○
加藤政府委員 鉱業法そのものの
鉱害賠償
規定の中で、賠償の方法について原状の回復を
原則にしたらどうかというような御
趣旨の御
質問ではなかろうかと存ずるわけでございますが、わが国の
民法その他
一般法制の
原則から見まして、賠償は大体金銭で行なうというのが
原則的な
考え方になっております。また実際の世間の実態を見ましても、おおよその場合が金銭賠償が一応の
原則になっておる。ここの第三項にも書いておりますように、金銭賠償に比しましてあまり多額の費用を要しない場合には原状の回復の請求ができる、こういう例外的な場合もあって、この
考え方に基づきまして、事実上原状回復をやっておる場合も相当あるかと思いますが、
法律上の
原則といたしましては、いま申し上げましたような
関係で金銭賠償主義を
原則としたわけでございます。ただ御
指摘のように、それだけで万事が終われりということでいいかどうかという問題があるわけであります。そういう見地から、ただいま御
指摘の
石炭鉱害あるいは他の
鉱害につきましては、臨鉱法の特別
規定によりまして、国のいわば事業といたしまして国土の保全あるいは民生の安定という見地から、これを組織的、計画的に復旧しようということが行なわれておるわけでございまして、そういった見地から特別法でそういう
制度を設けることは非常に必要であり、またけっこうなことだと存ずるわけでございますが、
鉱業法そのものの中にそういった
原則をうたうことについては、ただいま申し上げたような
趣旨からどうであろうか、こういうふうに存ずるわけでございます。それから
石炭等の
鉱害の場合は、大部分が土地の陥落による被害ということに相なるわけでございますが、このメタルの山等におきましては、その他鉱煙の排出だとかあるいは廃水の放流といった面からの損害があるわけでございまして、こういった場合の損害の賠償につきましては、当然金銭賠償主義が本来であるということもあるわけでございますので、原状復旧の問題につきましては、そういった別の面からの考慮に基づいて、現在ございますような臨鉱法による国の事業としての復旧ということで今後とも考えていくべきであり、またそうすれば十分ではなかろうか、こういうふうに存ずるわけでございます。