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福田(一)
国務大臣 ただいま
伊藤委員からもお話がございましたとおり、
エネルギーといえば
石炭、
電気、油あるいは
原子力、こうなるでありましょうが、
原子力の問題は、
伊藤委員もおっしゃったとおり、そう急速に安定しかも廉価な
エネルギー源として利用でき得るかどうかということは、まだ問題が残っておるやに聞いておるのであります。
そこで、さしあたりの問題としては
石炭、
電気、油、こう三つがおもな柱、三本の柱となるわけでありますが、
日本におきましては、
石炭は御
案内のように
スクラップ・アンド・ビルドという方式をとって、四十二年をめどとして安定して、しかも相当廉価な、安いといいますか、安いというとおかしいが、高くならない、現在の値段を基準として、
精炭にして五千五百万トンの
石炭を掘り出す、これができた暁においては、
石炭産業自体も相当いわゆる
生産性の高い
産業になって、ここに働く
人たちにも相当な高賃金が支払い得るような
産業になるということを
目途として、ただいまいわゆる
スクラップ・アンド・ビルドの
計画が進行いたしておる
段階であります。これを四十七年度——四十二年度から五年たった後を
目途として
考えた場合に、この五千五百万トンでいいかどうかという問題がここに出てくるわけでありますが、これは、私は
石炭の場合においては、ようやくいま業半ばといいますか、
スクラップ・アンド・ビルドが大体進んでまいりまして、見通しがつきつつある
段階でありますから、この
段階から
調査を始めまして、そうして四十二年、あるいは四十二年を待たず四十一年ころからでも何かここに新しい
施策を展開する必要があるかどうかということは、われわれとしては
十分研究をいたさねばならないところであると
考えておるのであります。
したがいまして、今回も
通産省としては、
欧州並びにアメリカにおける
石炭産業あるいは
エネルギー問題等を
研究するために、
調査団を派遣をいたしまして、約二カ月にわたってその
調査を行なってくるように依頼をいたしておるわけでございます。これらもそういう含みを持って、ただいま
伊藤委員が仰せになったような、いわゆる
エネルギーというものを今後どうしていったらいいか、そのうちにおいても特に
石炭をどう見ていったらいいかというようなことを、
欧米各国の
実情等もにらみ合わせながら
研究を進めるという第一歩をここに踏み出したと御理解を賜わってけっこうだと思うのであります。
一方、今度は電力でございますが、電力のほうは、仰せのとおり、
水力発電はもうすでにある程度限界にきておりますが、それでもなおかつピーク時の電力をいかにして供給するかという観点に立ってものを
考えてみますと、どうしてもまだまだ
水力の開発をしなければならない。また開発し得る地域がまだある程度——これは人によって
意見が違いますが、私は千万キロくらいはまだできるんじゃないかと
考えておるところでございます。こういう開発を順次進めてまいらねばならないと
考えております。
一方火力でございますが、火力発電といえば、これはすぐ
石炭と結びつき、油と結びつくわけでありますが、こういう場合におきましても、
石炭の問題がここにクローズアップされてくるわけでありまして、たとえば外貨が非常に不足をいたすというような
段階において、いわゆる外貨の支払いを節約するというような観点に立ちますと、できるだけ
国内の
エネルギー資源を使う方途を講ずる必要もあるわけであります。われわれとしては、ただいまのところは輸出を強力に押し進めることによって、いわゆる外貨事情の悪化を防ぐと同時に、
日本の外貨を一定
数量で安定させ、さらにその上に上乗せていくというような方向に持っていきたいとは思っておりますが、しかしなかなか問題はそう簡単ではないので、外貨節約ということが
一つの大きなテーマとなっておるその観点から
考えてみると、今後はいわゆる
石炭を火力に使い、そして電力に変えて
エネルギー源として使うというくふうは、一そうこれは強力に進めなければならないという
意見もあるわけでございます。こういう点を考慮しながら、火力発電の問題もまたわれわれとしては
考えていかなければなりません。もとより油を使いますれば、現在の
石炭を使うよりは安い電力を得ることができますけれ
ども、しかし何か事故があるとか、大地震があったとか、あるいは何かの変動があったというような場合に、あるいは昔あったようなスエズの運河の問題が起きたとか、あるいはパナマの運河に問題が起きたというようなことがありますと、これは
エネルギー源を大きく油にたよっているということが、非常に一時的なショックを国の
産業に与えるというような事態も考慮しなければなりません。したがってある程度はこれは
国内資源、いわゆる
国内エネルギーにたよらなければいかぬ、こういう観点からものを
考える必要もあるかと思われるのでありまして、外貨の問題あるいはそういうような一時的な不幸な事態も考慮しながら、ある程度
石炭に依存するという問題も考慮しなければならないことかと存じておるのであります。
一方、油の問題でありますが、油のほうはこれは
国内の油というものは非常に少ない。わずか百万キロリットル前後しかできないわけでありますが、必要量はぐんぐん伸びている。いまに一億キロリットルになるだろう、いまは四千五百万キロリットルとか五千万キロリットルとか言っていますが、これが倍増する状態になっている、こういうわけであります。そこで民族系の資本が出てまいって開発をいたしておりますアラビア
石油、これがわれわれの見るところでは千五百万キロリットルくらいまでは近々のうちに増産することができるであろうと
考えるのであります。しかし、これがたとえ二千万キロリットルになったと仮定いたしましても、もし一億キロリットルの油が要るということになった場合には、これはわずかに二割にしかすぎない。
国内のものはほとんどふえないでありましょう。私はいかなる場合においても、われわれがコントロールできるといいますか、資本の
関係においてコントロールができるなり、あるいは何らかの方法において強力にコントロールできるような油が、量のうちで三割は持ちたいものだ、こう思っておる。そういう点から
考えてみますと、いまの民族系が影響力を持っておる油というものは、まだ三割には達しておりません。こういうことを打開するためには、もっと海外において
日本の民族系の会社が出ていって仕事をし、油を掘ることが必要である。こういうような
意味で、今年度の予算におきましても、それらの措置をいささか講じてまいったつもりであります。
こういうことを
考えますと同時に、一方においてはこの油の問題では、配給
機構の
問題等も
考える必要がいささか起きておるのではないかと思っております。それは大きい油の会社は、そのような販売
機構を持っております。ところが小さい民族資本といわれるような会社は、販売
機構が十分に備わっておらないというような状況でありまして、これが
石油行政をやっていく場合において
一つのネックになっているように、私は最近の実情から見て
考えておるのでありまして、何らかの販売
機構を整備することも必要であるかと思うのであります。
一方、外資が入ってくる会社、いわゆる外資による
石油会社というものについては、私は必ずしもこれを頭から否安してかかる必要はない。これからは
日本は開放経済体制になるのでありますから、
日本自体も海外へ投資をする必要があり、海外からも
日本に資本が入ってきても、それが有害でなければ、
日本の
産業に対して悪影響を与えるという明らかな事態が出てこない限りは、私はそういうものをチェックする必要はないのではないか、こういう
考えで見ておるわけであります。もちろん油につきましてはまた設備の問題、その他いろいろの問題が含まれております。その既設の会社をそのまま育成して、一億キロリットルと倍にもふえるときに既設の会社だけでこれを供給させる姿がいいかどうか、こういうような問題も今後は
一つのテーマになってくるだろうと私は
考えておるのでありますが、いずれにしましても、
石油いわゆる油、
電気、
石炭、これらを総合しながら、
日本の
産業の発達に伴って十分にして、しかもできるだけ安い
エネルギーを供給するような方途を
考えていかなければならないと存じておる次第でございます。