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福田(一)
国務大臣 どうもこれはちょっと、
努力をして、
努力の結果があらわれなければ、
努力というものを認めるわけにはいかぬということになりますと、なかなかむずかしい問題があると思いますが、
現実の問題として、あなたのおっしゃるのは、たとえば五千五百万トン確保するといっておるのに、五千五百万トン出てないじゃないか、そこら辺がおかしいということであれは、私は
一つのりっぱな
——りっぱというのは失礼ですが、
一つの御
意見であると思うのであります。そこで、先ほ
ども申し上げたところでありますが、実は石炭にいたしましても油にいたしましてもそうでありますが、いわゆる統制国家とは違います、いわゆる共産圏
関係の独裁国家とは違いまして、資本主義
経済といいますか、自由主義
経済の姿でやっておる場合においては、必ずそこに
経済性という問題が出てくるわけであります。石炭が安くて量がよけい出るということであれば、これはもう言わずと知れたこと、みなそのほうに向いていくのでありますが、安く出すということはなかなかむずかしい。それならば、それに対して国から補助金を出したらいいじゃないか、補助金を出してやるという姿は、われわれとしては好ましいことではないのでありまして、そこに合理性を持ちながら
事業の
経営をやってもらう、しかも、安いものが出る、こういうことでなければならぬ。ところが
現実の問題といたしましては、石炭はいま非常に苦しいときになりましたので、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドのその姿を実現するために、われわれとしては
相当、ほかの
事業にはなさない、ある種の補助金的なものを出しておることは、これはあなたもお認め願っておることだと思う。
かなり努力はしておる。
努力はしておるが、まだ
努力が足りなくてそれが実現しておらない。だからこれは
政府がいけないという御趣旨でありますれば、われわれもまだそこまで十分手が回っておらないということは事実であります。しかし、これはなかなかまたむずかしいことで、幾ら
努力をしてそっちへ持っていきたいといっても、いま言ったような
経済性とか、人の意思というものを無視するわけにはいきません。たとえば石炭山で働くよりおれはよそで働きたいのだということを、統制
経済であれば、おまえはそこで働いてくれ、こう言えますけれ
ども、そうはいきません。私はやめたいというのを、やめちゃいかぬとは言えないわけです。
経営者の方でやめさせるということであれば、これは問題ですけれ
ども、労務者自身が自分の自由意思で、
かなりいまやめておるということが最近の実情であります。そういう場合におきまして、私は、労務者が確保できないという点に今日の大きな問題があって、これを何とか解決をしていかなければならない。それには、たとえば山がもっともうかるようにする、もうかるようにするということは、石炭の値段を上げれば一番いいのでありますが、これはなかなかそう簡単にはいきません。そこでやはりある
程度生産性を上げるということにしなければいけない。生産性を上げるということになりますと、これは半年や一年ですぐにそこへは行きません。だんだん上げていくより方法はないわけであります。その生産性を上げるについては、国家の金もできるだけ回すようにしてやります。幾ら金だけがあったからといっても、すぐに施設ができるわけでもない、というようないろいろなことがございます。それからまたもう
一つは、これは言いわけになりますけれ
ども、
相当人がやめていきますと、どうしても配置転換をいたさなければなりません。先山をやっておる人がやめれば、坑外におった人をだんだんそっちに回していく、あるいはまた保安の
関係をやっていた人をそっちに回すとか、いろいろの仕事の転換をやらなければならぬ。その仕事の転換をやりました場合に、そのためにまた一時的に能率が落ちることも事実でございまして、いろいろな問題があるのでありますが、これらのことは順次われわれとしてもその
内容を突きとめまして、そうしてできるだけわれわれが目途としております五千五百万トン確保ということに向かってさらに
努力を続け、また、もしできることならばそれ以上に、国内資源でございますから、これをうまく使えるように一そう
努力いたしてまいりたい、こう
考えておるわけでございます。