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1964-10-09 第46回国会 衆議院 商工委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    佐々木秀世君       田中 榮一君    竹下  登君       中村 幸八君    三原 朝雄君       大村 邦夫君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君      米内山義一郎君    麻生 良方君       伊藤卯四郎君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    塩谷 忠男君         通商産業事務官         (企業局次長) 乙竹 虔三君         (企業局産業立         地部長)    馬郡  巌君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         消防庁次長   川合  武君         参  考  人         (高圧ガス保安         協会会長)   黒川 眞武君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 九月三十日  委員大石八治君、小宮山重四郎君及び楯兼次郎  君辞任につき、その補欠として黒金泰美君、坂  村吉正君及び大原亨君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員坂村吉正君及び大原亨辞任につき、その  補欠として小宮山重四郎君及び楯兼次郎君が議  長の指名委員に選任された。 十月一日  委員小宮山重四郎辞任につき、その補欠とし  て坂村吉正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂村吉正辞任につき、その補欠として小  宮山重四郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として濱  地文平君が議長指名委員に選任された。 同日  委員濱地文平辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件(産業公害等に  関する問題・万国博覧会に関する問題)  鉱業に関する件(石油に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、産業公害等に関する問題について、参考人として、高圧ガス保安協会会長黒川眞武君が出席されております。参考人におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがたく存じます。  本問題について、政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 先日、富山化学爆発事故があり、相次いで大阪茨木におけるLPG充てんタンク爆発事故、その後埼玉幸手町におけるエアゾール製造工場爆発事故、その他最近非常に工場産業災害といいましょうか、特に高圧ガスを中心として爆発事故が多いのであります。そこで私はこの間富山化学あるいは幸手爆発事故等調査してまいりましたので、そういった点から、ひとつ政府のこれに対する対策を伺いたいと思います。  まず第一に、九月十四日に起こりました富山化学爆発事故、これに対する状況を簡単に報告をしていただきたいと思います。それから同時に大阪茨木におけるプロパンガスタンク爆発事故、それから埼玉幸手町におけるエアゾール製造工場爆発事故、この三件についてその原因損害死傷、その後の処置、そういったものに対する報告をしていただきたい。
  4. 倉八正

    ○倉八説明員 お答えいたします。  第一の御指摘にありました富山化学事故でありますが、これは九月十四日の夜起こった、いわゆる塩素ガスが周囲の住民に波及いたしまして、そこで気管障害を起こしたという事故でございますが、この原因につきましては、先生現地に行っていただきましてごらんになったように、われわれとしましては専門家を三名派遣しまして、いままでそこを調査させたのですが、その原因と見られるのは蒸発器からガスが出まして、それから反応器に行くわけですが、それの接触部の管が、溶接の不手ぎわあるいは溶融によりまして、そこから塩素ガスが漏れて害を起こしたというわけでございまして、この原因というのは大体そこにあるのであろうということがほとんど確定的になっております。被害につきましては、当初夜の八時ごろからずっとガスが蔓延しまして、五百三十三名というものが気管障害を起こして、そのうち五十名足らず、四十六名がすぐ病院にかつぎ込まれたのでございますが、大部分は翌日の午後に退院いたしまして、最後の一人、これはわりあい重症であったのでございますが、それも九日後のたしか九月二十三日だったと思いますが、それが退院いたしまして、幸いなことに人命死傷を見なかったという現状でございます。それでこの対策につきましては、操業をいつ開始させるか、その前にどういう安全措置をするか、また住民に対する補償の問題をどうしていくか、いろいろの問題がございまして、最後補償の問題については、第一次補償はすでにやっております。約百万円近くでやっておりますが、さらに第二次補償というものをいま県も中に入りまして折衝中でございます。それから操業の問題につきましては、保安ということを技術的により掘り下げてみたいということで私たちのほうでは、あるいは保安協会とか、あるいは横浜国大の、これは最高権威でいらっしゃる北川教授なんかにお願いしまして、いまそれを現地調査に基づいて検討中でございます。  また、政府はどういう措置をとったかということでございますが、この措置というのは、これを一つのいい教訓としまして、全国のかかる消費工場の団体あるいはこれを指導しておる協会というものに通牒を出すと同時に、また政府としましても、主たる工場を呼びまして注意を喚起したというのが富山化学現状でございます。  それから第二の御指摘大阪府下プロパン充てん所事故でございますが、これもくしくも同じ日に起きまして、ここで三名の死者を出したわけでございます。これの原因というのは、十トンのLPG液化ガスタンクに七トン入っておったのでありますが、それの補充中タンク車がそれを過剰充てんした。そこで圧力が起きまして、一部がそこで損傷をして、それに静電気作用が起こりまして火を吹いたというのがこの大阪府下状況でございまして、われわれのほうとしましては、この充てん所というのは法律に基づきまして、製造所としまして設備の許可、あるいは保安検査あるいは定期検査を行なわせておりまして、これについては、まことに遺憾なことでございましたけれども、これも一つ教訓としまして全国プロパンの業界に対しまして注意を喚起した次第でございます。  それから最後に御指摘になりました日新化学幸手工場事故でございますが、これは例のヘアラッカーでございます。ヘアラッカーの中には油とプロパンと香料といろいろまぜて、われわれの頭に吹きかけるヘアラッカーでございますが、これは例の不良品——良品というのはLPGのよけいに入っておるのを大体薬事法で不良品と申しますが、これの不良品をひとつ抜き出しまして、そこで新しいいい製品に入れかえよう、こういうときに起こった事故でございまして、いわゆるLPGでございますから、それを抽出するときに工員の不注意によりまして、ここでたばこから引火して一人死にまして、二人やけどをこうむったというのがこの現状でございます。この工場につきましては、いままですでに二回ぐらいにわたって注意をした工場でございまして、その業会のメンバーでもないし、それからたしかことしの六月ごろだったと思いますが、厚生省は薬事法に基づいて、薬事法のとおりやっていない、というのはLPGの混入が多いというので注意をした工場でございますが、しかしながら事故を起こしましてこういう損害をこうむった以上、これも一つ教訓といたしまして、全国ヘアラッカーの会社が現在六十一社ございますが、それに対しまして注意を喚起した、こういう次第でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 富山事故で私も現地へ行って見た結果、まあ塩素ガスの漏れた事故を大きくした原因は、平素における企業者の怠慢というのが私は第一だと思うのです。しかしこの企業者についてはいま業務の停止命令が出ておりますし、それから補償問題等もありまして、一応社会的な制裁が加えられておりますから、まあそれはそれといたしまして、現地に行って調査してみた結果、もし現在の法令がもうちょっと完備をされて、安全を保障する規定というのが充実されておれば、私はあの事故は起こらなかったと思うのです。まあ説明は、ある程度知っているから簡単にしますが、この部屋くらいの小さな工場なんです。その一部で高圧ガスから、それを七十度の水の中へ通してガス化しているという作業ですが、それを受けるところが何か爆発して飛んだということで、中に塩素ガスが充満した。そこの同じ工場内に安全バルブがあるのだが、気がついたときはもう塩素ガス一ぱいでそこへ行けない。もしその建物の外側に高圧ガスタンクから来るパイプにそうした安全弁があれば、外へ出てその安全弁をとめればああした事故はなかったのじゃないか。ところが屋外にもそうした安全弁はない。はるか七十メートルばかり先に安全弁の個所がある。しかしそれは二メートル五十くらいの高さのところにあって、人間の手に届くところじゃない。そこの石炭小屋の屋根の上へ上がってやったけれども、それは普通の人じゃ足場が悪くて、バルブを締めるどころではない。だから安全バルブはあったけれども、いざというとき安全バルブ作用できるような設備にもなっていなかったのですね。そういうところに私はあの事故を大きくした原因があるのだろうと思うのです。一体高圧ガス取締法では、そうした規定をどういうふうに規定してあるのですか。たとえばいまの場合、安全に対してこれこれしなさいという規定はどこにありますか。
  6. 倉八正

    ○倉八説明員 これは高圧ガス取締法に基づきまして高圧ガス取締法施行規則というのがございまして、いま先生の御指摘になった点はたしか二十三条にございまして、「技術上の基準は、左の各号に掲げるものとする。」というのが高圧ガス取締法施行規則の二十三条でございます。この工場は、いま先生がまさしく御指摘になったとおりでございましてほんとうは違反でございます。と申しますのは、七十度以上で作業をする場合には安全弁をつけなくてはいかぬというのが二十三条の二のたしか第二号に明記しておりますが、この工場は御調査になられたとおり、いま七十度くらいで作業しておる。それに安全弁をつけてなかったというのは違反でございます。そこでこういう違反事件につきましては、工場の数も非常に多うございますがいま各通産局あるいは県を動員いたしまして、できる限りの立ち入り検査をやって、早くこういう違反事件あるいは悪いコンデションにあるものはいい条件にしろということを鋭意督促をしてやらしておる次第でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 二十三条の二には、御承知のように、「法第二十四条の五の消費方法技術上の基準は、左の各号に掲げるものとする。」ということで、その三号に、「可燃性ガスまたは毒性ガス消費は、通風の良い場所でし、かつ、その容器温度四十度以下に保つこと。」という技術基準しか安全についてはないですね。だから私は、政府がせっかくこういう高圧ガスあるいは有毒ガスについて安全基準を設けるなら、もっと詳細に、建物内部バルブを置き、外にも置き、あるいはさらに適当なところに置く場合には、それがいざというときには安全装置作用できるような技術基準というか、設置上の基準というものを規定しておったらよかったのではないかと思うのです。こういう点では、この二十三条の二の中にはそうした点が全く不備なんです。その点において、これは不備を認めますか。
  8. 倉八正

    ○倉八説明員 認めます。
  9. 板川正吾

    板川委員 これは省令ですから、ひとつ手続をとって、早急にそういう点を充実してもらいたいと思うのです。  それからいま答弁のありました二十三条の二号では、「充てん容器バルブまたは配管を加熱するときは、熱湿布または温度四十度以下の温湯を使用すること。」、三号にも「容器温度四十度以下に保つこと。」ということになっておりますが、実際は六十度ないし七十度の温湯の中を通してガス化しているのです。しかしその場合には自動制御装置を設けなくてはいけないということになっておりますね。それは二号で「熱湿布または温度四十度以下の温湯を使用すること。ただし、安全弁および圧力または温度を調節する自動制御装置を設けた蒸発器内の配管については、この限りでない。」、だから四十度以上の熱湯を使ってガス化する場合には、温度を調節する安全弁自動制御装置を設けなくてはならない。ところが自動制御装置がなかったと私は思う。あるいはその工場内部の一部にあったかどうか知りませんが、とにかく私が調査した中ではその点が疑問です。ですから実際全国で同様の例がたくさんあるのではないかと私は思うので、この点は厳重に注意をしてもらいたいと思うのです。  それから、塩素ガスを取り扱っておる工場全国でどのくらいありますか。
  10. 倉八正

    ○倉八説明員 消費は大体千から千百くらいあると思います。ただその消費の中でも、富山のこの工場大口部類でありまして、御視察に行って拝見されたと思いますが、十トン、十五トン——十五トンというタンクがあるくらい大口でございますが、たとえば南京の郊外にあるようなものは五十キロボンベ二本だとかいうのを使っておるのがありまして、それを入れまして、全国で千ないし千百くらいあるかと思います。    〔委員長退席、早稻田委員長代理着席
  11. 板川正吾

    板川委員 現地を見て特に感じましたことは、高圧ガス取締法があって、高圧ガス取締法では、第一種製造業者、とれには比較的にきびしい一つ保安基準というのが規定されております。ところがその高圧ガスを使用する第二次的な加工製造業者、これに対する保安規定は、さっき言った規則二十三条の二以外にないでしょう。したがって、全国消費工場は千何がしある、しかもこれは二十三条の二では何らの保安基準もないと同じであります。風通しのいいところに工場を設けるというくらいしか保安基準がないのですから。最近こうした消費が非常にふえてきておりまして、第一次製造業事故があった場合に被害において大差がない。ですから私は今度の場合の経験にかんがみて、高圧ガス取締法の本法の不備、ここらも再検討すべきじゃないか、消費の段階にももっときびしい規定をすべきではないか、こう思うのですが、この点に対してどう考えられますか。
  12. 倉八正

    ○倉八説明員 全く御指摘のとおりでございまして、いまこういう、先生のおことばをもってすれば第二次加工業有といいますか、消費者に対しては立り入り検査ができるという以外には、御指摘のとおり規定がございません。これでこの高圧ガス取締法は、いまも例指摘がございましたように主として土産面を持っておりますが、最近のように非常に消費のほうの工場が分散いんしまして、そうして危険度製造業右とさして変わらない程度に高いということになりますと、いまの高圧ガス取締法を、これも御指摘のように根本的にひとつ改正しなければいけないということで、さっそく作業を始めておるわけでございます。たとえばこういう工場につきましても、自主保安基準をつくれとか、あるいは保安責任者を置けとか、それから定期的に検査をして、それを監督官庁報告せよという意味改正はぜひしたい、こういうかうに考えておる次第でございます。しかし何ぶん全国に何千ということでありますから、それを第一種の製造業者並み監督は事実問題としてできないと思いますから、いま申し上げた程度改正はぜひ進めたい、こう考えておる次第でございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 実際いまの法律では、危害予防上必要があるときに立ち入り検査がこういう工場にはできる、こういうふうな規定だけであります。また私、現地警察官も検察庁の方も出ましたから、高圧ガス取締法六十二条で警察官人命財産危害を予防するために必要があるときは立ち入り検査ができるじゃないか、富山化学というのは、しょっちゅうガスを漏らしておって、そうして付近の人からは、とにかくこの数年間怨嗟の的になっておった、少なくとも毒ガスをまきちらして生命に危険を及ぼしておったのだから、立ち入り検査をしたことはあるのかといったら、そういったことはない、こういう事情です。一体県高圧ガス取締法によって工業行政の第一線を担当しておるが、どのくらいの予算をとっておるのかといったら、年間五十万だそうです。富山県というのは、御承知のように富山の薬が最近だんだんと発展しまして、近代的な化学工場になっておる。薬屋さんが化学工場を経営しているというのが多いのです。その多い地域で、化学工場災害防止その他の工場災害防止等のために要する費用というのは年間五十万だそうです。富山県が一つの例ですが、全国的にも、あとで質問してもいいんだが、五十万じゃたいした金額じゃないんじゃないかと思うのですね。こういうことで、私はいま非常に化学工場が発展をしている中で、はたして化学工場における災害防止というのができるだろうか、こう思うのです。特に化学工場の大半は高圧ガスの対象となっておると思うのであって、その高圧ガスをまたさらに使う第二次製造業者というのが非常に多くなっておるので、いま局長の言ったように高圧ガス等を使って二次製品をつくる工場にも、第一種製造工場と同じように保安規程義務を課し、定期保安検査をさせ、そして自主保安検査をさせて報告させる、こういう必要があると思うのです。県庁で聞いたのですが、必要があった場合には立ち入り検査ができるという法律では予算の取りようがないというのですね。しかし、この高圧ガス取締法に基づいて県が定期保安検査をしなくちゃならないということになれば、それに要する予算等の計上もしやすくなるのだ、こういうことも言っておりました。ですから、私はそういう意味で、高圧ガス取締法のこうした従来やや手薄く規制しておった第二次製造業者に対して、もっときびしい保安規程義務というのを課する必要があると思います。ただいませっかく改正検討中だというのですから、次の通常国会には出してもらいたいと思います。  それからもう一つは、いまの法律では、そうした化学工場等危険性の強い工場付近住宅がたくさんできてしまうのですね。これはどうも問題を持っておると思うのです。都市計画を市町村がきめて、それを認定を受けていけば、住宅地域工場をつくるということは規制をされておりますが、工場地帯住宅をつくっちゃ悪いという規定はないそうです。したがって、そういう危険な化学工場地帯土地も安いということもあるかもしれませんが、住宅がどんどん建つ、こういうような現状になっておるので、これを何とか法改正によって、そういう危険性を持つ化学工場付近には住宅の制限をするような法律を、これは軽工業局長に聞いても無理なんだけれども、ひとつ検討してもらいたいと思うわけです。しかし建てちゃ悪いということがいろいろの憲法上の問題を持っておるというなら、建蔽率をずっと下げて、そういうところには密集した人家を持たないように制限するということは、これなら私は憲法の問題も多少回避できるのじゃないかと思うのですが、工場立地という面からこういった問題を検討した機会がありますか、企業局からひとつ答弁してください。
  14. 馬郡巌

    馬郡説明員 お答えいたします。  御指摘の点につきましてはいろいろの研究はいたしておりますが、御指摘のとおり都市計画法というのはかなり歴史的に古い法律でございまして、最近のような新しいいろいろな産業構造の変化に伴いますいろいろの事態を考えてない法律だということはできるかと思いますが、現在建設省の中の宅地制度審議会というところで、市街地開発法案ということで新しい市街地開発をやります場合の土地利用方法につきまして調査審議が行なわれております。その審議の経過を少し見ながら、今後御指摘のような方法がとれるような方向に持ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 板川正吾

    板川委員 その付近一帯工場土地を買ってうちを建てさせないという保安距離を設けさせることも必要だと思うのですが、しかし、同時に、それを無限に何百メートルもするわけにいかないと思うので、その場合には土地に対する建蔽率を下げることによって、人家の密集を避けるような方法もとれるんじゃないかと思うので、その点はひとつ今後検討していただきたいと思うのです。  それから次に、大阪茨木ガスタンク爆発、これについて伺いますが、先ほどの報告によると、十トンのタンクに幾らか残っておって、そこへ四トン半のLPGを積んできて充てんをしておった。そうしたら、どうも充てんのほうの機械が回らなくなったからおかしいと思ったら、実は一ぱいなんで、あふれておった。それであわてて機械をとめたが、そのときすでに爆発して本人も死んでしまった、こういう結果のようでありますが、残量が幾らかというメーターの表示、これはそのタンクに当然あるんでしょう。そうすると十トンタンクにたとえば七トンなら七トン残っておるというなら、四トン半は入らないんですから、三トンしか入らないということがわかるとすれば、私はそういう間違いもなかったと思うのですが、残量表示計器というのはあるんですか。
  16. 倉八正

    ○倉八説明員 計器はございまして、いま十トンのタンクの中に七トン残っていたということは、ちゃんと計器が指示しておりますが、この場合はタンクローリーを持ってきて充てんする人の不注意だったと思います。計器はちゃんとございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 そうすると、実際計器があったんだが、全く扱い者の不注意だ、こういうことになりますね。それで引火の原因は何でしょう。その爆発原因は。
  18. 倉八正

    ○倉八説明員 この原因というのが、これはいろいろ考えられまして、十トンのタンクに急に詰めて圧力が非常にかかった。それでその弱い部門の、いわゆるタンクの弱い鉄の部門から漏れたということが原因だろうと思いますが、漏れてどうして火がついたかということについては、摩擦によるもの、あるいは静電気によるものと、こういう原因というものが考えられるわけでございまして、どっちがその大きい原因かということは、いま現地において検察当局も一緒になって調査中でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 それから、これは高圧ガス取締法のときに通産省で試験したと思うのですが、ああいう高圧ガスタンク、これは火の中へ入れても爆発しないという安全装置があったんじゃないですか。
  20. 倉八正

    ○倉八説明員 私は、はっきり知りませんが、いま専門家はそういうのがあったということを申しておりますし、ただ、そういう短時間の超充てんにはその作用はきかないということになっておるそうでございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 もう一ぺん。何の場合に裸縦がきかない……。
  22. 倉八正

    ○倉八説明員 課長技術的な問題でお答えいたします。
  23. 内丸邦彦

    内丸説明員 タンクそのものには自動放出弁と申しますか、そういったような、たとえば火災等危険の状態になった場合には、徐々に中の危険なガスを放出するというような装置がつけてあるわけでございます。ただ、この事故の場合に、その放出弁がうまく作動しておれば大火にはならなかったということも考えられますが、いまの場合には、先ほどの話のように非常に過充てんの状態になったために、いまの放出弁が作動しなかったのではないかということも考えられますので、その点につきましては、専門家を委嘱しまして、保安協会調査してもらっておる段階でございます。
  24. 板川正吾

    板川委員 保安協会黒川さん、来ておりますか。そういうタンク安全弁というのは、いろいろなことを考えて安全弁をつくっておるのであって、こういう場合に安全弁が働かないということがあるのですか。どうです。
  25. 黒川眞武

    黒川参考人 お答えいたします。  安全弁と申しますのは安全のためにある弁でございますから、働かなければならないということがたてまえなのでございます。しかし機械でございますから、やはり始終定期的に検査し、あるいは手入れをしておかなければ、いろいろな事故において、たとえばさびにより、あるいは弁の腐食により、そういったようなことで働かないということが間々ございます。私ども一応工場その他におきましても、やはり定期的に検査をいたしまして、安全弁の確実性を確保するということが必要だと思うのでございますが、もし安全弁が働かなかったという事実がございますれば、おそらく安全弁の故障があったのではないかというふうに私どもは考えております。
  26. 板川正吾

    板川委員 現在、高圧ガス取締法では、安全弁、そういったタンク安全装置等を定期検査するような規定になっておりますか。
  27. 内丸邦彦

    内丸説明員 これは省令の中に、そういったものを定期的に検査するという規定がございまして、問題の今度の事故の場合にも、安全弁につきましては、大体一年に一回以上というようなことを規定してございます。
  28. 板川正吾

    板川委員 大阪の出光のタンクは、最近一年以内に検査をしておりますか。
  29. 内丸邦彦

    内丸説明員 この規定は業者のほうが自主的にやる検査でございますので、業者のほうでその検査をやっておったと思いますが、御承知のように火災で全部焼失してしまったものですから、その記録というのが残っておりませんが、この規定どおり検査はやっておったというふうに考えております。
  30. 板川正吾

    板川委員 実は、私もその爆発の一日前そこを通ったのです。町のまん中にLPG充てん所があるというのはまことにどうも危険だな、あるいはまた高圧ガス取締法における保安距離というのが問題じゃないかと思って、そこを通って帰ってきたら、新聞で茨木爆発事故というのを聞いて、出光というものだから同じところかなと思って印象に残っておるのですが、そういう安全弁検査等も、自主検査、しかも自主的に記録に残しておくという程度では、やはり問題がある。大きな町のまん中に充てん所がある。十分危険に対して責任を負わなくちゃならないのだから、また政府もそれを監督しなくちゃならないのだから、私は、自主検査をしたら、それの報告を取っておくようなことでなくちゃ政府の責任も果たせないのじゃないかと思うのです。それはひとつ、これは検討してもらいたいと思う。  それから、これは消防庁と通産省に伺いますが、ガソリンタンクは十トン以下の場合には地下に埋蔵しなくちゃいけないという規定が消防法、危険物の規制に関する政令十七条ですかにあると思います。ガソリンは揮発性が高いかもしれませんが、しかし爆発性、危険度というと、私は高圧ガスのほうが危険性が高いと思うのです。ところがこの茨木の貯蔵タンクは地上なんですね。地下埋蔵じゃないんのです。危険度爆発性の強いものを地上に置くことを認めておる高圧ガス取締法、それよりも危険度が少ないと思われるガソリンをこういう市街地に置いてタンクとして貯蔵する場合は地下でなくちゃいかぬという消防法、これは本来なら危険性の強い高圧ガスのほうこそ地下埋蔵でなくちゃならぬと思うのですが、高圧ガス取締法では地上にタンクを置いてもいいということになっておるが、一体この矛盾はどう考えておりますか。消防庁と通産省から答弁してもらいたい。
  31. 倉八正

    ○倉八説明員 LPGタンクを地下タンクにしたらどうかという利害得失の問題だろうかと思いますが、ガソリンとLPGが化学的にちょっと違いますのは、私はこれ以上の化学的知識は持ちませんけれども、いままで研究をさせたところによりますと、LPGのほうが水分を含みやすい。したがいまして、地下タンクにおきまして一つのワクをつくりまして——鉄ワクなら鉄ワクでつくりますと、それが非常に腐食しやすいという、化学的成分としましてはガソリンと違った性質を持っております。しかしながら、いま御指摘の点もございまして、いまこれも、ある場合は保安協会、ある場合は学者の先生方に委嘱いたしまして検討中でございます。
  32. 川合武

    ○川合説明員 私のほうの消防法の関係は先ほど御指摘のとおりでございますが、立ち入って申しますと、いわゆる町にございますガソリンスタンドの場合において地下のああいうような状態を要求しておりますわけで、一般的には地下というふうに特に限定をしていない。まあガソリンスタンドの場合にはさらにこまかく具体的に立ち入ってそうなっておる、こういうことでございます。念のためでございます  それで、ただいま軽工業局長のお話のように、強度の規制をいたしますことといろいろな点とのバランスの勘案でいろいろ検討を加えていかなければいけないと思うのでございますが、私どもとしましては全体的に保安的な面の要請が強くなってまいっております関係から、つまり、むろんブレーキをかけない限度においてのかね合いではございますけれども、より保安的な基準を合理化していくべきだというふうに考えております。
  33. 板川正吾

    板川委員 端的に伺いますが、消防庁は高圧ガスタンクがああいう市街地にわずか五メートルか十メートル距離がある場合に、その距離を持てばいいという程度のことで市街地のまん中に、しかも地下タンクでなくて地上にあるということは、消防庁のほうのたてまえからいって、こういうことでやむを得ない、こういうふうにお考えですか。それとも、これは好ましいことじゃない、やはり地下タンクにして災害を最小限度に食いとめるのでなければ、たとえば市街地のまん中にそういう危険物を置くことは困る、こういうような考え方になりませんか。ガソリンはすでに消防法でそういう規定があるのでしょう。そのガソリンよりも危険性の高いものなんですね。しかも引火点——どういうのか知らないけれども、静電気の摩擦でも爆発するという危険性のものなんですね。だから、もしこの茨木の出光のスタンドが一地下にあったとすれば、あるいはそれは漏れたかもしれませんが、地下タンクまで爆発しなかったのじゃないかと思うのですね。そういう点を考えると、私はこの高圧ガス取締法規定するものは消防法のたてまえからいってどうも好ましくないから、消防法としては今度はガソリンと同じように地下タンクにすべきだ、こういう見解を持つということはありませんか。
  34. 川合武

    ○川合説明員 御指摘のとおりでございまして、私どもはプロパンガス効スタンドにつきましては地下でということを、私どもの立場からいたしますと希望いたしておりまして、また通産省のほうにも折りに触れてのいろいろなお話し合いのときにさように申しております。これ以上私から申しますのは僭越かと思いますが、通産省としても御指導の面ではさような面について、地下であることを原則とするような御指導をされておるのではないかと思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 地下であれということは、通産省は全然ありませんよ。高圧ガス取締法ではそういうことはいってないんで、そういう方針はないと思います。それよりも、どうも通産省のほうからいえば地下タンクでは金がかかるし、地上タンクのほうが金がかからぬ。ただし、理由をつけなければならないから、腐食しやすいとか、あるいは点検しやすいから地上のほうが事故は防げるんだ、こういうたてまえをいっておるのです。だけれども、私はこれはどうも企業擁護のほうに重点があって、住民の危険防止という点については不十分じゃないかと思う。それはどっちかというと消防庁がイニシアをとって主張すべきことじゃないか、こう思うので、そういう点を聞いたんです。
  36. 倉八正

    ○倉八説明員 ちょっと舌足らずの点があったかと思うのですが、LPGタンクを地下に持っていったらどうかということでございますが、これはだいぶ、最近地下にタンクを設ける例がふえてまいりました。ただ、先生の御指摘は、それを法的に強制したらどうかということの御指摘でございますが、法的に強制する以上は、その性能なりあるいは化学的な分解とか、いろいろの点がございますから、それをもうしばらく検討した上で、それで十全だということがわかる、あるいは十全でなくても経済性及び安全性の総合関連におきましても、地下で十分だ、こういうことがわかったら、われわれのほうとしましても法で強制をするつもりではおります。
  37. 板川正吾

    板川委員 これもひとつ勉強してもらいたい。私は、地下に埋設するように法改正をすべきだ、こういうたてまえでおるわけであります。  それからもう一つ。時間がありませんから進みますが、埼玉幸手ヘアラッカー・エアゾール爆発事故、私は現地を見ましたが、これは幸いに川原とたんぼのまん中にあって、その工場以外他に被害がないのです。そういう意味じゃ私は比較的幸いであったと思う。もしあれが大阪LPGスタンドの充てん所のように町のまん中にあったら、やはりたいへんな事故になったろう、こう思うのです。そこで保安距離の問題で伺いたいんですが、幸手工場ヘアラッカー工場はアルコールとLPGを使っておる。それに若干の香料だそうですが、アルコールを相当量貯蔵するのには、やはり消防法の政令九条ないし十条によって保安距離をとるようになっておる。その保安距離を見ますと、たとえばアルコールを二百リットル以上貯蔵する場合というのですが、以上を貯蔵する場合は一般住宅と十メートル以上の距離を置け、学校、病院、映画館等は三十メートル以上距離を置け、こういうふうになっておる。また一方のLPG規定については、プロパンの貯蔵が三トン以上の場合は知事の許可を必要としていますが、三トン未満については知事の許可を必要としない。そこでその保安上の規定には、通産省令による取り締まり規則十五条によると、燃えやすいものを近くに置くなとか、三十五度以上の温度にするなとか、風通しのよいところに置けとか、転倒しないような位置に置けというような程度保安基準しかないんですね。これから見ると、この幸手日新化学という工場は、幸いにして河川敷の中であったから事故がなかったが、いまの法律でいえば若干の保安距離さえとれば、町のまん中でもできるということになっておる。ですから私はこの点は、こういう化学的なあるいは可燃性あるいは爆発物、こういったものの取り扱いについては保安距離というものを再検討すべきじゃないかと思う。そうして特に新しくつくる工場というのは、市街地の近くへは一切つくらぬ、こういう爆発性の強い工場は。こういうような基準等も考えて、しかもいま市街地のまん中にあるそういう工場は、将来だんだん疎開するような行政指導に持っていくべきじゃないか、こう思うのです。これに対して消防庁はもちろん異論はないだろうと思うが、通産省はどう考えていますか。
  38. 倉八正

    ○倉八説明員 これは保安距離の問題とあわせて、施設であろうと思います。たとえば保安距離は非常に短くても、施設で防爆壁とかあるいは障壁とか防爆壁とか、こういうものをつくれば相当程度事故がありましても緩和ができるという、こういう保安距離とか防爆壁の相関関係にあろうかと思いますが、たださっきのあとの質問の、そういう危険性のある工場についてはできるだけ人員希薄のところにつくるように指導せよということは、趣旨は全くそのとおりでございまして、できるだけ民家から離れ、あるいは学校、病院から隔離されたところにつくるのが、保安面からのみ見ますと理想的な形態ではなかろうかと思いますが、ただそこに経済性という問題を考え、またさっき先生指摘のように、できたときは人員希薄なところであったが、二、三年したら過密地帯になってしまったという、そういう問題もございまして、これはひとつ総合的な立地あるいはレイアウトの問題としまして検討させていただきたいと思います。御趣旨につきましては、私どものほう〉しましても別に何ら差しつかえございません。
  39. 板川正吾

    板川委員 ひとつそういう方向でやってもらいたいと思うのです。いま思い出したんだが施設ですね、保安施設について、これは取り締まり施行規則の十七条にありますが、これは高圧ガス取締法ですよ、保安施設については二十メートル以上で厚さが十二センチの鉄筋コンクリートまたはこれと同じような強度を持つへいと、そのへいが二・五メートルの高さである障壁を設けるということで、貯蔵所の周辺に危害を及ぼすのをこのへいである程度防護しようということでしょう。しかしこれは話が前に戻るが、大阪事故の場合、十二センチ程度の鉄筋コンクリートのへいが二・五メートルの高さにあって、そんなのは実際は何らの防護的な役割りを果さぬのじゃないですか。それは上に建てろということであって、下にそれをささえる強度のことについてはちっとも触れてないんですよ、この法律は。そんなものをただびょうぶのようにおっ立てておいたというだけじゃ、実際は私は爆発した場合の防護には役に立たないと思うんですね。だから、どうもこういった点が不備だし、一番いいのは町のまん中にそういう充てん所等はつくらないようにしたほうがいい、そう思うのです  それから保安協会黒川さんに保安業務について伺うのですが、高圧ガス取締法改正によって保安協会ができて、保安検査をするということになりました。しかしこれは、保安検査充てん所充てん機械保安検査等であって、実際は全国に設置されておる高圧ガス取締法による製造工場消費工場、こういったものの検査はするんじゃないんですね。しないんですね。
  40. 黒川眞武

    黒川参考人 ただいま御指摘がございました検査事務につきましては、法令によりまして一応酸素、炭酸ガスというような高圧ガスを詰めますボンベの検査、そういうものに限られておりまして、高圧ガス工場のプラントその他の検査につきましては私どもの権限外でございまして、むしろ自主的にこれを守っていただきたいということで、そういう検査基準をつくりまして、これを各工場、関係事業場に通産省の許可を得てお回しいたしまして、これをもって自主的に作業主任者がおりまして、それで調べていただくということに相なっております。
  41. 板川正吾

    板川委員 高圧ガス取締法五十九条の二十八の二によりますと、高圧ガス保安に関する技術的な事項については、通産大臣に意見を申し出ることもできる。こうしなさいという意見を言うこともできる。それから容器検査をやるというんですね。そこで全国で数千あるというんですが、こういった製造工場については、さっき言ったように、保安規定義務的な規定の制定、それから定期検査をすること、そのほか定期的に自主検査を行なって、それを報告するということ、こういったことが第一種製造業者にあるんです。ところが、その第二種製造業者消費業者には全然そういう規定がない。これは通産大臣に伺いますが、そういう自主検査定期検査保安規定も設けてない。いわゆる第二種製造業者、これが全国で千百ほどあるそうです。これに対しては、検査をする人というのは、法律産業災害上必要があるときには立ち入り検査をすることができるという一項目があるだけでありまして、これに対しては、しなければならぬという規定はないんです。ですから、富山県に私が調査に行ったときには、県の予算がわずか年間五十万円だった。ほとんど全県下にわたる産業の災害を未然に防ぐための検査等というのはできない、こういう状況でございまして、これは通産局がやるものも一部あるでしょうが、全部知事に、法律によって一応出先にまかしてあるわけですから、したがって、こういう産業の安全を確保するための検査員というのを地方の県等に置くようにしなくちゃいけないんじゃないかと思うのです。しかし、それにはまず通産省の内部の機構にも問題があろうと思います。御承知のように、いま鉱山保安局がございます。鉱山保安局長もおりますが、いまの産業災害工場災害ということになりますと、鉱山よりもこうした一般産業災害のほうが最近多いと思うのです。しかし、これは鉱山が特殊な作業ですから、一回事故が起こると三井事故のように膨大な人命を失いますから、これを縮小しろということじゃございません。これは特別委員会を設けて強化するという方針であることはいいのですが、同時にここに鉱山を除く産業保安のセクションをまず国で設けて、しかもその県にもそれを設けさす、こういう形で産業災害を未然に防止するような政策を強化すべきではないか、こう思うのですが、大臣は、大臣の新政策を立てるにあたってどういうお考えを持っておられますか。
  42. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 お話のように、現実には第二種製造工場に対する立ち入り検査などが十分に行なわれてないわけでありまして、そういうことが災害の原因一つであるといたしますればまことに遺憾に思うのでございます。もとより御指摘のように直接の取り締まりの責任は都道府県のほうにあるのでございますが、通産省における取り締まり機構の整備をするようにというお話でございまして、その御趣旨につきましては同感する点もございます。ただ私は、そういうような機構をつくるというよりも、むしろ現実にいかにして災害を少なくするか、また合理的に立ち入り検査などができるかというようなほうがまだ問題ではないかと思うのであります。また、単に通産省だけにそういう機構を設けましても、御承知のようにこういう危険な問題につきましては各省に関係もございまして、一がいに通産省に一つ課ができたからといって、それで効果があがるものではないと思います。そういうようなことで取りあえずのところ、いますぐここに何か課を設けるとか部を設けるとかということは、立法措置の必要もございましてできないのでありますから、通産省の責任上できるだけの——先ほど申し上げましたような、いまの機構で、しかもいまの取り締まり法の中におきまして今後災害が起きないように十分指導してまいりたい、そういう心がまえでおる次第でございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 私の質問は、法律改正まではいまの運用でやっていくことは当然だと思います。そうじやなくて、どうも最近産業災害が非常に相次いで起こっております。で、高圧ガス取締法その他の法律等、法律的にもたいへんな不備な点がたくさんあります。こういった点を考えると、まだまだ災害もふえることだし、これに取り組んでいく局なり部なりというものを設けないと、産業の災害というものは通産省が当然責任を持つべきでありますから、この災害を防止するということにどうも不十分じゃないか。鉱山に鉱山保安局があるがごとく、一般産業に災害を防止する保安局的なものがあってもいいじゃないか、そういうセクションを設けてもいいじゃないか。これは当然将来そうせざるを得ない状態になると私は思うのであって、来年度の準備をしつつある段階ですから、私はそういうものを置くよろな努力をしてもらいたいということを要望いたします。  時間の関係で先へ進みます。  現地へ行っていろいろ聞きますと、公害の問題でも産業災害の防止でもそうでありますが、たとえば産業災害を防止するための安全施設をつくろうとすると、銀行はこういったものに金を貸さない方針だそうであります。それから、たとえば公害を防止する施設にも銀行は金を貸さぬ、こういう方針だそうでありますが  銀行局長来ておりますか。
  44. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 大蔵省の財務調査官が来ておられます。
  45. 板川正吾

    板川委員 伺いますが、産業の災害防止のための施設、公害を防止するための施設に銀行が金を貸さぬ方針というのは、どういう根拠に基づいておるんですか。
  46. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 ただいま御指摘の銀行融資につきましては、たぶん普通の市中の銀行のことだろうと思うのでございますが、特に産業災害の防止あるいは産業公害の防止施設のために必要な資金を供給してはならぬということは、もちろん言っておるわけではございません。ただ、銀行がどういう方面に融資するかにつきましては、従前は、御承知のように不要不急の産業に対しては金は出してはならぬというような融資の基準がきめられておったのでございますが、最近はそういう基準がはずされまして、いわば法規の上では、銀行は自由に貸し出しができるというたてまえにはなっておりますが、しかし、私どもは行政上の指導によりまして、できるだけ緊要な産業に資金を運用するようにということを言っております。したがいまして、ただいまの産業災害の防止あるいは産業公害の防止等については、そういう意味の緊要な資金の使途というように考えておりますので、先生の御指摘のように、出してはならぬというのではなしに、むしろそういう方面には重点的に資金を回すべきだろう、かように思っております。
  47. 板川正吾

    板川委員 そうすると、これはなかなかわかりのいい答弁ですが、われわれが聞いた範囲では、地方へ行きますと、こういう施設をすれば危険が防止できるし、同時に公害も防げる、こういうことで金を借りようとすると、銀行は一切金を貸さぬ。だから、ひとつ国で何とかそういう面も貸すような方法を講じてもらいたい。これは市中銀行の話です。それから、例としては、たとえば八幡製鉄で集じん装置、あの粉じんをとるために煙突一本に二億円かの金をかけて、四本で八億円かけたそうです。しかし、こういうものは利益を生む施設でないから一切金を貸さぬということで、何か社内預金等でそれをやったという話も聞いておるんですが、とにかくその災害を起こした工場なり地方へ行くと——四日市もそうであります。四日市もこの間調査で参りましたが、とにかくそういう施設に対して一切金が出ぬ。これが今日公害を非常な深刻なものにしておったり、災害が相次ぐ大きな原因であろうと思うのです。いまの銀行局の話によると、むしろ重点的に貸すべきだ、こういう御意見でありますが、実情はどうですか、全国で、市中銀行の中でそういう面に金を貸したという例は。ただ、私がこう言うと、この企業を起こすために二十億円——というと話は大きいが、一億なら一億貸しました、しかしこれは、機械のほうの施設に金を貸したので、それを貸したおかげで煙突のほうによけい金がかかったのは自己資金でやればできるじゃないか、そういう意味で貸したような言い方をするんじゃ困るのですが、そういうことも、最初工場をつくる場合あり得るかもしれぬ。では、それはそれとして、いまたとえば四日市等で非常な災害、公害が起こっておる。その公害をなくすための施設に対して新しく融資をしますか。
  48. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 ただいま私が申し上げたのは、ちょっとことばが正確ではなかったかと思うのでありますが、銀行が融資をいたします場合には、現在ではそのような、どういう施設に金を貸すべきだということについては法規的な規制はありませんが、融資の考え方としては緊要な施設に貸すべきだろう、そういう意味において産業公害その他の防止の施設は緊要な事業だ、こういう意味で、そちらのほうに重点を置いて貸すべきだろうということを申し上げたのでございます。ただ、これは政府の資金を運用いたします場合と異なりまして、市中銀行はそれぞれの立場で、個々の採算において融資をいたします関係上、相手方の資産、信用力、あるいはその資金の回収の見込み等を考えて判断いたす場合が多いわけでございます。ただいま御指摘のように、公害防止の施設等は直接企業の採算にプラスになる面が少ないというような意味で、銀行としてはどちらかというと貸しにくい、こういう事情はあるかと思うのでございます。ただいま御質問の現在までの実績等については、手元に資料がございませんのでお答えできませんが、考え方といたしましては、そういうような緊要な設備に対する資金という意味で考慮すべきだろう、こういうように考えます。
  49. 板川正吾

    板川委員 通産大臣——銀行局長を呼んで伺おうと思ったら、銀行局長が留守で、どうも十分な返事がもらえないんですが、私は、大蔵大臣と相談して、銀行の公害防止、災害防止に対する融資に対して——いま何といったって絶対貸さぬ方針なんですよ。といって、つぶれる会社へ、採算が合わない会社へ、いまでも赤字の会社へ十億円も貸して公害防止というのは、なかなか容易じゃないかもしれません。それはなかなか貸さないでしょう。そこまで貸せというわけにはいかぬでしょう。しかし、たとえば八幡製鉄がつぶれる心配はないでしょうね。それから八億円ぐらいの金があるのとないのと違うにしても、そのために企業の採算を左右するほどの金額じゃない。資産も信用もあると思うのですね。しかし、それでも貸さないんですよ。しかし、私は既往は既往といたしましても、これから公害問題が非常に社会問題となってきている。それから、産業災害というのが非常に大きくなってきている。わずかなそういう金を節約したために災害にあって、たとえば富山化学のように、もうすでに一月以上も操業を停止している、賠償は払わなくちゃならない、こうなったらかえって企業自体が危機をもたらすことになるのであって、それによってその会社の経営が著しく危うくならないということであれば、そういう面の支出はひとつ貸すようにしてやって、そうして公害や災害防止の方向へ政府の政策を重点的にハンドルを切りかえていくべきじゃないかと思うのです。大蔵省の人ではどうもはっきりしたことが言えぬようですが、私は従来の金融のあり方に問題があろうと思うのです。企業は社会的な責任を持つものですし、銀行だってもうかるところだけやっていればいいということじゃない、いままでのように不急不要のところには貸さないという制限さえあったのです。それじゃもうかれば不急不要のところにも貸したかというと、法律上それは貸せないという法律もあったのです。そういう制限もあるのだから、そういう公害、災害防止のために銀行もそうきびしい制限じゃなくて、経営上、信用上問題がないというならば、これに金を貸すということがあってもいいのじゃないか、これはぜひひとつ大蔵大臣と相談して、そういう方向に銀行の運営を向けてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御質問のとおりの実情にございますれば、ぜひ大蔵大臣との間で、既設のものでどうしても必要な、しかも大きく会社経営に影響のない産業公害施設についてできるだけ金融機関が融資をする、これは私は必要なことだと思うのであります。ただ、先ほども大蔵省のほうのお答えでは、絶対にそういうことをしてないということでもないようでございますので、一応私は実態を調べまして、そうしてほんとうに御指摘のとおり、せっかく産業公害施設をやろうというのに金融機関が融資をしないということからそれができないということでは、これは問題であろうと思うのであります。  さらに申し上げておきたいのは、これから新規に施設をやる経営者は、いま板川委員のおっしゃるように、もし一たびそういうような災害が起きたということになりますれば、大きく経営者も影響を受けるのでありますから、また人命をそこなうというような事態を起こすのでありますから、これからの経営者は、必ず自分の事業経営につきましては、産業公害関係について、災害関係について十分留意をいたしまして諸施設をすべきではないかと思うのであります。私、いま一番に心配しておりますのは、そういうことに気がついておりましても、ほとんどそういう施設をする力のない中小企業の関係の問題だと思います。そこで、いませっかく明年度の予算の要求をする段階でもございまして、私どもとしては中小企業の設備近代化資金を活用いたしまして、汚水処理施設あるいはばい煙処理施設に対して無利子の貸し付けをしたい、また償還期限も一般は五年でございますが、これを七年にいたしたい、こういうように考えておるのであります。なお高度化資金による公害防止用用地の造成や共同施設の設置につきましても特段の配慮をいたしたいというように、ただいませっかく具体的にこまかく立案をしておるような状況でございます。なお御承知のように、いままででも中小企業に対するさような施設に対しては一応ごめんどうは見ておるのでありますが、それをさらに拡充していきたい、こういう考え方に立っておるわけであります。
  51. 板川正吾

    板川委員 その金融と、もう一つ問題があるのは税制ですね。そういう公害防止の施設それから産業災害上の防止施設、こういったものに対しては固定資産税を免除する等の、そういう取り扱い方もひとつ拡大していただきたいと思うのです。現在は工場排水法、ばい煙の取り締まり法によって指定された施設の固定資産税は免除されるという法があります。しかしこれは工場排水法なりばい煙規制法なりの特定の施設のみでありまして、全般的に見るとまだ一小部分のものであります。それから公害防除に対する政府の金融機関を充実するということをおっしゃっておりますが、いまの開発銀行等の金は、ごくわずかなばい煙の取り締まりあるいは地盤沈下、汚水処理、こういうような一部で、日本の産業全般的な問題でなく指定された小地域の問題でありますから、ひとつそういう点も考慮されて——指定地域ももちろんひどいところですから優先的にやるのはいいのですが、さらに全般的にそういう方向へ持っていくような努力をしていただきたい、こう要望いたします。  以上をもちまして産業災害問題に関する私の質問は、時間となりましたので終わります。
  52. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 次に、万国博覧会に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。
  53. 板川正吾

    板川委員 先日国政調査に関西地方へ行きましたときに、大阪府知事及び大阪市長から要望もございました。そこでこの際、万国博覧会開催について政府の考え方を承りたいと存じます。まずこの万国博覧会というものを理解するために、目的、組織、運営等について予備的な知識を企業局の次長から説明してもらいたいと思います。
  54. 乙竹虔三

    乙竹説明員 万国博覧会には二種類ありまして、一つは国際博覧会条約というのがございますが、この国際博覧会条約に基づいてやりますいわゆる万国国際博覧会と、それから条約に基づかないでやりますいわゆる万国博覧会の二種類ございます。例を申し上げたほうがいいと思うのでありますが、条約に基づきませんでやりましたいい例といたしましては、いまアメリカ合衆国のニューヨークにおいて開かれておりますのが条約に基づかない博覧会でございます。したがいまして、あえて博覧会という名前は避けてワールド・フェア、世界見本市と申しますか、そういう名でやっております。これもいわゆる国際博覧会だと思います。ところがいま世上問題になっておりますいわゆる国際博覧会というのは、国際博覧会条約に基づく博覧会をさしておるのではないかと思います。国際博覧会は、ある国が主催国になりまして、それに対して、これは条約に基づかないものもそうでございますが、各国が出品をする、そして国際親善を増し、国際協調を増し、さらにお互いに産業の成果を公開いたしますことによりまして、貿易を促進するということをねらっておるわけでございまして、第一次世界大戦後国際協調ムードが非常に高まって、したがいまして、このときに各国が争っていわゆる世界博覧会を開こうとしたわけでございますが、これは一九二〇年代のときでございます。その結果名のりをあげた国が非常に多いということで、これに参加をいたしますこと−主催をいたしますことはもちろんでございますが、参加をいたしますことも相当金がかかるということで、ことばは適当かどうかわかりませんが、各国の世界博覧会過当競争、これを防止すると申しますか、そういうふうなねらいもありまして、国際博覧会条約というのが一九二八年に締結されまして、現在加盟国は三十二になっておるわけでございます。イギリス、フランス、イタリア等々の西欧諸国、その他非常にたくさんの国が入っておるのでございますけれども、アメリカ、オーストラリア、日本等は実は未加盟でございます。この際、日−本がいわゆる国際博覧会をやりますのは、この博覧会条約に加盟をした上でやりますやり方と、先ほど申し上げましたように、アメリカ的に加盟をしないでやるやり方とあるわけでございますが、加盟をしないでやりますためには、アメリカのように一応巨大な国力を持っておる国——これは国内事情もありまして加盟をしないわけでございますが、こういう国では可能かと思うのでありますけれども、日本におきましては、その成果をあげるためには条約に加盟をした上で開くというのが常道かと思うわけでございます。これは条約関係でありまするが、規模等を申し上げますと、国際博覧会は非常に大規模でございまして、従来開かれました最近の例のブラッセルないしは近く開かれますモントリオール等の例によりましても、大体六、七十万坪ないし百万坪程度の地積を要するというふうな大規模なもの、したがいまして日本で開くといたしますれば、当然やはり百万坪程度の規模を要するのではなかろうか。単にこれは地積を要するだけではございませんで、非常にたくさんのお客様が来られる。またお客様が来なければ意味がないわけでございます。ブラッセルの例によりましても、入場者数一応三千六百万人という予定が四万千人にのぼっており、モントリオールにおきましても計画数で三千万人というふうな数字で、ブラッセルにおきましては四千万人中一千万人は外国人、非ベルギー人ということであったそうでございます。そういたしますと、それに対します交通施設、これも整備をしなければなりません。宿泊施設も要る。また広い意味では交通施設に入るかと思いますが、船なりないしは特に近ごろは飛行機ということになるわけでございますが、飛行場の整備等も要る。それから宿泊施設に関連いたしまして、上水道その他屎尿等のいろいろの施設もせねばいかぬということでございます。したがいまして、経費も相当のばく大なものになるかと思います。いま日本でやるとしますれば、その国の中心的な大都会の近くでやるということが例のようでございますが、そういうことでやるとしますれば、直接経費だけでも大体一千億円程度かかるのではなかろうか。ただこれは非常にばく然とした数字でございますが、直接経費、すなわち土地を整備いたします。それから建物をつくります。建物に至ります主要な道路をつけ、宿泊施設をつくるというふうな直接的な経費だけでも一千億円程度かかるのではなかろうか。さらにこれに先ほど申し上げました道路等の公共施設、これが数千億程度かかるのではなかろうか。また第三の経費としては、博覧会の運営について、いろいろ出品をするための費用でございますとか、それからお客様を招待する費用でございますとか、いろいろ運営費がかかるわけでございます。大体従来からの慣例もありまして、運営費は入場料をもってまかなって、収支とんとんというのが例のようでございます。いずれにしましても、非常に多額な金が要るということで、その金は、当然これは地元と国と——単に地元だけではおそらくなかなか持ち切れない、国も相当援助しなければいかぬということになるかと思います。いずれにいたしましても、日本ではかって紀元二千六百年の記念行事といたしまして、オリンピックとともにこの万国博覧会が計画されたわけでございますが、戦争でだめになったという経緯がございます。  以上でございます。
  55. 板川正吾

    板川委員 それからこの万国博覧会の開催は、最近の開催年、それから次回等はどういうふうになっておりますか。
  56. 乙竹虔三

    乙竹説明員 お話はおそらく博覧会条約によります博覧会ということでお答え申し上げていいかと思うのでありますが、最近の例ではブラッセルの博覧会でございまして、これが一九五八年でございます。それから現在きまっておりますのが、一九六七年のモントリオールの博覧会ということできまっております。それで、開催について条約では実は規定がございまして、先ほど一般説明の中にも申し述べたのでありますが、過当競争を防ぐといいますか、相当多額な、参加国、主催国の金がかかるわけでございますから、あるインターバルを置いて博覧会をやろうじゃないかということに条約ではなっております。それでそのインターバルは、世界を三つの地区に分けまして、同一地区内では間に六年を置きなさい、そして違った地区では間に二年置きなさいということになっております。三地区と申しますのは、ヨーロッパ地区、これはユーラシア大陸と申しますか、ソ連地区を含んだヨーロッパが一つと、南北アメリカが一つ、それからその他が第三地区ということになっておりますので、モントリオールはカナダでございますが、カナダで一九六七年に開かれますので、その後二年の間を置いて、三年目からなら日本で開けるということになるかと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 大体わかりますが、そこでこの万国博覧会を、これはパリの条約に加盟してという意味でありますが、それが前提でありますが、やるということになると、なかなかたいへんな設備も準備も必要だということになりますね。オリンピックに準じたような設備が必要だということになります。しかしその内容は、全世界に日本の産業を主として紹介するといういい機会でもあろう、とう思います。そこで大阪の知事、市長の要望等を考えてみますと、まあカナダで六七年にやる、したがってこの六年間は同一地域じゃできません。南北アメリカの地域ではもう六年間はできない。七三年までできない。ブラッセル——ヨーロッパは五八年にやっておりますが、その他の地域というところではいままでほとんど一回もやっていないと思うのです。オリンピックと同時に二千六百年のときに日本でやるというふうに内定もあったというのでありますから、あと見通しとしては七〇年の前後ということになろうかと思うのですが、この七〇年ごろ国際博覧会を開きたいという国が幾つか候補にのぼっているそうであります。たとえばオーストラリアのメルボルンですか、それからソ連のモスコー、イタリアのローマ、ローマは、ローマ市ができてから二千年記念たということでぜひ次の博覧会はローマで、こういうふうなことで盛んに要量も出しておるそうであります。ところで、ソ連とイタリアはすでに加盟国ですね。加盟国と非加盟国で同じ条約による博覧会をやろうというときには、加盟国が優先されるというふうにはるだろう。それは条約にきまっていりわけじゃないかもしれませんが、常識的にそうなる。そして未加盟国が博覧会を設けても、それに出品するなという規定もあるそうであります。そうすると、日本がもし万国博覧会をやりたいというならば、まず条約に加盟するということ、そういう決意を表明することが必要じゃないか、こう思います。それから次回が七〇年ごろということになりますと、先ほど説明がありましたように、過当競争を防ぐために、申し込みは少なくても五年前以上早く申し込んじゃいけない。ですから、七〇年というと来年の早々から申し込みしても受け付けされる時期に入るわけであります。そしてどこの国でも準備がありますから、少なくとも三年半か四年前には開催かいなかということが決定される、こういうことになりますと、次の万国博覧会を七〇年、昭和四十五年にやろうとするならば、来年日本は意思表示することが望ましいということになるだろうと思うのです。  そこで通産大臣に伺いますが、この間閣議でも何か論議があったそうでありますが、通産大臣は万国博を日本で開くということについてどういうような御見解を持っておられるか、ひとつ表明していただきたい、こう思います。
  58. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御承知かと思いますが、私が就任する前に福田通産大臣当時に、たしか六月ごろであったと思いますが、閣議でこれが一回話題になりまして、前向きに検討するということでございました。その後、板川委員が言われますように、近畿地区におきまして一九七〇年に国際博覧会をいたしたい、こういう要望もございまして、また手順から考えますと、お話のとおり明年一月以降、早々にパリの事務局に届け出をしなければならない、そういう事態にもございますので、私としても閣議でこれを話題にしようということで、八月の二十一日でしたか、再びこれを話題にいたしたのであります。その場合も同じように前向きで検討するということになっております。  そういうわけで、オリンピック後におきます国民的な一つの大きな目標といたしまして、このような大規模な博覧会が日本で行なわれるといたしますれば、いろんな意味において効果がある、かように私も考えて、だんだんと推進をしたい気持ちを持っておるのであります。しかしながら、いよいよパリの事務局に日本でやりたいということを申し出るにつきましては、開催場所とか期間とか展示条件、そういうものを別添書類として出さなければならないのであります。そうなってきますと、ただやりたいんだということだけでは取り運びができませんので、現在御希望のある、たとえば大阪であるとか滋賀県であるとか、また兵庫県におきましても、これについての御意見があるようであります。あるいは千葉県においても御意見があるようでございますので、もしほんとうに希望するならば早く御意見をまとめてもらいたい、かように多少私のほうから慫慂しておるような次第でございまして、できれば、オリンピックが終わりまして近い機会に何とかまとめて手順を踏みたい、そういう気持ちを持っておることを申し上げておきたいと思います。
  59. 板川正吾

    板川委員 四十五年、一九七〇年というのは時期的に非常にいいと思います。これも私の聞いた話ですが、それから五年後の一九七五年はちょうどアメリカの建国二百年祭だそうでありまして、その次ごろはアメリカでぜひ条約に加盟して正式な万国博をやりたい、こういう希望がアメリカ等にもあるそうであります。ですから、日本がやるとすればちょうどいい時期じゃないかと思うのであります。そこでひとつ——これは膨大な費用もかかりますし、一県だけということにもいかないし、それから外国等に向けて招待する場合には外交のチャンネルを使い、日本政府として招待するということで、対外的に国がある程度責任を持つわけだそうでありますから、したがいまして私は、通産省が前向きに向いておるだけじゃなくて、オリンピックが終わりましたら、ひとつ早急に前向きから前進をしてもらって、関係府県等でまとめて、そして申し込みするについても一つの準備の青写真というのが必要だそうでありますから、早急にそういったものをつくりまして、ぜひひとつ四十五年に万国博覧会が日本で開かれるように積極的に通産省で取り組んでいただきたい、こういうことを要望いたしまして、時間となりましたので、私の質問を打ち切りたいと思います。      ————◇—————
  60. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長代理 次に、鉱業に関する件について調査を進めます。  石油に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。伊藤卯四郎君。
  61. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私の質問時間は三十分ということにいたしておりますから、質問をごくしぼりまして、三点だけにいたしましてお伺いしょうと思います。内容を具体的に少し説明を申し上げながら質問したいと思いますのは、大臣に十分御理解を願い、その上に立っての御答弁と、また今後の施策をやってもらいたいという意味でお尋ねをいたします。  第一にお尋ねいたしますことは、日本のエネルギーに対する外国から輸入する油との関係についてであります。エネルギーは日本産業の唯一の重要な食糧というか、あるいは国民生活の心臓部として欠くことのできない重要な使命を持っておることは、もう申し上げるまでもありません。    〔早稻田委員長代理退席、板川委員長代理着席〕  このエネルギーは、外国から輸入する油が日本産業の生殺与奪の権を握っておると申し上げても過言でありません。したがって、外国からの油資本により日本産業が支配を漸次受けつつあるということもきわめて明らかになっております。本年度はおそらく輸入油の量は七千六百万キロリットルを下らないだろうとされております。これに要する外貨は約十億ドルでございます。輸入総額の一六%をこの油に使っております。これが八年後になりますと約二倍、二十億ドルの外貨を支払わなければならぬということになるわけでございます。日本民族資本は今日では出光とアラビア石油だけになってきております。丸善石油も外国油資本との競争に耐え切れないで、合弁資本にされてしまったことは御存じのとおり。このようにして、日本の民族の油資本というものが外国油資本に漸次押しつぶされてきつつあることはきわめて明らかになっております。聞くところによると、アラビア石油もどうもこの圧迫というか、競争に耐えられないで、外国油資本に身売りをしようかというようなうわさを聞いております。このようにしてたくさん外国から輸入される油の貯蔵されてある量はどのくらいあるのかというと、日本の需要量の二十日分しかないわけでございます。このような、いわばある意味において不安定な状態であり、一朝問題でもおこるなら一体どうするつもりかということは絶えず言われておることです。このような中にあって、油、天燃ガス、石炭等のエネルギー界は不安の中に混乱を絶えず引き起こしておるというのが現状でございます。  私は昨年の国会で、本委員会におきまして池田総理に、エネルギー界を調整安定するために強力な国家機構をつくることを強くただしました。池田総理もこれに賛成をされた。しかるに昨年一年たってもこれを明らかにされない。本年の国会で、また本委員会で、さらにこの問題を追及いたしました。ところが池田総理は、近く発表いたしますと確約をいたしましたが、いまなお明らかにされません。政府専門家を欧米にしばしばエネルギー調査のために派遣しております。衆議院においても、本委員会並びに本会議等において、総合エネルギー政策に関する決議がされております。このようにエネルギー界の混乱を防止し、安定化するために、あらゆるところの権威ある処置がとられてきておるのでありますが、しかし政府はこの点に対して、一向これらを解決しようという施策がとられておりません。櫻内新通産大臣はこのことについて、どのような引き継ぎを前福田通産大臣から受けておられるか、また私がいま申し上げたこの問題等について、新大臣はどのようにお考えになりますか、そうしてまたこれをどのように解決しようとされるおつもりであるか、この点ぜひ自分の抱負もかねてひとつお聞かせ願いたいと存じます。
  62. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 伊藤委員が御指摘のとおりに、石油問題に対する非常に重要な問題が多々あるということは、私十分承知をしております。また国会におきましてもこの点を憂慮せられまして、総合エネルギー対策を確立するようにという決議もちょうだいいたしております。こういうことで、就任後、実は次の国会で総合エネルギーの調査会を法的な裏づけをもって出発させたいというふうに思いましたが、そういうようなゆうちょうなことはできない、かような見地から、国会の御趣旨を十分体しまして、産業構造調査会のほうに総合エネルギーの部分を、これがそのまま立法措置で裏づけのできるような部会を発足せしめておるようなわけでございます。そしてこの部会からの答申を待って今後の施策を進めたいと思います。しかし、これもまたさようなゆうちょうなことは許されるわけではないのでございますから、現在政府の関係にあります。機関を十分活用していきたいというようなことから、御承知のように、政府の関係しております石油資源開発会社がございます。この会社をして海外油田の開発あるいは探鉱と申しましょうか、そういうことが十分できますように、明年度の予算要求については大幅にいたしたい、かような見地に立っておるわけでございます。伊藤委員の御指摘のとおり、海外に依存しております日本の石油を、外資によらない、民族資本によるという形で、またあまり一部の地域に偏することなく、いろいろな危険なども頭に入れながら、大きな地域から原油を確保するようにつとめたい、かような一応の考え方を持っておる次第であります。
  63. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま櫻内大臣から、私がお尋ねした内容等について、この油の問題については明年度の予算に大幅にこれをひとつ取り上げたいということで、この努力をするというふうなことをおっしゃったようでございます。これは私は大いに期待をいたしますから、ひとつがんばってもらいたいと思っております。  第二点にお伺いいたしますのは、日本国内の石油と天然ガスの重要な使命等についてであります。ちょうど十年前になりますが、石油資源開発のために国策会社をつくりました。私もその当時衆議院側から創立委員となり、いまの田中大蔵大臣も当時たしかこの関係の委員長か何かをされておったような気がいたします。この会社をつくるとき、これは国策会社ということで、いわばある意味において無の中から有の会社をつくったわけでございます。これは何も物を持っていなかった会社でございます。たとえば鉱区も、機械も、技術屋も、熟練労働者も、これことごとく帝石会社から供出をさせたのでございます。それは国策遂行のためにいわば国に奉仕をさすという意味であったのでございます。今日では政府の出資がこの開発会社に百億円出ております。それから民間から資金が五十億円出ております。この百五十億円の金は無利子、無配当の金でございます。国策会社でなければこういうことはできないことでございます。したがって、この開発会社は石油の油田の探鉱と開発を徹底的にやるのが目的でございました。したがって、営利事業会社ではない。これは当時の委員会でもきわめてはっきりした性格づけをされていたわけでございます。これが創立のいわば当初の精神であった。ところが今日では探鉱、開発のみが目的ではなくなって、石油、ガスを販売をする営利会社と化して、帝石と商売競争をするというような状態になってきております。一体これはなぜこうなったかと申しますと、大蔵省がかくさせたのでございます。したがって、帝石はこの開発会社との競争に敗れてきまして、すでに倒産の前夜におちいってきたことは大臣も御承知だと思います。そのために帝石は従業員を先般千三百人も整理解雇をいたしました。株主配当は当然無配を発表いたしました。政府と銀行団の協力を得ていま再建できるか倒れるかという、いわばせとぎわの危機に立っておるというのが帝石の現状でございます。これは、私は開発会社に帝石が競争で負けるのはあたりまえだと思います。先ほど申し上げたように、片方は国の無利子の百億円、しかも帝石からこの開発会社に二十二億四千万円の無配当の金を出資しております。帝石は、この無配の二十二億四千万円は、あるいは八分か九分の金利の金を借りてそれを開発会社に出しておるのでありますから、したがって競争に勝てる道理はありません。そこで、私は重要な問題として大臣にお聞きを願いたいのは、もし帝石が再建ができないままこれが倒産をいたしましたならば、いまの大蔵省の考え方、大蔵省に対して通産省が石油、ガスの地下資源に対する施策を行なわしめ得ないような弱体な態度であるならば、帝石が倒れた後は必ずその次にはいまの石油開発会社も倒れることを私はここで断言をしておきます。そうすれば、日本に油、ガスの地下資源を開発する、探鉱することはおそらくなくなってしまうでしょう。この点を私は大臣にひとつ肝に銘じてもらいたいというのでございます。これは通産省が国内油田開発について第二次五カ年計画を立てて大蔵省に出しました。ところがこの第二次五カ年計画を大蔵省に通産省はのますことができなかった。大蔵省側に通産省側が敗れたのでございます。そういう結果がこういう事態を引き起こして、いま私が強調するような事態になっておるのであります。通産省が第一次五カ年計画事業を出しましたときは、通産省案を大蔵省にのませました。でありますから、油とガス開発は一〇〇%以上成功をいたしております。したがって、政府に国内石油と天然ガス開発をやる強力な積極的な国策があれば、当然これは大蔵省側を押えてやられることでございます。ほんとうに政府にこの地下資源エネルギーについて——特に可燃性天然ガスのごときは非常に重要なガス化学工業が興されておることは大臣御存じのとおりでございます。特に秋田、新潟県のごときにおきますと、工業用燃料、工業用原料として重要な使命を持っております。もちろん市民生活の上にもこれはもう欠くことのできない役割りを持っております。現在天然ガスを生産している企業と、その供給を受けて企業をやっておる会社が五十社あります。そこに働いておる従業員は十万人以上おります。このガスの供給を受けている人口は、裏日本だけに二百万以上おります。さらにこの新潟から、帝石は五十数億円をかけて東京までパイプラインを引っぱりました。それで東京瓦斯にこのガスを売っております。東京瓦斯が都民に売っておるガスの二割は、帝石からこのパイプラインを通じて売り込んでおります。したがって、このような重要な役割りを持っておる帝石が、いま申し上げたようにつぶれるということになりますならば、さらに引き続いて開発会社もつぶれるということになりますならば、裏日本にあるところの、あの恵まれない地域にあるガスを原料とするガス化学工業その他重要な役割りを果たしておるこれらがほとんど全滅するといってもあえて過言でなかろうと私は思います。以上のように、石油はもちろん、天然ガスが近代化学工業の発展にいかに重要な使命を持っておるか、いかに国民生活に重要な役割りを果たしておるかということは、私があえて繰り返し強調しなくても、櫻内通産大臣もこの点もう百も御存じだと私は思います。そこで大臣としては、油とガスとの需要供給の安定をはかって、さらに帝石並びに開発会社に使命を果たさせなければならぬ、これは断じてつぶしてはならぬ、つぶしたら容易ならぬことであるという上に立っての、どのような一体対策をこれに施して重要使命を果たさせようとお考えになっておられるかどうか、この点をひとつ今日答弁のできる限り答弁をしていただきます。さらにまた、これは通産大臣のみではなかなか困難な点もあることも私わかります。あるいは大蔵大臣との関係、あるいは閣議との関係などとも、これは当然相談されなければならぬ問題でもございます。しかしさきに大臣が言われた、明年度は大幅にこのために予算をとってやるという、そのおっしゃったのは、これらの問題もおそらく御承知の上で御答弁になったものとこれを喜んでおりますが、以上の点について、ひとつさらに答弁のできる限りの点を、今後の努力をどのようにしなければならぬかということともあわせてお聞かせを願いたいと思います。
  64. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私、就任いたしました直後に、帝国石油の経営内容について御指摘のような話を聞きました。まことに憂慮をしておる一人でございます。また石油資源開発会社と帝石との競合関係につきましていろいろ調べてみますと、ただいまお話しのように非常に問題が多いということも痛感をいたしております。私はこういう話を聞きましたときに、ものごとをあまりむずかしく考えずに、ひとつ整理をして考えてみる必要があるのじゃないか、大体石油資源開発会社はどこに目的があるのか、これは言うまでもなく、まず国内における油田を開発する、探鉱を十分やるべきである、要するに油のほうに中心があると思うのであります。しかし油を掘っていきますときに、それに付随的にガスも出てまいる、そういうようなことから帝石との間に競合関係が生まれたというふうに考えております。また帝国石油のほうは広く天然ガス開発につとめてまいりました。現に東京にまで供給をするようなところへ参ったのでありますが、ところがその主産地である新潟県下におきましては、水溶性ガス開発のためにこれが地盤沈下をもたらすというようなことから、実際は当然深部を開発しなければならないと思うのでありますが、その後重点が構造性ガス開発に移っていく。そうなってくると、当然また油もそれに伴って出るというようなことで、そこにいろいろむずかしい問題が起きたように思うのでありますが、あくまでも石油資源開発会社は資源開発の目的に沿うてやるべきだと思います。そうして探鉱いたしました油が十分採算がとれるというのであれば、これはできれば民間会社に移していくのが好ましいと思うのであります。それから帝石のほうはガスを中心にしてやっていくのがよかろうと思うのでありますが、これは民間企業のことでございまして、油が出れば出るで経営の上にそれが寄与していくのも当然ではないかと思うのであります。現在帝石の経営内容が非常に悪くなったという中には、東京への天然ガス供給の五十億からの投資というのが非常に問題ではなかったか、率直に申し上げると、こういうようなものがはたして東京瓦斯に供給するガス料金の中に正一当に計算されておるかどうかといったような点に私は検討すべきところがあるように思って、事務当局に調べさしておるのでありますが、いろいろこうやって申し上げていきますと問題点がございます。ございますが、お話しのとおりに、いずれの会社もこれをもしつぶすというようなことになりますれば、それによるところの石油化学工業に対する影響もまた一般消費者に対する影響も甚大なことは言うまでもないのでありますから、したがってこれらの会社がさようなことにならないようにでき得る限りの、たとえば開発銀行を通じての融資であるとか、あるいは今後におきます探鉱費につきまして政府が相当な犠牲を払っていって、その面からの負担を少なくするとか、いろいろ考えるべきであると思うのであります。以上のような基本の方針のもとに、具体的な問題を一つ一つ解決していきたい、かように存じます。
  65. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 最後の第三にお尋ねいたしますことは、今後の国内石油等天然ガス開発についてでありますが、さきにも申し上げましたように、通産省が第一次五カ年計画を大蔵省側に資金の裏づけをさせて、石油開発会社に計画どおりにそれを遂行させましたので、したがって申し上げたように目的一〇〇%以上を達成したのであります。今後も石油開発会社に、創立当初の目的精神というか、そういうように油田の探鉱開発のみを国策機関として思い切ってやらす、そのためには石油資源開発株式会社という、この「株式会社」の四字をとってしまったらどうか。この四字をとって、石油資源探鉱事業団というような名前に改められるように現在の法律改正をしたらどうか、この「会社」という名前がくっついておるところから、自立経営でやれとか、あるいは配当をしろとか、あるいは政府資金を返せとか、いろいろそういう私企業会社に注文すると同じようなことを大蔵省側はこの開発会社に向かって要請をしておるわけです。そういうところから、通産省側で計画される第二次計画、あるいは今後さらに探鉱事業をやれば十分油もガスもあるということはわかっておりながら、通産省側のあの計画を大蔵省側にのますことができない。大蔵省側は開発会社を私企業と同じように見て、この取り扱いをしようとしておる。そういうところから、したがって思い切り探鉱をやることができない、あるいは深い井戸を掘ることができないという点においては、帝石も開発会社もやや変わらない状態に大蔵省側が強く圧力をかけてきておることは、これは通産省側の政府委員もまた大臣もおそらくお聞きになっておられるだろうと存じます。そういう点から、やはり石油資源開発会社を国策会社として、思い切り大臣が言われるように予算も、探鉱資金も相当出してやらすということであれば、やはり会社という名前があると大蔵省側も私企業と同じような無理な注文をつけてきますから、そこに自立でやれ、あがった利益でやれ、こういうことを注文して政府から金を出そうとしない。そういう点になれば帝石も開発会社も同じような運命におちいってくることは当然であります。でありますから、やはりこの開発株式会社の「株式会社」という四字をとって探鉱事業団にする、こういうことをやれば、これは国策会社を政府の機関としてやるわけでありますから、そうすればいまの大蔵省側の圧力とかなんとかはなくて、通産省側で計画されるとおりの石油、ガス開発が思うとおりにやれるので、そうすれば第一次計画が成功したと同じように、第二次、第三次、第五次と計画してやられるならば、ことごとくこれは成功するだろうということを専門家筋も見ておるわけでございます。この点も大きな一つの改革でありますから;いや大きな改革というより、創立当初に戻れということでございます。お考えを願いたい、そこで徹底的に石油、ガスの油田を探鉱さすならば、日本にはおそらく天然ガスはもちろんですけれども、石油等も探井戸を掘れば、これは想像のできないような油層を掘り当てることができるのじゃないかといわれております。たとえば西洋諸国には油はないといわれておりました。もちろん二千メートル、三千メートル掘っては成功しておりません。ところが、最近オランダですか、あの地域に四千、五千メートルの深井戸を掘ってみましたところが、驚くべき石油層を掘り当てております。これはもう世界的に問題にされるほどの油層を発見いたしました。こういう状態でありますから、日本においても——日本は深井戸を掘らなくても、かなり探鉱すれば、その多くが油、特に天然ガスはことごとく当てておるといってもいいのでありますから、もっと徹底的に探鉱する、そうして思い切り、ここぞと思うところには深井戸を掘ってみる、こういうことをやる場合には、私企業ではやれぬのでございます。帝石にそれをやれと言ったって、とても五千メートルの井戸を掘る、一本掘るには少なくも二億以上かかるだろうと言われております。私企業にこれをやれと言うことはできません。それなら開発会社にやらすかというと、大蔵省が、申し上げたように、自立でやれというのですから、それじゃ結局ようやれないと思います。ここに大きな問題があるわけでございます。でありますから、この点を私は大臣に、石油、ガス開発について、今後の処置について思い切った考え方を持ってもらいたいと思います。油、ガスがどうとか、とかく不景気な話をよく大蔵省は出してくるようですが、最近、大臣もお聞きになっておると思いますが、新潟の頸城というところに石油、ガスの大きな層が発見されております。これは秋田の八橋油田は日本で一番大きいと言われておりましたけれども、この何倍あるかわからぬというくらいの大きな油田、ガス層を発見をして、いまやっております。こういう状態でありますから、もっと徹底的に探鉱する、そうして思い切って西洋諸国のような深井戸も掘ってみること等を国がみずからやるということであるなら、私は非常な成果をあげることができるのじゃないかと思う。そうすると、外国油資本力にだんだん押しつぶされて支配権を握られてしまうというような危険もなくなってくるのじゃないか。どうも通産省側でとっておられる処置を見ますと、大蔵省あたりは、金を出さないで安ければいいということで、通産省側の計画というものが取り上げられておりません。国内エネルギーの開発、特にこの石油、ガス、石炭、どうもこの問題はまことにやっかい者扱いにされておるような、ひがみ根性かもしれぬけれども、同業者それから従業者、私もそう思っております。どうもやっておられる処置がまことに計画性と徹底性がないということでございます。そこで私は一つの提案でありますが、いま申し上げたように石油資源開発株式会社の「株式会社」の四字をとって、これを探鉱事業団にして、あるいは徹底的探鉱を、深井戸を掘ってやってみる。それが石油なりガスに当たったらば、これをいま大臣もおっしゃったように民間というか、帝石にやらす。そのかわりに、それから上がったところの利益の中から当然井戸掘り賃の賦金というものを取る。そしてそれを積み立てておいて、ある場合には政府資金と加えるというか、あるいは賦金が多ければ賦金をもって次の探鉱開発をやる。私、そういうようなやり方が一つあると思うのです。これは西欧諸国でもほとんどこういう地下資源の油の開発というのは国がみずから力を入れてやっておる。あなたまかせで、何のかんのと言って、やかましくだけ言って、ほんとうに国が力を入れてやっておらぬのは日本だけと言っても言い過ぎでありません。大蔵省の役人の人々は税金を取り立てて、金を計算して、それを予算の鋳型の中に組むということについては、これは技術屋、専門家です。けれども、産業経済については大蔵省の役人の人々はしろうとです。でありますから、政党内閣ですから、政党の内閣が、政府が重要政策として実行すべきためには、大蔵省側の予算と資金を、これに応ずるだけの裏づけをやらしていくというところに、私は政党内閣、政党政権の存在の価値があるんじゃないか、大蔵省側に押されてどうすることもできないというのなら、私は政党内閣の資格はないと思う。国家国民に対する政策の公約をする資格はないと私は思う。だから、こういう点に対して通産省側は、新大臣は、ひとつそんなことはない、伊藤、そういうことはない、おれは必ず通産省側のこの地下資源開発についての施策については、閣議においてはもちろん、大蔵省側においても、これをのまして、必ずやってみせるというような、私は若い大臣にそのエネルギーがあるであろうことを実は大きく期待をしておるわけです。  そこで、国内エネルギーの石油、天然ガス等を積極的に探鉱開発するとともに、海外油田の探鉱開発にも、また民族資本を積極的に守ってやる、外国からの油輸入等に対して、民族油資本がそれに押しつぶされることのないように、これを十分守ってやるということについて、私はエネルギー界の混乱を防止して、そしてこれを調整、安定をはかって、それで日本産業の将来に対する発展に十分応じられ得るような国策をひとつ樹立してもらいたいということが、これが私が機内新大臣に強く期待をし、要請する点でございます。この最後の点については、この問題はかなり大臣としてもいろいろ策を練り、またやはり政府との全体関係とも関連すること等でありますから、これらに対して今日答弁のでき得る限り、またお考えになっておられる点等をひとつ十分お聞かせ願いまして、私の質問を終わることにいたします。大臣の答弁のいかんによっては、簡単にまた質問さしていただきます。
  66. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 お話の中で、私、一番重要な点は、天然ガスといわず、また石油といわす、探鉱については非常に多額の資金を要する、しこうして、従来石油資源開発会社においても、また帝石におきましても、資源会社のほうはもの足らないところがあるし、また帝石のほうは、率直に言って、探鉱のほうがおろそかになっておったと思うのです。ただ、これは私実際に技術者として経験したわけではないのでありますが、石油資源開発の持っておる技術陣というものは相当認めてよい点があろうかと思うのであります。そこで、伊藤委員の言われるように、私どもの所望するとおりに資金が投下せられまして、犠牲を払っていくということであれば、相当成果があがるもの、こういうふうに信じております。特に今後の探鉱につきましては、試掘を実施する前段階で行なう物理探鉱のごときが非常に重要ではないかと思います。現に地質調査所におきまして、そういうような点については相当やらしておるつもりでございますが、まだまだ十分ではないと思うのであります。こういうようなことで、天然ガスあるいは石油の探鉱ということが、今後の日本のエネルギー施策の上に最も肝要な点であるということから考えますと、伊藤委員が言われたような探鉱事業団というようなものを新たに起こしまして、そして十分やらす。やらした結果が当たれば、それをそれぞれの会社に渡して、賦課金をもらうとか、あるいはその探鉱費の年度割りにしたようなものを負担してもらうとかいうような、いろいろ方法はあろうと思いますが、一つの構想だと思います。私としては、いまここで事業団がどうか、新しい方策を考えるといっても、これはやはりある期間たたなければ、その実現を見ないのでありますから、まず現在の石油資源開発会社や帝石に対して十分通産省としてできることをしつつ、また、そういうような構想につきましては、現に総合エネルギー対策のほうについて、産業構造調査会の部会でおやり願っておる。さらにはこれが法的な裏づけある権威ある調査会にも持っていこうというわけでございまして、これらの関係の方々も、わざわざヨーロッパ各方面の視察もしていただいておりますので、おそらく伊藤委員のおっしゃるような、そういうような点も答申されてくると思いますので、これは並行的に考えていきたい。  いずれにしても、日本の天然ガス、石油に対する施策が、いま不十分である。それが主として財源問題にからんで大蔵省との間に問題があるということは、きわめて遺憾なことでございまして、この問題の重要性については総理も委員会でお答えになっておることでございますので、私は新任者として、これらの点を推し進めて御期待に沿いたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 参議院側で相当要求されておるようでありますから、この程度で本日は打ち切っておきます。
  68. 板川正吾

    板川委員長代理 以上で伊藤委員の質疑は終わります。
  69. 板川正吾

    板川委員長代理 先般、当委員会で質疑を行ないました不良ガソリンの販売等に関する問題について、鉱山局長より調査の結果をこの際御報告願います。
  70. 加藤悌次

    加藤説明員 この前の当委員会で御報告申し上げましたように、不良ガソリン問題につきまして、私どもと公正取引委員会、この共同でもちまして、東京、名古屋、大阪の三地区におきましてそれぞれ五十件、合計百五十件、一般の市中のスタンドにおきまして試買を行なって、その分析を川口の資源技術試験所で行なったわけであります。最近その結果が出てまいりましたので、簡単に御報告をさしていただきたいと思います。  川口の試験所で行ないました分析の場合の留意事項と申しますか、一応オクタン価がどの程度であるか、分留終点が大体摂氏何度であるか、さらに一番問題になりますのは、事件の発端になりましたエンジンに対する故障の原因になります実在のガム量、これが一体どの程度含まれておるか、この三点につきまして、分析の結果を検討いたしてみますと、次のようなことに相なるわけでございます。  百五十件のうち問題になりました非常にガム物質が多い——当時問題になっておりましたのは百CC中大体数百ミリグラムぐらいのガム量があったわけでございますが、そういった非常に悪質のものは一件もございませんでした。そこで、特にこれはどうかと思われるものについて細部の検討をいたしたわけでございますが、一応普通期待されておるガソリンの通常の水準があるわけでございます。これはJIS規格とは別でございますが、その一般的に期待される水準から見て、その水準以下であるというのが大体百五十件のうち一割弱の十三件ばかりございました。一般的に見た品質の水準、具体的に申し上げますと、技術的になりますが、オクタン価が大体八十五以上である。それから先ほど申し上げました分留の終点温度、これが摂氏二百十五度以下である。それから実在ガム量、これが百ミリリットル中十ミリグラム以下である。これを基準にいたしますと、ただいま申し上げました十三件ばかりがこの品質以下である、こういうことに相なっております。さらにその十三件のうちの四件ばかりのものにつきましては、少し程度が悪うございまして、こういうものを長期にわたって継続使用した場合には、エンジンに対して悪い影響、いわゆる故障の原因になるというふうに考えられるものがあったわけでございます。  以上が、分析の結果の概要でございますが、私ども、今後どういう方針でこの問題に取り組むか、いま公正取引委員会と協議をいたしておる最中でございますが、通産省といたしましては、今回行ないました試買につきまして、今後も継続的にこれを引き続いて行なってまいりたい。特にやり玉にあがっております十三件、なかんずく悪質な四件につきましては、その原因あるいは経路、こういったものを究明してまいり、再度そういうものが販売されるといった場合には、これを個別的に公表するというようなことも考えていいんじゃないか。さらにまた石油業界におきまする責任体制の確立、これは精製元売り側における問題とそれから販売業者の側における問題とがあるわけでございますが、要は責任体制というものを確立いたしまして、具体的には実地検査の励行だとか、特に問題の起こる可能性のございます輸送途中における問題、こういったものをいろいろ究明してまいりたいという考え方でおるわけでございます。  簡単でございますが、一応以上をもって御報告といたします。
  71. 板川正吾

    板川委員長代理 本件については質疑がありますが、時間の都合上、留保するということにいたします。  以上で質疑を終了いたしました。      ————◇—————
  72. 板川正吾

    板川委員長代理 おはかりいたします。  先般閉会中に行なわれました委員派遣の報告を、報告書として委員長のもとに提出されておりますので、これを会議録に参照として掲載するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 板川正吾

    板川委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  次会は公報をもってお知らせをいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十六分散会