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1964-05-22 第46回国会 衆議院 商工委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十二日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 始関 伊平君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       大石 八治君   小宮山重四郎君       田中 正巳君    中村 幸八君       長谷川四郎君    加賀田 進君       沢田 政治君    島口重次郎君       楯 謙次郎君   米内山義一郎君       麻生 良方君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君  委員外出席者         参  考  人         (社団法人日本         電子工業振興協         会専務理事)  斉藤  有君         参  考  人         (松下電器産業         株式会社取締         役)      松野 幸吉君         参  考  人         (日本電気株式         会社取締役)  出川雄二郎君         参  考  人         (日本ケミカル         コンデンサー株         式会社専務取締         役)      佐々木茂蔵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本審査のため参考人として、日本電子工業振興協会専務理事斉藤有君、松下電器産業株式会社取締役松野幸吉君、日本電気株式会社取締役出川雄二郎君、日本ケミカルコンデンサー株式会社専務取締役佐々木茂蔵君、以上四名が出席されております。  参考人各位におかれましては御多用中のところ御出席いただき、まことにありがたく存じます。  会議を進める順序といたしまして、最初に各参考人方々にそれぞれの立場から大体十分以内程度の御意見をお述べいただき、次に委員から質疑がありますので、それに対しましても忌憚なくお答えをいただきたいと存じます。  なお、発言の際は必ず委員長の許可を得てから発言をしてください。また参考人の方が委員質疑することはできないことになっておりますので、御了承ください。  それでは、まず斉藤有君から意見を承ることにいたします。斉藤参考人
  3. 斉藤有

    斉藤参考人 電子工業振興協会斉藤でございます。約七カ年にわたって運用されました電子工業振興臨時措置法成果にかんがみまして、協会立場から、全般に関する意見を申し上げさせていただきたいと思います。  この法律施行されました昭和三十二年ごろは、ちょうどわが国電子工業発展がようやくその緒についたころでありまして、それから電子工業は非常な発展を見たのでございますが、その発展とこの法律運用とは一体不可分の関係で今日までまいっておると思います。三十二年度の電子工業全体の生産額は、機器部品を合して約千六百八十億円にすぎませんでしたが、三十八年の生産額は六千九百億円と、七カ年の間に四・一倍の成長を示しました。また輸出額は、三十二年は七十九億円でございましたが、昨年は一年間に千三百七十九億円と、十七倍の驚くべき発展を遂げました。このような成長はまれに見るところでありまして、その原因はもとよりいろいろありましょうが、この電振法が実にタイミングよく大きな推進力となって、しかも適切に運用された結果に基づくことは、業界がひとしく感謝しているところであります。  御承知のとおり電子工業はまだきわめて若い産業でありまして、技術革新が目下活発に行なわれております。技術進歩のウエートがかなり大きくありまして、したがって設備陳腐化その他も伴いまして、この法律施行されたころは、品質の面においても生産の面においても改善の余地がきわめて多かったのでありますが、この電振法の施行によりまして、技術開発生産合理化等に大きな寄与をしたのであります。すなわち試験研究促進のためには、長期計画を定められてこれを推進せられております。七カ年に交付された鉱工業試験研究補助金は三百九十三件、十六億八千五百万円に達しまして、鉱工業補助金全体の約五割近くになりました。これが推進力となりまして企業努力を誘導しまして、その何倍かの効果をあげておるのであります。また電子工業生産設備合理化のための開銀特別融資は、機器部品を合計しまして七十一件、二十三億一千三百万円ということになっておりまして、これが呼び水となって適正な企業設備投資を促しまして、そうして電子工業基礎をなしております部品材料品質の向上、コストダウン等に大きく寄与しまして、ひいては電子工業全体の発展に大きな貢献をしておるのであります。また合理化カルテルはいままで適用を見るには至っておりませんが、これがために業界の協調がいろいろな面で非常に促進されておることは事実でございます。  以上申し述べましたように、七カ年のわが国電子工業発展はまことに著しいものがありますが、しかしながらしさいにその内容を見ますと、その生産の大部分テレビラジオ等いわゆる民生用機器に依存しておりまして、しかもこれらは最近頭打ちの傾向にあるわけであります。今後わが国農業全般発展に寄与すべき産業用電子機器、また電子法振興対象であります産業用電子機器は、国際競争力の面におきましてもいろいろ問題をはらんでおりますし、最近は輸入が非常に増加しておりまして、楽観を許さないような、状況にあるのであります。特に、たとえば米国の電子工業は、膨大な軍需あるいは連邦政府の予算、それらに支持されまして、非常に活発な技術革新が遂行されておるのであります。このような状況におきまして、今後いわゆる開放経済体制に直面しまして、わが国電子工業国際競争力を増強し、一そう輸出振興に寄与するためには、さらに技術開発の面におきまして、生産合理化の面におきまして、長期的計画のもとに格段の努力を必要とするのであります。しかし業界もみずから最善の努力を傾注しまして、また相互に協調しまして、その発展をはかることは申すまでもありませんが、過去七年間大きな貢献をしました電子振興法がこの重要時期に万一廃止されるようなことになりますと、業界としてはまことに遺憾に存ずるわけでありまして、ぜひともその有効期間をさらに延長していただいて、一そう適切な運用をはかっていただきたいと念願している次第であります。運用にあたりましては、産業用電子機器対象にしました振興措置のほかに、電子工業全般輸出振興に寄与するように特にお願いしたいと考えております。  なお電子工業は、研究開発生産の移行、生産合理化等、一貫した振興措置を必要としますので、試作、試験、評価、あるいは設備等のいろいろな期間を考えますと、少なくとも七、八年は必要といたしますので、特にその点、期間延長にあたって御考慮をお願いしたいと思う次第であります。  以上、簡単でございますが……。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、松野幸吉君から意見を承ります。松野参考人
  5. 松野幸吉

    松野参考人 松下電器松野でございます。  松下電器は、現在の世界的の地位と申しますと、電子電気機械メーカーの第十三位を占めております。それから日立は世界電気メーカーのやはり十位でございまして、東芝が十一位といったような、最近、世界的に非常に発展した会社でございます。私たち会社生産しているおもなものはそれではどういうものかと申しますと、まずテレビであります。テレビ世界生産日本生産額は第二位でございまして、その生産額の約一割四分が世界輸出されておるのであります。それからラジオでございますが、ラジオの総生産額の約八割が世界輸出されておるのでございます。それからテープレコーダーでございますが、テープレコーダーの総生産額の約六割がこれまた世界輸出されておるのでございます。したがって、私たちのつくっている製品は、国家にとりましては外貨獲得のためにきわめて大きな貢献をしていると、実は自負しているのでございます。しかし、松下電器を例にとってみますと、松下電器生産額の工賃と申しますか、大体生産に要する人件費は約一割五分でございまして、その他は材料であり、部分品であり、そういったようなものが約八割五分を占めておるのであります。この部品とか材料というものは、製品の一番重要な要素を占めておるのでございまして、私たちが依存しておりますところの部品は、とりもなおさずこの電子工業振興法に基づいていろいろと援助をしてもらい、かつまたいろいろと指導してもらった結果、下請に出すところの中小企業技術がきわめて急速に伸びたために、今日のような世界的に発展した会社に実は伸びているのでございます。したがって、電子工業振興法効果というものは、私たちにとっては非常に顕著な効果を示されたと実は考えているのでございます。いまからちょうど七年前にこの法律ができまして、その七年前と現在とを比較いたしてみますと、テープレコーダーのごときは二十二倍の生産高を示しており、ラジオのごときは約六倍、それからテレビのごときは約四倍ないし五倍の生産高を示しているのでございます。かような国家的に非常に重要な事業であり、また外貨獲得のためにも非常に重要な役割りを私たちがやっておりますので、ひとつ、なおさらに皆さんの御協力、御援助を願えれば、日本電子工業発展がますます見るべきものがあると存ずるのでございます。さような次第でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、出川雄二郎君から御意見を承ります。出川参考人
  7. 出川雄二郎

    出川参考人 ただいま御紹介にあずかりました出川でございます。  本日ここに参考人として申し上げたいのは、主として産業用のエレクトロニクス、産業用電子工業、特にその中核となる電子計算機関関係につきましての私どもの考えといいますか、御意見をいささか申し上げさしていただきたい、こう思っております。  御承知のように、現代はいわば技術革新の時代、こう言われております。その技術革新のいわば中核をなすものは何かと申しますと、これはいろいろの考え方もあると思いますが、電子工業、特に産業用電子技術というものが非常に大きな技術革新中核になっているということはまぎれもない事実ではないかと思っております。この面に関しまして、たとえば電子計算機をとりますと、御承知のように、昭和三十七年度は、電子計算機国内におきます需要が約二百二十億、そのうち輸入が約百五十億、国内生産されました金額が約八十億、こういうことになっております。昭和三十八年度になりますと、これが輸入が二百十億、国内生産が百六十億、大体こんな金額でございます。これが過去、この法律ができました七年以前はどうかと申しますと、かろうじて電子計算機らしい、いわばきわめて素朴な電子計算機の第一号機種が日本で初めてできたのがちょうどいまから七年前、昭和三十二年でございます。したがって、現在それが昭和三十八年に百六十億の生産になっているということは、これは実に著しい発展ではないだろうか、こう考えております。しかし、ここで特に申し上げたいのは、これと同時に輸入が昨年度二百十億もある。国内生産よりさらに上回っております。つまり、日本の国全体が電子計算機というものをこれほど、昨年度は四百億になんなんとする金額を要求するようになってきている。おそらく昭和三十九年度は五百億を突破するのではないだろうか、こう思っておりますが、こういう需要がどんどんと拡大しているのがこの電子計算機でございます。  御承知のように、電子計算機人工頭脳と言われておりまして、いわば非常に高度の技術と高度の企画の部品からでき上がっておりまして、これの開発にあたりましては研究費も非常にかかりますし、また期間も長くかかります。電子工業振興措置法が七年前に成立いたしましてから今日まで非常に大きな発展をしてきたということは、私どもこの関係者政府からの非常に大きな御援助もいただき、この法律によりまして御援助をいただき、したがって今日のこの成果を来たしているということは間違いない事実ではないだろうかと思っております。しからば現在どういう状況かと申しますと、ただいま申し上げましたように、昭和三十八年度の統計をとりましても、国内生産が百六十億、輸入が二百十億以上ということになっておりますので、まだまだ、いわば国際競争力と申しますか、そういう点では国産品は劣っておるというのが現在の段階でございます。何が劣っておるかと申しますと、これは要するに日本人の頭脳が劣っておるということでは決してないと思っております。ただ歴史が劣っておる。歴史が劣っておるがゆえに、その歴史に基づくところの、需要者側から見ました信用性がまだ十分ではない。いわばお得意さんから十分な信用を得ていない。それは国産品が悪いから信用を得ていないのではなくて、いわば歴史が浅い、経験が少ない、そういう面から信用を得てない、こういうことじゃないだろうかと思っております。もちろん技術的な面に関しましても確かに劣っておる面もございます。しかしこれも目下着々、政府のいろいろの御指導、御援助も得まして、またわれわれメーカーも非常な研究費をこれに注ぎまして努力いたしておりますので、今日では電子計算機に関しましてはいわば基礎技術は十分確立したのではないだろうか、私どもこう信じております。これから問題になるのはそれの応用面でございます。いわば経験をもとにしましたあらゆる面における応用、これは電子計算機が単に計算をするということだけではございませんで、いわゆるビジネスの面におきます電子計算機応用面あるいはこれからどんどん発展するであろうところのオートメーション技術基礎的な技術としての電子計算機技術、こうした面がこれからどんどん発展されなければ、ほんとうの意味国際競争力というものは出てこないのじゃないだろうか、こういうぐあいに考えております。したがってそういう面からいたしまして私どもは、この電子工業振興法が今日まで日本電子工業基礎を築いてくださった。いわば根が十分でき上がりましたので、これからはぜひとも葉を茂らせ、花を咲かしていただきたい、こう思っておる次第でございまして、そういう意味から、今般この法律改正案が出ておりますが、さらに今後七カ年間の御延長を願いますれば、その七カ年の間には私どもも十分努力いたしまして、国際競争力も十分できた商品を築き上げ、日本の国力の大きな一分野をこういう面でになわさしていただくという点でわれわれの使命も果たせるのではないだろうか、こう存じております。   〔委員長退席小川(平)委員長代   理着席〕 こういう意味からいいまして、ぜひともお願い申し上げたい、こう思っております。  御静聴を感謝いたします。
  8. 小川平二

    小川(平)委員長代理 次に、佐々木茂蔵君から御意見を承ることにいたします。佐々木参考人
  9. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 私は日本ケミカルコンデンサーという電機の専門メーカーをいたしております佐々木でございます。  ただいままでにお三方の参考人から、電子工業界の過去七年間並びに現状、将来について概略お話がございましたけれども、私ども部品業者というのは、民生用機器であろうと産業用機器でございましょうと、それらに全部使用していただきます抵抗、コンデンサーその他数多くの部品をつくっておる企業でございます。私ども企業の大部分中小企業でございまして、千人以上の従業員のおります会社は二十社に満たないような状態でございます。しかし三十二年の当時はかような会社はおそらく一社もなかったと思います。それがここ七年間にだんだん専門的な機能を拡充いたしまして、専門メーカーとしての規模もやや一人前になりかけております。また部品企業というのは、本来経営者の中あるいは高級職員の中数人に新しい創意くふうがありまして、何らかいわゆる専門的な技術を持ったものが一社を興して、それが発展してまいっているわけでございます。したがいまして、私ども製品は意匠を売るわけではございません。また直接皆さま方御用に供するわけにもまいらないのでございます。いわば性能を売っているわけでございます。またその性能信頼度にこたえなければならない仕事なのでございます。かような事情から申しまして、通産当局も早くからわれわれの企業の育成ということについてはいろいろと御配慮願っております。私が従事いたしております電解コンデンサーについて申し上げますと、三十二年当時はまだ形が非常に大きく、また規格、性能も欧米のものに比べましてその水準がやや劣るところがあった。これを高性能化し小型化し、そして製造方法合理化をするということの目的でいろいろ御指導いただきまして、私ども業界にも開銀融資をあっせんしていただき、その後引き続き昨年度までに、記憶に誤りなければ三億三千五百万円くらいの開銀融資をちょうだいいたしております。私ども会社自体も三千万円ばかりいただいておるはずでございます。その技術的な性能グレードアップということが努力の中心となり、また当時は採算ベースに合わないものもそういう形で育成していただいたわけでございまして、終戦当時は親指くらいの大きさのコンデンサーが、今日は鉛筆のしんを一回りくらい大きくしたくらいに小型化いたしております。それからまたいろいろの性能も高くなっております。先ほど出川さんからおっしゃったように、信頼度ということには非常な試験研究設備を要します。一例を具体的に申し上げますと、われわれのコンデンサー寿命試験をいたしますのに、私ども程度会社規模では、せいぜい百個くらいのものを二千時間かけていくのが現状であります。しかしアメリカスプレーグと申します世界一のコンデンサーメーカーでは、おそらく一万個以上のものをやっております。これはたいへんな設備、費用も要ることでございまして、しかもスプレーグがしからば百倍の生産高を持っておるかと申しますと、私どものせいぜい二十倍以下の生産高でございます。かような状態で、最初アルミ箔のものに御援助いただき、次にはタンタルのコンデンサーに非常に力を注いでいるわけでございまして、今日の電子計算機御用に立っているような次第でございます。もちろんラジオテレビは最大に私ども企業をつちかってくれた事業でございますが、今後の産業用機器の高性能部品をつくるということにつきましては、この業界における——この業界だけでないと思いますが、日本部品企業の大部分中小企業であり、しかもこれは技術をもって立っているものである、性能を売っているものであるということをお考えいただきまして、私どもからすれば、非常に技術革新の激しいわが業界進歩についていくためには、ぜひとも本法律を御延長願って、これは七年どころか、私どもから申しますと、電子企業の将来を考えますと、期限などなくてもいいような法律のような気がいたします。部品自体輸出も最近は非常に伸びております。昨年度の部品輸出も百数十億になっております。全生産高は九百億にも及んでおるわけでございます。どうかかような事情を御検討いただきまして、ぜひとも業界技術と、また量産体制というふうなことに御配慮願いたいと思います。  なお、最近の私ども業界から申しますと、ここ数年来いわゆる人件費は相当のベースアップをいたしております。この点は自民党さんの所得倍増にもおこたえいたしておりますし、社会党さんのベースアップにもできるだけ努力をいたしておるわけでございます。しかもわれわれの業界製品は、値段は下がっております。アメリカのJICという部品の大きな会社の社長が私に申されましたことは、アメリカはここ三十年間に賃金が八倍になり、物価は六倍になっている、しかしわれわれの電子企業値段だけは下がるばかりである、そのことを深くお前は心して企業努力をせよ、こういうアドバイスを受けたことがございます。そういう努力のためにも、ぜひともこの法律施行時期を延長していただいて、通産当局の適正な措置を願いたいと思います。
  10. 小川平二

    小川(平)委員長代理 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。     —————————————
  11. 小川平二

    小川(平)委員長代理 政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。加賀田進君。
  12. 加賀田進

    加賀田委員 きょうは多忙な中を参考人の四名の方においでをいただきまして、心から厚くお礼申し上げます。  この法律は御存じのように昭和三十二年に制定されて七年間、この法律のもとに電子工業振興のために運営してまいったわけですが、あらためて七年間延長する、いわゆる単純に七年間の延長をするという時限法でございます。しかしわれわれとしては、七年間いろいろ運営してまいりまして、特に電子工業を担当される皆さんからいまお話のあったように、産業も若いし、非常に広範にこれから発展する要素を持っておるので、できれば政府にもっと強く電子工業に対する振興についての努力をしてもらいたいという気持ちから、この法律に対していろいろ審議をしているわけです。したがいまして、私は社会党でありますけれども、そういう意味で、野党ではございますけれども、いわゆる電子工業発展にこの法律がもっと努力をするための審議として皆さんに御質問するわけであります。  まず最初斉藤参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、いま申し上げたような趣旨から、実は斉藤さんの担当されております日本電子工業振興協会で、昭和三十七年並びに昭和三十八年、昨年の春に、いろいろこの法律運用並びに法律外試験研究促進とか、あるいは今日行なわれている政府補助金制度とか、いろいろな問題について意見が戦わされたということを私は聞いておるわけです。しかしそういう過程を通じてでも、なお政府がこのままの法律を単純に出してきたのです。われわれとしては非常に遺憾に考えているわけですけれども、そういう関係斉藤さんに、二回にわたって論議をされたその経過等についてあるいは記憶がありますれば、それらの主要な意見等についてひとつ御発表を願いたいと思います。
  13. 斉藤有

    斉藤参考人 お答えいたします。私ども協会におきましてメーカーがいろいろ相談しまして、今後電子工業振興臨時措置法改正される場合にはこういう点を特に御配慮いただきたいということを二度にわたってお願いしたことは事実でございます。そのときおもな内容としましては、技術振興が第一項、生産合理化、これが第二項というような内容であったと記憶しております。技術の問題につきましては、たとえばアメリカのように非常に技術革新推進力になっておる軍需とかそういうものが得られない日本では、ぜひとも政府において補助金その他の面について特別に考慮していただきたいというようなこと、それから企業研究投資の意欲を増進させる意味で、税制の優遇措置について特別の御考慮を願いたい、そういうようなことが主だったと思いますが、いずれも現在の法律運用によってある程度目的を達せられるというような見通しもありますので、そういうような改正の問題について、運用目的を達するならば単純延長でもけっこうだ、ぜひそういうふうに早く、途中が切れないようにお願いしたい、それを主にお願いするということに業界でも意見がまとまりまして、それでいまのような単純延長をお願いしておる次第でございます。
  14. 加賀田進

    加賀田委員 技術振興生産合理化というのは、実はこの法律の一つの大きな目標になっておるわけです。目標になっておりながら、なお業界方々にもっと強い意欲があったということになりますと、法律に基づく運用面ですか、あるいは補助金金額、出し方等、いろいろ問題があったのじゃないかと私は思うのです。特にこの法律に基づいて単独に補助金制度というものはきまっておりませんし、鉱工業の試験研究補助金という形で、総ワクの中で電子工学に対する研究費はどれだけ出す  大体半分出しておるわけですが、そういう形で、われわれとしてはもっと政府に思い切って、いま指摘のあったとおり、諸外国では軍需費の中で相当膨大な補助金等を出して民間の研究を促進しておるということも聞いておるわけです。そういう体制は日本としてはいまは困難なわけで、やはり単独でもっと思い切った補助金等を出してこの重大な産業発展に寄与すべきが私はほんとうだと思うのですけれども、特にそういう補助金等の出し方とか金額の点もあったでしょうけれども、そういう問題について何か御意見がなかったですか。
  15. 斉藤有

    斉藤参考人 補助金の問題につきましては、大体半額補助を原則とされておりますが、業界では、欲を言えばきりがないことでございますが、補助金をもう少し高率補助をしていただきたいとか、範囲を広くしていただきたいとか、そういうような希望を持っておることは事実でございますが、しかし法律面で現在の法律を特に改正するというようなことにはならないのじゃないかということで、現在の法律改正にあたっては単純延長でお願いするということになったのでございます。
  16. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、斉藤参考人はいろいろ協会の事務をやっておるわけで、各業界の御意見は十分理解されて、政府との折衝でやむを得ずこの法案は単純にとにかく延ばしてもらおうということで了解されたわけですか、できればやはりわれわれの意図しておるような、もっと積極的な姿勢というものを政府に要請するという、そういう気持ちはいまでも変わらないですか。
  17. 斉藤有

    斉藤参考人 政府がもっとうんと助成していただくということについては、業界は非常に熱望しておることは事実でございます。
  18. 加賀田進

    加賀田委員 それからもう一点、実は私もしろうとですが、資料を見ますと、大企業もございますけれども、ほとんどが中小企業ですね。そういう意味では、われわれも、機械産業振興等について、やはり適正企業に、ある程度合併等を促進さして、企業の安全と技術とかその他の経営の安定をはからなくてはならない、こういう考え方を持っておるわけですが、現在の電子工業業界として、数多い中小企業をそのままにおいて、これから欧米諸国と太刀打ちできるような状態になるかどうか、なる自信があるのかどうか、こういう点についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
  19. 斉藤有

    斉藤参考人 中小企業の問題でございますが、やはり力をつけるためには、適当に企業というものが、少なくとも研究開発の力を持つとか、生産合理化する意味企業が合併するとかなんとかいうことは望ましいと思います。
  20. 加賀田進

    加賀田委員 これは法律上で決定しておるわけじゃないですが、しかし協会としては、そういう状態の中で促進するような運動というものは全然なされてないわけですか。
  21. 斉藤有

    斉藤参考人 特に企業の合併を呼びかけるというようなことはいたしておりませんけれども、共同でいろいろな問題を解決するというような面については協会は非常に努力をいたしております。たとえば部品の非常に高価な共通設備を持って、それを部品メーカーが共同して使うとか、そういう意味の共通問題等について共同の研究開発をやるとか、設備の共同使用をやるとかいうような面につきましては非常に努力をいたしております。
  22. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、この法律の中では、新しい開発のための試験研究に相当目的を持っておるわけですが、協会としては独自の研究機関等はないわけですか。
  23. 斉藤有

    斉藤参考人 共同開発というような問題につきましては、メーカーそれからユーザーも含めて、あるいは大学の先生その他学識経験者に協力してもらって、いろいろ委員会をつくってやるというようなことはやっております。それから設備を持ってそれを各メーカーの使用に供するというようなことも、通産省の援助によってかなり活発にやっておりますが、特別に研究機関というものを協会は持っておるわけではございません。
  24. 加賀田進

    加賀田委員 それでは松下電器松野参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、松下電器は大企業として日本では優秀な企業でございますけれども、その中では同じように螢光灯とか、あるいは水銀灯とかいうものを製造されておりますが、その製作の中で電子工業機器関係は一体何%ぐらいを占めておりますか。
  25. 松野幸吉

    松野参考人 私のほうの電子関係生産高は、全部の約二割ないし二割五分が電子関係の仕事になっております。
  26. 加賀田進

    加賀田委員 そうすると、電子関係松野さんにお尋ねいたしたいと思うのですが、特許権をとられておるのは何件ぐらいありますか。それと外国の技術導入ということで外国の特許料を年間どれくらいお払いになっておるのか、それとその件数はどのくらいになるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  27. 松野幸吉

    松野参考人 外国の特許を使って特許料なりノー・ハウを払っているのが製造原価の大体一・五%ぐらいを支払っているわけですが、それはちょうど新聞広告の広告代とかあるいはデザインのデザイン料といったような程度に私たちは実は考えているわけなんでございまして、それよりも販売によってあるいは輸出によって何十倍かの収入を得ておりますので、一つの手段として外国にそういったようなデザイン料に匹敵するような特許料を払っているのでございます。  それから特許件数でございますが、特許件数は、逐次会社の中の研究所も充実してまいりまして、はっきりした数字は忘れておりますが、毎年四、五百件ぐらいの電子関係の特許を申請し、また特許権を獲得しております。
  28. 加賀田進

    加賀田委員 いま研究所の話が出ましたが、それは松下さんですから電子工学だけではなくて、弱電も全部同時に研究されておると思うのですが、電子工学だけの研究費としては年間どれくらいお使いになっておられますか。
  29. 松野幸吉

    松野参考人 電子関係だけを申し上げますと、金額についてはちょっと覚えていないわけですが、研究費は販売額の約一%、それから電子関係はその約七割を占めているのではないかと存じます。
  30. 加賀田進

    加賀田委員 次に、出川参考人にお尋ねいたしますが、大体電子計算機の基本的な技術は完了した。これからいわゆる具体的な製作に入るというわけですが、これは普通の民生電子工業と違って、大体計画生産、というよりもいわゆる受注生産という形にこれからなってくるだろうと思うのでありますが、資料を見ますと、日本ではいままでに国内で使っているのが七百三十一台、国産品が四百四十六台、輸入が二百八十五台ということになっておりますが、この二百八十五台というのはほとんど大型ですか。
  31. 出川雄二郎

    出川参考人 二百八十五台の輸入の分は、これは中型並びに大型というところで、小型はほとんど含んでおりません。
  32. 加賀田進

    加賀田委員 その点小、中、大ということで規定されるわけですが、その基準というようなものはあるのですか。これはいろいろむずかしい点もあるだろうと思うのですが、大体の基準がありましたらひとつお教え願いたいと思います。
  33. 出川雄二郎

    出川参考人 大体の基準はございます。この基準は、世界的に定義されておる基準は正直に申しましてございませんが、われわれが業界並びに通産省とのお打ち合わせの関係できめておる大ざっぱな言い方を申し上げますと、ほんとうは大中小は性能的な面からきめなければならないのでございますが、性能的な面から見ますと、非常に複雑な形になりまして明確な回答と申しますか、そういうものが出にくいものですから、大ざっぱに言いまして、金額的な点から申し上げますと、小型と申しますのは大体二千万円以下ぐらいの機械、これがほぼ小型に属するものでございます。それから中型が、それ以上から大体三億ぐらいまでのところが大ざっぱに言って中型である。それからそれ以上の機械が大型、こういうことになっております。ただし、中型は中型、大型は大型で別個かと申しますと、必ずしもそうではございませんで、いわば中型の機械でも、中型の機械にある機械をだんだんつけ加えまして、性能をだんだん増加させていくことができるわけでございます。そういう場合は、最初入れましたときは中型の機械でも、それが大型になり得るというケースがございます。したがってそういう意味でここに大中小とあげてございますが、いわば大ざっぱな分け方、こう申し上げたほうが正しいのじゃないだろうかと思っております。
  34. 加賀田進

    加賀田委員 金額的に大中小ということになりますと、これから技術開発がだんだんと前進いたしますと、金額だけではどうも大中小というのは困難じゃないかと思うのですが、私は実は電子計算機の処理の速度とか、それから記憶容量といいましょうか、そういうものの基準によって大中小というものが将来規定されなければ、ほんとうの大中小としての固定化した概念が生まれてこないのじゃないかと思いますが、将来そういうことになるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  35. 出川雄二郎

    出川参考人 まことにごもっともな御意見でございまして、私どももその方向にぜひ持っていかなければならぬ。金額的な問題から言いますと、正直に言いまして、つい五年前までは中型の機械だったものが、現在では金額的に小型に入っているというものもございます。したがって大中小を金額できめるというのは、はなはだ不合理な考え方でございまして、先ほど申されましたように記憶容量、特に最近では記憶容量が一番大きな中心のメジャーになっております。記憶容量がわれわれのことばで約二千ワード以下のものはどっちかというと小型だ。二千ワードから一万あるいは二万ワードくらいが中型、それ以上が大型というような大ざっぱな分け方があるのでございますが、これも先ほど御質問になりましたように計算機の内部のスピードの問題、それからその他のいろいろな機能の問題から言いまして、必ずしもその記憶容量だけからだけでも分け切れないという面もございまして、目下この面ではわれわれ技術関係が集まりまして、どういうぐあいにきめていったら将来いいだろうかということで、先ほど斉藤さんのおられます電子工業振興協会内におきましても、電子計算機委員会というものでこの問題をふだん論じておりまして、結論には至りませんが、この問題を近い将来に解決したい、こう思っております。
  36. 加賀田進

    加賀田委員 実は特にわれわれが当面心配しておるのは、この電子計算機の大型化というのは、企業としての採算がとれるものかどうかということですね。いま申し上げたような受注生産という形で国外にどんどん出れば別として、日本における産業規模、いわゆる経営の規模というものから考えて、大型を開発して製作が可能になったということでどんどん注文が来ればいいですけれども、研究し、しかもそれが研究が成立して、生産にまで相当資金をつぎ込んで到達しても、国内ではたして受注があるかどうか。そうすると、どうしても企業としてはやはり相当の膨大な資金をつぎ込むのには意欲が欠けるのじゃないか。そうなってくると、政府の財政的な援助、腰の入れ方というものが相当必要になってくるのじゃないかと思うのですが、そういう採算面から考えて、大型化というものがはたして採算がとれるのかどうか、こういう面について御答弁願いたいと思います。
  37. 出川雄二郎

    出川参考人 ただいまの問題は、われわれも非常に重要な問題と考えております。現在の世の中の発展の段階から言いますと、私も数年前までは大型の機械というものは、日本ではまあせいぜいほんの二、三台あれば間に合うのかなと思っておったのでありますが、この一、二年の趨勢を見ますと、とてもそういう問題ではない。これは日本におきましても、日本自身がどんどんと発展しておりますので、大型の機械というものは相当膨大な需要が近い将来出てくるのではないだろうかという面が見られるのでございます。ただこの大型の電子計算機に対しまして、前にこの開発の費用がどのくらいかかるかという問題で、私アメリカに行きましてその方面の人間とかってディスカッスしたことがあるのでございますが、ある米国の大計算メーカーの人は非常に大型を例にあげまして、これは日本金額に直しまして開発資金は五十億かかった、こう言っておりました。これを私ども日本でもってやるとすると、おそらくその割合で計算すれば、少なくも二十億とか十五億とかいう程度金額がかかるのじゃないだろうか、こう思っております。したがって需要の少ないところにこういう開発資金を各業者が出してやっていくには、とてもそれだけの勇気は出ないというのがつい数年前までの現状だったのでございます。この振興法に基づきまして、昨年来大型の電子計算機の研究補助金をいただきまして、これは昨年度まで約二億いただいております。この二億が呼び水になりまして、現在大型の計算機の開発を進めております。これは非常に早い速度で進んでおりまして、この秋じゅうには一応各機械の部分は出そろってくるという段階に現在来ております。もちろんこれをほんとうに完成いたしますのには、これのアプリケーションと申しますか、応用技術面をもっと開発しなければ、これはほんとうの実用にはならないのでございますが、しかし大体の先は見えてきたというような感じが現在いたしております。先ほど申し上げましたように、現在までの二億の研究補助金は、いわば大型の計算機を開発するためには決して多額な金額だとは申せません。むしろ少な過ぎるとわれわれは率直にいって言いたいのでございます。しかしたとえ少な過ぎても、この二億が呼び水になりまして、この大型の開発に踏み切れたということは、一つの大きな効果があったのではないだろうか、こう信じております。
  38. 加賀田進

    加賀田委員 いま共同研究所のお話が出ましたが、大型電子計算機の研究組合というのに日本電気さんも参加されて、富士通信と神戸電機ですか、三社でつくっておりますね。これについて二億程度二年間に政府補助金を出したというのですが、この研究所の当面計画されておる費用の総額は大体どのくらいですか。
  39. 出川雄二郎

    出川参考人 現在私どもの研究関係は、電子工業の非常に多岐にわたっての研究をやっておりますので、特にただいまの御質問は電子計算機関係というぐあいに限定されておるわけでございますが、そうしますと、日本電気の研究でもって年間研究費が約七、八億から十億じゃないかと思っております。
  40. 加賀田進

    加賀田委員 大体意欲的な方向がわかりましたけれども佐々木参考人にちょっとお尋ねいたしたいと思います。  ほとんど中小メカーだというお話でございましたが、そのお話の中に、本法は恒久法であったほうがいい、こういうようなお話があったわけです。われわれとしてもできればそういう方向に努力をしたいのですが、実は政府の答弁によりますと、この法律では独禁法に抵触する、第七条にいわゆる共同行為が規定してある。そういう意味でこれは時限法にせざるを得ない、こういう答弁があったわけです。実は第七条に共同行為というものは規定してありますけれども、この法律ができましてから、いままでに一回も発動したことがないのです。そこでお尋ねいたしたいのですが、この共同行為が一つの魅力とはなるでしょうけれども、今後こういう急速な発展を遂げつつある電気工業の部品として、共同行為なくしてでも発展するかどうかということですね。いままではなかったんですから、今後七年間なくしてでも支障なく発展する見通しがあるかどうか、これさえなければ、恒久法としても法体系として何ら矛盾がないのですが、その点はどうお考えですか。
  41. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 恒久法にしたい云々は個人的希望を申したのであって、今後五年ないし七年間には産業界が非常に開発されるし、また部品業界でも、それに対処するためにもおのおの努力いたします。中小企業の集まりであるということは、ほんとうにそのとおりの現状なんでございますが、先ほど申し上げましたように、それはそれなりの、それぞれの技術的な特色を持っております。そうして、これは自社のことを申して恐縮ですが、私ども電解コンデンサー一つをとってみましても、四百種類以上のものが相当多岐にわたってございます。したがいまして、これは同業やまた他の機器メーカーその他との共同研究を進めるような場合は、今後出てくる場合があるだろうと想像いたしますけれども現状は、各社それぞれの技術的特色の中で切磋琢磨しているのが現状でございます。ここ数年以内に、ただいま御指摘のような状態が急速にあらわれるとも思いませんし、またそうでなくても発展できると思っております。
  42. 加賀田進

    加賀田委員 佐々木参考人にお尋ねいたしますが、佐々木さんのほうでは独自に研究機関をお持ちですか。
  43. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 私の会社は、規模従業員千四百人、独立の研究所ではございませんが、そこに二十五、六名の者が生産を離れた毎日の研究を進めておる、こういう状態でございます。
  44. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、その研究所に政府の機関であります、いわゆる補助金を出している鉱工業試験研究補助金をおもらいになったことがありますか。もしあったとしたら、金額等を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 数年前に一度いただいたことがございますが、いまちょっと記憶がございません。開銀融資をいただきましたことは、三十四年に一度一千万円、三十八年、昨年に二千万円——補助金金額記憶いたしておりません。
  46. 加賀田進

    加賀田委員 ちょっとあるかどうか記憶がないけれども、大体一回ぐらいはあるんじゃないかという程度ですか。——それでは、もう一点お尋ねいたしますが、中小企業だけが寄っての共同研究所をお持ちなんでしょうか。
  47. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 これは中小企業と申しますか、私ども部品業者の中では、大体千名から、大きいのが三千名ぐらいが従業員規模でございます。いろいろ設備関係その他部品の種類によって違います。ただ、そういう中小企業は一応中堅企業と申しますか、そういう形の中で多少技術向上をやるために、将来共同研究所を持ちたいという意向が経営者の中にはございます。
  48. 加賀田進

    加賀田委員 これはささやかな政府の金でありますけれども、やはりそういう補助金制度というものがあるんですから、われわれも早急にこの開発に期待しておりますが、ぜひともそういうことについて申請し、努力し、政府の施策にも協力するという意味で活用していただきたい。  それからもう一つ、部品等について、各企業間で購入しているのか、それともある程度業者間で共同購入的な方法でやっておるのか、そういう点についてお答え願いたいと思います。
  49. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 いま御質問が、各企業間で購入しているかとおっしゃいましたが、部品業者の大部分は、松下さんのような大手のアッセンブル・メーカーへ納入いたしておりまして、部品業者の間の取引はほとんどないと思います。
  50. 加賀田進

    加賀田委員 次に出川参考人にお伺いしたいのですが、電子工業関係で、いま松下の松野さんに特許のことをお尋ねしたのですが、日本電気さんのほうで外国の特許料をお払いになっておる件数が、おわかりだったら知らしてもらいたいということと、それから、出川さんのほうは技術的にも非常に優秀だと聞いておるのですが、外国に出しておる特許があるか、こういう点について御説明願いたいと思います。
  51. 出川雄二郎

    出川参考人 ただいまのお話最初の点でございますが、私ども会社で持っております特許権は、おそらく二、三千件じゃないかと思うのでございますが、そのうち、現在外国に出しております特許は約数十件、おそらく五十件程度じゃないかと思います。そのうち成立しておりますのは二、三十件程度のものでございます。それから、私どもが外国と提携して向こうからもらっているパテントの数、これは電子計算機関係ですが、電子計算機のほとんどが全部IBMと特許提携しておりますが、これを含めますと、おそらく三千件程度になると思います。  それから、私どもの機械で輸出いたしております面は、残念ながら電子計算機ではまだございません。しかし電子計算機以外に、たとえば非常に短い波長を出します真空管——トラベリング・ウェーブ・チューブといっておりますが、こういう真空管はアメリカ輸出しております。それからマイクロ関係、搬送電信電話関係、この関係は、最近各方面にわたって非常に輸出しております。最近でもメキシコ関係から非常に大きな成約がございまして、目下建設に入っております。搬送関係ではインド、イラン、パキスタン方面でやっております。それから放送機ではインド、東南アジア地区、ヨーロッパのほうではスペインにかなり出ております。したがって、産業用電子工業と申しますかオートメーション機器、こうしたものがいま輸出面で少し芽を出しかけてきたという状況でございまして、やはり日本電気と申しますか、NECとか日本メーカーの名前が、電機の輸出に伴いましてだんだん名が売れるに従いまして、そういう面の開発が漸次興ってきつつあるというのが現状でございます。
  52. 加賀田進

    加賀田委員 これで参考人に対する質問は終わりたいと思いますが、われわれは技術者でございませんから、電子工業発展日本産業や国民経済の方向に重大な意義を持っておりますので、各担当の方々には御努力を願うとともに、われわれとしても政府を鞭撻して、できるだけ皆さんの希望に沿うようにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  53. 小川平二

    小川(平)委員長代理 板川正吾君。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 参考人に二、三伺いたいと思いますが、電子工業というのがわが国に最も適した産業だという御説、われわれもごもっともだと思います。スイスにおける時計産業のように、電子工業わが国の代表的な産業になる適格性を持っておるのじゃないか、こう思うのでありまして、われわれもこの電子工業の今後の発展を期待しておるわけであります。  そこで、この機会に二、三伺いますが、まずこれからの産業発展するのには、研究体制というのが重要だろうと思います。なるほど家庭電器的なものについては世界の一等水準を行っておりますが、産業用機械等におきましては、御承知のようにまだまだおくれておる。これは非常に新しい技術開発が日に日に相次いでいますから、ようやく一位になったからといって安心できないので、あくまでも技術開発研究体制というものはそういう意味で今後も重要であると思います。日本では軍需産業というのが少ないですから、軍の要請によって技術研究をするということもない。その点では政府がそういう不利な点を補う体制というものをつくらなければいかぬと思うのです。  そこで伺いたいと思いますが、日本では主要工業の研究費が、資料によりますと四・一%、日本産業の中では研究費としては非常に大きな投資をされておる。ところが試験研究費四・一%の外国との比較——アメリカでは日本の二十五倍くらいの金額を持っておるそうでありますが、この試験研究費の主要産業における比率という点から見ますと、日本電子工業の四・一%は、西欧の電子工業と比較してどういう程度の水準を占めておるのでしょうか。どなたか答えていただきたいと思います。
  55. 斉藤有

    斉藤参考人 世界各国の研究費の水準というのはなかなかデータが得にくいのでございますが、アメリカと比較いたしますと、オーバーホールには、先ほどお話しのように、大体軍並びに連邦政府研究費が非常に多いものですから、全体から見ますと、日本の二十五倍というような関係になっておるわけでございます。企業としての研究投資のパーセンテージは、大体日本のほうが少し高率かと思います。しかしアメリカでは生産額が全体を通じて日本の八倍くらいになっておりますので、パーセンテージは少し少ないようでございますが、総額からいえば比較にならぬほど多いのであります。大体日本が四・一%、これは私どものほうの会員を平均して、大体そういうようなことになっておるわけでありますが、アメリカの場合は、四%ちょっと切れるのじゃないかと記憶しております。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、企業内の研究費を含めますと、日本は高水準にある、そういうところがいままで発展した大きな原動力であったわけですね。  次に、せっかく研究されましても、それを開発する必要がある。この資料によりますと、電子工業に対する新しい投資額の比率が、日本の各産業と比較してみましても、化学、繊維、鉄鋼、自動車、一般機械等から比較してその次にある。せっかく非常な伸びを示しておる電子工業に対しての設備投資金額というものが比較的低位にありますが、これは一体どういうような原因であり、あるいは実質的にはこの金額は少ないのだが、こういう方向で将来も大いに伸びるのだ、こういうことでしょうか。その点をちょっと……。
  57. 出川雄二郎

    出川参考人 ただいまの御意見は、いわば電子工業あるいは電子産業と申しますのは、頭脳産業的な要素が非常に強いということなんであります。化学工業ですとか、自動車工業ですと、これは設備産業で非常に大きなプレスが要るとか、化学用の炉が要るとかいうことなんでございますが、電子産業におきましては、そういう巨大な設備はほとんど要りませんで、むしろ巨大な頭脳がたくさん要るということなんでございまして、したがって生産高におきます投資比率からいきますと、ここに出ておりますような形になっておるのではないだろうか、こう思うのでございます。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 この資料によりますと、化学等が非常に伸びておる。化学、鉄鋼、自動車というのは装置産業ですけれども、しかしこれはもともとが装置産業ですから、その伸びる比率というようなものは同じだろうと思うのですが、そういう点で、電子工業に対する新しい投資額というのがどうも過小のように見える。これはなぜかというと、最近の輸出動向を見ますと、実は昭和三十五年以来電子工業輸出額というものは伸びがあまり顕著じゃないですね。昭和三十二年に比べて、その率を見てみますと、三十三年は三十二年に比較をして二倍近く、三十四年は前年に比して二・五倍になっておる。これは目の子勘定の計算ですが、ところが三十五年になると前年比が一・五になり、三十六年一・三、三十七年一・二、三十八年一・二、こういうようなぐあいに輸出の額というものの推移を見ますと、七年間で十七倍にはなっておりますが、三十四年までが非常に伸びておって、五年以降は、実は伸びがだんだん鈍化をしてきておる、こういう傾向が見られます。まさか老衰期に入ったわけではないと思うのですが、これが伸びいく電子産業としては、一つの警戒を要する傾向だと思ったわけです。それがいま言った電子工業の新投資比率が比較的他産業に比して低いということと関連性があるのではないか、そういう点を考えたものですから質問をしたわけですが、いまの点の私の心配はないものかどうか、どなたかひとつ解明を与えていただきたい。
  59. 出川雄二郎

    出川参考人 私の御返事申し上げますことが当たっておるかどうですか、また後ほど斉藤さんあるいはその他の方からもこの点は御意見を承ったほうがいいのじゃないかと思うのでございますが、私一つ感じておりますことは、いわば輸出面におきまして伸びが幾分とまりかけておるような感じがするということでございますが、これは一つは、日本は非常に急激に成長しまして、特にアメリカ関係輸出が非常にふえた。それに対しましてアメリカのほうではいわばびっくりしてそちらの手当てを始めたということが一つ、特に、アメリカがこの数年来いわば平和ムードがかなり出ておりまして、軍需産業から民需産業のほうにもかなり各企業が口を向け出してきておる。   〔小川(平)委員長代理退席、始関   委員長代理着席〕 したがって、民需産業のほうにも相当の力を入れ始めてきたというところが、やはりそれまで、いわば、極端な言い方をしますと、無人の荒野を行くような形でどんどん入っておったものがだんだん入らなくなってきたということじゃないかと思うのでございまして、特に設備投資が少ないからだとは必ずしも考えられないのでございますが、しかし逆に言いますと、設備投資に含まれるかもしれませんが、研究投資をもっと積極的にすれば、現在アメリカでやっておりますものよりもさらにコストの安い、さらに優秀な品物が開発されまして、この面が輸出されすすと、もちろんここに掲げてあるものよりはずっと輸出が伸びるべきだと思っております。したがって、われわれもその面に関しまして今後大いに努力をしなければならない。ただいまの御指摘は、たいへん私どもにも参考になる御指摘ではないか、こう思います。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 どうも最近の輸出傾向が伸び悩んでおるということは、ひとつ業界でも念頭に置いていただきたいと思うのです。それからこの輸入状況を見ますると、特に計算機については、今後の研究課題の一番取り組む産業用機械ということで取り組んで競争力を持たせよう、幸いにしてさっきの報告等を見ますると、大体においてあと一、二年のうちに競争力を持つ状態になるだろう、こういう話であります。ところが電子測定器については輸入傾向が非常に多いのですね。電子計算機は七年間で十倍ですが、電子測定器は三十八倍になっている。しかも傾向としては三十八年、三十七年、三十六年、この間に非常にふえております。一方研究補助金等の項目を見ても、こうした電子測定器に対する研究補助金の項目がないようなんでありますが、この点は業界としてどういうお考えでしょうか、何かこの点についてひとつ……。
  61. 斉藤有

    斉藤参考人 測定器の輸入が多いというのは事実で、特に最近漸増の気味がありますので、私どもも国産機使用促進のムードをつくるのに一生懸命やっているところでございますが、その理由として考えられることは、測定器みたいなものは各企業としての負担率からいえば金額的にはそう大したことはない。しかも精度を非常に要求するというので、世界的に名前の通っているブランドの測定器を使いたがるというのが昔からあるように思います。試作補助金の問題に関しましては、高性能測定器の補助につきましては例年ずっと補助をされておりまして、その方面の発展はかなり見るべきものがあると思います。  今後の輸入の見通しにつきましては、これはぜひ国産使用促進の問題と関連しまして、私どもそういう運動を進めたいと思っておりますが、非常に高性能の問題につきまして、まだ日本開発がそこまでいっていないというものにつきましては、若干今後輸入がまだあり得ると思いますけれども、普通品につきましては十分太刀打ちできると思っております。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、今後やはり開発研究の重点というのは、電子計算機電子測定器というところに向けられていくということですか。どうも金額的にたいしたことはないと言いますが、金額的に非常に多いように思うのです。三十四年にはわずか六億のものが三十八年には九十六億、約百億になっております。この百億という金額はあるいは少ないかもしれませんが、しかし輸入額の中でも相当大きいと思います。しかもこの輸入の伸びが非常に高いものですから、こういう測定器方面についても実は研究なり開発なりが業界としてどういう腹がまえを持っておられるのかということを聞きたかったわけであります。  最後にもう一つお伺いしておきたいのは、研究補助金が十七億近く、それから開発銀行から二十三億ほど融資が出ておるわけでありますが、まあ研究費というのは補助金も必要ですし、また企業内での支出も当然かかるべきだ、そういうような点で、非常に多いというのですが、日本が今後さらに電子工業発展させるためにはもっとこうした金融的なもの、補助的なものも当面必要だ、こう思うわけであります。電子工業界として、こういう従来の程度でやや満足しておられるか、それともこの際希望があれば承っておきたいと思います。特に、これは佐々木さんの中小企業関係でこうした金融、補助金的なものに対する要望というものがございましたならば承っておきたいと思います。
  63. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 一般のわれわれ電子部品業者の中には、新しく開発をするために補助金なり、開発銀行の融資を希望する向きが相当あると思っております。ただ、開発銀行の融資を受けますにいたしましても、部品業者の企業規模の中で、企業の運営上支障なき見通しがなければ、われわれとしてもいたずらにお願いすべきものでないというふうに、私どもメーカーの大部分が考えておるだろうと思います。元来、電子部品の業者はほとんどが、どう申しますか、いろいろ工夫をしまして、任意に、自由に結成した企業でございますので、その採算の中でユーザー側の需要関係その他で成長してまいったわけでございます。特に新製品開発等のめどがつきましたときには、ぜひともそういう助成がお願いしたいというふうに考えております。
  64. 斉藤有

    斉藤参考人 補助金の額につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に呼び水になって、企業努力をすることを誘発したというメリットが非常に多いのでございますが、しかし業界としましては、いま程度補助金で十分だとは思っておりませんので、もっと高率補助を希望しておることは事実でございます。  それから設備合理化の融資につきましては、従来は高性能部品というようなことを対象にして融資されたように思っておりますが、私どもとしましては、今後電子機器を一そう促進する意味におきましても、輸出産業というような面でもっと設備合理化をはかるべきものだというふうに考えておりますので、そういう意味の、単に高性能部品というだでけなくて、輸出産業というような見地から設備合理化を推進していただくという希望を業界としては強く持っておると思います。
  65. 始関伊平

    始関委員長代理 久保田豊君。
  66. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私しろうとですから、おそらく御質問申し上げることが的はずれの点が多いと思います。ただいま参考人各位からお話がありましたことと、わずかばかりいただきました資料等を土台として御質問いたしますから、その点あらかじめ御了承いただきたいと思います。  いろいろの資料やいまお話を承りますと、いま電子工業界は大きな一つの転機に来ていると思うのです。それは、従来の民生用の電子工業から産業用電子工業にだんだん重点を移していかなければならないというような点、あるいはいまお話がありましたように、基礎的な部面はどうやらできた、これから応用部面にどんどん重点を移していくというこういうようなお話、あるいは部品の面におきましても、いわゆる新品種の独立メーカーへの方向を大体基礎的にはとっていかなければならないというようなお話、それからもう一つは、大体いままでの特に産業用等においてはつまり多種小量生産とでもいいますか、そういうのが新品種の開発ということとからんで大体において部品関係で主力をなしておった。しかしこれからは大体において少種——と言っていいかどうか、新品種の開発ということがありますからそうばかりはいかないと思いますけれども、少なくとも少種大量生産といいますか、量産体制に移っていかなければならないというふうな大体において業界状態ではないかと思うのであります。そういう段階で全般的な問題として本法が七年延長になるわけですが、本法の運用の面でいままでとどう変えていったらいいかという点がやはり重点だろうと思います。業界状態がそういう状態に変わってくるのでありますから、それに先導的な役割りをする、つまり引っぱる役割りをするのがこの法案の根本の目的だろうと思います。単に官僚統制を強化するとか縛っていくとかいうようなのがこの法案の目的ではないと思うのでありますが、そういう観点からごらんになりまして、本法が今後七年間延長になるという際に、特に従来の運用状況から見て、この点はこう考えてほしい、この点はこう考えてほしい、こうすることがいいのだということを、特に業界におかれる皆さんから、それぞれたくさんあろうと思いますが、一番その要点についてひとつお教えをいただければ非常にありがたいと思います。
  67. 斉藤有

    斉藤参考人 お答えします。  いままでの七年間はこの電子工業発展のためにはいわば前期というような役割りで、これから七年延長していただくとすれば後期になるかと思います。したがって、運用につきましても現段階に即応するようないろんな御配慮をお願いいたしたいと考えております。  二、三気のついたことを申しますと、第一号機種の補助金制度につきましても、いまから外国の進んでいる状況あたりも見て、特に電子計算機あたりは、外国のIBMその他みな新機種を発表して、今後の日本電子計算機のためには非常に問題が多いだろうと思いますが、それらも考慮して、長期的な計画をこの際つくって、そうして補助その他につきましても幅広い運用をしていただきたいということが一つであります。  それから生産の面につきましては、国際競争力を増すためには、どうしても集中生産をこれから考えていかなければならぬというふうに私ども痛感しておりますが、いままでも、集中生産につきましては業界でそれぞれ話し合いをしておりまして、合理化カルテル運用した例はいままでなかったのでございますが、そういう下話はかなり進んでおるわけでありまして、部品につきましても、なるべく規格を統一して集中生産をやる。それから、機器その他につきましても、おのおのの生産分野を特徴づけていくというような努力がこれからは必要だと思いますので、そういう意味運用、たとえば第三号機種として設備合理化の融資をされる場合にも、そういう御配慮をしていただく。あるいは第七条の共同行為につきましても、なるべく業界でもそういう線について話し合いを進めていくというふうに、政府業界とが相呼応しながらお互いに外国に対して国際競争力をいかに強化していくかというような意味で、この振興法運用していただきたいと考えております。
  68. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その他の参考人からも、それぞれの業界立場から、その点について御意見がありましたらお聞きしたいと思います。
  69. 出川雄二郎

    出川参考人 ただいま斉藤さんからのお話、すべてごもっともだと思います。私、特に電子計算機に関しましての面だけを申し上げさしていただきたいと思いますが、先ほど申しましたように、電子計算機基礎といいますか、基礎的な知識というものは、日本人といいますか、日本企業としても十分得られたと思っておるのでございます。ただ、これをどういうぐあいに実際の世の中の事業に適用していったらよいか、こういう面の研究というものは、むしろ、いままではなくて、いわば金物をどう曲げるかとか、部品をどう取りつけるかとか、どの部品を使ったらよいとか、こういう方面の、いわば金物的研究が従来の研究であったのでございます。ところが現在われわれがIBMその他外国の機械に対しましてひけ目を感じますのは、どういう企業にはどういう計算機の適用のしかたをしていったらよいだろうかというような意味の研究が日本では非常に不足しております。御承知のように、従来の通産省の研究補助金と申しますものは、具体的なある形のものができまして、具体的なこの形のものに対して幾ら補助金を出すぞ、こういう形のものが多かったのでございますが、われわれは今後この電子工業のほんとうの発展は、むしろ形にならない前の段階の研究、これが非常に重要なんじゃないだろうか、こう思っております。そういう面の研究費というものは、これは形にならないのですが、形にするための研究に対して非常に重要な基礎的な役割りを果たしておる。この面をほんとうにやりませんと、先ほど申しました、今後新しくやっていく応用面にもほんとうの役に立つ機械というものにはならないのではないだろうか、こう思っておりますので、特にそういう面での補助金の使い方と申します、使途を十分御考慮いただきたい、こう思っております。
  70. 松野幸吉

    松野参考人 先ほどの、なるべく機種を少なくして多量生産にしたらよいじゃないかというお話ですが、しごくごもっともな説でございますけれども、一つの機械をつくるのに、付属品と申しますか、部品と申しますか、非常にたくさんの品種が必要であるわけなんでございます。それで、なるべく少品種にまとめて、たとえば三つの部品を一つにまとめよう、あるいは二つのものを一つにしようというような研究は、着々と進めておるわけですけれども、いま、すぐそれを、じゃ全部そういうふうにしなければならぬということ、なかなかむずかしいわけですね。多品種、少数量と申しますか、そういうものも非常にたくさんあるわけなんでございます。そんなことで非常にむずかしいのと、何といってもやはり中小企業の下請と申しますか、そういうものの上に乗っかってアッセンブルしているというのが大きな企業でございますので、やはりどうしても中小企業援助の手を差し向けてやらなければ、企業全体というものが成り立たないと思うのでございます。
  71. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 部品業者の立場から申し上げますと、これは一例ですが、コンデンサーの私どもにとりまして、先ほど申しました三十二年の一千万円はアルミ箔電解コンデンサーをうんと小型にして高性能にする、こういう目的が主眼で融資せられたのであります。それから昨年三十八年度は、電子計算機その他産業機器用に多く使われるタンタル箔またはタンタルの固体を主体にしたもの、こういうふうな一つのアイテムをもって相談しているわけでございます。いま御指摘のように、今後どうしてセットの部品輸出を進めていくかというふうな問題につきましては、御承知のように人手不足の状態でもございますので——大体部品企業がはなはだ手先を要しておったということは、これは逆から申しますと、合理化と申しますか、機械化あるいは自動化する余地の相当あるもので、これを進めてまいりませんと、全体の国の施策にも沿わないかと思います。われわれとしましては、今後のこの法律運用していただくにあたりましては、この部品の製造は、大体いわゆる一般に販売されております汎用機械はほとんどそのまま使えないもの、大部分がその企業内で開発される、または同一の業種内で開発されていく機械でございます。したがいまして、たとえて申しますと、コンデンサーの陽極と陰極とを巻きますのは、三十二年当時は手で巻いておりました。これはいまも大部分が手で巻かれておりますが、私どもはこれを自動化いたしております。現在私ども製品アメリカのGEでも使っておられます。十数年前、われわれが輸出したときには南米にいたしたのでございますが、私どもの考え方では、電子工業の本場であるニューヨークで売りたいというのがわれわれの念願でございます。したがいまして、今日のラジオテレビ用につきましては、アメリカ製品に劣らぬところにまいっておりますけれども、なお今後の問題は、産業用、機器用の部品は今後開発されなければなりませんので、いわゆる第三号機種については格段の御配慮を願いたい。そしていわゆる新製品だけではなくて、現在でき上がっております製品製造方法の改善にも十分運用の意を用いていただきたい、こういうふうに考えております。
  72. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そこで、これもしろうとの質問でありますが、技術開発ということが何といっても柱になるわけでございます。そこで一つお伺いをいたしたいのは、国のやっております、たとえば大学であるとか国立の各種の試験所であるとか、こういうところの技術研究なるものと、いわゆる業界でやられております技術研究のいろいろの体制というものがうまくかみ合っておるかどうかという点が一つの大きな問題になろうかと思うのであります。こういう点はどうかということと、各企業間あるいはそれぞれの同じ電子工業の中におきまする部門別の問題がそこに一つあると思いますが、こういう点を含めて、これはうまくいっているかどうか。あるいはこういう点について、国の研究体制に対して、こういう点にひとつ重点を置いてやってもらいたいとか、あるいはそういうことについて、通産省が中心になりましょうけれども、いまの通産省行政というものの運用のしかたに何か改善を要する点があるのかないのかという点についてお気づきの点がありましたら、お伺いさしていただきたい、こう思うのです。
  73. 斉藤有

    斉藤参考人 電子関係の国立試験研究機関としましては、通産省工業技術電気試験所になるわけでございますが、電気試験所と電子業界とは、私どもが窓口になってかなり連絡をよくとってやっておるつもりでございます。例を申し上げますと、たとえば電子計算機もいま国産がかなり伸びてきておりますが、最初は電気試験所で開発されたものをメーカーが商品化するというようなことで、いろいろタイアップして進める。それが基礎になって今日に来ておるということは明瞭でございます。それから部品の例にしましても、最近はいろんな固体回路という複雑な部品にだんだん発展しておるのでありますが、それらを通産省の補助を得まして、私ども協会が窓口になって、たとえばアメリカで非常に進んでいるというものがあればそれを輸入して、それで電気試験所の協力を得て、電気試験所の設備を使わしてもらって試験をして、その結果、試験法等はメーカーと電気試験所と寄って相談して試験をするというようなこと、一例をあげますればその程度でございますが、その点は非常にうまく連絡がとれておると思うのです。しかしながら、電子工業全体の技術革新のテンポから見ますと、私どもはもっとうんと電気試験所を強化していただいて、そこで国として研究していただくものを明確にしてもらって、その成果中小企業に流して企業化するというような面の努力は、これからも一そうお願いしたいというふうに考えておりまして、電気試験所の強化ということは業界でも非常に望んでおると思います。
  74. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がありませんから、その点、もう少しお伺いしたい点がありますけれども、次の問題に移ります。  電子工業というのは、一つの、アッセンブル工業ではありませんけれども、大企業があってその下に各種の部品がつくられて、小企業でこれが組み立てられる、こういう仕組みのように思うのであります。そこでやはり一番問題のあるのは、大企業、中心企業中小企業との協調体制を、技術面なりあるいは営業面なりあるいは経理面なり、こういうことでどうしていくかということが私は非常に大きな問題ではないか、こう思うのであります。このいただきました資料を見ましても、いわゆる大企業に属するものはきわめて数が少ない。そしていわゆる中小企業部品生産のものが多い。いまのお話では、たとえばコンデンサーのほうについても、独立部品といいますか、そういうものをつくり得ているのは大体二十社ぐらいだ、こんなようなお話でございました。こういう点について、国として中小企業対策というふうな観点から見ましても、特にこれからこういう非常な変化をしながら大発展を遂げていかなければならぬ、また遂げ得る余地を持っておる産業界でありますので、これは特段の考慮を払わぬことには、この産業全体が完全に伸びていかない、こう私は思うのであります。こういう点について、佐々木さんは中小企業立場部品メーカー立場ですが、ほかの二人はどちらかといえばいわば中心企業、大企業のほうになるわけでありますが、現在までどうやっておられるのか、今後どうやっていくのかというふうな点、そういう観点からして、政府に対してこうやれというふうな点が斉藤さんのほうからまとめておありになってしかるべきではないか、こう思うのであります。これらについての御意見をお聞かせいただければありがたい、ころ思うのであります。
  75. 佐々木茂蔵

    佐々木参考人 私は中小企業部品企業立場からただいまの御質問にお答えいたします。  私ども部品企業の中には二通りあると考えるわけです。本来、平たく申しますと、協力工場、下請工場というものの二つあるわけです。これは、私自身は協力工業の立場をとっていきたいと思っておりますし、また日本部品企業というものの確立をしたいというのがささやかな志でもございます。松下さんとか日本電気さんとか、こういう日本の大手の大企業の傘下には協力工場もありますし、下請工場もございます。下請工場と申しますのは、親工場の生産によってほとんどが左右されてくる。協力工場の立場は、私どもを例にいたしますと、日本電気さんも日立さんもあるいは松下さんも、その他数社のお得意先がある。これは単に営業上の取引ということだけでなく、これは技術上、先ほど申し上げましたように、品質性能がまず御要求の規格その他に合うものが取引条件でございます。それあってしかる後に価格の問題がございます。専門工場の一つの使命というものは、大企業をユーザーとして生活しておるものではございますが、松下さんと日本電気さんとはやはり技術上それぞれやや異なる御要求もございます。そこにおいて生産される部品というものは、日本の大企業技術的ないろいろの影響を自然に受けております。自然に受けるというより当然吸収し、切磋琢磨されてでき上がっております。したがいまして、日立さんの御要求が日本電気さんのところへも行くわけでございます。こういう立場から申しまして、ただいまのお話部品企業に対する助成という立場は、そういう立場をとっているものと下請的な色彩の濃厚なものとに分けてお考え願いたいというふうに思います。ですから、ことさら部品自体企業体の独立経営を固守するものではございませんけれども、その立場を広げれば有利な大きなものができるはずだと信じております。そういう場合と、また非常な技術的な特徴を持ったところのもの、完全な下請企業、こういうものを、現状からすればそれで育成、助成していただきたい、そういうふうに思います。
  76. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 大企業のほうの立場からどうですか。
  77. 松野幸吉

    松野参考人 大企業立場からいたしますと、この完全下請という場合には、自分のほうではその品種はつくらないというのが常識になっておるわけです。だから完全下請の場合には、親会社はその子会社企業については全幅的な責任を持っておるわけなんでございます。それから協力会社というと、その一社だけに依存しているのではなくて、多数の会社に依存しておるので、そういう会社に対してはやはり分業という形で私たちは利用している、いわば利用会社という程度に考えているわけなんでございます。それから先ほどの大学の研究所と自分の会社の研究所と共同でひとつやったらどうかというお話がございましたが、一時、産学協同研究ということがはやったことがあるのでございますけれども、私たち企業ということになりますと非常に時間的に制限を受けるわけです。大学のごときは時間的に制限がありませんので、時間的にマッチしないわけですね。そういうようなことで産学協同研究ということは、一町いろいろと理想を唱えられたけれども、現実の問題としてはあまりたよりにならないということが最近の現象でございます。
  78. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それじゃもう一、二点だけお伺いいたしますが、大体電子工業界としては将来の需要なり何なりをどう見ておられるかという点であります。民生のほうは国内でも大体もう一ぱいじゃないか、まだいろいろたくさんあるでしょうが。ところが輸出面を見ますと相当に伸びておる。そこで民生関係のほうから見ますと、今後問題になりまする開拓市場としては、輸出面では欧米というふうなところに重点を置いていくのか、あるいはいわゆる東南アジアその他の低開発国方面に重点を置いていくのか、あるいはいまのところそういう需要は少ないと思いますけれども、共産圏のほうにだんだんと重点を置いていくのか、こういう点を、私はそれぞれの特徴がありましょうし、そしてあれが違うと思いますが、まあ何といいますか、欧米市場というのは、これは全くあらゆる面において競争で入っていくほかはない、こう思うのであります。ほかのところでももちろんそうでありますけれども、たとえば低開発地帯においては民度が非常に低いわけですから、テレビラジオというふうなものがどの程度発展していく可能性があるのか、あるいはそういう方面に発展をしていくのにはどういうふうな、国として、基礎条件をその国で整えるように、経済政策なり経済外交政策なり援助政策というものをやっていかなければならぬかという問題があろうと思います。あるいは共産圏の場合におきましては、いまのところはソ連のほうも大体において生産基礎というところに重点を置いておりますけれども、これからだんだん共産主義化をするなんということを言っておりますから、そうなりますと大体民生のレベルを早急に上げていかなければならぬということになろうと思います。そうなってくると、いまの向こうの体制では、こういう民生用のラジオテレビというものはそう力を入れていないんじゃないか、しかも急速にそういう面が伸びてくるとすれば、将来の輸出という問題も、それぞれの国の、共産圏諸国の発展段階に応じて出てくるんじゃないか、こういう点も見て、民生のほうについてはどういうふうに、国内と海外のそれぞれの輸出市場の持っております特性に応じて生産の体制なり販売なり何なりの体制を立てていかなければならぬという問題があろうと思います。また産業用にいたしましても、私はもっと問題が重要だろうと思うのであります。国内産業用として、どの程度どういう面が今後伸び得るかという大体測定の問題、それから海外市場として欧米先進国に対してこの産業用の機械で勝負をやっていくのか、あるいは低開発国の産業開発、特にプラント輸出と連関をして、こういうほうに重点を置いていくのか、あるいは共産圏諸国のように主としてプラントや機械を望んでおるほうに食い込んでいくのか、こういう点の一つの方針なりあるいはそういう需要の見通しというもの、こういうものと結びついた今後の開発計画がなければ私はほんとうの地についたものにならぬ、こう思うのであります。こういう点については、政府のほうの調査なりあるいは情報等が非常におくれがちであります。どうしてもこれは業界の方がそういう点に先べんをつけていかれるということが必要ではないか。特に二、三私ども経験をしておるのでありますけれども、たとえば共産圏の北鮮に沖電気さんが例の放送塔の注文を受けられた。ところが、これが、日本側が非常に文句をつけまして、とうとうお流れになった苦い経験もあります。そういうふうな点で、産業用と民生用とは違います。違いますが、特にそういう点についてはどうか。私はその中で、特に国内の需給の見通しの上でも海外の見通しの上でも一番重点とするのは、オートメーション関係の大体の見通しはどうか、特にこれは日本国内がおもになるだろう。それから電子計算機等についても、大型のところにいま大体重点を置いておられるようなお話でございましたけれども、何といってもこれはIBMあたりが——実は今度は相当大型のモデル三六〇とかいうやつを新しく入れるそうですね。いままで九〇四〇というのが一番大型だったが、今度はモデル三六〇というのを基本機種にして、日本に重点的に売り込もう、こういうことを考えておられるようです。同時に、それの付属の機械は国内で発注をしてつくる体制をやっておる。こういう中で、日本のこれからの電子計算機の向かう方向というのは、どっちの方向が重点になるのかというようなこと、こういう点についてそれぞれお考えがあると思います。これはいずれ、まとめた点については政府にお伺いするつもりでございますけれども、それぞれの業界でお考えの点がありますればひとつお教えいただきたい、こう思うのです。
  79. 斉藤有

    斉藤参考人 この振興施策の前提として長期需要を考えておるかという御質問に対しましては、ごもっともでありまして、昨年通産省が産業構造の調査で、電子工業の調査をおやりになったときに、私どもも協力いたしまして、業界としても長期需要の作業をだいぶやりまして、それは電子工業審議会で御審議いただいて、生産五カ年計画というような形で発表されておりますが、大体昭和四十二年ぐらいには生産総額を一兆一千億ぐらいかと思っておりますが、その程度を見込んで、それがどういう機種が伸びるか、その伸びる機種に応じていろいろ助成施策等を講ずるという趣旨になっておるわけであります。現状では、昨年一年間の生産額が六千九百億、四十二年には大体一兆一千億というような予想を持っておるのでありますが、総体の需要につきましては、一年一年変わりますので、今度この法律が通過しましたら、今後業界としても政府にどういう助成策をお願いするかというような意味の作業は、私どもは当然やることになると思いますが、そのときには、需要の長期見通しというようなことを前提にして考えていかなければならぬと思っております。  それからオートメーションの話が出ましたが、現在オートメーション用の電子機器と申しますのは、年間生産額は、一昨年の設備投資の抑制以来、去年あたりはだいぶ減っておるのですけれども、最近は少しずつ需要がふえてまいって、年間二百億程度生産額になっておるかと思うのでございます。これは従来の工業計器を主にしたものでありまして、今後産業の高度化に伴いまして、たとえばコンピューターを直接結びつけたオートメーション、いわゆる計算制御というような意味の高度のオートメーションというものは相当伸びますし、装置工業だけでなくて、機械工業もだんだん電子的に制御していく、ベルトコンベアを電子的に制御していくという方向に向かっていることは事実でありまして、そういう面の需要というものは日本でもかなりふえると思います。それから電子計算機にいたしましても、昨年やはり需要調査をやりまして、全体の需要として二千四、五百億程度需要国内にある。それを外国機器の輸入と国産機器とどんな割合を目標にして努力するか、いろいろむずかしい面もあるわけでありますが、大体の需要をエスティメートして、それによっていろいろ検討していくというような態度でおるわけであります。
  80. 松野幸吉

    松野参考人 実は後進国からの買いたいという要求が非常にたくさんあるのですけれども、後進国はお金を持っていないので、売りたいんだけれども、金を払ってくれないということが心配でございますので、なるべく金のない人には売らない方針を実はとっているわけなんです。  それから共産圏の中でソ連なんかは、このごろ民生用品の輸入の引き合いとか、そういうものが非常にございます。また提携というような問題もあるわけでございますけれども、何といっても世界の特許の品物であり、また自分たちの大事な特許を得たものでありますので、うっかり輸出しまして、まるごと取られてしまえば元も子もなくなるということで、その点ちょっと心配しているわけなんでございます。アメリカのごときは、日本の方式と多少違うわけです。UHFのテレビでございますので、テレビのごときはやはりそれにマッチしたようなものをつくらなければならぬということで、各メーカーとも目下懸命に努力をしております。これは早晩またアメリカ輸出ができると思いますけれども、現在では、そういうことで多少日本のほうがおくれておりますので、ちょっとぐあいが悪いわけなんでございます。そのくらいでごかんべん願いたいと思います。
  81. 出川雄二郎

    出川参考人 産業用電子工業と申しますか、特に電子計算機を中心にいたしました問題について申し上げますと、電子計算機の一番発達しておりますのは、御承知のようにIBMあるいはアメリカでございます。ヨーロッパはどうかと思いますと、ヨーロッパは、私どもの調査でも、大体日本とおっつかっつのレベルじゃないだろうかというような感じがしております。したがって、ヨーロッパ市場には、あとコストの問題で十分進出し得る余地はある、こう考えております。アメリカのほうには、まだ進出するだけの余地はとてもない。ただ、ヨーロッパのほうに進出いたしますのに、やはり問題はことばでございます。特に電子計算機は機械のことばというのがございまして、電子計算機にいろいろな仕事をきせますのに、機械自身にことばを持たせまして、そのことばの組み合わせで一つの仕事をさせる、いろいろな作業をさせるわけでございますが、そういうことに関しまして、ただ売れば、向こうでスイッチさえ入れればあとは働くんだというようなことじゃございませんので、お得意さんの目的どおりに十分使いこなさせるためには、そのことばとことばの組み合わせというものを十分理解させ、またお得意さんに知っていただかなければならぬわけです。そのためにはこちらも相当なサービスをしなければならぬというような性格がございます。したがって、機械それ自身は対等あるいはある場合には少しよくても、そういう障害のためになかなか入り得ないという面が起こってくるのでないだろうか、こう考えております。したがって、その面での障害を積極的に打破しないとなかなか入り得ない、われわれも近い将来はぜひともそのように願いたい、こう考えております。  それから低開発国に関しましては、電子計算機みたいなものは、何といいましても相当高度の産業と高度の生活レベル、リビング・スタンダードがかなり高いところでありませんと、また企業的に見ましてもかなり高くなっておりませんと、こういうものを使いこなせるだけの下地ができておりませんので、当分低開発国に対する輸出というものは期待できないのではないかと考えております。もちろん先ほど松野さんが申されましたような金がないという面もありましょうが、金がない以上に使いこなせる能力がないという面で、まだ無理じゃなかろうかと思っております。  それから共産圏に関しましては、先ほどのお話のように、私ども向こうの状況が全くわかりません。したがってどういう種類の計算機あるいは機械が必要なのか、それにふさわしい機械をわれわれ持っておるのかどうか、もう一つは先ほどのことばの問題、それから技術をさっさとまねをされるというような問題、いろいろ複雑な問題もございまして、共産圏への輸出という問題に関しては、まだまだ頭はそちらに回っていないというのが業界現状だと申し上げてよろしいかと思います。
  82. 始関伊平

    始関委員長代理 参考人各位におかれましては貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。参考人方々には御退席いただいてよろしゅうございます。  次会は、来たる五月二十六日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会