○滝井
委員 ちょっと小山さんに聞いてもらいたいと思いますが、とりあえず今度
緊急是正を年度内におやりになる、そうしたら次には抜本的な対策に入るということを再々言われておる。
医療協議会でも言われておるわけです。いままでしょっちゅうそれを言われてきたわけです。それで社会保障制度審議会でも、
八木先生もおられますけれ
ども、総合調整をお出しになったわけです。出たのはおととしですね。一向に総合調整もできないわけです。あれは何か日曜休診をやったときも
医療の抜本改正をやるというので、
医師会と当時の灘尾さんと三木さんなんかが政調
会長か何かで、契約か何かしましたね。文書の取りわかしをやったですね。その声明をしたのがうそだ、ほんとうだということを言って、ごたごたしたのを記憶しているのですが、いつも抜本的なことをやるやると言うけれ
ども、こそくなことで終わってしまう。
そこで、いま何といっても
医療費の中で一番大きな比重を占めるのは薬価なんですね。技術料を確立するという前に、やはり薬価の適正化という問題が
論議をされなければならぬことになるわけです。私はずいぶん材料をそろえて、前にも森本さんが薬務局長のころにはやってきたわけですが、薬価の合理化をやると言うけれ
ども、なかなかうまくいかぬ。そうしていつの間にか
薬価基準はバルクライン八〇とか九〇とかいうことでどこかできめられて、
薬価基準表の中に載ることになるわけでしょう。そこで、これから国の財政が非常に苦しくなってくる。財源がないですからね。
消費者米価を上げなければことしは予算は組めませんよと田中大蔵
大臣がおどされておるわけですよ。そうしますと、今後やはり
医療費のロスをどこからか出さなければならぬ。私はロスを出すところは三つあると思うのです。
一つは事務の簡素化です。その事務のために、医師のうちの人件費がどれくらい食われているかわからぬですよ。これを保険者がうんと言わぬと小山さんよく言われるけれ
ども、これはやはりうんと言ってもらわなければいかぬですね。そして、もちろん供給側も公正な、正直な
医療費の請求方式をとらなければならぬと思うのです。この事務の簡素化をすれば、二十億、三十億はすぐ浮くですよ。それからいま
一つは薬価です。小山さん御存じのとおり、ブドウ糖ならブドウ糖の五管入りの箱を買いますね。そうするとブドウ糖の五管入りは実にがんじょうな、りっぱな箱に入っています。それから中にアンプルカッターが入っているですね。ブドウ糖の効能書きが書いてありますよ。そうしてブドウ糖はアンプルの中に入っているわけです。そうすると、薬だけ取り出してごらんなさい。薬だけなら、おそらく二十銭か三十銭しかしないでしょう。それが包装を入れてアンプルカッターがついて効能書きが入ると、この二十銭ぐらいの一本のブドウ糖が一円五十銭、二円になるでしょう。そうしますと、保険に使う薬はそんなにがんじょうな箱に入れる必要はない。百本入りにして、アンプルカッターを一本つけたらいい。ブドウ糖は医者は知っているから、効能書きは要らぬですよ。そういう製薬過程におけるロスを全部省いてしまうと、おそらく薬は三分の一かそこいらになっちゃう。その分については、適正な利潤は製薬企業に
処置しなければならぬから、九千八百万の
国民医療をして生命を守ろうとする製薬企業に対しては減税
措置を講じ、ある程度研究費の補助金を出してもいいじゃないですか。それのほうが、長い目で見たらどのくらい
医療費のロスが省けるかしれません。いま
医療費はぐんぐん上がる。このごろまでの説明では八千何百億でした。きょうの説明では九千何百億。千億上がっているでしょう。そうすると、あなた方が知らぬ間に保険経済が赤字になる。ウナギ登りに上がっているのは何が一番大きなファクターになっておるか。薬です。そうすると、この製薬企業がいまの
段階では自由企業でしょう。あなた方は手を染められないでしょう。
薬価基準だけでしょう。しかもそれが原価計算を
医療によって使うときには、そのものは原価主義だと言っておるけれ
ども、製薬企業において原価主義をとっておるか、とっていないわけでしょう。この一番大事な基盤をそのまま放置して、その上に社会保険
医療というものをそびえ立たせようとするところに、現在の日本の社会保険の悲劇があるわけです。このロスを何とかしなければならぬ。そうすると事務の簡素化、
薬価基準におけるいわゆる原価主義を貫いていって、その利潤の減少する部分については、研究費とか減税の
措置をとって製薬企業を保護していく。いま
一つは、病院の乱立ですよ。こういう点でばく大な国費が、
国民の血税が浪費されているわけですよ。これはもう国家公務員の共済病院を見ても、そのほかのいろいろな病院を見ても、公的
医療機関にそれが多いでしょう。こういうところに保険当局なり大蔵当局がメスを入れなければだめです。そうすると、そこからロスが浮いてくる。これらのロスが浮いてきたものを
国民医療の前進と技術料の確立につぎ込むという形をいまにしてとらなかったら、もうだめですよ。これは小林さんの言うように、いまの状態では貧しいところに
医療はいかないのです。そして貧しいところに
医療のいかないいまの形で、保険経済が苦しいからといって現物給付をやめて、一部裕福な階層には現金払い制度をとる、療養費払い制度をとったら、もう日本の保険制度はだめになってしまうです。それはいま会社の社長とか重役はみなどういうことをしておるかというと、率直に言いますよ、ある医者が言った。そういう会社の重役とか部課長さんのように、薬びんをさげて料亭に通う人を患者に持つのが一番いいと言っている。こういう人たちも健康保険ですよ。医者に来るときには、外車の千万も千二百万もするようなデラックスのものに乗ってくる。そして耳の治療をしてくださいと言って、払うときには十円払って帰るでしょう。デラックスな自動車に乗ってくるので、ガソリン代のほうが悔い。そしてその人たちは必ず高貴薬を要求しますよ。全部高貴薬を出しますよ。池田さんがいまがんセンターに入院していますけれ
ども、おそらく
国民健康保険の被保険者だと思いますが、
国民健康保険でやっているかということです。一国の総理が、
国民健康保険でみずからの生命の病気をなおせる程度に日本の
医療がいっておったら、これは私は池田内閣のために万歳を唱えたいと思います。おそらく池田さんは健康保険ではないと思うのですよ。あのくらいの治療が
国民健康保険でできているなら、非常に信頼が出てきますよ。ところが、そういう上の人はそれでできるのです。いま言ったように、病院に行ってクロマイとかなんとかかぜの
段階でもらってしまう、こういう、いわゆる貧民と貴族の
医療の状態になってしまっているでしょう。だからこういう点にもう少しメスを入れて、そして零細な
医療費が
国民にほんとうに均等にいくような姿でつくりかえてもらわなければいかぬと思うのです。これは
緊急是正のときから相当勇断を持って進まなければいかぬですよ。それにはやはり
保険局長の首が
二つ、三つ飛ぶ覚悟で、いつも滝井義高だけに小山
保険局長不信任案を言われて、あなたものうのうとしておるけれ
ども、それではあなたもいかぬので、そしてあなたもほんとうに日本の
医療行政をあれするならば、
保険局長を棒に振ってでも
自分の
所信は貫いていく、
国民医療を貫いていくという形をとらないと、とてもどうにもならぬですよ。壁は厚いですよ。もう保険経済は赤字でどうにもならぬ状態である、国の財政はもはや弾力性を失っていかんともしがたいという
客観情勢がある。
国民の
医療はまさに農村その他では待望されておる。全部八方ふさがりですよ。だから、そういう点ではひとつぜひがんばってもらって、この際けちなことを言わずに、何はさておいても人間優先の政治ですね。これは佐藤さんも言ったでしょう。池田さんの政治は歩行者優先の政治じゃない。今度は池田さんもみずから病気をされて、歩行者優先の政治がわかったと思うのです。ですから、ぜひ歩行者優先の政治ですね。先日社会党の勝間田政審
会長が言っていたが、
自民党の政策には人間を大事にする政治がない、いまや人間復興の時代だ。そうですよ。だからこの
段階で
医療費は何ものにも先んじて予算に先取する、いつもあとじゃないですか。だからこの際、米価問題その他に優先をしてひとつ確立する、そして人間を大事にするという形をぜひ厚生行政でとってもらいたいと思うのです。
大臣がいませんから、あなたから十分
大臣に言ってもらって、あなた方の
所信が貫けぬようだったら
保険局長辞表だというぐらいの意気でやってください。そうすれば、あなたが辞表を出しても、あと拾い手は幾らでもおりますよ。あなたのような優秀な人だし、
国民大衆のために
保険局長が
大臣とともに首をかけてやったということになれば、これはもう九千八百万
国民は、あなたを直ちに来年の参議院選挙にかつぎ出しますよ。社会党が公認しますよ。だからそのくらいの意気を持ってぜひひとつやってもらいたい。
緊急是正をしたらそれが緊急だというのに、八カ月も一年もかからなければ結論が出ないなんという政治は、政治不在ですよ。だから、そういう点でもむしろあなたは、だらしのない
与党に対して辞表をたたきつけなければいかぬですよ。私からばかり不信任、不信任と言われて、野党の滝井だからほおかぶりしていこうという安易な気持ちではいかぬですよ。これだけ言って私のきょうの質問を終わって、あとは次会にやります。