか。御所感を承りたい。
  58. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまお読み上げになりました年頭所感は、私の心情をそのまま表現したものでございます。なお年頭所感だけでなく、国税庁のいわゆる基本方針にも、そのことは第一にうたっておるのでございます。  ただ問題は、先ほど申し上げましたように、最初からもう申告する気持ちもない、納税する気持ちもない。税務署調査に行っても、そんなものは門前払いだというような人に対しては、これは話し合いをしようにも話し合う方法がないじゃございませんか。私はそういう点では、やはりあくまでも申告納税の本旨にのっとって、ほんとうに納税の義務感というものを持って、われわれに接してくださる納税者の方に対しては、常に、ただいまお読み上げになったような心がまえでなくてはならぬと存じております。
  59. 野原覺

    野原(覺)委員 そういたしますと、この年頭所感というのは、その相手方次第だ、そうですか。相手が話し合いに応じてこなければ、この年頭所感はもうどうでもよいのであって、相手がとにかくはいはいといってあなたの言うとおりになるようなものにだけ、こういう話し合い、助け合い、そしてあたたかい雰囲気をつくる、これで臨むんだ。だれが税務署に好感を持っておりますか。今日みな税務署が来たら歓迎しはしません。税金取られるのはいやです。今日中小企業にとっては、税務署は鬼よりこわい。そういうようなことだから、こういう心がけで税務署は臨まなければならぬとしておるのじゃありませんか。相手が訴訟をやっておる。相手があなたの言うことを聞かない。だからそういうものには新通達がどうあろうとも、これはいいんだということであってはならぬと私は思う。このことはあらためてあなたの所見を聞こうとは思いませんけれども、とにかくあなたの心がまえについて反省してもらわなければならぬと思うのです。何となれば、会員課税方式というのは、昭和二十九年以来国税庁がとってきた見解じゃないですか。それが今度は全額課税方式に、中身を確認するとは言いながら、やっぱり変わったんだ。方式が変われば相手がどうあろうともその方式というものは文書でもって、その通達を徹底させるべきではないか。その点がなされていないで、そしてその点を追及すると、そういうものは相手が言うことを聞かないのだから、われわれはどうでもよいんだということでは、私は税務行政のあり方としていかがなものかと思います。  この点は時間がございませんから、またいずれ税法上の問題、その他はいま審議中でもございますので、税務行政のあり方については私は質問を留保いたします。  そこで、銀行局長がお見えでございますから、お尋ねをしたいと思う。  これは、まず政務次官お尋ねをいたしますが、大蔵省は生命保険料金を引き下げるということが、最近どの新聞にも書かれておるわけです。この点について私若干の疑問がございますので、二、三お伺いしたいと思いますが、その引き下げる理由及びいつから引き下げようというお考えであるのか、その辺を責任者である政務次官から承っておきたいと思います。
  60. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 昨日でございますか、いわゆる保険事業の自由化の問題につきまして、保険料を引き下げることが望ましいということは申されておるようでございますが、お尋ねのどういう理由でそういうことを言ったかと申しますれば、最近の保険業界の業績というものは、相当良好な成績をあげておるわけでございまして、さような意味合いからいたしまして、まだ決算もはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても相当収益をあげておるというようなことでございまするので、ある程度引き下げても業態には影響がないのじゃないだろうか、こういうことの見通しからではないかと思います。  なお、これをやるということにつきましては、別に大蔵省がこれを強要するわけにもいきませんし、それぞれ各業者のほうから引き下げの申請があれば、それによりそれを一々検討してこれを引き下げるということを決定することに相なっておるように承知しております。
  61. 野原覺

    野原(覺)委員 引き下げても保険会社の経営に影響がないという政務次官の御答弁ですが、その中身について、どう影響がないのか。今日生命保険会社の中身はどうなっておるのか。保険料の引き下げを主張しても影響がなかろうという見解で大蔵省はその引き下げを勧告しよう、こういうわけのようでございますので、もっと具体的に御説明願いたいと思う。
  62. 中島晴雄

    ○中島説明員 銀行局長がいまおりませんので、私保険担当の財務調査官でございますが、お答え申し上げます。  三十八年度の生保会社の決算につきましては、まだただいま経過中でございますので、これがまとまるのはあと何カ月かかかるかと思いますが、三十七年度の決算によりますと、かなり最近の生命保険会社の事業は好調でございまして、六百億程度の剰余金も出ております。この剰余金の九割三、四分程度のものは、契約者配当準備金として契約者に返されておるわけでございまして——実際それだけ剰余金を処分いたしておるわけではございませんけれども、かなり順調であるということが申せると思います。  そこで、保険料につきましては、御存じかと思いますが、結局国民の死亡率の問題あるいは資産の運用益の問題、あるいは事務費の問題等がございまして、これらをかみ合わせて保険料を構成しておるわけでございますが、その安全率がかなり高くなってまいりました。したがいまして、ある程度保険料率そのものを引き下げても、事業としては健全に経営できるのではないだろうか、かような考えを持っております。ただし、これは先ほど政務次官から申し上げましたように、大蔵省が勧告するとか指示するとかいう問題ではございませんで、私どもは昨秋以来生命保険料を構成しておる各要素につきまして、それぞれ最近の事態に応じた検討をすべきであるということは保険会社のほうに申しておったのでございますが、直接指示ということはいたしておりません。しかしながら、最近保険料を下げようという動きが各社の間にあるようでございまして、そういう情勢が新聞紙上にあらわれておるんだ、かように考えております。
  63. 野原覺

    野原(覺)委員 その会社の経営内容がよいと申しましても、生命保険会社には中小の保険会社もあれば大手五社もあるわけで、これは一がいには言えないと思う。その辺はいかがですか。一律に引き下げるような情勢にございますかどうか、承っておきたい。
  64. 中島晴雄

    ○中島説明員 仰せのように、保険会社の間には格差がございまして、大きいほうの会社は経営にもかなりゆとりがございますが、小さいほうはそれほどでもないというような情勢はございます。しかしながら、保険が多数の契約者の集団の間で構成されております関係上、できるだけ全体に有利なように運営すべきであるという観点から、全体を見まして、ある程度はできるんではないか、かように考えておる次第でございます。
  65. 野原覺

    野原(覺)委員 勧告はしていない、検討を命じておるんだということでありますが、検討を命じておる保険会社は、料率引き下げに消極的なようにも聞いておるのです。しかし、あなたのほうは監督機関でございますから、保険料の引き下げにどうしても応じない、なかなか渋っておるという場合には、これはあなたのほうで強制するわけにもいかぬかと思いますけれども、やはり相当強硬な行政指導をなさいますかどうか、これをお聞きしておきたい。
  66. 中島晴雄

    ○中島説明員 大蔵省のほうから一律に引き下げなさいというふうに、一律の行政指導はいたしません。しかしながら、ある会社が引き下げの申請をいたしまして、これが行政上の基準から申しまして妥当であるということになって認可いたしますと、競争上ほかの会社もある程度は追随せざるを得ないであろうと、かように予想しております。
  67. 野原覺

    野原(覺)委員 生命保険会社の経理内容が潤沢になってきたという理由は、主としてどういう面にございますか。
  68. 中島晴雄

    ○中島説明員 先ほど申し上げましたように、保険料を構成しております要素は、一つは死亡率でございます。これが現在保険会社が採用しております死亡率はいろいろございまして、昭和三十年の国勢調査を基準にした死亡率、あるいは昭和二十五年の死亡率を基準にした死亡表は第九回生命表と申しまして、前者を十回と申しておりますが、非常に最近死亡率が下がっております。この面から、その死亡率を織り込みました生命保険料の上に、若干のゆとりが出ておるわけでございます。  第二は、集まりました保険料を運営いたします運用利益の問題でございますが、これも保険料の中には四分ないし五分程度の利率を見込んでおります。しかしながら、実際には八分以上にこれを回しておりますので、いわゆる利差益というのが出てまいります。  それからもう一つは、事務費の面でございますが、保険が次第に大型になりまして、企業努力も加わりまして、一件当たりの事務費が下がってまいりますと、この面でも利益が出てくるわけでございます。
  69. 野原覺

    野原(覺)委員 昭和二十五年の死亡率から昭和三十年の死亡率は低下しておることは、これは私もよく知っておりますが、最近また昭和三十五年の死亡率が発表されるようにも聞いておる。第十一回の生命表ですね。そうなると、また考えなければならぬ、こういうことになるわけでしょうか。
  70. 中島晴雄

    ○中島説明員 来年あたり、昭和三十五年を基準にした死亡表が発表されるであろうということは一応予想されるのでございます。これはやはり昭和三十年のものよりも若干死亡率は低下しておると思います。しかしながら、昭和二十五年と三十年の間の違いは相当なものでございまして、それほどの低下傾向は示さないのではないだろうかというふうに、これは予想でございますけれども、考えております。
  71. 野原覺

    野原(覺)委員 次に、事業経費の問題ですが、私いろいろお話を聞きますと、生命保険会社の職員の給与待遇は非常に劣悪だと聞いておる。特に外務職員——掛け金を集めて回る、勧誘をして回る、ああいうことについてはどういう御所見を持っておられますか。
  72. 中島晴雄

    ○中島説明員 御承知のように、生命保険事業は多数の外務員が保険を募集しておるわけでございまして、その上に立っておるわけでございます。外務員の給与水準でございますが、これは固定給のほかに比例給が相当なウエートを占めておりまして、六割程度、場合によってはそれ以上が比例給でございます。したがいまして、非常に成績のいい外務員は相当な収入がございますし、パートタイムでやっております人につきましては、必ずしも給与水準として見て、非常に適正であるというところまではいっていないかと思います。
  73. 野原覺

    野原(覺)委員 この点はやはり監督機関である大蔵省としては行政指導をしてもらいたい。事業経費が少ないということは、そういう面にもあるのではないかと思うのです。保険料率を下げるということに私は必ずしも反対いたしませんが、これは保険会社の経営が潤沢であれば、つまり配当を高くしていくという行き方ではなしに、料率を下げるという行き方のほうが保険会社の運営としては堅実である、またそのことが望ましいということも私にはわかりますけれども、しかし、事業経費の面において、従業員の待遇等は非常に気の毒な状態に置かれておりますから、そういう点については十分徹底した行政指導をしてもらわなければならぬかと思うのであります。  そこで、諸外国と比べて、日本の生命保険会社の料率はどういうことになっておりますか、高いですか低いですか。
  74. 中島晴雄

    ○中島説明員 お答え申し上げます。  大局的に申しますと、日本の保険料は諸外国に比べまして低いほうでございます。その理由は、日本の金利が外国に比べて商いものでございますから、したがって運用益が相当出る。これを反映いたしまして日本の保険料は、たとえばアメリカ等に比べましても相当低いところにございます。例を申し上げますと、アメリカの大きい会社、メトロポリタンという会社がございますが、これが三十歳で加入しまして、三十年の保険期間の普通の養老保険に入るといたしますと、保険金百万円につきまして三万四千五百八千円の保険料を年に払うわけです。これに対しまして、日本では二万八千九百円で済むということになります。なお、この上に契約者配当が日本は相当多いわけでございますから、実質の契約者負担は外国に比べましても現在でも低いということが言えると思います。
  75. 野原覺

    野原(覺)委員 次にお聞きしたいことは、保険会社がもうける、つまり剰余金をあげる、その今日日本の生命保険会社であげた剰余金は一体どのように処理されておるのか。六百億ということでございましたが、それはどうなっておるのか、それからどう処理されることが望ましいのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 中島晴雄

    ○中島説明員 三十七年度の決算で六百億程度の剰余金が計上されておるというふうに申し上げました。このうちの九割三分は契約者配当に回されております。あとの六、七%のものが公共施設、特に病院関係への寄付でありますとか、そういうものに出されております。もちろん重役賞与等もその残りの中から払われておるわけでございます。
  77. 野原覺

    野原(覺)委員 これは大蔵大臣がいないのでどうかと思うのですけれども政務次官は、この委員会冒頭に、大蔵大臣を代表してやられるということでございますからお尋ねいたしますが、田中蔵相が三日の閣議後の記者会見でこういうことを話しておる。保険会社の体質改善を促進し、生命保険料の引き下げをはかりたい、こう言ったために、いま各社とも生命保険の募集がストップしておる。募集に行きましたら保険料率は下がるのだからおれのところは下がってから考えるわということで、たいへんなことになっておるのです。だから何らかの手を早く打たなければならぬ。この事態に火をつけたのが田中蔵相なんで、田中蔵相はそういう意味では責任もあるわけでございますが、私が政務次官にお聞きしたいのは、こういう談話をした、外国などと比べて日本の生命保険会社の体質改善を要求しなければならぬ、こう言っておるのですが、これは政務次官どういうことですか。体質改善とは外国の保険会社に比べて日本の生命保険会社の体質がよくないということが前提になっておる、その点があればお教え願いたい。
  78. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お答えします。  昨日、大蔵大臣がそういうことを発表されたように私も伺っておりますが、これは大蔵大臣の個人の御意見じゃないかと思いますし、私もまだ大蔵大臣の真意を伺っておりませんので、はっきりした体質の改善はどこにあるかというようなことについては十分承知はしておりません。
  79. 中島晴雄

    ○中島説明員 ただいま政務次官がお答えになりましたとおりだと思いますが、きのう大臣は生保、損保、損害保険会社のほうも含めて体質改善、自由化ということを言われたようでございます。私どもはっきりまだ大臣に確かめておりませんけれども、そこで必ずしも生命保険会社だけのことをおっしゃったわけじゃないと思います。しかし生命保険会社につきましても、ただいま料率で比較申し上げましたけれども、それ以外に、冷たい風が外から当たるようになれば、経営面でいろいろな刺激が出てくる、そういうことを大臣は言われたのではないかというふうに想像いたしております。
  80. 野原覺

    野原(覺)委員 私はほかにまだ質問がたくさんあるわけですけれども、時間がありませんから、本日の質問としてはこれで終わりたいと思いますが、生命保険会社の問題でただ一点気にかかることは、保険会社の剰余金の処理の中で、社会公共事業に使うということは、私は生命保険趣旨からいってよくわかるし、それから政府の財投の計画の中に繰り入れられるということもよくわかります。ところが、それが社会的、公共的事業以外の営利事業にこの剰余金が処理されておる傾向が最近出ておるのではないか、そういうことはございませんか。そういうことがもしあれば、その点についてはどういうような行政指導を加えておられるか、どういう実情であるか、まずその辺から一つお教え願いたい。
  81. 中島晴雄

    ○中島説明員 六%程度の剰余金のうちどういうとかうに運用しておるか、中に社会、公共施設以外のものに流用しておるのではないかというお尋ねでございます。具体的にいま私ここでそういう例かあるということを申し上げられませんので、なお調べてみたいと思いますが、全体の剰余金処分は大蔵省で認可いたしております。したがいまして、事こまかに大蔵省にどういうところにどういうふうな処分をしたいということが出ておりますから、なお調べまして、仰せのようなものがございましたらこれはやはり問題にしなければいかぬ、かように考えております。
  82. 野原覺

    野原(覺)委員 主税局に対する質問の中で、学校教育、文化財に対する法人税所得税の問題、これは時間がありませんから、委員長に協力いたしまして、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
  83. 山中貞則

    山中委員長 協力されたという判断はむずかしいのでありますが、金曜日の午後に時間がありましたらその問題をやっていただきます。  横山利秋君。
  84. 横山利秋

    横山委員 私が今回、この委員会にかかっております法人税法及び所得税法に関連をいたしまして質問をいたします問題は、いささか特異な問題であります。その意味におきましては同僚諸君にも、私と政府並びに国税庁との質疑応答について、ぜひ正確な御判断をお願いをいたしたい。  まず私のよって立つ立場を申し上げておきますが、私はこの特異な事件の内容を必ずしも糾明しようとするものではありません。しかしながらこの再案に関連をいたして国税庁当局がおとりになりました徴税行政のあり方については、非常な疑問を持っておるのであります。その疑問を追及いたしますために、若干内容に触れることもあるのでありますが、これは私の本旨とするところではないことを御了解を願わなければなりません。  そこで、まず事案の内容につきまして、むしろ私から簡潔に申し上げて、国税庁当局としてその事案の内容に大きな違いがなければそれはそのままでいきたいと思うのであります。  一昨年の十二月に、東京地裁に税務訴訟二件が出されました。これは飯塚会計事務所に関連をいたすものでありますが、飯塚税理士の得意先の中小企業三社についてであります。勝本という博士が担当弁護士であります。内容は、一年間の旅費日当を一円も認めなかったこと、特別賞与の全額経費に認めなかったことの救済を求めたものであります。昨年の二月、東京国税局と関東信越国税局が突如飯塚税理士の非違行為の内偵を開始いたしました。八月に至って関信局から全国的税界新聞三つに公表があり、税理士である飯塚氏が特別賞与と旅費で脱税を指導していると公表されました。九月二十八日、田中勝次郎博士と飯塚税理士は、関信局に、御心配をかけて申しわけなき旨を表明、局側は金子訟務官が、頭を下げただけではだめだから、二年でも三年でもやる、そして解決をしたいとするならば条件があると言って、口頭で両者に説明がされました。十月五日には飯塚税理士は嘆願書を作成して、ある弁護士とある自民党の代議士との協議の結果出されたのであります。十月七日、嘆願書を提出をして、金子訟務官から、これだけではだめだ、不正行為を犯しましたと書き直せと要求されました。十月十一日、金子訟務官から飯塚税理士に、不正行為を犯したと書けと強く要求して、再び最後的解決条件が提示されました。局側の出した解決の条件は、第一に、東京地裁に出してある税務訴訟二件を取り下げること、第二番目に、別段賞与を出したものを全部三カ年さかのぼって修正申告をすること。第三に飯塚の得意先六百社の旅費日当を全部三カ年さかのぼって修正申告をすること。第四に職員の不正行為を認めること、その訂正計画を出すこと。第五に中禅寺温泉事件を取り下げること等の要求が出されました。十月二十八日に関信局安井直税部長から呼び出しがあり、田中博士立ち会いのもとに不正行為を犯したことを認めること。その内容は言う限りでないが、認めないならもうよろしい、特調班を派遣すると言われたこと、十一月十二日、安井直税部長から最後通告があり、不正行為を犯したことを認めなければ特調班を出して得意先を徹底的に洗うぞと通告をされ、飯塚は拒否をしたこと、十一月十四日、最後通告の再確認。飯塚は再び拒否。十一月十八日、栃木県宇都宮市に八十名の調査官が集合、法務省から加藤検事が参加。十一月十九日、大調査開始。二十九社の中小企業に対して一斉に開始され、鹿沼事務所得意先四百社の中小企業は大恐慌におちいる。十一月二十日、栃木新聞に大々的に官側のニュースを発表。二十四日に至って安井直税部長と直接電話、調査中止方を懇請。二十五日、第二次の嘆願書を提出、局側の五条件をのめなかった事由と今後の態度を誓約。また職員の不正行為を探し出すから余裕をくださいと嘆願。二十七日、職員の不正行為の摘発方について昼夜を分かたず活動、飯塚事務所としても実施をしてみた、しかしながらこの間調査の手はゆるまず。十二月十一日、鹿沼税務署長による業務妨害の証拠文書、これはあとで話が出ますが、鹿沼税務署長が飯塚税理士の得意先を職権をもってやめろという行動を開始したことによって飯塚税理士の態度は変わる。同日金子訟務官による鹿沼税務署での記者会見の事実がわかった。十月十二日、朝日外大新聞に飯塚の大口脱税指導との報道があり、社会人としての名誉に致命的な打撃を受ける。十二月十四日、年末の大調査は突然打ち切りとなる。  こういうような、なるべく私の見解なり飯塚税理士の見解を避けるようにして、事実を一応列挙をして同僚諸君にまず事案の内容について御説明をしたわけでありますが、まず国税庁当局に聞きたいのは、大まかな事実としてはこのような事実の列挙に争いはありませんか。
  85. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 経過を日にちを追って詳しくお述べになりましたので、その一々について私確認をすることはちょっとこの場で困難だと思います。大まかに申しまして、その中には事実もあり事実ではないものもあるということを申し上げたいと存じます。  今回の飯塚税理士の関係関与先の調査につきましては大体三つの事柄、その一つは別段賞与であり、その一つは旅費日当でございます。そのもう一つは従業員あるいは役員に対する報酬の水増し、こういうような三点につきまして関与先に間違った指導を行なっておるという疑いを持って調査に着手をいたしたわけでございます。  それでただいまお述べになりましたうちで、どういう点が事実と相違するかということにつきましては、金子訟務官が五つの条件を出して、それをのまなければ永続的にやるんだぞというその五条件の問題、それから新聞発表の問題、それから税務署長が飯塚氏の業務妨害をしたというような問題、こういう点については事実と違う点あるいは誤解のある点があると思います。
  86. 横山利秋

    横山委員 それではまずその調査官の言われる事実の問題について、金子訟務官に関する問題について伺います。  関東信越国税局の金子訟務官は、去年の九日二十八日午前十一時二十分国税庁法律顧問である田中勝次郎博士の前で飯塚税理士に対しまして会見をいたしました。そこで金子訟務官は飯塚税理士に対して、これは飯塚税理士の説明でありますから、ことばはともかくとして、本人の説明によりますと、われわれは日の丸をしょっているのだ、われわれに抵抗するなら二年でも三年でもやる、こう言ったというのがまず前段。それから事実内容としては、第一に税務訴訟を取り下げること。第二番目に企業の成果を従業員に配分する目的の別段賞与は脱税だから、全部三年さかのぼって修正申告をすること。第三、旅費日当を全部の得意先について修正申告をすること。第四に従業員の不正行為を自分で摘発して、その修正計画を出すよう要望したというのでありますが、この四点。先ほど言いました中禅寺温泉事件と取り下げろを含めて五点。これを金子訟務官が田中博士の目の前で飯塚税理士に言ったことは事実でありますか、いかがでありますか。
  87. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは五つの条件として申したというのではございません。昨年の九月二十八日と十月二十八日に訟務官が税理士と会見をいたしておることは事実でございます。そのときに税理士に問い詰めた結果、別段賞与等の不正経理の指導は悪かったということを自認しましたので、それで、それならば同じような案件について修正申告をお出しになっちゃどうですか、それから同じケースの事件が現在東京管内で訴訟になっておることは事実でございます。その訴訟も取り下げられる意図があるかどうか、こういうことを問うたわけでございます。もちろん現在税理士は訴訟代理権がございませんので、これを税理士自身の権限として取り下げるということはできないことは十分存じておりますが、しかしながらこの飯塚税理士が指導をした税務の計算でございますので、それについて検討方を要望したのでございます。それから別段賞与を修正申告をするという点につきましては、これは先ほど申し上げましたように、みずから別段賞与というものが不正経理である、そういう指導は悪いのだということを自認をされておるので、それではこのものについて、関与先については修正申告をお出しになってはどうですかということを申しております。それから旅費日当でございますが、これも飯塚税理士自身が二千円あるいは三千円、まあ御自分は五千円だそうでありますが、そういう常識外の日当を計上しておられるので、この点についてどうだということを追及いたしております。この結果飯塚氏自身が修正申告をされておるわけでございます。それから、職員の不正行為を認めて訂正計画を出せ、こういうことでございますが、これは飯塚税理士自身が昨年の十二月一日付の上申書でこういっておられます。「私の従業員何某から本日やはり不正経理指導の告白を受けました。痛恨に舌をかみつつ上申に及びます。」というふうに述べておられるわけでございます。また訴訟事件につきましても、取り下げろということではなくて、たまたま問題になっておるものを同じ日付けに検討してもらいたいということを申し込みまして、本人も検討するという約束をしたということで、この五条件をのまなければ徹底的にやっつけるのだというようには、私が調査しましたところでは聞いておりません。
  88. 横山利秋

    横山委員 長官も私の質問が本日あることをかまえていろいろと調査をなさったとは思いますが、しかしながら私の調査した限りにおける雰囲気と、あなたのいまの答弁とは、全く違うのであります。ただ事のいきさつを、中間でありますから、少し説明をしておきませんと、ほかの皆さんにもわからないのでありますが、いま長官がおっしゃった、その飯塚税理士が途中において嘆願書を出し、そして一部非違行為でないけれども問題解決のために改めようという立場をとったのに、なぜ今日正面衝突を、国税庁と飯塚税理士事務所とがしておるのかという点であります。これは少なくとも、私も経緯をずっと調べてみましたところ、飯塚税理士は六百社ぐらいの納税者をめんどうを見ておるわけであります。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 しかも今日まで、更正決定を受けて、それに対する異議申請をして一回も否認をされたことのない税理士であります。私は税理士を多く知っておるのでありますが、人それぞれ特徴がある。そう言っては恐縮でありますけれども、今回税理士法の改正にあたって、私もいろいろ議論をしたいと思うのでありますが、税理士には税理士のいろいろな特徴がある。しかし飯塚税理士事務所の事業の内容というものをいろいろ見てみますと、あなたもごらんになったと思うのでございますが、決算事務報告書、巡回監督報告書、これを一々職員が行って納税者のところを回って、そして報告をする。その報告の印刷物がありますが、このくらい科学的に、このくらい徹底的に問題の処理をしておる税理士は他に類例がないのであります。その理論的な立場がある意味では今回のこういうことを招いた一つの原因かとも思うのでありますが、あまりにも理論的な立場、それが今日までの異議申請で一回も却下をされたことがないという点にある。と同時に、しかしどんな税理士といえども国税庁が全力をあげてその問題を追及する、そして八十人の大軍を擁して一税理士事務所に襲いかかる、納税者に襲いかかる、こういうことをすれば、どんな税理士だって、どんな企業だって、社会的信用を失い、これは何とか話をつけなければならぬという気になるのは、けだし、残念ながら、当然のことです。その過程において、いまあなたがおっしゃったように、飯塚税理士事務所としても何とかひとつ話をまとめたい、こういう気持ちになったのであります。しかしながら、あまりにもやり方がひどいということになって、これはやはりそういうなまはんかな妥協をしてはいかぬと思いきわめて、それでは国税庁と一ぺん議論を十分してみるという経緯になったものでありますから、長官のおっしゃる経緯について飯塚が認めたじゃないかということは、今日の時点をもって少し議論をなさいませんと、あなたと私との質疑応答の歯車が合わないのであります。そこで、田中勝次郎博士が、私が証言してもよろしいとおっしゃっておる。この金子訟務官が、あなたの言い分によればえんきょくに言ったということだが、しかしその場面というものはそういう状況でなかったことは御存じのはずであります。えんきょくに言おうが、あるいはわれわれは日の丸をしょっているのだと言おうが、あの雰囲気の中でいまやっている税務訴訟二つを取り下げる意思がないかどうかというような聞き方は、明らかにこれは条件と見なすべきであると私は思いますし、それから、別段賞与とか、脱税だから全部三年さかのぼって修正申告しろとか、全部の得意先について修正申告しろとか、従業員の脱税について自分で調べて出せとか、こういう言い方というものは、私は容易にその場面がほうふつと浮んでくるのであります。しかしながら、その中で私が最も金子訟務官の越権行為だと見られるのは、税務訴訟二つを取り下げろということであります。どんなにえんきょくに言おうが、どんな状況下にあろうが、憲法で保障された国民の裁判を受ける権利を、監督下にある弱い立場の税理士に向かって取り下げろというような要求をする権利は収税官吏にはありません。そうでしょう。こういうようなやり方をこの機会になさるということは、私は金子訟務官の立場というものはきわめて越権行為だと思うのですが、いかがでございますか。
  89. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 国税当局におきまして、飯塚税理士の関与先を調査いたしております趣旨はこうでございます。私たちは、この税理士と正面衝突をして取り組むのだというような気持ちは毛頭ございません。これは誤解があると困りますので、私冒頭に申し上げておきたいと思います。この調査趣旨は、税理士法の規定にもございますように、税理士さんが専門的な知識をもって脱税の指導をするということになり、これが容認をされました場合に、一般に与える影響、ことに全国一万三千の税理士さんに与える影響、また納税者に与える影響は甚大なるものがあると存じます。私は、そういう意味で、正確な税法の指導——税法の特典を教えるとか、あるいは正確な申告なり記帳なり決算なりの指導をするということに努力をされるべきであって、間違って脱税の指導をするということについては、監督官庁としてはっきりした態度をとらなければならぬと存じます。  それで、先ほどこの税理士が過去において取り扱った事案のうちで一回も更正がなかったじゃないかというお話でございますが、これも飯塚さん自身が言っておることと事実とは非常に違うのでございまして、この飯塚税理士が出された審査請求に対して、どういう処理状況になっておるか、これは長い記録がございませんので、昨年の十二月末現在で見てみますと、昭和三十五年一月一日以降昨年の十二月末現在の処理状況を見てみますと、再調査の請求が二十四件、審査の請求が二件、合計二十六件でございますが、そのうち税務当局で棄却をいたしましたのが七件、一部取り消しをいたしましたのが八件、全部取り消しをしましたのが九件、未処理が二件、こういう内容になっておりまして、全部が全部過去においてそのまま通ったというものではございません。二十六件のうちの棄却が二七%でございますから、そういう事実もないわけでございます。  それから別段賞与でございますが、これは法律上いろいろ議論はあると思います。しかしながら実際に会社が自己の従業員に対して、普通常識で考えられないような大きな別段賞与を支払う、これは一、二の例を申し上げますと、会社につとめてから一年三カ月になります女子従業員でございますが、これが月給が二万円でございます。それに対しまして、別段賞与として六十万円、実に三十カ月分の賞与を出しておる。それからもう一例申し上げますと、やはりつとめてから一年三カ月の男子の従業員で、月給が三万九千円の者に対して、実に二百万円、五十カ月をこえる別段賞与を出しておるのでございます。しかもこれが正当に相手方に支払われておるかと申しますとそうではございませんので、会社側としては相手方に支払う意思もなく、また相手方もこれを受け取る意思もない。受け取ったという認識もない。それからそれを直ちにまた会社側に預金として受け入れをいたしております。しかしながら、従業員は預け入れる意思はございません。もちろん受け取った認識はないのでございますから預け入れる認識もございません。それから会社側もこれを後になって従業員に返してやるという意思もないのでございます。そういう常識はずれな多額の別段賞与であり、また別段賞与という形はとっておりますけれども、実際はこれは賞与として払われておるものではございません。そういう例は、これは脱税と見ざるを得ないと思います。また日当にいたしましても、二千円、三千円、非常に高額な日当で、日当は御承知のように実費弁償というのが趣旨でございますが、そういう高額な日当を会社の事業年度が終了いたしまして後に決議書をつくって、そして一定期間にさかのぼってこれを支払ったことにしておる。また出張しない者にから出張をさしておる。もちろん出張しておる当人は知らないわけでありますけれども、そういうことをやっておる。また従業員、役員の手当にいたしましても、事業年度後に決議書をつくってさかのぼって支払うことにしておるけれども、従業員に聞いてみると、それは受け取っておらない。こういうようなことはすべてやはり間違った指導である。これがもし容認されるということになりますと、それが容認されるんならやろうじゃないかということになって、税理士会全体の間違った判断を招くおそれがありますので、私たちはそういう意味で一税理士ではございますけれども、この方の間違った指導についてはあくまでもたださなければならぬというつもりでおるわけでございます。
  90. 横山利秋

    横山委員 私は最初お断わりしたのは、本委員会内容について触れるということは私の趣旨ではないと言った。したがって税務行政の指導のあり方、税務行政のあり方について本委員会は議論をすべきであるということを、共通の場面であるから言ったのです。しかしそのことは私が内容について触れることを避けるという意味では決してございません。あなたがそういう意味合いで、むしろ税務行政に対しての私の質問を避けて内容について私におっしゃるならば、内容について私もこれから言います。いまあなたのお話のあったことについて、まず私は国税庁の見解を、東京国税局法人税課長大池武雄監修の「法人税実務問題集」から議論を始めていきたいと思います。こういうことが書いてあります。質問、「不動雄の売買を営む同族会社でありますが、数年前から東京都の近郊に約五万坪の土地を所有していましたが、その附近に公団住宅が建築され、逐年値上りを示してきたので、昨年末にその一部を売却しましたところ約五千万円の利益を得ることができました。その結果、当期は創立以来の巨額の利益を計上することとなる予定であります。そこでこの際、その譲渡益の一部を社長以下使用人全部に対し、臨時賞与として支給したいと思いますが、この臨時賞与は法人税法上損金として認められるでしょうか。なお、この支払方法は、当社としても運転資金が必要でありますので、一旦使用人に支給し、それを直ちに借り入れるという形式(もち論源泉所得税相当額を控除した残額を借入金額とする。)をとりたいと思っています。」〔答〕「使用人に対する賞与は、法人が利益処分の方法で支出しない限り損金に算入されます。したがって、ご質問のような理由により使用人に対して臨時賞与を支給したとしても、これを損金と認めないということはありません。また、異常利益に対する法人税の回避とみて、その損金支出を否認するということもありません。」「また、使用人兼務役員賞与についても、すでに第九十六問で説明したとおりであります。次に、賞与の支払の方法ですが、賞与の支払は現金でなければならないということはないのですから、ご質問の方法により支給することは何らさしつかえありません。したがって、実質的に支給がないものとして、否認されるようなことはありません。以上、ご質問の臨時賞与については、使用人に対するものは損金支出(使用人賞与を支給した後当該使用人からの借入金とした場合を含む。)を認め、役員に対するものは利益処分の賞与とし損金支出が否認されることとなります。」つまり別段賞与は何ら差しつかえないということです。この点については争いはありませんね。まずそれが第一です。  それから第二番目に、あなたは特異な例として、この五十万なり二百万なりというものを別段賞与として出したことは社会常識をこえるものだ、こういう御意見であります。私もその点については争いはありません。問題は、この東京国税局法人税課長大池武雄監修、これは国税庁とは直接関係がないかもしれません。しかしながら少なくとも別段賞与が、これではきわめて明白に適正なやり方である、企業の運営上当然なことであると考えてもよろしいという立場をとっておる。この別段賞与を税理士諸君が運用することは何ら違法でもなく、節税の方式である。問題はこれからです。こういうやり方を指導することについては私は脱税だとは思わない。節税だと考えておる。これもまた当然なんです。それを指導することが脱税であるかどうかについては、争いの余地のない節税の指導だと私は思っている。この指導を受けた納税者が、税理士に相談することなく、それに便乗して五十万なり二百万なりのそういう社会常識をこえた別段賞与を出したか、それとも税理士が五十万、二百万を積み立ててもよろしいのだと自分が指導したか、そこに争いがあるのです。あなたは問答無用に、こういう指導をしたのだから当然飯塚税理士が五十万、二百万を自分が金額をも指摘して指導した、すべて問題は飯塚税理士がけしからぬという立場に立っておる。いま争いの焦点になっておりますのが、あなたもお聞き及びだと思いますけれども、そういうことは飯塚税理士から具体的に指導されたのではない、当社の責任でやったのだという主張と、それからあなたのほうが、そうでなかろう、飯塚税理士が五十万、二百万を直接具体的にやったのであろう、ないしはその職員がそうやったのであろう、こういうところが争いの焦点になっているわけです。これは神ならぬ身のあなただって、私だってわからない。これは結局とことんまでいけば、裁判の結果によらなければわからないところなんです。しかし、それにしてはあまりにもあなたのほうの先入主というか、坊主憎けりゃけさまで憎いというやり方は、八十名の大軍を擁して鹿沼の事務所に押し寄せて、六百社余りの飯塚事務所の納税者をとことんまで徹底的に洗うという結果になっておる。私は、それが一体いかなる権限でなされておるのであるか。税法に許されております質問し検査する権利というものは、本委員会で何回も私が取り上げたところである。質問をし検査するだけで、そのことばづかいといい、その条件の出し方といい、そしてあらゆる問題についてあなた方は逸脱行為が非常に多い。調査をするなというのではない。しかし、あまりにも感情的なやり方ではないか、私どもはそう主張しているのです。繰り返し言いますけれども、私は、本委員会が討論し黒白をつけるべき問題でないのでなるべく内容に触れなかったけれども、あなたが何かいたけだかになって、横山さんは知らぬだろう、こういう内容である、けしからぬとおっしゃるなら、飯塚税理士が五十万、二百万を、ないしは職員が全部指導したという確実な、われわれを納得させる証拠があるならここに出していただきたい。
  91. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 税理士本人の指導かあるいは税理士の使用人の指導か、あるいは会社側が便乗して自発的にやったものであるか、その証拠はどうだ、こういうお話でございますが、この問題は刑事裁判になる可能性のある問題であり、現在検察庁において具体的に調査をいたしておりますので、その証拠を具体的にここにお出しするということはごかんべんをいただきたいと存じます。  ただ、これだけは申し上げられます。私たちの調べました範囲におきましては、先ほど申し上げたような事例で、完全に会社あるいは従業員から、この飯塚事務所の指導によって、こうやれば税金が安くなるからやったのだという供述が出ておるのでございまして、具体的にだれだということは申し上げませんけれども、私たちは、それが数カ所から出ておるということをここで申し上げたいと存じます。  また、第一点の別段賞与の問題でございますが、これはやはりほんとうの別段賞与であるか、あるいは別段賞与として仮装されたものであるということは、これは十分調査をいたさなければならぬ問題だと思います。先ほど申し上げましたように、会社側にその別段賞与を支払う意思があり、また相手方がそれを受け取ったという認識があり、また一たんそれを会社側に預け入れるという意思があり、会社側も預け入れたお金を一定期間後に返すという意思がある、この四つの点がどれを欠きましても、これはほんとうの意味の別段賞与とはいわれないと思います。なお、別段賞与自身が一体合法的であるかどうかという問題に関連して、先ほど大池課長の書物の問題が出ましたけれども、それは序文にも書いてありますように、必ずしも庁の公式見解ばかりではない、自分の考えも入っておるのだということを断わっております。  それでは一体庁はどう考えているのかということになりますと、やはり別段賞与というからには、これは年末あるいは年度末の定期の賞与のほかに、当初予想しなかったような利益が上がった。その利益の配分を賞与の形で従業員に支給する、こういうものでございますから、やはり社会的に常識的な線というものがあるだろうと思います。もしそれが、先ほど申し上げましたような事例のように、非常に非常識な額に上っておるという場合には、はたしてそれが仮装された別段賞与であるか、実際の別段賞与であるか、その辺についての調査が必要であり、またそれをあらゆる場合に無条件で別段賞与だからといって認容をするということはいかがなものであろうか。やはり具体的な実情に応じて判断をしなければならぬ問題だと存じます。   〔吉田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、質問、検査の問題でございますが、税務当局といたしましては、やはりそこに脱税行為が行なわれている。しかもそれが特定の職業人たる税理士さんの指導まで組織的に行なわれておるということになりますと、先ほど申し上げましたように影響するところが甚大でございますので、われわれとしては、脱税についての調査質問なり検査なりということをせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  92. 横山利秋

    横山委員 あなたは私の質問に答えていないのです。あなたは内容についてむしろ私に挑戦をされるようなことをおっしゃるから、それほど確信があるなら、これはあくまで飯塚税理士ないしはその職員が五十万なり二百万を指導したという直接の証拠を出しなさい。私は、その内容については水掛け論になるおそれがあるから、また私の立場も誤解されることがあるから避けたのでありますが、あなたがそうおっしゃるなら、何人も納得し得る証拠を出しなさい。飯塚税理士がやったのだ、ないしは職員がやったのだという証拠を出しなさいと言っているのに——あるかどうか私には疑問です、率直に言えば。どうも坊主憎けりゃけさまでにくいで、これほど理論的に言っても、飯塚税理士を一ぺんやってやらなければいかぬという雰囲気が見えて仕方がない。そうでなければ八十名の大軍で一税理士事務所へ押しかけて、納税者を片っぱしから税務署へ呼んで、署長の目の前でとことんまでやるというような状況はあらわれないと思う。どうですか、具体的な証拠をここへ出しなさい。
  93. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど申し上げましたように、事件の内容はここで申し上げたとおりでございます。飯塚事務所の指導によって、こうやれば税金が安くなるということでやりましたという供述を数カ所から得ておりますが、これは現在検察庁でもって調査中でございますので、この席上でその内容、だれがどう言った、どういう会社がどういう供述をしているということを発表することは差し控えたいと存じます。
  94. 横山利秋

    横山委員 あなたが売った論戦ですからあなたに挙証責任があると思ってあくまで追及しておるのですが、そういう検察庁の事案でのがれて証拠を出さないということであるなら、私は私なりの判断をいたします。  それでは次にお伺いします。栃木県の鹿沼税務署長は、昨年の十二月上旬、「税務書類作成に関する依頼書」を依頼しました。これがその写しでありますが「税務書類作成等に関する依頼書、私儀、今度一身上の都合により、税務書類作成等に関する一切の事務について飯塚税理士との契約を解約いたしましたので、税理士のあっせん方をお願いいたします。昭和 年 月日。本店所在地。法人の名称。代表者氏名。鹿沼税務署長大崎福弥殿」これを税務署長が印刷をして、そうして税務署へ備えつけて、鹿沼税務署の斎藤という総務課長みずからの手によって、役所に呼び出された飯塚税理士の得意先に対し、そこで署名捺印をさせられたということは厳然たる事実であります。さらにその署名をさせられた得意先がそれぞれ、「右文書は私達が作成したものではありません」これは税務署に出頭したときに、鹿沼税務署で作成してあったこの文書を斎藤総務課長より初めて手渡されたものでありますという証明書をつけて税務署から言われたと言っておるのであります。一体これはどういうことなんでありましょうか。税務署長が税理士の職業の妨害をするわけであります。何でそんなことをやらなければならぬのですか。税務署長が自分でこの印刷物をつくっておいて、片端から飯塚税理士事務所の納税者を呼び出して、これに判こを押せと言う。判こを押せと言われた納税者はどういう立場になるでしょうか。役所は飯塚税理士と決戦だ、おまえさんのところもそこと一緒にやっていると何か問題が起こるぞ、これに判こを押せばまあいい、こういう雰囲気というものが、如実にわれわれのまぶたの中に浮かび上がってくるのであります。鹿沼税務署長はいかなる権限があって、かかるばかげたことをいたしましたか。
  95. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 それは相当の誤解がございます。事実の経過を申し上げますと、次のようでございます。昨年の十二月三日に、飯塚税理士の関与先二百人——この残り四百件というのは、大体東京にございます。二百人を代表して四人の方が鹿沼税務署に見えまして、二つの点について依頼をしておるのであります。  その一点は、今回の調査を寛大にしてほしい、これが一点でございます。それからもう一つの点は、飯塚税理士との契約を解除して、修正申告をしたいから税理士をあっせんしてほしい、こういう二点について税務署長に依頼があったのでございます。それで署長はこの税理士のあっせんの申し入れにつきまして、一応鹿沼の税理士部会長外四名の税理士さんに税務署に来てもらいまして、こういう依頼が出ておるが、税理士部会としてはどう取り扱うかということを相談をいたしましたところ、この四人の方の意見としては、飯塚税理士との解約の事実、それから税理士のあっせんを要望するという事実がはっきりしておる、そういうことで税務署から連絡があれば、部会として一括引き受けて、納税者に不便をかけないように約束しましょう、こういうことを四人の方が申しておるのであります。税務署といたしましては、この問題で業務の妨害だというような非難を受けてはいかぬと思いまして、署長は関与先が自発的に契約を解除して、そしてほかの税理士のあっせんを頼むということを、文書によってやはり確認をしておく必要があろうという考えから、署内にただいま御指摘のありましたような刷りものを刷って、そして一々斎藤総務課長が呼び出して署名をさせたということではございませんので、現在までに申し出があった方十名について、そういう確認の書類をいただいた、これが事実でございます。
  96. 横山利秋

    横山委員 詭弁もいいかげんにしなさいよ。あなたはいま釈明をする立場であるからそうおっしゃるかもわかりませんが、少なくともこの文書は——もう一ぺん読みますよ。「今度一身上の都合により、税務書類作成等に関する一切の事務について飯塚税理士との契約を解約いたしましたので、税理士のあっせん方をお願いいたします。大崎福弥殿」と書いてある。税務署の中に印刷してある。かりにあなたのごとく言うべくんば、なぜ印刷をしておく必要があるか。飯塚税理士という文句をも書いて印刷してある。そしてこの証明書によれば、鈴木という人の証明書でありますけれども、鹿沼税務署長大崎福弥殿あての「税務書類作成等に関する依頼書」という文書は私が作成を依頼したものではない。右文書は私たちが作成したものでない。十二月十一日、私が四名で鹿沼税務署に出頭したときに、鹿沼税務署で作成してあったこの文書を、斎藤総務課長から初めて手渡されたと言っている。何の権限があって税務署はかかる個人名入りの印刷物をつくって、それを納税者に提示するか。普通のときじゃありませんよ、これは。あなた方が八十名になんなんとする、去年以来延ベ二千人だといわれている、それだけの気がまえを持ってやっているときに、税務署へ行けば税務署にはちゃんと印刷したものがあって納税者に対してこれをまず手渡す、その雰囲気まさに目に見えるようじゃありませんか。私はあなたが率直に、この文書は適切でなかったということをおっしゃるものだと思っておるにかかわりませず、何かもっとものような答弁をされるのは気に食わない。これは遺憾なことですよ。はっきり、こういうようなことをやるということは適切でないとあなたがおっしゃらない限り、私は引き下がりません。
  97. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど申し上げましたように、この二百人の代表として見えた方が、そういう趣旨でほかの税理士をあっせんしてほしいということでございましたので、二百人の方がどんどん税務署へ見えるということになるとたいへんだということで、そういう依頼書でございますか、それを税務署で刷ったことは事実でございます。しかしながら趣旨は先ほど申し上げましたとおり、関与先の代表並びに税理士部会の代表の方の御意見を取り入れて、税務署がそういうものを作成して、そしておいでになった方十人に差し上げて、そのうちの七人が実際に署名をして出されておるのでございます。(横山委員「適切であるかどうかを聞いているのです」と呼ぶ)私はその両方の関与先並びに税理士部会の意見に沿って、税務署長がこういうことをやったということは、当時の状況としてやはりやむを得なかったというふうに考えております。  それから先ほど延べ二千人というお話がございましたが、これは全く大げさな数字でございまして、延べ二千人もつぎ込むということはいたしておりません。六月の下旬から九月にかけて法人を二つ、十一月の十九日から十二月十四日にかけて二十九法人、それから相続税一件、それを一法人二、三人でやっております。ただしこの場合に、飯塚税理士のほうで事情を察知されて、税務署調査に協力をしないように、相当事務所員を派遣して画策をしておられます。そういう関係で若干日にちが延びておりますが、事実はそういう二千人も動員して調査を大々的にやったということではございません。
  98. 横山利秋

    横山委員 私の言うことに率直に答えてください。私はこういうような印刷物を税務署長がいかに頼まれようとも——頼まれたことか事実かどうかについては争いがありますよ。しかし百歩譲って、いかに頼まれようとも、かかる印刷物を、個人名入りの印刷物を税務署内に備えつけて、その関与先の納税者が来たときにこれを出すということは越権行為であると言っておる。どうなんです。それをあなた認めなければ引き下がりませんぜ。
  99. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは税務署から飯塚税理士の関与をやめなさいというのではございませんで、先ほど申し上げましたように、関与先と税理士会との意向をとって税務署が動いたということでございまして、当時としては、適当とは申しませんが、やむを得なかったという、ふうに考えております。
  100. 横山利秋

    横山委員 そういうことをおっしゃるなら、私はあくまでこの問題について追及をいたします。これは税務署長の権限というものはどういうものなんですか。私はよく税務署へ行きますから、同僚諸君も御存じだと思いますけれども、われわれ国会議員も税務の相談を受けるときがある。だけれども、われわれではそうこまかいことまでやらぬからいい税理士さんを御紹介してあげようという話で御紹介するときはありますよ。しかしながらあなたのいまのなみなみならぬ御答弁だ、まさに感情的とも言える飯塚税理士事件に対する態度だ、それはもう申すまでもなく上から下までびしっと通っておるわけです。鹿沼の税務署長も当然だろうと思うのです。けれども、犯してはならないことは、感情的になってはいかぬ、逸脱行為をしてはならぬというのがきょうの私の趣旨です。あなた方は検察当局じゃないのです。坊主憎けりゃけさまでというやり方で、飯塚税理士の関与先を全部シラミつぶしに吸収して、事もあろうに納税者にこういう印刷物を出して、飯塚税理士から納税者を引き離そうとした結果について、現実について、あなたが適切でなかったかもしれぬけれどもやむを得ないという考え方はどうしても私は納得できぬ。私は平素からあなたに対していろいろ御相談もし、あなたも善意ある立場をとられたということはよく知っておるけれども、本件に関する限りはあなたまでがどうかしておると私は思う。是は是とし非は非としてきちんとしなさいよ。いいものは、何で鳩山直税部長は直ちに電話でこれをやめろと言いましたか。悪いと思ったからこそ即歴にやめたのじゃないですか。それにもかかわらず、いまあなたが当時やむを得なかったとは何ですか、もう一ぺん御意見を伺います。
  101. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 税務署長の権限にそういうあっせん行為があるかどうかということになると、法律上そういうあっせん行為はございません。これはもう明らかでございます。ただしかし、普通の行政の運営として税理士会あるいは納税者と接触をしてその間に摩擦のできるだけ起きないように納税者の便宜もはかるということは、署長としてやってはいけないとは私は思っておりません。また感情的にやっておるというようなお話でございますが、私は先ほど申し上げましたように、もし万一下部の機関に感情に流れてやっておる向きがあればむしろそれを監督して抑制するというのが私の職務でございまして、私は別に感情的になったということは絶対にございません。飯塚税理士さんにも私は一度もお目にかかったこともございませんし、何も感情的になる理由一つもございません。ただ私は信念として、先ほど申し上げましたように、税理士さんが間違った税務の指導をやられるということが一般的な風潮になることをおそれるだけでございます。もしいま横山委員のおっしゃったように、税務署がそういう文書ををつくって次から次へと総務課長が呼び出して渡したということならば、おそらく二百人とは言わぬでも百人とか五十人とかまとまった数の方からそういうものが出ておるのだろうと思いますが、事実は七人でございます。私は先ほど申し上げましたように、署長がこういう依頼状を署で刷って、それを確認書として受け取って税理士会へ渡すという手順、これは必ずしも適当ではないけれども、しかし当時の事情として、両方から、関与先から申し入れがあり、税理士会の意見も徴してやったことであって、それはやむを得なかったといわざるを得ないと思います。
  102. 横山利秋

    横山委員 この数が少ないからいいとか頼まれたからいいとか、そういう考えはいかがなものですか。私はどんなに頼まれようがどんなに数が少なかろうが、税務署長としてとるべきことが一つある、それはやはり職務に忠実であることだ。これは明らかに職務から逸脱した行為である。しかも、同僚諸君も想像してほしいのでありますが、それは飯塚税理士と国税庁との対決の雰囲気の中で行なわれているということ、呼び出された納税者ないしは相談に来た納税者がどういう心理であるかということであります。飯塚税理士と一緒におるとにらまれるという雰囲気は想像にかたくない。そこへこの印刷物が出されれば、まさにそれは明白なことではありませんか。もしも飯塚税理士の事務所に問題があるならば、それはそれで調べればいい。しかしながらかかる印刷物を出すということは、どうあなたが御説明なさろうと、鹿沼税務署長は逸脱行為である、感情的である、飯塚税務事務所に対しては何か一つしっぺ返しをしてやらなければならぬという雰囲気である。私は、あなたは本日いろいろと準備もしていらっしゃったので、少なくとも間違ったこと、逸脱したことはお認めになり、そして国税庁の主張は主張として言われると思った。けれどもどうですか。きょうのあなたの答弁は、国税庁がやった態度に何ら間違いがないと言わぬばかりの話である。これでは説得力がありません。私は今回のこの飯塚事件の内容をここで黒白をつけようとはしない。できるならば双方の誤解や双方の感情というものをなくして、そしてできるならば円満な話にしたい。その意味では、先ほどあなたが冒頭におっしゃった飯塚税務事務所としても指導が必ずしも適切でなかったという気持ちで円満に話をつける気持ちに一ぺんはなった。なったけれどもあまりにも徹底的なやり方に対して自分も白を黒と言うわけにはいかぬ、自分も、理論的にきたのであるから、この際ひとつ自分としても明白にいたしたいという気持ちになっておるのもやむを得ないと思う。しかしながらそこまであなた方も条件を示され、飯塚税務事務所としても話をしようとしたならば、どうして一体そこでまとまらなかったか、私の趣旨はそこであります。けれどもそれをいまきょうあなたに言うつもりでなくして、本件に関する非常な逸脱行為に対して私はどうしても納得ができない。私はこの鹿沼税務署長がこういう文書をつくったことは、納税者に対して義務なきことを行なわしめたことだ、こう思います。納税者がこれを見てやむを得ず、自分の商売かわいさに判こを押したならば、鹿沼税務署長は何ら自分に権限もないことを権限を利用して行なわしめたことだと思う。そうであるとするならば、刑法百九十三条にそのままぴしゃっとこれは該当いたします。人をして義務なきことを行なわしめたのです。税務署長は納税者に義務のないことを印刷して、そうして半ば強要して、その雰囲気の中で行なわしめたのですから。私はそれを自覚してやったと思わないけれども、少なくともその雰囲気の中で行なわしめたことは、明らかにこれは職権の逸脱ですよ。私は先般、あなたのほうの部長さんがこれを聞いて直ちにこれは中止しろと言われたことを聞いて、賢明な策だと思いました。ところがあなたの話を聞きますと、鹿沼税務署長は、もちろんこのやり方をあなたの意図を体してやったのだとは思いませんけれども、あなたがこの話を聞かれたら、それは間違っていました、今後こういうことはやりませんとおっしゃるのが当然ではありませんか。もしも部長がこれをとめさせたならば、今日までこういうことをやった人については、印刷物をとられた人はその文書を取り戻して、税務署としては逸脱をいたしましたからなかりしものにしてもらいますと言って措置をとるのが当然ではありませんか。部長が言ったことは間違いですか。あなたはあくまでこれが正しいと思っていますか。一体この処置をどうするつもりですか。当時はやむを得なかったことであるからとった文書はそのままだ、わかった事実はそのままだ、われわれのやったことには間違いないと言うのですか。部長のやったことは間違いだと言ってあなたは糾弾なさるつもりですか。
  103. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私のほうの部長がその税務署でつくりました文書を撤回させたというのは、私が撤回するように命じたのでございます。それは先ほど申し上げましたように、税務署長としては一方関与先から依頼をされ、そうかといって口頭では困る、やはり業務妨害というようなそしりを受けてはいかぬので、自発的にこれは出してもらったものだという確証を残したいという趣旨で出していただいたものが、逆に今度はそういう文書があるから業務妨害なのだというふうにとられる、これはまたとりょうによってはそうとれます。したがってそういう誤解を受けるおそれがあるようなことは即刻やめなさい、そういう指示を私は直税部長にいたして即刻やめさせたのでございます。  それから先ほど七人だから、数が少ないからいいじゃないかということは私は申し上げたのではございませんで、もし税務署が自発的にそういう文書を飯塚税理士の関与先からとるということでございましたならば、おそらく二百人の代表として四人が見えたのでございますからして、たった七人ぐらいではなくしてもっと数は多くなっておったであろうということ、このことから見ても税務署が強要したということはございませんと、一つの例証として申し上げたわけでございます。  なお、この話し合いがどうしてまとまらなかったかという御質問でございますが、私は先ほど申し上げましたように、本件はやはり調査をして、そしてそういう事実があるという確証が得られたならば、これは責任は追及すべきである、それによってはっきりした態度を国税庁としてもとることによって  一般の税理士さんが、何といいますか、税務指導の限界というものについての認識を持っていただくということで、これは話し合いで何かけんかをしておって、それを話し合いで何とかまとめるのだという感じは当初から私は持っておらないのでございます。
  104. 横山利秋

    横山委員 問わず語りにあなたの心境を告白なさったようでありますが、当初からこの問題の円満解決は望んでおらないというお話しはきわめて重大だと私は思います。当初からそういう気持ちはない、やるところまではとことんまでやるという印象は、私が当時の新聞を見ましても稲野辺法人課長の話、それから関信越安井直税部長の話等を読んでみましても、当初から徹底的に一ぺんやってやるという気持ちが容易にうかがわれるのであります。そのために普通のやり方と違って、もうとことんまであなたのほうは強行方針であり、その強行方針の余波というものが新聞発表の誇大な発表になり、そして納税者を次から次へと呼び出したり急襲をしたり、あるいはまたこの税務署長の態度となってあらわれてくると思うのであります。私はそこに真実を探るということばが、むしろ先入主が先行しておる。そうして先ほども話が出たように、五十万なり二百万なりの別段賞与を納税者がやったことが即飯塚事務所ときめつけて、その証拠をさがすために必死に狂奔しておる。一体どちらがそれをやったのかを確かめるのでなくして、問題は、これを指導した飯塚事務所であろうということに先入主が置かれておる。そういう初めから犯人をきめ、初めから犯罪をきめて、そのための証拠をさがし出すために必死となっておる。途中において話し合いをする余地はないとおっしゃいました。けれどもそれならばなぜあなたの意図に反してこういうものを出せとか、あるいは四項目についてやれとか、なぜそういうことをおっしゃるのでありましょうか。それを言ったということは、もし飯塚事務所がそれを了としたならば、それで話はおさめなければおかしいはずであります。ところがそういうことではない、初めからそういう気持ちはないとおっしゃる。それがまた飯塚事務所に対しまして証拠をとるためだけの言い方であったかと私は想像せざるを得ないのであります。  時間が非常にたってまいりましたから、私はまだたくさんの問題を本件に持っておるのでありますが、あまりにも同僚諸君に、昼飯も食べずに御迷惑でございますから、この辺で私の質問を終って、そうして別途また適切な、委員長にお願いして、小委員会なり何なりで私の主張を十分に聞いていただきたいと思うのでありますが、結論として繰り返し私はあなたに要望したいのであります。それは何かの先入主がある。そうして条件に関しては何回も会議をおやりになったから上から下まで全く弾力性がない。すなおに問題をながめるのでなくして、飯塚事務所は一億数千万円の脱税である、それが先に新聞社にぱっと発表されておる。その証拠をさがすために狂奔しておるとしか私には映らないのであります。そうでなければどうしてこんな各社の記者会見をして、まだこれは十二月の初めでありますが、こういうような膨大な証拠もしっかり——まだあなた方も捜査中の段階でこういうことをなさるのか私にはわかりません。この際ひとつ、私はあなたのお仕事を妨害するつもりはもちろんない。けれども、おやりになるなら税務職員、収税官吏に許されている質問検査権の範囲を越えないように、納税者の利益を不当に侵害することのないように、税理士一般の職務に対して、先ほど野原さんがおっしゃったような、あなたの年頭の所感に反することのないように、くれぐれも私はあなたの深甚なる注意を喚起してやみません。本日は労音といい、また本問題といい、あなたの年頭所感と違ったことが必死になって国税庁でやられておるということであります。まことに遺憾なことであります。こういうことは今日まで本委員会であまりありませんでした。まさに国税庁は全力をあげて当面労音、労演や民商、片や飯塚税理士事務所というものについて、あげて狂奔せられておるという印象を私は残念ながら受けざるを得ないのであります。いま少し、真実を追求するに際されましても、人権を侵害することのないように、逸脱行為をすることのないように、そうして犯罪者を出すことが目的でもないのでありましょうから、この際ひとつあなたのほうとしても慎重に善処されんことを切に要望して質問を終わりたいと思います。
  105. 有馬輝武

    ○有馬委員 関連して。先ほどの国税庁長官答弁を聞いておりましてどうしても合点がいかないのであります。といいますのは、鹿沼税務署長がとった処置は適切ではなかったかもしれないけれども、やむを得なかったという御答弁でありました。私はこの鹿沼税務署長がとりました処置並びにそれな許容した国税庁官の態度というものが適切であるかいなかという点について、特に人事院規則なりあるいは刑法なりとの関連において明瞭にしてまいりたいと存じますので、委員長においてお取り計らいをいただきたいと思うのでありますが、まだほかにもいろいろ問題がありますので、この次の機会には行管長官を呼んでいただきまして、その席で行管長官としての見解をただしてまいりたいと存じますので、そのようにお取り計らいをいただきたいと存じます。
  106. 山中貞則

    山中委員長 いずれ御相談申し上げます。  次会は、明後六日午前十時より委員会を開会いたしますが、当日の参考人税制調査会長中山伊知郎氏の出席時間が限定されていますので、定刻開会のため各委員の御協力をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会