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1964-02-14 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十四日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    宇都宮徳馬君       大泉 寛三君    大久保武雄君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       金子 一平君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       卜部 政巳君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    野原  覺君       日野 吉夫君    平林  剛君       松平 忠久君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局参事         官         (第三部長)  吉國 一郎君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁調         整局参事官)  庭山慶一郎君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    鈴木 秀雄君         日本輸出入銀行         総裁      森永貞一郎君         日本輸出入銀行         理事      齋藤 正年君         専  門  員 板井 光三君     ――――――――――――― 二月十二日  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一七号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三六号)  自動車検査登録特別会計法案内閣提出第六六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一七号)  自動車検査登録特別会計法案内閣提出第六六  号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五一号)      ――――◇―――――
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案及び自動車検査登録特別会計法案の四葉を一括して議題といたします。
  3. 山中貞則

    山中委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官纐纈彌三君。
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三法案につきまして、提案理由及びその概要について御説明申し上げます。  最初に、所得税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、今後におけるわが国の社会、経済の伸展に即応する基本的な租税制度を確立するため、一昨年税制調査会を設け、鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について、昭和三十九年度税制改正に関する臨時答申を得たのであります。その後、政府におきまして、同答申中心にさらに検討を重ねた結果、昭和三十九年度におきましては、中小所得者に重点を置いて所得税負担軽減するとともに、当面要請される企業資本の充実と設備の更新を促進し、産業国際競争力の強化に資する等のための措置を講ずることとし、国税において平年度一千三百七十億円程度の減税を行なうことといたしたのであります。これらの税制改正法案のうち、今回ここに所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案内容について、その大要を御説明申し上げます。  第一は、中小所得者中心とする所得税負担軽減をはかることであります。すなわち、基礎控除を現在の十一万円から十二万円に、配偶者控除現存の十万五千円から十一万円に、それぞれ引き上げることとするほか、五万円の扶養控除額が適用される年齢区分を、現在の十五歳以上から十三歳以上に引き下げてその範囲の拡大をはかるとともに、十三歳未満扶養親族扶養控除額についても、現在の三万五千円を四万円に引き上げることとしております。また、最近における給与支給額上昇等を考慮して、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者控除限度額を現在の十二万五千円から十五万円に、二十歳未満専従者控除限度額を現在の九万五千円から十二万円に、白色申告者の場合は、その専従者控除額を現在の七万五千円から九万円に、それぞれ引き上げることとするほか、特に給与所得者負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の一万円から二万円に、控除限度額を現在の十二万円から十四万円に、それぞれ引き上げることとしております。  以上申し述べました諸控除引き上げにより、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、所得税が課されない所得限度は、給与所得者では現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約三十九万円までが約四十三万円左でに、白色申告者については現在の約三十三万円までが約三十七万円までに、それぞれ引き上げられることとなるのであります。  次に、退職所得特別控除額について、現在、在職期間年齢区分に応じ四十歳まで三万円、四十歳超五十歳まで四万円、五十歳超五万円となっているのを、年齢区分を廃止して一律に勤務一年につき五万円とすることとし、また、生命保険料控除について、支払い保険料の全額が控除される限度額を現在の一万五千円から二万円に、その控除の最高の限度額を現在の三万二千五百円から三万五千円に、それぞれ引き上げるとともに、住宅または家財について支払った損害保険料について、保険期間等が十五年未満短期火災保険の場合は二千円を、保険期間等が十五年以上の長期の建物更生共済等の場合は五千円を、それぞれ限度としてこれを課税所得から控除する制度を創設することといたしております。  さらに、譲渡所得等特別控除額について、現在の十五万円の定額控除額免税点方式を加味した方式に改め、三十万円までの所得課税しないこととするとともに、三十万円から四十五万円までの所得についての控除額引き上げるほか、寄付金控除制度についても、控除対象限度額を現在の所得の一〇%から所得の二〇%に、控除額を現在の控除対象寄付金の二〇%から三〇%に、それぞれ引き上げることとしております。  第二に、所得税制整備合理化措置一環として、短期保有の資産の投機的な譲渡による所得に対する課税について、半額課税等方式をとらないこととすること、芸能法人の受ける報酬または料金について新たに所得税源泉徴収を行なうこととすること、勤労学年控除対象となる勤労学生の要件のうち、合計所得制限額を現有の二十万円から二十五万円に引き上げること、申告書公示限度を現在の二百万円から五百万円に引き上げること、昭和三十九年分の予定納税基準額の計算の簡素化をはかること等、所要規定整備をはかることといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。  法人税法におきましては、中小企業者税負担軽減措置一環として、普通法人の各事業年度所得に対する法人税軽減税率適用限度額を現在の二百万円から三百万円に引き上げるとともに、同族会社課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の一五%と百万円とのいずれか大きい金額から所得金額の二〇%と百万円とのいずれか大きい金額引き上げることといたしております。  次に、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、最近における道路輸送需要の著しい増大等に対処いたしまして、道路整備五カ年計画を改定することといたしましたが、これに伴い、道路整備財源拡充をはかるため、揮発油税及び地方道路税税率をそれぞれ一〇%引き上げる等の改正を行なととし、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容についてその大要を申し上げます。  この法律案は、第一は、道路整備財源拡充の見地から、揮発油税及び地方道路税税率を一〇%引き上げること、第二は、揮発油の未納税移入手続簡素化することを内容とするものであります。  すなわち、揮発油税税率は現在一キロリットルにつき二万二千百円でありますが、これを二千二百円引き上げて、二万四千三百円とし、地方道路税税率現存揮発油一キロリットルにつき四千円でありますが、これを四百円引き上げて、四千四百円とするものであります。これにより、昭和三十九年度について、揮発油税百八十二億円、地方道路税三十三億円、合計二百十五億円の増収となる見込みであります。  なお、この税率引き上げに伴いまして、改正法施行日である昭和三十九年四月一日現在に、製造場及び保税地域以外の場所で、合計五キロリットル以上の揮発油を所持する製造者または販売業者に対して、一キロリットルにつき二千二百円の揮発油税及び四百円の地方道路税税率手持ち品課税を行なうことといたしております。また、揮発油税及び地方道路税税率引き上げに伴い地方道路税法における揮発油税地方道路税の配分について、現在揮発油税二百六十一分の二百二十一、地方道路税二百六十一分の四十となっておりますものを、揮発油税二百八十七分の二百四十三、地方道路税二百八十七分の四十四に改めることといたしております。  次に揮発油の未納税移入手続について、現在未納税で所定の場所揮発油移入した者は、移入した日から十日以内にその場所の所在地の所轄税務署長移入申告書提出することとなっておりますが、事務手続簡素化をはかるため、所轄税務署長の承認を受けた場合は、移入をした日の属する月の翌月十日左でに提出できることに改めるものであります。  最後に、自動車検査登録特別会計法案について御説明申し上げます。  政府におきましては、近年における自動車の激増に対処し、自動車検査及び登録事務処理体制の改善をはかる方針のもとに、所要予算を計上して別途御審議をお願いしている次第でありますが、その経理につきましては、特別会計を設置してこれを一般会計と区分して行なうことが適当であると認め、ここにこの法律案提案することといたした次第であります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、この特別会計は、自動車検査及び登録事務に関する経理を行なうことを目的とするもので、運輸大臣が管理することとしております。  第二に、この会計の歳入は、自動車検査登録印紙売り渡し収入及び付属雑収入とし、歳出は、事務取り扱い費施設費及び一時借り入れ金の利子その他の諸費としております。  その他この会計予算及び決算の作成及び提出に関し必要な事項をはじめとし、決算上の剰余金の処分、余裕金資金運用部への預託、一時借り入れ金借り入れ等について必要な事項を定めることとするとともに、この特別会計の設置に伴い必要な関係法の諸規定整備を行なうこととしております。  以上が所得税法の一部を改正する法律案外三法律案についての提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいまするようお願い申し上げます。
  5. 山中貞則

    山中委員長 これにて提案理由説明は終わりました。各案に対する質疑次会に譲ります。      ――――◇―――――
  6. 山中貞則

    山中委員長 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。卜部政巳君。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 前回の委員会におきまして、韓国貸し出しの問題についてのお答えがなかったわけでありますが、本日はひとつこの問題につきましてお答えを願いたいと思います。  そこで、韓国に貸し出されておる分の中の焦げつきについていかほどあるか、この点をお答えを願いたいと思います。
  8. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 韓国オープン債権の一九六三年、昨年末の残高は四千四百二十一万一千ドルでございます。一月末四千五百三十三万二千ドルでございます。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 韓国焦げつきの問題でありますが、どのようにして回収しようとされるのか、ひとつ具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  10. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 韓国とのいわゆるオープン勘定でございますが、双務協定と申しております。支払いに関します双務協定でございますが、これは一九五〇年、同国間についてそういう方式が定められたわけでございます。その後、一九六一年四月二十二日の交換公文におきまして、まず一九六一年一月末の日本の貸し越し残高というものを確認いたしました。その数字が一九六一年一月末で四千五百七十二万九千ドルでございます。それと同時に、それ以後の新規発生の債務については、毎月確実に決済する。具体的に申しますと、毎月月末で締め切りまして、その超過を翌月の十日までに必ず支払う、こういうことをきめております。それ以外に、もしその超過額が二百万ドルをこえる場合には、直ちに支払うということも合意されておるわけであります。と同時に、両国は、早期に、こういう双務協定をやめて現今決済に移行する協議を開始しようではないかということも、合意を見ておるわけであります。それで、私どもといたしましては、その後こちらから一九六二年の四月十八日に、できるだけ早い時期に東京でこの交渉を開始しようではないかということを申し入れてあるわけでございますが、その後まだ正式な回答に接していない状況でございます。今後の問題でございますが、これはやはり日本債権でございますから、これを取り立てるということで、現在外務省を通じて交渉している段階でございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 ちょっとお答えの中で、こちらの委員側のほうの雑音が多いために聞きにくい点がありましたので、私の質問がその面で当を得ていないかとも思いますが、いままでの措置として、二百万ドルをこえた場合には云々ということがございましたが、そういう場合に、協定なりそういうものが的確に守られておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  12. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 それは厳格に守られておりまして、その後の韓国からの入金額を申しますと、一九六一年には約一千万ドル入金しております。それから一九六二年には五千九百八十五万五千ドル、一九六三年には四千七百八十一万三千ドル、現金で入ってきております。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、今後韓国に対する貸し出し計画等があるのかどうか、ちょっとお伺いをしたい。
  14. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 これは貸し出しではございませんで、要するに銀行で申しますれば当座貸し越しみたいなかっこうのものでございます。本来貸し出しということではございませんで、貸し出しということはまた別の問題でございます。これは今後たとえば対日請求権処理といったようなもので、有償無償経済協力あるいは民間貸し出しとかいうようなことは起こるかもしれませんけれども、これとは全く異質な問題でございまして、これは単純に過去の問題でございます。今後こういったものをどんどんふやしていくなどという考えは毛頭ございません。私どもといたしましては、IMF八条国移行に際して、こういう双務協定といろものはIMF規約違反でもございますので、日本側としては、極力早く廃止したいということを絶えず主張している、わけでございます。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、これは高橋銀行局長にお伺いしたいのですが、輸銀として今後貸し付け云々ということの計画はあるのかないのか。この点はいかがですか。
  16. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 大体輸銀は、先ほど話がありました有償無償経済協力というふうな場合に関係が出てくることはありますけれども輸銀の側からある国に向かって貸し付け計画を持つということはないわけでございます。ですから、輸銀対象となるような取引民間ベース韓国との間に行なわれて、それが輸出許可になるということであれば、輸銀はその融資をめんどうを見る、こういうことになると思います。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 後段の場合でけっこうなんですが、そういうものが予測できますか。
  18. 森永貞一郎

    森永説明員 現在、ただいま銀行局長から答えましたような、民間で成約しましたものにつきまして融資をいたしておるものが三件、残高にいたしまして九億三千万ございます。主として車両関係でございます。そのほか、現在韓国日本のメーカーなり商社との間にまだ契約に至りませんで、商談中のものが若干ございまして、それらにつきまして契約がまとまり、政府許可を得られますれば、私ども融資対象として登場してくるわけでございまして、計画的なものではございません。民間成約状況に応じて処理するということにいたしております。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 御承知のように韓国経済状態というものは、もう私が御説明を申し上げるまでもないと思うのでありますが、前委員会の中でも指摘をいたしましたように、ミナス製鉄所の問題にいたしましても、この問題に対しまして、率直に申し上げて見通しの甘さ、立地条件なんかの悪さ、経営、運営の問題もありましょうが、そうしたものが指摘ができたと思うのです。その面に対して、韓国情勢というものが、御承知のような政情と、同時に経済的な混迷を続けておるだけに、この点の慎重な配慮が必要だと思うのですが、ただいまお聞きするところによりますと、なおかつ、まあ商社のほうで云々ということの中では、必ずしも貸し出しを行なわない、こういうことが総裁のほうから漏らされておりますが、この点はひとつ十分配慮をしていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょう。
  20. 森永貞一郎

    森永説明員 私ども貸し出しをいたします場合には、先方輸入者信用状態も十分調査いたしますし、ことに先方銀行信用状を徴しまして、それを担保に取っておるわけでございまして、国際取引上、回収について何ら不安のないようなものにだけ貸しておるわけでございますので、現在貸し出し中のものにつきましての回収については、何ら懸念はないと思いますし、今後のものにつきましても、商談中のもののうち、若干はキャッシュ・ベース取引清算金融でございます。延べ払いになるものにつきましては、十分な外貨担保を徴することにいたしておりますので、御心配のような点は起こってまいらない、そのように運用してまいりたいと思っております。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 お話を聞きまして十分わかりましたが、そういたしますと、まずそういう心配はないということでございますね。また、いま計画中のものも、いまのそういうもの以外はもう貸し出さない、こういうことでございますか。
  22. 森永貞一郎

    森永説明員 私ども銀行は、商業ベース貸し付けをいたしておりますので、特にその点につきましては十分の配慮を払うつもりでおります。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 過日の予算委員会の中で黒金長官が、日韓会談問題とからめまして、賠償そのものについての問題を触れながらも、この問題を賠償金額云々ということにはならないにしても、輸銀においてまかないたいという旨の発言を行なっておるわけでございます。そのことは、一切このことに関しても、いまの総裁のことばからいいますと、これは実行されない、こういう形に相なろうかと思うのですが、この点もひとつ、これは総裁に聞いてもいけませんので、大蔵省のほう、次官がおられたのですが、この点もひとつ確認を願いたいのであります。総裁ではちょっと……。  しかしどうでしょうか、委員長。大体国会対策の三原則というものがありまして、大臣並びに次官がおらないときには、委員会は開かれないとする確約があったやに聞くのでありますが、どうも大臣もおられなければ次官もおられないし……。ひとつその点を次官のほうからお伺いいたしたいのです。
  24. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 官房長官がどういうふうな発言をなされたのか、ちょっと私、存じませんが、有償無償経済協力、これは御存じのとおりだと思いますが、それ以外において韓国との間の経済協力は、通常の民間ベース契約に基づいて輸銀融資をもって行ないたい、輸銀融資をする、いま総裁から言われたようないわゆる民間ベース商談がまとまりまして、それに輸銀融資をする、そういう方式を活用するのだ、こう言ったのだろうと思います。そういうこと以外にはないはずだと私は思いますが、有償無償経済協力のほうは、これはいわゆる商業ベースによらないものでございます。全く政治的な考慮から行なわれたものである。それ以外に韓国に対してどのような援助が考えられるかといえば、いわゆる現在の輸銀ベースでやるわけでございますが、しかしただいままでの御質問にございましたとおり、韓国外貨事情というものは決してよろしくない。しかしこれから有償無償経済協力が行なわれるといたしますれば、会談が成立いたしまして、日韓会談ができ上がって、有償無償経済協力わが国からいろいろな資材等が向こうに送られて、経済開発が進められるということになれば、現在ただいまにおける韓国景気情勢とはやや違ったものも出てくる。したがって輸出入銀行融資ベースに乗るようなものも、現在よりは多くなる可能性もあるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 銀行局長はなかなか巧みにその点を回避されるような発言をされておりますが、しかし日韓会談の問題とからめて韓国はその賠償を要求してくることに対して、そういうものに対して日本政府としては納得のできないところであるし、輸銀等においてその面の融資等は考慮しておるのだ、こういう発言があったのです。ですから開発が行なわれて、同時にその経済状態がよくなってから輸銀でもっていわゆる措置をしようという内容とは、趣が異なっているわけです。ですから、その面の問題について私は先ほど来から質問をしておるわけなんですから、いまの高橋銀行局長答弁は確かにまあうまい回答でもありますし、逃げ方としてはうまいのですが、私にはどうもぴんとこないし、承服しがたいわけなのです。そういう点で、ことに今度三十九年度予算補正が百六十億から現在大体百八十億になる見通しもあるわけなんですね。大体そういうことが予想されております。そういうことから考えてみても、何か私はその面がからめられておるような傾向が多分になしとはせないというような危倶も感ずるがゆえに、この問題を順次指摘をし、確認をしたわけなんです。まあ銀行局長答えは大体わかりました。しかし私は承服できませんが、ひとつ次官のほうから御答弁を願いたいと思います。
  26. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 どうも私としてはあまりはっきりわかりませんが、民間ベースにつきましてまあ説明のように、いろいろ大体いままでも貸し付けておるようなことでございまして、いま卜部委員の御質問問題等につきましても、さらに検討をして、ひとつ善処しなければならないのではないかというふうに考えております。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 きわめてばくばくとしておりまして、つかみどころのない答弁でございます。それで委員席のほうから、局長答弁どおりだという御指摘もあるのです。しかし私は、それでは政務次官として済まされないのじゃないか。少なくとも私が発言中に、うしろのほうにおって話をしておるから、質問の要領がわからないままに答弁をされるから、そういう結果になると断ぜざるを得ないわけなんです。少なくとも私が先ほど来から申し上げておりまするように、日韓会談の問題とからめ、さらに三十九年度の補正の問題とからめても、何かそこら辺にそういう危倶があるのだ、こういう状態の中で、総裁貸し出しを行なわない、こう言っておるわけです。いまは経済状態が悪いですから行なわないということを指摘をされたのです。それはいま商談中のものは別ですよ。今後のものはないと言われたのですね。ところが黒金官房長官は、日韓会談の問題について、賠償を要求しておるけれども、それには若干日本政府としては応ずることができない問題がある。だから輸銀その他において、いわゆる援助といいますか、そういう点でもって措置をしたい旨を予算委員会で言われておるわけですから、その面について若干食い違いがあると思うのです、実際問題として。舟橋銀行局長は上手に逃げられて、それは開発が行なわれて経済状態がよくなったときに輸銀というものが出てくるけれども、現在はそういう政治的な配慮から云々というようなことで、これまた答弁を濁されたわけですが、政務次官はどうなのか、こういうことです。
  28. 森永貞一郎

    森永説明員 政務次官お答えの前に一言。私の発言について若干の誤解もあるやにおそれますので申し上げたいと思いますのは、私どものところは民間ベース貸し付けでございますので、民間において商談が成立して、政府許可を受けて融資の段階がまいりますれば、それを慎重に検討して、健全な商業主義に基づいて、償還について心配のないものを融資しておる、きょう申し上げたわけでございます。現在はすでに融資中のもの十億円のほか、商談が若干ある、これが将来どうなるか、それが成約して確実なものが出てくれば、それは一般のものと同じように融資をいたしますが、融資をしないということを申し上げたつもりではございませんでしたので、その点だけ補足して申し上げておきたいと思います。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 いまの総裁のおことばが若干解せないのですが、大体先ほど答弁の中では、まず経済状態が悪いという前提の中に立ちまして、それでそういうものについては慎重配慮したい、しかしながら実際商談が成り立っていくものについては、これはまあ別問題だという問題も出てきましたけれども、実際問題としていま政府云々だということを言われましても、政府自体がそういう混迷を続けておる政局ないしまたそういう逼迫した経済状態韓国に、政治的であろうと何であろうと、輸銀の問題を政府が承認したから出せというかっこうで出した場合には、ミナスと同じようなかっこうで、どろ沼に金を埋めるかっこうになるということは、火を見るよりも明らかであって、性質からいえば賠償と何ら変わらないと思うのです。そういう問題について私は指摘をしておりまして、総裁が言っていることばに総裁に責任を感じろとか、また政府に対して総裁が立場が悪くなるとかいうようなことを私は言うておるわけではございませんから、その点でひとつ委員長、私お願いがあります。この問題、ここで論議をしておっても始まらない問題であります。やがて大蔵大臣もおいでになるとかいう話でございますので、ひとつそのときまで発言を保留させていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  30. 山中貞則

    山中委員長 後刻田中君の質問のときに官房長官が参りますから、官房長官発言に基因しての話ですから、そのときに田中君と御相談になって、その問題についての関連の形で御質問なさったら……。ほかのメンバーはやはりここにおりますから……。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 よろしゅうございます。その点でこの問題はこれで終わりたいと思います。  では、韓国の問題は若干問題があるところですが、一応ほこ先を――ほこ先というのはおかしいですが、論点を変えて、今度は経済協力基金の問題について申し上げます。  これは高橋銀行局長のほうから前委員会におきまして七十八億と指摘されたと思いますが、この資料によりますと前年度のものが八十六億、こうなっております。これをひとつ資金と貸し付け金額とに分けて、どのように使用されておるのかをお答えを願いたいと思います。
  32. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 お答え申し上げます。お手元に提出いたしました資料にございますように、現在基金の投融資の承諾額は八十六億でございまして、このうち実行いたしましたものは三十四億でございます。これは今年の一月三十一日現在におけるものでございます。最近基金におきましても投融資の案件が二、三進捗いたしまして、投融資状況は比較的順調に進んでおります。本年に入りましてからいたしましたもの、つまり三十八年度でございますが、三十八年度になりましてからいたしましたものは、その三十四億のうち十六億。件数にいたしますと、そこにございますように融資が十五件で出資が二件となっております。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 現在の基金の総額は幾らになっておりますか。
  34. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 基金の総額と申しますと、資金量のボリュームだと思いますが、出資額が百六十九億ございます。大体百七十億。そのほかに積み立て金がございますので、百七十億ぐらいになっております。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 ちょっと指摘をいたしたいのは、三十七年十二月五日の委員会で武藤委員の、百七十億のうちわずかに十六億を貸し出しをしておるのは少ないではないかという質問に対しまして、今年度は二百七十億の、いわゆるそれを予定して具体化していく計画でございますとお答えになっておられるわけでございます。しかしふたをあけてみますと、わずかに実行においてはこれがまだ三十四億という金額でございますが、これは一体どういうことなのか、ひとつ御説明を願いたい。
  36. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 御承知のように基金が発足いたし、ましてまだ二、三年を出ないのでありますが、こういう海外の投資についての話し合いというものは、件数としてはいろいろたくさん基金のほうで承っておるようでございますが、それが実際に具体化いたしましていよいよ貸し付けるというまでには、相当長い期間を要しますので、この前御指摘のような答弁を私どものほうから申したようでございますが、その後やはりそういう話し合いがまとまりますまでに相当時間がかかりました問題その他がございましたので、現状のようなことになっておるのでございます。やはり問題が問題でございまするので、実行に移りますまでには話はたくさんございましても、相当慎重を期さなければいけないこともございますが、現状では先ほど申しましたように順調にその業務は進捗いたしております。それで最近、去年の秋ごろからだいぶ状態も変わっておりますので、現在三十八年度中になお二十億程度のものは貸し出しが伸びるというような予定になっております。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 私は少な目に二百七十億ということを指摘をいたしたのですが、この十二月五日の委員会におきましては本年度において百億、さらに三十八年度において二百七十億、加えて三百七十億を計画をし、実行をし、具体的にこれを消化をしていきたいという答弁があるのであります。そうなりますと、その面のいまの御答弁というものは、私は若干この委員会で事なかれ主義、その場当たり主義的な答弁に聞こえてしかたがないのであります。現実に三百七十億というものを委員会において具体的に予定にのせ、実行していくと言いながら、わずかに三十四億という、こういう問題について、私はずさんな計画であるということを指摘せざるを得ないのですが、この点について、では本年度、さらには来年度計画というものはどうなっておるのかをお伺いいたしたい、このように考えます。
  38. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 先ほど申し上げましたように、この三十八年度はあと二カ月弱ございますので、なお二十億程度ふえるのではないかという感じでおります。それで三十八年度末では大体六十億程度にはいくのではないか。三十九年度でございますが、これは先ほど来私どものほうでもいろいろ検討いたしておりますのでございますが、何らかの案件がきまりますれば相当多く出る。それは一件当たり一億とか二億とかいうこまかいものではございませんので、やはり大きな案件でございますから、それがいつきまるか、三月中にきまるか、四月に入ってきまるかということによりまして、年度で区分いたしますと、あるいは正確な数字はまだ申し上げにくい段階にあると思うのでございますが、少なくとも本年よりは多額に出ることは、まず間違いないのではないかというふうに私どものほうでは見ております。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 その当時の、委員会の中で指摘されておりますが、二百七十億という計画について武藤委員のほうから、これはごく親切な提案だったと思うのですが、そのことが外部に知れては困るということがあるならば、せめて委員だけにでも配付をしてもらいたいという、その資料の要求があるわけです。不幸にして私はまだ大蔵委員会に所属をしておりませんので、その点の資料をもらっておらないのですが、少なくともそういうような姿の中で出された計画がもたつくというこの問題が第一点と、それともう一つ第二点目は、いま御指摘があられましたように三月か四月になるかわからないけれども、そういうものが出てくれば大幅にふえていくのだという、こういうことだけは私は若干納得ができないのであります。そういうわけでひとつこの点をこの委員会において明確にしていただきたいと思います。私も武藤委員のことばをかりるわけではございませんが、もしそのことが部外に漏れるようなことがあったら困るということがありましたら、その計画書を委員にだけでも配付をしてもらいたい。そうせぬと私は率直に言って不安になります。ともかくその委員会ならその委員会において、三百七十億なら三百七十億を出すのだと言いながら、現実には十六億で、さらに今回の場合は今年度の実行を含めて六十億だ、こういうことではこれは実際に一体どういうことなのか、国民の血税を使っているのですからね。そういう問題がありますだけに、そういうものの資料を提出していただいて、この委員会で私はそれがどのように実行されていくかを、十分にこの大蔵委員の皆さま方とともに監視をしていきたいと思う。監視ということばはおかしいのですが、見ていきたい、こう思うのです。その点はひとつ委員長確認をしていただきたいと思います。いまの資料の計画書を……。
  40. 山中貞則

    山中委員長 基金の性質が性質ですから計画書という形ではないと思うのですが、いままでの実績と現在進行中の状況、それに見合わした対応する体制という資料はできますね。そういう程度のものはつくれますか。
  41. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 具体的な案件を申し上げるのは少し……。
  42. 山中貞則

    山中委員長 資料のつくり方の問題だけですから、資料を出すことについては了承いたしました。あとで具体的に相談させます。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 いまそこでもって渋るということであれば、私はこの委員会でそういう案件が何なのか、さらに来年度計画はどうなるのかを、具体的に出してもらうということを要求したいと思います。この点はどうなんですか、出ますか。
  44. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 この前に二百七十億と私どものほうで申し上げたのは、非常に抽象的な予測を前提として申し上げましたので、現状におきましてはそれが非常に大きな数字で、現実的な数字でなかったことはおわびいたしたいと思うわけでございますが、先ほど委員長からもお話がございましたように、資料をまとめまして御提出申し上げたいと思っております。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 何か意地悪なことばみたいに聞こえるわけでございますが、私も実は二百七十億の計画内容というものを知りたいわけでございますので、ついでに、その当時の委員会において出された複写が、根本のあれがあると思うのですが、その二百七十億の計画書もあわせ、私に一部でいいですから出していただきたい、このようにお願いをいたしたいと思います。
  46. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 非常に恐縮でございますが、前年に答弁いたしました者と私と違いますので、その点はどうも、何を前の担当者が申し上げましたか、あとで調べましてつじつまの合うような、御納得のいくようなお話を申し上げたいつもりでおりますが、現状におきましては――別に逃げ隠れをしたり、うそを申し上げたりする必要も全然ないことでございますので、はっきりしたことを申し上げますと、現状では二百七十億という計画はまず絵にかいたもちのようなものでございまして、全く計画といえるものでございませんことをはっきり申し上げておきます。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 人がかわれば内容が変わるということでは、私は政府としても無責任だと思うのです。やはりそれは一貫した流れというものがなくちゃならないのに、二百七十億はこれは私たちの誤りであった、これは私はかわったからということでは、私は納得できません。しかしそのことをいまさら追及しても始まらないわけでありますが、今後企画庁としましてはその点についてすきっとしたものを出していただきたいと思います。  同時にまたお伺いいたしたいのは、とにかくこうなりますと、それに関連してまいりますが、六十億でありますから、百七十億のこの基金との関係の問題といたしまして、百十億という金はどういうふうに保管されておりますか。
  48. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 ほとんど大半は国債を保有いたしております。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 預金部のほうには入れてないわけですね。
  50. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 ごくわずか、十億程度でございますが、行なっております。大体百億は国債を保有いたしております。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 しかし実際問題といたしましては、経済協力基金は年々一般予算の中から支出されておるわけですが、そうなりますと、国債に注がれておるということになっておりますが、これはあくまでも経済協力基金なんでありますから、この点についての措置について、やはりもう少し予算要求その他におきましても考慮せなくちゃならない問題だ、こういうふうに考えるわけです。そういう点をどういうふうにお考えですか。
  52. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 予算要求その他で考慮されなければならないという御趣旨でございますが、この経済協力基金をつくりましたのは、御承知のように昭和三十六年の輸銀にありました勘定を引き継ぎまして、その当時五十四億程度ございましたが、これに政府が出資いたしまして、さらに追加いたしまして五十億、その後大十五億をあれいたしまして、百六十九億と相なっております。本年度予算につきましてもいろいろ検討いたしておるのでございますが、去年、本年はまだ現在の資金で十分やれるということで、予算要求はいたさなかった次第でございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 今度は政務次官にお伺いいたしたいのですが、やはりこの問題も前年の委員会の中でも指摘されておる問題であったわけですが、この点の指摘に対する御答弁としては、大蔵省のほうで、個々の問題については査定をするのだ、ですから十分これから配慮したい旨の次官の御答弁がそのときにあったわけですね。その点についてどういうふうに政務次官はお考えになるか、との点ひとつお伺いしたいと思います。
  54. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 前の政務次官答弁されたとおりになると、私はそう思っておりますが、それで御不満であるということでありましたら、私は十分わかりませんから、銀行局長のほうから御答弁させていただきます。
  55. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私が答弁するのは適当とは考えませんが、この経済協力基金が輸銀との関係においていかなる業務をやっておるか。そういう点、ある程度具体的に申し上げますと、たとえば実際のいままでに出した案件はどういうものを出しておるかと申しますと、これはスエズ運河工事の着工準備金、探鉱の調査費、水道事業とか公共事業的なもの、つまり普通の商業ベースではない性質のもの、これらの案件は具体的には大蔵省のほうで、これは為替局でございますが、許可事項になるわけです。無条件でこれが出るものではない。やはり非常にリスクも多いことでございます。また収益性という点からいえば、輸銀ベースでやるよりもはるかに収益性としては少ないという場合も多いわけであります。回収にも長期を要するというふうなことでございますので、これらを非常に大幅な急ピッチで、そういう案件がどんどん出てくるのかどうか。これはそのときの情勢によって、ないとは言えませんけれども、そもそもこれらが輸出のベースなんかに比べて劣らぬテンポで出ていくということはあり得ないわけです。そういう危険な融資をどんどん積極的にやるということが、わが国の将来のためにプラスになるかどうか。現在の外貨事情もございますけれども、将来の輸出市場の確保、その他各国との経済交流関係をよくするという意味においても、どれだけ役立つか、十分に役に立つようなものを選んで、案件を認めていくというのがたてまえであると思います。つまり無条件に何でも貸せばいいのだ、海外投資を促進しさえすれば経済協力になるのだから、こういう考えでは処理できない問題でございます。もっと厳格に、まじめに検査した上で、審査した上で認めていくのが正しいのではないかというふうに考えております。たまたま経済協力基金に対する出資が、少し先に進んで行なわれた。現在は百七十億以上の資金を保有しているために、百十億も残っているではないかという御指摘でございますが、先ほどどういう数字であったか、年間に二百七十億もやるのだという話がもしかりにあるといたしますれば、おそらくその担当者の側の御希望であったわけでしょう。大蔵省としてそういうものに同意することはまずないと思います。ただ御承知有償無償経済協力という日韓会談の問題がいつ解決されるかどうか、こういう見通しは当時としてはいつであるか、はっきりわからない、非常に早い時期に妥結を見ることがある、そういう場合には、この経済協力基金に残されている資金をとりあえず使って、それに向けていくということも予想されないわけではありませんので、したがいましてかなりの大きなファンドを残しておった。それが今日少しずつ使われてきている。しかし今後におきましても、日韓会談が成立いたしますと、相当巨額の協力基金の金が要ることになりますので、余裕としてはある程度持っておることも決して悪いことではない、そのように大蔵省側としては考えておるわけであります。
  56. 卜部政巳

    卜部委員 いまの高橋銀行局長が言われたことは、これはちょうど三十七年に武藤委員が質問の中で出されたことばをオウム返しにお答えになっておるわけです。逆に私は指摘をいたしたいのですが、私たち自体も、そういうスエズ運河の調査費だとかなんとかいうことで、乱費をしてもらっては困るのだ、これはそのとおりです。ところが私の前提となった発言は、少なくともここに書かれております。これは私、議事録をちょっと持ってきておりますから読んでみますが、二百七十億の問題の中で、「羽柴説明員 実は本年度中の貸付の見込みといたしまして、大体百億近くの貸付の見込みを立てておりますし、また来年度におきましても、私の方のいろいろ積み上げました見込みといたしましては、二百七十億程度の見込み、合わせまして三百六十億をこえるところの出資貸付を行なう予定でございまして、そういうことから見ますると、今までにつきましては割合小さな金額でございますが、今後の計画といたしましては逐次かような金額を具体化していく、」こうなっておるのであります。でありますから、いま銀行局長指摘をいたしておりますように、率直に申し上げて、何でもかんでも貸し付けていいというものではないだろう、それはそのとおりでしょう。しかしながらそういうことが出ておるという状態の中で、私はやはりいまのような予算の問題もいまからめて申し上げておるわけですから、そういう形であるならば、その予算を、それだけ実効の伴なわない予算であるならば、その点を大蔵省は査定をして、その点をはっきりさすべきじゃないかというのが、私の質問の要旨なんです。その点について銀行局長のほうから懇切丁寧に説明がありましたが、これはわが党の武藤委員のほうから指摘したことばどおりのものが出ておるわけであります。こういうことであります。  こういう点でひとつ委員長、お願いがありますが、私は率直に申し上げて、いま大蔵次官のほうからの御答弁も了解できないような御答弁でございました。わけのわからぬと言うのは失礼でございますが、そういうことでございまして、率直に申し上げて、大蔵省自体もこの問題をたびたび指摘をされるのですが、指摘をされながら、なおかつ今日まで手を打たないということは、私はやはり一半の責任を免れるものではない、このように考えるわけであります。そういう点で、これはひとつまた大臣がおいでになったときに要望も申し上げたいと思いますので、発言を保留いたしまして、この問題を終わりたい、このように考えます。  次は第三の問題でございます。提案理由説明の中の第三の問題でございますが、出資をふやす、こういうことが出て願いっております。それで私はちょっとお伺いをいたしたいのでございますが、私も前委員会の中で申し上げておけばよかったのでありますが、この中で回収額というのがちょっと出ておらない。これは全然提案とは関係がないのですが、出資状態というもの、資本金並びに借入金、さらには準備金の推移、こういうものが年々変わっておりますので、これはほしいと思うのです。この点、この資料をお出し願いたいと思いますし、同時に、いわゆる業務開始以来の銀行融資承諾額、これは出ていますね。しかし回収額というものが出ておりません。それからいわゆる貸付金残高――二十五年から発足しておりますが、これをひとつ年度別にずっと出していただくことを要望いたしたいと思います。二十六年からでございます。輸銀です。
  57. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 回収額、貸付額、当初の年度から資料を提出いたします。
  58. 卜部政巳

    卜部委員 どういうことかといいますと、資料が確かに出ておるわけですが、回収額なんかの問題がこの資料の中に添付されていませんので、そういうものも参考とし、かつこれからの大蔵委員といたしましては、輸出入銀行のこの問題に対する十分な把握をしたいがために、いじめるつもりでやっておるわけではございませんので、その点はお願いをいたしたいと思います。  それから最後でありますが、今度は第四の、業務の範囲の拡大と理事の定員の問題なんでございますが、どれだけの業務が増大したのか。私は率直に申し上げて、資本金の各年度ごとのふえ方等を見ましても、はたして業務が増大をして、そのために理事一名を増加しようとするようなものを見出すことができないのであります。その点をひとつお答えを願いたいと思います。
  59. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 輸銀の仕事の分量でございますが、これを全額、貸し付け残高で見ますと、現在の定員の定まりました当時の昭和三十二年度の数字は六百二十八億円であったのです。それが三十八年度の、今年度末の見込みでございますが、約三千四百五十億円程度になるということでございます。数倍です。量的には五倍以上に仕事がふえておるわけでございます。  なお、そのほかに輸銀の業務が、わずかずつではございますが、いろいろとその範囲を広げてきております。いろいろな借款の問題もございますが、そのほかに貸し付けの範囲といたしまして、いわゆる中期延べ払いというふうなもの、従来は設備だけに限っておったものが、いろいろな輸出の条件、国際的な競争の問題等から見まして、テレビなどの耐久消費財も対象にする。それからインドネシアに対する普通の、耐久ではない消費財の延べ払いの問題等も起こっております。いろいろな関係で国際的にこういった延べ払いを伴うところの輸出の競争、国際的な政治の問題からくるところの借款というふうなもの、かなり多角的になりつつある。今後も輸銀として新しい角度で、いろいろな国際的な動きを察知しながら対処していかなければならぬ。それに伴って、業務もふえてまいるわけでございますので、この際一名程度の増員は適当ではないかと私ども考えておる次第でございます。
  60. 卜部政巳

    卜部委員 ただいま銀行局長の御答弁によりますと、数倍の業務量の増加というものが指摘をされております。しかもそれもかなり生産点におけるそれを必要としておる面が出てきておるわけでありますが、むしろ理事一名というよりも、現実にその現場に働く従業員をふやさなければならないということのほうが先決をするのではないか、率直に言って。その点においてその従業員のいわゆる待遇の問題、同時にまたその定数の問題等について、この点とからめて増員要求の提案を考えておるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  61. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 従来も輸銀の業務量の増大に応じまして、定員の増加をはかってきておりまして、三十九年度においても三十名の増加を予算に予定をいたしております。なお輸銀の業務のどういうものがふえているかということにつきましては、たとえばアラスカパルプの問題とか、ウジミナスの問題とか、高度に高いほうで処理を考えなければならぬ、仕事の一つ一つの機械的な事務ではなくて、非常にむずかしい問題と取り組んでいかなければならぬものが、どうしてもふえる傾向にございます。そういうこともございますし、海外経済協力基金がこれから伸びていくにしたがって、輸銀との調整をひんぱんにやらなければならぬというような問題などもございますので、どうしても首脳陣を幾らか強化しなければならないのではないだろうか。そういう判断で、一名の増加をお願いしている次第でございます。
  62. 卜部政巳

    卜部委員 まあお答えをいただいたわけでございますが、従業員がどういう状態に置かれておるのか、こういう点について判然といたしません。今度の委員会までに輸銀の従業員の給与状態、そういう点をひとつ御提示願いたい、こう思います。  それからもう一つお伺いをいたしたいのは、すでにこの輸銀法の問題が国会に上提されると同時に、理事の候補さえきまっているといううわささえ出てくるわけであります。こういうことさえちまたに出てきておる状態にある。何か天下り式な人事で、高橋銀行局長が――そんなことはありませんが、大体そこら辺の、定年になった者がそこに行くのだ、おれの番だというか――高橋さんの場合には当てはまりませんが、そういうことがすでにうわさをされておるという状態、さらには日本開発銀行のほうは、これはだれだれだというようなことがすでに予想されておる。こういうことでは私は不明朗だと思います。その点、人事というものは、ほんとうに理事なら理事を増員した場合には、適格な方、新鋭の、それこそ私たちのような四十代の若い理事にやらすくらいの気持ちを持たないといけないのではないか。定年退職するような人が行くことはならない、こう思います。この点について、そういううわさがほんとうであるか、うそであるか、ひとつその点をちょっと。
  63. 森永貞一郎

    森永説明員 輸出入銀行理事の任免は、総裁の選考するところでございますのでお答え申し上げますが、まだ候補者をきめてはおりません。私の意中の人物はきめておりますけれども、まだ確定はいたしておりません。念のため申し上げますならば、その意中の人物は部内の議員を登用する所存であります。しかしこれはもちろん法律が通りました暁のことでございますので、いまから申し上げるのはちょっと早いかと思います。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 私は思うのですが、このごろのことばとして新聞辞令ということがはやっているわけです。新聞辞令だということでございますが、大体新聞が辞令を発表しますと、その人がなっているという状態であります。ところがいま総裁は、そういうことはさまっておりませんということでありますが、もう新聞紙上あたりにそういうものがちらほら出ておる。これは新聞辞令では出てきておりませんが、私たちの聞くところによりますと、もうその点が浮かび上がっているというのです。そういうことではいけないと思うのです。定年退職なんかの人ではいけないと思いますので、これからはそういう面でりっぱな方になっていただいて、運営を清新はつらつなものとするに対しましては、そういうことをする必要があるのではないか、こういうことを申し上げまして、これをもちまして質問を終わります。
  65. 山中貞則

    山中委員長 午後一時より再開することとして、暫時休憩いたします。    午前十一時一五十六分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十五分開議
  66. 山中貞則

    山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小松幹君。
  67. 小松幹

    ○小松委員 最初に海外経済協力基金のことについて承ります。  先ほど卜部さんから言われましたが、具体的に私ちょっと聞きたいのですが、貸し付け、出資のその後の実態をケースごとにお聞きしたいのです。
  68. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 お答え申し上げます。  先ほど資料で御提出いたしましたのが十七件でございますが、そのうち出資が二件、融資が十五件でございます。
  69. 小松幹

    ○小松委員 その十五件の融資のことについてケース・バイ・ケースで御説明ください。
  70. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 それでは十五件の内訳を申し上げたいと思いますが、大体調査案件が五件でございまして、その金額が九億でございます。それから投資案件が九件でございまして、その金額が六十億でございます。ラウンドナンバーで申し上げておりますが、それから延べ払い関係が一件でございまして、その金額が七億でございます。
  71. 小松幹

    ○小松委員 それを具体的に聞きたいのです。
  72. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 具体的な件数の名称を申し上げますと、これは私どものほうでは基金を貸し付けました場合に新聞発表いたしておりますので、それによりまして一つ一つ申し上げます。  まず三十六年、三十七年、三十八年とございますが、初めのほうから申し上げますと、スエズ運河のしゅんせつ船回航準備資金の件でございますが、これが三億三千万円、それからボリビアのカランガス銅鉱山の探鉱関係でございますが、これが四億二千万円、それからその次は、チリのコプチャ銅山のこれもやはり探鉱関係でございますが、これが五千万円、次に北ボルネオの水産の関係でございますが、これが三千万円、日本鉱業がギリシアのスクリエス銅鉱山の探鉱をいたします関係が一億一千四百万円、それから三菱商事が久保田水道ガス工業をして施行いたしますビエンチャンの上水道関係の工事でございますが、これが二億四千九百万円、それが三十六年度及び七年度でございます。  ことしになりましてからは次に申し上げますように、まずナイジェリアの海外紡績関係の投資会社をつくりました。これに出資をいたすわけでありますが、これは合併事業でありまして、六億三千万円、インドネシアのスラウエシのニッケルの開発関係の投資が、これが三億八千万円、日本電気がメキシコでパラボラ・アンテナをつくります関係の、これは延べ払い案件でございますが、六億九千四百万円。それからマレーシアのペナンで海外漁業株式会社の投資、これが九千九百万円。それからタイでオイルシェルの開発いたしますのが二千万円、これは調査費でございます。それから三井物魔が主としてマネージメントが当たりますペルーのタクナの多目的ダムの開発、これが二十七億六千万円。それから芝浦精糖がタイでプラントをつくります関係の投資が十億四千万円。それからカリマンタンの……。
  73. 小松幹

    ○小松委員 あなた、いまのペルーのダムが二十七億とか言っているけれども、全体で十七項目の中を聞いているのですよ。三十四億をもうこしてしまったのはどういうわけですか。
  74. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 いま申し上げておりますのは承諾ベースで、申しておりますので、現在その合計額が八十六億になっております。それの内訳でございます。
  75. 小松幹

    ○小松委員 わかりました。
  76. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 次にカリマンタンの森林開発協力関係が四億四千六百万円。それから石原産業がマレーシアですずの製錬事業をいたします、この関係が三億六千万円。以上でございます。これはコミットメントの金額でございますので、実際に融資いたしましたのが三十四億でございます。
  77. 小松幹

    ○小松委員 そのうちで、承諾しただけでなくて、実際に資金融資をしたようなところがあるでしょう。それを分けて……。
  78. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 それでは貸し出し額を申し上げます。わずらわしくなりますが、先ほどの順序で上から申し上げます。  水野組の関係でございますが、これは実行額三億三千万円。ボリビアのカランガスが三億五千万円。住友金属のコプチャの銅山の探鉱五千万円。北ボルネオ水産が三千万円。日本鉱業のギリシアのスクリエスの銅の探鉱が九千五百万円。ラオスのビエンチャンの水道関係が一億一千八百万円。海外紡績投資、これがナイジェリアの分が一億六千万円。スラウエシのニッケル開発が一億四千三百万円。日本電気のメキシコの関係が四億二千百万円。ペナンの海外漁業株式会社が九千四百万円。タイのオイルシェル開発一千九百万。三井物産のペルーのタクナが一億四千八百万円。芝浦精糖五億五百万円。これが融資案件であります。以上、奥行ベース合計が、二十四億六千三百万円であります。先ほど申しました承諾ベースでは、七十六億二千二百万円になります。これにあと出資がございます。出資が、北スマトラの石油開発協力で、承諾額で七億五千万円。海外鉱物資源開発株式会社の分で、出資が二億五千万円。これは承諾も実行も一緒でございますから、それぞれ十億を足していただきますと、先ほど申しましたような八十六億と三十四億になります。
  79. 小松幹

    ○小松委員 カリマンタンの森林開発のあれは、承諾までで、実際はやってないのですね。
  80. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 さようでございます。
  81. 小松幹

    ○小松委員 それから一時中共のウルシの問題があったときに、それでは日本は台湾にウルシを植えつけて栽培をやるのだということで、台湾のほうは農産物に対して非常なウエートをかけておったと思いますが、ウルシの開発というようなことがいわれておったのです。今度の場合にはそれが載っていませんが、それはどういうふうになっていますか。
  82. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 個々の融資につきまして私どものほうでは一々詳しくは聞いておりませんので、原則として基金できめることになっておりますが、その話はまだ結論には達していないようでございます。
  83. 小松幹

    ○小松委員 結論に達しないのですか。もうウルシの話は全然ないということなんですか。その辺のところを伺いたい。
  84. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 それはいまいろいろ調査中であろうと思います。
  85. 小松幹

    ○小松委員 調査中ということはどういう意味かわからないが、私はあまり意味がないと思っておったのですが、政府のほうはまことに反作用的に台湾にウルシを植えるのだということでテーマにあげてきたので、その後意味があるようにまだ解釈をして折衝しておるのかどうか、こういうことを聞きたかったわけです。その辺のところはどう解釈したらいいですか。
  86. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 その辺のところ、どうも私もあまりつまびらかにいたしませんので、よく調べまして御答弁申し上げます。
  87. 小松幹

    ○小松委員 それから台北のガスの引き込みというような問題もテーマにあがっておったのですが、その後、これにもないが、その話はどうなっておりますか。
  88. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 午前中にも御質問がございましたが、去年、いまから言いますとおととしでございますが、その当時予算を要求いたしました場合のこまかい資料を大蔵委員会提出いたしまして、そこにいろいろ案件は書いておったのでございます。その後、御承知のように、こういう問題は話が始まりましてからきまりますまで非常に長うございますので、いろいろの経過をたどっておりまして、個々の問題につきましてわれわれのほうの役所といたしましては直接タッチをいたしておりませんので、でき上がりました件につきましては、先ほど申しましたように、ある程度詳しく御報告申し上げることができるのでございますが、進行中の話につきましては、私からいま、それはこの程度進んでいるとか、これはこうだということまでははっきり御説明申し上げかねます。
  89. 小松幹

    ○小松委員 ここの基金の責任者は柳田さんでしたね。そのほうはどういうスタッフでこういろ問題を取り扱い、考えておるのか、その辺を承りたい。
  90. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 どういうスタッフでと申されます意味がよく解しかねますが、大体現在協力基金では、職員、役員合わせまして七十四名おりまして、できました当初は輸銀に仕事をお願いしたりしておったのでございますが、最近漸次そのスタッフも整備されてまいりましたので、現在では七十四、五名で仕事をやっております。
  91. 小松幹

    ○小松委員 この海外協力基金の性格はどういう性格かはっきりわからないけれども、まあ察するところ、イニシアは日本がとって、かりにいまウルシの例をとってみれば、あるいはカリマンタンの森林資源開発にしても、フィリピンのラワン材がどうも思うようにいかなくなったから、それでそのラワンの引き当てとして、カリマンタンの森林開発によってラワンを開発していこうという考え方、あるいは非鉄関係の金属の開発を前もってするために、チリだとかボリビア等に先行するという意味で探鉱に投資するという形をとっておるということになれば、相当日本産業開発あるいは輸出あるいは輸入等の開発のために先行した投資だと思っているのです。そうした場合に、どういう形でいまの七十何人のスタッフが実際に海外に出て現場でやっているのか、あるいはこっちでデスクの上だけでやっているのか、業者まかせの意見に従ってデスクがそれを切り盛りしておるのか、あるいは基金会計に所属しているスタッフがカリマンタンの森林を実際に調査したり、あるいはボリビアの探鉱の下調査に行ったりして、その上でその先行する企業に投資をしておるのか、その辺のところを伺いたいわけです。
  92. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 現在までは職員の数もスタッフもなお不ぞろいでございましたので、輸銀にお願いしてそういう関係の調査をしていただいたりしておったわけでございます。直接職員が海外におもむきまして調査をするというようなこともやりたいわけでございますけれども、また現在そこまでいっておりません。しかし主要な投資案件につきましては、理事あるいはそれ以下の職員が出向きまして、話を聞いておる状況でございます。
  93. 小松幹

    ○小松委員 以前は輸銀にお願いしておったということですが、輸銀のそうした場合の取り扱いなり、あるいは投資の効果があるのかどうなのか、実情はどうなのかというようなことを、どの程度どういう機構で調べておるのか、その辺を承りたい。
  94. 森永貞一郎

    森永説明員 現在でも輸銀で取り扱いまする案件のいわゆる審査は私どもが委託を受けて実行する場合が多いわけでございます。その審査の内容は輸出案件、投資案件によっておのずから違いますが、主として問題になりますのは投資案件でございます。これは事業計画につきまして、資料の上で、あるいは関係者の話を聞きまして、いわば机上で調査する場合が大部分でございますが、問題の多い案件につきましてはそのときに、あるいは他のついで、あるいは事後において実地に調査をするというようなやり方をいたしてまいってきております。
  95. 小松幹

    ○小松委員 ボリビアの探鉱の投資はもう進んでおると思うのですが、それは実際にどういう結果をもたらしておるか、それを承りたい。
  96. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 ボリビアのカランガス関係の御質問だと思いますが、これは探鉱いたしました結果この鉱山が採鉱ができるという結論になりませんでしたので、三十七年の十月に探鉱関係の作業を中止いたしております。
  97. 小松幹

    ○小松委員 そうすると、探鉱した結果はだめだったからやめましたという結論になると思うのです。そうすると、ボリビアに非鉄関係の金属を探しに行くのだと言うて、ある幽霊会社ができて、そうして金を相当開発銀行から持って行った、結果はだめになった、さようなら、そういうことになってしまっておるのじゃないかと思うのです。こういうときに命を貸したほうの側としてはどういう責任なり、あるいは投資をしたり融資をしたりした結末をつけていくのか、その辺を承りたい。
  98. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 申し上げるまでもなく、探鉱の仕事はやってみなければわからぬということもございますので、百発百中でいくことはございません。ですから、うまくいきそうでないと思いましたならば直ちにこれをやめまして、先ほど申し上げましたようにこれを中止いたしましたので、そうかといってその金が返らぬということではございませんで、回収はもちろんいたすわけでございます。
  99. 小松幹

    ○小松委員 そこで、金はどういう返し方をするかということをお尋ねすると同時に、やはりこういう先行投資をしていくのには、金を貸すほう、いわゆる基金側としても相当なスタッフと技術――相当遠く離れておる現地なのでございますから、ここへ金を貸すのにああでもない、こうでもないといって現地に行った者の意見だけを聞いて、それで何億という金を、しかもこれは相当低利の金なんでございます。そういう低利の金をそういうことで貸して、これは成功する場合もあるでしょう、しかし成功する、不成功であるということとは違って、もう少し金の貸し方なり技術というものが考えられないのか。今後はそれをどういう形に持っていこうとする構想なのか、それを承りたい。
  100. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 非常にむずかしい御質問でございまして、これは会社に金を貸します場合もやはり具体的な事情によってみな違うと思いますので、やはり貸すほうといたしましては借りられる方を十分信用して、いろいろの意味の信用、人的信用、物的信用もございましょうが、それで貸しておられることだと拝察しております。それ以上のことはどうも私の立場としてはお答えできないことではないかと思っております。
  101. 武藤山治

    ○武藤委員 いま小松先輩の質問で不可解に思うのは、ボリビアの銅開発の失敗の話ですが、そういう場合に前回私が羽柴説明員からお伺いしたときに、三菱系とか住友あるいは三井系というかなり大きな会社がこういう事業をやっておるので、ほとんど優秀な株式を担保としてとっている、こういう答弁が議事録にはっきり書いてあるわけですが、ボリビアの場合にはその会社が確実なそういう債務保証をする担保として、株式はどの程度のものを基金としてはとっておるのですか。
  102. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 基金が貸し付けをいたします場合に、御承知のとおり、これは税金の傘でございますから、堅実に確かに運用して、もらわなければ困るということで、十分基金なる輸銀なりの指導と申しますか、監督をいたしておりますので、個々の場合何が幾らだったかという御質問は私は現在つまびらかにはしておりませんが、もしそういうこまかい個々の貸し付けの問題でございましたならば、基金の責任者に来ていただいて、そちらから御答弁願うのが適当かと思います。
  103. 武藤山治

    ○武藤委員 ただいまのは、どういう保証形式になっておるか、それをひとつ後ほど資料としていただきたいと思います。  それからもう一つ、あなたも御承知だと思いますが、いま日本の銅山で一番困っているのは自由化によって安い銅がどんどん入ってくる、こういう大勢がおそらく古河関係の銅山にしても、あるいは九州方面の銅山にしてもたいへんな騒ぎなんです。県はいま突き上げられて、そういう銅の不況に対してどう対処するかということでたいへんな騒ぎをしているときに、こういう金でチリやボリビアの銅山開発をするんだということでどんどん流すということは、一体国策として大きな見地から考えた場合に、そういうずさんな金の出し方がいいのかどうか、そこらの点についてあなたは基金を監督しておる立場としてどうお考えになりますか。
  104. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 御承知のように非鉄金属というものは相場の動きが非常に激しゅうございます。日本の非鉄金属、特に銅山などにつきましても非常にウィークでございますので、これを今後どういうふうに持っていくかということは日本の場合に重要な問題でございます。現在自由化を控えて日本の銅関係の方々がたいへんなときに、こういうずさんな金を出すのはどうかという御質問でございますが、先ほども申したように、ずさんであるとかないとかいうことはなかなか一がいに申し上げかねます。やはり遠い将来のことも考えまして、いろいろのことをやってみまして、そうして日本の非鉄金属鉱業の発展ということを考えていかなければなりませんので、このボビリアの場合もここをやってみればあるいはプラスになるんじゃないかという経営者の確信のもとにおやりになったのでございますので、その辺の事情は一言で申し上げることはたいへんむずかしいというふうに感じておるわけでございます。
  105. 武藤山治

    ○武藤委員 ずさんであるかどうかわからぬなどという態度は、私はけしからぬと思うのです。大体ボリビアという国が地理的に見てどういう位置にあり、どの程度の高地にあるかということは大体中学生なら常識でわかるのです。高度四千メートルもある高いところで、高山病にかかって銅も取れぬというような地域に、日本の国家的事業として金をつぎ込むなんていうことはそもそも間違いなんです。ずさんなんですよ、私どもはすでにそういうことを注意しておったのです。だからこういう失敗をして、ただ金を投げたような形になるのです。あなたのほうは貸した金が戻ればいいんだ。十年や二十年たっても取れればいい、失敗が少しぐらいあったって事業だからしかたがないんだと簡単に片づけられる金ではないのですよ、もとは国民の膏血をしぼった税金なんですから。そういう感覚でもって監督されたんじゃ困る。この金だってどうですか、百七十億も金があっても、貸している金は三十数億しかない。いかに見通しがないずさんな金を計上したかということはこの一事を見ても明らかですよ。だから、あと残っている金がこういうむだ金に使われないよう監督するために発言をしているのです。いまの発言は少々役人としてはそのまま聞き置くわけにはいかない発言ですよ。  もう一つ、チリの銅山は失敗をしないで、何とか見通しはつきますか、チリの関係はどうですか。
  106. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 先ほど順序といたしまして、ずさんであるかないかはなかなかわからぬというようなことを申し上げましま点は、非常に検討が困難であるという意味を申し上げましたのですが、たてまえといたしましては、何と申しますか、これは国民の税金でございます。ですからそれをたとえば三菱金属という会社が運用します場合に、それがうまくいく場合といかない場合がございます。いかない場合も、しかし国民の税金として貸し付けたものはこれは必ず一〇〇%回収しなければならない。だからそれに十分な担保をとるかどうかということが一番重要でございますので、その点は間違いのないように私どもで指導いたしておりますので、そういう点をひとつ御了承願いたいと思います。  次に、チリの関係でございますが、これはいろいろその経済開発可能性検討中であるのでございますが、現在はどうもこれもあまりうまくいかないのではないかという、まだ最後的な結論までは到達いたしておりませんが、その辺のところであるいは打ち切りにしなければならないのではないかというふうに考えております。
  107. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたにもう一つ大きな角度からの判断を聞きたいのですが、御承知のように昭和三十六年の総理大臣の施政方針演説の中に、海外経済協力基金の強化ということをうたっておるほど政府は当時力を入れていたのですよ。そこで予算もごっそり文句なしにとっておるのです。その説明のときに、東南アジア等の開発ということを重点に置いておるわけです。ところが、東南アジア等の、等の一字に隠れて、南アメリカのチリやボリビアのほうに金を貸してやる。私はこれは趣旨からいって筋が違うと思うのです。やはり日本に近い、しかも低開発国で非常に日本とも提携しやすい東南アジアをひとつ大いに開発していこう、こういう大きな構想のもとに発足しておるはずなんです、昭和三十八年の提案の趣旨を読んで見ると。ところがボリビアやチリのそういう実情をつまびらかに検討できないようなところに融資をしていくというところに私は蹉跌を来たした大きな原因があると思うのです。この基金の運用は、法の精神どおりに解釈をするならば、東南アジアを中心にすべきだという私の判断は間違いであるかどうか、そういう点について、あなたはどういう考え方を持っておるか、基金運用についての基本方針ですね、それをひとつ聞かせてもらいたい。
  108. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 お説はまことにごもっともでございます。この基金ができました由来が、そもそも初め東南アジア経済開発ということでできたわけでございます。それが輸銀の特別勘定が基金になりましてからも、その趣旨は少しも変わっていないのです。ですから東南アジアの開発関係の資金が主となることは私もそうだと思いますが、ただ法律にも等がありますように、必ずしもそれにこだわる必要はない。東南アジアでなくても日本経済なり世界の情勢から必要のあるものはやはり出してもいいのではないかというように私ども考えております。
  109. 小松幹

    ○小松委員 このいわゆる経済協力基金の使い方が、先ほど卜部君の意見でもあったように、百七十億の命を擁しながら、実際は三十四億しか三年間に出資ができない。ある、は融資ができないというその根底には、この金の運用、いま海外はほんとは金がほしくてたまらないにもかかわらず、実際出ていないということは、あくまでも日本の企業のイニシアチブによって、あるいは思惑によってこの金が運用される方向に向いておるわけなんです。だから企業なり、あるいは先行する山師というか、おそらく山の、炭鉱などといえば山師に限るわけです。そういう山師のいわゆる先行投資に関係があるわけでございます。だから非常に危険が伴うわけです。実際海外協力という名前は、確かにいい名前なんです。いい名前ですけれども、向こうの相手国がほしい、相手国のいわゆるプランによって仕事がやれるか、あるいはプロジェクトによってやられるtいうことであるならば、あるいは危険性も少ないけれども、これは相手国のプランなり、あるいはそういうものでなくて、日本の企業の思惑と言うたほうがいいかもしれません。もっと悪くいえば山師的な根性ということかもしれません。それを満足させるための資金に過ぎない。それならばやはり貸すほうも慎重に慎重にやって百何十億という金を三十四億しか、三年間に貸し与えないという実態がここに出ている。しかも惜し惜しみして一生懸命調査しながら貸してもなおかつ、いまチリの鉱山のように、あるいはボリビアの銅山のように、せっかく貸し付けし、会社に助成をしていったけれども、会社はほんとうの山師の使い果たしただけで、何もそこから鉱物が出なかった。あるいは採算に合うような結果が出なかったということになると思うのです。先ほど言ったように台湾のウルシの問題にしても、これはベースに乗ってきておりませんけれども、ウルシを中共がつくられぬなら台湾にウルシをつくらして――台湾にウルシができるかできないかということは別問題で、何か思惑があって、そこにこの金を使おうという考え方がある。このいわゆる使っておるものは全部ほとんどが思惑で融資しているのです。大体が企業の思惑投資あるいは見返り投資。先ほど言うたように、カリマンタンの森林の開発にしても、フィリピンのラワンが行き詰まろうと、あるいはフィリピンのラワンが終わりになるからカリマンタンのほうに森林の開発をしょう。そこにラワンの森林開発ができるかできないということはやってみなければわからぬ。だから、命を貸してやらしてみればいいじゃないかという形の、すなわちやらしてみろ、あるいはつくらしてみろ、あるいは掘ってみろ、こういう形の、これは投資の金だ。こういうようにしか考えられないわけなんです。その点について一体政府はどう考えているのか。この海外協力資金の使い力というものはこういう形の使い方を想定しておったのかどうか。これは政務次官にひとつお尋ねしたい。
  110. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 いろいろお話、御意見を伺いまして、大へんもっともな点もあるように思います。おそらく私もよくわかりませんが、経済協力基金のできた当時の意気込みというものは、おそらく御承知のようにわが国は非常に資源が少ない。相当今後は世界的に発展しなければならぬということで、相当海外に融資をしてそういうものを入れようということがおそらくその出発だったと思うのです、私の想像では。そこでいま百七十億のうち、わずかに三十七億しか使っていないということは、また一面から見れば、相当そうした思惑によってひどい大きな意気込みで予算をとってみたが、なかなか危険だということで慎重にやはり審査して、そしてその程度の融資あるいは出資になってきておるんだということで、これもあながち失敗したものも多いようでございますけれども、この融資あるいは出資には最初の意気込みと違っておるんですから、相当慎重な態度でこれを扱ってきたということも一面には考えられると思うのでございます。ことにやはりそういうことで先ほど来も御質問の中にもあったように、これに関係しておる会社は、相当日本でも信用できるような会社が多いというような事情もありまして、そういうところにはある程度融資をしたが、それかやはり失敗したということは、なかなか鉱山師は山師といわれるようなお話のとおりでございまして、なかなか思惑もはずれるということもあり得る。いわんや非常に離れたところであり、調査も不十分である。また日本の労働関係、あるいは経済関係とは違いまするから、そういう点においても相当違っておるんじゃないか。今後はそういう点も十分に注意して、さらに慎重な態度で、ひとつ思惑をあまりに重く見ないように、現実的な事業に対して融資をするということにいたす、そういう方向で進むべきものじゃないかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  111. 小松幹

    ○小松委員 この海外協力という形はいろいろあると思うのです。いわゆる輸出入銀行のプラント輸出など、最近は延べ払いの方向に向いておる。同時に相手の政府あたりも相当関与してきております。そういう金の使い道と、この百七十億に及ぶところの海外経済協力基金の金の使い方というものはだいぶ性格が違ってきておると私は思うのです。だから百七十億の中に三年に三十億しか出せない、非常に慎重なんです。それはけっこうです。こういう金ですから慎重にやってもらわなければならぬ。けっこうです。けっこうでも、そんなに慎重にやっておってもなお失敗しているということになれば、先ほど私が言ったこの百七十億の金を扱うところのスタッフがデスクで検討しているだけであって、はたしてこういう問題に取り組んでいけるかどうかという問題が出てくるわけです。特に投資を先行させて山を掘ってみたり、木を植えてみたり、出るか出ないかわからぬというような危険を非常に負担をせなければならぬ、そういう場合の調査のスタッフというものがこの基金会計の性格から私は特に必要になってくるのではないか、イニシアが外国であって、外国の政府が、おれは今度はこういうブランを持ってダムをつくっていきたい、そのためにはプロジェクトでこういう形のプロジェクトを持つが、日本がこれに協力してくれという形ならば、責任は向こうにあるから調査もできています。あるいは日本の企業がプラント輸出する。五年間のプラント輸出をするならば、もうプラント輸出というものはほぼ製品として出てきているから相当権威なものになってくると思う。ところがこういう金の使い方というものはプラントの製品でもない。相手が責任を持ってプランを立てているものでもない。むしろこっちの業者の思惑あるいは先行によっていこうとする金でございますから、研究というか、調査というか、そういうものを持たなければこの金はなかなか尻込みをすると思うのです。相手のほう、企業がいい、いい、これは見込みがありますよ、ボリビアに行って銅を探したら必ず当てますから、大丈夫です、私は金をここに積みますから、抵当を入れますから貸してくださいといったら、そうかい、抵当をつければいいよというようなことでデスクだけで参酌しても、結果は失敗するということになれば、この百七十億を扱うところのスタッフ、組織というものはもう少し検討を要する。こういうことは日本としてもあり得ることである。だれも金山を発見するのに夢のお告げで発見したものはない。いわゆる山師があの山この山を探って、そうして最後に失敗をする寸前に金山を発見したということもあるわけなんですから、世界じゅうを山師が回って、探鉱して回るということも必要なんでしょう。それは十ぺんに一ぺん成功すればいいほうでしょう。そういうときの金も必要なんです。必要なんですけれども、それをただ山師だけにまかせっぱなしで、こっちはデスクで金を貸すということもどうか、もう少しこういう金の使い方というものは意味がないとは私は言わぬけれども、あるならばあるだけの相当の責任のある格好に持っていかなければならないのではないか、こういうように考えるのでございます。この点特に政府の今後の考え方というものを私は示唆していきたい。  その次に一つ聞きたいのは、一体こういう金の貸し付しの条件あるいは出資の条件というものはどういう形になっておるか。
  112. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 貸し付しの条件でございますが、これは現在まで十五件ございます。申し上げますと、貸し付けの利率でございますが、これは最高六%半、六分五厘くらいから、延べ払いの分は四分くらいまでいろいろございます。それで調査案件でございますが、先ほどの探鉱関係とか、こういうものは大体期間も短期でございますし、資金の性質上、これは六分五厘くらいでやっております。それから延べ払い、日本電気がパラボラ・アンテナをつくるというふうなものでございますが、これは延べ払いでございますので、四分でやっております。そのほかのものは大体五分から五分五厘が一番多うございます。現在までに貸し付けました全体の平均金利と申しますのは五分二厘六毛ということになっております。  それから期間でございますが、これもいろいろございますが、五年未満から十年以上というものもございますが、平均いたしますと、七年ないし八年、こういうことでございます。
  113. 小松幹

    ○小松委員 私は実はこの金の性格というものをこういう性格と思っていなかったのです。世界に第二輸銀の構想も出たし、あるいは輸出入銀行は金利のベースが高い、しかしこの金は政府のいわゆる一般会計からの金から出ておるという形になっておりますから、資本は無利子だ。そうなれば輸出入銀行で扱いかねたものを第二輸銀的な性格を持って利子を低めて考えていくのだろうかと当初は考えておったわけであります。そうすると、いまの使い方から見ると相当混線をしてきておるし、金利も六分と言いましたかね、相当高いものになってきておると思うのです。いまのような使い方になれば相当高いところに置かねばならぬと思いますけれども、そうなると、たとえばラオスのビエンチャンの上水道の出資ですか、これなどはそれだけの採算利回りというものがあるのかないのか、ラオスのビエンチャンの上水道の資金がいま一億一千万円出ていますね。これはいま仕事を継続しておるのでしょうから、あとで二億以上の金が出るのでしょうが、これなどはどういう採算で考えておるのか、その辺のところを向いたい。
  114. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 ビエンチャンのほうでございますが、これは上水道工事で、主としてこちらから水道関係の資材を持っていきまして向こうでその設備をつくるわけでございますが、これは期間は相当長うございます。十五年ほどでございますが、金利は年五分七厘五毛でございまして、この程度の金でございましたならば何とかいけるのではないかと思います。
  115. 小松幹

    ○小松委員 ここで政務次官にお尋ねしますが、大臣は、金融機関の交通整理をやるのだというようなことをおっしゃっておりますが、海外に出す輸出なりあるいは輸入なりの金融というものの交通整理というものはどういう形に考えておるのか、その辺のところを、いわゆる金融機関は統合するのだ、こういうことをおっしゃっておるのでございまけけれども、中小企業の協調融資とか、輸出入銀行貸し出しベース、あるいは海外経済協力基金の貸し付けベース、あるいはクレジット、借款などにおける国家がやるところの、政府自身がやるところのベースどもいろいろな形で交通整理ができていない。一体どこで分けておるのか、ある程度の商業ベースでいく金利か、あるいは商業ベースではどうしてもいかぬのだという低金利のベースか、あるいはもっと国家が延べ払いなり長期の取引によっていく、そういう形でやる協力か、こういうような形で、交通整理をしなければ、ケース・バイ・ケースで、こっちにいけば笠利が高い、こっちも金利が高い、あるいは性格が何かわからぬようになってしまっている。こういうことが現実にあるわけです。それでいて、あとで聞きますが、輸出入銀行あたりの条件というものは相当ゆるくならなければならぬ方向になっている。この辺のいわゆる海外協力基金関係貸し付けなどの交通整理というものは、どのように考え、判断しているのか、この辺のところを承りたい。
  116. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 大臣のお話は私も承知はいたしておりますけれども内容につきましては実は私どもまことに不勉強で、十分大臣からも承っておりませんし、その点につきましては、あるいは大臣から銀行局長にお話があったかもしれぬのでありますから、ひとつ局長のほうから御答弁させたいと思います。
  117. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまいろいろな形での海外経済協力というお話がございましたけれども、実際問題として整理を要するとすれば、これはいまの段階では、実際は政府間の借款のようなものでありましても輸銀を使っております。結局輸銀経済協力基金の問題になるのじゃないか。他の市中銀行との協調融資はいたしますけれども、これ別に交通整理を要するような問題ではございません。基金と輸銀がどういうけじめでやるかというような点、これにつきまして、昨年、実を申せばこれを一緒にしたらどうだ、輸銀と協力基金を一つにしてしまったらどうだというふうな意見もございました。しかしこれは今回の予算案におきましても、その点はそうなっておりませんで、分けて、依然として輸銀と基金ということでやるというたてまえになっております。これは考え方でございますからどちらも理屈があると思います。つまり両方のいずれかにお願いするんだが、どちらへいってもうまく話が通じない、どちらへやるか、非常に時間がかかってしまって案件の決定がおくれるといろ非難がある。その点から申しますれば、これは輸出入銀行と統合いたしまして、勘定は分けねばいかぬけれども、最終の意思決定は一人の総裁が行なうというようなことにすれば、そのほうが迅速にいくのじゃないだろうかという意見もございます。しかしとかく経済協力基金の運用は、やはり輸出入銀行の通常の融資が行なわれているものとはちょっと性質が違います。いままで金利の点でもそう安くないじゃないかというお話がございますが、しかし非常にリスクが大きいという点からも金利はある程度はとっていただかなければいかぬという問題もございますし、これは輸出入銀行の金利と面接比較してというあれはありませんけれども、その事業の性質を見て金利が定められている、期間もそうである、そういった基金の仕事が今後どのように発展するか。たとえば日韓会談が成立した暁には、これは非常に性格の違ったものになる。そういったものを輸出入銀行の中に入れていくことがはたして対外的な関係からしてどうであろうか。むろん日本政府が意思決定をするとすれば、どちらのほうを使ってう同じはずであるけれども輸出入銀行はあくまで通常の、つまり不当に安いものでない通常の、世界の水準からあまりはずれない融資条件でやっておる。過当競争の先端を行くようなことはしないのだということで、他国からの非難をあまり受けないようにしなければならぬ。その中に相当政治的な考慮から出るような種類のものがまじってくる。勘定を分けるといっても、輸出入銀行がやっておるのだということになることについては、若干慎重でなければならぬ。  それで意見はいまだにいろいろあり得ると思いますが、現段階におきまして、そういったことも考えまして、やはり性格が違うという意味において、別々のものにしておいたらいいのじゃないか。しかし、連絡は非常に緊密にしなければなりませんで、ただいまのところ輸銀総裁、それから柳田経済協力基金総裁、ともに非常に連絡よろしくやっておりまして、これが一つになろうが二つになろうが、実情はさほど支障はないというように連絡がとられているというふうに私どもは思っております。
  118. 武藤山治

    ○武藤委員 一時は基金を輸銀に吸収しようという意見があったわけです。去年の九月だったと思いますが、大臣がはっきり海外経済協力基金は輸出入銀行に吸収合併をする、こういうことが新聞に大きく出ておりました。そういう考え方が来年度から実施できなかったということは、部内でいろいろ議論をして、吸収することは、いまの場合よろしくない、結局いまのまま二木立てにしておくほうがいいのだという結論は出たのですか。それともまだ結論まではいかぬが、来年度には間に合わなかったという実情ですか。その検討状況ほどうですか。
  119. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 一応の結論は、二つをそのまま存続せしめるということでございます。しかし、それだから未来永劫にそのままでいくかどうかということまできめたわけではございません。
  120. 武藤山治

    ○武藤委員 参事官にちょっとお尋ねしますが、私がどうも納得できぬのは、小松先生も慎重に慎重を加えて、基金を全部だあっと使わずに慎重に出しておるのはよろしいだろう、こう言っておるのですが、実際需要がないのか、それとも何かこちらの計画があって、資金をまだ八十億も残しておるのか、大臣のほうからあなたのほうへ、そう急いで基金を使う必要はないぞ、政府のほうでは考えているものがあるから少し残しておけ、そういう指示があるのですか。
  121. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 別にそういう指示はございません。先ほども申しましたように、事柄が重要でありますために、国民の税金だということで慎重に判断しているということも一つと、それからプロジェクトが、いろいろの企業がございましても、話がまとまるまでに時間がかかっているということで、現在そういうことになっておるのが実情でございまして、先ほど申しましたように、三十六年度と三十七年度の償却額はそれぞれわずか十億程度でございます。しかしことしになりましてからそれが四十億程度になると思いますので、別に、あまり使うな、残しておけということを言われてやっておるというわけのものでもございません。
  122. 武藤山治

    ○武藤委員 前に韓国のほうから、日韓会談の交渉中に、有償で借款をする基金は海外経済協力基金から出してくれということを言い出したととが、去年新聞に報道されたことがありますね。そうすると海外経済協力基金に一般会計から、あるいは産投から出していって、この額をもっとふやして、やがて日韓会談が成立したときに、その中から支払うという情勢は、あなたなんかまだそういう感じを抱いておりませんか。それはどうですか。
  123. 庭山慶一郎

    ○庭山説明員 きのうも私のほうの長官が決算委員会答弁いたしたのでございますが、日韓会談の問題は、まだ終着点に到達しておりませんので、そのような問題が起こりました場合に、基金から使うかどうかという問題については、現在のところまだ何とも申し上げられないことでございます。  またもしそういうことがあったらそっちに使うだろうということを意識をして、現在、当然といいますか、出したいものまで出していないということでもございません。
  124. 小松幹

    ○小松委員 それでは海外経済協力基金のことについてはこれで終わりまして、時間がないそうですから、輸出入銀行のことについてお尋ねいたします。  プラント輸出のことについて、最近プラント輸出の引き合いをやっておる場合に、頭金の問題が相当問題になると思うのです。いままでの輸出入銀行貸し出しは、頭金を入れて考えておったと思うのだが、今後は外国の、たとえばイギリスにしても西ドイツにしても頭金をのけて取引をする、こういう形にだんだんなってきておると思うのですが、この辺のいわゆる融資ワクの問題、どういう判断をして現実にはどうしておるか、この点を承りたい。
  125. 森永貞一郎

    森永説明員 私ども融資いたしておりますのは、頭金を除いた残り、つまり延べ払いになる部分について融資をしておるわけでございます。もちろん船積み前におきまして、生産のために必要な資金が要る場合に、その資金も融資しておりますが、船積み後の延べ払いにつきましては、頭金を除いた残りが融資対象になることを御承知願いたいと思います。  その頭金の問題につきましては、大蔵省、通産省での延べ払いの輸出許可の際にまず審議される問題でございますが、あまりその頭金を減らされては困るわけでございます。やはり日本としてはある程度の目安でそれ以下にはならないようにという要請があるわけでございます。そういうような観点から、現在融資いたしております、あるいは政府許可をされております案件につきましての頭金は、船舶につきましては大体二割をキャッシュベート、その他については三割ということでございます。しかし、これは基準でございまして、実際の商取引になりますと、各国との競争上の関係から、必ずしも二割、三割にこだわっておるわけにいかない。それでは商談もむしろ失敗ずるというようなこともございますので、その辺のところは臨機応変に考えまして、といってあまり頭金が減らないようにということにも努力しながら業者が努力しておる、そういうような現状でございます。
  126. 小松幹

    ○小松委員 インドの製糸プラントの二百十一万ルピーの取り合いの場合に、西ドイツは頭金なしで最終決定では取った。あるいはインドネシアの電話線のケーブルのときも、英国が頭金なしで取った。一番札には日本が入っておったそうでございますが、結局一番札の入っておった日本は頭金――あるいは最近は頭金だけではなく、延べ払いの中に据え置き期間を三年なり入れて取るわけなんでございましょうが、そういうかっこうで現実にプラント輸出をしようという場合に、頭金の二割の問題、あるいは据え置き期間を中に入れるか入れないかということによって、取れないという情勢が最近は非常に出ておると思うのです。そうした場合に、日本のプラント輸出の頭金の問題と据え置きの問題、大体これは中期で三年か五年でも、中に据え置きを三年入れるのと入れないのとだいぶ違うわけです。そういう形になりますと、これは水は低きに流れるようなもので、特に東南アジアのいまの、ドル危機、あるいは赤字財政のときには低きほうにつく。そうなればプラント輸入の意欲はあっても、結局条件に頭金がつかなければそのほうに流れていくとするならば、海外競争というもの、プラント輸出の面では相当輸出入銀行のそういう形の指導なりあるいは政府の指導なりというものが変わってこなければならぬ段階になっているんじゃないかと思うが、その辺のところを銀行側としてはどう考えておるのか、大蔵省の銀行局として、あるいは政府としてどう判断をして、今後どう持っていこうと考えておるのか、その辺のところを承りたい。
  127. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 便宜私から一般的な考え方を申し上げます。  最近プラント類の輸出に関連いたしまして、延べ払いの条件が国際的にだんだん緩和されてまいっておりますことは小松委員の御指摘のとおりでございます。したがいまして、政府といたしましては、やはり国際競争に負けないように条件の緩和を必要な範囲で行なっていくということが必要でございまして、個々の案件につきまして、その辺は最近かなり弾力的に関係各省の間で相談をして実施をいたしております。
  128. 小松幹

    ○小松委員 弾力的ということは、頭金なしで契約をするとか、あるいは引き合いをするとかいう形に持っていきつつあるということを言っているわけでございますか。それから、中に据え置き期間あたりも入れるような傾向になってきている、そういうことを意味しているのですか。
  129. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 具体的な案件によりましてかなり条件が違うのが実情でありますが、一般的に申しますと、頭金はまだ全然とらないでいいというところまで踏み切るのは、国際的に見てもそこまでいくのは少し行き過ぎではないかというふうに一般的に判断いたしております。なお、据え置き期間につきましては、必要に応じましてある程度考えているというのが実情でございます。
  130. 小松幹

    ○小松委員 最近は長期の信用供与で、アメリカあたりだったらインドで四十年というケースを出しております。それは特殊のアメリカのケースでありますが、西ドイツでもイギリスでも十五年、二十年という長期の――これは延べ払いというよりもむしろ違った形の表現のほうがいいと思うのですが、そういう形になってきた場合の金融というものはどういう形にしていくのか。これも輸出入銀行あたりのいままでのプラント輸出の大体の現状からすると、中期三年なりあるいは五年の延べ払いであったと思うのです。それが国際取引においてある程度向こうの政府側の干渉によって十五年、二十年、長きは四十年というケースが出るようになりますと、こういうものの取り扱いの判断というものは銀行ベースで判断するのか、政府ベースで判断をするのか、その辺はどうなんですか。
  131. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 経済協力と申します中に比較的商業ベースの要素が濃いものと、それからいま御指摘のように、アメリカのAIDあたりがやっておりますように援助的な色彩、性格の濃いものとが、程度の差はあれでございます。従来日本としては財政の能力その他の関係もございますので、比較的コマーシャルベースの性格の濃いものを重点としてやってまいっておるわけであります。ある程度援助的な、思い切って長期のものも場合によってはこれから考えていかなければいけないような国際情勢にだんだんなってまいっておりますけれども、ただいまのところではそこにある程度の限界がございまして、やはり一応コマーシャルベースの範囲をどこまで拡大、緩和していくかということで当面は考えておる次第でございます。
  132. 小松幹

    ○小松委員 コマーシャルベースでいける間はいいと思いますが、最近の情勢を見ますと、たとえばプロジェクトの取引にしても、あとの事業資金といいますか、取りつけに必要な事業資金までもそのワクの中に入れる、あるいは資本財の、これは当然普通の常識からいえばそういう延べ払いとか、あるいはそういう形でもっていき得ないほんとうの商業取引のようなものまでも、相手方はこれを長期に持ってこようとするような傾向にあるわけです、実際の取引が。そういう問題点に対してどう処理をしていくのか。ただ銀行ベースだけで話が解決しない、そうした場合には一体だれがこういうものを、企業の責任においてのみやるのか、あるいは政府側の勧奨などによってもこれが進め得るのか。その辺の取引の実際面にぶち当たったときに輸出入銀行ベースだけでいくのやら、あるいはそれに応じていく場合に、責任というものは全部企業の責任になっているのかどうか。その辺はどう判断したらいいか。工事費の問題あるいは当然商業取引に類するようなものまでも向こうがぶつ込みに長期に持ってこようとした場合、こういう面の指導はどうしているのか。
  133. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 最近は御指摘のように、現地での工事費も中に含めた経済協力といいますか、そういうケースが出てまいっております。私、ただいま必ずしも正確に記憶いたしておりませんが、工事費の比率がある限度をこえるものにつきましては、輸銀でなくて経済協力基金のほうが取り扱うというふうな取り扱いにいたしております。したがいまして、いま御指摘のような方向で、いままでのコマーシャルベースでの延べ払い条件緩和というものがある限界を越していきます場合に、そこに新しい経済協力基金の担当すべき分野が出てまいるように考えております。
  134. 小松幹

    ○小松委員 時間がないそうですからあと一、二問で……。問題点は、輸出入銀行貸し出しについていままでどおりのイージーゴーイングな形の貸し出しだけでは相当壁にぶち当たってきている段階ではないかと思うのです。その壁をどういう形で打開していくかというには、相当政府の資金量にも問題があるでしょうし、あるいは金利の高さ、日本の金利は高いからその辺の問題もあるけれども、やはり政府の考え方が相当先行しなければならぬ、かようにも考えるわけです。最近は債権会議とか、あるいはこれらの協調とかいう形でいろいろな世界的な一つの取り組みによって問題点の研究なり、あるいは打開をはかっておると思いますけれども政府自身としてもこういう問題、特に東南アジアの輸出あるいは経済協力等の打開には、相当骨を折るんじゃないかと思うのです。それについてもう少し政府の意見を聞いてみたいと思いますけれども、時間がないそうですからこのくらいにいたしまして、最後に一点だけ、輸出入銀行借り入れ金はわかりましたが、借り入れ金限度支払いの実態はどういうようになっているのか、それを伺いたいと思います。
  135. 森永貞一郎

    森永説明員 借り入れ金限度は、資本金と自己資金を合わせましたものの三倍ということになっております。それに見合いまして、貸し付け並びに保証の限度は、資本命と自己資金を合わせましたものに、ただいま申し上げました借り入れ金限度を加えた、つまり自己資金を含めた資本金の四倍ということになっております。  後段の支払いの実態という点が、ちょっと御趣旨がわかりませんでしたので、もう一度……。
  136. 小松幹

    ○小松委員 昭和三十八年には、借り入れ金に対して支払いをするのか、しないのかという具体的な問題、実際は借り入れ金支払いをしておるのか、していないのか、どのくらいの限度支払いをやるのか。
  137. 森永貞一郎

    森永説明員 政府からお借りいたしましたものにつきましては、期限どおり元本並びに利子をお払い申しております。三十八年度の見込みでございますと、政府に対する借り入れ金の返済額は百四億でございますが、期限どおりすでに支払い、また今後支払うわけでございます。
  138. 小松幹

    ○小松委員 その借り入れ金支払いの約束どおりという、その約束というのは、輸銀借り入れ金の場合は何年の償還になるんですか。
  139. 森永貞一郎

    森永説明員 七年の期限で借りております。
  140. 小松幹

    ○小松委員 以上をもって質問を終わります。
  141. 山中貞則

  142. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まず最初に、委員長にお願いしておきますが、こういうような大きな法案になりますと、通産省、経企庁、大蔵省にまたがった重要な法案でありますから、委員長には――いままで大臣をいろいろなにして連れてこられておりますけれども、こういうような重要な法案につきましては、ぜひひとつ――庭山参事官ばかりいじめてもしようがないので、責任ある大臣を連れてこられるよう要望しておきます。  まず、関連して為替局長にお願いしたいのですが、外貨準備の問題について、最近外貨がどんどん減ってきて、非常に心ぼそくなってきておりますが、その趨勢について、簡単でよろしゅうございますから、ちょっとお話し願いたいと思います。
  143. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 外貨準備は、一月末で十八億五千五百万ドルでございますが、昨年末がそれより二千三百万ドル多かったのでございます。しかしながら、大体今年末、先般国会に提出いたしました経済見通しに関連いたします数字では、十七億六千万余の数字を維持できるということになっております。
  144. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 四月、五月ぐらいには回復するといわれておりますが、二月、三月の傾向はもっと減るような情勢ではないでしょうか。
  145. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 現在――私ともも予想でございますからむずかしいわけで、ことに外貨準備が反映いたします短期資金の動き等につきましては、現実には、そのときになってみなければなかなかわからないという問題もございますが、十八億――先般大蔵大臣予算委員会お答えいたしたと思いますが、十八億前後ということで――前後というと、範囲は非常に大きいかと思いますが、先ほど申した数字と大差ないところに落ちつく見通しでございます。
  146. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 政府がいろいろ発表しておられる中には、私たちの理解できないような数字もありますけれども、しかし、外貨事情が悪いということだけは、だれが見てもいなめない事案でありまして、われわれは、政府の予想以上に悪くなっておるということに認識しております。為替局長にはこれ以上質問いたしませんが、そういうことに関連して、本法案について森永総裁にお尋ねします。  御承知のように、今度輸銀の資金量がふえることになっておりますが、それに関連して、先日わが党の委員から――理事を六名にするということになっておりますが、森永さんは大蔵省に長くおられて、現在総裁としておやりになっておりますが、どうも日本のこういう国家機関のようなものは人員がふえて困る。特にトップ・レベルの人員が非常に多いようにわれわれは見受けるのですが、わずか――これはわずかではございませんが、資金がふえることによって何で理事をふやさなければならぬのか、こういう点について率直な意見を承りたいと思います。
  147. 森永貞一郎

    森永説明員 輸銀は二十五年の暮れの創立でございますが、きわめて簡素なところでスタートしたわけでございまして、その後事務量の膨大化に伴いまして、あとから人員の整備が伴ってついてくる、そんなふうなかっこうでまいっておるわけであります。当初は三人の理事でございましたが、三十二年に五人にいたしまして、三十二年の貸し付け残高は、先ほど銀行局長から答弁しましたように六百億余でございましたのが、今日では三千億をこしておる。金額がふえただけで、直ちにそれだけの割り合いで人員をふやさなければならないわけではございませんが、やはり貸し付けの調査事務、審査事務、管理事務等、非常に分量がふえてまいってきております。さらにまた、昨今は直接借款あるいは投資等の案件が、件数的には非常に増加いたしてまいっておるわけでございます。輸出の案件でございますれば、大部分は信用状等を担保にして、そうむずかしいこともないわけでございますが、投資の案件ということになってまいりますと、先ほど小松委員からもいろいろ御指摘がございましたように、いろいろ問題があるわけでございまして、そういった質的な面での事務も、非常に分量が増加いたしてまいっておるわけでございます。今日まで比較的小人数の役員で処理いたしてまいりましたが、この段階にまいりますと、やはりもう一名程度の理事の増員をはかりませんことには、今後なお一そう増加するであろう事務の処理に不円滑を来たすのではあるまいかというようなことから、理事の一名の増員をお願いいたしましたような次第でございます。
  148. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 一名ぐらいの理事増員をどうこう言うわけではありませんが、森永さんは、名主計局長として、国の財政、膨大な予算についていろいろ御苦心されたわけですが、民間なんかになりますと、なかなか簡単には一名の役員もふやせないような形になっております。どうも国家事業というものは直接自分の腹が痛まないから、やはりこういうような傾向が徐々に見られるので、私は特にこういうことについては非常に残念だと思うわけであります。それからわが党の委員からもいろいろ投資の問題について話がありましたが、私がブラジルとアルゼンチンへ行きまして感じましたことは、たとえば石川島造船の工場を視察していろいろの話を聞きましたが、その一番大きな悩みは、せっかく親会社から投資されて、そうしてブラジルで事業をやっている、利益があっても本国に送金は一割しかさせられない、これではたいへんだという不平を聞いてきたのでありますが、そういう事実は各所にあると思うのでありますが、そういう点はどういうように考えておられますか。
  149. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 ブラジルの例は、向こうの外貨事情が非常に悪いものでございますから、送金をさせないでクルゼイロのままで置かせているわけであります。したがって、これは向こうの為替管理法の問題でございます。
  150. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 為替管理法の関係があることはわれわれも知っておりますが、しかし、いまブラジルへ投資をして、そしてすぐ利益をあげようと思っても、それはなかなかそう簡単にはいかないと思うのです。だから、私は考えたのですが、やはりある程度まで、五年なり十年なりは投資をするなり国でプールをして、そしてそこで内地の親会社に対する処理をする方法が必要じゃないかと思うのです。日本人は短兵急でありますから、行ったらすぐ利益を国へ持ってこようとするが、他の諸国ではこういうようなことはやっていない。ところが、日本では持っていったらすぐ利益をこっちに持ってくるというような、こういう形をとることは、これは長い目で見ますと、日本の将来の海外発展という見地から非常にみじめだというように考えておりますが、その点はどういうふうに考えておられますか。これは銀行局長からでもあなたでもいいですから、お答えを願いたい。
  151. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 もちろん国の全体のあり方としてそういうお考え方もあろうかと思いますが、何ぶんにも出ますのが私企業でございますから、私企業がやはり利益を全然あげないというようなことに対して、どれほど興味を持つかという問題もあるわけでございます。
  152. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 しかし、国家がブラジルに投資をする、――ブラジルに進出している会社はたくさんございますが、しかしそろいうものを認めた以上は、やはりこれが成功するように初めから考えられたと私は思うのです。そろいう点については全然当てずっぽうにやっているわけではない。おそらくこれらの会社がブラジルならブラジルへ投資をするという場合には、やはり国がそれだけの命をある程度までカバーするというような――金をただやるのではないですよ。けれども、こういうような財投の関係とかあるいは経済協力基金の関係でやっておるのだからして、すぐ利益があがらなければあとのことはどうなろうかということも問題になってくると思うのでございますが、こういう点については一体どういうようになっておりますか、承りたいと思います。
  153. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ブラジルの例は私は少し極端な例であると思うのです。というのは、ブラジルはかつてはそういうことは全然言っていなかった。外国からの企業の進出は大いに歓迎する、つまり外資導入とか企業の進出をどんどん受け入れる、そういう政策をとって、しかもそれらを優遇しますということを言っておった。だからこそ各国の企業が、将来の地盤を確保するという意味において行ったんだし、日本の企業も今日のような取り扱いを受けようとは思っていなかった。ところがその後大統領が変わってみたり、いろいろインフレの高進がますますひどくなるということから、たてまえ上は一割の配当ぐらいは送金させることになっておりながら、実際上は送らせないというふうな非常に変なことになってしまった。いまの段階において、ブラジルのそういう条件でやられているところへ、日本の会社が新しく企業進出をするかといいますと、たとえ政府がその国をある程度めんどうを見てやるといいましても、日本の会社で、やりくりが悪くて、自分の金を何に運用しようかと考えている、五年先、十年先を考えて、そういう国であってもあえて進出するという会社はまず見受けられないのじゃないか。そこへいきますと、西独その他非常に裕福なといいますか、自己資本の多いところでは、あえてそういうことは問わない。国内の有価証券に投資しておるくらいなら、そういう悪条件でもかまわないから進出する、こういうものがあろうかと思います。そういう点において、日本の企業自体がそういうふうに自分自身の基礎も強固でない今日におきましては、そういう為替上の不利益、リスクをあえておかして新規に進出するという可能性はほとんどないのじゃないか、それをまた政府がめんどうを見てやる、その金をドル資金なり円資金をあわせて政府のほうでめんどうを見てやるというようなところまで、そういう国に対する海外投資をわれわれはさらに奨励していかなければならぬかどうか、多分にこれは一考を要する問題でございまして、そう軽率には認めるわけにいかないのじゃないかというような感じがいたします。
  154. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 何か、すべての責任がブラジルのインフレばかりにあるように言われますが、その隣の国のアルゼンチンはデフレで非常に困っているわけです。アルゼンチンは御承知のように日本の企業ではニッケの工場以外に進出していません。ここはまた政治の不安がありますから無理もないのでありますが、ブラジルではどういう約束でやられたという詳しいことは私はわかりませんけれども、少なくとも相当多くの日本商社が進出して工場を持っておるのであります。そういう点について、国として一体どういうような方針で将来――南米のいろいろの指導ということはよくわかりませんけれども、しかし、事業というものはやはりある程度までの永続性のあるものでありますから、それについてはある点まで国の補助がなければやれないというふうな不平をたくさん聞いてまいりましたが、現在のアルゼンチンに対するいろいろな投資の問題についてはどういうふうになっておりますか、伺いたいと思います。
  155. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 アルゼンチンは御承知のとおり、昨年でございましたか、過去の対外債権が支払えないということで、各国で集まりまして半分ばかり債権を繰り延べをしたような状況でありまして、外貨事情も決してよくないということになっております。そういうことで、われわれとしては、アルゼンチンに対する海外投資というものは絶対にいけないということを言っているわけではございませんが、非常に慎重であるわけでございます。  いまお尋ねの進出企業がどれだけあるかということになりますと、非常に金額の少ない、あまり条件が長くならないようなもので、確実に回収できるというようなものについては若干の考慮をいたしておりますが、現在、そう積極的に投融資をするような段階では決してないというふうに考えております。
  156. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 車両なんかは非常に困っておるという話ですが、そういう話はありませんか。
  157. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 私はよく存じておりません。
  158. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それからきょうの新聞で見たのですが、先ほど小松委員から山師的なということばがございましたが、これは別にして、だいぶ不安定であるアラビア石油ですね。これは今度初めて一割も配当するということになってきておるのでありますが、アラビア石油に対する投資額はどういうふうになっておりますか。これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  159. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 アラビア石油に対しましては、当初融資承諾額七十億円であります。その後の分を入れまして、承諾額の合計は百七十億円にのぼっております。実際の貸し出し残高は、その後回収もございますから、昨年末で百四億円余りが融資残として残っております。しかしこれは当初非常に危険と思われた事業でございましたのに、きわめて順調な経過をたどっております。今後また再び増資をいたしまして、こういった借り入れ金の一部を返済するという計画も持っております。そういう増資をいたしますにつきましても、せっかく利益もかなり計上できる段階になりましたので配当を開始した、こういう実情でございます。
  160. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょうどアラビア石油がそういうような成功を見た、これは長い間に初めてできたのですが、事業というものは運、不運もあるし、またある場合にはこういうものが成功する場合もある。ブラジルの場合は何か国家の協定があるのかもしれませんが、国家の協定というのは国内におる者はいいけれども、こういうように捨て子になるような心配が現実にあるのじゃないかと心配しておる。ウジミナスの問題は先日伺いましたから言いませんけれども、そういう点について何か欠陥があるのじゃないか。これは政治的な問題でありますから答えにくいかもしれませんけれども、やはりせっかく出したものを見殺しにするような形が出るのではないか。先日も金融小委員会でいろいろ現状を訴えられたのですが、私たちは初めて行ったのでありまして、一週間足らずしかおりませんでしたから、そういう点は詳しくわかりませんけれども、せっかくあのくらい日本人に対して好意を持ち、また五十万以上も日本人がおるようなああいう土地で、もしこれがうまくいかないとなれば、再び日本の投資の問題は取り消しになるのじゃないかという感じがいたしますけれども、これは向こうの為替政策とか金融政策については、日本から見ればいろいろ問題があるかもしれないけれども、ブラジルならブラジルに適当な経済政策をやっておるのであって、そういう点のいろいろな細部の問題は何とかうまくいくような方法はないかということを考えております。これはむしろ政務次官大臣に話すべきことですが、高橋さんどういうふうにお考えになっておりますか。
  161. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ウジミナスの問題につきましては政府も当初から関係しておりまして、一つの国策的な考えも織り込んで始められた事業でありますので、先日輸銀総裁からはっきり申しましたように、経理にきわめてずさんな面があるように思いますけれども、ともかく第二期工事までは完成せしめるという基本的な態度に変わりはありませんし、今後できるだけ早く工場全部を完成させるように努力したいと思っております。  そのほかに、石川島ブラジルその他十数社ブラジルに行っておりますが、この間いろいろコンブレーンを承っております。何か日本に向けて送金をしたいけれども、それが許されない、利益としては非常にたくさん出るけれども、向こうの税法が再評価をどんどんしていかなければ資本は相対的に過小になる、資本食いつぶしになるわけです。資本食いつぶしの形で多額な利益が出た、それに高率の税をかける、こういうことをやるようではたまらないというので、そういう現地での悩みを訴えられたと思います。私ども別にこれは悲惨な状態にあるというわけではなくて、形の上では利益のあげておるのだが日本とのつながりが切れたような形である、そういう状態でありますと、親会社のほうはさらに積極的に工場の拡充その他に資金をつぎ込んでくれる望みがない、こういうことであろうと思いますが、これは親会社に強制するわけにいきませんので、親会社のほうなどで、もう縁が切れたような感じを持たないで、もう少し現地の情勢さえ許せばもっと投資を追加したい、その投資金融が輸銀の金融ベースに乗るということでありますれば、これはあえて禁止するという考えはとらずに、採算の十分とれるものであれば認めるという考え方も私たちは持たなければならぬと思っております。しかし実際問題として、為替局あたりで投資案件は一々チェックしておるわけです。これが日本の国際収支その他から見てどうかということ、つまり返済が全然ないということになりますとそれは投資しっぱなしになりますから、あまり甘いことを申すことはできませんが、全く縁を切ってしまったような状態で放置しておくという考えはございません。
  162. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 通産大臣が来られまして松平君が質問するので、最後に森永さんにもう一つ伺っておきたいと思います。  私らの考えでは、輸銀の投資の面がどうも総花的で何か一定の線がないではないか、そのときそのときの状態でやっておられるのではないかといろ気がするのですが、その点について、あなたのほうは、こういう機関があり、こういう政策を持ってやっておるというような案があるだろうと思いますが、そういう点はどうなんですか。
  163. 森永貞一郎

    森永説明員 私どもで担当いたしております融資は、輸出金融、投資金融、輸入金融といろいろございますが、いずれも今日の段階では政府許可を受けた案件について融資するというようなことになっておりまして、まず商社なりメーカーなりで政府許可が受けられるかどうかという問題が先行するわけでございます。私どもは、許可を受けました案件につきまして、それが融資に適するかどうか、適するとしてどういう条件を与うべきかというようなことで実行いたしてまいっておるわけでございますが、今後開放経済と申しますか、自由化と申しますか、だんだんそういった政府許可の面が縮小されまして、私どもが自主的に判断をしなければならないような面が多くなってくるのではないか。いまからそれに備えまして、私どもは、自主的に事柄を処理し得るようにというようなことで、自主的、機動的、弾力的に事案の処理に当たってまいりたい、かような気持ちで部内を督励いたしておりますのが現状でございます。御質問に対しましてお答えになっておるかどうかわからないのでございますが、私どものいまの気持ちはそういう気持ちを持っておることを御了承いただきたいと思います。  なお、この機会に昨日佐藤委員にお答えいたしましたウジミナス第九号予算、これは昨日申しましたとおりに三千八百三十六億円といろのが向こうから参った数字でございます、時間がございませんので補足ができなかったのでございますが、この数字の中には、輸入機械ですでに資金調達済みの部分が含まれていないのでございます。その部分も合算いたしますと四千六百二十六億ということになります。しかし不足額の千六百何億については昨日申したとおりでございますので、この機会に補足をさせていただきたいと思います。
  164. 山中貞則

    山中委員長 松平忠久君。
  165. 松平忠久

    ○松平委員 通産大臣がお見えになりましたので主として通産大臣にお伺いしたいわけでありますが、関係各省にもまたがりますからその点にも触れるわけであります。  いま問題となっております開放経済に向かっていくというこの状態のもとにおきましては、輸出金融並びにこの投資金融がかなり出てくると思います。日本がDACにも入り、さらにIME八条国移行、OECDという問題になってまいりますと、ますます投資金融ということに重点を置かなければなりませんけれども、現在の日本の機構というものは投資金融に対するもろもろの政策というものが統一を欠いており、機構的にも整理されておらぬように思うのであります。そこでいまここで議題になりましたようなブラジルにおけるああいったような国策の変化ということによって、投資が途中で中断をし、その果実についても保証も何もない、こういうことになるわけであります。したがって、これらの問題を今後考えてみると、たとえばそういった投資融資に対するいろんな政策を考えてみると、一つはいま申しました投資の保証制度というものがあまりよく確立されていないというところにあるように思うのであります。そこで今日世界に行なわれている方向としては投資保証条約というものが一つあり、もう一つ国内の制度としては投資保険制度があると思います。そこでこのブラジルの関係におきましては投資保証条約はアメリカのような保証条約をつくればいいのであるけれども、それは今日ブラジルでもって反対をしておる、こういうことも聞き及んでおるわけでありますが、私はまず第一にお聞きしたいのは、イギリス型の投資保証条約、アメリカ型の投資保証条約がございますが、これからも低開発国の援助を増強していくということであるならば、その条約的な考え方に立つところの保証制度というものをやはり日本は考えていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでありますが、この点については最初に外務省の見解を伺っておきたい。
  166. 西山昭

    ○西山政府委員 現在日本は、通商航海条約の交渉その他を通じまして各国と交渉をいたしておりますが、二国間の投資保証条約というものはさしあたりの措置としては考えていないのであります。と申しますのは、現在いろいろの問題のある国はそういう協定をやりましても、事実上投資の保証をやるような経済能力がない国が多うございまして、はたして実際的に有効かどうかという点は若干疑われる節があるのであります。目下DACあるいは世銀が考えております多数国間の投資保証協定というものが研究されておりますが、これにつきましては相当のメリットもございますので、真剣に日本政府として考えておる次第でございます。
  167. 松平忠久

    ○松平委員 二国間の投資保証条約ができないというのでいま考えておらない、こういうことでありますが、ブラジルのような外貨が不足をして送金ができなくなったというので、一方的に国策としてそれを送金させないようにした場合におけるいわゆる保証制度、保証条約というものが今日アメリカがやっておる保証条約であろうと思うのであります。すなわちそれだけのものを日本政府が保証して、そうして現地の通貨として向こうに積み立てておいて、その現地の通貨として積み立てておいたものは現地のまた開発に使う、こういうことは一体どうしてできないのですか。
  168. 西山昭

    ○西山政府委員 この点につきましては、具体的にそういう点を掘り下げて研究すべきだと思いますし、あらためて研究の結果御説明申し上げたいと思います。
  169. 松平忠久

    ○松平委員 これは国内の制度ともちろん関係があるわけであります。国内の今日の投資保険の制度関係がございますから、これとのうらはらにおいて、いまのような保証制度というものを考えていかなければならぬと思う。  そこで通産大臣にお伺いしたいのですが、あなたが知らなければ下僚の方でもいいのですが、投資保険は今日一体どのくらい保険にかけていますか、輸出保険はかなりかけておるように思うのですけれども、投資保険はほとんどかけていないのじゃないか、こういうふうに思います。これは森永総裁にも聞きたいけれども、おたくのほうでは一体――まず先に森永総裁に聞きたいが、投資融資については投資保険にかけておりますか。
  170. 森永貞一郎

    森永説明員 投資保険にかかっておるものもございますし、かかっていないものもございます。
  171. 松平忠久

    ○松平委員 どのくらいの割合ですか、私はほとんどかかっていないのじゃないかと思っている。
  172. 森永貞一郎

    森永説明員 大口のもの、たとえばフランス、アラスカというようなものはかかっておりません。小口のもので若干かかっているものがあります。
  173. 松平忠久

    ○松平委員 そういう程度だろうと思うのです。そこでこれをかけない理由は一体どこにあるのかということを考えてみると、これは通産大臣に考えてもらわなければならぬと思うのです。今日の投資保険の制度というものは、かけるだけの価値がないからかけないのだ、企業の損失については対象にならないわけであります。投資保険は、企業損失が対象にならないような保険制度を今日そのままにしておいて、開放経済に向かうのだ、低開発国地域の援助にやるのだといっても、そういうことでは私はだめだと思う。そこで、投資保険の制度というもの考えながら、やはり同時に投資保証条約というものを考えていく、こういうことを整備して投資融資をしなければならないという現在の状況のもとにおいてはだめだと思う。そこで通産省はどうしていままでこれをほったらかしておくのか、いまどういうふうに考えているか、その点を通産大臣伺いたい。
  174. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま投資保険は御指摘のように非常危険だけは担保されておりまして、普通の企業危険は担保されておりません。実は外国の例などを参酌して現在の制度をつくったわけでございますが、大体各国とも非常危険だけが対象になっておるように承知いたしております。
  175. 松平忠久

    ○松平委員 国家と国家の間、いわゆる大企業の間におきましてはいまほとんどかけていない。かける価値もないからかけないというわけでありますけれども、問題は小さいものの進出についてであります。中小の進出についてはやはり企業も含めたところの損害の補償制度というものをしていかなければうまくいかぬと思う。そこでこの保険の拡大というか、このことを一体考えておられるのかどうか、あるいは保険条件の緩和ということを考えておられるのか、このことを伺っておきたい。
  176. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま輸出保険制度につきましては、全体といたしましてかねてから関係業界のほうからいろいろな要望が出ております。従来の運営の実績から判断いたしまして、保険料薬の引き下げ等につきましては極力努力いたしまして、たぶん前回四四%引き下げたと思います。それから担保期限の拡大につきましてもかねてからいろいろ御要望がございまして、これは投資保険ではございませんけれども、普通の輸出保険につきまして担保期限はある程度拡大しようといろので、実は今度の国会にもその点改正をお願いいたしたいと考えております。  全体といたしまして許す範囲で保険の制度を充実させまして、輸出なり投資が活発に行なわれるようにいたしたいと存じております。
  177. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまの答弁では、輸出保険についてそのことを考えているが、投資保険については考えていないというような印象を受けたわけでありますが、そのとおりですか。
  178. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今回お願いしようと思っております改正法案につきましては、とりあえず輸出保険のほうだけ考えております。
  179. 松平忠久

    ○松平委員 通産大臣、これは閣議であまり問題になりませんか。私はこういうことはもう少し早く準備をしておくべき性質のものではなかろうかと思う。したがって投資保険に対しましても、輸出保険同様に領域を拡大していくということで、そして不慮の損失というか、そういうものをカバーする制度整備していく、こういうことでなければならないと思うけれども、お考えはどうです。
  180. 福田一

    福田(一)国務大臣 開放経済体制へ向かうわけでありまして、それは開放経済体制といえば資本の自由化が原則になるのですから、向こうからも入ってくる、こっちからも出ていく、こうでなければならない。向こうから入ってくるほうはかなり神経質に考えておるのであります。出ていくほうは、いままでのところは大きいウジミナスのような問題は別としまして、あとはわりあいにそう大きいものはたくさんはなかったと思うのであります。  それから、出ていってもあまり保険もかけていなかった。かける価値がないからかげなかったということもありますが、危険をおかしてまでというのは、よほどの自信がないと出ていっておらなかったと思うのでありますが、しかし仰せのように、今後日本が自由化をして、ほんとうに向こうからも来る、こっちからも行くという形になる以上は、私はこういう制度は順次整備をしていくべき筋合いのものであろうと思います。  あなたから閣議で問題にならなかったかと言われて、ちょっと恐縮するのですが、閣議で問題になってはおりません。しかし御説ごもっともでございますので、ひとつ十分今後研究をいたしてみたいと考えております。
  181. 松平忠久

    ○松平委員 私は、日本の海外投資に関する機構は、どこが何をやっているのかちょっとわからぬようなかっこうに今日あるのではなかろうかと思うのです。先ほどもここで問題になりましたが、輸銀もあるし、海外経済協力基金もある、あるいは技術関係の公団なんか組織されまして、外務省の所管にあるということで、各省ばらばらでやっておるわけであります。  そこで事務当局の段階においては、海外協力関係会議があって、そこでいろいろな意見の調整をしておるというようなことを聞いておるのですが、政府自体は、将来海外経済協力というものに対して、あるいは投資というものを含めて、経済進出というものについて、どこかで中心になるような機関の整備というか、連合体なら連合体でかまいませんが、そういうものを何かつくってみるようなお考えがあるのですか。
  182. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほど申し上げましたように、はなはだその面における法制の整備というものは行き届いておりません。いま御質問のあった趣旨も含めて、ひとつ研究をいたしてまいりたいと思います。
  183. 松平忠久

    ○松平委員 ただ研究ということなんであって、まことに頼りない話だけれども、これはやがてそうせざるを得なくなると私は思うのです。だから、いま申し上げておるわけです。  もう一つ、私はこの際伺っておきたいのは、こういったいわゆる保護措置と同時に、もう一つ大きな問題というものは、日本側の過当競争にあると思うのです。輸出につきましては、今日輸出入取引法等によりまして過当競争はある程度押えるということができた。ところが投資融資については、この機能というものがあるのかないのか私にはよくわからない。いままでは為替局でやろうとすればできないことはなかったと思うのです。しかし今後は、これもはずれてしまうということになるならば、いままで以上の過当競争というものが行なわれてくるのではなかろうか。二重投資、過剰投資というものが海外において行なわれてくる。しかも海外におけるその国の政府日本がコントロールできないから、その国の政府なりそれぞれと結びまして、そして無理やりに日本の資本と一緒にして、過剰投資というものが今日行なわれていると思うのです。たとえばタイ国においては、亜鉛鉄板の合弁会社を、一社あればいいのにかかわらず、二社つくった。初めは、たしか木下産商か何かとやった。その次は三井と伊藤忠でやった。しかもその設備は、二つの工場の設備を合わせますと、タイ国の亜鉛鉄板は全部まかなえるのみならず、タイ国付近の亜鉛鉄板も全部まかなって、なおかつ五割の過剰設備である、こういう状態なんです。それにもかかわらず、今度大阪造船がなおそこに一社つくるということで、タイ国政府許可をとってきて、もうできかかっているのです。それから日本レイヨンがタイ・ナイロン株式会社というものをつくったところが、東洋レーヨンがきて、そこにまた同じようなものをつくる、そうして現場では困って、片一方は魚をとる網にする、片一方はロープにするということで、ようやくこれは調整できた。私は、こういうことが、たとえばナイジェリア、シンガポール、エチオピアでも至るところに出てきておると思います。なおかつそれは今日為替管理をやっている状態において出てきている。そういったやり方について、外務省は一体どういうことをしておったか、同時に一体そういう過当競争はどういうふうに現在なっているか、これをまず伺っておきたい。
  184. 西山昭

    ○西山政府委員 ただいま松平先生から御指摘のように、主として最近の現象といたしましては、亜鉛鉄板につきましてタイ、マレー、ナイジェリア、エチオピア等におきまして、一種の過当競争の傾向がございます。しかしながらこれの実際の措置といたしましては、国内の需要と参加する各社の生産設備能力というものを研究いたしまして、現状におきましては国内の需要を充足する程度で、投資連絡会議において認めておるわけでございますが、潜在的には、先に進出しました各種の会社が生産能力を拡張しまして、事業をもう少し拡張するという機会がはばまれてくる、こういう問題がございます。私どもといたしましては、今後とも具体的なケースにつきましては、そのようなことが起こらないように、事前に十分調整したいと思っておりますし、現実にそういう危険がありますときは、通産省におきまして業界とよく懇談いたしまして、提携して現地において事業をするとか、不必要な過当競争はやらない、こういうような行政指導をいたしておるわけでございます。
  185. 松平忠久

    ○松平委員 私が現場に行っていろいろ調査をしたり、話を聞いてきたことと非常に違うのであります。その過当競争の結果は、その国の需要のみならず、隣国の需要まで満たして、なおかつ設備が余っている。そこに持ってきてまた一社つくる、こういうようなやり方は一体どういうものかと思う。むだに二重投資、三重投資を今日しておるわけであります。  そこで伺いますけれども、通産省は、そういう場合に、何の権限に基づいてこれをコントロールできるのか。おそらく通産省にはこれをコントロールできる根拠法というものはないと思いますが、通産大臣は何でこれをやっておりますか。
  186. 山本重信

    ○山本政府委員 対外投資につきましては、御存じのように各省の間に連絡会議がございまして、事実上そこで相談をして処理をいたしておるわけでございます。対外投資の場合に通産省が関与いたしておりますのは、いろいろな関係がございますけれども、たとえば多くの場合に、対外投資をいたします場合には、物を持ってまいりますので、これは輸出になるわけでございます。それから何と申しましても、海外に行かれる人は、大体内地で事業をしておられる人でございますので、内地の事業との関連において通産省とはいろいろ関係がございますので、できるだけ過当競争が起きないように、これは法律、規則で縛るということのもう一つ前に、やはり業界自体に輸出の場合でも、投資の場合でも過当競争をしないような心がまえを持っていただくことが一番肝心だと思います。そういう趣旨でいろいろ指導いたしまして、必要な場合には、その投資そのものについてある程度の法律に基づいた調整をするというような措置をかなりのケースについてやってまいっております。
  187. 松平忠久

    ○松平委員 現在は為替管理をやっておるのだから、為替局長はこれをやらないと思えばできる立場にあるのではなかろうかと思うが、そういう場合に、通産省の行政措置というもののほかに、為替を許可しない、そういうような指導というものはやっておらないわけですか。
  188. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 もちろんやっております。
  189. 松平忠久

    ○松平委員 そこでお伺いしたいのは、今後八条国移行ということになりますと、それはできなくなりますね。
  190. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 八条国移行後もできます。
  191. 松平忠久

    ○松平委員 どういう根拠でそれをやりますか。外資法の改正ということが今日いわれておりますけれども、その根拠になる条約の条文というのはどういうことがありますか。
  192. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 海外投資はいわゆる国際的な資本取引でございますから、これを規制することはIMF関係においては何ら差しつかえないわけでございます。いずれOECDに加盟いたしますが、これの自由化攻勢におきましても、日本が海外に投資する場合については直接投資について日本の利益あるいは経済的な利益に合致しない場合にはこれを許可しなくてもいいということになっておるわけでございます。
  193. 松平忠久

    ○松平委員 そういたしますと、日本は新たなる開放経済に向かって二重投資等を回避するだけの防衛措置というものはできるわけですね。そういうことで現行法をそのままにしておくのか、あるいは手直しをしてそういうことをやることになっておるのか、その点をお伺いいたしたい。
  194. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 現行法のとおりでできるわけでございます。
  195. 松平忠久

    ○松平委員 現行法のとおりでできるというものを、現行法においていままで二重投資、三重投資がすでに行なわれているじゃないですか。それをどうして一体回避できないのか、いまの法律だけでできるなら、いままでどうしてそれをしなかったのかそれを伺いたい。たとえば、タイ国について木下産商がつくっており、三井と伊藤忠がつくっておる、そのほかになおかつ五割も生産能力があるというのにもかかわらず、どうして大阪造船に許したのか。
  196. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 大阪造船の件については、それをつくってもタイ側の需給からいって何とかなる、こういう考えでできたのでございます。
  197. 松平忠久

    ○松平委員 全くそれはでたらめですね。私が現地で調べたことと違って全くでたらめである。どこからそれが出てきたか。私の聞いている範囲はそうじゃない。そうじゃなくて、サリットの親戚がつくるからしようがなくてつくるんだ、つまり言いかえるならば、もしそれをつくらなければ外国が来てつくるからしようがないからつくるのだ、こういう説明を私は外務省から受けております。あなたはどうしてそういうことを――それは一体どこから出てきたのか。
  198. 森永貞一郎

    森永説明員 私ども融資に関連のある問題でございますので、私ども承知いたしております事情をまず申し上げたいと思います。  現地で目下亜鉛鉄板の製造をいたしておりまするのは御指摘のとおり三つのグループでございますが、私ども銀行融資の調達をいたしましたものは三井物産、伊藤忠だけでございます。それも合弁会社への日本側からの出資は自己資金でまかなわれたわけでございまして、その自己資金でまかなわれる、それにいろいろ現地での調達資金が加わるわけでございますが、延べ払い輸出分についてだけ特に借り入れの申し込みがあったわけでございます。約三年以上前のことでございますが、そのときの事情は現地の需要量の大体四分の三程度を日本からの輸入でまかなっておったわけでございますが、現地での強い要望がございまして、それを日本と協力して現地で生産しようというようなことで、本件の設備の輸出を許可したという次第に相なっております。現存の生産状況は三社合計――このうち大阪造船関係はいまだに試運転中でございますが、七万トン。現在のタイ国における亜鉛鉄板の需要に対してそれがどういう関係にあるのかという問題でございますが、大体年間平均一〇%くらいの需要の伸びがございますし、また輸出も若干期待できますので、この三グループ程度でございますれば極端なる過剰投資とも思われないのではないか。なお、この第三グループができますにつきましては、ただいまお話がございましたようにタイ側の強引な案が出てまいりまして、その中に日本が割って入って、原板――原料になる板の供給の確保をはかるほうが、むしろ日タイ通商関係からいって得策だというような考え方もそこに加わっておったようでございます。もちろん率もしたがいまして一五%程度の低い率になっております。いずれにいたしましても、しかし通常シェアが多過ぎるという御批判があるかもしれません。今後の投資の案件を審議する場合においては、私ども銀行といたしましても、それらの点についてはなお一そう十分気をつけて当たりたい、さように考えます。
  199. 松平忠久

    ○松平委員 森永さん、なかなか答弁がうまいから、私あまり追及しないことにしたいと思っておりますが、私は現地の両方の工場に行って見ている。両方の工場のキャパシティーを全部知っておって、その伸びも現地で聞いてきております。そこで、日本の鉄鋼業界においても当時これは反対なんです。もう一つ大阪造船をつくることは反対なんです。反対という空気は日本ではほとんど全部が反対なんです。ところが大阪造船がちょこちょこと行って、そうしてサリットの親戚というのと話をして許可をとってきてしまった。もし日本許可を与えなければ外国とやるのだ、こういうふうにおどされて、それでやってきたというのが真相なんですよ。ですから私は、あなた方の報告というものはどこからきたか知りませんけれども、それは曲げられてきている、こういうふうに思います。  そこでお伺いしたいのは、通産大臣にお伺いしたいのですが、先ほど私が申し上げましたように、一つの何といいますか、仕組みのようなものを考えてみる必要があるのではないか、いま政府には連絡会議のようなものがあって、そうしてそこできまったのをそれぞれの各省の権限に基づいてやるというようなことをおっしゃっておりましたけれども、もうちょっと高級な権威のあるものをやはりつくっていく必要があるのではないか、そうでなければいま申しましたような過剰投資、そういったものが相変わらずやはり現行制度のもとに繰り返されていると同じようなことが私は出てくると思う。輸出については大体通産省でやっておられるから、何とかして過当競争ができないような一つの制度を考えて、そうしてそれを実行に移していく場合においてもまあまあある程度実行ができると思います。しかしながら投資については、全然いまのところ専管している省がなくて各人かってなことをやっているというふうな印象しか私は受けておらないので申し上げるわけでありますが、通産大臣の国務大臣としての見解を承っておきたい。
  200. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほど私が調査をすると言ったら、調査とは何だというようなおしかりをかえっていただいた。私はあなたに調査を申し上げたときも、決して軽い意味で申しているのではない。なかなかあなたがいいところを突いていて、いろいろいいお話を承った、ひとつこれは十分研究してみる価値がある、こう思って実はお答えをしたつもりでございます。ただいまの問題にいたしましても、先ほども私が申し上げましたが、開放経済体制というのは、向こうからもくる、こっちからも出るというのでありますから、向こうからくる分についても十分注意しているが、こっちから出る分についても十分考えてやる必要がある。それについていままでのような機関で十分であるかどうか、またそういう過当競争が起きるというようなことは、これは極力避けなければなりません。むだなことであります。あったといたしましてもむだなことである。だからそういうことを避けられるような統一的なものを考えるということは、私はけっこうなことだと思っておるのであります。ただ、どういう形でどうしてやるかということは、これはひとつ今後研究をさしていただきたい、こういう意味で申し上げておるということを御了解賜わりたいと思います。
  201. 松平忠久

    ○松平委員 大臣の御答弁でありますが、ほかのほうの省は一体どういうことを考えておられるのかということをこの際伺っておきたいと思います。これは大蔵省と、ここにおられるのは外務省でございますから、この省では一体どういうことを考えておるのか、との過当競争を防ぐためにどういった仕組みを新しく考えるというお気持ちがあるのか、あるいは現行で、ただ、いままでどおりやっていくというのか、何かこの際意見がありましたら発表しておいていただきたい。
  202. 西山昭

    ○西山政府委員 ただいまのお話は、われわれとしましても現存の対外のいろいろの点が、よく日本の対外投資の実施にあたりまして、支障のないようにという点から非常な関心を持っておりまして、現地の事情をよく反映し、またそごが起こらないような形で今後の日本の対外投資が円滑に進むことができるような仕組みと申しますか、措置と申しますか、そういうものができることを日ごろ考えておりますが、具体的にはいかなる仕組みにしていいかということにまだ達していない次第であります。
  203. 鈴木秀雄

    鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、現在投資連絡会というものを開いておりまして、最終的には大蔵省で認可をしているわけであります。私どもは松平先生がおっしゃいましたように、過剰投資が起こりまして、もし日本のあまり豊富でもない国際収支の外貨準備等を圧迫するというようなことはもちろん好ましくない、極力そういったことがないように進めていくべきだ、こういうふうに考えております。具体的な方策としては、もちろん現在でも私どもは自分としてもやっているつもりでございますが、よそからごらんになると非常に足りない点もあるかと思いますが、今後検討していきたいと思います。
  204. 松平忠久

    ○松平委員 私は通産大臣に対する質問を終わります。
  205. 山中貞則

    山中委員長 では通産大臣御苦労さまでした。
  206. 松平忠久

    ○松平委員 森永さんにちょっと小さいことを伺っておきたいのですが、さっきも出ましたけれども、輸出金融、投資金融に対する担保のことをこの際伺っておきたいのですが、先ほどのお話によりますと、信用状等を大体担保にしておる、こういうことでありますが、投資金融なんかの場合には、一体どういうふうになっておりますか。その辺の担保の実情をこの際聞かしていただきたいと思います。
  207. 森永貞一郎

    森永説明員 本行融資の八五%くらいが輸出金融でございますが、輸出金融につきましては延べ払いを与える相手方の年賦で払います、あるいは月賦等で払います資金の裏づけが、LCなりLGなりで行なわれている場合が大部分でございまして、本行の融資もそういったLC、LG等の外貨担保がついておる、それが大部分でございます。原則としてそういった外貨担保を徴することでいたしております。ただ例外的に船舶の場合には、国際慣行といたしまして、船そのものが担保になるわけでございます。つまり船舶の換金性ということもございましょう。したがいまして本行の融資の場合にも、第一には、その融資によってつくられまする木船を一定の掛け目によりまして担保に供し、足らざるところをLC、LG等ないしは他の船舶、添え担保の供給によりましてカバーいたしておるわけでございます。これは対外的な面でございますが、対内的には多くの場合、輸出保険の付保を条件として付しております。投資金融につきましては、LC、LG等によりまして外国の銀行等の保証を求めることが困難でございますので、多くの場合、もしそれが合弁会社の設立のための投資金融ということでございますれば、その株を第一次的に担保に供し、さらにこれだけでは不安でございますので、融資を受けました者から国内における物上担保あるいは有力なる保証人の保証を求める等万全の措置を講じて融資をいたしておる、それが現在の実情でございます
  208. 松平忠久

    ○松平委員 融資条件について伺っておきたいと思うのですが、利息は四分五厘以上ということにはなっておるけれども、現在平均して約七分ぐらいになっておりますか。
  209. 森永貞一郎

    森永説明員 輸出金融、投資金融、輸入金融、全部をひっくるめました本行の資金の運用利回りは、四分四厘程度になっております。その中で特に輸出につきましては低い四分、これが圧倒的に多いものですから、全体としての利回りは四分四厘程度に落ちついておるわけであります。
  210. 松平忠久

    ○松平委員 非常な逆ざやのようなところがあるわけですが、もう一つ伺いたいのは、一般の融資の期限です。最高のものはたしかいま十五年じゃなかったかと思いますが、インド、パキスタンあたりそういうことですね。
  211. 森永貞一郎

    森永説明員 インド、パキスタン等に対して直接借款で貸し付けておりまする融資の期限が十五年でございます。ミナス、アラ・パル等の長期建設を要するものにつきましては、例外的に若干長目の期限が定めてございます。
  212. 松平忠久

    ○松平委員 私は先ほどの小松君その他の質疑応答を聞いておりまして、輸銀あるいは日本政府全体かもしれませんが、投資金融と輸出金融というもののけじめといいますか。そういうものがはっきりしていないのじゃないかと思うのです。いまお話を承っても、ミナスの場合は特別にこうだ、印パ借款はこうだといって、条件はあまり変わっておらない。ここにやはり輸銀と海外経済協力基金の紛淆というようなものが世間からはいろいろ言われておるのじゃないか。そこでいま輸銀で考えておられる輸出金融というものの条件、投資金融というものの条件は、これは何によって決定したのですか。これは当分の間こういう方向でいくというのであるかどうか。その点の根拠をひとつ伺っておかないといかぬと思うのです。
  213. 森永貞一郎

    森永説明員 投資金融と輸出金融というものは、もちろんこれを画然と区分いたしまして運用をいたしております。先ほどアラ・パル、ミナス等についての例を申し上げましたが、これは投資金融でなくて輸出金融の分の期限を申し上げたわけでございます。一般的に申しまして投資の金融につきましては、これは本来投資者の自主的責任においてなされるべき部面が非常に多いわけでございますので、一般の輸出金融は四分の利率で融資いたしておりますが、投資金融につきましては原則は七分、しかも本行が融資いたします比率は五割、これが基準でございます。   〔委員長退席、坊委員長代理着席〕 ただし投資金融と申しましても、投資した資金で日本からの設備等の輸出がまかなわれる場合、これは実質的に考えますと、輸出金融と効果において何ら異ならない役割を果たす場合があるわけでございます。そこで、従来はこういうものにつきましては七%、融資比率五割という画一的条件で処理いたしてまいっておりましたのを、昨年来、各案件の性質によりまして、それが日本からの輸出に貢献する度合いであるとか、いろいろなファクターを考慮に入れまして、画一的でなく弾力的に処理し得るような体制を整えまして、今日では投資金融は五分五厘ないし七分の幅で運用される、そういったような幅のある運用に改められております。
  214. 松平忠久

    ○松平委員 銀行局長伺いたいのですが、アメリカの輸銀とAIDとの融資条件その他の区別、つまりアメリカの輸銀の機能とAIDとの機能いうものはどういうところではっきり区別されているのですか。
  215. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私実際の法規その他をまだ読んでおりませんので、実際にやっておるところから判断いたしまして、ワシントン輸銀のほうは日本輸出入銀行の機能を、海外開発といいますか、海外援助的な意味も含めてもう少し広げたものだと考えます。AIDのほうは、これはむしろ政治的な意味での低開発国援助といいますか、アメリカはいろいろな形での海外援助をやっておりますが、そのうちの一環として非常に長期、低利の援助をする、開発もさることながら非常に外貨事情に苦しんでおるような低開発国に対して援助をするというふうな色彩の濃いものがそうではないかと考えております。
  216. 松平忠久

    ○松平委員 私は、先ほどからここで問題になっている輸銀と海外経済協力基金が合併したほうがいいとか悪いとかいう議論が出ているところの根本の理由というものは、いわゆる機能が似たような機能を持っているから、結局そういうことになるのじゃなかろうかと思う。もう少し機能をはっきり区別すれば、私はこれは区別した機関があったほうがいいと思う。その機能があまりばく然としておるというようなことがあるために、いろいろな議論が出てくると思う。その点について、あなたは先ほどここで小松君の質問に対して、二つ機関を設置するにきまった、将来はまだわからぬが、当面はそうなったという、その根拠というものは、やはり機能を区別してその上に立っての議論だろうと思うけれども、二つにするというふうに今日考えるに至ったところの理由のようなものがあると思うのですが、それはどこに求めておりますか。
  217. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 先ほど大体述べたつもりでございますが、その取り扱う案件につきまして、輸出入銀行は、それは中にインド、パキスタン等に対する借款もありますので、一がいに商業ベースのみというふうには割り切れないと思いますけれども、根本的な骨格をなす仕事の内容はやはり普通の商業ベースに基づいた取引案件のめんどうを見る、それに対して海外経済協力基金は、それをつくりました当時からの発想法としましても、東南アジアのような外貨事情のいつも非常によくない国に対する援助的な意味を含めた経済協力だ。ですから資金としても全額政府出資によっている。やろうと思えばかなりの――いまのわが国の実力というものを全然考えないでアメリカと競争して、非常に長い低利の金を出すということはかえって慎むべきだと思いますけれども、しかしわが国の実力がもっと高められた場合には、いまそういうわずかずつ伸ばしておりますが、とにかく普通の商業ベースでは考えられないようなものでもあえてこれを取り上げて、わが国とそれら低開発国との経済関係の結びつき――これは黙っておりますと、やはりほかの余裕のある国がどんどんそこへ食い込んでいくということもありますから、そういうものに対して東南アジアにおける中進国として経済開発に対して協力していこう。そのやり方につきまして先ほどいろいろ問題を指摘されましたが、しかしこれは初期のことでございますので、いきなり最初から政治的な意味を込めたものでスタートするというのはよくないじゃないか。そういうことから何かそのけじめが少しあいまいじゃないかというふうな見方もございますが、考え方としてはいま私が申し上げたようなことでございまして、これを分けておくということは性格の相違もございます。またこれを一緒にした場合には、日本輸出入銀行がまるきり商業ベースに乗らないものをどんどん扱うんだというふうな、過当競争の弊を自分でもたらすようなことをするというふうに見られるのは困るんじゃないかということもございまして、協力基金を現在のまま独立の機関として存置するという考えになったわけでございます。
  218. 松平忠久

    ○松平委員 過去の運営のしかたがやはり紛淆を来たすようなことになったんじゃなかろうかというふうに私も見ておるわけです。あるいは経済協力基金ができる前に、輸銀一本になったらいろんなこともやっただろう。今度基金ができたら、基金に移すべきものをそのままにしておいたということもあるだろうと思います。インド、パキスタンの借款のようなものは、性格からいえば、海外経済協力基金のほうでやるべき性質のようにも思えるわけですが、それは輸銀でやっておるというんだから、その辺のところがごっちゃになってしまっておるように私は見ておるのです。将来の海外投資が非常に盛んになってくるという見通しの上に立ってみると、その辺のところをもう少し、運営のしかたかあるいは法律の手直しをするか何かして、二つ残すというのであるならば、そこのところをもう少しはっきりさせるような方向は考えられないわけですか。
  219. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 理屈の上では分けられるものでありましても、確かにいまおっしゃったような政府ベースでの取りきめから生まれてくる輸出ですね、これは形は円借款となっておりますが、日本の資材が輸出されるに従って実行されるというものでございまして、輸出には相違ないわけでございます。それが金額もかなり大きいわけでございますが、なおこれは政治的な取りきめといえばいえますが、しかし金利の上から見ましても、平均金利としては、市中協調分を含めた金利ですが、五分七厘毛、ちょうどこれはワシントン輸銀の金利でございますが、あるいは世界銀行の金利も大体最近五分五厘あるいは五分七厘五毛程度でございます。そういった世界的な水準に合わしていま金利をいただくとなれば、償還について全く問題がないとは言えませんけれども輸出入銀行が扱ってもあえて不適当ではないのじゃないかということで、金額そ他のいろいろな条件等も考えまして、これは輸出入銀行一本で扱っておる。そういうことについて政府ベースで話し合いをしたものならば、それは経済協力基金でやるべきじゃないかというふうにかりに法制などを整備いたしますと、実際問題としてはそのまま実行できない場合が出てきてしまう、全額がどうであるかというふうなことも影響します。でありますので、いまのところでは、輸出入銀行がやるのに適当でないと思われるようなもの、輸出入銀行の金融ベースに乗りがたいものをさらに協力基金がやる、一言にして申しますと、そんなようなことになるわけであります。法制的に整備するという点につきましては、まだ若干検討の余地もございまして、まだはっきりした経済協力基金の形が奥行上整っていない、もう少しやってみないことには、どういうものでどう進むべきかという点がやや固まっておらぬということであります。
  220. 松平忠久

    ○松平委員 森永総裁にお伺いしたいのですが、輸銀経済のバランスといいますか、ここへ出てきただけではまだわからないのですけれども、第一にお伺いしたいのは、貸し倒れ準備金というものがここにあるわけでありますが、いままで貸し倒れの件数はどのくらいあって、どのくらい損失をこうむったか。
  221. 森永貞一郎

    森永説明員 昨年の三月末現在で、貸し倒れ準備金の額はたしか五十二億であったと存じますが、この貸し倒れ準備金をもって処理いたしましたような案件は一件もございません。
  222. 松平忠久

    ○松平委員 私も一件もないようなことをちょっと聞いておったのですが、この貸し倒れ準備金というものは、これは法定ですか。
  223. 森永貞一郎

    森永説明員 業務方法書できめておりまして、貸し倒れ準備金の繰り入れ率につきましては大蔵大臣の認可を受けておる、そういった性質のものでございます。
  224. 松平忠久

    ○松平委員 業務方法書であるならば、貸し倒れが一つもないのに準備金が五十二億もあるということはどうかというような気がするのだけれども、その辺はどの程度まで貸し倒れ準備金の限度のようなものを考えておられますか。
  225. 森永貞一郎

    森永説明員 業務方法書と申し上げましたのは間違いでございまして、政令できめられております。  毎事業年度末の貸し倒れ準備金繰り入れの限度でございますが、毎期末の貸付金残高の千分の十が限度ということになっております。限度でございますから、もちろんそれ以内ということございます。
  226. 松平忠久

    ○松平委員 銀行局長にお聞きしたいのですが、非常に成績がよくて貸し倒れが一件もないと言うのだが、政令では貸し倒れ準備金を千分の十ずつは毎年毎年積むということになっている。これはどの程度まで貸し倒れ準備金がいったら、その政令を直して、千分の五にするとか三にするとかいうことができるようになるのか、そういうことほ考えておられませんか。
  227. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 政令上は確かに千分の十以内で、比較的手厚い貸し倒れ準備金が積めることになっておるわけでありますが、最近輸銀の成績が悪いというのじゃない、出資と借入金との比率がだいぶ変化してまいりまして、スタートした当初は自己資本比率のほうが高かった、それがだんだんに窮屈になってきた。その結果、輸出入銀行が実際にはいわゆる利益は出さない。貸し倒れ準備金を積む前の利益率はきわめて低いものになっておりまして、最近では千分の一・五というような数字になっております。ですから新しく積み立てる額としてはきわめてわずかなものしか積まれておらない。むしろ私ども銀行局などの立場で申しますれば、千分の一・五というのはいかにも少な過ぎるのではないか。もう少し余裕のある程度に出資をやっていただきたいのですが、何分にも財政の都合によりまして、ぎりぎりのところで決算をやっておるというのが実情でございますので、いまの五十二億円が絶対的な水準として多いか少ないかと申しますれば、むしろ少ないのじゃないか。ですからとてもまだ最高限度などを設けるような段階ではない。いままでのところ実際に貸し倒れはないといいましても、何分にもいろいろな国に対する投資であり、輸出でありまして、たいていの場合には、これはどうしても返せないといっても打ち切ってしまうということはようやっていない、貸し倒れの措置はようやらぬで、何とかほかの方法で取り立てるというふうにやっておりますから、ないだけのことでございますが、危険は相当考えられるというように思います。   〔坊委員長代理退席、委員長着席〕
  228. 松平忠久

    ○松平委員 いま輸銀は、ことしあたりは幾らもうかるのです。そのうち幾ら積み立てて、経費は幾らかかるのですか。
  229. 森永貞一郎

    森永説明員 三十八年度の見込みでは償却前の利益金が六億六千四百万でございまして、これは見込みでございますが、そのほとんど全額を貸し倒れ準備金に繰り入れるということになっております。そのほかにも固定資産の減価償却等がございますので、償却後の利益はゼロということになっております。
  230. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ伺いたいのは、さっきもここで議論が出たのですけれども、調査のことについて伺いたいのですが、バンコク、ニューデリー、カラチの海外駐在員、これは何をしておりますか。
  231. 森永貞一郎

    森永説明員 ニューデリー・カラチにつきましては、御承知のように円借款がありまして、これは大口もありますが、中小企業あての小口のもの等が相当ございます。それらの問題につきまして現地の政府ないしは業者からの相談に応ずるという仕事が非常に多いわけであります。そのほか一般的なインド、パキスタン等の経済事情の調査もございます。バンコクにつきましてはそういう特別の借款等はございませんが、一般的な経済調査事務のほかに、特に最近は小口の投資案件が比較的いろいろ多くなってまいりまして、それらの問題につきましての事前調査なり事後の状況の調査なりといったような仕事が中心になっております。いずれもその国だけに限らず、近隣諸国もあわせた経済状況の調査等も実施いたしております。
  232. 松平忠久

    ○松平委員 審査ですが、審査の実際のやり方というものはどういうふうにやっておられるのですか。これらの人々を使ってやっておられるのか、あるいは他の方法を考えておるのか、その審査のやり方をお伺いしたいと思います。
  233. 森永貞一郎

    森永説明員 審査事務は本店の審査部で担当いたしておりまして、東京で審査いたしておるわけでございます。しかし投資案件につきましては、あるいは輸出案件につきましても、相手先の信用とかあるいは関係しておる銀行の業態とかいろいろ調査しなければならない問題が随時起こってまいります。そういう問題につきましては、もちろん出先の駐在員をできるだけ活用いたしております。
  234. 松平忠久

    ○松平委員 そういう場合に、輸銀から直接現場へ出張して調査するというようなことをやるようなケースがあるのですか。
  235. 森永貞一郎

    森永説明員 何分年間千件をこえる案件でございますので、その一々につきまして現地出張は不可能でもございますし、原則としてはいたしておりません。ただし、問題のありますような案件、特に大口の案件等につきましては、必要に応じ事前にあるいは事後にしばしば現地調査も実行いたしております。
  236. 松平忠久

    ○松平委員 在外公館に委嘱しているとかなんとかいうような、そういうような調査はやっておりますか。そうじゃなくて、独自の立場でやっておられるのですか。
  237. 森永貞一郎

    森永説明員 在外公館のいろいろな資料等も活用いたしておりますが、私どもの出先機関は出先機関として独自の調査も実行いたしております。
  238. 松平忠久

    ○松平委員 さっき佐藤君が伺った今度増員されようとしている理事、これは何を担当しますか。
  239. 森永貞一郎

    森永説明員 理事増員の機会に従来の分担を再検討いたしまして、今度の法案が通りますれば増員されます一名だけではなくて、全体の理事の担当の問題として検討いたしたいと思っております。
  240. 松平忠久

    ○松平委員 それはどういうふうな担当の構想か。つまり、構想というのは人事じゃないですよ、事務分担というか、そういう……。
  241. 森永貞一郎

    森永説明員 現在は複数の担当制をとっておりまして、部ごとに原則として二名ずつの理事が担当することになっております。たとえば総務関係は二名、営業関係二名、審査関係二名、調査関係一名、監査、これは一名でございます。そのほか庶務は一名、現在さような分担になっておりますが、理事の名前まで申し上げることは差し控えますけれども、それをこの際一名追加されました機会に、人に即しまして、最も適当な体制になりますように担当を編成し直すことを考えております。
  242. 山中貞則

    山中委員長 武藤山治君。
  243. 武藤山治

    ○武藤委員 輸銀総裁にひとつお尋ねしますが、今回の改正で大きな点は三つでありますが、これは輸銀のほうから、こういう点はこういうぐあいに変えてくれという要求をして改正をするのですか。
  244. 森永貞一郎

    森永説明員 実際の法案編成に至る過程を申し上げますと、もっと広範囲につきましていろいろ検討いたしまして、全般的な改正を行なうとすればこうだという愚見を申し上げたこともございますが、それは一つの過程にすぎません。最終的にはやはり大蔵省が主となって今回の改正案が決定ざれた、かようないきさつになっております、
  245. 武藤山治

    ○武藤委員 そういたしますと、今回改正をする第四条の改正については輸銀のほうから要請したわけですか。
  246. 森永貞一郎

    森永説明員 増資はもちろん私どもお願い申し上げておりますが、その増資についていかなる規定の仕方をせられるかという問題は、これは大蔵省の問題でございます。
  247. 武藤山治

    ○武藤委員 それでは大蔵省のほうにお尋ねしますが、第四条を改正するという理由を明らかに説明してもらいたいと思います。
  248. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 簡単に申しますと、輸銀借り入れ金に対しては四分四厘の逆ざやの運用をしております。したがいまして、毎年必ず出資をする、こういうことになっております。これで毎年ということではなくても、ひんぴんと増資を行なうような、政府の出資を必要とするような政府機関やこれに類する機関はたくさんございます。最近の立法例を見ましても、最初の資本金、出資金の金額はうたうけれども、その後は、今度提出いたしましたような予算の定めるところによって出資を行なうことができると、それだけ資本金の額を増額する、こういうふうな規定をしているのが最近の立法例でございまして、また今回の輸出入銀行法の条文改正と同様な意味で、他の政府機関につきましてもお願いしているものがございます。今度改めるものといたしましては、農林漁業金融公庫、北東公庫、公営企業公庫、医療公庫、こういった公庫につきましても同様な定めに改正することに大蔵省としてはきめたわけでございます。
  249. 武藤山治

    ○武藤委員 きめなければならぬという積極的な理由は何ですか。というのは、いままでの日本輸出入銀行は、昭和二十六年からずっと年々出資については法律で議決をする事項になっておるわけです。そのつど国会の審議をわずらわして、われわれはそういう大きな輸出入銀行なう輸出入銀行の内部まで、いろいろな問題についてここで質疑をすることができるわけです。それを、そういういままでの長い慣例できておったものをなぜここで積極的に改正をしなければならぬかという理由、あなたのいまの理由では一つのスタイルだ、新しく出てくる法律のスタイルと合わせるのだといろ趣旨しかないわけです。そういうスタイルに合わせるためにこの四条を改正するのですか。もっと積極的な何か理由があるのじゃないですか。
  250. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 何らこちらに思惑があってのことではございませんで、予算の定めるところによりとあれば、予算には必ずこの金額が載るわけであります。予算の中に入っておりまして、その点では十分国会の御審議をいただくものである。そののつど法文を書き改めるというその必要はないのじゃないか。まあ法制上のあり方として、従来もそういう政府機関が続々とふえております。今回もまた大多数の、その後毎年出資を必要とするような、あるいはひんぴんと出資をしているものについては、予算審議によってその点は十分尽くされるはずである。今回などは、この輸出入銀行法の改正法はそれ以外の改正も含んでおります。それで十分に御審議を願うわけでありますが、単純に資本金を増額するという点だけでございましたならば、予算のほうですでに審議が尽くされるものと、国会の御解義を無視するわけではないと、そういうふうな意味でございます。
  251. 武藤山治

    ○武藤委員 予算関係するということはほとんどの法律関係をするわけですが、ただ予算書の場合には膨大な予算書、しかも予算委員会というところでさっと大きなところだけを審議して、こまかい問題にわたっては、実際上の国会の運営として見て審議はできないわけです。そこで、従来のように、出資金を出すたびに、大蔵委員会法律として一応出てくるということがより慎重な、民主的な審議になると思うのです。そういう民主的な審議権というものを一つずつ剥奪をしていくということは、議会の権能を縮小することです。議会というものを行政府が毛ぎらいをして、少しでもやつらにやられないほうがいいという考え方がひそんでいるわけです。そこに、こういう法律事項というものからはずしていくというねらいが私はあると思う。もしそういうねらいがないとしたら、従来の慣例でずっと十何年もやってきたとおりにやっておって、何にも不都合ないじゃありませんか。何か不都合がございますか。そこはどうですか。
  252. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 その点は私は何ら不都合とは考えませんが、どちらかと申しますと、現在の改正前の体系をとっておるもののほうが少なくなってきて、ほかのほうはみな予算できめればそれだけ増資になる、こういう規定に全部変わってきております。輸出入銀行だけを現在法制を変えないという点はどうかというが、そういうふうなことではなく、ほとんど全部を改める。その中の一環としてお考えいただきたいということであります。
  253. 武藤山治

    ○武藤委員 国会という立場は、国民の代表として民主的な権利が集中されておる場所です。そういう場所でできるだけ国民の税金というものが慎重に取り扱われ、しかも運営というものに間違いを犯さないというために、国会は慎重な審議権を与えられているわけです。そういう審議権があっても、予算の膨大な中にぱっと入れてしまって、産投会計もあるいは他の住宅公団も、一片の予算書の中に何百億という数字をぽこっと入れて、予算が通過すればそれで一切個々の機関に対しては審議をするチャンスがない。こういうことでは私はやはり議会の権能が縮小されるということだけは明らかだと思うのです。さらに民主的な慎重な財政審議ということについても、それがそれだけ縮小されるということは否定できないと思うのです。そういう点から私はこういうような改正というものは、議会の立場からは好ましくない、こう考えるのです。その点について、こういう国会の権能が縮小され、あるいは民主的な財政審議というものが縮小されていくという傾向に対して、政務次官はどう考えますか。
  254. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お説もっともな点もあると思いますが、先ほど銀行局長から申し上げましたように、簡素化といいますと少しあれですが、やはり年々やりますようなものにつきましては、一応予算につきましても、皆様方の御論議もいただくことができるのじゃないかと思いますので、私は、大蔵省といたしましては、銀行局長答弁と同意見でございます。
  255. 武藤山治

    ○武藤委員 全く答弁不満でありますから、私は質問をこれで留保しておきます。官房長官もお見えになりましたので、あとの質問者にバトンを譲ることにいたします。
  256. 山中貞則

    山中委員長 田中武夫君。
  257. 田中武夫

    ○田中(武)委員 官房長官承知のように、いま輸銀改正法をやっておるわけです。実は総理に質問したかったのですが、総理が出られないというので、代理に来てもらったので、ひとつ総理になったような気持ちで御答弁を願いたいと思います。  そこで、官房長官にお伺いしますが、この輸銀も特殊銀行、特殊会社、いわゆる特殊法人になります。したがって特殊法人をつくるためには法律を必要とします。現在、いま法律による特殊法人が幾つあるか御存じでしょうか。
  258. 黒金泰美

    黒金政府委員 お答え申し上げますが、いま公団、公社等の数は二月一日現在行政管理庁の資料で九十二になっております。
  259. 田中武夫

    ○田中(武)委員 九十二の特殊法人があるわけですね。この特殊法人のほとんどに、いわゆる人事天下りで役人がおりていくわけですね。一番多いのが大蔵、通産です。そこで他の各省もそれに見習っていろいろな事業団等をつくっていくわけです。しまいに経済企画庁やあるいは科学技術庁あたりまでがつくっていくわけです。  そこでこの特殊法人の中に、特殊会社あるいは公団、公社、公庫、基金いろいろありますね。いろいろありますが、この公庫とか基金とか会社だとか、これは性格的にどう違うのです。特殊法人の中に基金というのもあるし、事業団というのもある。公庫というのもある。公団というのもある。会社というものもある。これは一体どう違うのですか。
  260. 黒金泰美

    黒金政府委員 そこまでは私つまびらかにしませんので、法制局から御答弁願いたいと思います。
  261. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私が言わんとするのは、そういう法律的な解釈をしてもらうということではなくして、ともかく法律を出すときには、あなたは官房長官として全部を一応見るのでしょう。調整するのでしょう。そうしたときに、あまりにも特殊法人の設立が多過ぎるという感じを受けないか。法律を見てもちっとも変わらない同じようなものが事業団であったり、基金であったり、公庫であったりするのはどういうわけですか。
  262. 黒金泰美

    黒金政府委員 どう違うんだというお尋ねを受けますと、非常に答えにくいのでありますが、公庫あるいは金庫あるいは基金というのは、そこの金を運営するといったような点に重点を置いたつかまえ方だと思いますし、公社あるいは公団、事業団、こういったのは、その事業を主にしてつかまえておるように思うのであります。では金を使って事業をやっているじゃないかと言われれば、まさにそのとおりでございますし、どっちかというと、そこの資金を中心に考えたものが公庫、金庫、それから基金、そういったものじゃないか、非常にばく然として恐縮な答えでありますが、御満足いきますかどうか、そんなふうに考えております。
  263. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ともかく、一定の法律を国会に提出するときには内閣を通る。そして交通整理をあなたのところでやるのでしょう。この国会でもそうでしょう。いろいろな名前のが出てきているわけです。公団とか事業団とか基金とか名前のついた場合に、何の気なしにいままで国会提出をやっていたのですか。その辺のところで交通整理をやるということをやらなかったのですか。
  264. 黒金泰美

    黒金政府委員 こういうものは多くつくりたくない、かような意味で交通整理に大いにつとめておったつもりでございますが、そうばかりもまいりませんで、いろいろな必要性でできてきた。名前のほうは、むしろこれは予算折衝のころにいろいろ名前がついてみましたり、ことに総理府、内閣の系統では行政管理庁にいろいろ専門的な御検討を願い、まあまあこういう名前で穏当であろうというところで閣議整理をしておったような次第でございます。
  265. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それじゃ法制局ちょっと。
  266. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま特殊法人の名称の差異はどこにあるかということにつきまして官房長官からお答え申し上げたとおりで、基本は変わらないのでございますが、やや詳しく、どういうふうに名称を選別しているかということにつきまして、非常に法律技術的な点から申し上げますと、第一に公社でございますが、公社という名称を法律上つけましたものは、日本専売公社と日本電信電話公社の二つでございまして、たまたま公社という名称を持っておりますが、いわゆる公社に属さないものとして原子燃料公社がございます。そのいわゆる公社と申しますものは、これは非常に政府機関に近いかっこうでございまして、いわば政府が従来特別会計をもって運営していた事業をそのまま独立の法人として設置する場合に公社という名称をつけております。  次に、公庫、金庫の区別でございますが、公庫、金庫は、先ほどお話のございましたように金融機関につけることが原則でございますが、そのうち公庫という名称をつけますものは、特に公共性の強いものでございまして、その予算決算等につきましては、公庫の予算決算等に関する法律の適用を受けるものを公庫と称しております。金庫は……。
  267. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もういいです。
  268. 吉國一郎

    吉國政府委員 あと、事業団、公団につきましては、金融事業以外の事業を行なうものにつきまして事業団あるいは公団の名称をつけておりまして、公団、事業団のうち、特に公共性の強いものが公団と呼ばれ、ややそれよりも薄いものが事業団と呼ばれるということでございます。  その他、協会等の名称を持つものも特殊法人の中にはございますが……。
  269. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それぞれの基準があるのだろうが、われわれが見ておると、どうもこの特殊法人の名前のつけ方が一貫していないように思うのです。だから、いろいろと答弁をいただきたいのですが、それを聞いておりますと時間がありませんから、法制局のほうで、公社から始まって、基金、公団、事業団、こういうものに至るまでの全部法的解釈を文書で出してください。いいですか。あるいは協会、特殊法人の性格、こういうものをひとつ系列立って整理してもらいたい。できますか。
  270. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま私が答え申し上げましたような点を整理いたしましたものでございますならば、後刻提出いたしたいと思っております。
  271. 田中武夫

    ○田中(武)委員 官房長官、九十幾つの特殊法人、そのほとんどが役人上がりが行っているでしょう。そのきめ方はいろいろありますが、ほとんど閣議において了承の上ということが条件のように思います。したがって、いま何人くらい行っておるかわかりますか。
  272. 黒金泰美

    黒金政府委員 これは実はことしは調べておりません。昨年三月末で調べましたもので、公団、公社の役員の数が七百七十人名ございます。いまお話のございましたように、政府がみんな任命するかと申しますと必ずしもそうではございませんで、あるいは総裁、副総裁と監事を任命し、理事総裁が任命するのもございます。いろいろでございますから。このいろいろな任命の中で七百七十八名中いわゆる公務員の出身者が三百六十大名、四七%であります。
  273. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大体半数ですね。そのうちいわゆる理事総裁等がやるわけですか。――それで、主務大臣または内閣総理大臣が任命する人事については何人で何人ですか。
  274. 黒金泰美

    黒金政府委員 そこまでの区分で、政府任命の分だけが何人でそのうち何人がという調査は実はそこまでやっておりません。したがって、御必要ならば、このうちから選んでまたお答えいたします。
  275. 田中武夫

    ○田中(武)委員 できればそれも要求いたしたいと思います。  なぜこういうことを言うかと言いますと、われわれは各国会ごとに、通常国会では少なくとも、七、八つの特殊法人の法案審議するわけです。だんだんふえていく。そうするとすでに特殊法人ができる前から何々局長が入るのだ、そういうことが前もって言われておって、というよりか、その人が在職中に入れものをつくっておいて自分が入っていく、こういろのがあるわけです。  そこで、これは総理の代理として来てもらっているあなたにはちょっと悪いかもしれないが、輸出入銀行のこの法律の目的と中小企業金融公庫の目的の違いをちょっと……。
  276. 黒金泰美

    黒金政府委員 それは、中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。それから輸銀は必ずしも大企業じゃないので、日本輸出入銀行法の第一条には「日本輸出入銀行は、金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」おことばを返すようですが、大企業のみというわけでは決してございません。
  277. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ところが実績――これは卜部委員が要求して出されたのですが、輸銀貸し付け先一覧表、この上位二十社の中にいわゆる中小企業がございますか。
  278. 黒金泰美

    黒金政府委員 これは上位にはないと思いますけれども、上位だけに貸しているわけではございませんので……。
  279. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは総裁伺いますが、全貸し付け全額の中で中小企業基本法の定める中小企業に貸し付けられた金額は、全体に対してどのような割合であるか。
  280. 森永貞一郎

    森永説明員 基本法のほうはたしか資本金五千万円または従業員三百人未満ということでございました。私どものほうはそういう基準での統計はとっておりませんので、基準にぴたっと当てはまるものへの融資が幾らということはわかりかねるのでございますが、資本金だけで申し上げますと、一億円以下の企業向けの貸し出し残高は総残高の一%、社数では二一%ということに相なっております。
  281. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまおっしゃったように、ほんのわずかですね。官房長官、なぜ私が突如として輸銀と中小企業金融公庫の違いを申し上げたか、わかりますか。
  282. 山中貞則

    山中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  283. 山中貞則

    山中委員長 速記を始めて。
  284. 田中武夫

    ○田中(武)委員 輸銀は必ずしも中小企業は除かない。なるほど法律一条の目的から言えば、中小企業を除いたことになっておりません。しかし大体輸銀は大企業向けである。中小企業金融公庫は中小企業である。金融という点では一致した点があるかもしれぬが、全然変わったものを対象とする特殊法人であります。  ところが御本人を前にしてどうかと思いますが、森永総裁は大蔵次官をしておいて、そして中小企業金融公庫の総裁になった。私が先ほど言ったように、特殊法人をどんどんつくっていって、もちろんその特殊法人の中には、われわれといたしましても必要で、われわれから推進したのもあると思います。だから特殊法人必ずしも悪いとは言いませんが、しかし大部分はそうかと言えばそうではなくて、自分の入り込む、あるいは役人の入り込むうば捨山をつくろうということも、これはあると思うのです。そうしておいてそこに出ていく。局長なり次官と言えば、まず功成り名を遂げて、そして余生を自分が関係した、たとえば中小企業金融、たとえば住宅問題、こういうことでそれに余生を打ち込むというならまだ許せると思うのです。ところがその人が今度は中小企業金融公庫から輸銀へ栄転をずる、住宅から道路――これは逆だったかもしれませんが、とにかく栄転をする。そういうようなことについては一体どうお考えになりますか。さらに中小企業金融公庫なりあるいは第一回目の入り場所のところで一期あるいは二期やって数千万円の退職金を受けるのです。そうして次にまた行くわけなんです。そしてそこで一期なら一期してまた退職金を受ける。しかも役人をやめるときに退職金あり年令ありですよ。一体一年に何回退職金をもらうのがほんとうの退職金なんですか。この人たちは少なくとも三回以上退職金をもらった、そうじゃないですか。だからいままで自分がやってきたことに対して道路なら道路、住宅なら住宅、中小企業なら中小企業に余生を打ち込むということならまだ許せる。ところがだれかどこかへかわったあとに何々総裁を何々総裁に回す、官房流も一緒じゃないですか。そういうようなことについてどうおっしゃいますか。御本人さんがいらっしゃいますから、委員長のことばもございましたし、申し上げないことにいたしますが、退職金等がどうなっておるのか、それから給与はどうなっておるのか、中小企業金融公庫の総裁より輸銀総裁のほうが権限も強い、したがって給与も高いと思います。そういうことについて何らか配慮なされる用意はありませんか。
  285. 黒金泰美

    黒金政府委員 私自身も役人上がりでございまして、ちょっと私から言うのもいかがかと思う節もございますが、私ども役人を救済するといいますか、老後のために特殊機関をつくるということは決していいことではない。したがいまして、そういうような目的のためにつくることは厳に戒めておるつもりでございます。同時にできました政府関係機関に理事者あるいは監事を任命します場合にも、もとより適材適所でまいり、役人をぜひ優先しよちというほどのつもりもございません。現に輸出入銀行総裁は大蔵省出身でございますが、副総裁は日銀であり、理事のうちの相当数、過半数は民間の出身でございます。でき得る限り適材適所、一番りっぱな人を、かように考えて選考いたしておるのでございます。やはり多少弁解がましくなるかもしれませんが、純然たる民間の会社、銀行と違いまして、政府の特殊機関にしておるということは、それ相応に公共性が強い、そういうような点からやはり官界出身の有能な方をお願いする場合が出てくる、これはやむを得ないことかと思います。  それから第二点の田中さんの御意見、一たん自分の関係しておった道路なら道路に入って、そこで理事から副総裁になり総裁になっていく、一生そこで余生をささげるということはいいが、転々することはおかしいじゃないか、私は全く同感でございます。したがいまして、私どもはあらゆる機会に各省にそのことをお願いし、自粛自戒していただくようにお願いしておりますが、しかし例外的には非常に優秀な方でありまして、やはり前任者がやめた場合に、どうしてもこの人が一番適当だという場合には、やはりほかの政府機関から――そちらを決して悪いというわけじゃありませんが、無理してやめていただいて御就任願うということもまれにある場合があろうと思います。いま具体的にお話しの森永総裁の場合なんかはまさにその適例であろうと存じます。中小企業の総裁としてまことに御適任であるのでありますが、さて輸銀のほうの総裁がおやめになる、そのあとにはどうしても一番御適任なので、中小企業のほうをやめていただいて、そうしてこちらにお願いした、さような関係でございます。  退職金の関係でありますが、退職金はおのおのつとめておった場合に、そのつとめておる期間に相応しての退職金でございますから、これはダブるわけではないので、そういうふうに何回か転々することがいいか悪いかという問題、退職金の額についての御批判はございましょうが、一年つとめたら一年、二年つとめたら二年、そのつとめたのに対する退職金の制度というようなものは、これは肯定してもやむを得ないのではないか、かように考えます。
  286. 田中武夫

    ○田中(武)委員 片や一方の総裁であって一期なり二期やる、職員の場合はやはり勤続年数だと思いますが、役員の場合は大体一期、二期だと思うのです。そうして、それではずばり言って、大体こういう特殊法人いろいろありましょうがAクラスのところで一期やった総裁が、あるいは二期やった総裁がやめるときに幾ら出ておりますか。数千万円でしょう。――数千万円ですよ。そうしてまた次のところへ行って一期なり二期なりやって数千万円  それではいま即答できないようだったら、最近やめました各特殊法人の役員の退職金は幾ら支払ったか、ひとつ全部とは言いません。おもだったところを出してもらいたい。
  287. 黒金泰美

    黒金政府委員 あれはたしか各公社、公団に通じます退職金の規定がありまして、それによって積算したものを支払っていると思いますが、いまお話しのような一期で数千万円というほどのことは私はないんじゃないかと思います。なお調べました上で申し上げます。
  288. 田中武夫

    ○田中(武)委員 事実数千万円というのがあるのですよ。それは中小企業金融公庫の総裁がどうだか知りませんがね、山あります。しかもあなたの話では、公社、公団に通ずるといった一つの規定でもあるのですか、そうじゃないでしょう。
  289. 黒金泰美

    黒金政府委員 標準的なものがあって打ち合わしているんじゃないかと私は記憶しておりますが、記憶に誤りがあるかもしれませんが、おのおの相談をして大体の基準がきまっておるように思います。
  290. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それは大体のバランスがあるだろうが、高速度何とか公団なんというのはものすごいでしょう。それは一応調べてもらいたいと思うのです。  それから、一応特殊法人の総裁を引退せられた人を、次にまた新しくできる特殊法人の総裁を持っていく。たとえば前の勧銀の総裁を、いま審議中であり、四月から発足を予定せられておる鉄道建設公団の総裁に持っていくという動きがありますね。どうですか。あなたのおっしゃるようなところでいくならば、役人をやり、何かやって功成り名を遂げて、一生こういうことに余化をささげるということならまだ見られると僕は思う。ところが、それが総裁をやめて次のほうに行く、まさに人事交流と同じことなんですよ。ここ数年間の各省次官の行き先は一体どこであったか、一ぺんひとつ調べてもらいたいと思います。
  291. 黒金泰美

    黒金政府委員 いまの鉄道建設公団のことは、まだ国会で御審議中でもありますし、その人選についてはまだ実は私どもはあずかり知っておりません。次官がどこにつとめておるか、これは事実でありますから、いずれ調査の上にお返事申し上げましょう。
  292. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ところが、すでにもうそういうことが一般に知られておるのですよ。  あなたは時間がないようだけれども、それじゃもう一つ尋ねたいと思うのですが、たとえば輸銀総裁は総理大臣が任命する。総理大臣の任命は、開講の了承の上ででしょう。そうすると、中小企業金融公庫の総裁は、これも閣議の了承を得て主務大臣、通産大臣が任命する。主務大臣の任命と総理の任命とでは格が違うように思うが、すべて内閣の了承とか議ということは一緒なんですが、その手続において形式が違うだけですか、それとも重い軽いがあるのですか。たとえば役人でいうなら、認証官とそうでないものというような違いがあるのですか。
  293. 黒金泰美

    黒金政府委員 いま御質問の点を直ちに、輸銀とそれから中小企業金融公庫どっちが重いかと言われますと、さあ何ともお答えしようがむずかしいのでありますが、手続的なことからいえば、やはり総理大臣任命というものは一番重いようにわれわれは考えております。  で、中小企業金融公庫は、主務大臣である大蔵大臣、通産大臣、これが閣議の承認を経ました上で任命をしております。
  294. 田中武夫

    ○田中(武)委員 総理の任命でもやはり閣議に了承を得るのでしょう。実質的にどこが違います。
  295. 黒金泰美

    黒金政府委員 まあ実質的にどこが違うかといいますと、閣議に報告をいたしまして、了承を得ているという点では同じでございます。ただ、まあ内閣総理大臣というのは内閣を代表する権限を持っておりますので、やはり一般の主務大臣より少し偉いような感じでございましょうか。そこで輸銀にしましても、たとえばこれは輸出入に関係があるのだからというので、また金融機関だからというので、大蔵大臣と通産大臣を主務大臣にして、その任命権者にしてもいいわけでありますが、それをあえて総理大臣にしておりますのは、やはり任命手続としては重い手続をとっておる、こんな考えでおります。
  296. 田中武夫

    ○田中(武)委員 法解釈としては、総理大臣の任命は閣議の了承がなくともできる、主務大臣が閣議の了承を得て云々というときは、了承がなければ任命できない、こう解釈してよろしいか。
  297. 黒金泰美

    黒金政府委員 そのとおりであります。
  298. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうすると、やはり中小企業金融公庫よりか輸銀総裁のほうが偉いということになりますね。したがって、栄転ですよ。そうでしょう。
  299. 黒金泰美

    黒金政府委員 そうばかり言えないんじゃないかと思います。それは、やはり適材適所なんでありますから、まあ森永さんに輸銀総裁をお願いして、これは名総裁である。しかしまたその前に中小企業の公庫をお願いして、名総裁である。しかし輸銀のほうが欠けましたものが、どうにも森永さん以外にりっぱな方がない、適当な方がないというので、あえて中小企業の公庫のほうをやめていただいて、そうでこちらにお願いするということでありますから、まことに適任者という意味で、まあ栄転、栄転でないと、そこまでおっしゃらなくてもいいのじゃないかと思うのであります。
  300. 田中武夫

    ○田中(武)委員 なぜこういうことをぼくが言い出したかということは、ともかくうば捨て山であるところの特殊法人をつくり過ぎておる。もちろん必要なものはあります。そうしてそこへ役人が多く入り過ぎる。そうして本来の公社なり公団その他特殊法人の職員が役員になるような順序が来ておっても、上から天下りしてくる。それから一人の人が、たとえば道路なら道路のことを建設省でやった人が道路公団に行くことはいいでしょう。これは一応やむを得ないとしても、それが今度全然違う方面へ行く。しかし違うといっても、大体やはり建設は建設畑、大蔵は大蔵畑というようになっているようです。これなどは、ほんとうのところやはり先輩後輩の引っぱり合い、そういうような人間関係で、ことにそういうことによって、これははっきりとしてもらいたいのだが、一人で何回もの退職金を取る、こういう事実。あなたもたぶん、この前にぼくが予算委員会でカルテルの数を聞いたので、大体今度は特殊法人の数でも聞くかもわからぬということで用意せられておったから、九十二と出た。そうでなかったら答えなかったと思う。私の持っておるのは一年前のもので八十五なんです。そうすると六つというのが去年の国会で通っておるわけです。もう少し特殊法人をつくる場合並びにその人事において一般から疑惑の出るようなことはやらない――いま私が言った、前の勧銀の総裁を今度できようとする鉄道建設公団の総裁にしようとしておる、そういうことはありませんと言うなら、そういうことはしませんと言い切れますか。そういう事例はありませんと言い切れますか。
  301. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまの問題は、まだ議になっていない。ことに法律もまだ成立していない。したがって議になっていない。おそらくあれは法律が成立しますれば設立委員ができて、ずっと手続を経てできる。多少時間がかかります。したがって、いま議題になっておりませんので、これはいま議題になっていないとは申し上げられるのでありますが、しませんということは、私はその権能もないし、時期じゃないと思いますので、議題になっておりませんと、これだけ申し上げておきます。
  302. 田中武夫

    ○田中(武)委員 おっしゃるとおりに、その法律の附則のどこかで設立委員とか準備委員をつくって、そうして云々ということは、体裁はそう出るのでしょう。これは一つのタイプがあって出てくるのです。法律はほとんど同じタイプなんですよ。しかしまだ審議中であり、できてもいないものに、すでにそういううわさが出るということ、火のないところから煙は立ちません。ここにやはり特殊法人と官僚あるいは政府、ここに何らかの隠れたる関係がある、こういうことを言わざるを得ないし、そう国民から疑惑を持たれても弁解の余地はないでしょう。私があなたにわざわざ来てくれと言ったのは、このことを申し上げて、あなたは総理を補佐して、あるいは国会へ提出せられる法案官房長官として一応整理するときに、いろいろと考えてそういう疑惑のないようにしてもらいたいということです。まずそのことを総理に申し上げてもらいたいということです。そのために来てもらったわけです。たとえば九十二ということも、おそらくあなたはその数字を見せてもらって、こんなにあるのかという感じを受けたのじゃないですか。それだけ申し上げて三十分というからおきたい。しかし、あなたはいいですが、あと続けますよ。
  303. 黒金泰美

    黒金政府委員 私は大体におきまして田中さんのおっしゃる御意見に同感なんであります。まず予算の時期にでき得る限り公団、公社、そういったものをつくることを押えるために十分努力をいたしておりますが、微力、ついにできてしまう場合がございます。もとよりできますのは、それ相当の理由があるものでありますが、しかし、できるだけこれは少なくしてまいりたい。同時にその理事者につきましても、いまお話しのように、広い意味で民間の優秀な方もぜひお迎え申したいというような考えでありますが、何分にも先ほどお話ししたとおり、比較的公的な色彩の強い、純然たる民間会社と違うものでございますから、やはり多少そういうものがある。しかしでき得る限り広く適材適所、人材をとってまいりたい、同時にいまお話のありましたように、一期つとめて首になればほかの特殊会社にまたあっせんをするというようなことはできるだけ避けまして、そうしてやってまいりたいというのでずいぶん苦労をいたしておりますが、ときどきにお目に余るものもあるかと思いますので、今後ともに十分に注意いたしますから、御了承願います。
  304. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの点は了承します。  これは結局は吉國さんが答えられることになると思うんですが、その前に関係軒のほうに聞くのがいいと思うんですが、この輸銀法第一条に「本邦」ということがありますね。この「本邦」ということばと憲法の「日本国」、あるいは刑法二条にも「日本国」ということばがありますね。この「日本国」と「本邦」はどう違うんですか。輸銀法の中にも「日本国」ということばを使っていますね。今度の改正の中にも「日本国」というのが出てきますね。第十八条の二の五項ですか、そこに「及び日本国」というのが出てきますね。一つの法律の中に「本邦」と「日本国」ということばが出てくる、これはどう違いますか。
  305. 森永貞一郎

    森永説明員 法律の制定は大蔵省においてなされたものでございますので……。
  306. 吉國一郎

    吉國政府委員 日本輸出入銀行法の第一条、あるいはその業務を定めております第十八条において、「本邦」という字を従来使っておりましたが、この場合の「本邦」と申しますのは、主として地域的な概念といたしまして使っておるわけでございまして、今回の改正におきまして「日本国」と申しましたのは、国際社会の成員であるところの日本国というものをとらえまして「日本国」と呼んだわけでございます。
  307. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうすると憲法の「日本国」ということは、一応わかったような気がするんですが、刑法の二条の「日本国」というのはどうです。
  308. 吉國一郎

    吉國政府委員 刑法におきましては、刑の適用に関しまして国内犯と国外犯の規定を設けておりますことは、ただいま田中委員御指摘のとおりでございますが、刑法におきましては「日本国」ということばを、その地域概念を含めまして使っております。したがいまして、刑法で「日本国内」とか「日本国外」と申します場合には、この「日本国」を形成しております地理的な範囲のうちであるか外であるかということに着目して「日本国」という文字を使ったわけでございます。輸出入銀行においては何ゆえ「本邦」という文字を使ったかということに相なりますが、輸出入銀行は、御承知のように日本からの輸出入の問題について金融上の機能を発揮すべく特殊法人をつくったわけでございますが、輸出入に関しましては、御承知のように、外国為替及び外国貿易管理法という基本的な法典がございまして、ここでこの地域概念につきましては「本邦」という文字を使っておりますので、輸出入銀行法もこの貿易に関する立法といたしまして「本邦」という文字を使ったわけでございます。
  309. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私も調べてみましたが、大体貿易為替関係は「本邦」という文字を使っておりますね。別に、ここで「日本国」と「本邦」とは地域的には、たとえば沖繩はどうなるか、小笠原はどうなるかということは聞きませんが、結局「日本国」というときは地域である、「本邦」というのと面積において違いがあるのですか。
  310. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど来申しておりますように、日本輸出入銀行法におきましては、地域概念をとらえます場合には「本邦」と呼んでおりまして、国際社会の成員としての国原ということをつかまえます場合には、「日本国」という使い分けをしたわけでございます。したがいまして、実体的にはまさに同じものを指しておるわけでございますので、面積の相違ということはございません。
  311. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうすると、これから立法の例としては、為替とか貿易、こういう関係は「本邦」と使う、そうでないものは「日本国」と使う、そういうことですか。
  312. 吉國一郎

    吉國政府委員 貿易とか為替とかにつきましては、先ほど来申し上げましたように、外国為替及び外国貿易管理法におきまして、特に「本邦」という文字を使ったわけであります。これは従来の日本国の範域より、当時占領時代でございましたので、やや範域が狭いというようなこともございまして、それぞれ命令におきまして本邦の地域から除かれるような地域を定めておったようなこともございまして、特に「本邦」という字を使ったわけでありますが、それ以来十数年を経ておりますけれども、外国為替及び外国貿易管理法を基本法といたしまして仕立てられております法律の有機的な全体といたしましては、貿易関係ではできるだけ「本邦」という字にそろえてその地域概念の統一をはかるということが大体の概念でございますが、必ずしもそうきめてしまったということではございませんで、そのときどきの法律の全体の仕組みからいたしまして「日本国」という字を使う場合もあり得ると思います。
  313. 田中武夫

    ○田中(武)委員 外国為替及び外国貿易管理法の五条に使ってあるからこうだとおっしゃるのですね。これはできたのが占領下であった。だから「本邦」と使った。今日同じ概念について法律用語が違うということはおかしいじゃありませんか。どっちかに統一なさいよ。これは憲法が「日本国」だから、「日本国」に統一すべきですよ。どうですか、統一しますか、統一しませんか。「本邦」というのは、それに関連して、あなた御承知のように命令にまで使っていますね、たとえば対外の貸借及び収支に関する勘定令というようなものにもやはり「本邦」を使っておりますね。
  314. 吉國一郎

    吉國政府委員 どうも答弁がやや不的確であったかもしれませんが、外国為替及び外国貿易管理法、これは二十四年に制定せられておりますが、第六条で本邦ということを定義しておりまして、「本州、北海道、四国、九州及び命令で定めるその附属の島をいう。」と規定をいたしております。この命令によりまして、日本の周辺にございます島のうち一定のものを加えましてこれを本邦として、その本邦からの輸出あるいは本邦への輸入をその第四十八条以下において規律をいたしまして、またさらに重ねて為替関係については第二十七条以下において規律をいたしておるわけでございます。そのような本邦という文字を用いましたのは、先ほど来申し上げておりますように、当時のすでに与えられた概念としての日本国の地理的範囲よりはやや狭いというような範囲をつかまえまして本邦という文字を使ったわけでございます。その後外国為替及び外国貿易管理法に付属するとまでは申せませんが、それと同じ系列に属すべき法律として、たとえば外資に関する法律が制定されておりますが、その外資に関する法律では同じように本邦という文字を使いまして、したがいましてその外資に関する法律に基づいております対外の貸借及び収支に関する勘定令、これは当然外資に関する法律を受けまして本邦という文字を使ったわけでございます。そのようなわけで現在の貿易関係――主として貿易関係でございますが、まれにはもちろん為替関係もございますが、為替貿易関係の法令では従来本邦という概念がずっと打ち立てられて今日に至っておりますので、われわれといたしましては、いま直ちにこれを日本国という文字に改めなければならないとまでは考えておりません。ただ、この法律ではそれを二つ用いましたのは、一つは地理的な概念に主眼を置いたものでございまするし、今度の第十八条の二において用いました日本国あるいは日本政府と申します場合には国家としてのわが国をとらえましたので、あえて日本国あるいは日本政府という文字を使ったわけでございます。
  315. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうもよくわからぬですが、ともかく昭和二十四年につくった法律、占領下の法律でしょう。そこで外為法は五条で本邦ということを使い、六条でその定義を下しておる。それに関連する法律で本邦と使っているのは外為法の六条ですね。六条の概念になるのですね。ところが、今日においては、あなた先ほどおっしゃったように、日本国というのと本邦というのは変わらない、こういうことです。そうしますと、かりに将来沖繩が返還せられたときに、憲法なり刑法なりその他は直ちに沖繩へ及ぶ、しかし本邦と使っておるのは外為法その他の本邦という定義を変えない限り及ばない、こういうことになるのですか。
  316. 吉國一郎

    吉國政府委員 本邦の範囲につきましては、たとえば昭和二十年代の半ば過ぎにいわゆる十島村がわが国の統治下に復帰してまいりまして、さらに引き続いて奄美諸島が復帰いたしました。その際にはこの本邦の範囲を定める命令の規定改正をいたしております。その場合命令は大蔵省令でございまして、あらかじめ復帰の準備をずっと進めておりました間に、当然そのような省令の改正もいたしたわけでございます。日本の統治下に復帰するという場合には、ある旧突然に復帰するということはございませんで、あらかじめ諸般の法令あるいは法令に基づいて実施せられましたあらゆる行政の状態を引き継ぐべく諸般の準備をいたすわけでございますので、本邦の範囲を改正するための準備も当然その準備期間中に行ない得られまするし、また従来とも行なってまいりました。
  317. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いま何か本邦の定義を大蔵省令で書いたとか言っておったが、そういうことができるのですか。
  318. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど申し上げましたように外国為替及び外国貿易管理法第六条の第一項第一号におきましては、「「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及び命令で定めるその附属の島をいう。」とございまして、その命令で定める附属の島の範囲が大蔵省令できめられております。
  319. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これは外為法がやはり占領下であったという事情からこういうことばを使ったのではないか。やはり法律概念として二つの表現ということはどうかと思うのですよ。これをひとつ検討してもらいたいと思う。それは今度の輸銀法の改正の中で、一つの法律の中に本邦と日本国という二つのことばが出ておる。これなんかは法律用語を統一したらどうです。外為法ができたとき、おそらく昭和二十四年のころで、また六条でいうておるように、その付近の島のどこまでが入るのかということがわからなかったことがあったと思う。だから、そういうきめ方をしたのではないですか。
  320. 吉國一郎

    吉國政府委員 本邦という用語と日本国という用語について、その統一方について検討したらどうかというお話でございますので、今後十分検討はしてまいりたいと思います。ただ第十八条の二の新しくつけ加えました第五項においては、従来本邦という字を使っておったのであれば、本邦という文字にしてはどうかという当然の御反間があると思いますが、この場合には国際社会の成員でございますところの国家をつかまえましていっておりますので、従来の使い方から申しましても本邦政府というような使い方がやや奇異な感じもございまするし、国際社会の主権の主体である国家をつかまえます場合には日本国のほうが適当であろうということで、かような使い方をいたしたわけでございます。
  321. 田中武夫

    ○田中(武)委員 こういうことばかりやっておってもしかたがないと思うのですが、これは私は検討の必要ありと思います。それから本邦あるいは日本国に対することばとして、外国というのですね。邦外ということばは使ってないですね。そういうような点を私はやはり観念統一、用語統一が必要だと思う。占領下という特殊な事情があったから、そういうきめ方をせられたということはわかります。これは検討してみますということですから、それで次へ行きたいと思います。  この法律昭和二十六年ですか、二十五年だったかできてから、今日までに二十回改正になっておるのですね。したがって、その何回かは単に資本金だけのために改正をした、こういうことで、先ほど武藤君が触れました、今後は資本金だけの増額ならば法改正手続をとらなくていいような改正をしようとしておる。先ほど私武藤君に対する答弁を聞いておりましたが、なるほど最近の特殊法人につきましては、いままでと違って、一々資本金が変わるたびに法改正手続をとらないで、予算で定める範囲内において、そういうことになると思います。この点は武藤君も質問を保留せられておったし、私もあまり突っ込みませんが、一言言いたいことは、予算の範囲内で――予算と同額とはいってないですね。予算の範囲内といっておるのですよ。そうしたら、予算がきまると同時に自動的に資本金がきまるという解釈がどこから出てきますか。予算の範囲内において、こういう文句ですからね。そうでしょう。この問題は、またあすでも武藤君もっとやるだろうと思うのですが、範囲内――同額ではない。だから予算がつきますと同時に自動的に資本金がふえるというのはどういうわけですか。
  322. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 予算ではその年間に予定する出資の総額を定めることになりますが、この出資を一時に行なうということも必要でありません。大体においては出資先行がやっておりますが、一回に、たとえば来年度の場合には二百二十五億円を全額一時に出資するのではなくて、何回かに分けて支出するというのが適当かと思います。それがここに書いてあります「予算で定める金額の範囲内」ということでございますが、輸出入銀行の場合には、実際は残すというようなことは従来もありませんが、これからもありません。全部そのとおり出資いたします。その出資があったときには、直ちにその出資額によって資本命がふえるわけでございますが、順次資本金が増加していくということになります。  なお先ほど武藤委員に対しまして私が答弁したことにつけ加えて申しますが、ただいまの御質問も同様でございますが、当委員会審議につきましては、私は、この輸出入銀行の業務等につきましていろいろと重大な関心をお持ちになるのは当然のことだと思いますので、たとえばこのような法律案が出ない年でありましても、われわれ並びに関係の森永総裁以下を呼び出されまして十分審議願うということにおいて、私ども、これを法律案があるからないからということで何ら差別するつもりはありません。当委員会の運営の問題になるかもわかりませんが、どうぞひとつ十分の御審議をお願いしたいと思います。
  323. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほど武藤君が言っておったように、いわゆる国会の審議ということをなるべくのがれようとする考えがあることは確かでしょう、それはそれといたしまして、あなたの答弁によると、法律を見たときに資本金がわからないということになりますね。いままでだったら、古い法律はともかくも、その年の法律を見れば、輸銀なりその他の特殊法人の資本金が数字で出ておるわけです。しかしこういう改正になると、法律を見ただけでは、資本金はわからない。しかもあなたの答弁によると、予算の範囲内だから一ぺんに出さない、ちびりちびり出すということになれば、出すたびに資本金が移動する、そういうことになるのですか。
  324. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 資本金の増加はそのとおりでございますが、ただ、法律の上にただいま現在の資本金が載っていない、法律を見たたけではわからぬとおっしゃいますが、もちろんこの出資の資本金の額は公示することになっておりますから、何も秘密にするわけではございませんが、やはり業務のごくあらましを見るためには、資本金の額だけではどうにもなりませんで、バランス・シートの上からいえば、借り入れ金その他、貸し付け金の残高がどうなっておるか、こういうごく大ざっぱなことでありましても貸借対照表をごらんにならなければ、現在の輸銀の状態、スケールがどのくらいのものであるかということをつかめませんので、その点は法律に書いてなくても、そう違う問題じゃないのじゃないか。つまりバランス・シートを御要求になれば、これはいつでも提出いたします。これは半年ごとには出ております。それからなお定款にはもちろんこの資本金を記載しております。ただし資本金が幾らであるかという点は、先ほど申しましたように、ほかの計数とあわせてごらんになったほうが実態がおわかりになるのじゃないかと考えます。
  325. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は、実際の実態を見るためのすべてが資本金だとは言っていないのですよ。私は、特殊法人の一つの性格として、資本金が法律によって定められておるということが特徴ではないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
  326. 吉國一郎

    吉國政府委員 特殊法人全体を通じて見まして、その資本金がいかなるものの出資金によって行なわれるかということは、その特殊法人の基本的な事項であると存じますが、その金額が幾らであるかということが法律に明示されるかされないかということによって特殊法人であるかないかということには相ならない、従来の観念ではさように考えております。
  327. 田中武夫

    ○田中(武)委員 出資するごとに毎年一々法改正手続をとる、これが煩瑣だ、確かにそうだと思う。この法律にいたしましても、十二、三年ほどの間に二十回も改正をやっておるのですからね。そういうところでなるべく安易にやろうということで法律のタイプを変えてきたことはわかります。しかし特殊法人は資本の構成、資本の額というようなものがその法律によって明確である。そのことが特質だと思うのです。普通の法人だったら定款を見ればわかる。そうじゃないですか。金額を明細に書くということが絶対必要条件であるかどうかは知りません。しかしいままではそういう解釈で全部変えてきたでしょう。二、三年前からかっこうが変わったんですよ。そうでしょう。三十六年ぐらいから法律が変わってきたんです。それまでは同じタイプでしょう、どうですか。
  328. 吉國一郎

    吉國政府委員 法律のていさいがいろいろ違っております点につきましては、また田中委員の御鞭撻をいただく点が多々あると思いますが、必ずしも昭和三十五、六年からかように相なったわけではございませんで、古いものでは、たとえば住宅金融公庫等におきましてはすでに昭和二十五年以来、今度の日本輸出入銀行法改正後のような姿をとっておりますし、また特殊法人のうちで特殊法人たる性格が高いと思われますような、いわゆる公社でございますが、日本国有鉄道、日本専売公社及び日本電信電話公社の三公社でございますが、これも法律の上には資本金の額は明示されておりません。その資本金がどういうもので構成されておるかということは、もちろん規定いたしておりますけれども金額が幾らであるかということは明示されておりません。国鉄はあるいは三兆といわれ、日本電信電話公社は一兆といわれるそうでございますが、その金額は明示されておりません。
  329. 田中武夫

    ○田中(武)委員 国鉄だとか電電公社というようなところは、これは幾らほど財産があってどうだというようなことは、専門家でもちょっとわからぬと思うんです。私は特殊法人と言っていますが、従来からあるそういうようなもの、あるいはその性質それ自体が独占体をなしておるようなものについては、あまり、言っていないのです。最近雨後のタケノコのようにどんどんできた特殊法人のことを言っておるのです。そうかと思うと、日本銀行などは、これはまた別にやりますが、一体幾らの資本金になっておるのか、いつまでもほうってあるというようなこともあるでしょう。二十五年の住宅金融公庫がこういうタイプをとっておるというが、その後出てきた法律で、そうしたタイプをとっておるものにどんなものがありますか。それではそういうタイプをとってきたものと、とらなかったものあるいは途中からこの法律のようなタイプをとるようになったものはどういうものですか。
  330. 吉國一郎

    吉國政府委員 従来出資の規定につきまして、法律上一定の額を明示いたしまして、資本金の額が幾らであるということを止めましたものと、当初の出資額のほかに予算の定める範囲内において追加して出資でざるという定めをいたしましたものと二つあることは仰せられたとおりでございます。その前者の場合、すなわち確定額を明示いたしましたものと、後者の増資の定めがあるものとどういうふうに違うかということでございますが、法律的に申し上げますと、前者のほうは資本金の額は法律上一定の額が表示されておりますので、一応その法律といたしましては、その明示された額をもって業務を運営するのだということを、当時においては、立法者としては考えておったというふうなものであると思います。それに対しまして、出資額のほか、増資の定めのあるもの、たとえばいま田中委員が仰せられましたように、最近の立法例では、非常にそれが多いわけでございますが、そのようなものにつきましては、当初設立される場合に政府から幾ばくかの出資があり、その後事業の拡大に応じて、その必要に応じて、予算で定められた金額の範囲内において追加して出資されることがあるということで、法律上その方針が明らかにされておるのであります。この二つの違いがあったわけでございますが、もともと日本輸出入銀行等の法人につきましては、その業務の推移に応じまして、当然追加出資というものを予想すべきではないかということで、今回政府でこのような改正案を提出いたしたわけでございまして、いままでございました二つの立法例のうち増資の定めのあるもの、すなわちその業務の拡大に即応して、予算で定める全額の範囲内においては追加して出資ができる、そういうような性格のものであるということをはっきり鮮明するほうがいいのではないかというふうに、本件の場合には大蔵省が考えまして、そのような改正案を立案したわけでございます。
  331. 田中武夫

    ○田中(武)委員 その答弁はちょっとおかしい。それじゃこの輸銀法ができたときには、将来出資をふやすということは考えなかったかというとそうじゃない。だからその答弁は当たらないのですよ。しかしこれはまたあとの機会にやろうと思います。  私はこれから改正の本題に入りたいと思ったのですが、時間もだいぶおそくなりましたから、次の火曜日にでも留保いたしまして、吉國さんに聞く点だけを伺っておきたいと思うのです。この法律の十五条の代理権、これはどういう性格ですか。
  332. 吉國一郎

    吉國政府委員 日本輸出入銀行は、その第三条の規定におきまして、東京都に主たる事務所を置きますが、必要な地に従たる事務所を置くことができるようになっております。その従たる事務所におきます業務の執行につきまして、一定の範囲内におきましては、その処理が代表権ある総裁あるいは副総裁理事処理を待たずして、その従たる事務所において行なわれるべき必要があるような場合におきましては、総裁、副総裁及び理事が従たる事務所に関して一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任するという権能を与えたわけでありますが、現在におきましてはこのような代理人の選任は行なわれていないというふうに私どもは聞いております。
  333. 田中武夫

    ○田中(武)委員 時間がないから、これをやると長くなりますから一ぺんに聞きます。商法の支配人と性格が違うか違わないか、「裁判上又は裁判外の行為」ということで同じことになりますね。ところが商法のほうでは制限をしていない。十五条では職員ということを制限しておる、たとえば、裁判の場合に弁護士を雇うことはどういうことになるか。これは裁判上のことは職員でなければいかぬ。それが一つ。それからその十五条の代理権のところの委任の中に、たとえばこの法律の四十条の余裕金の運用、あるは三十九条三項の資金の借り入れの制限、あるいはまた十八条の三の二項の借り入れ資金の限度とか、いろいろそういうことがありますね。そういう権限を委任できるかどうか。ここまで言うとあなたは次のぼくの質問を大体予想されると思うのですが、この委任ができるかできないか。
  334. 吉國一郎

    吉國政府委員 この第十五条において選任されます代理人と、商法三十七条の支配人と、その代理権の範囲がどうであるかという御質問につきましては、これは商法の三十七条あるいは三十八条の一項において規定されております支配人の代理権とほとんど同じ範囲であると申してよろしいかと思います。  それから第二点の裁判について弁護士を選任できるかということに関連して、職員以外には代理人が選任できないではないかということでございますが、これは職員のうちからこのような商法の支配人にも当たるべき代理人を選任することができるということを規定いたしただけでございまして、個別的な事件につきまして代理権を授与することは、当然この第十五条の規定が禁止しているところではございませんので、たとえば訴訟が起こった場合に、その訴訟に関しまする訴訟代理の権能を弁護士に委任するということは法律上は可能でございます。  第三点の……。
  335. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もっと言うなら四十六条の一号から八号の罰則の中で、どれが委任できてどれが委任できないか。
  336. 吉國一郎

    吉國政府委員 たとえば余裕金の運用とか資金の借り入れ等について権能を授与できるかどうかということでございますが、この支店と申しますか、従たる事務所の業務に関します限りは、一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を与え得るわけでございますので、その権限の授与のしかたによりましては、それは可能であろうというふうに考えておりますが、法律上の問題と実際上の権限の授与のしかたとは違いますので、輸出入銀行において統一的に処理をされなければならないような事項については、そのような代理人をほとんど選任しないということもございましょうし、先ほど申し上げましたように、現在はこのような従たる事務所の代理人の選任は行なわれておりませんで、すべて主たる事務所において統括的に処理されているということでございます。
  337. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もう時間もないので、時間はあるのですが早くやめたいと思いますので、これをやるとまた長くなるのだが、あなたとは私は罰則の問題でしょっちゅうやった。ところが私はあくまで、この罰則の中に「役員又は職員」とあるが、この職員は除くべきだということはいまでも考えておる。したがって私が聞いたのは、四十六条の三号から八号までの間の権限で、十五条によって委任できるものがあるのかないのかと聞いたこと。そのことのあなたの答弁。このことが四十六条で、この置き方は当輸銀法だけでありません、あらゆる特殊法人に全部同じ規定があるわけです。ほとんど同じ規定がある。その中で職員がこういうことを犯す余裕があるか。業務以外のことをやったということはあるかと思いますが、それ以外にあるか。それを私は繰り返しやってきたと思います。だからこれは第十五条のいわゆる代理権の範囲と四十六条の罰則とが関連を持っているのです。それはいまここでは言いませんが、ひとつはっきり一ぺん文書をもってつくってください。
  338. 吉國一郎

    吉國政府委員 この第四十六条のように、役員のみならず職員を処罰する規定、この場合は過料でございますが、同様な規定は、刑罰を科する場合においても、特殊法人法のみならずきわめて多数の法律において認められるところでございます。このような罰則につきましては、田中委員から前に商工委員会におきましても何回か御質問をいただきまして、これに対しまして何回か私のほうでも答弁をいたしておることでございますが、いずれまた文書をもってお答え申し上げるつもりでございますが、ただいまの第十五条の代理人の選任は、あくまで従たる事務所におきます包括的な権限を授与する規定でございまして、個別的な委任による代理権の授与ということは当然ございますし、またこの罰則の規定におきまして、ある行為をし、あるいはある行為をしないということに対して構成要件を満たしたということで、刑罰あるいは両罰を科するという場合の行為の主体といたしましては、このような十五条のように包括的な代理権を付与せられたものでなければならないということはございませんで、これは一般の両罰規定にも通ずる問題でございますが、その案件を処理する権限を内部において付与されているかいないかということによって判断すべき問題でございますので、私どもといたしましては第四十六条のような規定から職員を除くほうがいいというふうに直ちに言い得ないのではないかというふうに考えております。
  339. 田中武夫

    ○田中(武)委員 委員長から注意もあったし、やめておこうと思いますが、いままで何回かやったが、あなたは的確な答弁をしていないんだ。いままではそういっても、いつでも同じ一つのタイプにもってくるんだな。そこで、この種法人の職員において、この種の刑罰を受けた例があるかどうか。あるいはこの輸銀でいきましょう。輸銀でいわゆる私の言っておる余裕金の運用だとか、あるいは借り入れ金問題等を十五条の、実際はやっていないということですが、十五条の権限の委任ができるのかできないのか。そういう点を明らかにしてください。これは火曜日までに願います。火曜日にこれは採決するのでしょう。いまぼくが言っていることがはっきりと出てこなければ採決はできない。こういうことを確認してください。
  340. 山中貞則

    山中委員長 その事実があったかないかということですか。
  341. 田中武夫

    ○田中(武)委員 法律的にその十五条の範囲の中に入るのか入らないのか。それから、いままでそういう実例があるのですか。罰則をもっていく必要はないでしょうかな。
  342. 吉國一郎

    吉國政府委員 第四十六条の違反の事実があるかどうか。いままでは科罰した例があるかどうかということでございますが、これはただいま日本輸出入銀行の当事者のお話を伺いますと、そういうことはございません。役員も職員も処罰されたことはないということでございます。それから第十五条の代理人の選任の範囲に、たとえば第三十九条、第四十条のごときが入るかということでございますが、法律上はその従たる事務所に関する限りは、代理人を選任し得るということでございます。それから、ただし現在におきましては、このような規定がございましても、代理人の選任は行なわれておりませんし、ただいま輸出入銀行の当事者から伺いますと、ただいまのところでは、代理人を従たる事務所において選任する必要は認めておらないということでございます。
  343. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もうやめようと思うのだけれども、そういう答弁をされては言わざるを得ないですよ。かりにそれが従たる事務所を設けた場合に余裕金だとか、あるいは借り入れ金が従たる事務所が独立してやるのですか。
  344. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまのところ、輸銀はいわゆるこの条文に当たる従たる事務所を持っておりません。大阪に事務所を持っておりますけれども、これはこの法文のいうところの従たる事務所には該当いたしません。つまり独自に審査もやり、貸し出しもするという事業はやっておりません。従たる事務所ということは、本店に対する支店というようなことでございましょうが、そうなりますれば通常の金融機関におきましても、支店において借り入れ金はほんとうの事務所で、東京でやるわけでございますから、貸し出しを行ない、回収を行なうということをもしやるといたしますれば、その間に多少なりとも余裕金を持つということはあるわけでございます。その余裕金をその他における日本銀行が代理する、資金運用部に預託する、日本銀行から短期証券を買うというようなことをやれば差しつかえないのですが、それをコールに出すとかいうようなことになって認められておらないことをすれば、ここにいうその場合の従たる事務所の長は、ある程度の権限委任を受けなければなりません。代理人として行動する必要があると思います。それはいま仮定の論議でございますが、現実の問題としては従たる事務所がございませんので、何ら代理人選任の必要は今中まで起こっておらぬ。
  345. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうも銀行局長答弁はピンぼけです。これ以上やりません。あらためてやります。ピンぼけです。私は輸銀法の改正審議しているのですよ。だからその法律の条文について聞いておるわけです。条文についていままでなかったからとか、そういうことでないのです。条文の解釈を聞いておる。この法律に全部四十何条かあるのですよ。それを聞いているのですから、またあらためてやります。
  346. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 条文の上でお答えいたしますと、ほんとうの従たる事務所が設けられて活動する場合には、借り入れ金をする権能を、そういう代理行為、代理権を与える必要は毛頭ございませんが、余裕金の運用については与えなければ、余裕金は常に現金で持たなければならぬから、とにかく多少とも運用するというのが普通でございましょうから、そういうことは起こり得る、そういう代理の中に余裕金の運用に関しては起こり得ると思います。
  347. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もうやめます。しかしこれで了承ではありません。四十六条五号から八号までの各号について、これはできるかできないか、一つずつ次の機会に伺います。
  348. 山中貞則

    山中委員長 次会は、来たる十八日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会