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竹本委員 バーゲニング・パワーを
日本自身身が持つということのために、アジアの経済圏とかあるいは太平洋の経済共同体とかということが構想として持たれるということは当然でございますけれ
ども、私
考えますのに、これはしかしながらなかなか困難である。太平洋共同体につきましては、米国のヒルズマン国務次官補がこの間ハワイ大学で演説をして、その中で太平洋地域の貿易構造を分析いたしておりますが、先進国同士の間に行なわれる貿易が六〇%だ、低
開発国相互においては一〇%だ、先進国と低
開発国との間に行なわれる貿易は三〇%だというような分析をしております。これは事実でございますからそのとおりである。しかし、問題はアメリカの
考え方でございますけれ
ども、そのハワイ大学における話の中で、ヒルズマンは、米国は温帯農産物の主要市場として、西欧及び
日本に妥当な責任を求めるというようなことを言っております。これは
一つの
考えの一部があらわれておるのでございますけれ
ども、全体としてアメリカの
考えておる太平洋経済共同体というものは、やはりアメリカ本位の、アメリカの得手勝手な
考え方でございまして、
〔
吉田委員長代理退席、
委員長着席〕
これと協力をするということにおいて
日本が
考える太平洋の経済ブロックといったようなものは、全く国家の経済を発展させる方向ではない、逆に、よくいわれる植民地化するか、どういう形になりますか、少なくとも
日本の経済を前進させる方向に持っていくということは現実において不可能である、そういう
意味で、地理的な
制約もありますけれ
ども、政治的に問題を
考えた場合に、特に困難が非常に多い。そういう
意味で、太平洋経済共同体というものに多くを期待することもできない。しかるにまた、東南アジア――エカフェあたりでもいろいろお
考えがあるようですけれ
ども、東南アジアの問題につきましては、一番問題は、政治的な不安定、ドルの不足、こういったような問題を
考えますときに、東南アジア経済共同体といったようなものもほとんど問題にならない。特に、アジア経済の中で一番大切な市場である中共は共産主義になっておるし、しかもまた中共との政治
関係、貿易
関係もいまのところほとんど問題にならぬ、やっと二億ドルの貿易ができるということで大騒ぎしておる
程度では問題にならない、こういうふうに
考えてみますと、将来の
日本の国際経済の中における発言権を確保する
意味において、また確保した発言権によって
日本の貿易を伸ばしていく、
輸出を伸ばしていくという
意味において、
日本はどういう具体的な構想を描けば、バーゲニング・パワーがほんとうに充実した形で、EECとでも対に話ができるのかということを私
どもは心配をいたしておるわけであります。
そこでもう一度お伺いしたいのでございますけれ
ども、やはり欧州のEECその他のブロック的な動きに対して、
日本の
政府としてはどういう構想で
日本のレーベンスラウムをつくって対抗していこうとするのであるか、またそういう形でなければ
日本の貿易はほんとうの
意味では発展しない。輸入はどんどんふえておりますけれ
ども、
輸出はいくら努力してみても、あるいは努力の足りないものもありますけれ
ども、いまのところ実際において五十五億ドル
程度だ。これを七十億、八十億にふやすには、どうしても
日本自身のレーベンスラウムというものがあって、またはっきりした自分の地盤というものがあって、その上に立って各ブロックとの政治的折衝を重ねていかなければならぬと思います。現に
日本の貿易の市場の構造を見ましても、一体どこにほんとうの
日本の地盤があるのか、ほんとうに
日本の重点があるのかはっきりしません。アメリカにも適当にやっている。東南アジアにも過当にやっている。世界至るところに、グローバルに買うものがおれば売っている。こういうような形で
日本自身の貿易市場に対する重点というものが、市場構造の中において見ることができない。こういう形だから
日本の貿易は伸びないのだと私は思いますけれ
ども、その点についてお
考えを伺いたいと思います。