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1964-03-27 第46回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    岡崎 英城君       海部 俊樹君    菅野和太郎君       佐々木秀世君    田中 龍夫君       田中 正巳君    田中 六助君       中村 幸八君    野見山清造君       長谷川四郎君    南  好雄君       村上  勇君    山手 滿男君       石野 久男君    大村 邦夫君       加賀田 進君    兒玉 末男君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       楯 兼次郎君    藤田 高敏君       森  義視君   米内山義一郎君       麻生 良方君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    鈴木 秀雄君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 三月二十七日  委員大村邦夫君及び島口重次郎辞任につき、  その補欠として石野久男君及び兒玉末男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員石野久男君及び兒玉末男辞任につき、そ  の補欠として大村邦夫君及び島口重次郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十五日  軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号)(参議院送  付)  電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇四号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七三号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七五号)  軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号)(参議院送  付)  電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇四号)(参議院送付)  通商に関する件(日韓貿易に関する問題)  工業に関する件(アルコール専売工場払下げに  関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三法案議題として審査を進めます。  この際、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対しましては、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表して早稻田柳右エ門君外二名より修正案提出されております。     —————————————
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 まず、提出者より趣旨説明を聴取することにいたします。早稻田柳右エ門君。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ただいま議題となっております中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党日本社会党民主社会党の三党共同提案による修正案につきまして、私よりその趣旨を御説明申し上げます。修正案の案文はお手元に差し上げてありますが、念のため朗読いたします。    中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案   中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十条に一項を加える改正規定中  「総裁を通じて」を削る。以上が修正内容であります。  政府がこの改正案提出する理由については、公庫業務の適切なる運営を確保するため、監事の職責を明らかにし、公庫業務監査についてその万全を期するという趣旨からこの改正案提出されたのであります。したがいまして、監事総裁監査の結果を提出するのほか、直接主務大臣意見提出することができることとするほうが、さらに改正案趣旨を生かすこととなると信ずるものであります。  以上が修正案提出理由であります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたす次第であります。     —————————————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、三法案並びに早稻田柳右エ門君外二名提出修正案を一括して討論に付します。浦野幸男君。
  6. 浦野幸男

    浦野委員 私は自由民主党を代表いたしまして、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く原案中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案並びに中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案のいずれにも賛成の意を表明するものであります。  中小企業金融公庫法改正案趣旨は、公庫債発行によって公庫民間資金を調達し得る道を開くものでありまして、これによって現在中小企業者が最も必要としている長期低利資金の融通が一そう拡充されることが期待されるのであります。  次に、中小企業近代化資金助成法改正案及び中小企業近代化促進法改正案における中小企業者定義に関する改正は、昨年与野党一致の議決によって成立いたしました中小企業基本法趣旨に沿うための改正でありまして、一点の疑念の余地もないものであります。  なお、中小企業近代化資金助成法改正案定義改正以外に、商店街近代化資金貸し付け制度を新設しようとするものでありまするが、国民消費生活に直結する流通機構近代化をはかる措置といたしまして、まことに時宜に適したものと存ずるのであります。  さらに、中小企業金融公庫法監事の権限に関する規定整備しようとする改正案に対しましては、ただいま修正案提出されましたが、これは改正趣旨を一そう徹底させるものでありまして、まことに適切妥当と考えるのであります。  以上の理由に基づきまして、各案のいずれにも全面的に賛成をするものであります。(拍手
  7. 二階堂進

  8. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は日本社会党を代表しまして、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案には賛成、右の案の修正部分を除く原案中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案の三案には、いずれも反対の意思を表明し、以下反対理由を明らかにするものであります。  第一点は、近代化資金助成法近代化促進法における中小企業者定義に関してであります。中小企業基本法において、中小企業者範囲は、おおむね資本金五千万円、ただし商業サービス業の場合は一千万円、すなわち五千万以下、または従業員数三百人、商業サービス業の場合は五十人となっておりますが、いわゆる三百人以下のものとし、中小企業施策が効率的に実施されるように施策ごとに定めると規定されております。しかるに政府基本法による施行経過の事実を見ますときに、施策効率的実施という名のもとに、現実的施策の重点を中小企業の中の上位にあるもの、または実質的には大企業に準ずるもののみに集中してしまって、中小企業基本法の本来的に中心になるべき、底辺にある小規模企業及び零細企業者を置き去りにしてきているのであります。今回改正案提出された近代化関係の二法案運用状態は、まさにこのことを裏づけした典型的なものであります。今回中小企業者定義を改めようとするにあたって、政府には上位企業偏重傾向に対する反省が見られないのみか、これを助長する条件になっているのはまことに遺憾であります。さらに、最近はオートメーション等技術の進歩により、従業員は三百人以下でありましても資本金は数億円にのぼるような企業が少なくないのでありまして、これら実質的大企業が従来の中小企業の分野に進出してきている例も数多く見られ、資本金五千万円以下並びに従業員三百人以下という定義は形式化しているものであります。以上の観点から、中小企業定義は当然資本金従業員数を「かつ」で結び、双方のいずれにも該当するものだけを施策対象にするような規定でなければならないと考えるのでありまして、政府の案には賛成しがたいのであります。  次に、第二点として、中小企業金融公庫債券発行に関してでありますが、今回の改正案によって公庫債発行いたしますなれば、融資財源はなるほどある程度増加するかもしれませんが、中小企業者が悩んでおる高金利の是正には少しも役立ちません。むしろ逆行するのは必至であります。わが国企業が重い課税負担とともに世界に例を見ない高い金利負担にあえんでおり、特に中小企業がそのしわ寄せをもっぱら受けておる状態の中で、政府機関が高い金利資金を調達し貸し付けようとするのは、全く私どもとして理解に苦しむところであります。また融資財源増加は、第一義的には公庫に対する政府出資及び財政投融資増加によるべきものであります。商工中金に対しても、資金運用部から直接融資の道を開くべしという意見が聞かれている今日において、純然たる政府機関によそからの資金を求めようとするのは、政府の無策、無責任以外の何ものでもありません。  以上二点の理由を明らかにいたしまして、三案に対し反対するものであります。(拍手
  9. 二階堂進

  10. 麻生良方

    麻生委員 私は民主社会党を代表して、討論に付せられております中小企業近代化資金助成法の一部改正法案中小企業金融公庫法の一部改正法案及び同案に対する修正案中小企業近代化促進法の一部改正法案の三案に対し、いずれもわが党が積極的にその成立に努力をした中小企業基本法の精神に基づくものであるので、ここに賛成の意を表します。(拍手
  11. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより順次採決いたします。  最初に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を採決いたします。  まず、早稻田君外二名提出修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいまの修正部分を除く原案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案は早稻田君外二名提出修正案のとおり修正議決いたしました。  次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。  両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  14. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました三法案に対する各報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よってさよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  16. 二階堂進

    二階堂委員長 去る二十五日付託になりました、内閣提出の軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案及び電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、まず通商産業大臣より趣旨説明を聴取することにいたします。福田通産大臣。     —————————————
  17. 福田一

    福田(一)国務大臣 軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、軽機械輸出振興に関する法律は、軽機械輸出重要性にかんがみまして、昭和三十四年に制定施行されたものであります。この法律は、第一に製造業者の大部分中小企業アセンブル製造方式を採用しているミシン双眼鏡について登録制度実施することによって、生産設備等整備品質向上をはかるとともに輸出面における過当競争を防止することをねらいとしております。  第二には、ミシン双眼鏡のそれぞれに輸出振興事業協会を設立して、海外における市場調査宣伝等事業を活発に行なうとともに、品質の改善に関する調査研究等事業を行なうことによって軽機械輸出振興に資することをねらいとしております。  この法律施行によりまして、ミシン双眼鏡の両業界とも、生産設備品質管理等の面における整備がかなり促進され、また、輸出の面におきましても海外市場動向の把握による輸出体制整備系列取引促進、外国の輸入制限に対する対策実施等相当の効果をあげてまいっております。  しかしながら、両業界ともまだ完全に輸出秩序が確立したとはいえず、依然過当競争の要因が払拭されていない実情があります。また海外における市場開拓輸入制限対策等事業先進国の巻き返しの激化、後進国の台頭に伴って、その重要性はますます増大する傾向にあります。  しかるに、御承知のようにこの法律は五年間の限時法になっており、本年六月三十日までに廃止することになっておりますので、この際この法律有効期間をさらに五年間延長することによって、その間に両業界生産輸出体制の一層の整備輸出秩序の確立をはかりまして、ますます困難の度を加えつつあります海外市場の動きに対処してわが国機械輸出を一段と伸展させていきたいと考える次第であります。  これが、本法案を提案するに至った理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願いいたします。  次に、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように電子工業振興臨時措置法は、昭和三十二年六月に制定施行されて今日に至っているのであります。この法律は、電子工業のうち第一に試験研究促進する必要のある機種、第二に生産の開始または拡大を促進する必要のある機種、第三に生産合理化促進する必要のある機種の三つを政令で指定し、そのそれぞれについて振興のための基本計画年度ごと実施計画を定め、生産合理化に必要な資金の確保につとめるとともに、必要に応じ品種、技術等に関する共同行為の指示を行なって計画の達成をはかることを規定しております。  この法律施行わが国電子工業は、技術面においても生産面においても目ざましい発展を遂げ、諸産業設備近代化国民生活向上に広く貢献してまいり、この法律の果たしてきた役割りは大きいと考えられます。  しかしながら、わが国電子工業現状を見ますと、産業用に使用される機器については、欧米先進諸国に比して、技術水準及び生産性の面においてなお低位にあり、さらに今日の世界における電子工業技術は急速に進展しており、新技術や新製品が開発されつつある現状において、わが国電子工業世界の大勢におくれることのないように技術開発並びに生産合理化促進を急速にはかる必要が痛感されるのであります。  しかるに、現行の電子工業振興臨時措置法は、七年間の限時法として制定されており、本年六月十日までに廃止することになっておりますので、ただいま申し上げましたような現状にかんがみ、この際有効期間をさらに延長し、昭和四十六年三月三十一日までこの法律を存続せしめて電子工業の一層の振興をはかり、もってわが国経済の健全な発展に寄与いたしたいと考える次第であります。  これが、この法律案を提案するに至った理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださるようお願いいたします。
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。  両法案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  19. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、通商に関する件について調査を進めます。  日韓貿易に関する問題について質疑通告がありますので、これを許可いたします。藤里局敏君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  20. 二階堂進

    二階堂委員長 速記を始めて。  午後一時再開することにし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十一分開議
  21. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  工業に関する件について調査を進めます。  アルコール専売工場払い下げに関する問題について質疑通告がありますので、これを許可いたします。兒玉末男君。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 昭和三十四年の八月でございましたか、通産省の所管であり、アルコール事業部として経営されてまいりました小林アルコール工場払い下げられまして、今日まで四年半たったわけですが、今回通産省から払い下げました工場が、一部の企業三楽酒造内部事情によりまして、いわゆる現在まで使用されてまいりましたアルコール部門解体するという事態が起きておるわけです。この点につきましては、昭和三十四年の五月十九日の衆議院の商工委員会におきましても——当時大半地元農民あるいは労働組合等が、あげてこの払い下げ反対したわけです。そのことは、たとえば北海道アルコール工場等が、払い下げた直後二カ月くらいで三百名の従業員が路頭に迷うというような事例等にかんがみまして、同時にまた小林工場の持つ特殊事情としまして、主要産業である特に農業生産のなまカンショの需要に応ずるという立場から、きわめて重要な立場にある工場であります。しかも工場における生産コストにおいても、現に残存しておる鹿屋だとか、出水だとか、熊本人吉等に比較しても生産コストが低いということは通産省当局の資料にも明らかにされておる。そういうふうに、あげて反対してきたと存じます。しかも当時の商工委員会において私が指摘したとおり、これが払い下げられた場合、必ずやこのような労働者に対するところの首切りの問題となって派生するということを念に入れて質問したら、通産省当局としては、そのような御心配は要りません、しかも指名入札入札相手日本でも有数な特に信用のある大工場であるから絶対御心配はないと、当時の軽工業局長並びにアルコール事業部長は明確に答弁をいたしております。ところが四年半たった今日、私たちが指摘したことがすでに当たっておるわけです。しかも当時残りました従業員はどうしてもよそに転勤できないという条件があったからこそ、この入札された工場は一切の職員の身分を継承する、しかも待遇についても一切切り下げは行なわない——当時の通産省払い下げ条件として行なわれておりますところのこの施設の重要部門について、解体もしくは処分等政府もしないという条件のもとに、この工場払い下げに相なっております。今回のこの処置について、三楽酒造から通産当局に対してどのような連絡がなされておるのか、まずこの点について御答弁を願いたいと存じます。
  23. 倉八正

    ○倉八政府委員 約十日くらい前だったと思いますが、いま御指摘のありましたように三楽酒造小林工場の人員を八代その他の工場配置がえするという情報を聞きましたために、さっそく会社と連絡いたしまして、われわれとしてはその後三回にわたって事情を聴取いたしております。その内容につきましても、必要ならばいずれ申し上げたいと思います。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 問題の本質は、当時あれだけ会社地元反対したものについて、今日このような事態が必ずや来るであろうということと同時に、地区の住民あるいは農民等は、この工場がなくなることによって、特に小林地区における主たる生産物であるカンショ買い上げ等がなくなることはきわめて重要な問題であるから、この取り扱いについては慎重な態度をとるべきだということを主張してきましたし、しかも当時の私の質問に対する通産省答弁の中において、北海道等のような例がないように十二分な調査と配慮の上にこの払い下げを行なうということを明言しております。私がそのとき申したことは、このような事態が起きた場合、それは前にあったことで私たちはわからないから責任はとれないという無責任な答弁では困ると再三にわたり念を押しております。ところが今日まで、これが単なる従業員移動ということではなくて、重要なアルコール部門解体することをはっきりと三楽のほうで言っているわけでありますから、単に従業員移動ということではなく解体の問題であると同時に、この三項にわたる条件身分保障生活保障密接不可分関係に立たされておると思うのであります。この点特に大臣にお伺いしたいのでありますが、貴重な国有財産の処理にあたりましては、当時の通産大臣なり大蔵大臣が十分に慎重に協議して、このような事態が起こらないという確認の上に立ってこの工場払い下げをされた以上は、会社の一時的な都合によってそういう解体が認められることは、かりに当時の大臣は別であったにいたしましても、当然通産行政の上からも一貫した指導がなさるべきだと私は思いますが、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  25. 福田一

    福田(一)国務大臣 三楽オーシャン株式会社小林工場の蒸留器移設問題につきましては、通産大臣としても同工場払い下げの経緯にかんがみまして、重大な関心があるわけでございます。さっそく同会社から事情を聴取いたしましたところ、同会社集中生産による合理化をはかるため、小林蒸溜器熊本県八代所在の八代工場に移設する方針を内定しまして、これに伴って、小林工場従業員総数百三名のうち五十三名に対する配置転換の発令を三月十九日に行なった由であります。  通産省といたしましては、集中生産による合理化の方向については一応これを是とするものでありますが、その実施にあたっては、労務対策中心とする諸般の問題についての円満な解決をはかるよう同会社に要請するとともに、その真意をただしましたところ、同会社は、全く社内の生産合理化のための措置であって、従業員中一人の失職者も生ぜしめないよう十分に配慮するという方針のもとに、従業員に対し個々に面接して希望を聞いた上で発令した、それから配置転換対象者の数も極力しぼって五十三名にした、このうち六名の者については配置転換辞令を受けた後、同会社においては通常赴任まで十日の期限があるが、この間に赴任できない事情にあるものについてはその事情を考慮して弾力的に措置する。また配置転換に伴う個々の人の生活環境変化等に対してはなるべく支障のないよう十分に配慮する。小林工場については、これを閉鎖するような方針は全くなく、今後農産加工工場としてその育成発展をはかることを明確にいたしてまいりました。当省といたしましては、重ねて同会社に対して、今回の措置については万遺憾のないよう十分の考慮を要請いたしましたが、今後においても情勢の推移について注目していく方針でございます。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 きわめて限られた時間でございますので、問題をしぼって御質問しますが、これは局長にお伺いしたいのでございますけれども、私は十九日に現地に参って事情を聞いた際に、二十一日に辞令を出して、十日以内に返事がなければやめてもらう以外にない、こういうふうな非常に強硬な意見辞令を出しているわけです。しかも私が実際に聞いた範囲においては、わずか二万四、五千円の給料で五、六人の世帯をかかえる者がそれぞれ勤務地に行った場合、生計を別にしなくてはいけない、とても行ける条件でないというのが大半であるけれども、いまの実情にあっては辞令を受け取らなければ首を切られる、こういう懸念があって、やむを得ず泣き泣き辞令を受け取っているという実情大半であります。こういう点から考えましても、私たちの四年半前のこの問題に対するいろんな質疑応答の中からも、こういう身分上の問題、生活権保障の問題等があったからこそ、私どもはこの点に強く反対したわけであります。その心配がすでに四年半たった今日に実現しているということを思えば、通産省当局の将来にわたる展望なり見通しがいかに甘かったかということをわれわれは指摘せざるを得ない。しかも三楽酒造小林工場払い下げをしたその理由というのも、採算を度外視しといいますか、今日のことを予想しながら、他の酒造工場等が進出することをおそれてやったということも聞かされているわけでありますが、少なくとも私は、いま大臣答弁の中にありますように、他の農産加工部門を拡大していくという御所見であるならば、移動ができない人は当然その方向において吸収されるべきだと思うのですが、どうしても転出ができないという条件のある人をしゃにむにやる、しかも十日なんという短い期間でどうして将来の長期の生活の設計が立てられようかと思うわけです。そういう短い期限つきで押しつけ的にやるやり方についても、われわれは納得ができない。この点についての御所見を承りたい。
  27. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま兒玉先生から御指摘のありました、十九日に転任辞令を渡して十日以内に赴任しろというのは、調べてみましたところ会社の内規のようでございます。そのことから見れば、きわめて短兵急に会社が抜き打ち的にやったという響きを持つように思われますが、しかしよく調査してみますと、会社は十七日まででございますかに全部の人に面接しまして、一人一人の意向を聞いた。そうしまして十九日に、いま先生の御指摘のように転任命令の発令をした。それでわれわれとしましては、かっての官営工場であった関係もございますし、会社といろいろ話し合いましたところが、会社としてももう一回考えるということでございますが、そのやり方としましては、個々の人の状況に基づきまして、内規は十日であるが、余裕を持って考えるということを向こうは明言しておりました。それから、どうしても移りたくないというより移られない事情にあるという六名の方につきましては、さらに問題を検討するということを会社はわれわれに言っているわけでございまして、われわれとしましても、その辺を十分に見きわめまして今後の指導を続けていきたい、こう考えております。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 局長の見解で大体考えはわかりましたが、特に問題の一番重要なことは、国から貴重な国有財産払い下げを受けるときは、一切の条件を具備して心配要らない、こういう形で払い下げをしたものが、先ほど申し上げましたように、たとえば佐賀の合知工場または高鍋の場合あるいは北海道等の場合、全く全従業員が路頭に迷う、こういう情勢等を十分配慮すべきであると思うのです。そういう点から考えますならば、当時の条件の中に、主要施設部門の解体もしくは処分は政府の許可なくしてできないということが明確にされておりまして、この小林工場アルコール部門は単に八代への移転であるから解体じゃないというふうに言われますけれども、八代の工場そのものは最初から三楽のものでありす。ところが小林工場の場合は国有財産であります。でありますから、この地域にある部門をよそに持っていくこと自体が当然解体とみなされるべきであり、そこに残ったところの土地の処分ということは、当然これを付随して起きてくる問題であります。でありますから、三楽のほうが言っておる、これは八代に工場設備を直すんだから解体じゃないという考え方はあまりにも一方的な判断ではないか。しかも私たちがあれだけきびしく批判し抵抗したこの問題について、四年半しかたたない今日、こういう国有財産移動というものが簡単になされている。通産当局としてはもう少し三楽に対する行政上のきびしい指導をすべきではないか、こういうふうに判断するわけですが、この解体について、われわれは単に施設の移動ということだけで理解ができないわけでございますけれども、この点はいかがですか。
  29. 倉八正

    ○倉八政府委員 いま御指摘の点は、政府三楽酒造国有財産払い下げ契約の第十二条を先生御指摘だろうと思います。この十二条の純粋な法律解釈をしてみますと、通産大臣の承認は要しないという解釈が有権的な解釈とわれわれは信じておりますが、ただ問題は、そういう契約書の一条項の解釈というよりも、かっての官営工場従業員が転勤を命ぜられた、その転勤が非常に家庭的な生活にも影響する、あるいはまた事実上の生活の低下を招く、こういうものは社会的な問題あるいは道義的な問題としてわれわれは取り上げておるわけであります。したがいまして、その解釈のいかんにかかわらず、いま御指摘のように、会社に対しても十分なる再考を促しておりますし、それから善処方を要望しておる次第でございます。
  30. 兒玉末男

    兒玉委員 時間がございませんので、最後に大臣に一つ御質問したいと存じますが、この件に関しましては、今月の二十三日、小林市議会は特に臨時議会を招集しまして——四年半前に、あれだけ地域住民に対しましても、三楽払い下げても心配要らないんだ、むしろウイスキーの原料をつくる、いわゆる原料アルコールとして需要は拡大し、半永久的に紀の施設は残るんだから、労働者の生活の問題は不安ないという立場から、議会の了承を得て払い下げをしたわけであります。ところが四年半後の今日こういう状態になったことは、地域民並びに生産農民に対する影響はきわめて甚大であります。今回のアルコール部門の閉鎖はきわめて遺憾である、であるから、さらに会社側としては積極的に農産物の加工面を拡大して、今回の労働者のいわゆる転出については最小限にこれを食いとめることを強く要望する、こういう市議会の決議がなされておるわけです。この点は、四年半前のその当時のことから考えますと、むしろまだ市当局の積極性がないというくらいにわれわれは指摘したいわけですが、このような市議会の決議もなされておりますので、特に労働者の配転の問題等については、十二分にここに働いてる従業員の意向というものが尊重されるように、特に大臣として指導してもらいたいことを最後に要望し、大臣の御所見を承りたい。  これで私の質問を終わります。
  31. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説のように、そこに働いておられる人たちの生活の問題、職業の問題等には、十分に尊重をして処理をしていくように善処してまいりたいと思っております。
  32. 二階堂進

    二階堂委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕