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大橋国務大臣 最近合理化の急進展に伴いまして、むしろ合理化の速度以上に
炭鉱労働者の離職者がふえているということを承っておるのでございますが、この
原因は、
炭鉱における
労働条件の現在の
状態が好ましくないということが、まず
一つの
原因でありますが、特に若い
人たちにとりましては坑内労働の将来性について大きな不安を持っておられることによると思うのでございます。それと同時に特に昨年の三池
災害以来、
炭鉱の坑内の安全ということにつきまして非常な不安がありまして、老年者などはもうしかたがないが、しかしこれからの若い者がああいう危険なところへ好んでいく必要がないではないかというような空気も相当あるやに聞いておるのでございます。したがって、若い労働力を
鉱山に吸収いたしますには、これらの
原因についてに十分考慮する必要があると思うのでございまして、第一には
労働条件の改善を真剣にはかっていく必要があると思います。賃金、労働時間等重要なる
労働条件について改善しなければならぬことは当然でございまするが、そのほかの福利
施設であるとか、あるいはいろいろな社宅その他の
施設であるとか、また若い者のためには、人里離れた特殊な地帯に集団
生活をするということはいろいろ精神的な悩みもあるわけでございまして、こういう面をいかに解決するかというようなことにつきましては、使用者の側においても真剣に御研究をいただく面があるのではないか、こういうふうに思っておるのでございます。
賃金につきましては、何と申しましても、賃金のもとになります
炭鉱の経営
状態というものがすみやかに改善されることが前提になると存じますが、しかし特に最低賃金というような問題、また退職金の問題、あるいは諸手当の問題、こういった点についてもいろいろと問題があるのじゃないかと思っておるのであります。
それから
炭鉱の求人でございまするが、
お話しのように、若い人の
炭鉱志願者というものが非常に減ってきております。これに対しましては
経営者のほうにおかれましても、特に若い
人たち、それも技能者というような面に力を入れて訓練あるいは養成につとめておられるようでありますけれ
ども、しかし現在の段階ではそれは思ったほどの効果をあげておらないようでございます。労働省といたしましても、こうした面にも将来できるだけの御協力を申し上げなければならぬと思っておるのであります。いずれにしても、賃金その他の
労働条件というものが問題になりまするし、それから
炭鉱労働の将来性という点になりますると、これは新しい高能率高賃金というものを柱にした合理化された
炭鉱が、真に合理化の趣旨に沿うて運営されていくというような
状態を早くつくり上げることが、何よりも大事なことだと思っておるのでございます。これにつきましては労使の協力が必要であると思うのでございます。
それから、先ほど申し上げました
保安の問題でございまするが、何ぶんにも、日本の
炭鉱の中では最も安全であると
考えられておりました三池の爆発
事故、それも炭じんによる爆発
事故があったということは、これは
鉱山労働者にとりましては非常なショックでございまして、ひいてはこれが求人の面にも非常なさわりとなっておると思うのでございます。労働省といたしましてはかねてから、
鉱山保安の問題は
通産省の所管になってはおったのでございますが、しかしああいう
災害がありますと、やはり
災害保険法その他労働省の所管事項にも直ちに影響いたしてまいりまするし、ことに今度のように、これがために求人面においても非常な支障を生ずるということになりますると、雇用
対策はもともと労働省の所管事項でもございまするので、
鉱山保安の問題は労働省として非常に大きな関心事に相なっておるのでございます。
通産省に対しましては、すみやかに
鉱山保安法の改正その他の
措置を講ぜられるようお願いいたしてあるわけでございます。何ぶん職業安定所におきましても、できるだけ
鉱山の求人を充足していくという面等から
考えまして、
鉱山保安について労働省がもっと密接な、もっとより多くの
責任を持つべき立場に立つということが、どうしても必要ではないかというふうな感じを持っておるような次第でございます。労働省としても、この
鉱山労働の将来についていろいろ検討すべき事項をたくさんかかえておるのでございますが、一応御
質問に対しまして思いついた点をお答え申し上げた次第でございます。