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1964-05-08 第46回国会 衆議院 商工委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月八日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    大石 八治君       神田  博君   小宮山重四郎君       田中 龍夫君    中村 幸八君       野見山清造君    南  好雄君       大村 邦夫君    加賀田 進君       加藤 清二君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       田中 武夫君    楯 兼次郎君       堀  昌雄君    森  義視君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       佐々木良作君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (通商局長事務         代理)     大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君         通商産業事務官         (繊維局長)  磯野 太郎君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 加藤 匡夫君         外務事務官         (経済局米国カ         ナダ課長)   高杉 幹二君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    柏木 雄介君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    村井 七郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    山下 元利君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 五月七日  委員小山省二辞任につき、その補欠として岡  崎英城君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員加藤清二君、藤田高敏君、米内山義一郎君  及び伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  楯兼次郎君、田中武夫君、堀昌雄君及び佐々木  良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中武夫君及び堀昌雄辞任につき、その  補欠として藤田高敏君及び米内山義一郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  公衆浴場業に対する特別融資並びに電灯、電力  の料金軽減に関する請願椎熊三郎紹介)(  第三四一一号)  同(田口長治郎紹介)(第三四一二号)  同(坂田英一紹介)(第三四四一号)  同(福永健司君外一名紹介)(第三五九一号)  物価安定等に関する請願安宅常彦紹介)(  第三四一七号)  物価値上げ反対並びに独占価格引き下げ等に  関する請願外一件(安宅常彦紹介)(第三四  一八号)  同外三件(島上善五郎紹介)(第三四四八  号)  同(江田三郎紹介)(第三四六九号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第三四七〇  号)  同(和田博雄紹介)(第三四七一号)  同(黒田寿男紹介)(第三四九〇号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三四九一号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三五四四号)  同(山崎始男紹介)(第三五六二号)  東北開発株式会社再建策に関する請願(鈴木  善幸君紹介)(第三六一五号)  中小企業振興に関する請願吉川久衛紹介)  (第三六九六号)  同(倉石忠雄紹介)(第三六九七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三六九八号)  新産業都市建設促進に関する請願吉川久衛  君紹介)(第三六九九号)  同(倉石忠雄紹介)(第三七〇〇号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三七〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  繊維工業設備等臨時措置法案内閣提出第一四  八号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  まず、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  ただいま農林水産委員会において審査中の内閣提出肥料価格安定等臨時措置法案は、本委員会といたしましてもきわめて深い関係を有する法案でございますので、この際、農林水産委員会に、同法案について連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、農林水産委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、内閣提出繊維工業設備等臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係で、要点だけ簡単に質問いたします。  本法案既存体制の維持ではなくて脱却である、こういうことに理解いたしておりますが、ところが、先日の参考人意見陳述の中にもございましたけれども法運営いかんによりましては現行体制を維持していくと少しも変わらないという形になる。これに対しまして、対策としてどのようにお考えになるか、まずそこらあたりの確信のある考え方を伺いたい。
  6. 磯野太郎

    磯野政府委員 現行体制につきましては、何と申しましても操短連続でございます。その操短連続は経済外的なささえでささえておるわけでございますので、それが繊維工業合理化あるいは安定と発展を阻害しているというふうに考えております。したがって、先生指摘になりましたように、そういう現行体制から脱却することがこの法律の最大の目的でございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 それはわかるわけです。わかるのだけれども参考人意見では、いろいろあなたもお聞きのとおり、各条文を取り上げて、従来と変わらない形になる、要はかかってこの法の運用いかんにある、こういうことであった。先ほど開会の前に、中小企業問題等に対しては、条文をたてにとってびしびしやっていくということは、結局中小企業資金力が弱いから全くどうにもならなくなってくるのではないか、特殊なケースは別にいたしまして、いろいろ各業界からの圧力もかかってまいりましょうし、やはりあなたのほうの行政運営上の問題というものが相当法運用の上に影響してくるのではないか、こう言ったわけですが、そこらあたりに対してあなたのほうは十分研究しておられると思う。実はまとめられるまでには各業界からいろいろそれぞれの意見が出て、そして妥協の産物という形でこれが出てきておるわけです。そういうことは、この法案が成立をしたから、それじゃこれでこのとおりやっていけばいいのだという、そう簡単にいくものではないので依然としていろいろと突き上げもありましょうし、足を引っぱっていくという形もありましょうし、それぞれの意見というものがそこへ出てくる、これをチェックするという形がでてまいりますので、そこらあたりに対してのあなた方の心がまえということを実は伺っておるわけです。
  8. 磯野太郎

    磯野政府委員 仰せのとおりいろいろな問題がこの法案施行について出てまいります。それで私ども考えておりますのは、一つの要件としましては、御承知の第十七条で共同行為指示通産大臣がするわけでございますけれども、問題はこの共同行為指示の仕方、具体的に申し上げますと、従来からいろいろ議論が出ておりましたが、法案趣旨に従いまして共同行為は一回しかやらないそれから共同行為内容につきまして、いやしくも現行法であれしておりますような需給調整的な仕組みにその内容を絶対しないというふうなことが、この法案施行する上において一番重要であろうと考えております。それで共同行為を一回いたしまして、あとは将来の需要増大に対する供給力増加を、この法案考えておりますプライスの経済的なメカニズム運用に期待をする、こういうことで考えておりますから、その点がうまくいきますれば、そういう一種のプライスメカニズムによって自然にうまくいくという考え方をいたしております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 それから四年間の時限立法という形になるわけですが、事実上三年ということになるわけですね。ところが、私は参考人にも御意見を伺ったわけでございますが、いわゆる期限が終わった、そこで自由体制に移行していくということになる、業界でも化学繊維なんかはその点を相当期待しておるようでございます。ところが非常に弱い業界もあるわけですが、そういう点等考え、またいろいろな国際情勢というような点等を勘案してまいりますと、やはり政府の計画的な配慮というものが必要になってくる、そう思います。あなたのほうでは四年間で目的を十分達し得るとお考えになっておられるかということが一点。それから、曲がりなりにも一応の目的達成ができたといたします、それが終わったといたしましても、その後、政府としてはやはり何らかの形の措置というものが必要になってくるのではないかと思います。その見通しについてのお考え方はいかがでございますか。
  10. 磯野太郎

    磯野政府委員 第一の御指摘の点の、ここで考えておりますことがうまくいくかどうかという問題でございますが、これはこの間から申し上げておりますように、業界アンケート等によりますと、大体私ども考えておるような回答が出ておりますので、その決意と熱意がさめない以上は、まあまあ私ども考えておるようにいくのではないかと考えております。  それから御指摘の第二点でございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。結局この法案が失効いたします四年後に、繊維工業にとって、本来的な悪と申しますか、そういうふうな環境、つまり過当競争が再び招来することがないかどうかということだと思いますが、その点につきましては、多少個人的な考え方になりますけれども一つはこういうふうな仕組みによりまして、四年間の時限経過しまするうちに、大体繊維工業のあり方が固まってくるのではないかということを考えております。その固まり方は大企業中小企業との生産分野の問題、たとえば大企業合繊糸中小企業純綿糸ということで、大体において分野調整が必然的にできてくるのではないかというふうに思っております。それで、四年が経過いたしました暁には、いろいろな関係でそういう分野が固まって安定するということを期待いたしております。  それからもう一つは、御承知のとおり、繊維工業につきましては労働力が非常な問題でございますが、この労働力につきましては今後、いまよりもちろん窮屈になるわけでございますので、わずかな資本、簡単な生産技術でだれでもできるというのが繊維工業の特質でございましたけれども、四年後、五年後にはそういう労働力の点からだいぶ制約条件ができてくるのではないか。そうしますと、簡単な資本で、わずかの高くない生産技術でやろうといたしましても、その労働力等制約がございまして、従来のような過当競争環境はある程度是正されていくと考えておりますので、もし私ども考えている点があまり的をはずれてないということでございますれば、四年後にも比較的安定したかっこうで進んでいくということを考え、そう期待いたしております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 私が心配いたしますのは、相当無理な業界運営というのか、この法律案スクラップ・アンド・ビルドということです。強いものは非常に強くなるのですね。弱いものは依然として弱いままで強くならない。こういう力関係というものが支配をしてくる。いまあなたのお答えの中にもございましたが、この資金力が非常に弱い人、こういう人が二対一の割合でもって新設をするということになりましても、いままでのような性能の低い機械ではどうすることもできない。高性能の精紡機を据えつけていかなければならぬ。ところが資金力が弱いからなかなかそれができない。そうなってくるとついていけない。勢いいわゆる賃紡という形になっていく可能性があるわけです。あなたのほうでは、これはスクラップ・アンド・ビルドであるから、これは合理化であるから、国策上競争力もつけていかなければならないのだからやむを得ないのだ、こういう態度でお臨みになるのか。それだけではいけない、やはり中小企業というものも育成をしていかなくちゃならないのだということから、やはり特別な配慮、いわゆる系列化ということに対してこれをチェックしていくとか、いろいろな措置というものが当然行なわれなければならないと私は思います。そこらあたりに対してはどうあなたのほうではお考えになっていらっしゃるか、まず考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  12. 磯野太郎

    磯野政府委員 この法案施行について中小企業立場が不利になるではないかというふうな御質問だったと思いますが、私ども考えておりますのは、少なくともこの法案のある間、つまり四年間は、御承知のとおり新企業者が出てくる余地がございません。つまり全体のワクは千六百万錘ということで仕切ってあるわけでございますので、そういう点で将来の需要考えてまいりますと、少なくとも私どもの計算では、この法案施行になりますことしの十月ごろ——ということを予定しておりますが、そのときに稼働錘数が千二百五十九万錘でございますけれども、この法案が失効します五年後には千四百十五万錘というように、大体百五十万錘程度需要増大等から見て増加が必要であると考えております。したがいまして、そういう供給力需要のバランスを考えますと、もちろんその中で全体として中小企業が生きていくという関係になろうかと思います。その点が一つ。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたけれども、これはよく御承知でございますが、現在綿業で申しますと百三十五社ございますが、比較的高級な技術を売っていくことしかできない合繊糸につきましては現在三十数社がひいております。あと純綿糸をひいておるというかっこうでございますが、将来の需要増大は大半は合繊糸でございますので、やはり大きなところから合繊糸をひいてくるのじゃなかろうかということが考えられます。そして、それに対しまして、御承知のとおり綿糸の伸びが悪いということはございますが、しかし綿糸はいま以上早いテンポで伸びないというだけでございまして、結局現在の純綿糸生産の四十七、八万トンというものは将来もあるわけでございますので、そういうところから考えますと、結局大きな企業合繊糸をひきましたことによる純綿糸生産減は、今度は中小企業がそれをかわって紡出をしていくということでございませんと純綿糸生産の確保ができないわけで、そういう意味から、この法案施行の四年間を考えますと、そういうことで、比較的大きいところは合繊糸を、それから中小企業純綿糸を、しかも、その中で、比較的大きな中小企業細番手をひく、それからもう少し下のほうは大番手をひくというようなことで、大体において生産分野調整が自然的にでき上がりまして、中小紡績といえどもそのところを得まして操業ができていくというふうなことが考えられます。またそういうことで行政上の指導をいたしたいということを考えております。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 私はしろうとだから、どうもわからない面があると思います。しかし常識的に考えてみまして、合繊糸綿紡と、こういうものの業種間の力関係、これとの競争というようなものも当然出てくるでしょう。それから今度は綿紡なら綿紡の中の大企業中小企業関係が出てくるでしょう。そういう力関係、非常に競争が熾烈になればなるほど、弱いものは不利な立場に立たせられる。先ほど私が申し上げましたように、結局、資金力がない、賃紡という形で非常に悪い条件を押しつけられてやらざるを得ぬ、こういう形になるわけです。綿紡をひかなくとも合繊をひくこともできるのだと言いますけれども、これまたなかなか資金力の問題で、そう簡単にできるものではありません。法律案はこういう形で、一応形は整ってまいりましたけれども、これがスムーズにずっといくと何もないようでありますけれども、実際の運用の問題になってくると、なかなかそう簡単にいかないのじゃないですか。だから、やはり絶えずあなたのほうでは、そうした格差を解消するということを留意していかなければならない。競争力を高めていくということは必要でありますけれども、それにあまり偏し過ぎる、こういうことになってくると、やはり弱い立場の人はできなくなってまいります。そういう点を十分配慮して、この法律案によき血を注ぎ込んでやっていただきたい、こういうことを十分御留意願って行政指導の誤りなきを期していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。それから、いま一点は、審議会答申少数意見というものがある。参考人の御意見の中にいろいろ伺っておりますけれども少数意見というものも、これはだめなんだ、間違っておるという形で、これを否定して、多数意見としての審議会答申が出たのではない。少数意見もっともだということはわかっておるけれども、財政上の問題その他でこれを取り入れることができなかった。こういうことは参考人の御意見の中であなたもお聞きになったと思う。そういうことであればあるほど、やはり少数意見というものが行政の面で生かされることを期待しておるということを一方においては考えなくちゃならないと思うのです。ところが、あなたのほうの法案の中には、残念ながらそれが生かされておりません。少数意見の中にもありました綿紡あるいは、梳毛紡スフ紡、そういうものの村区分を残せということも少数意見の中にはあるわけです。あるいはまた中小企業格納機械廃棄、こういう場合に、やはり国の政策転換なんだ。これは国のほうで買い上げていくというような助成措置も必要じゃないかとか、その他いろいろ少数意見というものがあるわけです。そういう少数意見というものを取り上げておられないということは、どういうことによるものか。全然問題にならなかったのか。問題としてこれは考えていかなくちゃならないのだけれども審議会答申が一応出た以上は、それを尊重しなければならぬという形式的な立場からこういうことになったのか。その間の事情というのか、考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  14. 磯野太郎

    磯野政府委員 少数意見でございますが、これは通産省がいろいろ諮問いたしました審議会答申がございますけれども、その中で珍しく少数意見付記した、ほとんど唯一の例ではないかと考えております。それから少数意見付記をいたしましたゆえんは、この少数意見は、先生いま御指摘になりましたように、大体紡績を中心にいたしました業界意見がこれに出ておるわけでありますが、そういう意味少数意見もここに付記をいたしまして、そうして通産省としても最終的には大臣判断でよく考えてほしいということで、少数意見付記があったわけでございます。  それから、そういうふうな少数意見付記がございましたけれども、いま御指摘のとおり、今度の法案考え方は、大体多数意見と申しますか、答申主文に沿ったようなかっこうになっております。まあこれはいろいろ行政上の判断の問題、たとえば少数意見過剰設備買い上げの問題が出ておりますけれども、この買い上げの問題につきましては、一つはいまおっしゃいました行政上の判断、それからもう一つは、この前ちょっと御説明いたしましたけれども、この答申を議論いたしました昭和三十七年は繊維としては不況の基調にあった、ところがその後の経過から、御承知のとおり市況が回復いたしまして、そうして中小企業といえども、この少数意見にございましたような、この法案施行に際して転廃業をしなければならぬのではなかろうかというふうな最初の考え方が次第に変わってまいったわけでございます。そういういろいろな経過がございまして、この法案は大体において主文の線に沿ってつくられたというふうな経過に相なっております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 経過はわかっておりますが、私の申し上げる趣旨というか考え方は、この全く国の政策上の犠牲者になる中小企業——労働者の問題もあるわけでありますが、その点も重要でありますけれども、それはまたあとでお尋ねすることにいたしまして、中小企業過剰紡機廃棄するということになってまいりますと、相当な痛手であるわけです。石炭政策の場合におきましては、まあ国の政策転換をするということになってまいりますから、ある程度きめのこまかい措置が講じられたわけです。ところが、この場合におきましては、石炭との比較という面から見てみますとそこまでいっていない、こういうことになると思うのです。それでは非常に気の毒だと思いますので、融資ということだけでなくて、国としての補償という考え方の上に立った何らかの措置が必要になってくるのじゃないか、こう思います。その点について考え方をひとつ明らかにしていただければ幸いと存じます。その点いかがでしょうか。
  16. 磯野太郎

    磯野政府委員 過剰精紡機廃棄につきましては、御承知のとおり、強制廃棄ではなくて任意廃棄になっておりまして、これは格納という犠牲が伴うわけでございますけれども、まあ詰めていえば、廃棄するかしないかは企業経営者の自主的な判断でやるというふうなことに相なると思います。そういう点もございまして、買い上げ補償というような少数意見にございましたような思想をとっておらぬわけでございますが、いま先生指摘になりました、この法案施行関係中小企業者に対してできるだけあたたかい手をもって、いろいろ合理化なりあるいは経済単位引き上げ等をやることは、これは御指摘のとおりでございまして、そういう点から、これも先生承知かと思いますけれども紡毛業界は御承知のとおり非常な少数のといいますか、小さい、小規模企業者が約三百ございますが、この紡毛紡績業につきましては、先般中小企業近代化促進法指定業種にいたしまして、いろいろそういう点で配慮しておるような経緯がございます。おっしゃいましたような中小企業者に対しては、この法案施行を通じてできるだけめんどうを見ていきたいというふうに考えております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 なるほどあなたの言われるように、形としては強制廃棄ではありません。これは自主廃棄です。ところが実際問題としては、これは強制です。力がないのだからどうすることもできないのです。十分競争力を持っておるならば何も廃棄しようということにならない。ところが、どうすることもできないのです。だからやめなければならない。そのことをあなたのほうでこれは強制廃棄でなくて自主廃棄だということで片づけられたのでは、もう弱い人間はどうすることもできぬじゃありませんか。だから、強制廃棄でないのだ、自主廃棄だ、これは業者自身企業自身の意思によってやるのだということで——あなたの御答弁は何も間違っておりませんから、冷酷無情ということばはあまり強いことばですから申しません。ですけれども、あなたの気持ちとしては、やはり国の政策犠牲者となったのだから、こういう人に対しては特別の配慮というものがなされなければならないのだということで取り組んでもらわなければならぬと思います。いまあなたがお答えになりましたように、なるほど残られる人に対しては近代化措置の問題もあることを知っております。しかし、これとてもきわめて貸し付け期間というものが短い。こういうことで、いま私が申し上げましたようなことは生かされるとは言えない。残る人あるいはこれを廃棄する人——この廃棄も、なるほどこれは機械そのものの登録であり廃棄であり新設であるということになりますけれども、実際はその業を営むことができないという形になってまいりますから、実質的に人を対象にされることになってくるわけです。非常に気の毒だと私は思います。ですから、やはりそういう点に対してはきめこまかい、熱意のある態度でもってあなたのほうでは取り組んでもらわなければならぬと思います。これらの点に対しては、まず政務次官からひとつ考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  18. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今回の新法につきましては、繊維工業設備審議会主文意見というものが相当強くこの法案に打ち出されておるわけであります。したがいまして、中村先生のおっしゃったような小企業に対する関係は、少数意見として審議会答申の中にうたわれておるわけでございますが、本法案制定の通産省政府側の趣旨としましては、この法案を通じまして、やはり法案の今後の運営によりまして十分ひとつ中小企業の面も保護していきたい、こういう考えでやっておるわけでございます。  そこで、現在格納されておる精紡機の大部分は私は大企業、中企業のものじゃないかと思っています。むしろ小企業格納というのは比較的少ないのではないかと考えておりますが、現在のこの法案趣旨に従いますと、スクラップ・アンド・ビルドは二対一でいく、現在稼働のものは一対一でいくのだという趣旨でありますので、中小企業が今後近代化で大企業とある程度対抗していくためには、どうしても私は新しい精紡機を入れて、先般の参考人の御意見がございましたように、また皆さま方から御質問がありましたように、十分金融の道を講じまして、そしてこの中小企業の設備近代化のためにこの方面からも十分援護していかなくてはならないのではないか、かように考えておるわけでございます。したがいまして、本法案運営の点におきましては、先生方の御意見、いわゆる中小企業にしわ寄せにならぬように、その点は十分配慮いたしまして今後運営の万全を期していきたい、かように考えているわけでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 低性能から高性能にかわってくるというようなことは十分考えられることでございます。錘の数だけで問題を律することはできない、こういう形になってまいります。私がしろうとだからわからないまま間違ったことを言っておるのかもしれませんけれども、どうも常識的に考えてまいりますと、必ずしも申し上げておることは的はずれじゃないと思います。そういう点についての配慮をなさる必要があると思います。  それから具体的のことでお尋ねしてみますと、登録のワクがあるわけですね。このワクの上にあぐらをかき、ワクの上に眠るというようなことがないのか。ワクを持っている。ところがそれを他に使用させるといったようなことが事実上行なわれないのか。私はこの間も現地を見まして、系列化の一環として私が申し上げておるようなことが起こってくるのではないかと思うのでありますけれども、事実上その経営をしているものは違う。登録ワクの所有者と事実上やるものとが違った人がやる、こういう形が起こってくることはありませんか。正常な発展を阻害するということもありましょうし、また、まじめにこの法律案に沿うてやっている人がばかをみるといったような結果が起こる可能性もなきにしもあらず、そこらあたりはどうでしょう。専門家の局長ひとつ。いやそんなことはないんだということになればいいのですが、こういう点いかがでしょうか。
  20. 磯野太郎

    磯野政府委員 ワクの、あるいは登録の上にあぐらをかき、眠っているものがあるのではなかろうかということでございましたが、これは御指摘のとおり、従来あるいはやや若干そういうものが全然なかったとは申し上げられないと思います。いろいろございますが、たとえば現行法によって操短指示いたします場合に、その操短の率の算定には眠っておる機械も計算上入っておるというふうな点がございますし、それから御指摘のとおり、法律である制限をしました場合には、どうしてもそこから法律の反射として、ある権利化するような状況が見られます。御承知のとおり登録権というふうなことで俗称呼ばれておりますが、そういう法の反射がございまして、権利化しておったことは事実でございますので、そういう権利の上に眠るというような状況もなきにしもなかったというふうに考えております。それで、新しい法案が実施になりました場合にどうかということでございますが、この法案考えております点は、四年後にはそういう登録制度はなくなるということでございますので、そういう点からいきますと、年を追うてそういう権利制というものが喪失をするわけでございます。従来の法律のように、廃止規定はございましたけれども、あるいは機会を得て延長されるんではないかという考え方のもとに登録制度の上に眠っておったというような現象は、新しい法案の実施についてはなくなっていくというふうにいま考えております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 簡単にはいかないんじゃないでしょうか。そうあなたが言われるようになると、正常な法の運営が行なわれると私は思います。ところが私が指摘いたしましたようなことが起こってくる、私はそう思うんです。ですから、あなたのほうの対策いかんということになる。それからやみ紡機ですね、これも参考人がこの前意見を述べておられましたが、これも完全にそれであとを断つというようなことにはならないのじゃないか。あなたのほうもその点に対する確信が必ずしもあるんじゃない。多少の不安もなきにしもあらずだろう。だからそのやみ紡機の対策、それから、先ほど申し上げました点に対しても、もう少しそういう問題に対処してどう取り組むのか、そこらをひとつ明らかにしていただきたい。
  22. 磯野太郎

    磯野政府委員 第一にやみ紡機のお話でございますが、御承知のとおり、現在登録なしの精紡機はほぼ八十二万錘程度あるということになっております。その八十三万錘の中につきましては、法律上許されております自由糸をひいておるものとか、あるいは、これは行政上あるいは法律上の指示によって動かないように格納さしておりますので、格納機械だとかいろいろございますが、そういうものを除きまして、どうも私ども見たところでは、現在の法律ではひいてはいけない糸をひいておるのではなかろうかというふうに考えておりますのが大体ざっくばらんに申し上げまして十七万錘程度あろうかと思います。これにつきましては、もちろん私どもの責任で取り締まりをいよいよやらなければなりませんし、ある程度やっておりますが、それが非常に手ぬるいということも御指摘のとおりだと思います。それで新しい法案考え方といたしましては、いまのような無登録の精紡機を全部登録をさせます。この登録をさせるかどうかにつきましては、若干議論もあったわけでございますが、考え方といたしまして、無登録のものが出てくるということは、やはり現行法の外にそれを置いておくからなかなか実態もつかめないし、発生するということではなかろうかというふうな感じがございまして、そういう点もあって、今度はやはり同じように登録させることにいたしました。登録させますと、実態も通産省といたしましては現在よりも把握ができることになろうかと思います。そうして、その登録をいたさせましたものは、第四の村であります自由糸だけをひくことができるので、自由糸だけをひかせる。あとは取り締まりを徹底していきたいと考えております。それが十分にやれないではないかという御指摘でございまして、その点は正直に申し上げまして絶対自信があるというわけではございませんが、しかし、誠意を尽くしてやっていきたいと思います。ただ、御承知のとおり、今度の法案では第四十二条がございまして、第四十二条に、御承知かと思いますけれども、現在の法律にはございません「試験のため必要な最少限度の分量に限りその者の精紡機により製造された糸を収去させることができる。」ということで、糸の収去権を法律上新設いたしました。この点は従来の無登録の取り締まりにおきましてたまたま監視の者が行きましたときに、私はこういう糸をひいているのですと言って見せられた糸が、これは向こうの自発的な任意供出によるものでありますので、制限糸ではございません、自由糸だといって出される場合があったと思います。今度はそういう点を除去するために強制的な糸の収去権をつけまして、これによって相手方の意向にかかわらず任意に糸を収去できる。つまり取り締まり上完ぺきを期したつもりでございますが、そういう点も入れまして今後取り締まりを強化していきたいというふうに考えます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 その点については、専門家の加藤委員あとに控えておるようですから、加藤委員にうんちくを傾けてやっていただくことにいたしまして、私はこれ以上触れませんが、ただ申し上げておくことは、取り締まりをきびしくしていく、それは正常な法の運営をやる上におきましては当然でありましょう。ところが大きい魚を逃がして小さいものをとらえる、こういうことがあってはならぬと思う。資金力も相当ある、ワクも持っておる。ところが、そのワクの上にあぐらをかいて、そうして非常に資金力の弱い中小零細企業というようなものを搾取をしていく、こういうようなことは、法の上からは合法的であるかもしれませんけれども、実際上はそういうことはあってはならない、こういうことになると思う。そこらあたりを十分考えて、精神を生かす、こういうことで取り組んでいただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。  それからもう一点お伺いをいたしますが、先ほど私はスクラップの関係から石炭のことを引用いたしたわけであります。設備の面からいたしましても先ほどるる触れましたが、これからはやはり相当高性能のものでなければならない、こういうことになってくると資金力も相当必要になる。こういう場合におきましては、近代化資金であるとか、開銀融資であるとか、いろいろな融資の道は開かれている、しかしながら現在の貸し付けの制度そのものの中でしかこれはできないことになってくる。石炭の場合におきましては特別の融資制度をつくったわけでありますが、そういうような特別の融資制度ということを考えなければならぬじゃないかと思います。そういう点についてどうお考えになるかということが一点であります。  それから税制上の問題でもしかり。税制上におきましては、固定資産の耐用年数の短縮ということにおきまして減税措置を講ずるのだということでしょうが、それも何も特別に繊維関係にのみ適用するのではございません。これは全般的に適用されることになってまいります。大きな国の政策転換の場合におきまして、なかんずく中小企業等においての固定資産税の耐用年数、いわゆる減税の措置ということに対しましては、特別の配慮がなければならないと思います。そういう金融、税制に対して具体的なこれから先の取り組む態度というものがなければならぬと私は思うのでありますが、そういう点に対して政務次官並びに局長からもお答えをいただきたいと思います。
  24. 磯野太郎

    磯野政府委員 いま御指摘になりました金融の問題が、この法案施行に関連して一番重要な問題であろうというふうに考えております。開銀融資はとりあえず十億ということに相なっておりますが、これはこの法案施行になりましてから半年間の融資量でございまして、開銀の融資中小企業金融公庫の融資等につきましてできるだけのあっせんをいたしまして、金融の道をつけていきたいというように考えております。  それから、それでもなかなかうまくいかぬのじゃないかという御指摘でございまして、私どももそういう点を実は非常に心配をいたしておるわけでございます。これはそういういろいろな結果、推移を見まして、できるだけのことをやりました結果を見まして、そういうふうなことも考え、研究をしなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 それを見ましてというのですが、明らかなことは、何もこの法律が制定されたことによって、それを見た上でということではないと私は思います。いままでもずっとやってきた金融、税制上の問題があった。ですからせっかくこういう新しい法律案を制定して、日本の繊維工業を発展させていこう、安定させていこうという考え方の上に立つならば、やはり金融、税制上の問題に対しては特別の措置というものがなければならぬと私は思う。見守ってからというのではなしに、これと並行してそういう道を開いていく、正しい融資制度を確立していく、正しい減税制度を確立していく、これはむずかしいと言えばいつまでたっても同じでありますから、そういうことを克服してこの問題の解決に取り組む、こういう姿勢でなければならぬと思います。私は不可能なことを理想論として申し上げておるのではない。あなた方が情熱を傾けて取り組んでいくことによって道も開かれてくるというふうに私は思うので、これを強く要望いたしまして、時間の関係もありますので私の質問を終わります。
  26. 二階堂進

    二階堂委員長 森義視君。
  27. 森義視

    ○森(義)委員 この間から、たいへんむずかしい法律でいろいろと勉強し、また先輩委員の質問を聞いておりまして、どうやらこの法案のあれがやっと明るみに出てきて、自分でも理解できるようになったのですが、現行法と新法の大きな違いはごく一部だと私は思うのです。要約すると、結局村区分の簡素化と、現行法の使用規制、使用制限を、使用制限と設置制限で縛る、この二つに要約されてまいるのではないか、いろいろなことを書いておりますが、そういうふうに思うわけです。  そこで共同行為については、現行法でも二十四条で、はっきりと廃棄格納その他の措置によって通産大臣共同行為の実施を指示しなければならないと、むしろ新法よりも明らかな規定がされておるわけです。この法案の十七条によると、「指示することができる。」というような書き方をしておるわけです。したがってこの共同行為の実施の指示によって過剰精紡機廃棄処分をされるというふうにはならないのではないか。現行法法案として当時の委員会にかかったときに、参考人として出席されました日紡の原吉平さんがこういうことを言っておられた。昭和三十一年の三月当時、綿紡だけで八百二十五万錘、三十五年の綿糸の需給見通しは九億四十四万ポンド、これをつむぐには六百七十八万錘で足りる、結局百四十七万錘が過剰である、こういう状態では、国内的には不経済な二重投資となるばかりではなく、いわゆる過当競争の原因になり、国際的にはダンピングの要因となる、これでは綿業の健全な発展を妨げるから、すみやかに過剰設備についての規制措置法律として定めることについては賛成である、こういうふうに言っておられるわけだ。ところが現行法が生まれてあれから七年の間に、綿紡だけでいま千三百十二万錘ですか、約五百万錘ふえておるわけです。だからああいうふうな共同行為指示するという程度のもので完全に過剰設備廃棄することはできないというのが、現行法の経緯に照らし合わせても明らかではないかと思うわけです。今度は、廃棄を促進するために使用停止を共同行為として指示することができる、こういう書き方をしておるわけです。法案の第一条では、はっきりと「廃棄」という文字が入っております。前には、入っておりません。前の法律には、目的に「廃棄」というものは入っていないが、条文の中には「廃棄」ということばが入っておるわけだ。二十四条の「共同行為指示」の中に明確に入っておりますが、今度の法律案では第一条に「廃棄」ということが明らかにうたわれながら、法文全体を通じて「廃棄」というものが入っておるのは十七条です。いわゆる廃棄の促進について共同行為指示することができる、使用停止について共同行為指示することができる、こういう書き方をしておるわけです。そうしますと、現行法で強力な規定を設けられながら過剰設備について制限ができなかった。ところが今度はそれをゆるめたような形で出されておって、それで所期の目的が達成できるとお考えになるかどうか。もちろん設備の制限という形は新たに入ってきておりますけれども、先ほど先輩の中村委員がおっしゃいましたように、やみ紡機の問題があんなような処置で、新法のこの法文の体系の中からは、所期の目的を達することは決してできないのではないかという私は危惧を持つわけです。そういう点について、まず最初に繊維局長から御答弁を願いたいと思います。
  28. 磯野太郎

    磯野政府委員 現行法の実施の時代になぜ廃棄ができなかったかということと、それから新しい法案現行法はあまり違わないじゃないかというふうな御質問だったと思いますが、いまおっしゃいました現行法の第二十四条に、通産大臣共同行為指示とありますが、現行法考え方といたしましては、御指摘のとおり「廃棄格納その他の方法により処理すべき」云々と、廃棄という字はもちろん書いてありますが、現実の問題といたしましては、実際の運営として、将来の需要増大する場合に、いまは動いてない機械も将来は動くんではなかろうかという考え方と期待がございまして、現実には廃棄をしないで格納しておったということでございます。そして業者の共同行為もそういうことでございましたし、また通産省といたしましてもそういうことで差しつかえないというふうな態度で臨んでまいったわけでございます。廃棄を促進しなかった理由はいろいろございますが、これが一つの理由だろうというふうに考えております。  それから新しい法案におきましては、いま御指摘がございましたように、実は経過的に申し上げますと、当初の私ども考えました第一条の原案には、実は廃棄の促進というはっきりした文字がなかったわけでございますけれども、その後いろいろな各方面から御注意を受けまして、第一条にこの法律の基本的な措置をはっきり打ち出すべきだということで、過剰精紡機廃棄の促進という字を入れましてこの法案趣旨を明らかにしたわけでございます。それから、これも御承知でございましょうが、第七条、第九条で精紡機の新設と登録区分の変更が動いていくわけでございますが、この第七条あるいは第九条で「第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機」云々と書いてございまして、それに、たとえば、「過剰精紡機に代える場合」という文字も使っておりますが、この「代える場合」はどういうことかということでございますが、これは第十五条二項で御承知のとおり「その登録を受けた精紡機又は幅出機が滅失したとき」だと書いてございます。結局は、この滅失の定義とそれからその確認になろうかと思いますが、先ほど申し上げました「代える場合」というものとの関連の上におきましては、この滅失は現実に精紡機をこわした場合、スクラップにした場合でなければいけないというふうに考えております。過剰の精紡機を現実にスクラップいたしまして、その届け出があってスクラップになったということを確認いたした場合にのみ七条、九条が働いていくというふうな運用をいたすつもりでございますので、そういう点は現行法と非常に大きな違いの運用の仕方になるかと考えております。
  29. 森義視

    ○森(義)委員 繊維局長は、現行法で所期の過剰設備廃棄が完全に行ない得るという自信がおありのようですが、これはどういう共同行為指示をするかということも多分に関係があると思うわけです。私はこれはほんとうに過剰設備廃棄考えておるのかどうかということについて実は疑問を持つわけですが、先ほど答弁されましたやみ紡機の問題についても、ああいうことでは私は答弁にならないと思うのです。この間参考人として出席されました方々が一様に、これが一番大きな問題点だ、ほんとうに設備を制限して合理化をはかり、正常な輸出の振興をはかろうとするならば、やみ紡機をあのような形で、要するに、施行の当時に設置しておるという証明書さえつけたら何ぽでも登録できる、このような形で放任しておいてそれでできるのかどうか、これはしり抜けだというふうなことをおっしゃっておりました。私もその点について非常に疑問を持っておるわけでございますので、中村委員の質問に補足する意味で質問したいと思うのです。  附則の五条によりますと、先ほど局長はこの法律施行は十月一日ですか、こういうふうにおっしゃっておりますが、そうするとこれからまだ五カ月あるわけです。そうすると、「この法律施行の日から二十日以内に、」届け出ることによって、第七条第一項の規定には拘束されないで、直ちに第四区分に登録することができる。現在登録されているものでも、過剰精紡機についてはいわゆる共同行為によって格納されているわけですね。それが二対一の割りでしか今度は登録できない。ところが現在登録されていないやみ精紡機が、第四区分とはいえ幾らでも登録できる。現在すでにこういうことを見越して、やみ精紡機のかけ込み設置が盛んに行なわれている。先ほど局長は、やみ紡機が大体八十三万錘ですかあるというようにおっしゃいましたけれども、そういうつかみ方は——加藤さんもおっしゃいましたように、泉南地区だけでも何十万錘もあるのです。そうすると、十月までにもつとたくさんのそういうやみ紡機が新しくどんどんかけ込み設置をしていく、そして十月一日の時点において設置しておりましたという証明書を一枚つけたら、第四区分に登録される。もちろん第四区分は自由糸しかひけませんけれども、現実に制限糸はひけないという監督さえも十分にできていないじゃないですか。先ほどの局長の答弁にもありましたように、おそらく、いま八十三万錘と予定をされておる中で、まじめに自由糸しか引いていないのは二十万錘以下であると言われておる、ほとんどが制限糸をひいているわけです。そういうものを監督、監視できるほど通産省の機構は膨大ではない、また今度もそういう予算は組んでいないわけです。それが、どんどんやみ精紡機のかけ込み設置が行なわれ、そうしてそれが十月一日現在において設置しておるのだという証明書だけで第四区分に登録されるということになれば、きょうまで正しく登録し、共同行為指示によって格納してきて、今度はそれを復活するのに二対一でしかできない、こういう方々は文字どおり正直者がばかを見る結果になるのではないかと私は思う。そういうことで、やみ紡機の今度の登録についていわば行政的な指導、監督を厳重に行なう、こういうふうな先ほどの答弁でございましたけれども、私はそれがもし行ない得るならば、現在においても行なわれておるはずだと思う。それが現存行なわれていないのです。それを行なうためにこれだけの予算的措置を講じ、これだけの人員を配置したところがどこかにありますか、ないでしょう。行政上の監督を巖重にするということを言われておりますけれども、実際上はほんとうに過剰精紡機廃棄とかあるいは規制とか制限にはならないのじゃないか、こういうように思うのですが、局長の先ほどの答弁にさらに加えて、お答え願いたいと思うわけです。
  30. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまいろいろ御指摘になりました点は、実はたいへん痛い点でございまして、いろいろな議論がございまして、これも御承知かと思いますけれども、先ほど無登録のやみ精紡機については、たとえば十台持っておる人はそのうちの九台をつぶしてしまえ、そうしてあと残った一台についてはどんな糸でもひけるというふうなことで登録をすればいいじゃないか、つまり、九対一でつぶしていくと申しますか、そういうふうな考え方もあったわけでございます。そういう点でいろいろ研究をいたしましたけれども、これも逃げ口上になるかと思いますが、御承知のとおり現在三十万錘、一応その制限糸をひいておるのではなかろうかというふうな考えでおりますが、これは実は三百工場に分布しております。それで一工場当たり一千錘平均というふうな規模でございまして、一千錘でございますから、まあ二台半しか持っておらないというふうな非常に零細な企業でございます。そういう、一方で現行法違反であるという問題と、一方でそういう非常に零細な企業であるというふうな点との総合判断で、取り締まりをどの程度やるかということは非常に私どもといたしましてはいろいろ苦心をしておりますし、また苦心をしてまいったつもりでございますが、そういう点で、取り締まりという点だけから見ますと、御指摘のとおり非常に手ぬるいというふうなことがあったと思います。  それからこの法案施行につきまして、いま御指摘になりました附則第五条の関係でございますが、これは運用の問題といたしまして、その証明書一本で登録をするということは考えておりません。これは現実にその上実情を確認いたしまして、つまり設置の状況を確認いたしまして、そうして登録を巖にやっていきたいというふうに考えております。  それから、もちろんこれもスズメの涙というようなおしかりを受けるかと思いますが、この法案の四十二条の関係、つまり立ち入り検査等、取り締まりの関係でございますが、これにつきましては、大体今度の予算といたしまして三百五十万円程度の予算を組んでおります。まあそういうスズメの涙ほどの金と、あと業界の協力によりまして取り締まりをできるだけやっていきたいというふうに考えております。
  31. 森義視

    ○森(義)委員 いまのやみ精紡機は零細企業で行なわれておる、なかなか監督しにくい。これは、いまのやみ精紡機で運転している人たちは、ほとんどいわゆる十大紡のどこかにおった人が、定年退職になってからやめて、そこの委託加工をやらしてもらっておる、こういう形で行なわれているということを聞いておるわけです。だからやみ精紡機というのは、いわば十大紡のクッション的な底辺になっておる、こういうことなんです。そういうことであるのに、十大紡のその正式に登録された問題だけを、あるいは新紡、新々紡の正式に登録された問題だけをがちゃがちゃいじっておったところで、そういうクッションを持っておるところにぴしゃっとした措置を講じぬと私は何にもならぬと思うのです。なるほど十六条では、制限糸をひいている場合には撤去命令を出すことができるというふうなことを書いてあります。あるいは立ち入り検査の問題も書いてあります。しかし現にそういうことをやってないのだし、今後、先ほど言われましたように三百何十万円の予算でそんなことはできっこない。だから私は、十対一で廃棄をすべきだということは、この意見は正しいと思うのです。そのくらいのことを思い切ってやる意思がなければ、この法律は、過剰精紡機廃棄処分だとか制限だとか言っておるけれども、決して実効はおさめられない、こういうふうに実は危惧をするわけです。その点については、またあと加藤さんからもお話があると思いますけれども、どうしてもそれをやってもらわないと、この間の参考人の共通した意見としてこの法律の穴だということをおっしゃったことが、いまの答弁だけではなかなか納得できないわけです。  次に、この法律目的に書かれておりますし、あるいは現行法でも最終的な目的は正常な貿易の振興、それに寄与するためにかくかくのことをやるのだ、こういうことなんですね。だから法律目的は正常なる貿易の振興という点にあるわけなんです。そこで正常な輸出とはどういうことなのか。逆に言えば不正常な輸出とはどういうことなのか。私は正常な輸出というのは、よい品物を適当な価格で適当な量を正しい商い行為によって相手方と相互平等の立場で取引するのが正常な輸出だと考えるわけなんです。したがって、逆に悪い品物を不当に安い値段で大量に投げ売りをする、こういうようなことは、これは不正常な輸出、こういうふうに考えるのですが、そういう意味の正常であるか不正常であるか、ひとつその点から先に御答弁を願いたいと思うのであります。
  32. 磯野太郎

    磯野政府委員 今度の法律案におきまして正常な輸出ということが、いま御指摘になりました第一条の目的と、それから第四十条の勧告の規定の中に「正常な輸出の発展を著しく阻害し」とございますが、この法案におきましては二ヵ所正常な輸出という字句が使われております。それでこの正常な輸出とはどういうことだということでございますが、いま先生がおっしゃったような意味であることはもちろんでございます。そういうふうに考えておりますが、ただ多少個人的なあれになるかと思いますが申し上げさしていただきますと、どうも繊維につきまして正常な輸出という字が非常に使われるわけでございます。それで、これはどういうことかということでございますが、この正常な輸出という字は、これはもちろん後進国に対する輸出もございますけれども、歴史的に考えますと主として先進国に対する輸出というような問題から、このオーダリー・エキスポート、正常な輸出という字が経過的には生まれてきたのではないかというような気がいたします。それで具体的に申しますと、これは例示でございますが、御承知のとおり綿製品に関する国際長期取りきめでは、不正常な輸出につきまして市場撹乱というふうな観念がございますが、この市場擾乱の観念につきましては三つあげておりまして、これは輸入国の立場でその考え方をいっておりますので、輸入国サイドになるわけでございますが、一つは輸入が急増すること、それからもう一つは値が、その輸入国の国内生産の値段よりも安い、それから三番目に、御承知のとおり自国産業に対して損害を与える、すなわち急増と安値と自国産業に対する損害、この三つをあげておりますが、そういうふうな状況が輸出によって出ました場合には、現実の問題として相手国から輸出につきましていろいろなクレームが出てまいります。そういう点からいきまして、日本にとりまして非常に大きな輸出産業であり、大きな外貨をかせいでおります繊維製品についての輸出のベースを維持し、そうして末長くそれを維持するためには、やはりそういうふうな相手国からいろいろなクレームが起きないような方向で輸出を伸ばしていくということが現実の問題として必要であるというふうに考えておりまして、結局は詰めて言いますと漸増ということでやっていくということに相なろうかと思いますが、そういう意味で正常な輸出というふうなことを考えてあまり間違いはないという感じ方をいたしております。
  33. 森義視

    ○森(義)委員 なるほど正常な輸出ということについては、この法案の主たるねらいは、後進国に対する輸出よりも、むしろ先進国、競合相手にある国に対する輸出という問題を考慮に入れておる。私もそうだと思うのです。そこで、今日まで日本の正常な輸出を阻害してきた原因がどこにあるか。これはソーシャル・ダンピングあるいはテープ・レーバーだ、これが世間の常識となっているわけですね。ここでは設備の過剰だけを制限して、過当競争の原因さえなくしたら、それが輸出の正常な振興になるように書いておられるわけなんです。私はこれは大きな片手落ちじゃないかと思う。なるほど過剰設備を制限して、いわゆる国内の過当競争を排していく、そういう弊害を除去する一つの手段としては、必要だと思うんです。もっと大きな根本的な問題について、いわゆる日本の正常な輸出を阻害してきた国際的ないわゆるチープ・レーバー、ダンピングの批判に対する対策とか措置というものがほとんどこの法案には盛られておりません。ただ五章の雑則の中で、四十条で勧告のあれを書いております。こんなことだけでは私は最も大きな日本の輸出を阻害してきたテープ・レーバーの批判の解消にはならないと思うわけです。その点について、もっと積極的なものを私はこの法文の中に入れる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。こういう臨時措置法で、しかも限時法の中に輸出入取引法を一部改正するような、そういう法律を入れるのは非常にむずかしいと思います。しかし審議会意見の中にも、アウトサイダーとして何らかの規制をする必要がある、こういうことが出されておるようですし、また軽機械の輸出振興法ですか、こういうものもあるわけです。日本の輸出の大きなウエートを占める繊維産業だということが絶えず言われながら、輸出の振興についてはそういうような特別な立法措置が行なわれておらない。ただ綿業協定とかというような形で行なわれておりますけれども、この法律が輸出の振興を最終的なねらいとするところに法律の要点があるとするならば、もう少しこの法文の中にはっきりさせるか、あるいはその点については別な立法で措置するか、そういうことを考えないと、ほんとうに正常な輸出の発展に寄与することにならないじゃないか、こういうように思うわけです。そこでテープ・レーバーの大きな批判を解消するために、審議会のほうから最低賃金法の問題について勧告をされております。その点については、この法律の中には一つも触れておられません。さらに労働力の単なる賃金の問題だけではなくして、労働条件の向上の問題についても触れられておらないわけです。そういう片方で過剰設備を制限し、規制し、片方でそういうふうな国際的に受けておる批判をなくすという両輪が相待ってこの法の目的の正常な輸出の振興に寄与することができる。どうもこれでは片方の車だけだと思うのです。しかもその片方の車が、先ほど申しましたように、ほんとうの過剰設備のあれにならない。かりに過剰設備が数的に錘数があれされても、今日のようにスピンドル回転数が一万二千回にもふえてきたという状態の中では、依然として過剰生産が生まれ、過当競争が生まれてくると思うわけです。そういうような片車だけで正常な輸出の振興に寄与させようとするところに問題があり、しかもそれが単に過剰精紡機の制限なり廃棄なりだけで行なわれる、こういうように考えておられるところにこの法案の意義というものがほとんど達成できないのじゃないか、こういうように考えるわけなんですが、ひとつその点について局長の見解を承りたいと思います。
  34. 磯野太郎

    磯野政府委員 ただいま御指摘になりましたことはそのとおりでございまして、そういうふうに私も考えておりますが、ただこの法案がここまで来ました経過につきましては、御承知かと思いますけれども、小委員会の審議の経過の中で、一つ繊維産業安定振興法案とも称すべきものをつくるべきであるという意見がございました。それからもう一つは、そういうことも重々必要ではあるけれども、いま日本の繊維工業にとって一番やっかいな問題になっているのは、過剰設備があって、操短をやっておるという情勢であるから、まずそれを直すべきであるというふうなことで、いわば繊維工業の体質改善法案というような考え方と二つあったわけでございます。それでいろいろな経過がございましたけれども、でき上がりました法案は、繊維産業安定振興法案の流れではなくて、体質改善法案の流れによってこの法案ができたわけでございます。そういうことでいろいろ問題あるいは考えることがあるけれども、それはさておき、過剰精紡機が累積しておって、その上で操短をやっているという体制、つまり病気をなおすべきだということでこの法案ができております。そういう点から、この領域といたしましては、御指摘のとおりその点だけを取り上げまして、比較的狭い面積になっております。  それから、この法案につきまして基本的な考え方はそうでございますが、四十条が入りましたゆえんのものは、御承知のとおり現行臨時措置法についての考え方はいろいろございますけれども、現行臨時措置法の一つの基本的な考え方は、過剰設備が働けば過剰生産になって、値が非常にフラクチュエーションをして輸出ができないということで、それをそういう状態にしないために二十四条の共同行為がかかっておったわけであります。そういう点からいきまして、二十四条の性格は、ある意味で正常な輸出を目的といたしました、ある意味での輸出カルテル的な性格を帯びておったと思いますが、そういうふうなことになっております。それで今度の法案考え方といたしましては、そういうことを考えながらも操短体制をやめようということで、ある意味生産自由体制をはかったわけであります。そこが変わってまいりましたので、そういう点から正常な輸出の発展について一番問題になる事項、一番危惧される事項につきまして、いま申しました生産自由体制と関連させまして四十条を書いたわけであります。御承知のとおり「販売価格が著しく低下しており、」というようなことで書き出しが始まっておりますが、価格が下がるということが一番正常な輸出の発展を阻害する条件じゃなかろうか。相手国の国内生産のものよりも安い値で出しますときに一番クレームが起こるわけでありますから、そういう一番困る点を四十条で穴をふさいだというようなかっこうになっております。繊維全体の輸出の問題については、もちろん御指摘のとおり通産全体としての行政指導の問題だとか、一般法としての輸出入取引法の実施の問題だとか、そういういろいろのことももちろんやっていかなければならぬというふうに考えておりまして、また現実にそうやっております。大体この法案趣旨につきましてはそういうふうに考えておる次第であります。
  35. 森義視

    ○森(義)委員 慢性化した操短体制をまずとりあえず直す、そういう意味でいわゆる体質改善の流れをくんで病気をなおすところに実は重点がかかっておる。片方で病気をなおしながら片方で栄養補給をやっていかないとだめだ。栄養補給によって輸出の振興をやっていこうということだと思うのです。病気をなおしただけで輸出の振興になるとは限らない。その点が欠けておると言っておるわけです。病気をなおすには過剰精紡機をぴしゃっと押えたら、慢性化した操短の病気はなおりますよ。ところが片方で輸出の振興をはかるには栄養を与えなければならぬ。輸出の振興は病気をなおしただけではできないということを言っておる。その点においてこの法案は足りないと思いますが、幸い大臣が出席しておられますので、ひとつ大臣にお伺いしたいのですが、この間出席されました業界からの代表の参考人の方の提出されました書類の中にもあるのですが、輸出の振興について、特に経済外交を強力に推し進めてほしい、こういう要請が非常に強くあるわけなんです。日米通商航海条約の第十六条によりますと、日本商品はアメリカ商品が日本国内で受けていると同等の待遇を受けなければならない、こういうことが書いてあるわけです。ところが日本商品はアメリカで同等な待遇を受けていない。いわゆる日米通商航海条約十六条違反の行為がどんどんと行なわれている。こういうような場合においても、政府の経済外交というものは、私たちが見ておりますと、非常に何かへっぴり腰で、そして無理を言われても御無理ごもっとも式の形のものが非常に多いんじゃないか、こういうことを考えるわけなんです。そこで通産大臣として、繊維産業は日本の輸出産業で占める重大な産業である、こういうことを常におっしゃっておられるのですが、経済外交の問題について、今後き然とした態度で臨んでいただくためにどのような抱負をお持ちか、ひとつぜひお答え願いたいと思うわけです。
  36. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御説ごもっともでございまして、いわゆる差別的な措置を講ぜられておるところがあることは、われわれとしても遺憾と存じております。これは実際問題として、たとえば日米貿易合同委員会等におきましても、強くわれわれから主張はいたしておりますが、ただ、この綿の問題等につきましては、国際協定等もございまして、その国際協定にも違反するような問題が起きてきておりますので、先般、この問題についてもアメリカ政府と非常にやり合ってきておるというか、交渉を続けてきておるわけであります。十分なところまでは効果をあげ得たとは思いませんが、ある程度はわれわれの主張も入れておると思っておるのでありまするが、私は、これは、いわゆる民主主義というものの一つの欠陥であると思っておるわけなんです。実際問題といたしまして、われわれも選挙区から言われると、どうもちょっと弱くなる可能性がないとは言えないのでありまして、アメリカにおいても同じようなことがあるのであります。その現実の例はいろいろな面にあらわれておりますが、議員自体に言うと、それはもっともだというようなことを言っておるけれども、今度は業者のほうから非常な突き上げを食うと、案外それが弱くなってしまったりするという場合が多いのであります。私はこういうことを直すことが今後の民主主義といいますか、議会政治というものの一番大きな問題じゃなかろうか、こう考えておるのでありますが、そういうこともございまして、アメリカの高官連中はわれわれの言うことはかなりわかっておるわけなんです。だからこの間の日米貿易会議の席上においても、ひとつわれわれがアメリカの閣僚になって向こうへ行って説明し、アメリカの閣僚が日本の閣僚になって日本の業界等に説明したら一番話がよくわかるのじゃないかというような、冗談ではあってもそういう発言が行なわれるということは、相互が理解をしておる。上のほう、トップレベルではある程度理解をしておるけれども、下までそれが浸透しておらない。またいわゆる民主主義政治の一つの欠陥がそこにあらわれておるということだと思う。そこで、私は非常に大事だと思っておりますことは、やはり日本の立場とか日本の実情とか、何を考えておるかということをもっと下のほうまでPRをし、理解をさせる努力が必要である。私は、これは業界だけではなくて、いわゆる民間の代表者が行くとか、あるいは政府の外務省関係とか、通産省、どこでもよろしい、とにかくあらゆる努力を傾けてそういう実情を理解してもらうということが必要だと思うが、向こうが案外実情を理解しておらないのであります。私はときどきアメリカなどへ行って聞いておりますが、実際知らない。日本のことなんか全然わからない。ここに一番大きな欠点がある。人間というものはやはり理解し合えば、案外そこに一つの解決案が出てくるのですが、よくわからないで言っている場合がある。それから、アメリカの人だからといってみんな法律を全部知っているか、あるいは常に文化的な行動をするかというと、なかなかそうはいきはしません。そういうものじゃございません。そこに、アメリカとかイギリスといえば、日本では一つの舶来尊重の趣味があって、何でもいいことばかりしておるんだというふうに考えておるかもしれませんが、私は必ずしもそうじゃないと思います。事実そういう例がたくさんある。上のほうはわかっておってもなかなか下までわからないというところがあるのでありますから、御趣旨に従って、今後われわれとしては経済外交を強力に推進すると同時に、そういう意味において日本の実情をよく業界同士でも話し合いもし、また民間人同士でも話し合いをする、あらゆる機会を通じて相互の理解を深める、こういう努力を今後いたしまして、そうしていま申されましたような輸出振興ということにもっと努力をいたしてまいりたい、かように考えているわけであります。
  37. 森義視

    ○森(義)委員 日米経済協力会議等へ出てくるアメリカの高官というものはわりあいと理解をしているけれども、アメリカの全体に理解をされていない、そのことがボイコットになったり制限になったりする原因になっておる。したがって、日本の実情をよく知ってもらうようにするということが非常に大切だと思うのですが、逆に、この間参考人として出席されました滝田さんは、向こうの実情をよく知れと言い、特定の地域に大量のものが投入されている、したがってそこから強力な突き上げが行なわれている、こう参考人意見として述べておられたわけです。そういうことについて、在外公館がどういうふうな情報を日本に送っているのか、私は、その点輸出の振興に一つの大きな欠ける点があるのではないかと思う。日本を知ってもらうということが一つだけれども、こちらも向こうを知っておらぬと、特定の地域に安いものが大量に入ってくる。それは死活問題ですから、そこで問題が出てくるわけなんです。ばんと突き上げてくると、上のほうではそれを聞かねばならぬということが出てくるわけです。そういうことも、ぜひ在外公館を通じて相手国の市場の調査の資料を十分こちらが反映して、それに適応した体制をこちらが確立していくということが非常に大切ではないか、こういうふうに思うわけですが、ひとつぜひそれに合わせて、経済外交の強力な推進によって、制限なりボイコットなりのあれを排除するようにつとめていただきたいと思うわけです。  それからもう一つ、これは私はわからないから聞くのですが、過剰設備廃棄ですね。具体的にどのように実際行なわれるのだろうかということがわからないわけです。新しい村区分に登録しても、三年間の間は格納された無登録——格納された分が二対一で登録しますね。あとの二基は、三年間の間は無登録分として残るわけですね。これは廃棄とか、そういうことが直ちに行なわれるようなことはどこにも書いてないです。いわゆる使用の停止とか、そういうことは共同行為で行なわれますけれども、使用を停止するだけであって、廃棄ではないわけです。実際問題として、いま格納されている機械の中から一つが新しく設備されて二基が廃棄される場合に、どういうふうに行なわれるのか。たとえば後進国にその機械を輸出するのか、あるいはほんとうにスクラップになるのか、あるいはこれは三年間の間にまたやみ精紡機として動くのではないかという危険性を私は感ずるわけです。どういうふうに実際行なわれるのか、実情を知りませんので、ひとつ具体的にお教え願いたいと思うのです。
  38. 磯野太郎

    磯野政府委員 法律の面から申し上げますと、二対一の点は第七条で書いてございますが、「政令で定める比率を乗じて」云々とございますので、政令で二対一を定めます。それから実際の廃棄の問題でございますが、精紡機の新設または登録区分の変更の場合には「第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機」というふうなことが出ておりまして、第十五条二項では「第三条の登録を受けた者は、その登録を受けた精紡機又は幅出機が滅失したときは、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。」と書いてございます。そこで十五条二項の届け出がもしありといたしますれば、その届け出をされました場合に、現実には通産局の者が、届け出の書類と現実とを検討いたしまして、実際にスクラップダウンをいたしました場合にのみ十五条二項の届け出があったというように運用いたすわけでございます。そうしてそのスクラップ化を確認いたしますと、その登録の台帳——この法案にございます繊維の登録台帳が繊維局にございますが、この繊維局の台帳の登録を抹消するわけでございます。そうして書面からも落とし、現実にその二錘はスクラップしたということを確認する、こういうしかけに相なっております。
  39. 森義視

    ○森(義)委員 そうすると十五条第二項の滅失というのは、スクラップしたときだけを認めるのですか。たとえばそれをどこか後進国へ売った、要するに外国へ売ったという場合に、その機械はどうなるのですか。それもやはり滅失でしょう。とにかく日本の国からなくなるわけですね。実は繊維機械工業の労働者は、スクラップというのは鉄くずで売るところはないと言っておる。この間埼玉紡績へ行ったときに、格納された機械は東南アジアへ行ったらりっぱに大手を振って通れるというように聞いておるのです。そんなものはくず屋に売るということは考えられない。結局これは機械としてどこかへ売るのです。後進国、低開発国のほうへ売るだろう。そうなってくると、この関連産業である紡績機械精紡機をつくっておる機械工業に大きな影響を与えるのじゃないかということで、盛んに陳情に来ているわけです。先般の委員会で局長は、いや前の法律はそうだったけれども、今度の法律機械の修理や改造、あるいは二錘つぶして輸出に向ける、新しい注文がふえるのだから機械工業に対して前のような打撃はない、むしろ注文はふえるのだ、こういうふうに答弁しておられましたけれども、私はこの処置がどう行なわれるかによってだいぶ変わってくると思うのです。そういう点についてもう一回御答弁願いたいと思います。
  40. 磯野太郎

    磯野政府委員 第一点の滅失の定義でございますが、これは先ほども申し上げました意思を持ってスクラップしたという場合が典型的な滅失でございます。そのほか、たとえば中部地区におきまして水害がございまして、流されてこわれてなくなったというような場合、つまり天災地変による滅失の場合もここに入るかと思います。それから御指摘の輸出の場合、つまり日本国内から物理的になくなった場合に、それを滅失と見るかどうかということは、これは滅失の解釈と運用の問題になろうかと思います。  それから、精紡機をスクラップする者がないじゃないかという御質問でございますが、もちろんその点多少の心配がないわけではございませんけれども、われわれの感じといたしましては、御承知のとおりいまの法律昭和三十一年にできましたときに、これはどうも長期的に見てその分は動かないではなかろうかということで、まず最初に長期の格納を命じたものがございます。これが綿紡スフ紡梳毛紡合わせて百四十四万錘の長期格納でございます。この長期格納は三十一年以来もちろんいじってございません。そのときから約十年たっておりますから、極端なものにつきましては、繊維局の台帳には大体残っておるけれども現実の機械はもうないというふうなものもあろうかと思っておりまして、その百四十四万錘の長期格納分を大体スクラップ化の最低限というふうな感じ方をしてもいいのじゃないかという考え方をいたしております。  それから、この法案施行になりますときに業界とよく相談をいたさなければならないと思っておりますが、この間、四百数社からとりましたアンケートの答案によりますと、一応百八十万錘を廃棄するというようなアンケートの答案が業界から出ておりますので、あれこれ合わせますと、いまのアンケートの点などを手がかりにして、その程度はスクラップ化されるというふうに考えてもいいというふうに考えております。
  41. 森義視

    ○森(義)委員 私はこの間埼玉紡績を見てきただけですけれども、あのビニールをかぶっておる格納機械をしろうとが見ますと、スクラップ化されるのはもったいないという気がする。向こうの説明者は、もったいない、後進国へいったらいばって通るんですと言っておる。これがほんとうに廃棄処分にされる——これが買い上げられるのだったら別ですが、そんなものはたたきこわしてしまうというようなことが、いまの局長の答弁ではやれるようなお話ですが、私はしろうとですからわかりませんけれども、それは不可能ではないか、むしろそれが新たなやみ精紡機になっていく危険性も若干あるのではないかという気がするわけです。そういう点について、専門家の加藤さんがまだ控えておられますので質問していただきますが、私は以上の点をいままでの質疑応答の中で感じたわけです。  要約いたしまして、やはり輸出の振興というこの法案目的を達成するためには、どうしても設備の制限だけではだめだ、もっと輸出の振興に対する広範なことを考えてもらいたい、その中で特に批判の対象になったチープ・レーバーに対する配慮が欠けておる点が不満だ、そういうことを強く主張いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  42. 二階堂進

  43. 堀昌雄

    ○堀委員 ただいま森委員のお尋ねになっておりました繊維機械廃棄のところを少し詳しくお伺いいたしたいと思います。  いまのお話で、この法律案は、廃棄をたてまえとしておるのではなくて、格納されておるものを生かすときに廃棄というものが結果として起こるというふうに私は理解をいたしております。そこで、いまも森委員のお話のように、なるほど格納されておる機械の中には十分使用にたえるものもあるだろうと思います。また、そうでなくても、やはりこれは私有財産であるには相違ないわけでありますから、財産であるものを完全にスクラップするということについては、多少何らかのメリットがなければ、ただそういう機械を復活する、あるいは登録権といいますか、一つ機械を使用する権利だけが廃棄に伴って認められるということだけではやや不完全ではないかという感じがいたします。それが、いま森委員が御指摘になったような廃棄がなかなか行なわれないのではないかという不安につながると思いますが、廃棄をすることによって何かメリットがあるかどうか。二対一で新設または格納中のものが使えるというメリットはありましょう。それだけか、それ以外に何かメリットは考えておられるかどうか、ちょっと伺いたい。
  44. 磯野太郎

    磯野政府委員 廃棄のメリットでございますが、廃棄自体といたしましてはあまりメリットはないと思います。考え方といたしまして、極端な場合、その廃棄をするという機械通産省台帳にはあるということになっておるけれども、現実には機械の影形がないという場合があろうかと思いますが、こういう場合には廃棄による経済的な損失はないと思います。  それからもう一つは、なぜ廃棄が従来行なわれなかったかということに関連しましては、法律による登録ということによって登録の権利があって、それが権利化しておった、極端な場合にはその権利が売れるということがあったと思います。今度の法案におきましては、これは自動失効の規定になっておりますので、これが制定されますと四年後には明らかにそういう登録制度はなくなるわけでございます。これはだんだん四年目に近づくにつれてそういう権利が喪失するわけでございますので、その権利を温存しておこうということは、現行法に比べれば非常に希薄になって、最後はゼロになるということでございます。結局そういうふうなことを考えまして、あと企業の経営者の判断といたしまして、そういうふうな影も形もない、あるいは使えない機械を握りつぶして現実に使える機械を一台つくって生産をやる、そうして販売活動をやったほうが企業として得なのか損なのかというような判断になると思いますが、そういう判断が行なわれた場合には、廃棄は進行するという考え方をしてもいいのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話は、私は一面はそういうことがあると思いますが、そのことは実はわりに消極的な面だと思います。やはり少しここの中にメリットを見てやると、廃棄は進捗をするのではないか。そこで、なるほど格納されております機械の中にも、まさにいまのお話のように、登録はされておるけれども、実際はないのもあるかもしれない。あるいは部分品をすっかりはずしてしまって、これを使おうと思えば、たいへんなことになるかもしれません。しかし、いまの森委員の御指摘のように、これはそのまま使えるものも格納されておると思うのであります。  そこで私はちょっとここで提案をしてみたいと思いますが、この機械の問題については耐用年数の問題というのが確かにあります。——主税局は来ましたか。
  46. 二階堂進

    二階堂委員長 いま大蔵省は柏木財務調査官と村井財務調査官だけです。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 それではちょっとその点だけあとにいたしますが、要するにやはり廃棄をする品物によってメリットがあっていいんじゃないか。完全にだめなものをスクラップにする、実質的にはくず鉄としての価値しかない、それならスクラップにしても損はない。しかしまだ使えるものを廃棄しようということになったら、これは何かメリットがないとやはり問題が生ずる。そうするとそういうものを認定をして、新設をした機械についての耐用年数をうんと短縮をしてやる、それに見合って次に新設をする場合、その新設機械に限っては耐用年数をうんと短くしてやるということになれば、非常に安く実質的には新しい設備を使えるということにつながってくると思います。その間のことはひとつ事務的に皆さんのほうと大蔵省と相談をされて具体的な措置を講じられるならばいいと思いますけれども、多少その点のメリットがつかないと、やはりさっきの森委員指摘にあったように、格納されておったものがまたもややみ紡機に姿を変えないとは言えないということを、私は一点感じておるわけであります。  二点目は、さっきちょっと問題になっておりましたところの輸出の問題であります。そこで、過去においてはそういうメリットがありませんでしたから、私はこういう中古機械の輸出というものはあまりなかったと思います。しかし先ほどの御答弁のように、物理的になくなったということは、これは滅失だと認めるということになれば、二台輸出すれば一台新設機械がつくれるということになりますから、この場合はこれまでとはだいぶ条件が変わってくると私は思います。いまのような使える機械であるならば、何とか外へ出せば金は入ってくる、そうしてそれに伴って権利が生ずれば、これはスクラップにたたきつぶすよりは非常に有利になります。これまでとは非常な相違があるわけでありますから、ここで私は中古機械の輸出というものが起き得る条件が非常にはっきりしてきておると思う。いろいろ伺ってみると、まあないだろうという話もありますけれども、しかしこの制度自体をずらっとながめてみるならば、廃棄目的ではないのですから、要するに新しい機械をどうやってつくるかというための手段としては、やはり私は輸出というものは新たな一つの方法としてあらわれてくる、こう考えるわけです。そこでその輸出については、現在は普通の輸出は認めないのかどうか、中古機械をそのままで輸出することは認めないのかどうか、その点をちょっとお答えをいただきたい。
  48. 磯野太郎

    磯野政府委員 中古機械の輸出を認めておるかどうかという御質問だと思いますが、現在の考え方といたしましては、ある制限内で輸出をしてもかまわないというような考え方をしております。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと、そのある制限内という表現ではわかりませんが、ある制限というのはどういうことでしょう。
  50. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 ただいまの御質問でございますが、中古機械の輸出というのは自由でございます。自由でございますけれども、実態は先ほど先生のお話がございましたように、大きな量というものはあまり出ておらないと思います。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 自由であるけれども出ていないということは、いまは輸出をしてもメリットがないですから、何も無理に輸出をする必要はないと思いますけれども、これは輸出自体が目的ではないのです。滅失ということが新しい新鋭機械を使う、設備をすることができるという前向きの条件の結果として輸出をするということですから、実はこれまでとは違って、新しい輸出ドライブがかかる制度になっておるのです。この点については、やはりいまの日本の繊維機械がかなり輸出されておると思いますけれども、同時に価格を非常に安くすれば輸出は可能である。非常に価格が安くても、スクラップにすればゼロですから、くず鉄の値段よりはもうかるものであるならば、これは資本主義の原則ならば輸出は起きるだろう。起きるのが筋道としては当然であると私は考えるわけですが、結果はどうかわかりません。いまの紡機の状態を、通産省として、今度凍結をされるのは三百四十五万錘となっておりますけれども、その紡機の実態を調査されて、御存じでしょうか。いますぐ稼働できる紡機というのは何個あるのか、完全に登録になっておるけれども実体がないのが一体どれだけあって、どういうことになっておるか、調査をおそらくされていないと思いますが、されていますか。
  52. 磯野太郎

    磯野政府委員 非常に正確な調査かどうか多少疑問がありますけれども、先日行なわれましたアンケートによりますと、これはその時点におきまして、やはり三百五十万錘程度格納という集計になっておりますが、その中でこれはまだ使えるということで企業者としては解除したいという答えになっておるのが四十二万錘くらいございます。一応この辺がめどではないかというふうな感じがいたします。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきのお話で、三百五十万錘のうちでスクラップにしたいというのが百八十万錘ということでございましたが、そうするとあと百七十万錘というのはスクラップにしたくないものがあるわけです。その百七十万錘の中の四十二万錘は使いたい、こういうことですから——それは、使いたいというのは、皆さんのほうの計算でも出ておりますけれども、凍結解除を五十五万錘予定をされておるわけですから、そのカバレージは大体八〇%であるということであるならば、これは大体皆さんのほうで考えておる凍結解除に見合うものがアンケートの中で四十二万錘出てきたと思います。これはもう完全に普通に使えるというものなんです。ところがスクラップにするというものは百八十万錘ですから、その間に百七十万錘から四十二万錘を引いた約百三十万錘ぐらいはスクラップにしたくない、すぐには使えないというけれども、その境界というものは非常に不確定なものがある。これはアンケートでございますから、その点は、私は業者を信頼していいと思いますけれども、調査としてはきわめて不確定なものだと思います。大体私に言わせるならば、私はこの委員会でございませんから、ふだんには皆さんの仕事は拝見しておりませんけれども、やや仕事が全体としてシビアーでない感じがするのです。凍結されておる機械が現状ではどういう状態にあるか、私は、凍結されたりいろいろしておるなら、通産省としてその稼働にたえ得る状態その他が精細に調査をされておるならば、こういう議論はもっと簡単になると思う。実はアンケート程度でありますから、その点で不確かでありますけれども、いまのような条件で使い得るもの、百三十万くらいは、これは売ろうと思えば売れるものがあるのではないかというふうに予測をされるわけでございます。そうなると、私は、中古機械を輸出する場合にはある程度の、価格制限であるとかあるいはその他諸条件について何らか制限が設けられないと、正常な輸出を阻害するおそれが十分生じるのではないか、こう考えます。少なくとも中古機械等がこの法律に基づいてスクラップにするよりはましだというかっこうで輸出をされるということは、正常輸出を阻害するという方向にいくことは間違いがない。そこで通産省として、正常な輸出を促進するために何らかの制限を当然ここに加えるべきだ、こういうふうに私考えますが、大臣、この制限についてはいかがでございますか。
  54. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説ごもっともでございまして、私たちとしては、いまあなたの仰せになった正常な輸出を阻害するようなものである限りは何らかの方途で抑制をする道を講じたい、かように考えております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのは普通の輸出でございます。その次に、もう一つ今度は資本輸出というかっこうで、こちらから機械を持っていって向こうで合弁の会社をつくるという問題があると思います。この問題は、何か香港に二万錘ばかり出たという例があるようで、これまではまだ十分にそういうものはないようでありますけれども、これについてもやはり同じことになると思うのです。機械を外へ持って出ることについては同様の問題になると思うのですが、いまの凍結紡機を資本輸出のかっこうで持って出る場合についてはどういうお考えなのかをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  56. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私、その場合も大体似通っておると思いますが、その資本輸出の形態、いろいろあると思うのです。資本輸出をやる場合に、こっちから人をどれくらい使うとか、あるいはこっちの資材をどういうふうに使うとか、いろいろあると思いますが、一応は、正常な輸出を阻害するというものであれば、できるだけこれを押える、こういう形で進めたいと思います。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 ただいま大臣の御答弁で、一般の輸出の場合にも資本輸出の場合にも、正常な輸出を阻害するおそれがある場合には何らかの適当な措置を講じられるということでございますので、この点についてはいまの機械のメーカーの不安は取り除かれたものと私は理解をいたします。  そこで、大蔵省も出席をいたしておりますからちょっと伺っておきたいのですが、繊維機械の輸出の延べ払いのいまの日本側の条件は、どのくらいを認めていますか。
  58. 村井七郎

    ○村井説明員 私たち延べ払いを承認いたしておりますときに、これは通産省から同意を求められて、その同意に返事するというかっこうでやっておりますけれども、いまの標準的なあれは、一五%、二〇%の頭金がございまして、それを七年、八年というような期間で延べ払いを実行しておる、こういうのが普通のケースかと思います。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 通産省のほうにお伺いをいたしますが、イギリスなりイタリアなり、その他の諸国の繊維機械の延べ払い条件は、現在どういう状態になっておりますか。
  60. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 相互に非常に秘密でございまして、実態はつかみにくいわけでございますが、ただいま大蔵省から御説明のあった条件よりは相当有利な条件で出しておるということを聞いております。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 いま具体的な御答弁がないから、実は議論が非常にしにくいのですけれども、私の承知しておる範囲では、イタリアなりイギリスの延べ払い条件はかなり大幅にゆるくなっておるように聞いておるわけです。イタリアやイギリスがやれることが日本がやれないなんといったら、池田さんはどうかしておるのではないかという感じがする。世界の大国だといって大みえを切っておる日本が、少なくともイタリアと対等に競争ができる程度の諸条件は、輸出の問題についてはやはり考えるべきだと私は思うわけです。  そこで、きょうは時間がございませんからはしょりますけれども、要するに、まず通産省のほうにお願いしたいのは、各国が秘密にしておりますからわかりませんでは勝負になりませんよ。それこそさっきお話が出ました経済外交の問題でありますから、少なくともイタリアなりイギリスが、どういう条件に基づいてどういう延べ払いをやって、どの程度の機械を入れておるか——私は、繊維機械については、日本の繊維機械は世界で競争して何らひけをとらないレベルにあると思うのですが、同じレベルにあるものが競争するならば、日本のものが勝つのはあたりまえだと思う。昨年も私欧州にまいりましたけれども、日本の機械は、少なくとも光学機械であるとかあるいは弱電機械については、ベルリンでもハンブルグでも、とにかくドイツの市場に一ばい出ておる。向こうの写真機屋には、ドイツの機械を出しておるところで日本の機械を出していない店が一つもないということを私はこの目で見てまいったわけですから、機械が優秀であれば世界どこにでも出られるのは間違いない。その競争に耐えられない一つ条件の中には、支払いの諸条件というものが大きなウエートを占めておるのは間違いありません。ですから、少なくともイタリアなりイギリスがやっておる程度には、これは通産省も十分調査して大蔵省側に協力を求めるべきだと私は思います。私は本来大蔵委員でありますが、その点については通産省に協力いたしますから、どうかひとつそういう意味で十分調査を進めて、今後大蔵省側と十分協議を進めて、この繊維機械を世界的に出すような努力をしていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  大蔵省主税局は来ましたか。——どうも政府が入っておりませんから、時間があまりございませんので、一応これで今回の問題についての質疑を終わりたいと思いますけれども、いまの税制上のメリットの問題は、私後ほどまた大蔵省を呼びましてよく話をしてみますが、少しきめのこまかい行政措置考えていただくことが、私はやはり廃棄を促進することになるのではないかと思います。そういうものを持っておること自体は、いまあなたもおっしゃったように、登録の問題というのは四年先になればゼロになる。だから、それまでの間に少しでもそれを生かしていこうということにはなりましょう。なりましょうけれども、やはり使えるであろうと予想されるものが百三十万錘ほどあるわけですから、それをつぶすについては、何らかその他のものとの間にメリットがあってもいいのではないか。そのメリットを考える場合には、さっきお話の金融の問題等ありますけれども、率直にいって、開銀が十億くらい出すようなことではスズメの涙です。だから、そういう点では金融の点もやや不十分であります。時間があれば、担当者が来ておるから論議したいと思いますけれども、この点やや不十分でありますから、税制上の問題として、この点はもう少しきめのこまかい行政指導をして、そのためには、通産省側で現在凍結を予想されておる三百四十五万錘の実態は通産省で見なければいかぬと思う。アンケートで知るのではなくて、通産省で一回きちんと点検されて、こういう機械については廃棄した場合にはメリットとしてこの程度のことはいたしましょうとか、一つ一つではこまかくなりましょうから、ABCDEくらいに分けてもいいですから、何らかの措置をそこらで講ずることによって廃棄が促進されることになったほうが、いろいろなあとの問題は少なくなるのではないか。そうなったときに、無理なことをして輸出をしたり資本輸出をしなくても、そのメリットの中で業者自身も自主的な御判断をされるのではないか、こういうふうに考えます。もう少しきめのこまかい行政をしていただいて、大蔵省とも御連絡の上、耐用年数等についてもひとつ格段の措置を講じられるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  62. 磯野太郎

    磯野政府委員 ただいま御指摘になりました精紡機につきましては、アンケートではなくて、私のほうで悉皆調査をやりました表がございます。大体昭和二十年、昭和二十五年、あるいは臨時措置法以後のものに分けまして、これは格納、稼働を問わず調べたものがございますので、これはあとでお届けをいたします。  それから税制の問題につきましては全く御指摘のとおりでございまして、一応私どもといたしましては過剰二錘をつぶした場合の新設一錘につきましては特別償却を考えまして、これは私どもといたしましては大蔵省の御了承を得たものというふうに心得ております。  それから全体の問題につきましては、御指摘のとおり労働問題が繊維工業にとっては一番の問題でございまして、これを打開するためには非常な近代化、合理化をやらなければいかぬわけでございます。結局は近代的な設備の導入ということになるわけでありますが、こういう点についての税制の問題につきましては、私どもといたしてはただいま研究中でございまして、できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 わざわざ呼んで一言も聞かぬのも悪いから、大蔵省が入りましたからちょっと簡単に言いますが、今度この繊維工業設備法ですか、これに伴って廃棄処分をした場合に、新しく一台機械がつくれることになる。しかし、せっかく動く機械廃棄するわけですから、その点についてはメリットを考えたらどうかと私は提案をしておるわけです。いま繊維局長の話を聞きますと、そうやって復活した新しい機械については特別償却をひとつ認めてもらうという方向で処理をしたい、こういうふうなお話がありましたが、何といっても使える機械をスクラップにして新しい機械をつくりたいということについてはメリットを考えてやるべきだと考えますので、ひとつ大蔵省側としていまの特別償却の処置のしかたも、何も一律に考えることはないので、普通の特別償却とこの場合におけるものは、これは異常な例でありますから、そういうものについての特別償却よりも幅をさらに考慮する等、ともかくそういう廃棄処分が円滑に行なわれるような措置について大蔵省側に協力を求めたいと思うので、いまその点については通産省の側も大蔵省と協議をいたしますと、こういうことでありますが、ひとつその点を簡単にちょっと答えていただきたい。
  64. 山下元利

    ○山下説明員 ただいま御指摘の点につきましては、大蔵省といたしましても通産省と十分協議をいたしまして、その御意見等も承って十分善処いたしたいと考えております。
  65. 二階堂進

  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 委員長に協力する意味におきまして、ほんとうはたくさんございまするが、ダイジェスト式に簡潔にいたしたいと存じます。しかも、ほんとうは、事繊維に関する限りは、輸出に例をとりましても、十三億ドルの余でございまして、これは日本第一の産業でございます。その日本第一の産業を改革するにあたって、わずか三時間や五時間審議してこれで事足れりなどというような、そういう考え方がすでに間違っておる。ところが、まあどうしてもと皆さんがおっしゃれば、私、協力するのにやぶさかではございません。そこで簡潔にお尋ねをいたしまするので、答弁者もひとつぜひ簡潔にお答えが願いたいと存じます。  まず第一番に、この法律は一体日本の国のために施行されるのか、それともアメリカのために行なわれようとしているのか、大臣、いずれかをはっきりしていただきたい。
  67. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 日本のために施行いたすのであります。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうおっしゃるだろうと思いました。そこで、だんだんと答弁の筋が通ればよろしゅうございまするが、通らない場合には、やむを得ませんので、証拠をあげて反論をしなければなりません。  まずそれでは日本のためというのを額面どおり受け取りまして、次に進みまするが、十三億ドルも輸出している。たいへんな功績です。繊維業界は日本産業の母体でございます。エネルギーの石炭とともに、日本経済の大黒柱でございます。これの大改革を行なおうとするにあたって、その法律に伴うところの予算は一体どの程度裏づけがございまするか。
  69. 磯野太郎

    磯野政府委員 一番大きなのは財政投融資で、開発銀行の十億でございます。そのほか若干の事務的な施行予算がついております。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 一体十三億ドルの利潤からいきますと、十億円というのは何分の一でございますか。そんなことでこの法律が完全に施行されると思うてみえまするか。だから、私は、先ほども大蔵省の石頭どもに言うておる。大臣、これで完全にこの法律が遂行できるとお考えでございますか。福田(一)国務大臣 私は、法律というものはすべて国家の協力のみによって施行されるものではない、業者相互の間の問題として解決されるべき問題も多々あると思うのであります。したがって、予算だけの問題を論じて、この功罪を論ずるわけにはいかないと考えるのでございます。しかしこれが十分であるかどうかということになりますと、必ずしも十分とは申し上げられませんが、われわれとしては、できるだけの努力をいたしまして、今後におきましても御趣旨に沿って十分努力を傾けたいと存じておるところであります。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、本法を施行しようとするにあたって、通産省としては大蔵省へどの程度の要求を出されたのですか。
  72. 磯野太郎

    磯野政府委員 当初の要求は、開銀は三十億でございます。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 それを十億に削られたとおっしゃるのですね。
  74. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまでき上がっております財政投融資は十億でございます。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣大臣はこれについて何とお考えですか。福田(一)国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおわ、遺憾ではありますが、全般の国政運営のためにはやむを得ないと存じております。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 やむを得ぬとあなたがあきらめておるようでは、やみ紡機は当然生き残ります。そこで、あなたも御存じのとおり、このことは日本だけではない。イギリスにおいてすでによき先例があるわけなんです。イギリスは、これを実行するにあたって、御存じのとおり三千万ポンド出しておる。日本金に直して三百億なんです。織機一台について二十五万円も出しておるのです。それが先ほど来堀君の言うたメリットの問題になってくるわけなんです。片やそれなるがゆえに、これは完全に実行に移されたわけです。ところが、国民の良識と国民の道徳心にのみ訴えて、それは修身教育ならそれでよろしいかもしれませんけれども、これは経済問題なんです。経済の法律なんです。わずか十億——十億とは一体なんですか。紡績の錘にしてどれだけ買えますか。
  77. 磯野太郎

    磯野政府委員 錘を二万円といたしまして計算いたしますと、十億でございますから、約五十万錘になります。
  78. 加藤清二

    加藤(清)委員 いやいや、計算し直してください。
  79. 磯野太郎

    磯野政府委員 五万錘でございます。
  80. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおり五万錘です。五万錘とはわずか経済単位の一工場にしかすぎません。しかもなお、同僚議員の質問に対して、百八十万錘のスクラップ・ダウンを実行しようとの御計画のようでございます。それに引き続きまして一万錘について三百台の織機が続くことは御案内のとおりでございます。五万錘、これは精紡機だけの話です。それに整経機やら織機を加えていったら、五万錘の工場をつくるにあたって十億円でできますか。できたら私は買いと出ますが、どうですか。先ほど来スズメの涙という話が出ていますが、これは完全に二階から目薬なんです。風が吹いたら飛んでいっちゃう。届かない。そんなことで実行に移されるとお思いですか。正気のさたですか、大臣
  81. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 正気のさたでございます。(笑声)
  82. 加藤清二

    加藤(清)委員 三年生の三期大臣だけあって、言いのがれの答弁だけはうまいようでございまするが、しかしこれでは全く実行する意思ありとは考えられない。先ほど来の繊維局長の念願、これだけはよくわかりました。何とかしたい、何とかしたいという念願だけはよくわかりましたが、お寺へお参りするのでもおさい銭が要るのです。ましてや人の財産をスクラップ・ダウンするにあたって、ただでしようとする。そんなむちゃな、時代錯誤的な考え方が今日通りますか。改める意思はございませんか。
  83. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 それは、いわゆる繊維関係業者が、このままにしておけばますます悪くなるのを、お互いにそういうふうにして少なくすることによって業界の利益を確保しよう、こういうのでありますから、自分も犠牲を払う、国に対しても協力を求める、こういうたてまえで法案ができておるわけでございます。
  84. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおりです。だからこそ、政府も、これに対する補助金、犠牲者に対する補償——もちろん政府に全額を持てとは言うておりません。生き残る業者はそれによって得をするのでありまするから、たとえば建設省における道路建設、そのおかげで周辺の道路ができた、その周辺は地所代が上がったという場合には、これは減らされるのも共同、あとの利益の供与も共同、いわゆる区画整理組合とか、土地整理組合という姿においてこれが行なわれている。人の財産所有権、しかも権利金までついているものをただかってに処分せよといったって、だれがするものですか。このままでできるとお考えですか、大臣
  85. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、民主主義とか議会政治というものは、国会において法律が定まりますれば、自分らの代表者がきめた法律でございますから、これは守るべきものであり、また守られるものだと思っております。
  86. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、それから局長もよく聞いてください。これはきょうに始まったことじゃございません。十年前からやっている。法律で十年前からきめている。法律できめたら守られるのだ。それを期待なさることは、これは当然でしょう。そうあると思うということばは、これは大間違いなんです。そうあるべきであるならば、なぜ幽霊織機、幽霊紡機を許しておるのです。十年来なぜそれを許しておるのです。しかも大臣は一年生じゃないはずです。三年生なんです。長きにわたってこのことは御存じのはずなんです。材料が統制時代においてなおかつ幽霊を奨励するごとき行為が行なわれていた。いわんや材料は自由、製品は自由、そういう場合に、生産部門だけを制限して、それでそこの機械をスクラップ・ダウンさせようなんという、そんなことが行なわれるとお思いですか。期待だけじゃ困りますよ。これからつくる法律と違うのです。法律どおり行なわれるとするならば、過去十年の間なぜ幽霊織機を許しておったのです。そのおかげで正直者はばかを見る、制限を受けて、額面どおり受け取って自主制限をしてやったものは倒れていったじゃございませんか。池田総理は、中小企業の倒産は、口を開けば思惑だとこう言う。正直者がばかを見て倒れていったんです。だから、同僚議員が、正直者がばかを見ないように、ばかを見ないようにと再三言われる。ただ期待だけでこれができますか。具体策を述べてもらいたい。
  87. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げましたように、法律があっても、それが守られないのは非常に遺憾であります。しかしこういうことは必ずしもこの問題だけではありません。これは国民の道徳心あるいはそういうような社会的正義感というような、いろいろな問題、あるいは民主主義に対する理解、いろいろな問題があるでありましょう。私は、これを絶滅するということは、実際問題としてなかなか困難だろうと思います。しかしそれは努力はいたさなければなりません。したがってまた私たちは許してはおりません。許してはおらないけれども、事実問題として存在した、こういうことだと解しておるのであります。  それから、この法律で今後目的が達成せられるかどうか。これについては御案内のように審議会等の意見も十分に伺いまして、こういう法律をつくったらよろしかろう、これがいまの現実の問題、そういういま加藤さんが言われたような問題もよく知っておられる人がみんな集まっておつくりになって、こういうのがよかろう、こういうことであります。いまの時点においてはこの程度がよかろう、これよりほかにはいたし方がない、こういうことなんであります。十全を期するということは、神さまや仏さまの世界ならできるかもしれないが、人間の世界ではなかなかむずかしゅうございます。そこでこの程度ということを言っておるわけでございます。
  88. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はあくまで経済を論じているのでございます。神仏論や宗教論ではございません。そこで一番簡単な問題は、政府が予算をつけるということなんです。その問題について後刻また討議する、研究するというお話でございまするから、そのときに詳細申し上げたいと存じまするけれども、こんなことはきょう始まったことじゃない。すでによき先例がイギリスにもある。研究不足、努力不足、金惜しみである。  そこで次に進みます。   (「以上」と呼ぶ者あり)私が立って何分しゃべりましたか。何でそんなことを制限しなければならないのか。いまは私の発言を制限する時間じゃありませんよ。繊維設備を制限する時間ですよ。(笑声)  そこで、この一つの手は補助金を与える。権利を喪失する人を経済的に救うということ、これが一つの手なんです。もう一つの手は、スクラップ・ダウンを完全に履行するために、その処置を、これを同業者の仲間の意思によらずして、イギリスが行なったごとく、ほんとうにこれをダウンするところの専門家の機械屋にまかせるということが、一番大切なんです。その両輪がありさえすればこれは完全にできる。それなくしてこれをやろうといったって、できっこない。スクラップ・ダウンをする場合に、自由にまかせておくもんですから、自分の所有権をゼロにするという人はないわけです。みんな生きて返ってくるわけなんです。大紡の中古機械は、すぐ隣に工場が建って、そこで稼働する。それが幽霊とこういうことになる。しかもなおそれには政治家が介入しておるはっきりした事実がある。やみを奨励している。そのやみの設営にあたって、国家の金をそこへ投入させておる。つまり奨励しておるわけなんです。そういう具体的事実があるんです。幸い政務次官はその道の達人と心得ます。こういう問題について政務次官の見解を承りたい。あなただったらどうしなさる。
  89. 磯野太郎

    磯野政府委員 今度はスクラップいたします。精紡機は絶対にスクラップしてもらいます。政府が現地につきましてそれを確認いたします。それから絶対スクラップ化をはかるために機械メーカーを使ったほうがいいということであれば、そういう点も考えます。考慮いたします。
  90. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは次へ進みますが、確かにこの法律は日本の経済のためだと大臣はおっしゃった。私もそうありたい。そこで承りますが、日本のためだとするならば、これは日本の業界のためでございますか、それとも国民のためでございますか、いずれでございますか。
  91. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 一つの事業というものは、国民のためでないような事業は絶対に栄えません。したがって両方のためでございます。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 ごもっともでございます。私もそうありたいと存じます。しかし、国民に利益を供与する、分配するという立場からいきますと、繊維製品の場合はいかなる方法がございましょうか、大臣
  93. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 繊維製品ということになれば、よくて安いものをつくってもらうということでありましょう。
  94. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおり。戦後確かに繊維製品はよくなりました。強くなったものは女性とくつ下だといわれている。ありがたいことです。しかし、コストは一体いかがでございましょうか。生産は伸びた。生産性は向上した。原価コストはダウンされたはずです。ところが、はたして小売り価格は上がったか下がったか。公取の委員長がおられましょうから……。
  95. 磯野太郎

    磯野政府委員 繊維製品の小売り価格はあまり下がっておりません。
  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 あまり下がっていないというとよく聞こえるのですけれども、これは上がりっぱなしですよ。ところで、その上がりっぱなしは国内だけの話なんです。波打ち際から外へはこの影響は及ばない。なぜかならば、国際プライスで売買されなければならぬからでございます。そこでどうなっているかというと、繊維製品も、他の口昨日と同様に、内地高のFOB安ということに相なっておる。このことが先ほど来言われておりますところの輸出を難渋させる原因に相なっているわけでございます。日本の国民が高く買わされて損をし、外国へは安く売ってクレームをつけられる。これが日本の繊維製品のコストのあり方でございます。これについて一体大臣はどのような施策、対策をお考えでございますか。
  97. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 海外に安く売って国内に高い。これは好ましいことではございません。しかし、海外によけい売るということは、生産量が多いということであります。したがって、海外に売らなかった場合には、あるいは国内ではもっと高く売ったかもしれません。こういうことが一つあります。それからもう一つは、この生産過程においては、一定の値段が下がってきておっても、流通過程において、これの流通機構がうんと合理化されていないと、いろいろな問題が起こります。また、今度は取引関係において、これはもう加藤さんが一番専門家だから御存じだけれども、取引のやり方いかんによって、また非常に問題が起きる場合もあるわけであります。いずれにいたしましても、私たちとしてはそういうことを順次合理化する。すなわち、海外において安売りがあるような場合には、輸出秩序というものをよく考えて輸出をする。国内においてはいわゆる流通過程において問題を考える。さらにまた、いま問題になっておりますいわゆる化繊化学というようなものができて、そしてほんとうに安くできておるのに、いわゆる大企業がもうけておるというような場合があれば、これは行政指導考えていかなければならない。こういうふうにその業状に応じた対策をいろいろ講じていくべきであると思っておるわけであります。
  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題はまた別な時期に討議するといたしまして、コストが内地が高いという問題と、もう一点は非常に不安定という問題がございます。この不安定であるということは、やがて、国内はいざ知らず、輸出振興上非常な阻害を来たしていることは、大臣すでに御存じのとおりでございます。一体何が不安定の要素であるかということは、調べるまでもなく、政府がその不安定の要素を助長しておるという問題があるのでございます。すなわち三品市場でございます。したがって、参考人あたりも、もう合成繊維は三品市場から除外してもらいたいということをはっきり言っているのでございます。なおかつ、毛製品の場合も、わずか五%ばかりの生産量のものに対して全体のその投機が行なわれては困る、こう言っております。すでに大臣御存じのとおり、あなたは名古屋につい先日行かれて、新聞記者会見でこの問題にも触れておられるわけでございます。そこで、三品市場を全廃する。もともとつなぎの場であったのです。機場が糸がなくては困るからというので設けられたものが、今日ではここが大衆投資のギャンブルの場と化して、投機の場と相なっている。これについて大臣としては一体どう対処なさろうとしていらっしゃるか。
  99. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 取引所にはそれぞれの必要性があって生まれておりますが、一方また時代が変わっていきますと、これが弊害を生む場合もあります。したがって、この問題については十分考究をいたしまして、善処をいたしてまいりたいと考えております。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 再検討し善処するとおっしゃられましたが、それはいつごろまでにおやりになりますか。
  101. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 重大な問題でございますから、時期を明言するわけにはまいりません。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 繊維局長は、大臣から指示を受けたら、どの程度の期間を要するとお考えでございますか。
  103. 磯野太郎

    磯野政府委員 非常に重大な問題でございますので、もし御指示がございますれば、大臣の期間の指示によってやりたいと思います。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではウナギ問答だ。大臣はわからぬと言うし、繊維局長は、いつすると言ったら、大臣指示を受けてからやると言っておる。それじゃてんでやる気がないということなんだ。本問題はすでに業界の長期にわたる声となっている。しかもなおそのことあるがゆえに、去年名古屋の繊維取引所においては、取引所自体が危急存亡の事態に追い込まれたこともある。その結果は、国民大衆に、原料高の製品安とは逆に、原料安の製品高によって高いものを売りつけた。これがやがて輸出の長期計画に阻害を来たしたということでございます。したがって、これはすみやかに調査検討をして、その結果を至急本委員会に報告されんことを要望いたします。それはできますか。これは大臣に要望しても、七月改造ということがありますから、繊維局長……。
  105. 磯野太郎

    磯野政府委員 よく大臣指示を受けまして、その指示に従って善処いたします。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に、いずれの場合もそうですが、特に石炭産業とか繊維産業のように大中小こもごも雑居している業界においては、どうしても上に厚く下に薄くなりがちでございます。そこで、中小企業の倒産でございますが、糸へんの業界にこれが一番多いのでございます。一体大臣としては、中小企業の倒産のうち、特に繊維関係の倒産が非常に多いという原因は那辺にあるとお考えでございましょうか。
  107. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私が申し上げるよりは、加藤さんのほうが専門家で、いつもあなたから教えていただいておるわけでございます。この前の予算総会でもあなたが発言をなさいましたが、もうち一、んとお示しをいただいておりますので、煩を省かせていただきたいと思います。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたは、名古屋における記者会見において、中小企業の倒産には万全を尽くすと、こう言うておられます。万全とは一体何でございましょう。
  109. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 できるだけのことをするということでございます。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこれを「まんぜん」とは読みたくない。「ばんぜん」と読みたいのでございます。したがって、ぜひひとつ万全を期する意味において、中小企業の倒産を回避をしてもらいたいと思いまするが、そのうちの一つがいまの三品市場の整理でございます。総理は、口を開けば思惑だ、こう言われます。中小企業の倒産を思惑が原因だとおっしゃいます。しかし糸へんの業界で思惑のできるそういう業者が何軒あるのでございましょうか。ほとんどございません。綿の十大紡、毛の六大紡、これはいざ知らず、中小企業において思惑ができるなんていうのは全然ない。しかしなお結果として思惑が生じているのでございます。それを、その原因を探究せずして、ただ結果だけを見て、中小企業の思惑だからいけないとおっしゃいます。  そこで、私はきょう時間がないから大急ぎで一つだけ出します。結果として思惑が生じてくるというのは、デパートの返品でございます。せっかく契約して納品しても、季節が済んだらこれが返ってくる。これが三月危機、六月危機の原因でございます。いわゆる糸へんの危機は三、六、九といわれておりますが、なぜそのときに危機がくるかといえば、返品が一番の原因でございます。これは渡邊さんの一番専門でございましょうが、公取の特殊指定で返品はいけないということになっております。公取の委員長、百貨店の不公正取引のうちで一番いけないものの筆頭に返品があるのでございます。一体何割ぐらいあるとお考えでございましょうか。
  111. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 どの程度の返品があるかということでございますが、総括的な数字は私のほうで持っておりません。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのほうが正直です。繊維局長はわかっておりますか。
  113. 磯野太郎

    磯野政府委員 わかっておりません。
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおりです。なぜそうなるかといえば、これを正直に証言すれば、デパートの納入を以後禁止されるからです。だから、たたかれながらも、泣き泣きながらも、その手にすがっていくというのが糸へんの流通部門の事態なんです。しかし今回いみじくも業者仲間でこれをつくった。これには、糸へんの既製服に例をとりますと、デパートにおいては三割余が返品だ、こう書いてあるのです。小売りにおいては地方によって違う。都会が多く、いなかほど少ないという結果が出ておる。一番返品の少ないところで五%程度、一番多くはデパートで三割。さて、糸へんの利益はなんぼございますか。三割もございますか。三割以上の利潤を取っておるのはデパートだけなんです。仲買い、問屋の口銭は、輸出にして四%、内地売りにして一割が最高なんです。売ったわ、三割が返ってきたということでは、これは勘定合って銭足らず、いわゆる黒字倒産の原因になる。これについて公取委員長、そういう具体的事実をあなたに提供したらどうなさいますか。
  115. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 具体的な事実をお示し願えれば、御承知のように現在特殊指定がありまして、そこにおいては許される返品と許されざる返品が定められております。それに対して公取としてはしかるべき処置をとります。
  116. 加藤清二

    加藤(清)委員 同時に、せっかく中小企業が苦心惨たんして考案いたしましたよい柄の、とめ柄を行なっているのでございます。それはよそのデパートに売ってはいけないということなんです。おれのところだけ納めろ、そうして納めたら、それが季節が過ぎると返ってくる。こういう過酷な取引、前時代的な、殿様と足軽との関係のような取引が、今日日本一のりっぱだといわれる東京都内で行なわれておる。国会の足もとで行なわれておる。それを知らずにいて、思惑を中小企業がかってにやったんだからいけないと言う。思惑のもとは三品市場であり、返品なんです。それを放任しておいて罪だけ中小企業にかぶせるというやり方は、はたして民主主義的な政治形態下における経済施策でございましょうか。大臣は、これの具体的な事実があったら、どうなさいますか。
  117. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 順次行政的に措置をして直してまいりたいと思います。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは通産省ではどこが担当いたしますか。
  119. 磯野太郎

    磯野政府委員 企業局でございます。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうおっしゃるだろうと思ったのです。それだから問題なんです。三品市場の問題も企業局とお逃げになるでしょう。それで何ぞ勢力を張るときだけはおれのほうじゃ、おれのほうじゃ、困ったときはあっちのほうじゃ、あっちのほうじゃ、これでは事が運ぶはずがないです。大臣は最高の責任者でありますから、ポジションのいかんを私は問いません。だれかれという問題じゃなくして、協同して通産省があげて消費者を守る、消費者に安い物を渡す、それのネックになっておるあまたの諸原因は除去していく、こういう態度に出ていただきたいと思うのでございますが、大臣の御意見を伺います。
  121. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 繊維局長が申し上げたのはただ窓口でございまして、責任は通産省全体でございます。またそれを統括して処理をいたしてまいりたいと思います。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 再び機械に戻ってお尋ねいたしますが、その設備の制限が確実に行なわれたとしても、同僚議員からもすでに質問がありましたが、設備能力が非常に増進しているのでございます。その結果は、設備だけとらえてみても、これは生産数量の制限にはならないのでございます。スピード違反を禁止なさるのか、それとも長時間稼働を禁止なさるのか、その点はいかがでございますか。
  123. 磯野太郎

    磯野政府委員 御指摘のとおり設備の能率は逐次あがります。一応過剰精紡機、あるいは四十三年度の数字につきましては、その精紡機の上昇率を加味して数字をはじいております。
  124. 加藤清二

    加藤(清)委員 スピードと稼働時間の制限は行なわれますかと聞いておるのです。
  125. 磯野太郎

    磯野政府委員 スピードの制限は別にいたしません。稼働時間につきましては、現行の十六時間半の稼働時間と心得ております。
  126. 二階堂進

    二階堂委員長 加藤委員に申し上げます。たいへん御協力願っておるのでございますが、理事会の申し合わせの時間もだいぶ過ぎております。いろいろ行事もございますので、できるだけ簡潔にお願い申し上げます。
  127. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのかわり私も要望いたしますが、答弁のほうも、余分なことを言わないでもいいですから、やるかやらないか、これはどうだと言ったら、そのものずばりと答えてください。  さてずばりと答えていただきましょう。繊維設備が新しく設営される。そのときの能力をどの程度に踏んでおられますか。設備改善をすると言っているのです。改善された設備は、能力はどの程度あがるのですか。
  128. 磯野太郎

    磯野政府委員 現在使っております設備の一番能率的なものを標準にしております。
  129. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは能率の一番いいやつを使うにきまっておるが、現在の設備と比較してどの程度能率があがるかということを聞いておるのです。それを計算せずにおったら、仕事にならぬでしょう。計算の基礎が……。
  130. 磯野太郎

    磯野政府委員 計算の数字はちょっと記憶しておりませんが、全部計算してあります。
  131. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間を急ぎますから、私が説明いたしましょう。大体従来方式でいきますと、紡績、にとります。六工程でできております。ところが、新鋭機に相なりますと、これは二工程でできちゃう。そこで人員の問題が、これは労働に関係してくるのでございますが、直接工場部門の人員は、単位の紡機をとってみますると、三百十八人要っていたものが、九十九人あれば十分まかなえるということに相なります。それからこの機械を使った場合の一コリ当たりの人員は、いままで九・一六人であったものが、二・七七人で済むように相なります。それからコリ当たりの製造費が、いままで二万六千百十五円から三万円前後でございます。それを六万円から七万円に三品市場でこうこうやっているわけだ。ところがそのコストは、大体最高二万一千六百八十八円から二万七百四十五円程度に相なります。こういう基礎がわかってないというと、計算ができない。そこで高性能のいわゆる梳綿機、この間見学なさった梳綿機のほうでいきますと、従来までの生産高は一時間について大体六キロから三キロを生産したものが、十四キロから十八キロ生産することに相なります。これは優に三、四倍に相なるわけであります。ずっとこまかいのがございますけれども精紡機のところへまいりまして精紡機に例をとりますと、スピンドルの回転数が、従来型でございますれば、一番最初この法律を審議するころは大体七千回だった。ところがいまでは一万二千回が普通でございます。ところで、新型機を設営いたしますると、一万七千回程度は優に行なわれる。したがって、十年前の計算と比べたら、優に一万回こえるという結果が出てくるわけであります。倍以上でございます。  こまかいところを省きまして、この結果の利点は、生産高一人当たりの人件費が節減される。設備費が減少する。据えつけ面積の減少、高速練条機を使えばこれは十分の一以下になる。これにラージ・ケースを使えば品質が向上する。工場の中で働く労働者の労力も減少する。こういう結果が生まれまして、これは一つ一つあげましたが、結果は相乗積が出てまいりますので、したがって数字からいきますと、これはますます産業の第二次革命といわなければならぬ。その昔十七、八世紀のときにランカシアで行なわれたあの第一次革命、それと相似たことがここで行なわれてくるわけなんです。それに相マッチするところの制度なり予算なりを含まれないと——この精紡機を備えつけなければならぬ。十億でしたか、十億で一体これがどれだけ備えつけられますか。話にも何もならぬといわなければならない。こういう場合に起こってくるのが労働問題でございます。第一次産業革命のときも労働問題が起こり、それがきっかけとなって労働組合が発生したわけでございます。人間の考え方まで変わりました。民主主義はこれから発生しました。そういうやさきに労働問題をどう扱われるか。機械がよくなった。工場はもうかるようになった。しかし労働者は配置転換あるいは左遷等々で首切られていかなければならぬ。そのかげに泣く者は労働者と中小企業者であるという結果が、私は目に見えるような気がしてかなわない。倒産の足音が聞こえるような気がしてかなわない。大臣、これについてどうお考えでございますか。
  132. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 現実の問題といたしましては、まだまだ繊維生産絶対数量はふえていくものと思っております。また輸出も、先ほどもお話があったように、伸ばすように努力いたしております。要するに生産数量がふえ、能率はあがるけれども生産数量がふえるということになれば、労働の問題にはそれほど影響がないわけであります。しかし、はたしてそのようにうまくいくかどうかというと、問題がございます。そこで、私たちとしても、労働関係についても、いわゆる労働者にそういうようなしわ寄せの来ないような努力をいたしてまいりたいと思っております。また中小企業がこれによってあおりを受けるようなことがないように、精紡機格納についても、できるだけ中小企業には有利なように考えておることは御案内のとおりであります。そういうような措置によりまして、いま述べられたような弊害ができるだけ起きないように、努力をしてましりたしと存じます。
  133. 加藤清二

    加藤(清)委員 急げ急げの注文でございます。私だけ何でそう急がなければならぬのか。けれども、皆さんの御要望ですからやむを得ませんので、私は一言だけ質問いたします。それでそうですとかそうだとおっしゃれば、これで終わります。しからば追って質問いたします。糸へんを守るのに、アメリカにおいてはパストール委員会というものがございます。これと対抗しなければならぬ時期に来ております。それについて、私は、これを日本にもつくる気があるかないか、つくるならばいつの時期につくるか、どういう内容でつくるか、これを承りたい。
  134. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 おのおのの国の産業はそれぞれの特徴があります。またおのおのの国の力は違っております。したがいまして、私は、パストール委員会というものの内容を詳しく存じておりませんから、ただいまここで同じものをつくるか、どうかということはお答えすることはできません。
  135. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういうふうにお答えだろうと思いますから、次に言わなければならぬし、私の冒頭の質問、本法はアメリカ国のための法律かとお尋ねしたのです。なぜ日本は自主規制をしなければならぬのです。なぜ日本はアメリカ輸出を制限されなければならないのです。日本だけがなぜ過酷に制限されなければならぬのです。貿易は自由化しておる。アメリカから原綿の買いは自由である。ところがそれを加工して輸出する場合にはこれが制限とおっしゃる。一体そんなばかなことがあるものですか。あなたは、予算委員会の席上において、アメリカのサゼスチョンがあるかないかの質問について、そういうことは知らぬとお答えになった。しかし、知っていらっしゃる事実は、箱根会談において大臣も事務次官も繊維局長も、こもごも立ってこの問題について触れていらっしゃるあの実例を見れば、当然御存じのはずなんです。日本の繊維設備の制限、日本のアメリカ輸出、これについて私は、時間を急ぎますから、一問一答でやりたいが、ここに証拠を公開して結論にいたします。すなわち、一九六三年七月三日午前、国務省で行なわれました米国側提案に関するところの会議の要点でございます。ケネディさんの命を受けたションソンさん——ジョンソンとはいまの大統領でございます。ルーズベルトさんと、これにケネディ上院議員が加わって、日本に対して何を申し入れたか、はっきりと答えていただきたい。
  136. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はそういう会議内容を存じておりません。
  137. 加藤清二

    加藤(清)委員 外務省は来ておりますか。
  138. 二階堂進

    二階堂委員長 外務省から加藤経済局次長、高杉米国カナダ課長が出席されております。
  139. 加藤匡夫

    加藤説明員 六三年七月に、ケネディ・マサチューセッツ上院議員、それに現ジョンソン大統領がケネディ大統領のもとを訪れたという話は、われわれ聞いておりません。その以前にケネディ・マサチューセッツ上院議員その他五名の繊維関係の議員がホワイトハウスを訪れ、毛製品の問題を陳情したということは聞いております。
  140. 加藤清二

    加藤(清)委員 一九六三年七月三日でございますよ。七月三日午前国務省で行なわれた会議に、わが国からは武内大使が出席されておるはずです。大畑事務官が出席しておるはずです。その会議において、アメリカ側の日本国に関するところの申し入れば、アメリカの政府の最高レベルで慎重に審議したものである、だからのんでもらいたい、こういうことを前提にジョンソンが申し入れをしておる。同時に、同じようにルーズベルトが述べておるわけなんです。それもまた、本件をのんでもらわないと、ケネディ政権が大きなハンディキャップを受ける、だからぜひ、とこう言っておる。私は、この詳細に触れて個々別に討議していきたいのですが、急げ急げの話でございますから、だからいずれこれは決算委員会その他でいたすつもりでございます。それならそれでけっこうです。  それで、これが本法すなわち制限をしたくないものに制限をさせられるということに大きな影響があり、確約をとられておる。先ほど大臣は、極力輸出振興に努力するとおっしゃられた。日本品が何がゆえにアメリカ国内において差別待遇を受けなければならないのか。先ほど出ましたとおり、明らかにこれは日米友好航海条約第十七条違反である。なぜ、法律に違反しているのに、はっきりとそこを交渉の材料にすることができないのか。大体日本の外務省の弱腰のしからしむるゆえんである。その結果が、やがてあり余るというよりも、乏しい金でつくった設備を遊休させなければならぬという結果になってきておる。なぜ自粛をしなければならぬのか。これはただ単に通産大臣の問題ではない。外務大臣と池田氏の問題なんだ。こんなものをのまされて、そうしてこれに合わせるように法律をつくっていくものだから、答弁ができなくなっちゃう。そうして念願だけに終わっちゃう。こんな重要な問題をひた隠しに隠しておったって、私は、事糸へんに関する限りは、取るべきところからちゃんと材料を取るんだから……。これについては外務省としての公的な意見を述べてもらいたい。
  141. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいまのお話でございますが、重々のお話でありますが、そういうような会議——私は日時は知りませんが、武内大使も出て何か会議をしたということは覚えております。しかし、それまでに至る間に、いろいろと日本の実情を強く申し述べておったことも事実であります。およそあなたもおわかりのとおり、これは商売です。貿易は商売です。向こうの業者も非常に困る人がおるわけです。自分の国の業者が非常に困る場合は、その国の政府が自分の国の国民のために努力をすることも私は当然だと思います。こちらもまた当然である。両方がそういうような権利を主張し、また自分の国の利益を守ろうとするのですから、どこかで妥協しなければなりません。その妥協が行なわれたときに、いささかこちらに分が悪かったか、よかったかということは、それは私は言えると思いますけれども、あなたのおっしゃるように、何もわれわれがしないで、全部アメリカの言いなりになっておる、そんなことは絶対ございません。これは御安心いただいてけっこうでございます。
  142. 加藤清二

    加藤(清)委員 そんなふうに解釈されておるから、次にまた言わなければならなくなる。何も向こうの言いなりになってやっておると言っておるのではない。これをのまされたと言っておる。それはなるほど西山さんのみならず朝海大使もずいぶん活躍されたことも、私はよく承知しておる。ところがのまされておる。しかもなお、アメリカ国における日本綿製品の反対の原因は、アメリカ国の政策であるところのコットン・ファーマーに対する援助政策からなんだ。その二重価格制度がやがて日本品はけしからぬということになる。ただレーバー・ダンピングだけではない。レーバー・ダンピングでいけなかったら、香港製品もポルトガル製品もみないけなくなるはずです。そこの製品はどんどんアメリカ市場において輸出が伸びておるのに、なぜ日本の製品だけが制限を受けなければならないか。それは日本がアメリカから二割安の原料を買っておるという、ここが問題なんだ。買っておるのではない。買わされておる。何も余分に二割安いわけじゃない。アメリカ国内における業者よりも二割安いということであって、国際プライスと比べたら何も安いものじゃない。買わされるがゆえにクレームをつけられるというならば、これはもはや市場転換の必要が生じてくるわけである。だからこそ、いまはなき高碕先生までが市場転換を盛んに言われたわけである。それがやがて後進国におけるフィフティー・フィフティーの物交の取引と相なって、日本の貿易を振興させる原因になってくるわけである。何も私は中共貿易をやれとは言っておりはせぬ。東南アジアの物交をやらなければならぬ。原綿はアメリカ市場から買わずに、東南アジアの市場から買うというふうに転換していけば、完全にできるはずだ。むずかしい、むずかしいとおっしゃられますが、かつて高碕経企庁の長官のときには、あの当時とうていできなかったところの三角貿易を行なわれた。今日それが継続されて、日本綿業界に裨益すること重大なものがある。私は十年も若かったけれども文句をつけた。ついにそれが行なわれた。今日行なわれているではございませんか。なぜ市場転換ぐらいができないのか。  同時に、もう一点、最後に大臣にこの見解を聞きますが、もう一つ大事なことは、日本もえりを正すべきところは正さなければならない。それは、たとえばルーズベルトの言うておりまするように、一番のネックになる、クレームになるもとはコールテンである。このコールテンの規格があまりにも低過ぎる。その結果向こうにクレームが起きた。カナダにも起きた。アメリカにも起きた。現在日本金に直して五億円のクレームが生じてきておるでしょう。これが対策については検査規格を引き上げて、ウォッシァブルということで許可しているが、それではクレームが起きてかなわぬから、IG(インダースレン)染料を使うということにすれば、この解決は簡単にできることなんです。そいつを日本政府の規格がどうのこうのと言うて、そのクレームに対しては何ら打つ手がない。一そう相手方の日本品排斥に拍車をかけているじゃございませんか。日本のせめて繊維規格——ことに低価格の問題、安かろう悪かろうのと言われている。これを解消する用意ありゃいなや。
  143. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま加藤さんの言われた、いわゆる低開発国の一次産品にある程度転換しろ、こういうようないわゆる原料の転換の問題でありますが、これはわれわれも考えております。全部が全部転換できるかどうか問題ではありますが、われわれとしてはそういうような方向で考えておるし、今後実行に移すつもりであります。また、今申されました規格の厳重な検査、特にコールテンの問題についてはたいへんけっこうな御意見であると思いますので、御趣旨に沿って善処をいたしたいと存じます。
  144. 加藤清二

    加藤(清)委員 だからパストール委員会をつくる勇気はないかとお尋ねしたわけなんです。そういう内容を総合して解決して、たたきあいでなくて、日米友好の立場に立ってますます輸出を増進させよう、やがてくるであろうところの毛製品に対する国際協定も排除していこう、そういう総合的な繊維対策を練るものが、すなわちアメリカにおいてはパストール委員会、日本においてこれをつくる勇気はありゃいなや。
  145. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その問題は研究させていただきます。
  146. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     —————————————
  148. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  150. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  151. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、浦野幸男君外二名より本案に対する附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。浦野幸男君。
  152. 浦野幸男

    ○浦野委員 繊維工業設備等臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表し、趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、これによって御承知願います。     —————————————  〔参照〕   繊維工業設備等臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当り、左の措置を実施すべきである。  一、繊維産業がわが国の極めて重要な輸出産業であることにかんがみ、繊維製品の正常な輸出の発展を確保するとともに、対日差別待遇及び輸入制限の撤廃等を図るため、経済外交を強力に推進すること。  二、紡績業の生産品種の転換、設備の自動化連続化等繊維工業合理化を促進するために、金融税制上の措置を講ずること。  三、中小企業者に対しては、その規模の零細性にかんがみ、過剰精紡機の使用の停止等についてとくに配慮するとともに、政府関係金融機関の融資に関し、積極的なあつせん等を行なうこと。  四、労働者については、共同行為指示により、その利益が不当に害されることのないよう特段の留意をするとともに、繊維産業における最低賃金制の確立を図ること。  五、繊維工業審議会の構成に当つては、労働者及び消費者の意見も十分反映するよう配慮すること。     —————————————  案文は五項目になっておりますので、事項別に若干補足的に御説明いたします。  第一点は、輸出振興対策であります。現在、繊維品の輸出においては、その商品の大部分が、輸出貿易管理令または輸出入取引法に基づいて、直接間接に輸出規制を受けており、そのほとんどすべてが数量規制の対象となっているのであります。このように繊維品の輸出規制が行なわれておりますのは、生産、輸出の両面において、繊維産業の特殊性に基づくものでありまするが、特に輸出面においては、諸外国の輸入制限、関税引き上げ問題、加えて後進諸国の繊維自給化向上等によって市場が狭隘化され、ますます深刻な様相を呈してきていることも、その原因となっているのであります。したがいまして、繊維品の輸出の増大をはかるためには、わが国といたしましても、根本的には繊維業界の自主的な生産、輸出体制の確立をはかり、特に正常な輸出の発展を確保する輸出秩序の確立に万般の対策を早急に樹立することが必要であり、他方また、諸外国に対しましては、経済外交を強力に推進することが必要であると存ずるのであります。  第二点は、金融税制上の措置であります。最近、紡績業界は若年労働者の求人難のために、紡績設備等の設備の近代化及び機械化を推進する必要がある反面、繊維品に対する内外の需要構造の変化に対応して合繊紡の拡充、それに伴う設備の転換を余儀なくされている実情であります。このような観点から、本法に基づく過剰設備廃棄に伴い、当然合理化のための資金が十分に調達されてしかるべきであります。しかるに、日本開発銀行より本年度十億円の融資では、繊維工業合理化には不十分でありまして、さらに積極的な金融措置を講ずるとともに、紡績業の生産品種の転換、設備の自動化連続化等について、その設備の特別償却並びに割り増し償却または耐用年数の短縮等の措置を講ずる必要があるのであります。  第三は、中小企業対策であります。中小企業紡績業に占める企業数の割合は八〇%を占めているのでありまするが、本法案の第十七条の使用の停止による設備の廃棄が行なわれております場合には、現行法に基づいて格納されている設備についての基礎控除に一定の比率を乗じた設備が廃棄の設備の対象となっているのであります。このようにいたしますると、中小企業が経営の不安定をきたすおそれもありまするので、現行の格納設備の基礎控除を引き上げるよう使用の停止の際に配慮する必要があるように思うのであります。また、中小企業者の設備の合理化をはかるには、政府は相当額の資金の確保が必要であり、積極的なあっせんをすることが必要であるのであります。  第四は、労務対策であります。共同行為指示を受けた事業者が、共同行為の実施にあたっては、従業員を解雇したり、労働条件を著しく低下させ、または不当な配置転換を行なうことのないように、十分なる配慮を払う必要があるのであります。なお、繊維産業労働者の労働条件の向上と雇用保障をはかるために、最低賃金制の確立をはかる必要があるのであります。  第五は、繊維工業審議会の構成でありまするが、決議案文のとおりであります。  以上のような趣旨によりまして、附帯決議案を提出した次第であります。何とぞ、全会一致の御賛同をお願い申し上げます。
  153. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  154. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。福田通商産業大臣
  155. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま本法について付せられました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重して善処をいたしてまいりたいと考えております。     —————————————
  156. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決します。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  158. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  内閣提出の軽機械の輸出の振興に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は、来たる五月十二日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会