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河野(正)
委員 これはあえて取り上げるまでもなく当然のことだと思うのです。ですけれども、たまたま同じような
ケースであらわれてまいりましたから、あらためて再確認を願う意味でお尋ねを申し上げたわけでございます。
それから、やはり今度の自殺事件が起こった背景として、法務省のほうもお聞きとり願っておりますから、そういう意味で参考のためにお聞き願っておかなければならぬと思いますけれども、これも
一つの例でございますが、この三十九年の六月の初旬に、この行員の家族、あるいはまた取り引き先に対して、この第一
組合の
活動を批判をしたり、あるいはまたこの
組合活動に介入するような依頼状を出したり、こういうような具体的な事例がございます。それから、もう時間もございませんから、さらには、同じく六月のことでございますけれども、年次有給休暇を取った
組合員が
組合活動を行なったと認められる場合には賃金カットをやるというような通達を人事部長名で出した具体的な事例がございます。年次有給休暇というものは、これはもう御
承知のように、基準法の三十九条で規定をされておりまする労働者の権利でございまして、その権利の中で
組合活動をやったならば賃金カットをするんだ、有給休暇を認めぬのだというふうな通達を出すということが、これはもう法に違反する行為であることは、当然のことでございますけれども、こういう事例もございます。それから、やっぱり同じ六月、春闘の争議中にこの
指名ストで
活動している執行
委員に対して、もし正常な業務に就労しない限り即刻この支店の社屋から出て行け、こういうように、正常な
組合活動を妨害をした。こういう事実もございます。こういうようにあげてまいりますと、枚挙にいとまがないわけですが、こういうような
一つの不当労働行為というものが背景となり、それが結局は冒頭に取り上げてまいりました小林弘子さんのとうとい犠牲となってあらわれてまいったというふうに私ども
理解するがゆえに、いろいろ労働省に対しましても
人権擁護局長に対しましても所見をお尋ねを申し上げたのでございます。このように富山相互銀行におきまする小林弘子さんの自殺という問題は、単に自殺という簡単な問題でなくて、その背景の根というものが非常に深いということを、私がいま申し上げましたような幾つかの点でございますけれども、その幾つかの不当な銀行側の行為によってそういう感じを非常に強く持たざるを得ないわけでございます。そういうことで、私どもはこの富山相互銀行におきます小林弘子さんの死というものは、決して単純に
判断すべき問題ではない、その背景というものがいかに根強いものであるかということを私どもはしみじみと知らしめられた一例でございますけれども、こういうような富山相互銀行の労使間のきびしい情勢があるということを十分に労働省も御
理解をいただきたいし、また法務省のほうもそれらの点を十分御認識をいただいて、この問題の徹底的な究明に当たっていただきたいというふうに申し上げておきます。
それから、
先ほど大臣にも御所見を承ったのでございますけれども、庁の御出席もいただいておりますから、私はこの際ひとつお尋ねを申し上げておきたいと思いますが、それは、組織介入という傾向というものが金融界あるいはまた証券界で非常に露骨になってあらわれてまいっておる。それが
先ほどからしばしば申し上げまするように、会社側の
組合に対しまする暴力行為になってあらわれてみたり、警察官の介入になってあらわれてみたりというようなことでございますが、その一例として、実は旭相互銀行の熊本で起こりました事件を
一つ取り上げて論議の対象にいたしてまいりたいと
考えます。
それは、旭相互銀行の熊本地区の
組合役員に対しまして、かねて親しくしておりました顧客の人からいろいろ要請があった。その要請は、熊本県の県警の公安係がその
組合の役員に対して、ひとつ
組合の共産党的な情報を提供してほしい。もし提供するということになるならば月一万円の手当を出す。それから、もし提供をしてもらえぬということになるならば、会社のほうからおまえのかねての行動についていろいろ
調査がなっておる。そこでこれを明らかにすれば結局おまえの首に通ずるぞ。結論的に申し上げますと、金か首かということでスパイを強要した。こういう事例が出てまいっております。
先ほど大臣の際に申し上げましたが、今日まで相互銀行の労使間の問題について直接警察権の介入したのは長崎相互銀行の一例でございましたけれども、今度のやつはお客さんを通じて間接的にいろいろ工作したという特異な事例でございます。しかし私はどちらが悪質かと申しますと、むしろこの、覆面をして、そして銀行として一番痛いところでございますお客さんを通じて警察権が介入したということは、最も悪質な行動であろうというふうに
考えますし、そういうようなことが、この旭相互銀行においても第一
組合、第二
組合という問題が起こってまいりまして、やはりそういうふうな
組合分断と非常に密接な関係をもたらしておるというような
事情等もございます。したがって、こういうような警察権の介入が適当でないということは当然のことでございますが、しかしそれにしても、そういう警察権の介入によって、正常な労働
組合運動が抑圧される、あるいは圧迫されるということは、非常に重大な問題だというように
考えております。これは当然労働省でも非常に重大にお
考えになると思いますし、また警察庁は、これは非常に重大な問題を提起するわけですから、その
責任はきわめて重大だというように指摘せざるを得ないと私は思うのです。こういうような事例に対して労働省はどのようにお
考えになるか。一応は
大臣から
先ほど総括的な御
意見を承ってまいりましたので了承いたしますけれども、重ねてひとつ
労政局長からお
伺いしたい。それからいまの事例をあげまして、警察庁としてはどのようにお
考えでございますか、警察庁当局の
意見もあわせてお
伺いを申し上げたい、かように
考えます。