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1964-02-11 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十一日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 臼井 莊一君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       伊東 正義君    岩動 道行君       大泉 寛三君    大久保武雄君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       金子 一平君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    岡  良一君       小松  幹君    佐藤觀次郎君       田中 武夫君    只松 祐治君       野原  覺君    日野 吉夫君       平林  剛君    松平 忠久君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         食糧庁長官   斉藤  誠君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君  委員外出席者         外務事務官         (経済局参事         官)      平原  毅君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         農林事務官         (農政局参事         官)      玉置 康雄君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      筒井 敬一君         日本輸出入銀行         総裁      森永貞一郎君         日本輸出入銀行         理事      斉藤 正年君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月七日  昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第二九号)(参議  院送付) 同月十日  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦外九名提出衆法第五号)  とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法  律案内閣提出第七〇号) 同日  医療法人課税是正に関する請願外一件(大橋  武夫紹介)(第二八六号)  同(和爾俊二郎紹介)(第二八七号)  同(小山長規紹介)(第三八五号)  入場税撤廃並びに労音、労演に対する不当課税  の取消し等に関する請願外八件(本島百合子君  紹介)(第二八八号)  同外二件(下平正一紹介)(第五二七号)  政府関係金融機関資金増額に関する請願(原  茂君紹介)(第三一四号)  同(松平忠久紹介)(第三一五号)  同(下平正一紹介)(第三六七号)  酒税法改正等に関する請願原茂紹介)(  第三一六号)  同(松平忠久紹介)(第三一七号)  同(下平正一紹介)(第三六八号)  音楽、舞踊、能楽等入場税撤廃に関する請願  (臼井莊一君紹介)(第三三四号)  米の予約減税特別措置存続に関する請願壽原  正一紹介)(第三四八号)  外地引揚公務員に対する国家公務員等退職手当  法の改正に関する請願塚原俊郎紹介)(第  四五六号)  再就職公務員に対する国家公務員等退職手当法  の特例制定に関する請願塚原俊郎紹介)(  第四五七号)  たばこ販売手数料の引き上げに関する請願(篠  田弘作紹介)(第四六四号)  赤電話取扱費非課税に関する請願田中榮一君  紹介)(第四六七号)  元満州国政府等職員期間のある非更新共済組合  員の在職期間通算に関する請願毛利松平君紹  介)(第五二八号)  は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第二九号)(参議  院送付)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五一号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。農林大臣農林委員会予算委員会関係がございまして、三十分当委員会に御出席をお願いいたしておりますので、そのつもりで御協力をお願いいたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 時間が十分ありませんから、おもなことだけ質問をしたしますが、食管赤字がいまどれくらいあるのか。まずこれからお伺いしたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から正確に申し上げます。
  5. 筒井敬一

    筒井説明員 明年度は、食糧勘定におきまして千九十五億、飼料勘定におきまして三十六億でございます。
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 米価の問題のときに食管赤字の問題がいつも問題になるのでありますが、しかしこれは御承知のように農民負担にまかせず、むしろ消費者のために食管赤字が出てくると考えておりますが、ときどき食管赤字ということがいろいろ問題になるのですが、米の問題について何か抜本的な考えがあるかどうか、農林大臣に伺いたいと思います。
  7. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米については直接統制、麦については間接統制という仕組みで行なっておりますので、売買差損とか政府管理経費負担、こういう関係で、いわゆる赤字と称せられるものが出ることに仕組みそのものがなっておると思います。世間では赤字赤字とこう言いますけれども、これはいまお話のように、あるいは消費者に対しての一つ対策も含んでおりまするし、生産者に対しましては価格支持対策、こういうような対第にもなっております。でありますので、ある程度売買差損とか、あるいは政府が管理いたしておりますから、政府管理経費の負損ということで言われておるところの赤字が出ます。しかし、これは何か不始末とか、経理がじょうずでないための赤字という意味でないことはもう御承知のとおりだと思います。しかしこの赤字がだんだん多くなるということは、やはり農林政策全般からいいましても、ほかの政策を行なう上におきまして、一つの支障にもなりかねない問題でございます。でありますので、極力この赤字を少なくしていきたい、こういう考えを持っています。そのために食糧管理制度をなくしてしまえという考え方もありますけれども、これは私はよほど慎重に考えませんとやり得ない問題であろうと思います。でありますので、中間経費等の節約を極力はかったり、また会計合理化食管会計につきまして相当合理的な手を加えてきたのでございますけれども、さらに一そう合理化していきたい、あるいは価格決定等につきましても適切な決定に持っていくことが非常に望ましい、こういうふうに考えます。
  8. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 赤城さん御承知のように、日本農家水田というのはいろいろ問題がありますが、私は一般日本農家収入の原則は、やはり米にあると思うのです。そこで、私新潟県へ行ったことがありますが、新潟県は御承知のように米を生産する点において日本有数な県でありますが、県としては非常に赤字が多い。これは再建整備にもかかっております。米をたくさんつくる県が赤字をたくさん持っておるという矛盾の原因は、やはり米価が安過ぎるからでありまして、少くなともそういう点で県知事にもいろいろ伺ったのでありますが、根本的にはやはり米価一般のものと比べて安いというところに問題があるのではないか  こういうふうに考えておりますが、農林大臣はその点どういうようにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
  9. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米が安過ぎはしないか、生産者米価につきましては、御承知のように生産費及び所得補償方式、こういう形で生産者米価決定がなされておるわけでございます。でございますので、そういう趣旨に沿うて決定されておりますので、いろいろな決定の要素があろうかと思います。でありますので、農民感情からいたしまするならば、一年に一回しかとれないような米だから非常に安いという感じは私はあると思います。しかし現在の算定方式から見ましても年々上がってきております。昨年等も石当たり千二十何円が上がってきております。一つ方式がありますので、その方式に当てはめてやっていくとそういうことになるので、私はいつも妥当な値段が出てきておると思います。感情的には安過ぎるというような感はありましょうけれども、諸般の事情からは、私は妥当なところに大体落ちついておる、こういうふうに考えます。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 赤城さんはおとなしい人だから、遠慮しておられるのじゃないかと思うのです。実は、私のほうの愛知県も、農家が非常に多いのでいろいろ考えておるのですが、伊勢湾台風以来、農民は米をつくる場合、ほとんどじいさんやばあさんがやっておって、若い人は全然やらなくなった。名古屋が近いせいがありますが、弁当一つ持って一日の日当千五百円もらえる。そういうほうにどんどん走っておる。山間僻地ではそういうことはむずかしいと思いますが、こういうことは日本のどこへ行ってもあると思います。現実には米をつくって利益を得るよりも、むしろ働きに行って利潤を得たほうが得だという感じがあります。  そこで農林大臣に伺っておきたいのでありますが、農業基本法ができる前には、農業基本法ができたならば、農村は非常によくなるだろう、こういう仕組みで盛んに宣伝もされ、農民もそういうことを期待しておりました。ところが現在の農村というものは、御承知のように非常に退廃して、若い人はどんどん減ってしまって年寄りだけ残っておるという現状でございます。これは一例でありますけれども、若い青年にお嫁さんがこないということで、これは全国的なことでございます。そういう点では非常に退廃しておるような情勢が日増しに見えるように感じております。米は日本の主食でありますから、米は少なくとも日本国自体自給自足できるように持っていくことが大切じゃないかと考えておりまして、農業基本法一つ期待を持ったのでありますが、残念ながら私たち現実事情では必ずしも成功していないと考えておりますが、農林大臣はどのようにお考えになっておられますか伺っておいたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 現在の米の自給率は九九%になっております。でありますので、大体自給に近いのでございます。米の生産は御承知のように非常に労力を要しますし、重労働的なものであります。そういう面で、これは農業基本法のあるとないとにかかわらず、稲の栽培等につきまして労力を省くといいますか、省力の栽培等も相当奨励いたしております。あるいはまた基本法一つ考え方でございますように、農業機械化をしていかなければならぬということで、小型機械は相当普及しておりますが、しかし水田機械を使っていく効率は、畑地とかその他よりも薄いわけであります。この機械化につきましても大型機械等を入れて、そして労力を省いていく。しかしそれについてはそれに適応していくところの基盤が十分充実していない、こういうことから、ことしなどもそういう基盤土地改良等によってやっていく。圃場の集団化圃場整備そういう面で農業基本法の目ざすところに逐次進めておると思います。あるいはまた米そのものばかりでなく、愛知県の佐藤さんのほうなんかも進んでおるような畜産あるいは果樹、野菜、これは価格の問題も相当ございますが、そういう方面も非常に伸びています。でありますので、私は農業基本法の進み方というものが少しおそいじゃないかという御批判はあろうかと思います。しかし何にいたしましても農業は単年度に決戦するというか、きめていかなくちゃならぬ。毎日毎日収入、収穫を得るというような性格のものでもございませんので、進み方におきましては幾分目標に対して進み方がおそいじゃないか、こういう御批判はあろうと思いますけれども、その方向へ着々進みつつあるし、また私どもといたしましても、それに近づけるように極力進めておる、こういうことでございますので、農業基本法ができても期待に反するのじゃないか、こういうことではなくて、やはり進んではおる、こういうふうに私は考えております。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 米価審議会がございまして、そのたびに、米価の値上げのためにその時期になりますと全国から米価の問題についての農家の陳情が相当あります。  そこで私は、これは一つの思いつきでありますが、農林大臣答弁にならぬかもしれませんけれども、米と麦に限っては、その生産については無税にしたらどうか。そうしなければ御承知のようにいまの農家の中で、泉主税局長が聞いたらびっくりされますが、そういう抜本的なことをやらなければ、私は毎年毎年食管赤字が出る、それから農家米価つり上げ運動が出るということで、これは何年やっても収拾がつかぬというように考えておるのですが、米は統制値段値段は一定されております。しかしそれに使う肥料は御承知のように自由販売でありますので、非常に高い値段で買うということで、米をつくる人にとっては平均的な収入がありますけれども、だんだん赤字が出てくるというような現状になっております。そういう点で、これは他日大蔵大臣に伺いたいと思っておりますが、あなたは現実の米と麦の生産に限ってだけは税金を取らぬというようなことをやれば、米価つり上げというような問題というのも片づくのじゃないか。現に六千億以上の自然増収があるということでございますから、米麦に対しては無税にするということでも、私は大蔵省はきらうと思うのでございますけれども、少なくとも農林大臣としてはそのくらいの考え方があれば、まず米価の問題は片づくのじゃないかということを考えておりますけれども、そういう点に考えを及ぼされたことがあるかどうか、そういうことは可能性があるかどうかということを伺っておきたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 できるだけそういうことになればけっこうだと思いますが、現実の問題といたしまして、農家におきましてはだんだん毎年所得税等も減税しているものでありますから、所得税を納めておる農家というものは率からいって非常に少なくなっております。ですから所得税面においては米のために税金負担している。こういうことはないと思います。地方税住民税等については負担があると思います。それからまた当委員会に御審議を願っておりますように、政府に売った米につきましては減税措置を講じていただくように毎年法案を出し、本国会におきましてもお願いでいるわけでございます。そういう意味におきましても、米麦農家だけが全部の税金を納めないで済むというわけにはまいらぬと思いますけれども、現実面におきましては所得税等の面で税金を納めなくても済むように、これは終戦当時から比較いたしますならば、まるでほとんど農家が納めない、こういうようなかっこうになっておりますので、その点はあまり問題ではないかと思います。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 食管赤字が毎年ふえる消費者米価は上げられない、こういう矛盾一つあるのです。これを解決するのに一番いいのは、やはり税金をとらなければ、御承知のように現在農家所得で国税を納めているのは一割くらいの程度であります、これは御説のとおりでありますが、しかし米の値段を上げるとすぐ消費者の米の値段が上がるというので、いまのようなインフレの状態では非常にそういう懸念がある。それならば抜本的にはやはりこの問題の矛盾をどうやって解決していくか。これはおそらく来年度予算もまた食管赤字というものが問題になると思いますが、毎年これを繰り返すということでは、やはり私は抜本的な対策ができないように考えておりますが、何かこれについての特別な考え方なりまた何かここで処理をしなければならぬという、どこかで一度処理をする場合にはやはりこういうような思い切ったことをやらなければなかなか解決ができないように考えております。この点について農林大臣は何かそういう点についての示唆なりお考えがおありになるか、伺っておきたいと思います。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 消費者米価はことしは一年上げない前提のもとで御答弁申し上げますけれども、私は生産者米価消費者米価とが全然関連なしというふうに考えるのはどうかと思うのでございますから、生産者米価が上がる、こういう場合に、政府でどれくらい負担して、そうして価格支持制度というものをやっていったらいいかという面と、それから消費者のために政府が間接的に負担しているという形になっていますが、消費者においてもいつも同じ消費者米価であるということでなくて、ある程度の負担というか、分担をしてもらってもいいのじゃないのか、でありますので、私はそういうことが可能かどうか、そのうちでどの点くらいは消費者負担してもらってもいいかというようなことなどは検討してみる必要があるのではないか。スライド制というようなことでございますが毎年々々生産者米価はどうだ、消費者米価はどうだということではなくて、ある基準でもあれば、スライド的なものでも検討してみたらいいのじゃないか、こういう考えを持っています。あるいはそういうことができないといたしましても、見当として、消費者米価をきめる時期と生産者米価をきめる時期とを時期的に同じ時期にして、そうして上げるか上げないかは別としても、こういう形がまあいいのだ。これは賛成反対がありまして、なかなか一致した意見は出ないと思います。こういう問題などは一度検討したことがあるのでございますけれども、五、六年前に食管会計どんぶり勘定で困るというのでどんぶり勘定をやめまして、項目を設けて勘定を分けたときがございます。そういう検討も実はいたしましたが、私はそういう検討などもしてみる必要があるのではないか。しかし、最初に申し上げましたように、ことしは消費者米価を上げないという方針で臨んでおりますから、そういう検討をしたから上げるのじゃないかというふうにとられると困りますけれども、先ほど申し上げました前提のもとでいろいろ検討してみたい、こう考えております。
  16. 武藤山治

    武藤委員 関連……。  いま農林大臣の御答弁を聞いておったのですが、農林大臣も御承知のように、税制調査会では、米の予約減税というものは政策的効果が薄いから廃止が好ましい、こういうように答申の中に入っておるのでありますが、廃止することが好ましいという税調の答申に対して、農林大臣としてどういうお考えを持っていますか。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 廃止する時期が来たならば廃止したほうが好ましいと思いますけれども、現在におきましては予約減税をしたほうが適当である、こういうふうに考えております。
  18. 武藤山治

    武藤委員 もう一点。  先ほど佐藤さんの御質問に対していろいろ答弁しておりますが、いま日本農業の最大の問題点は、格差解消あるいは選択的拡大農業所得をふやす、こういう方針をとっておるわけですね。そうなりますと、生産者米価をきめる際に、現在の五人規模以上の労賃を基礎にして計算をするといういまのやり方を、この辺で、格差を縮めるという意味で、三十人規模以上に変更するような生産費及び所得補償方式に切りかえる、こういう考え方大臣としてはお持ちになっていますか、どうですか。
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは米価審議会におきましても、あるいはその前におきましても、他の製造業者のどれくらいの規模のものを比較の対象にしたらいいかということは、非常に問題になるのでございます。これは私いまどれくらいが適当だという断定を下すわけにはまいりませんけれども、始終問題になっておりますことでございますから、なお一そうこの点については研究をしていきたいと思っております。
  20. 武藤山治

    武藤委員 農業所得をふやす方法として、佐藤さんは、税金を安くすればいいじゃないか、こういう観点から農林省担当大臣としてのあなたの所見を聞いておるわけです。私は、今度はもう一面の、生産者米価というものをもっと合理的に、他産業に従事する労働者との格差をなくすという立場から言うならば、当然三十人規模以上の工場労働者賃金基準にすべきが必然じゃないかと思うのです。この当然過ぎるくらい当然な観点を、農林大臣として、検討してみようということでなくて、もう何年間も議論されている問題ですから、本年あたりから、とにかく農業所得と他産業格差をなくすという立場から、変更する意思ありやいなやということを聞いておるわけです。もう少し明快に御答弁願いたいと思います。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 検討を待って、変更するか変更しないか、結論を出す。いま格差是正の点からという御観点は、私も一応よくわかりますけれども、具体的に米価決定について何人を基準とするか、こういう問題につきましては、いままだ御答弁申し上げる時期じゃないと思います。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先ほど農林大臣から水田地帯機械化の問題についてお話がございました。これはごもっともだけれども、それならそんな資本農家にあるかというと、なかなか資本がない。そういう矛盾が出てくると同時に、農民自分の大事な米作を捨てて、都市働きに行くということは、やはり労賃関係だと思うのです。私は、あとで農林大臣がいなくなってから伺いたいと思っておりますが、農家に働く労働賃金というものは三、四百円ではないか、たぶんそれくらいになるのじゃないかと思います。ところが、町に行けば千二、三百円の金はとれる。この大きな格差というものは、やはり農家は昔は自分土地自分で働くという楽しみを持っていたが、あまりに格差がひどいために、農地を捨てて都会都会へと働きに行く傾向が出てきたのではないか。それから最近の統計で見ればわかりますけれども、毎年毎年十五、六歳から二十五、六歳までの人間はだんだん都市へ移動しておるような傾向があるわけです。これは、私は先日もベルギーやオランダへ行きましたが、これは片方農業で、片方商工業の国でありまして、そういう点についてはいろいろな考えを持ったのでありますが、やはり農業は、御承知のように、ソ連でも中共でも非常に困って、農業合作社のために中共が非常に苦しんでおることもわかっておりますし、ソ連農業の問題については相当苦労しておる。ひとり日本だけが、苦労してないとは思っておりませんけれども、それにしてもいまのような状態のままで置いておけば、日本の国の農業というものは顧みられなくなるような傾向があると、私たちは、現実自分の選挙区からも考えるのですが、おそらく、農林大臣農村の出身でございますし、町村長からずっとおやりになった方でありますから、そういうことは感じておられると思いますが、何か一本抜けたところがあるのではないか。こういうことをすれば農民はだいじょうぶだ、百姓をやっておっても生きていけるという希望が持てるような何かがなければ、私は、農村にとどまって働く若い人たちが少なくなるというように考えておりますが、そういう心配と同時に、そういう点についての何かもっと明るい面の指導方法はないかということを農林大臣に伺っておきます。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに農業関係者が他の産業へ出ております。学校卒業者等も出ておりまするし、農業白書にも申し上げておったように、三十七年なども卒業者を含めて七十一万くらい出ております。これは、一つ高度経済成長で、一般消費ブームなども相当旺盛になった、そういうことからのあこがれといいますか、そういうこともあったろうと思います。しかし、農業自体をやはり希望の持てるような農業にしなくてはならぬということは御説のとおりでございまするし、また農業問題につきましては、いまのお話のように、中共にいたしましても、ソ連にいたしましても、あるいはフランスにいたしましても、どこでも非常に苦労しておるところでございます。日本としては、やはり経営規模が相当の規模にまでなって、そうして機械も十分に使い、あるいは収入の点などでも選択的拡大というような方向で収入が得られる、こういうような形にだんだん持っていくよりほかないと思います。でありますので、いまこの手を打ったならば希望の持てる農村になるのだ、こういう決定的な一つの手、政策というものは残念ながら持っておらないわけでございます。総合的に仕向けていくといいますか、そうふうに持っていかなくてはならぬと考えております。  なお、米作の三十六年の一日当たりの賃金とすれば、千八十八円になっておる、こういうことです。ただ一日当たりはそういうようになっておりましても、一年じゅう米をつくっておるわけではありません。そういうわけで、ところが毎日収入を得ておるわけではない。他のものと比較すれば少ない。米作だけでは多いのですけれども、年を通じて米の比較だけをいたしますと少ない収入だということに相なるわけでございます。
  24. 山中貞則

    山中委員長 農林大臣、約束の時間が参りましたので、けっこうであります。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 泉主税局長にお伺いしたいのですが、これは政治論になりますからむずかしいかもしれませんけれども、私がいま提案しました米の無税制、これをやらない理由がどういうところにあるのか、主税局長は金を取ることばかり考えておられるようですけれども、取らないで済むような方法はないのか、たとえば租税特別措置法というものがあって、あるものには全然税金を取らぬようにして、米のような重要なものに対しては無税にすることが必要だ、こういうふうに僕は考えておるのですが、そういうことが何でできないのか、この点を事務的にひとつあなたのお考えで御説明願いたいと思います。
  26. 泉美之松

    ○泉政府委員 もう佐藤委員すでに十分御承知の上での御質問と存じますが、所得税のたてまえといたしましては、できるだけすべての所得を総合いたしまして、それに対してその所得の性質に応じた担税力をはかって課税を行なうというのが望ましいわけでございます。そこで、現在の税制におきましても、所得の種類を九種類に分類いたしまして、それぞれの所得の性質に応じた担税力をはかって適正な課税を行なうようにつとめておるわでございます。そういうたてまえから申しますと、全然課税しない所得というものの種類をつくるということは、税制のたてまえとして望ましくない。もちろん、所得の種類によっては担税力の強い所得もございますれば、担税力の弱い所得もございますので、それぞれの性質に応じた所得の計算の方法なり、あるいは控除のしかたで調整すべきものでありましょうけれども、全然課税しない所得をつくるということはやはり所得税の全体系の中で占める課税の公平という点から見て望ましくない、かように考えるのでございます。  お話のように、米麦生産ということは非常に重要なことではございますけれども、これによって生ずる所得に対して一切課税をしないということは必ずしも税制のたてまえとしていいとは私どもは思わないのでございます。やはり農家所得が少なくて担税力が低いというのであれば、それにふさわしいような控除税率によってやっていく、したがって、御承知のように現在は農家の課税人員はきわめて少ないのであります。これは結局、基礎控除なり扶養控除を引き上げました結果今日では、農家の課税人員も課税額も他に比べて非常に少なくなっておるのございまして、それでけっこうなのではないか、むしろそういうことでなしに、米の所得には課税しないということにいたしますれば、同じ農家の中でも米をつくる場合とそうでない果実をつくる場合との間の所得の課税の権衡といったようないろんなやっかいな問題も出ているのでございまして、また日本農業の将来として見た場合におきましても、米麦ばかりということが必ずしも望ましいとも言えないと思うのでございます。米麦は大切ではございますけれども、それだから米麦所得は全然課税しないということは適当でないというふうに考えておる次第でございます。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この際承っておきますが、国税を負担しておる農家の比率、それから、概算どのくらいの税金を出しておるのか、大まかでけっこうでございますからお伺いしたい。
  28. 泉美之松

    ○泉政府委員 ここに三十五年から六年、七年までの三年間の統計がございますので申し上げますと、農家の戸数は御承知のように三十五年の農業センサスがございますが、それ以後、あれは五年おきに調査することになっておりますので、六百五万七千戸というのが全農家戸数でございます。そのうち課税農家戸数は、三十五年は四十万三千戸、三十六年は二十一万戸、三十七年は、二十四万九千戸と相なっております。したがいまして、三十五年は全農家のうち六・七%が課税を受けておったわけでございまが、三十六年は三・五%、三十七年は四・一%になっております。三十六年にこのように課税農家が減少いたしましたのは、御承知のとおり三十六年の税制改正に際しまして、白色申告の場合にも専従者控除を認めるということにいたしましたために、急激に課税人員が減ったわけでございます。税額といたしましては、農家の三十五年の税額が三十六億円、三十六年が二十二億円、三十七年が二十六億円と相なっておるわけでございまして、課税農家一戸当たりの課税額といたしましては、三十五年が八千九百円、三十六年が一万五百円、三十七年が一万四百円という程度に相なっております。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御説明のような数字ならば、私は税の公平という立場ばかりでなくて、御承知のようにくだものとか、野菜は大暴落して困っているようでございますが、そういうものと別個に、米は値段政府がきめるのですから、私はこのようなわずかな金ならば、いまの六千億円の自然増収がある場合に、これらの負担を減らしても政策としては私は矛盾していないと思うのです。ただ税の公平という立場だけならば、泉さんの御説明のとおりでありますけれども、何かそういうことについて——この前も松井調査官から伺いますと、農協の免税点その他のこともだいぶんいろいろ考えておられるようでありますが、こういう点を主税局でお考えになったことがあるかどうか、私はそのこともあなたについでに承っておきたいと思います。
  30. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、税額からいたしますと、所得税の六千億という全体の収入の中で、農家として納める税額はごくわずかなものでございます。ただ、これは収入の面からだけ言うことはできないと私は思うのでございます。なるほど、金額は少のうございますけれども、やはり所得を得て、その所得に対して税を払うのだということ、それからまた、国税だけの金額をいま申し上げたのでございまして、このほかに住民税といったものもございます。農家の納める税額は所得税よりも住民税のほうがより大きいという問題もございますので、そういう点を考え合わせますと、税額の点からだけ米作所得に対しては非課税にするということは、私は言えないのではないか、もしそういうふうにしますと、それぞれの所得者が自分所得はきわめて国家の経済政策上重要な所得であるから非課税にしてくれという要望が次から次へ出てきまして、所得税の体制というものはこわれてしまうと私どもは思うのでございます。その点からいたしますと、やはりすべての人はその所得の性質に応じた担税力に従って税金を納める義務があるのだということをはっきりしておきませんと、私は税の体系自体が混乱してしまうと思うのでございます。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういう点もありますが、御承知のように、農家に限って農道というものを自分らで負担しておる。それから用水池、排水池というものを自分の費用で出しておるわけです。それだから私は、水田農地地帯などにおきましても、相当あなた方のお考えになっている以上のいろいろな苦労があると思うのです。そういう点で、いろいろいまの食管赤字などを考えて、一番抜本的な方法考えたらどうかという高い見地からの立場でありますから、これ以上いろいろと申し上げませんけれども、主税局ではそういうことを考えられたことがあるかないか、そういうことを将来考えられる可能性があるかどうかということも、この際承っておきたいと思います。
  32. 泉美之松

    ○泉政府委員 おことばではございますが、私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、できるだけすべての所得の性質に応じた、それだれの担税力に適した課税を行なうということは考えておりますが、米作の所得に対して非課税にするという考えは毛頭持っておりません。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 主税局はとるのが専門でありますから、おそらくそういう御返事だろうと思っていましたので、それ以上申し上げませんが、これは農林省の方に承っておきたいと思いますが、御承知のように、いまの食管赤字が出てくると結局その負担が国にだんだんふえてくると同時に、今度は消費者などにもやはり米の問題などについていろいろな非難が出てくる。しかし農家としてみれば、自分たちがつくった米を政府が勝手にきめて、そうしてそれは生産費に合わぬというような不平を持っているから、ことしあたりも米の生産がだんだん減ってくるのじゃないか、だんだん減っておりますが、これは自然の関係でこの数年来不作なことはありませんけれども、そういう問題が起きてくる、そういう点で農家が楽しんで働けるような、そういう米価対策というものを何らかの方法考えられる余地があるのじゃないかと思いますが、その点は農林省はどういうふうにお考えになっておりますか。食糧庁の方に伺いたいと思います。
  34. 筒井敬一

    筒井説明員 生産者米価につきましては、御存じのように生産費所得補償方式というのによりまして算定いたしておりまして、いわゆる他産業の従事者の所得との均衡をはかってまいるというような趣旨と、米作の重要性というような観点からさような方式をとっているわけでございまして、これによりまして先ほど農林大臣が申しましたように、一日当たりにいたしましても、三十六年に千円ぐらいの賃金が確保されておるというような次第でございます。したがいまして、現在の農家の米の支払い代金といたしましては、この生産費所得補償方式これを維持してまいるのが適切ではないかと考えるわけでございます。問題は、最近非常にいろいろと労力なりが不足してまいっておりますので、これらの問題と関連いたしまして、できるだけ省力——時間をかけない、あるいは手をかけないで従来どおりの生産が確保できるというような生産技術の問題というようなものを考えてまいりますならば、現在の生産農民に対する米価方式というものは、まあまあこれで適切ではないか、かように考えておる次第でございます。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 食糧庁がそういうことでは困ると思うのですけれども、先ほどの千幾らの金は家族労働も含んでの計算でしょうか。主人だけの労働か、家族労働、子供や妻が働くのは一体どういうふうに勘定しておるのか、その点をひとつ教わっておきたいと思います。
  36. 筒井敬一

    筒井説明員 先ほど申しました千円の一日の報酬は、家族労賃を換算いたしますとさようになるということでございます。家族労賃でございます。受け取った米価の手取りから、ほかの必要経費を引きまして、労賃に換算いたしますと千円くらいになる、こういうことであります。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 やはり家族や子供まで入っておるのですね。主人だけ働くわけではないから、そういうこともどういうような計算でやっておるのか。妻はまた主人よりは働きが鈍いし、子供は子供で鈍い、そういう点はどういうふうに計算されたのですか。
  38. 筒井敬一

    筒井説明員 これは先ほども申しましたように、農家が米を出しまして、あるいはつくりまして報酬を得ます。その中から農薬とか、肥料とか、農機具代とか、そういうものを引きまして、残りました金額を、それに従事いたしました家族の時間当たり——八時間に換算いたしておりますけれども、別に親、子供、それから女とかあるいは男子という差別ではなしに、労働いたしました一日当たりを、八時間に換算いたしまして、一日の報酬が千何円、こういう計算になるのでございます。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最近目立つことは、農民自分農家の米や、二毛作の場合には麦とか、その他のものをつくりますけれども、そういうものに注意を払わないでどんどん働きに出る。それは少なくとも農家で得る収入よりはやはり収入が上だからどんどんいくのだと思うのですが、そういう傾向はやはり全国的にあらわれておるような様子はないのですか。そういう点はどうですか。
  40. 筒井敬一

    筒井説明員 兼業とわれわれは称しておるのでありますけれども、これはやはり地帯によるのでありまして、全体的には相当の流出もございますし、あるいは第二種兼業あるいは第一種兼業、こういう農家が過半数を占めるようになっておりますから、全国的に言いましてさようでございますけれども、地帯別に見ますと、またこれ兼業に出るところが多い近畿地区とか南関東地区とか、そういうところと、割合い出かせぎにいくといいますか、兼業の度合いの少ない地帯とがございます。しかし全般的に見ますと、先生のおっしゃったように出かせぎとかあるいは兼業していくという傾向が、最近非常に顕著になってきております。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは先ほど武藤君もちょっと質問しましたが、工業や商業に働く人との格差が非常に大きくなってきた。そういう関係でそういう傾向が出てきたのだと思いますが、しかしそれが今後ますます助長されるような傾向にあるのではないか、私はいま米をつくるにしても、麦をつくるにしても、いまの情勢では将来の希望が持てぬ、こういう不安があるのではないかと思う。そういう点でいろいろ米作が重要なのにかかわらず、日本農民の関心がそういう米の改良とか生産のいろいろなことを考えていくということよりは、その日暮らしで先のない農業に従事するよりは、むしろそういうような労働で食っていくという傾向があって、工業やそういうような方面にいくのではないか。そういう傾向が非常に出ておるのではないか、そういう点の杞憂は食糧庁や農林省にはないのかどうか伺っておきたいと思います。
  42. 筒井敬一

    筒井説明員 米麦生産について希望がないので、ほかの産業に出てまいるという観点もあろうかと思いますけれども、現在の高度成長の観点からいたしまして、ほかのほうの労働の需要というものが相当きついというような時勢といいますか、一つの動き、すなわち労働の需要というものが非常に旺盛なときでもございます。したがいましてまた賃金もそれに見合いましてかなり有利にかかるというようなことからいたしまして、先ほど申しましたような兼業とかあるいは出かせぎというものが非常に顕著になってきておるのであります。しかしながら、今度の農業年次報告にも書いてございますように、傾向といたしましては、やはり一町五反以上の農家戸数もだんだんふえてまいっておる、あるいはまた百万円の粗収入のある農家というものもだんだんとふえてきつつあるようないい面もございまして、そういういい面をさらに伸ばしてまいるというような形で今後推進をしていくのが必要じゃないか、かように考えております。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いい面をふやしていこうといっても、地方の農村での柱をなしておる農業協同組合のことを考えましても、農業協同組合というのは御承知のように非常に待遇が悪い。待遇が悪いんじゃなくて、よそがだんだんよくなったのですから調子が悪いので、これは農協がだんだん衰退していくような情勢でございます。その原因はどこにあるかと言えば、いま給料が安いと言われる公務員、その公務員の中でも地方公務員はもっと安い。それよりももっと御承知のように農協の職員は安いわけです。そういう点から経済的にも恵まれない。情勢があるように考えられておりますが、そういう点については、あなたでいいかどうか知りませんけれども、いまどんどん物が上がり、また一般には待遇がよくなる場合に、農業に関する限りにおいてはその上がる率も少ないし、同時に人を得るのにも非常に困るような情勢がだんだん出てくるように思うのですが、そういう心配はありませんか。
  44. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 どうも私から答弁するのは必ずしも適当ではないかと存じますが、ただいまお話しになりましたようなことで、確かに農村から人が外に出ておるということは明らかな事実でございます。いま先生のお話しになりましたのは、一般農家のことであるのか、あるいは農業団体のことであるのか、必ずしも、はっきり了解できなかったわけでございますが、農協の職員等におきましても、そういう面で非常に人手がだんだん減りつつあるという傾向にあることは事実のようでございます。
  45. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 長官が見えましたから、いろいろ伺いたいと思います。これは一つの事例でありますが、先日酒をつくる私の県の人が、割り当てを受けた酒米がなかなか到着しない。そこでたいへんだと思って現地に行くと、現地では倉庫がからっぽになっているから、しばらく倉庫に入れさせてもらわないと経営に困るから待ってくれということで、米が来なかったという事実を見て帰ってきたのでありますが、そういう傾向があると思いますが、食糧庁長官は一体どうお考えになっておるのか。おそらくいま政府から農業倉庫をつくれつくれということを盛んに言いながら、現実には倉庫が利用されないで非常に困っているというような現状をいろいろ聞いておるのですが、そういう現実についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  46. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 御承知のように最近の食糧管理操作の面から言いましても、生産者価格が年々上がる、あるいは食糧事情一般的に緩和してくる、しかも生産者価格とやみ価格が非常に接近する、あるいは生産者価格消費者価格との間において逆ざやがあるというような関係で、食糧全体としての需給の基調にはきわめて安定したものがあると思いますけれども、食管のその中における操作領域というものが年々拡大して、ことしの買い入れ数量も前年の生産が減ったにかかわらず、去年よりも買い入れ数量がふえてまいっております。同様に売却教量もふえてまいっておるというようなことで、食糧庁において管理面で需給を操作する領域というものがだんだん拡大していくというのが最近の傾向になっておるわけでございます。そういうようなことでやはり地域的、時期的には相当操作上集荷を促進するとか、あるいは産地から消費地に物を移動するというようなことが、特に端境期等におきましては忙しくなっておるというのが、ここ二、三年の傾向になっておるわけでございます。そこでいま御指摘になりました倉庫の中に米がないではないか、こういうことはないと思いますけれども、そうではなくて、ここ三年以来からの趨勢を見ますと、保管期数がだんだん減りつつあるということは顕著な傾向として出ておるわけであります。たしか三年くらいの平均をとりますと、大体農業倉庫の保管期数が十期以上になっておると思いますが、三十八年度産米なんかについてみますと、これは九・五期くらいになるんじゃないか、あるいはそれを少し割るかもしれませんが、そういうようなことで、保管期数が全国平均でございますが減ってまいりつつあるというようなことで、農業倉庫の経営上何とかこれらに対する措置をとってもらいたい、こういう要望が出ていることは私どもも十分承知いたしておるわけであります。  そこで御審議願っております三十九年度食管予算におきましては、集荷量、保管期数に応じて保管料を支払いますほかに、ある程度の農業倉庫の経営の安定ということをはかり、あわせて出庫の調整にも資したい、こういう考え方で、大体従来の保管期数が確保できるような所要の予算を計上いたしまして調整するようなことを考えてまいりたいというふうに考えておるわけであります。  なお、御質問になりました酒米の点でございますが、これは国内のものにつきましては、昨年度よりも大幅に酒米の原料米が実は増加いたしたわけであります。しかし、これもほとんど国内米については手当て済みでございまして、そういう御心配はなかろうかと思います。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 酒米がなかなか着いていないので、一ぺん食糧庁に話してくれと言われているのです。酒屋さんが私どもには多いものですから、その点はひとつ御注意願いたいと思うのです。  それと関連して、米屋さんはマージンが少ないということで騒いでいるのです。いろいろ陳情があると思うのですが、どうも米屋さんになり手がないと言われています。農家関係する問題はどうも先細りだ、このままでいったら農村はたいへんなことになるのではないかと私は心配しているのですが、米屋さんの場合でも、いまお互いにやみ米を食っているわけですけれども、そういうような食管があっても、法律があってもなきがごとき状態になって、米屋自身もいわゆる普通のあれをやればなかなか食っていけないのでやみ米を売っているというような、まことに混乱した状態にあるのですが、斉藤さん一体その問題はどういうようにお考えになっていますか。
  48. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 米屋さん——卸あるいは小売り業者、これもいまは食糧管理制度の配給組織の一環として業務を営んでおるわけであります。したがって、これらの業務が円滑にいくように、必要な経費はマージンとしてわれわれのほうでもめんどうを見ていくべきであるという考え方に立っておることは御承知のとおりでありまして、そういう観点から、実は昨年度は一六%というふうにマージンを大幅に引き上げまして、さらに三十九年度におきましてもそれにその後の賃金あるいは物件費なりの増加等も見合いまして、マージンの改定を四月以降からいたしたいというふうに考えております。ただ全体といたしまして、何といたしましても、末端の五万六千人もおる小売り業者の中には米の扱い料だけではやはりなかなかやっていけないというところもあろうと思います。もちろん米屋さん自身も、米専業でやっている米屋さんもあれば、それから他の雑穀等を取り扱っているというところもあるわけであります。だんだんにはそういう面におきましてもやはり量的に取り扱いをふやすとか、あるいは他の業務をふやして兼ねて業務を営むというようなこともあわせて合理化——合理化といいますか、経営の健全化をはかるような指導をいたしたいというふうに考えておりまして、これらも米屋の団体の中央の指導者と協議をして、そのほうの指導に当たらせるというふうにいたしておるわけでございます。
  49. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 米屋の平均の収入は、食糧庁ではどのくらいに見積もっておられますか。どなたでもいいです。一定にはいかぬでしょうけれども、大体一カ月の収入のあれを……。
  50. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 収入としてどのくらいになるかということでございますが、われわれのマージンの算定の場合におきましては、大体店主並びに従業員の平均の想定人員を出しまして、これの人件費については国家公務員べース、従業員についても同様なベースをとって算定いたします。それから、一俵当たりの手数料といたしましては、大体四百四十八円というふうに、四月以降から改定いたしたいと考えておりますが、米屋さんの取り扱い数量が、たしか一カ月百四十から百五十俵程度のものですから、どうしても収入総額としては米だけではなかなかむずかしいというところもあろうかと思います。しかしこれは平均でありますから、もっと多いところ、千俵、二千俵と扱っておるところもありますから、一がいにどうだというわけにはまいりません。非常に規模においてもバラエティーがありますので、一がいには言えません。したがって、非常に少ないところは他の業務を兼ねる、多いところは米専業でやっているというのが実態であろうかと思います。そういうことで、米の扱い量の面で、必要な人件費、経費は大体まかなえているのじゃないか。一カ月どのくらいになっておるかという平均的なものは、私のほうで調べておりませんので、ちょっと御即答申し上げかねます。
  51. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうですかね、苦情は聞きませんか。こんなマージンでは困るというような苦情をわれわれは耳にしておるのですが、食糧庁あたりへはそういうことを言っておりませんか。こんなものではとてもやっていけぬ、将来どういうふうにやられるか知りませんけれども、どうもそういう県については、米屋さんになり手がないというようなことが一部には言われておりますけれども、食糧庁長官のほうにはそういうような声はありませんか。
  52. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 マージンを増額してくれというのは、給料を引き上げてもらいたいという要望と同じように、これは常に要望としては出ておるわけであります。最近非常に人手が不足で、店員等の入手が非常にむずかしい。しかもそれに加えて、大体米屋さんというのは配達業務がやはり中心業務でありますので、そういうことでなかなか忙しくなっておるということは承知いたしております。増額してくれという要望は、これは毎年あるわけです。しかし現在の手数料で絶対にできないというふうには私は考えておりません。まあ適当なところじゃないかと思っております。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いろいろ問題はたくさんありますから、このことはそのくらいにしておきますが、米の集荷手数料、これが非常にわずかの率より上がっておりません。昭和三十年には七円六十六銭の要求が、この八年間にほとんど上がっていない。上がってはいますけれども、ほかのものの伸びより非常に少ないのですが、こういう点についての食糧庁のお考えはどういうふうにお考えになっておられますか。
  54. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 お話のように、昭和三十年から三十五年ごろまではほとんど手数料は据え置きできたわけであります。しかし、これを据え置きにしてきた理由には、年々の農協の集荷量が豊作とも相まちまして年々増加してまいっております。一方また農協自身のほうにおきましても、いろいろ合併とか何とかというとこで、合理化が進んでおるというようなことで据え置きしてきたことが一つと、できるだけ食管経費の合理化をはかるべきであるというふうなことで、われわれも経費の節約ということについては、常に委員会米価審議会等からも御要求がありまして、努力してまいっておるわけであります。三十六年以降におきましては毎年、人件費の増加あるいは物価の値上がりに応じまして、それを取り入れて改定いたしておりまして、昨年度は米につきますと五十円から六十八円というふうに十八円の値上げをいたし、また三十九年産米からはさらにこの六十円か七十六円に引き上げるということにいたしたいと考えておりまして、大体、最近における公務員の給与の値上げに伴う人件費の増加率というようなものは、集荷手数料の中におきましても織り込んで考慮いたしておるわけであります。
  55. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 農協の関係の方に御質問したいのですが、先ほど農林大臣がおられるときにちょっと触れたのですが、民間のベースより安いといわれておる公務員の平均賃金が、三十八年度で三万八百五十八円ということになっておりますが、町村の職員が一万九千四百五十四円、農協の職員の平均賃金が一万六千二百七十円という、非常に低い率になっております。こういう点を考えてみますと、農協の職員には優秀な人が行かぬというような結果になるわけですが、こういう点について農林省ではどういう方法をとっておられますか、この点を伺っておきたいと思います。
  56. 玉置康雄

    ○玉置説明員 農協の経営を発展させますためにいろいろの指導をしておりますけれども、目下一番大事に思っておりますことは農協の規模を大きくすることだと思って、合併の促進をやっておりまして、いま数字を手元に持っておりませんが、最近かなり合併が進みまして、農協の規模が大きくなりつつあります。規模が大きくなるにつれて、その農協につきましては職員の待遇も少しずつ上がっておるようでございまして、そういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  57. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どのくらい大きくなれば公務員くらいの程度までいける見込みがありますか。
  58. 玉置康雄

    ○玉置説明員 全部がそういうわけにまいらないかと思いますけれども、少なくとも大都市近郊の農協につきましては公務員並みになっておると思います。地方のほうはなかなかそうまいりませんけれども、漸次上がっていくことと思っております。
  59. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは農林省から直接のあれじゃありませんから無理もないと思いますが、いまでさえ公務員の俸給が低いといわれておりますが、その半分にも満たないような賃金ではいい人は求められないと思います。そういう点で、農協というのは食管法がなくなればすぐつぶれてしまうと思うのですが、そういうことについて農協を指導される場合に、ただ成り行きにまかせるということでなく、こういう方法でやればこういう結果が出るという何か成算がありますか。
  60. 玉置康雄

    ○玉置説明員 農協の経営は非常にむずかしいことでございまして、ただいま佐藤先生が言われましたように、もしも食管法がなくなりました場合にどうなるかということが非常な大問題でございます。しかしながら、私どもは、そういうことになりましても経営できますように、ただその点は農協自体の力によりまして自立経営できますように、再建整備以来指導してまいっております。十年くらい前に比べましたならば、農協の経営の基礎も非常にかたくなってきておると思っております。先ほど申しました合併等にもよりまして、今後ますます経営の基礎をかたくしてまいりたいと思っております。
  61. 松平忠久

    松平委員 関連。いまのお話で、農協は一万六千円ベース、しかしその上部機関であるところの経済連等においては大体二万五千円ベース、こう思います。そこで全購連、全販連等の中央段階の職員の給与ベースは幾らになっていますか。
  62. 玉置康雄

    ○玉置説明員 ちょっといま手元に資料を持ってきておりませんので、あとで御報告したいと思います。
  63. 松平忠久

    松平委員 おそらくこれは国家公務員並みになっているだろうと思うのです。そこで、いまあなたはこの問題の解決の一つとして農協の統合をはかって経営規模を大きくする、これは一つ方法でありましょう。しかしながら、もう一つの問題は、私はやはり中間におけるところの県の段階の中央会とか、現在おそらく六連も八連もあると思うのですが、ダブった仕事をしているところにかなり無理があるのじゃないかと思う。したがって、むしろその点は簡素化していく、こういう方向に行かなくてはならぬと思うのです。いまの給与体系から見れば、末端の農協が一番少なくて、中間のところが、それよりも非常に多い、最終の段階の全国段階になりますと非常に給料がいいというふうに思っております。同時に、今日おそらく各中間機関である経済連等においてはかなりの収入を持っていると私は思う。そういうことになりますと、末端農協を搾取して中間が太っておる、さらに中央段階ではもっと太っておる、これが今日の農業の系統的な組織のあり方のように私は思っておりますが、その点はどうですか。
  64. 玉置康雄

    ○玉置説明員 給与ベースには確かに差がございまして、その点大都市につとめる職員と地方につとめる職員との間である程度の差はやむを得ないかと思いますけれども、ただいまお話の点は農協の現在の組織自体の根本問題にかかっていると思うのでございますそういう点につきまして、私どものほうでも現在大問題として検討を進めておりますし、また農協中央会におきましても、総合審議会におきまして、現在の組織の整備の方針につきまして、自主的に研究されておるところでございます。その検討を待ちまして、今後の施策を講じていきたいと思っております。
  65. 松平忠久

    松平委員 おそらくこの問題は、農業の現在の問題の中で、組織問題では一審大きい問題ではなかろうかと思うのですが、われわれの考えとしましても、要するに末端を増強してなるべく中間を省いていくというふうな方向にいかなければだめではなかろうかと思うのです。たとえば神奈川県の阿久津農協のような例もございまして、あれらは非常に大きな仕事をしており、待遇も非常によくなっておるわけであります。そこで中間機関を排除して仕事ができるような段階になっていくならば私はいいと思う。  もう一つ伺いたいことは、今日中間団体が大きな資本と結びついておるということであります。したがって、今日の農協というものは大資本の集荷機関に堕落しておる、こう言えるわけであります。農協の本来の法の精神とは違った方向にきていると思うが、あなたはどう考えていますか。
  66. 玉置康雄

    ○玉置説明員 お説の前段の整備のことでございますが、単位組合が大きくなるにつれまして県連の支所を廃止したところなどがありまして、中間経費を節約いたしますにつきましても、単位組合が力が強いものになることが必要だと思っております。そういたしますことによって単位組合の職員のべースも上がりますし、また中間の経費も漸次減っていく方向にあると思っております。  後段のお話の農協の性格でございますけれども、現在の資本主義経済の発展に伴いまして、農協の性格もいろいろ変わってきつつあるとは思っております。現在の経済の段階に即した運営をやらなければなりませんので、農協の中におきましても、およそ昔農協運動が起こりました当時の運動のみではいかないと思っております。そういう点につきましても、今後どうあるべきかということにつきまして検討中でございます。
  67. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 斉藤長官にもう一問伺いたいと思います。  米の集荷手数料というものが昭和三十年に一俵四十八円になっております。ところが三十八年度で六十八円、わずか二十円ぐらいしか上がっておりません。こんな低率でやっていけるものかどうか。これは現場等の皆さん御承知だと思いますが、その点についてどうしてもっと上げられないかということが第一点。  もう一つは、米の産地の保管料の問題でありますが、昭和三十年が一俵一期六円三十二銭、三十八年が六円九十七銭、まことに微々たる値上げであります。いまのような人件費の高いときにこういうような低い率ではたしてやっていけるかどうか。農村がだんだんすたっていくといわれているときに、こういう荒れ狂うインフレの中で、とにかく流通革命だ何だといっているときに八年間にわずか二十円、六十銭ぐらいの上げ方ではやっていけるはずはないと思いますが、食糧庁長官どういうふうにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
  68. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、三十年以降三十五年までは一俵四十八円ということで据え置かれまして、三十六、三十七年が五十円、三十八年が一俵六十八円、三十九年産米からさらに八円上げて七十六円にしたいというふうに思っておりますが、これは米の集荷の手数料でありますから、一応それに要した経費がどのくらいか、農協がどうなるかということでなしに、それにかかった経費がどうなるかということで、実はずっと積算いたしました結果として、こういう数字になっておるわけであります。そこで、三十八年度におきましてもまた三十九年に今度改定いたそうとする増額の積算におきましても、その中に織り込まれておりますたとえば人件費に一例をとりますと、いまの御質問にありました農協職員の給与ベースでなく、国家公務員の給与ベースでとりまして、しかも三十八年から三十九年に公務員ベースが六・七%上がる。この上昇率を見て織り込む、あるいは物価等につきましては農村物価賃金で六・五%でありますか上がっておる、そういうことで、これを織り込んでやってまいりましたので、集荷に要する経費という一応の算定の基礎の上に立ちまして、その後の物価の動き、人件費の上がり方、これらを織り込んで修正いたしましたので、私どもといたしましては、相当増額した、こう思っておるわけでございまして、適正じゃないかと考えておるわけでございます。  保管料の問題につきましては、確かに保管料率が安いか高いかという問題はございますけれども、これまた公共料金でございますので、上げることについてはいろいろの点から検討していく必要があろうと思います。しかし倉庫経営という特性からいきますと、むしろ、かりに保管料率が上がっても、保管期数が減るということが一番倉庫経営者の立場から見ると困るというのが非常に強いわれわれに対する要望でありまして、そういう点を今回は考慮に入れまして、三十九会計年度からは保管期数はある程度確保するような措置をとって、そして倉庫経営の安定にも資したいという考え方をとったわけでございます。これにつきましては、農業団体とも十分相談いたしましてしそういう方法をとることにいたしたわけでございますので、いまのやり方としては、私はこういう方法農業倉庫の特殊性に一番即したやり方じゃないか、こう思っております。
  69. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 食糧庁長官、申しわけのようなことを言っておられますが、農業関係の諸団体の人も決して満足しておりません。私は聞いておりますが、それはどういうことかといいますと、これらのことがおもに人件費にかかっておるわけです。人件費は、御承知のように公務員のような安い月給ですら、この十年間にだいぶ上がっております。しかし農業関係賃金というのは、残念ながらこの低い中のもっと低い低いところにあると思うのです。それを基礎にしてこういう数字を出して妥当だとお考えになるということは、どうも私は、食糧庁長官自分はこれは安いと思いながらも、大蔵大臣やなにかに言えぬじゃないかというように考えておられるのじゃないか。そういう点は正直なところどうですか。こんな安いあれでやっていける道理はない。百姓がいままでよく黙っておったと私は思うのですが、そういう点はどうですか。
  70. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 ただいま申し上げましたように、手数料というものにつきましては、あくまでも扱った経費という観点から算定いたします。算定の基礎につきましては、現実の農協の給与ベースではなしに、公務員の給与ベースで算定いたしておるわけであります。いま一点は、やはり集荷に要した経費という面から見ますると、その組合におきまする取り扱い量というものが年々動くわけでありますから、これが三十年以前から比べてみれば、非常に取り扱い量がふえてきておるという点を織り込んで算定しなければならないということでこういうことになったわけであります。もちろんもっと増加してもらいたいという要望のあることも重々承知しておりますが、やはりこれはいずれも中間の政府経費ということになるわけでもありますので、合理的に入れるべき要素は入れた。しかし一般的に農業団体の、あるいは農協の経営という面から見て、集荷手数料をどうすべきかということについてまでどのように織り込むべきかということは、これは非常に議論のあるところだろうというふうに思います。
  71. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これはもう食糧庁長官は安くて無理だということは知っておられるけれども、答弁の都合上やむなく言っておられるということで私も了承しておきますが、もう一つ食糧庁長官でなくて農林省の方にお伺いしたいと思いますけれども、ことしは暖冬異変の関係で、野菜が非常にとれ過ぎたという形で悲惨な情勢が北九州はじめ各地に起こっておる。こういう点について、やはり農業というのは非常に危険な商売であって、できなければ、全然ゼロになるし、できればだら安になるというような、いまの日本の経済機構の中では最も悲惨な状態をかもしておるわけですが、この点について農林省は最低の価格をつくる必要はないか。われわれは、かってバレイショとか豆というようなものについては最低の保証価格考えたのですが、こういう野菜についてもそういう方法はないのかどうか。これは農林省のどなたでもけっこうですが、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  72. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 私の直接の所管ではございませんが、前に担当いたしておりましたので、御説明が不十分と思いますが、お答えいたしたいと思います。  お話のように、野菜の価格については、非常に変動が激しいわけでありまして、災害でもあれば非常に暴騰する、暴騰すると翌年は生産量をぐんと上げる、上げた結果は、翌年はまた暴落するというようなことを繰り返しておりまして、しかもそれが一貫性のないものでございますので、価格安定制度をつくるということについてはなかなかむずかしいわけでございます。そこで全体の流通段階における経費の節減ということについては、ここ二、三年来ずいぶん力を尽くしてまいりました。野菜については、御承知のように、東京、京浜あるいは大阪を中心として供給地をつくって、そこで計画生産を行なって、市場に供給する道をはかる、あるいは中央卸売市場あるいは小売り段階における経費の合理化というようなことにつとめてまいったわけでありますが、しかしいま申し上げましたような生鮮食料品の性格上、価格安定ということが、必要ではあってもなかなかできにくい。そこで、可能な限度という試験的な意味も含めまして、実はタマネギにつきましては最低価格を割った場合にある程度の保証をするような措置を一昨年からとりまして、昨年からカンランにつきましても価格安定制度をとることにいたしたわけでございます。生鮮食料品につきましていきなり価格安定をとるということは、どこの国においても同様なことだと思いますが、生鮮野菜について価格安定をはかるということはどうしてもむずかしい。やはり計画的な生産、計画的な出荷、それに応ずる流通段階の合理化、こういうことにやはり重点を置いて価格安定をはかっていくというようなことが一番必要なことではないかというふうに考えております。
  73. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 豊作飢饉というのは今度の野菜の問題ではっきりわかったのですが、私たちが学生の時分に農業恐慌がありまして、農林省の言うことを聞くと百姓はつぶれるということを言っておりました。それは、御承知のように、農林省が鶏を奨励すると、百姓はみんな鶏を飼う。そうすると鶏は暴落する。豚を飼うと言って、豚を飼うと、また豚は暴落する。こういうことを繰り返したのです。われわれの学生時代、昭和の三、四年からそのころに農業恐慌があったことを私たちは思い出しますが、何か日本のこういう時代になってきても、農林省だけに責任を負わすことはないけれども、しかし何といってもつくったものを捨てなければならないような状態、これは、ロバート・オーエンじゃないけれども、やはり社会主義のように計画生産をやらなければいけないということになってきたのですが、私はいまの日本農村は、まさに恐慌一歩前、農業基本法で太鼓をたたいても、その太鼓がたたき終わらぬうちに何もなかったという現状が出てきておると思うのです。ですから、こういう点で、私はいまあなたは前に専門でやっておられたということですが、外国でもやっていないからしかたがないというようなことでなくて、三兆近くの大予算を組むようないまの日本現状で、野菜の救済くらいできないようでは、民に政治なしという声が出てくるのではないかと思う。こういう声について、あなたは食糧庁長官でございますから、それほどの責任を負われないかもしれませんけれども、しかし政治家として、このような悲惨な状態を繰り返せば、国民はますます政治というものに関心を持たなくなるということがあるわけです。せっかくタマネギやカンランまで最低保証価格を出すならば、野菜くらい国家全体とすれば大した金ではないのですから、やはり生産意欲がなくなるから、ことしは暖冬異変という特別な年に当たった関係でありますから、これはやむを得ないといえばそうでありますけれども、こういうときに何らか特定な処置をとる必要がないかというように考えておるわけですが、こういう点については、事務局として、どんなふうにお考えになっておりますか、もう一つあなたにお伺いしたい。
  74. 斉藤誠

    斉藤(誠)政府委員 どうも私どもの所管でないことについて責任を持って答弁いたしかねるわけですが、非常に農林省が努力しているという点だけ申し上げて、お答えにかえたいと思います。
  75. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 きょうは大蔵大臣見えませんから、纐纈さんに一つ伺いたいと思うのですが、政治論にわたる問題でありますが、おそらく大蔵省は予算を握っておりますから、いまのような農業恐慌に対する処理の問題、あるいは農村の悲惨な状態について抜本的にお考えになり——あなたも選挙区が農村でありますから、私も事情をよく知っておりますが、少なくとも大蔵省としては、こういうような問題についても、やはり対処するだけの何らかの方法をとっていただきたいと思いますが、纐纈大蔵政務次官はどんなふうにお考えになっておられますか、それを伺っておきたいと思います。
  76. 纐纈彌三

    ○纈纐政府委員 ただいまの佐藤委員の御質問、私どもも同感の点が非常にたくさんあります。また政府委員の方の答弁につきましても、一応の理屈もあるように思いますが、何と申しましても、農業お話しのように行き詰まった状態に置かれておりますので、これの救済策は御承知のように、いま農業基本法によりまする近代化、あるいは機械化というようなことで進めておりまして、それがまだ十分の効果をあげておりませんが、一面農村の若い方たちに話を聞いてみますると、なかなか近ごろの若い連中は意欲を持っておりまして、私は今後相当一生懸命にやってもらいたい、それにはある程度の融資その他についてもやはりやりたい、そういう問題がございまして、私どもは実はいままでのお話のように、農村で、いわゆる専業農家所得を見ると、非常に少なくなっているということでありますが、そのとおりでございますけれども、私は、農業近代化によりまして、抜本的に考えて、むしろ将来はお百姓をおやりになっても所得税を納めなければならないというところまで持っていかなければならないのじゃないか、これは私の個人的な考え方でありますが、いろいろ予算的な措置といたしましては、私も十分な自信はありませんが、やはり財政の全般とにらみ合わせまして、やらなければならない問題については十分検討いたしまして、やっていく必要があるのじゃないかということを考えておりま。
  77. 松平忠久

    松平委員 ちょっと食糧庁長官にお伺いしたいのですが、いまお話しの野菜の中で、タマネギ、カンランについてのいわゆる価格安定制度のことなんですが、いまおっしゃったところによると、計画生産、計画出荷をさせるということでありますけれども、事実、計画生産、計画出荷ということに農林省は現在真剣に取り組んでおられるのかどうか。そこで、その計画出荷、計画生産というのは、どういう方向でやっておられるかということです。野菜については、これはやろうと思えばわりあいにできるのじゃないかと思うのです。消費的形態というものがあまり変わらないのが野菜であって、したがって、アメリカなんかにおいても、わりあいにプライス・コントロールというものがうまくいっているのは野菜だろうと思うのです。ですから、やり方をどういうふうに考えておられるか。私はタマネギについて、関係の和歌山県その他の生産地の者に聞いてみると、いま農林省が考えているあの程度の予算というか、つまり生産がふえた場合、あの程度の買い入れ数量ではとても間に合わないというのが大体生産者の代表の声であります。  そこでタマネギ、カンランについて、国全体としてどの程度の資金を、まさかの場合には充てることになっているか、同時にどういうような計画生産、どういうような計画出荷をしているのか、その点伺っておきたいと思います。
  78. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 計数のことをまず最初に申し上げます。  タマネギの生産安定基金につきましては、三十八年度予備費をもちまして国が五千万円この生産安定基金というものに出資をいたします。別に県が五千万円、さらに農業団体から五千万円、合わせて一億五千万円の資金をもってこの事業をやっております。  それからカンランにつきましては、三十八年度におきまして、やはり予備費をもちまして五千万円出資をしております。これは京浜地区についていまのと同じような構想で一億五千万円の資金を持つことにしております。さらに三十九年度予算におきまして、カンランについては二千五百万円を予算に計上してございます。そうしてこれは阪神地域につきまして七千五百万円の基金をつくる、こういうことになっておるわけでございます。  この資金はどういうふうにして、使われるかと申しますと、野菜の指定産地というものを、こういった京浜地区及び阪神地区について指定してございまして、そういった指定地域から計画的に消費地に出荷するわけでございますが、その指定地域につきまして、その付近で購入させまして、そうしてたしか五カ年と思いましたが、平均の価格に対しまして三分の二以下に低落した場合には、その三分の二と現実価格との差額を補償してまいる、こういうやり方にしているわけでございます。  補償のしかたにつきましては、二分の一以下、つまり半分に下がった場合には、その現実価格と二分の一までの差額全額も補てんする、それから、二分の一から三分の二につきましては、その現実価格と三分の二までの価格の半分を補てんする、したがいまして、補てんを入れました場合の生産者の手取り価格の最低は五八%くらいになるわけでございます。そういった形でこの基金の運用をやっております。  現実の問題としましては、本年度暴落によりまして、ただいまカンランの生産安定基金を一部支出するような手はずになっておるようなわけでございます。
  79. 山中貞則

    山中委員長 平林剛君。
  80. 平林剛

    ○平林委員 ちょっと簡単にお尋ねしておきたいと思いますが、先ほど米穀について所得税臨時特例に当てはまる人は、全農家の中で昭和三十五年が約四十万昭和三十六年が二十一万、昭和三十七年が二十四万九千というお話がございましたけれども、昭和三十八年はどのくらいになるのですか。
  81. 泉美之松

    ○泉政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げました数字は、全農家のうち所得税の課税を受ける農家戸数を申し上げたのでありまして、その点は三十八年の見込みでは、課税農家戸数は当初予算におきましては約二十二万八千戸と見込んでおりますしたが、三十七年分の課税実績から推計いたしますと、三十七年分とほぼ同数の二十四万戸程度に見込まれるわけでございます。
  82. 平林剛

    ○平林委員 そうすると全農家との割合はパーセントにしてどのくらいになるのか、それから減税額ではどのくらいで課税農家一戸当たりでどのくらいか。さっきの例で三十八年度について説明してください。
  83. 泉美之松

    ○泉政府委員 全農家の戸数は、先ほど申し上げましたように三十五年の農業センサス以外にございませんので、六百五万七千戸に対しまして二十四万ということは三・八%になるわけでございます。それから所得税の課税領といたしましては、前年とほぼ同額の二十六億円と見込まれておるが、なおこの予約減税による減収額といたしましては、所得税といたしましては九億円と推計いたしております。
  84. 平林剛

    ○平林委員 課税農家一人当たりはどのくらいになりますか。
  85. 泉美之松

    ○泉政府委員 課税農家一人当たりも約一万五百円程度でございます。
  86. 平林剛

    ○平林委員 昭和三十八年では二十四万戸、これは府県別でわかりますか。
  87. 泉美之松

    ○泉政府委員 ちょっといま手元に府県別の資料を持っておらないのでございますが……。
  88. 平林剛

    ○平林委員 それでは念のために府県別の戸数といいますか、それを資料にして私いただきたいと思います。  そこで、所得税臨時特例を当てはめる農家戸数というのは大体全般の三・八%、それもだんだん減ってきておるということが大体わかりました。  もう一つお尋ねしたいのですけれども、こういう集荷の促進をはかるための措置としてこの税金を特に軽減をされる人たちの割合といいますか、事前売り渡し申し込みの集荷の割合というのは大体どのくらいですか。全集荷のどのくらいに当たっている計算になりますか。これは農林省のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  89. 泉美之松

    ○泉政府委員 便宜私のほうからお答え申し上げますが、私どものほうの農林省からいただいておる資料によりますと、三十八年産米につきましての農家から政府への売り渡し総数量は四千五百二十七万三千石でございます。このうち申し込み以外の方法によりまして売り渡したものが二十一万八千石ありますので、それを差し引きました四千五百六万石程度のものが、この予約申し込み制度に基づきまして売り渡した数量に相なるわけでございます。
  90. 平林剛

    ○平林委員 私、聞いておるのは、その中でいま言った特例を受ける農家はどのくらい売り渡しておるかということを聞いておるのです。
  91. 泉美之松

    ○泉政府委員 先ほど農家の課税戸数二十四万戸と申し上げましたが、予約減税を適用されてなおかつ課税を受けておりまする戸数は、三十七年度で申し上げますと約十九万九千戸でございます。予約減税の適用を受けた結果課税されなくなった、つまり予約減税がもしなかりせば課税を受けたであろうという戸数は、この十九万九千戸の上に約五万五千戸ほどあるわけでございます。それが予約減税の結果五万五千戸減って十九万九千戸に相なるわけでございます。課税農家二十四万戸の中で十九万九千戸が米作の予約減税の適用を受ける農家ということに相なるわけでございます。
  92. 平林剛

    ○平林委員 どうも私の質問の趣旨がわかってないようだけれども四千五百六万石、米の集荷をするわけだ。しかし実際問題としてはその大多数というものはこういう減税の恩恵を受けておらぬで集まってきておるわけですね。私がいま聞いたのは、この減税の恩典を受けて集荷される石数はどのくらいですかということを聞いておる。これは私は聞かなくても大体ごく少数だということはわかる。そうするとこれだけの石数を集荷しながら実際にはその恩恵を受けているのはわずかであるし、わずかの人のためにこれだけの租税の特別措置を与えておる。その割合もいま御説明になりましたように全農家から見れば三・八とかきわめて少数の農家になっておるわけですね。こういうことから考えると、他の一般農家なりあるいは四千五百万石の大多数の集荷というものからいいますと、こういう措置を何でとっておるか、政策的にはほとんど意味がないのではないかと私は思うのです。政策的に意味のないものをいつまでも所得税臨時特例という形で政府がお出しになってくるというのはどういうわけですか。私はその点が聞きたいのです。そういう意味政策意味としてはほとんどなくなっているのにかかわらず出してくる、考えなければならぬと思うのです。ただ私は申し上げておきたいのは、こればかりの金額を出すことによって——租税特別措置によって全般が恩恵を受けているのは二千数百億円という巨大な金額が、大法人だとかあるいは大企業に対して租税特別措置をやっておる。ことしも今度の国会で相当多数の租税特別措置による減税が行なわれようとする。私どもとしては、全般の農家の中でも三二%くらいだ、その総額においても微々たるものだ、こういうことを認めておきますと、これによって租税特別措置に対するわれわれの攻撃、批判というものの一つのとりでみたいにされてしまう。人質ですよ。私は、政府のほうがやたら大企業に対して租税特別措置をやっておって、農家にもこれだけやったじゃないかと言って大きな顔をして、だんだん租税特別措置の額を多くしたり、あるいはいろいろな特例を多くしてくるということはいけないと思う。農家にこんなものがなくなれば、農村人たちも現在の租税制度における特別措置に対してやはり鋭い批判を持ってくるようになると思う。あなた方にも少ないけれどもやってあるのだということになると、この租税特別措置に対してやはり批判力が集中してこないということになるわけですから、私はいずれにしても、これはあまり賛成しないのです。ただ一般の大企業に対してたくさんの租税特別措置をやり、今国会においてもいろいろな理由をつけて政策的減税をやる中で、これだけをへずるというのは、これは租税特別措置の中では不公平ということになるから、まあまあしょうがない、目をつぶろうという程度です。私は、そういう意味では農家が、しかも三%の人が二月当たり一万五百円、それは大きな金額ではないとはいいませんけれども、この恩恵を受けることによって、他の特別措置に対して、こっちもやっているんだからといって文句を言えないようなことでは困るわけです。そういう意味では政府のほうは、他の租税特別措置に対してもやはり厳正な態度をとると同時に、こういうものをやめるときには大幅にやらなければいかぬという態度に出てこなければいかぬと思うのです。どうも私に言わせると、こういう人質をとっておくことによってこの租税特別措置をカバーして、全農村批判が大企業に集中しないようにする、これを廃止すると、今度は大企業に対する租税特別措置の文句がついてくるというようなことの配慮があって、なかなかこれは消せないでいるのじゃないですか。社会党もそういう点を少し考えなければいけないと思う。私は、そういう点は、課税の公平という点を考えると、どうもあまり感心をしない、こういうふうに思うのです。それで先ほども申し上げましたような府県別の資料もぜひ出してもらって——いろいろな意味考えて、これは固執をするようなことはどうもまずいと思うのです。そういう資料もひとつ出してもらいたいと思う。こんなことをやるよりは、私はむしろ生産者米価についてもっと政府なりわれわれが考えるということが大事だと思いますし、またたとえば私たちがふだん主張しているように、むしろ生産者の意欲をわかせるという意味で、たばこをつくっている農家に対しては、それこそ酒を無税で販売をしてやる、そうして一年間について二千本でも三千本でも税金をとらないで原価でもって渡してやるというほうがよっぽどいいのですよ。そのほうがよっぽどいいということです。そして全般の生産農家に対して生産意欲をわかせるというほうがよほどいい。私は、そういう意味ではただ農家税金について、いけない、これはやめなさいという酷なこと言うわけではなくて、こんなことにだまされてはいけませんよということを言いたいわけなんです。いずれにしても採決をするというので、われわれも賛成の立場になるわけだが、しかし人質だから、あまり積極的に賛成しているのじゃないということは明らかにしておきたい。それからまた、政府自体のほうも、いつまでも批判のある問題についてほうかむりして通すような不見識なことは考えたらいいんじゃないか、むしろ全農家あるいは全農産物生産者人たちに公平に行き渡るような生産者米価だとかあるいはいま私が申し上げたようなことを考えたほうがよろしい、こういうことだけを申し上げて質問を終わっておきたいと思います。
  93. 山中貞則

    山中委員長 これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  94. 山中貞則

    山中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  95. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  96. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  97. 山中貞則

    山中委員長 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。竹本孫一君。
  98. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、日本輸出入銀行法の一部改正に関する件について御質問申し上げたいと思います。  第一は、これは外務省や通産省だけの問題ではなくて、政治の姿勢の問題、輸出マインドの問題に関する点であります。あるアメリカの人が、日本の池田経済政策につきまして、日本の経済は、ランニング・ツー・ファースト、あまりにも早く走っておるという批判をいたしました。確かに日本の経済成長がスピード、テンポにおいて早過ぎるものがあるということは間違いありませんけれども、私は特にその方向が問題であろうと思います。日本の経済は、皆さますでに御承知のように、輸出に対する努力と輸入の努力とどっちが多いか、これは重大な問題であります。さらに生産を進めていく点と消費の問題とに関しましても、生産のほうをむしろ軽視して、消費生活のほうに力を入れ過ぎるという点があるのではないか。さらに資本の蓄積、貯蓄の問題につきましても、逆に借金のほうに力が入り過ぎておるのではないか。そういう意味から申しますと、どちらかといえば、資本主義の社会におきまして実は資本主義的な経済原則が軽視されておるという傾向があるのじゃないか。私はもちろん立場を異にしておりますけれども、資本主義には資本主義の経済原則が守られていくべきであろうと思いますが、その点について、輸出よりも輸入に力を入れておる、生産よりも消費に力を入れておる、貯蓄よりも借金のほうに力が入り過ぎておるというようないまの政治のあり方、経済政策の姿というものを根本的に変えるのでなければ、ほんとうの意味での輸出の奨励というものはできないのではないかと思うのであります。昨年あたりの実績を見ましても、輸出が一四%ばかり伸びておる間に、輸入は四〇%から伸びた月もあります。  かように考えてまいりますと、この法の一部を改正いたしましても、一番根本の政治の姿勢というものにおいて本格的な体制がとられなければ問題にならないと思うのであります。銀行法の第一条には、金融上の援助を与えることによって本邦の外国との貿易を促進すると書いてあります。そこで問題は、この金融上の援助だけではなくて、もっと根本的な精神的な援助、政治的な考慮というものが問題なのではないか。   〔発言する者あり〕
  99. 山中貞則

    山中委員長 静粛に願います。
  100. 竹本孫一

    ○竹本委員 また金融上だけの援助の問題ではなくて、税制上の援助等につきましても根本的に考えなければならぬのではないかと思うのであります。日本の輸出奨励につきましての政府の努力は、私はまだまだ不十分であると思います。  そこでお伺いいたしたいのでありますけれども、日本の輸出に対する努力というものは、全体的に申しまして、イギリスの努力、ドイツの努力と比較いたしまして、一体これでいいのかという点であります。あるいはそれはイギリスやドイツの輸出に対する努力に比べて半分程度ではないかというふうに私は疑っておるのであります。イギリスは、御承知のように、戦後におきましても、たとえば労働党内閣でも、これはイギリス国民、国家の問題として真剣に輸出の奨励には取り組んでおります。戦後のクリップス蔵相のごときは耐乏生活を国民に訴えまして、みずからが国民にミスター・アウステリティ、耐乏生活屋さんとまでいわれて真剣なる努力を傾けたのであります。こういうイギリスやドイツの例を考えてみますと、日本政府の輸出に対する努力というものはまことに不徹底であると思います。最近は日本の国内が経済不況になりまして、この不況で政府の一部には輸出ドライブがかかってくるのではないかということを期待しているやに承っておるのでありますけれども、そういうなまぬるいことではだめである、政治の姿勢を変えなければだめだ、まじめに真剣に輸出の振興のために取り組まなければならないのではないか、この点についてまず基本的な姿勢の問題としてお伺いをいたしたいと思います。
  101. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 政府の輸出に対する努力につきましてまだ足りないのではないかという御指摘がございました。仰せのとおりに、日本の国は輸出をいたしませんと経済の成長ができない事情にございますので、何と申しましても常時輸出第一主義ということが最も肝要であろうかと存じます。政府といたしましても、いろいろな面で従来も努力をしてまいっておるのでございますが、最近のようにいよいよ八条国に移行しますときになりまして、なおかつ国際収支について必ずしも十分に楽観ができないような状況にございますので、今後ますますこの努力を拡大していく必要があろうかと思います。先般も最高輸出会議を開きまして、総理及び関係閣僚全員出席されまして、いままでにない活発な議論がかわされたのでございます。御意見十分拝聴いたしまして、私たちも今後ますます輸出振興に努力してまいりたいと思います。
  102. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がありませんので、要点を聞くだけにとどめたいと思います。  次に、市中銀行の協調融資とその債務保証の問題について伺いたいと思います。  第一は、協調融資は全体のどの程度のものをやっておられるかということであります。  次に、市銀が今回この改正案にありますように、債務の保証を要求するといいますか、希望しておるという理由は一体何であるかということであります。政治的なリスクが多いという問題が理由であるならば、これはいろいろ重大な問題を含んでおると思います。あるいは経済的リスクの問題でありましょうか、あるいはこれは期間が長いという問題でありましょうか。特に量がだんだんにふえてくる、市中銀行の融資の量もふえてくるということで、そういう債務の保証を必要とするということでございますならば、従来千億円くらいあるいはそれ以上に協調融資で市銀が協力しておるのかどうか、その数量並びにこれが全体に占めるパーセンテージについても承っておきたいと思います。  さらに、諸外国において、この市中銀行の協調融資というようなものがどういうふうに行なわれておるか、その場合に債務保証というものが考えられておるかどうかといううことについてもお伺いをいたしたいと思います。  私の考えるところでは、外国における会社の自己資本の充実という点から考えてみまして、日本とはだいぶあり方が違っておるのではないかと思うのであります。国際競争力の問題になりますけれども、何と申しましても、会社自体の自己確立、会社自体の主体的な体制の確立ということが、輸出にとって一番大切なキーポイントであります。その会社自体の体制を確立することなくして、会社自体の構造改革をやることなくして、ただ港の入り口のところから輸出に関して政府がめんどうを見てやるというようなことでは、ほんとうの意味の競争力はできないと思います。そういう意味において、日本の輸出振興に対する御努力というものは、最後の段階でちょっと出てくるだけであって、根本的な、工場の中において、会社の内部においての国際競争力を強めるという体制は、ほとんど忘れられておるのではないかという点を非常に心配するのでありますけれども、この点について御所見を伺いたいと思います。
  103. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 政府間の借款につきまして、今回市中銀行の協調分につき輸銀が債務の保証をすることにいたしましたのはいろいろ理由がございますが、一つには、これらの円借款等を契約いたします場合に、本来ならばやはり市中銀行もその内容に十分立ち入って、その協定の締結にあたって自己の意思を表明できるということがいいのでございますけれども、実際問題といたしましては、とかく、これらのものは相当高度の政治的な配慮も加わりますので、政府と相手国との間で話がまとまりまして、そうしてその結果、大体割合としては二割でございますが、その二割に当たる部分、これを金額で申しますと、これはまだたいして大きな金額になっておるわけではございませんが、最近のところで大体四十億足らずというところでございます。  ですから、金額的にはたいしたものではございませんが、次第にその金額がふえる傾向にあるということ、そして内容につきましては、相手国政府の開発計画でございますが、それらについて銀行があれこれと普通の債務者に対する態度で審査をするという余地はあまりないわけでございます。言ってみれば、輸銀が主体になってやりますところの融資に対してつき合いをするということになりますが、それらの償還その他について何ら安定的な保証もございません。政府といたしましては、これらの投資元本について、相手国政府の開発を進めるということによっていずれ償還されるものという期待は持っておるのでございますが、確実な償還の差し繰りについては銀行に対して何とも明言できる立場にはありません。そういう関係にございますので、市中銀行の希望もにらみ合わせましてその融資分について輸銀がこれを保証するということにいたしておるわけでございます。  なお、もう一つ、国際競争力強化の立場から会社の自己資本を充実しなければならぬという御意見、まことにごもっともな御意見だと思いました。私どもとしましても、これからの開放経済にあたりましては、銀行の態度を改め、また会社の借り入れ依存に対する従来の悪い習慣を改めていくように指導しなければならぬと思っております。
  104. 竹本孫一

    ○竹本委員 いま御答弁がなかったようでありますけれども、市中銀行が出した金は二割ということはわかりましたけれども、金額において従来どのくらいになっておるか、そのトータルを承りたいと思います。  なお、あわせて、その市中銀行の協調融資をする場合の金利の問題でございますけれども、これがどのくらいになっておるか。輸銀の場合には大体四%のようでございますけれども、それらを含めまして全体としての実効金利というものがどのくらいになっており、かつ世界の他の競争国、イギリスやドイツの場合、フランスの場合、それぞれ五%前後のようでございますけれども、これと十分競争ができる体制になっておるかどうかという、金利負担の面からの問題を一つ究明してみたいと思います。  さらに、輸銀の場合四%でございますけれども、この法律第十九条を見ますと、輸銀の貸し付け金の金利等につきましてもこういうふうに規定いたしてあるようであります。「運用損失を償うに足るように、銀行の貸付利率、手形の割引歩合及び債務の保証料率を勘案して定めるものとする。」ということになっておりますので、この輸銀の体制は、全体としてもうけを出すという体制にはなっておりません。そこで、実効金利が幾らでありますか、その実効金利を、さらに国際的な競争力を強めるために、もう少し下げる余地があるのか、ないのかという点をお伺いいたしたいと思います。もちろん下げろということになりますと、すぐ考えられることは、資金運用部の六・五%の利子を下げろとか、出資金をふやせということがすぐ問題になるでありましょうけれども、そのほかに事務の合理化といったような面においても、なお金利を引き下げるための努力をする余地があるのではないか、これはないのであるかという点についてもお伺いをいたしたいと思います。
  105. 高橋俊英

    ○高橋政府委員 輸銀の通常の輸出延べ払いのための金利は、実効金利といたしまして四・四%、通常四%でありますが、借款等の場合などを含めまして、全体の平均は四・四%でございます。なお普通の輸出の場合の金利は、すべて四%となっております。市中銀行の協調融資率は、大体において八分二厘五毛、八・二五%くらいになっておる。なお借款の場合にはこれと多少違いまして、実効金利が輸出入銀行と民間銀行との平均で五・七五%、この場合市中銀行分を八・二五%といたしまして、その輸銀の実効金利は五・二五%になる、こういうことになっておりますが、これらの金利水準は、外国のこういう対外融資機関の金利と比べまして、輸出の場合にはむしろ四%というのは他に例を見ないほど安い金額になっております。他国の例はまちまちでございますが、大体はこれより高い五%、あるいはそれ以上というふうなものが通例でございまして、輸銀といたしましては非常に安い金利のものを出しておるということが言えましょう。国際競争力におきましても何ら劣るところがございません。金利の点では、かっては引き上げの議論もちょいちょい出たくらいでございまして、非常に低いレートであると申し上げてよいかと思います。
  106. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの説明、ちょっとよくわからなかったのですけれども、四%で出しましても、全部が輸銀でまかなっているのではなくて、市中銀行の二割なら二割まかなっておる。これについては九%もしくはそれ以上だということになりますと、全部をまとめて考えた実効金利というものが幾らになっておるかという数字の説明、ちょっとあとでもう一度伺いたいと思います。  さらに次にまいりますが、海外経済協力基金との関係であります。海外経済協力基金として百数十億の金を使っておるわけでございますけれども、これがいままでにどの程度の実績をあげておるかということを伺いたいと思います。  さらにこの海外経済協力基金と輸銀との場合に、金利や期間の問題等においていかなる差があるか、違いがあるか。さらにその海外経済協力基金が従来やっておる八十数億円の融資その他につきましても、輸銀でやることができないものであるか。どうしても別個にそういう存在が必要なものであるかどうかという点について、若干私は疑問を持っておるのであります。と申しますのは、海外経済協力基金というものは、非常に政治的な要素の強いものであるということは一応わかりますけれども、政治的な要素が強いものであるならば、これはむしろコマーシャル・ベースで考えないで、政治的に全く再出発をしなければならぬ問題ではないか。いまアジアにおける、あるいは世界の外交の中における日本を取り囲む諸条件を考えます場合に、海外経済協力基金というものが果たし得る政治的な使命というものが一体どれだけあるだろうか、その多くは、いままでの実績において、コマーシャル・ベースに近いものが多いんじゃないか、またそれでない別個の政治的な配慮で考えられておるものにつきましては、日本の外交の姿勢を正すのでなければ、ただ金をばらまいただけでは問題にならないのではないか、海外経済協力基金の性格の問題と、輸銀の性格の問題と、また日本の政治外交の姿勢の問題とからめて考えてみたいと思うのであります。中共承認もなかなかできない、AA諸国も日本に対して必ずしも好意的でない、こういう条件の中において、海外経済協力基金が果たし得る役割りというものが一体どれだけあるか。もし大した役割りがないということ、それが将来においてもあまり期待できない、過去においても海外経済協力基金のやった大部分のものが輸銀で解決できる問題じゃないか、こういうことになりますと、この二つの機構を並存させておくということに意味がなくなってまいりまして、むしろ輸銀なら輸銀に一本化して態勢を強化することのほうが国策的にはいいのではないか、こういう点についてお伺いをしたいと存じます。
  107. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 海外経済協力基金は、言ってみれば日本輸出入銀行の補完的な役割りを果たすものと私どもは考えております。通常の輸銀の金融ベースに乗るもの、これは普通の商業的なもの、先ほどの円借というような特殊なものもございますが、原則といたしまして、通常の商業取引に基づくところの延べ払い金融を補完する。もちろんこれは、輸出入銀行は補完と申しましても、実際上は八割をやっておるわけでございますから、主力になっておりますが、たてまえはやはり市中金融の補完であるということになっております。さらにその輸銀に対する補完的な、つまり普通の輸銀の金融ベースに乗りがたいものをこの基金で取り扱おうということに考えております。しかし、その限界、その境界につきましては、確かに、実際問題として非常にむずかしい場合が多うございます。これは輸銀でやるべきか、あるいは基金でやるべきか判定の非常に困難な場合も非常に多うございます。明白な場合もございますけれども、そういうような判定困難な場合におきましては両方でお互いに理事の連絡会を持っておりまして、そこで調整する、具体的な案件について一々調整するということになっております。大体の傾向を申しますならば、投資の案件の場合には、非常にそれが長期であるかどうかというような点、非常に長期であるということであれば、輸銀ではなくて、基金のほうに持ってくるという考え方、それからそのほか大規模な案件という場合にありましては、輸銀の分担すべき分と、それから協力基金の分担すべき分というようなことを分けて考える。一般的に、農林漁業とか、土木事業関係は、主として基金で取り扱うというようなことになっております。  これらの基金の存在価値といいますか、そういうものにつきましていろいろと意見があるわけでございますが、やはりこれからの主として低開発国との経済協力を進めるにあたりまして、普通の商業ベースでの取引ではなく、これは海外投資に伴うところのいろいろな土木関係の仕事その他通常の輸出というふうな観念からかなりはずれておるもの、相手国政府希望によって非常に長い期間を要するもの、財政面からいっても普通の輸銀金利よりもさらに若干安いくらいの金利がほしい。期間も長いものがほしい、こういうような場合がありまして、それらの場合には、基金を活用していくということを考えておるわけでございます。二つあることが意味がないというふうな御意見もあるかと思いますが、私どもはこれらは十分それぞれの機能を分けて発揮していかせることが可能であるというように考えております。  なお、いままでの実績でありますが、調達ベースで申しまして貸し付けが六十八億円あまり、出資十億円、合わせて七十八億六千万円程度の調達が行なわれております。
  108. 竹本孫一

    ○竹本委員 次に、輸銀の資金量の問題について伺いたいと思いますが、昨年末の資本金千八百三十八億円、貸し付け残高三千百十四億円ということになっております。そこで、今後の輸出振興の過程においてプラント輸出というものが全体の輸出のどのくらいのパーセンテージを占めるものか、そのまた何割について輸銀は融資をするものであるか、もちろんその八〇%ということに前提を置きましても、将来これから所得倍増計画が進みまして、輸出をどの程度まで持っていくかということは、いろいろ重大な問題でございますけれども、かりに現在六十億程度の輸出、近く百億の輸出をするというふうなことも考えなければなりませんけれども、輸銀の資本金については、今回改正のこともいろいろございますけれども、どの程度の資金運用、どの程度の出資金、どの程度の資本金というものを考えておられるのであるか。千百八十三億円というものが、大体二千億くらいの資金というものを必要とすることになるのかならないのか、あるいは何年計画くらいでそこまで持っていかれるお考えであるか、日本の貿易の発展と考え合わせ、また、プラント輸出の進行と考え合わせて御答弁願いたいと思います。
  109. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 プラント類の輸出は、いままでのところ全輸出額の中で一二、三%程度にとどまっておるかと思います。三十七年度で申し上げますと、五十六億の輸出に対しまして、プラント類が六億ちょっとこえる程度になっております。今後、このプラント輸出の占める割合を相当上げていかなければならないというふうに考えておりますが、具体的な目標数字は特に定めておりません。今後の輸出のウエートが、どうしても重化学工業品にウエートがかかってまいりますので、傾向としてはかなり多くなって、所得倍増計画でも全体の輸出のうちの約四割が機械類になるという想定をいたしたことがあります。その場合、機械の中には、従来の軽機械類のトランジスター・ラジオとか、いろいろなものが入っておりますので、さらにその中でプラントがどのくらになるかということの数字はございません。  それから、三十九年度の輸銀の貸し出し規模につきましては、今回の財政投融資の計画で一応千六百億円という規模になっております。通産省の計算によりますと、千八百億くらい要るのではないかというふうに考えておりますが、その点につきましては大蔵省のほうと相談ができておりまして、適当な段階でそういうことが可能なように措置をするというふうに申し合わせをいたしております。
  110. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、出資の追加の問題について、将来のまた資本金の増加といったような問題について御答弁がなかったのですが……。
  111. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 輸銀の出資は、実はそのとき、たとえば来年度の場合には貸し出しのベースにおきまして、予算をつくりますときには千六百億円の融資を予定しておるわけでございます。それだけの貸し付けをやりまして、それに必要な自己資金を差し引きまして、不足額を政府の借り入れと出資に振り分けるわけでございます。それらの場合においては、先ほど申しましたように輸銀全体の平均の貸し出しの利回りが大体四・四%くらいになる。措り入れ金が資金運用部からでございますが六分五厘になる。だから六分五厘の逆ざやを埋め合わすに必要な程度の出資を行なう、こういうのが大体の方針でございます。大ざっぱに申しますと、そういうことでございますので、出資を最初に幾らまで引き上げるというふうな計算をやっておるわけではございません。毎年これは出資が行なわれることになりますので、それで今回の法律案もそういう趣旨で改正をお願いしておるわけでございますが、二千億円になればそれでやめてしまうというものではございませんで、六分五厘の金を借りて四分四厘の貸し出しをするということになれば、当然にそれに見合うだけの出資が必要になる。こういうことになるわけでございます。
  112. 竹本孫一

    ○竹本委員 次に、債務履行の繰り延べについて、今回新たなる条文が入ったわけでございますが、これは過去において考えられるものは、アルゼンチンの場合だけでありますが、伺いたいと思います。さらにその場合に、アルゼンチンに関するその後の措置はどういうふうになっておるのか、あわせて承りたいと思います。  次に、またこれに関連をいたしますけれども、こういう問題は、将来債務の履行の繰り延べに関して債権国会議をやるといったような問題は、どういう場合が一体想定されておるのか、これも伺いたいと思います。  次に、韓国の関係の問題でございまするけれども、この件は韓国に適用される場合があるのか、またせんだっての外務大臣の国会における答弁の中に、漁業協力の問題に関連いたしまして、普通の民間ベースの輸出金融で、韓国側の償還能力も考えながら、この輸銀を通じてやりたいという御答弁があったようでございますけれども、韓国に対しましても、将来どの程度の民間ベースの協力を考えておられるのか、伺いたいと思います。
  113. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これまでに国際収支が悪化したために対外支払いの繰り延べを何カ国かで共同して行ないました事例といたしましては、御指摘のようにアルゼンチンの場合がございます。そのほかにはブラジルがやはり同じようなケースになっております。ブラジルの場合には、一九六一年五月、それからアルゼンチンの場合は一九六二年の十月にいずれも主要債権国が協議いたしまして繰り延べを行なっておりますが、アルゼンチンの場合ですと、一九七〇年まで延長する、こういうことになっております。ブラジルの場合におきましては、一九六六年まで延期するということになっております。  なお、韓国につきまして輸出入銀行のほうからどの程度協力するかという問題は、これは民間における商談の進行いかんによるわけでございまして、あらかじめ幾ら幾らをどれくらいの期間内に輸出入銀行からワクとしてやるかということは、まだ現実の問題としては考えておりません。将来の問題としては考えられないことはありません。なお、韓国につきましてオープン・アカウントの分がございます。現在でもたな上げになっておるのでありますが、これは政府自体の債権になっていまして、二国間の、日本政府と韓国政府との間で処理をするというものでございまして、この輸出入銀行の場合ですと、二国間の話し合いで繰り延べをするといいますか、輸出入銀行が肩がわりするということはやらないというのが今回の法律案のたてまえになっておるわけであります。
  114. 竹本孫一

    ○竹本委員 輸銀の船舶に対する貸し出し残高、ここの資料によりますと二百十三件の千百七十六億円ということになっております。かりに一隻二十億円の船をつくるということになりますと、六十隻の船がこれでできます。そこでお伺いいたしたいのでありますけれども、今後船舶、車両は輸銀の対象としても非常に重要な分野を占めておるわけでございますけれども、日本の造船能力というものをどの程度に考えられて、そのうち邦船をつくるということにどれだけのものを振り向けて、さらに輸出のほうにどれだけの力を振り向けるというようなお考えでありますか。この国会における政府の御答弁等で見ますと、大体邦船の積み取り比率を七〇%までに引き上げたいというお考えもあるようでございますけれども、それらとにらみ合わせてのお考えを伺いたいと思います。
  115. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 日本の造船量は、最近非常に船体が大型化しておりまして、建造能力といいますか、そのスピードが非常に早まっておるようでございます。私たち、ちょっと造船業関係につきましては、あまり専門ではございませんが、大体においては、総トンで申しまして、三百万総トン以上のものが一年間に建造できるのじゃないか。なお、国内の来年度の計画造船は六十四万トンでございますが、現在は思いがけないほど非常に大きな海外からの受注をかかえております。しかしこの国内の計画造船六十四万トン程度のものの建造に支障をきたすおそれはないという見通しでございます。
  116. 山中貞則

    山中委員長 次会は、明十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会