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1964-04-01 第46回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月一日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       長谷川四郎君    南  好雄君       山手 滿男君    大村 邦夫君       加賀田 進君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    田中 武夫君       楯 兼次郎君    藤田 高敏君       松平 忠久君    麻生 良方君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         国税庁長官   木村 秀弘君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君         中小企業庁長官 中野 正一君         労働政務次官  藏内 修治君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁刑事局         捜査第二課長) 関根 広文君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      小熊  清君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    東村金之助君         労働事務官         (職業安定局雇         用調整課長)  遠藤 政夫君         参  考  人         (日本貿易振興         会副理事長)  長村 貞一君         参  考  人         (日本貿易振興         会理事)    木村 三男君         参  考  人         (日本貿易振興         会理事)    山本  廉君         参  考  人         (日本貿易振興         会理事)    藤瀬英二郎君         専  門  員 渡辺 一俊君     ————————————— 四月一日  委員菅野和太郎君、大村邦夫君、島口重次郎君  及び米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て小宮山重四郎君、野原覺君、田中武夫君及び  松平忠久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中武夫君、野原覺君及び松平忠久辞任  につき、その補欠として島口重次郎君、大村邦  夫君及び米内山義一郎君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本貿易振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)  中小企業に関する件(企業倒産に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本貿易振興会法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として日本貿易振興会理事長長村貞一君、同じく理事木村三男君、山本康君、藤瀬英二郎君の四名が御出席になっております。  まず、副理事長から、日本貿易振興会事業経過等についての説明を聴取することといたします。長村日本貿易振興会理事長
  3. 長村貞一

    長村参考人 それでは私から、日本貿易振興会の現にやっております仕事のあらましを御説明申し上げます。  日本貿易振興会のやっております仕事は、御承知のように、一言にして申しますと、特に海外貿易振興で関するいろいろな施設の運営その他の活動をやることになっております。内容的に申しますと、いろいろな種類のものがございますが、時間の関係もございますので、要点を取りまとめまして申し上げたいと思います。  日本貿易振興会のやっております仕事の大きなものの一つは、いわゆる市場調査調査活動に関することでございます。これは当会といたしましても一番古い沿革を持ちまして、努力を重ねてまいったのでございます。この調査につきましては、特に日本貿易振興会が、いわゆるジェトロのやります調査としまして特色のあります一つは、海外市場調査のための専門の者を常駐させまして、そこで各種調査を計画的かつ継続的に行なうというやり方をとっておることでございます。申すならば、これは一般的な調査と申してよろしいと思います。  そのほかに、最近はいわゆるマーケッティング・リサーチを活発に行なっております。また、特に中小企業方々の生産されます輸出品につきましては、業界方々だけを特別の調査員として、その商品に一番関係のある市場にお出かけいただきまして、いわゆる特殊市場調査というものをやっておるわけでございます。かれこれいたしまして、これらの調査はいずれも国内でまとめまして、適当な貿易関係業界あるいはお役所に御報告申し上げ、御活用を願っておるわけでございます。また、特に最近は、日本商品海外におきます輸入防遏その他の問題が起こりますので、これらのものの要因、情報等収集調査をいたします活動もいたしておるわけでございます。  二番目に私どものやっております仕事は、いわゆるPR関係仕事でございます。これもPR性質上、いろいろな内容のものがございます。たとえば毎年予算をいただきまして、七本程度PR映画を作製いたしております。ジェトロ昭和三十三年に発足になりましたので、三十三年以降今日までこの種の映画も四十数種類つくりました。本数にいたしますと、プリントの数は数百本になる。これを海外数十カ所、八十カ所以上のところに配りまして、これを活用いたしておるわけでございます。  このほか、PRといたしましては、海外におきますテレビを使いましてPRをやっておるわけでございます。テレビ映画を数本、毎年海外各地で六百回以上の放映を行なっておるわけでございます。またPR方法として非常によろしいのは、海外からこちらに人を招きまして、そうして日本産業状態を直接見てもらいまして、その方の目で海外にまたこれを報告していただく。このために私どもは毎年各市場からその土地の最も有力な報道機関の方をお招きいたしまして、年に九名程度のものでありますが、お招きいたしまして、日本産業状態をよく御視察願って、そうしてそれぞれの方法を通じて海外で御報告を願うという仕事もいたしておるわけでございます。最近はまた御承知のようにいわゆるミッションと申しますか、海外からグルーブの訪日の方が非常に多くなりました。これらの方々につきましても、これをわれわれのほうで、必ずしも全部ではございませんけれども、受け入れまして、いろいろ御案内申し上げるという活動もいたしておるわけでございます。もちろんこのほかに、直接海外新聞雑誌等PRをする、あるいは海外向け出版物をみずからつくり、またそれぞれの業界でおつくり願ったものを買い上げまして海外に送るという仕事もいたしておるわけでございます。  三番目に、私どものやっております仕事の大きなものの一つは、いわゆる見本市でございます。ときには博覧会参加するということもございます。国際見本市あるいは博覧会は、最近の情勢といたしまして、御承知のとおり非常に活発になってまいりました。国際見本市は、言うならば関係国々業界の方が一堂に会して取引の場を持つという最も経済的なかつ効率的な一つ取引促進のための有力な機関でございます。各国も非常にこれに熱を入れております。ジェトロは、従来からこの見本市参加し、最近はまた、多少性質は違いますけれども博覧会にも参加いたしまして、輸出促進努力をいたしておるわけでございます。現に、大小いろいろな規模もございますが、それぞれの規模に応じ、また地域に応じまして、十回前後の博覧会催し等参加をいたしますことのほかに、同じような活動といたしましては、ジェトロ海外に持っておりますトレードセンターを活用いたしまして、各種展示仕事をやっておるわけでございます。この見本市及び展示関係仕事参加等は、ジェトロといたしましてもう二百回近く、初めから数えますと経験を経ております。私どもといたしましても非常に力を入れております仕事一つになっておるわけでございます。ただいまジェトロトレードセンターにおきます展示のことを申し上げましたが、現在ジェトロは十三カ所のトレードセンターを持っておるわけでございます。そのほかに機械センターがボンベーとメキシコの二カ所ございます。これらのところでいろいろな活動をやっておりますけれども、その大きな活動一つといたしまして、計画的に毎年業種別特別展示ということもやっております。また、各地方庁あるいは業界の御委託によりましての展示ということも回を重ねてやっております。いずれも毎年四十回以上の回数をここでやっておることに相なっておるわけでございます。  また、いま一つジェトロといたしまして力を入れておりますことの一つは、いわゆるデザイン振興のことでございます。御承知のとおり、輸出振興関係から申しますと、輸出商品意匠向上の問題、いわゆるデザイン向上の問題も非常に大きな問題でございます。日本貿易振興会といたしましても、この問題を取り上げまして幾つかの活動をやっております。一つは、毎年デザイン研究生海外に送っておりまして、それぞれ有能な人を選びまして海外専門の学校、施設等に一年、場合によりましては多少延びることもございますが、入れまして、十分な研究を積み、立ち帰りまして関係業界等の御相談相手になるということもやっておるわけでございます。毎年六名ないしそれ以上の者を送っております。帰りまして、各種研究会等を持つわけでございます。これも毎年七十回以上の研究会をこれらの人は持っておるわけでございます。  そのほかデザイン関係仕事といたしまして非常に大事なことの一つは、海外にございますすぐれたものを少しでも多く日本関係の業者の方に見ていただく。なかなか業界の、ことに中小企業の方がこぞって海外にお出かけになることも困難でございますので、品物をこちらに持ってきて、各地方を持ち回りましてごらんいただく。これは海外優秀見本収集と言っております。デザインの優秀なもの、あるいはまた日本商品海外市場で競争をしておるもの、こういうものをありのままの姿で日本に持ってまいりまして、これを関係各府県とも御相談いたしまして、全国を回って業界の方にごらんに入れて御参考に供しておるわけでございます。数百点の品物が毎年まいりますが、全国を五十数回の巡回展示を行なっておるわけでございます。  同時にまた、四年ばかり前から始めております日本国産品、特に手工芸と申しますか、クラフト関係国産品で優秀なものがたくさんございます。これを各地方にわたりまして選びまして、そうして海外にそのものを持ってまいってジェトロトレードセンターを利用しまして外国の商売人の方に見ていただく、そうして取引のチャンスをつかむという活動をいたしておるわけでございます。  以上申し上げました各種活動は、総合的にジェトロがやっております活動でございますけれども、あわせまして特に農林水産物あるいは医薬用品、軽機械、雑貨というようなものにつきましては、それぞれの業界と御相談しまして、御支援を得ましてそれぞれの農林水産物等に即しましたきめのこまかい各種活動を行なっておるわけでございます。この活動内容的には非常に煩瑣になりますので、詳しい説明を省略させていただきたいと思うのであります。  ジェトロはかような次第で各種活動をやっておりますが、これらの活動をいたしますために、現在は海外におきまして五十カ所以上の施設を持つようになっております。国にいたしますと四十カ所をこえるわけでございます。先ほど申しました十三カ所のいわゆるジャパントレードセンター、二カ所の機械センター、三十数カ所の調査員設置等、合わせまして五十以上の施設海外で運営いたしまして、これらを拠点にいたしましてただいま申しましたような各種活動をいたしておるわけでございます。  また、これを受けまして国内的にはいろいろな活動をいたしております。その一つといたしまして、東京大阪資料室をいま持っておるわけでございますが、毎年計画的に資料をいま収集しております。調査員からは貴重な報告がたくさんまいります。これらを資料室に整備いたしまして、関係業界その他の方の御利用に資しておるわけでございます。最近は東京大阪を合わせまして年に一万一千名以上の業界の方がお見えになります。もちろんこの大部分の方は中小企業方々なんでございますけれども、多数の方においでをいただきまして、この資料を十分に御利用願っております。なお、今日この種の施設を拡充いたしたいと存じまして、来年度予算では資料センターというような構想も打ち出さしていただけるようになっておるわけでございます。業界としましては、私どももっとこれを利用しやすい場所を整備し、機械を整備して十分な活動をするようにという激励をいま受けておるところでございます。  このほか、先ほどのデザインに関連いたしましてジャパンデザイン・ハウスというものを東京に持っておるわけでございます。これは、日本の持っております輸出商品の中でデザインの優秀なものはたくさんございます。その中で専門の権威ある選考委員方々の御選考を受けまして、毎年幾つかの優秀品を選びまして、それを展示する。ここには多数の方々見えます。年間やはり二万近い方々来観者があるようでございます。むろん外国関係筋の方も多数見えるわけであります。これまた場所の狭隘に悩んでおりますけれども、この施設もこれからも大いに活用してまいりたいと思うわけでございます。  このほか、最近ジェトロ地方に二十カ所の貿易相談所、これは地方によりますと貿易情報サービスセンターというような名前を使っておるところもございますけれども貿易相談所をつくりまして、ここで各種のいわゆる貿易相談仕事をやっておるわけであります。もちろん、この仕事はスタート以後まだ日も浅いのでございまして、必ずしも私どもも十二分の機能を発揮しておるものとは思っておりません。すでに今日では貿易相談所相談にお見えになります方々の数、あるいは引き合いをそこで求められます数、非常に多数に上っております。これらも、申すまでもなく大部分の方はいわゆる中小企業方々であるわけでございます。  かようなわけで、仕事が非常に多岐にわたっておりますので、その一々についてこまかく申し上げる時間もございませんけれども市場調査PR関係見本市関係、あるいは意匠向上関係仕事というようなものを主軸にいたしまして海外活動を行ないまして、これらの海外活動の成果をうちに受けまして、各地貿易相談所等を中軸にいたしまして、本支部ともサービスということに努力いたしておりますのが現状であると申し上げることができるかと思うのでございます。  概略のことでございますが、以上でございます。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは主として参考人にお尋ねをしたいと思いますけれども、その前に大臣にお尋ねしたいと思います。  国連貿易会議の問題ですが、実は先日の本会議武藤議員から質問いたしましたけれども大臣のお答えが明らかでございませんでした。御承知のとおり、この会議はいままでなかったような、画期的な会議であるわけでございます。この会議に臨む日本府政態度というものは、開放経済下に置かれておる今日きわめて重要な意味があると思います。この会議に臨む態度として、通産大臣は、私は新聞週刊誌かで見たと思うのですが、ハムレットの心境だ、こういうようなことのようでありました。前向きで取り組むのだけれども、その前向きは、前を向いて走ることも前向きだし、前を向いて立っておることも前向きだ——禅問答みたいなことを大臣は言ったと書いておったのでありますが、心境はわかるような気もいたしますけれども日本開放経済下において対処する態度としては積極的な前向きの態度というものがなければならない、こう思います。したがいまして、この会議に臨む日本政府態度、どういうかまえで対処するのか、大臣の率直な考え方をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  6. 福田一

    福田(一)国務大臣 御承知のように、ただいま企画庁長官国連貿易開発会議へ代表として出ておるのでありますが、この会議は一方においてガットの場があって、これは大体先進国等中心にした集まりで、これに相当数が加わっておる。今度は国連のいわゆる低開発国の多くが加わっておるという会議になるわけであります。そういう意味で、いささか内容も違ってくるわけであります。目的とするところは、世界の貿易を今後ますます拡大していくようにしたい。その貿易を拡大するには、低開発国産業をだんだんある程度高度化をしていく。同時にこの低開発国購買力がつくようにするというように考えていかなければならない。それには、そこで生産される一次産品あるいは軽工業品のような、あるいはまた重化学工業でも非常にまだ高度のものでないもの等がつくられるわけでありますが、こういうものについては特恵的な関税制度先進国がとる必要があるのではないか。あるいはまた、そういうところには資金がないということであれば、ある程度資金を貸与するなり、あるいは与えるなり、何かそういうことを考えたらどうだろうかというような、いわゆる事務局長のプレビッシュさんから出されたブレビッシュ報告というもの、そういうことを議題としながらお話を進めていくというわけであります。この段階において、低開発国も含めて貿易を拡大していかなければならないという、その考え方には日本としても大賛成で、非常にけっこうであります。けっこうでありますが、その場合において、たとえばガットとどういうように関係調整をとっていくのがいいかとか、あるいはまた援助、保障というような資金的な援助を与える、こう言いましても、私は援助を与えることけっこうだと思うのです。しかし、アメリカのような非常に力のある、いわゆる先進国のうちでも力のあるところと、日本のように経済力の弱いところとでは、おのずから与える援助度合いも違うだろう、そういうことをどう調整したらいいか、それは国力と言ったって何が国力かという判断をするのに、これがなかなかむずかしい問題が起きてくるだろう、こういうことがまずあります。それから、それぞれの国々工業なり農業なりはみんな違っておるわけであります。日本のような国と、アメリカあるいはイギリスの場合、ECCの場合——ECCの場合でも西ドイツとフランスあるいはイタリアというようなものはまた違うわけです。それぞれの国が一次産品の買い付けについて特恵を与えるといっても、それがその国々に与える影響というものはみんな違ってくるわけであります。一律的にそういうことをきめてできるかどうかということも実は大問題であろうと思うわけです。そこでいまあなたがおっしゃったのでありますが、立っておるのも前向きなら、どんどん走るのも前向きだ、これは新聞記者会見でたしか私はそういうことを発言したような気がいたします。前に向いているということは、貿易を拡大しようという意味においては絶対やらなければいかぬということですから非常にけっこうである。しかし、いま言ったような問題を審議するにあたっては、自分の国の農業がつぶれたり、中小企業が参ってしまったり、そのために輸出が阻害されるようなことがあっても、それでもやるべきであるかどうか、これは私は考えなければならぬ。そういうことになると、立ちどまって考えなければいかぬかもしれません。私はそういう意味でそういう表現を使ったのではないかと思いますが、いまでも気持ちは同じであります。だから、宮澤企画庁長官羽田を立つときに言ったことばは、中進国——日本はまだ低開発国でもなければ先進国でもない、そのまん中にいる中進国だ、宮澤君がこういう発言をして羽田を立った意味は、そこに非常に意味があると思うのであります。私はこういう考え方といいますか、こういうことは一つの考えとしていいのではないか。そこで、それはそうなると総理の言っているのと違うじゃないかという話がございますが、それは要するに度合いをどこで切るかということできまる。もし先進国というものが四つか三つしかないということになるなら入らないかもしれぬが、十も二十も加えるということになるともちろん入る。数の切り方の問題であります。いろいろそれは考え方はあるだろうと思いますが、しかし日本立場というものを率直に政策的に見てみるならば、私はそういう多くの問題を包蔵しておるその事実を忘れてはいけない。また問題ごとによって先進国の中に入るか、あるいは貿易の面、たとえば造船業をとれば日本は世界一なんです。こういう意味では世界一と言える。造船業をとって世界一と言えるからといって、日本は世界一だとは言えないわけで、これはいろいろ表現のしかたはありますが、低開発国との貿易を進めていくという段階においての日本立場というものは、私が先ほど申し上げたような、また宮澤長官が言ったような中進国みたいな立場をとらざるを得ない、こう考えておるわけであります。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 大臣のただいまの見解で、前向きのいわゆる禅問答宮澤長官の中進国、そういった問題を中心に少し議論してみたいと思いますけれども、きょうは時間の関係がありますから他日に譲ることにいたしますが、この会議に臨む後進国は異常の決意を持っておる。そういうことでございますし、またそれに対応するアメリカ、ソ連の態度もそれぞれ微妙な態度があるようであります。しかしながら私は率直に言って、日本後進国に取り組む態度というものは非常に弱い、こう思っております。御承知のとおりに後進国貿易というものは、いま伸び悩みの状態にある。輸出産品によってそれは違いはありますけれどもヨーロッパ諸国の伸びのほうが相当に大きい。やはり日本として資金的な問題、そういったようなことだけでなくて、欠けておるものがあるのじゃないか。そのことは私は技術協力技術援助というものに欠陥がある、こう思っておるのです。たとえばコンサルタントの問題にいたしましても、アメリカイギリスコンサルタント企業を持っておる。それから西独は協会を持っておる。さらにまた技術者アメリカなんかは一千名くらい教育をしておるというようなことで、非常な熱意を持って対処いたしておりますけれども日本の場合は、そういうものは非常に弱いのではないか。ここらあたりにも後進国の開発に日本が協力できない面があるし、やはり貿易の伸び悩みもそういう点に根ざしておると考えております。それではいけない。やはりもっと、日本立場があるにいたしましても、積極的な取り組みというものが必要である、こう思いますが、具体的な考え方をひとつこの際通産大臣から聞かせていただきたいと思います。
  8. 福田一

    福田(一)国務大臣 今度の会議は御案内のように初めての会議でありまして、また、そこで具体的な問題がきまるのではなくて、方向、こういう問題を研究しようということであろうかと思っております。したがって会議自体において、具体的な個々の内容までが取り上げられるとは思っておりませんが、しかし積極的に低開発国のために努力をするということについては、私は、日本はやはり非常に積極的にやっておると思います。あなたも御存じのように貧者の一灯ということばがある。日本経済力に応じて経済力以上のことをすれば、これは誠意においては一生懸命にやっておるのですか、具体的にそれが数字の上ではいささか劣っておるということがあり得るかもしれないと思います。しかし、われわれは低開発国に対して、自分たちができるのにその援助を断わるとか、あるいはまた貿易を振興する方途について積極的に取り組まない、こういう気持ちは毛頭ない。これはまた低開発国が伸びれば貿易がふえるのですから、低開発国援助がすなわち日本貿易をふやすゆえんになる。特に東南アジア等の日本と特に関係の深いところにおいては、相当私たちは積極的にこの問題を進めていかなければならない。こういう考え方は、常に政府の施策の面でいつも考えて、これを実施しておるところであります。しかし、それだからといって、アメリカと同じようなことができるかというと、そうはいかないということを実は申し上げておるのでありますが、ただいまお取り上げになりましたコンサルタントの問題等も、まことにけっこうなお考えでございます。これはわれわれとしてももっと進めていったらどうか、これは非常にけっこうだと私は思う。しかしその度合いが、どの程度にしていくかということは、日本国力日本経済力、こういうこともよく考えながら、あまり飛び上がったといいますか、分に過ぎた、カラスがウのまねをするようなことは、私はできないと思うわけでございまして、できるだけのことは今後もわれわれはつとめてやらなければならない、またやってきておる、こう思っておるわけでございます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 全然やってないわけじゃありませんから、やってきておると言われれば、やっていないんだとは言いませんけれども、実際は取り組みは非常に弱いと思います。たとえば、経済協力基金の問題にいたしましても、相当な熱意を持っておやりになった。しかし、百七十億くらいあるのに四十億くらいしか使っていない。これは開銀との関係、いろいろの面もありましょうけれども、あまりたなざらしし過ぎているのじゃないか。そこに何とか、大臣のいまお答えになりましたような態度をもって取り組むならば、そういったような問題もおのずから解決をすると思います。それなりに後進国に対するところの開発の協力というものも前進をすると私は思います。ですから、やっているんだという自信もけっこうでしょうけれども、やはり反省というもの、そして、力強く問題と取り組むという態度がなければいけないと私は思う。そういう点について、いま一度大臣の心がまえを聞かしていただきたいと思います。
  10. 福田一

    福田(一)国務大臣 経済協力基金の問題は、御案内のように、協力でございまして、援助ではございませんから、協力にはある一定の条件もございますし、また、国内問題で輸出入銀行との関係等々もありまして、いままであまりそう額が、百七十億に対して四、五十億しか運用されてない、残念なことであるということは、私も事情よくわかります。また、あなたがおっしゃったように、もっと積極的に前向きに取り組んでいくべきである、反省をしてやっていけ、こういうおことばは、よく私はそのまま受け取って、大いに反省をしてやりたいと思います。常に反省なしに政治をやるなどということはいけないと思います。こういう機会に、あなたからそういう御叱正をいただいたのでありますから、今後ひとつそのつもりで大いに努力をいたしてまいりたいと思います。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 これらの問題に対しましても、質疑はいずれまた適当な機会にいたしたいと思いますが、いま審議いたしております法律案に関連することですが、見本市の問題ですね。三十九年度のわが国が海外で開催する見本市、また、外国日本で開催をする見本市の計画をひとつ聞かしていただきたい。
  12. 長村貞一

    長村参考人 日本貿易振興会といたしまして、三十九年度で海外に計画しております見本市は、次に申し上げますとおりでございます。全部で九つの見本市を考えております。そのうち、ただいま確定的に計画を進めておりますものは、香港の見本市、それからカナダのブリティッシュ・コロンビア、これはバンクーバーでございます。それからパリの国際見本市、それからイランの日本農業機械巡回展、これは巡回見本市のようなものでございます。それからサンフランシスコの第七回世界貿易見本市参加をする。それから、同じくアメリカのダラスの国際見本市参加をする。そのほかサロニカの国際見本市参加をしてはいかがかと思いまして、ただいま検討しております。いま一カ所、市場関係から南米方面のいずれかの地で見本市を開催したらいかがかと思いまして、目下計画をしております。これはいわゆる総合見本市でございまして、商品、業種等特定いたしませんで、全産業につきまして開く見本市でございます。このほか、私ども専門見本市ということばを使っておりますが、特定の業種あるいは特定の産業に即しました見本市を考えております。来年度は、たとえば、トロントのプラスチック・ショー、アメリカのカリフォルニアの家具ショー、オーストラリアのシドニーのエンジニアリング・エキジビション・ショー等、全部で八カ所くらいの専門見本市参加をいたしたいと思っている次第でございます。  国内で外国がやります見本市につきましては、日本貿易振興会といたしましてはいま特別の計画を持っておりませんので、私からちょっと……。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 参考人にはあとでお尋ねすることにいたしますが、国内で外国がやる見本市のうちに、中国の見本市ですが、中国としては、北九州に見本市を開催いたしたい、こういうことであったように伺っておりますが、どういう理由なのか通産省としては、北九州の見本市は認めない、こういうことになったようでありますが、どういうことからせっかく外国が開こうとする見本市を認められないのか、その点をひとつ大臣からお答えを願いたい。
  14. 福田一

    福田(一)国務大臣 御案内のように、見本市を開くということは、国際関係におきましてどこの国でもお互いに相互主義でやってきております。これはもういままで長い間そういう慣行ができておるわけでございます。たまたま去年は中国におきまして、北京と上海で見本市が開かれました。そこで今度は、日本においても、四月と六月に東京大阪見本市を開く。ところが、まあ何か民間のお方が向こうへ連絡をされて、九州でもやる、こういうことをきめられたようでありますが、そうしますと、二対三というわけです。いわゆる相互主義が破れるわけです。これはこういう段階においていろいろの誤解を生むおそれがある。私は、日中関係が順次正常化できるものならば、そういう方向へ進んでいくことは、まあ政経分離のたてまえとは言い条、そういう方向へいくことはいいと思いますが、無理をしたらかえって問題がこんがらがるというか、後退する問題です。こういう場合に、二対二ということになっておるのになぜ日本は三カ所を開かされたのか——一方から見れば開かされたと見るかもしれない。また、宣伝からいえば、開かしたと言うかもしれない。かえってそういうことは、どこの国でもやっていないことがここの場合に起きるというような形になることは、私は、そういいことではないと思っておるわけであります。むしろ好ましくない。そういう意味で今回は、やはり去年二回向こうで開いたのだから、今度は二回こちらで開く、これが何か一番すなおなことじゃないかと私は思うのであります。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 私は、これはすなおとは思いません。見本市を開かないでおったのが開くようになった。一回より二回になった。二回より三回開いた。そのことは、やはり日中両国の貿易振興に役立ってまいりましょうし、日中関係だけでなくて、それぞれその他の国々との見本市にいたしましても、それなりの効果というものはあるわけです。ところが、去年は二カ所であったからことしも二カ所だ、それでは前進はないじゃありませんか。松村さんも近く訪中をする、こういうことの計画があるようでありますが、ほんとうに通産大臣が日中貿易促進していこう——相互主義もありましょうけれども、それは三カ所せっかく向こうが開きたいというのだからそれを認めて、そうしてまた日本も、相互主義ということでいくならば三カ所開いていく、そういう態度こそ私は好ましいのじゃないか。いまの大臣の答弁は、私は、前向きではない、一つも進歩のある考え方ではない、こう思います。その点について、きょうは時間の関係がありますからできるだけ議論をやるまいと思いましたが、どうもいまの大臣の答弁では納得できません。もう一度お答え願いたい。
  16. 福田一

    福田(一)国務大臣 前向きでないという御批判でございますが、これはそうなりますとどうも意見の相違ということになりますから、政策の相違ということになりますから、ちょっとむずかしい。それ以上のことはどうも私も申し上げられない。しかし、物事を前向きにやるということは、数で判断するのがいいのか、すなおな姿でこれをやるのがいいのか、二段も三段も飛び上がってひっくり返って下まで落っこったというようなのがいいのか、一歩一歩と前へ歩むのが前進なのか、ここら辺は考え方の問題だろうと思います。まして見本市などというものは数よけいやったから特にそれがいいというものでもない、ものの考え方から。どこだって、たとえば日本がソビエトにやる場合においても、一年ごとに一カ所ずつ開いてやっておる。アメリカの場合にもそういうふうなことで大体やっておる。それで私はちっとも——貿易自体は、二回やったから貿易額が二倍になるというなら、これは考えなければいけないかもしれないが、そんなものじゃないと思います。三回やったから貿易額が三倍になるというなら、これはわれわれも大いに考えなければならないけれども、そういうものじゃないだろう。要するに見本ですから見本を見せ合うということなんですけれども、見る意思がある人はそこまで行って見たらいいので、そう無理をしなければならないというものではないと私は考えます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 すなおに考えて大臣のいまの答弁は大臣だけしかわからないと思うのです。一般常識としては通用しないと私は思います。しかし、その問題はきょうはこの程度にとどめることにいたしまして、参考人に対する質問をいまからいたしたいと思います。  先ほど副理事長さんからいろいろジェトロの運営の内容につきまして伺ったわけでありますけれども、率直に言ってジェトロはあまり評判がよくない。いろいろ私たちも認識不足の面もあるだろうと思うのですが、そういう評判が全部当たってないとは言えないと私は思います。きょうは歯に衣を着せないで、評判をそのまま受けましてお尋ねしてみます。気に食わないことも言うかもしれませんけれども、いまの前向きの議論じゃありませんけれども、前向きに役立つ、こういう意味で率直なお答えを聞かしていただきたいと思います。  御承知のとおり組織は五百人をこえるという大きい組織に発展をいたしたようであります。ところが、その発展は量的な発展ということだけではだめだと思うのです。質的な発展というものがそれに伴ってくるということが、一番重要な問題だろうと思います。ですから評判が悪い。その評判のとおりだとすると、量的な発展という一面だけであって、質的な発展というものが欠けているのじゃないか、私はそういうように思うわけであります。いろいろ評判の中でありますけれどもジェトロは寄り合い世帯だということがよくいわれる。寄り合い世帯という意味もいろいろありましょうが、このジェトロが発足いたしまして、やはり各省から出向というので役人の人たちも出られたのでありましょうし、海外貿易を担当するという点から役所の窓口も幾つもあるというような点等、いろいろむしろジェトロ自体は迷惑しているような面もあるのではないかと思いますけれども、運営上のいろいろ欠陥というものもあると思います。副理事長その他御出席理事の方で、日ごろぶつかって非常に困ったものだと考えている点もあろうかと思いますが、そういう問題をきょうはさらけ出していただきたい。そうしてジェトロがこれから先開放経済に対処する、ほんとうの質的な発展に寄与する、こういうことに役立たせていただきたい、こう思います。そういうことで抽象的な言い方でありましたけれども、申し上げた意味はわかろうと思いますから、そういうことでひとつおお答えをいただきたい。
  18. 長村貞一

    長村参考人 いろいろと御注意いただきまして、ありがとうございました。おことばがございましたように、ジェトロ、これは特殊法人になりましたのが昭和三十三年、その前から数えますと昭和二十六年でありますから十年以上たっておる、あるいは昭和三十三年から数年たっているということでございますが、何を申しましてもまだ歴史としては非常に浅い歴史である。その間、ほんとうに皆さまのおかげで、いまのおことばにもございましたように、仕事の分量のほうは非常に大きくふえてくる。これをこなしますために、所要の職員を整え必要な訓練をいたしまして、御期待に沿うようにやるのが私どものつとめでございます。日夜努力はいたしておるつもりでございますけれども、まだ私のほうも至らぬ点も多々ございますので、今後とも御叱正を受けたいと思いますけれども、ただいまの寄り合い世帯というお話、ジェトロの現在の歴史を見ましても、一つの組織をつくりますためには、各方面の人材の御協力をいただかなければ成り立ちません。もとより最近私どもは毎年優秀な新人を計画的に採用しておりますけれども、何ぶんにも歴史の浅い今日であります。それがそろって育ちましてジェトロの運営の中核をなしつつはございますけれども、年齢から申しましても、すべての組織を満たすようになっておりません。あるいは業界からあるいはまた関係の官庁方面からの御協力を得まして運営してまいるということは、今日の情勢ではこれはやむを得ないと申しますか、またある程度ぜひこういうこともしなければならぬのじゃないか。運営の面につきましてはいろいろと御指示を得まして改善すべき点は改善しなければならぬと思いますけれども、目下のところさようなことに考えております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 あなたから進んで、壁というか問題というか、さらけ出すということがなかなか言いづらいことだと思いますので、私から御質問を申し上げたいと思いますが、その前に山本通産局長にお尋ねいたしますが、ジェトロの役員にいたしましても、あるいは職員にいたしましても、各省の出向が多い、こういうことがいわれます。それが事実だとすると、このジェトロが発足いたしました際の国会の意思というものに反すると思います。局長は御記憶であろうと思いますが、この日本貿易振興会が成立をいたしました際に、国会に附帯決議があったはずであります。その附帯決議はどうなったか、それをいかに尊重してきたか、そのことをまずお答え願います。
  20. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまジェトロの職員の中で関係各省からの出向者が全体で約四分の一程度になっております。しかし、その中の大部分の者は、かつて役所におりまして役所から行ったわけでございますけれどもジェトロのほうの仕事により適しておるという人が相当おりますので、再びまた役所に帰ってくるということを予想される人は比較的少ないように思っております。したがいまして、たまたま発足当時人材を広く求めるという意味で役所からも大ぜい人が参りましたけれども、必ずしも役所の立場で乗り込んでいったというかっこうでなくて、適材ということでジェトロの職員になっておるという者が大部分だというふうに考えております。  それから、海外の派遣職員約百五十名程度おりますが、その中にも役所からの出向者が四十名程度おります。これも同じように非常にジェトロ仕事に適しておるということで行っておりまして、ある者はまた役所に帰ってまいりますけれども、ある者はそのままジェトロに残る。最近おかげさまでジェトロの新規採用に、大学の新規卒業生で非常に優秀な人が入っておりまして、だんだんそういう人たちが育ってまいりますれば、漸次幹部のほうの仕事もいわゆるジェトロ・プロパーの人たちによって運営されるというふうになってまいることが予想されます。通産省といたしましても、できるだけ自主的な運営を今後ともしてまいるように私どもは処置いたしたい、このように考えております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 四分の一ということは、私は事実に反すると思います。あとでそれをお尋ねいたしますが、そうするとこの附帯決議の精神を尊重していかなければならぬという考え方でやっておりますか。
  22. 山本重信

    山本(重)政府委員 そのとおりでございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 それならお尋ねしますが、ジェトロ理事、役員、それからジェトロの主たるポスト、そうした人たちの出身官庁はどういうことになっておりますか。
  24. 山本重信

    山本(重)政府委員 現在理事が六名おりますが、その六名の出身省は、通産省一名、大蔵省一名、外務省一名、農林省一名、官庁関係からの出向者が四名、それからそのほかに民間から二名、合わせて六名の理事で構成いたしております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 今度一名増員の計画があるわけですが、その一名はどこから採用しようとお考えになっていらっしゃいますか。
  26. 山本重信

    山本(重)政府委員 今回理事一名の増員をお願いいたしておりますのは、今回の改正法律案説明にもありますように、ヨーロッパにおきますジェトロの機構がかなり大きくなってまいりました。またヨーロッパにおきまして地域統合の動きがかなりはっきり出てまいりましたので、調査をいたしますにも、あるいはPR活動をいたしますにも、その地域統合の動静をよく把握して総合的に運営をしていく必要が出てまいりましたので、いわば欧州総局というような感じのものを一つ置きまして、そしてそこに理事が常駐いたしまして、ヨーロッパ駐在のジェトロの出向駐在員の相互間の調整をはかる、こういう趣旨で考えておる次第でございます。ただいま具体的にはおそらくパリが一番適当な場所ではないかというふうに考えておりますが、具体的にだれをその理事にするか、今後検討することになっております。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 だれをどうしようかと考えてない。実際は通産省から理事を採用しようと考えておるのでしょう。どうですか。
  28. 山本重信

    山本(重)政府委員 今後の検討問題でございますが、おそらくそういうことになる可能性が多かろうと思うのであります。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 それはそういうことで附帯決議の精神を生かして運営しているということが言えますか。いま言われた官庁出身は六名のうちの四名、また今度は通産省から採用しようとお考えになっていらっしゃる。精神を生かしていこうということじゃないじゃありませんか。
  30. 山本重信

    山本(重)政府委員 附帯決議の御趣旨にありますように、できる限り民間達識者の参画を求めるという気持ちでおるのでございますけれども、当面現在の時点におきまして、そうした欧州総局的なところにおりまして全体の取りまとめをしていく適任者は、いろいろ探しましてもなかなか打ってつけの人がおりませんので、ただいまのところではとりあえず通産省から適当な人をだれか出すのがいいのではないかということで、とりあえずの措置として考えておる次第でございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 いまいらっしゃる理事の人たちは海外に行ってその役割りを果たすためには無能力者ですか。いまいらっしゃる、きょう御出席理事の人たちは優秀な人たちばかりおられる。そういう人たちの中からも考えるべきでありましょうし、あるいはまた事業部長とか、その他いろんな現在のジェトロに籍を置いておられる方も優秀な人が私はあるであろうと思う。十分業務面において通じている。そういうことでなければならぬと私は思う。そういうことをお考えにならないで、新たに欧州総局をおつくりになるのかどうか。そういう計画があるにいたしましても、いまあなたがお答えになるような人選というのは好ましくない。少なくとも精神に反すると思う。そういう考え方だからジェトロというものの非常な不評があると思う。その考え方は私は改められる必要があると思います。どうですか。  それと、私は副理事長並びに藤瀬海外事業部長にお尋ねいたしますが、新たな人でなければそういう役割りは果たせぬのか。あなた方の中で、あるいはジェトロの中で、そういう役割りを果たし得る人材はいないのか。率直にこの際ひとつお答え願いたい。
  32. 山本重信

    山本(重)政府委員 まず最初に、ただいまおります本部といいますか、内地の理事をそちらに回すことはどうかというお話でございます。実はそういう点もいろいろ検討いたしてみたわけでございますけれども、本部の仕事相当に最近ふえてまいっておりまして、現在の内地の理事を減らすということが事実上非常に困難でございますので、それとは別にやはり理事を一名増員をお願いしたいというふうに考えた次第でございます。なお、実は現在パリにヨーロッパのトレードセンターができることになりまして、現にそこの所長が行っておりますので、これは今後の検討問題でございますけれども、もし諸般の情勢が許せば、このパリの所長が同時に理事としてその総局の調整事務を兼ねてやるということが一番実際的ではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ具体的に現在おる所長そのままでいいかどうか、その点はまだなお検討の余地があろうかと思います。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 現在おる人を、その現在の立場でなくて、理事にしなければ運営できないという面がありますか。弊害がありますか。
  34. 山本重信

    山本(重)政府委員 パリにありますトレードセンターは一応その守備範囲が限定されておるのでございますが、今回欧州総局的な役割りを持つためには、パリの所長というだけでなく、やはり理事としてヨーロッパ全体を統括していくという立場を与えることが必要になってまいりましたので、そのように処置したいと考えておる次第でございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 藤瀬さんにお尋ねいたします。これはあなたが事業部長でしょうから、そういう面を担当していらっしゃると思いますが、理事の増員をしなければ、また理事の地位を与えなければ、実際そういう運営の面に支障があるという実態でしょうか。いまの通商局長のお答えに対して同じようなことなら答弁しやすいと思いますけれども、意地の悪いお尋ねみたいになりましたが、実情をひとつこの際お答え願いたい。
  36. 藤瀬英二郎

    ○藤瀬参考人 私事業部ではございません。担当は海外事業でございます。  ただいまの御質問、理事でなければ海外総局の仕事をやっていけないかということでこざいましょうか。——海外仕事をやりますには、ジェトロ仕事は非常に性格が違いますので、実際に海外仕事をよく知っている方でなくちゃならぬと思っております。ジェトロ仕事は、御承知のように引き合い、あるいはPR、あるいは展示調査ということでございます。これは大商社あるいは中小企業がおできにならぬことを私どもがやっているわけでございます。非常にこまかい仕事でもって実際経験を経なければできないと思っております。そういうことからいいましても、もし海外総局というようなものを置かれまして、そこの適任者はだれかということになれば、その地域に最も経験の深い、またことばなりその風俗、経済事情をよくきわめた方が適当だと思っております。あえて理事でなくちゃならぬということはないと思います。ただその場合どういう権限を与えるかということを考えまして、その権限の関係から理事でなくちゃならぬということは起こるかと思いますが、私としましては、仕事本位からいいまして、仕事の実力者を持っていくべきだと思っております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 率直な答弁だと思います。少なくともかまえとしてはいま藤瀬さんがお答えになりましたような心がまえでなくちゃならぬと思う。通商局長だって同じだと思うのですよ。ところが、あなたとしては、できるだけ役所から出したいという考え方に立って無理をしておられる。私は端的にそう申し上げたい。そのことは先ほどの質疑応答の中でも受け取れます。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、業務部長、海外事業部長、調査部長、この三つのポストはどこの官庁の出身者で占められておりますか。プロパーの人がいますか。
  38. 山本重信

    山本(重)政府委員 理事はそれぞれ違っておりますが、部長はただいまのところ通産省の出向者がいたしております。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 これも先ほど申し上げました附帯決議の精神に反する。少なくとも天下り人事ではだめなんです。附帯決議の精神というものは、理事だけじゃない、やはりプロパーの職員を採用してそれを育てていく、こういうことでなければほんとうの仕事はできませんよ。ジェトロ仕事はお役所仕事じゃない。根本からあなたの考え方は間違っている。そういう態度は直していかなければならぬと思う。副理事長はどうお考えになりますか。
  40. 長村貞一

    長村参考人 ジェトロの人事の問題につきましてのただいまのお話、私は根本的には全く同感と申しますか、ジェトロにおります人間を極力活用するという考え方でいくべきだし、現にそういうことでやっておるつもりでございます。ただ申しましたように歴史が浅いために、必ずしも組織を固めるためには全部の人間が整いませんので、現在いろいろな方面から応援を得ているという実情でございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁はこれまた事実に反する。もっと率直なお答えを願いたい。実際にプロパーの職員を採用しようとしても、定員その他の関係でできないのじゃないですか。私がそのとおりお答え願いたいと前に言ったのはそのことなんです。言いづらいことを言ってもらいたい。そうでなければ副理事長としての任務はつとまらぬと申し上げたいわけです。私はあなたを攻撃するために言っているわけじゃありませんが、率直にお答え願えなければどうしてもことばがきつくなりますから、率直にお答えを願いたい。  それから、いまの部長クラスにいたしましても、あるいは課長クラスにしても、ほとんど通産省を中心として、農林省であるとかあるいは外務省であるとか、そういうところから出向して、業務部長であるとか、こういう人たちは、山本局長が先ほどお答えになったこととは私は違うと思う。ジェトロに行って箔をつけてほかの民間会社等に行く人もありましょうけれども、そのほとんどはまた役所に戻っているのでしょう。たとえば三つのポストの人たちは、就任してからずっとそのまま続いておりますか。交代しておりませんか。役所に帰った人はいませんか。
  42. 長村貞一

    長村参考人 先ほど申しましたように、実は私どもといたしましては、ジェトロ・プロパーと申しますか、中の職員を極力活用いたしたいと思っておりますが、まだ歴史が浅いために必ずしも育っておりません。ですが、たとえば課長クラスになりますと、従来育っておりますものが、特に昨年あたりからは幸いに課長適任者が非常にたくさん出てまいりましたし、また現に相当数課長に上げておるわけでございます。それから部長につきましても、先ほど調査部長、海外事業部長その他の部長のお話が出ましたけれども、現在は通産省の方が来ておられますが、前調査部長のごときは、シドニー・ジャパントレードセンターの所長に栄進いたしております。他の部長につきましても、機会がありますならば、枢要な地位にそれぞれ活用いたしたいと考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 海外事業部長であるとかあるいは業務部長というのは、まだジェトロが発足してから御承知のとおりわずかなんですが、何回かわりましたか。山本さん御存じでしょう。私はわかっているのです。ある程度調べているのだが、それが事実がどうか尋ねているのですから、率直にお答え願いたい。
  44. 山本重信

    山本(重)政府委員 必ずしもつまびらかにいたしておりませんが、大体二年あるいは三年くらいで交代いたしておりますので、二、三回交代があったかと思います。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 四回くらいかわっているのでしょう。ですから一年半か一年くらいで交代しているのですから、ジェトロ仕事をさせようという熱意はありません。役所の人たちの外遊です。そういうでたらめなことがありますか。まだこういうことをやりますか。通商局長それから副理事長、お答え願いたい。
  46. 山本重信

    山本(重)政府委員 ジェトロの事業に適当な、いわゆるジェトロ・プロパーの人が育ってくるのを実は私たちも待っておるわけでございまして、適当な人が育ってくれば、漸次先般の附帯決議の御趣旨に基づきまして、なるべくそういう人たちに適当なポストをやっていただくようにいたしたいと思っております。これは私たち心からほんとうにそういうふうに考えております。ただそれまでの過渡期間に適当な人がなければ、やはり通産省からなりその他から探さなければいけないわけであります。その場合の任期その他は、通産省の出向者が行って、そのまま向こうに身分を移してやってもよろしいという本人の希望があれば、これはそれでよろしいのですが、そうでありませんと、やはり人事全体の関係で、ある時期には交代をしなければならないというのが実情と思います。しかし、なるべくそうした過渡期を早く過ごしまして、ジェトロ・プロパーの人がどんどん重要なポストにつくことを、私たちも心から念願しておる次第でございます。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 答弁にならないですね。全くでたらめですよ。ジェトロに行くときに一応役所の籍は抜くのでしょう。一年半か二年で交代をさせる。大体このジェトロの人事権は、そういうことであればジェトロ自体にないですよ。通産省にあるじゃないですか。こういうことをやっているということを私は聞いている。一年半なら一年半の期限がくると、もうぼつぼつ外国に行っておる期限が参りますが、この次はどなたをおやりになるのでしょうかと、あなたのほうはお伺いを受けるのです。そういうでたらめなことをやって、ほんとうにジェトロを質的に発展させ、この重要な日本貿易を発展させていこうという心がまえの上に立っておりますか。何というていたらくですか。そういうことではだめですよ。いまのあなたの答弁だって答弁になりませんよ。プロパーで採用した職員が育っていない、それで役所からやった——それならば過去四年間に三回も四回も交代をさせるというやり方は間違いです。出向させるときには籍を抜くでしょう。退職金を出すでしょう。また帰る、そしてまた出す、そしてまた退職金を払う、そしてまたもとに戻る、そういうやり方じゃありませんか。そういうことは背信行為です。許されませんよ。このことをどうしますか。
  48. 山本重信

    山本(重)政府委員 出向者の勤務期間が比較的短いという御指摘でございますが、これはある程度仕事性質からいっても御指摘のように長くおることが必要だと思いますので、今後その運営につきましては、これは人事当局のほうの問題でもございますので、そちらと相談いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしてまいりたいと思います。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど役所から行っている人たちはどれだけかと聞いたところが、四分の一だということですが、実際は違うのです。四分の一じゃない。トレードセンターにしても、五十二名中四二%は役所出身です。その他調査員の問題でも大同小異です。たとえばトレードセンターでは、通産省から十三名、大蔵省から三名、農林省から六名、調査員は通産省から七名、大蔵省から四名、農林省から一名、全く役所だけで占めている。特に中心である業務部は通産省出身で固めてしまっている。そういうやり方です。くどいようでございますけれども、あなたは良心的な局長であると私は思っております。私の申し上げることに非常に苦しいだろうと思う。根本から考え方を変えられなければならぬ。しかし局長、あなた自身の考え方ではない。これは通産省、あるいは大蔵省、あるいは農林省、官庁そのものの考え方に問題がある。政務次官、こういうようなでたらめなやり方を変えるためにどう対処していきますか。
  50. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 このジェトロの人事につきましては、いろいろ御指摘がございましたように、附帯決議の精神が生きていないじゃないかという非常に強い声でございまして、私も全く同感でございます。そこで、現在までジェトロの運営というものは、各省から参りまして——これは天下りというのではなくして、やはりジェトロ仕事性質が各省と非常に関係が深いものでございます。たとえばどこの外地に参りましても、私もジェトロに参りましたけれども、外務省の出先機関と緊密な連絡をとり、あるいはまた他の外務省の出先機関におります各省の出先機関とも緊密な連絡をとって仕事をしておるというような関係がございますので、そうした関係のしやすい者を持っていくというような点から、各省から派遣したり、あるいは各省でやめた者を持っていったわけでございます。そこで、現在のジェトロの人事を見ましても、たとえば副理事長長村君にいたしましても、もう五年七カ月も長い間やっていらっしゃいます。それからまた、農林省から行かれました山本君にいたしましても、五年七カ月という長いことやっていらっしゃいまして、その省の者というよりは、もうジェトロ精神に生きておる、私どもはそう考えておるわけでございますが、そこで今後のやり方につきましては、中村先生のおっしゃることもそのとおりでございますので、人事の刷新等につきましては、今後十分にひとつわれわれもその精神を体しまして、理事長なり通産省幹部等ともよく相談をいたしまして、できるだけそういう精神でいくようにわれわれも努力してみたい。そして名実ともに民間機関であるというようなことがはっきり言えるようなジェトロにもっていくのが必要じゃないかと考えております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 私は先ほど山本さんに背信行為だ、こう言ったのですが、それはいまのあなたの答弁のようなことじゃないですよ。大体出向させようという考え方の上に立ってやっている。だから定員をふやさないのです。管理費は相当圧縮されている。そして臨時職員がふえていますよ。アルバイトがふえていますよ。三分の一以上あるのですよ。どうなんです。あなたはそういう事実を知って答弁していますか。なぜそういうようにアルバイトがふえるのですか。臨時職員がふえるのですか。定員が少ない、そういうところに問題の一つがある。だから出向させるという形になる。事実上管理費は定員をふやすよりもずっと増大しているじゃありませんか。そういうことをよく御存じなくて、いまのような弁解にならない弁解じみた答弁をなさっている。それは答弁じゃありません。根本からこれを直さなければならぬ。私の質問にまともにお答え願いたい。
  52. 山本重信

    山本(重)政府委員 御指摘のように臨時職員がかなり多くなっておりまして、ただいま百二十名程度になっておるかと思います。それの原因の一つは、非常に事業の増加が急でございまして、定員増が、それに伴わないための一つのギャップでございまして、この点は極力今後も定員の増加をするように努力しなければならないと考えております。それからもう一つは、仕事の中で臨時的な性質仕事がちょこちょこ出てまいりまして、たとえばニューヨーク博、あるいはアフリカに今度キャラバンを送るとか、そういうような事柄の性質上、臨時的な仕事がございますので、そうしたものに充てるために臨時職員を使う、こういう要素もございます。それから予算定員との関係でございますが、実は通産省からいわゆる出向してまいります場合も、定員はジェトロの定員を食うわけでございます。やはりその点はプロパーの人を採用するのと全く同じでございまして、予算上の定員をふやさないと、どっちにしても解決しないわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 管理費が非常に圧縮されていることは事実です。ですから管理費をふやさなければだめなんです。副理事長、そういう問題についてお答え願いたい。
  54. 長村貞一

    長村参考人 お話のように、いまジェトロ予算の全体が三十九年度で四十億前後になるわけでございます。そのうち人件費を含めた管理費というものは非常に少ない。これは実は私どもといたしましても、ジェトロ仕事というものは、先ほど申しましたように海外仕事がおもでございますから、勢い海外中心とする事業費が多いのは当然でございまして、またそれ自身けっこうなことだと思うのでございますけれども、事業を行ないますならば、やはりそれに応じた管理形態というものは整備をしてまいらなければなりませんので、今後私どもは少しでも管理費の充実ということをお願いしたいと考えております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 管理費が圧縮されているということは、いろいろな面に弊害を生じております。たとえば職員の問題でもそうです。厚生施設でもみな貧弱です。その他年金の問題等、いろいろあなたのほうでも悩んでいらっしゃる問題があるだろうと思う。そういう問題についてあなたのほうでは積極的に通産省と折衝しておりますかどうですか。
  56. 長村貞一

    長村参考人 お話のように管理面につきましてはいろいろ問題がございます。たとえば厚生施設のごとき、御指摘のようにまだはなはだ貧弱なものです。ようやくにして実は寮の建設が始まりました。非常な無理をいたしまして、寮の建設をいま急いでおります。しかし、それではまだ十分でございませんで、今後この問題を中心にいたしましての管理費の充実ということは、私どもも極力積極的に関係官庁の方面に御理解をいただきまして、お願いを申し上げたい、かように存じております。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 通商局長どうです。今後この問題についてどう取り組みますか。
  58. 山本重信

    山本(重)政府委員 ジェトロ仕事海外に重点がございます関係で、予算を要求いたします場合も海外経費に重点を置いてまいりましたために、それに相応すべき国内の維持管理費とがバランスがとれておりませんので、その点をできるだく早く是正したいというふうに考えておりまして、毎年予算編成のときにそういう努力をしてまいっておるのでございます。おかげさまで、今回資本金も五億円増していただくような方針になってまいっておりまして、これも実はそうした管理費の不足を補うための一助でございます。しかし、これではまだバランスのとれた体制になっておりませんので、今後さらに御協力を得まして、そうした体制をつくるように努力いたしたいと考えております。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 藤瀬さんにお尋ねしますが、いまの管理費の問題等、外地に行かれる職員に対しては冷遇されておるということが、海外に行く場合の大きなマイナスになると思うのですが、そこらあたりをぜひひとつお聞かせを願いたい。
  60. 藤瀬英二郎

    ○藤瀬参考人 給与関係と事務能率でございましょうか。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 そういう全体の問題です。
  62. 藤瀬英二郎

    ○藤瀬参考人 実は私はトロントとニューヨークにおりまして、給料が非常に低いので、本部に対して改善をお願いしました。最近若干改善されたようでございます。何といたしましても、まず給与を十分にやりませんならば、海外仕事は成果をあげないことは皆さんもおわかりと思います。また事業費にいたしましても、やはりいまの予算内では、私どもが考えております点について、十分御期待に沿うようなことはできないように思っております。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 次に、これは重工業局の担当と思いますが、軽機械センターというのができているわけですね。これとこのジェトロとの関係、これは異質のものではない、関連を持ってやっておると思うのですが、ここがどうも私は問題のような気がします。ジェトロは通商局であるし、こういうものは重工業局、これはどういう運営をしているのか。営業所は四カ所か五カ所あるということですが、職員は大体どのくらいいるのか。いわゆる予算関係はたしか民間と政府と両面から出資しているのだろう、こう思います。これはうまくいっているのかどうか。どうも役所のなわ張り争いのような気がしてしようがない。ここらあたりをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  64. 山本重信

    山本(重)政府委員 軽機械センターの運営につきましては、おおむね三名程度が派遣されております。御指摘のように、運営につきましてはジェトロトレードセンターとの関係が重要でございまして、実際の運用面では、組織の面では、一応ジェトロトレードセンターの一環として、その中に繰り入れて運用するようにいたしております。従来の沿革等もございまして、建物が別にあったりいたしておりますけれども、一応組織の面では統合いたしまして、トレードセンターの一部というかっこうで、有機的な連携ができるようにいたしております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 藤瀬さんにお尋ねいたします。これは局が違うという関係で、いろいろあなたのほうでも運営上困難をしているという面があるじゃないかと思いますが、そこらあたりの内容、運営上あなたのほうで困難だと考えられる点があるならば、その点をお聞かせ願いたい。
  66. 藤瀬英二郎

    ○藤瀬参考人 軽機械センターができますということは、私がニューヨークの所長をしておりますときに伺ったことでございます。その際に、その当時ミシン、双眼鏡、 エレクトロニクス、そういったものがございましたが、これを私個人といたしましては、どういう体制で軽機械センターができるのか、実ははっきりわからなかったのでございます。それまでは、こういったものはニューヨークのトレードセンターの一部として十分な活動をしておったわけであります。これを別の軽機械センターとして統合されることは、私はニューヨークにおりましたときはわかりませんで帰ってきたわけであります。その後、私が帰りましてからその案が急速に進んで、軽機械センターというものが別個にできた。この審議の際に、私は率直に、軽機械センターというものがジェトロの一部であれば、軽機械センターの上の者を所長と呼ぶべきじゃないということを申し上げたのですが、結局軽機械センターの上の人も所長ということになりまして、ニューヨークにはトレードセンターの所長と軽機械センターの所長と二つになっております。のみならず、この軽機械センター仕事海外事業部でございますけれどもジェトロとしては機械部のほうの所管でございまして、私の所管外でございます。  以上、私が感じましたことを申し述べました。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろいまお伺いしましただけでも、どうもうまくいっていないというふうに判断されるわけです。せっかくのそういう機関がうまくいっていなければだめなんだが、いまのシャッポが二つあるというようなことは、運営上非常に問題点があるじゃないか。そこらあたりは十分調査されて、直すものは直していく、こういうことをしてもらわなければならぬと思うのです。ですから、役所の中に、省が同じだからというので同じような仕事をするものが、実はジェトロに全面的にやらしていいものが、何か屋上屋のような形でやりますとうまくいかない。政務次官、これにどう対処しますか。
  68. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの軽機械センターというのは、双眼鏡、カメラ、ミシン等、主としてこういうものを取り扱っておりまして、これはそれぞれ輸出振興のための協会がございまして、これはいずれも輸出振興に関しまして調整行為をやっているわけです。ある程度規制行為をやっているわけです。そうしたもののいわゆる系列輸出の体系を整えるために軽機械センターというものをつくりまして、需要地のほうへそういうものを派遣しているわけであります。現在双眼鏡にしてもミシンにしても一つの系列ができているわけです。そういう関係から、専属の一つセンターというものをつくりまして、輸出貿易をやっているわけであります。したがって便宜上そういうものを先方につくっているわけであります。しかし内部的には十分連絡をつけてやっております。その辺は調整をとるように努力するようにいたしたいと思います。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 いい面だけを言えばいいことは確かにあるが、弊害があるのだから、そういう弊害がどういう点にあるのか、そういうことを検討していくということでなければならない。いろいろ問題がある。いまあなたがお聞きになっただけでも、何かうまくいっていない点があるな、むだがあるなということをお感じになるでしょう。そういうことと十分取り組んでいかなければ、政務次官の役はつとまりませんよ。  それから、これも藤瀬さんにお尋ねしたほうがいいと思いますが、私が調べてきたところの国内組織とか海外組織の中で、職員が欧州諸国に非常に多く配置されているのですね。それから低開発地域また共産圏、こういうところは非常に少ない。これは、いまの貿易量からいったら、先進諸国のほうがずっと大きいのだから、どうしてもそうなるんだといえば、これは言えるかもしれない。しかし少なくとも開発していくというような観点の上に立たなければいけない。そうなってくると、やはり低開発地域に対して、もっと積極的な取り組みをしていく必要があると私は思う。どうも出向者の問題と関連をして考えてみると、先進諸国、住みやすいところにはたくさん行って、住みにくいところには行きたくないということで行かない。私はこういう組織になっているんじゃないかといろ感じがいたします。その点はどうなんですか。
  70. 長村貞一

    長村参考人 先ほど五十二余りの施設があると申し上げましたのですけれども、現在のこの施設の分布状況を見ますと、ヨーロッパと北米で二十七になっております。実は従来の日本との貿易関係から申しまして、対米貿易なりその他が非常に量としても多かった。沿革的に現在のような配置になっておりまして、私、率直に申し上げまして、ジェトロの今後を考えますると、これから進めてまいる市場、あるいはアフリカでありますとか中近東でありますとか、こういうところに私ども今後はより多くの拠点を設けて活動を開始していくという方向に考えるのがやはり重点の一つであろう、かように存じます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 こういった問題をまだまだお尋ねしたいことが多いのでありますけれども委員長と約束しました時間も近づいてまいりましたので、結論的にお尋ねしたいと思いますが、先ほどあなたのほうへ見本市のことをお尋ねをいたしまして、海外における見本市についてのお答えがありました。ところが、あなたのほうでおやりにならない見本市、民間だけでやる見本市というものもあるのでしょう。その点はどうなんですか。
  72. 長村貞一

    長村参考人 先ほどお答え申し上げました見本市は、私のほうが主催をいたしまして、政府の補助金をちょうだいいたしまして開催する、あるいは参加する見本市でございます。このほかに、民間だけの企画といたしまして、外国見本市参加をするとか、あるいは商品を持ってまいるということも現にございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、あなたのほうが参加しない見本市——参加できないのですか。
  74. 長村貞一

    長村参考人 そうではございません。ジェトロ関係なく、外国のあるところでは単独に参加をされることもございます。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、あなたのほうが参加するとなおうまくいくんじゃないかと思います。それは、どういうわけであなたのほうは参加できないのですか。
  76. 長村貞一

    長村参考人 私ども、御承知のように事業をいたします場合に、予算をちょうだいいたしまして、その範囲内で事業を運営しているわけであります。現在与えられました見本市予算の範囲内で計画を持ちますと、三十九年度は先ほど申しましたような状態になる、かようなことになるわけでございます。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、いまお聞きのとおりですがね。見本市にしても民間だけでやっている。これはジェトロがせっかくできているんだから、ジェトロ参加してやる。主催してやる。主催までいかないにしても、いま申し上げたように、参加、共催という形でいろいろやると、それなりの効果は私はあると思う。しかし、それが予算の問題、定員の問題、いろいろなことでやれない、こういう実態であるわけです。少なくともそういうことは、あなたの考えにはそぐわないと思う。そういう点は直していかなければならないと思いますが、あなたとしてはどうお考えになりますか。
  78. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のとおり、ジェトロ関係してやったほうが効果があがるものも相当あると思います。現段階では、すでに関係しないでも効果をあげ得るものもありますが、しかし、御質問の趣旨に従って、今後はできるだけ効果的にものごとが進むように努力いたしたいと思います。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 どうも大臣だからそういう答弁になるのかもしれませんけれども、何かひっかかりますね、あなたの御答弁は。もう少しすなおにすっきり答弁できませんか。後段はいいのですけれども、前段は、どうも自分たちがやっていることを正当づけようという考え方があるので、そういうことで答弁をされるから非常に回りくどい。それは私がそういうふうに受け取ったのかもしれません。しかし、せっかくジェトロができているのだから、ジェトロの主催、共催でやっていくことが好ましいと思う。そのためには予算の増額をしていくということに取り組まなければならぬと思います。それと同時に、ジェトロ考え方自体も消極的なものがある。中国の見本市が開催されましたときに、あなたのほうはこれに手伝いましたか。
  80. 長村貞一

    長村参考人 中国の見本市には関係いたしません。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 どうしてあなたのほうは、そういうものに対してはボイコットするような態度をおとりになるのですか。
  82. 長村貞一

    長村参考人 私のほうから積極的に必ずしもボイコットしたわけではございません。諸般の情勢から、先方も必ずしもジェトロを期待していなかったのではないかと思います。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 そんなばかなことがありますか。先方が何で断わりますか。諸般の情勢、それはわかります。しかし先方はつけたりですよ。そういうことじゃだめです。せっかくあなたのほうは特殊法人として、理事長、副理事長も重要な役割りを果たしているんだから、もっと積極的に取り組まなければだめなんですよ。あなたのほうで積極的に取り組んで、予算の獲得あるいは見本市の開催その他、先ほど私がいろいろ指摘した問題について、粘り強くがんばる。それできかなければどんどん国会に持っていらっしゃい。社会党に対してでも——社会党に言うたならばと遠慮なさったらいかぬ。やはりそういう問題はどんどん超党派で持ち込んできて、積極的におやりになるということでなければならぬ。私は、大臣をかばうわけじゃないけれども大臣の知らぬことも数多くあると思う。だからもっと積極的に取り組んで−おやりにならなければならぬと思う。今後どういうかまえでおやりになりますか、伺いたい。
  84. 長村貞一

    長村参考人 おことばで恐縮いたしました。私ども今後積極的に事業の推進に大いにつとめたいと思いますので、特に御指導、御鞭撻をお願いいたします。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 大臣の御答弁をいただきたいのですが、先ほど大臣が中座されたあとで、私はプライベートに大臣にちょっと話をした例の出向者の問題です。お尋ねをしてみると、全くあ然とするような状態です。実はこの日本貿易振興会法が成立しまして、附帯決議をつけてある。その附帯決議は「本会の役員及び運営審議会委員には、出来うる限り民間達識者の参画を求め、本会の業務が官僚的運営に陥らざるよう充分留意すること。」こういうような意味の附帯決議である。ところがほとんど出向者で占められている。役員は、言うまでもなく、業務部長であるとか、あるいは海外事業部長であるとか、あるいは調査部長であるとか、その他のポストを役所から出向させる。しかもそれは一年半とか二年という形でいつも交代をして役所から行く。これは籍を離れるのですから、退職金を出す。それで期限がきたならば、また役所に戻っていくとか、箔をつけて民間に出る人もある。そういうことで、非常に重要な業務をぐるぐる回っていくから、帽子だけはジェトロの帽子をかぶっている。しかし実際は心はそうじゃない。それではジェトロの任務がつとまるはずはございません。これはいま私が申し上げた役所の外遊的な考え方というものもあるだろうと思います。そういうことも一つの問題点でありましょうし、いま一つは定員の問題があるのです。管理費が非常に圧縮されている。そこで臨時職員がふえてきている、こういう形も実はあるわけであります。そこで、まとめて大臣のお答えをいただきますが、臨時職員を本職員にかえる、こういう形にしなければならぬと私は思います。それから、役員は、先ほど参考人からもお答えをいただきましたが、できるだけ部外からでなくてジェトロの内部からこれを活用していく、そういうことのほうが、実際は業務の運営はスムーズにいくのだ、こういうことでございます。そのとおりだと私も思いますから、役員も部内より登用していく、それから官庁よりの出向者もなくしていくということでなければなりません。いま直ちにストップしてしまうということは好ましいと思いますけれども、それがいま直ちにできないとするならば、その方向、附帯決議の精神を生かしてやっていく、こういうことにしなければならないと思います。まずこの三点に対して、大臣の率直な御答弁を伺いたい。答弁が納得いかなければ、それに対処する考え方をまたひとつここで……。
  86. 福田一

    福田(一)国務大臣 定員等の問題もあって臨時職員が非常に多い、これはすべて本職員にすべきであるという御趣旨でございますが、私はそれはけっこうだと存じます。今後努力をいたしたいと思います。  次に、役員を内部から出す、こういうことでありますが、いままでの経緯から見て、そういう傾きがあったことは事実と思います。ジェトロもできてからもう相当人も育ってきておりますから、今後順次内部からこれを登用するように努力をいたしたいと思います。  第三点は、官庁からの出向者が非常に多い、こういうことでありますが、これはいろいろ問題もございまして、官庁から出向者が出るということは、官庁との連絡をよくするという意味では、ある意味でいい面もある。あなたのおっしゃったような弊害の面もある、こういうことでありますが、将来そういう弊害が起きないような形において努力をいたしてまいりたい。かように考えます。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 第三点の御答弁はいずれにもとれる、こういうことになるのですが、やはり出向者ということは好ましいことではない。だから、附帯決議の精神等も生かして、できるだけそういうことを改めるようにつとめる、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  88. 福田一

    福田(一)国務大臣 いままでのこういうふうになっておる実情はおわかり願えると思います。今後だんだんとそういうふうに処置をしていきたいと思います。
  89. 中川俊思

    ○中川(俊)委員 関連。大事なことですから、ちょっとぼくは大臣に一口要望しておきたいのですが、海外ジェトロの出張所を回ってみますと、不平がある。というのは、こういう公開の席上で言うことはどうかと思うのだけれども、外務省との間が非常にうまくいってない。ニューヨークとか、あるいはデュッセルトルフであるとか、サンフランシスコとか、カイロという大きな組織のところはいいのですが、もっとへんぴなところに行きますと、ジェトロの方がごくわずかしかいらっしゃらない。これに対して外務省があまりいい感じを持っていない面がある。これは私はどこの地域だとかだれだとかいうことは言いませんが、大臣が外務大臣と連絡をされて、外務大臣によく出先に指令を出さして——同じ日本人であって、しかも商売をやろう、あっせんをしようというので、せっかく国費を使ってやっておるのですが、これは外務大臣もそういうことは知らぬだろうと思う。出先でそういうことをやるのだろうと思うが、非常に意地悪く当たる面がある。これは通商局あたり、よく注意してごらんになればおわかりだと思うのです。そういう点は私は方々回ってみて非常に苦々しく感じました。そういう点がありますから、それを注意していただきたい。  それから、ジェトロ予算が少な過ぎます。これはもっと予算をふやして、うんと活動してもらうような方向に通商局は今後やってもらいたい。そういうことをやらないと、せっかく出しても何にもならない。何にもならないという話は御無礼でありますが、そういうことになりますから、その点を、これは大事なここだから、大臣は外務大臣と連絡してください。出先に外務省から通告していただくように……。
  90. 二階堂進

    二階堂委員長 参考人の方に申し上げます。長時間御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。それでは御退席を……。  おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————
  92. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、日本社会党を代表して、藤田高敏君外二名より、本案に対する修正案が提出されております。     —————————————
  93. 二階堂進

    二階堂委員長 まず提案者より趣旨の説明を聴取いたします。藤田高敏君。
  94. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 自席から修正案の趣旨説明を申し上げます。  私は、日本社会党を代表いたしまして、日本貿易振興会法の一部を改正する法律案に対し、修正案の趣旨を説明いたします。まず修正案を朗読いたします。   日本貿易振興会法の一部を改正す  る法律案の一部を次のように修正す  る。   第四条の改正に関する部分を次の  ように改める。   第四条第一項を次のように改め  る。   振興会の資本金は、政府の一般会  計からの出資金五億円及び経済基盤  強化のための資金及び特別な法人の  基金に関する法律(昭和三十三年法  律第百六十九号)第十条第四号の規  定により、同法第十一条第一項第四  号に掲げる基金に充てるものとして  政府から出資された二十億円との合  計額とする。  以上であります。  御承知のように、日本貿易振興会の資本金は、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律に基づいて出資された二十億円でありまして、この二十億円を資金運用部特別会計に預託し、預託金の金利で日本貿易振興会の管理費等に充当してまいったのであります。  本改正案は、政府予算の範囲内で追加出資できるという条項が含まれておりますが、これは憲法による財政処理の基本的精神に逆行するものでありますので、本修正案は、憲法の財政支出の原則に従って、日本貿易振興会に出資または追加出資する際は、資本金の規定の改正を行ない、財政支出を明瞭にしようとするものであります。したがいまして、昭和三十九年度一般会計よりの日本貿易振興会に対する五億円の出資について、資本金の規定に一般会計よりの出資の規定を設け、財政支出区分を明白にしておく必要があるのであります。  以上、簡単でありますが、修正の趣旨を申し上げました。よろしく御賛同くださいますようお願いいたします。(拍手)
  95. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  96. 二階堂進

    二階堂委員長 次に討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  採決いたします。  まず、藤田高敏君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 二階堂進

    二階堂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、本案を原案のおとり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  99. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案は原案のおとり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  101. 二階堂進

    二階堂委員長 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  102. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業に関する件について調査を進めます。  企業倒産に関する問題について質疑の通告がございますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 本日は、最近とみにふえました中小企業の倒産の問題に関連をいたしまして、若干の質問をいたしたいのですが、それの前に、わが社会党は、こういったような中小企業の危機にあたりまして、社会党の中に中小企業倒産特別委員会というのをつくったのであります。われわれ野党がこれほど熱意を持っておるのに対して、政府があまりこの問題に熱意を持っていないということは——この問題につきまして私は通産、大蔵、法務、労働の四大臣を要求したのであります。もちろんそれぞれの大臣にはそれぞれの理由があることはわかります。だがしかし、福田大臣を除いて他の大臣が来ていないということは、この問題に対して政府の熱意が足りないということをまず最初に申し上げておきます。  次に、具体的な倒産の件数をあげてお尋ねいたしますが、私のほうの調べたのによりますと、中小企業の倒産件数といいますか、これは必ずしも資本金をもってその対象といたしておりませんので、あるいはその中にはいわゆる大企業もあるかもわかりませんが、まず本年の一月、負債一千万円以上で倒産をしたのが百九十八件、その負債額は二百八十二億でありまして、戦後最高であります。引き続き二月には、同じく二百三十八件、負債額三百五十一億、三月に入りまして、これはまだ十日までしか調べておりませんが、十日間に百二十件、百五十億と、昨年の三月中の百十件、負債額九十六億円、これに比べて、十日間にすでに昨年の一カ月分を上回った状態であります。こういうような状態にあたりまして、まず政府といたしましては、どういうような観点に立って中小企業の倒産に対する対策を考えておられるか、お伺いいたします。
  104. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。中小企業の倒産の問題は、ただいま田中委員が御指摘になりましたとおり、一月、二月と順次増大をいたしてきておるわけであります。この原因等につきましては、暖冬異変あるいはその他いろいろの理由もありますが、いずれにしても、倒産のあることはわれわれとしては非常に遺憾のきわみでありまして、特にこういうような倒産によって、また連鎖反応的な金融問題による倒産を引き起こすというようなことがあっては非常に困る、こういうこともございます。そこで昨年の暮れから一連の金融引き締めの措置をとるにあたりましても、まず中小企業の金融については格段の注意を払うようにということを、大蔵省の銀行局のほうからも各銀行のほうへ連絡もし、指示もし、日銀もまたそういう方向で措置をとってきておるのでありますが、実際にはいろいろの事情もあります。暖冬異変とかあるいは過度に設備投資をして、その結果運転資金の不足を来たし、あるいはまた高利の金に困るとか、あるいはその他のいろいろの事情によりまして倒産が起きておるということは事実でございますが、私たちとしてはこういうようなことに対処しつつ、十分中小企業の問題を考慮いたしながら措置をいたしてまいっておるわけでございます。しかしなお、こういうことではいけないということで、今度の公定歩合の引き上げ等に際しましても格段の注意を払っておりますが、四月には買いオペの実行とか、あるいは政府関係機関の期限の来ております債務のある程度繰り延ばしをする等いろいろの措置をとっておりますが、今後も事態に応じて政府としてとり得る措置をいろいろ講じまして、できるだけこういう倒産の少ないように努力をいたしてまいりたいと思います。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 いま大臣から、中小企業の倒産について若干の対策について伺いましたが、これは抽象的であって、あまりにも具体性を欠いておると思います。これはおいおいまた質問で明らかにしていきたいと思っておりますが、とにもかくにも一月以来どんどんと倒産数がふえておる。ことに三月末から四月にかけて決算が集中する時期にはもっと激増するのではないか、このように思うのであります。昨年中小企業基本法が成立をされ、そうしてその第一年目、ことに池田総理の言をもってするならば、革命的な中小企業対策を行なう、こういう宣言をした足元からこのような中小企業が多く倒れていく、こういうことは、ただ単に対策を考えておりますという程度では済まされないと思うのです。  そこでもう少し突き進んでお伺いいたしますが、その倒産の原因はいろいろあろうと思います。考えつくのを二、三あげてみますと、過去の赤字の累積あるいは設備投資の行き過ぎ、これは池田内閣の高度成長経済政策の罪悪であります。次に、関連企業の倒産による倒産、ことに親企業の倒産によるあおりを受けての中小企業の倒産、あるいはまた不良債務の影響、いろいろあろうと思うのです。大体中小企業の倒産の原因について、原因ごとにきめこまかい対策を立てねばならぬ、こういうように思いますが、どういうように倒産の原因を分析をせられ、その原因ごとの対策をどう立てておられるかお伺いいたします。
  106. 福田一

    福田(一)国務大臣 倒産の問題につきましては、個々の場合に応じて、これが波及を防ぐというような意味におきましてもいろいろ調査もいたし、また措置もいたしておりますが、この原因を分析して、その分析した種類に応じての対策を立てる、こういうことはわれわれとしてはまだ具体的に措置はいたしておりません。ということは、倒産をするような企業はいろいろの事情があり、いろいろな種類の産業があって、しかもその原因がみな別々でございます。これをおしなべて一つのワクに入れていくというようなものではなくて、いまあなたがおあげになったようなものが二つぐらい競合したり、あるいは一つであった場合でもその信用度合いが違ったり、いろいろいたしますから、そこのところはいたしておりませんが、いずれにしても倒産の場合はこれに対する対策を立て、これが波及をしないようにするというようなことはわれわれとして十分やってきておるわけであります。それから、これは倒産の問題でございますが、中小企業あるいはまた企業をおやりになる者は、自己の責任においておやりになるわけであります。でありますから、政府としては十分ひとつ企業は合理的に、しかもあまり過度の投機というようなことをしないように、よく世界の経済事情、日本の経済の中に置かれたその企業の位置を十分注意しながら、自己の責任においてこれをやるようにしていただきたい、これが根本の考え方であります。しかしそういう考え方、いわゆる自由主義経済の考え方に立ってやっておりましても、あるいは金融引き締めの具体的な問題が出て、それが直接に影響するということが皆無とはいえないと思うのであります。したがってそういう場合については、われわれとして措置をします場合には、中小企業に影響のないような十分な措置はとっていかなければならないと思いますが、個々の企業を全部国でやるとか、あるいは国が統制をしてやるという場合ならばこれは方法もあると思いますけれども、いまのように企業が自己の責任において仕事をしていくという場合において、まず第一に気をつけてもらわなければならないのは企業者自身であると私は思うのであります。ところがその企業者の責任でなくて起きるような場合、いわゆる連鎖反能的に事が起きてくるような場合においては、これは非常にお気の毒な事態でもありますので、こういうことについては、たとえば手形が不渡りになったというような場合は、できるだけ金融の措置も見て、連鎖反応を起こさないように努力してもらいたいということを大蔵省にも申し入れをしておりますし、またわれわれとしてもできるだけそういうような措置で、たとえば組合その他の金融等を通じて努力はいたしてまいっておるわけであります。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、このように中小企業の倒産がふえてまいりますと、その原因を調査し、その原因別に分類をする——いま大臣がおっしゃったように、私があげたのは一つの例であります。一つである場合も二つである場合も確かにあろうと思います。しかしその倒産の原因が那辺にあるか、こういうことを分析をして、それに対する個々の対策を立てるべきじゃないか。現に中小企業庁では業種別振興法だとか近代化促進法だとかいって、こまかく業種別に分けておるわけです。そういうようにやっておりながら、一方倒産の原因について、それを原因別に区分して検討するということができないわけはないと思います。いままでやっていなければやむを得ませんが、今後そのような原因別の倒産の理由を調査して、それに対してきめこまかい——たとえば設備投資の行き過ぎによる問題で倒れたのか、あるいは親企業の倒産に基づく連鎖反応的なもので倒れたのか、これらについてそれぞれ適切なきめのこまかい対策が必要であろうと思います。この点についてもう一度お伺いいたします。  それとともにもう一点、いま大臣は、できるだけ自己の負担においてと言われた、これは当然であります。企業を営む者が自己の負担においてやっていくことは当然であります。しかしながらその当然なことを当然でほうっておくのならば政治はないわけです。現在どこの国でも、いや自由主義国家だとか、資本主義国家だといっておっても、大なり小なり経済に対して国家が干渉していないところはありません。もし野放しでいくとなれば、そこに政治はないというてしかるべきだと思います。また、いま大臣は、自己の責めに帰すような原因でない、すなわち連鎖反応的に起こったような倒産に対しては、特に特別な施策を講ずる、こういう発言があったと思いますが、その点をもう一度確認をいたしておきます。いかがですか。
  108. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまも申し上げたところでございますが、調査をすることは、今後これが政策樹立の柱になるとか、資料になると思いますから、それは調査はいたしてもけっこうだと思いますが、ただこの問題はそういう調査をいたしても、倒産をするような場合には同じようなケースはほとんどないのではないか。いまあなたのおっしゃたような、たとえば設備過剰で倒れたものに対してどういう手を打つかということになりますと、そういうような無謀な計画をしないようにしなさいというようなPRはできると思うわけでありますが、しかしそれだから、設備過剰で倒れたんだから、じゃどうするかというようなことは、なかなか私は問題があろうかと思っておるわけであります。しかし、そういう分類をしておくということは、確かに政策樹立の面においては効果があると思いますから、どういう分類が適当であるか、今後いろいろ研究はいたしてみたいところであります。  それから第二の問題でございますが、いわゆる連鎖反応的に倒れたのは気の毒である、こういうことでありますが、そういうような場合においては、われわれとしては、手形が不渡りになった、こういうような場合においては、金がありさえすればその企業はまだ継続できるわけでありますから、そういうものにはできるだけ金融の道を講ずるようにしてはどうか。とはいいながら、中小企業金融は市中銀行がほとんど九〇%を占めておるのでありまして、政府関係金融機関はわずか九%前後であることは委員も御存じのとおりです。そこで市中銀行等に対しましても、できるだけそういう場合には金融措置をとるように努力してもらいたい、こういうことを言うておるわけであります。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 いま大臣は、金融等についても市中銀行筋が、こういうことなんです。まさにそのとおりであって、いわばこういった金融機関、銀行等が、中小企業あるいは大企業も含めて、生殺与奪の権利を握っておるというのが今日の実情でございます。この点については後ほどまた具体的に触れていきたいと思いますが、もう一つ一般的な問題としてお伺いいたしたいのは、この倒産の中で特に機械金属関係と繊維関係が多いのであります。一月の例をもって見ますと、先ほど申しましたように、全体で百九十八件のうち、機械金属関係が五十八件、これは負債は一千万円以上ですが、その総負債額は四十七億六千万円、繊維関係は五十二件、その総負債額は百二十五億七千万円、こういう状態であります。特に金属と繊維にこういう倒産が多いのはどういう理由でありますか、その原因を調べておられるなら伺いたいと同時に、それに対する対策を伺いたい。
  110. 福田一

    福田(一)国務大臣 繊維の場合は、私はやはり暖冬異変ということが今度は非常に響いておったと思います。機械の場合は、これは日本産業構造が重化学工業化をしなければならないという段階に来ておりまして、そうして順次機械産業あるいはその他の化学工業というようなものにウエートがかかってきております。そうしますと、それじゃそういうものがどういうふうになるかというと、どうしても先進国におくれてはなりませんから、何としても合理化、近代化、設備の近代化をしなければいかぬ。親企業のほうも設備の近代化が必要でありますが、何としても下請その他においても、設備の近代化ということが必要になってくる。同時にまた、それをやりますことによって輸出も伸びる、伸びるからまた設備をふやすというように、いまぐんぐん伸びておる段階であります。それでありますから、そういう設備をやはりかなりしなければならない。親企業のほうからもそういうことを要請されるでありましょうし、また中小企業関係からいっても、やはり設備をいいものにして、そして親企業仕事をとり、あるいはまた輸出努力をする、こういうふうになってきておると思うのでありまして、そういういわゆる伸びがぐっとついてきた産業である、それだけにまた問題がいろいろ起きる。設備をよけいしたとか、あるいは設備をするには借金を相当しなければいかぬとか、そういうようなことから、また一方においてはそういうような設備過剰の問題もあるし、一方においては、機械工業というのはいま非常に技術革新が行なわれておりますから、ちょっとおくれるともうその経営がむずかしくなるというようなことがありまして、そういうこと等がかなり重なり合いながら、倒産関係にも非常にその数字があらわれてきたんじゃないか、こういうふうに考えております。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 原因はいろいろあろうことは想像ができますが、大臣盛んに先ほど来暖冬異変というようなことをもって、いわゆる人為的にはどうにもできない自然現象をもってものごとをごまかそう、こういうような態度見えることは遺憾であります。それじゃ繊維関係を一応見てみますと、先ほど申しましたように、一千万円以上の負債で倒れたのが、一月が五十二件、二月が四十一件、そして三月の十日までで十九件、その負債額は、上から一月、二月、三月と読みますが、一月が百二十五億七千万円、そして二月が二十七億八千万円、そして三月十日までが十五億となっているのです。これを見ますと、私は暖冬異変の結果ではないというように思うのです。ということは、むしろ暖冬異変のために用意しておった冬物が売れなかったというようなことからくるとするならば、二月、三月のほうが数字がふえていくべきじゃないか。ところが、一月をピークとしてむしろ下がっておるという傾向は、暖冬異変とは言えない。もっとほかに原因があろうと思うのです。こういうような業種別の倒産理由というものを御検討になったことがありますか。これは大臣に伺うと同時に、中小企業庁長官、あなた方の所管しておられる法律に、中小企業業種別振興法だとか近代化促進法だとかいう法律があります。これはすべて対策は業種別に行なうように法律のたてまえがとられております。だからその倒産については、業種別の対策なり業種別調査ができていないということはないと思います。大臣並びに中小企業庁長官にお伺いいたします。
  112. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はやはり暖冬が相当影響しておった。これは田中さんはそういう御質問をなさっていらっしゃるが、自分でわかっていられて質問されていると思う。大体取引というものはどういうふうにしておるかというと、冬物の取引というのは大体十月か十一月ごろにみんなきまってしまうのです。それで十一月、十二月が暖かいものだから、一月によけい出たので、二月、三月はまあその残りが出た、こういうふうに見るのが私は一応のあれじゃないかと思うわけです。これはあなたはわかっていられて御質問でございますから、私もそんなことは申し上げませんが、全部の問題について業種別にどういうふうにしておるかということは、政府委員のほうから答弁をさせていただきます。
  113. 中野正一

    ○中野政府委員 業種別中小企業の対策をいろいろ講じなければいかぬじゃないかということは、ごもっとものお話でございまして、その意味合いにおきまして、いま御指摘がありましたように、近代化促進法等におきましては、業種別にこれを指定いたしまして、過去において二十業種、本年度におきまして二十七業種を取り上げまして、業種別に近代化の計画を取り上げてまいります。その際には、一つ大事なことは、やはり設備が全体として過剰にならないようにということに最も気をつけていかなければいかぬじゃないか。そういう点も、したがって近代化の計画と、いわゆる団体組織法等によりまする調整事業というようなものを業種によってはあわせて取り上げていくというようなことをやりまして、その中小企業のウエートの大きい業種全体が過剰設備になって、非常な苦境におちいるということのないように気をつけてまいりたいと思います。ただ、最近の繊維関係等の事象につきましては、確かに、たとえば冬物のウール着尺の生産過剰というようなことから、西陣を中心にいたしまして中小企業が非常に困難な情勢におちいったのでありますが、こういう際にもさっそく担当官を現地に派遣いたしまして、業種対策、特に組合等を中心にいたしまして善後策は十分講じてまいったつもりでございます。もちろんこれによって全部問題は解決したわけじゃございません。まだ問題は残っております。むしろ三月までの危機を一時先に繰り延べたというような情勢じゃないかというふうに私は見て、非常に心配をいたしておりますが、御指摘のように業種別にきめこまかく施策を講じていく必要があるというふうに考えております。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 機械、繊維について特に多い原因は……。
  115. 中野正一

    ○中野政府委員 これはいろいろ事情があると思います。繊維等につきましては、暖冬異変等の情勢が相当影響いたしております。しかし、先ほど申し上げましたように、業界全体として設備が過剰になり、過当競争にならないような方策をもう少しきめこまかくやっていく必要があるのではないかというように見ております。  それから機械金属等につきましては、これを見ますと、主として最近の開放経済下におきまして、いわゆる機械産業中心として成長する分野でございまして、それだけに環境はきびしく、コストダウンを大企業といわず中小企業といわず——日本産業全体が非常にむずかしいこの事態に直面をいたしておりまして、それにいま取っ組んでいっておる態勢で、まだ取っ組みようが非常に不十分じゃないか、また、もう少し時間をかけてこれはやるべきじゃないかというふうに考えておりますが、そういうことのために、一部の業者につきましては先行きを楽観するというと悪いのですが、相当その産業が需要が伸びると見まして、相当の設備をやっております。また、中小企業はいわゆる近代化を迫られて、設備をやらなければいかぬという情勢でございますので、設備をしたために金繰りが悪くなった、売り上げが思うように伸びない、いわゆる機械化貧乏というふうなことがいわれておりますが、そういうふうなことも重なりまして、機械金属等に最近は相当の、もちろんこれは全体ではございませんが、一部について相当苦しい状況に追い込まれておるというふうに見ております。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣並びに中小企業庁長官の答弁では、十分私の質問に対するお答えになっていない、このように思いますが、まだまだ伺いたい点がありますので、一ところでとまっておるわけにいきませんから、次に進みたいと思います。  たとえば、いわゆる近代化促進法、こういうものが中小企業に対する積極的政策であるとするならば、中小企業が倒産を続けていく、しかもこれはすでに慢性化したような事実でありますが、その対策はむしろ消極的政策とでも言うべきかと思います。積極的な面においては中小企業近代化促進法、業種別振興法という法律がある。そうなれば、同じように今度は消極的な面で業種別倒産対策法というようなものも必要になってくるのではないか、こういうように思いますが、そういうような点が一つ。それから、先ほど私があげました倒産の数字は、大臣なり中小企業庁長官も大体お認めのようであります。この数字の中で、いわゆる黒字倒産、言うならば自己の責めに帰せられざる原因によって、当然黒字であるべきものが他の原因、たとえば親企業の倒産その他によって倒れたところのいわゆる黒字倒産というものが全体のうちで何%になるか、これは調査しておられますか、お伺いいたします。
  117. 福田一

    福田(一)国務大臣 設備近代化その他においていろいろ積極的に、何かこういうことをする場合には政府としてはこのような手を打ってあげる、こういうことは、だんだん法制を整備していまやってきておるわけであります。そこで、そういうものがうまくいかなかったときには今度はどうするか、こういうことでありますが、私はこの問題は研究はすべき問題であると思いますけれども、はたしてどういう方法でやるかということになると、なかなかむずかしい面が多かろうかと思います。したがいまして、御意見もございますので、今後は検討いたしてまいりたいと思います。
  118. 中野正一

    ○中野政府委員 いわゆる連鎖反応によるところの倒産というものがどれくらいあるか、これは連鎖倒産なのか、あるいはその企業そのものに欠陥があってそういうふうになったのか、それがよそのほうの倒産のあおりを受けてなったのかという、これはいま大臣がおっしゃったように、なかなか認定はむずかしいと思います。ただ、調査としては、これも政府調査しないのはけしからぬという御意見もございますが、私はそういうところまで政府のほうで一々立ち入ってやるかどうかということについては疑問を持っております。一応われわれのほうとしては、東京商工興信所ですか、いま先生が御指摘になった倒産の数を調べておる信用調査機関がございますので、そういうところから十分われわれのほうは資料をもらいまして調べております。しかし、これはそういう民間の調査機関調査でございますので、これによって、参考にはいたしますが、決定的にわれわれはそれの評価をいたしておるわけではございません。しかし、そこの調査によりましても一般的に連鎖反応による倒産ではないかというものが数件ございます。たとえば今度東京発動機が倒産になりましたが、そういうものに関連して三件四件の倒産があった。これはほんとうの関連会社でございますので、そういう判定を下しております。しかしそれがはたして黒字経営であったのに倒産したのかどうかということになると、これはなかなか判定がむずかしいのでございまして、そういう点につきましてもわれわれとしては十分気をつけてはおりますが、いま申し上げましたように、民間の調査でございますので、私のほうからはっきりしたことは申し上げかねます。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 私が申し上げておるのは、まず第一は、積極的政策の面では、中小企業業種別振興法、近代化促進法というのがあるわけですが、それが積極的面の政策であるとするならば、今度は倒産のような場合、ことに、先ほど申されたように、機械金属だとか繊維だとか、こういうものの倒産が多いという。こうなりますと、中小企業の近代化は業種別に立てるのでしょう。それと同じように、今度は逆の消極的政策に対しても業種別の対策が必要ではないかということが一つ。もう一つは、いわゆる倒産について、中小企業庁が中小企業庁としての数字を握っていないということはちょっとおかしいと思う。一体中小企業庁は何を仕事にしておるのか。私がいま参考に持ってきておるのは東京商工興信所の資料であります。これ以外に中小企業庁も数字を持っていない。単なる参考にすぎぬというようなことはどうかと思うのですがね。そのできないのは、定員のせいなのですか、それともやるという熱意がないせいなのですか、その点大臣からお答え願いたいと思います。
  120. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、その問題は政治の根本に帰していくと思うのであります。ということは、どういうことかというと、あなたの言われるように、自由企業といいますか、営業の自由をわれわれは保障されておるのでありますから、そういう形でやっていくわけでありますが、その場合に、責任がない場合もあるけれども、自分の責任でやったことについて国家が何らかの措置をするということになったら、これは財政的な措置ということが必要になるでありましょう。その財政的な措置ということは、そういうことをやらない、関係のない国民が出した金でもって、その人のやり方が悪かったために倒産した分までも全部補償してやらなければならない、そういう場合も起きると思う。当然無過失でもって起きる場合もあるでしょう。しかし、それを全部、ほかの責任のない人が出したところの税金でもって処理をしていくということがはたして正しいあり方であるかどうか、ここに私は一番根本の問題が出てくるだろうと思う。だから、その問題からまずわれわれは究明し、これはどの程度までは考えなければならないか。またその業界関係していた人たちが、自分たちでいろいろのくふうをしながらやっているのに、政府がある程度援助をするということであれば——これは例の保険というような制度もあるのでありますから、考えられる余地がございます。しかしながら、倒産をしたからといって、その倒産した人のことを全部国でもってめんどうを見る、もしそういうお考えであるとするならば、私はここに一つ問題があろうと思う。だから私は先ほどから、考え方としてはわかりますが、研究をさしていただきたいというのは、この根本の問題を含めて考えてみる必要があるから私はそういうことを申し上げておる。  それから今度は、企業庁がそういうものを調査しておらないということはけしからぬではないかということでございますが、いままでの人員、あるいはまたいままでの仕事といたしましては、そういう倒産の問題等まで研究するより前に、もっと積極的に育成するというほうへ力を入れてきたわけでございます。その育成についても十分であったかどうかは別問題にして、仕事内容のおもなものをそういう方面に置いてきたということでございまして、これが欠けておるから、ひとつそういう面も研究してはどうかということでございますれば、われわれ前向きで研究はいたしますが、これもまた相当な人数を必要とし、私は予算的にも相当の金融を必要としてくるかと思います。しかし、これは今後の問題として、中小企業を育成するという面と、アフターケアといいますか、そういう問題をまた研究して対策を考えていくという面と、両方あっていいではないかというお考えには、私は賛意を表するものでございますから、今後の問題として前向きで検討してみたいと思います。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣はいまいみじくも、それは政治の姿勢であると言われた。まさにそのとおりであります。昨年当委員会で、大臣と私と並んで中小企業基本法を論議いたしました。そのときに、政府考え方は、大企業に奉仕する中小企業の育成である。したがって、中小企業中における零細企業といいますか、こういうものに対しては切り捨て政策にすぎないということを言ったのであります。いまの大臣の御答弁はまさにそのことを裏づけておると思います。振興については業種別で考えるが、倒産の問題については、何らの中小企業庁においても業種別の対策なり、またその数字すらつかめておらないという実情につきましては、はなはだ遺憾である、こういうことだけ申し上げておきます。  さて、先日私はこういう陳情書をもらったわけです。おそらくこれは大臣なり中小企業庁長官及び関係の役所にも行っておると思うのです。それは「東京発動機株式会社倒産に伴う関連中小企業者に対する緊急救済措置要請に関する陳情書」というのであります。これを大臣なり中小企業庁長官、あるいは大蔵省等はごらんになったかどうか、まずお伺いいたします。
  122. 福田一

    福田(一)国務大臣 その陳情書は見ております。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど大臣から、いわゆる今日の政治の基本は自由主義的な土台の上に立っておる、したがって、本人の責めに帰すべきものについては、その本人が努力してもらわなければ困る、しかし、そうでないものについては考えるというような御答弁が確かにあったと思っております。いまからこの問題について具体的にお伺いをしてみたいと思いますが、こういうように、一つの親企業が倒れることによって、連鎖反応的にまたその下請け企業が何ら過失もなく、あるいは責任もないのに倒れていくというようなことについては、これは大臣特別にお考えになるのですね。なるというような先ほど御答弁を聞いたと解釈いたしておりますが、いかがでしょう。
  124. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は先ほどのあれで、まず一点私の答弁を補足しておきたいと思うのですが、それはどういうことかというと、中小企業基本法をつくったのは、大企業を助けるために中小企業を切り捨てるのだというようなお話、それと私の先ほど申し上げた答弁とは少しも結びついてはおらないと思うのです。私の申し上げるのは、中小企業が倒産した場合に、これを助けるということであるならば、大企業であろうと、あるいは労働者であろうと、とにかくおよそ税金を納めている人たちの、その税金でもってこれを処理するということになるのであるから、ここに一つの問題がありはしませんかということを御指摘いたしたのでございまして、私はそこはちょっと関係が断たれておると思っております。  それからもう一つ、いまのお話でございますが、そういうような連鎖反応を起こすような場合においては、われわれは、現段階においては、金融面においてこれを何とかするというようなことについて努力をいたしたい、こういう意味で考えるということを申したのであります。およそ政府が処置をいたします場合には、われわれ政府は何でもやれるというものではございません。皆さん方におきめを願った法律、またわれわれが必要とする政策を出して、そしてそれを、認めていただいた法律の範囲内において私たちは政治をやっていくのでありまして、これがもうあなたも御承知のとおりの、いまの民主主義の姿、民主主義の政治の姿であります。したがって、いまの法制の中において、でき得る限りのことはいたすべきでありますが、しかし、法制の範囲を越えて私がかってなことをしたら、これは越権行為と言わなければなりません。しかし、それは法律論をただここで展開したので、このことが一番先に出ておりませんと、これから私がお答えをすることが、あなたからの御質問をいただくことについても、まずそこのところの問題、そこの基礎がないというと話がこんがらかってくるというか、混乱するおそれがありますので、一言それに触れたわけでありま。私はいまの法律の許す範囲内においては、できるだけのことを考えてみたいということを申し上げておるのであります。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣の答弁に対して、私がまたそれを拾って質問をやっていると前へ進みませんので、いまの大臣の御答弁は私の質問に対する的確なといいますか、そういう答弁にはなっていないじゃないか、こう考えますが、さりとて大臣は、そういう黒字倒産というか、あるいは自己の責めに帰せざる原因によって倒産のうき目を見つつあるものに対しては考えるのだ、こういう気持ちのあることを了承いたしまして、次に移りたいと思います。  さて、この陳情書なるものも同じくお読みになったと思いますが、この陳情書によりますと、東京発動機株式会社、これは資本金が五億円で、去る二月二十四日午前十一時に、東京地方裁判所民事部第八部に対して会社更生手続開始の申し立てをしているのであります。このことは御承知であろうと思うし、あとでこのことについて法務省にもお伺いいたしたいと思うておりますが、この東京発動機株式会社は大正十一年に発足をいたしまして、すでに四十二年の歴史があります。そうして、昨年の実績を調べましたら、船外機——発動機の船外機ですが、これの売り上げが四億五千七百万円、これは業界第一であります。全国の生産比率にいたしまして七五%を持っておるのであります。まさに独占にひとしいと言っても過言ではありません。さらに、これはポンプでも、揚水ポンプとか消防ポンプとかいろいろありますが、これの売り上げ高が同じく四億五千五百万円、業界第一位であり、その全国比は五一%であります。オートバイの金額は三十五億八千七百万円、これは業界第五位であります。ほかにいろいろありますが、こういうように、昨年、三十八年度において全国の七五%なり五一%の生産をし、業界第一位のものを二つも三つもつくっている。しかもその上、二サイクル・エンジンでは独特の技術を持っていると聞いております。この会社が今日会社更生法の手続開始申し立てをするに至るようになったということについて、これは大臣直接ではどうかと思いますが、関係の向きにおいて調査をせられたことがありますか。いかがでございましょうか。
  126. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は陳情書を見ておりますので、調査をいたさせております。まだこまかい点まではわかっておりませんが、大体の内容は了承いたしておるのであります。  ただいま御指摘になりましたように、確かにこれは船外機とか、あるいはまたポンプの面では相当優秀な仕事をいたしておるのでありますが、いまの二輪車といいますか、オートバイの関係等々においては、あまり仕事がうまくいっておらない。一時は非常にうまくいっておったのでありますが、それが先ほど私が申し上げたように、こういうような仕事というものは、ちょっと油断をしてもよそに追い越され、あるいはまた輸出ができなくなるというような事情があるのであります。特にこの会社において残念であったことは、そのいわゆる二輪関係のオートバイというような仕事のほうのウエートが売り上げ高の七五%を占めておりまして、業界第一位、日本でも第一位といわれるような船外機、あるいはまた、そういうポンプ類の分は事業のうちの二五%である。二五%は非常にうまくいっておりましたが、七五%においていつも赤字が出るというようなことが四、五年も続いたために、どうもそういうことになったのではないか、私、まだ詳しい、こまかいことは存じておりませんが、大体の傾向から申しますとそういうことが今日の倒産を引き起こしたのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 私は東発の過去の配当の実績を調べてみました。そういたしますと、二十六年から三十二年、この間十二期にわたって三割配当をいたしておるのであります。そうして三十二年から三十四年の間、六期にわたってまず二割あるいは一割五分、一番少ないときに八分の配当をしておるのであります。それが三十五年の九月末期、初めてゼロ配ということになったわけであります。かつては三割配当もしておる、こういう会社が、なぜ急にこういう状態になったのか、そこに一つの疑問を持つのですが、これは私企業に対して、いわゆる行政権をもってはそこまでの調査はできないかもしれません。あるいは会社更生法による申し立てが出ておるのでありますから、その方面等についても調査の必要があろうと思いますが、そういう点について、過去において三割——三割といえば、これは全国でも有数な配当率だと思うのです。そういう会社が突如として無配になり、今日、会社更生法の申請をするようになった、こういうところには一体どういう原因があるのか。これは大臣言われたように、日進月歩の世の中にあって、やはりうっかりしておるからなったのだろうということもありましょうし、いずれにいたしましても会社経営者の一つの責めは免れない、このように考えるわけなんですが、そういうような過去のいきさつ、あるいは配当率等から見まして、なぜこういうようになったのか、ここに何らか人為的なものが考えられないのか、そういうことについては調査せられましたか、いかがでございましょうか。
  128. 福田一

    福田(一)国務大臣 そういうことについても関係者から大体の報告は聞いております。しかし、それが原因の全部であるかどうか、なかなかそこまでは調べがまだついておりませんが、私の了解しておるところでは、おっしゃるとおりこのオートバイというのはいま第五位くらいになっておりますが、一時は一、二を争う会社であった。そしてシェアもオートバイ生産高の一七、八%を一時は占めておった。今日は二%から三%以内になったということでございまして、それはいかに仕事がうまくいかなかったか。うまくいかなかったというのは、やはりみんなの需要に応じなかったというか、みんなの好みに合わなかったというか、機械が悪かったかもしれぬし、とにかく何かそういうように事業経営の面においてほかの会社におくれをとった。そのために、結果においてだんだんそういうシェアが落ちてきた、こういうことでありまして、それが今度の一番の原因だと思います。したがって、そういうことを申し上げるのは死人にむちうつということで恐縮でありますが、やはり会社経営をなすっていらっしゃった人の大きな責任がそこにあるといわなければなりません。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど私があげましたこの陳情書なるものの陳情は二点であります。その一点は、「東京発動機株式会社に対する無担保債権者に対し、緊急特別の融資措置を講ぜられたい。」ということが一点であります。さらにもう煮は、「今回の東京発動機株式会社の倒産の背景には不信の点が多いので至急真相を究明されたい。」これが第二点であります。この線に従って自後質問を続けてまいりたいと思います。  その前に法務省、これは平賀民事局長になるかと思いますが、法務大臣を要請しておりましたところが病気とかで出ておられませんので、お伺いいたしますけれども、会社更生法の精神は一体どうなっているのですか。会社更生法とは何のためにある法律ですか。
  130. 平賀健太

    ○平賀政府委員 会社更生法は、法律自体にも書いてございますように、会社が負担しておる負債を支払うということになりますと、会社の事業の継続が著しく困難になる。そういうような事態になりました場合に、会社その他の関係人から裁判所に異議を申し立てまして、更生手続に移りますと、管財人というものが選任されるわけですが、この管財人が更生計画をつくりまして、裁判所の認可を得まして、その更生計画を実施して会社の更生をはかる、事業の継続が可能になるようにする、大まかに申し上げますと、そういう手続でございます。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 それは会社更生法第一条を読めばはっきりしておるわけなんですが、私の伺わんとするところは、会社更生法というものの精神は、負債で支払いができなくなった、負債が超過になった、こういうときにはいわゆる破産宣告等によって企業の解体をする。そういうところから、企業の更生ということが一つ考え方中心であります。しかしここに大きな一つの矛盾を感じられることは、日本の会社法は大陸系、ことにドイツ法系をとっておるのであります。会社更生法はアメリカ方法系であります。このドイツ法系の会社法に対して、アメリカ方法系の更生法を適用するところにいろんな矛盾が出てまいります。この点については、これから逐次お伺いいたしますが、何と申しましても、まだこういうようにできてから間もない、したがって判例も少ない、こういうことでありますので、これからいろいろと実績を積んでいくと言いますか、いろいろと実際歩んでいった中において一つのルールを立てていく、こういうことになろうと思うのです。  そこで、まず第一にお伺いいたしますが、この法律が昭和二十七年に公布せられましてから今日まで、この会社更生法の開始手続申し立てがあったのが何件であり、それが許可になったのが何件であり、棄却になったのが何件であるか、調査ができておりますか。
  132. 平賀健太

    ○平賀政府委員 この会社更生法の更生手続は、裁判所の所管でありまして、法務省としてはただいまのところ資料を持っておりません。必要でございますれば、裁判所に照会いたしまして答弁申し上げます。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 実際の手続開始の決定は裁判所が行ないます。しかしこの法律の所管は、行政庁から言うならば法務省でありましょう。しかもこの法律の二百三十二条の二項によりますれば、これはあとで伺うつもりであったのですが、手続開始にあたっては関係の行政庁、法務省、大蔵省が通知を受ける、それは百六十五条によって通知を受けて、二百三十二条第二項によって意見を申し述べる、こういうことになっておるので、すべての手続にあたって法務省は意見を述べておるはずであります。したがって、いま何件あって、どうなったかということがわからないはずはないと思います。
  134. 平賀健太

    ○平賀政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、事件数の詳細は、これは裁判所の所管でございます。あらかじめそういう御要望があれば調査をしてまいるのでございますけれども、いま突然では御答弁申しかねるという次第でございます。法務大臣のほうに対しましては、会社更生の申し立てがありまして手続の開始決定がございますと、法務大臣に通知があるわけでございます。その開始決定の通知があって、これは昭和二十七年から三十八年まででございますが、開始決定の通知がございましたのは三百二十二件でございます。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 この三百二十二件のうち、二百三十二条第二項によって法務省として意見を言うことになっておりますね。この意見は書類でもってしなくちゃいかぬとか、そういう手続はきめてないのですね。それは口頭なりあるいは書面、いろいろあると思いますが、意見を述べておると思うのです。この会社更生開始手続申し立ての件数の中においてどういったものが多かったか、あるいは法務省がどういった意見を出したか、こういうことの記録はあると思うのですが、あなた自体がこの二百三十二条の第二項、この規定に基づいて法務省として意見を述べたという経験はありませんか。過去はそういうことはやっていないのですか。
  136. 平賀健太

    ○平賀政府委員 これは法務省の職員が裁判所に出頭いたしまして意見を述べるわけでございますが、債権者、株主等につきまして関係人集会というのが裁判所で開かれるわけでございます。そこに裁判所が呼び出す、裁判所から呼び出しがまいりまして、法務省の職員が出頭いたすわけでございます。裁判所から意見を求められることもございますし、それからこちらが意見を積極的に述べるということもあり得るように法律の規定ではなっております。ただ実際問題といたしまして、これは裁判所が主宰する手続なのでございます。法務省は、もちろんこれは公益的な見地から意見を述べることになるわけでございますが、手続の過程におきまして何か著しい不正がある、あるいは不当があるというような場合には、意見を述べることになるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、裁判所の主宰のもとに行なわれる手続でございまして、実際問題といたしましては法務省の職員が行きまして意見を述べたという例はきわめてまれ、ほとんどないと私は御承知いたしております。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 これはきわめて重大な発言だと思うのです。会社更生法の百六十五条では、関係人集会にあたっては、その企業を監督する行政庁、法務省、大蔵省に通知をせねばならないという規定がある。そして先ほど申しておるように、二百三十二条第二項では意見を述べることになっておる、もちろん主宰は裁判所であります。手続は裁判所であります。これは決定というかっこうで行なわれるので、民事訴訟とはちょっと違いますが、それもあとで触れます。それに対して、法務省の一職員が行く場合があるが、いまだかつて意見を述べた例がありませんという。こういう法を守るべき法務省が、法律自体の条文を空文化しておるのは何ごとです。局長がそういうことでいいのですか。一職員が行くとはどういう者が行くのですか。二百三十二条第二項の意味はどういう意味ですか。大蔵省及び関係行政庁といえば、通産省になると思いますが、会社更生手続開始にあたっての関係人集会にあたって、それぞれの官庁なりその行政庁が、いままでどういう意見を述べてきたか。あるいはその意見を述べるにあたってはどういう立場から意見を述べてきたかを伺います。法務省、通産省、大蔵省。
  138. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ただいま申し上げましたように、裁判所の主宰する手続なのでございます。関係人集会に出頭いたしまして意見を述べるわけでございますが、一番重要なのは、何といいましても管財人が更生計画案を出した場合に、計画案に対するものだろうと思うのでございます。たとえば、その更生計画案が一部の債権者を特にえこひいきいたしまして、有利な取り扱いをする、非常に不公平なところがあるということでももしあれば、法務省の職員としましては、この点は不当であるというような意見を述べることになろうかと思うのでありますが、そういうことがなければ、別に意見を述べるまでもないのでありまして、更生手続に入りました会社につきましては、実際問題といたしましては、法務省の出先機関であります法務局の職員が、関係人集会にも出頭しておるわけでございます。手続の経過は本省のほうに報告がございます。その報告も見ておるわけでございますが、いままで私が見ました限りにおきましては、意見を述べたという例はほとんどないのでございます。これは決して法務省が怠慢ということではございませんと私は思うのでございます。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 百六十五条をあけて下さい。関係人集会に対して、業務を監督する行政庁、それから法務大臣及び大蔵大臣となっておるのですよ。法務局の一職員が、法務大臣の代理権をもって発言するのですか。まず百六十五条及び二百三十二条二項の規定はどういう根拠によって置かれておるのか、この二つの条文は、この会社更生法の運営にあたってどういう働きをするために置かれたのか。これは法務省の所管でありましょうから、その点からあなたにお伺いいたします。
  140. 平賀健太

    ○平賀政府委員 法務大臣に通知があり、法務大臣の命を受けまして法務省の職員が出ますのは、一般公益的な見地から意見を述べるという趣旨であると考えております。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、法務大臣となっておるのですね。何も大臣みずから出ることを要請しておりませんが、内部所管の規則によって、法務大臣を代表するというところには、それぞれの内部委任があるはずです。いまのあなたの答弁によると、一法務局の職員がということでしょう。それで、百六十五条なり二百二十三条二項の法の精神にのっとっての運営がなされておると考えられますか。もちろんこれは裁判所が決定をもって手続を開始するのであります。したがっていかなる意見が出されようとも、裁判は拘束いたしません。しかしながら、これらの条文を置いておるということは、との会社更生開始手続申し立てに対して、法務省なり大蔵省、あるいは監督する行政庁、この場合は庁となっておる、片方は大臣となっておるところに私は意義が違うと思う。行政庁であり一方は大臣なんです。この開始手続の申し立てに、公益を害するとか、あるいはそのこと自体が何らかの詐術行為に基づいていないか、そういうことの上に立って公正なる意見を述べるのがこの条文の趣旨じゃないのですか。今日までそういうことを頭に置いていなかったということ、こういうことに対しては、もちろん決定は裁判所がいたしますが、会社更生法の運営に関して法務省は一体どういう態度を持ってきたのですか。大臣と特になっているのをどう解釈しますか。一方は行政庁なんですよ。あなたのほうは大臣なんです。これは大蔵省も一緒です。それぞれいままでこの条文にどれだけの関心を持ってき、どういう立場でどういう意見を述べてきたか、それぞれ言っていただきたいと思います。
  142. 平賀健太

    ○平賀政府委員 先ほどの説明をちょっと補足いたしておきます。  法務大臣はもちろん裁判所に出まして意見を述べることは可能でございますが、これは法務大臣が法務省の職員に委任をいたすことができることはもちろんでございます。先ほども申し上げましたように、法務大臣あるいは委任を受けました職員が裁判所に出頭して意見を述べるのは、公益的な見地から意見を述べるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、違法あるいは不正、不当というようなことがあれば、もちろんこれは意見を述べるわけでございます。
  143. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 お答え申し上げます。田中先生十分御承知のことと思いますが、大蔵大臣という文字は、かつて証券取引委員会がございました当時は、証券取引委員会となっておったわけでございますが、大蔵省が証券取引委員会の行政を引き継ぎましてあと大蔵大臣ということになったわけでございまして、証券行政をあずかっております大蔵大臣立場としてものごとを考えておるわけでございます。御承知のように、証券行政の一環といたしまして、会社の経理内容につきまして、有価証券の報告書等を一応とっておりますので、大蔵省といたしましては、ある程度会社の経理内容について承知をいたしておるわけであります。したがいまして、大蔵省の承知しております経理の内容と非常に違ったようなことを前提にいたしましてのいろんな裁判所の手続が行なわれますことは、非常にぐあいが悪いわけでございますから、そういう場合には意見を申し上げる、そういうことになっております。ただ、いままで意見を求められましたときに、われわれの持っております資料から判断をいたしまして特段の意見を申し上げたことはあまりないようでございます。意見を申し上げますときには、大蔵大臣の名前で意見を文書で出しております。
  144. 福田一

    福田(一)国務大臣 重要な問題につきましては通知はございまして、その都度必要に応じて処置をいたしておるようでございます。
  145. 田中武夫

    田中(武)委員 「監督する行政庁、法務大臣及び大蔵大臣」とこの法律があげておりますのは、まずその企業を監督する行政庁は、こういう会社更生手続開始決定にあたって、その企業を監督してきたという立場から意見を述べるのだ。それから大蔵大臣のほうは、先ほど答弁があったように、証券といいますか株主保護といいますか、そういうような立場から意見を述べる、法務大臣はいわゆる公益保護の立場から意見を述べる、そういうことでこの法律が特にこういうような表現をしているのだと思うのです。ところが、お聞きのとおり、今日まで会社更生の手続開始にあたって、その監督行政庁も法務大臣も大蔵大臣もいまだかつてこれという意見を述べたことがない。ということは、もちろん決定は裁判所が行ないますが、それぞれの立場から、会社更生法の適用にあたってはその及ぼすところは大であります。にもかかわらず、この条文があるのに意見すら述べていないということは、あまりにも会社更生法の運用にあたって——裁判官の立場に対しては今日ここでは触れません。それぞれの行政庁の立場から、一体何をしておったのか、会社更生法なんかということは、そういう法律があったことすら皆さん方は考えていなかったのですか。どうなんです。今後どういうような立場で積極的な発言をする用意があるかどうか、もう一度三者にお伺いいたします。
  146. 平賀健太

    ○平賀政府委員 先ほども申し上げましたように、公益的見地から、手続につきまして違法があり不当があるということがあれば、もちろん意見は述べるわけであります。それがなければ、特に意見はありませんということを裁判所にはお答えすることになるわけでございます。
  147. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 お答え申し上げます。ただいま申し上げましたように、私どもの持っております有価証券報告書その他を通じまして会社の経理内容等を承知しているわけでありますが、それと違った認識のもとにいろいろなことが起こる場合には、意見を申し上げることになると思いますが、従来の例は、われわれの持っている資料から特に意見を申し上げることがなかったということでございます。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 今日までは、いまそれぞれの御答弁があったように、積極的な意見を述べたということは皆無である。これは法律の条文を空文化して運営しておったということにもなるんです。はなはだ遺憾である。  そこでいま例としてもげております東発の問題でありますが、この陳情書の第二点は、今回の東京発動機KKの倒産の背景には不審の点が多い。至急に真相を究明せられたいという陳情であります。したがいまして、企業を監督する通産省、公の立場からする法務省、法務大臣、株主その他債権債務関係を主とする点については大蔵省、大蔵大臣、これは直ちに真相の究明を始めて、この手続開始にあたっては、今日までのような態度をとることなく、この条文の上に立って、少なくとも関係者は義務を持っておるのでありますから、真相究明のために調査を開始し、集会通知があった場合には、いつでもその調査に基づいて意見を述べる用意があるかないか、もう一度三者にお伺いいたします。
  149. 平賀健太

    ○平賀政府委員 会社更生法に定められますところの法務大臣の権限について申し上げますと、更生手続の開始決定がありました場合に、法務大臣に通知が来るわけでございます。申し立てがあったときに直ちに法務大臣に通知があるわけではないのであります。でありますから、申し立ての当否について法務大臣調査するというようなことは会社更生法には定めてないわけであります。そういう関係で、実は法務省としては、いまお話しの会社につきまして会社更生の申し立てがあったということも、今日質問があるということで裁判所に照会いたしまして、申し立てがあったということを知ったような次第でございまして、更生手続開始の決定があって初めて法務大臣に通知が来るのでございます。そういう関係で、法務省としては、その申し立てがはたして適法なのかどうかということの調査をする権能というものは更生法によって与えられていないのでございます。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは法務省の民事局長でしょう。法律の条文の読み方を知っているんですか。更生開始が決定してからの通知ですか。百六十五条をごらんなさい。二百三十二条第二項を読んでごらんなさい。意見を述べるには、何らかの調査をしなければ意見は述べられないはずです。二百三十二条第二項の反面解釈として、その真相を知るだけの調査は必要であります。できないということはありません。それで君は民事局長がようつとまったね。
  151. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ただいまの件は、いずれも更生手続開始決定があった後の手続に関するものでございます。更生手続開始決定がある以前には、法務省としては正式に裁判所から通知がないのでございます。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 百六十五条の集会というのは、開始後の集会ですか。開始前に意見を述べなければ、開始後に意見を述べて一体何になるのです。手続開始前にはすでにすべてのものというのは凍結せられるのですよ。その後意見を述べて何になるのです。
  153. 平賀健太

    ○平賀政府委員 先ほどもるる申し上げましたとおり、法務大臣は更生手続の開始決定があって、手続が開始した以後におきましてその手続につきまして意見を述べるのでございまして、更生手続開始決定以前には、法務大臣としては意見を述べる道はないのでございます。
  154. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこの二百三十二条なり何なりの精神は一体どういうことなんですか。
  155. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ただいま御指摘の二百三十二条の意見というのは、更生手続開始決定があって、手続が進行いたしまして管財人が更生計画案をつくります。その更生計画案に対する意見でございます。
  156. 田中武夫

    田中(武)委員 この更生計画の認否のところでやるわけですね。それを法務省は公の立場から、公益の立場からやるわけなんでしょう。何ら調査もせずに意見が述べられるのですか。また、通知がないというなら、いま通知しましょう。東京発動機株式会社は去る二月二十四日午前十一時、東京地方裁判所民事第八部に対して、会社更生法手続の開始申し立てをいたしております。それに従って、それぞれの必要な役所は調査を始めなさい。できないというならばその根拠をお示し願います。
  157. 平賀健太

    ○平賀政府委員 法務大臣調査をいたすといたしましても、これは法律の根拠に基づいてやるわけでございまして、会社更生法には、いま仰せのような調査をする権能というものは与えられておりません。
  158. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは逆に聞きましょう。そういうことはしていけないという規定はありますか。
  159. 平賀健太

    ○平賀政府委員 法務大臣がいやしくも調査をいたしますからには国の権力の発動でございまして、非公式に、任意に調べるというようなことは、これは場合によってはできぬこともないと思うのでございますが、いやしくも権力の発動といたしまして調査をするには、法律の裏づけがなくてはできないわけでございます。
  160. 田中武夫

    田中(武)委員 私は何も権力の発動というような、捜査令状を持っていって捜査しろとか、そういうことを言っているのじゃないのです。少なくとも意見を述べるにはそれだけの用意がなくてはいけないわけです。それは通産省だってできます。大蔵省だってできるはずです。それではそういうことについてかりに詐欺的な行為、いろいろな不正、悪意があったとするならば、それは警察がやるのですか。どこがやるのですか。
  161. 平賀健太

    ○平賀政府委員 この更生手続開始後の裁判所における手続の過程におきまして、債権の調査、担保権の調査、いろいろの調査が行なわれるわけでございます。その調査結果につきましては管財人から報告がございます。それは法務省の職員も報告を受けるわけでございます、聞くわけであります。そして更生計画案が出されてまいりますと、裁判所の手続にあらわれました資料を基礎にして意見を述べるというのがこの更生法の予定しておる手続であろうと思うのでございます。その以外に法務大臣が独自の調査をするということを法律は予定をしておるとは私は考えておりません。
  162. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃ、どこがやるんだ。野放しか。
  163. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 お答え申し上げます。詐欺的な行為があるというような、事犯罪に関連を持つ疑いがあって、その犯罪捜査に着手する相当な疑いがあるということが認められます場合におきましては、警察当局はもとより、検察当局におきましても捜査を開始することがあり得るわけでございます。
  164. 田中武夫

    田中(武)委員 犯罪ありと見た場合、それは刑事訴訟法の捜査というところにありますね、あれは二百何条だったか、犯罪ありとしたとき、こういうことなんです。しかし、それ以前の行政の問題として調査を必要とすると思うのです。それは会社更生法の一番しまいのほうに、ともかく詐欺更生罪というのがありますね。三百九十条だったか、これは要件がきまっておりますね。こういう場合は下請企業者といいますか、こういう無担保債権者は保護を受けておりませんね。詐欺更生罪の要件は、株主だとかあるいは担保債権者とか、いろいろ要件をあげておりますが、いわゆる約手をもらって、それ以外に担保を持っていないような人には適用のあるような条文になっていませんね。
  165. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 これは仰せのように、担保権者というところだけをごらんになりますと何ですが、債権者、担保権者、こう並んでおりまして、やはり債権者の中へそういう方々が入るということになりますと、その債権者の利益を害する目的でこの罪が行なわれるという場合には、この罪の保護を受けるわけでございます。
  166. 田中武夫

    田中(武)委員 これからそのことについて逐次お伺いをしていくわけなんですが、いま刑事局長が言ったように、その会社更生手続開始申し立ての中に何らか悪意がある、この場合は会社更生法二百九十条による詐欺更生罪は成立する。これをひとつ確認しますね。そしてその疑いあるときには警察庁は捜査を開始する。約束できますか。
  167. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいま御質問の悪意があるという意味でございますが、どういう悪意があるかによりまして積極にもお答えできますし、また消極にもなると思うのでありまして、その悪意と申します内容が、二百九十条の構成要件に定めてありますような目的、意図のもとに、一、二、三の各号に触れるような行為をした、こういう場合には、まさしく詐欺更生罪に該当するわけでございまして、そういう疑いがあります場合には、仰せまでもなく警察当局ないしは検察当局において捜査を始めるということに相なろうかと思うのでございます。
  168. 田中武夫

    田中(武)委員 かりにそれがいわゆる計画倒産、こういう場合はどうです。
  169. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 通常計画倒産というおことばを聞きますと、何かそこに悪意がひそまれておるような感じを受けるのでございますが、これは結局言いかえただけでございまして、計画倒産の内容が問題であろうかと思うのです。その内容が、先ほど申したような二百九十条に規定してあります内容の計画倒産でございますれば、まさしくこの罪に当たるというふうに思うのでございます。
  170. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば二月二十四日、その日は確定でなくてもよろしい。たとえばそういうときに会社更生法の手続開始申し立てをするということをあらかじめ用意して、そうして約手を切る。それがたとえば二月二十四日に申請するんだ、こういうことを考えておりながら、それ以後の支払いにわたるところの約手を切る、こういうのはどうなります。
  171. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 二月二十四日以前——これは前後を問わないと思うのでございますが、これはもちろん前の場合が問題であろうかと思いますが、その場合に、約手を切るという行為が、一号の債権者の不利益に処分することというのに当たるかどうかということによりまして、この罪が成立するかどうかということになろうかと思うのでございまして、ただ約手を切ったというだけですぐ一万に当たるかどうか。一号に当たらなくても、二号、三号に当たればいいわけでございますが、いずれにいたしましても、ここに書いてあるのに当たりませんと犯罪にならない。これは罪刑法定主義の立場上いたし方がないわけでございます。
  172. 田中武夫

    田中(武)委員 実際の動きを調べてみますと、この東発は昨年十二月からことしの一月にかけて、異常的ともいうべき大量な発注をいたしております。それに対してすべて約手で支払っておる。しかもその親会社である富士電機の社長が東発の会長をしておる。それがいわゆる会長辞任の登記簿抹殺を二月二十日に行なっております。これは第三者に対して責任回避とも言うべきであります。登記簿における会長の地位を抹殺しておる。辞任を届け出ておる。いいですか。そうして現在会社更生開始手続申し立てをいたしました後も、これらの下請の納めた部品をもって一部の工場において生産を続けておる。しかも私の調べたところによると、二月二十二日土曜日、会社はその下請業者に対して部品納入を強く要請をしておる。そして二十三日が日曜日、二十四日にその下請業者は納品をいたしております。その日の午前十一時に申し立て書が提出せられております。こういうような事実から、陳情者が不審の行為がある、真相を究明してくれ、こう訴えております。それに対して関係のある、いわば大蔵省もそうなる。通産省もそう。法務省だってらち外ではない。あるいは警察庁、一体どうしますか。
  173. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいまお話しのような事実は、御調査の結果お述べになったことでございますので、私はそれを疑ってかかるわけではございませんが、このような幾つかのお尋ねのような事実がありました場合に、この事実から二百九十条に該当するような犯罪があるかどうかということを探索いたしますのが犯罪の捜査でございます。したがってそのような疑惑があるということでございましたならば、適当な方法で犯罪捜査権の発動を促していただくような御措置を賜わりますればよろしいかと思うのでございます。
  174. 田中武夫

    田中(武)委員 途中を飛ばしましょう。あなたのいまの発言は、御措置が願いたいということは告発を意味しておるのですか。刑事訴訟法の百八十九条第二項ですか、捜査の開始ということがありますね。そういう場合にはどうなんです、具体的な告発行為がなければやらないのですか。
  175. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 仰せまでもなく、告訴、告発は捜査の端緒の一つでございます。しかし告訴、告発でなければ捜査をしないというものではございません。捜査の端緒さえ、それは風聞でございましてもやり得る場合があるのでございますが、会社内部のできごと等でございますると、いまお述べになりましたような幾つかの疑問になる事実関係を明らかにする必要がございますので、風聞等から捜査に入ります場合には、そのような事実関係をある程度内偵をいたして、それから捜査に着手するのでございますが、もし告訴、告発等がございますれば、告訴人、告発人から即時いろいろな資料は入手できるわけでございまして、そういうところで、捜査の端緒によりましては早く捜査が進行することもありますし、場合によりましては時間がかかるということもあるのでございまして、告発、告訴を私が意味して申し上げておるわけではございません。
  176. 田中武夫

    田中(武)委員 警察庁は来ていますか。刑訴法百八十九条二項「犯罪があると思料するときは」云々、これによって、いまこういった陳情書が出ております。その陳情書には判を押して数名の人が署名をしております。したがって刑訴法百八十九条第二項によって、あなた方が調べようと思えばあえて告訴、告発を待たずしてやれるはずです。やれませんか。
  177. 関根広文

    ○関根説明員 先ほど法務省の竹内刑事局長がお述べになりましたように、捜査を開始する場合は告訴、告発あるいはその他内偵、聞き込み等から、ある程度の犯罪の容疑があるということから捜査に着手するのでございますが、現在の段階におきましては、警察ではこの事件を調べる、あるいは調べたという事実はございません。
  178. 田中武夫

    田中(武)委員 説明員ではしかたがありません。説明員を相手に国会で議論をするほどちゃちじゃありません。したがって警察庁長官あるいはしかるべき代理者を要求いたします。  それじゃ大臣に一問だけお尋ねいたします。私は質問をしていく中において意見を聞きたいと思っておったんですが、この陳情書で、無担保債権者、先ほど言ったように、その事実が発表になるまでは親会社を信じ、あるいはそのうしろだてを信じて営々として親会社につとめてまいりました。その前日まで納品を請求せられた。ところが会社更生手続開始申し立てによって保全処分がなされた。中には、むすこが大学へ入学したが、その入学金が納められないために——ということは、この約手というか、東発に納めた代金がもらえないのです。納められないというので、親子泣きながらその合格通知を破ったという悲劇もあります。すでに倒産したところもあります。そこで緊急特別の融資措置を講じるような用意があるかどうか。さらに、司法的な問題はさておきまして、会社更生法の大原則は平等の原則であります。会社、株主、そして債権者、すべてが平等に行なわれる、また平等にやらねばならぬというのが会社更生法二百何条だったか、どこかにそういう大原則がうたわれております。そういう立場に立って、司法の問題はさておき、行政的な面から、この関係は一千九十九社ともいわれ、それ以上ともいわれております。これらの人たちの陳情、声なき声ではなくて、文書によって出されたこの問題に対してどういうような措置をとっていこうとしているのか、それだけをお伺いしておきます。
  179. 福田一

    福田(一)国務大臣 東発に関係されました下請企業の方が、今度のことによって非常な打撃を受けておられるということについては、私としては、個人としても非常に同情は申し上げております。ただしその場合において、どういういまここに措置をとるかということにつきましては、先ほど来申し上げておるとおり、何らかの金融的な措置がとり得るのではないかということで、大蔵省といま詰めておる段階でありますが、できるだけの措置を申し上げてみたいと思います。
  180. 田中武夫

    田中(武)委員 それから行政的調査……。
  181. 福田一

    福田(一)国務大臣 ちょっともう一ぺん、その行政的調査というのを…。
  182. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの東発の会社更生法手続開始申し立て書に悪意というか、計画倒産というか、いろいろ疑義があると、こう言っておるのです。したがって刑事の問題、刑法的な問題については後ほどもう一ぺん繰り返しましょう。しかし民事的なというか行政的な立場から、やはり一応監督庁としていろいろ内部を調べる必要があろうと思うのです。そのことについて一点と、それから大蔵省の銀行局長に、特別融資の問題について同じことをお伺いいたします。
  183. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は行政的な措置として会社の内情を調べるということまでは、私の所管ではいたしかねる、これは法務省の問題だろうと思っております。(田中(武)委員「法務省はようせぬと言うておるじゃないか」と呼ぶ)
  184. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 このような親会社の倒産による下請企業への連鎖反応、そのことに関しまして、私どもは原則的にはいわゆる健全なる経営を行なっている中小企業等が、他の金融面からの波及によってみずからも倒産におちいるというふうなことはできるだけ避けるようにということで、すでに通達を発しましたし、通達のみならず銀行首脳に対しましても、そのようなことを最近も繰り返し要請しております。この具体的問題につきましては、私はまだその内容を個々のケースについて知るに至っておりません。したがって抽象的なお答えになるかと思いますが、同じ下請と申しましても、これを主たる下請、おそらく百社程度であろうと思いますが、それから手形関係があるというものをとらえますと、それよりもはるかに数が多いと思います。非常に関係度合いが違うと思うのでございます。東発へほとんど全製品を納入しておるというもの、あるいは他にも同じような部品を提供しておる、つまり関係度合いに非常な差があると思います。私どもがいわゆる金融で救い得ると申しますのは、東発と全く同一であるというような、つまり下請の形だけとっておるというものでありますと、やはり東発と同じような結果にならざるを得ない。しかしながらこれが何か新しい製品を開拓し得る、その技術を生かして他に行き得る道が発見できるとか、同じような製品でありましても他に販路を変えることによって存続し得る、そういうふうな見込みのあるものは、いわゆる金融ベースに乗るものとしてこれを処理するように関係の銀行に要請いたします。これは御承知のように富士電機がこの東発を系列にしまして——非常に明白な系列でございます。富士電機が相当経営について責任を負っていたように聞いております。その富士電機とこれとあわせて、いずれも系列的に見ますと富士銀行がメーン・バンクになっております。しかし富士銀行だけではございません、ほかにも銀行がございますが、下請企業についてのメーン・バンクはさまざまでございまして、必ずしも富士銀行が一手に引き受けているわけではございません。内容が非常にまちまちでございますので、一がいにここで富士銀行を責めてやらせるわけにはまいりませんが、関係の銀行につきましては、いま私が申しましたような、たとえ経営を縮小するにいたしましても存立が可能であるというものは、金融ベースに乗るものについては、できるだけこれを救済するようにということを要請したいと思います。また、しております。しかし、その中にはどうしても金融ベースに乗らないというものも出てくることは予想されます。やむを得ないことじゃないかと思います。
  185. 田中武夫

    田中(武)委員 私はちょっと中止しまして、通産大臣に対する質問があったら先に片づけてください。
  186. 二階堂進

    二階堂委員長 板川正吾君。
  187. 板川正吾

    ○板川委員 それでは大臣に一言だけ伺いたいのですが、田中委員のいままでの質問に、どうも大臣の答弁があやふやで、実はわれわれ聞いておって話がわからぬのですが、それを要約しますと、今度の東発の倒産のあおりで、自己の責任でなくて取り引き中小企業者が倒産した場合、特に無担保債権者に対する対策はどうか、こういう質問をしたのです。ところが大臣は、法律の範囲でやるほかはないんだ、こういう趣旨である。一体法律の範囲内でどういうことをやるんだか、それを明らかにしてもらいたいと思うのです。金融的に、税制的に、こういう場合にどういうような方法政府として救済し得るものか、法律的にどういう方法があるのか。いま銀行局長の答弁によると、通達は出した、金融ベースに乗るものは考えるだろう、乗らないものはやむを得ない、こう言うのです。金融ベースに乗るものをやるのは、これはどこでもできることであって、あたりまえであって、問題は突然の倒産で、しかも自分の責任ではない、しかも、その範囲が非常に大きい。従業員あるいはとりわけ無担保の債権者が一千何百人という状態、その家族の生活、そういうことを考えてみたら、これは社会的な重要な問題であります。その金融ベースに乗らないものについては、特に政府としてどういうような対策をお持ちになっておるのか、具体的にわかりやすくひとつ答弁してもらいたいと思うのです。法律の範囲内でけっこうであります。法律の範囲内でどういうことができるかということを、まず第一にお伺いいたしたい。
  188. 福田一

    福田(一)国務大臣 まず金融の面については、私は先ほど銀行局長が申し上げたようなことでやろうと思うのです。どういうことかというと、そういう市中銀行に対しまして——市中銀行というものも株主を持っておる。やはり株主に対して責任がある。そのときに、取れるか取れないかわからないというようなものに、何でも命令でもってそれを貸してやれ、こういうことは、私は大蔵省の権限にはないと思う。また、政府の権限もございません。そういうことは、だからできない。しかし、いまの場合に、東発以外からもいろいろな仕事をとっておって、そして今後仕事を続けていける。ほかのほうから、たとえば取り引きが東発とはわずか二〇%であって、あと八〇%はよそでやっておった。こういうような場合に、その二〇%の分に相当する分で、何か手形が不渡りになったということで非常に経営上困難であるというような場合においては、当然すぐにひとつ金融的なものをやってやってはどうか。そういう場合には、いささか疑義——疑義といいますか心配があっても、できるだけあたたかい気持ちでそういうものも処理してはどうか、こういうことを銀行関係には大蔵省のほうでも言ってくれておると思うのであります。こういうような措置以外に、絶対につぶれるのはわかっておる会社であっても、市中銀行がそこに金を貸してやれ、こういうことは知は言えない。一番先に私が実はお話を申し上げました国の金を使う、いわゆるみんなが出した税金をどういうふうに使っていくかということにそれは関連をいたしますから、そこまでは特殊な法律でもつくる以外においては困難である、こういうふうに申し上げておるのであります。  それから税の関係等につきましては、たとえばそういうことで完全に不渡りになった、損害が明らかになったといったような場合においては、税制上その分をなるべく早く損害として当期の決算のうちに繰り入れることができるとか、あるいは何かいろいろのことがあるでありましょう。しかし税制上の問題、税法の問題として法律的に救済できるものがあるかと思うのでありますが、その他の面において私が申し上げておることは、いまのところこういうふうな措置ができるということはないと思います。しかし、これをやる場合においては、いま言ったような国の一般の労働者あるいはまた資本家、あるいは経営者、あるいはまた会社員等々、みんなが出した金を、自由企業というたてまえで自分の責任で仕事をしておって、それがうまくいかなくなったという場合の損失補てんをするような場合、それをどこまでやるかというととは、私は非常に問題があろうか、こう申し上げておるわけであります。
  189. 板川正吾

    ○板川委員 というと、結局は大臣が先ほど法律の範囲でできるだけやるという内容は、実は先ほど銀行局長も言ったように、金融ベースでやれる程度のものは銀行ができるだけやってやりなさいという程度であって何もない、これが現在の法律の範囲である、こういうことになると思うのであります。結局政府にはこういう場合には具体的な対策はない、これが私は結論だと思う。先ほども、これは自己の責任だからやむを得ないと言っておる。対策は画一的にはできないからやれないと言っておる。あるいは連鎖反応的に倒れる企業については、大蔵省や組合金融等で何とかするように留意するというようなことを言っておったけれども、そうしてその内容は法律の範囲内でやる、法律の範囲内というのは、実は内容は何もない。金融ベースに乗るならしてやりなさいという程度のものである。しかし、いまの中小企業政策の政府の一般的な政策ですが、池田総理は、御承知のように中小企業に革命的な政策を打ち出すと言って約束をしておるが、今回は何も出さないのですが、しかし、結局政府中小企業政策というのは、中小企業の育成政策をやる、しかし、中小企業の保護政策という面については何も持たない。だからこういう場合には、池田さんがかつて言ったように、中小企業の五人や十人死んでも、それはやむを得ないんだということと結果的には同じなのです。それは、十年前でも池田さんがそれで大蔵大臣をやめて問題になったのですけれども、それと同じような政治が今日なお続いておるというのは問題だと思う。それは、中小企業が自分の責任じゃなくて、しかも多数相次いで倒産していくというような状態の中で、政治の責任としてこれに何らかの対策を考えなくちゃならないのじゃないかと思う。話がちょっと横道にそれますが、ケネディ大統領が御承知のようにああいう死に方をいたしました直接の原因は何かといえば、アメリカで貧富の差がはなはだしく、非常に日の当たる人たちが多いかもしれませんが、一面どうしても日の当たらない日陰者の生活がある。これが結果的にはオズワルドのような人間を生みだしたとアメリカの社会でいわれておる。そこでジョンソン大統領は、貧乏を追放して——貧乏だって日本の七倍も八倍ももっといい生活なんだけれども、貧乏を追放していこうということを大統領の基本政策として今度打ち出しておるのじゃないか。また、日本では御承知のようにライシャワー事件がございました。あれも、気違いのそういう変わった子供を生んだのはその家庭の責任である、その保護は家庭でやりなさい、こういうような状態に野放しにしておくからああいう不祥事を起こすのじゃないか。だから中小企業政策というものをもっと保護政策、社会政策の面でも強化しなくちゃいけない。アメリカでも社会保障政策というものが真剣に取り上げられて、貧乏追放ということを言われてきておる。日本中小企業者の育成政策ばかりじゃなくて、この取り残されている零細企業の保護政策というものにもっと国全体が政治の対策を向けなければいけないだろうと思うのですが、そういう意味一つお伺いしたいのです。  それは、これは将来のためでもあるのですが、中小企業や下請企業が信用取引をしておって、今度のような場合に自分の責任でなくて不渡り等のために倒産をせざるを得ない、あるいは不渡りの損害、こういうような場合に、私は一つの救済制度というのを設けておったらどうだろうか、たとえば保険制度というものをそういうところに適用しておって、何がしかの保険料を納めておった場合に、たとえば不渡りした場合のその六割なり七割なりを保険料として支払うというような制度、こういう制度をつくって、それで自分の責任じゃなくて親会社の倒産で自分も倒産するというような場合には、社会全体としてこれを救済するような制度というものが必要じゃないか、こう思うのでありますが、大臣考え方はいかがですか。
  190. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまのお話でありますが、これは私は先ほど基本的な問題ということで一応お話を申し上げておるのであります。おのおの日本人が自分の職業選択の自由を持って、そしてたとえばその職業をやります場合にも、どの会社と連絡をして仕事をするか、どこへ物を納めるか、どういうものをつくるか、これは自由でございますが、そういう自由の原則に基づいてやって、やったけれども悪意なくしてそこで問題が起きた、親会社の倒産によって問題が起きた、これは私は非常にお気の毒であると存じます。お気の毒であると思いますが、これは職業選択の自由によってやっていられることなのであります。まずこの問題からひとつはっきりしておきませんと、問題解決の焦点が出てこないと思うので、私はそこに一つの問題がある、こう考えなければなりません。それから今度はそういうものを救済するための措置をとられるというけれども、それをとるためには金が要ります。たとえばいま倒産額が年間三千億として、いまあなたの言われるようなことを考えてみますと、千六百億ないし千八百億の金がいまここに用意されなければならない。そういう金がどこから出てくるか、これはみんな国民が税金で出してくる金であります。そうすると、自由に自分でやって金もうけをしたときにはその人のあれになる。倒産をした場合には、今度はそれ以外の関係のない人が全部金を出してこれを救済するのだ、こういうシステムがいいか悪いかということは、まず一応検討してみなければならないと思う。ただ私はあなたがおっしゃったように保険的にものを見て、ある程度それじゃ関係者は金を納めておいて、そういうマイナスの面が出た場合には何がしかの分を、ひとつ特に、たとえば十万円とか五十万円とか、限度は非常に低いかもしれぬが、いわゆる零細企業の人が非常に困るというような場合には何か考えたらどうか、こういうことになれば、かなり具体的に問題を進めていくことができると思うのであります。だから私はそういうことは今後前向きに検討はいたしたいと存じておりますが、しかし私が申し上げておることもひとつよくおわかりを願って、今後政策立案についてもわれわれと協力してひとつ問題解決に臨んでもらいたいと、こう私は希望いたします。   〔「株価が下がっただけで買い出動に出ているじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  191. 二階堂進

    二階堂委員長 御静粛にお願いします。
  192. 板川正吾

    ○板川委員 何千億円という倒産を国が全部めんどうを見ろという意味じゃございません。しかし信用取引の一定割合なりをたとえば歩積みしておくようなこととか、あるいはある程度の保険料というのを、中小企業、零細企業には社会保障的に強制的に加入してもらってやっておく、こういうような保険制度と社会保障制度を加味したような思想で救済策を持つ必要があるのじゃないか。特に本日から御承知のように開放体制に入って自由化になっております。いまの日本企業がこれでいいなと思っても、いつ外国企業の進出等で倒産せざるを得ないような事態になるかもしれません。特に大企業の場合はたいてい倒産する心配がないのですが、中小企業が一番被害を受けるのです。だからそういう中小企業に対象をしぼって、そうしてこれは中小企業の保険料だけじゃなくて政府相当な金を出して、そこでこの保険料的なものと政府の金と合わせて、いざ倒産という場合に最小限の保障をするような制度が必要じゃないか、こう考えるのであります。この点は、いま東発の問題ですぐそれをつくって適用しようというわけじゃないですから、この機会にひとつ検討してもらいたいということを要望して、時間もないようですからこの一問だけで終わります。
  193. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまのような御趣旨でございますれば、われわれとしては研究はいたしてみたいと存じます。
  194. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと緊急発言。大臣が時間がない、また法務省の刑事局長も何だか主催しておる会議のために退席する。法務省の刑事局長が出たあとで警察庁の刑事局長が来ても意味をなさない。したがってもう一度実はまだまだたくさんあるのです。たとえば労働省についても、会社更生決定手続と労働協約の関係、あるいは労働基準法の関係、いろいろあるわけなんです。そこでこれをもっと究明するにはなお当事者たる者を参考人に呼ぶ必要もありましょう。さらに先ほど来法務省の民事局長がやっきになって抗弁をしておりましたが、その百六十五条じゃなしに三十五条による手続申し立ての通知は、その地区を監督する税務署あるいはそこの行政庁、こういうのにはもうすでに通知が出ているはずなんです。それはなるほどあなたのところにはありません。三十五条は手続開始の申し立てがあったときにしなければならないものである。そういうような関係もあるし、先ほど来申しておりますような相当な計画倒産というか、少なくとも利害関係者が——この利害関係者にいたしましても、会社更生法の利害関係者は一般民事訴訟の利害関係者よりしぼられておるわけですが、いろいろとあります。これらについて究明する必要があります。そういうことで、あらためて参考人を呼び、引き続き質問する、こういうことで、その日時等は理事会で相談してもらっていいと思いますが、私はここでちょっと中止をいたします。まだまだたくさんありますが、中村君もだいぶお待ちかねのようですから、そういうことで次を約束せられることによって、私は一応中止してもいいと思っております。
  195. 二階堂進

    二階堂委員長 田中委員の御発言の件につきましては、後刻理事会において御相談して善処いたしたいと思います。  松平君。大臣がお急ぎでございますから、ただ一点だけお許しいたします。
  196. 松平忠久

    松平委員 この問題の解決は、無担保債権二十六億をどう解決するかということ、ここにあるわけですが、親会社の富士電機が二十二億の債権を持っておりますが、それは三番抵当かなんかで急に入れてしまっておるわけです。これは五十何%というものを親会社が持っておって、重役は過半数が富士電機から来ている。そこで富士電機にあなたはひとつ話をされて、行政指導で富士電機が債務の補償をしてくれればこの問題は片づくわけなんです。ところが富士はこれをやらずに計画的に倒産に持ち込んだというのがこのケースだろうと思うのです。したがって、金成社長を呼んで、富士をして債務の補償をするというふうに行政指導ができるならば、私はこの問題の大半は解決するんじゃないかと思うのです。そこで、全額は補償できないという場合もあるかもしれませんが、少なくとも、じゃ半額補償しろ、あとの半額はひとつ大蔵大臣通産大臣で話をしてみようじゃないかというようなことで、手っとり早くは、私はそういうような解決の方法一つあるんじゃなかろうかと思う。なぜこれをわれわれがせいているかというと、大体手形の期限が次から次に来て、そして千九十九社の者はばたばた倒れていくという日常なんです。そこでこれは早急に解決をしなければならぬ問題なので、早急に通産大臣と大蔵大臣が話をされると同時に、通産省において大臣が行政指導によって親会社の富士電機をもっと説得をして、社会問題化しているこの問題について、大企業の横暴によって中小企業の千数社というものを路頭に迷わせるというようなことはやめさせるような行政指導をしていくべきだと思うが、この一点だけについて大臣の決意を伺っておきたい。
  197. 福田一

    福田(一)国務大臣 たいへんおもしろい御意見だと存じます。ひとつ十分研究をいたします。
  198. 二階堂進

  199. 中村重光

    中村(重)委員 手数百社の生きるか死ぬかの問題です。この重要な問題に対して福田通産大臣が退席をする、大蔵大臣が来ていない、こういうことでは審議はできません。したがいまして私はきょうの質問を保留いたします。金曜の日でも、理事会にはかり、この倒産関係関係者を呼んで十分真相を究明する、こういうことにいたしたいと思います。委員長においてそのようにお取り計らいを願いたいと思います。
  200. 二階堂進

    二階堂委員長 了承いたしました。  次会は、明後四月三日金曜日午前十吟より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会