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1964-02-06 第46回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月六日(木曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 有田 喜一君 理事 上林山榮吉君    理事 神田  博君 理事 中川 俊思君    理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君    理事 中村 重光君       木村 守江君    壽原 正一君       中村 幸八君    藤尾 正行君       細谷 治嘉君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 真一君         通商産業事務         官(鉱山保安局         長)      川原 英之君  委員外出席者         労働事務官         (職業安定局雇         用調整課長)  遠藤 政夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について通商産業大臣及び労働大臣から所信を承ることといたします。福田通商産業大臣
  3. 福田一

    福田(一)国務大臣 第四十六回通常国会におきまして、石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言ごあいさつ申し上げます。  御承知のとおり、石炭鉱業は、いわゆるエネルギー革命の進展に伴い、今日多くの困難な問題に直面しております。  政府といたしましては、このような事態に対して、石炭鉱業調査団答申及びこれに基づく石炭対策大綱に従って、抜本的な石炭対策を進推してまいりました。  石炭対策大綱実施は、昭和三十八年度からその緒につき始めましたが、今後はその基本的な考え方の上に立って、総合的、体系的な施策の実効ある展開とその充実がぜひとも必要であります。  このため需要確保生産流通の各面にわたる近代化合理化技術振興資金確保産炭地域振興鉱害処理円滑化等について従来からの施策を一そう強化促進するとともに、特に次のような施策重点を置いて実施することとしております。  第一に、石炭需要確保については、電力鉄鋼大口盛事業界との長期引き取り体制確立をはかるとともに、引き取り数量の増加に伴う負担増に対しては、従来からの関税還付制度に加えて、電源開発株式会社による石炭専焼火力発電所建設促進することといたしております。  第二に、石炭鉱業近代化については、近代化資金大幅増額をはかり、石炭坑近代化流通合理化を推進するほか、石炭技術振興に積極的な助成を講じることとしております。  第三に、産炭地域振興については、昨秋産炭地域振興基本計画及びその実施計画を策定し、また、その具体的な実施については産炭地域振興事業団による土地造成設備資金融資事業の飛躍的な拡充をはかるとともに、企業誘致促進工業用水調査等施策を推進することとしております。  第四に、鉱害対策については、鉱害処理抜本的拡充強化をはかるため、鉱害賠償基金に対する出資増加及び財政融資措置を講じ、また無資力鉱害処理については特にこれを促進し遺憾なきを期しております。  次に、石炭鉱山における保安については、従来から保安確保合理化の基盤と考え、その確保につとめてきたところでありますが、昨年三池炭鉱において大規模災害発生したことはまことに遺憾であり、今後、鉱山保安行政の一そうの強化をはかるため、監督強化鉱山保安法令整備保安融資拡充強化自主保安体制確立等の諸施策を強力に推進する所存であります。  ここで石炭鉱業の将来に思いをいたしますと、産業構造調査会総合エネルギー部会は、昭和四十七年までの総合エネルギー政策基本的方向を検討し、石炭鉱業国民経済的重要性をあらためて強調しております。  すなわち、石炭鉱業が近代的な生産体制確立し、高能率、高賃金の安定した産業として五千五百万トンの生産確保し、国民経済の均衡ある発展に資することは、総合エネルギー政策見地からも必要とされているのであります。  しかしながら、石炭鉱業が高能率、高賃金の安定した近代的産業となり、その使命を達成するためには、前途なおなすべきことが少なくありません。  われわれ石炭対策実施にかかわるものといたしましては、将来の石炭鉱業の目標となるべきビジョンを明確に描きながら、現実の政策を一歩一歩踏み固めて前進していきたいと思います。  本委員会におかれましても今後とも一そうの御協力をお願いする次第であります。     —————————————
  4. 中村寅太

    中村委員長 引き続いて、昭和三十九年度通商産業省所管石炭関係予算について、政府説明を求めます。新井石炭局長
  5. 新井真一

    新井政府委員 来年度予算につきまして御説明を申し上げますが、あらかじめお手元に御提出してございます昭和三十九年度石炭関係予算概要という資料に基づきまして御説明をさしていただきます。  御承知のように、石炭合理化のほうも山を越しましたので、ある程度予算といたしましては当然減になるものがかなりあるわけでございますけれども、先ほど大臣所信表明にありましたごとく、産炭地振興あるいは需要確保の問題あるいは鉱害等、この面でかなり重点的に予算を出していただくというような考え方で進めておりまして、総計いたしますと、二枚目の一般会計合計欄をごらんいただきますとおわかりのように、三十八年度予算は約百十八億でございます。これに対しまして、三十九年度、百二十億ということに相なっておりまして、当然減十四億を入れますと、かなり拡充をやっておるという姿に相なっておるわけでございます。  なお、その下の財政投融資のところでございますけれども、最下欄をごらんいただきますと、三十八年度は百八十九億でございます。もっとも当初予算でございますけれども。これに対しまして三十九年度は、先ほどちょっとお話の出ました電源開発への投融資も入れまして二百三十八億という姿に相なっております。  なお、項目を追いまして簡単に御説明さしていただきたいと思います。  まず最初の炭鉱整理促進費補助、これは先ほど申しましたように、山が減ってまいりますので、約十一億の減に相なっております。次の保安不良炭鉱整理費でございますが、本年度も同様実施いたしますが、二十万トンという形で、これも約四千万円ばかりの減少に相なっております。  しかしながら、三番目のビルドアップの関係につきましては、合理化事業団への出資かなり増額がございますのと、なおここにはございませんが、償還金が約五億ございますので、実際といたしましては約五十数億の事業規模になろうかと思っております。なお、特に備考欄をごらんいただきまして、新しく三番目の保安施設整備出資約五億というものが出ております。後ほど保安局長からあるいは補充的に御説明があろうと思いますが、特に三池災害にかんがみまして、今後保安関係施設についても十分の措置をしてまいりたいということで進めておるものでございます。なお、その下の石炭専用船、これは三十七年度から進めておりますが、三十七年三隻、三十八年九隻、来年度八隻ということで予算をお願いいたす次第でございます。  次の電力用炭精算会社出資金、この関係は昨年度発足いたしまして出資をいただいておりますが、本年はその関係でございません。これで当然一億の減に相なるわけでございます。  次に、産炭地域振興対策費でございますが、昨年十三億に対しまして二十億ということでかなり増額をお願いいたした次第でございます。特に備考欄でごらんいただきますように、ほかに財投が三十億ございますので、なお自己資金の二億を入れまして五十二億の事業規模でやってまいりたいと考えております。土地造成ボタ山のほうが二十五億、産炭地域事業団への貸し付け金二十七億という形でやってまいるつもりでおるわけでございます。  なお、産炭地域振興調査費といたしまして、特に備考欄で大都市の商工会議所によります企業誘致のあっせんという面で一千万円の新しい予算をいただきまして、大いに大阪、東京、名古屋と産炭地域との連携につとめてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、鉱害関係のほうも事業費はごらんいただきますようにふえておりまするし、なお他省関係で十四億という形に相なっておりますので、振興関係といたしましては事業規模三十億という形でやるつもりでございます。  なお、鉱害賠償出資の問題でございますが、昨年三億いただきましたのをさらに一億増加をしていただいたわけでございます。備考にございますように積み立て金四億、財投五億を入れまして十億の貸し付け規模ということで進めてまいるつもりでございます。  石炭技術振興対策費といたしましては約五千万円の増加でございますが、これは特に一般炭コークス化ということで、鉄鋼と一緒になりまして需要確保の面の研究をやってまいりたいというものでございます。  なお、一枚めくっていただきまして、原料炭炭田開発調査費、それから次の、特に十番目に書いてございます産炭地域振興公共事業促進調整費、これは備考に書いてございますように、今回新たに経済企画庁のほうに計上されておりますけれども、産炭地域振興のために公共事業等をやります際に補充的あるいは調整的にいろいろ仕事をしてまいるための予算でございまして、新規のものの尤たるものでございます。  そういう形で、昨年度百十八億に対しまして百二十億の形に相なっております。  なお財政投融資のほうも、一般合理化関係のほうはかなり整備のほうも進んでおりますので、三十五億というふうに減少はいたしておりますけれども、産炭地振興あるいは賠償関係、なお電発投融資関係、こういうことで二百三十億に相なっておるわけでございます。  きわめて簡単でございまするが、以上で説明を終わります。     —————————————
  6. 中村寅太

    中村委員長 次に、労働省所管について労働大臣から所信を承ることといたします。大橋労働大臣
  7. 大橋武夫

    大橋国務大臣 石炭鉱業に関する当面の諸施策につきまして一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  昨年十一月三池鉱業所におきまして、炭じん爆発により死亡者四百五十八名のほか多数の重軽傷者を出す大惨事発生を見ましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  この災害発生に伴う諸対策につきましては、本委員会各位にも種々御心労をわずらわしてまいったところでありますが、政府といたしましても、すでに御報告申し上げましたように、直ちに臨時池災害対策本部を現地に設け、あるいは医療調査団を派遣し、被災者遺族方々に対する療養援護措置等全力をあげてまいったのであります。  これらの方々に対する災害補償につきましては、その適正な実施のため最大限の努力をし、遺族補償費及び葬祭料約四億八千万円につきまして、労災保険から迅速にその支給を完了しております。  また、一酸化炭素中毒患者に対しましては、療養及び休業に関する補償を行なうとともに、その治療につきましても、労働省としては格別の配慮を行なっているところであります。一酸化炭素中毒は、後遺症が残ることが懸念される特殊な疾病でありますので、専門医家の手により治療指針健康管理方針就労基準等の作成につとめ、これらの基準に従って治療等を行なっておりますが、なお、昨年末の医療調査団の報告に基づきまして、現在各地の病院等に分散している患者のうち、中等程度の病状の方々を集中収容して、特殊の治療を施すための療養施設を、労災保険施設として、大牟田地区に開設することを決定し、目下鋭意その準備を急いでいるところであります。  さらに、遺家族方々就職対策につきましては三井鉱山株式会社におきまして、三池鉱業所に採用するほか、縫製工場誘致コンクリート工場等の新設、拡充などにより、その就職全力をあげているところでありまして、労働省といたしましても、関係方面との密接な協力のもとに、職業紹介職業訓練その他各般就職促進のための援助業務を強力に推進し、これらの遺家族方々職業生活の安定を確保してまいりたいと存じます。特に一酸化炭素中毒患者の家族につきましては患者の看護に使用する等の措置をも講じております。  次に、石炭鉱業合理化にに伴う雇用労働条件の問題につきましては、石炭鉱業調査団答申にもありますとおり、炭鉱で働く労働者方々には、将来、他の産業労働者に匹敵する近代的な環境と労働条件のもとで安定した職場を得ることができるようにいたし、また、やむなく炭鉱を去る労働者方々に対しましては、他産業に安定した再就職職場確保いたすという基本方針のもとに、各般の抜本的な対策を鋭意講じてまいった次第であります。  特に昨年は、石炭各社合理化人員整理が当初予定いたしました以上に進み、三十八年度中に約四万人の離職者発生する見通しとなってまいりましたため、昨年十一月石炭鉱業審議会意見を聞いて、移住資金宿舎職業訓練等に関する計画拡充措置を講じてまいりました。  ところで最近の状況を見ますと、石炭各社生産も高能率による出炭の体制が着々と確立されつつあり、人員整理を伴う合理化はほぼ峠を越した感がありますが、いまなお、産炭地域等では二万をこえる合理化離職者方々が新しい職場を求めて再就職活動をなさっている現状にかんがみまして、まずこれら炭鉱離職者方々に安定した再就職職場確保できるよう、より一そうの努力を重ねてまいる考えであります。  なお、石炭鉱業の高能率、高賃金を柱とした経営生産体制確立して労働者雇用生活の安定をはかるためには、基幹労働力確保しなければならないという問題もありますので、合理化に伴う人員整理がすでに一段落したビルド炭鉱に関しましては、今後必要な労働力確保について、炭鉱離職者で補充できない場合等には十分考慮してまいる所存であります。  さらに石炭鉱業に働く労働者労働条件確保につきましては、石炭鉱業における合理化措置に即応し、従来から監督行政重点項目として取り上げ、各鉱山に対し、鋭意監督指導実施してまいったところであります。特に昨年十一月には、三池災害発生を契機といたしまして、その直後、全国一斉に強力な監督実施したのでありますが、今後におきましても、このような方針のもとになお一そうの努力を重ねてまいる所存でございます。  石炭鉱業における保安の問題につきましては、当省としては、かねてより労働者保護という見地から重大な関心を持ち、通産省に対して、常に密接な連絡を保つとともに、必要に応じ勧告を行なう等、安全確保のため諸般の努力を重ねてまいったのでありますが、不幸にして、三池災害のような大惨事発生を見ましたことは、まことに遺憾に存じます。  このような大惨事が二度と起こりませぬよう、石炭鉱山における保安につきましては、労働省といたしましてもその立場から必要な措置について鋭意検討をいたし、保安体制保安教育炭じん爆発防止、緊急時の措置等につきまして、通産省に対し、勧告を行なった次第でありますが、今後とも石炭鉱山における危害の防止に関し、さらに万全を期する所存であります。  以上、当面の諸施策に関連して所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位の御意見を十分拝聴しながら、行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 中村寅太

    中村委員長 続いて昭和三十九年度労働省所管のうち、石炭関係予算について政府説明を求めます。遠藤雇用調整課長
  9. 遠藤政夫

    遠藤説明員 労働省所管昭和三十九年度炭鉱離職者対策関係予算概要につきまして御説明いたします。  三十九年度炭鉱離職者対策関係予算の総額は百四十一億に相なっておりまして、三十八年度の九十三億八千四百万円に比較いたしまして、四十七億一千六百万円の増加になっております。  その内訳を申し上げますと、まず第一は、炭鉱離職者援護業務充実に必要な経費でございます。これは雇用促進事業団によりまして炭鉱離職者援護対策を行なっておりますが、これに要する経費でございます。これが三十一億一千万円でございます。その内訳は、従来から行なっております移住資金支給費雇用奨励金支給費住宅確保奨励金支給費、こういった従来のもののほかに、三十九年度におきましては新しく再就職奨励金制度を設けまして、現在滞留いたしております。あるいは今後新しく合理化によって離職してまいります人たちの再就職を一そう容易ならしめるための制度を設けることとして、これに必要な経費を計上したわけであります。それからもう一つ新しいのは、民営事業助成費であります。これは炭鉱離職者の未亡人が非常に就職困難な状態でございますので、これに対しまして家政婦会その他こういった民営事業を興させまして、これに対して助成をいたしたい、かように考えておるわけでございます。この二つの新しい制度に対しまして、再就職奨励金支給のための経費といたしまして三億五千五百八十四万七千円、民営事業助成資金といたしまして八百十二万四千円を計上いたしておるわけでございます。このほかに、従来から行なっております。転職訓練関係経費といたしまして一億五千五百八十万三千円、合計いたしまして事業団援護業務経費が三十四億五千五百万円でございますが、このうち合理化事業団からの交付金が一割ございますので、国からの補助金は三十一億一千万円でございます。  次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業費でございますが、これは三十九年度二十四億九千四百万円でございまして、昨年よりも幾らか増になっております。これは六千四百人の吸収人員に対しまして、事業費単価を一割強増しの千五百円に引き上げておるわけであります。  次に、炭鉱離職者転職訓練に必要な経費でございますが、転職訓練につきましては、三十九年一万六百八十名の訓練を予定いたしておりまして、三十八年度九千五百三十名に対しまして、千百五十人の増になっております。その内容は都道府県が行ないます、一般職業訓練所が行ないます訓練が三千九百六十名、雇用促進事業団が行なっております総合訓練所での訓練が六千七百二十名、こういうことに相なっております。  それから次に、就職促進指導実施に必要な経費といたしまして、九億九千五百四十八万四千円を計上いたしております。これは炭鉱離職者臨時措置法によります就職促進手当支給に必要な経費と、広域職業紹介実施に必要な経費でございます。いずれも前年度より若干の増加を見込んでおります。広域職業紹介につきましても、三十九年度も本年度と同様、安定機関によりまして一万九千名程度就職広域紹介並びに自県内就職を予定いたしております。  次に移転就職者用宿舎につきましては、本年度と同様に、炭鉱離職者重点を置きまして、その宿舎建設をはかってまいる所存でございますが、三十九年度におきましては大幅に増加いたしまして、建設戸数総数一万戸のうち七千戸を炭鉱離職者用に充当いたしたいと考えております。この経費が七十四億三千五百六十五万五千円でございます。  以上合計いたしまして百四十一億九万七千円が、三十九年度におきます労働省所管炭鉱離職者対策経費に相なっておる次第でございます。  以上簡単でございますが、三十九年度予算概要を御説明いたしました。
  10. 中村寅太

    中村委員長 次会は、来たる二月十二日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十三分散会