○久保田(豊)
委員 現在の段階ではその程度よりほかにはできないと思いますけれども、これは
一つ一つ中小企業に非常に大きなしわ寄せになってくることはもう目に見えているわけです。ですから
外資法の、つまり資本の
自由化の中での
外資法の適用ということは、よほど慎重に、国内の新製品、新
産業もさることながら、私は何といっても国内の
中小企業なりあるいは
中小企業の基礎になっておる農業や漁業というものの保護をまず第一に考えて、その一番基礎の上にすべてのものを運んでもらわないと大きなことになる、こう思いますので、その点についてはいま次官からの
お話のように、それをさらに私は明確にして問題に対処していただきたい、こういうふうに思うわけです。
そこで、
スカイ・
アルミの問題ですが、第一に私どもが疑問に思うのは、これは何も現在やっている諸君の
立場だけにとらわれるわけじゃありませんけれども、
八幡製鉄というような大実力を持っている
会社が、この
アルミというような小さな、
製鉄に比べれば問題にならぬような小さな
業界へ押し出してくるということは、
産業秩序、むずかしくいえばそうですけれども、そうしたことがはたして適当かどうかということに大きな疑問を持つ。
八幡製鉄のほうではその
理由づけとして、将来ラテライトを大いに使う予定だ、だから、その中には
アルミ分が一三%ですか、一二%入っているから、それを
生産をするには、いまのうちからこれになれておく必要がある、こういうようなことを言って、盛んに言いわけの材料にしているようです。しかし、私どもはしろうとでよくわかりませんけれども、ラテライトを
日本の製紙原料として一般的に使うというのはまだまだ
相当先の話ではないかというふうに思われるわけです。そういう段階で、やはり
製鉄事業のごときはむしろ
製鉄一本になって、そしてむしろ国内だけでなくて、国外にどんどん出ていく基礎をこの際固めていくことが本則であって、とにかく弱い
業界でどこかもうかりそうなところに、次々に大資本力を利用して手をどんどん伸ばしていくという行き方は、私にはどうも納得がいかない、そういうことを認めておったら、大資本はみな勝ってしまいますよ。いろいろ
法律をつくったり何かしてみても、
中小企業なり弱い
業界というものは次々にやられてしまう。特振法の問題になっておる特殊鋼の問題とかなんとかいう問題も、そういった問題が非常にあるわけですね。大
製鉄が、出なくてもいいような問題にどんどん出てくる。そうするとそれにあおられて、ほかの連中はそれの言うことを聞くか、それでなければ
自分はつぶれていくか、どっちかしかない。しかもそれが外国と
提携をしているという場合には、非常に輸出面でも国内面でも圧迫をこうむってくるわけですね。単なる独占対
中小企業というような
関係、だけでなく、これは国際的なあれを持ってくる、こういう点で今度のような、どうもラテライトのことを
理由にして
八幡大
製鉄が
アルミのような小さな
業界へくさびを打ち込んでやってやろうという行き方については、私は納得ができないが、この点についてあなたはどう考えるかということが一点。
それから、いま
中小企業の問題その他いろいろ出ましたけれども、いろいろ問題があります。ありますが、
産業構造審議会ですか、あれの答申等を見ましても、これから
アルミの特に延圧部門の
需要がどれだけ伸びていくかということは、
相当実は問題のようです。うんと伸びるという見方もあるし、そう伸びない、せいぜい四十五年程度になっても、四十四、五万ないしは五十一万程度じゃないかという見方もあるわけです。ところが、それに対していま現に行なわれて、あなたのほうがすでに
認可しておる
アルミ関係の増産、延圧部門の増産の施設は
相当なものです。これはほんとうかどうか、私も正確にはわからないわけですけれども、住友が現存のところは五万九千トンでしょう。それを大体十三万三千トンにふやす、大体
認可をしておるようです。それからさらに古河
アルミのほうが四万二千トンを十万トン、それから神戸製鋼が三万二千トンを九万トン、それからさらに
昭和アルミの
小山工場のことだろうと思いますが、これが千葉のほうの三万四千七百トンが今度は十万四千トンになる。これに三菱レイノルズその他が加わるということになると、延任部門だけでも
相当の大きな
生産過剰施設が出てくるのではないか。それにさらに今度の
スカイ・
アルミというものが加わった場合には、問題はなお複雑になってくるのではないか。もちろんこれは国内の
需要が少なくて海外へすぐ出られるという事情があるならば、これはまた別です。しかし、いろいろな状況から見て、まだ
日本の
アルミ工業が輸出工業としての地位を確立するというのはちょっと先のような話に思われるわけです。現在でも九千トンないしは一万トンくらいのものは輸出しておりますが、そういう程度であって、まだまだちょっとその点は因難じゃないかというふうに思われるわけです。こういう現在あるものがどんどん増産して、国際的なレベルに到達すべく
規模を増しておるというときに、さらに新しいものがどんどん出てくる。しかもそれが
外資と結びついておるというようなものによって国内市場を撹乱するといいますか、圧迫する材料になるということはどうかというような点が、少し私ども納得がいかない。
それからもう
一つ、ごたごた言いたくないのですが、あなたのほうの鉱山局の金属課長か何かは、すでにこのことを予想して三十六年に退官をして、しかも現在
八幡製鉄の課長待遇というかっこうでもってこの問題をあなたのほうと一緒になって
——これは一緒になってと言うと語弊がありますから、そのことばは取り除きますけれども、個人でやっておるのかどうかわかりませんけれども、そういうかっこうで、とにかく
役所の中におったときに、お役人のその衝に立つ者がそういう
計画に参画をして、そうして途中から一切の資料やそういった内輪のことを全部ひっつかんで向こうの
会社に移ってしまって、それが中心になって推進しておるというのは、何と言っても不明朗です。そういうことをやられますと、いろいろの
法案をつくっても、結局これは全部大資本はしり抜けになってしまうのではないかという疑問を持たざるを得ない。現在、そういう人が行っておる。名前を出せと言われれば出します。そういう人が中心になってやっておる。こういうやり方というものは私は不明朗だと思う。こう思いますが、以上、三点について意見を聞かしてもらいたい。