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1964-03-25 第46回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    小笠 公韶君       海部 俊樹君    神田  博君       佐々木秀世君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       野見山清造君    長谷川四郎君       南  好雄君    村上  勇君       大村 邦夫君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       楯 兼次郎君    藤田 高敏君       森  義視君   米内山義一郎君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    村井 七郎君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 三月二十四日  電気事業法案内閣提出第一三六号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気事業法案内閣提出第一三六号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四四号)  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七三号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七五号)  通商に関する件(日韓貿易に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  昨二十四日付託になりました内閣提出電気事業法案及び輸出保険法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。福田通商産業大臣。     —————————————  電気事業法案  輸出保険法の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 福田一

    福田(一)国務大臣 電気事業法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  電気事業は、国民生活及び産業活動に不可欠な、そして代替性の著しく乏しい基礎エネルギー供給するものであり、国民経済発展密接不可分の関連を有するきわめて公益性の高い基幹産業であります。  近時、国民生活高度化近代化産業活動の目ざましい伸展に伴って、電力需用は著しく伸長し、総エネルギー需要に占める、相方の比重は非常に高まってきております。これに伴い電気事業には、豊富、低廉、良質な電気供給することによって、日本経済の成長をエネルギーの面からささえていかなければならない重大な使命を課せられているのであります。  また、電気事業は、その生産する電力が直ちに消費され、この間に通常の商品のような在庫調整ができず、このため、常にピーク時の需用に応じ得るだけの設備開発しておかねばなりません。  一方その送配電技術的特質から重複設備によるむだを排除する意味地域独占産業になっております。  このような特質を持つ電気事業をして、前述の国家的要請に応じて、常に適正なる電気供給を行なわせるためには、電気事業運営を適正かつ合理的ならしめることによって電気使用者利益を保護し、電気事業の健全な発達をはかることが必要であり、このためにはいわゆる公益事業規制措置がとられねばなりません。世界各国においても、その方法において若干の相異はあれ、いずれも政府による法的な規制を行なっているのであります。  さらに、電気はその物理的性質上、その取り扱いいかんによっては相当の危険ないしは障害を伴うものでありますので、保安面から電気工作物規制を必要といたします。  このような電気事業に関する法的規制は明治四十四年電気事業法が制定されて以来、事業規制保安規制の両面にわたって続けられてきたのであります。ところが戦後、占領終了時における特殊事情のため、昭和二十七年にいわゆるポツダム勅令である旧公益事業令が失効し、一時的に無法律状態となり、これを救済するため、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律が制定され、これによってすでに失効した旧公益事業令規定の例によって法規制を行ない、また、電気工作物に関しては、昭和六年制定の旧電気事業法規定の例によって規制するという法形式的には全く類例を見ない特異なものとなっております。しかも、その後十余年を経た今日に至っては、その内容においても目ざましい発展を遂げた電気事業実態に適合しない多くの点が生ずるに至っております。  すなわち、電力の需給は、かつての不均衡からくる混乱状態から脱却し、国民経済発展正常化とともに相当の供給予備力を持つまでに安定し、電気事業に対する要請電気の量を確保することから、電気の質を向上すること、あるいは電気使用者に対するサービス改善することへと大きく変わっております。また、電気事業内部においても、発送変電技術の著しい進歩に伴う設備の大容量化、新鋭大容量火力開発による火主水従への転換、企業間における格差の発生などの変化が生じ、設備を広域的に運用する必要性が非常に高まってきております。  このような電気事業の内外の情勢変化に対応して現状に適合するようその法制を整備する必要性が生じたのであります。政府といたしましては、現行法制が前に申し上げたとおり特異な法形式をとっている関係上、その一部を改正することは立法技術的に非常に困難でありますので、現在の暫定的な法律を廃止し、新しい電気事業法を制定することが最も適切であると考えた次第であります。  なお、政府におきましては、電気事業法案の作成について昭和二十八年より検討を進めてまいったのでありますが、戦前に統合した公私営電気設備の復元問題をはじめとする諸般の事情のため成案を得て国会で御審議をお願いするまでに至らなかったのであります。これらの問題もようやく解決しましたので昭和三十七年五月に電気事業法案策定に関する基本方針を検討するため、電気事業審議会を設置し、広く各界の有識者によって一年半にわたる審議を行なった結果、昨年十月にその答申を得たのであります。政府といたしましては、その答申を尊重して事業許可供給義務料金規制保安規制等の従来の法的規制に対し、第一には、企業経営能率化と行政の合理化簡素化見地から事業規制及び保安規制合理化するとともに、公益的の立場から必要とされる監督権限を整備すること。第二には、設備の建設、運用における合理性確保企業間における格差是正等電気事業の課題を解決する方途として、広域運営を推進するとともに、これに関する国の監督権限を整備すること。第三には、電気使用者利益を保護し、サービス水準を向上させる規定を整備することの三つ見地を加味してこの電気事業法案を作成いたしたのであります。  次に、法案の概要を説明させていただきます。  第一は、電気事業について、その事業の開始から廃止に至るまでの間、所要事業規制を行なうことであります。これらの規制につきましては、旧公益事業令規制とほぼ同様といたしておりますが、それと異なる点は、事業地域独占規定を削除し、電気事業許可基準一般電気事業に関する過剰設備防止のための基準電気事業総合的立場からする合理性確保のための基準等を加えたこと、兼業規制対象一般電気事業者に限定したこと、特定供給について規制を加えたことであります。  第二は、電気供給業務規制に関することであります。旧公益事業令と同様に電気事業者に対し、供給義務を課し、料金その他の供給条件認可制といたしておりますが、新たにその認可基準において電気料金原価主義を明らかにしております。  また、電気使用者サービス向上をはかるため、電圧、周波数の維持義務、その改善命令業務方法改善命令電気事業に対する苦情処理等規定を整備しております。  第三は、電気事業の今後進むべき方向である広域的運営に関することであります。これにつきましては、電気事業者に対し協調運営義務規定するとともに施設計画及び供給計画提出義務を課し、これらの計画について変更勧告権を設け、計画の段階から広域的運営見地が取り入れられるよう配慮いたしております。さらにこの変更勧告によっては、広域的運営による公共の利益確保されない場合、または非常の場合において、電気供給等について公益命令が発動できることといたしております。  このほか、広域的運営円滑化をはかるため、一般電気事業者間の電気融通料金については、原価主義をとりながらも弾力的に料金決定ができるようにいたしております。  第四は、会計及び財務規制についてでありますが、電気事業現状に即してその規制簡素化するとともに、電気事業経営健全化をはかるため、減価償却歩引き当て金及び積み立て金に関する命令権を設けております。  第五は、公益事業見地から、電気事業者に対し、他人の土地の一時使用等についていわゆる公益事業特権を与えていることであります。  第六は、電気工作物保安に関することであります。この点につきましては、電気工作物電気事業用自家用一般用三つに分けそれぞれその実態に即した保安規制を加えることとしております。すなわち、電気事業用自家用電気工作物につきましては、工事維持運用に関して保安確保するため旧公益事業令とほぼ同様に工事計画等についての認可を必要とすることとし、また検査に関する規定を整備するほか自主保安体制を確立するため保安規程及び主任技術者に関する規定を設けております。なおこれらの規制に関しましては、保安確保上支障のなり限り、認可対象の大幅な整理等により簡素化合理化をはかることとしております。  一般用電気工作物につきましては、設置者に対する改善命令規定を設けるとともに設置者電気的知識に乏しいことを考慮し、電気供給者に対し、一般用電気工作物に関する保安上の調査義務を課することとしております。また、この調査業務の能率的な実施を確保するための措置としてこの調査業務についての専門的受託機関に関する規定を設けております。  その他、公益事業である電気事業特殊性にかんがみ、監査、公聴会等規定を整備するとともに、電気事業に関する重要事項調査審議するため、附則において通商産業省に電気事業審議会を設けることとしております。  以上が本法案要旨でございますが、政府におきましては、今後法の施行を厳正適確にし、電気使用者利益を保護し、あわせて電気事業の健全な発達に一意努力する所存でございます。何とぞ慎重にご審議の上、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、わが国経済は、貿易為替自由化推進等により、急速に開放体制に移行しつつありますが、このような情勢のもとにおいて輸出振興をはかる必要性が従来に比較して一そう増大してきていることはあらためて申すまでもありません。しかしながら、国際間の輸出競争はますます激化の度を加えている現状でありまして、わが国輸出をめぐる環境はきわめてきびしいものがあり、輸出振興策の重要な一環として輸出保険制度の持つ意義はきわめて大きなものとなっております。  わが国輸出保険制度昭和二十五年に発足して以来、その内容は逐次拡充され、現在八種類の保険を含む制度に成長しておりますが、海外諸国制度と比較いたしますとき、なお、不備な点が見られますので、開放経済体制への移行に対処して輸出振興をはかるため、この際特に改善を要する諸点について、所要改正措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容について、御説明申し上げます。  第一は、普通輸出保険増加費用保険に付することができる費用範囲を拡大することであります。従来、この保険におきましては航海または航路の変更により新たに負担すべきこととなった海上の運賃及び保険料のみが、てん補対象となっておりましたが、陸上の運賃及び保険料につきましても、この保険を付することができることとするものであります。  第二は、普通輸出保険により担保される船積み前信用危険の範囲を拡大することであります。これによりまして、従来から担保されております輸出契約の相手方の破産のほか、新たにこれに準ずる支払い不能によって輸出ができなくなることにより受ける損失をてん補することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。両法案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、通商に関する件について調査を進めます。  日韓貿易に関する問題について質疑の通告がございますので、これを許可いたします。久保田豊君。
  6. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私はきょうは、日韓会談の妥結が非常に近くなってまいりましたので、これに関する日韓経済関係について、特に当面重要な諸点について大臣並びに関係説明員の諸君にお尋ねをいたしたいと思うのです。あらかじめひとつお願いをいたしておきますが、できるだけ問題を具体的に出しますので、はっきり具体的にお答えをいただきたいと思うのであります。  まず第一に大臣にお伺いをいたしますが、日韓会談の持つ経済的な内容並び経済的なねらいは、日本政府としてはどう理解しておるのか、この点をはっきり御答弁をいただきたいと思うのです。
  7. 福田一

    福田(一)国務大臣 日本韓国とは一衣帯水の間にあり、また旧来から歴史的に地理的に見て、非常に密接な関係にあるわけであります。したがって日本韓国との間において正規の交渉を進めていくということは、単に経済問題だけを対象にして考えておるとは思いません。私たちはその意味で、ただいま外務大臣がいろいろと交渉の任に当たられ、さらにまた農林大臣がただいま交渉の任に当たっておられるのでありまして、これが経済的に持つ影響云々の問題は、一般的に見て、韓国が復興されれば日本に大いにプラスがあるであろうということは言えますが、それ以上の問題についてここで申し上げることは困難だと考えます。
  8. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうも非常に気の抜けたような答弁で、話にならない。これはなるほど担当は外務大臣なり農林大臣に違いないが、同じ内閣経済閣僚として、これらのことについて外務大臣なり農林大臣からそれぞれいろいろ相談を受けておるのは、これは当然の話です。もし相談を受けていないとするならば、池田内閣自体がきわめて不統一内閣といわざるを得ない。あるいはそれでなければ福田通産大臣政治力がきわめて貧弱であって用をなさぬといわざるを得ない。そういう悪口を言いたくないのでありますが、いま申されたような単純な問題がこの日韓会談の具体的な経済内容でないこと、日韓会談内容の大部分経済問題であり、しかもそれは大きな経済的なねらいを持っておることは、これから先ずっと具体的にお尋ねをしてまいりますが、私どもといたしましては、日韓会談経済的な内容並びにねらいというものは三つあると思う。第一に、いわゆるアメリカドル危機に連関して、アメリカ韓国に対する経済援助その他の援助が急速に減ってきておる、その肩がわりをするというのが日韓会談に対しまして日本政府アメリカが強く要求しておる基本でありまして、この肩がわりをあえて買って出ようとするところに日韓会談の第一の経済的な内容があることは、もう天下周知の事実であります。これが第一であります。第二は、今日まさに崩壊危機に直面しておる韓国経済並びにそれをもたらしたいまの朴政権経済財政政策失敗、これをてこ入れをしていこう、これが第二のねらいであることは明らかであります。第三のねらいは何かといえば、これによってアメリカとある意味においては対立、ある意味においては下馬になりながら、日本独占韓国市場に対して新しい植民地的な権益の確保、進出をしてまいろう、この三つのねらいがあることは明確であります。これらの点を明確につかまえない限り、日韓会談ほんとう意味あるいは今後のほんとう運用というものはうまくいくはずはない。この私どもの見解について、大臣はいまのお話のようにきわめて抽象的な話でなく、もっと現実に即した御答弁をいただきたいと思う。
  9. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、いまおあげになったような目的を持ってやるのだとしたら、日韓会談はやめたほうがいいと思っております。そういう意図は持っておりません。
  10. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そういうふてくされたような、いわゆる突っ放したような答弁をしても、事実が証明しますから、いまその点について特に大臣とここで論議を戦わそうとは思わない。そこで、私は具体的な問題に入ってまいりたいと思います。  第一に、大臣は現在の韓国経済状態あるいほこれと連関する朴政権経済財政政策というものをどう具体的に評価しておるのか。もっとはっきりいえば、日本独占資本資本並びに商品、原料の市場としての韓国経済というものをどう理解されておるのか、この点を第二項としてお伺いいたしたいと思う。
  11. 福田一

    福田(一)国務大臣 韓国経済的にも非常に困った状況にあるということは、新聞紙上その他を通じていろいろ伝えられておりますが、私は友好隣国がその経済不安あるいは経済の困難から立ち直られることを希望をいたしておるものであります。そういうことだけでございまして、どういうふうに認識するかということは、私はそう詳しく隣国のことをあなたに御報告申し上げるだけの具体的材料は持っておらないわけであります。また日本独占資本がこれに進出しようとする意図を持っておるのであるが、その関係はどうなるかということでありますが、われわれは何も独占資本があるとも思ってないし、そんなものが進出するということでわれわれのところへ何ら話がきておるわけでもありませんので、どうもそれについてもお答えをいたしかねると思うのであります。
  12. 久保田豊

    久保田(豊)委員 では具体的にお伺いいたします。  まず、数字をあげては申しませんけれども韓国経済というのは、なるほど人口は二千万ちょっとあります。しかしながら地下資源その他の資源の非常に少ないところであります。それから北鮮と比べて経済開発がきわめておくれたいわゆる低開発地帯である。こういうことであることはお認めになると思う。しかもそういう中でアメリカの長年の対韓政策失敗、さらにこれに便乗し、これを食いものにしてまいりました李承晩以来の歴代政権、並びに軍事政権から民事政権になりましたいまの朴政権の相変わらずの経済政策財政政策失敗から、今日崩壊危機に達しておることは、これはお認めになるだろうと思う。特に、こまかくいえばいろいろ問題がありますが、私は崩壊危機という点は四つにしぼられると思う。  第一は何かといいますれば、それは御承知のとおり物価の際限なしの値上がりということであります。この一年間だけでも七〇何%の物価値上がりであります。こういうべらぼうな物価値上がりでありますから、これはまず経済崩壊状態になっておると見て差しつかえない、こういう状態であります。しかもその原因は何かといえば、これははっきりしております。アメリカ側自分のいわゆるドル援助を減らしてくる、それをさらに大きく見せて支配力を強化するために、御承知のとおりドルの建て値といいますか、基準をどんどん切り下げて低くやってきている、こういうやり方。ですから、ドルよりもホワンがその面からどんどん下がってくる。もう一つは、六十万の軍隊をやるための膨大な財政支出に耐え切れないために、韓国銀行からどんどん札を出している。この二つが根本原因であることは明らかであります。こういうために、いま言ったように、まず世界に比類を見ないようなひどい物価上昇というものが起こっておる。こういう物価上昇のもとでは、あらゆる産業が成り立たぬのであります。こういう状態にいまきつつあるのであります。  第二は食糧危機であります。ことしは麦がほとんどだめだ。さらにその上に持ってきて、米は豊作であったけれども、しかも御承知のとおり大体五百万石程度の食糧不足を来たしておるというのが実情であります。したがいまして都市におきます米その他が非常な配給不足になって急騰しておる。千八百何ホワン公価が今日四千ホワンあるいはそれ以上に上昇しておる。しかも配給量が足りない。農村はどうかというと、すでに御承知のとおり、いわゆる絶糧農家がたくさんに出ておる。こういう状態で、食糧面での崩壊が非常に強くなってきておるということであります。  第三の崩壊危機の現象は何かといいますと、朴政権に対します、またアメリカに対します、また日韓会談に対します韓国勤労大衆反対闘争といいますか反抗闘争が急速な盛り上がりを見せておる。特にこの中で注目すべきことは、かつてこういう闘争をやったことのない労働者階級が大量に立ち上がって、自分生活権擁護という問題と同時に、日韓会談の粉砕あるいは南北の統一あるいは朴政権の打倒あるいは反米帝、こういう闘争を強烈にやってきたということ、また軍事政権が出てからほとんど鳴りを静めておりました学生運動が、きょうあたりの新聞でも御承知のとおり、また再び大きく盛り上がってきたということ、これらを背景にいたしまして、軍隊の中、朴政権内部におきまして、内部対立が非常にひどくなって、いままで指導権を握っておりました金鍾泌一派が急速に勢力を失いつつある。こういうのが第三の特徴だと思う。  さらに第四の特徴は、これはあとで具体的にお聞きいたしますが、韓国のいわゆる外貨危機というものがほとんど底をついている。日本もだんだんそれに近づきつつあるような状態でありますけれども、比較にならぬほど底をついている。  こういう四つの点にしぼって特徴を見てみても差しつかえないと思う。第四の点は問題が一番具体的に日韓会談と直接連関しておりますから、これから先に具体的にお伺いいたしますが、こういうふうな非常に低い経済、未開発経済が、しかも長年のアメリカ政策あるいは歴代アメリカのかいらい政権の誤った政策によって崩壊危機に瀕しておる。この事実をはっきり認めなければ、日韓会議の持つ経済的な意味あるいは今後の運営ということの見通しは立たぬと思う。大臣は、おそらく今度日韓会談ができれば、その経済的側面の大部分は責任を持ってこれを運用しなければならぬ立場にある人です。ですから、相手がどうなっておるかわからぬで運用もへちまもできたものじゃありません。こういう点については、もしいままで認識が不十分ならば、あらためて今後勉強して、相手方の実態というものをつかんで、これに即して、いかにして韓国経済なら経済ほんとう意味での立て直りになるようなこれからの日韓会談経済的側面運営をやっていくか、こういう心がまえがなくて、いいかげんな口先だけのいわゆる国会答弁でこの日韓会談の——国民からいえば五億ドルないし六億ドルの大血税を払ってやろうというときに、いまのような大臣の認識では、日本の国民が日韓会談にかりに賛成すると反対するとを問わず、そういう無責任な、不認識の態度でもって五億なり六億なりの血税を使われてはたまらぬ。私はこの点についてあらためて大臣の所見を聞きたいと思う。
  13. 福田一

    福田(一)国務大臣 韓国の問題につきましてのいろいろの分析的なお話でございます。私はあなたがそういう意味で御認識をされておるということはよくわかります。しかし私たちがいまやっておる韓国との関係は、一括して交渉をまとめるということになっておるのであります。したがって、経済的にどういう措置をするとかしないとかということは、最終的に話し合いがきまったときに、そこで経済的の問題も最終的にきまるのでありまして、そのきまる前にいろいろの問題についてわれわれが云々することは、あたかも一つの既成事実をつくって、それだけがきまったことになったという感触においてものを処理していくことになるのでありますから、政府のいわゆる方針とは相反することになるのであります。したがいまして、私としては経済問題をいよいよ処理しなければならないという段階は、この交渉がまとまったときにおいて、しからばこれをどういうふうにして処置していくかということは私のなすべきことであると思うのでありますが、しかしこの段階において、まだまとまるかまとまらないかわからないものについて問題の細部に入っていきますことは、かえって問題を混乱させるといいますか、政府のいわゆる一括して問題を処理するという方針と相反することになりますから、私はそういうことについては触れておらないわけであります。
  14. 久保田豊

    久保田(豊)委員 まとまるかまとまらないか聞いておるわけじゃない。まとまった場合、いままとめるべく内閣は一生懸命で骨を折っているでしょう。それは目の前にきておる。かりにまとまるならば、すぐに実行に移らなければならぬのじゃないですか。そのときに、働きかける対象がどうなっておるかということを正確に認識しないでやれるかということをお尋ねしておるわけです。この点はどうなんです。まとまるまとまらないの話じゃない。
  15. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまも申し上げましたとおり、まとまらないものについ、内容を云々することは、経済的な問題だけはあたかも確定したごとき印象を与えるでありましょう。ところが政府日韓交渉に関する態度というものは、すべての問題、漁業権の問題にいたしましてもあるいはその他のいろいろ小さい案件もございますが、いかに小さい案件であろうとも、すべてがまとまったときに全部が一括してまとまるのだという方針をとっておることは、あなたも御了承願えると思うのであります。しかるにいま経済の問題だけについて、一応新聞その他に出ておったり、あるいは外務大臣が何か言っておるかもしれませんが、そう言ったからといって、それは何もきまっておることじゃない。だからきまってから処理をすればいい。きまってから処理をするのではおそいじゃないかというのですが、それは何も日韓交渉をやらないでおればなおおそくなるので、事実やっておりまして、それで問題がきまったそのとき、われわれは馬力をかけて誤りのないようにすれば、それがわれわれの責任は果たせるのである、こういう考え方を持っておりますということを申し上げておるのであります。
  16. 久保田豊

    久保田(豊)委員 全く的はずれの答弁で、話になりません。いままとまるかまとまらないかの話を聞いておるわけじゃない。韓国経済事情を——さっきあなたは言ったじゃないですか。隣の韓国経済的にうまくいけば非常にいい、それを望んでおるということを言っておる。その対象となる韓国経済事情をどう理解しておるか、把握しておるかということを聞いておるのであって、これはまとまるまとまらないにかかわらず、もちろん関連はいたしますけれども、少なくとも池田内閣としては最大の関心を持っておる地域の経済状態がどうなっておるかを正確に把握するしないということと、日韓会談がまとまるまとまらないということとの直接の連関はありません。ですが、この点をこれ以上突っ込んでもしようがないと思います。  そこで、最後に残されました韓国の現在の外貨事情、これについては日韓会談がまとまるまとまらないにかかわらず——そう言うとあなたが逃げるといけませんから、言っておきますが、少なくとも韓国経済の取引をやっておられる、貿易をやっておられるあなたとしては、これは逃げ口上にならない、その立場から見て、韓国の今日の外貨事情をどのように把握されておりますか。
  17. 福田一

    福田(一)国務大臣 大体一億二、三千万ドルの外貨を保有しておるというふうに了解いたしておりますが、政府委員から答弁をいたさせたいと思います。
  18. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 韓国の現在の外貨保有高でございますが、これは韓国銀行の月報あたりで調べる以外にはないわけでございますが、それによりますと、昨年末現在におきまして外貨保有高が一億三千百万ドルということになっております。
  19. 二階堂進

    二階堂委員長 久保田君にちょっと申し上げますが、通産大臣は参議院の本会議に呼ばれましたので、時間が来次第……。また帰ってくるということにいたしたいと思いますが、御了承願えましょうか。
  20. 久保田豊

    久保田(豊)委員 しようがないでしょう。  これは韓国銀行の発表で、昨年末一億一千五百万ドル、これは明らかです。問題はその内容なんです。その内容をどのように把握しておるか、われわれの把握しておるところは、この一億一千五百万ドルというのは上っつらの数字であります。その内容は非常にひどいものであります。韓国側のいろいろ責任のある機関が発表したところによりましても、韓国経済科学審議会懇談会に対して大韓商工会議というものが資料として提出した、これによりますと、大体韓国の昨年末の対外債務総額は二十八日現在で三億三百二十四万七千ドル、これだけあるわけです。こういうふうな内容でありまして、しかもこれには日本に払うべき貿易じりの債務四千五百七十何万ドルか、これも入っておりません。またそのほかのユーザンスの支払い分四千三百万ドルも入っておらない。こういうものを含めますと、当面、この三月末には韓国の外貨はすってんてんになって、二千万ドルないし三千万ドルの赤字が出る。しかも総体的にはそれだけで解決がつかずに、なお一億三千万ないし四千万ドルの総体的な赤字が出るというのが、今日の韓国の対外外貨事情でございます。  そこでこれに対しましては、これではとてもこれからの経済がやっていけないというので、これは金融通貨運営委員会に対しまして、韓国銀行総裁から十二月十四日に、このような状態では今後経常貿易のための対外取引を中継をする機能、つまり為替機能もできなくなる、何とかこれに対する改善策をしてもらわぬことにはどうにもなりませんという意見書が出ておる、こういうふうに非常にひどい状態であります。これを詰めていえば、これから日本韓国とが日韓会談の成立を契機にいたしまして、日韓会談経済的取りきめの内容そのものとして、またこれをてことして、いろいろな民間の貿易とかあるいは資本進出をやりましても、正常な形におきまするいわゆる決済ができない、こういう状態に追い込まれることは必至であります。こういう点を日本政府としては正確に認識しなければ、今後の日韓会談経済的側面なり、あるいは今後の日韓の貿易側面なり、あるいは資本側面なりというものを正確に日本の国民の利益になるようにやってはいけないはずであります。これに対して政府はどのように認識しているのか、またこれに対しどう対処するのか、日韓会談のうちにはこれの対処策というものが——日韓会談そのものが、経済的に見れば、韓国側から見ればこういうひどい外貨事情に対する一つの救済策です。さっき大臣は、韓国経済危機に対処する、あるいはこれを救うための日韓会談ならやらないほうがいいと言っている。そうじゃない。こういう事実に対して、いわゆる請求権五億ドルということがいま生きてきておる。だから韓国のほうは金鍾泌をよこして、ああいうくさい男をよこして、とにかくあらゆることを譲っても、どうしてもやらなければその日が越せない。この日韓会談によって、請求権によってある程度越せるかもしれません。しかし、すぐ二、三年もたたぬうちにまたいまよりひどい崩壊状態におちいることは必至だ、こういう状態になっておることを日本政府ははっきり認識した上で、今度の日韓会談なり、この日韓会談をてことする経済協力なり、あるいは貿易状態というものを運用しているのかどうか、またこういうことに対して今後とも責任を持ってやっていけるのかどうか、これは通商局長に聞くのはちょっと責任が重過ぎると思うから、次官に聞きますが、いいかげんなお話でなく、はっきりした御答弁ができるなら、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  21. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の韓国経済状態は、お説のように私どもも必ずしも良好な状態じゃないと考えております。しかしながら、すでに先ほど大臣も仰せのとおりに、一衣帯水の韓国との間におきまして、やはり善隣友好の関係を保ち、かつ韓国経済を十分に援助いたしまして、そうしてその産業発展を期することが、今後わが国産業のためにもよくなるし、また同時に、いろいろの意味におきまして韓国の今後の貿易の伸展にもなるであろう、こういう考えからただいま日韓会談を促進いたしまして対韓国援助も十分にいたしたい、かような考えで今日日韓会談の促進を進めておるわけでございます。今日の韓国経済状態は、お説のように必ずしも私は良好でないと考えておりますが、それを、今後日本側としましても十分にこれを援助して、よりよきものに少しでもしたいというのがわれわれの気持ちでございます。
  22. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そういう抽象的な答弁では話になりません。私は韓国の外貨事情というものを具体的に申し上げた。それでは、それに対して、今度の日韓会談の請求権なり何なりが具体的にどうからみ合っていくかということを明確にしなければお答えになりません。ただ韓国経済状態が必ずしもよくない、しかし日韓会談援助すれば韓国はよくなる、こっちもだんだんよくなるという子供みたいな話でありまして、いまそういうことを私どもは聞いておるわけではない。もっと具体的にひとつお答えいただきたい。しかし、ざっくばらんに言ってお答えできないでしょうから、私のほうから問題を出します。  そこで、第二に大きな質問としてお伺いをいたしたいのは、対日請求権の無償五億ドル、有償二億ドル、それから民間経済借款というものが相当多額と書いてある。この内容について具体的にお伺いをいたすわけであります。  これは外務省の経済協力局長にお伺いいたしますが、あなたのほうから、三十八年二月二日に外務委員会の資料要求に対して出した「日韓予備交渉において両首席代表間に現在までに大綱につき意見一致をみた請求権問題の解決方式」これが決定したのは三十八年一月三十日ですが、こういうものが出ております。これを見ますと「無償経済協力は総額三億ドルとし、毎年三千万ドルずつを十年間にわたり日本国の生産物及び日本人の役務により供与する。但し、わが国の財政事情によっては双方合意の上、くり上げ実施することができる。」これが第一項の(イ)であります。第一項の(ロ)は「長期低利借款は総額二億ドルとし、十年間にわたり海外経済協力基金より供与する。その条件は年利率三・五パーセント、償還期限二十年程度、うち据置期間七年程度とする。」第一項の(ハ)は「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」こうして、最後に第二項といたしまして、これを実行することによって「平和条約第四条に基づく請求権の問題も同時に最終的に解決し、も早や存在しなくなることが日韓間で確認される。」こう書いてある。さらにそのあとには「なお、上記のほか、韓国側は貿易上の債務四千五百七十三万ドルを一定期間内に償還することが了解されている。」こうあります。これは外務省が発表いたすと同時に、国会に責任を持って提出をされた資料ですから、この事実についてはうそはなかろうと思いますが、どうですか。
  23. 西山昭

    ○西山政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、大綱におきましてそういう一応の了解に達しておると私は理解しております。
  24. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで、われわれは、条約上のいろいろな国交全般についての問題はここでは触れません。経済的な面から疑問になる点だけをお伺いいたしたい。  この無償供与の三億ドル、これは対政府借款ではなくて供与になるのですか、どうなんですか。
  25. 西山昭

    ○西山政府委員 三億、二億の取り扱いにつきましては、今後の折衝で決定せらるべき内容でございまして、現在のところ大綱以上に具体的な話し合いはまだ行なわれていないと了解しております。
  26. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その次の問題、この一の(ロ)の長期低利借款は海外経済協力基金から二億ドル出す、これは十年間に出すというのですが、大体一年に二千万ドルずつ出すということになりますね。
  27. 西山昭

    ○西山政府委員 一応そのように考えております。
  28. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで、さらに(ハ)の「以上のほか相当多額の通常の民間の信用供与が期待される。」というのは、これは第一項の(イ)、(ロ)と不可分の関係にあるものですか、それともどうかということが一点。それからもう一点は、「相当多額」というのは具体的にはどういう金額をさしておるのか。こんなことが交渉対象にならぬということはない。少なくとも、両政府間において何らかの同意が行なわれておらなければならぬはずであり、韓国側ではこれを一億ドルと理解しているようであります。こういう点についてどうかというのが第二点。第三点は、民間借款については、これは日本政府がどういう責任を負うのかということについて、あるいは韓国政府に対しては、この民間借款というのはどういうかっこうになるのか、韓国政府に対する借款であるのか、あるいは純民間ベースのいわゆる借款であるのか、日本政府との関係並びに韓国政府との関係について、第三項についてのその三点についてお答えをいただきたいと思います。
  29. 西山昭

    ○西山政府委員 通常の借款につきましては、何ら具体的な交渉がいまだ行なわれておりませず、私どもの考え方といたしましては、通常の借款でございまして、政府が直接関係するものではないというたてまえをとっております。またその二億、三億の関係とは直接的な関係はないと了解しております。
  30. 久保田豊

    久保田(豊)委員 直接的な関係がなければ、間接にどういう関係があるんですか。
  31. 西山昭

    ○西山政府委員 直接にも間接にも関係のない通常の借款の問題だと考えております。
  32. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それじゃ通常の借款というのは、具体的にどういうことですか。
  33. 西山昭

    ○西山政府委員 通常の借款と申しますのは、現在わが国が実施しております輸銀等を通じます、通常の商業的基礎によります延べ払い等の借款でございます。
  34. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると、これは輸銀の保証した延べ払いですか。
  35. 西山昭

    ○西山政府委員 先ほど申し上げましたように、具体的な内容についての交渉の段階に入っておりませんけれども、私どもが現在考えております考え方は、そのとおりでございます。
  36. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると(ロ)項との関係はどうなる。(ロ)項のほうは海外経済協力基金から二億ドル出す。十年間というのですから、年に二千万ドルずつになる。協力基金の規定によると、これは輸銀や何かの関係したやつには協力基金は貸せないはずだ。こういう点が第一点。それから同項のこの二億ドルは、貸す相手はだれです。経済協力基金によれば、これは大体日本の会社に貸すはずである。これは韓国政府なり韓国の会社に輸銀から二億ドル貸し付けるのですか。この点はどうなんです。
  37. 村井七郎

    ○村井説明員 いまのお尋ねの一億ドルの有償でございますが、これは御指摘のように協力基金というものから出すという大体の方向で考えておるわけでございますが、これとは別にいまの御指摘の第三番目のものがあるわけでございます。これは輸銀から出す。なぜ基金と輸銀と違うのだという問題がございますけれども、第三番目のカテゴリーの問題は、これは純商業べースの話でございまして、普通の商売の場合に、たとえば長い信用供与が必要になるというときは、普通の商売の話は大体輸銀が受け持つというたてまえになっております。したがって、第二番目がややそれよりも長期低利な、純商業べースとは言いがたいようなものに対しまして、第三番目のやつは純商業べースということで、性質を異にしておるという点の違いがあろうかと思います。
  38. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうするとこれは(イ)、(ロ)、(ハ)ともに、全部直接なり間接なり政府が責任を負うということになるのか。さらにこの中にはいわゆる漁業協力といいますか、これも入っているのか、そしてその総額はどういうふうに理解をされておるのか、ただ相当多額だけじゃわからない。
  39. 村井七郎

    ○村井説明員 この中に漁業協力が入っているかどうかという問題は、いま盛んに両国間で話し合いが行なわれておるというふうに私たちは承知しております。したがって、どういうものを対象として融資するかということは、今後の問題であろうかと思っております。
  40. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今後の問題であろうかといったって、現に大体において日本側として提示をしておるのは、三千万ドル程度の漁業協力は民間べースでやる。ところが向こうは、できれば一億二千万ドル程度のものがほしい。それに対して日本側としては、ほかの点について韓国側が譲れば三、四千万ドルはやむを得ないだろう、こういうことは農林大臣が一応新聞に発表しておる。まだ、どうなるかわかりませんじゃしようがない。そうすると、いまの漁業協力を含めて、相当多額というのは、韓国側の理解するところでは、ここでの民間信用供与は約一億ドルだ、漁業のほうを含めて二億二、三千万ドルになる、これを要求しておるわけです。この相当多額のほうはすでにほぼきまっておる。これは具体的にどういうふうな取りきめになっておるのか、この点を明らかにしてもらいたい。そうしなければ、全体が五億ドルでおさまるのか、七億ドルかかるのか、七億二千万ドルかかるのかわからない。しかもさっき私が韓国経済事情を申し上げたわけですが、こうした民間で出した金も供与した金も、普通の場合の経済べース、商業ベースに乗らないのです。乗らないということは、外貨がないからです。外貨がない国にどうして商業ベースに乗せるのです。底をついちゃって先のめどがない国に、どうして乗せるか。為替当局ならわかるはずである。こういう点について、もうこれは一般の経済事情の見通しなら、何か日本側が保証しない限り、韓国の現在の、あるいはこれから見通しのつく経済状態では、商業べースには乗らない投資、その乗らない投資を幾らやるかということが非常に大事だ。結局最後は直接、間接にかかわらず、国民の血税でもってそのしりぬぐいをしなければならぬということになる。この点について責任のある答弁を求めておきたい。
  41. 村井七郎

    ○村井説明員 いま久保田委員の御指摘の点は、まさに私もそのとおりであると思います。ことに純民間債権というものが、政府が債務の肩がわりになるような結果になるということは厳に私たちは避けるべき事態であると思っております。したがって、たとえば純民間ベースの場合には、普通の場合でございますと、相手国から信用状をとるとか、いろんな商業的にその債権を確保するという手段が行なわれて初めて商業べースというふうに私は普通言い得るのではないかというふうに思っております。したがって、第三のカテゴリーの金額が、これは先ほど申し上げましたように、まだきまっておりません。確かに向こうが相当大きなことを考えておるかもしれませんが、私たちはそういう純商業ベースというふうに考えますと、とてもそう大きなことは、日本国の実情からいっても、向こうの実情からいっても、つまり外貨のない実情からいっても、なかなか無理ではないかというふうに私たちも想像いたしますが、いずれにいたしましても純商業べースということになると、そうたいしたことは、金額的にむずかしいのではないかというふうに思っております。しかし、いずれにいたしましても金額がまだきまっておりませんので、これ以上幾らであるか、あるいはトータルで幾らであるかというようなことはちょっと申し上げかねる段階でございます。
  42. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは、経済協力局長にお伺いしますが、この(ロ)項の総額二億ドルの海外経済協力基金の貸し先はだれです。
  43. 西山昭

    ○西山政府委員 先ほど申し上げましたように、大綱におきまして三億、二億という了解ができておりますけれども、これの具体的な実施細目につきましては、まだ交渉の段階に至っていないということを申し上げておきます。
  44. 久保田豊

    久保田(豊)委員 現在の海外経済協力基金の貸し付けなり出資なりの状況は具体的にどうなっておるか。これは私の理解が間違っているかもしれないけれども、大体日本籍の会社に貸し付けるなり出資をするなり、こういう形になって、その会社がさらに海外のしかるべきものと協定を結んで、そして共同出資、共同経営なりあるいは事業をやる、こういうかっこうに法の規定はなっておると思う。この点は、そういう形を今後これについてはとるのかとらないのか。もしそうでなくて、韓国の会社に直接出す、あるいは韓国政府ないしは政府機関に直接出資を二億円する、信用供与をするということになれば、経済協力基金を変えなければだめだ。そういうことが具体的にどうなるか。
  45. 西山昭

    ○西山政府委員 具体的にそのような点につきましては、まだ最終的な話し合いが行なわれていないということを申し上げておるわけでございます。
  46. 久保田豊

    久保田(豊)委員 あなた方は、最終的な話し合いができてないできてないと言うが……。それではその次の問題に移りますが、そんなでたらめを言ってごまかしたってだめだ。大臣が責任を持って答弁をしなければだめだ。いないからしようがないが……。これはあなた方具体的な取りきめをしてないしてないと言うけれども韓国側がちゃんと発表しているじゃないですか。これは三月の三十一日の外務委員会でわが党の岡田委員が具体的に追及をした。政府は、ただ、そういうことは知りません、向こう側の一方的な考えでしょう、計画でしょうというので逃げ切っている。しかしここにあるのは請求権五億ドル。この五億ドルというのは、はっきりいうと、いま(イ)項と(ロ)項の二項についての両方あわせて五億ドル、これの有償、無償あわせて五億の請求権の付帯条件等施行細則というものを向こうは政府が発表しておる。これはしかも国会に発表しておる。国会に発表しておるものを、日本政府と何ら話し合いがなくて発表するはずがないじゃないですか。少なくともこれらについては正規な外交上の取りきめなり了解事項にはなっていないに違いない。そういう意味ではまだ全部の案文の整理ができてないでしょうから、それは最終的なものがきまっておらないといえばそのとおりだ。しかしながらこういうものを向こうの政府が国会に発表している以上、これが日本政府と了解がないなんという、そんなべらぼうな——いかに朴政権がでたらめな政権であっても、少なくとも向こうの国会に対してこういうものを政府が発表している限り、これは日本政府と何らかの意味で了解がなければ、こんなものは発表できるはずがない。具体的な取りきめも何もありませんなどとでたらめ言ったってだめだ。はっきり言いなさい。言えないのですか。大臣は外務委員で、これはまだそういうことは知りませんといってしらを切っている。この点はどうですか。局長でもって答弁ができるならしてください。
  47. 西山昭

    ○西山政府委員 先ほど久保田先生から御指摘がありました二億ドル、それから金利三・五%、期間十年というものについては大綱の了解がございますけれども、そのあとの詳細な韓国側が発表した諸点につきましては、実際日本政府と了解ができているという事実はございません。
  48. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そんなでたらめ言ったってだめですよ。向こうの、いやしくも政府が国会に対して答弁しているものを、日本政府と何も話をしておりませんなんて、そんなでたらめ言ったってだめですよ。大臣を呼んでください。大臣でなければだめだ。大臣がそういう事実はないと外務委員会で言っておるから、それに口裏を合わせなければならぬのでそういうことを言う。大臣を呼んでください。
  49. 二階堂進

    二階堂委員長 大臣は参議院に出席されておりますので、要求はいたしますが……。外務大臣はいまOECDかなんか条約関係法律がかかっておりまして、なかなか出席がむずかしいと思いますから、質問を続行していただきます。大臣がもし見えましたらその点について質問をしていただきたいと思います。要求はいたしますが、参議院や外務委員会関係で、外務大臣の出席はむずかしいと思いますけれども、一応お願いしておきます。
  50. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは時間のむだになってもあれですから、この点についての外務大臣に対する質疑は保留をいたしまして、その次に進みます。  そこで、この内容については外務委員会で岡田委員が相当具体的に突っ込んでおりますから、私は一々の内容については突っ込みません。あなたのほうはそういうことはないといって逃げるばっかりだ。そんなことでは通らない。これははっきり断わっておくが、そうして逃げれば逃げるほど大臣の負担は重くなりますよ。  これを見ますと、はっきり請求権の性格、用途、導入手続、付帯条件、こういうふうに明確に具体的にこれらが発表されておる。これらの一つ一つについては外務委員会で同僚岡田議員が追及しておりますから、私はこの点については、特にきょうは深く突っ込みません。しかしこれを見て感ずる点があるのは——これは資料として持っているのかどうか。まずこの点を聞いておきます。目を通しておるのかどうか。目を通していないなんて言えば怠慢の限りだ。向こうでも堂々と新聞に発表されておる。国会でも資料として配っておる。目を通しておらぬなんて、そんな無責任なことは許さない。見ていないというなら、二枚あるから一枚上げましょう。
  51. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 二階堂進

    二階堂委員長 速記を始めて。
  53. 西山昭

    ○西山政府委員 韓国新聞に出たことは聞いておりますが、私どもただいまここに手元に持っておりません。
  54. 久保田豊

    久保田(豊)委員 知っているの、知らないの、どっちですか。それとも言えないのですか。どっちですか、はっきりしてください。
  55. 西山昭

    ○西山政府委員 韓国新聞に出た事実は知っておりますけれども、本日ここに持ち合わせておりません。
  56. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その事実は知っておるけれども、あずかり知らぬというわけですか。
  57. 西山昭

    ○西山政府委員 ここに手元に持ち合わせておりません。
  58. 久保田豊

    久保田(豊)委員 手元に持っておらぬということであれば、それを参考にして答えてください。これに対する具体的ないろいろな問題については、あなたのほうは知らぬといって逃げればそれまでです。そうすれば、知らぬといって逃げれば、その点は保留しておいて、全部大臣に対して質疑をやります。  そこで、これは五億ドルも全部ひっくるめてやっておる。さっき言いましたように、この中で問題になる点は何かというと、これは日本の国内で採掘、製造、加工されたいわゆる資本財が中心です。それから労務、役務、それから役務の支払いのためのいわゆる消費財、これが全体として一〇%未満、これは向こうの見返り資金に繰り入れられて、日本から行った技術者その他に対するいわゆる給金その他の報酬の支払いに充てられる、こういうことになる。こうなってくると、さっき言いました第二項との関係はどうなってくるのですか。(ロ)項との関係は、経済協力基金との関係はどうなってくるのですか。
  59. 西山昭

    ○西山政府委員 この韓国新聞の記事はあくまでも韓国の記事でございまして、日本韓国との間におきましては、先ほど申し上げますように、その種の具体的な交渉にはいまだ入っておりませんので、私のほうは、韓国のこの種の見解につきまして何ら論評を加える立場にないと存じます。
  60. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これはなるほど韓国側の新聞記事です。新聞記事であるけれども、この新聞記事は単なる新聞記事じゃない。向こうの政府が国会に説明したことに基づいての新聞記事です。それを韓国が一存で、日本政府と何らの——なるほど正式ないわゆる覚え書きなり協定なりあるいは付属書なりということでやっておらないにいたしましても、そういう取り扱いを向こうでするはずがない。しかしこれはいま幾ら責めてもしようがないでしょう。これは大臣にこの問題についての質問は保留をいたしまして、その次の問題に移ります。  通商局長にお伺いしますが、現在ソウルその他に行っております日本の商社、メーカーの数並びに代表者の数がどのくらいあるか、ひとつお答え願いたい。
  61. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま、正確な数字ではございませんけれども日本の商社の出張員が現地に約三十社ぐらいから行っております。
  62. 久保田豊

    久保田(豊)委員 正確でないというのですけれども、私どもに入っておるところでは四十社ぐらい、その出張員の数が約二百名近く、こういうふうに聞いておる。これについては早急に実態を調べて資料として当委員会へ出してもらいたい。委員長いいですか。
  63. 二階堂進

    二階堂委員長 承知しました。
  64. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで、この請求権の五億ドルないしは(ハ)項の、日本のいわゆる輸銀その他の間接保証、こういうものに基づく、私どもに言わせればいわゆる独占資本日本資本の対韓経済進出というものが最近、特に二年ばかり前に湯川というへんてこりんなおっさんが朴さんの友だちだということで経済使節団を連れていったりして以来、非常に盛んになってきた。それからいわゆる資本進出の形態として保税加工貿易というようなかっこうだとか、あるいは直接投資とか、あるいは合弁投資、その他いろいろのかっこうになっている。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 韓国の「朝鮮資料」という雑誌がたんねんに調べたところによりますと、現在まで、日本の対韓資本進出を計画して向こうと話を進めておるもの、まとまったものその他を全部入れまして七十三件、そのうち未確定のものが五件、確定が六十八件、これに対しまする日本側の投資予定総額は二億五千七百六十三万五千ドル、こういうふうに出ております。これらの実態について通産省は把握しておるのか把握してないのか。この雑誌の言うところによりますと、これは主として向こうの新聞並びにこっちの新聞に出た資料をたんねんに集収をし、そして整理をしたもの、こう言って断わっておりますから、これが全部正確なものではないと私は思いますけれども、しかしながら相当信憑性を持ったものです。このうちから最近のいろいろの借款の問題やあるいはプラント計画がどんどん具体的になってきたという実情、すでに相当のものがもう具体化されておる。これについて調査をしておるのか、調査をしてないのか。
  65. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 本日までのところ、韓国向けの延べ払い輸出は二件、政府の承認を得て実行されております。そのほか、いわゆる投資といいますか、現地への投資はまだ一件もございません。それからただいま久保田先生のお話しの、情報の数字は的確に私は承知いたしておりませんが、いろいろな計画があるようでございまして、まだ十分に固まっていない段階での話としましてはかなりの件数を聞いております。ただ正式に政府としてそれを認めるとかどうとかというところまで手続が進んでいない段階でございます。
  66. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それは外務委員会で岡田委員との質疑の中でも、正式に延べ払いを認めたのは二件、三百五十万ドル、これは車両五十二両ということでわかっております。ところが、たとえば問題になったセナラにいたしましても、そのほかの日本の合弁会社その他が向こうに相当できておる。これは具体的にどういう扱いをしたか。問題のセナラ自動車工業株式会社にいたしましても、あれは朴魯禎、これは日本の三浦光雄という二重国籍を持っておる人だが、これが社長で日本から二億ドル持っていった。これは日産と組んでノック・ダウン方式をやっておる。大体日産が金を出しておらないはずはない。二億ドルらいで大体千六百台、そして九百五十台、合わせまして二千五百台以上のノック・ダウンのできる工場がそう簡単にできるはずはないと思う。向こうのセナラという工場は、私は見ておりませんけれども、どのくらいの金がかかったかわからない。そのほかにもたくさんの日韓合弁の会社が向こうにできておる。こういうすでにできたものの実態を調べてあるのか調べてないのか。またそういう場合に、日本資本が行っておるとすれば、これは要するにあなたのほうの許可がなければ行けないはずだ。許可がなくて、しかも向こうにそういう会社ができたのは、どういうルートで日本の金がそっちに動いたのか。こういう点についての追及調査がしてあるのかないのか。いまの七十三件については、まだ全部が全部ではないようです。しかし、これはあげれば幾らも具体的な例があります。問題のセナラ自動車工業一つをとっても、日産と朴魯禎との合作です。朴という人は二重国籍の男だ。しかし日産がこれに出資をしなくて、単なるノック・ダウンで部品だけ送ったということは常識上考えられない。何らかの形で出資をしておるに違いない。あるいは外為法なりその他の規定違反をして、日本独占資本が向こうに出ておるとしか推測できない。これについて調査はしてあるのかしてないのか。
  67. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 セナラ自動車につきましては一応通産省といたしまして調査をいたしましたが、完成車四百台、それからあとノック・ダウン方式で約二千台のものが輸出されておりますが、この輸出の手続は普通のキャッシュベースになっておりますので、特にこちらから向こうに対して延べ払いをするとか、あるいはそれに伴って資本を向こうに出しておるとかいうようなことは行なわれていないように私たちは承知いたしております。
  68. 久保田豊

    久保田(豊)委員 しかし確かに二千台から二千五百台近くノック・ダウンで部品が行っておることは間違いない。そのほかに完成車が観光用四百台、国会用四百台、これに汚職がくっついたというので問題になった。そしてセナラが昨年の七月にぶっ倒れて、それを金鍾泌が差し押えて奪い取った。ですから朴——三浦という男がこっちへ来て、そのてんまつ記を向こうの新聞に発表したら、おそらくいまの内閣はふっ飛ぶだろうと豪語しておる。それで発表をしていないが、みんな知っておる。これは財界でも政界でも周知の事実です。ですからこれに対して日産がただ単にノック・ダウンで部品を送った、完成車を送ったというだけで済むはずがない。そんななまやさしい契約でやりっこない。これは一例だが、そういうことについてはもっとたくさんほかにあります。日本側と提携、合弁なり何なりした会社がある。全体としてこれらについての調査はしてあるのかどうか。日本資本が向こうへ行って合弁なり何なりの会社になった場合に、どういう経路で行ったのか。それがはたして合法的に行ったのかどうか。こういう調査をしていなければ、これから調査をして、これも資料を——現に向こうにできておる、日本資本が参加しておる会社についての実情を調査して当委員会に報告してもらいたい。委員長どうです、お願いいたします。
  69. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま政府のほうに手続が行なわれて、現地に投資しておる案件は実は一件もないわけでございまして、御指摘のようにもし何かそういうことが実際に行なわれておるとすれば、これは法律をくぐってやっておることに違いないわけでありますから、そういう事実があるかどうかにつきましては、私たちも十分に注意をして調査をいたしてみたいと思います。ただ外国のことでございますので、こちらが直接現地に乗り込んで調査をするというわけにまいりませんので、おのずからそこには限界があると思いますけれども、十分注意をして調査をいたしたいと思います。
  70. 久保田豊

    久保田(豊)委員 なるほど外国の会社ですから、そう簡単に行ってこちらから調査するわけにはいかない。しかし資本を出しておる、向こうでもって日本の名前と合弁みたいなかっこうでやっておる会社は日本の会社ですから、そういうところにどういう形で幾らの資本を出してどういう内容になっておるくらいのことは、あなたのほうで調査したらわかるでしょう。どうなんですか。
  71. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 特に韓国との貿易に関心を持っております日本側の会社につきまして、いま御指摘のようなことは、普通の会社ならおそらくしないと思いますけれども、こちらで可能な範囲で一応調べてみたいと思います。
  72. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は時間の節約上から一々あげませんけれども、ここにある朝鮮資料というのには、日韓のどこどこのどういう会社が幾ら人を使っておって、そこでストライキは幾ら起こってということまで書いてある。あなたのほうでこういう資料をずっと拾っていったら、そういうのがたくさん出てきますよ。それをまだ調査も何もしてないというのは怠慢じゃないですか。次官、これはどうです。怠慢でしょう。
  73. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 そういう点が十分につまびらかになっておりませんので、御指摘の点につきましては、わが国政府において調べられる権限内において調査いたしまして、後刻御報告を申し上げたいと思っております。
  74. 久保田豊

    久保田(豊)委員 韓国問題は、賠償に似たような請求権問題になると、日本政府の態度はいつもぼけてしまう。そうしてその裏に先方並びに日本の政界あるいは官界とつながる汚職問題がうんと出てくる。これは証拠がありませんからなかなかつかまらない。韓国におきましても、軍政時代にもうすでに御承知のように有名なウォーカー・ヒルの問題——これは日本の某建設会社が向こうへ行ってやっておる。そういうことについての汚職の問題が、某党の首脳と金鍾泌との間に出ておる。そういう問題がたくさんあります。しかも今度の民政に移管してからまた四大疑獄がすでにうわさになっておるでしょう。向こうの新聞を見てごらんなさい。三粉事件といってセメント、砂糖、小麦に対する汚職問題が出ております。また日本に対する一億円のノリ輸出についての日本韓国の両方にわたる汚職問題が出ておる。為替のやみドルについての汚職問題が向こうの国会において問題になっておる。そういういろいろな問題が出ております。私ども証拠をつかんでおりませんから具体的には追及いたしませんけれども、いまのセナラの問題、ウォーカー・ヒル問題、四大疑獄につきましても、向こうの国会で堂々と明白に論議になっておる。しかもその中には、日本某党の首脳の名前もちらちらしておる。そのほとんど大部分に金鍾泌が参加して、向こうの与党の政治工作資金をとったりその他のことをやっておることは、向こうの政党間で堂々と国会で論議しております。こういう実情です。こういうようなことでありますために、いままでも賠償問題については、日本側の政府与党あるいは官界がほとんどこの実態を追及しない。これも同じようなケースになりそうだ。こういう進出をしておるいろいろな連中のうわさが業界に流れておりますけれども、最後は、五億ドルあれば、これでしりぬぐいをしてもらえば、いま多少損しても結局国民の血税でしりぬぐいしてもらうのだ、対韓請求権のワク内でしりぬぐいをしてもらうから、この際どんどん出て、金を使って、向こうの連中と結託してどんどん仕事をとったほうが得だというので、たくさんの商社が、実際に貿易は四十社も二百人も行ってやるほどはありませんが、そんな大ぜいの連中が向こうに行って、金を湯水のごとく使ってあちこち毎日飛んで歩いておる。これはあなたのほうが一番よく知っておるはずだ。これは一体何です。この請求権の五億ないし六億ドルを台にして、これを食いものにして、日本人の血税でもって払わせて、一部の大メーカー、大商社が韓国の連中と結託する。この裏には、日本の政界も結託して、これまた食いものにしようとしておることは明らかであります。こういうものについて、それを予想して先乗りしておるものについての実態を通産省が知らない。そういうだらしのないことで通産省としての任務は果たせないと思う。ですから、少なくともこういう点については徹底的な調査をいたして御報告をいただきたいと思う。時間がありませんから、もう一つ資本進出に関した問題をお聞きしたいのですが、これを省きます。  その次の問題は、今度は日韓輸出入、これも経済協力の一つとして、これは条約文その他にはありませんけれども日本側も大きな期待をいたし、また向こう側も大きく期待をしておることは明らかです。  そこでお伺いしますが、この請求権五億ドルは、さっき申しましたように、その大部分資本財で出る、あるいは一部一〇%だけは消費財で出ることになる。これは今後の日韓の貿易の中にはどういうふうに取り入れられますか。
  75. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話しの無償三億ドル、有償二億ドル内容につきましては、今後具体的な話し合いをすることになるわけでございますが、私の理解しております範囲で申し上げますと、無償につきましては具体的に品目をきめまして、これは無償で向こうに提供する、有償の分につきましては、普通の商業べースよりははるかに先方にとって有利な条件の延べ払いが認められるわけでございますので、おそらく先方でいろいろなプロジェクトを選択いたしまして、そのプロジェクトの実施のために必要な機械類、プラント類等を要求してくるのではないかと思います。その場合に、先方にとって非常に有利な延べ払い条件を二億ドル範囲で確定いたしまして、向こうがその輸入をいたすわけでございまして、現在も韓国向けの輸出の中には機械類が相当大きなウエートを占めておりますけれども、今後こうした新しい道が開けますと、それによってさらに機械類等を中心とする輸出が相当大きく伸びていくというふうに考えております。
  76. 久保田豊

    久保田(豊)委員 何だかわからない答弁ですが、私の聞いているのはそんなことを聞いているのじゃない。さっきの施行細則によると、すべてこれは円勘定でやるということになっておる。そして、しかもその決定は何かというと、韓国の次官級でつくった請求権の委員会ができて、その上にさらに審議会ができておる。それを通ったものが日本の外務省に書類を出して、日本政府の協議と同意によってこの実施を決定する。最終決定はそこでやるというふうになっておる。これは円勘定だということになると、いわゆる通商貿易の中に入らない。この点はどうなんですか。円勘定でもこれは通商貿易の中に入れて、いわゆる貿易額としてやっていこうというのですかどうなんですかという点を聞いておる。普通の場合は、決済はドル決済なり何なりであるべきはずです。ポンドなりドルで決済するはずです。これはすべて円勘定になっておる。そういうところに違いがある。これはどうなるのかということを聞いておる。
  77. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 無償の分につきましては、これはおそらくいわゆる無為替輸出、ちょうど賠償の場合などと同じで無為替輸出になると思います。それから有償の分につきましては、いまお話しのような手続その他につきましては、先ほど来外務省の方からも御答弁申し上げておりますように、まだ両国間の話がそこまで詰まっておらないのが真相でございますので、したがいまして、今後この問題は詰めていかなければならないわけでございますが、私の理解いたしますところでは、従来の経済協力基金の使い方から判断いたしますと、これは普通の輸出として計上されるというふうに推測いたしております。
  78. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうもいまの答弁は不十分ですが、これ以上突っ込んでもしようがないし、時間もないから、次の問題に移ります。  そこで、大体外務省が発表の文章にも、三十六年の四月二十二日に、貿易じりの向こうに対する貸し金四千五百七十三万ドル、これを向こうの貿易上の債務として確定をしたわけです。その際の協定があるはずですが、その協定が今日まで実施されているかどうか。その後については二百万ドルずつで決済をしておりますから、そうたまっておらぬようです。しかし私の調査した範囲では、この四千五百七十三万ドルの決済は今日までほとんど始末をされておらない。そのときの協定があるはずです。ただ単にこれを債務として一応たな上げをするというだけでは済まない。どういうふうな協定があるのか、その協定が今日まで実施されているのかどうか。もしそういうことがなければ、外務省との請求権の問題、特にこの四千五百七十三万ドルが処理事項としてできるだけ早く決済をするという文章が出てくるはずがない。まず第一に、その協定の内容を明らかにしてもらいたい、その後協定を実施しているかどうか、この点を明らかにしてもらいたい。
  79. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話しのオープン・アカウントに関します両国間の書簡交換の内容でございますが、こういうふうになっております。「韓国政府は、日韓オープン・アカウントの一九六二年一月末現在の残高が四千五百七十二万九千三百九十八ドル余りであることを確認し、その決済に妥当な考慮を払うことに同意する。」これが第一項であります。それから第二項は、「韓国政府は、本年二月一日以降新規に発生する毎月末の純残高をその翌月の十日に支払うことを、またそれ以前においても純残高が二百万ドルに達した場合は直ちに決済をすることに同意する。」あと第三項は、「両国政府は、なるべく早期にオープン・アカウントを廃止して現金決済に移行すべく協議をするものとする。」第四項は、「日本政府は、韓国産品の輸入増大のためその権限の範囲内で適当と認め措置をとることに同意する。」こういう内容でございます。したがいまして、オープン・アカウントの残高を確認することが第一点、それから特にこの際非常に重要でございましたのは、オープン・アカウントの残高がますますふえていってしまっては困りますので、確認された残高を越えてふえた分は毎月翌月の十日までに支払うということをきめたわけでございます。幸いにして現在までのところ韓国政府は忠実にその申し合わせを履行しておりまして、オープン・アカウント残高はその当時と一つもふえておりません。かえってごくわずかでございますが、ただいま四千四百万ドル台になっておるのが実情でございます。
  80. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それではこの請求権の中に、特に四千五百七十三万ドルをできるだけ早期に決済するという内容を入れたのはどういう意味ですか。
  81. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 その当時の書簡の内容には、残高がかくかくであることを確認し、その決済に妥当な考慮を払うことに同意するということになっております。
  82. 久保田豊

    久保田(豊)委員 妥当な考慮というのはどういう意味なんですか。
  83. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 当時は、実は残高がかなりの額に達しておりましたので、日本側としてはできるだけ早く支払いをもらいたい。先方としてはなかなか支払うのが困難であるという状態にございましたので、当時はむしろ、これ以上延ばさないようにしようというところに両方とも関心を持ったわけでございまして、したがいまして、ここに、その決済に妥当な考慮を払うということは確認をして、今後その支払いについて相談をしようというような趣旨で書いたものと考えます。
  84. 久保田豊

    久保田(豊)委員 冗談じゃありませんよ。いまあなたの読んだそのときの確認、特に日韓会談で請求権に関連してそれを確認しなくても、その以前にちゃんとそれをもってはっきりしているじゃないですか。それをあらためて日韓会談のときに確認をして、妥当な考慮を払うというのはどういう意味かと言って聞いているのです。
  85. 西山昭

    ○西山政府委員 残高の解決につきましては、三億の無償援助と関連さして解決するという大体の方向が了解されておりますが、具体的にどのような形で解決するかはまだきまっていない次第でございます。
  86. 久保田豊

    久保田(豊)委員 つまりいまの無償三億ドルに関連して何とか解決する、こう言うのですか、そうするとそれはどういう意味ですか、もう一歩突っ込んで聞きますが。
  87. 西山昭

    ○西山政府委員 三億の解決にからんで、この残高の整理を行なうということでございまして、具体的にいかなる形で、いかなる内容で解決するかということは、まだ具体的な交渉に入っていっていない次第でございます。
  88. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それはわれわれの想像からいえば二つあるわけだ。差し引いてしまうということ、三億につけてまけてやるというのと、三億のうちから逐次返していきますというのと二つある。ところが、さっき言いました施行細則にはこの問題が一つも載ってない。こういうところに疑問を持たれるいろいろな要素が出てくるのです。あなたが幾らごまかしたって、向こうははっきり言って返す腹はない。施行細則の中に、少なくともそういう問題が出ておらなければならない。この点はどうなんです。
  89. 西山昭

    ○西山政府委員 先ほどから申し上げましたように、韓国新聞に出ておりますいわゆる施行細則なるものは、日本政府として何ら関知しないところでございます。
  90. 久保田豊

    久保田(豊)委員 事務当局としては、それ以上の答弁はできまいから、これ以上つきません。  もう一点だけ貿易に関して聞きます。それは、最近向こうでも問題になっており、日本でも業界ではもっぱら話題になっておるものに、在日韓国人のいわゆる財産搬出形態による輸出という問題がある。これが非常に最近大きくなってきておる。これは韓国の朴財務長官が、向こうの国会の答弁で、支障のない範囲で発表いたしますとこういう実態ですと言うて発表しております。それによりますと、これは件数は全部で二百六件。そのうち類別しますと機械類が三百二十九万八千ドル、ナイロン糸が七百九十七万七千ドル、加工薬品が二百六十二万二千ドル、それからその他繊維類が二百五万二千ドル、アクリルファイバー、これが百九十六万二千ドル、鉄鋼材が百三十四万六千ドル、人絹糸が十一万六千ドル、その他が六百七十二万ドル、合計して二千五百六十九万八千ドル、これだけを韓国は許可した。この許可になるようになったのは、韓国の関税法の百二十四条の二項の、いわゆる閣令を改正をして、公然とこれを認めたわけです。この結果向こうでは無為替輸入になるわけです。日本のほうからいうと、これは日本の為替法があります関係上、在日韓国人の財産を向こうへ搬出をするにいたしましても、それに対する代価というものを為替銀行に払わなければ許可はとれない。ですから、日本のほうではこれは普通の輸出と同じ形になっておる。向こうでは要するに無為替輸入ということになる。こういうかっこうで、これが非常に行なわれておる。これは支障のない範囲というのであって、向こうの国会で言っております。この具体的な内容韓国政府の第一級の秘密事項になっておる。そうしていままで——いままでというのは、一九三六年七月二十二日から十二月三十一日までに実行されたものが二百七十八万ドルだけだと言って、朴財務長官は国会に報告しております。これは日本政府はどういう形で実際に行なわれておるのか。これは一種の密貿易です。日本ではこれは為替管理法にひっかかると思う。具体的な内容がわからぬからはっきりしませんが、為替管理法に当然ひっかかる。それは為替管理法では、在日の外国人がその財産を持ち出す場合には、一年、一人が一回であって、三千ドルという規定があるはずです。ところが、これは平均してみましても十三万四千ドルになる。金額は非常に大きい。しかもこれはただ単なる在日韓国人が独自でやっておる仕事じゃない。おそらくは日本の商社なりなんなりがこれに参加しておる、こういう抜け道でやっておる。向こうではこの取り扱いが汚職の種になって、国会でもって非常な追及を受けておる。そうして向こうの政府はしどろもどろのあれをやっておる。その中には問題が二つある。一つは、宗教ドルが一千万ドル以上あったものが、これに食われてどんどん減っておる。一つは、在日の、さっき言いました日本の商社あるいはメーカーのいわゆる代理人が二百人もおる。この連中が湯水のように金を使っておる。その金の出どこはどこか、これから出ておるのじゃないかというのが向こうの国会で問題になっておる焦点です。これについて、通産省としては、あるいは外務省としては、あるいは大蔵省も為替関係ですから関係があるはずです。実態はどうなっておるか、調べてあるのかどうか。
  91. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 持ち帰り財産の法的規制につきましては、いま久保田先生仰せられましたように、外国為替及び外国貿易管理法に基づきまして規制されておるのであります。実際の取り扱いといたしましては、税関でやっておりまして、帰ります本人の帰国後の生活の維持に必要な範囲のものは認めるという運用をいたしております。いま、先生お話しになりましたのは相当膨大なものでありまして、いま私が申し上げております税関での処理の対象になっておるものとはちょっと違うことのように思います。いまお話しの中に、何か支払いは支払いで、日本側で何か行なっておるということがございますので、そうなりますと、そこの決済関係がどういうふうになっておるか、調べないとわかりませんが、手続上はあるいは普通の輸出というかっこうになって行なわれておるのかもしれないと思います。それが具体的にどういうことになって、これが無為替ということになるのか、実はその件については、普通の持ち帰り財産の処理につきましては、いままでほとんどトラブルなく、比較的軽易なものばかりでございましたので、あるいは私たちの調査がまだ不十分であって、お話のようなことが何か別の方法で行なわれておるのかもしれませんが、まだちょっといまのところ、そういう具体的な案件について報告を受けておりませんので、さっそく調べてみたいと思います。
  92. 村井七郎

    ○村井説明員 いま通商局長から話がありましたように、帰国いたします韓国人の身の回り品、あるいは日常の生活に必要なものの範囲のものでございますと問題はないのでございますが、これを越えまして十三万ドルというような多額の財産を持ち出すことになりますと、これは完全な無為替輸出という許可を得なくてはできないことになっております。あるいは、それを日本国内で売却いたしまして、さっき先生もおっしゃいましたように三千ドルなり何なり外貨にかえましてそれで持って帰る。この二つの方法しかないわけでございますが、私たちが聞いておりますところは、無為替輸出は通産省の所管でございますけれども、いまの通商局長のお話では、おそらくそういうものはないということでございますし、金額も三千ドルとかという持ち帰り金の交換というものにつきましても、私たちは、そういうものはあまり許可したという記憶がございません。
  93. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 追加して申し上げますが、普通の身の回り品を持ち出します場合は、税関限りで処理されておりますけれども、中には向こうへ行きまして生業を営むために、こちらから、いままでこちらで仕事をしておりましたときに使っておりました機械その他を向こうへ持っていきたいというのが出てまいりますと、税関から通産省のほうに連絡がございまして、無為替輸出として認めていいかどうかという判断をしております。いままでそういう案件もぼつぼつ出ておりますが、いずれにいたしましても、金額は比較的小さいものでございまして、大体千ドル程度のものが大部分でございます。中には四、五千ドルに上るものもございます。しかし合計いたしましてせいぜい一年間で五万ドルとか六万ドル程度の金額でございますので、先ほど先生のおっしゃいましたように、二千五百万ドルというような膨大な金額のものとは内容が違うように思います。
  94. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これも通産省並びに大蔵省では不勉強で、実態を何にも知っていない。これは明らかに向こうの国会で相当の問題になり、日本の、こっちの対韓経済輸出業者では、ある意味での公然の秘密みたいになっている。その経路がなかなかはっきりしない。こっちははっきり普通の輸出形態をとっているわけです。向こうがいわゆる無為替の輸入形態をとって、しかも向こうは在日韓国人の財産の輸入というかっこうで、これが普通のものと扱いが違うわけです。その扱いが違うところに、しかも品目等がいま出たようにいろいろで、実際にはこれは明らかに貿易です。ですから、これについてもひとつ早急にはっきり調査して、そうしてこういうことが明らかに行なわれておるとすれば、法律的にすぐ為替管理法なり何なりにひっかかるかどうかわかりませんが、非常に巧妙な手を使っておりますから、私は合法的な密貿易と見て差しつかえない。しかもこれがいろいろ物議をかもし、将来の日本の対韓貿易の正常な発展を阻害しておる。だから向こうで国会で問題になっておる。   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 これは一つは、さっき言いましたように、非常に向こうのドルの手持ちがなくなっているものですから、こっちではドルのやみ操作をやっているに違いない、私はそういうものだと思う。私も二、三実例は聞いております。しかしこれは人づてに聞いただけですから、どれだけ信憑性があるかわかりません。少なくとも大蔵省、通産省は、これらの実態について早急に調査をして、これまたひとつ国会のほうへ、ここに資料として提出を願いたい。
  95. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話しのケースは、おそらく日本側では合法的な手続をとってやっておるのだろうと思います。したがいまして、一応形式的には法律違反でも何でもないということになっております。したがいまして、調査をする点におきましていろいろむずかしい点はあろうかと思いますけれども、できる範囲でひとつ調査をしてみたいと思います。
  96. 久保田豊

    久保田(豊)委員 時間の関係で、しかも答弁者が大臣でありませんので、重要な点についてはほとんど答弁らしい答弁が得られないわけであります。またほとんど私の質問した事項については調査なり実態の把握がない。これではこのままやめるわけにいきません。ですからこの次の機会にひとつ、通産大臣はもちろん、外務大臣並びにそれぞれの関係の責任のある局長の答弁を求めまして、きょう解明のできなかった点を続けてやっていただくことを保留をいたしまして、きょうはこれでもって質問を打ち切ります。
  97. 二階堂進

    二階堂委員長 午後二時、再開することにいたし、暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後四時三十八分閣議
  98. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  内閣提出中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。島口重次郎君。
  99. 島口重次郎

    ○島口委員 この中小企業金融公庫の中に、公庫債の借り入れ金が百億入っておりますけれども、これがどの機関によって消化する予定であるか、まずそれから聞きたいと思います。
  100. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 中小企業公庫債は、今回政府保証つきで発行いたします政府保証債の中に入っておるわけであります。政府保証債はシンジケートがございます。シンジケート以外の引き受けはわずかございますが、主として引き受け団がございます。これは銀行が中心でございまして、特に銀行の中で都市銀行の引き受け割合が一番多うございまして、いままでの政府保証債の発行の消化の実績から申しますと、六割近くが都市銀行の引き受けになっております。それに次いでは地方銀行、そのほか中小金融機関のごく一部も引き受けることになっておるのが実績でございます、おそらく来年度の分につきましても大体似たようなことになるんじゃないかと思っております。
  101. 島口重次郎

    ○島口委員 そうすると、中小企業金融公庫のワクが若干拡大したというけれども、都市銀行やら、あるいはそれらに関連いたしました銀行等が債券を消化するとなりますると、都市銀行から融資を受けましても、中小企業金融公庫からお金を借りましても、窓口は違うけれどもワクは拡大しないということになりますけれども、その点はどうなりますか。
  102. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 来年度政府保証債全体といたしましては、発行が本年度よりも増加しております。その増加分をこれらの銀行を中心にいたしました金融機関等が引き受けるわけでございますが、それをふやしたからといって、都市銀行は直ちに貸し出しの面において中小企業に対する貸し出しを減らすというふうな関連はございません。結局中小公庫をはじめ、中小企業金融三公庫の資金量が充実された分だけ余分に中小企業には資金が貸し出される。また特に注目すべきことは、たとえばそれらの中小公庫から貸し出しがなされる場合には、実質金利を比べますと、銀行等から中小企業が直接借りる場合に比べて相当安いということでございますから、やはりそのほうが結果的には中小企業のためになるというふうに思っております。
  103. 島口重次郎

    ○島口委員 いまの例から見ますと、都市銀行はオーバーローンをやりまして相当金融が切迫をしておる、そういう際にさらに公庫債を消化いたしましても、都市銀行の融資のワクが縮小しないというのは、理論的に考えましてもちょっと納得できないと思いますけれども、その具体的な説明をもう少し詳しくやってもらいたいと思います。
  104. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これらの政保債の消化は、全体としての債券発行総額の中に相当な割合を占めております。三十八年度の債券の発行総額、これは金融債を除きますが、公社債の発行総額は四千五、六百億円になるかと思います。三月分を含めましてその程度になります。これは来年度の計画でございまして、別に発行するについては一々認可制があるわけでもございませんが、関係者が毎月あるいは一年間のものについては、見通しでございますが、大体の発行額を調整しております。つまり引き締めの段階になりました場合に、借り入れを得られないという理由で大会社が起債を多くしたいという希望は当然あるわけでございますが、これを押えるわけであります。いまのところ金融機関の資金計画全体としては、今年度に比べてあまり総額はふやせない。一方で、たとえば電力会社のように一時ほどは起債の量を多く必要としないところも出てまいっておりますので、発行総額においてはきめてはおりませんけれども、大体四千五、六百億から七、八百億程度までが限界であるといたしますと、全体の発行量は、公社債の量はそうはふえないことになります。その中身といたしましては、政府保証債の分はふえておるわけであります。それはそういうことで金融機関が大体了承しておるわけでございます。政府保証債についてはある程度の増額はやむを得ない、しかし全体としての公社債の総額は本年度とあまり変わらない程度に調整するということになっておりますから、その面からしますと、これはきわめて実行困難であるというふうには私どもは見ておらないわけであります。
  105. 島口重次郎

    ○島口委員 それではあなたの説明の原則的なことは了承いたしますけれども、数字的に具体的にどうなっておるかという計画を出してもらわなければ納得されないと思いますから、いまできましたら説明をしてもらうが、いま出せなかったら、あとでもよろしいから書類を通じまして出してもらいたいと思います。
  106. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 資料と申されましたが、どの点でございますか。ただ起債の発行計画と申しますか、これは統制経済までやっておるわけではございませんので、きっかりときめたものではない。大体四千五百億という案も考えられるし、四千六、七百億という程度の数字も考えられる。この程度の、ある程度のめどでありますが、その程度のめどに終わることについては関係者が考えており、これは何ら大蔵省で決定するというような筋のものではありません。しかし証券界あるいは金融界のその専門の方々が毎月集まって各月の発行を調整する。そのときに大体年間でどの程度の発行をしたい、それに合わせてみると第一・四半期はこのくらいになる、その中で四月分はこのくらいになる、こういうことを話し合いできめるわけであります。ですから、大体の見当としては四千五百億ないし四千七、八百億というふうに大蔵省のほうでは見ておりますが、そうかっちりしたものではないので、資料としてお出しするというほどのものではありません。
  107. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいまのあなたの答弁では、消化の過程を見なければはっきりした納得ができないと思う。だからそういう方針であるというならば了承いたしますけれども、それでは大臣お尋ねいたします。  自民党の政策といたしましても、そういう民間都市銀行や信託会社に消化をしてもらうというのは本来の姿ではない、むしろ政府の財政投資なり一般会計から投入するのが自民党の中小企業に対する政策でもあると聞いておりますけれども、その点の見解はどうなんですか。
  108. 福田一

    福田(一)国務大臣 自民党の方針といたしまして、そういうような意見もあるわけでありますが、今度の場合におきましても、中小企業三公庫の資金を、民間関係から集めてもいいからできるだけその三公庫の資金ワクを増大しよう、そうしますと三公庫に集まった分は、国民金融公庫は別になるかもしれませんが、これは必ず中小企業にいくということになるから、そういうふうに考えてはどうか、こういう意見が今度は相当有力になっておりまして、そこで今度のような公庫債の発行ということに踏み切っておるわけであります。ただし、それでは方針を完全に変更したかということになりますと、完全に変更したならば百億といわず五百億でも一千億でももっと集めたらいいではないかという考え方もあるわけでありますが、一応そういう方向で検討して百億やってみようというような意味も含まれておるわけでありまして、その模様を見て順次この方針を拡大していくか、あるいはそれがむしろ弊害になるというようなことであれば、またもとのほうに戻すというような感触であります。政府としては今度は百億をどうしてもやりたい、こういう考え方でございます。
  109. 島口重次郎

    ○島口委員 自民党の方針といたしましても民間資本というものを利用しない、政府の一般会計なり財政投資から投入するのが政策であるけれども、このたびは百億やってみる、こういうことであるけれども、ただいま大臣答弁によりますと、方針の変更ではないと言うが、具体的には方針の変更ではないですか。当然政府政策として、自民党内閣である限りは自民党の方針に従ってやることが自民党の政策に忠実な姿でありまして、その逆な方針をとることは少なくとも自民党の方針変更ではないかと考えますが、この点どうでしょうか。
  110. 福田一

    福田(一)国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、いわゆる政党内閣というものの本質、それから政党内閣というものは必ず政党の言うことを全部そのとおりにやらなければならぬのかどうか、こういう問題も出てくると思います。私は、今度の予算の方針が党において了承されておる以上は、そのうちの一部である公庫債の問題も一応自民党においても了承されてこういうふうに提案をいたしておる、こう了解いたしておるのでございますが、しかしいまあなたの仰せになったような意見がいままでは相当強かったわけであります。それは市中の金を集めた場合に金利が高くなるというような問題もございましょうし、いろいろの問題が含まれておると思うのでありますが、しかし、それはそれなりにまた解決する道がないとは言えないと思うのであります。たとえば中小企業の場合には、もしどうしても市中から金を集めて金利が高くなったら、その分は何らかの形で保障するというような形もできるかもしれない。これは政府の施策の方針として、やろうと思えばできるわけであります。だから一応こういうやり方でやってみようということで踏み切ったわけでありまして、この点は自由民主党、いわゆる党のほうでも了承して、そして予算化されておる、かように私は理解をいたしておるわけでございます。
  111. 島口重次郎

    ○島口委員 自民党が公庫債の百億を民間から吸収するということを了承した、こういう前提だからよろしいというような意見に聞こえるのであります。そういたしますれば、自民党の政策変更になったのじゃないか、こう考えられますが、こういう点はどうですか。
  112. 福田一

    福田(一)国務大臣 私も自民党の党員でありますからお答えをいたすべきであると思いますが、これは党の正式な機関が予算を認めていられるのでありますから、あなたのおっしゃるとおり、その意味では変更になったと見るべきかもしれません。
  113. 島口重次郎

    ○島口委員 私らといたしましては、先日来の委員会におきまして政務次官なり中小企業庁長官なりに強く要請いたしたのでありますけれども、所得倍増政策の谷間にある中小企業、零細企業を救済いたしますためには、民間の百億、二百億ではどうにもならぬのだ。今度の三公庫の予算は、前年度に比較いたしますと二六%の増であるけれども、これでは救済されるものではない。民間資本というようなけちなものではなくて、政府が大幅に今年度の増加額の倍、少なくとも前年度の五〇%の増額をしなければ、十一月の危機、さらに二月における終戦後における最高記録の問題、さらに今月末、年度末におきまして相当な破産、倒産が出てくるであろうというような、予想といたしましては自他ともに許しているような状況であります。この際において、民間資本を出してきて救済するというような方法ではなくて、政府が抜本的な金融対策をやることが零細企業、中小企業の期待し得るほんとうの金融対策ではないか、こう考えますが、そういう点どうでしょう。
  114. 福田一

    福田(一)国務大臣 この前、中村委員からも御同様の趣旨の御質問があったわけでありますが、確かに予算は多いほうがいいのでありまして、そういう意味で、融資ワクがもっと拡大されておればいいわけであります。そういう意味らいえば、われわれとしてもこれは今後大いにふやすように考えてまいりたいと思いますが、しかし御案内のように、期の中ほどにおきましても、商工中金あるいはその他の中小企業金融公庫等においても、いままで年末にはいつも調整措置をとってきておるのでありまして、われわれとしましては第一・四半期においてある程度繰り上げ使用する方途を講ずるつもりであります。そうしておいて、今度は年末にまたそれが足りないということであれば、それに応じた措置はもちろん考えておるわけでございまして、われわれは何も百億円の中小企業金融公庫債を出したからこれでいいのだという考えでおるわけではございません。臨機応変、機に臨んでやはりそれぞれ処置をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  115. 島口重次郎

    ○島口委員 大臣のただいまの答弁によりますれば、多いほどよい、あるいは経済情勢変化等を見まして臨機応変な処置をとる、こういう考えでありますけれども、しからば別個の観点からお尋ねをいたしますけれども、高度成長政策、特に開放経済に移行するにあたりまして、独占企業と零細企業との格差が非常に拡大された、それを縮小いたしますには中小企業、零細企業近代化を促進しなければならぬというのは議論がないところであると思います。そういう観点に立ちますと、政府の考えでは、何年間たちますと中小企業近代化ができるかどうか。この三公庫の予算から、あるいは今度の予算に提案されておりますところの設備近代化から考えて、何年かかると中小企業、零細企業設備近代化が完成するかをお尋ねしたいと思います。
  116. 福田一

    福田(一)国務大臣 中小企業近代化を促進いたすわけでございますが、これは私率直にいって、島口さんの御質問になかなか答えにくい面があると思うのであります。ということは、近代化を促進するといいますと、中小企業がその気になって努力をしてもらわなければならない。努力をする気になったものについて、われわれは金融その他の面でできるだけの応援をしようというのが中小企業基本法の考え方でございます。ということであれば、そういう意思を持っていないものまでも近代化するというわけにはいかないわけでございますから、これが一つのむずかしい点でございます。  もう一つは、そういうような意思を相当持っておられましても、予算措置がそれに伴うだけ十分にできるかどうか。そのときそのときの毎年の事情によって予算というものは編成されるわけでありますが、もちろん中小企業近代化は大事でありますが、それにどれだけの金を向けられるかということは、そのときの予算編成、いわゆる財源の問題もこれにからんでくると思います。もちろん一般の財源いわゆる自然増収が少ない場合には公債でやったらいいではないかとか、あるいは外国から資金を導入したらいいではないかとか、いろんな考え方もあるでありましょうが、それらの問題は今後未知数といわなければなりません。  こういう二つの、予算措置というものと本人の意思というものをいまここで予測してお答えするのはなかなかむずかしいが、われわれとしては、とにかくできるだけ早く中小企業近代化がはかれるようにひとつ大いに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  117. 島口重次郎

    ○島口委員 何年間で完成されるかということは見通しがつかない、こういう説明でありますけれども、問題点は、大臣のおっしゃるとおり、自由主義経済でありますから、何と申しても本人の企業努力が第一番だ、この企業努力の意欲いかんが最終決定要因だ、こう私も理解いたします。少なくとも中小企業近代化をしたいという意欲がありましても、政府が受け入れ態勢というものを完備しなければならない。ただいま大臣答弁によりますと、そういう要請がありましても、予算というものはそういくものでないというようなことを言っておる。そういたしますと、中小企業近代化の問題に対しましてはすこぶる冷淡である、こう言わざるを得ないと思います。その具体的な例といたしましては、政府のいわゆる所得倍増政策によりますと、十年間に四兆円の設備投資が行なわれるというような構想であり計画であった、こう聞いておりますが、三十六年度におきましては四兆一千億、三十七年度におきましては四兆二千億の設備投資がされておるのであります。今度の予算から見ますと、政府が半分都道府県が半分、五〇%の負担をいたしましても、近代化設備資金といたしましてはわずかに二百八十六億よりないのであります。あまりにも少ない。こういう状況に、よりまして、大臣のおっしゃるような期待のできるような中小企業近代化合理化ができるかどうかの問題が出てまいります。あるいは中小企業三公庫を通しての要請といたしましても、おそらくは相当数があると思う。もしできましたら中小企業庁長官から、三公庫の中で設備投資の融資の申し込みがどの程度あって、どうなっているかという問題、それを計算いたしますと、何年後において設備が完成されるかということをもう一度お尋ねしたいと思います。
  118. 福田一

    福田(一)国務大臣 あとの質問は中小企業庁長官から答弁をすると思いますが、さっきの御質問のうちで近代化ということについてのお話がございましたが、確かに設備投資に四兆円とか三兆何千億円とかいうものを投入しつつあるのであります。そこで近代化資金という名前をつけておりますので、その近代化資金だけが近代化の金であるかというと、これは島口さん自身がおわかりだと思うのでありますが、近代化は何も近代化資金だけでやっているわけじゃございません。まあ銀行から普通の金利で金を借りて近代化をしている場合もあるわけであります。ただ金利が高いというと近代化が有効にできない、あるいはまた企業に負担がかかるというところに問題があるわけでありますから、近代化資金のワクをふやすということは、これはわれわれとしては当然努力をいたさなければなりませんが、近代化自体ということになれば、これは金利の高い一般金融のものを使って近代化をやる場合もあり得るかと思うのであります。したがって四兆円の設備投資をやるというのが、どの部分が中小企業近代化に割り振られておるかということは、これはやっぱり調査をしてみなければわかりません。私いま実は頭の中にはございませんけれどもが、かなりやはり行なわれておるかと思います。しかしいずれにしても立ちおくれておることだけはこれは明瞭でございますから、先生の言われるような趣旨に基づいてわれわれとしては大いに努力をいたさなければならないと考えておるわけでございます。
  119. 島口重次郎

    ○島口委員 いま大臣が言うように設備近代化資金と銘打ったものだけが近代化資金ではない。私もそれは承知しておりますから、三公庫のほうの状況はどうなっておるかということを重ねてお尋ねしたわけなんです。ただ、少なくとも私は中小企業近代化なり合理化に熱意を持つとするならば、何年間ぐらい近代化が完了するのだというような青写真なり見通しを持っておらなきゃならぬじゃないか。そうでなければ、口先だけでは零細企業に協力をする、政府も力を入れておると言うけれども、ことばの魔術であって実際が伴っておらぬ、こう考えるわけなのです。そういう点はどうなんですか。
  120. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は今後も相当程度の設備投資が行なわれると思うのでありますが、大企業のほうはかなりもういままでに近代化が進んでおると思うのであります。したがって今後行なわれる分については、いままでとは違って相当量の金が近代化の方向に向けられてくるものである、私はそういうふうに考えております。現に大企業の下の下請企業等におきましても、組合その他をつくって金を借りるというようなやり方もしておりますし、また大企業のほうでそういうような援助もしておったりするところもございます。そういうわけでありますから、今後は相当程度この中小企業に対する近代化設備が行なわれていくものと考えているわけでございますが、しかしながらいまのところ、これが三年内に完成するか四年のうちにできるかということになりますと、いま私ここで言明を申し上げるだけの資料を持っておりません。しかし希望を言え、目安を言え、こういうことであれば、私は少なくとも三年くらいの間に相当程度の中小企業近代化されるようにはぜひ持っていきたいものであるという希望は持っております。
  121. 島口重次郎

    ○島口委員 この問題はこれ以上やっても結論が出ないと思いますから、ただ結論だけ申し上げたいと思います。結論から先に申し上げますと、これは社会党、自民党の政策の相違でありましてどうにもならぬ、こう考えております。抽象的に原則的にもう三年くらいで完了したい、こういうのであるならば、やはり青写真なり裏づけをするものがなければわれわれとしては了承できない。したがいまして、ほんとう大臣が三年以内に完了したいというならば、その線に従いました計画をつくってもらいまして、われわれの手元まで拝見さしてもらいたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  122. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほどもお断わりを申し上げたのですが、これはあなたのほうとわれわれのほうとの考え方の相違が一つはあるわけでありますが、私が申し上げたのは、そういうことを希望する、しいてこれを言えとおっしゃればそういうことを申し上げたいと思う、こう言ったわけであります。希望をする、こういうことを申し上げたわけであります。三年間に計画をつくってこうやっていくのだということではございません。まあ希望という意味らいえば、もっと早いほうがいいじゃないかということもあり得るのですが、私は、なかなかそう簡単にはいかないのじゃないかと思いますので、まあできるだけ早くこれを実現するように努力する。どうしても、何か希望もないのか、何も考えないのかとこう言われれば、希望としてはそれくらいのうちには相当程度完成したい、こういう気持ちで申し上げておるわけでございますから、御了承を賜わりたいと思います。
  123. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは、希望や夢を相手にして議論をしてもしようがないから、これはこの辺でやめます。  それから三公庫の償還期間の問題ですが、他国におきましては、零細企業、中小企業は返済能力が足らない、あるいは商売をいたしましても、一割か一割二分よりも利益配当をしておらぬという面から、十五年間の償還期間で貸し付けをしておる。ところが、日本におきましては五年間、特定産業というような別個のものだけが七年間、こうなっておる。そういたしますと、少なくとも日本の零細企業なり中小企業というのは、生産をいたしましてその後に残る純益と称するのは、年一割程度あったらいいほうじゃないか、こう私は考えております。そういたしますと、五年間の償還でありますれば年二割の償還、これに利息やその他の雑費を入れますと、年間三割の純益がなければ償還できないという必然性が出てくる。そういう面から、大臣といたしましては、零細企業、中小企業利益と称するものを、年間どの程度が適正の利潤であると認めておるのか。そういう面から考えまして、償還の期間というものを少なくとも十年間ぐらいに延長する考えがないかどうかをお尋ねしたいと思います。
  124. 福田一

    福田(一)国務大臣 それは非常に適切な御質問でございまして、事実当たってみますと、五年ぐらいではなかなか償還ができないというのが実相でございます。いまあなたのおっしゃるように、適正利潤を言えとおっしゃいましても、これは私としてもちょっとお答えいたしかねますが、たとえば一割としてみたところでまあ十年かかる、こういうことに相なるわけであります。だから、そういう意味らいえば十年が適当ではないかという理屈も成り立つわけでありますが、ただ実際問題といたしましては、五年なりにいたしておきましても、ある程度までくるともう一ぺん借りかえをするというような形で、現在のところは、あるいはまた別途の方向で、よそから金を借りてくるというようなことをしたりしてつなぎをしておるようでありますが、これは必ずしもいいことではないと私は思っております。できるだけ長くしたいと思いまして、いままで三年でございましたけれども、まあようやく今度五年にしたわけです。五年にしたからといっていばれる筋合いではないのでありまして、これはもっと延ばすように今後も大いに努力いたしたいと考えております。
  125. 島口重次郎

    ○島口委員 いまの三年のものを五年にしたというのは、何か勘違いをしておるのじゃないですか。流動資金のほうは確かにそういうことになっておるけれども設備資金は最初から五年になっておると思っておりますが、どうなんですか。
  126. 中野正一

    ○中野政府委員 いま大臣のおっしゃったのは、中小企業高度化資金のほうで、これで土地の取得について無利子の貸し付けをしておりますので、これが三年でありまして、期間が非常に短いという声があったので五年にしたということであります。
  127. 島口重次郎

    ○島口委員 私がいまの問題で質問しておるのは、三公庫の償還期間を言っておるのであって、その中に近代化資金の制度を持ってきて答弁するとはどうなんですか。
  128. 福田一

    福田(一)国務大臣 それは私の間違いでございまして、申しわけありません。
  129. 島口重次郎

    ○島口委員 そういう面から、私は、中小企業の営業状況から見て十年間が妥当であると、こう考えておりますが、そういう面から申し上げまして、ただいまの大臣答弁にいたしましても、十年間は確かに適当である、こういうような答弁にお聞きいたしたのでありますけれども、もし適当だとするならば、十年に延長する考えがないかどうかであります。
  130. 福田一

    福田(一)国務大臣 考えはあるのでございますが、なかなか予算その他の問題のときにはそのとおりにいかないわけでございます。
  131. 島口重次郎

    ○島口委員 最初の答弁の中にもあるとおり、償還期日がまいりまして金がなければ、他の金融機関から借りて返済している。いわゆる市中金融機関ならよろしいけれども、往々にして、どうしても支払いができない、償還ができないとなってきますと、町のやみ金融から借りてきている。ここに中小企業庁長官もおられますけれども、中小企業金融公庫にしても、商工中金にしても、国民金融公庫にしても、その返済期日からおくれますと、次回は、あなたは返済の誠意がないからと称して、非常にたたかれる。再び融資をしてもらえない。そういう面から、無理をしても返済しているのが現実の姿なんですよ。特に他の市中銀行から融資を受ける能力のないものは、やみ金融に行きますと月六分や月九分で貸し付けをしておる。そういうやみ金融、いわゆる町の金融に足入れをいたしますと、直ちに破産、倒産に直結しておるというのが、ただいまの状況だと思う。最近において破産、倒産の多いのもそうですよ。大メーカーにおける二百六十日であるとか、あるいは三百日というような長期の手形をもらうと、帳じりの面におきましては黒字であるけれども、現金操作が困りまして、町の金融から借りて、それが破産、倒産の姿になっている。そういう面から考えると、三公庫から融資をいたしまして零細企業なり中小企業を救済するという御意思はよいけれども、結果は必ずしもそのとおり生かされていない。とういう面から考えますと、ひとつ福田通産大臣が在任中におきまして、英断で十年ということに踏み切る意思がないかどうかをもう一度お尋ねいたします。
  132. 福田一

    福田(一)国務大臣 努力をいたしたいと思います。
  133. 島口重次郎

    ○島口委員 それではこの問題はこれでおあずけいたしまして、最後に、いまの金融制度を見ておりますと、町の金融の金を借りましては破産、倒産するということで、利息制限法という法律があるわけですね。これによりますと、十万未満の場合は年二割、それから十万から百万の場合は一割八分、百万以上の場合は一割五分、こう規定されておるわけです。この面はよろしいと思うのです。ところが、ただし本人が承諾をいたしまして支払いをした場合はこの限りにあらず、こういうことになっている。これだったら利息制限法というものはざる法でありまして、さっぱり効果がないじゃないか、こう思いますが、どうでしょう。
  134. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 利息制限法は、一方に金利の最高限度日歩三十銭という、これは三十銭をこえては絶対にいけないという法律がありますが、それと違いまして、民事上の貸借契約において、ある一定割合以上を契約しても払わなくてもいい、つまり裁判上無効である。しかし本人同士が、たとえば百万以上の金の貸借の契約を結びまして、それで二割という契約があった、そういう場合でも絶対にいけないとしてしまうかどうか、非常に急場のために、やむを得ず年にいたしまして二割、これがたとえば一カ月でございますればその十二分の一でございますが、急場をしのぐためにそういう高利の契約を結んだ、そのことが絶対にいけないという考えをとりますと、どうもかえって円滑を欠く面があるんじゃないか。だからもし本人が払いたくなければ、二割という契約を結んでも一割五分以上は無効である。しかし、本人同士が払うということを承諾して、それを実行した以上は、返還請求権はない。これは私は、民間のいろいろなそういった高利にたよらざるを得ないような場合において、その実情を考えた上でつくられた法律であると解釈しております。しかし、日歩三十銭以上となると、これは絶対的にいけない、こういうふうな制限をしておるわけであります。
  135. 島口重次郎

    ○島口委員 なるべく大臣から聞きたい。それであなたにはもっと専門的に深く聞きたいのです。いま大臣は時間がなくて帰るそうだから、大臣に聞きたい。  それで、いまもおっしゃるとおりなんですよ。そうして出資の受入の法律によりましては日歩三十銭まで見ておる。日歩三十銭まで見て、一方におきましては、年二割より多くとってはならない、債務者が承認した場合はもっとそれ以上とってもよろしい。そうなりますと、勢い最後の、日歩三十銭が最高だということになってくる。日歩三十銭となると、月九分ですよ。年に元金の倍になりますよ。年間通して元金の倍になるような金を借りて、一体中小企業や零細企業が商売をやっていけるのかどうか、やっていけると考えてこういう法律をつくっておるのかどうかということをお尋ねしたい。
  136. 福田一

    福田(一)国務大臣 金融の問題は、実は御案内のように、あなたは専門家でいられますが、私のほうは全くのしろうとでございますから、お答えをしてもあるいは間違いがあるかもしれません。また金融問題につきましては、政府ではやはり大蔵大臣というものがあるのでありますから、そういう問題についての責任ある答弁は大蔵大臣からすべきが順当かと思います。しかし、いまそういうことは別といたしまして、私としてお答えできることは、日歩三十銭などという高利を借りてやって、中小企業がうまくいくとはこれはどうしても考えられません。ただ、町でもって行なわれておる日歩三十銭とか二十銭とかいうような金融を使っておるのは、ちょっと十日ほど借りてどっかから品物を安く買ってくる、それから十日ほどすると、すぐそれが現金になるというような場合に、それでも利益が上がり得る、そうしてそういうことが行なわれておるという事実は私も知っております。しかし、恒久的に長い年月仕事をしていくというような場合に、三十銭なんていう日歩を使ったのでは、どんなにもうけたってとてもうまくいくもではない、かように思っております。
  137. 島口重次郎

    ○島口委員 大臣のおっしゃるとおり、一年を通して二回なり三回なり、手形を落とす場合とか、あるいはどうしてもそれだけは現金で買いたい、買った場合は、それ以上安く仕入れができるというような場合だけならおそらく破産、倒産につながらないと思うのです。ところが、そういう高い金利で借りなければならぬという人は、期日までに他のほうから融資を受けることができない方なんです。その実例といたしましては、町の金融と称するものに動いております金融類は、ただいまでは五千億から六千億、あるいは多ければ七千億もあるのじゃないか。その商売をやっておる実情を考えますと、市中銀行から安い金利で借りておる、そうして八倍から九倍で貸し付けておるのが実情であります。こういう町の金融者は、いわゆる中間搾取と申しますか、ぼろいもうけをしまして、資産をつくりまして、その資産を銀行に担保に入れて金を借りてくる。安い金利で借りて高い暴利をむさぼっておるというのがただいまの状況であると考えております。そういう面から考えますと、そういう年を通して二回か三回、手形を落とす場合とか、あるいは安いものの仕入れができるという場合は、それこそ零細企業、中小企業に対して政府がやらなければならぬ金融じゃないか、そう考えますがどうでしょう。そういたしまして、そういうやみ金融で破産、倒産するものはなくなるような中小企業金融対策をつくるところに政府政治の使命があるんだと考えるわけですが、どうでしょう。
  138. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これは金融全般の問題と関連いたしますので、私からお答えいたします。  利子の問題と、それからそういう高金利にたよって経営する問題と、二つに分かれております。まず、利子決定の要因というものは非常にむずかしい問題であります。明治時代の非常にたくさん銀行のあったようなときから現在まで、非常に産業界も高度化しておりますが、経営近代化するにつれまして利子決定要因というものは企業利潤を基準として定められる。つまり企業が普通に経営をいたしまして生み出すところの利潤の範囲内で金利を払う。ただし、先ほどからの御質問もございますが、全額を借り入れにたよって設備をするというふうなこと、これは日本ではままありますけれども、これはあまり正常とは申せません。やはり自分である程度資金を持っておる、資産を持っておる、そういう者が金融を受け得る資格があるのであって、無一文の者は政府資金を借りられるということはあり得ないわけであります。ですからある程度の自己資金がある——外国では自己資金の割合のほうがほるかに高くて、設備投資を借り入れにたよっているものはないというのが常態です。日本の場合には、それではいけない。戦後の状態においては成長が急速であったために借り入れにたよるということになっておるが、正常な金利水準というものは利潤率の範囲内できめられるものでございます。ただ遺憾ながら、まあいかなる時代においてもそうでございましょうが、前近代的な利子決定要因というものは別でございます。一般的に徳川時代から高利貸しというものはあったわけであります。その当時においては、さむらいはわれわれのようなサラリーマンであったと思いますが、その月越しの金が足らないとか、病気のためにどうしても金が必要である。そういうことから無理な借金もしなければならない。こういう場合には金利は際限もなくはね上がるものであります。つまり利潤というものから割り出すものではない。それが高利貸し存在の理由である。こういうものがなぜあるのか。すべて高利貸しのようなものを一切なくしてしまうということは、金融的には理想国家でございますが、そのようなことは望めない。当分の問どうしても経営とほとんど関係のないところから定められる利子というものが存在するものである。また世の中の資金需要が非常に鎮静化いたしまして、金融機関が金が余ってしょうがない、こういうふうな状態がくれば、そういった高利貸しの存在は非常に狭められる。狭められると言うのは、全くなくなるということはないんじゃないか。ですから一般的な中小企業経営と結びつけて、三十銭というふうな高利はべらぼうじゃないかとおっしゃいましても、これはそういうふうに直接結びつかない。しかし、たまたまそういう高い金利でも借りる人が非常に多いというふうな状態から、たまたま企業者が経営に行き詰まって一時的なしのぎのために高利貸しにたよるという事態が生じます。これは、つまり名の知れた会社の手形を高利貸しに割ってもらうという事例は私ども承知しております。その場合における金利は十銭とか二十銭とかいうふうな金利であることも知っております。しかしこれは、金融全体として需要が常に供給を上回っておるような状態においてはやむを得ない。その需要に全部応ずるような資金をつけたら、日本のインフレはとんでもないことになる。こういうことから資金の供給総ワクというものはおのずからあるわけでございます。そういう状態で考えますと、高利貸しの跳梁を許さないようにするためには、やはり資金需要全体が鎮静するような政策をとっていくことが必要ではないかと考えております。
  139. 福田一

    福田(一)国務大臣 これは、私は中小企業立場から、いまあなたが質問されている気持ちを察して、お答えをしてみたいと思います。国民金融公庫というのはわりあいに零細企業に対して金を貸しておりますが、実際にはいわゆる零細企業というものは金が借りられない。借りられればうまくいく場合であっても借りられない場合がかなりあると思います。こういう問題に対する金融をどう処理していくかということは、今後の中小企業、特に零細企業に対する対策としては、私は考えてしかるべきものではないかと思っております。
  140. 二階堂進

    二階堂委員長 島口君に申し上げますが、通産大臣は約束の時間がもうだいぶ過ぎておりますので、できましたらひとつ……。
  141. 島口重次郎

    ○島口委員 それではもう一問だけ、いまのこまかいことは高橋銀行局長お尋ねいたしますけれども大臣の持っておる政治感覚、政治観念から見ますると、ただいまの日歩三十銭という高利をとっていいという法律があってよろしいと思うかどうか、それだけをお尋ねしたいと思います。
  142. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はそれとは別途に、零細企業に対して何らかの金融ができるような措置を講じてみてはどうかということを申し上げておるので、三十銭とってもよろしいという法律に対してどう考えておるかということでありますが、これは、金融の問題の責任者は大蔵大臣でありますから、大蔵大臣から答弁をしていただくのが適当かと思います。私はいわゆる中小企業に対する金融という問題からお答えをする責任があると思うのでありまして、そういう意味らいって中小企業が高利で借りる場合は、こういう場合にはあり得るというような意味で、銀行局長からあなたに御答弁を申し上げておるのでありまして、その金利の問題につきましては、これは大蔵大臣、ただし中小企業に対する金融ということであれば、いまの場合において確かに中小企業の中には国民金融公庫からも金が借りられないような人があるということは、これは私は認めておるわけで、そういうものを何らかの形で救う方法がないかどうかということはわれわれとして十分研究しなければならぬ、こう申し上げておるわけであります。
  143. 島口重次郎

    ○島口委員 銀行局長お尋ねいたしますが、なるほど明治の時代からあるいは封建主義の時代から高利貸し制度があったということは、局長が言われなくとも、われわれもわかっている。しかし少なくとも資本主義が近代的な発展をした現段階において、なおかつそういう高利貸し制度があってよろしいかという問題と、それから日歩三十銭というのは、企業利益とは別個の問題である、こう言われますが、この利息制限法の歴史的な変遷を考えてもらいたい。いまの利息制限法ができる前、二十九年以前の利息制限法からいきますれば、債務者が認めた場合はそれをこえてもよろしいというようなことはなかったのです。裁判で争いまする際には、それ以上とってはならないというきつい制約があったのです。今度の場合は、本人が了承いたしまするととってもよろしい、こうなっておる。こういう点はどうですか。
  144. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その点、先ほど御説明申し上げましたが、日本の現在の実情、すべてが経済的な要因ということできまるものでない、そういう実情から考えまして、あまりにきびしい制限を加えますと、どうしても借りなければならぬものまで借りられないというような情勢になっては困る。一割五分をこえるというのは高いかもしれませんけれども、しかし法外だと言えるかどうか。非常に短い期間などでありますと、その程度のものを支払ってもなおかつ有利である場合もあるし、また緊急欠くべからざると申しますか、家族に病人が出たというふうな緊急な場合に、そういった高い利息を払っても借りなければならぬ、しかしほんの短い期間であって、経済的な要因ではなくしてやむを得ず高い金利を払うというような場合、それをしもいけないという、そういう金利のほうに強い制約を置きますと、借りられるものまでが借りにくくなる。貸すほうからいえば法律違反ということになるから、法律違反はしたくない、そういった民間のいろいろな実情を考えた上で、このような法律体系になっているものと私は思っております。
  145. 島口重次郎

    ○島口委員 では第一点として、そういう具体的な経済的要因を生ずるのはどういう場合をさしているのかという問題が一つ。それからあなたがおっしゃるように緊急欠くべからざる場合、どうしても借りなければならぬという場合、こういうような前提でお話をしておられるようでありますけれども、いまの金額にいたしまして動いておる金が六千億から七千億といわれておる時代には、そういうあなたの議論の前提にしておるような緊急欠くべからざる範囲から拡大されまして、それを一時やみ金融を借りてくる、返済の期日にはどうしても金がない、またまた別個なやみ金融から借りてくるというように、たらい回しをやっておるという状態だと思う。私の意見といたしましては、むしろ保証協会の手形割引の問題やら、ああいう制度で五十万、百万というものを簡単に借りられる制度のほうがよろしいのではないか。いまの時代に月九分というような、あるいはそれ以上の——東京には十・一ということばがあるそうでして、十日に一割だから十・一だという話も聞いておりますが、実際零細企業あるいは中小企業は、だれもそういう高い金利を借りたい者はない。やむを得ずして血の出る思いで借りているのです。その金の返済期日がきますと、金を出すところがないから、また他のほうのやみ金融から借りてくる。やみ金融のたらい回しが今日の破産、倒産の一番大きい要因だと私は考えている。局長は金を借りたこともない、やみ金融も借りたことがない、中小企業実態というものがわからぬからそういう議論をすると思いますけれども、七千億、六千億というような大きな金が動いているというのは、そういう特定の条件、特定の人に限定された融資ではなくて、おそらくは国民の零細企業の倒産は、やみ金融から金を借り、それによってたたかれて破産、倒産しておるのがほんとうの姿だと思います。その認識のしかたの問題、客観情勢の把握のしかたの問題だと思いますけれども、その点はどうなんですか。
  146. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これは先ほども申しましたが、資金の需要と供給とが合わないというのが根本の問題です。ですから、わかりやすく申しますれば、いま高利貸しが、これはおそらく自分の財産からだと思いますが、自分の資金を使って非常に高い利子で手形を割り引いたりしている。そういう行為がかりに一切禁止されて、この金がもしも全部金融機関に預金となっていくのでしたら、いま高利貸しから借りているものは民間金融機関から借り入れができるでしょう。しかし、そういうことは言ってみても、統制経済の非常にきびしい国なら別ですが、なかなかそこまで踏み切れないところでは無理なことである。では金融機関の金は何が主体かといえば、言うまでもなく預金なんです。預金の範囲内で貸し出しをする。これは金融機関の普通のあり方です。ところが日本は、いろいろな原因がございますが、預金だけでは足りないんで、日本銀行からも一兆円以上の貸し出しを銀行に対して行なっておる。つまり預金で足りない分を日本銀行の貸し出しが補なっているというような状態です。しかし、それでもなおかつ資金の需要——その需要の中には産業的な意味でも、あるいは経済的な動機からくるものもありますが、それ以外の動機のものもあると私は申し上げておるのですが、大部分のものは、おそらく銀行だけとらえましても十数兆の貸し出しがあるわけでございますが、それだけ普通のものは相当程度は金融機関から借りられるという状態になる。しかし、それだけで全部一〇〇%その需要を充たすことができない。その需要をもしやすやすとどんな場合でも貸し出す、どんな場合でも割引をするというふうにいたしますならば、日本銀行の貸し出しはこれ以上何千億か膨張しなければならない。それはもう言うまでもなくインフレということになりますから、日本銀行の供給量というものは相当やかましい制限があるんだと考えてもらわなければならぬ。それですから、それからあふれ出たものがどうしても高利のものにたよらざるを得ないのが現状であります。それを全部救済するということは、結局もう日本銀行をして相当ゆるい貸し出しをする、インフレをやられるというようなことになる。全体の資金供給量におのずから限度があります以上、やむを得ないことじゃないかと思います。
  147. 島口重次郎

    ○島口委員 では、局長の見解としては、インフレが起きるからそれまで金を出してやらない、いわゆる日本経済のためにはやみ金融があって、中小企業、零細企業が破産、倒産してもやむを得ないんだ、こういう見解ですか。この点が一点。  それから、しからばなぜ一般国民の持っている金が銀行の預金にならないで、やみ金融の資金になるか、こう申し上げますと、私がただいま申し上げましたように、日歩三十銭というような高利の働き場があるから、こちらに流れまして銀行預金にならない。そういう暴利をとれるような制度がなければ、国民大衆が銀行の窓口に預金にくると思うのです。そういたしますと、あえて紙幣を増発しなくてもよろしい。インフレが出てくる可能性も少ないと思う。その点はどうなんですか。
  148. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 要するに御質問の趣旨は、高利貸し制度を禁止しろということになるわけでございます。高利貸しと同様に、また月の利殖として何分かをいただいておる質屋のようなものもございます。質屋の金利も普通の私営のものでは、これもかなり高い金利になると思います。年に何割になるというふうなのが普通かと思います。そういった高利の貸し付けの運用ができるような制度を一切なくしてしまえというふうに聞き取れるわけでございますが、これは非常に軽々しく私どもが、それはけっこうであるというようにお答えできない問題でございます。私といたしましては、個人的な見解でございますが、いまあまりにこれに対してきびしい統制的な手段に訴えるということは考えものではないか、しかしながら、三十銭というふうなものの高さについて、これは問題があることは確かでございます。三十銭でなく、もう少し安い限度にしたらどうであろうかという御意見としては、私は十分考えていいと思います。しかし何しろ一流会社の手形でさえ、場合によって十銭あるいは二十銭とられるような実情でございますから、問題は中小企業とおっしゃいますが、いま何千億あるか、それは私もつかめません。三千億とも四千億ともいわれ、あるいはそれ以上という人もありますが、そういう高利資金、これから融資を受けておるものは、例外はあるかもしれませんが、一般的に申しますと、信用度のきわめて薄いものであるということになります。普通の信用度の高いものでしたら、十何兆の金融機関の貸し出しの中にちゃんと入っているはずです。そこへ行っても断わられてしまう。あるいは融資量があまりにも大きくて入らないということもありましょう。とにかく信用度の点からいえば、つまり経営という点からいえば、あまりよくいっていないものがそういうふうな資金にたよらざるを得ない。最近ときどき名の知れた会社で倒産等に至るものがございますが、やはり最後に累積赤字で信用度が薄れ、そうしてやむを得ず高利にたよる、たよった結果が雪だるまのようにになって結局倒産に至る、こういったようなことでございまして、経営が黒字経営である場合にはあまりそういう例はないのじゃないか、そういうふうに考えます。
  149. 板川正吾

    ○板川委員 関連して。あなたの議論を聞いていると、三十銭でも一時しのぎとしてそれで助かる者も場合によってはあるじゃないか、だからそういうことを考えると、そういう高利貸し制度も一がいにこれを禁止することはできない、したがって三十銭でもやむを得ないというふうに聞こえるのですが、しかし考え方の角度を変えれば、私はそういう考え方は通らないと思うのです。それはなぜかと言うと、いまのあなたの議論を今度歩積み、両建ての議論に置きかえてみたらいいと思うのです。歩積み、両建て、なるほど歩積みしても、両建てでたくさん取られても、それで借りられていれば中小企業の助かる者があるじゃないか、またそれで助かるからこそ歩積み、両建てでもけっこうですといって借りるのじゃないですか、こういう議論になるのじゃないですか、あなたの議論をこの歩積み、両建てにあてはめた場合。ところが歩積み、両建てを、これはいかぬという方針を大蔵省でもとっておるのでしょう。それで公正取引委員会でも、近く準備のでき次第に歩積み、両建てを特殊指定にしよう、こういう方針をきめられておるようでございます。池田首相もそれを了承して、近くそういう方向になろうということもわれわれは聞いておるのだけれども、ではこの歩積み、両建てを特殊指定にして、なぜこれを禁止するか。その法的な概念というのはどこか。それは、その経済的な優越した地位を乱用して、そうして不当な取引を押しつけるという観点をなくそうというたてまえから、歩積み、両建てを特殊指定にしようという思想が生まれておるのですね。この日歩三十銭でなるほど助かる人もあるかもしれません。しかしその議論を言えば、歩積み、両建てを禁止する理論はない。だから私は、これは三十銭でも貸していくということは、経済的に優越した地位を利用して不当な取り引きを押しつけるという、いま言った独禁法のそれに違反する、そういうたてまえに立っておるのだと思うのです。だから大蔵省が歩積み、両建てはいかぬと言いながら、日歩三十銭はやむを得ないんだというのは、思想的に相反したものじゃないか。だから私は先ほどから聞いておって、三十銭はやはり社会的に見てあまり経済力の乱用に過ぎる。将来これを二十五銭、二十銭、十五銭というふうに、金を持っておるものが乱用しないような方向に法的に規制していくことが望ましい、いういう考え方ぐらいはとるべきじゃないかと思う。それを、銀行局長の話を聞いていると、三十銭でも助かる人があるじゃないか。どうしてもやむを得ない場合にはそれで一時倒産をまぬがれる。まぬがれたって、やがてそれが雪だるまみたいになって倒産する人もあるのです。だから、借りるほうが三十銭でけっこうだというんじゃないのですから、この三十銭という限度はだんだん引き下げていくべきだ。これが金利行政をつかさどっておる大蔵省の思想でなくちゃいけない。もしそうであれば、これは独禁法のたてまえから、これもまた特殊指定的な扱いをせざるを得ないんじゃないか、そういう思想が生まれる、こう思うのです。この点についての見解を承りたい。
  150. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は決して、いわゆる高利の金を貸している人たちの弁護をする気持ちは毛頭ありません。確かにそういうものを認めているからこそ正常な金融資金がこれに乗ってこない。金融機関の預金になってこないということはわかります。また、でき得るならば、こういった非常に、言ってみれば封建的な金利でございます。前近代的な金利体系はできるだけなくしていきたいという気持ちにおいて変わりはありませんが、いまの日本事情らいって、にわかにこれを大幅に引き下げるというようなことを申し上げるのには、もっと慎重を期さなければならないということを申し上げておるだけで、ただいまのお話のように、もっと金融全体を段階的に引き下げるような考え方はどうしても必要であるというふうに思います。
  151. 島口重次郎

    ○島口委員 局長はただいま私の質問に対しまして金融政策上全体の構成の面から、あることもやむを得ないじゃないか、こういう答弁をしたわけです。そこで私が、金融政策の面からいって三十銭というような法外な利息を取ることが、銀行の預金のルートに国民から乗ってこないことになると申しあげたけれども、それに対しては答弁はなくて、要はやみ金融をどうするかという問題だと考えるという答弁をいたしましたけれども、私といたしましては、日本の金融政策の面から考えて、これをなくすべきだ、こういう考えなのです。単に一つの現象だけの問題ではない。もちろんやみ金融のために多くの犠牲者が出まして、破産、倒産があるけれども、その方々の救済も大事だが、日本の金融政策の面からいいましても、あり得べからざることである、こう考えておるのであります。さらに、ただいま局長の答弁を聞いておりますると、質屋の制度がある、こう言っておりますが、しからば質屋の金利と称するのは幾らになっておるのか、お答え願いたい。
  152. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これは画一的ではないと思いますが、質屋の金利というのは非常に安いものでも月の利息にして三分とか四分、五分、普通ですと五分程度のものが多いのじゃないかと思いますが、私も実を申しますと質屋の金利は、いまここに資料を持っておるわけではございませんが、大体四分から六分程度のものが多いのではないかと思います。
  153. 島口重次郎

    ○島口委員 質屋の利息は、局長同様私もそう理解しておるのであります。質屋でさえも、あの零細な貸し付けをいたしましても、高いところは五分、六分、安いところはおそらく三分だと考えておるが、そういたしますと、日歩三十銭の計算でいきますと月九分なのであります。その九分は法外だ、少なくとも悪法じゃないか。悪法だという考えがあったら漸進的に改革をするなり、あるいは利息制限法という法律があるから、それで利息制限いたしますると、二つの法律がなくてもいいじゃないか、こういう考えなのです。こういう点はどうですか。
  154. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 三十銭という金利が確かに普通の企業利潤から支払い得るものでないことは十分わかります。私どももそう考えております。だからこれを引き下げることについては、先ほど私もそういう努力が必要であると申し上げましたが、何といいますか、金融機関だけが金を貸すことができて、民間の普通の個人個人の間で金の貸借ができないんだということはできない。それはむずかしいわけです。ある特定の人が特定の人から金を借りるということは、もういつの時代にもあり得るわけであります。それらの中に業として金を貸す——ただしこれは自分の金である。人から金を預かって貸すことは禁止されておりますが、自分の金を貸し付けるという行為は一応法律上許されておるわけであります。それらの連中に対して三十銭ときめたのは、最近ではありませんけれども、私はやはり取り締まりといいますか、法律が実行上守られないような法律にするのはどうかという配慮があるんじゃないか。立法当時のことは私わかりませんが、非常にきびしい制限を置きまして、それ以上はいかぬといいましても、実際上はやみでみなもぐられてしまう、ざる法になってしまうというのは、いかにも法律の権威を失するじゃないか。高利貸しという商売、貸し金業者というものは警察の取り締まり対象になっておるわけであります。大蔵省が監督しておるんじゃございません。金利そのものについては関係しておりますが、金利の最高限度三十銭に私ども関係してないとは申しませんが、取り締まりとしては警察なのであります。その警察が取り締まる場合に、どれもこれも違反だらけだということであれば、やはり法律の権威が失われるというところから、望ましくないけれども、ある程度実情を考えて三十銭というふうな限度が設けられたんじゃないかと思います。そういう金利がいいものだということじゃ決してないと思います。法律の権威という点が重視されているんじゃないかと私は思います。
  155. 島口重次郎

    ○島口委員 あなた金利の高いところは質屋にもあり得ると言うけれども、ただいま日歩三十銭は質屋の金利よりもはるかに高い、こういう点はどうなんだということを聞いておる。この答弁がない。
  156. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 質屋の金利については、私は実際に行なわれている金利はその程度ではないかと申し上げた。この三十銭というのは最高限度なのです。ですから、町の貸し金業者が貸し出しを行なっておる、貸し付けを行なっておる、その金利がすべて三十銭というふうには私ども見ておりません。最高限度が三十銭だ、その最高限度をきめる場合に、やや標準でないところを選んだのではないかと申し上げておるのであります。
  157. 島口重次郎

    ○島口委員 守られない憂いがあるから最高限度として三十銭をきめたものではないか、こういうような答弁ですが、少なくとも経済的な通念から、社会正義という観念から考えて、三十銭というものが社会正義に反すると考えられるか、それもやむを得ないというような考え方がよいのか、社会通念上よろしくない、こう考えたならば、それを改めて直していくところに政治の使命があるのじゃないか、あなた方のやらなければならないことがあるのではないかと考えるが、どうでしょうか。
  158. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 それは、時代時代によって金利に対する考え方も変わってこなければいかぬものだと思います。ですから、いつまでもこの三十銭という限度が正しいということではない。社会秩序その他の点から考えまして、もう少し低いほうがよろしい、それ以上取るのは経済秩序や社会秩序を乱すことになるからよろしくない、またそれが、それでも守られ得る、大部分のものは何とかその制限で押えていけるということになれば、これを引き下げていくように考えるべきであろうと思います。
  159. 島口重次郎

    ○島口委員 これ以上あなたに聞いてもどうにもならない。大蔵大臣お尋ねをいたしまして、最後の結論を聞きたいと思うけれども、どうもあなたの考えておる経済観念と私の考えておる経済観念とは、大きな格差があると思うのです。開きがあると思う。そういう面から考えて、これが悪法であり、社会正義に反する、そう考えながら改正するのに手を触れることができない、やれないというのであれば、何のために政治があるのか、何のために政府があるか、こういう状況なら、まさに無政府的な状態じゃないか、こう考えるのであります。あなたが先ほどおっしゃったように、全部国民の要請いたしまする資金というものを市中銀行なり金融機関から供給いたしまするとインフレになる、こういうお話もありましたけれども、金融政策全体の面から考えると、私は逆だと考えるのであります。日歩三十銭のような、あるいは月六分のような高い金利制度があるから、そちらのほうに国民のたんす預金やふところの金と称するものが流れていきまして、金融機関のルートに乗ってこない。そういうことを抜本的に直してやることが中小企業なり零細企業を救済する金融政策から見た社会政策だと考えますけれども、どうでしょう。これ一点だけで終わります。そのあとは大蔵大臣から、責任ある国務大臣としての見解を聞きたいと思います。
  160. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 そういう町の金融の金利の最高限度をきめるという問題は、ただ単に経済面のみの考慮からだけきめるべきものでない、いろいろな社会的な現象ということも考えた上できめるものであると私どもは理解いたしております。しかし、それが最高限度として非常に好ましくないほど高いものであるのか、まあ必要悪といいますか、決してこれはいいことじゃありませんが、必要悪としてある程度しかたがない、高いものもしかたがない、しかし、それにしても三十銭はどうか、こういう議論はあるでしょう。そういうことについて私どもも十分考えてみたいと思います。
  161. 島口重次郎

    ○島口委員 必要悪だと、こう称しますけれども、やはりこれもものの考え方の相違といいますか、思想的な相違と申しますか、私といたしましてはどういたしましても納得ができない。おそらくやみ金融があることによって救済されるものもあるからと、こういう議論であるけれども、私は、むしろやみ金融のために犠牲になっている方がはるかに多い、こう考えるのです。そういう面から、客観的に考えてこれはなくすべきだ、こういう見解であるが、さらに、営業利潤だけから規定された金融制度であってはならない、これも、欲するものではないけれども、一つの社会悪としてやむを得ないじゃないかという議論であるけれども、われわれの見解から申し上げますと、そういうはっきり社会悪だというような認定ができるものに対しましてはメスを入れまして、正しい金融対策をやるべきだ、こう考えております。  これで終わります。
  162. 二階堂進

    二階堂委員長 中村重光君。
  163. 中村重光

    中村(重)委員 委員長に一言要望いたしておきます。通産大臣がやむを得ない事情で退席されたことは了承したわけですが、この中小六法を相当期間慎重審議を続けてまいりましたけれども大臣が出席しての審議というものはきわめて短かった。まだ、公定歩合引き上げに関連する問題、企業倒産あるいは企業間信用の問題等、大臣質疑をしなければならぬ問題が非常に多いわけですけれども、適当な機会に理事会等におきまして要求いたしたいと思いますので、そうした機会をつくるよう委員長においてもお取り計らいいただきたいということをお願いいたしておきます。
  164. 二階堂進

    二階堂委員長 承知いたしました。二十七日の理事会で一応話し合いをしていただきまして、委員長としては善処いたしたいと思います。
  165. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますので、簡単に法案について詰めてみたいと思いますので、簡明にお答え願いたいと思います。  中小企業の定義の問題についてお尋ねしたいと思いますが、御承知のとおりこの中小企業の定義に対しましては、私どもの案では、資本金三千万円以下、従業員三百名以下——「かつ」という形で両方にしぼっているわけです。私どもは最終的には、この基本法が通過をいたします際に、資本金五千万円以下並びに従業員三百名以下ということで賛成をするという形になったのでありますけれども、その後中小企業基本法に基づいての政府の施策を見てみますと、修正成立したのでありますけれども、その修正点というものは軽視されているきらいがあるのであります。そこで、政府原案が修正をされたという点について、政府施策を進めるにあたってどのように配慮しておられるか、まずその点を伺ってみたいと思います。修正点を尊重するという立場から配慮しておる点……。
  166. 中野正一

    ○中野政府委員 中小企業基本法が、いま御指摘にありましたように、審議の過程におきましていろいろの点について修正をされたことは、私もよく承知しております。また修正された点につきましては、今後十分これを政策に生かしていくようにわれわれとしては努力いたしておるつもりであります。なお不十分な点がございますれば、今後さらに努力してまいりたいと考えております。
  167. 中村重光

    中村(重)委員 政府が原案をお出しになった、それが審議の過程において国会において修正をされたということになってまいりますと、それが簡単な修正でありますとまた別でありますけれども、本質的な修正ということになってまいりますと、当初考えておった施策の変更というものがなければならぬ、こういうことになるわけです。非常に修正点が多かったので、当初政府原案を提出するにあたって考えておられた点、この点のいわゆる変更というものを要求されておるはずであります。その点を実はお尋ねをいたしておるわけであります。意地悪い質問みたいになりますので、私のほうから申し上げますが、たとえば第三条の政府施策の二項というものは削除になっておるわけです。その二項は、国際競争力の強化、産業構造の高度化ということに重点を置いて政府施策を進めるということにあったわけです。これが削除されたというのは重要な実は修正であると私は考えるのでありますが、それらの点に対して、中小企業施策を進めるにあたって特に配慮されなければならないと思いますが、その配慮しておられる具体的な点をひとつ聞かしていただきたい、こういうように思います。
  168. 中野正一

    ○中野政府委員 ごく端的な具体的な例を申し上げますが、中小企業近代化促進法、この法律は御承知のように、国際競争力の強化、産業構造の高度化に資するような中小企業であって、しかも国民経済的に見て重要性を持っておるものを政令で指定する、こういうことになっております。国会の審議等を通じまして、いまおっしゃったように、いわゆる国際競争力の強化であるとか産業構造の高度化というようなものにあまりに中小企業政策の重点を置いてやるべきじゃないということで、いま言われた第三条の第二項が削られた、こういうふうに考えておりますが、同時に、できました中小企業近代化促進法運用にあたりましても、そういう点をわれわれは十分考慮いたしまして、実は二十四日に近代化審議会を開いていただきまして、二十七業種の指定を御承認願ったわけでありますが、その際も十分そういう点を配慮いたしまして、たとえて申し上げますと、国民生活に非常に密着した業種というものを取り上げてこれの近代化をやるべきである、これがまた物価政策上も大事じゃないかということから、たとえばみそ、しょうゆ、なまパン、それから木製家具、マッチ、陶磁器、印刷業、土木工業、しょうちゅう、こういうような業種を拾い上げております。  それからなお設備近代化資金、いわゆる近代化資金助成法に基づきまする百四十三億の設備近代化の補助金、これにつきましても、従来は重化学工業中心、輸出産業中心でございましたが、これもやはり国民生活に非常に関係の深い業種を取り上げようじゃないかということで、これはどの程度つくか大蔵省と交渉中でありますが、十数業種はいま追加を考えておりまして、その大部分は先ほど申し上げましたような国民生活に密着をしたものでございます。また従来はいろいろたとえば家具であるとかいうもので、設備近代化の指定業種にはなっておりますが、それが輸出に向けられる場合だけ設備近代化補助金の対象になる、こういう運用をしておりましたのを、今度は輸出に限らず国内向けのものであっても設備近代化補助金が出せるようにしよう、こういうような配慮をいたしております。
  169. 中村重光

    中村(重)委員 指定に対して若干配慮されたということは認めるわけでありますけれども、いま業種別振興法で残っておりますのが五十六業種、機械工業振興法で三十七業種が残っているわけであります。これは修正、附帯決議等を尊重するという点からは、大幅にここに残っているものを指定をするという形でなければならないと思うのです。具体的にひとつ来年度においてはどの程度指定をふやそうと考えておられるか、まずその点をお答え願いたい。
  170. 中野正一

    ○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、来年度におきまして、これは今月中か、なるべく早く政令指定をいたしたいと思いますが、二十七業種のうちの相当部分が業種別振興法で取り上げた業種でございます。そうでないものも、先ほど申し上げました国民生活に密接な関係のある業種をできるだけ取り上げるということで二十七業種をやっていって、さらにできるだけいま御指摘があったようなことに沿うように私どもとしては努力いたしたいと思います。
  171. 中村重光

    中村(重)委員 指定をふやすスケジュールといったようなものも予算等の関係上あるのではないかと思うのであります。その点をひとつつまびらかにしていただければけっこうだと思います。
  172. 中野正一

    ○中野政府委員 この近代化促進法で指定されますと特別償却ができますので、一応政府全体としては減税のワクというふうなものも考えましていろいろ指定を勘案するわけでありますが、そういう点も勘案しまして、来年度はいま申し上げたように二十七業種、それからさらにその次の年にもそれとほぼ同数程度のものは少なくとも指定をしたいということで、一応われわれとしては三カ年計画で相当部分の重要な中小企業の業種というものは取り上げていきたい、こういう段取りでおります。
  173. 中村重光

    中村(重)委員 それから零細企業対策ですが、あなたのほうの白書を見ますと二百四十五万のいわゆる零細企業者がある。これはしかも停滞をしているということが明らかにされておるわけです。先ほど高橋銀行局長に対する島口委員質疑の中で、銀行局長の考え方、思想というものは明らかにされました。その点は大蔵省の考え方であると思うのでありますが、金を持たないものが政府資金を借り入れるということは間違いだ、このことをずっと押し広げていけば、零細企業というものに対しては、これを成長させるための政府資金の貸し付けなんというものは考えていないということに私は通ずると思うのであります。  そこであなたにお尋ねをいたしますが、零細企業の体質を改善をする考え方があるのか、あるいはただ零細企業としてそのまま維持する、そういう形での金融あるいは税制上のめんどうを見ていくという考え方があるのか、白書の中におきましても、その点の方針というものは明らかにされておりません。ですから明確にひとつそういう点をお答えを願いたい。
  174. 中野正一

    ○中野政府委員 零細企業というか小規模企業が非常に数が多い。いま御指摘がありましたように一人から四人の従業員の数というものは約二百四十五万、これは企業の数でございますが、あるわけでございます。非常に重要な問題であるし、特に基本法でも特別に一章を設けられまして、特別のきめのこまかい対策をやるようにということが書いてありますので、この趣旨に沿いましてわれわれとしては施策をいたしまして、小規模企業というか、零細企業というか、そういうものが健全に発達するようにわれわれとしては施策をやっていきたいというふうに考えております。
  175. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、零細企業というものに対しましては体質改善をするということですね。そうして成長さしていく、そのための資金というものを貸し付けていく、そういう基本的な考え方に立ってこれからの施策を進めていこうということですか。
  176. 中野正一

    ○中野政府委員 零細企業に対しましては、いろいろ政府が施策をやる場合に、実際問題としてなかなかむずかしい問題がございます。先ほど銀行局長が言いましたように、いわゆる金融ベースというようなものに全然乗りがたいというふうな零細企業もあるかと思います。しかし、できるだけ零細企業が健全に、安定的になるように、われわれとしては考えていかなければいかぬ、これはまた基本法に書いてある趣旨であろうと思います。したがって、基本法に書いてあるとおりの趣旨に従ってわれわれとしては努力をしていかなければいかぬというふうに考えております。
  177. 中村重光

    中村(重)委員 きわめて答弁が抽象的であるわけです。先ほどの銀行局長答弁にいたしましても、あるいは先日の福田通産大臣答弁を聞いておりましても、中小企業なかんずく零細企業というものを、農業の第二種兼業を引用して、対策を進めるにあたっては、第二種兼業は農業所得は少ないけれども、いわゆる農家所得は多いんだ、いずれにしても、その所得によって最低限度の文化的生活を営ませればいいんだ、そういう意味合いの御答弁があったわけです。中小企業の場合におきましては、特にこの零細企業の場合におきましては、農業のようなぐあいにはなかなかいかないのです。非常に深刻な状態でありますから、福田さんが農業の場合を引用してああいう答弁をされたということは、私は通産省の考え方、零細企業というものを体質改善をやって、そこで成長させるという考え方の上に立っていない、そう答弁の中から受け取ったわけです。いまあなたの答弁を伺っておりましても、明快ではありません。またいまの答弁だけでなくて、中小企業基本法と同時に出されました関連法を見ましても、あるいはその後今国会に提案されております関連法を見ましても、そうした零細企業対策というものが出ておりません。あるいは白書の中におきましても、ただ実情をそのまま明らかにしておりますけれども、これをいわゆる経済的な立場に立って中小企業、零細企業対策を進めていくのか、あるいはどうせこれは転落するものであるという形において、社会政策という形でこれを救済をしていこうとするのか、その点があいまいであるわけであります。また具体的な予算面から見ましても、いわゆる経営改善普及員というふうなもののべースアップの予算を計上しておるにすぎない。法案の中におきましても、ただいま申しました予算の面からいたしましても、零細企業に対しましてはきわめて冷淡であるといわなければならないわけであります。ですから、いまのような抽象的な答弁ではなくて、もっと具体的な、零細企業者に一つの展望を与える、ビジョンを与えるというような、そういうことでなければならぬと私は思います。政務次官並びに中小企業庁長官の重ねてのお答えを願いたいと思います。
  178. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 私は、農家経営と中小企業経営とは本質的に違う点があろうかと考えております。中小企業経営におきましては、そのときの経済状況が非常に鋭敏に反映をいたしまして、したがって中小企業の所得が急激に減少するという場合もございまするし、そのほかの経済現象によっても非常に影響を受けやすいのであります。農家経営につきましては、天災地変以外におきましては、非常な大きな変動のない限りにおきましては農家所得というものが、多少の変動はありましょうが、大体において安定線を確保されております。そういう点におきまして、中小企業経営というものが農家経営とは非常に本質的に違う点があるんじゃないかと思っております。これまで通産省におきましても、零細企業につきましては、いまお説のように経営改善普及員を増員いたしまして、このレベルアップをしまして、優秀なる経営改善普及員を配置いたしまして、個個に懇切丁寧に中小企業経営合理化していこうという点について指導したり、ある程度、金額におきましてはまことに微少であったかもしれませんが、中小企業、ことに零細企業に対する減税につきましては、いろいろ施策を講じてまいったのでございます。しかしながら、この二百四十五万の零細企業に対する施策としましては、政府としましても、もう少し何らか具体的に真剣にひとつ施策を講ずる必要を私どもも痛切に感じているわけでございます。さような点につきましてまたいろいろ御意見を拝聴し、また中小企業審議会におきましても、おそらく本年の議題の中心としましては、この零細企業をいかにして育成するかという点に重点的に論議が集中されるものと考えております。こうした点を十分に考慮のうちに入れまして、今後さらに施策を十分に生み出していきたい、かように考えている次第でございます。
  179. 中村重光

    中村(重)委員 零細企業対策について、何かあなたのほうで立法化するための研究をしておられることがありますか。実は基本法の審議の際にだいぶ議論になったわけですけれども、百本くらい準備して、実は基本法と同時に出したかったのだけれども、出せなかった。いまいろいろと具体策を練っているんだから、できるだけ早く提案をしたいという答弁をしておられる。前任者の時代でありますし、長官としてもいろいろ答弁しにくいでありましょうが、しかしちゃんと事務当局がおられて研究は続けておられるわけでありますから、そういう点をひとつこの際明らかにしておいてもらいたい。
  180. 中野正一

    ○中野政府委員 いま前任者の時代に——前任者というより基本法を通す際に、基本法に基づく関連法規をどの程度まで今後考えていかなければならぬかという点につきましては、あらためて御指摘の点を実は私も調査をいたしまして、研究を進めてまいりたいと思いますが、小規模企業につきましては、先ほど御指摘がありましたような経営改善普及員の予算を非常にふやす、これによって小規模企業経営の、特に税制面あるいは金融面等のお世話をもう少し親切にしてあげるということが基本じゃないかということで、これは十四億円の予算を計上いたしております。  それからなお、金融面としては何といっても国民金融公庫の金をふやすことが、結局零細企業に金がついてくる、必要な金が行き渡っていくという一番手っとり早い方法でございますので、この金を相当増額をする。それからその次の段階としては、やはり市中の金融機関からそういう零細企業の人も借りられるようにするというために、いわゆる保証制度の拡充、特に小口保証保険というものを拡充していく。これの元金をふやす。同時にまた、現在は小口保証保険は二十万円でございますが、あまりに低過ぎるということで、三十万円にしようというような改正を、今度の国会でこれはすでに御審議願って、衆議院は通っておりますが、そういうことを考えております。  なお、税制面につきまして非常にわれわれが努力をいたしましたのは、家族専従者控除、これを十二万五千円を十五万円にあげたということで、われわれとしてはもっと大幅な引き上げを考えたい。実際の家族専従者の給与、実際に収得しております給与というものに見合ったものは全額控除すべきであるという主張をわれわれはしたのでありますが、結局いろいろな関係で、税制調査会におきまして特別に十五万円という制度を初めて認めてもらった、こういうようなことをやっております。  そういうことで、まだ非常に不十分とは思いますが、今後も研究を続けていかなければならぬ。まだこれは具体的に研究はいたしておりませんが、いろいろ中小企業界から要望のございます点を申し上げますと、そういう小規模企業、零細企業に対して、いわゆる無担保あるいは場合によっては無保証——無保証となると金融ベースの問題になるかどうか、なかなかむずかしい議論が起こると思いますが、国民金融公庫の金にしても、保証協会の保証等の問題にしましても、もう少し簡易な手続で容易に零細企業者が金が借りられるような制度をぜひ考えてくれという要望が出ておりますので、この点については研究を続けたいと思います。
  181. 中村重光

    中村(重)委員 この点にもっと深く入っていきたいのですが、時間の関係がありますので、いずれまた適当な機会にお尋ねすることにいたしますが、いまあなたの答弁されたようなことを、いつも答弁するのでしょう。ところが、少しも前進がないのです。これではいけない。あなたのほうも白書を出されるときに、何か胸に感じるものがあったのだろうと思う、このままどうなるのだろうかと。いわゆる停滞をしておるわけです。このままで放置できないということをお考えになっていらっしゃると思う。全く零細企業というものは、私はお先まっくらだと思います。サービス業なんかのことについても、小資本でやれる、たとえば美容、理容その他いろいろあるのですけれども、小資本ですから、働いていても給料は安いのです。ですから、どうしても自分で店舗をかまえようとする。それで過当競争になってどうにもならぬという状態にあるということ。あなたのほうの白書の中にも、零細企業というものは非常に廃業がある、そしてまた新規開業というのがある、そういう非常な移動があるのだけれども、いつも二百四、五十万の数を維持しているといったようなことを書いてあるのです。ですから、たとえばサービス業なんかの場合は適正配置ということの必要はないかどうか。あるいは、非常にむずかしい問題であるとあなたのほうでも考えている、いわゆる企業合同というような形の問題ともっと真剣に取り組んでいく必要があります。そうしなければ、いまあなたが言われたような金融の問題であるとか、あるいは税制の問題も必要でありましょうけれども、構造的な問題ですから、そういう表面的な糊塗策だけではどうにもならぬと思います。ですから、この白書をお出しになったということについて、あなたに感じられる点があるなら、この際ひとつ構想でも、片鱗でも明らかにしていただけばけっこうだと思います。
  182. 中野正一

    ○中野政府委員 中小企業白書には、いま先生が御指摘になりましたように、非常に素直に事実を述べまして、問題点を指摘しておるわけでございます。しからばそれに伴う対策は別段やってないではないかと言われますと、確かにそういう御批判も受けなければならぬかと思います。特に小規模事業対策等につきましては、実はわれわれもいい案ができないというのが現状でございます。ただ、小規模企業といいましても、相当部分は小売商業でございます。それから工業関係につきましても、いろいろ業種、業態によりまして事情も違いますので、もう少しさらにきめこまかく掘り下げて、ただ上っつらな金融対策とか税制対策ということだけでなくて考えていかなければならぬのじゃないかという御指摘はごもっともだと思いますので、今後さらに検討させていただきたいと思います。
  183. 中村重光

    中村(重)委員 商店街近代化資金貸付制度ですか、今度、本年度から予算が初めてついたということになっているが、この商店街町ぐるみの事業というのは事実上できるとお考えになっていらっしゃるかどうか。また、相当運動がいままで続けられてきたのじゃないかと思うわけです、予算をつけてくれという。そうすると、具体的な計画を持って、そうして予算獲得の運動なんというものが行なわれたのじゃないかと思いますが、そういう点が明らかであれば、この際お答えを願いたいと思います。
  184. 中野正一

    ○中野政府委員 商店街町ぐるみの近代化の構想というのは、これは新しい来年度の構想でございまして、私もこの構想を聞きましていろいろ研究したのですが、一つの商店街を形成しておるものが、みんな一緒になって町ぐるみの改造をやるというようなことはなかなか容易じゃないということを最初から考えておりましたが、実際、予算をとる過程においては、その点まことにわれわれは戦いにくくて、応援隊がほとんどないということで孤軍奮闘いたしましたが、中小企業の革新的な近代化というようなことが言われておる勢いに乗じまして、これを獲得したというようなことでございます。実際は、これは予算をとりまして法律案もいま御審議を願っておりますので、各府県におきましても最近この問題については非常に熱心になってこられまして、いま約十カ所ばかり候補地が上がっておりまして、われわれの担当のほうに相談にきておりますが、非常に具体化されたものはまだございません。ただ、相当有望ではないかというのが、われわれが見ましても四つばかりあるわけであります。これはモデル・ケース的に、全国で五カ所しか予算をとれないわけですが、ぜひりっぱな計画のものをつくっていただいてやりたいということで、要するに町ぐるみに店舗を改造する。そうして、一つには、共同スーパーあるいは寄り合い百貨店、サービス・エリア、駐車場あるいは電気式の宣伝というふうに町全体を改造するわけでありますから、そこの町に住んでおられる方々がほんとうに気持ちを合わせて、また、よき指導者を持ってやらなければ決してうまくいかないと思います。必要な資金について半分程度無利子の金を貸すということで、助成としては相当行きわたった制度でございますので、その制度があるということが最近ようやく地方にわかってまいりまして、熱心に計画を立てているところがいま言ったように十カ所くらいあるという状態でございます。
  185. 中村重光

    中村(重)委員 構想としてほどうなんですか。大都会を考えているのですか。
  186. 中野正一

    ○中野政府委員 大体やはり中都会のところが計画の来やすい基盤があるではないかというように見ております。
  187. 中村重光

    中村(重)委員 具体的には、寄り合い百貨店とか共同スーパーという形で、町ぐるみですから、極端に言えば全商店に参加してもらわなければ町ぐるみという形にはならないわけです。いま十カ所ばかりの計画があるというが、どういう構想ですか。
  188. 中野正一

    ○中野政府委員 まだ各市とか府県から相談に見えている程度でございまして、具体的な計画というものは、こちらの助成の基準なり何なりというようなものと関連をいたしますので、最終的にはきまっておりません。きまっておらないというか、ここで御紹介するほど具体性を持ったものにはなっておりませんが、いま言ったように、この法案審議されておりますので、地方からも計画を立てたいということで十カ所ばかり熱心に申し出があるという程度でございます。
  189. 中村重光

    中村(重)委員 よい構想でありましても、失敗をするとそれはだめになってしまいます。あなたのいまのお答えでは、あまり具体的なものを持っていらっしゃらない。法律ができても予算がついていなかった、こういうことで、実は相当な運動があった、運動があるのだから、これだけでも予算をつけてやらなければならない、こういうことでおやりになったということではないのですか。
  190. 中野正一

    ○中野政府委員 いや、その点は、先ほど私が申し上げましたように、私予算をとる過程においてさびしい思いをして非常にがんばったということがほんとうなんですから、そういうことはありませんでした。
  191. 中村重光

    中村(重)委員 商店街の近代化資金の問題もそうですし、高度化資金のすべてですが、補助金が非常に少ないということが一点と、償却年限が短いということですね。農業のほうは相当改善されております。あなたのほうは押されております。これではだめです。先ほどの高橋銀行局長なんかの答弁を、あなたのほうでこれを聞きのがしていてはだめです。後日適当な機会にひとつ抗議をされるくらいの気魄がないとだめなんです。農業も中小企業と同じような立場に立って、その零細性で苦しんでいる。成長性が非常に低いわけです。しかし、農業のほうはけっこう補助金の額もふえるし、償還年限は長くなるし、相当改善のあとも見えるけれども、遺憾ながら、中小企業のほうははるかに取り残されておるということが、感じではなくて事実として明らかになっておるわけですから、ひとつあなたの気概で張り切って予算の獲得、内容等の改善をおやりにならなければいかぬと思います。そういうことについての決意のほどをこの際伺っておきたいと思います。
  192. 中野正一

    ○中野政府委員 私はそういう点についてはだれにも負けないで一生懸命やっておるつもりでございますが、しかし、先生からごらんになれば、まだ力の入れようが足りないということでありますから、なお私としては中小企業対策の確立のために努力をいたしたいと思います。ただ、大蔵省が先ほどああいうふうな意見を申しましたが、これは事務当局としてやはりそれぞれ各省の立場もございまして、それぞれ見方がやや違うという点はお許しを願いたいと思います。決してわれわれは大蔵省の意見に屈伏しておるとか賛成をしておるということでは絶対ございません。そのために、日夜われわれは中小企業のために予算獲得その他の問題について大蔵省とはいろいろ意見を戦わしてやっておるわけです。その点はどうぞ御心配ないようにお願いしたいと思います。
  193. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省はそういう立場があるからああいう発言をした、あなたがそういう形で了解するというに至っては、これはたいへんなあれですよ。あなたも一緒だということになってしまう。あの思想というものは、力の弱い者には金を貸さないということですよ。だからして、零細企業対策、小規模企業対策、そういうものが行なわれないで、中規模企業対策になっておるのですよ。金融にしてもしかり、税制においてもしかりなんですよ。だからして金融引き締め等も、いわゆる選別融資なんというものが行なわれて、ほんとうに金が必要であるところの小規模企業であるとか零細企業には回らないですよ。あなたはそういう点を十分おわかりだろうと思います。それはかばわれる気持ちはわかりますよ。わかりますけれども、ああいう思想でもってこのことを取り組まれたのでは、中小企業、なかんずく小規模企業、零細企業は浮かばれません。ですから、そういう点についてのあなたの決意のほどを伺って、大蔵省に対しても間違った考え方というものを直させるためにひとつ情熱を傾けて取り組んでもらわなければならない、こういうことで申し上げたのですから、もう一度ひとつあなたのこれから取り組む姿勢をお聞かせ願いたいと思います。
  194. 中野正一

    ○中野政府委員 私としては、いま先生の御指摘のような姿勢で毎日仕事をしておるわけであります。しかし、先生からごらんになって不十分だと言われるのであれば、なおもう少し私としては一生懸命にやるつもりでおります。私が先ほど言いましたことは、決して大蔵省の考え方に承服しているものでも屈伏しておるものでもない。私は中小企業の育成という立場から、大蔵省に対しては事ごとに発言をし、また強力に政策の転換を迫っておるつもりであります。
  195. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な点で一つただしておきますが、商店街近代化資金にいたしましても、これは一年据え置きでしょう。そして償還期限が四年でございますか。そうすると、この前山田さんが参考人として御出席になったときに、三年計画らいでやる、こういうわけですね。まあ二年計画、三年計画らいでずっと設備をやるわけですが、そうすると、近代化によるところの利益というものが上がらない前に償還を始めなければならないということになる。だから、相当無理が出てくると思うのです。せっかくのいい制度でありましても、そういう形で失敗をするということになりますが、そういう点を実情に即するとあなたはお考えになりますか、改めなければならないとお考えになりますか。
  196. 中野正一

    ○中野政府委員 そういう点につきまして、従来工業団地ですね、これは昭和三十六年からやっておりまして、大体全部で三十六年が十団地、三十七年二十団地、三十八年二十五団地で、五十五団地がいますでに実行に移りつつあるわけでありまして、先般もこういう問題につきまして、過去のいろいろな実態がどうなっておるかという実態調査もやりまして、いろいろ改善すべき事項がございますので、それぞれ改善すべき事項については手を打っておるつもりでございます。ただその過程におきまして、これは前々から業界からも非常に要望があったわけであります。土地の取得に対して一年据え置きの二年償還という三年の助成であったのでありますが、これはどうしても短過ぎる。大体団地の造成計画が三年計画なんですから、この点もいろいろ研究いたしまして、ようやくこれは大蔵省も納得してくれまして、これは政令改正でございます、法律関係ございません。土地の償還期限も五年にするということでございます。それからなお五年がちょっと短過ぎるじゃないかということは、業界のほうからは声が出ております。したがって、われわれとしても今後の研究課題とは思っておりますが、何しろこの制度自身が、政府政策全体からいうと、補助的な色彩の相当強い助成制度でございます。そういうようなことからいいまして、大体いままでの五十五団地の実績を見ますと、自己資金が三割、それから国と府県の助成金が二割、あとは借り入れ金五〇%くらいであった。ここに非常に問題がありまして、そのために最近起こっておる問題は、一、二例を申し上げますと、一応移転するわけですから、もとの土地はこれを売る、それは市内の値段の高いところあたりは相当高価に売れて、その売った金で借金は一部返すというようなのが構想になっておったようでございますが、ここらあたりがなかなか簡単にいかない。いざ売ろうと思うと、足元を見られて予定のとおり売れないとかいうような問題なんかも起こっておりまして、さらに実情を調べまして、改善すべきところは改善したい。確かに御指摘になったように、償還期限をもう少し延ばしてもらいたいという相当強い要望がございます。
  197. 中村重光

    中村(重)委員 研究課題であるとかもう少し延ばすとかいうことではこれはだめなんです。工業団地なんかにも私どもはいつも行くのですが、相当無理をしておるのですよ。それがあなたのほうにはおわかりにならない。いまの商店街の近代化資金にいたしましても、一年据え置きでしょう。そうすると、そこを店舗改造等をやるわけですから、別に売るものは何にもない、金が要るだけです。一カ所に国が五千万、都道府県が五千万出したにいたしましても、一カ所一億です。それだけの融資でもって何ができますか。自己資金というものはその三倍、四倍必要になってくるでしょう。それを三年や五年で返せといっても、返せる道理はないですよ。ましてや、据え置き期間が三年くらいあるというのならばわかりますけれども、まだ投資した金の利益を生まないうちから返していかなければならぬ。これは研究課題というものではだめです。即刻これを改めるということでなければいけません。ですから、政治というもの、あなたのほうでおやりになる行政的な措置というものは実情に即していかなければどうにもならないことですから、いまのような御答弁ではなくて、もっと実情に即するような措置をやる、こういうことでなければなりません。いま一度お答えを願いたい。
  198. 中野正一

    ○中野政府委員 いまの御指摘のような点については、十分研究いたしまして、できるものから適切な措置をとっていきたいと思います。
  199. 中村重光

    中村(重)委員 次に、中小企業の定義についてお伺いいたしますが、御承知のとおり中小企業は、冒頭に申し上げたのでありますが、五千万円以下、三百名以下の企業をもって中小企業、こういうことになっておるわけです。ところが「並びに」ということで、ある人はこういう解釈をするんですね。従業員が三百名であるが、資本金は三億であっても五億であっても、「並びに」だからこれは中小企業の範疇に入るんだ、こういうことを言われる人がある。またある人は、中小企業というのはやはり資本金は五千万円以下であり、従業員は三百名以下だ。ケース・バイ・ケースとして、「並びに」というのを利用して、たとえば鉱業のごとく、従業員千名、こういうこともあるけれども、あくまで原則は五千万円以下、三百名以下である、こういうことを言われる人もある。ところがいまあなたのほうで進められておる中小企業の施策というものはこの「並びに」というのをあまりにも利用しておられる。資本金五億、十億というような、いわゆる大企業の範疇に入るものを数多く中小企業として金融、税制の対象にしておられるというような点が私はあるんではないかと思います。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、いま中小企業対策として措置しておる企業のうち、資本金の額の最も大きい企業ですね。それはどの程度までになっておるか。また、五千万円以上の企業を中小企業対象に入れて措置している企業の数はどれだけあるか、まずその点を明らかにしていただきたいと思います。
  200. 中野正一

    ○中野政府委員 ちょといま資料をさがしておりますが、この間中小企業公庫の総裁をお呼びになって御質問の場合に何かあれがあったと思いますが、たとえば中小企業金融公庫の融資を、これはやはりいま御指摘のあったように従業員数で三百人以下または資本金でいうと五千万円以下、こういうことになっておりますので、従業員のほうが三百人以下であれは、五千万円以上のものでも貸し得るというたてまえにはなっておるわけでありますが、実際に——ちょっといま資料をさがしておりますが、たしか私の記憶しておるところでは、中小企業金融公庫の貸し出しのうちで、五千万円以上の件数で〇・七%、金額でいって二・九%というのが実情でございます。それからなおわれわれとしては運用面につきましては、法律規定がこうなっておるから、どっちか一方が中小企業の定義であれば片方はもう全然およそ中小企業と見られないような、いわゆる中小企業性のないような企業まで取り上げるというような運用はやっておらないつもりでございます。
  201. 中村重光

    中村(重)委員 そのパーセンテージも必要ですが、中小企業として措置しているもので、資本金最高どの程度までの企業を中小企業として扱っているんですか。ケース・バイ・ケースでやっているんだろうとは思いますけれども、あなたがそれがわからないはずはない。
  202. 中野正一

    ○中野政府委員 正確なことは、いま公庫の貸し出し等にあたってどの程度の規模のものまで、これは資本金のほうでございますね、貸しているかということは、後ほど調べて御返事いたします。ただ、私の申し上げておる気持は、いわゆる中小企業性のある企業というようなものを、どういうとらえ方でやるかということで、いろいろ定義はあるわけでございまして、したがって、その趣旨に沿って、いわゆるだれが見ても大企業というようなものに何もわざわざ中小企業対策をやる必要がないことは明らかでございますので、運用面につきましては相当気をつけておりますので、そんなに不都合な例はないんじゃないかというふうに思いますが、しかし、なおこれは調べて御返事申し上げます。
  203. 中村重光

    中村(重)委員 これほど中小企業の問題が議論をされているときですよ。金融上あるいは税制上、中小企業というものの範疇にどの程度のものが入れられておるだろうか。いわゆる「並びに」というのがどの程度利用されているのだろうか、極端に私をして言わせれば、これは悪用であると申し上げ得るわけです。そういうことがあなたのほうで明快にすぐ答弁ができないということではだめだと思う。大体熱意がないというのか、怠慢であるというのか、そういうことに関係をいたしましての私が資料の提出を求めたのはいつですか。まだあなたのほうでは資料の提出はないんじゃありませんか。一件でもまだ資料の提出はないですよ。もう何日になりますか。この中小企業六法の審議に必要である資料として要求しているわけですよ。できたのから一件ずつでも提出をされることが私は当然だと思う。大体熱意がない。
  204. 中野正一

    ○中野政府委員 先般来先生からいろいろ資料要求がございまして、これにつきましては全力をあげてつくりまして、逐次出しておるつもりでございます。ただ一件だけどうしてもできない——出しております、全部出しております。資料を全部要求されたとおりのものを出しております。ただ一件、先生の言われた中小公庫等協調融資の実績を出せ、これはどうしても私どものほうで幾ら調べましても、そういう調査というようなものはございませんので、それはお断わりを申し上げまして、御了解を得まして出しておりません。
  205. 中村重光

    中村(重)委員 いまの点は私がこの前も質問しているのですよ。いわゆる中小企業の範疇にあるもので、資本金額がどの程度までの企業を中小企業として措置をしているのか。資料も要求したけれども、あなたのほうに質問をしておる。ですから、もう相当の期間がたっているのだから、いまの私の質問に対しては明確にお答えができなければならない。またあなたは、資本金が五億あるいは十億といったようなものが中小企業として扱われているのではないか、また、それがそういうふうに措置されておるとするならば、どういう必要性からそういうことになっているのかということに対しての関心をお持ちにならなければならぬと私は言うのです。ですからこの定義の問題というのは、私たちは非常な関心を持っているのですよ。「かつ」であるか「並びに」でいくか、「並びに」ということになってくると、従業員が三百名であると、資本金は五千万以上一億でもあるいは二億でもいいのだという、こうなってくるとこれは無軌道になっていく。せっかく中小企業というものは資本金五千万円以下、従業員三百名以下という原則を打ち立てたことが意味がなくなっていく。こういうことになるから、この「かつ」とか「並びに」という問題は非常に重要な問題である。しかもこのことは中小企業基本法が提案され、審議されたときに議論の中心にもなってきた問題でもあるからして、当然あなたのほうではこのことに対しては関心を持って、いまの質問に対しては明確に答えるだけの準備がなければならないと思う。
  206. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまの御質問でございますが、現在通産省側に個々の企業別の調べができておりませんので、一応中小企業金融公庫等を通じまして、特に中村先生のおっしゃったような五億、七億の大きなところにどの程度の金融をやっておるかということを調べまして、まとめて御報告申し上げたいと思っております。ただ現状から見ますと、私どもが現実に中小企業の方々にお会いしておりますと、こういうことを言っております。たとえばある小さな請負業者でございまして、それが東京都庁の指名に入りたいという場合におきまして、東京都庁においては少なくとも資本金一億円以上の業者でなければ指名入札に入れることができない、こういうようなことを言われまして、現在五千万円程度の資本金を一億に増資したり、あるいは一億二千万円に増資したりなんかしておる会社等もある。さて、その実態をよく検討しますと、これは全く中小企業でございまして、資本金が一億五千万円あるからして、あるいは二億あるからして大企業であるかというと、必ずしもそうではない中小企業が相当多いわけであります。実際問題を取り扱っておる中小企業金融公庫等がその実態を見ておそらく私は金融を講じておるのではないかと考えております。さような点もございますので、一度中小企業金融公庫等の実態調査しまして、いま先生のおっしゃるような七億とか八億とかいうような資本金の中小企業に実際融資しておるかどうか、しかもそれがまた中小企業金融公庫として、中小企業としてこれをどの程度見ておるか、そういう点を意見は十分聞きまして、通産省側としても、大切なことでありますからよく調査して、いずれ御報告申し上げたいと思います。
  207. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、資本金が一千万円のときに、二億の資本金を持つ企業を中小企業として扱っておる、こういう事実もあるわけです。そうすると、資本金は五千万円だったでしょう。それによって資本金五億、十億という企業を中小企業として措置されることになってくると、これは金融上、政府機関の金融の場合なんかにも、小規模企業等に大きなしわ寄せになる。財政投融資が相当ふえてきた、こういうことになってきましても、資本金額が大きい非常に力の強い企業にその融資が集中してくるということになってくるならば、かえって小規模企業は資金的に行き詰まっていくという形になるわけです。ですから、私が執拗にこういう問題をお尋ねいたしておりますのは、そういういわゆる金融上の問題とか、その他いろいろ企業間の格差あるいは地域間のそういう格差が拡大する危険性があるということで申し上げておるのでありますから、長官としてもひとつ十分研究をされて、質問の際には、そういう問題点に対しては明確にお答えができるように準備をしていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  208. 板川正吾

    ○板川委員 資料要求をいたしたいと思います。  最近、東京発動機株式会社が倒産をしましたが、その倒産に至った事情、それから倒産が中小企業者に与える影響、その中小企業者の救済対策というのはどういうふうに考えておるのかという問題と、それからこの倒産の過程において、なれ合い倒産ではないかといううわささえあるものですから、そういったような事実についていずれ委員会で質問したいと思いますが、これは中小企業庁でわかるだけの資料をそろえて出していただきたいと思います。
  209. 中野正一

    ○中野政府委員 できるだけ御希望に沿うようにいたします。
  210. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。  三案の質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  次会は、明後二十七日金曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十六分散会      ————◇—————