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1964-09-07 第46回国会 衆議院 商工委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月七日(月曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君       大平 正芳君    黒金 泰美君       瀬戸山三男君    田中 榮一君       田中 正巳君    竹下  登君       南  好雄君    大村 邦夫君       加賀田 進君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       森  義視君    麻生 良方君       伊藤卯四郎君    加藤  進君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業事務官         (企業局消費経         済課長)    小島 英敏君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      斎藤 英雄君         通商産業技官         (工業技術院総         務部研究業務課         長)      柳沢 正昭君         通商産業技官         (工業技術院標         準部長)    森  五郎君         運輸技官         (自動車局整備         部整備課長)  景山  久君     ————————————— 八月一日  委員浦野幸男辞任につき、その補欠として丹  羽兵助君が議長指名委員に選任された。 同日  委員丹羽兵助辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長指名委員に選任された。 九月一日  委員藤田高敏辞任につき、その補欠として秋  山徳雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員秋山徳雄辞任につき、その補欠として藤  田高敏君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員浦野幸男君、大石八治君及び田中六助君辞  任につき、その補欠として瀬戸山三男君、大平  正芳君及び黒金泰美君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員大平正芳君、黒金泰美君及び瀬戸山三男君  辞任につき、その補欠として大石八治君、田中  六助君及び浦野幸男君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉱業に関する件(不良ガソリン販売等に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  鉱業に関する件について調査を進めます。  不良ガソリン販売等に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 きょうは石油に関する問題を二点伺いたいと思います。  第一は不良ガソリンの問題と、第二はアラビア石油外資提携の問題、この二つの点で伺いたいと思いますが、まず不良ガソリンの問題について伺います。  ついこの間、新聞報道によりますと、不良ガソリンを使った自動車故障して、それがエンジン故障だろうと思ったら、実はガソリンのほうに異物が混入して、それが原因であったということがわかって、社会的な注目を引いております。最近マイカー時代と言われ、乗用車が国民生活の中に入り込んできて、また農家でも自家用車が非常に使われるようになって、ガソリンというのが一部の人たち消費財でなくて大衆の消費財、こういうふうになってきておると思うのであります。ところがそのガソリンがどうも規格どおり売られているかいないかということが全くわからないという現在、消費者立場から石油行政というものを検討すべき時期にきているのじゃないか、こう思うのです。  そこで、まず伺いますが、この間問題となりました不良ガソリン事情をひとつ報告していただきたいと思います。
  4. 加藤悌次

    加藤説明員 本年の六月ごろだろうというふうに聞いておりますが、自動車エンジン故障、特に新車等についてもそういう故障が続出するということで、当然自動車販売業者のほうへ苦情が参るわけでございます。よく調べてみますと、どうも原因燃料油にあるようだということに相なりまして、私どもとして、いま先生の御指摘のように、最近ガソリンはいわゆるオーナードライバーと申しますか、一般家庭用品に似た需要の分野がだんだん開拓されてきておるということ等もございまして、この問題を相当重要視いたしたわけでございます。そういう事情がございましたので、さっそく通産省の中では、いわゆる消費者保護立場からの行政を行なっております企業局消費経済課、また一般消費者利益を擁護する立場におられます公正取引委員会等とも御相談をいたしまして、とりあえずその実態を一刻も早く明らかにする必要があるということで、これは今度起きました事件は大体東京周辺であるわけでございますが、とりあえず東京周辺、具体的には東海道並び中仙道沿いの、大体五十カ所ばかりガソリンスタンドを選びまして、そこから試料を買い上げまして、これを川口にございます工業技術院資源技術試験所でその分析をいまいたしておる、こういう状況にございます。その後ごく最近になりまして、これはやはり全国的に特に大都市周辺等においてそういう疑いがございますので、単に東京だけではなくて、大阪あるいは名古屋、こういった周辺につきましても同じようにガソリンスタンドから買い取りまして、これをただいま申し上げました資源技術試験所分析をいたしておる、こういう段階に目下あるわけであります。
  5. 板川正吾

    板川委員 予防のために抜き打ち検査をしたというのですが、前の不良ガソリン、あれを売った経路、こういった点、いまどういう調査を進めていますか。あれはバルブが張りついたところを新聞等の写真で見ると、おそらく普通のガソリンの中にゴム揮発というもの——同じ工業用ゴムガソリン、これは税金がかかっておりませんから、そういうものを入れてもうけようとした業者があったのだと思うのですが、その問題をどういうふうに追及しているかということ。それから、いま一斉検査をした結果がいつごろわかるか。  もう一点は、局長大都市周辺であっただろうと言うけれども、実はそういう不良ガソリンと言いますか、不良石油燃料ですね、軽油なんかもそうですが、これに入れるのは大都市とは限っておりません。有税の石油ガソリン軽油の中に無税のものを混入しておるというのはおそらく全国的な傾向です。都市周辺だけではない。この点はひとつ考え改めたほうがいいのではないかと思うのですが、前の二点について御返事を伺いたい。
  6. 加藤悌次

    加藤説明員 資源技術試験所における分析が約一カ月半くらいかかるというふうに聞いておりまして、あと一カ月くらいすれば、とりあえず東京近辺で買い取りを行ないましたガソリン分析はできるのじゃないか、こういうふうに考えております。  それからもう一点の問題でございますが、いまの、エンジンを分解して調べてみたところ、ゴム質の物質がたまっておって、それが故障原因になっておるというのは、実は今度の問題のきっかけがそういう問題であるというふうに私聞いておりますので、いずれただいま申し上げました分析の結果がわかりました後において検討いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  7. 板川正吾

    板川委員 あとの返事の、ゴム揮発混入して売って、それが自動車エンジンバルブを張りつかせたというのは、その流通経路を追及しておかないと問題の解決というものにはならない。ですからそれはひとつ徹底的に流通経路を追及してもらいたい、あとで報告していただきたいと思う。  次に伺いますが、そういうインチキ販売といいますか、不良ガソリンガソリンばかりではなく軽油もありますが、それをやる業者のねらい、目的というものはどこにあるとお考えですか。
  8. 加藤悌次

    加藤説明員 端的に申し上げまして、特に最近、昨年の末以来石油元売り以降の段階におきます販売の面におきまして、非常に過当競争が行なわれておること、先生承知のとおりであります。そういうことで本年の初め以来、私どもといたしましても業界と協力をいたしまして、流通秩序確立という面の努力をいたしてまいっておるわけでありまして、だんだんと状況が改められる傾向にあるというふうに思われるわけであります。やはり末端競争は非常にすさまじいものがある。こういう過当競争の結果、どうしても安く品物を売る、こういうことに相なるわけでございますが、御承知のようにガソリンにつきましては二万八千七百円の税金がかかっておりまして、これは回収した代金のうちから最終的に元売りに還元しなければいかぬということになりますので、結局中身の値段を勉強して売る、こういうことになるだろうと思います。元売りから出します場合に、石油業法に基づくキロ当たり一万一千三百円、こういう標準価格があるわけで、必ずしもこの標準価格が全部が全部現在でも守られておらない事実があるわけでありますが、しかしそういう元売りからの出し値プラス適正なマージンだけではどうしてもやはり過当競争がひどくてやっていけない場合に、苦しまぎれに、税金のかからない灯油等混入してこれを一般に市販するという現象が起きてまいったのではなかろうか、こういうふうに存ずるわけでございます。私どもとしても、先ほど申し上げましたように需要家に御迷惑をかけるということは、石油業法の安定、低廉供給といった石油産業の使命にもかんがみまして、大いに検討を要する必要があるというふうに考えておりますので、今後ともそういった過当競争防止流通秩序確立につきまして格段の努力をいたしてまいりたい。  それから、あるいはあとでお話が出るかとも存じますが、現在ガソリンその他燃料油につきまして、日本工業規格というものができておるわけであります。この制度が必ずしも十分に活用されていないのではなかろうか、こういう気もいたすわけでございます。今後、そういった面につきましても、こういう新しい状況に直面いたしまして、そういった面から検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 インチキ燃料を売る目的は、原因過当競争だ、こういうところにあるのじゃないか、それもありましょう。しかし過当競争をあえてするような条件を生み出しているのは、逆に不公正な販売方法が許されておる、こういうことから逆に過当競争を生み出しているというような形にもある。これは鶏と卵というようなかっこうで、お互いに原因をなしているんだ、こう思うのですが、お説のように、不公正な販売方法を用いるということは、まず第一に脱税の利益をねらっているのですね。ガソリンについては一リットルについて二十八円七十銭、軽油については一リットルについて十五円、こういう税金がかかっておりますが、工業用ガソリンあるいは灯油等については税金はかかっておりません。ですから工業用ガソリンガソリンの中へ入れたり、あるいは無税灯油の中からガソリンに近い分をガソリンの中へ入れる、軽油に近い分を軽油の中に入れる、そうしますと、税金分だけこれはもうかる、こういうことになります。そういう方法が行なわれる状態になっておる。もうこれは行なわれる状態になっているから、あるいは過当競争が生み出される、こういう結果にもなるのですよ。過当競争を生み出したというのは、これは両方が原因と結果をなしているんだと思うのです。今回の不良ガソリンといわれる問題については、私が先ほど言ったようにこれは氷山の一角であって、東京周辺だけ、大都市周辺だけ行なわれているのではない。おそらく全国的に行なわれていると推定するのです。なぜかというと、実は不良なもの、無税なものを入れても、いまの規格では消費者にはわからないのですよ。たとえば自動車用ガソリン工業用ガソリンクリーニング等に使うソルベント、これは無税ですよ。これを入れても、あるいは最近過剰ぎみだというナフサを入れても、これは自動車を運転する者としてはわからぬじゃないか。運輸省自動車関係燃料関係の人に伺うが、ガソリン白灯油、一号灯油十五円ぐらいのやつをたとえば二割程度入れた。夏場の場合に、一体消費者にこれがわかるか。エンジンにどういう影響があるのか。多少エンジンノックがあったとしても、出足が悪いといっても、あるいは電気位置が悪いのではないかということにもなるし、ほかの原因じゃないかといって、これもなかなかわからぬ。それから軽油の中へ無税茶灯油を入れて二、三〇%混入した場合でも、一体ジーゼル機関でわかりますか。実際わからぬでしょう。あとでそれは意見を聞きたいのですが、こういう例があるのです。地方へ行くと、ダンプカーというのは軽油を使っております。それからダンプカーを持っているうちと取引しているスタンド、そこからはガソリンを買うなというのが常識なんです。なぜ買うなと言うかというと、ダンプカーはどうもガソリン支払い状況が大体悪いし、いつひっかけられるかわからない。だからそういうものにはなるべく軽油と称しながら茶灯油等をまぜて、悪いやつを売ってもうけを先取りしておる。そうすればあとでひっかけられても損はないというようなことで、リスクがあるために、あらかじめ不良品を混入して損失分は先取りする。だからスタンドでそういう習慣のついているところでは、ガソリンについても同様な扱いをする。だからそういうダンプカーに非常にお得意を持っているようなところでは、あまり石油ガソリン軽油を買うベきじゃない、買えば質が悪いぞ、こういうのが一般自動車関係常識になっておるのですね。だからこういうガソリンの中へ白灯油を入れたり、軽油の中へ茶灯油を入れたりして、いまの技術的な関係で直ちに消費者立場からいってそれがわかるかどうか。自動車燃料関係運輸省専門家からひとつ伺いたい。
  10. 景山久

    景山説明員 ただいまの御質問の点にお答えいたしますが、やはり先生お話しのとおりに、私どものほうでユーザーに対しまして、朝車が出ますときに、一応排気の色を見なさいという点検基準は設けておりますが、これも混入程度いかんでございまして、非常に極端な場合でございますればそれはおのずからわかりますが、程度いかんによりましては、いまお話しのとおりユーザーにはどうもわからないというのが実情でございます。それだけお答えいたします。
  11. 板川正吾

    板川委員 局長、いま言ったように、混入しても一般消費者はわからぬですよ。運転手を長らくやっておって、そういう同じ車でずっと乗っておって非常に経験の高いものであれば、これはプラグをはずして中を点検するとか、あるいはカーボンがたまっているからこれは少し灯油が入っているな、こういうことがわかるかもしれない。あるいは排気ガスの色を見てわかるかもしれぬ。しかし、一般の人はちょっとノックがあるという程度じゃ、これは電気位置が狂っているのじゃないかと思ったりして、必ずしもガソリンが悪いとはわからない。いまのガソリン流通段階における規制というのは、実は消費者立場というものをあまり考えていないですね。最近聞くところによると、こういう精製会社があるそうですよ。それは農業機械用灯油白灯油ですね、これは無税です。オクタン価が六十から七十程度です。これならガソリンの中へ相当大量にまぜてもわりあいにわからぬというので、農業機械用白灯油というものを非常に大量に精製している石油会社がある。しかもそれが実は注文が多くて生産が間に合わない、こういう状況だそうだ。まあ、名前は知っていますけれども言わぬです。そういう精製会社がある。だから、こういうようにある程度混入することが、良心的でないガソリン販売業者常識になっているのですね。だから、たとえば混入した場合に色でわかるとか、あるいは混入すれば反応を起こすとかいうようなことで、消費者立場から見てすぐわかるような区別をする必要があるのじゃないかな、こう私は思うのですが、どうですか。とにかく、いまのままでは悪貨が良貨を駆逐するたとえのごとく、白灯油が盛んに売れて品切れで、冬需要があるものが、夏でも盛んにつくられておる。それはいま言ったように、ガソリン混入する、またそれ専門につくっておる、混入することが常識になっておる。これはこのままで置いたのじゃ消費者立場というのをあまりにも無視していることではないか。ただ単に過当競争のためにしかたがないのだ、こういうことで見のがしておくわけにはいかぬと思うのですが、どうです。
  12. 加藤悌次

    加藤説明員 ただいま先生指摘の、そういうものが混入されておればすぐしろうとにわかるように、混入の対象になるものに着色するというふうな議論も確かにあるわけですが、これは技術的に、現在たとえばガソリンでも四エチル鉛混入したものにはオレンジ系の色をつける、これは人体に対する害を避ける、そういう規定等もございまして、技術的にいろいろうまくいくかどうか、こういう検討が必要ではなかろうかという気がいたすわけでございます。それから特にガソリンというのはタンクからタンク自家用車の場合でも、自家用車タンクというふうになっておりますので、着色だけではたして、いま先生指摘のような趣旨が貫徹できるかどうか、こういう問題等もございまして、いずれ分析の結果の判明を待つわけでございますが、それを待つまでもなく、一つには、私過当競争と申し上げましたが、中には税金を脱税することによって暴利をむさぼるというふうな、どうかと思われる方もあるやに聞いておりますので、やはりこれは全体の商業道徳の高揚の問題でもあるというふうに考えますので、私どもこの問題が起きますと同時に、御承知ガソリン販売業者の各府県単位商業組合、さらにそれを広げました全国的な団体、全石連といっておりますが、そこにも呼びかけまして、そういうふらちなことのないように十分注意を喚起いたしますと同時に、一般消費者に対しても安心して買えるというふうな、いろいろくふうがあるのではなかろうか。新聞Gマークということをいっておりますが、ここなら安心して買えるというガソリンスタンド、これはとりあえず全石連に加盟しておる販売業者だけでございますが、このGマーク運動というものを今後徹底したらばどうだろうか、これはまだ本格的には相なっておりませんが、そういった考え等もございまして、またこの商業組合の、各府県ごとに認可いたしております調整規定の中にも、そういったものを売らないように、こういう規定も実は入っておるわけでございまして、こういう調整規定の励行なりあるいはいま申し上げましたような運動を、今後積極的に進めてまいるというふうなことで努力をいたしてまいりたい。これにつきましては農協関係だとか、あるいはアウトサイダー等の問題もございますが、とりあえずそういうことで、今後だんだん範囲を広げていくというふうにしたらどうだろうかというふうに考えるわけでございます。  それから先ほどちょっと申し上げましたが、せっかくJIS規定があるわけでございます。これは必ずしも十分に活用されておらないんじゃなかろうかという点もございますので、こういった面からも検討をしてまいったらどうだろうか、こういうふうに存じておるわけでございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 ガソリン灯油をまぜたりして売ったりした場合に、現在罰則はございますか。そういう場合にはどういう罰則によって処罰できますか。
  14. 加藤悌次

    加藤説明員 私の直接所管いたしております石油業法だとか、そういった通産省関係の法律をいろいろ見ておるわけでございますが、そういった面ではそういう取り締まりの規定がないようでございます。ただ公正取引委員長がこちらにお見えになっておられますが、昨年制定を見ました不当景品類及び不当表示防止法の四条の規定がそのまま当てはまるかどうか、疑問があるかと存じますが、そういった面の疑問もあるいはあるというふうなことを、間接ではございますが公正取引委員会のほうから伺っておるわけでございます。いずれにいたしましても事実をまず確かめる必要がございますので、何回も申し上げております川口試験所の結果を待ちたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 それから、今度は別な角度から見たいのですが、自動車用ガソリンスタンドで、ハイオクタン並みオクタンといって区別して売っておりますね。ハイオクタンの場合には並みオクタンより一割五分から二割近く高値で売っております。このハイオクタン並みオクタンかということは、消費者立場から一体どういうふうに区分されておるのですか。たとえばハイオクタンスタンドで実はハイオクタンでないものが入っておったという場合には、現在の区分からいうと、ハイオクタン並みオクタンといって、ハイオクタンの場合に高くとっているが、品物ハイオクタン並みかどうかというのは、消費者立場ではわからぬですね。これをわかるように政府が流通段階まで責任を持ってもらわなければ私は困ると思うのだが、ハイオクタンというのはどういうのですか。オクタン価幾つから上がハイオクタンといま言っておるのですか。
  16. 加藤悌次

    加藤説明員 一般的にどういう商慣習で売買がされておりますか、私そこまで承知をいたしておりませんが、現在の日本工業規格では、オクタン価によって規格が変わっております。一号いわゆるハイオクタン、これはオクタン価九十以上でございます。それから二号揮発油が八十以上、こういう分類に相なっておるわけであります。
  17. 板川正吾

    板川委員 ハイオクタンスタンドハイオクタンを全部売っていますか。それは調べたことありますか。全部オクタン価が九十以上あるハイオクタンである、こういうことを調べたことありますか。
  18. 加藤悌次

    加藤説明員 そういう調査をいたした例は最近はないと思います。
  19. 板川正吾

    板川委員 最近もないし、いままでもないでしょう。これは私の資料があるいは間違っているかどうか知りません。この本が古いかどうかも知りませんが、このJIS規格について、一号のガソリンオクタン価九十以上といっておるのはいつから変わりました。この資料はちょっと古いのかもしれませんが、それは分留性状によって一〇%の留出温度というのが幾らになっております。七十五度以下ですか。
  20. 森五郎

    森説明員 お答えいたします。ただいま先生の御質問でございますが、現在の自動車ガソリン規格は、昭和二十七年の六月二十一日に初めてできまして、それから三十六年の十二月一日に改正になっております。先生の御質問でございますが、分留性状(滅失重加算)でございますが、一〇%の場合七十五度となっております。
  21. 板川正吾

    板川委員 七十五度というのは甘いですね。アメリカでは一〇%の留出温度が五十六度でしょう。これは世界的にも大体常識になっておる。それから日本は七十五度以下でよろしい。五〇%の留出温度日本は摂氏百三十度、欧米では百八度、九〇%の留出温度が、日本は二百度以下、外国では百四十九、百五十くらいになっておって、日本ガソリンというのは比較的高い湿度で留出していますから、ある意味では質が悪い、こういうことになっておる。だからハイオクタンと称するものを売らないと、外国車には圧縮の関係からいって合わぬというので、ハイオクタン——ところがハイオクタンは、ハイオクタン並みオクタンか実は消費者にはわからぬ。ハイオクタンといって実は並みオクタンが半分くらい入っておるところもあるかもしらぬ。それはプラグなりを見ればわかるという専門家もいるけれども一般の人はほとんどわからぬ。しかもハイオクタンといえば二割近く高く売れる。とにかく消費者としては、この間の不良ガソリンではないが、いま末端スタンドで売っておるのは、ガソリンと称し、ハイオクタンと称し、軽油と称しておるが、どういうものが入っておるか実はわからない。これは精製段階でごまかすことはないと思う。流通の段階ですね。その点をもっと私は政府が消費者のために責任を持った流通政策というのを立てなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。  公取に伺いますが、先ほど局長も言ったのですが、ガソリンの中に灯油を入れたり、軽油の中に灯油を入れたりしてそういうものを売った場合には、不当表示防止法第四条違反、こういうふうになりますか。
  22. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 ガソリンの中に灯油を入れておいて、しかもそれをガソリンとして売る、こういう商売のやり方をやっていれば、不当表示防止法に違反するというふうに解釈しております。
  23. 板川正吾

    板川委員 不当表示防止法の四条の一では「著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、」、四条の二では「著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、」とありますが、一号ですか、二号ですか。
  24. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 一号でも違反と思いますし、二号でも違反と思います。両方要するに適用できると思っております。
  25. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、公取で今度調査をいたしましたね。その結果が近いうちにわかる。わかった場合は、不当表示防止法違反であるということになりますが、実はそういう混入して販売するというのは、相当広範囲に行なわれておるのです。あながち都市周辺ばかりではないのです。全国的に行なわれておる傾向があるのですね。これはもっと広範囲に調査をする必要があるのじゃないですか。それとも人手がなくて公取ではできないということになりますか。
  26. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 実態についてわれわれのほうももう少し調べてみたいと思っております。今度通産省と共同して行なっておる試買検査、これは一応とにかくトライアルにやってみようという考え方でやっております。したがいましてその結果を見まして、いま板川委員がおっしゃるように、さらにそれがもう少し広範囲にやる必要がある——板川委員の御結論ですと、必要があるのじゃないかという御結論ではないかと思いますが、その点につきましてはわれわれのほうとしましても、結果を見まして、もしあなた方と同じような結論が分れば、もっと広範囲にやる。その場合におきまして、もちろん私のほうも人員には限度がございますが、通産省その他関係の各官庁といいますか、県とかそのほうのいろいろ御協力を願い得るところもあろうかと思いますから、できるだけの動員をしましてやってみるということが出てくるのじゃないか。とりあえず、とにかく一応今度の結果を見た上で、そのあとの問題はさらに考える、かように考えております。
  27. 板川正吾

    板川委員 不当表示防止法違反ということになりますと、排除命令を出せるということにもなりますね。しかし、これは排除命令を出しただけではあまりきき目はないと思いますがね、やはりこれは独禁法に基づく公表という制度、この店は調査した結果、たとえば不当表示防止法違反の行為があった、こういうことを社会一般にあらわす、こういうことでないといまのところ、これはさっき局長が言ったように、実は罰則がないのですよ。いまの法律で罰則があるとすれば、独禁法に基づく不当表示防止法違反として、そのスタンドなり業者なりを社会一般にその事実を公表せしむる、こういうことくらいしかないんじゃないですかな。そういう方法でもとることによって、そういう不公正な販売方法というのを取り締まっていく必要が当面あるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  28. 渡邊喜久造

    ○渡邊説明員 過去においてわれわれのほうで、いわゆる甘くない砂糖の問題とか、同じような性格のものがありました。調べてみまして、いわばきわめてその程度の軽いものにつきましては、行政指導で今後こういうことをやるなと言う程度にとどめましたが、極端なものにつきましてはわれわれのほうも排除命令を出しました。排除命令を出しますともちろん官報に告示されますし、同時にその機会においていわゆる新聞発表というふうな措置がとられます。したがいまして、独禁法にいう公表という条文を使う使わないにかかわらず、一応こういう会社においてこういう事実があったということは、かなり周知方ができるのじゃないだろうかと思います。それでなおかつ足りないか足りるかという点については、先日の問題ですでに御承知だと思いますが、あれで相当具体的な名前も出てまいります。不当表示防止法の範囲内で排除命令をやることが先生のいわゆる事実上の公表になるのじゃないか、かように考えております。
  29. 板川正吾

    板川委員 ひとつ全国の石油消費者が安んじて買えるような流通段階の整備といいますか、こういう点を通産省、公取で今後検討していただきたいと思うのです。その面で一つの私案といいましょうか、考え方を一応申し上げておきます。  第一はJIS規格を整備する必要があるのじゃないか。自動車が国際商品になってくる。その燃料であるガソリンども国際的な規格にそろえる必要があるのじゃないかと思うのです。そういう意味で日本JIS規格は、特にガソリンについてはどうも規格が甘いように考えるので、この際ひとつ再検討をしてもらいたいと思うのです。  それから、さっきちょっと言いましたように、異なる石油製品を混入した場合には、ひとつだれにもわかるような識別なり反応試験なりを新聞等では検討しておると書いてありますが、さらに検討してもらいたいと思うのです。しかし、できれば流通段階で責任を明らかにして、そういった反応試験、色で識別しなくても絶対にできないというような流通段階の責任制というのをひとつ明らかにするようにしてほしいと思うのです。新聞等によると、シェルという会社では輸送の段階で封印をしてきちんとスタンドへ入るまで、これはこういう性質の石油製品が入っていますということを精製会社が責任を持って封印してある。ところがいままでの例は、いつか新聞にありましたようにローリーの運転手ガソリンを運びながら途中で売り飛ばして、灯油を入れて、それを相手方のスタンドへ運ぶ、こういうような不正行為を行なう運転手なんかもあるわけですが、そういうことができないように輸送段階流通段階において責任制というのをはっきりするような行政指導をしてもらいたい こう思うのです。  それから不良品の仕入れ先が不明の場合、先ほど公取委員長とちょっと話したのですが、どうもどこでまぜたかわからないから、それを処罰するなり注意をするなりという対象がなかなかはっきりしないというのです。しかし私は、最終的には消費者に売る販売店が責任を持つという態度を確立してもらいたいと思うのです。それはなるほどだれがどこでまぜたか知らぬけれども、しかし、このガソリンは安く買えるのだからといって安いものを売ろうとすれば、大体いまの例からいうと灯油なりがまざっているのです。安いガソリンの中にはほとんどまじっているのです。ですから、ある程度承知で買うようなかっこうになるわけですから、最終的な責任を最終販売者であるスタンドが持つ、こういうふうにしないといかぬじゃないか、こう思うのです。  それから、公取と通産省が力を合わせて、大都市周辺じゃなくて、全国的な臨検を今後もなお継続してもらいたいと思います。スタンドに立ち入り検査する権限は現在ありませんね。ですから立ち入り検査するような権能を持たせることも私は必要だ、こう思います。  そういったことを公取と通産省両方の面でやってみて、公取としてはこの不当表示防止法を活用して大いにやってもらって、なおかつ流通段階の適正化がはかれないということになれば、スタンドの認可制ということに踏み切ることもやむを得ないのではないか、こう思うのです。現在ではインチキ販売をしても別に罰則がないのです。税金を取られるわけじゃないし、営業停止を食らうわけじゃないのです。こういうところに問題もあると思うのです。だから、そういう結果どうしてもだめならば、スタンド認可制というものに踏み切っていくべきじゃないか、こう思うのですが、こういった諸点に対してどう考えておられますか。
  30. 岡崎英城

    ○岡崎説明員 ただいま先生から御指摘のございました数項の点につきましては、十分当局といたしましては考慮いたしまして、続いて公取とよく交渉いたしまして、全般的な調査をいたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思う次第でございます。臨検制を確立するとかいうようなことは非常に重大な問題でもございますし、いま調査しております結果を見て、先生の御指摘の問題についての検討をいたしまして、とくと考慮させていただきたいと思う次第でございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 臨検はいまでもできますからね、ただ立ち入り検査はできないそうです。しかし立ち入り検査といっても、店へ入って中の品物を調べるという程度ですから、やってできないことじゃないし、人権じゅうりんというようなこともない、立ち入り検査というのは、ほかにもそういう意味じゃずいぶんありますし、警察官の立ち入り検査じゃないからできると思うので、検討していただいて、とにかく大衆商品となっておるガソリン軽油を国民が安心して買えるような流通段階の整備というものをひとつやっていただきたい、こう思います。  それでは次のアラビア石油外資提携問題について伺います。  次官でも局長でもいいですが、新聞によりますと、アラビア石油が米国の石油会社であるシティーズ・サービス会社と提携して、資本の四分の一を持ってもらう、それに見合って産油原油の四分の一をシティーズ社に買ってもらうという契約内容が報道されました。通産省に正式に伺いが出ておる、こういうことも報道されておりますが、本件に関しまして通産省はどういう考え方を現在とられておりますか。
  32. 加藤悌次

    加藤説明員 先生ただいま御指摘のような新聞の記事が出まして、それと前後いたしまして私どものほうへ、半ば公式と申しますか、お話を承ったわけでございます。ただ、いま先生の御指摘の二五%出資参加するということは、実は事実と相違いたすわけです。大体の考え方は、アラビア石油が生産いたしました原油の一定割合、これが二五%になっておりますが、これを長期的に買い付けをやる、それと同時に、世間に誤解を招くのはそういう点だろうと思いますが、過去においてアラビア石油が投資いたしております資金があるわけですが、この資金の二五%、これを原油買い付けの前払い金ということで、相当な長期間にわたってこれを買い付ける、すぐ現ナマをアラビアに払う。それから今後生産される分につきましての必要な経費、さらに二五%分に相当する現地の政府に対する利権料等の支払い、これは相手がシティーズ・サービスという会社でございますが、そちらから払いましょう、今後買い付けるものについて一バーレル当たりある一定の幅のマージン、これは保証をいたしましょう。大体大ざっぱに申し上げますと、そういう内容の話が出ております。この話し合いは実は昨年のたしか秋ごろからと申しますか、もともとアラビアの石油を買いたいというほかの外資系の会社もございまして、そういう話と並行して進んでおったのでございますが、ある程度話が煮詰まってまいりましたのは昨年の暮れ、あるいはことしの初めのころのようでございますが、これはまだ当事者の間での大筋の合意が見られたという段階でございまして、細部につきましては今後これからまだ話を詰めてまいる、こういう段階にあるわけであります。それで、これはまだ通産省としても本格的に関係の部局の間で取り上げて検討するという段階にはないわけでございますが、一応私ども鉱山局の所管の考え方としては、やはり大筋として、これはいわゆる準国産原油ということで、安定供給の一環といたしまして民族資本の手で海外の原油を開発するのだという考え方でおるわけでございます。それによって生産されたものは、できれば一〇〇%国内へ持ってまいりまして、安定供給の一環として考えたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。やはりその線をはずすというふうなことがあってはならないという考え方を持っております。そういった趣旨での検討も今後いよいよ具体化してまいりますので、会社のほうへの考慮も十分加えていただく、こういうふうなお願いはいたしておるわけでございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 まだ最終的にきまったわけじゃないから私も詳しいことは聞きませんが、しかし新聞等に伝えられるように、四分の一程度資本参加を許し、今後も出資をしてもらい、四分の一程度の原油を引き取る、こういう形になると、新聞の報道のとおりになりますと、たとえ四分の一でもいわゆるひもつきということになるわけでございます。しかしそういうことになると、これは石油業法の制定当時の趣旨——石油業法十七条によると、大臣は石油審議会に、石油の安定かつ低廉な供給確保に関する重要事項を調査審議させることができる、こうあるわけですが、重要な事項として、私はそういうふうな場合にはひとつ石油審議会にはかりて、慎重な討論を経た上結論を出してもらいたい、こう思います。  それはそれで要望しておきますが、次に、アラビア石油外資提携考えるに至った理由、どうしてそういうふうに外資提携考えるようになったのでしょうか。たとえば日本の原油の処理量は昭和三十九年で七千七百万トンでしょう。四十年で八千八百万トンですか、大体九千万トン近く原油を買う、こういう中で、準国産油といわれるアラビア石油が、国内の引き取り体制が不十分のためによそへ売る、こういうふうに考えざるを得なくなったのは、一体どういう趣旨でアラビア石油はそういう考え方をとったのでしょうか。
  34. 加藤悌次

    加藤説明員 昭和三十七年の初めごろから、いよいよ本格的にアラビアの石油が出るというときに際しまして、この国内の受け入れ体制をどうするかということが非常に問題になったわけでございます。御承知のように、現在いわゆる外資系の会社につきましては、例外はございますが、原則的に一〇〇%提携先から原油の供給を仰ぐ、実はこういう契約がございまして、特に三十七年の十月から、御承知の原油の輸入が自由化されたわけでございます。この自由化にあたりましては、この基本的な話し合いの線に沿って、少なくとも外資系については一〇〇%提携先から買わせろという強い要望等もあったわけでございますが、先ほど申し上げました、わが国の今後ますます重要度を増していきますエネルギー源の重要な一環としての石油の安定供給、これをはかることは石油政策の一つの大きなかなめでもございますので、そういった面からこのアラビア石油考えますときに、この原油をできれば一〇〇%国内へ持ってまいって製品化するということがどうしても必要なことであろうと考えるわけであります。当時相当議論があったわけでございますが、結果的には昭和三十七年度五百万キロリットル、三十八年度八百万キロリットル、三十九年度一千万キロリットル、これの引き取りを国内の石油精製会社の共同責任によって保証する、こういうことになりまして、昨年の例を申し上げますと、八百万キロという予定の線を五十万ばかりオーバーいたしまして、八百五十万の引き取りがなされておりますが、本年度につきましても大体一千万、われわれの努力目標といたしましては千百万くらいの引き取りをやってもらいたい、しかも原則的には、民族系といわず外資系といわず、これをプロラタ方式で引き取ってもらう、こういう方式で現に引き取りが行なわれておるわけでございますが、アラビア石油といたしましては、この間コマーシャル・ベースでの話し合いの面で相当苦労しておる。特に御承知のカフジの原油が比較的他のものに比べまして硫黄の含有量が多い、こういう関係もございまして、例の鉱害問題等ともからんで、国内の精製業者はできるだけこの引き取りを少なくしてもらえれば、こういう逆の希望等もありまして、なかなかスムーズに商談が運ばない、こういうのが現実の姿であろうかと存ずるわけであります。一応本年度までの引き取りはそういうことで確約をされておるわけでございますが、来年度以降の引き取りの問題については、まだ何ら、当然でございますが、当事者同士の話し合いも進んでない。したがいまして、政府のほうでもまだ引き取りの問題に介入してあっせんするというふうな段階にもなっておらないわけであります。昭和四十年度になりますと、大体現地の生産能力としては千四百三十万キロ、これでいろいろの面を考慮して積み出しの一応の予定としては千三百万キロという数字になっておるわけであります。そういった生産が今後だんだんふえる。したがって積み出しがふえていくに応じまして、国内の引き取りを増量しなければいかぬ、こういう問題が一つのアラビア石油としては頭痛の種ではなかろうか。私ども政府といたしましては、何回も申し上げますような趣旨で、できれば必要な場合には政府が間に入ってあっせんをいたし、あるいは今後さらに強力な行政指導も必要によってはすべきではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけでございますが、アラビア自身としては、やはり一つの商取引上のかけ引きと申しますか、ということもございましょうし、また性状が非常に硫黄分が多いという点もございまして、場合によればこれを他のところに売却をいたしまして、それでかせいだ外貨で、国としては他の一般に要望のあるような原油を買って持ってくればいいんじゃなかろうか、こういう考え方も成り立つわけであります。そういう感じで、一部のものの海外への売却について、相当古くから話し合いをされておった、こういうのが実情ではなかろうかと存ずるわけであります。
  35. 板川正吾

    板川委員 御承知のように、アラビア石油の場合には、現地の政府と四十年間の有限契約ですね。四十年間のうちに掘ったものはこっちでとれるが、それから先は全部施設を引き渡すという契約になっておる。それから鉱区の開発を怠れば、五年に一〇%ずつ放棄するという放棄条項がある。したがって早く開発し、早く石油を使用しなければ、結局損失ということになる。早く開発していきたいんだが、しかし国内の引き取り体制というものは壁にきている、こういう形で実は外国へ売ったり、しかも安い外国の金利の金を借りよう、いわばひもつきということになるのです。そういう方向になろうとするような気持ちになるのも、アラビア石油としてはある程度やむを得ないという気持ちになるかもしれません。しかしこれは日本石油業法をつくったときの、三分の一程度はひものつかないものを置いて、そして競争を確保することが低廉かつ安定的な供給の基本だ、こういうことになっておるのですね。アラビア石油が外資のひもがつくということになれば、これは全部つくということになるのですね。これは冗談を言うんですが、原子力潜水艦じゃないけれども、最初はノーチラス号だというのが、その次はポラリス号だということにならないとも限らない。最初は四分の一だというけれども、やがて半分ということにならないとも限らない。こう思うので、私はこの辺が、政府も石油政策をひとつ本気で考えていかなければならない重要な曲がりかどじゃないかと思うのです。いま局長が言ったように、アラビア石油では四十年には大体千五百万トン。今日すでに千三百万トン出せば出せるのですね。九月が百八万トン出たそうであります。百八万トンというのは、年間ベースにすると千三百万トン。来年は千五百万トンくらい積み出しが可能となっておる。しかし、国内の引き取りは一千万トンまでは約束があります。しかし、一千万トン以上の引き取りというのはいまないのですよ。来年一千万トン以上引き取るという約束がない。いま局長は、まだどうしようということを政府は考えていない、こういうのですね。考えていないということは、アラビア石油がよそへひもつきになって相当量売り込むこともやむを得ないという前提じゃないですか。私はそれじゃ石油業法制定の趣旨からいって問題だと思う。とにかく、七千七百万トン本年必要だというときに一千万トン買う約束をしておって、来年それが八千八百万トン、一千万トンもふえるのですね。一千万もふえる中で、カフジ原油は引き取り体制がやはり依然として一千万トンというような形になっておる。だから、アラビア石油としては開発しても持ってきょうがない、だからよそへ売らざるを得ない、こういう気持ちになるのですね。原油が自由化されている今日、もしアラビア石油がよそへ売っていいというなら、外国系の石油会一が一千万トン引き取る理由がありましか。アラビアさんが三百万トンでも一百万トンでも外国に売るんじゃ、どうぞ一千万トンのほうもそういう商業ベースで売っていただきたい、私のほうは約束どおりひもつき原油ではないけれども、引き取り会社から取ります。一千万トン強制される必要はないじゃないですか、こういうふうに外国石油が居直った場合にどうなりますか。そうなればアラビア石油を政府が中に入って引き取りをさせようといっても、引き取らないと言われてもしかたがなくなるんじゃないですか。三百万トンでも四百万トンでもアラビア石油がよそへ売るのですから、どうぞその趣旨で来年は八百万トン売ってください、その次は一千万トン売ってください、そして三年か五年後には私どもは買わないようにしてもらいたい、岳に買わないというと悪いから、若干年数を置きましょう、三年計画でゼロにしましよう、こういうふうな申し入れを受けた場合に、アラビア石油が全部よそへ売らなくちゃならないということにならないとも限らないのですよ。いま局長は、それをよそに売って、また日本は買えばいいじゃないか、それはよそへ売って外貨を得て、その外貨で買えばいい。それは同じように見えるかもしれませんが、百姓が自分のところでとれた大根や菜っ葉を安く八百屋へ売って、自分はよそから菜っ葉や大根を買って生活したら、百姓の生活は経済からいったって成り立たないでしょう。自分のところで掘れたガソリンはよそへ売って、よそでもうけて売りますよ。しかし今度はその金でよそから買えば、よそでもうけてますよ。それと同じようになって、日本経済の国際収支の面からいったってマイナスじゃないですか。だから、私は、この辺で政府も石油業法の趣旨を尊重して、このカフジ原油を引き取るのについて、もっと責任を持って引き取り体制というものを強化してやるべきじゃないでしょうか。それでなければアラビア石油としてはよそへ売る。いまの局長の話では、できるのは一千五百万トンだから、五上百万トンばかりよそへ売らなければならない、よそへ売っちゃいけないというわけにはいかないでしょう。だから私はその引き取り体制について、この際政府も抜本的な考え方を持つべきじゃないか。去年のいまごろだと思いますが、前の通産大臣の福田さんに引き取り体制について強化しろと言ったら、新政策を発表してやりましょう、こういうようなある程度の約束があった。ところが予算の関係その他において新しい政策というのは出なかったのですね、それで今日になったのですが、いまのままでいけば、アラビア石油が準国産油といい、ひものつかないものとして低廉かつ安定的な供給源という柱になっておる。これを安んじて開発ができるように、安んじて引き取りができるような方法を政府として考えてやるべきじゃないか。そうでないと、これはアラビア石油はどうしようもないという形になりますね。この点を、来年度の新政策をいま検討中、だと思いますから、鉱山局長も通産大臣もひとつ慎重に検討していただきたいということを要望いたします。
  36. 加藤悌次

    加藤説明員 ちょっと先生誤解があったのじゃなかろうかと存じますのであらためて申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げました国外で取りかえっこをしてほかの油を入れてもいいじゃないか。これは実は硫黄分の非常に多いという問題もございますので、抽象的な考え方としてはそういう考え方も成り立つのじゃないかというふうな感じを一般的にアラビア石油さんあたりも持っておられる、そういう感じでアラビア石油が売るということもお考えになったのじゃなかろうかということを申し上げたわけでありまして、私は何回も申し上げますが、やはり石油業法制定の際問題になりました基本ラインはくずすべきじゃない。それから本年度一千万トンということになっておりますが、先ほど御指摘のように、処理糧もどんどんふえていくわけでございます。たとえば昨年で申しますと、全体の引き取りましたうちの一三・七%、一四%弱でございますが、これがアラビア石油ということになっておりまして、少なくともこの実績があるとすれば、この程度の実績、あるいは、将来割合としてそれ以上のものを引き取ることも可能じゃなかろうかということも考えられるわけでございます。新政策と申しますか、かねがね私どもはそういった頭で国内の石油精製業者の協力を願っておる。また石油業法に基づく設備の新しい許可の場合等にも、そういった面についてのいろいろ条件と申しますとなんでございますが、つけて許可するというふうなこともございまして、今後やはりそういった方向での強力な行政指導を引き続き行なってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 それじゃ最後に、アラビア石油の実績が一四・何%ですね。ですから、来年度八千八百万トンなら、大体千三百万トンくらいは同じベースなら引き取れるというかっこうになりますね。ただそれは割合とすればそういうふうになるというだけで、政府が何ら干渉しようと思わないというような意味のことを言ったものだから、そういう程度の引き取り体制を政府としても考えており、他の石油精製会社にもその程度はひとつ頼むようにする、こういうふうにしてやるというならいいですよ。ただ別にまだ考えてもいない。それじゃ来年一千万トンか。能力は一千五百万トンもあるのに一千万トンに抑えておくというのは、国家的に経済面からいってマイナスですから、そういう点を安心して開発でき得るような引き取り体制というものについて、ひとつ政府ももっと努力してもらいたい、こう思います。
  38. 二階堂進

    ○二階堂委員長 次会は、来たる十月九日金曜日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会