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1964-01-29 第46回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十八年十二月二十日)(金 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の 通りである。    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    岡崎 英城君       海部 俊樹君    神田  博君       菅野和太郎君    佐々木秀世君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田中 六助君    中川 俊思君       野見山清造君    長谷川四郎君       南  好雄君    村上  勇君       山手 滿男君    久保田鶴松君       久保田 豊君    多賀谷真稔君       中井徳次郎君    中嶋 英夫君       中村 重光君    西宮  弘君       野間千代三君    山口シヅエ君       麻生 良方君    伊藤卯四郎君       加藤  進君 ————————————————————— 昭和三十九年一月二十九日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中村 幸八君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       遠藤 三郎君    小沢 辰男君       岡崎 英城君    神田  博君       菅野和太郎君    野見山清造君       長谷川四郎君    大村 邦夫君       加賀田 進君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       楯 兼次郎君    藤田 高敏君       森  義視君    麻生 良方君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         土地調整委員会         委員長     黒河内 透君         経済企画政務次         官       倉成  正君         総理府事務官         (経済企画長官         官房会計課長) 佐藤 二郎君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業政務次         官       竹下  登君         通商産業事務官         (大臣房官長) 川出 千速君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     金井多喜男君     ————————————— 昭和三十八年十二月二十日  委員久保田鶴松君、田中武夫君、多賀谷真稔君、  中井徳次郎君、中嶋英夫君、西宮弘君、野間千  代三君、松平忠久君及び山口シヅエ辞任につ  き、その補欠として沢田政治君、島口重次郎君、  米内山義一郎君、桜井茂尚君、楯兼次郎君、森  義視君、加賀田進君、大村邦夫君及び藤田高敏  君が議長の指名で委員に選任された。 昭和三十九年一月二十九日  理事田中武夫君及び松平忠久昭和三十八年十  二月二十日委員辞任につき、その補欠として久  保田豊君及び中村重光君が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十八年十二月二十日  電源開発促進法の一部を改正する法律案小笠  公韶君外六名提出、第四十五回国会衆法第一  号) は本委員会に付託された。 昭和三十九年一月二十一日  消費者基本法案春日一幸君外一名提出衆法  第一号) 同月二十七日  新産業都市建設に関する請願(田中彰治君紹  介)(第一二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  鉱業一般公益との調整等に関する件      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求の件についておはかりしたします。  今国会における委員会活動を円滑ならしめるため、従前どおり議長国政調査承認要求をいたしたいと存じますが、調査する事項といたしましては  一、通商産業基本施策に関する事項  二、経済総合計画に関する事項  三、公益事業に関する事項  四、鉱工業に関する事項  五、商業に関する事項  六、通商に関する事項  七、中小企業に関する事項  八、特許に関する事項  九、私的独占禁止及び公正取引に関する事項  十、鉱業一般公益との調整等に関する事項以上十項目とし、調査目的といたしましては  一、日本経済総合的基本施策樹立並びに総合調整のため  二、通商産業行政の実情を調査し、その合理化並びに振興に関する対策樹立のためとして、議長承認要求をいたすことに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事でありました田中武夫君及び松平忠久君が委員辞任されましたのに伴いまして、理事に欠員を生じておりますので、その補欠選任を行なうのでありますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、久保田豊君、中村重光君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 この際、通商産業大臣より、通商産業基本施策についての所信を承ることにいたします。福田通産大臣
  7. 福田一

    福田国務大臣 今後の通商産業政策方向重点について御説明を申し上げます。  その前に、今国会もまたいろいろ皆さんに非常にお世話になると思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  昭和三十八年度わが国経済は、一昨年末の引き締め政策の解除以降、予想以上に順調な回復過程をたどってまいりましたが、他方最近の内外経済情勢が、なお解決すべき多くの問題点を内蔵していることもまた事実であります。このような観点から、私は、昭和三十九年度通商産業政策は、開放経済体制下における将来の繁栄のために早急な地固めを行なうことを中心に展開すべきであると考え、このため施策の最重点を、中小企業近代化促進輸出振興経済協力推進産業自由化即応体制整備確立国産技術振興等に置いて所要対策を強力に推進してまいる所存であります。  今国会において御審議いただく明三十九年度予算案の編成にあたりましては、ただいま申し上げました諸点に重点を置いて必要な予算を計上するとともに、所要法的措置を準備している次第であります。この結果、通商産業省一般会計予算につきましては、本年度の約四百三十一億円に対しまして約八十三億円、比率にいたしまして二割弱増の約五百十四億円を計上いたしますとともに、通商産業省関係財政投融資計画につきましても総額三千二百三億円を計画し、本年度当初計画に比べまして三百三十五億円、一割二分の増額を行ないました。  これらの措置によりまして、今後、通商産業施策の一そうの充実を期することができるものと考えている次第でありますが、以下重要項目ごと施策の概要について御説明申し上げます。  施策重点の第一は、中小企業近代化であります。  わが国中小企業は、国民経済の中においてきわめて重要な地位を占めておりますものの、現状においてはいまだその近代化に立ちおくれを見せており、わが国産業全般国際競争力強化のためにも、所得格差是正という見地からも、さらにまた物価上昇の抑制という観点からも、その急速な近代化が必要となっております。  このため、通商産業省といたしましては、設備技術経営等のあらゆる面から、中小企業基本法の趣旨に即したきめこまかい施策をさらに強力に推進していく所存であります。  中小企業関係一般会計予算につきましては、来年度は本年度予算を約三十億円上回る約百十五億円を計上することといたしました。その内容としては、中小企業設備近代化資金の大幅な拡充を行ない、また中小企業高度化資金につきましても、商店街造成資金の新設を含めて、その画期的拡充をはかることとしております。さらに、中小企業技術向上と経営の合理化を一段と強力に推進するための施策充実することとし、小規模事業対策につきましては、経営改善普及事業充実をはかるほか、金融税制面からもきめこまかい配慮を講ずることとしております。  財政投融資計画におきましては、中小企業向け政府関係金融機関資金量拡大、商工組合中央金庫の金利の引き下げ等措置を講ずることとし、このため、国民金融公庫分を含めて本年度当初計画を三百二十四億円上回る千六百十七億円の財政投融資を計上することとしております。また、これと同時に信用補完面におきまして中小企業信用保険公庫手形保証保険制度拡充強化を行ない、税制面におきまして各種の税負担の軽減を行なう等の諸措置を講じ、これら各般の施策を通じて、中小企業対策に遺憾なきを期することとした次第であります。  重点の第二は、輸出振興経済協力推進であります。  開放経済体制への移行が本格化し、また国際競争がますます激化しつつある現在、申すまでもないことながら輸出伸長必要性は、より一そう増大するに至っております。また、低開発国に対する経済協力促進の要請は、わが国に対しましてもますます強まっているところであり、他面、それはわが国輸出増大をはかる上からも目下の急務となっております。  このような観点から、来年度予算案におきましては、貿易振興及び経済協力費といたしまして、今年度比二割七分増に及ぶ約五十五億円を計上いたした次第であります。  貿易振興の面におきましては、日本貿易振興会の諸事業拡充強化をはかることを初めといたしまして、海外商品別貿易会議の開催、輸出貢献企業認定制度の創設、輸出振興国民運動強化等所要施策を予定いたしております。また、経済協力につきましても、低開発国からの一次産品の買い付け促進のための調査技術指導施設供与等充実するとともに、低開発国に対する技術協力施策拡充強化をはかることといたしております。  また、税制面におきましては、本年三月末をもって輸出所得控除制度が廃止されることにかんがみまして、市場開拓準備金中小企業輸出振興積立金、新開発国投資準備金の各制度の創設をはじめ、輸出特別償却制度拡充技術輸出所得控除制度拡充延長内容とする改正を行なう予定であります。  さらに、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行の資金量充実し、延べ払い輸出促進経済協力推進に特段の努力を払いたいと考えております。  重点の第三は、産業自由化即応体制整備確立を通じて産業国際競争力強化することであります。  わが国産業は、開放経済に移行した場合には欧米先進諸国巨大産業と激しい競争をしなければならないことになるわけでありますが、いまなお多くの解決すべき問題点を残しておりますので、産業全般にわたってこれらを早急に解決する必要があると考えられます。  このための方策の一つとして、通商産業省といたしましては、特別産業振興臨時措置法案を今国会に提出するとともに、来年度におきましては、日本開発銀行による産業体制整備のための金融につきまして大幅な拡充を行なうことを予定いたしております。  次に業種別対策を御説明いたしますと、まず国際競争力上問題の多い機械工業につきましては、特定機械電子工業等合理化を引き続き促進いたしますほか、輸入機械に対する国産機械延べ払い条件上の不利を是正するため国内延べ払い金融措置をさらに強化する方針であります。また、国産機械開発体制を確立するため、新たに開発銀行から試作一号機に対する長期、低利の融資を行なうことといたしております。  さらに非鉄金属鉱業につきましては、探鉱開発活動を一そう積極的に助成することとし、このため、金属鉱物探鉱融資事業団の業務の範囲を拡大して、みずから計画的に地質構造精密調査を実施させることを予定しております。また、海外鉱山開発基礎調査助成国内鉱業合理化助成離職者対策等にも遺憾なきを期する所存であります。  これらのほか、硫安工業につきましては、企業体質改善のための施策を引き続き講ずるとともに、肥料二法失効後の法的措置につきましても遺憾なきを期したいと考えております。また、繊維工業につきましては、過剰設備処理、品種の転換等によって輸出産業としての体制整備をはかるため、所要の新法制を準備いたしている次第であります。  重点の第四は、国産技術振興であります。  技術水準向上産業国際競争力強化の重要なかぎであり、わが国欧米諸国に伍して国産技術の効率的な開発を進める必要があります。この場合総花的な施策は避け、産業面からのその開発が特に急がれており、かつ技術面での波及効果の大きい技術重点的に選んで、その開発体制を確立することが大切であると考えます。  このため、来年度からこのような中核技術を選んで、その研究開発に対しては税制、金融面における特段の措置を講ずるとともに、重要鉱工業技術研究のために民間の研究機能を活用する目的をもつて国からの研究委託制度を創設することを予定しております。  さらに、国立試験研究機関における研究体制研究内容充実、民間の試験研究に対する助成拡充についても大いに考慮を払つております。  さらにまた、遅延の著しい特許権等出願処理につきましては、来年度におきまして大幅な増員と機械化推進を行ない、処理促進を期することとしております。  以上の施策中心として、来年度一般会計予算案には、鉱工業技術振興費として、今年度を一割七分上回る約八十八億円を計上した次第であります。  以上申し述べましたほか、来年度におきましては、石炭対策を引き続き強力に推進いたしますとともに、経済成長の基礎固めないし産業活動国民生活の調和という観点から、地域経済振興産業基盤強化鉱山における保安の万全の確保流通消費対策推進等施策についてもその充実強化をはかる所存であります。  まず石炭対策でありますが、来年度におきましては、本年度からその緒につきはじめました石炭対策大綱継続実施を主眼として、一般会計予算において、ほぼ今年度並みの百十七億円を計上しております。来年度から行なう新しい施策といたしましては、石炭長期的需要確保対策として電源開発株式会社によって石炭火力発電所を建設いたしますほか、産炭地域振興対策として、産炭地域振興事業団の業務を大幅に拡充するとともに、産炭地域における公共事業促進するための所要資金経済企画庁予算に計上した次第であります。  次に、地域経済振興産業基盤強化につきましては、一方において工業適正配置を通じてその合理的な地方分散促進するため、新産業都市工業整備特別地域等の建設を中核として工業用地造成工業用水道建設等産業立地条件整備を行なうとともに、他方においては、工場排水、ばい煙、地盤沈下等産業公害の防止に万全を期する所存であります。このような見地から、来年度におきましては、工業用地先行的造成推進するための地方債起債ワク確保するとともに、工業用水道事業につきましては、国庫補助金を大幅に増額し、地盤沈下対策事業についての補助率の引き上げを行なうほか、河口湖の開発調査を開始することとしております。また、電源開発資金につきましても、来年度財政投融資計画においてその確保に意を用いた次第であります。  鉱山保安につきましては、もとより人命の尊重はいかなる政策にも優先するものとして、その確保に万全を期してまいったところでありますが、先般不幸発生を見た三井三池炭鉱災害の経験にかんがみまして、監督体制を一段と強化するとともに、他方助成面においても所要措置を講ずることとし、このため、鉱山保安法令に対して所要改正を加え、また、保安施設整備のための無利子融資制度を大幅に拡充することといたしております。また、今国会鉱業法の一部を改正する法律案を提案する方針でありますが、今回の改正は、鉱業監督面を通じての鉱山保安確保主要目的の一つとしているのであります。  また流通消費対策につきましては、国の経済政策最終目標国民生活向上にあることにかんがみ、これまでも所掌物資生産流通消費調和的発展をはかりつつ、流通部門合理化近代化推進消費者保護のための各種の対策を積極的に講じてきたところでありますが、特に、最近における消費者物価の高騰は、流通消費対策充実の要請をさらに高めているところであります。このような事情から通商産業省といたしましては、まず、物価の安定のために流通部門合理化推進するとともに、操短、共同行為内容適正化生産性向上成果価格面への的確な反映等についても十分な配慮を加える方針であります。そのほか、家庭用品品質表示法計量法工業標準化法等消費保護のための法令の厳正な運用電気事業及びガス事業に対するサービス向上指導等により、消費者保護のための施策に遺憾なきを期する所存であります。  以上、今後における通商産業政策重点事項につきまして、基本的方向具体的施策の概要を申し述べたのでありますが、私といたしましては、これらの方策を中心わが国通商産業発展のために全力を傾注する覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第であります。     —————————————
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、経済企画庁長官より、経済総合計画についての所信を承ることといたします。宮澤経済企画庁長官
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま委員長から御指摘のございました点につきまして、御説明申し上げたいと思います。  昭和三十八年度わが国経済は、一昨年末の引き締めの政策の解除以降、個人消費支出政府支出輸出等の堅調な伸び、在庫投資の増大さらには設備投資のなだらかな回復にささえられまして、予想以上の回復過程をたどってまいりました。このような需要面の動きを反映いたしまして供給面におきましても、鉱工業生産はかなり大幅な上昇を示し、年度平均で前年度に比べまして一二%以上の増加となる趨勢にございます。このため今年度経済成長率は実質で八・二%程度に達する見込みになっております。  しかしながら、国際収支面におきましては、前二回の国際収支の危機の際とは異なりまして、在庫投資設備投資の面で特に行き過ぎが見られたというようなことはなかったにもかかわらず、総需要の拡大を反映して輸入が輸出の増加を上回っております。さらに、貿易外収支赤字幅の拡大が加わりまして、経常収支面の赤字は予想以上にふえております。資本収支の黒字を合わせましても、年度間で総合の収支は一億ドル程度の赤字になるものと見込まれるに至っております。  さらに物価の動向について見ますと、農水産物資、中小企業製品サービス関係を中心とする消費者物価の騰勢は依然として衰えを見せておりません。なお問題を残しておるわけでございます。  したがって、これからの経済運営にあたりましては、開放体制のもとに経済安定成長確保することを目途といたしまして経済引き締め基調で運用をいたし、特に国際収支改善消費者物価の安定を期するほかに、さらには経済各分野の質的強化に一層意を用いまして、わが国経済の均衡ある発展と国民生活向上をはかることを基本的態度としてまいる所存でございます。  以上のような考え方のもとに、今後政府民間相協力して経済運営の慎重を期しますならば、明昭和三十九年度経済成長率は名目で九・七%、実質で七%程度のものになると見込んでおります。  また、このような着実で安定した成長の過程におきまして、国際収支も、貿易収支改善を軸にいたしまして、逐次均衡化の方向へ向かうと考えられますし、消費者物価についても安定基調を取り戻すようになるものと考えております。  次に、国際収支改善の問題でございます。  IMF八条国へ移行いたしますこと、及びOECDへの正式加盟が認められますならば、わが国経済はいよいよ本格的な開放体制へ移行するきびしい国際環境を迎えるわけでございます。今後、わが国開放経済のもとで国際収支の安定を保ちつつ経済成長力を維持してまいりますためには、何よりも輸出の拡大をはかることが肝要でございます。このため産業構造高度化産業体制整備などによりまして、わが国産業国際競争力の一そうの強化をはかりますとともに、輸出秩序の確立、海外輸出環境改善などを推進しながら、あらゆる施策を集中して輸出振興につとめる必要がございます。  また、最近の国際収支の悪化が、運賃支払いの増大などの貿易外収支赤字幅の拡大によるところが大きいのでございますから、外航船腹の増強による海運収支改善対策などを強力に推進いたさなければならないと思っております。私ども経済企画庁といたしましては、関係各省施策の調整につとめ、その円滑な実施を極力推進してまいる考えでございます。  次に、消費者物価の問題について申し上げます。  消費者物価につきましては、去る一月二十四日の閣議におきまして物価安定のための具体策を決定いたしました。今後これらの諸対策を強力に実施いたしまして、明年度中に物価安定基調を回復することを目途に努力いたしてまいる所存でございます。  特に、公共料金その他政府の規制し得る範囲のものにつきましては、昭和三十九年中は値上げを行なわない方針を堅持いたしますとともに、農業構造改善施策強化中小企業近代化促進流通機構改善などにつきまして、財政金融面からも効果的な措置を講ずる考えでございます。これらの施策を通じまして生産性向上が積極的に推進され、価格上昇要因がこれによつて吸収されることを期待しておるわけでございます。  このほか、財政金融政策の適切な運用、労働力流動化、公正な価格の決定を阻害いたしておりますようなもろもろの要因の排除、供給不足物資の生産の増大、輸入政策の弾力的な運用など、これらの一連の施策を一段と強化いたしまして、総合的な推進をはかることによりまして消費者物価の安定を期する決意でございます。  なお、政府といたしましては、物価水準を長期にわたって安定させていくためには、生産性向上の成果が、企業利潤、賃金、所得、価格のそれぞれに適正に配分されることを期待しておりまして、今後長期的な課題として慎重に検討してまいる所存でございます。  経済企画庁といたしましては、関係各省との連絡協調のもとに、これらの諸施策が円滑に推進され、所期の成果をあげますように努力する所存でございます。  次に、中期経済計画の策定について申し上げます。  国民所得倍増計画の策定以来、すでに三年を経過いたしました。この間、わが国経済は、当初実現を期しておりました年率九%の成長を達成いたし、国民生活水準の顕著な向上完全雇用の達成という目標に向かって著しい前進を遂げております。今後は経済成長の過程におきまして、相対的に立ちおくれております農業、中小企業などの近代化促進いたしますほか、産業基盤施設拡充、生活環境施設の整備、社会保障の充実などの諸施策を一そう強化いたしまして、調和のとれた経済の発展と国民生活向上をはかり、福祉国家の実現に邁進することが必要でございます。このため、経済企画庁といたしましては、引き続き国民所得倍増計画に掲げる課題の達成を目標としながら、今後の経済運営の指針として中期経済計画を策定いたしまして、経済構造の変化に対応する総合的な政策運営がはかられますようにつとめてまいる所存でございます。  次に、国民生活行政の強化について申し上げます。  経済成長政策の推進によりまして、わが国経済の規模は飛躍的に拡大してまいりましたが、これに伴って、今後は第二段階として、経済の質的な改善に加えまして、経済的なもろもろの資源を国民福祉の向上の面にいかに適正に配分すべきかという課題にも、従来以上に重点を置かなければならない段階に立ち至つたと思われます。  このような政策的要請に対処してまいりますためには、この際独自の使命を持つた国民生活行政が新しく展開されることが必要であると考えております。この国民生活行政の理念は、国民経済の発展の中で、完全雇用を達成し、所得の向上とその格差是正をはかるとともに、物価の安定、生活環境施設の整備、社会保障の充実など、国民生活のあらゆる分野における福祉を均衡的に向上、発展せしめることでございます。  そのためには、第一に、どのような国民福祉の水準が確保されるべきかということを明らかにいたし、その実現のために各種の政策が果たすべき役割りと位置づけを行ない、総合的観点から政策の推進をはかっていくことが必要でございます。  第二に、消費者物価の引き続く上昇や、新製品の出現、販売競争の激化によります商品選択の困難、生活環境施設の立ちおくれ等々、国民が消費者として日常生活の面で保護されるべき分野がきわめて多うございますので、この面においても総合的観点から消費者行政を積極的に推進いたし、国民の福祉向上に資することが必要でございます。  経済企画庁といたしましては、このような考え方のもとに各省の施策を調整し、その斉合性を保持しながら施策推進をはかるために新たに、国民生活局を設置し、福祉政策の展開につとめてまいる所存でございます。  地域開発促進について申し上げます。  わが国経済の均衡ある発展と民生の向上、福利の増進をはかりますためには、今日見られる都市の過大化現象と地域格差の存在は、ゆるがせにできない問題であります。経済企画庁としては、わが国に存します自然資源の有効な利用をはかりますとともに資本、労働、技術などの各資源が全国各地域に適切に配分され、地域間の均衡ある発展が確保されますように、引き続いて総合的な地域開発政策を積極的に講じてまいる所存であります。  このため、全国総合開発計画に示されました地域開発の基本構想のもとに各地方開発促進計画の策定等を進めるほか、特に地方の開発発展の中核となるべき新産業都市並びに工業整備特別地域につきましては、長期的な視野のもとに、道路、港湾の整備、用地、用水の確保、住宅建設の促進などを計画的に推進してまいる所存でございます。また、低開発地域につきましても、税制金融などの所要措置を通じまして工業開発促進をはかりますほか、農業、中小企業等の近代化施策推進と相まつて、積極的に地方産業振興をはかつていく考えでございます。  なお、離島振興、豪雪地帯対策などにつきましても、引き続き努力を傾注いたす所存でございます。  最後に、水資源行政の推進について申し上げます。  水資源の総合的な開発と合理的な利用を促進いたしますために、さきに水資源開発促進法及び水資源開発公団法が制定されましたが、現在これらの法律に基づきまして利根川及び淀川の二つの水系を水資源開発水系として指定をいたし、開発基本計画に沿って各種の開発事業を着々実施いたしております。経済企画庁といたしましては、今後さらにこれらの事業を強力に推進いたしますとともに、他の水系につきましても用水の緊急需要に対処いたしまして、広域的な開発が特に必要と思われますものについて、早急に水資源開発水系として指定してまいる所存でございます。  また、水利用の急激な増大に伴い水質をめぐる公害の問題が生じておりますので、経済企画庁としても水質の汚濁を防止しつつ産業の相互協和と公衆衛生の向上に一そうの努力を傾注する考えでございます。  以上、経済企画庁施策につきまして所信の一端を申し上げたのでございますが、わが国経済の発展のために今後とも微力を尽くしてまいる考えでございますので、何とぞよろしくお願い申しあげます。     —————————————
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、先般経済企画庁政務次官に就任されました倉成正君を絡介いたします。
  11. 倉成正

    ○倉成政府委員 先般、はからずも経済企画庁政務次官に再任されることになりました。内外の経済情勢が重要なおりから、商工委員会の皆さまには格別の御指導をいただくことと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、公正取引委員会委員長より、公正取引委員会業務概略について説明を聴取することにいたします。渡邊公正取引委員会委員長
  13. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 昭和三十八年の公正取引委員会業務の概略についてお手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点について概略を申し上げます。  まず昭和三十八年中における私的独占禁止法制の主要な動きといたしましては、本委員会において御審議いただきました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部改正及び下請代金支払遅延等防止法の一部改正が、それぞれ昭和三十八年四月一日及び昭和三十八年八月十九日から施行されておることであります。これらは、それぞれ後ほど御報告申し上げますように、所期の効果をあげておるものと考えております。  昭和三十八年の当委員会業務を振り返つてみますと、これら両法の制定や政府物価総合安定対策の一環として違法な価格協定の取り締まりを強化するなど、当委員会といたしましては、昭和三十八年も相当活溌な活動を行なつた年であつたと考えております。  まず私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、百五十一件について審査を行ない、そのうち四件について審判手続を開始し、二十一件について勧告を行ない、審決に至ったものは十四件ありました。  審決を行なったおもなものは金曹工業会に対する件、軽金属板製品協会家庭日用品部会に対する件、全国港湾荷役振興協会に対する件、全国販売農業協同組合連合会に対する件、全国麻袋工業協同組合連合会に対する件などがあります。  なお、審判手続を開始した主要なものとして板紙連合会、段連会等があります。  次に昭和三十八年中における国際契約等の届け出は七百八件にのぼり、前年に比較し約二倍強の増加となつており、自由化に伴いこの方面の業務が一そう重要となると考えられますので、これらの業務強化していきたいと考えております。  会社の合併、営業譲り受けの届け出はそれぞれ九百二十七件、二百二十四件となつており、前年より相当増加しておりますが、私的独占禁止法上特に問題となるような合併等はございませんでした。  不公正な取引方法の指定に関する業務といたしましては、金融業における歩積み、両建ての問題を取り上げております。金融業界では今度こそ自粛の実をあげると申しておりますが、その効果があがらない場合には特殊指定の方法をとるのもやむを得ないものと考え、並行して金融業における特定の不公正な取引方法の指定について具体案を検討中でございます。  私的独占禁止法の規定に基づく共同行為の認可につきましては、まず不況に対処するための共同行為として新たに本年三月末を期限として人造黒鉛電極丸型の生産数量の制限にかかる共同行為を認可しました。また、中形形鋼の生産数量及び販売数量の制限にかかる共同行為につきましては前年に引き続いて、三十八年九月まで期限延長の認可をしましたが、この共同行為は期限の到来とともに効力を失い、その後再延長はしておりません。企業合理化のための共同行為としては、新たに自動車タイヤ及びポリノジック綿の各生産品種の制限にかかる共同行為を認可したほか、前年に引き続き綿とビスコース・スフとの混紡糸、マーガリン及びショートニング、純スパンレーヨン糸の各生産品種の制限にかかる共同行為を認可いたしました。  以上私的独占禁止法の施行業務のほか、下請代金支払遅延等防止法につきましては、改正内容につきまして親事業者及び下請事業者に対し周知徹底することにつとめるとともに、下請代金の支払い状況を中心に約千八百社の親事業者を調査し、十八の親事業者に対して支払いの改善を勧告し、また百六十四社に対し支払いの改善を指導いたしました。  また不当景品類及び不当表示防止法につきましては、特に悪質な表示を行なった宅地建物取引業者七名に対し排除命令を行なつたほか、東京都及び近畿地区の不動産業者から申請のあつた宅地建物取引業の表示に関する公正競争規約を認定いたしました。そのほか、東京における小売り業の価格表示、観光土産品の表示などについて調査を行ないました。  当委員会としては、今後さらに他の商品についても、不当表示の排除に努力し、公正な競争秩序の確立と一般消費者の利益の保護に万全を期したいと考えております。  最後に私的独占禁止法の適用除外に関する業務のうち、おもなものについて申し上げますと、まず輸出入取引法の規定に基づく共同行為処理件数は百八十五件、中小企業団体の組織に関する法律の規定に基づく共同行為等の処理件数は千八十件、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の規定に基づく共同行為処理件数は十九件となっております。  このほか、物価問題に関連して価格が硬直している商品について価格決定機構を調査中であります。  なお、昭和三十九年度予算でございますが、今国会で御審議をお願いいたしております当委員会関係の予算は、総額二億二千二百九万八千円でありまして、昭和三十八年度に比べ三千五百九十七万七千円の増となつており、取引部及び札幌地方事務所の新設、定員十五名の増加等がその主要な内容となっております。  今後当委員会の事務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに、重要性を増すものと考えられますが、委員長はじめ委員各位の御支援を得まして重責を果たしたいと思つておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  14. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、土地調整委員会委員長より、土地調整委員会の事務処理概要について説明を聴取することにいたします。黒河内土地調整委員会委員長
  15. 黒河内透

    ○黒河内政府委員 土地調整委員会委員長黒河内でございます。  御指示によりまして、ただいまから土地調弊委員会が三十八年中に行ないました所掌事務の処理概要について御説明申し上げたいと存じます。お手元に、昭和三十八年土地調整委員会事務処理概要という印刷物をお配りいたしてありますので、その大要をかいつまんで御説明申し上げることにいたしたいと思います。  第一は、鉱区禁止地域指定請求及び指定解除請求関係でありますが、前年から係属いたしておりますものとして、石川県下の犀川ダム関係、青森、秋田両県下にわたる十和田、八幡平国立公園関係、東京、山梨両都県下にわたる小河内ダム上流集水地域、新潟県下の笠堀ダム関係、千葉県の東京湾北部及び中部地域、山梨県下の西山ダム及び西山発電所関係、湯島発電所関係、奈良田第一及び第二発電所関係、野呂川発電所関係、栃木県下の日光国立公園奥日光地域、大分、熊本の両県下にわたる松原、下筌ダム関係、山口県下の菅野ダム関係の一部保留地域、静岡県下の伊東市及び中伊豆町関係、京都、奈良、三重の三府県にわたる高山ダム関係及び北海道の金山ダム関係の十五件があります。それに本年内に指定の請求のありましたものが、県下の生野ダム関係、岩手県下の四十四田ダム関係と宮城県下の白石市小原温泉関係の三件でありまして、合計十八件になります。  これらを請求の理由別に見ますと、ダム及び発電所施設の保護を主目的とするものがその大部分の十二件、景観または温泉の保護を主目的とするものが三件、水道、水源、景観、ダム等の保護、温泉、ワサビ田等の保護または工業用地造成施設の保全を主目的とするものが各一件であります。  これらのうち大部分につきましては、所定の手続を終えまして、本年内に犀川ダム関係、笠堀ダム関係の二件は、おおむね請求どおり指定して処理済みであります。十和田、八幡平国立公園関係につきましては、八甲田地域の処分を保留し、翌年度に持ち越しましたが、請求地域の約四割に当たる十和田湖及びその周辺地域並びに奥入瀬渓谷地域につきましては、おおむね請求どおり指定をいたしました。また小河内ダム上流集水地域につきましても、一部処分を保留した区域がありますが、大部分は請求どおり指定いたしました。他方、東京湾北部及び中部地域と湯島発電所関係の二件は、請求庁からそれぞれ取り下げがありましたので、それをもって終結いたしました。  以上、本年内に処分をいたしましたものは、一部の処分保留をしたものを合わせまして四件、それに本年内に請求者において取り下げたものが二件で、来年度に繰り越すものが、ただいま申し述べました処分保留の二件を合わせまして十四件であります。  なお、以上の鉱区禁止地域として指定した地域の既存の鉱業権について、鉱業権の取り消しの勧告を行なったものはありません。また鉱区禁止地域の指定の解除の請求もなかったのであります。  第二は、異議の裁定申請関係でありますが、本年当委員会に係属したものは、青森県下の鉱業出願一部不許可処分の取り消し請求の件と、福岡県下の鉱業出願許可処分に対する裁定事件の再審理の件と、東京都下の鉱業出願の不許可処分取り消し請求の件の三件であります。そのうち青森県下の事件は取り下げにより終結し、福岡県下の事件は事情の変更があり、裁定申請人から鉱区禁止地域の指定の手続をとりつつあるから審理を保留されたいとの申し立てがあって、それに応じた措置をとっているところであります。東京都下の事件は、三回公開審理を行ない、審理を急ぎましたが、来年に持ち越すこととなりました。なお山口県下の鉱業出願不許可処分の取り消しの裁定申請を棄却した土地調整委員会の裁定に関し、東京高等裁判所に前年から裁定取り消しの訴訟が係属しておりますが、これは目下準備手続中であります。  第三は、土地収用等に関する建設大臣等に対する審査請求の裁決に関する意見の照会に対する回答でありますが、本年内に意見の照会のありましたのは、建設大臣からの照会のありました岡山県下高梁川総合開発事業関係の土地等の収用裁決に関する件と、静岡県下伊東市の市道中央三号線改築事業に関する土地の収用裁決に関する件と、東京都市計画街路幹線街路放射街路第四号線築造工事に関する権利収用裁決に関する件の三件であります。そのうち、岡山県下の事件は取り下げがあったので回答に及ばなかったのでありますが、他の二件についてはいずれも請求の理由は認められない旨の回答をいたしました。  以上のほか、鉱業法、採石法、核原料物質開発促進臨時措置法、文化財保護法等に規定されている事務などもありますが、本年中には該当の事案はありませんでした。  以上、昭和三十八年中の土地調整委員会の事務処理の大要を申し述べた次第であります。  なお、土地調整委員会設置法第十九条に定められた昭和三十八年の所掌事務処理状況の報告書を目下印刷中であります。近いうちに所定の手続を経てお手元にお届けできると存じますが、それには詳細に記述いたしておりますので、何とぞそれによって御了承をお願いいたしたいと存ずる次第であります。     —————————————
  16. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、昭和三十九年度通商産業省関係予算について、会計課長より説明を聴取することにいたします。大臣官房会計課長金井政府委員
  17. 金井多喜男

    ○金井政府委員 通商産業省予算について御説明申し上げます。  まず、三十九年度通商産業省所管一般会計の予定経費要求額は五百十三億九千万円でございまして、これを三十八年度当初予算額四百三十億六千八百万円に比較しますと、八十三億二千二百万円の増で、一九・三%の伸びとなっております。  このうち石炭関係予算が百十七億九百万円で、前年度のほぼ横ばいとなっておりますので、石炭関係以外の予算では三百九十六億八千百万円で、八十三億六千二百万円の増、二六・一%の伸びとなっております。  三十九年度予算のうち、政策事項につきまして、これを中小企業対策費、輸出振興及び経済協力費国際競争力強化対策費、技術振興費、産業基盤強化対策費、エネルギー対策費、鉱山保安対策費の七項目に分けて御説明いたします。  第一に、中小企業対策費でございますが、中小企業問題の重要性にかんがみまして、最重点項目として取り上げ、前年度に比し二十九億八千九百万円増の百十五億七千三百万円を計上いたしております。  そのうち、中小企業近代化高度化につきましては、中小企業設備近代化補助金として四十五億円、中小企業高度化資金として四十三億八千六百万円を計上いたしまして、従来の貸し付け対象のほか、新たに商店街造成を対象に加えることにいたしております。  このほか、中小企業指導センターに対する出資及び補助として三億二千万円、小規模事業対策補助として十四億一千百万円、中小企業管理者及び技術者研修費として八千五百万円、中小企業に対する診断及び技術指導等を実施する経費として三億七千四百万円を計上しております。なお形式的には大蔵省計上になっていますが、中小企業信用保険公庫への出資四十五億円を計上いたしております。  第二に、輸出振興及び経済協力費につきましては、内外の経済情勢、国際収支の動向等も考慮いたしまして、前年度に比し十一億八千三百万円増の五十四億七千二百万円を計上いたしております。  輸出振興につきましては、特殊法人日本貿易振興会事業運営に必要な経費として三十一億二千八百万円を計上し、海外市場の調査、トレードセンターの運営等総合的な輸出振興事業を一そう強力に行なうこととしています。  その他、日本輸出雑貨センター事業運営に必要な経費として一億八百万円、プラント類輸出振興費として二億五千八百万円、工作機械輸出振興費といたしまして八千八百万円を計上いたしております。  次に、経済協力費でございますが、主要な経費といたしましては、特殊法人アジア経済研究所に対する補助金といたしまして三億七千二百万円、海外技術開発協力費といたしまして一億二千万円、低開発国一次産品買付促進費補助といたまして五千五百万円等を計上し、未開発国との経済協力推進をはかることといたしております。  第三に、国際競争力強化対策費でございますが、この点につきましては、一般会計よりもむしろ後に述べます財政投融資による対策が重要な役割りを占めているということができるかと存じます。  一般会計からの国際競争力強化対策費は、主として地下資源開発費でございまして、前年度に引き続き国内鉱山の探鉱促進をはかるための新鉱床探査費補助といたしまして三億円計上いたしたほか、新規に金属鉱物探鉱融資事業団の行なう自主探鉱に対する補助金といたしまして八千万円を計上したこと等でございます。  第四に、技術振興費でございますが、開放経済体制下における技術振興の重要性にかんがみまして、前年度に比し十三億四千八百万円増の八十八億三千六百万円を計上いたしております。  そのおもなものといたしましては、新規項目として、重要鉱工業技術試験研究委託費六千五百万円、九州工業技術試験所新設費五千万円、その他前年度に引き続きまして、試験所の特別研究費といたしまして十二億五千五百万円、民間における試験研究助成のための鉱工業技術研究費補助といたしまして七億八千六百万円等を計上しております。  また、特許行政へ強化費といたしましては、特許等の審査、審判の促進をはかることを重点にいたしまして、十三億四千百万円計上しております。  第五に、エネルギー対策費でございますが、そのおもなものは石炭対策費でございます。石炭対策は、前年度のほぼ横ばいで、百十七億九百万円でございます。  内容といたしましては、石炭鉱業近代化促進及び石炭専用船の建造を含む流通合理化等に要する資金として、石炭鉱業合理化事業団への出資金四十八億九千二百万円、産炭地域振興費二十億四千九百万円、炭鉱整理事業補助三十九億三千七百万円、保安不良炭鉱整理交付金一億七千二百万円、鉱害賠償基金出資一億円、その他鉱害復旧費、石炭技術振興費補助等につきまして必要な経費を計上しています。  第六に、産業基盤強化対策費でございますが、そのおもなものは、工業用水道事業費補助でございまして、前年度に比し十六億六千六百万円増の七十億二千三百万円を計上しております。そのうち、地盤沈下防止対策事業につきましては補助率の引き上げを行なうこととしております。  第七に、鉱山保安対策費でございますが、先に述べました石炭鉱業合理化事業団への出資金のうち四億九千六百万円は、新たに大手を含めて、保安施設に対する無利子融資に向けられるべきものでありまして、これにより鉱山保安施設整備強化をはかるほか、ボタ山崩壊防止対策保安教育費等を含めまして、一億三千八百万円を鉱山保安対策費として計上しております。  以上をもちまして当省所管の一般会計に関する説明を終わりますが、詳細につきましては、お手元の予算要求重要事項表をごらんいただきたいと存じます。  次に、当省所管の特別会計につきまして、三十九年度歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、歳入予定額は六十八億一千九百万円、歳出予定額は六十一億五百万円であります。輸出保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも百四十六億三千八百万円でございます。機械類賦払い信用保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも十一億六千八百万円でございますが、歳入予定額のうち一億五千万円は一般会計からの繰り入れでございます。また、中小企業高度化資金融通特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも四十三億九千百万円でございます。  次に、当省関係の財政投融資計画について御説明いたします。  昭和三十八年度におきます当省関係の財政投融資総額は、余剰農産物資金及び経済援助資金等を含めまして三千八百九十七億円でありまして、これを昭和三十八年度当初計画の三千四百三十三億円と比較いたしますと、四百六十四億円、伸び率にしまして二二・五%の増加となっております。  以下、機関別にその概要を御説明いたします。  まず、日本開発銀行につきましては、新たな施策といたしましては、産業構造高度化あるいは産業技術向上のため重要な地位を占める重機械の試作、開発を進める融資資金といたしまして十億円、繊維新法の制定に対応して、凍結設備の廃棄と合繊紡の転換のための融資資金として十億円をそれぞれ計上してあります。また産業体制整備のためには、融資対象を三十八年度の乗用車工業及び石油化学工業のほか、新たに特殊鋼とフエロ・アロイを加えまして、金額も三十億円増加することといたしております。  次に、日本輸出入銀行でございますが、輸出振興経済発展の基本的要請でありますことから、その資金の充実には特に重点を置きまして、三十八年度当初計画より三百億円増額いたしまして、千六百億円の貸し付け計画を予定し、このため、出資二百二十五億円、融資七百十二億円、計九百三十七億円の財政資金を投入する計画でございます。なお、三十八年度の補正といたしまして、出資六十億円及び融資四十億円を追加いたしまして、運用規模を当初計画の千三百億円に対しまして千四百五十億円に改定いたすこととしておりますので、申し添えておきます。  次に、中小企業関係政府金融機関の御説明に移りますが、中小企業対策については、政府といたしましても最重点を置いて各機関の融資機能の強化充実をはかることとしており、これらの貸し出し規模は、三十八年度に比して二一%前後拡大する計画となっております。すなわち、中小企業金融公庫につきましては、財政資金から融資七百三十三億円、政府保証債百億円を計上し、商工組合中央金庫には、出資三十億円及び財政資金による商中債の引き受け純増六十億円を確保することといたしております。また、国民金融公庫につきましては、財政融資六百九十四億円を計画しております。なお、商工組合中央金庫につきまして長期年三厘程度、短期日歩五毛程度の金利引き下げを考慮しております。  次に、電源開発株式会社についてでございますが、前年度に引き続き大水力電源開発の継続工事に主力を注ぎますほか、新たに石炭長期引き取りを確保するため、三十九年度から石炭火力発電所建設に着手することといたしまして、出資十億円及び余農資金を含めて融資三百十七億円、外貨債十二億円、合計三百三十九億円の財政投融資を予定しております。  次に、日本航空機製造株式会社につきましては、試作事業のため四億円を出資し、また、量産事業につきまして運転資金二十三億円を政府保証によって調達することといたしております。  石油資源開発株式会社につきましては、昨年に続きまして、油田及び天然ガスの開発にかかる民間調達の社債につきまして五億円を限度として政府保証を付することといたしましたほか、海外におきまして原油開発の重要性にかんがみ、新たに、それに要する資金二億円を出資する計画でございます。  次に、石炭鉱業合理化事業団でございますが、非能率炭鉱の終閉山と合理化に伴う炭鉱離職者に対する退職金支払いを円滑に行なわせるため、財政資金三十五億円の融資を行なう計画であります。  産炭地域振興事業団及び鉱害賠償基金につきましては、すでに一般会計において御説明したとおりでございますが、財政融資として、産炭地域振興事業団に三十億円、鉱害賠償基金に五億円を予定しております。  次に、金属鉱物探鉱融資事業団でございます。新たに地質構造調査業務を行なうことにつきましては、すでに御説明したとおりでございましたが、探鉱資金の融資業務についても拡充をはかり、貸し出し規模を三十八年度の十五億円から二十億円へと拡大し、これに必要な出資二億円及び融資十七億円を計上しております。  最後に、機械類延べ払い金融措置については、これに要する資金として四十億円を予定することといたしました。  以上をもちまして、はなはだ簡単でございますが、通商産業省所管の一般会計、特別会計の予算及び財政投融資計画の御説明を終わります。     —————————————
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、昭和三十九年度経済企画庁関係予算について、会計課長より説明を聴取することにいたします。長官官房会計課長佐藤政府委員
  19. 佐藤二郎

    ○佐藤(二)政府委員 経済企画庁予算につきまして御説明申し上げます。  昭和三十九年度経済企画庁予定経済要求額は百五十六億六千二百万円でございまして、前年度予算額に比較いたしまして四十五億四千七百万円、四一%の増加でございます。これは大きく分けまして行政部費と公共事業費とから成り立っておるわけでありますが、行政部費のほうの要求額は十四億四千七百万円でございまして、前年度に比べまして二億五千六百万円の増加になっております。それに対しまして、公共事業費のほうは百四十二億一千五百万円の要求でございまして、これは前年度に比べまして四十二億九千万円の増加になっております。  次に、以上の要求額の内容を申し上げたいと思いますが、お手元にお配りしました資料の三ページに載っております。  最初に行政部費でございますが、これは三つの項に分かれております。まず経済企画庁のほうでございますが、前年度の五億七千四百万円に対しまして、六億五千三百万円をお願いしております。その内訳のおもな点を申し上げますと、第一に、一般行政に関する経費は四億七千万円でございまして、前年度に比べまして三千四百万円の増加になっております。  第二は総合経済政策樹立調整に関する経費でございまして、前年度の七百万円に対しまして、千二百万円をお願いしております。この増加は、主として経済協力開発機構関係の経費増  によるものでございます。  第三は、国民生活充実に関する経費でございまして、前年度の千六百万円に対しまして、四千万円をお願いしております。これには特殊法人国民生活研究所に対する補助金三千二百万円を含めまして、国民生活向上物価の安定に関する経費が計上されております。  第四は、長期経済計画に関する経費でございますが、これには経済審議会の運営費、長期経済計画策定等に要する経費が計上されておりまして、前年度の千八百万円から二千九百万円に増額になっております。  第五は、国土総合開発に関する経費でございます。その経費は、前年度とほぼ同額の二千八百万円となっております。  第六は、水資源に関する経費でありまして、前年度の三千一百万円に対しまして、三十九年度は三千三百万円となっております。  第七番目は、内外経済事情調査に関する経費でございます。これは大別いたしまして、経済事情調査等と経済統計作成等に分かれておりますが、前年度の三千九百万円に対しまして、三十九年度は四千二百万円となっております。  次に、資料の九ページでございますが、土地調査費でございます。これは前年度の五億五千万円に対しまして、三十九年度の予定経費の要求額は七億二千五百万円でございまして、一億七千万円となっております。前年度に比較して増額になりましたおもなものは、地籍調査に要する経費が一億六千万円増額になっておるためでございます。  その次に、経済研究所の項でございますが、これは資料の十ページにございます。これは前年度の六千一百万円に対しまして、三十九年度要求額は六千九百万円に増加しております。  以上が行政部費の関係でございますが、次に公共事業費関係について申し上げます。これは資料の十一ページ以下にございます。  まず、新産業都市建設事業調整費の項でございますが、この要求額は十四億五千万円でございまして、前年度に比較いたしまして五億五千万円の増加となっております。  次に、国土総合開発事業調整費でございますが、前年度の十二億五千万円に対しまして、三十九年度は二十一億円の要求でございまして、八億五千万円の増加となっております。  第三番目は、地域経済計画調査調整費でございますが、これは前年度と同額の五千万円を計上してございます。  以上三つの調整費を合計いたしますと、三十六億円でございまして、前年度に比べまして十四億円の増加となっております。  第四は、離島振興事業費の項と揮発油税等財源離島道路整備事業費の項でございますが、その両者を合計いたしまして七十五億七千五百万円でございまして、前年度に比較いたしまして十二億七千九百万円の増加となっております。この増加は主として本土と離島、離島相互間並びに離島内の開発に要する必要な港湾、漁港、空港、道路等の施設整備に要する経費の増加によるものであります。  第五は、水費源開発事業費の項でございますが、これは三十八年度の十四億二千七百万円に対しまして、三十九年度は三千億三千九百万円に増加しております。この経費の増加は、水資源開発公団の事業拡大に対応するものでございます。  以上が一般会計予算概要でございますが、詳細はお手元にお配りしました資料によってごらん願いたいと思います。  最後に、当庁関係の財政投融資計画を簡単に申し上げます。これは資料の十六ページ以下になっております。  まず東北開発株式会社につきましては、会社発足以来経営内容が悪化の方向をたどっておりますので、再建資金の確保、セメント事業の販売組織の改善、関連事業の育成等を計画しております。そのための資金といたしまして財政出資十四億円、公募債三十六億円を予定しております。  水資源開発公団につきましては、利根導水路、群馬用水路の建設、印旛沼の開発、矢木沢、下久保、高山の三ダムの建設等百八十九億円の事業計画されております。そのため資金運用部からの融資三十三億円。公募債二十五億円を予定しております。  最後に、北海道東北開発公庫につきましては、産投会計出資十億円、財政融資百二十億円、公募債百二十億円を予定しておりまして、これに自己資金四十億円を加えました二百九十億円が三十九年度の当公庫の資金運用計画になっております、  非常に簡単でございますけれども、以上で経済企画庁関係の予算の説明を終わらせていただきます。
  20. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は、明後三十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会