○福田(一)国務
大臣 エネルギーのことでありますから、安定して
供給が行なわれ、十分に
供給が行なわれ、しかも低廉であるということ、これが主たる目的であると思うのであります。こういう点から
考えてみまして、安定して
供給が行なわれるというのは二つ問題があると思うのです。その
一つは、
供給でございますから、まず建設が十分行なわれなければならない。需用に応じた建設がまず行なわれなければならない。それからもう
一つは、その行なわれた建設に基づいてできてくる
発電電力が不安のない形において消費者に渡るようにしなければならない。これが私は安定した
供給の
意味だと思うのであります。一方、低廉であることは、これは
エネルギーというものの性格からいって当然のことであります。こういう大きな目的を実現をいたしていくのが、これが
趣旨でなければならないのでありますが、しからば一社化した場合に低廉になるかどうかということから
考えてみたときに、私は
政府がこれに対して相当な援助を与え、あるいは資金をうんと出しておるというような場合には、これはできるかと思いますが、いまの形における九社と電発を含めたものを、ただ
合併したということで低廉ということは私はあまり望み得ない。現実にこれをやってみても、すぐ低廉になるかどうかというと、それはなかなか困難な面があると私は思います。ただ、もし低廉になり得る道がここに存在するとすれば、
電気を
発電する場合に、たとえば
東北で雨が降っておって関東で雨が降らないというような場合に、
東北の流れ込み式の
発電所は、どんどん水を流して
発電をする、むだがないように使う。そうしてできるならば
東京における火力
発電なんというものは一応セーブするというような形にすれば、その
意味においてはむだがなくなる。むだがなくなるということはすなわちこれが低廉な
電気という、いわゆる原料が安くなるということに相通ずると思うのであります。この点は確かに一社化の利点であると思っておりますが、しかしその場合においても、もし公域
運営というものがかなり徹低して行なわれるということになれば、相当程度この
弊害というものは防ぎ得る。いわゆるうまく
利用ができると
考えております。一方今度は各
電力会社が
発電をするという場合、それから一社化してしまって
発電をするという場合、これがどのようなふうにうまく行なわれるかということになりますと、私は一社化した場合も計画的にやればそれでできるとは思いますが、かなりこれは問題が起きてくる。政治的な介入が非常に多くなるということが、実は日本発送電をやっていた時分に、そういう問題がしばしば出たのであります。政治力がものをいいやすくなる。もちろん九
電力とか電発にしておいても政治力というものはある程度ものをいいます。いいますけれ
ども、一社化になりますと完全にそこで統一をしてしまうということになって、そういう
意味で、私はこの
電力を建設する場合にはたして合理性が保てるかどうかというところにまた問題があると思うのであります。もちろんこれは人の問題でもあるし、政治の問題にもつらなると思います。でありますが、そういう
弊害が起こり得る可能性が多分にある。私は一社化して
発電所を建設をするのがいいかどうか、あるいは九、十の
電力会社があって、それが相互に協力をして
発電所を作るようなやりかたがいいかということも、これは
研究すべき課題の
一つではあると思っております。現実にはどうであるかというと、必要な
電力というものは、十の
電力会社が
発電をいたしました
電力で、一応十分需用に応ずるだけの
供給をいままでにいたしておることは御案内のとおりであります。それからもう
一つ。先ほど申し上げましたように、今度は安定した
電力を
供給できるかどうかということになりますと、私は一社化をした場合も、十の
電力会社あるいは九つの配電をやる
電力会社というものを一応想定した場合においても、一社化の場合と同様に、安定した
電力の
供給はどちらでもできると思います。ただ問題は、安定した
電力という場合において消費者の便利を
考えるということになりますと、一社化した場合にはとかくいはゆる官僚統制というものになりがちでありまして、
サービス面が非常に悪くなるおそれがある。私はこんなところで言いたくはないけれ
ども、たとえばガス
会社などというものは、ガスを引いてもらいたいなどと言っていきますと、たいてい一カ月から一カ月半くらい前に頼んでおかないとなかなかやってくれないという苦情がよく出ておるのであります。私は、そういうことでは困るからできるだけそういうことをしないようにと言っておりますが、案外そういう面での
サービス不足がガス問題などについてはしばしば起きております。しかし
電気の問題は、九
分割をするときに消費者の便益ということを非常に実は強調いたしておりますので、もちろん十分だとは申しませんけれ
ども、私はかなり消費者のことを
考えながらやるという点に力を尽くしておると思います。もちろんその場合でも経費の
関係がありまして、なかなか
電気料金の
値上げができない等々のことから、財政的な余裕がないと十分な
サービスはできませんけれ
ども、かなり今日ではそういう面にも気をつけておるし、それからいわゆる一社化であった時分から見ますと、そういう点もかなり改善されたように私は思っておるのでありまして、この場合において配電も含む、発送電も全部含むような一社化がはたしていいかどうか、こういうことはやはり
研究をしてみなければならないと思います。
それから今度は
発電だけの一社化をしたらどうか。一社化、一社化と言いましてもいろいろあるのでありまして、
発電だけの一社化をする、そうして今度は配電の部分は分けてやるようなやり方、これもまた分けて
考えてみなければならないと思います。これは実を言いますと九分側のときにもそういう説が多分にあったのでありまして、府県単位の配電
会社にしてしまってはどうかという
意見も実はあったわけでございます。こまかくするというとかえってそのほうが
サービスがよくなるんじゃないか。あんまり大きいずうたいでやるよりも、そのほうがいいじゃないかという
意見もあったのであります。
こういう
意見も私は
研究に値いする
一つの
意見だと思っておりますが、いずれにしましても今日の段階において
考えてみますと、電発のほかに九つの
電力会社があって、そうしてこれが
発電並びに配電をやっておりまして、そうして一応その地域における需用にマッチするだけの
発電をいたし、また
サービスの面においてもそれほど特別目に見えて悪いということは出ておらないと私は思っております。もちろん個々の問題はございましょうが、いわゆる一社化をしなければ絶対にできない、一社化であればここがこれほどごうよくなるというような点についての問題点は、私はそれほどまだ出てきておらないと思っております。が、従来ずっと申し上げておりますように、
電気の特質というものからいえば、
電力というものは
発電をしたらもうすぐそれが消費されなければならないという特質を持っておりますから、いわゆる貯蔵しておけないというその特質をどういうふうにして生かすのがいいかといえば、これは分かれておらないで一社にして、そうして全部をうまく有効に
利用するのが国の
エネルギーを有効に
利用するゆえんであるということにおいては私は賛成しておるのであります。しからば、いまここですぐにそういう形に持っていった場合の功罪というものを論じてみると、私は急にそういうふうに持っていっても、はたしてそういう点で実効が上がるかどうか。また今度は、その面で実効がいささか上がっても、ほかにマイナス面が出てこないかどうかということについて、まだ確たる解答を得ておらないのであります。だから、一応ここに出しましたような九つの
電力会社並びに
電源開発というものをして
発電をいたさせる、また配電を九つの
電力会社にいたさせるという形をとりつつも、一社化の利益であるところのいわゆる
電力をむだに使わないようにする、すなわち
広域運営を順次押し進めていく。私は四ブロックでやるのが、これがもう全部を一ブロックにするような形に、
広域運営は前に進むべきであると思っておるのであります。そういうふうに順次この
広域運営ということをやることによって、
分割されておることによる
弊害を除去してみるという努力をこの際やってみる。そうしてどうしてもそれでうまくいかないという場合には、そこでわれわれとしてどうしたらいいかということを今後ずっと
研究を続けていってはいかがか、こう
考えましてこの法案を出しておるわけであります。