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1964-04-08 第46回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月八日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 有田 喜一君 理事 上林山榮吉君    理事 神田  博君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 中村 重光君       周東 英雄君    壽原 正一君       田中 六助君    野見山清造君       藤尾 正行君    三原 朝雄君       井手 以誠君    細谷 治嘉君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁         総合開発局長) 鹿野 義夫君         検    事         (民事局長)  平賀 健太君         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 眞一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田辺 博通君         通商産業事務官         (石炭局炭地         域振興課長)  西田  彰君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      佐成 重範君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局石         炭課長)    佐伯 博蔵君         参  考  人         (産炭地域振興         事業団理事長) 高木 作太君     ――――――――――――― 四月七日  産炭地域自治体及び住民に関する請願外一件(  安井吉典君紹介)(第二二三八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月一日  産炭地対策に関する陳情書  (  第四四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策及び  高松炭鉱ガス爆発災害に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、石炭対策基本施策に関する問題について、この際参考人出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、参考人出頭の日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  5. 中村寅太

    中村委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、高松炭鉱ガス爆発災害について、政府に説明を求めます。川原鉱山保安局長
  6. 川原英之

    川原政府委員 先般三月三十日に、福岡遠賀水巻高松炭鉱二坑におきましてガス爆発の事故が発生いたしまして、八名の死亡者を出しましたことはまことに遺憾に存じておる次第でございます。たびたび先生方の御心労をわずらわしますことを恐縮に存じます。災害経過につきましては、お手元に資料をお配りしてございますので、これによりまして概略を御説明いたしたいと思います。  災害の起こりましたのは、福岡遠賀水巻日本炭艦株式会社高松炭鉱の二坑でございます。発生いたしましたのは三十九年三月三十日十時二十分、二坑の第二中卸巻き場の四号昇りにおきましてガス爆発が起こりまして、現場におりました八名が死亡をいたしました。この二坑は目下撤収作業に入っておりまして、撤収に伴う残炭採掘をやっております甲種の炭坑でございます。発生個所は、先ほど申し上げましたように、中卸巻き場付近残炭中割り方式昇り掘進によって採炭いたしておるのでございますが、昇り幅は十メートルの広幅でございます。  災害当日、当該個所に就業しておりました鉱員八名は、七時に入坑いたしております。その後坑内を巡視いたしました係員が、異常な風圧を感じまして現場に急行いたしましたところが、片盤坑道において罹災死亡いたしております一名を発見いたし、直ちに福岡鉱山監督局より署長以下四名が現地に急行いたしますと同時に、本省鉱山保安局からも担当の監督官現場に参りまして調査を進めたものでございます。  その後わかりました経過は、災害現場は四ヘダ五尺層の残炭採掘を行なっておるわけでありますが、この撤収を兼ねました残炭採炭を、請負業者によって実施されていたものであります。採炭残炭中割り方式による昇り採炭でございまして、災害発生個所の部内には既採掘あとが四本ございます。この四昇りは三昇りと五昇りの間に設けられまして、十メートルの広幅により二方採炭をいたしておるところでありますが、ただいままでにわかりましたところでは、三月十六日に掘り始めまして三十六メートルほど進行いたしておったものであります。  係員風圧を感じまして、現場において一名を発見、収容いたしますと同時に、直ちに救護隊その他の出動を行ないまして、その日の夕方の七時にそこに罹災しておりました八名の遺体を収容いたしたものであります。なお、災害発生直後救助におもむきました副保安管理者ともう一名が、あとガスで中毒しておりましたが、保安管理者はこれはごく軽微でございまして、直ちにまた入坑いたしております。もう一名は現在入院加療中でありますが、間もなく退院をする見込みでございます。  災害個所である四昇りに対する通気は、二昇り口の手前が排気風道になっておりまして、六馬力の局扇を設けまして、ビニール風管によります風管通気を行なっておるものでありますが、その後も鉱山監督局及び本省の係官が、逐次当時の実情について調査を進めておる次第でございます。これまでにもずいぶんとこの高松炭鉱につきましても監督をやってまいったのでありますが、それにもかかわりませず、またこのたびこの災害が起こりましたことをまことに遺憾に存ずる次第でございます。  御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 中村寅太

    中村委員長 次に、石炭対策基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君
  8. 井手以誠

    井手委員 炭鉱会社更生法のことについてお伺いしたいと思います。本日は一昨年閉山いたしました佐賀県新屋敷炭鉱会社である日満興業が、三月の十三日に会社更生法適用を申請いたしました、それに関連して、会社更生法の認定によって、離職者並びに一般債権者が非常に困っておりますので、その点の救済についてお伺いをいたしたいのであります。  まず新屋敷の問題から申し上げますと、新屋敷の日満興業炭鉱のほかに若干の事業経営いたしておりましたので、依然として日満興業は存続いたしました。ここに私は「兜町の内幕」という雑誌を持ってまいりました。この中にも日満興業内幕が書いてある。会社幹部並びに証券会社思惑によって、八十円程度の株が三百数十円につり上げられたり、それがまた七十円程度に暴落する。そういう株の関係破産状態になって、会社更生法適用を申請しなくてはならぬ事態になってまいりました。ところでその会社は一昨年閉山にあたりまして退職金未払い賃金総額の三五%に当たる六千万円をその後三ヵ年間で支払うことになっておりますが、なお三千万円が残っております。昨年の十二月に払うべき金を含めて、三千万円が未払いになっております。もし会社更生法適用を受けることになりますと、それをたよりにしておった離職者にたいへんな迷惑がかかってくるのでありまして、実は私のところにも離職者十数人から毎日心配の電話がかかってまいります。会社幹部なり証券会社思惑によってこういう事態になったことによって、離職者が予想もしない被害を受けねばならぬということに対して、石炭対策のためにこういう離職せざるを得なくなったこの問題に対して、離職者を、労働者を救うために特別の措置が必要ではないのか、それができるかどうかという問題が一つです。  それからこの機会についでに申し上げておきますが、会社更生法適用を受けますと、契約関係も何にもない鉱害被害者賠償金がもらえなくなる事態がたくさんあるのであります。法務省あたりでは御存じかどうか知りませんが、鉱害のために全然収穫皆無になる、植えつけもできない、半作しか収入がないという非常に気の毒な事態が起こっておりますが、その鉱害補償金賠償金というのが、会社更生法によって、何カ年分もたまったものがもらえなくなって、泣いておる農家がたくさんございます。そういったことについて、民間の契約であるならばいわゆる好況、不況ということがあり、あるいは契約によってある程度そういう事態がやむを得ない場合もあるでしょう。もうけるときもあるかわり、損することもあります。罪もとがもない関係外被害者が、会社更生法適用によって賠償金をもらえない事態になるということでは、これは一律に会社更生法適用するべきものではないと私は考えております。またそういった法制であるならば、これは改めなくちゃならぬじゃないかという考えを持っております。したがって結論から申しますと、こういう株の操作によって会社会社更生法適用を受けようとするときに、退職金未払い賃金に対して、労働者を守るために特別の措置はできないのか、これを法務省通産省労働省関係者からお伺いをいたしたいと思います。あわせて鉱害補償金についての見解を法務、通産両省からお伺いをしたいと思います。
  9. 平賀健太

    平賀政府委員 まず、退職金未払いがある状態更生手続をおやりになった場合にどうするかと申しますと、現行法によりますと更生債権ということになるわけでございます。ただ退職金でございますので、会社の総財産に対しまして一般先取り特権がございますので通常債権よりは優先するわけでございます。更生債権でございますので、管財人更生計画を立てまして裁判所認可を得ましてそれを実施するわけでございますが、更生手続によってその滞りの退職金債務支払いというものが行なわれるということに、現行法ではなっております。  それから鉱害賠償賠償金支払いがまだ残っておるという場合、これは通常更生債権ということで、更生計画に従って弁済させられるということに、現行法ではなっております。ただ裁判所におきまして、実際退職金未払いがある場合に、これがどういうふうに処理されておるかという実情でございますが、これは法律的には、いま申し上げましたように、一般債権より優先的に扱うということになっておりますが、裁判所のほうでもその点は十分考慮いたしまして、できる限り労働者不利益にならないようにということで処理しておるのが実情のようでございます。
  10. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 御指摘の日満興業の問題につきましては、先生承知のように、昭和三十四年の十二月から賃金の遅払いが始まりまして、昭和三十六年八月に閉山を決定するということで、賃金不払い問題に関しまして非常に大きな問題として取り上げられたのでありますが、労働基準監督機関といたしましても、できるだけ賃金不払いを解消いたしたいということで努力してまいったのでございますが、御承知のように、その大部分のものは支払いが進行してまいりましたけれども、御指摘のような事態に立ち至りまして、まだ相当金額を未済のまま今日に及んでおるというような事情でございます。そしてこれは一応本年の十二月十五日を目途といたしまして、会社側が支払うべく話し合いをしておったものでございますが、いろいろな事情から会社更生法適用申請をした、こういう事態になったわけでございます。会社更生法適用につきましては、いま法務省民事局長からお答えしたとおりでございますが、それはそれとして、何とか未済退職金を払うべく善処いたしたいというので、現地労働基準監督機関でも努力しておる次第でございますが、労働者側代理人会社との間で、会社更生法ワク外として優先的に取り扱いたいという基本的態度のもとに、目下いろいろ折衝いたしておるような事情もありますので、会社更生法適用問題は別といたしましても、できるだけ労働者側の希望が達成されますように、現地監督機関を通じまして一そう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  11. 新井眞一

    新井政府委員 離職者の問題でありますが、私会社更生法の専門ではございませんので、いま法務省あるいは労働省からお話がございましたように、私どもも側面からそういう面で善処いたしたいと思います。  なお鉱害の問題でありますが、非常にむずかしい問題だと思いますことは、法務省のほうでいまお話がございましたように、更生債権としてそこに乗せられるというのは、おそらく確定をした債権であろうかと思うわけでありますが、実際鉱害の場合には閉山をいたしましてあと鉱害が残っている。したがって、そこで話し合いが行なわれまして、どのぐらいの金銭賠償をやり、どういうふうに賠償していくんだというふうに確定をする前段階の問題もあろうかと思うわけでございますので、したがってその場合にも二つの場合があるわけであります。一つは、すでにその鉱害が安定をしておって、明確に鉱害量が認定できるというような場合の措置一つ。もう一つは、石炭採掘いたしましてから鉱害が安定いたしますまでにかなり期間がございますので、その面はどう見るかという問題もあろうかと思いますが、その辺は会社更生法の面でどういうふうに考えていただきますのか、若干問題があろうかと思うわけであります。いずれにいたしましても、会社更生法のときにそういった申し入れそのほかによりまして、一応事態は明らかにしておいて御判断いただくということで、何もしないということではいかぬと思いますので、被害者の方々がどういうふうに会社更生法段階で申し入れをいたしますか、確定債権でないいわば将来の期待権的なものでございますので、それをどう処理いたしますか、そういう問題があろうかと存ずるわけでございます。
  12. 井手以誠

    井手委員 通産省のほうには数日前に、こういう問題があるから、法務省並び労働省と打ち合わせてきょう返事できるようにという相談をいたしておきました。連絡がついていなかったように、いまの答弁から見受けられます。  民事局長にお伺いいたしますが、労働者離職者不利益にならないよう、先取り特権として配慮したいというお返事でございましたが、具体的にはどういうことになるのでしょうか。優先債権ではあるけれどもたな上げになる、あるいは更生途上利益ができたときに優先して弁済をするということになるのか、あるいは離職者未払い分については、経営のいかんを問わず、その分は会社から規定どおり払わせるというのか。聞きたいことは、一般的な問題じゃなくて、石炭対策という国策から離職した離職者対策という観点で、特別の措置を願いたいというので質問をしておるのであります。その辺がどういうふうになるのか。適用になって会社経営が好転したときに優先的に弁済に充てるというのか、あるいは会社更生法適用されても、その支払いだけは別個に支払わせるというのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  13. 平賀健太

    平賀政府委員 これは法律のたてまえから申し上げますと、先ほど申し上げましたように、会社には各種債権者があるわけでございますが、一番先順位にございますのは共益債権というのがございます。これは今回関係ございませんので別にいたしまして、一番先順位更正担保権と言われておるものでございますが、会社の個々の財産について抵当権でございますとかその他の担保権を持っておる債権者、これが第一に最も優先するのでございます。その次がただいま問題になっております離職者退職金なんかのような  一般先取り特権のついた更生債権、それから通常債権者という順序になっております。更生債権でございますので、これは更生計画に従って弁済をされるということでございますから、法律のたてまえとしましては、必ず全額即時にとれるという筋のものではないわけでございます。一体どういうふうに弁済されるか、どの程度弁済されるかということは会社の資産の状況、それから更生手続中も事業を継続いたしますので、収益がどのくらい上がるか、そういうことと関連をいたしてくるわけでございますので、抽象的に、一般的にどうなるというわけにはまいらぬわけでございます。
  14. 井手以誠

    井手委員 そこが問題なんです。せっかく先取り特権として配慮すると言いながらも、更生債権である。更生債権であるならば、期限どおりに払ってもらうことはむずかしいし、いつ支払いをされるか見当がつかないわけですね。しかも問題になるのは、自分たちが暴利を得るために株の上げ下げをした、そのために不利益を受けるということ。問題は二つあると思うのです。石炭対策という国の政策によって離職したその離職者の取り扱いが、更生債権でいいのかどうかという問題が一つ。いま一つは、株の上げ下げによって不当な不利益を与えた、許されない不利益を与えたという徳義上の問題もありますから、そういう場合にただ更生債権優先債権として取り扱ってやろうという程度でいいのかどうか、もしそれでぐあいが悪いならば、法律を改正するということも出てくるでありましょう。きょうお伺いしておるのは、石炭対策という高い次元からの御判断を承っておるわけです。そうすると、念を押しますが、いまのままでは、更生債権だからいつ支払われるか、それは保証できない、こういうことでございますね。
  15. 平賀健太

    平賀政府委員 それは抽象的には申し上げかねるということでございまして、具体的には更生計画支払い計画が定められるわけでございますので、その更生計画によって、これは分割弁済なら分割弁済、どういうふうに分割弁済するかということが具体的にきまるわけでございます。ただ更生計画をつくりますにつきましては、こういう債権者の集まる、関係人集会と申しておりますが、関係人集会にはかりましてその同意を得る、さらに裁判所認可を得るという手続がございます。それから、更生計画を定めるにつきましては、なお労働組合意見を聞かなければならないというようなことも会社更生法にはございまして、できるだけ債権者債権が満足できるように、しかも不公平にならないようにという配慮はしてあるわけでございます。労働者退職資金は、いまもお話がございましたように、一般先取り特権のついた優先権のある更生債権でございますので、この優先権があるということはやはり更生計画を定めるにつきましても考慮されるわけでございまして、通常債権者よりも有利に扱われることにもなるだろうということは、一般的に言えると思うのであります。
  16. 井手以誠

    井手委員 各省とも聞いていただきたいのですが、今日では会社経営は、御承知のとおり、自己資本が二六%を割っておるのです。七十数%は借り入れ金ですから、担保債権が多いのは、これはもう当然ですよ。それを考えると、担保権が優先するならば、更生債権である未払い賃金退職金がずっとおくれることは、また発言権が弱いことは、申し上げるまでもないのです。そういたしますと、三十八年の末に二千万円、三十九年の十二月十五日までに二千万円払うという約束で閉山して炭鉱をやめた。それが入ってこない、入る見込みもないということに対して、これでいいのかという問題が起こってくるのです。それは法律上の解釈では、民事局長のようなお答えになるでしょう。これでいいのかと私は思っておるのです。国会の論議は、そういうところです。ただ現在の法の解釈を承っておるわけではなくて、こういうことでいいのか、労働者を守る労働省としては、石炭政策で離職した場合に、担保権の次にあるということがいいのかどうか、この点を私は聞きたいのです。それは、実情気の毒である、それではいかぬから、これだけは更生債権ではなしに、特に株の上げ下げによるこういうような事態に対しては、私有財産まで追及してやるとか何とかの措置を講じなくては、そのときは会社は払う見込みはあったかもしれぬけれども、その途中において破産状態があった、もらえなくなった、これは許されぬことだと思うのです。この点について、それではひとつ研究会を開いて法律改正を検討してみようじゃないかというお考えがあるかどうか、その点をひとつ各省から承っておきたい。
  17. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまの御意見非常にごもっともだと思うのでございまして、石炭対策、あるいは労働者保護政策、そういう見地から会社更生法を再検討するという必要、大いにあろうかと思うのでございます。ただ一般的に申し上げまして、会社更生手続に入りました場合に、各種債権者がおるわけでございます。いまお話のような、離職した労働者の問題もございますし、労働者もございましょうし、あるいは鉱害被害者もございましょう。それからその会社に対して、たとえば原材料を供給したというものもございましょう。あるいは銀行なんかのように、資金を貸し付けたというものもございましょう。各種債権者がおるわけでございます。それぞれやはり政策的に、たとえば原材料を入れた業者中小企業であると、中小企業対策という見地からもこれは見なくてはならぬだろうと思います。それから銀行なんかにしましても、これは金融関係という見地から見なくてはならぬでありましょうし、各種の、非常に広範な範囲にわたる債権者というものがあり、その債権者にはそれぞれ特殊の政策というものがあり得るわけでございまして、これらを全部総合いたして考えてみますと、これは一般的の問題でございますが、ある債権者だけを特にというわけには必ずしもいかないのではないかというふうに考えられるのでございます。たとえば原材料を入れました中小企業債権者である。これは普通の更生債権でございますが、その債権弁済が得られないということになりますと、その中小企業としてはやはり死活に関する問題であります。中小企業もやはり労働者をかかえておるかもしれません。その労働者賃金も払えないということになりますと、これは非常に波及するところが大きいのでございます。それから銀行なんかにしましても、会社が一たん更生手続に入りますと、担保をとって貸し付けた債権も回収ができないという事態になるわけでございますが、そういうことになりますと、これは企業に対して資金を貸しつける場合にもよほど慎重にしなくてはいけないということになってまいりまして、企業経営というものに対して非常に悪影響を及ぼすということも考えられるわけでありまして、一がいに、労働者保護政策見地から、あるいは鉱害賠償政策からというようなことだけではやはり足りませんので、非常に広範な見地から検討する必要があろうかと思うのでございます。これは非常に一般的な問題でございますけれども、そういう広い視野から会社更生法を再検討する必要はあろうと思うのでございますが、これを改正いたしますにつきましては、よほど慎重に考慮する必要があるのではないかということ申し上げたと思うのでございます。
  18. 井手以誠

    井手委員 労働省にお伺いいたしますが、いま申し上げたように、担保債権が最優先するわけですから、借り入れ金が七割何分にものぼっておる今日の企業において、ほとんどの会社はすべてが担保に入っておるのです。そういったときに、更生債権で救える道があるのかどうか。これは理屈としてはあるかもしれぬけれども、実際にはなかなかないのですよ。いま民事局長からは幅広いお話がございましたが、労働省としてはどうお考えですか。現実には、会社更生法適用されたら、どんなに御配慮をいただいても金はなかなかもらえぬということになります。そういう場合、どうお考えになりますか。
  19. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 更生開始決定をいたしました後におきましては、民事局長がお答えのとおり、法律手続としてはさように進行することになると思うのでございます。ただ、賃金不払いとか、退職金の不払いといったような問題は、こういった更生手続開始以前にすでにわかっておるのが一般的な状態であろうと思います。したがいまして、会社更生法自体の問題とは別に、賃金不払い事件、退職金の不払い問題ができるだけ早期に解決するようにいろいろな指導を行なうということが、われわれとしては最も重要であろうというふうに考えておるわけでございまして、一般債権者と異なりまして、労働者賃金不払いの場合には、当人の賃金請求権という立場のほかに、労働基準法違反という問題に関連いたしまして、行政機関がいわば事実上のうしろだてとなってこの問題の解決に当たるという点が、他の一般債権者と趣を異にする点かと思います。しかし、現行制度自体が十分であるかどうかという点につきましては、賃金不払い問題の実際の処理をめぐりまして、前々から議論のあったところでございます。この問題につきましては労働省としても部内における検討を行なってきたところでありますが、現在の会社経営実情から見まして、賃金債権を最優先にいたしました場合には、つまり、抵当権の設定された債権などより優先さすということになりますれば、銀行も金を貸さないのではないか。若干の運転資金があれば会社が何とか立ち直れるかもしれない、ところが、賃金債権のほうが最優先するということになれば、借りられる金も借りられぬというような問題が起こって、それをどうするかとか、さまざまな問題が起きまして、われわれも苦慮しておるような次第でございます。そのような法律上の問題とは別に、労働省としましては、賃金不払いの多い業種、業態、規模などが大体把握されておりますので、一般的な問題といたしましては、そういった賃金不払いの多い業種、業態、事業の規模などを指導の重点といたしまして、今後具体的な解決に当たっていきたいというふうに考える次第でございます。
  20. 井手以誠

    井手委員 民事局長にお伺いいたしますが、いま労働省の基準局長からお話になったような、いわゆるワク外と申しますか、適用除外と申しますか、適用事前の何かの工作の道があるのですか。あまり申し上げてあとが窮屈になってはいけませんけれども、そういう道があるかどうか、その点をお伺いいたしておきます。
  21. 平賀健太

    平賀政府委員 現行法解釈としては先ほど申し上げたとおりでございまして、これをただいま御意見のような線で改正をするということにつきましては、それは相当慎重にやる必要があるのじゃないかと思うのでございます  それから、なお先ほど申し上げましたことをちょっとふえんして補足いたしたいのでございますが、裁判所における取り扱いが一体どういうふうになっているかということでございます。労働齢の退職金の問題につきましては、優先権のある更生債権ではございますけれども、裁判所ではできるだけこれを労働者に不利にならないように更生計画において処理されるようにという方針でやっているようでございます。実際は更生担保権抵当権のような特別担保権を持っている債権者に対しましては、できる限りそういう債権者の協力を求めまして、そういうものの弁済期をずっと前に延ばす、そして、実質的には更生担保権者のほうがあと回しというような運用のしかたをできる限りやっておるというふうに私どもは見受けております。法律の規定上は先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、運用の面では、裁判所におきましても十分この点を考慮しておるように思われるのでございます。これを補足して申し上げておきたいと存じます。
  22. 井手以誠

    井手委員 この問題は、申し上げたいことはたくさんございますが、想見になったり、あるいはその後の運用に差しつかえると思いますので、この程度にとどめておきたいと思います。ただいまお話になった点は、ひとつ現地裁判所において十分配慮してもらうように、また、労働省としても通産省としても、現地機関に−あるいは本社が東京、主たる事務所は福岡だと承っておりますし、また、新屋敷炭鉱や日満興業ばかりじゃございませんが、ひとつ運用の点について十分徹底するように御連絡をいただきたい。これを要望いたしておきます。ここは大蔵省関係ではございませんので、株の操作について申し上げたいこともございます。けしからぬことだと思うのです、本来なら、そういう株の操作で暴利をむさぼったその人の財産を追及すべきだと私は思うが、場所が違いますので、この点は多くは申し上げません。  いま一つ伺いしておきたいのは、鉱害の問題です。  私は通産省なり法務省と若干意見を異にしておるのであります。銀行が金を貸す、あるいは業者が資材を納入する、あるいは雇用契約を結ぶ、人を雇う、これは本人たちが危険というものを一応考えてやるのであります。金を貸す場合でも、あるいは品物を納入する場合でも、いつも順調にばかりはいかない。うんともうかる場合もあるでしょう。損する場合もあるでしょう。それは商売です。金を貸す場合だって、かなり金利は取っておりますし、危険負担ということはいつの場合だって考えております。おっしゃるように、もし業者が困るという場合、これはこの委員会でわれわれ中小企業についてずいぶん申し上げてきたんですが、そういう場合には救済しなくてはなりません。しかし、いずれにいたしましても。いわゆる契約というものが基本になっておる。ところが、鉱害の場合はそうではないのです。一般住民に対して施業案も示さない、どこをどう掘っているか全然秘密のうちに進められる、そうして家は傾き、たんぼが一メートルも下がっていく、水はかれる、こういう鉱害に対して、会社は補償しなくてはならぬのであります。これは本人の意思で炭鉱契約したものじゃございません。いわゆる無過失賠償の立場から、炭鉱は当然補償しなくてはならぬ。そういうものが、単に一般債権更生債権の順位としては下位に位しておるということは、これは私は少し不当ではないかと思う。お互いに納得ずくで、もうかる場合もあろう、損する場合もあろう、しかし代金だけはもらわなくてはならぬ、賃金だけばもらわなくてはならぬというも  の、それはそれぞれ理屈はあるでしょうけれども、鉱害についてはそういう契約は全然ない。かってに人に被害を与えておいて、そうして金を払わなければならぬのに、会社更生法適用を受けたからといって、いつ払えるのかわからぬということでは困る。先刻石炭局長は認定のものがあるとおっしゃいましたが、私がきょう申し上げるのは、金額はきまったものです。会社鉱害であると認め、そうして賠償金を毎年払っておるもの、過去何カ年かたまっておった鉱害賠償金が、会社更生法適用によって払えなくなった、もらえなくなったという問題です。それが一般債権として更生債権の下のほうで支払いを受け、いつ支払いを受けるかわからぬということでは、これは法のたてまえからもきわめて不十分ではないか、矛盾ではないかと私は思う。契約なら契約でよろしい。それは危険負担も考えるでしょう。しかし、そういう関係のない被害者の賠償について、これがいつ払われるかわからぬでは困る。その辺について、民事局長石炭局長からもう一回お伺いしておきたい。
  23. 平賀健太

    平賀政府委員 現行の会社更生法における取り扱いは、先ほど申し上げたとおりでございまして、鉱害賠償だけについて特別な扱いをするという改正をすべきかどうか、これは検討を要する問題であるとは考えますが、先ほど申し上げましたように、これは一般的な問題として各種債権者がおることでございますので、相当慎重に検討しなくてはならぬ問題かと思うのでございます。なお、鉱害賠償につきましては、鉱業法の中で特別の規定もございます。鉱害賠償基金の中に一定の積み立てがしてございまして、それが弁済に充てられるというようなこともございます。これは実情必ずしも決して十分ではないのかもしれぬと思うのでございますが、そういう手段もないわけでもございませんので、会社更生法の問題といたしましては、私ども現在の考えでは、この点特に特別の扱いをするという改正は困難、あるいはよほど慎重にしなくてはいけないのじゃないか、先生の御趣旨には沿わない結果になりますけれども一、私どもとしては現在そういうふうに考えております。
  24. 新井眞一

    新井政府委員 事前に法務省労働省と連絡を申し上げておりません点おしかりをいただいたわけでございますが、まことに申しわけなく存じます。本件は具体的な問題でございまするし、先ほど来法務省より更生法の適用の問題についてお話がございました、具体的に更生計画がどうきまっているか、そういう問題に非常に関連があろうかと思います。なお、鉱害賠償の問題は、先ほども一ちょっと申しましたように、やや債権として、金銭賠償的に確定したものはいいと思いますけれども、後ほどまた交付金と申しますか、いわゆる効用回復の点でいろいろ問題もございますので、その点は、責任のある御回答をいま直ちにここでできませんけれども、本具体的の問題につきましては、そういう問題も含めてよく検討してまいりたい、こう考えております。
  25. 井手以誠

    井手委員 お互い忙しい時間でございますから、この程度で終わりたいと思いますが、いまの会社更生法は何か割り切れないものがある。片一方は、かってにもうかるところはもうけ、そうしてそのしりぬぐいは会社更生法で。なるほど会社も更生しなくてはなりません。それは、大きな問題はありましょう。けれども、不当な不利益を受けた者に対する救済というものは、やはり考えねばならぬのじゃないかというのが、私のきょうの質問の中心でございまして、その点についてひとつ御検討をいただきたいと思っております。  さらにまた、これは通産省あとで御検討いただいてけっこうですが、鉱害についてやはり若干認識に相違があるのか、欠くるところがあるのかわかりませんが、われわれ鉱害地におる者として、何も契約関係もなく単に被害を受けた、こういう者に対しての考え方が少し足りぬのじゃないか。私が申し上げるのは、すでに、会社、更生法の適用を受けたために、過去数年間の鉱害賠償ができなくなったという事実がございます。更生債権であるからしょうがないじゃないかということでは、どうも済まされぬのじゃないか。鉱害賠償基金のお話もありましたが、はたしてそれでできるのかどうか、私は非常に疑問に思っております。各省ともこの会社更生法の問題については十分ひとつ御研究、御検討をいただきますように特に要望いたしまして、質問を終わります。
  26. 中村寅太

    中村委員長 午後は零時五十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  27. 中村寅太

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭対策基本施策について質疑を続行いたします。  本日、参考人として産炭地域振興事業団理事長高木作太君の御出席をいただいております。  井手以誠君
  28. 井手以誠

    井手委員 本日は産炭地の問題で二、三お伺いしたいと思います。産炭地の根本問題で少し大臣にお伺いしておきたいと思いますが、非常に忙しいようですから、根本問題はこの次の機会に譲ることにいたします。  大臣は産炭地の公共事業の補助率引き上げについて、一時熱心のようであったが、その後何の音さたもないようです。他方産炭地からは強い熱望がありますが、どういうことになっておるのか、お伺いしておきます。
  29. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 実は新産都市その他工業整備地域等々に関して補助率アップ等の問題がございまして、もしそういうようなことをするのであれば、それがなくても産炭地振興のために補助率アップの問題は重要であるとは思いますが、もしそのようなことがあって石炭だけが残るということでは困るということで、この点は強く私としてはその場合には要請をいたすつもりでございます。それならばここらでそういうものを考えればどうかというお話があるかと思いますが、実を言いますと、いろいろそういうこともございますけれども、まだ積極的にそれをつくり上げるまでの準備はいたしておらないわけであります。
  30. 井手以誠

    井手委員 この点についてもいろいろ論議したいのですが、これまた次の機会に譲ることにいたしまして、産炭地域振興事業団にお伺いいたしますが、あなたのほうの年間の管理費、経費は幾らですか。
  31. 高木作太

    ○高木参考人 一億六千百万円でございます。
  32. 井手以誠

    井手委員 それは人件費を中心とした経費であると思いますが、その一億六千万円はどうしてまかなっておられるのか。たとえば土地造成にそれを分布されるのか、その点をお伺いいたします。
  33. 高木作太

    ○高木参考人 私のほうは独立採算になっておりますために、また資金の大半は六分五厘の金利を払った財政投融資のほうのお金を拝借して使っておりますために、どうしても事業団の経費につきましては、その業務の二つの部分、つまり土地造成のほうの部面と融資のほうの部面に適当な率で割り当てまして、それによって支弁をするというふうなことを現在やっておるわけでございます。
  34. 井手以誠

    井手委員 そうしますと、融資と土地造成などの事業費に管理費いわゆる経費を分けていくということでありますが、土地造成費はどのくらいの負担になっておりますか。聞くところによりますと、大体二割だということでありますが、どんなものですか。
  35. 高木作太

    ○高木参考人 一般管理費の割り掛けとして七%、造成原価の七%、それからそのほかに直建費として五%、それから譲渡管理費として四・五%、そのほかに建設にかかりましてから工事が完了するまでに相当期間がかかりますので、先ほど申し上げました金利負担の関係もございますので、実際の金利を計算いたしましてそれに付加しておるような状態でございます。そうして全部を入れますと、大体いままでのあれからいきますと、二〇%の見当になるかと思います。
  36. 井手以誠

    井手委員 福田さん、振興事業団の経費は大体土地造成の場合には二〇%割り掛けることになっております。坪三千円でできるのが、三千六百円かかるわけです。三千六百円で売らなくては独立採算がとれないということです。これを府県でやりますと、その二割というものはほとんど要らなくなるわけですね。ここに私は非常に問題があると思うのです。産炭地というのはいま苦しい事情で、何でもほしいところですからいろいろな希望があります、要望もありますが、この事業団の経費二〇%を割り掛けるという問題、これは実際問題として非常に困るわけです。本来ならば、石炭対策なら、この二〇%の管理費、経費というものは国がやはり補助として出すべきではないか。できなければ、府県のほうに仕事をさせる。府県の場合は人員がおりますから、その二〇%全部ではありませんけれども、大半はその費用は要らなくなるわけです。土地はほしい、つくってもらいたい、しかし値段が安くなくては企業誘致はできない。事業団自身も非常にお困りであろうと思う。独立採算であるから、やはりかけなくちゃならぬ。事業団としてもいろいろな事情はあると思います。新しい店ですから、なかなか技術家の適任者も得られぬ場合もあると思う。そうかといって、地元の要望に沿いかねることになってもならぬのでありまして、これをどう大臣は解決なさろうとするのか。よく私どもは各県の産炭地を回りますが、せっかく土地をつくってもらっても高くかかる、これでは企業誘致はできない、しようとすれば地元がその分を持たなくちゃならぬということになるわけです。事業団の今日当たっておるその人がどうこうというわけではありませんけれども、事業団のやり方に問題がある、独立採算に問題がある。これはやはり解決してもらわなければならぬ問題だと思っております。ほかにもいろいろきょうは聞きたいことがありますけれども、時間がないようですからそれを中心にお伺いいたします。その管理費といわれる二〇%、これは何とか解決しなければならぬ問題です。本来ならば、それはもちはもち屋で、府県当局が当たれば、土地の事情も知っておりますからわりにスムーズにいくかもしれませんが、新しい店である事業団がやる場合には、下部組織も少ないことですから、土地の買収の問題からいろいろな点に、なかなか困難な点もあろうと思います。その問題の二〇%をどうなさるつもりか、その点をお伺いしておきます。
  37. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 仰せのとおり、土地造成をいたしましても一これが売れない、あるいは利用できないということでは、本来の目的は達せられない。ただボ夕山等の場合は、取りくずしによるボタ山の災害防止という面は、一面においては効果があると思いますが、しかし、つくった土地が利用できないということは、私の考えでは金を捨てるということと同じ——捨てるまではならないが、すぐ利用できないのですから、非常に利用価借が少ない、金の使い方が効率的でないということに相通じておると私は思うのでありまして、こういうことについてはわれわれも実はよく了承いたしておりまして、何とかこの問題を解決いたしたいということで、かねがね大蔵当局にも事務当局をして当たらせておるのでありますが、今日までまだ解決を得ていないのはまことに遺憾に存じておるところであります。将来その解決に向かって一そう努力いたしたいと思います。
  38. 井手以誠

    井手委員 その遺憾だと言われる解決の方法をどういうふうにお考えになっておりますか。国が補助金をその分は出そうというのですか、先行投資についての考え方を変えようとなさるのですか。根本は管理費をどこかで持ってもらわなければならぬわけです。
  39. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 考え方としては、管理費をできるだけ国が持つような方向で解決をしたいものだと思っております。
  40. 井手以誠

    井手委員 それは国が持たなくては、いまのままではやっていけません。それは、事業団に対してまた批判がくるようになってまいります。先刻お話しいたしました公共投資のかさ上げによって府県でやらせるのか、事業団にやらせるならば国が管理費を持つという方法をとるのか、事業団の仕事そのものが産炭地の公共事業ではございませんけれども、それはやはり関連がございますから、いずれかに解決しなければならぬ問題だと思います。早急に解決なさるおつもりですか。やはり四十年度になりますか。
  41. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 予算措置で解決するという場合も、あるいは府県にその事業を移譲するというような考え方に立ちます場合もやはり予算の問題を必然的に伴ってまいりますから、これはどうもまことに遺憾ではございますが、予算の時期にならないとかなり困難ではないかと私は思っております。
  42. 井手以誠

    井手委員 四十年度予算になりますと、福田さんも産炭地問題はずいぶん御苦労なさいましたが、おそらくあなたはまた通産大臣をずっと続けられるとは期待いたしておりますけれども、あなたの在任中にぜひ解決してもらいたいと思うのです。これは答弁は要りません。  それから次に、 これだけはひとつもう少し聞いておかねばならぬ問題は、石炭政策一つの要点である、問題点であります産炭地域に対する鉱工業の導入問題、幾ら約束が実現できたのか、また、いま計画中のものは何と何とあるのか、詳しく伺いたいと思う。
  43. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地事業団もようやく出発いたしまして一年以上になるわけでございますが、初めかなり御希望に沿えなかった点もございますが、ようやく軌道に乗りかかってまいりまして……。
  44. 井手以誠

    井手委員 ちょっと途中だけれども、それはいいから、政府または政府機関のものです。直営工場のものです。
  45. 新井眞一

    新井政府委員 直営工場につきましては、九州に専売工場の下請のフィルターの工場が一つ、それからもう一つ、飯塚のほうに自衛隊の移設の問題がいま進行中でございます。それと北海道の美唄の問題でございますが、直営工場の新設ということは困難でございますので、これに準じた姿におきまするセラミック工場の建設ということで、三十九年以内に操業ができるようにいたしたい、かような状況でございます。
  46. 井手以誠

    井手委員 以上お話しになった三点については、私もよく承知いたしております。それでおしまいなのか。ずいぶん、一昨年の石炭国会以来お約束になったはずです。おそらく、計画中のそういうものは幾つもあるはずだと思いますが、それをお示し願いたい。
  47. 新井眞一

    新井政府委員 いろいろの期待もございましたし、希望もあったわけでございまするけれども、現実問題といたしまして、可能性のある問題をシラミつぶしにいろいろ検討を加えたわけでございますが、やはり採算を無視して完全に——民間の企業とは違う姿ではございますものの、また半面、行政能率その他の点もございまして、おおむね先ほど申し上げたような姿で、むしろ早急にはなかなか政府関係工場の新設というのはむずかしいというふうな判断に、現在は立っておるわけでございます。その点はまことに申しわけないと思っております。
  48. 井手以誠

    井手委員 大臣、これでおしまいですか。
  49. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のとおり、実はわれわれとしてはできるだけ政府事業を産炭地に持っていくように努力いたしてまいったのでありますが、まだ十分その成果をあげていないのは遺憾であります。今後においても——なぜそれを持っていけないかというのは、それぞれみな理由があるのでございまして、具体的に検討してみても、これを実現するにはいろいろの隘路がございまして、なかなか実現がむずかしい。しかしわれわれは何もあきらめたというわけではありません。そういう隘路が解決されますならば、やはり今後できるだけ産炭地振興のためには努力をいたしたいという熱意を依然として持っております。
  50. 井手以誠

    井手委員 あきらめたのではないでしょうけれども、やはり波がありますからね。産炭地振興、石炭対策というものがいつまでも、数年も続けられるものではないのです。いや、続けなくちゃなりませんけれども、国の施策というものについては波があることは、大臣御承知のとおりです。鉄は熱いうちに打たなくては、さめたらだめです。  それじゃ大臣、非常にお急ぎでしょうからどうぞ……。
  51. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 また適当な機会にひとつ十分お話をさせていただきたいと思います。
  52. 井手以誠

    井手委員 質問のついでですから、官公需の増大を政府は約束されておりますが、産炭地に対して官公需をどういうふうに増大されたのか、実績をお示し願いたい。
  53. 新井眞一

    新井政府委員 それぞれ産炭地に誘導してまいりました工場の製品に応じまして、その製品に向いたその地区の官公需の問題につきましては、いろいろお願いをいたしましてやっておるわけで、たとえば美唄に今度できる予定になっております縫製工場なんかの場合、北海道地区でのいろいろな国鉄とかあるいは自衛隊、そういったものに対する買い付け等につきましていろいろお願いを申し上げておるわけでございます。私どもその成果につきましてはかなり期待を持っておるわけでございます。
  54. 井手以誠

    井手委員 政府石炭政策、これは政府が出した書類ですが、この産炭地域振興対策については見るべき成果はあがっておりません。これは端的に申し上げます。ここであまり実績があがっていない問題についてとやかく論議してもどうかと思いますし、大臣も退席されましたので多くは申し上げませんが、やろうと思えば、政府関係機関の産炭地建設という問題もできないはずはございません。それは従来の行きがかりがあって、それにこだわられるからそうなるのでありまして、やろうと思って、やる気になればできないこととはないはずです。いろいろな行きがかりがあることは私も承知しております。行きがかりはあってもなお、産炭地振興のためにやらねばならぬと決意したのが政府である。なお一そう努力をしてもらいたいことを要望しておきます。  この機会に振興事業団の高木さんにお伺いしておきますが、あなたのほうにも政府に対して、仕事がうまくいかない点に対しても、言い分がたくさんあると思うのです。あなたは業界の大先輩であり、私は敬意を表しておりますが、事業団という性格からいって、実は事業団の問題については総括的に聞きたかったのですが、大臣の時間の都合で後日に譲りますが、事業団の性格から考えてあなたのおやりになりたいこと、それがなかなか思うようにいかないのは、どこに欠陥があるか。いま産炭地振興事業団がうまくいっていないとは私は申し上げません。けれども先刻触れましたように、管理費の問題、いろいろあると思うのです。この機会に項目だけでもけっこうです。詳しいことは要りませんが、要点だけお聞かせいただきたい。
  55. 高木作太

    ○高木参考人 非常に御親切なお話伺いまして、まことにありがとうございます。  私のほうは先ほど申し上げましたように、事業の部門が融資関係と土地造成関係の二つに大体なっております。そのほかに委託調査とかいうふうな問題がございますけれども、大体二つの事業部門が非常に重要な部門になっております。そのうち融資部門につきましては、大体予算を消化いたしまして、もう三十八年度の分も資金量が不足するくらいの程度に仕事が進んでおるわけなんですが、一方の土地造成につきましては、なかなか予算の消化がむずかしい、こういうふうな状態でございますので、われわれとしましても非常に苦慮しているわけでございますが、その原因と申しますか事情につきまして、一応お話し申し上げたいと思います。  何しろ、お互いがつくります土地は産炭地域でございまして、その地域内に適地を求めるということが非常に困難な事情がございます。御存じのとおり、産炭地炭鉱採掘あとが大部分でございまして、そういうふうなところに被害の問題や何かもございますし、特にまた陥落の落ちつかない浅所陥没つまり浅いところを掘りました部分の陥没地帯が各所にある、こういうふうなことから、その適地の調査に相当長い時日を要するのが実態でございます。それから、たまたまその適地としてお互いが考えましたところに農地がございますと、それぞれの面積に応じまして、あるいは県、あるいは農林省というふうなところに農地転用の許可を仰がねばなりません。その農地転用につきまして、事業団の土地造成について特別の考慮を払うというふうな制度がございません。もちろん農林省におきましても、その間の事情を御了承願いまして、できるだけの便宜は気持ちの上においておはかりを願ってはおりますけれども、やはり法規は法規としてあります以上、なかなか速急にお互いが考えるようにその許可がおりない、こういうふうな面もございますし、それから公有地の払い下げあたりにしましても、なかなかお互いの思うような方向にいかない。たまたまそういうふうなことが進みまして、そして用地造成の許可申請をいたしますと、お互い経済的に土地をつくらねばならぬ、こういうふうな使命がございます。それは井手先生から先ほどいろいろ御批判もございましたけれども、現在のところではあくまで経済ベースによってつくらねばならぬ、こういうふうな関係もございますので、この土地は造成費が高いとかなんとかいうふうないろんな御意見もありまして、なかなかそれが思うように運ばないというふうな関係もございます。それから、事業団のつくる土地は高いとかいろいろな御批判もありますから、できるだけ安くしたいとは考えますけれども、やはり先ほどの独立採算の関係で申し上げましたように、いろんな歩掛りとかいうようなことを考えますと、どうしても、そういうふうな安い土地を求めるということがしかく簡単ではございません、というふうないろんな関係もございまして、なかなか思うように仕事が運ばないで、予算の消化ができかねている、こういうふうなことがございまして、そういう事情になっておるわけでございます。その辺のところの、農地転用の許可を促進していただくということ、それから経済的な土地造成をやるということは、あくまでお互い考えなければなりませんけれども、おのずからそれには限度があるというふうなことについての御考慮、あるいはできるだけ事務処理のほうのことを、内部でも今後とも促進方を考えますし、また監督官庁におかれましてもそういうふうな御配慮を願って、事業壁の消化に努力したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから融資の問題は先ほど、現在のところは順調に進んでいる、こういうふうなことをお話し申し上げましたが、やはり地方の希望といたしましては、従来のような中小企業というふうなものばかりでなくて、もう少し大企業に対しての誘致をはかりたい、こういう希望が非常に熾烈でございます。しかし現在のところ、そういう、ふうな大企業に対しての融資ということができませんようなたてまえになっておりますので、そういうことにつきましても、地方の要望を幾らかでも入れられるような方向に考えを変えていただけば、たいへん産炭地域の振興に資するのじゃないか、こういうふうに考えます。一方また、労働組合のほうからの要望といたしましては、もう少し質のいい再就職の場をひとつつくってもらいたい、こういうふうな話もございますので、そういう面につきましても、やはり中小企業と大企業の間にはいろいろ違いがございますので、そういうふうな要望に対しても、大企業の誘致ということがはかられれば非常にいいのではないか、こういう考えも持っております。  それから、これはお互いのところが純然たる金融機関ではございませんから、なかなかむずかしい面もあろうかと思いますけれども、お互いの事業団では設備資金の融資の三〇%なり四〇%なり、あるいは場合によって五〇%という資金の貸し方しかできないわけでございます。しかし事業をやるにつきましては、やはり運転資金というものが必然的に必要になってきますから、運転資金の融資によって企業の運営がやりやすくなるというふうな面も考えたらどうかという希望を持っているわけです。しかしこれはなかなかめんどうなことで、直ちにこれが実現するとは考えられませんけれども、お互いの気持ちとしてはそういうふうな気持ちを持っております。  それから、三十八年度の終わりに十七億五千万円弱の融資量になっておりますが、それでまかなえなくて三十九年度まで持ち越しましたのが、融資希望額十三億ぐらいあるわけであります。こういうようなのもできるだけ早く融資をしてやりますと、それだけ産炭地振興の速度が早くなるという関係もございますので、そういうような面から申しますと、もう少し融資のほうの原資をふやしていただけばけっこうじゃないか、こういう希望も持っております。  それから融資比率にいたしましても、先ほどちょっと触れましたが、三〇%なり四〇%、あるいは最大五〇%という程度の低金利の金を貸すだけでは魅力が薄いのじゃないかという感じもいたしますので、この点も融資比率の引き上げができるということになりますと、産炭地に進出する企業に魅力を感じさせますので、自然誘致もしやすいのじゃないだろうか、こういう考えも持っております。  以上申し上げましたのは、希望とお互いが当面している困難な事情でございますが、こういうふうなことについてその困難な事情を解消していただき、お互いの希望を、望外の面もあるかもしれませんが、かなえていただけばたいへん事業団としてはしあわせじゃないか、こういうふうに考えます。
  56. 井手以誠

    井手委員 私が理事長にお伺いしたいのは、事業団の経営として、あなたも民間会社におられたのですから、これでやっていけるのかという問題です。事業団として根本問題ですよ。  その前にちょっとお伺いしておきますが、人件費、旅費、いわゆる人件費といわれるのはどのくらいですか。一億六千万円の経費の中で、人件費、旅費など人に関する費用はどのくらいになりますか。
  57. 高木作太

    ○高木参考人 人件費だと、九千九百六十三万一千円です。
  58. 井手以誠

    井手委員 一億円ですね。事業団の内容はよく知りませんが、資料によりますと、三十八年度の融資は、計画では十三億円が予算に載っております。それから土地造成は十九億円の予定が、四億数千万円の実績になっておるようです。そのくらいの事業に一億円もの経費をかけて、独立採算という立場であれば、それでやれるのかどうかという問題ですよ。これがもし会社であるとするならば、とてもそんなことはできないと思うのです。だから、事業団運営のどこに問題があるのか。私があなたに聞きたいのは、農地の転用の認可というような事務的な問題ではございません。問題はやはり、管理費を国が補助すべきであるかどうかという基本問題が出てくると思うのですよ。それができないならば、経費をうんと圧縮して事業に沿う程度にやるべきじゃないか。事業団の経営について、これは私大臣にいてもらいたかったのですが、事業団が幾つかできておりますが、これは産炭地振興事業団だけでございません。経費はかなりかかる。事業の実績については、なかなかいろいろな障害があって、あがらない。どこかに欠陥があるはずです。私は別にきょうは産炭地振興事業団を責めようとかなんとかいう気持ちはございません。何とかもっと動けるようなくふうはないものか、あなたが事業界出身だから私は申し上げておるのですよ。あなたのほうは相当の人数いらっしゃるようです。それだけの人数と一億円の経費をかけて、これだけの仕事しかできない。できない理由はあるのです。いろいろな障害があるでしょう。それは、大蔵省からいろいろな締めつけも受けておるでしょう。けれども、事業団の経営というものば何とかしなくちゃならぬ問題が私はあると思うのです。これはあなたのほうばかりではない。ほかの事業団にもあります。だから何とかやはり解決しなくちゃならぬと思う。先刻は大臣から、自分の考えとしては、管理費については国が負担すべきである、補助すべきである。こういう意見を表明なさった。しかし、いまの経営をすべて国が負担していいのかどうかという問題も出てくるでしょう。たくさんの人間を雇っておるものを、全部それを国が負担するのかどうかという問題も出てくるでしょう。あなたが民間出身であればこそ、私は、どうしたらほんとうに独立採算でやっていけるのか、やっていけないならば、また産炭地の要望に沿い得ないならば、国に対して何を求めなければならぬのか、管理費は国で申してくれというのか、そこが聞きたいのですよ。問題はそこだと思います。事業団について私は大臣にいろいろ言いたいことがあったんです。事業団というのは、 これは公共企業体のもっと大衆化した公団、さらに事業団というのは前かけ式の、商売人式のお役所だと思っておる。行政を社会化し、能率化するのが公団、事業団です。新聞なんかによると、事業団というものは悪い面ばかり兼ね備えておるというような批評があります。それば酷な批評であるかもしれません。私がきょうあなたに特に聞きたいのは、産炭地振興事業団としてあれほど期待されたものが、これでいいのか、どうすればいいのかという根本問題をあなたに聞きたいのですよ。私は別にきょうは、事業団のやり方がどうのという、そういう意味じゃありませんよ。何とか事業団も立っていくようにしなくちゃならぬ。第一には、産炭地の希望に沿ってもらう事業をどんどんやってもらわなくちゃならぬ。そうするためには、どこに欠陥があるのか、どれを是正しなくちゃならぬのかということを聞きたい。
  59. 高木作太

    ○高木参考人 いまのたてまえといたしまして、先ほども申し上げましたように、土地造成の部門の仕事の進捗が非常におくれている。したがって予算の消化も非常に困難だ、こういうような事情でございますので、そちらのほうの仕事が進捗いたしまして予算どおりの消化ができますれば。私は現在の時点では、多少の赤字はございまするけれども、独立採算で事業団の運営ができていく、こういうふうに考えております。ただし、先ほど井手先生から御指摘のありましたように、土地の値段がいま事業団でつくっているのは高い、府県その他でつくっているものに比較して高い、こういうふうな御批判がございましたが、そういう、ふうなところを、より安い値段で提供するというふうなことになりますれば、いまのお互いのたてまえの土地造成ではそういうふうな要望に沿えないという、ふうな事情がございますので、そういうふうな点につきましては、先ほど大臣からいろいろお話がございましたが、政府におきまして御考慮をいただかなければ、お互いの手ではどうにもならぬ、こういうふうな現状でございます。  それで、割り掛けの費用をさっき二〇%と申し上げまして、相当なものじゃないかというふうなお話がございましたが、ごもっとものような面もございますけれども、ほかの住宅公団なんかのものも私たちよく調べまして、お互いのところがはたして高いであろうか、どうであろうかというようなことをいろいろ調査いたしましたが、ほかの公団につきましても、やはりその程度の、多少の違いはございますけれども、割り掛けが行なわれておるので、お互い割り掛けの制度としては、そう高い割り掛け率ではないというふうに考えておりますが、もちろんいま御指摘もありましたように、お互いとしては、できるだけ経費を切り詰めましてそしてできるだけ、繰り返して申し上げるようですが、現在のたてまえであります独立採算のできるような運営にしていきたい、こういうふうな考えではおるわけでございます。
  60. 井手以誠

    井手委員 事業団の理事長として、ものを言いにくい面もあるかもしれませんが、遠慮は要りませんよ。国鉄総裁なんか遠慮なく言っています。私は、民間の事業をおやりになった方の御発言として、いまのおことばはちょっといただきかねますね。私は公団の非能率を知っています。経費が高いのですよ。いまおっしゃったのは、二〇%くらいは高くはないという結論ですね。
  61. 高木作太

    ○高木参考人 いや、ほかのものと比べまして、必ずしも高いとは私は思っておりません。
  62. 井手以誠

    井手委員 事業団というのは、公団よりももっと社会化したものです。三十八年度にいたしますならば、土地造成が十九億円、三十九年度は二十五億円、融資が三十八年度は十三億円、三十九年度は二十七億円。融資についての費用は、私はそうかからぬと思うのです。銀行に一切まかせる、まかせるというか、最後の決定はあなたのほうでおやりになるけれども、これは金融機関に調査を委託されておやりになる、これにそう費用がかかるものとは思いません。年間一億円という、それほどの経費が要るのかということになります。年間一億円の人件費を使うならば、このくらいの仕事ではないはずです。このくらいの仕事ならば、経費というものはうんと安くていいはずです。あなたのほうの頭は、役所式の経営じゃないですか。あなたのほうばかり責めるわけじゃないのです。役所の方がたくさんいらっしゃるから、役所式に仕事ができていくであろうけれども、これは石炭局長も聞いておいていただきたい。あなたのほうもだいぶ事業団をお持ちでしょうから……。事業団のあり方というものについては、きょうは根本問題はあまり言うべきではないかもしれませんが、産炭地振興事業団のこの程度の仕事では、高木理事長も非常に腕が鳴るのじゃないか。金を十何億貸す、二十億貸すというくらいは、正直言って大した仕事じゃないのです。それは、審査をしなくちゃならぬでしょう。しかし審査その他については、銀行がちゃんとやるのです。あなたのほうは、最後の決定をするだけでしょう。せっかく産炭地振興事業というならば、土地造成の問題あるいは用水の問題、道路の問題があるはずでしょう。しかし、その問題については解決されておりません。土地造成もなかなかうまくいっていない。一億円の経費をかけて三十八年度の実績は、私のここに持っておる数字では四、五億程度だと思っております。その土地造成に一億円の費用を割り掛けずるという。それに二〇%もかかるということですが、そんなことは、民間の仕事ではありません。そんなことをしようと思っても、商売になりませんよ。一億円の費用をかけるならば、何百億円という事業ができるはずです。だから、私は理事長を責めるのじゃないのですが、事業団はもっと何かしなければならぬはずです。あなたとしては考えがあるはずです。政府にものを申したいということもあるはずです。国会に相談したいこともあるはずです。しかし、私は聞いておりません。この委員会も聞いておりません。私は産炭地ですから、いまのままでは困ると思って、きょうは特にお聞きをしておるわけです。それは一つ一つについては、いろいろあなたのほうの言い分もあるでしょうが、一億円の経費を持っているなら、もっと堂々と仕事がやれないのか。やれないならば、政府に対してもろとも一のを申しても一らいたい。ほかの公団の事業に比べて二〇%はそう高くはないというが、しかし私はどうもこれはいただきかねますね。
  63. 高木作太

    ○高木参考人 先ほど井手先生から四億何がしというお話でございましたが、いま調べますと、大体土地造成に支払いました金は八億何がしかになるかと思いますが、その点はひとつお調べを願いたいと思います。  それから、二〇%を必ずしも安いというようなことで申し上げたわけではありませんので、ほかの公団あたりと比較してみて、その比率が必ずしも高くない、こういうふうなことを申し上げたわけでございます。できるだけ管理費その他も切り詰めるような努力もいたしますし、それから事業量も、先ほど申しましたように、いまやるようになっておりますのは融資のほうと土地造成のほうですが、それが跛行的になっておりますために、いろいろ不都合が生じておりますから、できるだけこの際は土地造成のほうの仕事をふやしまして、努力いたしまして、そして予算の消化をはかりたい、こういうようなことで考えております。  それからほかの仕事をというふうな点になりますと、やはりそれはそれなりの希望をわれわれとしては持っております。たとえば水資源の開発の問題とか、あるいは道路とか、これはわれわれが直接やるかどうかわかりませんけれども、やはり産業基盤の整備のためには、道路とか交通機関とか通信機関とか、そういうふうな面の施設が相伴わなければ、なかなか産炭地の振興というふうなこともできかねますので、そちらのほうの基盤整備をこの際急いでやっていただきたい、こういうふうな面の希望も持っております。必ずしもそれは井手先生のいまお話しの面に沿わない面もあるかもしれませんが……。
  64. 井手以誠

    井手委員 私の申し上げているのは、もっと産炭地振興事業団は積極的に、大胆に地元の要望に沿うような仕事を進めていただきたいという趣旨であります。しろうとが考えましても、いま土地造成に八億円という数字が出ましたが八億円の事業をやるのに、なるほど融資事業もあるでしょうけれども、一億円の経費をかけるのは、独立採算の点から申し上げれば、これはどうも機構は大きいけれども、仕事が少ないということになるでしょう。機構が大きければ、減らすわけにいかぬから、事業をうんとしなければならぬでしょう。いわゆる事業団の機構の窓口をあまり広げて、仕事はなかなか進まないというのが現状ではないですか。だから、府県で仕事をさせれば二〇%の管理費は要らないということになる、そこに問題がいま出てきているんですよ。だから根本的に検討してもらいたい。私はきょうはこれを論議するためばかりではございませんので、これ以上申し上げません。事業団に民間から特にあなたをお願いしたのは、独立採算なら独立採算で事業をしなければならぬので、あなたのいままでの体験を生かして大いにやってもらいたいという意味で、通産大臣はあなたをお願いしたと思うのです。それがいつの間にやら役所式になってしまっては困ります。それは自然に空気がそりなりやすいのです。だから産炭地振興のためこれが必要だと思うなら、職を賭してでも要望するものは要望するという強い態度でやってもらいたい。何とかもうしようがないじゃないかということではいけません。私はきょうはどこがどうだとか具体的には申しません。全般的に申し上げているのです。これは石炭局長もよく聞いておいて、もらいたい。  局長にお伺いいたしますが、昨年のいまごろ、あなたのほうといろいろ話し合いをいたしまして、産炭地振興事業団で土地造成だけでは鉱害復旧程度ではいかないじゃないか、用水のほうも、道路のほうも業務目的に加えようじゃないかという話がまとまったと思っております。その点はどうなりましたか。一向実現しないようですが……。
  65. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地の振興のための工業用水の問題でございますが、先ほど来いろいろ御意見もございますけれども、工業用水のようなこういう問題、もちろん産炭地を振興しますためには当然必要なものでございまするけれども、それを一体どの規模のものをどういう程度にやっていくか、またそれを一体どこがやっていくかという問題は、またおのずから別の問題であろうかと思いますので、産炭地事業団と  いたしましてやる工業用水の仕事、それからまた工業用水関係で多目的ダムの問題とか、そのほかいろいろな点がございますが、ほかの団体と申しますか、ほかの組織をもってやってまいります問題もございましょうし、あるいは地方公共団体でやっていく問題もあろうかと思います。さしずめ産炭地振興事業団として、それに適応した工業用水の仕事というのは一体どういうものだろうというふうなところから、ワクぎめをしながら進めていかなければならぬかと思っておりますが、そういう観点で考えますと、たとえば炭鉱閉山をいたしまして水が出ておる、あるいは廃水がほかにある、あるいはクリーク水になっておる。そういうものをどう利用できるかというふうな問題、あるいはそれとは別個に、非常に小規模であるけれども、ややダム的なものもやらなければならぬ点もございましょう。やはり産炭地事業団もそういったいろいろな仕事をやっておりますが、そのうちで工業用水としてはどういうラインでどのぐらいの守備範囲でやっていくかというふうなことの検討を加えつつやってまいりたいと思っているわけでございまして、具体的には、ただいま委託調査費というのがございますので、その調査費によりまして、いろいろ先ほど申し上げたような考え方での、産炭地振興事業団としての守備範囲の中における工業用水の問題を扱ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  (「そんなことをししていたら産炭地は参ってしまう」と呼ぶ者あり)
  66. 井手以誠

    井手委員 調査とか研究の段階じゃないのです。いま影の声に、参ってしまうということばがございましたが、産炭地というのは重病状態ですから、すみやかに対策を立ててもらわなければならぬ。水が必要であること、工業用水あるいは鉱害による飲料水とか、かんがい水の問題などについては、これはすみやかに解決しなくちゃならぬ問題であることは、局長も御存じだと思う。できなかったものをそうくどくどと責めてもいたしかたございませんが、どうしてもできなければしようがないけれども、もっとはっきりしてもらいたいと思う。産炭地企業を誘致する場合に一番必要なものは、何といっても水です。昨年四月にあれほどお互いが話し合ったものが、解決できない。産炭地振興事業団では適当でないから、府県なら府県でやらせよう、それならそれでいいのです。どちらかけじめをつけてもらいたい。あちらこちらに多くの要望がございますが、なかなか実現を見ませんので困っておるのです。それはいろいろな機構がございますから検討の必要はあるでしょうけれども、どちらかで解決するという道をすみやかにきめていただきたい。  それから産炭地振興地域に企業を誘致する場合は、地方税に対して国が特別交付税で補給する道などが開かれておりますが、低開発地には事業税の減免に対する、補給があるけれども、産炭地にはないようです。これは当委員会の審議でも問題になったことでございますが、低開発地ももちろん大事でありますが、産炭地はそれ以上に、きょうかあすかという非常に切迫した事態でございますので、企業誘致をした場合の事業税の減免については、当然取り上げなければならぬ問題だと思いますが、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  67. 新井眞一

    新井政府委員 いまお話しの産炭地における誘致企業事業税の免税問題でございますが、まさしく私どもも先生と同じ考え方でございます。そう希望いたしておるのでございまして、強く自治省に要望いたしておりますけれども、現段階におきましてはまだ検討の段階でございまして、すっぱりオーケーということには相なっておりませんことは残念に考えておりますが、なお一段とこの面につきまして私どもも努力いたしたい、こう考えております。
  68. 井手以誠

    井手委員 企画庁からお見えになっておりますのでちょっとこの機会にお伺いしておきたいと思うのですが、産炭地における公共事業費のかさ上げは、三十九年度予算編成においての一番大きな要望事項でありました。その結果、企画庁に調整費として三億円組んであるようでございますが、それはどういうふうにお硬いなさる予定であるのかお伺いいたします。
  69. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 三十九年度に国土総合開発事業調整費二十一億円の中でほぼ三億円を要求いたしております。御存じのように事業調整費は、各省の行なっております公共事業のアンバランスを調整して、全体の総合効果を高めていくという考えの予算でございます。どういうふうに配分するかという問題につきましては今後それぞれの各省事業が出て、実施されるにつれまして、その間の不均衡というものが表面に出てまいります。各省から御要望が出てまいる、出てまいったことにつきまして審査をして決定いたしていくわけでございまして、全体をどういうふうな基準でこれを取り上げていくかという問題につきましては、目下大蔵省のほうともいろいろ折衝中であります。また通産省のほうの御意見なども反映して、産炭地における各種の公共事業が一そう効果が上がるようにということで、配分といいますか、支出をしていきたいというふうに考えております。
  70. 井手以誠

    井手委員 効果の上がる費用に出したいというが、具体的にはどういうふうにお考えになっておりますか。
  71. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 事業調整費は、何といいますか、ケース・バイ・ケースの問題に対して出てまいりますもので、具体的に言いますと、それぞれ各事業とも全部、その場合その場合の特殊性がございますから、非常に一般論としては申し上げにくいわけでございますけれども、たとえて言いますれば、一つの港湾事業が行なわれている、片やその背後の地域においては道路事業が建設省で行なわれているという場合に、港湾の事業の進捗に応じて考えてみると、道路のほうがなかなか進捗しない。そこで港湾ができても、港湾の機能を完成の暁に果たし得ない面が出てくる、あるいは一、二年そういった投資が寝てしまうようなおそれがあるというような場合には、その道路計画のほうの促進として経費を追加していくというふうな形になります。土地改良あるいは道路の問題、道路と海岸堤防の問題、あらゆる事業との間における調整でございますので、一がいにどういう場合にということはお答えできないかと思います。一例を申し上げると、そういうことでございます。
  72. 井手以誠

    井手委員 そうしますと、結論だけをお伺いしますが、産炭地域に限定して三億円は調整に支出される、こういうことですか。
  73. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 予算の二十一億の中に三億円が含まれているわけでございますが、三億円きっかり必ず産炭地に出すというような形というよりも、三億円前後のもの、あるいは三億円よりも若干上回る場合もありましょう、あるいは若干下回る場合もありましょう。しかし、ほぼ三億円を予定しておるということは、予算編成のいきさつから事実でございます。
  74. 井手以誠

    井手委員 石炭局長にお伺いします。  福岡、佐賀、長崎の産炭地を結ぶ道路の費用に八十四億円を計上するというのが、当時の大臣その他の約束でした。それがどういうふうに進められておりますか。飯塚、福岡、唐津を経て佐世保に通ずる二、三の線について、八十四億円を投ずるという約束になっておりました。これは普通の道路の公共事業費を言うのではありません。産炭地の特別の費用として八十四億円というわけですから……。
  75. 新井眞一

    新井政府委員 いまお示しの道路計画、これは産炭地振興の基幹の道路として、有沢先生から御指摘もあったし、いわゆる有沢道路といわれているものだと思いますが、本件につきましては、建設省のほうでもいろいろ検討を加えておりまして、現在それを検討中でございます。まだその結果につきましては申し上げる段階でございませんけれども、かなり好意的に検討を加えておるという状況でございます。
  76. 井手以誠

    井手委員 有沢調査団の答申なり政府の公約は、一昨年の秋でしたね。産炭地道路というのは、やはり最初に投資されるべきものであります。なお検証の段階直るとは、にくいのです。なるほどその区間の飯塚−博多間、博多−佐世保間の事業は進んでおりますが、それは道路五ヵ年計画に基づいてやったものである。産炭地関係で幾らそれが加わったのか、実績はどうなのか、今後どういう計画なのか、それが私は聞きたいのですが、八十四億円は産炭地関係で別に加えられるはずのものですから……。それはおわかりでございましょうか。
  77. 新井眞一

    新井政府委員 建設省の道路計画に伴う予算といたしまして、御承知のように三十九年度百九十九億二千五百万円、そういう関係が産炭地における公共事業の費用として一応出ておるわけでございまして、現在それをどういうふうに張りつけるかという段階でございますので、したがってその数字が出ますまでは、ちょっと私この場面で明確なお答えができないのでございますけれども、かなりな期待を私どもとしては持っておるわけでございます。
  78. 井手以誠

    井手委員 明確な答弁を得られませんから、そう多くは申し上げません。しかし、あなたのほうから出た資料によっても、五カ年計画といって既定の計画で進められるものではないわけです。これは産炭地であろうとなかろうと、やはり計画どおり、あるいは計画に近く進んでいくものです。産炭地道路というのは、緊急に産炭地振興のために道路をつくるわけですから、計画を変更してその分は先にやるとか、三十八年度五千万円の予定を一億円にふやすとか、そういう措置を加えることが産炭地道路の開発です。それがどうされたかということを私は承っておるわけです。わからなければばけっこうです。しようがありません。わかりませんね。
  79. 新井眞一

    新井政府委員 現在そういう具体計画を張りつけ中でございますので、ただいま明確にお答えできません。
  80. 井手以誠

    井手委員 それからこの前お伺いいたしましたボタ山崩壊危険防止の事業あれは鉱山保安局でしたかね。それではまた別の機会にいたしましょう。  実は産炭地振興についていろいろ申し上げもしたいし、お聞きもしたいのですが、お役所仕事ですから多くは期待いたしておりませんが、産炭地振興という石炭政策の約束でありますから、いま少しは明確な答弁が得られそうなものだと思って期待してお伺いしたのですけれども、期待はずれでまことに残念に存じます。当局はかなり誠意をもって努力されておるとは私も信じておりますが、残念ながらその実績が出てこないことを遺憾に存じます。どこが悪いかということについても先刻からいろいろ聞くけれども、なかなかはっきりはおっしゃらぬ。みんなりこうだから、あそこに差しつかえる、こちらが困りゃせぬかというので、なかなか口がかたくておっしゃらぬ。しかし、当局も関係者も、産炭地振興という大目的のためにはもっと勇気を出してもらいたい。これを強く要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  81. 中村寅太

    中村委員長 細谷治嘉君。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私もいろいろな問題について、たとえば振興計画そのものについて、あるいは事業団のあり方について、あるいは石炭そのものの計画、見通しについて聞きたいわけですが、時間がございませんから、先ほどの井手委員の質問に関連してごく限った点について一、二御質問したいと思います。  せんだってもちょっとお伺いしたのですけれども、産炭地というのは、ある意味では、低開発とか、あるいは離島の問題とか、あるいは奄美大島の振興計画の問題とか、あるいは新産都市という問題とは違っておるのですね。それらは、低い水準にあるのを何か上げようと、こういうところにねらいがあるわけです。産炭地の問題いうのは、どんどん奈落の底に落ちていこうとしておるのを食いとめて、振興へのてこ入れをしようということであって、他の問題とは向きが違うわけです。そして、早くそれを食いとめなければならぬ。したがって、あまり多くの時間をかけることができない。こういうような問題であるわけです。そういう点について、産炭地実情は御存じかもしらんけれどもせっぱ詰まった、身を切られるような痛さというものをどうもお感じになっておらぬのではないかという感がいたします。  そこで、私がお尋ねしたい点は、産炭地の問題は、何といいましても、何とか奈落の底からはい上がろう、食いとめようとする、それを食いとめられないいろいろな行財政の支出の問題があるわけですね。一方、それを食いとめて、そして明るいめどが見られるようなところまではい上がろう、そのために振興計画というのをやっておるわけです。ところが収入は減っておる。やりたいけれども振興計画をやれないというのが、実態なんです。そういうところに、これをやらせるにはどうするか。これは独立採算なんということを考えることがおかしいと思う。先ほどの高木理事長は独立採算ということを言われた。なるほど形だけは官僚的な独立採算。民間人の御出身である高木理事長としては、独立採算ということを形式的に言ったけれども、できた土地は高くて売れないということなら、これはほんとうの意味の独立採算ではないですよ。民間ベースにおけるほんとうの意味の独立採算ではない。そういう実態であるので、これを救う道は、いま産炭地の問題として一つは、生活保護あるいは失業対策事業、あるいは学校の就学奨励とか、いろいろ多額の経費が必要である、これをやはり高率補助をやってやらなければ産炭地は助からぬ。それはただ食いとめるだけです。もう一つは、振興計画にはい上がろうとする、そして明るい光の一筋でもながめようとするところまでやってやる振興計画については、金がないわけですから、少なくともそういう問題については、離島とかあるいは奄美とか、いろいろな振興計画がありますが、それとは違った緊急性、切実さがあるわけです。せんだっても御質問したのですけれども、これに対する特例が具体的に講じられなければいかぬと思う。それに対して、せん、だってお伺いいたしますと、自治省が新産都市の高率補助特例を出したらば自分のほうは検討しよう、あるいは自治省のそれに乗せていただくようにお願いしたいという、きわめて消極的な気持ちのようでございます。これでは産炭地は救われませんので、もっと積極的にこの問題に取り組むという決意を表明していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地域振興という、ほかの新産都市あるいは低開発、離島、これとの関連においての問題の認識のしかたでございますが、いま細谷先生お示しのとおりでございまして、私どもも、いままであった石炭産業の崩壊によります地域経済の問題、あるいは離職者の問題ということで、さような心がまえでやっておる点ば同様でございます。それに関連をいたしまして、新産都市の補助率の引き上げに伴って、受動的に動いておるのじゃなかろうか、こういうお話でございますが、なるほど産炭地振興事業団の発足以来一年幾らでございまして、急がなければならぬわけでございますけれども、それなりに、一生懸命私どもはやっているつもりでございまして、今度の場合におきましても、ようやく調整費というふうな足がかりを得たような次第でございます。やる気がまえという点におきましては、いまお話しのように、私どもも同様に考えて産炭地振興を一生懸命やりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 調整費がなるほど三億円と、先ほどの質問に対してお答えがあったわけです。三億円つきました。予算要求は十億円であったのです。こんなものでは、焼け石に水ということばがありますけれども、どうにもならぬという実態なんです。そこで、新聞にも出たとおり、通産省自体も立案されているように、公共事業についての産炭地のかさ上げというか——かさ上げなんぞではほんとうは済まぬわけです。低開発のところにおけるようなかさ上げ方式でなくて、一律の補助、負担の特例というようなものを設けなければどうにもならぬということでありますから、そういう点につい、通産省としては進んで法案を提案する、新産都市がどうあろうと根本的に違うのですから、決意があるかどうか。一生懸命やっていることは私も認識しておりますが、一生懸命やっているということばだけではだめである。事業団ができたじゃないか。事業団ができたことはけっこうであります。しかし、事業団はほんとうに産炭地の振興に役に立たなければ意味がないのです。ですから、気持ちだけの問題ではない。具体的に進めていかなければいけないのですから、今度の国会に出されるのかどうか、それを一言だけ聞かしていただきたい。
  85. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地におきます公共事業の補助率の引き上げ問題でございますが、今国会に出す予定はいたしておりません。検討はいたしておりますけれども、今国会に提出する予定はいたしておりません。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 出す予定がないということでありますが、自治省等から新産都市の案が出てさましたらどうしますか。
  87. 新井眞一

    新井政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたように、新産都市におきまして補助率引き上げがある場合には、私ども当然それ以上の優先性があるのだということで、大臣から明確に御答弁がございましたような方向で進んでまいりたい、こう考えております。
  88. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省は今国会に出すと言っておりますよ。産炭地は新産都市とは違う。非常な窮境にあるのに、自治省はそういうことを言っている。新産都市についてそういう特例をやろうと言っている。それに対して通産省に出す意思がないということになると、産炭地の悲境は認めていながら、ことばがどうあろうと、実際は消極的だ、こう申さなければなりませんが、いかがですか。
  89. 新井眞一

    新井政府委員 自治省がどういうことを言っておられるか私は連絡を受けておりませんけれども、自治省が新産都市を出すならば私どもの産炭地のほうがそうならないというのは、これは私どもとして絶対おりられない線でございますので、そういう考え方で進んでまいりたい、こう思うわけでございます。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新産都市はここ一年、二年やらなくても現状維持ができるわけです。産炭地はできない。ですから、新産都市がなったら、当然それより優先的にやるべきだというお気持ちなら、決意を表明されたいと思います。今度の国会に出すのだという決意で臨んでいただかなければならぬわけです。非常に執念深く尋ねますが、もっと積極的なお答えを聞きたい。
  91. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地の公共事業の推進等につきましては、いろいろやってまいりたいと思いますが、具体的に補助率引き上げに関する法案を今国会に出すかどうかという点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。明快にここで出すというふうなお答えはできません。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 補助率引き上げか負担率引き上げか、それはどちらでもけっこうですが、二月二十二日の朝日新聞にこう書いてあるのです。「このような動きに対して」——ということは「公共事業費の標準負担額を越える分について、特に国がその一部を負担しようというもの」です。「このような動きに対して、福田通産相は、財政のとぼしい産炭地の地方公共団体にこそ、まず公共事業費の負担軽減をはかる必要があるとして、事務当局にその具体化を指示したものである。通産事務当局では、自治省に対して、新産業都市建設のための特別財政措置法の立案に当っては、産炭地域もその対象に織り込むよう申入れるが、それがむずかしい場合ば、産炭地域だけを対象とした単独立法も検討する。」と書いてある。これをそういうものの関連においてやったほうがいいけれども、できない場合は単独立法でも考える、そういうふうに記事はなっております。けっこうな通産省の決意だと思いますが、局長さんにお聞きしますと、どうも、向こうのほうが出したならば、本質はそれよりももっと急ぐものだし、緊急性の高いものだからやろうという、お先様まかせのような態度ではないかと思うのです。重ねてお聞きします。
  93. 新井眞一

    新井政府委員 産炭地域振興につきまして、ほかの問題にそれるようでございますけれども、先ほど来いろいろございますが、これがほんとうに産炭地振興のむずかしさでございまして、結局政府関係工場をどんどん持っていけばよろしいのでございますが、そこに、いままでのいんしんをきわめた石炭産業にかわる、しかも将来長い間一  つの経営体としてやってまいる、そういう企業を持っていこう、こういう考え方でございますので、もちろん産業基盤の問題、あるいは低利の融資の問題、いろいろなものをからみ合わせながら速急にやっていかねばならぬということもありますが、あくまでもそこでその企業が永続をして、最初の立ち上がりのときにだっと行き、そしてあとはどうも一いかぬということではいけませんので、そういったことはすでに御承知のとおりだと思いますけれども、なかなかむずかしい仕事であるわけでございます。したがいまして、いまの補助率引き上げの問題も、私ども非常に熱望いたしておりますけれども、いまのそういった目的から考えまして、どれから手をつけていくかという問題もございますし、なお予算面の問題もございますから、引き上げ問題を具体的にこの国会で出すというふうに明快にお答えはできがたいわけでございます。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が申し上げておるのは、道路五カ年計画とかそういうものに織り込まれたところの路線にどうのこうのという、そんなものじゃないのです。臨時措置法に基づく基本計画、実施計画が立てられます。その実施計画は、産炭地振興の基盤整備なんですね。基盤整備として織り込まれておる振興計画の中の事業、道路なり用水の問題なり、あるいはその他のいろんな問題、酪農等が相当取り入れられておるようでありますが、そういう基盤もつくらねばなりません。そういう問題も全部、公共事業として扱っていただ  かなければならない。そして用水にしても、端的に申し上げますと、四円五十銭とか五円なんというような経済べースの水は、おそらく産炭地では得られぬでしょう。九円とか十円になる。そういうものまであえてやらなければ、基盤の整備はできないでしょう。そうしますと、高率補助ということになってくるわけです。基本計画、実施計画に織り込まれたものを公共事業として扱って、それに特別の補助をやっていただかなければ、ことばはどんなにりっぱでも産炭地は救われない、こう私は思うのです。前提であるその決意がはっきりしていませんけれども一、考え方としては私のような考えにならざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  95. 中村寅太

    中村委員長 細谷委員におはかりいたしますが、いまあなたが参考に読まれた新聞記事は、通産大臣の発言だと思いますが、十三日には通産大臣が来ることになっておりますから、そのときにしていただいて、石炭局長にはこの程度でひとつ……。
  96. 新井眞一

    新井政府委員 考え方といたしましては、細谷先生のおっしゃる考え方には同感でございます。また、そうしなければ相ならぬと思っております。
  97. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 資料要求をいたします。石炭鉱業審議会で三十九年度の需給関係並びに生産その他いろいろ審議されておりますが、それに出された資料並びにその経過を、書類をもって本委員会に提出を願いたい。
  98. 新井眞一

    新井政府委員 提出させていただきます。
  99. 中村寅太

    中村委員長 高木参考人には御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は、来たる十三日月曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会