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1964-06-10 第46回国会 衆議院 商工委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  中小企業問題小委員       内田 常雄君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小川 平二君       始関 伊平君    中村 重光君       藤田 高敏君    森  義視君       麻生 良方君  中小企業問題小委員長       小川 平二君 ————————————————————— 昭和三十九年六月十日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 始関 伊平君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    神田  博君      小宮山重四郎君    佐々木秀世君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    長谷川四郎君       大村 邦夫君    加賀田 進君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       森  義視君    麻生 良方君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         通 商 産 業         政 務 次 官 田中 榮一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         日本専売公社         調達部需品課長 谷中  忠君         日本専売公社         生産部長    黒田  実君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業団体組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一六二号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。始関伊平君。
  3. 始関伊平

    始関委員 中小企業事業活動の機会の適正な確保、つまり中小企業分野確保ということは、中小企業基本法における重要なねらいの一つでありまして、また当時最もやかましく論議せられた論点の一つであったと思います。今川の改正案では大企業中小企業関係だけを取り上げておるのでありますが、一体中小企業者の側から申しますと、自分たちが長い間しし営々として築き上げた中小企業分野に、景気がよくなったと申しますか、時勢の変転に伴って大企業が入ってくる、技術革新とか生活様式の変化に伴う大量需要の発生というようなことを契機といたしまして、大企業が入ってくるわけでありまして、こういったような立場にある中小企業者立場から申しますと、今回の法案内容でははなはだ不十分である、もっと強く政府の介入ないし指導というようことを要請しておるのかと思いますが、こういったような点につきましての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 中小企業がやっておる仕事分野に大企業が入ってくるということは、中小企業のいわゆる活動範囲を大企業が荒らすということになる。したがって、この中小企業活動分野というものを確保することが必要であるということは、これはもうわれわれとしても十分考えておるところでありますが、今度その入ってくる場合において、組合を通じてそれを一定期間チェックしていこう、そういう交渉を正式にさせるということを法定しようというわけでありまして、自由のたてまえから言えば、われわれとしてはかなりこれはドラスチックな立法である、こういうふうに考えておるところでありますが、それをなぜ一定期間というようなことにしたかということになりますと、その間に中小企業がそれに耐え得るような体質の改善をする、その期間を与えておくということが主でございまして、いわゆる企業自由の原則というものはある意味においては守っていくということが、われわれの措置のうちに人っておるわけであります。  また、中小企業といいますけれども、中小企業はあくまでも中小企業にとどまっていなければならない理由はないのだと思うので、これはだんだんよくなれば、小企業が中企業、中企業相当規模企業、それから大企業になっていくということも、これは決していけないことではない、むしろ中小企業のために望ましいことだ、そういう意味からいって、その仕事について一定期間を与えておけば、中小企業としてはそういうふうに発展をする余地がここに作花し得る、こういう考え方でこのような法案をつくっておるわけであります。
  5. 始関伊平

    始関委員 今回の改正案提出は、いわば当初からの予定でもあるわけでありますが、この法案提出の背景として、現実に大企業が従来における中小企業分野進出をいたしまして、大企業中小企業との間に問題を起こしておる、紛争を起こしておるという事例が今日までに相当と申しますか、若干起こっておるのかどうか。それから起こっておるとすれば、当局はこれに対してどういう態度方針で対処しておるのかということをちょっと伺っておきたいと思います。
  6. 中野正一

    中野政府委員 大企業中小企業分野進出をいたしましていろいろ問題を起こしたケースについて、二、三典型的なものをちょっと申し上げてみますと、たとえば清涼飲料水でございますが、これは御承知のように中小企業ラムネだとかサイダーとかいうようなものをおもにつくっておったわけでございます。ところが最近需要構造が非常に変わってきて、嗜好も多様化するというようなことで、需要も非常に伸びるというようなことから、大手製菓会社ビール会社あるいは水産会社商事会社というようなものがどんどんこの分野に出ている。ただ、それはラムネとかサイダーをやるのではなくて、いわゆるジュースであるとか、ああいうふうな大量生殖に向く清涼飲料水をつくっていく。そのために従来中小企業者がやっておりましたラムネサイダー、それからそれ以外の普通のジュースもやっておりましたが、そういうものの分野が大いに侵食されまして、現存ではすでにもう中小企業の比重は五割をはるかに下回っておるということでありまして、その意味では、いろいろ問題がございましたが、中小企業者の経営が非常に圧迫されて今日に至っているというようなことであります。これについては、政府のほうでは、そのことによって非常に中小企業者が一時的に打撃を受けて、あるいは日本経済全体の進歩のために好ましくない事態であったかどうかということに非常に問題がございまして、特別たいした行政指導はいたしておりません。  それからもう一つ典型的な例が兵庫県に起こりました。これは、昭和三十六年に、某大手紡績会社が、自分会社でつくったシーツ、まくらカバーですね、こんなようなものを自分洗たくをする、売っておいてそれを洗たくまでしてやるという子会社をつくってやりまして、非常にこれは問題が大きくなりまして、地元クリーニング業者組合交渉いたしました結果、三十六年度以降三年間は、その某紡績会社クリーニング専門子会社は、親会社が製品を納入した大口の需要者、たとえば病院だとかホテルとか、そういうところのクリーニングだけやるということで、地元クリーニング業者組合交渉の結果、一般家庭から注文をとらぬということで妥結をいたした。これはやはり役所が中へ入って、いろいろ調整などをいたしたわけであります。  それから最近の例で申し上げますと、機械すき和紙というものがございまして、これはおもに静岡であるとか愛媛県、こういうようなところにちり紙業者がたくさんおって、これはほとんど全部中小企業者でございますが、これをやっておりましたところへ、最近二、三の大手洋紙メーカー外国資本提携をして、機械すき和紙と競合する分野進出をしつつあります。これはすでに三社ばかりは年産を開始して、主としてこれは高級なトイレットペーパー、紙ナプキン紙タオル婦人用衛生用品というようなものをつくっておるのでありますが、これがやはり実際的には機械すき和紙業者中小企業業者分野に非常に食い込む結果になりつつあるということで、ちり紙業者が非常に心配をされまして陳情がありましたので、通産省では、大手洋紙メーカーに対しまして、今後は中小企業に与える影響も十分に考慮して慎重を期するように指導いたしております。また、機械すき和紙に競合するものをつくるというときはあらかじめ通産省十分連絡をして、不当に中小企業者影響のないように行政指導を行なって、一応解決をしております。  それから最近あったもう一つの例としては、某大手のやはり製紙メーカーが米国の会社提携をしまして合弁会社をつくりまして、これは紙コップ、たとえばホットコーヒーコップとか清涼飲料用のものとかアイスクリームの紙コップ、これはアメリカでは、御承知と思いますが、非常に紙コップ需要が多くて大へんな需要のようです。日本ではそこまでいっておりませんが、この計画は、やはり紙コップをつくっておる業者、大部分がやはり中小企業でございますが、こういうものに非常な影響を与えますので、通産省行政指導を行ないました結果、当初の計画を変更させました。規模を非常に縮小さして、中小企業のつくっておるものと競合しないような方法需要開拓をやるということで、これは完全に話し合いがついて、中小企業の方々からも非常に感謝されております。  それからもう一つ、最近の例として、魔法びんでございますが、これは戦前から中小企業者開拓をした分野でございます。ところが近時、生活様式高度化に伴いまして、内需が非常にふえまして、輸出も最近は伸び出す。これに関西の某大手電機メーカーが着目をいたしまして、昨年、魔法びん生産に着手した。実際は従来つくっておりました中小企業者自分のところの傘下に入れて、大手電機メーカーのマークで売り出す、こういう形をとったようでありますが、これも中小企業者相当打撃を与えるものだとして陳情がありまして、目下双方の言い分を聞いて調整を行ないつつあります。これはまだ完全に話し合いがついておりません。  もう一つ、一番最近の例として、みがき棒鋼業界がございます。これもほとんど全部、中小企業みがき棒鋼をつくっておるわけでありますが、その生産は多品種、寸法も非常に多く、少量生産でございまして、戦前から中小企業が大部分つくっておったのでありますが、最近某大手特殊製鋼メーカーが大規模設備拡充を行なうという計画を実施に移そうとしたわけでありますが、これに中小企業者の側が非常にびっくりいたしまして、これをやられたのでは自分たち事業がもうほとんど壊滅に瀕するというようなことで、これも通産省陳情がございまして、調整方を申し入れましたので、通産省として実情を調査して、行政指導によって調整を行ないました。大メーカー進出中小企業品種とぶつからないものに限定するということで、これも完全に行政指導が成功した例でございます。
  7. 始関伊平

    始関委員 今回のこの改正案の成立を見ます場合には、従来の行政指導も一そう有効適切に行なわれるというふうに理解をいたします。  それから改正案の第十七条第五項第一号に、「全国及びその地区内における資格事業事業活動相当部分中小企業者によって行なわれていること。」という条件がございますが、これは結局中小企業に適した業種意味する、そういう中小企業を守っていこういう考え方かと思いますが、これは大体どんな業種なのか、当局としてはおわかりになっておるのかということ、それから平素におけるこれらの業種に対する政府施策にはどんなことがあるのかということを、ちょっと簡単に伺っておきます。
  8. 中野正一

    中野政府委員 これは全国、その地区内における資格事業商工組合でございますが、商工組合組合員事業を定款できめておりますから、その資格事業事業活動相当部分中小企業によって行なわれておるということで、解釈としては、事業活動の半分以上が中小企業者でやっておられる、こういう解釈法律上しております。そうしますと、これは業種としては相当範囲のものがこれに入ってくるわけでございまして……。
  9. 始関伊平

    始関委員 大体調査があるのだということで……。
  10. 中野正一

    中野政府委員 これはいま資料を探しておりますが、相当多数の業種がこの分野に入るもとの見ております。特に中小企業性の高い業種は、これによって相当救い得るというふうになっております。
  11. 始関伊平

    始関委員 そういう業種に対しては、いままでにおいては、業種別振興法とか、中小企業近代化促進法とかいうもので指定して施策を進めておる、こういうことですね。  それから今回の改正案では、いろいろな特殊契約の相手方としては、結局大企業というものに限定しておるようでありますが、しかしながら消費生協ないしは農協などが中小企業分野進出して、中小企業を圧迫するおそれがある場合がかなりあると私は思います。特に消費生協などが市街地のまん中に比較的大きな気のきいた店舗をつくりまして、生協法上では非常に厳重に禁止しておるのでありますけれども、員外販売ということを公然とやっておる。厚生省も府県もこれを取り締まる術がないというようなことから公然と行なわれておって、中小企業との間に深刻な問題を起こしておるような実例もあるのであります。この問題を取り上げますと非常に時間がかかりますので、きょうは省略しておきますが、ただこういったような事態に対しては、どういうような方法なり対策なりが用意されているのかということを御答弁いただきたい。
  12. 中野正一

    中野政府委員 中小企業生協あるいは農協との紛争問題、これはときどき各地方で起こるわけでありますが、農協生協につきましては、御承知のようにそれぞれこれを監督する法律がございまして、相当厳重に監督できるような規定になっております。したがいまして、今度のこの法律を出す際に、われわれのほうとしては農協主管である農林省生協主管である厚生省十分話し合いをいたしまして、地方でそういう問題が起こった場合には、それぞれの法律によりましてこれを取り締まるというたてまえを貫くということから、こちらの今度の団体法改正には入れておりませんが、それぞれの法律に基づきまして通産省農林省厚生省、手をとって直ちに実態調査をして適切な処置をとる、そして行き過ぎがないように厳重にこれを規制をしていくということで話し合いがついておりますので、そのことで問題解決の処理に当たりたいと思います。
  13. 始関伊平

    始関委員 形の上ではそういうことになるのだろうと思いますが、実際問題としては、この方面における法律無視ないしは秩序無視という傾向はかなりひどいものがある。通産省といたされましても、この種の問題についてはもっと強い関心を中小企業保護立場から持っていただくように、大臣にも御要望申し上げておきます。  次に、大企業中小企業分野進出しようとして問題を起こし、各方面の注目をいま引いておる問題の一つとして、いわゆるスカイアルミの問題があると思います。もっともこの問題の内容は複雑な様相を呈しておりまして、単純に大企業中小企業の問題であるとしてのみ考察するのは必ずしも適当でないと思うのでありますが、大企業中小企業の問題という一つの面もあるわけでありまして、この際、この問題につきまして若干お尋ねをいたしたいのであります。この問題は昭和三十六年から問題が起こっておるようでありますけれども、当局立場から見た今日までの経緯というものを最初に簡単にちょっと伺っておきたいのであります。
  14. 加藤悌次

    加藤政府委員 問題のスカイアルミの古い根源をたずねてまいりますと、ただいまお話がございましたように、三十六年の暮れでございますが、八幡製鉄アメリカカイザー資本提携、技術提携いたしまして、アルミ圧延進出したい、そういう趣旨での外資法に基づく申請があったわけでございます。当時、そういった大製鉄外国資本と提進いたしまして圧延業界進出するということに対しましては、既存業界で非常に大きな抵抗があったわけでございます。それと同時に、ただいま御指摘のような中小企業に対する影響等を十分顧慮する必要があるだろうということになりまして、一時この問題は見送ったほうがいいだろう、こういうことで、実は昨年の暮れごろまでまいったわけでございます。その後、役所には特にこういう方向で考えたいという関係企業からのお話もなかったわけでございますが、おそらく当事者同士話し合いだろうと思います。八幡進出について非常に強く反対しておりました中に昭和アルミがあるのであります。昭和アルミ相当大きな計画を当時持っておったわけであります。これは昭和三十六年の八幡より少し先でございますが、同じカイザーと技術提携いたしまして、栃木県の小山に近代的な圧延工場を建設する、こういう計画がございまして、これは八幡の問題に先立って外費法認可をいたしております。それとの競合がやはり業界として一番問題だろうと思っておったのであります。その昭和アルミの近代的な工場を建設する計画が、その後の御承知金融引き締め等影響によりまして、なかなかものにならなかったということもございまして、今度出てまいりましたスカイアルミ計画は、もともと八幡カイザーとが提携してやる計画と、昭和アルミの新しい小山工場計画とを折衷いたしまして、いわば八幡昭和電工グループカイザーと、この三社が共同して、前にございました小山の新しい計画を中心にして計画の進捗を考えたらどうだ、こういうことで当事者間に話がついたようでございます。その結果、昨年の十一月でございますが、当事者としては昭和電工関係、それから八幡製鉄、それからアメリカカイザー、この三つが当事者でございますが、技術提携並びに、三〇%でありますが、カイザー資本参加ということについて外資法に基づく申請があった、こういういきさつに相なっております。
  15. 始関伊平

    始関委員 この問題は、政府立場から出しますならば、単なる行政指導の問題ではなくて、政府外資法による認可権を持っているのでありますから、直接政府責任と権限に属する問題であろうと思います。したがいまして政府としてもいつまでも問題をうやむやにしておくわけにはいかないわけでありまして、早晩態度を決定せられるか——もうきまっておるのかと思いますが、私はまず最初外資法の適用があるということは、その限りにおいて企業自由の原則というものに対する例外をなしておる、つまりその限りにおいては自由企業でないと思うのでありますが、その辺の見解を一応伺いたいと思います。また認可にあたっては、外資法認可でありますから非常に例が多いかと思うのでありますけれども、法律上あるいは慣例上どういうような事柄、どういうような条件を考慮に入れて認可すべきかいなかを決定するのかということを最初に伺っておきたいと思います。
  16. 加藤悌次

    加藤政府委員 外資法全体の運用が私の直接の所管でございませんので、責任をもって御答弁申し上げるわけにはいかないと思いますが、先生指摘のように、外資法という特別に自由の原則をチェックしておる手段としての方法がございます。ただ外資法全体の運用方針の最近の推移を見てまいりますと、従前国民経済復興なり国際収支改善に大いに寄与する、そのために優良な外資を積極的に導入するという考え方でございます。特に積極的に国際収支の面に非常に貢献するということ、あるいは国内の産業発展のために大いに寄与する、いわゆる積極的なメリットが相当強いものに限りまして認可をする、こういう方針従前はいっておったわけでございますが、最近御承知のように自由化という問題が前面に出てまいりまして、特に外国資本導入等につきましてはOECDに加盟する際にも、これをできるだけ早く自由化方向に持っていくようにという注文も出ておることは先生承知のとおりであります。したがいまして、感じといたしましては、一般的の基準がだいぶ緩和される、こういうことは言えると思います。ただ、一方外資が入ってくるのをチェックする場合の一つ基準でございますが、国際収支の面から悪影響がある。これはもちろんでございます。それからもう一つ外資法の条文にございます日本経済復興に著しい支障があるというふうな表現で、そういう場合にはチェックするんだということが書かれているわけでございますが、この点につきましての外資法運用は、少なくとも今度の場合についても、私は相当慎重に考える必要があると思います。国際収支改善に寄与するかどうか、これは別といたしまして、国民経済——法文は、国民経済復興という言い方をいたしておりますが、私ども従前から、日本には特有の中小企業問題というものがあるということをいろいろ審議の際にも言っておるわけであります。今回のスカイアルミの問題につきましても、問題の一つとして、中小圧延業者に対する影響がどうであるか、こういう問題があるわけでございます。その点については最も慎重にわれわれ検討いたしております。そういう関係で、われわれの結論が出るのも非常におくれておる、こういうわけでございます。外資法運用の面についての御指摘スカイアルミの問題については、一つ重点事項ということで、中小企業に対する影響というものを重視しておる、こういうことを申し上げられると思います。
  17. 始関伊平

    始関委員 外資法運用にあたって、国民経済、特に中小企業に対する関係を正視するということでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、アルミ圧延業界中小企業が主でありますが、非常に強い反対をいたしておるようであります。それで、こういったような種類の問題は、外資法があればもとより、かりになくても、行政指導として政府がある程度の責任を持たざるを得ないというのが目下の情勢であると思うのでありますが、私は順序といたしまして、中小企業との関係に入ります前に、業界が申しておる反対理由の第一は、この業界に大規模鉄鋼業者進出してくるのは、どうも産業秩序というものを混乱させるから困るのだと申しております。すなわち、アルミ圧延業界は現在過剰設備に悩んでおるので、産業構造調査会の答申に基づいて自主的に調整を行なっておるような状況だから、よその業界から巨大企業がここに進出してくるのははなはだ困るということを申しておるのであります。これはおそらく、いまの中小企業を圧迫するということと並びまして、反対論の大きな二本の柱の一つであるように私は見受けておるのでありますが、この点について、できれば大臣からお考えを聞きたいと思うのであります。また圧延業界では、かりに一つ鉄鋼メーカーアルミに出てくれば、他の鉄鋼メーカーも出てくるおそれがある。連鎖反応的に出てくるおそれがあるというふうに見ておるようであります。で、私は産業秩序という観点から申しますと、つまり過当競争を防止するという観点から申しますと、鉄鋼業界ないしアルミ業界におきましてそれぞれの秩序の確立が必要でありますのと同様に、鉄鋼業界アルミ業界との間にも産業秩序観点から一つの限界を画するということが必要である、あるいは望ましいのではないかというふうに考えます。また業界でもそう考えておるようであります。私はこの辺は非常にむずかしいところと思うのでありまして、一方において技術革新とか、あるいは経済進歩とかいう要請もありまして、そこはむずかしいと思うのでありますが、概して申しますと、社会党の法案にありますような市場支配的事業者というのは日本にはそんなにおらないのでありまして、概して企業の乱立、過当競争というものがわが国産業界を通じての通弊である。鉄鋼業界しかり、アルミ業界しかりであるというふうなことを考えてみますと、まず、その秩序確立の前提として、鉄は鉄、アルミアルミでやっていこう、国家としてはそういう方針を立て、それから、その場合には、たまたま外資法という政府の権限に属する事項があるわけでございますが、そういったものを通して、あるいはそうでなければ行政指導を通してそのような方向にいくことが、日本の産業界全体の秩序ある発展のために私は望ましいのではなかろうかと思うのでありまして、スカイアルミをどうするということを直接に伺うわけではございませんが、考え方といたしまして、秩序の確立という観点からの業界反対意見については、当局はどのようにお考えなのかということをこの機会に明らかにしていただきたいと存じます。
  18. 福田一

    福田(一)国務大臣 この問題は、両三年来相当長い期間で、ただいま鉱山局長からも御報告いたしましたが、実ば佐藤通産大臣のときに、一度八幡製鉄のやろうとしておったことを業界反対で、時期にあらずというので差し戻したという経緯があります。それが今度、非常に反対をしておられた昭和アルミ八幡が一緒になってもう一つ会社をつくってやりたいという申請を出されておるのでありまして、したがってわれわれとしては、ただいまこの問題については検討を続けておる段階でございますから、ここで行政的に何らかの措置をしなければならない場合に、その具体的な措置に非常に大きい影響のあるような発言をすることは、私としては差し控えさしていただきたい、かように思うのであります。  ただしかし、こういうことを離れまして、そういうことは別といたしまして考えてみた場合に、あなたのおっしゃったのもそういう意味だと思うのでありますが、大きな企業が、中小企業がたくさんやっておるような仕事のところへ入っていくのがいいか悪いかという判断だけからいたしますと、これは、できるならば差し控えてもらいたいという感触が私はいたすわけであります。それからもう一つは、そういうことであっても、営業自由の原則というものがあるんだから、何もそれはやっていけないというわけではないではないかということでありますが、これはいま出ておるこの法律から考えてみましても、行政的にも何らかの措置を考えることは、筋論としては、私は何も差しつかえないのではないか。それからもう一つは、鉄鋼業界鉄鋼業界でいろいろなことがあり、アルミ業界アルミ業界でいろいろなことがある。これは相互の間であまり反対がないならば何も問題はないと思いますけれども、反対があるようなときに無条件にこれを認めていっていいかどうかということは、いま御指摘のあったような業種間の協調体制ということもかなり考慮する必要があるのではないか。それから過当設備ということがございますが、大きな企業や大資本がものをいわして入ってきて、そしてどんどん設備をやり出すということであります。認めるとどんどんやり出すということになると問題は出てきます。そういうことについては、私の聞いておるところでは、ある一定の限度はあるようでありますが、しかしそれは一応いまの段階においては限度があるだけで、将来にわたって拡張してはいかぬということにはなっていないようでもありますし、いろいろな点を考えてみると、なかなか私としては慎重に考慮いたすべき点が多々内在をいたしておると考えておるのであります。しかし具体的な問題を包蔵しておりまして、いまあなたのおっしゃるように、何らかの措置をしなければならぬというような前に、これ以上のことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  19. 二階堂進

    ○二階堂委員長 ちょっと申し上げますが、大臣は参議院の決算委員会に、十一時半から十二時まで三十分間出席されなければならないそうでございます。済みましたらすぐまたこちらへ帰ってまいりますので、さよう御了承願います。
  20. 始関伊平

    始関委員 アルミ圧延業界ではこのような新しい会社の出現によりまして、アルミ圧延中小企業の健全な発展を阻害する、あるいは中小企業の存立が危ぶまれるような状態になって、大きな社会問題を誘発するだろうというふうに申しております。これは事実の認識ないしは見通しの問題でありますが、鉱山局長からこの点についての所見を伺いたいと思います。  それからまた、アルミ需要が伸びた反面におきまして、生産業界企業格差というものがだんだん謙著になってきておるのではなかろうかと思うのでありますが、大企業中小企業との調整の問題ないしはアルミ圧延業界における関係中小企業の近代化促進という問題は、当面問題になっておりますスカイアルミの問題を離れましても、重大な問題ではなかろうかと私は思うのでありまして、この点についてば政府としての何らかの施策あるいは行政指導がとらるべきであると思うのでありますが、こういう点につきまして鉱山局長の所見を伺いたいと思います。
  21. 加藤悌次

    加藤政府委員 アルミ圧延業界におきまする中小企業の地位と申しますか、どういう関係にあるかということについて簡単に申し上げたいと思います。  現在圧延関係企業は五十三社ございます。これをいわゆる中小企業関係基準になっております資本金五千万円以下または従業員三百人以下ということで中小企業と大企業に分けてみますると、五十二企業のうちの十九社が大企業で、この十九社の中にはアルミ圧延のほか案業しておるのもございますが、この兼業部門のあるところは全体の人数として計算してございます。圧延の部門だけの人数をとって三百人以下かどうかということではなく、全体の人数が三百人以下ということではじいております。残りの三十三社がいわゆる中小企業部分に属します。こういう関係になるわけであります。一方、生産の上に占める割合でございますが、三十七年度の実績で申し上げますと、大手の割合が八六・九%、残りの一三・一%が中小企業の占める土蔵の割合である。大ざっぱな分類でございますが、今度のスカイアルミ進出しようとして考えております板と、それ以外の中小企業相当やっておりますいわゆる押し出しと申しますか、押し出し材について内訳を見てみますと、枚数につきまして大企業生産割合が八五・四%、中小企業が一四・六%、押し出しのほうが大企業が八七%、中小企業が一三%、こういうことになっておるわけでございまして、三十七年度についての実績から申し上げますと、わりに中小企業進出の度合が一般的に見て多いと思われる押し出し材関係についても、大企業のウエートのほうが板に比べて高い、こういう数字になっております。これを統計の関係で、三十八年の歴年でございますが、どういうふうに推移してきておるか申し上げますと、全体の割合が、大企業が八八・六%、中小企業が一一・四%ということでございまして、中小企業の割合が低下いたしております。これをさらに内容的に板類と押し出し材に分けてみますと、板類については、中小企業が一一・八%、前年が一四・六%でございますので、かなり割合が落ちております。それから押し出し材につきましては、中小企業が一三・九%%、三十七年度が一二・九%でございますので、最近になって押し出し関係について中小企業のウエートが前年よりも上がってきておるという関係になるわけでございますが、いずれにしても中小企業全体としての生産の割合は三十七年度、三十八年度と逐次低下する趨勢になっておる、こういうことであります。  それで先生指摘の、アルミ圧延業界におきます中小企業と大企業との関係の問題でございますが、通産省産業構造調査会の中にアルミ圧延関係につきまして分科会を設けまして、圧延業のへ今後進むべき方途についての御審議をいろいろ願ったのでありますが、その結論としても、この中小企業をどうするかという問題があるわけでございまして、考え方といたしましては、このアルミ圧延のいままでの日本業界の様子を見てみますと、いわゆる多品種少量生産、いわゆる注文生産でございまして、非常に規格、品種の多いものを大企業といえどもやっております。これが今後アルミ業界が諸外国と太刀打ちしていい品物を生産するという点についての一つの問題点ではなかろうかということで、その問題点の一つ解決の方途として、多品種小量生産をできるだけ規格を整理いたしまして、大量に同一品種のものを生産するという方向で考えるべきではなかろうか。ただそういたします場合に、やはり物によっては注文の規格が非常にむずかしい、あるいは品のロットがまとまらない、こういう注文もあるわけでございます。そういった製品の分野については、これはほんとうに中小企業の領分でございますが、そういった方向で今後の中小企業のいくべき道を考えるべきではなかろうか。現在は同じ品種のものを中小企業と大企業がお互いに競合して生産している、また中小企業相互の間でも競合して生産するというところに問題がございますので、少なくとも大企業中小企業との間につきましては、今後とも残りますところの多品種少量生産をやらなければならないような品物、あるいは第二次加工に少し手の加わった、中小企業でなければなかなかやりにくいような手の込んだも一のをやるという方向で、中小企業の今後の方向を考えるべきではないか。具体的に申し上げますと、器物をつくります前に板を切断する、円板をつくるわけでありますが、そういう円板までをつくるというふうな仕事は今後は中小企業がもっぱらやって、大企業はそういうものから手を引くということではなかろうか。こういうような一つ方向が出ておるわけであります。それから中小企業プロパーの問題といたしましては、ただいま申し上げましたように、中小企業お互いの間で非常に同じものをつくって、しかも生産全体、どちらかというと過剰生産になるきみが当時あったわけでありますが、競合しているので、こういった面の生産調整中小企業相互の間でやる必要があるのじゃないか、また中小企業の設備、技術の面を見てみますと、大企業についてもそういう様相がございまして、目下設備の改善、合理化の方向に進んでおるわけでありますが、中小企業は大企業に比べまして、一段と設備の面あるいは技術の面で劣るというふうな点がございまして、そういった中小企業に、特殊の設備について今後積極的にその近代化をはかっていく必要があるのではなかろうかというような点が指摘をされておるわけであります。したがいまして、中小企業生産の割合は、最初申し上げましたように、だんだんと減っておりますが、将来やはり中小企業中小企業なりにいくべき方向があるというふうなことでございまして、将来とも中小企業と大企業とは並存し、ともに栄えるというふうなかっこうで考えるというのが結論的な考え方になっておるわけでございます。
  22. 始関伊平

    始関委員 ついでにもう一点伺っておきますが、ある外国の会社が、国内におけるAという会社と包括的な技術提携をやる、さらにBという会社とも包括的な技術提携をやりまして、しかもその技術が同じものであるという場合には、二重提携になるわけでありますが、こういうものは望ましくないというようなことが業界反対理由一つになっておるのでございますが、この点の見解はいかがですか。
  23. 加藤悌次

    加藤政府委員 技術提携をやります場合に、相手方の方針、主義がいろいろございまして、いわゆる独占的に特定のものに技術を供与する、同じ日本の国内でさらにその技術を使いたいという場合には、その独占的に技術提携をいたしましたものからサプライセンスというかっこうで技術を教えてもらうという主義でやる、あるいはそうでなくて、日本の国内にAという希望者があり、Bという希望者がある、複数の場合に、複数のものを同じ条件で技術提携に応ずるという三つあるわけでございます。したがいまして、日本のある特定の業種についての今後の技術面あるいは設備面の改善発達をはかるという場合に、どうしても外国のそういった特許権等の技術を使う必要があるということになりますと、やはり当該業界の希望する人が同じようにその技術を使っていかなければいけないという場合があるわけでございますので、同じ提携先に複数の企業が技術提携をするということについては、私どものほうはそんなに消極的な考えは持っておらないということでございます。
  24. 始関伊平

    始関委員 ある産業界ないしはある企業技術革新あるいは近代化というようなことはもちろん必要なわけでありますが、しかしそういった際におきまして、産業秩序あるいは過当競争の防止ないしは中小企業の保護ということもきわめて重要であると思うのでございます。この点につきましては、大臣から先ほど御答弁があったのでありまして、いますぐにここで最終的な結論を伺おうとしてもちょっと無理かと思いますので、それはよしておきますが、国家的な見地から慎重な検討を加えられまして、すみやかに多くの人が納得するような結論を出していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  25. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 関連。いまのスカイアルミの問題について二、三お尋ねいたします。と申しますのは、私のところは御承知のとおり、日本軽金属の工場がすでに前からやっておるわけであります。今度また三菱レイノルズの工場ができて、近く始めるという状態でして、そこに働いておる労働者の諸君からも、経営者のほうからも、いろいろな話があるわけであります。そういう観点から、無関心でおられませんから、具体的にお伺いいたします。  いま問題になっているこの法案も、大体調べてみると——例の「これや紙器」のちり紙の話がありましたが、これははっきり申しまして、私のところの話です。これも大体大部分が外国の新しい技術を大資本が入れて新製品をつくるという場合に、中小企業分野が大きく食われてくるわけであります。ですから、なるほど新製品をつくる、あるいはそういう面では国民生活に一つのプラスの面を確かに持っているわけであります。ところがそのことがすぐに中小企業に対して大きな圧迫になってくるということになる。資本の自由化が行なわれる中で、外国のこういう技術と結びついた資本の非常な進出ということについては、なかなかとめにくい点はあると思います。しかしこれをこれから先どんどんやるということになったら、おそらく中小企業は新製品、新産業という形で、これはみな大企業、大資本に結びついたかっこうでやられてしまう。そこで大もとを何とかしない限り、たとえばかりにここでできたようないろいろな計画をしようとしても何をしようとしてもだめだ、最近のいろいろの問題はほとんど令部ひっかかってきております。したがって、これは国際的には非常にむずかしいと思いますが、ここらについての外資の導入についてどう政府は腹をきめて対処されていくかということが、いま出されている法案の一番基本の問題だと私は思います。これなくしてはおそらく問題の解決はつかないと思いますが、特にこれはだれに答えてもらっていいかわからないが、この点が一番基本の問題だと思います。ざっくばらんに言って、それでなければ幾ら法案をつくってもとめようがありませんよ。この点を第一にお聞きしたい。だれでもいいですから返答してください。
  26. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 外資の導入について、従来外国系資本と内国系資本との合弁八会社をつくって新製品をつくる、国内の中小企業等の対抗手段として、一つの例としましては、マーガリンの問題があると思うのです。これにつきましては、久保田先生も御案内のように、約三年間ほどこの問題でいろいろ紛糾いたしまして、したがって、外資法認可の問題につきましても、この問題を検討するために満三年間時日を要したわけであります。その結果、大体におきまして政府としましても、これは主として農林省関係でございますが、まず中小企業との間の話し合いを十分につけさせることが必要であるという前提のもとに、中小企業とたとえばユニレバーとの間の契約関係、そのほか一切のことを中小企業連合会のほうと十分話し合いをさせまして、たとえば日本のマーガリン協会に必ず加入する、それから生産数量についてはどの程度を限度としてそれ以上の生産はやらせない、それから生産以外の分野についても必ず中小企業と共同歩調をとってやる、それから値段についても、大体中小企業の現存の販売値段と協調してやるといったような、生産、販売、流通の面につきまして非常に具体的なこまかい中小企業との間の話し合いを十分につけました上で外資法認可をいたしまして、そして現在では大体たいしたトラブルもなく円満にやっておるわけでございますが、将来こうした問題が起こりましたときにも、全体としてはやはりそうした方向において解決してから認可いたしませんと、ただ簡単に外資法によって認可するというわけには私はいくまいと考えております。そうしてそういう方向で問題が解決するまでは、できるだけこれを押えておいて、問題が解決してから将来認可する、こういう方向に持っていくのが一番無難な方法ではないかと考えております。
  27. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 現在の段階ではその程度よりほかにはできないと思いますけれども、これは一つ一つ中小企業に非常に大きなしわ寄せになってくることはもう目に見えているわけです。ですから外資法の、つまり資本の自由化の中での外資法の適用ということは、よほど慎重に、国内の新製品、新産業もさることながら、私は何といっても国内の中小企業なりあるいは中小企業の基礎になっておる農業や漁業というものの保護をまず第一に考えて、その一番基礎の上にすべてのものを運んでもらわないと大きなことになる、こう思いますので、その点についてはいま次官からのお話のように、それをさらに私は明確にして問題に対処していただきたい、こういうふうに思うわけです。  そこで、スカイアルミの問題ですが、第一に私どもが疑問に思うのは、これは何も現在やっている諸君の立場だけにとらわれるわけじゃありませんけれども、八幡製鉄というような大実力を持っている会社が、このアルミというような小さな、製鉄に比べれば問題にならぬような小さな業界へ押し出してくるということは、産業秩序、むずかしくいえばそうですけれども、そうしたことがはたして適当かどうかということに大きな疑問を持つ。八幡製鉄のほうではその理由づけとして、将来ラテライトを大いに使う予定だ、だから、その中にはアルミ分が一三%ですか、一二%入っているから、それを生産をするには、いまのうちからこれになれておく必要がある、こういうようなことを言って、盛んに言いわけの材料にしているようです。しかし、私どもはしろうとでよくわかりませんけれども、ラテライトを日本の製紙原料として一般的に使うというのはまだまだ相当先の話ではないかというふうに思われるわけです。そういう段階で、やはり製鉄事業のごときはむしろ製鉄一本になって、そしてむしろ国内だけでなくて、国外にどんどん出ていく基礎をこの際固めていくことが本則であって、とにかく弱い業界でどこかもうかりそうなところに、次々に大資本力を利用して手をどんどん伸ばしていくという行き方は、私にはどうも納得がいかない、そういうことを認めておったら、大資本はみな勝ってしまいますよ。いろいろ法律をつくったり何かしてみても、中小企業なり弱い業界というものは次々にやられてしまう。特振法の問題になっておる特殊鋼の問題とかなんとかいう問題も、そういった問題が非常にあるわけですね。大製鉄が、出なくてもいいような問題にどんどん出てくる。そうするとそれにあおられて、ほかの連中はそれの言うことを聞くか、それでなければ自分はつぶれていくか、どっちかしかない。しかもそれが外国と提携をしているという場合には、非常に輸出面でも国内面でも圧迫をこうむってくるわけですね。単なる独占対中小企業というような関係、だけでなく、これは国際的なあれを持ってくる、こういう点で今度のような、どうもラテライトのことを理由にして八幡製鉄アルミのような小さな業界へくさびを打ち込んでやってやろうという行き方については、私は納得ができないが、この点についてあなたはどう考えるかということが一点。  それから、いま中小企業の問題その他いろいろ出ましたけれども、いろいろ問題があります。ありますが、産業構造審議会ですか、あれの答申等を見ましても、これからアルミの特に延圧部門の需要がどれだけ伸びていくかということは、相当実は問題のようです。うんと伸びるという見方もあるし、そう伸びない、せいぜい四十五年程度になっても、四十四、五万ないしは五十一万程度じゃないかという見方もあるわけです。ところが、それに対していま現に行なわれて、あなたのほうがすでに認可しておるアルミ関係の増産、延圧部門の増産の施設は相当なものです。これはほんとうかどうか、私も正確にはわからないわけですけれども、住友が現存のところは五万九千トンでしょう。それを大体十三万三千トンにふやす、大体認可をしておるようです。それからさらに古河アルミのほうが四万二千トンを十万トン、それから神戸製鋼が三万二千トンを九万トン、それからさらに昭和アルミ小山工場のことだろうと思いますが、これが千葉のほうの三万四千七百トンが今度は十万四千トンになる。これに三菱レイノルズその他が加わるということになると、延任部門だけでも相当の大きな生産過剰施設が出てくるのではないか。それにさらに今度のスカイアルミというものが加わった場合には、問題はなお複雑になってくるのではないか。もちろんこれは国内の需要が少なくて海外へすぐ出られるという事情があるならば、これはまた別です。しかし、いろいろな状況から見て、まだ日本アルミ工業が輸出工業としての地位を確立するというのはちょっと先のような話に思われるわけです。現在でも九千トンないしは一万トンくらいのものは輸出しておりますが、そういう程度であって、まだまだちょっとその点は因難じゃないかというふうに思われるわけです。こういう現在あるものがどんどん増産して、国際的なレベルに到達すべく規模を増しておるというときに、さらに新しいものがどんどん出てくる。しかもそれが外資と結びついておるというようなものによって国内市場を撹乱するといいますか、圧迫する材料になるということはどうかというような点が、少し私ども納得がいかない。  それからもう一つ、ごたごた言いたくないのですが、あなたのほうの鉱山局の金属課長か何かは、すでにこのことを予想して三十六年に退官をして、しかも現在八幡製鉄の課長待遇というかっこうでもってこの問題をあなたのほうと一緒になって——これは一緒になってと言うと語弊がありますから、そのことばは取り除きますけれども、個人でやっておるのかどうかわかりませんけれども、そういうかっこうで、とにかく役所の中におったときに、お役人のその衝に立つ者がそういう計画に参画をして、そうして途中から一切の資料やそういった内輪のことを全部ひっつかんで向こうの会社に移ってしまって、それが中心になって推進しておるというのは、何と言っても不明朗です。そういうことをやられますと、いろいろの法案をつくっても、結局これは全部大資本はしり抜けになってしまうのではないかという疑問を持たざるを得ない。現在、そういう人が行っておる。名前を出せと言われれば出します。そういう人が中心になってやっておる。こういうやり方というものは私は不明朗だと思う。こう思いますが、以上、三点について意見を聞かしてもらいたい。
  28. 加藤悌次

    加藤政府委員 第一点の、将来のラテライトの活用のために八幡製鉄アルミ進出するという問題でございますが、この点につきましては、先ほど始関先生からの御質問のときにお答え申し上げましたように、三十六年の最初八幡アルミ計画のときは、そういう理屈が一つございまして主張されておったわけでございます。ところが今川の場合については、特にその点につきまして会社のほうでは強調しておられるということはございません。一般的に産業秩序を維持するという面から、天下の八幡製鉄ともあろうものがアルミ進出することはどうかという御意見、これはまことにもっともな点があろうかと存じます。反対しておる側の一つの、反対理由にはやはりそういう点もあるわけでございます。また、国会方面先生方から個人的にもいろいろ御意見を伺っておるわけですが、そういった御意見の中にもそういう点がございまして、この点は私もっともな御意見というふうに考えまして、十分慎重に拝聴いたしまして検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから過剰設備の問題でございますが、これは昨年の半ば以降アルミ需要が非常に伸びまして、少なくとも現在の段階におきましては非常に過剰であるという状況にはないわけでございます。ただ、先生指摘のように、いままでの設催が相当老朽化しておりまして、合理化のためにこれを入れかえなきゃいかぬという計画が各社にございまして、そういった面の計画が今後進められるというとどういうことになるかという数字が別に出てくるわけでございます。それで先ほど御指摘の、たとえば産業構造調査会で作業をいたしましたときの昭和四十五年度の見通しでございますが、当時すでに各社が計画をいたしておりましたものを集計いたしますというと、アルミ圧延品の生産が大体六十一万トンぐらいになるだろう。これに対しまして四十五年度に想定される需要は四十二万七千トンということになりますので、かなり過大の設備計画なり生産計画である、こういうことになるわけでございまして、この問題につきまして、やはり答申の一つの柱といたしまして、将来の投資を業者の自主調整によって調整する必要があるだろう、また大きい設備をてんでんばらばらお互いにつくったのでは全体として設備が非常に過剰になるから、ものによっては業界全体の共同施設のようなものを考えたらどうか、こういう一つの結論がございます。それからどうしても設備ができ上がりますと、過渡的に、かりにそれがフルに動きます場合は生産過剰になるわけでございますが、設備の投資全体としての調整と並行いたしまして、これはやむを得ず生産調整を一方においてやる必要があるだろう。こういった問題をあくまでも産業界内部の自主的な調整でおやりになる。ただその場合にいろいろ法律的な制約等もございますので、必要のある場合には、たとえば特振法であるとか、そういう法的な手を政府としては考慮すべきであるというような答申もあるわけでございます。御指摘の点はまさにそのとおりであるわけでございます。ただ今後のスカイアルミの強調しております中の一点といたしまして、この産業構造調査会でいろいろ調査いたしました中に、今度のスカイの中に出資者として入っております昭和アルミ、これのもともとの計画が先ほど申しましたようにあるわけでございます。今後のスカイアルミはその計画を肩がわりするんだという言い分が一つあるわけでございまして、この辺は一応の言い分ということで、やはりやるのではなかろうかというふうに考えますので、やはりそれは全体としてどういうふうに調整するかという立場からその必要があるのではなかろうか、こういう感じでおるわけでございます。スカイアルミをいまのままで認めるとか認めないとか、とてもそういうことは私は問題にならぬのではなかろうかという感じがいたしますので、これはやはり全体としての設備なり生産調整は、産業構造調査会の答申にあるようにやる必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。  それから最後の点は、これは私から御答弁申し上げるのが適当でありますかどうですか、少なくともいま私どものところでいろいろ作業し、検討いたしておりますが、そういった段階で先ほど御指摘にあったような事実は確かにあるわけでございますが、そういうことは全然考慮の外にいたしまして、制約を受けるというような感じは全然持っておらないということを、私事務当局として申し上げたいのであります。
  29. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一点だけ。  いまの昭和小山工場計画スカイアルミ工場計画とが二つに分かれるのじゃないですか。どうもそういうあれでもって、一部分だけはこっちへ置いて、一部分だけは向こうへやるというふうな、計画が分かれるようなあれですね。それでこの技術提携内容を見ますと、これは結局昭和のほうに包括的にやったものの一部だけを今度はスカイアルミのほうへ持っていったという感じです。私はその点もちょっとふしぎじゃないかというふうに思うわけです。きわめて不明朗じゃないか。決して小山工場計画がストップになっているわけではないのですから、そうするとおかしいじゃないかという点があるわけです。さっき言いましたように、同じ一つの外国の会社から技術提携をしてやって、それでいままでの包括的なものをやっていたのを、それを分けて町方でもってシェアを獲得しようというやり方ですね。こういう外資の入れ方というものをしておったら、日本産業というものは——これはアルミ業界においてはどこも多少外資と技術提携をして、おるから、そういう意味ではあまり文句は言えないところがあると思うのです。あるけれども、しかし同じ一つ会社の包括的な技術を、その取っ組み方によりましてうまく分割をして、外資会社はもうかるに違いない。そういうやり方というものは国の政策としてはちょっとおかしいじゃないか、私はこう思います。この点をひとつ再検討願いたいということ。  それから、全体として何としてもいまのお話のようにこういったものがさらに加わってくるということになると、これはどうしても過剰生産過剰設備ということにならざるを得ないように思う。そのしわ寄せは結局中小企業の三十三社というものに寄らざるを得ないし、そのシェアというものは小さくなってくるのではないか、こう思うのです。この点もさらに突っ込んだ御検討をいただきたい。その上で対処していただきたい。なおもう一つ根本問題として、政府としてはこのアルミ工業というものを将来輸出産業としてまで伸ばしていくつもりなのか、あるいは国内市場を中心にしてやらせるつもりなのかという、ここらの見当のつけ方もいろいろ問題だろうと思う。これはいますぐに出る結論ではなかろうと思いますけれども、しかしこの点についても、いま政府としてはどういうふうに考えているかという点をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  30. 加藤悌次

    加藤政府委員 最初の点でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、今度の計画小山工場を中心にする以前の昭和アルミ計画の肩がわりであるということを会社が言っているということを申し上げましたが、御指摘のように現在までの昭和アルミスカイと合計しますと、必ずしも前の計画と数量的に一致しない点があるわけでございます。多少オーバーする点がございまして、この点は一つの検討事項であるというふうに私ども考えておるのでございます。  それから技術提携の面につきましては、今度のスカイアルミは、特に中小企業が専門的に今後やらなければいけない押し出し材関係、これは考慮の外に、計画外にありまして、もっぱら広幅の板を大量に生産する。ねらいは車両用だとか建築用だとか、そういう大量の規格生産をねらっているわけでございます。そういう関係でございますので、いま技術提携範囲はもっぱら板の技術に限られておるというふうに私聞いておりますので、そういった面から多少の相違があるかと思います。  輸出の問題でございますが、これは今度の産業構造調査会の答申でもはっきりうたっておりません。感じとしては、やはり二次製品で出すよりも第三次の、つまり加工度の高いものにして出したらどうかというような感じが多少議論の過程にあったようでございますが、私個人的には、やはりいまの鉄鋼が一つのりっぱな輸出産業でございますように、将来のアルミというものはやはり成長産業でございますので、東南アジアを初めとする後進国に、これからの需要相当見込めるんじゃなかろうかというふうに感じますので、脱在全体の輸出割合はわずか六%ぐらいでございますが、スカイとしては六%以上ということを言っておるわけであります。これは今後国内市場だけではなくして、大いに外国へも輸出するような方向で努力すべきではなかろうか、こういうふうに感じておるわけでございます。
  31. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 最後に申し上げておきますが、どうもこの問題は初めから不明朗です。そしてしかも影響するところは、日本アルミ業界全体に非常に大きな影響を持つわけですね。一番そのしわ寄せを受けるのはおそらく中小企業者だと思います。そういうわけですから、よほど——これはいろいろと政治的な背景もあるようですが、私どもはそういうことはどっちでもいい。私どもは近くに働いている労働者の方から、あれができては困るのだという話を盛んに聞かされるものですから、いまお話しするわけですが、政府としてはひとつあらゆる角度から、非常に慎重な態度をとって、しかもだいぶ長い間あちこちで騒いでいる問題でありますから、慎重にはしなければならぬが、私はやはり早期に措置しなければならぬ問題だと思います。なかなか問題が複雑ですから、そう簡単にここでこうします、ああしますということは言えないと思いますけれども、ひとつ十分慎重に考えて、しかもできるだけ早期に決断を下すというふうにお願いしたいと思う。以上です。
  32. 二階堂進

    ○二階堂委員長 島口重次郎君。
  33. 島口重次郎

    ○島口委員 今度の団体法の一部改正案につきまして、大きな政策的な問題がたくさん裏に控えていると思うのであります。それらの問題につきましては通産大臣にお尋ねをしたいと思いますので、順番を変えまして、通産省のほうから来ておる方、たばこの専売公社の方々、農林省の方に質問いたしまして、本論のほうはあとで大臣が来ましてから尋ねたいと思います。  そこで、中小企業基本法にもあるとおり、国なり県なり地方自治団体が発注いたします際には、中小企業のほうを尊重いたしまして最大限発注するというのが基本法で定められた方針だと考えております。ところが、ただいま久保田委員からもお話があるように、高度成長政策により、あるいは貿易の自由化によりまして、国際開放経済に移行いたしましてからはあらゆる経済が大型になりまして、この大型経済が新しい技術なり新製品なり、新産業という型を変えまして出てきているのであります。そういたしますると、従来発展してまいりましたところの地場産業というものが、次から次と破産、倒産あるいは転業せざるを得ないという状況が全国至るところに展開されているように思うのであります。その一つの例でありますけれども、東北なり北陸におきます農村の工業の一つであるところのわら工品の問題でありまするが、最近に至りましては、米の包装容器といたしまして麻袋が出てくる、紙袋が出てくる、あるいは肥料の包装容器といたしましてはビニロンが出てくる、ポリエチレンが出てくる、あるいは最近におきましてはたばこの専売公社の面から申し上げますとクラフトが出てまいりまして、従来使用しておるところのわら工品であるむしろやら、なわというものを最大限に縮小するというような声を聞いておるのであります。私がただいま申し上げましたように、あらゆる各界から攻撃を受けまして、破産、倒産の危機に直面しておるところのわら工品業界をどういたしますかということは、やはり中小企業基本法で定められました国なり県なりが先頭を切りましてこれを保護する、育成するという態度をとることが正しいものではないか、こう考えておるのであります。そういう面におきまして、中小企業庁長官からその見解をお尋ねいたしたいと思います。
  34. 中野正一

    中野政府委員 いま具体的な東北地方のわら工品業界の問題についてお尋ねがございました。先般先生からこの問題について御注意があったのでございますが、実は今度の団体法改正によって、この問題がはたしてうまく救えるかどうか非常にむずかしい問題でございまして、要するにこれは肥料業界あるいは専売公社、そういう方面の包装関係需要のほうの動向が大きく技術革新によりまして変わりつつある、これに在来のわら工品の包装というようなものがどう対処していくかという問題でございまして、非常にこれはむずかしい問題で、私も実は研究いたしておりますが、今度の団体法によってこれをどうかするということはむずかしいんじゃないかということを考えております。ただそうは言っても、非常にわら工品の業界というものの数なりあるいはそれの生産額、また、特にこれは主として農村方面で副業としてやっておられるもののように聞いておりますが、その方面に対する影響等相当やはり大きいわけであります。その転換等もいろいろ考えていかなければいけませんので、できればそういう需要の構成が一度に変わって、そのために業界が非常な打撃を受けるということのないように、われわれとしてもいろいろ考えていかなければならぬ問題ではないかというように私は考えております。
  35. 島口重次郎

    ○島口委員 いまの高度成長によりまして、特に貿易の自由化によりまして新しい需要が出てくる、市場の変化が出てきております。そういう面から考えますると、今度の団体法の一部改正によりましては、これは救済されない階級であります。むしろ新しい興業に切りかえ転換しなければならない要素を持つところの、いわゆる斜陽廃業だと考えております。こういう点は、あとで通産大臣が来ましてから、行政的な問題でなくて、政策的に政治的にどうこれに対処する考えであるかという方針はお聞きしたいと思いますけれども、私がただいま長官に質問したいと思いますのは、たとえ斜陽産業でありましても、これを保護し守り得るものは守っていかなければならない、こういう立場に立って掘り下げて具体的にお聞きいたしまするが、この基本法に定められました国なり地方自治団体が発注いたしまする際に、企業庁長官のほうから一つの要請なり、あるいは要請をいたしました後においてどの程度の成果があるかというような実態調査をしておられるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  36. 中野正一

    中野政府委員 いま先生の御指摘の問題は、基本法で言っておりまする中小企業者のつくっておりまする製品を官公需方面にできるだけ確保するということに関連してのお話かと思いますが、この点につきましては、特に地方の公共団体あるいは国等がいろいろ発注をいたす場合に、大体は入札でやっておるわけでありますが、入札の資格等の基準をつくっておりますので、そういう際に中小企業者が大企業に比べて特に不利にならないように——ほっておきますとどうしても発注の機会等で不利になりますので、不利にならないように具体的に各省庁に話しかけをいたしまして、われわれのほうで適出な調整をやっております。なお、中小企業に対する発注が減らないように、むしろふえるように、適宜連絡会議を持ちまして要望いたしております。その結果どうなったかということは、これはなかなか数字的に効果がどうだという判定はむずかしいのでありますが、毎年各官庁の中小企業に対する発注の実態調査というものは続けておりまして、三十七年について言いますと、いまちょっと資料が手元にございませんが、発注額の大体三四、五%ぐらいが中小企業にいっております。われわれとしてはこれを何とかもう少し上げるように努力をする、また実態調査はそういうことでやっております。それから、各官公署方面に納入する業者の団体がございますので、そういう方面との連絡協議会等も開きまして、いろいろ手続あるいは実際に中小企業者注文を受ける際のいろいろな不満もございますので、そういう点も聞きまして、適当な調整をやっていきたいと考えております。
  37. 島口重次郎

    ○島口委員 企業庁長官のお答えの中に、中小企業の不利にならないような手続をとっておるというお話がありましたけれども、その具体的な手続というのはどういうことなんですか。
  38. 中野正一

    中野政府委員 これは、先ほどちょっと申し上げましたが、入札の条件をきめるときに、ほうっておきますと、どうしても大企業のほうに有利なような条件を各官庁できめたりする場合がございますので、そういうことのないように、具体的に発注の条件等をきめてもらいまして、それを中小企業庁のほうで、こういう刊行物の契約の手引きというものを出しておりまして、ここに全部各官庁の——たとえば金額でいうと、何百万円かのものがどのくらいの資本金のものでなければならぬということをきめてあるわけです。そのときに中小企業が不利にならないように、各省庁省庁でいろいろ違いますので、一々私どものほうでチェックいたしまして、不利にならないようにきめたものを一般の中小企業の方々に差し上げるというようなサービスをいたしておるわけでございます。
  39. 島口重次郎

    ○島口委員 企業庁はそういう方針でやっておるのでありますけれども、それではたばこの専売公社のほうにお尋ねをいたします。国としては、当然中小企業の方に、同等な立場と申しますか、公平な立場から発注をいたします。受注の受けられるような処置をとっておるというようなお話でありますけれども、専売公社の状況をお尋ねしたいのであります。  そこで、第一番にお尋ねいたしたいのは、私は専売公社の機構というのはよく把握しておりませんので、その状況からお尋ねしたいと思いますが、支社というんですか、全国で幾つあるか、それと同時に、たばこを生産しております工場全国で幾つあるのか、しかもその場所がどことどこであるかということをまずお尋ねしたいと思います。
  40. 黒田実

    ○黒田説明員 現在専売公社は東京に本社がございまして、地方に十七カ所の地方局を持っております。それぞれの地方川の下にまた支局、出張所というものがございまして、それぞれ現地で仕事をしているわけでございます。それから、全国工場の数でございますが、現在製造工場が四十一工場、それから葉たばこの再乾燥工場というのが二十四工場、それだけでございます。
  41. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいま工場が四十一ある、葉たばこのほうが二十四工場あるというのですね。それが、全国的に見ますと、地域的に均衡がとれているわけですか。
  42. 黒田実

    ○黒田説明員 全国各地にございますが、極力消費地の近いところに工場があるということが原則でございますので、やはり東京とか大阪とか、こういう近郊に工場が比較的多いというような状況になっております。したがいまして、地域的に平均して分布しているというわけではございません。
  43. 島口重次郎

    ○島口委員 北陸、東北のほうからお話を聞きますと、従来はおたくさんのほうで使っておりましたむしろ、なわ、いわゆるわら工品ですが、これを全面的に使用してもらっておりましたけれども、今年度から方針が大転向いたしまして、クラフトを使用する、しかもそれに大幅に切りかえ転向するというお話ですけれども、その実情はどうなんですか。
  44. 黒田実

    ○黒田説明員 従来、在来種の葉たばこにつきましては、公社が耕作者から買い上げますと、それを二十五キロを単位としてむしろで梱包し、必要な倉庫まで運びまして、約二十カ月間保存しておきまして品質の保全をはかる、そうしてそのあとで製品の原料として使う、こういう状況であったわけでございます。ところが、むしろを使いますといろいろな欠点があるわけでございます。第一の欠点と申しますのは、製造工場で原料を使います際にどうしてもわらが混入する、それを除去するのに非常にやっかいだという点があるわけでございます。しかも、現在は大部分工場がまだ比較的古い設備でございまして、葉たばこを使います際に、その原形のままに処理していくという形式をとっておるわけでございますが、最近公社が各工場に新しい設備としてスレッシング方式というものを入れております。これによりますと、葉たばこを使います際に、葉たばこの原形ということでなしに、スレッシャーという機械にかけまして、葉たばこの骨と葉肉とに分けまして、葉肉のほうは直径一センチないし二センチ程度のレッペにして処理しておるわけでございます。こういう処理の方法をとりますと、いまのわらくずが混入しますと、いよいよこれを除去することがむずかしくなってくる。しかも、近い将来、公社の全工場を大体この方式でいくというようなことになっております。このことが、大体むしろを使います場合の欠点の一番大きな点になっておるわけでございます。  それから、全国地方いろいろ事情はございますが、最近地方によりますと、十分なむしろを必要な時期に確保することが困難だというような地区もすでにございますし、また将来はますますそういう傾向になるんじゃなかろうか、こういうことがあるわけでございます。  それからいま一つ、これはそう大きな問題ではないわけでございますが、在来種の生産量のうち、年によって違いますが、三ないし五%というものを外国に輸出しているわけでございますが、むしろで梱包しました葉たばこを輸出しますと、向こうのほうで、わらのにおいがする、わらくさいというような批判を受けているようなわけで、輸出の面からもどうも好ましくない、こういう点があるわけでございます。  そういうことで、公社におきましても、何かむしろにかわる代替品はないかということで、一昨年から防水加工しましたクラフト紙を在来種の包装に試験してまいったわけでございますが、過去二年の試験の結果、大体クラフト紙を使いましても品質保全上悪影響はない。また包装作業上の能率とかやりやすさからいいますと、むしろむしろよりもやりやすいのじゃないか、こういうような結果も出ているわけでございます。こういうような観点からしまして、今後の問題としては、逐次むしろ包装をやめて、クラフト紙の包装のほうに持っていくのが一応妥当じゃないかというようなことで方針をきめたわけでございます。それで、ことしの三十九年度の予定につきましては、まだクラフト紙を用いまして海送の関係でどういうふうな功罪があるかという点が明らかでございませんので、相当大量なクラフト紙を使って試行をしてみたい、こういうようなことを考えているわけでございます。  そういうことで、今年の在来種の生産量に見合いますむしろの所要量が、大体四百五十万枚近いものが見込まれるわけでございますが、そのうち在庫等を差し引きますと百五十万枚程度新しく調達すればいい、こういうような計算になっているわけでございますが、その百五十万枚のうちの四分の一を一応クラフト紙にかえてみたい、こういうような計画を持っているわけでございます。したがいまして、新規調達量のうちの四分の三はやはりむしろをもって調達していきたい、こういうような予定でございます。
  45. 島口重次郎

    ○島口委員 技術の面からどうしてもクラフトでなければならない、合理化のためにやむを得ざるものだとすれば、これはいかんともしかたいという点もありますけれども、できるだけ従来専売公社のほうにわら工品業界でも協力してきたと思うのです。それらのことを、業界全体の将来性の問題、あるいは彼らの生活が最低限でありましても保障されるように、長い期間にわたりまして逐次やってもらいたいと思うのであります。  そこで、ただいまのお話を聞きますと、在庫がありまして、本年度は百五十万枚あったらよろしい、その四分の一がクラフトを使用するという御説明のようでありますけれども、主としてこの四分の一の切りかえをいたします地域はどのほうですか。
  46. 黒田実

    ○黒田説明員 実は先ほどむしろの在庫と申しましたが、これは再使用するものですから、古いものが在庫となるわけでございます。在来種のたばこを耕作しておりますものは、ほとんど北関東から東北でございます。西のほうの産地はあまり在来種ではなくて、その上に工場が多いということで、ほとんど再使用で間に合うのでございまして、新しいものの調達の必要がない。したがいまして、ことし調達しますのは大体東北、北関東、それから長野、新潟、この十一県におきまして調達することになっております。
  47. 島口重次郎

    ○島口委員 十一県の名称をもう一度教えてもらいたいと思いますが、私の考え方としては、御承知のとおり北陸なり東北というのはわら工品の産地であります。そういうところは切りかえるにいたしましても一番あとのほうに回しまして、産地にあらざる地域から徐々に切りかえるといたしますのが妥当ではないかと考えますが、その点どうでございましょうか。
  48. 黒田実

    ○黒田説明員 十一県を申し上げますと、東北の六県でございますね、それから茨城、栃木、群馬、新潟、長野、これだけでございます。以上の十一県で大体補充をいたすということになっております。私ども、わずかのことでございますが、先ほど新規調達をするものの四分の一をクラフト紙ということを申し上げましたが、十一県のうちでもむしろの生産県につきましてはクラフト紙は二割、それから他県からむしろを移入します県につきましては三割ということで、むしろの生産県につきましては、わずかでございますけれども、むしろの調達割合を高くしております。  それから、第二の御質問で、むしろの生産が多いところはあと回しにすべきじゃないかということでございますが、同じ在来種と申しましても、各地でつくっております在来種が種類とか性状も違いますので、やはりある程度輸送関係の試験とかそういったことになりますと、やはり各地のいろいろな性状の違ったものにつきまして全部一通り試験をやっておきませんと、きちんとしたデータになりませんので、その程度で全面的にある数量までクラフト紙を使うというような計画を立てたわけであります。
  49. 島口重次郎

    ○島口委員 これも現地のほうから聞きました資料でございますから、確実性があるかどうか私みずから自信を持っていないわけでございますけれども、仙台のほうのお話を聞きますと、仙台では昨年まで約三十万枚買い上げをしておるわけです。ところが本年度はその五分の一である六万枚より買い上げをしないという話を聞いております。それから郡山のほうは、従来は五十万枚買い上げてもらいましたけれども、本年度はその三分の一弱である十六万枚より買い上げ予定がないと聞いておりますけれども、そういう点はどうですか。
  50. 黒田実

    ○黒田説明員 実はまだいまたばこは畑にございまして、将来どの程度の収納になるかということは、将来の状況で変わってくるわけであります。一応私どもは、その収納量を決定して、その数量に見合う包装材料の調達を考えております。それでいきますと、現在御指摘のございました仙台管内では、二十五万枚程度は大体調達すべきではないかという数字が出ております。また郡山の管内では、大体三十八万枚程度はむしろが必要だという数字を出しております。
  51. 島口重次郎

    ○島口委員 大体状況がわかりましたから、あとのこまかいことはいずれおたくさんのほうへ参りましてお話ししたいと思いますけれども、結論として申し上げたいのは、御承知のとおりわら工品は農村における貧農の生産しておるものなんです。ただいまは高度経済成長政策によって農村労働力が都会に吸収されても、どこかに出稼ぎしようとしてもできない階級の方がたくさんある。特にこれはおばあちゃん、おかあちゃん方の生産するものでありまして、雪の降る冬季の間にはこれよりほかに現金収入がない。金額は少ないけれども、農村におけるいわゆる貧農階級の生活をささえる重要な農村工業であるわけでありますので、そこらも加味いたしまして特に御配慮をお願い申し上げたいと思います。私といたしましては、中小企業庁長官にもお尋ねをして要請したいと思っておりますが、単に官公需だけではなくて、民間である肥料メーカーに対しましても強く要請するような方法をとることが、農村における低所得階層と都会との格差を穴埋めする一つの方策であると考えております。民間のほうにも要請いたしますには、国の機関である皆さんのほうから積極的な模範的な姿勢を示してもらわなければ、この問題は解決できないと思います。そういう面から、長期にわたりましてどうしても切りかえしなければならぬとするならば、できるだけ逐次やってもらいたいということであります。  それから、もう一つ特にお聞きしたいのは、このクラフトというのは、どこの会社生産し、その会社は幾らの資本金でやっておるかということです。
  52. 谷中忠

    ○谷中説明員 現在このクラフト紙を買っておりますところは、まずクラフトの原紙をつくりまして、その原紙をしわ紙に加工する会社で加工しまして、それを代理店を通じて買うという三段階になっておりますが、最初のクラフトの原紙をつくる会社は、まず王子製紙、資本金は五十低、それから大昭和製紙、資本金は三十七億、北日本製紙、資本金は十四億、東海パルプ、資本金十三億、ここで原紙を生産いたしまして、これを加工会社が加工したものを購入しております。
  53. 島口重次郎

    ○島口委員 新しい化学工業と申しますか、近代産業の特徴というのは、膨大な資本を投資して豊富な資本量で生産するものが地場産業中小企業を圧倒しつつあります。そういう面から専売公社のほうにもお願い申し上げるわけでありますけれども、わら工品の買い上げによって何万という零細貧農が救済されるのだという面から、特に皆さんの御協力をお願い申し上げたいと思います。ただいま生産部長の答弁の中には、今年度はクラフト紙は試験的にやってみる、その結果によりましてどうなるかわからぬというのでありますけれども、今年初めて使いましてテストの結果悪いとするならば、また従来どおりわら工品を、農村工業を育成する意味において全面的に使用してもらいたいと思いますけれども、テストの状況、ただいまの判断というものがどうなっているかをお尋ねしたいと思います。
  54. 黒田実

    ○黒田説明員 方針としましては、クラフト紙にかえるという方向は大体もうはっきり出しているわけでございます。品質に対する問題、それから作業に対する問題は、すでに昨年、一昨年の小規模の試験で大体成果を得ていますので、間違いないと思っています。ただ、輸送上の問題、いわゆる積載量がどうだとか、あるいは輸送中の欠減がどうだとかいう問題は、相当大量のものを使いませんとはっきりしたデータが出ませんので、そのデータが出ますとむしろとのいろいろなコスト関係もはっきりしてくる。したがいまして、将来紙に切りかえていくという方針は変わりませんが、こまかいデータが不十分なので、ことし大規模に試行を兼ねて——ほとんど実施でございますが、試験も若干兼ねた実施、こういう意味でございます。
  55. 谷中忠

    ○谷中説明員 ちょっと補足して……。先ほど申し上げましたのは原紙でございまして、実際に葉たばこを包むのに使いますしわ紙は加工会社でつくります。加工会社を念のため申し上げますと、王子製紙の紙は大王加工紙という大阪にあります会社、これは資本金一千万円、それから大昭和製紙の紙はやはり大阪にあります恵和商工という会社、これは資本金一千九百万円、それから北日本製紙の紙は北日本製紙がそのまま加工する。東海パルプの紙は東洋製紙と申します、これは富士地区にございますが、資本金三千万円、この会社でしわ紙に加工しまして、それを代理店を通じて買うことになっております。
  56. 島口重次郎

    ○島口委員 中小企業庁長官にお尋ねいたしますが、ただいまも申し上げましたとおり、零細企業のほうから申し上げますと容易ならざる状況であります。そういう面から、官公需だけではなくて、肥料協会等にも長官のほうから積極的な要請、協力をしてもらうような方法はできないものかどうか。  それから、松岡農林経済局長にお尋ねいたしますけれども、わら工業というものを将来どういうような位置づけをして対策をとっていくかということにつきまして、農林省方針をお尋ねしたいと思います。
  57. 中野正一

    中野政府委員 わら工品の需要確保について、官公需方面だけでなくて、民間のへ会社、特に肥料関係がいまわら工品から紙あるいは合成樹脂等に多くかわりつつあるということは私ども聞いておりますが、現在輸出関係はほとんど変わったのじゃないかと聞いております。その点につきましては、実はこの委員会が始まる前に軽工業局長とも話し合いをいたしまして、私がいきなり硫安協会等に申し入れをするのがいいのか、あるいは軽工業局長、担当の責任局長と話をした上で、しかるべき方法でもって業界に申し入れをしたほうがいいのかというふうに考えて、いま話し合いをいたしております。ただ、けさ私はうちの大臣からお聞きしとたころによりますと、大臣はわれわれより行動が早くて、すでに硫安協会の会長にこの問題の重要性を申し入れをしておられるようであります。詳細はまだ聞いておりませんが、担当の局長とよく相談しまして善処したいと思います。
  58. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 農林省といたしましては、わら工品が、農村の副業あるいはいわゆる農村工業として、従来農村の副業収入特に現金収入源として市作地帯では重要であるということから、奨励してまいったのであります。最近農村でも手不足という問題も出てまいりましたが、需要の面が相当変化してきている。これは経済発展によってある程度やむを得ないところであろうと思いますが、しかし農村の現金収入源として非常に重要でございますので、いま話に出ました肥料用のかますなどにつきましても、農林省といたしましても、ある程度肥料用の包装材料がかわるのはやむを得ないとは考えておりますが、できるだけ急激な減少を来たさないように、それから食糧庁の買い入れます米麦等の包装材料といたしましても、できるだけ急激な影響のないように常に努力しておるわけでございます。今後の方向といたしましては、やはりある程度の需要の変化はやむを得ないわけでございますが、これに対応してそれが急激な影響のないように努力しますとともに、できるだけいろいろな点で改善を加えまして、他の包装材料に比較して割り高でないように、できるだけ生産費を下げる、あるいは規格を近く改定する予定でございますが、規格を改定して品質を向上するというような措置をとりまして、最近のいろいろな情勢に対処してまいりたいと考えております。
  59. 島口重次郎

    ○島口委員 農林委員会で詳しくやりたいと思っておりましたけれども、ちょうどお見えになりましたから、柱の面だけをお尋ねしたいと思います。  第一番に米の包装容器の問題ですね。何といいましても、かますを一番使いますのは米の包装容器であります。昨年、一昨年の実例から見ますと、豊作でありましたから全体としては多くなっておる。わら工品、かますも幾らか多くなっておる。ところが、この数字の面から申し上げますと若干多くなっておるけれども、これは俵からかますに切りかえまして、逆に麻袋、紙袋のほうから大きな攻勢を受けている。さらに、局長も御承知と思いますけれども、従来の生産方法は足踏みの方式でありましたが、全自動に切りかえた。全自動に切りかえましたから、各県ごとに需給対策を立てまして、俵からかますに切りかえされたのが多くなっているということであります。そういう面から、日本全国生産県である九州の福岡県あるいは佐賀県あるいは青森県、四国においては香川県、こういうところの生産が縮小されつつある。なぜ縮小されておるかということになりますと、北海道で従来かますを大量に使っておりましたものが麻袋に切りかえされた。そこで生産県のほうから出ていかないという状況であります。そういう面から、少なくとも日本全国における生産県では対策のとり方がない。しかも、あなたも御承知のとおり、農林省は、将来ともこれは成長産業であるからと称して、全自動の機械を導入いたします際には、近代化資金の貸し付けをしておる。一セットが三十万から三十五万。農民にいたしますと、三十万から三十五万というのは大金です。この償還は三分の一もやっておらない。その間に、農林省のほうといたしましては、米の包装容器には麻袋も使ってよろしいということにしてある。しかも、本年度から麻袋のC袋も使ってよろしいというような方針を打ち出しているというふうに聞いている。一方においては、零細な貧農諸君に、成長産業であるからと称して、全自動式機械に融資をしてやり、一方においては販路を引き締める方針をやっておる。一体あなた方の方針はどういうことなんですか。
  60. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 農業近代化資金によりまして、全自動の製造機械に対して低利融資資金をお貸ししておるのでありますが、これはもちろん最近の農業事情からしまして、できるだけ農業労働を節約して、しかも製品をできるだけ安く出すという趣旨から、従来の手労働による製造方式を切りかえていくために必要であるという趣旨から、融資をやっておるわけであります。一面、御指摘のありましたように、米麦用の包装容器として俵からかますへ転換し、またさらに新しくほかの包装材料が漸次使われるようになってまいっております。しかし、農林省としましては、やはり俵、かますの農作業における重要性を十分考慮いたしまして、農家自身が自分の選択で、そのほうが望ましいというときに選ぶようにいたしておるわけでございます。硬質米と軟質米と別の扱いをいたしておりますが、軟質米につきましては確かに俵のほかに麻袋を認めておるわけであります。その場合にも、むしろを使ってもよろしい、しかしそれは農家の選択によるということで、農家自身の労力事情、そういうものを考慮してきめてよろしい、こう考えております。
  61. 島口重次郎

    ○島口委員 局長も御承知だと思いますけれども、足踏みで生産した場合には、一人が十万円あるいは特別の機能のある方でも十五万円しかできない。ところが、全自動でありますると、普通で六十万円、多くつくります人は八十万円、朝早くから晩おそくまで作業する方は百万円生産する。このように生産数量を拡大して——いまあなたのおっしゃるように軟質米はむしろでもよろしい、麻袋でもよろしいというけれども、最初の食糧庁、農林省方針としては、硬質米だけに使用させる、軟質米には使用させないという方針だったわけでしょう。いまの話を聞きますると、まさに逆なんです。最初は硬質米だけに使用させるということだった。その後、昨年からですか、いわゆる北海道、東北、北陸の軟質米にも使用してよろしいということになった。さらに、本年度からはいわゆる麻袋のC袋を使ってもよろしいというように切りかえさしている。徐々に保護の対策ではなくて市場を縮小するような、真綿でのどを締めるような方針をとってきている。少なくともあなたのいま言ったこととは相当事情が違っているように思いますけれども、その点はどうなんですか。
  62. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 硬質米につきましては紙袋も認めたわけでございます。これはもちろん農家の選択で、いずれかを選ぶことにしたわけであります。東北、北陸等で出ます軟質米につきましては、まだ紙袋の使用は認めておりません。
  63. 島口重次郎

    ○島口委員 本年度の麻袋のC袋を使うということはどうなんですか。
  64. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 それは認めております。
  65. 島口重次郎

    ○島口委員 いまおっしゃるように、最初は硬質米だけだ、あとは軟質米もよろしい、今度はA袋、B袋だけでなくて、C袋も使用させるというならば、私がただいま申し上げましたように、足踏み時代にはせいぜい二十万円も生産されない。全自動になってきますると五倍も六倍も生産される。一方では生産拡大のほうへやっておき、一方では販路を縮小するようなことをやっている。あなた方のやっている方針には矛盾があるとは感じませんか。
  66. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 もちろん足踏み式で生産されておった量よりも、単位で見ますと、全自動式で生産いたしますと非常に能率があがるわけでございます。全体としての生産量の問題としてよりも、単位としての問題として、やはり全自動式を奨励すべきものと思うのであります。しかしながら、その場合に、われわれといたしましては、できるだけ共同で使うように、全自動式を使いますと、原料としても一農家だけの原料では足らない、むしろ数戸あるいは相当範囲の原料を要するというようなことになりますので、できるだけ共同利用ということを促進するように近代化資金などは考えておるわけでございます。需要の面との問題とはやや違うのではないかと私どもは考えております。
  67. 島口重次郎

    ○島口委員 どうも市場の販路のほうは縮小されつつあるということは、あなたの答弁でははっきりしません。  それから、ただいまあなたのお答えになった中で、できるだけ共同生産方式のほうに近代化資金を流しておる、こういうお話でありますけれども、そういう県もありましょう。だけれども、全国的な視野から見ますと、必ずしも共同方式でなければ近代化資金は貸し付けをしていないというわけではない。融資の対象となるべきものは農業生産者であればよろしいということになっている。その方針に従ってたくさんの融資を受けて機械を買って生産をしたものが売れない。農家は全く泣いているのです。この借金をどうして返済するかということで頭にきている。そういう状況をどう考えますか。
  68. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 確かに需要は全体として減少の傾向にありますし、米麦の包装等についてももう俵、かますを要件とするということはなかなか困難になってまいっております。農家自身の都合も、最近では俵、かますの包装だけではぐあいが悪くなってきておると思うのであります。したがって、それをしいて俵、かますを使うようにというところまではなかなか参らない。しかし、一方、生産する側から見ますならば、足踏み式の古い形の機械を使ってやるということはいかにも非能率で、生産もふえないし、農業所得もふえないわけでありまして、やはり同じ生産される中でも進んだ機械を使うように奨励するのは、これは筋合いではないかと思います。確かに、御指摘になりましたように、共同施設だけではなくて、個人施設に対しても融資はいたしておりますが、その辺のことにつきましてはなおもっと指導を徹底する必要があると思っております。
  69. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいま私が申し上げましたように、農家の方々は全く泣くにも泣けない、宝の持ち腐れというような状況であります。もう生産いたしましても買い手がない。生産意欲が抹殺されまして、この機械のために命をとられるというような状況でありますが、そういうような農村の近代化と申しますか、機械化と申しますか、それを一方では奨励して生産いたしました物がはけるような市場を開拓してやるのがあなた方の任務だと思う。ところが、逆に米の包装容器の問題では麻袋を使ってもよろしい。最初の段階では硬質米だけだというけれども、あとでは軟質米にする、本年はさらにC袋にするということになったら、一体機械を導入いたしました近代化資金を借りた農民の立場から考えてみますと、どう考えられますか。おそらくこのままの状況では、近代化資金に規定されました期限内では償還できないと考えておりますが、この点に関する局長の見解はどうですか。
  70. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 実態をよく調査の上で適切な対策を構じたいと存じますが、全体の考え方としましては、需要は新しいものに変わるやむを得ない事情があることも、一方では認めなければならぬと思いますけれども、そういう傾向の中でもできるだけ確保するようにしていく必要があると思います。と同時に、それをやりますためには、他の包装材料と競合してやはり今後も販路を維持し、開拓していくためには、自動式の機械を入れるとか、それでコストを下げるとか、品質をもっと向上するとか、そういう方途もやはり必要であろうと考えます。農家の中には三十何万円かの機械を買ったところが、売れ行きが悪くて償還が困難だというような向きが出たというお話でございますが、それらについてはよく調査の上で、適切な処置を講じたいと考えております。
  71. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいまのお話の中には、償還の問題を考えるというようなことなんですけれども、その考えるというのが、償還期間というものをさらに延期するということなんですか、具体的にどういうことなんですか。
  72. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 実はそういった事情はあまり私どもの耳に入っていなかったわけでございますが、実態をよく調査しまして、それは融資制度の運営の問題のところでございますから、どういう実態であるかをよく見きわめませんと、直ちに償還を猶予するとか、そういうことはここで申し上げかねるわけであります。
  73. 島口重次郎

    ○島口委員 先ほどの答弁の中に、今度はかますの親格改正をやる、こういうお話がありましたね。おそらくバンドかますにすることだろうと思います。今度それを規格改正をやるのかどうかという問題、さらにやりましたら需要が伸びる可能性があるという見通しをつけておるかどうか、あるいは今後におきまして、農林省が、前向きの姿勢において、もっと販路の拡大なり保護政策というものを強く打ち出してやるかまえがあるのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  74. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、需要はどうしても変化する傾向があることはやむを得ないと思っておるのでございます。肥料にいたしましても、農家の手不足から、農家自身の必要性によって高度化成を使う、そうしますと、かますよりは化繊の包装材料を使わざるを得ない、そういうようなことになって、農業自体の中からもその包装材料を変えなければならぬ要請が出てくる。そういったことからある程度変化せざるを得ないと思いますが、しかし、その中でもできるだけ急激な影響のないように、またできればコストを下げ、品質を向上して販路を確保するように、農林省としても努力してまいる必要があると思います。規格の改定などもそういった目的で近く実施をいたしたいと思います。いまお話のありましたバンドかますというのですか、そういうような問題も取り上げて検討いたしてみたいと考えております。
  75. 島口重次郎

    ○島口委員 省力の面から化繊袋を使用されつつあるという一つの傾向は、私も認めます。省力の問題と、もう一つは価格の問題でしょうね。省力の問題は、今度規格改正をしようとしておるところのバンドかますを使用するならば相当解決ができるのじゃないか、こう考えます。  最後は、農家の暮らしがどうなるかという問題ですけれども、麻袋はA袋が百三十九円、B袋が百円なわけですね。これが市場で売買されているのは八十円から八十五円、高いところでは九十円だと思うのです。ところが、かますの場合は百十一円が政府の買い上げ価格であります。ところが、現在の相場とするならば、六十五円ぐらいで売買されておると思います。あと荷づくり料金を計算いたしますと二十五円、トータルで九十円であるが、九十円のかますを使いまして政府のほうに百十一円で売りますと、二十円の幅がある。百俵供出をいたしますと二千円のプラスが出てくるのであります。そういう面から、まだまだ指導奨励し得る余地というのは十分あると思うのです。あなた方のかまえがだめだから困るというのです。特に農村では、かますの包装容器に入れるというのは、米が親であるわらに入るのだから非常に喜んでおると言っております。麻袋あるいは紙袋というようなものは外国から輸入されておりまして、外国の親のはだに触れるようなものだからだめだというような声もあるのです。あるいは農村におきましては、やはり農民の生産したわら工品に入れなければ、結論的には農村の生活を苦しめることになるのだという面から、新しい農民運動といたしましては、わら工品に詰めた米でなければならない、肥料でなければならないというような動きもあるのであります。それらのことを十二分にお考えになりまして、農林省自体も前向きの姿勢で保護対策に一そう積極的な態度を示してもらいたいということを申し上げまして、局長に対する質問を終わります。
  76. 二階堂進

    ○二階堂委員長 次会は明後六月十二日、金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会