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1964-02-14 第46回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十四日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    岡崎 英城君       海部 俊樹君    神田  博君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田中 六助君    中川 俊思君       野見山清造君    長谷川四郎君       南  好雄君    村上  勇君       山手 滿男君    大村 邦夫君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君       伊藤卯四郎君    加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 渡辺 一俊君     ————————————— 二月十二日  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第五  三号)  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫  法の一部を改正する法律案内閣提出第八七  号)  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八八号) 同月十三日  日本貿易振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案  (内閣提出第五二号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第五  三号)  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫  法の一部を改正する法律案内閣提出第八七  号)  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八八号)  日本貿易振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  まず、内閣提出石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許可します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案について、若干の質疑をいたしたいと思います。  国内石油資源開発については、三つ法律があると思う。石油及び可燃性天然ガス資源開発法、それから本法石油資源探鉱促進臨時措置法、それと石油資源開発株式会社法、この三つ法律があると思いますが、この三法の関係をひとつ説明していただきたいと思います。
  4. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま御審議願っております石油資源探鉱促進臨時措置法、これは内容的に見ますというと、鉱業法特例法でございまして、昭和二十八年に第一次の石油並びに天然ガス開発五カ年計画ができまして、それを最も効率的に促進していくために、試掘権の積極的な活用による探鉱を促進する必要があるという趣旨で、鉱業法にございます試掘権制度につきまして、その存続期間なり、あるいは施業案に関しまして特例規定することが一つと、もう一つは、いわゆる休眠鉱区をできるだけ防止いたしまして、探鉱を促進するという意味での試掘権鉱区についての鉱区調整に関する規定をその主要な内容といたしておるわけでございます。たまたま昭和二十九年にこの法律が制定されて発足をみたわけでございますが、いろいろその実績を見たり、あるいは検討なりをいたしてまいりますというと、どうも石油探鉱と申すのは、何と申しましても非常にリスクがある。単に民間の手にゆだねるだけで、その探鉱を促進するという考え方では不十分ではなかろうかということで、その翌年にもう一つ石油資源開発株式会社法という法律が御承知のようにできたわけでございます。その考え方は、石油資源開発を単に民間企業にまかしておかないで、いわゆる国策会社的な特殊法に基づく株式会社をつくりまして、それに政府探鉱資金としての出資を行なう。この石油資源開発株式会社を、政府の強力な監督指導のもとに置きまして、計画的に探鉱活動を促進していこうということになったわけでございまして、いわば民間の自主的な意思にまかすことをたてまえにしておりまする石油資源探鉱促進臨時措置法だけでは不十分であるから、新しく国策会社をつくって、相当強力、積極的に探鉱を進めていかなくてはならないということから生まれたのが石油資源開発株式会社法でございます。  それで、石油資源開発株式会社法探鉱促進臨時措置法との関係でございますが、御承知のように石油資源開発株式会社が積極的に探鉱を促進してまいりますためには、それに必要な鉱区を円滑に入手する必要があるわけでございまして、当時、ほとんど大部分の有望な試掘権あるいは採掘権は、御承知のように帝石手中にあったわけでございますが、この帝石から石油資源開発株式会社に対しまして鉱区を円滑に譲渡する、あるいは共同鉱業権者として共同開発するというたてまえで政府行政指導をいたしまして、その間の鉱区調整を行なってまいったのでありますが、そのいわばうしろだてという意味でこの石油資源探鉱促進臨時措置法が大いに役だってきたということでございます。  それからもう一つ石油資源探鉱促進法並びに天然ガス資源開発法でございますが、これは石油資源をいかに合理的に遺利なく開発を行なうかということに関しまして、きわめて技術的な面が多数でございまして、石油を採掘する方法についていろいろの規制制限等規定しておる。これともう一つは、探鉱を積極的に民間で進めてまいります場合の裏づけとしての、いわゆる探鉱補助金、これに関する制度規定しておる、こういうことでございます。いわば国の助成費、それから石油資源合理的開発という意味からのきわめて技術的専門的な事項についての規制をしておるというのがその趣旨でございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 本法が、地域を定めて石油を目的とする試掘権について調整をしようということで、当時は帝石あるいは民間、あるいはそういうたくさんな鉱区を設定しておったところがあったが、その後国策会社石油資源開発株式会社、これができて主要なる鉱区手中におさめておるから、もう本法役割りは終わった、あえて試掘権中心調整するような必要はもうなくなった、そこで十年の時限法であるから、この機会に廃止したい、こういうことだろうと思うのですが、一つ伺いたいのは、政府は、この際国内資源開発をあきらめて、これを機会にあまり熱意を持たないというような方向になるんじゃないかと思う。われわれ心配しておる点はそこにあるのですが、そういう点はないですか。国内石油資源開発ということについて、今後の政府方針を伺いたいと思います。
  6. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。この石油資源探鉱促進臨時措置法、いま御指摘のようにこれは石油だけではございますが、これの探鉱活動を促進しまして、国産原油生産を上げる、そのための鉱業法特例的な規定を置いた法律でありまして、もちろん法律の附則で規定しております十年の期間がちょうど参るという理由もあるわけでございますが、たまたまこれを廃止するから、政府はこの際どうも国内資源開発についてはあきらめるのじゃなかろうか、そういう誤解を一部受けることは確かに御指摘のとおりであろうかと存ずるわけでございます。私ども、基本的な考え方といたしましては、この石油資源——原油天然ガス両方でございますが、これの国内における開発についての基本的な考え方は、昭和三十七年度を第一年度といたしまする、いわゆる第二次五カ年計画、この線に沿って今後国内開発を続けてまいりたい、こういう基本的な考え方でおるわけでございまして、三十七年度は初年度でございまして、ことしがちょうど二年目になるわけでございますが、実績を見てみますと、原油開発のほう、これは大体予想、あるいは予想を上回っておるという状況にあるわけでございます。遺憾ながら天然ガスのほうにつきましては、生産実績、あるいはその見通しなり、あるいは探鉱投資実績、その見通しにおいて、この計画の線を下回るというおそれがございますので、今後天然ガスについてどういうふうに基本的に考えていったらいいだろうか。たまたま帝石について御承知のような問題が出ておりますので、この帝石の今後の再建を新首脳陣でどういうふうにお考えになっていただけるか、それをよく拝見いたしまして、さらに現在以上に特別の考慮を払う必要があるということになれば、検討いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、一応この五カ年計画を数字的に見ますと、最終の四十一年度におきます原油生産量が百五万キロという数字になっておりまして、大体先般、昨年の暮れでございますが、通産省の中にございます産業構造調査会答申の中にも触れておるわけでございますが、資源的に見まして、四十二年以降は大体これの横ばいの線でこの開発を続けていくということになるわけであります。一方、天然ガスのほうは、三十六年度の実績がちょうど十億立方メートルでございましたが、これを目標の四十一年には二・五倍の二十五億に持っていく、これは将来とも資源的に見まして、あるいは他のエネルギーとの比較の面から見ましても、相当有望であるということで、この天然ガス開発につきましては、たとえば四十二年度には二十八億にする、あるいは四十七年度には五十億にするというふうな一応のエネルギー部会での希望の目標というものが立てられておるわけでございますが、私ども、この天然ガスについてはそういう方向考えてみたい、こういうふうに考えております。
  7. 板川正吾

    板川委員 本法廃止国内資源開発をだんだん弱化していくんじゃないかという危惧もあったのですが、いまの説明によりますと、国内質源開発については石油及び可燃性天然ガス資源開発法という法律があって、五カ年計画もこの法に基づいてつくられておって、その方針に従って今後も大いに努力していくのだ、こういうことであるようでありますから、国内資源開発について、ひとつ政府のほうも、今後とも大いにできるだけめんどうも見、強力な前進をしてもらいたいと思う。それは、国内原油国内ガスというものは、数量としてはまことに微々たるものです。しかし、これが開発上持っている技術というものが、将来海外経済協力によって海外開発をする場合には生きるわけでありますから、そういう意味におきましても国内資源開発というのは多面的な効果を持っているわけです。今後もひとつ強力にやってもらいたいということを要望いたします。  そこで、試掘権存続期間経過措置、これは鉱業法とこの法律では若干違っておりますね。鉱業法は二年ごとに更改を、これは一年ごとにするので、残存期間鉱業法の線に戻すということだろうと思うのですが、ちょっとわれわれしろうとの場合にわかりにくいので、この間の説明をしてもらいたい。
  8. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。現在指定地域に残って現存しておりますこの経過規定の適用を受ける試掘権というのは、たしか十ぐらいしかないというふうに記憶をいたしておりますが、その、今後の期間更新についての規定でございます。非常に読みづらい規定でございますが、簡単に申し上げますと、今後更新する場合を含めて、当初からの試掘権存続期間、これを鉱業法原則どおり合計八年で打ち切るということが一つ、それから、今後この規定によりまして当然存続期間が満了するわけでございますが、その満了になった場合の存続期間更新は、この法律によりますと一年ということになりますが、鉱業法原則に返りまして二年にする、この二点でございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 全国で十ばかり該当するものがあるということだそうですね。それでは、石油資源探鉱促進臨時措置法、これの条文的な質問は一応終わりまして、この際ひとつ石油関係全般について、大臣がいませんから次官、局長に若干伺いたいと思います。  第一に伺いたいのは、政府は、海外経済協力という立場から、石油資源開発株式会社中心海外油田開発等に乗り出すということを今度の予算の中にも盛られておりますが、海外開発された場合に、その原油についてはどういうことを考えているのですか。スマトラあるいは各地から、日本技術を買って、日本技術によって開発してほしいというのがたくさんある。海外経済協力基金を使って、SKが中心になって開発をする、ことしじゃないでしょう、何年後になるのかもしれませんが、そういう場合に、海外原油開発が成功してどんどん取れるというような場合に、その原油引き取りという点を一体どういうふうに考えておられますか。この点を伺いたい。
  10. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。現在わが国民族資本の手による海外原油開発で非常に成果をあげておりますのは、御承知アラビア石油、それから東南アジア方面では北スマトラ石油開発協力株式会社、この二つがあります。こういったもので今後ともやはり積極的に推進してまいりたいという理由は、将来全体のエネルギー供給の中に占める石油資源のウエートが非常に高まってまいりまして、この石油の安定的な、しかも低廉な供給というものは、今後のわが国経済発展のためにきわめて重要なわけでございます。ひるがえりまして、日本の現在における石油供給源がどういうかっこうになっているかと申しますと、地域的には中近東方面から八四、五%依存しているわけであります。政情の非常に不安定な最近の状況でもあり、現にスエズの動乱のときに一時そういう様相が見えたわけでございますが、こういう相手国政情不安等によって、その供給の円滑を欠くという心配があるわけでありますので、できるだけ地域的に供給源を分散する必要があるということが一つ。それから、その供給先資本系列を見てまいりますと、いわゆる七大国際石油資本と申しますか、これから六〇%以上のものを依存しているというかっこうにも相なっております。第一点の地域的分散という意味からも、それから供給先の資本的な系列を分散化するという意味からも、他の地域における民族資本の手による開発を今後とも積極的に進めていかなければならない、こういうことでございます。そういう趣旨によって、私ども海外原油開発を今後とも進めていくということであるわけでございますので、当然にそこで開発されました石油は一〇〇%わが国に持ってまいりまして、それをわが国製油所で製品化する、こういうたてまえで考えておるわけでございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 いま海外開発されているのは、アラビアスマトラですが、そのほか今度の予算各地から引き合いが出されているものがあると思います。インドもありますし、エジプトもあると思うのですが、こういうふうにせっかく日本技術海外に買われて、海外と提携して、その後進地域開発に乗り出していくという場合に、乗り出したのは、いいのだが、あるいはそれが成功したはいいが、とれた原油日本では使えない、日本は前々から買っておるところから買わなくちゃいかぬという形では、私は意味の半分は失われる——無意味だとは申しませんが、半分は失われると思うのであります。そこで伺いたいのは、アラビア石油——カフジですか、この引き取り体制というのはその後どういうふうな実情にあるのですか。それは前の石油小委員会でも説明があったから大体了承しておるのですが、植村あっせん案によって三十八年度八百何十万トンですか、三十九年度一千万トンという形になったと思うのです。ところが十一日の新聞によると、アラビア石油増量要請石油連盟は断わった、こういう記事が載っております。これは内容を見ると、百万トンはしかたがないが、それ以上はお断わりする、多分こういう形だろうと思います。それと一方、最近の新聞によると、アラビア石油では第二の油田が発見されておる。それは従来、アラビアカフジ原油のは硫黄分が多くて、三%前後で、硫黄分が多いから買うのはいやだ、こういう理由があったのですが、今度は硫黄分の少ないものが同鉱区の中から発見されて、従来の硫黄分の多い鉱区と同じような大量のものがあるというふうに推定されるという報道もされておりますが、アラビア石油国内引き取り体制というものが軌道に乗れば、一千二百万トンでも一千五百万トンでも二千万トンでもできると思うのです。問題は国内引き取り体制いかんという形になるのですが、これの最近の状況、今後の見通し等について説明していただきます。
  12. 加藤悌次

    加藤政府委員 最初に、アラビアのほうから石油を持ってまいりますときに、先生指摘のように、国内精製会社へ引き取ることについては、いろいろトラブルがあったのでありますが、おかげさまで石油審議会の会長の植村さんのごあっせんによって、本年は八百万トン、実績は八百万トンをある程度、二、三十万上回るのじゃないか、さらに来年度は、まだ最終的には決定はいたしておりませんが、植村あっせん案によれば一千万トン、私どもはさらにそれにプラスアルファとしてできるだけ多くのものを引き取ってもらうようにしたいという感じでおるわけでございますが、形式的に何千万トンにきまるか、これは別としまして、実態的にはそういうような方向石油精製業界の御協力も願えるだろう、こういうふうに考えております。ただ、アラビア石油開発テンポに合わせて国内引き取り体制ができるかどうか、こういう問題でございますが、先生指摘の例のフート油田あるいは現在掘っておるカフジの新層の開発、これはそれぞれ一本のボーリングしかやっておりませんが、見込みとしては相当有望である、しかも性状的に見ると、いま問題になっておりますサルファ分が非常に低いということで、私どもも楽しみにしておるわけでございますが、これは本格的な探鉱が終わり、埋蔵量確認ということがまだなされておらない段階であるわけでございます。将来だんだんと探鉱を進めてまいりまして、そういう鉱量がどれくらいあるのかということをまず確認をすることが先決でございまして、現在アラビアとしましては、大体来年度千万ないし千百万というものを引き取れば、国内開発なりあるいは積み込みの体制にマッチする、こういうことになっておるわけでございまして、大体そういう計画であるとしますれば妥当なところではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。ただ御指摘のように、一つにはサルファ分が非常に高いものでございますから、技術的に見て他の軽いものとブレンドする必要があるということで、これのみをかりに使いたいという製油所がございましても、そういうことができないというような技術的な理由もございますが、それと、先生承知のように、日本石油会社には外資が入っておる会社が相当ございまして、これは考え方としては、原則的に一〇〇%提携先原油を持ってくるというふうな考え方がございまして、それに対して私どもは、石油政策上の見地からの協力をお願いいたしまして、現在プロラタ方式でそれぞれの製油所に引き取ってもらうということで、大体割合が一五%ぐらいになっておるわけであります。この一五%の割合は、将来は、アラビア開発が進んでまいりますれば、だんだんと上げていくような業界側の御協力を得るように私どもとしても努力をいたしたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  13. 板川正吾

    板川委員 三十九年度は一千万トン、それに四十年度は一千百万トン、一割ぐらいふえるのじゃないかという見通し、こういうことですか。結局アラビアの海底に大きな油田があり、今度、従来欠点とされておったサルファ分の少ないものが発見された。問題は、やはりそれを国内で引き取ってくれるかどうかという体制が整わないと、開発についてのテンポというものもおそくなると思うのです。ですから昨年の総輸入量に対する外貨支払い商を見ますと、原油の代金として、通関ですが、八億六千万ドルも払っておるのですね。もしそのうちで半分が純国産油であるというならば、相当部分、数億ドルの外貨節約ということにもなるのです。ですから私は外貨節約上からいっても、たとえ半分以上の利権を向こうへ払うとしても、とにかく半分は外貨を使わずに、円貨で済むことになるのですから、国内引き取り体制というものをもっと政府が積極的に指導していくべきではないかと思うのです。いま局長が言われたように、外資との提携会社で一〇〇%その会社の油を引き取らなくてはいけないということになっておりますと、もしそれよりも安いものがあるのに高いものを一〇〇%引き取らせるという契約は独禁法違反になるのです。アメリカでは独禁法違反日本会社まで呼び出しているのだから、もしそうならば、日本公正取引委員会アメリカ会社まで呼び出して、そういう不公正な取引というものをやめさせるようにすべきです。もし一〇〇%ひもつきだというならば、それこそある程度石油業法を変えて、法律でそういう事項を何らか規制を加えなければならなくなってくるのじゃないか。外国石油会社等も、法律できまっているのならいたし方ありません、これは国の意思だから尊重いたしましょう——法律にないのだからということを言っているのですから。だから私はそうなるならば、やはり法律でそういう取引関係を、国内油を優先するような立法措置をどこかでしなくてはならなくなってくると思うのですが、この点をどうお考えですか。
  14. 加藤悌次

    加藤政府委員 先生指摘のような、そういうお考えが出てくるのも当然のことだろうと思いますが、少なくとも現在までの時点、来年度の問題を含めまして、いま申し上げましたように、この引き取りについては、外資会社を含めまして、国内精製会社協力するという方向でございますので、いますぐに石油業法を改正して、このための措置をするというようなことは、現時点におきましては考える必要がないのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それともう一つは、先ほど申し上げました技術的な面の問題等もございまして、あまり無理な協力、これも限度があるのじゃなかろうかということで、できればアラビア原油、今後そのほかの原油がふえればそういうものも含みますが、そういったものを専門的に国内で精製するような製油所というものも考えていいのではなかろうか。これは先ほど申し上げました総合エネルギー部会答申の中にも、産油資本国内精製資本の結合というようなことが指摘されておるわけであります。これはやはりそういう趣旨ではなかろうかと思うわけでございまして、そういった面から、現在まだ最終的には具体化はしておらないわけでございますが、アラビア石油自身日本国内にその原油を処理するための製油所を持ちたいという構想があるわけでございます。こういった面についても積極的に政府として協力していくようにしてまいりたい、こういう考え方を持っております。
  15. 中川俊思

    中川(俊)委員 関連して。ちょっとお尋ねしますが、三十七年の四月十一日に石油業法が通過した。そのときに、石油業法に対する附帯決議をつけております。いま板川委員が御質問になっておるのだが、それを見ると、その最後に、いまいろいろ論議しておる問題について、早急に引き取り体制を確立せよということを附帯決議でつけたわけです。そのとき、たしかぼくが附帯決議説明をしたのではないかと思うのだが、政府買い取り機関をつくるべきではないかということをそのとき言ったわけです。政府はそのとき善処するということだったけれども、大体附帯決議というものは政府がちっとも関心を持たないというか、熱意を持たない場合が多い。この点について考えたことがありますか。たとえば、いまいろいろ論議しておられますが、アラビア石油というものはまだどんどん出るようになるかもしれません。出るようになって、いま通産省は石油審議会に頼んだりあるいは方々に頼んで石油会社引き取りのなにをやらしていますけれども、この四月から石油が自由化の方向をたどってきますと、もう大手商社が石油部門にうんと進出してきます。そうしてもう自由化だから、もうかればいいのですから、あの連中がどんどん進出してくるということになってきますと、いまあなた方が考えておられるような、安易に石油会社に引き取らすというようなことを言ってみたところで、引き取らなくなるのではないかと思うのです。非常な混乱に陥ってきはしないか。たとえば、ついこの間の出光の問題一つ見てもそうでしょう。出光は石油連盟に入っていながら生産調整に応じなかった。石油連盟を脱退したのですから、出光は連盟のアウトサイダーになった。今度話がついたのかつかないのか、私はまだ真相は知らないが、一応表面はついたような形になっておるけれども、はたしてこれが正式についたのかどうか疑問がある。そういうふうになってきますと、委員会の答弁というものは、そう言っては失礼だが、はなはだ場当たりだけれども日本の総合エネルギー政策というものが場当たりでは済まされなくなってくる事態が必ず到来するのですよ。ですから、あなたの前に川出君が鉱山局長をやっておられたが、その川出君はいまは関係はない。今度あなたが鉱山局長になったが、あなたがいつまで鉱山局長をやっておられるか、前の人の答弁は、もう同じ政府でありながら、全然というと御無礼だが、自分はよく知らなかったのだというような立場に立って御答弁がある。ですからそのときも、買い取り機関は早急につくらなければならない——いまのように石油会社に引き取れといっても引き取らない、アラビア石油がどんどん出しだす、そうすると、海へ捨てるわけにいかないから、国内に持ってきて、政府がある程度の買い取り機関をつくって、そこである程度貯油を持っておけば、エネルギー政策を遂行する上においても支障のないようなことになるからというので、こういう附帯決議をつけておるわけです。その後政府は一体この附帯決議にどういう熱意を示しておるかというと、何ら熱意を示していない。示していないというとまたおしかりをこうむるかもしれないけれども、実際何もあらわれていない。だからいまのようなやりとりがいつまでも続くのですよ。ですから政府は、これはひとつ政務次官にもぜひ御検討いただきたいのですけれどもエネルギー政策の問題については、石炭対策でも、総理に来ていただいて根本的な問題をお聞きしたいと思って、いま交渉しておるのですけれども石油も大きな将来の総合エネルギー対策のウエートを占める問題なんですから、その場限りの答弁のやりとりだけではすまされない時代が必ずくるのです。現に、ちょっと出光があばれたといっても、どうもできないのですから。石油業法というのは、あの当時ざる法ざる法といわれておったけれども、通産省は勧告だけしかできない。勧告をもし出光が聞かなかったらどうなったか。幸い聞いたから——聞いたような形になっていますね。ほんとうに聞いたのかどうか知らぬが、そういうことになっている。そういうことになりますと、将来、四月から自由化になっていくと、各商社がこの石油部門にどんどん御承知のとおり進出の計画を立てております。そうなってくると、私は、石油類に対する国内体制というものは非常な乱脈になってきて、石油業法をうんと強力にするか、極端な例ですが、石油業法なんか廃案にしてしまって全く自由にやらすか、この二つ以外にないと思います。どうお考えでしょうか。事務当局として、政府としてひとつ……
  16. 加藤悌次

    加藤政府委員 最初に、先生指摘の三十七年の四月に石油業法を御審議願った場合の附帯決議の第三項目にございます「国産原油および海外開発原油等の安定的供給を確保するため、買取等を行うための機関として特殊法人を速やかに設立すること。」こういう御決議をいただいておること、私自身も十分承知をいたしておるわけでございます。ただ、こういった構想を現在の時点において立てまして、まあ政府部内の内幕を申すようでございますが、一般的に新しいこういう特殊なものをつくることは非常に困難であるということもございますし、その他いろいろ、諸般の状況等から見まして、現時点においてはできるだけ行政指導なりあるいは石油業法の運用によりまして、ここに御決議をいただいたような趣旨を全うするように努力したいという考え方で進めておるというのが、現在の段階であるわけでございます。  この中で、国産原油の問題につきましては、本年度非常に、特定の精製業者でございますが、三社の御協力によりましてスムーズに引き取っていただいておるわけでございます。何と申しましても、海外原油の最近の値下がりの状況等から見まして、現在でも七、八百円くらいの値差が国産原油にある、割高であるということでございますので、来年度から新しい制度といたしまして、国産原油を引き取った精製会社に対しましては輸入原油の関税の一部を還付いたしまして、それによって高い原油を引き取ったことによってこうむる損失を埋め合わせようじゃないかという趣旨の関税暫定措置法の改正をお願いする、こういうことになっておるわけでございます。  海外原油引き取りの問題につきましては、現在の時点におきましては、ただいまお答え申し上げましたような考え方でおるわけでございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 局長、先ほどからアラビア原油を引き取るのは、一五%ぐらい引き取っておるが、これ以上取るのは技術的に無理がある、そういう説明をされたと思うのですが、無理があるという事情は、どこに無理があり、どういう理由なんですか。
  18. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。先ほど私がお答え申し上げましたのは、一五%が技術的に見ても限度であると、こういう意味ではございませんでして、一五%というのは、将来だんだんこれをさらに引き上げていくという方向で、ひとつ石油業界の協力を得るように努力をいたしたい、こうお答えしたわけでございます。技術的に見て限度があると申しますのは、御承知サルファ分が非常に高い、三%以上あるわけでございますが、そういった面からの制約でございまして、私聞いておりますところによると、先ほど申し上げましたアラビア石油自身国内製油所をつくる場合に、これは原則としては自分の油を処理するという考え方でございますから、一〇〇%やってもいいわけでございますが、大体どうも五〇%までもいかない。現在私の承っておる計画によりますと、四〇%は自分の油を使うけれども、あとの六〇%はその他の地域の主として軽い油を使う、こういう計画になっておるようなわけでございます。ですから、大体五〇%取れというのはちょっと無理なんで、四〇%プラスアルファというところが限度ではなかろうか、こういうふうな感じがしておるわけでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 現在一五%程度引き取らしておるが、現状の法体系のもとでは、将来もそれを引き上げるように指導したい。そこでその場合には、技術的に無理というのは硫黄分だ。硫黄分が多い。その硫黄分が多いということは、アラビア石油が自分自身で精製しようという場合でも、自分の石油を一〇〇%やれないで、ほかの硫黄分の少ないものを六〇%入れ、自分のものを四〇%入れてやらざるを得ないという技術的な障害があるから、アラビア石油をふやすというのも限界がある。まさか五〇%以上というわけにはいくまいでしょう、こういうお話のようですが、それではこのアラビア石油で、いま言ったように硫黄分の少ないものを至急に掘り出して、そうして硫黄分の多いものと混合して、それを一緒に搬出をする、ずっと硫黄分を少なくして二%前後という普通の状態にしてやるならば、現状のままで、いま中川委員も言われたように、心配なく引き取り体制ができますか。そういう硫黄分の問題が解決された場合には……。
  20. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。いまアラビア開発が、最近見つかっております硫黄分の少ないものと並行してくればという前提のもとでございますが、かりにそういうふうに体制が整うてこっちへ持ってこれるということになりました場合に、すぐ四〇%あるいは五〇%までできるかどうか、こういう御質問だろうと思いますが、その点につきましては、先ほど、外資提携会社につきましては、考え方として、原則的に一〇〇%提携先の油を使えという考え方が基本にあるということを申し上げました。そういった点も一つの制約になろうと思いますが、にもかかわらず、現時点におきましても一五%の引き取りについて協力をしてもらっておるということで、今後これを少しでも上げるように努力いたしたいということは、先ほども申し上げたわけでございます。それと、何と申しましても世界的に見て石油の有力な資源を握っておりますのは、既存のいわゆる七大石油会社等でございますので、今後とも日本石油資源供給源を安定的に確保するという面から見ますと、やはり基本的にはこういった国際的な石油資本とも今後協調的なかっこうでもって日本石油精製業界というものを指導する必要があるのじゃなかろうかというふうに考えておりまして、アラビアで当面全部間に合うから、お前のほうはもう全然持ってこなくてもいいということがはたしていいかどうかというふうな疑問も実はあるのじゃなかろうかと思いますので、まあ仮定の話なんでございますが、この一五%を将来だんだんと上げていくようにという気持ちは私持っておりますが、アラビアでいま間に合うから、すぐ五〇%なり六〇%まで引き取らせるということについては、いま申し上げましたような感じからどうであろうか、あくまでも協調的な体制協力していただくということを基本にして進めるべきではなかろうか、こういう気持ちでおるわけでございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 私の言うことは、別に国際石油資本とけんかして、そっちの油は買わないでアラビアだけで間に合わせるということは言っていませんよ。それほどアラビア石油は出ていないのだから。それは国際石油資本といわれる会社からも大いに買ってもけっこうだと思うのです。しかし、いま政府が一番困っているのは、外貨が不足でこういう引き締め政策もとらざるを得ない状態になっているのでしょう。アラビア石油ならば、半分は外貨の節約になるのでしょう。だから準国産と言っていいでしょうね。しかも原油の輸入代金は八億六千万ドルも昨年一年間で払っております。やがてこれが十億ドルあるいは十五億ドルということになるのでしょう。だから、そういう将来の国際収支の面から言いましても、準国産油であるアラビア石油を優先的に引き取らせるくふうはないか。そういう優先的な引き取り体制が——フランスでは御承知のようにサハラ油田開発したでしょう。フランスはどうです。外国のシェルだとかなんとかたくさん入っていた。しかしサハラの油田開発されたならば、自国の油を優先的に引き取る体制をとらしているじゃないですか。なぜ日本でできないのですか。しかも外貨が節約になるというのに、なぜ日本でできないのですか。何もそれは国際石油資本とけんかして、向こうのを買うなということを言っているのじゃないのですよ。不足ですから、われわれも買わなくちゃなりません。だからそれは買ってもいい。しかし、国産油、準国産油、こういうものは優先的に引き取る体制を整えてやらなくちゃならぬと思う。整えてやるのが、外貨節約の上からいって、政府の政策にも合うのじゃないですか。だからフランスのようなやり方をとるという、そういう方針政府がきめれば、外国系の石油会社も決して、それじゃ日本石油は一切売らぬ、アラビア石油でやるというなら一切売りませんということを言うはずはないじゃないですか。われわれの聞くところによると、外資系の石油会社も、いまの法律関係から言えば自由な販売体制となっているのだからわれわれは自由を主張するのだ、しかしそれは法律でいろいろお得意様の日本の国家の意思というものがきまればそれを尊重せざるを得ない、こう言っておるわけですから、そういう点は何もそう気がねすることなく引き取り体制というのを当然の権利として強化していかなくちゃならない。だから、それができそうもないから、それならば法的措置が必要じゃないだろうか。業法の附帯決議にもあるように、幾つかの考え方が出たでしょう。一番手っ取り早いのは、一手買い取り機関をつくったらどうかということがあったわけですが、それをそのまま一手買い取り機関という法的な措置をしてやらずに現行のままでやるとなれば、あとは政府考え方がぴしゃっとしなければ、いま言ったように、アラビア石油を入れるということは外資系とけんかするのだというような解釈を持つ。そんなことはわれわれは考えていない。だから向こうのも買いますが、しかし国産油ですから——フランスでもドイツでもどこでも、自国産の原油というのを優先的に引き取っておるのですから。アメリカじゃ石油の自由化をしていませんよ。だからそういうことを考えると、政府引き取り体制に対していまちょっと強力な措置を、法律がない現在においても、すべきじゃないか。できなければこれは法的な措置考えるべきじゃないか。それは附帯決議で注文してあります。なぜしないか。こういう議論なんです。  それで、外資系の精製会社提携会社から原油を一〇〇%とるということは、これは当然のことのように局長考えておるけれども、それを押しつけたら独禁法違反です。そういう契約は独禁法六条によって届け出をして——そういう経済的な優位性の地位を利用して、金は貸します、そのかわりおれのほうのは高くても、おれの原油を一〇〇%とれという約束を押しつけたら、これは違反ですよ。その点は当然のことのように考えておるのは間違いです。そういう点をひとつ考えていただいて、法改正をしない現状の段階でも、準国産油である海外開発油をスムーズに引き取るようにひとつ指導をすべきじゃないか、こう思うのです。たとえば、需要がふえる割合の一定割合を必ず海外開発油を政府の指導に基づいた割り当てを受けてやります、こういう約束を取りつけることも一つの方法でしょう。そういう取りつけの方法ができれば、アラビア石油なりスマトラ石油なり、あるいは最近進出を予定されておるボルネオ石油なりが開発された場合に、その制度に乗って日本国内で消費されるということになれば、開発方針もめどがつくのじゃないですか。そういうこともあるでしょう。それからこの新しい設備を許可するときに、これは、国産油地域的に制限されておりますからあれですが、準国産油である海外開発原油を優先的に引き取るような指導ということもあり得るのではないか。この点どうお考えですか。
  22. 加藤悌次

    加藤政府委員 現在も、主としてアラビア石油引き取り体制でございますが、これは絶えずアラビア石油と私どもと連絡を密にとっていただきまして、現地の開発の進行状況に応じた国内引き取り体制を整備するという考え方でおりまして、少なくとも現在あるいは来年度においては、向こうの体制にこっちの引き取り体制がついていけないということにはなっていないということだけは申し上げられるのではなかろうかと思います。将来、相当開発が進みまして、かりに持ってこなければいけないという場合には、先ほど来お答え申し上げておりますように、できるだけ強力な行政指導でこれに努力するという方向で参っております。  それから、御指摘がございました新しい設備を許可するときに、これは行政上の問題でございますが、できるだけ海外開発原油引き取り協力させる、これは現にやっておるわけでございまして、そういう石油業法の運用の面からの行政指導による特別の措置ということも考えられるのではなかろうか。いろいろな点を総合して、原則的には現地の開発体制についていけないことのないように、国内引き取り体制の整備を、とりあえずは行政指導で行なっていきたい、こういう考え方でおるわけであります。
  23. 板川正吾

    板川委員 アラビアの場合には一千万トンが一応の設備の限界といいましょうか、大体その程度と聞いておったのですが、しかし新しい油田が出て、将来開発が促進される。その場合に、やはり制度的に、堀れば必ず優先的に引き取れる——値段の点は言いません、引き取るのだ、こういう体制ができれば開発のほうも進むのじゃないかということを言ったので、その点はひとついろいろの面で大いに強化していただきたい、指導を強化してもらいたい、こう思います。  そこで海外開発引き取り問題は終わりまして、出光問題でひとつ聞きたいのですが、前回石油小委員会の場合に、連盟案といわれる配分案、三十七年度の基準をもとにした今回の配分案というものは、これはやはり新設備ができたところにはちょっと酷な基準ではなかったか。だからこういう点は、十万バーレルという膨大な設備ができた会社に、ちょっと毛がはえただけプラスするというだけでは基準としては妥当を欠くんじゃないか、この点は再考する必要があるだろう。しかし出光石油石油業法を骨抜きにしていくようなことであるならば、これは逆であって、業法を強化せざるを得ないだろう。そこでそういう二つの柱の中でこの問題の解決があり得るんじゃないか、こういう話を私したと思うのですが、出光の問題の解決はどういう状況で解決になったのですか。それで解決になったということは、当初の案とこの解決案とはどういう違いがあるか、この点を明らかにしていただきたい。
  24. 加藤悌次

    加藤政府委員 昨年の小委員会が終わりましてから、私ども石油審議会の会長の植村さん等のお力等も借りまして、いろいろその後説得をいたしてまいったわけでございます。その間におきまして、石油審議会にもいろいろ御意見等伺ったわけでございます。  結論的に申し上げますと、ただいま先生の御指摘になられました三十八年度の下期の生産調整のワクをきめる基準について多少不合理と申しますか実情にそぐわない点もあるんではなかろうかということで、これはことしの一月になってからのことでございますが、昨年の十二月まではすでにきめられております生産調整、これを変えるわけにいかない。ついてはことしの一月から九月までの期間の——現在の供給計画は、ことしの四月から以降のものは暫定的なものでございますが、一応これを基礎にしまして一−九月間の生産調整をどういう基準でやったらいいだろうかということの研究がなされたわけでございまして、いわゆる新聞等で植村あっせん案と称しておるわけでございますが、いままでの基準に多少変更を加えた新しい基準でもちまして、ことしの一月から九月までの各社の生産ワクがきめられたわけであります。それをもって、あらためて本年になりましてからも出光興産に対する説得を続けてまいりました。もしそれで聞かれないということになれば、石油業法規定に基づきます勧告をいたすより手がないということで出光に当たったわけでございますが、幸いにいたしまして、勧告をいたす前に出光の言い分もかなり取り入れられておるような格好にもなっておりまして、この植村調整案に従って今後生産調整協力していくというふうに話がついた次第でございます。出光さんは、この石油業法ができるときに、業法には基本的に反対であって、すべからくフリーにすべきだという御議論がございまして、今度の過程におきましても、生産調整なるものは廃止すべきだ、こういう御議論があったわけでございますが、これもかいつまんで結論的に申し上げますと、石油業法がある以上は、この業法の規定には絶対的に従う。ただ生産調整について業法の中にはっきりした規定はないわけでございますが、業法を実際にその趣旨に沿うて運営するたてまえから見て、今後とも生産調整政府として必要であるという見地で行政指導をするならば、その行政指導にも従ってまいります、こういうふうなことになりまして、当面の問題も解決すると同時に、今後、石油業法はもちろんでございますが、業法の運営上政府生産調整を続けていく必要があるという期間においてはそれにも従うというような格好になって解決をいたしておるというのが経緯でございます。  それから、この一−九月の新しい基準でございますが、ことしの下半期のいわゆる自主調整ベースの基準、これとの違いは——ことしの当初の自主調整ベースと申しますのは、三十八年度の上期に対して増加した原油処理量、パーセンテージでいいますと大体一二・四%くらいでございますが、この新しく増加した分についてのみ、最近の実績によるいわゆる三本柱、これは販売実績、処理実績、それから設備能力でございますが、それで各社に配分をいたしまして、前期並みの分については前期どおりの処理ワクを配分する、こういうことでございます。そういうことになりますと、出光さんが昨年の二月あるいは十月にそれぞれ五万ずつ完成したという格好になっておりますが、それの織り込み方が非常に少ない。したがって千葉の精油所がまともに動かないということが一つの御不満の点であったと思いますが、そういう点もございますので、今度の一−九の新しい生産調整におきましては、新しく稼働いたしますものの設備もやはり全体に織り込むという基本的な考え方でございまして、当該時期における設備能力をそのまま織り込む。ただしその織り込む程度につきましては、漸進的に傾斜をつけまして設備を見るということでございます。原則的には大体二年間くらいで一〇〇%見る。第一年度といいますか第一回目の半年間におきましては一〇〇の設備を五〇と見る。二年間で——三年目にはこれが一〇〇になる。ですから五〇が四等分されまして、その次の期には六二・五%、こういうふうにだんだん設備の見方を漸増してまいりまして、そういう織り込み方の三本柱で全体を分ける、こういうことに相なったわけでございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 最初の連盟案といいましょうか、最初の案は、出光が不満として連盟を脱退したというのは、三十八年度の上期より全体の需要が一二・四%ふえたから、その一二・四%ふえた分を——実績はそのままにして、いわゆる処理能力、販売能力、設備能力、この三本柱の総合比率で一二・四%のふえた分をふやした、こういう形ですね、最初の案は。
  26. 加藤悌次

    加藤政府委員 ちょっと私、御訂正申し上げたいのですが、三本柱といいますのは、販売実績、それから処理実績、これは過去の一定期間でございます。それから設備能力だけは当該期における平均設備能力、たとえば期の半分、後半の場合には一〇〇のものを五〇に見る、こういうわけであります。
  27. 板川正吾

    板川委員 わかりました。販売は実績、処理も実績、それで設備能力の比率はウエイト計算をして出す、この三本柱ということである。そうすると、確かに、ふえた一二・四%の分だけいまの率ですから、あとは従来どおりというのですから、新設備を持ったところはやはり不利なんですね。だから不満があったのでしょう。今度のものは販売実績も同じ、原油処理の実績も同じ、設備能力比率も同じだが、ふえた分でなくて全体にかけた、こういったことになったために新しい設備を持ったところは三分の一の分が、しかもその五〇%はこれによって認められた、こういう形になって若干ふえた。こういう方式で解決を見た、こういうことになると思うのです。ただ私は、これは出光問題は解決しましたから別に当たりさわりなく言えると思うのです。未解決中だといろいろ議論もあるようですから。解決した上で、私はやっぱりすなおにそういった実績を検討してみる必要があると思うのです。たとえば将来、特定設備、製油機械の設備というのは大型化してくると思うのです。五万バーレル、十万バーレル、あるいは十五万バーレルという形に将来なってくるのじゃないでしょうか。それは出光がやるとは限りません。外資系がやるかもしれません。その場合に、たとえば十五万バーレルの設備ができた。そのうち、この配分方式は三分の一の実績しか認めない、計算上の比率から言えば。しかも、その三分の一の半分しか新しい設備については認めないという形になる。もちろんこれは大きい製油所をたくさん持っておる外資系ならば、旧工場のほうを操業度を低めて、新設備をフルに動かすという方法で調整できるかもしれません。しかし、たとえば新規設備で始めたという場合に、これは三分の一の柱で、そういう実態じゃ採算が合っていかないのですね。それが一つ。それからもう一つは、出光だからというのじゃなくて、だれがなっても、この基準で将来——第一次連盟案はなおさらですよ。今度の基準案も、一応出光で解決を見たけれども、どうも新設備に対して最低の限界操業率というか、そこまでは一応認めなければ、せっかく設備の許可権を持って許可した。しかしそれは三分の一の柱の半分までしか見ることができないという形じゃ、新しい設備を持った会社というのは、当初非常に苦しいのですね。だからこの点が私はこの解決を見た機会に、将来そういう点はもっと合理的な基準というのを設けなければならぬじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  28. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。今度の出光問題を契機にして石油審議会という場でいろいろ御議論願って取り上げていただきましたこの基準は、一月から九月までの問における生産のワグの配分をこの基準でやるということでございまして、ただいま先生指摘の、新規の設備をつくったものをどうするか。特に全然新規の精製業者、具体的に申し上げますと、この四月から九州石油の設備が行なわれるわけでございます。こういう問題もあるわけでございまして、今度の場合も、この新規についてはまだ十分検討はしておらないようなわけでございます。そういう点もございますので、引き続きまして石油審議会としても十月以降どうするかというようなことを、業界の御意見ももちろん伺いながら検討していこうじゃないかということで、現在その作業を進めようという段階にあるわけでございます。それで新規のものに対する私どもの、まだこれは結論的のものじゃありませんが、考え方といたしましては、同じ新しい設備でございましても、全然新規の業者がつくった設備に対する割当と、それから既存の業者が新しい設備を増設いたしましてこれをどう見るか、この二つがあると思います。前者につきましては、これは先ほど御指摘のように販売実績も処理実績も全然ない。ただ設備の能力だけしかない。これを三本柱に当てはめてやるということについては、御指摘のように非常に問題が多いわけでございますので、基本的な考え方といたしましては最低操業度を保証するということで、いわば優先的、天引き的にこれに対する生産のワクをきめるということがいいのじゃなかろうかという考え方でございます。  それから既存の業者が新しい設備を増設いたしました場合は、当該会社全体として操業度がどれだけあればいいか。いまお話しのように、新規の設備ができました場合には、それを一〇〇%動かして、旧来の老朽設備を少し稼働率を下げるという手もあるわけでございますが、全体としての操業度がどういうふうになればいいのかという点で考えるべきじゃなかろうかということでございまして、これは非常に込み入った話になるわけでございますが、業法の規定に基づきまして新しい設備を許可する場合に、許可の一つの基準と申しますか、そういうものがございまして、その基準の中で、その一つの項目として、あまり設備過剰になってはいかぬから、操業度を日本の国全体としてどれくらいに保てばいいか、あるいは当該会社としても、どれだけの操業度がある場合認めるかという基準が実はあるわけであります。いままでの許可の仕方では、新しい設備が動き出しまして、日本全体として、平均しまして八〇%以上の操業度が必ずなければいかぬ、それ以上の設備を付加すればこれは過剰になるということで、大体八〇と見ております。それから個々の企業につきましては、新しい設備を許可して動かします場合に、新規の設備が稼働する直前の当該会社の操業度が八〇%以上でなければいけない、それと同時に、許可を受けて動き出しました新設備を含めました全体の平均操業度、これが最低五〇%を割るようなことではそういう設備は認めません、こういう考え方でおるわけでございまして、少くともこの基準を今後とも続けていくということになりますと、既存の会社につきましては、五〇%操業度が保証されれば、それは承知の上だということになるのではなかろうか。したがいましてそれぞれ自己の採算の面から見て、それだけの操業度でも、古いものはほとんど償却を終わっているから十分だということになれば、その設備の許可を申請されるということに相なるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  29. 板川正吾

    板川委員 今度の出光の紛争事件を中心に、石油行政のほうから何か反省される点がありますか、どうですか。
  30. 加藤悌次

    加藤政府委員 出光さんといろいろ議論をいたしまして問題になりましたのは、先ほども申し上げましたように、石油業法ができた以上は、出光さんとしてもこれは守るべきだという基本的な考え方には変わりがないわけでございますが、石油業法のどの条文を見ても、生産調整というようなことは書いてないじゃないかということでございまして、生産調整を一体続けていく必要があるのかどうか、続けていくとすればいつまで続けていくのかという点が実は一つの議論になっておるわけであります。これはこの前の小委員会のときもあるいは私お答え申し上げたかもしれませんが、石油業法が将来運営が軌道に乗りまして、理想的な形態になった場合に、これは設備規制だけで十分じゃなかろうかという考え方を持っておるわけでございますが、現在の段階におきましては、ちょうど過渡的な措置として、業法が施行されましたときにすでに工事に着工いたしておりました設備を、業法の許可によって認めておるわけでございます。現実の需要の面から見ると、相当設備過剰の状況になっておる、こういうことでございまして、こういう状況のときに各社が自由競争のたてまえで、売れるだけつくるというふうなかっこうで自由生産をされると、製品そのものが相当だぶついて、いわゆるダンピング競争が始まる。すでに、一昨年の十一月に標準価格というものが告示で出ておりまして、この標準価格が出ておって、しかもそういう過剰生産状況になるということは矛盾するわけでございますので、少なくとも設備の規制が十分にきいて、あまり生産調整というようなことを神経質に考える必要のなくなるまでは生産調整が必要であるだろう、こういうことで、できるだけ生産調整がなくて済むようなかっこうに業法の運営上も持ってまいるようにすべきではなかろうか、こういう実は反省なり議論をいたしたわけでございます。これが一つ言えることだと思います。
  31. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 関連……。いまの点は非常に大事な問題だろうと思うのです。いまの業法によれば、その調整をする一番大きな政府としての環は何かというと、設備調整ということが大きな柱になっておる。そうして生産調整は、いまお話しのように、法のはっきりした規定はない。結局業界の実質的な自主規制ということが中心で、これにある程度の行政指導といいますか行政圧力というものを加えて、これを実現する、こういうことがいまの石油の行政といいますか、それが柱になっている。これがいまお話しのように、将来は設備規制だけをやれば、あとだんだん話していくなり相談するという形が出るかどうか、私はむしろ逆にいくんじゃないかという心配があると思うのです。と申しますのは、最近の状況を見ると、それぞれの外資系なり、あるいはそうでなくて民族系といったところも、とにかく米英の大石油会社からいろいろ金を借りなければならぬ。その場合、必ずその裏に、おれのほうの石油をこれだけ取れというのがある。しかも最近では、昭石の事例に見られるように、いままで民族資本的なかっこうを持ってきたものまで、実態は外資の導入ばやりで、実質的には外資による経営支配をするということが非常に強くなってきておるのが実情です。そうすると、外資自体が日本石油会社全体の支配をする。その裏には自分のほうの石油を——とにかく一つのワクにとらわれずに、非常な激しい競争が今後行なわれてくると見なければならぬ。そういう際に、日本国内から見れば、先ほどからお話が出たように、アラビア石油が増産になってくる。しかし、これに国内で対抗していく独自の会社をつくろうとしても、とても金がない。これはざっくばらんに言うと、結局外資に依存せざるを得ないことになる。こういうことになると、日本の資源というか、市場は、アメリカ系の資本に支配される。しかも、それがいまの傾向では、国際カルテルということがあるにいたしましても、これが一本になってやるという調整、いわゆる協調的なというよりは、むしろいまのところは、特にその中でそれぞれの大資本が非常な競争激化をするということになってくるのじゃないか。一方また、日本の国民経済の観点から見れば、アラビアもどんどん入れなければいかぬ、あるいはスマトラも今後開発していかなければならぬ。特に今後大きな問題になるのは、いまのところ問題になりませんけれども、また、おそらく一年たてばソ連石油の問題が大きくクローズアップしてくることは必然です。そうなった場合に、そこらの調整を国の立場でやるということは、単なる設備投資の抑制だけではできるものではない。ですから、いまのように、業法があのときあの状況でやむを得なかった。ざっくばらんに言えば、日本政府や財界の力全体が足りなかったから、結局外資系に押されて、生産調整なり何なりの力を抜かざるを得なかったというのが、あのときの実情だろうと思う。しかも、これからはそういうふうなわけで、日本の国民経済的な見地から見れば、いわゆる外資系の全面支配を押えていかなければならぬというような情勢になってくる。しかも外資系の中では、自由化によって競争が激化してくる。その中でこれを調整して国民経済的な方向へ持っていこうとすると、自由経済のもとに何ら生産調整をせず、設備調整だけどんどん自由にやれという方向でなくて、むしろ逆の方向にこれをどう持っていくかということが、私は一番問題だと思う。いまのあなたの答弁、あるいは石油審議会がいまのような、設備投資だけを押えて、がっちり握っていて、あとは野放しにすれば自然におさまるところはおさまるという考え方は、少なくとも私は日本石油資源石油市場といいますか、エネルギーの問題を全く無差別に、大資本の競争にまかせるという結果になるんじゃないかと思うんだが、この点はどうなんですか。私も、実はこの問題、機会があったら突っ込んで聞いてみたいと思いますが、基本の問題だけをいまお聞きをしておきます。いずれこの点は大臣と、将来の見通しの問題——この問題は、ことし、来年の目先の技術論でそう簡単に解決する問題じゃないと思うのですが、この辺のやや長期の見通しの問題、特に私はこれらの問題は、あなたのほうが直接その所管じゃないが、これは日本の貿易構造というか、あるいは国際収支構造というか、対外経済構造の一番の環になるわけであります。それだけに、私は今後、たとえば五カ年計画、十カ年計画を立てるというような場合に、この問題にどう真剣に取り組むか、これに対して政府が、単なる一部局の、そう言っては失礼ですが、通産省の石油なり鉱山局というふうな部局からの表面だけの技術論ではだめだ、もっと深く、日本経済全体を突っ込んだ観点からやらなければだめだと、こう思うんだが、この点について、当面の事務的責任者としてのあなたの見通しなり考えは、どうもいまの点は非常に不安だ。そういうことをやっておった日には、単なるエネルギーの問題だけでなく、日本経済の一番の基本でくずれてくる危険がある。これは非常に困難な問題だ。一朝一夕にできる問題ではないと思いますので、これらの見通しなり評価なりをもう一度はっきりお聞かせ願いたいと思います。
  32. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。石油業法の運営が軌道に乗った暁におきましては、一番強い、設備を規制しておるわけでございますから、それで十分だろうと申し上げたことは、ただいま申し上げたとおりでございますが、私はもちろん、ただそれで、あとはフリーだという考えでおるわけではございませんでして、特に設備の新設を認める場合に、結果的にどういう認め方になるかということを非常に心配をいたしておるわけであります。その心配と申しますのは、ただいま先生が御指摘になったまさにそのとおりの心配であるわけでありまして、今後の日本石油精製業を考える場合には、やはり総合エネルギー部会答申にもございますように、いわゆる自主性を確保する、それが具体的には低廉あるいは安定的な石油供給ということにもつながるわけでございます。そういった面から現状を見てみますと、外資系以外の民族系の会社でも、資金の調達の面で相当外資に依存している。これはもうおおうべくもない事実でございまして、そういった面からの企業の自主的な運営についての制約がなきにしもあらず、こういうことでございまして、やはりこういった問題を今後本格的に、真剣に検討する必要がある。実は一昨年の暮れごろから、石油安定供給基金というふうな構想も、私たちの内部にございまして、現在もなお検討を続けておるわけでございますが、またそれのはしりといいますか、そういう意味で、実は来年度予算要求の一環といたしまして、とりあえず財政資金による精製業に対するてこ入れと申しますか、こういう構想で開銀の融資も要求をいたしたわけでございますが、遺憾ながらそれは実現に至らなかった。私たち、そういった面の心配を依然として持っております。やはり今後の石油政策の基本であろうという考え方でおりますので、引き続きましてそういった面についての検討を現在でも続けておる、こういうことでございます。
  33. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これはあなたに要求しても無理なことだと思いますが、石油なりエネルギー資源という観点だけから狭く見ておるのだったら、国の方針というのは立たぬと思うのです。日本の経済がいま持っております、何といいますか、国内的ではなくて、国際経済との結ばれといいますか、これの構造的な観点を国民経済的にはっきりつかんで、石油に対するはっきりした方針を立てぬとだめだと私は思うのです。これは経済企画庁が中心にやる仕事でございましょうけれども、今後の中間計画なんというのは——あれはせんだって私説明を聞いたけれども、その内容をずっと見てみますと、全く表側の現象面を数値経済的にとらえて、それのやりくりだけに終始しておる、そういう結果が出そうであります。あなたのほうもおそらくこれらには関係を持たなければならぬと思いますが、いずれこの問題については、機会があれば大臣なりもっとしっかりした人にはっきり聞いてみたいと思っておりますが、しかし石油行政という狭い観点からだけこの問題に対処しないように、当面の事務責任者として十分注意しておいてもらいたいということを私は申し上げておきます。
  34. 板川正吾

    板川委員 いま久保田委員も触れられましたように、設備規制だけで今後石油行政をコントロールするということは、なかなか十分じゃないと思います。長期的に見ればあるいはそういう考え方も当たらぬでもないが、短期的に見ると逆な現象が出る場合があると思うのです。特にこの数年間、そういう結果になるのじゃないかと実は思うのです。設備が過剰でだぶつきぎみな傾向になっておる。そこで石油業法の十条の二項に「通商産業大臣は、石油の需給事情その他の事情により、石油供給計画の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、石油精製業者に対し、石油製品生産計画を変更すべきことを勧告することができる。」こういう規定があります。この十条の二の解釈では、重大な支障がある場合あるいは支障が生ずると認むる場合、たとえば政府が需給計画を発表し、業者が生産計画政府に届け出をした、しかし生産カルテルを隠密に結んで、いわば生産を少なくして、そうして高く売りつけようというような場合、供給が少ないから重大な支障が生ずるという場合には、そういうことはいかぬから増産命令を出して勧告をする、こういう形になると思う。しかしこの法律で逆にだぶついたときには調整するということは、それは拡大解釈をすれば読めるかもしれませんけれども、私は不備があるのじゃないかと思う。この十条については、もう少し政府が中へ入って調整するという形を業法の中にうたわなければ、出光のように、生産調整に対して何も法的な根拠がないから聞く必要がないじゃないかという誤解も生ずる、その点は法律で明文化しておいたほうがいいのじゃないですか。どうですか。
  35. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。先生指摘石油業法十条二項の規定の解釈運用でありますが、これは供給計画に比べまして生産が非常に過小である、したがって消費者に御迷惑をかけるというときは当然でございますが、その逆に、非常な過剰生産になり、その結果ダンピング競争が起こる、一時的には消費者に非常にいいかもしれませんが、長い目で見た場合には、はたしてそれで石油精製業界自体のほんとうの体質の強化ができるかという面から見ますと疑問がございます。またこの供給計画の中には、国産原油をどれだけ生産して処理するか、あるいは海外開発原油をどれだけ持ってくるかというようなこともございまして、いまの日本石油精製業界は、いわゆる外国石油資本の売り込み競争の場になっておるわけでありますが、やはりそういう売り込み競争に圧倒されまして、その結果生産が非常に多過ぎて、しかも国産原油引き取りなり、海外開発原油引き取りを生ずるということも考えられますので、この条文の解釈といたしまして、供給が少な過ぎる場合はもちろんでありますが、同時に現在の供給が多過ぎる場合も、この規定は両方適用があるのだというふうに私ども解釈いたして、おりまして、今度の出光問題の処理に当たりましても、とりあえず行政指導、説得ということでまいりましたが、いよいよそれでもやれない場合はこの条項によりまして監督するということで、先ほど申し上げましたようないきさつで解決を見たということになっておるわけでございます。私どもは、実際にはこの条項は発動されませんでしたけれども、この条項の発動ということで今回の解決がやはり可能になったのではなかろうかというふうな気持ちを持っておるわけであります。
  36. 板川正吾

    板川委員 それはこの条項で発動しようと思っても、最終的な判定は裁判所にいかなければわからないかもしれませんが、普通の他の立法例から見ますと、これは私は業法の審議のときも触れたと思いますけれども、本来ならば生産調整に対する規定があって、それでコントロールできなかった場合には、第二段として価格調整を認める。価格調整を認めざるを得ないような業種、業態については、第一段に生産調整ですよ。そのあと価格調整なんですよ。中小企業のカルテルを認めるというような場合でも、そういう規定が普通二段階になっておりますね。この業法によると標準価格制度があるのであって、標準価格制度を発動する前にいわゆる生産調整をやっても、その結果なおかつ十分ではない、それが業法の目的に沿わないと認めたときは価格のほうに標準価格を発動させるとか、そういう形に普通なるべきだと思うのです。ただ業法の場合は、標準価格はあっても生産調整するという項目が不備なんです。なるほど十条二項の拡大解釈で読めるというかもしれませんが、普通に読めば、これは重大な支障が生じておる——支障というのはスムーズに動くべきものが動かないという支障であって、動き過ぎた、過剰生産されたというような場合には読むのに無理があるのではないか。だからそういう点について、業法のどこかに生産規制というか生産調整規制に関する項目を入れて、その上に立って政府国内油取引なり準国産油取引なりというものを法的根拠に基づいて指導していく、こういう形をとられたほうが石油行政全般として円滑にいくのではないかと思うのですが、どう思いますか。これは次官に聞きますが、どうですか。
  37. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 中小企業の関係におきましては、いま板川議員のおっしゃるような方式がとられておりまして、私もそれが妥当ではないかと思っておりますが、現在の石油業界の実情から見ますと、そうした体制をとるということは、いろいろの、国際カルテルの問題等がございまして、非常に困難な点がございまして、石油業法成立の際にもその問題に若干やはり触れたと私は考えております。現状からいたしますと、国際カルテルを排除するために現在の石油業法というものはある程度ざる法みたいなものでございまして、全体としてどうもざる法的な法制でございますから、そういう点から、現在のような標準価格調整をいたしまして生産調整に移るというような、多少異例的な措置をとられたものではないかと考えております。私、板川委員の御説は、中小企業のような、そういう点におきましては、これがやはり妥当な方式じゃないかと考えておる次第でございます。
  38. 板川正吾

    板川委員 中小企業を例にあげていたけれども、これは中小企業ばかりじゃないのです。輸取法の中にもあったと思うのですが、考え方としては、まず生産調整をして、それで目的を果たせない場合には、その価格の面の調整というか規制を加えるというのが立法のあり方ですよ。だから、これは法体系としてそういうあり方で、そういう点からいうと、業法には、生産調整するという面における規制がこの十条の二項ではどうも読みにくい。だから、その点を明確にする。同時に、そういうことによって石油行政を前進させるということが必要じゃないか、こう思うのです。その点はひとつ、次官、あとでよく検討してください。  それでもう一つは、そういう形になりますと、いわゆる官僚統制はけしからぬという非難がたぶんある層から起こるでしょう。官僚統制というのは、われわれだって決していいとは思っていません。官僚統制は、それはいけません。しかし官僚統制という隠れみのに隠れて、自主調整だといって自分たちできめていくことがいいんだという考え方は、これは独禁法の精神に反しますね。統制なり調整をするというならば、統制なり調整なりによって利益を受ける業者だけでそういうことをやるべきじゃない。だから政治のたてまえ上、どうしても調整なり統制なりが必要だというなら、それはちゃんと国会で審議し、法律に基づいた範囲でやるべきだ。そうならば、そういうカルテル行為なりカルテル的行為なりというものは国会から発言でき、悪ければそれを直させることもできる。自主調整で利益を受ける業者だけが集まって、そこでものをきめていくということはいけないというたてまえなんです。だからそういう面からいうと、法律的な根拠をもって、そしてその法律的根拠に基づいて、国の指導のもとに業界が協議に乗って参加するということはあり得るでしょう。しかし国の法律に基づかないで、利益を受ける業者だけが集まって一つ生産なり価格なりを調整していくということは、これは独禁法の違法行為なんです。だからそういう面からいうと、この石油業法では生産調整に対する規定が不十分だから、私は検討の上に、しかるべき機会に補正をされることが必要じゃないかと思うのです。いかがですか。
  39. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。一部、いままでやっております石油生産調整というものに対する誤解がございまして、あれは独禁法に違反するのではないかというふうな御意見等もいろいろ承っておるわけでございますが、実はいままでやっておりました生産調整と申しますのは、表面的に、石油精製業の団体でございます石油連盟の中でいわゆるカルテル的な行為のように受け取れるわけなんでございますが、現在の時点におきます石油業界の状況は、非常にシェア競争が激化いたしておりまして、業法ができる前にすでに相当な過当競争があって、これではいかぬということで、業法ができると同時に標準価格の公示までやったような状況であるわけであります。そういう状況下にある石油精製業の今後の安定的な発展を期するためには、どうしても供給計画で示されております原油の処理量を非常にオーバーするということがあってはいけないのではないか。厳密にいいますれば、供給計画に定められておる原油の処理量を、個々の企業の計画を合計してみますれば、ぴったりそれに合わせるということでやるべきじゃなかろうかということになるわけでございまして、実はこの業法の最初の段階におきまして、私どもこの業法の規定のとおりの運用でやったわけです。供給計画が公示されまして、それを目安として個々の会社生産計画を立てて役所に届け出があったわけでございますが、それをトータルしますと、当時の供給計画に対して二五%くらいオーバーするような原油処理量の計画が出てまいったわけでございます。当時まだこの標準価格というものは検討の段階でございまして、公示されてはおらなかったわけでございますけれども石油精製業界の実態は非常に惨たんたるものであったということでございますので、そういう状況にある場合にこんなに生産がされることはたいへんなことになるということで、一体これをどうしたらいいだろうか。そういう場合に、先ほど御議論のございました十条二項の規定によって、それぞれの精製会社に対する生産計画の変更の勧告をするという手もあるわけでございますが、そういう非常に複雑な仕事を一々の石油精製会社を相手にしてやるということもどうであろうというふうな議論もございまして、最初に実はこの問題を石油審議会に持ち出しまして、そこでいろいろ御議論を願ったわけでございますが、その御議論を願いました結果に基づいて、いままでやっておる生産調整が行なわれておる、こういういきさつになるわけであります。いわば、世産調整とはいいますが、私どもからいわせれば、これは供給計画に各社の生産をトータルして合わせていただく、そういう計画生産的な考え方で各社の原油処理をやっていただくということで、自主調整とはいっておりますが、実は相当役所が中に介入をいたしまして、またその全体のワクの配分につきましても、ある程度役所のほうからの意見も申し上げまして、いままでずっとやってきたというのが実態であるわけでございます。これは法律にはその規定がなくて、全く御指摘のように行政指導ということでやっておるわけでございますが、実はそういういきさつでやってまいっておりますので、決して一般から誤解されるような、役所とは別に、石油精製業者だけの場で、自分たちの利益を中心にして生産調整をやっているという性格のものではないということをひとつ御了承願いたいと思います。  それから、今度の出光問題を契機にいたしまして、先ほどもお答え申し上げましたように、生産のワクをそういうことで供給計画に合わせるといたしまして、そのワクの配分をどうするかということにつきましても、今度の場合は単に業界だけではなくて、石油審議会の場を通じまして、役所の意見あるいは石油審議会の小委員先生方の御意見、石油精製業界の御意見、こういうものを全部勘案いたしまして、これは官民協調と申しますか、そういった場でこの基準というものがきめられているということになっておりますので、いまの独禁法の関係における問題は、ますますそういう疑問がなくなるのじゃなかろうか、こういう感じで実はおるわけでございます。
  40. 板川正吾

    板川委員 業者だけで適当にやっていこうというところでは、官僚統制排撃というにしきの御旗を掲げて、政府干渉いやだという傾向があります。しかし、それにおびえて、業法の趣旨からいえばそう読めるが、石油審議会に意見を聞くことができる、石油審議会は自分のところでやれないから石油連盟に一切まかせる。それで、新聞等の発表を見ると、石油連盟が一割減産をきめた、石油連盟が割り当てをきめたという、全く業界の自主規制に一切をまかせているような形、だから、公取がそういうのは独禁法違反になりますよ、こういう議論になるのは当然なんです。また業界の一部から、それは独禁法に反するじゃないかという声が起こるのも当然なんです。だから、私は法的な根拠というものを明確にして、それに基づいて国が、業界だけにまかせないで、行政指導のワク内で調整をする、こういう形をとるべきじゃないか、そのほうが明朗なやり方だと思うのであります。その点では、別に官僚統制という声におびえる必要はないと思うのです。  それで、時間の関係で恐縮ですが、もう一つだけ設備問題ですが、三十八年度に新設備を許可しました四十万五千バーレル、これが許可の全体の設備のワクというものです。これは現在の設備の能力に対して約三割に当たります。それから、資料で、設備を申請しておる会社完成予定時期というものを見ると、この申請どおり許可をすると、次の二年間のうちに約七十何万バーレル、一日の基準ですが、そういう設備を許可するような形にもなる。過去五年間の設備能力の伸びというのは平均二割見当ですね。一割八分、二割三分のときもあるけれども、二割見当です。そうすると、三十八年、三十九年、四十年、四十一年という程度になると、平均三割ぐらいになるので、こういう点は、先ほど局長はやや設備過剰でだぶつきぎみということを言われたが、将来この設備の点についてどういうふうな調整考え方というか、そういう考え方を持っておるかということ。それから特殊な場合、先ほど局長も触れられたように、アラビア石油のような場合で、みずからコンビナートと手を組んで製油をするというような場合、こういう場合にはどういうことになるのですか。たとえば許可の基準というのはどういうふうな形になりますか。
  41. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。設備の新設なり増設を許可する場合に、許可の基準として、石油業法第六条に三点ばかり書いてございますが、そのうちの一番最初の項目に、「その許可をすることによって特定設備の処理能力が石油供給計画に照らして著しく過大にならないこと。」こういう一項があるわけであります。それを現実の運営の面においてどういうふうに考えていくかということは、先ほど御説明申し上げました供給計画との見合いにおきまして、新しい設備を含めまして全体としての操業度が八〇%ということを一つの目安にして、三十八年度の新規設備を許可したという状況に相なるわけでございます。この三十八年度に許可いたしましたのは、御承知のように工事に要する期間というものが必要でございまして、昭和四十年度までに完成し、したがいまして、完成した暁においては四十年度の供給計画に見合う原油処理、これを全体として八〇%の操業度で処理が可能であろう、こういう目安で許可をしておるという状況に相なっておるわけでございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 申請があったら、許可をしないうちは特定設備の工事というものは始まらないのですね。
  43. 加藤悌次

    加藤政府委員 そのとおりでございまして、ただ例外的に、石油業法を施行いたしましたときにはすでに工事に着工しているものがございまして、こういう過渡的な場合のものが例外として実はあるわけでございます。それ以後の設備につきましては、私ども、全部許可をもらってから工事にかかるようにということで指導をいたしておるわけでございます。
  44. 板川正吾

    板川委員 その点は法律的に別に疑義はないのですか。石油業法法律で、許可した後に着工すべしという規定はないようですが、その点は心配ないのですか。
  45. 加藤悌次

    加藤政府委員 許可をしたものを、許可どおりに工事をぜひやらなければならぬという義務は法律上はないわけでございますが、かりにそういう状況にもしありとすれば、少なくとも現段階では非常に設備過剰、申請が殺到しているという状況でございますので、それにかわるべき選手を追加して許可をするということも可能であろうというふうに考えております。
  46. 板川正吾

    板川委員 実はまだあるのですが、最後にひとつ大臣にお伺いしたいのですが、日ソ貿易協定がこの間結ばれました。前年よりも若干ふえたという形ですが、大臣は前に、今度の日ソ貿易協定の中ではソ連油を定期的に買って、そうしてシベリアまで結ぶ日本の油送鋼管ですね、これを長期的な取引をさせるということについて、この日ソ協定のほかに設けたいというふうなことを実は新聞で年末に拝見しているのですが、今度の日ソ協定を見ると、原油の購入量はややふえましたけれども、特別にふえていない。そうすると、油送パイプの輸出をし原油を引き取るということは、協定とは別ワクに考えられておるのでありますか、念のために……。
  47. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私がアメリカから帰ってきたときの羽田の新聞記者会見のときに、そういうような、アメリカが小麦を売るようになるんじゃないかということを私は実は言ったわけであります。その時分はまだきまってなかったのです。したがって、だんだんアメリカとソビエトとの関係、自由主義国家群とソビエトとの貿易関係というのはこういう意味で進むのではないかという面も見られるということを私が発言をした。そのときにちょっと新聞社のお方から、前に油送パイプをシベリアへずっと引いて、そしてそのかわりとして日本が油を買うという問題があったが、ああいうことについてどう考えるかということであったから、私は、油の行政と二つの面からこれは見られると思う、油の行政の面から見てみると、あまり買い入れ先が片寄ってしまうことは決して好ましいことじゃない、ほんとうを言えば、国内でよけいとれればいいんだし、また少なくとも自分の勢力範囲内の分が三割ぐらいあってもいいという感じがある。それにしても、どんどん油がふえていくということになると、やはり七割が全部英米系になってしまうというのもどうかと思うので、まあソビエトから安い油が、しかも政治的な意味がない油が入ってくれば、それもいいじゃないか、ただそういうときでも、どうもいままでは何か共産圏との貿易をしておって、ときどき政治的に、契約をしておっても一方的に打ち切られるような場合があったりするので、ちょっとそういうことがあると困るのだがね、こういう話をしたことはあります。それからまた一方、輸出を伸ばすという形からいえば、日本の鋼管を売って、それで油を引き取るということは、何もそう特に悪いことだとは思いません。しかしそこへいくまでには、たいへんないろいろな問題がいまからあるだろうと思うので、そういう日本の経済に与える影響、石油行政に関する問題等々、簡単にいま私が言ったようなことだけで踏み切れるものではないと思っております。しかし私は考え方自体としては、物と物を交換する形においてでもいいから、物資の交流をうんとやっていくという原則は何も悪いことじゃない、油の行政からいっても、特別片一方だけ片寄らせるというのがいいか悪いかということは考えてみる必要がある。しかし政治的な理由で、確かにそれはそういう約束をしておったけれども、お前の方がそういう変なことをするのならもう打ち切るぞなんということをやられるのじゃ、そういうことがあるようなことではわれわれはどうも簡単に応じられない。しかしそういうことも将来いろいろ考えながら問題をきめていくということになるでしょう。しかし、これは何もいま具体的にはなっていません。現にフルシチョフさんは、その後でありましたけれども日本から鋼管を買うことはもうやめたということを何らかの機会に発言されておるようでございます。だから、私はこれはすぐに具体化していくというふうには考えておりませんが、考え方自体を言えとおっしゃれば、私はそういう意味で見ていきたい、こう思っておるわけでございます。
  48. 板川正吾

    板川委員 最後に一言。大臣、いままで石油行政全般について質問をしてきたわけです。特に問題になったのは、最近政府も力を入れておる海外開発で、非常に各国から、日本技術を買われて、開発を協定してやろうじゃないか、こういう要望があるようです。その場合に、海外開発を協定して日本技術を持っていりて大いに成功した、しかし成功したのはいいが、それを引き取る国内体制が整備されない、その例はアラビア石油だ。こういうふうな議論になりまして、どうもいまの石油業法でそういう準国産油を優先的に引き取らせることがむずかしいならば、業法の改正なりあるいは別の法律をやるべきじゃないか、石油業法をつくったときの附帯決議もある、当面は、出光問題を契機に若干石油業法の不備がある、特に生産調整するという面においては十条の二項では読めない節もある、だからそういう点を強化しながら、この石油の行政に対する国の力を若干強めていって、そうしてこの準国産油海外開発油の国内への計画的な軌道に乗った引き取り体制ができるようにしたらいいじゃないか。半年、一年の協定をして、それから先はまだわからない、一年間きめたが、それから先はわからないというのでは、長期的な海外開発なんというものはできません。だから、それは制度に乗っかった引き取り体制というのをとにかく考えなくちゃいけないのじゃないか。それでないと、せっかく海外へ出て成功しても、日本国内で引き取ることができない。昨年は原油に払った金が八億六千万ドル、十億近くに来年、再来年はなるのじゃないですか。その半分節約できたということになれば、これは非常な赤字解消にもなるのじゃないか。だからそういう意味で、私は海外開発油の引き取り体制というのを、石油業法のときの要望もあるのですから、とにかくもう少し真剣に考えてほしいということを要望したのです。大臣の答弁を待って、それで終わりといたします。
  49. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、石油業法が必ずしもいまぴったり当てはまって  いるかどうか、必要を満たしておるかどうかということについては、いろいろの議論があるところだと思いますが、ただ、いままでのところは大体あれでわれわれの思うように——まあ思うようにと言うとおかしいけれども、まあまあ何とかやっている。それで、まあまあやっているという裏には、石油業界が一応通産省の指導方針もよく理解しながらやってくれていると思っておるわけです。たとえばアラビア石油の場合でも、三十八年度八百万トン、それから三十九年度千トンというのも、実際を言うと最初はずいぶんのまなかったのですが、とうとうこれをのんだ。これはあなたも事情はおわかりだろうと思う。しかし、そのあとはどうなんだ、まだきまっていないじゃないか、そういうことを言っているのでは困るじゃないかというお話だと思うのですが、私はできるだけ国外資本だとか国内資本だとかいうことにあまりこだわらないで、みんなうまくいくようにしていければ、無理をしないほうがいいのじゃないかと、こういう気持ちを持っておるのです。開放経済体制に向かって日本がいま動こうとしているときに、もちろんそんな外国の資本でもって日本がとやこうされるというようなことであっては困りますが、そうなればそこでやればいいので、いまのような意味からいえば、特にいまここで法律改正をしなければならないわけじゃない。一応業界の動きを見ておって、業界がやはりどうしても協力しない、たとえばアラビア石油引き取りもあまりがえんじないなんというときなら、私はいつでも法律改正をする決意は持っております。しかし、いまのところはまあ大体引き取ると言うておるので、また無理して、お前ら引き取らないと心配だから、ひとつ法律改正しておくぞというところまではむしろやらないほうが、平和的に問題は解決していくというか、むしろスムーズにいくのじゃないかという感触を実は持っておるのであります。  ただ、あなたが仰せになったように、この石油資源問題というのは一番日本外貨を食いますから、これに対してはわれわれは非常に注意を払っていかなければならないと同時に、準国産というようなものをもっとふやすということに大いに努力しなければいかぬ、こう思って、予算措置というようなものもいささか、不十分でございますが講じたようなわけでございますが、今後も御趣旨をよく頭の中に入れながら、臨機応変といいますか、時によってはあなたのおっしゃるような方向に踏み切ってでもやっていく、こういうことで対処してまいりたい、かように存じておる次第であります。      ————◇—————
  50. 二階堂進

    ○二階堂委員長 この際、去る十二日付託になりました内閣提出鉱業法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案並びに昨十三日に付託になりました内閣提出日本貿易振興会法の一部を改正する法律案、以上四法案を議題とし、通産大臣より趣旨説明を聴取することにいたします。     —————————————
  51. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現行鉱業法昭和二十五年に制定されたものでありますが、最近における社会経済の実情に適合しない面があるとして、各方面から改正検討が要望されるようになりました。特に昭和三十三年第三十国会におきまして、現行法について根本的な改正措置を講ずべき旨の決議がなされたのであります。  政府におきましては、この要請にこたえるため、通商産業大臣の諮問機関として鉱業法改正審議会を設け、三年間にわたり、全面的かつ詳細な審議を行なわせましたが、一昨年三月その答申を得ましたので、その後政府部内において、答申内容に基づく改正措置につきまして、慎重な検討を進めてまいった次第であります。  鉱業法は、鉱業に関する権利の設定及びその行使について定めた鉱業の基本法でありまして、その制度の骨子は明治以来の長い伝統を持つものであります。しかし、最近における高度に発展し複雑化した社会経済の実情にかんがみ、また鉱物資源の合理的開発をはかるためには、権利制度内容や鉱業に対する監督の方法につきまして、大幅な改正をする必要があるという結論を得まして、ここに本法案を提案いたした次第であります。  この法律案内容は、きわめて多岐にわたるものでありますが、その主要な内容を申し述べますと、第一点は、鉱業権者として不適格な者が鉱業権を取得し、鉱業を行なうことをできるだけ防止することにいたしました。すなわち、欠格要件を設けて、鉱業法規に違反した悪質な者については権利の取得を禁止するとともに、特に石炭につきましては、鉱山災害や鉱害に関して問題が多いことにかんがみ、一定の経理的基礎がなければ権利の取得を認めず、また適正な能力がなければ鉱業の実施を認めないことにいたしております。  次に第二点としましては、最近土地の利用の高度化に伴ない、鉱業と地上の各種の権益とが競合する事例が次第に増大する傾向にあることにかんがみまして、両者を調整する制度を整備いたしました。まず、他の事業の施設により鉱業が著しく制約される場合について、鉱業権者の請求権の範囲を明確にするとともに、できるだけ事前協議より円満に調整される方途を講じ、両者間に紛争が発生した場合には地方鉱業審査会が仲介によりその解決に当たることにしております。また鉱害に関する紛争につきましては、鉱業権者に所要事項の調査を命ずる制度や被害者が鉱業の実施について説明を要求することができる制度などを設けて紛争の予防をはかるとともに、紛争が発生した場合には、地方鉱業審査会による仲介のほか、それが不成立に終わった場合における裁定の制度を設けまして、その効果的な解決を期した次第であります。  さらに第三点としては、鉱物資源の合理的開発の見地、あるいは他権益との調整、鉱山災害や鉱害の防止の見地から、鉱業権者に対する国の監督を強化することにいたしました。まず、鉱物の合理的開発の見地から、鉱区の配置や帰属を適正にするため、強制的に鉱区調整を行ない得る制度を拡充することにいたしました。また、施業案について一定期間内に更新させた制度を設けるなど、鉱業に対する監督措置を強化するとともに、鉱山災害の防止につきましては、権利の設定及び行使を通じて、できる限りの配慮をすることにした次第であります。  最後に第四点といたしましては、試掘権内容を明確にし、適用鉱物について必要な追加を行ない、盗侵掘などの違反行為について取り締りを強化するなど、現実に適応した制度を採用し、また各制度の不備な点を是正することにいたしております。  以上がこの法律の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま提案になりました中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業金融の円滑化をはかるため、政府といたしましては、かねてより、政府関係中小企業金融機関の業務の拡充をはかりますとともに、中小企業者の信用補完につきましては、その重要性にかんがみ、各地の信用保証協会が中小企業者の債務を保証することを容易にするため中小企業信用保険公庫に保証債務についての信用保険と同保証協会に対する融資を行なわせてきている次第であります。しかしながら、現状においては、中小企業者の信用保証協会に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府としても、当公庫を通じ信用保証協会の保証機能を一そう拡充、強化する必要があると考えるのであります。このような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。  第一は、現在中小企業信用保険の対象とされている特殊保証は、信用保証協会が通常行なっている根保証とその範囲が一致しない点がございまして、十分活用されておらないきらいがありますので、中小企業信用保険法を改正して特殊保証の範囲を拡大し、保証の簡易迅速化を推進し中小企業者の信用補完に遺憾なきを期そうとするものであります。  第二は、最近における中小企業者一人当たりの借り入れ規模の増大に対処するため、中小企業信用保険法を改正して、小口保険の付保限度願を二十万円から三十万円に、第一種保険の付保限度額を五十万円から百万円に、第二種保険の付保限度願を中小企業者については七百万円から一千万円に、中小企業者団体については一千万円から二千万円にそれぞれ引き上げるものであります。  第三は、中小企業信用保険公庫の信用保証協会に対する融資業務を拡充し、その保証機能の強化をはかるため、当公庫に対する政府出資を昭和三十九年度において四十五億円増加し、これを当公庫の融資基金に充てることにしておりますが、これに伴い、中小企業信用保険公庫法を改正して当公庫に対する政府の追加出資に関する規定を整備しようとするものであります。なお、このほか、中小企業信用保険公庫の業務の適切なる運営を確保するため、当公庫の監事の権限に関し所要の改正をしようとするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま提案になりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  商工組合中央金庫は、政府関係金融機関として、長年にわたり中小企業者団体あるいはその構成員である中小企業者に対する金融の円滑化をはかる上におきまして、多大の役割りを果たしてきているのでありますが、特に最近における中小企業金融の実情にかんがみまして、当金庫の業務について、なお一そうの拡充を期する必要があると考える次第であります。かような趣旨に基づきまして、今回、商工組合中央金庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。  第一は、商工組合中央金庫の資本金及び当金庫に対する政府の追加出資に関する規定を整備することであります。  中小企業者の金利負担の軽減に資するため、昭和三十九年度において商工組合中央金庫に対する政府の出資を三十億円増額することといたしておりますが、これに伴い、当金庫の資本金及び当金庫に対する政府の追加出資に関する規定を整備するものであります。  第二は、準所属団体の範囲を拡大することであります。  現在、輸出に関し所属団体の構成員の共通の利益を増進するため必要な施設を行なう法人で主務大臣の認可を受けたものは、商工組合中央金庫の貸し出し業務の対象となることになっておりますが、法人の範囲を輸出の振興または事業の合理化をはかるため必要な施設を行なうものに改正、拡大しようとするものであります。  第三は、当金庫の業務に外国為替業務を追加することであります。  現在、商工組合中央金庫の為替業務は、内国為替に関するものに限られていますが、所属団体の構成員の輸出入取引の円滑化をはかるため、今回新たに外国為替に関する業務を追加しようとするものであります。  このほか、当金庫の保護預り業務、代理業務の範囲を拡充するとともに、役員の任期を五年から四年に短縮しようとするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、日本貿易振興会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  わが国の経済を長期にわたり拡大発展させるためには、官民一体となって、輸出振興のために不断の努力を払っていかなければなりませんが、開放経済体制への移行が本格化し、また、国際競争がますます激化しつつある現在、輸出振興に対するこのような要請は、一そう切なるものがあります。  政府といたしましては、かねてから輸出環境の整備、輸出振興税制及び輸出金融の拡充強化、日本貿易振興会に対する助成の強化、輸出振興機運の醸成等各般の面にわたって努力いたしてまいりました。  なかんずく、日本貿易振興会につきましては、従来から民間政府共同の輸出振興の中核体として、育成強化をはかってまいりましたが、現在国会において御審議いただいております三十九年度予算案におきましても、貿易資料センターの設置、輸出秩序維持対策事業、国際見本市事業、トレードセンター等の海外施設の設置運営事業、業種別輸出振興対策事業等の一そうの拡充強化をはかることといたしまして、五億円の追加出資を含む合計三十一億三千万円を計上いたしている次第であります。一方、このような日本貿易振興会に対する助成の強化、同会の業務量の増大に対応いたしまして、同会の体制の整備の必要が生じてまいっている次第であります。  次に、この法律案内容を御説明させていただきます。  内容の第一は、政府の一般会計から追加出資を受け入れることができるように、資本金関係規定を整備しようとするものであります。  第二は、業務量の増大に対処して、業務の円滑な遂行をはかるため、理事を増員しようとするものであります。  第三は、日本貿易振興会の運営全般にわたって、より一そう民間各界の意見を反映させるため、運営審議会の委員を増員しようとするものであります。  以上が本法律案の提案理由及び要旨でございます。  何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  52. 二階堂進

    ○二階堂委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  四法案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  53. 二階堂進

    ○二階堂委員長 引き続き石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案につき質疑を続行いたします。伊藤卯四郎君。
  54. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 本日まで審議をされてまいりました石油、ガス等に関する問題等については、同僚の各位からそれぞれ質、問がされてまいっておりますので、私はそれと重複をできるだけ避けるようにいたしまして、きわめて具体的に内容をあげて質問大臣にいたしたいと思っております。福田通産大臣も、池田内閣の続く限りおそらく通産大臣の地位におられるだろうと信用しまして質問をいたします。私も具体的に質問しますから、大臣もひとつ具体的に責任のある御意見をお聞かせ願いたいと思います。  大体三点にわたって質問しようとしておりますが、第一は、帝国石油開発国策会社、この二つを現在のままのような競争状態に置いてよろしいかどうかという点でございます。石油開発会社は、これが創立する当時は、いまの大蔵大臣田中さんがたしか委員長だったと思います。私も国会側から委員の一人として参加したものでありますから、わりあいにその内容にわたっては存じておるつもりであります。御存じのように石油開発会社というのは、無の中から有が生まれてきたのでございます。というのは、開発会社は何にも持っていなかった。帝国石油から鉱区をもらい、設備、機械をもらい、技術員を譲ってもらい、そして国からの出資、民間からの出資、これによって初めて生まれてきたものであることは申すまでもありません。そこで、この会社をつくる当時、現在のようにどうも民間事業会社のようになるおそれがあるという危険性を国会側でも感じましたので、国がこの会社の過半数の出資を常に持っておらなければならないということがきめられたのでございます。これも全会一致でございます。というのは、そういうおそれがあるからあくまで国策会社の性格を守ろう、そしてその使命、目的を達成させようとしてやったわけでございますが、そうしたところから現在の開発会社の資本額は百五十億以上になっております。国の出資が九十八億、民間の出資が五十四億、その五十四億の中で帝石が出資しておるものが二十二億でございます。しかもこれは無配という条件になっておるわけでございます。そこで、帝石は現在どういう状態にあるかというと、私の知るところでは、百八十億円の借金があると聞いております。その金利が、年に一割七分八厘の金利を払っておるということでございます。もし、そうだとすると、金利だけで年間三十億円から払っておる。しかも、こういう高い金利を払っておる帝石が、開発会社のほうには二十二億円の無配の出資をしておるわけです。こういう状態でございますから、したがって、この帝石開発会社が同じ営利目的をもって競争するということになれば、これはてんで帝石のほうが負けてしまうことは問題にならぬと申し上げてもいいと思うわけであります。さらにまた石油開発会社が事業拡張を順次していくに従って、技術員あるいは社員、従業員が漸次動員されるであろう。その場合には必ず帝石からその必要な要員はとるということが条件になっていたのでございます。ところが、開発会社のほうでは、帝石からそうした人々をとると、給与、賃金、待遇の条件をよくしなければならぬというところから、帝石のほうからとらないで、臨時雇いを入れて補いをしてやってきております。こういう点からしても、今日のごと帝石が苦境に立ってこざるを得なくなることは、もう理の当然でございます。そういう点から、大臣も御存じのように、帝石の社長はじめ重役陣はこの責任をとって総辞職をしておるわけです。今月の総会で新たに今度また選ばれることになってきております。ところが、帝石をこういう苦境に追い込んでしまったということは、私は政府にも責任があると思っております。  以上私が申し上げたような、そういう関係のもとにつくられたものでもありますし、さらにまた聞くところによると、政府、大蔵省は、この一、二年のうちに、開発会社を自立事業会社というか、あるいは帝石と同じような経営体というか、そういうものに持っていこうとしておるということを聞いております。また開発会社の経営責任者も、だいぶもうかってきたから、年間六分ぐらいの配当をするように法律を改正してもらうように政府に要請しようという話をしておるというようなことも聞いておるわけでございます。そうなりますと、もはや帝石開発会社とを二つにして競合さすというか、争いをさす意味が私はないと思う。石油開発会社は、帝石のおかげでできて今日をなしておるのでありますから、したがってわれわれが審議をしました当時は、あくまでも開発会社探鉱開発をする、そして油なりガスに井戸が当たったら、帝石あるいはそうした民間会社にその事業を行なわしめる、営利的な事業をやるものではない、そういうところから国の出資と、無配の出資を民間から出さしておるわけです。  以上申し上げたようなことでありますから、したがって今日のままにしておきますならば、今度帝石の最高幹部が総辞職して問題を引き起こしておるようなことが、またまた次から次に起こってくることは間違いないと思います。またそうすれば、二つを争わしておくということは、国策的見地からも私はよろしくないと思います。でありますから、もはや現状のような状態であれば、二つを統一するというか、合併して一つ会社にしてしまうということはどうか。そしてさらに、やはり井戸掘りというのは相当危険作業でありますから、別個に国の機関として石油、ガスの探鉱開発の機関をつくって、純然たる国の機関としてやる。そして石油、ガスの井戸を掘って当たったら、その当たった分はこうした民間の事業体にやらせる。そのかわりに井戸を掘ったその実費は、会社から国がとる。こういうことにすれば、国策会社としての、国の機関としての使命が全うされると私は思うのです。この点についてどうお考えになっておられるか。  それから、国がそういう機関を独自で持つより、むしろ帝石開発会社を合併した一つ会社探鉱をやらせる。したがって国がそれに対しては相当監督というか、指示、指導をしてやらせる。したがって井戸を掘った実費は、国が会社から取り上げる、こういう形でいけば、筋が非常にはっきり通って、そして問題も起こさないで、困難な危険作業である地下資源の開発というものに、諸外国でやってきておる例と同じような国の使命を果たすことができるのではないか、こういうことを考えますが、以上の点について、ひとつできるだけ具体的に、大臣のお考えになっておること、あるいはいま私が申し上げたようなことについて御意見を伺いたい。
  55. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 伊藤さんから、いままでの帝石並びに石油資源関係、おい立ち、その後の事情等々、詳しく御説明をいただいた次第でありますが、私も大体の話は聞いておりますが、いまあなたが御質問になったようなことに対して、率直にお答えするだけの用意といいますか、勉強もまたいたしておらないことはまことに残念でございますが、いずれにしても帝石の場合については、新しい首脳部が近くできて、そうしてひとつ大いに張り切ってやろう、こういうようなふうに見受けられるのであります。これがどういうふうな仕事をされていきますか、これはやはり一応見て差し上げてもいいんじゃないか。しかしまあそういうことをやっていかれてもなかなかむずかしい。すなわち従来のいろいろなことからいってむずかしい。またいま御指摘のありましたように、帝石はガス、石油開発は最初は石油探鉱ということであったが、いまは実質的に仕事もしている、こういうあり方がはたしていいかどうかというようなお話、またそういう国策会社が要るというなら、ひとつ石油もガスも探鉱だけやる会社をつくって、あとの部分はまた別に合併してはどうかというようなお話等々は、なかなかこれは私が一言でこうしたらよろしゅうございますといってお答えすることは、この場合においては困難かと思います。これはいま伊藤さんのお話しになったような点も十分考慮の中に入れつつ、今後一つ大いに研究をさせていただきたい、かように考えるところであります。
  56. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そう下手に出て答弁をされると、私も正面切って取り組めなくなってしまうのですが、やはりできるだけ考えを持って御答弁願いたいという意味で、鉱山局長にも、こういうことを聞こうと思うから、大臣にも十分ひとつ心がまえを持ってもらうようにということを、実は私申し上げておいたのであります。ほんとうから言うならば、議員の質問することを前もって種あかしをしておくということはやらないものです。けれどもこういう重大な問題でありますから、大臣にも十分勉強しておいていただきたいと思って申し上げておいたのですが、ただいまのような御答弁であるならば、ひとつこの問題がいかに大きな問題であるかということをお考えになって、私からも申し上げたのでありますけれども、ひとつわれわれが十分納得のできるような解決案をつくってもらいたいということを要望いたしておきます。  それから次にもう一点伺いたい点は、熱量、エネルギーの問題でございます。これが大体どのようにふえていくかということをいま見てみますと、石炭に換算することが一番早わかりするのではないかと思いますが、いま石炭を七千カロリー以上のものとして換算して、大体一年間に二億何千万トン使うだけの熱量をいま使っております。それが昭和四十六、七年になりますと、二倍以上になります。ところが石炭のほうは御存じのように、別にふやそうと政府考えておらぬようでありますから、そうするとやはり火力のほうもそう伸びないであろう。水力のほうも、もう大きいのはずいぶんつくってしまってある。私はやはり石油天然ガスが大部分を占めるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。そういたしますと、日本では石油は実は計画どおりに当たっておりません。ところが、予想外に当たって成果をあげているのはガスです。可燃性天然ガスは、もうどこを掘ってもあると言われるぐらいございます。特に最近は関東平野に非常にある。ただ問題は、塩分というか、そういうものを含んだ水溶性ガスのために、それを川に流すわけにいきませんから、海岸までパイプをひっぱってその水を流さなきゃならないというところに一つの問題点があるわけです。そういうところから、この可燃性のガスの開発を五カ年事業計画を立ててやろうとなっておるわけでありますが、大体年間どのくらい得られるかというと、十八億から二十億立方メートルぐらい得られるんじゃないか。そうすると、いまこのガスをあてにして、御存じのように北日本のほうには秋田、新潟県を中心にしてガス化学工業というのが非常に大きくつくられておる。ところがこのガスが、最近になってだいぶん予定のガス層が少なくなってまいっております。そういう点から非常な不安を起こしつつあります。それというのは、やはり一つのところに無限大にあるわけじゃありませんので、絶えず新しいガス層を発見していかなきゃなりませんから、そういうところから五カ年計画というものを立て、これに百六十億円ぐらいの金を使おうとしておるわけであります。ところが、政府から出すのは十億円ぐらいだと聞いております。そうするとあとの百五十億の資金は民間が調達をせなきゃならぬということになるわけでございます。こういうものは、これはやはり地下資源の一つのそういう事業でありますから、やはりこれはいわば国策的なものとしてやらなきゃならぬことは申すまでもありません。そういう点から、さきに私が申し上げたような国の機関としてこういう探鉱開発の事業をやるか、しからずんば帝石開発会社を合併したようなものにやらして、当たればこれから実費を取り上げるか、いずれかの形でやるようにせなければ、無限大にあるといわれておるこの天然ガスを掘ることはできないのじゃないか。これを掘ることができないということになると、現在つくられておる石油化学事業というものも非常な不安に陥るのではないか。ところが次から次へこれが開発されていけば、ガスは油と同じような、化学産業としてのあらゆる製品をつくっておるわけですから、これは非常に偉大な近代的化学工業といわれるわけでありますから、こういうものこそは、これはやはり民間事業体に何するものではなく、以上私が申し上げたように国が一つの国策としてやる。その国策としてやるのを、国みずからがやるか、いま申し上げたようなそういうものに指導してやらせるかということは、これはやはり国の方針としてきめられなきゃならぬ問題じゃないかと私は思う。ついては、それに必要な資金は百六十億円要るものを、国が十億くらいのなにで、あとは民間に、お前たち何とかしてやれというふうなことは、これは国策事業としては国があまりにも放任し過ぎておりはしないか。私はもっともっと責任を持ってやるべきであると思うが、この点について大臣の、今後のこのガス開発に対する信念をひとつ聞かしていただきたい。
  57. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は非常にけっこうなアイデアだと思うのでございまして、外貨不足に悩んでおるいまの日本、それから将来も貿易機構、構造等から見まして、あるいはまた経常収支以外の構造から見ても、日本外貨の問題というのはだいぶ大きくクローズアップされておるときに、国内資源をできるだけ活用しようということは、私は大きな意味で政治の筋に合っていると思うのであります。こういう意味において、今後ひとつお説を参考としながら十分研究いたしてまいる。ただし、いままでも何もやらなかったわけではございません。予算もあなたが仰せになったよりは、いま局長に聞いたら、もう少しよけい出しておるという話であります。せいぜい出しておっても、それはたいした——百六十億に対して十億がたとえ二十億になっていたからといって、それで問題は解決するのではないことはよくわかるところでありますけれども、今後ひとつそういうことも含めてこれまた研究をさしていただきたいと思います。
  58. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま一点だけお伺いします。いま御答弁になりましたガス開発の問題については、これは非常に急を要する問題でありますから、大臣、真剣に、ひとつ十分開発をやり得るようにこの計画を立てて、積極的に刺激を与えてやらすようにしてもらいたいことを要望しておきます。  それから最後にお尋ねしたいと思うのは、政府が今度海外石油開発資金を、わずかでありますが、予算に組んでおります。日本に持ってくる外国の石油というものが、日本の資本、日本技術、そういうものによって掘り出されたものを日本に持ってくるということは、私どもも賛成でございます。たとえば、現にアラビア砂漠などでやっておりますのも、あれはほとんど外国で掘ったものを買う、また請負掘りをさしたものを買うというようなことで、外国資本にかなり上前をはねられておることは御存じのとおりであります。したがって、外国に出ていくだけの資本力、技術力、設備、そういうものでも、日本はもはや負けないものを持っておるわけでありますから、また現につくっておるわけで、たとえば秋田の沖におります白竜号ですか、ああいうものなども、これは外国に決して劣らないものを日本でももうつくれることになっておるということを伺っております。でありますから、それだけの実力が日本にもできたわけでありますから、私は外国にそういうように大きく出ていってやることには賛成なんです。ただしかし問題なのは、今度予算の中からお出しになっておるこの金が、法律にも何にもよらないで、一体そんな金を出せるものかどうか。国の金というものは、これはみんな国民の血税というか、国民の金なのです。それを、たとえ百円といえども法律によらざる金というものを使ってはならぬ。いわんや外国に出資する場合においては、やはりどの機関をして責任をもってやらしめるということを法律の上で明記して出資すべきなんです。政府は、大蔵省を持っておる、日本銀行を左右することができるからといって、政府が勝手に金をどこへでも使うことができるなら——独裁政治ならいざ知らず、いわゆる民主議会政治においては、立法の府を最大に尊重しなければならぬことは明らかです。立法府のいわゆる審議と法律の成立を得て初めて金というものは使われなければならぬはずなんです。ところが今度出資されるそれはどの法律によるのか、どの機関でやらしめるのか、だれが責任者かということが明らかになっておらぬ。どうせ海外にこれから漸次拡大して出ていくとするなら、どうしたって法律の改正をしなければならぬはずです。あるいは額が何億程度だからとおっしゃるかもしれないが、申し上げたように百円の金といえども無断で、法律なしに使っちゃならぬのですから、それを一体どういうなにによってお使いになるのか、その点をひとつはっきりお聞かせ願いたいと思います。
  59. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 政府委員をして答弁いたさせます。
  60. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。伊藤先生の御疑問になる点を私なりに分析いたしますと、二つあると思うのです。第一点は、現在の石油資源開発株式会社法を読んでみますと、積極的に石油資源開発会社自身で海外に出てまいりまして、原油探鉱開発事業をやれるかどうか非常に不分明である、そういった意味から、法律にはっきりすべきじゃないかという問題が一つと、それからもう一点、今度の財投でお願いしております二億についての法律上の根拠がどうもないのではなかろうか、こういうことだと思います。  前者につきましては、石油資源開発株式会社法の御制定を願います場合に、この委員会での質疑応答の中にもはっきりされておりますように、現在の法律の条文のままで海外に対する進出も可能である。いまにわかにそういうことを考えてはおらないけれども、将来必要な場合には石油資源開発会社海外原油探鉱なり開発もやるのです、こういうふうに答弁を申し上げておるわけでございまして、法律解釈といたしましては、現在の条文のままで海外へ出ていくことも可能である、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから二億の出資の点でございますが、これは御承知のように財投の一環といたしまして産業投資特別会計からの出資を仰ぐということになっておりまして、そちらのほうでの国会の御承認をいただく、こういうことに相なりますので、法律的に先生指摘のような疑義はないのではなかろうか、こう存ずるわけでございます。
  61. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 当時、あの石油資源開発株式会社法を審議いたしますときに、将来への議論としてはございました。けれども、いま局長が言われたような、この会社海外に出ていってやるのだ、その場合、その出資は国が持つ、あるいは民間も出すとか、そういうことをこの法律の条文の中に書いたことがございますか。私はそういう条文があるようには思わないが、そういう条文がございますか。金というものはやはり法律の中で規定をせなければ、申し上げるように百円たりとも使ってはならぬ、いわんや海外に出るという場合においては相当慎重でなければならぬ。私は反対で言っているのじゃありませんよ。どうせ今後二億ぐらいのものじゃない、あるいは何十億、何百億というようなものを開発のためには出していかなければならぬということもあるだろう。それなら、二億は法律の必要がない、二十億の場合には必要がある、私は予算というものはそういう性質のものじゃないと思いますが、いま言ったように、どこにそういう条文があるか。あるいは二億ならよろしい、二十億なら改正しなければならないという解釈を行政の府が勝手にやってもいいものですか。それなら立法の府は要りませんが、どうです。
  62. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。石油資源に対します二億の出資の面につきましては、この法律には直接関係はございませんが、産業投資特別会計法の予算なり財投で御審議願うということで、十分に国会の御審議を願うことになるわけでございまして、そういった面から必ずしも法律になくても、予算の御承認ということで十分ではなかろうかというふうに解釈をいたすわけでございます。  それから私の個人的な感じでございますが、三十九年度あの二億をどういうふうに使うか、いろいろ話はございますが、本格的にはまだ検討の段階にあるわけです。今後の成り行き、状況等を見まして、いよいよ本格的になり、さらに出資も必要であるというふうな場合に、あらためて法律の面の検討をいたしていってもいいのではなかろうか。当時の国会の御審議の中にもございますが、そういう法律的な面からは疑問がないけれども、もう一つ対外関係を顧慮するということも必要ではなかろうかということで、実はこの法律には国外の石油資源開発という書き方をしておらないということを特に取り上げて議論されておるわけでございますが、現時点においてはそういう法律解釈で私どもはおるわけでございます。
  63. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 局長、行政の府の諸君は立法府のわれわれをないがしろにしておると、私ははなはだ遺憾にたえない。だから大臣は、いまは行政の府、通産省のほうの責任者だが、おやめになったらわれわれと同じ立法府の人だから、いま私が議論しておる問題は、どっちが立法の権威の上から妥当だと思いますか。大臣、ひとつあなたの解釈を言ってください。
  64. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、政治というものは一応目的がまず正しくなければいけないと思います。そしてまた手段も正しくなければいけない。そういう意味からいえば、まず目的が正しいという場合だったら、あまり違法でない、まあ何とか解釈がつくならば認めてやる、こういうのがいいのじゃないか。まあそういうような感じで、あなたが率直に言えというから感じを率直に申し上げたのです。ただ、そういう疑義がもしあるといたしますならば、将来において私は法の改正というような問題も考えたって少しも差しつかえないと思いますけれども、しかしそのためにせっかくの目的が達成されない、伊藤さんも非常に御賛成を願っておるようでありますが、そういうことができないというようでは、これはどうもあまりおもしろくないと思いまして、そういった感触で十分行政府を御鞭撻もしていただき、また御叱正も賜わっていただく、われわれもまた、そういうお気持ちがあればそれに応じて考えていく、こういうようなところで調和をはかっていくというのが一番よかろう、かように考えております。
  65. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 局長、ひとつはっきりしておきたいが、おそらくあなたも腹の中では、法律改正を、二億円ぐらいはちょっとしたものだから、さしみのつまみたいなものだからいいけれども、これを二十億、五十億あるいは百億ということになれば、当然法律を改正しなければならないものだということを、おそらくあなたもお考えになっておるし、われわれもそんなに莫大な金を、漸次拡大していくものを、立法府の法律にもよらない、行政府が勝手につかみ銭で使うということになれば断じて許されぬが、この点に対してあなたはいま何とか理屈をこじつけて言っておるけれども、おそらく今後拡大していくに従って、法律によらなければならぬという点については考えておられるだろうと思うのですが、どうですか。この点はあくまで法律によらないでもいいとお考えになっておるかどうか。
  66. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。先ほどもお答え申し上げましたように、将来いよいよ海外開発が本格的になって、国内とのウエートの面から見ても相当な量になるというような場合には、当然この法律を改正してはっきりしたほうがいいというふうに私ども考えております。ただ過去にすでに例がございまして、昭和三十五年に、出資をいただきましたうちから一億を北スマトラ開発協力株式会社に対して政府が出資をしている前例もあるわけでございまして、今度の場合はその程度に考えたということでひとつ御了承をお願い申し上げておきます。
  67. 二階堂進

    ○二階堂委員長 次会は来たる二月十八日火曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会