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1964-04-22 第46回国会 衆議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十二日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       海部 俊樹君    神田  博君      小宮山重四郎君    佐々木秀世君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       長谷川四郎君    南  好雄君       村上  勇君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    麻生 良方君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君  委員外出席者         議     員 松平 忠久君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業者事業分野確保に関する法律案  (松平忠久君外二十八名提出衆法第二四号)  官公需中小企業者に対する発注確保に関す  る法律案松平忠久君外二十八名提出衆法第  二五号)  中小企業組織法案松平忠久君外二十八名提出、  衆法第二六号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四四号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  まず、去る三月六日に付託になりました松平忠久君外二十八名提出中小企業者事業分野確保に関する法律案官公需中小企業者に対する発注確保に関する法律案及び去る三月九日付託になりました中小企業組織法案、以上三案を議題とし、まず提出者より趣旨の説明を聴取することにいたします。松平忠久君。     —————————————
  3. 松平忠久

    ○松平議員 ただいま議題となりました中小企業者事業分野確保に関する法律案提案理由を御説明いたします。  今日、中小企業の経営がきわめて困難な状態に置かれている原因の主たるものは、対大企業との関係であります。大企業がその資本力にものを言わせて、従来の中小企業分野にまでどんどんと進出し、弱小中小企業を駆逐しつつあるのが今日の実情であります。大企業中小企業分野に進出するやり方には、大企業自身が直接行なうもののほか、既存の中小企業に資本や役員を投入して、実質上の支配権を確立する方法があります。このような傾向を放置しますならば、中小企業は近き将来その存立の基盤までも奪われることは必至であります。  わが党は、この事態を深く、憂慮し、かねて中小企業者に適切な事業分町を確保して、その経営の基礎をまず安定させなければならないと繰り返し強調し続けてまいったのであります。これに対して、政府自民党は、事業分野を定めてこれを中小企業者確保することは憲法に違反といって反対してきたのであります。しかしながら、事態の悪化は、違憲論をもって放置することを許さず、最近ではようやく政府自身でさえ、大企業中小企業との間の事業分野について、何らかの調整の必要を認めざるを得なくなっているようにうかがえるのであります。  この際、中小企業に適切な事業分野を明確にし、その分野への大企業者の進出を規制することによって、中小企業者に存立の基盤を確保することが何よりも緊急必要なことと存ずる次第であります。  これが本法律案提出する理由であります。  次に、その内容の概要を御説明いたします。  まず第一に、本法律案中小企業者事業分野として確保すべき適切な業種を次の基準に基づいて政令で指定することといたしております。すなわち、製造業建設業またはサービス業に属する業種のうち、その業種に属する事業を営むものの総数のおおむね五分の四以上が中小企業者であり、かつその業種の過去一年間の生産実績なり取り扱い量のおおむね三分の二以上が中小企業者によって占められ、経済的にも中小規模企業形態が適切であって、もしこの分野に大企業者が進出する場合においては、中小企業者を著しく圧迫すると認められるものを中小企業事業分野として確保しようとするものであります。  第二に、指定業種を営むものはすべてこれを届け出させ、大企業者指定業種分野に新たに進出し拡張することを制限し、これに違反するものには罰則をもって臨むことといたしたのであります。  第三に、大企業者がみずから行なわなくとも、資本的または人的関係において支配力を持つ中小企業者をして行なわしめる場合も同様に規制の対象とし、主務大臣が大企業者に対しその違反行為を排除するための命令を出すことができるようにして、予想される脱法行為を未然に防止することとしたのであります。  第四に、かかる業種の指定並びに大企業者進出制限脱法行為禁止等に関する政令を制定、改廃する場合、大企業者に対する命令を行なう場合は、特に公正を期すため中小企業審議会に諮問することといたしたのであります。  以上が本法律案提出理由並びにその内容の概要であります。  次に、官公需中小企業者に対する発注確保に関する法律案提案理由を御説明いたします。  わが国経済が二重構造を持ち、大企業中小企業との間に非常な格差があることは、政府みずから常に指摘いたしているところであります。そしてこの経済の不合理を是正することが、今後の経済政策の基本でなければならないとされているのであります。それには、国の政策が大企業に偏重することを改め、おくれた中小企業にこそ政策の重点を置くべきであります。金融、税制、その他財政金融全般にわたる政策をこの政策方向に沿って抜本的に是正することなくして、中小企業の振興や近代化経済の二重構造の解消などは期し得ないのであります。  したがって、まず、国、地方公共団体その他これに準ずる公的機関みずから率先してその範をたれるべきであると存ずる次第であります。すなわち、たとえば最近中小企業庁が若干の中央官庁物品発注状況を調査したところによりますと、その発注対象は大企業に集中し、中小企業にはその総額の二割程度しか及んでおりません。こうした現状を改善し、中小企業相当部分発注確保することこそ、まずさしあたって国がなすべき最も手近な問題であります。これを国の機関にとどまらず、地方公共団体、公社、公団等公的機関に及ぼすならば、その発注量はばく大な額に達するでありましょう。すでに諸外国でもその例があります。中小企業問題が特に深刻なわが国において、このような施策がおくれていることはきわめて遺憾であります。ここにそのすみやかな実施を願ってやまないものであります。  これが本法律案提出する理由であります。  次に、その内容の概略を御説明いたします。  まず第一に、この法律案は、国、地方公共団体及び公社等が、物品または役務を調達するため請負、購入その他の契約をする場合において、中小企業者への一定割合発注確保することを目的としているのであります。そこで、その官公需契約を行なう対象となるべき製適業または建設業に属する業種については、別に政令で指定することといたしております。  第二に、この発注が確実かつ適正に行なわれるため、中小企業審議会の答申に基づき、内閣総理大臣が各公的機関当該年度における中小企業向け発注量を公表することといたし、この公表された割合を達成する義務をこれら機関の長に課しているのであります。  第三に、その施策の完全実施をさらに裏打ちするために、その実績を当該年度終了ごとに報告させることといたしており、また、各上級機関の長が、その所管の公的機関の長に向かって、官公需契約に関して必要な勧告をすることができるよう考慮されているのであります。  以上が本法律案提出理由並びにその内容の概要であります。  次に、中小企業組織法案提案理由を御説明いたします。  今日、中小企業に関する組織は、現在中小企業団体組織法中小企業等協同組合法環境衛生関係営業適正化に関する法律等各種あります。私どもが現存する組合の実態を見ます場合、どれだけ活発に活動しているか、はなはだ疑問な組合がきわめて多いのであります。さらにまた未組織中小企業者がいかに多いか、およそ中小企業関係するもののひとしく痛感するところであります。  この理由は一体にどこにあるのか。それは、一つには、現行法律の規定が中小企業者の現状に適応しておらないというところからきておるのであります。二つには、一般に仏つくって魂入れずということばがありますように、法律はつくっても、肝心の組織化促進の助成を積極的に行なわない、予算の裏づけがほとんどなされないということのためであります。  最近、中小企業者は、組織化の必要、協同事業の必要について切実に目ざめつつあります。そして、現に何らかの組織任意団体に参加するものが多くなってまいりました。ところが、一歩進んで、これらの法律に基づく組合をつくったり、それに加入したりすることには、必ずしも積極的ではありません。むしろ、魅力がなく、かえってわずらわしいとさえ感じているのであります。  今日、技術革新に伴う経済情勢の著しい変化の中で、中小企業の経営を安定させ、その近代的な発展をはかるには、中小企業者の団結の強化、協同化の促進をはかることが最も急務とされているのであります。しかるに、以上のように中小企業の当面する課題と現状とは、不幸にも相離反した姿を示しているのであります。そして、この離反をもたらした最大の原因が、政府の施策の不備、怠慢にあるということは、何としても遺憾きわまりないことであります。  わが党が、ここに中小企業組織法案提出するゆえんも、実にこの現状を打開せんがためであります。そして中小企業者協同化への切実な要望にこたえ、だれもが、みずからの自由意志に基づいて、その業種業態に適応した組合に簡易に参加でき、協同事業活動のもたらす恩恵に浴することができるよう、国に積極的な施策の実行を義務づけんとするものであります。さらにまた、これらの組織に強力な団結権団体交渉権を保障することによって、従来の大企業からの不当な圧迫に対し、それに動じない中小企業者の強固な、安定した地位を確立してまいろうとするものであります。  これが、いままでの中小企業者組織に関する諸法律を一本化し、中小企業組織法案として提案する理由であります。  次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、本法律案の定める中小企業基本組織協同組合であります。この協同組合は加入、脱退の自由、組合員の権利の平等を原則とし、設立の要件、手続を簡易にし、経済事業調整事業団体協約の締結をあわせ行ない得る組織として考えておるのであります。また、あくまで自主的な、中小企業者が喜んで入る組織を原則とし、強制加入はいかなる場合にもこれを認めていないのであります。なお、ここに中小企業者とは、資本金五千万円以下、かつ従業員三百人以下のものをいい、商業、サービス業にあっては従業員三十人以下のものをさしておりますが、同時にまた業種業態に応じた適切な定義決定の余地を残しておるのであります。  第二に、組合の種類としましては、事業協同組合勤労事業協同組合下請協同組合商店街協同組合環境衛生協同組合共済協同組合信用協同組合企業協同組合協同組合連合会を考えています。これによって従来の事業協同小組合勤労事業協同組合に発展させ、また商工組合を廃止して、新たに下請並びに商店街の両協同組合を設けることといたしました。またいままでの事業協同小組合環境衛生同業組合火災共済協同組合企業組合は、それぞれ勤労事業協同組合環境衛生協同組合共済協同組合企業協同組合組織がえすることといたしております。  勤労事業協同組合は、地区内の勤労事業者、すなわら従業員おおむね十人以下にして、かつ資本金百万円以下のもの、ただし商業、サービス業にあってはおおむね三人以下のものによって、下請協同組合は、主として地区内の下請業者によって、商店街協同組合は、主として地区内の小売業またはサービス業者五十人以上によって、共済協同組合は、一または二以上の都道府県の区域の全部または全国の区域内の中小企業者によって組織され、他の組織は大体従前どおりであります。  第三に、その事業内容につきましては、事業協同組合勤労事業協同組合下請協同組合商店街協同組合環境衛生協同組合の各組合は、経済事業調整事業団体協約の締結をあわせ行なうものであります。そして事業協同組合下請協同組合環境衛生協同組合調整事業を行なう場合には、同一業種について地区の重複を認めないことといたしておるのであります。また共済協同組合は、火災だけでなく、風水害、地震、盗難、交通事故爆発等による損害をも共済事業対象に加えております。信用協同組合企業協同組合事業については、従来のとおりであります。  第四は、調整事業に関する事項についてであります。すなわち、調整事業を行なう場合は、不当に差別的でないこと、一般消費者及び関連事業の利益を不当に害するおそれがないことを一般的な必要要件としております。  さらに、それに加えて、不況カルテルの場合は、不況要件を、合理化カルテルの場合は、価格等に不当な影響を及ぼさないことを要件といたしております。  また、調整規程については中小企業者のみが加入している組合の場合は届け出制で足り、中小企業者以外のものが加入できる組合の場合は認可制をとることにし、特に価格協定については公正取引委員会の同意を必要としたのであります。  なお調整事業を効果あらしめるために、不況カルテルの場合について、アウトサイダー規制命令を出し得ることとしておりますが、事業停止命令加入命令は認めておりません。  第五は、団体協約についてであります。協同組合取引条件並びに調整事業について団体協約を締結することができ、相手方はこの団体交渉に対し応諾の義務があります。そして団体協約のうち、取引条件に関するもの、中小企業者のみが加入している組合の締結したものについては、届け出制で足りることといたしました。なおまた系列別下請協同組合親事業者との間に取引条件に関して締結した団体協約については、その四分の三以上が適用を受ける場合、その親事業者取引関係のある組合員以外の下請業者に対し、一般的拘束力を持つことといたしておるのであります。  第六に、中央会の機構、運営につきまして、従来の天下り方式を改め、真に民主的な中小企業者組織とするよう配慮いたしました。すなわち、中央会に正規の理事会を置き、理事会は業務の執行を決し、会長は理事会の定めるところに従って業務を行ない、会長事故あるときは理事がその職務を代理することといたしたのであります。  第七といたしまして、特に政府助成義務を明記しておるのであります。これは初めに申し上げましたように、せっかくの組織に関するりっぱな法律ができても、協同化を促進する政府助成措置に欠けるところがあっては、法の効果的な運用を期すことができませんので、共同施設福祉厚生施設に要する経費、組合の事務に要する経費について、国がその一部を補助することを義務づけたのであります。  また商店街など協同組合の設置する街灯の公共性を考え、その電気料金について特別の軽減措置をとることといたしておるのであります。  その他、細目の規定につきましては、おおむね従来の法律の規定を準用いたしております。  以上が本法律案提案理由内容の概要であります。  何とぞ以上三案について御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。  各案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。楯兼次郎君。
  6. 楯兼次郎

    楯委員 輸出保険法につきまして若干質疑をいたしたいと思います。  まず最初に、きのう社会党同僚委員であります桜井君から、いま、時の焦点、であります国連の貿易会議関連をして質問があったわけであります。私はうしろの席におって非常に格調の高い議論を聞いておったわけでありますが、どうも具体的に理解ができませんので、その点について若干質問をいたしてみたいと思います。  結論を申し上げますと、いろいろむずかしいことは言っておりますが、低開発国に対して中進国でありまする日本が寄与するためには具体的にどういうことをするのかという点が、あなたのほうのいろいろな書類等新聞等でも発表されておりますが、ぴんと把握しがたいのです。そこをひとつ明確にしていただきたいというのが私の質問でございます。  そこでまず第一に、その前提としてお聞きをいたしたいのは、五月DAGの対日審査があるようでありますが、私の記憶では、GNPの一%を後進国に寄与しなければいかぬ、こういう申し合わせ、取りきめがあるように記憶いたしておるわけです。ところが日本の場合は、年次を追うに従ってだんだん低下をして、したがって五月の対日審査に備えて、政府関係者はこういうことをやらなくてはいかぬというので、これまたいろいろな案を討議されておるようでありますが、この点からひとつお聞きしたいと思います。DAGの対日審査に対する日本政府の心がまえ、方針は何か。
  7. 山本重信

    山本(重)政府委員 DAG会議におきまして、アメリカ各国援助額をきめる目安といたしまして、GNPの一%ということをかつて提案したことがございます。そのときいろいろ議論があったようでございますが、終局的には、それを決定するまでには至っておらないように承知をいたしております。日本としましては、従来日本国力の許す範囲で、低開発国に対する経済協力を努力してまいっておるわけであります。過去の実績を見ますと、一九六〇年は二億五千万ドル、一九六一年が三億七千万ドル、若干上がってまいっておりますが、一九六二年は二億八千万ドルというふうに若干下がっております。しかしこれは一九六一年が、特にミナス関係その他で非常に増加いたしましたので、基調としては、今後も日本国力の許す範囲で漸増させていきたい、このように考えております。具体的にいまお尋ねDAGの五月の会議に臨む日本側態度につきましては、関係省間で論議を始めておる段階でございますが、まだ明確にどういう方針でいくというところまで態度は決定しておりません。
  8. 楯兼次郎

    楯委員 新聞等を見ますと、大体の構想が出ております。しかしそれも抽象論であって、中南米は別としまして、特に東南アジア等対象とした場合に、はたして各国並みの計画の域に達するかどうかということが、われわれには懸念もされるし、わからないわけです。それをお聞きしたわけでありますが、それでは年次を追っての援助減少したというのは、いま局長の言われた原因もあるでしょうけれども、このままで行けば、諸外国からその責任を追及されても、減少の一途をたどるのではないかという感じがするわけです。したがってその援助額減少をしていく原因は、あなたのおっしゃった以外にもまだあるという気がするのですが、それは何ですか。
  9. 山本重信

    山本(重)政府委員 日本経済協力内容は、アメリカの場合とはかなり違った性格を持っておるかと思います。アメリカの場合は、純粋ないわゆる援助資金予算確保いたしまして、それを低開発国に供給するということがその主体になっております。日本の場合はどちらかといいますと、援助という要素よりも普通の輸出に伴う延べ払いという形式による信用供与が主力でございます。延べ払い輸出となりますと、そのときの案件が相手の国の建設状況その他によりまして、具体的に商談がまとまるということが前提でございますので、一九六一年のように、ミナスとの関係あるいはアラビア石油との関係で大口な案件がまとまりましたときには、いわゆる信用供与がふえますけれども、そういうのが一段落いたしますと若干下がるということがあります。しかしこれは大勢といたしましては、日本延べ払い輸出が漸増してまいりますのにおおむね比例して、逐次増加をしていくということは十分期待できるというふうに考えております。
  10. 楯兼次郎

    楯委員 私はこの間ここで議論をしたのですが、八条国に日本が移行する、これは三年前の国際収支がきわめて良好である、この分なら八条国に移行しても国際収支上は心配がないという前提があって移行をしたのだろうと思う。ところが昨年、一昨年の国際収支は、連日各委員会議論をされているように非常に危険視をされておる。これと私は同じことが言えると思うのです。四月一日から社会党の反対を押し切ってOECD参加をした。とのDAG援助額が年を追って減少をしていく、こういうことでは日本政府として恥ずかしいのじゃないか。だから何とかそういうことのないように、四月一日からOECD参加をしたのだから、ここで、こうしたら日本経済のバランスをとりながら諸外国に仲間入りをしただけの責任は果たしていける、こういう具体案がなければならぬのではないかと、私はしろうとですから詳しいことはわかりませんけれども、そういうことを考えるわけです。ところが新聞等を見ましても、どうもしろうとにわかるような議論が出ておらないので、ここでお聞きをしたわけです。  これと関連して、きのうの委員会で、国際貿易会議に出て日本具体案は何か、こういうので桜井君がだいぶ大臣やあなた方と議論をいたしておりましたが、これはい左の私の議論と似たようなことでございますが、やはり具体案というものがつかみ得ない。そこであなたとこの議論をしておってもしかたがありませんが、昨年度二億八千万ドルの中で、賠償はどのくらいの金額に上っておるのですか。この中には入っておりませんか。日本賠償の総合計はどのくらいの比率であって、どのくらいの金額がその中に入っておるか。
  11. 山本重信

    山本(重)政府委員 一九六二年の日本の低開発国に対する信用供与二億八千二百万ドルのうち、お尋ね賠償は六千七百万ドルになっております。
  12. 楯兼次郎

    楯委員 私は書類等で、先進国の低開発国に対します援助ですね、現在やっておる援助の実例を、日本の場合と比較をいたしますると、従来の慣例、考え方では、日本援助額といいますか、日本の低開発国に対しまする関係というものは絶対向上しないんじゃないか、こう思うわけです。その向上をさせるためには、抜本的といいまするか、いままでの慣例でない新機軸を出さなければ目的を達成することはできないというふうに考えるわけですが、あなたのほうですぐわかったら——わからなければけっこうですが、東南アジア関係関係するのは、米国英国フランスだと思うのですが、米国英国フランスが現在東南アジア等に対して行なっておる援助方法を、ここでひとつ明示を願いたいと思うのです。
  13. 山本重信

    山本(重)政府委員 外国の低開発国援助でございますが、東南アジアに対する分が幾らになっておるかは、ただいま手元に資料がございませんので、調べまして報告申し上げたいと思います。  東南アジアを含めました全体の援助額といたしましては、一九六二年アメリカが四十五億ドル、フランスが十三億ドル、英国が八億ドル、ドイツが六億ドルというような数字になっております。
  14. 楯兼次郎

    楯委員 その額も額ですが、条件というものが全然違うと思うのですよ。たとえば米国のAIDなんか見ますと、ただくれてやるようなものだ。五十年年賦くらいです。またフランス英国等を見ましても、延べ払い等が二十年くらいの条件だ。こういう国を対象にして、日本の国がこれらの国以上ということは言いませんが、中進国並みの低開発国に対する額をふやしていくということは困難じゃないか、私はこういう気がするわけです。こういう点、どうですか。
  15. 山本重信

    山本(重)政府委員 御指摘のように信用供与の条件が、日本の場合はまだほかの先進国に比べまして十分でないというのが実情でございます。アメリカの場合は、先ほども申し上げましたように、特に政府がそのための予算を取りまして、一般信用供与というよりも援助という性格を強く打ち出しておりますので、条件もお話しのように非常に長くなっております。また金利もきわめて低い金利のものが供給されておるのが実情でございます。最近の国際的な環境から判断いたしますと、日本も、一方においては援助条件といいますか、信用供与条件を相当大幅に緩和していくということは絶対必要であろうかと思います。ただいまのところ、この点につきましては大蔵省との間にケース・バイ・ケースで協議をいたしておりまして、逐次そういう方向に向けての努力はいたしておりますが、まだまだ今後その努力を一そう強く進めていく必要があろうかと思います。  それからもう一つは、信用供与する場合の方式でございますが、日本の場合は、主として日本輸出業者に対する政府の融資ということが一般的な方式になっておりますけれども、外国の場合は、政府あるいは政府関係機関が直接相手の政府あるいはそれに準ずる機関に借款を与える。いわゆる直接借款という方式がだんだんと広まってまいっております。したがいまして、そうした方式につきましても、今後そうした直接借款方式をさらに比率を高めていくということが必要であろうかと思います。先生御指摘のように、条件の問題、それからいま申し上げました方式等につきまして、新しい国際的な発展に応じた体制を日本としてもとっていく必要があることを痛感しております。
  16. 楯兼次郎

    楯委員 これは政務次官にもお聞きしたいのですが、日本の、自分の足もとに火がついておる。日本経済なんか、池田さんが宣伝するほどりっぱなものじゃないと私は考えておる。国際収支だって、何のかんのと言いながら、いつどうなるかわからぬといった状態だと思うのです。だから、いわゆる先進国が低開発国に与えておる条件なんというのは、日本がさか立ちしたって五年や十年先は見込めないと思うのです。だから、そういう考えに立って低開発国日本という関係を考えていったところで解決はしない。たとえば、中南米は別としまして、東南アジア諸国で、たとえば貿易の面を取り上げましても、大体チョイチョイにいっておるのはマラヤ連邦くらいのものじゃないですか。あと全部は、対日本の貿易については入りばかり多くてまいってしまっておる。これじゃ何ともならない、こういう状態だと思うのです。だから、この点を解決する方向にいかなければ何もできぬじゃないか、きのうも桜井君が言っておりましたように、アメリカのほうの貿易関係を見ますと、このマイナスの一部を東南アジア貿易によってプラスをしておるというのが日本の貿易の姿だと思うのです。これをむずかしいことばでいえば貿易構造の転換といいますか、たとえば現地に原材料があって日本の技術を投入してやれば転換のできる場合には、そういう方向に力を入れてやらなければ、いままでの考え方では打開の道はないのじゃないか、こういう感じがするわけです。つまり貿易構造の転換がいまや必要ではないか、こう思うわけなんですがね、どうですか、大臣代理として政務次官の見解をお聞きしたいと思います。
  17. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 昨日も桜井委員から、日本の貿易の将来を考えまして、現在の貿易構造の今後の抜本的な改造が必要ではないかという同様な御意見がございました。これに対して福田通産大臣からもお答えいたしたのでございますが、今日の目まぐるしい国際貿易の状況におきまして、日本がただ今日の現状のままの姿でいくということは、これは私はいかにも妥当でないと考えております。やはり欧米は欧米の関係、あるいは中近東、東南アジア、いろいろ異なった各種の事情がございますので、そうした海外貿易国の状況に順応いたしまして、やはり貿易構造というものは逐次これを転換をしていきまして、そうして、やはり外貨獲得という大目標に向かって進めていかなければならぬことは当然であろうと考えております。なおこうした問題は、なかなか相手のある問題でございますので、ただ日本だけがそうした構想を組みましても、これはなかなか実行が困難でございまして、やはり移り行く経済情勢の変化を見守りながら十分に相手国と協調いたして、今後貿易構造の改善につきましては逐次転換をするように最善の努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 楯兼次郎

    楯委員 大臣より次官の答弁のほうがなかなか的を射ておるような気がするので、この問題はここで打ち切りまして、この法案の中に入っていきたいと思います。  法案を審議しなければいかぬので、あと七、八点お伺いするわけですが、私は商工委員会に初めて来まして、この前商工委員会で決議をしたことが——あれはジェトロの法案ですか、どうも生かされないような感じを受けるわけです。調査室からいただきましたこの資料によりますると、四十国会において商工委員会輸出保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議がなされておるわけです。その内容は、「制度を一層充実するため、輸出保険特別会計の資本金の増額に努めること。」「輸出信用調査機能を拡大するとともに、担保危険の範囲を拡大すること。」こういう二項目の附帯決議をつけて可決をしておるということがこの参考資料に出ておるわけです。四十国会からこの附帯決議がなされた。今日まで通産省はこの決議に基づいていかなる努力をなされたか、内容を具体的にひとつお聞きしたいと思います。
  19. 山本重信

    山本(重)政府委員 お答えいたします。第四十国会の当委員会におきまして、輸出保険法の運用につきまして附帯決議をいただいておるのはお説のとおりでございます。その第一点は、輸出保険特別会計の資本金の増額の問題でございます。ただいま輸出保険特別会計の資本金は三十億円でございまして、今後大いに業務を拡大するためには、この資本金の増額が必要であるという御趣旨と承ったのでございます。実はこの点につきましては、業務の拡大はその後相当大きく行なわれてまいっております。また関係業界から強い要望がございました保険料率の引き下げも二回にわたって行ないまして、改正前に比べますと、料率は五四%に下げられたのでございます。その場合、資本金の増額は実は行なっていないのでございますが、幸いにしまして、資本金の増額をいたしませんでも、当面保険会計の収支は支障がない状況でございます。また、保険金の支払いに対する金繰りの面からいきましても、ただいまの状況では一応心配のない状況でございますので、これは今後もさらに適当な時期を見て資本金増額はいたさなければならないと思いますけれども、当面、一応支障のない状況で推移しておるのが実情でございます。  それから第二の点は、輸出信用調査機能の拡大と、それから担保危険の範囲の拡大の二点でございます。信用調査機能につきましては最近まで非常に努力をいたしまして、三十六年度には三千八百件程度の海外のバイヤーの信用調査をいたしておりましたが、逐年増加をいたしてまいっております。三十八年度末現在で約六万三千件の海外のバイヤーの資料が整備をされております。これは保険制度の運用にとりまして非常に重要な点でございますので、今後もさらにこの努力を続けてまいりたいと思います。  それからもう一つは担保危険の範囲の拡大でございますが、実は今回改正をお願いしてありますのは、まさにその点でございまして、従来関係業界から強い要望が出ております二点について今回改正をお願いいたしておるわけてございます。第一点は、従来輸出保険にかけました増加費用の範囲が航海、航路の変更によって負担することになった場合に、海上運賃だけが対象になっておりましたのを、今度は海上に限らず陸送に変えました場合も、それによってふえた費用はこの保険の対象になるという点が第一点。それから第二点は、船積み前に相手が破産をした場合は従来は保険の対象になっておりますが、破産宣告まで行われませんでも、事実上債務の支払いが先方が不能になった、しかもその事由が破産に準ずる事由であるという場合も保険がつけられる。この二点が今回の改正の要点でございます。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 いま改正の二点を説明なさったのですが、この増加費用保険と、破産に準ずるということが改正の中にうたってあるわけですが、これに対する認定の方法ですね。認定方法の具体的な手続はどういうふうにするのか、お答え願いたいと思います。
  21. 山本重信

    山本(重)政府委員 相手が破産宣告を受けますれば、それ自体ではっきりいたすわけでありますが、破産に準ずる場合というのをどういうふうに認定するかということでございます。これは相手の国によりまして法制がいろいろ違いますので、なかなか一律に基準もできないのでございますけれども、ただいまその運用として考えておりますのは、相手の国の公的機関によってこれは破産に準ずる事由であるということを認定してもらい、そうして日本の在外の公的機関でそれを確認するという手続を考えております。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 これは事務的なことですが、あと数点ありますが、二、三点ちょっと簡単にお聞きしたいと思います。われわれしろうとは、保険というものは非常にもうかる仕事だ、火災保険、海上保険、もうかるものだと思っているのですが、それを政府が手がけなくちゃならぬ。日本のこういう業者がよくもほうっておくものだという感じが率直に言ってするわけです。民間企業としてはこの保険というものは成り立たないのか、あるいは成り立ってもあえて政府がこれをやらなくちゃならぬという根拠は何ですか。
  23. 山本重信

    山本(重)政府委員 いま輸出保険として考えておりますのは、一つは非常危険でございまして、これは時と場合によりますと、非常に多額の保険金の支払いを一時に要する、ような事態も当然起こり得るわけでございまして、一般商業ベースの保険制度ではカバーできない性質を持っておると思います。外国の例で見ましても、ちょうど日本輸出保険に相当するような制度が、ほとんどの場合に政府または政府関係機関で行なわれておりますところから見ましても、その点は考えられるかと存じます。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 ちょっといやなようなことを聞くのですが、あまりもうからぬとおっしゃいますが、調査室から出された資料の中で、この保険運営の実績、昭和三十八年十二月現在、これをいま私はもらったのですが、これによると、保険料は百三億七千二百万円、支払い、保険金が五十九億六千五百万円と書いてある。諸費用、人件費——人件費は政府がやっておるから、要らぬということはないですが、そろばんの中に入っておる、かどうか知りませんが、支払い保険金は保険料の約半分ですね。だいぶもうかると思うのですが、そうじゃないですか。
  25. 山本重信

    山本(重)政府委員 輸出保険の最近までの運営は幸いにして収支償うといいますか、むしろ余裕が出ておるような状況でございます。これは一つには、従来の段階では相当大口の、むしろかなり危険度の高い案件がまだ未経過保険として残っておりまして、そう、いうものが全部全然保険事故が起こらずに済めばいいのでありますが、その辺のリスクも常に考慮に置きまして考えていかなければならない点が一つございます。三十九年度の収支の一応の見積もりをいたします段階でも、非常に特殊な非常危険が起きないという前提で計算いたしますと、収支はいつでも若干のゆとりが出るわけでございますが、そうした非常危険に対してある程度先々の備えをしておくということが、この保険制度の本来の性質上必要になっておるのでございます。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 先々の不慮の事態に備えるためにと言われますが、これは私は大体三十八年度の一年の実績のような気がするのです。一年を見た場合には、将来不慮の事態が起きた場合に備えるということは言えると思います。それで、簡単でけっこうでありますが、過去三年か五年くらいの保険料と支払い保険金の実績がわかっておったら、ひとつ言っていただきたいと思います。わからなければけっこうです。そして五年間黒字が出過ぎておるということになると、不慮の云々というその答弁はちょっと当てはまらぬと思うのですよ、一年単独ならばそういう議論も肯定しますが。
  27. 山本重信

    山本(重)政府委員 昭和三十五年度におきます保険料が十六億六千八百万円でございます。それに対しまして支払い保険金は三億五千二百万円でございます。それから三十六年度は、保険料が十九億でございまして、それに対しまして支払い保険金は七億六千万円でございます。それから三十七年度は、保険料が十六億九千万円でございまして、それに対しまして支払い保険金は十五億五千六百万円になっております。それから三十八年度の金額は、一部見込みが入っておりますが、保険料が十六億七千四百万円、それに対しまして支払い保険金は十六億四千六百万円というふうになっております。
  28. 楯兼次郎

    楯委員 調査室の資料は単位が間違っておるのか、保険料の受け取りが百三億、支払い保険金が五十九億になっておる。百万単位だから間違いないと思いますが、これは違うのですか。
  29. 山本重信

    山本(重)政府委員 調査室でおつくりいただいておりますこの資料は、従来の全部の累計でございます。
  30. 楯兼次郎

    楯委員 それはわかりました。累計でも、これはだいぶもうかっておるといってはおかしいですが、相当割りがいいということになると思うのです。  そこで、こうなると、これは保険料率の相当大幅な引き下げをやってもまあ危険はないではないか。むずかしい理論を言う必要もないと思いますが、政府側がいつも答弁しておるように、八条国移行だ、開放経済輸出を振興しなければならぬというような理論の手前からいっても、これは半分以上の比率になっておるので、当然相当大幅な保険料率の引き下げをしても危険はないじゃないか、過去の実績からいけばこうわれわれは考えるのですが、どうですか。
  31. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいま保険料と支払い保険金との数字を申し上げたのでございますけれども、収支を考えます場合には、保険というものの特殊性から、そのほかのファクターをやはり考慮に入れる必要があろうかと思います。これは先ほど申し上げましたように未経過保険に対する措置でございまして、三十九年度につきまして一応の収支見積もりを考えておりますが、それによりますれば、保険料及び一部回収金合わせまして二十三億円くらいに対しまして、保険金の支払いは十九億見当と、一応の推測でございますが、いたしておりまして、約四億円程度の黒が出ることになりますけれども、未経過保険に対する手当てその他でやはり五、六億程度のものは積みおく必要があるという事情がございますので、全体として非常に余裕があって、さらに保険料率の引き下げをしてもいいというふうに、にわかには結論が出せないと思います。それから保険料率そのものでございますが、これはあまり高うございますと、やはり国際的な競争力にも影響してまいりますので、外国との比較等も十分に考慮しなければいけないのでございますが、現在の事態におきましては、過去においてはほとんど半分近くにまで下げておりますので、大体外国に比べて遜色のないというところまで下がっております。
  32. 楯兼次郎

    楯委員 外国等と比較してそう削り高ではない、こうおっしゃるわけですね。私はいまあなたの答弁を聞いて、あるいはこの参考資料を見て、まだだいぶ保険料率が下がるのではないか。下がれば国際価格も低くなって、輸出に対して好条件が生まれるじゃないか。私はあなたをけしからぬとか、そう言っておるのじゃないのです。あなたの答弁、資料を見てそうであるから、通産省が輸出増進、一五%増強だというような机上プランを盛んにつくって騒いでおるから、こういう具体的な輸出増進策をやらなくちゃいかぬじゃないか、しかもこの数字からいけば、そのほかの諸費用がまだ要るということは私もわかるのです。そういうものを見込んで毛相当剰余が出ておる、したがってまだ保険料率は下げてしかるべきじゃないか、こういうことを言っておるのです。何もあなたをけしからぬとかいって追及しておるわけではない。この答弁、資料からいって、下げればいいじゃないか、こういうことを言っておるのです。どうですか、あなた下がらぬ、下がらぬとおっしゃるが、どうも答弁がふに落ちませんが。
  33. 山本重信

    山本(重)政府委員 お話のように、可能であれば、保険料率はできるだけ下げていくことが望ましいと思います。先ほど申し上げましたように、保険制度の一つの基本的な考え方といたしまして保険事業の収支が相償うかどうかということがあるのでございまして、その範囲においてはできるだけ引き下げをしていくべきであるというお考えは私も全く同感でございます。ただ、収支償うというのが非常に短期的な、あるいは過去そのときまでの実績ということでなく、現在相当のものがまだ保険の未経過になっておりますのでそれに対する備えということも考慮いたしまして、ある程度の対策をにらんでいく必要がございますので、ただいまのところでは現在の程度の料率でしばらく様子を見てまいりたい。長期的な考え方としましては、今後さらに余裕が出てまいりました場合にどうすべきかということを検討させていただきたいというように考えます。
  34. 楯兼次郎

    楯委員 ばかに局長は保険料を下げるということがいやらしいですね。赤字が出てなかなか政府も金を出さぬから困るということなら別です。いろいろなことをおっしゃいますが、常識的にこの収支を見て、将来下げるということを検討してもいいんじゃないか、こう思うのです。ばかに下げることにワクをはめられておって弁護しておられるようでありますが、これは当然検討して、将来輸出増進という立場上下げる方向にやっていただくことが、それは国際比価がありますからあまり安くなっても困るかもしれませんけれども、いまの状態では望ましいじゃないか。これはOECD政府輸出に対する援助といいますか、こういうのが議論をされて、この間も所得控除の法案がパイになりましたが、パイというとおかしいが、この問題は保険料率があまり下がるとOECDの中で議論が起こるというような問題じゃないですね、これは諸外国でやっておりますから。それなら下げる方向に今後ひとつ努力をしてもらいたい、こう思います。  それから輸出保険法の第一条の六に「保険関係の成立の制限」という項目がありますね、こういう場合には保険が成立をしないということをうたってあるわけです。これは具体的にどういう場合ですか、抽象論でちょっとわからぬが、保険の対象にしないという第一条の六の答弁を願います。  いまちょっと大臣が見えたから、その問題はそっちで研究しておいて、あとで具体的にひとつ答弁を願います。  大臣、いまこういうことを議論しておったわけです。輸出保険法の過去数年間というか、発足以来の特別会計の収支を見ますと、保険料金を取ったのが百三億七千二百万円あるわけです。それで支払った保険金が五十九億六千五百万円あるわけです。料金を取って、支払ったのが約半分なんですね。そうなればもっと保険料というものを下げてもいいのじゃないか。通産大臣が毎国会、毎委員会で、輸出増進こそわれわれの使命で至上命令であるといって力説をされておるならば、これは国際価格を下げるためにも、余裕があるのだから、将来保険料を下げたっていいのじゃないか、この収支からいけばですね。このほかにも要る諸費用というものがあるでしょう、あるでしょうけれども、百三億と五十九億ならもう少し下げたらどうか、こう議論をしておったわけです。ところが局長は値を下げることがばかにいやだと見えて、困る、困るということをおっしゃっているわけです。そこでこの収支をちょっと見てどうお考えになりますか、下げるべきだと私は思うのです。
  35. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のように黒字が出ておるのでありまして、予算編成のときにも実はこの問題についてはわれわれも考えたところであります。ところが、現在までのところは黒字が出るような形なんですが、これからかけている保険は相当低開発国向けのいろいろのものにかけておりまして、案外赤字が出る公算があるものが実は相当あるわけなんであります。そこで、それを大蔵省に言いますと、いままあそれはもうかっておるのはもうかっておるけれども、やはり将来のことを考えると、また損したからといって急に保険料率を上げるというわけにもいかぬから、もうちょっと推移を見てからきめてくれぬかと、こういう話がございまして、どうもそう言われてみると、確かに損をするような分もあるものですから、しばらくの間このままにしておく。しかしいま先生のおっしゃった、保険料率をなるべく下げるという根本趣旨は、これはもうお説のとおりでございますから、われわれとしてはそういう時期が、ここしばらくを見た上でなお黒字が続くということであれば、これはぜひ下げるように折衝をし、実現をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  36. 楯兼次郎

    楯委員 大臣、こういうことです。私は昨年一年、あるいは一昨年一年、この場合には黒字が出た、一年は黒字が出た、こういう実績ならあなたの意見に全面賛成します。それは不測の事態が起きる、あるいは将来危険地域にたくさん輸出を増進しなければならぬ。ところが、あなたの見える前に、過去五年間の実績をずっと聞いてみますと、これは三十五年なんか特別だと思うのですよ。この私の数字はいま聞いたところですから合っております。十六億六千万円保険料を取って、三億五千万円しか支払っておらぬ。その翌年は十九億円取って七億六千万円しか支払っておらない。三十七年、三十八年においてはその差は縮まっておる。ところが過去五年間の実績を見ると、そんなに危険な年はないわけです。全然ないのですよ。だから、一年ぐらいなら政府側の答弁を了承しますよ、これはわからぬから。ところが、過去五年の実績はついに赤字のときがないのですから、その議論はちょっといただけませんと、こういうことを言っておるわけです。どうですか。何年ぐらい黒字が出たらやるのですか。
  37. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 五年間の統計をとっていただいてもわかるのですが、いまお話がございましたとおり、七年、八年になると黒字の幅がよほど減っているわけなのです。最近この輸出をいたします分では、これは、私は大蔵省の代弁をするようになってまことに恐縮なんですが、最近輸出するものは、相当危険性のあるものを保険にかけている。それだからここ一、二年のうちにえらい赤字でも出るということになっても困るから、まあここ一両年は——ここ一両年という意味は、去年の予算編成のときでありますが、もうちょっと待ってくれ、こういうような話があったわけでありまして、御趣旨はよくわかる。またおっしゃるとおりだと思うのであります。私らもできるだけ下げたほうがいいと思っておるのですけれども、実情そのようなわけでありまして、ある意味においては力及ばずと申しましょうか、まことにどうも申しわけないと思いますが、先生の言われるような趣旨に従って努力をいたしたい、かように考えております。
  38. 山本重信

    山本(重)政府委員 いまの点、私の説明がちょっと不十分だった点がございますので、追加さしていただきますと、こちらの調査室のほうの資料では、従来の累計が出ておりまして、保険料と支払い保険金との間に大きな差がございます。年度別に見ますと、先ほど申し上げましたような数字でございまして、三十五年度、三十六年度は相当大きな差がございました。保険料率の改正を三十六年と三十七年にいたしたわけでございますが、その影響もございまして、三十七年度、三十八年度はほとんど差が少なくなっておるという事実がございます。そういった点もひとつ考慮に入れまして今後検討さしていただきたいと思います。  それから先ほど御質問ございました保険関係の成立の制限に関する第一条の六の規定でございますが、これは、いわゆる輸出保険の引き受け停止についての規定でございまして、政府は保険事業経営上必要があるときは、そうした措置がとれるようになっております。これは非常に一般的な大きな非常危険が出てまいりまして、それを全部国がこの保険制度でカバーするということをいたしますと、保険制度が成り立たなくなってしまう、こういうような場合でございます。過去の例といたしましては、昭和二十七年に中共との貿易中断がございました、そのとき。三十三年には、インドネシアの問題がございました。その当時には非常危険がきわめて広範囲になりましたので、やむを得ず引き受け停止をいたしました。その後はこの規定は発動をいたしておりません。
  39. 楯兼次郎

    楯委員 次にお聞きしたいのは、この保険成立の対象ですね。対象は物件だけですね。第一条の六を除けば、保険成立の対象は物件のみである。地域には制限というものは、この法律をざっと読んでみまして見当たらないわけです。したがって、共産圏であろうとどこであろうと、第一条の六以外は地域に対する成立の可否というものはない、こういうふうに私どもはこの法律を見て了承をしておるのですが、それで間違いないかどうか。地域には関係ない、第一条の六を除いて。いまあなたのおっしゃった第一条の六の認定基準を除いては地域には関係がない、差別はしない、こう解釈をして、西欧諸国であろうと共産陣営諸国であろうと、この保険は適用をされると解釈してさしつかえないと思うがどうか。
  40. 山本重信

    山本(重)政府委員 御意見のとおりでございます。
  41. 楯兼次郎

    楯委員 それでは次にお聞きしたいのは、きのうも資料をいただいたのですが、諸外国の保険制度を参考までにお聞きしておきたいと思います。  保険の種類あるいはその期間、それから利用率の概要、これを簡単でけっこうですから、要約して、参考までにお聞きしたいと思います。
  42. 山本重信

    山本(重)政府委員 外国輸出保険制度は、国によっていろいろ違う点はございますけれども、日本としては、従来、特に一番注目しておりますのがイギリスの制度でございます。イギリスには輸出信用保証局という特別な機構ができておりまして、おおむね日本輸出保険制度に似た制度を実施をしております。ドイツには、同じように輸出保険の制度がございますが、これは政府が保険会社に委託をして実施をいたしております。フランスにおきましては、あるものは政府が直営をする、あるものは保険会社に委託をするというやり方をいたしております。また、アメリカにおきましては、輸出入銀行がその仕事をいたしております。  各国の利用率でありますが、日本の場合は、輸出の大体三割程度が保険の対象になっております。英国あたりでは、大体二割程度でありまして、利用率から見ましても、日本の場合は、一応国際的に見て、まあまあという水準に達しておるように思います。
  43. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、日本の保険も諸外国と比べて、輸出保険に関する限りは中進国ではない、先進国並みである、こういう結論が出ますね。  そこで、最後にこれは大臣にも聞いていただきたいと思います。今度二点改正になったわけですね。輸送経路が、海上が、陸上も入った、それから破産に準ずる場合も保険の対象になった、こう二点改正になったわけです。ここで、冒頭いま通産省の方と低開発国に対するいろいろ議論をしたわけですが、どうせ改正するなら、海外投資保険の対象をこれに並行して拡大すべきではなかったか、こう私は思うわけです。これは貸し付け金であるとか、金融の場合も保険の対象にすべきである、こう思うわけです。せっかく国会に改正法案を出しても画龍点睛を欠いておる。南北貿易、低開発関係がやかましく言われておるときに、画龍点睛を欠いておるという感ひとしお深いわけなんですが、なぜこれは除外されたか。
  44. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御趣旨はわれわれもごもっともだと思っておるのでありますが、それをやりました場合にどれくらいの原資を必要とし、どういうふうになっていくかということをただいま調査中でございまして、結果が出ましたならば、なるべくすみやかに御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  45. 楯兼次郎

    楯委員 それではこれで質問をやめます。まことにありがとうございました。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 これはあとで資料でももらいたいと思っておりますが、保険料を相当下げられるのではないかな、こうわれわれは思っておるわけです。ところが大臣の答弁によると、まあ局長の答弁もあわせて考えると、このところそうもうかっていない、それで前にかけたものがいつ赤字になる可能性を持つかもしれぬからいまちょっと待とう、こういうわけですが、この保険種別ごとに、もうかっているものと、もうかっていないものがあるのですね。たとえば普通保険の場合には非常にもうかっておって、またある保険の場合には赤字が多い。まあ普通保険が一番包括的な保険ですから、もうかっている点はなるべく下げて、そして危険率の高いのは、保険料を見ても商いのですから、これを据え置くとか何かして、ある程度おおぜいの人が利用するものを安くするようにしたらどうだろうか。保険種別ごとにひとつ計算してみて、あとで資料を出していただきたい。検討の上、しかるべき機会に、ひとつ料率を全般的に下げるような方向に努力してもらいたい。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が参議院に行かれるそうですから、関連して二点だけお尋ねしておきます。  この保険金は、保険事由が発生したらすぐ支払いをずる、こういうことをやっていますか。
  48. 山本重信

    山本(重)政府委員 保険金の支払いはなるべく早いほうがいいわけでございます。ただいま普通の保険約款で、一カ月以内に支払うというふうになっております。その範囲内でも極力能率をあげまして、早く支払えるように努力いたしております。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 できるだけ保険金を早く支払ってやる、こういうことをやらなければ、どうも時間がかかり過ぎるという批判もあります。  それからもう一点は海外広告費、この広告費が回収されていないという確認はどういう方法でやっているか。そういうことが事実上できますか。
  50. 山本重信

    山本(重)政府委員 広告を保険に付保いたします場合は、これだけの広告をすることによりまして幾ら売り上げがふえるはずだ、こういう計画を立ててきめておりますので、それに到達しない場合はその対象になる、こういうことであります。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 なかなかそれはむずかしいだろうと思うのですけれども、十分調査をおやりにならなければいけないと思います。  それからもう一つ、中小企業というのは海外駐在員というか、そういう人を持っていない。したがってバイヤーに依存をする以外にないわけです。そうすると、バイヤーはたたくだけたたいて安く中小企業の製品を買い付けるという慣習が非常に多い。それからキャンセルが非常に多いわけです。国内で、まだ送る前にキャンセルをするということもあるのだけれども、発送してからそういう事態が起こるといったようないろいろな問題があるのです。これは破産という状態ではない。また破産に準ずるというような場合についても先ほど局長の答弁もありましたが、なかなかむずかしいのではないか。そういった非常に弱い立場にある中小企業、特に競争が非常にきびしく行なわれておる、そういうような中小企業に対する保険料率の問題というのは特別に考慮する必要があるのではないかという点。それから、そういうキャンセル等によって生じた損害、そういうものについては、いままでの取り扱いがどうなっているのか、また何か特別な考慮を払う必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  52. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、いま普通の輸出取引では、その支払いの方法といたしましてLCを開いてくる場合と、それからLCなしにDA、DPの場合とがございますことは御承知のとおりでございます。LCが開かれておりますと、船積みをしてしまいますと、あと自動的に支払いが受けられるわけでございますから、船積み後は、一応は危険は起こり得ないことになります。それからDA、DPの場合は、銀行が手形保険をかけられることになっておりまして、相手のほうがその支払いができない場合は、やはり銀行がその保険をかけておれば、輸出保険でカバーが十分できる体制になっております。いまお話しの点は、中小企業が船積み前にキャンセルになる場合、それからあるいは船積みしたあとでもDA、DPの場合で、うっかりしておって銀行が手形保険をかけてないというような場合が考えられ得るわけでございます。今回の改正で一応信用保険につきましては、破産及びそれに準ずる場合というところまで範囲を拡大したわけでございまして、それ以外に船積み前に任意に向こうがキャンセルした場合には、これは輸出保険の制度上むずかしいと思います。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 大臣時間がないようですから、これで終わります。
  54. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  本案について質疑を終局するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  56. 二階堂進

    二階堂委員長 次に討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  58. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  60. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は、明後二十四日金曜日午前十時より理事会理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午前十一時五十七分散会