運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-02-11 第46回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十一日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君  理事 中村 幸八君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       岡崎 英城君    海部 俊樹君       神田  博君    菅野和太郎君       田中 正巳君    田中 六助君       中川 俊思君    野見山清造君       長谷川四郎君    村上  勇君       大村 邦夫君    加賀田 進君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    森  義視君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         中小企業庁長官 中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 二月十日  委員藤田高敏辞任につき、その補欠として加  藤清二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤清二辞任につき、その補欠として藤  田高敏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十日  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  中小企業指導法の一部を改正する法律案内閣  提出第七四号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七五号)  アジア経済研究所法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(予) 同日  中小企業近代化促進法指定業種拡大等に関する  請願増田甲子七君紹介)(第二九二号)  同(原茂紹介)(第三三〇号)  同(下平正一紹介)(第三七六号)  同(唐澤俊樹紹介)(第三七七号)  同(松平忠久紹介)(第四一五号)  鉱業政策充実強化に関する請願井原岸高君  紹介)(第二九五号)  同(藤田高敏紹介)(第三五四号)  離島林道事業国庫補助率引き上げに関する請願  (池田清志紹介)(第四二三号)  新産業都市正式指定に関する請願齋藤邦吉  君外一名紹介)(第四三六号)  上水道事業用電力特別料金設定に関する請願  (二階堂進紹介)(第四九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案  (内閣提出第五二号)  中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法  律案内閣提出節七二号)  中小企業指導法の一部を改正する法律案内閣  提出第七四号)  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  まず、内閣提出石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案を議題とし、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。沢田政治君。
  3. 沢田政治

    沢田委員 私は、石油並びに天然ガスの問題について御質問いたしたいわけでありますが、まず最初に、石油資源探鉱臨時措置法廃止に関する法律案提案説明の中に、昭和二十九年にこの法律ができてから、昭和三十年に石油資源開発株式会社が設立されまして、石油資源探鉱及び開発を強力に推進する体制が確立された、このように非常に高い評価をこの法律成果としてあげておるわけでありますけれども、この法律の結果、日本石油資源開発については成果が非常にあって、これでもう全部終わった、このようにお考えになっておられるのかどうか。さらにはまた、具体的にどのような成果があったのか。抽象的なことではなく、具体的にどういう計画と、どういう成果を今日見出しておるかということを当局のほうから御説明願いたいと思います。
  4. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。  今回審議を願っております石油資源探鉱促進臨時措置法の性格は、日本石油資源を今後積極的に開発してまいる必要がある、そのために必要な方策の一つといたしまして、鉱業法一般原則に対する例外規定を設けてあるわけでございます。当時、私どもこの法律だけで石油資源開発を行なっていこうということではなかったわけでございます。この法律内容は、要するに石油試掘権を保ちながら権利の上に眠っておるいわゆる休眠鉱区をできるだけ防止いたしたいという趣旨で、施業案の特例なりあるいは試掘権に関する鉱区調整規定が織り込まれておるわけでございます。そういった本法の趣旨自体を見ますと、提案理由の御説明で申し上げましたように、三十年に石油資源開発株式会社ができまして、この法律うしろだてとしながら、当時の帝国石油株式会社その他との間に大幅な鉱区調整が実際にできてまいったということで、 この法律自体がねらっておる趣旨は、実質的に石油資源開発株式会社の創立によって達成されたということでございます。
  5. 沢田政治

    沢田委員 次に、通産省のほうで昭和三十年の十月に天然ガス資源開発五カ年計画という合理化計画をつくられたわけであります。それが現在実施中であると思いますが、昭和三十七年並びに昭和、三十八年を経過した今日において、その実施状況がどうなっているのか、具体的に言いますと、たとえば発見埋蔵量の推移がどうなっておるのか。さらに第二番目の問題としては、生産量の状態をずっと具体的に示してもらいたい。特に天然ガスの問題につきましては、年々その需要が急増しておるわけであります。こういう急増しておるところの需要に対して、供給が万全であるかどうか、この点についてお聞きしたいと思うのです。
  6. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。  第二次の五カ年計画をお答え申し上げる前に、二十八年度につくられました第一次の合理化五カ年計画と申しますか、当時の五カ年計画ができまして、その翌年、いま御審議願っておりますこの法律ができたわけでございますが、それ以後の石油生産がどういうふうに上がっているかということを御参考までに申し上げますと、御承知だろうと思いますが、この第一次五カ年計画ができました当時の国産原油生産量が大体三十四万キロであったわけでありますが、これを将来、大体百万くらいまでに持っていきたいという構想でもつて発足いたしたわけでございます。その後の実績を見てみますと、原油生産量は、昭和三十年が三十五万六千キロ、三十一年が三十四万九千キロと、大体順調な足取りでもって伸びておりまして、それが三十六年には七十七万六千キロという数字になったわけでございます。それでいまの御質問の第二次五カ年計画と申しますのは、三十七年度初年度とする昭和四十一年までの計画でございまして、その第二次五カ年計画ができましてからまだ一年半という状況でございますが、生産量から見ますと、三十七年度の五カ年計画の計算の数字が大体八十万キロということになっておりますが、この目標に対しまして、実績は八十七万六千キロ、さらに三十八年度につきましては八十二万二千キロの目標に対しまして、これは見込みが入りますが、大体九十二万キロくらいになるであろうということでございます。一方、探鉱のために投入されました資金でございますが、これも第二次五カ年計画との対比で申しますと、三十七年度計画が十六億ばかりでございます。これに対しまして、これはSK自体原油開発を主眼にしてやるということになっておりますので、SK探鉱投資資金を一応これに投入された金額というふうに考えますと、いま申し上げました十六億一千五行万に対して二十億以上の金が投下されておる、三十八年度も十六億に対しまして二十二億強の金が投下されておる、こういう見込みでございまして、いずれにいたしましても、事原油に関します限りにおいては、第一次五カ年計画なり第二次五カ年計画目標を上回って、相当りっぱな成績をあげておる、こういうふうに存ずるわけでございますが、一方天然ガスにつきましては、これは遺憾ながら必ずしも予期の成果をあげておらないというのが実情でございます。第二次五カ年計画であげております目標が、昭和三十七年度十六億立方メートルでございます。これに対しまして実績は十三億強、さらに本年度の二十億五千万という目標に対する生産見込みでございますが、これも十八億くらいにとどまるんではなかろうか。一方探鉱のための投資金額を見ますと、やはりこの目標数字に対してある程度下回っておるという数字に相なっております。三十七年度数字が二十四億ばかりでございますが、七年度は比較的多額金額が投下されまして、二十九億ということになっております。三十八年度目標額二十九億弱に対しては、大体見込みとして二十二億くらいにしかならぬのではないかということでございまして、これを総体として見ますと、原油に関する限りは相当りっぱな成績をあげてはおるけれども天然ガスについては必ずしも初期の効果があがっておらない、こういうことが端的に申し上げられるんじゃなかろうかと存ずるわけでございます。
  7. 沢田政治

    沢田委員 いま、原油についてはある程度初期成果を見ておるけれどもガスについてはとても需要には応じ切れない、供給面が不足しておる、こういう点の御答弁があったわけでありますけれども、特にガスの問題については、さらに需要というものが伸びるだろうということはおおよそ想定されるわけです。たとえば化学工業の原料とか、特に都市ガスの問題、火力発電の問題、こういうふうに需要というものが非常に伸びていく、こういうことで、将来非常に重要な問題じゃないか、こういうように考えておるわけです。局長も知っておられるように、昨年の秋、秋田県の天然ガスが非常に減退した、こういうことで秋田県の地域産業では非常に大きな影響をこうむったわけです。そういうことなので、現実はあまりガスの問題については成果を示しておらない、こう言われるので、したがって今後抜本的にどういう方法天然ガス開発するか、またそういう意欲があるのかどうか、あるとすればどういう方法でやるか、こういう点をもっと具体的にぼくは聞きたいと思うんです。
  8. 加藤悌次

    加藤政府委員 私ども、現在国産原油あるいは天然ガス開発を進めてまいります場合に、一つ基本のラインと考えておりますのが、ただいまお話しの昭和三十七年度初年度とする、いわゆる第二次の開発計画でございます。昨年の秋、通産省の中に産業構造調査会というのがございますが、その中のエネルギー部会で、いろいろエネルギーの総合的な見地からの御検討を願ったわけでございますが、その答申の中でも、やはりいま申し上げました、大体において第二次五カ年計画の線に沿ったような方向国庫原油あるいは天然ガスの問題を考えるべきだ、こういう御答申をいただいておるわけでございまして、目下のところは、私ども、この五カ年計画の線に沿った方向天然ガス開発考えていきたい、端的に申し上げますと、そういうふうに考えておるわけでございます。  それで、ただいま御指摘の、昨年の夏以来秋田地区における天然ガス生産が非常に低下をいたしまして、関係需要業者あるいはこれに関係する方々に御迷惑をかけておりますことは、非常に遺憾に存ずるわけでございますが、端的に申し上げますと、この理由というのは、八橋の油田予想外減衰期に入ったということが非常に大きな原因じゃなかろうかというふうに考えるわけでございますが、たまたま昨年一月ごろから、程度の差はございますが、新潟県の天然ガスにつきましても多少制限的な措置を講じなければならないというような状況にもございまして、こういう点を総合して考えますと、やはりこの際私どもといたしまして十分に考え直さなければいかぬのではなかろうかという点があるわけでございます。その点は、先ほど申し上げました、一方において生産をいたしますと同時に、その生産した分に見合うものの探鉱による埋蔵鉱量の確保ということがぜひ必要であろうと思うわけでございます。そういった面から、ただいま申し上げました探鉱に対する投資額が必ずしも五カ年計画の線に沿っておらないというところに問題があるんじゃなかろうかということで、今後石油資源あるいは帝国石油、この二つの会社が対象でございますが、この一つは御承知国策会社でありますが、この両社の今後の探鉱に向けます努力を、私ども行政指導なりあるいは法律規定に基づきます勧告によりまして確保いたしたい、こういう方向考えておるわけでございます。
  9. 沢田政治

    沢田委員 天然ガスのみならず、地下産業の場合は、採鉱する、採油する、そういう場合は、何といっても安定的に生産物供給する、こういうことになると、うらはらの問題として探鉱という問題が一番大きい問題になるのじゃなかろうかと思うのです。したがって、いま通産省実施しておるところの五カ年計画によりますと、その経費は百五十億円を見込まれておるわけでありますけれども、そのうちに政府資金はわずかに九億円であるわけです。したがってあとの百四十億円は全部民間会社がこれを負担しなければならぬ、こういうことで、わずかに十億円くらいの金で、しかもこの民間企業の力だけで天然ガスの安定的な供給ができるのかどうか、こういうことについて非常に私としては不安を感ぜざるを心ないわけです。したがって、この資金の問題でも、これでいいと考えておるのか、さらには将来もっと何とか政府資金を投入して安定的なガス供給して、地域における産業を発達させる、こういうような意欲なり考えがあるのかどうか、また、この資金そのもので自信があるのかどうか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  10. 加藤悌次

    加藤政府委員 第二次の五カ年計画で、いま先生の御指摘年次別探鉱投資額が計上されておるわけであります。先ほど申し上げましたように、私どもはこの五カ年計画基本にして進めていきたいということには変わりはございませんでして、問題は、はたしてこの資金がこれでいいのかどうか、これは当然物価等の値上がりもございますので、これが今後ともこのままの数字でいいという考え方は持っておらないわけでございますが、問題は、資金の調達が円滑にいくかどうか、こういうことにあるんじゃなかろうかと思います。そういった点につきましては、一つには、御承知探鉱補助金という制度がございまして、これは大体新鉱床の探査に要するボーリング等の費用につきまして半額を政府補助するという経費であるわけでございますが、本年度予算が六千五百万ということで、月々、たとえば本年でいいますと十八億の金を探鉱投資に向けなければいかぬという五カ年計画数字になっておるわけでございまして、それに対して国の補助はわずか六千五百万というのは少ないじゃないかという当然の御反間があるのじゃなかろうかと思いますが、この探鉱補助金制度につきましては今後できるだけ多く金額を計上いたしますと同時に、この運用についても問題がなきにしもあらずというふうに考えておりまして、そういった面の検討を実は来年度予算でということでございましたが、間に合いませんので、来年度予算では、この前の小委員会で御説明申し上げました六千五百万円に対して一億の予算要求をいたしましたが、これは先生方のお力添えによりまして全額一〇〇%取ることができたわけでございます。これを今後さらに精力的に増額していく方向考えると同時に、いま申し上げました補助金運用の面についても検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、探鉱資金そのもの政府機関からの融資でめんどう見られないかという問題があるわけでございますが、実は先生承知だろうと思いますが、例のメタル・マインの探鉱資金について、融資問題で、結局一般政府金融機関といえども、従前の考え方から申しますと、探鉱資金というものはそういう融資になじまないのだ、既存の金融機関からの融資にはなじまないのだという結論になりまして、昨年の国会で、探鉱融資事業団というものを特別につくっていただいたわけなんでございます。私どもといたしましては、それと同じような方法で今後行けないかどうかということももちろん検討する必要があるのではなかろうかと思いますが、とりあえずは、この前やはり御説明申し上げたと思いますが、たとえば帝石でいいますと、帝石全体の資金繰りを緩和する方向政府機関からの融資考える。開発資金ということになりますと、これは開発銀行なりあるいは北海道東北開発公庫からの融資が可能でありますので、開発資金という名目でできるだけ多くの資金を、たとえば帝石なら布石に出して、それによって探鉱に向けられる貸金を捻出するという方向で今後考えていきたいというふうに存ずるわけでございます。  それから、探鉱投資の面で非常に重要視されますのは、もう一つ国策機関であります石油資源開発株式会社でございます。これはここ二、三年前からようやく自立態勢方向に向いてまいりまして、いままで政府資金が、すでにことしを含めまして百五億ばかり出るわけでございますが、これがいよいよ自己回転する時期に入ったということでございまして、来年度予算につきましては新しい出資というものは見込んでおりませんで、全体として自己回転する場合に必要な資金ショート政府保証債というかっこうでまかなおうという考え方で、来年度五億の政府保証債をお願いすることになっておるわけでございます。この石油資源開発会社探鉱を積極的に天然ガスのほうに頭を向けまして、特にいま問題になっている秋田、これにつきましては行政指導あるいは監督によりまして重点的に行ないたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  11. 沢田政治

    沢田委員 探鉱探鉱といっても、基礎的な探鉱、たとえば物理探鉱をせずに在来の原始的な、ここ掘ったら当たるだろうというような偶然の僥幸を期待するような探鉱であってはいかぬわけですね。しかしながら、物理探鉱をするということになると相当資金が要ることは事実なわけです。したがって、非常に微弱な民判会社が基礎的な物理探鉱をすればいいということは、原理的にはわかるわけですけれども資金の面からすぐ経済効率をあげたい、こういうことで、ひとつ腰だめ主役の勝負をしてみようというような探鉱というものが当然行なわれておると思うわけですね。そういうことなので、探鉱には膨大な資金がかかる。しかも探鉱で当てたとしても、それを事業化するためには、五カ年計画で百五十億円程度資金がやはり要ると思うわけです。したがって、政府もそれなりの援助なり補助はしておると思うのですけれどもガスの問題をとらえても、現状程度ではたして安定した供給というものができるというようにほんとうに考えておるのかどうか。しつこいようだけれども、ぼくは聞きたいわけです。
  12. 加藤悌次

    加藤政府委員 何回も申し上げましたように、私どもはこの第二次五カ年計画を基礎にして進みたいということでございまして、端的に申し上げまして、先ほど申し上げましたように石油資源開発会社のそういった面における資金投下、これは比較的順調に行なわれてきておるという感じを持っておるわけでございます。もう一つ大手でございます帝国石油探鉱向けの、探鉱活動と申しますか、これは必ずしも十分ではなかった、こういう実は感じがいたす次第でございます。御承知のように、ただいま帝石の社長さんが御病気ということで、今度経営陣が全部かわるというふうな話も伺っておるわけでございます。新しい首脳陣がそのうちにきまるかと思うのでございますが、そういった場合に、いままでのそういった面の反省を十分にしていただきまして、何といいましても市有は大手でございますから、帝石の今後の探鉱活動をこの第二次五カ年計画の線に沿うような方向でぜひ具体的に考えたい、そのために必要な政府資金、あるいはいろいろ御注文が出るかと思いますが、そういった面につきましては、具体的な場合に応じましていろいろ御相談に応じ、御協力を申し上げたい、こういうことでございます。
  13. 沢田政治

    沢田委員 いま帝石のお話が出ましたけれども、御承知のように、帝石ガスの場合は生産量の六割を持っておるわけですね。この帝石会社経営陣がかわるとかかわらないとか、前にも非常に歴史的にいろいろな問題があったわけですけれども、経営的に非常に危殆に瀕しておる、こういうことを仄聞するわけです。帝石の場合は、特に昭和二十五年まで国策会社であったわけです。しかも昭和三十年に制定されたSK石油資源開発株式会社との関係が非常に深い会社であるわけですね。したがって、この会社が非常に危殆に瀕して、しかも経営陣がかわる、こういう背後にはどういうことがあるのかということが、やはり将来の資源産業を展望する意味で——これは会社内容を知りたいというのは、決して好奇心的なものじゃないのですよ。そういうことなので、帝石がここに至った原因、まあ指導といったって、私企業に対して指導とか干渉はできないわけだけれども、そこに至った原因と、これに対して、直接の指導じゃないにしても、介入じゃないにしても、どういうような配慮を当局のほうで払ってきたのか、それをちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  14. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。  帝石が今度のような状況になりましたについては、いろいろ深い理由があるのじゃなかろうかというふうに私ども推測をいたしておるわけでございますが、端的に申し上げまして、やはり問題は、大体大ざっぱにいって三つぐらいあるのじゃなかろうかというふうに思います。その一つは、先ほど申し上げましたように、一昨年初めごろ、一日五十万立米からの生産を見ておりました帝石としては非常に大きなドル箱であった例の八橋の油田、これが、たとえばガスで申し上げますと、その後急速に減ってまいり、昨年の十二月でいいますと、大体十五万立米、三分の一以下に減っているわけであります。原油生産につきましても、同じくこの減衰予想外の大きな痛手になったということであると思うのであります。これがやはり一つの大きな理由ではなかったか。  それからもう一つ、先年新潟県頚城から東京まで、 東京都市ガス用天然ガス供給するということで、相当多額の金を投資いたしましてパイプラインを敷設したわけであります。このパイプライン効率と申しますか、必ずしも十分に活用されておる状況になっておらない。また、東京ガスに対するガス供給価格についても問題なきにしもあらず、こういうふうに考えておるわけであります。そういった面からの金利償却負担なりあるいは経理面に対する圧迫要因というものが、やはり一つの大きな原因になっておるのではないかと考えております。  それから第三番目、これはいまに始まった問題ではなくて、SKができて、SK帝石で手分けをして、原油なりガス開発をやろうというときからの問題であるわけでございますが、SK帝石を比べてみますと、大体売り上げ金額におきましては、帝石石油資源の一倍半ぐらい、五割ぐらい多い数字になっておるわけでございますが、労務者の数が大体三倍である。SKが大体千二百に対しまして、帝石は三千七百ということでございますので、売り上げが五割ぐらいしか多くないにもかかわらず、かかえている人員が三倍である。これも、かりに生産性ということで労えますれば、生産性がちょうどSKに比べて三分の一、こういうことに相なるかと思います。そういったところに一つの大きな問題点がありはせぬだろうか、こういうふうに見ておるわけであります。こういった問題は、先ほど申し上げましたように、いまに始まった問題でもないわけでありますので、私ども、昨年の夏以来、いま申し上げましたパイプライン効率をできるだけ上げるという意味からいたしまして、東京ガスに対するガス供給量をベースアップすると同時に、東京ガスに対する供給の価格が必ずしも原価計算——非常にむずかしいわけでございますけれども、先ほど来問題になっております、並行して炭鉱活動をやるための必要な経費というものを織り込んだ適正な価格ではたしてあるかどうかという面についての問題がございますので、この供給価格の引き上げについてもひとつ東京ガスさんとの間で、ちょうどこの十二月末で改定期になりますので、これを改めていただく。場合によっては役所が中に入って、いろいろお手伝いもしたいということで、実は昨年の夏以来やってまいったわけであります。ちょうど折りあしく、今回のような首脳陣が交代するというようなことにもなりまして、これが必ずしもわれわれの期待したごとくにはいっておらない。特に東京向けのガス増量の問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、新潟についても同じような状況が最近起こりまして、これも、むしろ東京向けのガスを遠慮しなければいかぬというふうな事態になっておりまして、いま申し上げた点の問題の解決は現在非常にむずかしい段階であるということでございます。  それからもう一つの、人員がSKに比べて非常に多いことにつきましては、私詳しくは存じませんが、おそらく給与ベースなりあるいはそのボーナスと申しますか、これなんかも、御承知の全油鉱ということで一本になっておりまして、同じ給与ベースなりボーナスの支給が行なわれておるというふうに、私存じておるわけでありますが、そういった点にも必ずしも問題がなきにしもあらずでございますが、このSKに比べてどうも多過ぎる人をどうするかという問題がございまして、今後、経営陣が新しくかわりました場合にも、この問題は一つの大きな懸案事項になるというふうに存ずるわけでございます。この点につきまして、私どものいままでの指導と申しますか、さっそく会社の方ともいろいろ御相談申し上げて示唆を申し上げたのは、人員整理といっても、御承知のようにこれはなかなかむずかしい問題があるわけであります。特に天然ガスの問題についてみますと、これは全くタウン・ガスと同じいわゆる公益事業であるというふうに考えられるわけでございまして、そういった面からの供給資金に問題が起こるというふうなことは、最も注意を要する事柄でございますので、そういった面も十分考えながら、今後の人員減らしということを考える必要があると思います。とりあえず新規の補充と申しますか、新規採用の状況を見てみますと、必ずしもそういった面からの配慮がいままでなかったのではなかろうかというふうな実は感じがいたしまして、労働強化にならない程度において、新しい補充源としての新規採用を合理化するという面でひとつ検討していただく必要があるのではなかろうか、こういうことでございまして、たしかことしの春卒業する新規採用というものは、ほとんどないと申しますか、非常にしぼったかっこうで、たしか例年二百人から二百五十人ばかり新規の採用があったようでございますが、本年度はそういった面からも、新規採用をできるだけ合理化したいというふうに考えておられるようでございます。非常に特定の企業のことについて申し上げたわけでございますが、いろいろ役所としても御相談に応じてまいった事柄を、問題点だけかいつまんで申し上げると、そういうことでございます。  それから資金的な面の問題、これは例の、石油資源株式会社に灯して、現在二十二億四千万円ばかりの出資があるわけでございます。これが文字どおり、石油資源はいままで無配でございまして、こげついた、全然動かない資金ということになっておりますが、これを実は昨年の夏ごろから、何とか政府で肩かわりしてほしいというふうなお話があったわけでございます。この問題につきまして、私、当時会社に対して申し上げましたのは、問題の解決はいろいろあるわけなんで、そういった会社の総合的な再建計画というものをぜひ早くつくっていただく、そのうち  の一環としてこういう問題が出されるということであれば、関係方面にも話がしやすいわけでございますので、そういった面の総合的な再建計画を早く立てる、おそらく近いうちにそういうものはできるのではなかろうか。できました暁において、こういった面の問題を御協力申し上げたい、こういうふうに存じております。
  15. 沢田政治

    沢田委員 あなたのおっしゃられるように、私も、特定の会社内容にタッチすることはあまり好まないわけです。好まないけれども、私はあえてお聞きしたいのは、たとえば日本鉱業から重役陣が大幅に来る。日本鉱業がどういう会社であるということは、あまり評価はしたくないけれども、うわさによると、たとえば金属鉱山が主体になっておって、去年ですか、相当大量の首切りをした。したがって、日本鉱業から重役陣が来る以上は、さらに大量の首切りが来るんじゃないか、こういうように、労働者の中には、非常におそれおののいて、不安を感じている人がたくさんあるわけです。したがって、日本鉱業が入ってきて首を切られたらたいへんだ、断固これはやはり反付せざるを行ない。これは労働者の場合本能的ですから、首を切られるということは生活権の喪失ですから、そういうことを私としては聞いておるわけです。そうなると、これは単に労使の問題だけじゃなく、年間九億立方メートルくらい、しかも大きな会社三十社くらいに供給しておるわけですね。しかもその供給されておる会社に働いておる労働者は約十万人ある。ガス供給を受けておる市民は四百万人もおるわけですね。これに対するガスがとまったということになると、労使の問題じゃなく、大きな社会問題になるのじゃないか、こういうことを心配するわけです。したがって通産省がどうこうせよというわけじゃないけれども、たとえば保安の所管を労働省に移したらいいじゃないか、こういうことを通産省のある方と話したことがあるわけでございますけれども生産と保安は不離密接だ、だから通産省の所管は当然だと言っておるわけなんで、それと関連して、やはり労働問題と生産関係があるわけなんですね。そういうことなので、支配せよとか干渉せよとかということではないわけだけれども、やはりそういう重大な社会問題をある場合には惹起しかねない情勢が非常に存在しておるわけですね。これに対して通産省としてはどう考えておるのか、どういうような配慮をするのか、この点をお聞きしたいわけなんです。
  16. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げますが、ただいま先生指摘の点、まことにそのとおりでございます。労使間の労働問題だけではなくて、いわゆる公共的な性格も多分に帯びている企業でございますから、ここで生産あるいは供給がとまるということになりますと、非常に多数の方々に御迷惑をかける。これは何よりも慎重に考える必要があるというふうに私ども考えておるわけでございます。そういった面の考慮を十分に払いながら、なおかつ先ほど申し上げました石油資源に比べまして多過ぎる人員、その問題をどうするか、その問題は依然として残るのじゃなかろうかという気がするわけでございますが、その問題の解決についての具体的方法につきましては、新しい首脳のもとでどういったことをお考えになられますか。全体の再建計画の一環としての立場から、これを十分われわれも拝見いたしまして、いま御指摘のような問題の起こらないような方向でスムーズに考える必要があるだろう、こういうふうに存ずる次第でございます。
  17. 沢田政治

    沢田委員 いずれにしても天然ガスの場合は供給需要というものは非常にバランスがとれない。むしろ供給のほうが需要に追いつけないということが事実として最近の傾向なわけですね。そういうことなので、何といってもやはり探鉱活動に力を注ぐ以外に、常識的に考えてみてもないわけですね。しかしそういうことで、探鉱といっても非常にリスクが多い。鉱山のことばでいえば千三つとか万三つとか、万掘って三つ当たったら成功だというくらい非常に危険度が多いわけです。私はこういうふうな地下資源、石灰、金属を含めて石油ガス、こういうものを単に一企業のみにやらせておったのでは、一企業のみの努力ではおのずから限界があると思うわけです。そういうことなので、やはり政府としては、特に当局としてはこれをどういう産業の位置づけにするのか、たとえば先ほどお話がありましたけれども産業構造調査会答申にもはっきり示されておるように、どういう位置づけをしてこれを伸ばしていくのか、また国策としてやるのか、こりいう点をできるならば具体的に、将来青写真の段階でもいいから、こうしたい、こういくべきだという基本的なことを少しお話し願いたい。
  18. 加藤悌次

    加藤政府委員 何回も申し上げますように、生産の数量の目標、それに要する探鉱等の投資の規模等につきましては、第二次五カ年計画の線で研究を進めていきたい、これがとりもなおさず総合エネルギー部会答申の案じゃなかったかというふうに存ずるわけであります。それを達成するためにいろいろ政府としても考えるべき点が多々あるのじゃないかということで、その一番の大きな問題は、所要資金をいかにして円滑に調達するかということが問題でございまして、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる探鉱に対する補助金によるバックアップ、さらに開発銀行北海道東北開発公庫等の政府金融機関による開発資金の面からのバックアップ、これを今後積極的に考えてまいりたいということであります。  そのほかに、いま先生のお活にございました探鉱というのは非常に危険度の高い仕事でございまして、これをほんとうに民間のコマーシャル・べースだけでやるということにつきましては、御指摘のようにいろいろ問題があるわけでありますので、その面の政府の積極的な施策を今後考える必要があるのじゃないかというふうに私自身も考えておるわけであります。具体的に申し上げますと、現在探鉱と申しますか、石油あるいは天然ガスを胚胎する地下の構造を明確にすると申しますか、そういった意味で、工業技術院の地質調査所でいわゆる埋蔵量基礎調査ということをやっておるわけでございます。これはやはり今国会でもお順いいたしたいと思っておりますが、メタル・マインにつきまして昨年探鉱融資事業団をつくりましたときにいただきました附帯決議の線に沿いまして現在の地質調査所がやっております広域調査、さらにそのあとトレースして民間の指針になるようなものをつくりたいということで、探鉱融資事業団自体でいわゆる自主探査と申しますか、精密地質構造調査もいよいよ来年度からやりたいというふうなことで、今度の予算等でもお願いをいたしておるわけでございますが、やはりそういった考え方から、国自体の活動による民間企業探鉱活動の促進ということを重点的に今後とも考えていく必要があるのじゃないか、そういった面からの金額が、先生先ほど御指摘のように、第二次五カ年計画では年々二億ということになっておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、これは一応の計画でございまして、当然物価騰貴等の要素も将来考える必要があるということでもございますので、この国の手による探鉱活動、これはやはり基本的なラインとしては、今後だんだんと積極的にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、この面の本年度予算が二億ちょっとでございますが、これは来年度は二億四千四百万ということで、内容的には層序試錐が二本、その他は地表構造調査でございますが、これは今後とも積極的に推し進めるということで、民間の個々の企業で具体的に炭鉱活動をなされるいわゆる基礎資料の提供をするという考え方で進めてまいりたい、こういうふうに存じておるわけであります。この第二次五カ年計画では、層序試錐は年々一カ所という計画になっておるわけでございますが、本年度承知のように二カ所、来年度も二カ所ということで、この層序試錐の個所の数につきましては、五カ年計画をむしろ上回った数字で行なっておるわけであります。今後さらにこれを充実してまいりたい、こういうふうに存じておる次第であります。
  19. 沢田政治

    沢田委員 当初の目的としては、石油開発のほうは探鉱部門ですね、帝石のほうは天然ガスと加工部門ですね、こういう目的で出発したわけですけれども、最近は石油あるいはガスでも、非常に競合する関係にあるような傾向が非常に強いわけです。両方がせり合うような傾向が非常に強いわけです。というのは、いろいろ原因があるにしても、やはりそこに政府の政策が結局非常に貧弱なために自立体制を強要される、こういうところからきておると私は考えるわけだが、その点についてはどうお考えですか。
  20. 加藤悌次

    加藤政府委員 先生指摘のような状況が必ずしもなきにしもあらずであります。その理由は、要するに新しく石油資源開発会社ができましたときには、石油資源開発会社はもっぱら原油開発、先ほど申し上げました第二次五カ年計画、将来百万にまで持っていくという面を、やはり民間の企業にまかせておいてはなかなか行けないということで、ここへ重点的に国家資金を投入いたしまして、開発を促進しよう、その場合にはもっぱら原油を重点にしてやっていこうということで、当時帝石がほとんどの鉱区を抑えておったわけでございますので、帝石が現に開発が済んで稼行している鉱区を残しまして、あげてSKのほうに鉱区を譲渡するということをやってまいったわけでございます。一方帝石は、その当時すでに手をつけておりました原油開発を続行する以外には、今度は天然ガスを大体専門にして、ガス開発を主として行なおうということで、一応当時思想統一ができておったやに伺っておるわけでございますが、御承知の、その後例の新潟の地盤沈下問題、この理由はやはり水溶性ガスを水と一緒にどんどんくみ出すところに大きな理由があるのじゃなかろうかということになりまして、御承知の、現在相当きつい規制をやっておるわけでございます。この地盤沈下の問題を契機といたしまして、今後の天然ガス開発はもっぱら構造性のガス開発に重点を置こうということにせざるを得ないような事情に相なった、そういうことになると、構造性ガスの探査と原油の探査ということは事実上非常に似通ったといいますか、競合するようなかっこうになってきたということで、いま御指摘のような問題が起きておるのじゃなかろうかと思いますが、今後、何回も申し上げますように帝石首脳陣も変わりますので、これを機会にいたしまして、今後SKとそれから帝石との仕事をどういうふうに分担し合い、ならし合っていくかという面もひとつあわせて検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 沢田政治

    沢田委員 どうも私考えてみて、電発と九電力の関係でも非常に一貫性がないわけです。また、この石油の問題でも、帝石石油開発の問題で非常に両者が、競合させないという前提であるけれども、結果的には競合している。そこに非常に私としては矛盾があると思うのです。しかし、この問題については後に保留しておきますけれども、非常に私として矛盾を感ずるわけです。したがって、私は根本的に考えてみまして、やはりエネルギーとか地下資源、一次産業というものは、やはり私企業が何とかやるだろうというような傍観的な態度では私は政策とはいえないと思うのです。したがって、たとえば、五カ年計画の所要経費の百六十億円なんかでも政府が全部出してやる、これくらいの意気込みがなければならぬ。日本石油産業、特に原油をとってみるならば、二%くらいの供給度でしょう。こういうことだから、帝石石油開発と何方競合するなんということはナンセンスだと思うわけです。そういうことなんで、したがってこれを一本にするという考え方はありませんか。
  22. 加藤悌次

    加藤政府委員 これは帝石の再建の方途をどういうふうに会社の側でお考えになっているかということとも関連するわけでございますが、ただいま先生まことにいみじくも御指摘になった、確かにそういう感じが最近しないわけでもないわけでございます。そういったことで、私どもは、先ほども申し上げましたように新しい首脳陣による再建の計画がきまった暁において、それを拝見した上で今後どうするかということを、現に先生指摘のような意見も実はあっちこっちに出ておるわけでございまして、そういう面をも勘案しながら、少なくとも、お互いに競合することによって相手の仕事にじゃまにならぬよう、競合いたしましてもお互いに励まし合うということで、それが促進されるのであればいいわけでありますが、少なくとも、何か牽制し合いながら、それが資源開発一つの妨げになっておるということになりますと、これは問題が多いと思いますので、そういった面からの検討をひとつ十分にさせていただきたい、こういうふうに存ずるわけでございます。
  23. 沢田政治

    沢田委員 特に、ガスの問題については、たとえば昭和二十九年三月十六日ですかの当時の通商産業委員会、いまの商工委員会ですが、この場合、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部改正に関する提案の場合、当時の国務大臣の愛知揆一氏がこういうことを言っておるわけです。「石油及び可燃性天然ガス探鉱または二次採取法の実施には、長期にわたり多額資金を必要とし、しかも危険度が著しく大きいために、所要資金を銀行等からの融資に依存することはほとんど不可能でありますので、探鉱または二次採取法の急速な実施を促進するためには、これらに要する資金の融通を円滑にするために、補助金の後払い制度を廃止することが必要であります。」これは政府官林も認めているわけですね。ともかく私企業だけでは危険度の大きい探鉱事業というものはできない、したがって国の力によってやらなければならぬ、こういうことをはっきり言っておるわけですね。しかしながら、言っておるけれども、実際はそれに即応したような政策をとっておらぬということは、私としては非常に残念なわけです。さらに、石油業法が制定される場合附帯決議として、これは参議院のほうでも附帯決議を出したのですが、大体同じようなものだと思いますけれども、その第一項には「国産原油および天然ガス探鉱開発について、欧米各国の現状は、わが国に比し、きわめて強力な保護措置を講じている実状にかんがみ、この際我国においても石油自由化実施に伴い、財政上税制上の保護および助成措置を画期的に強化拡充すること。」こういうことを附帯決議で言っておるわけですね。これを守る必要があるとかないとかあなた方はいろいろ考えておるけれども、しかしながら、附帯決議なんだから、やはりこれを実施するための前向きの姿勢がほしいわけです。そういうことなんで、これは非常に意地の悪いことかもわからぬけれども、こういうような提案趣旨説明なり附帯決議の線に沿って、いままでほんとうに悔いのない努力をしてきた、こういうような自信があるかどうか、その、自信のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま御指摘になりました石油資源開発法提案当時の通産大臣の説明あるいはただいまの三十七年の石油業法についての附帯決議は、私も十分拝承いたしておるわけでございます。ただ、実績をもって過去を振り返ってみますると、画期的というふうに言われておるわけですが、必ずしもそういうことにはなっていない、この点については、私自身今後非常に努力いたしてまいりたい。これは国の全体の財源等との関係がございまして、必ずしも私たちの要求が十分にはいれられないという事情があることをひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。  それから、二十九年の開発法ができましたときのその資金面の裏づけの考え方と申しますのは、現在やっておりますところの探鉱補助金、これの裏づけでできるだけバックアップしたいという考え方が当時あったわけでございますが、これが全体の民間の探鉱の所要資金量に対して、先ほど申し上げましたように必ずしも十分ではない。本年六千五百万、来年一億ということではございますが、これをやはり金額の面なりあるいは実際の運用の面——これは法律規定があるわけでございますが、この運用の面について今後ひとつ十分検討を加えると同時に努力をしてまいりたい、こういうように存ずるわけでございます。
  25. 沢田政治

    沢田委員 石油はもちろんですけれども天然ガスの場合は、先ほど申し上げましたように非常に広範な残業に供給しておるわけですね。したがってガスを目当てにし産業を興しておる産業は、ガスの減退に伴って大きな問題になると思うわけです。地域においては非常に社会問題になると思うわけです。したがって、私はいまのことを、特にガスの問題は公共性が強い問題だから、したがっていままでのように一私企業の努力のみにおんぶしておるのかどうか、国としてもう少し抜本的にやっぱり力をかしてやる考えがあるのかどうか、その点を、さっきの附帯決議もあるわけなので、一応大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。
  26. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 仰せのとおり、ガスが当該地域産業に大きな影響を持っており、またガスが出るからといってそういう仕事ができておることも事大でありますから、われわれとしても、ガスの問題をできるだけ国のほうからもめんどうを見る気持で処置をしていきたい、こう思って、予算等においてもいささか私は努力をいたしておるつもりでございます。十分な措置でないということでございますれば、これはまあ多いに越したことはございませんが、いまの段階において、皆さんからも御要望があり、いろいろそういう問題については考慮をいたして行政を行なっておる、こう考えております。
  27. 二階堂進

    ○二階堂委員長 ちょっと沢田君に申し上げますが、通産大臣は予算委員会の都合がございまして、時間がそうないのでございますが、質疑の途中でございますけれども、もうしばらくかかりますか。
  28. 沢田政治

    沢田委員 もう終わります。  石油なりガスに対する政策は、ぼくとしては、正直に言って、非常に貧弱だと思うのです。たとえば石油の場合でも、需要量に対して国内の供給量は二%しかないから、この産業はたいしたことはない、こういう考え方は非常に間違っておると思うわけです。たとえば海外の石油開発ということになっても、国内に石油産業があるからその技術が温存されておると思うわけですね。私は決して二%だからとか、そういう角度から政策を考うべきではないと思うのです。そういう意味で、本年の海外の石油開発については二億円の出資をしておるのですけれども、これも非常にお話にならぬと思うわけです。さらにヨーロッパの場合は、たとえばこういう石油とか、こういうものは三分の一程度は自国の資本によってやりたい、こういうことで進んでおるわけですね。ところが、日本の場合は九〇%以上も外国資本に押えられておる。こういうことでは非常に嘆かわしいと思うわけです。したがって、石油ガスの問題については、たくさん聞きたいこともありますけれども、きょうの場合は、ただ聞き置く程度ということで、将来これに対する意見を申し述べる機会を得たいと思うわけです。以上で終わります。      ————◇—————
  29. 二階堂進

    ○二階堂委員長 この際、昨十日、当委員会に付託になりました内閣提出中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案中小企業指導法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案を議題として、まず通商産業大臣より趣旨説明を聴取いたします。福田通産大臣。
  30. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  政府におきましては、わが国経済において、中小企業が占める地位の重要性にかんがみまして、従来よりその近代化の推進につとめてきたところであります。その施策の一環として、中小企業の近代化に必要な賞金の貸し付け事業を行なう都道府県に対する国の助成内容を一そう拡充するため、三十八年度より中小企業高度化資金貸し付け制度を設け、工場、店舗の集団化等中小企業者が行なう事業の共同化を協力に助成することとしてまいりました。  このたび、流通機構の近代化の要請に中小小売り商が積極的に対処し得るよう、従来からの小売り商業店舗共同化資金貸し付け制度に加えて、商店街ぐるみの近代化をはかるために必要な資金を貸し付け制度の対象とすることが必要であり、また、中小企業者の定義について規定の整備を行なうことが必要であると考えまして、この法律案提出することとした次第であります。  次に、本改正法案の内容につきまして、その概略を申し上げます。  第一は、中小企業者の定義を、中小企業基本法に定められた中小企業者の範囲に対応させつつ、法律に明定することとしたことであります。  第二は、中小企業高度化資金貸し付け制度のうちに新たに商店街近代化資金貸し付け制度を設け、事業協同組合、商店街振興組合等の行なう商店街近代化事業を助成対象とすることとしたことであります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、中小企業指導法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業は、わが国経済において重要な地位を占めておりますが、解放経済体制に移行するにあたって、その合理化、近代化が現下の急務とされているのであります。  中小企業指導法は、国、都道府県等及び日本中小企業指導センターが行なう中小企業指導事業を計画的かつ効率的に推進することにより、中小企業の経営管理の合理化及び技術の向上をはかり、もって中小企業の振興に寄与することを目的として制定されたものでありますが、最近における経営管理技法及び技術革新の著しい伸展は、中小企業指導担当者の資質の向上と中小企業者自身の技術の向上を一そう必要としております。  このような事態にかんがみ、日本中小企業指導センターの業務の範囲を拡大する等その強化拡充をはかる必要があると考えられ、本法律案提出いたす次第であります。  本法律案内容は次のとおりであります。  第一は、日本中小企業指導センターの査本金の増加に伴い、資本金の規定を整備するものであります。  第二は、日本中小企業指導センターの業務の範囲の拡大に関する事項であります。同センターの業務は、中小企業指導担当行の養成、研修等でありますが、今般、中小企業の両度の技術に関し、中小企業者またはその従業員に対して研修を行なうこと及び同センターの目的を達成するため必要な業務を追加するものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお順い申し上げます。  次に中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、従来より各般にわたる中小企業対策を実施してまいりましたが、特に業種別の近代化を推進するため、昭和三十八年、中小企業近代化促進法を制定し、産業構造の高度化、国際競争力等経済政策上特に中小企業の早急な近代化を必要とする業種につきまして、きめこまかい施策を重的点かつ総合的に実施してまいることといたしました。  本法の対象となる中小企業者の範囲につきましては、同法施行令に規定されておりますが、このたび中小企業の範囲を法律に明定するため、この法律案提出することとした次第であります。  中小企業者の定義につきましては、製造業等にあっては、資本金五千万円または従業員三百人以下のもの、商業及びサービス業につきましては同じく一千万円または、五十人以下のもの、その他法施行上特に必要と思われる業種については政令で定める範囲のものとしたものであります。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  31. 二階堂進

    ○二階堂委員長 以上で三法案の説明は終わりました。なお、三法案についての質疑は後日に譲ることにいたします。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  32. 二階堂進

    ○二階堂委員長 速記を始めて。  次会は、明十二日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   正午散会