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1964-04-28 第46回国会 衆議院 商工委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十八日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 始関 伊平君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       大石 八治君    海部 俊樹君       神田  博君   小宮山重四郎君       小山 省二君    佐々木秀世君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       村上  勇君    加賀田 進君       加藤 清二君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         内閣法制局         参  事  官         (第三部長)  荒井  勇君         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         通 商 産 業         政 務 次 官 田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (繊維局長)  磯野 太郎君  委員外出席者         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 四月二十八日  委員楯次郎君辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維工業設備等臨時措置法案内閣提出第一四  八号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出繊維工業設備等臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 繊維工業設備等臨時措置法案審議に入ります前に、ひとつ政府繊維産業に対する政策というような点を大臣に伺いたいと思うのであります。  まず第一点は、わが国経済の中における繊維産業占むる位置政府はどういうような評価をしているか、こういう点を伺いたいと思います。御承知と思いますが、この繊維産業わが国輸出の中で相当な比率を占めております。一九五〇年、昭和二十五年ですが、このときの総輸出が七億七千万ドルに対しまして、三億八千万ドルを繊維品で占めております。当時五〇%であった。五五年、昭和三十年になりますと輸出の三七%、昭和三十五年、六〇年になりますと三〇%、六一年、三十六年が二七%、六二年、三十七年が二六%、六三年、三十八年が二三%、とにかくわが国輸出品目の中で依然として、比率は下がっておりますけれども第一位を占めておる。この繊維産業に対して政府はどういうような基本的な政策を持っておられたのか、また今後どういう考え方を持とうとするのか、その点をまず第一に伺います。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のとおり、繊維日本産業のうちで輸出において占める割合は非常に高いものがありますが、最近は順次この比率が下がってきております。しかし、比率は下がってきておるが、輸出の絶対量が減っておるわけじゃなくて、ほかの輸出伸びましたために繊維比率が下がっておる、こういう状況であります。もっとこれを伸ばすくふうをしてみたらどうかということでありますが、これは御案内のように低開発国その他におきましても、ある程度繊維産業が、工業ができてこれを生産するようになってまいりましたし、したがって日本としてはどうしても高級品をつくる、相当質の高いものをつくって輸出をするというところへ力を入れていきませんと、最近の国際連合の低開発国開発会議等問題等ともからみまして、ますますこの問題はむずかしくなっていくと考えられます。したがって、われわれとしてはできるだけこれを高度化していくようなくふうをなさねばなりません。特に繊維産業が国内の労働力をどの程度使っておるかというようなことを考えてみますと、相当これまたウエートが高いのでありまして、しかも中には中小企業も相当含まれておりますので、輸出面におきましてはどうしても高度化されたものをつくるくふうをし、そういう意味で技術の問題あるいは資金の問題あるいは合理化問題等々を十分今後も検討をいたしてまいり、そして助成の措置も講じていく、こういうことに重点を置きながら繊維産業の育成をはかっていかねばならない、かように考えておるわけでございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 高度化した体制をとっていくということはどういう意味でしょうか。たとえば繊維製品生産高度化していくのか、それとも繊維製品品目ですね、たとえば後進国においては綿製品、そういったものの非常な発展が予想されておりますが、そういうところでできない方向を重点的に振興していこうとするのか、どういう意味をお持ちですか。
  6. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま御質問のありましたとおり、低開発国等でできるようなものではなくて、いわゆる品質自体のいいもの、それからいままでとは品質の変わった種類のものというように、多種多様化すると同時に品質のいいものをつくる。こういう意味高度化をしていく、こういう考え方でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、同じ綿製品でも高級品をつくる。それからもう一つは、そういう後進国でできない品種の糸、たとえば合繊化学繊維というようなものに重点を将来置いていかなくちゃならない、こういうことですか。
  8. 福田一

    福田(一)国務大臣 いままでのいわゆる綿製品とかあるいは人絹その他スフいろいろございますが、そういうものはそれなりの用途はもちろんあるわけであるし、これを軽視していいという意味ではないのでありますけれども、輸出考えてみますと、どうしても低開発国と競合するような品物でないようにはかっていかなければならない、こういう考えでございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 そこで今度の新法をつくる上において、政府がどういう反省をなされているかということを伺いたいのですが、従来政府繊維行政に対する態度というものは、国内的には指示操短をして需給調整に終始しておった。国外的には外国の言いなりになる輸出規制を行なっておった。こういう従来の繊維産業に対する政府態度であったと思うのであります。最近の繊維輸出状況を見ますると、昭和三十一年すなわち旧法ができて以来、昭和三十五年、一九六〇年、この間は比較的数量的にも金額的にも非常に上昇期であったのですね。このときに日本繊維産業が大幅に上昇したために、世界各国市場撹乱的な行為としてやや非難の対象になった。そこでガット等において市場撹乱的な臨時措置というものが協議されたことはわかるのですが、しかし昭和三十五年から三十八年の間を見ますと、数量的にはあまり変化がない。三十五年を一〇〇としまして三十六年が九五・二です。三十七年が一〇五・三、三十八年がおそらく一〇五程度であろうと思うのです。数量的には一九六〇年前と比較しますと非常にたくさんふえているという形じゃないですね。停滞をしておる。この停滞している原因は、私は、諸外国日本製品のいわゆる市場撹乱的な行為があるということで議論になり、調整がとられたからだと思うのです。確かに一九六〇年前、三十五年前のように非常に躍進して輸出伸びていく場合には、そういう非難もある程度当たると思うのです。むちゃくちゃに一地区に日本製品がはんらんするということもあったから、相手方が刺激されまして問題とならざるを得なかったことはわかるのですが、最近三年間は伸びないのです。安定している。ですからこの辺で、安定をしてきておることだし、日本自由化も九二%もやっておりますし、OECDにも加盟されたし、八条国にもなったし、とにかく自由化義務日本は果たしているのですから、私はこれからはもっと繊維製品が相当な輸出をするような考え方の上に立たなくちゃならぬじゃないだろうか、こう思うのですが、その点について大臣のお考えを伺います。
  10. 福田一

    福田(一)国務大臣 まず数量のほうから考えてみますと、お説のとおりでございまして、輸出は最近はむしろ高原的な輸出といいますか、そう伸びは多くはないのであります。しかしこれは同時に、先ほど申し上げたような低開発国向けの分がかなり減っているけれども、今度は相当高級品が外へ出てきておるということもございますので、私は品物内容はかなり変化をしておると思っております。それから一方、お説のように最近は伸びがない。あまりそう無理なことはしておりません。綿製品協定もできたし、その他の面においてもかなり輸出秩序というものを考えながらやっておるのでありますから、しかも自由化率は九二、三%まで伸びておりますし、もうそう遠慮する必要はないのであります。ないのでありますが、しかし外国製造業者、商社とも、この繊維の問題についてはなかなか強い競争相手を持っておるわけでありまして、同時にまた日本PRというものが非常に足りない面も多分にあったと思うのであります。最近の傾向を見ましても、アメリカあたりでアンチ・ダンピング法などについても、あまり自由化と相反するような動きをしては困るじゃないかというような空気が出てまいりまして、そういうような一連の措置といいますか、一部の措置がとられるような傾向にあるというわけでありますが、これなどもだんだん日本の実情というものがわかってきた結果じゃないかと私は思っておるわけでありまして、いわゆる経済外交もしくは日本PRというものをもっとすべきではないか。高級品を売るということになれば、アメリカとかあるいはまたEEC諸国とかというような先進国に売らなければいけないのですが、そういう面においてまだまだ私は日本経済外交の面においても、あるいはまたこの日本PRの面においても欠けておると思うのであります。今後われわれとしては一そうそういう意味努力をしてまいらなければならない、かように考えておるわけであります。
  11. 板川正吾

    板川委員 外務省は来ておりますか。
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 中山経済局長が見えております。
  13. 板川正吾

    板川委員 外務省に伺いたいのですが、アメリカ等を中心とする二十一カ国ですかに綿製品協定がございますね。この綿製品協定に引き続いて、アメリカでは毛製品にも同様な協定を結ぼうという動きがある。ドイツ等から合繊等の同様な協定をしようと提唱する動きが向こうの国にあるそうですが、ガット精神からいって、そういう協定というのは本来ならば例外的な措置、臨時的な措置であるべきだと思うのです。それを綿製品から毛製品合成繊維というようなぐあいに、みんな一つ品目を指定してそういう協定を結ぶということは、本質的にガット精神と相反するのじゃないですか。こういう点をどうお考えですか。
  14. 中山賀博

    中山政府委員 確かに仰せのとおりであります。ガット精神は、そういう輸入制限的な国際協定をつくるということについては問題があると思います。したがって数国間の免責協定の際にはガット関係をどうするかということが一つの問題になっております。そうして結局それはこのガット規定していることに対して、今度の多数国間協定は多数国間で協定しまして、ガット原則原則だけれども、これは例外的なこととしてつくった。したがって、そういう広い意味ではコンパティブルな意味であるけれども精神は反する、好ましくないけれども、法律的には一応橋をかけたということでございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 ですからそれはガット精神に反するが、しかしガットにも十九条等によって、自由化したために外国産品がどっと入ってきて、自国の産業に壊滅的な打撃を与えるおそれがあるときには措置をすることができる。それは一般的な措置であって、特定の国の産品に対する措置じゃない。ところが綿製品協定なりというものは、これはある意味では特定国ということになる。ですから本来からいえば好ましい傾向じゃないから、やむを得ずやるとしても最小限にとどめるべきであって、これを毛製品に及ぼし、合繊に及ぼすということになったら、これこそガット精神をますますくずしていく形になるのではないか、こう思うのですが、アメリカ西独等からそういう話があった場合には、一体外務省として、日本国としてどういう態度をとられますか。
  16. 中山賀博

    中山政府委員 確かにガット精神からいうと、こういうものはつくりたくないし、それからまたさらに最近のように関税一括引き下げ交渉というようなものができて、そして工業製品については将来五年間のうちに関税を五〇%引き下げるというような事態ができてきたときに、一方においては非常に貿易障壁の撤廃ということをやりながら、片一方ではこういうような新しい障壁を設けることは確かに矛盾でありまして、われわれとしてはしたがってできるだけそういうような国際協定はできないように努力したいと思っております。それからまた綿製品取りきめにもありますように、もしかりにそういう協定ガット権利義務というものが、われわれの持っている権利というものが侵された場合には、たとえばガットの二十三条の規定によってこれを救済していくというような努力をしなければならぬと思っております。
  17. 板川正吾

    板川委員 いま日米間でとり行なわれておる綿製品協定ですが、これと日本綿織物輸出状況数量的に調べてみますと、一九五六年から六三年、この間にほとんど日本輸出の総量としてはふえていないのですね。ふえていないのに、   〔委員長退席始関委員長代理着席アメリカ市場に特別ふえているのかどうか知りません。一九五六年日本綿織物輸出は十億五千五百平方メートル、それから六三年が十億八百平方メートル、貿易統計月報という通産省が出した資料にあります。この数量がたいしてふえていないのですね。年度順に言ってみますと、一九五六年が十億五千五百平方メートル、五七年が十二億二千七百平方メートル、五八年が十億四千百平方メートル、五九年が十億五千六百平方メートル、六〇年が十一億九千平方メートル、六一年が十一億七千九百平方メートル、六二年が十二億一千平方メートル、六三年が十億八百平方メートルというぐあいに、たいしてふえてないようです。ふえてないのにアメリカで大騒ぎをされて綿製品協定をしたのですが、この場合にはアメリカだけ特別に、日本輸出は総体の輸出ですから全市場に向けているので、全市場に向けたのはそうふえてないが、アメリカだけ特別行ったという形になるのですか。
  18. 磯野太郎

    磯野政府委員 アメリカだけ特別にふえたのではございません。
  19. 板川正吾

    板川委員 大臣、とにかく日本繊維製品というのは六〇年を境として高原状態じゃないのですよ。停滞状態なんです。その停滞状態原因はどこにあるかというと、私は旧法のいわゆる指示操短ですか、こういうところが足踏みの原因にこの二、三年なってきたんじゃないかなと思うのです。そういうことで、この日本繊維産業というのはまだまだ輸出の第一位を占めて十三億ドルを持っておるのですから、これは後進国が出てくるからやむを得ないんだ、あるいは世界先進国織物輸出というものは、繊維品輸出というのは減ってきているからしょうがないんだと言わずに、やはり日本の特異な産業としてこの繊維製品輸出というものに今後政府として大きな力をいたすべきじゃないか、こう思うのです。そういう考え方を持っておるのです。法律との関係あとで伺いますが、そういう重要な産業に対して実はあまり政府として援助というのですか、そういう点が十分でなかったんじゃないかと思うのです。  次に伺いたいのですが、税制上、金融優遇措置を講じろというふうに繊維工業設備審議会の答申にはうたわれておるのですが、この税制上、金融上の特別措置というのは、どういうようなことを具体的に考えておられるのですか。
  20. 磯野太郎

    磯野政府委員 金融上の措置につきましては、ことしからこの法案施行に関連しまして、開銀に財投十億円を計上しております。中小企業金融公庫につきましては特別なワクがございませんが、これは公庫の全般の貸し出しの中から積極的に見てもらうように考えております。  それから税制につきましては、御承知のように古い機械を二錘つぶしまして新しい機械一錘を新設する場合には、新しいその一錘につきまして特別償却について大蔵省と話し合いがほぼ了解点に達しております。
  21. 板川正吾

    板川委員 今度の新法で、従来あまり政府繊維産業援助をしてないんじゃないかと思っておったのですが、今度の予算を見ますると、新法施行に伴って開銀より十億円の融資を行なう、また中小企業金融公庫におきましても、一般のワクのうちから数億円の融資を行なう。開銀から十億円、中小企業金融公庫から数億円という程度の金というのは、私は繊維工業重要性から見ると、スズメ涙程度金融措置ではないか、こういうように思うのです。それからもう一つは、税制上の問題にしても特別償却をいま大蔵省交渉中ということですが、税制特別措置というのはどういうような特別償却内容を持っておるのですか。
  22. 磯野太郎

    磯野政府委員 十億円につきましては、御指摘のとおりスズメの涙ほどという感じもいたしますが、ただこの十億円は御承知のとおりこの法案施行になりました場合の十億円でございますので、大体半年間で十億円ということで、年率にいたしますと計算上二十億円というふうなことになろうかと思います。それから開銀につきましては、御承知のとおり業種によっていろいろ違いますけれども、二割ないし三割の開銀融資を行なうわけでありますから、協調融資の幅を考えますとまあ大体半年間に三十億程度というものはできるものと思います。それから税制につきまして、先ほど申し上げました廃棄に伴う新設につきましては、これは特別償却をやることになっておりますが、その間の考え方といたしましては、紡績業全体につきまして労働事情に対処するために合理化が必要でございますので、そういう新しい機械による合理化につきましては、今後の問題としてやはり税制上の優遇措置が与えられるよう考えていきたいというふうに思っております。
  23. 板川正吾

    板川委員 今度の新法によって三年間に二百三十万の廃棄が行なわれて、そのために百十五万復活する、その百十五万のうち六十万が新設で五十五万が旧機械を復活させるという形になる、こういう資料も出ておりますが、六十万錘というものを設備する場合には一体どのくらいの資金というものが必要なんですか。
  24. 磯野太郎

    磯野政府委員 大体一錘二万円程度考えられますので、六十万錘で百二十億程度だと思います。
  25. 板川正吾

    板川委員 それは機械だけで百二十億、その他の設備等考えれば私はもっと膨大な資金が必要となるのじゃないか。三十九年度十億円程度だというのでは、そういう意味じゃ十分じゃないと思います。その点はひとつ次の機会にはもっと政府としても繊維産業重要性から考え資金的な考慮を払ってもらいたいと思います。  そこで法律に入りたいと思いますが、法制局来ておりますか。
  26. 始関伊平

    始関委員長代理 法制局荒井法制局第三部長が見えております。
  27. 板川正吾

    板川委員 この繊維新法は、専門家にはこれは読みいいかもしれませんけれども、国民が読むと非常に読みづらい法律ですね。かえって旧法のほうがまだ読みやすいような感じがします。だんだんくふうをして読みやすく——それは法律というものは正確に表現しなければなりませんから、ある程度くどくなったり、独得の表現があるということはやむを得ませんけれども、どうもこの繊維新法というのは何回読んでもよくわからぬ。正確を期するのも必要でありますが、同時に国民にわかるような法律にするよう今後ひとつ注意してもらいたいと思う。内容についてはいずれその場所場所について言います。  局長に伺いますが、繊維新法旧法との違いというのはどこにあるのですか。
  28. 磯野太郎

    磯野政府委員 一番の違いは、法律の第一条の目的に善かれておるのでございますが、旧法は、いろいろ目的がございましたけれども、大まかな考え方を申し上げますと、旧法施行になりました当時におきまして相当過剰の精紡機があったわけであります。その過剰の精紡機は、将来繊維需要が増大するにつれまして動いていくのではなかろうかというふうに考えた点であったと思います。したがいまして、将来需要の増加に対しまして、それが動きます間はそれをとめておきまして過剰生産が起こらないようにした、こういう考え方が基本にあったと思います。それに対しまして今度の法案考え方といたしましては、過去の経験等にかんがみまして、どうも将来を見渡した場合、具体的には四十三年でありますが、四十三年度を見ました場合にも、やはり過剰精紡機はどうしても残るという前提に立ちまして、そうしてその過剰精紡機を解消することによって繊維工業界自由競争の新風を吹き込みたいということが、新しい法律の基本的な考え方でございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 こういうことですか、旧法需給調整的なものを柱としておる、新法は、この目的にありますように過剰精紡機廃棄いわゆるスクラップ・アンド・ビルドというものを柱にしておる。これが新旧第一に違う点である。第二は、新法失効法である。四年間でなくなる法律である。旧法は限時法であって、場合によっては延長し得る。こういうものもある。あと輸出正常化とか合理化という文章が新旧両方法律目的にありますけれども、根本的にはその二つが大きな差ではないか、こう思うのですが、そういう意味ですか。
  30. 磯野太郎

    磯野政府委員 大体いまおっしゃったとおりに考えております。
  31. 板川正吾

    板川委員 それでは、この第一条で伺いたいのですが、第一条に「過剰精紡機廃棄」というようにございますが、ここでいう過剰精紡機は、二十一条の大臣使用停止命令を下したものという意味にとっておるのですか、それとも一般的に使用停止協定に参加しておる、指示協定ですか、共同行為に参加しておる精紡機の数も第一条の過剰精紡機の中に入るのですか。
  32. 磯野太郎

    磯野政府委員 この法案におきまして過剰精紡機の定義は第七条に書いてございます。第七条の一項の一号の二行目から「第二十一条第一項の規定にある命令により糸の製造の用に供することを停止されたもの(以下「過剰精紡機」という。)」と書いてございまして、いまおっしゃいましたように、第二十一条、大臣命令が下りましたものを本法案においては過剰精紡機というわけであります。
  33. 板川正吾

    板川委員 これはあとになって言ってもいいですが、第二十一条の規定というのは、その前の十七条によって使用停止共同行為指示して共同行為に全部賛成して参加しておれば、しかもそれで目的が達しられれば二十一条は発動しないのじゃないですか。
  34. 磯野太郎

    磯野政府委員 この法律案考え方といたしましては、過剰精紡機をそのままにしておけば、日本繊維工業はたいへんなことになるという前提に立つわけでございます。そういうことで……。
  35. 板川正吾

    板川委員 過剰精紡機じゃないよ。まだ命令が出ない前の使用停止精紡機についてです。
  36. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまのお尋ねにつきましては、結論だけ申し上げますと、第十七条の通産大臣指示がございました場合に、第二十一条で書いてございますように、命令をした相手方企業が二分の一以上その共同行為を実施し、それから精紡機錘数にいたしまして三分の二をこえております場合に、その要件で共同行為ができたわけでございますが、その場合においてその共同行為をもってしては、つまりその共同行為だけでは廃棄を促進することができないと考えました場合には、二十一条にかけることを考えております。
  37. 板川正吾

    板川委員 法制局に伺いますが、十七条で大臣共同行為指示するのですよ。二十一条というのは、その共同行為に参加しても効果がないという場合に、二十一条が発動できるのでしょう。二十一条を発動しないと、過剰精紡機という概念は出ないのです。そうするとこの一条でいう過剰精紡機というのは、二十一条で使用停止命令が出たものだけを言うのか、一般的に共同行為によって格納化しておるもの、使用しないもの、これを含めたものも過剰精紡機というのですか、どっちですか。
  38. 荒井勇

    荒井政府委員 ただいまお尋ねのありました点は、第二十一条の命令がされたものを、第七条の第一項におきまして、「(以下「過剰精紡機」という。)」ということになっておるのでございまして、七条の一項の一号にうたっておりますように、この七条以下の条文において過剰精紡機というのはそういうものであるということでございます。第一号で、たまたま同じことばのように、過剰精紡機廃棄の促進ということばをかねておりますけれども、一条は目的、趣旨を一般的にうたったものであるという意味におきまして、必ずしも厳密な、七条で書かれているそのものがそのまま当てはまるということではなくて、実質的に過剰な精紡機というような趣旨に読むべきであろうと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 そうすると同じ法律の中で、七条一項一号で、「(以下「過剰精紡機」という。)」から、七条以下の場合には、過剰精紡機というのは、二十一条の停止命令が出たものである。七条の前の第一条の過剰精紡機というのは、一般的ないわゆる使用停止協定に参加しているものと、あと命令が出た場合も含めたものをここで過剰精紡機という、こういうことでしょう。だから、それを含んでいるかどうかということを聞いている。
  40. 荒井勇

    荒井政府委員 その点はおっしゃるとおりでございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 一つ法律の中で、なるほど「以下「過剰精紡機」」ですから、それ以下は、この使用停止命令をかけられたものだけをいうのですね。しかし、一つ法律の中で一条の過剰精紡機と七条以下の過剰精紡機が、法律内容意味が違うということは、あまりできのいい法律じゃないんじゃないですか。だから、たとえばこの場合に十七条の指示による過剰精紡機とかあるいは停止命令による過剰精紡機とかいうように、この過剰精紡機は二つを意味するのだという書き方をしなければ親切な表現じゃないんじゃないですか。当初言った問題点というのは幾つもありますけれども、こういう書き方じゃないほうがわかりいいのじゃないかということを言っている。どうですか。
  42. 荒井勇

    荒井政府委員 一般に法律目的なり趣旨を書いている条文というものは、通常それほど厳密な用語の定義をした上で書かれるというものではございませんので、常識的な意味で過剰な精紡機であるとかいうようなものをいうというようなことは、ほかの立法例に徴しましてもよくあることでございまして、実体規定はその第二章から始まるのだというふうに存じます。  それから、先ほど繊維局長の御説明の中で、第二十一条の措置につきまして、そこで過剰精紡機ということばを使われましたけれども、あれも実質的な意味における過剰な精紡機という意味でお使いになられたのだと思います。
  43. 板川正吾

    板川委員 これは過剰しておる精紡機廃棄とかいうようなぐあいに、できればわかりやすく、うしろのことばを一字でもつけ加えて区分できるようないい方のほうがいいんじゃないか、何も混同しやすく書く必要はないんじゃないか、そういう点はひとつ考慮をしてもらいたいと思います。  それから、第三条でございますが、念のために伺っておくのですが、第三条の精神は、無登録のものは試験、研究用以外にはない、こういうふうに考えていいのですか。
  44. 磯野太郎

    磯野政府委員 大体そういうふうに考えております。
  45. 板川正吾

    板川委員 この大体というのが非常に困るので、そうであるかないか、大体というのは、どういう点がほかにあるのですか。
  46. 磯野太郎

    磯野政府委員 第三条のただし書きでは、試験または研究の用に供するため設置する場合はこの限りでないというふうに書いてございますので、試験、研究用のものしか、ただし書きは適用しないということであります。
  47. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、大体はないわけですね。
  48. 磯野太郎

    磯野政府委員 ございません。
  49. 板川正吾

    板川委員 大体わかりました。  第五条について伺いますが、「ただし、精紡機又は糸の試験又は研究の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」という、通商産業省令で定める場合においてというその内容はどういうことをお考えですか。
  50. 磯野太郎

    磯野政府委員 ただいま通商産業省令の内容として考えておりますものは、この使用の制限に対するただし書きの運用につきましては、御承知のとおり現行法でもこういうふうな仕組みになっております。それで現行法に基づきます省令で定めましたものが一つの基準になろうかというふうに考えておりますが、現行法で書いております場合は、一つ中小企業の場合、これは中小企業は御承知のように設置規模が非常に少のうございますので、ごくわずかの精紡機の中でいろいろ区分けすることが自然でございませんので、そういうときにはこの使用の制限を解除するようにいたしております。それからもう一つ輸出の場合でございまして、登録精紡機で引くことができる糸と違った輸出の注文を受けました場合、これは輸出振興ということもございますから、そういう場合にはこのただし書きによりまして許可をいたしております。これが現行法の省令の内容になっております。この新しい法案が実施されました場合も、いま申し上げましたような二つの例と、それからもう一つは現行法から新しい法律への移しかえになりますので、その移しかえによって従来現行法で認められておりましたものが新しい法案によってなくならないようにするための既得権の保護の問題、大体その三つの場合を想定いたしております。
  51. 板川正吾

    板川委員 現行法、いわゆる旧法の省令ではこういうふうに書いてありますね。五条で、「当該精紡機または織物幅出機を糸の製造または織物の加工の用に供する者の事業について、その規模が極めて零細であることその他特別の事情があることにより、その事業の維持のため、期間または数量を限り、その登録の区分に係るもの以外の糸または織物の製造または加工の用に供する場合」、二として「当該精紡機または織物幅出機を糸の製造または織物の加工の用に供する者が輸出すべき糸もしくは輸出すべき繊維製品の原料たる糸であってその登録の区分に係るもの以外のものの製造の注文を受け、または輸出すべき織物もしくは輸出すべき繊維製品の原料たる織物であってその登録の区分に係るもの以外のものの加工の注文を受けた場合であって、その者が当該糸の製造または織物の加工をしなければ当該糸もしくは織物または当該繊維製品輸出貿易に支障を一及ぼすことが明らかな場合において、期間または数量を限り、当該糸または織物の製造または加工の用に供するとき。」というふうに現在の省令は書かれておりますが、この二つの条項をそのまま生かすという意味ですか。
  52. 磯野太郎

    磯野政府委員 そのとおりでございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、第一のほうは具体的にいうとどういう趣旨ですか。たとえば中小企業者で零細であるということが一つの要件になっていますね。その規模がきわめて零細であること、そしてその区分外糸を引かさなければ事業の維持のため非常に困難が生ずるから期間または数量を限って区分外の糸を精紡してもよろしい、しかしこの場合には許可を要する、こういうことだと思うのですが、そういうふうに解釈していいですか。
  54. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまおっしゃったようなケースでございまして、たとえば特綿紡というものがございますが、これはほとんど五千錘以下の非常に小さなものでございます。そういうものは、これは原則的にいいますと特綿糸しか引けないわけでございますが、それが綿糸を引くというふうな場合に、その許可をいたしております。
  55. 板川正吾

    板川委員 特綿紡があって、それは綿も引ける。しかし今度は特綿も綿も同じ村でしょう。
  56. 磯野太郎

    磯野政府委員 新しい法案では同じ村になります。現在では違っております。
  57. 板川正吾

    板川委員 現在の場合は十の村に分かれていますから、特綿紡の機械があって綿紡は引ける。綿紡の注文を受けた。区分外糸は引けないが、しかし非常に零細で、その注文を受けないとあとの注文がなくてつぶれるというような場合に、許可を受ければやってもよろしい、こういうことですね。今度の場合にも、それが三つの区分に分かれますが、そういう趣旨が、次のこの法律として省令できめる場合には入る。それでこの一の中に、「その規模が極めて零細であることその他特別の事情があることにより、」とあるんですが、特別の事情というのはどういうことが考えられておるのですか。新法の省令の中には含まれるとすれば、特別の事情があるということは、どういうことが考えられておるかということです。それは、たとえば今度無登録の精紡機も二十日以内に登録すれば登録を受け付けますが、第四村から一−三の村に、この条項を使って転入ができるかどうか。
  58. 磯野太郎

    磯野政府委員 新しい法案の場合に、第四の村から他の村に、この条項で転入ができるかどうかというお尋ねでございますが、いまおっしゃっておられます新しい法案の第五条のただし書きの省令という意味でございますれば、そういうことはございません。
  59. 板川正吾

    板川委員 「その他特別の事情」という中にあるのかと思ったのですが、ではこの省令の中で第四村から一−三の村に転入できるということは、第四村が一−三の村の過剰精紡機なりあるいは稼働精紡機なりを買って転入することはできると思うのですが、そうではなくて、第四村が注文を受けて、零細企業だから困るからということでこの許可を受けて、一−三の区分外の糸を引くということはあり得ないかということです。この点を伺いたい。
  60. 磯野太郎

    磯野政府委員 第五条のただし書きの運用の問題といたしまして、第四の村に登録されたものが一−三のほかの村に転入をするということはございません。
  61. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  それと、省令を考える場合に、いま一、二の問題があったのですが、こういう場合はあり得ることだろうと思うのです。大きな産地がありますが、その産地が、福井の震災ではないけれども、天災地変のために大きな損害をこうむって、生産が激減して需給のバランスを欠くというような場合に、この省令の項目の中に許可を受けてやるということはあり得ないかどうか。
  62. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまおっしゃいましたような不慮の天災によって供給力が非常になくなりますような場合、これはある意味で現在需要に対して供給力がなくなりますから、それをバランスさせなければいけないという問題でございますが、そういうふうなことにつきましては第五条のただし書きは考えておりません。
  63. 板川正吾

    板川委員 その場合には十九条なり二十二条なりというような形をとろうとするのですか。
  64. 磯野太郎

    磯野政府委員 その場合には、大体におきまして、非常に大きな場合は十九条の問題であろうかというふうに考えます。
  65. 板川正吾

    板川委員 それから、これは法制局に伺いたいのですが、五条の場合、一項で精紡機のことが書いてあり、二項で幅出機のことが書いてあります。ところが第七条になると、一項で「精紡機又は幅出機」と一緒に書いてある。これは第七条を五条のように読みやすく整理したほうがよかったのではないですか。これは立法技術としてはこのほうが新しい形式なのですか、それともこのほうがわかりがいいというのですか。第五条では、一項で精紡機のことが書いてあり、二項で幅出機のことが書いてあってわかりやすい。第七条に入ると、「精紡機又は幅出機」という形になって非常に読みづらいのだが、なぜ五条と七条の表現の形が変わっておるのですか。
  66. 荒井勇

    荒井政府委員 七条の場合には各号列記という書き方をしておりまして、各号にあげて書くということは、五条のように各号列記でなくて中身でだらだら書くという場合に比べて、考え方によればかえって読みやすいという点もございますし、その七条の一項を二つに分解いたしますと、現在のこの原案にありますような第二項の規定は、それぞれ両方同格で書かれなければならないというふうな意味で複雑になるという要素もあるわけでございます。おっしゃる点も確かに今後の立法の問題として考えさしていただきますけれども、本件の場合、現在提案申し上げておりますような形式が絶対いけないということでもないではなかろうかと、こう存じております。
  67. 板川正吾

    板川委員 ある役人が、ずいぶん法律を扱っていますが、この繊維法はほんとうに読みづらい、こう言っておりますが、国民のために読みやすいように今後ひとつくふうしてもらいたいと思います。  局長に伺いますが、第七条の一項に一、二、三と号がありますが、幅出機以下同文という形で精紡機に当てはめて、一項の一号は簡単に言うと、どういうことを書いてあるのですか。
  68. 磯野太郎

    磯野政府委員 一項の一号は、簡単に言いますと、たとえば第一の村で稼働しております精紡機が古くなりましたので、それを滅失いたしまして、新しく精紡機一錘を据えつけよう、こういうことでございます。
  69. 板川正吾

    板川委員 二号、三号についても同様にひとつ簡単に説明してください。
  70. 磯野太郎

    磯野政府委員 二号と三号は、書いてございますように、過剰精紡機に関連をしておりますが、第二号について申し上げますと、たとえば第一区分にございます綿の過剰精紡機二錘をつぶしまして、新しく一錘を第一区分に登録をするという場合でございます。  それから第三号でございますが、第三号はたとえば第二の区分でございます。これはそのままの区分でございますが、そこの区分にございます過剰精紡機を二錘つぶして、そのかわりに新しく精紡機一錘を第一区分に登録をする、こういうことでございます。
  71. 板川正吾

    板川委員 第一号は、働いているのを同村内で取りかえるということですね。それから第二号は、同じ村の中で二台を廃棄して一台を復活させる。第三号は、二台廃棄して一台復活して、二、三の村より一の村に転入する場合のことを書いておりますね。そういうことですね。そこで第一項の二号に「政令で定める比率を乗じて得た」というふうにあるのですが、「政令で定める比率」というのは、この場合どういう基礎に基づいて計算をされて定めるのですか。
  72. 磯野太郎

    磯野政府委員 これはいまの第七条の第四項をごらんいただきますとそこに書いてございますが、「第一項第二号の政令の立案をするには、」云々と書いてございます。この法案施行になりましたときに、旧法の登録を受けております精紡機の錘の数、これが一つの基準になります。具体的に申し上げますと、これは千六百三万錘でございます。それが一つと、それから、並びに昭和三十九年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される三十九年度において必要となるべき精紡機の数を勘案すると書いてございます。これがただいま私どもの計算では一応千二百五十九万錘というようなことになっておりますので、その差の三百五十万錘程度が過剰というふうに一応考えられるわけでありますが、これらの数字と、それからもう一つ昭和四十三年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される四十三年度において必要となるべき精紡機の錘の数、この三つの数を勘案するということになっております。四十三年度のものは千四百十五万錘程度というふうに考えておりまして、結局この法案施行になるときの三十九年度の千二百五十九万錘程度が四十三年度において千四百十五万錘程度になればいいと考えられるわけであります。したがって三百五十万錘程度の過剰の精紡機を原資といたしまして、そしてそれがどのように移り変わるか、あるルールを用いました場合に、どのようにして千四百十五万錘になるかという計算をいたしますと、大体において二錘をつぶして一錘を新設する、あるいは使用停止になった三錘の中で二錘をつぶして他の一錘を動かしていくというふうなことになれば、四十三年度において所期の千四百十五万錘程度になろう、こういう考え方をいたしまして、その政令の立案をするということに相なります。
  73. 板川正吾

    板川委員 そうするとこの場合は、いま言ったような説明に基づいて二対一ということなんですね。そこで四項にその出し力の計算の基準がある。政府からの資料によって見ますと、錘が三十九年の十月に本法が施行されるときに千二百五十九万錘、それがこの法律が廃止になる時期に千四百十五万錘あればいい、したがってその間にふえる分だけ取ればいいのであって、あと過剰精紡機という形になって、そういうことから二対一ならちょうどいいという計算が出ております。そこで算定の基礎になった繊維の需給見通しを見ますと、三十九年、四十三年の繊維の需給見通しを比較すると、合計ではこの四年間に一二二なって二割二分ふえる。三十九年度に百三十九万トンですね。それが四十三年度には七百十万トンの需要になって、その割合は二割二分増です。その内容を検討すると、天然繊維が三九から四三まで八%、合成繊維が一七〇ですから七割ふえるということになります。合成繊維が七割ふえるというのだけれども、合成繊維の過去四年間は三倍になっておりますね。今度四年間に七割しかふえないという計算はどういうところから出ておりますか。いいですか。合成繊維は三十九年度は三十五万トン、四十三年が五十九万トンということになると、その四年間に一七〇%になるのですから七割しかふえてない。過去四年間の合成繊維伸びというのは約三倍になっておる。どこかに資料があったと思うが、そうすると、この需給の見通しとして合成繊維というのは非常に過小に見積もっておるのではないかと思うのだが、その点はどうお考えですか。
  74. 磯野太郎

    磯野政府委員 合成繊維が初めて生産され、利用されるようになりましたのは昭和二十一年でございますが、昭和二十一年から急速な発展をいたしまして、三十九年度では糸に換算しまして三十五万トン程度になったわけでございます。もちろんいろんな合繊の特殊な性質からいたしまして、今後もその成長が早いと思いますけれども、しかし何と言っても、二十一年から約十年間に非常に大きな規模になったわけでございますが、いままでのような非常に早いテンポで、今後もそのカーブで成長するかどうかは若干疑問がございます。そういう点で、以前と違いまして大きなスケールを基礎として成長を考える場合には、この程度がいいのではないか、そういう感じでございます。
  75. 板川正吾

    板川委員 これは一つの算定の予想ですからわかりませんが、私の感じとしては、四年間七〇%の増加というのはあまり過小に評価されているのじゃないか、こう思うのですが、それはそれとしておきましょう。  そこでこの計画によると、新設としては先ほど局長答弁されたように六十五万錘、四年間で……。五十五万が過剰ということになるのですが、この六十五万錘の新設というのは、繊維機械関係にどういうような影響があるか聞きたい。これはいまここに全国機械金属労働組合新産別というところから陳情がきておって内容を見ますると、なかなか新機械がいいし、性能が上がっている、そうして人手も不足の時期だからいい機械を使えば能率があがりますよというふうに書いておる。これはこの組合としては、繊維新法によって機械の注文が激減しては困るという気持ちを持って、こういう陳情に及んだと思うのです。この計画によると六十五万錘が新設、四年間になされますが、これは従来の繊維機械の設備の生産とどういうような関係があるか。この新法によって、機械の注文が激減するようなことがありますかということを聞きたい。
  76. 磯野太郎

    磯野政府委員 この法案目的はいろんなことがございますが、一つには労働事情考えて、合理化をしていきましょうということになっております。したがって、そういう合理化をするということで、繊維機械の発注は現行法時代よりも、もっとふえるというふうに考えております。  それからいま御指摘になりました新増設の六十万錘でございますが、これは三年間の数字でございますが、年平均で二十万錘程度、これだけでも二十万錘程度の発注があるわけでございます。そのほかに凍結解除として五十五万錘程度考えておりますが、長期または短期の措置によって、格納いたしましたものの中で、まだ動かすことのできるものを解除するわけでございますが、その解除につきましても、改造等が要るわけでございますので、そういう改造についてのいろいろ発注があるわけでございます。全般として非常な合理化をやるわけでございますので、単に精紡機関係だけではございません。あるいは合繊紡に転換していく場合には、温度調整機械にしてもいろいろ備えなければいけないというふうな、その前後の関係におきましてもいろいろ発注がございますので、そういう意味からいって、現在よりは相当大きな注文が繊維機械業界に対してなされていくというふうに考えております。
  77. 板川正吾

    板川委員 私も、昨日現地に行ってみた場合に、繊維業者から、新法が発動した場合に、同じ村ならば二対一で自由に稼働できるんだから、すぐさま二対一の割合で稼働するのか。要するにいままでとめてありますものをすぐ動かしますかと聞いたら、いや、古い機械を動かしてもしようがないし、人手も不足しておるから、だからこの機会に動かす場合には新鋭の機械を入れて、人手不足に対抗して合理化設備を強化してやっていくんだ、こういう話でした。新法が生まれたら、すぐ二対一であるいはどっと凍結を解除して、自分の村だけはできるのですからやるのかなと思うと、そうじゃないのです。そういう意味で、あるいは新機械の注文というのが、組合が心配されるようなことはないんじゃないかという感じもしておるのですが、その点はわかりました。そこで二対一の率ですね。これはこの期間中変える意思はもちろんないのでしょう。
  78. 磯野太郎

    磯野政府委員 ございません。
  79. 板川正吾

    板川委員 次に第九条は、一項について一号、二号、三号、四号とありますが、これもひとつわかりやすく説明をしていただきます。
  80. 磯野太郎

    磯野政府委員 第七条が新規登録でございますのに対して、第九条はここに書いてございますように、変更の登録の場合でございます。ですから滅失いたしました精紡機にかえるものが新しくつくる機械ではなくて、現在すでに登録されておる機械で置きかえる、こういう場合でございます。第一号は、これは七条の一号に対応する規定でございまして、稼働しております精紡機一錘をつぶして、そのかわりにたとえば第二区分にございます疏毛式の精紡機を第一区分に持っていくというふうな場合でございます。  それから第二号でございますが、これは過剰設備二錘をつぶしまして、新たに登録してございます精紡機一錘が置きかわる場合でございまして、たとえば第一区分の過剰設備二錘をつぶしまして、そして第二区分にございます疏毛式を、第一区分に変更登録をする場合でございます。  それから第三号でございますが、これはたとえば第二区分の過剰の疏毛の精紡機二錘をつぶしまして、そしてその疏毛の精紡機一錘を、今度は第一区分に変更登録をするというようなことでございます。  それから第四号は、現在それぞれ稼働しております精紡機の入れかえでございまして、第一区分のものを第二に持っていき、第二区分のものをそれと差し違いに第一に持っていく、相互入れかえでございます。
  81. 板川正吾

    板川委員 そうすると、第一号は稼働機を一対一で廃棄した村に転入させる。動いているもの同士を廃棄した村に変更するというのが第一ですね。それから第二号は、二をつぶして一の割合で他村から転入するということ。それから三の場合には、二、三の村から二対一の割合でつぶして一村に変更する。したがってこれは一村から二、三村ということは書いてない。この変更は一村から二、三村へは編入できないというふうに解釈してよろしい。それから第四は稼働精紡機なら、動いているなら一、三村は自由に変更できる、こういうふうな意味ですか。特に三の一村から二村に変更できないという意味をこの三は持っておりますか。
  82. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまおっしゃいましたように、これは第二の村または第三の村から第一の村に変更する場合の規定でございまして、第一の村から第二の村または第三の村へいくということは、この条項ではできないことになっております。
  83. 板川正吾

    板川委員 それでは十条に入りますが、この十条の精神というのですか、どうも読みづらい。この十条の法が実際に動いた場合にはどういう当てはまり方になるのですか。実際の場合に当てはめて、十条の趣旨をわかりやすくひとつ説明してもらいたい。
  84. 磯野太郎

    磯野政府委員 この法律におきましては、第一の村に合繊紡が新たに含まれますので、将来必要となるものあるいは増加するものは合繊関係でございますから、その需要がございます合繊紡を持っておる第一村に対しましては、二ないし三の村からいける。そしてそういうケースが普通の場合であろうということで七条、九条がそのルールをきめておるわけでございます。  そういうことでございますが、ただいま御指摘のとおり、第一の村から第二の村または第三の村へ、いわば下がっていくということは、七条、九条で書いてございませんので、それができる規定を第十条で書いたわけでございまして、一の村から二、三の村へ、あるいは二の村から三の村へいくということは第十条によって可能、こういうことになっております。
  85. 板川正吾

    板川委員 これは七条、九条によって、特に九条の一項の三によって二、三の村から一の村へいくことは書いてある。しかし一の村から二、三へは九条の一の三ではない。したがって、万が一にも二、三の村で不足をしてというような場合には、一の村から二、三の村におりることができると、こういうことを規定した条文ですね。
  86. 磯野太郎

    磯野政府委員 そのとおりでございます。
  87. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、この公告の規定等はもちろん一村には関係ないということですね。  そこで、これは十三条も同じでありますが、十条の「一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、又は不足するおそれがあると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、当該登録の区分に係る糸の需給状況及び当該登録の区分に係る第三条の登録を受けた精紡機の錘の数に基づき。」云々とありますが、この「一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、又は不足する」これはどういうことですか。一つの村でも、新法によると幾つかの糸があるはずです。この場合には、一つの村というのは全体の糸をいうのか、それとも一つの村の中で一つの糸をいうのか、これはどういう意味を持ちますか。
  88. 磯野太郎

    磯野政府委員 一つの村の中でいろいろな糸がございますが、ここでは特定の糸の製造能力、特定の糸というふうに考えております。したがいまして第一村には、綿、スフ、合繊糸といろいろございますが、そのおのおのについて考えるというふうに思っております。
  89. 板川正吾

    板川委員 もう一度伺いますが、綿紡、特繊紡、特綿紡、スフ紡、合繊紡というのが第一村になりますね。そこで第一村の一つの登録の区分の糸が不足するというのは、この第一区分の中で——もちろん精紡機が共通できる場合は糸がひけるからいいのですが、たとえば合繊の場合なんかは技術的にいってひけない場合があるそうですね。綿紡の精紡機では機械的、技術的な問題があってひけない場合がある。だからその場合は一つの区分の中の特定の糸ということに解釈はなるのではないかと思うのだが、その場合に、いや現に綿紡なり特綿紡なりで余っているじゃないかという解釈があり得るかどうか、だから結局この場合に一つの区分の糸というのは、共通の使用ができない場合には、一つの村の中で四つ、五つありますが、そのものずばりをいうということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  90. 磯野太郎

    磯野政府委員 「一の登録の区分に係る糸」、その場合の糸につきましては、第一区分に綿、スフ、合繊糸いろいろございますが、そのおのおのの糸を特定の糸として、個別的に考えるということにいたしております。
  91. 板川正吾

    板川委員 わかりました。それは別々に特定の糸として考えるということであればけっこうです。  法制局に伺いますが、そういうふうに解釈した場合に、表現が若干不十分じゃありませんか。いまのような解釈をする場合に、そう読めますか。
  92. 荒井勇

    荒井政府委員 ただいまの点でございますが、「一の登録の区分に係る糸」という点は、読み方としてはどちらにも読めるように思います。いま繊維局長の言われましたように、これが一の登録の区分にかかっているそれぞれの糸だというふうに読むことが、この法文の書き方からいって絶対に許されないというようなものではないと思います。
  93. 板川正吾

    板川委員 読めるというように法制局も言うなら、それはそれでいいと思います。どうも表現として不十分じゃないかと思うのだが……。  次に、十二条で伺います。十二条の二項でも十三条の二項でも同じですが、これは公告をして応募者があって数が多いときは「公正な方法でくじを行ない、」ということになっております。そして変更すべき精紡機を定めるというふうに、十二条の二項、十三条の二項がいずれもくじでやるということになっておる。たとえばある村の精紡機が十万錘なら十万錘不足した、そこで公告をしたら、ある会社が十万錘ならこの際おれのところでやっておこうといって十万錘を直ちに申し出た、十日間の期限がありますが……。ある会社が八万錘、ある会社が五万錘、ある会社が三万錘、こういうふうに会社の申し出がたくさんあって、その場合に抽せんでするのですが、抽せんで当たったのが三万錘であったというときには七万錘足らないし、六万錘の人が当たったときには四万錘足らない。ちょうど十万錘注文した人がぴたり当たればいいけれども、そうでなかったときはどういうふうに補充をされようとするのですか。公告をした数一ぱい許可されようとする場合には、どういう方法のくじを行なうのですか。私はあえて「公正な方法でくじを行ない、」といわなくて、たとえばこれこそは省令で定める規定においてこれこれをするということでいいのじゃなかったかと思っておるものだから、公正な方法でくじを行なうというのはそういう場合にどうやるのかということを伺いたい。
  94. 磯野太郎

    磯野政府委員 「公正な方法でくじを行ない、」というのは現行法でも書いてございますが、考え方といたしましては、精紡機の登録は物的な登録でございますから、登録の申し出がございますれば、その申請者の経営の能力でございますとか資金的な関係を問わないで登録をさせるということが好ましいということで、こういうようなくじの方法になっておると思います。  それからくじの方法でございますが、百万錘の所要の錘数に対してくじを行ないまして、そのくじに当たりました者をずっと一番からとっていくわけございますが、たとえば最後に第何番目かの者が十万錘しかあき地がございませんときに、十五万錘の登録の申請があったというふうな場合があるかと思いますが、そのときにはもしもその者が十五万錘でなくて十万錘でもいいと言えば十万錘で登録をすることになると思います。それからどうしても十五万錘でなければ私はやる気がしないので十万錘ではだめだということになりますれば、今度は次順位の者に当たっていってこれを埋めていくというようなことになろうと思います。
  95. 板川正吾

    板川委員 たいした問題ではないけれども、それではくじというのは一着一人というのじゃなくて、順位をきめて、そして上の者から好きなだけ当たった順でとっていって、不足の場合には、第一順位が自分の言っただけとり、それでなおかつ足らない場合には第二順位の者、第二順位の者がいやだといえば第三位という形に持っていって、順位をくじできめてやる、こういうことですね。——わかりました。  十三条について伺いますが、十三条をひとつわかりやすく説明してくれませんか、何回読んでもよくわからないので。
  96. 磯野太郎

    磯野政府委員 大体の輪郭から申し上げますと、ただいま申し上げましたとおり約三百五十万錘程度過剰精紡機を原資といたしまして、二対一のルールによって過剰精紡機廃棄し、そして必要なものを新設していくということになっております。そしてその関係で私ども考えておりますのは、七条、九条のルールでありますが、それから逆に第一から第三におりていくというような場合には十条というふうに、これは十二条のことですが、第七条、九条、十二条によってそういうふうなことが可能になるというふうに考えておるわけでございますが、しかし、これは何ぶんにも企業の自主廃棄でございまして、廃棄新設そのものを国が強制するとか法律が強制するということはいたしておりません。したがって、そういう業界の盛り上がった自主廃棄のルールによってそれが可能になるとは考えておりますが、必ずしもそれは強制力はございませんので、そういう場合に第十三条が働くということで考えております。
  97. 板川正吾

    板川委員 こういうのですか。これは前段のほうでは十条で二、三村の糸が不足して、それでその場合に二対一で入れますよという不足数を公告して、しかし全部注文をとってみたがそのあき地を埋め合わすことができない、しかもなおかつ糸が不足しておるという状態、そういう場合と、次に同村内で過剰精紡機がない——この場合には大臣命令過剰精紡機というような形になるのでしょう、その過剰精紡機がないときは廃棄を必要としないで一対一というか、新増設をさせますよということを公告する規定、こういうふうに考えていいですか。
  98. 磯野太郎

    磯野政府委員 そのとおりでございまして、第十三条は不足を認める場合であってということが前提でございますが、公告をしても精紡機の錘の数に達しないときというふうに書いてございますから、これは十条の公告の場合でございます。公告をいたしましたけれども、所要の錘数だけ申し込みがなかったというふうな場合に十三条で新設を認める、公告をして新設させるということでございます。それから次に「若しくは過剰精紡機がないとき、」というふうに書いてございますので、これは二十一条命令がかかりました場合を考えますと、まず第一に第四年目には過剰精紡機がないわけでございます。共同行為は三年間でございますので、したがって二十一条命令も三年間で消滅いたします。第四年目には過剰精紡機はございません。それから自主廃棄による過剰精紡機廃棄が非常に早いテンポで進みました場合には、四年目まできませんでも、三年目くらいで過剰精紡機がなくなるということが考えられます。そういう場合は共同行為もなくなります、二十一条もなくなりますから、この過剰精紡機はございません。そういう場合には十三条が働く、こういうことで考えております。
  99. 板川正吾

    板川委員 この場合には新設ですから、廃棄は必要としないのですね。  そこで法制局に伺いますが、たいした問題じゃないのだけれども、この十条では「一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、又は不足するおそれがある」というとき、十三条では「不足し、若しくは不足するおそれがある」この「又は」と「若しくは」というのは、この場合、前の十条との関連において何か意味がありますか。
  100. 荒井勇

    荒井政府委員 第十三条の場合に、この公告をいたします要件は、大きく分けまして二つあるわけでございます。それはいま読み上げられましたような「一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、若しくは不足するおそれがあると認める場合であって、」云々というのが一つの要件でございます。その次に、この法案の十四ページの終わりから四行目の「又は別表第三第一号に掲げる登録の区分に係る生地の加工の能力が著しく不足し、若しくは不足するおそれがあると認めるとき」というので、要件が精紡機関係と幅出機との関係等で両方ございまして、そういう大きい選択的な連結の用語として「又は」というものを使う、それからその中にある小さい連結の選択をあらわすことばとして「若しくは」というのを使うという約束になっておりまして、その約束に従っておるわけでございます。
  101. 板川正吾

    板川委員 これは、十条の「又は」とここの「若しくは」とは、接続詞の使い分けで別に意味はない。どこか意味が違っているのじゃ困ると思って聞いたのですが、わかりました。  この「若しくは過剰精紡機がない」場合ですね、この場合は、過剰精紡機があっても同じ意味に読むのですか。過剰精紡機があることはある、しかしその過剰精紡機の持ち主は実はここに公告した方向へは行きたくない、だから申し込みしない、そこの自分の工場の次の計画からいって、糸が不足しておるものじゃないやつをつくろうと思っている、だから過剰精紡機があっても希望者がないときは、過剰精紡機がないというふうにこの場合は読むのですか、どうなんですか。
  102. 磯野太郎

    磯野政府委員 第十三条の前段の場合でございますが、これは十条で公告をいたしましたけれども、所要の錘が出なかった場合でございます。そのときには、たとえば第一村の過剰精紡機をつぶして第二村にいらっしゃいという公告をするわけでございますが、そのときに、公告の結果を集計いたしまして、所要の錘に達しない場合でも、第一村には綿スフの過剰精紡機が残っておることが考えられます。過剰精紡機があるけれども達しなかった場合がございますが、それと同じように、先ほど申し上げましたように、「若しくは過剰精紡機がないとき、」というのは、第四年目もしくは過剰精紡機廃棄が非常に進んだ場合には第三年目あたりに、この「若しくは過剰精紡機がないとき、」の一番の適例の場合がございますけれども、ただいま申し上げました十条の公告の場合とバランスをとった考え方をいたしますと、この「過剰精紡機がないとき、」というのは、これは実質的に考えてもいいのではないかというふうに考えております。具体的に申し上げますと、第一の村におきまして合繊糸の精紡の能力が著しく不足しております場合に、その第一の村に綿スフの過剰精紡機があるというふうな場合においても、綿スフの過剰精紡機では一〇〇%の合繊糸はひくことはできません。それからまた、その綿スフの過剰精紡機を持っております所有者自体も、それをつぶして、そうして一〇〇%合繊糸がひける精紡機をつくろうというふうな意思がない場合、そういうふうな場合には、形式的には過剰精紡機がありますけれども、実質的には、十三条で考えているような特定の糸の製造の能力が非常に不足しておるのに、それを引くに足るような過剰精紡機がございませんので、そういう場合も、この「若しくは過剰精紡機がないとき、」に含めて第十三条を運用したいというように考えております。
  103. 板川正吾

    板川委員 たとえば過剰精紡機があったとしても、その者がそこを希望しないという場合にはないと同じように読む、こういうわけですが、私はそれはそれでわかりましたからいいのですが、法制局、どうもこの過剰精紡機というのは、この法律からいうと、必ずしも余っているものが全部過剰精紡機になるのじゃないのですよ。二十一条で、十七条の指示による共同行為で、なおかつ効力がないと認めたときには大臣使用停止命令をする、その使用停止命令を受けたものが過剰精紡機というのでしょう。だから十七条で、大臣が二十一条の使用停止命令しなくても、共同行為目的を果たしておった場合には過剰精紡機というのはないのでしょう。そうすると、どうもここは余っておる精紡機という意味にとるのならいいけれども、大臣命令が出ないという場合には、過剰精紡機というのは——余っている精紡機はあるかもしれませんよ、十七条によって、共同行為で、余っている、使用停止をしている精紡機があるのですから。しかし、過剰精紡機というのは二十一条の大臣命令でなくちゃ過剰精紡機にならぬでしょう。だから私は、どうもここの法律過剰精紡機という定義を非常に読みづらく定義しておるのじゃないか、こう思うのだが、これは専門家はおかしくありませんかな。
  104. 荒井勇

    荒井政府委員 表現の点では御指摘のような点が多少あるかと思いますが、この法律全体の趣旨から考えました場合に、第一条に書かれているような目的を達成しなければならぬということでありますし、それからこの第十三条は、十条から十三条まで一連の条文でありまして、十条の前に共通の見出しがございますが、その中で、糸の製造能力の不足の場合における登録等の措置を定めるのだということが、全体として読み取れると思うのでございますけれども、この不足が現実に存するという場合に、何らの措置もしないで放置してよろしいのだという趣旨のものと解すべきではないだろうと思うわけでございます。そしてこの十三条第一項の公告をいたします場合の要件の第一段の定めておりますような「第十条第一項の規定による公告をした場合において前条第一項の規定により登録若しくは変更登録をした精紡機の錘の数の合計が第十条第一項の規定により公告した精紡機の錘の数に達しないとき」という中には、その各区分のほうに過剰精紡機がなお残存しておりましても、何らかの理由でその事業が十二条第一項の登録を受けようとしないというときも当然含まれるわけであります。それとの対比からいいましても、この法律の立法趣旨全体からいいましても、その不足精紡機を充足するもとになる過剰精紡機が実質的にないという場合を同じような趣旨で考えて取り扱うというふうにされるという解決をするのに一つの合理性があるであろうというふうに考えるわけであります。
  105. 板川正吾

    板川委員 それは前の説明でわかったのです。今度は立法技術論として過剰精紡機というものは必ずしも——この第一条のときの過剰精紡機というのは、一般的な余っておる精紡機という意味だというのだから、一般的なものとして、それはそれでいいでしょう。だけれども、七条以降は、以下過剰精紡機と称するものは二十一条によって大臣使用停止命令を食らったものが過剰精紡機というのですから、だからもし大臣使用停止命令という命令を出さなくても、十七条の共同行為によって目的を果たしておって、十七条というのは、いわゆる使用停止精紡機ですよ。だからもし過剰精紡機がないときというのはわかりますが、使用停止精紡機があったときはどうなるかという理屈になるのです。どうも過剰精紡機がないときという、この過剰精紡機というものは一般的な余っておる精紡機というようにもとれやすいし、実際十七条によって、共同行為によって使用停止をしておる余っておる精紡機もあるはずでしょうね。この場合には過剰精紡機がないときというのは、使用停止共同行為でして余っておる精紡機がないときということも同じ意味ですか。
  106. 磯野太郎

    磯野政府委員 「若しくは過剰精紡機がないとき」というのは、七条で「以下「過剰精紡機」」といっておりますから、共同行為だけのときには形式上過剰精紡機はございませんが、実質上は余っておる設備はあるということです。
  107. 板川正吾

    板川委員 そうすると、二十一条が発動してないときには、これは余っておる精紡機がないときというような意味に読み得るわけですか、ここの十三条の過剰精紡機がないときというのは。
  108. 磯野太郎

    磯野政府委員 そういうふうには読みません。
  109. 板川正吾

    板川委員 読まないというと、どういうことになるか。あとで検討してみましよう。  次、十六条へいって、撤去を命ずるのですが、三条の規定に違反して設置された精紡機には、通産大臣は撤去を命じますが、この撤去を聞かなかった場合には、これは罰金だけですか。それと、公表するというのですが、その公表はどういう方法で公表されますか。
  110. 磯野太郎

    磯野政府委員 公表の方式は、官報に出しますとともに、同時に従来の例によりますと新聞に出しております。
  111. 板川正吾

    板川委員 十七条の共同行為指示についてでございますが、十七条をひとつわかりやすく説明してくれませんか。
  112. 磯野太郎

    磯野政府委員 十七条は共同行為指示規定でございまして、「通商産業大臣は、この法律施行の際現に旧繊維工業設備臨時措置法第二条第一項の登録を受けている精紡機の錘の数が」これは実数にいたしますと、先ほど申し上げましたとおり千六百三万錘でございます。その「錘の数が昭和四十三年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される当該年度において必要となるべき精紡機の錘の数に比し過大であるため、」昭和四十三年度のものは、一応千四百十五万錘程度考えておりますので、この法律施行の際の千六百三万錘と差し引きいたしますと、その過大であるためというのは、大体百八十八万錘、二百万錘程度が四十三年度になっても過剰であるというふうに考えられますが、「であるため、精紡機廃棄を促進しなければ繊維工業合理化に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、この法律施行の際現に同項の登録を受けている精紡機の錘の数」これはいま申し上げました千六百三万錘でございますが、「及び昭和三十九年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される当該年度」でございますから、昭和三十九年度「において必要となるべき精紡機の錘の数を基準とし、」これが千二百五十万錘程度でございます。それを基準といたしまして、「一般消貸者及び関連事業者に対する影響その他の事情を参酌して、糸の製造の用に供することを停止すべき精紡機の錘の数を定め、」とございますので、登録しております千六百三万錘と昭和三十九年度において計算されました必要錘数千二百五十万錘程度との差額につきまして、この差額を使用停止させたほうがいいというふうに考えられますので、その「錘の数を定め、精紡機を糸の製造の用に供している者に対し、」これは事業者でありますが、「その精紡機を糸の製造の用に供することを停止すること「使用の停止」に関する共同行為を実施すべきことを指示することができる。」つまりいろいろ計算をいたしますと、三百五十万錘程度が余っておりますので、それにつきまして、その余っているものを使用いたしませんということについての共同行為をおやりなさいという指示通産大臣がやるという規定でございます。
  113. 板川正吾

    板川委員 使用停止というのは、これは実際は、凍結という一般的なことばがありますが、凍結という意味にとってよろしいのですか。それから、この法律が成立した場合に、いつごろまでに使用停止命令を出す予定ですか。
  114. 磯野太郎

    磯野政府委員 凍結と申しますのはもちろん俗語でございますけれども、三年間使用しないという意味でそういう字を使っております。  それから、いつまでに出すかということでございますが、これはこの法案施行になりましたら、できるだけ早く指示を出したいというふうに考えております。
  115. 板川正吾

    板川委員 共同行為指示しますね。使用停止指示をしますね。指示によって共同行為の範囲がきまるのですが、共同行為の範囲というのはどういうような内容を持つものですか。
  116. 磯野太郎

    磯野政府委員 一般的に申し上げますと、いろいろ二年間検討の末、繊維工業界の体質を改善するためにその三百五十万錘程度の過剰設備につきまして二対一のルールでそれを解消して適正規模にしようという考え方、構想、決意が私ども通産省のほうと業界との話し合いでできたのがこの法律案の生まれたゆえんでございます。したがってその大体のルールがこの法案に盛られておるわけでございますので、この法案で書いております基本的なルールを使用の停止することに関する共同行為内容として指示することになると思います。具体的に申し上げますと、余っている過剰設備を使わないということについての使用の停止、それから三錘のうち二錘をつぶしまして一錘を解除いたしていきますので、使用の停止のかかりました精紡機についての解除のやり方、それから同様に二錘を滅失いたしまして一錘を新設してまいりますから、そういう滅失、新設についてのやり方、そういうふうなものが、この指示内容になろうかというふうに考えております。
  117. 板川正吾

    板川委員 この指示内容ですが、これはいま余っているところは旧綿紡、旧スフ紡、旧梳毛紡、いわゆる過剰精紡機があるわけですね。ですからそれは旧登録の区分によって、まずその三つの区分によってそれぞれの指示をするのですか、余っている村に対しては本法の指示でやるのですか。
  118. 磯野太郎

    磯野政府委員 いまの第十七条の二項に、「前項の規定による指示は、この法律施行の際現に旧繊維工業設備臨時措置法第二条第一項の登録を受けている精紡機について同法第三条第一項の規定による登録の区分により行なう。」これは現行法の登録の分でございますので、その区分によりこれを行なうと書いてございますから、ただいまの御指摘のとおり綿紡、スフ紡、梳毛紡の三つにつきまして共同行為指示をいたします。したがってその三紡に対して指示を三ついたしますというふうに考えております。
  119. 板川正吾

    板川委員 そうですね。ですから旧綿紡、旧スフ紡、旧梳毛紡の村に対して三本の共同行為指示が出る、その他には出ない、こういうふうに解釈してよろしいですね。そこでこの法律には共同行為を解除するという場合が書いてありませんから、その共同行為指示する、共同行為の中で解除する条件をあげている。いま局長も言ったが、使用停止を解除する場合の条件というのは、正確に言うと何と何と何ですか。
  120. 磯野太郎

    磯野政府委員 使用停止をいたしました精紡機を解除する場合といたしましては、その場合はこの法律規定に乗っかっておりませんが、同一の区分の中における登録されました精紡機使用停止精紡機三錘について、その二錘をつぶして一錘を動かすという場合がございます。この場合が一つと、それからあとはただいままでいろいろ御審議いただきました第七条において新規登録がございましたが、その第七条の二号、三号の場合、それから変更登録の場合の第九条の同じく二号、三号の場合、そういうふうな場合が解除の場合の大体のケースでございます。
  121. 板川正吾

    板川委員 こういうことですか。使用停止を解除するということは、指示の中に書き込むということが一つですね。それは法律使用停止を解除するという項目はないから、共同行為指示の中にその項目も通産大臣内容とする。その内容としては、いままでの各条にあったように、二機をつぶして一機を復活するという場合は解除する。それから動いているやつをつぶして一を復活させるという場合は、これまた解除するんだ、それから試験研究用のために必要がある場合には、これは登録がなくともできるんですから解除する。それからもう一つ輸出振興のために必要がある場合に解除するという考え方があるやに聞くのですが、その点はどうお考えになりますか。
  122. 磯野太郎

    磯野政府委員 繊維製品輸出を振興いたしますために、現行法の操短の仕組みの中におきましても、輸出をした場合にはそれだけのメリットが与えられていることで、インセンチブを置いております。これは輸出ワク控除、つまり別ワク控除と申しますのは、一般の操短に対して特に輸出をいたしました場合にそのものに特別の恩恵としてある一定の分だけに機械を動かしてもいいというメリットを与えておるわけでありますが、そういう輸出の振興のためにはそういうふうな輸出の特別別ワク解除的ないき方が、この新しい法案の趣旨になりました場合にも、繊維輸出の特殊性から言って当分の間必要であろうと考えておりまして、いまの御指摘の輸出の別ワク解除につきましては、この共同行為指示内容としてそれを含ませたいというふうに考えております。
  123. 板川正吾

    板川委員 従来の法律需給調整的な機能を持っておりましたね、旧法は。だけれども新法目的は、いわゆる古いのをつぶして新規に取りかえていくというやつなんですね。従来輸出振興のために必要がある場合はその解除をしたことはありますが、新法の場合には、それが従来のような立場で運用されれば結局スクラップ・アンド・ビルドでなくて需給調整的な機能になってしまう。だからできればやはりこういう場合には、今度の場合には、よそから二対一なり一対一なりで動かして、その中で動かしてやるようにしたほうが、法の趣旨に沿うのではないか。輸出振興のために必要だ。それは必要の場合も事実あるかもしれませんが、必要だということでこれを従来のようにどんどん解除していったりすると第一条の目的に反するのではないか、こう思うのですが、この点どうですか。
  124. 磯野太郎

    磯野政府委員 ただいまの点は、御指摘のとおり、現行法におきましては精紡機の解除のしかたが全体的に需給調整というような思想で運用しておったわけでございます。それで新しい法案では需給調整的なことは絶対しない、こういうのが基本的な考え方でございます。ただ輸出の問題につきましては企業のレベルまでいろいろ掘り下げてきました場合に、たとえば一つのあまり大きくない企業でほとんどのものを輸出しておるというふうな、そういうような企業もございますし、まあいろいろな関係もございまして、この移り変わりについて輸出控除のやつを全然落とすことは実態にそぐわないという感じがありますので、この点は新しい制度にも入れてございます。ただ、そういうことでございますが、従来と違いまして一般的な需要増加に対しましては、従来のように半年ごとにその需要を見て操短をやるというのではございませんで、ここは新設廃棄のルールで自動的に変わっていきます。そうしてまたこの輸出控除自体もある一定限度のワクの中で、つまりあまり全体に対して需給調整的な影響を与えない範囲の錘数考えておりますので、そういう点は全体にそう悪い影響を与えるものではないということで、今後も入れていきたいと考えております。
  125. 板川正吾

    板川委員 輸出振興に関する必要がある場合の取り扱いについて、あとで文書で返答していただきたいと思います。  この十七条は結局こういうことですか、通産大臣共同行為を申請する。さっき言ったような内容で、これは三十九年−四十三年の間の需給を勘案して、そして現在必要な数はこれだけである、四十三年度に必要な数はこれだけであるからということで、現在必要以外のものを使用停止をさせる。これは原則として、特別な変更規定も十九条かにありますが、特別な事情がない限りとにかく一回やったらそのままずっといく。あとは一−三の村でそれぞれ過不足があればその一−三の村の移動なりによって調整をするんだ、それを調整する場合は、動いているのは一対一だし、動かないのは二対一だということで、従来のように需給調整的な運用はしない。だから共同行為指示というのは、原則的に順調にいけば一回ある。十九条で取り消す変更という場合は別として、一回だけと思っていいのですか、一回限り。
  126. 磯野太郎

    磯野政府委員 第十七条は一七ページから一八ページにかけまして、現在ございます精紡機錘数と三十九年度の必要な錘数を基準として指示を出す、こう書いてございまして、三十九年度だけ書いてございまして、四十年度、四十一年度、四十二年度というものは書いてございません。そういう意味合いからいきましても、これはこの法案施行の際に一回だけ出すということを考えております。
  127. 板川正吾

    板川委員 一回だけ出すということで、これはそうだと思ったのですが、それでは十八条を伺いたいのですが、十八条では別にこの加入、脱退の問題については触れておりません。これはいままでの立法の原則からいえば自由だというたてまえでいいはずですね。
  128. 磯野太郎

    磯野政府委員 そういうことでございます。
  129. 板川正吾

    板川委員 「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」というのが十八条二項の四号にありますが、この不当に害するものでないという範囲はどういうことを考えていますか。
  130. 磯野太郎

    磯野政府委員 この四号の規定は現行法でも同じような規定がございますが、その趣旨は、共同行為によってとにもかくにも動かすことのできる機械精紡機を動かせないようにいたしますから、そういうことのために従来そこに働いておった従業員が不当に解雇されるとか、そういうことがないようにせよ、こういう趣旨のように了解しております。
  131. 板川正吾

    板川委員 共同行為内容として大臣指示する場合には、こういう条文は入りますか。
  132. 磯野太郎

    磯野政府委員 大臣指示をいたします場合にこれを入れます。
  133. 板川正吾

    板川委員 「不当に差別的なものでないこと。」というのがありますが、不当に差別的というのはどういうことが考えられますか。
  134. 磯野太郎

    磯野政府委員 使用の停止につきまして、たとえば各企業でいろいろ使用の停止率が違うのは不当に差別的であるということでございますので、そういうことをしない、こういうことでございます。
  135. 板川正吾

    板川委員 時間になりますから、きょうはこれだけで終わりますが、二十一条の趣旨はどういうことですか。共同行為をしたが二分の一以上の頭数で、錘の数が三分の二をこえる場合で事態を克服することが困難であるときには大臣審議会の意見を聞いて命令を出す、こういうふうにとれるのですが、この条文からいうと、二分の一以下、三分の一以下であるアウトサイダー規制というふうにとれるのですか、それともアウトサイダー規制以外に適用できるというような解釈があるかどうか、この点について。
  136. 磯野太郎

    磯野政府委員 第二十一条は二つの性格を持っているというふうに考えておりますが、一つはいわばアウトサイダーに対する命令ともいうべきものでございまして、共同行為が行なわれましたけれども、その共同行為に参加しない者に対してもこの命令が出ていくということで、いわゆるアウトサイダー規制的な効果を持っております。  第二番目といたしましては、ここに書いてございますような二分の一、三分の二の要件が整いました場合に、共同行為は完全にできているというふうな場合でも、その共同行為が何ぶんにも三年間というような長い期間の共同行為でございますし、その間にいろいろ経済事情の変化もございましょうから、スタートにおきまして共同行為は、たとえば指示を受けました全員についてできましたけれども、共同行為の三年間の存続について通産大臣が疑問を持ちました場合には、その点で疑問があって廃棄が促進しないというふうな疑念がございました場合には、第二十一条の使用停止命令が発動できるものというふうに了解しておりますので、そういう意味から申しますと、これは員内者、員外者を含めましての使用停止に関する個別的な行政命令規定であるというふうに考えております。
  137. 板川正吾

    板川委員 そうすると二十一条はこういうことですか。アウトサイダー、参加しなかったものにかける場合もある。しかし全員が共同行為に参加しておるが、しかしどうも内容から見ると、加入脱退は自由ですから、はずれるおそれがある、そして事態を克服することが困難だというときには、全員に停止命令を課することができる、こういうふうに二つのことをこの中で表現しておるということですか。
  138. 磯野太郎

    磯野政府委員 ただいまおっしゃったとおりに考えております。
  139. 板川正吾

    板川委員 法制局に伺いますが、この法律の立て方として、ほんとうから言えば、使用停止共同行為が十七条である、その十七条でこの共同行為が十分効果をもたらさなかった場合には、ほんとうから言えば十九条で変更命令を出す、変更命令を出しても聞かなかったときは、使用停止命令を出すという順序が常識的に言えば考えられるわけです。この法律の適用を頭に置けば、これでいいという考えもあるけれども、われわれが普通に考えた場合には、指示一つカルテルを押える、それを聞かないというならば停止命令ということよりも変更命令を出すか何かして、改善して、改善してだめなら命令というのが、ほんとうから言えば順序じゃないか、そういう形を踏むべきじゃないかなと思うのです。しかしここで共同行為指示をして、もうだめだと思ったらすぐ命令を出すという形は立法技術としてどうですか、おかしくありませんか。
  140. 荒井勇

    荒井政府委員 この第十九条で共同行為指示の変更というものを規定しておりますのは、要件といたしまして、「第十七条第一項の規定による指示に係る共同行為内容が前条第二項各号に適合するものでなくなったと認めるときは、」ということを書いております。その指示の基本を全体として変更するというようなことを必ずしも想定していないということでございまして、そういう場合に員外、員内両方とも二十一条の規定措置をするということを考えているわけでございます。
  141. 板川正吾

    板川委員 そうすると十九条では、指示内容が実情に合わなかったら変更するという項目は含まれない、そうして二十一条でその場合には処理するという法律の立て方をした、十七条の指示内容が実情に合わない場合には、十九条によって変更等は考えない、したがって、十九条の中には指示内容を変えるということはない、その場合には、もう二十一条で使用停止命令で処理するのだ、こういう立て方をした、こういうわけですね。
  142. 荒井勇

    荒井政府委員 いまおっしゃったとおりでございます。
  143. 板川正吾

    板川委員 なおありますが、時間となりましたから、次の機会にいたしまして、本日はこれで終わります。
  144. 始関伊平

    始関委員長代理 次会は、来たる五月六日水曜日午後十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会