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1964-03-26 第46回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 有田 喜一君 理事 上林山榮吉君    理事 神田  博君 理事 始関 伊平君    理事 中川 俊思君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 中村 重光君       金子 一平君    木村 守江君       周東 英雄君    壽原 正一君       田中 六助君    中村 幸八君       野見山清造君    藤尾 正行君       三原 朝雄君    井手 以誠君       細谷 治嘉君    松井 政吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 眞一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      川原 英之君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         厚 生 技 官         (環境衛生局         水道課長)   大橋 文雄君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      佐成 重範君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局石         炭課長)    佐伯 博藏君         参  考  人         (九州鉱害復旧         事業団理事長鉱         害賠償基金理事         長)      天日 光一君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事) 佐藤 京三君     ————————————— 三月二十六日  委員原田憲辞任につき、その補欠として金子  一平君が議長指名委員に選任された。 同日  委員金子一平辞任につき、その補欠として原  田憲君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七一号)  石炭対策に関する件(亜炭対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  亜炭対策全般について質疑の通告がありますので、これを許します。金子一平君。
  3. 金子一平

    金子(一)委員 私は亜炭対策について政府当局から承りたいと思っておるのであります。  ちょうどこの三月四日かと思うのでございますけれども東海地方の、具体的には岐阜県の御嵩の町長並びに業界代表者に、東海地方亜炭の現況、保安の問題、鉱害復旧の問題、こういった点について当委員会においてお聞き取りを願ったのでございますが、この二十一日でございますか、たまたま岐阜県のある町におきまして、相次いで二つの亜炭鉱落盤事故が起こりまして、四名が死ぬというような事件が起こりました。亜炭鉱災害は三十四年からしばらくとだえておったのでございますけれども、小さな炭鉱で一時に四名も死者を出すというようなことは、これは地方としては非常に大きな問題でございます。すでに通産省におかれましても、事故原因等につきましては御調査なすっておるかと思うのでありますが、私ども聞くところによりますと、事故を起こした炭鉱、これはその炭鉱だけじゃございませんけれども、非常に老朽した炭鉱で、しかも事故を起こすしばらく前にも、同じ個所落盤を起こしておるというようなことがあったようであります。監督官庁である通産局においては、どういうような監督をしておられるか、そこら辺の点をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 川原英之

    川原政府委員 ただいま金子先生から御質疑がございましたように、今年の三月二十一日、岐阜県の片野炭鉱におきまして落盤事故がございまして、片野炭鉱におきましては三名、それから新大桜炭鉱におきまして一名の死者を出しましたことは、私どもといたしましてまことに遺憾に存ずる次第であります。  通産省といたしましては、直ちに名古屋通産局から現地に急行いたしまして、その詳細な事情調査をいたしておるわけでございます。まず片野炭鉱につきましては、この鉱山隣接鉱山が閉山いたしまして、その関連したところより浸水がありましたために、その切り羽を撤収いたしまして、新しい開発坑道を掘進中であったわけでございます。そのために、その予定に先立ちまして、掘進ボタの処理も考慮いたしまして、斜坑の両側のわきの残炭を掘さくし、ボタ袋を設けることといたしたものであります。採掘個所は、坑道両側に幅約五・三メートルの切り羽を設けまして、昇り向きに採炭中でありまして、左右二名ずつ計四名が就業いたしておったのであります。採掘場所天盤は約十五センチメートルの炭まじりの粘土がついてございますが、この粘土が突然くずれまして、左側の二名が埋没し、そのうち一名が死亡いたし、一名は脱出をいたしましたが、坑口で死亡いたしたわけであります。右側のほうの二名は、一名が埋没死亡いたしまして、他の一名は退避をいたすことができまして、無事でございました。坑道の支保が残柱払いの変則的な場所でありましたために、打柱を五本程度で支持をいたしておったように聞いております。なお、その鉱山の係員は午前中にその場所を巡視いたしておりますが、そのときはまだ異状が認められなかった、こういうことであります。  これに対して、名古屋鉱山監督部といたしましては、直ちに鉱務監督官を派遣いたしまして調査に当たらせたのでありますが、片野炭鉱につきましては、支柱方法及び採掘方法原因があったと思われましたので、直ちに通達書を交付いたしまして、今後の保安の確保について特に要請をいたしたわけであります。   〔委員長退席中川(俊)委員長代理着席〕  通達書の内容といたしましては、採掘方法及び支柱方法を施業案によりまして的確に定めて、実施をする。同時に、抗道が崩壊いたしておりますので、もう一本の坑道をさらに完成する。支柱方法は現在の打柱方法を改めまして、三ワクの支柱にするように指示をいたして、なおその後監視をいたしておるわけであります。  新大桜炭鉱につきまして、やはり同日、三月二十一日十三時四十五分に落盤がございまして、この落盤新大桜炭鉱は元来天盤がわりありいい山でございますが、昇り坑のところの切り羽が高さ約一・八メートルでございますが、その上部のろう石を落とす作業をやっておりました際に、上から落ちましたろう石をよけ損じまして頭に当たって死亡いたした、こういうことでございます。  このような事故を発生いたしましたことは、私どもといたしましてまことに遺憾に存ずる次第でございますが、亜炭鉱山につきましては、御高承のごとく名古屋、特に岐阜地方及び東北地方に多数存在するわけでありますが、これに対しまして常時、それぞれ名古屋鉱山監督部及び仙台の鉱山監督部におきまして巡回の検査を行ないまして、この監督に当たっておったわけでありますが、それにもかかわりませずこういう事故を発生いたしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  5. 金子一平

    金子(一)委員 この二件の事故は偶発的な事故のようにも考えられるかもしれませんけれども、私はこの事故は、亜炭鉱業に根ざす深い原因があるために起こったんじゃないかと考えておるのでございます。今日全国で百余万トンの亜炭が毎年採掘されておりますけれども、特に東海地方が大体生産量の半分を占めておるわけでございますが、御承知のようなエネルギー革命の影響を受けまして、従来東海地方亜炭は大体繊維業窯業に使われておったのでございますが、最近重油にすっかり切りかえられた。五十万トン前後の亜炭のうち、現在そういった用途に向けられておるのは大体三十万トン、しかもここ数年間に半減しております。ピーク時に比べますると、四分の一くらいに減っておると言ってもいいんじゃないかと私どもは見ておるのでございますが、いずれもその採掘しておる亜炭鉱零細企業でありまして、ぜいぜい使用者十人、二十人、多いところで五十人程度というようなことで、今後需要がだんだん減っていった場合に、どういうふうにやっていったらいいかということで、いま非常に迷っております。迷っておるのみならず、現在採掘に従事しておる者は、千五、六百人もおりましょうか、その背後にかかえておる家族、ある町のごときは、三分の一がこれに従事しておると言っても差しつかえないと思うのでありまするけれども、現在大きな社会不安を巻き起こしつつあるという現状でございまして、これは亜炭の半分を生産しておりまする東北地方とはやや違った事情にあります。東北地方亜炭は、家庭用燃料に使っておりまするので、やや需要は安定しておるように見受けられまするけれども、私は率直に考えまして、現在安定を保っておる東北亜炭も、遠からずしてやはり同じような運命におちいるのじゃないかということを心配しておるものでありまするが、亜炭現状をいかに認識し、またいかなる対策を今後打ち立てられようとしておるか、通産省の御見解を承りたいと思います。
  6. 川原英之

    川原政府委員 ただいま金子先生から御指摘がございましたように、亜炭は以前に比べますと、いまから五、六年前は全国で百五十万トン近くの生産を有しておりまして、約一万人近くの労務者を持っておったのでありますが、これが累年減少いたしまして、現在では約九十万トン程度生産をいたしておるだけであります。労務者もしたがいまして五千人ぐらいに減少いたしておるかと思います。  なお、亜炭鉱業がいわばやや地域的な産業でございまして、その用途の大半が、岐阜地方におきましては特に窯業燃料それから繊維産業に消費されておりますこと、及び東北地方亜炭が大体家庭燃料用といたしまして消費されておるということも、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、東北地方岐阜地方とでは、その競争相手岐阜地方の場合には油でございますし、それから東北地方の場合には薪炭との競合ということに相なります関係上、御指摘のごとく若干その将来についての立場は異なるものがあろうかと存じます。この亜炭工業につきまして、従来も、御指摘のように、平均いたしますと一鉱山に二十人ないし三十人の中小鉱山が多数を占めております関係上、これは中小企業的な対策として取り扱っていく方法が一つ考えられてきたわけでありまして、御高承のように、中小企業近代化に伴いますいろいろな措置亜炭につきましてもこれまで試みてまいっておったわけであります。今後この見通しにつきまして、ただいま金子先血の御指摘のとおりに、やはり石油との競合ということが、ことに多治見、瀬戸、あの地帯の陶磁器業が大体重油を使うようになり、あるいは繊維産業がやはり油に転換するという事態が進みますにつれまして、その用途が何といたしましても上向いてくることは期待できない状態であることも、まさしく御指摘のとおりであろうかと思います。ただわれわれといたしましては、この亜炭産業地方産業といたしまして、従来も地方的なカラーの強い、同時に、その地方に存在いたしておりますいろいろな産業の地域的な需要を満たすものとして、これまでもずっと存在をいたしてまいっておりましたことから見まして、こういう形の育成なり振興をはかっていくことが、亜炭産業の今後の進み方ではないか、かように存じておりまして、これにつきまして、そういう地域的な、いわば産地としての考え方、それから中小企業対策一環としての考え方をもって亜炭産業を育成していくということが、今後の方向ではないか、かように存じておる次第であります。
  7. 金子一平

    金子(一)委員 亜炭地方的な色彩が強い、しかもほとんどが中小企業零細企業に属しております関係で、通産省としても大々的にこの対策をお取り上げにくいことは重々承知しておりまするけれども先ほど来申しておりまするように、現在、去年一年間で炭鉱の数が半分に減っております。そうしていま未払い賃金から、公租公課から、あるいは資材の代金、そういったものを入れますと、昨年末で三億数千万円、最近においては一カ町村で四億近いんじゃないか。しかも各その地方の店には十万から四、五十万くらいの借金がそれぞれ積もっておるという状況でございまして、今後通産省がどういう対策を打ち出していただけるか、地元は非常な不安を持っておるわけでございます。  私は石炭問題につきましてはずぶのしろうとでございますから、ざっくばらんにお尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、地元では、石炭については合理化臨時措置法のような手を打っていただいたけれども亜炭についても何とかしてそういったことをやっていただけないものだろうか、またやる必要があるんじゃないだろうかということを申しております。これは石炭対策が一段落いたしました今日におきましては、すでに時期を失しておるかとも思うのでございまするけれども、たとえば最近問題になっておりまする一宮方面繊維業者の、暖冬だとか生産過剰による相次ぐ倒産などとは非常に違った色彩を持っておるんじゃないか。やはり国としてこれは単なる中小企業対策ということだけでなくて、本格的に手を打っていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、いまの合理化臨時措置法問題等についてまずお伺いしたいと思います。地元では亜炭については、たとえば鉱業法を初め、鉱山保安法あるいは復旧事業団等についても石炭並みに取り扱いを受けながら、いま申しましたような法律については、亜炭を除外されておる原因がわからぬと言っておるのでありまするが、ひとつお教えいただきます。
  8. 川原英之

    川原政府委員 ただいまの金子先生の御質問は、亜炭鉱業について石炭におけるごとく合理化臨時措置法のような措置を打つべきではないのか、こういう御質疑であろうかと存じます。この点に関しまして、御高承のように石炭につきましては、当時石炭対策といたしましてスクラップ・アンド・ビルドという方式を採用いたしました。結局非能率炭鉱整理と高能率炭鉱の造成ということで、一種生産集中を行なったわけでありますが、この亜炭鉱業がその際に石炭鉱業合理化臨時措置法の対象にならなかったということにつきましては、私の承知いたしておりますところでは、先ほど申し上げましたような若干性格の相違があったということと、もう一つは、そういうスクラップ・アンド・ビルド方式をとりました場合に、ビルド山になる鉱山として非常に期待が持てなかったのではないかということが第一でございます。  第二点として、さらに非能率炭鉱整理につきましては、各炭鉱から徴収いたしました納付金によって行なわれることになっておったのでありますが、この納付金は、受益者負担金と相なるわけであります。したがってこの点につきましても、この納付金亜炭鉱業に納めてもらうということが、はたして実情に合うのかどうかということが、当時おそらく懸念された問題であったかと存ずるわけであります。したがいまして、この亜炭鉱業について石炭合理化臨時措置法と同じような措置をとるかということにつきましては、これは先生の御指摘もございますように、研究すべき問題であるとは存じますが、その際の問題点といたしましては、国民経済全般における地位の問題、それからただいま申し上げましたようないろいろな問題と関連して考える必要があろうかと存ずるわけであります。
  9. 金子一平

    金子(一)委員 なるほど、合理化臨時措置法の問題がなかなかむずかしい点はわかりましたけれども、これはしかし時期的にずれて、当時、合理化臨時措置法ができましたころは、さほどの必要性亜炭鉱業として感じなかったかもしれませんが、最近ここ一年の間に、急速にそういう状況になってきたという違いもございます。残念ながら亜炭鉱業におきましては、炭労のような強力な組織もございませんし、なかなかこれを促進いたしますのは、石炭の場合と違ってむずかしい点もあろうかと思うのであります。ただ、局長先ほどおっしゃっておりますように、坑木の関係その他、隣接の炭坑からの浸水というようないろいろな問題が各炭鉱について起こっております。零細な炭鉱でありますから、先ほども申し上げましたように、半年間に半分も山を閉じておる。しかも資金がありませんから、どんどん山をほったらかしにして、夜逃げ同様にしてその土地を去るという人が多かった関係で、隣の放てきしてある亜炭鉱からどんどん浸水するというような状況になっております。また最近の亜炭業の不況から、資材の手配その他も十分にいっていないようであります。これを放てきしておきますと、現在残っておる山の相当部分が同じような運命におちいるのじゃないかということを私は心配いたしておるのでありますが、政府では石炭鉱業については保安臨時措置法で、保安上放置しておけないというような山については、整理交付金を出してあと始末をちゃんとさせられるようにしておられるのでありますけれども、私は、さきに申し述べました合理化脇措置法適用がこの際すぐむずかしいということなら、少なくとも保安臨時措置法石炭同様この亜炭についても適用をしていただいて、あと始末だけは政府の責任においてしっかりつけてやるということが、この際最も必要じゃないかと考えるのでありますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
  10. 川原英之

    川原政府委員 ただいま先生指摘の問題は、石炭鉱山保安臨時措置法亜炭適用してはどうか、こういう御質疑であろうと存じます。この保安臨時措置法は、私の承知いたしております限りでは、この立法当時やはり石炭対策一環といたしまして、先ほど申し上げましたようなビルド山、さらに合理化法に基づきます合理化事業団への買い上げということと関連いたしまして制定を見たものであると存じております。したがいまして、この石炭鉱山保安臨時措置法は、当時中小炭鉱の重大な災害が相次いで発生したような事情もからみまして、保安不良炭鉱に対して通産大臣廃止勧告をする、そういう形で短期間に一種の整備を行なおうということでありましたために、この法律が特に二年間の——昨年延長いたしまして結局は三年になっておりますが、時限法として制定されたものであります。したがいまして、この法律の半面といたしまして、臨時措置法の附則におきまして、この保安臨時措置法適用業種につきましては、新たに坑口を使用することにつきまして、鉱業権の譲渡があった、譲渡して新しい使用者がこれを使う場合には、これに対して資力あるいは技術の有無というようなことを勘案いたしました坑口使用制限という制度を同時に並行的に設けて、一方において勧告をし整理をいたしますと同時に、新たにそういうふうな坑口使用についての制限を行なっていくという二本立ての立て方をいたしておったわけであります。もちろん、先ほど先生から御指摘ございましたように、亜炭につきまして最近、三十二年に災害が起こりまして以後、非常に大きな災害が例年ほとんど起こっておらなかったということを私どもとしましては幸いに思っておったのでありますが、このたび、先ほど指摘のありました片野炭鉱におきまして三名の死亡という事故が発生いたしましたことはまことに残念でありますが、そういうふうな事情、それからこの保安臨時措置法のやり方といたしまして、廃止勧告をして鉱区を抹消いたしました場合に、その未払い賃金ないしは労務者離職対策ということが、むしろこの保安臨時措置法のおもなねらいとなっておるように存ずるわけであります。したがいまして、交付金もまたそういうふうな算定方式によりまして算定をいたすということに相なっておりますが、このような問題、いろいろの問題に関しまして、石炭亜炭とが若干当時の事情が違っておったということが考えられるわけでありますが、いまこの重大災害の発生の規模あるいは社会的な環境から見まして、これは私あるいは誤りがあるかもしれませんが、離職者就職状況というものを見ましても、亜炭の場合には、大量に離職者が発生してなかなか就職ができないというような石炭とは若干違いまして、ことに東海地方におきましては周辺に非常に多くの産業を持っております関係もございますし、もちろん皆無ではないと思いますが、石炭に比べますとまだその点は就職状況もよろしいというふうに聞いております。そのようないろいろな事柄をあわせ考えて研究をいたしてまいらなければならぬかと存じております。
  11. 金子一平

    金子(一)委員 私は業界救済ということだけでこういうことを申し上げておるのじゃないのです。私が一番心配しておりますのは、最近半年間に半分ほどの鉱山が夜逃げ同様で逃げてしまって放てきしてあるということを申し上げたのでありますが、いまあの辺の至るところに陥没ができまして、家はかしぎ、たんぼはすっかり水たまりになっておるというようなところがもう至るところに見受けられる。これが業者の無資力認定ができないものですから、鉱害復旧事業団はあるけれどもなかなか進行しない。ここ数年間、復旧事業団ができましてから、七千万円くらいの復旧事業をやっておるでしょう。しかしまだ二千万円くらいの未納があるために、手がつけられぬところが至るところにある。しかも今後こういった炭鉱を放てきしておきます場合には、先ほども申し上げましたように、群小の炭鉱がたんぽの下十メートル、二十メートルというところで相接しておるのですから、一つ逃げ出せば、とたんに連鎖反応を起こして周辺亜炭鉱がつぶれていく。しかもそれを国では見てやらない。事故が起こり、鉱害地ができ、復旧できなくなってから手を打つのじゃおそいと私は思う。離職者の問題につきましては、石炭鉱業ほど大ぜいの労務者をかかえておりませんから、規模程度においては違いますけれども東海地方と一口にいいましても、いま亜炭を掘っておる中心地は、村としては相当不便なところです。多治見へ出るのにも一時間くらいかかるところです。しかも交通の便は直線ではないというようなところですから、工場誘致その他も、私どもももちろんでありますが、地方あるいは県においても一生懸命今日手を尽くしてやっておりますが、なかなか一挙に切りかえができぬところにお互いの悩みがあるわけであります。石炭と違うから亜炭については保安臨時措置法を簡単に適用いたしませんぞと言われるのは私は心外なので、むしろこの事故を機会に真剣に考えていただきたい。しかもこれは、時期をおくらすわけにはいかぬのです。保安臨時措置法がことし限りの時限立法であることは重々承知いたしております。また、すでに新年度の予算は参議院で審議中で、もう遠からず通過するというような事情にあることも重々承知しております。亜炭鉱にいまの保安臨時措置法適用してもらうことにつきましては、これは議員立法はできませんので、どうしても通産省から政府提案をお願いしなければいかぬのでありまするけれども先ほど来るる申し上げておりますように、単に業者に対する救済ということで私が言っていないことはおわかりいただけたと思うのでありまするが、この点、田中政務次官、いかがでございましょうか。
  12. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 亜炭のことは私あまり知識がないのでございますが、かつて第二次大戦中におきまして、石炭は民間でこれを使うことができませんので、一般国民需要として、また産業燃料として政府が大いに亜炭政策を立てまして、亜炭採掘に非常に力をそそいだことは、私どもも当時第一線におりまして事実亜炭採掘に非常に力をそそいでおった一人でございまして、そういう点、私どもも、亜炭がいかに過去における日本の燃料の需給のために力をそそいでいただいておったかということは、十分に了承いたしておるのでございます。最近、先ほど局長から答弁がございましたとおりに、三十二年が百六十三万トンで、三十七年には生産が百一万トンに下がっておりまして、需要も三十二年の千二百十二万トンの需要に対しまして非常に下がっております。   〔中川(俊)委員長代理退席、委員長着席〕 亜炭需要面から申しまして非常に減退したと同時に、労働不足と、それから終閉山が非常に多くなったためにどうしても立っていかないということで、だいぶ廃止された山もあるのでございます。かような状況で、石炭につきましては相当法的な措置も講じられておりまするが、亜炭につきましては十分な措置が講ぜられていないということは、私ども重々了承いたしております。といって、現在逐次終閉山しつつある亜炭の山を、またこれに従事する労働者が非常にこんぱいしつつあるという状況は現実の問題でございまして、これをこのまま放任するということも、これは政策の上からまことに忍びざる点でございまして、こういう点につきましては、いろいろ先ほど金子先生からも御意見がございましたが、通産省としましては、ひとつ現在適用できる法を最高限度に活用いたしまして、これが救済に当たると同時に、特に金融の面におきましても何らかの特別な措置を講じまして、これらの終閉山せんとしつつある亜炭山に対しまして、ある程度救済の手を伸べる必要があるのじゃないかとも考えております。ことに、これは中小企業でございますので、これをこのまま放任するということは、中小企業全体の問題の一環として許すことのできない問題でございますので、こういう点は私どももさらに重点的に取り上げまして、何らかの措置を講ずるように最善の努力をいたしたいと考えております。   〔委員長退席始関委員長代理着席〕  それからまた鉱害の問題でございますが、鉱害は幸いに鉱害復旧事業団適用を受けますので、でき得る限り現状を十分に把握いたしまして、鉱害復旧をできるだけ急ぎまして、さらに一般のものに迷惑をかけぬような方途を講じたい、かように考えておるわけでございます。
  13. 金子一平

    金子(一)委員 いろいろ御検討をいただけることをお約束いただいてたいへん心強く思っておるのでございますが、現在亜炭関係で、これは一部分だけ申し上げるのでございますけれども賃金未払いが五千万円以上にものぼり、また保険料の滞納も五千万円以上にのぼるというようなことで、相当その地方の将来に対する不安は大きいわけでございます。早急にひとつ保安臨時措置法適用を御考慮いただいて、将来終閉山が相次いで起こりましても、地元が不安なしに迎えられるような体制をひとつ早急に整えていただきたいということを私は要望いたしますと同時に、業者救済につきましては、これまた特別の金融というようなこともお考えいただけるのではないかと考えております。中小企業金融公庫の利用等も、現在は利用しておる人は非常に少ない。そういった面につきましての転換資金をまた別ワクで御配慮いただくとか、そういうこともこの際お考えいただきたいと考えますし、それから局長からは、この地方周辺にはいろいろな産業があるから、離職者対策は心配ないというお話もございましたけれども事情が違うということは私も先ほど申しましたが、あるいは産炭地振興——これはそう広範囲でなくてもいいのです。必要なところについて産炭地振興の法律を御適用いただくとか、そういうこともこの際御検討いただけないかと考えております。  しかしまっ先に必要なことは、やはり現状把握だろうと思うのです。東北の山が安心だから、そう数も多くないのだし、従業員も少ないのだからということでほうっておかれませんで、ひとつ通産省からもこの際調査団を御派遣いただきまして、実情をつぶさに御調査いただけないか。それによってひとつ結論をおまとめいただきたいと考えるのでありますが、この点局長いかがでありましょうか。
  14. 新井眞一

    ○新井政府委員 先般来いろいろお話をいただいておるわけでありますが、亜炭につきまして金子先生から、非常に御熱心に御質問いただいております。石炭政策のほうは御承知のように進んでおりますけれども、まさに亜炭鉱業は日の当たらない産業として非常に御苦労いただいておることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど政務次官からもお話がございましたように、中小企業政策の面から各般の措置を積極的にとっていくという面で、私どもも十分努力いたしたいと思います。  なお産炭地振興の地域指定の問題、これあたりも研究させていただきたいと思いますとともに、いま具体的にお話の出ました調査団の問題でございますが、私どもも確かに同感でございまして、特に東海地方東北と違いまして、亜炭の中でも非常にお苦しみになっておりますが、特に三十九年度におきまして、ひとつ先生のいまの御趣旨に沿いました産地診断といいますか、実態をつかむためのメンバーもそろえまして、ぜひひとつこれは御趣旨に沿いまして実行いたしたいと考えております。私の石炭局のほう、あるいは中小企業庁、特にこういう産地産業でございますので、府県のほうの御協力もまた多大なものがあろうかと思いますので、そういうほうのメンバー、あるいは金融機関の方、そういうものによりまして、診断班を編成をいたしまして実行いたしたい、かように考えております。
  15. 金子一平

    金子(一)委員 最後に一つ。現在、先ほど申し上げましたように、相当の陥没地を放てきしてある。しかも山をやめた業者地元にいないものですから、無資力認定もできないということで、地元の町村は非常な苦労をいたしておるのでございますが、これは現地の通産局の無資力認定等である程度事が片づけられるんじゃないかという感じもしておるのでございまするが、この点をひとつ実地に御検討いただきまして、早急に手を打っていただきたいと思うのです。この点に対する御意見を……。
  16. 新井眞一

    ○新井政府委員 先ほど政務次官のお話にもございましたように、鉱害につきましては石炭と同じように実施をいたしておりますのでございますので、御承知のように、無資力の場合あるいは権者のおりませんような場合には、無資力の鉱害の復旧という措置も新しくとっていただいておりますので、それの適用問題になろうかと思いますが、お示しのような運用で早急にその辺の実態も調べまして、あるいは予算等の関係もあろうかと思いますけれども、十分そういった無資力の復旧のほうは迅速にやるように努力いたしたいと考えております。
  17. 金子一平

    金子(一)委員 いろいろこの問題については真剣にお考えくだすっていることがわかりまして、私も非常に意を強うしておりますが、金融の問題あるいはまた産炭地振興法適用の問題、あるいは保安臨時措置法適用問題等につきまして、今後ひとつ早急に手を打っていただきまして、一刻も早く地元の不安が解消いたしますように御努力いただきたいと思うのであります。   〔始関委員長代理退席、委員長着席〕 何と申しましても、零細企業でありまして、従業員も少ないために、炭労のように力強くこれを推すという組織はありません。どうかそこら辺も十分御了察をいただきまして、あたたかい理解と同情のもとにこの問題の解決に当たられますように、特に要望をいたしておきます。  これをもって質問を終わります。      ————◇—————
  18. 中村寅太

    中村委員長 次に、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  本日は、本案の審査の参考人として、九州鉱害復旧事業団理事長、鉱害賠償基金理事長天日光一君及び石炭鉱業合理化事業団理事佐藤京三君の御出席をいただいております。  それでは、質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  19. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せんだって参考人からいろいろな問題についてお聞きしたわけでありますけれども、私は鉱害問題と保安の問題について若干質問をいたしてみたいと思います。  まずお伺いしたい点は、この無資力、無権者の鉱害というものが非常に大きな問題となっておるのでありますけれども、せんだって三村参考人のお話、あるいは福岡県の鉱害課長等のお話によりますと、約五十億円程度あるんではないか、こういうお話を承っておるのでありますが、当局としてどういうふうに把握しておるのか、まずお尋ねいたします。
  20. 新井眞一

    ○新井政府委員 いままで累積しております鉱害の量と、それからその間無資力がどのくらいあるかということでございますが、無資力の認定をどう見るかという問題もございますけれども、おおむね四十億くらいというふうに想定をいたしております。
  21. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せんだっては五十億と言いますし、私がいただいておる資料等によりますと四十六億という数字がありますし、ただいまの局長のお話ですと四十億というお話です。いろいろ違うのですればども、現在のところでつかんでおる数字がこう違っては困るので、もう一度あらためてお伺いいたします。
  22. 新井眞一

    ○新井政府委員 無資力の認定の問題がございますけれども先ほど申しましたように、おおむね四十億というふうに私どもは想定をいたしております。
  23. 細谷治嘉

    ○細谷委員 重ねて四十億というお答えでございますが、せんだっての参考人のお話によりましても、事業量というものが逐次減っていくような数字になっておるわけですけれども、問題は現在認定されておらない鉱害等もあり得ましょうし、ますます無権者、無資力という鉱害もふえていくんではないかということが、当然なこととして想像されるわけです。しかも無権者、無資力の鉱害というのが、全体の工事量の中でウエートをいよいよ増していくという傾向にあるんじゃないか、こう見られますが、この点についてどうお考えですか。
  24. 新井眞一

    ○新井政府委員 御指摘のように、今後発生いたします鉱害量につきましては、無資力が相当ふえていくだろうというふうに私ども考えておりますし、なお全般の復旧事業量の中に占めますウエートも、漸次高まっていくのではなかろうかというふうに想像をいたしております。
  25. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四十億という数字を先ほどお答えいただいて、今後ふえる方向にある、しかも事業量の中におけるウエートというのも増大していく、こういうことになるわけでありますけれども、鉱害というのはできるだけ早く復申しなければならぬ。特に無権者、無資力というのは農民あるいは関係者の非常な不安の的になっておるわけでありますが、そういう問題をどういうふうに年次を追うて消化していくおつもりなのか、大体六億程度ずつ消化したとしても、七年という日数がかかる。しかも増加の傾向にあるということでありますから、問題があるわけであります。これについてどうお考えになりますか。
  26. 新井眞一

    ○新井政府委員 今回三十九年度予算としてお願いを申し上げております中では、御承知のように、無資力を七億というふうに考えております。全般は三十億程度でございますが、そのうち無資力を七億と見ておるわけでございます。この七億の数字と申しますのは、これも御承知のように、三十八年、本年度から見ますと、相当大きな拡大にはなっておるわけでございます。しかし先ほど来お話がございますように、かなり累積のものもございますので、この程度でいいかどうかという問題は、相当問題があろうかと思います。ただ、私どもも早急にこういった鉱害の復旧はやりたいと思っておりますけれども復旧事業団の体質と申しますか、全般的な事務処理能力なり、特に技術者の問題なり、あるいはそれに加えての予算の問題、そういう全般を見ながら、一体どの程度ピークとしてやっていけるかどうかという判断もしてまいらなければならないと思いますが、無資力につきましては、そういうものともにらみ合わせながら漸次拡大をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこでお尋ねしたい点は、無資力鉱害復旧という問題になってまいりますと、せんだっての参考人の発言、これは伊藤委員も非常に重大な関心を寄せられておった点でありますが、いわゆる法定の支払い義務というものが事業団にかぶせられております。せんだっての天日参考人の発言によりますと、現在の百分の一・八三ですか、こういうものではとても法定支払い義務ができないんだ、事業団の財政は破綻するんだ、こういうことを言っております。これについて通産当局としてはどうお考えなのか、お尋ねします。
  28. 新井眞一

    ○新井政府委員 先般の参考人の御意見で、お話のように、特に無資力について復旧事業団の金が足りなくなってくるというお話がございました。私どももその点はかなり配慮をし、頭を悩ましておる状況でございまして、今後何らかの対策をしていかなければならないとは思っております。しかし少なくとも三十九年度の事業量、あるいは先ほど申しました無資力の七億という処理につきましては、何とかやっていけるという見通しは持っておるわけでございますが、いまの情勢でそのまま続けていったらどうなるかという問題も、あわせて検討を現在やっております。先般の参考人のお話にも、このままの形でいけば将来非常に問題があるというお話であったと思いますが、三十九年度、かなり窮屈ではございまするけれども、まあ何とかやっていけるという見通しを持っておるわけでございます。
  29. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せんだっての参考人のお話によりますと、だんだんウエートを加えていく、また絶対量として増加する無権者、無資力の法定支払い義務をやっていきますと、理屈上百分の一・八三ということではまいらないのであって、どうしても百分の四・二ないし四・三くらいの比率になっていかぬと、事業団としてはいけないんだ、破綻するんだ、こういうお話でございます。これについてどういうふうにお考えですか。
  30. 新井眞一

    ○新井政府委員 参考人のお話にございましたそのパーセンテージが妥当であるかどうか、この点はまだ私ども検討いたしておりませんが、問題としては残ると思います。ただ、そういうパーセンテージでなければいかぬかどうか、これは全般の復旧事業団の台所も洗いまして、どうなっているかということも検討しなきゃなりませんし、またそれぞれ復旧事業団の収入になります賦課金とか、公共団体の負担とか、あるいは施行者の負担金とか、そういうものの収入全体と支出の関係もございますし、そういうものの全般をにらみ合わせまして、どの程度にしなきゃいかぬかという検討はしなきゃならぬと思っておりますが、現在検討いたしておりまして、三十九年度に関する限りは、くどくど申しますけれども、おおむね見通しは、いけるんじゃないかと考えたわけでございます。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は詳しい資料を要求いたしまして、参考人からいただいたわけでありますけれども、百分の四・二なり四・三、希望望としては百分の四・五くらい、今後の増等を見てそういうようにお話を承っておりますし、その資料もいただいておるわけでありますが、少なくとも百分の一・八三、これは変遷がありますね。百分の一・〇だったんですが、それにこういう問題で〇・八三を加えた、こういういきさつがありますが、百分の一・八三ではやれないということは、これはもう確実だと思う。そうかといって、直ちにその資料だけで百分の四・五なんだということを私も主張しているわけじゃありませんけれども、いずれにいたしましても、この法定支払いをしていきますと、事業団としては財政的に破綻していく、こういうことも明らかなようでありますから、十分な対策を練っていただきたい。特に参考人の話にもありましたが、たとえば本来ならば長期資金でまかなうことによって事業がうまくいくんだというお話もあったのでありますけれども、年度末等ころがし方式を採用せざるを得ぬ、こういうようなことでありますし、また質問を通じて委員の中からも、この鉱害復旧をできるだけ早く完成していく、こういう点からいっての資金の準備、こういうことも問題になっておるようでありますから、そういう点十分ひとつ御検討をいただいて、手おくれにならないように、三十九年度はいいんだからもうあとは四十年の問題なんだというようなことでなしに、十分な体制と準備をもって、手おくれにならないようにひとつ特段の御配慮をお願い申し上げたい、こういうふうに思います。  ところで、鉱害復旧の問題につきましてはいろいろと問題点があるわけでございますけれども、せんだって来いろいろと質問があり、問題になっておった点については、委員長と各委員の御配慮で、上水道等についてはかなり前進した結論を得たようでありまして、私も喜んでおるわけでありますが、その他の点について若干お尋ねしてみたいと思います。  特別鉱害で復旧した施設、こういうものについて三十九年度においては維持管理費というものが組まれておりますけれども、こういうもので十分今後体制としてやっていけるのかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  32. 新井眞一

    ○新井政府委員 前の特別鉱害によります特鉱ポンプのお話でありますが、現在維持管理費につきまして国と地方とで補助を出してやっておる状況であることは御承知のとおりでございまして、三十八年度百二十万を今度四百七十万に上げておりますが、こういう年々の維持管理費という形でいいか、もっと何か考え方はないか、こういうお話でございますが、私どももむしろこれを資本還元をいたしまして、基金的につけて、そして特鉱ポンプについては心配なく運用していくということのほうがベターだというふうには考えておりますけれども、三十九年度におきましてもなお年々の維持管理費という形で予算もついておりますけれども、私も本来は資本還元をしたほうがよかろうというふうに考えております。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おっしゃるように、三十九年度は四百七十万程度の予算がついておるわけでありますけれども、いまおことばにありました維持管理に関する基金制度、こういうものを設定して維持管理の主体を明確にしていく、こういうことが希望されておるようでありますが、そういう方向でこの問題に対処していくというお考えがあるかどうか、重ねてお尋ねします。
  34. 新井眞一

    ○新井政府委員 できるだけそういう方向で、安心のできるような体制を築きたいと思いますけれども、何ぶん資本還元いたしますと、もろに多くの金が単年度に要りますので、この点は大蔵省の考え方もございましょうし、いろいろな面も考えつつ実施していかなければならぬかと思いますが、私ども復旧の立場から申しますれば、資本還元をやってもらいたいという希望でございます。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷委員 特別鉱害というのは戦時中の乱掘によるもので、すでに工事も済んでおるわけでありますが、こういう問題については過去のものという形ではなくて、過去のものだけにやはりきちんとした土台石を築いておくということが必要ではないかと私は思うのです。そういうことでありますから、ひとつそういう方向でやっていただくようにお願いをいたしたい、こう思っております。  ところで、炭鉱の合理化というのが予想以上の速度で進んだわけでございまして、せんだっての参考人のお話等によりますと、そういうものによって非常な大きな負担というものが市町村財政にのしかかってきております。この問題は通産省の問題ではなくて、あるいは自治省の問題だ、こういうことになるかもしれませんけれども、問題はそう簡単に片づくわけではございません。そこで、この鉱害処理等々について、たとえば普通交付税だ、特交だと、こういうことでありますけれども、せんだっての話によりましても、とにかく四割程度地方負担というものが起こってきておる。一方において地方団体の財政というのは、枯渇ということばでは表現できないような実態にあります。そういう段階で、具体的な点について、たとえば上水道等について一歩前進した結論が導かれそうでありますけれども、それにいたしましても、他にいろいろな問題がございます。こういう問題について、産炭地の振興ということも必要でありますが、通産省としてどういうふうに取り組んでおるのか、ひとつこの点をお尋ねいたします。
  36. 新井眞一

    ○新井政府委員 鉱害につきましては、先般来いろいろお話もございまして、御答弁も申し上げた点もあろうかと思いますが、およそ鉱害につきましての地方分担金は八〇%が起債、二〇%が特別交付金という形で、全般の六一・六%くらい実質上国のほうで援助をいたしておるという実情でございます。そのほか産炭地振興あるいは学校の問題、あるいは失業保険そのほかの問題等、産炭地におきます地方財政の非常に窮迫をいたしておりますことは、私どももそう考えておるわけでございまして、それぞれの分野で何とか援助を大幅に拡大をしてもらいたいというふうに希望いたしておりますけれども現状はいろいろ複雑な情勢もございまますので、主管省の自治省のほうと、そういう面でいろいろお願いなり交渉なりはやっておるわけでございます。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷委員 鉱害に限ったことでなくて、産炭地の振興という問題についてずばりお尋ねいたします。  第一点は、産炭地においては目に見えない、しかものっぴきならぬ財政支出というのが現実にあります。これは局長さんもお認めだろうと思うのです。こういう事情でありますから、何らかの産炭地に対する特別な——恩恵的ではありませんよ。そういうようななかなか把握しにくいものがありますけれども、特別な交付金をひとつ振興の呼び水という意味においても考える必要があるのではないかということです。  第二点は、この産炭地でこれから福祉対策ばかりでなく、いろいろな事業をやっていきます。そういう場合に、この産炭地については残念ながら、特別な離島振興法なりあるいは低開発に対するような、一定の基準をこしたものの高承補助というものがございません。ところで、いつごろの新聞か、ここに持ってきておりませんけれども通産大臣は、そういう実情から少なくとも離島振興程度のものについては考えてやるべきだということで、事務当局に指示を命令したという新聞記事が出ておりました。いわゆる公共事業なり、あるいは公共上の産炭地のやる事業についての特別な高率補助というものが、今日の現況からいって必要ではないか。ひとり水道の問題ばかりではありません。鉱害復旧の問題ばかりではありません。そういうものを一切含めて、今日の実情からいってそういう必要性があるのではないかと思うのですが、これについて局長さんなり、さらにちょうど政務次官もいらっしゃっておりますから、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  38. 新井眞一

    ○新井政府委員 地方財政の問題は確かに御指摘のように、非常に苦しい状態に相なっておりますが、何ぶん地方財政問題につきましては、やはり専門の自治省のほうで、離島の問題あるいは低開発の問題、あるいは産炭地の問題、あるいは新産都市の問題等、全般について諸般のバランスを見ながらいろいろな対策を講じてもらっておるということは、御承知のとおりでございますので、私どもは産炭地の窮迫状況というものを訴えながら改善をはかっていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の鉱害地におきまする地方公共団体の財政の逼迫状況につきましては、私どもかねてから承っております。現在の情勢からいたしまして、われわれといたしまして今後自治省に対しまして、あるいは特別交付金の増額を要請し、あるいはこれに要する起債のワクを拡大してもらうとか、そうしたことにつきまして今後御期待に沿うように十分なる努力をやっていきたいと考えております。
  40. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二月の二十二日の朝日新聞にこういう記事が出ておるのです。「福田通産相は二十一日、産炭地域でこの公共事業に対する国の負担率引上げについて具体化を急ぐよう事務当局に指示した。」 これは事実かどうか、お尋ねします。
  41. 新井眞一

    ○新井政府委員 これはどういうことで新聞に出たのか、よく詳細に私存じませんけれども、想像いたしますのに、新産都市に対する公共事業費の補助率引き上げに関しまして、自治省のほうでいろいろ御研究に相なっておるということを聞いておりますので、私どもとしては、新産都市もそうでございましょうが、産炭地のほうはすでにあったものがそれだけ閉山をして悪くなっておるんだから、むしろこっちの補助率のほうが重要な問題であるので、そういうこともひとつ研究してみたらどうであろうかというふうなことが、新聞に載ったのではないかと思っております。
  42. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、まだ具体的な検討はしておらない、これは自治省が主としてやるべきだ、こういうお考えかどうか、いかがですか。
  43. 新井眞一

    ○新井政府委員 補助率のこういった問題につきましては、通産省でやるか、あるいは自治省でやるかという問題、これはいろいろ研究しなければならぬ問題がございますが、筋といたしましては、自治省のほうの関係になろうかと思いますので、したがって私どもとしては、その際、産炭地についても同様の考慮をしてもらいたいという申し入れは強くやっていかなきゃ相ならぬかと考えておりまます。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がございませんので次に移りますが、ボタ山の問題については、いろいろな問題点があるわけですけれども、きょうお尋ねいたしたい点は、ボタ山の災害防止対策という形で、三十九年度六千七百万程度の予算が組まれております。これに対して地方公共団体に五〇%の負担をさせよう、こういうふうにいま考えております。きわめて一方的な措置と思うのですが、五〇%の負担ということは、地方団体にとってはたいへんなことなんです。この五〇%の負担というのは、一体妥当なのか、もっと国で補助を上ぐべきじゃないかという気がいたします。あるいは五〇%負担したものを、たとえば交付税等で補ってやるおつもりなのかどうか、こういう点もお尋ねします。具体的に技術的な問題として、どういう方法でそういう効果があがるのかどうかという問題についてもお尋ねしたいのでありますけれども、時間がありませんので、きょうはその点をまずお尋ねいたします。
  45. 川原英之

    川原政府委員 ボタ山の災害防止対策といたしまして、本年度六千七百万円の補助費を計上いたしておりますが、これに関しまして、五〇%の補助率ということに相なっておりますことは、ただいま紺谷先生の御指摘のとおりでございます。この点に関しましては、御承知のように、特にボタ山の危険の多い、佐賀県及び長崎県の両県におきます地すべり地帯のボタ山を対象といたしまして、三十七年度と三十八年度におきまして調査をいたしましたものの中から、特に急ぎますものを本年度着工をいたそうという計画でございます。この補助率につきましては、もちろんこの種の費用が多々ますます弁ずるものでございます関係上、われわれといたしましても、いろいろと経過的には意見もあったのでございますが、一般の地すべり防止法との均衡上、これが五〇%の補助率ということに相なったというふうに存じております。なお、ただいま御指摘の、今後の具体的な問題といたしまして、現在県におきまして具体的な工事計画を作成いたしまして、その計画に基づきまして、残余の五〇%につきまして、少なくともその半額は特別交付金というような形で自治省にお願いをしようということで、目下自治省のほうにお話をいたしておるところでございます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 五〇%を地方団体に負担させる、その半分程度を特別交付税にという非常にイージーな考えでございますが、それでは自治省はそういう点について、まだこれから話をするようでありますけれども、二五%程度見てもらうめどというものがあるかどうか、これが一つです。むしろ、こういう問題が大災害原因になります。すでに江迎でああいう大災害が起こったわけでありますから、むしろこういうものはほかのほうの補助率との均衡ということではなくて、全額国庫でやるべき筋合いのものではないか、こう思うのですが、この点についてどうお考えなのか。
  47. 川原英之

    川原政府委員 細谷先生の御意見まことにごもっともであると存じます。ただ、基本的な問題といたしまして、法規上の関係からだけ申しますと、やはり鉱業権者が鉱害賠償に必要な措置をとるのが元来の法律上のたてまえでございますが、この佐賀県並びに長崎県のボタ山につきましては、それが特に公に対する問題が多いというところから、これに対する五〇%の補助を今度初めて計上いたしましたような次第でございまして、御指摘の点につきまして、なお今後自治省に対しましても鋭意努力をいたして、できるだけそういう線を実現いたしたい、かように考えている次第であります。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この点は大切な点でありますから、ぜひお願いしたいと思うのであります。
  49. 井手以誠

    ○井手委員 関連して。ボタ山の崩壊防止の工事については、私はいきさつは十分承知いたしております。鉱山保安局も努力されたことも承知しておりますが、田中さん、これは炭鉱が捨て子したものですね。それで、それがもうぼろぼろいま崩壊しょうとしている。雨ごとにどんどんくずれかかっておるのですよ。これは地元にとっては、捨て子ですから迷惑な話です。役に立たぬどころか、これはもう危険この上もないのです。それを、危険防止をやらせるのにわずか半分しか持たぬ。一つの山の防止の工事をやるのに——一つの山です。たくさんボタ山はありますが、一つの山の防止をやるのに何千万円という工事費がかかる。大きな、特にひどいところは、八千万円から一億円かかるのです。その危険防止の工事をやるのに、半分は県が持て、市町村が持てというのは酷ではないですか。そういう問題については、事務当局にまかせられたわけではないでしょうけれども、やはりもっと政治的に努力なさる必要があったのじゃないか。私その点については非常に不満に思っております。なお、いまお聞きしますと、特別交付税の場合に、五〇%の地元負担の五〇%を交付税で見るということについて、なお解決を見ていない。もう時期が非常におくれております。地元としては返上したいところだけれども、目に見えて危険だというのを、手をこまねいて待っておるわけにはまいりませんから、不満でしようがないけれども、何とかやらにゃいくまいというところに、長崎県も佐賀県もいまはきているんです。この点については、いま細谷さんから御要望があったように、交付税の点については、補助率は、すでに予算は自然成立というところまでいっておりますからやむを得ないとしても、何とか特別交付税で地元の窮状を救う方法をぜひとも講じてもらいたい、これが一点です。  いま一つは、この鉱山保安局の計画では、ボタ山を切りくずすという工事については五〇%ある、そのボタを運搬するまではあるけれども、どこに捨てるか、これについては補助金がないと私は聞いておるのです。ボタを切って送るほうだけはあるけれども、それを受け入れるほうに補助がない。そんなに簡単に捨てられるところはないはずです。海に捨てようとすれば、護岸工事をしなくてはなりません、あるいは漁業の補償をしなくてはなりません。そうでなければ、雑種地に捨てようとすれば、その雑種地を買わなくてはなりません。用地補償をしなくてはならぬ。これについては一体どういうお考えでございますか。半分の補助をするんだとおっしゃるけれども、実際は半分の補助が四分の一にも、五分の一にもならないのですよ。たぶんそうでしょう。ところによっては六分の一にしか当たらない場所も出てくるのです。切りくずしてボタを送るだけは、海岸近くまで、あるいはどこかに送るまでは半分の補助があるけれども、その先はどうなるのですか。
  50. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 井手先生のおっしゃいました前段の、地元の公共団体の負担の問題でございます。国土保全の意味でございますから、当然これは国が主体となってこれが復旧に努力をせねばならぬことは、われわれも了承いたしておるのでございますが、従来の各種の災害復旧とかあらゆる事業の補助率その他を勘案いたしまして、大蔵省としましては五〇%という補助率を一応つけたわけでございます。これもことしから初めてこういう事業が認められたわけでございまして、われわれもまことに努力の足りなかった点は認めるのでございますが、なお公共団体の負担につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、できるだけ地元の他の財源に影響のないような、自治省所管の特別交付税等を極力要求いたしまして、地元の公共団体の財源上に支障を来たすことのないように、今後も自治省とも十分に折衝を重ねて、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。  それからなお補助の対象につきましては、事務的なことでございますから、鉱山保安局長からお答え申し上げたいと存じます。
  51. 川原英之

    川原政府委員 補助の対象といたしまして、捨て場についての予算がないではないか、こういう御指摘でございますが、そのとおりでございます。こういった関係もございまして、私どもといたしましては、この実施計画については別途産炭地振興事業団の造成用地と組み合わせまして、できるだけ実施をはかるような計画に持っていきたい、かようなことでいま計画を策定いたしておる次第でございます。
  52. 井手以誠

    ○井手委員 保安局としては予算折衝でなかなか苦労なさったとは思っておりますけれども、その点に若干抜かりはなかったかと思うのです。取りくずして運搬するまでは半分は見てやる、しかし、その先どうするかということについて、むしろ現地ではその先を心配している。まあ現実問題として、産炭地振興事業団の事業と組み合わせるということも一つの案でしょう。けれども、私産炭地振興事業団については別の機会に検討願いたいと思っておりますが、産炭地振興事業団は、これは事業が本職じゃございません。やはりもちはもち屋でございまして、産炭地振興事業団の事業に非常に経費がかかることを私は心配いたしております。そんな経費がかかったものがはたして利用できるかという点について、非常に不安があるのです。だからいまのところあるいは、やむを得ないということもあるかもしれぬけれども、この取りくずしたボタの受け入れについて、これは何とか方法はないのですか。補助対象を広げるというような方法はいまからでもないのですか。別に法律事項ではないです。これをやらぬと、それではあなたがおっしゃるように、産炭地振興事業団でやれないところはどうなるのか。幸い政務次官が見えておりますが、先刻私が申し上げたあとの部分の、取りくずしたボタをどこに持っていくか、持っていく場所がないのですよ。海岸に捨てようとすれば、そこに護岸工事をしなくちゃならぬ、漁業の補償をしなくちゃならぬ、その金が出ないのです。いま局長のほうからは、産炭地振興事業と組み合わせる方法も考えておりますという、それも一つの案でしょう。けれども、産炭地振興事業団というのは採算の点をやはり考える。そうなりますと、はたして組み合わせがうまくいくかどうかという点が出てくるでしょう。またかりに産炭地振興事業団が受け入れたとしても、産炭地振興事業団というのは、工事はそうじょうずのほうじゃないのですよ。管理費が二割もかかるのです。地方公共団体でやれば、その陣容において、調査設計から人手については自分たちの持っているものでやれますから、割り安でできますけれども、産炭地振興事業団で事業をやる場合には、二割の管理費がかかるのですよ。これは問題です。産炭地振興事業団の事業にしても問題がある。問題があるものを事業団がやるかどうかということについても、不安がある。そこで、一応予算には縛られたとしましても、法律事項ではございませんから、そういう護岸工事なり用地補償などについても補助の対象にするようなくふうができないのかということを、政務次官はせっかく努力しようとおっしゃいますから、ついでにその点も努力してもらえないか。私はボタ山の問題は別個にお伺いしたいと思っておりましたが、ちょうど機会がございましたし、ボタ山についてはその辺が一番問題のようでございますので、お伺いをしておきたいと思います。
  53. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいま井手先生からの御質問のボタ山処理に関連する問題でございますが、先ほど鉱山保安局長から答弁いたしましたように、一応産炭地振興事業団との折衝によりましてこれが処理をはかる、どうしても産炭地振興事業団との交渉がまとまらない、あるいはは食い違いがあるとか、あるいはまたこれとの接触ができないというような場合等もまた十分考えられるのでありまして、これにつきましては、当初大蔵省との予算折衝の際にそういう点がまだはっきりしてなかったんじゃないかといううらみもございます。したがいまして、こういう点につきましては、いわゆる補助の対象に対する定義といいますか、範囲の問題でございますが、こういう点につきましてはいま少し大蔵省ともさらに折衝を重ねまして、はたしてこれができるかできないかは別といたしまして、何とかこういう定義につきまして範囲をある程度拡大して、そういうボタ山の処理が完全に遂行できるような状態においてこの補助の対象としてもらう、こういう点につきまして、今後われわれも一ぺん大蔵省とも折衝してみたいと考えております。まあケース・バイ・ケースによって今後取り扱っていきたいと考えておりますが、できる限り第一段の計画が遂行できますような方向で、いわゆる産炭地事業団との接触を十分に保ち、またこれとの協力を求める、しからざる場合において、どうしてもそれが不可能な場合におきまして、その前提としての補助の対象につきまして、大蔵省ともただいまから十分折衝を重ねまして検討を続けていきたい、かように考えております。
  54. 井手以誠

    ○井手委員 意見は申し上げませんが、いまの御答弁を期待しておきます。この国会はまだまだ続きますから、どうか四月の半ばごろまでに回答ができますようにお待ちしております。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのに関連して。ボタ山の災害対策については五〇%で、残りの五〇%のうち半分は特交だ、私は無原則じゃないかと思うのです。捨て子なんですから、全額国庫でやるべきだ、そういうことを意見として申し上げておるわけです。少なくともこういう問題については、たとえば無権者の鉱害復旧というものがあるわけですね。こういうものには最低限としてやっていく。まあ補助は五〇%ときまったのだけれども、たとえば無権者については地方団体の負担は一四・何%、実質的にそうなっている。そういう例もあるわけですから、通産省としては、そういうものを最低限度として確保するということに努力しないと、産炭地の苦しい実情は知っておる、そういう捨て子を解決していかなければいかぬということは知っておるけれども、どうも無原則なような気がいたします。少なくともそういう例があるわけですから、そういう例を最低のものとして確保していただくように重ねてお願いしたいと思います。  次にお尋ねいたしたい点は、これは暮れに多賀谷委員からも非常に強く質問があった点でございますけれども保安の問題で、今度保安融資という形で大手、中小四十%ずつの貸し付け比率ということで予算が組まれております。ところでこの四億九千六百万円という内容を見てみますと、労働省が三回目の災害防止勧告をしたその中には、一酸化炭素の自己救命器は少なくとも入坑労働者に相当する数を確保する、これも国産ができぬからアメリカから輸入するのだ、こういうようなお話でございました。そこでこれを見ますと、四億九千六百万という中には、そういう自己救命器というのがあがっておらないのですね。労働省の勧告ではそういうことをはっきりと書いてあるし、通産省も当時の答弁としてはその線で、国産が間に合わない場合には外国のものを輸入してでも必ずやりますというお答えをしておりました。この点について、どうなっているのか。そういう問題についてはどうしてこの予算の中に織り込まなかったのか、この点をお尋ねします。
  56. 川原英之

    川原政府委員 ただいま御指摘のございました自己救命器の問題でございますが、これは昨年来私どもといたしましても、なるべく早くこれを全部に充足をいたしたい、かように存じまして、それぞれの鉱業権者並びに鉱山に対しまして、その方向に促進をしてまいったわけであります。現在坑内在籍見込み、最大入坑見込みに対しまして、十二月末で約二万五千個の不足を見ておったのでありますが、これを十二月から三月にかけまして、一つは国産メーカーを極力督励をいたしまして、同時になお不足いたします分につきましては、アメリカから緊急輸入をいたすような手配をいたしました。その後総計二万五千個が三月までに到着いたしました。内訳を申し上げますと、国産が三月までに一万八千四百個、それから輸入分が六千三百二十個、この輸入分はすでに到着して山元に着いていると存じます。合計所要数二万五千個を三月末までに手当てをするという方向で進めてまいりまして、これは現在予定どおりに充足を見ている状態でございます。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この前に答弁なさったように具体的に努力しているようでありますが、この労働省の通産省に対する勧告のように、少なくとも入坑労働者に相当する数を確保するというのはいつごろまでにできますか。
  58. 川原英之

    川原政府委員 三月末でございます。
  59. 中村寅太

    中村委員長 細谷委員にちょっとお伺いいたしますが、食事の時間をとりたいと思いますが、まだかかりますか。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう少しです。  この問題はいろいろあるのですけれども、そこでお尋ねしたいことは、三月一ぱいにそろえるということでございますが、今度のこの保安施設に融資という形が大手、中小いずれもとられたわけですけれども、この程度で、たとえば何年計画でやるというものの一環としてこういう予算措置をなさったのかどうなのか。
  61. 川原英之

    川原政府委員 この保安融資に関しましては、先生つとに御承知のように、三十六年にいろいろ諸先生の御心配もございまして、中小炭鉱についてはすでに発足をいたしたわけでございます。ところがその後本年に入りまして、さらにこれを大手の炭鉱についても広げようということで、今度初めて、先ほど指摘のありましたように、予算といたしまして四億九千六百万円、さらにこれに償還金が入りますので、無利息の融資が五億三千万円、したがいまして、その総工事費が十三億三千万円という額を現在予定をいたしておるわけであります。この施設の内容といたしまして、従来やっておりますような坑道の整備、コンプレッサー、ポンプ、扇風機等々、まず現在の段階におきまして早急に整備をしなければなりません保安設備を対象にいたしまして実施をいたすわけでございますが、なおこれにつきましては私どもも今後の監督上、いろいろ総合的な監督を進めていきますことと並行いたしまして、極力この保安融資の活用をはかってまいりたいと存じておりますが、一応現在の計画といたしましては、前段につきまして二年の計画でおります。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんで最後にお尋ねしておきたい点は、今度の予算を見ますと、昨年の大災害等を見ても感ずることでありますけれども監督指摘しつつも事故を起こしておるという点が幾つかございます。三池災害についても、その原因個所指摘しておって、そこから爆発が起こっておる。これはやはり監督のしかたあるいは密度、そういう問題に関係があると思うのです。確かに炭鉱は減ったのですけれども、今度の予算というのは前年同様ということであって、人的な拡充なり、あるいは予算上の拡充がなされておらぬようでありますが、これで完ぺきが期せられますか。
  63. 川原英之

    川原政府委員 監督検査費が昨年に比べまして六百十三万円ほどの増額になっておりますが、もちろん先生指摘のごとく、このような種類の経費は多々ますます弁ずる性質のものでございます。私どもといたしましても、これが決して多いとは存じませんけれども先ほど申し上げましたように、今年度に入りまして、新しい監督方針をきめたわけでございますが、これは各鉱山ごとに総合的な保安計画をまずとりまして、その保安計画をあとから総合的にトレースしていくというふうなやり方を極力強化してまいることによりまして、現在細まれております予算を最も効率的に有効に使いまして、監督の万全を期するつもりでおります。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 多々ますます弁ずるで、六百万円ほどふえた。その多々ますます弁ずるという考え方にやっぱり問題があるのですね。いままでの経験からいきますと、指摘しながら事故を起したということは、不足だったということである。必要最低限度も予算として確保されておらなかったということだと思うのです。多々ますます弁ずという考えがあるから、大蔵省にやられるのですよ。いままで必要最小限度のそういう予算も獲得できなかった。それが現に証明されておるのですから、そういう観点でこの問題に取り組んでいただかないと、予算が六百万円ふえた、一千万円のほうが多々ますます弁ずだという考えでは、ほんとうの監督行政というものはできないのじゃないかと思いますが、所見いかがですか。
  65. 川原英之

    川原政府委員 私少しことばがすべりまして、よけいなことばを申し上げたと存じますが、私どもといたしましても、三池災害事故にかんがみまして、今後追跡検査は極力厳重にやってまいる方針でございます。その指摘いたしました事項が確実に守られておるかどうかということを、御指摘のごとく十分監視いたしますと同時に、もしそれが少しも直っていない、あるいは危険であるというような状態が発生しました場合には、これは今後保安法の停止命令その他を十分活用いたしまして監督を強くやっていく、かような考えでおります。
  66. 細谷治嘉

    ○細谷委員 保安の問題なり、あるいは、いろいろ鉱害等の問題について具体的な問題がありますけれども、一応きょうはこれで中止しておきます。
  67. 中村寅太

    中村委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後四時十八分開議
  68. 中村寅太

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。  この際、福田通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田通商産業大臣
  69. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 過般来、産炭地における上水道に関する対策について種々御質問がございました。これについてお答えを申し上げたいと存じます。  産炭地における上水道に関する対策につきましては、先般来当委員会においてもいろいろ御意見がございましたが、関係各省と協議いたしました結果、まず、上水道を地元市町村に引き継ぐ場合の市町村の改良更新費に対する国の助成については、補助率について引き続き検討いたしますとともに、市町村負担分については全額起債を認め、その元利償還所要額に対し地方交付税による補てんを行なう所存であります。また、鉱害復旧に対する国の補助率も検討いたす考えでありますが、有資力復旧の場合における鉱業権者の負担については、実情に応じ鉱害賠償基金からの融資を極力はかるようつとめる所存であります。
  70. 中村寅太

    中村委員長 滝井義高君。
  71. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣がお急ぎのようでございますから、石炭の需給計画やその他の問題については次会にしまして、特に石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の鉱害に関係のある部面を二、三、大臣のおられる間に質問したいと思います。  まず第一に農地復旧でございますが、これは農地局のほうに来てもらわなければ最終的な御答弁はできないと思うのですけれども、やはり通産省のほうがその側面的な推進力となってもらわないと、なかなか実現しない問題です。それは御存じのように、農地の復旧は反当三十五万円が限界になっておるわけです。ところが最近赤城農林大臣が予算委員会で私の質問に対して、反当三十五万円までだけれども、運用によって、広い耕地を復旧する場合には平均して反当が三十五万円になる程度のものならば、一枚の田の復旧がたとえば、七十万とか五十万とか経費を要するところがあっても、それはひとつ三十五万円までとして復旧をしましょうという、こういう行政指導上の心がまえとしての答弁があったわけです。ところが、それは、非常に広い耕地を復旧する場合にはその理論の適用ができるのですけれども、最近のように無資力鉱害その他が多くなると、三反か五反くらいのたんぼの場合には、この三十五万というものが一つのネックになってその復旧ができないという、こういう事態が生じてきておるわけです。私は、有資力も無資力も全部、三十五万円以上になってもその以上でおやりなさいというやぼなことはきょうは申すつもりはないのです。これは主として国と県が金を出すことになるので、無資力の場合だけに限って、これは法律でなくて省令か何かだと思いますが、その三十五万円を無資力の場合については私は少し上げてやる必要があると思うのです。そうしないと、これはもう大事な祖先伝来のたんぼが復旧しないままで放置されてしまうという問題が起こってきておるわけです。そこで、この問題に対する大臣の見解をお伺いいたしたいと思うのです。同時に、きょうはいつもおいでをいただいておる鉱害復旧事業団の天日さんもおられますし、それから現実にそういう問題に直面をされて、農家からいろいろ陳情を受けておられる山の買い上げの責任者である佐藤さんもいらっしゃっておりますが、現場の気持ちも大臣の答弁とあわせてお聞かせ願いたいと思う。
  72. 天日光一

    ○天日参考人 滝井先生のお尋ねに対して、私の立場からお答え申し上げます。  いま先生指摘のごとく、農林省の運用によりまして、広い面積でありますると、反当たりの頭打ち三十五万円を薄めることができまするので、三十五万円以下におさまる場合が出るわけであります。しかしながら御指摘のごとく、三反でありますとか、あるいは五反でありますとか、そういう狭い面積でありますと、薄めるということができませんのは御説のとおりであります。しかしながら、さような狭い面積でありましても、復旧を必要とする場所のあることも事実でございますので、御説のごとく、でき得べくんば、無資力の復旧の場合に限ると先生はおっしゃいましたのでありますが、せめてそれだけでも三十五万円という頭打ちの限度をはずしまして、しかもこれは法律事項でもなくて、行政官庁の運用でいけることかと思っておりますので、さようなことで運べればしあわせだ、かように考えております。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣、いま天日理事長からお聞きのとおりです。私これはほんとうは有資力までそういう形にしてもらえば一番いいのですけれども、かなり鉱業権者が負担能力があるときですから、そこまで広げようとは思いません。しかしもう鉱業権者が手をあげた場合に、無資力についても三十五万のワクを薄めることが非常に困難な場合には、国がある程度、四十万かかっても、四十五万かかってもやってやらないと、祖先伝来の農地がむだになってしまうわけです。この点ひとつ大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  74. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 この問題は、農林大臣から予算委員会で、広域の場合にはそういう措置も考えられるということの答弁があったと承っておりますが、ただいまの滝井委員のお話は、三反か五反くらいの場合で、しかも無資力になったものについては国と県が負担するのだから、これは三十五万円という限度に限らないで、もう少し上になっても何らかの措置をとるようにしてはどうか、こういう御質問と承ったのでありますが、農地の復旧のことでございますから、何といっても直接担当は農林省になると思いますが、お話の御趣旨もよくわかりますので、われわれとしても農林省ともよく連絡をとりまして、この問題が前向きで解決するように努力をいたしたいと思います。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 無資力分だけについては、現実の問題として非常に困っておるのですから、ぜひこの問題だけは水道と同じようにおやりいただきたいと思うのです。  それかららいま一つは、先般来天日理事長から当委員会に参考人としてお述べいただいた、いわゆる鉱害復旧事業団の事務費です。この事務費でかんがい排水、それからその維持管理というようなものやら、あるいは休耕補償、暫定補償等の経費を出しているわけです。これは過渡的な措置としてそういう事務費で出すことは、大蔵省との予算折衝その他もあるのでやむを得ないと思いますけれども、しかしこれは当然来年度予算からは、暫定補償や休耕補償、水道の維持管理費等につきましては、きちっと予算の項目を立てて、相当の金を復旧事業団に渡すことが必要だと思うのです。事務費の中からこういうものをやれば、復旧というものは細々としかやっていけないことになるのです。この点一体大臣としてはどうお考えになっておるのか。来年度からは堂々と大蔵省に項目を立てて要求をしていく、こういう所存があるのかどうか。
  76. 新井眞一

    ○新井政府委員 お示しの復旧事業団の事務経費でございますが、御承知のように、三十八年度に仕事の量もふえてまいりますので、〇・八四%ふえたわけでございますが、三十九年度必ずしもこれで十分だというふうには考えられませんけれども、まあまあ何とかやっていけるんじゃなかろうかと思いますが、今後の問題につきましては、いよいよ無資力のあれもふえてまいりますので検討をしなければ相なるまいというふうに考えております。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 四じゃなくて〇・八三%ですね、これを事務費の上積みみたいな形で出すということは邪道なんですね。どうせ毎年鉱害復旧がある限りは恒久的に出さなければならないものなんですから、それを復旧事業団の事務費の形で出すということは、私はやっぱりいけないと思うのです。来年度からは、どうせ予算をおとりになるのですから、項目をお立てになることはちっとも差しつかえないと思うのです。何かそこに隘路があれば、ひとつその隘路を言ってもらいたいと思うのです。何も隘路はないと私は思うのです。どうせ予算をもらっているわけですから、それを一つの項目に立てる、たとえばことし厚生省の予算で、閉山炭鉱の水道というものの補助金の項目を立てたわけです。これは先日来の各委員の御努力によって、一千万というものがすでに組まれており、さらに水道の経費のほうから移流用してこのワクをふやしますということを、大蔵省も同意をしてくれましたし、厚生省も言明しているわけですね。当然そういうように閉山炭鉱の補助金というものは、厚生省の予算書に新しく出ると同様に、通産者の予算に、復旧事業団の事務費としてではなくて、堂々と農地の復旧したあとの暫定補償とか休耕、補償というように、あるいは閉山水道の維持管理費というように出すべきだと思うのですよ。これはいままで〇・八三%の事務費の上積みで出すことができれば、それを別立てにしてもちっとも差しつかえないはずなんです。これは大臣どうでしょうか。当然私は来年度から堂々とひとつ天下の公道を事務費は歩かせる必要があると思います。こういう事務費は、復旧事業団プロパーの事務費の中に入れるべきではないかと思います。
  78. 新井眞一

    ○新井政府委員 ちょっと御質問の点がよくつかみがたいのでございますけれども、賦課金とか地方公共団体の負担とかあるいは施行者の負担ということで、それぞれ御承知のように四・八とか一%とか〇・三%とかいうことで事業団として入ってくる金と、それからその金をどういうふうに使っていくかということで事業団は仕事をやっているわけでありますが、全般的に見まして、事業団の無資力認定に伴ういろいろな面での負担もふえてまいりますので、どの面でどういうふうにそれをつじつまを合わしていくかという点は、やはり収入をふやしていかなければ相なりませんので、三十九年度はまあまあ何とかやっていけるというふうに考えておりますが、四十年度以降につきましては、先般の参考人の御意見にもありましたように、相当検討を加えなければ相ならない、こう考えておるわけであります。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 たとえばことしの予算にも昨年の予算にも載りました、これは昨年から入ったのですが、特別鉱害かんがい排水施設維持管理費というように、特鉱のポンプについては昨年から堂々と出てきているわけです。ですから、こういう形で出す。われわれが休耕補償や暫定補償は一体どこに入っておるかということがわからぬようなことでは、予算審議の上からいっても困ると思うのです。特鉱ポンプの維持管理費というものについては、相良炭鉱外三炭鉱にかかる特別鉱害かんがい排水ポンプ十八基について維持管理費を補助、こういうふうにきちっと書いておるわけですから、こういう形でいまの〇・八三%の上積み分についても私は出すべきだと思うのですよ。特鉱のポンプの費用が出せて、かんがい排水のポンプの維持費が出せないというようなことはないと思うのです。
  80. 新井眞一

    ○新井政府委員 御承知のように、一%から一・八三%にふやしましたゆえんのものは、いまおっしゃいますように、かんがい排水あるいは無資力鉱害の暫定補償というようなことでふやしたんだから、入ってくる金はその分として特掲をしなさい、こういう御意見かと思うわけであります。この点は全般の復旧事業団の台所のこともございますので、それを特掲するかどうか、私どもとして研究さしていただきたいと考えておるわけであります。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 何かそういうものを書いたらぐあいが悪いことがありますか。われわれ国会議員はしろうとですから、予算書にそういうものがないと、見落としてしまうのですね。だからそれは明らかに、われわれしろうとの国会議員にもわかるように、特鉱の維持管理費というものは、予算書を見れば、なるほどことしは特鉱の維持管理の金が四百七十万一千円入っているとすぐわかるわけですよ。そういうものがなければ、一体どこに入っているかを質問するだけでも時間のロスです。
  82. 新井眞一

    ○新井政府委員 あるいは卑俗な例かもしれませんが、通常の経理の場合、あれはあれ、これはこれというふうに特掲をしていく形と、それから全般に収入がこれだけある、そうしてどういうものに使うのだ、これはいろいろな費用がございましょうから、そういうことで、特掲をするほうがいいのか、あるいはそれを融通無碍に使うとは申しませんけれども、やはり補充をして、それでいくという形がいかか、これはもう少し復旧事業団の台所もよく見まして検討をすべきだと思います。なぜ特掲しないかとおっしゃいます場合に、やはり特掲いたしますと、その分はそれだけしか使えないということ、あるいはぎちぎちいたす面もあろうかという点の配慮でございます。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 これは天日さんのほうにお尋ねしますが、予算書に特掲をしてもらって、そうして復旧事業団のほうに入っていくことにおいて、何かあなたのほうの経理上あるいは事務遂行上支障はございますか。
  84. 天日光一

    ○天日参考人 お答えいたしますが、経理の形態論としていろいろ御意見が出ようかと思いますけれども、私自身として考えますところでは、特掲いたすことによりまして格別の重大な支障はないと思います。ただ念のために申し上げますと、いま例にお引きになりましたところの無権者農地の鉱害復旧の暫定補償額でありますが、これは従来の経験から割り出されたある率を復旧量にかけてお出しになって、予算にもあがっておりますが、しかしながら、この掲記された額でおさまるという保証は必ずしもないことは、法律のたてまえであります。と申しますのは、農林省ででき上がったものを検査なさいまして、いわゆる暫定補償額というものを私のほうに通知いたされることになっておりますから、それが一致するかしないかはまた別個の問題でありますけれども、私どもとしましては、特掲されてお預かりいたしましたならば、それはそれとして、どんぶり勘定にいたさずに、別に保留しておいて、足りなければ別にそれに補給するなら補給していただくなりすれば、経理上紛淆を来たすことはなしに、またその間に疑惑を招くようなことなしに経理いたすべきであるし、またできる、かように考えておるわけであります。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 経理上の問題があるようでございますから、石炭局のほうと復旧事業団のほうと事務的に打ち合わせて、ひとつぜひわかりやすいように、そうしてしかもこの事務経費を増加する方向で善処してもらいたいと思うのです。  それからあと二点あるのですが、庭園の復旧です。家屋の復旧にあたって、庭園とか泉水とかというようなものが補助対象にならないわけです。したがって、この復旧が非常におくれてくるわけです。あるいは放置されるわけです。東京あたりでは木を一本買うと二方、三万、五万としますが、いなかではそれほどの価値はないのかもしれませんけれども、しかし相当庭園の樹木というものは価値があるわけです。これに対する国の補助がないわけなんですね。これについての前進をはからないと、無資力になったときにそれをやれないわけです。補助対象でないから、ほったらかすわけです。これを一体どうするかということが一つ。  それからいま一つは、農地について暫定と休耕の補償が出るようになった。ところが家屋の迷惑料、家屋復旧における迷惑料がないわけです。特に無資力の場合にないわけです。そうしますと商売をしておる場合は、家屋を復旧するために商売を休まなければならぬというときになっても、おまえのうちはもう復旧してもらうのだから一カ月くらい店を休んでも、その損害はやむを得ないのじゃないかといってやってきているわけです。ところが隣接地は有資力、その隣は無資力だというので、非常に鉱害復旧上のアンバランスが出て、これは復旧を遂行する側の復旧事業団としてはなかなか困ると思うのです。そこで家屋の迷惑料と庭園復旧における補助を補助対象とする、この二点について一体どう考えておるのか。どうもこれは非常に重要な問題なんだけれども、大臣こういうことをおわかりにならぬようだから、大臣におってもらって困るのだけれども……。
  86. 新井眞一

    ○新井政府委員 鉱害の専門家でいらっしゃる滝井先生の御質問でありますが、御承知のように臨鉱法の精神と申しますのは、これは釈迦に説法でございますが、国土の保全、むしろ通常ですと金銭賠償でいくものを、これではいかぬ、農地がどんどん減ってきたということから、もちろん民生の安定ということもございますが、国土保全ということが主体でございます。したがいまして、御承知のように、家屋等の問題じゃなくて、地盤の復旧をやるんだ、それに関連して家屋の問題も当然起こってまいるわけでございますので、したがって庭園とか泉水、これもあるいは所有者からごらんいただきますとたいへんかと思いますけれども、金銭賠償じゃなくて、国土保全上復旧するんだというような考え方からいたしますと、なかなかそこまでもろにはまいりがたい事情があると思いますが、しかし地盤等復旧費との関連におきまして弾力的に運用できる範囲で運用をいたしたい、こういうふうに考えております。  もう一つは、迷惑料と申しますか、特に無資力等の場合に、農地の暫定補償との関連で、家屋等、営業もできないじゃないか、こういう問題があろうと思いますが、これも臨鉱法の精神、国土保全という精神からいたしまして、なかなか限度以上に踏み切りがたい点があるわけでありますけれども、できるだけ整理交付金の留保額というようなところから、金銭賠償的な形でやれるものはやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣がお急ぎですから、この問題はもう一ぺんあとで質問するとして、その前に、大臣、これでもう行っていただいてけっこうですが、産炭地の開発事業調整費というのが企画庁の予算に組まれたわけです。そのほかに、こういう調整費では、新産都市等の建設事業の調整費というのもあるのです。それから工業整備特別地域の調整費というのもあるわけです。これは新産都市に漏れたところが工業整備特別地域になるわけです。大臣御存じのとおり。これは所管は経済企画庁でしょうけれども、工業配置上重要な関係があるわけです。そうしますと、現在自由民主党のほうで、新産都市の建設事業をやる上に、どうも補助金が少ない、これを少し上積みしなければいかぬという意見があって議員立法政府立法か知らぬけれども、そういう立法の動きがあるわけです。新産都市にそういう補助率の上積みの立法をやろうとする動きがあり、一方新産都市に漏れたところの議員が、工業整備特別地域の法律をつくってやはり上積みをしようとしている。産炭地だけはそういう動きがないのです。これは同じように経済企画庁に、調整費的なものとしてみんな出ておるわけです。これは大臣、やはり均衡上、新産都市なり、新産都市に漏れた工業整備特別地域にそういう上積みの立法ができるならば、産炭地にも当然やるべきだ、こういう考え方は一体どうですか。与党にすでに前者についての考えはあるわけです。  いま一つは、産炭地の開発事業の調整費は、一体どういうふうに使うことに方針が政府としては決定をしておるのか、この二点について……。
  88. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のように、新産都市とか工業整備都市の問題で別の立法をつくるということであれば、私は産炭地についても、そんな場合入れるというか、同様均てんさるべきものである、こういう考えを持っております。そういうふうに対処してまいりたい。  それから片一方の予算でございますが、これは企画庁のほうのあれに入っておりますから、今後どういうふうにしてやるかということは、額はきまっておりますが、どう使うかということは、これから研究をするようにいたしたいと思います。
  89. 滝井義高

    ○滝井委員 産炭地の開発事業調整費の三億円は、この前も御質問を申し上げて、経済企画庁とどういうようになっているかひとつ打ち合わして答弁してくれぬかということだったのですが、まだ打ち合わせは終わらぬですか。
  90. 新井眞一

    ○新井政府委員 現在まだ検討中でございまして、最終のところまでいっておりませんけれども考え方といたしましては、従来ございます調整費——あくまでも調整費という名前になっておりますので、調整費の使い方の大原則というのがあろうかと思いますが、それに産炭地のこのような必要性から見た特殊性と申しますか、そういうものをどの程度加味していくか。たとえば最低限度をどう持っていくか、そういうような諸点の打ち合わせをまだやっておる次第でございます。この調整費と申しますのは、あくまでも公共事業と公共事業との調整でございまして、どっちも進度が一斉にいっておらぬ、そのばらつきを直そうという形でございますので、何と申しますか、補充的に、全然公共事業でないものにこういう金を使うということはあるいは困難かとも思いますが、できるだけ産炭地の実情に合った形での運営であるべきだということで、いま企画庁と、建設省も入れまして検討いたしております。
  91. 滝井義高

    ○滝井委員 たとえばさいぜんの、三十五万円のワクをこえるような農地の復旧ですね。その農地のそばに道路が通っており、道路はかさ上げでうまくできてしまう。ところが道路が上がったために、ますます表土をよけいに持ってこなければならないから、三十五万円以上かかるのだということになると、これは道路と関連して農地も何とかしなければならぬので、この三億円から持ってこなければならぬ。あるいは水道だって、こういう場合があり得るわけですね。どうしても市町村が、二割五分くらいの補助ではどうにもならぬ。だからこれはひとつ何とかしてもらわなければ困るというような場合の調整に用いられるのか、どうかです。
  92. 新井眞一

    ○新井政府委員 いまの具体的な事例は、たとえばのお話だと思いますけれども、あくまでも産炭地振興ということでございますので、そこに国道とか県道とか、そういった道路の公共投資が行なわれていま進行中だ、片一方で産炭地振興のために土地造成をやっておる、そのつながり方がおかしいじゃないか、こういう場合に使っていこうということでございます。  もう一つは、これは公共事業としての予算に該当する事項のものなんでございます。したがいまして、公共投資の予算にそぐわないもの、そういうものは困るわけであるというような、やはり調整費としての使い方がございます。こういう点はまだいま詰めておる段階でございますので、できるだけ御要望に沿って、私ども使いよい形で使いたい、こう考えております。
  93. 滝井義高

    ○滝井委員 できれば、なるべく早いところで、その調整費の使い方について経済企画庁と打ち合わして、これももうこの前一ぺん尋ねて二度目でありますから、適当の機会にひとつその基準をお示し願いたいと思うのです。  次は、前に戻りまして、庭園の復旧ですが、国土保全だ、したがって庭園や木、泉水はやむを得ない、こういう意味の御答弁ですけれども、家屋が国土の上に乗っかっておるように、泉水も木も国土の上に乗っかっておるので、最近は——きょうは農林省を呼んでおかなかったからちょっとぐあいが悪いが、農林省が私の質問で、果樹園の復旧をやろうという意見が出てきているわけです。そうして果樹園の復旧をやるためには、一体どういうように果樹の補償をやるかということが問題になっているわけです。同じ木の果樹は補償ができる、それから米のなる木の稲、麦については、これは毎年刈り取るのだけれども、休耕補償、暫定補償と、麦やら稲の立っておるたんぼは復旧ができる。ところが魚の泳いでいる池と、庭の松の木や杉の木というものは復旧ができぬという理論は成り立ってこないと思うのです。もう果樹園までいったのですからね。僕は一ぺんに言うといかぬから、一つ一つ各個撃破でいっているつもりなんですが、休耕、暫定がとれて、果樹園がとれたのだから、今度は庭園になってきたわけですね。だからここはやはり何か考えてやらぬと、無資力で家屋は復旧できたけれども、庭園や何かは、これはぜいたくと言えばぜいたくだけれども、何らかやはり手当てをしてやらないと、それがむだになるわけですね。庭園の復旧ができなくて、ずいぶん困っているのですよ。御存じのとおり、筑豊の家は東京みたいに密接していないのです。農家は田んぼの中に一軒一軒ばらばらとあるわけです。それが全部鉱害を受けているのです。広い宅地を持っている。その広い宅地については、宅地の固定資産税を払っているのです。ところが家だけは復旧してもらったけれども、宅地は復旧してもらえなかった。たまたま木が立っておったり何かして復旧してもらえなかったということでは、これはたいへんだと思うのですよ。だから何らかの措置をやってくれというのです。陳情その他でも、初めのうちはこんなものは出てこなかったのです。鉱害復旧も大団円になってきたというところで、これがようやく出てきておるわけです。国土であることは間違いないのです。
  94. 新井眞一

    ○新井政府委員 果樹園でございますが、これは畑の一種でございまして、農地に入るわけでございますけれども、いまお示しの庭園その他については、石炭のあれでそういうふうにせっかくの名園が悪くなるというのは、私も非常にお気の毒だと思います、お気の毒で、同情いたしますけれども、あくまでも鉱業法の金銭賠償という原則でありまして、臨鉱法による効用を回復すべきだ、国が補償してやるべきだという線から申しますと、かなり問題があろう、こう考えておるわけであります。したがって地盤等復旧に関連をしてどこまでやっていけるか、その辺の弾力的な運用によりまして考えてまいりたい、こう考えております。
  95. 滝井義高

    ○滝井委員 いまの、弾力的な運用で何とかやりたいということですが、これは果樹園までできてくるのですから、庭の樹木その他がなかなかできないということは問題があると思うのです。そこで、そこらあたりは運用によって善処してもらいたいと思う。  それから、家屋の迷惑料ですね。これは一般の住民にとっては非常な打撃なんです。たとえば河野建設大臣が、道路によって商売ができないということならばいつでも言ってきてくれと、たしか本会議場でたんかを切ったと思うのですよ。道路をつくるときに、その商売に支障があるということで非常に迷惑がかかるならば言ってきてくれという建設大臣が、同じ内閣の一方にいる。ところが一方鉱害の復旧で、全く自分の知らないうちに下を掘られてしまって、家がひっくり返るようになっおる、しかしそれを直してもらうときに、今度は何らの迷惑料ももらわずに——無資力の場合は何も金が出ないのですから、自分で仮設住宅をつくって、そしてもし商売をしておれば、そこに商売道具を移してお客さんに来てもらう、非常に売り上げが減ってくるというような場合は、これは何とかしてやる必要があると思うのですよ。少なくとも仮設住宅ぐらいは必ずつくってあげる。いまこれさえ必ずつくってくれるという保証はない。何とかかんとかやりくりをして、いま局長が言われたように、交付金の中からつめに火をともすようなぐあいにしてやっている、こういうことですよ。だからこういうものは国土保全と同時に——いま日本で、衣食住で何に一番困っているかと言えば、住に困っている。今度年金の改正で退職金がなくなって調整年金になろうとしておりますけれども、退職金がなくなってごらんなさい、東京とかその近郊におるサラリーマンは年金を一万円ぐらいもらっても、これでは家が建たぬですよ。そうすると、住宅の問題というものは、これは非常に重大です。それだけにやはり、復旧をしてやる場合には何らかの迷惑料というものを考えるべきだと思うのです。多大な迷惑料を考える必要はないのです。移って行ったら、移って行った家賃を払えるぐらいのものとか、あるいは仮設住宅を建ててあげる、こういう程度の最小限の迷惑料でけっこうです。被害者が出血をするような形だけはとってもらいたくない。迷惑料によってもうけさせる必要はない。最小限度の引っ越しの費用とか、あるいは仮設住宅——パイプハウスみたいなものができておるのですから、国がそういうものをつくってやるとか、制度的なものを言明していただけばいいのです。そしてあとはできるだけのことは交付金でやっていく、こういう形で私はけっこうだと思うのですよ。そんなに膨大な要求をしているわけではないのです。非常にささやかな、つつましやかな要求なんですよ。
  96. 新井眞一

    ○新井政府委員 いまの仮家屋の問題でございますが、これはまさしくいろいろ御迷惑をかけておりますので、工事費等で見るように言明をいたします。
  97. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、仮設住宅については工事費等で見るように言明してくれる、こういうことになりますと、住む家だけは片づいたわけですね。そうするとあとは引っ越しの経費とか、最小限度の商売上の迷惑料だ、こういうことになる。これはできるだけ交付金の中の現金分で何とか片づけていく、こういうことができるわけです。ところが今度は、そういうものがどうにもならない場合があるわけです。農地があり水道があるということになると、現金で取れる分が先取りされると、家屋の迷惑料まではなかなかいかない。家屋と農地はどちらが先かというと、やはり農地の休耕補償が先になる。農家は休耕補償をもらわないと食っていけない。だからそれが優先すると、家屋があと回しになる。これはわれわれがやってみて、そういう可能性があるわけです。私が言いたいのはやはり鉱害についても、復旧事業団の事務費の中にそういうものを片づけ得るだけの弾力性のある事務費というか、そういうものを別個の事務費の形で入れるべきであって、休耕とか水道とかはっきりしたものは予算の費目を立てる、こういう形を私はとってもらいたいと思うのです。
  98. 新井眞一

    ○新井政府委員 先ほど申しましたように、仮家屋の問題はそうさせていただきます。それからなお留保金の中からできるだけいまのようなものが見られますように努力いたしたいと考えております。
  99. 滝井義高

    ○滝井委員 留保金の中から見るのですか。留保金というのは交付金ですね。それから見ることが、いま言ったように、見てしまえればいいんだが、最小限度のものも見てしまえないという場合にどうするかということの質問なんです。  それから立ったついでに、これも宿題でこの前お願いしておったのですが、水道の打ち切り、水の打ち切りをやるわけです。閉山の場合に、各炭鉱は市町村に水道を移管をします。移管をするときに、水道の維持管理費のほかに、鉱害地におけるる住民に打ち切りの経費を出すわけです。すなわち、今日この以後水道が町に移りました、あるいは市に移りました、したがってこれから二年間、三年間、十年間は無料で皆さん方が水を飲めるだけの経費を市に渡しました、こういうことを炭鉱は言うわけです。この際、打ち切りの経費というものは通常一体どの程度のものを出したらいいのか、過去の慣例としてはどの程度のものを出しておるのか、これをひとつお示しをしておいていただきたい。
  100. 新井眞一

    ○新井政府委員 先般そういう御質疑がございまして、調べました結果を御報告申し上げますが、まず一つの例といたしまして、地方公共団体に移管をいたしました場合に、電気料金代それからパイプなどの補修費、これを毎年毎年出しましょう、これは有資力の場合でありますが、そういう例が一つあります。それからもう一つの例は、年間二百八十万円出しましょうということでありまして、これは被害者の水道料金代として出しておるようでございます。それからもう一つの例は、基本の料金として三年分は見ましょうという例がございます。土地によりまして、あるいは炭鉱事情によりましてそれぞれのニュアンスがございますが、おおむねさような例でありまして、これを何らかの基準でやったらどうだ、こういう御意見につきましては、実情に即したそういうものさしができるかどうか、これは井戸がかれた場合とか、あるいは水道を移管する場合もいろいろなケースがあろうかと思いますが、研究をいたしたいと考えております。
  101. 滝井義高

    ○滝井委員 これで終わりますが、今後だんだん炭鉱が閉山をしていきますと、こういうところが問題になるわけです。しかもA炭鉱、B炭鉱がまちまちであっては、なかなかこれはうまくいかないわけです。それはもちろんそれぞれの炭鉱とそこの住民との力関係にもよりますけれども、やはり一応の基準を持つ心要があると思うのですよ。こういうものは少し研究していただきたい。  それからさいぜんの家屋の迷惑料についても、仮設家屋というものは言明して、必ずつくらせます。これは工事請負業者か何かにつくらせることは、前進してはっきりしてきました。そうするとあとは、留保金でまかなってなお不足をする場合の迷惑料については、きょうは詰めませんから、ぜひひとつ検討してもらって、できれば天日さんの復旧事業団に何らかの形で事務費を差し出しておく。そうしないと、どうしてもこれは、一軒が判をつかなければ解決しないという場合が出てくるのです。一軒がうんと言わなければ、判ももらえないのですから、交付金がいかないのです。こういう場合が経験としてあるわけですから、そういう場合に天日さんのほうの事務費から幾ぶんの迷惑料でも出すと、これは落ちついてすらすらといくのです。ところが、いま天日さんのところにはそういうものを出す金が全然ない。少なくともこういう最終的な鉱害の処理、いわば最終的なしりぬぐいをやらせようとする場合、そこに幾ぶんかの弾力的な予算を現場第一線で仕事をするところに持たしておかなければ、仕事はできないのです。それの使い方が正しいか正しくないかは会計検査をして、同時に天日さんの人格を信頼をしておやりになっていただけばいいと思うのです。だから、ぜひひとつそうしていただきたいと思います。
  102. 中村寅太

    中村委員長 これにて、本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  天日、佐藤両参考人には、御多用中にもかかわらず、連日長時間にわたり御出席くださいましまことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会