○
竹井参考人 私は、
日本生活協同組合連合会の
理事をしております
竹井でございます。
私は、小口
電力の
消費者、つまり
家庭電気の使用者の
立場から、きょうはこういう場で皆さんに御
意見をお聞きいただけるということは、たいへん感謝いたしております。とかく私たちはまま子扱いをされておりまして、その不満というものがしょっちゅうございまして、こういう
先生方のいらっしゃる前で、しかも
法案制定前に
意見を聞いていただけるということは、それだけでもたいへん前進しているということでたいへん感謝しております。今度の
法案が、
電気事業の健全な
発展と利用者の利益を擁護するという精神に基づいてこういう
法案が用意されたということに対しては、たいへんありがたいことだと思います。しかしながら
家庭電気を毎日使っております上で二、三不合理な点だの、それから不満なところがございますので、そういうものを述べさしていただきまして、そしてこの
法案決定をしていただく上の御
参考に供していただきたいと存じます。
私
どもが一番身近に感じますのは、料金制度のことと、それから
サービスの問題でございます。その他むずかしいことは私
ども家庭の
主婦ではなかなかわかりませんし、それから
電気事業そのものが何か遠い雲の上のような感覚で、そしていつも一方的に押しつけられて、しかたなく泣き寝入りをしながら金を払うといったようなことでございまして、決してこういうことがいいことではないと私たちも
考えておりまして、少しでも
電気、ガスのような日常欠くことのできないものに対する
企業がどういうふうになっておるか、またその料金がどういうふうにしてきめられてくるかということを
家庭の
主婦として知っておかなければならない義務があるのじゃないかということを感じております。その料金制度は
消費者が、これは自由に選択ができないようなものでございますが、ガス、
電気などというものは高いからやめておこうとか、こちらの品物を買いましょうというふうなわけにはまいりません。ガスよりもなお
電気のほうがそういう性格が強うございます。燃料の場合は、木炭とかまた
電気とか、プロパンとか、それにかわるものがございますけれ
ども、
電気の場合は、それにかわるものがございません。ですから、われわれから見れば
電力というのは
一つの商品であるというふうに見ているのですけれ
ども、選択の自由の許されない商品でございます。そういう商品がどうしてこういう値段になってくるかということが全然わからないままに金を払うということは、何と不合理なことよということでいつも感じておるわけでございます。
その
一つの例といたしまして、知らないほうが悪いと言われれば悪いのですけれ
ども、料金のきめ方が非常に複雑で、われわれには簡単にわかるすべもないきめ方でございます。たとえば基本料金といいますか、契約料金というものが
一つあって、それから単価というものが
一つあって、これに加えて消費税というものがあるわけでございます。毎月検針されまして、そうしてお金を払うのにその領収書の欄を見ますと、税抜きの料金という欄がちゃんとあるわけでございます。ところがその税抜きの料金の欄には記入してございません。ですから、これは何と
消費者を欺瞞しておることであろうと、私はいつも
電力会社に対してそういう不満を持っております。やはりそういう欄がある以上、ちゃんと税を抜いた料金というものはこういうものであるということを親切に記入していただきたいと存じます。
それからその料金の支払いの問題でございますけれ
ども、検針の翌日から二十日間以内に支払わなければ料金が違うわけでございます。こういうふうなことは、税金でもいま延滞料というものがわずかしか取られないような
時代に、
電気料金だけが二十日間の支払い期間を過ぎたものに対しては料金が違うというふうな
考え方に対して、非常に高圧的であるし、独占的であるというふうに
考えております。その言い方が早収料金ということで、早く払った人は安いのだという名目になっておりますけれ
ども、私は
電気料というものは、早く払ったから安いとか、おそくなったから高く取るとかいう性格のものではないはずのものだと思います。そういう料金制度に対する不合理といいますか、そういうものに始終非常に疑義を持っております。
それから、先ほ
ども安西さんがおっしゃいました
電気・ガス消費税というのは、全く悪税でございまして、なぜこういうものから税金を取らなければ
国家財政がまかなえないかということです。
それから、税金がどれだけかかっているかということが知りたくて、この間も電灯
会社に聞きましたところが、基本料金プラス使用料総額に消費税がかかるんだとか、いろいろな不明確な回答があるわけです。そんなはずがないんじゃないかというのでよく見ましたら、やはり契約料金には税金がかからないようになっているように私は解釈いたしましたが、その辺、末端の電灯
会社そのものが、担当している窓口で解明ができないような状態で
電気事業というものがいま
運営されているというところに、私はやはり大きな不満を感じます。
それからその次に、原価主義ということを貫かれておりますが、これはたいへん
企業の健全性ということからけっこうなことで、それが見返ってわれわれ
電力を消費させていただく者の益になるということはわかりますけれ
ども、
電気事業というものの
公益性というものを
考えましたときに、徹底して原価主義であっていいものかということを感じるわけです。それで先ほど
安西さんがおっしゃいましたように、やはり
国家的な
援助といいますか、
資金面だとか、いろいろな面での
援助があって、そして料金というものが計算されていいと思います。この
法案の第十九条に「適正な原価に適正な利潤」ということばがございます。この利潤ということが、どれだけが適正で、それがコストにどういうふうに織り込まれているかということが、やはり消費する
立場からは納得したい点でございます。そういうのがすべて、その利潤それから原価を含めたものが
消費者負担ということにかかってくるのではないかと思います。
それから、大口使用者とわれわれの小口使用者との料金が全然違います。
安西さんが、非常に小口
消費者を保護しているとおっしゃいましたが、逆に私たちはいままでさんざんいじめられてまいりましたので、この辺で幾らか小口使用者のほうに目を向けられた料金制度が打ち出されたということの
程度で、まだまだわれわれが全面的に優先的に保護されているとは
考えておりません。
家庭の
電気というのは、やはり消せばそれでいいというものではなくて、倹約できるというものではなくて、ますます大量に使用していくということが
家庭の生活向上であり、
電力会社のプラスである、私はそういうふうに
考えております。われわれは契約料金というもので、ブレーカーがついておりまして、それ以上使ったらぴしっと
電気が消えるようなきびしい処置を受けておりまして、それに対してまで金を払って権利を買っているわけでございまして、そういうような
家庭の状態のもとで、要らないときには
電気を消せばいいんだというのは戦争のときの
考え方で、われわれはますます安い
電気を大いに使って
家庭の文化向上を期していきたいというふうに
考えているわけでございます。
それから料金の点でございますが、三十六条などに償却に関する条項がございますが、これはすべて
事業の安定という
立場から
考えられた条項でございまして、それが結局コストにプラスされて、料金という中にそういう償却分もみな入ってくるということは、これはわれわれしろうとから
考えても
考えられるんじゃないかと思うのです。その膨大な
投資に対する償却を
電気料金というところにプラスされて
経営の健全化をはかっていくということは、あたりまえではありますが、
電気事業という
公益性から
考えて、そういう点はたしていいのかどうかということに対する
一つの疑義があるわけでございます。
料金のことはそれだけでございますが、先ほど
広域運営というようなことをおっしゃって、縦の列だけでなく横の提携をはかりながら、
電気事業の健全とコストダウンを
考えながらやっていくのだというふうなことで、理論的には私もたいへん賛成でございますが、えてしていままで
日本の
企業の中で大きくまとまるということは、
一つの協定を結ぶ場となり、それが独占ということばになってわれわれの力の弱いところにしわ寄せされるという結果を、いままでさんざん苦い
経験をしておりますので、そういうことのないように、運用の面でかなり徹底した御配慮をいただかないと、やはりいまでさえ何か雲の上の
電気事業が、ますます
各社が横のつながりを持ちながら大きく互いに提携していくという中で、協定なり独占なりという形が
強化されないようにぜひお願いいたしたいと思います。
それから
電気というものはわれわれの生活に欠くことができないし、それから生活の層によって価格が違うというものでなくて、非常に高い生活層の人も低い生活層の人も同じ料金を半ば強制的に払っていかなければならないという
事業への
国家の配慮というものが、ただ規制ということだけでは済まない問題じゃないかと思います。ですからやはりこれに対する
援助ということを
安西さんがいまお述べになりましたけれ
ども、そういうものを全面的に
考えていただいて、そして健全な
事業の
発展がすべて消費する者の負担で行なわれていかないように、強力な
国家的な御配慮をお願いいたしたいと思います。
失礼いたしました。