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1964-07-31 第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三十一日(金曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長代理理事 田中 正巳君    理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君    理事 亀山 孝一君 理事 河野  正君    理事 小林  進君 理事 長谷川 保君       大泉 寛三君    熊谷 義雄君       倉石 忠雄君    藏内 修治君      小宮山重四郎君    坂村 吉正君       田村  元君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       藤本 孝雄君    松山千惠子君       粟山  秀君   山口喜久一郎君       亘  四郎君    伊藤よし子君       高田 富之君    滝井 義高君       八木 一男君    八木  昇君       山口シヅエ君    山田 耻目君       吉村 吉雄君    本島百合子君       谷口善太郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 神田  博君         労 働 大 臣 石田 博英君         自 治 大 臣 吉武 恵市君  委員外出席者         内閣法制局長官 林  修三君         厚生政務次官  徳永 正利君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君         労働政務次官  始関 伊平君         労働事務官         (大臣官房長) 和田 勝美君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      松尾 正雄君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 七月三日  委員伊東正義君、大坪保雄君、小宮山重四郎君、  松山千惠子君及び亘四郎辞任につき、その補  欠として山口喜久一郎君、毛利松平君、八木徹  雄君、竹下登君及び丹羽兵助君が議長指名で  委員に選任された。 同月八日  委員熊谷義雄辞任につき、その補欠として小  宮山重四郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  賀屋興宣君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員浦野幸男君、竹下登君、丹羽兵助君、西村  英一君、毛利松平君及び八木徹雄辞任につき、  その補欠として伊東隆治君、高橋禎一君、大泉  寛三君、齋藤邦吉君、藏内修治君及び高橋清一  郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て寺島隆太郎君が議長指名委員に選任され  た。 同月三十一日  委員賀屋興宣君、倉石忠雄君、齋藤邦吉君、橋  本龍太郎君、粟山秀君及び渡邊良夫辞任につ  き、その補欠として山口喜久一郎君、熊谷義雄  君、亘四郎君、大石武一君、田村元君及び松山  千惠子君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大石武一君、熊谷義雄君、田村元君、松山  千惠子君、山口喜久一郎君及び亘四郎辞任に  つき、その補欠として橋本龍太郎君、倉石忠雄  君、粟山秀君、渡邊良夫君、大橋武夫君及び齋  藤邦吉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十六日  一、厚生関係及び労働関係基本施策に関する件  二、社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する件  三、労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十二日  結核予防対策確立に関する陳情書(第八四二号)  保育事業確立に関する陳情書(第八四五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(上下水道に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。  この際、労働大臣より発言申し出がありますので、これを許します。労働大臣石田博英君。
  3. 石田博英

    石田国務大臣 またこのたび労働大臣を拝命いたしました石田でございます。  先般の内閣改造大橋労働大臣あとを受け継ぐことになったのでありますが、私は、過去に二度にわたって、特にこの社会労働委員会皆さんの格段の御支援と御協力を賜わったのでありますが、この際決意を新たにいたしまして、種々の問題と取り組んでまいりたいつもりでございます。当面、次のようなことを考えておりますので、お聞き取りをいただきたいと存じます。  最近における経済高度成長に伴いまして、労働経済の様相も大きく変わりつつあり、今後わが国は本格的な労働力不足の状態に推移するものと思われます。したがいまして労働力需給面の不均衡に対処し、地域及び産業の均衡的な発展に寄与しつつ雇用の安定をはかるために、労働力流動化対策を中心とした積極的な雇用政策を推進いたしたいと考えております。  最近における産業災害発生状況は、各般の施設進展関係労使努力によって改善を見つつあるのではありますけれども、なおかなり高率であることは憂慮にたえないところであります。人命を尊重するということは政治の根本であると考えますので、労働災害防止対策重要施策一つとして強力に推進してまいりたいと考えております。  次に、労使関係の問題につきましては、最近、たとえば共通統計資料を利用するなど、かなり共通の基盤ができつつあることはまことに喜ばしいことでありますが、なお相互不信感のあることは遺憾なことがあります。労使相互信頼を基調として話し合いを行ない、問題を合理的に解決することを期待するとともに、このような機運の醸成に努力したいと考えております。  さらに、新しい問題でございますが、労働者がみずから積極的に生活の安定をはかることを援助するというような施策、たとえば西ドイツの労働者財産形成制度のようなものを参考にしながら研究、検討してまいりたいと考えております。  最後に、ILO八十七号条約批准問題につきましては、同条約をできる限りすみやかに批准するということは政府の一貫した基本方針であり、私といたしましてもこの線に沿って最大の努力をしたいと考えております。  以上、当面の問題につきまして私の考えを申し述べました。もとより不敏ではございますが、労働問題につきましては平素から関心を持ってまいりましたので、誠意と熱意を持って当たりたいと存じております。どうか従来にも増してよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたしまして、ごあいさつにかえたいと存じます。(拍手
  4. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 次に、厚生大臣より発言申し出がありますので、これを許します。厚生大臣神田博君。
  5. 神田博

    神田国務大臣 私は、今回の内閣改造に際しまして、はからずも重ねて厚生大臣の重責をになうことになりました。  申すまでもなく、政治最終目標国民福祉向上、民生の安定にあるのでありまして、とりわけ厚生行政は、国民の一人一人の生活に直接関連を有するものであり、その責務の重大さを深く感じております。  近来、わが国経済は急速に成長を遂げ、国民生活水準は著しく高まってまいりましたが、なお水道清掃施設などの生活環境整備社会保障制度充実等の面では、遺憾ながら必ずしも十分であるとは言えない現状であります。  したがいまして、今後経済成長と対応して人間福祉を直接の目的とする社会開発の諸施策を強力に推進することによりまして、すべての国民生活が真に安定し、向上していくことを目ざしたいと考えております。  このような意味におきまして、厚生行政は、健康で明るい国民生活を築いていく上にきわめて重要な役割りをになっているのでありますが、最近における経済高度成長地域開発進展人口増加の急激な変化などに伴い国民生活の上に多くの問題が生じておりますので、私は、今後は広い視野に立って、新しい角度から厚生行政を一そう推進していかなければならないと考えております。  厚生行政の当面する問題はきわめて多いのでありますが、特に次のような問題について検討し、すみやかに対策を確立いたしたい所存でございます。  まず、生活環境整備について申しますと、都市への人口集中産業発展に伴い生ずる大気汚染水質汚濁騒音等公害対策を強化すると同時に、清掃施設整備をはかり、また、早急に大都市における水不足状態の解消をはかっていきたいと存ずる次第でございます。  第二には、医療保障所得保障対策充実でございます。特に当面問題となっておる医療費緊急是正につきましては、去る四月に行なわれた中央医療協議会の答申を十分研究し、具体案を決定したいと考えております。また、医療保険制度につきましては、その総合調整措置を講ずることとし、年金保険につきましては、さきの国会に提出しました一万円年金の実施を主眼とする厚生年金保険法改正案につきましてその実現につとめたい、かように決意いたしております。  第三に、社会福祉児童福祉の問題につきましては、国民一般生活水準向上に見合って生活保護基準を引き上げるとともに、青少年の健全な育成、母子福祉向上などの諸施策の推進に重点を置いていきたい所存でございます。  これらの諸問題のほか、現在社会問題として大きく取り上げられておる輸血問題、精神衛生の問題などにつきましても早急に解決をはかり、国民要請に十分こたえ得るよう最善努力をいたしたいと考えております。  何とぞ委員各位の御協力、御支援をお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  6. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 次に、労働政務次官より発言申し出があります。これを許します。労働政務次官始関伊平君。
  7. 始関伊平

    始関説明員 このたび労働政務次官を拝命いたしました始関伊平でございます。  私は、元来浅学非才でございます上に、労働省の仕事には経験も乏しく、事情不案内でございますが、重要な問題も山積いたしておりますので、微力を尽くしまして与えられた任務を達成してまいりたい念願でございます。  委員各位の御協力と御指導をお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  8. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 次に、厚生政務次官より発言申し出があります。これを許します。厚生政務次官徳永正利君。
  9. 徳永正利

    徳永説明員 厚生政務次官を命ぜられました徳永でございます。  厚生関係につきましてはしろうとでございますし、ふつつか者に間違いありません。一生懸命勉強いたしたいと思っております。どうぞ御指導、御鞭撻いただきますことを心よりお願いいたしまして、ごあいさつにかえます。(拍手)      ————◇—————
  10. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 速記を始めて。  西岡武夫君。
  12. 西岡武夫

    西岡委員 東京都の、現在すでに皆さん方承知水不足の問題につきまして、厚生大臣に就任なされましてまだ日が浅く、また非常に御多忙の中を御出席いただきまして、私初めてここで御質問いたしますが、厚生問題につきまして非常に熱意ある大臣のお心を察知できましたが、若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず、この問題につきましては、断水によるところの国立の大きな病院あるいは中小の病院救急病院をはじめとする病院断水状態が与えておりまするところの人命に関する大きな問題点、また一般家庭水不足によりまするところの治安の問題にまで及ぶと思われております今日現在の状態、この二点につきまして大臣所信をお伺いいたしたいと思います。  現在、大病院断水を約四時間から五時間の間受けております関係で、現在まで私が調べました範囲では、水不足によるために人命をそこなうような事態が起こっていないのが幸いでございますけれども、現在の交通の情勢から考えまして緊急の場合に間に合わない事態が起きまして、その場合に、先ほど労働大臣所信表明の中で、政治の要諦は人命を尊重することであるとおっしゃったわけでございます。現在の病院状態を申し上げますると、四時間、五時間の断水状態の中で、緊急に患者が運ばれましても水不足のために消毒ができない、そのためにボイラーがたけませんで消毒ができない、そういった状態を現在続けているわけでございますが、こういうふうな問題について、まず現状をどのように把握されておりまするか、お尋ねいたしたいと思います。
  13. 神田博

    神田国務大臣 お答え申し上げます。  東京都の水道状態は、いまお話しがございましたように、非常な最悪の状態になっておりますことは御承知のとおりでございまして、厚生省といたしまして、と申しますか、政府一体としてこの水不足を解消したい、抜本的の対策もさることながら、緊急事態に処しまして最善努力をしようということで、閣議のたびにも話が出ておりまするし、また直接担当いたしております厚生省といたしましても、この事態を重視いたしましていろいろの手段を講じまして、特に東京都に対しまして厳重な警告を発すると同時に、水の使い方等につきましてもいろいろと詳細に勧告している次第でございます。  ただいまお述べになりました特に病院等におきます水不足の問題は、これは事重大でございまして、いまお述べになったような支障のないように実は十分な要請をしているわけでございますが、お話をお聞きいたしますと、そういう自体にもなっているということでございますので、これはなお一そう督励いたしまして、人命を尊重すると同時に保安にも重大な影響を持つものでございますので、最善努力をはかってまいりたい、こういう所存でございます。  こまかいことは、ひとつ担当局長から詳細述べさせることにいたしたいと思いますので、御了承願います。
  14. 西岡武夫

    西岡委員 大臣にお尋ねいたしますが、現在病院の問題につきましてどのような対策がなされておりますか、その点につきましてお答えいただきたいと思います。
  15. 神田博

    神田国務大臣 病院につきましては、給水車の増配をいたしまして、実はいまお述べになったようなことのないように処置いたしておるわけでありますが、しかし西岡さんの御指摘のような点もございますので、なお一そう十分の処置をしたい、いまの段階では病院の水はまかなえる、こういう私どもの判断でございましたのですが、しかし実際にごらんになっての御注意でございますから、なおひとつ取り上げまして、重大な処置をとりたいと考えております。
  16. 西岡武夫

    西岡委員 研究ということではなくて、現在の段階で、いまこの時間に水が足りないためにあるいは人命が失われておるかもしれないと思います。したがいまして、きょう、いますぐから手配する方法もあると思いますが、その点につきましてお考えをお聞きいたしたいと思います。
  17. 神田博

    神田国務大臣 実は西岡さんがきのうわざわざ厚生省においでになりまして、いまの点御注意もございましたので、すぐ実は会議を開きまして手配をさせておりますので、だいぶその点は何らかの措置がとられていると考えておりますが、この詳細なことは、実際に担当しております局長からお答えさせたほうがよろしいのではないかと思います。
  18. 西岡武夫

    西岡委員 私は、ちょっとした理由で、いまからでもすぐできるというちょっとした方法考えております。と申しますのは、現在地盤の低いところでは、じゃんじゃん車まで洗ったり、放出状態が続いているわけでございます。そういった水を、いますぐにでも給水車を動員いたしまして、これを病院に配置する、断水が終わる前一時間の間だけでもおもなところへ即刻給水車を配置いたしまして、いますでに断水中でございますが、四時ごろまで断水しているはずでございます。したがいまして、救急病院に、そういったことで、きょう午後にでもそのようなことをお調べいただきまして配置されるべきであると思うわけでございますが、その点いかがでございますか。
  19. 舘林宣夫

    舘林説明員 東京都の制限給水区域内におきまする病院の数は三百五十八カ所ございます。この中に、救急病院百八十五カ所。これらの病院は、いずれの病院も一ある程度の水のタンクを持っておりまして、一番大きいものは三百五十トンという大型タンクを持っておる病院もあるわけであります。もちろん病院の規模にもよりますけれども、数トン程度のタンクしかないものもございます。したがいまして、いまお尋ねのように、ある程度は断水でない時間に満タンにいたしておきまして、医療に差しつかえないつもりでやりましても、途中でタンクの水がなくなるという事態もございまして、いままでに病院側要請によって病院に給水した事例が二万リットルございます。個所数にして十カ所ございます。そういうふうに病院要請によってはいつでも給水できる措置をとっておるわけでございますが、先ほど西岡先生お話のございました点は、病院要請があってからではおそいおそれがある、事人命にかかるということで、むしろ事前に給水車を配置しておくぐらいの配慮が必要であるというお話が昨日ございましたので、即刻東京都の水道局長にその点を申しました。東京都も、目下それらの病院のリストをつくっておるわけでございます。御趣旨のようにいたすつもりでございます。きょうも実は、ここへ参りますまで東京都とその点の打ち合わせをしておりました。
  20. 西岡武夫

    西岡委員 自治大臣全国知事会議に御出席ということでございますので、簡単に私、お尋ねいたしたいと思います。  と申しますのは、東京都の問題ではございまするけれども、これは自治大臣といたしまして、自治省といたしまして行政指導をどの程度行なわれて——これは新大臣に対しましてたいへんあれでございますが、そういうふうなことにつきまして、いままでのやり方、それから、これからどのようにやっていかれるか、そういう点につきまして御質問いたしたいと思います。
  21. 吉武恵市

    吉武国務大臣 東京都の水の問題は当面の一つの大きな問題でございまして、私どもといたしましても非常に憂慮しておるところでございます。  平素、水の問題は、主管としては厚生省工事については建設省が主管省としてやっておるわけでございます。しかしながら、自治省としては地方団体仕事でございまするから、重大な関心を持っておるわけでございます。さっそく当今のこの問題につきましても心配いたしまして、東京都の責任者を呼んでいろいろ聞いております。大体新聞紙上に出ておるようでございますが、さしあたって、東京都といたしましては、非常な努力は払っております。払っておりますが、何ぶん追いつかない状況でございまするけれども、大体六月の十五日に中川、江戸川の水を四十万トン流入することに成功いたしまして、さらに七月の二十日までの間に、それに十万トンを追加して補給をしております。なおこれでは現在の用に足りませんので、先般河野国務大臣も査察をされまして話されたように、現在荒川の水を何とか急に取る道はないか、こういうことでございます。これも東京都としてはすでにこれに着手をしておりまして、大体は九月十日ごろまでに、非常に工事を急ぎまして、導水路、それから荒川の水をせきとめる堰堤、これは水資源公団のほうが堰堤をやっておるようでございますが、急いでやっておりましたが、河野国務大臣趣旨もございまして、八月二十五日までにこれを完成するということでいま突貫工事をやっておるところです。ですから、これが完成しますとややよくなるかと思います。しかし、これでは将来のこの膨大に発展しつつあります東京都の水の問題といたしましてはまだ心配の点も多いので、さらにどういう計画を持っているかと思っていろいろと追及をして聞いてみたのでありますが、さらに目下山梨県と交渉いたしまして、笛吹川の水約五千万トンを東京都に入れる交渉を進めております。これは大体話がついているようでございます。しかし、それでもなお心配な点があるということで、例の千曲川の水を落とすべく、これは長野県、山梨県に交渉中でございますが、水の問題はいろいろやっかいな問題がございまして、まだこれは交渉ができたというところまでは行っておりません。しかし、これは東京都だけで解決する問題とも思えない問題でございまして、政府としてもこれについては極力援助をして解決をさせていきたい、かように存じております。  なお、さらにいろいろの計画東京都でも立てておりまして、もう一つの点は、霞ケ浦の利根川の下流をせきとめますと——これは毎秒五十トンの水を潮を防ぐために流しております。でありますから、この下にせきどめをいたしますと、毎秒五十トンの水を放出することをしなくて済む。そうしますと、相当の水が東京都に入れられるということで、これも将来の計画としては立てているようでございまして、いろいろ努力をしているあとは見受けられますけれども、御承知のように、近年まれな、いわゆる雨の降らない状況でございますので、しかし目下のところでは、八月一ぱい雨が降らないということになると多少の変化を来たしますけれども、昨日東知事がテレビでも言っておりましたように、いままでの三割五分の規制をなお強めるつもりはない、このままでいけるだろう、こういう見通しでございます。
  22. 西岡武夫

    西岡委員 自治大臣に重ねてお尋ねいたします。  都のいろいろな計画を見ておりますと、これは日本の政治全般につながるわけでございますが、どたんばに参りましてから、全くそれこそどろなわ式にすべてが行なわれているわけでございます。そのために塗炭の苦しみ——ほんとうに私自身がここ半年余りの間自炊生活をしておりまして、水が出ないということを身をもって体験いたしました。人間にとりまして、申すまでもなく空気と水がなければ生きておられないわけでございます。したがいまして、この問題はほんとうに人道上の大きな問題であると思います。したがいまして、現在政治なき政治といわれておりますのは全く事実ではないか、かように思っております。  また、今日河野国務大臣の御出席ももちろん求めていたわけでございますが、どこか地方講演とかいうことでございますが、どういうふうな事情でどちらに行かれておりますか、おわかりでございましょうか。
  23. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 いま出席要求中ですけれども、何か御事情があるようですから、ちょっと待ってください。   〔発言する者あり〕
  24. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 静粛に願います。
  25. 西岡武夫

    西岡委員 大臣にお尋ねいたします。  これは全国の問題で、現在このような状態を続けております都市がどれくらいあるか、この数字を御存じございませんか。
  26. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ほかの都市では、あまりこういうふうな逼迫した事情は聞いておりません。
  27. 西岡武夫

    西岡委員 いまの大臣のおことばをお聞きいたしましたが、私、長崎県の長崎市でございますが、このような状態と全く同じ状態が続いているわけです。これは私の地元でございまして、ないということはないわけでございます。この点につきまして早急にお調べいただきたいと思うわけであります。  続いて御質問いたします。  私、去る三月から四月にかけまして東知事に面会に参りまして、そこでたまたま東知事の月間の日程表を見たわけでございますが、ほとんど祝辞とかあるいはあいさつとか、あるいは何かそういうふうな行事のためで、実態は全く政治をされていないという状況日程表の中で見たわけでございます。この点につきまして、自治大臣、十分な御監督が必要じゃないか、かように思いますが、いかがですか。
  28. 吉武恵市

    吉武国務大臣 あるいはそういうきらいがないでもございませんが、先般行ないました監査におきましてもその点は指摘しております。特に東京都は膨大な都市でありまするから、それは一様のことではとうてい車を回すには骨が折れるものと思います。そこでトップ・マネージメントについては特に気をつけるようにということで、この点を一番重要視して勧告をしているわけであります。都のほうでも、その点はみずから考えられまして、留意をされておるようでございます。ただ、いわゆる都長官、そのスタッフばかりでなしに、やはり民間の声をもこれを取り入れてやることがよかろうということで、民間の意見を聞き入れる参与制度を置いたらばということで、これもさっそく、ことしの四月半ばでございましたかやって、努力あとは見えますけれども、何ぶん膨大ないわゆる都政のことでございますので、その点はあるかと思いますが、なお十分留意をさせるつもりでございます。
  29. 西岡武夫

    西岡委員 御質問いたします。  池田総理が非常に英断をもって勧告いたしておられて、この問題に非常に意欲的な点は私認めるわけでございますが、オリンピックをするための、それだけのための都知事であっては意味がないと思います。また首都圏整備その他は無任所の国務大臣が担当しておられまして——これは将来の問題ですが、ついでに御質問いたしたいのですが、東京都の非常なこのような状態を、やはり政府河野国務大臣が国務大臣の立場で水の問題についても知事に勧告、督励をされたという点から申しまして、東京都の問題は、あるいは国務大臣が処理していくというような制度もある程度考えなければ、今後の東京ほんとうにおそろしい状態になる、かように思っておりますが、この点いかがですか。
  30. 吉武恵市

    吉武国務大臣 東京都は自治体でございまするから、やはり自治体の尊重ということは、私はこれは大事なことであると思います。しかしながら、何ぶん膨大な人口を擁し、そうして複雑な業務を持っておりまするから、一都長官だけでこれをまかなっていくということも、これはなかなか言うべくしてむずかしいことかと思いますので、中央政府といたしましてもできるだけこれを助け、援助して仕事をさせるようにするということが私は大事じゃないかと思います。  なお、事務の膨大化につきましては、先般の国会で皆さま方の御審議をいただきましたように、地方自治法の一部改正をいたしまして、大幅に都庁の仕事を特別区に委譲する法律をつくって、目下その準備を着々と進めております。一つの区でさえ五十万、六十万という膨大な人口を持っており、それを幾何十と持っておる都庁のことでございます。それを中央で処理するということは、これはとうていできることでもございませんので、先般の改正によって、また法律の改正に基づかない事務につきましても極力区に委譲するようにということで、都庁の責任者もそのつもりでいま鋭意準備を進めておるところでございます。
  31. 西岡武夫

    西岡委員 御質問申し上げますれば幾ら時間があっても足りないわけでございますが、最後に、自治大臣に御質問いたします。  東京都の問題、それから全国状態を早急にお調べいただきたい。東京の場合、治安の問題にも関係すると思います。私はいろいろな場所を自分で歩いてみたのでございますが、国民の一人一人が身辺で困っている小さな問題を取り上げていくだけのあれがなければ、大局的な仕事もできないのではないか、かように思うわけでございます。この点につきまして何かひとつ……。   〔田中(正)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  32. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話しのように、水の問題はたいへん大事な問題であると思います。東京都のみならず、ほかの地域においてもそういう問題があってはならないと思いまするから、鋭意私のほうでも努力いたしまして、早目にこれに対する処置を講ぜさせるようにいたしたいと思います。
  33. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 関連の申し出がありますけれども、すでに前にお申し出の方がいらっしゃいますので、先にやっていいですか。——小林さんからの関連の申し出については許しますが、先に小宮山さんから関連の申し出がありますから、それを許します。小宮山重四郎君。
  34. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 自治大臣厚生大臣にお伺いいたします。  利根川の水を荒川に流し、それから村山貯水池に持っていく、これが大体八月の二十五日にでき上がるというさっき自治大臣のお答えでございますけれども、現在川越市でふん尿処理を現物で流しております。一人約一リットル、日に約五十四トンという大量の現物でございます。これをまた八月にし尿処理場をつくり始めまして、約一年間かかるだろうといわれておりますのに、この利根川から来た水を荒川に流して、それから村山貯水池に流す、そういう問題に対しては、この前の厚生大臣でございます小林先生が、荒川沿岸の地方自治体の長をお呼びになりまして、よろしく頼むということだけでできる問題じゃございません。この点については自治大臣のお考え、それから厚生大臣には、今後その村山貯水池で使う水に対しての衛生面についてのお答えをお願いしたいと思います。
  35. 神田博

    神田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねがございました、利根川から順次村山に持ってくるという過程におきまして、いまのようなし尿の問題のあることも、実は厚生省といたしましても承知いたしております。そういうものを持ち込むことに対しては、これは根本的に対策を立てるのは当然のことだと考えておりますが、なかなかすぐ間に合いません。そこでそのまま村山貯水池に入れまして、クロル酸の処理をやりますと完全消毒ができる、除害できる、これをひとつ使用したらどうか、こういうような考えなんですが、これは本来のことから申しますと、はなはだどうも遺憾なことだと思っております。しかし何しろ事態がこういう事態でございますから、完全なものに浄化して不安のないようにしていきたい、こういうことでございます。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 いま小宮山さんの御質問の衛生の点は、私案は存じませんでしたが、いま厚生大臣からお答えしたようでございます。工事の点は、私はいずれ現場へも行って確かめたいと思っておりますけれども、都の責任者から承りましたところでは、さしあたり荒川をせきまして、そのせいた水をいまの村山貯水池に入れる。これは来年の四月が一応予定だったそうでありますけれども、こういう事情がありまするので、春以来突貫工事をいたしまして、九月十日までに完成をする。これは一つには、放水路と同時に、荒川をせく工事があるのであります。そこで予定していたところに河野国務大臣が行かれまして、もっと早くならぬかということで、これはいわゆる水資源公団のほうのせきをつくるほうの工事に実はかかっておるわけでありますが、それもそれでは突貫工事で八月二十五日までにやろうじゃないかということで、私はけさも水資源公団責任者にこの点を確かめましたら、非常な事故で、大雨があって仕事ができないというようなことがあれば狂うけれども、そうでない限り八月二十五日までには完成いたします、こういうことで、大雨があれば逆に水があるわけでありますから、それならば安心じゃないか、こういう気がいたしますが、ただいまお話しの利根川の水を荒川に落として、さらにそれを村山に流すという、この工事はなおあと引き続いて行なわれるのでございます。これが完成いたしますると、相当多量の水が流れるようになるかと思いますけれども、まあさしあたっては、いま言った四十万トンを増加する工事にいま奔走しているような状況であります。
  37. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 いま私の言わんとするポイントは、荒川沿岸には幾つかの市町村がございます。そこでし尿処理がほとんどできてないのが現状でございますし、またそれを地方自治体が財政的に負担をする——特にまた荒川沿岸では、昭和の初めに東京都が洪水のたびごとに水浸しになるので、内務省の命令で、あそこの沿岸の中に、河川敷に住んでいた人を堤防を引き下げて耕地内に移住させた。そして荒川に約十三本の横の堤防をつくりまして、水たまりができて農作物がとれないことがたびたびあって、農民は困ったのであります。その補償も現在ないという状況の中で、今度は地方自治体を呼びつけて、東京の水のために速急にし尿処理をつくれと言っても、それは地方自治体はそう簡単にできるものではございません。そういう点についても、地方自治体の自治大臣に財政的な援助をお願いすることと、それから私が一番心配しておりますのは、先ほど厚生大臣がおっしゃっておりました、それをきれいにして処理をして、東京都の飲料水として流すということでございますけれども、昨年でございますが、東松山市と吉見村という町が荒川沿岸にございますが、ここで非常に赤痢がございました。そういう場合において、その水を東京都に流して飲ます。それから、ちょうど川越あたりの隣に狭山市というところがございます。川越と狭山に川越狭山工業団地という工場団地が今度指定されまして、大体でき上がる予定でございますので、こういうところでの水の処理。また東京近郊から、相当数、年間約三万人くらいの人が移ってくるという地域でございます。これは左岸だけでございます。右岸のほうはもっとふえているそうでございますけれども、そういうところにおいての地方自治体だけにまかす、また厚生省も、そういう問題に対しては、やはり地方自治体をほんとうに財政的に支援して、東京都の水確保のためにも、ぜひ今後とも支援していただきたいということなんでございます。赤痢菌などは、厚生大臣、だいじょうぶなんでございましょうか。
  38. 舘林宣夫

    舘林説明員 水道水中に赤痢のような有害菌が入るということは非常に危険なことでございまして、東京近郊の河川に最近ふん尿を流すという事態があることも、御指摘のとおりでございます。荒川より以上に多摩川のほうがさらに汚染されているというほどの事態でございまして、私ども絶えずその問題は気にしておるわけでございます。  菌が入っておるかどうかの指標にしばしば私どもが使いますのは大腸菌の状態でございまして、赤痢菌は実は大腸菌よりはるかに弱い菌でございますので、大腸菌が一匹でもおれば飲用に適さない、こういうことで大腸菌を指標に菌の消毒をいたしております。したがいまして、大腸菌ゼロという状態にするまでは給水しないという措置をとらしております。その点は絶対安全でございます。
  39. 吉武恵市

    吉武国務大臣 小宮山委員からお話しのございました、いままでし尿処理をそういうことでやっていたということになりますと、これは許せないことですから、それにかわる処置というものは当然必要だと思います。それにつきましての財政処置、たとえば機械でありますとかその他、これは当然見ていかなければならない、かように存じます。
  40. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 関連を許します。橋本龍太郎君。
  41. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 自治大臣にお尋ねをいたしますけれども、先ほど、東京以外では現在水の問題は出ておらないというお話がございましたが、これは私の聞き間違いではございませんね。
  42. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど私が申しましたのは、深刻に問題になっておるのは東京と申しましたが、実を申しますると、東京に近接します神奈川——鶴見、川崎地帯はやはり同様に困っておるようでございます。相模の水を実は二十三万トン東京都がもらっておるので、神奈川県としては、それを譲って自分のところは非常に困るから、それは四割ほど返してくれという交渉があったようでございますけれども、何といっても東京都がいま大騒ぎのときですから、それはかんべんしてもらって、一割程度でがまんをしていただこうということに話がついておるのでありますから、いまの鶴見、川崎方面におきましては、同様の事情があるということは申し上げておきます。その他の地域については、私、いまのところ存じませんが、これは至急に取り調べたいと思います。
  43. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 いまのお尋ねをいたそうと思ったのも、実は神奈川県の水の事情ですが、何かこのごろ、東京都の水の問題に関しては、総理以下非常に皆さん関心を示しておるわけですし、またマスコミ関係でも非常に熱心に取り扱っておられます。ところが、水が不足しておるのは東京都だけではなしに、いま大臣御答弁のとおり、神奈川県でも、川崎、横浜あたりが持っております相模湖の水源のうち一割を削減してほしいというので、実際に削減をしております。また東京に送られました応援給水の六万トンも六月十二日に打ち切り、また現在送られております平常給水二十三万トンのうち、また何トンかの削減の要請さえきておる。いま大臣のお答えのありました東京だけではなしに、この周辺一帯の問題なんです。これは非常に何かオリンピックということだけを目標にして、オリンピックの際に水が足らないから外国人に対して恥をかいては云々というような御発言が、ややもするとこの前からあったように新聞その他で拝見しておりますが、こんなばかげた話は実はない。オリンピックで来る人たちはそれは短期間です。困っているのは日本人です。国民が困っているのです。問題の焦点がややもするとずれておるように感じますし、また現在この状態になってから、いかにあわを食って処理に取り組んだところで、どうしても便法あるいはおくれがちな処置ばかりになります。いままで何ゆえこうしたことが怠られてきたのか。水が足らないという話が出たのはつい最近なんです。ことしに入ってからも、東京都の水はだいじょうぶだ、水の問題に対しては心配がないというような御発言東京都知事から長い間続きましたし、それがあるいはうそだったとしても、監督官庁である自治省その他から、何らそれに対する注意も出ておらなかったように聞いております。また仄聞するところによりますと、この問題がこれだけ大きくなりましてからも、対策委員会はまだ東京都で一回しか開かれていないという話も伺っておるのです。これはほんとうのことでしょうか。
  44. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  東京都の水不足、これはいま引用されました新聞等に出ているとおりでございまして、私ども非常に苦慮しているところでございますが、その原因は一、二でございません。よってきたる原因はも一つと根本にあろうかと思いますが、特にことしは雨量が少なかったということも、これは大きな原因なんです。利根川の上流や裏日本は非常な雨でございますが、東京水道流域の地方では雨が非常になかった。統計が大正十三年からできておりますが、大正十四年、昭和十二年、これに続く三度目の干ばつと申しますか、雨量が非常に少ない状態でございまして、それがこのようにまた拍車をかけたということが事実のようであります。  それからオリンピックだからというようなことで騒いでいるわけではないことも、これはおわかり願えると思います。ただ、オリンピックがありますので、水洗便所に水が出ないというようなことは恥ずかしいじゃないかというようなことが、いかにもオリンピックだからというふうに伝えられたんじゃないかと思います。いまのような段階では、これはもう社会不安というか、治安問題にも入ってきている、人間軽視もはなはだしいというようなことでございますから、全力をあげて対処をしたいということでございます。節水についても、もう当面できるだけお願いいたしたい。ことに東京都と同じような関係にありますのは、いま御指摘のございましたように、横浜市及び川崎、鶴見がやはり同じ状態でございます。三十三万トンほどもらっておったのでございますが、十万トンは、すでに向こうと同じような水の処置方法で中止することになりました。残った二十三万トンにつきましてもきょうから一割減で、横浜、東京は大体同じような状態だということでございます。そのほか、先ほど西岡さんもお述べになったように、長崎もひどいと言っておりますが、長崎のほうは、これはどうも慢性的になっておるようでございまして、ほんとうにお気の毒でございます。これも抜本的な処置をとらなければならぬだろうと考えております。その他の地方はわりあいに順調のようでございますが、何といっても一番密集地帯の東京、横浜がこういう状態でございますから、私どもも毎日東京都と連絡をとりまして最善処置をとる、こういうことにいたしておりますが、事態事態でございますので、なかなかたいへんでございます。もう雨待ち、手をあげているのじゃないかと言う人もありますが、しかしいま申し上げたように、できるだけきめのこまかい手も打ってこの危機を乗り切りたい、こういう覚悟でございます。
  45. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 それこそこの問題で、現厚生大臣あるいは自治大臣に対して御質問するのは実はたいへんお気の毒で、実際のところ、前内閣時代に対策ができていなかったものがいまの内閣にしわがきておるわけで、これは質問するのは申しわけないと思いますが、どうか来年、こうした問題でもう一度騒がないで済みますように、確実な御処置をお願いして、関連質問を終わります。
  46. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 引き続き関連質問を許します。小林進君。関連でございますから簡単に願います。
  47. 小林進

    ○小林委員 自治大臣にお伺いいたしますけれども自治大臣はきのう総理大臣とお会いになっている。ここに書いてあります。それが約一時間にわたって東京都政の問題を中心にお話になっておる。その中で、昨年の十二月やった自治省の監査の結果を主として報告をせられているのだけれども、その監査の報告の中にこの水の施設の問題については入っていない。大体東京都なんてものは、都長官はいるけれども都政なしというのが世間の風評で、東さんなんていうものが、有能な都長官だとはあまり大衆は考えていない。いないだけに、やはり直属の監督官庁である自治省というものの足もとですから——それは県に行ったって、県知事が部長と一体になって、その足もとの県庁というものはやはり県知事が指導しているように、東京都となればやはり政府の足下なんだから、政府を代表した自治省が、都政のあり方をやはり適時適切に監督していると思う。そこでカバーされるから、あの無能な東さんでもがまんしようか、そういう気持ちが言わず語らず都民の中にはあるのですよ。ところが、あなたの報告した監査の中には水問題が入っていない。先ほども橋本君が言った。ことしじゅうには豊富になるとか言っていましたけれども東京都の水が足りないことはことしに始まる話じゃない。去年、おととしの話です。東京都というのは、春から夏にかけては水が飲めないのだというのが世界の風評なんですよ。香港の水不足東京都の水不足というのは、数年来世界の人口に膾灸しておる明らかな事実なんです。そういう明らかな事実の中にことしはオリンピックが行なわれる。去年の八月あたりから、来年のオリンピックにこの水はどうするのだというのは、みんなの心配した問題なんですよ。いま少し自治省というものが人並みの頭の回りがあるなら、昨年の監査あたりに、ことしのオリンピックを予想して、水の問題はどうするかということが監査の結果に出ていなければならぬ。出ていないじゃないですか。しかもあなたの報告を見ると、昨年六月の二十四万トンを八月に二十六万トンに上げたというが、どろぼうをつかまえてなわをなうというのはその話なんです。あなたの話を聞いていると、みな、どろぼうをつかまえてしまってから、さあ、なわをなおうかというそれだけの話です。問題は、いまどろぼうが出てきたのじゃないことです。このどろぼうが来るぞという話は、いま言うように数年前から明らかになっている事実なんです。私は無能な都長官のその無責任を痛感するばかりか、政府自治省指導権、監督権、監査権のずさんを責めなければならぬと思っている。どうですか、あなた、この点責任をとりますか。県知事に責任があれば、みずから辞表を出してやはり県民におわびするくらいの責任感がなければ、自治大臣はつとまりませんよ。いかがですか。きのうのあなたのお話の中にも、監査の結果が出ていないのですが、それはどうなんですか。その問題が一つです。いままで東京都が怠慢であったのを、いまここでどろなわ式にやっておるのが了承できない、これが一つです。  いま一つ。いま大臣のしゃべっていることの中で一ついいことがある。それは「膨大な都政を改善するためには指導者の強力な政治力が必要である」、これがいいところなんですよ。その都政の中に強力な指導力がないというのが、一番の大きな間違いです。私は、いまここで政党政治の問題を持ち込んでやろうというのじゃありませんが、これは私どもがかつて有田八郎という強力な政治力を持つ人を都知事にあげたときに、この人でなければ腐敗した都政の改革——これは政党問題ですから触れませんが、一つの例として申し上げることは、こういう強力なものでなければ、このマンモス化した都政の改革はできないということをわれわれは都民に訴えてきた。いみじくもあなたは言われた。だから、これは強力な政治力と強力な指導者が必要だ。これを裏返せば、いまの都のトップ・マネージメントといいますか、都庁の中に強力な政治力がないということをあなたが明らかに言われていると解釈した。いまあなたは首を振ったが、あなたの首の振り方が気に入らぬ。もし私の解釈どおりならば、自治大臣としてのあなたはそのものずばり、いいことを言っておられるけれども、これが何を意味しておるのか。やはりいまはことばに衣を着せるようなじょうずを言っているときではない。毎日毎日、われわれは朝から御飯も食べない、水も使えないというような悲惨な状況で、バケツを持って町の中を飛び回っておる。全都民ではなく、一部分の者ですが、飛び回っている。戦争中竹やりやバケツを持って訓練したのと同じようなやり方をしている。戦争中の状態をいまここで繰り返している状態なんです。そこをあなたはずばり、いわゆる政治力がないなら、ないから東君やめたらどうか、それならばひとつ強力な政治力でも体制でも築き上げてやろうじゃないかという心づもりだろうから、あなたが政府になりかわって、きちっと言わなければならぬ。これが二つ目です。  いま一つの問題は、ここにありますけれども、その一つの例ですが、こうやって世間をごまかすように臨時東京都渇水対策本部というものを去る七月十七日に設けている。発足以来一度会議を開いただけで、二週間全く開店休業の状態を続けている、こういうようなことを言われておる。それに対する批判の声が都民の中からあがっている。「この対策本部は、今回の異常渇水に東京都の総力を結集して対処しようと、設置要綱まで定めて発足したもので、メンバーは知事をはじめ副知事、水道局長、同局次長、広報室長、衛生局長、建設局長、教育長、消防総監の九人。」まで含めている。あなたのおしやるようなトップ・マネージメントというものは、これで見ると言えないでしょう。こんなものを作っただけで、ほんの宣伝だけで一回会合を開いて何もやらない。もしあなたたちがほんとうに監査、監督をするというならば、なぜこういうやり方を適時適切におやりにならないのでしょうか。なぜ指導をおやりにならない、なぜ監督をおやりにならない。もし自治省というものがあるならば、こういうことはやはりきちっと言わなければいけません。  以上三つの問題について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  48. 吉武恵市

    吉武国務大臣 昨年行ないましたのは十一月でありましたか、東京都政全般についての監査をいたしたわけであります。特に水だけということではございません。したがいまして、各方面にわたる膨大な監査の報告が出ております。その中で特に重要な点を昨日私は総理に申し上げまして、それは何といっても膨大な都政であるから、トップ・マネージメントというものに重点を置いて行なわれなければならぬ。この点も一、都長官以下幹部は率直に取り上げまして検討をして回答をしております。なお、それについて、いわゆる首脳部だけの自分たちの考えでなく、民意も率直に入れたがよろしいということで参与制度も置きまして、民間の中から有能な方を四人か参与にして、その意見を取り上げて着々と進めておるのであります。世間的には何もしていないという批判がございますが、私は率直に言って、聞き調べてみますと、相当の努力あとは、これは買わなければならぬと思います。水の問題は、何といっても今回は異常な渇水ということでございます。異常の渇水でこういう状態になっておりますけれども、それでは都庁は水の問題を取り上げなかったかというと、そうじゃないでしょう。先ほど来申し上げましたように、大体荒川の水を取り入れる問題にいたしましても、中川、江戸川の水を取り入れるにいたしましても、これは八月二十五日にできるからといって、命じたからすぐその日にできるものじゃない。これをやりますまでには、半年、一年かかっていろいろの計画なり、それから努力を重ねてここまできておる。都のほうの計画も、来年の四月に荒川の放水路の水を入れる計画であったものを、われわれが申し上げましてこれを縮めてことしの九月にすることに上げた。それがさらに河野大臣が行かれまして、もう少し縮まらないか、こういうことで八月の二十五日になった。このおもなところは、先ほど来申し上げましたように、荒川の水にせきをする、そのせきは水資源公団がやるのでありまして、東京都がやるのではない。ですから、水資源公団のほうにお願いをして、極力できないかと言って、先ほど申し上げましたように、非常な事故がない限りは突貫工事でやろう、こういうことであります。  対策本部をつくったという問題でごごいますけれども対策本部ももちろんつくり、協議しなければなりませんけれども、そこで相談したからすぐ水が流れてくるという問題ではなくて、水道はやはり一つの大きい工事を経て水が初めて流れるものでありますから、とっさになりますと、なるほど遺憾な点はありますけれども、その点について鋭意努力はしておったということは、私は率直に認めなければならぬと思います。  なお、いまの荒川の水にしましても、あるいは中川、江戸川の水にしましても、これは当面の問題であります。でありますから、毎年二十五万から人口が増加しておりますこの都において、水の問題はそれだけで解決する問題じゃない。やっぱり先を考えて、根本的に次から次に手を打っていくべきであるということを強く私は要望いたしまして、聞いてみますと、先ほど申し上げたように、山梨県とはすでに知事との間に話が妥結して、笛吹川の水を、これは年間五千万トンでありますが、入れることに話がついておる。あと工事であります。さらにそれだけではまだ心配だぞ、こういうことで、その次の計画も長野県の千曲川の水を入れることも進めておりますが、これは水利の問題とも関係いたしまして、そう簡単にはいきにくいと思いますが、鋭意努力をしております。なお、利根川の水を入れる計画も進めておるのであります。  ただ、現実には水がないということは、お説のとおりであります。これは異常に渇水という点にぶつかってきたのでありますが、決して私はそれがいいとは申しませんけれども、都政も東知事以下一生懸命でやっている努力は、私は率直に認めていいと思います。
  49. 西岡武夫

    西岡委員 ただいま小林先生よりお話がございましたが、私はこういうような問題で、すぐ責任をとれとかなんとかいうことではなくて、責任をとってやめるということは一番簡単だと思います。ですから、こういった意味から、反省の上に立ちまして努力をされる、これがほんとう政治家のとるべき姿だ、かように思っております。また、たいへん失礼でございますけれども、このような状況に何年もほうっておいたというのは、————————————————。と申しますのは……   〔発言する者多し〕
  50. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 静粛に願います。
  51. 西岡武夫

    西岡委員 私、今回初めて国会に出てまいりましてこの状態を見たわけでございますが、こういう問題をかかえながら、政府とともに国民のためにこの問題にもっと情熱的に取り組んで、その発言をされるべきであった、かように思うわけでございます。  両大臣非常にお忙しい中をおいでになりまして、この問題に対して非常に情熱ある態度をお示しいただきまして、私非常に感服いたしております。以上でございます。  あと環境衛生局長に具体的な御質問を申し上げたいと思います。
  52. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 ただいまの西岡武夫君の質問に関連いたしまして、申し出がございますので、これを許します。本島百合子君。
  53. 本島百合子

    ○本島委員 ただいま西岡委員より、東京都を思うあまりの御発言だと思いますが、行き過ぎた言辞があったようですから、その点については社会党の議員の方とお話を願いたいと思います。  自治大臣お急ぎのようですから承りたいのですが、先ほどから聞いていると、東京都政が政治力が乏しいような印象を受けて、私、東京都政に十一年間携わった者として、非常に残念に思っておるわけです。水の問題については、私ども都におるときから毎年国会にはずいぶん陳情しておるわけなんです。ということは、起債と補助金の問題です。あなたも御承知のとおり、全国の上下水道の大会が繰り返されております。この場合における起債と補助金の問題については、大体その年度決定いたしました十分の一程度が東京都に来ておる。こういう状態ではございますけれども、先ほどから言われるように、昨年度くらいから二十六万人の人口増ですけれども、一番多いときには約四十五万、五十万に近いときもあったわけなんです。したがって、上下水道の問題については、都政人といえども、起債と補助金の問題ではほんとうに一生懸命国に陳情しておるはずであります。したがって、こういう根本的な問題の解決がなされなかったところに異常渇水とぶつかって、今回のこういう事態を引き起こしたということになるわけです。  そこで私が承りたいのは、起債の点で一体どの程度お認めいただいたのか、同時に、それがどういう場所における問題としてあなたのほうでは許可されたのか。私が非常に残念に思いますことは、河野大臣が現地を視察されて、これじゃいかぬから急ピッチにやれという命令が下った。いかにも河野さんだけがこれに取り組んで、りっぱな仕事をやっているような印象を与えたことは残念です。政治というものはそんなものじゃない。みんなが縁の下の力持ちになって努力しているにかかわらず、やらないからこういう結果になったわけなんで、決して異常渇水だけが今回の責めではなくて、むしろこういう根本的な起債、補助金であれだけ血みどろな戦いを続けている地方議会の人たちの意思を、国会でくんでやれなかったところに今日の問題があると思うのです。そういう意味で、一体どの程度全国的に認めて、東京都の場合では特にこういう点で認めてやったのだということがおありになるはずですから、それをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 柴田護

    ○柴田説明員 水道に対します起債全体の問題といたしましては、率直に申しまして足りません。したがって毎年、一応起債計画は立てますけれども、そのあとで資金の余裕のある限りそちらへ回す。こういう方向で進んでまいっております。ただ、東京都の問題につきましては、たしかいまから四、五年前まではお話のような問題がございました。その後におきましては、東京、大阪その他の大都市水道問題というものを、やはり重点的に考えまして、工事の進捗するにつれて起債は全部許可する、こういう方針をとってまいっております。試みに申し上げますならば、三十七年度、東京都は中川、江戸川水系、利根川水系、排水施設等全部含めまして三十七年度七十八億、三十八年度百八十五億、三十九年度は現在審査いたしておりますけれども、私どもが申し上げておりますことは、早く工事をやりなさい、工事をやっただけの資金の支出はいたします、こういうことをやってきたわけです。私は、おことばを返すようでございますけれども、やはり問題は、東京都全体の水道整備計画等に関連して、利根川の水をどうするかという問題で、過去二、三年前に非常にもめました。政府部内でどうするかという問題で、水資源開発公団との折衝過程で紛争がありました。これが水道計画の実行をおくらした一つの原因だ、このように考えております。
  55. 本島百合子

    ○本島委員 先ほど国会はと申しましたが、取り消しまして、政府はと直していただきたいと思います。  ただいまおっしゃったように、利根川の問題でもめで、ここ三年ばかり少しおくれたんじゃないか、こう言われますが、この場合においても、国の一応指図の点で、私ども非常に憤慨にたえなかった。東京都の水はもう当然足りないんですから、利根川から引っぱる。そのことをやってもなおかつ足りないということは、当時言われておったわけです。にもかかわらず、政府のほうで、こういうことについてはいろいろの意見が出たと聞いておるわけです。したがって、今日の段階になってみれば、あれはしまったことをした、こういう状態でいられたはずであります。しかし先ほど言われたように、東京都でもし工事がどんどんできれば、それだけ見ることになっておる、ここ三年ばかりそうなっておると言われますが、根本が立たないときにこういう工事はできないわけです。先ほどから大臣も言われるように、ほんとう水道工事というものは年月がかかるわけです。私どもも、小河内ダムを建設するときに、あの地帯を見に行きまして、水が出るまでずっとタッチいたしておりましたが、いろいろな点で困難をしてきたわけです。しかし、あれが完成する前にすでに水は足りない、そこで国から融資を受けたい、こういうことになって嘆願したわけです。その場合に相当の問題が残されて、自来十年この問題は解決しなかった。だからこそ今日のこういう問題を引き起こしておるわけでありますので、ただいまの起債の点についての御答弁は、そのようになっておるかもしれませんが、今日河野大臣に言われたからといって、一挙にしてこの問題が予算上どういうふうになっていくのか、私どもまず疑問に思うわけです。したがって、先ほど西岡委員から政治なき政治と言われたが、問題はこういう点にあろうかと思うのです。目前だけを糊塗してやろうとしても、こういう問題の解決はできない。しかし、今日のこの水飢饉に際して、特段の政府の腹をきめてかかってもらいたいことを要望いたしまして、自治大臣への質問を終わりといたします。  厚生大臣にいま一つお聞きいたしますが、この間、山形、秋田の地震視察に参りました。そのときに、水でいかに苦しんでおったかということは、現地におって女の身でこんなつらいことはないだろう、こう思って帰ってきたわけでありますが、地震のような天災ではなくて、こういうようなことにぶつかってくるということになれば、どこの都市におきましても、大体水道をつくるときに井戸をつぶさしておるのです。井戸に対する考え方は、先ほど言われたように、大腸菌がいることによって伝染病のもとになるからといって、井戸使用ということをあまり奨励されておりません。最近になってようやく井戸水のあるうちを調べる、なおまた、水質検査をいたしておるような状況です。それは水飢饉であるからそういうことになってきたと思いますが、こういう井戸水の活用、同時に井戸水を良質に変える方法、こういうことに対しては少しも援助されておらないわけです。個人の負担において、しかも隣の水がなくなったときは井戸水をもらいに来るわけですが、水飢饉にひっかかってくれば、その水もなかなかやれないというのが人間の心理だろうと思うのです。こういう場合におけるものの考え方として、厚生省は、一体井戸に対する今後の対策としてはどういうことを考えておられるのか。あわせもって今日緊急に水を東京都に入れるという計画、これは完全に実施されることを要望しますけれども、同時にこれだけでは解決しない。特に最近は井戸水も非常に悪くなっておるのです。ビルが立ち並んで地下水をくみ上げております。そういうことから、井戸水がいままでよかったところも悪くなり、出ていたところも出なくなる、これが現状です。したがって、水道を入れるという陳情は東京都内をおおっておるのです。どの地区に行きましても、特にこういう開発地域でも水が出ない。出た水は全く赤い。だから何とかしてくれと言われても、水道の設備をしてから、宅地造成をしていないという欠陥から、水の問題でどのくらい都民が苦しんでいるかわからない。こういう点に対する特段の配慮がなければならぬ、こう考えておりますが、その点、厚生大臣はどのようにお考えになっておりますか。山形に参りましたときにも、井戸はつぶされたんですよ、こういうことばを聞いたときに、私は非常に胸を打たれてまいったので、お尋ねするわけです。
  56. 吉武恵市

    吉武国務大臣 本島委員からお話しのございましたように、私も、東京都に関係のある議員諸公には、おそらくこの問題は数年前から取り上げられておると思います。いまから考えますと、もっと早くこれを取り上げてやっておればよかったという感は私もいたしておりますけれども、起債の問題につきましては、先ほど財政局長が申しましたように、近年この問題は政府としても非常に重要視しておりますので、起債がないために工事ができないということは、これは私はさせないつもりでおります。近年なかったということでもございますが、これはあってならぬことでありますから、これはどんなことがあってもやはり優先的に取り扱うべきだ、かように実は考えております。  補助率の問題も同様だと思います。
  57. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  水の問題につきましていろいろお聞きしたわけでございますが、特に水道の問題は、やはり市民に直接関係する問題ですから、厚生省といたしましても、今後先行投資といいますか、ひとつ水不足のないように幅を持った行政指導をやっていきたいと思います。しかも起債等につきましては、いま自治大臣からもお話しがございましたが、環元融資をつけてやるとか、何か一ついま以上の配慮を持ってこの機会に災い転じて福となす、そういったあたたかい気持ちでひとつ善処してまいりたいと思います。  それから井戸水の問題でございますが、これはたいへんごもっともなことでございます。よく水道をつけますと、水道を利用させようということで井戸水を使うな、みんな水道に切りかえろというような指導をやりまして、ことに東京都は私は極端だと思います。井戸水を使っておりますと、井戸水の排水について下水の使用料をばく大にとっております。もう井戸を使えない。実際井戸を持っておっても、井戸水を使ったら水道料金の何倍という下水使用料をとる。これは井戸を禁止するような制度を打ちて立てております。先般この点につきましても閣議でやはり問題になりまして、井戸水をもっと使うようなことを喚起させたらどうか。それにはいま申し上げたような下水の使用料を、井戸水を使ったものからとる、水道の水を使ったものは水道料金を払うからとらない、そういう矛盾したことなしにやったらどうだろうか。むしろ市民が井戸水に関心を持つようなことをやったらどうだろうか。ことにポンプなんか、最近非常に簡易な、しかも値ごろも適当なものが出ております。そういうわけで、厚生省といたしましては、いまお述べになられたような趣旨に沿うて、井戸を掘ることも井戸水を使うことも大いに注意を喚起してまいりたい。東京都のそういうような条例も、勧告して下水の使用料をとるというようなけちなことをさせないで、有事の際に非常に有効な使命を持っておりますから、善処してまいりたい、こう思っております。
  58. 本島百合子

    ○本島委員 関連質問ですから、これで終わりますが、とにかくこの水の問題については、人命の立場から、どうしても特段の配慮をもって早い解決を要望しまして、質問を終わりたいと思います。
  59. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 先ほどの西岡武夫君の発言中、社会党云々の点につきまして、本人より遺憾の意の表明が委員長のもとにございましたので、速記録を調査の上、穏当を欠く部分があれば善処いたしたいと思います。  関連質問を許します。滝井義高君。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 二点お尋ねいたします。  さいぜんから吉武自治大臣なり神田厚生大臣から、東京都の水の不足の問題について、利根川、荒川、長野県の千曲川、山梨県の笛吹川、こういうところから水を動員して東京都に持ってこられる、非常にけっこうなことだと思います。その場合に、御存じのとおり、水道を営む公営企業は赤字なんです。バス、水道、都道府県の経営する病院、これらのものはみんな赤字で困っているわけです。その場合、利根川や千曲川、笛吹川等に相当の公共投資をやることになる。そのことは、御存じのとおり水道が公営企業である限りにおいては、その料金は住民が負担しなければならぬ原則があるわけです。水を持ってきていただくことはありがたいのだが、そのために東京都民の水道料金がウナギ登りに上がるということは、一年間ストップをされておるわけですから、東京都につきましては、水道料金を上げないということを御言明ができるのでしょうね、それが一つ。  それからいま一つは、人口の一割が集中する東京の水の問題が、さいぜん言われたように、非常にクローズアップされて、他のものがみんな陰に隠れてしまっているという問題があるわけです。そこで、その陰に隠れている問題を解決してもらわなければならぬのですが、特に炭鉱がつぶれたあとの産炭地の水道の問題です。これは一つだけは解決してもらいました。すなわち産炭地の炭鉱の水道を地元の市町村に移管する場合については、これは福田通産大臣の当時の言明によって解決することになった。ところがもう一つ、産炭地に特別鉱害でつくった水道があるのです。これはすでに昭和二十五年から、特別鉱害復旧の法律ができてそれでやっておるわけです。ところが終戦後ですから、資材その他がなくて非常にちゃちな水道ができておるわけです。これをいま市町村に移管しようとする場合に、すでに十年、十五年前に補助金をもらっているわけです。したがって、二度補助金をやるわけにはいかぬという問題が出てきているわけです。ところが現実に炭鉱をやめてしまって、この水道を市町村に移管する場合に、普通の水道と同じような状態でつくってもらわないことには産炭地は困る。ところが水道はいま宙ぶらりんになろうとしている。水道もあり、水もあるけれども、いまや水道の運営をする人がいないという事態が起こって困っている。これなど、自治省なり厚生省に要求したらどういうところまでおりてきたかというと、一般水道の補助は百五十リットルである。ところが特鉱は六十リットルだけ補助したのだから、なおあと百五十分の九十だけ残っておるから、したがって百五十分の九十だけ補助いたしましょう。そうすると、一般の補助が二割五分ですから、二割五分の三分の二、すなわち一割五分補助しよう。ところが産炭地は、御存じのように、赤貧洗うがごとしです。そこでこの水の問題は、二割五分ではどうにもならぬのでいまかさ上げをしてくれという、ちょうど新産都市やら工業整備の特別の地帯が補助金のかさ上げを要求しておるように、産炭地も要求しておるのですから、とにかくもそれは別として二割五分でけっこうですから、特鉱についてもやはり二割五分を補助しよう、そうして市町村に移管をするという体制をつくってもらわなければいかぬわけです。これはすでに神田さんも知っているのですが、石炭のときにいろいろ議論をしておるが、まだ結論が出ないままにきているわけです。ところが予算編成期ですから、早く結論を出してもらわぬことにはどうにもならぬわけです。東京都は脚光を浴びるけれども、草深きいなかあるいは産炭地における公有水道というものが脚光を浴びないことには、政治の片手落ちになるわけです。そこでまず第一に、東京都はこういう財政投融資をした場合に水道料金を上げないという言明をしてもらいたい。それから特鉱水道を市町村に移管する場合は、一般水道と同じように二割五分の補助をいたします、こういう言明をしてもらいたい。これはもうすでに議論済みの問題ですから、ひとつ明白に答えていただきたい。
  61. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘の点でございますが、御承知のように今日の公営企業は非常に赤字で、全国で四百億くらいにのぼっておりまして、東京都におきましても相当の赤字がございます。これはいま審議会をつくりまして、審議会で鋭意検討されております。原因は、私も一昨日総理に申し上げましたが、一つは、やはりバス料金の値上げがストップされて、あるいは水道料も一同様でございます。これは自粛ということで上げなかったのが一つでありますけれども、やはり一つは合理化すべきものが残されているのではないか、こういう感じがいたします。しかしこれもいま審議会でまじめに検討されておりますから、私はその結論を得て善処したいと思っております。  いまの水道料金の問題でございますが、今後東京都は相当遠くから思い切った計画でやりませんと、先ほど来お話しがあるように、毎年二十五万から三十万という人間がどんどん増加しておるときであり、しかも水の使用量は、水洗便所その他いろいろな使用量がふえておるときでありますから、これはよほど大きい計画をしましても、これで十分ということには私はならないと思うのです。したがいまして、これについては、起債その他の点につきましても政府としてもでき得る限りの努力をいたしますが、料金問題はそれじゃ据え置くか、こう言われますと、これは都の財政の問題もございまするし、ここで私が言明するわけにはまいらないのでありますが、水の問題は、一般大衆に関係のあることでございますから慎重に考えなければならぬ、かように思っております。  それから第二の産炭地の水道の問題は、ごもっともな点があろうかと思います。私も実は自分で小さい炭鉱をやっておりまして、やめまして、やめたためにその水道の水をどうするかということで、さしあたりはその近所の住民に移管をしておるのでありますけれども、相当大規模になりますると、やはり地元の市町村に移管をして経営しなければならぬかと思うのです。いまここで私が、すぐ一般と同じように再び二割五分の補助を出しますと、こうおっしゃいましてもちょっと私は回答しにくいのでありますが、いま言った炭鉱の特別事情は私にも理解できることでありまするので、もう少しひとつ検討さしていただきたい。私もできるだけの努力は払うつもりでございます。
  62. 滝井義高

    ○滝井委員 それならばまず第二点のほうの問題、特鉱の水道が現実に、明らかに水道法には適用しないわけです。市町村に移管をすれば、御存じのとおり水道法が改正されて非常に規格が厳重になっている。その規格に合わない。合わないものを市町村に移管する場合には、相当炭鉱が金をつけなければ市町村が受け入れない。そうすると炭鉱がつける金が非常に少ない。御存じのとおり石炭山は不況ですから、ないとすれば、もうほっぽり出して炭鉱が逃げ出すわけです。そうするとこれは一体どうするかというと、市町村がやらざるを得ない。市町村は財政負担があるからやれないということで、やはり住民が東京都と同じように泣き始めている。いま炭住は水がこないということで非常なもめごとが起こりつつある。したがって、もしこの特鉱の水道が老朽化してだめになったときにはどうするかというと、やはりたてまえとして二割五分の補助金を出してもらわなければならぬのです。それをお考えになったらいいのです。ですから、すでにこれは議論をして研究テーマとして自治省厚生省に差し上げておる問題ですから、もう予算編成期ですから、そろそろ結論を出してもらわなければ、四十年度の予算を申請する場合に、これがきまらないと現地の炭鉱と自治体の話し合いができない。だから私は、きょうはほんとうは役所に行くつもりだったけれども、両大臣がここにおいでになっておるから、両大臣の耳に入れておかないとたいへんだというので申し上げておるわけです。ぜひひとつ、これは局長その他ここにおられますから、二割五分を貫いてもらいたい。そうして残りの七割五分は起債で認めてもらって、あとは特別交付税でもらえばいいのですから、ぜひひとつ至急に御検討をお願いしたいと思うのです。  それから、いまのばく大な財政投融資をやることになるわけです、遠いところから水を引くわけですから。そうしますと、これは東京都民の水道料を異常に上げるということは、たいへんなことになるわけです。そうすると、政府としては何らかの形で対策考えてやっておかないと、水が足らないから、さあ起債だ、起債だということになる。いま起債は、柴田財政局長が言うように、必要なら幾らでも出します、多々ますます弁ずる、こう言うけれども、住民からすれば、金を借りても利子をつけて返さなければならぬ。問題がある公営企業ですから、この点国民が安心できるようにしてもらわなければ困る。  それからいま一つは、人口が非常にふえて、水洗便所をいま厚生省は奨励しています。そうすると、終末処理施設を適確にやろうとすれば、これはいまくらいの水道ではとても足らないでしょう。いま日本の水洗便所の水の使い方は非常に少ない。少ないから終末処理がうまくいかない。うまくいかないから汚濁水が川に流れ込んで、隅田川のあの悪臭が出てきておる。隅田川ぜんそくが起こるでしょう。だからそれは循環しているわけです。相当な水をやはり水洗便所その他にも使わなければならぬということになる。いまの下水ではだめなんです。水洗便所で二倍、三倍の水を使えば、いまの東京都の下水の機構ではこれははけないです。これは科学的に検討した結論が出ている。そうすると、これはもはや水の問題が飲料水、水洗便所、下水と、そうして隅田川なり利根川にみな関連してきているのですから、抜本対策を、ここで水という問題を中心にしながら、東京都の人口集中の問題から一切を考えてもらわなければならぬ段階に来ていると思うのです。幸い吉武さんも二度目の大臣づとめだし、神田さんも二度目の大臣づとめですから、ここらあたりでふんどしを締め直して——新しい大臣ならふんどしを締め直せということはないけれども、ふんどしを締め直して、やっぱり佐藤さんが言ったように、歩行者優先の政治をつくってもらわなければならぬ。池田さんも佐藤さんのまねをして、これはソーシャル・デベロプメント、社会開発ということを言い始めたのです。いままでそんなことは言わなかった。したがって、あれは佐藤さんの立てた一つの功績です。この際、やはりひとつ人間中心の政治を都政に確立するために、特段の神田さんと吉武さんのタイアップで、二人三脚でやっていただきたいと思うのです。
  63. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 二時三十分まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後二時四十五分開議
  64. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。長谷川保君。
  65. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私は八月十五日に開かれます全国戦没者追悼式の問題について伺いたいのでございます。  申し上げるまでもなく、あの満州事変から続きます大東亜戦争に至りますまで、大東亜共栄圏とか八紘一宇とか、美しいことばによって帝国主義的な戦争が遂行され、それによって実に数百万の同胞が死に、傷つき、さんたんたる事情となり、今日なおその痛手に泣く多くの同胞を持ちますことは、私どもの限りなく悲しみとするところでありますし、また今日戦後二十年を経まして反省をいたしまして、再びかかることがあってはならぬということを常に考えるのであります。いまあの戦争の大きな犠牲者、戦地において亡くなりあるいは傷ついた方々のみならず、内地におきましても戦争の惨害を受けました被爆者あるいは負傷者その他遺族の皆さんのことを考えますときに、今日私どもはあの戦争によって死没いたしました方々、戦地といわず内地といわず、それらの方々の追悼をすることにつきましては私も賛成であります。そういうような方々のために、そのせめてもの私どものつとめといたしまして、厚い追悼の式を営むということにつきましては、全く異議ないところであります。  私はついこのごろ、内閣総理大臣池田勇人名義の「来たる八月十五日、全国戦没者追悼式を靖国神社境内において挙行いたしますので、御参列下さいますよう御案内申し上げます。」という御案内書をいただきました。この御案内書をいただきましたとき、非常に不審に思いますことは、昨年は日比谷の公会堂においてこれがなされて、それが今年は何ゆえに靖国神社境内において行なわれるのであるかということの疑問であります。まず第一に伺いたいことは、この全国戦没者追悼式はいかなる法律によって行なわれるのであるか、その法律の根拠を伺いたいのであります。
  66. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  戦没者の慰霊祭を行なうことにつきましては何か法律があるのかというお尋ねでございましたが、これはございません。いま長谷川委員のお述べになりましたような趣旨で、大東亜戦争に殉職された方々、軍人軍属あるいは準軍属、こうした方々のみたまを安らかにお祭りをいたしたい、こういうことが主眼でございまして、法律に根拠があるからということではないのでございまして、この点御了承願います。  なおまた、昨年は日比谷公園の公会堂で行なわれたのが、今度は靖国神社の境内で行なうのはどうか、こういうお尋ねでございましたが、この点は、多年遺族等の方々からの御要望もございましたので、靖国神社の境内の大村益次郎さんの銅像がございますあの広場が行事をするに適当な場所であるという判断のもとに、靖国神社で慰霊祭を挙行いたしたい。これは大体お招き申し上げた方々を収容できる。そして全国の都道府県から選ばれた方々におこし願って、厳粛に慰霊祭を行なうことにいたしたい、こういうことでございます。
  67. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 閣議では一たんは日比谷公会堂で昨年のようにやると決定したように承っておるのであります。それがいかなる理由によって変わったのであるか。巷間うわさされているところによりますと、圧力団体があったとか総裁三選の問題がからんだとかいろいろ言われるのでありますが、一たん決定したものが変えられるということについては、よほどの理由がなければならないと思うのであります。先ほど大臣は遺族の要望もあってということでございますけれども、しかし後に申し上げますように、これに反対する遺族もまた多数あるのであります。でありますから、一たん閣議できまったものがいかなる理由で変えられたのか、そのいきさつをひとつ国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
  68. 神田博

    神田国務大臣 お尋ねでございますが、御承知のように最初は新宿御苑におかれまして挙行いたしております。それから二回目は日比谷の公会堂を借りてやっております。今回は三回目と記憶いたしております。いまお話もございましたように、四月の二十四日の閣議でございますか、日比谷公会堂で追悼式をやる、こういうようにきまっておったのを変更した。これは別に圧力団体の申し入れであるというような、あるいはまたいまお話もございましたような、自民党の総裁選挙にとやかくということではございません。ちょうど靖国神社の境内で適当な場所がある、お借りできることがまとまりまして、遺族のお気持ちも察して多数の方を呼んで御参列願い、追悼の行事をとり行なうに最もふさわしいところ、こういうことで自然と申しましょうか、さらっとした気持ちで変更になった、こういうように承知いたしております。
  69. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 靖国神社は宗教法人法第二条にいう宗教団体だと思うが、さように考えてよろしいですか。
  70. 神田博

    神田国務大臣 さように考えております。
  71. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 さようになりますと、申すまでもなく、あそこでやっております儀式も神道の儀式であります。したがってまた神道の宗教団体でございます。宗教の問題は大臣も御承知のように、非常にきびしいものがあるのであります。したがいまして今日いずれの文明国の法律も、宗教に対しましては政宗分離というたてまえを貫いておるのであります。これは当然であります。たとえば日本国内の宗教を見ましても、浄土真宗のごときは弥陀一仏のほかに拝すべきものなしと言い切っております。創価学会におきましても御承知のようなわけで、キリスト教におきましても、天地宇宙の神のほかは拝すべきものなしという立場をとっておるわけであります。したがいまして、これらにつきましては非常に潔癖であります。およそ他宗の宗教の影響下に入るようなことは非常に潔癖に考える。これは宗教それ自体の本質からくるものであります。でありますから、いま大臣の言われるように、なるほど靖国神社は宗教団体とはいいながらも、日本におきましてはある特殊なところでもありますから、多くの遺族が靖国神社でやるということを喜ばれる面もあるかと思うのでありますけれども、同時にまた宗教という立場から申しますと、きわめてこれについて敏感で、鋭敏にこれを拒否したりということもあるのであります。すでに大臣はあるいはお聞きであるかと思うのでありますけれども、たとえば日本基督教団、先日ほかの問題で全日本仏教会にもまいりました。日本基督教団からは、これらについて抗議的な声明書が内閣に提出されておるはずであります。全日本仏教会におかれましても、私はほかの問題でおたずねしましたところが、この問題については容赦できぬ。これについては直ちに適当な処置をとるべきであるということをあそこの幹部の方が言うておられました。といたしますと、遺族の中には、ここでやることは困ると言う人もあるのであります。そういう事態でありますから、いま大臣がおっしゃいますようなことは、それらの方にとってはきわめて遺憾のことであると言わざるを得ないわけでありまして、したがって、四月二十四日に閣議で、一たん日比谷の公会堂で昨年どおりするということを決定したのに、それを変えたについては、よくよくの理由がなければならぬ。閣議で決定しましたものを、一事不再議でありましょうものを、さらにこれを決定し直すということはよほどのことである。そのいきさつを明確にしてもらいませんと、いま申しました仏教会の皆さんにしても、基督教団の皆さんにしても一納得できないわけです。したがってこれは賛成ができないということになるわけです。したがいましてこの間のいきさつを明確にひとつ御説明願いたいのであります。大臣は御就任前のことでありましておわかりにならないことでありますれば、——私は手紙をいただきました内閣総理大臣池田勇人君に御出席をお願いしたのでありますけれども、御出席ないことはきわめて遺憾であります。その間の事情が明確にわかります責任のある、内閣を代表しての方の御答弁をいただきたいのであります。
  72. 神田博

    神田国務大臣 長谷川委員のお尋ね、これはごもっともなことでございます。私の答弁で御満足いかぬ点があるかもしれませんが、それは法制局長官がいままいるそうでありますから、その点また法制局長官から十分補足していただくはずであります。いまお述べになりましたことは、私もまことに同感でありまして、それはもうそのとおり了承いたしております。そこで政府といたしましては、そういうような疑いと申しましょうか、批判の出る余地のないようにいたしたい、こういう判断に立ちまして、まん幕を張り回す、テントを張ってなおまたまん幕を張りまして、そして境内で、これは借りたところでございますから適当な使用料を払って、たとえるとどうかと思いますが、明治神宮の外苑という離れておるところもあるわけでありますが、靖国神社の拝殿よりぐっと離れた大村銅像の近所ならば、そういった御批判は免れるのじゃないか。こういう判断のもとにあそこをしつらえた、こういうふうに御了承願いたいわけであります。
  73. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 宗教法人法によりますと、第三条で境内ということばが出てまいりますが、境内ということばは出てこない。「境内建物」及び「境内地」ということばが出てまいります。境内という御通知をいただいたのでありますが、それは一体どういう意味でありましょうか。法律的には境内地、境内建物ということでございますが、どういうことを意味しておるのでありましょうか、伺いたいのであります。
  74. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 いま大臣から境内というお話がございましたが、いまおっしゃいます境内地の意味でございます。
  75. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 境内地の意味だということであります。実際の行事のやり方についていまお話がありましたが、また御案内状を読みましても神道の式でやるということは書いてございませんから、儀式の順序は昨年どおりという形になっておるようでありますが、この点も明確にしておきたいので伺いたいのであります。行事は神道の方式というものは一切やらないのかどうか、またこれらについて靖国神社の宮司たちはどういうふうにこれと接触をするのであるか、承りたい。
  76. 神田博

    神田国務大臣 昨年同様でございまして、靖国神社側は何も関与いたしておりません。宗教行事でなしに昨年同様に行なう予定でございます。
  77. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いま経費を出してお借りになるというお話でありましたが、国費を幾ら出すのであるか、また境内使用料を支払うわけでありましょうが、それは幾ら支払うのか、また靖国神社としてはそういうものを貸してそれを取るということができるのかどうか、その点を承りたい。
  78. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 境内を借用いたします場合の借り賃の問題でございますが、いま靖国神社の当局と協議をしておるところでございまして、正式にまだきまっておりません。しかしながらわれわれとしては不当に高い金が国から出ることはこれはもちろん差し控えるべきでありますが、低きに過ぎずまた高からずということで適正な料金を払うように、いま協議をいたしております。
  79. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今日もう十五日にやるということになっておりながら、いまなおそれがきまっておらないというようなことは、おおよそ世間の常識では考えられないところであります。でありますから、当然国費をもって払うというのでありますれば、それは幾ら出すのであるかを明確にしなければなりませんし、おおよそ国の予算の中から出るのでありますから、どういう形にしろそれらについては明確になっていなければならないところであります。それがいままだきまっておらぬということは信じがたいことであります。そういうことは私は国会議員としては許し得ないのであります。でありますから、これらについては相当明確になっているはずであります。何もこの事実を隠しておくことはないのでありまして、事がここまでいったならばどういう善後策をとるかということは考えなければなりませんけれども、それらを幾らで借りるのか、幾ら払うかもわからず、幾ら国費を出すかもわからず、また宗教法人といたしましての靖国神社がそういう国から支払われるものを受け取るということが一体可能であるかどうか。そこらの点が宗教法人法からいってもむずかしい点が出てくるのではないか、また憲法から申しましてもむずかしい点が出てくるのではないかと思うのであります。だからおおよそ今日まだそれがわからないというようなことでは、われわれとしては納得できない。何らかの方法があってこれこれのものを払うということになっておるに違いない。払わないというならわかっています。けれども、払うとするならばそれは金額がきまっているに違いない、そういうところを明確に伺いたい。
  80. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 境内地の借用につきましては、いち早く閣議決定の直後に申し入れをいたしまして、もちろん適正な使用料を払うからということで借用を申し入れたわけであります。ただし予算面では日比谷公会堂でやるという前提のもとに予算を組んでございますので、靖国神社でやるための増高経費につきましては若干措置をしなければならぬ。その場合に、われわれとしては国が不当に高い費用を靖国神社に払うということでは問題がございます。しかし、また不当に安くてもまた問題がございますので、その辺適正な料金を払いたいということでいま慎重に検討いたしておるところであります。
  81. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 予算を組むときには日比谷でやるという予算で組んで、こまかいことは予算委員会でやらなかったにしても、一応それらは全部国の予算から出すとすればちゃんと予算委員会を通ったもの、こう考えなければならぬのである。それが後になってぐらぐら変わってくる、しかも幾ら出すかもきまっておらぬ。そんなことは少し変じゃないですかね。そんなばかなことは、われわれ国会議員としまして予算を組みます者としては実に変で、これは筋の通らない話だと思います。   〔発言する者あり〕
  82. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 静粛に願います。
  83. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 大臣は、大臣になったばかりでありますけれども、当然責任がおありになる。またこれは池田勇人君の名前をもって案内してあるのでありますから、池田総理大臣自身にこれは責任があるわけであります。でありますから当然池田さんにも出てもらってこの問のいきさつを明らかにいたしませんと、たとえそれが十万であろうと二十万であろうと、国民の税金を払う、国費を払うことでありますから容易ならぬことであります。そういいかげんにすべき問題ではないのであります。したがいまして、この問題はひとつぜひ明らかにしてもらいたい。大臣、いまここでわからぬですか。実際において、どうですか。こんなばかなことはない。
  84. 神田博

    神田国務大臣 いま鈴村局長からお答えしたとおりでございまして、まだ煮詰まっておらないようでございます。しかし、お話しの点も十分わかりますので、早く煮詰まるように、これは相手のあることでございますが、よく諸般の情勢を検討し勘案して、適正な借料、値段を同意を得まして、そうして処置したい、こう思っております。
  85. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 この点は納得できません。いま一つ法制局長官でもよろしいのでありますが、伺いたいのは、こういうことで国費を宗教法人に払う、名義は借り料ということになるのかもしれませんけれども、そういうことができるであろうかどうか、どうもそこになお幾分の危惧があるように思いますが、その点は差しつかえありませんか。
  86. 林修三

    ○林説明員 それは結局今度の靖国神社境内でやるということは、境内というところで場所を借りてやるということでございます。でございまして、これは相手が宗教法人でありましても別にそこに適当な借り賃を払うというたてまえでいくべきものだと私たちは思っております。かりにこれをただで使うということになれば、逆な意味で特権を与えたという問題が起こらぬとも限りません。あるいはまた不当な高い値段をもって借りるとなればまたそういう意味も出てまいります。私どもとしてはあくまで、金額の決定については関与する限りではございませんけれども、あくまで適正な借り賃ということでやっていただきたいということは、厚生省に言ってございます。それでこれはやはり宗教法人でありましょうと何でありましょうと、やはり国がその場所を借りる以上は適正な借り賃を払うというのがこれはたてまえである。それがほんとうの公正なやり方であろう、かように考えております。
  87. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そうしますと、場合によってはその建物を借りてもかまわぬ。今度は逆にいえば、たとえば創価学会の本部のあの客殿を借りてやってもかまぬ、あるいは東京のニコライ堂を借りてやってもかまわぬ、借り賃を正当に払えば差しつかえない、こういうことが理論的には言えますか。
  88. 林修三

    ○林説明員 そこで問題になりますのは、結局憲法二十条三項の、いわゆる国が宗教活動を行なうかどうかという問題と関連してまいります。したがいまして、場所はどこでもいいということになりますと、いまおっしゃったようなことになりますと、そういう施設にはやはり宗教的ないろいろの施設がある場合もございまして、そういうものを全部取り払ってやればいいじゃないかという議論も出てまいりますけれども、いまそういうことは言うべくして行なえないという場合もあろうかと思います。そういうことになれば、やはり国が宗教的活動を行なったというふうなことになるようなおそれのないような方法でやるべきだと思います。したがいまして、今度の場合は全く境内の、しかも社殿から離れたところを使うことになっております。いわゆる広場的な場所を広場として借りるというたてまえで私どもとしては考えておりまして、そういうことでいまおっしゃったような例を考えますと、これはまたその場合にそういうことがかりに問題になりました場合には、そういう場合の適否は十分に考えてみたいと思っております。   〔「鳥居のうちだ」と呼ぶ者あり〕
  89. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 だから、いまも同僚からもお話がありましたように、鳥居がありますし、玉がきがありますし、その前にはちゃんとあうんの獅子がおりますし、これは明らかに神社の形式になっているのであります。でありますから、さらに例を申しますれば、日本キリスト教団の富士見町教会というのは、宗派による十字架もなければ何もございません。富士見町教会なら富士見町教会、信濃町教会なら信濃町教会という大教会でそういうことをやるということができるかどうか、これは法理論の問題ですよ。私は、それはやはりいけないのだと思うのです。それはもう唐獅子がおって、ちゃんと、ここからもう神社の聖域であります。鳥居があって、ここから奥は神社の境内地であります、聖域であります。ここのところには車で入っちゃいけないということを方々に書いてあるわけであります。魚鳥を取ってはいけませんということを書いてあるのであります。そういうところで、これは宗教行事ではありません、こう言うのは無理ではないですかな。それは私は詭弁というほかないと思うのです。どうでしょうか。
  90. 林修三

    ○林説明員 これは結局、そういう宗教施設でもおのずからそこの宗教的色彩の濃淡もございます。したがいまして、私ども考えまして、結局境内地、これは相当の広場でございまして、広場を使ってやることにおいては、宗教的色彩と切り離してやることも可能だと私たちは思ったわけであります。憲法の規定から申しますと、御承知のように二十条一項と三項の問題が出てまいります。一つは、いかなる特権も宗教団体に与えてはいけないということでありまして、こういうことになることはわれわれとして厳にやっていただかないようにしてもらいたいと思っております。それから三項のほうで、国がいかなる宗教活動もしてはならない、国自身の宗教的活動は、いかなる意味においてもやってもらわないということで、私たちは条件をつけておるわけでありまして、これは確かに境内ではございます。境内ではございますけれども、それはやはり社殿からも相当遠いわけでございまして、宗教的色彩も相当薄いところだと思います。広場として使うのにそれほど不適当でなかろう、広場として借りたというたてまえでやっております。おのずから、社殿を借りるとかあるいは教会の内部を借りるということでは、宗教的色彩の濃淡は違ってまいります。さように考えておるわけであります。要するに問題は、結局憲法の文句からいえば、国が宗教的活動をしてはならないところであります。宗教的活動は厳にしないようにしてもらうようにしてございます。
  91. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 あなたも閣議の席にいらっしゃって、この問題については疑義があるということで発言されたやに私は聞き及んでおるのでございます。こんなことは疑義があるにきまっているんですよ。それだから問題は、先ほども伺ったのでありますけれども、明確な答弁がありませんが、あなたは閣議の席におったということでありますから、この間の事情が明確になると思いますが、いかなる理由をもって四月二十四日にきめられた、日比谷公会堂において戦没者の全国の慰霊祭をやるということが、後の閣議において変えられたのか、その間の事情を承りたいのであります。どういうわけでこうなったのか。巷間伝えるところによりますと、いろいろ圧力団体が圧力をかけたとか、いろいろいわれておるのであります。でありますから、一度きまったものが何ゆえ変わったのか、それを承りたい。私たち国民は納得できない。ことに神道でない、また戦争を憎みますわれわれにとっては、かつて靖国神社が明らかに戦争勢力によって利用されたという事実を知っておりますゆえに、私どもはこれに対してやはり敏感に考えざるを得ないのであります。どういう理由でこの四月二十四日に一たびきまったものが変えられたのか。あなたは閣議の席でこれに疑義があると言ったということが巷間伝えられておりますが、事情は明らかだと思いますので伺いたい。
  92. 林修三

    ○林説明員 これを変えるに至った原因については、実は私どもは直接タッチしておりません。したがいましてこれは厚生省当局からお答えを願うことが私は適当だと思います。閣議の席上において私が申しましたことは、新聞にも若干出ておりましたけれども、やはりこれは靖国神社という一つの宗教法人でございます。境内を広場として使うにしても、やはりそこに多少まぎらわしい点がないわけではない。したがいまして厳に宗教的行事、活動と切り離していただきたい。それから靖国神社に何らかの特権を与えたことにならないようにしていただきたいという条件を申しました。これは閣議でも了承されております。
  93. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 当時の厚生大臣がおりませんので残念でありますが、次に伺いたいのは、この追悼式は一体国事であるかどうか、これを承りたい。
  94. 林修三

    ○林説明員 いま国事とおっしゃった御趣旨がちょっとわからないのでございますが、これは要するに一種の事実行為でありまして、政府がそういう催しをすることが適切と認めてやる事実行為だと思います。
  95. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 もう一つ伺いますが、天皇、皇后が出席されるように案内状にございます。この天皇が出席されるというのは、これは天皇の国事行為として出席されるのかどうか、そういうように解釈していいのかどうか。いわゆる憲法第七条の十にあります「儀式を行ふこと。」ということとどういう関係に解釈されるべきであるか、無関係であるか関係があるのであるか、承りたい。
  96. 林修三

    ○林説明員 憲法七条の、いわゆる天皇の国事行為としての「儀式を行ふこと。」ということは、これは憲法学者の間にはいろいろ説もございますが、私どもといたしましてはやはり天皇が主宰されて儀式を行なうことを意味していると考えております。したがいまして今回の、これは昨年もそうでございましたが、昨年の追悼式にも天皇、皇后両陛下が出席されておりますけれども、これはいわゆる国事行為としての儀式を行なわれたものではないと考ええております。これは内閣のほうからそういう事実上の行為としての追悼式をやるからお出ましを願いたいということでお出ましを願っていることだと思います。まあ似たような例は、たとえば国民体育大会に天皇、皇后両陛下がお出かけになる。これはもちろん国事行為とわれわれは考えておりません。国事以外の全く私的行為でもない、いわゆる公的行為と考えております。こういうふうに、現にいわゆる国事行為として実際上天皇が儀式を行なわれる以外に、そういうまあ公け的な席にお出かけになるということは、これはしばしば行なわれております。そういうものの一つだと思います。しかしもちろんお出まし願うについては、これは内閣としてお出まし願うということをお願いしておるわけでありますから、責任は内閣がおとりになることだと思います。
  97. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私がこれらのことを伺いますのは、私のところに、ある宗教団体から、それらの点は当然やはり一つの国事ではないか、国がお金を出して、内閣総理大臣が主宰してやる、これは国事ではないか。それに天皇がお出ましになるということになれば、これは個人としてお出ましになるわけではないということになるから、当然これらのことについては憲法上の疑義があるではないか。これは私にもこうと断定できませんけれども、私は疑義があると思うのです。それだからここに疑義があるように思うのでありますが、これらの点はこういう形で一宗教法人の境内地でやられますることそれ自体に少し疑義があるのでありますけれども、こういうものに出ていって少しも差しつかえないと思われるかどうか。
  98. 林修三

    ○林説明員 これは私どもはお願いしてあるわけでございますが、要するに今度の追悼式は宗教的色彩を全然切り離していただきたいということを申してございます。したがいまして天皇がお出ましになりましても、これは宗教的行事に参加されることには当然ならないと思います。また国が宗教的行事を行なったことでもございません。それから今度の儀式において天皇が靖国神社に参拝されることはないと思うのでありますが、しかしこれはまた別の問題で全く私的な意味で靖国神社にお参りになる、これはまた御自由の問題でございまして、これはまた別問題でございます。しかし今度はそういうことは関連してもなさらないはずでございます。そういうことは私どもとしてやはりいろいろ問題を起こす種だと思いますので、そういうことはしていただかないようにお願いしてございます。
  99. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私の知っているところでは、少なくとも日本基督教団という日本の一番大きなキリスト教関係の教会の団体から抗議文と申しますか反対声明と申しますか、それが内閣に出されているようであります。どういうような内容のものが出されておるか伺いたいと思います。
  100. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 私も新聞紙上でそういうものが出ていることを拝見しましたが、中身についてはこまかいことは存じておりません。
  101. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 それは君、実に無責任な話です。少なくとも百万単位の信徒及びその家族の関係します団体、そういうものがそういう抗議書を内閣あてに出しておる。少なくともおそらくこれらの団体におきましては、この行事に参加するなということになると思います。そういう重大な問題なんです。先ほど申しましたように全国仏教会でもそういうようなことについて緊急に相談をするということを、先般私が伺ったときに言っておりました。そういう国民の税金をもってやりながら日本国民のある人々、明確に信仰を持っております方々は参加できないというようなこと、そういうことをその諸君から取り上げた税金でもってしてはならぬことは当然なことだ。でありますから、したがってそういう抗議声明書があったならば、所管の官庁としては当然すみやかにその内容を見て、その声明の内容に誤りがある、これは国で考えて法律的にも正しいということであればその旨を明らかにすべきである。それらのことについていまなお知らないということは不届きである、無責任きわまることである。でありますからそれらについてすみやかに明確になさって、それらについて釈明すべきことができるならば釈明をして、全国民が行ないますことでありますならば、全国民の税金をもってしますならば、全国民がそれに参加できるように当然すべきである。はなはだしく怠慢であると言わなければならぬ。それらの点について一体どうなさる御所存か、所管大臣の御意見を承りたい。
  102. 神田博

    神田国務大臣 私ども実は新聞でちょっと拝見しただけで、厚生大臣としても陳情は承知しておりません。私の感触を申し上げますと、総理大臣に陳情に伺った、こう承知しておりますので、総理府といいますか総理においてこの措置を十分お考えになっておる、こういうふうに考えております。
  103. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 すみやかにそれらの点について善処せられるようにと強く要望をいたします。責任者は総理でありますからほんとうは総理に来てもらわなければこの問題は正しい国会の審議にはならないと思うのでありまして、できれば明日にでも総理の出席を要求いたしたいと思います。  御承知のように憲法第二十条は「信教の自由は、何人に對してもこれを保障する。いかなる宗教團體も、國から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」というように規定をされております。いま申しましたように、信教の自由という立場から申しまして、今回の総理大臣池田勇人君の企図というものは明らかにこの憲法の保障に抵触するわけであります。なぜならば、いま申しましたように、私が知っているところだけでもキリスト教のわが国における最大の団体はこれに参加できないという形になるわけであります。そういうことでありますから、これはいま申しましたように、ただにそればかりでなく、ほかの団体にも影響しているわけであります。それぞれお考えがあるわけであります。したがいましてこの憲法第二十条の信教の自由の保障、この問題と、いま申しましたいかなる宗教団体も国から特権を受けてはならぬというこの問題と当然抵触すると思うのでありますが、いかがでありますか。もしそれに行けるとすれば、宗教法人の境内では困る、そういうところへはわれわれは行かないのだという諸君があるわけであります。信仰の立場からしてこれは当然なことであります。これは神道の境内でありますから、これはそういう方面に、先ほど申しました阿弥陀一仏、ほかに拝すべきものなしという立場とか、あるいはキリスト教の立場からしますと、そういう儀式に参加することを快しとしないのはあたりまえであります。しいて国がその諸君から取り上げた税金でもってやるということになれば、当然信教の自由を侵すことになるのでありますから、これは明らかに疑義があるのであります。林君の御意見を承りたい。
  104. 林修三

    ○林説明員 そういう点では私は信教の自由を侵すという点はないと思います。これは先ほども申し上げましたとおりに、この式典そのものはあらゆる宗教的色彩から全部隔離したような形で、昨年の日比谷公会堂におけるものと同じようにやっていただくように私どももお願いしてございます。厚生省もそういうように考えているはずでございます。したがいまして、かりに境内地で行ないますけれども、別に靖国神社に対しておじぎをするとかなんとかいうことはないわけでございます。そういう点はないわけでございまして、そういう意味からいってある特定の宗教に対して、たとえば礼拝を強要するということは全然ございません。それからまた国自身が宗教的行事、活動をやるような形式も全然とらないわけでございます。それからまたこういう儀式に参加されるかされないかはもちろん各人の御自由でございまして、これは強制しているわけでももちろんございませんし、そういう意味から信教の自由ということに私は問題はないと思っております。多少例は違うかもわかりませんで、あるいはおしかりを受けるかもわかりませんけれども、たとえば明治神宮外苑も宗教法人の施設でございますけれども、境内地に考えております。しかしこれは宗教的施設はございませんから、これは多少鳥居のあるなしの違いはございます。ございますけれども、非常に潔癖な人があればやはり明治神宮というものにこだわる方もそれはあると思いますし、そういう問題もございますが、ああいう外苑は開放するというように使っておるわけでございます。そういう意味合いから、申しましても、これは別にこれを強制するわけでもございませんし、それから式そのものは全然宗教的色彩から切り離しておるわけでございます。そういうことからいって信教の自由を侵すというふうなことは私はあり得ない、かように考えております。   〔小沢(辰)委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕
  105. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 林さんはそう言うけれども、これはその諸君から取り上げる税金でやるのでしょう。そういうことだったら税金をわれわれは出さぬですよ。靖国神社の境内でもってやるということではわれわれは税金を出さぬです。強制的に取り上げた税金でやるわけですからね。それでなければまだいいですよ。まだあなたの言うことは通るかもしれません、問題は残りますけれども。税金を取り上げておいてその税金でやるのだ、信仰上の立場からそれは行けないのだ、現に基督教団の人は行きませんよ、そういうことになるのです。それだから私はそこであくまでやるをいうことならば、信教の自由を侵すということになるのだと思います。国がやるのでなければそれはどこでやったってけっこうです。国がやるのでなければある遺族団体がやります、それはけっこうです。しかし国がやる。いまの事実としては国事ですよ。国がやる、国民から出した税金でやる。しかしそこには信仰の立場から行けないのだ。極端に言えば、遊郭の中で慰霊祭をやりますからキリスト教の人たちによって拝んでくださいといったってそういう場合に行けないでしょう。清潔な教徒は行けない。ということは、信仰の場合だったら信仰が違うとそうなるのですよ。信仰が違えば、弥陀一仏のほかに一切拝すべきものなし、そういうことになるのですからね。この問題はいま宗教界におきましては非常な問題にしているのです。ですから、いまあなたの意見に私は納得するわけにまいりませんし、私が納得できないということはおそらく日本のそういう宗教団体の中にあるのですよ。そういうことになるのです。私は日本基督教団の一人の代表的な人物です。常議員という仕事をやっているのです。この問題がやはり方々で問題になるのです。常議員会というものは内閣の閣議のようなものであるのです。そういうところで再三問題になっているのです。私のほうでは非常な疑義があるのです、このやり方には。ことに先ほど申しました靖国神社というものが、靖国神社の関係の方はけっこうでありますけれども、そうでないものについては戦争の推進力に利用されたのですから、それだからそれを私どもはまた非常におそれるのです。いま宗教団体が非常におそれているのは、こういうことでこのままほうっておけばこの次はおそらく靖国神社の建物でやるということになる。これを今後このままで見過ごしたら次は建物の中で必ずやられる、神殿でやられる。また国家神道の復活ということになるのじゃないか、それがかつてどういう役割りをしたか、国家神道というものが一体何の役割りをしたか、そのためにたくさんの殉教者が出たわけです。戦争中われわれの団体からもたくさんの殉教者が出た。ついに牢屋にほうり込まれて、そこで殺された連中もあるのです。でありますから非常に問題にしているわけです。いまの憲法では天皇崇拝ということは出てこないでありましょうけれども、かつては靖国神社も伊勢神宮もそれに食いついて天皇崇拝ということにいく、そして思想の統一になり戦争の推進になっていったわけです。そういう苦い経験を持っておりますから、この問題と同時に、また伊勢神宮の問題が出てくるぞということが考えられているのです。非常に神経質に考えられているのです。また考えるだけの価値のあることです、宗教的に言えば。そういうことでありますから、これらの点につきましてはこのような行き方がされたことについてどういう理由からされたかということを私どもはこの際十分に明らかにしたいわけです。先ほど来伺っておりますけれども厚生大臣も新任のことでありまして十分御事情はおわかりにならないようでありますから、なお私の質問が少し残っておりますけれども、この点はあとにしまして、同僚から関連の質問があるそうですから関連の質問を先にしていただきます。
  106. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 小林進君より関連質疑の申し出があります。これを許します。小林進君。
  107. 小林進

    ○小林委員 私は法制局長官にお伺いしますが、あなたはさっきおっしゃった。靖国神社の境内と明治神宮の外苑と同じだと言ったじゃないか。いまでもそんな答弁を正しいと思っていますか。神宮の境内と外苑と同じだ、そう言ったね。靖国神社の境内と明治神宮の外苑と同じだと言ったね。その理屈が正しいと思っているのか、いま一ぺん聞きたい。
  108. 林修三

    ○林説明員 これは先ほど私の申しましたところの、実は速記録をごらんいただけばわかると思いますが、同じとは言っておりません。そういうことを申しますとあるいはおしかりを受けるかもし和ませんということを前提といたしまして、鳥居があるなしの違いはありますけれども、やはり明治神宮の一つ施設であることは間違いない、宗教法人の施設であることは間違いないと先ほど申したわけでありまして、それが全く同じようなものだ、いわゆる社会的に見まして同じようなものだという前提で申したわけではございません。その点はあと速記録をごらんになればわかると思います。
  109. 小林進

    ○小林委員 君はそういうごまかしを言うけれども、明治神宮の外苑と神社の境内が同じ神社の付属物だとか、そんな理屈でごまかしてはいけないですよ。神社の境内というものはいわゆる神社宗教だ。宗教成立の絶対要件ですよ。あなたは一体神社というもの、神宮というもの、神道というものの要素を何だと考えておりますか。ただ神社の奥殿一つをあなたは神社だと思っていらっしゃいますか。拝殿一つが神社だという考えをお持ちになっておりますか。神社というものの構成の中には境内というものが絶対要件として入っているんですよ。神社とは何か。境内を含めたものが神社なんですよ。絶対要件なんです。どうです、これをお認めになるか。宗教法人、神社宗教成立の絶対要件の中に境内というものが含まれているとお認めになるかどうか。
  110. 林修三

    ○林説明員 これは宗教宗教によっていろいろなものがあります。あるいは神社によってもいろいろ違うと思いますが、境内地というものが神社の主要な一部をなしていることはおっしゃるとおりと思います。しかし宗教的色彩から申しまして、神殿、拝殿あるいはそのほかのいわゆる礼拝の対象となる施設、それから境内地、境内地もいろいろの目的に使用されている実情はあるわけでございます。靖国神社におきましても、たとえば春秋の祭礼のときにはあれは催しものにも使っております。あるいは自動車等の置き場、バスの置き場にも使われておりますし、それは神社の崇敬の対象としての施設におのずから濃淡があると思います。境内の特に拝殿から離れた一部分を使う、それも神社そのものを対象としてでなくそういう広場があること、そういうことを対象として使うことは、これは私は神社を利用したことにはならない、かように考えております。
  111. 小林進

    ○小林委員 それは重大な発言をしているんですけれどもね。この問題は私は思いつきでやっているのではないですよ。時間がないが私はひとつ歴史を申し上げるけれども、いま宗教は、国家が宗教に干渉することをやめ、新憲法に基づいてアメリカが進駐して、全神社から、神宮から、官幣大社から、日本の政府は手を引けというときに、そういう手を引けというときの条件に、われわれが宗教の土地払い下げの法案をつくったことを知っているだろう。神社宗教が成立するために絶対必要な境内地というもの、その神社の成立に必要な境内地というものを、その神社の成立に必要な条件として払い下げるための法律をつくった、いままで国有地を神社に払い下げいたしましたね。その払い下げしたときのいわゆる速記録を見てごらんなさい。一体この境内地というものが神社の成立、神社宗教の成立に欠くべからざるものかどうか、もし欠くべからざるものでなければ、その国有地を神社に払い下げる必要はない。これが国会の議論の対象になった。ところがその神社宗教の吉田何がしというボスがいて、神主さんがいて、そしてこれも絶対に宗教に必要な用地である、これも絶対に必要なる土地であるということでいわゆる日光の男体山なんか何千万坪も一絶対に必要な宗教成立の要件であるとして国有地を払い下げたというような、乱暴な払い下げをしたこともあなた御承知のとおりであります。最後に残ったのは富士山頂の浅間神社である。浅間神社の御神体は富士山ということで、富士山を浅間神社に払い下げろということで、これは厚生大臣も静岡県においでになるから、私はよくおわかりになると思うが、そのときにこの神社境内というものが一体宗教の成立に絶対要件であるかどうかということは、この国会の中でも何回も繰り返されてきたことなのです。バスもとめます。そんなような論争はそのときにはなかったのだ。だからいままでのこの法律から持ってくれば、神社宗教の成立には神社の境内というものは絶対の要件なんですよ。これはあなたが言うようにバスの停留所じゃないのですよ一般の広場ではないのです。外苑のように野球をしたりスポーツをしたりしないのです。境内というものは聖域なんです。境内というものはその宗教の中のにおいが——宗教成立のための絶対欠くべからざるものである。その宗教とその神社と終始一体のものなんです。これがなければ靖国神社という宗教法人は成立しないのですよ。それをあなたは一般の広場と同じように神社の拝殿さえ入らなければ一向ほかの広場と——日比谷の公会堂だの青山の青年会館と同じような性格のものだというあなたの答弁は、まことに、いままでの国会における宗教法人や、宗教の論争を全部否定する三百代言的な主張ですよ。私はそう思いますよ。
  112. 林修三

    ○林説明員 旧社寺等に無償で使用されておりました土地を、その当該社寺等に譲与する法律がございます。これは仰せのとおりでございます。ただあの場合に、おことばを返すようでありまが、富士山とか男体山とか筑波山、これはいわゆる山を神体とする宗教だ、お宮だという考え方で、あれはあの敷地全部がいわゆる当該神社と不可分一体のものであるということが主張されたわけでございまして、富士山はいまだに係争問題になっておりますけれども、そのほかの男体山とか筑波山はそういう意味で当該神社に無償譲与されておると思います。しかしそれはそもそもの神社の成り立ちにもよるものでございまして、直ちに境内地が神社の御神体をなすというものばかりではございません。あの法律からいいまして、いわゆる無償譲与したその境内地は、当該神社に由緒の深いところをいわゆる境内地としてこれは無償で譲与しよう、多少いままで使っておったけれども、大体目的外使用しておるようなものは半額で売り払おう、そういう分け方でやったわけでありまして、それでいわゆる境内地としての、あるいは神社へ無償で譲与する区域は政令でたしか全部指定してございます。そして境内地はその当該神社に由緒のある土地であるということでございます。由緒のある土地であることはもう境内地であることは間違いございません。しかしいわゆる当該の御神体であるというような意味の、先ほどの例におあげになりましたようなところは、これは神社全部がそうではないわけでありまして、神社にもいわゆるああいう山岳宗教の神社もあれば、そうではない神社もございます。そういう意味において、私は境内地というものが、靖国神社の場合にはやはり相当広場的色彩も持っている、かように考えていいのじゃないかと思います。
  113. 小林進

    ○小林委員 ぼくは富士山や男体山のように、御神体がなくて窓をあければ富士山が見える、それを神体にしている、そういうものを言っているのではないのです。そういう神社もあって富士山の払い下げ問題で係争が起っておるということを例としてあげただけであって、それはいまでも訴訟を起こして、第一審で負けたり何かしてやっておるけれども、山岳神社は別として、神社の境内というものがその宗教、神社の成立のための絶対的な要素なんです。境内がなければこの宗教の尊厳も失なわれるのだ、宗教の絶対性も失なわれるのだ、この境内はこの神社の神聖と絶対性とこうごうしさを保つために絶対に必要な用地なんだから、だからこれはどうしてもひとつ払い下げてくれ、この神社の成立のために絶対要件なんだ、これはいままでの全部の主張なんじゃないですか。だから境内に入るときには水が置いてあって、口をすすげの手を洗えのといって、そして静々と歩かせるじゃないか。あれがなければ神社は成立しないのですよ。そういうような境内というものを、明治神宮のように野球をしたり、トラックを走らせたりするところと同じでございますなどという理屈を言うからあなたはいけないのですよ。その神社の中で手を洗わせたり口をすすがせたりする、それはもはや宗教的なひとつの魔術なんですよ。雰囲気をつくっているのです。それは全部その宗教に心服させようというので、うたもあるじゃないか。上野の駅から九段まで、一日がかりで歩いてきたら、九段の坂を上って、鳥居の中で、何もののおわしますかは知らねども、おのずから涙が流れるという宗教的雰囲気の中にひたってしまう。その神社の境内と一般の宗教的な雰囲気のない場所と同じだという、そういう解釈が成り立ちますか、事実の問題として。だからあなたはさっき言っただろう。多少まぎらわしいことなしに、云々と言って総理に若干の忠告をいたします、これがあなたのすなおな気持ちですよ。そういうような若干でもまぎらわしいところをなぜ一体最初から日比谷公会堂できめて、国会から、われわれから、予算をふんだくるときは日比谷公会堂でやりますと言って予算を取ったか。  話が飛ぶと悪いから神社のことを言うけれども、そういうわけで神社の境内というものは神社宗教成立の絶対的要素なんだから、場所をそういうところにおいてやったということは何としても間違いです。やめてもらいたい。これは間違いです。あなたのことばはだめだ。三百代言したってだめだよ。自分で多少まぎらわしいと言っているでしょう。まぎらわしいことのないようにやるべきじゃないか。自分の答弁に誠意を持ってやらなくちゃならぬ。それから厚生省もそのとおりだ。何です、国会で。これは予算委員会で予算を出したときに、どこでやるか、日比谷公会堂でや参ます、そのためにはこれだけの予算炉、賃貸料がかかります、金もかかります、それで予算を取ったじゃないか。予算をとったときのその会場を予算をとったあとでなぜ一体変更するのだ。それこそ国会に対する公約違反じゃないですか。鈴村君、なぜそんなことをやったのか。
  114. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 仰せのように国会の予算審議の際には日比谷公会堂ということを予定しておりまして、一応四月には日比谷ということに閣議決定がされたわけでありますが、その後遺族等の強い要望もございまして変更ということになったわけでございます。
  115. 小林進

    ○小林委員 ぼくはあなた方のそれがどうしても了承できないことだ。遺族といったって遺族の全般の意思を代表しておりますか。先ほど来長谷川先生が何回も言われておるように、遺族はそういうことに反対しておるんですよ。そういう特定の宗教の特定な空気が、雰囲気がみなぎっているそういう境内でやることは国民的な行事にならぬと反対しておる。長谷川先生はキリスト教の信者ですよ。私は日蓮宗のパリパリだけれども、日蓮宗一宗は絶対なんです。日蓮宗の信者には南無妙法蓮華経というものは絶対だ。これはすべての教えの中で絶対なんだから。だから私は戦時中といえども靖国神社、明治神宮にもお参りしなかったんだ。それはいわゆる絶対的な宗教で、靖国神社も包含された最高のものなんだ。ぼくはその中で末梢の神社なんかにお参りする必要はないのだ、こういうことでお参りをしなかった。いまの創価学会の初代会長の牧口というのは靖国神社にもお参りしない、皇大神宮も祭らない。皇大神宮を祭らない宗教は国家を冒涜する宗教だというので、戦時中獄中に引っぱられていって弾圧の中で獄中で憤死をしているのですよ。その憤死が戦後と同時に爆発したわけです。靖国神社という特定の国家宗教を一般の宗教に強圧したということだ。当時戦時中は靖国神社というものは他の宗教の上に超然と控える絶対的な宗教だから、キリスト教を問わず、日蓮宗その他何を問わず必ず靖国神社にお参りせい、こういうことを戦時中の軍部が強制したけれども、しかし宗教の信念に燃えている者は国家権力には服従しなかった。服従しなかった者は全部監獄にぶち込んだ。ぶち込んだから、そこで君、囹圄の中に死んだんですよ。この弾圧の中でいまの創価学会が生まれたのだ。だから創価学会の今日の発展は、いわゆる東条をして今日の創価学会に発展せしめた。天草における踏み絵による宗教の弾圧がキリスト教を今日あらしめている。日本古代における蘇我、物部両氏による仏教輸入と神道との戦いが、ついに日本の仏教を今日のごとく発展させた。大体、宗教の発展史の最初は必ず弾圧の歴史がある。いま諸君らは、そのとうとい歴史をまた踏みにじって、東条のおかした間違いをおかそうとしている。靖国神社の境内は、こうした戦時中の、あの神社に参らぬために、あの坂の上を上がらないために、何百万人の人たちが東条によって黒い血を流されているところなんですよ。その黒い血を流された弾圧がいま火をふいて、ああやって創価学会が勢いを得てこの次の選挙には打って出るというので、みんなわれわれが脅かされているのだ。(笑声)そういう事態にそういう弾圧の歴史がある。それを君たちは、靖国神社の境内は普通の広場でございます。何を言うのですか、そんなことは宗教の歴史のイロハも知らぬのです。君たちは、そんなばかなことを言っちゃいけませんよ。国会の中で日比谷公会堂でやりますと言って、国民の前で、国会の中で公約して予算を取り上げておりながら、なぜ一体だますのだ。その遺族がといっても、遺族の一部だ。遺族の一部という名のもとに、権力者の手によって国民を全部欺くことになりますよ。国会で公約した。国民の代表者じゃありませんか。国民の意思は国会によってきまるのだ。その国民の意思をなぜ一体踏みにじったのだ。なぜ踏みにじって予算を取ったのだ。間違っているじゃないか。火事で焼けたとか、あるいは地震でぶっつぶれたというのなら別ですが、これは認めるわけにはいきませんよ。
  116. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 先ほど申し上げましたように、確かに予算審議の際に日比谷公会堂でやるように申し上げましたし、またその後もそのつもりでおったわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情によりまして、その後に変更するような事態になったわけでございます。   〔「理由をはっきりしろ」と呼び、その他発言する者あり〕
  117. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 不規則発言はやめてください。
  118. 鈴村信吾

    ○鈴村説明員 先ほど申しましたように、遺族等の強い要望もございまして変更になった次第でございます。
  119. 林修三

    ○林説明員 いまの変更の問題は、実は私も直接タッチしたわけではないわけでございまして、先ほど申しましたように、厚生省から変更の閣議の書類が出てきまして、それを閣議で審議したというかっこうになっております。そのもとは、やはり遺族側の要望だろうと私は思います。直接私は聞いたわけでもございませんし、私たちが直接タッチしたわけではないわけであります。閣議の席上で、一応私どもとして言っておかなければならないと思いましたことは私は申しました。それは閣議で了承されたわけでございます。
  120. 小林進

    ○小林委員 そういうようなことでわれわれが了承できますか。予算の審議などというものは、だてや酔狂でやっているのじゃありませんよ。真剣にやって、一々克明にその理由まで聞いてやっていることなんだ。それをあなたは何だ、遺族というのは国会における国民を代表するわれわれの発言より強いのですか。遺族の発言は、それこそ田中君の発言ではないが、不規則きわまる。遺族の靖国神社でやっていただきたいというその要望は、国民を代表するわれわれ、国会の中で、日比谷の公会堂でやりますということで予算も認めたわれわれの発言よりも強いのですか。それが強いのなら、議会なんかやらなくてもよろしい。国会なんか要らないじゃないですか。遺族の問題に関する限りは、国会議員の答弁や質問などというものは権威がないとおっしゃるのですか、法制局長官。
  121. 林修三

    ○林説明員 私、そういう問題についても答弁の責任者でございませんから、多少第三者的な答弁になるかもわかりません。しかし、これは結局そのときどきにおいて、初め予算を組むときには靖国神社でございませんで、日比谷の公会堂ということを念頭に置いて厚生省の事務当局ももちろん案をつくったものだと思います。現に七月何日かに閣議決定もしているわけであります。しかし、その後のいろいろの情勢だと思います。私が直接タッチしたわけではございませんが、諸般の情勢としか私には言いようがございません。しかしながら、それが政治的な一つの力もございまして、そういう意味でああいうふうになったのだと思います。もちろん国会においてごうごうと言ったことは、一つ政治的な責任の問題もあると思います。あると思いますが、これは法律的に言えば、これはまたおしかりを受けるかもわかりませんが、予算のまことにこまかい細目の問題でございまして、予算そのものの使い方としては、要するに追悼会をやることの式場の費用でございまして、その式場に相当する費用はあの予算の範囲内で使えばいい。これはきわめて形式的予算と言えばそういうことになります。ただ、国会においてそういったことについての政治的な責任はもちろんあると思います。また同時に、これを変更したことも、一つ政治責任として、これはやはり変更としてそのように考えるべきだと思います。これもまた政治的責任だと思います。
  122. 小林進

    ○小林委員 そういうことを言うからいけないのですよ。それは単なる予算を組んで、何々村に幾ら交付金をやるというのなら、単なる予算で問題にならぬけれども、同じ予算の中でも、たとえて言えば文部省がつくる教育会館をどこにつくるということは、教育会館そのものの場所も、設立の内容も絶対的な要件ですよ。その内容を全部含めてわれわれは予算を認めたのです。同じように靖国神社の祭礼を、どこでその式を認めるということは、単なる予算的措置の金を認めたわけではないのですよ。その会場をどこにするかという、これは絶対要件にしてわれわれはその予算を認めている。だからこの問題は、ぼくはぜひ総理大臣に来てもらって質問したい。  厚生省に第三の問題として言うけれども、これはことしだけの問題ではないのですよ。去年の国会でもこの問題がどんなに問題になっているか、あなたは知っているだろう。鈴村君、君の前任者の山本君は 君より少しりこうだった。先ほども厚生大臣が言われた中で、新宿でやられて、それから去年は日比谷だ、ことしは靖国神社と言われたが、私はちょっとその記憶がない。去年の行事が、私は第一回目じゃないかと思う。去年のその第一回の行事を日比谷の公会堂でやるために、いかに君の前任者が苦労したか。そのときに彼は、一々——これはわれわれ社会党でも何回も会議を開いた。しかし、国がこういうような戦没者の宗教的行事を行なうことは、国民にむしろ戦争を賛美するような空気を生むのではないかということで、われわれ社会党のほうは賛成できなかった。やるのならば政府の手を放せ、手を放してほんとうの民間の関係団体だけでその行事を主催してやるべきである、国はみずからこれをやるべきじゃないということで、われわれは何としてもこういう宗教類似の行為——あなた方は宗教類似の行為ではない、追悼会だと言うだろうけれども、追悼ではない、これは宗教類似の行為だ。その宗教類似の行為はやはり戦死者を謳歌し、戦争を謳歌するというような空気を助長するおそれがあるから、国自体がそういうよらないわゆる祭礼を行なうべきではない、宗教的類似行為を行なうべきでないということを大いに議論した。そのときに山本君達何回も、絶対に宗教的類似行為ではございません、追悼でございます。しかも、ほんとうに事務的な措置だけを厚生省の援護局がやるのであって、あとは全部下から盛り上がる空気によってやらせます、そういうことで種々折衝した。その折衝の段階の最後のところに行って、大臣がこの祭礼のあいさつをやるのならわれわれ野党の委員長のあいさつもやらせるか、自民党の総裁があいさつをするなら野党の河上委員長のあいさつもさせるか、こういうところへ話が行った。そこで河上委員長もあいさつさせるかさせないかと、だんだんやってきたけれども、君の前任者の山本君が、野党の党首にこういうような祭礼、国民的な行事の中であいさつさせるという前例はない、世界的にも、何か英国のチャーチルが、何かのときにやったことがあったかなかったか知りませんが、その他はどう考えてもそういうことはないから、どうか御了承いただきたい、しかし絶対に国民の疑惑を招くようなことはしない、だから場所も日比谷の公会堂以外やりません、宗教的におい——神社のにおいも、神さまのにおいも、キリストのにおいも、佼成会のにおいも、創価学会のにおいも、そういう宗教的においのするようなところでは絶対にやりません、線香のにおい、もうお寺のにおい一つしないようなところでこれをやります。こういう幾つもの条件を全部つけてやってきた。長い間の折衝をしてきた。彼なんか、足を棒にして一人一人問題のあるところを訪れて、そうしてこの行事ができた。何です、君は。そういう前任者が血の涙を流してやった第一回目の日比谷公会堂の行事、二回目にもうわれわれのおそれたような方向にちゃんと持っていったじゃないか。だから、この問題はわれわれは了承できない。きょうやきのうの問題ではないのですよ。そういう苦心をし、そういうほんとうにこまかい神経を使って、ようやく去年日比谷の公会堂でそういう追悼会をやった。しかし、それでもなおわれわれは、宗教的な行事や特定宗教につながるおそれがあるのではないか、あるいは戦争につながるような懸念を持たせるようなおそれがあるのではないかということを非常に心配して、そのあとの成果もわれわれは全部調査した。そして今日に至っている。その前任者の苦労を君は土足にかけておるのではないか。そういうようなくだらぬことを言って、われわれ了承できませんよ。  委員長、総理大臣をひとつ早急にこの席上へお呼びいただくように、特別の御措置をいただきたい。この問題はあらためてわれわれはやらなければ、ほこをおさめるわけにはいきません。  関連ですから、これで終わります。
  123. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して。  これは神田さん、初めてこの問題に取り組むわけです。私の記憶では、たぶん新宿御苑と千鳥ケ渕、それと日比谷と、今度四回目だと思うのですが、あるいは三回かもしれません。千鳥ケ渕はやはり追悼式をやっているのです。いま言うように、前の山本さんのときには、これは課長がわ恥われのところに来てるる説明している。そうして日比谷でやることについて、実は新宿御苑でやって、千鳥ケ渕でやって、しばらく間がとぎれておったわけですから、やはり社会党の了承を求めなければいかぬというので、ずいぶん来て、党にも相談があった。小林さんの言うように、党の政策審議会にもかけて、そうしてずいぶん討議をしたのです。そして河上委員長の問題も出たわけですが、しかしうまくいかずに、社会党は必ずしも乗り気でなかったわけです。ところが昨年の十一月の衆議院の総選挙では、与党の諸君は、社会党はこの遺族の追悼式に出なかったと言うて、こてんこてんに社会党を選挙の立ち会い演説でやっつけた。そういう故事来歴があるのです。そうして今度は日比谷から靖国神社にいかれるわけでしょう。こういうように社会党をこてんこてんにやっつけて、そうして実は遺族会は社会党に寄りつかなくなっちゃった。ところが今度、あなたが御存じのとおり援護法を審議することになりますと、やはり野党の社会党の了承を得なければなかなか法案が通らないということになった。そこで遺族会の皆さん方も、これはああいう行為はいけなかった、やはり社会党にも十分相談をしなければいかぬ、こういう形になってきておるのです。なってきておるのに、靖国神社でやることについては一言半句もあなたは言っておらぬ。内閣も言っておらぬです。国会で野党に説明をするときには、去年と同じように日比谷公会堂でやりますと言っておきながら、何ら社会党にも相談なく、今度は一挙に靖国神社に持っていかれる。そうすると、御存じのとおり、七月三日には憲法改正に関連する最終的な報告書炉出ておるわけです。そうして社会党は、また九条を改正して軍備をやるのじゃないかという疑いを持っている。その疑いを持っている社会党が、今度靖国神社にいった場合に、一体出られる状態ができるかどうかということです。こういう国民的行事を国の予算を使ってやるには、やはり高度の政治的配慮をやることが当然ですよ。当然のことなのです。しかも法制局の林さんが、小林さんの御指摘になったように、やはり幾ぶんは私もためらったと言う。法制局の長官さえもためらうような問題なんですからね。いわんや野党のわれわれが、去年でさえも日比谷でやることについていろいろ議論があった社会党として、なおためらわざるを得ない。そういうように野党の第一党がためらうようなことを、今度は案内状を出して、来なさい、こういうことでしょう。こういうことが、一体池田さんの政治でまかり通っていいのかどうかということですよ。少なくとも二大政党の一つの社会党がためらうような国民的な行事を、総理大臣の名で各国会議員に案内状を出す、そうすると、いま長谷川さんも小林さんも言うように、われわれはなかなか行けませんよ。こういうことをやることが、一体一国の政治をスムーズにやることになるのかどうか、これでほんとう政治をやることになるのかどうか、人間不在の政治を、今度はほんとう人間存在の政治にいたしますと佐藤さんと握手した池田さんの政治であっていいのかどうか。これは野党を無視しているじゃありませんか。まだおそくありませんから、もう一ぺん閣議でやってもらわなければならぬが、閣議でやってもらう前に、池田さんにここに来てもらわなければならぬ。これは一国の政治における非常に重要な精神的な問題だと思う。簡単な問題じゃない。小林さんの言うように、予算の扱いを、保育所をA地区につくるのをB地区に変えたというような問題じゃない。きわめて重要な日本人の精神的な支柱の問題です。こういうような大きな問題を、あなた方が予算をきめておいて、かってにここできめておって、そうして野党にはついてこい、そういう態度では絶対納得できない。だから、こう変えるならば変えるだけの、納得のいく説明を総理大臣みずからここに出て説明していただきたい。これは、あしたは土曜日で箱根で御静養にならなければならぬかもしれないと思いますけれども、重要な国事ですから、午前中時間を区切ってでもけっこうですからここに来てもらって、社会党の質問を受けてもらって、われわれの納得のいく形でしてもらいたいと思う。そうしないと、もしあなた方がかってにお通しになるならば、鈴村さん、はっきり言っておきますが、これからわれわれは援護局の予算は一切認めませんよ、不信行為ですからね。その点はひとつはっきり腹に入れて、あとはこれは田中委員長代理厚生大臣、御相談になっていただいて、あす午前中ぜひここへ総理大臣出席していただいて、この問題について納得できるようにしてもらいたいと思います。
  124. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいまお話しのとおりであります。しかもこの問題は、二つの大きな問題をはらんでいる。一つは、憲法第二十条におきまする信教の自由の侵害の疑義がある。第二は、先ほど来お話しのように、予算を一たび国会できめておきながら、それをかってに変える。しかも遺族諸君の要求によってということでありますけれども、これは遺族全部じゃない。遺族のある団体ということであります。そういうことによって、国会できめられたことが軽々に変えられてはたまったもんではありません。そういう圧力団体によって国会の決議が変えられるべきものではありません。こういう二つの大きな問題をはらんでおります。今後にもかかわる問題であり、かつて戦争の推進勢力ともなった問題ともからむのであります。また、さきにも申しましたように、私の知る限りにおきましても、日本基督教団その他から抗議書が総理大臣あてにたぶん提出されておるはずであります。したがいまして、それらの非常に大きな問題をはらんでおりますから、委員長におかれまして明日ぜひ総理の出席を求められ、私どもに納得がいくように、全国のこれに対して疑義ある人々に納得がいけるような解明をしていただきまするように、委員長の善処をお願いする次第であります。  さらに、もう一つ伺っておきたいことは、いま林法制局長官のだんだんのお話がありましたが、明確な問題をこの際つけ加えて伺っておきたい。  それは御承知のように、全国の公共団体これは国の機関も同様でありますが、国の機関あるいは公共団体におきまして、建築物あるいは橋をつくる、鉄道を敷く、こういうようなときにやはり神道の儀式をもっておはらいその他のことをやるのであります。これに国の金あるいは公共の金が出るとすれば、これは明らかに憲法違反だと思いますけれども、この点は法制局長官としてどう考えられますか。
  125. 林修三

    ○林説明員 いまおっしゃったような起工式とか竣工式とかに、いわゆる神式でございますかの行事が行なわれていることは、どうも事実のようであります。これは行ない方にはいろいろあるようでございまして、工事業者がやっている場合もあるようでございますが、しかしやはり公共団体等がみずからやっている例も多いようでございます。この点につきまして私どももかねて考えておるわけでございますが、かつて、実は少し問題は違いますが、例のクリスマスのツリーを国鉄の駅の前に立てたということで問題が起こったことがございます。その際に私ども意見を聞かれまして、ああいうクリスマス・ツリーは、日本においてはすでに宗教的色彩を失って一種の習俗的な行事であるというふうになっているんじゃないか、あれを見て直ちにだれも宗教的感じを抱かないんじゃないか、そういうふうにわれわれ申しまして、あの程度のものはいいじゃないかということを申したことがございます。いまの起工式あるいは竣工式につきましても、実は私ども、すでに日本のいわゆる古来の習俗というようなことになっておるんじゃないか。これはいろいろの例を見ましても、仏教信者がおはらいをするときにもああいうものを使う、あるいは竣工式、起工式にはああいう式をやる、あるいは役所のたとえば火よけに秋葉神社のお札を持ってくるというのは、これは必ずしもその人が神道であるということに結びつかないで、日本においてはすでに一つの習俗的なものになっている、こう考えていいんじゃないかと私ども考えて、そういうようなこととしてどうも認めざるを得ないんじゃないかと思っておるわけでございます。
  126. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 それは全くのひどい話でありまして、これは神の降臨を祈って、御承知のようにのりとも日向の橘之小戸とかなんとかいうことを言う。これは全くの神道の儀式であります。これを単なる習俗ということはいけない。むしろやはり国あるいは公共のものは、そういう宗教を入れる必要はない、何も入れる必要はないのであります。したがって起工式なら起工式、竣工式なら竣工式を無宗教でおやりになればいいのでありまして、そういう形ですでに行なっているところもあります。実業家などでもあります。この間も私はある件で関係したのでありますが、本田モーター、あれなどはもう起工式なんて何もやりません。そういうことでいいんだと思います。だから国や公共の機関が、従来の習慣というような形で神道でやるというのは変だと思います。金を出さなければいいのでありますが、国費や公費を出すということになると、明らかにこれは憲法違反です。あれはどう考えたって宗教的儀式でありますから、私はやはり、国あるいは公共機関、ああいうものは無宗教でやるという立場でいいのであります。いろいろな市民がおりますから、一々あそこへ呼び出されてかしわ手をたたかされては困るのであります。信仰のきびしい人は非常に困るのでありますから、この点はそういうふうに考えるべきで、これを習俗と考えるのは間違いで、明らかに憲法違反である。もしこれを憲法違反として訴訟を起こされた場合、おそらくこれは負けますよ。必ず国は負けます。これはどんなに見たって、もう全く神道の儀式であります。ですから、この問題とともに考えてもらいたい。そして、これは行なってしまったのではないのでありますから、ずいぶん困難であるかもしれませんけれども、いまからでもおそくないから閣議でもう一度考えられて、この問題はやはり無宗教で日比谷公会堂でなさるとか、あるいはその他のところでなさるとか、そういう宗教的な色彩のない、やるならば全国民が喜んで参加できるようにしてやらしてもらいたい。そうしないと、ある遺族はそれで満足したが、ある遺族はこれに対して非常に憤慨をせざるを得ない。参加できないということでは困ります。それに国の税金を出すことは困ります。でありますから、明らかに信教の自由の問題である。また国できめました予算をかってに流用なさる、しかもそれは宗教的色彩のあるものに、一団体の圧力によってするというようなことでは困るのでありますから、これはあらためて考えていただくようにお願いしたい。この点を明確にするために総理の出席を要求をいたします。
  127. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  128. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 速記を始めて。  河野正君。
  129. 河野正

    河野(正)委員 御承知のように、第四十三国会におきまして消防法の一部改正が行なわれたわけであります。そういたしまして、救急病院等を定める省令ができて、それが本年の四月十日より実施されるという経緯に相なったのでございます。ところが、この六月末までに知事の告示によります救急病院が誕生いたしましたのは、全国におきまして、岩手、石川、富山、滋賀、大分、こういうような数県というきわめてわずかな実情でございます。せっかく法改正が行なわれて、人命救助に一役を買おうということでこの消防法の一部改正というものが行なわれたように考えますけれども、実際にはいま申し上げますように、国内におきます数県が救急病院の指定を受けるというふうなていたらくであって、私はまことに遺憾な状態であろうというふうに考えております。   〔田中(正)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  それから同時に、もう一つ重大な点は、各県の医師会あるいはまた病院からいろいろと批判の声が出てまいりまして、そうして佐賀県医師会のごときは、救急病院設置への協力お断わりを申し上げる、こういうような決議をするというような、きわめて強硬な批判の声が出てまいった県等もございます。このことは事人命救助の問題であり、人道上の問題であるだけに、私はきわめて重大な問題であろうかと考えております。これにつきましては、後ほどいろいろと具体的にはお尋ねしてまいりたいと思いますけれども、やはり政府のとりました処置に対します一つの大きな批判と申しますか、そういう点が非常に大きな要素となったように私ども仄聞をし、また理解をいたしております。そこでこのそっぽを向かれた救急病院、この問題について政府はどのようにお考えになっておるのか、その辺の事情をひとつあらかじめお聞かせいただきたい。
  130. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 お話のとおり、消防法の一部改正に伴いまして、厚生省令で救急病院救急診療所を県知事が告示することになっておりますが、その告示が現在十六県、五百十五病院、このほかに二県ばかりが近く告示の予定になっております。こういうふうな状況でございまして、全国の府県の半分も指定ができていない、はなはだこの点責任を感ずるものでございます。ただ、この救急医療のしかけは、消防署の関係救急車が運んでいきます場合に、そのファースト・エイドをすべてもよりの医療機関でやることになっておりまして、それに対して特にある程度の救急医療の設備等を設けておって、そこに車で持っていきますれば十分な救急処置ができるというふうな病院を確保したいという立場で、一般病院のほかにこういうふうな病院を、病院側との合意の上で都道府県知事が告示をするというしかけになっておるのでございますが、この告示の話し合いの際に、条件といたしまして、救急医療に関しましての相当な知識と経験を持っております医者が常時診療に従事している、また手術室とか麻酔器、エックス線装置等の必要な設備を有すること、救急隊員によって患者の運び込みが便利であるというようなところ、また救急患者のために優先的に使用せられる病床を有すること、こういうような条件を考えたのでありますが、その条件の話し合いが少し厳格に伝わった。たとえば絶えず一定数のベッドをいつもあけておかなければならぬというふうにとられたようなところもあったようでありまして、もちろんそうしておったほうが望ましいのは望ましいのでありますが、まず何よりもやはりそういうような協力していただきます施設を確保していただきますことが大切ではないか、こういうふうに思うものでありまして、少しそういう理想的な条件を強調し過ぎた点につきましては、訂正をして御協力を願うようにいま手を打っております。しかしそれと同時に、できるだけやはり御協力をいただき、さらに理想的な形に持っていきたいと思いまして、来年度におきましては、そういうような施設に対しまして経費の補償をするというようなことを考えていきたいというような計画も、いま練っておるところであります。
  131. 河野正

    河野(正)委員 この消防法が改正をせられました最も大きな理由というものは、御案内のように、最近都会におきましては、交通事故その他の事故発生というものが非常に激甚をきわめつつある現況にございます。そのような点から、これまでは消防署のサービスであった救急業務というものが、人口十万以上の都市におきましては法的に義務づける、こういうような経緯のもとに法改正が行なわれましたことは、これはもう御承知であろうかと考えております。そこで、いま局長が御答弁になりましたような、要するに事故があった場合にはもよりの一般病院に入れればよいのだ、特別の治療をする場合に限って、設備の整った救急病院に入れるのが筋であるので、そこで何か救急病院の指定というものが、全国的にはかばかしくいっておらぬのでございますけれども、そういう責任を痛感するというよりも、いまの答弁を承っておりますと、むしろ何か法改正あるいはまた省令の策定について、受けるほうの施設側に非常に問題がある。そういう問題をほうかぶりをして責任を回避しようというふうな意味に、私どもは実はいまの答弁を受け取ったわけであります。ところが、実際法改正をしようというのは、最近の都市における交通事故その他の事故現象が非常に多くなった。そこで、これはやはりサービス的な救急体制では所期の目的を達成することができぬという意味で、むしろこの法改正によって救急対策というものが強化さるべきだ、そういう意味でこの法改正がなされたものというふうに私は理解をいたしております。ところが、どうもいまの答弁を聞いておりますと、とにかく救急指定病院というものが全国の府県の中で半分以下にとどまっておるけれども、しかしもよりの病院に入れればよいのだからということで非常に安易に考えておる。このことは、少なくとも法改正が行なわれた精神というものがはなはだしくゆがめられておる、こういうふうに考えますが、この辺は大臣いかがお考えでありますか。大臣からひとつ率直なお考えをお聞きいたしたい。
  132. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  実は就任早々で、御満足いく答弁ができるような段階でないことをおわびいたしますが、いまお聞きいたしておりまして、またこの省令等を見ておりますと、いままた局長からの答弁によりましても、所期とどうも違って効果があがっておらぬで、はなはだ残念だということを言っておられるようでございます。私はやはり、いまお述べになりましたように、交通激甚化に備えて、この種のことはもっと意欲的に親切にやっていく必要があるのではなかろうか、こう思っております。十分検討いたしまして、将来御満足のいくようにいたしたい、こう思っております。
  133. 河野正

    河野(正)委員 先ほど局長のお答えを承っておりますると、この省令の骨子の中に若干問題がある、その点については、ひとつ今後もう少しその骨格の線というものをゆるめていきたい、こういうふうなお話があったわけですけれども、私はむしろ、この三つの柱というものは非常に正しいと思うのです。ですけれども、要はその裏づけがないから問題があるわけなんです。救急病院でいまの三つの柱が整っておらぬことは、私は緊急の事態の中では非常に欠陥があると思うのです。ところが、その裏づけがないから病院からそっぽを向かれるということになっておるわけですから、病院がそっぽを向いたからこの三つの柱をゆるめていこうということは、私は、法の精神からも非常にかけ離れた御見解ではなかろうかと思うわけです。むしろこの三つの柱をせっかく立てられたわけですから、その三つの柱に応ずるだけの裏づけをお考えになれば、それぞれの病院というものは、あるのは人道上の問題で、人命救助に一役買うわけでございますから、私は喜んで参加すると思うのです。ところが、自分のところで裏づけを出すことが困難である、なかなかむずかしいということで、せっかく自分のとこで理想的な三つの柱を立てたが、その三つの柱をくずそうというわけですから、私はこれはまことに残念と言わなければならぬし、そういうことで、はたして、特に法が改正されました精神というものを厚生省のほうは尊重していこう、実行していこうという熱意を持って考えておられるかどうかということについて、私は非常に疑問を持たざるを得ぬと思うのです。この点いかがですか。
  134. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 私の御答弁が少しまずかったのか誤解があるように思いますが、医師は診療の義務がある、そういうところで、現在すべての医療機関に救急患者を持っていきました場合に、診療をやってもらえる、ファースト、エイドをやってもらえるわけでございますが、しかし特に適正な救急医療をやる、また消防庁が運んできました場合に、すぐにそこへ受け入れてもらえるようにということで、こういうような救急施設を話し合いによって告示をしていく、こういうような組織になっているということを申し上げたのであります。従来は、そういうような組織が必ずしも法的にも明確でなく行なわれておった。それで、ただいまお話がございましたように、自動車事故等の災害によりまして、救急医療の必要性が高まってまいりましたのに対しまして、消防庁と一緒になりまして、こういうふうな組織をまずつくり始めておる、さらにこれを強化しなければいかぬということをわれわれは感じておるものであります。ところが、まず現在の時点におきまして、われわれの立場といたしましては、協力してもらう病院を十分各県で、すべてのところで確保するということに主眼をまず置きたい。同時に、それをいまから高めていくように、先生のいまお話しのございました裏づけをしていくようにいまからつとめていきたい。こういうふうに一つ発展形態としていろいろ施策考えておるわけでございます。もちろん、お話のありました、初めから裏づけをちゃんとやっておけばよかったわけですが、その点が現在十分にいっておりませんので、来年度予算におきまして努力していきたい、こういうように思っておるわけでございます。
  135. 河野正

    河野(正)委員 省令の骨子は、先ほど局長が説明されましたように、第一が、救急病院には事故に備えて医師が常時待機すること、この点はきわめて私は望ましいと思うのです。これをやらないことには救急病院の意義がないので、これが今日までいろいろ悲劇の対象になっておるわけです。特に日曜、祭日に事故があって、かつぎ込んだら医師がおらぬということで、とうとい生命を絶たなければならぬというような悲劇の対象になった場合が非常に多かったと思うのです。そういう意味からも、救急病院には事故に備えて医師が常時待機するということ、これは一つの理想像だと思うのです。  それから第二の手術室、麻酔装置、それから、エックス線装置を完備すること、これも適切な治療を行なうためには手術室があったり、あるいは手術するためには麻酔装置があったり、あるいは骨折その他があるからエックス線装置がある、これは当然望ましいと思うのです。そういう施設がないと、いろいろと後遺症が残る、あるいはまた、そのために治癒の方針を誤るというようなこともありますので、この第二点も一非常に私は正しいと思うのです。  それから第三点の、救急事故患者を優先収容する専用ベッドを備えておくということ、これも都市におきます交通事故等によります場合は、入院しなければならぬというようなケースが非常に多いわけです。ところがこの病院にはベッドがない、そこで受け付けるわけにはいかぬということで、これまた患者がたらい回しになってとうとい生命を断った、こういう不幸な現象もございます。ですから私は、この省令の骨子そのものについては、これは非常に当を得たものと考えております。また少なくともとの法律に基づいて救急病院に指定なさるわけですから、法律に基づいて救急病院の指定をなさる以上は、それくらいの三つの柱というものは当然立てなければならない、こう考えるわけですけれども、それがじゃまになって救急病院の指定を申請する病院が少なくなった、あるいはそういう柱が問題で、救急病院がそっぽを向いてしまう。そこで先ほどの答弁を伺っておりますと、そういうことだからこの三つの柱についてはある程度方針というものはゆるめてまいりたい、こういうような御答弁がございました。それならば、せっかく法改正というものが、今日都市に激増いたします交通事故に対処するための方策と遠ざかるのではないかというようなことで、実は私は御指摘を申し上げたのでございます。それで私は、法に基づいて今日激甚化する都市交通に対処するためには、やはりこの三つの柱というものが理想像であるならば、その理想像を柱として、それぞれ指定を行なうということが望ましいと思うのです。それらの点についてはどのようにお考えでございますか、ひとつ率直に御意見を承りたいと思うのです。
  136. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 私たちも、この要件ができるだけ完全に満たされるように努力をしていきたい、こういうふうに思っております。ただ現在、この条件につきまして、たとえばベッドの問題、優先的に救急患者に使用するベッドというふうなことがえらく厳重に考えられまして、救急患者が来た、三ベッドある、それがふさがってしまった、すぐまた追い返しても三ベッド置かなければならぬのか、こういうふうにまで厳重に考えられたわけでございます。またお医者さんにいたしましても、外科の主任のような人が絶えず三交代でそこにずっと待っていなければならぬのか。自分がすぐ近くの自宅におって、ちょっと電話で呼び出してくれるのではいかぬのか。いまのような状態が望ましいことは事実でございますが、そこまで理想像ばかり追って現在御協力が得られないような状態では、かえって計画の過渡期においてまずいのではないかという意味から、たとえばお医者さんは近くて済む、必要のときには診療できるというふうな状態になればよろしいというふうに、この条文の考え方を趣旨に沿いまして考えていきたい。だからベッドにおきましても、三ベッドなら三ベッド用意しておったのが救急患者で詰まったら、その旨を消防庁のほうへ連絡する。毎日定時連絡をして、あいておる状態をよく知っておって、消防庁のほうから患者を運びますときに、あいているところがはっきりわかって運べるようにして、いま先生のおっしゃいましたように、ぐるぐる回しをするようなことがないようにするのが趣旨だと考えまして、考え方の行き過ぎを訂正しておるという状態でございます。  それでいまの状態でいいのか、満足なのか、こういうお話になりますと、われわれは必ずしもそうは思っていない。できるだけ、先生お話しのようにベッドもあけて、医者を待機さしておるように、またいろいろな設備も、ここに書いてありますものだけでなくその設備を十分にしていく、また医者の技術も向上していくように講習会もやるというふうにしてレベル・アップにつとめていきたい、こういうふうにしてことしも講習会をいま始めておりますが、来年度予算におきましてもできるだけこの方面の措置を講じていきたい、このように考えておるのでございます。
  137. 河野正

    河野(正)委員 要は、いま私が申し上げましたし、また省令の中にうたわれております三つの骨子というものは正しいわけでございますけれども、それらの骨子を実行するためには、いろいろ病院なりの事情が出てくる。特に経済的な事情が出てまいります。ところが、そういう経済的な事情についてなるたけ責任を持ちたくない。そういうことから、どうもいまの三つの骨子というものがだんだんゆるめられる、こういうふうな印象をわれわれは受けるわけです。たとえば、いま骨子の第一項にございます救急病院には事故に備えて医師が常時待機すること、待機することは何も病院でなくても自宅でもいいじゃないか。しかしながら現実にはやはり自宅で拘束されるわけですから、それぞれ拘束するについては手当を支給しなければならぬ。ところが自宅におれば経費の負担等はそのままでいいんだ、こういうふうな安易な考え方でおられるから、施設側では救急病院お断わり、こういうことになってくると思うのです。ですから常勤させてもらう。自宅でもけっこうだけれども、しかしいつでも待機しろとなる。ところがそれらについては経費的な手だてをするのだ、こういうことであればいいのですけれども、それらについては全然触れられていない。あるいはまた、夜中に事故が起こるということになりますと深夜勤務になるわけでございますけれども、それらの点については何らかの財政的な処置が行なわれるのかどうか。施設側は、それがために夜中に出てこなければならぬ、夜勤手当も出さなければならぬ、深夜手当も出さなければならぬということでございますけれども、それらの点については厚生省のほうでは何らお考えにならない。あるいはまたベッドの確保にいたしましても、三名収容したあとは結局全然確保しないということになりますと、もうその救急病院の機能の限度というものがきまってしまう。そうなると、四人目の事故者はどうするのだという問題があると思う。ですから、救急病院である以上、一定のベッドというものは優先確保してもらわなければならぬ。たとえば同じ地域に二つも三つも救急病院があればいいです。一つしかない。ところがその一つは三つだけ確保しておるから、あとは優先ベッドは確保せぬでもよろしいということになると、結局次の病院に行っても断わられる、その次の病院に行っても断わられる。これが二つ、三つありますれば、Aの病院で満床であればBの指定病院ということになるわけですけれども地域的にそれぞれ指定病院というものは申請によって指定を受けるわけでございますから、従来はこの地域はこの程度の指定病院がなければならぬというようなことで、一種の適正配置というような点についても考慮されたわけでございますけれども、今日では必ずしも適正配置ということを考慮するわけにいかぬ。各個人が申請しなければ指定を受けぬわけですから、今度の省令によりますと、必ずしも指定病院というものを適正配置という形で配置するわけにいかぬ。こういう事情もあるわけですから、優先的に収容するベッドというものが確保されなければならぬ。そうだとするならば、やはりいまこのベッドの回転というものは、特に医療費問題で問題になっておりますように、物件費が高まって非常にいまの医業の経営というものは困難な状態でございます。そういう困難な状態の中でわざわざベッドをあけることについては、病院経営にも非常に大きな影響をもたらすわけでございますから、そのような事情であるならば、その収容のために優先するベッドについては何らかの手だてというものを考えなければならぬ、こう思うわけですけれども、それらについては何ら処置がされておらぬ。そういう事情が重なっておりますから、それぞれの機関というものは救急病院お断わりです。それはそれでいいとしても、結果的には、救急病院の指定というものが人命救助ということに非常に大きな役割りを果たすわけでございますので、そのためにとうとい人命を断つということになりますと、その責任というものは全部厚生省政府側が背負わなければならぬ、こういうことになるわけですけれども、とにかく救急病院はつくらなければならぬ、金は出したくない、これは厚生省のけちな考え方です。そういうことで、せっかく法律が改正されても、立法の精神を生かすことはできぬと私は思う。この点は、大臣就任早々ですけれども、いまの局長のような考え方では困ると思う。ですから、いま申し上げましたような諸問題を解決されぬ限りは、この問題を全国的に解決することは困難だというふうに考えます。ですから大臣、このような問題を解決するにはどのようなお考えで臨んでいただけますか、大臣の心がまえ、そういうものをひとつ承っておきたいと思います。
  138. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  ただいまお尋ねになっておったことは、近時の交通状態にかんがみまして非常に緊要なことだと考えております。就任早々で、まだ具体的にあまりはっきり申し上げることもいかがかと私は思いますが、お聞きいたしておりまして、また医務局長の答弁等も参照いたしましても、どうも隔靴掻痒の感じゃないか、大事なところが抜けているのではなかろうかというような感じを持っております。言うまでもなく、予算に関係しておる面も多々あるようでございますから、来年度予算の編成にも近く当面してまいりますので、その辺で十分ひとつ検討いたしまして、御期待に沿いたいと思っております。
  139. 河野正

    河野(正)委員 先ほどちょっと私が申し述べたのですけれども、たとえば医師会では救急病院設置は協力まかりならぬ。いま横のほうで長谷川先生から、静岡県もだめだというふうなお話でございます。こういう実情があるわけでございますが、それは私、いまいろいろ具体的に指摘をいたしましたように、救急病院ということはなるほど人道上の問題でございます。人命救助に関する問題でございます。ですけれども、いまの低医療費のもとで、さらに経営上マイナスの問題をかかえるような指定は困るということが、やはり医師会の切実な考え方だろうと私は思う。できるならば指定を受けたい、受けたいけれども、いまでも低医療費のために病院経営というものは非常に困難だ、さらにまた今度指定を受けますと悪条件が重なる、それではかなわぬということで、各医師会がもう指定病院協力まかりならぬ、こういう決議をやったというように私どもは想像せざるを得ぬと思うのです。この辺は、大体医師会側と省令をつくるにあたっていろいろお話し合いになりました経緯があるのかないのか、神田厚生大臣は新任早々でございますけれども、どうもえてして、医療費問題とからんで厚生省と日医との間にいろいろ問題がございます。そういう感情的な問題でこのような問題を取り扱われますると、結果的には、国民が非常に大きな迷惑をこうむるということでございます。そこで、その辺の事情というものが一体どういう事情であったのか。私は、その辺の話し合いというものがもっと突っ込んで行なわれておれば、もう少し医師会の協力が得られる範囲でいろいろな省令というものを出されたと思うのです。省令は出したが、医師会はそっぽを向いた、協力まかりならぬ。このことは、今日の厚生省というものが、医療費問題とからんでどうも感情的に意思の疎通が十分行なわれていない、こういう結果ではなかろうかというようなことを私どもは想像せざるを得ぬと思うのです。その辺の事情はどうですか。
  140. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 この救急医療の体系を、消防法の改正に伴いましてわれわれが計画いたすに際しまして、日本医師会とは十分な連絡をとり、その審議会に菊地理事が入っておるわけであります。ただこの事態につきまして、私たちも医師会のほうも、従来の救急病院東京都内での経験から、少し甘く考えておったというところがあったのではないかと反省しておりますが、医師会のほうも、三十九年三月十六日に日本医師会長から府県医師会長あてに協力せられるようにという希望の通達を出してもらったりして、一諸になって各医師会の会員の方々を説得してもらうように努力しているわけであります。しかしお話のように、いまの裏づけになります経費等につきまして、大臣もいまお話がありましたように、われわれもちょっとおそくなりましたけれども、これから十分予算措置を講じていくように努力をしていきたい、こういうように思います。
  141. 河野正

    河野(正)委員 一般の私的医療機関については、今後はいろいろと財政的な援護処置をやっていきたいということでございますけれども、今日はそれらの点について何ら処置が行なわれることなく、いろいろ慫慂されておる。医師会と十分話し合いをしたいということでございますけれども、おそらく何とか救急病院の指定を受けてくれぬかというような慫慂をなされたというふうに、私どもはいまの答弁からは理解せざるを得ぬ。しかし、現実に運営をするほうの施設側では困る。これはほんとうの現地の声だと思うのです。ところが今度の法改正によりますと、それぞれ救急病院の指定という問題は、省令に示されました三つの骨子を中心とする条件が満たされ、そうして病院側が自発的に申請をした場合に限って都道府県知事が指定する、こういう仕組みになっておる。しかも公的医療機関に対しても、指定を強制することができないという仕組みになっておるわけです。そうしますと、私的医療機関については犠牲がしいられるが、公的医療機関のほうも、やはりいま言ったように、その施設が申請しなければ指定をせぬということですから、どうも救急病院のしわ寄せというものは公的医療機関が受けるのじゃなくて、私的医療機関のほうがしわ寄せを受ける、こういう法のたてまえになっておる。これはどうも公的医療機関が金を出したくないので、そこで結局全部の犠牲というものを私的医療機関に背負わせるということは、私どもいかがかと思うのです。医療費問題の解決も十分にはからぬで、そうしてそういう犠牲というものを全部私的医療機関にしわ寄せしてしまう、こういうことは私は全く言語道断だというふうに考えざるを得ないと思います。やはりいわゆる公的医療機関が率先して——公の機関ですから、これが率先してそういう内容を整備して指定を受けるべきだと思うのですが、それが私的医療機関と同じような立場をとっておるということについては、公的医療機関の存在価値、意義というものがなくなるじゃないか。公的医療機関は、公的医療機関としての使命と役割りというものが私はあると思うのです。ところが、そういうような出血経営をしなければならぬという救急病院において、公的医療機関がみずから進んでやるというたてまえをとらぬということは、私どもは非常に片手落ちな処置だと思う。この辺についてはいかがでございますか。私は非常に不合理だと思うので、あらためてひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  142. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 この救急医療施設の話し合いによる告示が、私的のみに負担を負わすものではないかというご質問でございますが、私的だけということではなくて、公的も私的も同じように希望を聞いたときに告示をする、こういうような形になっておりまして、差別はない形になっております。しかし、差別がないのはおかしいじゃないかという一つ考え方を持っておりまして、公的のほうが率先してやるようにということを知事に衛生部長会議で私は指示をし、また国立病院につきましては、人口十万以上の都市になりますと国立病院は率先して申し出るようにという指示も、病院課長名でしております。こういうふうにいたしまして、公的医療機関が先に立ってやってもらえるようにということを考え、希望し、またそれに対する措置に手を打っていかなければならない、こう考えております。
  143. 河野正

    河野(正)委員 考え方は全く私と同感ですよ。だから私は、やはりそれだけの措置を法律上も、財政的にもしなければならぬということを申し上げておるわけです。そういうお考えならば、公的医療機関をある程度強制的にするためには、三つの条件というものが整わなければならないわけですから、それがためには三つの条件を整わす、こういう方策をなぜとらなかったかと私は指摘をするわけです。そういうことをやらないで、公的医療機関だから率先的にやりなさい、やりなさいと言っても、三つの条件が整わなければできぬのです。だから、公的医療機関が率先してやることは、それが法律に裏づけされれば当然三つの骨子がそろうわけですから、そういうことをやらぬでおいて、ただ国立病院救急病院の指定を受けなさいと言ってもだめなんです。言うただけでできますか。できるならば、三つの骨子というものの意義がなくなると思います。したがいまして、指定病院の申請をしなさいと言っても、三つの骨子は生きておるわけで、それが前提になるわけですから、そうすると、公的医療機関が率先してやるためには、どうしても三つの骨子というものを満たすだけの条件を整えてもらわなければならぬ。その点、私は単に医務局長の演説ではなくて、この法律でそれらの機関というものが優先的にやるというたてまえをとらすべきだと思うのです。とらせれば、当然三つの条件を整えなければならないわけですから、財政措置をしなければならないということですよ。そういうことがやられぬで、単に演説だけでこの問題を糊塗されようということについては、私どもは承服できません。ひとつ演説ではなくて、ほんとうに法律でやりなさいよ。やりますか。
  144. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 いま申しました国立病院につきましては、二十五の病院は全部人口十万以上のところにありますが、これが申し出をしたはずでございます。あとのものにつきましては、お話のように、こちらがただ強要するだけでなくて、強要すればかなり聞いてくれると思いますが、それだけでなく予算の措置をする必要があると思います。また、公的だけでなく私的のものにつきましても、私は予算の裏づけをしたい、こういうふうに思いまして、来年度予算にはその部面で努力をしていきたい、こういうことで、いま予算の準備をしておるところでございます。
  145. 河野正

    河野(正)委員 国立病院が全部申請いたしましたというようなことでは、私ども一は納得するわけにいかぬのです。というのは、やはり申請するについては、三つの条件を整えなければならぬということなんですよ。それならば、国立病院で外科医を常時常勤させることができますか。できぬ病院もあるでしょう。レントゲン医師が常時常勤することができますか。できぬところもあるでしょう。そういう問題が一つあるわけですから、やるならやるで、やはりその前提として三つの骨子である条件というものを整えさせるということが先決でなければならぬ。そして申請しなさいというのでなければ、単に機械的に申請したって、外科医が常勤でおりますか。おらぬところがあるでしょう。そういうごまかしのことを言われることについては、私ども承知するわけにはまいりません。  時間がないから早くやめてくれという自民党諸君の御意見でございますから、私ども協力することにはやぶさかではございませんが、大体厚生省救急病院そのものに対する考え方が間違っておるのです。その点、私は具体的にひとつ指摘をいたします。  それは、この省令をつくりまして、その第一条の第一号に、救急病院及び救急診療所における医師に関しての規定がございます。これを拝見しますと、「事故による傷病者に関する医療について相当の知識及び経験を有する医師」、そういう医師とは、救急医療に関し必要な知識及び経験を修得するのに適した医療機関において、免許取得後相当期間外科診療に従事した経歴を有する者またはこれと同程度以上の知識及び経験を有する者とする、こういう規定になっておるわけです。ところが、救急病院に収容する患者には単に外科だけの技能を習得しておけばいいのかどうかという問題ですよ。私は、救急医療というものに対する厚生省医務局の根本的な考え方が間違っていると思うのです。それは都市の中で交通事故にあう人もあるでしょう。あるいは脳溢血でひっくり返る人もあるかもしれぬ。あるいは心臓が悪くてひっくり返る人がおるかもしれぬ。これは都市における救急患者というものが、単なる外科的な患者だけではないということですね。ところが、医師の選定については、外科に関する技術を習得すればよろしいのだ、ここに私は問題があると思うのです。それならば、内科の医者は、非常に技術のすぐれた医者というものが救急病院の指定を受けられるのかどうか。それは私は、救急患者に対する認識というものが誤っていると思うのです。これは私も医者で、尾崎さんも一医者ですけれども、どうも医者の面目にかけても非常に残念に思うのです。救急患者というものは、必ずしもけがした者ばかりではない。脳溢血でひっくり返る者もおる。あるいは心臓が悪くてひっくり返る者もおる。てんかんでひっくり返る者もおる。いろいろひっくり返る者がおるのですよ。   〔小沢(辰)委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕 それを単に、救急患者というものはあたかも外科ばかりの患者だ、こういう認識のしかたをしているところに私は問題があると思うのです。この辺に、私どもが今日取り上げておる根本的な問題点があると思うのです。そういう認識でこの救急病院の問題が出発しておるわけですから、第一正しい方向になんて行くはずがないのです。とにかく東京から北海道へ行こうというのに、九州に行くあさかぜ号か何かに乗っているようなかっこうじゃないですか。とにかく北海道に行くのに、九州行きのあさかぜという特急に乗っておるのが厚生省考え方だと思う。それで北海道に届くはずがないでしょう。そういうところに、私は非常に大きな問題があると思うのです。ですから、やはり私は、救急病院についてはもう少し考え方を根本的に改めてもらわなければいかぬ、こういうふうに考えます。この点についてひとつ率直な御意見を承りたい。
  146. 尾崎嘉篤

    ○尾崎説明員 救急医療につきましては、将来の問題といたしまして、お話のような全般の救急医療にしていきたいということは私たちも思っておるものでございます。ただ、先ほどから申しておりますように、救急医療発展経過といたしまして、お恥ずかしいことでございますが、厚生省がいままでほとんど手をつけていなかった。それを今度、消防法の改正によりまして、消防法のうちの医療関係をわれわれが担当するように一本入ったわけであります。それで、消防法におきまして、第二条に、消防法によります救急業務というのは、災害による事故とか、屋外もしくは公衆の出入りする場所において生じた事故、こういうような一応外科的な事故に考えてあるわけでございます。そういうような規制が消防法及びそれに伴います今回の措置に一貫して流れておるわけでございまして、そういうところから外科系統がおもになった考え方がせられております。これで第一歩を踏み出しておりますが、確かに、お話のような偏向と申しますか、片寄りができてくる可能性があるように思います。われわれといたしましては、いまお話しの裏づけの問題と一緒に、一般の内科的の医療事故に対してどうするか、その他、夜間とか日曜とかの事故、病気に対しての対処というような問題に将来これを発展さしていくように努力していきたい、こういうように思っておるものでございまして、いまは経過的の片寄りだういう点を御了解願えれば幸いだと思います。
  147. 河野正

    河野(正)委員 そういうことを言われるから了解できぬわけですよ。というのは、いままで消防法の中で処理されておったから、厚生省がこの問題にタッチできなかったということ自身に非常に問題があるわけですね。むしろ私は、いままで厚生省が積極的に、消防であったなら厚生省の所管として取り上げるというくらいの積極性がなければならぬと思うのです、これは人道上きわめて重大な問題ですから。  それからもう一つ、たとえば消防法の中で、災害とか屋外、公衆の出入りの激しいところということをいっても、何もそれは外科的疾患ばかりが出るわけではないのです。やはり災害の場合でも脳貧血を起こす人もおるし、あるいは脳出血を起こす人もおるし、あるいはまた狭心症を起こす人もおる。屋外、公衆のたくさん出入りするところでも、脳貧血を起こす人もおるでしょうし、脳出血を起こす人もおるでしょうし、あるいはてんかんを起こす人もおるでしょう。外界の刺激が激しいですから、そういういろいろな病気が出てくるわけです。ですから、そういう考え方だったのでいままで外科的疾患ということに重点が向けられた、そういうお答えですけれども、そういうお答えが間違っていると私は言うのですよ。私は過去のことは問いません。問いませんが、その辺に問題の根本の相違があったわけですから、やはりこの際十分反省するものは反省するというかっこうで、今後、いま私が指摘したような諸点については、厚生省も一姿勢を正して対策を確立される必要があろうと思うのです。この点はひとつ大臣から率直にお答えを願いたい。
  148. 神田博

    神田国務大臣 河野委員のいまのお考えは、私は全く同感でございます。そういう趣旨に沿って措置を進めてまいりたいと思います。
  149. 河野正

    河野(正)委員 それから医療費問題について、あとで滝井さんからいろいろ御質疑がありますし、時間の制約がございますからいろいろ申し上げませんが、厚生大臣御就任でございますので、一つだけ私はお尋ねしておきたいと思います。  それは、御承知のように、神田厚生大臣は石橋内閣の厚生大臣であり、この石橋内閣は短命でございましたから、その後を継いだ岸内閣と引き続いて厚生大臣をなされました。そこで結局、三十一年の暮れから翌年の七月まで就任をされたわけですけれども、その間一部負担の問題、あるいは二重指定の問題等で健康保険法の改悪がいろいろ国会でも問題となりました。そういう情勢の中で、実は神田厚生大臣が当時の厚生大臣としていろいろ難局に対処をされたわけでございます。したがって、いま日医協を中心として再診療十点の問題をめぐります諸問題というのがあるわけですが、この問題も、中央医療協議会の答申を受けて、そして厚生省では作業を進められ、いよいよ結末をつけなければならない重大な段階にきていると私は思うのです。ところが、この今日起こっております医療費の問題は当然大臣の責任でございますけれども、過去における健康保険法の改悪等の問題をめぐります当時におきましても、厚生大臣としていろいろそれらの問題に対処されたという経緯がございます。そこで私は、再度にわたりますこういう意味の難局に対処されておるわけでございますので、最初の就任でございますならば、あえて申し上げませんけれども、再度の御就任でございますし、いま申し上げますような経緯がございますので、そこでこの医療費問題について大臣が今日どのような態度でおられますのか。細部については滝井委員からいろいろあると思いますけれども、従来の石橋内閣、さらには岸内閣当時の経緯もございますので、この際大臣の姿勢というものをひとつお聞きを申し上げておきたいと思います。
  150. 神田博

    神田国務大臣 お尋ねにございました医療問題に対する私の考え方というものは、従来から一つ考え方があったわけでございまして、それが変わっておるかどうか、今後どうするかというような、簡単に言うとそういうようなお尋ねのようでございます。石橋、岸内閣当時におきまして、私、国会において質疑応答を重ねてまいりました考え方の根本は変わっておりませんが、何ぶんこの後七カ年ぐらいたっております。たいへん複雑になってまいっておりますので、就任早々でございますから、なお検討いたしまして、特に中医協の答申にございました点等は十分検討いたして善処したい、こう思っております。重ねて申し上げるようでございますが、私はもっと根本を申し上げますと、どうも厚生省と日本医師会とのお互いの相互不信と申しましょうか、お互いが信じ合っていないというところから、ほんとう解決の妙味というか、姿を見出せないでおるのではなかろうか、こういう考えを持っております。利害が違うにしても、これはもう分かれ話になれるような間柄ではないのでございますから、最も信頼しなければならない関係の間柄でございますから、相互信頼を深めることが第一じゃなかろうか、そういうことを念頭に置いて問題点をひとつ掘り下げて検討してみたい、かように考えております。
  151. 河野正

    河野(正)委員 いろいろ細部については滝井委員から話があると思いますけれども、大まかなことをいまの点に関連して私は承っておきたいと思いますが、それはもうすでに中央医療協の答申が行なわれて、答申に対する見解もそれぞれ異なっておるようでございます。医師会のほうでは、御承知のように再診療十点も含んで並行答申だというお話もございますし、一方では必ずしもそうではないという見解もとっておるようでございます。いずれにいたしましても、私はやはりいまの政府の態度というものは非常にひきょうだと思うのです。というのは、ああでもない、こうでもないというかっこうで、一日一日じんぜん日を過ごしておるのが政府の態度である。私は正直に言って、再診療十点を認めるべきだというなら認めるべきだと思うし、それはいろいろ諸種の事情で困るということなら、この際はそれはそれなりの方針を貫くべきだと思う。ところがどうも右顧左べんというような姿勢で、じんぜん日をかせぎつつある。それがために、私は今日の医療経営というものが非常に混乱をいたしておると思うのです。医療担当者というものは、そういうことにはわずらわされず、誠心誠意国民医療というものを充実したい、国民の健康を守るために充実をしていきたいというのが率直な心境だと思うのです。そういう意味からも、こういう問題にじんぜん日をかせぐというような政府の態度で進んでいくことは、国民医療の上にも非常に悪影響を及ぼすというように私ども考えます。そこで、この医療費問題については早急にきちっと整理をする必要がある、そういうことをわれわれは考えております。それらの点についてどのようにお考えになっておりますか。時間がございませんから、そのことだけは率直にひとつ聞かしていただきたい。
  152. 神田博

    神田国務大臣 ごもっともなお尋ねでございますが、できるだけすみやかに検討いたしまして善処したい、こう考えております。何しろまだ就任早々で、まあこれから手をつけようということでございますから、いずれ……。
  153. 田中正巳

    田中(正)委員長代理 滝井義高君。
  154. 滝井義高

    ○滝井委員 御承知のとおり内閣は改造されましたけれども、池田内閣は依然として続いているわけです。したがって大臣、しろうとだ、しろうとだ、検討するということでは困るのですね。やはり緊急なものは緊急に措置をしてもらわなければならぬと思うし、おそらく大臣に就任されてから、一番先にこれは御進講があった問題だと思うのです。もしこれを厚生省の当局が御進講していなければ、これくらい怠慢なことはないと思う。緊急事態として医療費の問題は処理をしなければならぬ問題です。そこで当然、大臣が御進講を受けているものとして御質問申し上げるわけです。   〔田中(正)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  御承知のとおり、もう総論のところは前回御質問を申し上げております。これは四月二十二日くらいに御質問申し上げておるはずです。あれから五、六、七月と三カ月たっているわけですから、相当作業も進んでおるはずです。大臣のお答えできないところは小山氏から率直に御答弁願いたいと思いますが、まず、改造されたわけですから、念のためにひとつ冒頭に聞いておきたいのは、大臣御存じのとおり、「経済成長に対応する社会保険診療報酬の緊急是正について会の意見を問う。」という諮問を三十八年十二月四日にお出しになって、これに対する答申が三十九年四月十八日に出たわけです。そして当時の小林厚生大臣なり小山保険局長の答弁によると、大体この答申に基づいて作業をするのに二カ月かかります、大体六月の終わりか七月の初めには作業が完了いたします、その作業の結果はこれを直ちに医療協議会にかけます、こういうことだったのです。そこで順序としては、まず第一に、大臣としては新しく任命されたわけですから、一体この方針を変えるのか、それともそのまま踏襲されてやられるおつもりなのかということです。実は閣議の決定というのは、私はそう簡単には変更できないのだと思っておったが、一ぺんきめた慰霊祭のことを閣議でまた変更しているのです。いままでは、われわれがいろいろ問題にしましても、これは閣議決定だから変更できません、と言ってきたわけです。実は小林厚生大臣の時代に、閣議に報告をしているわけです。答申の結果、それからやり方、関係閣僚とも相談をしてやりますというようなことで相談をして、その相談の結果に基づいて、ここで小山君がわれわれに答弁をしたところでは、二カ月すれば作業が大体終わります、七月の末か八月の初めだ、こういう答弁をしているわけです。もうすでに七月は終わろうとしているわけです、きょうは三十一日ですから。冬来たりなば春遠からずと言うけれども、夏が来るとまた春が来るのです。秋風も吹き始めるのです。そこで、あなたとしては、前大臣のとおりに作業をお進めになるのかならぬのかということです。作業はもう終っておると私は思うのですよ。あなたが裁断をすればいいところにきていると思うのです。今日に至ってまだ作業を終っておりませんとは、小山君は絶対、口が裂けても言えないでしょう。実は私は、小山君を不信任をしている。きょうは出てもらいたくないのです。出てもらいたくないけれども、あなたが新任の大臣だから、きょうは目をつぶりたいと思うのです。そうでなかったら、私は、健康保険課長をきょう呼びたいところなのです。だけれども、あなたが初めてですから、私きょうは目をつぶりたいと思うのですよ。この取り扱い、これは新任大臣だって所信があるはずですから、御説明願いたいと思います。
  155. 神田博

    神田国務大臣 お答えいたします。  実は、まだきょうでちょうど二週間でございますから、御承知のように、厚生省は間口も広ければ奥行きも深いわけでございまして、いまの医療費関係は緊急処理事項でございますから、これは取り急いで取り扱わなければならぬことは了承しております。十分承知いたしておりますが、やはり私も一七年ぶりで参ったわけでございます。厚生行政というのは、一つだけ取っ組んだのでは、ほんとうの成果をあげるわけにはいかないことと考えておりますので、やはり全体を研究しながら緊急問題とも取っ組んでいきたい、こういうような私の考えでございまして、いまいろいろ勉強最中と申しましょうか、伺っておるという最中でございます。したがいまして、すぐ裁断を下すというような熟している段階でないということをはっきり申し上げて、御了承を得たいと思います。
  156. 滝井義高

    ○滝井委員 それは私は信用したくないですね、総理はかわっておるわけじゃないのです、内閣はかわっておるわけじゃないのですから。しかも前の内閣が、七月の初めには結論を出しますということを言明しておる、おそくとも八月の初めにはと。ところが、大臣がかわったからといって、それがまた先に行くというならば、池田内閣は何のために存在しておるかというのです。池田内閣は否認されていないのです。ただ大臣がかわっただけです。そして補佐する役人もかわっていない。作業は役人がするのです。あなたがするのではないわけです。だから一体、作業ができておるのかできていないのかということです。作業はできておりますか、できないのですか。
  157. 小山進次郎

    ○小山説明員 いろいろ最後の結論を出すための、いわば基礎的あるいは部分的の作業はしております。
  158. 滝井義高

    ○滝井委員 基礎的、部分的作業ができておるなら、あと大臣の裁断を待つばかりでしょう。これを大臣が変えようなんたって、簡単に変え得るものではないわけです。池田総理も、医療協議会の結論を尊重いたしますと言ってきておるでしょう。前の大臣も、医療協議会を尊重いたします、早く出してくれ、四月からやりますと小林さんは言っておった。ところが、それが四月に結論が出たら、作業に二カ月かかると言われ始めた。それからまた医療協議会にかけまして、そしてまたさらに一カ月かかります。告示するためには一カ月かかります、こうなった。そこで、小林さんは、十月一日くらいだ、こう言っておった。いまの状態なら、基礎的、部分的なものの作業が完了しているなら、あとはどうすることになるのですか。われわれは、いま河野君も言っておったが、そんなにいつまでもたぶらかされることは困るのです。そういうことなら、私はすぐ神田さんの不信任案を出しますよ、お気の毒であるけれども。内閣は継続しているのです。池田内閣はつぶれたわけではない。だから、一体前の方針どおりにやるのか、それとも新しく諮問をやりかえるのか、それとも新しい事態が起こっているのだから、あとで質問しますけれども、根本的にやりかえるのか、ここら辺の方針をはっきりさせなければ——またこれから検討しますということになれば、いつの日に結論を得ることができるのですか。われわれはそんなにばかじゃない。子供の使いではない。少なくとも目標を決定しておやりになっている。れっきとした自民党の党員が——大野派とか佐藤派とか派は違いましたけれども、内閣は一つである。あなたが新しく大臣になったから、おれが検討しなければ結論が出ぬということになれば、これも池田さんにここへ来てもらわなければならぬことになる。あなたは、いつになったらそれをのみ込んで裁断を下すことになるのですか。
  159. 神田博

    神田国務大臣 いまお話しもございましたように、小林さんが、四月二十五日ですか、答申を受けて七月の十八日までかかっておやりになっておらないので、私が引き継いですぐはしをつけるようなことになっていれば話は別ですが、私は、私の責任でやらなければならぬ立場に立っております。これはいろいろ議論もあることでございます。これは検討を加えると申しますか、私の研究する時間を必要とするのは当然のことではなかろうかと思います。私はやらぬというのではない、十分検討いたしまして、そして急いでやろう、こういうことなんで、滝井さんのお話は、できているのだからお前はすぐはしをつければよいじゃないかというように聞こえるけれども、私はこれからよくのぞいて検討する。いままでは局外者であったが、今度は責任者になった。池田内閣はかわっておりませんが、責任者がかわったあとですから、責任者責任者として検討を加える時間というものが必要である、こう私は考えております。
  160. 滝井義高

    ○滝井委員 それならば、責任者として検討するに——これは緊急事態ですからね。これの諮問は去年の十二月四日に出たのだけれども、問題になったのは春ごろからです。春ごろから緊急にやらなければならぬ、やると言っておった。それが、春が来て夏が終わろうとしている。八月になると、そろそろ秋風が吹き始めます。それをあなたがまた半年もかかるようだったら、前の内閣で大臣が七カ月で首になったように、あなたがまたおやめになる。池田内閣はもう長くない。客観情勢は、池田さんの任期は二年までぎりぎりいかないというのが世論です。佐藤さんもそんなに長くは許さぬでしょう。明らかに一年一年で内閣はかわってきているが、医療費の問題を根本的にやろうとすれば、一年もかかる。われわれは十年もやっているが、三カ月や四カ月ではなかなか簡単に判断を下すようなところにはいかぬ。ですから、ここで政治家としての見通しを立ててもらわなければ困ると思うのです。一番先に小山局長にお聞きになったのですから、一体あなたの検討は、どの程度すれば御検討を終わることになるのか、そのくらいのことを明らかにしておいてもらわぬと、われわれだって腹ぎめをしなければならぬ。そうすれば、これは、最後は部分的、基礎的な検討は終わったというのですから、その検討の終わったというところは、どういうような検討をいままでしておったか、今度は聞かしてもらうことになる。政治的にこの取り扱いをあなたとしては検討する。一体どの程度われわれが待っておったら、あなたが答弁をやれることになるのか。
  161. 神田博

    神田国務大臣 お尋ねされておられますお気持ちは、私十分了承できます。ただ、御承知のように、私も新任早早でございますし、いろいろ他の仕事もございます。ことに来年度予算の編成を八月一ぱいに出さなければならぬというような段階であります。しかも重要問題——内部的なことになりますが、総理に八月の八日までに新規事業の大綱を説明しなければならぬというような事情もございます。さらにこの医療問題は、御承知のように政治問題になっております。早くやれという声もあれば、それじゃいけないのだという声もございます。そういう大きな声がございますから、なお私はみっちり取り組んで、私自身が十分納得して、やはり責任者としての考え方を立てなければならぬと思います。同時に、これを進めてまいるには、政党内閣でございますから、党の政務調査会に相談して十分練ってもらわなければなりません。そういう諸般の手続を考えますと、すぐやれということにはならぬと考えます。社会党さんだって同じだと思う。組織でやっておりますから、大臣が単独で部下に命じて、それやれということにはまいらぬ。党は党として、やはりこの調査を担当する部門がございますから、社会労働にかけるなり、またそれぞれの機関にかけていかなければなりませんので、そういうことを見計らいながら急いでひとつやっていきたい、急いで善処したい。これ以上日をいつまでだと言われますと、急いでやるという以外に日にちのことは申し上げかねる、こういうことでございます。
  162. 滝井義高

    ○滝井委員 基本的な態度をそれじゃ尋ねますが、一体基本的な態度としては答申を尊重していくのか、それともあなたが言われるように時間をかけてやるというなら、答申を白紙に返して新しい立場からやるというのか、それはどちらですか。
  163. 神田博

    神田国務大臣 答申があったのですから、答申を尊重することは当然だと思います。しかしそれは、私は一般論で言っておるのでありまして、その答申をこれから十分検討してみたい、こういうことなんです。
  164. 滝井義高

    ○滝井委員 答申を検討されると言うけれども、答申が出たらそれを尊重してやっていくというのが池田内閣の方針だったわけです。るる何回も池田総理は予算委員会で答弁するし、小林さんはここで大きな声を出して何回も言ったのです。早く答申を出すようにしてくれ、おまえたちがそんなことを言うなら答申を出すように協力せよ、こう言ってここで大上段に振りかぶって、むしろ野党のわれわれがあと押しをしたわけです。そして小林さんは、やめるときにはこれを片づけたい、こう言っておったわけです。あなたが新しい観点から答申をやるということになれば、小林さんは二カ月ぐらいかかった。そうすると、また二カ月ぐらいかかることになる。そうすると、ここらあたり答申を尊重されていくというなら、答申の基本は尊重してもつけ加えることは自由ですから、私は何も、答申が出たらそのとおりうのみにしなければならぬということは、こんりんざい言っておらぬ。政党政治ですから、当然答申が出たら、それをどうそしゃくしていくかということは、政党と相談してきめるべきだという立場なんです。そういう点では、答申を尊重しておやりになるということについては異議がないわけです。いままでのあなたの答弁では、答申を尊重するかどうかもはっきりしなかった。いまようやく答申を尊重しながら党の機関にかけて政治的にひとつこれは裁断をやりますということになれば、この問題は緊急問題ですね。だからやはり野党にも、およそどのくらいの日にちをください——前の内閣のときには、七月の初めには結論を出しますと言った。そして一カ月ぐらい後には医療協議会にかけて、それが終わって一カ月すれば告示をいたします、こういうところまで答弁をしてきておるわけでしょう。ところが、あなたになったら、新規巻き直しになってきたわけです。だから新規巻き直しでけっこうですから、ここまでくれば、天野屋利兵衛ではないけれども、しりをお互いにどっかり据えなければならない。私も据えます。少し時間がかかりますけれども、据えなければならぬ。据えるとすれば、一体あなたはどのくらいのものが必要か、これは野党に教えておいてもらわなければ、ちょっと待て、おれが勉強するまで、納得のいくまでということになれば、いつの日にか問題が解決するかわからぬ。緊急問題ですからね。そんなに待てと言っても待てない。そういうことを言うなら、あしたどうしても池田さんに出てもらってやらなければならぬ。そのかわり、きょうはやめます。池田さんに来てもらってやらざるを得ないと思うのです。内閣がかわるごとにこういう緊急問題をしかも医療機関は窮状にある、瀕死の状態にあるということを政府の諸君は答弁している。その瀕死の状態にあるものを、今度池田さんが大臣をかえたからといって、じんぜん日を過ごしていつまでということが言えないというのであれば、われわれは納得できない。だからおよそのところでけっこうです、何日かと言う必要はない、二カ月なら二カ月かかりますということでけっこうです。そのくらいは言っておいてもらわぬことには、われわれ、この次の委員会のときに質問のしようがない。だから一体、どの程度すれば、あなたが機関にかけて裁断を下す状態ができてくるのかということですね、医療問題について。
  165. 神田博

    神田国務大臣 たいへん幅のあるお尋ねで、どのくらいかかるかということでありますが、私もまだ取っ組んだばかりでございますので、これからほんとうに突いていくわけでありまして、いままでほかの用事その他に追われておったわけでございますから、そう長くかかるとは考えておりません。長く考えたら結論がすぐ出るのだとも考えておりませんが、いろいろ党の機関等もございますし、こじれた問題でございますので、できるだけ十分意見を聞きながら、さきのこともございますから、見合って考えていきたい。そこで、それならば一体どの程度要るかということでありますが、まだ取っ組んだ早々ですから私の答えを出すのはどうかと思いますが、予算に追われるだろうと思いますけれども、予算とにらみ合わせながらまいりますから、来月一ぱいか、それとも九月の初めにかかるか、そんなところがいまのところ一応のめどくらいに考えておりますが、しかし、これは緊急問題ですから、できるだけ急いで処置していきたい、こういう考え方でございます。
  166. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。できれば八月中、九月初めまでくらいには結論を出したい。そうしますと、これはあなたとしてはまた医療協議会におかけになりますか。
  167. 神田博

    神田国務大臣 そういうこまかいことは考えておりません。
  168. 滝井義高

    ○滝井委員 考えていないということは、医療協議会にはかけないのですね。
  169. 神田博

    神田国務大臣 こまかいことを考えてないというのは、そういうスケジュールをまだ持ってないということです。しかし、きまればかけなければならぬことは当然でございますから、誤解のないようにお願いいたしたい。
  170. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、医療協議会にはかける。これがどのくらいかかるかはわからぬことになるのですね。そうすると、御存じだと思いますが、いま医療協議会の委員は半数しかいないのです。そうして公益委員は国会の承認を必要とする人事です。前任者に、あるいは官房長官に社会党としても申し入れておるのですが、国会中にやってください。六月の五日だったかに、たぶん任期が切れたのです。そして早くおきめください、国会がなくなると専決処分をしなければならなくなる、そして事後承認ならたいへんですよ、こういうことを申し入れておったのですが、やらなかった。この点については、われわれとしては、公益委員は四人おるから、その一名には医療技術の理解できる人を入れてください、こう言っておる。これはひとつ十分考えておいていただきたい。そういう者でない限り、われわれはあとは認めませんよということもはっきり申し上げておるのです。これはひとつ腹におさめておいていただきたいと思う。そうしますと、医療協議会の委員を任命するときには、野党の社会党の意見も十分聞いてもらいたいと思うのです。これは前のときに、社会党の意見を聞くという約束だったのです。ところがそれを聞かなかったのです。けれども、私は率直に言って、当時強硬に反対した。ところが、成田書記長が参りまして、いろいろなだめて、今度はということでおりたわけです。しかし、今度はそうはいきませんから、その点だけは十分ひとつ、前もってころばぬ先のつえで申し上げておきますが、任命をしてやったが、あとで認められなかったということがないように、これは人事は全会一致の賛成を必要としますから、その点を十分心得ておいていただきたいと思うわけです。  それから、ひとつ御確認をしておきたいのは、どうせ医療費の引き上げは来年というわけにはいかぬと思います。しかし、いまの客観情勢から見ると、ことしの十月よりおくれるでしょう。そうしますと、国民健康保険なり日雇い健康保険は、もう保険の状態ではないですね。破産状態です。それから健康保険も赤字の信号があがっております。この保険の医療のにない手である保険自体を抜本的にやらなければならない時期が来ておるということ、それから医療機関が窮状にあるということは、もうあなたの部下の皆さんが全部説明をしてくれているわけです。窮状にあるということは、そこにおられる松尾さんも証言をしておるし、うしろにおられる医務局長も証言をしておるわけです。もうすぐ人事院のベースアップがあります。そうすると、医療機関は看護婦が不足、医師が不足、そして労働時間が延長をされているのですね。それから設備の近代化ができていない、非常におくれている。医療機関も荒廃をしている。保険経済も瀕死の状態、それから池田内閣の高度経済成長政策のために、中小企業、農業、零細企業の労働者というものは非常に困っておるわけです。いわゆる大企業と中小企業の格差が出て、中小企業はいまや保険料を引き上げるだけの客観情勢というものは非常に少なくなっている。その中小企業の労働者が健康保険にかかっている。池田内閣の高度経済成長政策のために、一番圧力を受けた農業と中小企業が国民健康保険です。こういうように、被保険者大衆も非常に苦しい状態にあるし、八方ふさがりですよ。もはや八方美人ではこの事態というものを乗り切ることのできない客観情勢になっているということです。小林厚生大臣は、厚生行政医療問題だけではない、ほかにたくさんあるんだということをおっしゃっておられます。そのとおりです。水の問題も重要な厚生行政で行き詰まっている、公害の問題も行き詰まっている、し尿の処理も行き詰まっている。もうあなたのまわりは四面楚歌ですよ。この四面楚歌の中で、神田厚生行政がいまや船出しようとしておるのですから、どこからか各個撃破していかなければならぬ。よほどの決意がないと、もうたいへんなことになるということです。保険経済も、医療機関も、被保険者大衆ももうどうにもならぬ。四面楚歌の中にあるということだけは、ひとつ十分認識をしておいていただきたいと思う。その認識さえしていただいたら、あなたは帰ってけっこうです。
  171. 神田博

    神田国務大臣 速記をとめてください。
  172. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止
  173. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 速記を始めて。
  174. 滝井義高

    ○滝井委員 基礎的、部分的なところができておるそうですから、基礎的、部分的なところの専門的なところをお尋ねするわけです。これはむしろ有沢さんに来てもらって尋ねたほうがいいかとも思うのですが、あなたは医療協議会には出ておられたし、また有沢さんその他の公益委員からもお聞かせ願っておると思いますので、聞くわけです。  「現行診療報酬点数表の中で医学医術を尊重し、主として、次の項目に関係する点数の引上げを行なうこと。」として、入院料と初診料、往診料等の診察料、それから歯科の補綴、インレー、充てん、それから調剤技術料、この四つだけに限定をしておるわけです。医療費緊急是正というのをこういう四つの項目に限定した理由というのは一体どこにあるのか、それをちょっと御説明を願いたい。
  175. 小山進次郎

    ○小山説明員 こういうものをおまとめになった人々のお考えによりますと、いろいろ論議した結果、経済成長の結果出てきている問題としては二つある。一つは、経済成長の結果、たとえば人件費とか物件費というような、いわばコストに相当するようなものが上がっておって、医療機関の経営が非常に苦しくなっておる。したがって、それに対して対応するものを考えていく必要がある。それからもう一つは、それと関連するところが多いわけでありますが、かりにそういうふうにロストというかっこうで上昇して、医療機関の経営を苦しくすることがないにしても、ほかの業態の人々の所得が経済成長の結果伸びておるとするならば、当然それに相応した程度の所得の伸びというようなものは、医療技術者になければならぬ性質のものである。したがって、それに対応するものを考えなくちゃいかぬ、こういうような考えからいたしまして、医療担当者側はその二つを解決するものとして、すでにしばしば言われております再診料十点、後ほどこれに加えまして入院料、これを上げる、歯料については補綴、インレー、充てんを加える、薬については薬剤の技術料を加える、こういうような主張をしたわけであります。これに対しまして支払い側の人々は、何よりも経済成長によるコスト増の影響を受けて一番苦しいものは病院なんだから、まずそういう病院の窮境を救うものを考えなくちゃいかぬ、そういう面で登場してくるものが入院料であり、また歯科の補綴、インレーというようなものであろう。同時に、そういうふうに入院料のほうにある種の措置をするとすれば、これは当然一般の診療所にも同様の利益が及ばなくちゃいかぬのだから、それは主として技術料というもので考えていくべきものであろう、こういうことになったわけであります。問題は、入院料というものと補綴、インレー、充てんというものを考えるということは、項目としては関係者の意見は一致したわけでございます。問題の技術料として再診料をとるか、あるいはその他のものをとるかということが、これは非常に議論になりまして、結論としては、公益委員は双方の主張を聞き、いろいろ検討いたしました結果、再診料については、公益側が公益委員の意見要旨で述べておりますような理由からいたしまして、これはさらに引き続いて検討して結論を出して解決することにしよう。したがって、今回の技術料としては、初診料というようなまぎれのないものを中心にして往診料その他を考えたらどうだろうか、こういうようなことでこういうふうにまとめられた、こういうことでございます。
  176. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、四項目に分けた理由は、人件費、物件費が上がった、したがってそれに対応するものを処置しなければならない、それから同時に、他の人たちが労働時間を短縮をして生活水準を上げているから、当然医者もそれに相応する報酬を与えなければならぬ、要約するとそういうことのようです。そうして最後に、再診料や何かというものは、引き続き検討すると書いてあるけれども、答申の中にはそういう具体的なことは書いてありません。「なお、本協議会は、国民医療水準向上を図り、国民福祉をより一層充実させるための社会保険診療報酬体系の適正化については、引き続き審議し、可及的すみやかに結論に達するよう努力する用意があることを申し添える。」と書いておるのであって、再診料はいかぬとかいうことは答申書の本文には出ていないですね。
  177. 小山進次郎

    ○小山説明員 答申書の本文には出ておりませんけれども、答申書はこういう考えで書いたのだということを公益委員が申し述べ、同時に、あとで配ったものにはそれを入れてあるわけでございます。「現行乙表の再診料三点の注を変更する提案については、再診に対する対価が他の項目にも含まれているかどうかの論議が本協議会でまだ整理されていない点からみて、これを今回の緊急是正として行なうことは適当でないと思われる。」したがって、この答申の診察料の中には再診料を含めていないと考えて立案しているわけであります。
  178. 滝井義高

    ○滝井委員 あの再診料は甲表には入っておるわけですね。この答申は甲表、乙表区別してないわけです。そこで再診料は甲表にはあるわけです。歴然とある。したがっていま言った人件費、物件費が上がるということと同時に、人件費というものは再診料が入るわけです。医者を雇っておれば、当然人件費が上がれば技術料の再診料は上げてやらなければならないことになる。労働時間を短縮して、他の労働時間を短縮する業態と同じような形にやれば、技術料の再診料を上げてもいいわけです。私はいいと思うのです。これは答申かいろいろ書いておるけれども、間違っておれば国会は直す自由があるし、政党も直す自由があると思う。  そこで私は、四項目について質問をしていくわけです。まず第一の入院料です。この入院料は、甲表の三十六点の中に、物件費に当たる分と人件費に当たる分がどういうふうに分かれておるか、御説明を願いたいのです。これがはっきりしないと引き上げのしようがないのです。三十六点の入院料の中に、一体物件費と人件費は一カ月幾ら基本診療料の中に入っておるのか。乙表の入院料は、診療所だったら三十一点ですね。この三十一点の中には、物件費的な要素と人件費的な要素とが一体幾ら入っておるかということです。これをひとつ御説明願いたいのです。この説明がなくしては、これは話にならないわけです。
  179. 小山進次郎

    ○小山説明員 先生仰せのように両方が入っておることは、これはもうおっしゃるとおりでありますが、それがどれだけであるかということは、これは昔からいまに至るまでわからぬのであります。これは先生よく御存じのとおりであります。
  180. 滝井義高

    ○滝井委員 わからなければ、三十六点の中には再診料は入っていますか。
  181. 小山進次郎

    ○小山説明員 一部入っておると考えるべきだと思います。
  182. 滝井義高

    ○滝井委員 一部ではなくて、六点みな入っておるでしょう。甲表は六点です。みな入っておるでしょう。
  183. 小山進次郎

    ○小山説明員 たいへんあいまいなことを申し上げましたが、これは完全に入っております。入院中の患者に対する再診の費用は、入院時基本診療料に含まれるものとする、こう書いてありますから、これは入っております。
  184. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、三十一点の中には入っておるのですか入っていないのですか。
  185. 小山進次郎

    ○小山説明員 三十一点と仰せられるのが診療所の入院時基本診療料でありますれば、それには入っております。
  186. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、乙表の二十六点の中に再診料は入っておりますか。乙表の食事の給与なき場合、二十六点ですね。
  187. 小山進次郎

    ○小山説明員 これは一部入っておる、こう見るべきだと思います。
  188. 滝井義高

    ○滝井委員 一部入っておるのですね。そうしますと、まず第一に入院料を上げなさい、こうきているわけです。入院料を上げる場合には、これは甲表では三十六点、診療所は三十一点だと思いましたが、そうすると三十六点には再診料六点がれっきとして入っておる。そうすると、そのほかに基準給食、基準看護、基準寝具というものが出てくるわけです。当然これは物価が上がり、人件費が上がると、この中には人件費と物件費が入っておるわけですから、全部扱わなければならないことになるわけです。そこであなた方としては、これらの三十六点の中には明らかに人件費と物件費と技術料が入っておるわけですが、これは一体上げる場合にどういうように上げるかということです。その上げる——これはもう政治的ではないのですから、きわめてビジネス、事務的にやらなければならないことですから、事務的に一応線を出して、あなた方が科学的に見て、客観的に経済成長その他を考えるとこの程度上げたらいいだろう。上げる率は八%である。一割を上回らない、こうなっておるわけです。これを今度は一割五分にするか、二割にするかは政治家が何かあとで合理的な理由をつければいいので、事務的には八%ですと言っておるのです。あなた方も言っておるし、それから有沢さんも言っておるわけです。そこで八%上げる場合に、四項目ですからね、四項目の入院料においては、一体三十六点かける八%というわけにはいかぬと思うのです。その場合に、一体どういう形で三十六点を引き上げることになるのか、これをわれわれは聞きたいのです、その理論的根拠。それから三十六点を、乙表の場合にはどういう原則で、甲表と違う原則を適用するのか。なぜならば、甲表には六点というれっきとした再診料が入っている。片一方は再診料三点か、とにかく何ぼか入っている、こういうことなんです。したがって、その原則をここで明らかにしておいていただかなければならぬことになるわけです。これだけをはっきりしておいていただきたいのです。食事のある場合は、乙表では四十五・七点になって約十九点くらい違うのです。端数がつきますが、約十九点くらい違うのです。だから食事は十九点そこそこだということはわかるわけです。ところが甲表の基準給食費になるとこれは二十二点、普通の給食は十七点でちょっと安いのです。同じ食費でも安いのです。そこで甲表の十七点はほんとうの食事だけです。乙表の約十九点ばかりのものは食事、ものの代、人件費と物件費のほかに何か技術料的なものが入っておらぬと、片や十七点、片や十九点とはならぬわけです、同じめしを食わせるわけですから。同じめしを食わしておって、甲表だったら十七点だし、乙表だったら十七点より多い点数が出てきているわけですから、何かアルファが加わっておるわけです。そのアルファは何かということを解明してもらわぬことには、はっきりした点数が出てこないわけです。それでこれを専門に松尾さんが小山さんを補佐してやっておられるだろうと思うから、どっちか答弁してもらいたい。どういう原則で甲表を上げ、乙表はどういう原則で上げるか。
  189. 松尾正雄

    ○松尾説明員 かなり専門的なものでございますので、私からお答えいたします。  先生御指摘のように、たとえば入院料三十六点に八%かけるものではないだろうとおっしゃったことは、そのとおりでございます。引き上げ率の八%というものは、総医療費のワクをそれだけふやすということでございます。個々の点数に八をかけるということとは違うことは、御指摘のとおりであります。こういういろいろな点数の四項目、御指摘のようにその中にもいろいろまたこまかいものがございますけれども一つどもがめどにいたしたいものは、答申に際しまして、こういう金額が述べられましたように、今度の緊急是正をやることによりまして、なるべく今度のような性格であればひとしく潤せる、ひとしく効果を均てんさせるということが必要なんだという前提から、要するにこの緊急是正によりまして、各機関におけるアンバランスがあまり著しくならないようにということを念願すべきだということを言っておられるわけです。言いかえますと、あのことばの中にございますように、緊急是正をやりましたために、また緊急是正を起こすということを避けなければならぬという観点がございます。いわゆるバランスという問題があるわけでございまして、一つはそういういろいろな研究の過程におきまして、いろいろな項目を動かしていく過程において、なるべくそのバランスがとれていくという配慮をしていきたい、これが一つの問題でございます。それから、いま甲表と乙表の十九点何がしと十七点との差を御指摘になったわけでございますが、これは先ほど局長もお答えされましたように、実はその差というものがはたして何であるかということは、点数表がきまってきました歴史から見まして、私どもは自信を持って何ですというふうには実は申し上げられない性質のものでございます。  もう一つ、ここで私どもが念願しておきたいと思いますのは、前々から言われておりますような、甲表や乙表というものの、そういういま御指摘のような問題というものが、なるべく根本的にそろっていけるようなことを考えるべきじゃなかろうか、そういう観点に立っていろいろと作業を進めていく、こういうつもりでいるわけでございます。
  190. 滝井義高

    ○滝井委員 私が言いたいのは、均てんさせるとか、アンバランスをつくらないようにするとかいうことはわかるわけです。しかし、ファクターは一体何を用いるのですかと言っているのです。あなた方は八%、人件費、物件費その他が上がっているのだから八%程度だ、一割は上回らないという言明をされておるわけでしょう。それから先は政治的にわれわれがきめます。自民党も機関にはかりましょうし、われわれも一攻勢をかけます、八%は安いと思っているから。しかし一応協議会で出た結論は八%、あなた方は八%ならよろしいと言っているわけです。そうすると八%というものが出たからには、入院の人件費と物件費を、あなた方としてはどういうファクターを用いて上げますかということを言っている。私は結果を聞くわけじゃない。均てんさせます、アンバランスのないようにしますというならば、八%かけたら一番均てんします。アンバランスはなくなりますが、それはやらぬと言う。私もやらぬだろうと思います。なぜならば、療は絶対上げないと言うのですから。甲表の入院料には六点というものが入っている。入っているものを除いて三十点にした。それならば、均てんさせるというなら話はわかります。しかし再診料は、絶対、こんりんざい事務的には上げませんということを言っている。政治的には再診料は上げませんと言っている。したがって、入院料の中の六点はいじらぬことになる。いじればおかしなことになる。あとで質問しますがいじらぬこともまたおかしいということになるのですが、しかしあなた方の立場は、扱いませんということですね、医療協議会を尊重するのだから。そうしますと、さいぜん言ったように、小山君が六点入っているか入っておらぬか間違うくらいだから、そこらは検討しておらぬのです。じょうずの手から水が漏れたことになる。このブァクターがわからぬことには、あなた方のやったことがつまびらかにならない。そこがはっきりしないなら、次の初診料と往診料にいきましょう。  初診療の議論は、医療協議会等の速記録を読んでも一回もない。突如として初診料を上げるということが出てきている。一体初診料の技術的な評価、これは当然人件費、物件費が上がって、初診料の中にも一人件費、物件費が入っているのです。つくったときには入っているのですから。初診料の中には人件費、物件費が入っている。先払いというものが行なわれている。特に甲表においては、簡単な検査のものは全部初診料に入れてあるから、人件費、物件費も入っている。同時に、これは技術の典型的なものです。したがって、労働時間がいま医療機関は強化されている、その強化されている労働時間を解除しようとすれば、技術料を上げる以外にない。技術料を上げてやるということが、労働強化を総体的には解除することになる、強化に対して報いるわけですから。したがって、この初診料を上げるというならば、どういう上げ方をすることになるのですか。どういうファクターを使って初診料を上げるのですか。初診料は、悲しいかなどこにも書いてない。見てもないのです。答申の中にもどこにも出ていない。最後になって出てくる。だから片一方は再診料を上げてくださいと言っているのに、初診料を上げるというわけでしょう。顧みて他を言うているわけです。それならば、初診料が上げられるのになぜ再診料が上げられないか。一体初診料を上げたら医療費の体系に関連がないのか、これを先に御答弁願いたい。初診料を上げたら医療費の体系の根本に関連がないのですか。
  191. 松尾正雄

    ○松尾説明員 先生のおっしゃいますように、すべての点数というものをいじって、それが体系に何も関係がないかとおっしゃられれば、それはすべて関係している問題だと思います。ただ、突如として出てきたということでございましたけれども、あの経過の中では、懇談会その他が持たれましたときに、いわゆる基礎技術料というような表現が提案をされまして、それは一体何だろうかという話の中で、いわゆる診察項目ということもお話がありまして、そういうようないわゆる基礎技術料は初診料その他も全部入るのだという話から、そういう経過をたどってきたことは事実でございます。そういうことで、初診料がなぜそういうようになったかということになれば、先ほど局長もちょっとおっしゃいましたけれども、実は再診問題ということが、乙表の仕組みが出てきました経過から見ましても、いろいろなところにまだ分散しているという考え方をとらざるを得ない。そういうために、いわばそこの整理を一ぺんつけなければ——反対でないのだが、その整理を一ぺんつけなければいかぬのだという考え方が、大勢であったわけです。ただ初診料ができましたのは、初診料というのは、そういう意味でのまぎれが非常にない。また技術評価という面から言いまして、再診と初診との差をどちらでつけるべきであるかということは、またいろいろ議論があると思いますけれども、しかし初診料が、決して基礎的な技術料を尊重する方向にはずれているとは皆さんもお考えになっていない。そういうところから初診料が出てきた、こういうように私どもは理解をしておるわけです。
  192. 滝井義高

    ○滝井委員 再診料は基礎技術料じゃないですか。
  193. 松尾正雄

    ○松尾説明員 もちろん再診に対する評価は、やはり一つの基礎的な技術だと存じます。ただ現在の点数表の評価のしかたといたしまして、ああいう乙表は、投薬、注射、処置をしたときにはその三点はとれないのです。しかもとれないということは、歴史的に見れば、当初からそういう思想ですっと流れてきているものでございます。受け継いだときからそういうことで過ぎてきているわけでございますので、基礎的でないというようにだれも考えているわけではございませんけれども、それをいまのような点数表の中から独立にきれいに起こすためには、もう一度整理が要るのじゃないか、こういう意味で議論されたわけでございます。
  194. 滝井義高

    ○滝井委員 あなた、乙表にこだわっているように言われるけれども、答申は乙表、甲表は全然分けていないのです。だからこの点数表をごらんになると、基本診療料の中に再診料が入っていますね、乙表では診察料の中に。御承知のように、基本診療料というのは基礎技術料のことです。甲表では再診は入っていますね。乙表をごらんになると、乙表の診察料の中に再診料は入っておるわけです。あなたは乙表は再診料はないようなことを言うけれども、夜中に来たときはいままで十点だったが、今度は甲、乙がなくなったから、十・八、百八円はみんなとるのですよ。夜中に来たときは、投薬、注射がないときは三点、あれば十点とるのです。有沢さんなんかも、みんな理解していないのです。だからこういう問題を、医療のしろうとにやらせることが問題なんです。あなた方自身もよく知らない。われわれもこのごろまでは、十・八をとれることを知らなかった。診療報酬の請求書を出して、夜中に来た再診料は十・八とれるのを知っておった人は非常に少なかった。ほとんど全部の人が最近まで請求していなかった。あなたのところの技官も、私とやり合ったときに知らなかった。これは百八円あるのです。そうしますと、これは明らかに基礎技術料です。たまたま昼はないだけで、夜はあるのです。これは診療手当ということになっておりますけれども、ちゃんと再診として出すわけです。だから目の色を変えて、医師会が言うから再診料出さぬなんというけちな気持ちを持つ必要はちっともないのです。また医療費体系の根本をゆるがす問題でも何でもないのです。あたかも医療費体系の根本をゆるがすかのごとき錯覚を与えることが間違いです。こういう点を専門家のあなた方が説明しなければいけない。あなたの説明は悪い、だからこういう間違った結論になってくる。有沢先生は良心があったとみえて、うしろめたいところがあったので、「初診料、往診料等の診察料」こうやった。「等」ということを入れたわけです。初診と往診と再診のほかに一体何がありますか。あとは入院だけでしょう。入院は上げることになっているのだから。基本診療料を見てごらんなさい。診察料のほかに一体何がありますか。初診、次は再診、往診、あとは結核の療養指導、こういうようなものははるかかなたのものですよ。診察料から言えばまず初診、それから再診です。初診と往診を入れて「等」をつけたからには、再診を入れてもちっとも差しつかえないのですよ。有沢さん幾ぶん良心的なところがあって、「等」でも入れておこうと「等」を入れたのです。石炭の審議会で鉱工業とやったのです。農業が入っていなかった。だから農業を入れなければけしからぬというので、ごたごたもんだ結果、じゃ「等」を入れようとなった。鉱工業等ということになった。それで農業を入れた。これは国会の石炭委員会でちゃんとやった。それと同じです。これは「等」の中に再診料を入れてもちっとも差しつかえない。それをあなたが言うように、入院料を入れて医療費の体系をくずさねなら、再診料入れてくずれようがないでしょう。伝統的にというけれども、今度あなた方が改正した中には、ちゃんと十・八お入れになった。このごろ入れたのです。いままで医療費体系の根本が狂わなかったのに、今度入れたら狂うということはどこにもないでしょう。だから、こういう点はもう少しフランクにいかなければいかぬのです。あなた方がねらうところは、総医療費をどの程度で押えるか、客観的に日本の経済状態から見て、保険経済状態、それから患者の負担の能力の問題、病院経理の状態、そして国の負担の能力、こういうような全体から見て、八千億の医療費を八千五百億が限界であるかどうかということをあなた方が見きわめればいい。それから先は八千五百億のワクの中で、ひとつ専門的に医療技術者で検討してください。これでいいのです。それを入院料はやらぬ、往診料はやるんだというから、われわれがこまかく追及すると、専門家のあなたさえ答弁できないでしょう。バランスをくずさぬように、そして均てんするようにというならば算術平均じゃないですか。何も科学的な根拠はない。聞きますけれども、二十点というものは一体科学的根拠があるか、ないでしょう。二十点の中にどういうものが先払いされているのか。乙表で六点の初診料が、何で甲表で二十点になったのか。その差額の十四点は一体何が入っておるかという答弁ができますか。
  195. 松尾正雄

    ○松尾説明員 御指摘のように三のものが何が幾ら入っておるかということは、甲表ができました当時でも明らかにされていないと思います。同時に、すべての従来からありました六点という初診料にいたしましても、じゃそれを分解したら一体どういうふうな組み立てなんだということになれば、これもまたはっきりしていないんじゃないか。ただ、残念ながら、先生がおっしゃるように、いろいろな対応する部分が明確に各点数の中ではっきりわかるような形でいままで組み立てられておりましたならば、御指摘のようにいろいろな対応部分部分で手直しをしていくということは非常にきれいにやりやすいと私ども考えますけれども、実はそういうものがいろいろ混在してしまいまして、どこをひっくり返してみましても、なぜ何点になるかということは、ほとんど証明というものがついておらないわけです。そこで、こういうものを扱いますときに、一見外から見まして、一つ一つの対応部分が、いかにもていねいに計算されていないという感じを持たされることは、非常にやむを得ないと私ども思っておるわけでございます。
  196. 滝井義高

    ○滝井委員 そうでしょう。だから再診料をつけても、医療費体系の根本をゆるがすことにはならないわけです、もともとつまみ金なんだから。曽田さんがやったときに、科学的に計算してできたのは初診料が十点だったのです。当時初診料は四・六点ですから、四・六点をいろいろやって計算をしで出てきたのが十点です。当時のを、あなたひっくり返してごらんなさい。十点です。舘林さんを呼んだらよくわかる。それを議論しているときに、舘林君がぽっと十二点に変えてきた。三十三年の橋本厚生大臣のときにですか、十八点に変えた。最近になって二十点にした。その十点を十二点にし、十八点にするときに、いかなる理由でしたかということを私が質問し、いろいろ問い詰めたら、あなたは尿の検査料が入っております。何が入っております。いろいろ言っておった。しかし何と何が入っておるか、はっきりあげてみろと言ったらお手上げになった。そしていまの年金福祉事業団の理事長をやっておる高田さんが何と言ったかというと、実はこれはつまみ金です、いわゆる総医療費のワクの中で初診の頻度を見て、これにある数をかけて、ずっと診療行為別に一つの数をかけていって総医療費が六千なら六千でおさまればいいということで、私たちはこの点数をつくっております。初めは十点というのが、ある程度の計算で精密な科学的なものじゃありませんが、ある程度できた。それから先は初診という医療行為の頻度に一定の点数をかけて、総医療費のワクの中におさめるというのがこの甲表なんです。科学的科学的と言うけれども、この甲表はちっとも科学的でも何でもない。そして甲表になったから物と技術を分離して、物は取り扱いませんと言ったけれども甲表で取り扱ってあるし、医療、注射、投薬を与えておるじゃありませんか。そして薬価基準を書いてもらわなければ困るというので、始めたんじゃないですか。だから、もはや甲表はそういうものでなかったということを暴露したのです。それを舘林君がかぶとをぬいで、先生の御指摘のように、甲表には物と技術を分離するといって、乙表は物を重点、甲表は技術中心と言ったけれども、そうじゃありませんとかぶとをぬいだ。だから何も科学的根拠がない。それをあたかも科学的根拠があるかのごとく装って、しかも再診料をやらなければ医療費体系の全体が変わらないという節約議論をさせるのです。あなた方の甲表はみんな間違いなんです。われわれが十年専門的にやってきて、これはそういうものじゃないわけなんです。だからあなた方が、いま言うように初診はどうだと言っても、それはもう何が入っておるかわかりません、こういうことなんです。そのとおりなんです。何が入っておるかわからぬ初診を上げられるのに、再診がどうして上げられないのかということなんです。当然再診は甲表で上げていいでしょう。甲表で再診が上げられるなら、乙表で新しく上げても差しつかえない。ちっとも差しつかえない。それをあなた方が上げられぬと言うことが間違いなんですよ。これは私の言い方が間違いなら反論してください。反論できないはずなんです。しかも往診料も上げるでしょう。そうすると、これは往診料の中には再診料は入っていますか。
  197. 松尾正雄

    ○松尾説明員 往診料そのものの中には、再診料というものは入っていないはずであります。
  198. 滝井義高

    ○滝井委員 一つも入っておらないのですか。
  199. 松尾正雄

    ○松尾説明員 まず考えてないと思います。
  200. 滝井義高

    ○滝井委員 たとえば入院の中には、再診の要素が幾ぶん入っていると言ったのですね。ところが、往診の中には一つも入っておらないのですか、乙表の往診の中には。
  201. 松尾正雄

    ○松尾説明員 おそらく入っていないかと突き詰められると、それは入っているという見方も成り立つかもしれませんけれども、まずそこのところに入っていると考えないほうが、私は経過的には妥当だという感じを持っております。
  202. 滝井義高

    ○滝井委員 そういうようにきわめてあいまいなんですよ。これはあいまいなんです。実を言うと、これはその往診料をどうしてやったかというと、滝井義高なら滝井義高の病院の玄関を自動車で出るとストップウォッチを押した。それで診察をして注射をしてさっと帰ってきたときに、さっとストップウォッチを押したら、医療の平均往診時間は十八分だったというようなことを出した。一日の医療の診療時間は四百三十六点、こう出した。それで計算をしたのが甲表のケースでしょう。そういうことから出てきているでしょう。だからこれは入っていないだろうと思われるし、入っておると思えばまた思われるところもあるでしょう。これはあいまいなんですよ。それに今度は、あなた方は初診と往診だけを上げようというのだから、一体どういう基準でこれは上げることになるか、こういうことなんです。そうすると、初診と往診とあなた方が上げるファクターが出てくれば、これは入院を上げると同じように、再診を上げたって差しつかえないことになる。再診料を上げて悪いという議論は、どこからも出てこないでしょう。初診料と往診料は上げるけれども、同じ診察料の中の再診料はなぜ一体上げられないのか。たとえば三点というものは、投薬、注射がない場合は三点ですよ。三点の場合に五点、六点と上げることだって可能なはずです。そうでしょう。医師会の言うように、毎日くれということでなくても、三点を五点、六点に上げることも可能ですよ。そういうことまであなた方は否定しておる。だからまるきり正当な議論になっていないわけですよ。それはあれするのですか、この甲というのは、再診料は、初診料と往診料を上げるのだから、三点を上げるのですか、六点を上げるのですか、甲表の六点は上げるのか、上げぬのか。
  203. 松尾正雄

    ○松尾説明員 おっしゃるように三点というものが、投薬、注射、処置を行なわない場合にだけとれる、それができればいいじゃないかという問題は、確かにおっしゃるような面があると思います。しかしながら、それをいじるということは実態的にほとんど役に立たない、医療費の値上げ問題としては、投薬、注射、処置というものを行なわないというケースというのは、きわめて少ないわけでございます。その点ではこれをいじることは単に形式論に終わりまして、ほんとうに実効的なものにならないという感じは、どなたでもこの問題の中から読み取られたものと思うのであります。形式的には、確かにいじるということは答申に書いてあるとおりなんです。中には大きく言えば入りますけれども、それをいじってみても単なる形式論に終わるというものであっては、あまりいじっても、それこそ形式論というようないじり方というおしかりを受けるだけだというような気がするわけです。
  204. 滝井義高

    ○滝井委員 甲表は、これはあなたの議論は成り立たない。申表は六点ですよ。その六点を八点にしてもらえば、再診のたびごとに二十上げるわけですから、形式論にはならぬわけです。松尾さん、甲表と乙表とあることをよく頭に入れておいて…………。
  205. 松尾正雄

    ○松尾説明員 甲表のほうでは確かに再診料とおっしゃっておりますけれども、あるいは再診料だけではなくて、再診基本料金と言われておるものでございます。初診の場合と同じように、簡単なテスト、検査とかいうようなものは全部織り込まれておる、そういうことになっておるわけでございます。したがって、乙の再診と甲の再診と同じような問題ではないわけでございます。かりに、もし甲の再診を受ける診療所を上げたといたしますならば、先生が先ほどから御指摘のように、その中に純粋の再診部門は幾らで、そして織り込まれておる投薬、注射なり、簡単な処置というものの技術料的なものは一体どうなんだというような議論がそこに出てまいりますと、ほかのバランスの関係から言えば、たとえば織り込まれておるものが、独立しておる乙表の注射の技術料でありますとか、点数でありますとかいうものもやはり上げなければならぬじゃないかという、その問題も必ず出てくるのではないか、そういう意味では甲表の初診料、再診料というものも、性格的にはなかなかすっきりしてないものだと言わざるを得ないと思いますけれども、そういう関係がございますので、甲と乙と二つのものというのは、十分に配慮しながら考えなければならぬと思います。これは御指摘のようにいろいろ問題もあるところもございますから、十分に両方の問題を考えながら問題を整理していきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  206. 滝井義高

    ○滝井委員 甲表の再診の六点は、扱うのですか扱わないのですか、こう言っているのです。
  207. 松尾正雄

    ○松尾説明員 いまのところはいじらないでいきたいと考えております。
  208. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、初診はいじるけれども再診はいじらぬ、再診の中には物が入っておる、こういうことなんですね。そうしますと、どういう物が入っておるかということになるのですよ。われわれのいままでの説明では、初診全部入れた、先払いの思想というものは初診以外は言うておらぬ。再診は言っておらぬ。だから再診のときに物が入っておるという説明は、政府はいままでしたことはないのです。初診だけに先払いの思想があるということを説明した。再診に先払いの思想があるとは説明してないのです。あなたがいま六点にもいろいろ検査の物が入っているとおっしゃるが、いままでそういう説明をしたということはないのですよ、政府は。さいぜん言ったように、入院の三十六点の中には再診の六点は入っているのです。これはさいぜんのとおりです。そうしますと、この中にいろいろの物が入っているということになれば、入院時基本料の三十点の中には物が入っておらぬことになる。簡単な検査や何かは、この中にも入っておるのですよ。だから、こういうようにだんだん詰めていくと、あなた自身がわからない。私よりあなたのほうがとにかくこの問題については先輩ですよ、曽田さんがつくるときから一緒に議論しているのですから。あなたはそのときに、福岡県の結核予防課長だったのです。だからそういうあいまいなことでやってはいかぬのです。どうせこれはわからないのだから、医療問題がこんなにもめているのだから、政治的につけたらいいのです。総医療費につけたらいい。こういう末梢的なことにこだわってやっているから混乱するのです。だから、そこらあたりはもうちょっとあなたもあれしてもらいたい。  それから歯科の補綴、インレー、充てんですね。これは一種から四種まで百十点ですね。千百円です。これだって、歯科の補綴、インレー、充てんというのは、金や合金が非常に値上がりしておるからやろう、こういうわけでしょう。これだって一種から四種まで百十点というのは、これは明らかに物と技術があるわけです。この物と技術との割合はどういう割合になっておりますかというと、なかなか説明できないでしょう。できないはずです。  時間がないから、その次に飛びますが、一番典型的なのは調剤技術料です。調剤技術料は、同じすりばちの中に物を入れてこするのですよ。これは甲表と乙表と薬剤師がやるのは違いますね。甲表は〇・九点ですね。乙表は〇・八点ですね。それから薬剤師がやると〇・九五点になる。そうすると、特に薬剤師を中心にものを考える場合には、調剤技術料というものは、昔サムス准将が、薬剤師はクマのいを売ってはいかぬというので、特に調剤技術料を〇・九五つけておるのです。〇・九、〇・八、〇・九五と、全部違うわけです。こういうように違う場合に、これは当然、調剤技術料というのは全部動かすことになるわけでしょう。薬剤師だけが動かぬことになるのですか。
  209. 松尾正雄

    ○松尾説明員 あそこで言われております調剤技術料というのは、いわゆる薬局の調剤技術料、こういうものでございます。
  210. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると〇・九、〇・八は動かずにそのままだ、こういうことになるのですね。そうしますと、医者のうちに雇っておる薬剤師の人件費は上げなくてもいいということになるのですか。
  211. 松尾正雄

    ○松尾説明員 独立している薬局の薬剤師の場合の調剤技術料というものをあそこの項目では上げていけ、こういう主張になっておるわけでございまして、それだから内部におけるといいますか、病院内における薬剤師の報酬を上げなくていいという御議論は、やや飛躍があるのではないかと思います。そういうことは、言いかえれば、技術料といいますか、医者の技術料を上げろということでかりにそれに対応したといたしました場合、やはり診療所におきましても医者以外の従業員というのはいるわけです。それではその人たちの人件費は全く考慮しないのかという議論になれば、それはそういうことではないという考え方に立たざるを得ないわけでありまして、それは院長というものが、技術料の中からそういう人を雇う金をお払いになるという考え方で、そこへ集めておるわけであります。だからその他は上げないということになると、全点数あらゆるものを全部いじらなければそれに対応するものが出てこないという問題になると思うのであります。それは、そういうふうに私ども考えていないわけでございます。
  212. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、入院というものは病院だけにおいて扱う、初診料、往診料等については診療所中心だ、それから歯科は当然歯科だ、調剤技術料は薬剤師だ、こういうことになるのですか。
  213. 松尾正雄

    ○松尾説明員 どちらが多く影響するかという問題はありますけれども、たとえば現在の仕組みの中で、かりに初診というものをいじった場合においては、これは病院における初診にも影響いたしますし、診療所における初診にももちろん影響いたします。入院をいじれば、それは病院の入院にも影響いたしますし、有床診療所の入院にも影響するという形でございます。それぞれ、この点数表というものの仕組みから言えば、その行為があったところにそれぞれの影響が出てくる、こういうふうに考えていただきたいと思います。
  214. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、入院料でも甲表と乙表があるわけです。甲表をいじって乙表をいじらぬということも可能である。どうですか。
  215. 松尾正雄

    ○松尾説明員 可能性としてあると言えばあるかもしれませんが、しかし先ほど答申にありましたような趣旨からいたしましても、たとえば入院料が主として病院における人件費、物件費というようなものに比較的対応しやすい問題で、またそれが病院の経費をいろいろ手当ていたします場合に非常にぴったりしていくというものであれば、これはそういう影響を受けていくのは甲表の病院だけが受けておるわけではありません。乙のほうでもあるわけであります。なるべく両方ともバランスをとりながらいじっていくというのがたてまえだと思います。
  216. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。そうしますと、入院料は甲表も乙表もいじる。二番目の初診料、往診料等の診察料も、甲表、乙表ともいじるわけですね。
  217. 松尾正雄

    ○松尾説明員 当然甲表、乙表もなべて同じような項目、共通に操作しなければいかぬと思っております。
  218. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、どうして調剤技術料だけいじらないのですか。
  219. 松尾正雄

    ○松尾説明員 調剤技術料というものは、いわゆる開局薬局の分業の処方せんが来たときのものでございまして、現在内服一日一剤について九円五十銭という報酬があります。その独立薬局の調剤報酬というものをここで上げろという表現になったわけでございます。議論の中では、まだ病院内における調剤報酬を上げろという意味では、ここでは議論されたことはございません。あくまで三師会の薬剤師会が言っておられるのは、開局薬局の調剤報酬を上げてほしい、こういう御要求でございます。
  220. 滝井義高

    ○滝井委員 本文の中にはそう書いてない。医師会のほうにはそう書いてある。明らかに「薬剤師の基礎技術を、基礎診察料に準じ評価する。」こう書いてあります。いわゆる「第二号側委員の意見」というのには書いてあるが、調剤技術料というものを、特に薬剤師とは本文では断わってない。それはわかりました。  そうすると、結局三番の歯科の分は明白になった。調剤技術料も明白になった。これらのものは普通の医科には関係がない。  そうしますと、(2)の「等」というのは一体何ですか。
  221. 松尾正雄

    ○松尾説明員 協議会の席上で具体的にこういうものだという話が出ておったという記憶はございますが、その際には、先ほども先生が御指摘になりましたように、乙表で言えば、あのとき例が出ましたのは乙表で出たわけでございますが、要するに第一表の診察料のところに書いてあるものであります。したがって初診、再診、往診、結核療養指導、療養指導、これまでの項目が、一つ一つの「等」という項目に入るでしょうという議論はありました。
  222. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、再診料も「等」の中に入っているわけですね。わかりました。それから先は政治的にやる以外にないわけで、あなたのほうが診察料の中のこれらの初診、再診、往診、それから結核療養指導、療養指導、分べん監視、これらのものが「等」の中に入っているということがわかりさえすれば、それから先は与党とわれわれの接触になって、それをどういうぐあいにやるか、後ほど政治的にやります。そこがはっきりすればけっこうです。これで終わります。
  223. 松尾正雄

    ○松尾説明員 いま先生の言われた最後のおことばでございますけれども、そういうふうな項目の範囲としては、そういうふうな範囲として入るんだという議論はございます。先ほど公益委員のほうの答申の意見を説明されました要旨のほうは、そのところのその部分については、一つの見解を出されたということだけは事実でございます。
  224. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十二分散会