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久保田(豊)
委員 具体的なことは基本
計画が最終的にきまらなければはっきりしないということは、これはよくわかります。しかしまあきまらなくても、大体いまの態勢から見て、地方負担であれがやれないくらいのことは、これは子供でもわかるわけです。したがいまして最低限、相当のものが、しかも短期間、先行投資ではあるけれども、補助率を上げなければ
企業がうまく成り立っていかない、こういうことですから、自然どうしても、金は
貸してやるから、あとでやるから補助率を上げなくていいじゃないか、そういう考えではとうていこの
事業はできないのです。ですから、この点は私は皆さんともいままで折衝の過程で
お話を申し上げたように、われわれのほうもはっきりした対案を出しますから、ぜひともひとつ特にこの点については新産も工業も、いま大蔵省のほうから言うとこれは別扱いをいたしますなんと言うけれども、そんな性質の問題ではありませんよ。もう少し
内容を見てくれればわかる。ですから、こういった点は一体にして扱うようにこれは御要望を申し上げておきます。
それから、時間がありませんから重要点だけ申し上げておきます。その
一つは、今度の工業整備のほうにはいわゆる公害に対する対策というものははっきり一項目出ているが、新産都市法には出ていないわけだ。ただまあ指定の場合にはそれが大部分のところに、基本
方針の中に出ております。しかしこれは最近私のほうの実情を見ても、あるいはたとえば川崎のああいう問題を見ても、これは
日本でいままで忘れられていたことであります。いままでは、工場ができて、それから有毒なガスが出たりひどい水が出たりして、これはたれ流しても、たれ流しておくのが当然だというのが役人の考え方であり、
政府の考え方であり、
企業の考え方であります。また、たれ流されても、いままでの
程度ならまあまあがまんはできるというのが大体住民一般の考え方である。ところが工業の段階がいまのようにずっと進んでまいりまして、大規模になりまして、たとえば同じ石油コンビナートから出る亜硫酸ガス
一つをとってみましても、いままでのように五万バーレルというところなら問題はありません。しかし二十万バーレルとか二十五万バーレル、発電所
一つをとってみても、大体二十万キロワット
程度の重油発電ならたいした問題はない、しかし最近では百四十万とか、あるいは百六十万とか百八十万とかという、いわゆる大型化してくると、これはどうしてもこの問題を真剣に取り上げなければ、もう工業そのものの、産業の発展が要するにわれわれの人命なり日常生活に非常な危害を加える問題になってきている。つきましては、私はこの点については
政府全体としては特段の——ただ
法律に一項目入れたとか、あるいは基本
計画にずっと加えたというような
程度ではだめです。特に今回の新潟の災害を見ますと、地震国
日本としては町づくりの基本の中へ、工場をまず主体にされた町づくりの基本の中にああいう工場のいわゆる自然災害と申しますか、これも含んだものをやらなければたいへんな話になります。この点は
日本の産業行政の中で私は一番抜けている面だと思います。私はこの点について詳しく調べてありますから、一度
政府当局とこの問題について徹底的に
討論をしたいと思う。どうかこういう点は——金のかかることですから大蔵省は必ずいやがる。税金をとるほうは熱心ですけれども、税金をとるもとのそういうものが、いわゆるくそ小便をたれ流して住民に非常な迷惑をかけておっても知らぬ顔だ。これが大蔵省の本音だ。そう言っちゃ少し言い過ぎかもしれないけれども、しかしこれは確かにそのとおりです。しかし何しろ金は出さない、金はそっちで出せ、税金だけはとる、くそ小便によっていじめられたやつはそれはおまえらの心がけが悪いからだ、これでは国の文化生活なり経済の発展は何にもありません。倍増
計画なんてやめたほうがいい、こういうことになるから、この点については私は特に与党の
諸君に——与党の
諸君は大体
会社側の人が多いですから、そう言っちゃ失礼ですけれども……。
会社側の都合はさることながら、そうじゃなくてそこの住民全体が今のように公害によって非常な災害を常時こうむる。そうして何か災害が、地震ばかりじゃありません。故障がありましょう。火災が起きたということになればこれはたいへんな話であります。なかなか東京とか大阪とかいう、こういうふうになってしまったところは、私も東京の公害
関係の連中、大阪の公害
関係の連中を呼んで詳しく
事情を聞きましたが、ちょっとやそっとじゃ手が出ません、金がかかり過ぎて。そうして人手もかかって、とてもじゃないけれども手が出ない、これが実情であります。ですからせめてこれからできる新産都市なり工業整備地域については、町づくりの当初からこういう問題を
計画の基本に織り込んで、そうして工場の配置なり何なりというものを考えていかなければだめです。四日市なんかもそうです。あれは伊吹の山岳から来る風と平行に四日市の煙突が全部並んでいます。ですから磯津なり塩浜、あそこへ災害が集中するわけなんです。そういうところはちょっと
注意すれば直るところであります。そういうところでさえ今まで予備の調査も何もしていない。今度やろうということになると、あそこの都市
計画を全部変えなければならない。おそらくあそこで三百億はかかるでしょう、あの工場から何から。その金は出るところはありませんよ。黒川調査団の報告を見ましても、当初そういう点を
注意してやればそんなに被害がなかったものを、これからやれといったって、三百億ではあそこの災害の完全な防止はできないと思います。私もあそこに行って調査をしてまいりました。そういう非常に大きな問題ですから——私は単に
政府の責任を追及しようという考えはありませんよ。特に与党の皆さんにはそういう点について格段の私は御研究と御処置をいただきたいということを申し上げておきたい。その点をひとつ……。