運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-03 第46回国会 衆議院 商工委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       大石 八治君    神田  博君      小宮山重四郎君    田中 六助君       野呂 恭一君    長谷川四郎君       三原 朝雄君    大村 邦夫君       加賀田 進君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君      米内山義一郎君    麻生 良方君       佐々木良作君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      江田 正光君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局離島振         興課長)    佐々木孝男君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         労働事務官         (労政局労働組         合課長)    渡辺 健二君         自治事務官         (財政局財政再         建課長)    林  忠雄君         専  門  員 渡辺 一俊君     ————————————— 六月三日  委員野口忠夫君及び麻生良方君辞任につき、そ  の補欠として森義視君及び佐々木良作君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気事業法案内閣提出第一三六号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気事業法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 電気事業法案に対しましては同僚委員から数日にわたって質疑が行なわれ、私は災害対策特別委員会等におきまして質疑をしていて、その内容を承知いたしておりません。そういう関係上、重複する点があろうかと思いますけれども、御了承を願いたいと思います。  電気事業法を抜本的に改正をしなければならない、そのことは、現行法内容自体にもいろいろな矛盾があるということと、いま一つエネルギー重要度が非常に高まってきた、そういう点から、この際エネルギー総合調整等が必要になってくるのではないか、その中に占める電気の位置がきわめて重要であるという点にあろうかと思うわけであります。私どもも、審議会の中におきましてどのような答申が行なわれるであろうか、またその答申に基づいて政府がどのような内容法案提案するであろうか、相当前向きの法案が出てくるであろうと実は期待いたしておったわけでありますけれども、どうも出てまいりました内容現状維持、きわめて保守的な内容になっておる。これはまことに遺憾に思っております。しかしながら、これから先の運用という問題、公益性の非常に強い事業でありますだけに、政府の施策よろしきを得るならば従来の矛盾相当克服する点があるのではないか、このように考えておるわけであります。したがいまして一応大臣の、この法案提案するにあたって、どうしてこういう保守的、現状維持的な法案を提出しなければならなかったのか、そのことに対しての考え方、それから、これが成立いたしました場合、これから先この法律運用にあたって、相当の熱意というのか努力というのか、そういうことによってそうした矛盾を少なくしていくということも可能であろうかと思いますので、そういう面に対しての一つの心がまえ、そういう点についてひとつ伺ってみたいと思うのです。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のとおり、私たちといたしましても、電気特殊性というものを考えますと、できるだけこれが単一な形で運営される、発電の場合においても、使用の場合においても、送電の場合においても、単一の意思によって運営されるほうがその意味においては非常に効果的であるという、原則論としては私もこれを否定するものではございません。ただ御案内のように、この種の問題につきましては審議会を起こしまして、長い間にわたって検討を続けてもらっておるのでありますが、審議委員のうちにもそういう意見を持っておられる人は相当ある。ただ現段階においてこれを直ちに一社化をするというようなドラスティックな案に持っていくということについては、みないろいろの立場から、もう少し時期を見るべきであるという意見もあり、いまのままでもいいじゃないかという意見もあり、いろいろありましたが、落ちつくところは、やはりただいまわれわれが提案をいたしておりますような法案になったわけであります。これを提出するに至るまでの経過は大体そういう経過をたどっておりますが、考え方としては、あなたのおっしゃるような意味のいわゆる電気の特質を生かすという考え方は、一つの筋の通った意見であると私は思っておるのであります。私はこれをあえて否定申すものではございません。ただ今日九つ分割され、さらにこれに電発が加わって十になった、この電気事業をいますぐそういうような方向に持っていって、はたしてそれが日本産業あるいは経済の問題等々に好結果があるかどうかということになりますと、これは考え方でございますが、われわれといたしましてはやはり審議会答申のとおり、いわゆる広域運営という形によって一社化の利便を取り入れ、そうして現実のいまの九つの、またそれに電発を加えた十の姿によってこれを運営してまいりたい、その結果等を十分見た上で、われわれとしてもまた考えるところがあっていいのではないか、こういう私としては考え方に立っておるのであります。したがいまして、運営の面において気をつけなければならないというお考えもよくわかるのでありまして、われわれが監督をいたします場合において、いわゆる事業者経営者広域運営という点に十分立ってもらいたいということを私は切望いたしておる。これは私は法案を出す前も、御存じのようにいささか電気の問題を研究したこともありますので、就任早々にも実は九電力会社の幹部を呼びまして、電気特殊性、特にまた電気公益性ということを強調して、十分ひとつそういう考え方でこの事業経営に当たってもらいたいということを言ったこともあるのでありますが、今後もそういうふうに努力していきたいと思います。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お答えのとおり、電気に対しては権威者だ、私どもはそのように高く評価いたしております。それだけに、福田通産大臣のもとで電気事業法案提案する、その中で、きわめて革新的な内容が盛られた法案を提出すると思って期待しておった。保守党内閣において、どの大臣のもとにおいて福田大臣以上に進歩的な法案提案し得る者があるであろうか、そういうように、きわめて正直に申し上げて高く評価をし、期待をいたしておったのです。ところが、大臣がいま言われたような、いま直ちに九分割電発を含めて十になっているものを一社化、社会化というような方向に持っていくことは、これは混乱があるのじゃないか、こういうようなことをいまお答えになったわけであります。なるほどこれは何というのか、一社化、社会化ということは一種の革新というのか、革命というのか、きわめて進歩的な形になるわけでありますが、確かにいろいろな形において混乱らしきものが起こるかもしれません。だからといって、現在出ておる幾つかの矛盾というものを克服することなくて、これを現状維持でとどめておくということは、これはまた私は正しい行き方ではないと思うのです。そのことを広域運営とかいう形においていわゆる前向きの形をとったというように大臣同僚委員質問に対してもお答えになっておりましたし、また提案理由の説明の中におきましてもそのことを明らかにいたしております。しかしこの広域運営ということに対しましても、これがほんとうに前向きであるのか、大方期待にこたえるものであるかということになってくると、それは受け取り方によって違うのだということになってくるかもしれませんけれども、そうした期待にはほど遠いものがあったと私は思うわけです。ですから、もう少し何か斬新的なものが考えられなかったのか、それから審議会の中におきましても、漏れ承るところによりますれば、いま大臣お答えになりましたように、一社化、社会化が必要である、いや現状維持でいいのだというようなもろもろ意見が実はあったようでありますけれども、少なくともこの審議会答申にあたりましていろいろ議論されましたその経緯の中におきましては、ともかく何とかしなくちゃならない、こういう考え方相当支配的であった。ところがずっとその答申に近づくにともなって、いろいろな圧力も私はおそらくこれはあったのだろうと思うのでありますが、当初の審議会に臨んだ委員方々のかまえというものがくずれてきた、こういうことになっておるようであります。ですから、審議会の中でいろいろとやりとりされました中におきまして、いま少しく議論されましたその内容というようなものをお聞かせ願えれば参考になると思うわけですが、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  6. 宮本惇

    宮本政府委員 審議会におきまして、やはりただいま先生御指摘のように企業体制論というものが一番活発に議論されたわけでございます。それで率直に申し上げますと、一社化という線よりはむしろブロック別合併論という線がわりに強く出たわけでございます。たびたび申し上げておりますように、資本主義国家であっても、イギリスなりあるいはフランスなり、また最近のイタリアのように、国営ということをやっておる国もあるわけでございまして、結局抽象的に一社化がいいかあるいは現在がいいかということを決定をするのはちょっと無理であるので、要するに現在の電気事業が現在のままで電気事業に要請されますいろいろな命題と申しますか、使命を果たし得るかどうかということで、審議会答申にもそのことが書いてございます。いずれの体制につきましても一長一短があるということで、答申内容にございますように、どのような体制が適当であるか、抽象論で決定することは困難である、したがって電気事業を取り巻く社会的経済的な環境の実態に即応して判断されなければならないということが答申に書いてございます。それで一社化の場合とか、あるいはブロック別合併の場合とか、いろいろ利害得失はあるわけでございますが、終戦後二十年以上もたって、現在の電気事業というものがとにかくここまで——最近ではいわゆる停電とかそういうことも非常に減りまして、とにかく需用者に対する使命は一応果たしておる。もちろんいろいろな問題がございます、しかし概していえば大体果たしておる。ただ問題は、狭い地域に限定をされた一社ということになりますと、確かにそこに御指摘のような企業格差というものも出てきますし、また電気事業技術的進歩の結果、非常に大容量の火力発電所もできてくる、あるいは送電線が非常に超高圧になってくるというような点からいうと、やはり電気事業公益性ということも判断をいたしまして、まあ一部と申しますか、現在やっております昭和三十三年から始まりました広域事業をさらに一歩進めることによって、電気を使う側あるいは国民全体の利益のためにやれるじゃないかという結論で、一応現在の体制つまり電力プラス電発というもので、広域運営をもっと強化するという形でやれるのではないかという結論でございます。ただし、答申にもございますように、このような措置を講じても、広域経済性利益の追求が徹底せず、あるいは特定の会社におきます経理内容が悪くなる、これに対して料金の改定を行なえば料金地域差が非常に広がるというような事態が生ずる場合は合併等が問題になる、こういうことを審議会としては答申しておるわけでございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 いま、いろいろ審議会議論されました内容についてお答え願ったのですが、そのことについてお尋ねしてみたいと思いますが、時間の関係であまり深く入れません。  そこで大臣、端的にお伺いいたしますが、大臣もこの単一化が好ましい、こういうお答えでありました。まあ、ただし書きがついておりますが、基本的な考え方としては、率直にお答えがあったわけですが、そう大臣お答えになる背景をなすものは、やはり九分割後における運営矛盾があるのだ——いま局長からもお答えがございましたように、料金の問題の矛盾がありましょうし、あるいは各社が置かれておるいろいろな立地条件、構造的ないろいろな問題、それから需用供給関係、いろいろあると思うのです。まだ、大臣経験者でありますだけに、さらに私どもが全然気づかないような点についての矛盾もあろうかと思うのでございますが、そうしたいろいろな問題点について、大臣は、この単一化が好ましい、こうおっしゃられる考え方、こういう点の矛盾があるのだ、だからこれは単一化されたならばこういう形に改善されていくのだということについての考え方を、ひとつこの際明らかにしていただいて、そうではあるけれども、現段階においてはどうしてもそこまで踏み切るわけにはいかなかった、だがしかし、こういう形においてその穴を、いわゆる欠陥を埋めていくのだという、前向きの形での考え方を、ひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  8. 福田一

    福田(一)国務大臣 私が先ほど申し上げた意味は、何もひっくり返して言う意味ではございませんけれども審議会でいろいろの御意見がありましたが、現段階においてはこういう程度がよかろう、こういうことについては、私もそれでいくよりしかたがない、こういう考え方に立っておるわけであります。本質的に言えば、これは利点の一面だけを言うわけでありますが、それにはまた欠点も出てくるのであります。一社化という場合の利点を言えば、電気の本質からくるものである、こう私は考えております。ただ一社化をいたしました場合にはまた矛盾も出るので、じゃ日本発送電というものがあった場合には、日本発送電文句がなかったかというと、ずいぶん方々から文句が出ておりました。それはまた一種欠点が出てくるわけでありますが、私はどういう形をやる場合でも、私はすべて人の問題、運用の問題というのがかなり大きく影響するだろうと思うわけであります。中村委員が言われる気持ちも、運営をうんと気をつけていかなければならないということについて特に力説をされておると思うのでありますが、私はこの点では全く意見が同じであります。すなわち一社化をした場合には電気のロスをなくす、あるいはまたねだな建設費を使わない、国の金をむだに使わない。そうしていわゆる過当競争弊害をなくすような形にして、有効適切な建設を行ない、有効適切に電力を使用する、こういうことでなければならないということだろうと思うのであります。私はこの面では経営者自身がその気になり、そうしてまたわれわれ監督する者もそのつもりでやっていけば、かなりの実績があげられるものであると私は思っておるのであります。だからこの形で一ぺんやらせていただきたいというのがわれわれの考えでございまして、それをやってみた上でどうしてもうまくいかないということであれば、そこでもう一度考え直していくことにやぶさかではないのであります。そこに利害の問題、いろいろの問題があるわけで、一方においてまた一社化した場合の弊害というような面も、いろいろ勘案もしなければならないことがあるでありましょうが、私としては、この法律によってできるだけいわゆる九分割とか、分割されたことによる弊害というものをなくして、本来の目的であるところのいわゆる国の資産を有効適切に使う、こういう方向へ持っていきたいというのが私の考え方でございます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 私とは一社化、社会化ということを、いま大臣があげられたもろもろ問題点、その他数多くあるわけでありますが、そういう点から主張いたしておるわけであります。そこで大臣が、一社化、社会化された場合の矛盾ということで日発の例をあげられた。確かに官僚運営というような問題点がある。それはひとしく認めている。そういう点は克服していけないことはありませんし、またその方向に進められていくことは可能であると思うのです。それ以外に、この一社化になった場合の矛盾問題点というような点はどういうところにあるのか、この際大臣からそういう点についての考え方をお聞かせ願えれば非常に参考になると思うのであります。
  10. 福田一

    福田(一)国務大臣 これはちょっといまここで簡単にあれこれとあげて申し上げるには、いささか問題が大き過ぎるかと思うのであります。またわれわれが一社化ということを考えておらないのに、ここで意見を言うことが、かえってある意味においていろいろの悪い反響をもたらすおそれもあると私は思っております。しかし、まあものが大きくなる場合には、やはり運営がどうしてもうまく——大男総身に知恵が回りかねといいますか、どうも簡単にものを動かしていくということがやりにくくなる場合が多いのであります。私はいままでいろいろなことを見ておりますと、かなりそういうような面がございました。またあり得ると思うのであります。こういう点は電気の問題とは別にして、私は一般論を申し上げておるのでありますが、かなりそういう面があるわけであります。それから、あなたが先ほど御指摘になったような官僚的な運営が行なわれるおそれがあるということも、非常に大きな弊害一つだと私は思っております。それからもう一つ現実の問題として、きのうも加賀田委員の御質問お答えいたしたのでありますが、実際に料金差というものが現実にあるわけであります。料金の差があって、安いところと高いところがある。これを一社化するときに、どういうふうにして一社化するか。低いところにみんな土盛りをする。低いところにおしなべてやってしまいますと、赤字が出て経営ができなくなるので、国が負担しなければならないという問題が起こります。なかなかそれだけの余裕がないだろう。なぜかといいますと、電気自身物価関係からいって、戦前の物価といまの物価といろいろなものを比較した場合に、電気料金というものはいままでも非常に安い。それをまたその上安くするという形に持っていくことに、非常にむずかしさが出てきます。といって中間をとればまた反対が起きます。いずれにしても、私はこの形でやって、できるだけ料金というものは平準化するような形をとる、これがほとんど一つになったとき、一つ弊害一つ問題点が取り除かれると私は思っておりますが、いまの形で急にやっていくというのはかなり問題があるだろうと思っておるのであります。その他いろいろございますが、これはそういう案を出しているわけじゃないので、九つでやって広域運営をやりましょうという案を出しておるわけでありますから、これはその程度にさしていただきたいと思うのであります。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 私どもは一社化、社会化を主張しておる以上は、やはりその問題に触れていくことが当然でありますけれども大臣がいま言われたように問題が非常に大きいわけです。また、私どもがこの問題に対しまして一社化、社会化利点妥当性というようなことについて申し上げましても、おそらく現在の私どもの勢力でもってしては、一社化、社会化ということが実現をする可能性はありません。時間的な関係がありますので、あらためて社会化の問題は土俵を変えてひとつ議論をしてみたい、こう思います。しかし、いま大臣料金の問題を例におとりになりました。これは私はたいへんな問題だと思います。いま大方意見で一社化、社会化してもらいたいということは、料金の問題に相当ウエートがかかってきていると思うのです。非常に公共性の強い電気料金というものが、九分割された中において高低があるということが正しいかどうか。これは正しくない。ともかくプール計算か何かすることにおいて料金統一性をはかってもらいたい。このことが一番私は世論という形になっておると思う。一社化、社会化を希望している主たる大衆の願いという面も、そういう点にあるんじゃないか。そのことを大臣が、それじゃいまの料金差があるのを、一社化するにおいては問題じゃないか、こうおっしゃってくると、私はこれは電気に対する権威者である大臣お答えとしては問題ではないかと思います。少なくとも料金差をなくするというような最大限の努力をしていかいければならない。一社化にならないにしても、ともかく料金プール計算か何かするということにおいてその差を埋めていく、こういう努力がなされなければならない、こう思うわけです。また私も、運営よろしきを得ることによってそういう矛盾をなくしてもらいたいということを期待をいたしておりますのに、大臣が、どうも料金の問題で一社化は問題があるんだ、こうおっしゃる。九分割というような形のものが、むしろ料金の問題に分割必要性相当ウエートを占めておるという考え方の上に立っておるとされるなら、私ども期待というものは完全に裏切られるということになるわけでありますから、そのことについては供給規程の問題で具体的にお伺いをしたいと思っておりますけれども、せっかく問題が出ましたので、その点についてのお考え方をいま一度お伺いしたい。
  12. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、中村委員と同じ考えでございまして、料金差をできるだけなくするような努力をするということについては何も反対をしておるのではありません。ただ、いますぐに一社化をしようとすると、この問題が非常に隘路になるだろうということは、非常に困難な問題を起こすであろう、私は理屈からいえば、みんなそういうふうに一緒になったほうがいいじゃないかという議論には何も反対をしておりません。ただ現実の問題として、急にそうしろということになりますと、大体日本発送電分割しなければいけないといった一番の理由はそういうところにあったのです。料金のほうはなるほどみんな一緒だけれども、ちっとも合理化とか、いわゆる努力をしない、経営努力というものが足りないじゃないか、経営努力が足りないことは、ひいては国民経済にマイナスをもたらすものである。だから九つ分割して経営努力ということをさせることによって、合理的に日本資産をうまく利用することが必要なのであるというのが実は九分割のときの理論的な理由であったわけであります。しかしそういうふうに、じゃ経営的にみんながうまく利用したかどうかということになりますと、非常にうまくいった面もありますが、先ほど申し上げたように電気運用電気の融通、利用あるいは建設というような面においては、私は必ずしも思ったとおりではなかったろうと思っておる。だからそういう面は直さなければいけない、こういうことを言っておるのでありまして、したがってこの料金格差をできるだけなくしていこうというあなたのお考えに私は賛成でございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な問題でお尋ねをいたします。広域運営の問題ですが、この広域運営というのは今度の改正点の一番柱になる、こう思う。ところが先ほどもちょっと触れたのでありますけれども、この広域運営というのが、大臣も非常にこの点を強調されておるという点からいたしましては、私はあまりにも弱いと思うのです。せっかく広域運営ということをおやりになるならば、いまお話のありました料金の問題にまで入る必要があるんじゃないか。あるいは設備関係につきましては、いろいろ考えておるようではありますけれども、いま考えておられるようなことだけでなしに、矛盾を克服するという形でこの広域運営考えていくべきではなかったか。私は、端的にこの広域運営の問題について申し上げますと、これは電力会社の利潤を確保するためのいわゆる合理化法である、合理化内容であると考えておるわけであります。しかもその合理化がほんとうに合理化されてくるかということになってくると、必ずしもそうではないんじゃないか。ここで卸売りの問題が考えられておるようであります。これは電発は当然でありますが、その他自家用を持っておる、この発電の開始、そういうような点がいろいろと、今度は電気供給を行なうことができるということになる。しかも特殊供給という形によりまして、大資本なんかに対しましては特別の料金でもってこれを供給するというようなことの道も開いておる。いろいろ考えてみますと、むしろ格差が拡大していくというような形が起こってくるんじゃないだろうか。力の強い会社になってまいりますと、それだけやはり手を伸ばしていくことができる、こういうような面が出てまいりましょうし、いろいろ問題点もあるんではないか、こう思います。お答えによりましてお尋ねをしてまいりますが、この広域運営ということについて、いろいろ審議会の中におきましても内容的の議論が行なわれたであろうと思いますので、どういう点がこの広域運営についての長短ということで議論をされたか、さらにまた問題点としてはどういう点が指摘されたのか、審議会の中におきましての議論内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。それから、いま私が申し上げたことが間違いであるのかどうか、その点もあわせてお答え願います。
  14. 宮本惇

    宮本政府委員 御指摘のように、広域運営というのが今度の改正法の一つの大きな柱であるということは、おっしゃるとおりだと思います。ただやはり前提がいいか悪いか別といたしまして、われわれとしては九電力の私企業という立場は認めておるわけでございます。したがいまして広域運営ということも、理論的に徹底をするならば、たとえばある会社が損をしてまでもやるべきだという議論は当然出てまいるわけてございますが、そこはやはりおのずから限界がございます。また、現在一応電力会社が株式会社という形態をとっております以上は、それは経営者としてもできない。ただ、いままでの広域運営運用を見ますと、大体、たとえば融通する場合に、その利益は折半という原則があったわけでございますが、その辺は弾力的な配分をする、さらに、たとえばある会社がどうしてもやらなければならぬ場合に赤になるというような場合には、むしろ電発が出ていくというような形で、決して広域運営が、逆の表現になるかと思いますが、特効薬ではないということは重々承知しております。しかしながら現在よりはかなり、一歩というか数歩というか、たとえばある会社が非常に経理が苦しいという場合に、ブロック的の見地からいいますと、隣の多少裕福な会社がかわりに発電所を建設してやろうというようなことによって、いままでよりは数歩前進じゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 審議会の中において、この問題について議論をされた内容を伺いたい。
  16. 宮本惇

    宮本政府委員 私がいま申し上げましたようなことが結論でございまして、確かに広域運営というものを徹底すれば、理屈からいえば当然一社化という方向へ向かうわけでございますが、その点は率直に認められたわけでございます。しかし、同時に私企業性、もちろん株式会社である以上、損までさせるわけにはまいらぬだろうというようなことで、私が申し上げましたようなことがいろいろ議論されました結果、私の申し上げたような結論になったわけでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 率直なお答えでありましたので、あまり追及できないわけでありますが、広域運営によって総合的かつ合理的な発展に寄与させる、こういうことでございますけれども、いま特効薬ではないということをお答えになりましたように、私企業ベースで広域運営をやりましても、期待というものはほとんど持てないんじゃないか、なぜもっと料金計算というところまで突っ込んでいけなかったのか、あるいは一社化の方向でなくても、もっと矛盾を克服するという形がもう少し考えられたんではないか、広域運営をやることについて、私は先ほど触れたのでございますけれども矛盾がさらにいろいろ深まってくるというような形も反面出てくるんじゃないか、こう思うわけです。そうなってくると、矛盾解消でなくて矛盾拡大のマイナスの面と、採算がとれないような送電設備をやめていくというような形におきましては効率的な運営ができるという長所は、それなりに私は認めるわけですけれども、プラス、マイナスという点から持ってくると、相当問題があるんじゃないか。しかもまた今度の改正に対しまして、矛盾をなくするという形で広域運営というものを大きな柱として打ち立てられた以上は、もう少し抜本的な形がこの中で考えられるべきではなかったか、こう思うのです。そういう点について、ひとつ率直にお答えを願いたいと思います。  それから、具体的に運営をするということになりますと、この法文に書いておりますような抽象的なことでなくて、具体的ないろいろな計画というものもこの点についてあろうかと思いますので、その点に対しての考え方もあわせて明らかにしていただきたい。
  18. 宮本惇

    宮本政府委員 結局先生の御指摘の点は、経理格差なり企業格差というものが将来ますます広がっていくではないかという観点からの御議論だと思います。ただ、われわれのほうといたしましては、この広域運営に入ります前に、確かに九つに分かれて、ある程度自由競争と申しますか、競争の結果は優勝劣敗が出るというのは当然でありまして、その結果悪いところというものは出るわけでございますが、これはいいことではないということで、三十三年から広域運営をやっているわけでございます。ただ将来の各電力会社の経理格差、あるいはその他が広がるかどうかという点につきましては、これは大臣からたびたびお話がございますように、いままで開いております格差というのは、主として御承知のように電源配分あるいは需用構成その他からまいりますが、主としていえば水力を中心といたしておりましたところが、需用が非常にふえたために火力を建設するという形で、いままで料金が非常に安く押えられておった、そこへ急激な電源開発、しかもこれは火力ということで、いわゆる資本費が非常に上がってきたというところに問題があるわけでございます。したがいまして、これはいつごろそうなるのかは別といたしまして、将来は、中村先生御承知のように、日本発電の中心が火力に移ってくるということになりますれば、当然建設費その他はおのずから平準化の方向へはいくわけでございます。そういう意味で、この審議会答申もそうでございますが、将来はいわゆる発電コストというようなものの差が縮まる。もちろん、御承知のように料金の値上げは、これは公益事業令のときからのたてまえでございますが、公益事業である以上は必要以上にもうけてはいけないかわりに、また経営が苦しくなれば料金は、むしろたてまえとしては、申請があれば通産大臣は認可しなければならないということになっているわけでございます。ただ、実際問題として、値上げするということは非常にむずかしいことでございますので、なるべく押えているというのが現状でございます。したがいまして、広域運営のような場合に、ある程度苦しい会社発電所の建設をとにかく先へ延ばすことはできる、あるいは建設しなくて済むということによって、少なくとも苦しくなるのをある程度食いとめる。いずれかの日には、あまりにもアンバランスになれば、やはり場合によっては値上げということも考えなければならぬという事態は、法律と申しますか、いままでの運営からいけばそういうことになるわけで、そういう意味からいきますと、企業格差あるいは料金格差というのも、方向としては平準化の方向にいくのじゃなかろうか、こういう前提に立っておりますので、したがいまして、広域運営もそういった点をさらに合理化を進めることによって、先生の御期待の平準化の方向に向かうのではないかということをわれわれは期待している、こういうわけでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 大臣があまり時間がないようでございますから、大臣にお尋ねをしたい点を先に御質問いたしますが、電気事業審議会の点でございます。私どももいろいろこの点に対しましても検討いたしておりますが、せっかく前向きの審議会をおつくりになる、こういうのに対して、どうして附則のところに持ってきて、通産省設置法という形でこの審議会をお考えになったのか。先ほど来大臣から、電気事業の好ましい方向ということに対しましてはいろいろ御意見が出ました。その期待する方向へ進めていかなければならぬということも積極的なお答えもあったわけであります。そういうことを大臣期待しておられるならば、この矛盾を克服するという面からも、この審議会というようなものは当然本文の中に入れて、しかも審議会相当な権限を与え、進んでは大臣に対していろいろ建設的な建言もする道も開いていく、そういうようなことを考えられるべきではなかったか、こう思うのです。与野党の中におきましても、このことに対しましてはいろいろと議論をいたして、ある時点に達しているというような形でありますので、大臣がこの法案提案をしておりまするから、大臣質問をしないまま修正といったようなことも実は適当ではないので、私がただいま申し上げたことは、与野党の間でこういう点は改むべきじゃないかというような形において一応意見は一致しているので申し上げてみるわけであります。そういうことでありますが、大臣のこの点に対するお考え方をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  20. 福田一

    福田(一)国務大臣 この問題は立法技術上の問題でございまして、本質の問題として私たちは本法の中へ入れたのか、あるいは附則の中へ入れたのかという問題でございますが、私たちは、本質としては実はあなたと同じ考え方でございまして、何ら異議があるわけではございません。立法技術上この種の例は間々あることでございましたので、そこまで思いをいたさなかったということでございまして、もし、本文に入れたほうがよろしい、そのほうが明らかになるではないかという御意見であれば、われわれはこれに賛成をいたすつもりでございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 次に、総合エネルギーの問題についてお尋ねをいたします。まだもう少し大臣に時間があるようでございますので……。  石炭と石油、あるいは原子エネルギー、このエネルギーの需要が非常に拡大をしていくという中におきまして、この各エネルギーというものがばらばらの形であるということは好ましくないのじゃないか。大臣もこの前同僚大村君の質問に対してお答えになっております、そうした総合エネルギーの調査というような形のものは実はあるのだがと、こういうことでございましたが、産業政策の全体の中におきましてエネルギー問題を研究する機関というようなものがあります。しかしながらこれはきわめて権威のない機関になっております。これではやはりいけないのではないか、やはりエネルギーの需要が拡大をしていくということにおきましては、そういう需要供給関係をきわめてなめらかにしていく、さらにまた国内エネルギーというものの位置づけをどこへ置くべきかということ等につきましても、十分権威のある機関をつくって、その中においてエネルギー問題に対処するということが好ましいのではないか、こう考えるわけであります。大村君の質問に対しましては、大臣も、これは検討に値するというような御答弁があったわけでありますが、さらにこの際大臣の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  22. 福田一

    福田(一)国務大臣 これはお説のように、電気事業というものは基礎産業のうちのまた根幹をなしておるものであると考えております。したがって、産業経済を論ずるにあたってエネルギーの問題はまず第一番に取り上げられなければならない問題でございます。われわれ通商産業省におきましても、産業合理化審議会の中でこういう問題は取り上げてきておるのでありまして、エネルギー部会というものができてやっておりますが、これは特にそういう意味で非常に重要なものであるから、別途考慮して研究したがいいではないかというお考えかと存ずるのでありますが、それは大村委員お答えを申し上げましたとおり、私たちとしては、皆さま方がそういう御意思でお考えになることについては検討するにやぶさかでございません。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 このエネルギーの中における国内の資源ということになってまいりますと、石炭ということになるわけであります。原油、石油にいたしましても、準国産という形に実は拡大されつつあるわけですが、この国内エネルギーの位置づけというものを大臣はどうお考えになっておられるのであろうか。御承知のとおりに、石炭政策転換の闘争というのが、炭労の諸君を中心にしてきわめて活発な運動が展開された。その際においてエネルギーの安全性、さらには労働の集約性、国際収支という面から、有沢調査団というものが編成されて抜本的な検討が加えられたということは御記憶のとおりであります。ところがどうも最近の情勢をながめてみますと、あの調査団の答申にこたえるにはあまりにもほど遠いという形が実はある、これは好ましい方向ではないのではないか、こういうように実は考えるわけであります。これらの点に対しましては、なお深くは石炭対策特別委員会等におきましていろいろ大臣の御見解も伺ってみたい、こう思っております。石炭対策特別委員会におきましても、いろいろといまこの問題に対しては再度政府一緒になって相当突っ込んだ検討をする必要があるというようなことで取り組んでおりますので、深くはここではお尋ねをいたしませんが、この法案審議との関連もございますので、一応大臣の国産エネルギーの位置づけということに対しての考え方はどういうものであるか、まずその点を明らかにしていただきたいと思います。
  24. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のとおり、国内のエネルギー源ということであれば、水力発電と石炭というものがほとんど二本の柱でございます。これはもう非常に重要でございまして、水力開発は三千六百万キロワットと言われておるうちで、その半分は実現いたしておりますので、残りまだ半分があるとは言い条、これは相当高価なものにつくところばかりが残っておるような現状でございます。しかし高価であっても、これはピーク時の使用という意味からいけば、今後もある程度開発をしていかなければならないということは先般も申し上げたところでございますが、右炭の問題になりますと、お説のとおりこれは日本が持っておるところの一つの大きなエネルギー源でもあり、またこれを使うことによって外貨の節約ができ、また同時に、これが明治以来長い間にわたって日本産業の支柱をなしてきておったという事情から、これが持っておる地域的な特殊性、労働問題に対する一つの大きなウエートというようなものを無視してこの石炭問題を論ずるわけにはいかない、こう考えておるのでございまして、したがって有沢調査団の答申で年間五千五百万トンは少なくとも確保しなければならないというその考え方、その方針にはわれわれは全面的に賛意を表し、これに向かって努力をいたしておるのであります。でありますから、数字からいえば五千五百万トンを確保する努力をしなければならないのでありますが、現実はどうかというと、昨年が五千三百万トン、ことしは五千二百万トンというようにいささか出炭量が減っておる、原因は何か、結局労働力の問題がかなりあったと思います。昨年の場合は需要の関係があったと思うのでありますが、ことしはむしろ減ったのは労働力の問題が大きかったと思うのであります。こういう問題を克服するために、われわれとしても今後も努力いたしていかなければならないと私は思っておるのでございまして、少なくとも、先ほど中村委員があげられたような三点の意味からいっても、五千五百万トンを確保する努力というものは今後もわれわれとしては努力をしていき、そうしてもしいい方法があれば、もっとそれ以上にこの石炭というものを利用することも考慮いたさなければならないというのが、われわれの基本的な考え方でございます。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 関連しますのでお尋ねいたしますが、エネルギーの需要供給の計画、これは四十七年度までの計画でけっこうでございますから、明らかにしていただきたいと思います。それから比率もあわせてお伺いいたします。
  26. 宮本惇

    宮本政府委員 総エネルギー需要の観点から申しますと、石炭換算で昭和三十七年度が一億八千八百万トン、四十二年度が一億九千九百万トン、四十七年度は四億二千六百万トンというふうに増大してきております。これは企画庁が計算をいたしたものでございますが、この間に、つまり総エネルギー需要の中で電力がどの程度を占めるか、その電力の占める比率をちょっと御参考までに申し上げますと、三十七年度が三八・九%、四十二年度は四二・四%、昭和四十七年度は四七%、このくらいになると思います。なお、総エネルギー需要の中で輸入分と国産分は、四十七年度におきますと、総エネルギーの中で輸入エネルギーが占めます比率は七〇%に達するのではないかと思います。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 四十二年はパーセンテージはどうなりますか。
  28. 宮本惇

    宮本政府委員 ちょっと四十二年の数字が手元にございませんが、三十七年度が先ほど申しました一億八千八百万トンのうちの四八・五%でございます。ですから、これは至急に調べますが、おそらく四十二年度で五割はもう完全にこすのではないかと思われますが、後ほど正式に調べてお答えいたします。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 大臣に伺いますが、お聞きのとおり、現在五〇%ということですね。四十七年度にいきますと七〇%は輸入エネルギーだ、こういうことであります。先ほど私が指摘をいたしました、大臣もまた同感されましたこのエネルギーの安全性の問題、それから労働問題、さらに国際収支、こういう問題を考えてみますと、大臣は、石炭の場合におきましては五千五百万トンを確保しなければならないのだ、好ましいこととしてはそれ以上であるならばなおけっこうである、こういうことであったわけです。ところが、数字は大臣お聞きのとおりの数字になっている。そこで、現象的には、大臣お答えになりましたように、石炭の問題は労働者の問題であるということになっておる。私は、基本的には国産エネルギーの優位性を確保するという点についての政府努力というものが不足をしておるのではなかろうか、こう考えるわけであります。純国産原油の問題にいたしましても、石炭問題にいたしましても、単なる労働問題という形において石炭の有沢答申による五千五百万トンが確保できないのだ、むしろそれを下回っておるというようなことでなくて、労働者も、石炭産業の将来性というものを考えるならば、また保安の完全というものが行なわれるならば、石炭産業に魅力を感じて、良質の労働者が石炭産業のほうへ集まってくるでありましょう。ところが現実は逆の方向に進んでおるというところに問題があると私は思う。そういう点に対して、大臣は、基本的な考え方として、国産エネルギーの優位性を確保するための努力というものが必要になってくるのではないか。大臣はその点に対してのもっと積極的な考え方を当然お持ちにならなければならないと私は思うのでありますが、その点に対する考え方を聞かしていただきたいと思います。
  30. 福田一

    福田(一)国務大臣 われわれは、国産エネルギーをもっと有効適切に利用する必要があるのではないかという御意見には賛成でございます。そして、たとえば石炭会社にいたしましても、できるだけもっと合理的に石炭を採掘することによっていわゆる経済性を確保したいという努力をいたしております。一方、われわれとしましては、石炭というものは、できるならばいわゆるエネルギーでなくて、あるいは原料として使えないかというような意味における研究もいたさせております。また石炭の輸送方法その他の面で、もう少し合理化ができないかということもいろいろ努力をいたしております。同時にまた、世界のいわゆる石炭事業に対する態度、あるいは事業経営のやり方、あるいはまた採掘の方法、技術等々につきましても常に注意を怠らないで、そうしてこれを取り入れるように努力をいたしておるのでありまして、今般もただいまこの石炭の問題を研究するために通産省から相当有力な調査団を海外へ出しております。これは経費とかいろいろの面で、全部が全部通産省がやっておるとは言いませんけれども、とにかくそういうことに対しても賛意を表しつつ努力をいたしておるということをお認めを願えると思うのでありまして、今後もあなたのお話のような趣旨で努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 努力をしておる、確かに私は現象的に見ると、努力をしていない、こうは申しません。しかし、努力というものは、努力をしておる形だけが目に見えても、その実績があがらなければ努力の効果というものは私はないと思う。それは努力をしてこれが成功できなかったのだということによって、せっかく三つの問題を大臣はお認めになりましたが、その三つの問題が逆の方向に向かってくるということになるならば、これはたいへんな問題だと私は思う。ですから、努力をしておるということは、三つの問題というものが実現をするために努力をしているのだ、ならば一歩一歩そういう努力目標に近づいていくという形でなければならない。それが逆であるということについては、大臣努力をしているのだ、だから認めろ、こうおっしゃっても、いささかそれは無理ではないか。責任ある政府としてはそれは無理なことを認めろとおっしゃる、こう私は思います。ですから、有沢答申がそのとおりに実現をされないという理由はどこにあるか。しかも、五千五百万トンのいまの問題も、できればそれ以上が好ましいと大臣が言われる以上は、それなら好ましい方向に進むためにどのような努力をしておられるか。そういう点をこの際明らかにされなければ、私どもにそれを認めろとおっしゃっても、簡単に認めるわけにはまいりません。ですから、そこらあたりもう少し大臣考え方をはっきりさしてもらいたい。
  32. 福田一

    福田(一)国務大臣 どうもこれはちょっと、努力をして、努力の結果があらわれなければ、努力というものを認めるわけにはいかぬということになりますと、なかなかむずかしい問題があると思いますが、現実の問題として、あなたのおっしゃるのは、たとえば五千五百万トン確保するといっておるのに、五千五百万トン出てないじゃないか、そこら辺がおかしいということであれは、私は一つのりっぱな——りっぱというのは失礼ですが、一つの御意見であると思うのであります。そこで、先ほども申し上げたところでありますが、実は石炭にいたしましても油にいたしましてもそうでありますが、いわゆる統制国家とは違います、いわゆる共産圏関係の独裁国家とは違いまして、資本主義経済といいますか、自由主義経済の姿でやっておる場合においては、必ずそこに経済性という問題が出てくるわけであります。石炭が安くて量がよけい出るということであれば、これはもう言わずと知れたこと、みなそのほうに向いていくのでありますが、安く出すということはなかなかむずかしい。それならば、それに対して国から補助金を出したらいいじゃないか、補助金を出してやるという姿は、われわれとしては好ましいことではないのでありまして、そこに合理性を持ちながら事業経営をやってもらう、しかも、安いものが出る、こういうことでなければならぬ。ところが現実の問題といたしましては、石炭はいま非常に苦しいときになりましたので、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドのその姿を実現するために、われわれとしては相当、ほかの事業にはなさない、ある種の補助金的なものを出しておることは、これはあなたもお認め願っておることだと思う。かなり努力はしておる。努力はしておるが、まだ努力が足りなくてそれが実現しておらない。だからこれは政府がいけないという御趣旨でありますれば、われわれもまだそこまで十分手が回っておらないということは事実であります。しかし、これはなかなかまたむずかしいことで、幾ら努力をしてそっちへ持っていきたいといっても、いま言ったような経済性とか、人の意思というものを無視するわけにはいきません。たとえば石炭山で働くよりおれはよそで働きたいのだということを、統制経済であれば、おまえはそこで働いてくれ、こう言えますけれども、そうはいきません。私はやめたいというのを、やめちゃいかぬとは言えないわけです。経営者の方でやめさせるということであれば、これは問題ですけれども、労務者自身が自分の自由意思で、かなりいまやめておるということが最近の実情であります。そういう場合におきまして、私は、労務者が確保できないという点に今日の大きな問題があって、これを何とか解決をしていかなければならない。それには、たとえば山がもっともうかるようにする、もうかるようにするということは、石炭の値段を上げれば一番いいのでありますが、これはなかなかそう簡単にはいきません。そこでやはりある程度生産性を上げるということにしなければいけない。生産性を上げるということになりますと、これは半年や一年ですぐにそこへは行きません。だんだん上げていくより方法はないわけであります。その生産性を上げるについては、国家の金もできるだけ回すようにしてやります。幾ら金だけがあったからといっても、すぐに施設ができるわけでもない、というようないろいろなことがございます。それからまたもう一つは、これは言いわけになりますけれども相当人がやめていきますと、どうしても配置転換をいたさなければなりません。先山をやっておる人がやめれば、坑外におった人をだんだんそっちに回していく、あるいはまた保安の関係をやっていた人をそっちに回すとか、いろいろの仕事の転換をやらなければならぬ。その仕事の転換をやりました場合に、そのためにまた一時的に能率が落ちることも事実でございまして、いろいろな問題があるのでありますが、これらのことは順次われわれとしてもその内容を突きとめまして、そうしてできるだけわれわれが目途としております五千五百万トン確保ということに向かってさらに努力を続け、また、もしできることならばそれ以上に、国内資源でございますから、これをうまく使えるように一そう努力いたしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 大臣お答えを聞いておると、どうもへ理屈というのか、それから統制経済のことで人間を金縛りにするかのような、たいへん間違った考え方を持っておられる。計画経済というようなものは、この場で議論をいたしますとたいへんな時間がかかりますからやめますが、私は人間の基本的人権、自由を束縛する、そういうふうに大臣がお考えになっているとするとたいへんだと思う。私が先ほど、努力目標というものは達成されない、いかに大臣がやっておるといっても、成果があがらなければその努力は認められないじゃないかと言ったのは、逆の結果を生んでおるというのです。五千五百万トンが五千四百万トンになり、五千三百万トンになった、このことはどうすることもできない。努力したのだけれどもそうなったのだと大臣はおっしゃる。特に合理化についてはやっているのだ、相当金もつけておるのだと言われる。しかし、そのやり方が正しかったか正しくなかったかということまで大臣はお考えにならなければいかぬ。何のために炭鉱の労働者が炭鉱をうしろにして山を去っていくのか、大臣が大いに金をつけてやっているという、その合理化のやり方に間違いがあったということも私は否定できないと思う。これもいろいろと議論が分かれるところでありましょうが、炭鉱の労働者が石炭産業というものに対する魅力を失ったということが最大の理由でございます。それから生産第一主義、人命の尊重ということに思いをいたさない、人は減ったのに炭鉱の事故は続発をしておる、身の危険をおかしてまで将来性もない炭鉱に働くということはこれはよろくない、好ましくないと思うから、労働者は山を去っていくのではありませんか。私が、努力の成果があがっておらぬ、大臣はやっておるというけれども、それは認められないのだ、成果というものはあがらなければならない、こう言っておるのは、逆の結果が出ないような形がそこへあらわれてこなければならないのだ、こう私は申し上げておる。計画のとおりいかないということは失敗ではありませんか。それは施策のよろしきを得なかったからではありませんか。そのことをお認めにならないわけにはいかないと私は思います。私は押しつけるのではなくて、申し上げておることは当然であると思うわけであります。ですけれども、こういう議論をあまりいたしておりますと、大臣とお約束いたしました時間がたちますから、あらためてまた別の土俵で議論をいたすことにいたしますが、私がいま申し上げたことに間違いがあれば、ひとつお答えを願いたいと思います。
  34. 福田一

    福田(一)国務大臣 これはなかなかむずかしい。われわれのほうから言えば、申し上げても、言いわけだということになりますので、これはどうも困ってしまうのですけれども、予算も幾らでもつけたらいいじゃないかといっても、それはしかし石炭につける予算の限度というものは、ほかのものとの比較勘案というようなものもありまして、そういうこと全体から言っても、お前らがやっているのは間違っているんだ、こういう議論が出てくるだろう。これはひとつ別の場所でやらしていただいたほうがいいのじゃないかと考えます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 それでは大臣は時間でございますから、局長にお伺いします。  具体的な問題でお尋ねいたします。この卸売り電気事業者、それから自家発電の保有者、こういう人たちが特定の使用者に対して電気供給することを認めておるようであります。このことについて、その許可の方針というか内容、それらに対して、この条文を読んだだけではつまびらかでありませんので、お答えを願いたい。
  36. 宮本惇

    宮本政府委員 御承知のように特定供給という場合は非常に限定的に認めるという形でございますが、この法律案の第二十四条の二項に一応きわめて抽象的な規定がございます。「その一般電気事業の的確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」それから「その供給が他の一般電気事業者の供給区域における需要に応じ行なわれるものであるときは、当該他の一般電気事業者がその供給を行なうことが容易かつ適切でないこと。」そういうことになっております。これは御承知のように、たとえば中部電力と東京電力の境に往々にしてそういう場合があるわけでございますが、この供給区域の境界辺におきまして、中部電力の区域内ではございますが、たまたますぐそばまで東電の電線がいっておる。したがって中部電力がそこへ電気を送るためにはいろいろ電柱か何か建てていかなければならぬという場合に、こっちからやったほうが早いじゃないか、そういうような場合が一番多いと思います……。  私、ちょっと間違えまして、いま先生の御指摘は十七条のほうの御質問かと思いますが、そうでございますか。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 その十七条もお尋ねしていきますけれども、いまは許可の問題ですね。第十七条を中心にしてお尋ねをしたのですが、あわせてお答え願いたいのは、従来と異なった点、それから自家発電者の供給活動の及ぶ範囲ですね、いまお答えになった点と関連して……。
  38. 宮本惇

    宮本政府委員 ちょっと御質問の点をもう一ぺんおっしゃっていただきたいと思います。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 これは卸売り電気事業者が電力供給することになりますね。それから自家発電の保有者もそのとおり。これが特定使用者に対して電気供給することになるわけですね。これは無制限に認めるということになってくると、たいへんな混乱というのも起こってくるのではないか。したがってこの自家発電電気保有者の供給活動というものにはある種の制限というものもあるのじゃないか、こう思います。これらの供給内容によっては、先ほど私が申し上げたいろいろな矛盾というものをさらに拡大をするという形も出てくるわけであるので、これは非常に重要な問題点ではないかと思います。ですから、この条文を読んだだけではどうもそういう内容がつまびらかになりませんので、お答え願いたいと思っておるわけです。
  40. 宮本惇

    宮本政府委員 御承知のようにこの電気事業法におきましては、卸売り電気事業者、それから一般電気事業者というふうに分かれておるわけであります。一般電気事業者というのが御承知のように一般の需用にこたえてやる、いわゆる小売りをするという形をとっておりまして、それ以外のものは大体卸売りということになるわけであります。したがいまして卸の電気事業者が、自家発電も含むわけでございますが、一般電気事業者に卸す場合の許可の基準と申しますか、これはやはり結局は……。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 第四条、五条の関係です。第五条、許可の基準の問題に関連した点でお答え願います。
  42. 宮本惇

    宮本政府委員 したがいまして、いま私が申し上げておるのは第十七条の卸売り……。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 いいです。そういうものも含めて、一つ一つの条文ではありませんから、問題点についてお答えを願います。
  44. 宮本惇

    宮本政府委員 確かにそういう場合には、当然値段とか供給区域、供給地点とかいろいろな問題がございますので、原則といたしましてはその地点ごと、相手方ごとに通産大臣が一々許可をする、これはやはり全体の一般電気事業者の事業運営に支障のないという見地でやるわけでございます。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 自家発電者の保有している電気供給するというこの制度は、これは現在の九電力による独占供給体制というものが確立をしておるわけですから、これを修正するという形になりますか。
  46. 宮本惇

    宮本政府委員 今度の法律におきましては、御承知のように法的独占という形は一応やめております。実際問題として、設備の重複がないという点で許可の基準にいたしておりますが、したがいまして、従来でもいわゆる自家発その他、いわゆる電力会社以外の卸売り電気事業者というものはたくさんあったわけであります。今度の場合、前の法律とどう違うかと申し上げますと、いままではそういういわゆるたくさんの卸売り事業者あるいは自家発なんかにする場合に、確かに九電力の秩序を乱すというようなことで、多少過去においてはシビアーな扱いをしておった例もございますが、今後はそれが経済ベースに十分乗っておる、また、むしろそういう自家発その他が電力会社電気を送ったほうがいいというような場合もございますので、いままでよりは多少ゆるやかに認めていきたい。もちろん適正なものに限りますが、決して偏見を持って、あくまでも九電力会社のために押えるというようなことはいたさないつもりであります。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 これから先の方針ですね、この九つ電力会社の、何というか電力設備、送電設備、発電設備というものは、実際の伸びから比較いたしますと、むしろ自家発電の伸びのほうが上回ってきつつある、こういうことではありませんか。要するに九つ電力会社発電能力、それから発電の比率、それから自家発電の保有する比率、それは大体どういうことになっておりますか、伸び率は。
  48. 宮本惇

    宮本政府委員 データは後ほどお答えいたしますが、要するに自家発電をやるかやらないかということは、自家発電をやったほうが電力会社から買うよりも安いという場合には、当然自家発電が起きてくるわけでございます。したがいまして、それはむしろ経済性に準拠するという形で、安いものまで無理やりにわれわれが押えるというようなつもりは毛頭ありません。その比率でございますが、ちょっと、いま調べておりますから、すぐお答え申し上げます。——おくれて申しわけございませんが、一応手元にございます資料によりますと、たとえば事業用の電力量が、昭和三十七年度におきまして千二百四十億キロワットアワー、自家用は百六十三億キロワットアワーでございますので、一割二、三分ということでございます。   〔委員長退席、始関委員長代理着   席〕  それから将来の計画といたしましては、大体三十八年度から四十三年度までの電気事業用の設備の伸びが一〇・七%ということでございますが、自家用の伸びは七・七%ということで、先ほど申し上げましたように、将来の経済性の問題というものにもからみまして、もし将来電力会社発電コストが下がってきて買ったほうが安いということになるならば、自家発はおのずから経済的には採算が合わないということになりますれば、当然電力会社から電力を買うわけでございますので、現在までの調べでは、自家用の伸びはむしろ一般の事業用の伸びよりも低い、こういうことでございます。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど私が申し上げたのは、少しことばが足りなかったと思います。販売の伸び率をお尋ねしたわけですね。私の持っておる資料によりますと、昭和三十八年度は、自家発電が二二・七%に対して電力会社の伸び率は八・四%、それから三十七年度は、自家発電の伸び率が一〇・一%に対して電力会社では一・九%、こういう数字が出ておるのですが、私の持っておる資料が間違いですか。そうすると一般電力事業者以外の供給というものと関連をしてまいりますから、こういう自家発電というものに対しては、将来ともこれは販売、特定のものに対する供給ということも出てまいります。これを奨励する方向に実は進んでいこうと考えておるのであろうかという点をまずお尋ねしてみたいと思うし、それから、それが安ければ自家発電の保有のものを買うのだと、こうおっしゃる。これは九分割矛盾というものがこういうところに出てきたというふうにもとれるので、この後はこういう点に対してどう対処していこうとしておられるのですか。いろいろ料金の問題とも関連をしてまいります、大口電力に対するところの特定供給という問題もあとでお尋ねをいたしますが、関連してまいりますので、それらの点に対する一つの方針というものをこの際聞かしていただきたい、こう思います。
  50. 宮本惇

    宮本政府委員 結局この十七条の方針ということになると思いますが、御承知のように、原則的に申し上げますと、供給区域内におきます電気需用につきましては、一般電気事業者にその供給の義務を課しておる。したがいまして一般電気事業者といたしましては、需用の性格を問わないで、供給区域内におきます需用を充足するための設備を充足しなければならないということが原則でございます。したがいまして、一般の電気事業者以外の人が供給区域内において特定の供給を行なうということになりますと、あまりこれが野放しということになりますれば、これはまた一般電気事業者の事業に影響を与えるということは、概括的には申し上げられるわけでございます。したがいまして、特定供給というものも一応そういう秩序を乱すと申しますか、そういうものを乱さない範囲ということになるわけでございますが、しかしながら他面におきまして、実際問題として先ほど申し上げましたような例、あるいはまた自家発なんかでも、特に自分の構内の需用者に直接送ったほうが便利であるという場合もございますので、これはその辺の両方の利益を調整いたしまして認めていきたい、抽象的に申し上げますとそういうことになるので、実際の許可にあたりましては個々のケースで十分検討してまいりたい、こう考える次第であります。したがまして、われわれの立場からいいますと、自家発から特定供給してもらったほうがいいという需用者のことを十分考えてやるつもりではおるわけでございます。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 そういう自家発電が特定のものに対して供給をしてくるという形になってまいります。現在の販売の伸び率も相当伸びておるということになってくると、将来料金がずっと安くなってくるという形であると、それは好ましいことだと思うわけです。ところが反面、また電力会社が自己の権益を守るという立場から、それに対する反対というようなものも起こってくる可能性もなきにしもあらずでありましょう。それを認める場合は、自己の能力というものの限界の中で、これ以上自分は設備ができないというようなときに、はじめてこれに対し反対しない、賛成をするというような形が出てくるのではないか、こう思います。ですから、そういうことに対しては、その電力会社の意向ということよりも、電気事業に対する一つの方針というものを通産省自体、あなたのほう自体が打ち立てる。そして、今度審議会なんかの権威あるものができますと、そういう審議会等の意見を十分徴し、あるいは審議会みずから進んでそういう問題についても建議をする。そして、よりなめらかな運営をしていくということが好ましいのではないか。今度できます審議会というものに対しましては、そういうこと等も期待をしておられるということで了解をしてよろしいですか。そこらあたりの点を明らかにしていただきたい。
  52. 宮本惇

    宮本政府委員 運営の精神と申しますか、まさに御指摘の線に沿ってやるつもりでおるわけでございます。と申しますのは、往々にして過去におきましては、電力会社の、つまり自分の縄張りにそういうものが入るのはいかぬというようなこともあったようでございますが、現在では、少なくともわれわれのほうといたしましては、むしろお使いになる側がいいか悪いかという点も十分考えてやっていきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 特定の供給ということになってまいりますと、電力会社に売るという場合は問題がないわけでございますが、今度は特定供給ということになると競争状態になるわけです。そういう特定の供給というようなものをどうお考えになっているのであるか。今度は一般電気事事者が他の一般事業者の管轄範囲まで入って、系列企業の場合は電気を売ることができる、供給することができる、こういう道も開いている、こう思うわけですが、そこらあたりについてもう少し詳しく、一般電気事業者の販売、いわゆる供給の問題、それから自家発電の特定のものに対する供給、この特定供給というものは、どういう条件で、どういう範囲でこれをやるという形になるのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  54. 宮本惇

    宮本政府委員 現在一般電気事業者というものが一般の多数の需用者に、先ほど申し上げましたように供給義務を課せられておるわけでございますので、おのずから、どういう需用があっても、その需用に応じるという体制をとらなければいけないわけでございます。したがいまして、たとえば送電線がずっとあるというところへ、似たようなところへまた別の送電線を敷くというような設備の重複が起きるかどうか、あまり起きる場合には調整しなければいかぬと思いますが、たまたま行っていないという場合には当然特定供給が認められる。もちろんその間に電気事業者との話し合いも十分に行なわれまして許可になると思いますが、その場合に、先ほど申し上げましたような精神で十分やっていきたい。個々の場合になりますとちょっと具体例はございませんが、そういった点も今後は十分考慮いたしたい、かように考えておるわけであります。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 せっかくこういう制度をおつくりになったという場合、先ほど私は運営よろしきを得ることによって矛盾を埋めてもらいたいということを申し上げたのは、こういうことなんです。九つ電力会社の利便というものからこういう問題を動かしていくということでなしに、政府一つ電力政策、低料金でもって電力供給する、それから必要な面に対して電力をなめらかに供給していく、そういう政策の上に立って運営をしてもらわなければならぬと私は思うわけです。そうすることにおいて、いろいろな矛盾というものが少しでも埋められていくのではないか、こう思うわけです。いまのお話で大体足りるわけでありますけれども、いま一つこの問題に対しては、重要な問題でありますから、その方針を明らかにしていただきたい。
  56. 宮本惇

    宮本政府委員 実は今度の電気事業法の柱は、先ほど申し上げましたように、ここも一つの柱でございますが、そのほかに消費者の利益保護と申しますか、そういったことが実は大きな柱でございます。したがいまして、先般来いろいろお話のございますように、公益事業でございますので、その点はいままで以上に、少なくとも消費者保護と申しますか、お使いになる方々の利便というものを十分に考えてやってまいりたいということは、ここではっきり申し上げたいと思います。また今後その気持でやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 供給規程の問題についてまだいろいろお尋ねしたいのですが、あとに回しまして、この供給条件についてですが、「供給規程により難い特別の事情」というのがあるわけです。産業電力の個別契約という構想が背景になっておると思うのですが、ここで問題の、大口供給に対する低料金、小口に対する高料金、電灯に対する非常な高料金という問題があるわけです。先ほど私は大臣にもお尋ねもし御指摘もいたしましたが、ともかく料金の問題を何とか格差のないものにしてもらいたい。大口の電力料金は非常に安いけれども、中小企業には高い電気供給するんじゃないか、また、電灯料金というものは非常に高くなるんじゃないか、これを改めてほしいということ。ところが、この法案の中には、これは私が勉強不足かもしれませんけれども、そういう面が積極的に矛盾を埋める形になっていないというように考えられる。この運営がまずければ、この供給条件とか供給規程ということによって、むしろ逆に大企業に対する産業電力のいわゆる個別契約という形に発展をしていきまして、そこで料金も、こういうところには格段の低料金という形になる可能性があるのではないか、こう思いますが、そういう点に対しての考え方を明らかにしていただきたい。
  58. 宮本惇

    宮本政府委員 料金問題の本質の問題になる点を御指摘いただいたと思うのでございますが、実は料金の算定につきましては、往々にして大口電力が非常に安い、あるいは一般消費者が高いというふうによくいわれるのでございますが、先般お手元にお配りいたしました、電気料金の算定方式という資料にも詳しく書いてございますが、簡単に申し上げますと、いままでの大口電力が非常に安いという点は、一つはその使い方、つまりピーク時の使い方とか、あるいはまた設備費が、つまり工場のすぐそばに発電所があるというようなことで、個別原価計算の場合には、それぞれの費用に応じて個別原価を配分しておる。詳しいことは、この間お手元に差し上げましたのでございますが、電気料金の算定方式ということで、われわれは決して政策的に、大口電力には安くし、家庭用電灯とか小口を高くしているということはいたしておらないわけでございます。また、そういうところに政策意図が入りますと収拾がつかなくなるという意味におきまして、一応電気料金の算定に関しましては、省令による電気料金の算定基準という、ここに書いてございます原則をきちっと守っておる。先日お手元にお配りいたしましたこの電気料金の算定方式について十七ページからあとに、どういうふうにして電気料金をきめていくかということが書いてあるわけでございます。あまりこまかいことはどうかと思いますが、決して大口だから、つまり大資本のために安くしておるんだというようなことはやっておりません。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろ資料はあります。あなたのほうから出された資料、また私どもが各方面から入手をした資料というものもある。私どもが各方面から入手した資料の中でも、いろいろ違いがある。会社によって料金の違いがあることはもちろんでありますけれども、大口電力の場合におきまして小口との違い、それから家庭用との違いを私はここへメモ式に書いてあるのでありますが、相当な開きがあるわけであります。これの矛盾をなくするために今回の供給規程の場合において、これを従来と改められたかということになってくると、積極的に改められているとは見受けられない。そうなってくると、この条件が出たならば大口、小口の関係、家庭用の料金というものが今度改められてくるのだということは言えないのじゃないかと思います。たとえば個別契約の場合の料金の定め方というのも、この点では明らかになっていない。これはどうしようと考えておるか。これは特定供給という形で、要するに個別契約が行なわれるのである。そういう場合の料金だって、こうなければならぬということがここに明らかになっていないじゃありませんか。
  60. 宮本惇

    宮本政府委員 電気料金というものは確かに一般的な、定型的な需用者に対しましては一定の分け方できまっております。大口電力、特に特約という電力がございます。これはいま先生御指摘でございますが、特に一般原則のほかに、たとえば一般に夜中にはピークが下がるわけでございます。だから、一般のそういう電力需用が非常に低いときに使うということは、それだけ発電機や何かをコンスタントに回すことができるという意味で、ピークをならすとか、あるいはまた普通の、ピークの外にあるときは電力会社の側からいっても電気料金が安くなるわけでございますから、そういう安い電気を使ってくださる需用家のほうに対しましては、ある程度の負荷率割引と申しますか、そういうようなことをやっておるので、これは特約と申しましても、それなりにわれわれが一々認可をいたしておるわけでございまして、決して無理な、あるいは極端に安いものを送っておるということにはなっておりません。特約の電気料金もやはり役所の認可にかけておりますので、その点は十分チェックできておると考えておる次第でございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、通産大臣電力料金の包括許可という制度がありますね。その包括許可ということになってくると、先ほど私が何回も触れましたように、いわゆる個別契約というものが行なわれてくると思います。特定の供給先に対して非常に安くする、ここに高低が出てくるということは考えられませんか。この内容から、そういうことはないという保証はないでしょう。それでは包括許可をどういうことで個別的に矛盾がないようにしますか。
  62. 宮本惇

    宮本政府委員 包括許可という規定は、御承知のようにこの法律におきましては一般の供給規程の認可ということと二十一条のただし書きで、包括許可ということはこの法律ではないと思うのでございますが、その点は具体的には何条のあれでございましょうか。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 その点については時間の関係がありますのであと回しにいたします。  ともかく私が強調しておるのは、電気料金が、何とあなたが言われようとも大川は安い。要するに産業の振興とかなんとかいって、そういう配慮があることは間違いないし、大口と小口の料金差はないのだ、電灯料金と大口の電力料金との間には矛盾はないとあなたが強調されても、事実は差がある。電灯料金が高いということは明らかに立証されているのです。もしあなたがそうじゃないとおっしゃるならば事実をもって明らかにしてください。
  64. 宮本惇

    宮本政府委員 私は大口電力料金と家庭その他が差がないと申し上げておるわけではございません。確かに現実問題といたしましては、電灯料金が一番高くて大口電力料金が一番安いことはそのとおりでございます。ただそのきめ方に政策的意図があるわけではなくて、一定の基準によってこういう原価をきめまして、それをここに書いてございますように、業種別のいろいろなこまかいあれに分けておるということで、高い安いの差は、それはもちろん知っております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 何ぼこれを議論していっても同じでしょうが、これからどういう態度で許可する場合に取り組みますか。一般家庭電灯料金は高い、これは間違いない。これを安くしていかなければならない。今度のいろいろな新しい制度はそういうことに役立つという形でなければならない。単に大口電力供給に対してこれを下げるということに役立たせるだけではだめだ。私は、あなたに率直に需用者の感情を申し上げます。いま電灯料金は高いと考えておる。ところが池田さんの高度経済成長政策によってじゃんじゃん設備投資が行なわれて工場が拡張されると、その設備は近代化していく。電力はさらに必要になるから、さらに今度は発電能力を拡大していかなければならない。送電もそれに伴って拡大をしていかなければならないが、その施設費は借金だけではできないのだ。社内留保でももちろん足りない。そういう場合どうするか。政府はいま言う資金面、税制の面、上げぜん、据えぜんでやるが、なお足りない場合は需用者に転嫁しておるではありませんか。上げる必要のない現在において、電灯会社は採算は立っておるけれども、設備資金が必要になる。その資金の供給源として料金を上げておるのです。そうして会社はそれだけ資本がふえてきたわけです。これは株主に対する増資もありましょうが、会社は黒字になる、株主に対しては配当はありますよ。ところが建設に一役買ったそうした既往の電気需用者に対しては、もうかったから電気代を下げましょうと言いますか。下げないでしょう。上げっぱなしではありませんか。こういうことはけしからぬのだ、われわれにも利益を均てんさせてもらいたい、会社が黒字が出たならば、施設費に金を取った以上は電灯料金も下げてもらいたい、こういうことが偽りない国民の感情だと思っておる。そういうことがあなたはおわかりにならないはずはないと思う。だからこれから先こういう新しい法律をつくって新しいかまえであなたが臨もうとするならば、そういう点に対してはこれからどう対処されていこうとするのか、そういう点に対しての考え方をこの法案内容を通じてあなたにお尋ねをしておるわけですから、あなたの考え方をこの際明らかにしていただきたい。
  66. 宮本惇

    宮本政府委員 先生のおっしゃったことは非常によくわかるわけでございまして、われわれといたしましても、今後の消費者に対するサービスといった点からいきましても、できるだけサービスを強化する。したがいまして電力料金が将来どうなるかという見通しにもからんでくるわけでございます。現在までのところは、御承知のように、だいぶ電力会社の経理そのものが前と比べると安定してまいりまして、現在の見通され得る需用に対しては十分やっていけるだけの経理的なあれもできておるわけであります。したがいまして、ある会社は将来にわたって非常にもうけが多いという場合には、この間大臣もおっしゃいましたように、当然筋としては値下げすべきだと考えております。ただその場合に、やはりそういうことでございますが、現在の電力会社あるいは公共料金の安定という見地からいいますと、長期的な安定ということが一つの柱でございます。それと同時に、やはりそれをどういう形で需用者に還元をするかということになりますと、現在の電力会社の実際の状態を申し上げますと、電源開発に追われていわゆる送電あるいは配電のほうのサービスがまだ不十分な点が非常に多いわけであります。そこで、そういう点を今後送配電施設を強化拡充するとか、たとえば一般の家庭に近い電圧を三千ボルトを六千ボルトに上げる、それでロスを少なくする、そういうような努力を十分いたさせたい。それと同時に、だんだんと電力原価の高騰要因を上げないように、とにかく現状のままで将来も維持していく、その上にさらにもうかるというなら、これは考え方としては当然下げるべきだと思いますが、現在はまだそういう時期ではない、しかし、とにかくそういう意味でいろいろな消費者に対うるサービスはできるだけやらしていくようにやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 だから、もうかったならば下げる、下げる段階になれば下げると言うが、下がりやしません、下げやしない。だから、できるだけ矛盾をなくしてもらわなくてはいけないということです。サービスということは、料金を安くするということがサービスの中心でありましょう。いろいろなサービスがありましょうけれども、ともかく独占企業であるがために、一社化、社会化という形での独占であると、それは国の考え方におけるサービスがいわゆる国の意思において行なわれる。しかしながら、私企業であるためにどうしても利潤追求的にいくから、そういう矛盾はなかなか埋まらない。それをあなたのほうが許可権を持っているのだから、そういう場合については、とにかく国民の感情というものを十分計算に入れ、またそれは当然埋めなければならないのだという考え方に立って対処してもらわなければならぬということです。ただ施設に金が要るんだからという、そういうことだけで、やむを得ないのだ、先に十分利潤が生まれたならば、これを上げようといっても上げさせないでおこう、あるいはこれを下げさせるようにしていこうという抽象的な考え方ではなしに、現実の問題として、どうして矛盾を埋めるかということに努力をしてもらいたい、こう私は申し上げておるわけであります。  さらにここでお尋ねをいたしますが、先ほど特定供給の問題について触れたのですけれども、一般供給と特定供給との相違点、それから単位需用と一般需用、これの区別、こういう点について、こまかい問題ですが……。
  68. 宮本惇

    宮本政府委員 一般供給と特定供給の区別がどうだということでございますが、一般供給と申しますのは不特定の多数の使用者に対する電気供給でございますし、特定供給というのは文字どおり特定の使用者に対する電力供給でございます。ここで特定と申しますのは、供給者との間に特殊な関係があるという意味でございますが、その範囲は必ずしも限定的に列挙できるものではございませんので、社会通念で判断をしなければならぬというようになると思います。たとえば自分の会社の社宅に対する供給あるいは子会社に対する供給、そういう場合も含まれると思う次第でございます。したがいまして、一般供給というものは供給区域というものをきめるわけでございますが、特定供給という場合には供給区域というものを設定しないで一定の地点を供給場所としてとらえておるわけでございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 この問題についてはさらに詰めてみたいと思います。  次に、これからくる料金の問題と、先ほど抽象的には触れましたが、経済企画庁あるいは労働省からお見えのようでございますから、これら関係筋と関連する問題の質問をいたしたい。労働省には、私は、石炭産業とともに、スト権を剥奪された問題についてお尋ねをしたかったわけですが、これを労働組合課長さんにお尋ねするのは荷が重過ぎるし、また責任ある答弁はできないと思いますので、あらためてこの問題については労働大臣にお尋ねいたしますから、たいへん御迷惑でございましたが、よろしゅうございます。  今度の法案との関連で出てまいりますのはサービスの問題、未点灯部落の解消の問題、さらには共同受電の問題、これに対して実はきょうは大蔵省にも来てもらいたいのでありますが、電気事業法が制定されるにあたっては、離島の人たちあるいは開拓地の人たちは、今度は何とかなるのじゃないか、こういう期待が実は非常にあるわけであります。ところがこの法案の中ではいわゆる未点灯部落、未点灯戸の解消あるいは共同受電の問題が解消するというような期待というものが持てないのじゃないか、こう思います。しかしながら、この法案提案するにあたって、電力会社とこれらの問題についての話し合いを相当進めておられるのじゃないか、あるいはあなた方自身のほうでもそういうことについての具体的な考え方が、従来と違ってあるのじゃないか、こう思いますので、それらの点に対して明らかにしていただきたいと思います。
  70. 宮本惇

    宮本政府委員 確かに御指摘のように、電力会社供給義務を課されておるにもかかわらず、日本全体といたしまいて、だいぶ減ったとは言え、五万戸の未点灯部落があるということにつきましては、今後ともますます一そうそういうものをすみやかに解消していくということは、われわれのほうからも電力会社に十分指導いたしましてやらせる所存でございますし、現にそれぞれの会社は解消計画と申しますか、そういうことについて進めておる次第でございます。ただこの場合、もう一つは、御承知のように農山漁村電気導入促進法あるいは農林漁業金融公庫法によりまして、あるいはさらには離島振興法というようなことで、一番多いのが農山漁村電気導入促進法に基づく補助金によりまして、いわゆる共同自家発電的なものをつくりましてとりあえずやられるということはありますが、本来の理想からいえば、これは全部電力会社が引き受けるというのがたてまえでございます。ただ、これは言いわけになりまするが、実際問題といたしまして、たとえば非常に広いところに電灯線を引っぱるということになりますと、いわゆる経済ベースからいえば非常に引き合わないという問題もあるわけでございますが、しかしそれはやはり全体の電力会社が公益事業であるという面から、多少は無理してでもやらせる、こういった点は今後ともますます指導を強化してまいって、できるだけ一刻も早くこういう地帯がなくなるようにわれわれとしても最善の努力をいたしたいと考えております。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 経済企画庁にお尋ねいたします。いまの未点灯戸はどのくらいあるか。それから共同受電がどのくらいあるか。これを全般的にお尋ねいたしたいのでありますが、その数字。それから九州各県では非常に未点灯戸数が多いし、共同受電も多いわけですから、九州各県の内容は具体的にお答え願いたいと思います。
  72. 江田正光

    ○江田説明員 お答え申し上げます。私のほうで、離島振興法でやっております指定離島の全戸数が二十六万五千戸でございますが、そのうち一般受電をやっておりますのが二十一万八千九百戸、パーセントにいたしまして八二・六%でございます。それから共同受電のものが二万三千百戸、八・七%でございます。それから自家発電が一万七千五百戸で、パーセントにして六・六%、未点灯が五千五百戸でありまして、二・一%に相なっております。  なお九州地方の資料持ってきておりません。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 これの共同受電のいろいろな条件があるわけですね。一般供給という場合は、これは各電力会社によって違っておると思いますが、たとえば九州電力の場合は、一般供給は家の軒下まで一戸当たり九万円以上になったならばやらない。したがって、共同受電という形に実はなっておるわけですね。これは年々金額が二万から四万、五万、九万と、こう上がってきたんじゃないかと思うんです。そこいらの関係と、それから共同受電を一般供給に切りかえようとする、従来 離島の場合は一万円か幾らであった、今度一万五千円に引き上げられておるのではないか、こう思うわけです。そういう点について内容を明らかにしていただきたい。
  74. 江田正光

    ○江田説明員 一戸当り一万五千円に引き上げられております。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 私の質問に対してもう少し詳しくお答えはできませんか。あなたのほうからお答えができないですか。
  76. 宮本惇

    宮本政府委員 問題を九州の離島だけに限らしていただきますが、九州全体の離島の総需用家数が十七万九百三十四戸でございます。そのうちの一般供が十四万八千三百十七戸でございます。それから共同受電が二万五千五百七十戸、それから自家用が三千四百六十六戸ということでございまして、共同受電のほうは、五カ年計画で逐次一般供給に切りかえる方針で進めておるわけでございます。それから一般供給のほうは、実際問題といたしましてほとんど島でございますので、内燃力の発電をやっておるわけでございますが、これも年々増設をはかりまして、現に三十九年度におきましても八カ所の、小規模でございますが、トータルにいたしまして六千キロの内燃機の発電所というものを今年度の電源開発調整審議会で認めておる、こういう状況になっておるわけです。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 九州電力の例を引用して私は申し上げたんですね。一般供給をするという場合、これは共同受電の切りかえでなくて、未点灯戸に対して電灯を引っ張りますね。軒下まで九州電力の場合は九万円、こうなっているわけですね。当初は二万円であった。それが四万、五万、九万と引き上げられてきたわけです。これは各電力会社によって異なっておると思う。だから九州電力の場合は、私が申し上げたことに間違いないか、それからほかの八つの電力会社関係はどうなっておるか、これに対してあなたのほうはどのような指導をしておられるのか、また、あなたのほうが好ましいとお考えになっておられるのはどういうことなのか。
  78. 宮本惇

    宮本政府委員 北海道は御承知のように地域関係から、非常に広いという点で五万円ということになっておるようでございますが、九州電力以外はちょっといま手元に——いますぐ調べますが、ほかのほうは未点灯戸も非常に少ないという現状でありますので、もう少し高いのではないかと思います。それから九州の場合も、限界投資といたしましては三万円くらいなんでございますが、それを八万円かかるくらいのものまでもやっておるという現状でございます。もちろん実際問題としてそれ以上かかる場合にもやっておる例もございますが、北海道か何かの場合に非常に広いといった点で、経費もかかるという点で、むずかしい点はございますが、それ以外は今後できるだけ無理をしてでもやっていきたい、こう考えております。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、高いからなかなか引けないんですね。九州電力も各電力会社も、採算面からなかなかやってくれないんです。そこでやむを得ず共同受電というものをやる。ところが、物価関係、いろいろそういう資材の関係等からだと思うのですが、ずっと変わってきたわけですね。そうすると前にやったやつは安いわけですよ。そうすると共同受電を今度は切りかえをしょう、こういう場合は、前のは安かったのだから切りかえがどんどんなめらかにできなければならなかったわけですね。ところがなかなかこれはできていない。こういう点は私は矛盾だと思うのです。またあなたのほうもそういうことを放置してはいけないと思う。これに対してあなたのほうはどういう指導をしておられたか、それから経済企画庁のほうはこういう問題に対してどう対処されたか。
  80. 宮本惇

    宮本政府委員 確かにつくりましたときに、非常に安く済んだと申しますか、実際問題といたしまして、たいていの場合、共同受電をやりますと、その後の設備維持というようなことが非常に金がかかるわけであります。また実際問題といたしまして、そういう共同受電の特定の組合というものが絶えず減価償却費を積み立ててやっておるということでもないために、往々にして初めはよかったが、だんだんひどくなってくる。そうすると、結局それを電力会社側から言いますと、ある程度そういう非常に設備が老朽したものをかえるということになると、よけいかかるということで、いままで多少しぶっていた面があるかと思いますが、それもたとえば農山漁村の補助金によって一応きちっとしてから一般受電に移すというようなこともいま行なわれておるわけでありまして、放置したわけじゃありませんが、確かにそういう不幸な状態を幾分でも早く切りかえる、これは採算を全く無視するというわけにもまいりませんが、経営が全体として安定してくる、サービスの改善といったことが今後の方針になるとすれば、やはりそういうことを率先してやるべきだというふうにわれわれとしても大いに指導していきたいと思っております。
  81. 江田正光

    ○江田説明員 現在、経済企画庁におきまして、離島振興十カ年計画を立てて実行しておりますが、それによりまして、先ほど申し上げました現在の一般受電による八二・六%を十カ年計画完成後におきましては、八九・二%まで引き上げたい。それからそのために共同受電を一万二千戸解消したい。それから自家発電五千五百五十戸を解消したい。未点灯三百戸を解消していきたいということで、今後十カ年間に、一般受電の率を八九・二%まで引き上げたいというふうに考えております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 私が申し上げるのは、なるほど電力会社は私企業である。また離島はずっと点在しておるわけですね。それで電線を引っ張ってくるということになると非常に高くつく、採算上非常に困る。それから、さあ事故が起こった、また集金だ、こういうことで非常な費用がかさんでくる。そこでなかなか電灯を引っ張ってくれない。先ほど申し上げたようないろいろ金額でもって規制をしておる、こういうことですね。ところが、かといって、電気がなくて人間が生活できるか。これは水と同じことで、実際生活はできません。いま未点灯部落の人たちはどういう生活をしておるか、非常に暗い生活をしておる。開拓地にいたしましても、あるいはこうした離島に生活しておられる人は文化的な生活もできません。所得は非常に低いのです。その上に電気がなければどうにもできないからといって、相当犠牲を払って共同受電もやっておる。ところが共同受電をやっておりますが、一般の人たちが払っておる電灯料金より、共同受電による電灯料は三倍以上払っていますよ。公共性の強い電力会社が、採算がとれないから供給することはできぬのだ、自家発電でやりなさい、またいわゆる共同受電でやりなさい。その共同受電を切りかえる場合は、いまあなたがお答えになったように、もう電力会社が共同受電によって、農山漁村の電気導入促進法でやったのもありましょうし、いろいろな形でやって、それをただでもらう、その上に補修をして、もう手数のかからないようにしなければこれを引き取らない。ところが共同受電をやりました際の借金というものはまだ残っておる。借金だけは残された。そしてそれだけの施設は電力会社に渡した。おまけにまた借金をして、手数のかからないように補修をして渡した。これを気の毒だとお思いになりませんか。こういう法律をおつくりになって、いままでと違った、いわゆる従来の矛盾を埋めていかなければならないとお考えになる場合、こういう問題を改めなければならぬとあなたはお考えになりませんか。また経済企画庁は、あなたのほうに対していろいろ責任を追及するわけにはまいりませんが、あなたのほうといたしましても——大蔵省は、改修の場合に対する補助金の問題等々に対しましても、従来は一万円であった。これを今度は一万五千円に切りかえた。それ以下のものは自分で金を出さなければいけないのですよ。こういう問題は、大蔵省がこう言うのだからこれはいたし方がないのだ、こういうことで、その犠牲を一般のそういう気の毒な人たちに対してしいるということが適当であるとお考えになっておられるのか。もう少しこういう問題に対しては、あなたのほうも、通産省も大蔵省も一緒になって問題を解決するというかまえが必要ではないかと私は思う。そういう点に対しての考え方をひとつこの際明らかにしていただきたい。
  83. 宮本惇

    宮本政府委員 中村先生のおっしゃるとおりでございますが、何も採算ベースに合わないから電気をつけないのだというつもりではなくて、現実には相当無理してでもやっているところはあるのでございますが、しかし依然として、残っている点につきましては、われわれとしても今後できるだけがんばりたい。特にいま離島にそういう場合が多うございますので、これは企画庁のほうとも御相談いたしまして、たとえば離島の振興予算というものをふやしていただいて、そうしてそれによってそういう切りかえのための補助をする。現に実際問題といたしまして、電力会社といたしましても、そういう改修の補助金のついたものは率先して一般供給に切りかえておるということはやっておるので、そういう点はなるべく負担をかけないようにということについては、国としてはすべきだと思います。そういう点につきましては、電気事業法の制定を機会にわれわれもさらに一段と努力してまいりたい。こういうふうに考えております。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 私はこの問題は、一般論という形で質問しているのじゃないのです。具体例も持っている。電力会社のきわめて強引な態度——通産大臣の先日来、同僚議員に対して答弁をしておられたのを聞いていると、一社化、社会化になったらサービスが悪くなるのだ、私企業で分割しているから、だからサービスがいいのだというような内容の答弁をしておられた。こういうやり方がサービスだろうか。一社化、社会化になってごらんなさい、こういう問題は解消しますよ。私企業だからこういう問題が残っているのですよ。しかもあなたのほうでは、公益性を持っている企業だから、税金の問題、金融の問題あるいはその他あらゆる問題に対して手厚い保護措置をとっておるではありませんか。こういう問題を解消せずして、何が公益性のある企業ということが言えますか。こういう問題をあなたのほうも解決し得ずして、どうして前向きでこういう問題に対処したということが言えましょうか。努力しておられる、私は、全然努力していないとは申しません。しかし、改修の問題、共同受電を今度は一般供給に切りかえる場合に、足切りの金額は今度は一万五千円になった。一万五千円以上でなければ切りかえができないのですよ。一万円から一万五千円になったのですよ。この点については経済企画庁は非常な不満を持っている。具体的な事例を私が申し上げると、あなたが驚かれるようなこともあります。   〔始関委員長代理退席、委員長着   席〕 またあらためて、その具体的な問題についてはあなたにお話もいたしますが、一万円であったものが一万五千円に引き上げられた、それ以下は自分でやらなければいけないのです。共同受電をそのまま継続して、非常な不利な条件に甘んじていかなければならないのです。これが努力しておると言えますか。努力したというのであれば、一万五千円であったものを一万円に下げる、さらに一万円を五千円に下げるということをやってこそ、初めていまのあなたの努力しておるという御答弁が当てはまってくると思うのであります。うしろ向きではありませんか。こういう問題をどう解決されようといたしますか。大蔵省が見えておられるならば、この点については大蔵省から伺ってみたい。
  85. 二階堂進

    ○二階堂委員長 大蔵省だれか来ておりますか。——大蔵省が見えておりませんから、いずれまた別の機会に答弁をしてもらうことにいたしたいと思います。
  86. 江田正光

    ○江田説明員 先ほど申し上げましたように、企画庁といたしましては、昭和三十八年度から離島振興十カ年計画を策定してやっておりますし、また毎年毎年離島振興事業の補助率の引き上げあるいは採択基準の緩和につきましては、毎年大蔵省と熱心に交渉いたしております。その結果、徐々ではありますが、逐次改善されてきておるものと考えております。なお今後もこの十カ年計画の実施にあたりましては、そういう補助率のアップあるいは採択基準の緩和、そういった点につきまして十分努力していきたいというふうに考えておりますことを抽象的でございますがお答えいたします。
  87. 中村重光

    中村(重)委員  逐次改善ということは、どういうことが逐次改善というのですか。私がいま申し上げたようなことは、共同受電が一般受電に切りかえることが延びるんですよ。そうでしょう。課長さんお見えですか。——長崎県の対馬の問題一つ取り上げてみましても延びておるじゃありませんか。初め三つの部落で、八千幾らということであった。ところが今度はそれが大蔵省が、いろいろなことからどうもこれはおかしいということから、経済企画庁も大蔵省と折衝するのにいろいろ苦労なさった。そうして三つの部落を切りかえなければならぬのを、金額の関係から二つの部落にせざるを得なかった。三つの部落が一緒になっておるのを、二つの部落だけやらなければならぬという形になるわけです。そうしなければ一万五千円足切りでだめになってしまうのですよ。そこで一つの部落は減らさなければならぬということになった。それだけ延びるのですよ。改善にならぬじゃありませんか。それは十カ年計画をお立てになって、電力会社と御相談になって、こういう方針でやるのだという一つの方針は立つかもしれぬ。しかし改善というのは、いま私が申し上げたような矛盾をなくす、そうして二つの部落より三つの部落を改善する、そういうことが改善じゃありませんか。私はあなたのほうは、大蔵省に対してあまりに弱過ぎると思う。大衆のことをお考えになり、そういう困っていらっしゃる人たちのことをお考えになって、もっと強くなってもらいたい。離島振興の問題に対しましても、私はいろいろ申し上げたいことはありますが、あらためて当委員会におきまして触れていきたいと思います。総合計画にいたしましても、あなたのほうでは予算だけを計上するというだけで、仕事は各省ばらばらでやらせる。一つも指導性はない。そういうことでは私はだめだと思う。この離島振興法という、幾つもの議員立法の中で、この法律が一番うまく動いておる。それはあなたのほうの努力が実っておると考える。そういう点は認めますけれども、もっと強くなってほしい。大蔵省に対しても、そういうでたらめなやり方に対してはもっと強くなって、積極的な態度で取り組んでいただかなければならぬと私は思います。それでなければ、いまあなたが一歩一歩改善されておるということは改善になりません。そういう点を強くこの際望んでおきたいと思います。  また宮本局長に申し上げますが、あなたはこの法案提案するにあたって、そういう矛盾はなくさなければならぬというふうにお考えになったと思うのだが、いままでの形よりも前向きで——具体的な問題として前向きでやるということはどういうことですか。いろいろ東京電力のほうから、中小企業に対して大企業との門の電力料金というものを引き下げていって、中小企業の振興策をとる、こういうような資料ももらっている。東京電力はこういうことをやろうとしている。ところが九州電力の問題を私は具体例としていま申し上げたのですが、うしろ向きのやり方をやっている。これは企業間の格差というものがあって、力がついているところ、力がないところという違いがあるのかもしれません。しかし、ほんとうに公益性ということを考えて取り組んでいこうとするならば、東京電力がやろうとしておること、いままでやってきたこと、そういうことはやれないはずはないと私は思う。そのことについては、あなたのほうの指導性の問題だと思う。あなたのほうの責任の問題だと考えるのであるが、その点についてはどういう態度で取り組んでいかれますか。
  88. 宮本惇

    宮本政府委員 先ほどから抽象的に申し上げておりますように、今後は消費者と申しますか、お使いになる方の御便宜をはかるという点では、われわれといたしましては、たとえば具体的には経費の使い方、あるいはいまのような共同受電を一般供給に切りかえるという場合のその切りかえの基準は、今後できるだけ電力会社がその負担限度をもっと上げていくというふうに指導したい。もちろんそれぞれの会社によっていろいろな経理状況その他も違いますが、とにかくそういう面につきましては、第一に今後の指導といたしましては使用者の保護という点を十分考えてやっていきたいということを申し上げておきたいと思います。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 どうも抽象的で困るのですね。いままでこの法律案を出すにあたって、こういう問題に対する質問というものは当然あるだろうとお考えになっておったのじゃないですか。ならば、もう少し前向きで各電力会社と話し合いをするということが必要じゃなかったですか。また大蔵省との折衝というようなものを、うしろ向きでなく前向きでいくような形であなたのほうはおやりになる必要があったのじゃないか。しかしきょうは時間がだいぶたちましたので、どうもこのまま続けますと御迷惑をかけますから、一応私はきょうの質問はこれで終わりまして、時間がありましたらあらためてまた質問させていただきたいと思います。
  90. 二階堂進

    ○二階堂委員長 暫時休憩いたします。    午後一時四分休憩      ————◇—————    午後二時五十一分開議
  91. 二階堂進

    ○二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 局長にお尋ねいたします。  高圧線の線下補償の問題、これはいつも土地の使用料の値上げをやってもらいたいとか、あるいはまたラジオとかテレビなんか高圧線があるために非常に危険である、そういうことから、現在補償をしておる金額も非常に古いままに据え置かれておるから、これでは困るということが絶えず不満として要求されておる問題ですが、これに対して基準があるのかどうか、これらの点に対してどのような指導をしておられるのか。さらにまた今回の法案提出にあたって、こうした問題についていろいろと検討がなされたと思いますが、その内容について明らかにしていただきたいと思います。
  93. 宮本惇

    宮本政府委員 いわゆる線下補償の問題でございますが、御承知のように特別の高圧の送電線というものは非常にあぶないということもございまして、これは市街地のような密集したところにはそれをかけることを原則として禁止しております。したがいまして、いままでは大体いわゆる高圧線と申しますと、主として山林とか原野というところに引いておって、そういうところは実際問題といたしましては、鉄塔を建てるために土地を買収するとかあるいは借りるということをやっておりましたけれども、電線がずっと張られておる下は、いままでは何となく昔からの長いあれもございまして、電力会社の側もそれから土地の所有者も、黙認の形でとにかく使っておった例が非常に多いわけでございます。ただ最近農地その他山林がだんだん宅地化してまいるということになりますと、いわゆる線下補償の問題が出てきたわけで、通産省といたしましても線下補償の問題を、先日御指摘のありました補償問題研究会で取り上げまして、いろいろ研究しておる次第でございますが、まだはっきりとした結論は出ておりません。しかしながら、要するに土地の所有権がいわゆる空まで及ぶかどうかといったような問題もございます。したがいまして、この統一的な基準というようなものは現在のところまだございませんけれども、今後当然この問題はいろいろ問題になってまいります。したがいまして、今度の法律をつくりますときも何らかの基準的なもの、あるいはいわゆる線下補償的なもの、あるいは強制収用的なことを電気事業法にも織り込もうといろいろやってみたのでございますが、統一的な基準というものが、実際問題として場所によりあるいは地方によって違いますので、結局なかなかできないで、個々の当事者の話し合い的なことになっております。ただ電力会社といたしましても、この問題は、いま一ぺんに統一基準で補償されますと、全国でたしか何千億円というようなことになってしまいますので、とりあえずは宅地に近い土地にはいわゆる借地料を払うとかいうことで、あるいはそういう問題も検討はいたしております。それともう一つは、いままでは高圧線の下には家を建ててはいけない、建ててはいけないというよりは、家が建ったら送電線がどかなければいけないというたてまえにしておりましたが、最近の技術的進歩から、八万ボルト以下は特殊な碍子を取りつけるとかなんとかいうことで、最近は家を建ててもよろしいというように指導しておりますし、今後は技術の進歩によりまして十万ボルト級の高圧送電線の下でも家は建て得るということにはだんだんなってくると思いますが、どちらにいたしましても、この問題はわれわれとしては今後の問題として慎重に検討しなければいけないと思う次第でございます。それと同時に、ケーブル高圧線をなるべくやめて、特に最近の市街地におきましては地下ケーブル化とかあるいは共同溝というような、そういう方向についても検討をしております。何分にも費用がかかるということで進行がおくれておりますけれども、将来は、特に都市あたりではそういう土地を得るということが非常にむずかしくなりましたので、なるべく地下の中に埋め込むという方法も検討し、いま行なわれておる次第でございます。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 私もそれがむずかしいことはわかるのです。だからといって補償費が非常にばく大な金額に上るとか、統一的な基準をつくるところにも問題があるとか、こういうことではこれを前向きで解決するという形にはならぬと思うわけです。会社のほうはそのままむずかしいという形でいきますと助かりましょうけれども、住民のほうはそれではどうにもなりません。高圧線があるところでも建物が建つ、いまは技術が非常に進歩したからたいした影響はないのだとおっしゃるわけですけれども地域が非常に開発されてきて、住家がどんどん建ってきておるということは事実でございますから、やはりそれに対応したあなたのほうの施策というものがついていかなければならない。むしろ、そうした基準をつくる場合にはそれが先行していかなければならぬと思うのです。そういう点がおくれておることは間違いありませんから、いまの線下補償をされておる範囲を拡大していかなければならぬという面が一つあろうと思いますし、さらにはまた、いまだ補償していない面があるわけでありますから、そういう面に対しては新たな補償をやるという点が必要になってまいると思います。また現存補償しておるというものにも、先ほど私が触れましたように、非常に前にきまっておりますから、非常に使いのですね。ほんとうに涙金というか、全くのわずかばかりの補償費を払っておるにすぎない。そういうことでは困るわけですから、それらの点に対してはいまの御答弁のようなことだけではなしに、もう少し具体的な考え方というものがなければならぬと思います。いま一度、そういうことに対してどう具体的に取り組んでいきますか、明らかにしていただきたいと思います。
  95. 宮本惇

    宮本政府委員 通産省といたしましても、先ほど補償問題研究会で研究しておると申し上げたわけでございますが、そのときちょっと私言い落としたのでございますけれども、昨年の十一月に電源開発等に伴う損失補償基準についてというものができまして、この線で電力会社を指導しておるわけでございます。その中の第三章に、「土地等の使用に係る補償」という項目がございまして、またその中に、「空間または地下の使用に係る補償」ということで、空間または地下を使用する場合において土地の利用が妨げられるときは一定の金額を、これにはいろいろな方式がございますが、補償するものとするとなっておりまして、この場合に、その空間または地下の使用が長期にわたるときは、当該の土地の正常な取引価格に相当する額に、その土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合を乗じて得た額を一時払いとして補償することができるということで、これだけではまだ具体的にはなりませんが、ともかく一応繰下に対しても補償するのだという基本線は出しておる。ただ、幾ら補償するかということは、やはりそれぞれの土地の価格その他に応じて多少違いはあると思いますが、通産省といたしましてもそういう方向で今後ぜひ指導していきたい、こういうふうに考えております。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な関係に違いもありますけれども、大体各社補償はどの程度になっていますか。
  97. 宮本惇

    宮本政府委員 具体的な資料はちょっと……。さっそく調べまして、明日でも御提出申し上げたいと思います。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 それから非常に不合理な面があるのは、非常に遠く散在して離れているところに電線を引き込む、そういう場合に、希望によって電灯をつけてやったのだ、そのために柱を立てなければならぬから柱を立てた、だからそちらの希望によってやったのだからというので、電柱を立てても電線を引っぱっても補償をしないというのがある。そういうことは、一つの基準というものがある以上は、その基準に沿わない、相手の弱みにつけ込むというような、そういう高圧的な態度に出るということは私は間違いである、こう思いますが、そういう点に対してはどのようにお考えになりますか。
  99. 宮本惇

    宮本政府委員 そういう事例がありますとすれば適当でないと思います。ただ実際問題といたしましては、それとはちょっと違いますが、要するに各社の現在の供給規程によりまして、引いてもらう場合には、場合によりましては、工事負担金というものを徴収する、一応そういうこともございますが、工事負損金をとってさらに補償しないということは、確かに御指摘のようにおかしいと思いますので、実情を調べました上で払うべきものがあれば払うように指導したい、こう考えております。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 それは実情を調べました上でとおっしゃるのですが、公然とそういうことが行なわれているのですよ。特に例外としてどこか一件そういうものがあったということで申し上げているのじゃないのです。あなたのほうでそういう不合理なやり方が行なわれていることを御存じないはずはないと私は思う。
  101. 宮本惇

    宮本政府委員 実際問題として高圧的にやられたかどうか、これはちょっと私存じませんけれども、いままでの場合何らかの意味の話し合いというものはたいがいできておるという形——と申しますのは、畑の上とかなんとかじゃなくて、あまりたいした実害のない場合には、電力会社は一応たしか了解を求めに行っておるはずでございます。それでよかろうというようなケースが多いのじゃないかと、これは想像でございますけれども……。しかし明らかに高圧的に払うべきものを払わないというような場合がありましたら、それはまた今後われわれとして厳重に監督していきたいと考えております。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 そのあなたの考え方が間違いですよ。話し合いがついたから——話がつくのは力関係ですよ。補償分を払えというのなら電気は引き込みません、こう言う。そうすると、ぜひ電気は点灯してもらわなければならない、そういうことになってくると、まことにどうも不合理な話であるがと思いながら、承知いたしましたということにならざるを得ぬじゃありませんか。それをあなたが、話し合いがついているのだから、こういうことで、これは払わないのはいたし方ないのたといういき方は、私は電気事業というものの公共性から考えて、指導的立場にあるあなたとしてはその考え方は改められなければ、そういうことでいったのでは、力関係で少しも改善されませんよ。
  103. 宮本惇

    宮本政府委員 私自身、先生の御指摘のように、何もそういう不合理な、要するに形式だけ整っておれば、中身は圧迫であろうが何であろうがいいという、そういうのは確かによくないと私も思いますので、厳重にそういう場合、文句があれば当然調べます。また全体的にそういう傾向があるかどうかもよく調査いたしまして、先生の御指摘のような方向で善処したい、かように考えております。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 私が申し上げたのは、私自身もそういう実例を知っていますが、電灯会社に働いている労働者の諸君もこういう不合理なやり方を知っている。ケース・バイ・ケースで何かやっていることを私が取り上げて申し上げておるのじゃないのであります。あなたのほうでは調査をしてと、こうおっしゃる。まああなたもいまの局長におなりになってからそう長くないわけですから、これ以上あなたにやかましく言うのは無理かもしれませんが、そういう不合理なことを是正するようにやってもらいたい。私企業でありますからなかなかあなたのほうの指示に従わない、こういうことでありましょうが、こういう新たな法律案を制定する際に、そういう不合理な点を改善をするということでなければ、なかなかできるものではないと思います。ですから、そういう点については十分調査をなさって対処していく、こういうことにやっていただきたいと思います。
  105. 宮本惇

    宮本政府委員 今度の法律案では、いわゆる末端の業務の改善命令ということもできるようになっておりますし、もしそういうあれが、調べた上でおかしいということになれば、改善命令も出せるようになってておりますので、御趣旨の線に沿いまして厳重にやっていきたい、こう考えております。
  106. 二階堂進

    ○二階堂委員長 中村君に申し上げますが、大蔵省から宮崎主計官、自治省から林財政再建課長が出席しておられます。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 それからもう一つ申し上げますが、高圧線を引っぱる場合にも、まあ高圧線だから高圧かもしれませんが、きわめて高圧的な態度に電灯会社が出るのですね。影響があるからというので、その農家の人たちはうんと言わない。農作物もできなくなる、家がどんどん拡張されていく、だからしてもう農地が宅地に転換されることもそう遠くはないだろう、しかしこういう高圧線が通ったのではそれがだめになってしまう、こういうことで、なかなか応じようとしないのですね。そういう場合に、調査をするのだと言って、承諾を得ないで、山林というのはそう大きな樹木ではございませんが、どんどん切り払ってしまう。承諾を受けないままそういうことを平気でやってのける。そうしてやぐらなんかをつくって、そういう調査のための施設をやる、こういうことをやっているケースがある。そういうことはよろしいわけですか。
  108. 宮本惇

    宮本政府委員 かってに他人の土地へ入って立木を取っ払ったり何かするということは、これは明らかに違法でございます。もしそういう事例がございましたら——ございましたらと言うとまたあれでございますが、今後はそういうことのないように、現に今度の電気事業法によりましても、土地の使用については事前に届けるとか、そういう規定がちゃんとございますので、この規定を厳重に守るようにわれわれとしても最善を尽くしたい、こう考えております。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 サービス料金その他の質問に入りたいと思いますが、大蔵省その他にお尋ねいたします。  開拓地であるとか、あるいは離島の未点灯戸の問題、さらにまた共同受電を一般供給に切りかえる、こういう場合に起こってくることでございますが、この共同受電を一般供給に切りかえる際に、これは協議会によって各関係の府県と話し合いをやって一つの基準をつくっておるようでありますが、その場合に、切りかえをいたします際に電灯会社が、あまりどうも補修費が高くつくということであっては困る、そういうことから、一つの基準ができておると思います。その際に、いま国の補助が出ておりますが、その補助がいままでは八千円、一万円ということで足切りになっておったわけでありますけれども、三十九年度からだろうと思うのでありますが、これを一万五千円に足切りということになった。先ほど経済企画庁の離島振興課の参事官の方からいろいろお答えがあったわけでありますが、共同受電を一般供給に切りかえる、その必要性を認めて、これを計画的に進めておる、漸次改善の方向にあるのだ、こういうお答えです。私はいま申し上げましたようなケースは、せっかく共同受電を一般供給に切りかえをしようと希望いたしましても、離島あるいは開拓地ということになってまいりますれば、所得も非常に低いわけですね。それから農山漁村電気導入促進法等による国庫補助等によりまして施設をしておる。その施設に対しまして借金をしておる、その借金の償還もまだできていない。その上にこれを改修をやって、そして電灯会社に引き受けてもらう、こういうことになってまいりますと、これは全額補助でありますれば問題はないのでありますけれども、自分で金を出すということになってくると、収入も少ないわけでありますから、なかなかできないわけです。それをなおできないようにしておるのではないかと私は思います。一万円以下であった。一万円ならばよろしいということであったのが、今度は一万五千円の足切りということになると、一万五千円以下であれば自分でやらなければならぬ、こういうことになる。そういうことになってくると、切りかえが順次おくれていくということになってまいります。それは改善ではなくて、私は改悪であるというふうに考えます。どうしてそういうことにされたのか。もちろん財政上の問題でありましょうが、ともかくその経緯、また考え方についてお答えを願いたいと思います。
  110. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 離島の電気導入につきましては、すでに経済企画庁のほうからいろいろ御議論があったことと思いますが、御承知のとおり未点灯部落解消ということで、全体としての計画がございます。これは離島振興計画として取り組まれておるわけでございますが、これに従ってできるだけ早くこれを解消していきたい、こういうことで進んでおるわけでございますが、御承知のように未点灯部落解消のための電気導入事業は、離島のほかに僻地につきまして行なっております。それから開拓地についてもございます。そこでこの開拓地あるいは僻地などの例を見ておりますと、特に僻地についてそうでございますが、やはり経費が非常に多くかかって、農家あるいはその住民がなかなか負担にたえかねるというものをまず最初に取り上げてやっていこうということで、一戸当たりの事業費の金額についての制限を設けております。つまり補助の対象といたしますものは、僻地の場合でありますと三万円をこえる部分について補助をする、こういうやり方でやっておるわけでございます。そういった点をいろいろ考えてまいりますと、離島についても、もちろん内地の僻地と同様にはいかないけれども、ある程度やはりそういったような考え方を導入したほうがいいんじゃないかということでございます。しかし、もちろん全体として事業を進めるというたてまえでございますから、三十九年度の予算におきましても、前年度の三千百万円何がしに対しまして、五千九百万、約倍に近い金額を計上いたしまして計画を進めていくということで、金額は相当大幅にふやしますが、これをできるだけ有効に使えるようにただいまのような基準で、できるだけ広く使わしていく、こういう考え方でやってはどうだろう、こういうことで実施官庁である経済企画庁のほうといろいろ御相談をいたしました結果、三十九年度の予算の実施計画から、そういう方向で進めてみよう、こういうことで現在島別の計画も大体できまして、やっていこう、こういう考えでおるわけでございます。
  111. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのとおりに、予算の額は大幅にふえたわけですね。それで僻地が三万円、離島はその半額の一万五千円くらいは負担さしてもいいんじゃないか、それ以下は自分でやらしてもいいんじゃないか、こういうことでおやりになったのだろうと思うのです。予算の面からはなかなかむずかしいということだろうと思うのですけれども、しかし、実際問題としていわゆる一般供給してもらいたいが、なかなか電灯会社の採算ベースでやってくれない。そこで、やむを得ず共同受電をやっておるわけですね。共同受電をやりますと、二十四時間供給はできない。その上に非常に弱いわけですね。それで人件費がかさむし、さらに、またずっと点在をしている家屋に対しまして集金をするということもたいへんなことです。そうすると、集金をする人には有料でもって、いわゆる有料の集金人というのか、係の人を置かなければなりません。そうしてその人件費がかかりますから、それは電灯料金にはね返ってくる。置かなければ全然金が集まりません。共同受電の経営というものは、人件費の面からでもどうにもならないということに実はなるわけです。そういうことをいつまでも放置してはならないという考え方の上に立って、あなたのほうでは大幅に予算をつけられたのだろうと思いますが、その場合、せっかくそういう考え方でおやりになったのであるならば、一万円の足切りであったのを一万五千円に引き上げるということは少しく不人情というか、どうも実情をお考えにならない、ただ予算の面からのみこれを処理していこうというお考えの上に立っておられると私は思うのです。そういう点についてはどのようにお考えになりますか。
  112. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 まことにどうも答弁がいたしにくいのでございますが、結局大蔵省としての考えは、こういった計画でございますから、とにかくできるだけ早くやっていきたい。そのためには住民負担ということは従来どおりとして、それだけ予算をどんどんふやせばいいんじゃないかということにもちろんなるわけでございましょうが、離島と申しましても、やはり内地の僻地などとの関係から見ると、ある程度権衡ということは考えてもいいだろうということもございますし、それから各島別の状況を見ておりますと、なかなかまだ事業にかかれないで、非常に待望しておるというところもたくさんあるわけでございますから、できることであるならば、若干の負担増はかんべんしていただいて、なるべくたくさんの島に事業をやりたい、こういうことで、一体、一万五千円くらいで相当やれるだろうか、これは実施計画の問題でございますから、そういうことで議論をしてみたわけでありますが、そういうことで相当やれるような方法があるだろう、こういうことで、ともかくできるだけひとつ有効に予算を使ってやっていこう、もちろんこれはこの計画が予定どおりに進みましても、未点灯落部全部が解消できるわけじゃありません。非常に少数の戸数の場所、それから経費がかかり過ぎてどうもならぬというようなところは、まだ計画に入っていないものもございます。そういったものはどうせ将来にはもっと補助の手厚いやり方で救っていかなければならぬものである、こういうように実は考えておるわけでございます。現に北海道の僻地などにつきましてもそういった問題がすでに生じております。そういうことも考えてみますると、ともかく現在相当やれるというところをまずひとつなるべく広く、早くやっていこう、こういう考え方であります。ひとつ御了承願いたいと思います。
  113. 中村重光

    中村(重)委員 なかなか了承できないのですよ。私は離島を持っている県を選挙区にいたしておりますが、離島の方々が来られて、そういう場合に、これはおかしな言い方ですけれども、宮崎主計官は非常に理解がある、あの人はよくわかってくれるのだということをおっしゃる。いまのあなたの御答弁を伺っておりましても、非常に同情しておるという面から、何というか予算面と実際の気の毒な人たちの間に立ってジレンマにおちいったというような感じを受けるわけです。非常に努力をしておられることはわかりますけれども、せっかくあなたのほうでそうした未点灯戸を解消するとか、共同受電を一日も早くなくしていく、こういうお考え方に立たれるならば、足切りの金額を引き上げるということはどうも適当でないと私は思う。そういうことをおやりになるならば、いままでの借金を何とか処理してやる。たとえば自治体にこれを引き受けさせる。そして無利子という形で利子補給をしてやるとか、あるいは交付税の対象にしてやるとか、いろんなきめこまかいやり方をおやりになっておられるならば、そういう面からの問題の解決策も私はあろうと思う。一万五千円くらいの範囲ならば自分でやりなさい、こういうことでおやりになった。一万円を一万五千円に引き上げられたということは、どうも住民感情からいたしましても受け入れかねるでありましょうし、実際の負担の面からいっても、非常に所得水準の低い地域の人でありますから、私は無理があるのだろうと思います。共同受電の施設は自分たちでやった。そしてその間高い電灯料金を払って非常な不利な条件の中にあった。そして今度は電灯会社にその施設を無償でやる。その無償でやるのに、修繕まで全部やって、自分たちがまた借金をしてきちんとして差し上げてしまうから、どうかひとつ一般供給をしてくださいといって、陸地の本土の人たちがやっているのと同じことをその上でやるのだということになるならば、住民感情からいってどうでしょうか。私は一考される必要があるだろうと思います。この際改められることが適当ではないかと思いますが、いま一度考え方を聞かしていただきたいと思います。
  114. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御高説を拝聴いたしておったわけでありますが、今年度の実施計画といたしましては、ただいま御説明いたしましたようなことで、すでに個所別の計画を、予算の配分も終わっておりますので、こういう形でやらせていただくということにせざるを得ないと思いますが、もちろん実際の負担にたえ切れないということでは事業そのものの推進ができないわけでございますので、こういった新しい基準で今後の計画について実情をひとつ調べてみまして、実際に今後の計画に無理があるということであれば、決して直すにやぶさかではございません。本年度の計画はそういったことで、一応負担ができるということで島別の予算をすでに配分済みでございますので、これをひとつやらせていただく。今後の問題としては、実施官庁のほうの経済企画庁の御意見もよく聞いてみまして、なお検討すべきことがあれば検討していく、直すべきものがあれば直していく、こういうふうに考えます。
  115. 中村重光

    中村(重)委員 いまの御答弁で納得いたします。十分操作はできようかと思うのですが、無理のないようにひとつ操作をされるように、それから明年度におきましてはこれは改める、そういうことにひとつやってもらいたいということを強く要望いたしておきます。  さらに、これは、自治省もおいででございますが、未点灯部落を解消するという点からいたしますと、共同受電を受益者が集まってやるとか、あるいは農協その他の団体でやらせるとかいう形をとりますと、いま言ったような問題がいつまでも解消されないということになってまいります。これに対しましては、共同受電を市町村の投資によってやる、あるいは県であるとか市町村の公営事業という形でやるとか、いろいろな方法があろうと思いますが、そういう点に対してはどのようにお考えでございますか。
  116. 林忠雄

    ○林説明員 自治省でいま未点灯部落の解消で直接関連を持っております制度といたしましては、例の辺地債というものがございます。これは昨年、一昨年十億円、それから本年度は十五億円のワクをいただいておりまして、辺地の生活を、電灯とか診療あるいは学校、そういったものについて全般的に見るものでございますが、いま問題になっております未点灯の解消につきましては、三十七年度では一千六百万円、それから三十八年度で二千万円が辺地債としてついております。この趣旨は、未点灯部落を解消するという施策自体は経済企画庁ないしは農林省でそれぞれ補助金をとっておやりになっておられる。ところがそれを引き受けるための町村が辺地であるために財政力が非常に弱い。そういうところで、全額補助ではございませんので、町村の負担がどうしても出る。その負担にたえ切れなくて、引き受けたいけれども引き受けられないというところを救うための補助金でございまして、補助金の裏の町村の負担に対する起債を認める、そういう姿でやっております。しかも、この起債は、一円について五十七銭、つまり五七%は元利補給を交付金で見る、こういう趣旨のものでございます。したがいまして未点灯部落自体をどこからどういうふうに解消していくかということにつきましては、一切農林省なり経済企画庁なりの御施策に従っておりまして、そちらの補助金がきまったものについて裏負担を町村で見るという姿になっておりますので、私の省自体がどういうところを重点に置いてとか、どういう方向をという施策自体を打ち出していくわけではございません。ただこの未点灯部落の解消というのは、辺地債の中でも、一番基本的な生活、いわゆる人権問題に近いようなものと考えております。私どものほうは一番優先しております。今後もこの考え方はずっと続けてまいりたい。経済企画庁なり農林省なりが予算をおとりになって、多く一時に解消なさろうとすれば、その裏の町村の負担は辺地債の中から一番優先的に見ていく。いままでもこれを続けておりますが、今後も続けてまいりたい、こう考えております。
  117. 中村重光

    中村(重)委員 離島の市町村で——市もありますが、ほとんど町村になるのですが、町村段階の声を聞きますと、どうもあのまま共同受電でやらせる、あるいは未点灯のまま放置するとうことは適当でない、これは、実際財政的に、自治省もめんどうをなかなか見てくれないので、町村でやることが一番いいのだ、こう言うわけですね。そこで私は端的に、これはもう市町村営でやるとか、あるいは市町村が投資をすることについて、財政的な措置をしていくことにするのが一番いいのじゃないかと思うが、そこまでひとつ突っ込んでいくということに対してはどうです。
  118. 林忠雄

    ○林説明員 これは一口に申しますれば、市町村の公営企業の問題ということになると思います。未点灯の解消に対して市町村が一はだぬいで公営企業として自分で取り上げるかどうかということでありまして、それは、そういう施策を伸ばすという問題と財政問題との間にはさまる矛盾をいつも感ずる問題だと思います。ただ現在、奄美大島そのほか、一般電力会社供給してくれないところで、公営電気というのをやっておるケースも幾つかございます。これらはやはり共通して非常に経費が高くつきますので、電灯料金も高いことは事実でございます。そうすると、高い電灯料金を取っておって、さらに町村の経営自体としても毎年赤字を積み重ねていくというのが確かに実情でございます。奄美大島の瀬戸内町あたりの場合も、あの九電の配下にあります大島、電力供給しておる地域に比べて、相当高い料金を取りながら、年間五百万円くらいの赤字を積み重ねていくというのが実情でございます。これを個人の負担から解消していくためには、できるだけ町村でやるというのが、これを解消する一つの正しい方向ではございます。それをまた非常に効率の悪いところを財政力の弱い町村が引き受けるということは、財政に問題を残すケースもしばしばございます。その辺の勘案をよほどよく実際について検討していくべきだと考えております。もちろん、そういう財政力の弱い町村に対する財政措置といたしましては、たとえば辺地債とか、それからある程度のものであれば、毎年の特別交付税とかその他で気の毒な事情があれば見るということはいたしますけれども、無制限に財政補給をするわけにもまいりませんので、方向としてはそういう方向を決して否定はいたしませんが、常に財政問題とからめながら考えていくという態度は、やはりとらなければならぬと考えております。
  119. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど宮崎主計官に対する質問の際にも申し上げましたとおり、あなたのほうも十分わかっておられると思いますが、それらのことが現在の電力供給方式の矛盾の中から生じてきておると思うのです。ですから、財政措置の問題等に対しては、具体的に町村のほうから上がってまいりましたならば、最優先の取り扱いをやっておると思いますが、さらに十分ひとつ留意をしていただくということを強く要望いたしておきます。  なお、この際政務次官に御意見を伺いますが、先ほど宮本局長に対しましては、こうした問題も、ほんとうに一社化、社会化という私どもの主張するような形でやっておりますと、こういう問題、矛盾というものが起こってこない。まして現実は九分割の中でやっておるわけでありますから、せっかく新たな法案を制定するこういう際にあたっては、従来のからを脱して、ほんとうに公益性というものに立脚をして、各電力会社がこれらの問題をみずからの責任においてやるのだ、こういうことでなければ、私はいつまでもこうした問題の解消というものはあり得ないと思うのです。これに対しては、これは私企業であるからそこまではどうも介入されないのだというようなことが私はあってはならないと思う。やはり積極的な国の施策に対して、各電力会社がその線に沿って処理していく、こういうことでなければならぬと私は思います。そういう点に対しての政務次官の考え方を、ひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  120. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 大臣なり私なり局長なり、それぞれ答弁申し上げましたとおりに、九電力会社は、形におきましてはなるほど私企業でございますが、事業そのものはあくまでこれは公共性の強い事業でございます。さような観点からいたしまして、国といたしましてもこの九電力会社事業運営の面におきましては、先般もよく御質問がございました広域運営の点等も、さらにひとつ今後も十分検討いたしまして、この公益性に徹するような方向におきまして今後十分指導、監督をいたしまして、御趣旨に沿うような方向で指導していきたい、かように考えておる次第でございます。
  121. 中村重光

    中村(重)委員 宮崎主計官にも、それから林財政再建課長にも申し上げるわけですが、私は先ほど離島の問題を申し上げました。僻地の関係くるめてのそういう点に対しては、いずれもひとつ十分留意していただきたいと思います。  宮本局長にサービス料金の問題に対してお尋ねしますが、この農事用とかあるいはかんがい、脱穀、排水、あるいは深夜電力、こういうものに対しては、いわゆる大衆サービス料金というのが実は実施されておったわけです。どうも最近はこのサービスが漸次影を消しつつある、こういうことでございますが、これらの実情に対しては、あなたは御存じになっておられますか。
  122. 宮本惇

    宮本政府委員 農事用電力あるいはかんがい排水といった点は、一応先ほど別にお配りしました資料の方式に基づいて個別原価として配分されておりますが、電力会社の側から一応申しますと、御承知のように農事用というような場合には季節的な要素が多いというようなことで、それだけ効率が悪いという一応前提にはございます。しかしながら料金をきめます場合には、もちろん政策的にという意味じゃございませんけれども、たとえば東京電力の値上げのような場合には多少は考慮を加えたかと思っておりますが、ただ先生のおっしゃいました、いままでサービスが非常によかったのに、最近これがなくなったという具体的な事例を、もしよろしかったら御指摘いただきたいと思います。
  123. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど申し上げましたように、あなたのほうで実情をお調べになったらどうです。どこでこういうことがあったかということが、あなたのほうで必要であればお答えをいたします。しかし私は、あそこの電力会社がこういうことをやっておるのだから、これをこうしなさいということで申し上げておるのではない。農事用とか深夜電力供給であるとかあるいはかんがい排水、脱穀、こういう面に対するサービス料金というものは、最近は非常にかげを薄めつつあるということは事実でありますから、こういうことに対しては、あなたのほうでは、いやそうじゃない、いままで以上にサービス料金という面については厚くこそなっておれ、薄くなっておらぬという確信がおありであるならば、私はその事実に基づいて申し上げてもよろしいですけれども、あなたのほうではおそらく確信はないでしょう。ですからこういうことに対しては、どういう指導をあなたはしておられるのであるか。今回の法制定にあたっては、要するにサービスということについて相当のウェートを置いておる、こうおっしゃるのだから、こういうことに対してはどのように対処していこうとしておるのかということを中心として私はお尋ねをしておるのでありますから、そういうことに対する考え方を明らかにしてもらえばよろしいわけです。
  124. 宮本惇

    宮本政府委員 確かにこの法律が、消費者の保護と申しますか、利便をはかるという意味で、そういう意味が非常に大きいということは再三申し上げておりますが、御承知のように電気料金というものは、一応料金改定の場合にいつも申し上げます総括原価から個別原価に配分ということで、一定のルールに従っておのずからきめられるという形をとっておりまして、現在の料金表というものは、改定のない限りは動かないということになっておるわけでございます。したがって料金の面でサービスをするということは、現在のたてまえからいうとそれはできないわけでございまして、したがいまして、もちろん改定の際に多少考慮する。しかし、それもいわゆる政策的な料金というものはとれないたてまえになっておる。たとえばあるところで下げますと、総括原価というものがきまっている以上は、あるところは上がるというようなことにもなりますが、その点は、しかしそうは申しましても、最近の新しい供給規程に移りましたところなどでは、いわゆる公衆街路灯の割引というようなことはやっております。これは理屈といたしましては、集金の費用その他が非常に軽減になるということから、いままでよりは引いておるという例はございます。したがいましてかんがい排水というような場合も、観念的な言い方かもしれませんが、理屈のつく範囲ではもちろん考慮はいたしますが、しかし原則としては、われわれの現在のたてまえをとる限りは、一定の料金計算の算定の方式に従ってやるのだ。したがって政策料金というものはとれない。したがってサービスをよりよくするとかいう問題は、まず第一に、豊富低廉なとか、あるいはほかの面のサービス、つまりいままで質のいい電気を送るとか、あるいは先ほど申しましたように三千ボルトの気圧を六千ボルトに昇圧するとか、その他いろいろ巡回修理をやるとか、いろいろなそういう面のサービスをできるだけやっていく、それでも金が余ってくるという場合には、当然全体の値下げという形をとらざるを得ないので、個個の料金を政策的にどうこうするということは、現在のたてまえとしては非常に困難である、こう考えておる次第でございます。
  125. 中村重光

    中村(重)委員 原価主義をとって、実際には政策料金というものをきめてある。いわゆる大口電力料というものは非常に安い。小口は高い。一般家庭用も高い。大口を安くするために、そのしわ寄せが結局こういう小口であるとかあるいは家庭の電灯料にしわ寄せされてきておるのだ、こう私は申し上げておる。その事実に間違いがないならば、政策料金というものはあるわけなんだから、いままで政策料金として、サービスということで、先ほど私が申し上げたようなことについては特は留意をしておった。だから、現実は先ほど申し上げたような方向にあるのだが、今度サービスということについて相当ウエートを置いてやっていこうとするならば、こういうことに対してはどのような政策料金を実施するという形で進もうと、お考えになっておられるのか。あなたのほうでは許可をするにあたってはいろいろ具体的な内容に対しましてもタッチするでありましょうから、そういうことに対するあなたの方針を明らかにしていただけばよろしい。
  126. 宮本惇

    宮本政府委員 私が先ほど御答弁申し上げたのは、たとえば大口が非常に低い、家庭用が一番高い、あるいは小口が次に高い、そのことは決して政策料金ではないと申し上げたつもりでございますが、要するに個別原価を配分いたします場合に、たとえばなぜ大口が安いかということになりますと、大体発電所のすぐそばにある。普通の一般家庭の場合は、二次変電所、三次変電所からずっときている。そういう費用をそれぞれ分担いたしまして、それぞれの料金をきめております関係上、大口だから安いのじゃなくて、実際問題としてそれにかかる費用がまとまって、つまりピークなしに一定に使える、したがっていわは能率がよくなる意味で安くなるのだ、そういう意味で大口が低いこと、あるいは家庭用電力が高いこと自体は、差があるということは申し上げますが、これは何ら政策料金ではないということを先ほど申し上げたつもりでございます。したがいまして、現在の料金体系の上からいきますと、政策料金というものはとってはおらないということを私さっきも申し上げたわけでございまして、この点は確かにいろいろ問題はあることはわかります。しかしいまのたてまえというものは、われわれの立場からいいますと、その点はくずせないというたてまえをとっておるわけでございますので、その点はひとつ、少なくとも大口が安くて家庭用電灯が高いというのは、政策料金の結果そうなったのではないということだけ、もう一度申し上げたいと思います。
  127. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたは、大口に対する低料金供給が行なわれていない、いわゆる大衆電灯料金に対するしわ寄せはないのだ、小口料金に対してもそうなんですが、そういう考え方の上に立っておられる。あなたがあくまでそう言われるならば、これはまたあらためて具体的な問題でもって議論をしてもよろしい。政策料金というものは全然行なわれていないとあなたは確信を持って言えますか。それからあなたは設備の問題で、それだけコストがかかっていないのだとおっしゃった。私は電気のことに対してはあまり詳しくありませんから、専門的な用語も知りません。ところが発電所というのか、それから変電所なら変電所まで引っぱってくる。そこまでは変わらないのです。電力料金も電灯料金というものも変わらない。ところが、そういうものまでひっくるめてコスト計算というものが行なわれて、大企業に対しては大口であるからそれだけ安いとか低くなっておるというような、そういう計算がなされておると私は思います。こう申し上げておるのは、具体的にこの問題に対しまして詳しい、いわゆる専門家の諸君からも私はその事実を確かめてお尋ねをいたしておるわけです。今日大口電力料金と小口とそれから家庭の料金との間には大きな格差がある、しわ寄せされておるということは常識になっております。それをあなたがあくまでもそうじゃないというような考え方の上に立って臨まれるならば、先ほど申し上げましたように、具体的な問題をもって、事実をもって明らかにしていこうじゃありませんか。あなたはそうでないということを、今後の取り組みに対してもその考え方で臨もうとしておられるのですか。
  128. 宮本惇

    宮本政府委員 これは何も私個人の意図というよりも、電気料金の算定の基準という省令がございます。御承知のように電気を使います場合には、その発電所のコストのほかに、いわゆる使い方という問題がございます。そういうことを、先ほどお配りしてございます電気料金の算定方式につきまして、いろいろ総括原価はこういうふうにしてきめる、個別原価はこういうふうにしてはじいていくということが載っておるわけでございます。したがいまして、この制度自体、そういう制度がいいか悪いかという問題は確かにございます。しかしながら一応現在の現行法におきましては、先生が先ほどおっしゃいましたように、現在の制度をそのまま維持していこうという形をとる限りは、したがいましてこの法律におきましても大体この電気料金の算定のしかたは従前の例でやっていくということで、私自身がどうこうというよりも、われわれとしてはこういう省令に基づいて料金をきめます場合には、そういう個別原価の配分の出し方をしていくということをやっておるわけです。ただ、そのやり方がいいか悪いか。たとえば電気料金の算定のしかたとかそういうものをどうするかという問題は、これはまた今後の問題として残るわけでございまして、そういう点は十分検討に値すると思います。現在のところ私自身の意思でどうこうということはできなく、一定のルールに従ってそういうふうに分けている。ただ、実際問題といたしまして、一番最近のところで、東北電力の値上げが行なわれましたときにいろいろ問題が生じました。御承知のように現在の料金制度によりますと、今後二年間の需用を見通して、その需用にこたえるに十分な設備を想定し、そしていろいろな所要の経費を計算しまして総括原価というものをきめて、それから個別原価を分けていく。したがって二年たったあと、その料金をきめた当時の情勢と今日と合うか合わないかという問題は確かにございます。しかしながら通産省自体は、一定のそういう省令に基づくルールで料金を算定しているのであります。この料金の算定基準というものは、先生御存じのように電気料金制度調査会におきまして、どういうやり方がいいかということを審議して現在の電気料金算定の基準をつくったのであります。われわれとしてはこの個別原価を配分をする場合に、いわゆる政策料金と申しますか、これはとらないということは確立されておるわけでございます。したがいまして、いまのやり方がよくない、今後の問題として政策料金をとるべきかどうかという御議論は十分にわかるのでございますが、私自身は現在の方式でやっていくのが適当であると考えております。大体諸外国を見ましても、そういう政策料金と申しますか、そういうものはとっておらないということになっておるようでございます。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたの言われることと私が指摘しておることとかみ合っていない。理解のしかたが違っていると思います。この問題についてはあらためて議論をすることにいたします。  そこで、これは擅用料金というか、罰金というか、擅用、盗用ですね、これはどういう基準でやっておるのですか。これは実にきびしいというか、むちゃというか、たとえば百ワットの電気を一晩つけた。それがたまたま検査に来て発見をしたところが、一カ月前からこれはつけておった、こういうことで計算されて、どうもものすごい罰金というか、それを取られておるという例がある。あるいはモーターなんかの場合でもしかり、いろいろな場合に出ておるわけでありますが、この基準はどういうことになっていますか。
  130. 宮本惇

    宮本政府委員 これは御承知のように各電力会社供給規程によってきまっておるわけでございますが、これももちろん通産大臣の許可にかかるわけでございます。たとえば東京電力の場合でございますが、「需用家の責めとなる理由により生じた保安上の危険のため緊急を要する場合」とか、あるいは「その会社電気工作物を故意に損傷または亡失し、あるいは需用家が料金を一定期間支払わないような場合」そういうようないろいろきめました場合に、最高の場合は通常の料金の三倍ぐらいのものを違約金として取る、こういうことになっております。ただ、いま先生の御指摘の点、たとえば定額電灯の場合で四十ワットというときに、たった一日百ワットをつけたという場合の責め方のひどさといいますか、もしそういうことがあるとすれば、あまりにもひどい。もう少し事情を聞いてやるということは当然やるべきことだと思いますが、違反と申しますか、いわゆる盗む、盗電のあった等の場合は、一応やはり違約金というものを課すということ自体は私はやむを得ないのじゃないか、こう考えております。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 私が指摘しましたことは事実ある。電気アイロンなんか、いろいろな場合にあるわけですね。どうしてそういうことが行なわれると思いますか。
  132. 宮本惇

    宮本政府委員 先生の御指摘のように、定額電灯の場合で、たとえばこの前申し上げました大島電力の場合も同様かと思いますが、四十ワットの定額で百ワットを使ったというような——使わざるを得ないという理由が別にあるかと思います。しかしその場合はやまり……。
  133. 中村重光

    中村(重)委員 会社側がどうしてそういうことをすると思うか。
  134. 宮本惇

    宮本政府委員 その点は、おそらく先ほどから先生たびたび御指摘のように、やはり地域の独占企業でどうしても運営が官僚的になっているというような立場から出ているかと思いますが、そういう点は公益事業でございますし、ことに今後苦情処理その他の問題で厳重に、そういうお客様に接する態度あるいはいまの追及のしかた等、常識を越えたような場合には、これは業務改善なりその他でやっていきたいと思います。
  135. 中村重光

    中村(重)委員 擅用摘発制度というものがあることは御存じですか。
  136. 宮本惇

    宮本政府委員 そういう制度が会社内に存在するということは聞いております。最近はなくなったが、そういう制度があったことは聞いております。
  137. 中村重光

    中村(重)委員 最近はないだろうと、きわめてあなたは善意に解釈をしておる。擅用摘発制度がある。一カ月間にこれだけ摘発しろというワクを頭からきめてくるから、私が先ほど申し上げたようなむちゃな摘発が行なわれているのですよ。こういうことをなぜあなたのほうでは取り締まりをしていこうとしませんか。電灯会社がやることは何でもいいのだという考え方の上にお立ちになると、何でも、いま私が申し上げたようなことも最善な行き方であるとお考えになるかもしれませんけれども、これだけお前のほうは摘発せよというワクをきめて、そしてそのワクだけを摘発させようとするから、割り当てをやらせるから、そういうむちゃな、非常識きわまることをやるのですよ。   〔始関委員「擅用を認めるのか。」と   呼ぶ〕
  138. 宮本惇

    宮本政府委員 まあ摘発するのがいいか悪いかという問題は別にしまして、やはり擅用によります損失が大きいということになれば、いわゆるまじめな需用家の原価にそれがはね返っていくということもございますので、やはりそういうものをできるだけ少なくする。これは結局普通にいう損失、ロスになるわけでありますから、そういうことを厳重に監視をするということ自体は、われわれとして必ずしも悪いことではないと思います。ただ、そのやり方があまりにもどぎついとかなんとかいうことになりますれば、それは社会の常識に従いまして注意をいたしたいと思います。しかし、会社にとってせっかく正しくお金が入るべきものが入らないというのは、やはり全体としてロスになるわけでありますので、それをやはり取り締まるというか、その辺は……。
  139. 中村重光

    中村(重)委員 始関さんのやじに救われたような答弁はおやめになったほうがいい。摘発制度があって、それが当然あるべきことが行なわれるなら何も私は指摘しない。そういう制度を悪用して、おまえのほうはこれだけ摘発をしなさいといってワクをきめて、そうして摘発に伴って料金というものがそれだけ罰金であがってくるのだから、その金額まできめて無理なことをやらせるから、私が指摘したような問題が起こってくるのです。そういうやり方がいいか悪いかということを私は言っているのだから、少なくとも質問者が何を中心にして質問しているか、質問者の意図がどこにあるかということはあなたはおわかりにならぬはずはないと思う。そういう点に対してどう対処するか、こう私はあなたのほうに質問しているのでありますし、いままでこういう事実について知っておるかということを尋ねておるのです。それにまともにお答えになったほうがよろしい。
  140. 宮本惇

    宮本政府委員 擅用を摘発するというやり方自体は、しかもノルマで課してやることがいいかどうかということは、まあそのやり方自体があまりひどければこれはよくないと思いますけれども、しかしやはりロスが——これは非常にお答えのしかたがむずかしいのでございますが、そのやり方自体は、もしあまりどぎつければこれはわれわれとしても注意はいたしますけれども、しかし盗用を防ぐということはやはり……。
  141. 中村重光

    中村(重)委員 それはわかっている。まあ私の質問の意図がおわかりであればこれ以上は言いません。ともかく摘発しなければならぬことを摘発するのはよろしいです。しかし非常識なことをやらしてはいかぬ。ワクをきめるというのはひどいじゃありませんか。ほんとうに盗用しておった、それを摘発した、それは罰金も取らなければならぬ。それは正当なやり方です。それは金額が幾らになろうともよろしいですよ。しかし初めから一支店の管内はこれだけ摘発をするのだということをきめて、そうして罰金をそれだけ吸い上げようとするから、先ほど申し上げたように一つの責任額みたいなものをきめさせるものだから、電灯の定額制度の中で一日アイロンを使っておっても一カ月使ったかのように、百ワットを一日つけておったら一カ月つけておったかのようにでっち上げてしまっておるのですよ。こういうでたらめなことを見のがしてはならぬと思う。だから、小さい問題のようでありますけれども、いわゆるサービスということに主眼点を置いていかなければならぬし、公益性の強いこの事業を九分割のまま置いておく矛盾というものを幾らかでも埋めていこうとするならば、こういう小さな問題からきめこまかく取り組んでいくという態度が私はなければならぬと思う。その点から申し上げておるのですから、いま一度政務次官から、これらの問題につきましてお答えを願いたい。
  142. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 中村先生の御質問の趣旨はわれわれよくわかりました。要するに、過重のノルマを与えて不必要な摘発をやることはおもしろくない、過重じゃないか、こういう御趣旨と思いますので、こういう点はひとつよく電力会社等にもわれわれからも連絡をとりまして、そうしたことのないようにいたしたいと思います。
  143. 中村重光

    中村(重)委員 時間がだいぶんたちましたから、結論に入りたいと思いますが、産炭地域に対するいわゆるサービス料金、まあ政策料金というとまたいろいろ議論が発展していくと思いますが、産炭地域に対して企業誘致をするとか、あるいは産炭地に対しては特別な配慮というものがなされなければならぬと私は思います。さらにまた、産炭地は石炭が地元にあるわけです。非常にコストも安く上がるわけですね。ところがプール計算というのか、原価主義で、総ぐるみで供給されておりますから、産炭地なるがゆえにということで安くなっていないんじゃないかと私は思う。こういう点に対しては、産炭地振興という立場から、特に配慮する必要があるのではないかと思うのですが、この点に対してはどのようにお考えになりますか。
  144. 宮本惇

    宮本政府委員 電気の立場だけから申し上げますと、率直な言い方をかりにいたしますと、やはり全体のプールといいますか、いわゆる、先ほど私の申し上げましたような政策料金と申しますか、ことばは悪いんですけれども、そういうことはなかなかとりにくいわけでございます。たとえばいま御指摘のように、産炭地のまん中で発電をした場合に、その原価ですぐ売るというようなことは、いまたてまえとしてはとっておらないわけでございます。そういう御議論は前からいろいろございました。先ほどから繰り返すようでございますが、現在のたてまえといたしまして、総括原価から個別原価への配分をやっておりますために、その辺はたてまえ上とれないと申し上げざるを得ないわけでございます。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 どうも、事務当局のあなたに政策的な質問をするのはいささかどうかと思います。そこで政務次官、私は原価でそれをやれと、極端なことを言っているんじゃないのですよ。産炭地振興、具体的にはいわゆる産炭地の企業誘致という問題もあるんだから、こういう点に対しては特別な政策的配慮が必要であるのではないか、特にまた産炭地なるがゆえに非常にコストも安くなるわけでもあるからこういう点に対しての配慮というものは特に筋も通るというようにも考えられる。そういう点はどう政府考えられるのか、この点に対しては政務次官、明快にひとつお答え願いたい。
  146. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの産炭地火力の料金の問題につきましては、そこだけを特別に割り安にということは、これは他とのつり合いもございますので非常にむずかしい問題でございますけれども、この点は政府としても十分その点を含みまして、早急に対策を練りたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 時間もたちましたので、こういう点についてはあらためて大臣にお尋ねすることにいたしまして、きょうはこれで終わります。
  148. 二階堂進

    ○二階堂委員長 次会は、明後六月五日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することにいたします。  なお当日は、午前には電気事業法案について参考人に、午後には中小企業に関する件の倒産問題について参考人に、それぞれ出席を要求しておりますので、御了承を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四分散会