○福田(一)国務
大臣 鉱業法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御
説明申し上げます。
現行
鉱業法は
昭和二十五年に制定されたものでありますが、最近における社会経済の実情に適合しない面があるとして、各方面から改正検討が要望されるようになりました。特に
昭和三十三年第三十国会におきまして、現行法について根本的な改正
措置を講ずべき旨の決議がなされたのであります。
政府におきましては、この要請にこたえるため、
通商産業大臣の諮問機関として
鉱業法改正審議会を設け、三年間にわたり、全面的かつ詳細な審議を行なわせましたが、一昨年三月その
答申を得ましたので、その後
政府部内において、
答申内容に基づく改正
措置につきまして、慎重な検討を進めてまいった次第であります。
鉱業法は、鉱業に関する権利の設定及びその行使について定めた鉱業の基
本法でありまして、その
制度の骨子は明治以来の長い伝統を持つものであります。しかし、最近における高度に発展し複雑化した社会経済の実情にかんがみ、また鉱物資源の
合理的開発をはかるためには、権利
制度の
内容や鉱業に対する監督の方法につきまして、大幅な改正をする必要があるという結論を得まして、ここに
本法案を提案いたした次第であります。
この
法律案の
内容は、きわめて多岐にわたるものでありますが、その主要な
内容を申し述べますと、第一点は、鉱業権者として不適格な者が鉱業権を取得し、鉱業を行なうことをできるだけ防止することにいたしました。すなわち、欠格要件を設けて、
鉱業法規に違反した悪質な者については権利の取得を禁止するとともに、特に石炭につきましては、鉱山災害や鉱害に関して問題が多いことにかんがみ、一定の経理的基礎がなければ権利の取得を認めず、また適正な能力がなければ鉱業の実施を認めないことにいたしております。
次に第二点としましては、最近土地の利用の高度化に伴ない、鉱業と地上の各種の権益とが競合する事例が次第に増大する傾向にあることにかんがみまして、両者を
調整する
制度を整備いたしました。まず、他の事業の施設により鉱業が著しく制約される場合について、鉱業権者の請求権の範囲を明確にするとともに、できるだけ事前協議より円満に
調整される方途を講じ、両者間に紛争が発生した場合には地方鉱業審査会が仲介によりその解決に当たることにしております。また鉱害に関する紛争につきましては、鉱業権者に所要
事項の調査を命ずる
制度や被害者が鉱業の実施について
説明を要求することができる
制度などを設けて紛争の予防をはかるとともに、紛争が発生した場合には、地方鉱業審査会による仲介のほか、それが不成立に終わった場合における裁定の
制度を設けまして、その効果的な解決を期した次第であります。
さらに第三点としては、鉱物資源の
合理的開発の見地、あるいは他権益との
調整、鉱山災害や鉱害の防止の見地から、鉱業権者に対する国の監督を強化することにいたしました。まず、鉱物の
合理的開発の見地から、
鉱区の配置や帰属を適正にするため、強制的に
鉱区調整を行ない得る
制度を拡充することにいたしました。また、施業案について一定
期間内に
更新させた
制度を設けるなど、鉱業に対する監督
措置を強化するとともに、鉱山災害の防止につきましては、権利の設定及び行使を通じて、できる限りの配慮をすることにした次第であります。
最後に第四点といたしましては、
試掘権の
内容を明確にし、適用鉱物について必要な追加を行ない、盗侵掘などの違反行為について取り締りを強化するなど、現実に適応した
制度を採用し、また各
制度の不備な点を是正することにいたしております。
以上がこの
法律の提案
理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、ただいま提案になりました
中小企業信用保険法及び
中小企業信用保険公庫法の一部を改正する
法律案の提案
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
中小企業金融の円滑化をはかるため、
政府といたしましては、かねてより、
政府関係中小企業金融機関の業務の拡充をはかりますとともに、中小企業者の信用補完につきましては、その重要性にかんがみ、
各地の信用保証協会が中小企業者の債務を保証することを容易にするため
中小企業信用保険公庫に保証債務についての信用保険と同保証協会に対する融資を行なわせてきている次第であります。しかしながら、現状においては、中小企業者の信用保証協会に寄せる期待はますます大なるものがありまして、
政府としても、当公庫を通じ信用保証協会の保証機能を一そう拡充、強化する必要があると
考えるのであります。このような
趣旨に基づきまして、今回、
中小企業信用保険法及び
中小企業信用保険公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、現在中小企業信用保険の対象とされている特殊保証は、信用保証協会が通常行なっている根保証とその範囲が一致しない点がございまして、十分活用されておらないきらいがありますので、
中小企業信用保険法を改正して特殊保証の範囲を拡大し、保証の簡易迅速化を推進し中小企業者の信用補完に遺憾なきを期そうとするものであります。
第二は、最近における中小企業者一人当たりの借り入れ規模の増大に対処するため、
中小企業信用保険法を改正して、小口保険の付保限度願を二十万円から三十万円に、第一種保険の付保限度額を五十万円から百万円に、第二種保険の付保限度願を中小企業者については七百万円から一千万円に、中小企業者団体については一千万円から二千万円にそれぞれ引き上げるものであります。
第三は、
中小企業信用保険公庫の信用保証協会に対する融資業務を拡充し、その保証機能の強化をはかるため、当公庫に対する
政府出資を
昭和三十九年度において四十五億円増加し、これを当公庫の融資基金に充てることにしておりますが、これに伴い、
中小企業信用保険公庫法を改正して当公庫に対する
政府の追加出資に関する
規定を整備しようとするものであります。なお、このほか、
中小企業信用保険公庫の業務の適切なる運営を確保するため、当公庫の監事の権限に関し所要の改正をしようとするものであります。
以上がこの
法律案の提案
理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、ただいま提案になりました
商工組合中央金庫法の一部を改正する
法律案の提案
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
商工組合中央金庫は、
政府関係金融機関として、長年にわたり中小企業者団体あるいはその構成員である中小企業者に対する金融の円滑化をはかる上におきまして、多大の
役割りを果たしてきているのでありますが、特に最近における中小企業金融の実情にかんがみまして、当金庫の業務について、なお一そうの拡充を期する必要があると
考える次第であります。かような
趣旨に基づきまして、今回、
商工組合中央金庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、商工組合中央金庫の資本金及び当金庫に対する
政府の追加出資に関する
規定を整備することであります。
中小企業者の金利負担の軽減に資するため、
昭和三十九年度において商工組合中央金庫に対する
政府の出資を三十億円増額することといたしておりますが、これに伴い、当金庫の資本金及び当金庫に対する
政府の追加出資に関する
規定を整備するものであります。
第二は、準所属団体の範囲を拡大することであります。
現在、輸出に関し所属団体の構成員の共通の利益を増進するため必要な施設を行なう法人で主務
大臣の認可を受けたものは、商工組合中央金庫の貸し出し業務の対象となることになっておりますが、法人の範囲を輸出の振興または事業の合理化をはかるため必要な施設を行なうものに改正、拡大しようとするものであります。
第三は、当金庫の業務に外国為替業務を追加することであります。
現在、商工組合中央金庫の為替業務は、内国為替に関するものに限られていますが、所属団体の構成員の輸出入
取引の円滑化をはかるため、今回新たに外国為替に関する業務を追加しようとするものであります。
このほか、当金庫の保護預り業務、代理業務の範囲を拡充するとともに、役員の任期を五年から四年に短縮しようとするものであります。
以上がこの
法律案の提案
理由及びその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
日本貿易振興会法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御
説明いたします。
わが国の経済を長期にわたり拡大発展させるためには、官民一体となって、輸出振興のために不断の努力を払っていかなければなりませんが、開放経済
体制への移行が本格化し、また、国際競争がますます激化しつつある現在、輸出振興に対するこのような要請は、一そう切なるものがあります。
政府といたしましては、かねてから輸出環境の整備、輸出振興税制及び輸出金融の拡充強化、
日本貿易振興会に対する助成の強化、輸出振興機運の醸成等各般の面にわたって努力いたしてまいりました。
なかんずく、
日本貿易振興会につきましては、従来から
民間、
政府共同の輸出振興の中核体として、育成強化をはかってまいりましたが、現在国会において御審議いただいております三十九年度
予算案におきましても、貿易資料センターの設置、輸出秩序維持対策事業、国際見本市事業、トレードセンター等の
海外施設の設置運営事業、業種別輸出振興対策事業等の一そうの拡充強化をはかることといたしまして、五億円の追加出資を含む合計三十一億三千万円を計上いたしている次第であります。一方、このような
日本貿易振興会に対する助成の強化、同会の業務量の増大に対応いたしまして、同会の
体制の整備の必要が生じてまいっている次第であります。
次に、この
法律案の
内容を御
説明させていただきます。
内容の第一は、
政府の一般会計から追加出資を受け入れることができるように、資本金
関係の
規定を整備しようとするものであります。
第二は、業務量の増大に対処して、業務の円滑な遂行をはかるため、
理事を増員しようとするものであります。
第三は、
日本貿易振興会の運営全般にわたって、より一そう
民間各界の意見を反映させるため、運営審議会の
委員を増員しようとするものであります。
以上が本
法律案の提案
理由及び要旨でございます。
何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。