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1964-04-13 第46回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十三日(月曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 中川 俊思君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 中村 重光君       田中 六助君    渡海元三郎君       野見山清造君    藤尾 正行君       三原 朝雄君    井手 以誠君       細谷 治嘉君    松井 政吉君       八木  昇君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 眞一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         労働基準監督官         (労働基準局労         災補償部長)  石黒 拓爾君  委員外出席者         通商産業技官         (石炭局計画課         長)      久良知章悟君         通商産業事務官         (石炭局炭地         域振興課長)  西田  彰君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局石         炭課長)    佐伯 博蔵君         労働事務官         (職業安定局雇         用調整課長)  遠藤 政夫君     ————————————— 四月十三日  委員原田憲辞任につき、その補欠として渡海  元三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員渡海元三郎辞任につき、その補欠として  原田憲君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策及び  高松炭鉱ガス爆発災害に関する問題)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。石炭対策基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 石炭問題の基本的な二、三の問題について政府にお尋ねをいたしたいのですが、まず第一に最近における炭鉱労働者が、有沢調査団見通しに比べて非常に急激な減少を来たしておることは、すでに先般来再三当委員会で御質問を申し上げました。当時政府のほうの答弁としては、希望退職者が当初の計画に比べて非常に増加をしておる、それから合理化鉱業権者の恣意によって繰り上げられてきた、それから石炭会社配置転換に対して、労働者がどうもその配置転換のとおりに応じていかない、こういうようなことから、当初の見込みよりか炭鉱離職者が急激にふえておるのだという説明があったわけです。こういう炭鉱労働者の不足は、即そのまま石炭需要にも大きな影響を及ぼしてきておるし、あるいは供給体制にも大きな影響を及ぼしておるわけです。そこで、すでに三十九年度予算が通っておりますけれども、私はまず第一に、昭和三十九年度における石炭需要供給関係について、石炭鉱業審議会等も三月には開かれておるようでございますし、需要供給見通しについて、この際政府から御説明をしていただきたいと思います。
  4. 新井眞一

    新井政府委員 三十九年度需給計画につきましては、現在石炭鉱業審議会需給部会において検討しておる段階でございまして、御承知のように最終的には石炭鉱業審議会において決定をいたすことに相なるわけでございます。しかしながら需給部会といたしましては、一応の答申と申しますか、総会に対します答申が出ておる次第でございます。  そこで、その内容につきまして御説明を申し上げますと、今年度生産につきましては精炭五千四百万トン、需要につきましては五千三百三十万トンというふうに考えておるものでございます。供給関係の五千四百万トンにつきましては、いろいろ議論もございましたけれども、一応三十八年度のああいう情勢を引き継ぎましての三十九年度でございますので、いろいろ検討の結果、五千四百万トンでやむを得なかろうというようなことで、五千四百万トンが一応セットされておるわけでございます。したがいまして従来のように、需要の問題から供給の問題と申しますよりも、三十九年度石炭鉱業における問題のウェートと申しますのは、むしろ生産体制の問題にあるというふうな空気での審議でございました。したがいまして、これに伴って需要というものを考えていくということに相なるわけでございます。需要といたしましては、御承知のように大宗は電力用炭、それから鉄鋼、セメント、それから一般産業需要でございますが、それぞれ、電力につきましては二千五十万トンということで、遺憾ながら三十八年度のスライドと申しますか、そういう形で考えておるわけでございます。鉄鋼につきましては、若干出銑の計画増加いたしておりますので、三十八年度七百九十二万トンに対しまして八百十四万トンというふうに考えております。次に一般産業でございますが、この関係ボイラー等の規制等やっておりますけれども、やはり傾向的には順次漸減をいたしておりまして、三十八年度に対しまして約二百万トンの減、すなわち二千万トンというふうに考えております。三十八年度二千二百万トンでありましたのが二千万トンという形になるわけでございます。そのほかいろいろございますけれども、そういう形で、五千三百三十万トンという需要に対しまして、供給五千四百万トンという形で需給計画を組もうとしておる次第でございます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、まず供給体制ですが、五千四百万トンの供給ということは、政府が当初計画をして、われわれにもその努力目標として掲げた五千五百万トンを百万トン割ることになるわけです。百万トン割って五千四百万トンの供給体制ですが、そうしますと、この石炭を掘っていく労務の体制というものが、御存じのとおり昭和四十二年末に十二万台というのが、すでに聞くところによると、今年度、三十九年度末には十一万七千人程度ですか、十一万五千人程度になる、こういう形になりますと、一人当たり出炭というのが有沢調査団の四十二年、三十八トン程度にいかないとそういうことにならないわけです。この五千四百万トンを掘るための、局長さんの御指摘のように、問題は生産体制にあるということになれば、生産体制の支柱というものは、労働力配置が、一体その生産体制を五千四百万トンに持っていくだけの労働体制がされておるかどうかということにかかってくると思うのです。この問題に対する石炭局考え方をまず御説明願いたいと思います。
  6. 新井眞一

    新井政府委員 先ほども申し上げましたように、五千四百万トンの出炭を三十九年度に考えておるわけでございますが、その際の三十九年度におきます実働労務者年間平均人員数を十一万七千と考えております。したがいまして、一人当たり能率が三十八・一トンという形になるわけでございます。これに対しまして調査団当時にはどうであったかと申しますと、三十九年度におきます生産を五千四百九十七万トン、約五千五百万トンという形で考えておりまして、それに対しまして平均実働労務者数は十四万五千四百名と考えておったわけでございます。したがいまして能率におきましては、三十一・五トンというふうな形に調査団当時は考えておったわけであります。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、三十九年度かなり人員は減っております。生産のほうも五千四百万トンと減っております。人の面におきましては、調査団当時よりはかなり相違が出てきておるという実情でございます。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、三一・五トン掘ることの計画で、人数が十四万五千四百人であったものが、年間実働が十一万七千人になった。そうして能率が三八・一トンと上がることになれば、これは労働強化をやるか、長時間労働をやるか、それとも労働強化と長時間労働を非常に緩和していくためには、炭鉱機械化をやる以外にないわけです。一体この段階で、三十九年度の五千四百万トンの供給体制を確立するためには、政府はいずれを選ぼうとするのかということです。もし労働強化労働時間の延長等でやろうとすれば、これは保安局長さんの非常に苦悩である災害の頻発を見ることはもう明らかです。機械化をやるためには相当予算措置を新しくやらなければならないということになる。そこで、この二者択一に迫られておると思うのだが、政府は三十九年度石炭行政を推進するにあたって、一体いずれの道をとろうとするのか。
  8. 新井眞一

    新井政府委員 お話もございましたように、調査団当時よりはかなり人員生産に比べまして減っております。しかし、この関係をしさいにながめてみますと、一つは従来実働労務者として、たとえば病院でございますとか、あるいは購買関係でございますとか、そういったいわば直接生産につながっていない坑外の者もかなりあったわけでございますが、そういう面が一つ減ってきておる。これは実態的にはほとんど変わりはなくて外へ出たという形もございます。しかし、そのほか何と申しましても、やはり集約的に非能率炭鉱から高能率炭鉱へ集中しておりますのと、さらに先生お話にございましたような近代化投資、これが順次投資効果を発生しつつあるということでございます。さらに労務者側の問題といたしましても、やはり労使の秩序と申しますか、私も驚いておるわけでございますが、従来毎年二、三百万トンのスト減産というのがございましたのが、やはりそういうトラブル減産というものが、一つ秩序によりましてなくなってきております。何となく話し合いによってものをきめていこうというふうになっております。そういう問題等がございまして、現在三十九年度十一万七千人ということに相なっておるわけでございます。しかしながら、これでいいかどうかという問題があるわけでございまして、やはり私ども方向といたしましては、良質労務者確保いたさなければなりませんとともに、これのうらはらといたしましての近代化投資につきましても十分な体制を整えていく、むしろそういう方向で四十二年度の自立安定に向かって努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 まずその良質労務者確保の問題については、御存じのように、炭鉱にはほとんど新規若年労働力の雇用というのが見られないわけです。したがって、最近は、先般私質問をいたしましたが、各炭鉱では企業内の養成所復活を鋭意はかろうとしておるわけです。この企業内の養成所復活については、労働大臣に、何らか国が施策を講じてやって、そしてここに優秀な若い労務者確保すべきではないかと言ったのだが、それは見通しのない炭鉱にいまさら新規若年労働力養成所をつくったからといって政府が直ちに促進助成措置をとるわけにはまいらぬというのが労働大臣答弁であったわけです。したがっていまのところ、良質労務者確保することは困難で、年々歳々年をとって、もはや三十九歳をこえようとしておる、四十歳になろうとしておるでしょう。四十歳になって三十一トンの計画を三十八トンまで引き上げていくということは、なかなかたいへんだと思うのです。良質労務者をいかに確保していくかということについては、労働省が参ってからもう一回聞かしてもらうことにします。  そうすると、いま一つはこの近代化投資です。良質労務者確保することが現実に困難であるとするならば、相当近代化投資をやらなきゃならぬことになるわけです。一体その近代化投資というものが、特に整備資金とか、あるいは産炭地振興資金とか賠償の基金とかいう、あと始末資金以外に、現実炭鉱設備近代化をやるための資金というものが、三十九年度より飛躍的に増加しておらなければそういうことは言えないことになるわけです。一体財政投融資の面で、そういう炭鉱近代化をはかるだけの措置が、予算面で講じられておるかどうかということです。
  10. 新井眞一

    新井政府委員 調査団当時に、いま申しました設備近代化投資計画といたしまして、四十二年まで千四百億の投資をやるということで計画を組んでおるわけでございますが、その千四百億の中で維持炭鉱に対するものもございますし、四十二年度ビルド鉱に対するものもございます。またビルド鉱に対しましても実際の骨格坑道の問題、あるいは運搬、選炭、採炭その他というふうに、それぞれ用途向き計画が組まれておるわけでございますが、現在三十九年度におきましては、いま申しますように、実際の生産効果をあげ得るような、むしろ、金額全般の問題もございますけれども、その持ってまいります投資の先と申しますか、この点におきましては、三十九年から四十一年にかけて、かなり投資効果のあがる、いわば直接部門への投資のほうが増大をしてまいるということに相なっておるわけでございます。見方によりましては、三十七年ごろはいろいろな問題がございまして、投資もおくれておりましたけれども、そういうものを三十九年度にはむしろ取り戻して、しかも増加をしていくという形になっておるわけでございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 局長さん御存じのとおり、財政投融資で、たとえば設備合理化流通合理化資金等開発銀行のものを見ても、三十八年度当初予算が百十億円、それから三十九年度計画も百十億円で、これは変わっていないでしょう。なるほどその総額は、電源開発火力発電所等の面で五十八億くらいことしはありますけれども設備合理化なり流通合理化資金というものが開発銀行から出る額は変わっていないですね。三十八年度当初と同じです。そうすると、設備投資に持っていく開発銀行の額が同じだ、そして目標は三十九年には四十年度末と同じ体制をとっていく、二年ないし三年の実質的な繰り上げの体制をとろうとすれば、よほど新しい力強い労働力を投入し、そして財政投融資炭鉱に注入しなければ、炭鉱の若返りと供給体制はできないじゃないかと思うのです。これは何よりも数字というのは正直なんですから、そういう数字体制にならないのに、良質労務者確保近代化投資で五千四百万トン体制をつくるといったって納得がいかない。もう少しそこらを具体的に数字で御説明していただきたいと思うのであります。
  12. 新井眞一

    新井政府委員 近代化投資に関連をいたします予算面におきましては、先生のおっしゃいましたように、そんなに変わっておりませんけれども、実際に企業投資をいたします際には、いろいろな資金繰りの関係で出てまいるわけで、したがって御承知のように、整備資金等かなり持ち出しの金が企業としては少なくなります。これはかなり膨大な数字に相なりますので、そういうものが余力として相当設備投資になっていくというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますと、三十九年度合理化工事が、大手関係だけでございますが、二百五十五億でございまして、三十七年度が百七十一億、三十八年度が百八十九億でございますので、かなりの増強に相なるわけでございます。しかも先ほど来申し上げましたように、直接の投資効果のあがる方向にようやく手がかかっておるということになるわけでございます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、三十九年度合理化工事に二百五十五億の金を投入するということになると、あとの百四、五十億というものは自己資金ということになるわけでしょう。いわゆるコマーシャルベースに乗った自己資金でやるということになると、開発銀行が前年と同じように百十億くらいだが、いまの炭鉱には担保力もなくなっているし、あとで触れてきますが、合理化事業団ももう炭鉱に金を貸すのはたいへんだと言っている。きょうは合理化事業団は来てもらっていないが、合理化事業団はお手上げなんです。貸した金を取るめどがないわけです。これが二百五十五億ということになれば百四、五十億というものはコマーシャルベースに乗った自己資金でいかなければならぬ。すると、一体いまの炭鉱にそれだけのものを貸す体制があるのかどうかということです。ここらの説明をしてもらわないと、二百五十五億合理化工事資金を予定している、整備資金は減るといっても、整備資金は、たとえばことしの予算と去年の予算と比べて、去年は当初予算で六十億、これはあとでたぶん追加があったと思いますが、ことしは三十五億です。そう何百億と回る余力はないわけです。そこらの、二百五十五億の内訳を御説明になっていただきたい。
  14. 新井眞一

    新井政府委員 自己資金の点でございますけれども、単にほかの銀行から借り入れてまいるというのもございます。しかしながら主力は減価償却でございまして、それぞれ企業としては投資をいたしますために、減価償却というものを毎年々々やっておるわけであります。もっともそれが名目的でございまして、実際に償却ができないというのもございますけれども、そういった減価償却的な面はかなりに、おかげをもちまして進んできておりまして、本年度は昨年度に比べましてかなり増加するというふうに考えておるわけでございます。それから借り入れ金はなるほどむずかしゅうございますけれども、やはり政府関係の金が入るのだということによりまして、協調的に幾らかの民間の金融も行なわれるということが一つ。  それからもう一つは、返済をしなければならないもの等がございますので、したがって財政投融資の面では同額でございましても、運用の面で実際の投資のほうに回し得る事業団金等もあるとお考えをいただいていいのではないかと考えておるわけでございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 二百五十五億という数字は出たけれども、具体的にどういう内訳で二百五十五億の金が集まるかということについては、はっきりしないのです。この二百五十五億の中には、開発銀行の百十億が入っておるわけでしょう。
  16. 新井眞一

    新井政府委員 それでは計画数字を申し上げますが、先ほど申しましたように、大手につきましては、二百五十五億の合理化工事、中小を入れますと三百億になるわけです。その中で政府関係といたしましては百四十四億、その中には開銀、それから近代化資金がございます。そのほか社債でございますとか、あるいは増資でございますとか、これはわずかなものでございますが……。そのほか先ほど申し上げました、減価償却を含んだ自己資金という形になるわけでございます。参考までに三十八年度を申し上げますと、三百億に見合います数字が二百三十三億でございます。百四十四億に見合います数字が百三億でございます。なお減価償却の点は、三十八年度は約百二十億でございましたのが、三十九年度は百五十億くらいと私ども見込みをつけたわけでございます。——失礼いたしました。いまの三百億と申しますのは、合理化工事以外に維持工事を入れました大手数字でございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 どうもちょっと内容がよくわからないのですが、実際に炭鉱が三十八トンの出炭をあげていくためには、相当設備近代化合理化をはからなければ、もろ手労働でやる以外にない、良質労働力を投入する以外にない。いま良質労働力の投入ができないとすれば、低賃金、長時間労働で安いコストの石炭を出す以外には、石油と太刀打ちすることができないというのは、資本主義自由経済のもとにおける必然的な姿です。ところが炭鉱には金を貸さない、もうこれは合理化事業団さえ、炭鉱に金を貸したらとるめどがない、こう言っておるのです。そうしますと、現実には、開発銀行が去年と同じだとするならば、コマーシャルベースに乗りかえるというものはなかなか出てこないと私は思うのです。いまの説明ではどうもちょっとわかりかねるので、あとからひとつ資料として詳細な、財政投融資もひっくるめた一覧表を出していただきたいと思います。いいでしょうか。ぜひひとつそうしていただきたいと思います。  炭鉱近代化をはかっていくためには、結局近代化投資が非常に重要であるということはもう明らかです。ところが私の勘では、この金が必ずしも確保できる情勢にないという感じがするわけです。一体三十八年度のそういう供給体制をとる中で、まず需要のほうはあと回しにして、その供給体制の姿をもう少し明らかにするために、三十八年度合理化の進捗の状態は、三十九年度に向かってどういう姿で進みつつあるか。まず第一に昨年計画をした数字と、そしてその数字がどういう形で三十九年度になってきておるのか。当初見込みをしたものが最終的には、北海道の幾ぶんかを残して、三井田川等も入れて六百七十一万トンの数字だったと思います。三井田川等は本年度に繰り越しておりますから、この数字現実にどういうように進展をしておるのか、これをもう一ぺん復習の意味でひとつ御説明を願いたい。
  18. 新井眞一

    新井政府委員 三十八年度当初におきまして、買い上げと申しますか、俗にいえば買い上げ申請をいたしましたものが七百十八万トンでございます。この中には、自分のほうはこのくらいの出炭量だという、かなり欲目の数字も入っておりますので、そういう査定減が約三十二万トン、それから申し込みを撤回いたしましたもの、これは早く申し込んで席を取っておこうという考え方もあるわけでございますが、そういうものが二百三十七万トン、そこで実際にいまの申請によりまして処理を進めておりますものが、したがいまして四百二万トンでございます。この四百二万トンの中で、三十九年の、ことしの二月半ば現在の状況でございますが、交付金交付決定をいたしましたものが、二百五十五万トンでございます。手続中のものが四十二万トン、それから評価中のものが九十六万トンでございます。それからそのほかの取り進め手続中のもの、わずかなものでございますが、九万トンばかりございます。それからそういう事務の取り進め決定をいたしましたものもございますし、手続中のものもございますが、取り進めが未了になっておりますもの、これが四十七万トンでございます。三十八年度申請と、その後の交付金決定及び事務の進め方については、大体以上のような状況でございます。
  19. 滝井義高

    滝井委員 七百十八万トンの買い上げ申請があって、査定減が三十二万トン、申し込み撤回が二百三十七万トンで、二百六十九万トンが脱落したわけですね。七百十八万トンから二百六十九万トンを引くと、四百四十九万トンになるのですね。
  20. 新井眞一

    新井政府委員 御承知のように、交付金の未納とかそういう問題、いろいろございまして、取り進めをやっておらないというものが、先ほど申しましたように約四十七万トンございますわけであります。したがいまして、算術をいたしますと合うはずでございます。
  21. 滝井義高

    滝井委員 四百四十九万トンから四十七万トンの取り進め未了を引くわけですね。そうすると四百二万トンになります。そうしますとこの数字は、昨年われわれに政府説明をした数字とちょっと違うのですね。これはどうしてですか。この前は七百十八万トンという数字は全然出ていないのです。これは私詳細に質問をして、議論をして、それぞれ北海道なり九州の山で落ちたもの、それから三十八年度では合理化計画の中にはのぼしておるけれども、実質的には予算関係その他があって三十九年度に繰り越すんだ、たとえば三井田川炭鉱のごとく繰り越すんだということで、実質的にはこういう数字というものは全然出ていないわけですよ。もちろん計画実施段階になったら、違ってくると思いますけれども、昨年の数字を基礎にして御説明を願わぬと、昨年の数字と今年聞いた数字とが、悲しいかないまここに昨年の数字を持ってきておりませんが、ちょっと違うわけです。七百十八万トンなんという数字は、全然昨年出ていない。
  22. 久良知章悟

    久良知説明員 ただいまの、局長説明申し上げました七百十八万トンと申しますのは、昨年度の当初に実施計画として御説明を申し上げましたときには、ちょっと正確な数字は失念いたしましたが、たしか六百九十三万ですか、そういう数字になっておるかと思います。この差は、大きいのは、昨年度中に宇部の大浜炭鉱が水没いたしまして、スクラップの余儀なきに至ったわけでございます。この事情につきましては先生御存じだと思いますが、そのときに特に受付を再開いたしましたので、約二十万トンほどふえた、こういう結果になるわけでございます。それから、詳細な資料はここに持ってきてございませんが、昨年の実施計画のときと大きな食い違いとして出てきましたのは、ただいま局長が申し上げましたように、申し込みの七百十八万トンの中で、二百三十万トンについては、申し込みを撤回したわけでございます。この中には、私どももちろん当初から撤回するであろうというふうに予想しておった山もかなりあるわけでございますが、閉山をすると思っておったのに、撤回をして操業を継続するという山が約百二十万トンほど出てきております。そのかわり、これは中小でございますが、当初閉山しないであろう、三十八年度中にはまだ閉山しないであろう、三十九年度ないし四十年度になって初めて閉山をするのではないかというふうに考えておりました山が、諸種の事情からやはり三十八年度中に閉山をいたしまして、この分は買い上げとしては三十九年度買い上げに申し込んでおるわけでございますが、そういう山がやはり約百二十万トン近く出ておりますので、全体の閉山の規模といたしましては、三十八年度実施計画としておきめ願いました五百五十三万トンという数字と、結果においては大きな開きが出ていない。ただし、内容においては百二十万トン程度の食い違いがその中に生じておるわけでございます。
  23. 滝井義高

    滝井委員 ようやくわかりました。そうしますと、七百十八万トンという数字が昨年われわれに説明のあった六百九十三万トンと大きく食い違ったというのは、二百三十万トンも申し込みの撤回をしたというところなんです。私はこういうところに非常な石炭政策上の大きな誤りがあると思います。五万トンか十万トンくらいならいいけれども、二百三十万トンというと、申し込んだものの三分の一なんですね。三分の一の山が、申し込みをしておいて、そうして情勢次第によってはころっと変わっていくということになると、石炭需給計画においても非常に大きな違いが出てくるわけです。百万トンということになると、労務者の数にしても約一万近いわけでしょう。一体これはどういうことでこういう申し込み撤回なんということが出てくるのか、これは、とてもこの山はだめですということで申し込みをさせるわけで、まだやっていけるという山が申し込みをするはずもなかったわけです。こういうたいして客観情勢が大きな変化も見せない、むしろ合理化というのは急角度に進んだはずの三十八年度に、三分の一の炭鉱が生き残ろうという意欲を示したというその根本的原因というのはどこにあるのか、こういう石炭政策の根本を狂わすような百八十度の意思の転換をやった理由は、一体どこにあるのかということです。
  24. 新井眞一

    新井政府委員 確かに先生の御指摘いただきますように、こういった石炭政策を進めてまいります段階で、やはりどういう炭鉱が将来五千五百万トンの重要なエネルギーをささえていく炭鉱かという一応の目安は持っておりますけれども、やはり炭鉱状況によりまして、いわば申請ベースによって、それと一緒にかね合わせながら合理化計画を進めていっておるというのが実態でございます。もっとはっきり申しますれば、いまの経済体制の中で、お前これは死ね、お前これは生きろ、こういう形ではなくて、やはり会社の申請がもとになりましていろいろ判断をし、指導をしておるという体制になっておるわけでございます。さような意味でいろいろ問題があるわけでございますが、特にいまの申し込み撤回の中でかなり大きな分野は、もうやっていけないということで申請はいたしたのでございますけれども、労使のいろいろな問題もございますのと、もう一つは、それが閉山いたしますとたちまちいろいろ産炭地振興等の問題もございまして、第二会社として存続していくというふうな形のものが、これも先生承知のように相当あるわけでございます。そういうものが大勢を占めておったと思いますが、この点につきましては今後いろいろ問題もあろうかと思いますので、私どもとしてもかなり行政指導はやっていかなければならぬと思いますけれども、やはり物事のきまり方と申しますか、進め方が申請ベースになっておるというところに一つの問題があろうかと考えておるわけでございます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 結局申し込みをしたものの三分の一が申し込みを撤回をするということは、私は石炭の客観情勢が変わったからだと思う。いろいろ理由があるかもしれぬが、第二会社というのは、この前から委員会でも約束されておるように、雇用対策上どうしても必要だという場合以外は認めないということになっておる。これは先日の鉱業法の審議の中においても、鉱区の分割その他をやって第二会社をつくるなんというようなことは、原則としては認めませんと言明をされておるわけでしょう。申し込んだ三分の一のものが、方針を転換をする、死のうと思ったものが生きていこうというのですから、目をつぶって華厳の滝に飛び込もうとしておった人間が、かつ然として今度はあらしの中を生き抜こうというのですから、これはよほどの決意です。やはり客観情勢、外からの何らかの刺激がなければそう変わるものではない、内部的な要因だけでは変わるものではないと思う。したがって私はここらあたりにも、もはや日本の石炭政策が、死にますといった炭鉱の三分の一が生きるという形に転換をしてきたということは、何かそこに私は再検討をしなければならぬ時点がきておるのではないかという感じがする。しかも五千四百万トンの石炭を掘りたいといっても、五千四百万トンはなかなか出ないということになれば、ここらあたりで政府石炭政策の抜本的な問題について考え直す時期が来ておると思うのですよ。その点について一体あなた方は、このように七百十八万トンを申し込んだのに、そのうちから二百三十七万トンも撤回をするという状態を、一体単純に、これはもう申請ベースだから撤回するのはやむを得ませんというだけの簡単なものの見方で引き下がっておっていいのかどうかということですね。私はこれはそういうわけにいかぬのじゃないかと思う。そうしますと、だんだんことしの問題に入ってきますけれども、ことしもこれは非常に問題になってくると思うのです。一体この根本的な問題をあなた方としてはどう分析をし、また、そのまま見過ごして依然としていままでどおりの合理化の方式を続けておっていいのかどうかということです。これは大臣に質問したいところなんですが……。
  26. 新井眞一

    新井政府委員 約七百万トンぐらい申請をして、二百四十万ばかり、三分の一申請の撤回をした、この事態をどう見るかということでございますが、いま先生のおっしゃいますように、それだけ石炭鉱業に自信ができて、それでやっていこう、こういう形のあらわれでないかという御意見につきましては、私どもは少し問題があるように考えるわけであります。と申しますのは、実際にこの申請撤回をいたしました二百四十万トンは、先ほど申しましたように、第二会社が約百二十万トンぐらい、そのほか保安勧告でありますとか、あるいはいろいろなケースもあるわけでございまして、さらに三十八年度は延びていっても、三十九年度に再申請をするというものもあるわけでございます。申請撤回をしたものが起死回生的にやっていくという形といいますよりは、むしろ三十八年度申し込みをしておかないとあとで困るからというような感じでの申請であり、申請撤回であるやに私どもは分析をいたしておるわけでありまして、その点は先生のお考え方とちょっと私ども違った考え方を持っておるわけでございます。しかしながら、いま申しましたように、そういった申請ベースでこの重要な石炭合理化をやっていっておるわけでありますけれども、そのとおりでやっていっていいかどうか、この問題につきましては、特に三十九年度五千四百万トンというふうな形と相なっておりますので、私どもかなりくふうをして進めていかなければ相ならぬというふうに考えております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 大臣がいらっしゃったので、実はいま、三十八年度申し込みは七百十八万トンであったことは大臣もお聞きのとおりです。ところがそのくださいと申し込んでおったのが、中途で二百三十万トン程度申し込みを撤回しているわけです。いわば買ってくれと言った人の三分の一が撤回したわけです。いまの局長さんの御説明によれば、三分の一申請を撤回したのは、石炭鉱業に自信ができたからではない、これは百二十万トンが第二会社で、あとは三十八年度を取りあえず撤回して延ばして、三十九年度ぐらいになったらまた申請するものだ、こうおっしゃるわけです。しかし、これは御存じのとおり、石炭鉱業の経営者というものは、すね一本腕一本でたたき上げた人が相当多いわけです。これは三井、三菱においても、明治の第一代目はみんなそういう形です。したがってこういう人たち、なかなか機を見るに敏ですよ。しかもこういう石炭資本は、他のものになかなか転換しにくい状態です。そういう人たちが急激に他のものに転換できる経営的な才能が備わっておれば、産炭地の問題はわりあい解決するわけです。ところが石炭鉱業をずっと長くやり始めると、なかなか気やすく他のものに転換できるだけの要素が少なくなってきているわけです。そういう一つのものも流れておって、同時に機を見るに敏です。それはいままで日本の石炭鉱業が非常に投機的で、波の浮き沈みの中を歩んできている産業ですから、したがって最近になって石炭労働力が不足、そして案外池田さんの高度経済成長政策で、石炭もこれはもうちょっと持ちこたえておったらいけるぞ、もうだいぶ死んでしまったから、生き残りさえすれば何とかいくぞという気持ちも出てきた姿で、最悪の場合は順番だけはとっておかなければならぬから申し込んでおこう、しかし事態が少しでもよくなるということになれば、先に延ばそう、こういう形があるのではないかと思う。  そういう形になると、これはまず第一面としては、申請ベース自体、合理化のやり方についても検討しなければならぬということが一つあらわれてくるが、同時に石炭産業自体についても、あなた方が増強群とか維持群とかスクラップ群とか、四つくらいに分けて説明しておりましたが、そういうものをきちっと分けたならば、それを実行していって、ビルドアッブする山はビルドできるだけの財政投融資をつぎ込んでいくという体制を何かここらあたりで——うやむやのうちに、ただ申し込みをして撤回したらそれまでだ、こういうことでなく、何かここらあたりでけじめをつける段階に来ているという感じがする。そのためには、その合理化のやり方についても再検討する必要があるのではないか。三分の一も撤回をしているんですから、全く合理化見通しは、事務的に見ても立たない。それから保安その他の監督の面から見ても、それはつぶれる山だと思って手をゆるめておったら、つぶれずに来年、再来年と生きていくということになれば、保安監督はもっと厳重にやらなければならなかったということになる。つぶれる山だから、ひとつ設備投資をやらずにさしておいてくださいと言われて、そうか、君のほうは申し込んだなら、やがて事務が始まると言っているうちに、ガスが爆発すると大臣は一体どうお考えになるかということです。何か一つの転機に来ているような感じがするんです。
  28. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま御質問のとおり、また政府委員が御答弁申し上げたとおりのような数字になっておりますが、私は一つ石炭産業としての変わった転機が来ているというふうには考えないで、滝井さんがいまお話しになったとおりのような事情で、一応申し込みはしたけれども、また考え直すという場合もあるでしょうし、いろいろの事情がその間に伏在はいたしておりますが、このことによって、二百万、三百万のものがそういうことがあったからといって、石炭鉱業全体についての一つの問題の転機があるというふうには考えません。ただ、ボーダーラインにあるようなところは、いずれにしても今後ずっとやっていくか、あるいはどうしてもやめなければならないようになるかということはあるのでございますが、それだからといって、維持群に入っているものだからどうする、完全にこうするということは、大体あの区分けをつくったときの感じが一つ計画でございまして、維持群ときまったから絶対それで押していくんだという式の考え方ではないと思うので、そこのところは特にここで事情が変わったというふうに考えて施策をしなければならないとは考えておりません。
  29. 滝井義高

    滝井委員 局長にお尋ねしますが、合理化が始まってからずいぶん多くの山が買い上げられたわけです。総数はちょっと忘れましたが、一体過去の年度で、申し込んだ中からその三分の一も撤回した実例があるか。ないと思うんですが、あったら教えていただきたい。
  30. 新井眞一

    新井政府委員 三十七年度状況を申し上げますと、五百万トンの申請に対して、撤回いたしましたものが約百万トンでございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そういうふうに、五分の一そこそこでしょう。三分の一したというととは、やはりここに石炭産業に対するものの考え方が違ってきているのじゃないかという感じがする。というのは、経営者自身のPRのために各山から出ている会社の雑誌のようなものがある。それによると、この前もここで指摘しましたが、石炭産業はいまや斜陽産業ではなくなっていると書いておる。きのうまでは石炭産業は斜陽産業でもうだめだからやめてくれ、やめてくれと言っていた。ところがいまや、斜陽でなくなった、そして、わが炭鉱に来たれ、来る者は仕度金十万円だと言っておる。そこで、大手炭鉱で十万円くれるというので、中小の山からごっそり大手の山に行ってみたところが、大手炭鉱では長い時間働いて、労務管理が激しい、第二会社ではストライキもできぬというので、十万円もらったけれども、四、五日したらぞろぞろと小山のほうに帰ってしまった。小山のほうがやはり楽だ、こういう形がある。もう働き手がなくなって因っておるという事情でしょう。そういう点からも、何か石炭産業の内部に変わったものが起こってきておる。それからもう一つは、需要供給の面からいっても、これは電力鉄鋼によけいに食わせようと思ったって、食わせる石炭がないのですから、いまでは出てうと思った者もかつ然として生き抜いていったら幸運がくるかもしれぬという気持ちになるのは当然じゃないでしょうか。だから申し込んで順番だけとっておけばいい、炭はどんどん掘るということになる。こういうことから高松炭鉱のように、上がり山で払いをどんどんしておったということで、おそらく監督がやはり放漫になる、組み夫も入れておるということで、ああいうことになるわけです。ですからこういう点はやはり、転機がきておるとするならば、何かきちっとした政策を、労務政策においても、生産体制の中においても、買い上げ等の事務においても、もう少しきちっとした体制を立てる時期が石炭産業にはきておる、いままでとちょっと違うぞという感じが客観的に出てきておると思うのです。労務の面を見ても、いま言った近代化資金を投入しなければならぬという面を見ても、買い上げ申請の三分の一も撤回されるという状態から見ても、何かいままでと違った状態が石炭産業にはきておる。それがいいほうなのか悪いほうなのかよくわからぬけれども、とにかくきておることは確実です。そしていままでのような強い合理化はもはややれる状態でなくなっていると思うのです。合理化を強くやればやるほど労務者はいなくなってしまうのですから。そして五千四百万トンどころじゃない、三千万トンも炭が出ないという状態が、少し強硬にやればくる。石炭政策プロパーについても、石炭鉱業における労務政策についても、賃金の政策についても、私は変わらなければならぬ時代がきておるという感じがするのですが、こういう点どうですか。
  32. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 大体石炭対策を立てるに至った経緯から見ましても、石炭産業が非常に悪かったことも事実ですが、非常に悪いということでなければ、このような特殊な措置はとれなかったと思うのであります。だからいままでは、非常に悪いのだ悪いのだということできておったわけであります。しかし一応最近になってみますと、特殊事情ができて、それはどういうことかというと労務が不足するということであります。労務が不足するのはどういうことかといえば、合理化でやめる人よりは自発的にやめる人が相当多かったということが、当初の予測より違ったところでありますが、いずれにいたしましても、人が足りないということは事実です。その人が足りないときに、もう石炭産業はだめなんだという宣伝をし出したらますます減ってしまいますから、どうしてもそういうような宣伝はなるべく差し控えるようになるだろうと思う。一方積極的に人を採ろうというときには、だいじょうぶだから来ないかというPRも必要になってくるし、また事実問題として、石炭産業自体が五千五百万トンという目標を持っておるにかかわらず、これが五千三百万とか四百万しか供給ができないというような状況下において、たとえば去年の暮れあたりからことしの春にかけて石炭の市況が強含みになってきたというような事情もございます。いろいろ事情はありましょうが、先生が言われるように、もうある程度進んだから、ここらで生き残っていけば何とかなるのだという先の見込みを持った者も、私はないとは言えないと思う。いろいろな事情がここに総合されて、石炭産業はそれほど悲観する必要はないのだ、やればやれるのだというような一つの雰囲気が出てきておることも事実であります。特に去年、国際的な石炭会議が日本において行なわれました。そのときイギリスの代表が来て、将来二十年、四十年の後においては、むしろ油よりは石炭のほうが重要性を増すかもしれぬというような見込みを発表したりしておりますのも、こういう動きに拍車をかけることになっておるとも思うのでございますが、しからば実態がどれほどほんとうによくなってきたからこうなってきたのかどうかということになりますと、まだそう簡単に割り切って考えるわけにはいかないのではないか、もうしばらく推移を見てみなければこの傾向を明らかにすることはできないのではないか、すなわちここ一年くらいはもう少し模様を見てみる必要がある、そうすれば、先生のおっしゃるようなことになるかどうかもはっきりした見通しがついてくるのではないか、かように私は考えておるわけでございます。
  33. 滝井義高

    滝井委員 石炭産業は、いままでは過剰の労働力をかかえておったということが、石炭産業の前進の上に非常に大きな足手まといになるのだという議論も立った。同時に石油が入ってくる。しかも過剰労働力でコストが高くなる。石炭産業の本質としてもろ手労働にたより、人力にたよらなければならぬという面が、日本の炭層の薄層の上に、特別の炭鉱以外は機械化が進まないというところに根本的なものがあったわけです。ところがいまやこの企業が過剰な労働力どころではなくて、逆に労務不足の事態に直面したということです。いわば機械化近代化の最高の時期を迎えたのだけれども、何せ財政力が弱くて、法律をつくって企業のささえをしてもらわなければならぬ、石炭鉱業の経理の規制を法律でささえてもらわなければならぬというような時期なものだから、なかなか合理化をさっとやるだけの自己資金もないし、といって、政府の金も、開発銀行その他から貸すのも、うんと借金をかかえておるわけですから、限界がきているというようなことで、これはもうしばらく推移を見なければならぬかもしれぬけれども、その萌芽的な形態は、何か抜本的にいままでと違った対策を石炭産業にやらなければならぬというところにきていると思うのです。  そこでもう少し議論を進めてみますと、ことしの目標は五百五十三万トン、そうすると、五百五十三万トンの目標で、実際に交付金決定したのはいまの御説明で二百五十五万トンでしょう。そして二百五十五万トンに、そのほかの手続中四十二万トン、評価中九十六万トンを加えても四百万トンくらいしかならない。そうすると、五百五十三万トン達成といっても、なおあとぐずぐずしておる連中があるわけでしょう。こういうように、何かちょっといままでと違った形が出てきているのではないかという感じがするのです。いま七百十八万トンの中から三分の一脱落した、そして残ったものだけを、今度はその買い上げの業務の進行状態を比較してみても、なお百万トン以上のものが何か足踏みをしたり、問題が解決していないということになれば、こういう連中は炭を掘っている、掘らなければたいへんですから、おそらく掘っているだろうと思うのです。評価もやっておらぬから、評価の段階になると掘るのをやめて、歩くだけ、ポンプアップだけになるかもしれぬけれども、掘っているわけでしょう。
  34. 新井眞一

    新井政府委員 三十八年度交付金決定のほかに保安勧告とか自然消滅とか全部入れまして五百五十万トンという形になるわけでございます。先生のおっしゃいますように、最近情勢が少し変わってきておるのではないかという点でございますが、大臣が先ほどお答えになりましたように、かなり石炭の市況が強含みでございますので、ボタの水洗いをやっているという点もございますし、そういう点で若干の食い延ばしという点はあろうかと思いますけれども、基本の線におきましては問題は変わっておらないと思います。ただ人の問題、むしろ労務確保の点におきましては、調査団ベースからいいますと相当な相違になっておりますので、この点を三十九年度実施計画を進めます途中におきましていろいろと私ども慎重にものを考え、検討していきたい、こういうふうに考えますが、あくまでも基本のラインは変わっておりません。いわばそのラインを実行するための政策の転換では絶対なくて、政策の補完と申しますか、そういう点におきましてはあるいはいろいろ考えていく点もあろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  いまの数字関係は、先ほども申しました四百万トンのほかに保安が三十万トン、それから自然削減が四十三万トンでございます。五百五十三万トンの数字で保安が三十、自然消滅が四十三、それから買い上げと申しますか、交付金のものは先ほど四百二万と申しておりますが、三十七年度からのずれ込みのものもありまして四百八十万、それで五百五十万トンという形になるわけでございます。
  35. 滝井義高

    滝井委員 その数字はまた、三十八年度と同じように一覧表にしてひとつ出してください。ここでこまかい数字を言っておってもなんですから。いま局長さんの御答弁のように、私も基本ラインはそう変わったとは思わないのです。変わったとは思わないけれども、とにかく石炭の市況というのは強含みで、石炭会社にも、金をうんと借りておるくせに株の配当をやろうかというのが出てきておるわけですね。基本ラインは変わっていないけれども、政策の転換ではないけれども、政策の補完であるということですが、やはり政治というものは先を見ることが必要だと思うのです。全部症状があらわれてしまって、これはこうしなければならぬというのは、それはやぶ医者です。やはり名医は一、二の症状の中に病気の長期の展望を見通して、早く診断をして早期治療をやるから名医なので、全部症状があらわれてしまったら処置がないですね。そこで一、二の症状のうちに先をやってみたらどうか、こういうことなんです。実は私が言いたいのは、そういうように石炭産業の底流というものはそう変わっていないけれども、その底流の中に、いままで寒流ばかりが流れておった中に、幾分あたたかい暖流がまじってきはじめた、こういう傾向が出始めているのです。そうすると、漁場ではイワシやサバの寄りつき方も違うように、やはり石炭産業も幾分違ってきます。違ってきたら、その補完的な政策でもけっこうですから早目に出して、見通しの誤りのないようにしてもらう。いままでは、与党の連中も言っておるが、池田さんの政治は後手後手に回っておって、ちっとも先手がない。やはり石炭産業もいままで後手だったのです。だから、この基本線は変わっていないけれども、幾分市況等が強含みになり、労働力が不足をし出してきたということの段階で、ひとつ先手をとってみたらどうだ、そのためにはやはりこの際こういう情勢の変化があるので、もう一回筑豊なり北海道の状態を、有沢調査団をもう一ぺん編成をしてもらって見てもらう必要があるのじゃないか、そうして産炭地の振興の状態なり、ボタ山処理事業が一体現地の状態に合っておるのかいないのか、それから、労務不足の状態はどうなのかということを総合的にもう一回ここらあたりで見通して、きちっとしたものを、今度は後手でない、先手をとった長期の見通しに立った展望を、一年間の情勢を見てその上で決定するのではなくて、前もって調査団でも出してやる必要があるのじゃないか。私、この点は一応総理にもお聞きしてみたいと思っておるのですが、まず主管大臣である通産大臣としてそういう意思があるのかどうか。大橋労働大臣は近く産炭地の状態をもう一ぺん見ておきたいというお話もあるわけですから、労働省にもこれから少し尋ねるわけですが、とりあえずいまの需要供給状況のアウトラインをお聞きして、どうもいままでの質疑応答の中からそういう感を深くするわけですので、もう一回ここらあたりで産炭地の実態を、これは同じような有沢調査団でけっこうだと思うのですが、見てみる意思はないか、通産大臣、もう一ぺん再検討する意思はないかどうかということです。
  36. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先を見通して政策をせねばいかぬというお話は、非常にけっこうだと思うのであります。もっとも池田さんは十年先を見通し過ぎたものだから、かえってあなた方におしかりを受けているかもしれぬ。しかしやはり先を見て政治をやるということは、政治をやる者の当然考えるべきことでございます。そういう意味からいって、もう一ぺんひとつここらで調査団を編成してはどうかというお話でございますが、実際の実態をわれわれはかなり把握いたしておると思う。いやしくも通産行政をやっております以上は、そういう実態を把握しないで政治をやっておりません。したがって、いまそういう徴候があるではないかということについて、われわれは何も反対をしているわけではないのであります。先生の趣旨をよくくみ取りながら、行政面においても政治面においても十分誤りなきように努力はいたしたいと思いますが、もう一度ここですぐに調査団をつくるということについては、慎重に検討をさせていただきたいと思います。
  37. 滝井義高

    滝井委員 私はすぐとは申しません。やはり三十九年度合理化計画石炭の需給の計画、それから雇用の計画というようなものがほんとうは石炭鉱業審議会にかかる前に行ってもらえれば一番いいのですが、国会の関係その他もあってそうもいきませんでしょうから、そういうものが一応でき上がったならば、それをひとつ足場にして、もう一回新しい観点から、国会の終わったあと調査団でも編成をして実態を見てもらう、そして石炭鉱業審議会の立てた計画が現場のものとうまくマッチしているかどうかというような点をやはり見きわめてもらう必要があるのじゃないかという感じがするのです。そうして、それを今度は、ことしじゅうにそういう形でおやりになったら、来年度昭和四十年度予算編成の前には、局長のことばでいえば補完的政策ですか、私たちからいえばおそらく政策転換になるのじゃないかと思いますけれども、そういうものをやはり出す必要があると思うのです。そうしないと、これは有沢調査団のあの一昨年に出していただいた答申というのが、どれも的を射ていないのですよ。やはりこれは有沢さん自身としても何かうしろ髪を引かれるところがあると思うので、ここらあたりでもう一回新しくあの調査団答申の結論を書き直すことが必要だと私は思う。これは全部間違っておったのです。それは有沢さんが間違ったのではなくて、大臣もさきに言われたように、どうも炭鉱閉山をして、そしてその計画に乗せようと思ったところが、労務者のほうが先にどんどん希望退職をしてしまった、やめてしまったのだというけれども、それはだれがこんな私にしたのかというと、やはり石炭産業を魅力なきものにした政策というものが同時に一枚それに責任を持っておるわけです。だからここらあたりで、私はいますぐとは申しませんが、閣議あたりでそういう御検討を、十分現地の情勢も把握はされておりましょうけれども、通産行政の立場からと労働行政の立場からと、それから同時に日本全体の産業の立場、昨年十月の石炭大会における米英等の学者やら経験者の報告に見ても、石油産業、石油資源というものは将来やはり幾ぶん不安があるぞという警告も出ておることだしするから、ここらあたりで、一応閣議等にはかって御検討してみる御意思があるかということ、すぐでなくてもけっこうです。これは来年度予算の編成に間に合うように、そういう形で私はやってもらうことが必要だ、こう思うのですが、再度大臣の御見解を伺いたい。
  38. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御案内のように、石炭鉱業審議会というものがありまして、いろいろ審議をいたしまして今度の計画も出しております。われわれはまたその審議会の方向を尊重しつつ行政をやっておるわけでありますが、御趣旨のことは審議会等にも伝えまして、実は審議会自体もそういうような意図はいささかあるわけでありまして、十分またここらでアフターケアをひとつ考えてみてはどうかという考え方はあるわけでありますから、石炭鉱業審議会等とも十分連絡をとりつつ、今後の措置について誤りのないようにいたしてまいりたいと思います。
  39. 滝井義高

    滝井委員 ぜひそうしていただきたいと思います。大臣、いまアフターケアということばをお使いになりましたけれども、これは私なかなかいいことばだと思うのです。政策の転換とかと言うと、何か変えるようになるから、アフターケアというのは、御存じのとおり、いままで主として結核患者に使われたわけですが、最近それがほかにも使われるようになった。これは病気が、空洞もふさがって熱も下がって、これからいよいよ社会に復帰する前に、一挙に社会復帰さしてはいかぬ、少しここらあたりで散歩をして、からだをならして軽い仕事をやらせながら立ち直らしていく、こういう形ですから、いままで重症の結核にかかっておった石炭産業が、アフターケアをやれるという時期にきたということは非常に喜ばしいことなんです。そういう意味で、私アフターケアでけっこうです。アフターケアという意味で石炭鉱業審議会等におはかりになり、閣議におはかりになってぜひひとつ再検討していただきたいと思います。  次は、いまのものと関連して、労働省がいらっしゃっているそうですから労働省にお尋ねするわけですが、先般予算委員会でお尋ねをしたときには、離職者が五千八百人か五千九百人程度計画を上回ったというお話があったわけです。その後たぶん一回当委員会で、職業安定局の御説明をお聞きしたことがあるのです。きょうは、いま通産省のほうから具体的に当初の計画、昨年われわれにお聞かせ願った状態と違った数字、七百十八万トンという数字が出てきたわけです。ところがその七百十八万トンの中から、申し込み撤回が二百三十七万トン程度出てきたわけです。当然そういう変化は離職者の上にもあらわれてきている。したがって離職者に変化があらわれれば、離職者対策、雇用計画にも変化が出てきておることは当然です。この合理化内容の変化は労務の計画の中に一体どういう形であらわれたのか、その合理化内容の変化に伴う離職者の変動、それに対する雇用計画、こういうものを御説明願いたい。
  40. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 三十八年度の再就職計画につきましてはこの前の委員会で御説明申し上げたのでございますが、石炭合理化が三十八年度急テンポで進捗いたしまして、当初計画では三十八年度合理化によります新規離職者は三万四千四百を予定いたしております。それが十二月に石炭鉱業審議会におきまして見直しをいたしました結果五千九百ふえまして、四万三百と一応修正いたしまして再就職計画にのせたわけです。ところが三十九年一月、本年一月の実績を見ますとこれが三万九千八百、三十八年四月から三十九年一月末までに三万九千八百名が合理化による離職者として安定所に求職申し込みをいたしております。三十九年三月末までの、これは実績は出ておりませんが見込みといたしましては、十月の見直しの四万三百を若干上回ります四万一千が求職者としてあらわれるのではなかろうか、一応そういったことで三月末の実績見込みを出しておるわけでございます。そういたしますと、三十八年度末で求職者の合計は、三十七年度末の繰り越しの求職者一万八千八百と合わせまして五万九千八百になるわけでございます。これに対しまして就職等の実績を見てまいりますと、三十九年、本年の一月末までの実績で、安定所の紹介によります就職者総数が一万八千六百名、このうち政府関係機関が千六百八十名になっております。産炭地振興事業団等の事業におきます就職実績が二千百名、それから石炭企業の会社あっせんによります就職が一万二百名、その他自営、帰農等によりまして就職なり、あるいは求職申し込みを取り消しましたものが六千名、合計いたしますと就業いたしましたものの総数が三万六千四百名になっております。一月末の求職者として安定所に求職申し込みをして、なお求職活動を続けておりますものが二万二千二百名に相なっております。二月、三月の実績見込みをとってまいりますと、三月末で安定所紹介によりますものが二万三百名、そのうち政府関係機関で二千五百名、産炭地振興事業団によります就職が二千五百名、会社あっせんによりますものが一万一千六百名、その他自営、帰農いたしますものが六千二百名、合計三万九千九百名が三十八年度中に就業いたしまして、三十九年度に繰り越します求職者の総数が一万九千九百名、こういうことに相なっております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、一万九千九百人というと、昨年当初見込んでおったものとどういう違いが出てきますか。
  42. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 三十八年当初計画では、期末滞留者といたしまして一万八千六百名を予定いたしております。十月の見直しの結果は一万九千二百名、当初より六百名の増を見込んでおったわけでございます。新規求職者が当初計画より三月末の実績見込みで六千六百名増加に相なっておりまして、期末滞留者は結局当初計画よりも千三百名の増加、十月見直しの結果よりも約七百名余りの増に相なるわけでございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 自営とか帰農とかいうのが六千二百名ですね、それから事業団、これは産炭地振興事業団でしょう、これが二千五百名、こういうところが実質的には非常に大きな違いがあるのじゃないですか。たとえば産炭地振興事業団のボタ山処理事業、当初二千五百名ぐらい使うことになっておったでしょう。実質的にはそんなに使われていないのじゃないでしょうか。
  44. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 産炭地振興事業団関係の就職総数は当初計画二千八百名でございますが、これが三月末の実績見込みで二千五百名に相なっております。それから自営、帰農につきましては当初計画で五千百名を予定いたしておりましたのが約六千六百名。新規求職者の増によりまして、当初計画より約千百名増の六千二百名の見込みになりました。  産炭地振興事業団関係の就職率につきましては、通産省のほうから御説明をいただきたいと思います。
  45. 滝井義高

    滝井委員 こういうのはみんな見込み見込みになって、実績を当たってみると、実際はその半分もいっておらぬのですね。そういう点で、どうも労働省にここでさらっと説明をしてもらうとみんなうまくいっておって、数字では、産炭地には滞留の炭鉱離職者がいないことになるわけなんです。ところが実質的には、たくさん滞留していらっしゃるわけです。だから実績見込みじゃなくて、実績をひとつ御説明を願いたいと思います。そうして現在一体どうなっておるか。たとえば自営でも五千百名を見込んでおったのが実績見込み六千六百、実績というならいいけれどもあと見込みがついて六千六百、千人以上も、約千五百もふえてくるということになります。帰農というのはとりあえず農村に帰ろう、帰ってみてうまくいけばそこにとどまるし、そうでなければ都会に出ていくが、ただ職安のお世話にならずにやっていくということだけで、実質的には潜在失業者という形になって都会に滞留をし、都会の低賃金構造のてこになるだけのことなんです。しかもこういう人たちは、ほとんど全部が中高年齢層でしょう。そんなにうまくすらすらといくはずはないわけです。問題は、約二万人程度が三十八年度から三十九年度に繰り越されるわけですが、日本経済がいまのような引き締めの状態になってくると、若年労働力は不足だけれども、中高年の労働力というものは過剰ぎみで、これを一体どうするかということが一番大きな問題になっておるわけです。したがって、むしろこの際は一万九千九百名の三十八年度から三十九年度に繰り越される数に、自営業に行った六千六百人のうちの相当のもの、やはり半分くらいのものはやがて求職の姿になることはもう明らかなんですね、こういう点。それからもう一つは、さいぜんの御説明の中にもございましたが、申し込みで二百三十七万トンの撤回をした。その中の百二十五万は第二会社になるわけです。この第二会社に就職をした人というものは、一体どういう形になるのかですね。それはどれに入るのか、あわせてひとつ御説明願いたい。
  46. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 ただいま御説明申し上げました本年三月末の実績見込みと申し上げましたのは、一月末の実績に基づきました数字でございます。二月、三月末現在につきましては集計ができておりませんので、いままでの実績を勘案いたしまして、最小限度の数字を実績見込みとして計上したわけでございます。したがいまして、産炭地振興事業団を例にとりますと、当初計画二千八百に対して、一月末の実績が二千百でございます。それから自営、帰農その他につきましては、六千九百の当初計画が、実績といたしまして一月末六千、三月末の実績見込みが六千二百ということでございます。単なる推定ではございません。  それから第二会社に入りました者につきましては、合理化によります新規求職者の数字のほかになっておりまして、これは再就職計画の中に含まれておりません。
  47. 滝井義高

    滝井委員 産炭地振興事業団で実績二千百とおっしゃったけれども、実際二千百も産炭地振興事業団のボタ山処理事業に入っておるかどうかということです。これは入っていないでしょう。私が一月に質問したときには、二百人ぐらいしかいなかった。それから十倍の二千に躍進するのはちょっとどうかと思うのです。  それから第二会社の者についても、具体的な例をあげて申しわけでございませんが、たとえば三井田川ですね。三井田川等は第二会社に行く数が千人をこえておったわけですよ。ところが全部やめてしまって、セメント工場、タイル工場等には希望者が殺到しておるわけです。ところが、第二会社には希望者がいない。だからここでも、第二会社というものをあなたのほうのこの計画に入れていないということになると、——第二会社にはもともと炭鉱としては、たとえば千人なら千人を予定しておった。ところが、実質的には三百人しか来なかった。それは三井だけじゃございません。三菱で第二会社になったところもそういう実態があらわれておるし、それから古河系統もそうです。みんな第二会社は当初計画よりがたっと就職人員が少なくて、計画を落としてきております。そうして出炭は至上命令でやらなければならぬので、非常に無理がきておることは皆さん御存じのとおりです。そうして第二会社は労働組合もなかなかつくらせないという形になっておる。入れるときに厳重にやるわけです。こういう第二会社における計画の狂いというものは、一体どういうところに数字があらわれてくるのですか。
  48. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 三十八年度新規求職者が当初計画三万四千四百が六千六百ふえて四万一千になりますと申し上げました、その増加の理由の一つに、ただいま滝井先生お話のように、当初第二会社に千名予定しておった、たとえば三井田川、山野あたりから三池に配置転換を予定しておった、そういうものが当初計画より配置転換なり第二会社に移る人が減りまして、相当数が求職者としてあらわれるような結果に相なっております。こういったものが六千六百という新規求職者の増加数字の一部分をなしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、第二会社に行く人、あるいは配置転換によってほかの山に移る人、そういった者は合理化による当該山からの離職者の数からははずして、再就職計画に計上しておりません。そういった計画によって配置転換なり第二会社への移行が当初計画どおりいかなかった分については、求職者として合理化による再就職計画に計上しておるわけであります。
  49. 滝井義高

    滝井委員 第二会社に、たとえばいま言ったように、ある第二会社に千人の予定だったのが、五百人とか六百人とか、半分とか三分の一しか行かなかったということになれば、その分がすぐに職安に行くかどうかということは問題です。たとえばくにに一ぺん帰ろう、第二会社に行く予定であったけれども、都合が悪くなった、炭鉱にもあっせんを頼まれないということで、炭住に滞留する人もおれば、一時故郷に帰る人もある。それは帰農という形になってくる。しかし、この人たちは必ずどこかにあらわれてこなければならぬ。そこで、帰農という中に相当あらわれるが、時期をおいて求職戦線に出てくることは確実です。こういう者は手帳を持っておるから、炭鉱離職者計画に当然入らなければならぬということになる。そういうものが一体どういう形になるかということが明らかでないし、それからいま三井田川の例をお話しになりましたが、三井田川から三池に行くことになっておった千人なら千人が行かないのですね。これで三池の雇用計画にも支障をきたしておるということになるわけです。こういう第二会社に行くはずのが行かなかったもの、同時に、増強分の炭鉱配置転換されるのが、もう炭鉱はあぶないといって行かなかったもの、こういう二重のものが出てきてしまうわけです。こういうものに対する数字というものがはっきりしないわけです。ここらの数字は、雇用計画というものは各炭鉱別に洗ってもらって、そして三井田川なり山野が閉山をした、そして三池に何人くらいの配置転換をやり、セメントに幾ら、タイルに幾ら。ところがそれが実際には、セメントもタイルも計画とおりにいっていないのです。計画どおりにやっておるところはどこもないんです。三井田川を閉山することによって三池に行く分も違ってきた。セメント、タイルに行く分も資金関係その他で違ってきた。第二会社も違ってきた。全部計画は違ってきているのです。全部違っておって、そして出炭だけは、四十三年の当初には三十八トンという、有沢調査団と同じようなものが出てこようとしているわけでしょう。これは、われわれとしては、いまのように、全部計画がつぶれて、炭鉱労働者の行き先、運命が計画と違ってきておるのにかかわらず、出炭計画どおりにいく、むしろ計画を上回ってくるということは、どうも納得がいかないわけです。これは、どこかネジのはめ方が違っておるか、歯車がどこか食い違いがなければ、こういうことにならぬわけです。それを何かあなた方から出た資料を見ると、きょう労働省から出た「合理化炭鉱離職者再就職見通し及び実績」を見ても、数字がわりあいにきちっとうまく合ったことになっておるけれども現実産炭地振興事業団その他に行ってみると、二千名はとてもいないです。数字の面だけは合ったことでまかり通っていっておるという状態ですね。どうもせっかく遠藤さんの御説明ですけれども、第二会社で狂っている。それから、関連する産業のセメントとかタイルへの就職計画もずっと少ない。三池に行く配置転換も狂っているということになれば、とにかく全部狂っておるのですから、合ったところは一つもないのです。全部狂っておるのです。ところが、数字は全部うまく合ったことにいっている。数字はうまくいっておるが、狂っておるから、産炭地は依然として滞留者が残っておる。政府のほうは、六千四百人くらいしか緊就はしないんだというけれども、依然として八千人くらいの申し込みがあるのですね。依然としてあるということは、やはり炭鉱離職者現実にあるということなんです。山がそこにあるから登山をするので、そこに間違った離職者対策が、数字が間違ったものがあるからたくさんな滞留者が出てきておるのですから、この現実の中で、ただ、政府機関にどれだけ、産炭地振興事業団にどれだけというような簡単な資料でなくて、産炭地振興事業団がほんとうに二千八百人を雇用できるならば、一体とこに幾らでとこに幾ら——産炭地振興事業団のボタ山処理というのは、そんなにたくさんやっていないのですから、やはりその内訳をもうちょっとはっきり示す必要がある。この前予算委員会でやったときに、井手さんが、官庁が千人千二百人とるというが、一体どことどこに何人とるか言ってくれということで、一つ一つ詰めていったところが、どうも哀れな状態になったと同じで、とることはスローガンに掲げておるけれども、実際はいかなかった。もうこの際は、ヤマブキの花では困るのです。ヤマブキのように、実の一つだになきぞ悲しきでは困るので、やはり実のある資料と実績をひとつ教えてもらいたいと思うのです。石炭政策のほうが、合理化内容がぐっと違ってきているのですから、あなたのほうの雇用政策もこれに見合って、やはりぴちっとした数字を出してもらわぬと、こういう一枚の紙きれだけでは、数字の羅列で、ほんとうに一体三十八年度中に職業安定所を通じて一万九千人も就職をしたのかどうかということさえ疑われることになってしまう。きょうは時間がないからこれでやめますけれども、もうちょっとこの内訳を、石炭局お話し合いになり、産炭地振興事業団ともお話し合いになって、詳細な資料にしてもらいたいと思うのです。
  50. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 ただいまの産炭地振興事業団関係の就職数につきましては、先生のおっしゃるボタ山処理だけの分は確かに数は少のうございます。ただ、ここで計上いたしております二千五百という数字は、ボタ山処理のほかに、産炭地振興事業の融資事業における就職数、これが全部含まれております。その総数が二千五百ということでございます。この内訳は、通産省とも御相談しまして、その内数をそちらのほうに御説明をお願いしたいと思います。  それから、「その他」の六千二百、これは自営、帰農でありますが、この自営、帰農として処理されました分につきましては、自営をするなりあるいは帰農をするなり、それによっていわゆる石炭合理化による求職者手帳、これから落ちていった人たちでございます。先生がおっしゃいますように、合理化によって解雇されまして一たん帰郷するというような場合には、あくまで求職者として、求職者手帳を持ったまま郷里のほうに帰りますので、それは滞留者の一万九千九百の中に含まれております。はっきり自営業者あるいは帰農者として処理済みのものが六千二百人の中に含まれております。それが一たん自営をいたしまして、自営業がうまくいかないでつぶれたということになれば戻ってまいりますけれども、ここでははっきり自営者として自立する形になって処理済みのものでございます。
  51. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この六千二百人ばかりの人は、炭鉱離職者の手帳はもらわずに、自営、帰農するからということで確認をして帰っている人ですか。それからもう一つは、産炭地振興事業団の融資事業もこの中に入れるということですが、その場合に、炭鉱離職者だけ数を出してもらうようにして、たとえば炭鉱労働者の子弟、たとえば嬢ちゃんが縫製工場に入っているというようなものは一緒に入れないように、それは家族が入ったのはどれだけ、炭鉱離職者の分はどれだけ、こういうように統計を出すときはぜひしてもらいたい。それから、いまの前段のほうの自営業をやる人は、手帳はもらわないのですか。手帳は交付するわけでしょう。
  52. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 産炭地振興事業団関係の分は、炭鉱離職者だけであります。このほかに、子弟等の就職数がございます。  それから、自営、帰農の分につきましても、一たん手帳を発行いたしまして、失業保険金をもらうなり、あるいは、失業保険が切れますと就職促進手当をもらっておりまして、自営をするなり帰農をすることによって手帳を返していった人々でございます。一たんは石炭合理化による求職者手帳を発行いたしております。そういう人たちで、手帳を返して自営、帰農をする人が六千二百人でございます。
  53. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、手帳を返すというのは、三年たってから手帳を返すのじゃなくて、明らかに、私は宮崎県の何々に帰って農業をいたします。したがって、これはとりあえず返します。こういうわけですね。そうすると、その人が、今度宮崎県から、どうも帰って農業をやったけれども、兄貴から分けてもらったたんぼ三反歩ではやっていけぬということで、また職安に戻ってきて手帳をくれというときは、くれるのですか。
  54. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 一たん就職いたしまして、不安定な職業で、一年以内に再離職をした場合には、再発給するということになっております。
  55. 井手以誠

    ○井手委員 簡単に関連してお伺いいたします。  この労働省の表の中で、三十八年度の実績見込み中新規求職者数四万一千人、三十九年度計画の二万一千二百人の中には、大手十八社と中小と分けてやっておるわけですね。
  56. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんので後ほど……
  57. 井手以誠

    ○井手委員 大体でいい。大体もわからぬですか。
  58. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 労務者、職員、組夫と分かれておりまして、はっきりした数字まではここに資料を持ち合わせておりませんが、ただいま概数は大手のほうが六千くらいじゃないかと思っております。
  59. 井手以誠

    ○井手委員 新規求職者の四万一千の中に、大手十八社で六千人とはちょっとおかしいですね。
  60. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 ただいま申し上げました数字は、三十九年度の二万一千二百の中での数字でございます。
  61. 井手以誠

    ○井手委員 三十八年度は。
  62. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 三十八年度の先ほど申し上げました四万一千の離職者内訳の中から、どれくらい大手の人が残り、中小の人がどれくらい残っているかという内訳を、私のほうでは正確につかみかねますので、四万一千の内訳につきましては正確な数字は出てまいっておりません。
  63. 井手以誠

    ○井手委員 四万一千のうちに大手が幾ら、中小が幾らかわからないはずはないのです。ちょっとふしぎに思いますのは、わからないという答弁の中に大体想像できるのですが、これは通産大臣もお聞きいただきたいのですが、会社あっせんのものが非常に少ないのです。これは主管は労働省ですが、これは三十八年であるから大手が非常に多いはずです。その大手の少なくとも四割は、会社であっせんするということができておったはずです。ところがこれによりますと、会社あっせんによる就職は非常に少ない。四万一千の中に、この大部分は大手のはずでありますが、その中に一万一千六百の会社あっせんは少な過ぎると思う。三十九年度の二万一千二百名の新規求職者の中に会社あっせんが二千七百、これは会社側のあっせんが少な過ぎると思う。一体会社に責任を持たせるという労働省の態度に、私は若干欠けるところがありはせぬかと思います。  それからもう一つ重ねてお伺いしたいのは、いまの就職にそういい職業ばかりあるとは思えません。いま滝井委員からも話があったように、一たん就職して直ちに退職するのが非常に多いはずです。その数は幾らになっておるのか、わかっておればこの機会にお伺いしておきたい。
  64. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 合理化による離職者につきましては、石炭会社にその四割程度を責任を持ってあっせんさせる、これは従来私どものほうで会社へ厳重に申し入れいたしまして、ほぼその程度の実績はあがっているのじゃないかと考えております。と申しますのは、三十九年度に二千七百というのは非常に少ないじゃないかというお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたように、三十九年度の新規離職者の二万一千二百のうち、大手の占めます分が約六千程度だと考えております。これは正確な数字は後ほど先生のところに御説明にあがりますが、その約四割で二千七百という数字が出ております。二千七百は会社それぞれの予定数を積み上げて計算いたしましたものでありまして、中小につきましては会社あっせんということは事実上ほとんど困難でございまして、これはほとんど安定機関があっせんする計画をいたしております。そういうような次第で、三十九年度につきましては会社あっせんの数字が非常に少ない数字になってあがってきておるわけでございます。三十八年度につきましては四万一千のうちの相当部分は大手筋で占めておりまして、したがいまして会社あっせんの数字は一万一千六百、これもほぼ四割近い数字に相なっておると考えておる次第でございます。  それから一たん就職いたしました者の中で再離職いたしました者につきましては、私どものほうで一たん就職しました者についてのフォローアップが十分でない点もございますけれども、先ほど滝井先生のお尋ねによりましてお答えいたしましたが、一たん就職した人が再び離職した場合求職手帳を発給するような制度になっておりまして、その再発給の状況から考えますと、その割合は非常に少ないのじゃないかと考えております。現在までの再発給の状況は再離職者の〇・五%くらいが再発給をいたしておるような状況でございます。
  65. 井手以誠

    ○井手委員 私は安定職場という政府の約束が、はたして実行されておるかどうかについてお伺いをいたしておるのであります。きょうわからねばいいのですが、ただ推定ではなくて、ただいまのあっせんされた就職先が思わしくなくて退職した人、これは非常に多いと思いますので、その数を、再発給じゃなくて退職した人の数をお示しいただきたい。  それから新規求職者の、三十八年度が四万一千、三十九年度見込みの二万一千二百のうちで、大手、中小、これをはっきり分けて実数をお示しをいただきたい。はっきりした数字を、この次でいいですから出していただきたいと思います。推定では困る。退職した人の行く先がどうなるか、われわれは非常に心配をいたしておりまして、その点は五%などということではないはずでありますから、これは再発給でありますけれども、その点ははっきりしたものをこの次の委員会に出していただきたい。
  66. 滝井義高

    滝井委員 それでは私はきょうはこれでやめます。結局、石炭供給体制と、それから三十八年度閉山とそれに見合う雇用の概要を聞いたわけです。あと石炭需要と三十九年度の閉山、これらの問題をお聞かせ願いますので、準備を願います。  きょうは私はこれで終わります。     —————————————
  67. 中村寅太

    中村委員長 高松炭鉱のガス爆発災害について質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この前政府から報告がありました高松炭鉱のガス爆発の災害について、若干お聞きいたしたいと思います。  まず第一に、この炭鉱の個所については従来どういう調査がなされ、その勧告が行なわれておったか、また事前にそういうガス爆発または燃焼のおそれがあったかどうか、これらをお聞かせ願います。
  69. 川原英之

    ○川原政府委員 多賀谷先生のお尋ねいただきました点は、今回爆発を起こしました高松炭鉱第二坑について、従来どういうふうな監督並びに勧告をしておったか、こういう御質問であろうかと思います。  御高承のように、高松炭鉱は全部で五坑に分かれておりますが、その高松炭鉱全体に対しまして、昨年来約三十回ほどの監督を行なっております。なおその各回におきまして、それぞれ主として炭じん及びガスの問題に関しますことを中心にいたしました指示並びに通達を行なっておりますが、さらに最近の一番新しいものといたしましては、三月十二日に交付いたしました通達におきまして、炭じんの鎮静並びに処理に関する問題、それから伝播防止施設の設置、さらに、これが今度やや関係があるのでございますが、昇り採炭個所の局部通気施設の維持管理ということにつきまして、特に通達を出しております。  なお全般的な問題になりますが、高松炭鉱に対しましては従来数回にわたりましてこの問題に関連いたします諸般の問題を警告いたしておりますが、ことに二月二十日に芦川専務に対しまして、ガス炭じん対策、局部通気、さらにガス処理の問題について特に厳重に注意をされたい旨を、特に芦川さんを呼びまして監督局長から御注意を申し上げたということでございます。  この事故を起こしました払いは、三月十六日に着手いたしましたばかりの払いでございまして、この個所につきましては、この前にまいりましたときにまだその現場がございませんでした関係上、この部分に関する局部的な通達はまだ行なっておりません。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 撤収を兼ねた採炭作業ですから、これは一体保安が完全にできておったかどうか。私は一応撤収作業が主だろうと思いますから、こういう個所は大体非常に危険だと一般的には言えるわけです。ですから、これらの通気は一体完全であったのかどうか。それからもう一つは、火源が何であったか。それからガス爆発というけれども、いわゆる爆発的な状態にあるのか、あるいはガス燃焼的なものであるのか。それから、なくなった人は一体爆発並びに燃焼でやられているのか、あるいは、あとガスである一酸化炭素でやられておるのか、これらをお聞かせ願いたい。
  71. 川原英之

    ○川原政府委員 この高松炭鉱に対しましては、御指摘のとおりの事情がございましたので特に、ただいま申し上げましたように再三にわたりましてガス、通気、炭塵の問題に関する幾たびかの通達並びに警告を出した次第であります。ただ、それにもかかわりませず、今回こういう事故が発生いたしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  なお、お尋ねの火源でございますが、これは目下司法捜査中でございますので、明確なところまで突きとめるに至っておりませんけれども、ただ推測をあえて試みますならば、現場におきましてオーガーのケーブルを修理しておったのではないかということの報告を受けております。  それから燃焼の程度でございますが、いま御指摘のございました爆発か燃焼か、こういう御指摘でございますけれども、いろいろと、火炎が及びました距離及び死亡者の火傷の程度というようなものから推察をすれば、燃焼であったと見られるのではないかという報告を受けております。したがいまして、死亡者につきましても火傷が比較的少ないので、火傷とガスとおそらく両方相作用しておるのではないか、こういう報告を得ておる次第でございます。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三月三十日は月曜ですから前の方は休んでおる、こう見なければならぬ。そうすると、ガス検定が十分行なわれておったかどうか、これはどういうようになっておったでしょうか。
  73. 川原英之

    ○川原政府委員 保安日誌によりまして報告を受けておりますところでは、前日は御指摘のとおり休日でございました。休日でございましても当番の係員が、各方二回ずつガス検定をすることになっております。保安日誌によりますと二十九日の十二時四十分、二十九日の二十三時三十分、三十日の午前七時二十分に前の方の係員が検定を行ないました。ただ、事故が起こりましたのは三十日のあと方でございますが、そのあと方の直前の検定が保安日誌にございませんことで、ほかの個所から回ってきておった途中であったというふうに報告を受けております。八時に入坑しておりますので、四十分前の検定が保安日誌に載っております。
  74. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この二坑は甲種炭坑ですか、乙種炭坑になっておるのですか。
  75. 川原英之

    ○川原政府委員 甲種炭坑でございます。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで今後の処置はどういうようにされておりますか、その後の対策。
  77. 川原英之

    ○川原政府委員 この事故が発生いたしますと同時に、鉱山監督局より五名監督官を直ちに派遣いたしました。なお鉱山保安局からも担当の保安監督官を派遣いたしまして実情の調査を行ないますと同時に、いろいろと坑内の状況その他から見まして相当整備を要するという点がわかりましたので、事故以来今日までその整備を行なわせておったわけであります。一昨日一応整備が完了したという報告がございまして、これに対しまして監督官が二回ほど確認の検査を行ないました。これによりまして、いろいろな注意事項は今後ございますけれども、現状におきましては、なお今後も厳重な監督を続けてまいるつもりでおりますけれども、保安的観点からの坑内整備が一応完了したと認めていいのではないかという報告を受けておりますので、これによりましてなお現地の会社側におきましても、監督局より通達をいたしました各事項を中心に種々協議を重ね、今後の対策をお互いに腹に入れた上で再開をいたすことになろうかと思います。  なお、いろいろと指示をいたしました問題は、さらに今後若干時間をかけることになると思いますが、坑道その他の整備、それから管理者、係員、それから有資格者の係員並びに指定鉱山労務者その他鉱山労務者一般につきましての教育をさらに新しく厳重に行なうということで、すでに職員につきましては十時間、有資格者が八時間、指定労務者が八時間、これらの再教育を完了いたしております。なお今回の事故にかんがみまして、電工及び機関車等につきましての技術者を十一名増員するようにという方針で進んでおります。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは請負業者ですが、この労働者は一応鉱山保安法による認可を受けておる請負の組夫ですか。
  79. 川原英之

    ○川原政府委員 坑内の作業につきまして請負を使います場合には、先生すでに御高承のごとく、石炭合理化法によりまして通産局長の認可を受けまして、それに基づきまして、請負のいろいろ指揮監督系統、指揮命令系統でございますとか、あるいは係員が十分にいるかというような問題、それから教育をどうするというような問題につきましては、別途鉱山保安法の二十三条の二によりまして監督局長に届け出をすることに相なっております。その届け出は受けております。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労災補償部長見えておられますが、基本的な問題はいずれ、鉱山保安法が本院にかかっておりますから、そこで聞きたいと思いますが、とりあえずこの高松炭鉱のガス爆発災害について、一体これらの人々の労災金は、最高と最低でどのくらいになっておりますか。
  81. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 労災補償は、八名分合計額でございますが、六百二十三万七千四百円、ほかに葬祭料が三十七万四千二百四十円、合計いたしまして六百六十一万一千六百四十円というふうになっております。一人当たり内訳につきましては計算してございませんが、平均賃金はわかっております。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、これはもう再開したわけですか。
  83. 川原英之

    ○川原政府委員 鉱山監督局からの報告によりますと、四月十一日に保安監督局長より再開の了承を与えまして、ただ会社におきましては、その監督局からのいろいろ指示事項を社内各幹部及び管理者一同に十分了解をさした上で仕事を進めたいということで、たしか昨日これに関する協議会を開いた、本日再開をすることになるだろうという報告を受けております。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労災部長、これは最高と最低はわかりませんか。
  85. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 申し上げます。平均賃金の最高が九百八円の人がございますから、この方の補償が最高になりまして九十万になります。それから平均賃金の最低の方は六百七十一円という方がおられますから、この方が六十七万円でございます。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、例のホフマン方式を防衛庁はとろうとしておるのですね。福田防衛庁長官は国会で答弁なさったですね。これは防衛庁としては、従来、ホフマンをここ二、三年とろうとして、いろいろ大蔵省と折衝しておる経緯は知っているのです。要するに、訴訟をするならば、ホフマンのほうを裁判所はとっておるものですから、いわゆる行政処置で払った分より裁判所のほうがほとんどの事例が多いのですね。年寄りなんかは逆に少なくなる例もあります。そこで、防衛庁がもしホフマン方式をとるならば、労災のほうはどうなるのか、これを重ねて伺いたい。
  87. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 労災の遺族補償の点であろうと思いますが、遺族補償につきましては、ただいま労災保険審議会で、遺族補償を含めまして労災補償全般の問題を審議中でございます。ホフマン方式につきましては、ただいまのところ特にそれをとるようにという具体的な意見は出ておりませんが、一時金ではなくて、全部年金方式にすべきであるという議論、及び、平均賃金に最低保障をすべきであるという議論がございまして、その方向で検討がいま行なわれておる次第であります。
  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その制度根本の問題は年金方式でけっこうですが、いまとりあえず、防衛庁は今度の災害、要するに米軍機が落ちました原町田の災害の場合、ホフマン方式を適用するというのでしょう。そうすると、日本の政府が払うそういった遺族補償の体系が変わるわけですね。従来あらゆる場合に、労災方式で千日分ですよ。ところが防衛庁のほうでホフマン方式をとりながら、他の官庁のほうがとらぬというのもおかしいでしょう。とりあえず防衛庁がとるについては、あなたのほうにはどういう相談があったわけですか。
  89. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 防衛庁の補償につきましては、私どものほうに特に御相談はございませんでした。それからホフマン方式のことにつきましては私ども不勉強で十分に承知いたしておりませんが、現在国が行なっております制度として、災害に対する補償といたしましては、たとえば自動車損害賠償保険につきましては定額の百万円、あるいは国鉄の事故につきましてはまた、一定の方式で計算をした額をお払いしているわけでありまして、従来ともそれぞれの制度の目的に応じまして、遺族に対する補償というものは若干違う方式をそれぞれ用いておりまして、労災といたしましては、使用者の損害賠償という意味と社会保障的な意味を加味いたしまして、現在の制度をとっているわけでございます。それは時代の進歩とともに逐次改善されるべきものであると存じておりますが、必ずしも防衛庁と労災とが常に同じ方式をとらなければならないと考えておらないのであります。
  90. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 防衛庁はいままで労災の方式をとったのですね。ところが今度防衛庁のほうは、それではどうも金額が少ない。金額が少ないんですよ。問題は、金額を上げるためにホフマン方式をとっておるわけでしょう。ことに若い労働者が少ないのですよ。裁判をやっても、日本の裁判所はホフマン方式をとっているのですからね。行政庁はいわゆる千日分方式をとっているのですよ。ですからあらゆる場合故意、過失があったというので訴訟すれば、必ずホフマン方式になるのです。日本の裁判所と日本の行政庁と扱い方が違うというのが問題です。もっとも、これはあなたのほうは法律ではっきり明記しておりますから、これはどういうようになるのか、あるいは、重過失並びに故意があった場合は、裁判をすればどういうようになるのか、これはなかなか問題があるところだろうと思います。しかしながら、要するに政府の一角でそういういままでの千日分の方式がくずれるということになれば、高いほうを研究するのが当然じゃないですか。どうです。
  91. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 法律の基本に触れる問題でございますが、私見を申し述べさせていただきますならば、年金方式がよろしいというふうに審議会の結論がなりました場合には、われわれといたしましても年金に早く進みたいと思っておりますが、その場合は若干問題が別だろうと思います。一時金のままで現在の額を考え直せというような方向にまいりました場合には、ホフマン方式等につきましても十分研究いたしたいと思います。
  92. 中村寅太

    中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会