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木村(秀)
政府委員 具体的な事例を申し上げますと数限りもございませんが、そのうち代表的なものを二、三御説明申し上げたいと思います。
これは私が川崎の
税務署に参りまして、
民商の会員の宅に調査に伺った調査官吏から直接に聞いた話でございます。一例として申し上げます。
署員が
税務署の門前を出ますと見張りがついておっておってそして尾行がつく。その尾行者は小型無線機を持っており、また小型の四輪車を使用しておる。それで署員が会員の
納税者宅に臨場をいたしますと、数分ならずして
民商の事務局から事務局員あるいは会員がやってくる。多いときには二十名くらい、少ないときには五、六名から十名というものがやってまいりまして、そして調査の職員が相手の人にいろいろ
質問をしたりあるいは帳簿の呈示をお願いしますというと、横あいから口を出して、そういうものは見せる必要はない、
質問には答える必要はない。また場合によると写真機、小型のテープレコーダーを持ち込んで署員を写したりあるいは署員の発言等を録音したりするといういやがらせをやります。それから場合によると道路に対してマイクを出して放送をいたします。いま
税務署の役人がやってきてこういうことをやっておる、こういうことを聞いておるというようなことを放送するわけであります。それから
質問を始めるというと耳元へ口を寄せて大声でわめく、また取り巻いてばり雑言、脅迫じみた言動をする。それで床を踏み鳴らしたりして、とうてい調査ができないので帰ろうとすると、ぞろぞろうしろからついてきて道路上でもって、前を行くのは
税務署のやつだ、みなよく顔を覚えておいてくださいというようなことを大声で言うそうであります。その調査官吏の実感として私に申したところによりますと、全くこういう状態は法治国としては
考えられない、いわゆる無法状態である、ちょうど
アメリカ映画の西部劇に出てくる恐怖の町と同じだというようなことを、実感をもって私に申したのであります。
全国的に見まして過去において
税務署員を傷つけたりあるいは署員の顔につばを吐いたり、そのほかいろいろの妨害、いやがらせ、脅迫等を行なっておるわけであります。ただいま
お話に出ました中野の
民商の事務局員で告発された事例はどういう事例であったかということを御説明いたしますと、
税務署の調査官吏が
民商の会員の宅へ調査に伺ったときに、
民商の事務局の次長がこういうことを言っております。これは二階で調査をしたのですが、上から下へ落ちてもらってもいいんだぜ——これは突き落とすという
意味であります。それからまた、前の川で泳いでもらおうじゃねえか、涼しくなったからちょうどいい、泳がせようか、K君、どうだいというようなことを言っている。それからやゆするような点としては、黙ってねえで何とか言え、右から聞いて左に抜けるんだろう、きょうきげんが悪いところを見ると、おかあちゃんとうまくいかなかったなというようなことを言っている。それからまた帰りに橋のところで待っているぜ、泳いでもらうぞ、あるいは夜は月夜ばかりじゃないというような、(笑声)これはここで申し上げるというと笑い話のようになりますけれ
ども、実際に十人くらいの人に取りまかれてそういうすごんだことを大きな声で言われるということになりますと、調査官としてはかなり精神的にも恐怖感を抱かざるを得ない、こういうような状況であります。