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村上(茂)
政府委員 各種産業の中で建設事業が災害が多く、その傾向なり災害防止対策についてはどういうような
考えを持っているかという御
質問でございますが、最近の建設事業における災害の発生状況は、
昭和三十七年の一−十二月が十三万五千五百八十四でございます。これは死亡及び休業八日以上の災害でございます。それが
昭和三十八年の一−十二月におきましては十二万三千百三十四というように、約一万二千四百五十ほど減少をいたしております。しかしながら、最近のオリンピック
工事あるいは高架道路、地下鉄
工事、その他大規模ないしは高所における建設作業が非常に多くなってまいりましたので、そういった状況にかんがみまして、建設業は、労働基準行政におきます安全行政の中でも一番重点を置くべきものというふうに
考えまして指導いたしておる次第でございます。同じ建設
工事と申しましても、一般の道路とかビルディングというものと、今回大災害を惹起いたしましたような危険地域における作業とはおのずからそこに若干の差があると存じますが、この点につきましては、行政指導といたしましては、たとえば今回災害のございました
川崎地区におきましては、危険地域内における災害、
爆発防止
保安基準というものを設定いたしまして、
関係事業場が相寄りまして、
監督署が中心になりまして、この基準の実施につきまして指導いたしておったような次第でございます。今回もはなはだ後手になりましてまことに恐縮に存じておるような次第でございますが、神奈川地区におきましては、すでに、昨年の三月でございましたか、特殊
工場保安対策協議会を設置いたしまして、
労働基準局と県の
商工部が中心になり、消防、警察
関係が集まりまして協議会を結成し、そうして三十八年は火薬を中心に特別指導を行ない、本年は
化学関係の指導を行なうということで、六月二日には日石、六月四日には東燃といったように計画的に指導を実施しております。近々
昭和電工に対しても指導を行なうといったような手順になっておりましたやさきにこのような
爆発を惹起したわけでございまして、非常に遺憾に思っている次第でございます。その
保安対策を中心に指導を行ないますにつきましても、そういう
爆発の
可能性のある
施設の周辺におきまして
工事をする場合においては、一定の基準によりまして指導するように
保安基準に定めてございまして、
下請業者にのみまかせることなく、当該事業場の
工事担当課が直接指導に当たるように基準に示しておるところでございます。御
承知のように、建設業者が必ずしも科学的な知識に富んでいるわけじゃございません。当該
会社の
工事担当課がその増築
工事なり改築
工事なりの建築
工事の際においても、十分
責任をとるようにというような
考え方のもとに指導を行ないつつあったところでございます。このように、いわゆるコンビナートとか、
爆発の
可能性のある物質を製造いたしております
工場、特定されておりますそういった地域内における
工事実施につきましても、一定の基準を定めまして指導を行ないつつあったというのが
現状でございます。しかしながら今回のような大災害を惹起いたしまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。