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板川委員 御
承知のように、アラビア
石油の場合には、現地の政府と四十年間の有限契約ですね。四十年間のうちに掘ったものはこっちでとれるが、それから先は全部施設を引き渡すという契約になっておる。それから鉱区の開発を怠れば、五年に一〇%ずつ放棄するという放棄条項がある。したがって早く開発し、早く
石油を使用しなければ、結局損失ということになる。早く開発していきたいんだが、しかし国内の引き取り体制というものは壁にきている、こういう形で実は
外国へ売ったり、しかも安い
外国の金利の金を借りよう、いわばひもつきということになるのです。そういう方向になろうとするような気持ちになるのも、アラビア
石油としてはある
程度やむを得ないという気持ちになるかもしれません。しかしこれは
日本の
石油業法をつくったときの、三分の一
程度はひものつかないものを置いて、そして
競争を確保することが低廉かつ安定的な供給の基本だ、こういうことになっておるのですね。アラビア
石油が外資のひもがつくということになれば、これは全部つくということになるのですね。これは冗談を言うんですが、原子力潜水艦じゃないけれ
ども、最初はノーチラス号だというのが、その次はポラリス号だということにならないとも限らない。最初は四分の一だというけれ
ども、やがて半分ということにならないとも限らない。こう思うので、私はこの辺が、政府も
石油政策をひとつ本気で
考えていかなければならない重要な曲がりかどじゃないかと思うのです。いま
局長が言ったように、アラビア
石油では四十年には大体千五百万トン。今日すでに千三百万トン出せば出せるのですね。九月が百八万トン出たそうであります。百八万トンというのは、年間ベースにすると千三百万トン。来年は千五百万トンくらい積み出しが可能となっておる。しかし、国内の引き取りは一千万トンまでは約束があります。しかし、一千万トン以上の引き取りというのはいまないのですよ。来年一千万トン以上引き取るという約束がない。いま
局長は、まだどうしようということを政府は
考えていない、こういうのですね。
考えていないということは、アラビア
石油がよそへひもつきになって相当量売り込むこともやむを得ないという前提じゃないですか。私はそれじゃ
石油業法制定の趣旨からいって問題だと思う。とにかく、七千七百万トン本年必要だというときに一千万トン買う約束をしておって、来年それが八千八百万トン、一千万トンもふえるのですね。一千万もふえる中で、カフジ原油は引き取り体制がやはり依然として一千万トンというような形になっておる。だから、アラビア
石油としては開発しても持ってきょうがない、だからよそへ売らざるを得ない、こういう気持ちになるのですね。原油が自由化されている今日、もしアラビア
石油がよそへ売っていいというなら、
外国系の
石油会一が一千万トン引き取る理由がありましか。アラビアさんが三百万トンでも一百万トンでも
外国に売るんじゃ、どうぞ一千万トンのほうもそういう商業ベースで売っていただきたい、私のほうは約束どおりひもつき原油ではないけれ
ども、引き取り会社から取ります。一千万トン強制される必要はないじゃないですか、こういうふうに
外国石油が居直った場合にどうなりますか。そうなればアラビア
石油を政府が中に入って引き取りをさせようといっても、引き取らないと言われてもしかたがなくなるんじゃないですか。三百万トンでも四百万トンでもアラビア
石油がよそへ売るのですから、どうぞその趣旨で来年は八百万トン売ってください、その次は一千万トン売ってください、そして三年か五年後には私
どもは買わないようにしてもらいたい、岳に買わないというと悪いから、若干年数を置きましょう、三年計画でゼロにしましよう、こういうふうな申し入れを受けた場合に、アラビア
石油が全部よそへ売らなくちゃならないということにならないとも限らないのですよ。いま
局長は、それをよそに売って、また
日本は買えばいいじゃないか、それはよそへ売って外貨を得て、その外貨で買えばいい。それは同じように見えるかもしれませんが、百姓が自分のところでとれた大根や菜っ葉を安く八百屋へ売って、自分はよそから菜っ葉や大根を買って生活したら、百姓の生活は経済からいったって成り立たないでしょう。自分のところで掘れた
ガソリンはよそへ売って、よそでもうけて売りますよ。しかし今度はその金でよそから買えば、よそでもうけてますよ。それと同じようになって、
日本経済の国際収支の面からいったってマイナスじゃないですか。だから、私は、この辺で政府も
石油業法の趣旨を尊重して、このカフジ原油を引き取るのについて、もっと責任を持って引き取り体制というものを強化してやるべきじゃないでしょうか。それでなければアラビア
石油としてはよそへ売る。いまの
局長の話では、できるのは一千五百万トンだから、五上百万トンばかりよそへ売らなければならない、よそへ売っちゃいけないというわけにはいかないでしょう。だから私はその引き取り体制について、この際政府も抜本的な
考え方を持つべきじゃないか。去年のいまごろだと思いますが、前の通産大臣の福田さんに引き取り体制について強化しろと言ったら、新政策を発表してやりましょう、こういうようなある
程度の約束があった。ところが予算の
関係その他において新しい政策というのは出なかったのですね、それで今日になったのですが、いまのままでいけば、アラビア
石油が準国産油といい、ひものつかないものとして低廉かつ安定的な供給源という柱になっておる。これを安んじて開発ができるように、安んじて引き取りができるような
方法を政府として
考えてやるべきじゃないか。そうでないと、これはアラビア
石油はどうしようもないという形になりますね。この点を、来年度の新政策をいま
検討中、だと思いますから、
鉱山局長も通産大臣もひとつ慎重に
検討していただきたいということを要望いたします。