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天日参考人 ただいま
委員長殿から御
指名がございました
天日光一でございますが、
委員長お示しのごとく、一方におきまして
特殊法人でありますところの
鉱害賠償基金の
理事長を命ぜられております。また、かねて
九州鉱害復旧事業団の
理事長もいたしております
関係上、両方の立場から申し上げたいと思います。
すでに
皆さん方御
承知のことではございますけれども、御質問をいただく前にごく簡単に
概略の状況からまずお聞きいただきたいと思います。きわめて簡略に申し上げますので、あるいは
ことばが足りない点があるかと思いますけれども、御了承いただきたいと思います。
まず、ただいまお示しのごとく、
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の御
審議をお願いしておる
関係上、この
賠償担保等の
関係のほうの
基金の点について
概略先に申し上げさせていただきたいと思うのであります。これはすでに
関係のお
役所のほうからも御説明をお聞き及びになっていることと思いますけれども、担当の
理事者として、ごくかいつまんで申し上げたいと思います。
昨年、
国会の御
審議の結果成立いたしました
鉱害賠償基金につきましては、さっそく成立いたしました予算によりまして三億円の
出資をいただきました。
また
法律の
規定に基づきまして、
鉱業法によりまして
各地の法務局に供託されておりましたところのいわゆる
供託金、これの取り戻し事務に鋭意努力いたしたのでありまして、
供託金はおおむねお
役所の想定に近いところの五億円の
程度をただいまのところ取り戻しております。しかしながら、なお若干取り戻し未了の分があることを申し添えねばなりません。その理由といたしましては、何ぶんにも古きは二十年も以前にさかのぼったものもございまするし、また北海道を除きまして
全国各地に広くまたがっておる問題でありますので、中には
関係書類の焼失等々の
関係からいたしまして、
各地の
供託局の書類と必ずしも直ちにつき合わせ符合がいたさぬ
部分等もございまするし、またそれぞれ
誤記等の
事情もございますので、目下そのほうの整理を急いでおるわけでございます。
それから第三点といたしましては、御
承知のごとく
法律に基づきまして、新たに
鉱業権者または
租鉱権者の
方面から
積み立て金を受け入れておるわけでございます。これは当初の
政府の御計算によりますると、三十八年度は何ぶんにも発足いたしましたのが七月でございましたので、全年間、すなわち十二ヵ月ないわけでございますので、三十八年度といたしましてはおおむね三億八千万円の予測が立っておったのでございますが、ただいまのところ約一億五千万円
程度を受け入れております。その
数字の差と申しまするのは、これは御
承知の方が多いかと思いまするけれども、
法律の
規定によりまして
積み立て金は
分割納付が許されておるものでございますから、
炭鉱の
事情によりまして
分割納付の願い出を
関係のお
役所へ出された向きがありまして、許可になっておりますのが相当多いために、今後これから収入いたすべきものが相当あるわけであります。さような状態でございます。
それから一方、
業務の他の大きな面でございます
貸し出し業務でございますが、これはせっかくかような法人が設立され、特にその使命を負わされました趣旨にかんがみまして、昨年十二月までに大部分の調査を完了いたしまして、十二月中に約五億円近い金額を
貸し出しいたしたのであります。その後さらに年が明け本年に入りましてからも、なお適格なものには
貸し出しをいたしまして、ただいまのところ
貸し出しの
合計額はおおむね五億八千万円ほどに相なっております。また、現に
貸し出しの申し込みがございますものにつきましては、逐次
審査いたしております。適合いたすものには今後も貸し出す予定に考えておるわけであります。
業務の
概略を申し上げたのでありますが、なお
貸し出しにつきましては、それぞれの
規定に従いまして処置いたしておるわけでありますけれども、大きな点を申し上げますならば、
関係のお
役所の御承認をいただきましたところの
業務方法に従いまして、最長二カ年の据え置き以内、全
償還期間五年以内という条件のもとに
貸し出しいたしております。
なお、
貸し出しの金額の回収の確実をはかることは当然のことでございますので、それぞれ
担保物件の
審査をいたしまして、われわれは
鉱業財団に
抵当権を設定いたします、あるいは土地その他の物件につきまして
抵当権を設定いたすという
担保措置をとっておるわけでございます。
なお、次に、三十九年度の
業務の概要を申し上げまするが、これは実は
政府の御
出資をさらに増大していただきたいということを、特に
関係方面にお願いいたしております。当面の段階におきましては、二億円の
政府出資の御追加をお願いいたしたい、かように存じておったのでありますけれども、
関係方面の御努力も願ったのでありましたが、ただいま
国会において御
審議に相なっておりますところの三十九年度の予算におきましては、
政府出資一億円をさらに追加するという御案が出て御
審議を願っておることと思うのであります。しかしながら、この追加一億円をもちまして、昨年の
政府の御
出資と合わせますると四億円になるわけでございまするが、四億円をもって足れりとは考えておりません。さらにもっと多くの御
出資を願いたいと存じておる次第でありますが、今後の御支援と御
審議によりまして、この念願がすみやかに達成せんことを念願してやまない次第であります。
政府御
出資の増額を願う
ゆえんのものは、もとより需要があるからでありまして、需要があるということは必要があるからでございますが、これはぜひ今後も格段の御支援をお願いいたしたいと思っております。
なお明三十九年度は、いま申し上げた
政府出資の追加一億円と、そのほか
積み立て金も入ってまいりますが、なおさらに
政府、
国会方面の御配慮によりまして、五億円の大蔵省の
融資のワクをおきめいただくことになっておりますので、それこれ合わせまするとおおむね十億円
程度の
貸し出しは三十九年度において可能かと考えております。しかしながら、この十億円も必ずしもこれをもって余れりといたすことは毛頭ないのでありまして、最近の
鉱害復旧の
事業量の増大、その
必要性からかんがみまするならば、これもさらにより多くの
融資のワクを期待いたすことは当然のことでございます。なお、この辺の
数字につきましては、おそらくは
関係のお
役所のほうから御説明があったことと思いますので、詳しいこまかい
数字は省略さしていただきたいと思います。
基金につきましては
業務の概要は以上で省略させていただきまして、しからば今後
基金というものについて何を特に念願いたし、お願いをいたしたいと思っているかという点につきましては、前段申し述べましたごとく、
政府出資のさらに増額と、それから
融資ワクの増大であります。それからさらに、いささかこまかい点ではございまするけれども、
鉱害賠償基金から
各地の
鉱害復旧業務を担当いたしておりまするところのいわゆる
鉱害復旧事業団という別法人に対しまして、
工事資金を
貸し出しされるように願いたいと思っております。この点はいろいろ論議のあるところでございまするけれども、
鉱害賠償基金から
鉱害復旧事業団に
工事資金の
貸し出しがありませんというと、
鉱害復旧事業の迅速、円滑な推進にどうしても支障、障害が多いということでございます。と申し上げまするのは、
鉱害復旧事業団は、御
承知のとおり、現在四つございまするけれども、それぞれの地区におきまして
鉱害復旧事業の推進をはかっておるわけでございまするが、やはり
工事資金といたしまして
かなりの
資金を用意いたしませんというと、事が迅速に運ばないという点がございまするので、ぜひこれは達成いたしたいと思うのでございます。
なお、これはいま申し上げたことのいささかの裏づけかと思いまするけれども、例の
鉱害復旧関係の
法律、いわゆる臨鉱法と略称いたしておりまするけれども、
臨時石炭鉱害復旧法の中には、
復旧事業団は
鉱害復旧債券を発行できるというりっぱな
規定があるのでございまして、その
債券発行の
規定が当初から設けられた
ゆえんのものは、
法律にも書いてありまするとおり、
鉱害復旧事業団が
工事の
施行者になった場合に、その
工事施行に必要な
資金を調達するためという趣旨の目的を書いてあるわけであります。これらを考えてみまするならば、当初からして、かような
工事資金が要るということは
法律御制定の当初、
昭和二十七年の当時においてすでに予見されたことであるわけであります。しかしながら、諸般の
事情からいたしまして、この
債券発行の
規定は生きてはおりません。といいまするのは、債券の発行に関する諸
手続等のことは政令をもって定むということになっておりまして、その政令は今日まで出ておりませんのであります。法治国の日本としてはふしぎな現象の一つと、これは余談でございますが、思っております。ただしこれも
政府から、
資金運用部から
融資をされておりまするので、
債券発行にかわることとなってはおるわけであります。これはこれでよろしゅうございますが、何にいたせ、
工事資金が要るということが根本の理由になっているわけであります。それば当然認めておることでありますからして、
鉱害賠償基金から
復旧事業団に
工事資金を貸し出すことの実現することが望ましいということを常に念願しておる次第であります。なお
鉱害賠償基金につきましては、発足いたしてようやく十カ月ほど経過したのでありまするので、今後の実績も上がりまして、
法律御制定の御趣旨、また、になわされた使命の達成に一段の努力をいたす考えでおりますので、これらの点をあと申し上げまするところの
鉱害復旧の
事業の面とあわせて、
石炭政策の一環としての
大所局所からの御判断によりまして適切な態勢、また御
措置をお願いいたしたいと思っておるのであります。
基金につきましては以上をもちまして終わらせていただきまして、お尋ねがありましたならば、後ほどまた申し上げたいと思います。
なお、もう少しく時間をちょうだいいたしまして、
鉱害復旧そのことにつきまして若干御報告申し上げ、またお願い申し上げるところをお聞き取り願いたいと思うのでございます。
これもかいつまみましたものはお手元に差し上げてあるかと存じますので、
はしょらしていただく点が多いかと思いますけれども、御
承知のごとく
石炭及び亜炭の採掘に伴うところの
鉱害というものは、何回かの
政府の御調査によりまして、
既発生の
鉱害があるいは二百数十億となり、あるいはまた今後発生する
鉱害が同じく二百数十億となりまして、両者を合わせまするとおおむね五百億円をこすかと思われる
数字が出るのでありますが、もとよりその間に毎年
政府の、また
地方自治団体その他の御補助、また
炭鉱の
納付金によりまして、
鉱害復旧は推進してまいっておることは御
承知のとおりでありまして、二十七年に
九州と
中国宇部に
鉱害復旧事業団ができ、その後岐阜、愛知を地域といたしました
東海鉱害復旧事業団ができ、また両三年前に茨城、福島県を主たる地区といたしまするところの
常磐鉱害復旧事業団、この四
事業団ができたことは御
承知かと思うのでありますけれども、その中で
九州は、何と申しましても従来の長い
石炭の採掘の歴史からいたしまして、全
鉱害量の九割と申し上げてよろしいと思います。端数は省略いたしますけれども、まあ九割が
九州でございまして、またその九割のうちのやはり九割と申し上げたほうがよろしいかと思いますけれども、これは
福岡県下の
鉱害でございます。かような状況でございまして、努力はずいぶんいたしてまいり、
復旧いたしてまいりましたものも、
九州だけの
事業団につきましてもおおむね累計百五十数億に相なるわけであります。またそのほかに、御
承知の方も多数おいでかと思いますけれども、ただいま行なわれておる
鉱害復旧の
法律のほかに、戦前に
特別鉱害復旧という
制度がございまして、戦時中のいわば
強行採炭による
鉱害、これにつきましては特別の
法律があったのであります。これでもやはり百億をこす
復旧事業を完了いたして
法律が廃止になったわけでありますけれども、合わせましたならば、すでにやはり少なくとも二百数十億の
復旧はいたしてまいっておるわけであります。それにもかかわらず、なおかつ、前段申し上げたとおり、まだ膨大な
鉱害未
復旧量、
残存量があるということが、大きな
国土保全あるいは民生安定というような見地からいたしまして、大きな問題を残しておるわけであります。
なお、いささかてまえみそで恐縮でありますが、これは感謝の
ことばでもって申し上げるものでありまして、
九州の
事業団につきまするというと、ただどの
程度の
伸び方をしておるかということの一端だけの申し上げ方でありますけれども、発足いたしましたところの二十七年におきましての年間の
事業量は八千七百八十万円ほどであったのでございますが、
昭和三十八年度におきましては、
事業量が二十二億円をこしておりまするからして、二十五倍に相なったわけでありますが、三十九年度の
政府の
補助金の
予算等から推算いたしますると、
九州の
事業団といたしましては、二十六億円をこす
事業量を消化いたすことに相なりまするからして、発足当初の
昭和二十七年を一〇〇といたしますると、指数は三〇〇〇をこすわけでありますからして、三十倍の
事業をやらしていただくようなことになったわけであります。これは自慢で申し上げるのではなく、これだけ伸ばしていただいたということを、お礼の意味をもって申し上げるのであります。
なお、この内訳につきましては、金額だけじゃありませんので、しからばそれによって何をどう直してきたか、品物を
物件別にお手元に書いて差し上げておる次第でございますけれども、ごく
概略申し上げますならば、農地におきましては、おおむね二千八百七十七町歩、
かなりの面積を
復旧いたしてまいったのであります。そのほか、読み上げを省略いたしますけれども、
農業用のため池でありますとか、
農業用水路でありますとか、あるいは農道でありますとか、河川でありますとか、道路でありますとか、上水道でありますとか、下水道でありますとか、鉄道でありまするとか、学校でありまするとか、それから公共・公用の建物でありますとか、一般の、通俗に申して民家、これが
家屋等という用語になっておりますが、かようなものを含めますと、
かなりの
物件数を
復旧いたしてまいっておるのであります。
また、これまでの
事業をやらしていただくにつきましては、
政府その他の
方面の御理解によりまして、立てかえ
工事と申したほうが一番わかりがいいかと思うのでありますが、
事業団が
政府からお金を拝借してまいりまして、
炭鉱が一時に
納付金が納めがたい
事情にあるものにつきまして、その適格さを
審査いたしまして、
貸し付けいたします。
貸し付けと申しますのは、
工事費を立てかえて
工事を進めてまいるということであります。許された方法によりますれば、
貸し付け先の
炭鉱からは、三カ年で
均等償還という方式をとっておるのであります。ただ、前回御喚問いただきましたときにも申し述べたと思うのでありますけれども、途中
政府の御方針の
扱い方の変更がありまして、
政府からお借りする金は、いわゆる
短期資金、一年ごとにお借りし一年ごとにお返しするというような、
短期資金という性格になったのであります。しかしながら、いま申し上げましたとおり、
炭鉱から回収してくるのは三カ年間ということでありますので、三尺のものが要るのに一尺のものを借りたというような、はなはだ卑近な例を申し上げて恐縮でありますけれども、さようなことでありますので、しからばどうしておるかと申しますると、毎年三月下旬に
政府のほうへその年度にお借りした金をお返しいたすわけでありますけれども、
炭鉱のほうから返ってくる金は、概算で申せば三分の一しかその年度の分につきましては返ってこないはずであります。あとは
市中銀行からいわゆる
つなぎ資金を借りまして、耳をそろえて
政府に元利をお返しいたすということをいたしております。そのかわりに
政府からは、三月下旬にお返しいたしまして、翌月四月のなるべく早目にお願いいたしまして、また
政府からお借りいたしまして、即日
銀行に返すという仕組み、ころがし方式をとっておるわけであります。
なぜそうしなくちゃならぬか、急がなくちゃならぬかと申しますると、
政府からお借りいたします金は六分五厘でありまするけれども、
市中銀行では六分五厘では貸してくれませんので、いわゆる通俗に申しますると、逆ざやになるわけであります。かような負担を極力避けるためには、
銀行から借りている期間をできるだけ、一日でも短縮しなくちゃならぬというような要請がなされておりますので、これもずいぶん前から
長期資金——長期と申しましても、十年、十五年というような長期は考えませんが、せめて三年くらいの
資金ということは念願してまいってきたのであります。いわゆる
延納制度、立てかえ
制度というものが
鉱害復旧の促進に効果があったことは、これは広く認めておるところでありまして、
事業の消化のできたこと、伸展したこともかかってこの
延納制度、
延べ払い制度と申しておりますけれども、立てかえ
工事ということに大きな力があったと思うのであります。
なお、省略いたしておきまするけれども、数年来いわゆる
炭鉱離職者を
鉱害復旧事業に使用いたすという方式を、
中央政府からも
関係方面からもお示しがありましたので、どれどれの仕事にはどの割合で、いわゆる
熟練工はどの割合、不
熟練工はどの割合というような、
離職者吸収といいますか、就労と申しますか、かような点につきましても
かなりいろいろとやってまいってきておるわけであります。
以上はいままでの
概略のことを申し上げたのでありますが、一点、
鉱害復旧事業団の
理事者として格段の御配慮を特にお願いいたしたいと思う点が当面いたしておるので、一点だけ申し述べさせていただきたいと思うのであります。それはこういうことでございます。
この
鉱害関係の
法律が御
承知のとおり二十七年にできましてから、おおむね十年経過いたしておるわけでありまするが、この間におきまして、私の記憶によりますると、七回か八回この
法律は
部分改正をしていただいております。一つの
法律が十カ年間に七回、八回と手入れをしていただいている
法律というものは、あまりほかに例はないようであります。この点は、
国会及び
政府がこの
鉱害復旧ということに対しまして非常な関心をお持ちくだすっておりましたところの証左でありまして、これはひとしく感謝いたしておるところであります。しかるにもかかわらず、なおいまだに幾多の問題が残っておるということを申し上げてお願いしなければならぬ情勢、また今日特にお呼び出しいただきました
ゆえんは何であろうかと考えてみますと、
鉱害復旧という問題がそれほど複雑にして多岐、また困難であるということ、また
国土保全というようなこと、また社会的に治安、民生というような見地からいたしまして、なおかつ幾多の問題が残っておるということであろうかと思うのであります。
国会のお
ことばを拝借してはなはだ恐縮でございまするけれども、何回かの
法律改正のときには、特別の御考慮をもちまして
附帯決議をおつけいただいたことが数回ございました。大きな点についてずばりと御指摘いただいた点が多々あったと思いますが、その中に何回かは、抜本的な対策を講じろというお
ことばがあったことを
承知いたしておるわけであります。七回も八回も改正がされてなぜ問題が残っておるかといいますと、おそらくは
かなり抜本的なところに近づいておったのであろうと思います。思いますが、なお問題が残っておるということは、
石炭界の情勢が当初予想されておったよりもさらに困難、深刻を加えてきつつあるがためであると私は解釈いたしております。申し上げるまでもなく、合理化法が制定されまして
石炭企業そのものの骨格改善、あるいは体質改善とでも申しましょうか、そういうものは、
政府の御努力とまた国費の投入によりまして大きな成果をあげつつあることは御
承知のとおりでございます。また、それに関連いたしまして発生いたしましたところの離職者対策、これにつきましても、御
承知のごとく特別の
法律の御
措置がとられ、また多くの国費が投入されて万全に近い対策が講じられております。若干残ってはおりますが、時間が必ずやこの離職者問題も解決いたすことは期待し得ることであると思います。その次に生じましたのがいわゆる産炭地振興、従来石
炭鉱業によって地方の繁栄あるいは地方経済が維持されておりました地域におきまして、石
炭鉱業が次第になくなりましたのに対応いたしまして、新たなる産業、新たなる工業を培養、誘致するという、いわゆる産炭地振興、これが当面大きな問題となっておるのは御
承知のとおりでありまして、これにつきましても多くの施策、対策、また国費の投入がなされておりますから、おそらくは石
炭鉱業の合理化、離職者の問題、それから産炭地振興、これはあと残っているところは時間の問題で、必ずや相当の成果があがることと思うのであります。しかしながら、これらの結果生じた余波と申しますか、反射的の影響とでも申しますか、御
承知のごとく、
九州の石
炭鉱業の企業数がおおむね半減しておると聞いております。大小合わせまして四百近く、あるいはそれ以上あった
石炭企業というものが、半分近くにもなっておるということであります。ということは、いわゆる終廃山が非常に多く出てまいったということであります。これは二十七年当時、この
法律ができましたときあたりは、かような状態に突入する
ことばあまりに予想されていなかった事態であったろうと私は思うのでありまして、この終廃山
炭鉱が非常に多くなったということが、
鉱害復旧の面におきますと、いわゆる通俗にわれわれは、無権者
鉱害と無資力
鉱害と申しておりますが、一口には無権者
鉱害と申します。無権者
鉱害というのは、要するに責めに任ずべき
鉱業権者が所在しない、所在不分明なのを申します。あるいは無資力
鉱害というのは、
鉱業権者が
鉱害復旧の責めに任ずるに必要なる資力を持たない、資力不十分だというようなものでございますが、これが年々非常に大きな
数字にのぼりつつあるのであります。これが
鉱害復旧事業団に大きな影響を与えております。それは後ほどまたお尋ねに応じて申し上げたいと思うのでありますけれども、
鉱害復旧事業団というものは、実は他の公社、公団、
事業団と違った点がありますのは、
政府出資が一円もないということであります。特殊な仕組みになっております
関係上、この無権者
鉱害というものを今後処理していきますためには、非常に大きな経費の面におきます困難を伴うのであります。こまかい
数字は時間もありませんから省略いたしますが、これらの点につきましてはお
役所のほうから御説明があると思いますけれども、ただいまのままで推移いたしましたならば、
事業団は破綻せざるを得ないと私は思っております。
理事者としては、いまの段階において申し上げますならば、責任を果たすことにはならぬと思っておるくらいでございますので、これは後ほどお尋ねがありましたらとくと申し上げたいと思うのであります。
要するに、
石炭業界の大きな情勢の変化がかようなしわ寄せを生じておるということ、その他の点につきましては他の方がそれぞれの立場で御陳述になると思いますし、また、特に御注意があったようでありますけれども、
鉱害問題の今後をいかにすべきかということが残っておって、まだ申し上げておりません。これはまたお尋ねがありましたら、自分自身としての考えの一端を申し上げたいと思います。おそまつでありましたが、よろしくお願いいたします。(拍手)