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1964-02-21 第46回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十一日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 始関 伊平君  理事 中村 幸八君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君    理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       岡崎 英城君    神田  博君       菅野和太郎君    佐々木秀世君       田中 龍夫君    田中 六助君       中川 俊思君    野見山清造君       長谷川四郎君    南  好雄君       村上  勇君    大村 邦夫君       加賀田 進君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    麻生 良方君       伊藤卯四郎君    佐々木良作君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君  委員外出席者         議     員 神田  博君         議     員 春日 一幸君         専  門  員 渡邊 一俊君 二月二十一日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  佐々木良作君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  伊藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消費者基本法案春日一幸君外一名提出衆法  第一号)  石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案  (内閣提出第五二号)  電源開発促進法の一部を改正する法律案小笠  公韶君外六名提出、第四十五回国会衆法第一  号)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第二五  号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  春日一幸君外一名提出消費者基本法案議題といたします。  まず、提案者より趣旨説明を聴取いたします。春日一幸君。     —————————————
  3. 春日一幸

    春日議員 ただいま議題に供せられました消費者基本法案提案理由説明いたします。  本案前文の冒頭に述べましたように、国民個人消費、すなわち年間の国民所得支出面で分析いたしますると、そのうちで個人消費支出の大きさは、全体の過半を占めており、経済活動基盤となっております。しかるに、現在の国の経済政策生産流通本位で、国民消費についての施策ははなはだしく立ちおくれておるのであります。  しかも最近は、技術革新の進展に伴って生産力は増大し、かつ国民消費購買力も増大して、いわゆる大量消費時代流通革命時代に入りまして、商品サービスの種類はますます多くなりました。かつまた、大企業生産流通部門に強く進出してまいりまして、消費者は王さまという美名のもとに、実は国民消費生活が大企業本位経済機構に完全に巻き込まれるに至っておるのであります。  申すまでもなく、国民は毎日の日常生活で、すべて消費者であります。したがって、国民日常消費についての国の施策を充実し、確立することは、国の主権者である国民消費を充実し向上するという国の施策の当然の義務を履行するものであります。  この意味において、本案は、国民消費生活の向かうべき新たな道を明らかにし、消費保護と充実についての政策基本を定めるものであります。  本案は、ただいま申し述べましたような趣旨を明らかにした前文と、法の主文で構成されております。  法の主文は、第一章総則、第二章一般消費者保護、第三章行政機関及び消費者団体、第四章消費者保護政策審議会の四章よりなっております。  第一章総則の第一条、政策目標として、本案にいう国民消費生活に関する国の政策目標は、国民日常生活の用に供される商品サービスについてである旨を明らかにしました。すなわち、本案は、特殊な高級消費、浪費、ぜいたくの購入までも政策対象とするものではありません。あくまでも国民日常消費のみを対象とするものであります。  第二条で、国の施策基本は何であるか、十項目に分けて明らかにしました。この内容は、第二章で各条ごとに具体的に規定することにいたしました。かつまた独禁法で指定いたします不当行為不正行為についても、本案施策範囲といたしております。地方公共団体も国の施策に準じて施策を実施することといたしまして、政府は実施に必要な法制、金融財政上の措置をとるものであります。  第二章では、価格、計量、商品表示、危害の防止標準化の各条項を定めて、商品サービスが持つ本来的な要素についての基本政策を定めました。  本案の特長とするところは、それらの条項に続く第十二条、国民普及型商品、第十三条、消費者金融、第十四条、不利益救済、第十五条、消費者教育広報活動、第十六条消費者意見の国の施策への反映の各条項であります。すなわち、第二章第七条、価格より、第十一条、標準化までが、商品サービスが本来的に持つ要素についての基本規定であるのに対しまして、第十二条から第十六条までは、積極的に国民日常消費を充実し向上するための基本規定であります。  第十二条、国民普及型商品とは、家庭電気器具大型家具類などのような耐久消費財をより多くの国民家庭に安い価格で供給する態勢をつくるための施策であります。いまやこれらの商品は大企業が大量生産し、誇大な宣伝のもとに販売しておりますが、毎年のように新型品を販売して、新型なるがゆえに価格引き下げをなかなかやらないという営業方針をとっておるのであります。これに対して、本案では、国民普及型商品を指定した耐久消費財商品について法定して、これを安い価格で大量供給する制度を確立するものであります。なお、これらの普及型については、企業側がアフターサービス義務を負うことといたしましております。  消費者金融不利益救済消費者教育消費者意見については、それぞれの条項を御参照願います。  第三章は、第十七条、消費者保護行政について独自の行政組織を確立すること、第十八条、消費者団体を育成し整備する規定であります。  第四章は、消費者保護政策審議会でありまして、特に総理府に設置して行政機関に諮問せしめ、これの答申を得、調査審議する民主的な諮問機関といたしております。  以上が本案の概要でありますが、何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いをいたしまして、提案説明を終わります。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案議題とし、審査を進めます。  本案についての質疑を終局するに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————
  7. 二階堂進

    二階堂委員長 次いで討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  採決いたします。本案原案のとおり可決するに賛成諸君起立を求めます。  〔賛成者起立
  9. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 次いで、小笠公韶君外六名提出電源開発促進法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本案質疑を終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よって本案質疑は終局いたしました。     —————————————
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、本案に対する討論通告があります。中村重光君。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 私は、ただいま議題となっております電源開発促進法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表した反対の意を表するものであります。  第一は、本法案提出あり方でございまして、私といたしましては、簡単な本法案が、何ゆえに政府提案という形をとらなかったのか、しかも今国会には電気事業法案、さらには電源開発促進法の一部を改正する法律案政府提案として用意されておることも御承知のとおりでございます。これらの点から考えましても、本案議員提出という形で提案されたことは、どうしても納得できないところであります。  次に、理事増員理由でございますが、どうもその理由が薄弱であると存ずるのであります。もちろん私どもといたしましても、電源開発株式会社が今日までわが国経済発展に寄与してまいった役割りの大きかったことは十二分に承知いたしております。それだけに、私といたしましては、かえって残念に思っております。  電発法制定以来十年以上の年月を経ておりまして、電発法制定当時と政治的にも経済的にも大きな変化を見ておる現状にかんがみまして、この際電源開発会社あり方を再検討し、電発使命を明確にしてから理事増員をはかることが当然ではなかったかと存ずるのであります。さらにまたつけ加えて申し上げますと、この理事増員に対しまして通産大臣あるいは田中政務次官、あるいは電発総裁等から御答弁を伺ったのでございますけれども、どうもその増員理由が明確ではございません。しかも通産大臣は、これは議員立法であるから、政府としては意見を問われるならばお答えをいします、事業が非常に膨張しておるのであるから、理事もふやさなければならぬと思っておりますといった、きわめて第三者的な、そういうような答弁は私は全く誠意がないと申し上げなければなりません。むしろこの増員に対して消極的な態度をとっておられるとさえ解せざるを得ないのであります。  以上申し上げましたようなことから、本法案に対しまして反対する次第であります。
  14. 二階堂進

  15. 内田常雄

    内田委員 私は、ただいま議題となっておりまするところの電源開発促進法の一部を改正する法律案につきまして、自民党を代表して賛成意見を表明するものでございます。  御承知のように、電源開発株式会社昭和二十七年に発足をいたしましたものでございますが、この発足以来十年余をけみしまして、その間この会社のあげました業績はまことに刮目すべきものがあるのでございます。たとえまするならば、水力設備といたしましては二百十数万キロワット、また火力設備も十数万キロワットを完成しているほかに、超高圧送電線を主体とする一千キロメートルをこえる送電線設備と、またこれに関連する変電設備の完成をなし遂げまして、電力供給の安定、またわが国産業発展国民生活に多大の寄与をしておりますことは、すでに委員諸君が御承知のとおりであります。しかるに今後の水力開発について考えますならば、この水力開発事業は、開発供給複雑化に伴いまして非常に困難性が加わってまいりますることは言うまでもありません。また、一時に多額の建設資金を要することももちろんでございまして、私企業のベースでは今後の水力開発は容易ならぬものがございますので、かような観点からいたしましても、今後はこれらの電源開発相当部分長期低利財政資金を付与し、また水力電源開発には豊富な経験を有するこの電源開発株式会社に引き続いて担当させることが国民経済的にも望ましく、また火力発電設備も、石炭需給の安定というような見地から、当社が今後さらに新しく多くのものを担当することを考えてまいりまするならば、電源開発会社に対しまして私どもが期待する面は非常に多いのであります。しかるに、この十数年間当社役員機構は、発足当時のままわずか五名でありまして、今後各般の業務の遂行、各方面との交渉や折衝をとうてい処理し切れない実情にあるわけでありまして、そのような見地から私ども議員がこの法律案提出したものであり、またこの法律案を出しましたのは今回に始まったわけではございませんで、すでに解散前の通常国会においてこれと同様の法案提出し、また解散後におきましても、特別国会提案して、今国会にわたって継続審査で十分の審査を行なっているのであります。この法律案に対しましては、本委員会におきまして福田通産大臣以下政府当局の意向を承りましても、私ども提案妥当性を是認しておられるわけでありますので、私はここに自民党を代表して本案の成立を支持し、賛成意見を表明する次第でございます。
  16. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。  〔賛成者起立
  17. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました両法案に関する委員会報告書の作成に関しましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、よってさよう決定いたしました。  〔報告書は附録に掲載〕
  20. 二階堂進

    二階堂委員長 内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  21. 板川正吾

    板川委員 公正取引委員会、すなわち独禁法運用する公取使命というのが社会的に非常に注目をされてきて、特に池田内閣所得倍増政策というのが高物価をもたらして、この物価政策ということを基盤として所得倍増政策が大きな批判を受けるようになった。その高物価の原因を探求いたしますと、管理価格なりあるいはカルテル価格なりというものがあらゆる産業価格の形成の基盤にありまして、物価硬直状態をもたらしておる、こういうことになっておると思うのであります。そうした国民消費生活を守るという意味で、公正取引委員会の任務というのが重要になったというように思うのであります。そこで公正取引委員会を強化するということは、政府物価政策からも最近非常に強調されております。ところが今度の法案を見ますと、そのわりあいに、少しも公取を強化しようというような——まあ宣伝ほどじゃないのですね。十五名しか人をふやさない。特に北海道を六名ふやすと、九名という程度であって、公取の大幅な権能強化ということを実は政府がそれほど真剣に取り上げていないのじゃないかと思う。この点については、あと総務長官経済企画庁にお伺いしたいのですが、その前に公取委員長に、過般公取委員会業務の概略について報告をされましたその中から拾い上げて二、三お伺いしたいと思います。  一番に、独禁法被疑事件百五十一件について審査を行ない、四件について審判の手続を開始し、二十一件について勧告を行ない、審決を行なったものが十四件ある、こういうふうにございますが、こうした被疑事件対象になったものは、大企業中小企業というふうに分けると、どっちが多いのですか。
  22. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまここで正確な数字は持っておりませんが、係の説明によりますと、大企業関係のものと中小企業関係のもの——どの程度のものを大企業といい、どの程度のものを中小企業というか、一応中小企業基本法の辺を標準として考えた場合、大体中小企業のほうが半分よりちょっと多い程度、こういうふうにお考えになっていいようであります。
  23. 板川正吾

    板川委員 この被疑事件対象になった百五十一件につきまして、それぞれの事業分野で大企業中小企業区分がございます。ないのは中小企業基本法区分でけっこうですが、あと資料として出してもらいたいと思う。私は、独禁法のこういう対象になるのは、大企業の場合には、たとえば寡占的な地位にある場合には、カルテルを結んでも、これを協定によってこういうことをやっているんじゃないかということを調べ上げるのはなかなかむずかしいと思う。中小企業零細企業になるほど数が多いから、カルテルを結ぶ場合にはどうしても何かの大会を持つということになって、実はそういう中小企業カルテルは非常に見つかりやすい、被疑事件対象になりやすいが、大企業には少ないというようなことになっておるのじゃないかと思ったのですが、これはあと資料として出していただいて検討してみたいと思うのです。  それから第二は、国際契約届け出が七百八件にのぼっておる、前年に比較して二倍強の増加となっておる、今後自由化に伴ってこの業務が一そう重要になる、こういう報告がございますが、これは独禁法六条によって、国際契約を結んだ場合には口頭であろうとも文書であろうとも、文書をもって公取届け出を出せ、こういうことになっておると思います。そこで、この七百八件の国際契約というのは、報告は書面ですが、実際に口頭で結ばれたものはこの中にどのくらいありますか。
  24. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 口頭で結ばれ届け出がされたという事案はほとんどないんじゃないか、いま係の者がおりませんので正確なことは言えませんが、ほとんどないというふうに承知しております。
  25. 板川正吾

    板川委員 国際契約で、届け出がありまして、それを見てこれは不当な取引制限ではないか、こういうような案件はあったかないか、あったらどの程度か。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在のところ、届け出のあった国際契約につきまして、これが独禁法違反であるということで問題に取り上げた事案はございません。
  27. 板川正吾

    板川委員 これはこの前中村君が聞いたかどうか知りませんが、合併独禁法が非常に障害になっておる、こういう批判を受けるわけです。今度出されておる特定産業振興法ども、当初のうちは、企業合併独禁法障害になっておる、こういうことで特定産業振興法というものを用意したのでありますが、この合併については独禁法特別障害になっている問題は一つもない。これは通産側からいわせると、事前に一応こういうケースはどうだろうかという内意を伺って、公取では、それは全然だめだ、それは出してみれば検討してみましょうというので、事前審査といいますか、それでだめなやつは断わるということだったが、それは全体でどのくらいの件数、割合ですか。多いのですか。
  28. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 公取の立場としますと、あまり事前にものを言うというのはちょっといかがかと思うのですが、しかし相談がありました場合に——アメリカなどでは、出してみろ、そしておれたちがやるんだというような態度をとっているような話も聞きますけれども、はっきりこれは無理だというのがあれば、これは一応委員会としての正式な意見ではないけれどという程度の条件で話をすることはあるわけですが、過去におきまして、私の聞いております範囲におきましては、この間もちょっと申し上げましたが帝国製麻中央繊維ですか、あれが現在は合併になりましたが、あの数年前にやはり同じような話がありまして、そのときにおきましては、まだ繊維事情などが、だいぶ麻の持っている地位が独自のものであったというので、現在の段階においてこれが合併しますと、少なくとも麻に関する限りにおいてほとんど一〇〇%近い市場占拠率になる、これは無理だという話をし、そのときは一応会社のほうとしても合併届け出はしなかった。その後繊維事情がずいぶん変わりまして、麻の事情が変わってきたというのでまた話が再燃し、われわれのほうとしてもそれは別に排除措置をとらなかった、こういう事例一つ聞いておりますが、それ以外におきましては、会社のほうもそのつもりで考えて、あまり無理なものを持ってくるつもりがないゆえと思いますが、過去においてそうした事例はないと聞いております。
  29. 板川正吾

    板川委員 独占禁止法上特に問題になるような合併は一件もなかった、こういう報告があるが、それは口頭相談に行ったときに断わられるのだ、こういう説もあったわけであります。しかしそれはいま言ったように、十年近く前に二、三件あったという程度であって、そういう事例はそうたくさんあったものじゃない、こういうことです。そうすると、特に独禁法がいまの合併に大きな障害にはなってなかったということになると思います。それはそれでけっこうです。  次に、不当景品不当表示防止法運用について報告が出ております。またこれに排除命令を出した資料も出されております。今度の法案ではこの不当景品不当表示防止法を担当する職員を若干ふやすという提案理由になっておるわけです。不当景品不当表示防止法で九件排除命令が出ましたけれども、その排除命令を出された対象、相手方は、地域的にはどういうところが多いですか。
  30. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 不当表示について、この報告で三十八年の一月一日から十二月三十一日まで、これは七件ですが、その後何件かありまして、現在までに排除命令を出しましたのは十二件ございますが、その十二件はいずれも土地売り出し広告といいますか、これに関するものでありまして、地域としましては、東京を取り巻いているその周辺地域というものでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 この十二件のうちに、横浜が一件で、あとは全部東京ですね。そうすると、こういう土地不当表示ですか、誇大広告というのは都市が中心だから、東京都が中心になることもやむを得ないと思うのですが、しかし同様のものはやはり大阪なり名古屋なり、そういう六大都市にもあると思うのです。しかしそういう地域にはなくて東京だけでやられておるというのは、東京以外の主として六大都市というところでは不当表示防止というのが実は完全な形で行なわれてないんじゃないか。たまたま東京公取の本部があるし、いろいろ目につきやすいというだけで、地域によって不当表示防止法に対する運用が十分じゃないんじゃないですか。この点どうお考えですか。
  32. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 過去においてのことにつきましては、御承知のように大阪名古屋等地方事務所もございますが、手も少ないことで、問題になった事件がないということが、即そういう事実が全然なかったということを意味するものとは私としても思っておりません。その意味におきまして、特に宅地の売買につきましては、買い手も非常に迷惑する事実もございますので、現在打ちました手の一つは、この法律規定によって公正取引協議会をつくることができることになっておりますが、東京にまず協議会ができました。同じような意味におきまして、関西におきましても、大阪中心とした近畿においてやはり取引協議会をつくる。公正競争規約をつくり、同時にそれを実行するための機関として協議会ができております。もちろんアウトサイダーもあるわけですし、問題はアウトサイダーに多いわけですから、したがいまして三十九年度の対策としましては、東京はもちろんやりますが、同時にその他の地方におきましても同じ問題のあることをおそれまして、モニター制度といいますか、単に職員だけでなくて、一応嘱託的な人に、これはもうほんとうに問題を提起してもらうというだけでけっこうなんですが、こういうような妙な広告があるぞといった問題を提起していただいて、それをわれわれのほうとしては審査対象にする。そして要すれば排除命令を行なう。現在名古屋にはまだ公正取引協議会というのはできておりませんが、まあ問題になるのは大都市中心だと思いますが、東京、それから大阪中心には一応布石が打てましたので、漸次これをもっと広げていきたい、同時にモニター制度を活用していきたい、こういうことによりまして、単に従来東京中心でやっていたそうした措置をもう少し広く広げていきたい、そのために必要な予算は今度の予算案の中に盛られておりますので、相当の効果をあげ得るのじゃないかと思っております。
  33. 板川正吾

    板川委員 全国で登録された土地建物のあっせん業者というのはどのくらいありますか。
  34. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 非常に恐縮ですが、御承知のように全国登録とか府県登録とかいろいろございまして、いまその数字を私のほうで持っておりません。
  35. 板川正吾

    板川委員 その中で、東京大阪公取運用に協力しようという団体、それからまたそれに参加してないいわゆるアウトサイダー、これとの割合はどうかなと思ったのですが、それはたいした問題じゃないから答弁しなくてもいいが、しかしこの不当表示防止法というのは実は東京中心にちょっぴり行なわれているだけであって、大都市中心に全国的な傾向があるのに、十分な運用がなされてないじゃないか、今回これは、取引課ですか、三名ほどふえるけれども、三名ふえる程度で一体できるのか、あるいは名古屋大阪地方事務所というものを、もっとそういう面における人員の強化をはからなくちゃならないのじゃないか、今度の場合には公取本部の中で三名ばかりふえる、こういう形だけなんで、十分じゃないじゃないかと思うのです。  それはまた総務長官あとで伺うとしまして、次に、小売り業の価格表示で、特に観光みやげものの不当表示というのがまだまだ日本に多いんじゃないかと思う。これは一例でありますが、別府からザボンづけとかなんとかいうものを送られた。大きなかごに山盛りにザボンづけがあるように表面はなっておる。ところがそれを見てみたら、山盛りになっておるのは上皮の一枚だけで、中は新聞紙が山のように入れてあって、中身は実は山盛りじゃなかった。表面一皮だけだった。これは買う者からいえば、山盛り二百円か三百円か知りませんけれども、案外安いなと思って買ったのじゃないだろうか。ところが実はそういうように誤認しやすいような状態にしておいて、中は新聞紙が山とあって、その上に一枚並んでおるだけだ。こういうような例もあります。そういう不当表示的なもので、その場だけ一時的にお客さんをごまかしておこうというのは、大体が後進国の通弊です。こういうものが許されているということは、それだけその国の文化的な尺度が非常に低いということにもなるのじゃないかと思う。特にことしはオリンピック等がありますから外来者がたくさんある。そういう、ことばも十分ではない、事情もよくわからないという人のためのことを考えると、みやげ品についてはとにかく不当表示のないように、公取で目を光らさなくちゃいけないと思うのですが、その点はどういうような監視の仕事をやっておりますか。
  36. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 みやげ品の表示につきましては、私のほうもいろいろな立場で検討しております。お話しのように実体と、見せかけといいますか外観とが非常に離れているようなみやげ品がかなりあります。しかしどうも買い手のほうにも二つの心理があるように思います。一つは、自分のうちへ持って帰って食べるのだったら、これは中身本位ですが、しかし近所へおみやげに配るとかやるとかいうことになると、やはりある程度上げ底があることを承知でも、あまりみっともない箱よりは少しかっこうをつけた箱のほうがいいんじゃないかといったような心理もあるのじゃないか。これはわかりませんが、そういったような問題もあるものですから、これは要するに、観光の関係の府県なり市なりの意見もいろいろ聞いているのですが、確かに外国人相手にということを考えますと、非常に変なやり方だと思っております。しかし、さてどこまで一がいにこれがやれるかという点になりますと、現状から見まして、かなり全国的に一般的になっておる問題でございますので、この間栃木県の協力を得ましてある程度調べてみましたが、どの程度をもって不当表示とするか、どの程度までは許容すべきかという点については、結論を出すまでにはもう少し慎重に考えてみる必要があるのではないか、かように考えております。
  37. 板川正吾

    板川委員 箱があれば底がありますから、底があるのはいいけれども、上げ底があるということは、上げ底をやって、そういう行為を行なって利益を受けるのはだれかといえば、それを売る人であって、買うほうの人が上げ底を喜んで買うということじゃないと思うのです。それはなるほどおみやげにやるときはていさいがいいほうがいいと思って買うことがあるかもしれませんけれども、しかしもらったほうは、たいへんりっぱに見えたけれども、底が半分ぐらい上がっていたをいうことになるわけであります。だからそういう上げ底をある程度歓迎するような向きがあるといったって、それは一般的に通用しないのであって、不公正な手段で顧客を自分のほうに引っぱるのと同じで、独禁法の違反行為になるのではないかと思うのです。だから私は、公取委員長は、上げ底期待論というのですか、上げ底もある程度いいんじゃないかというようなことでなくて、常識的にこういうものを取り締まっていくように指導すべきではないかと思うのです。
  38. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 上げ底がいいんじゃないかというところまで私が言っているわけじゃないのでありまして、結局売り手と買い手の仲の取引なんで、その場合には、やはり上げ底を承知で買っていく人もあるんじゃないだろうかというような——という意味は、もちろん自分のうちで使うなら、これは実質本位で考えるでしょうが、一応隣近所へ多少あいさつしなければならぬ、といって大きな金は出せない、といってあまり小さなものでも困るといったようなことで、これは業者が言っていることをただお伝えするだけなんですが、そういったことも全然意味がないことでもないかなというような、もちろん極端な場合がずいぶんありますから、こういった事例について、どの程度範囲までは許せるか、どの程度以上は許せないというふうに考えるか、この辺が非常にむずかしい問題でございますので、特に観光地におけるみやげ品の問題につきましては、われわれとしても調査を開始しておりますが、現在やっております調査は栃木県だけの問題でございますので、もう少し調べてみたい、こう考えております。
  39. 板川正吾

    板川委員 上げ底の場合には、どの程度までいいとか悪いとかいう線はなかなか引くわけにいかないでしょう。だからこれは何とかにも三分の理屈があるのと同じように、上げ底で相手に期待を持たせるという気持ちを利用して商売をしようという人もあるかもしれませんが、しかし上げ底でごまかして物を売るような商習慣というのは、どうも後進国に多いようです。池田さんは日本は世界の大国というのですから、そういう上げ底で物を売るような商習慣はなくすように、公取として今後指導を強化してもらいたいと思います。  次に、公取の予算が前回より一七%ほどふえた、こういうことになっております。一般の予算は一五%ほどでありますが、若干ふえた。それについて、人件費以外では前回と比べてどのくらいふえておりますか。人数が十五名ばかりふえましたから、その分で若干ふえるのはわかります。しかし人件費以外では、公取の活動費といいましょうか、これは前回と比べてどの程度の差がありますか。
  40. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 業務執行費についてみますと、前年度予算が千二百四十八万、本年度が千五百四十八万ですから三百万円ほどふえています。割合にして二割程度——千二百万円ですから、二割何分かふえている、こういう状態でございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 前年よりも三百万——三百万というと、これは三兆何千億の予算の上からいうとまことに微々たる増加です、率は別として金額としては。三百万なら、ちょっとした公団の総裁の退職金の三分の一くらいですな。もうちっとふやして、たとえばいま地方事務所が札幌にできたと言いましたが、札幌と東京名古屋大阪と九州で、東北や北陸や中国や四国、こういう地域では全然公取地方的な事務所がない。そうすると、これは東京中心として各地で担当しておるでしょうが、こんな程度でいま国民から期待をされている公取の活動というものが全国的に行ない得るのですか。
  42. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 これはもう板川委員よく御存じだと思いますが、公取の経費は、人件費以外も、人に伴う経費というのが大部分でありまして、旅費でありますとか、そういうふうなものがかなり大きなウエートを占めております。そのほかに、昨年まで何回か、要求したのですが、モニターの制度というものが予算的に認められなかったやつを、とにかく今度は、一応額はたいしたことはありませんが、とりあえずやってみよう、それによっての効果を見ながら将来これを拡充していこう、こういうふうな経費も一応入っております。したがいまして、正直言いまして私のところはやはり何といっても人間の数が一番問題の中心になります。人間の数がふえれば、それに伴いましておのずからほかの庁費もふえ、同時に活動も活発になるのですが、人間の数がふえませんと、旅費が相当ふえましてもかえってむだなといいますか、から回りするきらい、あるいは不用額をいたずらに立てるきらいもないではありませんし、そんなことから考えてまいりまして、人間の数が一応十五人という前提に立ちますと、他の経費のふえ方というものはまずまずこんな程度じゃないだろうか。旅費などにつきましても、昨年に比べますればまたある程度増額になっております。欲を言えば限りがございませんが、一応現在の考えられている人員というものを前提としますと、事務の者の話を聞きましても、まあまあこの程度がかなりつけてもらったほうじゃないだろうか——私はもう少し大きい予算をやっておりましたので、こういう小さい予算は初めてですからなにですが、三百万は何だとおっしゃいますが、しかし世帯から考えまして、まあこんな程度——私としましては、与えられた予算をできるだけ有効に効果的に使っていきたい、かように考えております。
  43. 板川正吾

    板川委員 このモニター制度がやはり大都市中心——全国的なモニター制度をやろうとするのですか。これは公取が全国的に目を光らすということは必要なんですが、全国的に公取の支店を置くわけにいきませんから、こういった補完制度を利用することはいいと思いますけれども、これはどの範囲、どの程度までモニター制度を今後活用していこうというのですか、またそれに対する費用というのはどの程度かかるものですか。
  44. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 予算にモニターの経費として計上しましたのは八十一万程度です。しかし、これは少しほかのほうのやりくりをしましても、もう少しふやしていきたい。大蔵省との折衝などにおきましては、何といっても効果について多分に予算官庁のほうは懐疑的なといいますか、そういった面もあるものですが、とにかく私のほうは相当効果を上げるのではないか。そこで三十九年度においては一応とにかくやってみようということで、中心としましては東京大阪中心にしまして、そうして一応経費として八十一万、したがいましてこの活用の結果を見まして、さらにこれを広めていくということを一応話し合っております。
  45. 板川正吾

    板川委員 公取委員長も御承知だと思うのですが、前の国会で商工委員会では、公取の機能強化というのを附帯条件をつけておるのです。それは今後公取の活動というものを期待する意味で附帯決議となったのでありますが、今度の十五名程度の人員増加で、それは十分というわけにはいかないと思うんですね。しかしかりに公取がこの程度までしたいという数字は——特にこの公取の仕事というのは、いま言ったように質ももちろんでありますが、頭数が必要だと思うんです。どの程度人数をふやせば、当面理想的な公取の機能が運用できると思いますか。あと何十名、何百名か知らぬけれども……。
  46. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 その点になりますと、私は非常にむずかしい御質問だと思います。正直言いまして定員だけふやしましても、それにふさわしい人をやはりとり、これをある程度訓練教育といったような場を経ていただきまして、実際の働きをしていくということもないと効果は上がらぬわけですから、したがいまして定員の数だけで、人数で一体どのくらいふえたらいいかというふうにおっしゃられましても、正直言いまして幾人という答弁は非常にむずかしいわけです。  それからもう一つ、予算要求の場合におきましては、御承知のように何といっても過去の実積というものを全然無視するわけにいきませんので、そこで当初予算におきましては一応四十九名増員の予算要求はしております。ただ一、二のいろいろな過程を経まして結局十五人、確かに少ないと私も思いますが、昨年は六名とかその前はゼロだったとかいうことを考えますれば、十五名という数字もそう少ないとも言えないということも言えるし、もちろん公取の立場でそういうことを言うのはおかしいわけですが、まあこの程度の数字かなというくらいのところで、われわれとしてもやむを得ざるものとして考えている次第です。
  47. 板川正吾

    板川委員 当初要求したのが四十九名であった。公取としてはそういう程度で人員を充足して、政府なり社会なりの期待に沿いたいということだったと思うのですが、四十九名がかりに全部入れられたとした場合に、その人員の配置というのは、これはどういうふうに考えておりましたか。たとえば地方事務所の中に、東京公取で、本部でやっておりますからいいですが、本来からいうと、通産省が全国的に九カ所か十カ所、地方事務所を持っておると思うのです。その程度のところに公取地方事務所を置き、そして東京も置き、公正取引委員会というのは全国の中心の、新しい判例なんという方面をやっていって、実際の取り締まりなんというものは地方事務所にまかせていく、こういう形のほうが本来ならいいんじゃないかと思っておったものでから、その中で、たとえば東京事務所をつくろうという考えがあったのかどうか、四十九名がかりにいれられた場合に、どういう人員配置を考えておったか。
  48. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 当初要求におきましては、地方事務所としましては札幌と広島を要求しておりました。そのほかに現在ある地方事務所増員ということも要求しておりました。その地方事務所関係におきまして、二事務所の増設とあわせまして増員全体で二十五人、それから本局関係におきまして、いわば東京をほんとうの本局と地方事務所を分けてやるのがいいのか、あるいは、とにかく小さな世帯でございますから、むしろ一本でやるのがいいのか、これはわれわれのほうとしましては、いまのところでは、やはり東京は、人数が相当多い役所ですと分けることが意味があると思いますが、何ぶん小さな世帯でございますので、むしろ本局は一本でやっていこう。ただ、そのためとして本局でもって二十四人の増員を要求して、合わせて四十九名、こういう予算でございます。
  49. 二階堂進

    二階堂委員長 板川君に申し上げますが、経済企画庁から高島調整局長も出席しております。
  50. 板川正吾

    板川委員 公取委員長、いまの当初要求の人員配置の点、メモでけっこうですから、あとで出してください。  それでは企画庁にお伺いいたしますが、企画庁で、例の物価問題懇談会で物価抑制政策について答申を求められ、大来私案なるものが出、それが中山答申となって、その後物価抑制政策というのを政府としてはどういう方針をとられたのですか。
  51. 高島節男

    ○高島政府委員 去年の暮れに物価問題懇談会の答申が出ましたことは、いま板川先生のお話のとおりでございまして、政府といたしましては、その後年末から年始にかけまして、関係各省間でその答申の趣旨をこまかに検討をいたしまして、どういう実行の方向を出すかということについて、約十四ほどの項目に分けまして、それぞれに対しての方向を出していこうということで臨みましたわけでございます。時期を国会の開会前にということで極力急いでまとめました結果、およそのラインが現在のところ決定いたしておりますが、その項目十四についてこまかに申し上げますとかえって混乱いたしますから、大ざっぱに申しまして、今回の三十九年度の予算において、物価上問題である、たとえば中小企業や農業のような低生産性部門に対して資金を集中的につけていかなければいかぬといったような問題、あるいは流通機構の改善としまして総合食料品市場を設けていくといったような問題、そういうような問題は予算として、予算折衝の過程においておのずから解決いたしてまいりまして、具体的な答えとなってまいったわけでございます。  一つ大きな問題になりましたのが公共料金の関係でございまして、公共料金につきましてはいろいろと議論をいたしましたが、結局公共料金については、これに準ずる政府の規制し得るものを含めまして、十二月末、一カ年間ストップするという原則を閣議において確立いたして、決定いたしましたことが一つの大きな特徴であるかと思います。  そのほか、予算と関係なしに、一般的に競争原理を大いに導入していこうという観点から、ただいまお話しにありました公正取引委員会をはじめとしまして、そのほか各産業行政においても、関税や輸入制限等の問題でも、できるだけ多く入れて物を安くする方向を出していくという感覚のことを織り込んで、答申を打ち出しましたわけであります。関税や輸入制限の問題は、それぞれ外貨予算あるいは関税政策の具体的な問題として出すという段階にございます。
  52. 板川正吾

    板川委員 政府経済企画庁中心に、物価問題と真剣に取り組まざるを得なくなった。それで、いままでは経済企画庁長官は、かつては迫水長官ですか、国会で経済報告をして、日本の物価は世界一安定しているから心配はない、所得倍増計画の当初の年、心配ないという大みえを切った。ところが、心配ないと言った翌年、三十六年ですか、消費者物価は一・一%しか上がらぬ、こういうことを言っておりながら、六・何%近く上がりました。三十七年は二・八%しか上がらぬというのが、やはり六%をこえた。三十八年度は二・八%——ことしは、そういう三回もうそを言ってきたんだから、とてもそういうわけにいかないというので、四・何%値上がりをせざるを得ない、しかし、これは希望的な数字で、あるいはこれよりよけい上がるかもしれない、こういうような気持ちさえ、経済企画庁長官はある委員会答弁しておったと思うのです。この物価を抑制するということは、政府もそういう意味では真剣に取り上げざるを得ない。その物価抑制政策の十四項目の中で、公取に関係ある項目は幾つありますか。
  53. 高島節男

    ○高島政府委員 物価安定のために、独禁法の施行が非常に大きな役割りを持ってまいります。消費者物価問題に限らず、卸売り物価もひいては消費者物価へつながってまいりますし、また安定した利潤、労賃あるいは価格といった三者のバランスのとれた配分をねらいます意味で、公正取引委員会には非常に大きな役割りをしょっていただいておりますが、項目としていま十四をざっと見てまいりますと、一つ——ちょっと分類の仕方が不手ぎわかもしれませんが、関税問題等をあげております項目の中で、価格が硬直的であるものについて、関税だけに限りませんが、特に独禁法の違反の疑いがあるような背景があるときは、これをたたいていただく。それからまた、独禁法違反ではないが、これは産業官庁側の問題になってまいりますけれども自由化の促進や輸入量の増大や、関税率の引き下げといったような問題あたりも、これはむしろ実施官庁のほうでそういう反省をしていただく、こういうことになってまいりますが、まず公正取引委員会で、硬直的になっているものについては——硬直であることそれ自身が、私は必ずしも悪いことであるとは思いませんが、原因を追及していただいて、各所管官庁と論争していただくことによって、問題がおのずから明らかになってくるんではないか、こういう意味一つ期待を持っておる項目がございます。  それから六番目ぐらいにございましたが、一般的に、いろいろな設備制限法、たとえば繊維設備制限法がございます。これによって封緘して操短をやっておる、あるいは勧告操短、公販制度といったようなものを産業政策の必要上やっておるわけでございますが、これがやや硬直化してきているような傾向がございますし、やるときはやっても、やめるときのきりの問題もございますので、その辺については公正取引委員会において独禁法の施行、自由な競争の設定という観点からいろいろと意見を述べていただくことによって、われわれのほうも実際の政策を進めていく仲立ちになっていく、こういう関係が大体中心かと思います。特にこの公取委員会で、さらにいろいろな独禁法の例外規定等がございまして、協定価格等が認められているケースが多いわけでございますが、これを全部公取に御協議して答えを出して認可をいたしておるわけでございますが、その際に特に慎重な態度をとられるということは当然のことではございますが、こういう時期であるので、特に端的にいえばやかましく見られる、こういったような点もうたい込んでございます。  それから歩積み、両建ての問題を特に、どの分類へ入れましたかちょっと失念いたしましたが、つけ加えまして、そういう角度からもやっていただくことになっております。
  54. 板川正吾

    板川委員 十四項目の中で公取に直接関係ある問題は大体五つくらいありますね。これは関税引き下げの問題を入れますと、勧告操短などの再検討をしろということとそれから価格協定による値上がりの取り締まりを強化しろ、それから、中小企業金融面の隘路打開のために早急な検討をしろ、高生産性部門の価格引き下げという問題で、大体五つほどあると思います。それに物価を抑制するということが池田内閣の、政府の当面の重要な施策になっておる、それを担当する主要なるところが公正取引委員会。しかも公正取引委員会にそうした使命を負わせて公正取引委員会の強化ということを一体どういうふうに経済企画庁はお考えですか。
  55. 高島節男

    ○高島政府委員 どうも私が申し上げるのははなはだ不適当と思いますが、今回の予算で人員をふやさなければいかぬではないかというような点、確かに先ほど委員長からお答えがあったように、そういうような点はあると思いますけれども、行政官としての私の経験だけから申しまして頭数をふやしていくということが、必ずしも目的を達するゆえんではないように思います。たとえば私らのほうの役所でございますと、総合的な政策をやりますので、あまり人員の増加その他もそう直接関係がない。ただ地方において相当に実施面で人が要る、それがあったほうが情報がつかまえられて行政が円滑にいくという感覚は確かにあろうかと思いますが、その辺のほうはわれわれのほうもそういう方向に公取がいかれることは妥当ではなかろうかと思っております。ただ特に予算の査定をやりましたわけでもございませんので、はなはだ不明確なことに相なりますが、そういう意味での同情はしているつもりでございます。
  56. 板川正吾

    板川委員 物価対策は経済企画庁中心、対策の要綱はこうして公取が担当する部分が非常に多い。しかしそういう公取の人数の点は、経済企画庁の管掌事項ではないということになると、実際の物価対策が実質的に進まぬじゃないですか。だから私は経済企画庁がそういう強い物価政策を打ち出して実行していこうというのなら、側面から公正取引委員会の強化というものを——それはもちろんこういう決定に従って、その決定を守るために、公正取引委員長あるいは委員会政府国会意見を出すということは、これは独禁法に当然許されておりますから、それは主としては公取の判断に待つほかはないが、しかしどうも公正取引委員会というのは——いままでの公正取引委員会は、委員長以下、どうも社会に対してあってもなくてもいいような仕事をやっておる、あるいは産業発展を阻害しておるようなふうに思い込んで、公正取引委員会の任務というものを自覚しないでいるという節があった。何か申しわけのないような態度をとって、公取委員長はその辺をぶらぶらしておるというようなこともあった。しかし渡邊委員長になってからそういうことはないわけです。どうも独禁法改正というような産業界のそういう声に押されて、公正取引委員会の人がこの数年間実は縮こまっておるのですよ。もっと公正取引委員会がしっかりしておれば、政府だってこんな物価高で困るようなことはなかったのかもしれない。しかしようやくここへ気がついて、物価政策のために公取の機能を発揮してもらいたいということで認めてきた。政府でも認めたのでしょう。それなら公取の強化ということをひとつ側面から応援してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  57. 高島節男

    ○高島政府委員 今度の予算で、先ほど委員長からお話がございました程度増員があったわけですが、われわれ役人が大蔵省へ定員の増加、行政官理庁へ定員の増加ということで参りますと、実にその点は、一つの立場ではございますが、渋いわけです。その渋い中であの程度のものでも認めましたことは、やはり昨年の物価懇談会の答申、あるいはそれに引き続きまして正月から現在まで続いております各種の物価対策のウエート、それらを主計局当局及び大蔵当局が十分に頭の中に置いてくれた意識だけは見えておると思います。どうも人間の増員の話というのは非常にむずかしい予算折衝でございまして、その辺は、ある一つのポイントをやはり頭に置いてやってくれたものだと推測をいたしておる次第です。
  58. 板川正吾

    板川委員 大体時間ですから、次にひとつ大蔵省に来てもらって、総務長官もきょう来ておりませんから、総務長官と大蔵省を呼んで意見を聞いた上で、ひとつ次の機会にいたしたいと思います。
  59. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は、来たる二十五日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会