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滝井委員 そうしますと、八分七厘の利子は動かすわけにはまいらぬ、開銀の
地域開発の金利というものをそう
地域によって変えるわけにはまいらぬから、変えるわけにはいかぬ。しかし融資の割合、それから期間等については考慮の余地あり、こういうようなニュアンスに聞こえたのですが、総裁の平田さんは有沢
調査団の一員ですよ。非常に理解をお持ちなんです。いまの日本の工業立地の趨勢は、太平洋ベルト地帯に六割から六割五分ぐらい生産を集中しておるわけです。しかも、そこにほとんどの投資が行なわれているわけでしょう。特に急激に疲弊をしようとしている産炭地に対して、太平洋ベルト地帯
——広い意味で
筑豊炭田も、北九州のヒンターランドとして太平洋ベルト地帯に入るかもしれませんが、何といっても門司、小倉という臨海地帯に比べたら、内陸部分ですから条件が悪い。したがって、そうなりますと何らかの考慮を払わないと、あそこの
石炭にかわる振興政策というのはほとんど見つからぬわけです。さいぜん言ったように、縫製工場みたいな家計補助的な工業は来ます。しかしセメントというようなものは、資源があるにもかかわらず、利子が払えないということになれば、なかなか来たいと思っても二の足を踏みます。そこで最近、たとえば日本セメントあたりもかわら工場というので、
一つキルンをふやしたのです。これは開発銀行から借りたかどうか知りませんが、ふやした。ところが、自治体がこれに対して、企業誘致をすれば、各市町村が条例をつくって固定資産税をまけるわけです、固定資産税を八百何十万円免除したわけです。ところが、法律的に私詳しいところはわかりませんけれ
ども、新しく
設備をしたら、二十人以上雇用がその
会社でもってふえないと、交付税の対象にならぬというのです。その町は、セメントのキルンを増築したために、固定資産税を免除してやったわけですよ。ところが、セメントは非常に近代化され、合理化され、技術革新されておるために、雇用はふえないのです。新しいキルンに対して配置転換だけです。そうしますと、地方は八百万円以上の固定資産税をまけた。当然その分の補てんとして交付税がもらえると思っておったところが、交付税は雇用がふえていないのでだめだ、こういうことになっておるのであります。市町村さえもそれほどの忍従をしておるわけでしょう。固定資産税をまけて企業誘致をやった。しかし雇用はふえなかったけれ
どもやむを得ぬ、こういう形になっておるわけです。したがって、国の機関である開発銀行が
——産炭地振興事業団は六分五厘、ところがこれは、ワクは一億でしょう。たぶん貸し出しの最高額は、一億ぐらいしか貸さないんじゃないですか。二十億も三十億も貸しはしないです。資金量が小さいから、非常にワクが小さい。セメント工場を
一つつくるとしたら、一億や二億じゃできないことは、
海堀さん
御存じのとおりです。五十億、六十億ですよ。そうすると、一分利子が違うだけでも、経理にばく大な
影響が及んでくるわけですよ。したがってここらあたりをもう少し
——市町村は工場誘致をして固定資産税をまけてしまっておる。そしていま言ったように、配置転換しかないけれ
ども、
自分の鼻血を出してでもやむを得ぬ、雇用のためにはやむを得ぬ、あるいは
地域経済を安定するためにはやむを得ぬといって、誘致してきた。そしてこれを家計補助的なものから、ほんとうに一家をささえるおとうさん、おにいさんが働いていくという形を確立した。ところが、今度はその
会社が利子がなかなか払えない。立地条件が幾ぶん臨海地帯よりか悪いために、
会社の経理がどうも苦しくなるというようなことで、また合理化がそこで行なわれるということならば、意味がなくなるわけですよ。だから、したがって、しばらくの間でもやはり利子というものを、これは大企業に限ってもいいんですが、たとえばこれから五年以内に石
炭鉱業の合理化が進行すれば、五年以内に行った企業だけでも、六分五厘なら六分五厘にする、それだけでもけっこうです。それとも産炭地振興事業団に、何十億の金を貸すようなワクをつくってくれるかということです。通産大臣はこのワクをつくれば一番いいとおっしゃるんだけれ
ども、それはあなたのほうで資金の計画その他があってなかなかうまくいかないでしょう。だから、ここらの打開策というものを何か考えてもらわないといかぬ。たとえばいま、三井セメントができました。ところが七千人おった三井田川の従業員を、セメントとタイルと三池に配置転換をすることにしたために、そのセメントなんかでも、百何十人雇うと言っておったのが、五十人か百人しか雇わぬ。ぐっと減っておるんです。これはやはり金利その他の
関係があったんです。もっと安ければ、もっと早くやりたいがというところがあるわけです。だからこれは
ケース・バイ・
ケースでいける問題じゃない。あなたの言われるように、
地域開発の一般論に及んできますけれ
ども、何かやはり特殊性を加えて、そして期限を切ってでもいいんです、昭和四十三年なら四十三年までの、石
炭鉱業の合理化の進行の過程の中における期間だけを限って、その間に行くそういう企業について開発銀行が貸す場合には、これはひとつ六分五厘でもいい、あるいは七分でもけっこうですから、やる。こういう形にしてもらいたいと思うのですが、どうですか。