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1964-06-25 第46回国会 衆議院 商工委員会 第61号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 始関 伊平君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事中 村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    大石 八治君       海部 俊樹君    神田  博君      小宮山重四郎君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    長谷川四郎君       三原 朝雄君    村上  勇君       大村 邦夫君    加賀田 進君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君      米内山義一郎君    麻生 良方君       伊藤卯四郎君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         工業技術院長  馬場 有政君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         通商産業事務官         (工業技術院総         務部長)    小林 貞雄君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)  大堀  弘君         専  門  員 渡邊 一俊君     ――――――――――――― 六月十九日  物価値上げ反対並びに独占価格引き下げ等に  関する請願久保三郎紹介)(第四六一二  号)  同(川上貫一紹介)(第四七四七号)  同(谷口善太郎紹介)(第四七四八号)  同(加藤進紹介)(第四八六三号)  電話加入者事業協同組合政府資金導入に関す  る請願田中伊三次君紹介)(第四六一三号)  物価安定等に関する請願加藤進紹介)(第  四六七八号)  同(谷口善太郎紹介)(第四六七九号)  同(林百郎君紹介)(第四六八〇号)  同外一件(加藤進紹介)(第四七四三号)  同(川上貫一紹介)(第四七四四号)  同(谷口善太郎紹介)(第四七四五号)  同外一件(林百郎君紹介)(第四七四六号)  同(加藤進紹介)(第四八六四号) 同月二十二日  加古川公共用水域汚濁防止に関する請願(渡  海元三郎君外二名紹介)(第四九三九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十日  新産業都市建設にかかる財政措置に関する特別  法の早期制定に関する陳情書  (第八  〇二号)  中小企業対策に関する陳情書  (第八〇三号)  中小企業育成対策に関する陳情書  (第八〇四号)  物価値上げ抑制等に関する陳情書  (第八〇五号)  工業整備特別地域整備促進に関する陳情書  (第八〇六号)  広域公害防止対策に関する陳情書  (第八〇七号)  中国経済貿易展覧会北九州開催に関する陳  情書(第八〇八  号)  同(第八〇九号)  同  (第八一〇号)  中小商工業者に対する融資拡大に関  する陳情書  (第八一一  号)  商工業集団化資金償還期限延長に関する陳  情書  (第八一二号)  山砂利採取に伴う被害対策等に関する陳情書  (第八二二号) 同月二十二日  競輪の選手制度改善に関する請願反対に関する  陳情書外一件  (第八四一号)  中国経済貿易展覧会北九州開催に関する陳  情書(第八四八号)  同(第八四九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電源開発促進法の一部を改正する法律案内閣  提出第一七二号)  日本電気計器検定所法案内閣提出第一四九  号)      ――――◇―――――
  2. 小川平二

    小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。  都合により、委員長が不在でございますので、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案審査のため、電源開発株式会社総裁大堀弘君が参考人として出席しておられます。  政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許可いたします。加賀田進君。
  3. 加賀田進

    加賀田委員 この電源開発促進法の一部改正は、新たに国際復興開発銀行から融資の道を開こうという単純なことであります。従来もいろいろ電気事業法等関係で論議を重ねておったわけですけれども、まず第一点として、この電源開発事業の中で、いわゆる用地買収とかあるいは公共の投資とかいうものが非常に大きな金額を占めておるわけであります。したがって、先般もちょっと質問したのですけれども、最近新聞テレビ等でよく言われております、いわゆるまぼろし部隊、電源ジプシーというように、電源開発をしようとする各予定地において仮小屋等をつくって、補償目的行為というものが非常に顕著になってきた。もちろん電源開発に基づいて、長い間、先祖伝来土地が奪われていくとか、あるいは家屋がそのために埋没してしまうというような、いわゆる善良な住民に対しての補償は、私は当然適正な補償をしなければいけないと思うのですけれども、そういう補償目当ての悪質なものの対策について、これは電発関係だけではなくして、いわゆる九電力会社にも、今後の電源開発について大きな財源の不要な用途というものが生まれてくるのではないかと思うのです。その点について、先般電気事業法審議のときにも少し触れたわけですけれども、どうも明確な回答がない。何とかしたい、こういうような程度でありますけれども、この問題について、やはり根本的な対策政府としては立てる時期がすでにきたのではないか。そうしなければ、国際的な銀行からこういう資金を借り入れても、不当な方向に使用されるというようなことでは国際信用上も非常にまずい点が起こってくるんじゃないか。したがって、政府としてそういう対策を早急に立てる意思があるのかどうか。立てるとするならば、具体的な問題は別としても、基本的にどのように今後努力目標というものを立てていくのかどうか、こういう点を一点政府に御質問いたしたいと同時に、警察としてこの問題について協力する点がないのかどうか。いろいろ新聞等によりますと、いまの法律ではどうもしょうがないんだ、傍観しているような態度をとっているようですけれども、非常に社会性の強いこの電源開発については、一企業事業という見方は私はできないと思う。膨大な資金の中での半額以上がそういう金に浪費されているというような状態ですから、もっと真剣に、やはり政府全般の機関として協力すべき点があるのではないか、私はそのように考えるわけですが、ひとつ政府の決意というものをあらためて発表していただきたいと思います。
  4. 宮本惇

    宮本政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、水力開発につきまして最近一番問題となっておりますのが補償の問題でございます。九電力会社電発を含めまして、最近の統計によりますと、総工事費の中に占めます総補償費の割合は一二%弱、またその中では公共補償が五〇%をこえておるという実情でございます。水力開発が叫ばれておりながら補償問題でいつも問題が起きるということにつきましては、実は電気事業法の御審議をいただく際にも、衆参両院でただいま先生お話にございましたような質問がいろいろ出たわけでございます。この問題は、特に先ほどお話しのまぼろし部落というような問題はわれわれから見ますと全く困るわけで、この前申し上げましたように、電気事業法をつくります際に、何とかしてこういうものを防ぐ手はないかということで、電源開発予定地域というようなことも考えてみたわけでございます。ただこの問題は法制局段階で、電気だけではなくやはりオリンピックの道路とかいろいろな問題があるので、別途土地収用法とかあるいはそういうことで全体として検討すべきであるというようなことから、電気事業法からは落ちたわけでございます。しかしいずれにいたしましても、ただいまは確かに御指摘のように土地収用法で一応やっておるわけでございますが、何ぶんにも時間がかかるということで、その点は早急に新しい立法を考えたい。これは通産省だけの問題ではなくて関係各省とも相談いたしましてやってまいりたい、こう考えておる次第でございます。それと同時に、やはり補償基準というものをある程度はっきりさせる。それで公共補償などにつきましても、近く建設省に公共補償審議会というものもできますので、至急そこで基準をきめましてこれが徹底を期したい。現段階ではそんな段階でございますが、近き将来必ずこれはアダプトいたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 加賀田進

    加賀田委員 それでは、いま補償基準というようなものが一つの案として出ていると言うのですけれども、私の言っているのは、いま申し上げたように補償基準というものは、長い間その村に永住しておって水没地帯となった補償というものについては、それは補償基準というものをきめて、できるだけすみやかに接収できるような方法というものを考えなきゃいかぬと思うのです。私の指摘しているのはそうじゃなくして、補償目当てに特殊な木造家屋を建てたり、あるいは商売もしていないのにおとうふ屋さんというような看板を掲げて商売の証文を取ろうというような、そういう、補償目当ての移動的な性格の人が相当ふえているのじゃないか。それについてどういう対策を考えていくのか。そういうことがもし許されているとするならば、永住されている方と同じように補償されていくとするならば、これからますますそういう社会悪というものは増大していく傾向にあるのじゃないかと私は思う。したがってその点は区分して、明確に対策というものを立ててもらわなければならない。その点をどう考えているのか、このことを私はお尋ねいたしているわけです。
  6. 宮本惇

    宮本政府委員 現在の土地収用法のもとにおきましても、土地収用法の第三十三条によりまして土地細目というものの公告を行ないますと、それが行なわれた後は土地収用法の八十九条によりまして、補償の増加のみを目的とする補償行為補償の請求ができないということに規定上はなっております。ただ、実際問題といたしましては、土地細目公告が行なわれますまでに、たとえば電源開発計画細目がきまらなければいかぬとか、あるいは事業認定の申請をするというようなことで、そういう手続をやっております間に実は新戸ができてしまうということで、いままでの土地収用法手続だけに限ってみましても、過去の統計では、公告まで二百二十八日かかっておるというのが現状でございます。したがいまして、この辺をもう少し何とか簡易と申しますか早めるということも一つの手ではないかと思いますので、その面は、たとえば例の公共用地の取得に関する臨時措置法というようなことでは、これは相当縮まっておりますが、そういったことをなるべく早める。ただ、やはり電源開発予定地域というような制度をかりにつくるという場合に、憲法上の私権の制限——居住の自由でございますか、そういうことに、ぶつかってなかなか問題があるようでございますが、結局いまの場合では、その期間を早めるように何とか努力いたしたい、またそれと同時に別途考えたい、こう考えております。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 土地細目等がきまる前にすでに一般巷間にそういうことが流布されておる。そして、それの目的達成のために仮小屋をつくるというわけですから、どうしてそれが漏れていくのか。そういう問題もやはり検討すべき必要があるのじゃないか。しかも専門的になっているのでしょうけれども、水没する地点に集中的に家屋等が建てられるということになってくると、これはやはりそういう計画事前に漏らすとかいうような道があるのじゃないかと思う。そういうことがやはり問題を拡大しておる大きな一つの要素じゃなかろうかと思うのです。そういうものについて、いまここですぐ抜本的な改正云々というようなことはなかなか困難だろうと思いますけれども、これはやはり何としても電源開発について大きな支障を来たすと同時に、一つ社会悪なんですから、わが国にそういうものがだんだんと野放しに増大していくということになると国際的な信用も失墜してくるでしょうし、これは何とか考えていただかなければならぬ。最近よくそういうことが発表されますし、国民もそういう事態があるということを相当知っておる状態ですから、政府は何をしているんだというような批判も相当高まっておりますので、その点についてはひとつ明快にしてもらいたいのです。そういう状態を阻止するためには、やはり市町村地方自治体自体もそれに協力関係というものを結ばなければ、この問題はうまくいかないと思うのです。他人の地上にかってに家屋を建てるわけではございませんから、それはやはり、そういう目的を知りながら相当の有利な賃貸契約を結んで、そしてそれを与えるわけですから、そういうことではやはり市町村自体電源開発についてもっと理解のある態度を持って、そういう事態に対しての、事前に起こらないような協力関係を結ぶ必要があると思うのですが、自治省の岡田さん、柴田さんでもよろしゅうございますが、そういう問題について自治省として地方公共団体協力を要請したことがあるかどうか、この点をひとつお伺いしたい。
  8. 柴田護

    柴田政府委員 いまいろいろお話しになっております問題につきましては、実は私どもといたしましては、おっしゃるような点につきまして、市町村当局としていろいろ反省すべき点があるのじゃないかというように実は感じながらやっておったわけでございますが、私どもといたしましては、市町村内部の問題が主たる問題であるという観点から、いままで特にそういうことにつきまして注意を喚起したり、あるいは指示めいたことをいたしたということは実はいたしておりません。ただ、いままでるるお話を伺っておりますと、やはりいろいろ問題があるということもよくわかりますし、何か機会がありましたら、そういう問題についても注意を喚起する必要があるんじゃないかなというような感じを持ってきておるわけであります。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 理解されれば、協力できる面がたくさんあると思います。たとえば、そういう家屋だって許可なしには私は建てぬと思うのですが、建築許可を得て正式に建てるという場合には、やはり建築基準に基づいて、そういう不当なねらいがあるかどうかということを自治体自体相当検討して、目的が他にあるとするならば、いわゆる電源開発に対する補償目的だということになれば、やはり建築許可についても相当の理由をもってそれを留保できるし、無許可で建設すると撤去命令も出すことができると思う。ところが、今日私が見ておりますと、もちろん九電力は私企業でありますから、電発といえども特殊法人でございますから、国家的な権力背景というものが非常に弱い。自治体というものは何といっても国家権力背景が強い。そういう関係で、いろいろ地元の住民意思も加味されていると思うのですけれども、できるだけ多くの補償を取ろうという逆の姿勢地方公共団体にあるように私は考えるのです。もちろん対象は九電力であり電発であるけれども、やはりこういうもので多くの電源開発資金を使うということは、ひいては電力料金に大きな影響を来たしてくるわけです。電力料金というのは、御存じのように原価主義をとっておりますから、電源開発に大きな資本を投入するといえば、当然それが電力料金の算定の中に大きくあらわれてくる。逆に言えば、電気料金をもって補償された人々の金額を補っている、こういう現象が起こってくるわけです。したがって、地方公共団体ができるだけそういう不当な補償というものを押えるように協力をするということは、電力料金が安くなる、住民サービスを強化するという一つ関係点を持ってきているわけです。だから、どうしても私は地方公共団体も、電源開発に対してのいまのような態度じゃなくて、協力関係に、理解ある態度というものをとっていただかなければ、ほんとうの電力開発について、将来スムーズにいかない点がたくさんあるのじゃないか。すなわち、その点はやっぱり地方公共団体を指導している皆さんとしては、こういう電源開発計画が立つということになれば、もちろん九電力電発等事前地方公共団体連絡をし、協議をすることも必要でしょう。しかしそのことは、地方公共団体協力をするという態度をとらなければ、事前連絡をしたりすることはできないと思う。いまの状態はあとで質問いたしますけれども公共補償の問題にしても、できるだけたくさんひっぱり出そう、できるだけこの際地方自治体の赤字の解消の一翼にも、地方公共事業の金をつぎ込んで援助しよう、こういう姿勢で臨んでいるために、電源開発をしようとすると、地方公共団体事前協議をし、協力を要請するということがなかなか困難な状態になっております。だから、その点では地方公共団体に対しての協力関係自治省として指導的な立場に立って推進していく必要があると思います。きょうは大臣はお見えになっておりませんけれども柴田局長としてもひとつ大臣と相談して十分に指導していただきたい。  さらに質問いたしますが、地方公共団体が、電源開発計画が立つということになりますと、公共補償というものを電発なり九電力要求するわけです。この要求するということは、今日の地方財政法上できるのかどうか。地方財政は、地方公共団体間の委任業務とか事業とか、あるいは国と地方公共団体との関係は規定しておりますけれども民間企業に対して事業を委託されて事業するだけの、そういう財政的な処置がなされているのかどうか。もしそういうことが今日までやられているならば、それは財政処理としてどのように取り扱われているか、一般財政の中に含まれているか、あるいは特別会計としてそれが規定されているのか、一般財源としてもし収入の中で消化されておるとするならば、寄付金という形でやっているのか、あるいは財政上どのような処置をとっているのか、その点ひとつ明らかにしてもらいたい。
  10. 柴田護

    柴田政府委員 前段のお話につきましては、おっしゃることはよくわかります。ただ、これは個人的見解になるかもしれませんけれども、そういうできるだけ取ってやれというような住民風潮を招いておるということは、地方公共団体あり方にも問題がありますけれども、また大きく申し上げれば全般的な社会風潮があるんじゃないか。地方公共団体自身でえりを正していくことが必要ではございましょうけれども、それだけじゃ問題は片づかぬのじゃないかという気持ちがありますけれども、しかし、それだからといって地方団体といたしまして、いまのあり方を是認するわけじゃございません。なお十分御趣旨の点を体しまして、何らかの形でもっと電源開発というものを認識するような方向で考えてまいりたいと思います。  それから後段の問題につきましては、おそらくは市町村当局電発その他の電源会社関係に交渉するにあたりましては、住民の総意を代表する形、いわば住民からの意思を取りまとめるという形で当たっておるのであって、そのこと自身公共行政、つまり地方公共団体のなすべき立場においての本来の意味の行政というものじゃございませんで、むしろ住民立場を便宜かわって交渉に当たってやるという形じゃないかと思います。さような例は、別に地方公共団体存立目的を阻害するというわけでもございません。そういうことをしてどうこうということも実はないと思います。地方公共団体自身財政に関しましては、当然普通の補償関係があるわけでございます。そうして入ってきました寄付金なりあるいは補償に伴う補償金なりという形において処理されておると思います。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 いわゆる住民意思とか、住民福祉について処理する。それは住民福祉公衆衛生の増進は地方公共団体の任務であって、そのことを目的として電源開発等に貢献されることは当然だし、またそのことは、それ以外に使用されたらたいへんです。だから当然だと思います。そういう要求の場合に、その財政的措置は、基準財政需要額基準財政収入額について一つ基準額が決定されると思いますが、その点で特殊な財政収入が生まれてくるわけです。しかもその中で、補償といったところで、地方公共団体の持っている財源を使用するためには一般会計の中に入ってしまうのかどうか。それとも特別会計として、そういうものは特に住民道路とか、あるいはいろいろな点で公衆衛生のほうに使用されるような形をとっているのか。聞きますると、その補償要求の中には、やはり治安対策費というものも含めて電発等要求されておるということを聞いておるわけですが、単に、なくなる市町村の保有していた財産を売り渡すという形じゃなくして、それらの施設とか必要な費用まで電源開発その他に要求しているわけです。どうもその点が明確にならないのじゃないかと思うが、そういう取り扱いは地方公共団体に対してどのようにしておるのか、おわかりでしたら明らかにしてもらいたいと思います。
  12. 柴田護

    柴田政府委員 いろいろな形があろうかと思います。普通は、地方公共団体は、住民補償についての補償額の決定その他のいわばあっせんの労をとるという形が多いかと思います。それにおっしゃるように、プラスアルファの問題というと語弊がありますが、別の目的を持っていろいろなものをやれば、おそらくそれは寄付金として補償されておる、あるいは補償金という形では特別補償する対象はないわけですから、別の行政目的、おっしゃるように治安対策的なものでございますれば寄付金的な立場に立って処理してまいっております。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 二点あることは知っておるのです。いわゆる村全部が水没されるというような場合に、いわゆる公共的な墓地とかその他道路等について、一つ公共団体とかそういうものをつくって電源開発等補償を求めていく、それを背後から地方公共団体が援助をしていく、こういう形態がある。しかし地方公共団体みずからが何千万円という金を要求して、それを今日支払っておるという現実があるわけです。その用途についてはもちろん電発や九電力は関知せざるところではありますけれども、しかし、地方財政法四条だと思うのですけれども、強制的な寄付割り当てまたはそれに類似する行為をしてはならないということがあるのです。にもかかわらず、九電力電発についてそういう会計処理寄付行為ということになっておりますと、半強制的な寄付というものを電源開発を通じて地方公共団体はとっているでしょう。だからこれは地方財政上非常に大きな問題があると思う。寄付行為というものは、電源開発その他が自主的に寄付を出しますからひとつよろしくというのならまだ別としても、強制的な割り当てやそれに類する行為はしてはならぬということが地方財政法上明確になっているにもかかわらず、実質的には半強制的な寄付行為として取り扱われている、こういう問題が地方公共団体の中に今日存在しておると思うのです。これは自治省としてどのように指導されておるのか明確にしてもらいたいと思います。
  14. 柴田護

    柴田政府委員 その場合に強制的寄付金ということばが当てはまるかどうか、私は問題があると思います。地方財政法でいう強制的寄付金あるいは割り当て寄付金というものは、かような場合をさしておるわけではないのであります、むしろ電源開発の場合等にいろいろ起こります問題は、やはり村全体として受ける無形の損害、これに対する市の無過失賠償責任的な色彩のある寄付金で−もちろんそれは程度問題はございましょう、それをいいことにしてあまり多額な金額要求するということになれば、そこに問題が起こってくるだろうと思いますけれども、そのこと自身地方財政法にいうところの強制的寄付金とは若干性質を異にしておるというふうに考えております。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、今後地方公共団体電源開発計画に基づいてそういうものは要求し得るわけですか。また要求を続けていっても法的には何も差しつかえないし、今後もそういう形態をとっていくという、逆論になるでしょうけれども、そういう態度自治省としては臨むわけですか。
  16. 柴田護

    柴田政府委員 先ほど来申し上げておりますように程度の問題だと思います。いろいろな事情がありましょうけれども、客観的情勢、事情を心に入れた上での市の補償的なものを含めたものでございますれば、さほど問題にすることはないではないか。しかしそれが非常に程度を越えてまいることが常態だということになりますれば、われわれとしてはやはり問題として検討しなければならぬだろうというように考えております。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 その要求をする場合に、いろいろの基準とか目的とかいうものがあるわけですが、今日電源開発計画されると大ぜいの人が入ってきて治安が乱れてくるわけです。警察費として治安対策も今日まで含まれておる事実があるわけですが、そういうものまで含めて要求するのがいいのかどうか、この点を明らかにしてもらいたい。
  18. 柴田護

    柴田政府委員 治安対策費めいたものをそこに入れるというのは問題があろうかと思います。これはやはり市町村立場ではございませんで、むしろ府県としてやるべき問題であると思います。市町村立場としてはそこまでやるのはいかがなものであろうかというように考えております。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 一例を申し上げますが、四国電力の問題です。土佐山田町で昭和三十五年に電源開発による公共設備の補償費として四千四百万円という金をもらっておる。内容は詳細にわかりませんけれども、その中で治安対策費として相当の金をつぎ込んでおるわけです。ところが私が質問したいのは、そういうようにして地方公共団体電力会社から公共補償の金として治安対策費まで含めて取っておって、もちろん予算編成では一部の金を治安対策に追加いたしておりますけれども、それをあらためて警察が直接電力会社と交渉して、治安対策費として千五百万円の金を取って、その用途の不明な点が今日問題になっておるわけです。地方公共団体電力会社公共補償の金を治安対策費を含めて要求し、それを支払っておる。警察は独自に電力会社と話をしてそういう金を取って、しかもその中では用途不明の点が大半を占めておる。いわゆる治安警察が電力会社から二重の補償費を取っておるという現実があるわけです。もちろん電力会社としては非常に弱い。しかもその計画が長期になればなるほど金利を別に支払わなければならないという弱い面がありますから、相当の無理も聞いてその補償費を支払っておるというのが今日の状態です。したがってそういう意味では、警察自体がいま申し上げたようなまぼろし部隊についての対策を講ずべき必要があるにもかかわらず、逆に電源開発に便乗してそういう経費を二重取りしておるという状態が今日起こっておる。これでは電力会社はもちろん国民としても許すべき事態ではないと思うのです。さいぜん申し上げたとおり、ひいては電力料金にも大きな影響をもたらしてまいりますから、社会的な問題だと思います。これについて警察としてはどのように指導されておるのか、もし具体的内容が必要であれば申し上げますけれども、どういうように対処されておるのか。私が申し上げたのは一例でありますけれども電発の方に質問したいのですが、そういう事例は電発として今日まで何件あったのか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  20. 大堀弘

    大堀参考人 ただいまのお尋ねの点でございますが、件数はいまちょっと私記憶しておりませんが、工事が始まりますと相当多数の請負人夫が入りまして、現地において相当大ぜいの人が働くわけでございます。その治安対策のために私どものほうでやっておりますことで、いままでありました例は、警察員の派遣、駐在所の社宅といいますか宿泊所を私どものほうでつくりまして、無料でお貸しをして置いてもらっておるというのが私ども会社の例でございます。それは幾つかあると思いますが、現金で処置をしておる事例は私の会社に関する限りございません。
  21. 加賀田進

    加賀田委員 そこで自治省のほうに質問いたしたいのですが、自治省財政計画を立てる場合に、今日交付税というものが地方財政相当大きな財源を持っているわけですが、一般交付税は別としても、特別交付税というのは基準財政需要額が特にふえるとか、あるいは収入額がいろいろな災害で減るというような場合に支給することになっておるわけです。主としては災害の問題だと私は思うのですが、こういう電源開発に必要な経費、警察費用というものはやはり計画に基づいて、特に警察費というものは要るのでしょうけれども、一時的なものでありますから、交付税の単位費用の中に含めるということは困難でありますけれども特別交付税の中にこれを算定する法令というものをつくって、できるだけ電発やその他に補償をとらないように、しかもいま申し上げたように、警察としては治安対策費として二重にとっておるというような状態も起こっておりますから、そういう特別交付税的な処置がとれないものかどうか、その点について御答弁いただきます。
  22. 柴田護

    柴田政府委員 正当な補償につきましてはとれると思います。しかし正当でない部分について、それが補償という形でもって始末をされておるというような事態、私はいまこの席でいろいろ伺ったわけでございますが、さような事態がございますれば、是正について考えていかなければならぬでしょうが、その結果財政的にいろいろ問題がありますれば、財政的な処置の問題について検討してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  23. 加賀田進

    加賀田委員 警察の方に、警察庁の官房長がおいでになりますから、具体的に申し上げますが、これは四国電力の山田署の問題です。当時森田署長というのが電力会社に三百万円という金を要求いたしまして、しかもそれだけではなくて、さらに乗用車一台とかパトカー用の無線機一基というような現物補償という形もなされておるわけです。しかもその費用の用途についてはほとんど不明瞭な点がたくさんある。百三十万というのは治安教育費といいましょうか、そういうようなばく然とした金にほとんど使用されておる。そういう金で用途が明確でないから、今日四国のほうではいろいろ問題になっておるわけですけれども、しかもこのことは特別会計として山田署が独自にこれを使っておるという形態だそうです。寄付というものはやはり本部に集めて適正な用途に使わなくてはならないということは警察として指導されておると思いますが、そういう件について、これはこの問題だけでなくて、各所に歌ういう問題が起こっておりますから、警察としてはこれについて一体どう指導されておるのか。そういうのが今日電発関係を利用して警察の施設とかその他を充実しようという意図を持って使用されておるのか、その点ひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  24. 浜中英二

    ○浜中政府委員 都道府県警察の施設に要します経費につきましては、法令の定めるところによりまして、国や都道府県が予算をもってこれをまかなうというのがたてまえでございます。実際にもそのように措置されておるのでございますが、今回のような電力開発につきまして警察署が三百万にわたります現金の寄付を求め、しかもそれを十分な寄付の採納の手続をとらないで、署長の責任と判断において経理していたというような事情がわかったのであります。これは私どもの指導方針といたしまして、著しくそれに違反していることでございまして、まことに遺憾に存じておるわけでございます。ただいま詳細の事情につきまして、当庁側といたしましても、厳重に調査中でございます。なお、県本部におきましても、それぞれ今回の問題につきまして、いろいろと内外から疑惑を深めましたことにつきまして強く反省いたしておりまして、臨時に署長会議とかその他徹底した監察を行ない、また責任者の処分も行ないまして、二度とこのような間違いのないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  25. 加賀田進

    加賀田委員 電力会社が治安を心配するから、そのために、これは治安対策に使ってくださいと自主的に寄付を申し出るということなら、警察は寄付を受けてはいけないということになっておりませんから、受けていいと思いますけれども、この実態はやはり予算を組んで要求しているわけであります。今度の場合も三百二十万という予算を要求して、それに基づいてどう折衝されたか、結局三百万円と自動車やその他現物が給付されている。そういたしますと、強制的にではなくても、みずから自動的にそういう見積もりを出して要求するということは、これは半強制的な行為だと私は思うのです。警察としてそういう強制寄付というものをなし得ることがあるのかどうか、その点についてひとつ警察庁として明確にしてもらいたいと思います。
  26. 浜中英二

    ○浜中政府委員 ただいまの点につきましては、私どもは、警察署と町当局電力会社との間でいろいろと相談をいたしました結果、そのように話がまとまった、決して強制的な寄付の申し出ではなかったように聞いておるのでございますが、しかし私どもの方針といたしましては、たとえ臨時的に寄付を受ける場合におきましても、御指摘のとおり自発的であるか、ほんとうにやむを得ないものであるかどうか、かつまた弊害を生ずるおそれがないものかという点を検討いたしまして、そういうものに限って、あらかじめ警察本部長の承認を経て、それぞれの府県の財産条例、財務規則、または会計規則等の定めるところに従って、当該都道府県に寄付採納を行なうべきであるという通牒を発しまして、それによって厳格に指導してまいったのであります。今回のことにつきましては、そういう点につきまして署長がしかるべき手続を経ていなかったというところに非常に誤解を生じたものと反省をいたしておる次第でございます。
  27. 加賀田進

    加賀田委員 いまの答弁ですと、手続上少しまずい点があったが、寄付を仰ぐことは正しいというような見解なんであります。しかし警察自体として、治安がいろいろ流動していくでしょうけれども、それに対処するのは当然の立場だと思う。警察自体がそれについて予算の不足があれば、府県当局にそれを要求することであって、電発要求するあるいは九電力要求するという性格のものではないと私は思うのです。その根本的な性格からやはり警察としては考えてもらわなければならぬ。用途がどうも不明瞭だが、ガソリン代に使った、修理代に使ったというように用途が明確であれば電発から金をとってもいいのではないかという姿勢そのものが間違っていると思いますが、それはどうでしょうか。
  28. 浜中英二

    ○浜中政府委員 御指摘のとおり、本来すべて公費でまかなうべきものであります。したがって、たとえ手続を十分にしたとしても、これが全然問題がないというように私どもは考えておらないのでございます。ただ非常に工期が臨時的なものであって、非常に公益性の強い電源工事等に関しまして、先ほどお答えがありましたように、施設等につきまして会社側から無償の提供を受け、それについて人員を派遣するというようなことにつきましては、今日の段階においてはある程度やむを得ないものだとは考えておるのでございます。ただいまのように何百万という寄付を現金で受けるというようなことは、私どもこれをあたりまえのことだというふうにはもちろん考えておりません。あくまでも公費でまかなうようなたてまえで指導してまいりたいと考えております。
  29. 加賀田進

    加賀田委員 しかもこの三百万円というのは、実は四国電力が出しているんじゃないのです。四国電力自体が出しているのは百二十万円なんです。請負業者からこの金をとっておるわけです。今度の場合でも鹿島、大成、間組から合計百八十万という金を出して、あとの百二十万を電力会社が出しておる、こういう事態です。取り締まられるほうが取り締まる警察のほうへ金を出しているという形の中で、これは完全な取り締まりというものができるでしょうか。私はどうもその点は、警察のあり方として今日一つ不明朗の点があるんじゃないかと思います。もし治安の強化というものが必要だ、その対象は請負業者から入ってくる労働者だというならば一その代表の方々から金をとっておる。私は、その労働者は、治安というものについて特に警察が多くの金をつぎ込んで、それを大々的に対象を講じなければならぬというふうに考えておりませんけれども、もし警察が特に治安というものについて多くの金をつぎ込まなくちゃならぬ懸念があるとするならば、それらの人々から金をとっての治安対策というの  は、どうも私は警察のあり方としては納得がいかないんですが、一体取り締まられるほうから金を取るような警察のあり方というものが正しいのかどうか、今後警察としてはそれに対してどう指導されようとしておるのか、この点について、明確にしてもらいたいと思います。
  30. 浜中英二

    ○浜中政府委員 警察といたしましては、四国電力株式会社から受け入れておったのでございます。後日わかりましたところによりますと、御指摘のように、そのうち建設業者が百八十万円負担している模様でございます。四国電力会社と建設六社との内部交渉の経緯につきましては、警察といたしま旧して全く関知しなかったところであったのでございます。しかし、そういうような業者から警察が寄付をもらって仕事をするということは、厳正公平な警察の執務を行なっていく上におきまして、とかく誤解を招きやすいし、非常に弊害を伴うおそれがあるわけでございます。ただいま御指摘の点につきましては、今後一そう監督を厳重にいたしまして、そのようなことのないようにしてまいりたいと考えております。
  31. 加賀田進

    加賀田委員 私は五年ほど前だと思うのですが、地方行政委員会で警察の寄付問題について、警察のあり方をもっと厳正にすべきだということで、当時の柏村長官は各警察へ寄付行為をやってはいけないという示達を流して、一時それが解消されたはずなんです。ところが、五年後の現在を見ますと、再びそういうような形というものが警察の行政の中に生まれてきているということは、非常に私は遺憾だと思うのです。もちろんそれは警察の財政の貧困からくる一つの証査だと思うのです。これは警察としても十分私は注意していただかなければならぬ。と同時に柴田局長に、だから私はそういう電源開発に基づいて、府県警察に対して特別交付税の道を開いて、財源的な裏づけというものを法的にすれば、警察自体としても一般社会から非難を受けるような行為というものは、ぼくは減少するんじゃないかと思う。いま申し上げたように、特に治安対策として要るのだ、こういうことが警察のほうからあったと思いますから、やはり突発的な一時的な財源需要というものが必要になってまいりますから、これは特別交付税として何か道を開いていただかなければならないと私は思う。もう一度答弁していただきたい。
  32. 柴田護

    柴田政府委員 私は、特別交付税で見ないということを申し上げておるわけではございません。ただ交付税の計算をいたします場合には、二割の税収入を別にいたしております。その税収入の使い道等々の関連において非常に困った事態が発生するならば財政的に措置を考える、特別交付税の配分の際に考慮に入れる必要があるだろうということを申しているのであります。ただ当然に要るということは、問題が問題でございますから、申すことはいかがかと考えております。
  33. 加賀田進

    加賀田委員 特別交付税というものは突発的な問題で、電源開発というのは相当計画されております。したがって、それは特に基準財政需要額のほうにも算定する方法があると私は思う。だからその点は財政的な裏づけを十分に——十分とはいかなくても電源開発関係した財政裏づけというものはやはり財政計画の中に見る、こういう態度をとらなければ、警察自体としても、上からは金はくれないわ、治安を強化せよと言われるわ、つい不正なところに手が伸びるということは事実だと思う。もちろん地方財政は豊かとは言いません。言いませんけれども、そういう不正な状態が起こる問題を解決するためには、自治省としてもやはり予算その他について十分な処置を今後考慮していただかなければならぬ。  それから通産省にお尋ねいたしたいと思うのですが、いま申し上げたとおり、非常に不明朗な支出というものが電源開発関係の中であるわけです。先般私が指摘したように、四国電力に対しての会計監査についても非常に不明朗な点があって、表面に出せないような財源が出ておる。それが会計監査に指摘されては困るというようなことから、非常に監査員と電力会社との問題が惹起されておるのではないかと思う。したがって、こういうものが明らかになると、そういう会計上非常に不明朗な点も相当あると思うのですが、四国電力その他の会計について、監査の結果、そういうものが明らかになっておるかどうか、その点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  34. 宮本惇

    宮本政府委員 穴内川のただいまの問題につきましては、現在までのところ監査は行なっておりません。しかし、建設監査は今後実施いたしたいと思いますので、そういった点も特に注意いたしまして、そういう金の支出につきまして具体的に検討いたしたいと思います。
  35. 加賀田進

    加賀田委員 会計監査というのは、収入、支出双方とも監査するのではないのですか。電源開発についての支出なんですけれども、いままでそういうものは全然監査されてないのですか。
  36. 宮本惇

    宮本政府委員 建設監査というのは、もちろんいたすわけでございます。その点につきましては穴内川の一もちろん御承知のように、それぞれ、年間を通じて、いわば抜き打ち的にやっておるわけで、現在までのところは、穴内川の建設監査は行なっていないということでございます。しかし、それは今後直ちに実施いたしたいと思います。
  37. 加賀田進

    加賀田委員 抜き打ち的に監査されたということは非常にけっこうなことなんですが、じゃ、その監査でいままでに、そういう警察その他に会計上疑義のあるような寄付行為というものが指摘されたかどうか、されたとすれば、その点についてちょっと詳細に報告願いたいと思います。
  38. 宮本惇

    宮本政府委員 御指摘のように、治安対策費というような問題で先ほど来お話がございましたように、そういうところで工事労働者がふえるというような関係から、昔でいえば請願巡査的にお願いするというような考え方で、いままでも全体といたしましてそういう経費を支払った例はかなり多いようであります。しかしながら、結局はその問題は今後、先ほど来お話しございましたように、公共補償のやはり基準の問題として特に検討すべき点があると思いますので、公共補償基準というようなものを定めます場合に、そういったものを特に検討いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  39. 加賀田進

    加賀田委員 どうもそれは九電力とか電発等は一面地方公共団体、警察には弱い面があるから、要求されれば、相当長期にわたってその問題が紛糾すると、借り入れた金利というものが背景についておるのでできるだけ早く解決したい、こういう意味と弱さとの中で無理を聞かなくてはならない点も相当あると思うのですが、どうも補償の内容について適正を欠いている点が相当あるんじゃないかと私は思うのです。治安対策費といっても、いま申し上げたように、警察自体が流動的にそういう体制を整えなくてはならない義務があるんでしょう。だからそれはいま地方公共団体協力関係を結ぶという姿勢であれば、府県警察ですから、府県のほうへ要請して事前に予算を組むとか、あるいは予算の補正をするということで問題が解決するのであって、このことを補償の中に入れるということは、法的にもあるいは今日の警察行政の中にも不正を惹起する大きなおそれがあるんですから、安易な気持ちで出すということは結局行政的に大きな問題が起こってくるんじゃないかと私は思うのです。そしてそういう表面化しては困るような、実際には出さなくてはならぬけれども会計法上非常に疑義があるということから監査員に対して手心を加えなければならぬという、こういうことも派生的に起こってくると私は思うのです。人間ですから、どうしてもそういう問題が起こってくると思うのです。だからそれは通産省自体が総合的にその体制というものをつくり、いま自治省柴田局長にも要請いたしましたが、もっと理解を持って、財政的にも裏づけをする体制というものを、これは政府が調整しなければ、通産省自体がやる、あるいは電源開発自体に要求して警察だけにそれをいかぬといって指摘しておっても根本的な解決にはならないと私は思うのです。だからそれはいま申し上げたように、電力というものは社会性の非常に強いものなんですから、私は九電力をもうけさすとか電発の仕事をスムーズにしたいとかいう、そういう小さな問題で言っているのではないのです。社会性の強い電源開発についてそういう非常にいまわしい金が流れているとするならば、それは電力料金に将来響いてくるのですから、そういう社会性と国民の経済の中で問題というものを政府自体が総合調整をするという体制で臨んでいただかなければ、いかに国際的な安い金を借りておっても、そのことが結局不正な方向、不必要な方向に使われているとするならば、その効果というものは半減するわけです。そういう意味では私はもっと——大臣がお見えですから、大臣からその点について決意のほどを明らかにしてもらいたいと思います。
  40. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいまの御質問の御趣旨はごもっともであると思います。そのように措置をいたしたいと思います。
  41. 加賀田進

    加賀田委員 電発の副総裁にお尋ねいたしたいのですが、いま申し上げたような諸般の問題は九電力だけではないと思うのです。電発のほうにもあるし、聞くところによると、電発のほうが相当金を出す、こういっておる。全般的にも九電力よりも金の出し方がきれいだといわれている。これは財源的な裏づけがあるからだろう、こういわれているのですが、そういう危険性が多分にあると思う。たとえ現物支給であろうとも、現金であろうとも、それは出した会計上は同じなんです。品物を買って渡したのだから、これはなまじゃないんだから、おれたちは知らない、そういう体制はとれない。自動車の購入料を、そのまま金で渡したって買って渡したって、それは結局同じなんだ。だからそういうものについて、いま申し上げたように、通産省も決意を固めて、各省で協力関係を結んで、そういうことのないように十分する、地方公共団体にもそういう前向きの協力要請等をするというのですから、今後、こういう重大な金を借りているわけですから、ひとつ決意のほどを明らかにしてもらいたいと思うのです。
  42. 大堀弘

    大堀参考人 先ほど来加賀田先生の御指摘のございましたように、私ども工事を担当しております立場から、まことにごもっともな点ばかりでございまして、私どももこういう段階でございますから、できるだけ建設費を節約しなければいけない立場で、補償の問題につきましては今後従来にまして一そう厳正にやってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  43. 加賀田進

    加賀田委員 それから、今度の融資の道を新たに開くのは九頭竜川の電源開発目的ですけれども、もうすでに本年度から着工するという計画を立てておるわけですが、あの地域にはそういうまぼろし部落とかいういまわしい点があるのか、ないのか、明らかにしていただきたい。
  44. 大堀弘

    大堀参考人 九頭竜の地点の補償につきましては、私ども特に従来の経験にかんがみまして工事着工を慎重に考えまして、工事着工前に補償の見通しの確信を得たいということで、その点はかなり成功いたしまして、今日までのところ現地の協力を得まして個人補償等につきましても基準が全部きまっておりますし、個々の補償につきましても、旧戸、いわゆる従来からおりました方は大部分個別にも話がついておる次第でございます。新戸といいますか新しく建った家屋がやはり相当ございます。ございますが、これにつきましては私どもは旧戸と明らかに区別をして措置をいたしたいと考えておりますし、現地当局も大体その線に協力していただけるという見通しを得ておる次第で、ございます。九頭竜川に関しましては、どうも工事が始まってから補償に入りますと非常に問題がございますが、工事前補償を片づけるという見当でやっておる、大体そういう状況に相なっている次第でございます。
  45. 加賀田進

    加賀田委員 電発あり方について、当初は九電力電源開発をするためには財政的にも非常に貧困だ、したがって産業の発展と国民生活の非常な上昇に基づいて急速に電源開発をしなければならない、だから九電力だけに依存しておっては困難だというのが、電発が発足した大きな理由だと思うのです。しかし、今日電発自体が発足した当初の使命というものはほとんど完成されておるのじゃないかと私は思うのです。したがって電発そのものの性格も、これからもっと違った方向に変えなければならない事態がすでにきているのじゃないか。というのは、電気事業法がすでに制定されて九電力という私企業が認められた、広域運営というものも一つの日程になってきたということになると、単に電気を起こして九電力にそれを配電するというだけではなくして、九電力自体に対してもっと支配的な立場に立つ性格に今日きたのじゃないかと私は思うのです。電源開発だけをやる、あるいは九電力の広域運営に協力して送電をやっておればそれでいいんだ、こういう立場ではなくして、九電力を総合的に指導する立場に今日電源開発というものの性格を変える時代がすでにきたのじゃないか。したがって、法律改正にはそういう趣旨は上がっておりませんけれども電源開発会社として今後のあり方に対して、そういうもっと高度な立場に立った指導的な機関に発展する意思があるかどうか。また、そういうことが論議されたのかどうか、そういうことについてひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  46. 大堀弘

    大堀参考人 電源開発の今日の段階といたしましては、御指摘のようにある程度転機にまいっておると考える次第でございますが、私ども会社はやはり私企業としての九電力会社以外の国策会社といいますか、国の資金を預かって仕事をいたしておりますので、特殊会社といたしまして私どもの広域運営の中で果たすべき役割りというものがあるのじゃないかと考えておりますが、今後これをどういたしますか、これは政府の御方針のこともございますので、私どもといたしましても十分検討してまいりたいと考えておるような次第であります。
  47. 加賀田進

    加賀田委員 通産省としてどう考えておりますか。
  48. 宮本惇

    宮本政府委員 御指摘のように、電源開発株式会社が、当初の目的と申しますか、から、だいぶ変わってきていることは事実でございます。したがいまして電気事業法の制定にも伴いまして、何と申しますか、九つの電力会社の広域運営に対し、質的に補完をしていくということも考えなければいけませんし、さらにまた、たとえば国策上要請される石炭の引き取り問題というような点が、先生御承知のように電発が新しく石炭火力をつくって電力会社に対するバッファーになるという、いわば国策への協力といった点、さらにはたとえば地熱発電とか潮力発電とか、新しい発電方式で先がけていくという国家的な意味からの協力ということを当然これから考えるべきであり、したがいましてそういった方向で私も指導していきたい、こう考えております。
  49. 加賀田進

    加賀田委員 実は送電の電圧においても、アメリカ等はすでに七十五万ボルトというような超高圧というものが実用化しているのです。最近は百万ボルト程度まで発展させてロスを少なくするというような——非常に電圧の高い送電というものは、これはもちろんロスが少なくなるでしょう。そういうことでそれが実用化する段階になっておる。そういうような高度な指導というものを、電源開発としてはもっと研究して指導的態度というものをとらなければならぬ。それと同時に広域運営について、いまの電源開発会社としては、まだ東電、関西電力等から見れば発電力も弱いから、総体的にはなかなか指導的立場に立ち得ないにしても、しかし私企業じゃない。特殊な法人として高い見地から指導するなにがあると思うのですが、今後急速ないわゆる電気需用に対応するだけの近代的な電気事業に発展さすように、電源開発に特に私はお願いをしておきたいと思います。  時間がないようですから、私の質問はこれをもって終わります。
  50. 小川平二

    小川(平)委員長代理 おはかりいたします。  本案について質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 小川平二

    小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  52. 小川平二

    小川(平)委員長代理 次に、討論に入るのでありますが、通告がございませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小川平二

    小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 小川平二

    小川(平)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 小川平二

    小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  56. 小川平二

    小川(平)委員長代理 内閣提出日本電気計器検定所法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。久保田豊君。
  57. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 日本電気計器検定所法案の要旨は、要するにいままで政府とそれから電気協会と東京都と、この三本でやっておった電気計器の検査を一本にして、特殊法人にしてやっていこう、こういうことのようであります。そこでまず第一に、なぜそうしなければならぬのかということであります。どこにこのメリットがあるのかという点をひとつ具体的に御説明をいただきたい、こう思うのです。
  58. 馬場有政

    ○馬場政府委員 このメリットといたしましては、これを一本化すれば非常に能率があがるし、また一元的な運営ができるというところにございますのですが、この一本化する場合に、御指摘のように特殊法人にすることがなぜ必要かということがございますが、一面たとえば国に一元化いたしました場合には、国におきましては能率的かつ効率のよい方法、機動的な運営ということにおいて欠けるところがあると考えられるわけであります。また一方におきましては、これをすでにやっております電気協会という公益法人のほうに一本化いたしました場合には、これはこの検定というものは国が行なうということ、すなわち厳正である、かつ公正でなければならぬ、そういうことについて十分な監督がいかないということ、そのことを考えまして、いまの効率的運営と、それと同時に厳正な方法がとれるという特殊法人の形を考えたわけでございます。
  59. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 なるほど、ある資料によりますと、政府のほうでは一年間に一人当たり大体において二千百くらいしか検査ができない。検定所のほうじゃ一年間で大体六千できる、こういうふうな数字が出ております。そういう差異はどこから出てきたかということであります。これはもちろん検査を担当しておる面が違うようであります。ですから必ずしも一つにはならぬと思いますが、そういう差異が出てくる根本原因はどこにあるのか、こういう点も明らかにしてもらいたい。
  60. 馬場有政

    ○馬場政府委員 いま御指摘のとおり、国におきましては一人当たりの処理件数が少なくなっております。これは一つは、国におきましては大容量のものあるいはやや複雑なものというものを主としてやっておるわけでございます。それから国でないほうにおきましては、一般の家庭に使いますようなものを主として取り扱っておる。したがってその工程と申しますか、検査に必要な工程が比較的単純でございますので、多くの処理件数が行なえるということが一つございますが、もう一つは、最近計器の処理件数が急増してきておるわけでございます。それに対応するために——国の側におきましては、先ほど申し上げましたとおりに機動的運営に欠ける面がございまして、最近の増加は特に民間のほうに多くなっておるような形になっておるわけでございます。そういった点が、いま御指摘のような形にあらわれておると考えておる次第であります。
  61. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それにしても、民間のほうが六千できるというのに片一方は二千百というのは、ちょっと開きがあり過ぎるじゃないか。これは、もっとはっきり言えば、あなた方の管理が悪いからそういうことになるんじゃないか。それでなければそんな大きな開きができるはずがないと思うんだが、その点はどうなんですか。
  62. 馬場有政

    ○馬場政府委員 管理においてあるいは欠けるところがあるかと思いますが、しかし、ただいま申し上げましたとおりに、比較的簡単なメーターの増加が民間のほうに多く集まっておる、こういうことでございます。
  63. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そこで、ぼつぼつ具体的なことについてお聞きしたいと思いますが、この法律は、明治四十三年の法律第二十六号というきわめて古い電気測定法並びにそれに連関する四十四年の二百九十六号という勅令、これに基づいてできているんですね。この元の根拠法自体も相当古くなっているにもかかわらず、この根拠法については改正をせずに、いわゆる枝葉の実施法みたいなこれだけを改正するのはどういうあれですか。
  64. 馬場有政

    ○馬場政府委員 基本的な問題につきましては、御承知のとおり多年の懸案でございまして、現在計量行政審議会において検討されておるわけでございます。ここで申し上げておりますのは、電気の計器そのものの検定をどういうふうにしてやるかということ、どういう機関でやるかということを述べておりますわけでございまして、したがって、計量法のこの計量審議会の結果によりまして、その後検討された結果そういうものが出ましても、計量検定そのものはいずれどこかでやらなければならないわけでございます。したがって、こういう形になりましても別に差しつかえはない、こういうふうに考えております。
  65. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 むしろその根拠法と一緒にやるほうが筋が通るんじゃないですか。それを特にこれだけ切り離してやるというところに、ちょっと筋の通らぬ点がある。根拠法そのものがいまの時勢にぴったり合っているものであればいいのです。これはすでにいろいろ問題になっている。これを改正しなければならぬということが、学術会議その他では問題になっているでしょう。それにかかわらず、根拠法のほうには手をつけずに、実施法だけをこういうふうな改正をしようというのはどういうわけですか。そこらの連関を……。これだけでもどうしてもやらなければならぬから実施法を先にやったんだというなら、本末転倒じゃないですか。
  66. 宮本惇

    宮本政府委員 御指摘のように、確かに電気測定法は明治時代の法律でございますが、電気測定法と計量法と、これを一緒にするかどうかということが大問題でございますし、したがいまして、いまそのために、計量行政審議会というところでその根本問題を検討しておる最中でございます。たとえば、そのまま一緒にいたしますと、一般の計量器の検査というか、そういうものが、たとえばものさしとかそういうものの取り締まりのしかた、現在におきましては、ああいう計量器は都道府県がやっておるというような問題もございまして、いまにわかにこれを一緒にするということは困難である。あるいは考え方といたしましては、たとえば単位法だけを横に一本にして、あと、取り締まり法を別にするというような考え方もあるかと思いますし、そういった点の大問題がございますので、先生御指摘のように、これをいますぐ両方一緒にするわけにはまいりませんけれども、しかし、電気計器の測定法というものは、先ほど院長が申しましたように、これだけは切り離してとりあえずやる。単位のほうはどうなるか、計量審議会の答えを待ちましてやるほうがいいということで、目下検討されておる最中でございます。
  67. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この法案によりますと、特殊法人になって、政府特に通産省の監督といいますか、介入が非常に強く出ておるような感じですね。しかし、内容はどうかというと、実はいままで電気協会の検定をやっておった部門に政府の部門を吸収したようなかっこうになっておる、こういうふうに思うのです。それではたして大衆の立場から見て利益になるような運用ができると思うのかどうか。これは理事長や役員等についても、理事長については通産大臣が任命権を持っているとか、あるいは業務方法書についても、これは政府が認可するとか、そういった各般について政府の介入権というものが非常に強いのですから、そういう意味では確かに一つ特殊法人的な、半官半民的なところがあるけれども、しかし、反面においては、両方が出資をするというようなかっこうになっておる。そういう点で、これはいわゆる電力資本の下請になりやせぬかという点が非常に心配されるわけですが、この辺については、大臣、どうですか。
  68. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 電力会社との関係、それから通産省との関係でございますが、私たちとしては、計器の問題というのは非常に大事でございます。もし電力会社とツーツーになって、変な計器ができたというようなことになってはたいへんなんでございますから、私はその間において画然たる一線を引いております。これに関する限りは、通産省として十分な監督をやるようにいたしてまいりたい、かように考えております。
  69. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そこで、まず具体的にお伺いいたします。これはなるほど法文の表では、政府の介入権、監督権が非常に強いという点ではりっぱなかっこうになっておる。しかし、内容はどうかという点になると、私は非常に疑問に思う点が多い。第一に役員の決定です。この法案によると、理事長は通産大臣が任命する。理事は、通産大臣の承認を得て理事長が任命する監事は通産大臣が任命する、こういうことになっております。ところが、新しくできる検定所の運営の中心をなすものは、この法案において審議会ができる。この、審議会のメンバーはどういう連中がなるんですか。それから、伝えられるところによると、この審議会は、電気協会とあなた方との話し合いの中では、いわゆる役員の推薦権は審議会が持つ、こういうことになっておるようじゃないですか。そういう点で、あなたのほうとちゃんと打ち合わせの公文書ができているはずです。それをここに資料として出してもらいたい。結局この審議会に入る者は、電気のメーターをつくる業務は入れないことになっておりますね。そうすると、この中に入る者は電力資本の代表者ばかりじゃないですか、おもな者は。こういうことにならざるを得ない。この人事権の実質上の運営というものはどこにあるのか。表面は、なるほど大臣がすべて、非常に大きな権限を持っているようになっておる。しかし、その実際の内容はどうかというと、新しくできる検定所の運営の中心になるのは、審議会ができる。その審議会のメンバーというものは、大体電力資本の気に入るやつでなければだめだ。その審議会が実質上の役員推薦権を持つ。それを大臣が受けて任命するというだけならば、形は確かに特殊法人的な中立的性格を持つ。持つが、内容的には、いまも申しましたように、電力資本の言うとおりの運営なり人事なり内容ということになるんじゃないか。この点についてはどうなんですか、いままでの経過をはっきりここへ、文書もあるはずですから、そういう文書を出さないでいきなりこういう——あなたのほうぐらい今度の法案の審議について資料を出さないところはない。ほとんど必要な資料がついておらない。ここらにも非常にふまじめなところがある。この点についてはっきりした文書を出しなさい。
  70. 馬場有政

    ○馬場政府委員 審議会は、性格を申し上げますと諮問機関でございます。そして理事長がこの任免権を持っておるわけでございます。したがって役員の場合は、いま御指摘のあったような状態ではないわけでございます。  なお文書というようなお話がございましたので、いま総務部長のほうから御説明させていただきます。
  71. 小林貞雄

    ○小林説明員 ただいま御指摘の人事権の問題でございますが、これは当然特殊法人理事長が人事権を持っておるわけでございまして、法律にもその点明確にいたしておるわけでございます。なお業務の運営にあたりまして、この種検定の業務が円滑に遂行されるためには、特殊法人といたしまして理事長の任命のもとに、しかもその諮問機関といたしまして運営審議会というものをつくってやることが諸事スムースにいくのではないだろうかというようなことから議論が出てまいったわけであります。結局法案といたしましては第七条の規定の中の定款で運営審議会を設置するということを明記することになっております。その定款は当然のことでございますか、通産大臣がこの定款を認可し、変更のときも当然認可するわけでございまして、そういう意味で、この審議会においても、諮問機関であると同時に、審議会そのものについて通産大臣も責任を持つ、こういう体制になっておるわけであります。その辺の監督、運営よろしきを得て、御指摘のような電力資本その他の支配力が及ぶ云々という問題は私どもとしては避けていきたい、かように考えております。  なお、いきさつという点について御指摘がございましたけれども、これは御指摘のように電気協会といたしましては、運営審議会を何とかつくってもらいたいというようなお話も過渡的にはございました。昨年の九月の十八日に、電気協会の会長から公益事業局長あるいは工業技術院長に対しまして、電気協会といたしましては、この特殊法人設立に協力するという意味で出資をすることにきめたのでありまして、その特殊法人が円滑に遂行される上で、また自分たちとしても重大な出資者としての関心もあるというようなことから、いろいろと希望条件を出しておるわけでございます。その中には聞くべきものもございましょうし、またたてまえとして役所の立場でできないものについてはもちろんできないというような態度でこの要望に臨んでおりまして、できるだけ御趣旨の点はよくわかったということを申しておるわけであります。電気協会は出資者でございますけれども、この特殊法人に対する出資者の権能というものは、株式会社における株主のような権限は全然持っておりませんので、金を出資すればあとは解散の場合などに財産の配当権、請求権を持つという程度の非常に弱い権限でございますので、そういう意味から見ていきましても、電気協会なりあるいは電力会社電力資本が本特殊法人に不当な支配力を及ぼすというようなことはあり得ないというふうに私どもは考えております。
  72. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いまの九月十八日のやつは資料として出してください。  それからいまお話のようだけれども、この法案の中に、電気の計器をつくるメーカーや何かは役員になれないという規定があるのは当然だと思います。検査をするほうですからね。しかし電力業者は入ってはいかぬということになっておらぬ。そうするとこの審議会の役員はどういう連中から選ぶか。電気計器の製造業者その他は役員に、就任してはいけないという規定がありますが、これは理事長とか理事までは、そういうものにはしていかぬが、審議会の役員にはなってもいいということにするつもりかどうか。そうなってくると学識経験者は別だ、あるいは学者は別だ、こういたしますと、あとの現実面に直結をする役員は、関係のある者は電力資本の代表以外にないではないか。そうなってくるといやおうなしに審議会の中心になる。なって、しかも今度は理事長とか理事とか、こういう役員の推薦なり何なりはどこでやりますか。巷間うわさされておるところでは、この点について政府と協会との間に、電力資本のほうはまだほかにあるけれども、そういう話し合いがついたので、これは要するに承認しておる。その上でもって、向こうでは電気協会の総会を開いて、総会の席上で電気協会会長の青木さんがいろいろ発言されておる。一々具体的に言わないが、そういう内容を見ると、明らかに審議会は役員の実質上の推薦権を持つというようにとらざるを得ない。いまのような法文の頭だけで解釈して、こういうようなことですからだいじょうぶだと言っても、そんなことでは通りませんよ。この点はどうなんですか。もしそうでないとするならば、それでは具体的にどういうふうなことをするのか、明確にここではっきり言ってください。
  73. 小林貞雄

    ○小林説明員 審議会はいま申し上げましたようにこの特殊法人の諮問機関でございまして、役員と関係はないわけでございます。したがってこの運営を円滑にやっていくという趣旨からいいまして、審議会の顔ぶれはなるべく広い範囲で認めていくのが妥当であろうというふうに私ども考えておるわけでございます。したがってメーターのメーカーなども入ってもらってその運営が円滑にいくように協力願うことは、はなはだけっこうなことであろうと考えておるわけでございます。したがってこの審議会そのものはあくまでも理事長の単なる諮問機関で、それが決定的な支配力を持つわけではございませんので、そういう意味で、この業務の運営について審議会を設置することが非常にうまくいく、かように考えておるわけでございます。  なお御指摘の、先ほど申し上げました審議会の顔ぶれとして消費者等を入れることも当然私どもとしては考えていかなければならないことだ、かように考えております。  それから、この電気協会が出資するにあたりまして総会を開いて青木会長が意思決定をしたという点は、これは電気協会といたしましては重大な財産の処分になることになりますので、その定款の定めるところに従って総会を開いて出資の決定をするということは、協会の内部的な手続として必要であったわけでございまして、さようにいたしておるわけでございます。  なお電力会社の者は役員になれるではないかという点につきましては、役員の欠格条項という条項にはそれが入っておりません。これは厳正な検定を受けましたメーカーがつくりましてそれを検定し、その検定を受けたメーターを使うという立場でおるわけでございますので、これが役員に入ってはいけないということを言うのは、あたかも電気を使います消費者がこの役員に入ってはいかぬということになるのと相通ずる議論にもなるので、いささかその点が問題であるというようなことで入れておりませんが、実際上の問題といたしましては、役員の兼職禁止条項がございまして、営利を目的とする団体の役員などはこの特殊法人の役員になれないというふうにはっきり書いておるわけでございます。その条項に当然引っかかりまして、電力会社の者はこの特殊法人の役員になれない、かようになっておるわけでございます。そういう役員兼職禁止条項によりまして、電力会社の資本が変な、不当な影響力を与えるということもわれわれは考えていないわけでございます。
  74. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 電力会社関係者が役員になれないということは禁止条項にはないですね。いまあなたは電力会社の役員は役員になれないと言うが、そうじゃない。この審議会のほうについては、これは定款でやるのですから、法律では規制はないのですね。しかもいまいただいたこれに、役員は電気協会から推薦をしたものをとれということが向こうの要求にちゃんと出ているじゃないですか。審議会の中にもそういうものを入れろ、日本電気協会よりの推薦者を入れることを何らかの方法において明文化しろということを書いてある。そのほか、審議会の付議事項は明確に云々として、そのほかに役員の副理事長及び理事の任免権についても向こうから注文が出ている。この文書を見れば、役員推薦の実権を握っているのはこの審議会だということは明らかだ。いまみたいなでたらめを言ったって、文書にちゃんと——これはあなた方全部断わったのですか。断わったなら断わった文書をここへちゃんと出してください。これははっきりしているじゃないか。
  75. 小林貞雄

    ○小林説明員 御指摘の、電気協会の推薦の者をこの新法人の運営審議会の委員に入れることを明文化しろということを電気協会のほうから言ってきておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、この法律ではそういうことを書いておるわけではございませんで、もっぱら特殊法人理事長の判断によりまして、理事長が運営審議会のメンバーをきめる、それを通産大臣が認可するということになっておりまして、先ほど申し上げました電気協会の言い分の中の私ども聞くべきものは聞いていこう、筋の通らぬことは困るということで言っておりますので、御指摘のような運営審議会の委員の中に電気協会からの推薦者を入れることを明文化しろという点については、法律ではそういうことは書いてないような次第でございます。あくまでもそれは理事長が自分の責任と判断できめることでございます。この特殊法人としての運営を円滑にやっていきたいという観点から理事長がきめるということでございまして、法律としてはその点については何ら協会の言うようなことに相なっておらない次第でございます。
  76. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 法律はそうでしょう。そう書いてあるのはわかっていますよ。表面はそうだけれども、いまのような、こういう裏のものを全部出して調べてみたらなおはっきりすると思いますが、実質は協会のほうのあれによって行なわれるようなかっこうになるのではないかということを言っているのであって、法律の明文にはそんなことは書いてありませんなんということは、私も法律を読んだのだから、わかっている。法律の明文の話を聞いているのじゃない。  大臣にお聞きいたしますが、こういう経過の文書を見ても明らかなとおり、特に電気協会が——役員には欠格条項等がありまして、電気計器の製造業者、修理業者等は役員に就任できない。しかし運営審議会には入っていけないという規定はない。ですから、運営審議会には場合によれば一部入ってもいいが、この役員の推薦権はあくまでこういうところの審議会なんというものに認めない。いままで事務段階の交渉があるなら、この交渉を全部取っ払って、ほんとうに正しい立場から政府が一あとでずっとやりますが、電力資本の支配に属するような危険性が非常にありますから言っておるわけです。言っておるんだが、この点がいままで一つも明確になっておらない。あるいは組合の諸君がいろいろなことで、この点もあとで触れますが、心配するのはこういうところなんです。こういうところをあなたはごまかして、そして法律を表面に——私だって法律を読んだからわかっておる。しかし法律というものは事実をすぐそのまま規制するものじゃない。一つの尺度だけであって、その運用が、こういうふうな裏の取引、たくさん文書が出たりなんかしておれば、だんだんだめになるのはさまっておる。ですから、ここではっきり大臣にお聞きしますが、少なくとも役員の決定については、大臣が・直接、間接に全部役員の任免権を持っておるのと同じですから、電力資本なりそういうものの代表者のいわゆる推薦なり何なりに負けないような、そういうものは絶対に排除するということをこの際明確にしていただくことが一番必要であって、いまの事務当局のような説明は役に立ちません。大臣としてこの点どうですか。
  77. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はそういう陳情があったことは聞いてはおりますが、それを何も頭から認めておるわけではございません。法文に書いてありますような趣旨に基づきまして、厳正公平な立場でわれわれとしては処理いたしてまいりたい。ということは、もう一つ内容を砕いていいますならば、それじゃ電気事業者の言うことを全然聞かないのか、私は参考としては聞くかもしれません。しかし決定権はわれわれが持っておる。電気事業者の言うことをそのまま受け入れる、あるいは大部分受け入れる、そういう考えはございません。厳正公平にわれわれの行政行為としてやってまいりたい、かように存じております。
  78. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この問題はもう少し突っ込みたいのですが、時間がありませんから、その次の問題に移ります。  その次は出資の問題です。この法律によりますと、政府が現在検定に使っておる財産は、土地から建物から機械から一切出資する。電気協会のほうは検定に連関して使っておりますものは、これも出資するということになっておる。ところがこの文書にも明らかなとおり、電気協会のほうは土地は出資しないということになっている。土地を除いたものは出資する。土地を除いたものというから、主として建物並びに施設でしょう。これは出資する。しかし同時に借金は引き受けてくれ、大体においてこういうことですね。一番値打ちのあると思われる土地は出資しない。政府のほうは土地から何から一切出資する。こういうばかな取引のしかたというか、取引とは言いません、こういう設立の——これでどっちへも一片寄らぬ、ほんとうの厳正中立な検定所ができると考えておるかどうか。これもはっきり出ている。これもあなた方は承知したはずだ。どうなんです。
  79. 馬場有政

    ○馬場政府委員 土地につきましては政府のほうも出資いたしません。それで、この協会の財産につきましては、協会に対して出資を強制するわけにいかないわけでございます。したがって向こうが出資するというものについて、これを資本金にするという形をとっておるわけでございます。なおこまかいことにつきましては総務部長から……。
  80. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それはおかしい。政府土地は出資しない、こういうのですが、どういうわけですか。協会のほうが出資しないから政府も出資しなくなった——これによると、あとでお聞きしようと思うが、この土地代金として、今度できる新しい検定所は年々三千万円ずつ電気協会に払わなければならぬ。このいきさつというものは何かというと、結局はいままで電気協会というのはいろいろ電力資本や電気器具の連中が研究とか宣伝とか調査をやるという、ところが財源がないから要するに検定の仕事をしたやつのぴんはねを年に二千四百万くらいずつ最近ではやっていた。ところが、この土地なりなんなりというものは何かというと、これが昭和何年ですか、ずっと古く、十何年ですか前から電気検定所の仕事をやっている諸君が汗水たらしてだんだんと蓄積したものです。いままでも電気協会というのは、この検定所で働いている連中のぴんはねをして、それでやってきた。今度いよいよ合体をして、ほんとうにがっちりしたものをつくろうというときに、一番大事な財産である、汗の結晶である土地だけをはずしちゃって、そしてしかも土地代として三千万ずつ取る。それで片方の電気協会の運営をやっていこうというのでしょう。こんなべらぼうな合併条件というのがありますか。それにあわせて政府土地をもし出さないというなら、政府に対して地代を払うのだ、政府土地といえども主体が変わってくれば地代を払わなければならない、こういうことになってくる、ここらに非常に不明朗な点がある、こういうべらぼうな交渉を事務段階なりトップレベルの段階でやって、こういう文書で来て、ちゃんとそれを承知している。しかも片方においては三億数千万の借金はつけてやるが、一番財源のもとである土地だけは離して、それだけはちゃんと土地代を取る、こういうべらぼうな出資の方法というのがありますか。それにまたあわせて政府土地を出さないと言ったら、この協会なるものは基礎が一向にはっきりしないじゃないですか。そういう土地のない、いわゆる浮いたかひょうたんで取られるばかり、こういうことがあるから、そこで働いている諸君が、これでは首切られやせぬか、あるいは給料もうまくいかないんじゃないかという心配をするのは当然じゃないですか。この点を明確にひとつ。
  81. 小林貞雄

    ○小林説明員 まず協会側の土地を出資しないことでございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、この出資というのは残余財産の請求権を持つ程度の非常に弱い立場でございますから、そういう意味もございますし、こういう本来の観点からいいまして、民間の出資を強制的に法律で強制するというわけには、やはり憲法上の問題等もあって、むずかしい問題があるんじゃなかろうかというふうに思います。建物とか機械設備につきましては、御承知のとおり出資をするわけでございますが、これは土地と違いまして、土地のほうは基本的な財産であり、ほかの用途への代替性というような点から考えていきましても、機械設備と事情が違うわけでございますので、さような意味で、土地につきましては出資しないということになっておるわけでございます。いま御指摘のように、土地を出さないで借金ばかりしょっていく、こういうことでございますが、その点はいま申し上げました建物とか機械設備を持っていくし、それから一方職員の退職金引き当ての債務等もございます。いわゆる借り入れ金として借りておりますものは非常に少ないわけでございます。したがって、差し引きとしては純資産約一億くらいの金を電気協会が持ってくる、債権と債務の中身は以上申し上げましたように、建物、機械設備を主にいたしまして、それであとは債務といたしましては職員の退職引き当て金、それからほんのわずかのいわゆる借り入れ金、こういう形でまいるわけでございます。  それから国が出資しない理由でございますが、国のほうも、やはり土地というものは建物、機械設備と性質も違いますし、それからこれが非常に国の場合に決定的に大きな負担になるというようなことは実ははなはだ少ないのでございまして、現在、国が土地を自分で持っておりますのは、大阪と福岡と福島でございます。そのほかの土地は現在といえどもすでに借りておるようなことでございます。その三つの土地に対して五百万円程度の借料を払わなければならないというようなことになっておりますし、影響もそんなにございません。もともとこの特殊法人といたしましては独立採算をたてまえにして大いにやっていく。政府との財政的つながり等も、比較的薄い形で発足していくことがこの特殊法人としての特異性を発揮していく上に非常にいいんじゃないか。もう少し具体的に申し上げますと、特殊法人というものは職員の給与等について一々国がやっかいな制約をかぶせておるわけでございます。特殊法人はたくさんございますが、ほかの特殊法人はみんなそういう形で職員の——役員はもちろんでありますが、職員の給与まで一々国が関与するというのが現在の状況でありますから、この特殊法人の場合にはそういうめんどうなことをやられたのでは、この特殊法人業務はいわば現業的の業務でございますので、むしろ高能率、高賃金というような形でやるほうがいい。その限りにおいてはほかの特殊法人と違った形があって、それのほうがより能率を発揮していく上で必要だろう、こんなような観点からこの法人を考えておるわけでございます。そういうような問題、それから先ほど申しましたような問題を考え合わせまして、国のほうとしては出資をしてないというのでございます。また、先ほどの文書に返ってはなはだ恐縮でございますが、その三千万円というのは一応協会側がそういうような希望を言っておるわけでございまして、これは協会側が試算すればそういう程度になるのであるということを当方に申し入れをしておる段階でございます。これはいかほどの借料を払うことにするかというのは、この新しい法人の理事長が土地の評価を厳正な第三者にやっていただく、その結果に基づいてやっていくべき問題であろう、三千万円をいまの段階で確約をしておるというようなものではないわけでございます。私どもとしては、要はこの特殊法人の高能率、高賃金原則に基づくそういう考え方とこの問題をからめて考えていかなければならないというようなことで、ございまして、その点御了承願いたいと思います。
  82. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 了解できませんね。そんないいかげんな説明では了解できません。ここでもってはっきり院長に言っておきますが、電気協会の検定部門の引き継ぎの対象になる、あるいは出資の対象になる土地までを含めて財産の内容、土地の内容、借金の内容、政府の出資するもの全部、こういうものをここで出しなさい。出さなければ話になりません。
  83. 小林貞雄

    ○小林説明員 電気協会の資産については、電気協会は、御指摘のございましたようにいろいろの仕事を広範にやっております。この中で、これに関係のある土地については、これをどういうように評価するか、これは出すか出さぬか、こういう問題につきましては、これから協会が具体的に個別に一品々々当たってきめなければならない、そういう意味でしさいな検討を経てまいらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。詳細なリストは相当しさいな検討、膨大な数字になるわけでございます。大体の数字等につきましてはもちろん知っておるわけでありますが、以上のような状況でございまして、個別の一つ一つの数字はいまの段階ではきめかねるわけでございます。むしろ将来これを設立するにあたりまして個別にその点を検討し、評価していく、そのようなことになるだろうと思っております。
  84. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いずれにしても土地は出さないということを承知しているのでしょう。出すか出さないかの問題じゃない。出さないということを承知している。そしてそれに対する家賃も出すということ、この家賃、いわゆる土地代だって、最初は二千万円だ、その次は二千万円プラスアルファ、最後の段階になって、この文書になってきたときには三千万円になっておる。こういう経過をたどっておるじゃないですか。しかもこういう検定という長期の相当安定した仕事をする機関が特殊法人で、今度は国からも縁を切ろうというときに、土地も何も持っていない。借り地ばかりで、そしていつ建てられるかわからぬという体制で、こういう仕事がやれるわけがない。そこに身を置いて働く人の立場になってごらんなさい、すぐわかる。しかもそれは大体において検定所のほうの検査をやる人たちがいままで何十年かの間営々辛苦してやってきたものです。いま二千四百万円とって、上前をとるために、土地は出資しないということになった。それに合わせて政府のほうも土地は出資をいたしませんということになったにきまっておる。そういうふうに財務基礎がいいかげんで、三千万円ずつも年年——これはまた地代が上がれば、というよりもむしろ分離後の電気協会の経費が上がれば、また地代を上げるでしょう。そういうことになるのはわかりきっている。こういう不確かな資産の両方の出資のやり方。ここへあらわれているのは、電気協会を中心とする電力資本のはっきりした要求が出ている。人事の面でもさっき言ったとおりです。こういう基礎で、こういうかっこうでは、特殊法人をつくったってだめだ。ここで私ははっきり大臣にお聞きいたしますが、少ないか多いかは別として、土地も当然国も出資をすべきだ。同時に電気協会も、少なくともこの検査に関する建物、そしてそういうところで獲得した土地というものは当然出すべきものである。そしてこの三千万円なりの常時負担というものをなくさなければいかぬ。これが、この検定所がほんとうの中立性を持って能率的な運営のできる第一歩の条件だと思う。この点について大臣は、そういうふうに直す決意があるのですか、ないのですか。いままでどういう話のいきさつがあるかわからぬけれども、あとは理事長のあれに一任するのだ、そんなべらぼうなことじゃ困ります。これは政府の方針でどうにもなるはずです。こういう点をはっきりしないで、こういうまあいわば合併だが、合併をしようとするところに問題の焦点があると思うが、この点について大臣の決意をはっきり聞いておきたいと思います。
  85. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、この合併の問題で、お説のとおり土地も出し、建物も出し、機械も出し、すべてを出してやるやり方と、また建物、機械だけでやるやり方と、二つがあると思うのです。そこで問題は、御指摘のように電気計器のやったその金で、もうけて、最初は土地がなかったにもかかわらず、その仕事をやってきて、そしてこの土地ができた、土地を取得した、こういうことになっておるといたします。私、実はその間の事情をよくつまびらかにいたしませんが、そういうふうにそこで働いた人の汗とあぶらでもってそういうような財産ができておるのだということになれば、これは当然やはり出してもらうべき、だ。おっしゃるとおりです。そういうことであるべきだと思うのです。それから今度は国のほうからいいますれば、必ずしも土地を出すべきかどうか、出すか出さないかということは、やはり自由というものがあります。その個人が公益法人をつくる場合に、あなたは土地も出せとか、家も出せとかいうことは言えないと思う。筋合いからいって、それをいままでやっていたことによってもうけたものであるならば、これは当然出さなければならぬ。あなたのおっしゃった趣旨はごもっともだと思いますが、私はそこら辺のことをいままだ明らかにいたしておりませんが、政府の場合においては、必ずしも土地を出さなくても、これは何もそれでできないというわけじゃない。借地権の上で仕事をしてはいかぬというわけでもございませんし、私は、これは、そのおのおの出す人の自由意思にまかせるべきものである、かように考えるわけでございます。
  86. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そんな自由意思にまかせるとかなんとかいうことは無理な話ですよ。これは半国家機関をつくろうというのでやるので、普通のもうけ中心の株式会社をつくるのではありません。もうかるから出そうじゃないか、もうからないから引っ込めようじゃないか、そういう性質の出資じゃありません。自由意思なんというものが働く余地はありません。はっきり国の法律に基づく検定のやり方をして一それは確かにあなたの言うとおり、官でやっていると予算の面だの人事の面で不十分な面があって、こういうふうに変動する時代には、なかなかこれに乗っていかない。理想から言えばそういうことであってはうそだけれども、実際上定員で押えられたり予算上で押えられたりしてなかなかうまくいかない。だから変動し発展する今日の段階で、こういう特殊法人をつくってやろうということは、私はあえて不賛成ではない。それでいいけれども、いま大臣の言うように、これはもうかる株式会社をつくるんじゃない。検定の国家機関をつくるわけです。その国家機関がいままでばらばらでうまくいかなかったから一本にしよう。検定に関する施設のある土地というものは、この協会の検定事業の伸びてきた過程を見れば、なるほど一時は協会のほうから金を出してもらったかもしれない。しかしこれは明らかに協会の検査のほうでいままで働いてきた人たちの蓄積ですよ。その蓄積の上から二千四百万というように、最近では上に上げておるじゃありませんか。そういう内容のものであるから、この際、政府から協会のほうにこういうことをはっきり言ってやらなければ、二千万円、三千万円というものを取られるにきまっておる。きまったわけではありませんと言っておるけれども、二千万円から三千万円に繰り上げになって、だんだん上がってきますよ。そういういわば電力資本の不当なひものついたものをもって、これが今度の新検定所でござる、そうしてこれは準国家機関でござると言ったって、これは筋が通らない。しかも電力会社の出資分については譲渡ができるでしょう、できないですか。これは何条だったかな……。
  87. 小林貞雄

    ○小林説明員 それはできます。
  88. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 持ち分の移動ができるでしょう。ですから、これははっきり言えば売ることができるということですよ。どこへ移動するのですか。そういう自由は政府側のほうにはない。そうして電気協会のほうだけにそういうことをやっておるということはおかしいじゃないですか。この点についてひとつ説明してもらいたい。
  89. 小林貞雄

    ○小林説明員 御指摘のように持ち分につきましては、これは譲渡できるようになっておりますが、ただこれが変な形でやられますと、本来公正であるべき検定業務そのものに影響することは困りますので、さような意味で、持ち分の譲渡については認可制になっておりまして、大臣がそれらの点を十分勘案いたしまして押えることができるような形に相なっております。なおこの協会の全体のスケールを御説明申し上げたほうがいいのではないかと思いますが、年間の収支は大体十二億円ぐらいになっております。そこでこれの出資いたします資産としては十一億ぐらいの資産が移転されるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、一応退職手当金等の債務をしょっておりますから、純資産としてこれを考えていきますと約六億というような数字でございます。そういうような点から考えてまいりますと、私どもこの特殊法人の手数料が、この法律でもはっきり書いておるのでございますが、適正な原価が反映される限り、この特殊法人の独立採算については、以上申し上げましたような資産内容からいって十分やっていける、かような考えを持っておる次第でございます。
  90. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 どうもその説明では納得いかない。ですから、政府側並びに協会側から、少なくとも普通常識的に考えれば、土地まで含めて両方当然出資しなければならぬと思う。この財産の内容を明らかにしてください。それから引き受くべきいわゆる片方の借金、これもある資料によると大体三億数千万円なんです。いまお話によると、政府のほうの資産としては、土地を除いていろいろ十一億ぐらいあるのじゃないですか。そういう資料を一つも出さないで、そうして、ざっくばらんに言うと、そういうところをごまかしているということじゃ審議のしようがない。いままでだってそういう資料を出してないのです。ここへ出してやってもらうことがぜひ必要です。またこれからあとずっと私はそういう点をやっていくと、至るところにこの法案は欠陥が多い。ですからそういう欠陥をはっきり直してからでなければ私どもはぐあいが悪いということを申し上げているわけなんです。いま言った資産と、それから今度新しい法人に引き受ける財産の内容、六億と一億という話だったが、これも内容のもう少し具体的な資料を出してください。そういう資料が全然出ていない。ついでに、あとで職員の問題でいろいろあるので、協会のほうから引き受けるのと、今度は政府のほうから行く連中の職員の要するに人数なり年齢なり勤続年限なり、それと給与といったものの一覧表を出してください。出さなければ話にならない。いまここで説明を聞いてもこまかくなるから……。
  91. 小林貞雄

    ○小林説明員 それでは資料を作成いたしまして、お渡しいたしたいと思います。
  92. 小川平二

    小川(平)委員長代理 暫時休憩いたします。  午後一時三十分より再開いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十分開議
  93. 小川平二

    小川(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出日本電気計器検定所法案についての質疑を続行いたします。久保田豊君。
  94. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 じゃ午前中に続いて。  ただいま資料をいただきましたが、土地政府のほうが約一万二千坪、それから電気協会のほうが約八千五百坪、こうあるわけです。評価をしてみると政府のほうが約一億二千万、それから電気協会のほうが約五億五千万ばかり、こういうことになるわけですね。これを抜くということはどう言っても、さっきのようなお話がいろいろありましたけれども、私はどうも納得がいかない。もちろんその上に地上権があるとか、そういうことは——考え方によっては、大臣のように土地がなくても仕事ができるのだ、けれどもこれはやはり相当長期にわたることですから、こういう点ははっきり一これは何といっても電気協会に関する限り、実際にはいままで電気協会の検定部門を担当してきた人たちの蓄積であることは間違いないのです。ですからこれは当然出資に入れて、検定所の新法人の財務基礎というものを、これはもちろん担保に入れることはできないことになっておりますけれども、それにしてもそういう点は明確にして安定をするということがぜひ必要だと思います。この点はひとつ政府側で再考を願いたいと思います。大臣はおりませんが、政務次官どうですか。大臣のような、ああいう自由な出資だというべらぼうなことじゃわれわれは納得できない。しかもこれには三千万円なり、さらに政府に対して、聞くところによると五百万円なり、要するにはまた地代を始終払っていかなければならない。これはどんどん上がるにきまっている。こんなべらぼうな新法人のつくり方というものはないと思う。ですからこれはひとつその点については再考をして、そうして三千万円になるかどうかわかりませんけれども、とにかく向こうは二千万円から三千万円とだんだん上げてきている、そういう状態ですから、これは出資分にはっきり切りかえるという方針でひとつ善処を願いたいのですが、どうでしょう。
  95. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの御質問に対しまして、協会の現在の地上権の問題とか、いろいろ複雑な権利問題がございますので、いま直ちにこれを解決するということもなかなか困難であろうと考えておりますが、政府といたしましては、特に御趣旨の点も十分ひとつ勘案いたしまして、そういう方向で一ぺん十分検討はさしていただきたいと考えております。
  96. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 検討だけでなくて、これは政府が腹をきめてやればできることです。こんなことは大体常識です。民間だってそうですよ。よほどのところでなければ、会社会社が合併するのに、その土地だけはひっぱずして新会社が、それは自分がやめるなら別ですよ。新しい会社へ入るのに土地だけひっぱずして、それに家賃を払うなんという、そんな会社はありませんよ。常識で考えてもわかる。その常識で考えて当然実行されなければならぬことを実行しないような、こういうやり方では先々が思いやられるということです。ですから、考慮しますじゃなくて、これははっきり善処するということをしていただきたいと思います。  そこでその次の問題に移ります。今度は新法人ができた場合のバランスシートはどうなりますか。これは私のほうに入ったいろいろの資料によりますと、あなたのほうは二回にわたってバランスシートをつくっておられる。二月につくったバランスシートでは大体において九千万円から一億円の赤字になった。その中には、補償金というかっこうで、はっきり二千数百万円の、二千万円以上の協会払いの地代が入っておる。ところが、ついせんだってあなたのほうからいただいたものによると、単位が非常に違っておる。これは四十年のものをあなたのほうは出されるがその中で見ると、基礎の数字が五百十一万個、いわゆる査定数字は同じです。人員も千二百二十四名、同じです。ところが、それから後の検定手数料は、前に二月段階でつくったものについては、十億九千六百六十万ですか、こうなっておる。ところが、今度つくられたものは十二億一千七百万円になっておる。そういうので、大体数字が違っております。その結果、このバランスシートはこれでゼロと言わずに、差し引きなしということになっておる、四十年の計算で。しかも前の試算の中にありましたいわゆる関連費という二千百十万円、これは地代だと思いますが、これが今度のものの中には入っておりません。しかもそれぞれの数字が全部大きくなって、しかも、同じ五百十一万、千二百二十四名というものであっては、こういう数字は出てこないはずです。こういうところが非常におかしい。バランスシートが、これはつくったバランスシート、これはほんとうはこの内容をもう少し検討しなければわからぬわけですが、まあそんな時間もないでしょうが、どうもこういう数字が、二月につくったものと、今度は私の手元へだけかもしれませんけれども、これは三十九年三月四日につくったもの、一カ月の間にこんなに違うはずはない。この違いはどこから出てきたのか、これをはっきりしてもらいたい。
  97. 小林貞雄

    ○小林説明員 このバランスシートを最終的に決定いたします過程でいろいろ検討を重ねてまいったわけでございます。その過程ではまた別の数字があるいは検討されたこともあることは御指摘のとおりでございます。最終的に私どもが日本電気計器検定所法の収支として考えたのは、先般お手元にお届けした収支でございます。その内容といたしまして、個数だとか人員の問題につきましては、御指摘のように従前と全く何ら変わりはないわけでございますが、検定手数料につきましていろいろと数字が違っておるという点でございますが、この点はこういう事情にあるわけでございます。私ども検定手数料につきましては、できるだけ特殊法人としては経営を合理的に能率的にやりまして、検定手数料というものを上げるということは極力避けるという方針でいきたいと思うのでございますが、現在の手数料というのは何分にも昭和二十三年につくった手数料でございます。昭和二十三年といいますといまからずいぶん昔の話でございまして、物価水準ももちろん違うことはさることながら、一番大きな違いといたしまして、当時と比べまして検定をいたします対象としてのメーターが、当時と比べて非常に大きな容量のものがふえてきております。工場で使うメーターとか、あるいは電力会社相互間で融通に使うメーターだとか、そういう大きなメーターがふえてきておるわけでございますが、このメーターはたいへんな手数がかかるわけでございます。二十三年につくりました手数料の体系では、ボルトアンペアの増加に正比例いたしまして手数料を決定する、こういうようなことに相なっておるのでございますが、その後の、いま申し上げました大容量のメーターにつきましては、ボルトアンペアに正比例する以上にたいへんな手数がかかるわけでございますので、その辺の、いわば検定の手数料の体系とでも申しましょうか、そういうものを見直していかなければならない時期にきておるわけでございます。このような意味で、その点について踏み切りをするという考慮のもとに、この手数料の修正をしたわけでございます。従来の例をあげて申し上げますと、従来の考え方でまいりますと、三千キロワット、十五万四千ボルト、百アンペアというような超高圧の電力計になりますと、手数料で考えております手数の二・二倍というようなたいへんな手数がかかるわけなのでございまして、この辺は何としてでも手数料体系の改定をしなければならぬのじゃないだろうか、そういう時期にきておるという判断のもとにこの数字を決定したような次第でございます。  それから次に御指摘の関連費の問題でございますが、これは、お手元の資料でいきますと、土地の借料という項目として考えておるわけでございます。先ほど申しましたように、一応三千万という数字は試算の段階ではそういうふうにいたしておりますけれども、それは何ら約束しておるものではないので、将来資産を厳正に評価いたしまして、その結論に従って当然その数字は低目になることば必至でございます。かりにいま収支予算としてつくりますときに、安全サイドを見て三千万とっておくほうが収支としては非常に健全であるというような考慮もありまして、一応の数字として三千万という数字を入れたにとどまっております。当然それより下回ることは私ども考えられることだと思っております。
  98. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いまのようなお話で、大体手数料はこれをどんどん上げていくなら、これは何でもできるわけですね。大容量のものは相当時間がかかる。これを大体二・三倍ぐらい上げるという計算になると、大体こういう収入になる、大体ほぼそういうことだろうと思う。これは大資本家が使うものですから上げてもいいというかもしれませんけれども、しかし私は、二月の段階のものと三月の段階のものと、この手数料を上げたことでもって支出面が当然赤字にならなければならぬものを、これは黒子ではないけれども、とんとんにしてしまった。ここらにも非常にあなた方の自信のなさがあると思うのです。こういう最初から申しておりますような地代というようなかっこうでものを払うということをやめて、このバランスシートも、こうして表面へ出ているものを見ればいいようですけれども、借金の利息も払わなければならぬでしょうし、引き継いだ債務−退職積み立て金等については、これは別でしょうけれども、そうでないものについては借金の利息も払わなければならぬし、元金も払わなければならぬ。それにもってきて三千万円も一もっともこれは三千万円になったという約束はしてないというけれども、おそらく電気協会のほうは、いままでの経過から見て、その線はそう簡単に一歩も引き下げないのじゃないか。こういうところに、このバランスシートも実は非常に不安な点があるわけです。時間の関係もありますが、この点についても私どもはどうしても納得ができない。二月の段階と三月の段階と急にこんなに数字が違うというふうなバランスシート、しかも二月の段階につくられたものも、決してあなた方の内部のものじゃない。ほかへある程度示された責任のあるバランスシートです。それと、今度は私のところへ持ってきたのとがそう違うというのじゃ、これはまたどう考えたっておかしい。そんな不十分な準備でこういう大きな仕事をやられようというところに問題があると思いますが、この点についても、事務局だけでなく通産省自体はこういう点をどう監督しておるのか。工業技術院にまかせきりでやっておるのか。二月の段階でもちゃんとはっきて出ている。これは約九千万円の黒字です。そして規模はずっと小さい。
  99. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 本件につきましては、もちろん通産省におきましても四十年度のバランスシートにつきましては、一応話し合いをいたしまして、その基礎数字その他につきましては十分に検討はいたしております。ただ四十年度のバランスシートでございますから、中には見込みというのも若干含まれておりまして、この点はそのときどきの状況によって若干出たり引っ込んだりする点はあろうと思っておりますが、大体の大筋におきましては、ただいまお見せしましたようなバランスシートにおいて、今後経営上遺憾なきを期していきたい、かように考えておりまして、この点につきましては、出先の工業技術院等とも十分連絡をとっていきたいと考えております。なお工業技術院といたしましても、この点につきましては部内の職員組合とかそういうものの意見も多分にこれを聴取いたしまして、これらの意見等も多分に聞き入れまして、そうしてバランスシートを作成いたさせることにしておる次第でございますので、大体におきまして工業技術院といたしましても、通産省としましても、このバランスシートの内容につきましては確信を持って、これでいけるであろうということをお答え申し上げて支障なかろうと考えております。
  100. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうは考えられない。電気協会のほうは検定料金を上げるなということを強く主張しておるわけです。それに対してあなたのほうは明確な返答をしておらない。電気協会のほうは文書をもっても、口頭をもっても、検定料金の引き上げということには反対するということが一番強く出ておるわけです。それに対してあなたのほうははっきりしていない。いま言ったような大容量のメーター器だけで二・三倍も一気に上げるということをはたして承諾するかどうかということが問題になる。そういう点はまだ話がついていない。なぜそういうことを言うかというと、この一カ月ばかりの間にバランスシートを変えたことは、そういう点についての電気協会なりなんなりとはっきり確約があっていまの点をやるならいいです。ところがない段階で、こういう数字ばかり変えてつじつまを合わせた、こういうバランスシートは信用できないということになる。ですから、はっきり電気協会と、いま申しましたような大容量のメーター器を上げていいという約束ができているのですか、できていないのですか。できていないのでしょう。
  101. 宮本惇

    宮本政府委員 ただいまの件でございますが、これは先ほどもお話がありましたように電力会社が使うものでございます。したがいまして電力会社自身の側といたしまして種々検討いたしまして、この程度の値上げはやむを得ないという意思表示いたしまして、電気協会のほう一つまり電力会社の社長のある方はこの役員でございますので、電力会社側が相談いたしまして了承いたしております。したがいまして、そういう了承の結果こういう予算が組まれたわけでございまして、その点は承知はいたしております。
  102. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの検定手数料の問題でございますが、これは先ほど久保田委員からもお話のように、昭和二十三年に検定手数料をきめまして、そのままの状態で今日まで手数料が居すわったままになっております。実際問題としては、現在の物価等と比較いたしますると、手数料というものが非常に安いというような点も考えられております。ただ本件につきましては、通産省としましても十分にその点も考えまして、今後手数料の改定につきましてはひとつ慎重に考えまして、ある時期になりましたならば、やはり手数料というものをある程度改定していかねばならないということをわれわれは考えております。
  103. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点も実はもう少し追及をいたしたいのですが、あまり時間がありませんから、まあこの程度にいたしますけれども、手数料をどんどん上げるというなら、これは独立採算でも何んでも何も問題じゃありませんよ。しかし、手数料は上げないという原則の上へ立ってやることが適当であって——なるほど特に大容量のものは多少上げても、全体の電力コストに対して響かないと思います。特に多いのはホームメーターです。これの手数料というものは絶対に上げないという前提に立って措置をしないことには話にならない。この点はどうですか。特に小さな汎用のメーターですね、これについては今後とも絶対に上げないという約束がここでできますか。
  104. 宮本惇

    宮本政府委員 大体先生のおっしゃった方針で今後進んでまいりたい、こう思います。
  105. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは、その点はいいですが、その次に、これが合併ができた場合のその後の仕事はどうやるのですか。と申しますのは、三十六年の十月の行政管理庁の調査報告書というものが出ております。それを見ると、現在、特にこれは家庭関係のホームメーター等が多いと思いますが、有効期間が切れたものがほぼ五〇%以上ある、こういうことです。これは結局電気会社が経費を計上してないから、そういう事実になっておるのだ。こういうことがある。有効期間中にあるものでも不良化しているものが相当数あるということを、ここに数字を書いていっております。それと同時に、現在では、優秀なメーカーのつくったものについてはほとんど誤差はないということもいっております。ですから、むしろそういう点については、誤差のないものについてはメーカーを指定をして、そのものについては抜き取り検査程度でいいじゃないか。全部いまのように検査をするよりは、抜き取り検査程度でいいのじゃないか。今後一番必要なことは何かというと——つまり備えつけたものが非常にぐあいが悪くなったものが多い、特に電流が通じなくても針の回るものであるとか、針の回りが強過ぎるものが非常に多い、こういうようなことが指摘してあります。これについては、追跡検査といいますか、これが必要な段階になってきている。ところが、これについては全然やっていない、これは不適当じゃないかということをいっております。一般家庭では電気の知識はまだ不十分ですから、自分のところのメーターが正しいか正しくないかわからない。しかも、有効期間が過ぎても、過ぎたか過ぎないか、それもわからない。そういうものはほうっておけば、それによって、メーターによって金が取られるのですから、検査をする一番大きな意味はそこにあると思う。まあ今度は千二百二十四名という定員でいかれるそうですが、いままでのところは、大体電気協会のほうのは、ホームメーターその他の簡単なものは女の子が中心になってやっている。むずかしいものは役所関係の人がやっている。これもうちの中の仕事だけです。外のそういう点についての追及とか、あるいは電力業者に対するそういう点については、全然これは権限外になっておる。ですから、一番勘どころの仕事が抜けておるわけです。こういう状態で幾ら電気機関をこういうふうに統合してみたところで、大衆の立場からは何も役に立たない。これらの業務に対する今後のやり方については、少なくともいままであなたのほうからもらったいろいろの資料の中や方針の中には全然触れてない。こういうことでは何のための統一かわからない。あなたの役所のほうは、こういう現業部門とほんとうの試験部門と分けてやったほうが、試験部門のほうは非常に能率が上がってすっきりしてやりいいという点はあるでしょう。私はそのメリットは認めます。今日のような段階ですから、そういうほうの研究を本気になって官側が進めるということ、それにはめんどうな、異質なものを切り離してやるということもけっこうです。しかし、それが大衆の利益にならなければ、への役にも立たない。ところが、いま申しましたように、片方において有効期間を越えたものが五〇%もある。しかも、有効期間内にあるものでも、ここに数字が出ておりますが、相当に問題のあるようなものがたくさんある。ところが、これらについては全然手を打ってない、また手を打つ態勢もできてない、こういうのでは、これは役所のための新しい機関設立であって、決して国民大衆のためのあれではない。その上もってして、もしいわゆる料金の上がるようなことになったら、これはなおへの役にも立たない。こういうことになりますが、この点についてはどういう方針でやられるのか。この点が一番国民からいえば大事な点です。その大事なところが全然抜けておる。こういうべらぼうな計画というものはない。少なくとも国民の立場に立ってやる以上は、そういう点についてまず第一に明確な方針を出して、その立場から統合なり何なりというものを考えて、財政も人員もすべてを考えてやらざるを得ない。ところが、統合するほうは統合するほうで、ただいまあるものを一緒にするというだけであって、これからどういう仕事をすることがいいかということについては全然検討してない。こういうさか立ちした計画はわれわれとしては不適当だと思うが、この点はどうですか。
  106. 宮本惇

    宮本政府委員 仕事のやり方については総務部長からお答えしますが、いま御指摘の行政管理庁の、それはたしか三十六年でございますか、一部の地域でそういう事実が認められたわけでございます。ただ、五〇%以上どうかという点は、私ちょっと覚えておりませんが、したがいまして、当時直ちに厳重なる注意をいたしまして取りかえをいたしましたので、最近は、ちょっと数字を覚えておりませんが、その点は非常に向上されております。ただ、仕事のたてまえということになりますと、やはり有効期間を付しまして、そしてその間に切れたころに持っていって検査を受けるというたてまえになっておりますので、その点を能率化されたこの検定所におきまして十分にやっていけるのじゃないかということを期待しておる次第でございます。
  107. 小林貞雄

    ○小林説明員 検定所自体の業務について申し上げますと、従来は、メーターの数が毎年どんどんふえていくのにかかわらず、なかなか人手が足りなくて、検定業務のサービスというところで手の届かない点も実はあったわけでございます。今回一本化することによりまして、いわば従来の事務的なむだ等も排除されるわけでございます。でき上がりまして、それによって生み出されました余剰の力は、検定業務のサービスのほうに注いでいくというふうに考えております。
  108. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 五〇%はどうかと言うけれども、ここにはっきり「電気計器使用者に対して有効期限満了計器の取替えを励行させる必要がある。」という勧告が出ておる。その説明の中心になっておるのは、「電気会社別の有効期間満了計器の取替え励行度は区々であるが、五〇%程度の会社が残っておる。」こう書いてある。ですから、有効期間の切れぬやつも五〇%ぐらいしかない。あと半分は有効期間が切れたやつだということです。こういう状態で、その原因としては、「これは、電力会社における取替え経費の計上不足等が原因している。」とちゃんと書いてある。こういうことをいままで政府はなぜ黙っておいたか。そうしてその有効期間内のものでも狂ったものは相当ある。こういうことを、その前にちゃんと、私は読みませんけれどもをしておきます。大体においてこういうでたらめなやり方はないと思う。お聞きをいたしますが、そうすると、今度の千二百二十名のうちで、この追跡検査のほうに何名充てるのか。そういう計画がはっきり立っているのか。少なくともいままで私どもが聞いた範囲、もらった範囲においては、そのほうに振り向ける人員というものは一人もない。ないのが実情である。何にも人員の用意もせず、そして予算も、これに対しては、こまかく言ってくれば、あなたの言う四十年、これにも何にもありません。そういう経費は何にもなくて、これからよくしますと言ったって、これはだれだってほんとうにしませんよ。計画が初めからないのじゃないですか。この点もはっきり電力資本に頭をぴしゃっと押えられているじゃないか。こういうやり方じゃ困るということです。この点の説明をしてください。
  109. 宮本惇

    宮本政府委員 確かにいま御指摘の五〇%というのは、当時北陸電力が指摘されたわけでございます。それで、当時通産大臣から、次官名でございますが、厳重な警告を出しまして、たしか大体半年間でそういう状態はなくなったはずでございます。これはわれわれもずっと討論いたしまして、現在はそういうことはございません。ただ、今後の問題といたしまして、しからばそういう電力会社が、何と申しますか、そういうことを着実にやっているかどうかということは、今度の新電気事業法の成立にもからみまして、やはり消費者に対するサービスというものを最大限に考えるというたてまえから申しますれば、監査、あるいは苦情処理、その他のあれで、今後は厳重にやっていきたい、こう考える次第であります。
  110. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 半年間で解消するとしたら、検査件数はもっとふえていかなければならないのじゃないですか。検査件数はそんなにふえていない。三十六年から大体二十万とか二十二、三万とかの数字で、必ずしも五〇%なり三〇%というものがこの半年間でやったような数字になっておりません。そういう口先だけで言ってもだめですから、もっとこういう点は、こういう法案を出すなら、そういう基本問題を本気に考えて、計画も立てて、これこれいたしますからよろしくお願いしますというのなら話はわかる。ところが、そういうところは何もないじゃないですか。これは決して私の思い過ごしでなく、要するに、結局は形は独立機関であるけれども、官庁としては、めんどうくさいものは切り離してしまえば、あとは一本になってしまう。それはそれでいい。商工組合の諸君のごときは、私のところへ来て、これは国家がやるべきだという御主張です。それは確かに原則論、抽象論はそうです。しかし、いまのような国家の予算制度なり何なりならば、私はこれには必ずしもとらわれない。とらわれなくて能率的にやれるほうがいいと思う。いいと思うけれども、こういう点について計画も何にも考えておらない。合併で、しかも前々から言っておるとおり、人事の面から見ても、あるいは出資の面から見ても、いろいろな面から見て、電力資本の制肘というものが非常に強く働ける余地というものは現に出ておる。合併する以前からふんぷんとしておる。そういうので、こういう計画抜きのものをやられた日には大衆はたまりません。この点もどういうふうに今後やっていくつもりか、政府としてはっきりしたいまの追跡検査はどうやるつもりかということを、もう一度当局から方針なり何なり聞きたい。そうすれば、このバランスも、定員の配置から何から一切変わらなきゃならぬ。そういう点には何にも変わることなくして、従来と同じような考えでおって、それでこれだけはやりますと言ったって、それはだれも信用しません。政府としてどうこれに対処するつもりか。はっきり業務方針を書く場合は、そういう点が中心になるでしょう。
  111. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの久保田委員からの御意見は私も全く同感でございまして、実際の状況を今回の改組、移管に当てはめての御意見でございまして、私も全く同感でございます。いまお話しの数々の点につきましては、われわれも大いに考えさせられるところが多々ございますので、こういう点につきましては、従来もいろいろの問題点について留意してやっておったものと考えておりますが、まだまだ不十分な点も多々あろうかと考えておりますので、今回できまする特殊法人につきましては、通産省側におきましても監督をさらに一そう厳重にいたしまして、今後これらの特殊法人、通産省、それから電気協会、その他関係者を交えまして、これらの検査その他につきましてどういうようにやったらいいか、いま久保田委員のおっしゃったような点につきまして、細部にわたりまして、具体的な実際の効果のあがるような案を策定いたしまして、それを中心にして今後実行に移していったらどうか、かように考えておりますので、どうか今後のことにつきましてはわれわれにひとつおまかせ願いたいと考えておる次第でございます。
  112. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 まだ一般職員の給与の問題その他たくさんありますけれども、これは大村君が続いてやりますので、私は省きます。ただ時間がありませんので、ここでおもな点だけごく大ざっぱに申し上、げたのです。もっと時間があればこまかい点について追及したいと思いますが、これはやめますが、いままで御質問申し上げた中でも、かっこうだけは、なるほど今度は特殊法人的な、公社的な性格のように見えるけれども、しかし、内容は、へたにすれば電力資本の食いものになる、自由になるという危険が非常に多い。しかもこれに対するお役所側の取り組みはなっちゃいないと思う。こういうふうな仕事の進め方では、何のためのお役所だかわからない。この点は根本から私は反省をしてもらいたいと思う。そうして私はいやみでこんなことを申し上げておるわけじゃない。何も全商工の連中から頼まれてやっておるわけでもない。賛成のほうからも反対のほうからもいろいろなことを聞いておりますけれども、それに頼まれてここで私はきょうは言っておるわけじゃない。そういうことではなくて、全商工の諸君の給与あるいは将来の身分安定等についても不安のあることは当然であります、こういう準備のしかたでは。そうして、これから先を追及すれば、あなた方は、おそらく新理事長なり役員がきまって、そこで善処いたしますと言うでしょう。しかし、そういうものじゃなく、これはもともとが合併なり何なりして新機関をつくろうというならば、その以前にそういうあらゆるこまかい点を真に公正な立場に立って検討をし準備をして、これなら安心だからこれでいけるということでなきゃならぬはずです。そういう点についてはこの法案は穴だらけです。これは法案のていさいのことを言っておるのじゃありませんよ、内容から言ってです。こういうことでは困るというのが私どもの考え方の中心です。これ以上は、大村君がやりますから私はやめますけれども、人事、給与の問題については、時間がありませんから特におもな点だけは申し上げたいと思いましたけれども、大村君がやってくれるそうですからやめますが、私が言うのはいやみで言っておるんじゃない。こういう心構えと、こういう準備のしかたでは、電力資本の食いものになるということがよくわかる。ですから、以上申し上、げた点は、私は、根本から改めて、もう一度そういう計画の根本をやり直してもらいたい。役人の感覚でなしに、ほんとうに国に必要なものをつくらなければならぬ、そういう点からやり直すことが是非必要だと思いますが、どうですか。
  113. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 検定所の問題につきましては、技術の問題でございますので、本省としましても出先機関にややおまかせし過ぎた感じが、ございますので、そうした生活の実態に即したような問題と関連いたしまして、今後はさような点を十分加味いたしまして、われわれも真剣に誠意を持って取っ組んでいきたいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  114. 小川平二

    小川(平)委員長代理 大村邦夫君。
  115. 大村邦夫

    ○大村委員 大臣にお尋ねをしたいのですが、御承知のように国家公務員法第九十八条におきまして、組合は団体結成の自由を保障されておりますが、と同時に、交渉権につきましても、一般の組合よりはある程度の制約がありますけれども、これも保障されておるところであります。ところで、この交渉権が認められておる理由というのは、私が説明するまでもないのでありますが、そこにおる職員の不平や不満あるいは経済紛争をできるだけ解消する、それが一つ。さらに、これによって生産意欲の向上とか、あるいは能率の増進、さらには、もって公共福祉を増進させる、こういう趣旨があると思います。ただいま議題になっておりますところの日本電気計器検定所法案の内容にある電気計器検定試験の一元化も、移行することによっていろいろな紛争が生ずるであろうと思いますが、この紛争は、いま申しました使用者と被使用者、つまり労使間の交渉によって、できるだけ円満に解決することが望ましい。これは皆さんも異存がないと思います。  ところで、今次の問題について、いわゆる法の定むる手続によってつくられておる全商工が反対をしています。中身は賛成者と反対者があるかもしれませんが、少なくとも正式の組合の機関であります。その組合が反対を今日までなおし続けておるということについては、私は労使間で交渉が十分持たれて円満な解決がはかられたのではないような気がするのですが、その点についてはどうなんですか。
  116. 馬場有政

    ○馬場政府委員 この件に関しましては、私どもも許す限りのことで全商工の人たちとお話し合いをいたしております。
  117. 大村邦夫

    ○大村委員 許す限りということですが、具体的に今日まで正式な団体交渉を何回持ったか、中身も含めて、概略でいいですからお聞かせ願いたい。
  118. 小林貞雄

    ○小林説明員 御存じのように、この検定部門の問題は十年来の問題でございます。ところが、この二年ほど前から、この問題がさらに一段と問題になったわけでございます。この二年間、いろいろとわれわれといたしましては事情の許す限り最大限の誠意と努力を尽くして組合の人と交渉したわけでありますが、御指摘のように、残念ながら現在の段階では必ずしも完全なる了解を得ていないわけであります。回数といいますか、そういう点についてはつまびらかでないほど、この二年ほどの間、さらに具体的にこの問題が問題になった場合には、しょっちゅう希望に応じて私どものほうで交渉を受けて立っておるというのが実情でございますので、いま何回くらいやったか言えないくらい数多くやっておることを覚えております。
  119. 大村邦夫

    ○大村委員 私がそうお尋ねをしたのは、私の調べたところでは団体交渉らしい交渉がやられていないからです。と申しますのは、昭和三十七年の八月、このころから検定部門の切り捨ての問題が本格化をして、民間か特殊法人か知らないが、そういうところに一本化すれば給与がよくなりますよという一方的なアピールを職員についてやられた。しかし、積極的に先ほど申します法の精神に従って円満に解決をするという立場から、あなたのほうが正規の組合に申し入れをして、その考え方なり構想を明らかにしたということはほとんどないのじゃないか。私の調べたところでは、昭和三十七年の八月七日に組合が総務部長交渉をやっておる。これは、先ほど申しましたように、二年前の支所長会議に、この席上でまず支所長に構想を明らかにし、そのことを組合がかぎつけて、一体どうなるのか、その内容を明らかにせよということが、三十七年の八月七日の総務部長交渉であったのではないか。しかも、そのときの内容は、工技院と電試当局と検定所の一元化については、大体合意に達した作業が進んでおる。こういうことが前提として説明をされ、いろいろやりとりがあったように聞いております。その後三十八年の九月二日に交渉が持たれております。さらに、三十九年の三月二日に、どうも労使間の紛争を法律によって一方的に規制するのはけしからぬということで、組合が官房長官に抗議の申し入れをやった。そこで官房長官からおたくのほうに交渉をひとつ持て、こういう指示があったように聞いています。というのは、組合があなたのほうの申し入れで交渉をやったときに、官房長官から団体交渉を持てと言われましたからということが説明された。このときには三日間にわたってやられております。中身についてはあとで申し上げますが、そういう形で行なわれて、実際回数としてはきわめて少ない。しかも御承知のように、この問題は、電気試験所におる連中は国家公務員として雇用契約を結んだ。それが今度は特殊法人、半官半民であるけれども、身分の変更があるのですから、労働条件の最たるものであります。九十八条の交渉の中では、勤務条件ということばをつかっております。すなわち労働条件の中で一番大きな問題は、何といったって首を切られるとか、あるいは雇用形態が変わるとか、身分の変更があるとかいう問題ではありませんか。そういう重要な問題であるだけに、交渉というのは組合がかぎつけて申し入れをするのではなしに、おたくのほうが積極的に申し入れをし、そうして円満に解決するように努力をしなければならない。誠意を持ってというが、その誠意はやはりやり方にあると思うのです。一つには回数、一つには内容——幾ら回数をたくさん持っても、内容が伴わないのでしたら、実際に誠意を持った交渉とは言えない。話し合いとは言えない。かつ回数がほとんど少ないということになれば、これまた誠意を持った交渉とは言えない。私はもちろん長い間労働運動——もちろんといってはおかしいですが、乏しいながら長い間労働運動をやってまいりました。その労働運動の中で、労使の交渉というものは、双方が誠意を持てば大体解決をするものですが、さりとて全部解決するとは言いません。だから解決しないことを理由にして私が文句を言うのではないが、少なくともおっしゃったように誠意を持ってやらなければならない。それが形として中身として残っていないじゃないか、そういうことを申し上げるのですが、私のいまの把握が違っておるのかどうか、違っておれば御指摘をいただきたい。
  120. 小林貞雄

    ○小林説明員 私どもがこの特殊法人の案を固めますにあたって、いわば官側とでも申しましょうか、そういう中でいろいろと相談をやっておって、その過程で組合の人たちが何かそういうことをやっているようだからやれというようないきさつで、問題があったかもわかりませんけれども、ともかくいま御指摘の回数以上に、私どもはいろいろな場を通しまして、正式の場あるいは非公式の場あるいは小さいグループ等々、いろいろな面を通しまして、組合員の人たちの意見を聞くにやぶさかでないということで交渉してまいったつもりでございます。  御指摘のように、途中の過程で通産省の官房長からさらによく事情を説明して、組合員の人たちに納得してもらうように努力しようというような、私どもの気持ちと努力が必ずしも表面化しないために、そういうような御指摘を受けまして、私ども反省したこともあるのでございますが、ともかく回数その他にいたしまして、公式、非公式、小グループ、その他数え切れないくらいやったつもりでございます。先ほど申し上げましたように、私どもとしては、なるべくわれわれの気持ちが最大限に理解されるように、熱意と努力をもって交渉してきたつもりでございます。われわれは、この問題は非常に大事な問題でございますので、職員の人たち、組合員の人たち、いずれの立場においても重大な問題でございますし、職場の転換ということで非常に利害関係の深い問題でもございますので、そういうような態度で従来やってきたつもりでおりますが、今後もさらにそういう方向でまいりたい、御指摘のような方向でまいりたい、かように考えております。
  121. 大村邦夫

    ○大村委員 公式、非公式ということですか、あるいは個々にということですが、私は、少なくとも組合という正規のものがある限りは、あなたたちは組合を通じて話をすべきだと思います。それを個々に当たって説明をしたり、納得をさせるというやり方は、明らかに組合の団結権の否定であります。そういうやり方をするのは問題ではないでしょうか。あなたたちが誠意を持って解決をしたいなら、少なくとも組合の執行部という職員の代表機関があるのですから、これと正規な話し合いを誠意を持ってやる、これが私は至当だと思いますが、陰に陽にとか言われるが、公式、非公式というその非公式の内容は何ですか。
  122. 小林貞雄

    ○小林説明員 非公式ということばは、必ずしも適当ではないと思いますが、たとえば私どもが地方の支所に行ったような場合、支所のグループの人が、ちょうどおまえはいいところに来たから、われわれと会っていろいろ話をしろ、そういうふうに、私どもに自分たちの気持ちを聞いてくれと言うものが参りましたときに、われわれとしては、その意見は十分聞いてまいるべきだというようなつもりで、いろいろと話を聞いてまいったわけでございます。もちろん正式の交渉団体を通しての正式の交渉を中心に考えていくのがほんとうだとは思っておりますが、いま申し上げましたように、ひとつ自分たちの話を聞いてくれ、あるいは聞かしてくれと言うものを拒否することは、われわれの真意を伝達する上において必ずしも至当ではないという考え方を持ったわけでございます。原則的には正式の団体との関係を第一義にすべきことはもちろんだ、私どもはそういうふうに考えております。
  123. 大村邦夫

    ○大村委員 えらくことばじりをとらえるようですが、ひとつ話を聞いてくれというときには聞かざるを得ないから大いに聞きます、そしてそれの実現に努力します、そういう姿勢ですが、それはそれで許されますが、その前に必要なことがあると思うのです。それは積極的に内容を明らかにするために、あるいは納得させるために、組合を通じて話し合いをしなければいけないのではないか。ところが、その組合の交渉たるや、私が言ったような回数しかないじゃないか。おたくのほうではそれ以上のものがあるとおっしゃいますが、ほんとうにそうですか。もう一回お尋ねしたい。あわせて、その組合の中であなたたちが説明したものは何が中心であったか。そして今日全商工が反対しておりますが、その対立点は何か。そこもひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  124. 小林貞雄

    ○小林説明員 先ほど申し上げましたように、ちょっといま正確に申し上げられないほど、全商工あるいはその分会あるいは支部、そういうところから話がありましたときにも、この問題を議論し、話し合いをしたわけでございます。話をいたしました中身としましては、法案の内容で——大体法案の内容ということは、広義の意味でございますが、将来の組織等について大体どのような構想を持っているか、なぜ一体そういうようにわれわれはしたいと思っているかというような問題でございます。さらにまた、行きますにあたって、やはり職員の身分の問題が重大なる関連があるわけでございます。その身分の問題との関連で、給与の問題等が出てくるわけでございます。大体給与としてどういうところがわれわれの見込みとして立てているところであるか、こういうところまでは役所の立場で保障しろ、たとえばいわゆる移行の際にあたりまして、全員これを引き継ぐというようなことを明確にいたしましたり、それから給与につきましては、電気試験所から移行いたします職員の給与は、電気協会の給与の水準に合わせていく、大体現在の両方の水準を考えていきますと、その辺は平均して約二五%くらいになるだろうというようなこと、それからもちろん賃金カットということは全然ない、要するに一番関心の的になりましたのは、国から向こうに離れて行きますときに、退職金の問題がどうなるか。これは御存じのように予算的な措置も現在すでに講じてございますが、普通の退職よりは五割増しでやるということをはっきり名実ともにさせる。そういうような職員の給与の問題、それから先ほど御指摘のございましたその給与を裏づけ得る将来の協会の財政的基礎がどうなるか、収支の予想はどうなるか、そんな問題について説明し、いろいろ議論を重ねていく、こういうのが現状でございます。
  125. 大村邦夫

    ○大村委員 団体交渉の回数については、そのことが本来の趣旨ではありませんから、問題は、回数がすくなくても、内容が伴っておれば、それはそれとして了解できるところであります。  そこで、その内容に入ってみたいと思うのです。団体交渉の中で言われた点は、いまおっしゃいましたように、一つには労働条件、一つにはこれからの機構上の問題等々であると思います。私の知った範囲内では、機構についても必ずしも明らかになっていないと思うのです。というのは、機構には、単にどこどこに検定所を置きますということではなしに、要員というものが伴わなければならないと思うのです。どこそこに何人の要員を配置するのか、こういう点について明らかに示されたのですか。
  126. 小林貞雄

    ○小林説明員 定員の問題につきましては、先ほどお話がございましたように、全国的に見てまいりますと、昭和四十年度で千二百二十四人、現在電気試験所及び電気協会におります者は約千百人足らずというようなことを明確にいたしました。この数字からわかるように、全国的に見ていけばむしろ四十年では人手が足りないくらいで、先ほど私どもが言っておりますいわゆる定員必置の原則はそういう意味でも明らかになる、将来の首切り問題等もそういう数字からいってまず考えられないということを明らかにしておるわけでございます。  御指摘の支所の問題につきましては、これは私どもはこういうふうに考えております。支所の定員というものは実はあってないようなものだと、非常に融通的に考えております。たまたまある支所で定員というものをつくって、それで一名、二名超過したから首を切るかというようなことになりますと、全国的に見て、先ほど申し上げましたように、人間が足りないということになれば、そこで何もわざと摩擦のあるようなことをやる必要は毛頭ないわけでございます。そういう意味で、支所別の定員というのは融通性を持って考えていくべき問題であります。もちろん理事者側の立場といたしまして一応の目安みたいなものは持ってやっていくことが、仕事をやっていく上にいいことだと思っておりますが、あくまでもこれは単なる内部的な心がまえにしかすぎない。それで支所の定員がたまたま一名、二名超過したからすぐ云々するというようなことは考えられないわけでございます。そういう意味で、支所別の定員を考えていけ、定員を明らかにしろというような話も組合側からあったのでございますが、私どもは、以上申し上げましたようなことを考えておるので、あえてここで定員を示すということはいたずらに誤解を招き紛糾をさせるんじゃないか。私どもの気持ちはあくまでも全国的に考えていくべきだというようなことでございます。  さらに申し上げますと、一応かりに支所別に定員を考えたといたしましても、それはあくまでもこれだけのメーターがこの四十年度には来るだろうという推定でやっておるわけであります。当然その出てきますメーターについては変動がございまして、非常に弾力があるわけでございます。したがって、そういう意味からいいましても、支所別の定員にあまり固執する気持ちはさらさらないわけでございます。そういう意味で、支所別の定員を明らかにすることは適当でないというようないきさつがございました。真意は以上のとおりであります。
  127. 大村邦夫

    ○大村委員 私は機構上の問題は単に機構だけの問題としてとらえたくないのです。それは労働条件に関係があるからなんです。すなわち、いまあなたがおっしゃいましたように、どこそこに何人配置をする、そのことは考え方としてきまっておると思うのですよ。しかし、それを明らかにすると、つまらない誤解を招くから、つまり紛争が起きるから、こう言っておるのでしょう。これは少なかったら起きるのが当然かもしれません。あるいは多ければそれで了承してくれるでしょう。そういうものは、やはり先ほど言ったように身分が変わってほかの職場に行くのですから、転勤とは違うのですから、そういうものを含めて団体交渉の中で明らかにしなければ、おれは行ってこれから労働条件がすごくきつくなる、それならやめた、そういう意見というものは出せないじゃないですか。このことは非常に重要なことです。つまらない誤解を招くというのはどういう意味ですか。くさいものにふたをしておって組合員に意見を出させぬようにするという意味じゃないでしょう。どういうお考えですか。
  128. 小林貞雄

    ○小林説明員 御指摘のような気持ちで申し上げておるわけではございませんので、支所別の定員というものが絶対的な定員というものではなくて、非常に弾力的であるように私ども考えておるわけなのでございます。それから、先ほど申し上げましたように、その支所に来るメーターの検定の数が幾らになるかということにつきましても、明確にするだけの自信もないわけでございます。支所別の定員というものは、さような意味であくまでも目安にしかすぎない。目安にしかすぎないものを、これを大方針として打ち出すというようなことは、われわれとしてもどうも適当ではないという考え方でやっておるわけでございます。もちろん先ほど申し上げましたように全体としての首切りはないということは、何度も何度も明確に申しておるわけなのでございまして、首切りという問題については、われわれは絶対そういうことはあり得ないし、その点については責任を持つ、こういうように申しておるわけであります。
  129. 大村邦夫

    ○大村委員 その責任を持つだけで信用すれば問題はないのですが、御承知のように電気試験所の出張所、出先機関があります。それから電協の検定局の出先機関もあります。ある地方では隣り合わせてあるところもありますね。そういうところについて人員配置をどうするのか、あるいは一体業務量はどのくらいあるのか、そういう点を明らかにしなければ、労働力を売るほうの側は、それが計算に合うか合わぬかはめどの立てようがないじゃないですか。そういう点は明らかにせなければいかぬのです。まずこれが一つです。そういう不安定な要素の中で誠意を持って交渉に応じました、私どもをこれからも信用してください、そういうことでは私は納得できません。  それから給与の問題ですが、団体交渉の中で、あなたのほうが「特殊法人検定機関の組織待遇等の試案について」こういうことで組合に提示をされておるのがありますが、その中身を見てみますと、「検定機関の特殊法人設立の際の組織、待遇等については、発足に当って新機関の当事者の責任において決められるものであるか、」——私はここに一つ問題があるのです。それから「その決定に際しては全職員の要望を反映した運営をなされることが望ましい。従って職員の意向も充分勘案した(案)を現在検討しているが、一応現段階における試案をまとめたので、充分検討願い、よりよい案を得てその実現に努力したい。」こういうことがあります。先ほど申しました交渉権ですね、組合が持っている。そしてその交渉する相手は当局ということになっている。その当局はだれかといえば任命権者だろうと思います。その任命権者というのは実は大臣ですが、これは委任行為ができるから、それぞれの職場の長に委任をされてある責任者ですね、その範囲内で交渉に応ずるから、こういうことになる。筋はそうだと思いますが、しかし交渉はただ聞き置く程度のものでなしに、それはその範囲内でやはり実現をしなければならない。その職場の長というのは、私が説明するまでもなく、職員を使用しておるのですから監督権を持っているのです。監督権があるということは、その職員の処遇についても責任を負わなければならないわけです。本来ならば、これはいまから会社ができて、そこで決定をするのが至当である。がしかし、それだけでは問題がありますから、私どもはできるだけ皆さんの意見を聞いて善処しましょう。何か恩恵的に考えられておるようである。どこまでも労働条件については明らかにし、賃金も勤務時間もそういうものを責任を持って明らかにするという姿勢がなければ、ただ好意的にやるというような姿勢では、私は問題があるのじゃないか、まずその姿勢について指摘をしたいのです。と同時に、やはりあなたたちが示した中身というものを持っていますが、この中身を見たってさっぱりわからぬですよ。おまけに現在では撤回されておるというように聞いていますが、男女の賃金差を設けていましたね。憲法違反です。労働基準法の違反ですよ。しかも、計器局は、私この間行きましたけれども、きわめて労働条件には問題があるところです。その問題のあるところ、たとえば女子の問題に例をとりましても、内々結婚したらやめるような指導がされておるのです。そういうところと労働条件を同じにしますと、これはたまった話じゃない。加えて、あなたたちが示した案を見ると、男女の賃金差を設けている。そういう給与形態を示しても、それは組合がのめるはずはないのでありまして、紛争が長引いておるとすれば、あなたたちに責任の一端——じゃない、大いにあるわけです。さらに、その後示された案を見ますと、これはまたまことにずさんなものでありまして、先ほどお配りになりましたね、ああいう種類のものです。これで、身分が変更になって、他の職場、半官半民の特殊法人に行けと言われましても、私どもがかりにその立場になっても、これは行くか行かぬかのめどがつきかねると思うのですがね。あなたが行かれたらこういうようになりますという点が、給与条件として明確になっていない、私はそう思うのですが、その点は大いに問題のあるところでありまして、まあ大臣にお尋ねしたいのですが、きわめて不確定的な要素の多い中で、ただ私ども信用してください、できるだけ皆さんの希望に従います、そういう程度で職員を他の機関に移すことは、私は無責任だと思いますが、その点はどうでしょう。
  130. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いま御指摘になりましたこまかい中身の問題になりますと、これはやはりどうしても新しい法人のところできめるわけでありますが、その場合においては、われわれとしても過重な労働にならないように、いわゆる非常な悪条件にならないような配慮は十分いたしてまいりたいと考えております。
  131. 大村邦夫

    ○大村委員 しかし、私は、信用せいということでしょうけれども、そういう面を明らかに提示して、本人が納得をして、そして行かすべきだと言うのです。その内容を明らかにしないで、試案で男女賃金の差を設けてみたり、あるいは今日の電協の労働条件の実態は、残業手当が全収入の三〇%。労働基準法じゃ、なるほど時間外労働というのがありますけれども、その時間外労働というのは、臨時的に発生した業務を処理するためにやるのが時間外労働でありまして、初めから時間外労働を引き当てにして勤務条件を組む、要員配置をするというところはないと私は思うのです。ところが、電協の計器局に行きますと、そのことが図解され、あるいはパンフの中に確然として載っています。つまりシーズンによって計器、電気メーカーからの発注の変動がありますが、ピークに合わして要員配置はできないので、せめて平均値くらいとってやるのかと思いましたら、その平均値より一割少ない、つまり残業を引き当てにした要員配置です。これでなければ能率があがりませんと言われるのです。そんな職場、そういう労働条件のところと一緒になるというのは、これは非常に問題がある。しかも、いまあなたたちの答弁でもきわめて不明確のように、労働条件については確定をしていない。大臣は、誠意を持って善処します、悪いようにはいたしませんと言われますけれども、それではやはり問題があるのですよ。あそこの電協に行って、私も驚いたのですよ。要員配置なり労務管理のやり方が、そう言っては悪いが、非常に前時代的なやり方ですね。あなたたちはどういうように把握しておられますか。いいですか。残業をやることを前提として要員配置をする。残業とは、基準法の中でも明らかなように、臨時的かつ緊急的に生ずるものについて行なうのが、これが残業なんです。時間外労働の精神であります。それを初めから組んで、収入を多くする、電協、計器局と同じような給与を支給しますと言っても、勤務条件が備わっていなくて、収入さえよければいいという問題じゃないと思うのです。そういう点についての構想も明らかでないでしょう。要するに、あなたたちの考え方は、これから設立委員会をつくって、そしてその中で、勤務条件なりあるいは賃金の問題なり、あわせて機構の問題なり、要員配置なりを考えます、悪いようにはいたしませんというのが、一口に言って、言い方でしょう。そういう中では、私どもは——私どもというより、私がかりにこれから特殊法人に行くという立場に立っても考えますよ、明確にならなければ。またあなたたちは明確にする責任があると思うのです。私はこの点が明確にならなければ反対しますよ。
  132. 小林貞雄

    ○小林説明員 御指摘のように、私ども、いまの立場で、いまの時点で、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、新しい責任者がきまりまして、新しい形で一つの賃金体系なりその他を確立するのが話のたてまえではなかろうか、というふうに考えておるわけでございます。しかし、それでは確かに御指摘のようにいろいろと不安があるわけでございまして、したがって、私どもとしては、給与の平均、全体としてこれだけのものは保障する、それから先ほど言った大づかみな点、つまり給与につきましては、こういうところはわれわれとしては責任を持って保障するということを言っておるわけでございまして、その保障については、単なるから証文に終わるのではないかというような点が、あるいは問題になるのではないかと思いますが、先ほど来御指摘のように、国として十分なる監督権を持っておりますし、また自分のほうの、いわば同じかまのめしを食った仲間を送り出すわけでありますので、単なるから証文でその問題を終わらせるということではございません。十分責任を持って、具体的な問題については責任を持つという心がまえでおるわけでございます。御指摘のような男女……。   〔「内容がどうだ、大臣答弁しろ」   と呼ぶ者あり〕
  133. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のございました点は、われわれとして前の条件よりは悪くならないようにするということを明らかにしておるわけでございまして、もちろんそれよりよくなることは、われわれとしても望むところであるが、それは新しい理事者がどういうふうに処理するかということでございまして、前の条件より悪くならないということだけは、われわれとしても断じて保障をいたす、こういうことでございます。
  134. 大村邦夫

    ○大村委員 大臣は内容を知っていないんですよ。悪くしないという約束じゃないですよ。電協の計器局の諸君と同等にしますし、二割から三割給与を引き上げますということを言っている。あなたは、よくなることは望ましいのですがと言うけれども、それよりずっと二割も三割もよくしますよ、こういうことをおっしゃっておられるので、あなたはただ常識的に……。
  135. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 この問題は、電気協会でやっている分のほうが、給与はいささかよくなっておるわけでありますから、もちろんそのほうに合わせていくわけでありまして、その合わせた場合において、電気協会の分よりは悪くならないようにするということは明らかにしておるわけであります。だからもちろんこれから役所のほうから合併していく人は給与がよくなることはさまっておる、そのことは明らかであります。これはずいぶん前でございまして、実はこの問題は七、八年前から起こっておる問題なんです。私はそういうことについてもいささか勉強いたしておるつもりであります。
  136. 大村邦夫

    ○大村委員 それじゃ、七、八年も前からやっておるのなら、なぜ労働条件、賃金等についてもう少し明確にできぬのですか。七、八年たっても、まだこんなずさんな賃金体系しかできぬのですか。
  137. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は電気の問題に関係いたしておりますから、私が七、八年前からこの問題について知っておるから、いささか内容を存じておる、こう言ったのでありまして、役所のことを言ったのではございません。   〔「了解、了解」「採決」と呼ぶ者あ   り〕
  138. 大村邦夫

    ○大村委員 あなたたち採決と言われますが、物を買おうか売ろうかというときに、あなたたちがかりに買い手の立場になった場合に、高ければ買わぬでしょう。いまからこの人たちは生活するのですよ。労働条件やその中身を明らかにしないで、信用してください、電協並みにしますと言う。電協並みというても、電協の労働条件を見てみると時間外手当が三〇%を占めて収入が多いのですよ。こういう悪労働条件に合わすようなやり方には問題があるわけです。やりとりは文書でされていますから、私は幾らでもやりますよ。電気事業連合会からの要請、電協からの当局に対する要請、そうしてあなたたちはできるだけ善処いたします、御要望に沿うようにします——現にこの法案の体系を見てみましても、副理事あるいは理事については大臣の罷免権のないようにしてくださいとか、あるいは当初二千万、これは電気事業連合会からは二千万円の土地の提供に対するところの補償、しかもその土地だけでなしに既得権ということがこの中に入っていますね。そして今度三千万円というように格上げしてありますが、そういう精神が随所に見られる。電協の言い分というものが中に入っておるのです。そういう電協と労働条件を合致してやらされるというのには問題があるのです。賃金の問題については、労働者が生活をする唯一のよりどころですから、この問題が明らかにならない限りは、これは移行せよといっても無理だ。そのことが明らかになって私どももひとつ御相談に応じたいと思うのです。それが明らかにならないままに法律を出して、これから設立委員会の中で明確にしますということだけで信用してくださいと言われても、これは私は労働組合の立場というよりも労働者の立場を考えたら、それに賛成はできません。その点を明確にしてください。
  139. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘のありましたことについては、御趣旨を体して十分善処いたしたいと思います。
  140. 小川平二

    小川(平)委員長代理 おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼び、その他発言   する者あり〕
  141. 小川平二

    小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  142. 小川平二

    小川(平)委員長代理 これより討論に入ります。大村邦夫君。
  143. 大村邦夫

    ○大村委員 ぼくはまだ質問を続けたいというのに、質問も済まぬうちに今度は大村君が反対討論をやれというのをぼくが了承するのですか。——私どもはきわめてこの問題には不満であります。与党の皆さんは時間のことを気にし、これからの国会の残存期間のことを気にしていられるようでありますが、少なくとも労働者がこれから身分が変わるというような場合には、親切というよりも当然の義務として、その労働条件なり賃金を明らかにする、これが大前提でありまして、そのことが守られないままで賛成をされる皆さんのお気持ちは私にはわかりません。このことをまず申し上げておきます。私どもは反対であります。  そこで申し上げます。日本電気計器検定所法案に対し、日本社会党を代表いたしまして反対の意を表明するものであります。  電気計器は、電気の取引の基礎をなすものであり、国民生活に直結するものでありまして、本来、完全に中立の国家機関が検定を行なうべきものであります。歴史的にも、明治年間から今日まで、検定の権限は政府に属していたのであります。それを特殊法人とは  いいながら、半官半民的な機関に移譲し、政府の監督権もはなはだ不十分な形にしようとするのは、計器検定の公共性を忘却したものと言わざるを得ません。  しかも、わが国の電気計器は、技術的にはなはだ低い水準にあり、したがって検定の厳密性が強く要求されるのでありますが、このときに検定機関に対する監督を緩和し、独立採算にゆだね、助成も行なわないというのは、時代に逆行するものであります。  次に、特殊法人移行後の従業員の処遇について、非常な不安があります。  第一に、労働者の団体交渉権について全く不明確であります。身分、組織、給与体系の全く異なる二者を合体しようとするにあたって、将来の待遇につき労働者が交渉しようとしても、その相手方がだれかきまっていない状態では、不安この上もありません。特に電気試験所職員は、公務員から身分が変わることになりますが、政府は移行後の身分待遇について何ら明確な保障を与えておりません。単に電気協会職員より下回らないだろう程度の見通しを持っているにすぎず、無責任きわまるものであります。  第二に、特殊法人移行後の労働条件が全く不明瞭であります。特殊法人はその財源はもっぱら検定手数料にたよることになっておりますが、現行手数料は大型計器、精密計器については特に検定コストに比して著しく低く抑えられており、このしわ寄せは必ず労働強化となってあらわれるのであります。また検定件数の時期的変動に対して従業員の定員が少なすぎるため、ピーク時の処理は超過勤務に依存せざるを得ない現状でありまして、これまた労働者の犠牲をしいることは必至であります。これら労働条件の問題については何らの具体的改善策が打ち出されておりません。  第三に、労働者の給与について不明確であります。現在電気協会は収支とんとんであり、電気試験所は赤字であるといわれておりますが、両者が合体すれば全体として赤字になることになります。また電気協会のほうが高給、低年齢であり、合体して一本の給与体系になれば人件費は一そう増大し、したがって赤字も一そう増大することになります。これについてどのようにして収入を上げ、給与を確保するか、少しも明らかにされておりません。労働強化によって能率を上げさせようとする意図がうかがわれるのであります。  以上、理由を明らかにし、計器検定の公共性を低下させ、労働者を不安な状態のまま追いやる本案に反対するものであります。(拍手)
  144. 小川平二

    小川(平)委員長代理 以上で討論は終局いたしました。  採決いたします。本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  145. 小川平二

    小川(平)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  146. 小川平二

    小川(平)委員長代理 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、小平久雄君外三名より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。浦野幸男君。
  147. 浦野幸男

    ○浦野委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表し、附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。   日本電気計器検定所法案に対する附帯決議(案)   本法施行にあたり、政府は次の諸点に関し十分配慮すべきである。  一、新法人の従業員の給与等の待遇条件は、旧機関より上廻るよう努めること。  二、新法人の従業員の給与、退職金等労働条件につき、現在の労働組合と協議して速やかに決定の上、当委員会に報告すること。  三、新法人移行後も雇用の安定を図り、人員整理を行なわないこと。  四、検定料金につき、合理的かつ公平な制度を確立すること。  五、土地賃借料が新法人の過重負担とならないよう措置すること。  六、電気試験所従業員の新法人の転籍については、本人の意志を十分尊重すること。  七、新法人設立後は、電気計量の追跡検査を十分に行なうよう努めること。  以上であります。  決議の内容につきましては、審議の過程において明らかなところでありますので、事項別には説明を省略させていただきます。委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
  148. 小川平二

    小川(平)委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 小川平二

    小川(平)委員長代理 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。福田通商産業大臣
  150. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、法案審議の途中においてもその態度を明らかにしておるところでありますが、十分趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。(拍手)     —————————————
  151. 小川平二

    小川(平)委員長代理 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 小川平二

    小川(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  153. 小川平二

    小川(平)委員長代理 暫時休憩いたします。    午後三時二十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らな   かった〕