○加藤(進)
委員 長官も、きわめて不十分ながらということを率直におっしゃいました。私は、現在の
中小企業の求人難という問題は、いま言われたようなささやかな措置や努力だけではとうてい
中小企業の要望にこたえるものではない、こういうように考えております。では、大
企業はどうであるか、大
企業にも求人難の
状態は同じようにある、こういう御
説明が
先ほどありました。しかし、大
企業はその
資本力にものを言わせて、もう至るところに駐在員を配置しております。ありとあらゆる手を使って勧誘運動をやっております。あるところでは在校中の中学生に対してまで、新聞で青田刈りといわれるような求人さえ公然とやっております。ところが、これに対して
政府は、電子計算機まで使っておられるそうでございますけれども、労働力の流動
状態を全国的に
調査して、その
調査の結果は大
企業向けの労働力確保のために使われてきておる、こういうのが実情ではないのでしょうか。
中小企業は、こういう大
資本の求人攻勢に自力ではとうてい立ち向こうことのできない実情にあるということは、皆さんも御承知のとおりです。したがって、もし
中小企業が求人難を解決しようとするならば、それは経営の
状態に目をつぶりながらあえて賃金の引き上げをやり、厚生施設その他の拡充のために必死の努力を払って、その結果は経費の異常な膨張というような危険にさらされるか、それとも
企業を縮小するとか転廃業を行なうとか、そのいずれかの道に追い込まれざるを得ない、こういうのが実情だと私は考えております。
政府の
説明のようなささやかな
対策や予算措置で
中小企業の労働力を確保できるなど、私はとうてい思いもよらざることであると考えております。したがって、このような
状態で、
中小企業の求人難に対してこそくな手段しか講じておらない結果どういうことになるかといえば、帰するところは、国内の労働力はあげて大
資本に集中され、大
資本に独占されるという結果になることは言うまでもないことであります。
中小企業の労働力を真に確保するためには、どうしてもやらなければならぬことがある。それは
先ほど藤田委員も
指摘されましたように、大
企業との賃金格差をはじめとして、労働条件の格差を改善して、
中小企業に働く労働者でも生活の安定と張り合いのある労働条件の中で働くということを保障していく以外には私はないと考えております。しかし、こういうことが言われても、これを
中小企業自体に自力でやれといっても、これはとうていできるものではございません。それには
政府が進んで
中小企業といわず、大
企業といわず、すべての労働者に、憲法で保障された健康で文化的な最低生活を保障するという、
藤田委員の
指摘されましたような全国一律の最低賃金制を制定し、これを実施する、こういう
責任のある態度をとる以外に私は解決の道はないと考えております。なるほど最低賃金制が制定され、そしていわゆる業者間協定という最低賃金制度があるところで実施されております。しかし、このような最低賃金制さえ労働者が抜きにされて、
資本家と
政府がかってに話し合って労働者の賃金をさらに押えていくというような結果におちいっていることは周知の事実です。しかも、こういう最低賃金制が
資本家の予想しておったような実際の効果をあげておるかどうかという問題があると思います。まさにそのような効果さえいまは発揮できないような
状態にある。したがって、このような業者間協定による最低賃金制は、
中小企業の労働力不足を解決することもなく、また、その流動化を食いとめることができないというような
事態にあることも御承知のとおりであります。あえて全国一律の最低賃金制を保障していくということは、
中小企業を守るという
立場から見て、どうしても実現されなくてはならない、こういうふうな問題であり、これは
中小企業の業者ばかりでなく、
中小企業で働く全労働者の死活の問題である。このことを強調したいと考えます。
第三の問題に入らしていただきます。
零細企業について
お尋ねをいたします。御承知のように、
中小企業の中でもその七八%を占めるのは
零細企業の存在でございます。
政府はこのような
零細企業を、また、
政府の
ことばによれば小
規模企業を、産業としてこれを維持し、育て上げていこうとするような御決意があるのか、その
対策と将来の
見通しについて私は
中小企業庁の長官にお聞きしたいと思います。