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1964-05-13 第46回国会 衆議院 商工委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十三日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小平 久雄君 理事 始関 伊平君  理事 中川 俊思君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       大石 八治君    岡崎 英城君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       長谷川四郎君    村上  勇君       大村 邦夫君    加賀田 進君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    山崎 始男君       麻生 良方君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君  委員外出席者         参  考  人         (東京望遠鏡協         同組合理事         長)      平林 裕良君         参  考  人         (日本双眼鏡輸         出振興事業協会         総代会議長)  山田  静君         参  考  人         (日本輸出ミシ         ン工業組合連合         会専務理事)  北村 富営君         専  門  員 渡辺 一俊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号)(参議院送  付)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として日本輸出ミシン工業組合連合会専務理事北村富営君日本双眼鏡輸出振興事業協会総代会議長山田静君、東京望遠鏡協同組合理事長平林裕良君、以上三名が出席されております。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。会議を進める順序といたしまして、最初参考人方々にそれぞれの立場から大体十分以内に御意見をお述べいただき、次に委員から質疑がありますので、それに対しましても忌憚なくお答えを願いたいと存じます。  なお、発言は必ず委員長の許可を得て発言をしてください。また、参考人方々委員に質疑することはできないことになっておりますので、御了承ください。なお、かってながら発言順序委員長において決定いたします。  それでは、まず平林裕良君から意見を承ることにいたします。平林参考人
  3. 平林裕良

    平林参考人 私は、昭和三十七年二月より昭和三十九年二月まで、日本輸出双眼鏡工業組合の副理事長といたしまして常勤し、組合の総括を担当いたしておりました者でございます。また、軽機械輸出振興に関する法律ができまして以来今日まで、事業協会総代をつとめさせていただいた者でございます。本日は、軽機械輸出振興に関する法律の一部改正案の審議にあたりまして、業界実情を御聴取くださることを、参考人平林裕良心から感謝いたします。  それでは業界実情から御説明申し上げたいと思います。  昭和三十年の五月一日から私たち双眼鏡業界調整数量を実施して、調整活動ということを行なったのであります。昭和三十一年に至りましてアウトサイダー規制命令をかけていただき、団体法規制命令適用を受けて、今日まで実績主義という割当方法で八年間続いてきたわけでございます。当初にとりました実績主義がそのまま引き継がれていきます関係上、八年間たった今日も、その割当の内容というものはほとんど変わらないというような状態になってきておるわけでございます。八年間の長い間におきましては、業者状態もそれぞれ変わってきておるわけでございます。たとえば割当当初に相当数双眼鏡製造いたしておりました業者も、その間に仕事の重点がだんだんと他の方面にかわっていく。そうなりますと当然そこに当初から割り当てられた数量というものが、その業者にとってはそれだけ余裕のできるワクということになるわけでございます。また割当が非常に僅少のために、その割当だけではとうてい双眼鏡製造を維持していくことができないという状態から、他の仕事を重点的にし、そのワクというものは権利という形で他の製造ワクが少なくて困っておるという業者に分けるというようなことも起きてきたわけでございます。いわゆる権利が売買されて、青空メーカー業界では一口にそう言っておるわけでございますが、そういう状態がだんだんとひどくなってまいったわけでございます。このことが完成品組合業者の中にも当然起きてきたわけでございますが、その後引き続いて金物鏡体レンズレンズ素材であるところの成型という業界の中にも、いま言ったような弊害というものは当然あらわれてきたわけでございます。したがいまして四つの組合内部で、それぞれの工業組合の中に生産割当アンバランスというものが非常に激しくなりました。その結果、ワクというものが売買され、いまの青空というようなメーカーが各段階の工業組合の中にも起きてきたわけでございます。一方、材料から研摩されたレンズ金物というものは数量規制の実効をあげるために、事業協会の中で従来、現在も行なわれておりますが、チェック制度を設けまして、部品ワクがなければ完成品出荷できない、一口に申し上げるならば、そのような制度になっておるわけでございます。生産割当アンバランスが激しくなっておる中で、部品ワクがなければ出荷できないというチェック制度は、組み立て業者から、あるいは完成品業者から見ますと、現物はそろっても割当ワクがそろわない、そのために出荷ができないという状態が非常に起きてきたわけでございます。当然完成品業者としましてはLCの期限に商社から迫られる、また部品をきらんと納めた業者からは支払いを迫られるということで、足りない部品ワクはどうしても買わなければならぬという立場に追い込まれてきたわけでございます。そういうことが続きますと、業者の中には一生懸命に部品ワクをつけようという業者もおりますけれども、中にはそれが非常に有利だということで悪用される傾向もだんだんと出てきたわけでございます。そのような状態の中で私どもは再三、工業組合の中でどのようにワクが売買されておるか、特に部品ワクについては一体何%ぐらいが購入しなければならぬようになっておるか、あるいは売買されるときに幾らくらいの価格でそのワクが取引されておるかということを、実は担当課のほうに、非常に困っております、ぜひ担当課実態調査をしていただきたいというふうに昭和三十七年の夏お願い申し上げたわけでございます。当時、担当課のほうでは、それでは工業組合調査せいということでありましたので、私ども工業組合職員、幹部、それから工業組合だけではいけないという観点から事業協会職員理事立ち会いのもとで実態調査をいたしまして、昭和三十七年の十月の四日付で課長さんあてに実態調査報告書というものを提出いたしました。このように実際部品ワクが売買されて困っておるのでございます、何とかこれを御善処願いたいということでお願いしたわけであります。もちろんこのことは去年の七月に限らず、その以前からそういう声がひんぱんにあったのですが、昨年に至りましてようやく二月の二十日に産業機械課立ち会いのもとに、部品ワク流通が非常に悪い、どのようにしたらばこれがよくなるか、そして輸出振興阻害となっている隘路が取り除かれるかということにつきまして、血統書制度改善案についてということで審議されまして、各関連の部品工組理事長立ち会いのもとに署名捺印して覚え書きをつくったわけであります。その後、覚え書きをもとといたしまして、実施方法について審議いたしましたところ、部品工組のほうで、そういう実施要領の面では意見が対立し、なかなか具体的な方法が見つからなかった。しかしながらその間におきまして、昨年の七月、部品業界の中からも、光学産業新聞社の主催のもとに、先般来言われております香港のほうを見学いたしましたときに、意外に香港のほうが膨大な規模双眼鏡の量産に邁進をしておるという実態を見て、当時レンズ工業組合理事長であった方も、これはたいへんだ、自分はいままで規制というものによって生きていくんだという観点から、数量調整を守るべくいままで大きく発言し、業界にそのことを唱えてきたけれども香港実態を見たときには、これはいけない、規制はもうこの辺で考えるべきであるというふうに言われたわけであります。そのことは、ここに資料がありますが、光学産業新聞にも、香港の情報は大きなショックとなったというふうに書かれております。そのような状態になってまいりましたので、幸いにレンズ金物、この二つ工業組合は、なるほど部品流通問題が悪くて完成品出荷できないということは輸出阻害になるということから、完成品業者の案に同調したわけでございます。しかしながらレンズ素材である成型組合のみがこの具体案賛成せず、ついにこの部品流通問題ということは決裂せざるを得なくなって、ついに実現いたきなかったわけでございます。そのような事情から、完成品業者は、商社のほうからは追い込まれ、部品からは突き上げられるというふうに、背腹隘路が生じ、また完成品業者内部では、一番最初に申し上げましたとおり、長い間の実績主義で、完成品業者自体にも生産能力割り当てアンバランスということが大きくなってきたわけであります。そういう内部には部品流通の不円滑、また自分自身組合の中の生産能力割り当てアンバランス、また外国からは競争相手が出てきた、いろいろな悪条件の中で私どもは何とか改善し、そしてこの規制の中で輸出振興ははかっていくべきだということで、昨年の三月規制命令を延長するときに、ワクというものは弾力性を持たせるべきだという観点から多少余分に出して、余分に出したものは保有ワクとし、生産能力があっても割り当てが非常に少ないというものは使えるような方法を講じていったならば輸出振興にもなり、また内部のそういった不合理も是正できるのではないかということで、保有ワク制度も実施したわけでございます。幸いに、いままでは大体年間五十億という輸出総額でございましたが、保有ワクを実施いたしまして六十億というふうに大きく輸出総額は変わったわけでございます。  しかしながら内部には、やはり保有ワクを使う、あるいは使われるというものの立場の違いから、保有ワクはやめるべきであるということで、不幸にしてこの保有ワク制度というものは法的根拠がなかったために、ついにわずか二期行なってやめなければならなくなったわけでございます。その結果再び極端に生産能力割り当てアンバランスが表面化いたしまして、このような状態では内部的にも非常に不合理が多いし、また最近に至りましては香港生産量が逐次増大していっておる、また台湾のほうでもやり始めておるということから、もう貿易自由化に備えてわれわれはほんとう合理化をし、そして商売の本道であるところの、いいものを安く売ってももうかるんだというふうなことに切りかえなければいけないのではないか、ワク制度という一つ自分権利を持って、その権利の上にあぐらをかいて商売をしていくということは間違いではないかということから、去る三月の総会、二度も開かれましたけれども、ついに完成品業者規制命令の延長をお断わりしたわけでございます。また不肖私、昨年の九月の十二日から二十五日にわたりまして、事業協会の代表として香港宝源光学という会社の実態をつぶさに見てまいったわけでございます。  そのときの状況を申しますと、宝源光学はこまかいネジから最後に至るまで一貫して全製品を自家生産しておる、しかも旋盤その他の工作機械は何百台と並べまして、その当時私が聞きましたときに、月産いまどのぐらいだと言いましたときは、一万五千台いま現実輸出しておる、しかし能力はもっとあるというふうに言っておりました。私が自分立場から判断してみましたときに、生産能力といたしましてはおそらく四万、五万をつくることは楽ではないかというふうに考えておるわけでございます。ところが向こうの黄という社長は、受注生産にしておるのだ、したがって注文がなければつくらぬ、現在は一万五千を輸出しておる、将来は各国に、一国一社のエージェント主義で逐次受注生産を増大していくんだということを言っておりました。また材料につきましても、国内では素材関係もいま申しましたとおり、ワク制度に温存されてなかなかいい製品が入らない、しかも高い、また完成品業者は、悪いものを買わされても、ワクその他でやむを得ず買わなければならないという立場に追い込まれた結果、日本双眼鏡の品質は非常に悪くなってきた。しかし一方香港は、つくりました当初は決していいものではなかったのでありますが、私どもが昨年行きましたときには、日本遜色ない——専門家が見れば確かに違いがありますが、消費者が見た場合には何ら遜色ないというところまで発展しております。また、日本材料と、香港英国から購入しておるレンズ素材を一見してみましても、日本製造業者ワク制度というものに温存されて合理化が進まず、一目見てもわかるように、同じものがこのように違っております。これは、香港英国のチャンスピルキングトン・オプチカル・ワークスというところから買っておる材料でございます。こちらは日本材料でございます。その製造方法も全く変わった、合理化した製造方法でやっております。したがいまして、これが日本では一個六十三円から六十五円しているわけでございますが、外国のこのものは、日本代理店のマージンを含めても、輸送料を含めても五十一円で販売できる。なお、二%以上不良が出たら、研磨したときの工賃も全部補償するという条件まで入っております。このように香港は、私が行きましたときは七万平方フィート工場面積でやっておりましたが、ことしの四月からそれが十四万平方フィートになるんだ、こういうふうに言っておりました。ところが、不幸にしまして——これはことしの一月に向こうから、このように二十階建てのビルディングを建設して、そして予定どおり引っ越しをしたという手紙が私のところへ届いておるわけでございます。日本にとってはまことに不幸であった。四月に移ると言っておったのが、一月に手紙がまいりまして、昨年の十二月二十七日で移ったから住所は今後こちらに頼むという手紙が、このように現実に来ておるわけです。このように、周囲の状況が非常に活発に動き始めておるときに、私どもは、内部にこのような隘路の多い、輸出阻害となっておるようなワク制度というものを続けていった場合に、日本双眼鏡ははたしてどうなるのであろうかという立場から、非常に心配したわけでございます。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 平林さんに申し上げますが、だいぶ時間が経過しておりますから……。
  5. 平林裕良

    平林参考人 輸出振興法律に関しましても、以上のような状態から、PRをしても、実際にメーカー商社との立場に、またワク制度があって、自分のところには注文が入ってこない。また一方、部品ワクというもののチェック制度事業協会にあるために、自分たちはまたそのために隘路ができておる。PRをしても、注文自分たちが取れない。かりに取っても、ワク制度でそれを出荷することができるかどうかというふうな立場もありまして、法律趣旨、これはまことに私どもとしましてありがたく感ずるような趣旨でできておるわけでございますが、私ども双眼鏡業界にはたしてこれが適当であるかどうかという疑問を抱いておるわけでございます。  以上のような考え方から、双眼鏡業界に限ってはこの法律が疑問に考えられて、でき得ればぜひ適用除外例としていただきたい、別表から除いていただければ、双眼鏡というものが再び大きく世界に覇を唱えるときがくるのではないかというふうに考えて、お願いする次第でございます。
  6. 二階堂進

  7. 山田静

    山田参考人 私は、日本双眼鏡輸出振興事業協会総代会議長並びに自分瑞宝光学精機株式会社社長をいたしております山田静でございます。本日、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案参考意見を御聴取いただきまして、非常に光栄に存じ、厚く御礼申し上げる次第でございます。  日ごろ諸先生方には、われわれの業界をいろいろ御指導くださいまして、われわれは感激いたしているのでありますが、何分にも業界が小企業と申しますか零細企業が非常に多いものでございまして、なかなか資金的な力もございませんし、また経営的な観念も、近代的な経営観念が非常に薄くて、そういう面から御期待に沿えなくて非常に恐縮に存じておるわけであります。ただいま平林さんからもいろいろ問題を提起されましたが、私はとにかく一応参考人としまして、日ごろ考えておりますことを申し上げまして、御参考に供したいと考える次第であります。  本法律の問題に入ります前に、われわれの業界としまして今日まで歩んできましたことを大体申し上げますと、諸先生方はほとんど御存じのことと思うのでありますが、双眼鏡は、戦争中は大体軍需品としまして、陸海軍の保護のもとに生産されまして、ほとんど需要がそちらにあったわけでございます。しかし、戦後これがいち早く輸出のほうに向けられまして、しかもその機能の優秀なことが認められまして、昭和二十二年、GHQの管理貿易のもとに、二万八千五百台、金額にして五百二十九万円の輸出にすでに成功しましたわけでございます。その後も非常に好評を博しまして、以来、輸出ドイツとかフランスとか、既往の先進国双眼鏡メーカー市場を圧倒しまして、私ども双眼鏡輸出ウナギのぼりに増加してまいりました。昭和二十五年に四十四万台、同三十年には八十五万台、同三十四年には百四十四万台、昨年におきましては実に百五十万台をこえております。金額にしましても七十億円に近い外貨を獲得しております。また輸出双眼鏡のシェアにおきましても、各市場において八五%、特に米国におきましては、輸入双眼鏡の九五%以上を日本双眼鏡が満たしておるわけであります。  こういうぐあいに申し上げますと、一本の線を引いたごとく非常に繁栄してきたように見られるのでありますが、悲しいかな、先ほど申し上げておりますとおり、なかなか現実はそうじゃありません。何分にもこの双眼鏡生産に携わっておりますものは、小企業が非常に多いわけでございます。それと同時に、この双眼鏡は大体全生産の九五%までが輸出になっておりまして、中小企業がこれをやっていきます場合、いろいろお客さんの季節的な需要の変動、あるいは中小企業規模でやっておること等が原因となって、絶えず過当競争に脅かされ、またそれに陥ってまいったのであります。  結局、私どもはこれが対策としまして、昭和三十年に調整組合を設立し、生産過剰の抑制と計画生産を目的として、一年を通じての生産のバランスをとるように出荷に関する制限等をいたしました。そうして約九年間にわたって調整をしてまいったわけであります。そのほか、三十四年度には軽機械輸出振興法を制定していただきまして、この力によってわれわれ業界がささえられてまいったわけであります。ところが、先ほど平林さんからお話がありましたように、去る三月の総会におきまして、調整事業継続を可とする者百十四名、不可とする者七十三名でありまして、過半数の賛成を得ながら、三分の二以上の賛成者を必要とする法定要件を欠きまして、遺憾ながら、四月一日から調整事業を一時中断するのやむなきに至ったわけであります。しかもまた、この軽機械輸出振興法が五年で満了を見まして、切りかえ時にまいったわけでありまして、私ども業者といたしましては、ここにおいて従来ささえとなってまいりましたものが、あれもなくなる、これもなくなると非常に心もとなく感じてまいっておりまして、憂慮しておる次第でございます。もしこういうことが完全に自由になりますとバイヤーから買い控え、商社からの買いたたき、金融機関の従来のいろいろな経験から融資の敬遠、それによって業者間の過当競争は当然強くなるということは間違いないのであります。  また、先ほど香港の問題がありまして、御承知と思うのでありますが、宝源光学が約一カ月にわれわれの双眼鏡製造の一割に相当するような二万台近くのものを生産を始めておるようであります。これを英国に一万台、アメリカその他に五千台ぐらいは出荷しておる模様であります。日本双眼鏡と比較いたしますと、現在はかなりまだ質は低下しておるようでありますが、そのほか台湾韓国等でも双眼鏡をつくろうかというような動きもあるように聞いております。かように考えますと、われわれ業界としては非常にゆゆしき事態に逢着しておると思うのであります。なお高級品につきましても、ドイツあたりで多少巻き返しの手を打ちまして双眼鏡製造をやるということを言っておるのでありますが、いまのところは、事業協会ニューヨークに派遣しておる者の話によりますと、まだその傾向は大丈夫だというように聞いております。  ただいままで申しましたように、従来中小企業団体法と軽機械法との二本にささえられましてわれわれ業界は曲がりなりにも今日までまいったのでありますが、ここでこの両柱が万が一にもなくなりますと、業界は非常に混乱に陥るのであります。ただいま申し上げました香港に対しましても、私どもはこの際こそ業界が軽機械法なり中小企業団体法によりまして結束しまして、そうして相対する時期がきておるのだと強く感ずるわけであります。  さて、この軽機械輸出振興に関する法律が制定されましてから私どもはいろいろと力になっていただいたわけでありますが、特にその柱となっております登録制度事業協会という二つのものにつきましては、われわれに大きな力を与えてくれまして、御承知のように私ども双眼鏡はアッセンブルで簡単にできるようになっております。そうしてだれもがやれるような仕組みでありましたが、とにかくこれを登録制度にしまして、過当な競争をしないように、新しい製品に対してほんとうに責任の持てるような品物をつくるようになってまいっておるわけであります。先般もニューヨーク派遣員から。パンフレットを送ってまいりました。それによりますと、これはコンシューマー・ブリテン誌日本でいう「暮らしの手帖」というようなものの五月号でございますが、日本双眼鏡は最近非常によくなって安心して買える、特に登録制度によるJ・Lマークの付されておる双眼鏡に対しては絶対安心して買えるというようなことが雑誌に写真入りで出ております。これは軽機械法登録制度が如実に力をあらわしている一つの事実だと私は考えるのでございます。現在はまだ生産能力が相当オーバーしておりまして、従来いわれておった実際の数量の二倍の生産力があるわけであります。これを調整をはずしてほんとうに裸になってしまいましたならば相当な過当競争になりまして、それこそ弱肉強食の点が再現されることは火を見るより明らかであります。そういう状況におきまして、登録制度停止措置ということを従来やっていただいたのでありますが、これはまことに時宜を得た措置でありまして、われわれの業界発展のために、また業界回復のために非常に力ある施策であると考えるのであります。  次に事業協会についてでありますが、ずばり申し上げて事業協会は絶対的に必要であると考えるわけであります。私が現在議長をやっておるからというわけではございませんが、われわれの業界は先ほど申し上げましたように中小零細企業でありますために、貿易をやるといたしましても、従来は全くめくら貿易であったわけであります。自分のできる生産品のほとんど全部がめくら貿易で、輸出業者あるいはバイヤーにまかせきりで、従来、実際のところはメーカーはわからぬというようなことになってきておったのでありますが、軽機械法を制定していただきましてからは、この事業協会が宣伝あるいはいろいろなものをやってくれまして、われわれの販路に対する力を与えてくれておるわけであります。とても個々でやりました場合には、アメリカあたりで高価な新聞広告とか雑誌広告とかはできませんが、事業協会によりまして国庫の補助も得、しかもジェトロとの提携によりましていろいろな宣伝効果をあげて着々と実効があがっております。特に欧州地区方面におきましては近代的な市場が開拓されましたが、事業協会の広告宣伝によりまして近年とみに実績があがっております。また事業協会といたしましては、直接われわれメーカーを海外に派遣いたしまして海外の実態を把握させております。これも普通中小零細企業ではとうてい多額の金を投じて外国市場を見てくるということはできませんが、事業協会の負担によりまして、われわれも現地に臨みまして実態を見てくることができておるわけであります。欧米に対してもうすでに五回の視察員を派遣し、国内においてもいままでのめくら貿易から、ほんとうに地についた貿易の国際的な環境によりまして話し合いを進めて現在やるようになったのであります。
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 山田参考人、大体時間がまいりましたが……。
  9. 山田静

    山田参考人 大体事業協会におきましてはそういう状況でございまして、今後われわれのうしろだてとなりまして事業協会がいろいろな施策を活発にやってもらわないことには、せっかくここまで発展いたしました企業がまた逆戻りをせざるを得ないというようなことになると思います。  そのほかに軽機械法によりましていろいろ品質の改善をやっております。それなども香港などに対する場合はいよいよ品質改良というものによりまして、日本外国より一段といい品物を出すのだという一つのプライドを持って進んでいき、またこれからいろいろ競争をしていきます場合におきましても、開放研究所におきましていろいろな合理的な作業方法も研究し、そういうことも着々成果もあげておりますし、今後も率先していきたい、こういうこともわれわれ個々人ではなかなか中小企業としてはようやれないところであります。  なお、先ほど部品ワクに関していろいろお話がありましたが、これも貿易体制でしっかりした基礎が築かれますまでは、この競争下にあっては一応一時的な存在として必要であろうと私は思います。長くはできないとしましても、これはわれわれの切っても切れない関連でございますので、両方納得の上でいろいろな統制をはずしていくというようなことに持っていきたいと思います。  以上、大体私としましてはこの軽機械法の一部改正法案に関する賛意を表明しまして、ぜひとも私どもの意のあるところを御理解くださいまして、引き続き施行されますようにお願いしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、先生方にはいつも何かと御迷惑をかけておりますが、なかなか効果があがりませんので、御期待に沿いかねて恐縮いたしております。今度心ある者が相集まりまして、一度解散といいますかのほうにいきました工業組合を、お互いに納得の上でもう一ぺん再建しまして、そうして業界の再建に持っていきたいというぐあいに考えておるわけであります。どうかひとつこの工業組合、軽機械法をもとにしまして、従来どおり私ども業界をうしろからがっちりとささえて、いろいろな御指導と御援助をいただきたい、かように考えるわけです。私ども一日も早くきれいな姿になりまして、皆さま方の御信用を得るように十分努力しまして、そうしてもろもろの援助対策をお受けし、一日も早くしっかりした業態にいきたいということを常に念願いたしておるわけであります。  どうもありがとうございました。
  10. 二階堂進

  11. 北村富営

    北村参考人 私、先ほど委員長から御紹介がありましたミシンの連合会の専務理事をやっております北村富営であります。本日ミシン業界の現状を聴取していただく機会を得ましたことを深く感謝いたします。ミシンの全業界をあげましてこの法律の通過を希求しております状態でございまして、私、業界を代表いたしましてここに現状を申し上げるとともに、お願いを申し上げたいと思います。  日本の家庭用ミシンの業界は、昨年一年間におきまして三百三十五万三千台と非常に驚異的な生産を達成したのであります。そのうち、約五九%になります百九十大万一千台を輸出しておりまして、生産輸出ともにこれで世界第一位という地位を獲得したわけであります。これは中小企業を主としましたミシン業界がからえた最高の名誉じゃないかと自負しておる次第であります。  私は、本日ここで世界のミシン業界において非常にこうした注目をあびております日本のミシン業界実情を御説明申し上げます前に、まず世界のミシン業界を簡単に御説明申し上げまして、いまのミシン業界が当面しております諸問題の中で日本のミシンがどういうように処していくべきか、またこうした法律のささえがありまして、これをどういうふうに活用して今後さらに伸びていくべきであろうかというような点を考えまして、簡単に世界ミシンの状況を御説明申し上げます。  自由世界におきますところのミシンの状況でありますが、総生産としては大体八百万台くらいの生産があるといわれております。おもな国としましては、先進国が多いのでありますが、イギリスの八十万台、これは有名なシンガーがありますが、そのほかジョーンズという民族資本の会社もあります。そのほかにアメリカ、これは当然シンガーの強固な本拠でありますが、これが七十万台。それからドイツが五十万台、これはパフという世界的に非常に古い会社がありますが、パフ、アンカーフェニックスというような会社、その他シンガーのドイツ工場もあります。イタリアは四十八万台、これは今回の混合関税問題で非常に日本に反対を唱えておりますネッキ等があります。そのほかにスペインの三十万台、スイスの十八万台、フランスの十六万台というような形で、大体三百十二万台くらいこれらの国がつくっておりまして、日本の三百三十五万台にやや匹敵するような数字を持っておるわけであります。  こうした世界の生産の大体の状況でありますが、市場としても最も大きいアメリカにつきまして簡単に触れてみますと、日本の最もお得意先がアメリカでありまして、アメリカから徐々にヨーロッパその他の地域というような形で輸出が伸びてきております。そのアメリカでございますが、ここ十年間くらいの数字を見てまいりますと、大体百四十万台から百七十万台くらいの需要を持っております。アメリカの輸入状況でありますが、大体百四万六千台、この中で大体八〇%の八十二万台近い数字を日本輸出している。そのほかにヨーロッパの十七万一千台というのが占めておるわけですが、かつて、これは六、七年前になりますが、一九五六年ごろですと、日本のミシンは六五%くらい、ヨーロッパ品のほうが三三%くらいで、まだ非常に高い地位を占めておったのでありますが、徐徐にヨーロッパ製品を駆逐いたしまして、日本品がアメリカの大半の市場を押えているという形をとっております。かつてはシンガーの牙城でありますし、シンガーのほかに、アメリカにはフリー・ソーイングマシン、ホワイト・ソーイングマシンというような大きな会社があったわけでありますが、日本のそうした進出によりまして、日本のミシンを取り扱ったほうが有利であるということから、現在日本ミシンの販売業者という形で行なっております。そのほかにアメリカの特徴としましては、アメリカの大企業でありますシアーズローバックまたはモントゴメリーウォーズというような全米に何千という組織を持ちました企業日本のミシンを真剣に取り扱っておりまして、これらが年間二十万台、三十万台という台数をそのルートでさばいております。こうした形に乗り移り得たということがヨーロッパ系のこうしたミシンの衰退ということにもつながってくるのではないかと思います。  そういう意味で、本拠でありますヨーロッパの事情についてまた簡単に触れてみますと、ヨーロッパにつきましても、戦争の影響その他でミシンにつきましての需要が非常にふえているということで、想定でございますが、大体七百万台くらいの需要があるのではないかといわれております。現在のところですと、年間、EEC関係で百四十万台くらい、それからEFTAその他入れまして百万台、合計二百四十万台くらいの需要を持っております。日本のいまの進出といいますのは、ドイツを中心として徐々に出ておる、数量は非常にわずかなものでありますが、十数万台ヨーロッパに出ておりますが、将来これが、アメリカの百七十万台における八十万台というように、二百四十万台のうち何割か相当な比率を占めていこうという勢いで進出していっているわけですが、これも、日本のこうした進出につきましてドイツメーカーその他からの相当な反対がありまして、例のMT問題、ミシンの混合関税問題というような問題も提起しているような状態であります。  さらに話を転じまして、後進国の実情につきまして簡単に触れてみますと、後進国といいましてもインドのウシャという工場がありますが、この辺で四十二万台くらいの年間生産を上げております。その他ブラジル、アルゼンチン、メキシコというところで四、五十万の数字を生産しております。これらを振り返ってみますと、日本部品を当初買い入れまして組み立てを覚える、それから徐々に自分の国で生産を始めるというような形をとりまして、インドにしろ、ブラジルにしろ、メキシコにしろ、ミシンの生産国となっていっているわけであります。これは普通の簡単な直線縫いミシンといいまして簡単なミシンでありまして、より以上高級なものはまだまだということで、日本業界としましてはこの辺についての考え方としては、日本のミシンの高級化という点で、これらの後進国のミシン生産を凌駕していきたいというような気持ちでやっております。  現在世界のミシン業界におきましていろいろな問題が提起されておりますが、それらのほとんどが新興ミシンの生産輸出日本に対して、先進諸国がいかにして日本の進出を食いとめるかということと、後進国がまたこれに対して、日本のミシンから自国産のミシンに切りかえようという二つの大きい戦いの中で、ミシン業界がいま非常に努力しているわけであります。  大体このような各国の世界の状況下にありまして、それでは私たち日本のミシン業界ははたしてどうかということを簡単に触れてみたいと思います。  日本のミシン業界は、御存じのように、終戦後ほんの短期間に非常な発展をしました産業でありまして、これはもともと言いますとアッセンブル企業部品部品屋さん、組み立てば組み立てということで、ただいまの三百三十五万台というような台数につきましても、二百点近いミシンの部品をそれぞれ二百万個ぐらいずつ、数社の部品屋さんがこれをつくっていくというために、月産二十万、三十万というふうに数がふえまして、精度も上がる、コストも下がるというような形で、世界的に驚異的な国際競争力をミシンが持ち得たというところに、先ほどのミシンの驚異的な非常な発展があったということでございまして、台数から言いますと、昭和二十一年には三万七千台くらいしか生産してなかったわけでありますが、二十六年になりますと百万台をちょっとこしまして、昨年は三百三十万という驚異的な伸長を遂げておるということでございます。それは一面いい面ではありますが、反面、こうしたアッセンブル企業というのは組み立てならば組み立てを幾らでもできるものですから、潜在的な過剰生産といいますか、新規業者なら自分たらが組み立てをすれば幾らでもつくれるということで、そうした過当競争要因なり潜在的な過剰供給力という、みずからが合理化された合理化そのものに悩まされるという状態がありまして、業界としてはこうしたアッセンブル生産方式を採用する二十四、五年ごろからスイスの時計工業を研究して、何とかスイスの時計工業のように整然と部品、組み立て、完成、これらが一体となった形をとりたいということで、たびたびいろいろな代議士さんにお願いしまして、ミシンもスイスの時計工業のような単独立法をお願いしたいということを再三お願いしたわけでありますが、なかなかミシンだけではどうにも取り上げられ得ませんで、たまたま昭和三十四年にこの軽機械輸出振興法ができますと、この中にミシンが飛び込んだという気持らは、ミシンが最初からアッセンブル方式に踏み切った当時から、スイスの時計工業をまねしましてあのように全世界を抑えていきたいという、そうするためには潜在的な供給力、潜在的な過当競争を何らかの形でチェックされない限りミシンが崩壊してしまう、みずからの合理化のためにみずからが崩壊してしまうという矛盾が生ずるというような点で、こういう点からこの軽機械法業界としては満腔の敬意を表して飛び込んでいったわけでございます。  御存じのように、現行法では登録制と振興事業協会二つの柱がありますが、登録制につきましても業界としてはできるだけの人がこの法律に乗っていく、そしてこの機会に世界的な産業、世界的な企業としての体質を備えるためには、どうしてもある程度の設備が必要だという点から、組合内部で融資をいたしまして、設備の足らない人にはお金を貸して設備を整えるという形で、登録基準そのものも業界の要望を相当入れていただきましたために、あまりりっぱなものとも言い切れませんけれども、それにすべて到達して全員合格した登録工場になり得たということであります。一応その登録工場になりましても、ミシン業界としては、登録を受けたからそのままということではいかぬというようなことから、さっそくさらに国際的な商品のメーカーとして、あくまでも個別企業の体質を強固にしなければいかぬというような点から、なるべく多くの皆さん方が集まって、合同で企業の体質を強くしようじゃないかという点が業界に充溢いたしまして、業界としては企業の合同を促進するという形から、三十五年に四十二社ですかが合同をしまして、発足当時御存じのとおり百二十一社というものを現在は六十六社にまで減らしておりますが、今後まだまだ減らしていくという形をとって、体質を改善するという意味からそういう方向をとっていきたい、こう思っておるわけであります。  輸出振興事業協会につきましては、当初の、先ほどから申し上げましたミシン業界をスイスの時計工業という生産体制の面以外に、販売面におきまして、終戦後ミシンといいますか、日本の産業はいわゆる海外販売機構が日本国内にもありませんでしたし、ましてや海外に対してはめくら貿易であった、その中で、こうしためくら貿易をやっていたのではいつまでたっても外国の従属産業でしかあり得ないという観点から、何らかの形で、日本の国内から日本メーカーが団結をして海外に積極的に売り込んでいくという姿をとりたいというようなことから、軽機械法発足と同時に振興事業協会という場を使いまして、それが一つ業界の恒久的な協同の積極的なPR機関であり、積極的な調査機関であり、積極的な販売促進機関であり、市場開拓機関であるというふうに持っていくつもりで、ここ五年間やってまいっておりますが、今後もこうした形で十分なる成果を上げていきたいと思いますし、この法律がもし五年、十年でなくなったとしましても、こうして築いた機関といいますか中小企業でありますから、どうしても単独に市場調査機関なり、いま言ったような開拓機関を設けるわけにはいきませんので、中小企業として恒久的にこの機関を設置していくつもりで、法律のあるないにかかわらず育てていかなければならぬ。といいますのは、ただここでお願いしておきたいと思いますのは、せっかく生んだ機関が育ちませんで、一本立ちになりませんうちに法律から解放されてしまう、補助金も何もなくなってほうり出されてしまうということになりますと、せっかくここまで五年なり十年なりの間に築いて、中小企業が寄り集まって、大企業に対抗する販売機関、市場調査機関、あるいは品質の協同研究機関なりを設けましても、中途にして、魂を入れるその寸前に崩壊ということがないように、ひとつ皆さん方の絶大な御協力をいただきたいと思います。  ミシンにつきましても、アメリカその他に対して、PR一つ例にとりましても、毎年非常にわずかですが二方五千ドルずつをつぎ込んでおりまして、業界としては二万五千ドルは非常に大きいものでありますが、アメリカ市場に二万五千ドルというのは非常に微量なものです。しかしこの効果とその熱意というものが相当輸出の伸張という面にあらわれまして、極端にアメリカをマークするということで、アメリカに重点を置いたこともありますけれども、アメリカヘの輸出の伸びといいますのは、三十五年が七十六万、三十六年が七十七万、三十七年が八十五万、三十八年が九十三万、こうぐんぐん伸びている。それも非常に値もよくなって、内容的にも落ちついてきている、安定ムードに向かっているということが言えるんじゃないかと思います。そのほか、事業協会としましての調査団なり、市場調査というものを十分やりまして、この機会にお見せすることはできませんが、私がいままでしゃべりましたいろいろな世界の情勢その他も、すべてこれは事業協会が生まれまして、その機関でキャッチしました情報でありまして、また業者が海外調査団として出てまいりますのにも、中小企業としては海外に死ぬまで一度も行けないというのが普通だろうと思うのですが、たまたまミシンという事業をやりまして、この法律のおかげで海外を見てくることができる。ただ海外を見ろというだけで、輸出産業に携わる中小企業者が非常に大きく視野を広めると同時に、自分の工場なり自分製品なりに対しての積極的な面が非常に強く出ている。私希望するのは、こういう機関を通じましてみんなの人に一回は行かせてあげたいというふうにまで考えております。現在まだ三十六名程度しか行っておりませんが、あと半分くらいはぜひとも出してあげたい、また二回、三回できれば出してあげたいというふうにも考えております。  時間がありませんので、非常にはしょっておりまして、つじつまが合わないところがあって、わかりにくかったと思いますが、そうした意味におきまして、ミシン業界としましては、これは部品業界、それから完成品業界、それから輸出組合といいますか、消費者の段階の組合、いろいろありますが、これはあげましてこの法律を延長していただきたいということをあらゆる機関を通しまして決議し、さらに振興事業協会の評議員会においても再三これを決議しておりますので、その趣旨を御了承いただきまして、御尽力いただきたいと思います。  御清聴を感謝いたします。
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。     —————————————
  13. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、政府並びに参考人に対する質疑に入るのでありますが、まず参考人に対して質疑をお願いいたします。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。山崎始男君。
  14. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ミシンのほうはこの法律に対して大体御賛成のようで、反対の方がないように承りますが、双眼鏡のほうは、できればやめてもらいたいという御意見と、存続していただきたいという、要するに賛否両方の御意見があるようであります。  山田さんに一、二点お尋ねしたいと思うのでありますが、先ほどもあなたがおっしゃっておられましたように、三月の五日と三月の二十三日のこの二度にわたって、三月三十一日で団体法が切れる、それを存続すべきであるか、もう要らないかというて総会を開かれたと申されたのでありますが、結局もう団体法規制を受けるのはいやだというほうが一応選挙では勝った、こういうことなんでありますが、組み立ての工業組合自体の内部にも、そういうような現象から見ますると、いろいろとそういう現象が生まれる要因というものが、過去長い間にわたって存在しておった、その形のあらわれが、たまたま賛否いずれの、内容のことは別といたしましても、とにかく問題があったということは否定できないと私は思うのであります。  そこで、あなたにお伺いいたすのでありますが、いまあなたは、お互い組み立て業者部品業者とは相関連をした仕事なんだから、部品業者のほうも、先ははずすとして、当分は残しておいたほうがいいだろうというような御意見であったように聞くのであります。あなた自身が組み立て業者の中の仕事をやっていらっしゃるだろうと私は想像するのでありますが、私たちが聞いておりますのは、あの簡単な双眼鏡というもので、そこで団体法規制を受ける、要するに、いわばワク制度といいますか、切符がなければ組み立てができない。しかもそのワクたるや、あの簡単な双眼鏡一つ成型、あるいはレンズ鏡体、そうしてその成型の中にも三つのワクがまた別にある。レンズの中にも接眼、対物、プリズムと、また三つある。合計いたしますると、あの簡単な中身だけでもっていまの七つの切符が要るんだ。おまけに、七つの切符が要る上に持ってきて、今度はそれを双眼鏡のあの箱に入れますと、あの箱そのものにもまたワクがあるんだ、切符が要るんだ、そうすると八つになるのですね。そういうふうな部品ワク制度というものと、それがそろわなければ貿易品としての出荷ができない。一つそろわなくても組み立て業者は、部品業者のところをかけずり回って、LCの期限はくるわ、船はもうすぐ出るわで、あちこちかけずり回ってお集めになった御苦労をおそらくされたと私は思うのであります。  そこで、私は業界の、ああいうような三月二十三日のような事態が起こった基本的な原因の中には、組み立て業者ワクにしばられておるその苦労、手数、悩み、こういう積み重ねが過去に一つあった。言いかえると、生産完成品流通ですね、流通阻害をされておる。それじゃたまらぬ。これが私は一点だろうと思うのであります。そういうふうな立場から言いまして、いまあなたは部品関係のことに論及されましたが、私はそれはあなた自身の本心ではないんじゃないか、こういう姿をしておっては産業の合理化、設備の合理化ができっこないですね。私は常識だと思う。したがって、部品関係においては、あなたもお集めになるのに組み立て業者の一人として私は御苦労なさっただろうと思います。その点について御意見を承りたいことが一点。  それからいま一点は、あなたがかつて事業協会議長をやっておられたのか、現在やっていらっしゃるのか、そういうふうないまおことばでございましたが、これは今回の軽機法に直接関係がある問題でありますが、昭和三十五年だと記憶いたしまするが、事業協会組み立て業者から一手買い取り販売をおやりになった。その買い取り販売をおやりになった基本的な原因というものは、昭和三十何年ごろでありましたか、その前から通産省のほうでチェック・プライス制度というものを設けて、海外の実際の商売の自主性というものを無視して、売れもしないような高い上のほうへ相場を引っぱって、これより以下では輸出しようにも許可はせぬぞという制度を設けられた。したがって事業協会組み立て業者からの一手の買い取りをやって、そして統一ある販売をやろうというのが私は趣旨だろうと思うのであります。ところが事業協会が五億からの金をお借りになって、そして一手買い取り販売をやった。製造業者のほうへ持っていって売買契約を結んで領収書をとって、金まで払って済んでしまったものが、八カ月間ほどして事業協会が手をあげてしまった。ところが事業協会の倉庫の中にはばく大なストックがあった。このストックを組み立ての業者のほうへ、もうわれわれのほうじゃ買い取りができぬから、お前らのほうへ返すから、金も返してくれというので、事業協会が金利まで負担さして、そして業者に持っていった。それがために三十社になんなんとする力の弱い業者が倒産をしておる事実があるのでありますが、そういう事実があったかどうかこいうことが一点。そのときに、事業協会はこの問題に対して——業者のほうは力が弱いから泣き寝入りをしておる、通産省のほうは通産省のほうで、事業協会のそのストックをはかしてしまうためには、一カ月間か幾らか、輸出禁止にもひとしいようなことを業者のほうへやっていらっしゃるはずです。かってに事業協会へ売ったものは売ったものだ、われわれはかってに輸出品を売るのだというたのでは、事業協会のストックがはけぬから、たしか一カ月かしらの命令を下しておるはずです。そういうケースがあったということを私は知っておるのでありますが、そういうふうなときに事業協会が、あなたが議長だというお話を聞くから私はお尋ねするのですが、その問題に対する責任問題を協会自体において論議されたことがあるかどうか。この点がまた一点です。  それからいま一点は、法律を見ますと、事業協会PRなりあるいは海外事情調査をやられるという一つの役目があるのですね。ところがいまも言いますように、チェック・プライス制度というものを通産省がおしきになって、実際の価格はそれ以下で日本のサプライヤーは売買をしている。そして法律的な書類だけはその売り値の単価でもってつじつまを合わしておる。裏から円でもってリベートを返した。これがために三十社になんなんとする日本貿易業者に三十七年から三十八年の二月にかけて非常な手入れがあった。これはいまぜに解決しておりません。裁判中のものがまだずいぶんあります。こういう事実があったのでありますが、海外の調査をせねばならぬ、いわゆる事業協会としてのPR並びに海外調査という義務をしょっておる、責任を持っておるものが——通産省がきめておるチェック・プライスというものと、海外の実際のリアル・プライスというものとの差額があったことは、これは万人が認めておったことだと私は思うのであります。事業協会調査の責任を持っておるのなら、通産当局のそういう制度に対しては、事業協会こそ率先をして忠告をしなければいけない、注意をしなければいけない義務があるだろう、かように私は思うのであります。そういうふうな実際の調査をやっておるのなら——売れもしない品物を、ただ通産省のチェック・プライスにできるだけ近いものでやろうというようなことで多分買い取りをやられたんだろうと私は思うのでありますが、その結果はいま言ったように八千万円に近いような損害を業者にかけた。こういうことは、私は事業協会とすれば、海外調査という面においてサボっておったんじゃないかと思う。ばく大な経費を使っておりながらサボっておったんじゃないか。またそういうふうな八千万になんなんとする損害をかけたということは、あなたは五ヵ年間において事業協会の非常な功績があったといわれるのでありますが、私はこの一事だけで見ても、功績どころではございません。そこでその点に対してのお考えを伺いたいことが一点。  最後に、いま一点。事業協会総代というものは、私はミシンのほうのことは存じませんが、双眼鏡のほうは大体二十人で総代を構成していらっしゃるということを聞いております。二十人の中で五人は、これは同じような双眼鏡であっても、同一品質の双眼鏡でなくて、キャノンであるとかニコンであるとかいうような最高度の登録業者から何人とか、あるいはその他ガリレオから何人とかいうようなことで出しておる五人は別にいたしまして、あなた方がつくっていらっしゃる同一機種の双眼鏡業者から十五人出ていらっしゃるということを聞いておるのでありますが、その十五人の五人、五人、五人の割り当てというものが、三千本以上つくっておる大ワク業者がたしか二十四社ほどあると思うのでありますが、その二十四人に対して五人の率を割り当てており、それから三千本以下千本までの間の人を中ワク業者と称して、それが数十社ある、そこから五人出しておる。最後に千本以下の小ワク業者、これが百何十社かある、そこから五人の総代を出しておる。こういうふうに大中小のワクの範囲において、いわば昔の貴族院議員の選挙のような形式でもって総代の十五人か選出をされておるということを聞いておるのでありますが、そのことは事実でありますか、どうですか、その点をお聞かせを願いたいと思います。
  15. 山田静

    山田参考人 ただいま数多くの御質問を受けたのでございますが、はたして御満足をいただけるお答えができますかどうか、あるいは御返事がピントがはずれるようなことになるかもしれませんが、一応一つ一つの点につきまして御回答を申し上げたいと思います。  部品ワクの点に関しましては、私どももある程度賛成をし容認したわけでございますが、何と申しましても、先ほどミシン部門でおっしゃいましたように、非常に簡単にできますために、過当競争におちいりやすいのであります。したがいまして、やはり部品ワクをつくりまして、そうしてしっかり押えませんと、何といいますか、過当競争が激しくなるわけであります。同時にわれわれとしましても、部品ワクがあることはいろいろ手数がかかりますので、そういう面から見ると非常にマイナスでありますが、また一面部品ワクをつくっておきませんと、部品輸出されるような場合が非常にあるわけであります。完成品が統制を始めまして、三十三年ごろに一時非常な好況になったときがございますが、そのときに部品メーカーとしては、双眼鏡の本体のようにワクがあれば相当いい効果があるということで、部品のほうにワクをつくったわけであります。同時に、そのときにあまり完成品が出ますので、これは欧州方面に限って部品を出したらいいんじゃないか、欧州方面は部品でないと輸入ができないので、部品を輸入させたらいいんじゃないかということになりまして、部品のみで輸出したことがありましたが、そのときにはすぐにその部品の悪影響が、初め欧州だと思いましたのがアメリカにもあらわれまして、値段はぐんぐんと、せっかく上がった双眼鏡が下がりまして、そしてもとのもくあみになったという例がございます。それで急速部品にもワクをつくりましてこれを統制するというような結果になったわけであります。今回におきましても、私どももいろいろ考えますと、非常にそういう点が矛盾があるのですけれども、実際もう少しわれわれの業界が秩序正しくいくまでは、部品ワクもある程度規制をしていくのはやむを得ないのじゃないかというぐあいに考えておりますし、また品質の同上からまいりましても、一応ワクによりましていろいろな検査を行ない、しっかりしたパーツによってしっかりした双眼鏡をつくるという場合には、どうしてもやはりある程度規制しましてやるほうがベターだというぐあいに考えるわけであります。輸出の大きな目的のためにいい品物をつくって海外の信用を得るために、われわれ業界としましては、非常に残念ながらそういうものをワクをつくって今日きておるわけであります。  それから事業協会の買い取りのことに関してでありますが、これは一応私ども、先生が先ほどおっしゃったとおり、総員一致で買い取りに踏み切ってまいったのでありますが、買い取りいたします資金的な面がなかなか容易に準備できません。われわれ業者は、先ほど申し上げましたような非常な小企業で自転車操業的なものをやっておりますので、その資金が詰まりますと、どうしても、安く売ってでも、その資金をつくらなければならないというようなことに相なりまして、そしてわれわれ業者のほうからとにかくこれ以上資金ができないなら、むしろわれわれとしては、ひとつここで買い取りの要望をやめて、そして自由にある程度商売さしてもらいたいというようなことからいろいろなにしまして、買い取りを中止するような結果になったわけであります。   〔委員長退席、始関委員長代理着席〕 別にこれに対して責任とかなんとかということはやっておりません。  それから事業協会総代十五名の選挙に対する件でございますが、これはただいま先生がおっしゃったとおりに私どもは行なっております。これはそもそもの初めは、大体双眼鏡は大ワク、小ワクと申しますか、その差がかなりひどいのでございまして、たとえば百人いる工場も一票、一人か二人でやっているところも一票というような選挙権になっておるわけであります。従来、工業組合におきましても、そういう面から、非常に小ワク業者が多いために、一部の大ワクのほうは選挙されるということが非常に少ないような状況にもなっておりますので、これは大体業界生産台数とバランスをとりまして、そして人数と生産との相互にらみ合いによりまして大体の代表の数をきめておるわけでありまして、これは最初からそういうことになっております。それから事業協会におきまする責任問題は別に論議はいたしませんでございます。  大体以上でよろしゅうございますか。
  16. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 あなたも事業協会議長だというお立場があるから、どうも私ぴんとこないのですが、業者のほうから申し出て買い取りをやめようじゃないかと言ったといわれる。ここらはだいぶ私らが調べておるのと逆なんですね。しかし参考人のあなたに失礼ですから私そこまでは言いません。大体いいと思いますが、いまあなたが、かつて部品が単独でどんどん外国に出ていって云々と言われたのですが、部品ワクがあってもなくても怪機械法輸出の基準の中で単独輸出はできぬはずになっておると思うのですが、そうじゃないですか。
  17. 山田静

    山田参考人 たしかそうなっております。
  18. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 それだったら、いまあなたがおっしゃったのと逆なんです。あなたは部品だけ輸出されたと言われた。まあそれはよろしいです。  それから平林さんにお尋ねしたいのですが、私らが聞いておりますのに、業者の方がいわゆる俗にいうワクにあぐらをかいておる。それは部品も組み立ても全部ですよ。これは輸出屋もそうです。輸出にもワクがあるのですから……。とにかくこの双眼鏡業界部品メーカーから組み立てメーカーあるいはサプライヤーに至るまで、がんじがらめにワクがある。ワクの結果は、実際の仕事をやらずに、もうすでに転業してしまってコロッケ屋になったりあるいは他の商売に転業していらっしゃる人がずいぶんある。かりに組み立てなら組み立て業界がきめましても、登録をされておる業者の数は二百十四とか五とか聞いておりますが、その中で実際に仕事をしていらっしゃるのは百二十ぐらいじゃないかというふうに私は聞いております。そうすると、中には小ワク権利を持っている人は——要するに過去八年間このワク制というものが数量の変化がほとんどなくて、もう小ワクは小ワク、大ワクはいつまでたっても過去八年間大ワクという権利を持っておる。そうすると俗にいう青空なんとかいう、これは業界のことばらしいのですが、ただワクの切符だけを売って利益を占めておる。中には、もうあまりワクが小さいために他のうどん屋さんにかわっていったりあるいはコロッケ屋さんにかわっていったりして、しかしワク権利だけは持っておる。こういうふうな一つ実態と、そうしてこのワクの売買は大ワク業者といえとも——まあ大ワク業者はたしか四カ月間一期として、多いものは一万四、五千台も持っていらっしゃるやに聞いておるのであります。そうすると、この四ヵ月間持っておる一期の割り当ての一万五千台分を実際仕事はなさっておる。ところが、今月は工員も足らずするからひとつ五千台分ぐらいのワクを売ってやれ、こういうふうな、大ワク業者は大ワク業者ワクの売り買いをやっていらっしゃる。そしてその一台の組み立てのワク権利たるや、一つ双眼鏡に対して二百五十円から三百円ぐらいのワク代を払わなければ買えないというふうに聞いておるのであります。私は、そういう不健全な仕事というものはいつまでも続けるべきでない。その原因は、通産当局とすれば、業者自体も自粛をされて——役所は役所で過去八年間そういう実態が続いておりながら見て見ぬふりをしておるのかどうか知りませんが、ちょうど皆さん方も御承知のように横浜警察が手を入れて地検に起訴されて、今日チェック・プライスの問題について業者が裁判にかかっておる。これだって過去数カ年間チェック・プライスというものが、通産当局は糸を一本引いたように海外の実情を知っておりながら、一ぺんきめたそのチェック・プライスというものの変更をしなかった。実際の産業の動き、経済の動きに伴わなかったためにそういうような結果が出てきた。出てきた結果は、私が決算委員会で取り上げてから指導価格というものもはずしてしまったんです、実際の話。去年の二月ですよ。ものにぶつかって初めて気がついた。これは後手ですよ。今日、青空切符というのですか、大口は大口でやっている、小口は小口でやっている。この数字の実態の把握、大体どのくらいの率があるのか。またそういうふうな商売というものは決して健全な商売でない。いつまでも長続きはしません。いわゆる官僚制度法律の上に温存されて、切符だけ売っておれば——五千台売れば二百五十円なら百二十五万円は黙っておっても金が入ってくる。こういうようなことは、業者自体も反省し、通産省自体も抜本的な解決策をはからなければいけないと私は思うのであります。一体あなたの御見解はどういうところに——今日の業者の改善策、どういうふうにしたらこれが改善できるかという何か案を、これは山田さんにしてもあなたにしてもお持ちでなければならぬと思うのです。参考のために、ひとつワクの売り買いの実態並びに結論的には改善策はどうすればいいんだ、前向きな姿勢に直していくのにはどうすればいいのかという点があったら、お知らせを願いたいと思います。
  19. 平林裕良

    平林参考人 いま先生がおっしゃられましたとおり、昭和三十三年、四年、五年の初めごろ、この当時が一番完成品ワクの売買の値段が上がったといいますか、そういう時期であります。そのころは、確かに先生が言われましたように一本二百五十円というのが相場、と言うとおかしいですが、そういう状態でありました。高いのは三百円——と申しますのは、自分が千本注文を受けて、九百本は自分ワクがある。あと百本がどうしても足りないというときには、これが三百円であっても出荷しなければならぬということで、そういう値段が出るわけであります。ところが実際の取引されていた標準価格というのは二百五十円というのがあったわけです。その後だんだんとそういう点の矛盾でいろいろと通産当局にも、何とかその生産割り当てアンバランスを直してくれというようなことから、工業組合の定款を先ほど言いましたように類別に分けて、そして多少そこでスライド制というような、小ワクに厚く大ワクには薄いというようなやり方をして是正していこうということで、実はそういう方法をとってきた。その後だんだんと値段の点でもあまり芳しくなくなってまいりましたので、業者間でも、取引するのにワク代をあまり払えなくなってきた。これは値段の関係でそういう事情も起きたわけであります。その後だんだん下がりまして昨年昭和三十八年度の第一期から先ほど申しましたように保有ワク制度、そして割り当て生産能力アンバランス保有ワクというもので補っていこうということでやっていきまして、その当時からワク代が、高いのは一本七、八十円、安いのは二、三十円というようにだんだんとワクの値打ちがなくなってきた。これはとりもなおさず保有ワク制度をやったのでそういうふうになったのではないかと思っております。しかしこれも先ほどの説明の中にありましたとおり、わずか二期で、やはり大きいワクの人の立場、少ない小ワク立場から、この制度には法的な根拠がありませんでしたので、残念ながら二期でやめた、こういうことでございます。  それからもう一つは、こういうワク制度をどのようにしたらよいかということでございますが、私は先ほどもちょっと申しましたとおり、この状態完成品にも部品にもある、そして部品ワクがなければ組み立ても出せない、こういう制度になっておりますので、これは完成品部品も一括してそういう不合理を是正し、流通機構をよくしなければ意味がない、完成品だけを直しましても、部品流通が悪ければ部品にも大きなアンバランスがあるわけですから、それが直らなければ、実際には部品ワクがなければ出荷できないという制度のために、これは業界全部を通じてやらなければいかぬということで、先ほど申しましたとおり、昭和三十八年の二月二十日にようやく覚え書きができたわけでございます。そうして先ほども申しましたとおり、いろいろな長い検討を重ねていろいろ大論争、けんかするような状態にまでなりましたが、幸いにレンズ鏡体のほうは、なるほど保有ワク制度をやってお互いの業者の中から是正していくということに踏み切ったわけですが、成型がそれをやらなかったということで、成型がまずくいったわけです。私の考えでは、おそらく外国の事情から考えて、この辺でもう一ぺん、かりに一年、二年、三年先に再びそういう必要性があったらやるとしても、この際は一度全部きれいにして、あらためてそういう時期が来たときには正しい実績のとり方に立ってやる以外に方法はないのではなかろうか、国内の事情はそのようにあるというふうに考えて、ワク制度はやめるべきだ、これはもちろん外国事情もありますが、国内事情からいいますれば一度全部やめて、そうしてほんとうに正しい姿を基準としてやり直すなり出直すべきではなかろうかというふうに考えております。
  20. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 それからいま平林参考人は、昨年つぶさに香港なり台湾業者の海外視察を事業協会のほうから派遣されて行かれたということを聞いたのでありますが、先ほどの御説明である程度はわかったのでありますが、こちらはいわゆる部品なら部品業者というものは数限りなく小企業である、向こうは宝源ですか、二十階建ての鉄筋でもって、そうしてビスから双眼鏡に至るまで一貫作業で近代設備をそろえてやっておる、こういうことを聞いて私もますます驚くのですが、私らが考えますと、日本部品業者の中の鏡体なら鏡体——レンズの話はいま聞きましたが、鏡体なら鏡体ですね、おそらくその宝源の会社でも鏡体を私はつくっておると思うのですが、私らのしろうと考えでも、日本鏡体という部品をつくっておる工場の大体内容というものは、私は見ておりませんが、おそらく戦争中の古い旋盤やその他の機械をもってやっていらっしゃるんじゃないかと思うんです。ところが片一方は、いま言うふうな近代設備でもってやっておる。そういたしますと、私らがしろうと目にあの金具の鏡体を見てみましても、日本のいまの鏡体業者がやっておる原価よりは、工作工程というものは、おそらく私は半分ぐらいで上がるんじゃないか、そういう気がするんですね。それはさっきあなたはレンズの例を引かれたから、鏡体なんかは一体どういうふうな、日本のあなたが現実に知っていらっしゃる鏡体の工場と比較して、先方の近代化された、私の想像では日本の工程より半分で上がるんじゃないかというふうな気がするんですが、鏡体に限りませんが、そういう内部の工場の操作の工作工程における何か参考になるような、お気づきの点が私はあったんじゃないかと思うのでありますが、いま少し御説明願いたいと思うのです。
  21. 平林裕良

    平林参考人 いま先生がおっしゃられましたとおり、現在の鏡体業者機械設備と申しますのは、残念ながら新しい機械設備をやっておるというところはごくわずかである、ほとんどないといってもいいくらいでありまして、大体が戦前の旋盤、工作機械を中心として機械設備をやっております。また、こういうワク制度に温存されておるといいますか、そういう関係で、そういう合理化をしなくても取引が比較的容易にできる、あるいは売れるというようなことから、そういう新設の面あるいは生産工程の面というのは、ここ数年来ほとんど研究されておりません。したがって、いま先生が言われるとおり、専門機械を入れてやったならば相当原価が下がるということは、私も確信を持っておりますし、鏡体業者の方に聞きましても、おれのほうは専門機械を入れてもっと合理的にやろうと思うのだけれども、残念ながらワクが少なくてできないんだというような声も聞いております。したがいまして、いま先生が言われましたとおり、合理的な近代設備でやっていけば生産コストというものは相当下げられるということは、言えるのではないかと思います。  また宝源光学機械加工の関係はどんなふうになっておるか。簡単に申し上げますならば、標準ものの七倍、五十というものの金物——日本では従来はニューム鋳物でやっておったわけです。最近になりましてダイキャストでやらなければいかぬということで、鏡体業者の間でも、あるいは、先ほど山田さんも申しましたが、開放研究所の中でも、ダイキャストの鏡体ということで研究されております。しかし、宝源光学は、大体いまから二年半、三年前に双眼鏡製造に着手したのでありますが、その当時から七倍、五十という標準ものは、二百五十トンのドイツのダイキャストの機械でやっております。八倍、三十は百五十トンのダイキャスト鏡体でやっております。旋盤加工等も何百台——なぜ私こういう表現をするかといいますと、五台ずつ旋盤が並んで、それが十列も十五列もある。そういう個所が何カ所もある。したがって、ほんとうの数は数え切れない。私が香港調査をした報告をするときも、おそらく二百台以上あると思う、しかしながら、私が二百台というのは、できるだけ小さい数字を申し上げますといったように報告しましたが、そのように旋盤がありまして、一つの工程を一万本なら一万本、あるいは一万五千本というふうに数字を流しております。一つの工程は、同じ人が同じ工程を朝から晩までやればいいというようなことから、旋盤に携わっている者の三分の一以上は、ほんとうに単一化した仕事は女の子のほうがかえってあきないでいいというようなことから、女子の従業員が多い。しかも機械設備で段取りをしてしまえば、その段取りで朝から晩まで、一週間も十日もやればいいというようなことで、非常にそういう点は合理化されたやり方をしております。また、そういう旋盤に使いますところの治具工具も、自分のところで精度の高い旋盤をところどころ置きまして、そこで治具工具までつくっておる。またビスなどもほんとうに一・五ミリあるいは二ミリというような長さのこまかいビスまで自分のところでつくっておる。また、専門的になりますが、中のいろいろなこまかい部品まで全部、プレスから何から自分のところでつくっておるというわけです。たとえばプレスにしましても、私ども機械関係では一号のパーといいますが、たしか一号のパーが二台、二号のパーが四台、三号のパーが十台。それから足でがちゃんとやる簡単なプレスですが、け飛ばし、これはおそらく三十台、四十台はずらっと並んでおった。それからネコプレスと簡単にいいますが、エキセンポンスなどが出て、簡単にハンドルを回してあけるやつですが、これに至りましては何百というふうに並びまして、そしてもう型が取りつけてある。そして、自分がこの型で穴をあけなければならぬというときにはそこへ行ってやればいい、一々型を取りつけしなくてもいいというふうに、何百というふうに並んでやっております。それから見口といいまして、のぞくところのベークライト、そういったものがベークの機械が六台、プラスチックの機械が二台というふうにいたしまして、そういうものまで全部自家製品でやっておる。卓上ボール盤などは全く数え切れないというような状態であった。したがいまして、相当合理化された形でやっております。私が見ましたときには七万平方フィート工場面積であったけれども、現在は十四万平方フィートー当時、来年の四月になったら倍の生産をするんだというふうに社長が言っておりましたが、それが先ほど申しましたとおり、去年の十二月の二十七日に新工場に移ったというふうに、アドレスの変更の手紙が私のところに来たわけでございます。したがいまして、先般向こうの局長さんが二万台つくっておられるというのも、私が九月二十五日帰ってきましたときは、一万五千とい今数字を報告したのでありますが、その後私は、宝源光学ドイツと月産約六千台のコンスタントの契約をしたという話を聞いておりますので、実は局長さんの二万台という話は、これはやはり六千台の契約をしたんだなというふうに感じたわけでございます。以上のような形で、ビス、原材料から最終完成品まで、それから皮ケースまで、全部自分のところでつくっております。一貫した合理化したやり方で現在実施していると思います。
  22. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 いろいろ詳しいことを聞きまして、聞けば聞くほど、あまりにも日本双眼鏡業界実態とかけ離れがあるので、私感心するのですが、ただ感心だけしておったんではいけませんので、いま平林さんから、とにかく双眼鏡業界のいわゆる成型レンズ鏡体部品業者組み立て業者も、何とか打開の道を講じなければならぬという気持ちがあったから、この四者が、通産省立ち会いのもとに、改善策を考えようじゃないかというてやられたというふうな発言があった。私は当然だと思うのです。しかも昭和三十七年から実態調査をやった結果、先ほどのお話では昭和三十八年の二月に、通産省立ち会いのもとで改善策をやったという。これは私は非常にいい傾向だと思うのですね。それは、片一方がワクの上にあぐらをかきながらも、いつまでもこの調子じゃいかぬぞというふうな反省のあらわれが、そういうところまで進んだのだろうと思うのです。ところが、悲しいかな、覚え書きに判まで押していて、成型工業組合のほうから、いざ実行案をつくってこうするというときになって、わしのほうはやめたと、こういうわけなんですね。少なくとも反省の色が出ている。もっと前向きに何とか体質改善をしなければならぬという気持らは私らにうかがえるのですよ。そこで、いま平林さんから香港なりの情勢を聞いてみまして、やはり部品なら部品業者にいたしましても、いま少し日本双眼鏡を、輸出振興をするんだという過程から、もう少し共同化でもして、そうして弱い者が力を合わして強い力のものにしていって、そうして政府資金から近代化の金でも——きょう現在は、おそらくあなた方てんでんばらばら、A、B、Cの各工場がありもせぬ信用で無理言って銀行で金策している、失礼ですが私はそう想像しているのです。そういうものがもっと共同化して、そのかわりに政府資金でも入れてもらって、いまの宝源に負けないような——まあそこまではいかぬと思いますけれども、負けないような近代化をする、体質改善はこの機会にぜひやらなければいかぬと思うのでありますが、昨年の二月に反省をした、そういう申し合わせまでもしたという過程の中に、いま私が言ったような、もっと機械設備の近代化をお互いにやろうじゃないかというようなところまで話が進んでいったのかどうなのかということが一点と、それから成型だけが覚え書きに判を押しておいてやめた、これは私は実に不都合だと思うのです。それならそれなりに何か原因がなければならぬと私は思うのでありますが、まず平林さんから、その間の事情が伺われればお聞きしたいと思います。それから山田さんからも、その点についてもし御意見がございましたらお伺いしたいと思うのであります。
  23. 平林裕良

    平林参考人 当時四つの工組の執行部の理事長、副理事長が集まりまして、何回か覚え書きに基づいて改善案をつくったわけであります。その改善案の大体の骨子は、産業機械課が指導してくださいまして原案を出してくれたのですが、それについて具体的な方法に移っていきまして、最終的に成型が拒否したという問題は、お互いの工組の中に生産能力割り当てアンバランスがあるために流通問題がうまくいかない、したがってそれはお互いの工組の中で保有ワク制度というものを設けて、そのアンバランスを緩和しながらひとつ流通機構をうまくはかっていこうじゃないか、この辺が問題の中心になってきたわけであります。そのときに至りまして、実は成型のほうでは、おれのほうは一手買い取りをやるのだ、いわゆる共販をやるのだ、したがって保有ワク制度というものには同調できないということをはっきり言われたわけであります。過去何年間かお互いに検討してやってきて話し合ったものが、覚え書きまでしてここでそういうふうにひるがえされるということは、お互いが相談してもまとまらないということで、実は先ほども言いましたように決裂をしたということであります。ここに光学産業新聞がありますが、当時のことがここに出ております。当時完成品工業組合の折衝をほとんど私がやっておりましたので、その辺の事情は間違いないと思います。新聞を見ましても、私のいまの記憶と違っておりません。したがいまして残念ながらもう話し合いはちょっと無理じゃなかろうかというふうに当時感じたわけであります。またいま先生がおっしゃられましたように、その中でそれぞれが機械設備をして近代化して、そういうようなやり方まで論議されたということにつきましては、残念ながら当時はワクがなくて出荷ができない、そのためにせっかくとったライセンスもいろいろなことで期限が切れたというようなことで、何回もライセンスの期限延長を輸出課のほうにお願いしたというような事実もたくさんあります。役所のほうも御存じであろうと思います。そういうような事情で、流通問題でもう一ぱいだったものですから、機械設備でそういうふうに合理化していこうというところまでは、公の席では残念ながらそれは出なかったのでございます。しかし業者の幹部の中には、やはりこういう流通問題をよくするためには、双眼鏡部品とか完成品とかいうことなくして全部をひっくるめて一つ工業組合にして、その中でお互い手をとり合っていくというような組織にしたらいいじゃないかということは、研究されたこともございます。残念ながら機械設備その他までということは審議されませんでした。
  24. 山田静

    山田参考人 ただいま平林さんからお話がありましたが、私はそのころ工業組合の役員をやっておりましたので、そういう交渉のときにタッチしませんで、いまよくわかりませんが、大体側面から考えますと、どうもわれわれの業界は非常にみみっちくて、お互い双眼鏡の範疇にありながら完成品と関連部品との意思の疎通が十分にはかられていない。たまたま一手買い取り販売という問題も持ち上がっておりまして、成型組合のほうはあのような形になっておりますが、一部にはまだ感情的なものもだいぶその中に介在しておると私は聞いております。何と申しましても、過去におきましてわれわれもいろいろな失敗をいたしておりまして、関連からも非常に信用を失墜しておりましたために、われわれのほうといたしましても、何かきめごとをしようといたしましても、その裏をかくようなこともときどきやられたこともあります。関連の団体といたしましても容易に割り切ってこなかった点もあると思います。それで私も総代会議長に就任いたしましたのは去年の十月でありますが、そういう点を側面から見ておって、業界を直す場合には、どうしても双眼鏡の関連にあるものが全部一つにかたまって、連会合なり事業協会のもとにおるものが集まって、一つの物事を決定していくという方向でそういうような機構のものをつくらなければならないのではないかということにかんがみまして、やったわけであります。といいますのは、いろいろ何回かそういう会合を持たれたわけでありますが、どうも聞いておりますと、お互いに言いたいことだけを言って何の結論も得ず、またよしんば決定してもそれを履行せずに自分の村へ帰って知らぬ顔をしておるというような現状があるわけであります。そういうことでは、お互いに各個の工業組合を持っておりますけれども、われわれ完成品工業組合に得なことは部品のほうには不利だという、そういう関係が生ずるわけであります。したがいまして、そういうことから、どうしてもその場だけの話になったり、言いたいことだけを言って帰ることになりますので、関連産業を打って一丸とする機関を設けて、きめた場合には何でも必ず誠意をもって実行するということをやらないと、なかなかこの問題の解決はむずかしいのではないかというぐあいに考えております。それをうまくやっていきまして業界がきちんとなれば、先ほど申し上げましたように、お互いが他の関連との信頼を持つようになれば、各金融機関におきましても、相当な資金の調達もできましていろいろな合理化もできるであろうと私は考えますが、現在はそういうような状況で、心に思いながらもなかなかスタートでき得ないというのが現状であります。たまたま昨年十月私が議長に就任し、ことしに入ってそういう問題もじわじわ始めまして、少なくともここ五年間くらいですっかりこの業界を建てかえていきたいという強い信念に基づいて、ぼつぼつ交渉にかかったわけでありますが、悲しいかな、先ほど申し上げましたように、私ども完成品工業組合がああいうぐあいに脱落したというようなことになりましたので、また話が飛んだということになっておるわけであります。そういう面からしても、私どもは、今度は過去の失敗を二度と繰り返さないような程度の工業組合を、時間をかけても、皆さんの納得のいくような、また数量割り当てにつきましても相当弾力を持った見方を持って、そうして自分自身業界をまず整とんし、規制し、えりを正してお互いの関連産業の同士が話し合って物事をきめていくというようにして結束するようになれば、先ほどいろいろ問題のあった香港の問題にしろあるいは台湾、朝鮮の問題にしろ、われわれ業界の手で打ち勝つことは可能であると思います。そういう場合は、どうしても何か法的にできた強い団体がなくては、また対外的な窓口がなくては不可能だと私は思うのであります。  以上であります。  それからちょっと先ほど私が間違えましたが、部品輸出の禁止というのは、軽機械法でなくて貿易管理令で禁止になっておるそうであります。
  25. 始関伊平

    始関委員長代理 加賀田君。
  26. 加賀田進

    ○加賀田委員 この法律は五年間ずっと行なってまいりまして、あらためて五年間延ばすかどうかということで、委員会としては五年間のたどってきた道等いろいろ審議しているわけです。そこで、明確に御答弁願いたいと思いますが、まず北村参考人にちょっとお伺いいたしたいと思います。  幸いして、この法律が施行されてから五年間で、当時百二十一社といわれておったミシン業者が今日五十六社程度に減少しておる。いわゆる企業の合併、吸収等が行なわれて、非常に近代化も促進しているし、あるいはそういう意味では過当競争も減少しているといわれておりますけれども、今後五年間これを継続いたしましてなおこういう業者が減少する、あるいは企業合併をして技術革新等を行なう要素があるのかどうか。大体この程度でむずかしかろうというのか、それとも五年間でなおそういう状態が起こるのかどうか、この点をまず第一点としてお尋ねいたしたいと思います。  それからこの法律が施行されてから、ちょうど当年の九月に登録が禁止されております。これは憲法でいわれております国民のいわゆる職業選択の自由を抑制するという性格を持っております。われわれとしては、こういう性格のものはあまり好ましい状態じゃない、事情が許せば早くこれを解除したい、こういう意見を持っておるわけですが、いまのミシン業界状態の中でこの登録禁止が解かれた場合に、さらに過当競争的な条件が起こる内容を業界が持っているかどうか。この点が第二点であります。  それから第三点としては、双眼鏡のほうではいわゆる大口業業者あるいは小口業者等についていろいろ問題が起こっておりますが、ミシン業界としては、減少された各企業の中では十社くらいが大メーカーといいましょうか、大きな企業でありますが、あとはほとんど中小の企業でありますけれども、この大口と小口との間に今日問題が起こっていないかどうか。この三点についてまずお答えを願いたいと思います。
  27. 始関伊平

    始関委員長代理 参考人の各位に申し上げます。  時間も相当経過いたしましたので、御答弁はなるべく簡潔にお願いを申し上げます。
  28. 北村富営

    北村参考人 お答えいたします。  第一点でありますが、五年さらに延長いたしまして、先ほど私は、六十七社をさらに減少してということを申し上げたのですが、これは努力目標でありまして、要素としてはないというわけではありませんけれども、大メーカーが十社程度で、これに中小メーカーが五十もあるということは、これはやはり同じような企業体としましてどうしても負けるのじゃないか。またこの六十七社ではいわゆる販売面におきまして競合するという形もありますし、生産面において競合するという形もありますが、少なくとも六十七という分割された形において世界に乗り出していくというのは、やはり多過ぎるのじゃないかというのが業界の一致した考え方で、どういう形でこれを縮小していこうかというのは、大阪、名古屋、東京というような形に分散されておりますので、大阪に窓口を一つつくるとか、東京に窓口を一つつくるとか、また大阪に二つの共同販売機関のようなものを設けようとか、生産につきましても団地化ということを考えようじゃないかということも研究されておりますが、これがいつになるという見通しじゃなしに、さらにそういう努力を当然すべきであるし、そうしなければ世界の競争に勝ら得ないのじゃないかということを考えておるわけであります。具体的には、検討しておりますが、結論は出ておりません。  第二点でありますが、登録停止をできるだけ解除すべきであるということは当然だと思います。ただ解除するということになると過当競争要因がすぐ出てくるかどうかということにつきましては、先ほど私は、アメリカにおいてミシンが相当安定したムードをかもし出しているというようなことを御説明申し上げたのですが、アメリカは、ちょっと御説明申し上げますと、大体終戦後非常などさくさの売り込み競争で、バイヤーもさんざん買いたたいて、もうけるものはもうける、またやめていくものはやめていく、相当経済的な変遷がありまして、これは組合とか事業協会とかの努力ばかりじゃないと思いますけれども、それに合わせて駐在員とか事業協会のいろいろな施策、登録制度をしきましたし、ワク制度ももちろんそうでありますが、そういうワク制度にしましても、安定させるために、アメリカにほんのわずかしかワクを持っていない人はその他の地域と取りかえなさい、アメリカからほかに行きなさい、取引ロットにならないような数量を持っている人は、割り当て制度ですから、割り当ては取引とは関係がありませんでいきますから、そういう人はなるべくほかの地域と取りかえなさいということで、だんだん業者も整理しまして、大体取引のチャンネルとして十五チャンネルくらい、パイプラインといいますか、バイヤーまで、メーカー商社、エキスポーター、ディストリビューターという最終の段階まで続きましたチャンネルが十五くらいで、全米の先ほどの数量を押えておるわけであります。この辺になりますと、これを解いたからといって、急に新しいバイヤーが出てくるわけでもないし、すでにもう売り込んでしまった市場メーカーもそうそう売れない。バイヤーも一々ほかから買っているというわけにいかぬ。すでに自分の商品として、シアーズローバックが日本のどこどこのメーカー製品というものをどんどん宣伝しておりますから、急に切りかえるというわけにいかぬ。大体この辺まできますと、ある程度は登録停止を解除しましても問題は起きない。しかしミシン業界においても、その他の地域にいまかかっております。欧州にこれからアメリカのようなサンプル的ないい、秩序ある取引を樹立したい、その他の地域、アフリカにも中南米にも東南アジアにもやりたいということでかかっておりますので、いまこれを全面的に解除されますと、ミシンというものはその他の地域で相当な混乱が起きるというのが現状じゃないかと思います。ちょっとばく然とした言い方でございますが……。  最後に第三点でございますが、大口と小口との問題がないかということでございますが、ミシンが組合をつくりました発足から、大口も完全に協力していただくという形をとってスタートしておりますので、双眼鏡でありましたような問題点は別にありませんし、割り当てその他についても、そのかわり特権は与えておりません。   〔始関委員長代理退席、委員長着席〕 大口ですからどうこうということもありません。平等な形でやっております。特にミシンの大口メーカーの方の中小メーカーに対する非常な理解ある態度といいますか、それが一つの大きな原因でもあると思いますが、問題としては別になっておりませんし、一緒に協力してという形を徐々にとりつつあります。
  29. 加賀田進

    ○加賀田委員 それでは山田参考人に伺いますが、いまミシン業界実態について説明していただいたわけですが、貿易の系列化が相当進んで、すでに十五くらいに整理されておる、これは非常に好ましい状態だと思います。聞きますと、双眼鏡のほうは五年間において系列化というのがほとんどなされていない。これも混乱を来たす一つの大きな原因じゃなかろうかとわれわれは考えておるわけでありますが、五年間で努力されてそういう貿易の系列化というものが確立されない大きな原因は、一体双眼鏡業界としてどこにあるのか、これがもしおわかりでしたら説明していただきたい。これがまず第一点。  次に、海外市場についての調査とかあるいはPR等はジェトロを通じて行なっておると思うのですけれども、ジェトロに対して負担金として年間大体どの程度納めているのか、あるいはジェトロとして皆さんの要望にこたえるだけの体制がいままであったのかどうか、この二点についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  30. 山田静

    山田参考人 系列化に関しましては私どもも非常に苦心いたしまして、何とか優秀な系列をつくり、それから持っていってだんだん集約してまいりたいと思っておりますが、大体企業が非常に細分化しておりますのと、向こう注文状況も非常にこまかい状況となっております。また先ほど申し上げましたように、特にブランドのほうにおきましては、ほとんどバイヤーブランドでございまして、バイヤーとしましてはそのブランドを自分で所有しまして、そうして自分が好きなところから買おうという作戦に出ておりまして、こちらのメーカー側としては何としてもサプライヤー、バイヤーというぐあいな系列をつくりたいと思うのですが、サプライヤーしかり、またバイヤーも先ほど申し上げましたように自分のマークを持ちまして、振り回して安くたたいて買いあさるというような状況が現在まだ続いております。また私どもメーカーも弱いものですから、ついそれにつり込まれていきまして、なかなか系列化というものはできておらないわけであります。そんな実情でございまして、私どもとしましても非常にこれに関しては苦心しておりますが、いまだかつていい結果を見られないということは、まことに残念に存じておる次第であります。  それからジェトロに対する負担金でございますが、ちょっと数字ははっきりしませんが、大体八百万内外と存じております。それでその効果につきましては、相当ジェトロは親切にやっていてくれておりまして、私どもの海外の市況を刻々と手元に送ってくれております。現在ニューヨーク、ジュッセルドルフ、それからいまロンドンにもできつつあるわけでございますが、バンコクにもございまして、そういうところには専門の駐在員がおりまして、私ども双眼鏡の販売開発に努力していてくれます。なお広告宣伝におきましても、ジェトロがそこで代理店になりまして、有力なPR機関を介しまして相当力強い宣伝をしてくれています。われわれ中小企業ではなかなかテレビだとか新聞だとか、こういうような宣伝は個々ではすることができませんが、大体ジェトロの関係でいろいろわれわれの出した金、国庫の補助の金でやってくれまして、相当の成果をあげておるつもりであります。  以上でございます。
  31. 加賀田進

    ○加賀田委員 それじゃ平林参考人にちょっとお伺いいたします。  いままで発言を聞いておりますと、三十年以来今日までの業界状態等を聞いたのですけれども実態割り当て制度等の矛盾からいろいろ混乱が起こり、しかも、業界自体として一体になっての協力関係というのはなかなかできない、こういうお話であります。われわれとすれば、法律がさらに五年延長いたしますと、この法律は独自に動いていくわけです。しかしその運用によっては、法律というものは両刃の剣のように、うまく運用すると業界にも相当貢献するし、その目的も達せられる。へたに運用すると、逆効果も生まれてくるという性格を持っておるわけですが、この法律をもし延長した場合における弊害等があるのかどうか、あるいは今後の法律に基づく運用面で万全を期すれば、当面起こっている混乱状態というのは解決できるのかどうか。私たちとしてはやはり法律についての態度を決定いたさなければなりませんし、業界の皆さんにかえって迷惑のかかるような法律についてはわれわれとしては考慮しなければなりませんし、そういう問題について、一体法律自体が悪いのか、あるいは法律の運用について多くの問題が起こっておる——もちろん業界等の内部的な問題もあるでしょうけれども、その点についてひとつ御答弁を願いたい。
  32. 平林裕良

    平林参考人 軽機械法趣旨というのは、大体登録制度で品質を向上するということと、事業協会を設立してPR市場調査、アフターサービスというようなことをやる、あるいは品質の試験研究、指導というようなことが四十六条に出ておるわけです。そういうことは、私どもメーカーにとりましても、PRをしていかなければならぬというととは当然必要なことだというふうに確信しております。したがって、軽機械法の条文を見ますと、私はもし条文どおり運用されるならばいい法律であるというふうに思っております。しかしながら、ここで軽機械法だけ単独で論じられないのではないか、これは軽機械法の十六条に、登録停止ということが団体法とからみ合わせて載っております。また二十条には、その登録停止の要件となった事実が消滅したら登録停止をやめるのだということが出ておりまして、これは団体法と表裏一体になっております。そこで私が先ほどから再三申し上げますように、部品ワクまで規制をかけて、それを現実に見ますと事業協会でチェックしているということなんであります。ここに書類もありますが、貿易管理令といいましたら現実には輸出承認基準をかえて事業協会でチェックしておる、そしてそのことが隘路になっておるということで、私はそういう点をほんとうに直すならば、やはり軽機械法趣旨どおりやるべきではなかろうか、こういうふうに思っておるわけです。また買い取りのときに商社ワク、いわゆる商社のクォータができたわけでありますが、これも事業協会ができ、買い取りをやるときに、商社にある程度の販売の責任を負わせようということでできたわけです。商社のほうは外国に対して強く当たるのだというふうにいっていましたが、ではその後実情はどうかといいますと、自分ワクを持っておるのだ、だからおれのところに売りに来なければ売れないのだということで、メーカー現実に品物をつくる、商社はつくらなくて済む、極端に言いますならば、タイプライターでいわゆる取引をやっておればいいのだ、メーカー現実につくっていかなければならぬ、こういう立場の違いから、どうしても買いたたかれる。また事業協会趣旨どおりPR、宣伝をいたしましても、実際に注文をとるのはどこかというと商社の段階だ。そこにはいま言った商社ワクというクォータがあって、メーカーは買いたたかれておる。また事業協会がチェックの場所になって、部品ワク規制の効果をあげておるような、逆にそれが輸出阻害の形になっておる。だからこういうことをほんとうに取り除いてしまって、輸出振興のいわゆる第一条にあるような目的どおり国民経済の健全な発展に資するというならば、私は当然この法律はりっぱな法律だと思っております。ただここで、私が過去三年間この部品ワクの問題についても努力に努力を重ねて、役所の仲介まで入ったけれども、それがうまくいかなかった、おそらくそういう改革はできないのじゃなかろうかというのは、お互いが自分ワク制度を守ろうとしておる限りにおいては、立場が違うからできないのじゃないかというふうに考えて、先ほども申し上げたように、一ぺん全部はずしてしまって、新しい観点でつくったならばというふうに考えておるわけです。そのように私は軽機械法というのを見ております。
  33. 加賀田進

    ○加賀田委員 終わります。
  34. 二階堂進

    二階堂委員長 それでは中村重光君。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど来参考人の皆さんからいろいろ御意見を伺ったわけですが、そうした御意見の中で感じたことその他についてお伺いしたいと思います。  ミシンであるとか双眼鏡は、中小企業として輸出の花形といわれてきたのであります。またいろいろ御意見の中でも、輸出は相当伸びておる、そういうことで、確かに非常に日本輸出産業に寄与しているということはうかがえるわけです。そのことは、いま審議をいたしておりますこの軽機械輸出振興に関する法律が、御承知のとおりに登録制を実施する、それから事業協会をつくるということが柱になっております。その二つの柱に守られて輸出が伸びたのかどうか、花形としての地位を確保しておるということになるのかどうか。そうでなくて、本来このミシンであるとかあるいは双眼鏡というものは競争力が強いのだ、こういうことになるのではないか。それらの点に対しては、先ほど来平林参考人からいろいろこの法律不要論というものが実は出ておる。むしろこれは運用のいかんによっては悪法になる危険性すらあるのだということで、具体的な問題が取り上げられたわけであります。私どもは、いま加賀田委員からも申し上げましたように、マイナスになるような法律をつくってやってはならない。なるほど登録制が実施されるということは既存の輸出メーカーにとっては確かにプラスである。ところが、新しいメーカーが進出できないということになっている、あるいはワクがきめられておるために、大メーカーは大メーカーとして地位を温存していく、中小メーカーは、いつまで時間がたっても、どんなに努力しても、そのワクによってしぼられてしまってどうすることもできないのだということになってくると、私はこれは問題だと思う。だからして、これらの問題に対しては真剣な取り組みをしていかなければならない、こう思っておるわけであります。  そこで具体的なことでお尋ねをいたしますが、この法律が実施されてからもうすでに五年たっておるわけであります。その間どういう企業努力をなさったのか。輸出が伸びておるのだということが、この法律によって確かにプラスになってそれで伸びたのだというふうに実際評価をしておられるわけであります。私どもは、こういう憲法上にも若干疑義があるような非常に強度な法律をつくるということになってくると、その間にほんとう企業努力というものがなされ、品質が非常に向上してきた、その他調査活動等におきましても大きく前進をしてきた、そのことによって競争力が非常に強くなってきたということにならなければならない。そういうことでなければこの法律を制定した意味もないし、またこれを延長する意味もないのだ、こう私は思っておる。したがって、その五年間どういう努力をほんとうにされたのか。私がただいま申し上げましたような具体的な問題に対しての一つの成果、企業努力ということをお聞かせ願いたいと思うわけです。  それから、平林参考人を中心にいたしまして、香港双眼鏡宝源光学の問題その他あるいは台湾生産の問題等々いろいろお話があったわけです。そうした非常に日本の強敵といわれるような形の企業の進出というものが各地において起こってきている。そういうもの等々を考えてみて、ミシン並びに双眼鏡競争力というものは弱まるのではなくてやはり強まっていく、将来やはり輸出産業の花形としての地位を守っていき得るのであるかどうか、それらの見通しに対してもひとつお聞かせ願いたいと思います。この点は三人の参考人にも関係がありましょうから、お三人ともひとつお答えを願いたい。
  36. 山田静

    山田参考人 ただいま先生から御指摘のあった、この五年間にどういう企業努力をしたか、なおかつ、今後どういうふうな見通しかという御質問でございますが、私ども双眼鏡業界としましては、先ほど申し上げましたように、組織がなかなか脆弱でございまして、内部の思想統一が、いろいろ施策を考えておりまするが、やれなかった。それと同時に、先ほどミシンの方がお話がございましたけれども、われわれの工業組合が、ミシンの行き方とはだいぶ違った状況にあるということであります。ミシンは非常に手ぎわよく企業整備をされまして、非常に集約的におやりになっておるわけでありますが、私ども双眼鏡業界は、その点が、実は心にかげながらも、できなかったということであります。と言いますことは、いろいろ法規上の問題がございまして、たとえば先ほど青空の問題も出ましたのですが、たとえば倒産しました場合に、その人のワク工業組合に吸い上げになりあるいは消滅するなどというような状況になっておりまして、整備の段階に出てきておりますればよかったのでありますが、それが一応販売の対象的な、あるいは債権の対象的なものになりまして、会社がつぶれたにもかかわらずワクが浮遊した、それが消化できなかったというような実情がございます。また登録制度の問題におきましても、先ほど先生から御指摘がありましたように、商売は半ばやめましたけれども、どうも登録制度の取り消しの問題で法律的にうまくいかなくて、取り消しができなかったというような状況がありまして、とにかく業界の整理をやろうと思いましても、そういうものがふわふわと幽霊のごとく歩きまして、非常に業界を乱しておる。しかも、そういうものがあっちへ来たり、こっちへ寄ったりしまして、値段の安売りを助長しておるというような結果になっておりまして、われわれ業界がだれもかれもがそういうようなつもりになっておったのですが、悲しいかな、いろいろな問題で、できずに終わったわけであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、工業組合がこのたび解散しました理由も一つはそこにあるわけですが、今度はそういう悪い点を大いに反省しまして、改良しまして、しっかりした工業組合をつくって、ほんとに双眼鏡をつくっておる人だけの工業組合をつくって、もう一ぺん再出発的なものにしていかなければならないのではないかというぐあいに考えておるわけであります。  将来に対する見通しとしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、世界的に日本双眼鏡は八十何%のシニアを占めておりまして、これは今日ここまで伸びたということは、いろいろ軽機械法による御援助、あるいはまた、われわれメーカーも死にもの狂いになりまして、とにかくこの業界が骨身を惜しまず働いておるわけであります。したがいまして、たとえ香港あるいはほかに、要するに低開発的な国にこれができましても、おそらく双眼鏡の性質上、ぼこぼこ同じようなものをつくりましても、そう大量に売れるものでもありませんので、そういう点は、かなりバラエティーに富んで、また品質の改良によりましては、香港以上のいい品物も、日本の技術からすれば相当に開発して、新たなる販路なり新たなる基礎を築く要因は十分にあると私は思います。そういう面からいきましても、いろいろ開放研究所とかそういうものをてこにしまして、われわれ業界が、いずれにしましても外敵を受けたのですから、ここで心を改めて、従来の行きがかりを捨てて、一心同体になって業界全体が当たっていきますれば、決して外国に負けてひけをとるようなことはないと私は確信いたしております。
  37. 平林裕良

    平林参考人 法律ができましてからどんな努力をしたかという御質問ですが、この点は、先ほど山崎先生もおっしゃられたように、実際には価格を守るのがわれわれの最終目標であるということで、事業協会としましても一手買い取りをやったわけです。しかしこれは、先ほども言いましたように、商社ワクというものがあって、実際にうまくいかなかった。業者の、製造メーカー実態からもまだ不十分だった。あるいは資金面も、先ほど山田参考人が言いましたけれども、実は二億五、六千万円くらいまでストックしましたときに、役所のほうから、もう五億以上は出さぬのだということがあったので、業者も、それではとても買い取りもうまくいかぬだろうということで、当時私も、それじゃやめたほうがよい、なまじっか五億まで借りて、そこで大きな負債を残すよりは、もうやめたほうがいいのだということでやめた。その当時、通産の産業機械課長の通達が業者にみんな回ったわけです。五億以上出さぬ、こういうふうに言っております。それがもともとやめる大きなきっかけとなったわけであります。そういう努力もしましたし、また開放研究所で試験研究をやっておる。いろいろなこともありますが、実はこの開放研究所で、最近プリズムの荒ずりの機械についても五百十七万円の機械設備を入れまして研究しているわけです。実はこの五百十七万円も、事業協会総代として私が何とかしてやってくれということから、それだけのものを機械設備を買って貸与している形になっておりますが、残念ながら、これも業者のほうが先に研究してしまっておるというような実態で、率直に申し上げると、事業協会ができてから効果があったのはPR、宣伝をした。これは、はっきりした形に、じゃどの程度あったのかといわれると、数字にあらわすほどはわかりません。しかし私は、宣伝した効果は必ず何かあったはずだというふうに思っておるわけでございます。しかし、業界としては、いろいろな過去の失敗から、ほんとうの気持ちはもうやめたほうがいいというふうに考えているのではないか。したがいまして、ことしの四月からの負担金は、従来双眼鏡一台について二十九円というのが平均された負担金だったわけです。ところが、それを四割減しろということで、現実に四月一日から四割減になっております。ということは、業者はもう要らない、経費をかけるだけむだじゃないかというふうな気持ちのあらわれだと私は思っております。二十九円の四割といいますと二千七、八百円から三千円のものを売って、金額にすればほんとうにわずかのものかもしれません。それだけのものでPR、宣伝ができれば私はいいのじゃないかと思っておりますけれども、しかし、いままでの結果から、業者の気持らとしてはいわゆるむだという考え方があるから、わずかな金でもむだなものは払う必要はない、業界は苦しいのだという立場から、四月一日にそういう形になっております。したがって、これは相当むずかしいのではないか。過去にそういう努力をしたけれども、私はなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。  それから、香港とかそういう競争相手が出て、今後業界はどうだ、見通しはどうかという御質問に対しましては、先ほど言いましたように、鏡体業者は、たまたまいまやっておる機械設備は戦前の機械を使っている方が多いのですが、しかし中には専門機械を入れてでもやろうという考えの方もおります。したがって、そういう設備を近代化して合理化した生産をやれば、香港あたりと十分対抗できる。しかし、いまワク制度の中ではたしてそういう合理化とどのように両立できるか。この点は、最近双眼鏡部品については設備近代化法の業種指定になったということも聞いております。しかし、ワク制度の中で実際に生産合理化ということはある意味で量産——量産したものがワクがなくなったらどうなるのか、はたしてそういうことが両立するのかということに私は疑問を持っております。しかし、もしワク制度がなくなって合理化されたという形になれば、競争力は十分あるというふうに考えております。ただ今後その量産されたものをどう販売していくかということが大きな課題になるとは思います。しかしながら、私は先ほども申しましたとおり、いいものを安く売ってももうかるのだというふうに商売の本道に帰らなければ、外国競争して輸出振興がはかれないのじゃないかというふうに考えております。
  38. 北村富営

    北村参考人 御指摘になりました最初の、軽機械振興法の二つの柱にささえられているのか、それとも競争力が強過ぎるのかというような御疑問の点があったのですが、この点を先に申し上げさせていただきます。  ミシンにつきましては、当然登録にささえられまして、また事業協会の外海への目というものを業界が持ち得たというような点で伸びてきたということは言えるのじゃないかと思います。もちろんPR、たとえばアメリカに二万五千ドルかけて売り込んだから何台ふえた。先ほどふえた数字を申し上げましたけれども、それが直接影響があったかどうかということは、PR、広告、宣伝その他については端的には申し上げられませんけれども、確かにそういう効果はあり得るのじゃないかということは考えておりますし、長期的にこれを続ければ、当然そういうことも出てくるのじゃないかと思います。  それからまた、輸出競争力が強いということは、確かに御指摘のとおり強いからこそ伸びたのであって、この法律だけのものじゃないということは言えるのですが、ミシンといいますか、特に輸出産業といいますと中小企業対策とそれから輸出振興策といいますか、非常に相いれない面もありまして、むずかしい面があるのですが、競争力が強過ぎるために逆に販売力を失なっていくという面があるわけです。安くできるから安く売ってしまう。より合理化されて、どんどん合理化すればするほど国際競争力はつくのですが、販売といいますか流通の力、販売力がないために、せっかくの国際競争力をむだにしてしまう。逆にそれが海外のダンピングその他の問題で国際的にはね返ってくるというようなことが多いので、やはりこうしたミシンのように、中小企業のだれでもできるような形にほんとう合理化されて、アッセンブル形態をとってしまった業界では、やはり何らかの規制力というものと、ほかにこうしたような事業協会のような海外に対する目を必要とするのじゃないか、こう思っております。  それから、この五年間にどういう企業努力をしたかということでございますが、これは先ほどから申しますように、ミシンにつきましては各企業別に合併その他企業体質改善ということで個々の努力をいたしましたし、それから自分の取引先につきましての、昔取り合っていたような取引先を早く自分のルートにするということと、そのルートを安定させていく、特に自分の機種、特徴を持ったものを売り込んでいく。いかにアッセンブル製品といいましても、やはりどこかにセルフポイントがありませんと、商品としての価値が落ちてしまう。同じ形のミシンではありますけれども、やはりちょっとした色を変えるということがそのセルフポイントになって、それがバイヤーまた消費者の歓迎を受けて伸びていく。こうした同じ部品を買って組み立てる産業でありますが、そうした面は多分に、また十二分に取り入れませんと、雑貨的な売り方では産業そのものが衰微していくのじゃないかという点につきましての努力は非常に続けております。たとえば新機種の開発につきましても、すでに御存じかと思いますが、世界的な傾向としまして、日本でもそうでありますが、直線ミシンというまっすぐ縫うミシンだけでなしに、模様も縫える。まあ模様の効用ということは大したことないと思うのです。実際家庭でどの程度使うかということは疑問がありますけれども、これが一つのセルフポイント、あれも縫える、これも縫えるという宣伝が一つのポイントとなる。こうした面の努力は非常な勢いでやっておりまして、ちょっとしたくふうでありますが、各社それぞれの特徴を共通したパーツの中にも出していくような努力を続けておりまして、それが先ほどの、自分の取引系列の中に盛り込んでいくという姿になっております。  それから最後の御質問の点でありますが、将来どうかということでありますが、ミシンとしましては、すでに部品につきましては非常に競争力があるというものの、まだまだどんどん幾らやってもいいということでありますから、中小企業近代化促進法の御指定をいただきまして、部品業界部品業者は各かまなりシャフトなり、みんな三百万個ずつつくっておる。これは数社でやっておる。非常に合理化された専用機を使ってますます安く合理化されているのですが、これをもっと進めようということから、近代化促進法の指定を受けまして、より以上高度化していく。といいますのは、最近になりまして、徐々に世界的傾向が材質の変化にまできている。ダイキャストになりプラスティックになり、あるいは鋳物関係から軽合金関係に移るというふうな大きな転換もありますので、この機会にさらに高度な企業合理化というものをはかりたいという面から、近代化促進法の指定を受けまして、この面でも大いに努力していきたい。こうした努力によりまして、さらに将来は非常な世界的な——いまでも世界一ということを先ほど申し上げましたが、全世界を風靡していきたい、こう思っております。すでに先ほど申しましたドイツの最高メーカーのパフにつきましても、日本のミシンとの提携を発表しておりますし、そのほかのメーカーにつきましても、相当日本への接近をはかっております。以上のような形で、相当な輸出産業としてこれからますます伸びていく産業ではないかという期待をいたしておるわけであります。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろ御答弁いただいたわけですが、問題は開放研究所でいろいろ研究をやっているというようなこと、あるいは山田参考人から、香港あるいは低開発地域においてぼこぼこそういう生産をするような形になっても、品質の面においてもおそらく競争にならないだろうというきわめて楽観的なお答えがあったわけですが、そういう楽観的なこと、いわゆる自信ということであればきわめていいわけですけれども、その自信というものは、やはりいまお答えの中にございました品質改良その他こういう法律によって守られた中において、いわゆる登録というものによって安住するのではなくて、その間に競争力を十分つけていく、こういうことでなければならない、こういうことなんです。平林さんからいろいろお話もございましたが、こういう強度な法律をつくってくるということになってまいりますと、問題点が数々出てくるわけなんです。この過当競争というようなものは好ましいものではありませんけれども、この法律をつくって、ミシンの場合、そのために登録の前は百九十数社あったのが、登録制度実施の際は百二十社であった。それが六十社になっている。しかしこの六十七社も多過ぎるから、なおこれを整理をしていかなければならないのだ、こういうことです。そのことはやはり一つ企業の努力という形において進められてきているということはわかりますけれども、百九十数社の企業が、この登録された業者で百二十一社であったものが六十七社になったのは、どういう形でこういう人たちがやめてきているのであろうか、共同経営であるとかあるいは企業合同という形でその中に吸収されて、実際においてその経営陣の一人としてその中に吸収されてきて、前よりもずっと安定した経営生活の中にいるのであろうか、そういう人たちの行くえはどうであろうか、また六十七社からこれを減してくるという形になってくると、これはまたどういう形に向かっていくのであろうか、私どもはこの種の法律を制定をし、あるいは現行法の期限が来たから延長をしていくということになってまいりますと、それらの問題というものも慎重に勘案をして対処しなければならない、こういうことになるわけなんです。ですから、私の申し上げる企業努力というものは、品質の改良について、開放研究所ではやっているのだろうけれども、それは成果としてどういう形になってあらわれておるのか、これが問題点の一つなんです。それから共同経営、企業合同、そういうことが実際においてどういう形になっておるのか、近代的な方法とするならば、共同受注ということもあるでありましょう。あるいは共同販売というものもあるだろう。そういうような形に一歩々々と前進をしていくのでなければ意味がないと思う。そういうことを具体的な問題としてお尋ねしておるわけですから、そういう点について、北村さんと山田さんにひとつお答えを願いたいと思います。
  40. 北村富営

    北村参考人 ただいま御指摘いただきましたように、登録中に競争力をつけて、個々の企業の体質改善をやるということにつきましては十分努力しておるつもりでおりますし、その方向に進んでおります。先ほど申しました百二十一社、六十七社になった形はどうかという御質問がありましたので、この点を御説明申し上げますが、大体ミシンの登録をしましたときには、製造しているものすべてということで参加しております。その中には非常に小さな、数人の人間が下請け専門でやっているような企業までが登録工場として入ってきておったものですから、そういうものは特殊な系列にあります企業の第二工場、第三工場というような形で一緒になっております。ですから百二十一社が六十七社になったのは、完全にやめてしまったのもありますけれども、これはミシンのウエートが少なかったために、たとえば兼業部門でミシンをやっておって、販売と製造両方をやっておったのが、販売に専念するというようになったものもありますし、そういう形で一緒に残ったのが第二工場、第三工場という形になったのもありますし、中には完全な企業合同をやりまして、社長さんが皆さん取締役になるというような形で新しく出発したのもありますが、大体そういう形でやっております。
  41. 山田静

    山田参考人 お答えいたします。ただいま先生より開放研究所の成果に対する具体的なことを教えろというお話がございましたので、この点を申し上げますと、まず開放研究所ができ上がりました時分には、零細企業者に対しまして登録制を引きます場合の検査器具というものが必要でございまして、その検査器具を開放研究所がいろいろくふうしまして一通り整備しまして、これを登録員に分かちまして、そうして製品の向上、おそまつにならないように、この検査器具によってチェックするようにいたしましてやっております。これはもちろん通産省の検査課による検査品でございまして、これで検査を受けるのですが、従来は小さいところでは検査器具がなかったところが非常に多かったわけでありますが、今度は登録基準としてみんな検査器具を整備しておかなければならぬということになったわけであります。  それから、先ほど平林参考人からお話がありましたように、双眼鏡のダイキャストは、まず開放研究所が一番先に取り上げまして、いろいろ研究してまいりました。それが導火線となりまして、現在は業界全体がもう従来の砂型の鏡体をやめまして、ダイキャストによって相当な加工上の合理化を行ないました。したがいまして、従来の値段が千円もいたしましたものが、現在はかなり安くわれわれに供給されておるようになっております。  それからなお、先ほども話がありましたように、プリズムの研摩機械を考案、試作、研究しまして、そうして四百万ばかりの金を事業協会から出しまして買い取ってやったわけでありますが、これによりまして、従来一日に一人七十個か八十個しか荒ずりができませんでしたものが、七倍のプリズムが、腕のいい悪いに多少よりますが、大体機械一台によりまして千五、六百個、多いときには二千個も荒ずりができるというような非常なオートメ的な機械を開発いたしまして、そうしてこれが業界のモデルとなりまして合理化の一助となっております。こういう四百万というような金は、よほど金のある業者でないとなかなかそういうこともできませんが、幸い開放研究所、事業協会の力によってそういうこともなし得たわけであります。そういうことによりまして、着々と新製品も目下考究中でありまして、一応完成をして、この間も新聞紙上に発表しまして、こういう双眼鏡を今後大いにやったらいいんじゃないかということも公開しております。そういうぐあいで、今後いろいろな作業上の合理化につきましても、開放研究所でかなり研究していくように持っていきたいというぐあいに考えておるわけであります。  もう一つの問題の登録組合員の減少の問題に関しましては、双眼鏡は遺憾ながら、最初登録しましたときの二百九社でございますか、なおかつ現存しておるわけであります。しかし、実態ははるかに少なくて、おそらく現実につくっておるメーカーは百三十ぐらいじゃないかと思われます。  大体以上でございます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 平林参考人にお尋ねしますが、ミシンメーカーのほうは、先ほど来お聞きのとおり、ずっといろいろな形で整備が行なわれてきて、現在六十七社。ところが、双眼鏡のほうは、大体三十九年度が百十七社でございますか、こういう数字になっておる。そうすると大体横ばいなんですね。こういう軽機械振興のための法律がつくられ、通産省の指導方針というものは大体私は同じだったんじゃないかと思う。ところが、ミシンのほうはそういう形の——好む好まぬは別として、企業合同であるとか、あるいは補償金をもってワクを買収するというようないろいろな形をとったのだろうと思う。そういう形が行なわれてきている。ところが、双眼鏡はそれが行なわれてきていない。異なった方針でもっておやりになったんだろうか。それは重工業局長にお尋ねをしたいと思いますが、あとでこれはお尋ねしますけれども業界人としてあなた方が一番詳しいんだと思う。それはどういうことであったかということです。  それから、ミシンの輸出というものは比較的伸びがよろしい。ところが双眼鏡は、生産自体の伸びもあまりよくない。それから輸出の伸びも、ミシンと比較をすると弱い、こういうことである。それから、業界内のいろいろな問題というようなものも、ミシンのほうには別に目新しいものがないが、双眼鏡のほうにはある。これは、私はその組合内部の感情的なものというよりも、本質的なものがあるんじゃないかという気がいたします。それらの点について、ざっくばらんにこの際ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  43. 平林裕良

    平林参考人 業界企業整備の問題につきましては、私も実は二百十三社、登録当時は大体そのくらいあったわけでありますが、三年前に部品ワクとかいろんな問題が起きて、業界が、だんだん価格も下がってきたというときに、この業界はやはり業者数が多い、業界実態がいわゆる体質改善をしなければだめなんだ、幾ら数量規制をやりましても、その規制をやっている一つ一つ企業体の体質が悪ければ意味がないというふうに考えまして、実は当時企業の連合、企業の合同ということで一応案をつくりまして、これはちょうどミシンさんのほうでおやりになったものをまねをしたわけではないのでございますが、業者が今後使用するワク一本について幾らずつというふうに負担し合って、そして一時的には中金なり何なりにお願いして融通してもらって企業整備をしていこう、そして実際にほかの企業に重点のある人には遠慮していただく、あるいはこの業界でなく、ほかにやりたいという人はやめていただく、あるいはまたワクが少ないという人は、それが何人か集まって一つ企業体をつくる、それには連合する場合の資金を出すというような形の案も実は考えたことがあるわけです。しかし、それも当時の担当官の方に、こういうふうな案を考えてやろうと思うのだけれども、どうでございましょうか、何とか役所も応援していただけるかということで、役所としても、趣旨はけっこうだということだったわけです。しかしながら、業界の中では、一度数量規制をやりまして、先ほど言いましたように、昭和三十三、四年ごろはワク一本が二百五十円で売れるというような一つ規制による甘い汁を吸ってしまいますと、再び悪くなりかけたときにそういう案を出しても、夢よもう一度ということばでおかしいんですが、そういう考えがありまして、なかなかまとまらぬ。それからもう一つは、双眼鏡はもともと終戦後急速に発展しまして、いわゆる組み立て調整をやる、調整工というものが主体になってでき上がったのが、いまの業者実態でございます。したがって、一度自分一つのお山の大将になりますと、企業の連合をして一ポイントの部門に下がるというようなことが観念的にできなかったということでございます。そういう点で非常に失敗した。しかし、こういう整備をする必要性はあったのではないか。もう一つは、ここで業界内部事情に何かあったんじゃないかということは、縦のワク割り当て制度も非常に矛盾があって、そのことで大ワク、中ワク、小ワクという内部の問題が非常に混乱しております。おそらくこのことは、担当官も行政指導がしにくかったんじゃないかというふうにも考えております。ある意味では、どうも双眼鏡業界はうるさい業界であるとよくいわれるのですが、役所もおそらくそういう考えを持っておって、なかなか行政指導がしにくかったのではないか、私もそのように思います。また数量の伸びにいたしましても、私は双眼鏡は、外国から、おまえはたくさん売り過ぎるぞといってボイコットされる心配は全然ないと思っております。そういう意味では、数量をもう少し思い切って伸ばせばよかったんじゃないか。あまり過当競争ということに重点を置き過ぎて、数量をしぼるということがおもだったために伸びなかったんじゃないか。したがいまして、三十四年まで順調に数字が伸びておったのですが、軽機械法を制定したときからだんだんと伸びが悪くなった原因は、おそらく前年の実績——ということは、統制された中の実績ですから、きめた数字しか出ないわけです。それを基準にしての次の割り当てということであったために伸びなかったんじゃないか、私はこんなふうに考えております。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 ワクの問題で、先ほど来非常に重要な御意見なり御答弁があったわけですが、健全な生産活動をしていないものがワクだけを持っている。そして、ワクの上に安住するということじゃなくて、ワクを悪用しておる。こういうことが今日まで放置されたということ自体、通産省の責任を追及しなければならぬと考えておるわけですが、業界としても、そういうことは当然改善されなければならなかった。そういう不正常な形のワクを再調査をやって、そうして再編成をやらせるように組合自体もおやりになる必要があったのじゃないか。仄聞するところによると、通産省はこれをやろうとしたんだけれども、どうも横やりが入ってそれができなかった。いま平林さんのほうでは、通産省に対しても何か同情的な御答弁も実はあったわけなんですけれども、そういう点についてはどのように業界は取り組んでおられたわけですか。また通産省に対しては、このワクの再編成というか、そういうことに対して何か要求でもされたことはなかったのか、まず山田さんからひとつこの点を伺ってみたいと思います。
  45. 山田静

    山田参考人 私は当時組合の執行部におりませんので、そういう実情ははっきりわかりませんでしたが、組合としましては、理事会など開きまして、かなり強硬に推し進めるという状況にありました。もちろん通産省におかれましても、これを推進しようということでだいぶんなにしたのでありますが、事ワクを取り上げるということは、非常に死活問題にもかかわりますし、私はよくわかりませんが、法的に毛だいぶ不備な点もあるように聞いておりますので、なかなか実行できなくて、とうとう実行せずに今日に至っておると思います。
  46. 平林裕良

    平林参考人 一番最初産業機械課といいますか担当官の考え方は、割り当てワクは、かりに経済的な問題で失敗があったからといってそれを取り上げるわけにいかぬという考え方は、はっきりしておったと思います。そういう観点から、組合としては、そういう問題が起きたときには、やはり整備という形あるいはこの問題に対する責任をとるという意味で、ひとつワクは返上願いたいというようなことも考えたこともありましたけれども、役所がそういう考え方だったので、当時は組合としてもあまり強制できなかった。  一例をあげますと、買い取りでやって失敗した、あるいは、またその他の状態でまずいことがあったというものに対してワクをとめたこともある——とめるという権限は組合にありませんので、いわゆる保留という形でやったわけですが、そのときも担当課から、あのワクは出してやれというふうに言われたこともございます。したがってそういう点は、おそらく団体法で取り上げることができないというような解釈を当時しておったと思います。そういう事情がありましたので、組合もそれ以上強硬にやるという、それだけの権限がなかったというふうに考えております。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 北村参考人にお尋ねをいたしますが、今度の期限の延長は、北米では系列販売組織が最大限の努力を払って十三ないし十五できたのだ。ところが今度は、EEC諸国を中心として、こういう系列販売組織をつくっていきたいということが、まず一番期限延長の中心的な理由になっているわけです。そこでお尋ねをするわけですが、能力にも限界というものがありましょうから、全国一斉にそういうことをやるということにも無理もあるかもしれません。また客観的な情勢というものに支配されるということもあろうかと思います。ところが、この種の時限立法を今度は北米がやった、今度はEEC諸国がやるのだ、今度はまたイギリスがやるのだというように、そう順番でやられたのでは、五年、十年、十五年たったって、これは同じなんです。だからいままでそういう諸国に対してやれなかった原因というのはどういうことであったかということです。それから、アメリカでもボイコットの問題あるいは混合関税の問題等いろいろあり、それなりに努力されたことはわかるわけですけれども、そういったようなことに対しての見通し、それから五年期限を延長する、そういった問題がスムーズに進められるといったような条件が実は新たに生まれてきて、いままでむずかしかったのだが、それがうまくいくようになったというような事情にあるのかどうか、そこらをお聞かせ願いたい。
  48. 北村富営

    北村参考人 私のほうで、アメリカからその他の地域というほうにこれから徐々に進めていきたいということを申し上げたわけでありますが、なぜできなかったのかという御質問でありますが、その点簡単にお答え申し上げますと、アメリカにつきましては取引ロットが非常に大きいということと、それから終戦後の十年間の混乱で、ある程度向こう側においても、そうした過当競争によるミシンの取引はこりごりしたというような客観情勢があったということ、それから取引のメーカーといいますか、向こう側の商社の数も、ある程度先進国でありますために、対米輸出商社という毛のも相当大手筋であり、限定されておったというような客観情勢がありましたが、その他の地域になりますと非常に国情が違いますことと、大体百五十二仕向け地と申しまして、これは独立国、自由国その他人っておりますが、日本で発行しております地図でしたら、その名前が載っておるところでミシンが出ていない地域はないというぐらいに広範囲にミシンが出ております。そのために、仕向け地別にそれぞれ事情が違いまして、たとえば為替の状況がちょっと変わるとすぐストップする、またよくなると輸入を始めるというようなことで、非常に状況が変わりましたことと、商社そのものといいますか、輸出機構そのものが、それらの地域へ直接駐在員を出しておるようなことなしに、先ほど言われましたように、手紙一つで、タイプ一つで通信したり商売をしておるというような、九百から手近くの中小商社がミシンを扱っております。これはいわゆる第二地域と申しておりますが、ほとんどその他の地域で扱っております。その人たちのやり方は、いわゆるめくら輸出といいますか、地についていない。おそらく現地のバイヤーと会ったこともない取引が相当ある。そうしてミシンだけではなしに、雑貨とかあらゆる商品の中にミシンが入っておる。これはミシンそのものを送っていくのではないのです。こういうように客観的にミシンだけが新しく販売市場を開拓していくためには、商社段階におけるそうした中小商社のあり方もある程度考えなければならぬ、その辺も改善していかなければならぬということで、非常におくれていたわけであります。私EECと申しましたが、EECその他すべて一括して、そうした体制に持っていくように努力をいま続けております。私どもといたしましては、二年ほど前から第二地域対策ということばを用いまして、業界では真剣に取り組んでおる問題であります。これが早急に伸びていくことはあまりあり得ないのではないかと思っております。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 もう一点お尋ねいたしますが、事業協会とジェトロの関係なんです。ジェトロのほうに国からの補助金がある。それによって事業協会の活動がひもつきという形でいろいろ行なわれておる。直接駐在員をお出しになってやつおるということですが、複数的な形でやっておるのですか。ジェトロの中でも行っておりますけれども、それぞれジェトロに委託されてやる面と、直接やるという面で、責任者も二人あるということで、なかなかうまくいかないのだというような心配があるわけですが、あなた方が感じられること、そういう対外活動、PR活動、調査活動等において、いまのあり方というものを改善する必要があるとお考えになっておられないのか。そこらあたりを、経験もございましょうから、お聞かせ願いたい。
  50. 北村富営

    北村参考人 ジェトロと新興需要国の関係でありますが、委託してするという形をとっておりますために、予算の関係で、向こうに行っておりました実際の名目——私、昨年アメリカに参りましたときも、ジェトロの嘱託という名前をもらって、ジェトロを通して金をもらって行っておるわけでありますが、実際は、金をミシンからジェトロに払って、ジェトロからもらうというような形をとっております。これはちょっと矛盾しておるので、直接やりたいというものもないわけではなかった。ただこれはその後いままで五年間運営してまいりまして、ミシンの事業協会双眼鏡事業協会が全世界にこういう網を張っていくことは非常に問題があるということで、重要なニューヨークとか、デュッセルドルフとか、バンコックとが、パナマとか、四カ所に置いておりますが、重要と思われる地点には、直接事業協会のセンターを持っております。その他はジェトロの機構を完全に利用させていただいておりますし、また利用していかなければ、全世界各国の特殊事情、ミシン事情をキャッチしていくことにはなりませんので、調査団を派遣するにしても、予算の関係でそうそう必要なつどというわけにはまいりませんので、ちょっと矛盾した感じは当初私自身も持っておりました。何でジェトロにまかせなければならぬのだろうか、委託しなければならぬのだろうか、独自でいかないだろうかと思いましたが、一つの形式的な面でありまして、委託するにしても、その委託の内容の条件、実施計画その他は事業協会に一任いたしますということで、そういうふうに行動しろということであります。  それから、ただいま出しております各事業センターの駐在員はジェトロの職員ということになっておりますが、直接には事業協会職員ということで指示しております。内容的にはジェトロを通過して指示する場合もありますし、直接事業協会から駐在員に指示し、駐在員から直接返事をもらう場合もあります。一般的な経理その他につきましてはすべてジェトロを通すことになっておりますが、緊急その他の問題については、ジェトロ経由または直接という、いろいろな方法をとっておりますが、ジェトロとの連絡につきましては、軽機械部というものをつくりまして、ミシンから職員を派遣しておりまして、ジェトロとの連絡、予算関係の折衝その他についても十分うまくいっているといま思っております。
  51. 二階堂進

    二階堂委員長 参考人の各位におかれましては長時間にわたり御出席いただき、まことにありがとうございました。御退席くださってけっこうでございます。     —————————————
  52. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、政府に対する質疑を許可いたします。  山崎委員に申し上げますが、できるだけ御協力をお願い申し上げます。山崎始男君。
  53. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 大臣も何か二時過ぎには御用があるというふうに聞いておりますので、大臣には最後に御要望だけを申し上げておきます。  その前に、簡単に軽工業局長にお尋ねを申し上げますが、このお尋ねも一々お尋ねしたいのですが、時間の関係で私も要点だけを一般的に申し上げて、一、二お答えを願いたいのであります。  昨日来軽機械法の審議をやっておりますが、軽機械法は、輸出振興ずるという最大目的でこの法律がつくられておる。ところが、反面団体法によって、輸出振興するというのが、輸出阻害をされておるのであります。そこで、御存じのように、あなたの御所管の双眼鏡一個に対して、あんな簡単なもので八つの関所がある。その中に一番——これは時間があれば一々言いたいのですが、ケースの問題を一点だけ局長にお尋ねいたすのでありますが、このケースは——これも私は結論を先に申し上げます。大体団体法によって生産規制、販売規制、価格規制の完全規制をこのケースの場合はやられておるのであります。そして販売規制関係で、このケースを組み立て業者工業組合から買う以外に手がない。ワクを持っておるのが事業主である。この工業組合の各工場がワクを持っておる。持っておるが、販売は工業組合を通じてやっている。そうすると、普通の輸出されておる皮のケースの相場が、たしか組合を通ずると四百十七円のはずであります。それを組み立て業者が直接に切符を持っておる各工場から買いますと、二百八十円で買える。切符を持っておる、いわゆる販売規制までやっておる関係で、百三十七円も高いものを買うて輸出をしておるのが今日の現状なんであります。その結果は、海外の市場は一体どういうことになっているかといいますと、いまごろは日本双眼鏡に対してケースのない注文がふえてくる傾向が多分に今日の現象になっておるのであります。いわゆるリザーヴド・ケース、それは何を意味するかといいますと、日本のこの団体法による部品まで妙な規制のしかたをやって、業者がその上にあぐらをかいて利益をむさぼっておる。したがって、海外の注文主は、アメリカならアメリカ、ヨーロッパならヨーロッパでもって、今日ではプラスチックでワン工程でぽんとできるようなことになってきておるのであります。したがってケースなしに中身だけくれという注文がふえてきておるのであります。いまも私が申し上げましたように、あんな簡単な双眼鏡の外のケース——いまごろデパートなんかへ行ってごらんになったらわかるが、もっと大きなボストン・バッグでも五百円くらいでくれますよ。それがこんなにちっぽけなケースが四百十七円です。ところが組み立て業者メーカーから直接買えば二百八十円で買える。百三十七円高いのです。なるほど日本人同士が高いものを買おうと、貿易という面からいいますとそれは関係ないと思います。ところが、輸出振興ということは、結局日本商品の品質の改善ということと同時に、競争力をつける、コストを安く、いつでも売れるんだという体制でなかったら伸びていきません。いま私が申し上げましたように、あなたのほうで、この団体法に基づく皮のケースを工業組合へ持っていって、そしてそういうふうな規制を許していらっしゃる。そして今日単価をお調べになっておられるか知りませんが、いま私が申し上げましたように、もう外国ではワン工程でもってプラスチックでぽんとできるようなものができたのであります。それから、日本双眼鏡組み立て業者も、こんなに高い、こんなに独占的な皮のケースは買いたくないというので、台湾あたりからの——承知のように、台湾の近海にはフカがたくさんおります。その浮き袋をもって、日本双眼鏡のケースのかわりに、新しく考案をしようとしておる。しておっても、いまの団体法規制によって、どんなにりっぱなものができても、これは売れないのです。あなたのほうで売っちゃいかぬというチェックを法律上やっておるのです。こういう現象が起こっておる。おまけに今度は、双眼鏡の中の——リザーヴド・ケース、中に双眼鏡の本体がありますね。それを首につる、そのつり革ですね。これがやはり単独で団体法規制を受けておるはずなんです。そしてこれをやはり工業組合を通じて買わなければならない。買うと、驚くなかれ三十五円なんです。これをメーカーから買うたら、二十円で組み立て業者は買えるのです。こういう現象が起こっておる。いかに私は、この双眼鏡業界の切符制度ワク制度というものが——このような現実を考えてみますと、いまはそれでいいかもしれませんが、どうしてこういうふうな大きな差額を——工業組合を通さなければならぬばかりに、それも団体法規制によって生産、販売、価格の完全規制部品工業組合はやっておるのであります。この点に対して、ほんとう日本輸出振興するという立場からいったら、局長とすればどういうふうなお考えになっていらっしゃるかということが一点と、いま一点は、中のわずかな簡単なひもだけを、これすらよそのメーカーから買えないのです。切符を持っておるところでなければ買えない。こういう点についてのお答えをお願い申し上げたいのであります。
  54. 倉八正

    ○倉八政府委員 いまの先生の御質問は、こういう団体規制をする価値が輸出振興上あるかということに尽きるだろうと思いますが、いま御指摘になりました値段の格差につきましては、私もよく存じませんが、今後検討をさしていただきたいと思います。ただこれをやりました趣旨というのは二つあると思います。一つは、輸出振興するためには、できるだけ安定した価格でやるほうがいいという要請が一つと、それからもう一つは、これは御指摘にもありましたように、きわめて簡単な工程でできるのでありまして、手縫いでもできますし、簡単な機械を一台入れればできるということでございまして、しかもやっておる人が全部例外なく中小企業である。そういうことでございまして、それもほっておけばどれだけまた混乱するか、あるいはまたどれだけ値段が下がるかということから、経済界が非常に混乱はしないか、こういう趣旨から規制を設けたわけでございます。しかしながら、いま御指摘になりましたような弊害があれば、これをわれわれとしましては調整するにやぶさかでないのでございますから、その点は今後ぜひ検討したいと思います。
  55. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そうすると、双眼鏡の中の首につるひもまで規制をされておるのですが、それがいま言いますように、組み立て業者はそれを買うときには直接工場から買うたら二十円でくれるのです、切符を持っておる工場から買えば。販売規制までやっておるから、三十五円まで出さなければ買えないのです。双眼鏡にはこういういろいろなワクがあるから、チェックがあるからそういうことになっている。そういう矛盾はどういうふうにお考えになりますか。
  56. 倉八正

    ○倉八政府委員 首つりのひもとケースが一緒になっているかどうか、ちょっと私もはっきりいたしませんが、いまの調製は、つり皮はつり皮としておるのではなくて、ケースを一本としてやっておるのでございまして、そのケースにつり皮がついているということでございまして、つり皮のみ離してやっていることはないのでございます。
  57. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ところが、バイヤーのほうでは、いま言うふうに、外は要らないんだ、中身だけくれ、日本の外は高いから向こうでプラスチックでやるのだ、こういう注文がふえてきている。そうすると、組み立て業者は、中身を売ろうと思えば、ひもはやはりチェックされているのじゃありませんか。そうでしょう。切符を持っておらぬ他の業者から買えないのですよ。
  58. 倉八正

    ○倉八政府委員 しかし、そういう注文につきましては、つり皮が要らないという注文がありましたならば、つり皮をぜひつげて出せということは、これはあり得ないと思います。いまの御指摘のように、つり皮が要らなくてケースだけが要るという注文がありましたら、ケースだけにしておることになっておりまして、先生の御指摘の点はそういうふうなやり方で解決できるのじゃないかと思います。
  59. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 どうもあなたはちょっと質問がよくわかっておらぬようで、答弁になっていないですよ。私は、実をいいますと一々突っ込みたいのですが、時間がないので……。いずれにしても、要するに日本競争力をつけて輸出振興するのだというのがたてまえなんです。なるほど軽機械法は、文章から見ると実にりっぱなことが書いてあるが、やろうと思うても、反面双眼鏡関係は、団体法規制によって、いま申し上げましたような輸出振興にはならないような要素が多分に含まれている。一番激しいのがいまのケースの工業組合なんです。しかも、このケースの工業組合は、初めは皮ケース工業組合というてこれが規制をされておった。ところが、日本組み立て業者が、いまも私が言いますように、台湾のほうの——それに皮ケースとあったのですよ。それをほかのほうのケースをつくられたのでは困るというので、今度は皮という字をはずして、あなた方は許可されている。はずしておるために、どんなに考案をしようとしても、双眼鏡のケースに関しては、それがビニールになろうが、プラスチックになろうが、あるいは魚の浮き袋になろうが、実際言うたら出すことはできない。そういう矛盾があるのです。この点は抜本的な改正をやってもらいたいと私は思うのです。要は輸出振興なんです。ところが、あなたの所管におけるこの皮ケースの工業組合の団体規制関係いうものは、完全規制をやっている。ここ以外には買えないのですよ。こういう制度をやっておりますと、私が悪い商人なら、大資本でも呼んできて、皮ケースの工業組合から一手に全部ケースを買うてしまう。そうしてあとの連中は、切符がなければ輸出できぬのですから、いやでもおうでも買わざるを得ぬ。やあ早く出荷せい、それは極端にいえば、損をしても言いなりほうだいで買わざるを得ぬようなことになる。いずれにしましても、輸出振興という目的に対しては、役人という立場はありましょうが、もっと高度の観点からお考えになって、こういう欠陥を十分調べてひとつ訂正願いたいと思う。しかもこの工業組合は、十個売っても一万個売っても相場が四百十七円。普通の商売人ならそんなことはしゃしません。しかも現金ですぐ払えですよ。弱い業者は現金で買わされている。相当信用のある業者でも十五日です。いまごろ十五日で現金決済ができるような商売というのはありっこありませんよ。これは私は独占禁止法違反じゃないかという気すらいたします。とにかく、ひとつよう考えていただきたいのです。  次に、一点だけ重工業局長にお尋ねいたしますが、昨日申し上げました事業協会総代の選挙がいわゆる貴族院風な選挙になっている。われわれの同僚の田中委員からも指摘いたしましたように、軽機械法の三十四条には云々とありまして、その三項におきまして「投票は、登録事業者一人につき一票とする。」という法律がここにある。ところが、事業協会総代会の十五人の五人の削り当ては、大ワク業者、中ワク業者、小ワク業者、なるほど一人が一票扱っておりますが、完全な一人の一票じゃございません。大ワク業者は二十四人で五人出る。中ワク業者は数十人で五人を出しておる。小ワク業者は百二十何人で五人を出しておる。これは完全な一票じゃございません。したがって、これは法律違反の疑いがありはせぬかというて、きのう問題になったのですが、これは定款を変更してもらいたい。そういう非立憲な、今日の時代に沿わないような総代会の選出のしかたを定款の上でやっていらっしゃるのなら——この三十四条の三項の「投票は、登録事業者一人につき一票とする。」というのは、いわゆる新しい憲法に基づいた完全なる一人一票、こういう行使権を規定しておる文句だと思うのでありますが、この点に対して一言御返答願いたいと思います。
  60. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 双眼鏡輸出振興協会は、御案内のとおり双眼鏡輸出振興が最大の眼目でございまして、それに関連しまして技術振興ということを中核にしております。したがいまして、その総代会総代を選びます場合におきましても、それに最もふさおしい形態でこれを動かす人が必要でありますので、その総代会の選出におきましても、定款の上で特別のくふうをはかったわけでございまして、昭和三十四年この定款を認可いたしましたときには、そのように各双眼鏡の種類あるいは業態によっていろいろと分野がございますので、その分野の方々が適当に配分された形で総代会が形成されることが、この振興協会の総代会として最もふさわしいということで、定款の認可を第二十九条の第二項で行ないましたときには、そういう認可をいたしておるわけでございます。もちろんそのワクの中におきましては、第三十四条のこれに書かれておりますように、無記名投票であり、かつ「投票は、登録事業者一人につき一票とする。」という形になっておるのでございます。ただこれが三十四年十月の認可でございまして、その後進歩もございますし、また振興協会としても新しい問題に当面していることだと思いますので、このやり方が現在の実情あるいは今後の実情に対して即応するかどうかという点につきましては、この振興会のメンバーの方々に今後よく検討してもらいたい、またわれわれのほうもそれに対していろいろと御協力いたしたい、そういう形をとりたいと思っております。
  61. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 とにかく三十四条の三項に登録業者の選挙権は一人一票とするという条項がうたってあるのは、民主主義に基づいた完全一票でなければならぬと私は思うのです。それが、いま言いますように、事業協会総代会選出の定款において、そういう昔の貴族院のような選挙のしかたになっておる。そういう選挙のしかたというものは、形式的には一人に一票かもしれませんが、実質的には完全一票じゃないのです。いま局長のほうは、それは五年前にできた定款だから、今日の時代に即応せぬということなら、今後十分考慮する、言いかえると、ほんとうの民主主義に沿うた完全一票の姿に選出方法を直すこともおそらく考慮されておる、こう私はいまの答弁から解釈いたします。ぜひこれは定款の変更を事業協会でやってもらわないことにはいけないと私は思います。それで局長に対するお尋ねはやめます。  大臣に最後に一言だけ要望しておきます。あとに質問者がいらっしゃるので、私ばかりしゃべっておったのではまことに相すみませんので、要望を申し上げておきます。  昨日ちょっと大臣お聞きになっておられましたが、これは参議院でも審議されたのでありますが、これは双眼鏡業界団体法関係、これが輸出振興のために双眼鏡業界では非常な隘路になっておる。それは過当競争とかなんとかいうこともありますけれども、総体的に見ると非常な隘路になっておる。私は、このままの姿でいくと、他国の製品にだんだん侵食される、それを心配いたしておりますので、この双眼鏡のいわゆる部品業者あるいは組み立て業者あるいは輸出業者——輸出者は輸出者でワクを持っておる。そういうふうな一体とした欠点をぜひひとつこの機会に再検討願いたい。そしてりっぱな体系を立て直す、体質改善をやるということに、部下の皆さんを督励して、ぜひひとつ責任を持って実現してもらいたい、かように思います。大臣のお気持ちのほどを聞かしていただきまして、まだ御質問申し上げたいのですけれども、時間がございませんからやめますけれども、どうぞひとつ誠意を持った解決策をやってくださるかどうかについて……。
  62. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 だんだんと委員のお話を承っておりまして、委員のお考えになっておるような諸問題について十分善処してまいりたい、かように考えております。
  63. 二階堂進

    二階堂委員長 加賀田進君。
  64. 加賀田進

    ○加賀田委員 それでは、いま答弁もありましたが、大臣に最後に腹がまえをひとつ承りたいと思います。  昨日来大臣は、多忙なために、当委員会には出たり入ったりまた出たりということで、十分に審議の内容等は御存じないと思いますけれども、二日間のいろいろの審議を見ますると、この法律が施行されて五年間、ミシン業界については行政指導等においてまあ及第点を与えられる状態だと思うのですが、双眼鏡については、ほとんど五年前と変わらないような、これは全くの落第点だと思うのです。やはり通産省としての行政指導の面において、もちろんこの業界の種々の事情もあったでしょうけれども、実際に行政指導もなっておりません。このままの状態でまた五年間延ばして、またぞろ同じような問題が起ってくるのじゃないか。したがって、これはよほど通産省としては腹をきめて、業界実態というものを十分に把握していただいて、適正な指導をしていただかなければ、この法律の目的に達成しないのじゃないかと思うのです。ちょうど参考人も言っておったとおり、この法律が施行されてから輸出量がだんだんと減っておる。これでは、何のためにわれわれが法を審議し、この法の目的のために通過させたかわからぬのであります。したがって、大臣としては、やはり通産行政の最高責任者として、この五年間にわたって特に双眼鏡に対して抜本的な対策を立てる決意のほどがあるかどうか、この点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  65. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のとおり、過去五年間の経験、また実績、事情等をよく勘案いたしまして、今後において善処してまいりたいと思います。
  66. 加賀田進

    ○加賀田委員 善処ということば以外に希望することはできないと思います。しかし、そういう意味で、われわれとしては、どうしてむこの法律をさらに五年間延長さすためには、再度こういう事態の起こらないように、通産省として十分に対処していただくことを希望いたします。
  67. 二階堂進

    二階堂委員長 板川正吾君。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 大臣に一点、ダブっている点もありますが、簡単にお伺いいたします。  この法律は、御承知のように登録制を行なうことによって、品質の向上をはかり、輸出振興するという点に目的がある。いま加賀田委員が言われましたように、この五年間の実績を見ますと、問題の多い双眼鏡の場合、政府の資料によっても生産はさしてふえていない。三十二年と三十六年を比較しますと、総体の生産は一〇〇対九〇で、逆に一割減っております。それから輸出数量におきましても、三十二年を一〇〇としますと、三十六年が九〇でありまして、一割減っております。輸出金額はとんとんであります。しかし、三十八年を見ますと、三十二年から見ると生産が一三〇、輸出が一四〇というように若干ふえておりますが、とにかくあまりふえておらない。しかもこの間に関係従業員の数はどうかというと、三十二年、三十六年で、双眼鏡が一〇〇対二二〇、逆に三割人数がふえております。人数がふえておりながら、生産はあまり上がっておらないという状況なんです。それで全体として輸出数量がふえておらないのです。だから、この法律をつくって五年間、既存の業者に登録制を行なって、登録業者の利益を保護したという点はあったかもしれません。その登録業者中小企業が大部分ですから、中小企業業者の安定に若干役立ったかもしれません。しかしこの法律の目的とする国民経済の健全なる発展には疑問があります。なぜなら、この間合理化もあまり行わなれないし、輸出も伸びておらないということであります。これは過当競争ということで、先ほど来議論されておりますしかし、振り返ってみますと、ドイツのカメラは、御承知のように、かつては世界市場を席巻しておった、今日においては、ドイツのカメラは日本のカメラに圧倒されて、ドイツ国内の市場においてすら日本のカメラがドイツ製品を駆逐しておるという状況になったということは、この関係者に言わしめれば、過当競争かもしれませんが、競争の利益というものがあって、日本のカメラがいまや世界に進出しておるし、ドイツを駆逐しておるというような実績をあげたと思うのです。もしこの法律で漫然とあと五年間送っておれば、登録をして輸出規制を自主的に行なっておる状態が続けば、これは香港なりあるいは台湾なり、こういう新興国の双眼鏡というものがその間に異常な進出をして——業者は先ほど心配はないと言いますけれども、これは業者の希望を通り越えて、日本のこういう輸出が非常に衰退する可能性さ、えあるので、こういう点を考えると、私は、この法律を長く持続しておくことが、かえってその業界振興なり輸出の増進というものにならない、目的に沿わないような感じがしております。そういう点を考慮されて、憲法違反の疑いさえあるこういった法律、あるいは一面独禁法の適用除外というこの法律は、なるべく早い機会になくしていくほうがいいのではないかと思うのであります。これに対する大臣のお考えを伺いたいと思います。
  69. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 実情をよく調査いたしまして、その必要があれば、御趣旨のようにやってまいりたいと思います。
  70. 二階堂進

    二階堂委員長 中村重光君。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 時間ばかり気にするようでございますが、できるだけかいつまんで、三、四点大臣に伺いたいと思います。  先ほど参考人との質疑の中で、大臣もお聞きになっておられたので、よくおわかりでありましょうが、ミシンの場合におきましては、登録当時百二十一社であったのが現在六十七社、この法律案を期限延長すると、その中においてまた企業整備を進めていこうという考え方がある。登録制度を温存していくということが、特殊なものを除いては業界の一番熱望であるというように思うわけです。そのことは企業整備、できるだけ業者を少なくしていくという考え方がある。ところが、私が先ほども申し上げましたが、一つの問題は、その企業整備のあとがどういう形において進められていくかということ、共同経営であるとか、あるいは企業合同であるとか、あるいは共同受注、共同販売といったように、全体の人がこの法律の中で豊かになり幸福になる、こういう方向であるならばよろしいと思いますけれども、どうも力関係において支配されていくということになってくると、私は問題があると思います。したがいまして、いままでどのような指導をしてこられたのか、あるいは業界がこれを減らしていこうとするのだが、これに対してはどのような指導を進めていこうというようにお考えになっておられるのか、まずその点をひとつ伺ってみたい。  あわせて、双眼鏡関係でありますが、双眼鏡は、ミシンと違って、どうも組合がうまくいってないといったような関係もあってかは知りませんけれども、二百十七社、三十九年の現状のようでありますが、ともかくこの法律を実施いたしましてから横ばいの状態である。したがって、ミシンがやっておるような企業整備というものが行なわれていない。そのことは、いま板川委員、加賀田委員からも御指摘がございましたとおり、ともかく企業努力のあとが、すべての面において怠っておる、そのために生産もあまり伸びてない、輸出も伸びていない、こういう状況のようであります。しかも組合は非常に混乱をしておる、紛争が絶え間ない、こういうようなことでありますが、これに対しましてはいままでどのように指導をしてこられたのか、またこれからはどういう指導を進めていこうとしておられるのか、まずこれらの点に対して考え方を聞かしていただきたいと思います。
  72. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私、はなはだ恐縮でございますが、実態をつまびらかにいたしておりませんので、担当局長からお答えをさせていただきたいと思います。
  73. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 御案内のように業界が零細でございまして、しかもその業界の中に部品、組み立て、いろいろとございまして、非常に困難な問題があるわけでございますが、協業化といったことにつきましては必要と思いますので、今後十分業界と協力いたしまして進めていきたいと思います。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 担当局長の答弁としてそういう程度の答弁で、あなた自身が良心的にどうお考えになりますか。私の質問は、いまの実情に対して、せっかくの法律を延長しなければならぬという御提案がある以上は、問題点をここでえぐり出して、そしてその延長というものを意義あるものにしなければならぬという観点から、過去の指導はどうであったのか、これからどうやっていこうかということについてお尋ねをしておる。もう少し誠意のある、内容のある答弁をなさることが私は当然の責任だと思う。
  75. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 業界に対する指導方針といたしましては、御案内のように対外的には輸出市場の開拓、それから輸出振興、その裏にありますところの技術的な問題という問題が一つございます。また対内的には、業界づくりと申しますか、特に先刻来お話がございました許可ワクと実際の生産との調整の問題、こういうことにつきまして従来いろいろと検討をしてまいったわけでございまして、輸出市場の分析とかあるいは輸出に対する振興につきましては、かなりこの振興協会を通じて成果をあげてまいっているわけでございますが、一番眼目でありますところのこの対内的な業界づくりといいますか、その点に対しましては、われわれはわれわれなりに非常な努力をいたしまして、先刻お話がありましたように、三十八年二月に業界との間でいろいろと改善案を議論しまして今日に至っておるわけでございますが、引き続いてそういう検討をやっております。特に調整規定のつくり方、このルールのつくり方に対してのくふうが一番大切でございますので、このやり方についてたびたび今日まで進めてきたのですが、要は弾力性のある、今後まじめに仕事ができて、そして健全なる輸出ができるところにおのずと仕事が集まり、先ほどからお話がありますように、ただ権利の上に眠るという業者に対しては、そういうワクが漸減するということについての何か新しいルールをつくるということについて、いま検討しているわけでございます。  それから、近代化の関係でございますが、従来は主として試験研究関係に対していろいろと補助を出してきておりますが、そればかりでなくして、研究に対しましては、工業技術院の機械試験所の工学研究室、こういうところにおきましても従来から十分の指導をしているわけでございます。今後は、試験研究に対する助成を行なうばかりでなくして、この業界自身を中小企業近代化促進法の対象品目としまして、この部品関係をいかに近代化していくか、先ほど申し上げました協業化の問題とあわせまして、今後の五年間にこの問題と取っ組みまして、双眼鏡業界、それからミシンの部品、そういうところに対しましてむしろ前向きの業界づくりをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 まあミシンはいいといたしましても、双眼鏡の場合は、参考人意見なり答弁をあなたお聞きになって御承知のとおり、この法律は延長してくれるなという少数意見があるわけですね。私どもがこの延長をするということに決定することは、そういう少数の人の考え方といえども、その意思を尊重しないということになるわけなんです。だから、少数の人の考え方はそれなりにやはり評価する点もあるであろう、問題点というものも私はあると考える。そういうことをあなたのほうの行政指導というような形において克服し、全体が前向きの方向へ進むのでなければならぬ、こう考えるわけなんです。いままでその点が怠っておった、不足しておったということがなきにしもあらずと私は思います。そのことは、現実にミシンの場合と双眼鏡の場合と、いろいろそれは海外市場の問題その他問題もありましょうし、やはり生産にいたしましても輸出にいたしましても伸びがない、組合の運営もうまくいっていない、こういうことでございますから、これらのことに対して、私は先ほどはミシンの場合と双眼鏡との相違ということもお尋ねをしたのでありますけれども、いまそのことに対しての御答弁は要りませんが、具体的にどのような指導を双眼鏡の上に加えていこうとお考えになっていらっしゃるか、まずそれらの点に対しての考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  77. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 さしあたっての問題といたしましては、先刻来お話のありました青空業者といいますか、ワクの上に眠っている業者に対しまして調査を十分いたしまして、現にもう相当な調査は進んでいるわけでございますが、そういうことが行なわれないように指導し、またそういう青空業者というものがいることが明確になりますならば、適当な処置をいたしたいと思います。これは消極的な措置でございますけれども、非常に大切なことでございますので、とりあえずそういう点に努力していきたいと思います。さらに、先ほど申し上げましたように、前向きには新しいルールを今後考えていくかどうかということ、それから技術関係、それから近代化促進法、こういった関係でもって、前向きの双眼鏡輸出体制をつくっていきたいという考え方を持っております。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 正常な生産活動をやっていないところのメーカーが、ともか、ワクの上に眠るとか、ワクの上にあぐらをかいておる。実質的にはこれは他に発注をして中間搾取的なことをやっておるのだと思います。そういうことでやはり双眼鏡組合内部的な混乱というものがあるのじゃないかと私は思います。そういう点に対しては再審査等をやって、これは適切な措置をおとりにならなければならなかった。いままでそれをおやりになっていなかったということは問題であります。しかし過ぎ去ったことを言ってもしょうがありません。具体的にはこれらの点に対してはどのように取り組んでいかれますか。
  79. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 昨年の秋から、それまではいわゆるランダムサンプルといいますか、適当に部分的な調査をやっておったわけでございますが、昨年の秋相当組織的な形でこれを調査いたしまして、現在のところ工場の実体そのものがなくなっているんじゃないかというグループ、それから休業状態で、しかももう廃業に近いというグループ、それからそれ以外のものでありましても、他の有力企業に一部吸収されているのだけれども、しかしながら実体があるのがあるんじゃないか、そういった三つのグループ、これを分類いたしまして現在調査しております。第一のグループの、もう工場の実体がなくなっているということが明確になりますと、これはもう当然の措置でございますが、取り消されることになります。また休業状態で廃業に近いと認められるものにつきましては、これは取り締まるということにいたしましても、よほど実情をよく見てやらなければむずかしい問題がございますので、非常に慎重な取り扱いをしている段階でございます。しかし、あらゆる場合におきまして業界の協力が得られなければ実態はつかめないのでございまして、業界の協力を十分に得まして、いま私たちでつかんでいるところ、あるいはそれで足らないところ、こういったところについて十分の調査を進め、適切な措置を講じていきたい、さしあたってはそういうことを考えております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 大臣の時間がないようですから、協力する意味であと一点で終わりますが、この事業協会の海外駐在員というのがあるんですね。この海外駐在員というのは、これは事業協会職員でありますから、当然事業協会がこれを選任をする。結局人選をやるわけであります。ところが、この双眼鏡の中で非常な不満がありますのは、通産省が天下り的にこれをきめる、こういうけしからぬ話はないじゃないか、こういうことなんです。私はジェトロのときに問題にいたしましたが、これはどうもジェトロだけだと思っておったところが、あっちもこつらもそういうことだ。そういうことだと、これはけしからぬ話だと思います。事実そういうことがあるのですか。この事情をひとつ聞かしていただきたい。
  81. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 海外駐在員に対しましての任命について、役所側が一方的にこれを押しつけるという事実はございません。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 参議院の委員会において公式に議論されている。根も葉もないことを言うはずはない。よくあなたのほうは調査されて、そういうことが、火のないところに煙立たずですから、もしあるとするならば、そういうことを即刻改めてもらいたいと思います。もう一回ひとつお答え願いたい。
  83. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 十分検討いたします。もしそういうことがありましたら、改めるようにいたしたいと思います。
  84. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よってさよう決しました。     —————————————
  86. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論の通告もありませんので、直らに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  88. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  89. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、小平久雄君外二名より、本案に対する附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。加賀田進君。
  90. 加賀田進

    ○加賀田委員 ただいま議決されました軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由自民党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、附帯決議案を提出し、その趣旨を説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    軽機械輸出振興に関する法律の一部の改正する法律案に対する附帯決議   本法施行にあたり、政府は、特に次の諸点に関し十分に配慮すべきである。  一、本法の対象業種の特殊性にかんがみ、その輸出基盤のぜい弱性を補強するとともに、体質の近代化を図るよう努めること。  二、軽機械関係の事業者実情をより適確に把握し、実質的に生産活動を行なつていない者が排除されるよう、本法の趣旨を全うするための強力な措置を講ずること。  三、軽機械関係の事業者の協調体制が真に自主的かつ建設的方向で確立されるよう、適切な助言と協力に努めること。  四、輸出振興事業協会の適正な運営について、監督指導を巖重にすること。  五、以上各項の確実なる実施を図ることとし、期限内といえども速やかに本法を廃止するよう努めること。  以上が案文でございます。  御承知のように、本法は軽機械輸出過当競争の防止と、海外市場調査の促進をもって正常な輸出振興を目的として制定されたものでありますが、過去五年間の施行実績を見ますと、幾つかの運用上の不十分な点があったことは、各委員の質疑及び参考人意見によっても指摘されたとおりであります。  今回、本法がざらに五年間延長されるにあたり、これらの点をよく反省し、本法の目的を完全に達成するよう、政府は一段と努力を傾けるべきであると存じまして、本附帯決議案を提出した次第であります。  以下、事項別に若干補足的に説明を申し上げますと、第一は、本法の対象業種の近代化についてであります。本法の対象業種はミシン及び双眼鏡でありますが、両者とも大部分が中小企業者であり、アッセンブル業者でありまして、わが国の輸出振興に重要な地位を占めながら、その生産基盤、輸出基盤は、いまなおきわめて脆弱であり、企業の体質改善、近代化もはなはだおくれているのであります。この問題を解決することこそ、本法の目的達成の根本策であると存ずるのであります。  第二は、生歴活動の実情についてであります。軽機械関係の事業者の中には、実質的には生産活動を行なわずして、割り当て数量権利を悪用して利益を得ているもののあることが明らかになりましたが・このようなことは、本法の趣旨から見て許されるべきものではありません。生産の秩序を巖正にし、まじめに生産活動を続ける業者の地位が向上するよう、生産活動の実態に即した自主規制の体制を確立するとともに、政府においても強力な措置をとることが必要と存ずるのであります。  第三は、業界の協調体制についてであります。本法は中小企業者の一致協同を前提といたしまして、中小企業団体法と緊密な関係を有するものでありますから、業界の協調体制が確立されない限り、本法運用の万全を期することは不可能であります。しかし、現状は、特に双眼鏡組み立て業界のように足並みのそろっていない例も見られるのでありまして、この機会に、自主的かつ建設的方向で協調体制が確立されるよう、強く望むものであります。もとより政府がこれに対しましていたずらに介入することは避けるべきでありますが、適切な助言と協力によって促進をはかるよう、強く要望するものであります。  第四は、輸出振興事業協会についてであります。協会の運営、特に総代会の運営について若干問題があったことは、質疑応答でお聞きのとおりでありますので、この際、政府の一そう巖重な監督指導を要望するとともに、これらに適正な措置を講じていただきたいと存じます。  第五に、本法のようなきわめて強い規制措置はないに越したことはないのは当然でありまして、政府においては、以上四点の事項の確実な実施によって、五年間に必ず目的を達成する決意のもとに本法を運用すべきことはもちろん、期限内であっても、所期の効果をおさめ、可及的すみやかに本法を廃止するよう努力することを望むものであります。  以上申し上げましたように、本決議案は、すべての事項とも政府がさらに前向きの態勢で本法を運用すべきことを強く要望するものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
  91. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  92. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。福田通商産業大臣
  93. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま決議をいただきました内容につきましては、御趣旨を体して十分善処いたしてまいりたいと考えております。     —————————————
  94. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議ないと認め、よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  96. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は、明後五月十五日、金曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十一分散会