運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-07-31 第46回国会 衆議院 商工委員会 第63号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三十一日(金曜日)    午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君  理事 小平 久雄君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       大石 八治君    海部 俊樹君       菅野和太郎君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 榮一君       田中 正巳君    三原 朝雄君       南  好雄君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君         国務大臣    高橋  衛君  委員外出席者         経済企画政務次         官       伊東 隆治君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君         通商産業政務次         官       村上 春藏君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君         運輸事務官         (港湾局参事         官)      河毛 一郎君         自治政務次官  高橋 禎一君         消防庁次長   川合  武君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      伊規須徳博君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 六月三十日  委員藤田高敏辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として藤田  高敏君が議長指名委員に選任された。 七月三日  委員大石八治君辞任につき、その補欠として菅  野和太郎君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員沢田政治辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として沢  田政治君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員神田博辞任につき、その補欠として大石  八治君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員岡崎英城君及び始関伊平辞任につき、そ  の補欠として田中榮一君及び竹下登君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十六日  一、鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出   第五三号)  二、消費者基本法案春日一幸君外一名提出、   衆法第一号)  三、官公需中小企業者に対する発注の確保に   関する法律案松平忠久君外二十八名提出、   衆法第二五号)  四、中小企業組織法案松平忠久君外二十八名   提出衆法第二六号)  五、通商産業基本施策に関する件  六、経済総合計画に関する件  七、公益事業に関する件  八、鉱工業に関する件  九、商業に関する件  一〇、通商に関する件  一一、中小企業に関する件  一二、特許に関する件  一三、私的独占の禁止及び公正取引に関する件  一四、鉱業一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業に関する件(株式会社宝組勝島倉庫爆発  事故等に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  このたび通商産業大臣就任されました櫻内義雄君を御紹介申し上げます。
  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 去る十八日の内閣改造に際しまして通産相のほうに就任をいたした次第であります。まことに微力非才な者でございますが、皆さま方の御支援のもとに大過なく職責を遂行いたしたいと思います。私は国会皆さま方の意を体しましてこれを行政面に強く反映させて通産省の仕事の上に寄与せしめたい、かように心がまえを持っておるようなわけでございますが、この上とも皆さま方の御支援、御鞭撻をひとえにお願いをいたしまして、まことに簡単で恐縮ではございますが、私の就任のごあいさつにいたしたいと思います。くれぐれもよろしくお願いいたします。(拍手
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、このたび経済企画庁長官就任されました高橋衛君を御紹介申し上げます。
  5. 高橋衛

    高橋(衛)国務大臣 今回はからずも経済企画庁長官を拝命いたしました高橋でございます。まことに浅学非才でございまして十分に職責を全うし得るかどうか、責任の重大さを痛感いたしておる次第でございますが、何とぞ従前に増して国会皆さまの御支援と御協力をお願いいたす次第でございます。(拍手
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、通商産業政務次官就任されました岡崎英城君を御紹介申し上げます。
  7. 岡崎英城

    岡崎説明員 ただいま御紹介をいただきました岡崎英城でございます。非常に未熟な者でございますが、皆さまの御支援をいただきまして職務を全うさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、同じく通商産業政務次官就任されました村上春藏君を御紹介申し上げます。
  9. 村上春藏

    村上説明員 今回の内閣改造通産政務次官就任いたすことになりました。まことに浅学非才、特に通産行政は全くのしろうとでございます。皆さまの御指導、御鞭撻によりましてこの重責を果たしたいと思います。どうぞ御協力をお願いいたします。(拍手
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 最後に、経済企画政務次官就任されました伊東隆治君を御紹介申し上げます。
  11. 伊東隆治

    伊東説明員 御紹介をいただきました伊東でございます。はからずも経済企画庁政務次官を拝命いたしました。ふなれな者でございますが、どうか御支援と御協力のほどをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 工業に関する件について調査を進めます。  株式会社宝組勝島倉庫爆発事故等に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  13. 板川正吾

    板川委員 去る七月十四日の夜起こりました品川宝組倉庫爆発事件に関しまして、殉職された十九名の消防職員及びその家族に対しまして深甚な弔意を表するとともに、事件原因等について究明し、あわせてこの際、相次いで惹起しつつあります産業災害予防体制という問題について関係者に若干の質疑をいたしたいと思います。  まず消防庁に伺いますが、宝組倉庫爆発事件てんまつについて、ひとつ報告をしていただきたいと思います。
  14. 川合武

    川合説明員 勝島倉庫爆発火災の概要について御報告を申し上げます。  発生日時は三十九年七月十四日、二十二時でございます。発生場所品川勝島一丁目でございます。会社は宝組勝島倉庫責任者は社長本沢幸男でございます。  火災の経過でございますが、二十二時爆発発火と同時に、これは馬込の望楼で覚知発見をいたしております。相次いで第二出場、第三出場、第四出場をいたしました。二十二時から始まりまして二十二時十三分、第四出場をいたしております。延焼防止は翌十五日にかかりまして零時二十七分、鎮火は同じく十五日の一時三十八分、残火処理終了は十五日十四時ちょうどでございます。  殉職いたした者は消防吏員十八名、消防団員一名、計十九名、負傷者消防吏員八十名、消防団員九名、一般−と申しましても警察官を含みますが二十五名、計百十四名が負傷者でございます。  建物の被害と申しますか焼損でありますが、全焼は十棟でございます。部分焼と申しますか、ぼや程度に終わっておりますが、部分焼に至りましたものは三棟でございます。これは御承知のように宝組倉庫の所在は点々といたしておりますが、この地区におきまするところの延焼防止をいたしまして、焼け残りました倉庫は六棟でございます。火災の損害でございますが、見積もり額五億五千万円でございます。  この災害状況でございますが、御承知のように広範囲に、しかも多量危険物が違法に貯蔵されておりましたために、非常に急速な延焼拡大をいたしたわけでございます。なお火災初期におきまして、爆発的な燃焼形態をとるというようないわゆる危険物火災でございますために、延焼速度が非常に早かったわけでございます。  殉職者の発生しました理由と申しますか、その状況でございますが、消防隊が現場に到着いたしましたときの様相は、先ほどから繰り返しますが、危険物特有の非常に急激なラディカルな燃焼形態を示しておりまして、特に小爆発が間断なく起こっておりまして、消防隊員硝化綿その他の危険物品燃焼しているのを察知いたしましたので、いわゆる化学消火態勢高圧強力注水防御形態をとった次第でございます。この消防活動は効を奏しまして、この地区野積みにされておりました多量硝化綿及び隣接建物への延焼阻止に大体成力したと思われたわけでございます。ところがこの時期におきまして、まさにこの時期におきまして、これも御承知のところでございますが、メチル・エチル・ケトン・パーオキサイドと申します。危険物といたしましても私どもが非常に危険視いたしておりますところの、危険物中の危険物と申されるところのこのものが無届けで、いわゆる危険物倉庫でない一般倉庫の中に保有されておったわけでございます。消防隊員は大体危険物倉庫並びにその延焼状況を見まして包囲態勢と申しますか、いわゆる戦闘配置につきまして消火活動をやっておりましたのでございますが、目の前のいわば鼻っ先の一般倉庫、そこにはよもや危険物が入っておるというふうに予想しておりませんでした。そのところに無届けでただいま申しました強力なるメチル・エチル・ケトン・パーオキサイドが入っておりまして、これが爆発をしましたために、爆風及び急激な燃焼により十九名の殉職者を出した次第でございます。  危険物倉庫として私どもが指定いたしており、また貯蔵されて、正規と申しますかいわゆる危険物倉庫として指定されておりましたものは、この地区におきましては二つございます。別敷地に二つございますが、この地区におきましては二つでございます。くどくなりますが、先ほどから申しましたように、野積みあるいは四つほどの一般倉庫危険物が入っております。いわゆる違反状態として、危険物指定倉庫以外の一般倉庫危険物が入っておりましたのが四倉庫あったわけでございます。  消防出動状況は、消防職員千百九十五名、消防団員三百八十一名でございます。消防出動台数は、化学車十八台を含めまして、ポンプ車救急車高圧車、はしご車、消防艇照明車排煙車救援車無線車予備車等を含めまして百七十三台でございます。  以上が概略の報告でございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 まず原因の究明に入る前に一般論として伺いたいのですが、昭和三十年を一〇〇としてわが国の消防予算、それから消防関係の人員、消防能力、こういったものがどういう程度に充実をされておるか、それと同時に、最近御承知のように非常な爆発物あるいは非常に可燃性の高い物質、そういった危険な物質が非常にふえておると思うのであります。そのふえている割合と、消防力というかそういうもののバランスを考えてみたいのです。  それはなぜかというと、最近川崎の昭和電工で工場災害がありました。新潟でも地震による昭和石油災害があった。今回品川における爆発事故、幸いにしていわゆる大災害的にはならなかった。しかしこういう事件が最も条件の悪いときに爆発したならば、東京大震災に匹敵するような災害がいつ起こるかもわからない状態にあるのではないかと思います。われわれ国民の一人としてそういう点を非常に心配をするわけでありますが、この消防能力危険物扱い数量増加割合はどういう関係を持っておるか、こういう点について消防庁及び通産省にお伺いいたしたいと思います。
  16. 川合武

    川合説明員 危険物物品増加状況でございますが、御指摘のとおり急激に増加をいたしておるわけでございます。もっともものによりましては、それほどでないものもございますが、趨勢といたしまして非常に増加をいたしております。これを個々に申し上げますと、非常に多くの危険物状況でございますし、かつ平均と申しましてもまた実相と少し違ってまいりますものでございますから、一、二の例を申し上げさしていただきますと、塩素酸ソーダ昭和三十年を一〇〇といたしますと昭和三十八年が四七七でございます。黄燐を例にとりますと、昭和三十年の一〇〇に対しまして三十八年が五五五でございます。エーテルでございますと、昭和三十年の一〇〇に対しまして三十八年は一〇二でございます。メチル・エチル・ケトンは、これは御承知のようにごく最近のものでございますが、昭和三十年、三十一年の統計はございませんで、昭和三十二年を一〇〇といたしまして五三七〇という非常に急激に増加をいたしおります。もう一つ申し上げますと硝化綿ございますが、これは昭和三十年の一〇〇に対しまして一一二という数字でございます。  消防力の問題でございますが、消防吏員数昭和三十年度は二万九千六円五十五人でございましたが、これが昭和三十八年は四万一千四百一人でございます。その伸びました数字状況をざっと申しますと、三十年度二万九千、三十一年度三万、三十二年度三万一千、三十三年度三万二千、三十四年度三万三千、三十五年度三万五千、三十六年度三万六千、三十七年度三万八千、三十八年度四万一千。消防費でございますが、三十年度の決算額をここへ持ってきておりませんので恐縮でございますが、三十一年度は二百十六億、三十二年度が二百四十二億、三十三年度が二百六十億、三十四年度が二百七十五億、三十五年度が三百八億、三十六年度が三百六十億、三十七年度が四百二十三億でございます。三十八年の決算はまだ明確にいたしておりません。消防ポンプ自動車でございますが、これは昭和三十年が一万二千四百十七に対して三十八年は一万五千百九十六、指教で申しますと、三十年から三十八年を読み上げますと、一〇〇、一〇三、一一〇、一一五、一二〇、一一六、一一〇、一二二、一二二、こういう状況でございます。なお小型動力ポンプもございますが、これは省略させていただきますが、大体二倍半の増加でございます。  以上の状況でございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 これは新任の通産大臣にも将来行政をやる場合にひとつよく念頭に置いていただきたいと思うのですが、昭和三十年を一〇〇として、全国消防力というのは大体三割から三割五分程度しかふえてないのですね。私の調査によりますと、いまの消防というのは市町村が中心の消防ですから、全国消防費の比率で三十年−三十七年を見ますと八割六分ふえておる。一八六になっております。しかしこの間物価が三〇%も上がっておりますから、実際はもっと低いということになります。それから消防職員は私の計算では、三十年と三十八年では三割五分しかふえていない。消防団員は逆に、これは地方の消防団員ですが、一〇〇から七四に落ちておる。こういう状況です。これは消防能力というのが比較的に伸びていないわりに日本経済はこの間に、国家予算を見ましても、三十年を一〇〇としますと三十八年は二・七倍か八倍になる。国民所得が二・五倍になる。工業生産は三・五倍くらいになっておると思います。概括的な指数ですが、日本経済が非常な勢いで発展しておるのに、しかも消防力というのはそれについていない。一方危険物質を見ますると、いま言われたのをずっと拾ってみましたら、三十年を一〇〇として三十八年が、塩素酸ソーダが四七七、それから過酸化物Aが六二七です。硝酸ソーダが三二六、黄燐はいま言ったように五五五、またトリオールが三三九、キシロールが五七六〇、酢酸エチルが四一〇、酢酸ブチルが約三〇〇、メチル・エチル・ケトン、今度の消防隊殉職をした最大の原因爆発物、これが五三七〇というのですが、三十年じゃなくて三十三年を一〇〇として、非常な勢いでこの品物がふえておるのですね。これは通産省関係です。それからメタノールが五三三、ブタノールが四二五、ピリヂンが三一〇、酢酸が四二七、無水クロム酸が三七七、さらに石油類になりますと、ガソリンが約三・五倍、三四三、灯油が七三五、軽油が六〇〇、重油が八〇〇、こういうぐあいになっている。非常にわれわれの生活に密接して、しかも危険性の高いもの、こういう品物生産というのが非常な勢いでふえている。ですからわれわれの住んでいる社会は刻々危険度の高い状態に突入しておるのに、一方においてこれに対する消防能力というのは旧態依然としておる。このアンバランスが頂点に達したときは、私は、産業災害といいましょうか、想像を絶するような災害が起こり得ると思う。たとえば新潟でこの間地震があったが、幸いにして海岸ふちで僻地だったから問題がありませんでした。しかし、もし京浜地区であの震災が起こったとしたら、いまの日本消防体制というのでは、これはほとんど手がつけられない状態になる。大正の震災以上の災害をもたらすかもしらぬ、こういう事態にあると私は思う。ですから、この三つの最近の事件を契機に、われわれはものをつくる側も消防側も真剣に防災という点に心を尽くさなくてはならぬじゃないか、こう思うわけであります。  そういう前提において、ひとつ消防庁に伺いますが、新聞の報道によりますと、七月十日に消防庁では宝組倉庫査察をして、野積み硝化綿は危険だからこれを処置しろという警告を発したということでありますが、その査察状況なり警告なりの実情をひとつ説明していただきたいと思います。
  18. 川合武

    川合説明員 七月十日に査察いたしましたときの違反状況は、硝化綿二万キログラム、アセトン二十五万リットル、酢酸ブチル三万リットル、ブタノール六万リットル、氷酢酸九千リットル、オイル二万リットル、合計いたしまして指定数量の四千九百六十八倍の貯蔵をいたしておりました。これがいわゆる野積み違反であったわけであります。したがいまして「上記の違反貯蔵危険物は速かに撤去し、必要なときは適法な危険物貯蔵所を設置すること。危険物貯蔵所の柵は破損しているので補修のこと。危険物貯蔵所に必要な保有空地を確保すること。危険物貯蔵所に必要な標識、掲示板を掲出すること。」かような指示をいたした次第でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 そのときの危険物のあった割合というのは、許可をされた数量の一ちょっと言ってください。四千九百六十一倍……。
  20. 川合武

    川合説明員 四千九百六十八倍でございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 許可された数量、これは許可をする場合には、その地域等を考慮して、この程度まではいいという最大限の許可をすると思うのです。最小限の許可じゃないと思うのです。また業者もこの程度まで扱い得るということで許可したんだと思うのですが、その許可危険限界を四千九百六十八倍というのは、五千倍も数量があったのですか。
  22. 川合武

    川合説明員 要しまするに、危険物指定倉庫に入れなければならぬわけでございますが、そこに入り切らない、しかもこれだけの多量のものでございますから、むろん入り切らないということで野積みにしておった、こういう状況であります。
  23. 板川正吾

    板川委員 こういう査察消防庁の任務ですが、査察宝組について、その前はいつやりましたか。
  24. 川合武

    川合説明員 昨年の五月三十一日に査察をいたしております。
  25. 板川正吾

    板川委員 その際の状況はどうですか。その際との関係は……・。
  26. 川合武

    川合説明員 違反状況は、第一石油類、第二石油類三万八千六百リットル、第三石油類が四万三千リットルで、これは撤去をいたさせました。そのほかに木材、第一石油類、第二石油類アルコール等、これも撤去いたさせました。そのほかに硝酸エステル類の三万キログラムの違反、やはり先ほど申しましたと同じような状況違反があったわけでございます。
  27. 板川正吾

    板川委員 消防庁では、そういう危険物を扱っておる倉庫については、常時、危険物数量移動があった場合には、それの報告をとるということはしておりませんか。
  28. 川合武

    川合説明員 報告させておりません。そういう制度になっておりません。
  29. 板川正吾

    板川委員 消防法によると、必要ある場合には報告類はとれるわけになっておりますが、この消防法では、常時とるということは不可能なんですか。消防法第四条ですか、「火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料提出を命じ、又は当該消防職員にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入って、防火対象物の位置、構造、設備及び管理状況を検査させ、若しくは関係のある者に質問させることができる。」火災予防のため必要があるときは関係者に対して資料提出を命ずる、こういうことがありますが、これは必要があれば常時、あるいは数量の定量の移動があった場合には報告をとるというようなことは、この法律上できないのですか。
  30. 川合武

    川合説明員 御指摘消防法の四条でございますが、お話のように報告をとることはできます。ただし、これはそのつど報告をとるということになっておりまして、常時報告を出せという、何といいますか、一般的に抽象的にあらかじめ何月何日、月に何べん出せ、こういう報告の聴取ではございませんで、火災予防上の必要のあるときにその査察をいたしまして、あるいは報告を聴取するときに報告を徴する、こういう規定でございます。  なお危険物貯蔵所に対しましては、一定の量を私ども消防法におきまして規定しておりまして、その量の範囲内において、貯蔵所において貯蔵が行なわれているということを規定いたしておるわけでございますので、一応その量の範囲内において危険物が常にある、あらねばならぬ、こういうたてまえになっておるわけでございます。そのときの報告が、何月何日に幾らということではございませんが、くどくなって恐縮でございますが、一定  の量、その以内であらねばならぬ、こういう規定になっておるわけでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 今度の消防士が十九人も死んで、百何十人も負傷した。この事件について、消防担当者日常管理及びその当時の指揮について、一つの手違いがあったんじゃないかという議論があります。これはせっかく危険をおかして消防された方には恐縮でありますが、しかしこれは第一線の部隊というよりも、消防庁なり幹部に対する一つの批判だ、こう思うのです。この四条からいえば、必要がある場合はとれるんだからたとえば定期的に、常時でなくても一定の量、これよりも変動があった場合には報告しろ、こういうことだってできるんじゃないかと私は思うのです。これも私が行って調査したところはよると、火事で消防隊がかけつけた。どことどこの危険品がどういう状態だ、それを守衛に聞いた。守衛は、消防隊の人が折り重なって死んだ付近の倉庫は何だと言ったら、これはカン詰めだと言った。なるほどオイルモーターオイルカン詰めです。しかし守衛カン詰めだと言った。カン詰めだから危険はないだろうということ、また無届けで置かれたいわゆるパーメックNという品物も、これも一つカン詰め状態、だからカン詰めだと言ったので、そこに集中をして、そこから消防に当たった。ところがそのカン詰め爆発物であった、こういうことです。十日の日の査察のときに、このパーメックNの、二トンばかりありましたが、これは一体倉庫の中にあったのですか。これは倉庫のほうは運輸省のほうで調査しているんじゃないかと思うのですが、どうなんです。その十日の日に、もしそういう査察を厳密にして、危険品類一般倉庫にあったとするならば、なぜそういう状態がわからなかったか。わかっておれば、消防隊がそこへ行ったときに、これは違法だけれども、こういう物があったはずだということで、一つ危険視をして、別な方法をとったんじゃないかと思うのです。この点は一体十日の日の査察の場合に、パーメックN爆発したところにあったのかなかったのか、その点をどう調査されましたか。
  32. 川合武

    川合説明員 いまのお尋ねのパーメックがその場所にあったかどうかということにつきましては、私どもはあったと推定いたしておりますが、ただいまこの委員会で正式に申し上げるまでの調査状況になっておりません。ただつけ加えて申し上げさしていただきますが、先ほども申しましたように、要しまするに、この倉庫は御承知のように大体二十くらいあるわけでございます。そのうち特に指定したものが、危険物はそこに入れなければならないという危険物倉庫、これが二つあるわけでございます。その他はいわゆる一般倉庫と申しますか、雑品倉庫でございます。でございますから、御指摘のように、その一般倉庫の分までも査察を十分にしなかったんじゃないかという御指摘でございますと、これはまあそういうことになるのでございますが、私どもの通例といいますか、常識といたしまして、要するに危険物倉庫状況あるいはその危険物倉庫の前に散らばっております野積みのもの、これまでは確認をいたしましたけれども、よもや遠くちょっと離れておりますところの雑品倉庫の中に危険物があったということを、査察はそこまではしなかったわけでございます。これはそこまですればよかったということは、私、おっしゃられればそのとおりと思いますけれども、しかし一般状態といたしまして、現地の消防吏員査察が怠慢であったということでは私ないというふうに御了解をいただきたいのでございます。  なお、現場の指揮云々のお話がございましたが、この点は私からも、恐縮でございますが、ぜひ先生方にも御理解をいただきたいのでございまして、結果といたしまして十九名の者を殉職させました。私どももその点におきましてはまことに申しわけないというふうに思っております。思っておりますが、何分にも危険物倉庫以外の全くの雑品倉庫の中から違反のものがございまして、それが鼻先で爆発いたしましたのでございますから、そこまで知らなかったということをもって現場の指揮官あるいは幹部の者の指揮云々という問題につきましては、その指揮を誤ったのではない、普通の戦闘体制をとっておったんだということにどうぞ御了承をいただきたいのでございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 運輸省に伺いますが倉庫業法第九条によると倉庫業者はその扱っておる品物をわかるように掲示をする、こういうふうに業法でなっておりますが、この扱った数量というのは、たくさんの危険物を扱っておる。実際扱っておったことはわかっておりますが、その倉庫業法による掲示の中には、そういったことは明確に掲示をされておりましたか。
  34. 河毛一郎

    ○河毛説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のとおり、倉庫業法の九条及び施行規則の七条によりまして、倉庫業者は営業所あるいは事業所に倉庫の配置、倉庫ごとの保管する物品の種類を利用者の見やすいように掲示しなければならない。事実これはやっております。ただ倉庫ごとにそれを表示するというわけではございませんで、事業所または営業所に表示する、こういうことであります。その場合に保管する物品の名前をなるべく具体的に明記するように指導はいたしております。
  35. 板川正吾

    板川委員 消防庁に伺いますが、倉庫業法によると、いま言ったように物品を明示しろということになっております。やっておると言ったのです。そうすると私は十日の日——死んだ方を非難するのじゃないですよ、いいですか。これは消防庁自身が、いま社会が非常に危険な状態になりつつある、危険物質がどんどんふえておるのに、消防体制というのは進んでいない。だから何かの拍子に、それが頂点に達したときに大きな災害を来たす。そういう危険性というのを消防庁は考えて、予算が少なければ少ないように、多いように要求もすると同時に、もっと具体的な指導体制というものを強化しなくちゃならぬ。法の運用をもっときびしくしなくちゃいけないと思うのだ。品物は何があるということは倉庫業法で明確になっておる。はっきりしておるわけです。だから十日の日にもしそういう査察体制が常時とられておれば、倉庫へ行ったときに、何があるかというのが一般に公示してあるのですから、それを見て、そうしたらパーメックNという危険物があるということになれば、それがどこにあるのかということを調べるようにしたらいいんじゃないですか。全部の品物を見ろと言うのじゃないですよ。見ろと言うのじゃないが、消防庁としては、危険物については、それがどこに保管されておるかということを確認するというその査察制度は当然じゃないですか。それをやっておらないということが、今度の大きな災害をもたらした一つの出発点になっておるのじゃないですか。
  36. 川合武

    川合説明員 おことばを返すといいますか、ざっくばらんに申し上げまして、先生そうじゃないのでございまして、要するに雑品なら雑品と書いてある倉庫にパーメックがやみで入っておったのでございます。ですからそこまでの査察が至らなかったというお話であればそれまででございますけれども、ただいま申し上げましたような全く予想外の違反という状況であったので、そこまで査察が及んでいなかったということを先ほどから申し上げておる次第でございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 倉庫業法によると、こういう品物を扱っておるということを明示しろといっておるのです。ですから十日の日に、たとえば危険物は何と何があるかということは、その場所でなくても、それは公示してあるのですから、掲示してあるのですから、すぐわかるはずです。そうすると、それを見て、こういう危険物がこの数量ある、じゃこの品物はどこに保管してあるのか、こういう質問をすれば、それは場合によっては、その違法な一般倉庫に入れてあると言えば、これはいかぬじゃないか、こういうことが発見できたのじゃないか、こういうわけです。その品物の何を扱っておるということはわかっておるのですから、だからせめてその危険物がどこにあるかということを確認するような査察制度をとったらいいじゃないか。これはこの四条で書いてあるじゃないですか。「火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料提出を命じ、又は当該消防職員にあらゆる仕事場、工場若しくは公衆の出入する場所」に立ち入って検査をすることができる。あらゆる仕事場といっております。一般倉庫だから危険物が入っていないという前提が間違いの出発点です。危険物一定許可された数量以上にないのだというなら、何もあまり見ることはないでしょう。五千倍か六千倍近くもよけいあった。規定どおり置かれておるなら間違ありませんよ。あるいは事故も起こらないでしょう。だからそういう規定どおり置かないからといって査察するのでしょう。一般倉庫の中に危険物を入れるということもあり得るでしょう。まして許可をしていない野積みのところに危険物を置くというのですから。だからそういう場合査察の方法として、倉庫業の場合はとにかく品物を明示しろということははっきりしておるのだから、その扱っておる品物というものを見て、それがどこにあるかということ、危険物の行くえ、保管場所というのを確認しておれば、私はこうした事件はあるいは回避できたかもしれないと思うのです。だからそういう点が消防の運営体制、指導体制に不十分な点があるのじゃないか。われわれが言う消防庁責任じゃないかということはそこにあるのです。
  38. 川合武

    川合説明員 先生、パーメックは全然取り扱っていけないわけなんです。でございますから、それはそこまで目が届かなかったからとおっしゃれば、それの御批判はそれはそれまででございますけれども危険物宝組倉庫にどれだけあってその行くえを探さなかったのではなくて、パーメックそのものがあの地帯にありますことが違反でございますから、これを確認できなかったことは残念でございますけれども、しかし早い話が、違反のものをそこに置くこと自体か——分量以前の問題として、あの倉庫には硝化綿石油類しか置けないという許可になっているわけでありますから、違反のものがあるということを会社も一向言いませんし、ちょっと離れたところの倉庫でございましたから、それで一般倉庫、雑品倉庫危険物を入れるなどということは、これは私ども性善説過ぎるかもしれせんが、いままではあまりないのでございまして、危険物倉庫に指定したところのものに少し分量が多くなったり、あるいは前に野積みしたことがございますが、雑品倉庫とちゃんといっているところに危険物を入れる、しかも全然扱ってはいかぬものをそこまで入れるというようなことは、われわれも少し人がよすぎたかもしれませんが、いままでなかったものでございますから、ついあのようなことになったわけでございます。しかしああいう事故が現実にあったのでありますから私はこう申しますけれども、われわれも今後の消防の運営についていろいろ考えてもおりますけれども、しかしあの時点におきましてはそういう状況であったというのが実相なんでございます。
  39. 板川正吾

    板川委員 倉庫業者は扱った品物を明示しろということになっているから、パーメックも扱った品物として別には明示されていたというのです。そうじゃないのですか。
  40. 河毛一郎

    ○河毛説明員 いま私が御答弁いたしました点で、多少先生に誤解を与えたような説明で不十分であったと思いますので訂正いたしますが運輸省が事業所または営業所に表示するという場合の物品の表示の仕方は非常に大ワクでありまして、たとえば何類、化学薬品類というような程度の表示を指導をいたしておりまして、パーメックNならパーメックNというふうに具体的にその品物の固有名詞を表示させるというころまでいっておりません。この点、訂正いたします。
  41. 板川正吾

    板川委員 なるべく具体的に品名を表示しろと言っているのでしょう。それは紙か革か、大して危険のないものならいいのですが、危険性のある物質の場合には明確にしろという指導は運輸省はやっていないのですか。ボール紙か一般の紙かなんという品物の明示はそれほど問題じゃない。しかし危険性物質というものははっきりほかのものと区別して、扱う数量もきまっているのだから、大してないのだから、それはそれで別に抽出して書くくらいの、品目表示をするなら、そういうところまでいっておらなくちゃいけないのじゃないですか。
  42. 河毛一郎

    ○河毛説明員 ただいま消防庁から御説明がございましたように、問題のパーメックNのございましたところは元来が無認可の倉庫でございます。したがって物品表示その他についてもどううなっておりましたかという点について問題があるわけでございますが、一般的に正式な許可または認可を得ました危険品倉庫につきましては、大体大分けにできるわけでございますから、大分けの表示はいたしております。
  43. 板川正吾

    板川委員 危険物の場合にはこの中に何があるということを表示するかもしれませんが、表示は個々の一倉庫、一倉庫じゃなくて一それもするかもしれません。しかし事務所へ行けば何と何を扱っているというのが掲示されているんでしょう、それはわかるんでしょう。だから事務所でそういう掲示をする場合に、危険品類というものをはっきりしてあるでしょうと私は言うんです。
  44. 河毛一郎

    ○河毛説明員 その点は営業所、事業所では明確になっておると思います。
  45. 板川正吾

    板川委員 ですから消防庁に言うのだけれども、もちろんこれは倉庫業者は悪いですよ。一般倉庫危険物を入れるということ自体が違法だし、まして宝組というのは四類、五類しか許可をとっていないのでしょう。危険物扱いとしては一類の許可をとっていないのですよ。だから一類のパーメックNというのは扱えないんですね。だからそれもまた違法なんです。一般倉庫に入れたのも違法です。しかしそれはそれで違法としても、そういう査察というのは性善説をとったら——それはもっと高次の話で、査察の場合にはそう性善説ばかりとっておったら社会の安寧というのは保てないのではないですか。それで私は倉庫の事務所へ行けば、公示することになっているのですから、だから危険物は何があるかということも、数量等というものも最初に行ったときにそれをとって——そこまでごまかしていれば別ですよ。その台帳までごまかしておったというなら別ですが、違法であろうと何であろうとそういうものを扱っていたということが台帳にあるなら、それはどこにありますかといって危険物の所在を確かめるということが査察の大きな目的じゃないですかというのです。私は今後はそうしてもらいたいと思うのですよ。そうすればどこに危険物があるかということがある程度わかるし、そうすれば今度の事件のように、守衛に聞いて、そうしてここは危険物がないと思ったから入った、そうしたら危険物があったというようなことはないはずなんですよ。
  46. 川合武

    川合説明員 お話でございますけれども、要するに所在のものはすべてリストでそのまま示されておるというようなことにはなっておらないのでございます。でありますから、やみの場合は全くわからないということでございます。それで私は決していいとは思いませんが、先生のお話の焦点はそこにあると思いますので、どこかにリストがあって、それをわれわれが査察したときに見つけてきてそのものを追及することが足りなくて、危険物倉庫だけを見て帰ってきた、こういうのですとそれは先生の御指摘のとおりでございますが、そうでございませんで、あれはリストそのものがないのでございます。ですから私は性善説ばかりじゃないのでございます。ないのでございますが、結果的には性善説みたいになりましたけれども、やはりそこのところはひとつ御了解していただきたい点があるような気がいたします。  なお、予防課長に補足説明をいたさせます。
  47. 伊規須徳博

    ○伊規須説明員 ちょっと補足させていただきます。  先生の御質問になっております事務所なりに明示されておったのではないかというような点に関連いたしまして、消防法規定しております危険物、これを倉庫業者が扱います場合には、一般倉庫と違った危険品倉庫で扱わなければならないようになっておるわけです。そこで、この宝組の場合にはそうした危険品倉庫というものが、先ほど説明のありますように、火災がございました現場には二つございます。したがってその倉庫は特別にそうした許可を得てそれを倉庫として認められ、その中でそうした危険物を扱うようになっておるわけでございます。しかもその種類なり数量というものがきまっておるわけでございます。したがってもしそれ以外の危険品物を扱う場合には、やはりそれについての許可をとらなければならないわけでございます。そこで問題のパーメックNというものは、扱うについての許可をとっていないわけでございます。許可をとっていませんので、したがって事務所の内々の書類上あるいは営業用の書類上は、あるいはこういうものが何日に幾ら入ったということはあったかもしれませんが、表面上は違法のものを扱っておるわけでございますから、そういうものを外部に出すとか、明示とかなんとかいうことをするのは、あたかも私のほうではこういう違法な行為をやっておりますということを明示するようなことになるのではないかと思うわけでございます。
  48. 二階堂進

    二階堂委員長 板川君、ちょっと申し上げますが、自治省の高橋政務次官は時間の都合でお急ぎのようでございますから、もし質問がございましたら……。
  49. 板川正吾

    板川委員 一番最後に注文があるのです。  倉庫業法によると、倉庫業者は、「保管する物品の種類その他の事項を営業所その他の事業所において利用者に自やすいように掲示しておかなければならない。」これが倉庫業法第九条なんです。だから倉庫業者はこういう義務を持っておるのです。だからその倉庫業者のところに査察に行くならば——物品の極数等についてなるべく具体的に表示しろということを運輸省じゃ指導しておると思うのです。そうすれば、こういう危険物なりこれこれはこういう数量を扱っておるということが表示されておるだろうと思うのです。だから査察に行ったら、倉庫業者の場合、そういう表示しておるものを見せてもらえば、危険物の場合にはどういうものをここで扱っておるということがわかるのではないか。わかるならば、その所在を突きとめるような査察をしたならば、少なくとも火災の四日前に行った十日の日に査察して四日後です。現場にかけつけて、ここの倉庫は何だろうと守衛に聞いた。守衛は、それはかん詰めだ、かん詰めだから危険はないだろうと言ったら、爆発をした。それでその守衛は、かん詰めということで状況の判断を誤らしたことは申しわけないといって、海軍少将の肩書きを持つ方は責任感が強いものだから、自殺してしまったんじゃないですか。倉庫に掲示する義務があるんだから、もしそれを見た上危険物の種類というのを確認したら、また所在を確認したら、そういう査察の習慣というものをつけておったら、少なくともこの事件は多少災害状況が変わったのではないかと思うのです。あとの祭りのようだけれども、その点常時どう扱われておるかということを私確認したい。
  50. 川合武

    川合説明員 お話の趣旨でございますが、将来といいますか、今後の問題といたしまして、私、ともかくこういう事故が起きたのでございますから、何としても考えていかなければならないので、お話のように、運輸省とも十分今後連絡をとりまして、御指摘のように物品の全貌がわかりますような、また査察しましたときにそれを把握するようにつとめていきたいと思います。ただし今回の場合におきましては、そのものが明示されておらなかったのであります。いまの問題の危険物が明示されておらなかったので、全くやみの世界にあった、こういうのが現実でございますが、将来の問題につきましては、御指摘の点に十分留意していきたいと思っております。
  51. 板川正吾

    板川委員 運輸省に伺うのだけれども、その場合に、危険物なりは特にほかの一般のものよりも明確に表示をするような指導というのはいままでは行なっていないのですか。
  52. 河毛一郎

    ○河毛説明員 一般の物品と同じように扱っております。
  53. 板川正吾

    板川委員 そこらにいまの行政一つの盲点というのがあると思う。社会に非常な勢い危険物質というのがふえておるのに、扱い方は従来と同じような扱い方をしておる。これはもう即刻、その表示をする場合には、少なくとも危険物危険物に類するようなものは明確に表示するようにしなくちゃいけないと思う。さっそくそういうふうにやってもらいたいと思う。  大体倉庫業者は、危険物の場合にはよけい保管料がもらえるのです。七割から十割もらえるのです。だから二倍もよけい保管料がもらえるのだから、その保管料をもらって一般倉庫に入れる。これはもう違法も違法だ。しかしそのほうがもうかるから、あるいはそういうものをどうしてもごまかして置きたいという気持ちになると思う。だからそういう点を特に倉庫を監督する運輸省としては、そういうごまかしがきかないような指導監督というものを強化しなくちゃいかぬと思う。  そこで、同じところをめぐってもいけないから、この際消防法をのぞいてみますと、どうも現状に合わない点がたくさんあるのです。たとえば石油タンクと一般の民家は距離が十メートルあればいいんだとか、あるいは倉庫倉庫建物の距離なんかでも〇・五メートルから十五メートルですか、今度のこの地図を見ると、倉庫倉庫との間の距離が一メートルくらいしかないのもありますね。五号倉庫と六号倉庫の間は幅が一メートル、これじゃ災害が起きたときに、今度みたいに工場全体が燃える場合は別だけれども、部分的な災害が出た場合には、消防車も中に入れないというようなことになるのではないですか。だからこういう点は建築の面からいっても問題だと思う。  それからこれは通産省ですが、パーメックNを扱った倉方が、危険物であれば、おれは割り増し手当てをもらうわけだったのだ、知らなかった、現場のこれを一般倉庫に入れた人はこう言っているのです。パーメックNというのはどういう表示をしているかというと、こういう表示をしておるのです。この裏側に赤字で、これは危険物で、これこれです。ということを書いておる。こういう危険物というものは道路標識と同じようなもので、そばへ行って字を見なければわからないという表示はいけないと思うのです。遠くから見て、これは危険品なりということがだれでも認識できるような表示をしなくちゃいけないと思う。このパーメックNというかん入り、これもちょうど守衛さんが言ったように、まさにかん詰めですよ。裏側に書いてある。だから倉方は、これは一般の、危険物じゃないと思って扱った。危険物なら割り増し手当てがもらえたはずだ、知らなかった、こう言っているのです。こういう点は危険品の取り扱いにどうもだんだん無関心になってくるという点があると私は思う。これは即刻、特にこういう危険類について通産省は、できれば統一した危険品のマーク、こういったものをつくるなり表示をして、だれが見ても一目瞭然、この品目は危険品なり、こういうことがわかるような表示をすべきだと思うのですが、この点について担当局長でいいからひとつ……。
  54. 倉八正

    ○倉八説明員 いま御指摘の容器に、そういう一目瞭燃たるマークをつけろというこの規定は、これは消防法範囲でございますが、われわれのほうとしましては先般来、硝化綿は六社ありますが、全部に指示いたしまして、もっと何か明確な方法ができないか、こういうことを検討さしております。
  55. 板川正吾

    板川委員 これは消防法とは知らなかったけれども、そういう点消防署というものは、やはりこういう新しい品物ですから、わからぬといえばわからぬかもしれないけれども一、それでは自分の任務は果たせないのです。だから、とにかく危険品数にはひとつ全国的に統一した危険品のマークというのを考案して、その品物はどの方向から見ても、とにかく四方のうち一方から見てこれは危険品なりとわかるような表示をそういう危険物一切につけるようにすべきだと思うのだが、消防法関係だというが、消防庁、その点どう思いますか。
  56. 川合武

    川合説明員 危険物につきましては、ことにただいまお話しの、問題になっておりますパーメックN、これは消防法危険物に指定しておるわけでございます。が、その他の危険物すべて、指定いたしております危険物につきまして、運搬にあたりましては表示をするようにいたしております。  なおくどくなって恐縮でございますが、運輸省のほうにも関係をいたしますが、私、運輸省のほうと十分連絡はとりますが、しかし、危険物倉庫に入れますことにつきましては、私のほうの消防法責任でございます。また、運搬につきましても、消防法責任でございますから、そんな運搬の途中におきましての標識は、これは法律で義務づけております。また、倉庫につきましては、くどくなりますが、危険物倉庫というものに指定をして、それに構造、位置、設備等の規制をいたしておるわけでございます。
  57. 板川正吾

    板川委員 これにも表示はあるのです。文句で裏側に書いてあるのです。書いてないとは言わぬですよ。だけれども消防庁、それは道路標識と同じように、そばへ行って文句を読まなければわからぬという表示のしかたというのは不十分だというのだ。だれがどこから見てもこれは危険品類だとわかるような表示のしかたを考案されたらどうかというのだ。ないとは言わぬよ。裏に赤字で、これは危険物だと文句が書いてある。だから、よく読めばわかります。わかりますが、倉方が危険物と思わずにそこへ運んだというところを見ると、やはり書き方についてもっと考案した、頭を使った、災害予防的な考え方から、だれにもわかるようなそばへ行って読まなくても、どこから見ても危険品類とわかるような表示のしかたを指示したらいいじゃないかと言うのです。
  58. 伊規須徳博

    ○伊規須説明員 ただいまの御意見につきましては、ごもっともな点もあると思いますので、さらに検討いたしたいと思います。ただ、御承知かと思いますが消防法関係で、危険物を扱います場合には、それぞれの類によりまして危険物取り扱い主任者というものが必ず立ち会って責任を持って扱わなければならないようになっているわけでございます。そこで、問題になっておりますパーメックNにつきましては、先ほどから再々表示とかあるいは法違反倉庫に置いておったとかというような問題と関連いたしてでございますが、消防法の十条一項に、所定の危険物はきまった貯蔵所貯蔵し、あるいはきまった取り扱い所で扱わなければならないというように、一般倉庫の場合と違った表示があるわけであります。そこで、そういう特殊な危険物——特殊といいますか、危険物のそれぞれの類によって危険物取り扱い主任者が立ち会ってやるようになっておりますので、この明示の方法をさらに研究することはいたすといたしまして、現在の段階では、まずまずこうした知識を持った者が立ち会ってやるようになっておりますので、現在のような段階でやっておるわけでございます。将来につきましては、御趣旨に沿うような点、さらに検討したいと思います。
  59. 板川正吾

    板川委員 どうもさっきから言いわけみたいなことばかり言っておって、災害予防という点について頭を使おうとしない。だから時代おくれの消防法をいまだにいいとして、査察もああいった調子で査察をしておって、ほんとうに国民の生命、財産を守ろうという真剣な努力というのはないじゃないですか。危険物類を表示するような統一した方法を考えるということは、どこが悪い。危険物取り扱いの責任者と、なるほど消防法にはあります。しかし、火事があった宝組消防車がかけつけたときに、危険物取り扱い責任者はいましたか。二十四時間いますか。いつ何どきでもいますか。だから、危険物取り扱いについては原則として、念には念を入れて、危険物取り扱いの責任者に扱わせる。しかし、それにしても間違いを起こしちゃいけない。危険物取り扱い責任者がもし悪質なやつで、そうして、いや、これはいいのだから、たいしたことはないから一般倉庫に入れろ、こういった場合に、倉方は知らないから入れることもある。しかし、それにだれが見ても危険だとはっきりした表示があれば、これは話が違いますね。これは危険品じゃないですかということが言えるじゃないですか。危険物責任者が取り扱うから間違いないだろうなんという態度でおるから、こういう事故が起こるのじゃないか。そういう点から、今度の事件責任消防庁にあるという世論がそこから生まれるのです。指揮者が悪いというのじゃない。上司がそういう消防防災に対する、取り扱いなり責任というものを感じないで、通り一ぺんのことをやっておるからこういう事故が起こるのじゃないですか。
  60. 二階堂進

    二階堂委員長 委員長からもちょっと申し上げておきます。いままでの質疑応答を聞いておりますと、どうも責任のがれといいますか、言いわけみたいな答弁に聞こえてしょうがないのです。あれだけの事故を起こしたのですからもう少し……。私のほうは、消防庁責任者が真剣な反省をして、消防法に欠陥があるなら消防法の改正なりをやる。板川先生の御意見はもっともな点がたくさんあるのですが、そういうものに対して率直な、謙虚な態度がないということを、ここから聞いておって遺憾だと思う。宝組倉庫だけではない。東京都内に危険なものをしまっている業者がまだたくさんあると思う。ないということは言えないと思う。そういうものを真剣になって研究して、たっとい人命を守るという謙虚な反省があってしかるべきだと思う。この問題についてはいずれ責任者を呼んで、真剣な検討を命じたほうがよいと思う。
  61. 高橋禎一

    高橋説明員 板川委員の御質問の中にはいろいろ私ども示唆される面が非常に多いわけであります。この責任問題というようなおことばがございましたが、それらは事態の実態をよく御調査を願いまして出る結論であると思いますが、実はこの問題につきましては、私もいろいろ報告を受けてまいりました。したがいまして、いま板川委員の御意見等承りますと、このままではいかぬ、こういうことを痛切に感じておるわけであります。特に危険物の取り扱いということにつきましては、これは一般的にまだまだ注意の足りない面があるのじゃないか。これは私だけの感じでございますけれども、すなわち危険なものを取り扱う業者側にいたしましても、またそれに対拠するいろいろの立場にある者といたしましても、もっともっと深くこの危険物の真におそろしいということを認識いたしまして、それの取り扱いに対する考え方というものを徹底さしていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。したがいまして、いろいろ研究すべき問題もございますが、消防法の改正というような問題につきましても、何と申しましても先ほど指摘がありましたような、いまのままではいかぬという事態であることは常識的にも考えられるわけでございますから、この起こりました事態を契機として、十分これらを検討いたしまして、そうして結論を出しまして、こういう問題が将来起こってまいらないようにやっていかなければならぬということを考えておるような次第でございます。
  62. 板川正吾

    板川委員 私はこの際、ほんとうに抜本的な消防体制というものを強化しないと、いつの日か非常な災害が起こり得る、こういう感じがしてならないので、ひとつ検討してもらいたいと思うのです。  次に、通産大臣の都合がありますから、先に通産大臣からやりますが、この消防法の十七条では「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店その他」大衆の集まるところでは防災設備を持て、こういうふうになっております。私はこの点も消防法一般的な表現をしているので不十分だと思うのですが、この中で一般工場は別として、石油化学工場とかあるいはコンビナート等の場合には、いまの各企業の持っておる消防設備なんというのは、ホースを持って水を出して、たまに訓練するという程度のことですね。一般の場合にはそれをさらに強化するとしても、そういう方式でもいいと思うのですが、この石油化学のようなコンビナートあるいは工場が密接しておる京浜地区あるいは大阪、神戸地区、こういうふうな地域の場合には、私は特殊な企業あるいは企業連合でもいいのですが、幾つかの企業が連合して消防的な要員を配置しておく。これは自分の工場なら、この工場でどういう消火の方法が一番いいのかということを考えれば、その一番いいやつを自分のところで用意していると思うのです。これが早期発見、早期消火というものをとりあえずやる、やっているうちに他からの応援を願う、こういうような体制というものが私は必要じゃないかと思うのです。もし新潟震災のようなものがこの京浜地区、石油化学工場を中心とする工場街にたくさん起こったら、これは煙が天をおおって、消防の行動なんというのはできないんじゃないですか。新潟のように焼けてしまうまで、なくなってしまうまで待とうなんといったら、これはたいへんな死傷者が出ると思うのです。それで、こういう点を考慮して、従来日本の産業政策は所得倍増、高度成長政策、この高度成長政策が経済性を高めるというのならば、コンビナート式にその一地域に工場がたくさんつながっていることのほうが能率があがることは事実です。しかし、そのために公害という弊害が出たり、火事の場合などは近所に住宅がたくさんあるということになると、たいへんな災害になる。しかし、化学工場なんかでは一般消防隊では火の消しようがない。だから、私はこういう場合には、化学工場のような、あるいは指定された工場設備を持つ地域は、工場連合なり企業連合なりして出し合って常備消防的なものを持つ、こういうことが必要じゃないかと思うのですが、通産大臣、その点どういうお考えですか。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま板川委員の御意見はまことに尊重すべき御意見だと思うのであります。私も過去におきまして、大阪の淀川地区あるいは兵庫県の神戸の和田岬の辺、鐘紡の工場でこのほうの勤務に携わっておったのでありまして、よく事情はわかります。御指摘のように、確かに現在の工場自体が持っておる消防施設は、昭和電工のような大災害、あるいは新潟の石油工場爆発等の場合に、これが役に立つか役に立たぬかということは、もう論議を待つまでもないと思うのです。しこうして、そのような工場地帯におきまして、よく安全週間など行なわれるときに、横断的な連絡も相当行なわれますが、しかし、これもまことに不十分なところが多々あると思います。したがって、これから工場の密集地帯、特に危険物を扱う工場が横の連絡もとる、さらに進んで御指摘のような共同施設を持つというようなことは、非常にけっこうな御意見だと思いますので、現状がどのようになっておりますか、よく研究をいたしまして、御意思を尊重して、災害防止に、また起こった場合に早急の措置のとれるように心を配ってまいりたいと思います。
  64. 板川正吾

    板川委員 それともう一つは、やはり工業立地の問題ですね。住宅に近いところに可燃性の強い工場集団というのは考えなくてはいけないと思うのです。こういう点もひとつ政府のほうでも考えて、防災的な政策というのも——通産省はただ安い品質のいいものをつくればいいというのではなくて、産業災害防止という点もこれから真剣に取り上げてもらいたいと思うのです。  それから運輸省に伺いたいのですが、倉庫業者が全国で千百五十二あるといわれますが、そのうちで危険物を扱う許可を受けているものが五十四ある、こういうふうに聞いておるのです。この危険物を扱っておる五十四の業者が、今度のように許可された品物以外のもの、あるいは危険物以外のところへ危険物を入れる、こういうような運営というのは、倉庫業の場合には現在心配ありませんか。
  65. 河毛一郎

    ○河毛説明員 倉庫につきましては、今回まことに申しわけないような大事故になったわけでございますけれども、従前綿花の火災、盗難等の事故はございましたのですが、戦後こういったような爆発関係の事故というものはございません。それで、危険品倉庫の現状につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございますけれども、正式に許可または認可を受けました危険品倉庫につきましては、危険品品物自身は消防法あるいは高圧ガス取締法による物品を対象といたしておりますし、また危険品倉庫の構造そのものは消防法あるいは高圧ガス取締法による構造によっておりますので、所定の危険品倉庫にそういった品物が格納せられております限りにおきましては、現状においては消防法に基づく規格に完全に合っておるものと考えます。  それから、今回のパーメックNのように、一般倉庫の中に危険品を入れておったという実例はまことに遺憾でございます。今後さらに予算等を増強いたしまして、私どものほうといたしましても監査制度がございますので、遺憾のないようにいたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
  66. 板川正吾

    板川委員 消防法を理由に、法律にきまっておりますから、違法に入れたのは、入れたほうが悪いのであって、それは私のほうの責任じゃない、こういう議論になれば別ですよ。だけれども、私はこの千百五十二の業者の中で、危険品類を扱うべきでないのが扱っておったり、あるいは許可をされている以外の危険品類を扱ったり、数量を扱ったり、そういう違法な行為がないように倉庫業者を取り締まってもらいたい。それには査察を強化すると同時に、表示の方法も、危険品類は特に明確にして、そこで記録をもって扱ったか扱わないかわかるような方法にして、扱っておる場合には、そういうことのないようにしてもらいたいと思う。そうでないと、国民は安心して寝られません。東京じゅうに何十カ所もあるのじゃないですか。そういう点で運輸省は、倉庫を監督する立場からいって、二度とこういう事件のないようにやってもらいたいと思います。
  67. 河毛一郎

    ○河毛説明員 ただいまの御趣旨に沿いまして、運輸省といたしましては今後も危険品倉庫の監督に遺憾ないよう至急検討いたしたい、こういう考えでございます。
  68. 板川正吾

    板川委員 自治省に伺いたいのですが、これは最初の議論に戻るのですが、昭和石油新潟における火災、また昭和電工における川崎の火災、今度の爆発事故、これがもし条件が悪かったらたいへんな災害になる。こういう場合に、日本消防体制というのは、一体これに取り組む体制ができておるのかどうか。たとえば今度の三つの川崎と品川新潟の火事が一カ所で起きた場合には、一体消防体制というのは日本の現状で、それでも安心だ、心配ありません、こういうふうな体制であるかどうか。
  69. 高橋禎一

    高橋説明員 現在の消防体制については、板川委員御存じのとおりでございます。そして先ほど来もお話のございましたところでありますし、また私どもの研究といたしましても、いまのままで何事が起こっても大丈夫だ、そういうことばなかなか簡単には言い得ない実情である、こういうふうに考えまして、一般社会の進歩に伴って消防体制も時々刻々これを検討して、その体制の強化をはかってまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
  70. 板川正吾

    板川委員 災害基本法ができて、防災基本計画が立ったりしておりますが、私は消防組織法、消防法あるいは災害基本計画というものはこの際根本的に考え直さなければいかぬじゃないかなという感じがします。その例をあげてみますと、いまの消防というのは、地方自治体が主体の消防でしょう。市町村が中心の消防でしょう。この間新潟昭和石油火災が起きた。たとえばあの火災が起きた場合には、新潟市だけで消すことができない。できない場合は新潟市はどうするんですか。いまの法律からいうと、新潟市を応援しなくちゃならぬという義務は他の市町村の消防隊にはないでしょう。
  71. 高橋禎一

    高橋説明員 いまお尋ねの点につきましては、互いに協力し合おうという、いわば防衛の協定があります。
  72. 板川正吾

    板川委員 近隣の市町村で協定を結んで、大火事があった場合にはそっちからも応援してくれ、こっちからも応援に行きます。れういう協定があります。しかし協定を結ぼうとしても、しょっちゅう起こるところと起こらないところじゃ、起こらないほうが損をするんですよ。たとえば今度の新潟災害でも、知事は災害基本法で要請することができるでしょう。大火事があって市町村ではとても手に負えない。だから県で、災害対策本部で他県に応援を求めよう。新潟県で今度の大火事で他県に応援を求めましたか。
  73. 高橋禎一

    高橋説明員 東京から応援にまいっておるようなわけでございます。
  74. 板川正吾

    板川委員 東京が応援に行ったのは、新潟県の要請ではないんですよ。東京が応援に行ったのは、消防庁が見るに見かねて、応援に行ってくれといって東京都へ頼んだんじゃないですか。東京都は、どうも人のほうの火事で自分のところの金を使うのはと四の五の言っておったが、しかしそれにしてもあまり行かないわけにいかないからというので、あとから行って、さっそく引き上げたんじゃないですか。それは一体どういうことなのか。消防というのは市町村の責任、市町村の予算内でやっているんでしょう。だから新潟県が東京都へ応援してくれと頼めば、その費用は新潟県の負担になる。だから頼みにいかない。東京都は頼みにこないから、人の火事で自分の予算を使いたくないから、行かない。消防庁に言われてやむなく行った。早々に引き上げた。だから新潟県としては消えるまで待とう新潟の火事で、昭和石油の油が燃えてしまうまで待つほかなかった。ではこういう火事がどこかでもっとひどい状態で起こった場合にどうなるか。消防庁全国消防隊を動員する命令権、指揮権はないでしょう。火事が起こっている市町村の責任で、予算がなければ、燃えてなくなるまで待とうということになる。これがいまの日本消防体制の実態じゃないですか。こういう状態はいいと思いますか。
  75. 高橋禎一

    高橋説明員 将来に関する問題につきましては、先ほど申し上げたとおり十分検討いたしまして万全を期したい、こう考えるのでありますが、新潟県の過般の火災の問題に関連をしまして協力の要請があったかどうか、あるいは東京から応援にまいりましたこと等に関係いたしましては、事務当局の消防次長からひとつ……。
  76. 板川正吾

    板川委員 それは調べた結果わかっておって、新潟は出してないのですよ。消防庁が頼んだ。消防庁には命令権がないのです。それで東京都もしかたがなくて百名ほど行ったけれども、本拠を留守にしてはいけないというのですぐ引き上げた。で、新潟は燃えてなくなってしまうまで火事になっておった。しかし海岸ぶちで工場以外にこっちへ燃えてこないからいいようなものだけれども、これがあの火事で何千人、何万人という人が燃け死ぬ状態で、いまたとえば東京都の場合でも、それは行けませんということが言えるのです。いまの法律では。いまの消防組織法、消防法災害対策基本法、こういった法律関係では言い得るのです。やり得るのですよ。私は、ここに日本消防一つの盲点があって、一方において可燃物質というのがどんどんふえる。しかも工場コンビナートという式で、集中して工場が建つ。一回大きな火災が出た場合には、いまの日本消防組織の現状では、金がないから応援を頼めない。燃えても死んでもやむを得ません、こういう形になるのですよ。ですから私は、一つの提案として消防庁——自衛隊と思ったけれども、自衛隊は別として、消防庁の中に、全国どこでも大火事には動員できるという消防体制というのを常備する必要があるんじゃないかと思う。もちろんその消防庁本部が持つ常備消防というのは、でかい火事は何十年に一ぺんしかない。ですからそれを待っているというのじゃありません。日ごろは、たとえば地方の県なりあるいは東京都なり、近県に常駐させて、消防の実地に当たらせる。しかしその予算はこっちで組んでおって、そして化学消防あるいは大火災に対する科学的な、海からも空からも、あらゆる機動力を利用して消防するというようなものを訓練をしておく。そしてそれを常時持っておって、大災害になったときにはそれが主としてやり、しかも場合によっては消防庁本部が全県下、全国消防に応援を指令し得る、こういうような体制というものも——全国だって、まさか北海道の火事に九州を呼ぶ必要はないのですから、もちろん近県ということになりましょうが、そういうものを指令して動員し、指揮し得る体制というものをつくっておくべきじゃないですか。とにかくいまの消防体制というのでは、——末端の査察状態にしてもそうだ。予想をこえた大火災、これは忘れる時分やってくるというのですかち、大正大震災から見ると、ずいぶん年数もたっています。いつ起こるかわかりません。そういう場合にはやはりいまの消防体制ではなくて、消防庁本部が全国的な組織を持つ。もちろん自衛隊の中に消防という一つの班といいますか、そういうものを設けて、それに訓練させておくということも必要でしょう。しかし国家の予算で——地方の予算じゃない、国家の予算で、国家が動員し、しかもそれが指令をした場合には、府県の消防隊はその指示に従う。こういうように指揮系統も明確にしたりして、消防組織法も全国的に改正でもして、この際、体制を整えておくべきではないか。ヨーロッパでは消防は軍隊組織でやっているのですね。ヨーロッパのように、ときどき戦場になった国は、フランス、イタリア、ああいうところでは、消防というのは軍人の任務というふうに、生命、財産を守るということは戦場と同じように扱っておるのです。日本はそうではないですよ。そういう点で、私はいまの消防体制というのは、まことに心寒いものがあると担う。こういう機会にひとつ私は再検討をしていただきたい、こう思うのです。そのためにはやはり何といっても予算が必要だと思う。この前ある新聞によると、消防施設税を課して化学消防の陣容を充実をしたい、こういうこともあるのでありますが、これは社会党の地方自治委員が以前に主張をしたと思うのです。これはわが党が反対をする理由はないところで、実際損害保険等において若干の課税をして、そうして消防施設を充実する必要があるのではないかと思うのです。どうもいまの火災保険は、震災の場合は払わない。今度の爆発の場合でも払わないというじゃないですか。とにかくそういう点では大体もうかるようにできておる。そういう点から考えて、ある種の課税をすると同時に、私はわが国の消防体制、しかも全国を指揮し得る消防体制というものをこの際確立をしてもらいたい、こう思うのです。  それから最後ですが、殉職者十九名に対しては、ヨーロッパ諸国では軍人の任務というふうな扱い方もしておるのでありますが、警察官との補償金の差別等があるそうでありますが、ひとつそういうことのないように、差別のないように最大の補償をしてやってもらいたいということを要望しまして、質問を終わります。御意見があったら承わりたい。
  77. 高橋禎一

    高橋説明員 ただいまの消防体制強化の問題については、板川委員の御意見は、私は率直に申しまして傾聴に値すべき有力なる御意見であると考えます。現在のままでは十全的のものでないことは、先ほど来申し上げたところでありまして、御意見等も十分参考にいたしまして検討いたしたいと思います。ただ現在それらの問題について消防庁におきまして相当検討いたしておりまするし、また殉職者の問題等に関連しましても、いろいろと心を砕いておるというような状態にございまして、それらを事務当局から簡単に説明させますから、御了承願いたいと思います。
  78. 川合武

    川合説明員 先生のお話の機動隊的な考え方でございますが、現在私どもは相次ぎます事故にかんがみまして、また組織法の改正もしなければならぬと考えております。要点は、御承知のような市町村消防の応援につきましての仕組みでございますが、私ども消防庁長官に応援指示権というものを法定いたしまして、応援の敏活、また合理的な運用にあたる、こういうような点を法改正として前向きに考えておるわけでございます。いろいろ先生から激励的なお話をいただいたので、かようなことをつけ加えて申し上げるのもいかがかと思いますが、先ほど新潟におきまして、東京消防庁は行きましてからは相当活躍いたしておりまして、延焼防止に成功いたしておりまして、二十基を救っておりますので、その点につきましては御理解をいただきたいと思います。
  79. 二階堂進

    二階堂委員長 明八月一日土曜日は、午前十時三十分より委員会を開会する予定でございましたが、打ち合わせ会といたしますから御承知おきください。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会